くにさくロゴ
1995/06/01 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 労働委員会 第12号
姉妹サイト
 
1995/06/01 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 労働委員会 第12号

#1
第132回国会 労働委員会 第12号
平成七年六月一日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     河本 三郎君     前田 勲男君
     瀬谷 英行君     角田 義一君
 五月三十一日
    辞任         補欠選任
     角田 義一君     及川 一夫君
 六月一日
    辞任         補欠選任
     小野 清子君     松谷蒼一郎君
     前田 勲男君     服部三男雄君
     柳川 覺治君     鈴木 栄治君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         笹野 貞子君
    理 事
                野村 五男君
                庄司  中君
                古川太三郎君
                吉川 春子君
    委 員
                小野 清子君
                加藤 紀文君
                鈴木 栄治君
                坪井 一宇君
                服部三男雄君
                松谷蒼一郎君
                柳川 覺治君
                及川 一夫君
                千葉 景子君
                安永 英雄君
                足立 良平君
                武田 節子君
                都築  譲君
                星野 朋市君
                國弘 正雄君
       発  議  者  星野 朋市君
       発  議  者  都築  譲君
   国務大臣
       労 働 大 臣  浜本 万三君
   政府委員
       労働大臣官房長  伊藤 庄平君
       労働省婦人局長  松原 亘子君
       労働省職業安定
       局長       征矢 紀臣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐野  厚君
   説明員
       法務省民事局参
       事官       小池 信行君
       法務省刑事局刑
       事法制課長    渡邉 一弘君
       厚生省社会・援
       護局施設人材課
       長        吉武 民樹君
       厚生省老人保健
       福祉局老人福祉
       計画課長     吉冨 宣夫君
       厚生省老人保健
       福祉局老人保健
       課長       尾嵜 新平君
       中小企業庁計画
       部計画課長    鷺坂  正君
       建設省住宅局住
       宅政策課長    山本繁太郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○派遣委員の報告
○議案の撤回に関する件
○育児休業等に関する法律の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(笹野貞子君) ただいまから労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る三十日、瀬谷英行君及び河本三郎君が委員を辞任され、その補欠として角田義一君及び前田勲男君が選任されました。
 また、昨日、角田義一君が委員を辞任され、その補欠として及川一夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(笹野貞子君) 育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案及び介護休業等に関する法律案を一括して議題とし、派遣委員の報告を聴取いたします。野村五男君。
#4
○野村五男君 育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案及び介護休業等に関する法律案についての地方公聴会のための委員派遣について御報告申し上げます。
 派遣委員は、笹野委員長、庄司理事、古川理事、吉川理事、足立委員及び私、野村の六名であります。
 会議は、昨五月三十一日、仙台市で開催され、四名の公述人から意見を聴取した後、各委員から質疑が行われました。
 まず、公述の要旨を簡単に御報告申し上げます。
 最初に、宮城県中小企業団体中央会副会長兼専務理事千葉富雄君からは、宮城県の中小企業を取り巻く厳しい経営環境、週四十時間制への移行や育児休業法の全面適用への対処といった問題を考えると、介護休業制度の法制化については政府案の内容にとどめてほしいこと、政府案の休業期間、取得回数、実施時期には賛成だが、対象家族の中の父母、子に準ずる者についてはいたずらに範囲を拡大しないよう、また、中小企業の事業主に対するきめ細かい特別な支援措置とともに、代替要員確保のための基礎整備として労働者派遣制度の見直しを行うよう望むことなどの意見が述べられました。
 次に、日本労働組合総連合会宮城県連合会女性委員会事務局長松田栄子君からは、介護休業制度を法制化するに当たっては実効性のある内容とすべきであること、そのためには、第一に休業期間を三カ月から一年にする、第二に断続的な休業取得も可能とする、第三に施行期日を一九九九年四月より早める、第四に介護休業制度導入と同時に最低でも育児休業と同水準の所得保障をするという政府案に対する三つの修正と一つの補強が必要であることなどの意見が述べられました。
 さらに、阿部とき子君からは、共働きの主婦として、脳溢血で倒れた祖父、交通事故で負傷し現在も通院治療中の実父、さらに一級の障害を持つおばの介護に長年携わってきた経験に基づいて、親族が多いこともあり親族が交代で介護してきたが、それは職場の上司、同僚や近所の人たちの協力があったから続けることができたのであり、公的サービスの充実の必要性を痛感していることから新ゴールドプランの早期実現を切望すること、介護はスタートがあってゴールが見えないものであるので休業期間が三カ月では短過ぎること、病状が一進一退の中では断続的休業や短時間勤務が可能であってほしいこと、また、最低でも育児休業並みの所得保障が欲しいことなどの意見が述べられました。
 最後に、宮城県厚生協会労働組合婦人部長であり、宮城県労働組合総連合婦人部常任委員の本田永久子君からは、一九九四年二月に介護休業制度に関する労使協定を締結し利用してきた経験に基づいて、休業の期間と回数については、介護休業の期間は一つの継続する状態ごとに一年とし、またその一年分の所定労働時間を連続または断続して取得できるとし、さらに一要介護状態につき一回とすること、代替要員については、事業所は代替要員を確実に確保すること、代替要員が配置された場合には国が補助金などで賃金援助を行うとすること、休業中の所得保障については国と雇用主の負担で六〇%の所得保障を行い、中小企業などには国が助成する措置を行うとすること、実施時期については一九九六年四月一日とすることなどの意見が述べられました。
 公述人の意見に対し、各委員より、休業の取得回数を対象家族一人につき複数回とすることについての問題点、病院勤務者としての経験から見て入院している人は三カ月で先の展望が開けるのかどうか、介護休業をとった四十から五十歳代の企業の中核である人の代替要員の補充方法、私的介護と公的介護のバランス、介護休業が法制化されていない現時点での介護問題が生じた労働者に対する企業の対応状況など、多岐にわたる質疑が行われました。
 会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。
 以上、簡単ではございますが、今般の委員派遣の概要について御報告申し上げました。
 最後に、今回の委員派遣に当たり、格別の御高配を賜りました関係者各位に対し、深く感謝申し上げたいと存じます。
 以上でございます。
#5
○委員長(笹野貞子君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
 なお、地方公聴会速記録につきましては、これを本日の会議録に掲載することといたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(笹野貞子君) この際、議案の撤回についてお諮りいたします。
 介護休業等に関する法律案について、発議者星野朋市君外三名から撤回の申し出がありました。
 本案の撤回を許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(笹野貞子君) 御異議ないと認めます。よって、介護休業等に関する法律案は撤回を許可することに決定いたしました。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(笹野貞子君) 育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○千葉景子君 この育児休業法案の改正問題もいよいよ審議が終盤に差しかかってまいりました。この間の衆議院、そして参議院での審議を通じて、この法案の目標とすること、それから問題点などにもかなり議論が尽くされ、そしてその趣旨が明らかになってきたところではないだろうかというふうに思っています。
 この制度につきましても、今後さらに発展をさせ、あるいはもっと大きな目で考えれば、少子・高齢化社会の中でやはりだれもが安心して生活ができる、そういう体制をこれからより一層整えていくためには、この際、この法律の趣旨やあるいはその背景というようなものを一度改めて整理させていただく必要があるのではないだろうか、そんなふうに思っています。きょうはそんな観点にも立ちまして何点か御質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをしたいというふうに思っています。
 さて、今回のこの介護休業制度の法制化というのは、少子・高齢化社会対策の一環として位置づけられているだろうというふうに思います。私たち社会党では、これまで少子・高齢化社会への対応の基本的な方向としては、高齢者介護問題はノーマライゼーションの思想、そしてまた人間の尊厳と自立という考え方を踏まえながら、社会的な介護サービスの整備によってでき得る限り解決していく、そういう道を目指すべきであろうという立場で取り組みをさせていただいてまいりました。これは多くの皆さんのやはり共通な考え方であろうかというふうに思っています。
 ただ、しかしそれは必ずしも一気には実現することはできません。そういう意味で、現在でも事実上あるいは実態上は家族の皆さんが介護を余儀なくされていらっしゃる、そして仕事につかれている働く皆さんにとってはそのために退職を余儀なくされると、そういう事態も存在していること、これも事実でありますし、これを見逃すということは私たちもできません。
 しかし、社会的なサービスについてはこれからも充実を図っていくことは当然必要ですけれども、では、それを補うさまざまな施策について権利関係あるいは権利義務関係をそれぞれに課すとすれば、相当慎重にそれぞれの責任分野というものに配慮をする必要があるだろうと思います。単に事業主にだけ負担を課したりあるいは責任を転嫁するということだけでは片づけられないでしょうし、あるいはまた家族に対してもすべての負担をそれでは課していく、こういうことでも解決をすることはできない。やはり大きな流れを踏まえながらその適切な調整を図っていくということが必要だというふうに思います。そういう意味では、現在あるいはこれから将来に向かって、この高齢化の社会の中で家族が果たすべき役割、あるいは家族がこれから一体どんな負担やあるいは役割を果たしていくべきなんだろうか、こういうことを一度改めて考えてみたいというふうに思っているところでございます。
 そこで、今日本の社会の中であるいは世界の大きな流れの中で、家族のありようとかあるいは家族の責任というものがどのように位置づけられているのか、それを一度確かめてみたいというふうに思っています。家族に対する考え方というのは、国際的にも、それから日本の社会の中でも今大きな変容が見られているのではないかというふうに思います。
 ちょうど昨年は国際家族年という年でございました。この国際家族年、その大きな国連のスローガンといいましょうか、標語は「ビルディングザスモーレスト デモクラシー アット ザ ハートオブ ソサエティー」、これが大きな標語でございます。これは、家族の一番もとからデモクラシーをつくっていこうではないか、こういう考え方であろうというふうに思っています。そういう意味では、家族もやはり一人一人が平等に、そしてまた一人一人の人権やあるいは生き方が尊重され、そしてそこから社会に向けて新しいデモクラシーをつくっていこう、こういう考え方ではないだろうかというふうに思います。
 そして、こういう流れも受けながら、この国会ではILO百五十六号条約の批准案件が承認をされました。これには、百六十五号勧告というものがセットになってついているわけでございます。この介護休業制度というものも、こういう流れの中で一つは位置づけられていると言っても過言ではないというふうに思います。
 ただ、ここで注意をしなければいけないのは、ILO百五十六号条約の中でも、家族の責任というものについて、子供に対する責任あるいは病気の際の責任、そういうものと、高齢者あるいは自分の親に対する責任ある。いは介護に対する負担、こういうものは質的に少し違ったランクで考えられているのではないだろうかというふうに思います。そういうこともこの介護休業制度やあるいは高齢者に対する家族介護の問題を考える際には頭に置いておくべきことではないだろうかというふうに思っています。
 それでは、こういう国際的な潮流の中で、我が国では一体今、家族というものがどんなふうにとらえられているのだろうかということになってまいります。そこで、きょうは法務省の皆さんにも来ていただいておりますので、多少家族関係について、法制度上どのような仕組みになっているかあるいはどんな動きがあるかということをお尋ねさせていただきたいというふうに思います。
 まず第一点でございますけれども、ちょうどきようが施行日になるのでしょうか、刑法の改正がなされました。これは刑法の難しい言い回しをできる限りわかりやすく口語体にしていこうという改正でもございますけれども、この中で尊属殺人と尊属に対する加重規定というものが削除をされています。これは、一体どういう経緯であるいはどういう趣旨に基づいてこの改正というものが行われたのか、ちょっとそめあたりを説明をいただきたいというふうに思います。
#10
○説明員(渡邉一弘君) お答えいたします。
 改正前の刑法第二百条の尊属殺人罪の規定につきましては、昭和四十八年の四月四日、最高裁判所において、憲法第十四条に定める法のもとの平等の原則に違反し無効であるとの判決が下されました。その多数意見は、尊属殺人を重く処罰すること自体は憲法上差し支えないが、二百条の法定刑が死刑及び無期懲役刑に限っている点において、普通殺人の場合に比して著しく不合理な差別的取り扱いをするものと認められ、憲法第十四条に違反するというものでございました。
 この違憲の判決後、法務省といたしましては、直ちに尊属に対する殺人事件の実態とこれに対する社会一般の評価及び裁判例等を総合的に検討いたしまして、尊属加重規定を全部削除する内容の刑法の一部を改正する法律案を提出すべく準備をいたしましたが、関係方面との調整が調わず、法案の成立には至りませんでした。
 しかし、その後法務省におきましては、このような経緯やこの問題に関する議論を踏まえまして、事案の実態や量刑の実情等の調査を行いますとともに、種々の角度から検討を続けてまいりましたが、今回、刑法の表記の平易化に当たりまして、尊属に対する殺人等の事案の実態、量刑の実情等の調査の結果、また法制審議会からも累次にわたりまして全部削除の答申があったことを踏まえまして、やはり尊属加重規定を全部削除することが相当と考えまして、今国会に法案を提出いたしましたところ、可決されたものでございます。
#11
○千葉景子君 ありがとうございました。
 やはり、この規定も多分数十年前であれば、尊属に対して大切にするという意識を失わせるのではないだろうかというようなことで相当批判も出たのではないだろうかというふうに思いますけれども、多くの皆さんの賛同を得ることができたということは、家族もお互いに気持ちの上で尊重するというのは当然ですけれども、単に重い義務を課すだけではなくて人間らしくお互いに支え合っていこうという、そういう流れがやはり背景にあるのではないだろうかというふうに思います。
 次に、やはり今議論になっていると伺っております親族関係についての法律の見直し、法制度の見直しが法制審などで今進められているというふうに伺っていますけれども、きょうはこの親族法の見直しの論議ではありませんものですから、その辺の概要あるいはどういう理由でこういう問題が今検討されているのか、そのあたりをちょっとかいつまんで簡略にお答えいただければというふうに思います。
#12
○説明員(小池信行君) 法務大臣の諮問機関であります法制審議会の身分法小委員会におきまして、現在、婚姻及び離婚制度の全般的な見直しの審議が行われております。
 これは、平成三年一月から開始されたものでございますが、その背景事情といたしましては、やはり我が国に豊かな社会が実現し、それに伴いまして社会の最小単位である家族の構成員の自立意識が高まり、あるいは価値観、人生観がだんだん変化してきたという事情がございます。そういう事情を受けまして、果たして現在の婚姻、離婚に関する規定がそういう新しい状況に対応できるものかどうか、そういう観点からの見直しを行っているわけでございます。
 昨年の七月に、それまでの審議の結果を取りまとめました婚姻制度等に関する民法改正要綱試案を取りまとめまして公表いたしました。現在、それに対しまして多数の意見が寄せられておりますので、それらの意見を参考にしながら審議を継続している段階でございまして、仰せここに含まれる問題が夫婦別氏制の問題、あるいは嫡出でない子の相続分の問題というような、人それぞれによって考え方が大きく異なる問題をはらんでおりますので、適切な結論を得るになかなか難しい問題でございますけれども、法務省といたしましては、早ければ今年度中にも法制審議会の答申を得るというめどで、今作業を進めているところでございます。
#13
○千葉景子君 ありがとうございました。
 この親族関係の見直しあるいは検討というものも、家族の見方とか家族のあり方、そういうものについてのやはり多様な意見が出てきている、あるいは考え方にも変容が出てきている、あるいは実態としても変化が出てきている、こういう背景のもとに行われているのではないかというふうに私は認識をさせていただいているところでございます。
 法務省の方、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。
 それ以外にも、民法などを通じて家族関係を規定している、あるいは家族としての権利義務を規定しているというものは、例えば扶養の義務というものがございます。
 これは民法の八百七十七条で直系血族あるいは兄弟姉妹、そして例外的に三親等の親族に対する扶養の義務を規定したものでございます。あるいは関連をいたしまして、民法の七百三十条には親族間の互助の義務、この規定などが設けられております。
 ただ、これらも私がちょっと調べさせていただいている限りにおきましては、いろいろな議論がされている、その規定自体に対するいろんな意見が出ていることも確かでございまして、親族間の互助というものも、これは昭和三十四年の、今ございましたけれども、法制審議会身分法小委員会の仮決定ではありますけれども、親族間で幅広く互助の義務、助け合いの義務を義務化するというのはいかがなものか、削除したらどうかというような意見も出たことがあるようでございます。
 あるいは、この扶養の義務も直系血族あるいは兄弟姉妹さらには三親等まで同じように課すことがいかがなものか、やはりそこにはおのずから扶養の態様において違いがあるのではないかという考え方も議論をされたりしているところでございまして、家族の考え方というのもやはり多様になっている、あるいはその権利義務関係についても見直しが必要であるというような時期に来ているように思います。
 それと同時に、家族の関係とも関連をするわけですけれども、じゃ家族の義務の中でも高齢者あるいは老親の介護などについてはどんな役割あるいはどんな責任が課せられているんだろうかということを考えてみたいというふうに思っています。
 そこで、日本の場合ではなくて欧米などの先進国、こういうところでは老親の介護あるいは介護に対する家族の責任のあり方、こういうものが一体どういう実情になっているのか。その辺について、労働省でこの介護休業制度を検討するに当たってお調べのことと思いますので、その実情について多少おわかりであれば御説明をこの際いただきたいと思います。
#14
○政府委員(松原亘子君) 私どもは、具体的にそれぞれの国でどの範囲までが老親の介護の義務があるものかといったようなことを具体的に調べているものを今お示しすることはできないのでございますけれども、そういった考え方を反映しているのではないかと思われる労働者の立場を考慮した法制度ということで、こういった老親を労働者自体が介護なり看護なりするといったような制度がどういうふうにあるのかということを調べております。
 それによりますと、諸外国におきまして、日本のように家族を介護する、老親を介護するために労働者みずからが長期間にわたって休むといったことを法律制度上持っている国というのはほとんどないということがわかっております。
 介護についての労働者としての、義務というとおかしいかと思いますけれども、どの範囲を労働者が休んで介護することが適当なのか、必要なのかということについての国民の意識レベルを反映しているものかと思いますけれども、幾つかの法制度におきましては、子供が病気した場合の看護ということについては一定期間休むことを認めている国は幾つかございます。
 例えばスウェーデンでは、育児等の休暇の権利に関する法律、一九七六年の法律でございますけれども、それによりまして、十二歳未満の子供一人につきまして親が各年六十日まで休むことができるということになっておりますし、ドイツでも一九七四年の法律によりまして、十二歳未満の子供一人につき各年十労働日まで労働者が休むことができるということになっております。
 先生が御指摘の、老親についてのこういった休む制度でございますけれども、必ずしも老親だけではなく、子供以外の親族を含む近親者に対するものといたしましては、重病の近親者についてみとり休暇的なものを持っている国が幾つかございます。
 先ほどのスウェーデンでございますけれども、別の法律で、つまり親族等介護休暇法という別の法律でございますけれども、これによりまして被介護者一人につき介護者各人合計で三十日まで休むことができるということになっておりますし、スペインでは一九八〇年の法律によりまして、三親等以内の血族及び姻族の重病または死亡の場合に二日、移動を伴う場合には四日というふうになっておりますけれども、休むことができるという、こういう制度を持っているということでございます。
 我が国の、今御審議いただいております介護休業に近いものといたしましては、アメリカの家族・医療休暇制度というものがございます。これは一九九三年にできました家族・医療休暇法に基づく制度でございますけれども、従業員規模五十人以上の事業所で働く労働者につきまして、出産、育児、家族の介護または本人の病気のため各年十二週間まで休暇が取得できる、こういうことになっております。
 ただ、この法律は、今申し上げましたとおり、家族の介護だけではなく、出産とか育児とか本人の病気、こういったものもその対象になっているという点におきまして、現在御審議いただいております介護休業制度とは若干違うという状況があるというのがございます。
 こういったことによりまして、それぞれの国において老親の介護といったことについての責任といいますか、そういったものがどういう程度に考えられているかということは推察できるのではないかというふうに考えております。
#15
○千葉景子君 今御説明をいただきましたが、国際的に見るとどうやら老親の介護のみを、のみというのもちょっと極端ですけれども、中心にした労働者福祉の法律というのは余りどうも見受けられないように思います。
 また、アメリカの家族・医療休暇法というのも、日本の今検討されている制度と重なり合う部分は当然あろうかというふうに思いますけれども、必ずしも同じ内容ではないようでございます。むしろ、今お話もありますように、どちらかというと病気のときの介護であるとか、あるいはいろいろな終末期のみとりですね、そういうことに着目した制度が労働者福祉のために考えられているというのが世界の趨勢ではないだろうかというふうに思います。
 そういうことを考えますと、この介護休業制度、日本の実態の中で、最低限といいますか、今の状況の中でお互いにバランスをとってやり得る一つの手段としてこれからも定着をさせていく必要があろうかとは思いますけれども、むしろ介護の問題、介護のために何らかの措置をする、こういう点についても今後は検討に値するものではないだろうかというふうに思うんです。労働省としても介護をめぐる休暇の問題などの研究もしてみたらいかがだろうかというふうに思うんですけれども、その点はどうでしょうか。
#16
○政府委員(松原亘子君) 今、先生がおっしゃられましたのは、先ほどちょっと申し上げましたような諸外国に例の見られる短期間の看護のための休暇、子供の突発的な病気のために親が休まなければいけないような事情が生じたときの休暇、それから親、老親の終末期のみとりのための休暇といったようなことについての御質問だというふうに思いますけれども、正直申し上げまして私ども、我が国の企業の中でそういった労働者に短期の休暇を認める制度、今申し上げましたような事由に基づく短期の休暇を認める制度というのがどの程度採用されているのか、またその内容はどういったものであるかということについては、現段階で十分把握していないというのが実態でございます。
 これから女性の社会進出等を背景としまして共働き家庭がふえる、核家族化になってくるということになりますと、御指摘のような点も非常に重要な問題である。また、多くの女性からそういったことについての期待が寄せられているということは私どもも十分認識をいたしておりますが、先ほど申し上げましたような実態でございますので、実情の把握も含めまして今後の研究課題として受けとめさせていただきたいというふうに思います。
#17
○千葉景子君 さて、日本の議論も老親の介護あるいは介護に対する家族の責任、こういう意味ではいろんな議論がこれまで積み重ねられてまいりました。大きく考えれば、戦後、新憲法、新民法が施行されまして、いわゆる家族制度からそれぞれが自立をし、そして個人として尊重され、そしてそういうものを基盤にしての家族というのが大きな原則になったかというふうに思います。
 しかし、実情からしましてもいろいろな議論がありまして、一九七九年には、これは自民党さんでございますけれども、「家庭基盤の充実に関する対策要綱」というのを取りまとめられていらっしゃいます。ここでは、家庭の機能というものについて、老後を養う場ではないか、家族間の相互扶助と連帯の場でもある、こういうことを基本になさっていらっしゃったというふうに私は認識をしているところでございます。
 ただ、こういう考え方も、今回自民党さんと我々との間でも、家族の負担をできるだけ緩和していく必要があるだろう、そして働く者も、働く場とそして家庭の中での責任というものも両方果たすことができるようにという意味も含めて、この介護休業制度の導入にそろって賛成をさせていただいていると、こういうことにもなってきているわけでございます。あるいは、家庭基盤充実論が出ましたけれども、その後、当時の橋本厚生大臣は、家庭基盤充実政策を頭に置きながらも、これからの家族というのは核家族にもなるかもしれないし、あるいは大家族もあるかもしれない、それをどうやって支えていくかはいろいろ議論のあるところだと、こういう御発言などもなさっていらっしゃるところでもございまして、徐々に多様な考え方が議論をされてきたというふうに言えると思います。
 そういう中で、昨年の九月でございますけれども、社会保障制度審議会が社会保障将来像委員会第三次報告を発表しております。その報告では、家族形態の多様化、そして小規模化、共働き世帯の増加などにより、家庭内の役割分担や老親扶養に対する考え方も変化をしてきており、家庭での介護や育児の力が弱まり社会保障制度に対する期待が高まっていると、こういうことが指摘をされているところでございます。
 そしてまた、同年の十二月には高齢者介護・自立支援システム研究会が、「新たな高齢者介護システムの構築を目指して」、こういう報告を出され、そしてまた、そういうものを踏まえながら、ゴールドプランがさらにニューゴールドプランという形で集約をされていく、こういう流れもあろうかというふうに思います。
 そこで、きょうは厚生省にも来ていただいておりますので、「新たな高齢者介護システムの構築を目指して」という研究会の目指すところ、あるいは現在成立をしております新ゴールドプラン、これが目指している高齢化社会に向けてのシステム、これがどういうところを目指しているのか、その基本のところを御説明いただきたいというふうに思います。
#18
○説明員(吉冨宣夫君) 新ゴールドプランにおきましては、介護サービスを必要とする人だれもが自立に必要なサービスを手に入れることのできる体制をつくっていく、こういうことを目標にしておるわけでございます。
 このための基本理念としまして、つまり計画を作成するに際しましての基本理念としまして四点を掲げているわけでございますけれども、その一つは、まず個々人の意思を尊重しまして利用者本位の質の高いサービス提供をしていこう、そしてこういったことを通じまして高齢者の自立を支援していく、これが第一点でございます。
 また、必要とする高齢者に対しまして必要なサービスを提供する。すなわち、家族の状況等によりまして制約をされるのではなくて、必要とする高齢者に対しましては差別なく必要なサービスを提供していこう、私どもこういったものを普遍主義というふうに呼んでおりますけれども、こういった考え方がございます。
 また、実際のサービス提供に際しましては、在宅ケアを基本にしまして、保健・医療・福祉を通じまして高齢者の多様なニーズに的確にこたえていく、そのための効率的かつ総合的なサービスを提供していこう、こういった考え方。
 そしてまた、こういったサービスの提供に際しましては、住民に最も身近な地域で必要なサービスをきめ細かく提供できる体制づくりをしていこう。
 この四つの基本理念を掲げてございます。そしてまた、高齢者介護・自立支援システム研究会の報告書では、基本理念としまして、高齢者がみずからの意思に基づきまして、自立した質の高い生活を送ることができるように支援していく、こういったことを高齢者介護の基本理念として述べているところでございます。
#19
○千葉景子君 今御説明をいただきましたけれども、今考えられている高齢社会に向けてのシステムというのは、基本的には、一人一人が人間として自立をし、そして尊重されていく、そしてそのままの姿で生きられるというノーマライゼーションの精神というものが基本に流れているだろうというふうに思います。そして、そのためにはいわゆる在宅、これは決して家族という意味ではありません。自分の生きているその場所でサービスを受けあるいは介護なども受けられる、そういう体制を目指していこう、こういうことが基本に据えられているのではないだろうかというふうに思います。
 そういう意味では、高齢者介護という問題も、家族の支え、こういうものを否定することは決してできませんし、むしろ、精神的には家族が気持ちよく、あるいは心の支えになる、こういうことが不可欠であろうかというふうに思いますけれども、だからといって家族に無理なあるいは過大な負担や義務を課すべきではない、こういう考え方が今大きな流れとして定着しつつあるのではないかというふうに思います。
 こういう家族のいわば多様化、そしてまた家族観の変容、こういう中で生活を充実させていく、あるいは看護体制や安心して暮らせる条件を整備していく、これが今求められていることであろうかというふうに思いますし、その場合には家族というのは、高齢の方もあるいはそれを支える側の人間も、やっぱり個人として尊重され、そしてそれぞれが人間らしい立場に置かれているということが基本ではないだろうかというふうに思います。しかし、やっぱり家族がどうしても介護の負担というものを負わざるを得ない、とりわけ働いている方がそういう負担を負わざるを得ない、こういう中で、どの程度、あるいはその負担を企業側もどれだけ一緒になって支えていくべきなのか、ここの調整というのが介護休業制度での大きな私はポイントではないかというふうに思います。
 そういう意味で、こういう流れを踏まえながら、この介護休業制度の位置づけというんでしょうか、あるいはこれからこれが果たしていくべき役割のようなものを、この際改めて労働省としてはどう考えていらっしゃるか、位置づけていらっしゃるか、大枠まとめてお話いただければというふうに思います。
#20
○国務大臣(浜本万三君) 介護休業制度の位置づけについてお尋ねがございましたので、お答えをいたしたいと思います。
 我が国は世界に例を見ないほど急速に高齢化が進展をしております。家族の介護の問題が国民的に重要かつ喫緊の課題となっておることは、委員も御承知のとおりでございます。こうした問題に対処するためには、国全体といたしまして総合的な介護対策を進めることが非常に重要であると思います。ただいま厚生省から説明されましたような介護サービスの充実を図ることが基本であると考えております。
 介護休業制度は、介護サービスの充実と相まちまして、家族による介護がやむを得ない場合の緊急的対応措置といたしまして機能することが強く求められておるのではないかというふうに思います。したがって、これを広く円滑に普及させることが非常に重要な課題であると思います。
 このため、介護休業制度の法制化、介護を行う労働者に対する支援措置の実施等を盛り込んだ本法律案をぜひ成立させていただきまして、法の円滑な施行に向け最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
#21
○千葉景子君 ぜひこれが他の介護サービスの充実と相まって貴重な役割を果たすことができますように期待をし、そしてでき得る限りの私も協力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 さて、いろいろな論議を積み重ねてまいりました。しかし、その中で何点か改めて再確認をさせていただきたい、そういう問題点があろうかというふうに思いますので、この際、労働大臣に確認の意味で何点か御質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。
 まず第一点でございますけれども、介護休業期間及び回数について、労働者の権利としての最低基準たる介護休業制度の内容を上回る部分については労使の自主的な努力により決定されることが望ましく、このことについては、政府としても事業主の努力を促すべきではないかと考えますけれども、この点についていかがでしょうか。
#22
○国務大臣(浜本万三君) 法で定める介護休業制度に関する最低基準を上回る部分については、法第三十条第二項で事業主の努力義務が定められており、これに基づき労使の自主的な努力により決定されることが望ましいものと考えております。
 労働省といたしましても、法第三十二条に基づき、事業主が講ずべき措置に関して定める指針において、最低基準を上回る期間、回数について必要な措置が講じられることが望ましいものであることに配慮すべき旨を示し、これに基づいて事業主に対し啓発啓蒙を行ってまいる所存でございます。
#23
○千葉景子君 介護休業制度の導入を事業主に一律に義務づけるのは平成十一年四月一日からとなっていますが、それまでにおいてもできるだけ早期に介護休業制度が導入されることが望ましく、政府としてもそれを促進すべきであると考えますが、その方策についてお伺いをしたいと思います。
#24
○国務大臣(浜本万三君) 労働省といたしましても、各事業所においてできるだけ早期に介護休業制度が導入されることが望ましいと考えており、そのため、特に中小企業に配慮しつつ奨励金等も活用して、啓発指導及び援助に鋭意努力してまいる所存でございます。
#25
○千葉景子君 介護休業をする労働者に対して育児休業給付と同様の経済的援助を行うべきであると考えますが、これについての御見解をお伺いいたします。
#26
○国務大臣(浜本万三君) 介護休業をする労働者に対する経済的援助のあり方については、御指摘のような点をも念頭に置きつつ介護休業制度の施行の日までに検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずる所存でございます。
#27
○千葉景子君 要介護状態の定義、家族の範囲及び休業申し出期間についても最低基準を上回る措置の導入について労使による努力が行われるよう啓発指導を図るべきではないかと考えますが、お考えをお伺いいたします。
#28
○国務大臣(浜本万三君) 御指摘の要介護状態、家族の範囲及び休業申し出期間については、法第二十条第二項の事業主の努力義務に含まれており、政府としても法に基づきこの趣旨が徹底するよう啓発指導に努めてまいる所存でございます。
#29
○千葉景子君 労働者が介護休業の申し出または介護休業をしたことを理由として不利益な取り扱いを受けることがあってはならないことであり、その旨を本法に基づく指針に明記し周知を図るとともに、事業主に対して指導を徹底するべきではないかと考えますが、御見解をお伺いいたします。
#30
○国務大臣(浜本万三君) 介護休業の申し出または取得を理由とする不利益取り扱いをしてはならないことは、介護休業を労働者の権利として認めたことから当然のことであります。
 育児休業については、労働大臣が定める指針において育児休業の申し出または取得を理由とする不利益取り扱いをしてはならない旨示しており、介護休業についても指針にその旨明らかにするとともに、これに基づく啓発指導等を行う所存でございます。
#31
○千葉景子君 介護休業期間中の社会保険料の労働者負担分についてですけれども、今後そのあり方を検討すべきではないかと考えますが、御見解をお尋ねしたいと思います。
#32
○国務大臣(浜本万三君) 社会保険料の労働者負担分の問題につきましては、今後関係省庁と十分相談してまいりたいと考えております。
#33
○千葉景子君 ありがとうございました。
 さて、時間もだんだん少なくなってまいりまして、最後に少しまとめ的にこの法案についての意見も申し上げ、そして最後に労働大臣の御感想もお尋ねをしたいというふうに思います。
 実はこの法案、政府から御提案がございました。これについては与野党ともにこぞって賛成をして、そして第一歩を踏み出すことのできるものと私も当初確信をさせていただいていたところでございます。
 これは、振り返ってみますとちょうど一九九三年、細川連立政権が誕生して間もないころから、当時の連立与党の中などでも議論をされてきた課題でもございました。そして、一九九四年の十一月には、政府予算案を策定するに当たりまして労働省関係の連立各会派の責任者会議が開催をされて、そして社会党からもこの基本的な介護休業制度への考え方をお示しをし、そして検討をいただいてきたという経過もございます。ちょうどその当時は、労働大臣が当時の公明党の坂口衆議院議員、そして政務次官が私ども社会党の永井衆議院議員でございまして、お二人の努力もあり最低休業期間が三カ月というガイドライン、これなどについても検討が加えられ、そしてそのときには何としてもそういう中身で一歩ずつ浸透を図っていこうということが行われてきたものでございます。その際は、このガイドラインについて特に異論があったようでもございませんし、そしてこの三カ月という期間についても適切なものという評価をされていたというふうに伺っているところでございます。
 その後いろいろな推移がありまして、昨年六月村山内閣が誕生いたしました。そして、社会党でも、新しく連立政権を組ませていただきました自民党の皆さんやあるいは新党さきがけの皆さんと、この予算編成の中で介護休業の法制化を提案いたしまして、そして労働省にもその推進方をお願いしてきたところでございます。
 こういう状況でもございますので、この法案というのは旧連立政権あるいは現在の連立政権、その中で検討されてきた内容でもあり、こぞって賛成をして、みんなでそろって出発をしたいという気持ちがしておったところでございます。
 施行期日の問題なども今議論をされておりますけれども、中小零細企業についてはやはり一定の準備期間が必要だというのが、これも従来の法律の策定の仕方から考えますと、各派共通の考え方ではなかったかなと、こういうふうに私は承知をさせていただいていまして、育児休業の法制化あるいはまた高年齢者雇用安定法の改正、こういう際にも、こういう手法がとられながらスムーズにその法律の施行ができるようにと、これまでの法制定が行われてきたところでございます。
 そして、確かにまだまだ社会サービス、これが進んでいるとはいいましても、これは一気に一〇〇%満足することはできませんので、その間やはり家族が負担を余儀なくされる部分がたくさんございます。そういう者を支えていくという意味で、この介護休業制度が導入されるということは大変私は評価をいただけるものだというふうに思いますし、働く者にとっては大きな前進になるのではないかというふうに思います。そういう意味では、この老親等の介護に関する法制化、これがぜひ与野党一致してスタートができれば最もベストの形ではなかったのだろうかというふうに思います。衆議院の方でも、野党の皆さんの御意見もあり修正も加えられました。しかし、参議院の場でもまだ意見の一致が必ずしもない。野党と皆さんの御意見があるというのは残念なところではないだろうかというふうに思います。
 ただやはり、このスタートがされるということは、平成会の皆さんや野党の皆さんも、内心ではよかった、これが第一歩だと多分思っておられるのではないだろうかというふうに思いますので、ぜひこれからもこぞって、この法律が円満に多くの働く皆さんに適用されるようにあるいは利用していただけるように、努力をしていきたいものだというふうに思います。
 こういう法律、いよいよ制定間近ということになりますけれども、この間浜本労働大臣にも大変な御努力をいただいたと伺っています。その御努力や御尽力に心から敬意を表させていただきたいというふうに思いますが、この時点、振り返っていただきまして御感想など伺えましたら幸いだというふうに思います。
 それをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#34
○国務大臣(浜本万三君) 先ほどは、大変この法案の成立について努力したというふうに評価していただきまして、まことにありがとうございます。
 最終段階に御審議が進んでおりますので、私としては大変喜んでおるわけです。私が労働大臣に就任する前から、ILO百五十六号条約はどうしてもこの国会で批准をしていただきたい、そのための努力はしなきゃならぬというふうに思っておりました。ILO百五十六号条約を批准するということになりますと、当然国内法の整備が必要でございますので、既に成立をしております育児休業制度の問題、そしてあわせて今回の介護休業制度を含みました育児休業法の一部改正の法律案というものはどうしても成立をさせていただきたいというふうに思っておりました。
 特に介護休業の問題につきましていえば、大企業と中小企業に相当の格差がございまして、事業主全体からいえば一六・三%の普及しかできていなかったわけでございますが、先ほど申したような趣旨から、どうしても議員の皆さんに御協力をいただきましてこの法案をこの国会で成立させていただきたい、かように強く念じておる次第でございます。
 特に労働省は、ことしこの法案をつくりますに当たりましては、先ほどからお話がございましたように、家庭生活とそれから職業生活の両立のための支援を積極的にやっていこうと。また、家族の介護のために職場を離れるというようなことがないように、雇用を継続するための措置としても重要であるというふうに考えておりまして、どうしても早く成立をさせていただきたいということを念じておったわけでございますが、皆さんの御協力によりまして審議が最終段階まで進んできておることを大変喜んでおるわけでございます。
 この上は、できるだけ早く成立をさせていただきまして、成立後の普及の速度を上げまして、一刻も早く皆さんから御意見が出たようなもろもろの制度が充実するようになることを期待しておるということでございます。
#35
○都築譲君 平成会の都築譲でございます。
 介護休業制度についての法制化の議論いよいよ最終局面にという労働大臣の御説明でございますが、介護休業の議論に入る前に、通告をしていなくて大変恐縮でございますが、けさ新聞を見ましたらいろんなところに、首相が重大な決意と、こういう御発言が出ておるわけでございまして、ちょっと読んでみますと、どうも浜本労働大臣がお伺いになった、こういうふうなお話のようでございます。
 その点についてちょっとお伺いをしたいと思うわけでございますが、つい一昨日も四月分の雇用失業情勢と申しますか労働力調査の結果が発表されまして、失業率が三・二%ということで、戦後一部の混乱期を除きますと、昭和二十八年の比較可能な統計がとられるようになって以来最悪の状況を今回雇用失業情勢ということで迎えたわけでございまして、まだまだ政府の方では景気は回復局面にある、よい業種はよいし悪い業種は悪い、そういった中でよく見ていかなければいかぬ、こんなお考えだろうと思いますが、労働省の方でも先般成立させました業種法の関係で積極的な政策をまた打ち出すと。
 さらに六月一日、本日付で地方の安定機関に対しても示達をするというふうなお話を伺っておるわけでございますが、ことしの初めからいろいろ考えてみますと、阪神大震災のときの対応とか、あるいは今回のこういう失業情勢をもたらした大きな要因でもあろうと思います円高が急激に進んだ事実、こういったものに対しても実は三カ月以上何らの対策も講ずることなくやっておられて、四月の半ばになってようやく円高緊急対策本部を設置された、こんなお話があるわけでございまして、どうも政府の責任者として十分な指導力を発揮してこられなかったのではないか。
 ところが、こういうまた非常に重要な雇用失業情勢を迎える、こういう局面にありながら、確かに戦後五十年を経ての国会の決議というのは大変重要な意義を持っておるわけでございまして、そうした中で今までも限界発言というのが行われて、どうなっているんだという議論がございまして、たくさんの方が出てきてあの趣旨はと、こういう説明を繰り返したわけでございまして、今回また重大な決意ということで言われるのであれば、それは今までの例を振り返ってみれば解散があるいは内閣総辞職か、こういうふうなお話になるのではないかな、こういうふうに思うわけでございます。
 新聞を読んでみますと、労働大臣御自身も「重大な決意をすると、私はいつも周囲に言っている」と、こういうふうにおっしゃられて、そして総理も「私も重大な決意をしている」と応じたと、こういうふうな報道もあるわけでございまして、そういった意味で、労働大臣が重大な決意と言われたのはどういう御趣旨なのか、そしてまた総理が重大な決意と、こういうふうに言われたのを浜本労働大臣はどうお受けとめになられておられるのか、少しこの席でお述べいただけますでしょうか。
#36
○国務大臣(浜本万三君) 先ほど議員からお話がございましたように、村山内閣の評価について御発言がございましたんですが、村山内閣は発足以来約十一カ月になりますが、いろんな御意見はありますけれども懸命にもろもろの改革を実現しながら、緊急に対応しなければならないものには積極的に取り組んでおるというふうに思います。円高の問題につきましても、早速円高緊急対策本部を設置いたしまして、この問題に対する真剣な取り組みをしておるところでございます。
 御質問の本日の記事のことなんでございますが、昨日払総理官邸に参りましたのは、第一の用件は、もしこの介護休業制度を含む育児休業法の一部改正法案を成立させていただけるということになるならば、ILOに参りまして百五十六号条約の寄託をしたい、そういう考え方があったものですから、そのための出張について内々御了解を得るということが一つでございました。
 それからもう一つは、先般東燃で大きな事故が起きまして、被災者が四十六名から八名、重症者が七名、そのうち四名が重篤であるというふうな報道がなされておりまして、大変総理も心配されておるということを伺いましたので、その実情と労働省の対応について説明をさせていただく、これが目的で実は行ったわけなんですが、たまに行って時間がございますともろもろの問題が出るのは当然予想していただいておるとおりだと思います。
 その中の一つに、最近新聞をにぎわせておりますところの五十年決議の問題について触れました、確かに。私の方からむしろ、今内閣の並びに与党のプロジェクトチームの中で並行して審議をされておるが、やはり何といっても与党三党の意思が統一されることが大切であるので、プロジェクトの報告については受けておられますかという話から切り出しました。恐らく近々のうちに合意をするんではないかと思うと。
 その理由は、総理大臣のこれは発言でございますが、その理由は一つは与党三党が内閣を組織するときの合意事項がある、その合意事項に五十年決議の問題については明確に載せてあるということ。それから決議の内容にわたりましては、内閣で決定をいたしました施政方針演説を総理は行われました。その施政方針演説の中にもその内容にわたることが書いておるから、そういう範囲での五十年決議というものはもめるはずがないんだ、必ず実現できるものだというふうに私に発言がございました。
 社会党の内部でも、私の方に多くの方々が五十年決議ができないようならば社会党としては重大な決意をしなきゃならぬぞという話もございまするし、大会で久保書記長もその旨の発言をされておりました。
 私も、あの閣議後の記者会見におきまして、記者の皆さんから五十年決議ができない場合には労働大臣はどうするんだと、こういう話がありましたので、私はこの決議は与党三党の合意事項でもあるし、総理大臣の決意でもあるので、どうしてもこれはしなきゃならぬと思っております、もしできない場合には重大な決意というものをしなきゃならぬでしょう、私の重大決意というのはやっぱり労働大臣を辞任するということしかございませんので、そういう決意を持っておりますという話をしておったわけです。
 そのことを総理の方に、私もそういうことを申しておりますということを申しましたところ、総理も、これができなければ非常に私どもも責任を感じるし、重大なことだと思っておる、重大な決意をしなきゃならぬだろうなというような話がございまして、それが新聞報道になっているような状況でございまして、総理の重大決意というのは必ずしも海部元総理が言われましたような解散か内閣総辞職かということについては念頭にあるのかないのか、そういう点については私は承知をしておりません。
#37
○都築譲君 いずれにいたしましても、大変重大な局面を経済も雇用問題も迎えておるわけでございまして、また国会の方も重大な局面を迎えつつあるのかなというふうな認識を持っております。私どもとしては、従来の立場を維持しつつ、ぜひまた政府の方とも渡り合っていきたい、こう思っておるわけでございます。
 それで、今回の介護休業制度の法制化の議論でございます。いよいよ最終局面、最終審議の段階と、こういうことでございますけれども、労働大臣に、今回の政府案をお出しになられた隣どういうお考えであられたのか、そこら辺のところも、また改めて今後の施行の問題につきまして後ほど確認を幾つかさせていただきたい、このように思っております。その前に、今回介護休業制度を法制化するというふうな形になったわけでございまして、全体の中でこの介護休業制度をどういうふうにとらえていくのか。そして介護休業制度だけが何も福祉あるいは要介護老人の介護を担うわけではないわけでございまして、そういった面できょうは関係の省庁の皆さん方にもお越しをいただいておりますので、幾つか全体の中での議論を進めながら政府案のお考えを確認していきたい、このように思っております。
 従来から言われておりますように、急激な高齢化、少子化が進んでいる、こういう状況がございます。そしてまた公的介護サービスの現状の問題もございますし、また一方で日本的な家族観と申しますか、あるいは文化的背景、こういったものもございます。そういった中で女性の意識あるいは男性の勤労者の意識も相当変わってきているわけでございまして、そういった中で家庭あるいは地域、職業、こういったところの生活の両立と申しますか鼎立と申しますか、そういったものを図っていく必要がある、こんな状況にあるんだろう、こういうふうに思うわけでございます。
 一方、例えば総理府の行った世論調査がございます。九三年に高齢期の生活イメージに関する世論調査というのがございまして、その中で老後の生活に不安だというふうなお答えをしている方が八九%に上っておるわけでございまして、これは年金とかそういうものはある程度整備をされてきておりまして、所得の面ではそれほど心配をしなくなってきているのかなと。もっとも、年金の保険料率も二〇二五年ぐらいにはせめて三〇%は超えないようにと、こういうふうなことでございますから、勤労世代の負担増が日本人の勤勉性と申しますか勤労意欲に与える影響、あるいは経済全体に与える影響、活力を果たして維持できるのか、こういうような問題はあろうかと思いますが、所得の観点からはそれほどではない。
 むしろ、一番不安に思っているのは、やはり自分が倒れたときにどうなるか、こういうことではないのかなというふうに思うわけでございます。やはり人間としてその最期のところはみじめな終わり方はしたくないとだれもが思うわけでございまして、そういった面で本当に介護の問題というのは重要な意味を持っているんだろう、こういうふうに思うわけでございます。考えてみますと、こういうお年寄りが安心して老後が迎えられる、そしてまた近しい家族の人たちも愛情を持ってその老人を支えてそしてみとれるようにすることが本当に大事なことではないのかな、こういうふうに思うわけでございます。
 そういった意味でいきますと、これから高齢化がどんどん進む中で、例えば高齢者の数につきましては一九九三年現在で六十五歳以上では一千六百八十九万人、それから七十五歳以上の後期高齢者と言われる方になると六百六十六万人、こういうふうになっておるわけでございます。そのうち要介護の老人が二百万人ぐらいいる、こういうふうなお話でございますが、高齢者で要介護あるいは寝たきりの状態にある人の数がこれからどれぐらいに伸びていくのか、そしてまたどれぐらいの割合でそういう要介護状態あるいは寝たきりの状態になっていくのか、この将来の見通しはどのようにお持ちになっているのか、その点の現状をひとつお教えいただきたいというのが一つ。
 そしてまた、私自身考えてみますと、本当に寝たきりになるということが介護の問題をますます重く大きいものにしているわけでございまして、例えばヨーロッパのお話などを聞きますと、寝たきりという言葉はないんだというふうなことを聞きます。大体は車いすに座って移動をするとか、そういうふうな形で対応されているというふうなことでございます。ベッドに寝ているか車いすに座っているかの違いだけじゃないか、こういう話があるかもしれませんが、ただ介護する側からすれば相当負担は違うだろうと。ベッドに寝ている方をよいしょと起こして、そしてまた食事の世話をする、あるいは入浴に連れていく、こういうよりは自分で車いすで移動して入浴する、あるいは自分で散歩もできるというような状態とは大分違うだろう、こういうふうに思うわけでございます。
 寝たきりにしないための医療あるいはリハビリ、こういったものの対策、取り組みについて厚生省の方からお話を聞かせていただきたいと思います。
#38
○説明員(吉冨宣夫君) ただいま先生の方から御指摘のございました三百万人という数につきましては、これは虚弱老人を含みます数だろう、このように考えております。この虚弱老人を含みます要援護老人全体の数というのは、これは平成四年度現在で百九十万人ぐらいというふうに把握をされてございます。
 そして、寝たきり老人の数の現状でございますけれども、各地方自治体が作成をしました老人保健福祉計画の集計値によりますと、平成四年度末現在で約九十万人ということでございます。この六十五歳以上人口に占めます割合は五・四%ということでございます。また、寝たきりではなくて介護が必要な痴呆性老人、この数を含めます要介護老人全体の数は約百万人でございまして、この六十五歳以上人口に占めます割合は約六・一%というふうになってございます。
 また、将来的な推計でございますけれども、これも地方の老人保健福祉計画で推計がされておりまして、その集計値によりますと、平成十一年度末で寝たきり老人の数は約百二十万人ということでございまして、この六十五歳以上人口に占めます割合は五・八%となる見込みでございます。また、寝たきりではなくて介護を要する痴呆性老人、こういった方を含めます要介護老人全体の数は約百四十万人でございまして、この六十五歳以上人口に占めます割合は六・六%となる見込みでございます。
 以上でございます。
#39
○説明員(尾嵜新平君) 寝たきり老人に対します取り組みについての御質問にお答えを申し上げます。
 寝たきりにしない、あるいは寝たきり老人を減らすための取り組みといたしまして、平成元年に策定されましたゴールドプランによりまして、寝たきりは予防できるという意識を国民の間に浸透させるということを第一に考えておるわけでございまして、二十一世紀には寝たきり老人の新規発生をなくすことを目標といたします寝たきり老人ゼロ作戦をスタートさせたわけでございます。そういう中で各種の施策を展開しているところでございますが、先生御承知のように、昨年の十二月末にゴールドプランの全面的な見直しを行いまして新ゴールドプランを作成いたしたわけでございますが、その中でも新寝たきり老人ゼロ作戦としてその取り組みをさらに充実してまいったというところでございます。
 具体的な内容を申し上げますと、一つは、寝たきりを予防し高齢者の自立を積極的に支援する観点から地域におきますリハビリテーション実施体制の強化を図るということで、市町村保健センターを中心といたします地域のリハビリテーション事業を推進するというのが一点でございます。
 二点目は、寝たきり老人の主な原因でございます脳卒中、骨折等の予防のための健康教育でありますとかあるいは健康診査等の、いわゆる保健事業と申しておりますが、そういう事業を積極的に展開をするというのが二点目でございます。
 三点目に、地域におきます高齢者保健福祉サービスの展開拠点といたしまして、最初に申し上げました市町村保健センターの整備の推進を図っているというところでございます。
 それと四点目に、地域におきます寝たきり老人の予防・在宅療養指導等を担当いたしますマンパワーの養成といたしまして、市町村保健婦の確保などに積極的に取り組んで展開をしているというのが現状でございます。
 お話のございましたヨーロッパと我が国とを比べますと、確かに北欧の先進福祉国と言われるところと比べますと日本の寝たきり老人の数は数倍以上いらっしゃるというふうな報告がございます。ただ、北欧の方も全く寝たきりの方がいらっしゃらないという状況ではないというふうには聞いておるわけでございますが、いずれにいたしましても、今申し上げました医療も含めて総合的な対策を進めて、できるだけ新規の発生の方々をなくすような施策を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#40
○都築譲君 今御説明の中にありました新ゴールドプランでございます。細川内閣のときに二十一世紀福祉ビジョン、こういったものを出しまして、さらにそれを踏まえてゴールドプランを改定し、新ゴールドプランという形で昨年の十二月に三大臣合意と、こういうふうな形で進められているというふうな話を聞いております。
 つい最近の新聞報道でも、全国の自治体の首長さんのアンケートを聞きますと実は半分ぐらいの方が既に、平成十一年達成目標こういうことでございますけれども、達成が困難であると、こんなことを言っておられるお話を聞くわけでございまして、果たして本当にこういう介護サービスの体制、公的福祉サービスの体制が今御説明にあったような形で本当に進んでいくのか、そしてまた当面平成十一年ということでございますけれども、これから本当に高齢化が深刻に進んでくるのは、そしてまた後期高齢者という形で要介護老人、先ほどもお話しございましたような方たちがふえてくるのはやはり戦後のいわゆる団塊の世代、ベビーブーマーの世代がその年代になってくる二〇二〇年の前後あたりからではないかなと、こういうふうに思うわけでございます。
 そういった意味で、新ゴールドプランの中で公的福祉サービス体制について取り組んでいることで果たして本当に大丈夫なのか、達成困難という声に対してはどういうふうにお考えになっているのか、そんなところをお聞かせいただければと思います。
#41
○説明員(吉冨宣夫君) 高齢者に対します介護サービスにつきましては、昨年すべての自治体で地域の高齢者の実態やニーズなどに基づきまして老人保健福祉計画が策定されておるわけでございますけれども、その中で、平成十一年度末のそれぞれの地域におきます要介護高齢者数やあるいはこうした方々に対します介護サービスの必要量が推計されております。こういった推計に基づきまして整備すべき介護サービス基盤整備の目標が定められている、こういうことでございます。
 厚生省としましては、この老人保健福祉計画の作成を踏まえまして、従来のゴールドプランにおきます介護サービスの整備目標、こういったものを大幅に引き上げまして、自治体の取り組みを支援しまして地域の介護ニーズにこたえることができます体制を整備する、こういうことのために昨年十二月に新ゴールドプランを策定したところでございます。
 今後とも、引き続き新ゴールドプランを着実に推進をしまして、地方自治体の老人保健福祉計画に基づきます取り組みを全面的に支援をしてまいり、介護サービスを必要とします高齢者が身近にサービスを手に入れることができますように、それぞれの地域の実情に応じました介護サービス基盤の整備に努めてまいりたい、このように考えております。
#42
○都築譲君 今御説明がございましたように、地域の介護ニーズに対応できる体制をということでございますが、確かに地域が主体であるということと、それから自立支援あるいは普遍主義とか、そういう観点が新ゴールドプランの中に盛り込まれておることは承知しております。ただ、平成十一年まででもなかなか難しい状況がある、そこをしっかり本当にやっていただきたい、こう思うわけでございます。また、平成十一年以降の問題について、これもまたもっと大きな視点から議論を進めていく必要があるのかなと、そんなふうに思うわけでございまして、厚生省の方では公的介護保険の仕組みなども検討されているというふうに伺っておりますけれども、これらについてはまた議論を深めていきたい、こういうふうに思っております。
 ただ私自身、今の御説明の中にございますけれども、地方の財政基盤の問題もございますし、もう一方でやはり介護サービスを支える労働力の問題もこれはひとつ大きな要因であろう、こういうふうに思うわけでございます。三年前だろうと思いますけれども、厚生省と労働省の方で看護・介護労働力の確保のためにいろんな取り組みを話し合いして法律も出して進めてきたわけでございまして、職業安定機関もそれなりの努力をし、そしてまた、厚生省の方も福祉人材情報センターといったものを設置して人材の確保を図っておるということでございます。
 私の感想を申し上げれば、やはり介護というのは本当になかなかきつい仕事であって、今まで介護の問題で家族が悲惨な状況になるというのは、もう支え切れなくなって世の中が暗くなってしまって、そして大変悲しい結末を迎えるという事件も相当あったわけでございますし、また介護労働ということで専門的な職業として従事する方たちも、やはりそれなりに肉体的にも精神的にもかなりな負担を感じるところがあるだろう、こういうふうに思うわけでございます。
 そういう状況をどう改善していくのかというのも一つの問題でございますし、またそういう本当にひところ言われた三Kという、危険、汚い、きついというふうな労働の一つの典型的な事例がなと、こういうふうに思うわけでございますけれども、そういったものをよくする、職業として本当にみんなが明るく従事できるようにするという観点と、もう一つはそういった処遇の問題と、こういった問題もやはりあるだろう、こういうふうに思うわけでございます。
 ただ、そうはいっても、なかなか全体の財政事情、そしてまた民間の例えは付添介護をする家政婦さんとかそういった人を雇うということになれば相当お金がかかるし、またシルバーサービス産業といったものを利用するに当たっても相当なお金がかかるというのが現状だろう、こう思うわけでございます。
 そういった中で、看護・介護労働力、これから労働力の伸びが鈍化をしてくる、そしていろんな雇用失業情勢の絡みも出てまいりますけれども、今後、看護・介護労働力の確保のために、やはり労働省、厚生省が協力をして取り組んでいく必要があるんではないか、こういうふうに思うわけでございまして、そういった意味で、労働省、厚生省の御見解を伺わせていただきたいと思います。
#43
○説明員(吉武民樹君) 介護サービスの提供に当たりましては、委員御指摘のとおりサービスを担いますマンパワーの確保の問題が不可欠であり、非常に重要なことだというふうに認識をいたしております。
 このため、これまでも平成四年に制定されましたいわゆる福祉人材確保法あるいは看護婦等人材確保法等に基づきまして、平成五年度には福祉人材センターを全都道府県へ設置をいたしまして、中央にも中央福祉人材センターを設置いたしまして、公共職業安定所と連携をとりながら職業紹介あるいは相談事業等を実施いたしております。
 さらに平成六年度には、こういう福祉サービスに従事する民間の職員の方々のための福利厚生事業を開始いたしております。さらに、平成九年度からの労働基準法の週四十時間制への移行を行うために、平成六年度からそれまでの週四十二時間から逐次勤務時間を短縮するといったような措置を講じてきているところでございます。
 昨年末に策定されました新ゴールドプランにおきましては、マンパワーの整備目標としてホームヘルパー十七万人、寮母・介護職員二十万人、看護職員等十万人、OT・PT一万五千人というふうに位置づけをいたしておりまして、人材確保対策を介護基盤の支援施策の重要な柱として推進をしてきているところでございます。
 私どもといたしましては、具体的には、介護マンパワーにつきましてはその中核となります介護福祉士の養成施設の整備を推進してまいりたいというふうに思っております。今年度の状態で申し上げますと、一学年の養成定員が約一万一千人という状態になっております。来年度以降もこの養成力の拡充につきまして努力してまいりたいというふうに思っております。
 それから、看護職員あるいはOT・PTの方々につきましては、需給見通しに基づく計画的な養成に努めております。さらに、ホームヘルパーの養成研修につきましても質的な内容を充実するといったような施策を講じたいというふうに思っております。さらに、先ほど申しました業務の省力化あるいは勤務時間の短縮等によりまして職場環境の整備の施策を講じたいというふうに考えておりまして、新ゴールドプラン等に必要なマンパワーを確保すべく、より一層推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
#44
○政府委員(征矢紀臣君) 高齢化の進展等によります中で、高齢者等に関連します介護のための労働力確保、これは極めて重要な課題であるというふうに考えております。
 このため、私どもといたしましては、介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律に基づきまして介護労働者の雇用管理の改善あるいは能力の開発、向上等に関する措置をとっているところでございますが、このほか、公共職業安定所につきましても福祉重点ハローワークという形で計画的に対応することにいたしておりまして、潜在的な介護労働力の確保等に努めているところでございます。
 今後、介護ニーズはますます増大するわけでございまして、これに適切に対応するためには、御指摘のように労働省は厚生省と緊密な連携をとりながら対処していくことが非常に重要であるというふうに考えておりまして、今後とも厚生省とよく連携をとりながら対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
#45
○都築譲君 ありがとうございました。
 冒頭申し上げたように、私自身は寝たきりの老人を本当に減らしていくことが必要ということで、先ほど厚生省の方からお答えをいただいたわけでございますが、もう一つ寝たきりを減らすという観点からは、先ほど申し上げたように、やはり車いすあるいは松葉づえでも移動できるようにする必要があると思うんです。
 特に日本の住宅というのは、玄関をあけると敷居があって、上がりかまちがあってというふうな形で、また畳の部屋に入るときにもやはりふすまの敷居があるとか、そんな話があるわけでございまして、なかなか日本的な文化あるいは気候条件にかんがみると難しいのかもしれません。例えば年間百四十万とか百五十万戸と言われている住宅供給、この状況が全くそういう高齢者とかあるいは要介護の方に優しくないようなそういう住宅をつくり続けているということであれば、またいずれそれが使えないとかあるいは使うためには直さなければならないというふうなことになるわけでございます。せっかく個人でもたくさんのお金を投資し、またたくさんのお金を借金して住宅を買う、こういう状況、あるいはまた公的な住宅の供給に当たってもたくさんのお金を政府として投入してやっておるわけでございますけれども、何か使えないような廃墟ができてくるんではないか、こんな気もしないわけではないわけです。
 そういう意味で、ぜひ住宅のバリアフリー化と申しますか、車いすが通れるような廊下をつくりなさいとか、上がる入り口のところはそういう段差もなくすとか、あるいはそういったものを含めて住宅の中高層化が進めば、エレベーターですぐ上の階へ行けるというふうな形にすれば、老人も何も自分の部屋だけに閉じこもって足を弱らせて寝たきりになってしまうということはなくなるだろうというふうな気もするわけでございます。
 そういった意味で、住宅公庫融資の優遇のあり方と申しますか、それがもう基準なんだ、これから二十年、三十年を考えたらもうむだな住宅をつくってもしょうがないんだ、いずれみんな年をとるんだからと、こういう発想で公庫融資も考えていただくとか、あるいは建築基準法だって、何かドイツでは、聞くところによればそういう高齢者仕様でなければだめなんだというふうなお話も聞くわけでございまして、そういった点について建設省のお考えをちょっと聞かせていただきたいと思います。
#46
○説明員(山本繁太郎君) 本格的な高齢社会が目前に迫っている、そういう中でお年寄りが暮らしやすい、生活しやすい住宅、そういう配慮の行き届いた住宅を積極的に供給すべきではないかという御指摘でございます。私どもも基本的にはそういう認識で仕事を進めさせていただいております。
 具体的にこれまで講じてきました施策でございますけれども、公共賃貸住宅、公営住宅、公団住宅につきましては、新しくつくります住宅はすべて床段差の解消とか、体重の移動を伴うところには手すりをつけるとか、そういった高齢化対応仕様というのを既に標準化しております。既にあります住宅についてもそういう考え方に立って精いっぱい改善をしていくという考え方でございます。それから、御指摘の住宅金融公庫融資につきましても、平成三年度から、そういうバリアフリーの工事をなさる方に対しては割り増し融資をするといった施策を充実させてやっているところでございます。
 これから将来に向かってどういう方向で施策を充実するのかという御指摘でございます。法律で義務づけるという部分につきましては、国民の皆様の自由な建築活動を規制するという部分もございますので、ある程度大方の国民の皆様がそうであるというコンセンサスを得ないと現段階ではなかなか義務化は難しいのかなという判断に立っております。そういう判断に立った上で、それじゃ当面何をするのかということで二つのことを大切なことだと考えております。
 第一点は、住宅をおつくりになる消費者の方、それから設計する建築士の方、供給企業の方、それぞれバリアフリー化が大事だと考えていただけるようにするために長寿社会対応住宅設計指針というものを今一生懸命つくっておりまして、できるだけ早くこれを公表して運用していきたいと考えております。
 それから二点目は、御指摘の住宅金融公庫融資でございます。これをできるだけ高齢社会に向けて政策誘導効果が強まる方向で充実していきたいと考えております。実際、今年度から高齢者と同居するための住宅、高齢者同居ということで割り増し融資をこれまでもしてきておったわけですけれども、この三百万円の割り増し融資を五割増しの四百五十万円にしていただくこととあわせまして、この住宅は必ずバリアフリーでなければいかぬということを要件とさせていただいております。同じ方向は、公庫融資を受けて地方住宅供給公社が住宅をおつくりになります。これは今年度から、公庫融資を受けて供給公社がつくる住宅については全部バリアフリーでなければいかぬということで制度を改善しております。
 こういったような方向で、高齢社会に対応した住宅政策というものを充実させていきたいというのが私どもの考えでございます。
#47
○都築譲君 ありがとうございました。ぜひしっかりとお願いをしたいと思います。
 そして、住宅の問題から今度はいよいよ介護休業の本体のまた前段階でございますが、今回の法律案を議論する過程で中小企業の困難性が特に主張されたわけでございます。中小企業といっても本当にたくさんのバリエーション、やはり規模によって五人、十人の本当に零細のところから、二十人、三十人、さらに中小企業といっても百人規模の中小企業だってあるわけでございますから、財政基盤、経営力、技術力、そういったものは大分違うだろう、こういうふうに思うわけでございます。
 本当に中小企業が戦後五十年の間に相当な役割を担って日本の経済を支えてきたわけでございますけれども、その中でやはり中小企業の労働者の労働条件といったものがなかなか改善しなかった状況もあるわけでございます。ただ、今後これからの五十年間を考えたときに、やはり同じような状況をまた引きずっていくことになるのか。
 中小企業の近代化がいろいろ言われております。新しい分野に進出するんだと、こういうことを言われておりますが、やはり生活必需的なサービスを提供するいろんな飲食店とかレストランとか、あるいはホテルとか、あるいは商品雑貨とか、そんな部分もあるわけでございまして、そういったところの経営の近代化、合理化、これは労働条件の改善を含めてこれからどういうお考えで指導されていかれるのか、その点について簡単に御説明をいただけますでしょうか。
#48
○説明員(鷺坂正君) 中小企業の経営近代化に関する御質問かと思いますけれども、まさに委員御指摘のとおり円高の進展等、現在中小企業をめぐる経営条件は非常に厳しいものがございまして、まずともかくそういった中で何とか中小企業が生き抜いていかなければいけないというところが重要かと思います。
 先般の急激な円高に対しましては、四月十四日に緊急円高・経済対策というものが取りまとめられたわけでございますけれども、この中では低利融資制度、あるいは中小企業の信用保険の特例、さらには特に小規模企業ということに着目いたしまして小企業の経営改善資金、これの融資の枠の拡充というようなことで経営安定策を十分に講じたというふうに考えているところでございます。
 それから、やはり何といいましても経済の構造的変化が非常に急速に起こっておりますので、これに対応して、中小企業といたしましても新分野への進出等の構造的な対応を十分進めていっていただかなければいけないというふうに思います。このために、一昨年、中小企業新分野進出等円滑化法というのをおつくりいただきまして、これで対策を講じておるわけでございます。
 その中で、今回また特に円高が急速に進展いたしましたので、この法律を一部改正いたしまして、経営安定のための措置を講じながら新分野進出等の準備を行っていただくというようなことができるように法律の改正をいたしまして、先月三十三日に施行させていただいたところでございます。この中では、従業員の研修あるいは外部からの経営に関する指導といったことにつきましても計画の内容ということにできることになっておりまして、そういった活動も支援するということで、中小企業者に対しましてさらに利用しやすいものとなったというふうに考えております。
 さらに加えまして、特に小規模零細企業につきましては、こういった計画はなかなか法律に乗りにくいんじゃないかというような御指摘もあるかと思いますので、今申しました法律に基づきます計画の策定、計画をつくること、それからそれの実施を行うことということにつきましてきめ細かな実地の指導を行うということを内容といたします事業開拓コンサルティング事業というのを新たにつくっておりまして、基本的に言えば、無料でそういった計画をつくり、あるいは実施をするということにつきまして指導を受けられるというような仕組みもつくっておりまして、こういった仕組みを合わせまして小規模零細企業も含めまして新たな経済の構造的変化への対応というのがだんだん進められていくというふうに期待をしているところでございます。
#49
○都築譲君 ありがとうございました。
 高齢化を取り巻く問題というのは本当に各省庁にまたがるわけでございまして、きょうは労働委員会ということでございますが、三省の方に来ていただいてお話をお伺いしたわけでございます。
 本当に政府挙げての取り組みが必要な課題でございますが、今回の介護休業制度、いろいろ世の中が変化する中で、この過渡的な状況の中で、やはり八万人が毎年退職せざるを得ないという状況の中で、家庭生活と職業生活の両立を図りつつ、要介護者が本当に安心して暮らせるようなそういう社会をつくっていくということで今回提案をされておるわけでございますが、この際労働大臣に五つの点についてお考えをお伺いしたい、このように思います。
 まず初めに、介護休業期間及び回数について、労働者の権利としての最低基準たる介護休業制度の内容を上回る制度の導入を促進するためいかなる努力をされるのか、この点についてお伺いします。
#50
○国務大臣(浜本万三君) 法で定める介護休業制度に関する最低基準を上回る部分については、法第二十条第二項で定める事業主の努力義務の趣旨を踏まえ、この最低基準を上回る制度の導入促進が的確に図られるよう、法第二十二条に基づき、事業主が講ずべき措置に関して定める指針において、最低基準を上回る期間、回数について必要な措置が講じられることが望ましいものであることに配慮すべき旨を示し、これに基づいて事業主に対して格段の相談、指導、援助を推進してまいる所存でございます。
#51
○都築譲君 次に、介護休業制度の施行日は平成十一年四月一日となっていますが、これでは遅過ぎるのでもう少し前倒しをする必要があると考えます。この点についてお伺いします。
#52
○国務大臣(浜本万三君) 介護休業制度については、まず第一に制度の円滑な普及に努めることとしており、制度の普及状況を的確に把握するとともに、御指摘の点については、必要かつ適当と判断される場合には、関係審議会に御議論を願うことといたしたいと考えております。
#53
○都築譲君 附則第三条で、施行後適当な時期において介護休業の制度等について見直し、検討を加えることとされましたが、政府としてはどのような時期が適当な時期と考えておられるのかお伺いします。
#54
○国務大臣(浜本万三君) 附則第三条により、介護休業の制度等に関する規定の施行後、適当な時期において介護休業の制度の実施状況、介護休業中における待遇の状況、その他の法の施行状況、公的介護サービスの状況等を総合的に勘案し、必要があると認めたときは介護休業の制度等について総合的に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとされましたが、施行後三年を目途に検討を行うことといたしたいと考えております。
#55
○都築譲君 要介護状態の定義について、政府案では「常時介護を必要とする状態」となっていますが、円滑な介護休業の取得が確保されるような運用が図られるべきではないかと考えます。この点についてのお考えをお伺いします。
#56
○国務大臣(浜本万三君) 要介護状態の判断基準については、特別養護老人ホームの入所判定基準を参考に策定する予定ですが、実際の介護休業制度の運用に当たっては、労働者に過度な証明などが求められることなく円滑な介護休業の取得が可能となるよう事業主に対し必要な周知啓発に努めてまいりたいと考えております。
#57
○都築譲君 期間を定めて雇用される者も、契約が反復更新されている場合など実質的に期間の定めなく雇用される者と同一視される場合には、介護休業制度が適用されると解してよいか、お伺いします。
#58
○国務大臣(浜本万三君) 有期雇用が反復継続された場合の介護休業の適用については、実質的にその契約が期間の定めのない労働契約とみられるかどうかという観点から、実態に応じ個別に判断すべきものであると考えます。すなわち、特段の事由のない限り、雇用契約が更新されているような場合には、期間の定めのない契約として取り扱い、介護休業制度が適用されることがあると考えております。
#59
○都築譲君 ありがとうございました。以上で終わります。
#60
○古川太三郎君 きのう、おとついと参考人あるいは公述人からのお話を伺ってまいりました。このことで一番強く感じたことなんですけれども、中小企業が一番抵抗感を持っているのは代替要員の確保だということがはっきりとわかってきました。それについて中小企業にいま少し明確なる指針を提示すれば、中小企業自身も四年も待つ必要がなくてもっと早くしてもいいんじゃないかというようなことが起きてくるんじゃないかな、こう思っているんですが、代替要員というのを確保する、これはパートなんかであれば非常に楽だという話も聞きました。
 ただ、専門職の人、きのうなんかでは例に挙がったのは野菜の競りをする人ですね、こういった人は非常に代替がきかない。そういうことから、かわれるようなシステムというのはどういうことがあるんだろう、今そのことを模索しているということを言っていました。あるいはまた、どこかの地方、東北なら東北地方だけを販売している営業マン、それは東北地方のお客さんとのコミュニケーションがあって、その人が急に休むということになると、新しい人を入れても営業活動に無理がいくとか、大企業のようにそれがすぐかわれるような人員を持っていればいつでもできるんでしょうけれども、中小企業は先ほどからのお話のようになかなか大人数を常時雇っていくということは難しいようですね。
 それで、三カ月ぐらい休まれて、じゃその間大変だということで新しい人を雇った場合、今度は三カ月で戻ってこられると。そうすると、そのときから三重に給料を払わなきゃならぬ。じゃ、三カ月だけでその新しい代替要員の人がやめていける、そういうシステムが欲しいわけですね。
 最近の若い人ならば、一つの会社に一生働こうとかという気持ちは余りなくて、フリーターといいますか、もう私は一年刻みであっちこっち同じ職種で働きたいというような人も出てくる。三カ月であろうが一年であろうが、そういうときに働いて、そして自分が休みたいときはいつでも休めるというような気持ちで職業につく人も多くなってくることも事実だろうと思うんですけれども、しかしそういう人たちを確保していくという制度が今のところは見当たらない。
 それだけに、中小企業の方は代替要員が必要なんじゃないか、それ一点張りで三年あるいは四年の準備期間が必要だと、こうおっしゃっているんですが、そうならば労働省としてどういった形で、そういったものは今できなければ、三年後だって考えていなければできないんですから、それまでの四年間の期間にばこういったことをする、こういったことをするから大丈夫、できるんだということを見せてほしいし、そういうシステムづくりがあるのなら、お聞かせいただきたいと思います。
#61
○政府委員(松原亘子君) 先生御指摘のように、介護休業制度を導入していない事業所についての調査結果なんかを見ますと、何が最も困難な要因がということについては、最も多くの企業が代替要員の確保が難しいとか、休業している間に代替要員を採用したとした場合にはその休業取得者が復職してきた場合の代替要員の処遇が難しいということで、代替要員に関する問題が困難の第一に挙げられているというふうに私どもも理解をしているわけでございます。
 一方、これまで介護休業をとった方々の実態を見ますと四十代、五十代という方々が多いわけでございまして、そういう意味では、企業をまさに中核的に担っている方々がとられるということが相当予想がされるわけでございます。そういう意味では、余人をもってかえがたい方が休業をとった場合に一体どうなるのかということを中小企業の方は非常に不安を持っておられるということは、先生が御指摘されたとおりだというふうに私どもも認識をいたしているわけでございます。そういうことで、労働省といたしましても、この介護休業制度がスムーズに定着するためには代替要員確保対策もあわせてやっていくことが重要だというふうに考えているわけでございます。
 そういうことから、第一に、今回の法案の中にも入れさせていただいておりますけれども、一定の基準を満たす事業協同組合などが傘下の中小企業の委託を受けて代替要員の募集を行う場合に、通常はこういったことは許可制なのでございますけれども、それを届け出制ということにいたしまして手続を簡素化し、介護休業取得者が出そうだというときにスムーズに代替要員の募集ができるように、まず一つ制度を改めるということをいたしたいというふうに考えているわけでございます。
 また、公共職業安定所に現在既に育児休業の代替要員を確保するための、そういったことについての相談コーナーというのがございますけれども、それをさらに充実をさせるといったことですとか、せんだっての高年齢者雇用安定法の改正によりまして、高年齢者につきましては派遣事業が一般の派遣よりはもう少し幅広い分野で可能になったということがございますので、そういったことの活用ができるといったようなことも周知を図りたいというふうに考えております。
 さらに、中小企業集団を通じまして代替要員確保のための情報の提供、例えば同じような業種が組織されているような中小企業集団の場合には、例えばその傘下の企業をやめた方、定年になってやめた方のOBリストをつくっておくといったようなことで、お互いの企業が自社の退職者のみならず、他社の退職者で適当な技能、技術、経験を持っておられる方がおられるというようなリストがあれば、介護休業を取得するというような方が出た場合にそういう情報を提供できるということになるわけですので、そういったことも国として支援するということを検討いたしたいというふうに考えております。
 そういった国の支援策とあわせて、今申し上げましたいわば受け皿は中小企業の団体、個別の中小企業というのもなかなか難しいわけでございますので団体を受け皿としてということになってこようかと思いますけれども、そういう団体についてのそういうことの準備といいますか、そういうものも団体自体にやっていただかなきゃいけない。団体が傘下の企業に対してそういったことの周知も図らなければいけないといったように、やはりさまざまな準備が必要になってくるわけでございますので、国の政策とあわせて中小企業集団、または傘下の企業がそういうことに向けての準備を始めていただくことが必要であろうというふうに思っております。
 私どもとしましては、この法律を成立させていただきましたら、そういうことについて鋭意さらに具体的な施策も検討いたしたいと思いますし、PRもさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
#62
○古川太三郎君 代替要員の確保が必要だと、またそれが難しいということは一応の意味はわかるんですけれども、本当に考えてみますと。そういう余人をもってかえがたい人ならば逆にやめられたら困るわけなんですから、どうぞ休んでください、そしてよくなったらまた帰ってきてくださいと、もう率先して本当はしなきゃならぬ理由があると私は思うんです。それを何か逆の形で恐怖に考えておられるのは、中小企業という事業主の本当の危機感かなと思ったりもしますけれども、私は、本当にその意味での従業員が必要ならば、もうそんな法律がなくてもどうぞ休んでください、そして帰ってきてほしい、ぜひともあなたに帰ってきてほしいんだよと、すぐにでもこの法律は適用できるんだろうと思うんです。
 それといま一つは、なるほどなと思ったのは、その間代替要員に来てもらって、そして今度は復帰してもらった人とお二人の給料を払っていかなきゃならぬ。だから、代替要員の離職についてスムーズにいくようなシステムというのが必要じゃないかなと。これさえあればもう中小企業の皆さんもそんなに四年も準備期間が欲しいというようなことはおっしゃらないんじゃないかな、こういう気がするんですけれども、いかがですか。
#63
○政府委員(松原亘子君) 先生がおっしゃいました前段の部分でございますけれども、これにつきましては、恐縮ですが衆議院の段階で名古屋で公聴会が行われたときに中小企業の方がおっしゃっておられたこと、また、これまでこの問題を審議していただいておりました婦人少年問題審議会でも中小企業のお立場から発言された方のお話などを伺いますと、おっしゃるとおり中小企業にとってどうしても必要な人材、この人にやめられたら困るという人がどうしても家族の介護のために休まなければいけないといったようなときには、休んではいけないといったようなことは中小企業としてはなかなを言えないと。実際には労使でそこでお話し合いをされて、じゃ何日か休んでまた出てきてといったようなかなりフレキシブルにお話し合いをされながらやっているというのが実態だというお話がございました。
 ただ、今回の法律はすべての企業にこれを義務づける、またすべての労働者に権利として付与する、企業の実態がどうだとか繁忙期であるとかどうとか、さまざまの事情ということは抜きにして、労働者が私は今の時期休まなければいけないというようなことになってきた場合には企業経営側の事由のいかんを問わずそれを認めなければいけない、拒否できない、こういうものでございますから、中小企業はそれに向けての準備が要るということだろうと思うんです。
 そこのところは事業の経営の実態を踏まえながら、労働者のニーズを踏まえながらお互いに話し合いで円満にできるという、そういうような仕組みというものであるならば先生の御指摘のようなことになるかもしれませんけれども、これは一律に義務づけるという法律であるということから、なかなか一挙にはいかないことだろうというふうに私どもは理解をいたしているわけでございます。
 また、その代替要員を雇った場合に、復職してくればスムーズに交代できるような仕組みがというのは、それはそのとおりでございますけれども、実際に採用された代替要員の方の問題もあるわけでございます。実際には、余人をもってかえがたいような人という場合には、この人が休むかもしれないというときには、いろんなケースがあるから一概には申し上げられませんけれども、企業はそういう場合も想定して、その人だけではなくて何人かの人がそういうことに当たれるようにいわば単能工ではなくて多能工化を図るとか、例えば一地区の担当者というのはたった一人ということではなくて、主に担当する人と副として担当する人というのを用意するための訓練をするとか、そういったことをやって対応しようということになるんではないか。
 これはへ私ども行政機関ではございますが、実際にそこで介護休業をとる人が出るということを考えますと、この事務は一人の人しかやっていないというような状況ですとなかなか対応できませんので、主として担当する人がいるけれども、従として担当する人を常に訓練をし、つくっておくというような体制をとることになってまいるわけでございますね、多分企業経営においても同じだと思います。
 これまで、こういったことが突然起こるということを考えていなかった中小企業にとっては、法律ができたからといって来年からすぐということはなかなか難しいのではないか。人を育てるというのは時間もかかりますし、そういうことを考えますとやはりこの程度の準備期間は必要ではないかというふう化私どもも判断をしているわけでございます。
#64
○古川太三郎君 今度は大臣にお聞きして、もう昼も過ぎましたからやめたいと思います。
 この法律そのものは社会サービスが不足だということからできた法律かもしれませんけれども、それならばゴールドプランが実際に完備して、もう社会サービスはこれで大満点だといっても、この法律の存在意義というのはあるはずなんです。そのことをまず大臣にお聞きしたいと思います。
#65
○国務大臣(浜本万三君) 労働省といたしましても、各事業所におきましてできる限り早い時期に介護休業制度が導入されることは大変望ましいことだと思っております。しかしながら、介護休業制度の導入は、先ほどから議論がございましたように、特に中小企業にとって負担が大きく、一番障害になっているのが代替要員の問題だというふうに思います。
 特に、最近の厳しい経済情勢、経営環境のもとで人の面についてさまざまな対応策を実施してまいりました企業にとりましては、人をふやしたりあるいは体制を整備したりすることは直ちにはなかなかできがたい問題であると思います。したがって、相当の時間がかかることも考えなきゃならぬと思います。
 そのため、特に中小企業に配慮しながら奨励金等も活用させていただきまして、啓発指導及び援助に鋭意努めることによりまして、この制度が早く全体に適用されるものだというふうに思っておるわけでございます。
#66
○古川太三郎君 私がお聞きしたいのは、期間が要求としては一年ほど欲しいんだというのが三カ月であったり、あるいはその期間を何回か欲しいんだけれどもそうじゃない一回だとか、あるいは直ちに今こういう制度が欲しいんだといっているけれども、いや四年後からというような考え方そのものが、これは社会サービスとは全く別個の労働者福祉制度として日本の家族の倍といいますか、そういったものから出発したもので、これはヨーロッパなんかが、先ほどの話じゃないですけれども、あるいは欧米といいますか、に余り例がない、あってもまた別の考え方からできている法律だというお話も伺いました。
 この法律は、日本で本当に社会保障のサービスが完備したとしても私はこれは残しておくべきだろうし、この法律そのものは存在価値が大いにあるんだと。こういう意味からすれば、今は一年欲しいけれども、別の意味で家族の情という日本の社会のことを考えれば、いやお父さんが、あるいはお母さんがなかなか大変だという場合に三カ月ぐらいのお見舞いをする、この程度ができるというのは非常に労働者にとっては社会保障が完備されたとしても必要なことだと思うんです、人間の情として。それならば三カ月でもいいだろうと。それは社会サービスが完備したことを前提にして申し上げるんですよ、それなら三カ月ていいだろう。
 あるいはまた、そういう社会サービスが今完備してないから本当は直ちにしてほしいんだけれども、これからこの介護休業というものは日本独自のものとして、あるいはアジアに通ずるものとして、私は日本だけじゃなくてアジア全体に通じていくものだろうと思います。欧米にはなかなか浸透しない制度かもしれない。これは個人的な感覚、あるいは個人主義の別のやっぱり社会の発展過程がありますから。だけれども、アジアというのは家族主義的な家族の情というものを一番表に置いておる、そういう意味からこの法律というのは日本だけじゃなくてアジアにも広がっていくだろうと思うんです。そして、社会的なサービスが必要だということも大いに当然ですけれども、ゴールドプランとかなんとかいっても、全部が完備したとしてもなおかつこの介護休業というのはアジアには大変いい法律だということが言われるような制度であってほしいわけなんです。
 そういうところまで考えるならば、いろいろの問題はあるでしょうけれども、一年の期間というよりも三カ月というのも考えることができるんです。本当は一年、今の社会保障が完備せず不足というような事態を考えれば一年欲しいんです。だけれども、完備した時点では三カ月でもいいんじゃないかなということは言えると思う。
 そういう意味から、この法律自体が日本のみならずアジアにも広がっていくような、そういう家族主義的な、封建的な家族主義を言っているわけじゃなくて、人間の情としてこういう法律が非常に立派なものに育っていくことを願っておるわけなんですが、そういう意味での大臣の御感想をお聞かせいただきたいと思います。
#67
○国務大臣(浜本万君) 先ほどから議論されておりまするように、日本の国は世界に例を見ないほど急速に高齢化が進展をしております。そこで家族の介護の問題が国民的に重要かつ喫緊の課題となっておるわけでございます。
 こうした問題に対処するためには、先ほど議員も御指摘のように、国全体として総合的な介護対策を進めることが重要であると思います。介護サービスの充実を図ることが基本というふうに考えております。介護休業制度は、この介護サービスの充実と相まちまして、家族による介護がやむを得ない場合の緊急的対応措置として機能することが強く求められておるわけでございまして、介護サービスが充実いたしましても議員御指摘のように必要であろうというふうに思っております。
 また、これはアジア全体にも広げるという御趣旨があるんじゃないかと思いますが、我が国はアジアの一員でもあり、また先進国であるということを念頭に置いて諸施策を展開していくことはもう一般論としては当然だというふうに思っております。
 しかしながら、こういう個別の労使関係に直接かかわる労働条件の設定の問題につきましては、国際的な相場を念頭に置きながら、関係者のコンセンサスを得ながら国内事情に応じた法的整備を着実に行うことが重要ではないかと思っております。このことは、介護休業制度の法制化についても当てはまる理屈ではないかというふうに思っておるわけです。今回の法律は、そういう意味で労使関係のコンセンサスも念頭に置きながらつくったものでございますので、事情をひとつ御賢察の上、御了解をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
#68
○古川太三郎君 最後になりますけれども、この法案は労使の話し合い、そういう力関係である程度のところで妥協したような法案だと思うんですが、社会党の労働大臣として、それはいろいろの事情はあるけれども、これが許されることならばもっとこういうところに力点を置きたいとかいうような、もし御感想があればそのことをお聞きして終わりたいと思います。
#69
○国務大臣(浜本万三君) この法案につきましては、今のような御質問にお答えするとまたいろいろ誤解を招いてもなりませんので、一般論で申しますればできるだけ介護休業制度というものを、この法案を早く制定させていただきまして、そして進んでおるところはさらに労使間交渉で充実させていただく。おくれておるところは、先ほどお答えいたしましたような政府が助成措置を考えておりますので、その中で積極的に取り組んでいただく。そして、できるだけ早く進んでおるところに追いついていただくというようなことになるならば、いろんな問題が前に進んでくるのではないかというふうに実は思っておるわけです。
 そういう意味で、この法律ができますと、これはみんなが力を合わせて、この制度の普及と内容の充実に向けて努力をしていかなければならない問題であるというふうに理解をしておる次第でございます。
#70
○古川太三郎君 終わります。
#71
○委員長(笹野貞子君) この際、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十一分開会
#72
○委員長(笹野貞子君) ただいまから労働委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、柳川覺治君が委員を辞任され、その補欠として鈴木栄治君が選任されました。
    ―――――――――――――
#73
○委員長(笹野貞子君) 休憩前に引き続き、育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#74
○吉川春子君 一番最初に、大臣にお伺いいたします。
 審議中の育児休業改正法案の十条には、介護休業の申し出をしたことを理由として解雇をしてはならないとなっています。また、十七条の一項二号に、育児休業等に関する定めの周知等の措置を講ずる事項として、「育児休業及び介護休業後における賃金、配置その他の労働条件に関する事項」を挙げています。そして、今行われております育児休業で、労働省の育児指針には、育児休業の権利を行使したことを理由として当該労働者を不利益に扱ってはならないというふうにしています。
 介護休業をとったことを理由とするいかなる不利益も行ってはならないというのが、今回のこの法案の基本的な精神であると言っていいんじゃないでしょうか。その点、お伺いいたします。
#75
○国務大臣(浜本万三君) 介護休業の申し出をし、または介護休業をしたことを理由とする解雇の禁止や、年次有給休暇の取得要件である出勤率の算定に当たって介護休業を出勤とみなす取り扱いにつきましては法に規定したところであります。
 それ以外の賃金、配置、その他の事項につきましては、いかなる行為を不利益扱いとして禁止することが適当であるかのコンセンサスが得られていないことなどにかんがみまして、法律上は明文化しないこととしたものでございます。
 なお、介護休業の申し出または取得を理由として不利益な取り扱いをしてはならないことは当然のことであり、適切に啓発指導等を行ってまいる考えでございます。
#76
○吉川春子君 明文に規定されているのは今大臣がおっしゃったその三つなんですね。
 大臣、続けて伺いますが、介護は四十代、五十代の女性の手にゆだねられていることが多いわけです。これらの女性たちが現実に職場でどんな目に遇っているかということですが、四月二十五日の日経の夕刊に次のような報道がありました。
 外資系会社の五十歳の女性が実在しない東北の駐在所に転勤を命じられて、受けられないと言うとアシスタントに降格され、一千万近くあった年収が三割カットされてしまった。そういう例とか、あるいは突然東京から北関東地区に転勤を命じられ、行かなければ解雇だと言われた。なぜかと聞くと、不況が幸いしてこれまでになく有名大学の男性を多く採用できた、彼らを配属するために営業のポストをあけなければならないと言われてしまったという記事です。
 それからまた、四月九日の朝日なんですが、東京都知事の諮問機関で職場における男女差別苦情処理委員会というものがありますが、ここで総合商社兼松のコース別人事管理について男女平等の視点への配慮が十分でない、こういう見解を示しました。この会社では五十八歳の女性の給料が二十五、六歳の男性並みだ、こういう報道でした。
 一般的にもこういう状況に女性は置かれているわけですが、こういう事態で女性たちが安心して介護休業をとるということは難しいと思うんです。その点、今でもちょっと差別的に扱われている。そして、ましてや介護休業をとって三カ月休むとかということになると、本当に安心して介護休業をとれるような現状に今多くの働く女性たちは置かれていないんじゃないかと思いますが、この点は大臣どういう御認識をお持ちですか。
#77
○政府委員(松原亘子君) 先生が御指摘になられました前段のさまざまな女性についての取り扱いの事例等に関連してでございますけれども、この介護休業とはちょっと違うのでございますが、御承知のとおり、男女雇用機会均等法という法律がありまして、女性だからということで男性にはない不利益な取り扱いというのがあってはならないという基本的な考え方があるわけでございまして、それらについて私どもは均等法に基づく啓発を鋭意やってきておるわけでございます。また、個別にいろんな問題があれば、出先機関であります婦人少年室において必要な指導等をやっているわけでございます。そういうことと今度の介護休業の問題というのはストレートに結びつく問題ではないというふうには思います。
 ただ、実際の問題といたしまして、介護休業ということになりますと一定期間休む、労務を提供しない、こういう実態があるわけでございますので、じゃそういったことをどう評価するか、どう評価するのが公平な扱いなのかということについては必ずしも現段階においてコンセンサスができているというふうには言えないということから、先ほど大臣が答弁されましたようなことで、法律には明記しておらないわけでございます。
 先生が御指摘になりましたような現行の育児休業法に基づく指針におきまして、休業中の待遇に関する事項ですとか、育児休業後における賃金、配置、その他の労働条件に関する事項ということについてちゃんと事業主はあらかじめ定めておくということが求められており、その定めにつきましては、育児休業の権利を行使したことを理由としてその労働者を不利益に取り扱うものであってはならないものであるということを指針に書いております。
 そういうことに基づいて、私ども育児休業法の施行については、この点も含めて周知啓発を図ってきているわけでございまして、今御審議いただいておりますこの法案が成立いたしましたら同様な趣旨で指針についてこれから検討するわけではございますけれども、こういう育児休業についての規定が既にあるわけでございますので、こういうことも参考にし介護休業に関する指針をまた定めたい、そしてそれを周知するという努力をやってまいりたいというふうに考えております。
#78
○吉川春子君 育児休業と介護休業の場合、横並びなんですけれども、取得する年代が違うとかいろんな状況がちょっと違うと思うんです、現実には。
 それで、今松原局長が言われましたけれども、法律に明文がないわけですから、通達などで出していく場合に、例えばどんな不利益扱いの例を念頭に置かれているのか、具体的に幾つか例示していただけますか。
   〔委員長退席、理事古川太三郎君着席〕
#79
○政府委員(松原亘子君) 不利益取り扱いは個々具体的に検討いたしませんと、なかなかそれが本当に不利益なのかどうかということは言えないかというふうに思います。そういうことから、精神として当然この法律で認められておる権利行使を抑えるといいますか、そんなようなことであってはならないというふうに思うわけでございます。
 現に、育児休業法が施行になりましたので、具体的にこれにまつわって幾つかの相談などが婦人少年室に寄せられております。そういうものも一つの考える場合の示唆を与えるものではないかというふうに思いますけれども、これまで婦人少年室に来た相談の中で多いのは、代替要員の議論がいろいろございますが、それと若干絡むかなと思いますが、復職のときの配置の問題、これがやっぱり幾つかぎくしゃくしている問題があるようでございます。
 つまり、ポストをあけておけないということから、だれか穴埋めといいますか、休む人の仕事を引き継ぐ人をつけるわけですね。そうしますと、その人が帰ってきたときにまた全く同じポストに帰れるかどうかというと必ずしもいろんな事情からできない。労働者にとってはそれは不利益だというふうに思われるかもしれませんが、事業全体の健全な経営ということにかんがみますと、必ずしもそこじゃなくて、見合うところであればいいのではないかというふうに思う、そこら辺のところの労使のなかなか合意というのができていないというようなこともありまして、復職をめぐっての問題などがございます。
 こういったことは、言葉は悪いんですけれども、本当に嫌がらせ的に配置転換をするなんということはかなり明らかに不利益と言えるかもしれませんけれども、そうではなくて、労働者から見ればひどいじゃないかと思われても、全体として見れば必ずしもそうでない場合もあろうかと思いますし、一概には言えないかと思いますので、個々のケースごとに婦人少年室などで扱うケースを積み上げていくというようなことを通じてコンセンサスも徐々につくっていく問題ではないかというふうには思うところでございます。
#80
○吉川春子君 今言われました原職に復帰できるかどうか、ここが非常に重要ですね。介護休業をとったはいいけれども、自分がそこに戻れなくなってしまう、こういう不安があった場合に、本当におちおち介護休業がとれないという実態がありまして、今労働省への相談もそれが多いというお話でしたけれども、まさに私は、日弁連も文書で発表しておりますが、原職復帰を保障するという規定を法律に盛り込むべきだったと思うんです。しかし盛り込まれていない。
 だとすれば、今言われた嫌がらせ的にもうほかのところへ移してしまうとかそういうことではなくて、やっぱり原職復帰を保障するような、そういうことを指針などで明確にして行政指導をするということは明文規定がなくても可能なんですけれども、その辺はどうでしょうか、ぜひ私は要求したいんですが。
#81
○政府委員(松原亘子君) ただいま申し上げましたように、原職復帰をさせなければいけない、または相当職への復帰を必ずさせなければいけないという形で法律によりまして企業に一律に義務づけるということは実際上難しいというふうに考えております。ただ、先生御指摘のように介護休業を安心して取得することができるようにするということは必要なことでございます。
 ちなみに、育児休業につきましては現行の指針におきまして、「育児休業後においては、原則として原職又は原職相当職に復帰させることが多く行われているものであることに配慮すること。」ということで、事業主に対する配慮事項を示しているわけでございます。
 介護休業につきまして、介護休業後の復職に当たっての留意事項等についてこれから関係審議会にお諮りした上で定めていくことになるわけでございますが、育児休業について今申し上げたようなことが既に規定されておりますので、そういったことを踏まえまして介護休業についても指針に盛り込みたいというふうに私どもは現段階で考えております。その趣旨を事業主に対して広く周知させる努力をいたしたいというふうに考えております。
#82
○吉川春子君 不利益取り扱いの問題の最後に大臣にお伺いいたしますが、最初に大臣がおっしゃられたように、明文規定がなくとも不利益な取り扱いをやってはいけないんだということは基本精神でございまして、今松原局長も言われましたけれども、やはりそういうことの行政指導を強力に行うべきだ、私は明文規定に入れよという考えなんですが、それが入っていないので、次善の策としてそのことを大臣からも強く行政指導をしていただきたいと思います。
 そして、何遍も引用しますけれども、ILOの百五十六号条約は、家族的責任を有する労働者が差別を受けることなしにできる限り就業する、あるいは就業に係る責任と家族的責任との間で衝突の起きることのないように権利を行使することができるように国の方針とするということが書かれているわけでして、やっぱり介護休業において原職復帰を含めて絶対に不利益取り扱いが行われることがないように、今後強力な行政指導をガイドラインあるいは労働省令を含めてやっていただきたいと思います。
 大臣、そのことはいかがですか。
#83
○国務大臣(浜本万三君) 介護休業の申し出または取得を理由とする不利益取り扱いをしてはならないことは、介護休業を労働者の権利として認めたことから、先ほどお答えいたしましたように当然のことだというふうに思っております。
 育児休業につきましては、労働大臣が定める指針におきまして育児休業の申し出または取得を理由とする不利益取り扱いをしてはならない旨示しており、介護休業におきましても指針にその旨明らかにいたしますとともに、それに基づく啓発指導等を委員の御主張のようにしっかりやっていく所存でございます。
#84
○吉川春子君 次に、短時間労働者、短期間労働者の介護休業適用の問題について伺いたいと思いますが、パート労働者についても当然介護休業が取得できるという権利があるわけですが、そのことを明確にして、これも事業主に徹底していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#85
○政府委員(松原亘子君) この法律に基づきます介護休業制度は、パートタイム労働者であるかフルタイム労働者であるかということについて差を設けているものではございません。先生もう既に御承知のとおり、期間を定めて雇用される者というものを適用の範囲外にしているということでございます。パートタイム労働者の中にも期間の定めのない雇用契約のもとに働いているパートタイム労働者もいれば、有期雇用契約で働いているパートタイム労働者もいるわけでございますので、パートタイム労働者というふうにくくってしまうのは適当でないかと思いますので、期間を定めて雇用される者ということについて申し上げれば、有期契約者については、原則として既にこの法律の適用、介護休業制度の請求できる労働者の範囲から外れているわけでございます。
 ただ、これはパートかどうかによる区分ではないということで、先生御指摘の趣旨も、パートだからイコール期間雇用者というようなことでこの適用がないというふうに誤解されては困るという御趣旨でしたら、それはそのとおりでございまして、パートかフルかということで分けているものではないのでございますので、その点も含めて啓発はいたしたいというふうに思います。
#86
○吉川春子君 それで、期間の定めのある労働契約の労働者の問題ですけれども、去年の十二月一日の基発六六三号、婦発三七二号ホの項目に、期間の定めのある労働契約の項というのがあるんですけれども、これは解雇予告についての記述なんですけれども、私は基本的に介護休業の適用にもこの考えを用いるべきだというふうに思うわけです。
 そこに書いてありますのは、労使契約で期間の定めを設定する特段の必要がないと認める場合とか、あるいは事実上期間の定めのない労働関係になったと認められる場合、反復して雇用される場合、こういう場合は介護休業も当然取得できるものということで、そういう立場で行政指導をきちっとしていただきたいと思いますが、その点に関してはいかがですか。
#87
○政府委員(松原亘子君) 今、手元に先生の御指摘の通達がないのでございますけれども、この期間を定めて雇用される労働者についての私どもの考え方でございますけれども、有期雇用が反復継続された場合、実質的にその契約は期間の定めのない労働契約と見られるかどうかという観点から、個別ケースごとに判断していくということになろうかと思います。
 特段の理由のない限り、雇用契約が更新されているような場合には期間の定めのない契約として取り扱うということで介護休業制度が適用されるというふうに考えているものでございます。
#88
○吉川春子君 そういう立場に立って、例えば育児休業などでは通達は出ていますか。私は介護休業について、今後この立場に立ってこういうもので介護休業も取得できるんだということをはっきりと行政の立場として示して、そして事業主などに対する指導を徹底していただきたいと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
#89
○政府委員(松原亘子君) ちょっと今、具体的に通達のどこにどういう形で書いてあったかということは直ちには資料は出てまいりませんけれども、先ほど申し上げたような趣旨で現行の育児休業法についても指導啓発をいたしております。
 介護休業につきましても同様にいたしたいというふうに考えております。
#90
○吉川春子君 私が伺っているところによれば、期間の定めのある労働契約の問題、今おっしゃったような問題についての具体的な指導は文書でなされていないというふうに聞いています。この点についてもはっきりガイドラインの中でこういう方々もとれますよということを明示していただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
#91
○政府委員(松原亘子君) 今後、ちょっと検討させていただきます。
#92
○吉川春子君 質問時間の都合もありますので、検討してそれも盛り込んできちっとこういう方々が漏れることのないようにしていただきたいと思います。
 勤務時間の短縮等の措置についてお伺いいたします。
 法律は、介護休業にかえて勤務時間の短縮措置について指針を設けることに二十三条でしておりますけれども、その指針は、勤務時間短縮をとるか否か、そういう制度を置くかどうかは事業主に任されているわけですね。専門家会議の報告では、具体的に勤務時間短縮措置にかえて一定の時間単位で労働者が個々に勤務しない時間を請求することを認める制度、フレックスタイム制度、出退勤の時間の変更等の措置を例示として挙げているわけです。実際に労働者が労働時間を短縮しないで家庭では通常の仕事以上に介護を行う、そして所定労働時間働くと、これは非常に肉体的な負担も重いんですけれども、どうして時間短縮の措置を必ず設けるというふうに明文規定で行わなかったのか、その点について理由をお聞かせいただきたいと思います。
#93
○政府委員(松原亘子君) 勤務時間の短縮の措置というのは、就業しながら家族を介護する労働者にとっては極めて有効な制度であるというのは先生御指摘のとおりだというふうに思います。
   〔理事古川太三郎君退席、委員長着席〕
 ただ、産業、企業の実態はさまざまでございまして、例えば装置産業ですとか交代制勤務があるような場合には勤務時間の短縮にはなかなかなじみにくいという点もあろうかというふうに思います。そういうことから、勤務時間の短縮の措置だけが事業主の義務となるというようなことについては議論があるところではないかというふうに思います。また、労働者にとりましても、介護と仕事を両立させるための企業内の制度として介護休業がまたは勤務時間の短縮の措置がという、そこだけの選択肢でいいのかどうかといったような問題もあるのではないかというふうに思います。
 現在の、育児休業法に基づきます事業主が設けなければいけない制度といいますのは幾つかの選択肢がございまして、勤務時間の短縮、それからフレックスタイム、所定外労働をさせない制度などがあるわけでございますが、今申し上げたようなさまざまな点も考慮に入れまして、いずれにいたしましても法案を成立させていただきましたら今後審議会で十分御審議いただきまして、労使のお立場からのさまざまな意見を踏まえて、本当に仕事をしながら介護ができるというそういう観点からどういう制度が適切なものかということを検討してまいりたいというふうに思います。
#94
○吉川春子君 労働省の外郭団体である日本労働研究機構によりますと、老人介護と職業を両立させるために必要な職場のサービス、制度として最も多く挙げられましたのは勤務時間の選択で五三・二%、続いて特別の休みが三七・九%なんです。そのほか、自宅での仕事二八・四%、介護手当一九・七%、残業の規制一六・六%となっておりまして、勤務時間の選択を最も多く求めているわけなんです。
 老人介護と職業の両立のためにそれでは必要な地域サービスは何かといいますと、これもアンケートですけれども、デイケアセンターが五九・三%、六割で最も多いんですね。しかし、デイケアセンターを利用しても、実際には終業の時間、仕事を終える時間はどうかというこれも調査によりますと、五時台が三七・四%、六時台、七時台が三割、八時以降が一六・六%で、これではデイケアセンターにお迎えに行くことはかなわないわけですね、実情として。
 したがって、デイケアセンターも利用してそして職場と介護を両立させるためには、どうしても勤務時間の短縮措置というのが必要になってくると思うんです。勤務時間の短縮措置を選ばなくてももちろんいいわけなんですけれども、選択肢の中から外してもいいというふうに今なっていますので、それだと非常に実情に合わないんじゃないか。
 だから、必ず勤務時間の短縮措置が選べるように選択肢の中に入れておく、そういうところがなければ今度はもう三カ月休まざるを得ない、こういう形になってしまう。休まずに介護もしたいと望む労働者も多いわけですから、時間短縮の措置というのは特別重視すべきではないかというふうに思うわけです。それで先ほど法律の規定について疑問を申し上げたんですけれども、時間短縮の措置をぜひ重視していただきたいと思うんですが、その点重ねてお伺いします。
#95
○政府委員(松原亘子君) 先生が勤務時間短縮の措置が非常に重要だということについては私も理解をいたしているところでございます。
 私ども労働省が平成三年に調査いたしました「介護に関する企業内福祉制度に関する要望」、三つまで回答をしていいということで聞きました要望では、最も多いのが介護休業制度で約七割の方が答えられておりますが、それ以外を見てまいりますと、次に多いのが介護のために勤務時間を選べる制度というのが四割、介護要員の提供やあっせんというのも約四割、それから臨時支出に対する金銭給付、貸し付けというのが三五%程度、介護のために勤務時間を短縮できる制度というのが三割等々というふうになっておりまして、介護と仕事の両立というのは本当にいろんなケースがあって、これがすべてだと言えない面があろうかと思います。
 今申し上げました中でも、勤務時間の短縮というのがどうしてもというのは若干順位が落ちていて、むしろ時間帯を選べるということを希望している方が多いというような調査結果もあったりするわけでございます。そういうこともございますので、労働者のニーズ、先生の御指摘なされた点ももちろん含めまして労働者のニーズ、そして使用者側の対応が現実との程度可能性があるのかどうかといったようなことを総合的に勘案をいたしまして、今後審議会で御検討いただきたいというふうに思っております。
 もちろん、この「勤務時間の短縮等の措置」と書いてございます「等」という中には、単に労働時間の絡みの話だけではなくて実際には多くの労働者が、今の中にも介護要員の提供というのもありましたように、みずからが仕事を休むのではなくて、自分は仕事をし、そして例えば企業がホームヘルパーさんをあっせんしてくれる制度、そういったものを助成してもらえる制度、そういったものを望む方も多いのではないかと思います。そういったものを全く選択肢から外してしまって介護休業がまたは勤務時間短縮、この三つだけというふうに限定してしまうことがいいのかどうか、それはやはり個々の企業の実情に応じて労使で十分話し合っていただける方が、もう少し選択肢を広げておいた方がいいのではないかという議論もあろうかと思います。
 いずれにいたしましても、今後の検討課題として多面的な検討をいたしたいというふうに考えております。
#96
○吉川春子君 介護休業かそれから勤務時間の短縮が、これだけじゃすごく選択肢が狭いわけで、私もそれを言っているんじゃないんですね。しかし今の法律は、とにかく何か一つ、時間短縮の措置等で一つだけ選べればいいということになっているので、非常にやはり選択肢が狭いと思うんです。だから、ガイドラインその他で今検討されるとおっしゃいましたけれども、そういうことを念頭に置いてガイドラインをつくっていただきたいと思います。
 それで、勤務時間の短縮と休業が同じく三カ月ですね。三カ月という期間については、私たち修正案も出していますのでこれは短いという立場なんですけれども、しかし法律の三カ月を前提にして言いますと、つまり労働時間の短縮をする場合には三カ月で終わり、介護休業全部取得する場合も三カ月で終わりと、これはちょっと均衡を欠くと思うんです。
 だから、労働時間の短縮が選べるような制度をつくる場合には、三カ月分に値する労働時間はとにかく時間短縮でとることができるというような制度の方が実際は働く人たちにとって利用しやすいと思うんです。仮に休業は三カ月だったとしても、時間短縮を選択する場合には時間をばらして、三カ月の実際の労働時間だけは使える、そういうような制度にする方が使い勝手としてはいいと思うんです。そこをどうして検討されなかったんでしょうか。
#97
○政府委員(松原亘子君) 先生が使い勝手とおっしゃられたのでその言葉を使わせていただきますと、労働者の使い勝手だけを考えれば、それはいろいろな選択肢があって、労働者が自分の一方的な意思によってどの制度でも選べるというような制度がいいということかもしれませんけれども、やはりこれは労使関係の中での労働条件の設定、しかも法律によってそれを規制していくということになるわけでございますので、労働者が家族を介護しなければいけないというそういうニーズと、一方での企業の負担というのも考えていく必要があろうかというふうに思います。
 そして、三カ月の点でございますけれども、これは総労働時間として介護のためにこれだけの時間というのを、いわば三カ月分に相当する総労働時間を介護のために企業が認める必要があるということで三カ月ということをはじいたということではございませんで、これまでいろいろ御説明してきたかと思いますけれども、介護休業制度、それからそれを選ばない場合の勤務時間短縮の措置もそうでございますけれども、家族の介護がやむを得ない場合のやはり緊急措置であるわけでございます。
 それと幾つか、時間がございませんのでいろいろ過去の報告書等を引っ張ることはいたしませんけれども、介護が必要な家族がどういう経過をたどってそういうことになるかという医学的、専門的な検討の結果からも、三カ月という期間というのがいわば回復期といいますか、に当たる、この三カ月というのが家族みずから見なければいけない期間であるというふうに言われている、そういったようなことも勘案いたしまして三カ月ということにしたわけでございますので、三カ月というその総時間数といいますか、そういったものが必要だという判断から三カ月というものにしたわけではございませんので、そういう意味で勤務時間の短縮を選ばれる場合にあっても、その期間は三カ月ということにいたしたわけでございます。
#98
○吉川春子君 三カ月が適当かどうかというのは、これからまた質問したいと思うんですけれども、中小企業の介護休業制度の導入の問題についてこの委員会でも大論議になりましたし、参考人の方とかあるいは地方公聴会の場でも言われた最大のことは、環境が厳しいということと同時に代替要員がいないということですね。実際問題三カ月休まれますと確かに代替要員を探すのは大変だという問題が一方であると思いますが、例えば一時間なり二時間なり一日の勤務時間を短くして、仕事は続けながらしかし介護もするということが両立てきれば、私いろいろ参考人の方のお話も伺っていて代替要員の問題も解決できる場合が多いんじゃないかということも思ったわけなんです。
 だから、休みかあるいはこっちの選択が、どちらかということも一つ問題はありますけれども、時間短縮ということをもうちょっと、使い勝手をよくするというのは労働者の側からだけじゃなくて、中小企業のそういう立場からしても、代替要員との絡みで考えても、私はこれは時間短縮の制度というのは改善してそしてガイドラインの中にも織り込んでいくべきじゃないか、そういうふうにも思ったわけです。
 もちろん私は、そういう両方の立場から見て、一方的に労働者だけが有利で企業に物すごい打撃を与えるような制度を入れなさいと、そういうふうに言っているつもりはないんで、その点からの時間短縮の問題についてはもう少し研究して工夫していただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
#99
○政府委員(松原亘子君) これから具体的に勤務時間短縮等の措置を定めるわけでございますけれども、その検討に当たりましては、この制度が極めて有効であるということは既に審議会の中でも労使からそういう意見が出ておりますので、私どもは選択肢の一つとして含める方向でもちろん検討はいたすつもりでございます。
 ただ先生が、労働者側のみならず使用者側にとってもこれは代替要員という観点からすればよりそれが易しいといいますか、そういうことではないかというふうに御指摘があったかと思いますけれども、実際上企業がそれを設けるかどうかというようなことになってくるわけでございますが、そういう場合にあっては先生がおっしゃられましたように、こういう制度を設ける方が代替要員確保その他もろもろの観点から適当であるという判断は、個別企業労使の間でお話し合いの中では十分検討されるというふうに思います。
 いずれにいたしましても、法案成立後これについてはさまざまな御意見があるところでございますので、そういうことを勘案しながら対応いたしたいというふうに思っております。
#100
○吉川春子君 厚生省に来ていただいていると思うんですが、今も議論をいたしました介護休業期間を三カ月とする理由について、脳血管性疾患については要介護家族が急性期を脱してその後の介護に関する恒常的方針を定める期間だ、それから定め得る期間だと、それから痴呆、老衰、骨組粗鬆などでも施設への入所が適当か家族が冷静に判断してその対応が判断できる期間だと、こういうふうにしているわけです。
 前回、要介護状態についての私の質問についても特別養護老人ホームの入所基準と同じ立場で答弁をされたんですが、厚生省に実態をお伺いしたいと思います。今寝たきりのお年寄りの数、それから虚弱のお年寄りの数、それから厚生省が新ゴールドプランによって特別養護老人ホームの入所計画等を立てていますけれども平成十三年までの目標数、そしてまた現在の数、そういうことを含めて実態をちょっと御報告していただきたいと思います。
#101
○説明員(吉冨宣夫君) 初めに虚弱老人の数と要介護老人の数でございますけれども、これはこの三つを合わせまして要援護老人というような呼び方をしておりますけれども、各地方自治体が作成をしました老人保健福祉計画の集計によりますと、平成四年度末現在で要介護老人数が百万人、虚弱老人数が九十万人ということで、この両方を合わせました要援護老人数は約百九十万人ということで把握をされております。また、将来推計でございますけれども、老人保健福祉計画の推計値によりますと平成十一年度末で要介護老人数が約百四十万人、虚弱老人数が約百三十万人ということで、要援護老人数全体としましては約二百七十万人になる見込みでございます。
 次に、特別養護老人ホームの新ゴールドプランでの整備計画でございますけれども、地方自治体で昨年老人保健福祉計画が作成されまして、その中で平成十一年度末におきますそれぞれの地域の介護サービス基盤整備の目標が定められたところでございます。この目標値を集計いたしましたところ、約三十九万人分の特別養護老人ホームの整備が必要である、こういったような結果が出たわけでございます。
 そうしましたことから、厚生省としましては、昨年十二月に関係大臣との合意のもとに新ゴールドプランを作成しまして、こういった自治体の整備の取り組みを支援しますために新ゴールドプランを作成した、こういったようなことになってございます。
 そして、特別養護老人ホームの現在の整備数でございますけれども、これは平成五年度現在で約二十万七千人分の整備がなされております。
#102
○吉川春子君 厚生省にもう一問だけお伺いしますが、そうしますと要介護老人の場合に、望めば施設に入れるように、そういうことを目標にして行政を進めておられるんですか。
#103
○説明員(吉冨宣夫君) 各自治体は、平成十一年度におきますそれぞれの地域の介護ニーズを推計しまして、それに対応するための介護基盤の整備を進めておるということでございます。そうしましたことから、厚生省としましては、平成十一年度の時点ではそれぞれの地域で必要な介護サービスに対応するための体制が構築されるのではないか、このように考えております。
#104
○吉川春子君 今、施設に入れる数と実際の要介護老人の数あるいは虚弱老人の数を報告していただきまして、非常に乖離があるわけですね。恐らく施設に入所できる数というのはそう急激に追いつくはずはないんであって、厚生省は自宅介護を重点的に考えているということも聞いておりますが、そういういろいろなことを考えて、これは最後の質問になりますが大臣、三カ月という期間が、その後の介護の見通しが立てられるとか方針が立てられるとか、そういう期間としては余りにも短いわけです。だから、その三カ月の期間というのが妥当かどうかという問題があります。
 もちろん、私たちは個人に全部介護責任を押しつけるということには反対で、社会的な介護、介護サービスの充実ということ、それがまず必要だと思いますが、それにしても余りにも今数値の乖離があるわけですから、そういう点を考えますと、三カ月で見通しが立つんだという御議論については納得しかねるわけですけれども、最後に大臣、そのことはいかがですか。
#105
○国務大臣(浜本万三君) 御指摘のように、三カ月を超えまして家族による介護が必要となる場合も当然あり得ると思います。しかし、一人の家族に長期の介護をゆだねることは個人の肉体的精神的疲労の程度を考えますと、これは限界があるのではないかと思います。
 この場合、家族が交代して介護に当たるなど、特定の人のみに介護の負担を負わせない工夫によりましてより長期の介護にも対処していくことが可能であると考えます。また、長期の休業取得者が出た場合の中小零細企業の負担にも配慮する必要があるのではないかと思います。三カ月を上回る長期間の介護休業を企業に一律に義務づけることはなかなか困難ではないかと思います。
 このような場合に対処するためには、労使の十分な話し合いによりまして法で定める最低基準を上回る制度の導入が進められることが望ましく、この部分につきましては事業主の努力義務といたしまして、政府といたしましてもこれを周知啓蒙していく所存でございます。
#106
○吉川春子君 終わります。
    ―――――――――――――
#107
○委員長(笹野貞子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、前田勲男君及び小野清子君が委員を辞任され、その補欠として服部三男雄君及び松谷蒼一郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#108
○委員長(笹野貞子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#109
○委員長(笹野貞子君) 御異議ないと認めます。
 本案の修正について星野朋市君及び吉川春子君から発言を求められておりますので、この際、順次これを許します。星野朋市君。
#110
○星野朋市君 私は、平成会を代表して、修正の動議を提出いたします。
 ただいま議題となりました衆議院送付の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 我が国は、世界に例を見ないほど急速に人口の高齢化が進行しており、高齢あるいは疾病のために介護を要する高齢者が急増しております。同時に、急激な核家族化と女性の就業率の増加が進行しており、介護を支える家庭的・社会的環境は急速に悪化しております。こうした状況を前にして、政府は新ゴールドプランを策定する等、高齢者福祉の実現のために諸制度の整備を進められておりますが、その実現への道のりは遅々としたものと言わざるを得ません。
 言うまでもなく、高齢者等の介護体制の整備は総合的に取り組むべき課題でありますが、公的介護体制が整備されていない現状のもとでは実効性のある介護休業の権利としての速やかな確立は緊急の要請であります。また、介護休業制度は介護の方法について国民の選択肢の多様化という観点からも意義があると考えます。
 我々平成会は、以上の認識に基づき、内閣提出法案は介護をめぐる実情を無視し実効性に欠けるとの判断から、介護休業等に関する法律案を提出し御審議をいただいておりましたが、内閣提出法案の採決に当たり、ここに介護休業制度を実効あるものとするための基本的な事項についての修正案を提出いたします。
 以下、本修正案の内容の概要を御説明いたします。
 第一に、介護休業の取得回数について、法案においては対象家族一人につき一回としているのを改め、対象家族の一の継続する要介護状態ごとに一回とすることであります。
 第三に、介護休業期間について、法案においては三月としているのを改め、一年間とすることであります。
 第三に、就労しつつ対象家族の介護を行う場合の勤務時間の短縮等の措置についても、その期間を、法案においては介護休業期間と合わせて連続する三月の期間以上としているのを改め、一の継続する要介護状態ごとに介護休業期間と合わせて連続する一年の期間以上とすることであります。
 第四に、法案においては介護休業制度等の円滑な導入、定着のため事業主に対する給付金の支給を含む各種の援助を行うことができるとしていますが、新たにその際中小企業者に対しては特別の配慮をする規定を設けることであります。
 第五に、介護休業中の労働者の所得を保障するため、新たに国等が別に法律で定めるところに従い、労働者に介護休業給付を支給する規定を設けることであります。
 第六に、介護休業制度等に関する規定について、法案においては施行期日を平成十一年四月一日としているのを改め、平成八年四月一日とすることであります。
 以上が本修正案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、委員の皆様の御賛同をいただきますようよろしくお願いいたします。
#111
○委員長(笹野貞子君) 次に、吉川春子君。
#112
○吉川春子君 私は、修正の動議を提出いたします。
 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題になっております育児休業法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由及びその概要を御説明申し上げます。
 我が党はかねて、高齢化社会、核家族化の進行のもとで家族介護や看護が社会的にも重要な課題となっている中、多様な社会的介護支援システムの充実とともに介護休業制度の実現を強く要求してまいりました。また、先般国会で承認した家族責任を有する男女労働者の均等待遇に関するILO第百五十六号条約の締約国としても、家族責任を有する者が就業し、就業を継続できる権利を行使することができるようにすることを国家の方針の目的とすることが義務づけられているのです。
 しかし、政府案は、一、介護休業期間が三カ月と短いこと、二、介護休業が対象となる家族一人につき一回とされていること、三、対象範囲が申し出た労働者の配偶者、子、父母、配偶者の父母(実質的に同様な関係も含む)に限られていること、四、有給による所得保障や代替要員の配置の規定がないこと、五、施行が一九九九年と四年間も先送りになっていることなど、労働者の権利として実効性ある介護休業制度を確立するという点から見ると不十分なもの生言わざるを得ません。これが修正案を提出する理由であります。
 次に、具体的に修正点について御説明申し上げます。
 修正の第一は、介護休業の対象家族の範囲を高齢化と核家族化の実情を踏まえて広げております。同居の親族まで対象にしたのは、ILO百五十六号条約が近親の家族を対象としていること、同居していること自体がその他の人からの介護を期待できないことを示していることによります。
 第二は、介護休業期間を一年間とし、この間に要介護状態にある対象家族のおのおのが介護を必要とする一つの継続状態につき断続して取得できることとしております。これは、長期にわたって介護の必要な事例が多く見られることや、社会的介護の利用などと組み合わせて利用しやすい制度にする必要があることなどから不可欠の措置だと考えます。
 同様に、時間短縮期間も一年間以上としております。
 第三に、介護休業制度の実効性を確保するためには、この制度の利用の申し出及び利用することに対して行われる解雇、職場復帰、配転、昇給などあらゆる面での不利益取り扱いを禁止し、罰則をもって担保することとしております。この措置は育児休業についても適用いたします。ちなみに、罰則の程度は労働基準法、職業安定法などを参考にし、懲役六カ月、罰金三十万円といたしました。
 第四は、代替要員を配置した中小企業者等に対して賃金の助成を行い、代替要員の配置を容易にする措置を講じることを国に義務づけております。
 第五は、休業者の所得保障を行うこととし、別に法律に定めるところにより国と事業主の拠出により介護休業手当を創設することをうたっております。
 最後に、施行期日でありますが、要求の緊急性並びに準備期間も考慮して、一九九六年四月一日といたしました。
 以上が修正案提出の理由とその概要であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同を賜りますようお願いいたしまして、私の説明を終わります。
#113
○委員長(笹野貞子君) ただいま提出された両修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から両修正案に対する意見を聴取いたします。浜本労働大臣。
#114
○国務大臣(浜本万三君) ただいまの平成会の御提案による修正案及び日本共産党の御提案による修正案につきましては、政府としては反対でございます。
#115
○委員長(笹野貞子君) これより原案並びに両修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#116
○武田節子君 私は、平成会を代表して、ただいま議題となりました、衆議院より送付された政府提出の育児休業法の一部を改正する法律案を、平成会提出の修正案に従って修正すべきであるとの立場から討論を行います。
 我が国では、現在、世界に例を見ない速さで社会の高齢化、少子化が進展しており、高齢者等の介護をどうするかは政治が回答を出すべき大きな社会問題であります。私たちは、高齢社会の諸問題に対しては自助、共助、公助の最適な組み合わせという原則に基づいて対応すべきであると考えており、とりわけ老親等の介護の問題については介護施設の増設や充実等の公的介護体制の整備によって対応すべきであると考えておりますが、そのための新ゴールドプランは財源の問題をあいまいにしたままであり、その進捗は期待に反して大幅におくれることが必至であると言わざるを得ません。このような状況の中で、毎年八万人を超える労働者が老親等の介護のために退職せざるを得ないのが実情であります。
 この状況を打開するため、事業主の方々に共助の観点から御協力をいただき、一定期間、労働者が老親等の介護のために安心して休業できる権利を明確にすることは政治の果たすべき緊急の課題であります。また、この介護休業制度は、公的介護体制が整備された後も介護の方法に関する選択肢の多様化に役立つものと言えます。
 衆議院より送付された政府提出の育児休業法の一部を改正する法律案は、基本的には私たちと共通した政策を志向しつつも、介護休業の必要性、緊急性に関する認識に大きな隔たりがあり、その内容は不十分なものと言わざるを得ません。また、衆議院段階での与党各党による修正も、努力規定、見直し規定の追加にすぎず、政府案を何ら実質的に前進させるものではないと断ぜざるを得ません。
 これに対して私たち平成会は、対案として介護休業等に関する法律案を提出して審議をお願いいたしました。私たちの法案は、政府と政策の方向を同じくしつつも、介護休業の必要性、緊急性をより深刻に認識し、それを踏まえた内容を盛り込んだものでありました。しかしながら、本委員会において衆議院送付の政府提出法案が優先して採決されるに際し、私たちの意思を法案に反映させるため、対案を撤回し、対象家族の範囲、取得回数、介護休業及び時間短縮措置の期間、中小企業に対する支援実施に当たっての特別の配慮、所得保障の実施、介護休業制度の早期施行について現実を踏まえた対案の基本的事項を内容とする修正案を提案いたしました。
 私たちは、この修正なくしては本法案は実効性の極めて乏しいものになると考えております。
 よって、平成会提案の修正案に御賛同いただきますようよろしくお願いいたします。
 また、共産党提出の修正案は、同様の方向性を志向するものと考えますが、現実性の点で賛同しかねると言わざるを得ません。
 以上で討論を終わります。
#117
○庄司中君 私は、自由民主党及び日本社会党・護憲民主連合を代表して、育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして賛成、平成会、日本共産党からそれぞれ提出された修正案に対し反対の立場から討論を行います。
 我が国は、世界に例を見ないスピードで高齢化が進んでおり、二十一世紀はまさに世界有数の超高齢化社会となります。さらに、少子化、核家族化の進展や女性の就業が一般化しつつある現状において、老親等家族の介護の問題は育児の問題とともに我が国が解決を迫られている国民的課題であります。
 このため、いわゆる新ゴールドプランの推進など公的サービスの整備が求められているところでありますが、老親等要介護者を抱える労働者にとっては緊急避難的措置として介護休業制度の確立が求められているのであります。
 政府案は、こうした労働者の期待にこたえ、介護休業を労働者の権利として認めるという画期的なものであり、特に企業規模にかかわらずすべての企業に一律に介護休業を義務づけている点は高く評価するものであります。
 以下、法律案の主な内容につきまして、具体的に賛成の理由を申し上げます。
 まず、介護休業の期間につきまして、この法律案では三カ月とされております。これでは余りにも短過ぎるという意見もございますが、しかし介護休業の制度の一律の義務づけとしては、企業、特に中小零細企業にとって要員管理上過大な負担を負わせることのないよう配慮する必要もあります。さらに、介護休業後に円滑に職場復帰を果たさなければならないことや、余りにも長期間の休業は一人の家族に介護を任せてしまう懸念もあります。また、御案内のとおり、公務員の介護休暇の期間も三カ月とされているところであり、政府案は妥当であると確信するものであります。
 次に、介護休業の実施時期の問題についてであります。
 要介護者を抱える労働者が職業生活と家庭生活とを両立させる厳しさから、一刻も早い実施が求められていることは承知しております。しかしながら、現下の介護休業制度の普及率はわずか一六・三%にすぎず、しかも中小規模の事業所の普及率は極端に低い実態にあります。育児休業を制度化したときの普及率の二一・九%に比べても低く、実施までには相当の準備期間が必要であると言わざるを得ないのでありまして、平成十一年度実施とする政府案は妥当なものと考えます。
 なお、この点に関しましては、衆議院修正において、施行前であっても介護休業制度をできる限り速やかに導入するよう事業主に努力義務を課しております。この規定と介護休業制度導入奨励金の積極的活用など、政府による導入援助措置が相まって円滑な制度の普及が図られ、義務化に移行できると確信しております。
 最後に、介護休業の取得回数につきましては、この法律案は介護を必要とする家族一人について一回としております。一人の労働者が同一家族に対して何回も取得できるようにすることは、前にも述べましたように、中小零細企業の負担や要介護状態の継続の判定の困難さ等諸般の事情を勘案いたしますと、企業に一律に義務づけることには大きな困難があります。
 なお、平成会、日本共産党からそれぞれ提出された修正案につきましては、これまで述べた理由により反対であります。
 政府においては、介護休業制度が着実に普及し、円滑に義務化に移行できるよう、介護休業制度導入奨励金の拡充、代替要員の確保のための支援措置を初めとして、中小零細企業に対するきめ細かな援助に努力されることを特に要望したいと思います。
 最後に、介護休業が実効ある制度として機能するためには、介護のための社会基盤の整備が十分になされていなければならないことは当然であります。この場をかりまして、政府がこの問題にさらなる努力をされることを期待して、私の討論を終わります。
#118
○委員長(笹野貞子君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#119
○委員長(笹野貞子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、吉川君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#120
○委員長(笹野貞子君) 少数と認めます。よって、吉川君提出の修正案は否決されました。
 次に、星野君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#121
○委員長(笹野貞子君) 少数と認めます。よって、星野君提出の修正案は否決されました。
 次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#122
○委員長(笹野貞子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、足立良平君から発言を求められておりますので、これを許します。足立君。
#123
○足立良平君 私は、ただいま可決されました育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、平成会、新緑風会、日本共産党及び新党・護憲リベラル・市民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  少子・高齢化社会の中で労働者が仕事と育児・介護との両立を図り、職業生活においてその能力を有効に発揮できる環境を整備するため、政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 一、介護休業制度が義務化されるまでの間においても、各事業所における可能な限り早期の介護休業制度の導入を推進するため、中小企業に対する配慮を行いつつ、事業主に対する格段の相談・指導・援助に努めること。
 二、事業所における介護休業及び勤務時間短縮等の措置の制度化に当たっては、介護を必要とする期間・回数等について、法で定める最低基準を上回る内容となるよう、労使の努力を促すよう努めること。
 三、育児休業及び介護休業の取得者の代替要員確保のための対策の充実強化を図ること。
 四、介護休業中の経済的援助については、介護休業が義務化されるまでに検討を進め、その結果に基づき、所要の措置を講ずること。
 五、介護休業制度の対象者に期間雇用労働者であっても事実上期間の定めなく雇用されている者が含まれることについて、周知徹底を図ること。
 六、介護休業及び勤務時間短縮等の措置を取得したことによる不利益取扱いが法の趣旨に反することについて、周知徹底を図ること、
 七、介護対策の推進に当たっては、介護休業のみならず、介護労働力の確保、企業の福利厚生の充実、労働者に対する相談・援助体制の強化等を含む総合的な施策を推進すること。
 八、男女労働者がともに充実した職業生活と家庭生活を送ることができるよう、固定的な性別役割分担意識の是正と育児・介護等を通じた家庭生活と職業生活の両立の重要性について広く社会の関心と理解を深めるための広報啓発活動を行うこと。
 九、家族看護休暇について調査研究を行うこと。
 十、法の施行後、介護をめぐる制度の整備状況、介護休業の取得状況等を踏まえつつ、必要がある場合は速やかに関係審議会に法の見直しについて諮問すること。
 十一、介護等に対する対策を充実させるため、関係機関の人員・体制の強化を図ること。右決議する。
 以上であります。
#124
○委員長(笹野貞子君) ただいま足立君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#125
○委員長(笹野貞子君) 全会一致と認めます。よって、足立君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、浜本労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。浜本労働大臣。
#126
○国務大臣(浜本万三君) ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。
#127
○委員長(笹野貞子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#128
○委員長(笹野貞子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十三分散会
     ―――――・―――――
   〔参照〕
   仙台地方公聴会速記録
 期日 平成七年五月三十一日(水曜日)
 場所 仙台市 仙台国際ホテル
   派遣委員
    団長 委員長      笹野 貞子君
       理 事      野村 五男君
       理 事      庄司  中君
       理 事      古川太三郎君
       理 事      吉川 春子君
                足立 良平君
   公述人
       宮城県中小企業
       団体中央会副会  千葉 富雄君
       長
       兼専務理事
       日本労働組合総
       連合会宮城県連  松田 栄子君
       合会女性委員会
       事務局長
                阿部とき子君
       宮城県労働組合
       総連合婦人部常
       任委員      本田永久子君
       宮城厚生協会労
       働組合婦人部長
    ―――――――――――――
   〔午後一時三十分開会〕
#129
○団長(笹野貞子君) ただいまから参議院労働委員会仙台地方公聴会を開会いたします。
 私は、本日の会議を主宰いたします参議院労働委員長の笹野貞子でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、私ども一行を御紹介いたします。
 自由民主党所属の野村五男理事でございます。
 日本社会党・護憲民主連合所属の庄司中理事でございます。
 新緑風会所属の古川太三郎理事でございます。
 日本共産党所属の吉川春子理事でございます。
 平成会所属の足立良平委員でございます。
 次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。
 宮城県中小企業団体中央会副会長兼専務理事の千葉富雄さんでございます。
 日本労働組合総連合会宮城県連合会女性委員会事務局長の松田栄子さんでございます。
 阿部とき子さんでございます。
 宮城県労働組合総連合婦人部常任委員、宮城厚生協会労働組合婦人部長の本田永久子さんでございます。
 以上の四名の方々でございます。
 さて、本委員会におきましては、目下、育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案及び介護休業等に関する法律案の両案につきまして審査中でございますが、両案の重要性にかんがみ、国民の皆様から忌憚のない御意見を賜るために、本日、当宮城県において地方公聴会を開会することにいたした次第でございます。何とぞ特段の御協力をお願い申し上げます。この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様におかれましては、御多忙の中、本日は貴重な時間を割いていただき、本委員会のために御出席を賜りましてまことにありがとうございます。派遣委員一同を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 それでは、会議の進め方について申し上げます。
 まず、公述人の方々にお一人十五分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 なお、この会議におきましては、私どもに対しての質疑は御遠慮いただくことになっておりますので、御承知おきいただきたいと思います。
 傍聴の方々には、会議の円滑な進行に御協力くださいますようお願いいたします。
 それでは、これより公述人の方々から順次御意見を承ります。
 御発言は御着席のままで結構でございます。
 まず、千葉公述人からお願いいたします。
#130
○公述人(千葉富雄君) それでは、ただいま御紹介いただきましたけれども、私は、宮城県中小企業団体中央会で副会長兼専務理事をやっております千葉でございます。
 私は、協同組合を通じて中小企業をお世話している立場から、今国会において審議中の介護休業に関する両法案について意見を述べさせていただきます。
 我が国が少子化と相まって、諸外国に例を見ないスピードで高齢化社会が形成されつつある中で、介護問題は国民が一丸となって取り組まなければならない重要な課題であるというテーマとは、私どもも十分認識しているところであります。そのためにも、国において早急に将来を展望して、国、地方自治体、家族、個人、企業がそれぞれどのような役割を担っていくのか全体像をまず明確にすることが必要ではないかと考えております。
 このことをまつまでもなく、中小企業におきます介護休業につきましては、従業員が安心して働ける環境の整備の一環として避けて通れるものではなく、基本的には長年にわたり築き上げてきた労使の信頼の中で、業態に応じて自主的に対応するのが最善であると考えているところであります。
 ここで宮城県の中小企業について申し上げますと、農林水産業を除く企業数は十一万二千事業所あり、宮城県における企業の九九・一%を占めております。この比率は全国とほぼ同じでありますが、その従業員数は七十八万三千人で全体の八二・六%と、この比率は全国より高い比率になっております。また、仙台が東北の中枢都市ということもありまして、卸、小売の商業が多く、製造業では印刷、食品加工関係が多いのが特徴でございます。これらの中小企業の方々は、ただいま規制緩和、価格競争、円高といった逆風にあおられて、その対応に苦慮しているところでございます。
 規制緩和では、特に大店法の緩和によりまして、スーパー系の大型店が営業時間の延長により顧客の確保を図っておりますが、町の中心にあって商店街を形成している小規模の商店では、これらの大型店の攻勢に耐えしのぐ一方、従業員の労働時間の短縮に対応しながら顧客離れの阻止に懸命の努力をしているところであります。
 また、県下各地におきまして、ディスカウント店の進出による低価格商品の出回りで流通、卸、小売業、特に青果物、水産物、米穀、酒の小売業では廃業に追い込まれるなど中小企業では激しい価格競争の対応に追われているところであります。
 円高による影響としましては、大企業の海外への進出により、今までの受注量が減少している下請中小企業が新しい取引先を求めて苦労しているのが現状であります。
 このような中で、先生方の御配慮によりまして、平成七年度予算の成立と同時に中小企業創造活動促進法が制定されましたので、それを軸に新しい技術、新しい製品の開発、それとニュービジネスヘの挑戦をどのようにするか多くの中小企業の間で模索しているところでございます。
 また一方では、従業員の労働面に関し、早急に解決しなければならない課題があります。
 その一つが労働時間の短縮でありますが、平成九年の四月以降、十人未満の商業、サービス業等の特例対象の事業所を除き、すべての中小企業において週四十時間労働制に移行しなければならない方向が示されております。私どもが毎年行っております中小企業の労働事情実態調査を見ますと、年々週休二日制を取り入れている企業がふえておりまして、所定労働時間が減少傾向を示しておりますことから、時短に向けていろいろ工夫しているものと見受けられます。しかし、先ほど申し上げました厳しい経営環境と、取引上弱い中小企業が取引先、受注先に配慮しながら時短を行ってまいりますのは決して容易なことではありません。時短の特例・猶予措置を延ばしていただきたいという声が出ているのも事実であります。
 育児休業制度につきましては、平成四年以来、組合を通じ就業規則の改正例をもとに制度導入の促進を図ってきたところでありますが、この四月から同制度が事業所の規模に関係なく全面適用になりましたので、それぞれの企業で全面的に対応してまいらねばなりません。
 このように、中小企業を取り巻く環境は厳しく、解決してまいらねばならない多くの課題を抱えている時期にありますことから、介護休業問題につきましては当分の間、平成四年七月に示されている介護休業制度等に関するガイドラインに基づいて、労使の信頼関係の間で自主的対応が望ましいと考えていたところであります。
 労働省の平成五年度の調査による全国の介護休業制度の導入状況は、五百人以上で五一・九、百人から四百九十九人で二二・五、三十人から九十九人で一四・二となっておりますが、宮城県の平成六年度調査結果によりますと、三百人以上で三八・四、百人から二百九十九人で一二・六、三十人から九十九人で二・六%、それから十人から二十九人で一・九%と、宮城県の介護休業制度導入は全国に比べて全体に低くなっております。
 そこで、私どもの組合にその状況を聞いてみますと、平成七年度から検討したいというところもありましたが、業種によって対応できるものとできないものがある、全従業員でカバーするしかない、従業員の申し出を考慮したいというように、介護休業制度を取り入れるまでに至っていないのが現状であります。
 しかし、このたび婦人少年問題審議会の先生方が二年近くにわたり検討した結果、法的整備を速やかに行うよう建議がなされて法案が提出されましたことについては、厳粛に受けとめてまいらねばならないと考えているところでございます。事業主の義務化という厳しい法的枠組みとなった上は、弾力的運用のできるようぎりぎりの政府案にとどめていただきたいと存じております。
 その内容について意見を述べさせていただきます。まず、介護休業期間と回数であります。
 介護を要する年齢はどちらかと申しますと高年齢者が多いものと存じますが、そうすると介護する方もある程度の年齢になっておることになりまして、企業経営上の中心的役割を持った方が多くなると考えているのであります。したがいまして、企業規模が小さければ小さいほど、その方が欠けることは企業の存続の問題にかかわってくるものと考えられます。企業形態、規模によっても違ってくるでしょうが、代替要員の確保で対応できる企業もありますが、特に幹部職員、営業マン、熟練工などといったその人でなければ処理できない仕事を抱えていますと、実際問題職場を離れることが困難であると同時に、そういう人がいなくなると企業そのものが成り立たなくなります。
 また、介護する方でも長い期間従事していますと精神的、肉体的に疲労が重なってきますので、どちらかというと専門の施設か人を探して頼みたいというのが常識的な線ではないかと存じております。したがいまして、介護休業期間は連続する三カ月で、対象家族一人につき一回という政府案が適当なものと考えるものでございます。
 次に要介護の範囲ですが、政府案には配偶者、父母及び手並びに配偶者の父母に加え、父母、子に準ずる者を含むとされています。これら準ずるという規定自体にも問題がありますが、いたずらにさらに拡大しないよう望むところであります。
 次に施行期日の問題でありますが、中小企業がただいま経済構造の変革という厳しい環境の中で、先ほど申し上げましたとおりの介護休業制度導入の実態があります。導入実態から見て介護休業制度の即時法制化は問題が多く、すべての企業が経営の中でそれぞれどのように導入していくか十分な検討が必要であることから、平成十一年四月からの適用は適当であると考えるものであります。中小企業が介護休業制度を導入するに当たっては、業種、業態、規模によって厳しい状況にあるので、事業主に対するきめ細かい特別な支援措置を講ずるとともに、代替要員確保のための基盤整備として労働者派遣制度の見直しもぜひ行っていただきますよう要望するものであります。
 最後に、今まで申し上げました中小企業の立場を十分考慮に入れまして、一日も早い総合的な福祉施策の中で、家族、個人が安心して老後を過ごせる体制を確立されますことをお願いいたしまして私の意見といたします。
 どうもありがとうございました。
#131
○団長(笹野貞子君) ありがとうございました。
 次に、松田公述人にお願いいたします。
#132
○公述人(松田栄子君) 先ほど御紹介いただきましたように、私は、現在連合宮城女性委員会事務局長を務めております松田と申します。
 本日の介護休業の法制化審議に当たりまして、当公聴会の公述人として意見を述べる機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 法案の成立を望む連合組合員として、また介護にかかわる問題に深く関心を寄せる働く女性の一人として発言いたします。
 女性の労働環境はこの十年で目覚ましい変化を遂げました。一九八五年の女子差別撤廃条約の批准、一九八六年の男女雇用機会均等法の施行、一九九二年には男女労働者を対象とした育児休業法が施行され、今年からは三年間の猶予期間が与えられておりました中小を含むすべての事業所が制度導入を義務づけられ、さらに当面の措置ということですが二五%の所得保障もされることになりました。何と恵まれた時代になったものだと感心するとともに、これらの法制化に向けて尽力をされました関係者の皆様に深く敬意を表します。
 しかし、制度というものは利用する人間、実際にかかわる人たちがそれを理解して活用し、少しずつ改善を加えながらよりよいものにしていく努力を繰り返していかなければ実効あるものにはなりませんし、一方、予測される事態を推察し問題発生を未然に防いでから制定することも新しい法案には有効な手段だと思われます。
 男女雇用機会均等法はどうだったでしょうか。女性の期待を集め誕生しましたが、罰則がないこと、努力義務に過ぎないことなどが影響し、採用、賃金、昇進、昇格、教育、どれに対してもいまだ労働者からの不満が絶えず、調停制度もほとんど機能していません。逆に、制度を読み違えた使用者側から基準法の枠を超えるような不当行為が提示されることもあり、早急な改正が求められています。
 育児休業法については、今年度からの本格運用、所得保障の成果が期待されるところですが、これまでいろいろな問題が散見されています。男女ともに対象とはうたわれているものの、生活賃金や復職後の勤務の不安から利用者は圧倒的に女性でした。男性はリスクを負うことができないからです。言いかえれば、女性はリスクだらけの存在だということです。
 依然として、結婚したらやめなければならない、妊娠したらやめなければならないという風潮も残っています。本人の意識もさることながら、職場や家庭、保育施設など周囲の環境、使用者側の無理解も大きな障害です。
 労働基準法の女子保護規定についても、時間外労働や深夜勤務などの規制緩和に対し意見が賛否両論に分かれています。職種によって、年齢、環境、その他立場の違いによって女性たちの反応も変わるのですが、機会均等なのだから女性も男性並みに働くべきだという発想は、年間総労働時間を減らし欧米並みの千八百時間を目標としている今の流れとは逆行していると思います。
 働く現場にはこのように常に不安と不満、そして要求があふれています。私たち連合宮城では、毎年女性にかかわる諸問題をテーマとして取り上げ、学習会、要請行動などを行っています用意見、要望は多項目にわたり、一体どれから取り組んだらいいものか荘然となるほど課題は山積みです。
 これら法律の条文だけでは対処できない事柄について、私たち労働者が事実を積み上げ地道に改善要求をすることはもちろん必要ですが、本来労働者のための最低の基準であるはずの労働基準法が、多くの職場において実際は上限扱いとなっているのが日本の実態です。まず政策があり、しかもそれをより望まれる形でつくるべきということを考慮するべきです。だからこそ法案が重要であり、法案がよりよいものであることが必要だと思います。そして、それを強く望みたいのが本日の公聴会のテーマである介護休業法です。
 昨年の秋、婦人少年問題審議会婦人部会において、介護休業についての本格審議が開始されたのを受け、連合宮城では高齢化社会に向けた介護と福祉を考えるための集会を開きました。
 当日は、仙台市の現役ホームヘルパーを講師に招き、実際に介護に携わる立場からの報告、意見、そして待遇に対する訴えなどを話していただきましたが、常勤、非常勤、委託と分けられる不安定な身分、人命を預かるという肉体的、精神的労働に十分見合ったものとは思えない賃金の実態などを初めとするお話は参加者にとって衝撃的なものでした。
 また、自分や家族が介護を経験した参加者からの切実な意見、要望は、現状に対する認識不足を思い知らされ、取り組むべき問題の大きさに気づかされました。中には、制度がないために退職して介護に当たったところ、病人がわずか一カ月で亡くなり、復職も再就職もできなくなった痛ましい例もありました。
 安上がりな福祉が実行されていると感じた、今の日本の状況を見ると楽しい老後なんて言っていられない、今まで高齢化社会のことなど考えていなかったけれども話を聞いてパニックになったという参加者からの感想が寄せられています。
 平成四年に宮城県が千四百人の県民を対象に行った県民の意識調査でも、老後の生活に不安を感じる人は六一・〇%に達し、不安を感じない人三三・四%の倍近くになっています。その内訳としては、自分の健康状態、特に自分が寝たきり状態になることへの不安と配偶者を介護することへの不安が圧倒的に多く、経済、住居、子供との別居などの不安を大きく引き離しています。
 このように県民が将来への不安を募らせている中、では行政はどうなっているでしょうか。
 宮城県は日本一の福祉先進県実現を目指し、宮城県高齢者保健福祉計画、いわゆる「宮城いきいき長寿二〇〇〇プラン」を策定し、平成十一年達成を目指し現在実施中です。その内容は、保健、医療、福祉の一体化、保健福祉施設の充実など、具体的には特別養護老人ホームのベッド数を現在の約二倍の四千八百床に増床する、老人保健施設の整備、病院のベッド数を六百三十七から五千百床へ増床するなどですが、基本となる考えは在宅ケアに置かれています。ホームヘルパーを千九百人確保し、デイサービスセンターを二百五十カ所整備、ショートステイのために千床整備などと計画されていますが、国家的福祉体制の整ったスウェーデンなどとは違い、日本のこれらつけ焼き刃内在宅ケアの考えは、家に必ずだれかがいる、介護人が存在するということを前提としなければ成立しません。
 現在の日本において、だれかとはすなわち主婦、女性のことを指しているのが実態ですが、女性の社会参加、就業率が高まっていく中で今後ともそれが実現できるでしょうか。今までのように、家族のだれかが病気になったとしたらやはり女性はあきらめて仕事をやめなければならないのでしょうか。いえ、病気や老化がだれにでもひとしく訪れるものであるなら、介護や看護は女性の仕事と考える先入観自体を改めなければこれからの福祉は成り立たないと思います。
 さらに、この四月に批准したILO百五十六号条約のとおり、家族的責任を有する男女労働者が、「職業上の責任と家族的責任との間に抵触が生ずることなく職業に従事する権利を行使することができるようにすることを国の政策の目的とする」ならば、仕事も家庭も犠牲にすることなく人としての責任ある行為を全うできるよう制度を整えなければなりません。
 その意味で、このたび介護休業法案が審議され私たちの意見をお聞きいただけることはこれからの社会に対する光明であると思いますが、せっかく制定されるものならば、先ほど申し上げましたように、該当する労働者が利用しやすいようにより実効ある内容で成立してほしいと願います。
 連合宮城を代表しまして、私は、ここに介護休業法政府案に対する三つの修正と一つの補強について意見を申し上げます。
 まず第一に、介護休業の期間についてです。
 政府案は介護休業の期間が三カ月となっておりますが、これでは短過ぎるのではないかと考えます。入院先、介護人を探すまでの猶予期間ならこの程度であろうという考え方、実際の取得状況からの実績などを根拠としているようですが、判断材料として妥当なものであるとは言えません。
 施設の数が十分でない状況で、例えば宮城県においても、特別養護老人ホームの現在入所者が三千三百八十四人、待機者六百九十八人という数字がありますが、三カ月待ては施設に入れるという保証はどこにもありません。方々を探して、待って、あっという間に三カ月が過ぎたとき状況に何の進展もなかったらどうするかと考えると、怖くて休むことができません。
 また、所得保障がないために休めば休むほど生活が苦しくなる当然の事態を考えれば休業期間は短くせざるを得ませんが、実際に三カ月未満の利用者の意見を聞くと短かったと答えています。三カ月は、統計的な数字の上では多いのですが、これはまだ介護休業制度が十分に職場に浸透していない現在の厳しい条件のもとでのぎりぎりの最大値なのです。
 この法案の解釈として、対象家族の範囲を配偶者の父母や兄弟姉妹まで広げているのだから交代で三カ月ずつ休業すれば長期の介護も可能であるという見解もあるようですが、そのような希望的観測は普遍的に成立するでしょうか。
 実際に、私の祖母は十年ほど前約一年の寝たきり状態の末に亡くなりましたが、その間介護は嫁である私の母がほとんど一人で行いました。サラリーマンの息子の私の父親や入社間もない残業続きの孫、私のことです、が戦力にならなかったのみならず、祖母の実の娘たちもそれぞれの事情で全く当てになりませんでした。絵にかいたもちは絵にすぎないのです。
 公的介護施設の設置状況がおくれている現在の状況を考えますと在宅ケアを支援する方針のみが進んでいくと考えられますが、そうなるとなおのこと三カ月ではなく、育児休業並みの一年間は必要だと考えます。その長さがあって初めて、介護を理由とした退職者の増加に対する歯どめとなり、職業生活と家庭生活の両立を図る法の目的にも沿うのではないかと思われます。
 あわせまして、勤務時間の短縮等の措置につきましても期間を一年間とし、断続的取得や介護休業との組み合わせも可能とするなど運用方法を改善することによって制度の利用率も高まり、使用者、労働者双方に有効ではないかと思います。
 第二点目として、取得の回数について申し上げます。
 法案では要介護状態にある対象家族一人につき一回となっていますが、長い一生の中で介護を必要とする病気は一つと決められるものでしょうか。職業を継続するチャンスは、家族のだれかが二つ病気をしたら絶たれるものでしょうか。
 介護は育児とは違います。子供が日一日と成長するさまを追うものではなく、病状が少しでも好転することを願って、いつ終わるとも知れない病気と闘うものです。医師の診断書などの提出によって、断続的な取得ができるような制度になることを望みます。
 三つ目は、施行期日についてです。
 一九九九年四月からとなっておりますが、これでは遅きに失した感が否めません。
 老人ホームなどの公的な施設が不足し、入所待機者が多く、介護のために離職する人が後を絶たない現在だからこそ介護休業制度が必要なのであって、新ゴールドプランが計画どおり達成されるとしたら、それでもまだ不十分なのですが家族の負担はかなり緩和されることになりますから、あえて法律に守られて休業しなくても介護の手だては講じられていくことになります。介護休業法が必要なのは今、自治体等の支援体制が整うまでまだ待たなければ、家族が頑張らなければいけない今なのであって、できれば来年からでも施行していただきたいと思います。
 一九九九年施行の根拠として、育児休業のような猶予期間を置いての段階的導入ではなくて一斉導入を目指すのであれば中小企業等の救済措置が必要である、準備期間が必要であると言われていますが、制度導入がおくれているのが中小企業であり、中小企業に働く人こそ一刻も早く法律の制定を望んでいることを考えれば、問題は準備の時間なのではなく中小企業等に対する国の経済的な支援です。
 初めに申し上げましたとおり、現在の日本の労働条件は法律を上回る状態にはありません。法律並みの上限が設定できればよしとしています。ならば法の制定がまず第一であり、企業が法を遵守できるよう指導を図らなければ実効は望めないと思います。
 最後に、休業中の所得保障について意見を申し上げます。
 現在、介護休業制度を導入している企業のほとんどは無給であり、法案では施行までの検討事項として、内容には触れられておりません。しかし、介護には費用がかかります。
 ことしから二五%の所得保障が導入されました育児休業でも、これまで普及の障害となっていたのは収入が減ることによる生活費の不安でした。先の見通しがつく育児休業でさえお金の不安が大きいのに、病人を抱え、あるいは回復の見込めない痴呆などの高齢者を抱えることになる介護においてお金の問題は避けて通れません。財源があっての話ですから私たちには金銭的な要求はすぐにはできませんが、制度導入と同時に、最低でも育児休業並みの所得保障がされるよう強く望みたいと思います。
 以上、三つの修正と一つの要求を申し上げましたが、これらは別々の次元にある問題ではなくそれぞれ絡み合って影響し合っているものです。
 生活費の不安などのために、たとえ制度が一年あっても全部休職する余裕がなく三カ月で打ち切ったという現実が、一方では実績として三カ月で十分という根拠になってしまうようではいけません。
 さらに、申請方法の簡素化も必要です。実際に新聞に載っていましたが、病人の状態を見ながら、限られた期間しか休めないからぎりぎりまで待とうと辛抱して待ったあげく容体が急変して、急いで申請しても二週間待たされ看護が間に合わなくなり病人が亡くなってしまったりなどという事態が起こったとしたら、介護休業という制度そのものの欠陥を恨むことになってしまいます。
 私にも、六十歳をともに過ぎてこれから年老いていく両親がおります。連合の一員として、介護の不安を抱える一労働者として、長年待ち望んでいた介護休業が法案として審議されることになった事実を私自身まず素直に喜び、成立に大きな期待を抱いております。多くの労働者が生活や雇用の不安なしに憂いなく制度を活用できるような内容で介護休業が一刻も早く成立できるよう、国会の場であらゆる方面から検討していただきたいと願ってやみません。
 以上で発言を終わります。ありがとうございました。
#133
○団長(笹野貞子君) ありがとうございました。
 次に、阿部公述人にお願いいたします。
#134
○公述人(阿部とき子君) 私は、主人それから両親、子供三人、それに妹の計八人家族で、高校卒業以来ずっと働き続けております、いわゆる共働きの一主婦でございます。現在は仙台市に住んでおりますけれども、きょうここに一緒に公述人としておいでになっている皆様とは違いまして、肩書は一切ございません。一主婦の、あるいは一国民の生の声として聞いていただければというふうに思っでございます。何分にもこのような席は初めてでございますので大変緊張しておりますけれども、よろしくお願いしたいというふうに思います。
 まず、きょうは、私の体験談といたしまして、祖父、祖母それから実父の三人の介護の経験をした者として、また実際に介護をしているおばを初めとする介護家族を見てきている者として、今回のこの法案に関しまして平成会の提案に賛成する立場で意見を述べさせていただきたいというふうに思っでございます。
 それでは、まず私の体験談の方から簡単に述べさせていただきたいと思います。
 今から十七年前になりますが、ちょうど私が就職したてのころになります。祖父が勤め先で脳溢血で倒れ、入院いたしました。祖父は私の母の弟夫婦と暮らしておりましたが、祖父の家には、祖父の末娘であり、一級の障害を持つ、完全看護が必要なおばがおります。おばは発病以来四十年以上寝たきりの状態で、ずっと在宅看護を続けております。祖父は農業を営んでおりましたが、農閑期を利用して日雇い労務者として働いているその場で倒れたのでした。病院での看護の後、本人の希望とさまざまな家庭の事情によりまして在宅看護が始まった次第です。前に述べましたように、同一家庭内で完全介護を要する者が二人になったのです。
 祖父は病院には五カ月ぐらい入院したのですが、祖母を初めとして私の母、それから母の兄弟と私と、輪番制での介護をいたしました。当時、独身でありました私は、金曜日から日曜日にかけて担当いたしまして、病院に泊り込みながら祖父の世話をいたしました。体をふいてあげたり、床ずれ防止のための体位交換、それから下の世話、正直言って、独身でしたからこれはというふうに思うことも実際ありましたけれども、とにかくよくなってほしいという一心で一生懸命看護に当たりました。そういった中から、改めて看護婦さんたちの仕事の大変さを実感したのもこのときでございます。
 輪番制といえ、おじやおばからすれば実の父とはいえ、おのおのに家庭があり仕事を持っていれば、その介護期間が長くなればなるほど厳しい状態になりました。したがって、入院中に夜間だけ付添人に介護をお願いした次第でございます。そのとき、身体的には実際楽になりましたけれども、その経費は一カ月大体三十万以上かかったように記憶しております。いわゆるその付添人に対して支払う金額になりますけれども、それだけをとっても三十万ぐらい取られた記憶がございます。そういったことで、退院後、十四年間の闘病生活後、祖父は亡くなりました。自宅介護になってから、介護される人も、それから介護する人も楽になるようにということで勧められたベッドの購入代も高額なものでした。
 寝たきりになった夫の世話と、両親が亡くなった後の病身の末娘の将来を考えた祖母も、心労と肉体的疲労などから痴呆症状が出るようになりまして、歩行困難から車いす生活、そして寝たきりの生活となりまして、後を追うように平成五年に亡くなりました。車いす生活になった場合、移動する際、段差のある家というのは大変支障になることがたくさんございます。家の改築をとも思ったのですけれども、その経費もばかにならないものでございます。したがいまして、その分、人力いわゆる人手に頼るしかございませんでした。
 そうした中で、ちょうどこの仙台市で東北博覧会が開催されました年に、私の実父が今度は交通事故で脳挫傷ということで入院する状態になりました。どうして私だけが次々とこんな事態に遭うのかということで、本当につらい思いをした時期でもございました。
 父が事故に遭遇した時点ではもう私も結婚しておりまして、小さい子供が二人おりました。介護するに当たってこの小さい子供をどこに預けるか、大変苦慮した部分でもございます。また、こういった立て続けの事柄で精神的にも肉体的にもストレスが重なった時期でもございますし、金銭面でも保険とかで負担される部分はあったにしても大変なものがございました。ですから、私も勤めておりますけれども、辞表という二文字を考えたのもちょうどこのころでございました。
 また、田んぼや畑もやっておる関係で、この仕事も大変なものもありましたけれども、今思えばこのどん底をよく切り抜けてこられたなと、今さらながら思っております。回顧しますと、当時は職場の上司や諸先輩、同僚の方々には本当によくしてもらったな、それから近所の方々にも助けられたなというふうに感謝しております。既に祖父母は亡くなりましたけれども、私の父はおかげさまで、通院はしておりますけれども元気に毎日過ごしておる今日でございます。
 そして、私もこのように元気で働き続けておりますけれども、私の周りを見渡したときに、核家族化やあるいは少子化で同じような境遇のために泣く泣く退職している仲間、大方がたくさんおります。国全体といたしましても、家族の介護のために職を失わざるを得ない労働者は年間八万人を超えると聞いております。職業と家庭を両立させようとするときに、育児それから老人や病人の世話は大きな壁、ハードルになっています。特に老人や病人の世話については、スタートがあってゴールが見えないようなものです。あと何日介護すれば完治するという保証がない状態が大半なのであります。
 ですから、休業期間三カ月は短過ぎると考えます。また、病状が一進一退の中にあっては、同一要介護者であっても複数回休業できるような形にしていただきたいというふうに考えております。そして取得方法も、連続した取得だけではなくて、断続的な取得や勤務時間の短縮なども認められるべきと考えております。
 また、介護に当たっては、それにかかわる経費も期間が長期化するにつれ膨大なものとなってきますし、介護する側の年齢構成を見た場合、家庭においても住宅ローンや子供の教育費など最も出費が多い時期と相まって、もし退職し収入が減収したりなくなった場合、家庭崩壊にもつながりかねません。したがって、退職者を一人でも減らす制度にプラスいたしまして、休業中の税金や社会保険料の免除、ことしから実施されました育児休業給付金同様、介護給付金の支給につきましてもこの介護休業案に組み込むことを切望いたします。
 また、私は同居していない祖父母の介護が初めての体験ではございましたが、前にも述べましたように、核家族化、少子化、勤務形態、いわゆる単身赴任、転勤なども含みますが、により必ずしも同居している人ばかりを介護するとは限りません。こうした状況から、身近にいる孫が祖父母をというケースや、あるいは兄弟姉妹間を介護といったケースも増加していることは否めません。このような点から、要介護者の範囲についてももっと広い許容性を認めてほしいと考えでございます。
 次に、私の場合は何とか家族介護、親族介護で切り抜けてきたわけですけれども、人生八十年と言われて久しく、世界でも例を見ない速さで高齢化社会が到来しており、三十年後の二〇二五年には四人に一人の割合で老人が、あるいは八十歳以上は十人に一人となると言われておりますけれども、ひとり暮らし、寝たきり老人が現在約二百万人、二〇二五年にはその倍以上の五百二十万人となると予想されております。このような高齢化社会の進展、核家族化の進行、少子化の中で、養護、介護を必要とするお年寄りが増加の一途をたどっております。これら増大する老人介護や高齢者の健康と生きがいづくりを推進することが重大課題と考えます。
 身体障害者、精神障害者などの在宅介護の拠点として、また家庭での負担、これは労働や経費を含みますが、その軽減が期待される施設づくりや、保健、医療、福祉を一体化したネットワークづくりなど福祉の充実に努めてほしいと考えます。
 こうした観点から、消費税導入のたしか目玉であったと記憶しておりますが、ゴールドプランの早期実現を望みます。介護に当たっては自助、公助、互助、償助の歯車がうまく回転することが何よりと考えますが、自助努力には限界があることを知っていただきたいと思います。このプランは一九九九年の実現となっていますが、こうした公的社会サービスが整うまで待てない人々が多くいます。実現するまでのすき間を埋める意味でも休業法の早期実現が必要と考えます。
 また、介護イコール老人あるいは老親という感がありますが、子供が要介護人となる、あるいはなっているケースも多くございます。先ほども申しましたように、親が亡くなり障害を持つ子供だけとなった場合の公的な保護政策、設備の改善、充実にも努めていただきたいというふうに考えます。この点については、民間のボランティア団体や障害児を持つ親でつくっている会などへゆだねられている部分がまだまだ多く、これらに対しての支援が立ちおくれているのが懸念されます。
 これまでは介護する側からいろいろ意見を述べてまいりましたが、立場を変えれば、そうした介護を支援する施設や機関で働く人々の労働条件の向上も重要なポイントと考えます。交代勤務とはいえ、重労働の割には賃金が低いなという感がございます。施設を増設するということは、そこで働く人材を確保しなければなりません。この点からも労働条件の整備、向上は必須項目と考えます。
 人に優しい政治、だれもが平和で安全で安心して暮らせる国づくりが政治家の役割であるならば、単に選挙のときの公約にとどまらず、言葉が人の心を慰めたり勇気づけたりもしますけれども、現実はもっとせっぱ詰まっているのです。目に見える、手ごたえのある施策を国民は望んでおります。
 最後に、学校教育、家庭教育の見直しという点について一言述べさせていただきたいと思います。
 弱い立場にある人に手を差し伸べる、このことは小さいときからの積み重ねが大切です。週五日制の導入の趣旨を生かし、福祉活動への参画を推進していくべきと考えます。そうした中から、将来こうした介護施設で働きたいと思う人づくりへ、ひいては新ゴールドプランの実現、充実に向けての人材確保につながっていくことと思います。子供にゆとりを与え、さまざまな体験の中からみずから学ぶ意欲や思考力、判断力を身につけさせることにある、これが単なるお題目とならぬよう、PTAの立場より私も微力ながら頑張るつもりでございますが、国といたしましても、いろいろな機関があると思いますけれども、そうした関係機関との連携を図りながらよりよい法律の制定に取り組んでほしいと考えております。
 今、こうしている間にも、どうしていったらよいのか悩み、苦しんで介護に当たっている人、あすは仕事をやめなきゃいけないのかなというふうに考えている人、家族がいます。一日も早く介護休業法の実現を望むものであります。国民は、あすの百よりきょうの五十の心境でございます。
 ありがとうございました。
#135
○団長(笹野貞子君) ありがとうございました。
 次に、本田公述人にお願いいたします。
#136
○公述人(本田永久子君) 本田永久子でございます。
 私は宮城厚生協会労働組合の婦人部長として、また宮城県労連婦人部の常任委員として、介護休業制度を利用する働く女性の立場から発言をさせていただきたいと思います。
 私が働いている宮城厚生協会は、病院を四カ所、診療所を三カ所、保育所を一カ所、本部事務局の九つの事業所から成り、正職員は千二百名近くいるところでございます。御想像いただけるかと思いますが、この職員の七割以上は女性労働者であります。
 私どもは、昨年、一九九四年二月に介護休職制度に関する協定を労使で締結し、施行しております。
 この協定を実施するに至るまで、家族の介護にかかわるさまざまな出来事が職場でありました。父親の入院や死亡に続いて母親も入院して重体になっている人がいたり、小さな職場の中で数人が同じような時期に親の介護を抱えたり、遠くの施設に入っていて見舞いに行くだけでも大変だったり、有給休暇が切れてしまって退職となってしまったり、子供の不登校状態が長引いて退職せざるを得ないということが続きました。せめて安心して介護のために休める制度が欲しいという職場からのせっぱ詰まった要求がこの制度をつくる大きな力となっていきました。
 最近、交通事故による重傷の夫の介護でこの制度を利用した職員がいます。制度があったので有給休暇が切れた後も介護を続けることができたけれど、病人にかかる医療費負担が大きくて借金をしたし、生活費に充てる賃金保障もなくてつらかったと話していました。
 また、ある看護婦は、高齢の父親が入院したので介護につきたいと思いながらも、勤務が厳しくて、休むとみんなに迷惑をかけると思ってもう少し、もう少ししてからとためらっているうちに父親が死んでしまいました。結局休みはほとんどとらなかったので、今も心残りがあると話していました。病院で働く看護婦には夜勤がつきものですが、ぎりぎりの人数で精いっぱい働いている現場では、一人が何カ月か休むことになると仕事が過密化する上に、その人の夜勤をほかの看護婦に上乗せせざるを得ないのが実情です。
 また、この春から子供が長期入院となっている職員がいます。夫婦とも厚生協会の職員ですが、制度を利用しないまま交代で介護しております。給料が出なくなると生活が大変だし、職場の仕事も厳しいから、有給休暇がある間は働きながら休むことにしたと言っていました。
 私どもが締結した介護休職制度は、配偶者と二親等までの血族及び姻族、六カ月までの連続、断続取得の可能、全日型、時間短縮型、その両方組み合わせ型も可能、しかし無給、そして代替配置には努力するなどが主な内容となっていますが、利用する側から言えば改善すべき点も多く、私どもの今後の課題として強く認識しております。国の制度が労働の現場での指針として十分練り上げられ、よりよいものとして成立するよう大きな期待を寄せているところです。
 こうした私どもの経験と状況を踏まえて、今出されている政府案についての意見を述べたいと思います。
 第一に、まず対象家族については配偶者と三親等までの血族、姻族までを対象としてほしいと考えます。少子社会と言われていますが、おじやおば、おいやめいなどにも対象の範囲を広げていただきたいと思います。私自身も数年前に独身でいた弟を病気で亡くしましたが、二親等はもちろん三親等でも同居、別居を問わずに介護に至る事情を認めるものにしてほしいと思います。
 第二に、要介護状態の定義ですが、政府案では「常時介護を必要とする状態」となっておりますが、日常生活を営むのに支障がある状態と緩和していただきたいと思います。入院治療が一応終わって在宅やリハビリ通院などに移行したり、不登校などの子供のケアなどの場合、「常時」という規定は余りにもきつい制限であると考えます。
 三番目に、休業の期間と回数についてですが、「連続する三月」というところを介護休業の期間は一つの継続する状態ごとに一年と、また、その一年分の所定労働時間を連続または断続して取得できるようにしていただきたいと思います。政府案で言う三月では重症患者の入院治療の期間にも足りないと思います。介護を必要とする家族を抱えた労働者の要求とはかけ離れたものと考えます。主な治療が終わっても、もどのような家庭生活には戻れないで別の施設に転医していくことは最近よくある事例ですが、その間の家族責任も考えればせめて一年というのは切実な願いです。
 私が働いている病院のケースワーカーの話では、宮城県の特別養護老人ホームの入所待機者数は常時六百名を超えており、新しい施設ができてもその数は一向に減ってはいかないと言っています。この地域では、病院を出てそのような施設に入る手続をしてから十二カ月以上待つのが普通になっているという実情から見ても、三月という政府案の期間は余りにも短いと思いました。
 また、対象家族一人につき一回という規定は現実的でないと考えます。私どもの病院に入院していて、入院中にも別な病気を発症する場合がありますし、その治療が重なって療養期間が長引くこともあります。また、退院した後しばらくの期間があってから再発するということもよくあることですし、同じ人が全く違った病気にかかる場合もあります。対象家族一人につき一回では、この先のことを考えるとためらってしまい、休めなくなってしまいます。次のときに備えてとっておきたいとも思います。国家公務員の場合は一要介護状態につき一回として実施されておりますが、この法案も一要介護状態につき一回に改めていただきたいと思います。
 四つ目に、休業の取得形態についてです。
 全日型、勤務時間短縮型、この両方の組み合わせ型の選択をできるようにしてほしいと思います。患者の病状の経過状態によっても、家族の介護力の合わせ方によっても介護休業のとり方は違ってくると思います。育児休業には勤務時間の短縮制度が取り入れられていますが、介護休業においても介護の実態に見合った勤務時間の選択をできるようにしていただきたいと思います。
 五つ目に、代替要員の確保についてです。
 先ほど私どもの職場の状況についてお話し申し上げましたが、代替が確保されなければ休む方も休まれる方も非常に大変な思いをすることになります。職場の厳しい状態を毎日目の当たりにしてきて、有給休暇や生理休暇もなかなかとれないでいるところで長引く休暇をとる人が出れば、職場がどんな状態になるかは容易に想像できます。ですから、結局制度利用はできずに自分の休みのときだけの介護となり、後に悔いを残すことにもなります。
 その上、私どもの経営体と同じように中小企業などの経営が厳しくなっている状況では、人件費にこれ以上の出費はできないという経営側の選択も動かしがたいものがあります。事業所は代替要員を確実に確保すること、代替が確保された場合には国が補助金などで賃金援助措置をとることをぜひつけ加えていただきたいと思います。労働者にとって、介護休業制度を本当に利用しやすいものとするためにも代替要員の確保を事業所に対してしっかりと義務づけていただき、国からも経営に対しての応援をしていただきたいと思います。
 六つ目に、休業中の所得保障については触れられていません。私ども労働者は毎月の賃金を得ることを前提にして生活を立てていますから、介護休業取得中に所得がないままではさまざまの困難を生じてしまいます。毎月の生活費は当然かかるわけですが、ほかにもこれまで以上に負担が大きくなっている医療費や介護のためのさまざまの出費が考えられます。そうなると簡単にはこの制度を利用できないということになります。せっかくできる介護休業制度を絵にかいたもちにしないためにも、所得保障についてはきちんと明示していただきたいと思います。
 この四月から、育児休業制度の利用者には育児休業給付制度により賃金の二五%が給付されるようになりました。産前産後休暇には以前から六〇%の保障がされています。宮城県の地方公務員の場合には、六〇%が共済から支給されています。介護休業制度の利用者に対し、国と雇用主の負担で六〇%の所得保障を行い、中小企業などには国からの助成措置を設けることを考えていただきたいと思います。
 七番目にこの制度の実施時期についてですが、法案では介護休業制度の施行を一九九九年四月一日と、この先四年も待たせようとしています。
 公的福祉の実情は高齢化社会の要求に追いつかず、高齢者にも介護する家族の側にも大きな負担を与えています。こうした状況のもとで、社会的にも個人や家族の責任や自助努力が強調されており、家族の介護のために退職せざるを得ないという労働者も相次いています。その場合、多くは女性労働者が退職しているという日本の労働事情もあります。家庭的責任を持つ男女労働者の職業生活と家庭生活との両立を支援すると言っている労働省自身の基本方針実現に向かっての制度実施が先送りされることは、労働者の要求の大きさや切実な願いにこたえるものではないことを強く訴えたいと思います。ぜひ、一九九六年四月一日施行にしていただきたいと思います。
 介護休業制度が持つ積極的な面を認めつつも、これまでに私どもの職場で経験したことや職員から寄せられた意見などを含めて述べさせていただきました。
 だれもが子供を産んだり養育するとは限らないけれども、親や家族の介護についてはだれもが責任を負って介護したいという強い気持ちを持っています。介護休業制度は、介護する労働者の身分保障というだけではなく、介護される人が人間らしく大切に扱われるためにも意義ある大事な制度だと思います。男女労働者が仕事も家庭も大切にしながら働き続けるためには、実効ある育児休業制度や介護休業制度が職場にしっかりと根づいていくこととあわせて、労働時間の短縮と地域の保育や医療を含めた福祉制度の施策も早急に充実していただくよう要望して、私の発言を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#137
○団長(笹野貞子君) ありがとうございました。
 以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。
 それでは、これより公述人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
 なお、質疑及び御答弁は御着席のままで結構でございます。
#138
○野村五男君 自由民主党の野村五男であります。
 ただいまは公述人四人の方からの御説明ありがとうございました。
 実のところ、私どももきょうは十時から参議院の本会議がありまして、十五分に終わりまして、それから新幹線に乗ってここに参ったわけでございます。
 我が自民党もいろんな法案を抱えております。きょうの介護法案がその一例でございますが、サマータイムの方はどうするのか、世の中に刺激を与えるのにはぜひともサマータイムを導入してくれないかという御意見や、財源の問題からサッカーくじをどうしたらいいのかといろんな問題があるのでございますが、極めて国会が閉会間近でございますし、そういう意味において、私どもがここに来て皆さんと大事な時期にきょう一日こういう意見を聞いたりできるということは大変意義のあることかと私自身思っているわけでございます。
 そして、きのうも中央公聴会がありまして、明日も私どもは委員会があるわけでございますが、非常に重要な時期であるだけに、皆さんの現状というものもまた分析して法案成案のために私どもも頑張らなくちゃならないと思っているのでございます。
 特に、最初に千葉公述人に対しましてお聞きしたいのでありますが、宮城県におきましても、今日本が抱えているのと同じような円高の問題、それから空洞化の問題、さまざまな問題を抱えている時期であろうかと思っております。
 結局のところ、この介護法案をもし成案させるということならば、それは企業も労働者も社会を構成する一員としての責任を問い直す必要がある事態に来たんではないか。そして、苦しい中でも、やはりグレードアップした生活者優先の社会福祉という面から見ましてもこの法案を成案させることがいいので、苦しい時期であったとしても積極的に、ぎりぎりの線で、こういうことならば使用者側もこの法案に賛成しなくてはならないという意見に立っているんではないかと思っております。
 そこで、価格破壊という問題も実際に起きております。端的な例をお話しさせていただくならば、実はあるビール会社の実例でございますが、二億五千万ケースの缶ビールを販売している会社で五百億円の利益を上げている最大のビール会社があるわけなんでございますが、この五百億円の利益というのは非常にきついというんですね。これは非常に有数な会社なんでございますが、五百億円の利益というのはどのくらいということかと申しますと、例えば缶ビール一本にして二十円価格破壊が起きれば、その二億五千万ケースの販売の利益が吹っ飛んでしまうと。吹っ飛んでしまうほど価格破壊が起きている現状というのは非常に厳しいんだと切実に訴えている例もあるわけであります。
 現に神戸でも、先日テレビでも放送されましたが、あの震災後三万二千人の方が職業を失っている。その内容をよく聞いてみますと、きのうも中央公聴会でちょっと話をさせていただいたんですが、ある神戸の酒蔵では、大手が五十軒ぐらいあるらしいんですが、一軒建て直すのにもちろん十億円ぐらいかかるらしいんですが、どうしてもそれを建て直していく意欲がわかないと。と申しますのは、ことし一年酒が間に合わなかったものですから、蔵を建ててもお得意さんがとれないんだということで非常に深刻な問題がございます。
 結局はいろいろな事件が起きますと使用者以上にまた労働者にも迷惑をかけて、私は三万二千人の人が仕事がなくなってしまうなどというお話を聞きますと、大変そういうことも影響するんだろうし、過日、やはりスチュワーデスの方が見えました。なぜ自分たちは契約スチュワーデスになってしまうんだろう、数年前に入られたスチュワーデスとは全然給料も違うんだという、これも切実な訴えがあったわけであります。
 そういうように考えますと、私が一番心配しますことは、結局生き残りをしなくちゃならないために、せっかくこういうグレードアップした生活者優先の法案をつくって、そして魂を入れれば入れるほど、特に中小の円高に悩む、空洞化に悩む使用者側が、こうあってはもちろんいけないことですけれども、むしろ日本人を使うことよりももっともっと安い賃金で使える労働者を使う傾向に走ってはいけないという心配を持っているわけなんでございますが、実際に宮城県にはそういう価格破壊の問題、そしてそういうふうな、法案としてこれが本当にぎりぎりなんだろうかということのあたりで御意見があればお伺いさせてもらいたいと思っております。
#139
○公述人(千葉富雄君) ただいまの野村先生がおっしゃった状況、恐らく今までごらんになってきておりまして、そのとおりだと思います。
 私ども、先ほども陳述の中で申し上げましたけれども、どちらかというと宮城県は中小企業がかなり多いわけでございまして、先ほども言いました小売業関係が多いわけですね。
 それで、実際に中小企業の構成を見ますと、一人から四人という企業が何と七万、十一万二千の企業のうち七万ちょっとあるわけです。それで、従業員は十五万。従業員というよりも従事している方ですね。これは家族の方もございます。そういう方が、特に先ほど申しました青果とか米屋さん、それから酒屋さん、特に酒屋さんがひどいようでございますが、そこら辺がいわゆる店を閉めなくちゃならないというのがかなり聞こえてきております。
 そういう事情がまず先ほどの中にありますし、実際、ここの仙台の郊外ですけれども、これは雑貨をやっていた店の方ですが、そばにスーパーができまして、これは一人の従業員にお二人の家族で経営していたところですが、これがスーパーができたためにやめざるを得ないと、こういうのも出ているわけです。
 そういう情勢の中で、先ほど政府案がぎりぎりの線ですよと申し上げた中にもう一つ、一つ一つの企業の実情ですね、例えば私どものクリーニング会社がありますが、これは組合で協業的にやっているクリーニング屋さんです。ここは最近機械化が進むものですから、出入り自由と言ったらおかしいですが、休む方はどうぞお休みください、それからもし都合がよくなったらまたお入りくださいと、かなり自由にいっている。ですから、そういう介護で休ませてくださいと言えば、どうにでも休むということもあります。
 それからもう一つ、これは大きな企業ですが、電線販売・製造をやっているんですが、この会社は約五百人を超す従業員がおりまして、いわば大企業でございます。育児休業問題の労使との協議の中で介護問題も出てきまして、その中で介護問題の制度を五年の八月ですか成立させたようでございますが、やはり一年という休業の限度を設けたそうです。ところが、いまだにまだ利用した方がだれもいないと。これはどういう事情がよくわかりません。そういうのもあります。
 それから、私どものお世話している中に青果の仲卸というのがございます。大体二十五人ぐらいで一つの会社をやっているんですが、そのうちの十一人から十二人が競りをやる方です。この競りをやる方というのは、品目ごとに競りをやるために、大体その品目の産地、それから鮮度、これからの需要の度合いとか、それを全部知識を持っていないとできないわけだそうです。ですから、言ってみれば競り人一人が一つの会社を経営しているというような状態なわけです。
 その仲卸の方で一人の方が、例えばミカンならミカンをやる方が休まれる、これは病休でもそうなんですが、休まれるとその代替の人をどうするかということはかなり大きな問題で、その人によって企業の収益が物すごく違ってくるのだそうです。だから、言ってみれば競りで安く落としてうまく売れるようになれば、これは相当な収益が上がってくるし、その分が働く人たちに戻っていくわけです。
 そういう形で、競り人の方が倒れられた場合にはなかなか補充が大変だと。大体一人の競り人を育てるのに三年ぐらいかかるそうです。三年間ほかの方がやるというわけにはいかないので、次の人を育てていくというような状態で、そうすると、仮に一年後に戻ってきた段階で二人が同じことをやらなくちゃならない。まさに余剰人員を抱えるような状態になっちゃう。こうなるととてもやっていけませんねというような仲卸の方の話が出ております。
 それで、ただの代替と言ってもなかなか難しいということですね。ですから、そこら辺をどういうふうに体制を整えるのかということは、時間をいただかないとなかなか踏み込めないんじゃないんですかという話でございます。
 これは軽印刷の方もそのようです。一応段階的にありますが、最近は写真で製版といいますかそういうのもありますけれども、中には外注できるところがあるようです。だけれども、それをできない、そこに携わる人が休まれた場合には事業そのものがとまってしまうということもあるようです。
 ですから、その業種の業態とかそれぞれによってどうカバーするのかということですね。これは少し時間をかけてそれぞれの人たちに検討していただかないと、はい法律で決めてしまいました、そして厳しく決めてしまうとこれはなかなかやれそうでやれないと、それに罰則規定なんかやられたら恐らくつぶれていくんじゃないか、そんな感じを持っております。
 以上でございます。
#140
○野村五男君 ありがとうございました。
 法案が成案となりましても、本当に魂を入れていくということは大変なことなんだということがよくわかります。
 違う観点から松田さんにお伺いしたいと思います。
 私も実はサラリーマンの経験ももちろんあるのでよくわかるんですけれども、本来、家族の介護は一人の人に押しつけるのではなく、家族で交代で行うことが自然となる社会を実現することがよいのであろうとは思っておりますが、一人の人が長期かつ何回も介護を行うことを認めることは、結局お嫁さんがおしゅうとめさんを見なければならないなど、特に女性にとって権利というよりはむしろ義務という社会をつくってしまうのではないかということが危惧されるんですが、その点について、時間の関係もありますので一点だけお伺いしたいと思います。
#141
○公述人(松田栄子君) そのようになった場合、そういう社会をつくってしまうのではないかとおっしゃいましたが、既にそういう社会がつくられているからそういう発想にしか立ち行かないのだと私は思います。
 現に、最近調査したばかりの資料を読んでおりましたところ、東北地方でアンケートをとりましたが、結婚したらやめたという方が対象の中の六割、その残った四割の方の中で妊娠したらやめたという方が四割、さらにその中のまだ残っている方で、今後家族などに介護者が出た場合にやめなければいけないと思っている方がその中の一〇%ほど既におりまして、常に不安を抱えて仕事をしていると。そういう状態で女性は常に介護、看護というのが頭の中にこびりついているわけですが、ではなぜそうなるかというと、自分がとらざるを得ないという認識が既に頭の中にできているからです。
 なぜそうなるかというと、これは会社の収益を考えても何を考えても同じだと思うんですが、その家庭を一つの団体とみなせば、家庭の中で一番収入が多いのは夫である。夫が収入が多くて妻が収入が少ない。どちらが休んだらより大変か、どちらが休んだ方がその家庭にとって利益が生じるかと考えれば、当然リスクが少ない方が負うものだと。
 先ほど申し上げましたが、そのような考えをどこの家庭でも行えば結局稼ぎの少ない妻が休んだ方が効率的だということになっていきますから、それはこれから考えられる問題ではなく、既にこれまで形成されてきた日本の社会が生んでいる問題でもありますから、改めて女性が大変になるのではないかとかそういうことではないと思います。
 さらに、もしそういうことが心配になるのでしたらば、男性の方も介護休業等を利用するよう今後ますます企業教育などにも力を入れ、育児休業もそうですが、男性も利用できるとはなっているものの利用する人がいないのは、男性が利用することに対する周囲の冷たい視線であるとか、その後の昇進昇格にかかわる問題であるとか、そういうものにも及んでのことでございますから、これから企業なり学校教育なりで、介護というのは母や妻や嫁やそういう者が行うものではなくて、家族がひとしく考えてその中で話し合って行うものである、また、男の人だから、会社の偉い人だから休めないとかそういうことではないのだということを今後教育をしていくことも必要かと思われます。これから考えるべき問題ではなくて今もう既に抱えている問題ですから、そういうこともあわせて考えて進めていくべきものだと思います。
#142
○野村五男君 ありがとうございました。
#143
○庄司中君 社会党の庄司でございます。よろしくお願いします。
 最初に、松田さんにお願いします。
 お話の中で、例えば法律とそれから労使協定の関係ですね。今度の介護法案の場合も労使の協定があるわけです。例えば平成五年ですと、制度があるところは五百人以上で五〇%を超えています。ところが、残念ながら千葉さんの関係の中小企業のところがなかなかうまく進んでいない。宮城よりは全国平均は一四・二%ですけれども、それでもやっぱりそこのところが進んでいない。
 ただ、法律といいますのは実態がないとつくれないわけですね。天から降って法律をつけて強行したらこれは大混乱になりますから、国際的に見ましてもやっぱり労使協定が進む、その上に法律ができる。法律はどうしても公的権力の介入ですから最低になりますね。基準法がそうです。その上に積み上げていくということになると思います。そうして見ますと、法律は最低なんだと、労使の当事者の合意がやっぱり先に立って進んでいかなきゃいけない。
 そういうふうになりますと、松田さんにお尋ねしたいんですけれども、目標として介護休業制度というものは、もうできますね、恐らく今度の国会で成立すると思いますが、それをどうやって広げていくとか、その最低の基準をどうやって膨らませていこうとするのか。恐らく、これは労使の御協力が非常に大きな役割を果たすんだろうというふうに思います。千葉さんがおっしゃいましたように主体的な合意とか主体的な努力、その面が非常にこれから必要になってくるように思いますけれども、松田さん、どういうふうにこれからそれを進めていこうとしているのか、その辺をちょっとお伺いします。
#144
○公述人(松田栄子君) 労使の交渉が第一でございまして、労働契約よりも労使協定の方が上でございますので、確かに労使で一致したものが労働基準法の上にいくことは重要ですし、大切だと思いますが、現状において例えば労働基準法はどのような扱いをされているかというと、最低の法律ですと言いながら最高のものとなっておりまして、労働基準法を下回る労使協定というのが依然として多数存在いたします。
 実際に、私ども連合などでも調査をしたり、アンケートをとったりとかいろいろしておりまして、答えが返ってまいりますが、労働基準法がこう決めているからそれに合わせましたとか、労働基準法がもっとよくなったらそれに合わせて上げましょうというふうな回答も多いですし、逆に、例えば導入している会社がほかにもあるのにどうしてもっとならないんですかと言うと、いや、法律でそこまで認めてないんだから何もうちでやらなくてもとかというふうになっておりますので、労働基準法に対する、法律に対する最低のものであるという認識をどうやら国民は持っていないのではないかと私は思います。
 労使協定とはいうものの、特に中小とか零細とか個人経営のところですと労働組合が結成されていないところもかなり多くございますし、また実質的な交渉力を持たないところもかなり多くございます。連合八百万とか申しますが、構成率としてはかなり低いものでございますし、組合とは何なのかということを全然わからないで会社勤めをしている労働者も多数存在いたします。
 それは、確かに組合の活動力も足らないですし能力が及ばないというところもあると思うんですが、そうなると組合というものに依存したくてもできない。依存できない人たちは直接経営者と交渉することになりまして、そうなると個人対経営者との交渉になりますから、労働協約とか団体交渉よりもさらに厳しい条件が課されることになります。そうなった場合に何が支えになるかというと、法律がきちんと整備されているということに尽きるのではないかなと思います。
 どちらにしても法律というのは盾になりますから、法律でこうなのだからうちはこうだという使用者側の意見もありますし、法律でここまでだって認められているのだから私にも認めてくださいという被用者側の意見もありますので、結局は法律がどちらに対しても効果的なものであることが望まれると思います。
 となりますと、やはりその法律が、一般常識というと変ですけれども、結局双方の論点から考えて妥当なものであるかどうかといったことが大切だと思いますので、私ども労働団体におる者としましては、さらにその法律の上限が上がるように実績を積み重ねて交渉していくことが必要だと思います。また、法律の方も歩み寄ってというのも変ですけれども、その法律を主管していらっしゃいます労働省なり何なりの方でもっと幅広く統計なり世界を見るなりしていただいて、日本の法律が置かれている状況というものが水準から照らしてどのようなものであるかということに対する妥当な判断と指導をされるように願いたいと思います。
#145
○庄司中君 ありがとうございました。
 それでは、千葉さんにちょっとお尋ねいたします。
 お話を伺っていまして一番問題になるのは、四十歳、五十歳の方が親の面倒を見る、介護者になるという場合、企業の中核、中心になっていますよね。その人たちが休暇をとられると企業に大変影響を及ぼす。しかし、その人がとらないと、子としての、家族としての責任が全うされません。ですから、どうしてもやっぱりとってもらう以外にない。
 そうしますと、それを補充する代替要員のやり方といいますのは、企業の中で短期間の異動をするとか外部から一時的に人を雇うとか、それはどの場所でもいいわけです。下の人を上に上げて、下の部分の人の短期の募集を行うとか、いろんなやり方があると思いますけれども、実際、例えば先ほど派遣事業の対象の緩和というお話がありましたが、当面これ使えません。二十六業種だと思いましたけれども、それ以外は制限されていますから使えませんね。
 そうしますと、やっぱり内部の異動をするか、外部から短期間雇うかと。中央会としては、もう日程に上がりましたからこれから指導をされていくと思いますけれども、今のところどんなことをお考えでしょうか。
#146
○公述人(千葉富雄君) 実は、介護休業に関しましては、まだ私どもの指導の日程には上がっておりません。先ほど申し上げたとおり、時短それから育児休業、まずこれを就業規則なりをちゃんとつくってやりなさいという指導をしてきて、今それに各組合を通じて企業が乗りつつあるわけです。介護問題がここに出てきまして、これから仮に法案が通った場合、ですから私どもは四年間なり十一年まで待ってくださいよと。その間にどういう業種によってどうやればいいのかというのを、これはやっぱり労働省なんかも一緒になって考えていただきたいと思うんですが、その場合に代替ができるのか。できないところもあるんです。
 先ほど申し上げませんでしたけれども、またこういう例もあるんです。塩釜のかまぼこ業者の例ですが、つくる方のパートの方は多いために幾らでもかわっていいわけです。ところが、二人の営業マンがいまして、地区を担当している方がこれはそれぞれのところにお得意さんを持っていまして、その方がもし休まれますとそこの販売に支障を来す。かわりに社長さんが行って、私が行って果たしてそこら辺がうまくいくかなと、こんな心配をしている状態ですから、営業マンがいなくなってしまうと恐らく収益が落ちるだろうと。これは人数からいいますと大体四十人ぐらいなところなんですが、ほとんどがパートの方です、これはつくる方ですから。
 そういう状態ですと、今度代替要員をどう入れるんですかと。営業マンですから、やはり取引先との顔がつながってないとうまくいかないわけですね。ここら辺、かなり難しい問題じゃないかと思うんです。
 だから、そこら辺も含めて、やはり少し期間をかけてそこらをどう組み立てていくんですかと。これを私どももいろいろ検討しながら皆さんにその仕組みをお手伝いしていかなくちゃならないのかなという感じを持っているわけです。
#147
○庄司中君 関係しますけれども、今度の法律改正の中に委託募集の条件を緩和するというのがございます。例えば事業協同組合、大体お話がよくわかりますのは、やっぱり職種というのは同じ業種でないとうまく代替ができないというふうに考えます。
 そうなりますと、今度の法律の中で外部委託ですね、委託募集の条件を緩和するということがございます。千葉さんのところではまだ具体的な指導の要領をこれから検討するということでございますけれども、千葉さん個人として、例えば外部委託の条件を緩和するということはかなり使えそうですか、余り使えそうじゃないというふうにお考えでしょうか。
#148
○公述人(千葉富雄君) 確かに、今先生のおっしゃるとおり、まだ具体にそれをどうしましょうかというものがないんではっきりは申し上げられませんけれども、ある程度の業種によっては使えると思います。
 ところが、先ほど言いましたかわりの人、それから委託先が組合だった場合に募集だけやるといいますと、勢い募集行為だけなんですね。もう少し、できるならばベテランの者をその中で抱えられるぐらいな何か支援策があったらなという感じもします。
 例えば先ほど言った競り人の人ですね。やはり青果組合でありますので、その中である程度の知識と経験を持った人を何人か置いていればそういう場合にはかえられるでしょうとか、募集だけですと新しい人が大体入ってくるんじゃないかなと、そんな感じを持っていたんですが、まだ具体的に検討してませんからよくは言えませんけれども、そのとおりでございます。
#149
○庄司中君 やっぱり代替要員の確保というのが中小企業では一番大きな問題になってくるというふうに私たちも思います。
 千葉さん、例えばこういうケースはどうなんでしょうね。
 去年、高年齢者等雇用安定法という法律が変わりまして、それが施行されますと六十歳以下の定年というのは認められないということになります。ただその際に、さっきお話が出ましたように、高齢者の派遣事業、これは制限がなくなるわけです。全く制限がなくなりまして、高齢者の派遣事業についてはどの職種でも構わないというふうになるわけですね。
 高齢者といいましても、今は六十が大体定年ですけれどもいわば働き盛りですよね、ある意味では。力仕事はできませんけれども、判断業務については非常にいい時期だというふうに思います。ですから、企業の中心になる部分でどうしても介護休業をとらなきゃならないとすれば、派遣事業のうちの制限のなくなった部分を活用する手も、僕には可能性としてはかなりあるんじゃないかというふうに思いますけれども、千葉さん、これから指導の要領を検討される場合には、こういうことは検討の対象にはなりますか。
#150
○公述人(千葉富雄君) 私も個人的にはそういう考えを持っておったわけです。確かに六十歳定年になりまして六十歳から六十五歳まで、これが労働省のこれからの高齢者継続雇用促進ですか、そういう制度をとろうとしておられますね。だから、これは各企業ごとに継続雇用ということでできますので、それはある程度使えると思うんですが、ただその場合に賃金の問題が出てくると思うんですね。
 同じ職種ですから同じような賃金をそのままやった場合には、新しい人はちょっと雇えなくなるので、やはりキャパシティーといいますか、それを超えてまではできないのかなと、中小企業はですね。だから、そういう方を別な何かが派遣事業というところで抱えまして、それで何かあったときには技能に応じて派遣できるようなものがあれば、確かに有効かなという感じもしております。
#151
○庄司中君 ありがとうございます。
#152
○足立良平君 きょうは四人の公述人の皆さん方に大変有益なお話をいただきまして、お礼を申し上げたいと思います。
 私は平成会の足立てございます。平成会といいますのは、ちょっと宣伝をさせていただきますと、参議院にだけある会派でして、新進党とそれから公明が一緒に統一会派を組んでおる、こういう会派でございます。
 まず、阿部公述人にひとつお考えといいますか、感想をお聞きいたしたいと思います。
 お話を聞いておりまして、実際に家族を介護されて本当に大変だったんだなということを私は実感として実は今感じさせていただきました。経験をもとにした貴重な御意見をいただきましたことにお礼を申し上げたいと思います。
 それで、お言葉をちょっと私は正確には覚えておりませんが、職場の皆さんあるいはまた近所の皆さんに大変に助けていただいて、ある面においては介護というのは厳しいので、阿部さん自身があるいは会社をやめなきゃならないかもしれない、辞表ということをふっと思いながらも職場の皆さんなり近所の皆さんに助けられて、そしてそういう危機を乗り切ってきたんだというふうにお話があったと思います。
 考えてみると、介護の問題というのは、これはまさに人間全部が、阿部さん自身大変若いんですけれども、今から何十年か後には今度は介護をされる側になってくる。今一億二千四百万の日本の国民がすべて介護する側から介護される側に変わってくるという、これはもう全部持っているわけですね。
 そのときに、私どもの考え方は、すべて人に介護を任せてしまってもいけない、あるいはまた私的なものだけでやってもいけない。いわゆる公助、公で助け合う公的なものも必要だ、あるいはまた自助努力というものも必要だ、こういうバランスをとっていかないといけないのではないかなというふうに実は思っています。そうしませんと、公的なものばかりで介護をしようという意見もあるわけですけれども、これも日本人の社会というものから考えると、ちょっと現実的に気持ちがぴたっとこないなという感じもするわけですね。
 したがって、阿部さん自身が大変御苦労になったわけですけれども、そういう面で本当にこういう点があったらよかったのになと今改めてお感じになるようなことがありましたら、再度ちょっと述べていただきたい、このように思います。
#153
○公述人(阿部とき子君) 実際にいろいろな経験をした中からなんですけれども、今、昔からあるいわゆる地域社会とはまた別に、新興住宅地でいろいろな地域が形成されていくわけです。そういった従来からある地域社会といいますか組織と、そこに後から追加された地域と言うとちょっと表現がおかしいんですけれども、そういったものの地域づくり、今、町内会とかあるいはそれの連合体とかいろいろあります。そういった活動が形だけじゃなくてもっと実のある、先ほど先生がおっしゃいましたように、将来は介護をする側からされる側にだれでも対象になるんだという部分での地域活動、いわゆる連合町内会なり町内会の地域づくりの中で、もう少しそういった部分の教育といいますか、そういう場がやっぱり必要じゃないかなと思うんです。
 そういったことを形成することによって、先ほど私が申し上げましたようないわゆる近所との助け合い、言わなくても、畑は心配しなくてもいい、守っていてやるから看護してきていいよというふうな、自然に周りから大丈夫だから行ってこいというふう狂、そういう地域づくり、地域の輪づくり、町内会づくりというふうな部分についてはやっぱりもっともっとしていかなきゃいけないんじゃないのかなという部分が一つ。
 それから、私もいろいろな場に行ってよく感じることなんですが、福祉といいますとどうしても各自のボランティア活動だとか、例えば先ほど申し上げたような障害者を持つ親でつくっている組織だとか、そういったものにゆだねている部分が結構ありまして、それに対する支援が本当に足りないなと。その辺についてはどこまで国とか行政で目配り、気配り、調査とかして、今福祉国家をつくろうとしているところ、そこに対してどれだけの支援をやろうとしているのかということが見えない部分があるんですね。
 選挙といいますと、必ず福祉、福祉というのは耳にたこが出るくらい聞くんですけれども、実際ふたをあけたときに、前回の四年前の選挙と四年後の選挙が来たときに、そういった民間でやっている組織自体がどれだけいい方に変わったのかという部分は、いつでも何か変わっていないなというふうに懸念されるんですね。ですから、そういった公的機関が少ない中で民間がそうやって頑張っているというふうな部分で、もうちょっとやはり国なり行政として支援活動をしていただければもっといい方向に行くんじゃないかなというふうなことがございます。
 それから会社の方については、いろいろな就業規則がありますが、そういった就業規則に助けられた部分もございますし、何回も繰り返して申し上げますんですが、要は人づくりだと思うんです。幾ら就業規則で決まっていたとしても、休みがとれないあるいは時間短縮がもらえない雰囲気というのはやっぱり否めない状態がありまして、人に恵まれたことによって気持ちよく出してもらえる人づくりというのは大切だなというふうに思っでございます。
 それからもう一つは、いろんな公的な機関ができた場合に、古い因習としまして、何で家族がいるのに施設に預けるんだというふうなことがまだまだやはり残っております。ですから、そういう部分で、公的な施設をつくると同時に、施設に預けるということは決して悪いことではない、お互いの生活を守るために必要なんだということの国民に対してのPRというのもあわせてやっていかなければ、物はつくったけれどもなかなかそこに入れないような状態があったりというふうな部分がありますので、そういうことのPRというんですか教育といいますか、そういったものが必要になってくるんじゃないかなというふうに考えます。
#154
○足立良平君 どうもありがとうございます。
 御指摘のように、隣の人は何する人ぞという感じで、特に大都会はそういう傾向にますますなってきていますから、そういうハードの面でなしにソフトの面の必要性というのは確かにおっしゃるとおりだと思います。
 それでは、松田公述人に少しお考え方を聞かせていただきたいと思いますのは、これもお話の中に出ていましたけれども、例えば基準法とかいろんな法律がむしろ最低のものではなしに最高のものになってきているんだというふうな、現状の認識、実態面からしてちょっとお話がございました。
 そういう面で、例えば宮城県の場合に労使間で、さらに法律を上回っていくんですよと、例えば基準法とかいうものの基本的な考え方が、連合として労使交渉なりそういう職場での話し合いというものが実際的にどの程度行われるものなんでしょうか。
 と申しますのは、特に日本の中小企業の労働組合組織率というのは大変に低いわけです。低いわけですから、そういう面では結果としては私はなかなか難しいのではないのかなという感じを受けるんですけれども、そういう点、松田公述人はどのように感じておられますか。
#155
○公述人(松田栄子君) 私も、労使交渉などに出られる立場でも身分でもまだないものですから、それが実際どのような場でどのくらいの頻度で宮城県で行われているかというその実態についてはほとんど存じ上げませんので、自分の主観なり聞いた話でしか申し上げられないんですが、私が先日聞いた話では、宮城県にある交通関係の私企業がございまして、そちらの労使交渉の話を聞きました。
 それは、労使交渉というよりも労使懇談会というふうな場でのことだったそうなんです。寮があるんですが、寮の環境がとてもよくないと。実際に住んでいる人に言わせると、水道から赤い水が出ると。とにかくさびているんですね、建物が古くて。一体どうやったらそれを直してもらえるかというので、過去何回も交渉してもだめだったんだそうです。最近では、実際にその水をくんで持っていって、こういう水が出ているんでこれを飲んでみなさいということで労働者側の方は提示しまして、それでわかったということで、水道の方は整備されたそうなんです。ところが、その給湯方式は水道の水とお場とが一緒に出る蛇口だったんですけれども、水道は直ったんですけれども、お湯の方が直っていないんです。ですから、水を出せばきれいな水が出てくるけれども、お湯と一緒に出すとまた赤いぬるま湯が出てしまう、こういう笑うに笑えないような結果があったということなんです。
 そのように開かれている労使交渉もあるかなと思いますけれども、ただ、なかなか会社のそういうプライバシーにかかわる部分については公開されておりませんので、実際はそのように本当に生のレベルで話し合っている交渉の場というのは少ないと思います。
 先ほどから中小企業の実態などの話を伺っておりまして、確かにそこの会社に一人や二人しかいない大切な仕事を持っている方に休まれれば会社も困るわけですけれども、その会社のいわゆる屋台骨を支えていたような大切な労働者の人が、例えば自分の妻が病気になってしまってあとだれも看護する人がいないとか、自分の親をだれも見てくれなくて自分が休まざるを得なくなったというときに、私どうしても休業しなければいけませんので休ませてくださいと言ったときに、うちではそういう労働協約をまだ締結していないから無理ですねとか、法律で例えば三カ月や一年なり決まって、法律でこうなりましたからその枠内でしか認められませんねとかなったときに、そうなるとその方は結果として復職できなくなってしまいますから職を失ってしまいます。
 となると、会社にも痛手かもしれませんけれども、特殊な技能を持った、本来であればきちんと会社員生活を全うできるはずの人が自分の生活の場を奪われてしまうということにもなりますので、そうなるとなおのこと労使交渉なり労働契約なりそういう段階でのお互いの認識というのがとても必要なものになってくると思います。
 ですから、もっと労使交渉などの実態とか、最近は労働協約とは何かとかそういう本も出版されていて、何か難しいデータが載っているのを先ほどちょっと見てきたんですけれども、もっとわかりやすく、もっと広く一般国民が一体労使交渉とは何であるかとか、働くときにはどういう権利があってまたどういう義務があるのかとか、もっと基本的な段階で使用者側も被用者側も考えられるような詳しいガイドラインなりわかりやすくまとめたテキストなり、もっと広くみんなで考えてみましょうというふうな教育から始めることが特に肝要ではないかなと思います。
#156
○足立良平君 ありがとうございます。
 それでは、千葉公述人にちょっとお聞きをいたしたいと思います。
 大変今厳しい企業環境にあることは私もお話をお聞きいたしましたし、そのとおりだろうというふうに思っているんです。そこで、一言お聞きいたしたいと思いますのは、この介護休業の法案があろうとなかろうと、中小企業でも大企業でも介護をしなければならないような現象といいますか、家族がそういう状態になられることはずっと現実に起きているわけです。そうしますと、今中小企業ではそういう場合にどういうふうに対応されていますか。
#157
○公述人(千葉富雄君) これは私の聞いている範囲内ですが、先ほども陳述の中でちょっとお話ししましたけれども、中には申し出があれば対応しましょうというようなところもありますし、それから一人から四人ぐらいの商店の方々ですと、いわば働いている人も、いわゆる事業主、店主の方も大体家族的な内容になっていますので、家族の状況がどうなりましたといいますと、それはどうカバーするかと一緒になって考えるというのがあると思います。
 それからまた中堅といいますか、もう少し大きくなりましても、これは私どもはよく組合を通じておつき合いしているんですが、例えばクリスマスパーティーとか従業員の方といろんなコミュニケーションをよくとっております。それで、その中を見てみますと、やはり社長さんも役員の方も従業員の方もなかなか和気あいあいとやっているんです。そうしますと、今だってもしこうなったらば何か助けてあげているんじゃないかなと、これは実際はつかんでいませんからわかりませんが、そんな感じがしているんです。
 確かに、先ほども申し上げましたけれども、そこら辺、労使の方々の今までの信頼関係、これがなければこれからの企業も恐らく発展しないだろうと。やはり人材をいかに確保するかというのが問題なわけです。それは先ほど言いました新しい商品をつくるにしても、これは人材がいないとそんなことできませんし、それは事業主一人だけでできるものじゃないんですから、そこら辺のつくり方というのはやはり経営者としての一つの才能といいますか、才覚がないとできないんじゃないかなという感じがしていたんです。
#158
○足立良平君 わかりました。
 ちょっと最後の御質問を一つさせていただきたいと思うんですが、千葉公述人、えらい集中しているようで申しわけございません。
 先ほど、例えば時間短縮の準備活動が必要だとか高齢者の云々とか、あるいはまた育児休業、ある面におきましては次から次にこの種の法律がずっと続いてきて大変だというお話なんですが、これ率直に申し上げまして、私も前に現実に時間短縮をやったり、いろんな経験があるんですが、例えば時間短縮をやろうと思いますと大変な準備期間が必要になってくるんです。例えば、八時間労働を七時間にしようと思うと七分の八の生産性を上げないといけないわけですからね。あるいはまた、取引先との関係とかいろんな問題を含めて、人間の配置の問題から大変な準備期間が要るんです。あるいは、高齢者の定年延長を考えましても、例えば昇進の問題を一体どう考えていくかとか、そういうふうないろんな企業内部におけるその種の問題にきちんと時間をかけませんとうまくいかないという問題があると思うんです。
 ただ、この育児休業の問題を一つとりますと、むしろ現実に存在しているわけです。それで、現実に存在していてどうしてもやむを得ないときには、今千葉公述人がおっしゃったようにある面においては対応せざるを得ないわけですね。そうすると、時間短縮の法律があったときには根本的に準備期間が要るけれども、この育児休業の準備期間というのは、今まで公述人が列挙されたような意味での準備期間とは全然違っているんではないだろうかというふうに思うんですが、その点いかがでしょうか。
#159
○公述人(千葉富雄君) 育児の場合ですと、どちらかといいますといわば男女とも若い人が多いわけですね。そのときにどういうふうなカバーをさせるのかと、それを取り入れてもう実質やらなくちゃならないというふうになれば、そういうのをやはり経営の中で考える期間が必要だということです。
 それは、あしたからこの方がやめますから、じゃこの人でいいですよというような職場だけならいいんですよ。例えば、先ほど申しましたパートの方だけでやっている企業みたいなところですと、これはすぐ代替ができるわけです。ところが、専門的になってこられますと、じゃこういう場合にはどうするのというような、そういうことを考えていかなくちゃならないわけで、やはり経営上にその位置づけを検討する期間が必要だと、そう考えています。
#160
○足立良平君 ありがとうございます。
#161
○古川太三郎君 新緑風会の古川でございます。
 きょうは公述人の皆さん方から大変貴重な御意見を伺いまして、ありがとうございます。
 最初に、千葉公述人にお聞きしたいんですが、今の質問と関連しますけれども、実際上既に会社では、そういう介護休暇という制度ではなくて事実上やらざるを得ない人事管理をされているということでございます。そして、経過期間といいますか、それが必要なのは本当に特殊な技術をお持ちの方とかあるいは特殊な形の地方での営業マンとか、そういうような形でなかなか代替がきかないという方には大変だということをおっしゃったんですけれども、そう考えれば考えるほどこの制度を早く確立させなければ意味がないんではないかな、こういう気がするんです。なぜならば、この制度が早く確立されて、そういった危機管理というものを本当に経営者あるいは事業主が考えていくということがすなわち健全な経営にしていくことになる。
 そういう技術者、例えば競りの人がぱっとやめたと、やめるというよりも休業したという場合に、むしろその人はどうしても休まなきゃならないということで休暇をもらうわけなんですけれども、それがだめだということであったらやめなきゃならぬわけです。そういう技術を持った人ならば逆にほかのところの店にも採用されやすいですね。だとすれば、その事業主が危機管理として何を考えていたか、本当に事業主の資格があったのかと問われるくらいに今、事業主とか経営者の倫理観といいますか社会常識といいますか、もうそこまでいっているんじゃないか。
 だから、技術者ほど保護したい、事実自分の会社にいてほしい、こういう人なんですから、それこそどうぞ休んでください、そういう心配をなさらずにむしろ十分に親孝行してくださいとか、あるいは配偶者を介護してくださいとかいうことで安心して働けるようにされる方が、その人はもっともっと能力も発揮されるし、また大事な人だと言われるんじゃないかなと思うんです。だから、そういう人だからこそむしろ今の介護休業が必要なんじゃないかなと思うんですけれども、そして早くつくった方がいいんじゃないかなと思うんですけれども、いかがなものですか。
#162
○公述人(千葉富雄君) ちょっと申しわけありませんけれども、考え方としましては、私どもが先ほどから申し上げているとおり、中小企業にはいろんな業種がございます。これは御存じのとおりだと思うんですが、業態がみんな違うわけです。それから、規模によっても違います。それから、中小企業というものは大体目いっぱいな人で、いわゆるむだと言ったらおかしいですけれども、余裕を持った人は採用していないわけです。今までがそのとおりですね。そうやってきているわけです。
 それで、専門家を今休ませなけりゃ後確保できないよというんで休ませるということになりますと、これは企業そのものの存立に問題が出てくるわけです。中心になるような人がいなくなっちゃう。そうすると、その人を休ませないためにどうするかやはり経営者は考えていかないといけない。そうすると、例えば施設を探してあげるようなこともやるかもしれません。それから、介護の方でそのかわりの人がだれかいないのかと、そこら辺も考えるんじゃないか。それで、まずはとにかく企業を守っていかないと、そうでないと、その人が幾らいたって次に賃金が払えないような状態になれば倒産してしまえばそれで終わりなわけですからね。
 だから、そういうところをいかにするかというのはやはり期間をかけて検討させていただかないと、今やりなさいよと言われても混乱するだけじゃないか、そういう感じでおるんです。
#163
○古川太三郎君 それにしても、四年ぐらい先ということの準備は要らないんじゃないんでしょうかね。そのことはせいぜい一年間ほど考えれば十分に知恵が出てくるんじゃないでしょうか。もう実際上そういう休暇というものを与えていらっしゃるという現実があるとすれば、一年もその制度でお考えになればいいんじゃないかなという気がしたんですけれども。
#164
○公述人(千葉富雄君) 先ほどから申し上げているとおり、業種によってもう既にやっているといいますか、大企業は、五百人ぐらいの規模のところはやっていまして、これはだれも利用していないんだそうです、五年間調べましたところ。それはどういう理由かわかりません。ところが、先ほどクリーニング屋さんで言いましたように、これは休んでも後またいらっしゃってもいいですよという状態でやっている。
 だから、先ほど業種によりまして違うと言いましたが、例えば競りの人がいなくなると、物の買い入れから出すところから全部その人が責任を持っているものですから、なかなかそれにかわる人をどうするかというと、やっぱりこれは三年ぐらいかかると、一人を育てるのに。それと一緒にはなりませんでしょうけれども、どうやっていくのかというのは、やはり四年というのは長いようで短いと思っているんですが、私どもは。
#165
○古川太三郎君 しかし、しつこいようで申しわけないですが、競りの方がもし自分が病気になったら休むでしょう。そういうことだってあり得るんですから。あるいは交通事故があるかもわからない。とすると、その経営者はどういう考えで経営しているんですか。
#166
○公述人(千葉富雄君) 先ほども申しましたとおり、そういう病気で休まれた、まあ大体普通は短期間、長くて一カ月ぐらいの入院とか、そうすると大変な病気なんですが、それぐらいですと、先ほど言いました十一人か十二人が仲卸にいるわけで、ほかの人が一応それをかわってやると。それをしながら、長くなりそうな場合はもう少し若い人を育て始める。そうやって三年ぐらいたちますと一人前になりますよと。
 さっき言いました介護休業という問題をその中に取り組むときには、ではどういう方法でやるのか。先ほど話が出ていました派遣制度ですね、これだってうまくいくならば利用するということができるでしょうし、そこら辺をいろいろ検討するには、はいすぐやれますかというと、どうも私ども指導機関としてもこれは厳しいなと、とてもできるはずがないなという感じがしております。
#167
○古川太三郎君 その難しさはよくわかりますが、労働者が安心して働けるということを前提にすれば、自分自身の病気であろうが子供の病気であろうが連れ合いの病気であろうが親の病気であろうが、全部同じような感覚で介護したい、このことも一緒なんですね。そういうことを事業主は認めた上で労働者を雇う義務感がもうできてきているんじゃないか、特に先進国と言われる場合には。
 それが確立してこそこういったことが行われるんだろうと私は思うし、現に今の経営をやっていく場合にはそういったことを考えざるを得ないようなことになっておりましょうし、そのことを考えないような経営者は、日本は輸出国ですけれども、外国から見てもこれは労働者をむしろ犠牲にした出血輸出じゃないかというようなことで批判される場合も起きるでしょうし、資本主義のルールとしては、やっぱり先進国と言われるような人権を大切にしている国のルールを守りながら商売をしていかなければならぬもう時代ではないかな、こう思うんです。
 それだけに一日も早い制度の確立を私は願っているんですが、中小企業もなかなかそれは大変なこともよくわかります。しかし、今大変だ大変だと言っているのは、これは公害なんかでもきちっとしなさいよというような制度を設けたときだって中小企業は大変だ大変だとおっしゃっておくれたんです。何でも大変だというのはわかるんですけれども、しかしそのところまで到達してもらわないと日本の企業も先進国並みと言われるものになってこないんじゃないかなと思いますので、ぜひともそういう努力をお願いできればと思っております。そのことについて感想だけ聞かせてください。
#168
○公述人(千葉富雄君) 確かに先進国並みと言われるような企業になれとおっしゃいますが、やはり今まで中小企業は御存じのとおり景気回復の場合には礎になってきておりますね。中小企業が力になって景気回復してきていますけれども、今日どうも回復しないというので中小企業が何を求めてやっているかと。先ほども申し上げましたけれども、大企業が海外に行きますと取引量が減ってくる、それから低価格志向によって皆そちらの方に持っていかれる、じゃ中小企業としては何をやりますかと。そこら辺を今盛んにやっているという現状があります。従業員の方をいかに人材確保しようかというのも一つのあれです。人材がいないと中小企業もこれから成り立たない。それも一つです。
 ただ、今介護を企業だけに任せると、企業が介護を全部踏まえて、それまでひっくるめて経営をしていくとなると中小企業はかなり圧力といいますか、重荷になるんじゃないか。もう少し軽くしてやるための国の施策を何か考えていただけませんか。本心はそこにあるんです。やはりそれによって、今法律ができますから最小限度でやっていただければ、どういう仕組みに持っていくかというのを少し時間をかけて検討させてください、こういうのが私たちの主張なんです。
#169
○古川太三郎君 先ほど阿部公述人がおっしゃったように、代替要員確保の負担を国が補てんできるような制度ができればすぐにでも中小企業の方もオーケーという形ですか。
#170
○公述人(千葉富雄君) 先ほども申しましたけれども、負担だけで済まない職種があるわけですね。だからそれをどうするかということは、それを抱える経費は、結局二人抱えますと二人分の賃金が要りますし、仮に休んでいる方に賃金を払わなくても、例えば一年後なり三カ月後でもいいですが出てきた場合に片一方の人をやめさせますかと。そうすると、ある程度ダブってやらなくちゃいけないです。
 それから、派遣制度というものがうまく出てきた場合にはそれは使えるかもしれません。だけど、専門職に果たして派遣職がうまく使えるのかどうかというのは、これもやはりそれぞれの状況を見ながらやっていかないと、はいそのとおりですとは申し上げにくいと思うんです。
#171
○古川太三郎君 ちょっと一つだけ済みません。
 今、介護休業される人に給料を払うとおっしゃったけれども、そういう制度までは法律は要求してませんけれども、今のところは。
#172
○公述人(千葉富雄君) 休業者が帰ってきたときに、そのときから払わなくちゃいけない。だから、今まで雇った人と一緒にダブるでしょうということです。今までそのかわりにやってきた方を雇い入れた場合に。
#173
○古川太三郎君 そういうことですね。わかりました。
#174
○吉川春子君 日本共産党の吉川春子でございます。
 四人の公述人の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 本田永久子公述人にお伺いいたしますけれども、本田さんの職場は病院ですね。職場の関係で入院の患者さんとかそういう姿をよく見ていらっしゃると思うんですけれども、それでお年寄りの入院患者さんもきっと多いんだろうと思いますが、今回の介護休業制度の三カ月の根拠が、大体三カ月ぐらいたつと高齢者の介護のめどもたつであろう、症状も落ちつくであろう、そして施設の展望も開かれるだろうと。こういうことを盛んに労働省は説明しているんですが、実情を見ていらして、三カ月ぐらいでこういう展望が開けるものなんでしょうか。まずお伺いいたします。
#175
○公述人(本田永久子君) 私もここに来るに当たって、病棟の看護婦さんやケースワーカーの方にお話を伺ってきました。
 特に、お年寄りの長引く患者さんがいるところというと、脳卒中とか脳神経関係の病気で入院される方が多いんですけれども、そういう方たちは重症の場合だと三月ぐらいでほぼ病状が安定するところにいくということでした。その後どうするかということになると、在宅に引き取ってリハビリ訓練をするとか、あるいは今病院は本当にお年寄りでも早く病院から出ていってほしいということが診療報酬上もう約束されているようなものですから、そういう点で、治療が落ちついた段階で次に行く先をすぐに決めていかなくちゃいけないということがあります。心ならずも病院の職員も、もう病状が固定してきていますので次にどうしましょうかということを家族や親戚の方たち、お医者さんと一緒に相談するということがしょっちゅうあります。
 そういうときに、ほとんど今家庭は共稼ぎですので、うちに引き取ってうまく在宅の訪問看護や何かを利用しながら介護するということは本当に少なくなっている。しかも、広さとか家庭環境がありますので、そういう中では、お年寄りをひとり寝かせたまま家族が責任を持って介護する状態というのは本当に恵まれた状態だというふうに言えると思います。
 そうすると、次の施設を探す段になると、宮城県では、先ほど来公述人の方からも言われていましたように、もう特別養護老人ホームなどはいつも六百人以上の待機者がいるという状況で、一年待つのが本当に普通になっているということがケースワーカーの方からもお話しされました。それで、近くの小さい病院などを転々としたりしながらそういう施設に入れる日を待つということが結構多いという話でした。
#176
○吉川春子君 もう一つお伺いいたしますけれども、さっき本田公述人が全日型と勤務時間短縮型、そして両方の組み合わせの選択ということをおっしゃっておられまして、これは非常に大切なことだと思うんですが、介護休職制度に関する協定を労働組合と結んで施行されているということでしたけれども、実際上どういう形で利用される方が多いんでしょうか。全日型なのか時間短縮型なのか、その実情についてわかったら教えていただきたいと思います。
#177
○公述人(本田永久子君) 私どものところで施行してからまだ一年数カ月にしかなっていないわけですけれども、実際に介護休暇として休業制度をきちんと長期にわたって利用した人は一人でした。あとはみんな一週間とか十日ぐらいとか、一カ月以上にわたってずっと利用したという人はいなかったんです。子供の介護とかに当たって一週間とか二週間とかそういう形での休みはとってはいますけれども、それを介護休業制度に結びつけてとっているという状況ではなかったんです。
 それで、そのただ一人制度を利用した方は全日型を、交通事故で自宅から遠いところでけがをしたということもあるので、結局自宅から離れた遠いところに入院するというような状況がありましたので、ずっと二カ月余り患者に付き添っていたということがあります。でも、その二カ月のすべてをこの制度を使わないで、自分が持っていた有給休暇の残りを使いながら、その足りなかったところを介護休業制度を使って自分の首をつなげたということで、制度が不備な面がたくさんありますのでそういう使い方をしたということで話は聞いてきました。
#178
○吉川春子君 松田公述人にお伺いいたしますが、今度の法律案で三つの修正それから一つの補強というふうにおっしゃいましたね。男女雇用機会均等法が罰則がなくて努力義務規定なので、採用、賃金、昇進、昇格について女性の労働者から大変不満が多いんだ、こういうお話でございました。
 現実に介護休業制度をとるのは大体女性が多いんだろうと思います。そして、四十代、五十代、比較的年齢の高い層の方がとることも予想されているわけですけれども、そういう女性の労働者が介護休業制度を安心して取得できるためにはやはり不利益取り扱いを禁止するということが必要ではないかと思うんですが、法案の中では解雇は禁止するということは盛り込まれているんですけれどもその他についてはありません。特に原職復帰ということを含む不利益取り扱いの禁止などについて、御意見とか御要望があればおっしゃっていただきたいと思います。
#179
○公述人(松田栄子君) 今回はまず特にお願いしたい部分についてということで絞って申し上げましたが、確かに職場に対する原職復帰は重大な問題だと思います。
 特に今不況でございまして、企業も確かに経営が苦しい状態なわけですが、そのしわ寄せ、いわゆる人件費の削減がどこに及んでいるかと申しますと、やはりいわゆる女性の社員とかパート、契約社員、そういうところにまず一番最初に、まず弱者に及びます。
 最近見聞する中で多いのが、実際そうなったかどうかはともかく、話として、それまできちんとした社員であった者が、今経営が苦しいから契約社員になってくれないかとかパート契約でどうだとか、そういう話も実際にあるそうです。
 となりますと、男女雇用機会均等法等が既にあるにもかかわらず、不況だと、そういう企業の努力が及ばない部分でもあるんですが、そのような外的理由で女性は守られるところか身分も守られないことになりますから、例えばそういう実例ができてしまった後でこの介護休業法とかに適用されたりしたら確かにもう大変なことになると思います。
 ですので、特にその原職復帰等の、解雇以外の不利益という部分についてももしできることならばさらに審議を加え、とにかく制度を利用することによって、なぜ制度ができるかといえば、これはいわゆる国が認めた保険のようなものですから、使用者側も雇用者側もよりよくなるためにつくるのが制度でございますから。どちらかに特に不利益などにならないように両面からよく審議していただいて、特にそういう条文の解釈の仕方でどうとでもなるような部分というものについて厳しい点検の目を光らせていただければなと思います。
#180
○吉川春子君 千葉公述人にお伺いいたします。
 中小企業が置かれている状況が大変厳しいというお話でした。そして、規制緩和が大型店の出店を緩和しあるいは営業時間の大幅な拡大とかそういうところに結びついて、小売店が転廃業に追い込まれている実情など本当に大変だろうと思いますし、また企業が生産拠点を海外に移してその結果仕事がなくなっていくという、そういう下請業者のお話もされていましたけれども、私はお話を伺っていて本当に大企業に果たしてもらうべき社会的責任の必要性ということを改めて痛感した次第です。
 私たち日本共産党としては、この介護休業制度を導入するに当たりまして、やはりこうした中小零細企業に国の援助を十分行うことなしには導入できないだろうということで、代替要員を確保したときに賃金の補助、こういうことを中心に修正案を提出しているのもそういうことを念頭に置いたからなんです。
 実際上の介護休業制度のとり方の問題についてちょっとお伺いしたいんですが、先ほど企業をしょって立つような人に休みをとられると大変痛手だと言われまして、まさにそのとおりだと思うんですね。介護休業制度を取得する場合、三カ月すぱっと休む方法と、それからもう一つは勤務時間の短縮という形で、例えば一日八時間働くのが所定労働時間とすれば六時間にして、それであとの二時間は介護のために勤務時間を短縮してもらうという制度も選択できるようになっているんです。
 その場合に、勤務時間を短縮してその短縮した分を介護に当てるというような取得の仕方というのは、中小企業にとって休まれるよりはいいのかなとも思いますし、しかしすぱっと休んでもらった方が代替要員の確保が可能なのか。その辺、もし取得の方法について中小企業の団体のお立場から御意見があれば参考までに聞かせていただきたいんです。
#181
○公述人(千葉富雄君) 実態は先ほどから何回も申しましたけれども、業種、業態それから職種によってかなり違っできますし、それから、何度も申し上げますけれども青果の競りなどでも、その競りの状況、産物の状況によっても、その中で続けて休んだ方がいいのか、それから時間だけ短縮していて看護した方がいいのか、そういう問題も出てくると思います。それからもう一つは、患者の方といいますか要介護人、介護される方の状態にもそれはよるんじゃないかなという感じがします。
 どちらがいいかというのは、やはりそれぞれの実態をもう少し私どもも聞きながら業種によってマニュアルをつくるのか、そういう検討は少しさせていただかないと、はっきりどっちがいいというわけにはいかないわけなんです。
#182
○吉川春子君 こういうことなんですね。つまり、業種によっていろんな形があり、要介護者の状態によっていろんな形があるだろうということはわかるんです。その場合に、今の法律では時間短縮の制度を設けなくてもいいようになっているんです。例えば、出勤時間と退社時間だけ動かすとかフレックスタイムだけで対応するとか、そういうことだけの措置でもよくて、時間を二時間なら二時間短縮してやるということは全然その選択肢の中に入れなくてもいいような法律になっています。その点について、そういうものを残しておいた方が中小企業の、零細企業のある職種、あるパターンによっては非常に便利なのかなと、それよりは全部休むだけでもいいのかなと。その辺をちょっと伺ったので、パターンがいろいろあって一概に言えないということはもう承知の上で質問しているんですが、いかがですか。
#183
○公述人(千葉富雄君) 確かに私ども、この法案が出てきて、政府案の方ですね、それを最低ぎりぎりの線だということで見てきておりまして、その中で弾力的な運用をさせてくださいよというような感じは持っているわけですから、今言われました時間の短縮とかそういうのを入れる場合に、先ほどもお話出ていましたけれども、有給休暇というのもありますよ、それと介護をどう組み合わせていくのかというのもやはり実態と合わせないと、なかなかその方によって違ってくるんじゃないかなという感じがするんです。ですから、それを入れた方がいいかどうかというのはやはり私どももこれから検討させてもらいたいと思います。
#184
○吉川春子君 選択の余地として残しておくことが望ましいというぐらいに受けとめていいですか。全くそういうことまでは必要ないということですか。
#185
○公述人(千葉富雄君) これは審議会の方でよく検討されたと思うんですね。今までの婦人少年問題審議会ですか、その中でいろんな先生方が検討してああいう結果が出たんですから、それを踏まえてあの法案になっているならば、それをもとに私たちは検討した方がいいのかなという感じでおります。
#186
○吉川春子君 わかりました。終わります。
#187
○団長(笹野貞子君) 以上をもちまして公述人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、公述人の方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 皆様には、長時間にわたりまして御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。
 また、本地方公聴会のために種々御尽力を賜りました関係者の皆様方に厚く御礼申し上げます。
 また、傍聴の方にも長時間にわたり御協力をいただき、まことにありがとうございました。心より御礼を申し上げます。
 これにて参議院労働委員会仙台地方公聴会を散会いたします。
   〔午後三時五十五分散会〕
    ―――――――――――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト