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1995/03/10 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 運輸委員会 第5号
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1995/03/10 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 運輸委員会 第5号

#1
第132回国会 運輸委員会 第5号
平成七年三月十日(金曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二日
    辞任         補欠選任
     会田 長栄君     喜岡  淳君
     矢原 秀男君     山田  勇君
 三月九日
    辞任         補欠選任
     渕上 貞雄君     及川 一夫君
 三月十日
    辞任         補欠選任
     及川 一夫君     渕上 貞雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大久保直彦君
    理 事
                二木 秀夫君
                櫻井 規順君
                泉  信也君
                中川 嘉美君
    委 員
                鹿熊 安正君
                河本 三郎君
                溝手 顕正君
                山崎 正昭君
                穐山  篤君
                及川 一夫君
                喜岡  淳君
                直嶋 正行君
                高崎 裕子君
                下村  泰君
                堂本 暁子君
                山田  勇君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  亀井 静香君
   政府委員
       運輸省運輸政策
       局長       豊田  実君
       運輸省運輸政策
       局観光部長    荒井 正吾君
       運輸省海上交通
       局長       平野 直樹君
       運輸省海上技術
       安全局船員部長  加藤  甫君
       運輸省港湾局長  栢原 英郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中島 啓雄君
   説明員
       厚生省生活衛生
       局企画課長    高尾 佳巳君
       厚生省社会・援
       護局厚生課長   冨岡  悟君
       厚生省保険局企
       画課長      辻  哲夫君
       消防庁予防課長  大野 博見君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を
 改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○旅行業法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大久保直彦君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る三月二日、会田長栄君及び矢原秀男君が委員を辞任され、その補欠として喜岡淳君及び山田勇君が選任されました。
 また、昨日、渕上貞雄君が委員を辞任され、その補欠として及川一夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(大久保直彦君) 船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○泉信也君 法律案の中身に入ります前に、船員を取り巻きます雇用の状況について少しお尋ねをいたしたいと思っております。
 資料によりますと、七〇年代の海運業に従事された方は十三万人、九〇年代になりまして六万人余り、さらに現在、平成五年を見ますと六万三千強というように漸減をしておるという状況であります。有効求人倍率を見ましても八〇年代が〇・二、九〇年代が〇・七というように非常に揺れ動いておるという数値が出ておりますが、今日のこの船員を取り巻きます雇用状況と申しましょうか環境について御説明をお願いいたします。
#5
○政府委員(加藤甫君) お答えを申し上げます。
 今、先生御指摘のように、海上企業、海運業また漁業を取り巻くいろいろな状況が非常に厳しい状況になってきておりまして、それらの状況を反映いたしまして海運企業あるいは漁業の経営も大変厳しく、現在のところ雇用を拡大しようというような状況には全くないようでございます。
 最近の雇用状況を有効求人倍率で見ますというと、内航、外航の別やあるいは職員、部員の別等によって差異はございますが、平均いたしますと現在〇・三を下回っておりまして、この船時法が制定された昭和五十二年当時と同様、極めて低い水準にございます。また、私どもの船員職業安定所における就職あっせん成立数も年々減少の傾向にございます。
 このように船員を取り巻く雇用状況は非常に厳しいものと認識をいたしておりますが、こうした中にございまして、商船大学とか商船高専、海員学校からの新卒の船員につきましては、海運企業からこれらの卒業生のうちの就職希望者の数を相当上回る求人が出てきているという状況がございまして、このことは非常に心強い傾向であろうというように認識をいたしております。
#6
○泉信也君 今、求人倍率が〇・三以下というのは大変厳しい状況を反映しておると思いますが、一方で新卒に対しては要望が多いという御説明がございました。これは非常に理解がしにくいわけでありまして、こうした若い方々が本当に自分の一生をかける職場として選び得る環境にあるのかどうか、また、経済の動きと連動して状況が変わることはもちろんあり得ると思いますがたまたま一時的にこうした状況なのか、運輸省としては、今後ある程度新卒の方々をきちんと育て安定した職場として送り込んでいくということに問題はないのかどうか、お尋ねをいたします。
#7
○政府委員(加藤甫君) お答えいたします。
 新卒船員に求職者を上回る求人が出ているという状況はここ数年来の傾向でございまして、かって外航海運におきましては、昭和六十二年当時、いわゆる円高不況により大幅な雇用調整が行われたなどの時期がございまして、そのときは大変に人気を失っておりました。現在は人気を盛り返しておりますが、その背景といたしまして一番大きな事情は、やはり内航海運、外航海運を通じまして船員の年齢構成が非常に高齢化している、これを新しい若年の船員にかえていきませんと、将来の企業経営あるいは産業そのものの存続が危ぶまれるというような状況を業界の皆様方も御認識をなされまして、私どもと一緒にいろいろな活動をいたしました。それらの結果が今日このような状況を呼んでいるのではなかろうかというように理解をいたしております。
#8
○泉信也君 若い方々が一生をかける職場として、また誇りを持ってやっていただけるような環境をぜひ今後とも続けていただきたい、このように要望をいたして、この法律の中身に入りたいと思います。
 就職促進給付金支給の前提ともなるのではないかというふうに私は思っております離職船員手帳の発給状況を見てみますと、これも大変変化の激しい動きをいたしておりますが、ここ数年はほとんど離職者手帳を受けた方がいらっしゃらない、ゼロという状況が続いておるわけであります。今回の法改正によってこうした給付金制度を引き続き続けることの意味があるのかどうか離職者が大変減っておるという中でなおこの制度を守っていく意味についてお尋ねをいたします。
#9
○政府委員(加藤甫君) 先生御指摘のように、就職促進給付金あるいはその前提となります離職船員求職手帳の受給状況というのは非常に少なくなってきておりますが、これはこの法律の指定業種いわゆる交付金の支給対象業種となるための要件といたしまして、例えば前年度に対します貨物輸送量の減少傾向が一定以上でなければいけないとかそういう要件がございますが、そうした荷動き量の減少あるいは離職船員の発生状況が一時ほどは著しくはないというような状況でございます。
 ただ、やはり今日におきましても毎年数千人規模で離職者が発生をいたしてきているという状況がございますし、近年における日本船の国際競争力の低下等の状況という点につきましてもまだ変わっておりませんし、また昨今の一ドル九十円を割り込むというような急激な円高等の状況を考えますと、現在対象業種となっております近海海運業においてはそのまま就職促進給付金を支給できるようにはしておこうという必要があろうかと考えます。それ以外の業種につきましても、今後この法律が発動されるような事業規模の縮小等による離職船員の大幅な発生を想定しておく必要もあろうというように考えられますことから、この法律に基づく就職促進給付金の支給に関する制度は引き続いて残しておこうという必要があろうかと考えているところでございます。
#10
○泉信也君 確かに数値を見ましても、この十年余りで近海だけを見ましても百人を超えるような状況もありますし、一般外航海運を見ますと一千人を超えるというような時期も、この手帳を求められた方がいらっしゃるというわけですから、また、いつこうした状況が発生するかということを考えますとそれなりに重要性はもちろんあると思います。
 そこで、今回の改正で附則から法の三条に変えるということになるわけでありますが、これはどういう理由で変えられるのか、またその結果どういう効果が生じるのか、従来の附則の中で規定したままではなぜ悪かったのか、この点について御説明をお願いします。
#11
○政府委員(加藤甫君) 現行法は、ただいま先生御指摘のように、就職促進給付金の支給の根拠につきまして、一般的な支給規定でございます本則第三条において就職促進給付金を「支給することができる。」と、このように規定をいたすと同時に、附則第二項というところにおきまして特定不況業種からの離職船員に対する「特別の措置を講ずるものとする。」というように、二つのいわば支給根拠が規定されているところでございます。
 なぜこのような格好になっているのかと申しますと、附則第二項の規定は、この船時法と同時に、特定不況業種からの陸上の離職者に対する給付金の支給等を定めた特定不況業法というのがこの法律ができましたと同時に制定されておりますが、全く同様趣旨の法律でございまして、思想的にこの法律と特定不況業法との整合性を図り、海陸ともに同じような状況においては同じように給付金の支給を行おうとする、そういう意思を法律上明確にしたというような考え方に基づくものであろうというように考えております。一方で附則第二項は、本則第三条の規定をいわば具体化したものというようにも解釈できます。本則第三条を政令で具体化することによりまして、就職促進給付金を本則壁二条のみに基づいて支給するということも可能なのでありますので、法令の明瞭性の観点からこのことが望ましい、このように考えて措置したところでございます。
 今回の改正によりまして法律の明確性がより高まるとともに、離職船員の発生状況等の変化に応じまして適時適切に就職促進給付金の支給対象を定めることができるようになる、このようなメリットを期待しているところでございます。
#12
○泉信也君 法技術的にそうした位置づけをした方がいいということであろうかとも思いますが、法成立以来何度か改定の機会があったにもかかわらず、今回これが持ち出されたという背景がもう一つ私には実はわかりにくい点があるわけであります。
 しかし、それはそれといたしまして、今回の改定によって政令で定めるということになるわけでありますが、今もし想定されておるとすれば、この政令ではどんな内容が、規定が盛り込まれることになるのか、御説明をいただきたいと思います。
#13
○政府委員(加藤甫君) 今回の法律改正がなされました後に政令で定めようとしていることの概要は、まずどのような業種を一般的にこの法律に基づく給付金の交付対象業種とするかということを書くということでございまして、例えば、内外の経済事情の著しい変化によりましてその業種に属する事業分野においてサービスの供給能力が著しく過剰になったというようなこと、あるいは、その状態が長期にわたって継続することが見込まれるため事業規模の縮小等を余儀なくされたというような前提のもとに、これに伴って雇用労働力の必要量が相当程度減少して、また減少すると認められるときというような一般的な規定を置きまして、個別に例えば近海海運業でありますとか一般外航海運業とか、そのような形でございまして、とりあえずは近海海運業を引き続いて指定していきたい、このように考えているところでございます。
#14
○泉信也君 今回の法改正でもう一つ大きな目玉でありますのが有給休暇の問題であるわけでありますが、さきの船員法の改正で定められました週四十時間というこの労働時間に向けての進捗状況といいますか取り組み状況、このことについて御説明をお願いいたします。
#15
○政府委員(加藤甫君) 週四十時間労働制が四月一日から外航船と七百トン以上の内航船について施行されるという運びになっておりまして、この徹底はやはり海運事業者の積極的な取り組みと意識改革が大変重要であると考えております。
 まず、こうした関係事業者の皆様方のこれに取り組む意欲を高めていきたいということでございますが、運輸省といたしましても、このような関係者間での取り組みに対しまして、時短促進のための講演会の開催でございますとかパンフレットの配付等による指導啓蒙活動を積極的にこれまでも展開してきておりましたし、引き続いて実施をしていこうと考えております。
 例えば、今年度におきましても全国の各運輸局におきまして約二十回の講習会を開催をいたしております。そして、全国の運輸局あるいは海運支局に百五十名程度配置されております船員労務官の監査におきましては、労働時間短縮集中監査を特に実施をしてきておりますが、この集中監査を引き続いて継続をしていきたいと考えております。また、各運輸局の窓口におきまして、海運企業から提出されます就業規則の受理あるいは雇い入れ契約の公認といったような手続の際に、休日や労働時間に関する所要の指導などを行いまして法令の遵守の徹底に努めていきたい、このように考えております。
#16
○泉信也君 船員の労働環境は大変特殊な状況の場所が多いわけでございますので、ぜひこの週四十時間という労働時間が守れますようにもろもろの指導あるいは協力をとられますようにお願いをいたしたいと思います。
 最後に、ややこの法律とは離れますが、この数日来の急激な円高、これはもう本当に予想を超えるようなことでございましたが、このことが日本籍船のいわゆるフラッギングアウトをさらに助長するということになるのではないか。外航海運業は非常に大きな影響を受けてくることが心配されるわけでありますが、このことにつきまして今運輸省としてどういう対応をやろうとしておられるのか御説明をお願いいたします。
#17
○政府委員(平野直樹君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、最近の円高は大変なものでございました。これまでも円高基調が続いておりまして、御指摘のとおり日本海運は大変厳しい競争にさらされておるわけでございます。日本籍船は十年前には一千隻ございました。最近の統計ではこれが三百隻を割りまして二百八十隻というような状況でございます。我が国の外航海運は既にある意味での空洞化というのが一番進んでおる分野ではないかと思います。
 具体的に言いますと、収入の約六割それから経費の約五割というものが既に外貨建てということになっています。しかし、その収支の差である一〇%分ぐらいのところが円高になりますと大変な影響があるわけでございます。そこで、各社におきましてはもちろんこれまでも経費節減の大変な努力をやってきておったわけでございますし、具体的には収入の円建て化、経費の外貨建て化というようなことで、その中には外国人船員の雇用というようなものも含むわけでございます。
 運輸省といたしましても、これまで開発銀行の融資でありますとかあるいは船舶の特別償却といったような税制上の措置を講じてまいったわけでございますが、このような事態にかんがみましてさらにどういう対応が可能なのかというようなことで、私どもの中で外航海運船員問題懇談会といったような勉強会を設けましてただいま検討しているところでございます。鋭意検討いたしましてできる限りの対応をとってまいりたい、このように考えております。
#18
○高崎裕子君 阪神大震災では港湾施設が壊滅的な打撃を受けたわけですが、その中で船員や港湾労働者が働く場を失うという危機に瀕しているわけです。それで、特に船員の被災者はタグボートで三十二隻二百六人、観光船で六隻百二十四人、はしけなどで六十八隻六十二人と約四百人もの方が影響を受けていると、係船しているけれども事業主の努力で雇用継続をしているということになっているんですけれども、こういう事態の中で運輸省としてどのような対策をとられているのでしょうか。
#19
○国務大臣(亀井静香君) 今の委員の御質問にお答えする前に、この間の委員会で委員の方からストレッチャーの割引の改善についての提案がございまして、早速航空三社に対しまして強い行政指導を行いまして、結果大幅な改善処置をさせることにいたしました。中身は詳細申し上げませんが、東京−札幌間で申しますと従来の十二万一千円が八万七千円程度という形で相当大幅な改善をいたすことにいたしましたことを、まず最初に御報告申し上げたいと思います。
 それから、今の御質問でございますけれども、基本的には一刻も早い港湾の復興をなし遂げるということでございまして、まさに時間との競争である、このように考えておるわけであります。そういうことで、当面の応急的な復旧工事と本格的な復興、これをうまくかみ合わせながらこの二カ年間でできるだけ港湾の復興をなし遂げたい、このように考えておるわけであります。何度も申し上げておりますように、ただ単にもとに戻すということではなくて、震災から神戸が立ち上がる象徴的なこととして近代的な設備を完備した国際港、世界をリードする国際港として整備をしたい。
 具体的には、水深十五メートルの十バース建設もしたい、このようにも考えておるわけでございまして、これはいわば非常に画期的なことであろうと思います。そうした本格的な復興とあわせて、当面コンテナバース等については二十一のうち八ぐらいを六月末までに一応応急的に復旧をしたい。そして、七年度内では三分の一程度を本格的に復興したい、このように考えております。フェリーにつきましても、そのうちの四を一応九月までの時点、残りを年度内に完全に復興したい、このように考えております。他の岸壁につきましては半数程度を七年度内にこれをやりたいということで、とりあえず第二次補正で、共産党にも御賛同賜りましたけれども、そうした中で当面の施行能力目いっぱいのところを目線に置きまして、財政的な裏づけもいたして今工事に取りかかろうとしておるところでございます。
 まず、そういうようなことの中で港湾を復興することがやはり第一であろうと思いますが、このたびの失業保険給付等について特例処置をとらさせていただいておりますので、当面はそういう形で頑張っていただくということであろうかと思います。今後、具体的に私どもといたしましては、事業主の方々が従来と同様な事業をまた再興され、従業員の方が仕事ができるような状況について細かい気配りをしながら積極的に支援をしていきたい、このように考えております。
#20
○高崎裕子君 ストレッチャーの件は大変ありがとうございました。
 そして今大臣から、特別立法で船員保険から失業保険金を支給するみなし休業の問題、それから船員保険の保険料の減免等についてのいろいろな特別の対応が考えられているところですが、そこで厚生省にお尋ねいたします。
 みなし休業を運用していく上での問題なんですが、事業者がその内容をよくわからないまま労働者のローテーションを組んでしまって、結果的に対象が広がっていかないという事態になるとこれはまずいと思いますので、やっぱり事業者に周知徹底をし指導をしていただきたいと思いますし、減免措置についても、みなし休業を支給していても賃金欠配とみなすという形で、一人でも違ったというだけで減免の対象とならないというようなことにならないような柔軟な対応ができないか。
 あるいは、これ運用では勤務六カ月以上でなければ支給されないという要件があるんですけれども、私調べましたら、何十人かがこの震災を受けた時点で六カ月にわずか満たないということがあって救済されないということになると、陸上では雇用調整助成金という制度があることとの均衡から考えまして、やっぱりここは震災を受けてという特別の措置ということで出発した以上、なかなか制度的に難しいということは承知の上で言いますけれども、今言ったそれぞれについて柔軟に対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#21
○説明員(辻哲夫君) ただいまの御指摘の点のうちで、まず周知に関することでございますけれども、三月一日に今大臣が仰せのようなさまざまな特例措置が法律で成立いたしまして、これを速やかに周知しなければならないということで、私ども近々、すべての船舶所有者の方々に対しまして直接にこれらの措置につきまして詳しくお知らせをするという形で遺漏のないように取り組みたいと思います。
 それからもう一点、例えば六カ月の要件がいわゆるみなし失業給付についてあるといった問題についてでございますけれども、これは本体といいますか、雇用保険法と横並びの形で船員保険の失業給付の体系ができておりますけれども、本体そのものと同様、六カ月というのはいわば社会保険としてどうしても最低限必要な期間だということで、保険経済といいますか社会保険の基本に触れる要件だということで、この点について困難といった事情はございます。それにしましても、このみなし特例給付そのものが大変大きな特例でございまして、このようなものが本当に漏れなく、そしてまた、今おっしゃったように保険料の免除とかいった関係においても問題の生じないように現行の対応についての周知を徹底いたしたいと思います。
#22
○高崎裕子君 最後に、今私も雇用調整助成金制度についてお話ししましたけれども、これは陸上の場合はあるけれども船員にはないということで、こういう事態を踏まえながら運輸省としても、陸上と同様の措置が何らかの国の特別な措置でとれるような弾力的な運用が何とかできないのかというようなことの考え方として積極的に対応していただきたいというふうに思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
#23
○説明員(辻哲夫君) 雇用調整助成金でございますけれども、これは雇用保険制度に基づいて支給されるものでございますけれども、雇用保険制度は、一つは失業した場合の給付を行うということでいわゆる失業対応という体系と、もう一つは今の仰せの制度でございますけれども、いわばこれは就職の促進あるいは失業の予防、こういうような観点から行う制度と、この二つの体系を雇用保険制度は持っているわけでございます。
 船員保険制度の失業部門、まさに失業部門と申しますように、この船員保険の体系につきましては失業したときの対応を行って、そして船員の方々の生活の安定を図ると、目的はこの部分に限定されておりまして、雇用調整助成金につきましては、そういう意味では目的そのものを変えるといったことにかかわりますことから対応できていないわけでございます。ただ、みなし失業給付そのものが大変特例的な制度でございますので、この運用というものを本当にきめ細かく図るという努力をやってまいりたいと思います。
#24
○高崎裕子君 もう時間ですので終わりますが、最初に大臣が御決意を含めて述べていただきましたように、船員労働者にとっては失業保険が給付されるということよりは働く場が本当に早く確保できるということが何より大事だと思いますので、早期復旧、万全の措置ということで、最後に全力を尽くしていただきたいということを御要望して質問を終わりたいと思います。
#25
○委員長(大久保直彦君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#26
○委員長(大久保直彦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○委員長(大久保直彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#28
○委員長(大久保直彦君) 次に、旅行業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#29
○溝手顕正君 自民党の溝手でございます。
 郷里の先輩の亀井大臣に質問をさせていただく機会ができまして大変光栄に存じます。大臣には日夜大震災対策あるいは運輸行政全般にわたりまして精励をされておりまして、心より敬意を表したいと存じます。特に、震災復興に関しましては、阪神地区住民の基本的なインフラでございます陸海の各施設の復旧に大変な努力をされ、果敢に対応されておりますことに対して心より感謝を申し上げ、今後ともますます一層の御支援をよろしくお願い申し上げます。
 さて、旅行業法の問題でございますが、京阪神地区の観光振興にも大変役立つと思っていたやさきこういうことになりまして、現在大変さっぱりな状況のようでございます。せっかくの質問の機会でございますので震災関連の問題も取り上げたいと思いますが、これは後に回すことにしまして、とりあえず旅行業法の問題に移らせていただきたいと思います。
 今回の改正が登録制度に関する規制の合理化あるいは旅行業者の倒産によるトラブルあるいは旅行中のトラブル防止等、いわゆる消費者保護の対策強化を織り込んだ大変時宜を得た対策である、このように考えております。多くの人々が安全に、楽しく旅行できるように念願をいたしております。
 私は、今回の改正の中で、消費者保護という観点から規制が強化されたということに理解をしておりますが、これは必要なことだと思いますし、大臣がかねてから強調されておりますように、交通行政における安全確保の体制の強化あるいは規制の強化というものと一貫した政策ではないかこのように受けとめております。旅行中のトラブル、特に海外旅行中のトラブルは大変な問題でございます。そして、せっかくのとらの子の貯金が払い込んでパアになってしまうというような業者とのトラブルも大変な問題でございます。ぜひともこういった観点からしっかりした規制をされることを望んでいるところでございます。
 しかしながら、一方、心配になりますのは、世の中全体で言われております規制緩和の動きとの関連でございます。今回の改正はさっき申し上げましたとおりそれなりに理解をいたしているところでございますが、今回の改正の結果、この旅行業法というのが国際的な水準から見てどうなのか日本の規制というのが余りに厳し過ぎはしないかそれとももっと緩いのではないか、そういった心配を持っております。
 御承知のように、現在EU並びに米国との間で規制緩和の協議が進んでおります。せっかくの改正がなされても欧米からの批判の対象になるようでは全く困ったことでございますし、そういったことはないと思いますが、こういう観点からの今回の法律改正について御見解を伺いたいと思います。外資参入の妨げにはならない、このように思っておりますが、一つお願いをいたしたいと思います。
 また、これに関連しまして、少し細かくなりますが、外国の業者が日本で日本の支店等を通じまして旅行の業務を行っていると思いますが、そういった実態はどの程度なのか。当然日本の旅行業法の適用を受けると理解をいたしておりますが、その実態について教えていただきたい、このように思います。
 その場合、今回の改正で強化をされております旅行業務取扱主任者の資格の問題にもかかわってくると思います。この資格を外国人が取得したいと考えた場合、容易に取得ができるんだろうかどうだろうか大学卒の資格が要るのか要らないのか、外国の大学はどう考えているのだろうかあるいは英語で試験を受けたいというような話の場合はどうなるんだろうかと。海外旅行そのものがもう国際化そのものでございますから、当然旅行業法というのはそういった国際化の要望にたえるものでないといけないと考えています。その点につきまして運輸省のお答えをいただきたい、このように思っております。
#30
○国務大臣(亀井静香君) 今、委員からの御卓見をお伺いいたし、私、全く委員のお考えと同じ考え方に基づいてこのたびの旅行業法の改正をいたしたわけでございます。
 旅行というのはまさに国際化そのものでございますから、国際的に見て日本の法律制度等がいびっなものであっては通用しないわけでございますので、その観点をにらみながら、かつ最近もやはり海外旅行に伴うトラブルがいろんな形で発生をいたしておりますので、ユーザーの保護という観点、また業界の効率化と、また中小業者がもっともっと海外旅行分野等に進出をしていけるためのもっと簡便な道を開いていくことをにらんでの改正をやったわけでございます。
 観光部長からそのあたりちょっと細かく説明をさせますので、よろしくお願いします。
#31
○政府委員(荒井正吾君) 御説明申し上げます。
 今、委員御指摘ありました外国の旅行業をにらんだかどうかというふうな点、あるいは日本の消費者保護の動向をにらんだかどうかというような点は、委員御説明されましたとおりでございます。
 ヨーロッパにおきましてもEC委員会の指令が平成五年に出ておりまして、フランス、ドイツでも取り入れられておりますし、旅行業法の関連法のなかったイギリスにおいても法制化するという動きでございます。アメリカにおきましては、州法で営業保証金等の規定がなされておるというような状況でございます。
#32
○溝手顕正君 ありがとうございました。
 旅行業法に関しましてもう一点ちょっとお伺いをいたしたいと思います。
 いわゆる手配旅行というんですか、今回の法改正を見ておりますと主に主催旅行について意を用いたように受けとめておりますが、修学旅行であるとかあるいは職場旅行の場合、いわゆる主催旅行に比べまして法的にしっかりと保護がなされているのだろうか。まず、その取り扱いの相違がどこにあるかということもお伺いいたしたいと思います。
 また、厳密に議論をいたしますと、両旅行の接点というのは極めてあいまいであろうと思います。当然、その旅行がどういう形態をとりましても旅行者の意識というのもあります。旅行社に頼んだのだから主催旅行と同じだというような気持ちを持つケースもあるわけでございます。
 先般、かなり前になりますが、上海に修学旅行に行きました高知県の学生が随分多く犠牲になる事故が起きております。こういったときにも問題が提起されておりますが、いわゆる庶民感覚から見て、我々はこういう立派な旅行社に頼んで旅行をしたんだと、ところが主催旅行と手配旅行で区別があるようでは困るという感覚があろうかと思います。
 その点について、今回の法律がどういうようにカバーをしようとしているのかあるいはまた業界がそれに対してどう対応をしていくのか、その辺も教えていただきたいと思います。
#33
○政府委員(荒井正吾君) 今、委員おっしゃいました旅行の形態といたしまして、旅行業者が計画作成をいたしまして旅行者を募集いたしまして催行するといういわゆるパック旅行、主催旅行は不特定の方が参加されますので、旅行者の方が不測の事故に陥らないような責任関係を強化したいというのが今回の法律の大きな柱に一つなっております。
 また、主催旅行に対しまして、お客様がこれこれを旅行したいあるいはこの方面へ行きたいというふうに申し出られて、それに従ってやる手配旅行というものがございまして、それはお客様の言うような手配をする旅行というのが基本でございますが、昨今、団体旅行の修学旅行でございますとかある程度お任せした手配、どこそこの方向へこんな日程でこういう旅行をしたいというお任せの手配旅行というものもございます。そのようないわゆる包括的な手配と言われるものは、パック旅行と形態が類似しておる面があることは今御指摘のとおりでございます。
 その責任でございますが、そのような手配につきまして、現在、上海のような事故が起こりましたときは、主催旅行につきまして身体的、財産的な、まあ死亡等の事故が起こりましたときは、過失の存在がどこにあるかを問わず、旅行業者から海外旅行の場合二千万円、国内旅行の場合は千万円の特別補償を支払うという義務づけをしております。これは主催旅行にございますが、手配旅行につきましても同様の特別の補償の規定は現在約款上に規定されておりまして、そのような実態上の差別をなくすようにしておりますが、この特別補償制度は今後とも存続させていくことが適切かと考えております。
#34
○溝手顕正君 ありがとうございました。
 その点、最後に強調をしておきたいと思うんですが、切符を買うことを手配するような旅行から本当に区別がつかない程度の差があると思うんですけれども、どんな旅行をしましても安心して楽しく旅行ができるように、そんな意味で消費者保護をよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それでは、ちょっと冒頭申し上げました震災の問題について若干お願いをいたしたいと思います。
 第一点は、平成六年度の第二次補正予算の中で示されました復旧対策のうち、神戸埠頭公社の救済にかかわる問題でございます。他の公共施設につきましては、当然のことですが一〇〇%の負担ということでその復旧を図ることとされておりますが、埠頭公社の場合八〇%、二〇%は地元負担という格好になっております。当然のことながらこの二〇%の扱いが問題になってくるわけですが、当然神戸市の補助でやる。神戸市は起債を行うということになろうかと思います。問題は、起債償還に対する交付税措置の問題でございます。
 大臣の答弁は大変意欲的な発言と伺っておりますが、前回の運輸委員会の自治省の答弁はちょっと生ぬるかった、はぐらかし答弁であったと私は理解をしております。また、党の税調においても自治省ははっきりそういう確約をいたしておりません。のらくらいたしております。建前論に終始をいたしております。こう考えますと、極めて公共性の高い神戸埠頭公社が復旧に不利益をこうむるということになると大変だろうと思っております。当然、この問題意識の認識は同じであろうと思いますが、ぜひとも自治体の負担がふえないように大臣の対応をより強力にお願いを申し上げたいと思っております。
 この点、またあと御意見を伺いたいと思います。
#35
○国務大臣(亀井静香君) 大変御心配を賜っておりますが、ぜひ委員の今後とも御支援をお願いしたいと思います。
 自治大臣とも、また事務レベルでもこの問題は強く詰めておるところでありますが、基本的には、御承知のようにこのたびの震災に関して交付税等の処置、全般的に、港湾だけしゃございませんので、それについて全体の中で地元の負担をできるだけ軽減をするという基本方針で政府としては臨んでおります。特に、埠頭公社の二〇%の面については、全体ではありますけれども、神戸市の中でこれは地元負担ができるだけないように処置をするということで現在進んでおります。細部の詰めは今後あるわけでございますが、これで今後、委員もひとつ御尽力を賜りたいと思いますが、そういう面では大体地元の意に沿う形になる、このように確信を現在いたしております。
#36
○溝手顕正君 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次に、第二次の税制措置ということで今検討されて概略の姿が示されておりますが、これも欲を言えば切りがないわけでございます。法人税の問題、地価税の問題、固定資産税の問題、たくさんございますが、今回この場をかりまして固定資産税の問題に絞ってちょっと御質問をさせていただきたいと思います。
 第二税制措置の概要によりますと、代替の家屋の償却資産に関して一律三年間二分の一減免と、こういう措置になっております。今回は、一般の建物は別にしまして、時間の制約がございますので公共性の高い運輸関連施設の問題について絞って御質問をさせていただきたいと思いますが、鉄道、港湾等の運輸関係の施設の復旧につきましては、大変償却期間が長い、大規模であるというような特殊性から復旧後の資産が大幅にはね上がるという懸念がされております。その施設の持つ公共性から、この二分の一ということではとんでもないことになってしまうというように懸念をいたしております。むしろ、固定資産税の負担がふえて復旧に支障を起こしてしまうという懸念でございます。
 一説によりますと、鉄道七社で復旧後の資産が八倍ぐらいになるとかあるいは埠頭公社を見ると五倍ぐらいになると。この辺、ざっと試算をいたしてみますと負担が四十億、五十億という数字になってしまう、こういう説も流れております。この辺、大体どの程度おつかみになっているのかということもまた伺いたいと思います。
 特に、財政投融資が一千二百億のうち六百億、五〇%ということで特別優遇税制をされております。一%ほど低い利率を適用するということですが、これは計算しますとわずか年間六億の効果しかない。片や固定資産税が四十億も五十億もふえたんでは、何のことはない、運輸省が一生懸命やっても自治省が足を引っ張ってしまう、こういう結果になってしまうわけでございまして、ぜひとも増税になったというような結果を出してはならないと私は考えております。
 本件に関しましてさらにつけ加えますと、従来から受けている公共交通施設の特例の問題がございます。立体交差施設の非課税の問題、あるいはJRが国鉄から引き継いだ資産あるいは外貿埠頭公団から引き継がれた資産等が二分の一の減免という措置になっております。これらの特例措置も厳密に解釈するとさまざまな問題が出ようかと考えられます。これもぜひとも存続されないと大変なことになる。いろいろ懸念をいたしておるわけでございます。この措置の対応についてもぜひともお考えを聞かせていただきたいと思っております。
 また、最後にもう一点、こういった税制の措置を現在一生懸命努力されて詰めていらっしゃることはよくわかるわけですが、早急に復旧する場合に融資を受けないといけないわけでございまして、償却制度がはっきりしないで新年度の経営計画を立てることはできないと申し上げてもいいと私は思っておるわけでございます。協調融資を受けるにいたしましても、市中銀行に経営計画が出せないようでは困る。したがって、この問題は早く解決して夢を与えなくちゃいかぬ、こういう種類の問題であろうと思います。それだけに先延ばしができない種類の課題であろうと考えております。ぜひともこの問題は早急に詰めていただきたい。ぜひともそのあたりの運輸省としての御見解を聞かせていただきたい、このように思っております。
#37
○国務大臣(亀井静香君) 今の固定資産税にかかる問題、まさに今残っている一番大きな問題でございます。ただ、まあ自治省サイドは来年までは時間があるからじっくり検討しましょうみたいな悠長なことを言っている面もありますが、委員御指摘のように、それぞれの各社の今後の計画等について重大な要素にこれはなるわけでありますから、我々としてはできるだけ早く結論を出したい。
 基本的には、負担増にならないという線でまいりたいというように現在鋭意交渉しておるところでございますが、私どもは各事業者との間で非常に細かい協議をずっとやっておりますので、そういうことを踏まえて、震災復興の中でそれぞれの企業がきちっと立ち直っていける、それには税制上どういう点に配慮をしなければならぬかというそういう観点から、逆算と言ったらおかしゅうございますが、そういう観点から経営圧迫にならないというぎりぎりの線を今自治省との間で協議しておるところでございます。
#38
○溝手顕正君 ぜひとも的確なる強力なる対応をよろしくお願いいたします。
 私の感想を申し上げますと、地価税の扱いは大蔵省でございますが、地価税の扱いというのはかなり踏み込んだ決断だと思っておりますが、どうも自治省の扱いは生ぬるいと。本当はやる気はあるのだと思いますが、いかに引き出すかということだろうと思うんです。さらなる突っ込みをよろしくお願いしたい、これは要望いたしておきます。
 震災復旧、復興に関しまして大変な努力をされていることはよくわかっております。しかし、運輸省関連の予算だけではこれをすべて網羅することができないという実態は、運輸委員会の皆さんもよく御理解をいただいているところだと思います。まさに全省庁挙げた、総ぐるみの対策が必要だろうと思います。そういった問題を提起いたしておきたいと思いますが、大臣のますますパワフルな対応を心より期待いたしまして、心よりまた激励をいたしまして、私は質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#39
○櫻井規順君 旅行業法の改正は十年ぶりとのことでございます。観光をめぐる状況変化に対応した法改正であるわけであります。
 ボーダーレスの時代を迎えまして、国際間の観光客の移動というものは非常に右上がりの急上昇の状況を続けているわけであります。これは東西冷戦が終わればその枠が取っ払われて移動も激しくなりますし、アジア諸国の経済的発展に伴う国際間の移動も激しくなりますし、日本人の海外へ出かける数も急上昇であるわけであります。こういう中での旅行業法の改正として今回提起されたのは、妥当性を持った中身だというふうに思います。
 特に、ここ一年間くらい、旅行業問題研究会なるものを設けまして、学識経験者を初め旅行業の現場の協会あるいはそこに働いている労働組合の皆さんも含めて御検討を進めてきた結果の改正であるというふうに受けとめまして、この法案には賛成をする立場から以下、若干質問をさせていただきます。
 最初に、登録種別の簡素化の問題でありますが、法案そのものではなかなか理解できない、政省令並びに旅行業約款の方に回される問題が多いものですから、そこを見通してひとつ質問をさせていただきますし御答弁をいただきたいというふうに思うわけであります。
 一般旅行業者と国内旅行業者と分かれているものを旅行業ということでもって一括するということでございます。その中で、なお実際の仕事の区分につきましては継承するようでございますが、これはやはり第一、第二、第三、第四種類というふうに、従来の第一種類、海外・国内主催・販売、第二、国内主催、海外・国内販売というふうに区分けをしていくものなんでしょうか。この区分けは今後生きていくというものだというふうに思いますが、これ政省令でどういうふうに整理をされていくのかということが一つ。
 それから、御案内のように、登録は一般旅行業の方は現行は運輸大臣、国内旅行業の方は県知事、こういう区分けになっているわけでありますが、この区分けというのはどうなさるのか、継続するのかどうなのか。
 そして、あわせて全部聞いちゃいますが、一般旅行業、特に国際関係を中心にJATA、日本旅行業協会が仕事をなさり、そして国内旅行業を中心に全国旅行業協会がやってきたわけですが、この業界組織の方はどういう再編の行政指導をお持ちなのかどうなのか、その辺いかがでしょうか。
#40
○政府委員(荒井正吾君) 側説明させていただきます。
 まず、登録種別の変化、簡素化でございますが、今御指摘ありましたように、従来海外旅行と国内旅行が大きく区別される意識がございまして、一般旅行業は海外旅行、国内旅行業は国内、それに旅行代理店という区別でございました。このたびは一般旅行業と国内旅行業を一体化いたしまして旅行業というふうにいたします。代理店業は旅行業者代理業として残ります。
 旅行業の中の区別でございますが、海外と国内の差はなくなってくる一方、パック旅行を主体とします主催旅行と、お客様の申し出による手配旅行というものにつきましては、責任関係、取引関係の実態がやはり違ってきておりますので、旅行業の区分もそういう実態に合わせまして三つの区分が旅行業の中で出てくるものと思っております。一つは、海外の主催、国内の主催、海外、国内の販売の三つの業を全部行える業者、二つ目は、海外の主催を除きまして国内の主催と海外、国内の販売を行う業者、三つ目は、主催は行わないで海外、国内の販売だけを行う業者というような区分になろうかと考えております。
 二つ目の、そのような登録種別に反映した事務の分担でございますが、現在の一般旅行業、国内旅行業の区分に合わせまして、海外を持ちます一般旅行業は国、国内旅行業は都道府県というふうに事務を分担しておりますのは今おっしゃられましたとおりでございます。
 今後どのようにするかということにつきまして、都道府県と関係省庁と相談して決めていきまして具体的な政令で決められるということでございますが、方向といたしましては、今旅行業の区分で申しました海外の主催、国内の主催、海外、国内の販売すべて行えます業種につきましては国が登録事務を行いまして、それ以外は都道府県の機関事務にしていただくという方向で関係省庁と折衝していこうかと考えております。
 三つ目の、現在ございます協会、日本旅行業協会、これは海外旅行を行う一般旅行業が主体でございます。さらに全国旅行業協会、これは国内旅行のみを扱う業種という区分がございますが、登録区別の海外と国内の差をなくすということになりますと、今委員御指摘されましたように、旅行業協会の海外と国内の区別は意味がなくなってくるのではないかという点につきましてはそのようなことだと考えております。
 今後、どのような協会への旅行業者の方の加入の状況になるかということでございますが、日本旅行業協会につきましては現在九百社ほどの加入者がございますが、海外旅行を含めた旅行全般について大手、中手を中心とした会員の方でございます。また、全国旅行業協会は五千社を超える事業者がございますが、国内旅行を中心とした会員でございます。当面はそのような会員の構成が続くと思いますが、今後はそれぞれの協会の歴史とか特徴に応じて会員の方がそれぞれ御判断されるように判断しておりまして、特段の行政指導という方向では考えておりません。
 以上でございます。
#41
○櫻井規順君 次に、主催旅行業者の責任の明確化という問題についてですが、今度の法改正であれこれの旅行中のトラブル、旅行手配のオーバーブッキング等々トラブルが発生した際の旅行者優先の原則といいましょうかそれを法改正で貫いだということは結構だというふうに思うわけであります。
 現行はかなり行政指導で、従来そうでありましたように、債権者の優先順位というのは債権の申し出た時間的な順序である、申し出順であると、しかし最近は旅行者、予約者優先の原則を貫いているようでありますが、法律的にどのようにこれを明記されるのか。これもまた省令に入っていくのかもしれませんが、どう明記するのか。
 しかし、その場合に問題は、トラブルの原因が必ずしも旅行業者のみにあるわけではない、あれこれの関係者にある場合があるわけで、そこのところの整理は何らかの形で明記されるものなのかどうなのか、簡潔に御答弁ください。
#42
○政府委員(荒井正吾君) 旅行前の倒産の場合のトラブルと現実に旅行されました場合のトラブルとございます。
 倒産の場合のトラブル、倒産した場合の前受けの旅行者の債権を払い戻す営業保証金の適用でございますが、委員御指摘のように現在消費者優先の規定はございませんが、現実には消費者優先が守られている実情がございます。今後は、消費者、旅行者を優先して営業保証金を返すということを法律上明定することとしております。
 二つ目の現実のトラブルの処理でございますが、今ホテルあるいは航空機の変更の場合のトラブルが現実に多うございまして、年間千件以上の苦情が寄せられております。その中で、責任が旅行者にあるのか旅行業者にあるのか、実際にサービスされるホテル、航空会社側にあるのか、不明確なまま旅行計画の変更を余儀なくされるケースがございますので、代替措置を講じるというのは基本でございますが、原因を探るという以前に、ホテルのグレードが下がった場合なんかの金銭的補償は自動的にするような方向での改正を一面考えております。
 一方、旅行業者が必ずしも責めを負わないようなケースもございますので、そのような場合は免責事項として約款上具体的に特定できるような検討を今後行いたいという方向で考えております。
#43
○櫻井規順君 トラブルと倒産と区別するわけですが、トラブルの方でございますが紛争時のトラブルの過程で、一義的に旅行者の権利を保障するような規定で、かつ原因者負担は貫くという中身をしっかり盛り込んでいただきたいというふうに要望しておきます。
 次に、倒産時の営業保証金の還付についてでございますが、これも消費者優先の行政指導が実態的にはなされて、それを法案化するというふうに理解をするものであります。問題は、実際に現在の営業保証金の金額で、倒産時にどの程度予約者なり旅館、ホテルあるいはバス会社、鉄道等に還付によって保証されているのか。今度の法改正、一連の改正によってどのように改善されるのか。その辺いかがでしょうか。
#44
○政府委員(荒井正吾君) 現在の倒産の場合のケースでございますが、平成四年、五年に少々大型の倒産が続きまして、その際営業保証金の額が不十分なケースが若干発生いたしました。それを機会に、平成五年に営業保証金の額が大幅に引き上げられております。
 例えば、現在でございますと主たる営業所につきましては、ことしの十月からなるんでございますが、海外旅行の場合七千万円、営業所ごとに三十万円というような保証金がございます。昨今の事例を勘案いたしますと、このような程度の額であれば、ごく例外的なケースを除きましてほとんどの債権の保証はできるような実情にあると考えております。
#45
○櫻井規順君 新たな改正の問題ですが、営業保証金の金額の算出根拠といいましょうかね、それは変わるわけでしょう。その場合に総取扱高の変化に対応した保証金の金額に変えるという方向を読み取るわけであります。従来は営業店舗数によって機械的に保証金額を決めていたように受けとめますけれども、これはやはり総取扱高の変化に対応した保証金額にすべきものだというふうに思いますしからば、総取扱高というのは何を根拠に決めるのか、そしてこれは一年というタームである日を決めて定めるのかどうなのか、その辺いかがでしょうか。
#46
○政府委員(荒井正吾君) 今、委員御指摘のような改正の方向でございます。総取扱高は、前年の取扱高を根拠にいたしまして特定業者の営業保証金の額を決めていくということを考えております。その取扱高に応じて、今後の検討でございますが、取扱高が例えば七十億までの業者でございますと七千万円、あるいは何億ふえると幾らプラスというふうな感じで勘案していきたいと思いますが、今後関係者と検討会の中でそのような算定を具体化していきたいと考えております。
#47
○櫻井規順君 次に、旅行業務取扱主任者の職務の明確化に関連してでありますが、トラブル防止のために、取引条件の説明を書面によって行うように指導するということに改正するようでございます。これは非常に大事な点だろうというふうに思うわけであります。
 ただ、情報化が進展する中でもって、それと逆行する動きが出てきているわけですが、どういうふうに押さえていくのか。今でも電話での受け付けというのが非常にトラブルのもとになっているようであります。だから、書面ということが当然出てくるというふうに思うわけでありますが、しかしどうしてもサービス精神旺盛で、書面での確認ができない場合がある。そこでトラブルが発生するという事例があるわけです。
 こういう傾向というのは、いわゆるコンビニでの主催旅行等の販売、あるいは、これからマルチメディアの時代を迎えて在宅でもって電話で予約をするというような時代を迎えるわけで、それはファクシミリ等のコンタクトになってきますからかなり解消できていくというふうに思いますけれども、コンビニあるいは端末機でもって人のいないところで、あるいは簡便に他の兼業するような方のところでもってパック販売がなされる。マルチメディア化の時代を迎えて、この書面確認というものはどういうふうに推進されていくのか、その辺の基本的な考え方を聞かせてくれますか。
#48
○政府委員(荒井正吾君) 販売方法が技術革新によって変化しておるということは、まさしく御指摘のとおりでございます。今後、旅行商品の販売におきましても、そのような技術革新の影響を大いに受ける分野であろうかと考えております。
 現在の状況で、例えばコンビニで旅行商品を販売するという形態がございますが、単純なチケットの販売はその場で決済が可能になっております。ただ、やや複雑な取引条件で構成されます主催旅行につきましては、説明が要ったり今義務づけようとしております書面の交付が要ったり、今後不測の事態に対応する取引条件の確認を旅行業者の方とどのような形でするのか技術の進歩をどのように販売方法に還元するのかというのと消費者の保護をどのように確保するのかという二つの要請を、具体的な場所で販売の形態をどのように変えていくのかという課題に直面していると考えております。今後、そのような両方の課題をにらみながら具体的な方法を進展させていきたいと考えております。
#49
○櫻井規順君 次に、旅行業協会の会員以外に対する指導の問題ですが、これまた法改正で重視しているようでございます。旅行業協会の会員以外の業者の倒産あるいはトラブル、そういうものが発生した場合にどの程度まで旅行業協会というのは対応するのか。
 例えば、営業保証金は会員以外ですから出していただけませんから、この適用はないわけですね。あるいは、特別保証とかトラブルの苦情処理等をどこまで旅行業協会に負わせていくのか。その辺の新たな責任の分野あるいは保証の仕方というのは、どういうふうにお考えになっていますでしょうか。
#50
○政府委員(荒井正吾君) 旅行業協会の責務の大きなものは、倒産のときの営業保証金にかわる共同保険でございます弁済業務保証金の制度を持つという、これが一つでございます。これは会員の共済制度でございますので非会員については適用されないと、非会員は営業保証金という国庫へ納付する仕組みを今後続けるという仕組みは変わりません。
 もう一つ大きな業務といたしまして、旅行者の苦情の相談を受け付け処理するという業務がございます。現在、千件を超す苦情が旅行業協会に来ております。会員についてはそのような処理をしておりますが、非会員については会員のための協会ということで処理しておりません。
 今後は、非会員につきましても、苦情の処理を一括化してその苦情の処理を通じて再発防止の業務の改善に努めるという日々の努力がより一層大事かと思いますので、非会員についても旅行業協会に苦情の処理を行わせるような法改正を今御相談申し上げている次第でございます。
#51
○櫻井規順君 最後の質問でございます。
 今、関係者の関心は標準旅行業約款の作成にかかっております。これのスケジュール、展望はどういうふうに押さえておられるのか。そして当事者、特に旅行業者、関係労働組合あるいは旅行者の利益代表といいましょうか、それに精通された方の代表が作成に参加できるような配慮をいただきたいというように思いますが、いかがでしょうか。
#52
○政府委員(荒井正吾君) 具体的な責任の確定は、今御指摘のありましたように、標準旅行業約款の策定が具体的な作業として非常に重要でございます。この作業は、法律が改正されました後、ことしの秋ぐらいまでにその内容を決定するようなことを希望しております。
 その際は、旅行業約款委員会というようなものを設置いたしまして、そのメンバーに学識経験者でございますとか、専門の弁護士の方、あるいは観光業界の方、労働組合の方、あるいは消費者の利益を代表される方といったような方たちに委員として来ていただきまして検討させていただきたいと考えております。
#53
○櫻井規順君 終わります。
#54
○直嶋正行君 平成会の直嶋でございます。
 旅行業法の改正について幾つかお聞きをしたいと思うのでありますが、その前に大臣に一、二お伺いをしたいと思います。
 今回の旅行業法の改正はかなり旅行業法としては大幅なものだと、先ほど御質問の中でもどういう見地に立ってこの改正を考えたかというお話が一部ございましたが、今回のこの改正に至る背景とかあるいは最大の目的はどういうことなのかという部分について大臣の御見解をまずお伺いしたいと思います。
#55
○国務大臣(亀井静香君) 昨年、大阪で観光サミットを実施いたしました。大阪宣言も宣言をいたしたわけでございますが、まさに二十一世紀は観光の世紀である、世界の平和を構築していく着実な基礎的な活動であるという認識、また、文化遺産をただ保存するというだけじゃなくて創造的にそれぞれ守り育てていくという面からも観光業の発展というのが不可欠であるという基本認識に立った宣言をしたわけでございます。
 そうした国際的な広がりの中で、日本の旅行業というのが、どちらかといいますと従来のいわば国内向けの旅行に立った、古い時代の法律であった嫌いかないわけでもない。そうした国際化時代にきっちりと対応できるものに整備をしたい、そういう意味では国内の旅行を主としてやっておった中小旅行業者、これあたりもどんどんと海外旅行に進出をしていける、業務を拡大していける、そうした条件を法律を整備することによって整えてもいきたいということが一つの目的でございます。
 さらに、そうした海外旅行等が非常に活発になるにつけましていろんな形で、ユーザーの安全の問題を含めて、また旅行業者とのトラブル、契約上の問題等いろいろ発生をいたしておりますので、やはりユーザーが安心して旅行できる、そうした条件を法律改正によって整備していきたい、大体この二点が主たる改正の目的でございます。
#56
○直嶋正行君 ありがとうございました。
 もう一点、今ちょっとお話の中でもお触れになりましたが、私も、今後やはり余暇時間の拡大等の中で旅行というのは、国際的な視点もお話しされましたが、国民生活の中で非常に大きなウエートを占めてくると思いますし、また、国民経済的な観点から見ましても最近の旅行業の売上高は何か年間約九兆円ぐらいというふうに聞いておりますが、大変大きなウエートを占めると思います。
 ただ、一方で従来から旅行業界というのは非常に低収益体質であるということが指摘をされてきておりますし、とりわけバブルが崩壊して以降経営が厳しくなっているという話もお聞きをしているわけでございます。今お話しの中で、例えば中小の業者にももっと機会を与えて発展できるようにというお話がございました。私はこれは非常にいいことだと思うのでありますが、一方で業界の実態がなかなか厳しい面がございます。
 そういう二つの視点から見て、もう一点大臣にぜひお考えをお伺いしたいのは、旅行産業といいますか、この産業の将来の発展の方向とかあるいは課題といったことについて御見解を承れればと思います。
#57
○国務大臣(亀井静香君) 委員御指摘のように、そうした国際間における観光の占める役割と同時に、我が国の国民の将来の福祉ということを考えた場合も、いかに余暇を有効にしかも豊かに過ごすかという観点から、今後国内におきましても旅行業の発展というのは大変重要なことである、このように思っております。
 そういう意味では先ほども申し上げましたように、国際的にもそうでありますが国内的にも、二十一世紀は、観光といいますか旅行が、それも従来のようにただ景色のいいところを見て回るとか神社仏閣を歴訪するというようなそういうことだけじゃなくて、もっとヨーロッパ型といいますか生活そのものの中にそうした旅行とか観光というのがきちっと位置づけられていく、占められていく。それにはもうちょっと長期の休暇、こういうものが社会的にもきちっと定着をしていくというようなこと、これは企業経営者あるいは労働組合を含めてそのあたりの協力も必要なわけでございますし、政府としての施策も必要でございます。
 そういう意味でただ単に働くだけが能じゃない、やはり家族があるいは友人がいつも居住しておる場所から離れてそこで人生の快適な一時期を過ごしていくというライフスタイルといいますかそういうものが今後私はどんどんと進展をしていくべきだと思います。それを政府としては、これは運輸省の観光政策だけではどうこうなるものではございませんけれども、建設省の施策あるいは厚生省の施策、労働省の施策、そういうものと相まってトータルとして国民生活の中身が豊かなものになっていく、その一つの中心はこうした観光とか旅行であろう、このように私は考えております。
#58
○直嶋正行君 ありがとうございました。
 今のお話の中で業界の課題等については御答弁の中でお触れになられなかったので、もしありましたらお願いします。
#59
○国務大臣(亀井静香君) 御承知のように、私もそんなに詳細に中身を承知しておるわけではございませんが大変薄利な業界だ、このように私も認識をいたしております。それも、いわばすそ野が非常に広いといいますか末端ではガイドとかということを含めましての非常にすそ野が広い業界、わずかな金が上から下までずっと細々と流れていって全体が細々とどうにかやっているという状況であろうかと思います。
 一つは、その仕組みの中でそれぞれの役割分担に応じた適正な利益がそれぞれに還元されていくということが必要だと思います。もちろん、これは民間のことでありますから政府が直接やってはいけない、それは業界が自主的にそのあたりを全体の発展のために、そうした全体に利益がうまく還元をしていくような仕組みを業界の方々自体がやはり努力をしていただく必要があるのではないかな、このように私は思います。
 また、そうした協会等の中身の運営がどうなってどこに問題点があるとかまで私は残念ながら承知をしておらぬわけでございますが、そのあたりも我々としては関心を持ってアドバイスを申し上げる点はアドバイスを申し上げ、またいろんな面で私どもがお手伝いできる点があればお手伝いしていくということでいきたいと思っております。
#60
○直嶋正行君 それでは、あと具体的な各論を幾つかお聞かせいただきたいと思います。まず一つは、先ほども出ておりましたが、最近、特にバブル崩壊以降旅行業者の倒産件数が増加しておる、私の手元にありますデータを見ましても、例えば平成四年では十五件、平成五年には三十二件ということで極端にふえているというお話を聞いております。
 実際に、こういった増加傾向をたどっている倒産発生の中で、消費者の被害を今の営業保証金あるいは弁済業務保証金で本当にカバーできるのかどうか、どれぐらいカバーできるのか、この点についてちょっとお伺いしたいと思います。
#61
○政府委員(荒井正吾君) 今、委員御指摘されましたように、平成四年度、五年度に急に倒産がふえてきております。その中で大型倒産が入っておりまして、これは旅行業の事業というよりも不動産でございますとか株で倒産されたのが大型になったものでございます。その債権者は消費者とは別の方でおられたわけでございますが、そのような事態を反映いたしまして平成五年十月から営業保証金の枠を大幅に引き上げました。その後は消費者につきましては、その営業保証金ないし弁済業務保証金の仕組みを超えるような損害というものは実態としては今までないと判断しております。
#62
○直嶋正行君 ということは、今の御答弁ですが、最近ふえた特に大型のものについてはどっちかというとイレギュラーな、例えば他の業界と関連するものだ、ですからそこは別に一〇〇%でないけれどもそれはそれで特殊な例なんだ、こういうとらえ方でよろしいですか。
 私は、さっき業界のお話が大臣からもありましたが、旅行業界は他産業の子会社だとか関連会社というのが非常に多いですね。それから、例えばよく言われる、机と電話一本あれば商売できるというようなことが巷間言われますが、経営を多角化していくときに割合その対象になりやすいわけですね。
 ですから、別に言葉じりをとらえて申し上げるわけではないんですが、これから旅行マーケットが広がっていく中で考えますと、こういう他業種に関連した例えば倒産とか、こういうものがやっぱりふえていく可能性が私はあると思うんですよね。いわゆるバブル崩壊による一時的現象ということではなくて、十分これからもあり得るんではないか。そのときに今回の法改正の趣旨であります消費者保護という視点でどういう手を打っておくか、私はここが一番大事だと思うんですが、その点いかがでしょうか。
#63
○政府委員(荒井正吾君) 特に、倒産のときの消費者保護を御指摘されました。現在、営業保証金を上げたという過程にございますが、今後旅行業の規模が増大いたしましたり、あるいは不測の倒産ということがもちろん起こり得る可能性はございます。営業保証金の額の算定も具体的にはこれからの検討課題でございますが、その変更については実態を反映したような適時適切な営業保証金の額の変更、決定というような仕組みは今後弾力的に考えていきたいと思います。実態が発生しますのを見越しながもそのような運用をしていきたいと考えております。
#64
○直嶋正行君 今お話に出ました営業保証金の基準の変更もかかわるんでありますが、さっきの御答弁の中で、例えば七十億円ぐらいだと七千万ぐらいというような例を挙げてお話しされました。
 二つちょっとお聞きしたいんですが、一つは、今は営業所単位になっていますが、基本的にその営業保証金のレベルといいますかそれが基準を変えたことによって従来のものに比べてふえるのかどうかという、この点が一点。それから、取扱量、総取扱高をベースにするということでございますが、これはもちろんいわゆる旅行業としての取扱高ということになるんでしょうかその点いかがでしょう。
#65
○政府委員(荒井正吾君) 今後の具体的な旅行業者に対する営業保証金の額でございますが、普通の方は今の現行の水準が大体維持されるような水準になろうかと考えておりますが、一部通信販売を主たる販売形態とされる業者さんにおかれましては、一営業所ごとの取扱額は非常に差がございますので、そのような旅行業者の方におかれては営業保証金の額は若干増してくると思います。
 それから、総取扱額は旅行業の取扱額の反映したものでございます。
#66
○直嶋正行君 それで、今の営業保証金制度とかあるいは弁済業務保証金制度のそもそもの目的です。今回の法改正は消費者の保護が最重点だということなんですが、これは私のとらえ方なんですが、この営業保証金というような名称等から見ますと、これができたのは、要するに小さな旅行業者さんがいろいろ扱うものでありますから、例えばホテルだとか鉄道とかそういうところと取引するときにやはり相手方側に不安がある、したがって一種の供託金として用意しておく、どうもそもそもそういう性格のものじゃなかったのかなというような気がするわけであります。
 したがいまして、どちらかというと消費者という視点ではなくて、むしろ業界における債権者とかあるいは取引の一種の安心感を与えるという意味での性格じゃなかったのかなと思うんですけれども、この点はいかがなんでしょうか。
#67
○政府委員(荒井正吾君) 確かに、委員おっしゃられますと営業保証金という名前からは日々の営業の取引先、宿泊業者、運輸業者あるいは旅行社という観点が入るような言葉のようにも改めて感じますが、旅行業法の観点からいたしますと基本的に不特定多数の消費者との取引を保護する法律になっております。
 特に、旅行商品は前受金をいただいて後商品が現実化されるという特別な実態がございますので、そのような場合は前受金を先に徴収して旅行が実行されない、あるいは倒産してしまうという、特に考えられるケースを保護するために営業保証金を従来運用しておりましたし、今後はそれをより明確化しようということでございます。現実に、営業保証金という観点からはその他の債権者も保護されてきた実態は従来はあったかと思います。
#68
○直嶋正行君 今の消費者と一般債権者の関係なんですが、私の手元の、多分これは運輸省さんの方からちょうだいしたデータだと思うんでありますが、最近の保証金の還付額の実績を見ますと、例えば平成五年度がトータルで五億五千六百万弱、そのうち消費者の還付額というのは一億七千二百万強、平成四年度も同様に三億二千七百万対一億五千百万ということで、どっちかというとやはり業界内の還付がなされている、ウエートが大きいように思うんであります。
 私は、そういう点で見ると、この法改正を機にもう少しここのところを、これは私の個人的な考えなんですが、こういうものは今御答弁の中でおっしゃったようにまさにユーザー保護のためにあるんだから、むしろそこをもっとはっきりして、例えば業界内のそういう債権者というのは、これは企業対企業の話でありますからいろんな手だては別途あると思います。必要とあらばそれは全く別のジャンルの話だと思うわけです、これはビジネス同士の話でありますから。むしろ、そういうところをはっきりすることが消費者に対してもこの法改正の意義をきちっと訴えられる、こういうことにもなるんじゃないかと思うんでありますが、この点とうなんでしょうか。
#69
○政府委員(荒井正吾君) 営業保証金の目的を今先生のおっしゃいました消費者限定にするか消費者優先にするかというのが旅行業問題研究会の過程で議論としてございました。消費者限定にするという有力な意見も存在いたしました。
 本来の主たるほとんどの業務は消費者のためでありますが、限定するかどうかという点につきまして、そのようなことも十分有力な考えでございますが、現在の時点では消費者優先という規定で実態上は合理的な面があるんじゃないかと。非常に有力な消費者限定の考えも存在いたしましたが、そのような中身を比較検討いたしまして、現在消費者優先ということでとりあえず明確化しようという結論になったものでございます。
#70
○直嶋正行君 私は、即限定することがいいかどうかという、これはおっしゃったように議論の余地はあるかもしれませんが、やっぱりはっきりさせるという意味では今後の課題としてぜひ御検討いただきたいと思います。
 繰り返しますが、ビジネス同士のものと消費者と企業との関係のものというのは性格が違うと思うんです。その点で、ちょっと私の感じなんですが、例えば営業保証金制度というのがありますよということが本当に、例えば先ほど来議論になっていますパック旅行とかそういうものをお買いになる消費者の方にきちっと伝わっているんだろうかなと、これはちょっと疑問なんですよね。
 さっきも還付金の実績の中で申し上げましたように、実際に実績を見ると消費者以外のものが過半数以上占めているわけでありますから、こういう法改正と同時にきちっと消費者にこのことを伝えていくということが非常に大事じゃないかと思うんであります。私の周りにちょっと聞いてみましても、こういう制度があるということ自体やっぱり知らない人がほとんどでございまして、この点は何か今まで努力されているのでしょうか、どうでしょうか。
#71
○政府委員(荒井正吾君) 消費者の方に取引の内容を十分説明するというのはいろんなことでやっていきたいと思います。
 ただ、倒産した場合の保証というのはサービスする側につきましてなかなか説明しにくいような内容のものでもあったかと思うわけでございますが、今度の改正の大きな基本的な話としては、いろんな不測の事態が起こり得るサービスであると、それに対して取引の条件を前もって場合によっては書面によって説明しようという精神を盛り込もうとしておりますので、委員の精神を外したような行動になるように指導してまいりたいと思っております。
#72
○直嶋正行君 ぜひお願い申し上げます。
 それから、これもさっきから議論ありましたが、いわゆる主催旅行制度という商品なんですが、これについてちょっと御質問したいと思うのであります。
 消費者はいろんな商品を買うわけでございますけれども、この主催旅行制度、いわゆるパック旅行ですが、これはさっきもお話ありましたようにある程度前渡金をして、大体は契約するときにお金は全額支払っちゃうわけです、ほとんどの場合は。これは商取引の一つとして消費者の立場から見た場合になかなか珍しい取引形態ですよね。普通は、例えば手付金を払ってあとは商品が手に入ったときとか、商品と交換でお金を支払うとか、あるいは場合によったら何カ月後とか、そういう制度があるんですが、これは契約するときに全部お金を払っちゃってサービスは後で。しかも、最近の主催旅行の内容を見ると、中身がはっきりしないといいますか、これは例えば行き帰りだけであとは全部自由行動ですとかそういうものも出ているわけです。
 そうすると、やっぱり消費者にとっては非常に不利な取引でありますし、しかもサービスの中身について当然トラブルも生じてくる、こういうことになると思うんです。ですから、私はそういう面で見ると、やはり主催旅行を主催される業者の方の責任というのをもっときちっとするといいますか明確にするといいますか、こういうことが絶対必要だというふうに思うわけでありますが、この点についてはいかがでしょうか。
#73
○政府委員(荒井正吾君) 主催旅行を中心といたします責任関係の実態及び方向というのは今委員おっしゃられたとおりだと思います。外国の傾向でも、パック旅行という旅行される方は少人数でございますが全体としてはまとめてあるというパック旅行が発達いたしまして、旅行が初めての地へ安心して行けるという大いなる発明でございましたので、この責任関係あるいは信頼性の醸成というのは大きな課題であろうかと思っております。
#74
○直嶋正行君 そういう点で申し上げれば、さっきもお話に出ていましたが例えば標準約款に、さっきも秋までに今改正を考えていますというお話がございましたが、こういう中に例えば今までと違った形でどういうものを織り込んで、こういうものが一つのベースになると思うんですけれども、あるいは具体的にそれ以外の点で今お考えのことがあればお伺いしたいと思うのであります。
#75
○政府委員(荒井正吾君) 主催旅行の具体的な責任でございますと、特に今回の改正の大きな柱の旅程保証の責任ということを新たに導入するということを考えております。
 旅程保証というのは、旅はいろんなことで不測の変更がございますが、航空機の変更、グレードの変更と、そのときはそれを回復する具体的な措置をとることが、代替措置が前提でございますが、どうしても時間が限られていますのでやむを得ずグレードの低いところ、違う便ということも旅というものにはっきものでございます。そのときの旅行者の方が不愉快になってお帰りにならないように、かけがえのない旅行が壊れないようにということで、旅程保証の中身として、そのような場合は旅行業者の責任がどうかを問わずにある面の金銭的な保証をするというような旅程保証責任というようなことを新たに導入するというのが一つ大きなことでございます。
 それから、広告表示で誇大な広告をしないような規定を置きますとかそれから日本の取引が外国と違いますのは、取引条件を具体的につぶさに見て出るというよりも旅行業者をむしろ信頼されて出られるという心情的な面が大きゅうございますので、取引条件を事前によく説明する、苦情が出たときの責任者を具体的に明確化する、それを旅行業務取扱主任者ということで規定しようというのが新しい改正点でございます。
 さらに書面ということで、後のトラブルの大きな原因が言った言わないとか聞いた聞かないといった面も具体的にございますので書面で明確化しようというようなことで、過去の苦情の中身を分析いたしまして現在考えられますような改善点を具体化しようかと考えております。
#76
○直嶋正行君 あと、これもさっきちょっとお話が出ていましたが、例えば最近コンビニなんかでコンピューター端末を置いていろんな販売をする、こういうケースが出ておるんであります。
 これは法律の建前と実際にこういう行為をどのように見ていくかということとで違ってくるかと思うんでありますが、例えば法律で言いますと、営業所であれば必ず旅行業務取扱主任者を置かなければいけないということが義務づけられるわけですね、法律上この営業所ということになれば。ただ営業所ということでなくて小さなデポだと、こういう理解をすれば別にそこまで必要ないのかもしれません。
 いずれにしても、こういう特に情報通信が発達をしてまいりますと、やはり今までと違う業態でチケットを売るとかあるいは商品を売る、こういうケースがふえてくると思うんでありますが、この辺についての対応はいかがでしょうか。
#77
○政府委員(荒井正吾君) 情報化の進展は私どもの想像を超えるような面があろうかと思います。また、旅行業あるいは旅行商品の販売についてそういう情報化、情報技術の進展が大いに影響すると思われます。パソコンを利用した予約とか家庭内での販売というようなものも目前に迫っているように考えております。そこまでいかなくても、今おっしゃいました最寄りのコンビニで旅行商品をどれだけ購入できるか、ほかの商品の並べられている中で購入できるかというのが現下の課題としてございます。
 発展、変化の過程であろうかと思いますので若干整理がつかない面があろうかと思いますが、情報化技術をより生かすという形とそのような機械に任すという点について、先ほどの書面による交付とか取扱主任者の説明とかというやや複雑な主催旅行の販売をどうするかとか、消費者保護をどうするかという点を具体的にどのように確保するかというようなことは現下の課題であろうかと思います。関係者の方とさらに検討を含めてその時流に乗りおくれないような業態にしていかなきゃいけないというふうには考えております。
#78
○直嶋正行君 例えば、この旅行業法を検討したときの研究会の答申なんか見ますと、どっちかというと慎重論を書いているような受けとめ方をしたんでありますが、私はできるだけ姿勢としては、今技術的な発展を有効に取り入れていくというお話がございましたが、ぜひそういう姿勢で対処をお願いしたいと思うのであります。
 たまたまこれはきょうの新聞でございますが、ある新聞のシリーズもので「通信が危ない」というシリーズがございます。きょうは三回目で、ここに「「業法」の壁」というタイトルで「規制と現実 矛盾拡大」、内容は主に郵政関係の規制です。ただ、その中に、例えば大蔵省の金融政策との関連で見ますと、いわゆるホームバンキングについて大蔵省の通達は今銀行の営業時間内にしかだめだ、こういう通達になっているんです。そうすると、本当はもっと便利なはずのものが規制をされてしまう。
 あるいは、今厚生省の関係で問題になっているのは、老人保健法の中で例えばテレビ電話を使った在宅ケアみたいなものをこの助成対象にしてほしい、こういうお話がお医者さんの方からあるんです。しかし、現実にはこれは医者と対面をしてケアをしなきゃいけない、そういう問題があるわけであります。
 私もこういうケースを見て思うことは、一つは、やはりこの旅行業法もそうなんですが、さっきおっしゃったように対面販売を一応前提にしているわけですね。しかも、そこに人の資格制度というのがかかわってくるんです。さっきのあれで言うと例えば医師の資格の問題もかかわってくるわけなんですが、これは旅行取扱主任者という資格制度。やはり、情報通信がどんどん発達していきますとそういう人と人とが接触をして物を売ったり買ったりするんじゃなくて、それがなしに販売が成立していく、あるいは取引が成立していく、こういうことが当然ふえてくると思うんですよね。
 ですから、私は、そういう観点に立って旅行業法も今回の改正で、さっきこれから検討というふうにおっしゃっていましたが、もう高度情報通信社会というのは目の前でありますし、これから政府全体としても大いに力を入れてやっていこう、こういうことでありますから、本当はやっぱり今回の法律の中にもできれば織り込むべきじゃなかったなと思うのであります。重ねてお聞きするようですけれども、今申し上げたような資格制度とか含めてこれから御検討いただけるのかどうかちょっとお伺いしたいと思います。
#79
○政府委員(荒井正吾君) 旅行業を初めといたします販売の関係の規制法が営業所、場所を決めた対面販売ということを大いに前提にしておるという面は御指摘のとおりだと思います。旅行業法もそのような形態でございましたが、最近通信販売とかコンビニの販売等でそれが非常に簡便化されたような形で崩れつつあるという実態があろうかと思います。お客様によっては余り人と話したくない、自動販売機のようなもので買いたいとかあるいは逆にお客様の方が商品知識が豊富で小さな店舗ではなかなか対応できないという専門化の面と、簡易化の面と両方の要素が出てきておるように思います。
 そのようなものに通信技術がどのように入り込むのかというのは、もちろん販売の商品の業態によっては違うと思いますが、業法の根幹を欠きぐ変えるかどうかという点も旅行業問題研究会で議論にはなりました。その過程で、近い将来としてそのようなことは十分起こり得る可能性があるということについては各代表の意見が相当一致したように思いますが、現在どのように変えるかという点については、正直申しましてなかなか具体的な新しい体系を確立するというところまで全体の意識がいっていなかったかと思います。
 情報化の進展が非常に急速でございます。それと旅行業の規模、経営の問題といたしますと非常に零細なものでございますので、その経営基盤をどのように安定させていくか、通信技術をより大いに取り入れたような形で零細の方が通信技術を利用できるか、そのためには共同化とかそういうことも大いに並行してやらなければ経営というものも安定しないという面もございます。そのような諸条件の準備が現在では少々まだ整っていないというのが、また一方委員の方たちの一致したような認識であったかと思います。
 今回の法改正にはそのような点が大きな方向転換という点では入り切れなかったと思いますが、個別にはそのような方向を志向した改正もございますし、近い将来の重要な検討課題だというふうには関係者を含めて行政も考えておる次第でございます。
#80
○直嶋正行君 ぜひ積極的にお願いを申し上げたいと思います。
 最後に、大臣にお伺いしたいのでありますが、今情報通信のお話を申し上げました。これは別に旅行業だけではなくてやはり運輸とか物流の部分も大いにこれから影響してくると思いますし、大臣も政府の情報通信対策本部のメンバーにたしかお入りになっていると思いますが、運輸省としてのこれからの情報通信への取り組みとか対応についてぜひひとつ決意をお伺いしたいと思うのであります。
#81
○国務大臣(亀井静香君) 我々のいわば古い頭ではもうついていけないように現実はどんどんと情報化社会の中に突入をしておるわけであります。
 ただ一つ、素人のあれですが、ハードのそうした進展に対してソフトの面がなかなかついていきにくい、そういうギャップが私は相当拡大をしてきておるんじゃないか。そういう面で、運輸省関係にいたしましてもソフトの面をどうしていくか。しかし、これは非常に難しい面がありまして、官主導で行きましても実需が民間においてございませんと、なかなか官が一生懸命力を入れましてもその実需の面が民間においてどう進展をしていくかということも、私は実態的にはやはり大きな問題だなという感を深くしておるわけでございます。
 さはさりながら、政府としてはそういう情報インフラをきっちりと整備していく、それを民がきちっと活用をしていただくことを含めて積極的に御参加をいただくということで、政府がやはり旗振り役を積極的にインフラ面についてもやっていかなきゃいかぬのかなという感じがいたしておりますけれども、非常に難しい面がありますね。
 光ファイバーの例の問題にしても、じゃ毎日のビジネスの中、行政の中で中身のあるものとしてどうそれを活用するか。昔、ターザン映画で御承知のように、チーターが電信機をばちゃばちゃやって遊んでおるのがいまだ私は記憶に残っておるんですが、そうしたハードにソフトがなかなかついていけない、こなし切れないという面があります。しかし、間違いなくそのギャップを乗り越えてハードを十分駆使できる、そうしたソフト面の充実が必要なんじゃないかな、このように思います。全力を挙げてまいります。
#82
○直嶋正行君 終わります。
#83
○委員長(大久保直彦君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十一分開会
#84
○委員長(大久保直彦君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、及川一夫君が委員を辞任をされ、その補欠として渕上貞雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#85
○委員長(大久保直彦君) 休憩前に引き続き、旅行業法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#86
○中川嘉美君 時間に限りがありますので、前置きは省略をいたしまして、早速質問に入りたいと思います。
 手元にありますのは営業資格別に見た一九九三年の旅行取扱額についてでありますが、これは要するにシェアの問題でございます。
 まず、海外旅行の取扱額を見てみますと、主要三十五社が五五%、それからその他の一般旅行業者それから国内旅行業者等々を合わせましてこれが四五%、このような数字になっております。それから、国内旅行の取扱額を見ますと、主要三十五社が五九・四%、もうほぼ六〇%ですね。それから、一般旅行業者と国内旅行業者合わせましてもこれで見ると四〇・六ですか大体これでいくと六、四ということになります。
 それで、このように旅行業界そのものは少ない売り上げというものを多数の中小旅行業者で分から合っているというのが現状であると思いますが、こういった点について運輸大臣はどのような認識をしておられるか、伺ってみたいと思います。
#87
○国務大臣(亀井静香君) 御指摘のようなシェアの面につきましても、中小業者がなかなか大きく伸びていけないというような固定的な状況があることは事実だろう、このように思います。そういう意味でも、今度の改正はそうした資金的に脆弱な基盤に立っている中小の業者も大きく伸びていけるための諸要件を整えるという観点からもやっておるわけでございます。
 今後、もちろん激烈な競争状態が必ずしもすべていい効果ばかりは生まないかもしれませんけれども、やはり自由なそうした競争の中に中小業者が積極的に入っていける、そういうことが私は旅行業界の活性化という面においても大事だ、このように考えております。また、大手の下請ということで、いわばそういう傘の下でがっちり組み込まれていくという関係というのは、私は必ずしもそれはすべて好ましくない、このように思っております。
#88
○中川嘉美君 こうした我が国旅行業界の現状を踏まえまして、今回の法改正について二、三の御質問をしてみたいと思います。
 まず、登録制度に関する規制の合理化についてでありますが、現行法では一般旅行業、それから国内旅行業、旅行業代理店業等について法定されておりまして、その定義が極めて明快であるわけです。改正後は業務の範囲が運輸省令で定められる、こういうことになっておりまして、運輸省の資料を見ますと業務の範囲は主催か販売かを基準に分けられているようですけれども、販売というのはどういうものなのか。先ほど来議論の中で言葉としてはたびたび出ておりますけれども、今ここでちょっと中身をお聞かせいただければと思います。
#89
○政府委員(荒井正吾君) 旅行業務の内容でございますが、今委員おっしゃいましたように、主催と販売というのがより大きな区分として存在することになろうかと思います。販売は言ってみればほかの旅行業者の方がつくられた旅行商品を販売するというものでございます。主催の方はみずからつくると。ちょっと言い方として簡便な言い方で申し上げますと、主催の方は旅行をつくる事業、それから販売の方はそれを売る事業というふうなことになろうかと思います。主催の方は海外と国内に分けられるというように理解しております。
#90
○中川嘉美君 今御答弁があったわけですが、中身的には三種類の形態があるようですね。
 それで、例えば複合手配の場合などを考えてみますと、主催旅行との相違がそれほど甚だしいとは私は思えないような気がするんです。あらかじめ顧客のニーズに沿ったいわゆるパック商品を提示するのか、あるいは顧客の要望を聞いてから手配するのか、その辺の違いであって極論すれば先か後がの違いだけじゃないかというような、こんなふうに私は思いますけれども、その点どうでしょうか。
#91
○政府委員(荒井正吾君) 主催の方と、いわゆる手配のお客さまの申し出によってつくる旅行の中でも相当複合的ないろんな要素がありまして、全体をまとめて手配する業界言葉で言われるような包括手配との実態的な差というのは、表面的になかなか大きな差が見えないように思われます。主催の方は不特定多数の方を募集して、どの人が隣の席に座るかわからないというような大きな特色がございます。一律的な責任関係を事前に明確にせないかぬということがございます。一方、包括的な手配の中でも旅行業者の方になるべくお任せしてしまう、旅行者の方のお任せだという意識がおありになる面もございます。
 そのようなことでございますので表面的な差がなかなか見分けにくい面もございますが、契約の関係は責任に影響いたしますのではっきりさせておかなきゃいかぬということでございますが、不測の事故が起こったときは特別保証という身体の責任は、包括の手配の場合でも海外二千万、国内一千万というような同率の保証をすることになっております。
#92
○中川嘉美君 私は、旅行業者の業務の区分によって必要な資産額などを決めるのであれば、消費者の側から見てもわかりやすい区分を検討して一層明確で合理的な基準にするのが旅行業者にとっても望ましいものになるんじゃないかな、こんなふうに思いますが、この辺はどうですか。
#93
○政府委員(荒井正吾君) そのように考えております。
#94
○中川嘉美君 次に弁済業務の方に入りますが、今回の改正では、弁済業務保証金制度を利用できる旅行業者の資格について、登録の一年後としていたものを登録時に改めようとしているわけですが、この弁済業務保証金制度は同業者の共同保険制度という位置づけであって、今回の改正によって保険財政の健全性というものが損なわれることがないものかどうか、この辺はどうですか。
#95
○政府委員(荒井正吾君) 委員御指摘のように、弁済業務保証金は共同保険制度でございまして、その加入条件を従来は登録の一年後としておりました。この趣旨は平たく言いますと、新顔の方に共同保険制度に入っていただいてすぐ保険制度を荒らされると困る、よく実績を見てからと、こういう背景があったと思いますが、過去の実績を見てみますと、過去五年間でございますと、一年間の営業についてはやはり緊張して営業されるという面もございますので倒産された実例がほとんどございません。一件、たしかあったと思います。
 そのような実績でございますので、登録時に弁済業務保証金制度を利用できるとしても実態上の問題はないものと思っております。
#96
○中川嘉美君 残念なことに一〇〇%良質な業者ばかりではないかもしれないということとか、あるいは小企業が多額の契約をしたけれども短時日のうちに倒産しないとも限らないといいますか、いろんな要素が考えられるんじゃないかと思いますが、そういったことであっても保険財政の健全性というものは保たれるんだ、このように理解してよろしいですか。
#97
○政府委員(荒井正吾君) そのように考えております。
#98
○中川嘉美君 それでは、そういうことで一応ここでは了解はいたしておきます。
 旅行業の発展に向けて旅行業問題研究会からも幾つかの提言が出されている。旅行需要の喚起であるとか、あるいは旅行素材の共同仕入れ、あるいはマーケティングの研究、新しいデスティネーションの開発、さらにはCRSの共同化とか、旅行業者が共同して積極的に事業を展開させるということは中小旅行業者にとって極めて有効なものと考えますけれども、運輸省としてはこういった共同化をどのように支援していかれるものかお聞かせいただければと思います。
#99
○政府委員(荒井正吾君) 委員御指摘のように、旅行業は非常に中小零細が多うございまして、共同化を進展させるということが経営を効率化あるいは安定化させる一つの有力な手段だと思っております。従前、余り共同事業がない業界でございましたが、その報告書にも記載されておりますように共同化できる余地は割とある分野であろうと思いますので、行政としても最大限支援をしていきたいと考えております。
#100
○中川嘉美君 ぜひその方向に向けて支援を強化されるように御努力をいただきたい、このことを要望しておきたいと思います。
 ところで、旅行業の発展には旅行市場の育成が重要であると思いますけれども、国内旅行にかかる費用というものは十年前に比べると一三%高くなったのに対しまして、海外旅行にかかる費用というものは十年前に比べて三〇%安くなった。こういった国内旅行が海外旅行に比べて割高になっているわけでありますが、これを改善しないとやはり旅行者の大半は海外に流出してしまうんじゃないだろうか、こんなふうにも思います。
 私は、空港とか鉄道等の交通インフラヘの国の助成を引き続き強化して運輸サービスの価格というものは引き下げるべきではないか、そしてまた魅力ある国内観光資源の開発を推進すべきではないかというふうに思いますけれども、国内旅行の振興に向けての運輸大臣の御所見を例えればと思います。
#101
○国務大臣(亀井静香君) 御指摘のように、円高が進行するに伴いましてそういう傾向が顕著になってきておろうかと思います。しかし、やはり日本の国民が手軽にどんどん海外ということにも限度があるわけでございます。また、海外が安いといいましても、それなりに費用と日数その他のいろんな面での制約もあるわけでございますので、豊かな生活を実現する上において国内旅行、国内観光ということも国民生活にとって必要な面であろうかと思います。
 ただ、従来のようないわゆる神社仏閣あるいは風光明媚なところを駆け足で観光をしていくというようなスタイルから、ヨーロッパ型といいますか欧米型のように滞在型といいますか、そうした家族でゆっくりとできる、家族ぐるみでそこで楽しめるようなそうした旅館、ホテル、観光地における施設の問題、そういうものもちょっと工夫をする時期に私は来ておるんじゃないかなと思います。
 そのあたり、これは民間で知恵を出していただくことが第一でありますけれども、運輸省といたしまして、今国民旅行村を含めていろんな政策を展開しておるわけでございますけれども、ぜひひとつそういう質的な面の改革といいますか、そういうものを民間の業界の方々と一緒になって取り組んでいかなければ、旧態依然の観光地、観光施設ではますます海外を志向する人がふえてくるんではないかなと、そういう面についての設備の近代化等を含めてそういう問題については運輸省としてできる限りの努力をしていきたい、このように考えております。
#102
○中川嘉美君 それでは最後になりますが、震災に関する中小旅行業者の件で伺ってみたいと思います。
 阪神大震災の人的とか物的被害というものは大変なものであって、これはここで改めて申し上げるまでもありませんが、個々の状況については当委員会でもう既に再三論議されてきたわけであります。
 当面、高速道路、新幹線あるいは港湾等のインフラ復興が急がれなければならないと思いますが、この交通インフラの被害が国民生活とか産業界に与えた影響というのは極めて大きい。震災自体が全国の観光旅行業界にも深刻な打撃を与えているわけです。お互いこれは自重しようじゃないかとか、何も関西だけでない、全国的なこれは一つの傾向ではないかと思います。
 ただ、特に被災地域内の中小零細旅行業者、これは取引先がほとんど被災地域内であって、間接的被害は甚大なものがあるということです。こうした業者は自宅や営業所などに大きな被害を受けたばかりじゃないと、長期にわたって進めてきた旅行契約もすべてキャンセル、新規の旅行需要も全く見込めないという非常に厳しい状況に置かれているんではないかと思います。
 業界においても、中小公庫とか国金の融資、あるいは貸し付けの特例的運用を申し入れているようですけれども、運輸省としてはどのような支援を検討しておられるのか大臣に伺っておきたいと思います。
#103
○国務大臣(亀井静香君) 被災をされました業者、関係者の方につきましては、運輸省プロパーの分野以外のところと同じように横並びの、委員御承知のような緊急対策を実施いたしておるわけでございますけれども、要は、それぞれの業者の方々、関係者の方に早く仕事をつくって立ち直っていただく必要があるわけでございますので、そのことについては業界団体等の方々とも観光部の方で協議をしながら具体的に仕事を特別に、面倒を見てあげるという言葉はちょっとあれでございますけれども、そういう配慮。
 まだちょっとはあるかもしれませんが、もう京阪神等はホテルすら全部泊まれないんだみたいなそうしたちょっと過大なイメージみたいなものがまだあるわけでございます。現在でも京阪神につきまして、観光とはいかないにいたしましても、具体的に申し上げますと有馬温泉等にいたしましても十分営業可能な旅館、ホテルもあるわけでございます。それ以外にもそういうところがあるのに、もうあのあたり一帯、場合によっては京都あたりまでを含めて今そうした観光とか旅行というのは差し控えなけりゃいかぬというような、行っても水も出ない、とにかく不便なことしかないという妙なイメージがございますので、そのあたりはきっちりと、被災の中からあの地域がある意味では力強く立ち上がってきているということをそうした業界のネット、いろんな形で全国にもPRをしていくこともやはり私は大事なんじゃないかなと思います。
 これは観光関係だけじゃございませんで、鉄道や港湾を含めまして、運輸省の各部局におきまして業界団体またそうした個々の業者との関係では細かい御相談に乗って、トータルなマクロの政策もさりながら、やはりそうした細かいことをやっていくことが私は大事だ、このように考えております。
 なお、交通機関の一日も早い復旧というのが前提でございますので、これは御承知のように、JR西日本も新幹線の再開に向けて今突貫工事を、大体、安全基準は従来の三倍ぐらいになろうかというふうに検討委員会の方々も言っておられますが、そういう形の中で一日も早く安全性をきちっと確保した上で開通をさせていく。また、私鉄各社もそういうことをやっていくことが今委員御指摘のあの地域の観光関係業者が立ち直っていく大きな枠組みだというように考えておりますので、全力を挙げてまいりたいと思っております。
#104
○中川嘉美君 時間が来ましたので終わりますが、要するに、ほかの業界においては復興過程においても一定の需要が発生するということは言えるかと思いますが、旅行業においてはもう当分の間何ら見通しが立てられないんじゃないかということで、ぜひひとつ実効性のある支援を重ねて強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
#105
○高崎裕子君 旅行は、老いも若きもすべての国民が今楽しみとして見聞を広げる、時には煩わしい日常生活の中で心を洗い直すという潤滑油の役割も持っているもので、特に今円高の影響もありまして手軽に海外旅行が楽しめるという中で、空前の海外旅行ブームということで年間一千万人を超える方が海外に旅行されています。それだけに旅行業者の果たす役割というのは重要で、中でも私は中小零細の旅行業者の営業と健全な育成、それをきちっと図っていく、それが消費者の保護にもつながっていくというふうに思うんです。
 今度の改正に当たって、私、北海道の旅行業界の方だとか中小旅行業者の皆さんからもお話を伺ってまいりました。いろいろ出されましたけれども、大手は全国に営業所を持って大手でなければできない仕事がある、しかし、我々中小零細旅行業者というのはお客さんのニーズにきめ細かくこたえて中小だからこそできるそういう仕事を誇りを持って努力をしているんだというお話もされました。
 そういう中で、今皆さんが一番心配されていることの一つに、国内の主催、販売の業者が登録をする際に必要な基準資産額、これが現行の三百万から一挙に七百万に上がると。これは消費者保護ということでそうなるということなんですが、これが一挙にそうなると、業者の皆さんからは、これではもう大手の系列に入らなければやっていけないようなことになるんじゃないかとか、資産がないために認可されないという不安の声が上がっているわけですね。
 そこで、やっぱり一挙にというのは大変厳しいわけですから、ここはぜひ経過措置をとっていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
#106
○政府委員(荒井正吾君) 今委員御指摘なされましたように、国内の主催旅行社の経営の安定という観点からも財産的基礎をある程度主催旅行をされる方に求めようということでございます。従来、国内は三百万でございましたが、国内の主催をされる方に限りましては最終的には七百万というような方向で検討をしております。
 ただ、今御指摘ありましたように、一定の経過措置を設けるというようなことを検討していきたいと考えております。
#107
○高崎裕子君 これは具体的には省令等のことになると思うんですけれども、経過措置については大体どんなふうに考えられるんでしょうか。
#108
○政府委員(荒井正吾君) まだ確定しておりませんが、例えば改正後直ちにじゃなしに一定期間を置いて段階的にやる、三百万から七百万でございますので段階もそう何度もということにはならないと思いますが、倍増以上になりますので、一挙にしないで階段を少々置こうかと。その期間をどの程度とするかはまだ決定しておりませんが、そのような方向で考えております。
#109
○高崎裕子君 次に、中小業者を守っていく上で私はこれは黙過できない大きな問題だなと思ったのは、安売り航空券の問題なんですね。
 私は余り読まないんですけれども、スポーツ新聞の各紙いろいろ見てみました。現物を持ってきたんですけれども、いろいろ金券ショップで航空券の安売り販売をしているということで、もうほとんど載っているわけですね。
 それで、航空券の格安ということの広告が毎日毎日宣伝されているということで、正規の料金を調べましたら、例えば私北海道ですので札幌−東京ということで往復で見ました場合に、通常の往復割引は四万三千百円。それから回数券の六枚つづりで往復で見ると四万二千円、八枚つづりで見ますと三万九千七百円。正規の金額で最低の料金でも三万九千七百円ということになるんですね。ところが、こういう宣伝をされている中身では、その最低よりも格安の三万五千円とか三万六千円ということでこれは販売されています。
 これは恐らく回数券のばら売りというふうに考えられるわけですけれども、回数券というのはきちっと表紙がついていてその人でなければ使えないということでこれは運送約款の中にもそうきちっと書かれてもいるわけで、回数券のばら売りというのはこれはできるんでしょうか。
#110
○政府委員(荒井正吾君) いわゆる格安航空券の市場でございますが、特に季節波動性のあります観光路線につきましては非常にお客様の動きの少ないときに格安券が出回る傾向にございます。
 どのようなやり方でされているかということでございますが、二部に認可運賃を下回るチケットということがあろうと思われます。そのやり方はやや不明なところもあるんでございますけれども、今委員御指摘されました回数券、いわゆる金券ショップといいますかああいうところで出ておるような形態でございますとか団体運賃をばら売りしたりということがあるやにも聞いておりますが、なかなか流通の実態がつかめない面もございます、申しわけございませんが正確な実態を把握し切れない面もございます。
 ただ、そういう格安のマーケットが存在するということは認識しております。
#111
○高崎裕子君 なかなか実態はつかめないというお話ですけれども、そういうことが実際にはあるということで、これについては私は、冊子で売られているわけでそれでないとだめだ、そういうふうに思うんですね。ですから、そういう点では私は問題があると思うんですけれども、この点についての認識はいかがでしょうか。
#112
○政府委員(荒井正吾君) そのような認可運賃の定められた形態を逸脱するものについては、お客様との運賃の明確性というのをやはり確保していかないといけませんと思いますので、運賃の種類は非常に多様化する傾向にございますが、多様化する中でも正式な運賃として消費者との間で提示するように、お客様の間にその運賃で買える人と買えない人というふうな不公平が出ないような運賃体系にしていかなければいけないんじゃないかと思います。
#113
○高崎裕子君 今、運賃の話が出ましたけれども、要するにもう一つの問題は、回数券は表紙をつけてばら売りではなくてやらなきゃならないという点で、この金券ショップの一つの問題はそれがばら売りされているということで、この点の問題についてはどうでしょうか。
#114
○政府委員(荒井正吾君) 回数券でございますが、回数券につきましては購入時に一枚一枚に氏名を記入されていることは要求されておりませんで、記名人の変更は一応可能とされていると聞いております。
#115
○高崎裕子君 次に、安売りだけではなくて、中には団体旅行ではもっと割引もできるという宣伝もしているわけですね。運送約款では航空券というのは第三者に移譲できないというふうにはっきり書かれているわけです。この金券ショップの安売り券の中には、これに書かれているんですけれども、記名済みの航空券も購入します、そしてそれを売りますということで、記名されているその人しか使えないというふうにきちっとなっているこのチケットがまさに堂々と売られているというようなことになっているのが実態で、こういう実態についてどのように運輸省としては把握されて、そして対応されているのでしょうか。
#116
○政府委員(荒井正吾君) 航空券自身が記名を前提にしていることはそのとおりでございますが、また記名を変更するということもできますので、それが若干省略されたりいろいろちょっと不規則なルートになるという面があろうかという気がいたします。その記名された航空券で一応購入されるわけでございますが、予約の観点からでございます。したがいまして、逆に言いますと、JR券については無記名でございますので、流通の過程で記名人の変更ということが手続省略されて売られているかと理解しております。
#117
○高崎裕子君 いや、これは運送約款の問題で第三者には移譲できないという点ではこれに反するのではないかということで、私としては問題意識を持っておりますので、これについてはやっぱり実態把握して、問題あるところについてはきちっと対応していただきたいと思いますが、よろしいですか。
#118
○政府委員(荒井正吾君) そのように考えていきたいと思います。
#119
○高崎裕子君 本来四万三千百円、それから八枚つづりでも三万九千七百円という正規の運賃が四千円、五千円安いということでこれ三万五千円の航空券を販売されていると、中小業者としたらとても太刀打ちできないというふうに皆さん述べていらっしゃるわけですね。特に、北海道の場合は飛行機なしで旅行というのはもう考えられないという状態になって、北海道の旅行業者の方は、特に中小業者の方の売り上げの約六〇%が航空券で占めているということで、これの影響というのは実は大変大きいものがあるわけです。
 そこで、運賃というのは大臣の認可事項なわけですから、こうした金券ショップの手法というのは、私はやっぱり認可の趣旨に反していくだろうし秩序を乱すものになるのではないかなというふうに思います。今問題があれば改善をというふうに言われましたので、ここはぜひ改善措置をとっていただきたいというふうに思います。大臣、いかがでしょうか。
#120
○国務大臣(亀井静香君) との世界でもとの業界でもけしからぬやつはたくさんおるわけでございます。私どもといたしましては、御承知のように認可にかかわるものでありますが、ただ、航空運賃につきましては、昨年の暮れに五割までの割引は届け出制という形にいたしたわけでございます。あと、四週間前発売ということで新しい商品で三割引が既に出ておるわけでありますが、そういう意味では、航空運賃の多様化といいますか自由化というそうした方向を我々とっておるわけであります。
 しかし、一方ではきちっとした秩序維持が必要でもございますので、委員御指摘のようなそうした海賊的な行為というのはやはり好ましくないと思いますので、我々として調査をいたして、できるだけの対応をする努力をしたいと思います。
#121
○高崎裕子君 私が今指摘した問題はいわゆる営業割引とは違う世界の問題ですので、よろしくお願いいたします。
 それから、同僚委員からも指摘はあったんですけれども、現在東京などでは既にコンビニエンスストアで航空券の購入が可能となっておりますが、これも実際にはやっぱり大手の旅行業者とか航空会社だけが独占的にできる、可能性のあるやり方だというふうに思うんですね。その上、先ほどそういう議論になったときに、観光部長の御答弁の中でコンビニでの主催旅行の取り扱いについて触れられてもおりましたけれども、もともとこの旅行業法は消費者保護の観点でつくられた法律ですけれども、今回の法改正はその消費者保護の強化を一層進めるというそういう立場での改正で、そのことからいっても私は大事なことだと思うんです。
 それから、中小の零細業者の営業を守るという点でも、私この問題は極めて重大な問題だというふうに思っているんです。なぜ重大かと言いますと、旅行業法は主任者を置くということになっておりますよね。これは書面でそして対面販売で取引を行う、つまり、旅行業にかかわる取引というのは非常にトラブルの多い事故の多い世界である、取引であるということにかんがみてこういう書面・対面販売ということが基本とされているわけです。そういう意味では、このコンビニでのこういう販売というのは明らかに反するのではないかというふうに思うんです。中小零細の営業基盤にも直接影響してくるわけで、中小業者にとっては死活問題になってくる。
 これは私が北海道で中小の旅行業者の皆さんのお話を伺ったときにも、この問題が本当に深刻なんだということで強調もされました。こういう中でコンビニでのパック販売ということについては私は行うべきじゃないというふうに思うんですけれども、少なくとも、例えば全国旅行業協会など、これ今度区分が変わりますからどういうふうにこれからなっていくのかということはありますけれども、要するに中小零細業者の同意が得られない限りは、こういうコンビニあるいはスーパーなどでパック販売が行われるということが強行されるということはあってはならないというふうに思うんです。同意が得られない限りは行うべきではないという点で、この点いかがでしょうか。
#122
○政府委員(荒井正吾君) コンビニの販売は、午前中もちょっと申し上げましたように、技術の進展あるいは販売形態の変化等に伴っていろんな商品がコンビニで売られていく傾向にございます。航空券につきましては、これは旅行業法の規制というよりも規制の外で代売ということができるようになっておりますので、チケット自身はチケット販売と同じようにコンビニでも売られるようになっておるわけでございます。
 主催の旅行といった旅行商品につきましては、今委員御指摘ありましたように消費者保護の観点をどうするか、それから中小零細、例えば近所にあります中小零細事業の経営の安定をどうするかそれと情報技術の進展を旅行業としてどのように利用していくかという、まだ若干未解決な問題が残されておりますので、関係業界と行政と消費者、むしろ前向きにいろんな面で取り組んでいかなきゃいけないというふうに考えております。今後、関係者と議論をして詰めていきたいと思っております。
#123
○高崎裕子君 私、いろいろな角度から心配な点を御指摘もしたんですけれども、最後にこの旅行業法にかかわって大臣にお尋ねいたします。
 私どもはこの法案には賛成という立場ではあるんですけれども、今言ったコンビニでのパック販売が認められる方向で中小業者の方の経営が圧迫されていく、影響を受けていくという点では、やっぱり私も大変心配をしているところです。利益率を見ますと大手の旅行業者というのは一二%から一三%と言われる中で、中小の零細業者は七%と極めて低い薄利の中で、経営は厳しい、その中でもお客さんのニーズに合わせてということで懸命にきめ細かな努力もされているわけで、こういう中小業者の経営が守られ、安定が図られ、健全な育成があってこそやっぱり消費者も保護されるということで、ここはしっかり調和していくことが求められていると思うんです。
 ですから、そういう立場で中小業者の方の経営に影響がないように、運輸省としてもきちっと対応をしていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
#124
○国務大臣(亀井静香君) 冒頭にも申し上げましたように、私どもといたしましてはやはり大手の寡占状況ということは好ましくないと思います。活力を維持するという面におきましても、中小業者がやはりどんどんとシェアも食っていけるような、そうした状況が望ましいと思います。
 そういうことについて一つは、とは言いましても、資本の力、情報の力、ネットワークの力、そういうものが現実に大きな格差があることは事実でありますから、スーパーに対して商店がどう伸びていくかという形でいろいろ全国の商店が知恵を出しておりますのと同じように、やはり中小の業者の方々がお互いに協力し合っていく、協同組合がいいのかどうか別といたしまして、全国的な中小企業での助け合い、ネットワークづくりみたいなこともやはり私は努力をされる必要があるんじゃないか。運輸省としてもそれはお手伝いをいたしたいと思います。
 また、中小業者等は、例えば外国旅行を扱うにも外国のエージェント等に直接交渉する力もないわけであります。そのあたりも私は、世界にそれぞれ日本は大使館、公使館があるわけでありますから、そこに運輸省からも外交官が行っておるわけでございますから、そのあたりがそれぞれの地域の観光旅行関係の優良なエージェントを日本国内の中小企業の方々からの御要望があればそれを結んであげるというような、そういうお世話も私はしていくべきではないか。観光部あたりがそういうことをしていくこともあって初めて中小零細は大手に対抗するそうしたことが可能なのではないかな、このように思うわけであります。
 我々としては、今度の法改正もそうした視点に立ってやっておるわけでございますので、大手の下請、孫請で中小業者が細々と食っていくというような状況は私はノーマルな状況ではないと思っています。
#125
○高崎裕子君 それでは旅行に関係して厚生省にお尋ねいたします。
 視覚障害者の方が旅行をする上でも盲導犬の役割というのは大変切実で、盲導犬を本当に育成してほしいという要求というのは強いんですけれども、今年度から五百頭を十カ年計画で育成という計画に入っているわけですね。毎年五十から六十頭ずつ育成することになっているわけです。指導員の育成など問題点を私は昨年の運輸委員会でも指摘をしてまいりましたけれども、現行のメニュー事業ではこの計画というのは達成しないというふうに私は思うんです、国の根本的助成の拡充というのがこの際検討されなければならないと。この問題とそれから今年度五十から六十頭育成できるのかその見通しについてお聞かせください。
#126
○説明員(冨岡悟君) 御説明申し上げます。
 現在、盲導犬は全国に八百頭稼働いたしております。この養成につきましては、厚生省におきまして障害者の社会参加を促進するための都道府県事業といたしまして、障害者の明るいくらし促進事業というのがございます。この中でさまざまなメニューがございますが、この一つとして盲導犬育成事業に助成いたしておるところでございます。
 最近、盲導犬に対して大変理解が深まりまして需要が出ておりますので、平成六年度予算におきましてはそれまでの養成頭数に加えまして各県一頭ずつふやせるように、さらに平成七年度予算案におきましてはもう一頭ずつふやせるようにという予算の措置を講じたところでございます。これによりまして年間全国で百五十頭育成できる予算を確保したところでございます。
 ただいまこの育成の助成についてのお尋ねがございましたが、この育成につきましては全国に八カ所育成する団体がございます。例えば北海道盲導犬協会、それから東京にありますアイメイト協会、こういったところが八カ所あるわけでございますが、平成五年九月には特定公益増進法人ということで税務当局からお認めいただきまして、寄附金に対する税の優遇措置も講じたところでございます。
 それから指導員の助成につきましては、実はこの盲導犬の養成というのは犬の値段というのではなくて、例えばこれはボランティアによって育ててもらったりするわけでございますが、それを一歳になって引き取りまして訓練する、そういう人件費、指導員の費用が主たるものでございます。そういうことで各県が委託する養成費の中で人件費が賄われておるわけでございます。それから先ほど申しましたような税制上の優遇措置などもありまして、篤志家の御寄附といったところで運営されております。
 最初申し上げましたが、いろいろ予算的には努力しておりますが、今後とも頭数をふやすための予算上の努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
 以上でございます。
#127
○高崎裕子君 毎年各県一頭ではとてもテンポに合わないというふうに思いますので、ぜひこれは根本的な助成の拡充ということで頑張っていただきたいと思います。
 今、全国で八カ所ということでお話が出ましたけれども、東北、北陸には盲導犬協会がないわけですね。北海道では積雪期間に盲導犬を訓練して雪国で盲導犬がしっかり視覚障害者と活動できる、歩行できるというふうになるんですが、この東北、北陸の県では例えば東京で訓練をしなさいということで、雪道での訓練を北海道でしたいということでも東京でというふうに言われて、北海道を希望しても受け入れられないという状況があるところもあったと聞いております。全国八カ所しかないわけですから、原則はやっぱり障害者が求める地域で訓練ができるように、ここは希望を聞いて選択できるように強力に指導していただきたいと思いますが、いかがですか。
#128
○説明員(冨岡悟君) 盲導犬の育成をいたしております団体は全国八カ所でございまして、雪の降る地方と申しましょうか、北海道と栃木県にございます。あとは名古屋だとか大阪とか京都とか福岡にあるわけでございますが、それぞれ訓練の中身といった点にもやはり地域性とかございまして、多少の違いがあるというふうに伺っております。
 都道府県が育成団体と委託契約をして費用の助成をする際に、育成先の選定につきましては、やはり盲導犬を利用されようとする方の意向を尊重いたしまして御事情を勘案されまして選定されることが望ましいものと思っております。そういうことで、今後とも当該視覚障害者の置かれている生活環境などを勘案しまして、できるだけ希望を尊重して委託先を決定するよう都道府県とも話し合ってまいりたいと思っております。
#129
○高崎裕子君 それはぜひよろしくお願いいたします。
 最後に大臣にお尋ねいたします。
 視覚障害者にとってはこのように盲導犬というのは大変重要なパートナーになっているわけです。私、盲導犬利用者の会、北海道盲導犬協会盲導犬ユーザーの会というのがあるんですけれども、ここの佐々木会長にも直接お会いしましていろいろお話を伺って事情を聞いたんです。盲導犬と一緒に旅行ができるようになって世界が広がったということで、大変この点では人生観が変わったと言われるんですけれども、例えば東京で宿泊をしたいということになってホテルに電話をしても、うちは盲導犬が一緒だとだめですということで電話をかけてもかけても断られるということで、なかなか泊めていただけないという事情がまだまだあるようなんですね。
 それで、旅行とか観光などをする場合に、国際観光ホテルも含めて、ホテル、旅館での宿泊が拒否されることのないように強力な指導をぜひしていただきたいと思います。
#130
○国務大臣(亀井静香君) 私は、それは御指摘のとおり盲導犬に導かれて観光をされあるいはビジネスをされる方が宿泊ができないなんてことはあってはならぬことでありまして、これはホテル、旅館業者の私はいわば社会的な義務だ、このように思います。といって今強制する法律はございませんから、ホテル協会等関係団体の方に強力にその点をちゃんとするようにお願いをいたしたい、このように考えております。
#131
○高崎裕子君 終わります。
#132
○下村泰君 今たまたま、私もちょっとお尋ねしようかなと思っておったんですが、視覚障害者が盲導犬を連れてホテルに入るということが今出ました。もう国会へ参りましてからどのぐらいこれは申し上げたかわからないんですが、この間も、下田のホテルヘ行ったら犬を連れていってから断られたというんですね。それまで盲導犬を連れていくよと言ったときに、はい、結構ですと言われて、実際に犬を連れてホテルヘ行ったら困ると。盲導犬と夫とどう勘違いしたんですかね、何か間違えたんじゃないかと思うんですけれども。
 実際にこの盲導犬の訓練で、犬そのものは物すごい訓練をされるわけですよ。ですから、その訓練の過程でついていけない犬はもう盲導犬として使い物にならない、ああいうのは警察犬と同じなんです。もし普通、ここにいらっしゃる人間全部があの盲導犬の訓練を受けたとしたら、この中に耐えられる人はいないんじゃないですか。そのくらい過酷なものですからね、盲導犬としての訓練は。そのかわり、訓練された犬というのは実にすばらしいものでして、きちんとした時間が来なきゃ用を足しませんからね。我々だったら自由に便所へ行ってすぐやるんですよ。ところが、あの犬たちというのは絶対に途中ではやりません。きちんとした時間が来なきゃやりません。そのくらい訓練されているんです。
 それで、大臣、こういう話があるんです。最近盲導犬でマラソンをやる方がいるんです、目の不自由な方が。それは結構なんです。ところが、マラソンのときに盲導犬を使ったために盲導犬が死亡したんです。なぜかというと、あの犬はああいう訓練をされていないんですよ。つまり、信号を待つとか、あるいは今自分の主人である人を無事に誘導するのが盲導犬の役目なんです。それが駆けさせられた。しかも、歩道と車道とをきちんと区別して歩くように訓練されている犬が、歩道も車道も走らされたんです。それがストレスになって早く死んでしまったという例があるんですよね。ここまできちんとやっぱりわかってやらないと、私はいぬ年ですから余計感ずるんですが。
 その話はその辺に置きまして、この法案についていろいろとお伺いしたいと思います。障害者あるいは高齢者の旅行ということに視点を置いてお尋ねしたいと思います。
  運送業をしている私と夫の唯一の趣味は旅行。
  二人で温泉巡りをしようと、手軽に行けて値段も安いパック旅行に申し込みをしたの です。
  ところがです。夫は私たちが泊まった旅館の渡り廊下で足を滑らし、大腿骨を骨折す るという大けがをしてしまったのです。
  その旅館の渡り廊下は、両側にある庭がよく見えるように、アスファルトの上にすの こを敷いただけの簡単なものでした。おふる上がりに通るため足元がぬれやすく、とて も滑りやすくなっていたのです。
  聞いてみると、その渡り廊下で転ぶ客は、とても多いということでした。
  転んだのは夫の不注意だといわれるかもしれませんが、私には旅館や旅行会社の配慮 が欠けていたとしか思えません。この旅館や旅行会社に医療費などの損害賠償を請求す ることはできないでしょうか。
 こんなような例が出ているんですけれども、このてんまつというのは私はどうなったか知りません。知りませんけれども、そういう場合は本人が気をつけなきゃならないのが一番だろうとは思いますけれども、高齢の方などが参加するこういったツアーとかあるいはその旅行業者の方においてこういうことはあらかじめ調査をして安全を確認するということも旅行業者の仕事の一つではないかと思うんです。
 運輸省は、今後の高齢社会における旅行業のあり方について、あるいはどういうふうに検討なさっているのかお聞かせ願いたいと思います。
#133
○政府委員(豊田実君) 高齢化社会といいますかお年寄りが社会生活なり今お話があったように旅行を非常に楽しむということが一般的になってきておりまして、それに対する受け入れ体制といいますかそういうことについて努力をしていくということだろうと思います。高齢者の方がうちに閉じこもらず旅行を楽しむとか社会活動をするという場合に、やはり周辺の人がそれを支えるといいますか支援していくという人の面の支援対策と同時に、今お話があったようないろいろな施設面の工夫といいますか、それがやはり重要になってきておると思います。
 この辺は、私ども関係の団体がいろいろな事例を持ち寄りまして、そういう危険の発生を防止するという工夫を施設面からも努力を重ねてきております。そういう意味で、人の面あるいは施設の面からそういう御高齢の方が旅行する際に安心して楽しめるという環境をつくっていきたいと思っております。
#134
○下村泰君 あれはもうほんのちょっとした心遣いで、例えばおふろ場の床の方によくといしを使いますよね、あのといしにそのままちょいと筋目をつけていただくとひっかかって滑らないんです、あれは。あのといしというやつは石畳なんかに使うのが一番いいんだそうですよね。殊に雨が降ったりなんかするとかえって滑らないそうですね、あのといしという石は。ですから、そういった心遣いのちょっとしたことで私は大変旅行する方が気持ちよく旅行できると思うんです。
 それから、厚生省に伺いますけれども、全国ホテル旅館振興センターというのは二年前からシルバースター制度というのを何か始めたようですけれども、その概要をちょっと聞かせてください。
#135
○説明員(高尾佳巳君) 側説明いたします。
 今、先生から御指摘ございました財団法人全国ホテル旅館振興センターというところがございまして、これが一昨年でございますが、平成五年の六月からシルバースター登録制度というのを発足しているところでございます。既に御案内のとおり、私ども厚生省におきましては、旅館業法という法律を所管してございますが、これは公衆衛生の見地から施設、設備の基準を定めているところでございますが、このシルバースター登録制度はそういう先ほど来お話ございますような高齢者に配慮した施設の認定登録制度を実施している部分でございます。
 簡単に申し上げますと、高齢者が利用しやすい宿泊施設の整備を図ろうということから、階段でございますとか客室内の浴室、トイレに手すりを設置するなどのいわゆるハード面、施設、設備面におきます基準のほかに、あとは提供する食事、医療の連絡体制などのいわゆるソフト面の基準、こういうものを定めているところでございます。
 制度発足以来二年弱ということで非常に期間が短うございまして、残念ながら、三月一日現在でございますが、百八十五軒の旅館、ホテルが登録されているという状況でございます。
#136
○下村泰君 これは拝見しますといろんなことが書いてありますが、「標準客室は原則として九平方米(約六畳)以上であること。客室内浴室・トイレには必要に応じ、手すり等が設置されていること。共同浴室は男女の区別がありこと。こんなものは区別がなくたっていいところですよね、もう高齢者なんだからとちょっとそういうことを言いましたら、女の方にはか言っちゃいけないと怒られましたけれども。こういったように細かく設けられております。
 これは私らぐらいの年になりますと、よくホテルや何かが宣伝していますけれども、どこそこの何温泉ホテルというとがばっと料理が出ていますよね、あれで料金を取られちゃたまらないと思うんですがね。だから、老人向けにはむしろああいうふうな料理なんかたくさん出なくたっていいんですよね。いかにもお年寄り向けらしい、ちょこっとでいいんですわ。それで、むしろ料金が下がる方がいいんですよ。畳の数は同じで畳が受ける重量というのは大して変わらない、年寄りが寝た方が畳は傷まないんだ、軽いんだから。ですから、料理の方で調節してもらって、行きやすいようにしてくれりゃいいなと私はいつも思うんですよ。女房なんかよく行くんですけれども、行った先でもって全部食べたことないそうですよ。余っちゃうんですから、食べ切れない。品物が余計ありゃいいというものじゃない、市場と違うんですからな、旅館は。
 これは業界でつくられたものなんです、このシルバースター制度というのは。厚生省の方としては制度としてこんなことを設けるというお気持ちありますか、指導要綱として。
#137
○説明員(高尾佳巳君) この登録制度につきましては、先ほど先生御指摘のように、現在財団法人が自主的なものとして行っているものでございます。
 それで、いわゆる基準の制度云々という形になりますと今後いろんな方面での検討事項もあろうかと存じますが、私ども当面、国民の中に高齢者向けの旅館なりホテル、こういうものが普及していくということがまず先決ではないかと思っておりまして、これらの普及をまず図りたいと思います。その過程で、先ほど来先生から御指摘ございましたようなさまざまな御意見が出てくるのではないか。こういうものを酌み取りながらこの制度を発展させていきたいというふうに思っているところでございます。
#138
○下村泰君 別に厚生省としてこの制度をつくろうなどという魂胆はありませんな。
#139
○説明員(高尾佳巳君) 魂胆とはどういう意味がよくわかりませんが、ただ、私どもがそういう形でこの財団法人を通じましていろんな形での普及を図っていきたいというのが魂胆という意味なのかどうかわかりませんが、そういう形のものは進めてまいりたいと思っているところでございます。
#140
○下村泰君 つまり全面的にバックアップしていく、こういうことですね。
 さて、それで運輸省の方としてもそういう制度を作成すべきだと思うんですが、よく旅館の前に行きますと昔は運輸省指定どうのこうのとありましたよね。それだけ携わっているんですから、運輸省が推薦する旅館へ行ってけがをしたというんじゃ困っちゃうんだけれども、そういう何かやろうというお気持ちはありますか。
#141
○政府委員(豊田実君) 建物としましては一般的な基準というのがあるわけですが、お話しのように、ホテル、旅館という特有な施設で利用しやすい方法を工夫していくということは私ども運輸省としての任務だろうと思っております。先ほどもちょっと触れましたように、これについては全国にいろんな改善例というものが今たくさん出てきておりまして、それらをいわば集約した形でモデル的なガイドラインと申しますか、そういうものを私どもとしてはっくり上げていきたいと思っております。
#142
○下村泰君 以前にほかの委員会でも申し上げたことがあるんですけれども、旅館というのは泊まりやすさ、泊まりやすさというのはおかしいですか使いやすさでしょうかね、それから同時に、災害時の避難ということも大切なことだと思うんです。それから避難誘導のあり方ですね。
 最近、温泉の旅館なんかへ入りますと、部屋へ案内してくれる仲居さんが、すぐに非常口はあっちでこっちでなんて説明されますが、何かただふわふわふわと言われているだけで、こっちもふわふわふわと聞いているだけで、あれはいざというときにはどういうふうになりますかな、大変私自身もいいかげんですから後になって心配しているんですけれども。
 マル通マークというのがありまして、このマル道マークということについて前に伺ったことがあるんです。マル道はかんてきと違って完全なものでなければいけないだろうというようなことを申し上げたときに、たしか消防庁の方がこんなお答えをしたことがあるんですよ。
 俗にマル道マークというふうに言っているわけでございますが、役所的な言い方をしますと防火基準適合表示制度ということですが、これは建築基準法なり消防法なりで規制というものが画一的に決められておりますが、要するに、その規制にきちんと合っているかどうか、それからあと、維持管理の面あるいは防火管理の面も若干の項目で見ておりますけれども、基本的には法令の規制に適合しているかどうかという観点で実はマル道マークというものを出しているわけでございます。
 そこで、今御指摘いただきました問題は現在の法令のもとで強制的に規制をされている事柄では実はないわけでございまして、障害を持った方々が例えばお泊まりになった場合に、万一火災があった場合、円滑に避難していただくためにはそういう施設もあった方がいいではないか、これはもう間違いないのでございますが、ただ、法律上そこまで一体義務づけることができるかどうかというような問題もあろうかと思いまして、現在のところ法律上の義務にはしていないということになっております。したがいまして、マル道マークを出す場合も、そこの項目はなくても、これは法令の基準は守っているわけでございますからマークは出るということでございます。
 こういうふうにお答えになっているわけなんです。私は、マル道マークというから、もう目の不自由な方もあるいは耳の不自由な方も、そこへお泊まりになればすべてがそういうふうに合致して避難できるんじゃないかなというふうにこちらは受け取って実はこのとき質問したんですけれども、こういうふうにお答えになっているわけでございます。
 そこで、消防庁、厚生省、運輸省にそれぞれどういうふうなお考えを持っているのかお答え願いたいと思います。
#143
○説明員(大野博見君) 先生ただいまお話がございましたように、防火基準適合表示制度いわゆる適マーク制度は、旅館、ホテル等を対象といたしまして一定の防火安全性を有する施設について適マークというものを交付し表示しまして、不特定多数の利用者に対しまして、当該施設が防火安全性を有するんだという情報を提供することを目的に行っているものでございます。
 この適マークの交付に当たりましては、防火管理者の選任がなされているかどうか消防計画もきちっとつくっているかどうか、あるいは法令に基づく避難訓練も実施することになっているかどうか、それから各種消防用設備の設置も行われているかどうかという、一定の防火基準に当該施設が適合しているかどうかを確認した上で交付しているところでございます。
 特に、今おっしゃったような点からいいますと、防火管理者に対しまして講習用の教材を作成して、高齢者あるいは身体障害者等の方々を優先的に避難させるなどの配慮を行うように消防機関を通じて指導もしております。それから、特に問題となります夜間の防火管理体制につきましては、特別の指導マニュアルをつくりまして防火管理の徹底についても指導しているところでございます。それから、避難訓練については、年二回以上実施することを規則で義務づけているところでございます。
 なお、昨年十二月に旅館・ホテル等における防火安全対策検討委員会を設置しまして、現在旅館、ホテル等における防火安全対策のあり方を検討しているところでございますので、これらによる検討を行いながら、今後さらに高齢者、身体障害者等の防火安全性の確保について努力してまいりたいというふうに考えております。
#144
○説明員(高尾佳巳君) 災害時の避難の関係につきましては先ほど消防庁の方から御答弁いただいたとおりでございますが、厚生省におきましてはさらに付加いたしますと、そのような形で消防庁の方から指導がございますと、当然のことでございますがそれに応じたような形での避難施設、設備の整備を図っていかなければならないという問題があるわけでございます。そういうことに対しましては、従来から環境衛生金融公庫というところで有利な条件によります貸付制度を実施しているところでございまして、そういうことと相まって防火対策、避難対策等については万全を期してまいりたいと思っておるところでございます。
#145
○政府委員(豊田実君) 私ども運輸行政で基本的な問題といいますか課題というのは安全を確保するということで、これは常々申し上げているところでございます。先ほども申し上げましたように、これから高齢者の方とか障害者の方が旅行を楽しむ機会が非常に多くなるということを考えた場合に、やはりホテル、旅館等の宿泊施設の安全ということが非常に大きな課題だろうと思っております。
 私ども、旅館等の従業員、職員の方の意識はもちろん、常日ごろ安全問題についてきちんととらえてもらうということをやっておるわけですが、今後とも、消防機関の協力などももらいながらその辺の誘導体制の整備とか教育訓練というものをより徹底していきたいと思っております。
#146
○下村泰君 本当にこの日本という国は難しいなと思うのは、旅館は厚生省なんでしょう。
#147
○説明員(高尾佳巳君) はい、旅館業法という形で厚生省でございます。
#148
○下村泰君 その中で火がつくと今度は消防庁の方に。そこへお客を運ぶのは運輸省なんです。それで、しかも自治省がマル適マークを出している。何だかさっぱりわからぬですが、一体どこが最高の責任者なのか。そうなると総理大臣なんですかね。何か話を聞いているうちに、だんだんどこへどういうふうにお願いしていいかわからなくなってくるんですが。
 それから、一言言っておきますけれども、さっき訓練の話が出ていましたけれども、この間もどこかで火事がありました、旅館だかどこかで。そのときに、そこの旅館は大変訓練が徹底していたと。そのためにけが人も何も出なかったというような報が伝えられていました。やっぱり訓練をするかしないかというのは重要な課題の一つだと思います。殊に年寄りになりますと一寸、二寸高くてもけつまずいてひっくり返るんです。そういう状態もありますから、どうぞひとつ十分にその点は指導してあげてください。よろしくお願いします。
 さて、大臣、昨年JTBがシルバーシッターの会社とタイアップして新たなサービスというか事業を始めました。
 具体的にはハウスキーパーを派遣するんですけれども、「お年寄りが海外旅行に出かける際のハウスキーパーサービスも始める。」、こういうふうに出ているんです。「JTBの熟年海外旅行の参加者が対象で、利用料金は二時間四千円。これまで、お年寄りの海外旅行の参加を妨げる要因となっていた留守中の家の中の掃除やペットの世話、帰国時に必要な食料などの買物など留守中に必要な家事全般を代行する。」、こんなふうに出ております。
 このように、今後高齢化社会が進むにつれて高齢の方の旅行、特に海外がふえるのは十分予想されると思います。そのとき、旅行の内容がきちんと伝えられるようなマニュアルが必要になると思います。より一層の親切丁寧な旅行会社などの説明が必要だと思います。こうしたことも踏まえまして、高齢社会における旅行業者のあり方は十分検討しておくべきことだと思うんですが、もう一度ひとつ大臣からお答え願えれば幸いであります。
#149
○国務大臣(亀井静香君) 旅行業というのは、私は大変難しい仕事だと思います。ただ単に計画を立てて募集をしてそしてスケジュールに乗っけてという、それで済むものではございませんで、旅行者は、添乗員の方の具体的な、特に老齢の方、障害者の方等についてのやはりきめ細かいサービスといいますか配慮といいますかそういうものが伴わなければ旅行してよかったななんてことは思われないわけであります。旅行というのは行けばいいというものじゃなくて、来てよかったな、行ってよかったなという、その基本はやはり村山内閣の人に優しい政治という、まさに人に優しいノウハウを提供し具体的にそれを実行しなければ旅行業というのは本来成り立たない、そういう意味では極めて属人的な色彩の非常に強い業種だ、私はこのように思っております。
 そういう意味では、運輸省といたしましても、ただ機械的に送り出してとにかくスケジュールに乗っけて帰ってくればいいということじゃなくて、旅行することによって本当に行った先々での人の情の深さを感じながらいい旅だったなと帰ってこれるような、私は旅行業者というのはそうした運営をしていかなければならないと思いますので、そういうソフトの面を含めまして運輸省としてはいろいろとお願いをし、また指導する点があれば指導していきたい、このように考えております。
#150
○下村泰君 本当に大臣のおっしゃるとおりなんですよね。せっかく行って行く先々で対応が悪いと気持ち悪くてよく腹が立つんですよ。こんなんだったら銭を返せって言いたくなるようなときもあるんですね。それが、対応がいいとまた行きたいとか、あるいはあそこへ頼めば間違いないなと、こういうことというのはもうこれはどこにでもあります。事旅行に限らず、品物を買うにしても物を求めるにしても多分私は根本にはそういうものがあるんじゃないかと思います。
 ここに、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律というのが実はあるんですね、きちんとこういうふうに。平成六年六月二十九日になっております。厚生省の方は、別に厚生省の方には出していませんけれども突如これを持ってきたんですけれども、こういうものに基づいてのいろいろな指導というのはやっぱりあるんですか。
#151
○説明員(高尾佳巳君) 直接の所管でございませんので、私が承知している限りのことだけ説明させていただきますが、いわゆるバリアフリー法と称される法律のことかと存じます。それにつきましては、当然のことですが厚生省も、高齢者それから障害者という観点から私どもいろいろと御相談申し上げまして、建設省でございますとか運輸省でございますとか、そういう関係省庁の方にこういうことの配慮をお願いしたということで御賛同申し上げているというような格好にしているというふうに聞いておるところでございます。
#152
○下村泰君 どうもありがとうございました。
 一九七〇年に国際レクリエーション協会が制定したレジャー憲章や一九七六年の世界余暇憲章会議の余暇憲章でも、あらゆるレクリエーションヘの参加の権利とか旅行が人間にとって大変重要なものであるということがうたわれております。また、障害を持った人の旅行といいますと、一九九一年の余暇開発センターの障害者の余暇活動に関する意向調査でも、最も希望の強かったものが何だというと旅行とスポーツなんですね。
 そして、最近こういうことが次々に起きておるわけです。
  障害者・お年寄りら招待 入社内定者が「添乗員」 新人研修を兼ねた臨時特急列車 「ふれあいエキスプレス号」を運行、身体障害者やお年寄り、外国人など約百五十人を 栃木県藤原町の東武ワールドスクウェアに招待した。
 それから次が、
  盲導犬同伴、初の海外ツアー 視覚障害者が盲導犬同伴で出かける初の海外ツァーが 二月に実施される。企画したトラベルデザイナー、おそどまさこさんは「障害者だけで なく、健常者にも体験してほしい」と広く参加を呼びかけている。旅行は「視覚障害者 にやさしいフランスツァー ニース・パリ七日間」。
 それから今度は、
  障害者・高齢者向けツアー登場 障害を持つ人々にも気軽に海外旅行を楽しんでもら おうと、車いす用のリフト付きバンでの移動など、さまざまなサービスを盛り込んだハ ワイ・アメリカ西海岸へのツアーが登場した。
これはアロハセブンというところが主催する「あおぞらツアー」と言うんですね。
 それから、
  障害者向け旅行を企画 近畿日本ツーリストは、今年から障害者向け旅行の開発に本 格的に取り組む。「旅行会社として、旅行に行きたいという社会的要請にこたえる必要 がある」と、障害者向けの旅行商品の開発にあたる専門部門を設けることにした。
 それから今度は、
  ビジネスホテル 新型をチェーン展開 ビジネスホテルを手掛ける企業が、相次いで 新しいタイプのホテルをチェーン展開する。高齢者、障害者用の客室、介護サービスを 備えたり、
なんかしよう、こういうふうになっている。
 いろいろとこういうふうに企画されたりしております。
 また、昨年私のところに説明に来たのは日本航空なんですけれども、こういうパンフレットを持ってきまして、いろいろと高齢者とか障害者のための窓口はこういうところでございますと。大変今殺到しているそうですね。ところが、これが先ほど冒頭に当たりまして、航空運賃が高かったなんということもございますけれども。
 では、どうしてこれほどここへきて障害を持つ人の関心がこういうふうに高まってきたかと申しますと、原因は幾つかあるでしょう。
 一つは、さきに述べましたようにニーズがあるということ。二つ目は旅行の持っリハビリ効果が大きいんですね。
 アメリカでこういうことがありました。まるで植物人間に近い小児麻痺の状態の方がおりまして、子供さんじゃないんですが、もう全然動かないんです。車いすに乗ったままです。何の反応もない。この方に何とかインストラクターが、強烈なリズムの、十六ビートとか三十二ビートなんというビートのきいた強烈な音を流しまして、毎日一時間ずつ続けているうちにまぶたが動いて反応を示すようになったというんです、音を聞かせただけで。そのうちに手足が動くようになったという報告が来ているんです。ですから、動いたりなにかするということは大変リハビリにもってこいの効果があるということもあります。
 三つ目は、アメリカなど町づくり先進国への関心の高さがあると思います。
 しかし一方で、なお多くの阻害要因があります。
 第一には、交通機関、宿泊施設を初め社会環境の不備、二つ目には社会意識としての障害を持つ人の旅行に対する理解の不足、三つ目には情報不足があります。
 私は、障害を持つ人が自由に旅行できる社会というのはこれは大変高度な文化のある社会だと思うんです。その到達度が、どのくらい到達できているかということがその国の文化程度をはかる重要な尺度だと思うんです。これはアメリカの元大統領の御夫人が言っています。その国へ行って精神障害の方々の施設、精神障害の方々にどう対応しているかということを見ればその国の文化程度がわかるとはっきり言われております。たしかこれはレーガン元大統領の奥さんでしたか、そういうことを言われております。
 ですから、そういうことは大変必要なんですけれども、先般天王寺駅のことを述べましたけれども、日本は身近な交通機関が使えなくて飛行機など余り使わないものが使いやすいんです。隣近所にあるものが使いにくくて遠くへ行くものが使いやすいんです。だから、ある車いすの障害を持った人が言いました。アメリカには行けるけれども隣の町には行かれないと言うんです。これはどうも情けないことだと思います。
 もう大臣には耳にたこができるほどの問題だと思います。さんざん私も言ってきました。だから、本当に文化度を上げようとするなら相当に思い切ったことをやらないとまずいと思うんです。ひとつ、ここで亀井運輸大臣のお名前を後世に残すようなことをしていただきたいと思うんです。
 それで、こういうふうなことが言われています。
  運輸省は高齢者や体の不自由な人が利用しやすい駅を整備するため、JRや地下鉄事 業者が新たに建設する駅などにエレベーターや障害者用トイレなどの設置を義務づける 法律を制定する方針だ。
  新たに制定するのは「高齢者、障害者のための公共交通施設整備促進法」(仮称)。 具体的には、新設駅や高架化などの大規模な改良を実施する事業者に対して、@段差解 消のスロープかエレベーターを設置するA障害者用トイレを整備するB目の不自由な人 向けの誘導ブロックを設ける――などを義務づける。
こういうふうになっております。運輸省、これは九三年ごろに出ているんです。
 ですから、こういうことを含めて、ひとつ運輸大臣のお気持ちを聞かせていただきたいと思います。
#153
○国務大臣(亀井静香君) 下村委員からこの委員会のたびごとに強い御指導をちょうだいいたしておるにもかかわらず、なかなか実態が進まぬじゃないかという御指摘でございますが、障害者の方々にとって住みいい町、また住みいい日本でなければならぬと思いますが、そういう面で運輸省としては非常に今委員の御指導の線で努力はいたしております。
 具体的には、一応地下鉄につきましては、段差が五メートル、全部やればいいんですけれどもやっぱり重点的にやらにゃいけませんから、当面は段差五メートル、一日の乗り降りが五千名を一つの基準にいたしまして、そこをまず重点的にやろうということで、エレベーターにつきましては現在一七%程度がその基準の中で今整備が進んでおりますが、エスカレーターにつきましては四五%、その基準の中でということで今進めておるわけでございます。本年度も一応、もうあとわずかでございますが、一億一千二百万、大体補助率がこれ十分の一でございますけれども、あと交通アメニティ推進財団、これは十分の一補助でございます。
 さらに、下村委員からの強いあれもございましたので、ことしからリフトバス、これを今年度の予算からやることにいたしました。初年度でございますから額としてはわずか八千八百万でございますけれども、これは五分の一補助、さらに交通アメニティ推進機構、ここから十分の一補助ということで、委員の非常な強い御提言を受けて、我々としては一挙にばっといかぬわけでございますが、今運輸省としては力を入れてやっていることを御理解を賜りたいと思います。
#154
○下村泰君 時間が来たからおしまいにしますが、ちょっと大臣、今の段差五メートルというのは何ですか。
#155
○国務大臣(亀井静香君) 上と下と、駅のホームまでの段差です。
#156
○委員長(大久保直彦君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認め、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十三分散会
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ソース: 国立国会図書館
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