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1995/03/10 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 労働委員会 第4号
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1995/03/10 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 労働委員会 第4号

#1
第132回国会 労働委員会 第4号
平成七年三月十日(金曜日)
   午後一時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十八日
    辞任         補欠選任
     細谷 昭雄君     千葉 景子君
     粟森  喬君     古川太三郎君
 三月六日
    辞任         補欠選任
     三石 久江君     國弘 正雄君
 三月七日
    辞任         補欠選任
     國弘 正雄君     中尾 則幸君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         笹野 貞子君
    理 事
                野村 五男君
                庄司  中君
                古川太三郎君
                吉川 春子君
    委 員
                坪井 一宇君
                柳川 覺治君
                千葉 景子君
                角田 義一君
                足立 良平君
                武田 節子君
                星野 朋市君
                和田 教美君
   国務大臣
       労 働 大 臣  浜本 万三君
   政府委員
       労働大臣官房長  伊藤 庄平君
       労働省労働基準
       局長       廣見 和夫君
       労働省職業安定
       局長       征矢 紀臣君
       労働省職業能力
       開発局長     中井 敏夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐野  厚君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○特定不況業種等関係労働者の雇用の安定に関す
 る特別措置法及び雇用促進事業団法の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(笹野貞子君) ただいまから労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二月二十八日、粟森喬君及び細谷昭雄君が委員を辞任され、その補欠として古川太三郎君及び千葉景子君が選任されました。
 また、去る六日、三石久江君が委員を辞任され、その補欠として國弘正雄君が選任されました。
 また、七日、國弘正雄君が委員を辞任され、その補欠として中尾則幸君が選任されました。
#3
○委員長(笹野貞子君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(笹野貞子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に古川太三郎君を指名いたします。
#5
○委員長(笹野貞子君) 特定不況業種等関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○庄司中君 特定不況業種等雇用安定法の問題でございますけれども、法律の中身は、一つは延長ということ、それからもう一つは新しく中身を変えていくということであります。
 趣旨としましては、円高がかなり進行している、そして国際化の進展がある、そして産業構造がかなり大きく変わっていく、それからもう一つは、こういった背景に合わせまして産業間、企業間の労働移動による雇用機会の確保という問題、そして雇用を安定させるために移動の際の能力の開発を行うということだろうというふうに思います。
 この施策の中身としましては、従来の特定不況業種に新たに特定雇用調整業種というものを加えていくということ、それから労働移動による雇用機会確保に対する助成措置を講じる、施策の中身はこの二つだろうというふうに思います。
 そこで、大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、従来の雇用政策といいますのは、どちらかといいますと不況であっても労働力を外に出さない、企業の中で何とか確保していく、この典型的な施策が雇用調整助成金だろうというふうに思います。つまり、政策の考え方といいますのは、循環的な経済の変動に突っかい棒を当てながら雇用を確保していくという考え方だったろうというふうに思います。
 さっきもちょっと申し上げましたけれども、今度の法律の改正といいますのは、労働移動による雇用機会の確保ということで、労働力を外に出しながら確保していくという考え方が新しく出てきたのだろうというふうに思います。
 例えば、従来の施策の系譜を見てみますと、去年の中期雇用ビジョンあたりからそういう考え方が提起されてきたというふうに私は承知をしております。つまり、失業を経ないで雇用を確保していく、こういう考え方のレベルでは中期雇用ビジョンのところから出発しているんじゃないか、施策の系譜、考え方の系譜からいきますとそんなふうに思います。
 循環型の経済変動ではないわけですね。円高であるとか国際化が進むということはかなり構造的な変化、この構造的な変化には企業内から労働力を出さないという施策では十分に対応できない。そうなりますと、移動はするけれども、移動によって雇用を確保していくという考え方がもう一つないといかぬだろうと。
 大臣にお聞きしますのは、いわば中期雇用ビジョンの考え方が具体的な施策となって展開されたのは今度が初めてだろうというふうに思います。そういう点で、今までの施策に加えて新しい施策の方向が出てきたわけでありますから、施策の幅の厚みが加わったというふうに私は理解いたしまして、改正の方向といいますか、施策の方向としては非常にいいんだろうというふうに思います。
 非常に積極的に私は評価したいと思いますけれども、この一種の施策の転換といいますか、考え方もそうです、考え方があって施策が展開していくわけでございますが、むしろ転換というよりも、前の施策が継続されるわけでありますから展開というふうに言った方がいいかもしれませんけれども、やはり一つの大きな施策の変化だろうというふうに私は受けとめます。
 この点でかなり基本的な内容を含んでいるというふうに考えますけれども、大臣、これについてどういうふうにお考えでしょうか、まずその点をお聞きしたいと思います。
#7
○国務大臣(浜本万三君) 現状の認識とも申しましょうか、円高、国際化の進展等による産業構造の変化が今日行われております。今後、中期的には産業別の労働力構成は相当大きく変化するものだというふうに理解をいたしております。また、今後若年人口も減少に向かいますし、当然産業間の労働移動が増加することが予想されるわけでございます。そういう内容につきましては、既に皆さんに報告をさせていただきました平成六年六月の雇用政策研究会の中にそのことが報告をされておるわけでございます。
 こういう状況の中で、やむなく必要となる労働移動につきましては、委員御指摘のようにできるだけ失業という痛みを経ることなく行われることが必要ではないかと思っております。社会にとっても、また労働者個々にとってもその方がよろしいのではないかと思っておるわけでございます。
 このため、雇用維持のための対策のみならず、失業なき労働移動への支援ということが特に重要な政策展開となっていかなければならないと思っております。今回は、その一環といたしまして特定不況業種雇用安定法の改正案を今国会に提案をいたしまして、御審議をいただいておるような次第でございます。
#8
○庄司中君 施策の展開の背後に円高、それから国際化という問題が指摘されております。そこで、施策の背景になっているそういった問題について、あるいは背景の認識について質問をしてみたいというふうに思います。
 最近、物すごく円高に振れまして、驚くことに八十円台という現実が出てまいりました。かつて三百六十円だったわけですから、つまり四倍に円の価値が上がった、ドルと比べますと。そんなふうな状態であります。
 ただ、この原因を考えてみますと、確かに我が国の経常黒字がいささかも減っていかないということが我が国側の要因としてあります。しかし一方で、アメリカ側の要因としては例えば双子の赤字がございます。経常収支と財政の赤字という問題がございますし、それから今度の円高の直接のきっかけになりましたのは、NAFTAのメキシコの通貨危機、これが世界的に波及をしたということです。
 さらに、もう少し突っ込んでこれを見てみますと、つまりアメリカの貯蓄、その貯蓄を上回る消費と投資が行われる、金がないのに使うということがやはりドルのシステムを非常に弱めている。ドルは基軸通貨でありますから世界的な波及力を持つ、こういうふうな状態がやっぱりあるだろうというふうに思います。しかも、アメリカ型の条件というのはなかなか変わりそうもない、中期、長期に及びそうだという感じがいたします。そうなってきますと、これからは、確かに最近またきのうあたりから九十円台になっておりますけれども、仮に円安に振れたとしても、つまりシステム自身が弱みを持っておりますから、また円高に振れるという状態がやっぱり出てくるんじゃないだろうか。
 そうしますと、私たちとして、つまり雇用対策としては円高下の雇用対策という考え方を堅持していかなきゃいかぬだろうというふうに思います。特に、雇用対策として考えられますのは、一つはやっぱり産業構造の変化ということがありますから、それに応じた質の高い人材の育成という問題が一つあると思います。それからもう一つは、ミスマッチをなくしていくということです。変化に応じて労働力の需給システムをミスマッチがないようにしていかなきゃいけない。
 この二つの課題を、いわば円高下の雇用対策ということでどうしても考えていかなきゃいけないんじゃないだろうか。そんなふうに思いますけれども、それについて見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。
#9
○国務大臣(浜本万三君) 昨年来の円高の進行を背景にいたしまして、製造業の生産拠点の海外移転や製品輸入の増加の動きが続いておることは委員も御承知のとおりでございます。こうした中で、ここ数日間の円高の進行によりましてそうした動きが一層進展することが懸念をされておるわけであります。
 当然、この問題は雇用に影響するということを私も承知をしておりまするので、私といたしましては、まずこうした円高が雇用にどのような影響を及ぼすかということにつきまして、全国の公共職業安定機関を通じまして早急に実態を把握しなければならないと思いまして、指示をいたしておるわけでございます。
 今後、その結果を踏まえまして機動的な政策対応に努めてまいりたいと思っております。
#10
○庄司中君 円高になりますと、どうしても経済の自然の流れとしまして成熟した技術の製品というのはやっぱり海外に移らざるを得ないだろう、これを抑えることはそれはもう経済の流れを抑えることになりますから実際はできないだろうと。そうしますと、そのままにしておきますと雇用の空洞化というのが生まれてますから、新しいやっぱり付加価値の高い製品なりサービスというものをつくり出していかなきゃいけない、こんなふうになるだろうというふうに思います。
 そこで、最近発表されました日銀短観、これは二月調査で、主要望造業の海外シフトの動向というやつを初めて調査をしたわけでありますけれども、これを見てみますと、これはもう主要企業、製造業ですから百七十七社で少ないわけですけれども、方向としては非常によくわかるわけです。
 例えば、短観の調査結果によりますと、九四年度の見通し、まだ全部終わっておりませんけれども、生産は海外では一二・六%ふえるというわけです。そして、国内では〇・七%しかふえない。一二・六%と〇・七%の違いがそこにある。しかも九五年度の計画によりますと、海外では九・六%生産がふえる、国内は景気がなだらかに上昇というふうに見ましても二・四%だということです。その結果、これは非常に高いと思うんですけれども、海外の生産比率が一九・五%になるというわけです。だから、生産高全体の中で二割近くがもう海外で生産されるということになるわけです。こういう現実がやっぱり一方においてはある。これはある意味じゃ非常に大変なことだなというふうに思います。
 それからもう一つは、これからの見通しなり現実なりを見きわめる上で必要だと思いますのは、例えばアジア経済研究所が九五年のアジアの経済の見通しというものを発表しまして、アジア諸国の八五年から九三年、八年間の所得の増加というのを推計しております。これによりますと、ちょっと僕もびっくりしたわけですけれども、NIESですね、四匹の竜という話になりますけれども、それが、これは一人当たりですけれども、これはドルベース、もう三千二十ドルから九千七百二十ドル、つまり一万ドルです、この八年間にNIESは三倍の所得になったということです。ASEANでも六百三十ドルが千百四十ドルというふうになりまして、ここでも二倍です。
 中国は、広くて発展した部分とそうじゃない部分がありますから平均すると一・六倍ぐらいでありますけれども、中国でも沿岸部、華南経済圏と言われている部分では恐らく二千ドルを超えているだろうという推計も実はあるわけであります。我が国の一九八五年、つまりプラザ合意のその前の一人当たりは一万一千ドルですから、NIESはもうそのレベルヘ達しているということになります。
 そうしますと、私たちは、やっぱりアジアに企業がシフトしていく場合に、今までは生産基地、つまりコストを下げるために外へ出ていくという考え方だったわけです。そしてそこから我が国へも輸出しますし、アメリカにも輸出する、つまり輸出基地という考え方があったわけですけれども、これだけ所得が上がりますとそこで売るということになってくると思います。そこで売るために生産をするということになってくると思います。
 したがって、今まではコスト志向の海外シフトだったのが、今度は市場志向の海外シフトという性格が加わってくる。そうなりますと、海外シフトのスピード、つまりテンポが上がってくるんじゃないだろうか、こんなふうに思いますけれども、その辺はどういうふうに認識していらっしやるんでしょうか。
#11
○政府委員(征矢紀臣君) お答えいたします。
 製造業全体での海外生産比率を見ますと、例えばアメリカですと大体三〇%近くでございます。ドイツですと二〇%近く、これに対しまして我が国の現状は六%台でございまして、そういう意味での水準はまだ比較的低いわけでございますが、御指摘のように企業活動のグローバル化の進展、あるいは国際化、昨年来の円高などを背景といたしまして、製造業の生産拠点の海外移転、あるいは製品輸入の増加の動きが加速しておりまして、こうした動きによりましていわゆる産業雇用構造の空洞化をもたらすものでないかという心配が高まっている点につきましては御指摘のとおりでございます。
 そういう面からいきますと、景気は緩やかに回復基調にあるわけでありますけれども、景気が回復するにいたしましても産業、業種によりましては雇用情勢がなかなか改善しない、こういういわゆる雇用面での構造問題を抱える、こういう場面も生じてくるわけでございまして、そういう構造問題に対する政策展開を行っていくことが今後の重要課題であろう、こういう認識でございます。そういう意味で、政府全体といたしましては、昨年末に内閣総理大臣を本部長とします産業構造転換・雇用対策本部を設置し政府一丸となって経済構造改革に取り組んでいるところでございまして、労働省といたしましては、その一環として今回御審議をお願いしております特定不況業種雇用安定法の改正案、こういうものをまとめたところでございます。
 今後につきましては、いずれにいたしましても、ただいま御指摘もございましたように人材育成の問題等重要課題もあるわけでございまして、そういう点については二十一世紀までの間の労働力需給見通しがどうなるか、あるいは構造変化がどうなるか、そういうものとの関係での雇用政策のあり方につきまして新しい雇用対策基本計画を検討する中で、私どもとしては検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#12
○庄司中君 確かに六%というのは九三年の数字だと思いますね。そして、恐らく九八年には九%ぐらいというふうな推計がこの前の雇用政策研究会の報告の中にもありますけれども、ただ私はもっと厳しくこれは見ておいた方がいいんじゃないかな、そんなふうな感じがいたします。ですから、次の雇用対策基本計画の中では、これはもう十分議論をして、むしろより厳しく見るような方向に考えていっていただいた方がいいんじゃないだろうか。
 といいますのは、御存じのように例のアメリカの海外の生産比率がたしか二七・五%に行っていますね、これ九三年だと思いますけれども。これを振り返ってみますと、レーガン政権が成立をした前の方ですね。八〇年代の前半のところです。八五年がプラザ合意ですからドルは下がるわけでありますけれども、その前非常にドル高だったわけです。そのときに海外シフトが猛烈に進んだわけですね。そして、よく言われるように、あの時代わずか数年の間にアメリカでは家電産業が消滅をした。もう家電がない、冷蔵庫やテレビやそういうものをつくる産業がアメリカには全くない。たしかゼニスという一社があったけれども、事実上もう全くないという状態が生まれたわけですね。だから、雇用の空洞化、産業の空洞化というのはやっぱりドル高の猛烈なテンポに非常に関係があるというふうに思いますので、雇用対策基本計画を策定する場合にはその点を十分配慮していただきたいというふうに思います。
 その点を要望しまして、余り時間がありませんので次へ移りたいというふうに思います。
 この法律案を見てみますと、さっきも申し上げましたけれども、不況業種とそれから調整業種、この二つが出てまいります。これを法律の文字の上で比較しますと、例えば特定不況業種は「製品又は役務の供給能力が著しく過剰となっておりこ、そして調整業種の方は「製品又は役務の供給が相当程度減少」をしていると。それからこんな状態がどのくらい続くかということが二番目に書いてありまして、「その状態が長期にわたり継続することが見込まれる」というのが不況業種の方でありまして、そして調整業種の方は「回復しないことが見込まれる」と、大して変わらないですね、これ。しかし、特に変わっておりますのは、不況業種の方は「その業種に係る事業所に関し事業規模若しくは事業活動の縮小又は事業の転換若しくは廃止を余儀なくされこ、つまり縮小それから廃止が余儀なくされるという条件が不況業種にあって、調整業種にはこれがないというふうに法文上はなっておりますけれども、不況業種と調整業種を分ける考え方、基準というものはどういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
#13
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま先生から御説明のあったとおりでございまして、基本的な考え方として一番違いますのは、産業政策等によりまして設備の廃棄等そういう形での政策を進めることによって当該業種の縮小を図っていく、そういうことをやらざるを得ない。典型的な例としましては現在石炭鉱業等があるわけですが、そういう観めて厳しい業種、これが従来の特定不況業種でございまして、これにつきましては一定の失業予防措置も図りますけれども、基本的には一時に多数の離職者が出てまいりますので、そういう離職者についての再就職その他の対策を特別対策として講ずる、こういうような業種でございます。
 それに対しまして、今回の特定雇用調整業種につきましては、先ほど来申し上げておりますような背景で構造問題を抱えておりまして、したがってそういう意味では趨勢的に雇用量の減少を余儀なくされる業種ということでございますが、ただ国の政策等によりまして設備廃棄とかそういうことをするまでには至っておらない、こういう構造問題を抱えている業種ということでございます。
 具体的には、いずれにいたしましてもその辺については労働大臣が指定するということでございまして、その具体的な指定基準というものを定めて、これは審議会にお諮りして定めるわけでございますが、それに基づいて当該業種の指定を行う、こういう考え方でございます。その指定基準として考えておりますのは、これは大体特定不況業種につきまして生産量あるいは雇用量が三年以内の同期比で一〇%以上減少していることというような要件がございますが、大体それと同じような基準を考えておるところでございます。
 もちろん、設備の稼働率とかそういうものは今回の指定基準には入ってまいらないわけでございますが、そんな考え方でございます。
#14
○庄司中君 現在の不況業種の指定基準を見ますと三つありまして、局長が言われたように一つは三年以内と現状の事業活動の規模みたいな比較ですね、これ一〇%という基準が入っております。もう一つは能力に対して今どのくらい動いているかということで、これも一〇%という基準。それからもう一つ、これは調整業種と局長が言われたように違いますのは、例えば事業所管官庁による助成なり勧告なりで設備の廃棄を行うという場合に不況業種であるという考え方がございますね。この部分はやっぱり残るわけですね、余儀なくされるというふうに書いてありますから。
 そうしますと、この部分は非常に少なくなるんじゃないだろうかというふうに思いますのは、例えば規制緩和とか市場メカニズムの活性化、そしてこれが行き着くところは企業の自己責任ということになりますね。赤信号みんなで渡れば怖くないんじゃなくて、市場メカニズムの中で企業は自己責任で決めていかなきゃならない。仮にこの三番目の基準が残りますと、恐らくこれからはその部分は非常に少なくなってくる、そんなふうに考えますけれども、その辺はどうでしょうか。
#15
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま先生御指摘の点でございますが、今回の特定雇用調整業種の指定基準を検討する場合につきましては、これは設備廃棄等によるというような文言は法律上ございませんで、したがって産業政策としての具体的なその対応、これによって設備廃棄等がどこまでいったか、こういうような点につきましては今回の指定基準についての要件とはいたさない、そういう考え方でございます。
 したがいまして、三年間やや中期的に見まして、趨勢的に生産量、雇用量が同期比で一〇%以上減少している、そういうような場合について指定をしようというような考え方でございます。
#16
○庄司中君 終わります。
#17
○足立良平君 足立てございます。
 今、同僚議員の方から円高の今日の状況の問題等提起がされまして、私も本当に大変なことだなと、正直に言ってびっくりしているという状況であります。
 この特定不況業種等の雇用の安定の問題に関して考えますときに、政府としていろんな施策をしていかなければいけない、これもう当然のことだろうと思うんです。しかし、やっぱり政府としてすべて雇用を確保し切れるというものではないわけでして、これは何といっても企業がその労働者を雇用し続けていく、そういう経済環境というものがつくられないとどうしようもないという感じを私はいたしております。
 そういう面で、これちょっと労働省の方にお聞きをしたいと思うんですけれども、一体これから円ドルというものはどういう状況になっていくものでしょうね。これは、為替の動向によって我が国の経済というか企業の経済活動というのはもう抜本的にひっくり返ってしまうわけですね。
 考えてみたら、日本の労働者、国民も含めまして本当に一生懸命働いて、そして貯金をして、あるいは保険も含めてなんでしょうけれども、それ全部今までだったら海外に投資しちゃっている。そして、これどんどん減価していっているわけですね。一体これ何しているんだという感じがしないわけでもないわけですから、そういう面でこれからの雇用の問題というものを考えていこうとしたときには、やっぱり一番根本的なこの辺のところを一体どういうふうに考えたらいいんだろうかということを、今もちょっと同僚議員のお話を聞いていまして、私はこれが一番ポイントかなという感じもちょっとして、あらかじめこのものずばりの質問通告はしていなかったと思うんですが、労働省としてどういうふうにお考えになっているんでしょうか。もしあれば聞かせていただけたらありがたいんですが、いかがでしょうか。
#18
○政府委員(征矢紀臣君) 率直に申し上げまして、御指摘のような心配が常にあるわけでございまして、先行きのことはともかく、過去の状況を見ますと、御承知のようにずっと一ドル三百六十円で来ましたものを、実勢レートに合わせるということにして以来、一貫して円が上がってきているわけでございます。それが今日九十円を切っている、こういう状況でございまして、したがって基本的な動向が変わらない限り、常に円高の心配を抱えているのであろうというふうに考えております。
 したがって、なかなか難しいんですが、雇用政策自体もそういう経済的な背景を考えながら、さまざまな局面での対応を考えていかざるを得ない、そういう一環として今回この法案の審議をお願いしているわけでございます。これにつきましては、一方ではこれも御承知のことで、国際収支は大幅な黒字基調、この基調も変わっていないわけでございまして、恐らくそこの黒字基調というものがどういう形かで解決しない限りは円高の心配もあるんではなかろうか。
 それについては、もうこれも言われているとおりでありまして、内外価格差の是正であるとか、あるいは規制緩和であるとか、あるいは国内需要の喚起であるとか、そういうことによってその辺を解決していくべきだと。こういう問題と、それからあわせまして国際化の中での、いわば先生も御指摘のように経済的な、あるいは産業的な役割、これについて生産性の低いものが開発途上国に移っていく、これも避けて通れない。
 そういう意味での空洞化というのも避けて通れないとすれば、我が国としては今後の産業構造が変動する中で、やはりどういう付加価値の高い産業があるかというようなことで、情報通信産業であるとか、あるいは高齢化社会の中での医療福祉産業であるとか、そういうビジョン等も示されているところでございますが、なかなかそれをどういう道筋で具体的に現実化していき、そういう中でどう雇用がつくられていくかという点について現在必ずしもはっきりしてない、そこが一つの私どもの面から見ると重要な課題であるというふうに考えているところでございます。
#19
○足立良平君 やっぱりそういうふうな答弁にならざるを得ないんでしょうね。これからどうとかはっきり言っちゃうと、いろいろとそれこそ大変な影響を与えてくるのかもしれません。
 それで、これはちょっと大臣にお聞きをしたいんですが、昨年でございましたでしょうか、大臣の所信表明といいますか、の中でも払お聞きをした記憶が実はございます。これは大臣の所信表明、その所信表明の中で、これからの雇用の問題を中心にして、この前もちょっとお聞きをしたわけでありますが、この所信表明をずっと読ましていただいても、今局長から答弁がありましたように、為替というもの、これをやっぱり円高というもの、ある面においては経済のファンダメンタルズに合うような状態を維持していくということは一番大事だと。そのためには規制緩和というものも必要だというふうに今局長は答弁されているんですが、この所信表明の中で、これからそういう面で規制緩和を中心に置く、中心に置くかどうかは別として、重要なファクターとして我が国の経済構造というものなり、それを考えていかないといけないし、当然そのことによって雇用労働者に対するいろんな問題点が派生をしてくるというふうに私は思うわけです。その点で、この大臣の所信表明というものでは文言的には余り触れられていないというふうに実は私は理解をいたしているわけです。
 それから、この法案についての提案理由説明をずっと拝見をいたしておりましても、これまた先ほどもちょっと議論として少し出ておりましたけれども、「景気回復に伴い循環的な雇用問題は今後改善していくものと考えられます。しかしながら、製造業の海外シフト等に伴ういわゆる産業の空洞化等の構造的な問題が大きくなる懸念もあります。」というふうに、これも今の円高というものを阻止する、あるいは実情に合ったようにしていこうという観点からの産業構造上の視点というものがちょっと私感じられないんです。
 その辺のところを、私は特定不況業種という問題を考えて、労働者の雇用は企業の中で、ある面においては原則的にはそんな移動がない方が望ましいし、どうしても移動させなければならないとするならどういう手当てをするのかというのは、これは労働省として当然考えていかなければならない。その前提条件が、大臣の所信表明を拝見したり、今回の法案の提案理由をお聞きしたりずっと読ませていただいていると、その点が正直言いますとちょっとぴんとこない、その辺のところ、いかがでしょうか。
#20
○国務大臣(浜本万三君) 産業構造が大きな変化を遂げておる要件の一つに、規制緩和の問題も当然入れて考えているわけです。そこのところをもう一つまとめて申しますと、産業構造の国際化でありますとか技術革新でありますとか情報化、そして規制緩和の推進等を背景に今後の産業構造の大きな変化が見込まれておりますという考え方は持っているわけなんです。ですから、議員が今おっしゃいましたことは十分頭の中には入れておるんですが、所信表明の中で十分それを書き込んでいなかった点はあるかもわからないと思いますが、認識としては要件の一つに規制緩和の問題を入れておるということでございます。
 それで、特に規制緩和は、内外価格差の是正を通じた経済の活性化と豊かな国民生活の実現を図る上でも重要な課題であると思っておるわけでございます。したがって、政府といたしましても今月末に規制緩和推進計画を積極的に取りまとめるという方針を発表しておるわけでございまして、その中間報告を本日三月十日に公表するということにいたしておるわけでございます。
 雇用の問題と関係して考えますと、このような中で雇用の安定を図りながら自由で活力のある経済社会を創造していきますためには、経済社会の動向を的確にとらえて産業構造の転換と雇用対策を一体的に推進していくことが必要ではないかと思っておるわけでございます。そのために、先ほど局長からもお話しいたしましたように、昨年の暮れに産業構造転換・雇用対策本部というものを設置いたしまして、政府が一体になりまして経済構造改革の推進に取り組んでおるところでございます。
 そこで、労働省といたしましては、今後の経済産業構造の転換が雇用に不安を生じせしめないように、円滑に対策を講じていかなければならないと思っております。そのためには、人材の育成や失業なき円滑な労働移動への支援を初め各般の施策を積極的に実施していかなければならない、このように思っておる次第でございます。
#21
○足立良平君 確かに労働省という役所からしますと、今大臣から答弁ありましたように、産業構造がどう変わってそしてその後どういうふうな労働雇用の状態になるのか、一種の後追いといったら言葉は悪いかもしれませんが、という限界があることは私は十分理解をするわけです。ですから、それは通産省なら通産省という政府の大きな一つの役所が例えばどういうふうに産業構造というものを誘導していこうとするのかという産業政策上の視点から物を見るのと、労働省の視点というのは明らかに異なってくるであろうということは十分私は想定するんです。
 けれども、ただこの前もちょっと申し上げて二度になるから余り詳しく申しませんけれども、通産省側の産構審の答申等をずっと読んだり、労働省との関係を踏まえて見ておりますと、むしろ規制緩和というものをやっていかないとどうにもこれから日本のいわゆる円高の問題を含めて対応し切れない、産業構造では対応し切れない、そしてそのためには今後数百万人の例えは労働移動というものは現出してくるだろうというふうな前提を置きながらいろんなことを考えようとしているわけです。
 今、大臣がおっしゃったように、言外といいますか、具体的にストレートの表現は別として、そのことを十分踏まえて考えるというふうに御答弁いただきましたから、そういう観点でひとつ労働省としても、私は規制緩和という問題、すべて規制緩和がいいか悪いかといういろんな議論もあると思うんですけれども、しかし何といっても雇用不安が生じてくると、これはまさに単に一労働者の問題にとどまらずに社会全体、日本全体の不安定化につながってくるわけでありますから、私はそういう点では労働省としても積極的にひとつ取り組みをしていただきたいものだというふうに要望を申し上げておきたいと思います。
 それで、ちょっと大臣、もう一つえらいおっかぶせたような質問してまことに恐縮でございますが、今大臣もおっしゃいましたように、昨年の十二月十六日でございましょうか、総理大臣を本部長とする産業構造転換・雇用対策本部が設置をされました。私もそのことは承知をいたしております。そういう面では政府一体として積極的に取り組んでいこうという姿勢のあらわれであるということで、私はこれを積極的に評価をいたしたいと思うんです。
 ただ、これちょっと私の調査が間違っているのかもしれませんけれども、昨年の十二月にその本部が設置をされてから今日までただの一度も対策本部というものは開催をされていないというふうに私は今思っているんです。もし間違っていたら御指摘を願いたいと思います。
 これほど円高、これもう大体地球が一回りする間に八円ぐらいの円高が乱高下するような今の状況でありまして、そういう点ではこれは業種によりましたら一円の円高で、例えば自動車業界は一円で年間三百十億円強前後の大変な状態が、マイナス要因があらわれてきている。あるいは電気メーカーからいたしますと五百数十億円の、これは一円の円高によってそういう企業の収益というものは変わってくる、一円でですね。というふうに言われている我が国の今日の産業の状況からいたしますと、せっかくつくったこのような産業構造転換・雇用対策本部というものが全く機能していないとは一体どういうことだという感じをちょっと持つんですよ。
 しかも、それは通産省側だったらそれを受けて産業構造転換対策本部というものを設置しているようでありますけれども、労働省の方は、総理の対策本部がつくられて、そして労働省側でそれを受けて一体具体的にどういうふうに詰めていくのかというふうな本部がこれまたつくられていないのではないかと。だから、先ほど大臣の方は積極的にひとつ言外にそういうものを含んでやりますとおっしゃっていただいているんだけれども、その仕組みなり体制というものなり、ちょっと失礼かもしれませんけれども、意欲的にいかがなものかなという感じがするんですが、どうでしょうか。
#22
○国務大臣(浜本万三君) 今の御質問にお答えするんですが、この対策本部が設置されましたのが十二月十六日でございまして、それで十二月二十七日には第二回目の対策本部を開催いたしまして、三つのことを決めておるわけです。
 一つは内外価格差の是正、縮小ということ、それから第二番目は経済フロンティアの拡大、これは主として通産省の政策を決定し、それから第三番目には、これは労働省の関係になるんですが、ダイナミックな労働市場の形成を通じた雇用の安定ということを決定いたしておるわけでございます。
 それで、急激な円高問題を除きましては、おおむねこのときに決定いたしました内容を労働省の今日の重大政策にいたしまして雇用対策に取り組んでおるわけでございますので、そんなに大きなそごはないんじゃないかというふうに思っておるわけです。
#23
○足立良平君 そうですか、わかりました。それではひとつよろしくお願いをしておきたいと思います。
 それで、これは大臣といいますよりも労働省の方にお聞きをしておいた方がいいのかもしれないと思いますが、本法案の提案理由説明にも関連するんですが、先ほどちょっと触れましたけれども、今日の景気の状況をどのように認識するのかということにかかわるわけですが、「景気回復に伴い循環的な雇用問題は今後改善していくものと考えられます。」と、先ほどもちょっと申しました。そして、「海外シフト等に伴ういわゆる産業の空洞化等の構造的な問題が大きくなる懸念もあります。」というふうに、これからの雇用の情勢についての認識を一応示されているわけです。
 それで、私ちょっとお聞きをいたしたいのは、この循環的な雇用問題と構造的なそういう雇用問題というものが本当に峻別し得るのだろうかなと。一体その判断の基準なり基本概念といいますかね、わざわざこういうふうに峻別されて提起をされているわけですが、一体どういう判断基準でこういうふうになされているのか、ちょっとこれを教えていただけますか。
#24
○政府委員(征矢紀臣君) 峻別できるかといいますと、なかなかそのボーダーラインが難しいわけでございますけれども、ただ先生御指摘のように、経済自体は景気のいいとき悪いときの循環を三年ぐらいの期間でやっているわけでございます。
 今回につきましても、現状の雇用失業情勢を見ますと、最悪期に〇・六二倍ぐらいまでいった有効求人倍率が現在〇・六六倍と緩やかでございます。なお厳しいわけでございますけれども、底は打って若干はプラスになっている。それから、完全失業率も三%あたりでずっと経過したまま二・九、二・八となって、最新時点でまた二・九で若干落ちていますが、そういう状況になっているということで、経済の緩やかな回復基調とあわせまして、雇用情勢についてもこの状況が続けば明るくなっていくんではなかろうか、全般としてはこういうことが言えるわけでございます。
 ただ、そういうときに、不況期につきまして、今回特になべて全産業にわたって非常に厳しい状況になっている。従来ですと、サービス業等は不況期においても比較的安定しておりましたものが、今回はサービス業も含めて非常に厳しかった。それがなかなか回復しない、こういう状況にあるわけでございますが、緩やかに回復している。ただ、そういう中におきましても、産業によりましてはなかなかいわゆる空洞化あるいは海外との競争問題その他の要因がありまして回復していかない、そういう構造問題を抱えている産業、業種があるのも事実でございます。
 そういう意味では、これはボーダーラインが難しいということはありますけれども、いわば短期的に状況が悪いということのみならず、ある程度の期間ずっと構造的に悪い。これはある程度の期間というのを三年で見るか五年で見るかという問題がありますけれども、そういう問題を抱えている産業もあるのも事実でございます。
 したがいまして、今回の法案の中で考えておりますのは、先ほどもお答えしましたように、指定基準の中で三年間の期間を見て、そこで生産量あるいは雇用量が落ちている、そういうところについてはこれはやはり構造問題を抱えている、雇用面でも特別対策が必要な業種であろう、こういう判断をして対処してまいりたい、こういうことでございます。
#25
○足立良平君 そうですか、なるほどね。ちょっと私小し間違っていたのかもしれませんのは、ちょうどバブルがはじけたときに、経済の状態を循環的な経済の状態で見るのか、構造的不況として見るのかという議論が相当闘わされたわけであります。今は村山内閣ですから、だから認識は変わってもいいのかもしれないというふうには思いますけれども。
 ただ、ちょっと言葉じりをつかまえて悪いのかもしれない。ちょっと私が間違ったのは、「景気回復に伴い循環的な雇用問題」という、この「循環的な」が「雇用」の方にひっかかるのかなというふうに思ったりしましたので、ちょっといよいよどういうことかなという疑問を実は持ちました。けれども、私は今局長から答弁ありましたように、大変この構造的な観点で雇用問題というものは常時これから将来的にも派生をしてくるということは、これ事実だと思うんですね。
 それで、その上に立って、えらいちょっと追い込んでいくようでまことに恐縮でございますけれども、この法案は時限立法をまた継続されようとしている。しかも、これは六年でしたでしょうか、延長だと。
 考えてみますと、先ほどの同僚議員の方の質問の中に、答弁にもあったかと思うんですけれども、産業の空洞化というのをどうとらまえるかということはちょっとあると思いますけれども、国際経済の観点からやはり製造業というものが私は海外にシフトしていくということは、これは至極当然のことだろうと。経済の成長段階なり成熟の度合いにおいては、それは否定をすることはちょっと私は無理というふうに思っているんです。
 ただ、その段階は別といたしまして、これから円高の問題も含めて、先ほど冒頭からの議論のように、これから我が国の経済構造というものは、規制緩和の問題もあり、あるいはまたそれがきちんとできるかできないかは別としていろんな円高の問題もこれあり、あるいはまたいろんなアメリカの経済自身の問題からいわゆるドル安が結果として円高という格好になってくる問題もこれあり、あるいはマルクの問題も出てくるんでしょう、等々ずっといろんな要因を考えてみると、我が国の企業の中における構造変化というものは、時限的に物を考えていくというよりも、ある面においては恒常的にこれから少なくとも中長期的には継続をしていかざるを得ないというふうに私はちょっと考えたりするんです。
 こういう前提に立つなら、この法案がなぜ時限立法的に、しかもこれはそのときの気分は別として理由があるんでしょうけれども、二年でやってみたり、四年でやってみたり、七年ですかね、とやってみたり、そして今回六年とやってみたり、ちょっと私はその点が少し理解しにくいんですよ。ちょっと局長、これどうですか。
#26
○政府委員(征矢紀臣君) この法律につきましては、昭和五十二年に議員立法で成立した法律でございまして、当時におきましてもやはり構造問題があって、特定不況業種という形でこの構造問題に対処するということで、これを時限立法として国会において議論し成立した経緯がございます。そのときに一定期間、これはその後何遍も期限が来るごとに延長されてきておりますが、五年であるとかあるいは七年であるとか六年であるとか、そのときの状況で期間を定めて今日に至っているわけでございます。
 今回も、いずれにしろこの構造問題についてどう見るかという点で、先生御指摘のように、これをなぜ六年にしたのかと、こういうところになるわけでございますが、先行きについてはなかなかこれは見通しが難しい問題でございますが、中期雇用ビジョンで検討いたしましたときに、少なくとも戦後一貫して言えることは、我が国は労働力は毎年毎年ふえてきている、こういうことが言えるわけでございます。
 最近、そのふえ方が鈍化はいたしておりますが、これが二〇〇一年以降になりますと、労働力全体が年々減少していく、そういう見通しになるわけでございまして、したがってその労働力がふえている間、これが一応六年間というようなことで、これは粗っぽい考え方ではありますけれども、期間を過去の経緯とあわせて定めたということでございます。
 しかし、それじゃ六年たったらそういう問題がなくなるかということになりますと、これはもう先生の御指摘のとおり、それはその時点にならないとわからないわけでございますが、一応の区切りとしてそうしたということでございます。
 その点に関しましては、これは別途今後の中長期的な労働力需給見通し、これは第七次の雇用対策基本計画の見通しが、諸情勢が相当変わっておりますので、その後の推計のもとになる数字も新しくなってきておりますので、そういうことを踏まえて、経済審議会において新しい経済計画を検討するのとあわせて雇用対策基本計画も今後検討する中で、そういう今後の見通しあるいはその見通しとあわせた雇用対策の方向について検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#27
○足立良平君 労働省の今までのこういう雇用問題に関しましての議論というのをずっと記録で拝見をしたり、私も余り労働委員会長くないわけでありますのですべてを承知をいたしておりませんけれども、八〇年代、特に日本の経済がいわゆる複合企業化してどんどん企業が外に出て、海外にシフトしていってという状況の中での労働省の原則的な認識は、むしろ空洞化というものはそんなに生じないんだというふうな点、それから今局長が御指摘になりましたように、二〇〇〇年前後ぐらいから労働力不足に入っていくのではないかと。
 したがって、そういう問題について余り考えなくていいのではないか、いわゆる課題として中心に置く必要はないのではないか、このような認識をずっと委員会等でも示されてきたように私はちょっと記憶をしているんですね。
 ところが、この法案等々、いろんな点を見ますと、やはり空洞化という問題が相当大きなウエートを一応労働省として持たれかけてきている。それは、確かにそういう状況の変化だろうと思うんですが。今局長おっしゃったように、時限立法にするかしないかという、これは法律の作成上のいろんな技術的な問題もさることながら、実際的には私は今の局長の答弁をお聞きしておっても、なぜこの六年なり時限立法にしなければならないのかということがぴんとこないんですよ。労働省の従来の認識からしても、ちょっとそういう点があるわけです。私は、そういう面ではこれはもっと本格的にしかも恒久的にこの種の問題を労働省として考えていく体制というものが必要なのではないのかなという感じがしてならない。
 むしろ、時限立法というのは暫定的に、あるいはまたその現象がむしろ恒久的なものではなしに、例えば時限的なものとして生じてきてそれに対応するための法律として存在をするものだろうというふうに私はちょっと単純に考えているものですからね。ですから、そういう面からするといかがなのかなという感じがしてならないんですが、もう一度考え方を教えていただけませんか。
#28
○政府委員(征矢紀臣君) いわゆる空洞化と言われる議論が行われるようになりましたのは、これは昨年ぐらいからでございますが、空洞化というのは定義は必ずしもはっきりしないわけでございますけれども、恐らく広い意味でいくと産業が縮小する状態、これを空洞化というふうにとらえるのが一番広いとらえ方ではないかというふうに考えます。
 そういう意味でいきますと、そういう空洞化というのは、典型的な例でいきますと、先ほど申し上げましたように、石炭鉱業なんかはもう三十年代から空洞化してきておりまして、いよいよ最終段階まで来ている、こういうことが言えるかと思います。
 それから、繊維産業なんかにつきましては、これも空洞化が相当進んできたんですが、これは構造転換、事業転換をそれぞれの企業で行いまして、会社の名前も片仮名にし、中身も全然違う仕事をするというようなことで転換をしてきている。そういういわゆる産業構造の変化に応じた対応をしてきているということが言えるのであろうと。
 現在、空洞化が言われますのは、恐らくそういう産業が相当の量であらわれてきている。したがって、例えば海外生産比率等についても今後相当高くなっていくのではないか。そういうことから、非常に重要な課題になってきているのではないかというふうに言えるかと思います。
 それで、対策としましては、先生の御指摘のようなお考えもあろうかと思うんですが、こういう特別対策をとる点につきまして、従来、私どもでいきますと炭鉱離職者臨時措置法とかあるいは駐留軍関係離職者等臨時措置法とか、そういう必要に応じた特別対策というのは従来も時限立法で、原則的には五年間が多いんですが、五年ごとに見直しをしながら対処してきている、こういうようなことでございます。
 今回のこの法律につきましても、先ほど申し上げましたように、昭和五十二年の議員立法で時限立法として制定されて以来、その時々の状況に応じて延長されてきた。今回もそういう経緯を踏まえて六年間、先ほど申し上げましたようなことで六年間ということで対処をいたしたいということで御提案申し上げているわけでございます。
 これは、それ以降の状況が、それじゃ空洞化問題がなくなるか、なくなるという前提に立っているわけではございませんで、そうかといって続くかどうか、続くという前提に立っているということでもありませんで、当面の中期的な対策として六年間という手当てをしよう、その後の状況の変化に応じてさらにどうするかは、その六年後のそういう状況判断あるいは途中での判断もあり得るかと思いますが、そういうことで考えてまいりたい、こういうことでございます。
#29
○足立良平君 一応時限立法として出されているから、そういう御答弁にもなるのかもしれませんが、ただ私は、これは議員立法として昭和五十二年に本法律が成立をして、そして、それからいわゆる特定の不況地域の離職者対策の法案がまた別途成立をして、そしてそれは特定業種と特定不況地域とを合体した法律になって、そして特定不況地域についてはまだ分かれたときに恒久立法化しているわけです。御承知のとおりです。
 そうすると、本来的には特定の地域なり特定の不況業種というものが、それはやっぱりこれは別々にあるということはいいか悪いかの議論もある。それが特定不況地域というものが恒久立法化してきて、この法案だけが時限立法で存続するというのは、私はちょっとそういう面で正直言って理解がまだできません。さらにちょっと改めて考えてみたいと思います。
 それともう一点、これは局長の今の空洞化の問題で、ひょっとしたら私の聞き間違いかもしれませんが、今お聞きをしておりまして、何か産業の規模が縮小していった云々というお話があったと思うんです。確かに、それはそういう面であるんでしょうけれども、私は、先ほど申し上げたように、空洞化というものの認識が、一般的な国際分業というものとそして産業の空洞化というものとは明らかに違うものだと。
 だから、産業が仮に縮小化していったとしても、仮に円高が行き過ぎておらずに縮小していく、あるいは内外の価格差というものが例えば購買力平価と円のレートとがほとんど二割イコールの状態になってきているというふうな状態の中における国際分業と、縮小しながらしていったとしても、私は空洞化と把握するのはやっぱりおかしいのではないのか。むしろ、一番考えなきゃいけないのは、そういう製品価格競争力、今言いましたようないろんなひずみが存在していて、製品の価格競争力が円高等によってそれが極端に低下をしていく。
 そして、本来だったら適当なそういういろんな、例えば土地の値段が高過ぎるとかどうとか、いろんなコストが高過ぎるとか、そういうふうなものは捨象されて、そしてそれは言ってみれば比較優位の産業までが、本来は国内でも十分製造業としてやっていけるにもかかわらず、そういういろんなひずみが生じて円高が生じてきて海外に移っていかざるを得ない。そういう場合が一番問題なんです。
 これは私はまさに空洞化として認識をしていかなきゃいけないし、一たん出てしまったら帰ってくることは将来ない。ということは、働く場所が日本の労働者というのは失われてしまう、一たん出てしまったら。そういう面での危機感というものは私は実は大変持っているわけです。したがって、そういう面でこの空洞化という問題をめぐってのその認識というのは、そう簡単に今の内外価格差は縮小しそうな状況でもありませんし、残念ながら、大変危機感を私はむしろ持たざるを得ないというふうに実は思っているわけです。
 そういう点を踏まえて、これは大臣にお聞きをいたしたいと思うんですが、第七次雇用対策基本計画というものが今存在をいたしておりますけれども、私はその前提条件というものは相当変化をしてきているのではないか。第七次の雇用対策基本計画のまだ計画期間中ではございますけれども、これだけ客観情勢が大きく変化をしてきている中で、私はむしろ第八次の雇用対策基本計画というものを策定していかなければいけない、そういう状況にあるのではないかと思うんですが、大臣いかがでしょうか。
#30
○国務大臣(浜本万三君) 議員の認識と同じように、国際化の進展等による産業構造の変化等労働市場を取り巻く環境は、現在の第七次雇用対策基本計画、これは平成四年の七月に閣議決定しておるものでございますが、その計画が想定いたしました以上に大きく変化しておるというふうに認識をいたしております。
 こうした中で、今後の経済産業構造の変化や少子化、高齢化の急速な進展等に対応しながら、国民生活にとって最も重要な課題である雇用の安定を図り、豊かな勤労者生活の実現に資するよう、いわゆる第八次雇用対策基本計画に着手をいたしておるところでございます。
 今後は、この策定は経済審議会において検討をされる新経済計画との整合性を図りながら、またその進展状況に合わせて、雇用審議会において新しい基本計画を検討するようにいたしてまいりたいと思っております。
#31
○足立良平君 それは早急にひとつお願いをしておきたいと思います。
 それから、ちょっと次に少し具体的な問題でお聞きをしたいんですが、これは大臣にお聞きしたらいいんでしょうか。実はこの雇用問題というのは、そういう面で大変重要な問題ということで私もいつも見させていただいているんですが、これは大蔵から出ている資料でございましょうか、平成七年度予算の説明という何かちょっとしたパンフレットが出ていると思います。多分労働省の方にも通告をいたしたと思うんです。それで、これは本年度の予算を作成するに当たって政府として各項目ごとに何を重点的に云々ということでされた、これは内部資料なのかもしれません。
 それで、ここで私正直に言って、これは今までの経過があるのかもしれないんですが、雇用問題というのがこれほど重要な状況に差しかかっているにもかかわらず、重要施策ということになって、今年度の予算を作成するに当たりまして一番が税制改正になっておる、これは確かに重要だろうと思うんです。二番が社会資本の整備になっている。三番目が社会保障の充実になっている。そして四番が文教、科学技術の振興という、これは大変政府として重要と考えているのは、今言いましたように税制改正がこういう順番であるかどうかはこれはちょっと別でしょう、すべてが重要な面があると思いますが、これは一概にその順位を言っているわけではないと私は思っております。
 ただ、そこでちょっと私は正直言ってびっくりしたのは、社会保障の充実という、例えばリタイアされた人の年金がどうであるとか、あるいはまたゴールドプランがどうであるとか健康保険がどうであるとか、いろんな問題の社会保障ですね。この社会保障の充実の項の中にわずか七、八行くらいで雇用問題が入ってきている。先ほど来、雇用問題というものは大変重要な柱であるというふうにずっとおっしゃっているけれども、いわゆるこの雇用問題というもの、また人間が働く場所、これは単にお金を受け取るというだけで私は雇用問題がどうこうというふうなとらまえ方をしてはならない、むしろその人間の生きざまあるいは生きがい、そういう人間の尊厳にかかわる場所として雇用問題なり職場というものを位置づけしていこうとするなら、この社会保障の一項目の中に雇用問題が入ってくる、あるいはまた入れられた労働省の物の考え方というのは、私の労働というものに対する概念と少しずれ違っているんです。この点をひとつ私はお聞かせ願いたいというふうに思うんです。
 そして、これはいろんな意見があると思いますけれども、これ大臣にお聞きするのは酷かもしれませんけれども、例えばWTOの問題で、今度の村山内閣というのは農業予算に約六兆百億円でしたでしょうか、というふうないわゆる対策費が出る。地方公共団体を含めたら七兆三千億円を超えるお金になるのかもしれない、これから何年間の間に。というふうな、本当に必要なのかと、必要だったらそれはしょうがないけれども。しかし、これほど雇用労働者、しかも一億二千四百万強の日本の人口の中で七千万強が働いている人たち、就業者として存在していて、しかもそれが大変な今の状況になっているときに対応する労働関係の予算とするなら、ちょっといささか寂しい感じがしてならないんですが、その辺のところを含めてちょっとあれば。
#32
○国務大臣(浜本万三君) 最初、局長に答えてもらって、後で私が感想を申し上げたいと思います。
#33
○政府委員(征矢紀臣君) まず、予算の項目で雇用対策が大項目の社会保障費の中に入っている点でございますが、これは予算の項目の組み立て方が、この社会保障費というのは非常に広い意味でございまして、そういう中に雇用対策等は全部含まれた、そういう考え方でございます。
 ですから、先生御指摘のように一般的に、いわゆる狭い意味での社会保障という観点からいくと御指摘のような御意見もあろうかと思いますが、これはもう戦後一貫した予算編成上の項目でこういうことできているわけでございまして、これは雇用対策が重要でないからそうなっているということではございませんので、御理解いただきたいと思います。
 それから二点目の、農業予算との対比でのお話でございますが、これにつきましては、私ども雇用対策に必要な予算、これは確保しなければならないということで、平成七年度予算も八月末時点で要求いたしまして、大体要求どおりの予算をいただいているというふうに考えているところでございます。
 直接比較というのは難しいんですが、六兆円問題は、これは御指摘のような経緯で、しかもこれは五年間という期間があるわけでございますから単年度予算になるとまた別でありますが、そういうことでの枠が定まった経緯は承知しておりますが、それとの対比論で雇用面でということになりますと、これは広く言えば産業政策、雇用政策全般との対比論になろうかと思います。
 それから、雇用対策につきましては、御承知のように、雇用保険制度の中でいろいろな対策をとっているわけでございまして、この予算は毎年度の総額でいきますと一兆八千億円ぐらいに毎年度なるわけでございます。
 それから、今回の予算につきまして、これは非常にきめ細かく対象の企業に助成をするというのは個別企業に雇用保険制度の中で助成をするわけでございまして、こういう仕組みというのは、逆に言いますと、一般会計の中ではなかなかどり得ない仕組みでございます。そういう意味で非常にきめ細かく対応可能な仕組みであると。
 七月一日実施以降の初年度ということで四十億程度の予算を組んでおりますが、これは制度が発足いたしまして、対象の労働者について一定期間訓練なり賃金を払った後、後払いでその実績に基づきまして支給するものですから、そういう意味で初年度は非常に予算的にも少なくなる、そういう面もございますので御理解いただきたいと思います。
#34
○国務大臣(浜本万三君) 政府の予算の説明の仕方につきましては、さっき局長から申し上げましたとおりで、従来の慣例に従っておるということでございます。
 それから、平成七年度の労働省予算につきましては、皆さんの御協力もございまして労働省の重点政策を十分こなせる予算は獲得できたというふうに思っております。特に、先ほど局長からも申しましたように、労働省予算にはいわゆる雇用特会の予算がございますので、それで今回の阪神・淡路大震災に対応する特別措置についても十分対応ができるというふうに思っておりますので、予算上の心配は現在ないと思っております。
 それから、農業予算との関係ですが、例の六兆百億円というのは、議員も御承知のように、これは事業費ベースでございまして、ちょっと比較するのは難しいんではないかというふうに思っております。
 ですから、結論的に申しますと、平成七年度の労働省予算につきましては、今回のような大震災という大変なことがございましたけれども、十分対応できることになっておりますので御安心をいただきたいと思います。
#35
○足立良平君 きょうは予算の委嘱審査をやっているわけではありませんから、それ以上は申しません。
 ただ局長、今までこうやっているから、社会保障費の中に雇用問題が入っているんですよと言う。それは今まではそうかもしれない。けれども、それは労働というものを労働省としてはやはりもっと崇高なものとして位置づけをしていく必要が私はあるのではないのかという感じをいたしますが、それ以上は申しません。ですから、ちょっとそういう面で将来の課題ということにしていただきたい。
 私は、そういう面では労働省というのは、本当に国の根幹にかかわる大切な部分を担当しているんだと、雇用を確保していくということは。雇用をないがしろにしておいて社会保障の一環の中に概念に入れてしまってやっていると、私はこれからの我が国の将来というのは大変憂うべき状態になるのではないのかと、こんな気持ちを持ちますから、将来の課題にひとつしていただきたいものだというふうに思います。
 それから、震災のことが今大臣の方から出ましたから、ほか二、三ちょっと飛ばしまして、震災のことをひとつお聞きをしておきたいと思うんです。
 これは具体的な話になってまことに恐縮ですけれども、神戸の今回の震災で、例えばケミカルシューズというのは大変な壊滅的な打撃を実は受けております。これは、ケミカルシューズのこういう産業、これは特定不況業種の産業として、例えば今回のこういうのは対象として入り得るのかどうか、具体的にお聞きをしておきたいと思います。
#36
○政府委員(征矢紀臣君) 今回の阪神・淡路大震災によりまして、兵庫県におきますケミカルシューズ関係、非常に大きな打撃を受けたことにつきまして、私どもも大変雇用面で心配をいたしているわけでございますが、現状は、基本的には一日も早くもとの状態に戻したいということで、関係者がいろいろと努力をされているところでございまして、そういう観点からいきますと、今回のような対策に現時点でのせるということは申し上げない方がよろしいかと思います。
 ただ、考え方としてどうかということになりますと、私の承知しているところでは、ケミカルシューズにつきましては全国的に非常にあそこに集中しておって、全体の七〇%ぐらいが集中しているというふうに聞いておりまして、そういう観点からいきますと、そういうケミカルシューズ関係ということで考えれば、今回の例えは特定雇用調整業種としての対象として考えることは可能であろうというふうに考えております。
#37
○足立良平君 可能、ああそうですか。
 ただ、実際的にはちょっとまた別の見方をすれば、もう壊滅的に生産工場そのものがなくなっちゃっているわけですね。ですから、ひょっとしたらこれは震災復興の概念にも入るのかなという感じもしないわけではない。ただ局長、わざわざそう答弁していただきましたように、本当に年々一〇%、ひどいときは二〇%くらい輸入品がどんどんふえてきているわけでして、そういう面では、まさに特定の不況業種に地域的にも完全になるわけでありますから、その点ひとつお願いをしておきたいと、こう思います。
 それと、業種の関係についてちょっとお聞きをしておきたいと思いますのは、例えば業種というのは、私もさっと見ますと、簡単に頭の中で描いている業種と具体的な業種となると大変難しい面があるようでありまして、例えばテレビ一つとりましても、例えばラジオ受信機なりテレビジョンの受信機製造業としてこれは一応分類をされている、今の段階でですね。ところが、テレビジョンの受信機といいましても、大型テレビはむしろ日本でつくって小型テレビ、このごろ白黒テレビというのはほとんどないのかもしれませんけれども、これはほとんど海外に今ずっと移ってしまって、もう五〇%以上製品輸入をしてきている、こういう状況です。
 ですから、そういう面では業種といっても大変難しい分類がある。だから、小型テレビをつくっているところはこれはもう壊滅的状態になっている。大型テレビのところはまだまだいけるという状態でありますから、そういう業種という括弧でくくってしまうということには大変実態的に無理があるのではないだろうかなという感じがするのが一つ。
 それから、例えば一〇%人員が削減云々という、雇用が減ってくるという一つの条件。これも考えてみますと、例えば自動車の製造業。これは約十九万か約二十万弱ぐらいの方が今製造業に携わっているんだろうと思います。そうすると、これの一〇%というと一万九千名、約二万人の雇用が減少しないとということになってしまう。
 ところが、マッチの製造業をとりますと、業種的に見ますと、あれは全部で七百人前後くらいのいわゆる就業者じゃないでしょうか。そうすると、一〇%というと七十人。先ほども局長は答弁の中で、やはりこの雇用問題を考えるときには量の問題を考えなきゃいけないというふうにおっしゃっていたと思いますけれども、パーセントだけで見るとその業種なりその業界はそういうふうに何万人の雇用が出てもこれはちょっと対象外よと、それで百人未満のところが出てもこれは対象になりますよというふうな画一的な考え方で取り扱うことは、いささか問題があるのではないだろうかという感じがいたします。
 それから二つ目に、今自動車製造業と言いました。この約二十万弱の就業人口というのは、いわゆる組み立てのラインに乗っている人数なんです。ところが、この自動車産業のすそ野というのは大変広いわけです。いわゆる部品メーカーというものは実際的には五十万を超しているんじゃないだろうかと思います。そうすると、そういう点での特定不況業種なり、あるいはまたその他のこの法案から適用される業種というものの認定が実際的には大変難しいように思うんですが、その辺のところはいかがでしょうか。
#38
○政府委員(征矢紀臣君) 業種指定に当たりまして、先生の御指摘のような問題点があるわけでございます。これにつきましては、できるだけ現実に即して考えるということで、基本的には日本標準産業分類の一番小さい細分類で考えるということでございますが、それにも考えにくいような場合には、さらに細かくても現実にその対象が把握できるような場合、これは指定することにいたしております。
 したがって、一番極端な例でいきますと、鉄鋼業というのは非常に大きな業種ですが、鉄鋼業全体として指定するということではなくて、それぞれいろんな分野があって、その中でいいものもあれば悪いものもある、その悪いものについてつかまえてそれを対象にする。
 それから、先ほどケミカルシューズの例でお話ございましたが、これは関係者の申請に基づいて指定する仕組みでございます。関係者が業種指定を受けずに自分たちで一生懸命努力して復興しようと、こういうものについてはこれは指定をするという考え方はございませんで、あくまでも構造的な問題を抱えて大変だから指定をしてほしいということで、労働大臣に申請があった場合にそれについて指定をするということでございます。
 したがって、基本的に対象業種は、現在、雇用調整助成金で多いときには三百数十業種を指定いたしましたが、そういうレベルの業種指定で、生産量等については一〇%で見るということでございますので、規模が大きいから不利になるというようなことは必ずしもないというふうに考えています。
 いずれにしましても、そういうところは実情に合わせて弾力的に考えてまいりたいというふうに思っております。
#39
○足立良平君 まだちょっと時間がありますけれども、この質問で最後にいたしたいと思います。
 雇用促進事業団の改正問題が今提起をされております。これちょっとお聞きをしておきたいのは、これは五十二年の閣議だったでしょうか、こういう事業団の役員の任期というのは二年ということで閣議決定、昭和五十二年、ことしは昭和七十年でしょうからもう十八年、約二十年前に決定され、閣議で一応了解事項になっているんでしょうが、二年ということで一応して、再任は妨げないということで既になっている。にもかかわらず、十八年間そのまま放置しておいて、そしてことしこの改正で初めてその点を一応改正として提起されているというこの理由、これ理由が全くわからない。
 これを五十二年の段階でされたのは、これは明らかに事業団の役員の皆さん方というものの在任期間、いわゆる業績評価を再任のときに改めて行っていかなければならないということが多分大きな理由であっただろうと思いますけれども、そういう面では十八年間放置されていた理由は一体どこにあるのかということが一つ。
 それから、労働福祉事業団の役員任期、これも十八年たっているけれどもまだそのまま放置されている。一体これどういうことなんだと、今回は、この関係はちょっとなっているけれどもね。その辺のところについて、もうどなたでも結構ですから、お聞きして私の質問を終わりたいと思います。
#40
○政府委員(征矢紀臣君) 先ほど答弁漏れがございまして恐縮でございますが、下請事業所につきましては、従来諸般の対策で一次の下請の一定の取引量がある場合、それからさらに二次下請の関係者につきましてもそことある一定規模の取引量がある場合、こういうものは対象にしておりまして、今回の新しい業種につきましてもそういう一定の下請事業所については適用する、こういう考え方でございます。保それから、今の御指摘の点でございますが、実はこれはおっしゃるように役員任期二年ということが閣議決定されたわけでございますが、これの改正につきましては、それぞれの特殊法人につきましてはそれぞれ事業団法等の特別法がございましてそれで決められているわけでございますが、そういう事業団法を改正する際にあわせて改正する、こういう方針でございまして、たまたま雇用促進事業団につきましてはその本則を改正するような機会が今までなかったということでございます。
 今回は、御審議いただいておりますように、具体的な業務をつけ加えていくような改正をお願いする、そういうこととあわせてこの任期を閣議決定に従って改正したい、こういうことでございます。
 労働福祉事業団につきましては、これおっしゃるように現状まだ四年ということでございますが、これにつきましても労働福祉事業団法の本則改正が行われる際にやはり同じような措置を講じなければならないというふうに考えているところでございます。
#41
○足立良平君 終わります。ありがとうございました。
#42
○古川太三郎君 私も労働委員会はまだ浅いので、過去のことは余り知りませんけれども、いろいろある中で今また雇用対策基本計画というのを労働省で作成されているように聞きますが、その計画の基本的なテーマというのは一体何ですか。それをまずお聞きしたいと思います。
#43
○国務大臣(浜本万三君) ちょっと今の労働省の考え方を先に申しますが、現行の第七次雇用対策基本計画が想定いたしました状況よりも相当状況が大きく変化をしておるということと、もう一つことしの一月十九日に経済審議会に対しまして新しい経済計画に関する諮問が行われました。
 そのために、労働省といたしましては今後の経済産業構造の変化や少子化、高齢化の急速な進展等のもとで雇用の安定を図り、あわせて豊かな勤労者生活の実現に資するよう、第八次雇用対策基本計画の策定に着手したところでございます。この検討の過程で、これと整合性のとれるような形で中期的な雇用政策の方向性について検討を進めたいと思っております。
 それから、内容につきましては局長の方から御説明します。
#44
○政府委員(征矢紀臣君) 内容につきましては、ただいま大臣がお答え申し上げましたように、現行の第七次雇用対策基本計画、これはなかなか状況が現状と合わなくなってきているということで、経済計画も同様でございますが、そういうことで見直しをするということで検討に着手したところでございます。
 今後、一つはできるだけ新しい数字に基づきまして労働力需給見通し、これは二〇〇〇年ぐらい、あるいはさらに先も含めた中長期的な見通しの検討をするということが一つでございます。それからそれと、そういうものを踏まえて今後の雇用政策、労働政策をどう考えるかというような検討をするということでございます。
 その背景としては、御承知のように経済産業構造の変化あるいは少子化、高齢化の急速な進展、そういうような諸情勢の変化の中で雇用の安定を図り、あわせて豊かな勤労者生活の実現を図る、こういう観点から検討するということでございますが、ただ具体的な中身につきましては、作業に着手した段階でございまして、これからいろいろと詰めていく、こういう状況でございます。
#45
○古川太三郎君 少子化、高齢化というのはわかるんですけれども、経済構造は、産業構造はどう変化するというような見通しを立てて考えられているんだと思うんですが、産業構造の変化はどのような形のものとして描かれているんですか。
#46
○政府委員(征矢紀臣君) 御指摘のとおりでございますが、その辺につきましては主として経済審議会の方で新しい経済計画を検討する中でいろいろと検討するということでございまして、それとあわせて私ども雇用面での対策を検討していく、こういうことで同時並行的に進むわけでございますが、現時点でまだそこについてお答えできるようなところまで行っておりませんので、御了解いただきたいと思います。
#47
○古川太三郎君 今審議されているこの法案ですけれども、このことについて私は別に反対だと言うつもりはございませんが、これはこれなりの意味はあると思いますけれども、しかしこういうような、本当に労働者の豊かな生活というんですか、そういったものを思って、本当にこの法案がそれにぴったり合っているのかどうか非常に疑問なんです。
 これからの国民が豊かになるということと産業が非常に衰退化していく、こういう業種を保護しなきゃならぬ、その部分はわかるんですけれども、今のようなやり方ですと大きな目で見た場合に日本の産業構造を見誤ってしまうんではないか、ひいてはそういう意味から労働者の本当の生活の豊かさというものが味わえなくなるんではないかな、こういうような危惧を持つんですけれども、労働大臣としてはどのようなお考えを持っておられますか。
#48
○国務大臣(浜本万三君) 先ほどからお話をいたしておりまするように、円高や国際化の進展を背景にいたしまして企業が海外に進出する、そういう中で産業、雇用の空洞化が起きる、これは非常に私どもとして心配をいたしておるところでございます。
 そうなってまいりますと、当然労働者の移動ということが考えられるわけでございますから、その場合に失業という痛みを経ない中で何とか労働の移動ができないだろうかということで今回、今御審議をいただいておる法案を提出しておるわけでございます。
 ですから、私どもといたしましては、こういう方法によって何としても失業だけはできるだけ防いでいきたいという考え方でございます。
#49
○古川太三郎君 失業を防ぐということについては、これは私の方も何も反対するものは一つもないんですけれども、これからの経済で本当に失業というのが全く防げるものかどうか。今までならば、なるほどそういう状況あるいは環境、非常に日本には有利であったということは言えるんですけれども、これから失業を本当に抑えていけるかどうか。抑えられないのに、このような小手先のと言っては語弊がありますけれども対策でそれがクリアできるのかどうか、そこが一番心配なんです。
 本来、これは極端な話ですけれども、不況のときこそ労働者というのはあるいは職業というのは非常に活発化するチャンスなんですね。現にいろいろの統計を見ていますと、昭和四十年ですか、のときの山一証券なんかがつぶれかかったようなときですね、こういうときには新しい産業というのが非常にできましたね。そして、古い職業、業種ですか、いろいろとつぶれていったというようなことが多かったと思いますけれども、また昭和五十年から五十五年あたり、そういったときの不況のときこそ新しい産業が非常に伸びているんです。そして、事業の開発も多いんですね。
 今この不況のときに、大きくそういう新しい産業というのは伸びなくなってしまった。本来ならば不況だから伸びるんだけれども、何か別の枠組みがあって、温かいお湯につかるという意味から、そこから抜け出せないような非常に過保護的なものがあるんではないかなというような気もするんですが、そのあたりは大臣どうお考えでしょうか。
#50
○政府委員(征矢紀臣君) 先生御指摘の点でございますが、この法案につきまして基本的な考え方としましては、先ほど大臣もお答え申し上げましたけれども、政府としては産業構造転換・雇用対策本部を昨年十二月に設置いたしまして、今後の産業構造転換、雇用対策についての基本的な考え方をまとめたわけでございますが、そういう方針に沿いまして、産業官庁におきまして事業革新円滑化法案とかあるいは創造的中小企業振興法案とか、こういうような法案によりまして先生今御指摘のような新しい産業について積極的に支援をしていく、こういう対策をとっていこうと。
 そういうこととあわせまして、雇用面におきましては、今回お願いしている特定不況業種雇用安定法によりまして、労働移動が避けられない、そういう状況にあるわけですから、そういう労働移動について失業しない形で移る、そういうことを支援していこう、こういう考え方でまとめられた法案でございます。
 この法案につきましては、これによって先生が御指摘のように、労働者を抱え込んでなかなか動かないような形で産業構造の転換がおくれるのではないかと、こういう御指摘と思いますが、そういうことはこれによってはないというふうに考えております。
#51
○古川太三郎君 あれはちょうど一九七五年、五十年ごろのことですけれども、ボウリングがよくはやりましたね。あのころ、本当にボウリング場をつくろうという企業と、それからもう繊維がだめになったとか、あるいは鋳物工場がだめになったというような形で工場跡地に随分大きなボウリング場ができたことがあるんですけれども、現在はそういった後者の部類に入るボウリング場はほとんどつぶれてしまっているんですね。
 やはり今生き残っているのは、新しい考え方からつくられたもの、またボウリングというものを非常に熱心に研究したと。この土地が余っているからとか、あるいはこの人材が余っているから新しい事業を起こしましょうというような発想はやはり成功率は少ない、こう言われておるんですけれども、私はそういう意味で、後者の方の部分にお金を突っ込むような、しかもこれは企業に対して突っ込むので労働者個人個人の直接の保護になっていない部分も大いにあるんではないかな、こう思うんですけれども、いかがですか。
#52
○政府委員(征矢紀臣君) 今回考えております助成金につきましては、産業構造の大きな変化の中で労働移動がいずれにしろ大きくなってきております。あるいは今後大きくなることが予想されますので、そういう状況を踏まえまして、新しい産業あるいは労働移動を引き受ける産業、そういうところで引き受けた場合、これは当然仕事が変わるわけですから、仕事を変わるための職業訓練が必要になる、そういう訓練を支援する。あるいは一定期間賃金を助成することによって職場になれるまでの間の支援をする。そういうことによって失業しない形で労働移動が行われるようにしようと、こういう考え方でございまして、そういう観点からいきますと、先生の御指摘のような問題点はないのではないかというふうに考えておるところでございます。
#53
○古川太三郎君 労働省だけを責めるわけじゃございませんけれども、これは社会構造が全部変わっていかなきゃならぬ、あるいは教育方針も変わらなきゃならぬというような非常に大きな問題でございます。
 このような形で進んでいきますと、またまた円高になり、これはドル安と言う方が正確な表現かもしれませんけれども、いずれにしても日本では実力以上の円高になってきた。これは、やはりとりもなおさず日本の不況の場合、コストが安ければどうしても、じゃ生産しましょう、生産したものをやっぱり内需でというわけにもいかないから外へ出してしまうと。輸出圧力になってしまうようなことであっては、またまた外国から私は文句が来るだろうと思うんですけれども、労働の部分だからそれはないだろうという甘い考えでいるということも非常に危険なことなんですね。
 これは比較するのは非常に悪いんですけれども、かつて中国が囚人の労働力を使って非常に安い靴をつくって外国に輸出したと。それはもう西側が非常に怒りましたね。
 こういうようなことで、国がそういう労働者の部分で雇用のためにお金をおろしていくという形が外に向かってダンピングにならないだろうか。そのことも一つ心配なので、どのようにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
#54
○政府委員(征矢紀臣君) 私ども、雇用政策につきましては、雇用保険制度の中でいろいろな対策をとってきておりますが、これにつきまして国際的な観点からダンピングであるというような御指摘を受けたことはございません。
 先生の御心配のような御意見もあるわけですが、労働政策といたしましては、先ほども御指摘ありましたように雇用の安定、これをどう図っていくかというのがやはり非常に大きな課題でございまして、これが例えば雇用不安が大きくなって社会不安になりますと、非常に国全体の存立基盤を揺るがすような問題になるわけでございます。
 例えば、阪神・淡路大震災につきましても、そういう可能性のあるああいう大震災でございまして、そういう際にはまず何よりも雇用の維持を図っていただく、そういうことが最重点であるということで、雇用調整助成金あるいは失業給付の特例措置によって最大限の雇用の維持をお願いしている、そういうことでございます。
 そういうこと自体が産業構造の経済的な事情の中での変革を阻害するところまで、対策としてそういう大きなところまでいくかという点につきましては、そこまでいくほどの対策にはならないのではないかというふうに私どもは考えているところでございます。
#55
○古川太三郎君 阪神大震災のように、こういう緊急あるいは突発的なときには、これは大いに私は結構だと思うんです。しかし、これを恒常的に将来もそのような方向でいくんだという基本態度はやはり徐々に訂正していかないと、行きつくところまで行って今度は逆におかしくなってしまう。この市場経済というのは、ある意味では製品価格とかそういったものばかりじゃなくて、労働市場にもやっぱり及んでくるだろうと。
 これは、もう大いに関連のある部分だと思うんですが、そういうことも考えながらこれを維持されるのかどうか。あるいは震災とかそれから今度は不況のときがあるからとか、あるいはそういう業種には本当にわずかの時間だと、先ほど時限立法の話もありましたけれども。今ちょっと繕って、本当は大きな計画は別に考えていくんだということであれば私の方としても安心なんですけれども、そのあたりをどうお考えになっているか、お聞きしたいんです。
#56
○国務大臣(浜本万三君) 今のお話なんですが、労働省が雇用対策として積極的に労働移動を推進するという考え方じゃないんです、これは。やむなく労働移動がある場合には、失業のない移動ができるように支援をしていこうという基本的な考え方であるということですね。
 それから、労働移動ができる条件というのは、六月六日に発表いたしました中期ビジョンにおきましても、製造業とか卸売・小売業、飲食店は雇用が減少すると。そのかわり、例えば情報通信でありますとか医療でありますとか住宅でありますとか、そういうふうな産業は雇用が多くなるであろうと。こういう事情を考えますと、産業構造の変化によって労働者の移動が余儀なくされるという条件が一つあるということ。
 それからもう一つは、これから活力のある経済社会をつくっていくためには、産業構造転換・雇用対策本部が考えておりますように、産業政策の面で積極的に新しい産業を起こしていかなければならないという通産省の方針が出ておるわけです。この通産省の新しい産業に労働者が移動していくという二つの面を考えますと、これはどうしても失業のない労働移動というものを労働省が積極的に支援をするという考え方で、この法案ができておるというふうにひとつ理解をいただきたいと思います。
#57
○古川太三郎君 そのあたりの理解はしているつもりでございまして、私自身、そういう意味ではこの法案に反対だという趣旨ではないんです。これは誤解のないように思っていただきたいと思うんですけれども。
 これからの産業の転換がある場合、今までのような形で失業が本当に怖いという意味ではよくわかるんですよ。だけれども、そういったことを言っていられるんですかということなんです、実際は。これはやっぱり教育から問題にしていかなきゃならぬだろうと思うし、日本が十八歳や二十二、三歳で人間の一生が全部決まってしまうというようなことであっても非常に窮屈なんですね。
 それは、政府から見れば失業がないのは非常にいいことなんですけれども、逆に言えばしっかりと失業をさせてもらって、これは本当に極端を言い方ですよ、しかも失業保険をきっちりといただいて、そして新たな職業につけるというチャンスの多い方が、これまた労働者にとってはある意味では私は人間的な扱いではないかなと思うんです。
 十八歳だとか二十二歳で就職したところで労働力を囲まれてしまいますと、いやおれはこれはちょっと就職間違ったな、ほかの仕事をしたいんだけれども、やめたいんだけれどもやめるようなシステムでない、そういう社会にどんどん追いやっていく。これは労働者にとって本当にいいのかどうか。やっぱりこのあたりでもう一度考えてみる必要があるんではないかな、こういう気がするわけなんです。
 もし、不幸にしてこういう不況にあって雇用調整をしなきゃならぬというようなときには、こういう会社で労働力を囲み込むというのではなくて、逆に失業があっても、これはアメリカのある州でやっているようですけれども、新しい人から解雇する、そしてよくなったら勤務年数が多い人から採用する、こういうシステムを法案化していく。これは組合の力によってそういう場合もできるかもしれませんけれども、それよりも何よりも、できるだけそういうフォローをするような法案化の方が私はベターなんで、労働者は一遍勤めたらもうずっと勤める方が一番得ですよという社会構造を温存することは、労働者にとっても長い目で見れば余りうれしいものではないだろうし、また経済構造そのものもそれに耐えられないときが必ず来るのではないかなと思ったりもするんです。
 こういうものは、日本だけの特殊事情で持っていけるというものではなくて、やはり国際的なルールというのもあるだろうと思いますし、そういう意味でも非常に危惧をしているんですが、いま一度そういったこともあわせて答弁を願います。
#58
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま御指摘の点でございますが、アメリカの例でレイオフ制度のお話ございましたが、これはいわば労使間におきます慣行でございまして、法律等の枠組みで強制することはなかなか難しい問題であるというふうに考えております。
 それから、日本の労働市場で考えました場合には、これはむしろ労働市場の弾力性、柔軟性があるかどうかという点につきまして考えますと、これは柔軟性のなくなっている部分もあるんですけれども、いろんな問題について基本的に労使間でよく話し合いをする、こういう点については非常に日本の場合にはそういう話し合いが行われているんではないか。そういう話し合い、労使協議をすることによって行く先の転換、こういうものをやっている、そういう状況にはあるのではないかというふうに考えております。
 これは、一つには労働組合自体が企業別が基本であるというようなことも背景にあるわけですが、そういう意味では今後の産業構造の変化についてそれにどう対応するかは労使間でよくお話し合いをしていただいて、そういう中から方向を見出していく、こういうようなことになっていくのではないか、そういう事態というのは今後とも変わらないのではないかというふうに考えております。
 それから、労働移動の点につきましては、これは二つあるわけでありまして、先ほど来いわゆる非自発的な労働移動、いろんな事情で移らざるを得ない、そういう労働移動の問題の議論をいたしておりますけれども、それぞれの労働者が積極的にいろんな状況を考えて自発的に動く、こういう問題がもう一つあるわけで、これが円滑に行われるような環境整備、こういうことも今後の重要課題であるというふうに考えております。
#59
○古川太三郎君 よくわかりました。
 それで、今のこの法律の関係で、産業雇用安定助成金あるいはまた職業転換給付金とかこういったお金の場合ですけれども、これは表は三年から出ていますが、予算は多いんですけれども割と実績がないんですね。予算の十分の一も使っていないような、まあ十分の一は使っていますか、使っていないようなものも相当あるし、全く使っていない部分もあるんですが、こういったことはどのように考えられているんですか。
#60
○政府委員(征矢紀臣君) 従来の助成金につきましては、おっしゃるように予算に比べまして実績の少ないもの、そういうものがございます。そういうことも踏まえまして、今回、法律改正の中で具体的に活用され得るような形での助成金制度を仕組んだつもりでございます。
 いずれにいたしましても、これにつきましても、実施するに当たりましては関係労使とよく相談をしながら適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
#61
○古川太三郎君 せっかくの予算でございますから、やはり各企業なんかからヒアリングをしたり、それからこういう助成金についての実績、または受給した企業の動向を具体的に把握して、この制度が本当に有効なものかどうかやっぱりこれは見てみる必要が大いにあるんではないかな。そして、労働者にもこういったことが本当に労働者自身の幸福になるのかどうかということも大いに意見を聞いていただきたいと思うんですけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 いずれにしても、こういう制度そのものの必要性は大いに認めますけれども、とにかくこれであって大丈夫だという気だけ起こさないように、そのことを私の方からお願い申し上げまして、終わりたいと思います。
#62
○吉川春子君 今回の法改正で、特定不況業種、それから特定雇用調整業種に係る事業主の雇用する労働者の失業予防、雇用機会の増大のために出向、再就職あっせんにより特定雇用調整業種等事業主から労働者を受け入れる事業主に対して労働移動雇用安定助成金を支給することとしていますが、具体的にどんな業種の指定を予定していますか。
#63
○政府委員(征矢紀臣君) 産業構造の変化等に伴いまして製品や役務の供給が相当程度減少しており、その状態から長期にわたり回復しないことに伴い雇用量の減少を余儀なくされる業種を特定雇用調整業種、こういう定義を法律上いたしてあるわけでございます。
 これを労働大臣が指定するに当たりまして、具体的には指定基準を三者構成の中央職業安定審議会の意見を聞いた上で定めて、それに基づいて指定をする、こういう考え方でございますけれども、現在考えております案といたしましては、特定不況業種の基準から稼働率あるいは設備廃棄等の要件を除いたもの、すなわち具体的には生産量あるいは雇用量が三年前以内の同期比で一〇%減少している、こういうようなことを中心とした基準を考えているところでございます。
#64
○吉川春子君 どういう業界、どういう業種ですか。具体的に伺います。
#65
○政府委員(征矢紀臣君) 具体的にそういう基準で詳細に詰めておりませんので、全体がどうなるかということは申し上げられませんが、現在雇用調整助成金の指定業種になっているものの中で、例えば生産拠点の海外移転により国内生産が減少している家電製造業の一部とか、あるいは製品輸入の増加等、需給構造の変化により雇用調整を余儀なくされております繊維工業あるいは鉄鋼業等、そんなものが想定されるところでございます。
#66
○吉川春子君 労働大臣が指定をするということを予定している企業の中には、内部留保をふやしている会社も対象になるんでしょうか。
 例えば、大手鉄鋼五社は、最近の報道によると、今期三月期決算見通しを発表しましたけれども、新日鉄は黒字と。それから高炉五社は来期はそろって黒字になりそうだということですが、こういうところは、少なくとも本法律が不況ということをタイトルに掲げた法律ですから指定対象にはできないと思いますが、どうですか。
#67
○政府委員(征矢紀臣君) 先ほども申し上げましたように、具体的な基準につきましては関係審議会で法律が成立いたしましたら検討するということでございますので、正確に申し上げることはできませんけれども、具体的に考えておりますのは、生産量あるいは雇用量が三年前以内の同期比で一〇%減少している、こういうようなことを中心とした基準を考えているところでございます。
#68
○吉川春子君 必ずしも黒字だからだめとか、すごく不況で困っているとか、こういうことだけが基準ではないわけですね。端的に言ってください。
#69
○政府委員(征矢紀臣君) 黒字、赤字の問題につきましては、内部留保等それ自体を基準で考えるのは、これはなかなか難しいと思います。したがって、具体的な数量としましては、生産量あるいは雇用量、そういうようなもので従来考えているところでございます。
#70
○吉川春子君 海外に生産拠点をどんどん移している企業があるんですけれども、そこで、海外で新たに雇用をつくり出しているわけです。
 例えば、さる大生家電メーカーなんですが、ヨーロッパ、北アメリカ、アジアに二十五の生産拠点を設けて三千六百四十四人の海外の労働者を雇い、国内ではリストラを行っていると。海外で数千人雇って、国内ではリストラで労働者を減らすと。そういう企業に、失業予防というふうに言っているこの助成措置をすることはおかしいんじゃないんですか。
#71
○政府委員(征矢紀臣君) その辺につきましては御指摘のような面もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、生産拠点の海外移転等に伴って国内の雇用問題の発生をなかなか避けることが難しい、そういう状況があるわけでございまして、これにつきましては、より付加価値の高い生産基盤の国内での確保あるいはサービス業の拡大などによりまして、新たな雇用機会が確保されることで全体のバランスがとられていく、そういうことが必要であるわけでございますが、いわばその辺についての橋渡しをするという考え方から、今回の法律案を提案しているところでございます。
#72
○吉川春子君 いろいろ周りのことはわかってますのでいいんですが、端的に伺いたいんですが、海外にどんどん進出して、数十社海外拠点を設けて、そして現地での雇用を何千、何万と行っていると。しかし、日本の国内では出向、それから早期退職あるいは首切り、そういうことをやってリストラをしていると。こういう会社もとにかくその助成金の対象になり得るということですか。その点だけはっきり答えてください。
#73
○政府委員(征矢紀臣君) そういう会社につきましても、労使間で話し合いがされ、労働組合の意見を聞きました計画がなされ、かつ具体的な雇用調整につきまして労使間で話し合いがされ、書面による協定等が結ばれた場合につきましては対象になるかと思います。
#74
○吉川春子君 大臣にお伺いいたします。
 先ほど労働力の流動化を進める法律ではないというふうにおっしゃいましたが、それはそれとして伺っておきますが、大企業の海外進出を非常にしやすくすると、国内でのリストラをやりやすくするというこの法律は、そういう性格の法律なんでしょうか。要するに、受け入れ先の企業に助成金を出して切りやすくするわけですね。そういう性格の法律なんですね。
#75
○国務大臣(浜本万三君) そういう法律ではありません。あくまでもやっぱり失業のない労働移動を支援するという法律でございます。
#76
○吉川春子君 しかし、不況でなくてもいい、黒字でもいい、内部留保はあってもいい、海外でどんどん雇っているけれども国内で減らす、そういう企業に出すということであれば、本当に失業予防とか雇用を真剣に確保するとか、そういう立場からのではなくて、やはり企業の方に、どういうふうにリストラを応援するかという色彩が非常に強い法律だというふうに、私は今の答弁からも受け取るということが相当かと思います。
 それで、この助成金を出す場合、出向ということが一つ大きな問題なんですけれども、今回、企業が出向を非常にやりやすくすると、そのための助成金制度が設けられているわけですけれども、出向というのは労働者の立場に立ってみれば多くは勤務の環境が変わり、大体労働条件も下がるわけで、重役で出向するなんというのは別かもしれませんが、大体は下がる。特に中高年の労働者にとっては、統計を見ても雇用の場を与えるということが一番多いわけですから、そういう過酷な結果になっているわけです。
 労働省に出向制度についての具体的な数字をお伺いしますけれども、出向制度を持っている企業、規模別にちょっと数字で報告していただきたいと思います。
#77
○政府委員(征矢紀臣君) 手元に平成五年の雇用管理調査の数字がございますけれども、これで出向させた企業のパーセントで見ますと、調査産業計が一五・三%でございますが、五千人以上規模では九五・五%、千人から四千九百九十九人が七六・一%、三百人から九百九十九人が四〇・三%、百人から二百九十九人が二二・二%、三十人から九十九人が八・七%というふうになっております。
#78
○吉川春子君 今報告していただいたとおり、出向というのは大企業が圧倒的に多いんですね。今引用されました雇用管理調査報告にも書いてありますけれども、規模が大きくなるほど出向させた率がふえ、出向形態別の一時出向、退職出向もふえているわけです。それで、出向の場合はやはり不利益を伴うものですから、本人の同意が必要ですよね。判例によっても出向は同意が要件とされているんですが、出向の際の本人の同意がどの程度得られているのか、その有無についてつかんでいる数字をお示しいただきたいと思います。
#79
○政府委員(廣見和夫君) 出向全般につきまして、同意をどのような形でとっているのかということについての総括的な調査は手元にございませんが、全国労働基準関係団体連合会の調べました出向、転籍についての調査を見てみますと、これは同一グループ間の出向につきまして主として調査したものでございますが、これによりますと、あくまで本人の了解を必要とするということにいたしておりますものが一般の出向ですと四二%程度、それから業務命令であって拒否できないということで、同意の有無を問わない形でやっているというのが同じく四二・六%程度、まあ大体同程度である。
 ただ定年前の転籍、これについての状況でございますと、最後まで本人の了解を必要とするというのが六九・七%ということで約七割、それから業務命令であって拒否できないという形で、同意を必要としないという形で考えております企業といいますか実態は一〇・一%、こういうような調査事例がございます。
#80
○吉川春子君 転籍出向というのは、要するにもうそこが首になって違う企業に行くということですよね。だから、解雇と実際上は同じなんですけれども、それを業務命令で一〇%やっているという数字は非常に重要だと思います。
 そしてその次に、出向の転籍への切りかえも一一・〇%あるということで、出向のときのその本人の同意、とりわけ転籍というふうにもう会社に籍がなくなってしまうときでさえ業務命令でやられる数字が一定数あるということは非常に問題だと思うんです。
 今回の助成金の支給要件として、出向させられているその労働者の同意ということが要件ですけれども、同意があったかどうかの確認はどのようにされますか。
#81
○政府委員(征矢紀臣君) 今回の助成金に関しましては、これは労使間で締結されました出向協定書を添付させるとともに、出向労働者の同意を得たものであることを確認できる資料の提出を求めてまいりたいというふうに考えております。例えば、出向労働者の押印した同意書等でございます。
#82
○吉川春子君 業務命令なんでいったら、もう業務命令でみんな名前書くわけですから、本人の署名があっても本当の意味の同意であるかどうかということはわからないわけですね。
 それで、大臣にお伺いいたしますけれども、本当に本人の同意が出向に当たっては得られているかどうかという確認は、本人に直接有無を確かめてみることが必要なんじゃないかと思います。ただ、何十万人全部確かめるということはもちろん難しいので、抽出であるとか、その抽出した一人に対して電話で聞いてみるとか、そういう形で本当に業務命令やらあるいはいやいや同意させられた上での署名ではないということをきちっと確認した上でこの大切な国費を支給する、もし支給するとすればそういう手続が必要なのではないかと思いますが、いかがですか。
#83
○政府委員(征矢紀臣君) 先生御指摘のように、個別労働者について一々同意の確認をするのは、これは行政上困難かと思います。したがいまして、先ほども申し上げましたように、出向労働者の捺印した同意書、こういうようなもので確認したいと考えております。
 それがそれじや事実かどうかという点につきましては、これはやはり関係労働者の方が事実でないとすれば監督署なりあるいは安定所なり御相談いただけば、それに対応して私どもも事実関係を調べるというようなことは当然しなければならないというふうに考えております。
#84
○吉川春子君 労働省の委託調査でも定年前一〇%、それから、そのほか一一%が業務命令で同意させられちゃっているという数字があるんですけれども、こういう人たちが労働基準監督署に、自分はそういうふうに無理やりにやられちゃったというような相談に来ているんですか。
#85
○政府委員(廣見和夫君) 出向につきましては
#86
○吉川春子君 いや、来ているか来ていないかでいいんですよ。
#87
○政府委員(廣見和夫君) 特に、移籍出向につきましては同意が必要である、こう考えておりますが、労働基準監督署の方には、当然解雇その他をめぐる問題につきましていろいろな相談がございます。その中には出向をめぐるような問題についても当然含まれておるわけでございます。
#88
○吉川春子君 労働省は、その数をつかんでおりません。ちょっと時間がないので、レクで聞いたものですから、それを言います。
 大臣、要するに、それだけ実際には、移籍出向で本人の同意がなければならないにもかかわらず、その同意を得ていないということがあるわけですよ。だから、本当にその本人の同意が得られているかどうかというのを何らかの方法で、さっき私が言ったような方法で抽出してでも確かめるということをしませんと、やはりこれでもって出向が促進されるということになるんです。
 私、局長の答弁もう要りませんから、大臣にその点きちっとやっていただけるかどうか、答弁をお願いします。
#89
○国務大臣(浜本万三君) 私に申されましても、それを一々確かめるというのはなかなか困難ではないかというふうに思います。
 ただ、出向問題につきましては労働組合と使用者側がしっかり話し合いをいたしまして、そして協議をいたしまして決定をするということがやっぱり前提になっておるわけでございますので、そこのところを労使関係でうまくやっていただかないと、この問題は本質的に解決できないんじゃないかというふうに思っているわけなんです。
#90
○吉川春子君 労働組合も、本人がもう会社からぎりぎり責められて同意をして署名した後、労働組合が出てくる、こういう報告も私のところには来ているんです。
 だから、労働組合やらに任せるのではなくて、やっぱり労働省が国のお金を出すわけですから、ちゃんと同意していないと出せないわけでしょう。そこをきちっと確認する責任はあるんじゃないですか。どういう形でやるかはお任せしますけれども、それをきちっと本人の同意を確認した上で支給するというのは少なくとも最低限の条件じゃないんですか。
 それさえもやらないでこの法律を、私たちはこの法律に反対ですけれども、そういうものを執行していくという、そういうあいまいさを少なくとも残しちゃいけないと思いますが、大臣の見解いかがですか。
#91
○国務大臣(浜本万三君) この制度は、基本的にこういうふうになっておるわけです。
 特定雇用調整業種等の事業主が雇用維持等計画を作成するに当たっては、当該事業所の労働組合の意見を聞くことを要件とするということに第一になっています。そして、労働移動雇用安定助成金や労働移動能力開発助成金の支給に当たっては労働組合等との書面による協定の締結や労働者の同意を要件とすること、それから、そういうことによりまして失業なき労働移動が円滑にできるようにしておるというのがこの法律の建前なんでございます。
 ですから、やっぱり労働組合がきちっと労使関係で話をしていただきまして、今のような問題が起きないように措置をしていただくということが必要ではないかと思います。
#92
○吉川春子君 私は、やはり労働組合に任せるのではなくて、労働省みずからが本当に任意による同意なのかということをきちっと確かめるという方法も考慮した上で、もしこの法を執行するのであればやるべきだということを強く要求をしておきます。
 それで労働大臣、労働基準法が何回か改正されまして、変形労働時間制という制度が導入されたわけなんですね。今は一年単位の変形労働時間まで導入できる仕組みになっておりますけれども、私は、人間は八時間休み、八時間睡眠をとり、それから八時間労働という、最近まで目標とされていた人間の生理に合致したといいますか、健康を損なわない人間らしい生活を可能にするという、そういうことが変形労働時間制のもとで難しくなってきている、そういう問題について質問したいと思うんです。
 新日鉄の労働組合の新聞の「ねっぷう」によりますと、会社は二月二日に団体交渉・労使委員会において、シームレス鋼管事業の再構築のために一カ月単位の変形労働時間制を活用した十二時間勤務、二組二交代制を実施する提案をしてきました。つまり一日十二時間働くというわけなんですよ、二十四時間のうち十二時間働く。そして、二交代ですから真夜中働くのと昼間働くのとあるわけですね。こういうことを変形労働時間を導入してやるという提案をしてまいりました。
 このような、労働者の負担の多いことをなぜ導入しなくてはいけないのかという労働組合の質問に対して会社は、圧延ラインについては設備稼働日には終日操業を実施して生産量を確保するとともに、設備休止日には施設を完全休止状態にする集中連続稼働・休止を行い、エネルギーロスのミニマム化を図ることにしたものだと。これを三直制にすれば、設備非稼働日の、動かさない日の出勤日が大量に発生する一方で一・五倍の要員が必要になるわけで、この面の非効率は多大なものがあるということで、シームレス鋼管事業の再構築に当たっては採算性重視の受注の徹底化とあわせて抜本的なコスト削減施策が不可欠であり、あらゆる面において最効率を追求することが必要であろう、こうした点を踏まえて十二時間交代を導入しましたと、こういうふうに会社は答弁されているんです。
 これでは、一体人間は機械なのか、ロボットなのかと、こういうふうに叫びたくなっちゃうんですけれども、こういうことを、一カ月単位の変形労働時間を導入していいと労働基準法がなっている、そういうことを理由に導入されるということが本当に許されるんでしょうか、大臣。これはまず大臣の御感想を伺いたいと思います。
#93
○国務大臣(浜本万三君) 労働基準法の改正のときには私も先生と一緒に審議に参加をさせていただいたわけなんですが、変形労働時間制の場合に当時議論したことを思い出しますと、三カ月と一年につきましては一日の労働時間とそれから一週間の労働時間が決められましたんですが、一カ月単位の変形労働時間についてはそういうものは決まっておらないわけですね。労使が労働時間の短縮をみずから工夫をしながらそういう時間、一カ月単位の変形労働時間制を決められるようになっておると思います。
 したがって、一日の労働時間の上限が決められておりませんので、労働基準法の枠の中で労使がどのような労働時間を設定するかにつきましては、これはやっぱり話し合いで決めていただいてよろしいのではないかと思っております。
 そういうことを考えてみますと、労使で十分話し合った結果、一日の労働時間を従前より長くすることがありましても、先生が言われるように労働基準法の趣旨に違反するということは言えないのではないかと私は思っておるわけです。
#94
○吉川春子君 一日十二時間働く、そして昼も真夜中も働くと、交代で。そういうのが人間の生理とかあるいは人間らしい生活を行うとか、あるいは女性であれば育児もあり家事もあり、男性も今育児も家事もやっていただかなければなりませんけれども、そういう人間らしい生活が十二時間労働の中で可能になると大臣、思われますか。
#95
○国務大臣(浜本万三君) これだけ取り上げて申されますとそういうことになるんですが、休日等もあわせて決まっておるようでございますので、その点は局長の方からお話をさせていただきます。
#96
○政府委員(廣見和夫君) 若干補足させていただきたいと思います。
 今、先生お話しの具体的な事例で十二時間ということが提案されているということでございますが、当然十二時間ということを二交代でやっていくということになりますと、変形労働時間制を利用してまいりますれば平均して一定の枠組みがあるわけですから、当然休みの日も今大臣申し上げましたように入ってまいります。このあたりになりますと休みは多分月に半々ぐらいになる、あるいは場合によっては休みの日が多くなるということも考えられるわけでございますので、これは働き方の問題になろうかと思います。
 これは、労使でどのような働き方をとるのが労働基準法の枠内で最も適当なのか、やはり労使が自分たちの判断で十分な話し合いを経て決められるべき事柄ではなかろうか、このように思っております。
#97
○吉川春子君 大臣、私あと二問大臣にいたしますので、局長は答えないでくださいね。
 要するに、休日がふえるとおっしゃいましたけれども、じゃ週のうち四日間は保育所も行けない、子供の面倒も見られない、家族と夕飯も一緒に食べられない、そういう生活を週のうち四日間やって、あとは休みだから家にいればいい、こういうものじゃないでしょう。私たちは毎日毎日学校に通い、保育所に行き、仕事に行く。あるときはたくさん寝たから次の日は寝なくていい、そういう生活じゃないんですよ。そういうことを考えますと、いかにも十二時間働いて、しかも深夜十二時間働く日もあるんですよ。
 法律の枠がどうこうというのは私もう知ってますので、それ以上説明しないでください。しかし、そういうことが本当に人間らしい生活を可能にすると思いますか。まず、その点一つ伺いたいと思います。大臣、いかがですか。
#98
○国務大臣(浜本万三君) それは八時間働きまして、そして残りの時間で休養と睡眠をとられるのが一番よろしいと思うんですが、生産の形態によりましてはいろんな勤務形態をやらなきゃならぬということも想像できるわけであります。その選択につきましては、労使関係の中でお話し合いをいただきまして選択をしていただければよろしいのではないかというふうに思っておるわけです。
 ですから、普通八時間働いてあと残りの時間は休養をして睡眠をとるということだけの勤務時間ではできないところはやっぱり労使でいろいろお話し合いをしていただきまして、そして一番いい方法を選択していただく方法しかないのではないかと思っております。
#99
○吉川春子君 私、あえて厳しいことを申し上げます。社会党の労働大臣の御答弁とは私はとても思えないんです、そういうのは。本当に労働者が聞いたら泣くんじゃないですか。本当にそんな十二時間労働を、週四日十二時間労働をやって、あと三日休ませるからいいんだと、こういうようなことをやっぱり私は、浜本大臣、それちょっと訂正してほしいんですね。それはよくない、本来よくないと。そんな生産の、産業の形態に合わせてそういうこともあり得るなんというのは、それは議事録に残してはならないんですよ、大臣の答弁としては。そこを訂正していただきたいと思います。
 それと同時に、変形労働時間制を導入したときに、一年だと最高一日九時間、三カ月だと一日十時間という上限を省令で設けましたね。そして、一カ月単位はそういう制限は設けていないけれども、しかしそういう範囲でもってやりなさいということを指導方針として労働省は出しているじゃないですか。自分たちが行政指導の方針として出していることまで、それを否定するような答弁はよくないと思うんです。
 そして同時に、これはこういうことをやった会社についてまでさっきのお話だと出向手当ということで払うんですよ。中小零細企業に出向の労働者を送り込んだら、その企業はそういうところから来た労働者を受け入れたときには国がお金を出すんですよ。国がそんな過酷な労働のスタイルをしているところにお金を出すなんてとんでもないんです。
 新日鉄はこれによって余力を三百五十六名つくると言っているんですよ。これを出向させると言っているんですよ。一日十二時間働かせるから人員が三百五十六名余るんです。余った者を出向させると言っているんです。その出向先に労働省はお金出すんですか。そんなことまでやってこういう過酷な労働者の労働条件を応援するということは絶対よくない。
 だから、法律はともあれ、私は人間の心を持ってきちっとやっぱり行政指導していただきたいと思います。どうですか、大臣。
#100
○国務大臣(浜本万三君) だから、私は前提条件として八時間働きましてあとの時間は休養し睡眠をとる時間のような勤務態様が一番よろしいということは申しておるんです。
 しかし、生産の形態によりましてはいろんな勤務態様があるであろう。その勤務のあり方については労使で交渉をいたしまして決定をしていただくということが一番よろしいんではないかというふうに思っております。そういうことを申し上げたわけでございます。
 それから今のお話、ちょっと私が伺ったところによりますと、第一組合と第二組合があって、そして第一組合が今のような御指摘の変形労働時間制というものを決定した、――まだ決まっていないですか。そして何か少数組合の方がこれに反対しておられるというような状況ではないかというふうに伺ったんですが、もう少しその辺は事情を調べてみたいというふうに思います。
 ただ、私も経験がございますが、組合が二つに分かれまして、一方が協定し、少数の組合がそれに従うというようなことになりまして、いろいろ労使関係の紛争が起きるということについてはなかなか不幸なことでございますので、できるだけそういうことがないように、労働省を預かる私としては期待をしておるような次第でございます。
#101
○吉川春子君 補助金の点はいかがですか。
#102
○政府委員(征矢紀臣君) ただいまの個別の事情につきましてはまだ労使間でお話し合い中ということでございますので、一般的に申し上げますと、基本的には労働条件は労使間で決定されるべきものであります。それが法令に違反しない限りは、これによって支給要件には影響しないものであるというふうに考えております。
#103
○吉川春子君 納得できないが、終わります。
#104
○委員長(笹野貞子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#105
○委員長(笹野貞子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#106
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、特定不況業種等関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、本法律案が労働者保護と相反する出向、配転、就職あっせんを雇用対策の名のもとに法律で認知し、労働力の流動化をもたらすものだからです。また、出向や配転なとはもともと労働条件の大きな変更を伴うものであり、労働者保護の観点からむやみに行ってはならないものです。それを今回法律で認知することになれば、これまで確立されてきた出向、配転などに対する歯どめが外れ、労働者の権利が大幅に損なわれることになりかねないのです。
 第二は、大企業のリストラを支援するものだからです。本法律案では特定雇用調整業種として指定が予定されているのは家電やVTR、テレビ製造業などで、その産業が不況であるかどうかは問われていません。私の質問でも明らかにしましたように、大きな利益を上げている企業も指定を受け、海外移転の結果生ずる大量の余剰人員の出向、再就職あっせん、配転についても補助しようというものです。大企業にとってリストラは今短期間に大量に行う場合、退職金などが莫大となるなど、行き詰まりを見せているのが実情です。本法律案は大企業の出向、再就職のあっせんに対し助成金を出すなどしてこれを打開するためのものであり、下請中小企業にとっては一定の補助金によって大量の出向者を大企業から押しつけられることになりかねないのです。
 第三に、政府、財界が進めようとしているいわゆる規制緩和を雇用の面から保障するものである点も指摘せざるを得ません。財界、大企業は今規制緩和を当面の基本戦略として進めておりますが、規制緩和を断行することは当然のことながら痛みを伴うとして大量の失業者の発生を当然視しております。本法律案はその事態に対応する施策でもあるのです。
 以上三点から、本法案に反対であることを申し上げ、討論を終わります。
#107
○委員長(笹野貞子君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 特定不況業種等関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#108
○委員長(笹野貞子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#109
○委員長(笹野貞子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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