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1995/03/14 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 労働委員会 第5号
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1995/03/14 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 労働委員会 第5号

#1
第132回国会 労働委員会 第5号
平成七年三月十四日(火曜日)
   午後一時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十日
    辞任         補欠選任
     中尾 則幸君     翫  正敏君
 三月十三日
    辞任         補欠選任
     和田 教美君     浜四津敏子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         笹野 貞子君
    理 事
                野村 五男君
                庄司  中君
                古川太三郎君
                吉川 春子君
    委 員
                小野 清子君
                坪井 一宇君
                柳川 覺治君
                千葉 景子君
                角田 義一君
                足立 良平君
                武田 節子君
                浜四津敏子君
                星野 朋市君
                翫  正敏君
   国務大臣
       労 働 大 臣  浜本 万三君
   政府委員
       労働大臣官房長  伊藤 庄平君
       労働省労働基準
       局長       廣見 和夫君
       労働省婦人局長  松原 亘子君
       労働省職業安定
       局長       征矢 紀臣君
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部長     野寺 康幸君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐野  厚君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○緊急失業対策法を廃止する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(笹野貞子君) ただいまから労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十日、中尾則幸君が委員を辞任され、その補欠として翫正敏君が選任されました。
 また、昨日、和田教美君が委員を辞任され、その補欠として浜四津敏子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(笹野貞子君) 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○千葉景子君 本日は、労災保険法の改正についての審議でございますが、大変恐縮でございますけれども、ちょっと最初の時間をおかりいたしまして一点だけ、まず大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 と申しますのは、既に一般質疑の際にもお尋ねをさせていただいたんですけれども、ILO百五十六号条約がいよいよ閣議でも御了解をいただきまして、国会での審議に付されるという運びになったと伺っています。
 この条約につきましては、大臣にも大変御努力をいただいたと伺っておりますし、私どもも長年にわたって取り組ませていただき、また多くの女性の皆さんからも早期の実現に向けての御意見をたくさんちょうだいしていたところでもございます。政府としても決定をいただいたということで私たちも大変喜んでいるところでございますけれども、大臣に、これまでの御苦労を含めて、御感想とそして改めての決意の一端などお聞かせいただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
#5
○国務大臣(浜本万三君) ILO第百五十六号条約の批准に関しましては、私も就任以来積極的な検討を事務方に指示してきたところでございますが、昨年来の関係省庁間の積極的な検討作業によりまして、今般、本条約の批准承認案件を国会に提出することになったわけでございます。
 本条約が早急に批准できますよう、国会の御承認をなるべく早くいただければ大変ありがたいと思っておる次第でございます。これからそのために、議員各位の一層の御理解と御協力をいただきますように心からお願いを申し上げたいと思います。
#6
○千葉景子君 ありがとうございます。
 それでは、本論の労災保険法の改正問題について入らせていただきたいと思います。
 まず、労働災害というのは、本来はできればないというのが一番望ましいことであろうかというふうに思います。ただ、実情から考えましても、それからどうしてもやむを得ず、直ちに労働災害をゼロとするというところまでなかなか行くわけにはまいりません。そんな中で、不幸にして労働災害に遭い、特に重度の障害を負われた方の生活というのは、その御家族の方も含めて大変困難を伴う状況に至るわけでもございます。
 特に介護に携わる方々、これは労働災害ばかりではございません。近時、高齢者介護の問題なども大変重要な課題になっておりますけれども、労働災害などの場合にも、介護に携わる方々の肉体的、精神的な負担は想像を超えるものがあるのではないかというふうに考えられます。
 そういう意味で、私どもといたしましても、かねてから介護にかかわる補償の充実ということについて力を入れさせていただいてまいりました。特に被災者団体の皆さんからも、これはサービスというだけではなくて保険給付の一つとしてやはりきちっと位置づけてほしい、こういう要望もございました。こういう御意見なども踏まえて、介護補償給付の創設に私たちも取り組ませていただいてきたところでもございます。
 そういう中で、今回、労災保険法の改正がなされることになりまして、その重要な柱が重度被災労働者に対する介護施策の大幅な拡充ということでございます。
 一つは、介護補償給付の創設、そしてもう一つの柱が労働福祉事業によっての整備拡充、労働福祉事業において重度被災労働者の介護に対する援護を行うことができる、こういう大きな柱を立てていただいたところでもございます。
 今回のこのような改正は、高齢化、核家族化等の我が国の社会経済情勢を見たときには、大変こういう変化に対応するという意味で適切な改正でもあろうというふうに思いますし、私たちも大変評価をさせていただいているところでもございます。
 今回はこういう改正でございますけれども、拝見をいたしたところ、介護補償給付の創設はもちろんのことですけれども、労働福祉事業についても、今回介護に対する援護を行うということで大変重さが増してくるのではないかというふうに思います。費用の点でも、これまで百十五分の十五ということが充てられておりましたけれども百十五分の十八ということで、そういう意味でも財政的にも重い措置がされてくるということになろうかというふうに思います。
 そういう意味で、今後この労働福祉事業というものの重さというのを私たちも考えていかなければいけないんですけれども、その中で、ちょっと基本的なことになりますけれどもお尋ねをしたい部分がございますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。
 というのは、今回介護に対する援護というのが含まれましたけれども、この労働福祉事業というのは一体どんなことがなされているのかというのを改めて拝見をいたしました。法の二十三条に労働福祉事業について記載がされております。その四号に賃金支払いの確保などが労働福祉事業の一つとして挙げられております。大きく考えますとこれも福祉という面も全く否定できないわけではないんですけれども、率直に考えますと賃金という問題は、使用者側と働いている側とでは権利義務関係、働いたらきちっと賃金を払うという関係ですから、福祉というよりはむしろ権利義務の問題なのかなという感じもいたします。
 ただ、こういうものがやはり労災保険制度の中に取り入れられて、福祉事業の一環として行われているということでございますので、四号で賃金支払いの確保などが入れられている、福祉事業として位置づけられている趣旨と、そして具体的にはこれはどんなときにどのような形で運用されているのか、その辺について御説明いただければと思います。
#7
○政府委員(廣見和夫君) 今、先生がお尋ねの労災保険法二十二条に規定しております福祉事業の件、中でも賃金の支払いの確保の事業についてでございますが、この事業の性格と申しますか目的は、労働者のために賃金の支払いを確保することにあるということでございます。
 つまり、賃金の支払いは当然事業主の基本的な責務でございます。しかし、一定の事由のために、事業主が例えば破産に至るというようなことになりまして残念ながら賃金の支払いができなくなる、こんな状態になるときがございます。そういうときのために、それによって賃金の支払いを受けることができなくなる労働者の救済を図る、こういう観点から、国が事業といたしましてその事業主にかわって労働者の方に賃金の立てかえ払いをする、こういう仕組みでございます。
 当然、一定の厳しい条件と申しますか、事業主は本来賃金の不払いということがあってはならないわけでございますので、条件がございます。一定の条件のもとに未払いの賃金の最高八割ぐらいまで立てかえ払いをする、具体的には労働福祉事業団が支払う、こういうような仕組みをとってございます。これを払った場合に、当然事業主の責務が免れるわけではございませんので、かわって立てかえ払いを行いました労働福祉事業団が今度は事業主に対してその立てかえ払いした賃金の額に相当する額を求償していくということになるわけでございまして、趣旨といたしまして労働者の救済を図る、労働者の福祉のためである、こういう性格の事業でございます。
#8
○千葉景子君 御説明を伺いますと、広い意味で労働者の生活を保障していこうという観点であろうかというふうに思われます。
 次に、休業給付基礎日額の改善について若干お尋ねをさせていただきたいと思います。
 給付の基礎となります給付基礎日額が余り低額ですと、せっかく給付日数の改善がされてもその効果というのが減殺されてしまう、こういうことになろうかというふうに思います。その意味で、最低保障額をできる限り引き上げていくべきではないかというふうに思います。前回、平成二年の改正の審議の際に、我が党の池端委員がこの点について指摘をさせていただいていると思いますけれども、特に、年金受給者が六十五歳になりますと給付基礎日額ががくっと下がる、こういう問題がございます。これは非常に生活にも大きな影響を及ぼすのではないかということで指摘をさせていただき、その際、今後労災保険審議会における給付の被災時年齢による不均衡の改善などの問題とあわせて検討をさせていただきたいというような御答弁もあったようでございます。
 こういう過去の経緯を踏まえまして、この最低保障額をできる限り引き上げていくという問題、そして、六十五歳での激減の緩和の問題、この点については前回の改正時以降どのように取り組まれてこられたか、あるいは今後の見通しといいますか、ございましたらお答えをいただきたいと思います。
#9
○政府委員(廣見和夫君) 今、先生二点につきましてお尋ねであったかと存じます。
 第一点は、給付基礎日額の最低保障額をできるだけ引き上げていくべきではないか、こういう御趣旨であろうかと存じます。
 これにつきましては、確かに御指摘のように給付基礎日額につきましては、被災時の事情等によりまして余りに低い場合は補償の実効が上がらない、こういうために最低の額を決めるということから一定の額を定めております。ただ、これはそういう趣旨でございますので、当然賃金の変動等に応じましてできるだけ機動的に改めていくということが望ましい、このように考えております。
 現在は平成三年の十月に定めました三千九百六十円ということになってございますので、その後の賃金水準の変動状況を踏まえましてこの最低保障額の引き上げを行ってまいりたい、このように考えております。
 それから、もう一点の高齢層の方につきましての最高限度額の問題でございます。
 確かに、御指摘いただきましたように、最高限度額につきましては、六十五歳に達しますと給付基礎日額が急激に下がるということと、またその最高限度額が適用されます人数につきましても六十五歳以上の方で急にふえるという状況にございます。そういうことから、私ども、現行では六十五歳以上が一律に限度額が決められているということになってございますので、このあたりをもう少し細かく見まして、六十五歳以上から七十歳未満という層と、七十歳以上の層というふうに二つに分けて最高限度額を定めるというふうにしてまいりたい。そうすることによりまして、高齢者の就労実態をより適正に反映した給付基礎日額の最高限度額を設定し得るようになっていくだろう、このように考えておるところでございます。
#10
○千葉景子君 これは前回改正時からの検討事項でもあろうかというふうに思いますので、ぜひ今の方向で処置をいただきますように、よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、労働保険料の申告納付期限の問題です。
 今回の改正によりまして、労働保険の概算保険料及び確定保険料の申告納付期限が、保険年度の初日から従来四十五日、これが五十日以内ということで延長されることになろうかというふうに思います。これは五日間の延長ということで、いろいろ御要望があった点も踏まえてこういう改正になったかというふうに思います。
 そういう意味では一歩は前進がなというふうに考えるのですけれども、これ五日程度でとどめてしまったといいますか、五日程度の延長ということの意味といいますか、これまでの審議の経過、検討の経過などを含めて、なぜこの五日というあたりで決めることになったのか、その辺ちょっと御説明をいただけましょうか。
#11
○政府委員(伊藤庄平君) 今回の法改正におきましては、御指摘のように、昭和三十年の労災保険法の改正以来、四月一日から四十五日以内とされていました労働保険料の納付期限を五日延長する改正をお願いしているわけでございますが、この点につきましてはかねてから事業主、労働保険事務組合の方から要望が多うございました。
 と申しますのは、ゴールデンウイークの直後、しかもこのゴールデンウイークの長期連続休暇等の取得が進んでいる現況からいたしまして、事業主、労働保険事務組合の方々の事務負担が大変大きいというふうな状況を背景にそういう要望があったわけでございます。
 私どももそういった要望を受けましていろいろ検討をいたしたわけでございますが、実はこの五月十五日を軸にいたしまして、五月十五日以後、申告してこなかった事業主への督促、あるいは申告した事業主に対する賃金調査、さらには分納を希望する事業主に対します。その後の納入告知書の発行から徴収といった業務が五月十五日を軸にスケジュールがびっしり組まれておりまして、これを大幅に後ろの方へ変更した場合には、そういった業務スケジュール、それから業務執行体制を大幅に見直していかざる得ない。そういった状況の中で、現段階最大限できる措置といたしましてこの五日間の延長を行いまして、何とか事業主の方や労働保険事務組合の方の事務負担の軽減につなげていきたいという考えでございます。
#12
○千葉景子君 今お話を伺いましたように、五日間であろうとも、ゴールデンウイーク直後の時期をやはり少し延期したということで、大分事務負担といいましょうか、緩和されるということは考えられるし、一歩前進であろうというふうに評価をさせていただきたいというふうに思います。
 ただ、これは制度とかあるいは内容が違いますので一概に並べて考えることはできませんけれども、例えば税金の場合には、所得税などは前年の所得について三月十五日までに確定申告をする。それから、法人税などは事業年度終了から二カ月以内に確定申告をするということでございまして、そういう意味では労働保険の場合には若干期間がかなり密かなという感じもいたします。
 税金と労働保険ですから必ずしも一致させるというわけではございませんけれども、そういうことを勘案したり、それから事務組合、先ほどお話がございましたそういう皆さんの事務負担などを考えますと、せっかくここまでいろいろ御検討をいただきましたし、それからそれに対応できるような体制もとられようということでもございますので、これは私の意見でもございますけれども、今後ももう少し余裕を持って申告ができるようなそういう日数なども御検討いただいたり、あるいはこれ平成九年の施行でもございますけれども、準備をできるだけ早く整えることができれば早く取り組んでいただけるような、そういうことも頭に置いておいていただければというふうに思いますので、これは意見として申し上げておきたいというふうに思います。
 次に、労災保険の、時効という言い方で申し上げていいのかどうかわかりませんけれども、具体的な例として私こんなことを聞きまして、なかなかこれは被災者の方にとっては負担が多い場合があるのかなという感じがいたします。ちょっと例を挙げてみますので考えていただけたらというふうに思います。
 例えば、労災に遣われて何らかの療養補償を求めていく、二週間ぐらいのまず当座療養が必要だろうということで休業補償給付を請求した。労働基準監督署での審査では不支給ということになり、そして順次審査請求、再審査請求、行政訴訟まで行くかどうかは別でございますけれども、かなり長期にわたった不服審査の結果、不支給決定が取り消された。そして、その二週間分の請求については給付を受けることができるようになったということでございます。これ二週間であったんですけれども、もうちょっと長期の療養が必要だということだったのですが、その余の部分をまた別途請求しておきませんと、最終的に不支給決定を取り消されて支給が認められるようになっても、結局請求しておいた二週間分しか給付されないという結果になってしまうんですね。
 これは、公務員などはちょっと制度が違いまして、最初に公務災害認定というものを行って、それから具体的な請求をするので、認定を受けてから請求をすれば全部もらえるということになるんでしょうけれども、労災認定の場合、個々請求ですから全部について認定されるということがございません。ちょっと面倒くさい話なんですけれども、これ忘れていてもらえなかったとか、そういう例もあるようですので、何かわかりやすいように、あるいは窓口などで、きちっと請求をしておかないと後々支払いを受けることが、給付を受けることができないというようなことをきちっと徹底いただくとか何かしませんと不利益をこうむる、あるいは忘れてしまうという方がいるんではないかと思います。
 この辺のことについて、何かいい手だてといいましょうか、ないものでしょうか。御検討いただければというふうに思いますし、何か御意見がございましたらお答えをいただければと思います。
#13
○政府委員(廣見和夫君) 労災保険給付の請求権につきましては、確かにそれぞれの権利を行使できますときから時効が進行していく、このようになってございます。したがいまして、例えば今先生のお話の療養補償給付あるいは休業補償給付ということになりますと、休業補償給付で申し上げれば、療養のために労働することができないため賃金を受けない日、その日ごとに発生し、その日から時効が進行していくということになるわけでございます。
 したがいまして、今先生お話しございましたように、もしも不支給の決定があり、その後の分の請求をしていないで、後になってその不支給決定が再審査請求等で取り消されるということになってまいりますと、確かに時効にかかってしまうということになるわけでございまして、今までそういうようなケースも中には見受けられたこともございます。
 そこで、私どもはそういったような形にならないように、監督署におきまして一層その趣旨なり、今申し上げましたような請求の仕方等を含めて、より一層懇切丁寧な指導をやっていくということで努力してまいりたい、このように考えております。
#14
○千葉景子君 これはもう制度そのものの問題ですから、時効を中断させようと、なかなかそういうわけにもいかないかというふうに思うんですね、直ちに。そういう意味では窓口などでも、最初不支給とわかっていながらまた請求するというのも大変煩雑であるし、何か理不尽な感じもしないわけではありませんけれども、やはりせっかく請求できる、あるいは給付を受ける可能性がまだまだ残されているというようなことになりますので、そういうことも御説明をいただいた上で、抜かりがないようにぜひ御指導をいただきたいというふうに思います。
 それから、これも前回の一般質疑の際でございますけれども、過労死の認定基準の改正について、これも大変労働大臣を先頭にいたしまして御努力をいただいたということで、大変前進があるということで評価をさせていただいたところでもございます。
 ただ、新たな認定基準がせっかくございましても、それがきちっと伝えられて、そしてまた運用されませんと、これは絵にかいたもちということになってしまいます。そういう意味では、ちょうど通達が出されましてから一カ月半ぐらいになるわけですけれども、現場での運用が適切に行われ始めているかどうか。そして、これについて広く広報するということももちろんでございますけれども、職員に対する改正内容の周知徹底あるいは指導、こういうものが適切に行われているかどうか、その辺についてお答えをよろしくお願いしたいと思います。
#15
○政府委員(廣見和夫君) この件につきましては、先生御指摘のとおりであると思っております。御指摘の趣旨を踏まえて努力していく必要がある、このように考えております。
 具体的には、今回のいわゆる過労死の認定基準の改正内容等につきまして、広く国民の理解をいただきますように、また相談体制を充実させていくというようなこと、あるいはパンフレットや事例集をつくっていくということなどで広く周知をしていきたい、このように考えております。
 また、行政職員につきましては、全国の課長会議あるいは認定を実際に行います実務担当者の会議等を開きまして、新しい認定基準の詳細な説明を先般も行ったところでございますが、今後とも職員研修などを通じまして職員への周知徹底ということに努力してまいりたい、このように考えております。
#16
○千葉景子君 多くの皆さんが適切な運用を期待されているかというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。
 時間になりましたので最後になりますけれども、大臣に。
 今回、労災保険法の改正がなされまして、被災者に対する手厚い補償、サービス、こういうものが前進をいたします。また、今申し上げたような労災認定の改正などもありまして、労働災害に対する関心が深まり、そしてまたそれに対する補償というものについても前進が図られているというふうに思います。
 ただ、最初に申し上げましたように、何といっても労働災害というのはできるだけないということがやはりまず第一のことでございまして、そのためには労働時間のより一層の短縮とか職場環境の改善とか、そういうものが必要かというふうに、より一層求められるかというふうに思います。こういう改正も踏まえて、より一層労災のない職場づくり、こういうものに向けての大臣の御見解あるいは今後の取り組みの御決意などにつきましてございましたらお尋ねをして、終わらせていただきたいと思います。
#17
○国務大臣(浜本万三君) 労働災害に今日でも多くの方々が被災をしておられます。特に、二千人を超える方々が亡くなられておるという現状でございますので、この点はまことに遺憾であるというふうに思っております。
 労働災害の防止につきましては、働きがいがあり、安心して働ける勤労者生活の実現ということはもちろんでございますが、あわせまして日本経済の立場から考えましても非常に重要なことだと思っております。したがって、労働災害の防止ということは非常に大切な基本的問題であると考えておるわけでございます。
 現在、これに対する対策といたしましては、第八次の労働災害防止計画というのが立てられておりますから、この計画に基づきまして、諸般の安全衛生対策を総合的に推進してまいりたいと思っておる次第でございます。
 今後ともこれらの対策の徹底を図りますとともに、労働災害の防止に資する観点から、労働時間の短縮を含め労働災害防止対策をさらにさらに積極的に進めてまいりたいと思っております。
#18
○千葉景子君 終わります。
#19
○武田節子君 平成会の武田でございます。
 このたび、労働者災害補償保険法の一部改正に当たりまして、もう一度原点の目的というところから思いを寄せまして大臣に二、三御質問申し上げたいと思っております。
 この第一条の目的には、もう既に御存じのことですけれども、
 労働者災害補償保険は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害又は死亡に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、適正な労働条件の確保等を図り、もって労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。
とございます。
 ここで大臣にお伺いしたいのでございますけれども、ここで提示されておりますような「迅速かつ公正な保護をする」という趣旨は例外なく実行されていると考えてよろしいのでしょうか、お伺いいたします。
#20
○国務大臣(浜本万三君) 労災保険の給付の処理に当たりましては、労災保険法の目的にのっとりまして、迅速に行うように努めておるところでございます。
 また、行政手続法に基づく通達におきましても、労災保険給付を処理する期間について、給付ごとに原則といたしまして一カ月から六カ月と定めているところでございます。実際の労災保険給付につきましても、ほとんどその期間内で処理しているところでありまして、労災保険法における迅速な保護という趣旨にのっとって処理が行われておるというふうに思っておる次第でございます。
#21
○武田節子君 これはごく一部の例外について、「迅速かつ公正な保護をする」という趣旨と反することについて政府の見解をお伺いいたします。
 これは前に新聞にも発表されたことなのですけれども、神奈川県のJR職員の木村さん、四十歳の独身男性ですが、母親が七十歳の母子家庭でございます。四年前に横浜の労災患者として過労で死亡されまして、四年間母親がその補償を訴えてきましたけれども、四年目の昨年、平成六年十一月、不支給の決定がされました。こういう状況になった場合、この四年間母親はどこからも収入がなく生活が非常に困窮すると思われます。行政手続法、基発六一二、婦発二七三号を実行すれば、迅速かつ公正な保護をしなければならないはずなのですが、これについての御所見を賜りたいと思います。
 また、なお富士銀行の行員の岩田栄さんですが、昨年和解いたしましたけれども、何とこれも四年四カ月も経過して、両親はもう疲労のために心身ともにぼろぼろになってしまったというような状況でございました。
 これとあわせて御所見を、御感想を含めて大臣の御所見を伺いたいと思います。
#22
○政府委員(廣見和夫君) 今、先生御指摘なさいました件は、いわゆる過労死の認定にかかわる事案であるわけでございます。こういったような事案につきましては私ども、先ほど大臣から説明がありましたとおり、全般的には一定の期間を決めて迅速に処理いたしておるところでございますが、脳・心臓疾患にかかわります事案、これは大変に一般的には内容が複雑でございますし、調査項目も大変多岐にわたるという状況にございますので、またケースごとに大変いろいろ違う状況判断も必要になるということもございます。そういう意味で、先ほど申し上げましたような一般的な標準期間を設定できないということでございまして、設定いたしておりません。
 したがいまして、現実にはそれぞれの事案ごとに処理いたすわけでございますが、確かに他のケースと違いまして、こういったようないわゆる過労死の事案につきましてはかなり期間がかかっていることも事実でございます。もちろん私どももそれぞれの事案ごとに一刻も早く処理いたしますように努めているところでございますが、事案の内容によっては今申し上げましたようなことにならざるを得ない。慎重なあるいはまた専門的な、あるいは医学的な判断等が要求されるということがございますので、やむなく時間がかかっている実情にあることも事実でございます。
#23
○武田節子君 それでは次に、公正な保護をするについては、官民格差についてどのように御認識をされ、お考えになられておりますか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
 こういう事例が全国にたくさんございます。いろんな記録から調べたのでございますけれども、それによりますと、浦和の県庁の屋上に貯水タンクがありまして、貯水タンクの中にはペンキが塗ってあります。それを時々はがして新しく塗りかえるわけでございますけれども、そういう作業はシンナー、有機溶剤を使っていたします。シンナーは空気より比重が重いので、それが溶けて蒸気で出てきて沈み、底の中の空気が外に出てしまいます。
 ちょっと長くなりますけれども、お聞きください。
 そこで作業をしている人が倒れて死亡する事故が、全国的にあちこちに起きております。そのとき、上の方で見ておった課長とか同僚が、大変だということで大体すぐに飛び込んで救おうといたします。目で見ても有機溶剤があるかどうかわかりませんから飛び込んでしまうわけです。そうしますと、その人も死亡してしまいます。
 その場合は、もちろん死亡された人は一〇〇%の労災ですけれども、ところがその助けに入った人が警察官だったり公務員の場合には、遺族補償年金が五〇%増しになるのです。身体障害は、三級以上の身体障害の場合は、三級は四〇%、二級は四五%、一級は五〇%ふえるわけでございます。国家公務員と地方公務員には、死亡と三級以上の障害にはこのように加算制度がございます。
 また、北炭夕張炭鉱の場合でも、助けに入って死亡された人が十六人ぐらいおりましたし、それから上越新幹線の大清水トンネルでも助けに入って二人の方が死亡いたしました。
 そこで、労働安全衛生法が改正になって二十五条の二、救護の安全に関する規定ができました。ところが、それには加算がございません。それは、こういう危ない場所に危険を冒して入っていく義務がないからだという理由でございます。危なければ入らなければよい、それをうかうか入ったのだということなのでしょうけれども、損害賠償でもそういう考え方があるようでございます。
 災害が起きた場合、災害応急従事職員の場合にはやはり割り増しがございます。例えば島根県に台風が来ましたときに、台風が来て県知事が県庁職員に浜田市に応援に行くように命令いたしました。その職員が車を運転していったところ、途中で何とかいう大きな川の橋の途中まで行ったときに橋が流されて死亡いたしました。そういう場合には割り増しがございます。
 公務員の場合、国家公務員でも地方公務員でも、そういう大規模災害があってそこに救援に行けと命令された場合には割り増しはございます。警察官、消防職員、麻薬取締官、海上保安官等々、同じでございますけれども、だから公務員は危険とわかっていた場合でもあえてその仕事をやらなければいけませんからこういう制度をつくったということが自治省の事務次官通達に書いてございます。
 私は、これは大変おかしいと思うんです。義務があって行くのはむしろ当たり前のことでございますし、もちろん割り増しも当然であると思います。でも、義務がなくてもあえて危険を冒して人命救助のために行く方の方が私は偉いなと、こう思うんです。そういう人にも割り増しすべきだと思いますけれども、大臣の御所見はいかがなものでございましょうか、お伺いいたします。
#24
○国務大臣(浜本万三君) 警察官等の取り扱いと民間との格差問題について御指摘だろうと思いますが、一般論として私がお答えいたしまして、あと具体的な問題は局長の方から答えてもらうようにいたします。
 御指摘の制度は、警察官等の極めて危険な職務を遂行する職員が安心してその職務を遂行できるよう、特別の配慮をして補償額の加算を行ったものであると思います。公共の利益のために勤務する公務員の職務と責任の特殊性に基づきまして制度化されたものであると承知をしておる次第でございます。そのような事情にない民間労働者につきましては設けられてはいないということになっておると思います。
 なお、具体的な話は局長の方からさせていただきたいと思います。
#25
○政府委員(廣見和夫君) 今、大臣から説明がございましたように、また先生のお尋ねのこの件につきましては、確かに国家公務員災害補償法あるいは地方公務員災害補償法によりまして、特に危険な職務を遂行する公務員につきまして一定の割り増し措置がございます。
 その制度の趣旨につきましては、もう既に先生今御指摘あったとおりでございまして、やはり公務員の場合、特に危険にさらされる状況であっても、それを避けることなく職務に当たらなければならない、そういう形になってまいります。すなわち公務員はその危険を避け得ないという形になるわけでございまして、そういう職務の特殊性に着目されてこの制度が設けられているわけでございます。
 確かに、民間の労働災害等の場合にもいろいろ危険な状況が出てまいることはあろうかと思います。今先生具体的な事例でお話しいただきましたような点、これにつきましては、労働安全衛生法なども事業主に対しましていわゆる二次災害の発生を防止するための措置を講ずるべきであるというようなことを規定いたしております。これは、ある災害が起こってそれに対して他の方が救護する、こういったような場合につきまして事業主がむしろそういうことに対して安全であるように措置を講じなければならない、こういう規定になっておるわけでございまして、事業主の措置義務を定めたものでございます。すなわち労働者の職務やあるいは責任を規定するという規定にはなっておりません。
 そういうことを考え合わせますと、やはり公務員の職務の特殊性、大変危険な状況であっても避けることなくその遂行に当たらなければならないということからの加算措置、こういうものにつきましては、民間の労働者の場合とやはり必ずしも同一に論ずることのできない面があるのではなかろうか、このように考えておるところでございます。
#26
○武田節子君 それでは次に、財団法人の労災保険情報センターの業務内容について御説明をお願いいたします。
 一番目は、労災指定医療機関に対して労災診療費の支払いがあるまでの間貸し付けている額はどのぐらいになりましょうか、お伺いいたします。
#27
○政府委員(廣見和夫君) 今御指摘いただきましたように、労災指定医療機関に対しまして診療費の早期支払いを確保するために、財団法人労災保険情報センターと契約を結びました指定医療機関につきまして、当該センターから一定の貸し付けを行っているところでございます。全体で、月の平均でいたしますと百六十五億円という状況になってございます。
#28
○武田節子君 これも労働省の方からいただいた資料なんですけれども、今労災指定病院の労災患者は、入院で一〇%欠けて七・四%、外来で四・一%と、むしろ一般病院化しているような状況ではないかと思うんです。そんなに立てかえ払いを受けなくても運営に支障を来すことはないのではないかというふうに思われます。
 労災指定医には立てかえ払いの貸し付けがございますけれども、労災患者にはどんな援助の手が差し伸べられているのでしょうか。保険金給付の支給決定されるまでの救済措置を講ずるお考えはございますでしょうか、お伺いいたします。
#29
○国務大臣(浜本万三君) 御指摘のような労働者個々人の一回払いの保険給付についてまで立てかえ払いを行うことは、診療費の支払いのように労災指定医療機関に対する継続的な支払い関係を前提とすることができないため、非常に困難であると考えております。
 いずれにいたしましても、被災労働者の負担を軽減するためには、保険給付の請求に対しまして迅速な処理を行うことが肝要であると考えます。御指摘を踏まえまして、今後とも被災労働者の立場に立って、より一層の迅速処理に努めてまいりたいと思います。
#30
○武田節子君 よろしくお願いいたします。
 では次に、妻が重度の障害者を介護した場合の夫死亡後の一時金についてお伺いいたします。
 このたび、重度被災労働者が業務外で死亡したときに、長期にわたり介護に当たった遺族に対して百万円の一時金支給が検討されたように伺っておりますけれども、その趣旨と内容についてお尋ねいたします。
#31
○国務大臣(浜本万三君) じん肺などの傷病により長期間にわたりまして療養している重度被災労働者が死亡された場合、労災年金の支給が行われなくなることから、その遺族の生活が著しく不安定になる場合が見られるところであります。
 そこで、今般の制度改善に関する論議を踏まえまして、こうした不安定な生活が重度被災労働者の長期間にわたる介護によってもたらされたものと認められる場合には、労働災害による損害の延長としてとらえまして、一定の支援措置を講じていくべきであるとの判断に立った次第でございます。
 具体的には、平成七年度からの新規施策といたしまして、重度被災労働者が死亡された場合におきまして、長期間介護に当たってきた遺族に対しまして、一定の条件のもとに援護金といたしまして一時金百万円を支給することによりまして遺族の生活の激変を緩和するための援助を行ってまいりたいと考えたわけでございます。
#32
○武田節子君 妻が重度障害者を長期にわたって介護するに当たりますときに、共働きの妻のほとんどは職場を放棄しなければなりません。中高年女性が長い間介護して、その後夫に死亡されたときに百万円の援護資金で果たして自立した生活ができるでしょうか、大変私は疑問に思うんです。夫死亡後、職場復帰はとても無理でございますし、雇ってくれるところもございません。そして、子供のところに身を寄せるにしても、核家族化している家庭に世話になることは到底無理でございますし、娘が嫁いだ場合、嫁いだ先に世話になることもこれもできない相談ではないか、こんなふうに思うわけでございます。
 私が働く婦人の会のときにとりましたアンケートの中で、老後不安というものの理由の中で一番先に上がったのが経済的不安、経済大国日本の中で経済的不安が一番に上がったということも大変悲しむべきことだったんですけれども、その次が住居、そして子供は当てにならないというのも高い順位にございました。
 こうなりますと、一時金百万円では私は生きられないのではないかなというふうに思うわけでございまして、当初一時金三百万円支給ということが検討されたようにも伺っておるのでございますけれども、この三百万円保が百万円になった理由、それをお尋ねしたいことと、また三百万円にしても一日一万円で、三百六十五日一年分にもなりません。ましてや、百万円となったら家賃を払ったらもうそれでおしまいではないか。妻は介護のため職場を放棄して、その上自分の年金権まで失ってしまうのですから、超高齢社会における女性の自立した生活を保障するためには、やっぱり遺族年金の支給こそが最も望ましく思います。
 女性の人権の尊重、人命の尊重の上から、ぜひともその方向で御検討いただけないものか、大臣にその御所見を承りたいと思います。よろしくお願いいたします。
#33
○政府委員(廣見和夫君) 経緯の点等も先生御指摘でございましたので、私の方からお答えさせていただきたいと思います。
 今お尋ねの百万円の措置でございますが、これは大臣から御説明申し上げましたように、今回新しい措置として新規施策として始める、こういうものでございます。その趣旨につきましては今大臣から説明があったとおりでございますが、重度被災者の介護をやっておられた方が、その重度被災者が亡くなられたということによって大変苦しい経済的情勢に立たされる、そういうことがあることも先生御指摘のとおり事実であろうかと思います。
 ただ、その人がと申しますか、その亡くなられた重度被災者が業務上の理由によってそういう形になった場合には、これは労災保険制度として対応していくことになるわけでございますが、そうでない場合のケースが問題になるわけでございます。労災保険制度の立場から考えてみますと、なかなかそういったような形に対してまで、その方の生活の保障を全面的に保護、確保していくということができるかどうか、制度論としては大変難しい点があるんじゃなかろうか、このように思っております。したがいまして、そういうような状況に立ち至った場合に、どのような形でそういう人に対して保護、保障を行っていくべきなのか、これはまた大きな社会保障制度の問題であるのではなかろうか、こう思います。
 しかし、労災保険制度の立場から見てみますと、今まで年金を受けておられた重度被災者の看護をやっていた方、その年金がその方の死亡によって支払われなくなる、急に生活が変化する、そういう激変に対しまして、やはりこれは新しい措置として、せめてそういう状況に対しましては、残された方が次の生活の道をきちっと確立されるまで、やはり何らかの形で援護してさしあげるべきなのではなかろうかということで一時金百万円。他の制度もいろいろ私ども勉強いたしましたが、他制度とのバランスも考え百万円ということでこの新しい考え方に基づく制度をスタートさせたい、こういう形で今措置しようとしているものでございます。
#34
○武田節子君 最初三百万円が検討されたのが百万円になったといういきさつについて御説明いただきたいと思います。
#35
○政府委員(廣見和夫君) 長期家族介護者の援護金につきましては、確かにいろんな考え方があり得るわけでございます。私たちも検討の過程におきましては、いろんな数字を検討したことは事実でございます。
 ただ、今申し上げましたようにいろんな要素から検討し、また関係の制度とのバランスも考え、あるいは関係の行政庁との相談も行い、そういう形の中で新しい制度としては百万円でスタートするということにいたしたいということで、最終的に百万円という形で一応私ども制度のスタートを確保することができたという形になったところでございます。
#36
○武田節子君 それでは次に、給付の内容と水準についてお尋ねいたしますけれども、一律定額の給付水準の考え方についてお尋ねいたします。あわせて、家族の苦労等を考慮してもう少し引き上げるべきではないかと考えますけれども、政府の見解をお伺いいたします。
#37
○国務大臣(浜本万三君) 親族等が介護に当たる場合の一律定額の給付水準につきましては、近親者の介護労働を金銭的に評価し、被災労働者が一定の損害をこうむっているものと取り扱うのが損害賠償実務の一般的考え方となっていることなどから、被災労働者の親族等の介護労働を一定の水準で金銭的に評価し、これを損害とみなして一律定額を支給するものであります。
 具体的には、現実に被災労働者の介護に当たっている介護時間を、女子のパートタイム労働者の一時間当たり賃金額に基づき被災労働者のこうむっている介護損害として評価することにより、常時介護を要する者については現行の介護料の一律定額と同水準に設定するものであります。
 なお、随時介護を必要とする者につきましては、重度被災労働者の実態を見ると、常時介護を要する者の二分の一程度の介護費用の支出を行っていること、自動車対人損害賠償保険支払い基準におきましても随時介護を要する者は常時介護を要する者の二分の一の介護損害が認定されていることなどから、常時介護を要する者の二分の一の額を支給することにするものであります。
 また、家族の苦労を考慮してもう少し引き上げたらどうかという御意見でございますが、この点につきましては、在宅における重度被災労働者の介護がほとんど家族によって行われていること等を踏まえまして、現在労働福祉事業として支給している介護料におきましても、家族によって介護が行われる場合については他制度より特に手厚い給付を行ってきているところであります。
 親族等によって介護を受ける場合の一律定額の給付水準は、このような考え方を踏襲いたしまして設定されているものであります。在宅で介護を受ける重度被災労働者の実態を最大限に考慮した内容となっているものと考えております。
 今後につきましても、パートタイム労働者の賃金動向等を見守りながら、給付水準について適宜検討を行ってまいりたいと考えております。
#38
○武田節子君 次に、障害補償についてお尋ねいたしますが、障害補償はどのような場合に支払われるのでしょうか、お伺いいたします。
#39
○政府委員(廣見和夫君) 労災保険の障害補償給付でございますが、災害等によって傷病を受ける、その傷病が治癒した場合に一定の障害が残るというふうになった場合には、その障害の程度に応じまして障害補償給付を支給するということになっておるわけでございます。
#40
○武田節子君 労働福祉事業の整備拡充について、労働福祉事業として実施できる事業として被災労働者の受ける介護の援護を明記することとする理由をお伺いいたします。
#41
○政府委員(廣見和夫君) 重度被災労働者の介護は大変重要な問題になってきているというふうに私ども考えております。そういうところから、今般、介護補償給付の創設を行うということと同時に、労働福祉事業といたしまして各種の介護の施策を充実させてまいりたい、このように考えております。
 そういう形で、労働福祉事業の中で例えば労災ホームヘルプサービス事業あるいは介護機器のレンタル事業等々を行っていくということになってまいりますので、そういったような介護に関する措置を法律上明記していく、これを明らかにしていくということが適切なのではないか、このように考えまして、今般の法改正によりまして労働福祉事業の内容として介護についてのことを法律の中で明記するということにいたしているところでございます。
#42
○武田節子君 労働福祉事業の拡充が必要な理由と、拡充によってどのようなメリットがあるのかをお伺いいたします。
#43
○政府委員(廣見和夫君) ただいまも申し上げましたようなことで、重度被災者の介護は大変重要な課題になってきている、このように考えております。そういう意味で、具体的には新しい措置も講じてまいりたい、このように思っております。
 第一点は、重度被災労働者に対しまして専門的な技術を身につけました介護人を派遣する、そして労災の特性を踏まえた介護サービスの提供を行う、こういうことができるような労災ホームヘルプサービス事業、これを新たに設けていきたいということでございます。
 第二点といたしまして、重度の被災労働者の方はいろいろの介護機器を必要とされるケースが多うございます。そういうことで、民間の介護機器レンタル業者を介しまして、こういったような介護機器のレンタルを低廉な形でサービスを提供する、こういうこともやってまいりたいというふうに考えております。
 第三点といたしまして、在宅介護に対応いたしました住宅の増改築が必要になってくるケースが多うございます。こういうような場合に低利の貸し付けを行うことができる在宅介護住宅資金貸付制度を創設するというふうに考えております。
 このような新しい介護の措置、施策を充実させていくということによって、重度被災労働者が適切な介護を受けながら生活していけることに制度として、労災福祉事業として貢献していくことができるのではなかろうか、このように考えておるところでございます。
#44
○武田節子君 住宅の改造費などもこれは労働省の方から基金が出るわけでございますか。
#45
○政府委員(廣見和夫君) 先ほど申し上げましたように、重度の被災労働者の方がもしお住まいを改造する、あるいはその人たちが使いやすいような形で手すり、階段あるいはお手洗い等々の改造が必要になるというようなときに貸し付けるという制度をつくりたい。これは労働福祉事業団を通して実施してまいりたい。限度額は、改造に必要なものということでございますので、五百万円というような形で貸付制度を運用してまいりたい、このように考えております。
#46
○武田節子君 では次に、現行のメリット制の適用状況についてお尋ねいたしますけれども、適用事業の割合、マイナスとなっている事業場の割合などについてお伺いいたします。
 またあわせて、今回、労働者の安全または衛生を確保するための特別措置を講じた中小事業主について、メリット制による保険料率の増減幅を拡大する特例を設けることとした理由についてお尋ねいたします。
#47
○政府委員(廣見和夫君) まず最初に、現在の労災のメリット制度の適用状況でございます。
 このメリット制の適用を受ける事業場は全労災保険の適用事業場数の約八%となっております。その中で特に継続事業について見ますと、五・三%の事業がメリット制の適用を受けるという状況になってございます。この五・三%のメリット制の適用を受ける継続事業について見てみますと、このメリット制の適用を受けて労災保険の保険料が引き下げられることになりました事業場の割合は八四%ございます。逆に保険料を引き上げられる形になったところは一四%程度でございます。
 次にお尋ねの、今回このメリット制度の中に特例を設ける、特に中小企業事業主につきまして特例措置を設けるということについてでございます。
 これは、先ほど来労働災害のお話も出ておりますが、労働災害は中小企業事業主に多く発生するという状況にございます。そういう意味で、これから一層中小企業事業主の労働災害防止努力を促進していくということが大変重要であると我々考えておるところでございます。
 そういう意味で、これから特定の中小企業に対します労働災害防止のための措置と、今申し上げております労災保険のメリット制度をリンクさせるということによりまして、中小企業の事業主の方が努力すれば保険料が下がるという仕組みのもとに一定の災害防止措置を活用しながら災害防止の努力を一層やっていただく、それが結果として災害の縮小につながる、あるいは事業主の方の保険料の負担軽減につながっていく、こういうことになるだろう。こんなような考え方から新しくメリット制の中に中小企業の特例措置を設けたい、このように考えたところでございます。
#48
○武田節子君 その適用要件となる措置を講ずる事業主についてはすべて特例メリット制の対象とすれば手続の簡素化にもなると思われますけれども、事業主の申請に基づく任意とした理由をお伺いいたします。
 また、今回の特例メリット制度はどの程度の事業場が対象となると見込まれているのでしょうか、お伺いいたします。
#49
○政府委員(廣見和夫君) 今回の特例メリット制につきましては、今先生御指摘いただきましたように、確かに事業主の申請に基づいて運用していきたい、このように考えております。
 この理由でございますが、メリット制につきましては、先ほどもちょっと数字を一般的なものについて御紹介申し上げましたとおり、確かに大部分の事業主につきましては保険料の引き下げになるわけでございますが、中には残念ながら労働災害が結果としてふえたということによって保険料がかえって引き上げられるという結果になるものも、先ほどの例で申し上げれば一四%程度あるわけでございます。そういうように保険料が高くなるということもございますので、中小企業事業主の中にはこれを強制的に適用することについては望まれないという方も出てくるのではなかろうかということを配慮いたしまして、事業主の申請に基づいて適用することにしてまいりたい、このように考えたところでございます。
 それから第二点の、ではこの特例メリット制度はどの程度の事業主に適用されていくのかというお尋ねの点でございますが、これにつきましては、この特例措置は中小企業事業主であることを第一の要件にいたしたい。第二の要件といたしまして一定の安全衛生のための措置を講ずる、そういう事業主を対象にいたしたい、こう考えております。
 中小企業事業主であることが必要ということで、その要件から見てまいりますと、事業場は約五万八千がまずベースになってまいります。ただ、この五万八千の事業場の中で、先ほど申し上げました第二の大きな要件でございます特定の労働安全衛生施策を利用してそういう措置を講ずる事業主ということになってまいりますので、これはこれから私ども、どのような安全衛生措置を要件として規定していくかという要件の規定の仕方、あるいはそれを利用していただく事業主の状況、先ほど申し上げましたように申請に基づくということでもございますので、そこのあたりはいろんな形でこれから変化もあるだろうと思いますので、実態に即して多く活用されるように努力はしてまいりたいと思っておりますが、状況につきましては五万八千事業場をベースに展開される施策であるということでございます。
#50
○武田節子君 では、最後に労働大臣にお尋ねをして終わらせていただきます。
 第三十六条の行政不服審査法の不適用についてお尋ねいたします。
 労働基準監督署側が書類や物品を審査官や審査会に提出したものについて、審査請求をした側が閲覧できないようになっております。本当はそれを見せてもらわないと有効な攻撃も防御もできないわけでございます。ところが、そういう閲覧権は労災保険の場合にはございません。地方公務員の場合には地方公務員災害補償法によって行政不服審査法が適用され、審査に提出された資料、書類の閲覧請求ができます。資料、書類の開示、閲覧ができることが望ましいと考えますけれども、労働大臣の御所見をお伺いして私の質問を終わらせていただきます。
#51
○国務大臣(浜本万三君) 審査請求における資料の開示につきましては、第一にプライバシー等の問題もあり第三者に迷惑が及ぶと判断されるもの、それから第二は資料提供者の同意を得られないもの、こういう二つの点につきましては開示が適当でないと考えております。したがって、それを除きまして、できるだけ開示することにいたしておるところでございます。
 今後とも、資料開示を含めまして審査請求事案の適正な処理に努めてまいりたいと思います。
#52
○武田節子君 ありがとうございます。終わります。
#53
○古川太三郎君 新緑風会の古川です。
 労災保険の財政についてちょっと伺いたいんですが、平成元年には積立金累計というのが一兆一千五百億円、平成五年では三兆八千九百八十億円、非常に多くなっているんですが、そういう意味で、随分予算的には余るというようにも考えられるんです。聞くところによりますと、これは充足賦課方式ですか、その年の労災認定、これが二十年ほどお金がかかるという分では、その年の保険料で支払うんだという趣旨のことはわかります。わかるんですけれども、しかし、いかにも予算額からすれば累積の繰り越しが多過ぎると私は思うんです。それならば今まで議論されました労災をもっと厚く、手厚く保護してもいいんじゃないか、あるいはまた広く適用してもいいんではないか、そのくらいの余裕があるんではないかなという気持ちがいたします。
 このあたり、大臣はいかがお考えになるか、お聞きしたいと思います。
#54
○国務大臣(浜本万三君) 労災保険の積立金は、既に発生した労災事故により年金受給者となっておられる方々の将来の給付のために積み立てているものでございます。
 委員御指摘のように、平成五年度末で約三兆九千億円となっておりますが、この額は現在約二十万五千人いる年金受給者に対する将来にわたる給付には必ずしも十分とは言えない状況でございます。
 したがいまして、今後ともなお積み増しが必要であるというふうに理解をいたしておる次第でございます。
#55
○古川太三郎君 その二十万五千人ですか、大体どのぐらいになるのか見当はちょっとつきかねますけれども、それにしても随分と累積が多くなってくるので、この平成七年度にいろいろと改正がされますけれども、そういうのは一応は予算的な余裕を見込んでの手厚い、ちょっとずつ前進していることは大変評価するんですが、その前進は保険料を同じくしながら前進しているということで、その分だけ予算的な余裕があるんではないかなと思ったりもするんです。
 だから、どこまでが余裕なのか。今の大臣の答弁ではなかなかそういう資力はないんだとおっしゃいますけれども、今までよりも厚く、手厚く保護する、あるいはその範囲も広げたという前進を認めるならば、本当にそれでいいのかどうか。もう一度突っ込んで大きく前進をしていただきたいと、このように思うんですけれども、そのあたりはいかがですか。
#56
○政府委員(廣見和夫君) 今、先生お尋ねの点でございますが、確かに五年度末で積立金約三兆九千億ございます。
 しかし、大臣が申し上げましたようなことで、既に二十万五千人の年金受給者の方がおられるという状況になりますと、この方に今後支払っていくべきものは既に一定の予測がある程度つくわけでございまして、それはそれとして確保しておく必要がある。これからいろんな形で発生する災害、そこから出てこられる被災労働者の方、これに対する給付につきましてはその都度保険料として徴収させていただく、基本的にはこういう考え方になっておるわけでございます。
 そこで、少し長期的に見てみますと、確かに労働災害は減少してきております。これは事業主の方の努力、あるいは労働災害防止等の行政努力、そういうものが相まってそういう結果になっているんだろうと考えております。したがいまして、保険料につきましても、今私ども三年間の状況を検討いたしまして、今般新たに改定いたします保険料率は、平均的には千分の一・一ほど下がるということになってまいります。千分の一・一で下がる保険料収入の減は千七百億円余という形になっております。
 今後とも、全般的には労働災害が減少する、また減少させる努力を我々もしていきたい。そういうことの前提で、例えば先ほど来から申し上げておりますような、今回提案させていただいている法改正に基づきます保険給付等の内容の改善につきましては、新たに保険料の増ということをしない範囲内において災害の減少等によるもので対応できるのではなかろうか、このように考えております。
 ただ、既に発生いたしました年金受給者に対する今後のかなり長期にわたっての数兆円規模で見込まれるもの、これは新しく保険料として事業主の方からいただくということにはできませんので、それはそのときそのときの計算をして一定のものを用意していく必要がある、こういうことでございますので、この三兆九千億はそのためのものであるし、また、現在まだ必ずしもそれで十分ではない額でございます。こういうふうに御理解いただければ大変ありがたいと、このように思っております。
#57
○古川太三郎君 私としては、保険料を安くしろとか言うつもりは一つもないんで、むしろ手厚くこの適用範囲を広げるとか、あるいは手厚く保護するとかいう方向に進んでいただければありがたいと、こう思っております。
 それと、それに関連するんですけれども、この労働委員会の今までの経過を見ておりますと、附帯決議で、また先ほどもお話が出ました迅速な処理をしなきゃならぬというようなことから、職員の不足があるんではないかなと。これはもう附帯決議に何回も出ているんですね。そういうようなところでどのような考え方をお持ちなのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
#58
○政府委員(廣見和夫君) 今、先生御指摘いただきましたように、労災保険制度全体を適切に的確に運用していくためには、一定の職員数の確保、これは大変重要な問題であるというふうに私ども考えております。そういう意味で、従来からも一定の職員、要員の確保ということで努力してきたつもりでございます。
 来年度に向けましても、一定の体制の充実というものも図りながら労災保険制度の的確な運用に努力していきたい、このように思っております。
 例えば、労災の問題に限って申し上げれば、十九の監督署におきまして労災の課長制を新たに設けると同時に、いろいろな相談体制の充実、複雑な事案への対処等も考えまして、監督署に労災問題を主として担当する次長も新しく設ける、こういうような措置も予定いたしております。
#59
○古川太三郎君 そういう予算の関連から、いずれにしても労災をなくしていくという方向は大変必要なことであることも事実でございます。そういう意味から、大臣に、労働災害の防止に向けての今後の決意をお聞きしたい、こう思います。
#60
○国務大臣(浜本万三君) 先ほども申し上げましたように、労働災害に今なお多くの方々が被災をしておられまするし、とりわけ二千人を超える方々が亡くなられておる現状を見ますと、まことに遺憾であるというふうに存じております。働きがいがあり、安心して働ける勤労者生活の実現は労働省の使命でございます。この中でも労働災害の防止は最も重要な基本的な課題であると思っております。
 労働災害をさらに減少させるためには、今後、特に災害が多発している中小企業の安全衛生水準の向上を図りますことが大きな課題であろうと思います。このため、今回メリット制の活用を含め、特に中小企業の労働災害防止対策を積極的に促進することといたした次第でございますが、これらの対策を含め安全衛生対策を総合的に推進いたしまして、労働災害の防止を図ってまいりたいと思っております。
#61
○古川太三郎君 次に、労災の事故なんですけれども、大きなものになればなるほど安全衛生、こういった法律による責任があるという部分もありますが、また社会的責任を追及される。また、今度のメリット制の拡大というようなことから労災隠しというのがやはり絶えず起こるんではないかなという気持ちもいたします。
 そういうような労災隠しと言えるようなものが今までどのぐらいあったのか、あるいは今後どのようにしてそういったものをなくしていこうと思っていられるのか、そのことをちょっとお聞きしたいと思います。
#62
○政府委員(廣見和夫君) 私ども、いわゆる労災隠しということはあってはならないものであるというふうに考えております。しかしながら現実には、残念ながら今までもいわゆる労災隠しということがあったことも事実でございます。
 これは、労災隠しと申しておりますのは、労働安全衛生法令に定めております労働者の死傷病報告書の提出を行わない、あるいはその報告書に虚偽の事実を記載する等のことを指しているわけでございますが、そういう事案、今までも確かに発生したわけでございます。
 こういう事案に対しましては、私ども司法処分を含め厳正に対処する。また、当然そういうことはあってはならないことでございますので、厳正な指導も事業者に対して行っているということでございます。
 その結果でございますが、必ずしも労災かくしたけがすべてではないんでございますが、先ほど申し上げました安衛法に基づきます事業主の方の報告書提出に関連いたしまして起こりました事案、それを司法処分いたしましたものを見てみますと、平成五年は八十五件につきまして私ども送検いたしております。ちなみに平成四年は六十六件でございました。このような状況になってございます。
#63
○古川太三郎君 労災補償保険法五十一条や五十三条の罰則がありますけれども、これは六カ月以下の懲役という非常に軽いんですね。大体こんなのは執行猶予になってしまう。本当に悪質なものでもなかなか実刑にはならない。私は、もしこういう虚偽の申告、そういったことがあるとするならば非常に重大な犯罪だと思っているんです。労働者の保護法益から見れば物すごい犯罪だと思うんですけれども、非常に軽微な罰則で終わっている。
 こういったことから、今この労働者災害補償保険法の条文だけで適用されているのか、あるいはまた刑法までいった事例があるのかどうか、刑事法までですね、そのことをちょっとお聞きしたいんです。
#64
○政府委員(廣見和夫君) いわゆる労災隠しにつきましては、先ほども申し上げましたようなことで、司法処分も厳正に行ってまいりたい、また行ってきているつもりでございますが、今先生お尋ねの件について申し上げれば、先ほどお答え申し上げましたように平成五年で八十五件送検いたしております。これにつきましては、労働安全衛生法に基づきます罰則の適用というふうなものでございます。
#65
○古川太三郎君 日本では大会社からの圧力とかいろいろあって、中小企業、零細企業では若干融通しながらそのあたりを労災でなかったというような認定も間々あるように聞いているんですね。
 そういった場合でも、日本の社会ではそれが会社のためだとか、そういう労働慣行がありますから、本来ならばきっちりとして労働者は自分の権利を主張できればいいんですけれども、いや、こういったことはちょっと伏せておいてほしい、あなたのためになるんだよとかいうような形で、その部分を労災に適用されないような形で処理してしまうというような事例があるやに聞いているんですが、その辺の実態はどのようにおつかみになっているかお聞かせ願います。
#66
○政府委員(廣見和夫君) 先ほど申し上げましたような件数の中には確かにいろんなケースがございます。大企業で起こったもの、あるいは中小企業のもの、あるいは大企業と下請が実際複雑に関与し合いながら発生したケース等々があることも事実でございます。また、今先生御指摘になりましたような形のいわゆる労災隠しという事案も過去にあったことも事実でございます。
 我々はそういうことに対しまして、司法処分に該当するものにつきましては、当然のことながらその実行行為に当たった責任ある立場の人と、あわせまして両罰規定を適用いたしまして法人そのものにつきましても送検の対象にするということで処置いたすこともございます。そんなような形で、仮に大企業であっても実行行為の責任ある人と法人そのものを送検する場合は、当然のことながら責任ある代表者の方の事情聴取等も行いながらやるというケースもございます。そういうような形の中で厳正に対処しているつもりでございます。
 なお、当然これは発生してまいるのは司法処分に付するものだけではございませんでして、やはり幅広い事業主の方々の理解あるいは事業主の方々に対する指導というものもベースとしては大変重要であると我々考えております。そういうものは今までも努力してきたつもりでございますが、これからもまた引き続きそういう形でいろんな対応を含めながら努力してまいりたい、このように考えております。
#67
○古川太三郎君 こういう問題は社会的責任ということで、本当は社会から大きな非難があって当然なんですけれども、残念ながら日本ではその社会的な非難というのが弱い。そういう意味から、本当に労働省でそういったことはきっちりと監督していただきたいし、そういったことのないように、救急病院等の情報交換、これはやっぱり効率的にきちっとやっていただきたいと思うし、またそういう事実確認を厳しくやっていただきたい、このように思っております。どうかよろしくお願いします。
 もう一つは、海外への企業の進出、最近たくさんございます。それで、海外に派遣される者の実態は一体どのようになっているのか、そのようなことをちょっとお聞かせ願います。
#68
○政府委員(廣見和夫君) 民間調査機関の調査でございますが、日本企業の出資比率が一〇%以上の海外現地法人の状況を見てみますと、昭和五十年当時には約五千二百社ということでございましたが、平成五年には三倍程度の約一万五千社ということになっております。これに海外の支店あるいは駐在員の事務所を加えますと約二万社に上るところがあるわけでございます。
 こういったような海外の関連現地法人あるいは海外支店、駐在員事務所、こういうところに派遣されている人の状況でございますが、平成五年には約七万人に上るという状況になってございます。
#69
○古川太三郎君 そういったことから、国内の労働者の保護を目的とした労災保険制度ですから、本来ならば国内だけでの適用だろうと思うんですけれども、今度は海外事業において事業主として業務に従事する人、こういう方の特別加入を認めていらっしゃいます。本来ならば日本だけでの適用というのがなぜ海外までしなきゃならぬのか。大体その意味もわかりますが、いま一度その理由をお願いしたいと思います。
#70
○政府委員(廣見和夫君) 今御説明させていただきましたようなことで、海外に派遣される方、海外に出向かれる方、増加している状況にございます。
 その中で、海外の事業に代表者等として派遣される方の状況でございますが、これは向こうの行った先が大企業という状況であればまた別でございます。それで、私ども中小企業に着目いたしてみますと、規模が小さければ小さいほど、そこではやはり企業の代表者であっても労働者とともにその労働者の方々が従事する作業と同じような作業に従事する、こういうケースも非常に多いというふうに承知しております。
 そういう実態を考えますときには、やはり労働者に準じて保護していく必要があるのではなかろうか、またその保護の必要性が高まっているのではなかろうか、このように考えております。
 具体的に国内の中小事業主の方につきましても、一定の状況を前提といたしまして私ども特別加入の制度を適用しているところでございまして、こういったような国内の中小事業主についての取り扱いとのバランス、こういうことなども考慮いたしまして、海外に派遣される人で事業主等の立場にあっても、中小事業に派遣される場合につきましてはこの特別加入の制度の対象にいたし保護を図ってまいりたい、このように考えた次第でございます。
#71
○古川太三郎君 事業主としても特別加入ができるということですけれども、そうなれば、この給付基礎日額の上限ですが、一万六千円でとまりになっておりますけれども、これで保険の目的が達するものかどうか。本来ならば大体そういう方はいま少し収入が高いだろうと思うし、また本当に若い人じゃなくて、壮年層の方が多いんではないかなと、こういう気もするんです。
 そういう意味から、給付基礎日額の上限が一万六千円どまりというのは、若干、余りにも制限し過ぎているのではないかなと、こう思うんですけれども、それを大臣にお聞きして終わりたいと思います。
#72
○国務大臣(浜本万三君) 海外派遣者の年齢構成を見ますと、三十五歳以上五十歳未満の者が七割を占めておるそうです。それで、その平均年齢が四十一・六歳というふうになっておるそうでございます。
 そこで、一般の雇用労働者の給付基礎日額に適用される四十歳以上四十五歳未満の年齢層の最高限度額というのを、平成六年八月から平成七年七月までの最高限度額を調べてみますと、二万八十五円になるんだそうでございます。
 それで、今議員が御指摘のように、現行では一万六千円とされております特別加入者の給付基礎日額の最高額を、先ほど申した額にやや類似する額として二万円に引き上げるよう必要な措置をとってまいりたい、かように考えております。
#73
○古川太三郎君 ありがとうございます。終わります。
#74
○吉川春子君 過労死の新しい認定基準、基発第三十八号についてお伺いいたします。
 まず大臣、今回の改定の目的、理由を伺いたいと思います。
 昨年の十二月十六日に「脳・心臓疾患等に係る労災補償の検討プロジェクト委員会検討結果報告」によりますと、同委員会の設置目的は、近年、この認定基準やその運用が労働者にとって厳し過ぎる、労働者の保護に欠けるのではないか等の意見もあり、また行政事件訴訟においても国が敗訴する事案が、裁判で負ける事案がふえているために、脳・心臓疾患等に係る労災補償についての問題点を整理して、今後の対応を明らかにすることというふうになっておりますが、今回、労働省が認定基準を改定されたのもこの線に沿ったものと見てよろしいんでしょうか。大臣の認識を伺います。
#75
○政府委員(廣見和夫君) 今、先生御指摘になられましたとおりでございまして、いろんな御意見があった、あるいはまた国が敗訴する事案もある、こういうこと等を踏まえまして、問題点の整理を行うということにいたしたところでございまして、その整理いたしました状況に基づきまして、今般、認定基準の改正を行ったところでございます。
#76
○吉川春子君 一九九三年の過労死による労災認定申請に対する審査会の裁決件数は四十四件で、すべて棄却の裁決がされました。
 今回、新認定基準が仮に適用されていたら救われる事例が可能性としてふえるのですか。
#77
○政府委員(廣見和夫君) 今回の認定基準の改正を適用して過去の処分について考えてみるとどうなるか、あるいは認定基準の改正によって今後ふえるのかどうか、こういうことでございますが、私ども、先ほどのような趣旨で認定基準の改正を行った。その中には、一定の状況を見る仕方あるいは基準につきまして幾つかの積極的な改正を行っているつもりでございます。
 そういうことを考えますと、一般的に申し上げれば、この見直しによりまして改正されました認定基準によって判断することによりまして認定件数が増加するということになってくるのではなかろうか、このように考えております。
#78
○吉川春子君 今回の改正点は四つありまして、業務の過重性を客観的に評価するために同僚等の年齢、経験を考慮することとした点。二番目は、発症一週間前の業務を付加的にではなく総合的に評価することとした点。三番目に、質的に著しく異なる業務の評価について、専門医評価の重視。四は、継続的な心理的負荷。こうなっているんですけれども、このそれぞれの項目について救われる可能性がある事案が今後ふえるというふうに受けとめてよろしいんでしょうか。
#79
○政府委員(廣見和夫君) 今御指摘いただきました点につきましては、私ども積極的に改正を行った点であるというふうに考えております。
 一つの事案につきましていろんな形の判断要素があろうかと思いますので、一点のみによって結果が出てくるというわけでもないということを考えますと、いろんな改正が複合的に作用してくるということも多々あるのではなかろうか、こう考えております。
 したがいまして、必ずしも個々の判断基準あるいは個々の改正点によってそれぞれに対応して件数がふえるかどうかということになりますと、なかなか難しい点があるのじゃなかろうかと思いますが、それらを総合いたしまして、先ほど申し上げましたようなことで、結果として今までよりも認定される件数がふえるのではなかろうか、このように考えておるところでございます。
#80
○吉川春子君 四つの改正点の中でも、一週間という項目に関してはより多くの事例が救われる可能性が強いんですか。
#81
○政府委員(廣見和夫君) ただいま申し上げましたように、なかなか一つの基準でどうなるかということは言えない面が強いのではなかろうか、このように考えております。それぞれやはりいろんな事例の出方にもよると思いますし、今後の状況にもかかわってまいりますので、どの項目でどの程度というのはなかなか申し上げることは難しいのではなかろうかということでございます。
 ただ、総合した場合には先ほど来申し上げているようなことになるのではなかろうか、このように考えております。
#82
○吉川春子君 プロジェクト委員会の検討結果では、この間判例で確立されてきた過労死認定の論拠が無視されています。
 判例では、イ、共働原因で相当因果関係が成立する。ロ、業務過重性の判断は当該労働者にとって過重であれば足りる。ハ、期間に関係なく疲労の蓄積やストレスを認める。ニ、疾病名が特定されない場合は推認で足りる。ホ、業務との因果関係でも蓋然性で足りる、などの点が確立されていると一般的に見られているんですけれども、こういう点についてどういうふうに検討して結論を出されたんでしょうか。
#83
○政府委員(廣見和夫君) 先ほど申し上げましたとおり、いろんな形での御意見がこのいわゆる過労死の認定基準をめぐってあるというようなことと、もう一つは、判決の動向ということも私ども検討の重要な要素にしたところでございます。
 そういう意味では、今先生例示としてお話ございましたような点につきまして、そういったようなことを指摘している判例、判決があるということは私どもも承知いたしております。いろいろな形の判決がございますが、私どもそういったようなものも十分検討しながら、従来の認定基準、これにつきまして現段階でどのような形で整理できるかということをやはり多様な角度から検討したつもりでございます。
 その結果、先ほど先生も御指摘になりましたような四点に集約される形で今回の認定基準の改正を行ったということになっているわけでございます。
#84
○吉川春子君 検討されたそうですけれども、判例の見地が生かされていないと私は今回のその新認定基準を見て思うわけなんです。
 続いて質問いたしますが、大臣、去年六月の当委員会において、私の質問に答えて当時の鳩山労働大臣がこのようにおっしゃったんです。「救済すべきでない者を救済することも間違いですけれども、でも、その間違いから生まれるマイナスというのは、救済すべき者を救済しなかったというミスから生じるマイナスに比べればはるかに少ないものだ」と。私は、これは大切な視点ではなかろうかなとそのとき思いました。
 例えば、日常業務に比較して特に過重な業務について、同種同僚労働者にとっても特に過重な精神的、肉体的負荷を生じさせたと客観的に認められる業務を言うというふうにしまして、今回、これまでどおりの判断基準を被災者本人ではなくて通常の労働者というところに基準を置いているんですね。
 そういたしますと、これは前回も質問したんですけれども、弱者は救われないわけなんです。弱者を救うためには、過重か否かの判断はあくまでその被災者本人を基準にして判断しませんと、強い同僚とかいるわけで、そういう人を基準にすると、一番過労死でまずやられるのは弱い労働者ですからね。被災者本人にとって過重な業務なのかどうかという判断をしないと弱者が救われない、こういう矛盾になるわけです。私は、この認定基準を被災者本人にとって特に過重な業務なのかどうか、こういう基準にするべきではないかと思うんですけれども、鳩山大臣の認識とあわせてちょっとお伺いしたいと思います。鳩山前労働大臣の認識について、まず労働大臣いかがですか。
#85
○政府委員(廣見和夫君) 今先生、鳩山前大臣の答弁も引用されながらお尋ねがございました。ただ、その中に具体的に認定基準の改正内容にかかわる点も先生御指摘でございますので、その点を中心に私の方からお答えさせていただきたいと思います。
 今先生、弱い労働者の方、強い労働者の方というようなことで比較しながらお話がございました。私ども、確かに従来の認定基準につきましては、業務の過重性を考えますときに、同僚等の一般的な労働者を想定する、それで比較をしながら過重であるか否かを考える、こういう考え方をとっておりました。これは確かに一般的な労働者ということになってまいりますと、平たく申せば平均像ということになりますので、かなり一つの平均的な姿を基準にするということになってまいります。
 しかし、私どもそれにつきまして、今回はそういう一般的な労働者という想定ではなく、新たに同僚の労働者で、年齢であるとかあるいは経験等を考慮しながら比較をしていく、すなわち高齢労働者であれば高齢者の方というものを想定しながらその労働者にとって当該業務が過重であるか否かを考える、こういうような考え方に認定基準を改めることにしたわけでございます。
 そういう意味で、先ほど来申し上げておりますようなことで積極的な改正になるだろうと、このように考えておるところでございまして、より適正なこれによる認定ができる、このように我々考えておるところでございます。
#86
○国務大臣(浜本万三君) 鳩山前労働大臣の見解は鳩山前労働大臣の見解でございまして、私もお聞きするところ非常に常識的な見解を述べられておるものだというふうに思っております。
 私、今度労働大臣に就任をいたしまして、過労死問題については、内容はともかくといたしまして行政訴訟でも認定が覆るという事例が相当見られましたので、世間の常識と乖離しないように見直しをする必要があるんではないかということを指示いたしまして、今回の結果が生まれたような次第でございます。
 今、議員が御指摘の、他の同僚との比較の問題が出ましたが、それは従前よりも一般的にはその人の立場をよく尊重させていただいて、有利な判断をしてもらうような内容になっておる、かように思っております。
#87
○吉川春子君 その日常業務とは、通常の所定労働時間内の所定業務内容を言うというふうになっているわけですね。倒れる前の一週間、所定内労働時間の所定業務をこなしていただけでは過労死の認定はされないということだと思うんですが、しかしこれは、新しい変形労働時間制などがどんどん取り入れられている今日の状況には合わないのではないかと私は懸念をいたします。
 例えば、当委員会で私、拘束十六時間労働で深夜も二時間しか仮眠できない郵政の職場問題を取り上げたことがありますが、心配したとおり、死者が出ているんですね。
 それから先日、前回ですけれども新日鉄の、これはまだこれから導入されようとしているんですが、二直二交代の十二時間変形労働時間の問題が会社から提案されている問題を取り上げました。こうした過酷な労働時間制のもとでは、日常業務ということで労災認定の枠の外に最初から置くということは適当ではないと思うんですが、この点は局長いかがですか。
#88
○政府委員(廣見和夫君) 私ども、いわゆる過労死の事案につきましての認定を行いますときには、当然のことながら、個別の事案につきまして業務と当該発症との関連があったのかどうか、そこを判断するというのが最大のポイントになるわけでございます。そういう意味では、個々のケースに応じましていろんな状況を総合的に判断していくことになるということが基本であると思っております。
 当然、基本的には今先生が御指摘になりましたようなことで、通常の業務というのは、普通は所定労働時間内の労働である、これをきちっと踏まえながら判断するということがベースであることは当然でございますが、問題は過重であったかどうかを判断するということになるわけでございますから、それは必ずしも形式的に判断できるものではない、このように考えておりまして、個々具体的なケースによりながら、過重であったのかどうか、要するに労働時間の点等につきましても、そういう観点から一週間以前も含めて総合的に判断すべきである、このように考えておるところでございます。
#89
○吉川春子君 阪神・淡路大震災に伴う労災保険給付の請求と支給決定件数、数字を御報告いただきたいと思います。
#90
○政府委員(廣見和夫君) 三月十日現在で御説明させていただきます。
 兵庫と大阪におきまして、阪神・淡路大震災に伴います労災給付の請求がございました件数は百七十六件でございます。このうち、既に支給決定を行いました件数が二十六というふうになっております。
#91
○吉川春子君 それで大臣、現行法の枠を超える問題ですのでぜひ大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、今回、労働省も阪神・淡路大震災の問題についてはかなり弾力的に労災を適用したというふうに聞いておりますが、問題はメリット制なんですね。労災認定されると、その結果保険料の引き上げにつながるわけで、これは復興に力を入れている事業主にとっては酷な結果となるわけです。
 通勤災害についてはメリット制の除外になっておりますので、阪神・淡路大震災の事例についても、立法措置といいますか行政措置といいますか、現行ではメリット制がそのまま適用されちゃって、たくさん労災を出すと今度保険料にはね返ってくるということになるので、この点についてはぜひ今後新しい問題として検討していただきたいんですが、いかがでしょうか。
#92
○国務大臣(浜本万三君) 天災地変による災害にかかわる業務上外の考え方につきましては、従来より、被災労働者が作業方法、作業環境、事業場施設の状況等から見て危険な環境下にあることにより被災したものと認められる場合には、業務上の災害として取り扱っておるところでございます。阪神・淡路大震災の被災労働者についても同様な取り扱いをさせていただいたわけでございます。
 すなわち、業務に伴う危険が現実化したものを業務上災害として保険給付するものであるために、他の業務上災害にかかわる労災保険給付の考え方と変わりはなく、メリット制につきましても通常の取り扱いとさせていただきたいと思っております。
 ただ、今後の問題につきましては、さらにその後の進展状況を見まして検討をしてもよろしいのではないかと思っております。
#93
○吉川春子君 手続の迅速化の問題について先ほど同僚委員からもいろいろ出ましたので、私は端的にお伺いしたいんですけれども、なぜこんなに時間がかかるかということなんです。
 私の調査では、昭和五十六年以降、審査官処理期間調査結果をまとめてみますと、六十一件中、一年以上未決が二十三件、そのうち三年以上が五件、四年以上が四件もあるんですね。労働省の資料でも審査官が一年八カ月、審査会が三年二カ月、平均ですけれども合計四年十カ月もかかっていると。これは行政監察のときももっと短くせよという監察報告が出ていると思うんですけれども、やはり非常に認定をシンプルにしていかなきゃならないという問題が一つ。
 それからもう一つ具体的な問題としては、過労死の認定作業を労働省本省との協議事項にしていますけれども、労働基準監督署に権限を与えて、いたずらに何でも本省にお伺いを立てて判断するというシステムが認定に時間をかけているその原因の一つだとも思うんです。これは行監でも指摘されています。
 行監の平成五年の報告によりますと、これは福岡中央監督署の稟伺事案、本省にお伺いを立てた例が報告されているんですけれども、疾病と業務の因果関係が不明として各監督署から労基局を通じて本省に稟伺した例は七件あって、回答までに一年三カ月要した。「りん伺事案に対する回答が迅速に行われているとは認め難い」と指摘されているわけです。
 余りにも稟伺事項が多い、これが問題なんですが、私が仄聞したところによりますと、例えば過労死弁護団の事例は稟伺事案となっているとも聞いています。こういうものはやはり稟伺事案についてもっと少なくしていく。過労死弁護団なんというのはもう論外なんですけれども、この点についてどうですか。
#94
○政府委員(廣見和夫君) 労災給付につきましての処分決定、これは先ほど来ございますように、普通は一定の標準処理期間を設けまして迅速な処理に努めるということでやってございます。年間四百万件を超える事案を処理しなければならない、そのほとんど、九九%以上が一定の迅速な処理がなされているわけでございます。
 ただ、中には確かに先生御指摘のように、非常に複雑な事案、あるいはまた医学的な判断、かなり高度の専門的な医学的判断を要するような事案等々がございまして、このような事案につきましては時間を要するというのも現実でございます。このケースは全体から見ますとごく少数であろうかと思います。ただ、その中で、さらにまた当事者との争いになり、審査請求がされ、あるいは再審査請求がなされてくるということで、今先生がお話しのような形で一定の期間を要する形になってくるわけでございます。
 ただ、稟伺のことについて申し上げますと、私どもなかなか労働基準監督署段階では判断が難しいというようなケースもあることも事実でございまして、特にそれはやはり疾病にかかわるもの、非常に高度の医学的判断が求められるようなものがあるわけでございます。また、その中にはいわゆる過労死の事案が入ってまいります。これにつきましては、過労死の事案自体がやはり内容が複雑である、あるいは調査項目が多岐にわたるということで、一定の時間を要することになってしまうわけでございます。
 私ども、稟伺につきましては、そういったような観点から、主として技術的なあるいは専門的な判断を要するもの、こういうことで、それを中心に、署の方では地方の局に、あるいはまたさらに本省に相談がある、こういう実態の中で可能な限り早く回答するということで努めているところでございます。
#95
○吉川春子君 過労死弁護団のことは専門的、医学的な問題なんですか。
#96
○政府委員(廣見和夫君) 私ども、稟伺を要するものというのは、先ほど来申し上げておりますような大変技術的な問題あるいは専門的なものということで、内容の複雑性あるいはまた専門性ということに限って私ども稟伺に応ずるということにしているところでございます。
#97
○吉川春子君 私の指摘したものは稟伺の事案ではないということのようですね。
 それで、最後に資料の公開についてお伺いいたしますけれども、資料の公開がなされないために非常に困っているわけですわ。この資料の公開をぜひ積極的にしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#98
○政府委員(廣見和夫君) 資料の公開、開示の点につきましては、先ほど大臣からも話があったとおりでございまして、私ども、一定のもの、すなわちプライバシー等の問題のあるものあるいは資料提供者の同意を得られないものなど、開示することが適当でないものを除きまして開示するということにいたしているところでございます。
#99
○吉川春子君 今、局長を言われましたことを現場に当てますと、公開できなくなっちゃうんですよ。
 平成五年一月二十日の基発三八号、「小委員会報告を踏まえた労災保険制度の適切な運用について」によりますと、労働基準行政機関の所持する文書の開示は、「労働基準行政機関として調査検討が十分に尽くされ、かつ、何らの意見、判断等を含まない客観的事実であって、企業の秘密あるいは個人の名誉、プライバシー等に属しない事項に限って開示する」こととすると。これでは何にも開示できないんですよ。資料を開示するということを国会でも一応基本的にはおっしゃっていますけれども、これは開示するなということと同じ意味ではないんでしょうか。
 大臣、最後に伺いますけれども、企業秘密とかプライバシー云々と言いますけれども、一方では、重大な労働災害が起こっていて人の命が失われるというようなことも発生しているわけですね。民事上のみならず刑事責任にもなりかねない事例もあるわけです。しかし、まずその被災者を経済的に救うために労災は無過失責任という形で処理をされているわけですね。企業秘密と言うけれども、労災を発生させた企業の社会的責任だってあるんじゃありませんか。
 しかも、労働省が開示しない資料は、次の審査会の段階では全部開示されるわけなんですよ。だから、結局は開示される資料をなぜ労働省の認定を下した段階で開示しないのですか。被災者の家族はその段階での開示を強く求めているわけなんです。どうしてもそれが必要なんです。
 審査会段階での開示は、これはもう労働省じゃないんだ、ほかがやることなんだから責任はない、しかし労働省としては開示できないんだということであるとすれば、これは余りにも責任逃れであって、いずれ絶対開示される資料を早く開示する、労働省の段階で開示する、これは無理なお願いでも何でもないんであって、被災者の家族の方々の利益のためにもぜひ開示していただきたい、労働省の段階で開示していただきたい。そのことを最後に強くお願いして答弁を求めます。
#100
○国務大臣(浜本万三君) 今のお尋ねなんですが、平成五年の通達に関することでございますので、局長の方から答弁させます。
#101
○政府委員(廣見和夫君) 今、先生御指摘になりましたようなことで私ども地方の方に指示いたしていることは事実でございます。そういう中で、私ども個々の機関におきまして適正な開示要求への対応をしているというふうに考えております。
 また、審査会のことを今先生お話しございました。これにつきましては、確かに審査会は独立してその職権を行使するということになっておるわけでございまして、審査会、審査委員の御判断で対応がなされているというふうに考えておりますので、私どもは私どもの立場からそういったような問題に適切に対応していきたい、このように考えております。
#102
○吉川春子君 最後に。労働省の段階で現場で個々のケースでとかおっしゃいますけれども、どこか資料を開示した例があるんですか。一件もないでしょう。その点を問題にしているんですよ。
 どこかで出していてどこかで出していないという問題じゃなくて、労働省の段階では全く出していないんですね。しかし、同じ資料が次の審査会の段階では全部開示される、これはおかしいじゃないですか。責任逃れじゃないですか。この点、大臣いかがお考えですか。
#103
○政府委員(廣見和夫君) 今先生、一つは審査会の対応が一定の資料の開示がなされている、それとの比較において私どもの対応がいかがかと、こういうお話でございますので、その点につきましては、審査会は審査会としての御判断の上で措置がなされているのであろうと。私どもの立場から審査会のなさっておられる方法についてとかくのことを申し上げる立場にはないということを申し上げたところでございます。
 私どもの立場といたしまして、先ほど申し上げましたような基本的な考え方によりまして、個々の開示要求等につきまして個別に判断してきている結果が今の状況であるということでございます。
#104
○吉川春子君 ゼロですね、ゼロですね。
#105
○政府委員(廣見和夫君) 個々の要請、要求等につきまして私ども必ずしも今つぶさにその状況を把握しているわけではございませんので、具体的な数字的な状況については今の段階では申し上げかねるところでございます。
#106
○吉川春子君 大臣に最後にお答えいただいて、終わります。
#107
○国務大臣(浜本万三君) 開示の問題。平成五年の通達で出ているものですから、その通達に従って今開示を行っておるということでございますので、御了解をいただきたいというふうに思います。
 確かに、吉川議員がおっしゃったように、私も労災害議会の委員になった経験があるんですが、審議会ではあらゆる資料が委員の判断によって事実上開示されるわけなんで、そのときには申請者の方に余り開示の問題については支障のないように審議が進められておる経験を私も持っておるものですから、したがって労働省の方では平成五年の通達のとおり現在のところは開示の方法は守っておるわけでございます。
#108
○翫正敏君 翫正敏です。
 まず労災保険につきまして、この年間の予算の規模と、それから会計の性格などについて説明してください。
#109
○政府委員(廣見和夫君) 労災保険制度は、事業主が拠出いたします労災保険料を財源としてその運営が行われているところでございます。平成七年度につきましてこれを見てみますと、保険料収入が一兆五千六百億円に上っております。そのほか、預託金の利子収入等が五千四百億円余ございます。収入が合わせまして二兆一千億円ということになっております。これに対しまして支出は、保険給付費が約八千八百億円等々、各種の支出項目がございます。
#110
○翫正敏君 合計幾らですか。お金は残るんだと思うんで、その残っているのはどういうふうにされておりますか。
#111
○政府委員(廣見和夫君) 歳出の方につきましてもう少し詳しく申し上げますと、保険給付費が今申し上げましたように八千八百億、業務取扱費が五百億円程度、施設整備費、それから労働福祉事業費等がございます。その他、他勘定への繰り入れが千三百億円程度、それから予備費が五百億円程度、それで合計の歳出が一兆四千三百億円ということになってございます。
 この残りの、先ほど申し上げました収入と支出の差でございますが、これは先ほど来もお話が出ております、主として年金受給者の将来の年金給付のための積み立てに回るという仕組みになっておるわけでございます。
#112
○翫正敏君 今回の法律改正で使われる方の予算がふえると思いますが、どれくらいふえますか。それから、それはもちろん現在の保険料の枠内で行われるものと理解していますが、それでよろしいですか。
#113
○政府委員(廣見和夫君) 今回の法律改正によります必要額でございますが、これは施行時期の関係もございまして、平成七年度の予定では約九億円ということになっております。これが次第に平年度化されまして支出が多くなってまいりまして、平年度化ベースでその額を見てみますと約九十七億円ということになってまいります。この九十七億円につきましては、労災保険制度全体を考えてみますと、今後の災害率の低下等が見込まれるという状況にもございますので、保険料の引き上げを行わずに全体の財政の中でこれへの対応が可能である、このように考えでございます。
#114
○翫正敏君 わかりました。
 労災保険の制度ですけれども、これは事業所が強制的に加入しなければならない制度であると、このように理解していますし、それから保険金の方は全額事業主が負担するものと理解もしています。労働省としてすべての事業所が加入するようにどのような指導をしておられるか、説明ください。それから、加入をしなかったり保険料を納めなかったりしたような場合も事業所の中にはあるかと思いますが、そういうときにはどのように処理しているかもあわせてお答えください。
#115
○政府委員(伊藤庄平君) 労災保険につきましては、御指摘のように当然に加入しなければならない強制加入制度となっております。したがいまして、この労災保険への加入手続を怠っている事業主に対しましては、発見されればその事業主が行っている事業内容を調査いたしまして、労働保険料の額を確定し、加入手続を行わせた上でこれを納付させる、こういったことを進めているところでございます。もしこの事業主がそういった決定を受けた後も保険料を納付しないということがあれば、国税滞納処分の例によりまして督促、滞納処分等の強制徴収を行っているところでございます。
 ただ、こういった未適用事業主に対しまして強制的な保険料の納付等を行わせることはもちろん行政コストがかかるわけでございますので、私ども日ごろからこういった未手続の事業所の把握に努めておりまして、こういった事業所への適用勧奨を強力に進めているところでございます。
 とりわけ、毎年十月にはこの月を労働保険適用促進月間と定めまして、集中的に広報活動を行いながら適用促進活動を行う、あるいは全国の労働保険事務組合が組織しております労働保険事務組合連合会と連携をとりまして、こういったところを通じまして労働保険の適用促進を勧奨し事務手続をやっていただく、そういった委託事業も展開いたしまして、未手続の事業所の解消に向けて努力を続けているところでございます。
#116
○翫正敏君 そういう不届きな事業所の場合、労災保険に加入していなかったり、保険料を支払わなかったりした場合がありましても、そこで働く労働者には全く不利益が及ばない、このような制度になっていると理解しておりますが、そうでよろしいですか。
#117
○政府委員(廣見和夫君) 今、先生御指摘のとおりでございまして、労働者の保護のために、事業主が仮に保険料の手続を怠っているというようなことがございましても、災害があるということで被災労働者が出ました場合には労災保険給付を行っているところでございます。
#118
○翫正敏君 次に、大臣に質問いたします。私は、外国人労働者が日本で働いているという場合に関心を特に持っているんですけれども、この労災保険の対象には日本人と外国人労働者とを区別しないと聞いておりますが、そのような外国人の労働者が労災に遭った場合に、保険料請求の手続というものはどんなふうになっているのか。外国人の人たちが日本で働く場合に、日本人と比べて不利益をこうむらないようにどのようになっているのか、所見をお示しください。
#119
○国務大臣(浜本万三君) 外国人労働者につきましては、いわゆる不法就労の場合でも、日本国内の適用事業に雇用される労働者であれば労災保険が適用されるところでございます。
 労働省といたしましては、主な都道府県労働基準局に外国人労働者相談コーナーというのを設けております。全国で三十二基準局に設けておるそうでございます。これを設置いたしまして相談に応じるとともに、外国人労働者について労災保険が適用される旨を六カ国の言葉で解説したパンフレットを作成いたしまして、配付をするなどいたしましてその周知徹底を図っておるところでございます。
 今後とも、外国人労働者が不利にならないように、より一層の周知徹底に努めてまいりたいと思います。
#120
○翫正敏君 ありがとうございます。
 次に、労働基準監督署へ請求をしまして、その決定が下りました。しかし、それに対しての不服がありました場合にはどういう手続をとることになっているのか、簡単に示してください。
 そして、その件数、不服の請求がどれくらい年間出ているかということをあわせて示してください。
#121
○政府委員(廣見和夫君) 労働基準監督署長の行いました労災保険給付の決定に不服のある場合には、各都道府県の労働基準局に置かれております労働者災害補償保険審査官、この審査官に対しまして審査請求をできるということになっております。
 さらに、その審査官の決定に不服があるという場合には、労働保険審査会に対しまして再審査請求をすることができるということになっております。さらに、この労働保険審査会の裁決に不服があるというような場合につきましては、裁判所に処分の取り消しの訴えを提起できる、こういう仕組みになっておるわけでございます。
 それぞれ件数につきましては、平成五年度の状況を見てみますと、審査官に対します審査請求は九百三十八件ということになっております。それから、審査会に対します再審査請求は二百四十六件ということになっております。さらに、行政事件訴訟につきましては、平成六年の十二月未現在で、係属している件数百三十五というふうになっております。
#122
○翫正敏君 外国人の労働者の場合やパートの労働者の場合のことについてちょっとお聞きしたいんですが、事業者といいますか事業主によっては、正規の労働者といいますかそういう人についてはきちっと給与がはっきりしているので保険料についても納めやすいけれども、パートの人とか外国人の労働者なんかを雇っている場合に、その部分の保険料をごまかして、そして低く申請しているという場合があると聞いているんですけれども、このようなことを発見、発覚した場合にはどのようにしているのか、そういうごまかしができないようにどういうふうに監督しているのか、それを示してください。
#123
○政府委員(伊藤庄平君) 労働保険料の納付につきましては、先ほども出ましたように五月十五日までに自主的に申告納付していただく建前でございますが、この自主的な申告納付がございましたら、私どもその中から計画的に賃金の調査を立入検査によって行っております。
 どういった事業所に対しましてそういった立入検査による賃金調査を行うか。いろいろ疑問が感じられるところを、一定の基準に従いまして選定して計画的に行うわけでございますが、基準といたしましては、例えば過去の実績から見て保険料に不足が感じられる場合、あるいは事業規模、生産活動の規模等から見て、どうもやはり保険料に不足等が見込まれる場合等々、疑問の感じられる場合の基準を示しながらそういった計画的な調査を行っております。
 御指摘のような疑問が感じられたような場合には、この立入検査による賃金調査を進めまして、実態を正確に把握の上、保険料の納付の決定をし直す、それによりましてこれは当然強制的に徴収をさせていただく、こういったことを進めてまいりたいと思っております。
#124
○翫正敏君 税務署がやっている税務調査と同じような方式で、ねらいをつけて調べる、こういうふうに理解すればよろしいですか。
#125
○政府委員(伊藤庄平君) 保険料の申告に対しまして疑問の感じられる場合を、いろいろなケースを私ども地方にあらかじめ示しておきまして、その基準に従って計画的にどの事業所へ行くかということを選定して賃金調査を行ってまいる、そういうやり方で進めております。
#126
○翫正敏君 次に、土木建設業の場合についてお聞きしたいのですが、こういう土木建設業というような仕事の場合は、仕事の性格上とは思いますが、下請、孫請制度というのが非常に例が多いわけです。例えばそういう孫請の仕事をしている労働者が労災事故に遭った場合というふうに考えていただいていいのですが、そういうときの労災補償の責任はだれが負うことになっておりますか。
#127
○政府委員(廣見和夫君) お尋ねの建設事業におきまして、数次の請負の場合でございますが、これは労働基準法によりまして災害補償につきましては原則として元請人が使用者とみなされまして、例えば下請労働者が被災した場合でありましても、その元請人に災害補償責任がある、元請人が災害補償の責任を負うということになっております。
 労災保険につきましても、原則として同じような考え方に立ちまして、数次の請負の行われている建設事業を一の事業とみなすということで、元請人を事業主として扱う、このようにしておるところでございます。
#128
○翫正敏君 建設現場で、例えば孫請の事業所での労働者が労災に遭った、そんな場合にも労災をごまかす、隠すということが行われているやに聞いておるわけですけれども、そういう場合はどのように処置されることになっていますか。
#129
○政府委員(廣見和夫君) 今、先生お尋ねの例えは孫請の事業所のようなところで労災隠しが行われたような場合どうなるのかという点でございますが、これは先ほど来語が出ております労災隠しにつきましては、労働者の死傷病報告を出していただく。これを出さなかったり、虚偽があるということで問題になるわけでございますが、この報告書の提出義務につきましては、それぞれの事業者がやはり提出していただくということになってございます。そういう意味では、被災した労働者を使用している孫請の事業主に提出していただく、こういう義務があるわけでございます。
 ただ、元請の事業者につきましても、下請事業者に対しまして労働安全衛生法によって必要な指導を行っていただく、指導を行わなければならないということになっておるところでございまして、私どももそういうものを含めて適正な形で、あるいは労災隠しが行われないよう厳正に対処しているところでございます。
#130
○翫正敏君 労災の補償をする責任は元請の事業所にあるけれども、隠した場合の責任というのはあくまで隠した事業所とか事業者とか現場監督とかという、そういう人に来るものだと、こういう理解でよろしいですね。
#131
○政府委員(廣見和夫君) 原則として今先生お話になったようなことになるわけでございます。
#132
○翫正敏君 労災隠しと言われているようなものは厳正になくさなければならないわけで、もちろん労災そのものがないのが一番ベストでありますけれども、事故があった場合には速やかにその事故に応じた処置がなされなきゃならないわけですから、労働省として今後とも一層そういう労災隠しと言われるようなことがないように努力していくべきだと思いますが、お考えはどうですか。
#133
○政府委員(廣見和夫君) 御指摘の趣旨を踏まえて努力してまいりたいと思っております。
#134
○翫正敏君 次に、今回の法改正の中に出ております重度の労災者の介護のサービスという点について聞きますけれども、労災ホームヘルパーということをつくるというふうにされておりますが、これは何人ぐらいなってもらおうという計画をしておられるか、説明してください。
#135
○政府委員(廣見和夫君) 御指摘いただきましたように、私ども新しく労災ホームヘルプサービス事業を行いたい、このように考えておりますが、これは計画的に逐次一定の労災ホームヘルパーを拡充し、確保し、対応していきたい、このように思っております。
 当面、平成七年度におきましては、約四百六十人の労災ホームヘルパーが必要となるのではなかろうか、このように考えております。また、逐次拡充を図ってまいりますが、平成十一年度では約一千百名の方が重度の労災被災者の方のために必要になってくる、このように計画しておるところでございます。
#136
○翫正敏君 その千百人というのが平成十一年、そのところで期待をしているということなんですけれども、これで大体どれくらいの数の重度の労災者が出ても、出ないことがもちろん望ましいんですけれども、出ても介護サービスができるようにというふうに考えておられるか示してください。
#137
○政府委員(廣見和夫君) 平成十一年度で今申し上げましたような数字でございますが、そのベースとなります利用を見込む重度被災者の方は約四千九百人と、このように考えております。
#138
○翫正敏君 この労災ホームヘルパーですけれども、民間の職業紹介所に登録される、こういうふうに聞いておりますが、この民間職業紹介所というのはどういう実態のものか、お示し願いたいと思います。
 それから、民間職業紹介所というのは全く自由にだれでもできるという性格のものではないと思います、仕事の性格上。何か資格を得て開設するものと、こう考えているところですけれども、どういう手続きによってこれは開かれるようになっているのか、どのような職種に適用されるのか、そのようなことをお示しください。
#139
○政府委員(廣見和夫君) 民間の有料職業紹介事業を開始するに当たりましては、職業安定法に基づきまして労働大臣の許可を受けることが必要ということになっておりまして、その事業を行おうとする事業所を管轄いたします公共職業安定所を通じて手続きをやっていただくということになっております。
 この民営職業紹介所のうち有料職業紹介所は平成六年三月未現在で全国に約三千三百所ございます。ここで登録されている方は五十一万人でございまして、例えば家政婦さん、看護婦さん、マネキンあるいは調理師等々の種類の職種があるわけでございます。そのうち家政婦紹介所に限って申し上げれば約千二百所ございまして、家政婦の登録者数は約十三万人というふうになっておる状況でございます。
#140
○翫正敏君 大臣の許可によって開設できるということなんですけれども、開設できる職種が決まっているということなのか、逆にこういう職種のことについてはいわゆる公共職業安定所というところを通じなきゃならないというふうにして、そういう縛りになっているのか、どちらですか。
#141
○政府委員(廣見和夫君) 有料職業紹介につきましては一定の職種が指定されておりまして、その職種につきまして有料の職業紹介を行おうとする者は労働大臣の許可を得なければならないという仕組みになっておるところでございます。
#142
○翫正敏君 この労災ホームヘルパー制度も含めて重度の労災障害者の方に対する介護サービスというものは今後も非常に重要になってくるというふうに思うんです。
 最後に、大臣に質問したいと思いますが、今後世の中が高齢化社会、核家族化社会というふうに言われる方向に一層進んでいくということが思われるわけであります、想定されるわけであります。この重度の労災者に対する介護施策というものは今後そういう意味でいよいよ充実させていかなければならない、このように思うんですが、大臣として決意のほどまた所見などをお聞かせ願いたいと思います。
#143
○国務大臣(浜本万三君) 人口の高齢化でありますとか、核家族化、女性の職場進出等に伴いまして、重度被災労働者が家庭で十分な介護を受けることが困難になっている状況にかんがみまして、労災保険制度におきましても重度被災労働者に対する介護に関する支援を充実していくことが大変重要な課題であると思っております。
 このため、これまでのさまざまな御要望や重度被災労働者の介護の実態を踏まえまして、介護補償給付を創設することにしたところであります。これは、今回の制度改正の最大の眼目であると考えているところであります。
 さらに、介護サービスの一層の充実が必要であるとの考えから、これまで行ってまいりました施策に加えまして、平成七年度からは労災の特性を踏まえた介護サービスの提供を行う労災ホームヘルプサービス事業、在宅介護に対応した住宅の増改築費用の低利貸付制度及び介護機器レンタル事業を新たに実施することとしたところでございます。
 労働省といたしましては、重度被災労働者が適切な介護を受けながら健やかに生活していけますように、これらの施策の効果的な実施に向け、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
#144
○翫正敏君 今の大臣がおっしゃったこと、非常に大事なことだと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいという要望を申し上げて、質問を終わらせていただきます。
#145
○委員長(笹野貞子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#146
○委員長(笹野貞子君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#147
○委員長(笹野貞子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#148
○委員長(笹野貞子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#149
○委員長(笹野貞子君) 次に、緊急失業対策法を廃止する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。浜本労働大臣。
#150
○国務大臣(浜本万三君) ただいま議題となりました緊急失業対策法を廃止する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 緊急失業対策法は、終戦直後に大量に発生した失業者に対して、再就職するまでの一時的な就労の場を提供することを目的として昭和二十四年に制定、施行されました。同法に基づき実施されることとなった失業対策事業は、戦後復興期における失業対策の中心的な役割を果たしてまいりました。
 しかしながら、その後、雇用失業情勢の大幅な改善にもかかわらず、就労者数はほぼ一貫して増加を続け、昭和三十五年には三十五万人に達したところであります。これに伴い、次第に事業の非効率、失業者の滞留といった問題が生じ、失業対策事業が民間事業への再就職のための一時的な就労機会を提供する方法としては有効に機能しがたいという指摘がなされるに至りました。このため、昭和四十六年には、失業対策事業への新規流入を停止するため、緊急失業対策法の効力を当時の失業対策事業従事者に限定するための法的措置が講じられたところであります。
 その後、政府といたしましては、雇用対策を拡充強化するための各般の施策を講ずる一方で、失業対策事業の円滑な終息に向けた取り組みを鋭意行ってまいりました。その結果、平成六年度においては、失業対策事業の紹介対象者数約三千人、実施都道府県数十九道府県となっており、さらに、平成七年度末には紹介対象者数が約千七百人にまで減少することが見込まれるなど、失業対策事業に就労する失業者数は大幅に減少しているところであります。
 このような状況にかんがみ、本年二月九日に、雇用審議会に対しまして、失業対策事業については平成七年度末で終息させ、その根拠法である緊急失業対策法を廃止することをお諮りし、全会一致で了承を得たところであります。
 政府といたしましては、これを踏まえて本法律案を作成し、ここに提出した次第であります。
 次に、その内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律は、緊急失業対策法を廃止するとともに、これに伴う関係法律の整備等を行うものであります。
 なお、この法律の施行は、平成八年四月一日としております。
 以上、この法律案の提案理由及び内容の概要につきまして御説明申し上げました。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 以上でございます。
#151
○委員長(笹野貞子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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