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1995/04/27 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 逓信委員会 第11号
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1995/04/27 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 逓信委員会 第11号

#1
第132回国会 逓信委員会 第11号
平成七年四月二十七日(木曜日)
   午後一時四十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山田 健一君
    理 事         加藤 紀文君
                守住 有信君
                大森  昭君
                鶴岡  洋君
    委 員
                岡  利定君
                沢田 一精君
                鈴木 栄治君
                及川 一夫君
                川橋 幸子君
                三重野栄子君
                常松 克安君
                粟森  喬君
                中尾 則幸君
                山田 俊昭君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  大出  俊君
   政府委員
       郵政大臣官房長  木村  強君
       郵政大臣官房審
       議官       品川 萬里君
       郵政省放送行政
       局長       江川 晃正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        星野 欣司君
   参考人
       日本放送協会理
       事        河野 尚行君
       日本放送協会総
       合企画室〔経営
       計画〕局長    慶田 敏紀君
       社団法人日本民
       間放送連盟専務
       理事       西田  實君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○放送法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山田健一君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 放送法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に日本放送協会理事河野尚行君、日本放送協会総合企画室〔経営計画〕局長慶田敏紀君及び社団法人日本民間放送連盟専務理事西田實君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(山田健一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(山田健一君) 次に、放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○守住有信君 自民党の守住でございます。
 趣旨説明はこの間大臣から拝聴いたしました。そこで、もう一遍戻りまして、この法律の改正の目的といいますか、簡単に言うと真実でない事項の放送により権利を侵害された者に対する救済措置の改善を図る、こういうことであったと思いますが、その手段、手法。
 それからもう一つ、訂正放送につきまして具体的にどのような場合にどのような方法で行われるのか、ひとつ例でも挙げて、イメージがすっきりするようにまず御説明をいただきたいと思います。
#6
○政府委員(江川晃正君) この法案の改正の趣旨は、放送によって権利を侵害された人に対する権利の復旧といいますか、救済をするというのが目的でございますが、ただいま先生御質問の具体例でそういうことをちょっと御説明させていただきます。これは実例で申し上げます。
 ある放送事業者が、ことし、平成七年一月のことでございますが、十八時からのニュースでこういうことを言いました。公共工事をめぐる疑惑の中で県警本部が何々町長に対して事情聴取を行ったと放送いたしました。この何々というのはもちろん固有名詞で出てくるわけでございます。ところが、その何々町長は、その日そういう事情聴取を受けた事実はないということで訂正放送の申し入れをその放送事業者にいたしました。これを受けまして、その放送事業者が調査をいたしました結果、真実でないことが判明したわけでございます。
 そこで、これはテレビ、ラジオでやったわけでございますが、テレビにおいてはその日の二十一時、翌日の六時及び十八時からのニュース番組、それからラジオにおきましてはその日の二十一時五十五分、翌日の七時及び十八時からのニュース番組でこういう趣旨の放送をいたしました。きょう夕方、そのあしたの場合にはきのうというふうに言うわけでございますが、きょう夕方のニュースで何々町長が県警本部の事情聴取を受けたとお伝えしましたが、その後の調査で事情聴取を受けたという事実はなかったことがわかりましたので訂正いたしますという趣旨の放送を実施したわけでございます。
 これが文字どおり訂正放送でございます。こういうことが訂正放送の具体例としてあるところでございます。
#7
○守住有信君 今、最近の具体例として一つ挙げられましたけれども、放送法ができたのがたしか昭和二十五年、まだ占領時代だったと思うんですけれども、その後は三十四年ですか一部改正があって、その後さらに、いろいろ技術的な手段が高度化する、あるいはまた国民の一人一人の権利意識といいますか、そういうものも広がる、マスメディアの時代、こうなってきて今日を迎えたんだと、改正しようという動きになったんだと思います。
 昔は別としまして、最近、この五年でも十年でもいいから、性質の話は今具体例でお聞きしましたけれども、今までどれくらいのこういう訂正放送の申し立てといいますか請求といいますか、そしてそれに対して放送事業者の方の実施がどうだったか。あるいはまた、今度は民法の権利も残っておるわけですから、民事訴訟法上の訴訟件数というものもどれくらいあったのかなかったのか。この辺のところをちょっと過去へさかのぼって、五年でも十年でも結構ですが、御説明いただきたいと思います。
#8
○政府委員(江川晃正君) 訂正放送を行ったといいますか、訂正放送の請求のありましたのは、平成元年から平成六年までの過去六年間で調べますと、請求件数はトータルで二十九件になってございます。最初の元年、二年の方は二件、二件というふうに少ないのですが、年とともにちょっと多くなってきている状況でございます。
 これは文書に残っていたりなんかしていることの集計でございますので、文書に残らないで請求があっですぐ終わってしまったりなんかしたそういったようなものはここに入りませんので、請求自身はもう少し多いことが推定されます。しかし又書で残っているのが二十九件。そしてそのうち、先ほど申しましたように、調べて本当にそうだったから訂正するという形で訂正放送をいたしましたのが十六件でございます。
 それから、二つ目の民事上の問題でございますが、権利侵害の訴訟はどうだったのか。同じく平成元年から六年までの六年で申し上げますと、たまたま元年はゼロ件でございますが、訴訟はトータルで二十二件ございます。結審したのもございますし、係属しているのもあるという状況でございます。
#9
○守住有信君 これを多いと見るのか、非常に少ないと見るのか、これはいろいろ見方があると思いますけれども、最近の国民の権利意識の流れから見た場合、どうもちょっと少ないんじゃないか、何かそういう気がする。そしてもう一つは、訂正放送という法的な制度が果たして国民一般に広く知られておるだろうかと、私はこういう印象を持っておるわけでございます。
 それで、これから私の意見も入りますけれども、せっかくマスメディア、ラジオ、テレビ、みずからが媒体を持っておる。何も新聞広告でというわけじゃない、みずから媒体を持っておられるのに、この訂正放送についての制度、仕組み、一人一人の国民の権利にもかかってくるわけですが、それがどうも余り知られていないんではないか。
 やっぱり本当に一人一人の国民の権利を守るためには、今回のこの改正の内容も含めて、周知したり啓蒙したり、もちろん行政側もそうですが、もっと大事なのが放送事業者側のみずから律するという自律のあり方、私はこれが非常に大事だと思う。一方では報道の自由、これがあります。しかしもう一方では、一人一人の国民の権利というもの、これに対するバランス、これが非常に大事だと思うんです。
 したがって、放送事業者の方も行政の方も、手法は違うかもしれぬけれども、みずから周知啓蒙していく。それにつきまして、まず行政としては、今までの過去の印象を踏まえて、今回の改正につきましでいろいろ省令等もあると思いますけれども、今後どういうふうにしていこうと思うか。その次に、NHK、民放側としてどういうふうな、今は明確でなくとも、具体的な構想として周知啓蒙、国民の知る権利、国民に知らせる義務、これが私はあると思うんです。
 この訂正放送というのは質的に非常に大事なものじゃないか、こういう認識を持っておりますので、それぞれ御答弁をお願いいたします。
#10
○政府委員(江川晃正君) おっしゃいますことは私たちもよくわかりますし、承知しております。
 そこで、今回法律改正を通していただきましたらば、これを契機としまして、新たに訂正放送についての国民への周知というものをいろいろ展開していきたいと考えでいるところでございます。
 例えば、政府広報の活用、政府のだれだれさんと対談するような話が一般にもございます。ああいうテレビ番組もございますし、それから何よりも郵政省自身としましては、情報通信用聞、協会が主催する形になりますが、郵政省も一緒になってやっていきます情報通信月間というのが五月半ばから六月半ばまで毎年やる仕組みがございます。そういう中で、今回の法改正ができあがりましたら、まさにそれをテーマにしてシンポジウム、セミナーなどを闘いで、訂正放送による国民権利の確保というふうなことを含めまして大いに周知宣伝というのを図っていきたい、そう思っているところでございます。
 たまたまことしは五月末から六月末というところにこの期間が設定されておりますから、ちょうどタイミング的にもいいところではないかなと思っでいるところでございまして、あらゆる機会を使いながらやっていきたい、周知を図っていきたい、そう考えておるところでございます。
#11
○参考人(河野尚行君) 訂正放送制度を広く国民に理解しでいただくということは、先生御指摘のとおり、人権の意識の高揚、それからこの制度そのものの人権の保護という点からも極めで大切なことと考えておりまして、私どもといたしましても、メディアの中でどういう形でこれをお伝えすることがこの訂正放送制度の趣旨、それからその背景を正確に知ってもらうことができるか検討してまいりたいと思っています。
 例えばですが、私どもはみずからのメディアを検証するような番組もつくっておりますから、そういう番組等も一つの視野に入れてこれから総合的に検討してまいりたいと思っています。
#12
○参考人(西田實君) 民放連では、今回の放送法改正の検討段階におきまして、放送計画委員会、放送基準審議会、報道委員会の三つの委員会で各社の関係者によりまして審議してまいりました。その過程におきまして、法改正の趣旨については十分に理解を深めできたものと考えております。
 各社ではこれまでも視聴者センターや考査部門を設置いたしまして外部からの苦情や訂正の申し入れにそれぞれ対応しておりますが、今回の法改正により請求期間が延長されるということに伴いまして、これまで以上に問い合わせの件数が増加することは避けられないと考えております。したがいまして、各放送事業者は法改正の趣旨を担当者に徹底させると同時に、社内体制の見直しを進めていくものと認識しております。
 また、今回の訂正放送制度をいかに視聴者に周知しでいくかということにつきましては、もう先生御指摘のとおりでございますので、何らかの方法で自社媒体を使っで周知することを各社に検討していただくよう要請してまいりたいと考えております。
#13
○守住有信君 大筋は承りました。
 それでもう一つは、今度は具体的に訂正放送の請求があって、それを受けられてさっきの例のように正確に精査されてというふうなこういうプロセスというのは、今まで期間が短かったのが長くなったというだけじゃなくて、これを機会に、どういうふうな内部の正確な事実に即してのチェックといいますか、客観的な審査というか、これをどういうふうに、実際私はよく知らないものだから、ちょっと御説明いただければ、皆さん方も御関心のところですから、イメージが出るような御説明をしていただければありがたいと思います。よろしく。
#14
○参考人(河野尚行君) 放送に関してはいろんな形で視聴者から放送局に問い合わせがあるんですが、普通の問い合わせにつきましては、私どもとしては視聴者センターというようなところでお答えしたり、そこからいろんなことを調べてその上でお答えしているんですが、放送に直接かかわるようなことにつきましては、そういう問い合わせがあった場合は放送現場を中心に調査をして、その上でお答えしております。
 ただ、それが訂正放送の言うように、真実に誤りがあって、それで権利を侵害するというふうなことになった場合は、さらにそういうことを調べるプロジェクトなり、そういうものを早急につくりましてきちんと調査をしております。
 例えば、私どもは放送の現場の倫理に関する委員会というものを放送総局の中につくっておりまして、月一回程度開いて、放送にそういう誤りがなかったか、それから制作過程に誤りがなかったかということをふだん検証しております。
#15
○参考人(西田實君) 民放におきましても、ただいま河野参考人がお話し申し上げましたように、各社それぞれに自主的なチェック機能を持っておりまして、それぞれの放送の内容につきましてチェックをいたしております。
 それから、外部からお問い合わせそのほかということも非常に数多くございますが、中には勘違いによるお問い合わせなどもございますので、お問い合わせに関しましては視聴者センターなどでお受けした上、必要と思われるものについでは精査の上、これに誠意を持ってお答えを申し上げるということで各社対応をしております。
#16
○守住有信君 そういう場合、私は前から思っているのは、行政手続法、政府側は許認可、いろいろ国民の苦情その他ありますが、そういうものについて文書主義というのを今どって、法令の中においても、公共団体に向かっでもいろんな、公共団体はその法令を受けて条例制定とか今やっておる最中でございます。国は、各省庁、全省庁文書による、後々ぴしっと残りますね。相手にもわかる、第三者にもわかる。
 そこで、全部はなかなか大変でしょうけれども、苦情を申し立てた国民の一人に異論があるという場合には、とりあえずは電話その他だろうと思います、たくさんの件数が、山のような件数だと思うから。しかし、そこでなお異論があるというケースに対して文書主義、また相手も訂正放送なら当然に電話とかああいう口頭じゃなくて文書による申し立て、そして文書による回答、なぜだ、こうだったというふうな正確なことを相手にも伝えにゃいかぬ、そういうふうに思います。
 たまたま私は行政手続法を内閣委員会でずっとやっていたことがあるものですから、そのイメージが頭にありますものですから、こういうケース、国民の一人一人の権利と番組編成の自由という二つの法益の中で、いかに正確に具体的にやっていくかということだろうと思いますから、そこらあたりを今までも、あるいはこれからどういうふうにそれぞれの放送事業体としてお取り組みいただくか。
 単に私は、かえって郵政省の行政指導ではない方がいいと思っているぐらいです。実は自主自律でやっていただかぬと、放送番組の編集の自由とか、これは基本論があるんです。もう一つは国民の権利という基本論がある。それはやっぱり自主自律で放送事業者、NHKも民放もそれぞれが取り組んでいかれる、具体的に。そしてその具体的ということで、文書というものによる、映像は記録で残っておる、保存せにゃいかぬということになっておるけれども、それぞれの国民の権利で申し立てがある。それに対してこちらからも文書で客観的に説明、第三者にもわかるというふうな仕組みまでもお考えかどうか、ひとつそれぞれ今のお考えをお示しいただきたいです。
#17
○政府委員(江川晃正君) 放送事業者から各論でお話があろうかと思いますが、私たちもこの法案をつくるに当たりましてその辺のことも調べまして、総括的な御報告をさせていただこうかと思って、ちょっと申し上げさせていただきます。
 事業者が行う訂正放送の請求に対する回答は電話、文書など適宜の方法でやっているというのが現実でございますが、調べてみますと、実際にはそれにふさわしいそれなりの方法でやっている。どこの会社もあるいは事業者も全部文書でやっているという回答はみんな入っています。それから、場合によっては電話で終わってしまうというものもあります。そういう意味で、それなりにそれぞれの手法で、物事のケース・バイ・ケースと申しましょうか、一概には言えないところでございますが、それにふさわしい方法で回答をしていると私たちは見ているところでございます。
 ただ、先生おっしゃいますように、物事すべてを文書だというのはいかがかと思います。一概には言えないところでございますが、一応放送事業者の判断を明確に伝えるためにはできる限り請求者に対して文書で回答するということが望ましいというのはこれはそう言えるところでございますから、現に今まで放送事業者がそれぞれやっていることも踏まえて、なお一層文書で回答するのが望ましいという視点に立った対応をしてもらうようにいろいろ指導してまいりたいと考えておるところでございます。
#18
○参考人(西田實君) 今までいろいろと放送に関するそういう訂正の要求などにつきまして、局の方で精査をした上で、重要な案件につきましてはこれまでも文書で回答をしたり、文書で正式なお申し入れをちょうだいしたりということはやっておりまして、特に訴訟にかかわるような案件につきましては内部の記録を残すというような意味も含めまして文書でのやりとりということを各事業者やっております。したがいまして、先生お申し出のとおり、これからもそういう形でこの案件については考えさせていただくということになるかと思います。
#19
○参考人(河野尚行君) NHKの場合も、こちらのミスがはっきりして大きい場合については、むしろ責任者が被害を受けた方のところに出向いて直接おわびする場合もございますし、それから文書で回答する場合もございますし、それからこれもふだんあってはならないことですけれども、地名とか人名の呼び方を誤ったというような場合についてはすぐさま放送で訂正した上で、またお電話でその旨の御指摘についでお礼を申し上げるという形で、さまざまな方法をとっておりますが、必要な場合は文書できちんと回答もしております。
#20
○守住有信君 もちろん、電話で納得ができればそれでいいんですよ。そうでない場合、なかなか食い違いがある、いろいろ認識の食い違いとか、そのときはやっぱりそういうものでないと。それが今度はひょっとすると裁判の前提になるかもしれぬ、こういうふうなことです。
 今申し上げたように、各省庁は行政手続法で、許認可その他いろいろなあれに対しては、いわゆる行政指導に対しても口頭行政指導というかの有名なあれがあったわけだ。それを文書による指導というふうな仕組みに、行政管理局中心に行政監察あるいは全国的な苦情相談、それもそういう体系にずうっと今変えておる最中でございます。
 もちろん、相手あってのことですから、こっちが軽微と思っても相手が違うと言えば、相関関係だから、どうしても納得できないというのはやっぱり文書に、もちろんおっしゃったような社内の内部的なあれとしても記録を残しておく、こういうものだと私は認識をいたしておるわけでございます。
 そこで、次に移ります。
 先進国の制度もいろいろお聞きしてみましたが、アメリカは全然違うんだけれども、欧州諸国の場合、特にイギリスの場合は非常に立派な制度をつくっておられます。やっぱり先進諸国の方は、比較論だが人権の問題については非常に私は敏感だと思う。そういう意識の中で、今回これに取り組もうと、やっぱりこのままじゃいかぬと、今までの放送のこの部分だけじゃだめだと考えられて、どこらあたりがきっかけになって、そしてどういう手続でこの法案まで来られたのか。これは郵政省の方にお尋ねしたいと思います。
#21
○政府委員(江川晃正君) 今回の改正の動機と申しましょうか、それはいろいろございますが、順を追って申し上げますと、一つは、この仕組み、訂正放送の制度ができましたのが、今先生御指摘ございましたように、昭和二十五年でございます。二十五年からきょうまで四十五年経過しでいるわけでございますが、すごい変化があるということが一つございます。
 その変化というのはいろいろございますが、一つはチャンネル数の増大というのがもう決定的でございます。昭和二十五年にスタートしたときは、御案内のように、いわゆるNHK、日本放送協会のラジオ第一と第二の二チャンネルしかなかったんです。ほかには何もなかったのが、きょう現在、この時点でいきますと、会社の数でいきますとNHKを除いて百九十三社あります。そして、チャンネルの数でいきましても二百四十七チャンネルございます。のみならず、間もなく来年には衛星ディジタル放送で五十チャンネルぐらいわあっとふえるという環境にもございます。そういう意味で、わずかラジオの二チャンネルだったものが、テレビ、ラジオ全部ひっくるめると今申し上げましたような巨大な数になってきているという変化が一つございます。
 二つ目の変化は、やっぱり国民の権利意識の違いがございます。先ほども申し上げましたが、だんだんと苦情の数もふえできている、申告の数もふえてきているというふうに申し上げましたが、そういったようなことは新聞とか雑誌などに載る論文などにそういう主張があらわれてきておりますし、現実に昭和六十年に権利侵害訴訟の判決数というのが六件だったものが、平成五年には五十七件までふえてきているというようなことがございます。
 それから三つ目には、何といいましても技術の進歩がございまして、当時、昭和二十五年にスタートしたときに残すにも残しようがなかった現物を、そのころは原稿で残したというようなことも我々勉強してわかったところでございますが、今は小さなビデオでもって幾らでも残せる。本物そのまま残せることになった、それも容易に、しかも大した面積もとらずにコストもかからずに残せるようになったという技術進歩がございます。そういうようなことが大きな変化でございます。
 あわせまして、そのような変化に対応して、世の中の人たち、学者さんや弁護士さんとか識者の人たちから今の訂正放送制度の請求期間、保存期間あるいはその仕方というようなことが非常に不十分ではないかというような指摘も随分なされるようになりました。その辺のところに関するNHK自身の調査あるいは日本新聞協会などによる調査によっても、その辺の同じような意見が集約されてきているところでございます。
 あわせまして、外国につきましてもいろいろ調べてみますと、先生おっしゃいますように、確かに権利の意識の敏感な国について大変よい制度を設けていることは明らかでございます。そういうものも勉強しますと、我々のこの訂正放送、二十五年につくったものを今もう少し改善しなきゃいけないなと考えでいろいろな研究をしてまいりまして、とりあえず今回訂正放送の請求期間と品物を残して保存しておく期間を、欧米先進国がとっている三カ月あるいは九十日というものに見合いまして、三カ月というふうな期間延長を今回考えまして、そういう結論に達しまして法律改正をお願いしたところでございます。
#22
○守住有信君 実は私が質問しようと思いましてあれしたら、きのうですか、四月二十六日付でメディア総合研究所よりファクスが私の事務所にはっと入ってきました、ここにございますが。これをざっと流し読みして、なお不十分じゃないかという幾つかの側面をちょっと気がついたわけですけれども、まあこれは今後のさらなる取り組みのテーマに、いろんな側面があると思いますから、それはそれにしておきます。
 もう一つ、この訂正放送だけでなくて、もっと広く一般的に、私は何のために法に基づいて番組審議会があるのか。それから民放連も自主的に調査会というのを例の事件以来おつくりになって自主的にお取り組みでございます。ところが、そういうものがNHKの方は、はっきり申し上げます、番組審議会とか視聴者会議とかいろいろな場がこれは映像で出てくるんです。全部じゃないかもしれぬけれども、幾つかの片りんが中央だけでなくて地方のNHKにおいても出てきておる。民放の方はみんなスポンサーつきかとこれは思われて余り出てないんです。いかがでございましょうか、皆さんどう見でおられるか、これ比較論で見て。なかなかスポンサーつきで大変だと、景気もバブルがはじけてどうだとか、広告業界がどうだとかいろいろ聞いておりますけれども。
 しかし、やっぱりこういう問題は、訂正放送だけでなくて、何のための番組審議会が。その検討の模様とか主たるテーマとか、報道の民放でございますから、何もNHKだけが報道のNHKじゃないはずだ。それをキー局がモデルになっておやりになれば地方民放もそれに倣うというふうな、そういうのを私は今後民放連の中で、各社長いろいろそれをテーマにして即物的に、私は民放では番組審議会とか調査会が何をテーマにやっておられるとか余り知らないんです。私が知らぬぐらいだから、国民的にはなかなかあれだろうと思う。そこらに対しても、時間もないから今後の要望でございますけれども、お帰りになりましたら、民放連の幹部連中はみんなキー局以下あるはずだから、そしてこれが地方民放まで及ぶように、一訂正放送だけでなく、もちろんこれも含みますけれども、番組審議会で熱心に第三者、学者その他評論家は取り組んでおられる。そこも映像で、広く国民のもとの民放ですから、これをちょっとお願い申し上げておきます。
 いろいろやってまいりまして時間も余りございませんので、もう一つ。
 これを逆に言うと、規制強化というふうな思想か哲学か、これが何か一方にあるような感じがします。だけれども、これは経済的規制の規制緩和じゃないんです。そこらあたりも含めて、郵政大臣として今回の改正、今後についてどうお考えなのかお尋ねしたいと思います。
#23
○国務大臣(大出俊君) 私は今の御指摘のとおりだと思います。
 というのは、放送法を何回か前から読み直してみておりますけれども、一条の目的のところで、二でございますけれども、「放送による表現の自由を確保すること。」、これに前書きがございまして、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによってこ、ここに「自律」とあるんですけれども、これは御指摘のように、放送業者の皆さんが真実でないことを放送するとか名誉棄損に当たるようなことを放送するというのはあってはならないという前提に立っているんです。ですから、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによってこ、その上で「放送による表現の自由を確保すること。」、こうなっておるわけです。
 そこで、三条がございまして、放送法の三条でございますが、項目別になっておるわけではございますけれども、ここに「報道は事実をまげないですること。」という三条の二に明確な規定がございます。その上で、四条で「二週間以内に請求があったときはこ、つまり第四条は「放送事業者が真実でない事項の放送をしたという理由によって、その放送により権利の侵害を受けた本人又はその直接関係人から、放送のあった日から二週間以内に請求があったときはこ「遅滞なくその放送をした事項が真実でないかどうかを調査して、その真実でないことが判明したときは、判明した日から二日以内に、その放送をした放送設備と同等の放送設備により、相当の方法でこ、「相当の方法」、さっきから御議論の中にあるわけでありますが、「相当の方法で、訂正又は取消しの放送をしなければならない。」、こういう構成になっておるわけでございますから、前提を置いて放送による表現の自由を確保する、これが大原則でございます。
 しかし一方で、四条まで細かく組まれておりますように、侵害をされた国民の権利、この回復、これも大変に大切なものである、こういうことになるわけでございまして、そういう意味で、諸外国の例からいっても、つまり期間を延ばして権利を確保する、あるいはその意味では拡大をするということでございまして、規制強化というものとは全く次元の違うものだ。つまり、三カ月に延ばしたことによって保存期間中の費用がかかるとかなんとかということは規制ではないんでありまして、次元が全く違う。そういう性格のものでございますから、事業者の方に三カ月に延ばしたことによる何がしか損害があるとすれば、そこのところは話し合って、さっき局長申しておりますように、最近は極めて簡単に保存できるという見通しの上で申し上げているわけでございますから、それで御納得いただけるんじゃないか、こんなふうに思っております。
#24
○守住有信君 よくわかりました。
 最近もテレ朝が何かオウムの幹部を刺し殺したやつがどうで抗議が殺到してちゃんと謝罪、訂正された。それはそれであれですけれども。
 ちょっと時間がないものですからテーマを変えます。
 私は、前から大阪有線という、御承知でございますか、随分前からあれは不法添架、電力柱とか電話柱とか、道路の不法使用とか、えらい延ばしておいで、かつて後ろに暴力団がおるとかいろいろ、あるいは警察庁、建設省、郵政省でございましたけれども、そういうのがざっと列席しよったこともあるんですよね。それで、近ごろは割におとなしゅうなっておるようですが、十分注意喚起をしておいていただきたい、警察庁や建設省とも連携しながら。そして、ましてやマルチメディアとかこういきますから、これはいろいろ独立企業の得意なラジオからカラオケその地やっておるようでございますので、これだけをちょっと注意喚起しておきます。
 それからまた、時間がございませんから例の地方民放の四波体制。これについてはちょっと私も意見を持っておりまして、これは結構ですよ。もう民放もそれぞれのローカル圏で経済力がないんですよ。ただ、私が思い出すのは、かつて岡山と高松、香川県ですな、瀬戸内海ですから電波はぱっと飛ぶからあれやりました。もう一つが鳥取と島根、二つの県は経済力がない。思いがあるのは大分、宮崎でございまして、宮崎は二波しかない、大分は三波だ。東九州でございます。これを一緒になって県知事以下道路網とかいろいろやっております。
 そこで、そういう発想で、ひとつやめちまう前に、特異などtろはそういう発想で大いにしかけていってもらいたい。私も何なら舞台裏で動きますので、同じ九州でございますから。
 以上申し上げまして、終わらせていただきます。
#25
○三重野栄子君 三重野栄子です。
 私は、民主主義社会の基本は基本的人権が最大限尊重されなければならないという立場から、今次の放送法改正の理由ということについてお尋ねいたします。
 ただいま守住先生の方で目的とか理由とかという問題については御答弁いただきましたので、私は、昨年行われております、放送関係者を初め研究者とか弁護士等によりましてヒアリングがあったというふうに伺っておりますけれども、その課題といいましょうか、内容といいましょうか、よろしかったらお聞かせください。
#26
○政府委員(江川晃正君) 昨年来、放送事業者とか、いわゆる有識者の方々に放送法あるいは放送のあり方を含めましていろいろな点について尋ねておりますが、本改正法案に直結いたします期間の点についてどういうお話があったかということ、どういう意見だったかということを御紹介申し上げさせていただきますと、放送事業者のジャンルとして最初に申し上げますと、NHKはまとめると三つのことになります。
 一つは、期間を延長して三カ月ということであれば放送事業者にとって過度の負担にはならない。二つ目には、期間延長によって放送事業者の自主自律が損なわれるおそれはないと。三つ目に、被害者に対する救済の改善としては適切な措置だと。つづめて申し上げますと、こういう三点の結論をNHKから得ているところでございます。
 民間放送事業者、これは相当数の方から話を聞いております。NHKを除きますと全部で十七社ほどございますが、そこからはまとめますと二点になります。
 一つは、三カ月という期間であれば放送事業者にとって過度の負担にはならない、ここはNHKの一番と同じでございます。二つ目に、国民の人権意識の高まりなどからある程度の期間延長はやむを得ないと。そのある程度の期間延長はやむを得ないという言葉の具体的期間が三カ月、これはいいですと、こういうふうにまとめられております。
 それから、いわゆる有識者、これは弁護士さんとか学者さんとか含めまして十一人の方から伺っておりますが、期間との関係で申し上げますとおおむね三つに集約されます。
 一つは、一般の人が現行の請求期間内に請求するのは無理だ、この二週間とかなんとかの期間ではとても無理だと。二つ目には、放送法が制定された当時と比べると環境が複雑になっている。先ほど私が申し上げたことも入っていようかと思います。三つ目には、これは例えばということなんですが、刑法犯として留置、勾留された場合には現行の請求期間には請求できない、せめて二十三日以上なくちゃいけないなどがございました。
 そういうことから、多くの方々が現状の二週間ではいかにも短いと。このいかにも短いという言葉はちょっとかぎ括弧に入れさせていただきますが、学者先生方がそういうふうにおっしゃっています。いかにも短いということで、じゃ具体的にと聞きますと、諸外国がこれこれだからということもあわせて三カ月程度が妥当ではないかという意見を大勢としていただいたというのがヒアリングの概況でございます。
#27
○三重野栄子君 そういたしますと、そのように改正されて、皆さんのためにもこういう制度になりましたよというようなことは、いつどのように国民の皆さんにお知らせになるんでしょうか、その方法といいますか。
#28
○政府委員(江川晃正君) これは、一つには、もちろんのこと法律が通りますと法律を公布する形になりますので、それ自身が国民への周知になりますが、あわせまして、繰り返しになるかもしれませんが、積極的にいろんな機会をとらえてそういう周知の場を持ちたいと。
 例えば、民放の方がいなくなりましたけれども、これが公布されたということをニュースとして取り上げてくれないだろうかということは民放やNHKの人たちにもお願いしようと思いますし、それから情報通信月間、ちょっと私訂正させていただきたいと思うんですが、先ほど五月末から六月末と私申し上げたというふうに、あれ本当は五月の半ばから六月の半ばでございます。ちょっと末を半ばに訂正させていただきたいと思いますが、そういう予定がございます。そういうところで全国北から南までセミナーをやるとかなどでやっていきたい、そう思っているところでございます。
 そういうようなことなどを使いながら、そういう機会をとらえながら周知を図っていきたいと考えております。
#29
○三重野栄子君 法改正された場合のニュース、あるいは通信月間とかそういうものは、ニュースの場合は一時的だというふうに思いますし、月間というのは特別な人しか見ないんじゃないかと思いますから、例えば年間にずっと、何かのときにこういうものがありますよというような形でお知らせいただくということも考慮に入れていただければというふうに思います。
 次に、マルチメディア社会にありましては放送素材をいろいろ加工した放送がこれから出てくるというふうに思います。昨年、放送番組素材利用促進法も制定されましたので、当該事業者以外の者が制作した放送番組素材を利用して行うことが今後ますますふえてくるのではないでしょうか。
 このような場合に、他人の権利を侵害する内容が含まれた場合に放送事業者の責任というのはどのようにお考えでしょうか。
#30
○政府委員(江川晃正君) ちょっと比喩みたいなことを申し上げて恐縮でございますが、レストランが腐った魚を仕入れまして、それでサービスをして客が腹痛を起こした、そうしたらばその客に対するレストランの責任はどうなるのかという問いと似ているなと思います。
 そういう意味では、言うまでもなくレストランに責任はあるわけでございますが、本件に即して申し上げますと、責任のかかわり方というのは大体それと同様でございまして、放送事業者というのは、そういう放送番組素材が自社内で取材、制作されたものであろうと、それから今先生がおっしゃいましたように、よそから購入あるいは借りる、何でもいいですが、手に入れて調達してつくったものであるとを問わず、他人の権利を侵害しないものであるかどうかについて、また放送法の定める番組編集基準に反しないものであるかどうかということについて、放送事業者自身みずからこれをチェックして放送番組編集を行うという責任を負っているというふうに私たちは考えております。
#31
○三重野栄子君 そうしますと、次の問題ですけれども、事実でない放送をされた場合の問題であります。
 今プライバシーの侵害がマスコミで問題になっておりますし、先ほども守住先生からオウム教の問題が出ましたですけれども、逮捕された徐裕行容疑者、二十九歳の小学校時代の指導要録を放送した、テレ朝が。番組を見た視聴者の方から、プライバシーの侵害ではないか、行き過ぎではないかということで直ちに抗議とか問い合わせがあったということが新聞に出ておりました。
 これは一例でありますけれども、取材し放送する側の自由というのは言われるわけでありますけれども、一方、プライバシーを侵害された方にしてみれば、事実ではない放送というわけでありますから、それをどのようにして訂正放送をして、訂正放送ではないわけですから、この侵されたと思われる人たちの救済というのはどのようにお考えだろうかと思うわけです。第三者機関として独立した苦情処理委員会等々をつくるお考えはないでしょうか。
#32
○政府委員(江川晃正君) 御指摘のように、真実であっても個人のプライバシーを侵害する放送ということはあり得るわけでございます。
 ただ、訂正放送制度と申しますのは、真実でない事項の放送によって権利侵害を受けた人が権利の回復を同じ放送という手段によって図ろうとするものでございまして、放送によるプライバシーの侵害があった場合の法的救済手段は現在のところこの訂正放送によって行われるという構造にはなってございません。大変冷たい返事のようで恐縮でございますが、そういった場合には損害賠償とか裁判による救済というのがプライバシーの侵害に対する対応措置だと、そう考えているところでございます。
 もちろん、放送法上のプライバシーの侵害に対する救済はどうなのか、新たな立法論として問われる場合には、それは新しい制度的枠組みの問題になろうかと思いますので、言ってみれば将来に向けての研究課題ではないかなと、そう考えているところでございます。
#33
○三重野栄子君 私もそうだと思います。裁判をするとかいえば、個人でやらなくちゃならないというわけですから、なかなか費用面とか期間の面ということで救済されるというのは難しいだろうと思いますから、できるだけ早く第三者機関等々の問題について御検討をいただきたいというふうに思うわけであります。
 次に、先ほど守住先生の質問の中で反論放送制度について郵政省としてのお考えを伺いましたんですけれども、もう少し外国の例を一、二お聞かせいただければと思います。
#34
○政府委員(江川晃正君) これはドイツとかフランスとかで採用されている制度でございますが、放送による被害者が反論文を放送局に放送することを請求する制度でございまして、請求を受けますと、当該反論文の内容につきましては放送事業者は編集権が及びません。請求者の原案のままこれを放送するという仕組みになっているものでございます。このように被害者の反論をそのまま放送できますから、被害者が自己の権利を回復するための有効な手段であるということでドイツやフランスでは活用されていると承知しているところでございます。
#35
○三重野栄子君 反論放送制度というのはまだ日本ではなじまないというふうにも言われておりますけれども、できるだけそういう先進国、あるいは韓国等々でも研究実態があるというようなことも伺っておりますので、ぜひ前進いたしますように御検討いただきたいと思います。
 最後に、マルチメディア社会におきましては新しい課題もたくさん出てまいりますので、新しい放送に関する制度のあり方ということについて大臣の所見をいただきまして、終わりにしたいと思います。
#36
○国務大臣(大出俊君) 御指摘のとおりでございまして、いろんな問題がかかわってくるだろうと思っております。
 まず一つは、ディジタル技術が非常に進歩をしてまいりまして、まさに日進月歩でございますから、これを背景にしたディジタル放送、同じディジタルといっても中身が急速に変わってくるだろうと私は思っております。
 それから、通信と放送の融合、これはアメリカのFCC、連邦通信委員会のハント委員長などは私に、放送業者が通信をやる、通信業者が放送をやる、境をとる、そうすると大変な争いが起こるけれども、そして最終的に知的所有権という問題をどう確保し維持するかという大問題が起こるんだが、しかしできるだけ早くそこに持っていく、こう言っているわけでございますが、この通信と放送の融合問題というのはこれも非常に大きな課題である。
 そういうことで、国民の多様なニーズ、それにこたえる多チャンネル時代とでも言っていい時代が来るだろう。単なる映画でありませんで、好きな番組を好きな時間に見るという意味でのビデオ・オン・ディマンド、大変大きな需要を持つ市場に発展するというので、アメリカではそこに重点が置かれておりますけれども、日本も恐らくそうなっていくだろう。そして、今御指摘のとおり、マルチメディア時代に郵政省はどういう制度をつくればいいのか、これは大きな課題を抱えている。そして、かつて情報量課金なんて言いまして情報の量に課金をする、料金ですね。しかし、今のような状況になってまいりますと、下手に情報量課金なんてことは考えられない時期に来ています。
 そうなると、これも懇談会その他でお願いをして御検討いただいておりますけれども、あり方、そして制度、そして課金、どういう料金制度にするかというそこらの結論をできるだけ急いで、しかも深めた議論の上で出していかなければならない時代になってくる、こんなふうに思っております。
#37
○三重野栄子君 終わります。
#38
○及川一夫君 郵政大臣、法案を国会に提出する際に、私も与党なものですから事前に御相談した経過がありますよ。本来ならその段階で気づかなければならない問題ではなかったかと私は反省を含めて問題意識を実は持っているわけなんですが、この問題は非常に重要な問題であって、きょうの提案自体は提案自体としていいんですが、本質論というものがこの問題で過去ないんですよ、会議録を見ましても、制定段階から。
 さらには、一九五九年の第五条を制定をする際の場合でもほとんどその問題に対する基本論がない。お気の毒だと。新聞には記事の訂正というのがある。間違って放映され放送されても、それを訂正するというのがやはり放送法にもなければいけないと。取材された側の問題をやはり保護しなければいけないという前提でのとらえ方ですから、それはそれとしていいんですが、局長もおっしゃられたように、数社の放送会社がそれこそこれから二百社を超える。こういう状況の中では、その社の記者の人たちが徹頭徹尾動くわけですな、取材し回るわけです。物の考え方はさまざまですから、ここまでは許されるであろう、いや、ここは許されない、いろんなことが出てくるということを考えると、やはりこの問題に対する本質論を私は郵政省も国会もなすべきではないかという思いで実はいっぱいなんであります。
 従来、二週間の期間のうちに問題があったら出しなさいという程度のもの。それからそれはそれなりに二週間もあれば大体事態は落ちつくだろうという前提での二週間。それから第五条の設定というのは放送業者の要するに保存義務という意味で三週間。これは、提案としては郵政省はあのときに一カ月を提案しているんですよ。しかし、それに対して長いんじゃないかという発想で三週間にぶった切られたという経過があるんですよ。そして今回は三カ月でしょう。そして一方は三週間でしょう。その根拠は何だということになると、まあ大体この辺でというような私は根拠しかないように思うんです。
 ところが、先ほど言ったような状況だということになりますと、一体なぜこの四条や五条というものを我々は提起をするのか、受けとめるのか。それに対するそれぞれの表現の自由論とかあるいは言論の自由とか、いや人権だ、プライバシーの保護だ、あるいは公平な放映というものがなされているかいないかというふうなことを含めて、私はこの問題はかなり深く議論をしておかなければならぬ問題ではないかと実は思っているわけです。
 したがって、ここから先が質問なんですけれども、今回の提案について広く識者の意見を聞くという方法をとられたかどうか、この今提案されていることについて。
 それからもう一つは、法律として存在はしてないんですが、対立をした場合に、当然本人と放送局が対立しますわね。解決すればいいんですが、解決しないで依然として対立が残った場合に一体どこがどう解決するのか。裁判しかないんです、やろうとすれば。それでいいのかどうか。苦情処理機関という意味ですか、正確でないかもしれません、表現としては。とにかく第三者が入っていずれかに判定をする、それでお互いに和解をし合う、お互いに反省をし合うというような機関というものがここに存在をしないといけないんではないか、こんなふうに感ずるんですけれども、その二つについてまず質問しておきます。
#39
○政府委員(江川晃正君) 最初のヒアリングにつきましては、できるだけ広く多くの識者の方から御意見をいただきたいということで、ジャンルとしましては放送事業者そのものがございます。放送事業をやっている人たちのジャンル、それからいわゆる有識者というジャンル、有識者の中には訴訟などを担当する弁護士さんという実務的な人たちと、それから物事の制度を考え、研究していらっしゃる学者さんというふうな方々、そういう方々に尋ねるということで、我々としましては広くお話を伺う機会をつくったと思っております。
 先ほどちょっと申し上げましたけれども、放送事業者で言いますと百九十三社もあるわけでございますが、東京のキー局を中心として、地方も含めまして十七社にいろいろ現実に話をさせてもらっています。NHKとかなんとかを含めますと二十社ということになりますけれども、放送事業者からはそういう数でお話を聞いております。それから、学者さんという、いわゆる有識者という方々につきましては、弁護士さん、学者さんなどを含めまして十一人の方からお話を伺っているというところでございます。
 いろんなアイテムについてお尋ねしましたが、この期間という問題に、今回の法律はそうなっておりますが、そこに絞って御報告させていただきますと、先ほどお答え申し上げましたように、大概の方々が期間については三カ月がいいということで答えていただいておる、あるいはもうちょっと長くてもよいというようなことを言っていただいておりますというのがこれでございます。
 それで、私ちょっと申し上げさせていただきますと、三カ月を誘導尋問的にして向こうが三がいいと言ったと、そういうような質問の仕方、話の持っていき方はしていないつもりでございまして、むしろ学者さんの方からこういう論文がある、あるいはイギリスではこうなっているというようなこともいろいろと言っていただきました。という中で三というのが妥当だなというふうに我々は判断したところでございます。
 それから、二つ目の御指摘の対立したときにどうなるのかというところでございます。おっしゃいますように、訂正放送を請求して、おかしいと思いながら向こうが調べて、おかしくないと放送事業者の方が判断したと、その場合にはさらにもう一度やっぱりおかしいというふうに交渉になると思いますが、それでもなおだめなときには手だてとしたら何があるかというと、先生おっしゃいますように、それは裁判所に行く以外に今はございません。訴訟でやってもらうということになります。
 それに入る前に、この放送法の制度の中であるいは放送制度の中で何か手はないかというところで、先生御指摘の放送事業者からちょっと離れた第三者的な苦情処理機関みたいなものがあったらいいんじゃないかというようなことも発想としてはあり得るわけでございますが、今回そういうこともいろいろ考えましたけれども、問題が大変根本にわたる部分がたくさんございまして、先に送りました。とりあえず、今最も求められている期間の延長だけを今回させていただいたというところで、言ってみれば対立したときの第三者的な議論の問題につきましては今後の検討課題にさせていただごうかと思っているところでございます。
#40
○及川一夫君 私の持ち時間は五十分までですから、余り質問もできないわけですけれども、今の最後の段階でとりあえずこれにとどめた、これからはそういう問題を含めて検討しなければいけない、こう言われておりますから、必ずこれは自後議論になる、また議論に供したい、こういう意思表示だと私は受けとめておきます。
 そういう前提に立って、例えば今回の法律の改正がこのぐらい大きな新聞記事で報道されたようにはなっていませんよね、今の提案。全然報道がないと言ってもいいぐらい。ところが、この報道は「政治的公平に「判断基準」 放送法の規制強化」、これは東京新聞です。これほどの記事を書くからには、放送局長が記者会見をするか、あるいはあなた方のどこかがリークするか、いずれにしてもそういうものがないとこれだけの記事は書けないし、また解説まで書いてあるわけですからね。
 それで、この中に今言った苦情処理の問題を番組審議会に権限を預けようじゃないか、こういうこともあるようだが、それがとめられたということはあるが、しかしこの内容については番組が適法かどうか判断する第三者機関に番審を性格づけていくという前提で書かれているわけです、そういう受けとめて。ですから、来年の通常国会に出される、研究機関を発足した、それで検討を開始したというふうなことなども書かれているし、内容的にはもうまさに表現の自由に対する規制強化であるというようなことが書かれているわけです。
 だから、こういう内容に受けとめられるようなものをもう既に考えられて研究を始めたのかどうかということが質問の一点ではあるけれども、まさかそんなことではないだろうというふうに思うんですが、研究会を発足させたかしないかという問題が一つであるということと同時に、私はやっぱり問題の指摘としては、番審に対して先ほど申し上げたような苦情処理的なものを預けるというのは非常に難しいんです、これは。そういう問題ではないというふうに私は理解するんですが、いずれにしても今後の議論でしょう。
 そうして、僕は最後に申し上げておかなければならぬなというのは、民放の場合の番組審議会の構成の問題です。これを調べてみますと、郵政大臣、非常にこれは偏っておるんです。これは民放関係の白書なんですよ、報告されたわけです。そこから全部とってみますと、会社とか経済団体の役員というのが七百三人もおって、大学教授、助教授、これが二百四十二人です。それで第三位が芸術家、文化人百八十五人、新聞、通信社の役員、元幹部というんですか百二十八人、主婦が八十五人、労組役員は二名というふうな形で、別に僕は労組役員が少ないから言っているんじゃないよ、それは間違えないようにしてもらいたいんです。
 どちらにしても、これはコマーシャル、お金を出しているところの人にこういう役職を回すというやり方は、これは番組審議会というのは一体何だと。モニター方式なのか、それとも番組というものについてやはり社会生活にプラスになるようなすばらしい番組を編成するためにお互いに知恵を出し合って、こうしてほしい、ああしてほしいということに対して放送局が考えなければいけない、そのための集まりであるという性格にするのか。どちらにしても、私は後段で言ったふうにならなきゃいかぬというふうに思っているんですが、この構成からはそんなことは出てこないんだ、絶対に。
 そういう問題なんかについて私は答弁をもらおうとはしませんが、いずれにしても少し根本的に掘り下げた論議、番組審議会の性格論を含めて、そして今回提案の訂正放送の問題の扱い、プラスとマイナスの面を含めながら、出と入りの関係についてやはりお互いに真剣に議論し合うということがなければいけないというふうに結びまして、先ほど三重野議員が私どもの立場に立って御質問したことを、それに対する回答を受けとめて終わりたいというふうに思うんです。
 郵政大臣、何かありましたら一言お願いします。
#41
○国務大臣(大出俊君) これは、例の椿さんの発言などがありましたときに、前に一遍申し上げましたが、私の時代じゃないんですけれども、読める限り読んでおかなければと思って、徹夜まがいで予算委員会から始まりまして喚問から逓信委員会の議事録までほとんど読みまして、しみじみ考えたのは、やっぱり二十五年にできた法律で、二波しかない、さっきから話が出る、そのときの中身でございまして、日本放送協会と法律上書いてありまして、そういう意味では非常に次元の変わった法律なんですよ。
 ですから、今度の椿さんの問題を契機にして、私になってから処理はしたんだけれども、この処理だけでおさまる筋合いかということになると、いろんな皆さんの御意見をあの際聞きましたが、非常に慎重でなきゃならぬ、権利問題が中心にあるわけですからね。しかも、表現の自由、報道の自由、基本的には人権問題まであるわけですから、そういう意味で局長に当時私の方からもいろいろ物を申し上げた。
 実は、我々がそのことについて物を考えるというのは不遜かもしれぬ、これは。だから、放送を所管している行政官庁ですから、できるだけひとつ衆知を集めてみる。問題点は幾つも出てきているんだから、議事録読めばたくさんあるんだから、そのものについて衆知を集めてみる、そこまでとにかくやってみてもらえないだろうかと。問題は、いろんな方に聞いてみたらだんだんこんなことが浮き彫りになってきたというところで改めて物を考える。でないと、放送法をどうするとかなんとかすぐそういう話になっちゃうから、そうでなくひとつ衆知を集めていただけないかというお願いをしたんですよ。
 それで、いろいろお聞きになった中で出てきている数ある中の一つをこの際やっておこうというのがこの法律なんです。ですから、ちょっと今までの日数からすれば少な過ぎるという意見は方々からあるわけですから、外国の例を見ても三カ月というのはたくさんあるわけですから、そこでその辺ならば私もいいだろうという気になったというのが実情でございます。
 あとはもう御指摘のとおりでございますから、慎重にまいりたい、こう思っております。
#42
○及川一夫君 終わります。
#43
○鶴岡洋君 今までの質問にダブるところが多々あると思いますけれども、御容赦いただきたいと思います。
 まず、今回の法改正は放送による表現の自由といういわゆる民主主義、基本的人権に深くかかわるものであります。かつて放送法の改正のために臨時の審議会を設置した例もございますし、それから近年郵政省は、重要法案の多くの場合、法案を提出する際には懇談会、調査会を設置するのが通例になってきているわけです。しかし、今回これらについては開催しなかったようであります。
 また、先ほどもお話ありましたけれども、放送事業者や学識経験者の意見をお聞きしたと聞いておりますけれども、どこまでお聞きしたのか。百七十七社のうち十七社とかいっておりましたけれども、一般放送事業者の団体である民放連からは正式な意見を聞いてないというふうにも私は聞いているんです。
 いずれにしても、今回の放送法の策定に当たってどんな手順で、また放送事業者や学識経験者の意見をどのように反映させたのか。余り長くちゃ困るが、簡単に御報告願いたい。
#44
○政府委員(江川晃正君) 今回の改正案を策定するまでの段取りということを概略的に申し上げさせていただきたいと思いますが、まず問題意識といたしましては、最近メディアによる権利侵害訴訟が増大してきているという事実認識があります。そして、国民の権利意識の高まりの中で、裏腹としてですが、放送法上の訂正放送制度は請求期間等が短過ぎて救済手続としては不十分だという趣旨の指摘がいろんな文献などに出てきているという事実がございます。そういう中で、郵政省はまさに放送による被害者を救済する制度である訂正放送制度のあり方を検討する必要があると考えたわけです。
 そこで、考えて何をしたのかというと、まず第一に、相前後するところでございますが、訂正放送及び放送による権利侵害訴訟の実態がどうなっているかということを放送事業者からヒアリングしたりへあるいは我々自身が裁判所へ行って裁判の記録を見たりというようなことで調べてまいりました。それから二つ目には、外国はどうなっているのかということで諸外国にも調べに行きました。三つ目に、そういうことと両々相まってということでございますが、放送事業者自身からいろいろ現状などを聞いたり、どう考えるかというようなことを尋ねたというようなのがございます。
 そういう段取り、手続を踏みながら進めてきたわけでございますが、調査研究及びヒアリングの項目としましては単純に期間だけのことを尋ねたわけではございませんで、一体どういうふうに判断したらいいだろうか、どういうふうに救済をしたらいいだろうかとか、どういう仕組みで物事を、これが誤っているとか誤っていないとか、権利を侵害したとかしないとかということを判断したらいいだろうかというようなことも含めていろいろ尋ねたわけでございます。
 もちろん、そういうこととのかかわりにおいては報道の自由とか何かとのかかわりというのも当然出てまいります。そういうことをいろいろ聞いた中で、しかし何よりも基本的に難しい問題を抱えながら、とにかく取っかかりになるのが請求期間とその品物の保存でございますから、これは余りにも短過ぎる。先ほどちょっと申しましたが、いかにも短過ぎるという話がございますが、そういうことと合わせまして、基本問題はさらに検討を続けるとして、とりあえずここは諸外国の調査によっても大体合理的だなと思われるこの日数というものを、期間というものを算定いたしまして、それをここに今回当てはめまして、三カ月という期間で改正をすることにしようということでお願いした次第でございます。
 その意味では、やり方は懇談会あるいは研究会といったようなものを設けはいたしませんでしたが、実務的にはそれに匹敵するあるいはそれ以上といってもいいくらいの多くの方々あるいは場面で人の話を伺ってきたと言えると思っております。
#45
○鶴岡洋君 特に期間だけではない御意見もいろいろ聴取した、聞いた、こういうことでございますので、ひとつお聞きしたいんですが、放送が真実であるかどうかの判定をするに当たっていわゆる番審、番組審議会を活用する考えがあった、こういう意見が非常に多くの人から聞かれた、こういうことを私聞いておりますけれども、今回のこの法案にこの点だけどうしてのせなかったのか。
#46
○政府委員(江川晃正君) おっしゃいますように、当初そういうことも考えていろいろとお話を伺ったり研究してみました。おおむね次の三つのことを理由として今回延ばした次第です。
 一つは、番組審議会、番審というのが、放送事業者が任命権を持つ番組審議機関によって真実かどうかの判断をするということがそれで十分公正が確保されるだろうかということの疑問が一つございます。
 二つ目には、先ほどもちょっとございましたけれども、そこに任命されている方々が本当に真実性の判断において専門家なんだろうか、専門家でない委員によって真実性の判断が本当にできるんだろうかという問題が出てまいります。
 三つ目に、真実かどうかの判断に関する放送番組審議機関の意見に放送事業者が従うということを義務づけた場合、表現の自由との関係でそれをどう整理したらいいだろうか、あるいはそこが怖いからということで避けて義務づけない場合、一外そういう仕事が意味のある、効果のあることになるんだろうかというふうに問題が提起されてくるわけでございます。
 そういうことは言ってみればかなり根本的でかつ慎重に検討を要する課題だと考えます。その意味で、今回の改正ではさらに検討を続けるぞということにいたしまして、とりあえずの期間ということだけを取り上げさせていただいたというところでございます。
#47
○鶴岡洋君 そういう慎重にということでさらに検討するという今後の方針、これは私はそういうふうにした方がよろしいと思いますし、またそういうことだったので法案に盛り込まなかったと、これも了解できます。
 確かに、今回のこの法案は、訂正・取り消し放送の請求期間の延長と、それから放送番組の保存の延長、非常に簡単な法案のようでございますけれども、これは内容とかその背景にあるものを考えあわせると、状況の変化、時代の変化をあわせてこれは非常に重要な私は法案だと思っておるわけです。
 それで、先ほど聞いた経過報告に重ねてお聞きしたいんですけれども、どうも今回の提出に関して、私は、郵政省の一方通行というか、ちょっと言葉が悪いかもしれませんけれども強力な郵政省側のイニシアチブで唐突にこの法案が出てきたような感じもするんですけれども、この点については、江川局長、どうですか。
#48
○政府委員(江川晃正君) 手順につきましてはできるだけ多くの方々に意見の参加をいただくような仕組みというか形を、プロセスをとったと私たち思っておりますが、唐突に出た、あるいは郵政省がある結論をもって押しつけたかのごとくもしとられるとすれば、それは私たちの不徳のいたすところかもしれません。
 しかし、この問題について、ある意味では放送事業者みずからがこれを訂正、直しましょうと言ってくる問題ではないと私たち考えております。むしろ、国民の利益を守るという立場に立ちますと、我々がこれを言わなければだめだなと、そう思います。その意味で、最初の第一声を、直すべきだと考えたのは、あるいはそういう言葉を発したのは郵政省で、そのことを言うに当たっては、内心皆さんはわかっているにしても、郵政省が言い出したということで、あるいは郵政省が押しつけをしてきたなというふうにとられるようになったとすれば、それは私たちの仕事の不徳のいたすところで御了解いただかなければなりませんが、国民の利益を守るという立場に立って我々は事業者にとって嫌な提案をしたんだというふうに御理解いただけたらありがたいと思います。
#49
○鶴岡洋君 それじゃ次ですけれども、先ほどもお話ありましたが、放送法第四条第一項の規定による真実でない事項の放送があったとして、いわゆる訂正放送の請求はどの程度の件数があったのか。先ほど六年間で二十九件、そのうち十六件を実施した、こういうことですけれども、平成元年から六年間、これを年度別にひとつお願いします。それと同時に具体例があったら一、二お願いします。
 もう一つ、人権侵害があったとして訴訟が起きているということも聞いております。これも先ほどありましたけれども、これも年度別と、それから具体例があれば教えていただきたいと思います。
#50
○政府委員(江川晃正君) 年度別の訂正放送の請求の推移を先に申し上げます。
   〔委員長退席、理事大森昭君着席〕
 平成元年から二、三、四、五、六年でございますが、請求は平成元年が二件、二年が二件、三年が五件、四年が八件、五年が五件、六年が七件、合計二十九件でございます。ちなみに、実施件数を申し上げますと、平成元年が一件、つまり二件の請求に対して一件、平成二年が二件、三年が四件、平成四年が二件、平成五年が二件、平成六年が五件、合計十六件でございます。
 具体例で申し上げますと、例えばわかりやすそうなのでこういうのがございます。
 これは平成五年二月のことでございますが、ある放送事業者が二十二時からのニュース番組において、ある建設会社が産業廃棄物の処理を産廃処理会社に依頼せず一千万円浮かせた旨放送しましたが、その一週間後の二十二日にその建設会社は当該廃棄物処理に関与していないとして訂正放送を請求した。それで、これを受けましてその放送事業者が調査いたしました結果、同社は産業廃棄物処理に関与していないことが判明しました。そこで、翌日の二十二時からのニュース番組、つまり夜十時からのニュース番組でございますが、その建設会社が産業廃棄物を不法投棄して一千万円を浮かせたという事実はない旨の訂正をして謝罪いたしましたという訂正放送がございました。これは一つの例でございます。
 続きまして訴訟の方でございます。
#51
○鶴岡洋君 訴訟は件数だけでいいです。
#52
○政府委員(江川晃正君) 件数は、年次で申し上げますと、平成元年ゼロ件、二年一件、三年五件、四年八件、五年四件、六年四件、合計二十二件でございます。
#53
○鶴岡洋君 そこで、今お聞きする限り、件数は一年に二件だとか三件、こういうことですけれども、これは少ないということであるならば少ない方がよいに決まっているわけですけれども、私は決してそうじゃないんじゃないかな、こういうふうに推測をするわけです。まだまだたくさんあるんじゃないかと。さっき守住さんの方でもちょっと少ないんじゃないかと。ちょっとどころじゃなくて、大変あるんじゃないかな、こういうふうに私は思うんです。
 訂正放送の請求の少ない原因というのはいろいろあると私は思いますけれども、その最大の原因というのは、これもお話がありましたけれども、やっぱり訂正・取り消し放送制度の周知がなされていない、これが私は最大の原因であるんじゃないかな、こう思います。
 さらに、この訂正放送請求をしたいと思っても、その人が放送業者に請求したいため映像を見たい、こういうふうに言うと、番組の著作権やそれから肖像権、この問題も絡んでくるということで、それが先になって、それで映像がないと断られるという例も私は聞いております。したがって、端的に言えば人権侵害それから名誉棄損、信用棄損、こういうことがあっても大体泣き寝入りしているのが多いんじゃないか。その結果、こういう数字になってきているんじゃないかな、こういうふうにも思われるわけです。
 そこで、こういう数字になってきたと私は思うんですけれども、郵政省の方としてはこの数字は生の数字だとこういうふうに思っておられるのか、今私が言ったような理由でこういうふうになっているのか、どういう認識をされておりますか。
#54
○政府委員(江川晃正君) 全く私たちが分析している考え方と先生の御質問といいましょうか、御意見は同じだと私は思っております。
 一つは、ここに出てきた二十九件以外にもあるんじゃないか、それは結構多くあるんではないかというところも共通でございます。多分あるだろうと推定しております。なぜそんな推定のような弱いことを言わざるを得ないのかといいますと、それは記録がないものですから、会社側に。言葉で終わってしまっているというところがあったりするというところがありますので、推定のようなことを言っておるわけでございます。
 それからもう一つは、本当にないんだけれども、一皮むいて見ると、先生おっしゃいますように、周知不足とか制度が障害になっていて出せないとかということから来る泣き寝入りというのはあるのかなと、そう思っているところでございます。
   〔理事大森昭君退席、委員長着席〕
 そういう意味で、先生おっしゃいます、この数字をもって生のというのは、それが本当だというふうにおっしゃっているのかと思いますので、そういう意味でお答えさせていただきますと、この数字がすべてを語っているんではなくて、むしろ小さくしか語っていないのかなというふうに考えているところでございます。
#55
○鶴岡洋君 そういうことで、認識は同じだということですけれども、最大の原因はやっぱり周知の不徹底というんですか、この制度の周知の程度が余り浸透していない、こういうことになるんじゃないかと思いますけれども、それじゃ今までそういうことをわかっていながら周知の面においてどういう処理をしてきたのか、郵政省として、監督官庁として。また、これからそれじゃその点についてどういうふうにするのか、お聞かせいただきたいと思います。
#56
○政府委員(江川晃正君) これまで、先ほど来申し上げておりますが、例えば情報通信月間のような機会をとらえて周知しようというような仕組みというものは余りやってまいりませんでした。ある意味では象の皮膚のような鈍感な神経だったのかもしれません。
 しかし、今回、これからこの法律を契機として今やろうとしておりますのは、申し上げましたように、この法律ができ上がりますと、先生おっしゃいましたように、本当に私たちも人権の擁護のための巨大な過程の小さな一歩を動き出したぞと私考えます。その意味で、情報通信月間、五月半ばから六月半ばまで予定しておりますが、そういうようなものを使ったり、あるいは先ほどの御質問にございましたが、一回限りの話でなくて、年を通して随所でいろんなことをやっていくということを知らせる、周知する施策を考えるというようなことも含めてやるということで、変な話でございますが、来年度予算、今年度はもう動いておりますが、来年度予算では周知予算を考えようじゃないかということで今指令を出して周知プロジェクトをつくろうとしたりしているところでございます。
 そういう意味で、最大の原因であるかどうかちょっと私断定いたしかねますけれども、何よりもたくさん周知が行くようにいろんな手を考えていきたいと思っておるところでございます。
#57
○鶴岡洋君 局長、鈍感で済まされる問題じゃないと思うんです、これは。そういうことで人権が守られないということになったらこれは大変なことです。時代はどんどん進んでいるわけですから、過去はそうであったかもわからないけれども、今はそういう時代じゃないんですから。だから、今後この周知徹底についての方策は、今お聞きしましたけれども、強力にやっていただきたい、こういうふうに思うわけです。
 そこで、たくさんあるんですけれども、時間がございませんので先に進みますが、今回の改正案において、これも先ほどちょっとありましたけれども、訂正放送の請求があった場合にどうするかということですけれども、この法律でいけば依然として放送事業者が自前で調査をして処理するということになっているわけです。私は非常に疑問に思うんですけれども、放送業者は間違いないと思って、ニュースの場合は少しでも早く、それからいろんな番組がありますけれども、この番組についてはおもしろく、正確にということで、間違いがあってはならない、間違いがないということを確信を持って放送するわけです。そこにクレームがついて、これは人権侵害だと。こういうクレームがついた場合に、放送事業者が確信を持ってやったものについてクレームが来た。クレームが来たときに、それじゃその判定をするのはだれが判定するのか。放送した人が判定するというのは私どうも納得がいかないんですけれども、非常に不平等であり、制度として不公平じゃないかと思うんですけれども、この辺はどういうふうに解釈したらいいんですか。
#58
○政府委員(江川晃正君) 番組審議会が持っております今の仕組みというのは、法律上これはそういう判定をできるかできないかというと、できるという解釈もありますし、やれるというのもあるわけですが、先ほどちょっと申しましたように、この番審自身の構成が先生おっしゃいますような会社の内部組織の一つになっているというところがやっぱり問題のポイントじゃないかと思います。
 そういう意味で、判断その他の公正さを保つためにはどうしたらいいかというときに、どうしても第三者的判断機関といいましょうか審査機関といいましょうか、そういうものの必要が出てくるのかなと思うわけでございます。しかし、そのことは、だから直ちに今度の法律にそれを書き込めるかといいますと、ちょっと申し上げましたように、番組審議会自身の問題でも先ほど申しました三点のような基本的な問題が出てくる。いわんや第三者機関的なものでそれをやるとなると、もっと露骨に報道の自由とのかかわりを詰めなければいけないというような問題が出てまいります。
 そういう意味で、問題のありかは私たちわかっているつもりでございますが、今回まだそこを明快にこうですと答えられるほど詰め切れなかったので今回はやっておりませんが、先生おっしゃいます判断の公正さを何に求めるかという問題の重要性につきましては認識しておりまして、いわば今回の放送法の改正、この改正自身は権利侵害救済の非常にいい制度づくりのための第一歩と言ってはちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういう位置づけとしてよりよいものに今後仕上げていきたい、その中の研究、検討テーマとして今先生おっしゃいましたようなことも含めてやっていきたいと考えているところでございます。
#59
○鶴岡洋君 例えば、名誉棄損であるか信用棄損であるか、こういう問題でも裁判所でも地裁とそれから高裁が意見が食い違うというようなことがあるわけですから、それを放送者自身で放送したものをいけないと、これは間違っているじゃないかと言われて、それをみずから判断するのはやっぱり限界があると思うんです。
 そういった意味で、先ほども話がありましたけれども、やはり苦情処理委員会というのを設けて、これは真実でないということを判断した場合には、命令権も持っていると、取り消し命令権も持っていると、そこまでやっていいかどうかというのはちょっと今までの推移からいってあれだと思いますけれども、端的にお伺いしますけれども、それじゃ第三者機関によるいわゆる苦情処理委員会、どういう形になるかわかりませんけれども、これを検討しますね。
#60
○政府委員(江川晃正君) 第三者機関を設置することを目的として検討するかというふうにお問いだとすれば、そういう目的的な検討ではなくて、まさに、問題のもっと根本に戻りますと、だれがどういう手続で事の是非を判断するかという公正さを何に求めるかということに立った検討をさらに続けていく、その中に番審の強化もありましょうし、第三者何とかというものもありましょうし、それは裁判にお願いする仕事だという分析、分類も出てこようと思います。
 そういう意味で、検討はします。しかし、つくろうとするための検討だというふうに限定しないで、もっと幅広く勉強させていただきたいと思っております。
#61
○鶴岡洋君 例えばの話が、今回の場合には二カ所だけ改正するということですけれども、この放送法の問題について、今の放送を見ると非常に人権が侵害されているというか名誉毀損されているというような問題が余りにも多過ぎるわけですよ。ごらんになってもちろんおわかりだと思います。私が思うのには、あのワイドショーなんかはあそこまでやっていいのかなと非常に疑問に思う点があるわけです。
 そういうことを今の時代で解決するのは、番組はもう朝から晩まで何百か何千か知りませんがある、メディアは十幾つもある、こういうことで、それを先ほど言ったように、確かに侵害されていたということで請求しても、これはもう全部調べるわけにはいかないわけですから、もしそういうふうに出た場合には、やっぱり第三者機関というのが一番公平、また公正である、こういうふうに私は思うんです。自己の意見をみずから戴いてはならないという自然的正義というんですか、これはやっぱり守られるべきじゃないか、こういうふうに思うんです。そういった意味で検討していただきたい。
 最後に、時間どって済みません、一点だけ。
 いろいろな点で不十分な点はありますけれども、CATVで、有線テレビ放送法第十七条で訂正放送の規定が放送法を準用されておりますけれども、放送内容の事後処理、いわゆる保存期間、これについては準用されていない。ということは、自主制作の番組について保存義務がない、こういうことになるわけです。そういった場合に、今のCATVに準用されている、片方は準用されていない、非常にバランスが悪い、こういうことになるわけですけれども、この点についてはどういうふうに考えておられますか。
#62
○政府委員(江川晃正君) 御説明が長くなりますので省略させていただきまして、結論部分だけ申し上げますと、今先生おっしゃいましたように、いわば自主放送番組の進展状況というのを踏まえながら、将来的にはCATV事業者に対して番組の保存義務を課すことの必要性の有無について検討してまいりたいと思っております。
#63
○鶴岡洋君 終わります。
#64
○粟森喬君 今回の放送法の改正に当たって、多少意見も申し上げますが、一つは、私は現在放送が抱える問題の内在していることをこれだけの改定で済ませて果たしていいのかどうかという問題を私なりに考えているところでございます。
 といいますのは、私は今回の場合も真実でない放送についての訂正の仕方の制度やシステムを変えたというふうに思っていません。三カ月にしたとかという、期間的にすれば救済措置が多少ふえるのではないかという程度のことでございます。
 先ほどから同僚議員からもいろんな意見が出ているように、今放送のあり方が非常に問われている。例えば、昭和二十五年に二つしかなかった放送が、これだけ情報量を受けて、それが社会のさまざまな状況に変化を与えるにもかかわらず、私はこれは放送する側の権利擁護にすぎないのではないかと。
 例えば、真実じゃないのが三カ月後にわかったけれども、いや、三カ月と法律で決まっていますからこれは我が社は扱いません、やるんなら別の方法でやってくださいということで、民事であれとか、裁判に持ち込まざるを得ないわけです。アメリカなどはこういう規定がないようでございますが、これはアメリカ社会というのは大変弁護士の数も多くて、弁護士が仕事を拾って歩くと。その種の話だったら私にやらせてくれと言って、どんどん社会的にそれをやっていって、そのことでアメリカの報道もある種の民主主義というのが、そういう社会的公正というか社会的な関係の中で私は成立をしているんだろうと思うんです。
 そういう意味でいうと、日本の社会の中でこの量的な拡大だけで今放送が抱えている問題を解決でき得るというこの部分に限っても、私は考えだということが非常に疑問に感じます。
 それから、ずっと内在しているんだと言いますが、一部の報道でございますが、私的研究会を始めたのが三月だ、一カ月ぐらいで閣議でちょこちょこっとやって、これこの新聞に出ていますね。そういうふうに書いてあります。
 私は、やっぱりこの種の問題、例えば真実でないことを報道される場合でも、こういう例があると思うんです。一部の関係者がこういうふうに語っておったと言ったら、これは真実の報道じゃない、そういう話があったから言ったんで、次はそんな話はなかったと話せばそれで済むでしょうみたいな話で逃げるとか、テクニックもかなり複雑になってきて、問題の本質、今一人一人の人権を本当に擁護するという意味でいうと私はこの程度の改正ではないだろうと思うんです。
 それで、「目的」を読んでください。この「目的」を読んだら、放送事業者の義務規定は書いてあるんです。いわゆる報道を聞く人、見る人の権利を擁護する視点というのはこの放送法の「目的」にないんですよ。
 私は、これだけ情報量が多くなったら、国民の側というふうに本当に郵政省が言うのなら、そういう立場で放送法の改正があってしかるべきではなかったかと思いますが、その辺についてまず見解をお尋ねしたいと思います。
#65
○政府委員(江川晃正君) 先生のおっしゃいますことはもう郵政省のだれもが否定できないまともな御意見だと私思います。にもかかわらずこうだったということをちょっと説明させていただきたいと思うんです。
 というのは、先生がもっと放送法の抜本的なところを解決すべきだという部分は、この訂正放送に関する問題として限局して話をさせていただきますが、この訂正放送に基づく権利の救済というのは、私たちは段階的に考えたら四つの段階があると考えます。
 一つは、まず請求の問題です。その請求のときに合理的な請求期間が設定されていなければいけないし、請求手続がだれにもわかるようなものでなきゃいけない、これは当然です。
 その二つ目の段階は、受けて立つ事業者の側が請求された物を残しているか残していないか。三日しか残さないのはだめです。それで、合理的な期間が設定されることが必要です。そして、しかもそれが見られる状態にならなければいけません。今回、我々は「視聴」という言葉を入れることによって訴えた人がその番組を見ることができるようにはっきりさせたところです。
 三つ目の段階は、そこで先ほど来御意見に出てまいりますが、客観的な判断でございます。それは言っている人が正しいのか、放送事業者の方が正しいのか、この部分の判断をどう客観性を保つかという問題があります。そこに、先ほど来出ております番組審議会の機能を強化するとか、幾ら強化しても内部組織だったらだめだから第三者的にやろうとか、いろいろ出てくると思います。そのバリエーションがあります。
 四つ目のステップが、そのことがわかったときに相当の方法による訂正放送の実施という、それが四つ目の段階だと、大きく分けて。
 そのほかにも何かあるかもしれませんが、そういう一、二、三、四と踏んでいったときに、やっぱり一と二は請求の期間、保存の期間、これだけはもう絶対的な階段を上るための一歩、二歩ですから、そこは先にまずやらせてもらう。しかも、いろいろ意見を聞いてみたら反論はないわけです。いいですということですから、そこをまずやらさせてもらったんです。
 我々はこれをもって訂正放送が百点だと思っておりません。さらに改良したいということで、先ほど来御質問がございました、さらにこういう部分についても検討を続けるのだなということで、続けたいと思いますと御返事申し上げているというプロセスの中でこの部分の提案をさせていただいたということでございます。
#66
○粟森喬君 時間がないのでそれ以上のことは余り言えませんが、私は放送法のあり方というのをやっぱりきちんと見直しするという段階に完全に来ていると思うんです。というのは、放送行政というものが画一的に法律や行政指導や制度をつくって、それを何となく社会的正義の規範にするという段階はもう超えていると。問題は、そういうことが社会的に淘汰されるような、一人一人のテレビを見た人、ラジオを聞いた人がこういうものはやっぱりいけないという淘汰の流れも出てくるような、そういうシステムにしないと、例えば政治家なんというのは自分に不利益だからどうだという話じゃなく、もう国民の意識もそこまでは来ていると思う。
 したがって、ぜひとも私は見る側から見た放送のあり方についても含めた放送法のあり方について見直しということを検討していただきたいと思いますが、このことについて局長なり大臣から御意見をいただければ、いただいて終わります。
#67
○政府委員(江川晃正君) 私たちもこの議論をするに当たりまして、見る側からの立場、意見、権利の擁護ということの視点に立って議論したつもりでございます。それの表現形が、いわば放送法の世界ですから放送事業者の行為規定になりますから、そこのところをそれらの権利とか義務とかと書くわけでございます。
 そういうふうに書いたときに、先生おっしゃいますように、三十日と書いたらば三十一日目はようかんを切ったように向こうがもう何もなくなってしまう、こういうこともあるじゃないかと、そういうふうに言われるじゃないかということは、権利を限定すれば必ず出てくる限界問題だと思います。そういうことは承知の上で、したがって三カ月以内に適切に合理的にいろんなことができるような仕組みというものを全体として考えていかなくちゃいけないなというつもりでおります。
 今度のものも、いわば三カ月というのは事業者の側のコストがそんなにかからないということを私申し上げましたが、逆に言うと利用者の側から見てやっぱりそのぐらいはなければ請求をしようと思ってもできないということの救済だという意味で、利用者の視点に立った仕事だと考えているところでございます。
#68
○中尾則幸君 放送法の一部改正について、私、各先生方の質疑をまことにそのとおりだなと伺っておりました。
 時間もございませんので、質問通告を先日申し上げましたが、けさの朝日新聞の読者の「声」欄に私の質問通告と同じような声がありましたので、若干御紹介いたしたいと思います。
 神奈川県のある会社員の方でございますが、「恐れていたテロがとうとう起こってしまいました。オウム真理教に反社会的行動があるなら法律に照らして取り締まらなければならないことは当然」でございますと。ちょっと省略します。「法的な裁きの前に報道に名をかりてメディアが事実上人を戴いてしまう風潮」でありますと憂えております。また飛ばします。「かりにどんなに凶悪な犯罪者であっても、その人の人権を尊重し、はがゆくとも公正な法律のルールを守り、厳正な手続きを崩さないことこそが民主主義の基本である」と、私、全くそのとおりだなと思ってこの意見を読んでおりました。
 そこで、端的に伺いたいと思いますけれども、先ほどから憲法二十一条の報道の自由、あるいは放送法第三条の報道あるいは編集の自由、私はこの委員会でもたびたびこの自由は保障されるべきであると申し上げてまいりました。しかし一方で、この御意見にもありますように、人権の問題が大変今この放送をめぐって起こってきているのも事実であります。
 この四月二十三日のオウム真理教教団幹部の刺殺事件について私なりに御意見を申し上げたいと思います。お許しいただきたいと思います。
 この現場を私はテレビの報道で見ました。またテロが起こったなと。報道の自由は守らなければならないけれども、そのとき、あの豊田商事の刺殺事件を重ね合わせますと、今大変な事態に立ち入っているなと思います。つまり、私も二十数年来こういう現場で仕事をしてきた一人でございますから、これは自殺行為につながる、本来であればNHK、それから民放の皆さんに伺いたかったんですが、持ち時間がございませんので、私は大変色慎しております。
 そしてまた、殺害当時のあの映像を見まして、確かにあれは事実でございます。事実であるから真実であると私は思わないわけです。放送法の真実の問題についてはこの後申し上げますけれども、こうした風潮に対して私は、報道の自由がすべてとは言いませんが、放送局自体が自縄自縛になっているんではないかと大変色慎しております。当然郵政当局にもこうした御意見はたくさん行っていると思います。行政の介入を私は勧めているわけではございません。御感想あれば、一言大臣から、それから行政局長、お願いします。
#69
○国務大臣(大出俊君) 短い時間でございますから一言で申し上げますが、私も見ていて、ほとんど同じようなやっぱり受け取り方をしております。
 したがいまして、こういう社会的に非常に大きな影響力を持つ場面であり問題でございますだけに、各放送事業者の皆さん方が放送の公共性あるいは社会的影響力というものを十二分に認識していただいて、抽象的ですけれども、社会的に批判を受けるようなことのないような対応をしてもらわなければ困る、一言で言えばそういうことになると思っております。
#70
○中尾則幸君 真実でない放送の概念について若干伺います。
 大変これはあいまいというか、あいまいだからこそ逆に言えば報道の自由が保障されているという裏腹なことがございます。
 ただ、一つは、今回の放送法の改正について、これは表向き見れば期間の延長でございます。しかし、そこまで踏み込みがなかった理由を私は伺っておりました。番組審議会の第三者機関設置というのは当然考えられることであるにせよ、恐らく今の段階では時期尚早であろうと私は思っております。
 しかし、この今の現在の中で、特にテレビのワイドショーの一部番組の中で、人権の保護についてはある程度の、一歩、半歩前進といいますか、ありましょうけれども、真実でない放送という中で、先ほど行政局長もありましたけれども、プライバシーの侵害についてはこたえ得ないと、私は歯がゆい思いですけれども、それもやむを得ないなという立場でもございますが、しかしこの問題はこれからの問題だろうと思うんです。それについて放送行政局長の見解をちょっと聞きたいと思います。
#71
○政府委員(江川晃正君) 先生も最後におっしゃいましたように、プライバシーの侵害に対する救済を放送法の中あるいは放送制度の中でどう処理するのかといいますのは、率直なところ、新しい枠組みづくりということで今後の課題だと考えております。訂正放送という仕組みの中でこれをカバーすることはできていない状況です。そういう意味で将来の検討課題にさせていただきたいと思っております。
#72
○中尾則幸君 私は今回の放送法の改正の中で一番注目しているのは、期間はもとよりでございますが、それよりも三番目にございます視聴による放送番組の確認をこの法律では明記しているわけです。それを義務づけしておるわけです。これが一番大きなポイントだろうと思います。
 実を言いますと、今までは放送事業者の主体によって見せてあげますよと言ったらおかしいですけれども、これは事実として申請があれば、それに基づいて、法的に明記されているわけですから見せなければならない。ここに一つの進歩というか、ある進歩でございまして、もう一つは報道の自由という観点からしますと、これは大変色慎するところもあるんです。
 実は、例えば政治的な問題あるいは宗教的な問題、ほかにもあると思うんですが、この二点。例えば、この番組はおかしい、真実に反すると言って放送局に行くとします。これ具体例を申し上げます。あるいは反社会的な宗教団体がこれはおかしい、我々の教義と違うと言って、それは真実でない論争になるわけです、その都度放送局に押し寄せる、これもあり得るわけです。そのときに、この法の目的から逸脱して、そういうことはないと私は願っておるんですが、それについては報道の自由を含めて、これは危惧かもしれませんけれども、私大変心配しておるんです。ということは、真実でないという規定が大変あいまいだからであります。これについて行政局長の意見をお伺いしたいと思います。
#73
○政府委員(江川晃正君) 郵便貯金は一円からたしか預かるわけですが、そういうことができるということが、一円貯金を一万人が一冊ずつ要望してきたら困るじゃないかという議論と私は似ていると思います。そのことは権利としてなのか権利の乱用なのかは私わかりませんですけれども、そういうことがあっていいとはだれもが思わないと思います。現実にそれが起こっていない、何かの嫌がらせを除いてはないと。
 ある意味ではこの問題も、こういうような視聴という権利を訴えた人に与えるということは、悪用すればそうなるということは私は先生おっしゃるとおりだろうと思います。その意味で、悪用の点に目をつけますと大変恐ろしいように見えるところでございますが、およそ一般的に何らかの権利を付与すれば、それに伴う権利の乱用というものがあり得る、理屈の上でございますが、あり得るということは覚悟の上で権利は付与するんだと、そう思います。
 しかし、それをそういうことで考えても、やはり国民の利益あるいは侵害された人の利益を回復するための手段としてはそういう視聴、ここで言えば視聴でございますが、視聴という権利を与えることがより大きな利益になるだろうと考えて我々はこういう仕組みをつくったところでございます。
#74
○中尾則幸君 残された時間はもう一分しかございません。
 先ほど及川先生から御提案がありまして、私もそのとおりだと思います。こうした大事な問題でございます放送法をめぐるいわゆる報道の自由と人権あるいはプライバシーの問題について、広く各界の意見を網羅して聞いて、あるいは国会審議を通して透明、公正にこの問題をやっぱり論議していく必要があるのではないだろうかと思っています。
 その上で、第三者機関のあり方等、大臣がおっしゃった衆知を集めてと、やはりこれについては報道の自由を守るということは私大原則だと思いますので、例えば報道の自由への公的な権力の干渉にならないという決意も伺いましたので、その点をひとつ私はお願いを申し上げたい。
 最後に大臣の決意を伺って、この質問を終わります。
#75
○国務大臣(大出俊君) 私も当面二つ経験いたしまして、中尾さん、椿発言をめぐりまして記者会見でいろいろ申し上げたんですが、決してそう言ってないんですけれども、また見てみてもそんなことも言ってないんですけれども、途端に放送法を改正するのかと。規制強化になるじゃないかという趣旨の、大筋を言えばそういう記事があったり、大臣は一体放送法改正に手をつけてやっていくのかという反論なんですよ。そういう方向にすぐ行ってしまう。
 それから、阪神大震災をめぐりまして災害対策基本法の五十一条等の関係がございますから、これは放送法と絡んでまいりますから、そういう意味で一遍検討してみなきゃいかぬという意味のことを公に委員会の席上で申し上げましたが、途端にこれまたそっちの方に行ってしまう。
 したがいまして、そういう意味で、江川さんにも椿発言のときに申しましたが、慎重の上にも慎重にいこうと、これは。そういう意味で、改正するしない云々でなくて、一体どこまでどういうふうにすれば権利が守れるのか、双方にありますけれども、そういう意味でよし本当に衆知を集めてみよう国内外を通じて、その上でひとつ判断しようじゃないかということで、どうしたら不遜にならない、我々の立場というよりも行政という立場でどうすれば世の中から公正に見てもらえるかということなども含めて考えていかなきゃいかぬだろう。
 いろいろおやりになった結果、今ここだけはやっておこうといって出しているわけですから、中尾さんがおっしゃっておられるように、慎重の上にも慎重に、江川局長も答えておりますように、引き続きひとつ相談し検討させていただこう、こう思っております。
#76
○委員長(山田健一君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#77
○委員長(山田健一君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 放送法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#78
○委員長(山田健一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 鶴岡洋君から発言を求められておりますので、これを許します。鶴岡君。
#79
○鶴岡洋君 私は、ただいま可決されました放送法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、平成会、新緑風会、新党・護憲リベラル・市民連合及び二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    放送法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。
 一、放送の社会的影響の重大性を深く認識し、放送の不偏不党、真実の確保に一層努め、視聴者の人権を最大限尊重した豊かな放送文化が創造されるようにすること。
 一、国民の人権を擁護するため、訂正放送等の制度の周知に努めるとともに、放送番組審議機関の機能の十分な活用を図るほか、諸外国の例を踏まえつつ、放送番組に関する苦情処理の在り方について、広く各界からの意見を聴き、放送事業者の運用面も含め検討すること。
 一、社会経済情勢の変化を踏まえ、有線放送、衛星放送を含めたマルチメディア社会における放送番組の諸課題について、総合的な検討を行うこと。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#80
○委員長(山田健一君) ただいま鶴岡君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#81
○委員長(山田健一君) 全会一致と認めます。よって、鶴岡君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、大出郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大出郵政大臣。
#82
○国務大臣(大出俊君) ただいま放送法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼を申し上げます。
 本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
 まことにありがとうございました。
#83
○委員長(山田健一君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#84
○委員長(山田健一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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