くにさくロゴ
1995/05/25 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 労働委員会 第10号
姉妹サイト
 
1995/05/25 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 労働委員会 第10号

#1
第132回国会 労働委員会 第10号
平成七年五月二十五日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十四日
    辞任         補欠選任
     岡  利定君    大河原太一郎君
     角田 義一君     川橋 幸子君
 五月二十五日
    辞任         補欠選任
    大河原太一郎君     加藤 紀文君
     安永 英雄君     青木 薪次君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         笹野 貞子君
    理 事
                野村 五男君
                庄司  中君
                古川太三郎君
                吉川 春子君
    委 員
                小野 清子君
                加藤 紀文君
                坪井 一宇君
                柳川 覺治君
                青木 薪次君
                川橋 幸子君
                千葉 景子君
                足立 良平君
                武田 節子君
                都築  譲君
                星野 朋市君
                國弘 正雄君
       発  議  者  星野 朋市君
       発  議  者  都築  譲君
   委員以外の議員
       発  議  者  浜四津敏子君
       発  議  者  山崎 順子君
   国務大臣
       労 働 大 臣  浜本 万三君
   政府委員
       労働大臣官房長  伊藤 庄平君
       労働省婦人局長  松原 亘子君
       労働省職業安定
       局長       征矢 紀臣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐野  厚君
   説明員
       厚生省社会・援
       護局保護課長   松尾 武昌君
       厚生省老人保健
       福祉局老人福祉
       計画課長     吉冨 宣夫君
       厚生省保険局保
       険課長      渡辺 芳樹君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○育児休業等に関する法律の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○介護休業等に関する法律案(星野朋市君外三名
 発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(笹野貞子君) ただいまから労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、岡利定石及び角田義一君が委員を辞任され、その補欠として大河原太一郎君及び川橋幸子君が選任されました。
#3
○委員長(笹野貞子君) 育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案及び介護休業等に関する法律案を一括して議題といたします。
 両案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○小野清子君 私は、自由民主党の小野清子と申します。
 育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案並びに平成会が出されました介護休業等に関する法律案につきまして御質問を申し上げたいと思います。
 従来は、家庭の中でだれか介護を要する者があった場合には、その家族がいわゆる当然の義務として介護をしたものでございます。それがいわば女性の肩に負担として大変大きくかかり、そのことによって、社会的仕事はもちろんのこと、結婚の時期を逸したり、女性にとりましては人生を変えることになった方々も今までの歴史の中で少なくはなかったのではないかと思います。そういった意味におきましては、今育児・介護等に関する法律をこのように議論するに当たりまして、何かしら感無量のものを感じているところでございます。
 老親等家族の介護の問題は、核家族になりまして、かつまた女性も仕事を持つようになりました現状を考えますと、まことに深刻な問題でもございます。こういう現実に対処するためには、基本的にはやはり公的介護サービスというものが充実をされていくべきものであると私自身も考えますけれども、介護政策全体における介護休業制度の位置づけというものを大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるか、まずその辺からお伺いをしたいと思います。
#5
○国務大臣(浜本万三君) 介護政策全体の中に占める介護休業制度の位置づけについてお尋ねでございますので、お答えをいたします。
 我が国は、世界に例を見ないほど急速に高齢化が進展をしております。家族の介護の問題が国民的に重要かつ緊急の課題となっております。こうした問題に対処いたしますためには、国全体といたしまして総合的な介護対策を進めることが重要であると思います。御指摘のとおり、介護サービスの一層の充実を図ることが基本であると私は考えております。介護休業制度というのは、この介護サービスの充実と相まちまして、家族による介護がやむを得ない場合の緊急的対応措置といたしまして機能することが強く求められているところであります。これを広く円滑に普及させることが重要な課題となっておる次第でございます。
 このため、御審議をいただいております介護休業制度の法制化、介護を行う労働者に対する支援措置の実施等を内容とする法律案を今国会に提出させていただいておる次第でございます。
#6
○小野清子君 介護休業制度を確立して広く国民の皆様にまず知っていただくということが第一かと思いますけれども、そのことによって円滑に普及させていくということがまことに重要な課題である、私もそう認識をさせていただきます。
 それでは、十分な理解をしていただくために政府は今までどのような努力をしてこられたのか、その辺を具体的にお示しをいただきたいと思います。
#7
○政府委員(松原亘子君) 介護休業制度の重要性につきましては、ただいま労働大臣から御答弁申し上げたとおりでございまして、私どもも急速な高齢化の中でこの問題をどういうふうに国民に広く理解していただくかということを考えてきたわけでございます。
 そういうことで、まず平成二年度から、老親介護に関するシンポジウムといったものを開催いたしますとか、また使用者の方々にお集まりをいただぎまして、労働者が家族に介護が必要な人を抱えた場合にどうするかといったようなことについてのいろいろなお話し合いをいただくといったようなことで、まず、この介護休業制度といったこういう制度の必要性について広く啓発といいますか、そういったことから始めたわけでございます。
 そういったことをやってまいりまして、これを広く企業に普及させていく必要性ということがますます認識をされてき、また行政としてももう少し具体的な指導もしていく必要があるのではないかというふうに考えまして、平成四年の七月に介護休業制度等に関するガイドラインというのを作成いたしました。
 そのガイドラインの中で、こういった制度をすべての企業にできるだけ早く導入していただきたいという一つのモデルといいますか、そのガイドラインはあくまでもやはりすべての企業にということでございましたので、最低の基準というものではございますけれども、最低こういった制度を設けていただきたいというガイドラインを策定いたしまして、それをもとに各婦人少年室がPRをするとか集団説明会をするといったようなことで普及指導をいたしてきたわけでございます。
 また、いろんな調査からも、特に介護休業制度を持っていない企業ではいろいろな問題があるという、導入に当たってのさまざまな困難があるということも把握をいたしておりました。特に、普及率を見ますと中小企業は非常に低いという実態もございましたことから、平成六年度からは中小企業集団というものを対象といたしまして、介護休業制度や介護のために短時間勤務をするといったような制度、そういった仕事と介護の両立を支援する措置の導入のための計画的な取り組みを集団ぐるみでやっていただこう、そして傘下の企業にそういった制度を導入していただけるようにバックアップをそういった集団にしてもらうようにといったような支援事業も実施をしてきているところでございます。
#8
○小野清子君 平成四年の七月からガイドラインをつくってというお話を今伺わせていただきました。確かに、従業員五百人以上の規模の事業所の介護休業制度の導入率は過半数を幾分か上回っているところまで来ておりますから、それなりの効果が見られていると思います。しかし、労使の自主的な取り組みやあるいは政府の啓発指導の努力の効果がかなり明確に見られるようになりました反面、中小規模の事業所の普及は大変低い、今お答えいただきましたように大変低うございます。それで、現下の普及率は平均して一六・三%、これが現実でございます。
 こういう状況のもとに、行政が本格的に普及に取り組むということ、わずか五年間でこの制度というものを事業主に一律に義務づけるということは少々厳しいのではないかということを感じざるを得ません。余りに性急ではないかという意見も外からも聞かれております。
 そういった意味から、育児休業制度も御案内のとおり二十年間の歳月がかかりましてやっと成立をし、そのときにも例えば給付金の問題とかいろいろございましたけれども、まずは導入することを先決にしようとか、段取りを踏まえながら一歩一歩進んでいったわけでございます。いわゆる事業主の努力を促した後で努力義務から権利義務化されたり、あるいはことしの四月からようやく育児休業の給付とか、あるいは具体的に休業中の社会保険の免除ができたわけでございます。
 このように、法制化にはやはり一歩一歩、あるいは非常に時間がかかるというものではないかと思うわけですが、介護休業をこの時点で一律に義務づけるということ、緊急の課題であるということは認識をいたしますけれども、この辺の理由をお聞かせいただきたいと思います。
#9
○政府委員(松原亘子君) 御承知のとおり、我が国は世界に例を見ないほど急速な高齢化社会に突入しようとしているわけでございます。それに伴いまして要介護老人の数も飛躍的に増大するということが見込まれております。また一方、先生も御指摘されましたように、核家族化ですとか共働き世帯がふえるといったようなことで、家族における介護の機能ということがかつてから比べますと相当程度に低下してきているという実態があるわけでございます。
 そういうことから、家族に要介護の人を抱えた労働者にとってはその家族の介護と仕事とをどう両立させていくかということは雇用を継続する上での非常に重要な問題になってきているわけでございます。
 こういった問題に対処するためには国全体としての介護対策を進めなければいけないというのは当然でございまして、介護サービスの一層の充実を図るということが基本であるというふうに私ども考えているわけでございますけれども、介護休業制度はこういった介護サービスの充実と相まって家族の介護がやむを得ない場合の緊急的な対応措置ということで機能することが強く求められているということも事実でございます。また、家族に要介護者を抱えるというのは大企業の労働者であろうと中小企業の労働者であろうとそういう場面に遭遇するわけでございますので、中小企業も含めて広く早急に、円滑にこれを導入してもらうということが重要な課題になっているわけでございます。
 そういうことから、先生御指摘のように、確かに行政で取り上げましたのも先ほど申し上げましたように平成二年からということ、かつ具体的な行政指導は平成四年にガイドラインを示してからといったことで、育児休業のように、昭和四十七年に法律に育児休業の導入についての努力義務が定められ、それから二十年にわたりまして行政指導をずっとやってきた、そういう実績を踏まえたということに比べますと短時間のものではございますけれども、今申し上げましたように急速な高齢化が一方で進んでいる、また女性の職場進出ということで共働き世帯が増加しているといったそういう社会状況の変化で、今この時期、すべての企業にやはり一律に介護休業制度を義務づけるということも必要なのではないか。
 しかし、御指摘のような普及率の実態でもございますので、義務づける時期というのはやはり準備期間を企業にもとるということが必要ではないかといったようなことも配慮いたしまして、現段階での法制化に踏み切りたいというふうに考えたものでございます。
#10
○小野清子君 今ちょうど各団体が総会の時期にもなるわけでございまして、この介護休業制度に関しましては大変関心を持っております。
 それで、権利を主張されるばかりではやはり事業所もなかなか難しい。そういう意味では、これは権利を主張する側とその方々を雇って業績を上げていかなきゃならない事業体の方との両方が相まってバランスがとれていかなければならない問題ではないかと思います。
 調べてみましたら、中小企業の数は、全体の企業数からしますと九七・七%が中小零細企業になるわけですね。全企業の従業員数から見ますと、中小企業の従業員数というのは七九・五%、約八割が中小企業ということになります。その皆さんがさっき言いました一六・三%に入ってくるということを考えますと、大変これは重いなという気持ちにもならざるを得ません。
 よく調べてみましたら、昭和五十六年度、六十年度、六十三年度、平成二年度、平成五年度、これは調査対象事業所は三十人以上のいわゆる常勤の労働者を雇用する民間事業所、約八千の事業所のデータでございますけれども、昭和五十六年は介護休業制度ありというのが八・八%、六十年は一一・四%、六十三年が一三・六、平成二年が一三・七、平成五年度が一六・三と、こういう流れになっております。
 産業の方も、非常に進んでおりまして電気・ガス・熱供給・水道関係が八四・四%と高いんですね。あと一つは金融・保険業の関係が四一%と大変高くなっております。それに比べまして鉱業が八・七、建設がさっき申しましたように九・三、それから製造業が一四・二、運輸・通信関係が一五・七、小売業、飲食業関係が一七・四、不動産関係が一三・〇、サービス関係が一一・六と非常にばらつきがあります。かつまた、五百人以上は五一・九%と過半数を少々上回っているわけですけれども、百人から四百九十九人となりますともう半分になりまして二二・五%、それから三十人から九十九人になりますと一四・二%と、これまた低くなりますから、三十人以下になりましたらこれは大変な数ではないかと思うわけです。
 こういうバランスを考えたときに、私はこういう制度を、全体の普及率が一六・三%とさっきの平均が出たこと、かつまた非常に必要で喫緊の課題であるということも理解しながら、やはり中小企業も円滑にこういう制度が導入できるようになるためには、政府案は平成十一年の四月施行となってまあまあ時間的にもゆとりがありますからよろしいかと思いますが、先ほども幾分がお話はいただいたんですけれども、それまでの間に中小企業に対してさまざまな支援策が考えられるべきだと思います。もうちょっと具体的な面が、もしありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
#11
○政府委員(松原亘子君) 政府案はこの介護休業制度が事業主に義務づけられる時期を平成十一年というふうにしているわけでございますが、その平成十一年までの間におきましても、なるべく多くの事業所がなるべく早くこの制度を導入していただくことが望ましいわけでございます。そういうことから積極的な指導、援助を行いたいというふうに考えているわけでございます。
 そのため、この法案を成立させていただきましたら、この法律の内容の趣旨徹底を図るための集団説明会ですとかシンポジウム、そういった各種会合を活用したいというふうに考えております。また、介護休業制度というのは労働条件でございますので就業規則等に書いていただく必要がある、そういう規定の整備についての援助をするとか、また実際に介護休業制度を実施しておられるところの好事例といったようなものを集めて、そういった情報を提供するといったようなこともやりたいというふうに考えております。
 また、特に中小企業に対しましては支援措置が必要だということは私どもも十分認識いたしているところでございまして、例えば、中小企業集団におきまして傘下の企業に対するこういった問題の取り組みに対する支援を行っていただきたい、集団が支援をするといったようなことをやっていただきたい、それを国としても支援したいというような、そういう事業をやりたいというふうに考えております。また、介護休業制度を施行時期前に導入した事業主、特に中小企業事業主に対しては手厚く介護休業制度導入奨励金を支給するといったことも考えております。
 また、特に介護休業制度の導入が難しい理由として挙げられているのが代替要員の確保の問題でございます。そういうことから、事業協同組合などが傘下の中小企業の委託を受けて代替要員の募集を行う場合に、これは原則的には許可制なんでございますけれども、これを特例的に届け出制にするといったことも今回の法律案の中でやらせていただこうとしておりますし、また中小企業集団を通じた代替要員確保のための情報の提供ですとか、相談、援助による代替要員確保のための支援策といったようなことも実施いたしたいというふうに考えております。
 これら総合的な支援措置によりまして、最初に申し上げましたように、中小企業も含めなるべく多くの事業所に平成十一年より前にこの制度が導入されるように私どもも行政努力をやっていきたいというふうに思っているところでございます。
#12
○小野清子君 両方が相まって少しでも早く施行されるということはまことに望んでいるところでもあるわけでございます。代替要員の問題等が、これから人手が非常に少なくなるという現状をかんがみますと、許可制を届け出制にしてあるということ等々、改革、改正されている部分がある部分については大変評価をさせていただきます。
 平成会の方にお尋ねをさせていただきたいと思います。先ほどから申し上げておりますように行政指導の過程、現在の普及率などを考えますと、本来労使が自主的にそれぞれ実施すべき介護休業を今の時点で直ちに来年度から義務づけというふうなことは余りに性急ではないかと、そんなふうに考えるわけですけれども、その辺の合理的根拠についてお答えをいただきたいと思います。
#13
○委員以外の議員(浜四津敏子君) 今おっしゃられたように、平成会案では介護休業制度の施行期日を企業規模を問わず平成八年四月一日としております。
 その理由は、年間八万人に上る労働者の方々が介護のために退職しておられる、そうした大変深刻な現実がございます。また、急速な高齢化社会を迎えまして、今後ますます介護問題に直面することが避けられない多くの労働者の方々にとっての必要性を考えますときに、介護休業の法制化というのはまさに待ったなしの課題でございまして、可及的速やかな実施が必要であると私どもは考えるからでございます。また、公的介護体制が整備されるまでの間こそ、まさに介護休業制度が必要とされる時期であると考えております。
 ちなみに、政府計画による新ゴールドプランの達成時期は平成十一年であると承知しておりますが、仮にそれが計画どおりに達成されて公的介護体制が格段に前進したとするならば、介護休業制度の必要性というのはその時点で相当低下するものと考えられますが、平成会はこのような認識に立ちまして、平成八年四月から施行すべきであると判断いたしました。また、衆議院段階での政府案に対する異例の与党修正によりまして介護休業の早期導入に関する努力義務がより明確にされたことは、与党各党におかれましても介護休業制度の早期導入の必要性を認識しておられる、それを示しているものと思います。
 確かに、事業主の方々にとりましては大変厳しい経済情勢、また法律あるいは制度の変革の中で事業主の方々の負担が大変大きくなるということも承知しておりますが、中でも中小企業の負担の増加ということは否定できないところでございますけれども、高齢化社会におきましていや応なく迫ってまいります介護の必要性に対応するために、この共助また共生の視点からの理解を求めるとともに、また激変緩和の視点から、企業とりわけ中小企業の方々に対しては、手厚い助成制度の措置を行うことによりまして早期導入に係る困難というものは克服できるものと確信しております。
#14
○小野清子君 手厚い助成とは、具体的にどのようなことをお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
#15
○都築譲君 現在、政府の方でも検討されております奨励金という形で、介護休業制度を導入する企業に対しましてさまざまな手厚い助成措置を講じていくということをお聞きしておるわけでございますが、私ども平成会の考え方といたしましては、単に制度導入を奨励するという観点だけではなくて、とにかくこういう形で義務づけを進めていくわけでございますので一種の激変というふうにとらえることもできるわけでございます。
 そういった観点で、企業にとってある程度代替要員の確保とかそういった面での負担が生ずるわけでございますから、そういった負担を少しでも緩和をしていくという観点から助成措置を講ずるということで、具体的には、介護休業制度を導入して実際に介護休業を取得する労働者に対しまして一定額の助成金を交付してはどうか、こういうようなことを考えておるわけでございます。
 この助成措置に当たりましては、中小企業の抱える困難性といったものを特に配慮いたしまして、中小企業に対しては少し手厚目の、少しと申しますか手厚目の措置を講じて、中小企業におきましても円滑に介護休業制度が導入されるように努めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#16
○小野清子君 政府の方の、この辺の介護休業制度を導入した場合の助成に関しまして、お答えをいただきたいと思います。
#17
○政府委員(松原亘子君) 政府の方の介護休業の導入に係る奨励金でございますけれども、これは制度を導入し、そして初めて介護休業の取得者が出た場合に支給をするというものでございまして、一企業当たり、大企業につきまして五十五万円、中小企業につきましては七十五万円を支給するということにいたしているものでございます。
#18
○小野清子君 ありがとうございます。
 助成をするということも、今初めて導入したときにその助成をするということでございまして、それは継続されるということではありませんね。ですから、この助成という問題もなかなか難しゅうございます。私は、一律に義務化するということの中における大変厳しい現状の状況をかんがみまして、今こういう質問をさせていただいているわけでございます。
 では、次に介護休業というものの定義についてお伺いをしたいと思います。政府側の方からお願いいたします。
#19
○政府委員(松原亘子君) 介護休業の定義でございますけれども、これはこの法律案の中に規定をいたしておりまして、「労働者が、第三章に定める」というのはちょっと後ほど御説明申し上げますけれども、その「第三章に定めるところにより、その要介護状態にある対象家族を介護するためにする休業をいう。」というふうに定義をいたしております。
 まず、その「要介護状態にある対象家族」というものも説明が要るわけでございますけれども、この「要介護状態にある対象家族」につきまして、まず「要介護状態」でございますが、「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害によりこ一定「期間にわたり常時介護を必要とする状態をいう。」、こういう状態にある対象家族。そして、その対象家族は配偶者、それに準ずる人たちも入っているわけでございますが、配偶者、父母及び子、これらに準ずる者も含むということでございますが、配偶者、父母及び子、そして配偶者の父母、基本形はですね、そういう対象家族、先ほど申し上げた要介護状態にある今申し上げた対象家族、こういう家族を介護するための休業でございまして、「第三章に定めるところによりこというのは具体的に介護休業の権利に係る部分が規定してあるところでございますけれども、労働者が申し出ることによりまして法律上の権利としては最大限連続する三カ月の休業ができる、そしてその申し出があった場合には事業主はそれを拒むことができない、こういうようなものでございます。
#20
○小野清子君 平成会の方、お願いをいたします。
#21
○都築譲君 介護休業等に関する平成会の案でございますけれども、第二条の第三項におきまして、「「介護休業」とは、労働者が、この法律で定めるところにより、その要介護状態(負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、労働省令で定める期間にわたり日常生活を営むのに支障がある状態をいう。以下同じ。)にある家族の介護を行うためにする休業をいう。」というふうになっております。そして、介護休業の対象となる家族の範囲でございますけれども、これは配偶者、子、父母、配偶者の父母、そして政府案とは異なりますが、私どもとしては同居の親族ということで対象にしたいというふうに考えております。
 また、要介護状態という問題でございますけれども、今申し上げましたように「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、労働省令で定める期間にわたり日常生活を営むのに支障がある状態」をいうわけでございます。
 さらに、介護休業の期間でございますが、これは私どもとしては一年間というものを考えております。
 さらに、政府案と異なります点は、私どもの案としては、一の継続する要介護状態ごとに労働者は一回収得することができるというふうに構成をしておるところでございます。
#22
○小野清子君 平成会の方の「日常生活を営むのに支障がある状態」というのは、具体的にこれはちょっとわかりにくいんですけれども、もうちょっと詳しく御説明いただけるでしょうか。
#23
○都築譲君 これは、要介護状態の点についてはいろんな議論があることは委員も御承知だろうと思うわけでございますけれども、例えば老人福祉法等、介護の定義などがいろいろ書いてあるわけでございます。
 そういった中で、私どもとしては、通常の生活を営むのに他人の手助けが必要であるというふうなことでございまして、例えば入浴とかあるいは排せつとかあるいは食事とか、そういった通常の日常の生活を営むに際して他人の手助けが必要となる、そういう状態をいうというふうに考えております。
#24
○小野清子君 それと、介護を必要とする一の継続する状態ごとに一回とするということは、一人の人間が時を置いてぐあいが悪くなった場合には何度でも得られるということなのでしょうか。
#25
○都築譲君 委員御指摘のとおりでございまして、平成会案と政府案との異なる点の一つとして、一の要介護状態ごとに一回介護休業を同一の労働者は取得することができるという形で構成をさせていただいております。これは、人事院の方で国家公務員に、非現業でございますけれども、導入されました介護休暇というものがございますけれども、それも参考にさせていただいておるわけでございます。
 個人的な話で大変恐縮でございますけれども、私の母は昭和五十一年の十一月に脳溢血の発作で倒れました。ちょうど私は地方勤務をしておりましたので、当時県庁に勤務するがてらその介護を少し行ったわけでございますけれども、母が昭和五十六年の六月に他界するまで実は三回の脳溢血の発作を起こしております。
 最初の発作で、これは本人にとっても初めてのことでございまして、私自身も大変動転をするような状況がございました。しかし、お医者様のいろんなお助けによりましてかなり回復をいたしました。実際に三年後ぐらいには、兄が広島に勤務しておりまして、兄の嫁が出産をするに当たりましてわざわざ一人で新幹線で愛知県から広島まで行ったというふうな形でございまして、やはり最初の要介護状態をどう手助けするか。それからまた、二回目が昭和五十四年に発作を起こしたわけでございますけれども、このときはかなりひどうございました。そして三回目に他界する最後の発作を起こしたわけでございます。
 そういったことで、これから高齢化がますます進んでまいりますと、高齢者の抱える疾病というのはたくさんの問題がございますし、また事故も起こしやすい状態になってくるわけでございます。そういった意味で、働く人たちが本当に親の介護をやらなければいけないという状態に置かれたときに、そういう状態ごとにやはり介護をしていく必要が生じてくるだろうと、こういうふうに考えるわけでございまして、働く人たちのそういったニーズといったものも十分勘案をして法律を構成していく必要があるのではないかというふうに考えております。
#26
○小野清子君 先生のお話、私も身に深く自分の親の介護のときを思い起こすわけでございますけれども、あくまでもこういう法律で努力義務にしたときに、いわゆる努力義務ではなくて正当なるこれが法律化された場合に、事業体とその介護休業をとる者とのバランスが私はやはりこういう立場におる場合に非常に問題ではないかと思うんですね。
 そのあたりからいきますと、例えば先ほどから少子化という問題が言われているわけですけれども、一人っ子が多いですから、両親から子供が一人ずつ生まれて、それがまた結婚して一人っ子になった場合に、この一人は何人を見るだろうかというと、両親と祖父母と、そして結婚する相手も同じような形態である場合に、一体孫は何人を見なきゃならないかという、こういう計算までいきますと、十人くらい見なきゃならないということになります。
 これは仮定をするまでもなく、現実的にその人間が、例えば今平成会の出されている案では同居者も含むということを考えたときに、毎年毎年介護休業をとっていくという、社会的労働者としての仕事ができ得ずに続いていくこともなきにしもあらずなのかなとか、今回いろいろ勉強させていただきまして、いろいろ感ずるところもございます。
 ですから、いろんな問題をお互いにぶつけ合いながら一番いい道を模索していかなければならないんだと思いますけれども、事業主の義務として介護休業制度を政府案としては三カ月とするこの合理的な根拠についてお答えをいただきたいと思います。
#27
○政府委員(松原亘子君) 私どもが出させていただきました法律案の基本的な考え方は、家族介護の必要性が一つある、また労働者にとっての雇用の継続の必要性があると、こういう労働者サイドの必要性が一方にあるわけでございますけれども、もう一方には企業の負担というのがあるわけでございます。
 したがいまして、それらの調和を図るということが重要であろうというふうに考えております。つまり、介護休業制度を社会に確実に定着させるということは、やはりバランスをとった中で決めていったものでなければ難しいというふうに考えております。そういうことから、介護休業制度の定着が確実になる、そういったものとして基本的な法的枠組みをつくるというふうな基本的な立場に立っているわけでございます。
 すなわち、介護休業制度の法制化につきましては、法律ですべての企業に一律にこの休業を義務づける、こういったものを制度化することを義務づけるとする一方で、義務づけの部分は最低基準というふうにいたしておりまして、これを上回る部分につきましては、企業の努力義務といたしまして労使の自主的な努力にゆだねるという基本的な考え方に立っているわけでございます。
 今、先生の御質問にございました三カ月ということでございますけれども、これは、この法律案を提案させていただきますまでの間いろいろな御検討をいただいておりますが、その中で一つ介護休業制度に関する専門家会合というのを私ども一昨年から設置をいたしまして、昨年の七月にそこからの御報告をいただいておりますが、その報告の中に疾病介護が必要になる方々の典型的なパターンを幾つか挙げられて、そういった場合に家族の介護がどの程度必要になるだろうかということも御検討をいただいたわけでございます。
 詳細を御説明し始めますと非常に長くなりますので省略させていただきますけれども、こういった専門的な御検討の中でも、介護休業の期間としては、やはり要介護者の状態が安定する間これはどうしても家族の手が必要であるということから、家族による介護がやむを得ない場合の緊急的な対応措置としては最低三カ月というのが適当であるというふうにされたことを踏まえたわけでございます。
 また、もちろん長期にわたるという方もあるわけでございます。介護が必要な状態がもっと続くという方がないわけではございません。ただ、じゃそれらをすべて企業に休業という形で負担を求めるということになりますと、これはまた国民のコンセンサスが得られる問題ではないというふうに考えますし、三カ月程度の期間があれば家族が介護に関する長期的な方針を決めることができるというようなことも踏まえまして、この三カ月という期間が適当というふうに判断したわけでございます。
 また、既に介護休業制度が導入されている民間の事業所におきまして、実際に介護休業をした方の八割近くの方が三カ月以内に復帰をされているわけでございます。そういうことから三カ月といったことにさせていただいているわけでございます。
#28
○小野清子君 それでは、介護休業の取得回数を対象家族一人につき一回とする理由についてお答えをいただきたいと思います。
#29
○政府委員(松原亘子君) この回数でございますけれども、労働者の立場だけを考えますと、介護が必要な家族を抱えるたびに何度も何度もとれるという状態になることが最もいいということかもしれません。ただし、やはりこれは労働条件でございますので、一方ではそれを受け入れる事業主の立場というものも当然考慮しなければいけないわけでございます。
 先ほど、基本的な考え方を申し上げましたけれども、家族の介護の必要性、労働者の雇用の継続の必要性という労働者サイドの必要性と同時に、企業の負担、それとのバランスをやはり考える必要があるということを私どもは基本的な立場といたしているわけでございます。
 また、先ほどちょっと申し上げました介護休業制度に関する専門家会合におきましてその回数についても御議論をいただいておりますが、そこの中に、ちょっとこれは短いので御紹介させていただきますと、繰り返し介護休業を取得することを認めることは労働者にとっては望ましいが、代替要員の確保、計画的な人員配置等に支障が生じることとなり、特に中小企業においてその負担は著しいと考えられるというふうに言われておりますし、また要介護者の継続する一要介護状態について一回は介護休業を認めるという考えもあるが、再発・併発の場合など一要介護状態が継続しているか否かの判断が困難な場合もあり、難しい問題を含んでいるという御指摘をいただいております。
 なお、この専門家会合に御参集いただきました先生方は、お医者様とかそういう方も入っていただいておりまして、そういう見地から見て今のようなおまとめをいただいたわけでございますので、私どもはこういったことも踏まえまして対象家族につき一回というふうにさせていただいているわけでございます。
#30
○小野清子君 今御説明をいただいたわけですけれども、家族による介護が必要な期間が三カ月を超えてしまったり、一度治ったと思ったらそれがまた再発をするとか、あるいは一度を超えて家族による介護が必要になった場合がないわけでもないわけですね、現実には。そのような場合にはどういうふうな対応、対処をしたらいいのか、その辺のお考えがありましたら。
#31
○政府委員(松原亘子君) 今回御審議をいただいております中心的なテーマは、事業主にどの程度の介護休業を導入することを義務づけるかというのが最大のポイントであろうかと思います。つまり義務づけの部分でございます。
 そういう観点から見ますと、御指摘のように三カ月やまた一回を超えて家族による介護が必要な場合もあり得るわけでございますけれども、一人の家族に長期や複数回の介護をゆだねるということは、個人の肉体的精神的疲労の程度を考えると、私どもとしては限界があるのではないかというふうに考えます。この場合、家族が交代して介護に当たるなど、特定の人だけに介護の負担がかからないようにする工夫が必要だと思いますし、そういうことにより、より長期の介護にも対処していくことが可能ではないかというふうに思うわけでございます。
 また、長期や複数回の休業取得者が出た場合の中小零細企業の負担ということも十分配慮すべきでありまして、三カ月を上回る長期間や一回を上回る複数回の介護休業を企業に一律に義務づけるということは難しいというふうに考えているわけでございます。
 ただ、先ほど来申し上げておりますように、そういったことがある場合は否定できないわけでございます。つまり、三カ月や一回を超えて介護が必要な場合があるということも否定できないわけでございますが、そういうような場合に対処するためには労使で十分話し合っていただきまして、法律で定めるものは最低基準でございますので、それを上回る制度の導入を労使間で十分お話し合いの上、進めていただきたいというふうに思っておりますし、具体的にこの法案の中でも、それにつきましては事業主の努力義務規定、事業主に対する努力義務規定というのが置かれているわけでございます。政府といたしましてもその趣旨を十分周知啓発いたしたいというふうに考えているところでございます。
#32
○小野清子君 平成会の方では介護休業期間を一年にされておりますけれども、この件に関して御質問したいと思います。
#33
○都築譲君 平成会の方では、委員御指摘のように、介護休業期間を最長一年ということで定めさせていただいております。
 この根拠といたしましては、労働省の行いました介護を行う労働者に関する措置についての実態調査、平成三年でございますけれども、労働者の平均介護期間は約二年八カ月、こういうふうな状況になっております。また、同じ調査によりますと、介護休業制度がある企業が最長の休業期間を定めている場合、一年とするものが四四・九%、それから一年を超える期間とするものが九・〇%、合計いたしますと最長休業期間を一年以上とする企業が五三・九%というような状況になっておるわけでございます。その後、また労働省の行いました平成五年度の女子雇用管理基本調査によりますと、介護休業制度がある事業所が最長休業期間を定めている場合、一年とするものが五六・四%、また一年を超える期間とするものが四・八%となっておりまして、合計いたしますと六一・二%、こういう形で制度が導入をされておるわけでございます。
 政府案におきましては介護休業期間の限度を三月、こういうふうにしておるわけでございますけれども、先ほど来政府委員からの御答弁にありましたように、これは最低限要介護者の症状等がある程度安定するまでの間の緊急避難的な休業というふうな位置づけをされておられるということをるる述べられておるわけでございますけれども、現実の、今日の高齢化の現状の中で、果たして緊急避難的なそういう休業期間といったものが与えられて、例えば地域のデイサービスセンターとの関係とか、あるいは特別養護老人ホームとの調整とか、老人保健施設あるいは訪問看護ステーション、こういった施策がこれからますます充実をしてくるわけでございますけれども、いろんな方にお伺いいたしましても、とても三カ月ではそこまでのしっかりとした体制を組むことはできないだろう、こういうふうなお話をお聞きするわけでございます。
 私ども一年間と、こういうふうにさせていただいておりますけれども、要介護者の状態が安定しながらも、日常生活にまだ支障が生ずる、生じている状態が継続することがむしろ今日の大きな介護問題の焦点でございまして、それに対して公的サービスがこれからますます充実されることが期待されるわけでございますけれども、いずれにいたしましても家族が担う責任というか、そういった役割というのはやはり大きいのではないか、こういうふうに思うわけでございます。
 ただ私自身、これは平成会案を議論する中でいろいろ議論をしてまいりましたけれども、介護休業期間一年ということで、べたに一年間を本当に使い切るのかどうか。と申しますのは、介護休業というのは基本的にはノーワーク・ノーペイの原則でございますから、休業ということでございますから企業は賃金を払う必要はないわけでございます。労働者にとっては賃金がもらえないということで、かえってみずからの生活の安定を欠く問題になってまいります。そういった意味で、政府案にもございますように、平成会案におきましても短時間勤務という形で事業主がそれなりの努力をしっかりしてもらうようにと、こういうふうにやっておるわけでございます。
 私ども介護休業期間一年間というふうに言っておりますけれども、実際の休業それから短時間勤務、合わせて一年間は労働者がもし必要ということで請求をしてきたら認めてください、こういうお願いをしておるわけでございまして、これは労働者の生活の安定、賃金がもらえるという観点からも大変重要なことでございます。
 また、労働者の持つスキルを、技能を陳腐化させないためにも休業というよりは短時間勤務という形で、例えば朝一時間おくれて出てまいります、あるいは退社時刻は一時間早めさせていただきますというふうな形で勤労者の生活の安定を図りつつ、また技能も維持しつつ、そして会社にとってもそれなりの生産労働に従事するという観点で、役立つような観点から、そういったベストな選択肢を提供するというふうな形で考えて一年間というものを設定させていただいたわけでございます。
 確かに、代替要員の確保の問題等いろいろな課題がございますけれども、私どもとしては特に困難が予想される中小企業に対しましては、先ほど申し上げましたように、手厚い助成措置を講じまして、単に制度導入だけでぽんと一括のお金を出すんではなくて、一回の介護休業の取得に対しましてそれなりの助成を手厚くやっていきたいというふうに思っているわけでございます。
#34
○小野清子君 お話を伺っておりまして、介護休業期間が一年になるということの中において、一人の者が逆に一年間介護に束縛されるという心配もあるのではないかなという気もいたしました。ですから、長きにわたってぐあいの悪い家族の者をお支えするということは、これは心情的にもよく理解できますし、すばらしいことではあるわけでございますけれども、逆にこのことが家族の介護を一人の者に押しつけてしまうということにもなるんではないか。
 例えば、育児休業法のときにも、男性でもとれることになると、じゃ女性と男性どちらが休むかというと給料の安い方が休むと、こういうふうな話が出たことがあるんですけれども、えてして男性より女性の方が年齢が若いのが通例でございますから、給与の段階でも女性の方が休むことになる。そうした場合に、家族の介護は一人の人に押しつけられるのではないかなという気持ちもないわけでもありません。そういった意味では、やはり家族が交代で介護をしていくということが可能になるような仕組みにある程度考えるということも一つであり、一年というものに固執しますと、逆に女性にとってはむしろ権利よりも義務として何かやらなければならないということになってしまうのではないかなということも幾分危惧するところでもあります。
 男女共同参画室というものもできましたし、これから男性と女性がともに力を合わせていく社会になりますので、この期間という問題がそういった意味で女性に負担がかかり過ぎないような配慮というものがやはり必要ではないかなということを今議論の中で感じているところでございます。
 また、先生の方からお話がありましたけれども、休業期間中の雇用継続の実効を上げるためには、介護休業期間中の労働者の所得がなくなるわけですね、先生はさっきノーワーク・ノーペイということを話されました。でも、食べていくためには費用は絶対に必要になるわけですね。この面での必要不可欠であるという観点から考えますと、政府の方ではまだこの具体的施策といいますか、案というものはないものなのでしょうか、ちょっとお伺いをいたします。
#35
○政府委員(松原亘子君) 介護休業期間中の経済的援助につきましては、この問題を御審議いただきました婦人少年問題審議会の中でもいろいろ御議論がございました。
 ただ、私どもが出させていただいております法律案の介護休業制度にかかわる部分は平成十一年からが施行になっているわけでございます。この議論をしていただきました審議会の建議におきましては、「休業期間中の経済的援助のあり方については、今後、介護休業制度が適用される時期を念頭におきつつ、更に十分に議論することが適当」であるというふうにされておりまして、その必要性を否定しているというようなことではございません。
 ただ、適用の時期を平成十一年ということにさせていただいているわけでございますので、労働省としましては、その適用時期を念頭に置きましで、今後十分検討の上、対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#36
○小野清子君 平成会の方は、この辺はいかがでしょうか。
#37
○委員以外の議員(浜四津敏子君) 平成会案では、国等は介護休業中の労働者に対しまして別に法律で定めるところにより、介護休業給付を支給するものとしております。また、これに加えまして、介護休業中の労働者の社会保険料をも免除することとしております。
 その理由といたしましては、介護休業中の所得保障といいますのは、やはり労働者の方、また家族の方の生活保障のために必要である上に、また現実に介護休業の取得を選択することを容易にするためにも必要なことだと私どもは考えているからでございます。
 仮に所得保障がない場合には、収入がなくなる上に介護の費用もいろいろかさんでまいります。また、特に介護をされる労働者の年代というのは大体四十代、五十代の働き盛りの年代の方が多くございまして、特にこの世代の方々は住宅ローンとかあるいは子供の教育費がたくさんかさむ世代でございまして、労働者の方々の経済的な負担というのが大変重くなってまいります。さまざまな調査を見ましても、収入がなくなるので困る、またそのために介護休業がなかなかとれない、そして無理をしてしまうという方々もたくさんいらっしゃる実態がわかってまいります。
 そういう意味で、介護休業を取得する労働者、そして家族の方々の生活の安定と、そしてまた安心して介護休業をとっていただくということにするためにも、所得保障が不可欠であるというふうに判断したからでございます。
#38
○小野清子君 介護を要する家族を抱える労働者にとりましては、休業だけではなく、先ほどからもお話しありますように、なるべくなら働き続けられるように時間短縮の問題等々あるわけですが、何はともあれ公的サービスの施設サービスあるいは在宅介護サービス等々こういった面での充実が欠くことのできない点ではないかと思います。
 特に、介護のマンパワーの確保がなくてはこの政策そのものが生きていかないと思います。新ゴールドプランも、そういった意味におきましてはそういうマンパワーの養成あるいは確保両面合わせてこれが非常に大きな問題であり、それが充実していくことによってこの介護休業制度というものも非常に育っていくのではないか、受け入れられるようになっていくのではないかと思います。
 そういった意味におきましては、今後どのように取り組まれるお気持ちなのか、政府側にお伺いをしたいと思います。
#39
○政府委員(征矢紀臣君) 御指摘のように、今後の高齢化社会におきまして介護労働力の確保、これは大変重要な課題であるというふうに考えております。このため、労働省といたしましては、平成四年に成立いたしました介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律に基づきまして、介護労働者の雇用管理の改善、能力の開発向上等に関する措置を講じることによりまして、介護労働力の確保対策を推進しているところでございます。
 具体的には、在宅介護分野におきます企業と紹介所団体の提携を促進します介護クーポン制度の普及促進、各都道府県ごとに指定いたしました福祉重点公共職業安定所におきます潜在的マンパワーの登録、あるいは登録者等に対します情報の提供、福祉関係の合同選考会の実施、介護労働者に対する職業講習の充実、あるいはシルバーサービス業者に対します雇用管理改善事業の実施、職業紹介事業者に対します紹介事業高度化推進事業の実施等の施策を講じているところでございます。
 今後とも、介護労働力確保対策の積極的な推進に努めてまいりたいと考えております。
#40
○小野清子君 私は、こういう現状の新しい施策を持っていく場合に、非常に多面的にこれをサポートしていく状況がつくられていかなければこの介護休業制度というものも成立をしていかないものだと考えます。
 そういった意味におきましては、今回の法制化というのは育児休業法の一部改正という形式をとっておりますけれども、労働者がいわゆる職業を継続していく上での非常に大きな育児と介護、この両面を仕事と両立させながら行っていくための法律ということになるわけでございます。
 いわゆる労働者の職業生活と家庭生活の両立を支援する施策として具体的にどういうものが考えられているのか、手短に御紹介をいただきたいと思います。
#41
○政府委員(松原亘子君) 幾つかございます。
 一つは、育児休業や介護休業をとりやすく職場復帰しやすい環境を整備するという点から、先ほどちょっと申し上げました介護休業制度の導入奨励金といったようなものを新設するということがまずございます。現在、育児休業をとった人に対しまして職場に復帰しやすいようにと、そういったプログラムを設けていただく企業に奨励金を出すという仕組みがございますけれども、それを介護休業をとった方にも広げるといったようなことをやりたいというふうに思っております。
 また、育児や家族の介護を行う労働者が介護休業や育児休業をとらずに働き続ける、そういったことができるような環境の整備も必要であるというふうに考えておりまして、これまで事業所内託児施設の設置の促進ですとか、育児や介護に関するいろんな情報を電話により提供する事業ですとか、相互の援助活動で育児や介護需要に対応するファミリー・サポート・センターと称しておりますけれども、そういった事業もやってきておりますが、本年度から新たに、育児や介護のためにベビーシッターやホームヘルパーを利用する従業員に対してそれに要する費用を補助する事業主に対しましてその費用の一定割合を助成するといったような事業も開始をいたしたいというふうに考えております。
 また、育児や介護のために一たん退職する方もあろうかと思います。職業生涯で見れば、一時期育児・介護のために退職するけれども、そういったことが一段落したらまた職場に復帰するということも広い意味では両立てございます。そういう観点から、再就職を希望する方に対してのさまざまな支援措置、例えばそういう方を登録しておいて必要な職業情報を提供するといったようなことをやり、絶えず職業についての意識を持っていただく、そういったサポートもやりたいというふうに考えているわけでございます。
#42
○小野清子君 今お話がありましたけれども、ファミリー・サポート・センター、フレーフレー・テレフォン事業とか、ベビーシッターとか、このごろ片仮名が非常に多くなりまして、わかりやすいんですけれども、日本語をひとつ置いていただいて片仮名をその横につけていただくとか、その辺はぜひ御配慮いただきたいと思います。英語に直すと英語になっていない片仮名言葉がこのごろ大変多うございますので、そういった点もあわせまして、この意味が日本の皆さんだけではなくて、海外の皆さんがその言葉を使って意味がわかるような言葉でぜひお願いをしたいと思います。ライフプランづくりとかとありますけれども、これは一体何をするんだろうかと、あるいはファミリー・サポート・センターは相互援助活動、これは何をするんだろうかと、いろいろ気になるところではございますけれども、やっぱり日本人でございますし日本国でありますから、ぜひ日本語を大事にしていただきたいと思います。
 法のもとに整備され保障されていくということは、それぞれの働く者にとりましても、いい環境条件の中で、そして家族を大切にしながら働いていくということは、本人にとりましても、またそういう労働者を支える事業主にとりましても、ともどもにそれがいい意味で、いわゆるせっかく持っている技術とか能力というものを中断することなく継続していけるようなものでなければ、本当に幸せでありかつまた企業にとってもプラスではないわけでございます。
 そういった意味におきまして、介護休業制度というものの成立に関しましては拍手を送る一人ではございますけれども、ただ、その施行の期日であるとか内容におきましては平成会と政府案との間に差がございます。やはりそういった意味におきましては、私は余りに性急にやり過ぎてしまって支援策やその他のサポートシステムが理解されないうちに進んでいくということには少々、心情的にはわかりますけれども、危惧をするところの一人でもございます。
 企業にとりましても事業所にとりましても、先ほどから申し上げておりますように、有能な人材が継続して働き続けられるようなことにつながっていくということが、やはり有効なことであるということは言うまでもないことでございます。
 こういった意味で、一方の負担が絶対に大きくなったり、制度ができてきたことにより逆にたえられないという制度であれば、それは何の意味もないということになっていくわけでございますから、現状を考えると準備時間というものは、マンパワーにいたしましてもその養成はあるいは時間的に必要であると思われます。そういった観点に関しまして、これから詰めていかなければならない部分も少なくないような気もいたします。
 最後に、大臣のそうした点への御配慮と、それからこの取り組みに対する御決意を伺って私の質問を終わらせていただきます。
#43
○国務大臣(浜本万三君) 少子・高齢化が進展いたします中で、労働者にとりましては職業生活と家庭生活をどう両立させていくかということは非常に重大な問題となっております。したがいまして、先ほど局長から答弁を申し上げましたさまざまな支援をしていくことが重要であるというふうに認識をしております。
 中でも育児保介護と仕事の両立は、労働者が生涯を通じて充実した職業生活を送りますためにはぜひとも解決していかなければならない大きな問題であると思います。このため、今御審議をいただいております法案をぜひとも早期に成立させていただきまして、本法に基づき育児休業制度や介護休業制度の普及・定着、育児・介護を行う労働者が働き続けやすい環境の整備など、労働者の職業生活と家庭生活との両立を支援するための対策を充実させまして、総合的、体系的に推進してまいりたいと考えております。
#44
○庄司中君 きょうから介護休業制度の具体的な審議が始まるわけでありますが、これからいろんな角度で審議が行われるだろうというふうに思います。きょう私はそれを前提にしまして、状況と制度との関係といいますか、ある意味では包括的な問題について、そういう意見を中心にして質問をしてみたいというふうに思います。
 まず、先ほど小野先生から御指摘がありましたけれども、法制化するに際しましては普及率の問題が非常に大きいだろうというふうに思います。一六・三%という普及率、これはかなり重い制約条件だったんじゃないか、こんなふうに受けとめることができます。
 それからもう一つ、平成五年末の日経連の報告を改めて読んでみますと、法制化による一律実施を図るべきではない、つまりこの制度については企業の主体的な判断で行うべきであると。考え方としましては、社会サービスを先行させまして雇用環境をつくっていくべきだという意見だろうというふうに思います。いずれにしましても、かなり慎重な態度が見受けられます。
 そういう意味では、法制化をする、制度化をするということは一つの合意が非常に難しかったんだろうというふうに私は受けとめますけれども、その難しさを乗り越えてといいますか、今後の高齢化の状況の見通しの上に立って決断をされたことについて私は敬意を表したいというふうに思います。
 そこで大臣、決断をされた理由といいますか、いろんな制約条件があるのに思い切って踏み込んだということ、これについてまずお伺いしたいというふうに思います。
#45
○国務大臣(浜本万三君) 高齢化の進展に伴いまして要介護老人の増大が予測されます一方、核家族化や共働き世帯の増加により家族による介護の機能の低下が見られる中で、家族の介護の問題は国民的に非常に重要な課題となっておるわけでございます。こうした状況の中で、介護休業制度は介護を必要とする家族を抱える労働者が働き続けるために重要な制度であると考えたわけでございます。このため私といたしましては、介護休業制度の法制化の問題を大臣として大きな仕事の一つと考えまして積極的に取り組んできたところであり、介護休業制度を労働者の権利として盛り込んだ法律案を今国会に提出させていただいたわけでございます。
#46
○庄司中君 普及率の問題というのはかなり重い制約条件だというふうに思います。この点については小野先生からの御指摘がありましたけれども、少し角度を変えてその重さのかげんといいますか、そういうものを指摘してみたいというふうに思います。
 例えば産業別的に非常に普及率のばらつきがあるということは小野先生から指摘がありましたけれども、突き詰めていきますと規模別の格差といいますか、普及率の規模別の格差が一番問題だろうというふうに思います。
 例えばこれを時系列、時間の経過の中で見てみますとこういうふうになっております。大企業の場合、これ五百人以上でありますけれども、ある時点から普及率が急角度に上昇をしております。例えば数字を追ってみますと、八八年には一四%であったものが九〇年には二〇%、そして九三年には過半数を超えるというふうに非常に普及率の角度が大きいということですね。
 ところがその一方、中小企業の場合、これは三十人から九十九人までの規模でありますけれども、大体八八年は大企業と同じスタートラインに立っていたわけですね。一一%でございます。それが、九三年になりましても一四%にとどまっている。だから、この間大企業の普及率の角度とそれから中小企業の普及率の角度が物すごく違う。中小の場合にはいわば長期の普及率の停滞ということが言えるだろうというふうに思います。
 こういうふうに考えてみますと、中小企業の場合、これを制度化することは大変に困難があるだろう。それは、一つは行政施策がなかなか浸透しにくいという条件がある。それからもう一つは、労使の交渉力、これは中小の場合には非常に組織率が低いわけでありますから、労使の交渉力が働きにくいというふうな条件が片方においてはある。したがって、これから制度化する場合にはかなり重い条件を抱えているんじゃないだろうかというふうに私は考えておりますけれども、この辺の認識はどういうふうにお持ちでしょうか。
#47
○政府委員(松原亘子君) 先生御指摘のとおり、介護休業制度の普及率の規模別状況というのはかなり大きくばらついているわけでございます。また、産業別にも電気・ガス・水道業ですとか金融・保険業が高く、サービス業ですとか卸・小売業が低いといったことも、これは規模別の差も反映している結果ではないかというふうに私どもも思っているわけでございます。
 平成三年の私どもの調査によりますと、介護休業制度を実施しない理由、また検討もしない理由といたしまして、多くの企業が挙げておりますのが代替要員の確保が困難ということでございます。続いて挙がっております理由は、特に必要がないとか、同業者などが導入していないといったようなことでございます。
 これは先生御指摘の、労使の交渉というふうにおっしゃいましたけれども、特に大企業につきましてこの導入のきっかけといったことを私ども聞きますと、かなりのところで労働組合から要求があったということが契機になっているというのを把握いたしております。逆に、今申し上げましたように、特に必要がないとか、同業者などが導入してないといったようなことは、場合によりましては企業自身がそういう必要性を十分感じてないという、つまり労働者からどの程度声が上がっているのか明確でないということもあるのではないかというふうにも思われるわけでございます。こういったことが実施しない、または検討しない理由でございます。
 また、介護休業制度がない企業が介護休業制度を導入することになるとどういう問題点があるだろうかということで調査した結果もございますけれども、それによりますとやはり代替要員の確保が困難というのが一番高い割合を占めているわけでございます。続いて休業中の給与などの負担、給与のみならず休業中でも社会保険料の使用者負担分の支払いというのはあるわけでございますので、そういったことも念頭にあっての回答だと思いますが、休業中の給与等の負担、それから復職後の代替要員の処遇、つまり代替要員が幸いにして確保された場合に、休業した方が今度復職されるわけですけれども、代替要員として採用された人をどうするかというその処遇の問題、こういったことが問題点として挙げられているわけでございます。
 いずれにいたしましても、代替要員の確保の問題、復職時の代替要員として採用された人の処遇の問題含めまして、代替要員の問題というのがやはり非常に大きな理由として挙げられているという実態がございます。
#48
○庄司中君 介護休業の問題は、社会サービスのレベルと非常に関係を持っているだろうというふうに思います。これは、ヨーロッパの先進国なんか見ていますと痛切にそのことを考えます。ただ、介護の場合には、社会サービスだけあればいいという問題じゃなくて家族責任の問題も固有の領域としてある、この家族責任と社会サービスがうまく補完関係になっていかないと効果を上げることはできない、こういうふうに考えます。
 ですから、介護の問題をとってみますと、例えば先ほども入浴の話が出ましたけれども、私も特別養護老人ホームを何回か見せてもらったことがありますけれども、かなり障害が重度になりますととてもじゃないけれども人の手では入浴ができないようになりまして、大きな福祉機器を使って浴槽に入れるというようなことをやっておりました。
 それから、最近の介護の考え方、これは治療面でも変わってきまして、例えば今までは症状が固定をしないと福祉機器をつけない、与えない、それからリハビリを行わない、こういうのが一般的でしたけれども、最近は症状が固定しない前にリハビリを行うとか福祉機器を装着する。さらに、介護の専門性が非常に高まったといいますか、介護の場合には二次障害、三次障害が起こり得るからそれを防ぐための介護の仕方を考えていかなければいけない、こういうふうに言われてきていまして、いわば介護イコール家事という観点ではもうとらえ切れなくなってきている、介護には専門的な知識が必要になってきている、こういうふうな時代になってきたというふうに思います。したがって、社会サービスの役割というのはかなり大きいというふうに考えます。
 そうは言いましても、家族がやらなければならない仕事というのはあるわけですね。これはヨーロッパの例を見てみましても、一番大きいのは精神的な支えです。これはほかの人ではかえることができないということがわかります。それ以外には例えば身の回りの世話、さっき言いましたリハビリの介助であるとか、それから今後の療養方針を決定するというのもこれは家族がやらなきゃいけない。それから、関係機関との折衝もこれは家族がやらなきゃいけない。つまり、家族責任の側の領域というものはいかに社会サービスが発展してもあるんだということが言えるだろうというふうに思います。したがって、社会サービスと家族の介護というのは両方がないとうまく進んでいかないというふうに思います。
 そういう点から考えますと、例えば休業期間三カ月というふうな今度の介護休業制度は、社会サービスのレベルといいますか、これをある程度想定をしないと成立はしないだろうというふうに思います。例えば新ゴールドプランというのがスタートいたしましたけれども、その社会サービスのある程度のレベル、それを想定しないとこの制度は成立をしないというふうに考えますけれども、その想定のレベルをどの辺に置いていらっしゃるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
#49
○政府委員(松原亘子君) 先生御指摘のように、この介護の問題というのは単に休業制度ということだけで解決できるわけではございません。社会全体でさまざまな面から取り組まなければいけない、そうでなければまた解決できないという問題になっているわけでございます。
 この問題を乗り切るためには社会サービスの充実というのが基本であるということを私ども考えておりますが、ただ、国や地方自治体だけではなく、企業や個人もそれぞれの立場でこの問題に取り組んで、少子・高齢化社会を担う一員としてその社会的役割を果たすことが必要であるというふうに考えているわけでございます。
 この介護休業制度を検討していただくためにといいますか、審議会の中で審議を進めていただくための参考にしていただくということで、介護の専門家の方、お医者様の方々にお集まりいただきました専門家会合というのをやらせていただきましたけれども、そこで基本的な技術的な点について御検討をいただいたわけでございます。そのとき、先生が今おっしゃいました家族による介護といいますか、もう少し広い面も含めまして家族による世話、そういったようなことについても一体どういったことがそれぞれの病状、症状に応じて必要になるだろうかということも御検討いただいたわけでございます。
 例えば、脳血管性疾患を例にとって申し上げますと、発病しますとその後は一般に急性期または亜急性期というふうに言われているようでございますが、この時期は病人の状態は非常に混乱している状態であり、家族もまた同じように混乱している状態でありますが、発病直後でございますので、これは主として医療施設においてケアをされる、治療を受けるというのが重点になってまいります。したがいまして、家族がやることは入退院のための手続等、入院に伴うさまざまなことはあるわけでございますが、基本的にはケアは病院において行われるということが前提になっているわけでございます。
 その役といいますのが、急性期ですとか亜急性期、これが大体発病してから二週間ないし一カ月というふうな専門家の先生方の御判断でございますが、それを過ぎますと回復期というのに入ってくるようでございます。
 医療施設のケアを受けた結果、全く完全に治る方もあれば、軽快される方もある、状況が余り変わらないという方もある、もっと悪くなる方もある、不幸にしてお亡くなりになる方もあると、いろいろなパターンに分かれるわけでございますけれども、この回復期におきましては、軽快されている方とか状況が変わらない方につきましてはリハビリといったようなことが求められるといいますか、必要になってくる時期のようでございます。また、状態が変わらない一部の方はそのまま寝たきりになる方もあるようでございますし、この二週間ないし一カ月の間で状況がさらに悪くなるという方はなかなかリハビリというのは難しいようでございまして、寝たきりになるとか、場合によっては痴呆になるというようなことになるようでございます。ちょうどこのいろいろな形に分かれていく時期といいますか、固定していく時期が一ないし三カ月になるようでございます。
 特に、今申し上げましたような回復期に当たる時期、これは家族にとってはまだいろんなことが決まらない不安定な時期、動揺期にあるわけでございますけれども、この時期が最も家族による介護、世話が必要とされる時期でございまして、病状が固定するまでの世話もあれば情緒的な支えもあるわけでございます。また、リハビリのための病院を探すとか、リハビリに通っための介助をするといったようなこともございますし、また家庭でのリハビリを介助するといったようなこともございますし、もちろんいろいろな身の回りのこともあるわけでございます。したがいまして、この時期、家族はやはりどうしても見なければいけない。
 この回復期を過ぎますと、次は安定期という時期に入ってまいります。こういう時期になりますと、一般的に公的介護サービスと言われておりますところに相当部分ゆだねることができるという時期でございまして、家族がやることはかなり縮小されるといいますか、先ほど申し上げた動揺期である回復期と比べますと少なくなってくるわけでございます。そこで、いわば家族が主として見ていたことから公的な介護サービスに見ていただく、こういうことになってくるわけでございます。
 こういったような考え方に基づきまして今回の私どもの介護休業制度の法制化はやらせていただいたわけでございますが、介護休業制度を企業に一律に義務づけるという制度でございます。そういうことからすれば、社会サービスが不足しているからその穴埋めを企業に求めるという考え方ではなく、社会サービスの充実と相まってこの制度が機能するということが必要ではないかというふうに考えているわけでございまして、そういうふうな観点からすれば、社会サービスの充実と相まって機能するように、家族の介護がやむを得ない緊急避難的な措置であるというふうに位置づけて現在の提案させていただいております内容を構築させていただいているわけでございます。
 こういう考え方を基本といたしまして、私どもは労働者の職業生活と家庭生活との両立を支援するための施策を総合的、体系的に推進するということにしておりますが、こういった施策と公的介護サービスの充実とが相まって初めて高齢化社会に向けての介護対策が十分になるというふうに考えているわけでございます。
#50
○庄司中君 社会サービスの役割というのは休業制度を成立させる上でも非常に大事な条件の一つだろうというふうに思います。私たちが介護休業制度を考える上で主として先進工業国の例を考えてみなきゃいけない、一つの参考として検討してみる必要はあるだろうというふうに思います。
 私たちも三、四年前からその作業を進めてまいりました。例えば、福祉先進国であるヨーロッパのケースが大体中心でございますけれども、これは国際基準であるILOの百五十六号条約、今度批准をしましたけれども、さらに百六十五号勧告、それからEUの指令というのがございますね、私たちが調べたころはまだECでございましたけれどもEUの指令、それから各国の制度をずっと当たってみますと、どうも私たちがイメージするような介護休業制度というものが見当たらない。どうしてもヨーロッパの場合には非常に短期の休暇でおさまっているということですね。わずかにスウェーデンの親族等介護休暇法、これが大体期間が三十日でございますから私たちのイメージしている制度と非常に近い。ところが、さらに中身を洗ってみますと、この休暇の性格といいますのはどちらかというとどうもみとり休暇というふうな性格を持っているというふうに私たちには考えられました。
 こうして見ますと、社会サービスと非常に関係を持っている。しかし、ヨーロッパには私たちがイメージするような制度というものはちょっと見当たらない。
 この介護休業を法制化する場合に、恐らく外国のケースもお調べになったと思いますけれども、大体大づかみにどんな傾向でどんな制度があるのか、お話しいただきたいと思います。
#51
○政府委員(松原亘子君) 御指摘のように諸外国におきましては、日本のような介護を要する家族を抱えた労働者がその介護のためにやむを得ないという場合、一定の長期間休むことによって雇用の継続を図ることができるようにするという制度を持つ国はほとんど見当たらないのでございます。
 ちょっと御紹介させていただきますと、西欧諸国におきましては、子供の病気の看護のための短期間の休暇を法制化している国は多いわけでございます。例えば、スウェーデンでは一九七六年の育児等の休暇の権利に関する法律という中で、十二歳未満の子供一人につき各年六十日まで休むことができるということになっておりますし、ドイツにおきましては、一九七四年の社会法典におきまして、十二歳未満の子供一人につき各年十労働日まで休むことができるということになっているなどでございます。
 子供以外の親族を含む近親者に関するものといたしましては、重病の近親者に対するみとり休暇的なものはございます。例えば、スウェーデンの一九八八年の、先生も御指摘になりました親族等介護休暇法に基づきまして、被介護者一人につき介護者全体の合計で三十日までとれる。それからスペインでは、一九八〇年の労働者憲章によりまして、二親等以内の血族及び姻族の重病または死亡の場合に二日とれるというふうになっているといったような例がございます。
 ただ、今回私ども提案させていただいております法律案の介護休業に近いものといたしましては、アメリカの家族・医療休暇制度というものがございます。これは、一九九三年に制定されました家族・医療休暇法に基づくものでございますが、従業員規模五十人以上の事業所で働く労働者につきまして、出産、育児、家族の介護または本人の病気のため各年十二週間まで休暇が取得できるということになっているものでございます。
#52
○庄司中君 わかりました。
 それで、例えば今話題に出ましたスウェーデンをとってみますと三十日という休暇がございますけれども、スウェーデンの場合には、私が調べたところですと、親との同居率がわずか四%です、ほとんどないと言っていい状態であります。しかし、意識調査をしますと、それでも親の介護は自分の手で行いたい、そういう人たちが四六%、つまり半分近くの人が、同居はしていないけれども親の介護は自分の手でやりたいというふうな意識調査がございます。
 こういうふうに見てみますと、社会サービスの水準イコール介護休業との関係だけじゃなくて、局長がさっき言いましたように一つはこれは企業内福祉制度ですから、どうしても企業に負担がかかるわけでありますから、企業の負担、それから社会サービスのレベル、そしてさらに家族の考え方という、その社会の価値観の問題にかなり関係を持ってきているんじゃないだろうかというふうに思います。
 例えば、ヨーロッパを見てみますと、よく言われますけれども、スープの冷めない距離に親子が住むのが一番いい、私たちがヨーロッパへ行ってそんな話をしますと必ず出てくることがこういうことですね。それからオーストリアの社会学者がこういうことを言っています。家族は各人お互いを尊重し合った上での親密さが要るんだ。尊重しないべったりした親密さは困る。これを距離を持った親密さというふうに表現をいたしました。
 残念ながら、残念ながらかどうかわかりませんけれども、我が国の家族のイメージ、考え方とはまだまだ距離があるという感じがいたします、全体としてですね。家族の考え方といいますのはやっぱり価値観の問題ですから一様には言えませんけれども。
 そうなってみますと、介護休業制度が成立をする条件というのは、一つは社会サービスとの関係、それからもう一つは局長がおっしゃったように企業の負担の問題、そしてさらに家族像といいますか、家族の考え方、この三つがバランスをとったときに制度として成立をするし、成立した制度は安定度を持つ、こういうふうに私は考えますけれども、御意見はいかがでしょうか。
#53
○政府委員(松原亘子君) 社会サービスの状況、それと企業の負担ということにつきましては先ほど来御説明したことでございますが、今おっしゃいました家族による介護といいますか、その価値観といいますか、そういったことにつきましてなかなか一概に申し上げられない面もあろうかと思いますけれども、先ほど来ちょっと御紹介いたしました介護休業制度に関する専門家会合の中で家族による介護に影響を与える要因というのも検討をしていただきました。
 それは、先ほどちょっと申し上げました傷病の状況ですとか日常の生活活動がどの程度できるかというその状況はもちろんあるわけでございますが、それに加えまして家族の介護能力というのも検討しなければいけないのではないか。例えば、介護を期待できる家族がどの程度いるか、別居しているのか同居しているのかといったこと、また本人や家族がどの程度の介護を望むのか、つまりできるだけ手厚く行ってほしいというふうに考えるのか、それとも本人の自主性にゆだねるのかといったようなことですとか、外部のサービスをどの程度望むのか、施設の利用を望むのか、ホームヘルパー等の外部サービスを利用したいのか、それとも家族のみによる介護を望むのかといったようなこと、またその頻度もあるわけでございます。また、介護サービス利用のためにどの程度の経費を支出できるかといったような経済的な負担能力の問題もございましょう。
 そういったことから、今申し上げました家族の介護能力ということにつきましては、本人や家族の意識、要求水準、経済状況、そういったことによって大きく違ってくるのではないかという指摘もされております。もちろん、それ以外にも住宅の状況ですとか、その他幾つかの要因はございますけれども、家族による介護ということを考える場合には広い意味での家族の介護能力、そこにあります本人の意思、介護をされる方の意思、それから介護をする側の意思、認識、そういったものも大きく影響してくるのは先生御指摘のとおりであろうというふうに考えます。
#54
○庄司中君 きょうは社会サービスの問題を扱いたいと思いますので、厚生省の方にちょっと質問をさせていただきます。
 一つは、介護サービスの政策の対象という問題であります。
 例えば、高齢者介護サービスの大きな区切りとなりましたのは九〇年度の例のゴールドプラン、十カ年戦略だろうというふうに思います。それが今回見直しをされまして、充実をしていわば再スタートをしたというのが現状であるというふうに思います。
 これを、少し歴史的にさかのぼってその位置づけを考えてみますと、例えばもう一つの転換の区切りといいますか、大きな転換があったのは、昭和三十八年、一九六三年の例の老人福祉法の制定だろうというふうに思います。このときに初めて現在あるような特別養護老人ホームであるとかあるいは養護老人ホーム、そして軽費老人ホームとか老人福祉センターというもの、主として施設サービスですけれども、これが成立をしたというふうに思います。この法律の以前は例の生活保護事業ですね。もう遠い昔のことになりますけれども、養老院というのがありました。そういう意味では、この六三年の老人福祉法が成立をしたときがやはり一つの大きな介護サービスの転換だったろうというふうに思います。
 これは、主として社会保障制度審議会の答申であるとか勧告であるとかをずっと洗ってみますと、こういうふうになっています。つまり、老人福祉法以前については差し迫った窮乏対策という表現が出ています。そして、制度審はこれから転換すべきだと、老人福祉法のあの時点ですね。この時点は高齢化の比率がたしか五%です。国際的には高齢化社会というのは大体七%というふうになっていますけれども、少しそれに近づいてきた段階だろうというふうになります。このときに制度審は低所得者層対策へ転換すべきだというふうに提言をしていらっしゃいます。
 現在、高齢化率を考えてみますと一三%、二十一世紀の前半の部分でいわば二五%を超えるという推計がございますけれども、もう救民ではとてもできない、それから低所得者だけを相手にする、政策対象にするということはもうこういう状態の中ではできない。
 そういうふうに思いますと、やっぱりゴールドプランといいますのは、もう低所得者対策ではなくて、所得に関係なく国民全部であるというふうに政策対象を変えていると思いますけれども、そういうふうに考えてよろしいのかどうか、その辺ひとつお伺いしたいと思います。
#55
○説明員(渡辺芳樹君) 高齢者介護対策本部事務局というものを厚生省の中に設置させていただいておりまして、そちらの事務局の次長をやっている立場で御答弁させていただきます。
 今、先生御指摘のとおり、私どもの社会保障の大きな流れの中で昭和二十五年それから昭和三十七年の社会保障制度審議会の勧告というものが非常に大きな影響を与えております。また、御指摘のとおり生活保護法の時代、そして老人福祉法制定、そしてゴールドプランというような大きな節目を確かに高齢者福祉あるいは介護の問題では経てきたというふうに私どもも認識しております。
 御承知のとおり、長寿化に伴いまして国民だれもが相当程度の確率で介護の必要な状態になり得る、そういう推測が成り立つ時代に私ども生きておるというふうに意識しております。また、各種世論調査におきましても、こうしたお年寄りの介護の問題が老後生活の最大の不安要因となってきているというこの認識も重要だと思っております。
 そこで、先生の御質問に直接のお答えになりますのかどうかという点はございますが、私どもの現時点におきますこの高齢者介護に関しますさまざまな取り組みの背景を申し上げることで若干のお答えをさせていただきたいと思います。
 御承知のとおり、御指摘ありました新ゴールドプラン、昨年の十二月に策定させていただきましたが、この中では高齢者介護サービス基盤の一層の整備を進めるということでさまざまな新しい数量的な目標も設定させていただいておりますが、これからの高齢者介護の基本理念の一つとしてこの新ゴールドプランの中で普遍主義というものを掲げまして、支援を必要とする高齢者に対して必要なサービスを提供していくという考え方が明記されたところであります。
 なお、もとのゴールドプラン、一九九〇年のゴールドプランには今回の新ゴールドプランにありますような定性的あるいは理念的な政策の記述が多くはございませんでしたので、今回の新ゴールドプランにおいてそういう定性的、理念的な部分というものを明記させていただいたということでございます。
 また、昨年十二月、相前後いたしまして厚生省の方でお願いをしておりました学識経験者の集まりによります高齢者介護・自立支援システム研究会の報告におきましても、サービス基盤の整備を進めながら、国民だれもが身近に必要なサービスをスムーズに利用できるような新しい高齢者介護システムの構築が提言されております。
 こうした背景のもとで、現在私ども省内的にもさまざまな検討を進めさせていただいているわけでございます。そうした中で、先生御指摘のように、普遍的な介護サービスというものが一つの求められる介護サービスの像として指摘されていることを十分認識して検討を進めているところでございます。
#56
○庄司中君 現在、新ゴールドプランで在宅それから施設の整備が年度別に計画をされて進行しておりますけれども、介護のニーズというのは非常に高いわけですね。ですから、年次別に整備がされていくというわけでありますけれども、このプランは平成十一年を目標にしていますが、地域によってアンバランスがありますからすべての地域ということじゃないと思いますけれども、介護のニーズが基本的に充足をされるというのは大体どの辺を考えていらっしゃるのか、その辺をお伺いします。
#57
○説明員(吉冨宣夫君) 高齢者に対します介護サービスにつきましては、昨年すべての自治体で地域の高齢者の実態やニーズ等に基づきました老人保健福祉計画が作成されまして、その中で平成十一年度末におきます地域の要援護高齢者数や、こうした方々に対します介護サービスの必要量、こういったものが明らかにされたところでございます。
 厚生省としましては、この老人保健福祉計画の作成を踏まえまして、従来のゴールドプランにおきます介護サービスの整備目標量、こういったものを自治体の老人保健福祉計画に合わせまして大幅に引き上げた、こういうことでございます。これは、昨年の十二月に大蔵、厚生、自治、三大臣の合意によりまして新ゴールドプランとして策定をしたということでございます。
 厚生省としましては、今後とも引き続き新ゴールドプランを着実に推進しまして、自治体の老人保健福祉計画に基づきます取り組みを全面的に支援してまいりたい、このように考えております。
 この新ゴールドプランは平成十一年度を目標年度としているわけでございますけれども、この時点におきましては老人保健福祉計画に基づきましてそれぞれの地域において必要な介護サービスが提供される、このような体制が構築できると考えております。
#58
○庄司中君 普遍的であるとか利用者本位であるとか、今度の新ゴールドプランでは理念を高く掲げております。ただ、利用者本位というふうに考えてみますと、現実にはいろんな制約があると思います。例えば、供給量が少ない、それから供給資源が非常に寡少でありますとそれがうまくいかないだろうというふうに思います。
 一つの例としまして、措置制度があるだろうというふうに思います。現在行っております措置制度といいますのは、例えば特養の入所であるとかヘルパーの利用であるとか、これは実際には市町村の決定がないとできませんね。片方では、例えば保健施設であるとか老人病院であるとかというのはもうこれは直接契約になっていますね。ですから、利用者本位といいますのは利用者が選択ができるという条件がなければいけない。特に、措置制度といいますのは資産が調査をされたり家族関係が調査をされたり、そういうふうになっております。それから、利用者の方もお世話になるという考え方を嫌がるわけですね、実際。ですから、この措置制度を何とかしていかなきゃいけない。
 もちろん供給資源の制約というものはありますけれども、そういう点から考えますと、だんだん整備をされていきますから、いつごろ措置制度をなくするといいますか、大体これはどの辺をめどに置いて利用者本位で選択ができるという条件が生まれるのか。そのときに初めて社会サービスのある水準を超えたというふうに見ることができると思いますけれども、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
#59
○説明員(渡辺芳樹君) 先生御指摘の措置制度、これは老人福祉制度のみならず社会福祉制度、各諸制度の中に生きている現存の法律制度の仕組みでございます。それらがこれまでの戦後の社会福祉の歴史の中で実際に果たしてきた役割というものには非常に大きなものがあったというふうに承知しております。
 他方、その制度に伴いやはりこれがすべからく行政庁の決定に係るという仕組みであるがために、あるいはさまざまな所得審査等の手続などもあり、いわゆる心理的な抵抗感というものを一般市民に与えているのではないか、利用に対する阻害要因を形成してはいないかというような御議論もございます。さまざまな見解やさまざまな意見あるいは検討がこの措置制度に関しまして従来行われてきているというふうに考えております。
 私ども、高齢者介護の新しいシステムを検討していくという立場に立って取り組む中で一つ御紹介をさせていただきたい考え方は、先ほども引用させていただきましたが、昨年十二月に学識経験者の先生方により取りまとめられた高齢者介護・自立支援システム研究会の報告によりますと、高齢者介護の今後のサービスのあり方は、高齢者がみずからの意思に基づいて利用するサービスを選択して高齢者みずからが決定するということを基本とするべきではないか。このために、老人福祉制度における措置制度を見直して、高齢者とサービス提供機関の間の契約方式によることを原則にすべきではないか、かような御指摘をいただいております。
 本年二月から、新ゴールドプラン等を受けまして、厚生省内の老人保健福祉審議会におきましてこれからの高齢者介護サービスに関する御審議を賜っておるところでございますが、その中におきましては、今報告申し上げました高齢者介護・自立支援システム研究会の報告書や関係諸団体の報告書等の内容を踏まえながら、さまざまな角度から現在御検討をいただいているところでございます。
 現時点ではまだその検討途上ということでございますが、御指摘の措置制度の評価ということも含めて現在審議会においてさまざまな角度から御検討をいただいているところであるということを御報告申し上げます。
#60
○庄司中君 措置制度の問題で各自治体の中ではいろんな試みが行われています。例えばモデル的に実施をする、それから利用券制度なんということもありますね。さらには、とにかく当人同士で契約をして後で市町村が事後承認をする制度とか、いろいろ試みが行われていると思います。
 私は、措置制度は介護の施設の資源が非常に少ない時代にはやむを得ないというふうに思いますけれども、毎年どんどんふえていく状態の中では、各自治体がこういう試みをしている以上、措置制度から直接契約制に完全に移行する間に経過的な措置ということが当然考えられると思いますけれども、この辺についてはどういう見解というよりも感触でございますかね、どんなふうにお持ちになっていらっしゃるか、お伺いします。
#61
○説明員(渡辺芳樹君) 現行の措置制度を前提といたしましても、御指摘のとおりこれまでの歴史の中で、また各地域ごとにさまざまな工夫とでも申しますか、というものが積み重ねられて運用されているわけでございます。
 そうした中で、今後措置制度という仕組みをどのように扱っていくかということにかかわる新しいシステムを創設していくということでございますれば、そういう新しいシステムの創設という前提を置いて考えた場合、御指摘のとおり各地域におけるさまざまな条件といったものを念頭に置きながら、新しいシステムが円滑に実施されるようさまざまな手当てを十分配慮しながら考えていくべきではないかというふうに承知しております。
#62
○庄司中君 厚生省の方、ありがとうございました。厚生省からもう一度労働省の方に話を移しますので、どうもありがとうございました。
 社会サービスの面では大体そういうレベルが想定をされている。そういうレベルを想定しますと、社会サービスの面から見て介護休業制が成立する条件といいますか、ですから私は、休業期間が必ずしも長ければ長いほどいいという立場はとるべきではないだろうというふうに思っております。
 次の課題は、介護休業制度が法制化されて成立をした場合、この制度がうまく機能するためにはそれだけでいいのかどうかという問題があるだろうというふうに思います。
 例えば、要介護者が実際に発症をするというのは突然のことでありますから、家族は大混乱いたしますね。そうしますと、まず労働者がやらなきゃいけないことは、つまり要介護者の介護でございますけれども、その場合にはまず年休をとりますね。年休がないときはどうしても欠勤になってしまう、こういうふうなことになるだろうというふうに思います。労働省が調べた調査の中でも、ない場合には年休か欠勤というのが非常に多いですね。この制度が仮にできたとしても、この制度といいますのは最大限二週間待たないと介護休業という制度を取得できないというわけですから、発症したときと二週間の間にいろんな問題が起こる。どうしても制度ができたとしても介護休業をとれないわけですから、年休を充てるとかあるいは欠勤にならざるを得ないという問題が当然出てまいるというふうに思います。
 そこで、家族が介護休業をとる前に、さっきも議論に出ましたけれども、ヨーロッパのように数日から一週間ぐらいのいわば短期の休暇がありますと、短期の休暇ですから企業の対応も三カ月の対応とは違ったものになるはずであります。ですから、ヨーロッパみたいな休暇のレベルですともっと手軽に休暇がとれるだろうというふうに思います。
 そういう点では、介護休業制度ができたその後に短期の家族看護休暇ということが恐らく日程に上がってくると思います。今介護休業制度が法制化される瞬間ですから、今後のことは考えられないというふうに思いますけれども、私はそんなふうに感じますけれども、この点についてはどんなふうにお感じになっていらっしゃるか、御意見としてお伺いしたいと思います。
#63
○政府委員(松原亘子君) 要介護の状態になられる方の状況というのは、さまざまでございますので一概には申し上げられないかとは思いますけれども、先ほど脳血管性疾患の場合についてちょっと申し上げましたけれども、病気になりますと、通常家族が何か介護するというよりはまず病院に入院をさせるということになろうかと思いますので、いわゆる看護ですとか介護ですとか、そういうものは病院においてなされるということであろうというふうに思います。
 通常のケース、通常といいますか要介護状態になる方が最も多い要因であるというふうに言われております脳血管性疾患の場合には、入院の期間というのは大体二週間から一カ月だというふうに言われておりますことから、今先生御指摘の二週間前までに申し出るということで、いろいろ多様なケースがございますのですべてがカバーできるという趣旨ではございませんけれども、二週間程度の期間で申し出るということがあってもそんなに大きく問題にはならないということから判断したものではございます。
 ただ、御指摘の短期の家族看護休暇というのは、今の場合にも当てはまるのかもしれませんけれども、それ以外にも確かに子供が突発的な病気で面倒を見なければいけない、そんな長期の介護ではないけれども子供の看護をするために休まざるを得ないという場合は、特に共働きの家庭がふえるということになりますと、そういったニーズが高まってきているということは私どもも十分承知をいたしているところでございます。
 ただ、この制度につきましては、私ども十分には制度の実態を把握していないというのも正直申し上げてございますし、今後制度の実態といいますか、こういった制度がどの程度の企業にどういう形で導入されているかといった実態を把握するための調査も含めまして、今後の検討課題というふうにさせていただきたいと思います。
#64
○庄司中君 最後になりましたけれども、大臣に質問したいというふうに思います。
 介護休業制度の法制化といいますのは、今後の高齢化対策を考えた場合、非常に大きい役割を持っているだろうというふうに思います。例えば、単に福祉が拡大するというだけじゃなくて、経済面でも非常に大きな材料になるといいますか、つまり介護休業制度ができますと、そこから福祉需要が生まれてくるだろうと。さっきも厚生省の方が言っておりましたけれども、ゴールドプラン、今検討しております介護保険の問題ができてまいりますと、恐らく福祉需要に対する供給力というのは非常に高まってくるだろう、急速に出てくるだろう、そこには当然投資が行われていくというふうなことがあるだろうというふうに思います。
 事実、昨年三菱総合研究所が推計をいたしました。旧ゴールドプランを前提にして二〇〇〇年のレベルでGDPにどのくらい影響力を与えるだろうかということを推計しますと、〇・二%の押し上げ効果を持つというふうに推計しているわけであります。ゴールドプランが旧が新に変わりましたからさらにこれは押し上げ効果が拡大をするというふうになるだろうと思います。
 需要が拡大する、そして投資が行われていくということになりますと、当然雇用も拡大するということになってまいります。先ほどもお話が出ましたように、特に労働省としては介護労働力の量的、質的な面の確保が非常に大きな課題になってくるだろうというふうに思います。
 そういう意味では、経済面を含めましていわば社会的進歩に果たす役割というのはかなり大きいんじゃないだろうか、私はそういうふうに思いますけれども、大臣の御見解をお伺いいたしまして最後の質問にさせていただきます。
#65
○国務大臣(浜本万三君) 少子・高齢化社会が進展いたします中で、介護の問題は、議員御指摘のように国民を挙げて取り組むべき重要課題であるというふうに思います。国民一人一人が生涯を通じまして充実いたしました職業生活を送ることができるようにいたしますためには、仕事と介護を両立させながら、その能力や経験を生かすことのできる環境を整備していくことが非常に重要な課題だと思っております。
 御指摘の、労働省のこれからの対策といたしましては三つ考えられるわけでございますが、その第一は、労働者が家族の介護をしながら働き続けられるような環境の整備など、職業生活と家庭生活との両立支援対策を充実させること、二番目は、高齢化の進展に伴いまして介護ニーズの増大に対応いたしました介護労働力の確保・育成対策に力を注ぐこと、第三は、重度被災労働者に対する介護対策を充実させることなどが考えられるわけでございますので、これらの点につきまして今後とも積極的に推進してまいりたいと思っております。
#66
○委員長(笹野貞子君) 両案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十六分開会
#67
○委員長(笹野貞子君) ただいまから労働委員会を再開いたします。
 委員長より一言申し上げます。
 与党の出席が足りないために定足数を欠き、再開がおくれたことは、まことに遺憾であります。与党は委員の出席について格段の努力をお願いいたします。
 休憩前に引き続き、育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案及び介護休業等に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#68
○武田節子君 平成会の武田でございます。
 私は、政府提出の育児休業法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。
 今さら申すまでもなく、我が国の高齢社会は世界にその例を見ないスピードで進んでおります。あわせて、子供の出生率がまたこれも著しく低下しておりまして、ついに一・四〇を割ってしまったわけでございますけれども、こうした状況の中で、我が国の高齢者人口、六十五歳以上の人口は約一千六百九十万人で、七・七人に一人の割合になっておりますが、三十年後の二〇二五年になりますと約三千二百五十万人となりまして、三・九人に一人という割合になると予想されております。
 こういう状況になりますと、日大の人口研究所の調査によりますと、現在、四十歳の主婦十五人に一人の寝たきり・痴呆老人を背負うのが、二〇二五年になりますと二人に一人の割合で背負うような状況になると言われております。また、団塊世代の昭和二十二年生まれの人が六十歳になる二〇〇七年の二〇%になる年というのが一番の赤信号でございまして、この人が七十歳になる二〇一七年には介護される老人の数が介護する人の数を上回るという逆転現象になると予想されております。まさに超高齢社会の到来と言えると思うのでございます。
 現在、我が国の労働力人口は総人口一億二千五百万人の約半数、六千六百四十五万人と言われまして、雇用労働者数は五千二百万人と言われておりますけれども、二〇二五年には六十五歳以上の高齢人口が大変増大しますので、生産人口は激減して、逆に非生産人口が増大しまして、この推移でいきますと現役二人で一人を支えるということも予測されております。
 そうしますと、高齢社会の問題は単に六十五歳以上の高齢者の問題としてとらえがちですけれども、むしろ若い人の問題であり、男性の問題であり、女性の問題であり、労働者の問題であり、さらには日本の経済問題であり、そして我が国の社会問題としてとらえるべきであろう、こう思っております。そして、この対策は急がなければならないというふうに痛感しておる次第でございます。
 また、このようにいまだ経験したことのない難しい新しい問題に当たっては、企業に偏り過ぎた考え方とかあるいは企業の労使間だけのこととしてとらえるのではなくて、企業も、男女労働者も、ともに喜びも苦しみも相分かち合いながら、人間らしい生き方を、人間らしい働き方を考え、新しい時代をつくり出すためにこのたびの介護休業法も考えていかなければならない。そうでなければ本当の解決の道は見出せないのではないか、こんなふうに思っている次第でございます。
 ですから、企業の側も今大変厳しい状況にありますことは存じておりますけれども、二十一世紀という未来展望に立って、今日までの企業の競争あるいは日本型効率追求の姿勢をまず改めなければ高齢社会は乗り切れないのではないだろうかというふうにも思っているところでございます。
 さて、私は、ちょうど平成三年まで二十数年間、働く婦人の会におきまして未組織で働く中高年女性の方々と女性の労働問題に取り組んでまいりました。特に一九七六年から一九八五年の十年間は、国連婦人の十年の運動の中で多くの働く女性と連携をして、一日も早い介護休業法の法制化を願い、実態調査をもとに運動を続けてまいりました。
 坂本労働大臣、山口労働大臣、丹羽労働大臣等々、目まぐるしく変わる多くの労働大臣やあるいは厚生大臣に、親や夫を介護しながら、さらに家事一切をこなしながら、骨身を削る思いで働き続けなければならない中高年女性労働者や男性労働者と一緒に請願に参りました。実態調査を通して生の声を届けるために、何度も何度も足を運んだわけでございます。
 その中に、葛飾区に住む四十四歳の男性のBさんは、独身で、七十七歳の母親と同居して二人暮らしてございますけれども、母親が心筋梗塞で倒れて、おむつ使用の状態になったために、Bさんは会社をやめて自宅に機械を持ち込んで仕事を続けた。しかし、収入は半減して、結婚したくともお嫁に来てくれる人はおりません。そういう方と御一緒に参りました。あるいは千代田区に住むMさん、この方も独身で、女性でありますけれども、山陰に住む父親が痴呆性老人になりまして、母親が二十四時間、眠る暇もなく介護している。この母を助けるために有給休暇を使って、土日を利用して、東京と山陰を往復。会社をやめようと思ったけれども、自分もシングルでございますから自分の老後を考えると、やめた後の自分の老後が心配でやめるにやめられず、そして新幹線で通い続けて介護したという状況がございます。そういう方たちと一緒に何度も大臣に訴えてまいりました。
 このときこういう人たちは、短縮時間の勤務制あるいは介護休業制度があったらどんなにいいかということを絶えず訴えておられましたけれども、職場をやめたくともやめられない人、やめたくなくともやめざるを得ない人、そういう人を入れますと七万人とか八万人ではとてもございません。今、長い長い間願い続けてまいりました介護休業法が国会の場で審議される段階を迎えることができましたことに深い感銘を覚えるものでございます。
 しかし、今日までどんなにすばらしい法律ができましても、その法律はいつもいつも未組織で働く女性たちの頭の上もかすめませんでした。そこで、今度こそはこの介護休業法の光がさんさんと彼女たち役たちの全身に当たって、そしてだれもが安心して働き続けられる職場環境の実現をと祈り、願っているわけでございます。
 私と同じ思いの多くの方々から一千通を超えるような、労働組合の方たちあるいは組合に入っていない方、男性、女性から、多くの方からはがきが届いておりますし、また五月十六日の朝日新聞にも掲載されました。その思いは同じ内容でございますので、ここで掲載された新聞を、御存じたとは思いますけれども、ちょっと読み上げてみたいと思います。「介護休業案は国民側に立て」、相模原市の平川さんという五十四歳の主婦でございます。
  急速に進む高齢化社会に、国民は今すぐ介護を必要とする老人を抱えながら、休暇もままならず、さりとて施設も足りず、設備も整っていない家庭での介護には限界もあり、費用はかさむが、やむをえず老人病院入院という例も多いのが今の老人介護の実態だ。
  わが家でも痴ほう症の姑を十年余り介護した経験から早期実現を切に望む者である。
  政府案、新進党案とちらを優先させるかは、今すでに国民が高齢化社会という暗いトンネルの中で右往左往している姿を見れば、九六年施行で一年に複数回とれる新進党案が国民の期待にこたえうるものだ。
  今、政府がこの現実が見えないとしたら、あまりにも国民を侮ることになる。とかく、権力というイスに座ると謙虚に現実を見る姿勢に欠けるものだ。その醜い姿から今すぐ目をさましてほしい。「人にやさしい政治」を掲げて発足した村山内閣は今、その腕を見せる時が来ている。
というような内容の文章です。同じく、やはり名古屋での公聴会を聞かれた専門学校の教員の方も同じような内容で載せておりますけれども、これが今、働く女性、働かなくとも介護をしている人の同じような声ではないかというふうに思うわけでございます。
 そこで、まず大臣にお尋ねいたします。もう耳にたこができるほど聞かされておりますが、介護のための離職者が八万一千人で、そのうちの九割、七万三千人が女性労働者という数字に対して、大臣はどのような感想をお持ちでしょうか、お伺いいたします。
#69
○国務大臣(浜本万三君) 今、議員から過去にさかのぼっていろいろお話がございましたんですが、私も承知しておりますが、公明党の皆さんが介護休業法を制定しようということで、参議院の野党で話し合いまして準備をしてまいったことはよく承知をしております。私もその当時、皆さんと一緒に介護休業法をできるだけ早く制定をしたいという気持ちを持っておったことは、今申し上げなくてもよく御承知いただいておると思います。
 お話がございましたように、たくさんの人が家族の介護のために職場をやめなきゃならぬ、そういう事実があることも承知をしておるわけでございます。
 ただ、こういう制度を新しく導入いたします場合には、これは労働条件に類することでございますから、当然、労働者の皆さんの御要望があり、それを受けて立つ事業主の皆さんの御意見も十分拝聴しなければならないと思っております。ですから、労働者の皆さんの御要望と事業主の皆さんの御要望を聞きながら、バランスのとれた介護休業制度というものを早急に実現することが必要であるというふうに思っております。
 今回、提案をさせていただいております介護休業制度につきましては、そういう意味で各種審議会の慎重な御論議をいただきましてそれぞれバランスのとれた提議をいただきましたので、そういう考え方に基づきまして法案を作成させていただいたわけでございますので、御了承をいただきたいというふうに思っております。
#70
○武田節子君 女性離職者七万三千人という数字の中にあらわれてこない仕事、家事、あるいは寝たきり・痴呆の親の朝昼晩の食べ物を寝床のまくら元に用意して介護を毎日行って、それで勤務をしている労働者たちは、毎日ががけっ縁を歩くようなまた綱渡りをするような生活に心身の疲労に耐えたあげくの果てに、ぎりぎりの選択で離職したというふうに思うのでございますけれども、大臣の胸には彼女たちの痛みが伝わってくるでございましょうか。このたびの政府案でこの問題が解決されるとお思いでしょうか。人にやさしい政治を志す労働大臣の御所見を賜りたいと思います。
#71
○国務大臣(浜本万三君) 私も、ことし労働省の重要施策を決定いたしますときに、今、日本の社会で重要なこと、介護の問題はおろそかにすることができないというふうにかねがねから思っておりましたので、今度この法案をつくらせていただいたような次第でございます。
 介護休業制度というのは、議員も御承知のように、高齢化、核家族化が進展いたします中で、介護を必要とする家族を抱える労働者が働き続けるために重要な制度であるというふうに考えております。このため、政府といたしましては、今国会に介護休業制度の法制化を盛り込んだ法律案を提出しておるところでございます。
 この法律案につきましては、長い間、労働者の代表、使用者の代表及び公益委員で構成される婦人少年問題審議会におきまして真剣な討議が行われ、労使ぎりぎりの折衝を重ねた結果を踏まえまして、家族介護や労働者の雇用の継続の必要性と企業の負担と調和を図りつつ、人にやさしい制度が確実に定着するようにと考えまして作成をいたしたものでございます。
 この点につきましても十分御理解をいただきまして、この法律案の早期成立方につきまして心からお願いを申し上げたいと思います。
    ―――――――――――――
#72
○委員長(笹野貞子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、大河原太一郎君及び安永英雄君が委員を辞任され、その補欠として加藤紀父君及び青木薪次君が選任されました。
    ―――――――――――――
#73
○武田節子君 次にお尋ねいたしますけれども、私は、もう既に施行されております育児休業法と今回の介護休業法は、男女で取得できるという画期的な法律に喜びを禁じ得ないわけでございます。それは、この法律の施行によりまして、まだまだ我が国に根強く残っております男は仕事、女は家庭という男女役割分業体制が崩れて、そして我が国の方針でもございます男女共同参画型社会の実現が一段と進むことが予想されるからでございます。このたびの政府提出の介護休業法の内容で、男女共同参画型社会の実現に期待は持てるのでしょうか、お伺いいたします。
#74
○政府委員(松原亘子君) 先生の御指摘のとおり、今回の介護休業制度も男女労働者が請求をできるということにいたしているわけでございます。育児休業法と同じ内容でございます。
 これは、おっしゃるとおり育児や介護、こういった家族的責任はこれまでとかく女性の仕事、女性の責任というふうにされてきた嫌いがあるわけでございますけれども、そういうことではなく、男性も家族の一員としてぜひ育児・介護に責任を持っていただきたいし、そういう方向に社会全体が動いていく方向になっていただきたいというふうに私ども思うわけでございます。
 そういうことで、法律といたしましては、先ほど申し上げましたように、男女労働者が請求できるということにいたしているわけでございますけれども、実際に男性がこういう休業をとるかどうかということは、またこれは大きく意識にもかかわってくるわけでございます。
 育児休業法に基づいて育児休業制度が男女労働者ともとれることになっておりますけれども、私どもの調査結果によりますと男性の取得者は非常に少ないという結果になっております。ただ一方、介護休業につきましては、これも私どもの調査でございますけれども、介護休業をとった方の約四分の一が男性という結果も出ております。これは育児と介護との違いかもしれませんし、その他いろんなことがあろうかと思います。
 いずれにいたしましても、男性だから外で働くのが主、女性だから仕事よりは家庭のことが主といったような固定的な役割が決められるということはおかしいわけでございます。これは社会を構成する男性女性、全体がそういう意識を持って取り組んでいただくことが必要であろうかと思います。この法律の枠組みで男女労働者がとれるということになったことだけでそういう方向に行くかどうかというのはなかなか一概には言えないものでございまして、こういうものであるということを私どもも啓発をいたしたいし、また先生方にもぜひ御協力をいただきまして、男女共同参画型社会の実現に向けて一歩でも進めていただければというふうに思う次第でございます。
#75
○武田節子君 だからこそ男性がとりやすい条件というものをしっかりつくってほしいなというふうに思うんですけれども、政府案に対してひとつこれからお尋ねします。
 第一点目は、介護休業の対象となる範囲についてでございますが、政府案では、要介護者の範囲を配偶者、父母、子、配偶者の父母としておりますけれども、核家族化、一人っ子時代と言われておりますので、今後、生活スタイルが多様化し、シングルで人生を過ごし高齢期を迎える人々も相当生じると思われます。そのため、シングルで過ごしてきた兄弟姉妹を介護するために休業を取得できるようにすることが重要であると考えますけれども、政府案はこれに対応できるようになっているのでしょうか、お尋ねいたします。
#76
○政府委員(松原亘子君) 介護休業制度において対象とする家族の範囲でございますけれども、この制度自体が、企業に一律に義務づけられる制度だということを前提として、その範囲をやはり検討する必要があるということでございますが、そういう観点からすれば、労働者本人が休業してその家族の介護に当たる必要性について、やはり国民のコンセンサスというものが必要であろうというふうに思います。
 このため、この法律案では、実際に既に介護休業制度が導入されている企業における制度利用者の実態などから見まして、配偶者と父母、子供及び配偶者の父母というものを基本といたしているわけでございますけれども、この問題を検討していただきました婦人少年問題審議会の議論を踏まえまして、父母及び子に準ずる一定の範囲の親族をも対象にすることにいたしております。
 具体的には労働省令で定めることにいたしておりますけれども、今先生御指摘されました兄弟姉妹につきましても、同居し扶養している場合には労働省令に含めるという方向で検討いたしたいというふうに考えているところでございます。
#77
○武田節子君 次に、介護休業期間と回数についてお尋ねいたします。
 政府案は、介護休業期間を三カ月、取得回数を要介護者一人につき一回としておりますが、これは余りにも現実を御存じない方々でお考えになったのではないかというふうに思われますけれども、大臣、夫の介護のために離職した女性の切実な声をちょっとお聞きください。
 東大和市に住んでいる五十一歳のKさんですが、こういった回数とか期間というのは、病気にもよると思うけれども、入院、手術の期間が三カ月以内で治る可能性のある病気であればよいのですけれども、高齢の方の病気の場合、さまざまな病気が同時に併発することが多いのです。このため、入院、手術、退院し、リハビリのための通院、また、施設への入所となりますと現在でも二、三年は待機しなければ入所が困難でございます。生きるか死ぬかの瀬戸際のとき、三カ月というのは先の見通しがつきません。医療的な立場を踏まえ、状況に合わせて、せめて一年の期間があれば入退院、施設への入所等の見通しがつくのではないでしょうか。
 夫がクモ膜下出血で倒れたとき退職勧告を受けました。仕事を続けるか夫の介護をするかの選択に対し、生活や仕事のことに悩み抜いた末に余儀なく退職をいたしました。現在、介護をして二年になりますけれども、振り返ってみると三カ月というのは入院期間であり、その後のリハビリの見通しが立つのが一年。一年あったら見通しが立ち、仕事に復帰できたと思います。三カ月ではとても今の私たちには役に立たないと思いますというようなことを申しております。
 また、前にもお話ししたことがございますけれども、中野区に住むUさんという中小企業に働く中高年女性で、両親の介護に、母親は入院、留守番の父は失禁する要介護者になった。高速道路をタクシーで飛ばして病院へ、帰って父の介護、九年間介護しお母さんが亡くなった。そして今度は父親の自宅介護が続きました。こんなとき勤務時間短縮と介護休業法があったらと、切実にこの方は訴えておりました。今、この人々の願いがかなうかどうかみんなかたずをのんで成り行きを見守っていると思います。
 私の姉も生活の主体者でしたが、仕事を一切やめて仙台で寝たきりになった母を五年間介護し、送りました。高齢者介護は先の見通しがつきません。普通、介護は五、六年が多いのですが、長い人で十年以上も見ている人だっております。そのために家庭不和になったり離婚問題になったりしておりますけれども、大臣、三カ月では余りにも短過ぎます。最低一年はどうしても必要だと思いますけれども、三カ月とされた理由についてお尋ねいたします。
#78
○政府委員(松原亘子君) この法律案を私ども立案する基本的な考え方につきましては、既に御説明しておりますが、もう一度改めて申し上げさせていただきますと、一方で家族による介護の必要性、そして労働者にとって雇用の継続の必要性という労働者サイドの必要性があるわけでございますが、もう一方では、介護休業制度というのが労働条件でございますことから企業の負担ということがあるわけでございまして、こういった双方の事項といいますか、事由といいますか、ニーズといいますか、必要性というか、そういうことの調和を図る必要があるということでございます。そして、この制度の定着というのを確実にさせるということがまた必要だというふうに考えているわけでございます。
 そういうことから、もっと具体的に申し上げれば、この介護休業制度の法制化については、法律ですべての企業に一律に介護休業を義務づけるということにしております一方、その義務づけの部分は最低基準というふうにいたしまして、これを上回る部分については企業に対する努力義務規定というのがございますが、その努力義務として労使の自主的な努力にゆだねるという基本的な考え方に立っているものでございます。
 この介護休業期間の三カ月ということでございますけれども、これは介護休業制度が家族による介護がやむを得ない場合の緊急的な対応措置であるというふうに位置づけていることと、さらに家族が介護に関する長期的な方針を決めることができるようになるまでの期間としては、三カ月程度の期間が必要とされるということから三カ月というふうに判断したわけでございます。
 なお、既に介護休業制度が導入されている企業において、実際に介護休業を取得しそして復職した方のその期間を見ますと、七八%の方が三カ月以内に職場復帰しておられるといったようなことも勘案いたしまして三カ月というふうにさせていただいているわけでございます。
#79
○武田節子君 要介護者一人について一回の休業については、先ほどの夫を介護しているKさんはこんなふうに言っております。いつとろうかという判断が難しい、今回は危ないと思ってもこの先もっと重い症状になったらどうしようと迷う、ぜひとも一症状に一回を望むと、こんなふうに言っております。
 大臣、とにかく高齢者は幾つもの病気を持っているんです。私も時々病院などに様子を見に行くことがございますけれども、病院のフロアは高齢者でいっぱいです。そして、眼科の治療から出てくると今度は耳鼻科、そこから出てくると内科、そこから出てくると今度は歯科、そして最後はひざ小僧にたまった水を取りに行くと。幾つも病院を回っていてたくさん病気を持っております。
 ですから、要介護者一人につき一回では、さきに述べましたように判断に迷う。この次にもっと重い症状になったらと、なかなかとれない。そして我慢に我慢して共倒れになってしまうという実例が多うございます。
 人生五十年時代から八十年時代、もしかするときんさん、きんざん時代の到来にもなるのではないかというふうに考えられます。とにかくとてつもない長寿の時代です。こうした時代の推移から考えますと、要介護者一人について一回と定められた理由はどんなものなんでしょうか、お伺いしたいと思います。
 御参考までに、施設の入所がどれほど厳しいかという点を聞いてみましたけれども、田無に住んでいるAさんですけれども、この方は特養ホームの勤務でございます。そこは百名の収容施設です。現在四百八十名以上の人が入所を待っております。年間五、六名が入所可能が現状である。それから、大田区のあるホームでは、入所申請、それは福祉事務所からホーム入所までの期間が最長六年七カ月、最短一年二カ月、平均二年二カ月。その間申請の手続とかなんとかを入れますともっと長い時間になるということでございます。世田谷のあるホームでは、ほとんどの特養ホームも全部あきなしで、亡くなったときにそこのあいた分だけ受け入れておりますと。ですから、今世紀には間に合いませんとの返事が返ってまいります。
 このような実態を踏まえますと、三カ月、一回ということを考え直していただきたいと思いますけれども、いかがなものでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
#80
○政府委員(松原亘子君) 三カ月につきましてもう少し追加的に、今先生が御指摘なさいましたホーム等への入所に時間がかかるということをおっしゃられたことに対しまして申し上げさせていただきますと、確かに御指摘のように、家族による介護が三カ月じゃ終わらずもう少しかかるという方も症状によってはあるかもしれませんし、また先生が御指摘されましたように、施設などに直ちに入れないということから、待機期間が要るというようなこともあろうかというふうには思います。
 ただ、まずその三カ月を超えて家族による介護が必要となるというようなことにつきましては、一人の家族が全部その介護をやるのかどうかということが一つあろうかと思います。一人の家族に長期の介護をゆだねるということは、個人の肉体的、精神的な疲労ということを考えますと、どうしても限界があるのではないかというふうに思います。
 介護について何が問題であったか、何が大変であったかという調査をいたしますと、もちろんいろいろな選択肢があって、それなりに多くの方が答えておられるんですが、その中でも精神的に非常に負担が大きいというのが非常に大きな割合を占めているというような調査結果もございます。こういったことから、家族が交代して介護に当たるなど、特定の人だけに介護の負担を負わさない工夫ということが必要ではないか。そういうことによってより長期の介護にも対応できるのではないかというふうに考えるわけでございます。
 また、先ほどの入所待ちのことも含めまして、長期の休業取得ができるようにということについて申し上げますと、長期の休業取得者が出た場合の中小零細企業の負担ということも一方であるわけでございますので、そういったことも考えるべきだというふうに考えておりまして、今回の介護休業制度が労働者の権利、事業主の義務という形で法制化するということを考えますと、三カ月を上回る長期間の介護休業を企業に一律に義務づけるというのは、これはなかなか難しいというふうに判断したものでございます。
 また一回、要介護状態一回ではなく家族一回についてということでございますけれども、この問題を御検討いただきました審議会の審議に資するために、介護問題の専門家の先生、またお医者様、そういった方々に入っていただきまして介護休業制度に関する専門家会合というのを開きました。そこで今ちょっと御説明いたしました三カ月の問題も検討していただいたのでございますが、それに加えて取得回数の問題につきましても、確かに先生がおっしゃいますように労働者の立場だけを考えますと、介護休業が必要なときにいつでも何回でもとれるという制度が最も望ましいということなのかもしれません。しかし、企業に対する義務づけということを考えますと、そこはおのずから調和をとらなければいけないということになってまいるわけでございます。
 そこで、この専門家会合におきましても、繰り返し介護休業を取得することを認めるということは労働者にとっては望ましいが、代替要員の確保、計画的な人員配置等に支障が生じることになり、特に中小企業においてはその負担は著しいというふうに指摘をされております。また、要介護者の継続する一要介護状態について一回は介護休業を認めるという考え方もあるが、再発・併発の場合など、一要介護状態が継続しているか否かの判断が困難な場合もあり、難しい問題を含んでいるというふうに指摘されているわけでございます。
 この法律が労働者の権利、事業主の義務ということで法制化をしようというものでございますので、判断が難しいということを前提として組み立てるということはやはりできないのではないかということなども考慮いたしまして、法律で定める最低基準といたしましては三カ月、家族につき一回ということにさせていただいたわけでございます。
 ただ、三カ月を超えて必要な場合、またどうしてももう一回必要な場合ということが全くないということを申し上げているわけではありませんで、そういうこともあろうかと思います。そういう場合に対処するためには、労使で十分にお話し合いをいただきまして、法律で定める最低基準を上回る制度の導入を進められることが望ましいわけでございます。
 そういうことから、この法律案の中におきましてもそういったことについての事業主の努力義務が規定をされているわけでございまして、政府といたしましてもこれを十分周知啓発をしていくことといたしているところでございます。
#81
○武田節子君 今、局長からいろいろ御説明を伺いましたけれども、三カ月以上の介護を一人だけにすれば負担がかかるので家族でというふうなお話がありましたけれども、今はもう核家族化しているし、一人娘、一人息子の時代ですから、家族でみんなで交代というのもちょっとこれは無理なことでございまして、果たしてそういうことができるかなと思いながら伺ったんです。ですから、そうなりますと一日も早くゴールドプランの達成ということが待たれるわけですけれども、そういう状況にあることを今ちょっと申し上げておきたいと思います。
 次に、不利益取り扱いについてお尋ねいたしますけれども、政府案では介護休業及び介護のための勤務時間短縮について解雇の禁止は定められておりますけれども、それらの取得に対して考えられる不利益取り扱いに対しては何らの措置はとられておりません。何の手も打たなくとも十分どお考えなのでしょうか。
 私は、解雇の禁止は当然として、原職復帰、配置転換、昇給、昇格、ボーナス、退職金等の不利益取り扱い禁止規定を法律に明記すべきと考えますけれども、御所見を伺いたいと思います。
#82
○政府委員(松原亘子君) 今、先生がおっしゃいましたように、この法律案におきましては、介護休業の申し出をし、または介護休業をしたことを理由とする解雇の禁止規定がございます。また、年次有給休暇の取得要件、出勤率八割以上というのが労働基準法に定められておりますけれども、この取得要件である出勤率の算定に当たりましては、介護休業を出勤とみなす取り扱いをするということで、これも今回の改正法案の中に入れさせていただいております。
 ただ、それ以外の賃金ですとか配置、その他の事項につきましては、介護休業をする労働者というのは一定期間継続して休むわけでございますので、その休んだことを、例えば昇給だとか昇格、昇進等についてどういうふうにこれを取り扱うのが不利益なのか、そういったことにつきましては必ずしもコンセンサスが得られているとは言えないのではないかというふうに考えております。そういうことから、そういうコンセンサスが得られていないことを法律上明文化することはできないということで明文化していないわけでございます。
#83
○武田節子君 次に、介護休業中の所得保障についてお尋ねいたします。あわせて社会保険についてもお尋ねいたしたいと思います。
 政府案では休業中の所得保障について何も定めておりませんが、それではせっかく介護休業制度をつくっても取得する人は少ないのではないでしょうか。介護に要する費用もさることながら、主たる介護者の年齢は四十から五十で六五%を占めております。ちょうど家庭的に子供の教育や住宅ローンなどで最も負担のかかる年代でございます。
 先ほどの局長の御説明で約七八%の方ですか、三カ月の取得期間で職場へ復帰しているというお話がございました。三カ月になさったさまざまな理由を伺いましたけれども、私は所得保障がなければ三カ月がぎりぎりの限界線のように思うのです。また、所得保障がない休業法は逆に女性にその負担が大きくなって、何のための介護休業法か、絵にかいたもちに等しくなるのではないか。所得保障がない法律というのはとりにくい法律のように感じるのでございます。
 ここにまた働く女性の声を御紹介して、大臣の御所見を伺いたいと思うんです。
 江戸川区に住んでいるOさんですけれども、母子家庭で、子供三人と八十歳の母親を抱えて中小企業に勤務しています。生活の主体者です。八十歳の母親が心臓とリューマチの持病で、時々心臓の発作を起こします。ことしの二月、入院をしたときに、ベッドのあきがないので一日二万二千円、一週間で十五万円の差額ベッド代を支払いました。母親は一日二万二千円と聞いただけで血圧がどんどん上がって、病気が悪化してしまいました。もう退院するなどと言いまして本当にほとほと困ったんですけれども、幸いベッドがあいて退院せずに済んだわけでございます。
 彼女はこんなふうに言っています。無給で介護休業をとるとなると、生活はどうするのかと考えると借金しかありません、区から介護費用の貸し出しはあるのでしょうか、生活費の貸し出しはあるのでしょうか、介護のために首をくくらなければなりません、親子共倒れです、こんなふうに言っておりますけれども、ぜひとも政府案の休業中の所得保障についてお尋ねしたいと思うんです。
 また、介護休業中の労働者の負担すべき社会保険料についてもいかがお考えでしょうか、お伺いいたしたいと思います。
#84
○国務大臣(浜本万三君) 社会保険の問題は後で局長の方からお答えしますが、最初に休業期間中の所得保障の問題について私の方からお答えをいたします。
 休業期間中の経済的援助につきましては、昨年の十二月に出されました婦人少年問題審議会の建議におきまして「休業期間中の経済的援助のあり方については、今後、介護休業制度が適用される時期を念頭におきつつ、更に十分に議論することが適当と考える。」とされているところでございます。
 したがいまして、制度の適用時期というものを念頭に置きながら、十分に検討の上対処をしてまいりたいと思っております。
#85
○政府委員(松原亘子君) 社会保険料の労働者負担分の問題でございますけれども、これは労働省の問題というよりは厚生省の所掌の問題でございますので私からはちょっと申し上げにくいことでございます。先生からそういう御質問があったということは担当のところに伝えたいというふうに思います。
#86
○武田節子君 次に、中小企業の事業主の支援と施行期日についてお尋ねいたします。
 現在八万一千人もの人が介護のために退職を余儀なくされている現状で、四年後では余りにも遅過ぎるだろうと私は思います。それを聞いただけでどれだけの人が泣くだろうか。一日も早い制度の施行を望むわけでございます。職場が忙しいときに、労使の話し合いということですけれども、待ったなしのときに話し合いで断られたらどうすればいいのでしょうか、とKさんは自分の経験からこんなふうに言っておりました。
 中小企業で働く労働者は約四千万人、中高年女性、男性もですけれども、就労先は中小企業が多うございます。大企業には比較的若い人が採用されているように思うんですけれども、中小企業のために実施を四年先送りにするということは、この考えは私は逆で、今すぐ休業制度の欲しい人は中小企業で働く人たちでありますし、女性であると思うんです。ですから、中小企業に手厚い助成を行って、平成八年四月から一斉に実施すべきと思いますけれども、これは私の部屋に山積みにされている要望書やら意見書などを見ますと一目瞭然だと思うんです。
 ですから、大企業を中心とした考え方それ自体が私は介護休業の精神に反するのではないかと思うのですけれども、いかがなものでしょうか、お伺いいたします。
#87
○国務大臣(浜本万三君) 介護休業に関する施行日につきましては、介護休業制度の現時点での普及率を考慮いたしますと、中小零細企業を含め各事業所において介護休業制度を円滑に導入するための十分な準備期間が必要であると考えております。したがいまして、施行日を平成十一年四月一日としたものでございます。
 私といたしましては、今般政府が提出をいたしました法律案につきましてぜひとも速やかに成立させていただくことにより、介護休業制度を法律で義務づける時期を明確にするとともに、それまでの間におきましても、中小零細企業を含む各事業所でできる限り速やかに制度が導入されるよう積極的な支援措置を講じ、法の円滑な施行を図ってまいりたいと考えております。
 大企業優先ではないかというお話でございますが、もしそういう考え方を通すとすれば、育児休業法の方に大企業を先行させて中小企業を十分準備期間を置いて後で実施する、こういうことになるんですが、今回の場合には中小企業も大企業も同時にやってほしいというふうな御希望があったようでございまして、こういうふうになったというふうに思います。
#88
○武田節子君 次に、ILO百五十六号条約についてお尋ねいたします。
 家族的責任を有する男女労働者が職業上の責任と家族的責任との間にできる限り抵触を生ずることなく職業に従事する権利を行使することができるようにすること等を国の政策の目的とすること等について定めているILO百五十六号条約は、さる四月十四日、国会承認を得ているわけでございます。
 この家庭責任条約を批准する上で最大の関門とされておりました男女ともにとれる育児休業法は既にスタートいたしたわけでございます。残る介護休業法を一日も早くスタートさせて批准してほしいというふうに思っているわけでございます。
 今、時代は企業中心社会から個人生活中心社会へと言われております。それは男女ともに職業生活と家庭生活が調和できる社会の実現であろうかと思います。一日も早くILO百五十六号条約を批准して、百六十五号勧告どおりの措置を実現すべきと思います。それにつけても介護休業法の一日も早いスタートということが望ましいと思うのですけれども、大臣の御所見を伺わせていただきたいと思います。
#89
○政府委員(松原亘子君) 先生おっしゃいましたILO百五十六号条約、家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約でございますが、介護休業に関連すると思われる条文は第四条というのがございまして、ここには「男女労働者の機会及び待遇の実効的な均等を実現するため、次のことを目的として、国内事情及び国内の可能性と両立するすべての措置をとる。」、こういうふうになっておりまして、その中に「雇用条件及び社会保障において、家族的責任を有する労働者のニーズを反映すること。」、こういうふうになっております。
 今回の介護休業制度の法制化は、今ちょっと読み上げさせていただきましたILO百五十六号条約の第四条に書いております家族的責任を持つ労働者のニーズを反映した雇用条件ということで、その趣旨に合致するものであるというふうに考えているわけでございます。四条に、読み上げさせていただきましたとおり、「国内事情及び国内の可能性と両立する」というふうに書いてございまして、これは介護休業制度の内容ももちろんでございますが、いっこういった措置をとるかということも含めまして、その国内事情なり国内の可能性を踏まえて決定するということが条約の精神でもあるわけでございます。
 もちろん、私どももこの制度がなるべく早く多くの企業に導入されることが望ましいというふうに考えているというのは先生と全く同じでございますけれども、中小企業まで含めて義務づけるということを考えますと、先ほど大臣から御答弁を申し上げましたとおり、やはり今直ちにというのはなかなか難しいのではないか、むしろいろいろな摩擦が出てくるのではないかということも心配をされるわけでございますので、そういう観点から、かつまた審議会で労使が御議論いただいた結果も踏まえまして平成十一年というふうにさせていただいたわけでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、なるべく早く多くの企業でこの制度が導入されることが望ましいということで衆議院段階で事業主に対して、平成十一年まで待たずに、それ以前にこの制度が導入されるようにという努力義務が入りましたけれども、そういった趣旨を私どもも十分踏まえて、事業主に対する積極的なPR、指導等をやっていきたいというふうに考えております。
#90
○武田節子君 一日も早い批准を心から願っております。
 最後に、大臣へのお願いですけれども、人にやさしい、働く人にやさしい政治というのは人の痛みがわかるということだと思うんです。その痛みを直ちに取り去る行動を実践することではないでしょうか。例えば、隣の町の人が指を切断した、それを聞いただけで自分の指が取れたような痛さを感じて、直ちに医者にその人を連れていって治療させる人のことだと私は思うんです。介護のために八万一千人もの人が離職しているのに、平成十一年の実施では余りにも無慈悲な法律ではないか。もし傷を一週間も置いたら手おくれになってしまうのじゃないか、直ちに医者に連れていく、私はそういうことが人の痛みのわかる政治だと思うんです。
 平成十一年の実施では余りにも私は期間として長いし、無慈悲だと思うんです。新ゴールドプランの目標が平成十一年でございますから、むしろそれまでの間が介護制度の必要性が高いものと私は思うんです。平成会案の平成八年四月一日の実施にすべきものと思いますけれども、大臣はいかがでございましょうか。社会党御出身の労働大臣でございますし、どうぞ国民の側に立って、労働者側に立った慈愛あふれる御答弁を求めて、私の質問を終わりたいと思います。
#91
○国務大臣(浜本万三君) 介護休業に関する施行日につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、介護休業制度の現時点での普及率などを考慮いたしますと、中小零細企業を含めた各事業所において介護休業制度を円滑に導入することはなかなかできないのじゃないかというように思っております。円滑に導入いたしますためには十分な準備期間が必要になってまいります。そういう意味で平成十一年四月一日といたしたわけでございます。
 しかし、先ほどもお答えいたしましたように、今般政府が提出いたしました法律案につきましてはぜひとも早く成立をさせていただきまして法律で義務づける、そしてそれまでの間でも中小零細企業の皆さんに対しまして積極的な啓発啓蒙活動を行いまして、できるだけ早く円滑に導入できるような支援措置を講じてまいりたいと思っておるわけです。そして、全体が導入できるような体制が整備できますれば、議員の御主張のように早くできることもあるのではないかというように思っておりますので、私どもは今後積極的な努力をしてまいりたいと思っております。
#92
○武田節子君 ありがとうございました。終わります。
#93
○足立良平君 足立てございます。
 平成会の方に少し質問をさせていただきたいと思います。
 政府から提案をされましたこの法案の趣旨といいますのは、きょう朝からたびたび話がありますように、急激な高齢化社会を迎えて、そして家族介護と職業生活の両立を図る必要がある、こういうように説明をされているわけであります。私は平成会の方に、政府案に対して対案を出されている基本的な考え方、いわゆる家庭生活と職業生活の両立を図る観点から、この法案の意義というものをどのように考えておられるのか、これをまず冒頭お聞きをいたしたいと思います。
#94
○星野朋市君 お答えをいたします。
 今、足立委員が御質問なさいましたように、家庭生活と職業生活の両立ということは、これは政府の理念と私ども全く同じでございますけれども、育児の方はこれは一年たてば一年、二年たてば二年、はっきり予定ができるわけでございます。介護の方は急に起こって、しかも先がなかなか予測できない、こういう大きな違いがございます。そこで、我々は育児と介護は全く別個の視点で考えなくちゃいけない、こういうことが一つございます。
 それで、せっかく育児休業法案がここで魂が入ったわけでございますから、介護休業をここで法制化するならば、最初から完璧とは言えないまでも、もう少し実のある形で法制化させたい、そういうのが私たちの心でございます。
 余談になりますけれども、これはある仏具屋がPRにこういうことを言ってます。心は形を求め、形は心をすすめる。いい文句なんですよ。我々はまさにそういう考えでこの法案を提出した次第でございます。
#95
○足立良平君 それでは、これはひとつ大臣にお聞きをしておきたいと思うんです。
 大臣はよくこの介護休業法案について、俗な言葉、俗といいますか、ことわざ的に言われている小さく産んで大きく育てていこうではないかということをたびたびおっしゃってまいりましたですね。小さく産んでそして大きく育てようという意味は、大臣、これは一体どういう意味で受け取らせていただいたらいいのでしょうか。
#96
○国務大臣(浜本万三君) 介護休業制度のような労働条件を定める法律の制定に当たりましては、労使を初め関係者のコンセンサスを基本とすべきであるという考え方を持っております。それぞれの立場からのさまざまな意見を踏まえまして、最大公約数の結論を得るように調整を行うことが政治のリーダーシップではないかというふうに思っております。
 今回提出いたしました法律案は、長い間、婦人少年問題審議会におきまして、真剣な討議が行われました。そして、労使ぎりぎりの折衝を重ねた結果生まれたものでございます。家族介護や労働者の雇用の継続の必要性と企業の負担との調和を図りながら、介護休業制度が確実に定着するようにと考えて作成したものであるというふうに御理解をいただきたいと思います。
 私といたしましては、今般政府が提出いたしました法律案につきましては、先ほども申し上げましたように、ぜひそういう意味で速やかに成立させていただくことによりまして介護休業制度を法律でまず義務づけると。法律で義務づける時期を明確にいたしますとともに、それまでの間におきましても、中小零細企業を含む各事業所でできる限り速やかに制度が導入されますように積極的な支援措置を講じまして、法の円滑な施行を図ることが最良の方法ではないかというふうに思っておる次第でございます。
#97
○足立良平君 大臣、前段のいろんな各界の理解を得てやらなきゃいけない、あるいはこれは法としてきちんとしてやっていかなきゃいけないと。これは私はもう全く大臣の認識と変わりはありません。私も対案を出している平成会の一員として、その点では全く一緒なんです。
 ただ、俗に言う小さく産んで大きく育てるということは、小さく産むということ自身に、ここにこの法としていささか、まだまだ問題があるのではないか、足らざるところがあるのではないか。本来は、保育器に入れなくても、生まれたらすぐにすっとお乳もそのまま飲ませて、その復すくすくと育っていくというのが一番いいわけですからね。保育器に入れなきゃならないような、小さく産むということは、これはいささか問題があるだろうと私は実は思っております。きょうは私、時間がどれだけありますか、これきょうできなければまた次の機会に譲りますけれども、この辺のところを後ほどもう少しまた議論をしていきたいと思うんです。
 それで、大臣にもう一つお聞きをしておきたいと思うんです。今も大臣の答弁の中に、婦人少年問題審議会の議論を踏まえてという文言がありました。朝からずっと何回あるんだろうかと正ちゃん印でつけておったのですが、途中ではからしくなってやめちゃった。相当多い。これは大臣だけじゃない、局長も含めて。例えば私の方の星野議員が本会議で質問したときにも、答弁のまくら言葉にみんなついておる。
 申し上げますと、この要介護老の範囲の問題について質問すると、これもまた婦人少年問題審議会の議論を踏まえてこうしましたと、いわゆるその範囲についてこうしましたと。それから、期間及び回数。いわゆる三カ月にするのか一年にするのかという今回一番重要なこの問題。これも婦人少年問題審議会の結論を踏まえてと、こうおっしゃる。
 所得保障。先ほど来語が出ておりますが、所得保障をきちんとしないとこの介護休業法案というものは、これはもうほとんど意味をなさないではないかというのは、ずっとそれぞれ意見が出た。そのときにも婦人少年問題審議会の建議においてと。これは建議においてと、こういうふうにおっしゃった。
 それから施行期日。来年の四月からやりましょうよという平成会の提案に対して、さらにそれを三年間延ばして、実質四年ぐらい先にならないとやりませんよと、こうおっしゃっている。これについても婦人少年問題審議会における多数意見を踏まえましてと、こうおっしゃっているんですね。これは例えばの話ですよ。これはこの前の本会議での議論。
 本来、この種の問題を考えていくときに、それは公労使のいわゆる審議会におけるいろんな意見を吸収して、そして政府が案をつくるということは、私は当然だと思う。当然だと思うけれども、この建議なり議論なりですべてやってしまって、極端に言うなら、ちょっときょうここに文書を持っていませんけれども、その最終の答申の中には、日経連のときにおいては、この議論を一切変えてもらっては困るというようなごとき意見が添付されておりますね。その婦人少年問題審議会のこの議論の中で、この結論を変えてもらったら困りますよと。それだったら立法府における審議というのを一体どう考えるのかという問題も私は出てくると思う。
 だから、この点で大臣にお聞きをいたしたいと思うのは、私は、大臣としてあるいは政府として、そして社会党出身の私は個人的には大変に尊敬する浜本議員として一体どのようにこの問題をお考えになるのか、これをお聞きしたいんです。
#98
○国務大臣(浜本万三君) 社会党出身の労働大臣としてというのがございますので、そういう立場に立ちましてお答えをさせていただきたいと思います。
 社会党といたしましては、早くから介護休業問題につきまして党内の討議を深めまして、一九九三年の七月に「家族看護・介護休業法制化問題に関する基本的考え方」というのを取りまとめた次第でございます。この内容は、介護休業問題について当時の参議院の野党間で話し合ったときには、私どもの方から報告をいたしまして、皆さんに御理解を得たところでございます。
 その内容につきましては、簡単に言いますと、高齢者介護問題については基本的には社会サービスの整備によって解決すべきではあるが、当面の対応策として緊急避難的に老親介護のための休業を設けることとし、その期間は例えば三カ月として、それ以上については個々の労働者の実情に応じて引き続き休業を認める努力義務を事業主に負わせることなどを打ち出している次第でございます。ですから、今提案しております法案の趣旨とほぼ同様のものを当時お出しをしておるわけでございます。
 今御審議をいただいております政府案は、およそ社会党のそういう考え方に基づきまして提案しておるというふうに私は理解をしておるところでございます。ですから、決して使用者側の御意見や御要請をそのまま受け入れておるということではないと存じます。
 また、介護休業の法制化につきましては、審議会における議論を含めそれぞれの立場からさまざまな御意見があるところでありますので、政府案は、それを労使ぎりぎりの折衝の結果、最大公約数的にまとめて提案したものであるというふうに確信をしておるような次第でございます。本法案審議をお願いしておる議員各位におかれましても、そういう点はひとつ御理解をぜひお願いいたしたいと思っております。
 それから、もう何回も審議会、審議会というお話でございますが、私は、この労働行政は、労働政策を決定いたします場合には、労使がそれぞれ利害が対立するものでございますから、労使及び公益の皆さんの三者構成によって諸政策についていろいろ御審議をいただいて、建議をいただき、それをもとにいたしまして法律をつくるというような建前をとっておるわけでございます。
 今まで本会議におきましても、項目別におっしゃるものですから、項目別に審議会の御答申をいただいてというふうに答えざるを得ない、そういう状況になっておるわけです。まとめてお話があった場合には当然一括して申し上げるのでそのことは省略できると思うのでありますが、質問の要領がそういうふうになっておるので、何回も審議会という名前を出してしまったことにつきましては、御了承いただきたいと思っております。
#99
○足立良平君 大臣、この介護休業法案、これはもうまさに強行法規ですね。こういうものを提案されたというのは、私は浜本労働大臣というのは大変な決断をされたと、介護休業法案として出されたということは。私は平成会で野党の立場でありますけれども、これは評価しているんですよ。大変御苦労さんでした、私は大変な評価です。
 ただ、今私が言いました審議会云々というよりも、これは政府からたびたびこの法案について、文言をちょっと私ははっきり覚えていないかもしれませんが、少子化社会の中で急激な高齢化社会が今到来をしようとしている、そしてその中でいわゆる家族介護と労働の継続というものの調整を図っていかなきゃならないというのがこの法案の趣旨と、こういうふうにずっとお聞きをしてきたんです。
 ただ、私は確かにこれは直接的にはそういうふうに意義づけをできるとしても、今日の日本の経済なり日本の社会が持っている一番の問題点は、経済的には大変な難しい問題になってきている日米の貿易問題なり、これも大変大きな問題なんです。その原因は、今日までの我が国の経済社会の中で働いている人たちの、犠牲という言葉はいいかどうかは別としまして、大変な努力によって膨大な、千何百億ドルという黒字が毎年どんどん累積をされるという社会がずっと続いてきた。そして、一たん不況になれば、また大変だと言ってリストラだ、首切りだ、あるいは一時帰休だ、配転だと、こういうことをどんどんして、そして企業はそこを乗り越えていく、体質を強化する、そしてまた黒字はどんどんふえていく、さらに円高になってくる。これの繰り返しばかりやってきたんです、この我が国の戦後五十年の歴史を振り返ってみると。
 ですから、私はこの法案の意義というのは、先ほど武田委員からも指摘がありましたように、従来の企業中心の社会から人間中心の社会に転換をさせていくある面においてはそれのきっかけになるものである。労働とそして家族生活、個人の生活というものを調整していこうということは、今までの企業中心、極端に言えば個人生活はもうすべてだめよと、単身赴任も行くのは当たり前ですよというふうなそういう物の考え方から、やはり個人の生活を大切にしながら、そして社会も企業もまた繁栄をするような方法はどういうものであるのかということの物の考え方、思想、哲学というものを大きく変えていくのがこの法案の一番大きなねらいになってきているのではないかと思う。それが今日的な一番大きな意義だと私は実は思っているんです。
 ですから、そういう観点からするなら、この法案に対して私は、社会党出身の労働大臣として、社会党出身の総理大臣の内閣として、働いている人たちの生活なりを一体どうするかということがまずあって、そこから次にどうするかということを考えてほしかったなという気持ちが正直言って私はしているんです。ですから、これは希望ですからなんですけれども、あえて申し上げておきたいと思うんです。
 それで、これは平成会にお聞きをいたしたいと思うんです。
 平成会の方でこの法案を出されましたときの考え方、基本的認識をお聞きをいたしたいと思いますのは、在宅介護と公的介護の役割分担、これはきょうは朝からいろんな議論がございました。これは、どういうふうな基本的な認識を平成会としてお持ちになっているのかということがまず第一点目であります。
 この介護休業制度の充実ですね、新ゴールドプラン、これから福祉制度というものをもっとさらに高めていこうというその充実の問題があるわけでありますが、これは一年間なら一年間という介護休業制度をきちんとやれば、一方で、福祉制度で新ゴールドプランを、まあそんなに急いでやらなくてもいいよとか、ちょっとレベルダウンしてもいいよとかというような議論もあるわけでありますから、そういう公的社会サービスとの関係で、これを一体平成会としてどのようにお考えになっているのかということが二点目。
 そして三点目に、これもどなたか質問がございましたけれども、一年というのをやってしまうと女性ばかり、女性ばかりじゃないです、男もこれから介護休業をとるわけですからそれはあれですが、女性労働者の介護負担をふやすことにつながるのではないか、一年ということになると、一人になってしまうというふうな話もございますので、その点、平成会として一体どのようにお考えになっているのか、お聞かせを願いたいと思います。
#100
○委員以外の議員(山崎順子君) お答えいたします。
 ただいま足立委員が御指摘のように、まさに今の日本の社会といいますのは企業中心の社会だと思います。それで、これから人間中心の社会、個人の生活を重視した社会に変えていくためには、おっしゃるように公的介護体制の整備というものがまず第一に考えられなければならないと思うのです。
 私ども平成会では、介護のあり方については公的介護体制というものを第一に考えておりまして、在宅介護をもって公的介護に代替させようという考え方は持っておりません。そのことは、私どもが福祉ビジョンから新ゴールドプランヘの公的介護体制整備への流れをつくったことからも明らかだと思います。しかしながら、現状では御承知のように公的介護体制の整備は大変不十分で、女性たちは本当に悩んでおりますけれども、この公的介護施設への入所にも一年以上かかるというのが普通でございます。
 そこで私どもは、この現状を踏まえまして、介護休業期間を一年ということで提案しているのでございますけれども、公的介護体制が未整備な現在でこそ介護休業制度の必要性が大きいという認識から来年四月からの施行としているのでございます。
 このことは、例えば、一年というのはずっと介護休業をとらなくてもいいわけで、半年間介護休業をとり、その後は時間短縮で勤務をするということになりましたら、今人生八十年というライフサイクルの中で多くの女性たちが仕事もやっていきたい、そして家族も大事にしたいというふうに思っておりますけれども、勤務も続けながらということができますし、その残りの半年の時間短縮をしているときに、例えば夫がそこで介護休業をとり、また勤務時間を短縮するという形にすれば介護される家族も大変安心です。そのことを考えますと、三カ月で交代をするよりも一年間という期間が保障されている方が男女が共同して介護休業をとりやすいということはもう明白だと思います。
 またもう一つ、男女に限らず、所得保障ですとか社会保険料の免除というようなものがなければ、先ほどから何度も御議論なさっておりますけれども、現実には介護をしなきゃいけない家族がおりましてもとりにくいということで、ほとんどの女性たちが今板挟みになって苦しんでおります。
 私ども平成会案では、きちんと所得保障もする、そして社会保険料の免除もするということで、仏つくって魂入れずというような形だけ法案をつくってもというものではない、これこそ本当に生きた、今現実に介護で悩んでいらっしゃる方たちの恩典になるものだと思いますし、それは今現実に悩んでいる方たちだけではなくて、これからの日本を支える若い人たちも今後介護という問題に突き当たるわけですから、ぜひとも所得保障や社会保険料の免除ということは必要でございます。
 そういった形でいきますと、もちろん性別役割分業の意識を変えていくという努力を粘り強く進めることも大事ですが、私たちが公的介護体制をつくり、そして男女が介護の休業をとれるような、そういった体制をつくる責任がございますし、女性の負担がますますふえるというような懸念や批判は私どもの平成会案に対してではなくて、これはむしろ仏つくって魂入れずの閣法に対してなされるべきではないかと考えております。
#101
○足立良平君 それでは次に、要介護者の範囲等についてお聞きをいたしたいと思います。
 平成会の方に先にお聞きをいたしたいと思うんですが、要介護者とは具体的にどのような状態を平成会としては想定されているのか、これをお聞きしたいと思います。
#102
○星野朋市君 平成会のこの法案では、いわゆる日常生活に支障のあるという形で、食事、用便、入浴その他、介護者がいないと日常生活が営めない、こういう形をとっておりまして、そういう意味では、政府案の常時介護を要する、ここら辺との区別では我々の案の方がやや広いかな、そういう感じを持っております。
#103
○足立良平君 さらにお聞きをいたしたいと思うんですが、その前にお断りしておきたいと思いますが、ずっときょう朝から、大体焦点は四つか五つぐらいの項目に絞られてきていますからほとんど似たようなことになってしまいますから、ひょっとしたら政府の方に質問通告してないものが飛び込んでくるかもしれませんけれども、その辺ひとつよろしくお願いいたします。
 それで、範囲の場合には、平成会の場合は同居の親族というのを対象に入れられております。政府の方は、同居の親族というふうなものが、これは親族というのは六親等になりますから大変な幅になるということで、これを外されているというふうに考えていいと思うんですが、この同居の親族というものを平成会が入れられた理由、これをお聞かせ願いたいと思います。
#104
○星野朋市君 お答えをいたします。
 政府案は、配偶者、子、父母、そして配偶者の父母、こういうことになっております。先ほども武田委員が御質問になりましたように、家族形態がいろいろふえまして、シングルの兄弟、シングルの姉妹、こういうようなものもふえておる、特にシングルの姉妹というのがかなりふえると思いますけれども、もっと範囲が広がっておりまして、例えばおじさん、おばさんはどうするんだ、こういう問題がございます。
 ざっくばらんな話になりますけれども、柴又のとらやの寅さん、あの家族のシチュエーションというものを考えてみますと、これはさくらという寅さんの妹がおじさん、おばさんのところで働いているんですね。あのおじさん、おばさんが病気になったときにどうするんだということがございます。
 平成会の案でしたならば、さくらはだんなと子供と別のアパートに住んでいるわけですけれども、これがとらやに同居してそして介護をするということも、これは許されるわけです。もっとも、あの家族が引っ越してきちゃうと、寅さんが帰ってきて寝泊まりする場所がないということは起こりますわな。それから、さくらの御主人というのは、木戸をあげれば裏の印刷屋ですから実際にはそういうことは起こらないんですけれども、一つの仮定とすればそういうことも可能である、こういうふうにお考えいただればおわかりいただけると思います。
#105
○足立良平君 これは政府の方にお聞きをいたしたいと思うんですが、この両方の案を見ますと、今平成会の方から答弁ありましたように、主として同居の親族を平成会は入れているし、政府の方は一応それは外している、表向きは。ところが、これはずっと答弁等をお聞きしておりましたら、省令への委任事項として、別途同居であるとか扶養であるとかという条件を若干つけるとしても、政府としては兄弟姉妹といいますか、それを一応考えなきゃならないだろうというように私は実は受けとめております。
 そこで、お聞きをしたいのは、これはなぜ法案の中にそのことをきちんと盛り込もうとせずに省令でそれをやろうとされるのか、その意図を教えていただけますか。
#106
○政府委員(松原亘子君) 先生に改めて申し上げるまでもなく、この介護休業制度の法制化という場合には、労働者の権利として事業主にはそれを認める義務を課す、こういう形になっているわけでございます。今の家族の範囲について申し上げれば、労働者本人が休業して、その休業を企業に受け入れさせてまでその家族を介護することが必要だということについて、国民のコンセンサスというものがやはり必要ではないかというふうに考えるわけでございます。
 また、現実に介護休業制度を実施している企業の内容を見ますと、配偶者とか本人の父母、子供を範囲に入れているものは非常に割合が高く、いずれももう九割を超えているわけでございます。次いで、配偶者の父母を加えている制度も八割強ございます。やはりこの四種類の家族というのが基本であろうかというふうに思いますのは、今の九割、八割で申し上げました、あと祖父母、兄弟姉妹になりますとずっとその割合は下がってまいりまして、祖父母で四割程度、兄弟姉妹になりますと三割ということで、最初の四つの基本的な家族の範囲と申し上げましたものに比べまして、やはり世の中の実態というのはそこで一つ線があるのではないかというふうに私どもは判断したわけでございます。
 そういうことから、最初の四つにつきましては法律できちんと明示をし、それ以外につきましては、先生がおっしゃられましたとおり、労働者本人による介護の必要性の高さということは理解し、そして同居、扶養を条件として祖父母、兄弟姉妹、孫というものを労働省令で定めるという方向で検討したいというふうに判断をしたものでございます。
#107
○足立良平君 これもきょうの午前中からの議論にも少し出ていたわけですが、諸外国で介護休業制度というものが比較的それはない、全くないというわけじゃないんですが、ほとんどない。
 日本はこれは大変大きな、これは言葉をかえて言えば日本の文化に由来するものかもしれませんね。日本の家族制度の問題に由来するものかもしれないし、あるいはまた日本の例えは長期雇用慣行という前提があるところに初めてこの種の問題が出てくるわけでして、そういうことを前提にしない諸外国の場合には、これは本来的には介護休業というふうなものは余り思想的には入り込んでこないのではないかというふうに私は実は受けとめております。
 ですから、単に外国がどうとかこうとかいう問題を例にして、これがいいか悪いかと我が国の議論をするということはいささかなじみにくい問題だろう、私は実はそう思っているんです。
 ただ、そういう点から考えてみますと、同居の親族ということを考えてみたときに、民法の七百三十条だったでしょうか、もし条文が違っていればまた後ほど議事録で修正願いたいと思うんですが、民法の七百三十条でいわゆる同居の親族は助け合わなければならないという法文があったかと思うんです。
 ですから、そういう面では、それぞれのいろんな事情の中で、しかも日本文化あるいはまた家族というものが大変今希薄になりかけている状態の中で、しかも労働とそしてこちらの介護というものとの調和を図るということにすると、企業の側にそれほど大きな負担がほとんどない場合には、私はむしろ政治的にもそういう判断を加えていっていいのではないだろうかというふうに考えておりますが、この点について再度、政府の方で御意見があればお聞きをいたしたいと思います。
#108
○政府委員(松原亘子君) 先生がおっしゃられましたとおり、民法では「親族間の互助の義務」というのが七百三十条に規定されておりまして、「直系血族及び同居の親族は、互に扶け合わなければならない。」と、こういう規定があるわけでございます。
 もちろん、精神的にはこういったことをバックグラウンドにしているということはあるわけではございますけれども、この介護休業制度は、単に助け合うというだけではなく、労働者が仕事を休むことができる、それも一方的な意思表示で、事業主はそれを拒否することができない、こういう権利義務の関係で構築しようというふうにしているものでございます。そういうことになりますと、一般的な、いわば精神というだけではなくて、実態的にどこまで労働者本人がそういう権利を行使するということについての社会の認識ということが一般化しているかどうかということをやはり判断せざるを得ないのではないかというふうに考えているわけでございます。
 お答えがダブるかと思いますけれども、先ほどちょっと御紹介いたしましたけれども、現在行われております介護休業制度の実態、そこにおきます対象家族の範囲などを考えますと、やはり先ほど申し上げたような範囲というのが、社会的にそこの範囲であれば労働者が権利として事業主に休むことを認めさせるといいますか、そういうものとして法制化することについてのコンセンサスは得られやすいということではないかというふうに思います。
 ただもちろん、その範囲でなければ絶対いけないということをこの法律はまた言っているわけではございませんで、先ほど来、三カ月とか一回とかに関連いたしまして、これは最低基準だからそれを上回る制度について、企業が労使の自主的な話し合いに基づいてさらに別の制度といいますか、上積みする制度を設けていただくことは望ましいことであるというふうに申し上げましたが、それは実態によりましては、もちろん家族につきましても法律の条件というのは最低基準ということでございますので、労使のお話し合いによってもう少し広い範囲まで認めようといったようなことでやっていただくことは、それはあってもいいわけでございます。
 そうあってはならないということをこの法律は決めているわけではございませんで、この法律の内容は最低基準であるということについては私どもも今後周知を図り、それを上回る制度については個別企業の実情に応じて労使でお話し合いをいただいて、検討していただきたいということについては、周知を図りたいというふうに考えております。
#109
○足立良平君 わかりました。
 この最低基準云々というのは、まさにそういうふうに理解をしないと、これはあと全くこの法案が理解できなくなってしまいますから、おっしゃるとおりだと思います。
 それで、次に介護休業の期間の問題についてお聞きをいたしたいと思います。
 これはもう一度平成会の方にお聞きをいたしたいと思うんですが、政府の案は、三カ月ということは、一応これは審議会等を通じてずっと出されているわけです。それに対して一年、一年ないとだめだよ、こういうことで出されているわけでありまして、そういう面でなぜこの一年というふうに提起をされたのか、この点再度お聞きをいたしたいと思います。
#110
○都築譲君 お答えいたします。
 今、足立委員の質問を聞いておりまして、戦後の日本の経済発展の過程での企業優先社会からさらに人間中心社会へというふうな発想、あるいは文化論、家族論まで、大変その炯眼に改めて敬服をする次第でございますけれども、この介護休業期間におきましても、人間中心のそういう社会をこの経済発展の過程の中でどう築き上げていくのかという観点から私ども真剣に議論をしてきたわけでございます。
 そして、午前中も御議論ございましたけれども、各種の調査いろいろございます。労働省の行っております、平成三年の介護を行う労働者に関する措置についての実態調査、これでは労働者の平均介護期間は約二年八カ月、こういうふうな状況がございました。さらにその後、平成五年度の女子雇用管理基本調査、これによりますと、介護休業制度がある事業所が最長の休業期間を定めている場合は、一年とするものが五六・四%、あるいは一年を超える期間とするものが四・八%でございまして、合計をすると六一・二%、こういう状態になっておるわけでございます。
 政府案の方におかれましては三カ月ということでございまして、またその三カ月とした趣旨につきましても、緊急避難的な対応を行うための期間ということで、また事業主の抱えるであろう困難とかあるいは負担、こういったものとのバランスを考慮して三カ月、こういうふうな形で法案を準備した、こういうふうな御指摘でございます。
 私どもの考え方として、やはり例えば脳卒中であるとかあるいは心筋梗塞であるとか、あるいは徐々に進行するものとしてはアルツハイマーとか、いろんな高齢者に伴う病気があるわけでございますけれども、そういったものに対して本当に、先ほどから山崎議員もお答えしておりますように、例えば倒れてから公的な施設へ入所するまでの期間が相当かかる、あるいは地元の、地域のそういうデイサービスセンターとかあるいはナースステーションとか、こういったところとの連携を図っていくに当たりましてもそれなりの期間がかかるわけでございます。緊急避難的に、病院において通常のリハビリを開始するまでの期間は、例えば年次有給休暇という仕組みが労働基準法において認められておるわけでございますから、もっともその年次有給休暇の取得状況も実際のところは五割か六割程度という状況でございますけれども、こういったものを活用することによって対応することが実は可能なのではないか。
 むしろ本当の困難は、やはりそういう介護を要する状態というものが実際には長期間続く、そういった中で年間八万人を超える方たちが退職を余儀なくされるという状況にかんがみまして、せめて一年間は義務として、まあ最長期間でございます。もっとも、短時間勤務という仕組みと取り合わせましてうまく活用していくこともできるわけでございますから、少なくとも労働者がそれを希望するということであれば一年間は与えてやってください、こういう内容にした次第でございます。
#111
○足立良平君 私の時間がほとんどなくなりかけていますので、予定しましたものが余り進んでおりません。これはまた改めてのときに譲らざるを得ないと思うんですが、その前に一応お聞きをしておきたいと思います。これは、政府の方にお聞きをいたします。
 答弁をお聞きをいたしておりますと、いわゆる労働者の介護をしていくというその欲求と、そして企業の負担との調和を図っていかなければならないということをずっと政府の方はおっしゃっているわけです。だから、この介護休業法を導入すると、企業、特に中小企業は大変なんですよということです。大変だということをおっしゃるんだけれども、それでは具体的に何が大変なのか、どれほど大変なのか、私はこれをちょっとお聞きをいたしたいと思います。
#112
○政府委員(松原亘子君) 私どもが介護休業制度を実施していない企業に対しまして、介護休業制度を導入する場合にどういったような問題点があると考えるかということを調査した結果がございますけれども、それによりますと、最も多くの企業が挙げたのが代替要員の確保が難しいということでございます。また、休業者の給与等の負担と。等という中には、社会保険料の使用者負担分の負担ということがあろうかと思いますが、そういう負担。そして、代替要員の処遇というのが挙げられております。二番目に申し上げたことは別といたしますと、やはり代替要員に関連する問題が、特に中小企業にとってはこの制度を導入することの非常に重要なといいますか、困難をもたらしている重要な問題ではないかというふうに理解ができるわけでございます。
 そういうことから、いろいろなところで先ほど来、企業の負担とのバランスとかいうふうに申し上げましたけれども、それは今のこの代替要員の確保対策との関連で言いますと、労働市場の状況において確保できるかどうかということ自体問題としてあるわけですけれども、代替要員を入れることがどの程度可能であるかという要員管理上の問題といいますか、そういうこともあろうかというふうに思います。
 そういうことからすれば、企業としてはできるだけ代替要員を新たに採用するということではなくて、むしろ現在いる労働者で休業者が出た場合には対応できるような形にさまざまな人事ローテーションを工夫するとか、現在いる労働者の多能工化を図るための訓練をやるとか、業務をマニュアル化するとか、権限を移譲するなど、企業内の人事・労務体制の整備ということをやはりやらなければいけないんではないかということについては理解できるわけでございます。
 また、代替要員を採用する企業にありましても、十分な技能や知識レベルからして企業の需要に合うような労働者がそんなに簡単に、しかも代替要員というのは短期間なわけですから、短期間の労働者として確保できるかどうかといったようなことは非常に難しいわけでございます。仮にできたとしても、先ほどちょっと申し上げたかと思いますけれども、休業した方が復職してきた、そうするとその方はもうそれで解雇しなければいけないという状況になるといったようなさまざまな問題があるわけでございます。
 仮に、これを直ちにこの国会で成立させていただくということになっても、例えば来年からすぐ施行するということになりますと、これは十分な準備がないままにスタートするということにもなるのではないかというふうにも思うわけでございまして、先ほど来るる申し上げましたが、そういった検討をやはりしていただく必要があるだろう。それには時間もかかるし、かつ既存の労働力で対応するということになりますと、そこには訓練その他さまざまのコストがかかる面も出てくるといったようなことがあるということを私どもはいろいろな折に把握し、そういうことに対してそれとのバランスを考慮する必要があるだろうというふうにも考えたわけでございます。
#113
○足立良平君 例えば、三年、実質四年くらい先だ、準備期間が要るとかいうふうな話も今一緒に出たわけでありまして、これはまた次回の委員会で私は詰めていきたいと思うんです。
 実際、私は今おっしゃったような意味で本当にその準備期間が必要なのかどうなのかについて考えてみると、私自身も今まで現場でその種のいろんな対応をずっとやってまいりました。例えば労働時間短縮の問題であるとか高齢者の問題であるとか、いろんなことを自分でやってきて、そしてそれの準備期間が必要なことと、それからこの場合の必要性などというと相当格差があるなというふうに思いますが、これは後の方で十分議論をさせていただきたいと思うんです。
 ただ、一点だけお聞きしておきます。
 私は認めませんが、政府の提案のように介護休業が三カ月、そして平成会の提案は一年。そうすると、今問題点がある、企業として負担が大きいと言われておった中で、代替要員が焦点でしょうね。ノーワーク・ノーペイですから賃金は余り関係がない。そうすると、三カ月ではいいですよ、一年だったらだめだよということになるわけですね、この政府の案と平成会の案、三カ月と一年、双方の介護休業の案が。三カ月はいいです、負担は大したことはありません、一年だったら負担が大変大きい、このなにを示してください。
#114
○政府委員(松原亘子君) 代替要員だけについてまず申し上げますと、介護休業をとる方は現実に四十代、五十代の方が多く、かつ勤続年数も相当たっていらっしゃる方が多いわけでございますので、企業においてはもうベテランの方がほとんどといいますか中心になるのではないかというふうに思います。
 そういうことになりますと、特に中小企業においてはそういう方々がたくさんいるというわけではないわけでありますから、そういう方がいなくなることによってその穴埋めをどうするかということは、企業によっても違いましょうけれども、一部には企業の死活問題であるということをおっしゃる企業の方もあるぐらいであります。そういう方がすぐ外部からそこに採用されるということはなかなか難しい面があろうかと思います。
 先ほど申し上げましたように、こういったことが法制化される、企業のベテラン労働者が、二週間という申し出期間はありますけれども、二週間の申し出によって三カ月欠員になるというようなことが十分想定されるわけですから、そういうことになりますと、そういうことを想定した上で在籍する労働者の訓練ですとか、そういう人が抜けても対応できるように多能工化を図るなどのさまざまの対応措置が必要であろうかと思います。これは大企業と中小企業とではかなり事情が違いましょうし、それが三カ月ではなくて一年ということになれば、これはちょっと単純ですから申し上げてはいけないのかもしれませんけれども、数字だけからいえば四倍の負担になると言ってを言い過ぎでない場合もあろうかというふうに思います。
 三カ月についてもうちょっと申し上げさせていただきますと、企業の負担もさることながら、この介護休業制度というものをどう位置づけるかということにかかわってくる方がむしろ三カ月については大きいのではないかというふうに思います。
 それは、また審議会を申し上げて恐縮ですが、審議会で御審議いただくときの参考にするためということで介護休業制度に関する専門家会合、お医者様とかこういう介護の問題についての専門家の方に御検討をいただいた結果でございますけれども、その専門家会合の報告書によりますと、脳血管性疾患ですとかアルツハイマーその他心筋梗塞ですとか、幾つかの介護が必要となる状態の原因となるような疾病ことに御検討をいただきまして、その結果、途中省略して恐縮ですけれども、家族による介護というのは三カ月程度確保することが適当であるというふうに、そういう専門的立場から御検討いただいた結果があるわけでございまして、これが私どもが三カ月としたことの最大のよりどころでございます。
 企業の負担ということももちろんあるのでございますけれども、それが最大のよりどころというよりは、むしろ三カ月については今申し上げたようなところがよりどころになっているというところを御理解いただきたいと思います。
#115
○足立良平君 これで終わりますが、今おっしゃいましたように、私が質問したのは三カ月がよくて一年がだめな理由をはっきり言ってくださいと申し上げたので、今の答弁はまた改めての日にゆっくり聞きます。それから、最後におっしゃった専門家会議で大体三カ月で病状が安定するというのは、これは介護が必要であるかないかという問題はまた別問題ですから、これもまた次のときに全部反論させていただきます。
 まだ、あといろんな問題がたくさんありますが、それぞれお聞きをいたしておりますと、いよいよどうなのか、平成会の案でないとこれはやっぱりだめかなというふうに、今私はますますその感を強くいたしているとだけ申し上げて終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#116
○古川太三郎君 新緑風会の古川でございます。
 午前中から随分と議論してまいりましたけれども、この法律は本当に一体どういう柱なのかというのがいま一つわかりにくくなってきました。一つは、確かに福祉をカバーするような形で労働者の権利を引き上げてくる、そうなのか、それとももともと労働者の権利として確立していくそういう法律なのか。福祉の補完か労働者の権利かというのを、ちょっとそのあたりの柱を聞かせていただければありがたいと思います。
#117
○国務大臣(浜本万三君) つまり議員の御質問は、社会保障政策の観点から行うものか、もしくは労働政策として行うものかどっちかと、こういう御質問のように理解いたしましたので、お答えいたします。
 急速に進展しております少子・高齢化それから核家族化の中で、家族による介護の問題は労働者が働き続ける上で深刻な問題になっておるというのは、先ほどからの御議論で御承知いただけると思います。このため、労働者が介護のために雇用を中断することなく家族の一員としての役割を円滑に果たすことのできる制度として、介護休業制度の法制化を盛り込みました法律案を提出し御審議いただいておるところでございます。
 そういう意味でございますから、介護休業制度は社会保障政策の観点というよりも、むしろ家族の介護の問題を抱えた労働者の雇用の継続を図るという労働政策の観点によるものだというふうに理解をしていただきたいと思います。
#118
○古川太三郎君 そうなれば、社会保障の補完というよりも労働政策の問題として考えていいわけですね。
 そういうことであれば、企業にお願いするとか、企業の理屈で押してこられるよりも、人を雇用するためにはこれだけのことが必要なんですよという倫理観をつくっていくことが大切だと思うんです。その方が先なんですね。二、三百年前の奴隷時代ならいざ知らず、もう相当に文化も発達しましたし、人間は人間であるんだというような観念も発達してきました。そして、幾ら人にお金を払って働いてもらうということであっても、その人の人生あるいはその労働時間というものを拘束するわけですから、やはりそれなりの雇用条件というものをきっちりと雇い主も考えていくべきがこれからの労働政策だと、こう思うんです。
 とすれば、労働者が本当に心配なく働けるためには、自分の病気もありましょう、そういったときは当然休みますね。自分だけじゃなくて親や兄弟、そういった方が倒れたときにはこれは介護するんだ、これは当然ですね。先ほどの午前中の議論にもありましたけれども、日本の家族制度というものを大事にするならばその部分は保存しなきゃならぬ、そういう文化というのがあるはずだと思うんです。外国にこういう介護制度が少ないと言われるのは個人というのが確立しているからである。そしてまたその反面、社会ケア、社会サービスですか、そういったものが発達している。こういうことから、その両者が相まって外国では介護休暇というようなものを特別に必要としないだろうと思うんですね。しかしながら、外国でも雇用者としては労働者を雇うその条件としてこれだけのコストがかかるんだと、一人雇うためにはこれだけのコストがかかるんだと、給与面だけじゃなくて労働条件として、そういう認識が雇用者にあるはずなんですね。あるからこそ個人的な、人間らしい、そういう生活ができるようになってきている。
 今までの企業は、物を生産して、そしてそれを幾らで売ると。それも本当に今までは原料とか、あるいは土地代だとか、利子だとか、そして人件費だとかというような形で、それだけを考えて製品をつくって売っていればよかった。しかし、最近は環境問題とかいろいろな問題があります。そういったものまで考慮しながら、配慮しながら製品をつくって値段は幾らだと、こうならざるを得ない。それが今の資本主義のルールじゃないかなと思うんです。世界に共通するルールというのはそうあってしかるべきなんです。
 日本だけが環境を汚しても大丈夫だとか、あるいは労働者を十二時間も働かせても大丈夫だとか、もうそういう時代は過ぎ去った。十二時間も働いている時代ではないですね。二千時間以上働いていたときには外国から何と言われたか。これは労働者の低コストで物をつくっているじゃないか、こういうように言われていたんです。だから、だんだん労働時間を少なくしてきたんです。
 そして、今の介護休暇というような制度ができるということは非常にいいことなんですけれども、それが本当に実効あらしめるために、そしてまた世界の資本主義のルールとして、市場原理のルールとして、商売のルールとして、そういったものをきっちりと、人を一人雇うためにはこういうことまで考えなければ雇えないんだという倫理観をつくっていくのが今一番大切なことではないかなと思うんですけれども、大臣の御意見を聞きたいと思います。
#119
○国務大臣(浜本万三君) 今、議員から述べられました考え方は、基本的に私はそのとおりだというふうに思います。
 ただ、それを行う場合に大切なことは、これは労使の労働条件の内容にわたる問題でございますから、労使のバランスのとれた接点というものを正しく探る必要があるというふうに思います。労働者の要求に対しまして事業主が、まあここならばうちの企業の力からいえばよかろうというふうにある程度合意するぎりぎりの線を探っていく必要があるのではないかというふうに思います。
 そういう意味で言えば、今回出しております政府案というのは、そのぎりぎりの考え方を法案として提出しておるものでございます。そういうふうにひとつ御理解をいただきたいと思います。
#120
○古川太三郎君 大臣にそう言われるとまたこの法律の意味がちょっとわからなくなるんですけれども、世界に共通するルールだということであれば、これまで一人雇うのにこれほどのことを考えておいてくださいと、労働者が病気になったら休ませましょう、当然ですね。それはずっと前からも同じだ。では家族が病気になったらこれも休ませましょう。各国でそういうルールがあるわけですね。
 だから、日本だけの中小企業がそういうルールを守ってないとかいう問題ではなくて、世界の労働条件というものはこういうルールで、日本も製品をつくっています、だからこそこれは守ってほしい、お願いしますということは日本的な言葉としてはいいんですけれども、法律的な言葉とすればこれは守るべきだというような政策を打ち出していく必要があるんだと。
 それは、確かに中小企業は大変でしょう。しかし、大変だといっても先ほどの議論にもありましたように代替要員をつくるだけが大変なんで、その人が休んでいる間は給料を別に払うとかいうようなものはこの法律には全然ないわけなんです。だから、だれか代替要員さえ見つければスムーズにいくことなんですね。これにお金を払わなきゃならぬということであれば、これは中小企業の死活問題でもあるかもわからぬ。だから、中小企業にとかいうのじゃなくて、企業主にこういうものは物を頼むのではなくて、これは世界のルールだから早く確立してほしいと、確立しなさいということがあってもいいんではないかな、そこまで考えることができるのじゃないかなと、労働政策で考えれば。
 それが、世界から見て日本も一人一人の労働者を非常に大事にしていると、そういうところでの製品だから安心して買える、ダンピングとかそういったことは言われなくて済む、こういうように考えるんですけれども、そういう考え方は労働省としてはいかがなんですか。
#121
○政府委員(松原亘子君) 今、先生がおっしゃられました国際的なルールといいますか、こういったことについてのルールという観点から言えば、それは例えば国際労働基準としてILOがILO条約といったようなことで定める、そして、かつ国際的にもそういったものを国際的ルールとして設定すべきだというコンセンサスのもとにILO条約というのはできてきているわけですから、それが一つの国際的なルールということになるのではないかというふうに思います。
 ただ、その国際的ルールであっても、最低限すべての国が守らなければいけないというものと、国情に応じて、そこへ向けての努力をし、なるべくそういったことが実現できるようにということで設定されたものなど、さまざまあろうかと思います。
 そういう観点から、この介護休業の問題というのはどういった位置づけになるのであろうかというふうに考えますと、私どもとしては、これはすべての国がこれを導入しなければいけない、最低との国もがやらなければいけないものとして求められるルールとまでは言えないのではないかというふうに思います。
 関係するILO条約、先ほどもちょっと申し上げましたが、ILOの百五十六号条約という条約がございます。家族的責任を持つ労働者についての条約でございます。家族的責任を持つ労働者が、そういった家族に対する責任と職業生活における責任とを両立させながら継続して働くことができるようにというために、そういったニーズに合った労働条件の設定などについて国が配慮することを求められているものでございますけれども、この中でも、そういった雇用条件の設定に当たっては、国内の事情に応じてとか、国内の可能性に配慮してそういった措置をとるといったようなことが条約自体に規定をされているわけでございます。
 そういう意味では、国情を踏まえて、いわば国民のコンセンサスを踏まえて設定していくということがこの介護休業制度については求められているといいますか、そういうことで対応してしかるべきものではないかというふうに判断をいたしているわけでございます。
#122
○古川太三郎君 今の局長のお話ですと、日本は、そういう意味では貿易国としては非常に先進国ですね。そういう意味でのゆとりはあるんです。そして介護休暇というのは、先ほどからの議論もありましたように、日本の特殊事情、そういった形ででき上がってきた法律だと。外国にはなかなか少ないと言われるのは、その必要性がないと。
 それは、一つはそういう社会サービスがあります。そしてまた、大きな家族主義、家族単位での生活じゃなくて夫婦単位の生活、親子単位の生活、親と子であっても自分の家を売買するぐらいの個人の確立があるわけなんです。日本で、自分の家を息子に売ろうとか、そういう発想をする人はだれもいないんです。だから、家族というものを大切にしているんです、ある意味では。そういったことをやったら水臭いとか、何とまたがつがつしている人だとか、必ずそういう批判がありますよ。外国ではそれが当然なんです。学費を出してやれば、その学費は、お父さんがあるいはお母さんが年寄りになったらちゃんとその分は返してくれる。家を売買してその代金は親がもらう。そうしていくんですから、ある意味では、介護休暇というような制度が外国で本当に必要とするのかということになると、私は余り必要じゃないんじゃないかと。
 日本でなぜこれが必要か。労働者が介護することによって職を失う、また失わなければならないような社会情勢なんです。その一つは、今申し上げましたような家族主義的な問題があるでしょう。そしてまた、日本の社会サービスがそこまで行っていない。ゴールドプランが全部できたとしても、本当にそれが要らなくなるんじゃないかというところまでは行っていない。だから二本立てで行きましょうというのがこの法律の柱だと思うんです。
 そうなれば、外国と比較せずに、率先して今のILOの考え方を入れて、労働者にそれだけの権利というものを与えてももうおかしくない時代ではないか、こう思うんですけれども、時代の問題として、日本の今の経済力の問題として、どうお考えになりますか。
#123
○政府委員(松原亘子君) 私ども、今回この法律案を提出させていただきましたのは、一方で非常に急速に高齢化社会に突入しているという社会の変化、そしてこれまでは家庭の中で担われてきた介護というものが、女性が職場に進出してくる、共働ぎ家庭がふえてくるといったことによって、家庭での介護機能が低下してくるといったようなことがあるという社会の非常に大きな、急激な変化があるわけでございます。
 そういった中で、この法律、これまでのこういう労働条件を規制する法律の成立の経過などを見ますと、例えば非常に似た制度として育児休業というものがございますけれども、これは昭和四十七年、四十年代の後半から法律の中に事業主に対する努力義務として規定され、労働省でもそれをもとに育児休業についての奨励金制度なども設け、企業に対する積極的な行政指導もやってきて、そういう二十年の歴史があったわけでございまして、それを踏まえて、労働者の権利として育児休業法というのが四年前に成立をしたわけでございます。
 そういうことからすれば、この介護休業の問題、急速な高齢化があったということはあるわけでございますけれども、労働省が行政の施策として取り上げましたのは五年前でございます。平成二年から、シンポジウムをやるとかいうようなことで、この介護休業制度の必要性についての世論の喚起といいますか、理解を求めるための活動を始めたわけでございます。
 それからわずか五年という中で私どもも、先生の御趣旨も私ども理解できますし、かつ一方で、先ほど申し上げた社会のさまざまな事情の変化、そういったことも踏まえて、ややこういった種類の法律を制定するということからすれば異例の速さとでも言えるのではないかというふうには思うわけでございますが、それだけに、一方で使用者側の法制化についての抵抗が非常に強かったということもあるわけでございますが、異例の速さで私どもとしても法制化する必要があるのではないかというふうに判断をいたしまして、労働者の権利、事業主に対する義務づけということで介護休業の法制化を図るということを決断し、今回法律案を提案させていただいているということを御理解いただきたいというふうに思う次第でございます。
#124
○古川太三郎君 よくわかります。それは一気にそういう権利というのはできてこないだろう、やはり年数が必要なこともよくわかります。しかし、せっかくこういう法律ができ上がるんですから、やはり施行までの期間がもっと短くならないだろうか。
 先ほどの労働者の権利だと考えたときに、企業主にそれほど遠慮する必要はないんじゃないか。三年後ですよというんじゃなくて、それはすぐに、あなたはその介護休業をとった人にも給料を払いなさい、そして代替要員で雇った人も企業主が払わなきゃならぬとか、そういう法律ならそれは大変だということになりますけれども、休業をとりなさい、しかし給料は払いませんよ、こういったことが言えるわけなんですね。
 だから、休暇をもらう人はとにかく介護するのに大変で、非常にお金もかかるでしょう、そして自分の給料もストップするということになると、一年とりたくても三カ月で頑張ってまた出てくるかもわからない。統計上三カ月ぐらいが多いんだと言われる裏には、そういう事情があるのではないかと思ったりもするんですけれども、そのあたりの調査はどうなっていますか。わからなければ結構なんですけれども、わかったらよろしくお願いします。
#125
○政府委員(松原亘子君) 先ほど、三カ月の関連で、私どもの調査によると、介護休業制度がある企業で介護休業をした労働者がどの程度の期間で復職しているかということについては、三カ月未満で復職している人々が約八割ということを申し上げたわけでございます。
 なぜ、じゃ三カ月で復職したのかということについてまでは私どもはちょっと調査しておりませんので、そこから同じ調査でその理由を申し上げることはできないんですが、連合が昨年の三月に実施された調査によりますと、介護休業をした期間が何カ月であったかというのは三カ月というのが最も多く約三割です。最も多かったんですが、その理由というか、それのみならずもっと、企業の制度があるにもかかわらず、その目いっぱいではなくてそれより少ない期間になった理由はどうしてかというふうに聞いておられる調査結果がございますが、この調査結果によりますと、最も多いのが被介護者が死亡したということを挙げられているのが二五%、被介護者の病状が回復したというのが二一%ということで、いわば四六、七%の方々は介護をする必要がなくなったという実態でございます。三番目に挙げられている理由で多いのが経済的に苦しかったというのが一六%といったような状況にございます。
 休業期間をどう決めたか、実際にどうしてそうなったかということはさまざまな理由があろうかと思いますけれども、連合の調査では今申し上げたような調査結果になっているということだけ御紹介させていただきたいと思います。
#126
○古川太三郎君 言いにくいことでもやはり一六%あるわけなんです、経済的事情というのは。だから、本当は言いたくないという部分も含めますと、その倍ぐらいはあるんじゃないかなと推測するんです。
 ある意味では、これが本当に一年間あるんだよと会社に言われながら三カ月で帰ってくる。これは確かに半分は今おっしゃったようにもう必要性がなくなった、これはこれでいいことなんですけれども、あとの半分は一体どうなんだろうという問題はあるんだろうと思うんです。
 ここで、政府が三カ月というようなことをおっしゃったのなら、即三カ月の分については何らかの方法で、それは雇用保険でもいいでしょうし、そういったことで育児休業と少なくとも同じような形で出せないものかどうか、またそのことをお考えになっているかどうかをお聞きしたい。
#127
○国務大臣(浜本万三君) いわゆる休業期間中の経済的援助の問題であろうと思いますが、これは昨年の十二月に出されました婦人少年問題審議会の建議におきまして、「休業期間中の経済的援助のあり方については、今後、介護休業制度が適用される時期を念頭におきつつ、更に十分に議論することが適当」であるというふうに申されております。したがって、私といたしましては制度の適用時期を念頭に置きながら、十分に検討の上対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
#128
○古川太三郎君 これは例えば円高対策というようなときには、中小企業含めて非常に国は援助しますね、いろいろなことで財政から出します。この休業保障、こういったことが救えないかと。これ十万人が例えば年間百万もらったと、百万というのは恐らく二五%だっならないだろう、四百万ですから、大体百万としましょうか、十万人の人がもらっても一千億ですよ。中小企業対策だとか円高対策には何千億使っていますか。その財政支出を考えれば私はこういうことは労働省としてももっともっと努力をしていただいて、少なくとも三年間待たすのならば、そのときからすぐにでも育児休業と同じような手当は考えるというぐらいの約束をいただきたいなと、こう思っているんですけれども、大臣いかがでしょうか。
#129
○国務大臣(浜本万三君) さっきこれは答弁申し上げたことなんで、一回繰り返して答弁申し上げることを何となくはばかりたいというふうに思っておりますが、少しでも早くやったらどうかという御趣旨ではないかと思うんですが、介護休業制度がすべての事業所に義務づけられていない状況で経済的援助措置を設けることは、介護休業制度を早期に導入している事業所の労働者と導入していない事業所の労働者との格差が生ずることになりまして、好ましくないというふうに思います。したがって、すべての事業所に介護休業制度が義務づけられます平成十一年四月を念頭に置きながら対処していかざるを得ないと思っております。
 ちなみに、育児休業給付の支給は、育児休業制度の導入がすべての事業所に義務づけられました本年四月一日から実施されておるような状況でございますので、私どもといたしましては、これを円滑に実施いたしますためには、全体の事業所に普及された後でないと難しいのではないかと思っています。
#130
○古川太三郎君 そういう理屈もよくわかります。わからないではないんですけれども、本当に日本で、むしろどんどんそういう個人個人にお金が流れるという方向が今一番必要なんですね。企業や国がため込んでもこれはよくないんで、一人一人が豊かにならなきゃならない。今まではそういう豊かさを追求してこなかった。企業がお金をため込む、それに国は大きな援助を出してきたんです。それが生産者優先の政治だったんです。今まさに個人、消費者優先とか生活者優先、この政治が叫ばれているわけですね。
 そういう中では、できれば早くこういう制度をしなさいよ、した人にはお金をつけますよと、これを言った方がむしろ早まるんじゃないかなと思うんです。現に企業に対しては三年後からじゃなくて三年以前でもこの介護休業制度を確立した企業には、中小企業には七十五万円、大企業には五十五万円差し上げるじゃないですか。企業主には差し上げて労働者にはそのお金が行かないという理由が私は余りよくのみ込めないんで、そのあたりを、違うところがあったら教えていただきたいと思うんです。
#131
○政府委員(松原亘子君) 企業に対しまして介護休業制度の導入奨励金を支給するということにいたしておりますのは、施行日を平成十一年というふうにしているわけでございますけれども、なるべく早く多くの企業にこの制度が導入されることが望ましいということから、それを促進するために、一回限りの一時金でございますけれども、大企業五十五万、中小企業七十五万ということで介護休業制度を導入された企業に支給をするということでスタートさせたいというものでございます。
 一方、育児休業給付に見合ったようなというか、何らかの給付を労働者に支給するということになりますと、介護休業制度が制度化されている企業の労働者は介護休業をできる、そして給付が受けられる、こういうことになりますが、一方で、またすべての企業に義務づけられていない期間の話でございますけれども、したがって、介護休業がとれない労働者、企業に制度化されていないために介護のために休むことができない労働者がいる。その方たちは、休めないということであるのに加え、もちろん給付はないわけです。
 そういうことからすると、全体の労働者の公平という観点からいかがなものか、やはり問題があるのではないかということから、給付につきましても、すべての事業所にこの制度の導入が義務づけられる時期を念頭において考えることが適当だというふうに判断したものでございます。
 先ほど育児休業給付について大臣から御答弁がありましたけれども、育児休業につきましても、義務づけの法律は四年前にでき、ことしから中小企業まで含めてすべて義務づけられました。ただ、いわゆる努力義務規定ということは、先ほど申し上げました昭和四十七年から、育児休業を実施するように努めなければならないという規定は昭和四十七年から法律にあったわけでございます。それに基づいて育児休業の導入奨励金のような措置もとり、なるべく多くの企業に育児休業が導入されるようにという指導をいたしました。
 導入された企業、導入されない企業がそのときあったわけでございますけれども、また、法律でも四年前に成立し、そしてその翌年から、つまり三年前から大企業が先行して適用の対象になり、そしてことしから中小企業も含めてすべての企業に強制される、こういうことになったわけですが、それでも、大企業だけが適用されていた時期に労働者に対して給付をするということについては、中小企業に働く労働者は、育児休業をとることが、もちろん制度化している企業に働いている方は別ですけれども、そうでない限りはとれないということになりますと、とれない上にもちろん給付もないという、そういうアンバランスはいかがなものかという判断が国民的にあったということだというふうに思います。それはやはり介護休業の場合についても同様であるというふうに私どもは判断をしているわけでございます。
#132
○古川太三郎君 成立して、三年後に施行できますね、そのときにはどのような形で実施する、労働者にもその保障がいくというようなことを考えていらっしゃるんですか。
#133
○政府委員(松原亘子君) これは、今回のこの法案を成立させていただきましてから検討をしなければいけない重大な検討テーマだというふうに思っておりまして、現在のところ具体的にこういう姿ということを私どもが描いているわけではございませんし、まだ関係者の間での議論が進められているという状況ではございませんけれども、既に育児休業給付という制度がスタートしているということもございますし、こういった制度も参考にして検討をするということにはなろうかと思いますが、現在のところはまだはっきりしたことは申し上げられない段階でございます。ただし、全企業にといいますか、平成十一年四月一日に間に合うような検討はしていきたいというふうに考えております。
#134
○古川太三郎君 局長のおっしゃることはよくわかるんですけれども、しかし、そういうことになれば、この三年間というのは、中小企業にとっては、介護休暇がもらいにくい、もらいにくいのならば、やめざるを得ない、やめます、失業保険で食いつなぎますというような形になって、また再雇用。こういうようなことになれば雇用保険そのものは失業という形をとってそこから出費がいきますね。むしろ三カ月でも雇用を残しておきながら介護給付を支給した方が、労働者にとってもいいし国にとってもあるいは社会全般にとってもいいんではないかという気がするんですが、だから、三年と言わずにもう一年ぐらい、あるいはもう二年縮める努力というのは絶対無理なものですか。
#135
○国務大臣(浜本万三君) さっきもお答えしたんですが、少しでも早くやりなさいというお気持ちがにじみ出ておりまして大変気持ちを打たれるんですが、結局この法案が成立いたしますと、十月からは、事業主に対する助成措置等を積極的に展開する、そしてできるだけ介護休業制度を導入していただく。これは事業主だけの御努力でなしに、そこで働いていらっしゃる労働者の皆さんにも積極的にこの制度を導入していただくようにお願いする。
 何しろ今一六・三%でございますから、だから助成措置とそういう啓発啓蒙活動を積極的にやりながら、できるだけ早くたくさんの企業に導入していただけるような措置が多くなれば多くなるほど、議員が御希望になっておる状況が早まってくるのではないかと思います。私どもはそのために一生懸命助成措置を講じながら啓発啓蒙を行っていきたいと思っております。
#136
○古川太三郎君 最後になりますが、政府案では解雇の禁止だけしか規定がないわけなんです。減給とか降格、こういった不利益処分についてはどう考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
#137
○政府委員(松原亘子君) 私どもの案では、今先生がおっしゃいましたように、介護休業の申し出をしたことですとか介護休業を取得したことを理由として解雇してはならないということで、解雇の禁止を規定しております。また、年次有給休暇の取得要件に出勤率というのがございます。出勤率八割以上の労働者に対して年次有給休暇を与える、こういうことになっているわけでございますが、その出勤率の算定に当たりまして介護休業を出勤とみなすという取り扱いをしたいということで、今回の改正法案の中に労働基準法の一部改正で入れているわけでございます。
 ただ、それ以外の賃金ですとか配置、そういったことにつきましては、どういったことが不利益な取り扱いとして禁止をすることが適当であるかということについては、まだコンセンサスが得られているとは言えないのではないかというふうに判断をいたしているわけでございます。つまり、休業ということですから、その期間は働かないという実績があるわけでございます。それをどういうふうに配慮するのか、考慮するということがいいのかいけないのか、どの程度だったらいいのかといったようなことについて、まだそこまでのコンセンサスがある状態ではないというふうに私どもは考えております。
 そういうことから、今回のこの法律案の中にはその点についての明文化はしていないというものでございます。
#138
○古川太三郎君 もう一つ最後に聞きたいんですけれども、衆議院で修正されましたね。あの修正二条の意味がなかなかわかりにくい。いま少しみんなにわかるような形で説明していただけますか。
#139
○政府委員(松原亘子君) 先生が御指摘になられておりますのは附則の二条として挿入されました新しい部分だと思いますが、これは「事業主は、第二条の規定の施行前」というのは平成十一年四月一日前という意味ですが、その前においても「可能な限り速やかに」「介護休業の制度を設けるとともに」、勤務時間の短縮等の措置ですが、こういった「措置を講ずるよう努めなければならない」。条文がいろいろ引っ張ってあるものですから非常にわかりにくいということなんでございますが、端的に申し上げれば、これは平成十一年の四月一日より以前になるべく、「可能な限り速やかに」と書いてございますが、事業主は可能な限り速やかに、平成十一年四月一日以降労働者の権利として規定される介護休業制度、こういった制度を導入するように努めなければならない。つまり、平成十一年四月前にも事業主ができるだけ早くこういった介護休業制度を導入するように努めなければならないという、事業主に対する努力義務規定でございます。
 そういうことから、もちろん平成十一年四月一日まで何も事業主はしなくていいと私どもこの修正がある前でも思っていなかったわけではございますけれども、この努力義務が明文化されたということによりまして事業主が努力する義務というのがはっきりしたわけでございますので、私どももこの趣旨を十分周知を図るというふうにいたしたいと思っておりますし、この修正された趣旨にのっとって、なるべく多くの企業にこの制度が導入されるようにさまざまな機会に働きかけをしたいというふうに考えているところでございます。
#140
○古川太三郎君 そうしますと、あの修正があることによって、労働省の監督とかあるいは指導が前の法案よりも変わるんですか。もっと関与できるような立場になったんですか、あれで。
#141
○政府委員(松原亘子君) この修正がある前は平成十一年四月一日までの間についての具体的な事業主の努力義務規定というのがなかったわけでございます。
 ただ、精神的には平成十一年から施行になるんだから努力してくださいと、こういうことは言えたわけでございますが、明文化される、つまり、はっきり事業主が努めなければならないというふうに書かれたことによりまして、行政としてもより積極的な指導ができるということになるというふうに理解しております。
#142
○古川太三郎君 終わります。
#143
○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。
 質問をいたします。
 男子は働いて家族の家計を支え、女性は家事、育児を担当して家庭を守る、こういう伝統的な性による役割分担論が政治、経済、社会から女性を排除してきました。一九七九年の女子差別撤廃条約では「社会及び家庭における男子の伝統的役割を女子の役割とともに変更することが男女の完全な平等の達成に必要である」としています。また、ことしの四月に国会で承認されたILO百五十六号条約も、家族的責任を有する男女の労働者がその責任によって経済活動における向上の可能性が制約されることのないように、そして差別を受けることなしに職業上の責任と家族的責任の間に衝突が起きないように働く権利を行使できるようにすることを国家の方針とする、こういうことが求められています。
 今回の介護休業制度の導入は、この二つの条約、つまり性別役割分担からの脱却、そして家族的責任を有する労働者が職業上の責任も果たし得る、そういう政府の施策として提案されたというふうに受け取ってよろしいんですね。
#144
○政府委員(松原亘子君) 今回の私どもの法案の提案の趣旨というのは、男女を含めてですけれども、働く労働者が子供の養育、家族の介護、こういったことと職業とを両立させながら雇用の継続が図れるようにということを目的としているものでございます。
 そういう意味では、とかくこれまで子の養育や家族の介護は女性の役割というふうにされてきたという面がございまして、例えば、現行法はまだそこのところは改正はいたしておらないわけではございますけれども、これまでの男女雇用機会均等法におきましても、職業生活と家庭生活との両立というのは女子労働者についてのみ書かれていたわけでございます。もちろん、性別役割分担意識を直さなければいけないということで、私どもはさまざまな啓蒙活動はやってきたわけでございます。
 今回の法律では、今ちょっと申し上げましたように、子の養育、家族の介護と職業との両立、職業生活と家庭生活との両立というのは女子労働者だけの問題ではなくて、男女労働者が家族の一員として家庭生活上の責任を果たさなければいけないということを、そういうことは明示しておりませんけれども、暗黙の前提として男女労働者を想定して、想定してというのは男女労働者について職業生活と家庭生活との両立ということを正面から取り上げたという意味におきましては、今先生が御指摘されましたような女子差別撤廃条約、またILO百五十六号条約の中に脈々として流れております性別、性による固定的な役割分担、こういったものをなくしていく、そういったことの線に沿ったものだというふうに私どもも理解をしているわけでございます。
#145
○吉川春子君 けさの朝日新聞の戦後五十年特集で、マッカーサーは五大改革の第一に婦人解放を掲げた、日本の軍国主義復活の最大の歯どめは婦人の解放と考えたからだ、こういう記事が出ていました。日本の女性解放運動は、明治、大正、そして暗黒の昭和の時代でもずっと行われてきました。女性解放の流れは一層加速されなくてはならないし、そして女性解放のために資する介護休業制度というものをつくっていかなくてはならないというふうに考えるわけです。
 介護休業制度が一足先に非現業の国家公務員に昨年秋導入されまして、早速この制度を利用している人が出ているわけです。国公労連の調査によりますと、利用者は二十六名、うち女性が十七、男性七、不明二となっておりますけれども、男子の利用者が二六%いる、これが育児休業制度とは大変違う点だと思います。
 同労働組合のアンケートに次のような声が寄せられています。
 「夫の突然のがん宣告で、介護のため、仕事もやめようかと考えたが、平成六年九月からの介護休暇制度ができて、制度そのものがあることで、ずいぶん救われたように思う。三ケ月の介護休暇がとれるということは、病気の夫ともども強い支えになったとほんとうに感謝している。今、仕事をやめずに仕事をしながら、夫を失った悲しみをのりこえようとしているのも、この制度のお陰だ」と、導入に頑張ってくれた人々、労働組合のことかもしれませんけれども、その他の人々かもしれませんけれども、とにかく感謝していると。同時に、この導入された制度が不十分でもっとよくしてほしいという声が私の手元にもたくさん寄せられています。
 そういう声も参考にしながら、民間への介護休業制度創設に当たって具体的に伺っていきたいと思います。
 まず、対象家族の範囲について伺います。
 介護休業制度は、対象家族を配偶者、父母及び子、配偶者の父母に限って、兄弟姉妹、おじ、おば、おい、めい、こういう人を法律上の介護の対象家族より外していますけれども、これはなぜなのかということを伺います。
 民法では、直系血族及び兄弟姉妹に絶対的扶養義務を負わせているわけですね。これは俗に一杯の御飯を半分にしてでも扶養しなければならない義務、こういうふうに大変強い扶養義務が課せられています。その民法の規定は私はいいとは思わないんですけれども、そういう制度が今あるということとの整合性上、今度こういうものを外したということはいかがなものかと思いますが、その点どうですか。
#146
○政府委員(松原亘子君) 御指摘のように、私どもが提案させていただいております法律案では、配偶者、父母、子及び配偶者の父母を基本として法律にはっきり書いてあるわけでございます。これは、制度の利用者の実態等から見まして、それが基本になるということで書いたわけでございます。
 ちなみに、実際にある制度で要介護者の範囲をどこまでとしているかということを見ますと、配偶者、本人の父母につきましては九五%前後、子供で九一%、配偶者の父母で八二%弱といったようなことで、非常に高い割合で現在設けられております介護休業制度がこういった家族を対象にしているわけでございます。
 それに対しまして、祖父母、兄弟姉妹につきましてはかなり低くなっておりまして、祖父母で四二・三%、兄弟姉妹で三〇・七%というのが現行制度で対象になっている要介護者の範囲でございます。
 そういったような現状を踏まえまして、配偶者、父母、子及び配偶者の父母につきましては法律できちんと明記して対象家族に含めておりますけれども、それ以外の者につきましては括弧書きで父母及び子に「準ずる者として労働省令で定めるものを含む。」という書き方にしてございます。この省令はこれからの検討事項なのでございますけれども、私どもとしては、祖父母、兄弟姉妹、孫につきましても、同居及び扶養している場合につきましては労働省令でこの対象に含める方向で検討をいたしたいというふうに考えているところでございます。
#147
○吉川春子君 厚生省にお伺いいたします。
 生活保護の申請があったときに、まず扶養義務者に扶養義務を履行させるために親族を捜して調査していますけれども、その範囲はどこまでですか、具体的に言ってください。
#148
○説明員(松尾武昌君) 生活保護法でございますが、第四条に「民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。」という条文がございまして、民法を引用しております。その範囲は、夫婦、直系血族、兄弟姉妹及びその他の三親等以内の親族で家庭裁判所が特別な事情があると認める者ということになります。
#149
○吉川春子君 その他の三親等以内の親族にどういう人たちが含まれますか。具体的に言っていただけますか。
#150
○説明員(松尾武昌君) その他の三親等以内でございまして、おじ、おばもありますし、おい、めい等も入ります。そういうある意味では非常に広範囲な範囲で入れてございます。具体的に読み上げた方がよろしゅうございますか。
#151
○吉川春子君 言ってください。
#152
○説明員(松尾武昌君) おじ、おば、あるいはおい、めいがございます。それから配偶者の父母あるいは子、孫、曾孫等も入ります。そういう状況でございます。
#153
○吉川春子君 要するに、この民法八百七十七条の一項、二項は、曾祖父母の配偶者、義理の関係ですね、それから曾孫の配偶者、そういうところまで含めているわけですね。しかも、これは抽象的ではなくて、実際生活保護を受けようとすればそういう範囲にさかのぼってそういう扶養義務者がいるかどうか家捜しするわけなんです。家捜しと言うんでしょうか、その系列を捜すわけですね。そして、いればその人にまず扶養義務を履行させようとするんですが、その場合どういう方法で扶養義務者を調査したりするんですか。厚生省、お願いします。
#154
○説明員(松尾武昌君) 調査の実施法でございますが、管内は実地に調査をいたします。それから管外は文書照会等によりまして世帯構成あるいは職業、扶養のできる程度、扶養のできない理由等を調査するようになっております。
#155
○吉川春子君 つまり、もう自分は忘れていたとか存在すら知らないような親族が生活保護を受けようとすると、ある日突然はがきか封書か舞い込んで、扶養義務を果たしなさいと、こういう国からのお達しが来るんですね。これが民法の八百七十七条の一項、二項の範囲なんですけれども、そういう物すごい強い扶養義務が法律上課せられて、実際にもやられている。しかし、今度介護休業で休暇をとろうとすると、兄弟姉妹すら法律からはじかれているという実情ですね。
 私は、生活保護のこのやり方はいいと思っていないので、きょうはちょっと対象が違いますので、事実だけ厚生省に説明していただいたわけですが、そういう一方では厳しい扶養義務を課されているのにこの介護休業法においては社会的なコンセンサスが得られていないとかいう説明がもう朝から何十遍も私の耳に達していますので、もうその説明はいいんですが、そういうことでもってその対象から外されていると。これは働く人たちが介護休業をとる上からいっても非常に不自由なんです。
 それで、私は具体的に要求いたしますけれども、労働省令で含めるという範囲を、おじ、おば、めい、おい、この範囲もぜひ、同居とか扶養というものを条件として課して結構なんですけれども、それを労働省令で含めてほしいと要求します。これは案外パーセントは少ないというお話でしたけれども、実際上身の回りを見回してみますと、さっきの寅さん一家じゃないけれどもあるんですよ。だから、そういうものを排除しないためにも労働省令でこういうことも実情に即して対象家族の範囲を決めていただきたい、そのことを要求いたします。大臣、どうですか、常識的に考えておかしいと思いませんか。
#156
○政府委員(松原亘子君) 対象家族の範囲につきましては、労働省令でどういったことを規定することを考えているかということまで先ほど申し上げました。それで、先生御指摘のおじ、おば、めい、おいの範囲までは、また同じ言葉で恐縮ですけれども、労働者が休んでその範囲まで介護するということについては、やはり現段階でそこまでのコンセンサスがあるというふうには私どもは考えておらないわけでございます。
 扶養についてのお話ございましたけれども、扶養の義務ということと、当該労働者が権利として休んでそして介護するということを同列に論ずるというわけにはいかないのではないかというふうに思っているわけでございます。
 ただ、これは先ほど来、また何度も申し上げていることではございますけれども、法律で定めておりますところは最低基準として定めているところでございます。したがいまして、対象家族につきましても、法律で定めるより以外の家族を含めてはいけないということではないわけでございまして、企業の実情に応じて労使の話し合いによりまして、個別企業でもう少し範囲を広げて介護休業制度をつくるということがあってもいいのは当然でございまして、そういう趣旨はいわゆる努力義務規定、事業主に対する最低基準を上回る部分についての努力義務規定の範囲に入っているわけでございますので、それは個々の事情によって労使の自主的な努力で対応していただきたいというふうに考えているところでございます。
#157
○吉川春子君 私は、松原さんの答弁はもちろん官僚サイドではそこまでだと思うんですね。
 それで、政治家としての大臣にお伺いいたしますけれども、これは努力義務規定云々じゃなくて、国はまさに民法八百七十七条を根拠として強制しているわけですよ、扶養義務の履行を。そしてまた、労働者の立場から自発的に介護するという立場ではありますけれども、やはりこれは今後の課題として政治家としてこういうものも対象に含めて検討する、それもその研究課題にぜひしていただきたいと思います。
 これは政治家でなければできない答弁だと思いますので、大臣、どうですか。
#158
○国務大臣(浜本万三君) 扶養と介護というのは基本的に違うものですから、したがって今の答弁としては局長答弁と全く同じ答弁しかできないというふうに思います。
 ただ、議員が言われるように、こういう問題は常に我々は研究、検討をする必要がありますので、必要に応じては研究、検討をしなきゃならぬと思っております。
#159
○吉川春子君 その次に、形成権と要介護状態の問題についてお伺いいたします。
 介護休業制度は、十二条によりますと、事業主は介護休業の申し出があったとき申し出を拒否できないとしていますね。そしてこの権利は、申し出をしただけで介護休業を取得できるという、形成権というふうに説明されているんですけれども、非常に強い権利として認められているわけです。
 しかし、労働者自身が、十一条二項によりますと、対象家族が要介護状態にあることを明らかにしなくてはならないわけです。育児休業の場合は赤ちゃんが生まれるわけですから、これはもう非常に育児休業をとれる場合ははっきりしているわけですね。しかし、介護の場合は要介護状態というふうに認められないと休めない、こういうふうになるわけです。要介護状態の設定の仕方によっては非常にとりにくい権利になってしまうおそれがあるのではないでしょうか。
 その意味で、まず原則論を伺いますけれども、要介護状態は弾力的に定められなくてはならないと思いますが、いかがでしょうか。
#160
○政府委員(松原亘子君) 介護休業制度の対象となる要介護状態を、私どもの法律案では、常態的かつ継続的に日常生活を営むための便宜の供与を必要とする状態というふうに考えております。具体的には、歩行ですとか排せつ、食事、入浴、衣服の着脱、そういったことにつきましてどれだけ他人の介助を必要とするかということ、また、痴呆などによってもたらされる危険防止などのための監視がどれだけ必要かということを見て判断したいというふうに考えているわけでございます。
#161
○吉川春子君 今言われましたのは、要するに脳血管障害に伴い介護の必要が生じた場合の一つの基準だというふうに思うわけですけれども、しかし介護休業をとらなければならない病気というのはいっぱいあるわけで、しかも対象範囲も広く認めるということになると、お年寄りの、しかも脳血管障害ということだけに限った、それを基準にした要介護状態の判断では非常に不都合が生じてくるというふうに思うわけです。
 先ほどの労働組合の調査によって、介護休業をとった場合で、お子さんの場合もとっているわけです。子供がそういう状態になったとき。そして、子供が例えば障害児であるとか、あるいはいろんな病気をした、そして介護休業をとる場合に、やはりそれはまた違った基準が必要になってくると思うんですけれども、子供の場合についても介護休業をもちろん認めるわけですね、要介護状態。その場合はどういうふうに考えますか。
#162
○政府委員(松原亘子君) 大人の場合であれ子供の場合であれ、介護休業という場合には、病気がどういう状態がということではなくて、先ほど申し上げましたように、実際に要介護者が歩行とか排せつどか食事とか入浴とか衣服の着脱、そういったことについて他人の介助がどの程度必要なのかどうかという、その実態に着目するということになろうかと思います。
 そういう意味では、子供の場合は違うとか、例えば今の場合は脳血管性疾患だけでそれ以外の場合は違うということではなく、原因はいろいろあろうかと思いますけれども、日常の生活活動状況というのがどの程度か、先ほど申し上げたような項目を見て判断するということでございます。
#163
○吉川春子君 一番多いのが寝たきりとか老人介護、虚弱老人介護ということからスタートしているということは実際上の問題として私はあるとは思うんですが、しかし子供の場合は、例えばネフローゼとかいろいろな長期にわたる病気があると。そして、歩行がどうとか衣服の着脱がどうとかという問題にプラスして、特に子供の場合やはり精神的な状況であるとか、そういうことで、今一律に言われたそういうことは一応できてもやっぱり介護ということが必要という状態も出てくると思いますので、そういう精神的な面での問題についても考えていただかなきゃならないと思いますが、その点について伺いたいと思うんです。
 それで、今松原局長が言われたのは専門家会合の報告の中に出てまいりまして、これはもう明らかに脳血管障害の問題を基準にして言われていることなんですね。それだけじゃなくて、ぜひそういう子供の問題も含めて、精神的なものも含めて要介護の状態というのを弾力的に考えてもらいたいと思いますが、その点もう一度いかがでしょうか。
#164
○政府委員(松原亘子君) 先ほど申し上げたのは必ずしも脳血管障害の場合だけではありませんで、専門家会合でも、脳血管性疾患によりまして介護が必要な状態になる場合も検討はされておりますけれども、アルツハイマー型痴呆の場合ですとか、それから骨粗鬆症等による場合ですとか、その他幾つかの介護が必要となる状況の原因、そういった原因となる疾病について取り上げて検討していただいております。
 具体的に、例えば先ほど痴呆等によってもたらされる場合の危険防止というふうに申し上げましたが、それにつきましては、例えば攻撃的な行為がどの程度あるかとか、自傷行為がどの程度かとか、火の扱いがどうであるとか、俳回の状態がどうかといったようなことも判断になってこようかと思います。
 ただ、先生がおっしゃいました精神的な支えといったところまでは要介護と、介護とは何かということになってしまうわけですけれども、家族による広い意味での世話という中には精神的な支えというのは非常に大きいものがあろうかと思いますけれども、介護をする人の具体的な行動による支えによって日常生活を正常にしてもらうという意味においては、精神的な支えというのはちょっと違うのではないかということで、今回私どもが御提案させていただいておりますこの法案においては、精神的支えだけについて必要ということについてまではちょっと範疇には入れがたいのではないかというふうに考えております。
#165
○吉川春子君 精神的支えというのは、そばにいれば心強いということだけじゃなくて、例えば躁うつ病なんというのはまさに精神的なもので、最後は自殺に至るわけですね。しかし目が離せない、こういうような状態もあるわけです。お年寄りが躁うつ病が多いということもあるし、お年寄りに限らないわけなんですけれども、要するに目を離したすきに自殺しちゃったと。私、医学のことは全然詳しくないんですが、そういう状態もあるので、何か物理的に、とにかく手を支えてあげないと何かできないということだけに限って要介護状態という基準を設けますと、やっぱりそこがら漏れてくる問題が出てくる。そして子供とか、がんとか、がんも非常に多いわけですよ。だから、そういうあらゆる問題を含めて考えたときに、物理的に何かしてあげないとだめなことが要介護状態の類型というふうにとらえますと、やはりこれはちょっと足りないんじゃないか。
 大臣、その点についてどうお考えですか。これもまた詳しい基準を何らかの形で今後検討を加えていただかなきゃならないと思うんですけれども、その点の工夫が必要なんじゃないかと思いますけれども、どうでしょうか。
#166
○政府委員(松原亘子君) 先ほどちょっと御説明したつもりだったんですが、十分していなかったかと思いますのでもう一度繰り返させていただきますと、単に物理的というだけを申し上げたつもりではございませんで、痴呆等によってもたらされる危険防止などのための監視というのもあるわけでございます。
 監視というのも物理的な行動だと言われればそうなのかもしれませんが、例えば先ほど先生がおっしゃったように、自殺を図るとか自分の体を傷つけるといったような自傷行為をやるおそれがあるのかどうかとか、それから他人に暴力を振るうとか乱暴な振る舞いを行う、それが重度、中度、軽度でどの程度の状態がといったそういう攻撃的な行為の程度ですとか、火の扱いについてもどの程度の状態であるかといった、そういったことはある意味では一人にしておけば非常に危ない、危険が発生するというおそれがあるわけですから、そういう場合には監視と、医学的に監視と言うんだそうですが、そういう行為が、行為といいますか介護の一形態なんだろうと思いますが、そういう監視ということによる介護が必要な場合があろうかと思います。それを否定しているわけではございません。
 ただ、単なる精神的にそばにいて安心感を与えるといった意味だけでの精神的な支えというふうに受け取ってしまったものですから、そういったことだけということであれば、それを介護休業の対象ということはなかなか難しいのではないかというふうに申し上げたつもりでございます。
#167
○吉川春子君 今、痴呆ということをすごく言われたんですけれども、痴呆だけじゃなくて、もっと広い意味で私は申し上げたつもりです。
 そのことを一つ確認したいのと、入院していないとだめだということも、そうすると、そういうことではないわけですね。入院している場合にはもう要介護状態じゃないんだということをちょっと説明に来られた方がおっしゃったんですけれども、そういうことも確認しておきたいと思います。
 そういう点に加えて、私はもう時間がないものですから最後に要望しておきますけれども、この要介護状態という縛りでせっかくの介護休業が取得できない、できにくい、こういうことがないように十分弾力性を持たせた基準を定めていただきたいと大臣に要望したいと思います。
 最後に、それをお答えいただいて終わりたいと思います。
#168
○国務大臣(浜本万三君) 要介護状態というのは、さっき局長から詳しくお話をしたとおりでございますが、議員からいろいろ御希望が出ましたことは検討してまいりたいと思います。
#169
○吉川春子君 終わります。
#170
○委員長(笹野貞子君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト