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1995/03/17 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 商工委員会 第5号
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1995/03/17 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 商工委員会 第5号

#1
第132回国会 商工委員会 第5号
平成七年三月十七日(金曜日)
   午前九時三十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     村田 誠醇君     喜岡  淳君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         久世 公堯君
    理 事
                沓掛 哲男君
                吉村剛太郎君
                梶原 敬義君
                長谷川 清君
    委 員
                倉田 寛之君
                斎藤 文夫君
                下条進一郎君
                中曽根弘文君
                前畑 幸子君
                吉田 達男君
                藁科 滿治君
                井上  計君
                牛嶋  正君
                松尾 官平君
                小島 慶三君
                市川 正一君
   国務大臣
       通商産業大臣   橋本龍太郎君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       高村 正彦君
   政府委員
       公正取引委員会
       委員長      小粥 正巳君
       公正取引委員会
       事務局長     糸田 省吾君
       公正取引委員会
       事務局取引部長  大熊まさよ君
       経済企画庁長官
       官房長      涌井 洋治君
       経済企画庁調整
       局長       吉川  淳君
       経済企画庁国民
       生活局長     坂本 導聰君
       経済企画庁物価
       局長       谷  弘一君
       経済企画庁総合
       計画局長     土志田征一君
       経済企画庁調査
       局長       大来 洋一君
       通商産業大臣官
       房長       中川 勝弘君
       通商産業大臣官
       房総務審議官   林  康夫君
       通商産業大臣官
       房商務流通審議
       官        大宮  正君
       通商産業大臣官
       房審議官     中島 邦雄君
       通商産業省貿易
       局長       広瀬 勝貞君
       通商産業省産業
       政策局長     牧野  力君
       通商産業省基礎
       産業局長     清川 佑二君
       資源エネルギー
       庁長官      川田 洋輝君
       中小企業庁長官  中田 哲雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        里田 武臣君
   説明員
       警察庁生活安全
       局生活環境課長  瀬川 勝久君
       警察庁刑事局捜
       査第一課長    中島 勝利君
       防衛庁教育訓練
       局教育課長    山中 昭栄君
       防衛庁装備局武
       器需品課長    石井 道夫君
       環境庁長官官房
       総務課長     生田 長人君
       法務省保護局観
       察課長      松本  勝君
       外務省総合外交
       政策局軍備管理
       軍縮課長     高松  明君
       外務省アジア局
       中国課長     野本 佳夫君
       外務省条約局国
       際協定課長    門司健次郎君
       大蔵省国際金融
       局金融業務課長  渡辺 達郎君
       厚生省薬務局安
       全課長      植木 明広君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○平成七年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成七年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成七年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について
 (総理府所管(公正取引委員会、経済企画庁)
 、通商産業省所管(中小企業庁を除く))
○化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する
 法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(久世公堯君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十六日、村田誠醇君が委員を辞任され、その補欠として喜岡淳君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(久世公堯君) 去る三月十四日、予算委員会から、本日三月十七日一日間、平成七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公正取引委員会及び経済企画庁並びに中小企業庁を除く通商産業省所管についての審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 通商産業大臣から説明を聴取いたします。橋本通商産業大臣。
#4
○国務大臣(橋本龍太郎君) 平成七年度の通商産業省関係予算及び財政投融資計画について御説明申し上げます。
 我が国経済は、緩やかながら回復基調をたどっておりますが、一方では、雇用情勢が依然厳しい状態であるほか、設備投資も総じて低迷が続いております。
 そこで、ようやくあらわれてきた景気回復の足取りを本格的なものにしつつ今後の発展の基礎を築くため、為替変動を含め、内外の経済動向を注視しつつ、適切かつ機動的な経済運営に努めるとともに、我が国がゆとりと豊かさに満ちた二十一世紀を迎えるため、自己責任に基礎づけられた創造力と活力に満ちあふれた経済社会を構築することが必要不可欠であります。
 また、顕在化するエネルギー環境問題に対し責任ある対応を果たすとともに、新たな国際秩序の形成に向けて主体的に取り組んでいくことが一層重要となっております。
 私は、このような認識のもとに、平成七年度の通商産業省関係予算等の作成に当たり、次のような基本方針に沿って諸施策の実現を図ることとした次第であります。
 第一は、国際社会に開かれた豊かな経済社会を実現するための改革の推進として、市場機能の強化による経済改革の推進と社会資本の整備を行うものであります。
 第二は、新規経済活動分野の開拓等を通じた産業構造転換の促進として、新規市場創造に向けた構造改革、技術開発、情報化、中小企業施策等を推進するものであります。
 第三は、総合的エネルギー政策の展開として、エネルギーの安定供給を確保しつつ、エネルギー供給体制の柔軟化・効率化等を推進するものであります。
 第四は、自己責任を基礎とした質の高い国民生活の実現として、環境調和型経済社会の構築等を推進するものであります。
 第五は、調和ある対外経済関係の構築と地球的課題への対応として、APEC域内協力等の対途上国協力、地球温暖化問題への対応等を行うものであります。
 この結果、一般会計につきましては、九千二十七億九千七百万円を計上しております。また、特別会計につきましては、石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計七千十一億九千九百万円、電源開発促進対策特別会計四千五百二十五億六千六百万円を初め、当省所管の五つの特別会計にそれぞれ所要の予算額を計上しているところであります。さらに、財政投融資計画につきましては、財投規模ベースで九兆九千七百九十一億円を計上しております。
 以上、平成七年度における通商産業省関係の予算及び財政投融資計画について、その概要を御説明申し上げました。
 通商産業省関係予算及び財政投融資計画の詳細につきましては、お手元に資料をお配りいたしておりますが、委員各位のお許しをいただき、説明を省略させていただきたいと存じます。
 何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
#5
○委員長(久世公堯君) 次に、経済企画庁長官から説明を聴取いたします。高村経済企画庁長官。
#6
○国務大臣(高村正彦君) 平成七年度の経済企画庁関係の予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 総理府所管一般会計歳出予算のうち経済企画庁の予算額は、五百六十九億円余りであります。
 また、財政投融資計画につきましては、海外経済協力基金に係る分として、六千三十五億円を予定しております。
 以下、重点事項につきまして、その内容を御説明申し上げます。
 第一に、適切かつ機動的な経済運営と的確な経済情勢判断の推進に必要な経費として、六千二百万円余りを計上しております。
 この内訳の主なものは、経済状況を的確に把握するため単身者世帯の消費予測調査の実施、早期政策判断支援システムの運用・改善などに必要な経費であります。
 第二に、構造問題への対応に必要な経費として、一億四千五百万円余りを計上しております。
 この内訳の主なものは、内外価格差の是正・縮小のための調査・分析、適切な公共料金政策の推進、規制緩和の経済に及ぼす効果の調査・分析、空洞化等の構造変化への対応、活力ある地域経済の実現に向けた施策の検討に必要な経費であります。
 第三に、豊かで安心できる生活者重視社会の実現に必要な経費として、三十二億二千二百万円余りを計上しております。
 この内訳の主なものは、製造物責任法を適正に施行し被害の防止と円滑な救済等を図るための消費者安全施策推進、地方消費者行政推進事業、国民生活センターの機能の充実・強化及び生活者・消費者自立のための支援、経済と環境問題についての調査・検討などに必要な経費であります。
 第四に、国際経済問題への取り組みの強化に必要な経費として、四百三十九億二千三百万円余りを計上しております。
 この内訳の主なものは、まず海外経済協力基金に対する交付金四百三十五億円余りであります。
 本基金の平成七年度の事業規模は、九千四百億円を予定しており、このための資金として、一般会計において、前述の交付金のほか出資金三千三百五十四億円が大蔵省に計上されるとともに、財政投融資計画においても、資金運用部資金等からの借入金六千三十五億円が予定されております。
 また、市場アクセスの改善と国際的に調和のとれたシステムへの移行を促進するため、政府調達苦情処理機関の設置・運営、市場開放問題苦情処理体制の強化・充実、対日投資促進と対日投資会議運営に必要な経費、二国間・多国間経済協議への積極的な取り組みに必要な経費、経済協力の充実・強化を図るための経済協力基本方針の策定、地方公共団体との連携促進に必要な経費及び交流を通じた相互理解・支援の強化などに必要な経費が含まれております。
 第五に、経済分析・情報収集及び情報提供機能の強化に必要な経費として、七億八千五百万円余りを計上しております。
 この内訳の主なものは、各種構造変化に対応した国民経済計算体系の改定作業の推進、情報システムの高度化を図るための情報処理装置の整備などに必要な経費であります。
 以上、平成七年度における経済企画庁関係の予算及び財政投融資計画について、その概要を御説明申し上げました。
#7
○委員長(久世公堯君) 次に、公正取引委員会委員長から説明を聴取いたします。小粥公正取引委員会委員長。
#8
○政府委員(小粥正巳君) 平成七年度における公正取引委員会の予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 総理府所管のうち、公正取引委員会の予算額は、五十二億三千九百万円となっております。これは、前年度予算額に比べますと六百万円、〇・一%の減額となっております。
 これは、前年度予算額に庁舎移転のための経費二億三千六百万円が特殊要因として含まれていたことによるものであり、これを考慮いたしますと、実質的には四・六%の増となっております。
 以下、その内容について御説明申し上げます。
 第一に、独占禁止法施行経費等として、四十八億千百万円を計上しております。
 これは、違反事件の審査のための経費、経済実態や流通実態の調査及び対策のための経費など、独占禁止法を厳正に運用するとともに、法運用の透明性を確保するための経費であります。
 第二に、下請代金支払遅延等防止法施行経費として五千万円を計上しております。
 これは、下請法運用の強化と啓発・普及活動を積極的に行い、下請取引の適正化を推進するための経費であります。
 第三に、不当景品類及び不当表示防止法施行経費として二億六千七百万円を計上しております。
 これは、景品表示行政を積極的に推進することにより、消費者利益の保護を図るための経費であります。
 第四に、公正取引委員会の機能を拡充強化するための経費として一億千百万円を計上しております。
 これは、独占禁止法違反事件の処理を担当する審査部門を中心とした増員、機構の拡充等を行うための経費であります。
 以上、平成七年度における公正取引委員会の予算につきまして、その概要を御説明申し上げました。
 何とぞ御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
#9
○委員長(久世公堯君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○吉村剛太郎君 冒頭に、今国会は御存じのように東京の二つの信用組合乱脈経営に絡みまして官僚のモラルというものが大変問われておるわけでございます。そういう中におきまして、今回のは特に大蔵省との関係でございますが、しかし通産省といたしましても、これを他山の石として今日までも綱紀引き締めには努めてこられたと思いますが、こういう問題を見ましてなお一層そういう面の引き締めということを図っていかなければならないであろう、このように思う次第でございます。
 特に、通産省はそれぞれ経済界との関連が深いところでございます。当然、地に足がついた、また血が通った通産行政、政策といいますものを遂行していくからには、そういう現場の民間の方々と密接な連絡をとり合う、時には肌の触れ合いを通して真の声を聞くということもこれまた大変大切なことであろう、このように思う次第でございますが、それだからこそ、特にこういう機会にそういうところのけじめといいますものをもう一度見直す必要があるのではないか、このように思う次第でございます。
 そういう点に関しまして、大臣もしくは事務方の今日の取り組み及び今後の取り組みについて何かあればお聞かせいただきたい、このように思います。
#11
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、世間でさまざまな角度から官僚のモラルというものが議論の対象になり、一部御批判を受けている部分がありますことを大変残念に思います。
 公務員というものは国民全体の奉仕者、そしてその職務を行うに当たりましていやしくも国民から疑惑を受けるようなことがあってはならないというのは当然のことであります。通産省といたしましても、従来から綱紀粛正というものについてはその維持に遺漏なきを期してきたつもりでありますが、これからも機会のありますたびに官庁綱紀の粛正について徹底を図ってまいりたいと思います。
 先般の閣議におきまして、内閣官房長官からそれぞれの省庁における綱紀粛正をもう一度きちんと確認してほしいという御指示がありまして、通産省といたしましては、三月十五日に事務次官が局長、長官等を集めました会議を持ちました際、一層綱紀の粛正の徹底を改めて指示いたしました。今後ともに国民の批判を招かない、そうした姿勢をとり続けてまいりたい、そのように考えております。
#12
○吉村剛太郎君 まさに今大臣がおっしゃったように、国民の疑惑を招かないような厳正な態度で臨んでいただきたい、このように思っています。
 きょうは通産省及びその他でございますが、行政の中核で仕事をしていただいている方が並んでおられるわけでございます。皆様はそれぞれ、一般企業いわゆる利益を追求するというような会社に就職するのではなく、行政という組織の中に入って、そして皆様が持っておられます考えや能力といいますものを行政の中で大いに活用していただき国の運営に参画する、そういう使命感と、またそこに誇りを持って取り組んでおられるわけでございます。そういう面で、本当にこれからの国のために社会のためにすばらしい官僚としての活躍を心から期待したい、このように思う次第でございます。
 それと同時に、このように言っております我々政治家もまた、これを機会に本当に反省すべきところを反省し、厳粛な気持ちで政治に取り組んでいかなければならない、このように思う次第でございます。よろしくお願いいたします。
 続きまして、今日の急激な円高についてお聞きしたいと思います。かつては一ドル三百六十円の時代がございました。我々子供のころは一ドルは三百六十円ということでずっと認識しておったわけでございますが、ちょうど十年前のプラザ合意、その当時は一ドルが二百四十円弱でございました。それから十年たちまして今日、きょうは私まだレートを見ておりませんが、恐らく九十円ぐらいではないかと思いますが、まさに急激な円高になってきておるわけでございます。
 この要因は、一方では投機的な側面が強い、このようにも言われておりますが、しかし基本的には我が国の貯蓄性向の高さ、貯蓄過剰といいますか貯蓄の高さ、また大幅な貿易収支の黒字、そういうところがやはり根底になっておるんではないかこのように思う次第でございます。
 そういう中で、今日のこのような急激な円高を見ますときに、一つは、ドルといいますものが今日の基軸通貨、国際通貨でございますが、かってはポンドの時代があった、しかしイギリスが力が弱まると同時にポンドからドルの時代になってきたわけでございまして、戦後の五十年はある意味ではドルの時代であったと言えるのではないか、このように思うところでございますが、そのドルが今威信を大きく傷つけておる、このようにも感じる次第でございまして、ある意味ではドルにかわる新しい国際的に共通する通貨といいますものを遠い将来的にはつくり出していかなければならないんではないかなということも考えないわけではないわけでございます。
 そういう中で、今日のこの急激な円高といいますもの、その要因は何であるか、まずお聞きしたいと思います。
#13
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回の円高、と言いますよりも実質的に我々はドル安という言い方をしたいぐらいの思いがありますけれども、その直接の原因がメキシコの経済情勢の不透明さ、そしてそれに対するアメリカの救済策のおくれといったことに起因する、そうした批判があることは御承知のとおりであります。
 同時に、ヨーロッパにおいて一部の通貨がマルクに対して非常に弱含んできている、切り下げを必要とするようなものすら生じたといった状況がありましたことも、これは否定できないことでありましょう。ちなみに、本日東京の九時、九十円六銭から八銭で取引が始まっておりまして、非常に我々としては心配な状況が続いております。
 そして、今委員はその原因をお尋ねいただきましたけれども、私はその原因としてはいろんなものがあると思います。それは投機的な資金の流れもありましょう、あるいは期末を控えて企業の手持ち資金の買いかえといったこともあるかもしれません。しかし、この影響がどれほど深刻に日本の輸出を中心とした中小企業等に影響を与えているか。これは我々が調査を開始いたしました三月八日の時点、その時点で想像したよりもはるかに深刻なものがございます。
 昨日、その調査の結果を公表させていただいたわけでありますが、前回、百円台から九十円台に入りました時点で行いましたときには、それでも影響を受けないという答えが三%弱はございました。また、これに対して立ち向かうだけの気力を中小企業者は有しておられました。ところが、今回の調査、三月八日に八十円台に突入しました直後に開始をいたしますと、現在既に影響を受けている比率も一〇%余りふえておりますし、今はないが間もなく受けるであろうというものを入れますと、一〇〇%の方々が何らかの影響を受けるという答えをしてきておられる。しかも、それに対してあなたの企業はどう行動されるんだという問いかけに対して、有効な手だてなしというお答えが二五%出てきました。
 これは本当に質的にも大変な変化でありまして、我々としては、通貨当局に全力を挙げての御努力を心からお願いをすると同時に、一方、通商産業省としての施策を、駆使できる手だては何もかにも使いながらこの時期を乗り切るために努力をしたい、今そのような心境にあります。
#14
○吉村剛太郎君 今まさに大臣がおっしゃいましたように、円高というよりもドル安だということでございますが、先ほど私が申しましたようにドルの威信が非常に低下をしておる、こういうことであろうかと、特に円とマルクに対して安くなっておるということであろうかと、このように思う次第でございます。
 そういう中で、先ほど申しましたように、ドルを国際通貨として今後国際貿易をやっていくには、もうドルはそれだけの責任にたえ得る力がないんではないかなという感じすらするわけでございます。NAFTA圏はドル中心ということで行くと思いますし、またヨーロッパは新しい共通通貨をということで今進んでおりますが、これは大変難しい状況だなという感じもするわけです。また、アジアは経済のリーダーシップは日本がとっておるわけですから円を中心にと。
 将来的には共通の通貨ということも視野に置きながら、中期的には通貨のブロック化というようなことは考えられないんでしょうか。通貨当局の御意見をちょっとお聞きしたいと思います。
#15
○説明員(渡辺達郎君) 御説明いたします。
 先生御指摘のように、通貨の安定ということが経済の安定に対して大変重要なものであるということはもう間違いございません。また、欧州連合、ヨーロッパにおきまして単一通貨の導入に向けた通貨統合というのが進められているということも事実でございます。
 通貨のフロック化ということでございますと、今こういうEUで見られているような通貨統合の動きが他地域にも考えられるかどうかという問題であろうかと思われますけれども、一つ考えなければいけないのは、ヨーロッパの場合、ヨーロッパ諸国が全体として経済の発展段階を同じくしている、それから先進国の工業経済ということで各国経済の同質化、一体化が非常に進んでいるということが通貨統合の動きの背景といいますか、原動力になっているということが一つございます。
 それから、もう一つ考えなければいけないのは、一般に資本取引を自由にいたしまして通貨統合を行っていくということにいたしますと、各国の個別の経済政策といいますか各国それぞれ固有の条件がある中で、各国独自の政策をとるという自由度が非常に制約されるという点もございます。
 こういうさまざまな条件を考えながら、それぞれの地域においてブロック化ということの当否を考えるということに中長期的にはなってくるだろうというふうに考えております。
 さらに、先生が御示唆されたんだと思いますけれども、アジア地域でそういうことが考えられるかどうかということでございますけれども、今のヨーロッパの条件と比較いたしますと、アジア地域におきましては、御承知のように各国の発展段階それから経済の状況というのも極めて多様性に富んでおるということが一つございます。そういう観点から、現在欧州で見られているような通貨の統合化ということがそのままアジア地域に当てはまるかどうかということにつきましては、必ずしもすぐにはそうならないのではないかというのが私どもの考えでございます。
 我々としましては、現在の変動相場制を前提といたしまして、為替相場がファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいというふうに考えておりまして、今後とも政策協調の推進それから為替市場における緊密な協力等を通じまして為替相場の安定に努めていきたいというふうに考えております。
#16
○吉村剛太郎君 今日、我が国は大変な黒字国でございます。国民が汗水垂らして輸出をし蓄えた対外資産というのがドル建てで保有されているわけですね。これが先ほど申しましたようについ数日前まで百円だった。それが一挙に九十円、十円安くなるということで、せっかく汗水垂らしたドル建ての資産というのが一挙に目減りするというようなこと、そういうことを考えますときに、今日、日本の貿易といいますのが、輸出の場合は円建てが四〇%ぐらいですか、輸入が二〇%ぐらいと、このように承知しておりますが、もうやはりこの時期、円建て貿易といいますもののウエートをかなり上げていかなければならないんではないか、こんな感じを私は常々持っておる次第でございます。もちろん、円建てにするということは、日本に都合いいけれども、今度はまた相手のリスクが発生するわけですから、これは相手があることですから大変難しいことであろうかと、このように思います。
 ただ、非常に世界での市場占拠率が高い商品とかそういうものは積極的に円建てということが可能ではないか、このように思う次第でございますが、その辺の今日の動き及び産業界がどのような考えを持っておるか、もし情報でもありましたらお聞かせいただきたいと思います。
#17
○政府委員(広瀬勝貞君) 委員御指摘のありましたように、我が国の貿易決済の円建て比率を見ますと、輸出につきましてはおおむね四〇%ぐらいで推移をしております。輸入の方は、一九八六年ごろは一〇%ぐらいでございましたけれども、これは上昇しておりまして、九四年九月の調査では一九%ぐらいになっております。この一九%になった要因は、それまでの輸入の中で原油などの国際商品のウエートが小さくなりまして製品の輸入のウエートが多くなったと、そういうことで製品輸入の場合では円建てで輸入をするということもできるというようなことが背景にあったんだと思います。
 そういうことで、実際の貿易におきます決済を円建てにするかそうじゃないことになるのかというあたりの決まり方というのは、一つは、為替変動のリスクをどちらが負担するかという取引の当事者間の交渉力の問題でございます。それからもう一つは、商品特性といいますか、国際商品なんかですとドル建てで値決めが国際的に行われるというようなことで、そういうものの場合にはなかなか円建てにはならないというような性格があるわけでございます。そういった交渉力とかあるいは商品の特性によって円建てかドル建てかといったようなことが決まっていくというのが現実の姿でございます。
 したがいまして、長い目で考えますと貿易決済の円建て比率というのを高めていくためには、輸出面では製品の差別化を図って輸出企業が非価格面での競争力を強くしていくということが一つ大事なんではないか。あるいは輸入面では、国際商品としての性格の強い一次産品からむしろ製品輸入へウエートを移していくというようなことが大事なんではないかというふうに考えている次第でございます。
#18
○吉村剛太郎君 いずれにしましても、今日、世界のGDPに占めるアメリカの比率は約二〇%と、このように言われておりまして、これはかつての比率からすると相当低下しておる、このように思うわけです。その程度と言うとこれはアメリカに失礼かもわかりませんが、このウエートを持ったアメリカの通貨が国際通貨であるということ。アメリカは物を輸入するとその支払いはドルでやる。幾ら払っても後はドルを印刷すればいいわけですから、ある意味ではドル安についての危機感というのが非常に希薄じゃないかこんな感じを私は個人的には持っておるわけでございます。
 そういう中で、先ほど申しましたように一つはドルが国際通貨としての力を相当失っておる、このように思いますときに、これはアメリカの経済といいますものが早く安定をしてもらうのが大事だろうと思いますが、夢物語かもしれないけれども、将来的には世界に共通する新しい通貨といいますものも考えていいのではないかな、こんな感じがするわけでございます。
 続きまして、そういう円高を背景にしまして、経企庁長官は先般平成七年度の経済成長率実質二・八%ということをおっしゃったわけでございますが、あれは数字を出された時点ではまだ阪神の大震災というのもない時期に数字をはじかれたんではないかこのように思いますし、今回の急激な円高といいますものがさらに加わったときにこの二・八%というものが果たして可能かどうか、このような危惧の念を私は持つ次第でございまして、その点について経企庁の方の御意見をお聞きしたい、このように思います。
#19
○国務大臣(高村正彦君) 二・八%というのはその時点で実現可能な望ましい経済の姿を描かせていただいたと、こういうふうに思っております。
 御質問は、その後阪神・淡路大震災が起こったと、急激な円高が起こったと、それでもなおかつ可能がこういう意味だろうと思いますが、大震災の方から言いますと、一月の鉱工業生産が低下している、当面マイナスがあったことはもう出ているわけでありますが、一方では速やかな復旧努力、復興努力が始まっておる。これから本格的な復興需要も出てくる。日本経済は今フル稼働経済じゃありませんで生産余力があるわけでありますから、その復興需要にこたえていくだけの力もある。当初のマイナスをだんだん取り戻して、平成七年度全体でいえばそのことが景気回復を阻害する要因には私はならないのではないかこういうふうに考えております。
 それから、今の円高の水準でありますけれども、まさにファンダメンタルズから非常に乖離した水準でありますから、私たちは基本的にはこの水準が長く続くとは考えていないわけでありますが、しかし相場のことでありますからどうなるかわからない。今後一層の警戒感を持って注視していきたい。先ほど通産大臣がお答えになったように、この急激な円高が日本経済全体、特に輸出産業に大変な打撃を与えていることは事実でありますので、通貨当局に一層の御努力をお願いするとともに、経済企画庁としても、マクロ経済等やるべきことは各省庁の御協力を得てきっちりやってまいりたい、こういうふうに考えております。
#20
○吉村剛太郎君 まさにただいま長官おっしゃいましたように、この急激な円高といいますものが特に輸出産業にどれだけ打撃を与えるかわからない、はかり知れない、こうおっしゃった次第でございます。私もまさにそのとおりだと思います。ただ、この円高傾向といいますのがすぐ回復できる素地というのが非常に私は少ないんではないかなと、こういう状況がここしばらく続くのではないかなという感じを私は個人的に持っておる次第でございまして、そうなりますと、先ほど申しましたように経済成長率をかなり押し下げるということにもなってくるんではないか、このように思います。
 そういう中で、打撃を受ける、特に輸出を主にするような中小企業に対するやはり施策といいますもの、何とか手を差し伸べてやらなければならないと。先ほど通産大臣はできることは何でもやると、このように大変心強い御答弁をいただいたわけでございますが、具体的にちょっと幅を狭めまして、そういう輸出を主体とするような中小の企業に対する何か具体策がございましたらお聞かせいただきたいと思います。
#21
○国務大臣(橋本龍太郎君) 一円の円高が一年間続きました場合、その影響は例えば自動車でありますならば三百十億、電機であれば二百二十億円という影響が既に算定されておりまして、私どもとすれば先ほど申し上げた追い詰められた気持ちというのは文字どおりのものであります。そして、今回のこの三月八日以降の非常に極端な為替の振れとは別に、ここしばらくの円高の中で、私どもはまさにこの経済環境の変化の中で産業構造の円滑な転換を図らなければならない、そういう意識のもとに七年度予算も編成をいたしましたし、本院に御審議を願っております事業革新円滑化法あるいは中小企業創造的活動促進法、こうした法律を用意してまいりました。我々としては、この法律案の成立以後、これを早期に実施に移していくということをまず最初の方針にいたしたいと思います。
 また、本年三月三十一日までに策定をされます規制緩和五カ年計画というものの中で、より中身を充実したものにすることによりまして市場アクセスの改善あるいは内外価格差の是正を図っていく、その中で対外不均衡是正につながりやすい経済構造に変えていくことも必要と考えております。
 そして、これほど深刻な事態は想定いたしませんでしたけれども、進行しつつある円高に対してその影響を中小企業について懸念をいたしておりましたから、財投等におきましてもそうした配慮のもとに編成をさせていただきました予算、これを適時適切に使用していくことによってこの事態を乗り切ってまいりたい。そのためにもこの状況の正確な把握が必要と、そうした思いから、中小企業庁に非常に努力をしてもらいまして、三月八日以降のこの状況を、それぞれの輸出産地、輸出を中心としている産地に対して影響調査をさせていただき、先ほど御報告を申し上げたような内容を得ております。
 しかし、我々としては、何と申しましてもやはりノーマルな水準に一歩でも近づける努力を通貨当局にはぜひお願いをいたしたい。本当に祈るような思いであります。
#22
○吉村剛太郎君 まさにそのような円高のもとで、もうこの委員会でもいろいろと論じられたわけでございますが、産業の空洞化ということで、円高を回避するためにそれぞれの企業が生産拠点を海外にシフトしておる、当然これからもそういうものがふえてくるであろう、このように思う次第でございますが、その問題はその問題として、やはり空洞化を補うという意味も含めて海外の資本がやはり日本にもどんどんと入ってきてもらわなければならない。特に、これだけのグローバルな経済体制といいますものが確立しておるわけでございますから、どしどしと日本に外国の資本が入ってきてもらわなければならない、このように思う次第でございます。
 私がいただいた資料では、一九九三年、日本の場合は対外投資が二千六百九十八億ドルに対して対内投資、海外から日本に投資されたものが百六十八億ドル、十七対一と大変格差があるわけでございます。ちなみに、同年の米国の場合は、米国からの対外が七千七百六十三、対内投資が六千九百二十三。ドイツの場合は若干格差があるんですが、千四百七十三億ドルと五百七十七億ドル。イギリスは対外が二千五百二十九、それから対内が千九百六十二。対外と対内投資が非常に均衡しておるという中で、日本が極端にそういう対外と対内の格差が大きいということは、これはある意味では、先ほど申しましたような自由な世界貿易の中で、日本は何かそういう阻害要因があるのではないか、まさに日本貿易の封鎖性といいますものを象徴しておるのではないかということを、海外諸国はそういう見方をしておるのではないか、このように思う次第でございます。
 日本は一億二千万の人口がおり、個人所得といいますものも大変高い、世界二局い中で、日本のマーケットといいますのは海外資本にとっては大変魅力的である、このように思うんですが、そういう魅力的なところになおかつこれだけ対内投資が少ないということ、対外と対内の格差が大きいということは、これは大変大きな問題があるのではないか。それはどこに問題があるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#23
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員から御指摘をいただきました対内直接投資につきましては、日本として、例えば税制上の優遇措置も講じておりますし、あるいは産業基盤整備基金によります債務保証でありますとか日本開発銀行による低利融資など、各種の支援策を講じてまいりました。しかし、御指摘のとおり、必ずしもそれが効果が出ていないというのはそのとおりであります。
 こうした状況の中で、外国企業の参入をより一層促進したいという、そうした思いの中から、昨年の七月、総理を議長といたします対日投資会議を設置いたしまして、外国企業などからの意見、要望の聴取等の努力を払ってまいりました。そこで出てまいりました問題点は幾つかあるわけであります。
 一つは、まだその時点におきまして地価が十分下がっておらなかったこともあり、土地及び家賃といったものが非常に割高になるということ、あるいはオフィス需要等が非常に厳しいといったこと、さらに政府の規制が非常に厳しいために企業活動が阻害されるということ、あるいは目に見える規制とは別にさまざまな行政省庁の通達とか行政指導という自分たちとしては直接知ることがなかなか困難な障壁が存在していること、さらに国内における日本の産業そのものが相当しっかりしておりますから競争が非常に厳しいということ、そうしたさまざまなポイントが挙げられておりました。
 我々として何よりも考えなければならないということは、やはりコスト高の構造というものは直していかなければならない。市場としての高コスト構造というものを是正していくためにはやはり規制緩和といった努力を積み重ねていく以外にない。また、こうした経済構造変革への努力をすることによって投資のしやすい環境をつくり出す。今そうした意欲を持って我々としては仕事をいたしているわけであります。
#24
○吉村剛太郎君 ただいま御答弁いただきまして大変心強く思った次第でございます。
 いずれにしましても、日本国内に外国企業が入り、新しい発想とか文化を入れていただいて、そしてまたそこに競争が発生し、またそれによって日本の企業もまた企業マンも新しい感覚で経済を運営していく、非常に相乗効果が出てくるんではないか、このように思う次第でございます。いずれにしましても、今日の対外投資と対内投資の大きな格差といいますのは、これはどこから見ても大変異常だ、このように思います。
 これは通産行政の今後の一つの大きな課題ではないか、このようにも考える次第でございまして、この問題につきましてはこれからまた私もいろいろと勉強させていただき、取り組みもさせていただきたい、このように思う次第でございます。そういうことで、この問題はいずれまたよく勉強していろいろと御質問もしたいと思います。
 時間がありませんので、どうしてもきょうお聞きしたいと思っておったことで、法務省はきょうお見えですね。――実は、これは商工委員会に法務省をお呼びして大変奇異な感じもされているんじゃないかこのように思いますが、特に私は中小企業といいますものの日本経済における役割の大きさ、また各地において中小企業そして商工会がお祭りやその他いろいろなイベントを通じて地域の文化、また地域の融和に尽くしておるというようなこと、本当に中小企業の意義といいますものを大変大きく感じておるところでございます。
 その中で、今般、更生保護事業法といいますのが出されておるわけでございますが、それに関連しまして、実は私の知り合いの中小企業の方々で、不幸にして罪を犯され、そして保護観察下にある方々を預かって更生させる、そして手に職をつけさせる、いわゆるそういう職業指導をされている方がたくさんおられます。これは九九%、ある意味では一〇〇%中小企業、それも本当に小規模企業の方々なんです。
 ところが、そういう方々が本当に再犯を防ぐというようなことで大変意義ある協力をされておるんですが、これは残念ながら、社会の中でといいますか、法務省でも通産省でもどこにも位置づけがないんです。そして、こういう方々が、まさにボランティアですが、善意でそういう仕事をされ、協力をされておるんですが、人間というのは皮肉にも必ずしも心が通じ合わない、その善意が理解されないで例えば持ち逃げされたりするようなことも多々あるんです。
 私は、中小企業の役割といいますのは、先ほど申しましたように日本の経済の下支えをし、また文化を支える等いろいろな多面的なものがあると同時に、そういう有意義なお仕事もされているな、このように感じる次第でございますが、そういう中で何も位置づけがないというところに大変私は個人的に割り切れないものを感じる次第なんです。
 そこで、そういうものの実態を、概略で結構ですから、保護下にある方々の大体の数とかそういう仕事にどのような状態でついておられるか、なかなか今まで窓口がなかったから数字といいますものはとらえにくいのではないか、このように思いますが、わかる範囲で結構ですからちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#25
○説明員(松本勝君) お答えいたします。
 犯罪あるいは非行の前歴を知りつつ保護観察中の者を雇用しておるいわゆる中小企業経営者を私どもは協力雇用主、こんなふうに呼称しておりますが、平成六年四月一日現在、協力雇用主の数は個人と法人を合わせまして全国で四千五百六十四人でございまして、保護観察中の者八百七十二人を雇用しております。
 申すまでもございませんが、職業は生活の基本であり、就労生活を維持することは保護観察中の者の改善、更生のため不可欠であります。ところが、保護観察中の者は、犯罪や非行の前歴があるということに加えまして職業能力や勤労意欲にやや乏しいという点がございまして、仕事につくということが一般に容易ではございません。こういうことから、犯罪、非行の前歴を承知の上で雇用を通じて更生を援助しようとする善意を持って保護観察中の者に職場を提供し、立ち直りに協力してくださる協力雇用主の果たす役割は極めて大きいものがあります。
 協力雇用主は、我々の下部組織でございます全国五十の保護観察所が、保護司や更生保護会を通じまして中小企業経営者等に対し保護観察について理解を得まして、そして任意に登録しておいて雇用していただく、こんなふうなシステムになっております。
 それから、保護観察中の者を雇用していただいて職業生活の指導をしてくださるという協力雇用主、中小企業経営者の御労苦に対しては非常にありがたく思っておりまして、法務省といたしましてもその顕彰については平素から配慮しておるところでございます。協力雇用主に対する表彰については、法務大臣のほか、地方更生保護委員会委員長あるいは保護観察所長によりまして毎年行われております。ちなみに、平成六年の協力雇用主に対する法務大臣の顕彰、これは感謝状でございますが、十七ということになっております。今後とも、協力雇用主の方々の御労苦に少しでも報いるべく顕彰の充実に努めてまいりたいと考えております。
#26
○吉村剛太郎君 もう時間がございません。ありがとうございます。
 そういうことで、申しましたように中小企業というのはそういうところまで社会に貢献しておるということ、中小企業庁の方も当然御存じだと思いますが、通産省も御存じだと思いますけれども、そういう認識も新たにしていただきたい。
 それから、もうちょっと組織立って研修とかやっぱり職業につかないから再び罪を犯すんだと思うんですよね。やはり生活の基盤を与えてやるということが再犯を防止するということに非常に大きくつながると思いますから、ある意味ではこれをもう少し何か位置づけをして、これは法務省なのか中小企業庁なのか私もわかりませんが、ただ職業につけるからといって職安あたりからするような性質でもちょっとないと思いまして、特殊なケースですから、何かその辺の位置づけを今後の課題としてぜひ検討いただきたい、このようにお願いしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#27
○前畑幸子君 今国会の最大の政治課題は特殊法人の見直しでございますけれども、それと同じように規制緩和という問題もこの国会で大変頑張らなければいけない、勉強しなければいけない問題の一つであると思います。
 先ほど来の御質問の中でもありましたように、今ドル安なのか円高なのかというこの現状認識について考えますときに、その背景には日本の経済の構造的な要因があるものと思います。私どもとしては企業活動とか雇用への影響を大変心配いたしているわけでございますけれども、この規制緩和を推進し、そして内需拡大によって貿易の黒字減らしをしていかなければ、いつまでたってもこの問題は解決しない一つのパターンではないかなということも考えますので、きょうは内外価格差についてちょっとお尋ねしてみたいと思っております。
 内外価格差内外価格差と私どももここ数年来一生懸命勉強をさせていただいてまいりましたけれども、ここへ来まして円高とともにこの価格差に真剣に取り組んでいかなきゃいけないときが来ている。そして、この規制緩和という問題ももう後に引けない大事なところへ来ているわけでございますので、大蔵大臣もされていらっしゃった橋本大臣としては、この中小企業の成長もそして存続も、やはり税制と金融と規制緩和というこの三本立てということが大切な柱の一つではないかと思いますので、お力をいただきたいと思っております。
 まず、この内外価格差が日本でどうしてもなかなか是正されていかないという、その生じている理由の一つはどんなものが考えられるのかお話をいただきたいと思います。
#28
○政府委員(牧野力君) 内外価格差が消費財、生産財あるいはサービス、いろいろな面で厳として存在することは御指摘のとおりでございます。内外価格差が存在をいたしますと、国民生活の豊かさが削減されるということのみならず、産業の競争力が低下をいたしましていわゆる空洞化が非常に進むんではないかという懸念もあるわけでございます。
 ところで、要因でございますけれども、いろいろな要因があるわけで、当然のことながら、円高あるいは先ほど大臣が申し上げましたように土地等のコストが非常に高いといった要因もあるわけでございますが、やはり今御指摘がありましたように、各種のいわゆる公的規制、あるいはそれに加えまして民間事業者の取引慣行といったようなものも原因となっているというふうに思います。さらには、最近非常に改まってきているとは思いますが、日本の消費者のブランド志向といいますか、購買行動等もあるいはあるんではないかというふうに思っております。
#29
○前畑幸子君 今黒字減らしの最たるものに、今度の復興に向かっての住宅に外国からの建築物を入れるということの案が上がっております。建築という問題は、木材もあれば鋼材もあれば塗料もあれば、電気もガスもいろんな附帯したものが多くあるわけでございますので、そういうものに関して少しずつ価格差が累積して高くなってくるというような御説明もいただきました。例えば、外国ですと一千百万ぐらいで建てられる建物が日本に入ってきますと二千八百万ぐらいの価格になるというような御説明を先日聞きましたけれども、これはすべての段階でいろいろなコストが附帯して高くなっていくのであろうと思われます。そのくらい、二・七、八倍ぐらい違っているわけでございますね。
 いろいろなことが考えられますけれども、私はきょう本当に単純な化粧品を一つ例に挙げまして御説明をいただきたいと思うんです。
 大体、一般的に日本の価格はアメリカよりも欧州よりもほとんどが高い傾向にあることはこれは間違いないと思います。それは、今おっしゃいましたように、輸入コスト、運賃だとか保険料だとか、それから我が国の人件費だとか地代を含めた家賃の高さだとか、流通段階でのコストの要因がかかってくると。それからまた、私ども消費者自身がブランド志向というか、そういうイメージを重視している傾向にあるために、きれいな箱に入ったりきれいな包装をされていると高級なイメージを持つという、そういうことも、私ども消費者にも責任があるということは考えられます。
 大体、日本に来るときにはそういう高級なものは販売個数が少なくなるわけでございますので、そういう点からも、一つの単位の広告とか、そういう附帯した家賃、宣伝費というものがその価格に少しずつ反映されるわけですから高くなっていくんであろうというふうに思います。
 先日、私の地元のデパートを歩きまして、そこの販売の方に傾向をお聞きしましたところ、私もちょっとびっくりしたんですけれども、エルメスというスカーフなど、皆さんも御存じの方もあると思いますけれども、三万円から四万円ぐらいで、輸入すると飛ぶように売れてしまうと。きょう迷って、来週来たらもうなかったというぐらいスカーフとかハンドバッグが売れているということを聞きまして、まだまだ大したもんだなと、そこの部分だけでは思いました。まあ洋服とか宝石品とかそういうものはかなり落ちているようですけれども、そういう一部門もあるようでございます。
 私としてはちょっと心外でびっくりしたわけでございますけれども、私が買える範囲で一つ例にとらせていただきますと、こんな小さい口紅でございますね、これが空港の免税店へ行きますと二千四、五百円から三千円までで買えるわけですね。ですから、そこで買ってきて一年間一生懸命大事に使うわけでございますけれども、それがデパートに並びますと五、六千円するわけですね。約倍になってくるようでございます。
 きのうちょっと資料をいただきましたら、アメリカからの輸入品ということで内外価格差をとりますと、口紅で、東京で百貨店を一〇〇としますと、ディスカウント店では七八ぐらいだそうです。ニューヨークですとそれが四三、ロサンゼルスですと三六、ロンドン、パリでも四四、五というところなんですね。これだけの差があるということでございます。
 もう一つ、ボールペンをとりましても、日本の百貨店を一〇〇としますと、ディスカウント店では五八、ニューヨークでは五五ということになるようでございますけれども、これだけ倍になってくるという、この流通経路のほかに何が考えられるか、おわかりになったら説明いただきたいと思います。
#30
○政府委員(清川佑二君) 前畑委員の関係の口紅について私どもの把握しているところを申し上げたいと思うわけでございますが、内外価格差につきまして、私ども平成五年、平成六年と調査をしているわけでございます。平成五年度の調査によりますと、日本で販売されております欧米ブランドの口紅、これは原産国の販売価格の一・六倍あるいは二倍に相当するというような、このような価格差が存在しているというふうに私ども把握をしているわけでございます。
 この価格差の要因として、いろいろ分析をしているわけではございますが、一つには、今前畑委員の御指摘のような、人件費の問題あるいは土地代などの販売コストが諸外国に比べて高いという点もございます。また、高級化粧品市場をターゲットとして販売チャネルを限定する、あるいは広告、宣伝を非常に多く使うということで高級イメージを形成し、維持を図っている、こういったようなメーカーの販売戦略もあるようにうかがえます。また、輸入化粧品は高価格でも購入をしたいという消費者の購買行動が影響している部分もあろうかと思われます。
 ただ、一つ変化がございまして、最近でございますけれども、消費者の意識の変化あるいはニーズの変化も見られまして、高級品とされてきておりました輸入化粧品につきましても、例えば欧州のブランドの口紅の価格は、平成五年から六年にかけまして四割弱引き下げられるといったような値下げの動きも現実にあるわけでございます。このような次第でございますので、私どもやはり産業界あるいは消費者の注意を喚起して、意識の改革といいますか、こういった問題点を強く意識するということも非常に大切と考えております。
 今後とも、消費財の内外価格差の調査を行いまして、要因分析を継続して実施いたしまして、結果を公表するというようなことによりまして、消費者あるいは産業界の皆様方の意識改革にも貢献してまいりたいというふうに考えております。
#31
○前畑幸子君 今御説明のあったように、特に化粧品というのが今のところ倍率が高いようでございます。これはまた後で再販価格の問題のときにちょっとお聞きしたいと思いますけれども、そんなわけで、内外価格差の是正というか縮小をこれから私どもの最重点目標の一つにしていかなきゃいけないわけですので、その対応と方向づけを通産省としてはきちっととらえていっていただきたい。そしてまた、そういう非効率的な規制というものを外していただく、排除していただくということが大変大事であると。事業者間の競争環境というものをきちっと整備していく、指導していくという環境づくりがまず大事ではないかなと思うわけですね。
 今後、そういう流通構造をどういうふうに指導し、そして流通の構造改革をしていく支援として通産省としてはどういうふうにとらえられていくのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
#32
○政府委員(大宮正君) ただいま委員からも御指摘がございましたように、我が国の流通構造につきましては、消費者ニーズの変化、あるいは規制緩和の進展、円高等による輸入増大等を背景といたしまして、現在その構造が大きく変化しつつあるところでございます。このような構造変化の中で、メーカー、卸売業、小売業においては、消費者ニーズの変化によりよく対応すべく相互に協力しながらさまざまな試みが行われておるところでございます。
 御承知のように、ただいま小売業におきましては、外国メーカーや中小メーカー等との協力によりプライベートブランド商品の開発へ取り組むといったような動きもございますし、そのほかに卸売業者との協力によって共同配送を進める事例も見られます。また、メーカーと小売業、あるいは卸売業と小売業が商品販売データを共有すること等により商品調達等を効率化しようとする動きが出てきております。さらに、中小流通業におきましても、仕入れ、輸入、配送等を共同化することでコスト削減に努める企業も登場しております。
 以上のように、流通にかかわる企業が既存の業種や企業の垣根を越えて協力、提携する動きが、大企業同士だけではなくて、中小企業も含めた形で幅広く進展しておるところでございます。このような動きは、いわば製・メーカー、配・問屋、販・小売と、製配販同盟というような言葉でも言っておりますけれども、私どもこういった状況を踏まえまして、現在、産業構造審議会とそれから中小企業政策審議会の合同会議におきまして我が国流通の現状と課題ということにつきまして御審議をいただいておるところでございます。
 ことしの半ばごろにこの答申が出ると思いますけれども、こういったものを踏まえまして、従来からも物流の合理化あるいは共同化等につきましては金融・税制上の措置を講じておりますけれども、さらに所要の対策を検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
#33
○前畑幸子君 そのとおりだと思うことをおっしゃるわけですけれども、こういう外国製品で、先ほど申し上げましたようなスカーフとかそれから洋服とか、そういうものはデザインだとか染色だとか、そういう人間の趣味とかが加味してくるわけですから、これは多少そういう付加価値的なものもコストに反映されることは私も理解をしたいと思います。口紅なんかも、それはどういうブランドのものがいいという自分の嗜好もあるわけですから、それも一つ絡んでくるであろうと思うわけです。
 今、問屋のお話が出ましたが、日本は元来、今日までの経済はメーカーがあり問屋がありそして販売なり、そういうルートがあったわけですけれども、こういう価格破壊というか、破壊と言うと私は余り好きじゃない、価格を正常なコストに下げていただくという方向に進む中で、どうしてもメーカー直送とか産地直送とかということに私ども消費者は目を向けながら、その方向に経済が行っていただきたいと思うわけです。今日まで日本は問屋制というものが経済の中心になってきたわけでございますけれども、そうしますと、通産省としては経済の流通の中で問屋制というものは自然に淘汰されていく、なくなっていくという方向でとらえられているんでしょうか。
#34
○政府委員(大宮正君) 先ほどちょっと私が御説明いたしましたように、メーカーといわゆる卸、小売、この関係は、従来のどちらかというとメーカー主体の考え方から、むしろ流通、さらにはいわゆる消費者のニーズをPOSシステム等によりまして的確にくみ上げて流通業界あるいはメーカーにさかのぼっていく、そういう新しい動きが出てきておると思います。
 ただ、先ほどお話もいたしましたように、こういう卸、問屋各社も、いろんなそういう低価格のニーズに応じまして、共同で配送をするとかあるいはそういうメーカーと消費者をつなぐような一つの流通の合理化のいろんな提案をしていくというようなことで新しい動きが生じておりまして、私どもとしては、そういったものを先ほど申し上げましたビジョンを通じてもう少しきちっと分析をした上で必要な対策を講じていきたい、こういうふうに考えております。
#35
○前畑幸子君 円滑に進めていくための環境条件整備というものは大変大事に進んでいただかなきゃいけないわけで、中小小売企業の立場、それから問屋の立場、これに連なる雇用問題というものも関連してくるわけですので、やはり三年、五年という期間をもって指導、整備をしていただかないと、そこに働く従業員もいるわけですので、その辺に対する心配り、気配りというものも必要かと思いますが、いかがですか。
#36
○政府委員(大宮正君) ただいま委員から御指摘いただいたとおりでございまして、例えば今でも中小小売業につきましては、いろんな流適合理化のための法律の施策、これは中小小売商業振興法という法律でございますけれども、これでいろんな共同配送等につきまして支援をしておりますけれども、先ほど申し上げましたように、ビジョンを受けまして中小企業庁ともタイアップしながら先生の御指摘の施策を検討してまいりたいと思っております。
#37
○前畑幸子君 この価格破壊、内外価格差問題で、最近私が悩んでいる問題が一つございます。
 昨年、お酒の規制が外れまして、今ではどこでも売れるということになりました。今日まで長い間、酒屋というのは規制されて、ある意味で守られてきたと言ってしまえばそれまでございますけれども、売ったビールの一本の重さのうち半分は税金として国がいただいているわけで、逆に言いますと、小売業者は徴税の先頭に立っていたというような気分もあるわけでございます。それが昨年、酒税が上がって、その明くる日に大型スーパーでディスカウント販売が始まったという、通産省としてはどういうお気持ちでやられたのかと思うんですけれども、そういう事態がございました。
 酒屋は、今地域で千五百人で一店舗生活していけという基準でございますけれども、生まれた赤ん坊からお年寄りまで千五百人ということですので、三分の一と見ても五百人で生活をしていけということで、そこへ来てディスカウントショップが大変あちらこちらで出てきたわけで、酒屋の小売業の存続が厳しいという状況になっているのが現状でございます。
 大型店は要するにメーカーからトラックでそのまま直送で納品されればいいわけでございますけれども、小売業者においてはそういうことができないわけでございます。問屋から仕入れていたのでは、問屋とディスカウントショップの値段が違わないぐらいでございますので、そういう点で、これから彼ら中小企業がどうやって生きていくかということになりますと、やはり同業者組合をつくるなり企業組合をつくるなりして、小さいところが寄り合って共同仕入れをしていくという、問屋にかわる自分たちの自助努力というものが必要になってくるわけなんですね。
 私ども買う方にしてみれば、安くなることはやぶさかじゃございませんので、やはりそういう商売の方たちもこれから努力をしていただかなきゃいけないと思うんですけれども、やはりそれには三年なり五年なりという始動期間、整備期間、そういう対応を切りかえていく期間というものも必要ではないかと思うんですが、その辺どのようにお考えでしょうか。
#38
○政府委員(大宮正君) ただいま委員から御指摘いただきました酒屋の問題でございますが、これは大蔵省が所管をしておりまして、私ども直接には酒屋との関係というのは、中小企業対策としてはもちろんいろんな対策を講じておりますけれども、今のディスカウントあるいはスーパーが酒を扱うようになったということが非常に大きな影響を与えているということは承知しております。ただ、基本的に私どもは、過去にいろんな経緯がございまして三回にわたりまして大店法の規制緩和をしてきた、こういったところが一つの大きな競争の流れをつくったのかなという気がいたしますが、昨年五月に第三回目の規制緩和を行いまして、私どもとしてはこの状況をしばらく見守っていきたい、こういうふうに考えております。
 それから、酒屋さん自体の合理化あるいは流通の効率化の問題というのは、これは中小企業庁ともまたいろいろと相談をしながら、あるいは大蔵省とも連絡をとりながら、今後また必要な対策を中期的にも勉強していきたい、こういうふうに考えております。
#39
○前畑幸子君 要するに、大蔵省と通産省との力のバランスが崩れたんではないかと業界では言っておりますけれども、やはり酒という問題はそこに酒税という税が大変ウエートを持っていたわけですので、そういう立場で今日まで来た業界というものの立場も多少考えて大型店の規制緩和というものは考えていただきたかったなと私は思います。
 これは大店舗法でも、私も大きな大店舗を申請して頑張ったことがございますけれども、大体三年か四年すればおりてくるというのはもう業界の常識であったわけでして、それは当然そういう申請が出た時点で近所の小売店はその対応をしていかなきゃいけないことにはなっているわけでございますけれども、やはりこれからそれがどんどんと外れていくということになりますと、ある程度そこに中小企業の存続ということも私どもは考えてあげなければいけないんではないかなという気がいたしておりますので、今後のそういう環境整備にかけての御指導をしていただきたいものだと思います。
 また、この規制緩和と並びまして再販価格についてちょっとお尋ねしたいんですけれども、今後これは維持、撤廃を含めてどういう方向に行くのか、少し御説明いただきたいと思います。
#40
○政府委員(小粥正巳君) ただいま再販売価格維持制度、今後この問題についてどういうふうに考えていくかというお尋ねがございました。簡単に御説明申し上げます。
 公正取引委員会は、平成四年四月、いわゆる指定再販制度につきまして、競争政策の見地から化粧品及び一般用医薬品の再販の見直しを行いまして、指定品目の約半数を取り消す旨を明らかにいたしました。その方針に従いまして、平成五年三月、それから昨年末をもちまして、化粧品につきましてはシャンプー等十二品目、一般用医薬品については抗ヒスタミン剤等十二品目、それぞれ約半数の指定を取り消したところでございます。
 私どもは、これら再販指定商品につきまして、指定縮小後の状況等の調査を行いつつ、平成十年中に指定取り消しのための所要の手続を実施し、十年末までに施行を図ることとしております。つまり、この指定再販につきましては平成十年末をもってすべての指定を取り消す、こういう方針を既に明らかにしているところでございます。
 それから、再販適用除外を認められますもう一つの分野に、独占禁止法第二十四条の二の規定に基づきますいわゆる著作物がございます。この著作物の範囲あるいはその取り扱いを明確にするためには、立法措置によって対応することが妥当である、そのためにこの問題について幅広い角度から総合的な検討を行うという旨を、これも先ほど申し上げました平成四年の段階で既に明らかにいたしました。
 そして、このような考え方を受けまして、現在私どもは書籍、雑誌、新聞等の流通実態調査等を行っております。そして、公正取引委員会に設けられております政府規制等と競争施策に関する研究会、その中に学識経験者からなります再販問題等検討小委員会を設けまして、主として法律、経済の理論面を中心として専門的に検討をしていただいているところでございます。
 当委員会といたしましては、この小委員会での検討につきましては、ことしの夏ごろを目途として何らかの考え方を示していただくよう当小委員会にお願いをしているところでありまして、その後、そこで示されました考え方に基づきまして各界からさらに意見を求め、本問題について議論を深めていきたいと考えております。
 後半に申し上げましたこの再販適用除外を認められている著作物につきましては、ただいまこのような作業を行っているところでございますけれども、この点につきましても平成十年末までにその範囲の限定、明確化を図る、こういうことを考えている次第でございます。
#41
○前畑幸子君 そうしますと、要するに十年で大体撤廃の方向に一部品目を除いてはなっていくととらえていいですね。
#42
○政府委員(小粥正巳君) ただいまの委員のお尋ねに対しましては、再販適用除外を認められております対象に二つの分野があるということを申し上げたわけでございますが、その前半に申し上げましたいわゆる指定再販、化粧品及び一般用医薬品でございますが、これにつきましては平成十年末までにすべての指定を取り消すということでございます。
 それから、後半申し上げました、これは法定再販というような表現もございますけれども、再販適用除外を認められている著作物につきましては、その範囲の限定、明確化を図る、こういうことが私どもの方針でございます。
#43
○前畑幸子君 わかりました。今、公正取引委員会の方の御説明がございましたけれども、こういう規制緩和の推進下においては、特に今御説明のあったような価格の問題を通してカルテルとか独禁法違反とかそういう問題が今後考えられますので、その辺も踏まえてやはりきちっとした対応をしていただかなきゃならないと思います。そのために、やはり公正取引委員会の機構の強化とか、機構をきちっとしていただいて頑張っていただきたいと思います。
 今後、円高とか価格破壊の影響などから下請に対する大変厳しい状況も新聞などでうたわれてきておりますので、そうしたことに対する親企業に対する調査なども、聞き取りなどもしていただいて、下請業者の泣き寝入りを許さないようにお願いしたいと思いますが、下請へのしわ寄せなどは今現在では出てきておりませんですか。
#44
○政府委員(小粥正巳君) 下請取引につきまして、私ども公正取引委員会といたしましては、親企業が下請企業に対するいわゆる取引上の優越的地位の乱用、これは独占禁止法あるいはその特別法であります下請法上の違反行為でございますから、これについて厳しく監視をする、違反行為についてはこれを取り上げまして適切な排除措置等を行う、こういうことをしているわけでございます。
 ただいま委員のお尋ねでございますが、現段階で親企業のこのような行為による下請企業へのいわゆるしわ寄せの状況はどうか、こういうお尋ねでございますが、現在景気は緩やかながら回復の方向に向かいつつあると承知をしておりますけれども、しかしかなり長期間不況が継続をいたしました。その結果といたしまして、やはり私どもの承知をしておりますところでも下請に対するいわゆるしわ寄せ現象がなおかなり見られるように思っております。
 したがいまして、私ども、従来から毎年定期的な調査を行いまして、下請法に違反する行為が認められた場合には厳正に対処しているところでございますけれども、先般来御議論がございました昨今の円高、あるいは長引きました景気低迷の影響が大きいと考えられます業種を中心にいたしまして、今年度におきましては通常の定期調査以外に、下請事業者約一万社を対象に今月中にも違反行為監視のための特別調査を実施することにしております。
 それからさらに、やはり最近の円高あるいはリストラの動きの中で、親事業者と下請事業者の取引関係がどのように変化してきているのかこの状況を把握する必要があると判断をいたしまして、親事業者約二千社、下請事業者約四千社を対象に、毎年行っております先ほど申し上げました違反行為の監視のための調査とはまた別に、実態調査を実施して、現在分析を行っております。
 今後とも、急激に進む経済情勢の変化を踏まえまして、下請事業者に不当なしわ寄せが及ばないように、私どもの仕事でございます下請法違反行為の監視に努めてまいりたいと考えておりますし、またこのことは当然中小企業対策としても大変重要な分野でございます。通商産業省、中小企業庁と従来から緊密な連絡をとって仕事を進めているところであります。
#45
○前畑幸子君 表向きは出てこないと思いますけれども、やはりこれだけ円高が進みますとコストを下げる以外に企業の存続はないわけですので、やはりそこで仕入れのコストの問題、それからもう一つ、外注に出る量が半減していくというのが一番大きな問題なんです。仕事がないものが外注に出せないということで、それはもう仕方がないことなんですけれども、やはりそれでは中小企業は生きていけないわけですので、通産省としてはその点もお酌み取りいただきながら、中小企業と大企業がどのように共存共栄していくかということも考えていただきたいものだと思います。そうした意味で、今後、公正取引委員会の厳然たる機構を、体制をきちっと整えながら頑張っていただきたいと思います。
 最後に、橋本大臣に、この円高のもとでの内外価格差問題というのは大変今後の日本にとって大事な課題だと思います。輸入と輸出の立場によっても違いますし、それからサービス産業、非製造的な産業と生産業者とのとらえ方も違ってきておりますけれども、日本経済が抱える生産の二重構造の是正をきちっと今後とらえていかないと、やはり高齢化社会に向かって非効率な面においてもお金がどんどんかかるわけですので、そうした意味で、消費者重視の政策の推進を考えながらお取り組みをいただきたいと思いますが、最後に御意見をいただきたいと思います。
#46
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先刻来の委員の御主張を拝聴しながら、少々昔を思い出しておりました。
 たまたま私は紡績会社の社員でありまして、いわゆる消費者のブランド志向というものに相当手こずった記憶を自分の体験でも持っております。また、たまたま先ほど来公取委員長との間で御論議がありました再販問題で、あるときは公取と協力し、あるときはぶつかり合ったと、そうした記憶も持っております。
 そうしてその中で感じましたことは、実は消費者の方々は一方でブランドというものを非常に尊重される、そしてそのブランドに相応した価格というものを容認しておられる、その上で、それが値下がりをし、安い金額で手に入ることに非常に喜びを感じられる部分がある。言いかえれば、イメージ商品的な性格を持った場合の商品につきましての価格対策というもの、これはなかなか大変なことだなというのが私自身今伺いながらの実感でありました。
 例えば、この再販問題が論議をされました当時、たしか地婦連であったと思いますが、ちふれというはかり売りの化粧品を販売された、価格としては非常に安く、品質的にも悪いものではないと我々は聞いておりましたけれども、結果的に今どうなったか全然わかりません。そして、化粧品では千三十円以下の再販部分の名前の通ったメーカーのものが依然として非常に大きなシェアを占めている。こうした点も、消費者の志向というものを考えましたときに我々考えさせられるものを持っております。
 しかし同時に、今委員から御指摘がありましたように、確かに内外価格差というものを我々は何とか解決しなければなりません。そして、それは中間財の部分においてもこの内外価格差を是正する努力というものを必要とするという点では同様でありまして、我々としては、この内外価格差というものの存在が国民生活の豊かさを削減してしまうことになってはいけない、これが産業空洞化の要因になってはいけない、そうした思いの中からこうした問題に取り組んでまいりました。
 そして、我々といたしましても、中間財まで踏み込みました内外価格差の実態及びその要因について積極的な情報提供を行う、あるいはその内外価格差を生む要因の一つである規制緩和というものを断行していく、そして輸入あるいは対外直接投資促進といった施策をとっていくことによりましてこうした問題に対処してまいりたいと考えております。
 御支援を心からお願い申し上げます。
#47
○前畑幸子君 ありがとうございます。
#48
○牛嶋正君 昨日のこの委員会での議論、それからけさほどからの議論にありますように、最近の我が国を取り囲む内外の経済的環境の変化というのは、非常に多様で、そして構造的で、かつ急激であるわけであります。
 こういった厳しい状況のもとで、国内の生産活動を活性化し、そして我が国の経済を何とか国際経済環境と調和させながら健全に発展させていくためには、何と申しましても今問題になっておりますこの産業の空洞化の進展にある程度ブレーキをかけ、そして国内の雇用が安定する中で好ましい方向に誘導することができるならば、非常に厳しい環境でありますけれども、ある程度我が国のこれからの経済の発展に希望を持ってもいいのではないかというふうに私は思います。
 そして、この空洞化の問題というのは、きょう吉村委員が取り上げられましたようにまず円高の問題がございます。それから、今前畑委員が取り上げられましたように内外価格差の問題があるのではないかと思います。
 しかし、きょうは私はあえて法人税を取り上げさせていただきまして、法人税と関係のあります租税特別措置、これと産業の空洞化の関係というものを少し明らかにして、そして我が国の法人税のあり方について少し意見を述べさせていただきながら御質疑をさせていただきたい、こんなふうに思っております。
 法人税のあり方を論ずるときに二つの立場があると私は思います。一つの立場は、税制全体をこれから進展していきます高齢社会にふさわしいものにしていく、その中で法人税をどういうふうに位置づけていくのかという、いわば税制議論の中での法人税のあり方が一つあると思うんですね。
 しかし、もう一つの立場と申しますのは、経済政策あるいは産業政策を進めていくに当たりまして、課税が持っている経済効果をうまく活用していく。いわゆる租税政策を進めていく場合の立場であります。租税政策が有効であるために法人税がどうあるべきかというふうな議論がもう一つあると思いますが、残念ながらこの二つの立場から議論される法人税のあり方というのは必ずしも一致しない部分がございます。
 そのあたりを少し整理させていただきながら、きょうは商工委員会でございますから、どちらかといえば租税政策としての法人税のあり方、そういったものをお聞きしながら、一方、先ほど申しました税制議論としての法人税のあり方との調整あるいは調和、そういったものを考えさせていただきたい、こんなふうに思っております。
 この議論を始めるに当たりまして、まず二つの数字をちょっと御紹介させていただきたいと思います。
 その一つは、先進五カ国の現在の法人税の実効税率の比較でございます。日本は現在四九・九八%でございます。アメリカは四一・〇五%、イギリスは三三%、ドイツは日本に近いんですが四九・七九%、そしてフランスは三三・三%、こういうふうな数字になっております。この前まではドイツが日本を上回っていたわけですけれども、この前税制改正が行われまして日本が先進国の中でトップになってしまいました。この数字から私は、恐らく我が国の企業の国際市場での競争力を決めるのは為替レートが大きな要因だと思いますけれども、それにこの法人税率の実効税率というものがある程度加わって競争力を低下させているのではないかというふうに思うわけであります。
 そこで通産省としては、国際経済環境の調和というふうなものを考えて、この高どまりになっております我が国の実効税率、法人税の実効税率はどれぐらいの水準が望ましいのか、もしそういったものに対するお考えがあるならばまずお聞かせを願いたい、こういうふうに思います。
#49
○政府委員(牧野力君) 法人税率の国際的な比較については御指摘のとおりでございます。
 我が国の国際競争力、産業の国際競争力といったようなことを考え、かつ今御指摘のございました空洞化というようなことを考えた場合に、これはいろんな要因があろうと思います。これは先般来いろいろ議論がなされておりますように、日本の土地高でありますとかあるいは規制でございますとか、いろんな要因がありまして、これはそういった面、多面的に考えていかなきゃいかぬわけですが、今御指摘がございましたように、租税負担率、特に法人の実効税率の高さというものが適当でないという指摘も産業界からあることは事実でございます。
 ただ、今申し上げましたように、競争力というのは多面的に考えなければいけませんし、また税につきましては、当然伝統的な日本の税体系のあり方、あるいは徴税コストとかいろんな問題がございますので、法人の実効税率が非常に高いのでこれが競争力を阻害し海外投資の促進要因になっていると今一面的に決めつけるような状況にはないというふうに我々は思っております。
 ただ、今申し上げましたように、確かに問題だという指摘が非常にございますし、私どももそういう考えもございます。現に、政府税調におきましても答申がございまして、法人所得課税のあり方につきまして、我が国経済の国際化が一層進展しており、ひいては今後いわゆる経済の空洞化といった現象が生ずるのではないかという懸念もある、あるいは安定成長下においても企業の活力を維持していく必要があるという観点から検討をすべきであるという答申も出ておりますし、こういったことを見守ってまいりたいというふうに思っております。
#50
○牛嶋正君 もう一つの数字は、これは近年のシンガポールにおける法人税率の推移でございます。ちょっと申し上げますと、一九八五年以前は四〇%でございまして、それが八六年に三三%に引き下げられ、さらに八九年には三二%、九〇年には三一%、九二年に三〇%、そして現在は二七%ということでございます。
 これは税率でございますのでまた実効税率とやや異なりますが、それにしても約二〇%ぐらいの開きがあるわけです。恐らく企業が海外へ生産基地を移す場合、こういった法人税を含む税制だけで決めるわけではございませんが、恐らくいろいろな要因を考慮しながら、その一つとしてこの税制というものが考えられると思います。
 しかしいずれにしましても、こういうふうにシンガポールが税率を引き下げていきますと、だんだん格差が広がっていくわけでありますから、ほかの要因が今変わらないといたしますと、税制だけ考えた場合にこれが空洞化を加速させる要因になるということは確かでございます。
 そこで、こういった中進国あるいは発展途上国における税率がこういうふうに引き下げられているという状況を踏まえますと、これが産業の空洞化にどんな影響を与えているのか、どういうふうにお考えになっているのかちょっとお聞かせを願いたいと思います。
#51
○政府委員(牧野力君) 御指摘の点は否定できないと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、必ずしも法人税率のみによって海外進出が加速されるというふうに今決めつけるのはどうかということでございます。
 私どもで実施をいたしております海外事業活動基本調査というのがございます。これはアンケート調査でございますが、アジアにおける製造業について進出動機をいろいろ見ますと、現地労働力の利用、労働コストの削減、こういった理由によって出ていく、あるいは現地への販路拡大といった要因を挙げる企業が非常に多うございます。進出企業に対する、今御指摘の税制上の軽減措置等を含めまして、現地政府の産業の育成策、これに魅力を感じて出ていくというのは、やはり今申し上げました二つの要因に比べますとアンケート上の回答ではかなり少のうございます、差がございます。
 こういうことを考えますと、冒頭に申し上げましたように、種々の要因によって海外投資が加速されるわけでございまして、必ずしも我が国の法人税率のみによるとは考えにくいと思いますが、基本的に今委員がおっしゃいましたことについて私どもはそういう面もあるというふうに考えます。
#52
○牛嶋正君 そこで、議論を進めていきたいんですが、なぜこのように我が国の法人税率が先進国の中でも高とまりになっているのかということです。いろいろ説明できると思うんですけれども、このことを検討するに当たりまして私もう一つ数字をお示ししたいと思います。それは、我が国の国税の中で法人税収の構成比がどういうふうに推移してきたのかということでありまして、この数字をちょっと見てまいりたいと思います。
 昭和六十年から申し上げます。昭和六十年三〇・七%、六十一年三〇・六%、六十二年三三・一%、六十三年三五・三%、それから平成元年三三・二%、二年二九・三%、三年二六・三%、四年二三・九%、五年二一・三%であります。実は、この昭和六十三年の三五・三%はバブルのときでございます。この三五・三%というのは戦後の中で一番高い法人税の構成比になっているわけであります。そしてそれ以前、先ほど申しました六十年以前は、昭和三十年以降大体三〇%の水準が維持されていて、若干景気の変動によって前後はありますけれども、その幅は一、二%で推移してきております。
 私は、我が国の税制における法人税のこういった三〇%の構成比をもって、我が国の税制というのは法人税依存体質の税制ではなかったかと、こんな呼び方をさせていただいているわけです。そして、先進国の中の税制と比較いたしましてもこれは非常に高い構成比でありまして、これが我が国の特徴をなしているわけでございます。そういう意味で、我が国の税制は法人税を中心にして、その法人税の税収を三〇%維持しながらいろいろな組み立てがなされてきたのではないかというふうにも考えられるわけであります。そういう体質を私は法人税依存体質、こういうふうに呼ばせていただきたいわけであります。
 今仮に、非常に特徴的だと申しましたけれども、これを諸外国と比較させていただきますと、平成四年度で比較いたしますと、先ほど申しましたように日本はかなり落ち込んできて三二・九%ですが、アメリカが一六・六%、イギリスが九・一%、ドイツが四・三%、そしてフランスが九・〇%、こういうふうになっておりまして、やはり日本はまだ完全に法人税依存体質から脱していないんではないかということなんです。
 先ほど私はシンガポールの例を挙げましたけれども、日本も税率をずっと下げたときはあるんですね。それは高度成長のときでございます。三五%まで下げております。すなわち、高度成長で非常に各企業とも収益を上げて、法人税の自然増収というのは非常に大きかったわけですね。ですから、三〇%を維持していくに当たっては税率を下げてもよかったわけであります。三五%まで、四二%から三五%まで七%も下げられております、あの当時。
 それでいきますと、先ほど申しましたバブルのときの三五・三%ですか、このときもし三〇%を維持するということであれば私は相当な法人税の税率の引き下げができたんじゃないかと思うんであります。ところが、赤字国債を解消するためにそれをやらないで、一気に赤字国債を解消したわけであります。ですから、そこでは法人税依存体質はフルに活用されたというふうに思います。
 しかし、通産省の立場で産業政策あるいは経済政策の立場から租税政策を考え、法人税のあり方を考えた場合には、このときは下げられたんですからもっと下げてもよかったんではないかというふうに考えますけれども、昭和六十三年のこの動きについてもし御所見がありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
#53
○政府委員(牧野力君) これはなかなかお答えするのは難しい御質問でございますけれども、やはり当時のいろんな状況、もちろん財政の状況、赤字国債を解消しなきゃいかぬといったようないろんな状況の中で、企業の担税力に応じて課税がなされ、そういう状況の中でやっぱり企業はそれなりに成長し得たわけでございまして、それなりの理由、それなりの合理性があったのではないかというふうに思っております。
#54
○牛嶋正君 今私が申しました法人税依存体質というのは、法人税の税率の構成比がだんだん低下しておりますけれども、基本的には私はまだ守られているんじゃないかと思います。
 それは、政府の税制調査会の、先ほどもちょっと御紹介がありました答申の中でも、法人税のあり方といたしまして、できるだけ課税ベースを拡大し、そして税収を確保しながらその拡大した部分について税率を引き下げていく、こういう形で見直しを進めるべきだというふうな、そういう税制調査会での法人税の見直し論というものが示されているわけですね。ですから、課税ベースを拡大すると税収は入るけれども、入る部分だけ税率を下げよう、そういうことで海外との調整を図るというふうなことだろうと思うんです。
 ところが、経済政策、産業政策を進められる通産省のお立場から言いますと、この見直しの方向には一つ問題が私はあるように思うんであります。すなわち、税率を下げるということについてはいいと思いますけれども、しかし課税ベースを拡大すると。どういうふうに拡大するのか。
 大蔵省が考えておられるのは、一つは準備金とか積立金を抑えていくということだろうと思いますが、もう一つは租税特別措置を整理合理化するということをうたっているわけであります。そうしますと、この租税特別措置の整理合理化ということになりますと、これを使って今まで租税政策を展開してきたわけでありますから、この見直し論の中には、経済政策を進めていく通産の立場からしますとちょっと相反する二つの要因が含まれているというふうに思うわけですけれども、これについてどんなふうな御意見をお持ちでしょうか。
#55
○国務大臣(橋本龍太郎君) 久しぶりに学生生活に戻ったような気持ちで講義を受けておりました。
 ただ、今私ちょっと委員のおっしゃったお話の中で多少違うのかなという感じがいたしますのは、政府税制調査会が答申の中に述べておられますように、種々の要因を踏まえた上で課税ベースを拡大しながら税率を引き下げていこうという方向に基本的に我々は反対ではありません。その見直しの方向というものは間違ってはいないのではないかと思います。しかし、それと租税特別措置を絡められてのお話でありますが、この部分については私は多少違うのかもしれません。
 というのは、租税特別措置という制度そのものは、これは時代の変遷に応じて常に見直していく姿勢というものは我々は欠いてはいけないと思うんです。しかし同時に、その時代の要請に応じてそのときそのときの政策遂行の手段としては極めてすぐれた効果を持つものと我々は考えております。ですから、課税ペースを拡大していくという問題とは全く別の次元の問題として租税特別措置の論議については対応していきたい。そして、やはりその時代の要請に合った施策を遂行していく手段として今後ともに租税特別措置という制度は基本的に活用されるべき制度と、そのように位置づけております。
#56
○牛嶋正君 恐らく政策を進められる立場からはそういうようなお答えが返ってくるというふうに思いますが、私の立場としては、税制全体のあり方の中でもう少し法人税の議論をさせていただきたいと思います。
 今回の税制改革におきましてもほとんど法人税に関しましては大きな見直しはなかったわけでありまして、ずっと先送りされてきているわけです。なぜ法人税の税制改革が抜本的税制改革と言われながらこれまで議論されてこなかったのかということなんですが、それは先ほど私が申しました課税当局側に法人税依存体質があるというふうなことも言えると思いますけれども、私は、やはりシャウプ税制以降四十年以上も続いておりまして、取る側にもそれから納税者の側にも非常に定着した税制になっているということが言えると思いますね。古い言葉に、旧説は良税であるというふうな言葉もありますけれども、そういったことが法人税の見直しを今日までおくらせてきている一つの要因ではないかというふうに思うわけであります。
 もう一つ、法人税が持っております所得課税としての性格、これがやはり納税者の側にもそれから課税側にもこの法人税が非常に納めやすいあるいは取りやすい税であるというふうな性格をもたらしているんじゃないかと私は思います。御承知のように、企業がもうければそれに対して負担を求める、しかし損をしたら、欠損を出せばそれは繰り戻し、繰り越しで埋めてやるということですから、いわば法人税を介して国と企業がパートナーの関係にあるわけでございますね。しかも、このパートナーの関係というのは、租税政策の立場から見ましても法人税というのは非常に安定化要因になっているということが言えます。いわゆるビルトインスタビライザーとしての機能を非常に強く持っているというふうに思います。
 ところが、それが実は財政運営を行っていく場合に非常に大きなまた障害にもなっておりまして、先ほども数字を申し上げましたように、非常に税収が伸びるときは伸びるんですけれども、景気の後退期にはどんと落ち込んでしまう、そして歳入欠陥をもたらして財政運営を非常に難しくしているわけですね。そうだといたしますと、租税政策としてはビルトインスタビライザーとしての機能を持っている、しかし一方、税制全体を考えた場合にはもう少し安定した税収をもたらすような税構造の方がいいんではないかというふうなことで、ここでもやはり二つの立場から法人税を見た場合に少し対立の関係が生まれてくるわけですけれども、この点についてどんなふうにお考えでしょうか。
#57
○政府委員(牧野力君) 委員のお説は大変興味深く拝聴いたしております。ただ、私ども産業政策を担う部局といたしましては、先ほど来申し上げておりますが、現下のいろんな空洞化等の状況の中で企業負担の国際的な調和を図る、あるいはこの安定成長下の中で我が国における企業の投資、研究開発、雇用などの企業活動を活性化させる、こういう観点で望ましい法人課税のあり方をお願いしたいということで税務当局に強く働きかけているわけでございます。
 そういった状況の中で、先ほど大臣も申し上げましたように課税ベースを拡大して法人税率を下げていただくということは非常に期待をしておりますし、他方それと合わせて、産業政策上非常に大事な租税特別措置も、必要なものについては当然この洗い直しはしてまいりますけれども、この存立も必要であるというふうに考えております。
 こういう観点から、今の委員の議論も踏まえまして税務当局にいろいろお願いをしていきたいというふうに考えております。
#58
○牛嶋正君 最後にもう一つ、税制改革の観点から法人税についてちょっとお尋ねしたいと思います。
 今回の税制改革では、三つの理念を掲げて改革が行われたというふうに私は考えております。一つは、所得、消費、資産の課税間のバランスの問題、できるだけバランスをとっていく。それからいま一つは、中堅所得者の税に対する累増感を緩和するということです。それからもう一つは、高齢社会を迎えるに当たってできるだけ広く税負担を分かち合う、こういった税体系をつくるということでありました。
 恐らく、三番目の広く税負担を分かち合うというのは消費税率の引き上げを念頭に置いておられるんだと思うんですが、私は消費税だけじゃなくて、やはり主要税目であります所得税でも、そしてまた法人税でも広く分かち合う税というふうなことを考えていかなければならないんじゃないかと思うんです。特に、法人税の場合は、御承知のように今五〇%を少し上回るぐらいの法人が欠損法人として法人税の税負担を負っていないわけですね。すなわち、国税全体の中で三〇%前後を占めてきた法人税でありながら、法人の中で半分以上の法人が税を負担していないということを考えますと、これはもう広く分かち合うというふうな理念に沿わないことは明らかであります。
 しかし、今の所得課税である以上はこれはやむを得ないわけですね。ですから、法人税もやはり広く分かち合う税に、その理念に合うように持っていこうとすれば、今の所得課税を何らかの形で外形課税に移していくということが必要になってくるというふうに思うわけです。外形課税に移しますと、先ほど申しました法人税の税収の変動性というものをある程度回避することもできると思います。そしてまた、今申しましたようにどの法人も何らかの自分の経済活動に応じた負担をしていくというふうなことで、広く分かち合うというふうな理念にもかなっていくというふうに思います。
 しかし租税政策としては、外形課税に移っていけばいくほど、先ほど申しましたビルトインスタビライザーとしての機能も低下いたしますし、またそれを活用して政策を展開する租税特別措置の展開も非常に難しくなるわけで、ここにまた一つのジレンマが出てくるわけですけれども、これにつきましてはできましたら大臣からちょっと御意見をお伺いしたいのであります。
#59
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員の御意見を伺いながら考えておりましたのは、今の委員の御意見を逆に国民負担率に置きかえて論議を組み立てた場合どういう論点が生ずるのかということであります。
 私は、第二次臨時行政調査会は非常に大きな成果を上げられましたけれども、その中でややもするとこのごろ忘れられがちな一つの目標があるように思います。それは、ちょうどあの当時国民負担率は三六、七%ぐらいであったと思います。その時点において、二十一世紀前半の高齢化のピークに達する時点における国民負担率を現在の制度のまま伸ばした場合どのぐらいになるかという試算があり、それに対して、国民負担率はそのピークに達する時点においてもどんなことがあっても五〇%を超えてはならない、そしてできるならば四五%ぐらいのラインで食いとめるべきであるという一つの方向が出されました。
 そして、私は第二次臨時行政調査会が各種の作業を進められましたその骨格を成すものは、二十一世紀前半の高齢化のピークに達する時点を想定され、その時点における国民負担率をその四五%ぐらいのところで食いとめるために今から何をなすべきか、そのような視点であったと存じております。そしてその中で、幾つかのポイントが議論をされながら結論を出されなかった問題の一つに、いわゆる税として企業が負担する部分とは別に、社会保障負担で企業が負担する部分をどう見るのかという論点がございました。
 今私は委員の御論議を承りながら、所得、資産、消費というこの三つの点のバランスのとれた課税体系を構築しようとしていく中で、個人に対する所得税の引き下げが行われた、次に考えられるべきものは法人の負担、当然のことながら法人の所得課税というものが見直されるべきであると考えております。しかし、それだけでは視点が足りなかったな、企業の社会保障負担というものまで組み込んでこの点は検討していく必要がある、そのようなことを今改めて考えさせられております。
 今後我々が作業していく上で参考とすべき非常によい御意見を承りました。そのような思いを持っておるということをもって答えにかえさせていただきたいと思います。
#60
○牛嶋正君 実は、昨年の秋、税制改革が行われたとき私は大蔵委員会に属しておりました。そこで議論させていただいたんですが、やはり税制改革、すなわちできるだけこの高齢社会に望ましい税制をつくるんだという立場で議論させていただきました。
 今回こちらへ移りまして、やはり税制を考えていく場合に、きょう述べさせていただきましたようにもう一つ租税政策としての役割というのがあるわけでございますね。ですから、この問題をやはりもう一度取り入れて、今大臣から御示唆いただきました企業の負担分というのも一緒に考えて税制改革を進めていかなければならない。そして、これまで消費税につきましては消費税率の引き上げというふうな形で一応筋道が通りました。ですから、これからはやっぱり法人税の改革だと思います。その改革に当たりまして、この委員会で租税政策としての立場での法人税のあり方というものを教えていただきながらよりよい税制をつくっていきたいと思っておりますので、またよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
#61
○小島慶三君 私は、きょういただきました通産省、経済企画庁関係の予算、財投、本当はそれが主題であるわけでありますが、ちょっと時間もございませんので、二問に限りまして、今度の平成七年度の予算と、それから日本の経済のかじ取りと申しますか、そういうことにつきまして伺わせていただきたいというふうに思っております。
   〔委員長退席、理事沓掛哲男君着席〕
 先ほど吉村先生の御質問に対して、企画庁長官の方から政府の経済見通しそれから今度の災害の景気への影響といったようなことについてお話がありました。私個人としては、何か少し楽観的に過ぎるようなそんな感じがいたします。ただ、企画庁長官の立場としておっしゃることは、もちろんアナウンスメントの効果というものがございますし、また政治的な意味も含まれていると思いますので、私はここで論争しようとは思いませんけれども、ちょっと感じとしては楽観的だなと、それでよろしいのかなということが気になるわけでございます。
 それで、今度の災害に関しまして私が最初に得たデータはモルガンスタンレーからのデータでございまして、これは日本のいろんな新聞その他の報道よりもはるかに早かった。それから、一番事細かに分析ができているのが三菱総研のデータであったと思うのであります。私個人の見解でないという意味でそういうものを参照いたしまして、少し数字にわたるかもしれませんが申し上げさせていただきたいと思います。
   〔理事沓掛哲男君退席、委員長着席〕
 今度の災害でいろんな社会資本ストックというものが大変打撃を受けたわけでございます。いわゆる社会資本ストックが二・四兆、それから住宅ストックで一・八四兆、企業設備で一・六三兆、建物・機械でありますが、それから商品在庫で〇・三九兆、合計六・二七兆という数字を私は入手しております。それで、これはもちろん取り壊しの費用ですとか設備の質的な改善とか機能の向上とか、そういうことがありましょうから、恐らくそういうもの全体をひっくるめますと、この災害に見合う総投資額としては九・四八兆、約十兆と巷間言われておりますけれども、この数字に割に近い。
 それで、これによる生産力の低下によります実質GNPの低下が九四年度のGNPでマイナスの〇・一四、九五年度でマイナスの〇・二三ということで、割に数字が小さく出てきているわけでありますが、これは要するに現在の産業の供給力あるいは稼働率といいますか、そういったものに余裕があると、先ほども御説明がありましたけれども、そういうことではないかと思うわけであります。
 それで、これに対して、今言いましたように十兆の復興需要が、九五年度にはそのうちの三分の一、大体三兆、これは乗数効果とか輸入増加とかございますから、そういうものを調整しますと大体通年のベースで成長率には〇・八%という影響が出てくると。九六年以降はさらにこの残りの六兆四千八百億というものが出てきますから、九六年度以降にもこの影響が出てくるということは間違いない。
 それで、九四年度、九五年度のこの当初見通しに対して、プラスの要素、マイナスの要素、こういったものを調整しますとどうなるかというわけでありますが、九四年度の民間十九社の当初見通しは平均しますと大体〇・九%と。これは政府の見通しとは大分違いますけれども、〇・九%ということでございます。したがって、それから先ほどのマイナス面〇・一四%を引きますと、〇・七六%というのが九四年度の成長率になりそうであります。
 それから、九五年度につきましては民間の総平均が一・八であったと思います。一・八に対しましては、この復興需要が〇・五七響いてまいりますから二・三七ということで、政府の見通しを仮に二・八%としますとそんなに大きな差はないようでありますが、しかし実際、復興が実ってプラスになってくる時期といったようなものはいつなのか、その中身がどうなのかということで、かなり政府の予想とは違った経済になるのではないかと私は思っております。
 予算というのは、やはり申すまでもなく各年度の経済の実勢、それを踏まえて立てられるわけでありますから、そういった点で見ますと、二・八から二・三七への修正というふうに経済の実勢がなりますと、これは相当やはり財政面でも考える必要があるのではないかと思いますが、まずその前に一点、この成長見通しのダウンということをどういうふうにお考えになるか、経済企画庁長官にひとつお尋ねをいたします。
#62
○国務大臣(高村正彦君) 今いろいろな試算をお聞かせいただいたわけでありますけれども、その前提として恐らくかなり大胆な仮定を置いて試算をしておられるのだろうと思います。
 経済企画庁とすれば、当初マイナスが出たことは間違いない、そのマイナスがどのくらいのスピードでなくなっていくのか、あるいは復興需要がこれからどのくらいのスピードで出ていくのか、そういったことに政府としては余り大胆な仮定を置いてやることもできませんので、まだ細かな試算をしているわけではないわけであります。
 そういう中で、全体の感じとすれば、当初のマイナスを平成七年度全体でいえば取り戻していくという感じであって、そしてそういう中で、今直ちに二・八%が達成不可能になったとは考えていない、こういうことでございますので、御理解いただければありがたいと思います。
#63
○小島慶三君 そういう感じで恐らく見ておられると思うんですけれども、財政的に見ますと、これは二次補正が公共事業で一兆一千億、財投で二兆五千億ということで、これは応急手段として国債で賄われたわけでありますが、九五年度の、恐らくこれからの予算につきましても、先ほど企画庁の方としては実勢と余り大きく違っていないという意味のことであったと思うんですけれども、やはり何らかの補正がまた必要になる、すぐ七年度の予算について補正が必要になるということではないかと思っております。
 一応この三菱のデータでは、九五年度の公共投資〇・五兆、それから財投一・七兆ということが予想されておりますけれども、これを変えればまたさっきの数字も変わってくるかもしれませんが、一応産業への影響なんかも、復興投資をさっきの九・四八兆としまして、恐らくそれがいろいろ波及してまいりまして十八兆八千億ぐらいの数字が需要として出てくる。これは何年で出てくるか、数年にわたって出てくると思いますので、その間はかなり景気の維持ということもあるいは可能になるかもしれません。亡くなられた方には申しわけないんですけれども、犠牲者の方にも本当に申しわけないんですが、そういう需要が出てくるということであろうと思います。
 そうしますと、しかし復興需要が一段落した後では日本の経済はどうなるかということで、これは私かつて橋本大臣にはお伺いしたことがあるんです。
 これは簡単に申しますけれども、一応日本の中長期の経済の見通しとしては、人口増加率の低下といいますか、人口の絶対的減少まではまだ行きませんが、人口増加率が逐次低下していく。それから、今度もそういうことがあるので通産省でイノベーションについての法律をお出しになったと思うんですけれども、技術進歩率というものがここしばらく低下してきておりますから、これがどうなるかということで、人口増加率の低下とそれをカバーすべき技術進歩率が低下いたしますと、成長の度合いというのは、かつてのような右上がりの三%ないし四%というそういう成長がコンスタントであった時代とは全く違った局面を日本は迎えるのではないか。
 それから、もう一つ加えれば産業の空洞化ということで、これはきのうも私は空洞化は必ずしも悪くはないと申したのですけれども、実質的にこれから大競争の時代に入るということです。この間外国の雑誌を見ておりましたら、「第三次世界大戦」なんていう大変な表題が出ていたので中身を読んでみましたら、これはそういうことでなくて市場競争ということで、そのトップに中国が挙げられておりました。そういうふうな、どう見るかという問題はありますけれども、やはりかなり厳しい競争を強いられるということは間違いない。
 それこれ考えてみますと、従来のような成長率は非常に今後中長期的には難しいんじゃないかということなんですが、これに対して財政の方が果たして、一%台の成長に仮に長期的に低下するといたしますと、財政欠陥というのは非常に問題になるんじゃないかと思うわけであります。高齢化に対するシルバービジョンですとか、あるいは第五次の国土計画でありますとか、あるいはWTOの影響に対する農業関係の予算の増加でありますとか、あるいは公共投資の二百兆の増でありますとか、ニーズが余りにも多い。そしてサプライの方は非常に問題があると。牛嶋先生から法人税の問題なんかも御指摘ありましたけれども、そういうことで財政欠陥というのが非常に目に見えてくる。
 ですから、ある意味では復興計画のスタートの時期がちょうど財政の再建計画とかそういった時期のスタートに合致するということもあるのではないか。財政としての非常に大きな曲がり角になると思うのでございまして、この点を大蔵省の方に実はお伺いしようと思ったんですけれども、考えてみますとこれはまさに国政レベルの問題でありますので、あらかじめ通告申し上げなくて申しわけなかったんですけれども、この辺のところを橋本通産大臣にお伺いしたい。よろしゅうございましょうか。
#64
○国務大臣(高村正彦君) 私の方でよろしいでしょうか。
 今の日本の経済がフル稼働経済でないということで、かなり余力はあるけれども、余力がないただ一つの点が私は財政だと、こういうふうに考えているわけであります。そこは確かにそうなんですが、委員がおっしゃるように成長率が一%程度に直ちになってしまうとは私は必ずしも考えていないわけであります。
 今、現行の経済計画、実質成長率が三・五%ということになっていますが、それがそのまま続くということは私も確信が持てないわけでありますが、いずれにしても、今経済審議会に新しい経済計画をつくることをお願いしているわけでありますので、そういう中で、まだまだ日本には合理化すべき余地、規制緩和等をする余地が十分ありますので、そういった中から、余り悲観的に見る必要もないのではないか、希望を持っていいのではないか、私はそういうふうに考えております。
#65
○小島慶三君 ありがとうございました。
 これで私の質問を終わらせていただきます。
#66
○市川正一君 この二十三日から知事選挙が告示され、三大選挙の火ぶたが切られますが、この時期に当たりましてあえて橋本通産大臣にお伺いをいたしたいと存じます。
 選挙の権利は、憲法第十五条で「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」と定めておりますように、憲法が定める国民主権の具体的な内容であります。選挙は、個人の良心の自由の尊重、思想、信条、政治的立場の自由の尊重の上に成り立つものであります。ですから、企業だからといって良心の自由という国民固有のこの権利を侵すことはできない、言うまでもないことです。企業が社員の良心の自由を踏みにじって支持もしていない政党や候補者の選挙の応援に駆り出してはならぬのは当然だと思うのでありますが、通産大臣の認識をまず確認いたしたいと思います。
#67
○国務大臣(橋本龍太郎君) 具体的にどういうイメージを持ってのお尋ねかもう一つ判然といたしませんけれども、基本的に選挙の権利というものは個人固有の権利でありますから、立候補をすることもしないことも、投票をどなたにすることも、私はみずからの判断で決すべきものと、そのように思います。
#68
○市川正一君 全く同感であります。
 ところで、中部電力岐阜支店におけるいわゆる企業ぐるみ選挙についてであります。
 去る二月十六日に、中電人権争議岐阜県支援共闘会議というのが中部通産局に企業ぐるみ選挙を中止するよう指導要請を行いました。これについて通産省はどのように対応なすったのか、また中部電力は何と言っていたのか、その結果を報告していただきたい。
#69
○政府委員(川田洋輝君) お話しの、先月十六日でございましたか中部通産局にお話をいただいたようでございますが、これに対する中部通産局の方からの答えは、電気事業法でそういう監督を私ども行っておらないということで、選挙運動などに関しては電気事業法などによる我々の規制の対象としては入っておりませんので、お話は取り次ぎますがということで取り次いだと、こういうことを聞いております。
 それに対する中部電力からのお話は、そういう干渉は一切、そういう活動は行っておりませんということでお話があったというように承知をいたしております。
#70
○市川正一君 それは事実に反します。
 具体的に申しますと、社員は、組合員だけでなしに管理職や取引業者などから集めた整理票という紹介カードを持たされて、現物のコピーをここに持ってまいりましたが、これであります。(資料を示す) 川田さん、見えますか。そして、一日に四十軒から五十軒の有権者宅を戸別訪問して、後援会ニュースの配付や支持の確約を取りつけさせられています。また、職場での業務打ち合わせ会議などで選挙動員の割り当てを行って勤務表をつくり、そして社員の活動を管理している。ここにその勤務表を持ってまいりました。
 これを見ますと、表の各欄に「N」という印がつけられているんです。これは、今回、県会議員選挙に新進党から立候補予定の人物のイニシアルであります。この表の意味は、このN印のついた日は当該課員がN氏の選挙活動に動員されることを示しております。大部分の課員が組織的に動員されていることがこれでわかるんですが、これは労働基準法第五条に定める強制労働の禁止違反に該当すると思われるんですが、いかがでしょうか。
#71
○政府委員(川田洋輝君) お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたとおりに、電力会社というのは、すぐれて公益性の高い電気事業という事業を営む会社でございますけれども、企業としては自己の責任と危険負担において経営を行う私企業でございます。
 私ども通産省といたしましては、前段の部分については電気事業法などの所要の法律に基づいて厳然とした指導、規制を行っておるところでございますけれども、後者につきましては、私企業の立場からの活動ということで、私どもしかと承知をしていないということを前提としてまず申し上げなければならないと思います。
 そういうことを申し上げた上で、先ほど御照会のありました申し入れなどもございましたので事実関係を聞いてみたところ、そういうことはないということで、先ほど申し上げたところでございますが、繰り返しになるようでございますけれども、今お挙げになりました具体的なポイントポイントにつきまして、会社が会社としてそういう対応をしたことはないということを私ども聞いておるところでございます。
#72
○市川正一君 二つあるんですが、あなたもおっしゃったように公益事業、そしてまた電気事業法に基づいてやっている企業体です。ですから、これは国民に対して、消費者に対してすぐれて大きな責任を持っています。何をやろうと勝手やというわけにはいかぬのですね。それからもう一つは、そういう事実はないというふうに返事を受けた、回答を受けたとおっしゃるが、まだまだこれからたっぷり事実を申しますからよう聞いておいてほしいんです。
 この中部電力は前回、四年前も同じようなことをやって共闘会議が指摘いたしました。それを全面的に認めて謝罪しております。そして、休暇と業務の区別を正しくするよう指導します、特定の政党や候補者に会社として便宜を図るようなことはいたしませんという回答を寄せておるんです。しかしまた繰り返しているんです。今回も中部電力の労働者からは、動員されるのは嫌だけれども断れない、やめさせてほしい、そういう切実な声が寄せられております。
 これは労働基準法の第五条、強制労働の禁止規定の違反というふうにはっきり私は言うことができると思うんです。これでも労働者の思想、信条の自由が守られているとおっしゃるんですか。その点は事実に即してもう一度調べていただきたい。
#73
○政府委員(川田洋輝君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども、電力会社が適正な電力の供給を行うということについての必要な規制は電気事業法などに基づいて私ども担当させていただいておりまして、これは厳然と実施してまいりたいと思っておりますが、ただいまお挙げになりました例えば選挙との関係などにつきましては、選挙関係の法令によってそれはまたそれとしてきちんと判断をいろいろされるものというふうに思っておりますが、その選挙関係の法令につきましては私ども担当ではございませんので、これについてはいかんともお答えしようがないということを先ほど来申し上げさせていただいておるところでございます。
 また、先ほどお挙げになりました個別の事例につきましては、これまたせっかくの御指摘でございましたので担当の者に聞かせましたところ、会社の方からは、数年前の事例についてもそういうことではなかったということを私ども聞いておるということを申し添えさせていただきます。
#74
○市川正一君 私も責任を持って調べてまいりました。ですから、それに対する事実関係は通産省としても調べていただきたい。
 今お示ししたような勤務表、これです。(資料を示す)ここにまで割り当てが書き込まれています、これもお持ちだと思いますが。
 そればかりではなしに、数名の社員が選対事務所に派遣され、連日選対業務に当たっているんです。有給休暇でもあるという弁明を中電の方はしているようでありますが、しかし同じ職場の労働者は、彼らは選挙活動が正規の会社の仕事なんだと、こう言っております。こういう特別の勤務の期間というのは、去年の十月以降今日にまで百五十日以上に及んでおります。中部電力の年間有給休暇は二十日のはずです。年次有給休暇は前年度分を翌年まで持ち越せるのが普通ですが、それにしても最大四十日です。そうしますと、選挙活動を行う者には年間七十五日以上も有給休暇を認めていることになりますが、これも労働基準法第三条に定める均等処遇に違反するものではないんでしょうか。こういうこともそれは企業がやることだから勝手だと、こうおっしゃるんですか。
#75
○政府委員(川田洋輝君) 私は企業の活動についてすべて勝手ということを申し上げていることではございません。それぞれやはり企業活動について関係の法令を十分守って仕事を進められるということは当然だというふうに思っておるところでございます。
 私が先ほど来申し上げておりますことは、電力の適正な供給ということにつきましては、私ども通産省は責務を有しております、そしてその限りにおいては電気事業法などの十分な法令もございますので厳正に規制は進めてまいりたい、指導も進めてまいりたいと思っておりますが、それを除く部分、私企業の立場から電力会社がいろんな活動をなさっておられる部分につきましては、それぞれの法令の担当部局のところで御判断、あるいは必要な指導などがあればそちらでなさっていただきたいということを申し上げ、繰り返して恐縮でございますが、そういう立場にございます。
#76
○市川正一君 事実上業務命令で会社が人件費を支出して選挙活動をやらせている。じゃ、その人件費はどこから出るんですか。全部消費者、国民の電気料金です。ですから電気事業法によってもこの点に対する監督指導の責任を通産省は持っているわけです。そういう不当な支出が行われているということを見過していいんですか。私はそういう角度からも問題をただしているんです。
 さらに聞きますが、岐阜支店直轄の全副長と支店長との懇親会が開かれて、支店長がじきじきに選挙情勢、得票目標、そしてまた運動の方針などを訴えて最後まで最善の努力をしろという檄を飛ばしております。
 ここに私が持ってまいりましたのは一月九日付の総務部総務課から支店各部の筆頭副長にあてた「支店長との懇親会について」という文書です。今申しました懇親会への動員を指示したものでありますが、対象者は支店直轄副長クラス全員、開催単位は各部系統センターの副長クラス、これを三グループに分けて開催しております。日程や場所のほか出席者の確保についても細かく指示をしております。こういう社内文書で業務組織を使ってまで選挙活動に動員されておれば、労働者は嫌だと思っても断り切れないんです。明らかに職権乱用であります。しかも、この懇親会は会費三千円、しかしこの会費は料理の代金で、酒代は会社負担と言われております。こういうやり方は買収の疑いさえあります。
 また、外注先や取引業者などに整理票という紹介カードを提出させ、その整理を会社で雇用したアルバイト社員にやらせております。
#77
○委員長(久世公堯君) 市川君に申し上げます。
 時間が参っておりますので御意見をまとめてください。
#78
○市川正一君 こういう下請企業や取引先への集票依頼の問題は公選法の買収及び利害誘導罪、利害関係利国威迫罪にも該当すると思うんです。
 結論として、大臣にも所見を賜りたいんでありますが、今申したような一連の事実は、憲法第十九条に定めております思想、良心の自由を侵し、公選法第一条の規定にも反するものであります。
#79
○委員長(久世公堯君) 重ねて申し上げます。
 時間が超過いたしております。おまとめください。
#80
○市川正一君 わかっております。
 同時に、こういう場所や便宜の供与、酒を飲ます、投票や選挙活動に動員するなど、こういう経費は電気料金によって消費者に支払わせることになるわけであります。したがって、公益事業としてあるまじき企業行動として電気事業法の趣旨からしても容認することはできないと思うのでありますが、こういう企業ぐるみの選挙をやめるように毅然とした態度で臨まれることを私は強く希望し、回答を求めて質問を終わります。
#81
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今伺いながら、もし選挙の関係者で他党に全部書類が流出するような選挙運動をしているとしたら随分頼りない選挙事務所だなというのを、選挙をする人間としては実感をいたしました。
 しかし、私は先ほどから委員がお述べになっておられることは通産省にお話をいただくことだとは思いません。我々は電気事業法に基づき、先ほどから長官が何遍もお答えを申し上げておりますように、電力会社に対して公益事業としての役割を全うできるような努力を求める責任は持っておりますが、選挙関係法令を所管するのは他の省庁でありまして、我々としてこれを指導する立場にはないと思います。
#82
○市川正一君 終わります。
#83
○委員長(久世公堯君) 以上をもちまして、平成七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公正取引委員会及び経済企画庁並びに中小企業庁を除く通商産業省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#84
○委員長(久世公堯君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時十七分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時十分開会
#85
○委員長(久世公堯君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#86
○斎藤文夫君 昨日、橋本通産大臣から趣旨説明を承りました。これから、以下何点か大臣初め御関係の方々から御答弁を賜りたいと思っております。
 第一次大戦で毒ガスというものが新たな脚光を浴びました。その後、人道的な立場からジュネーブ協定等々ができ、毒ガス類、化学兵器は使用禁止というような国際的な約束にもかかわりませず、その後の第二次世界大戦においても使われたというようなことか言われておるところでございます。さらに、各国が一層研究開発を進めて、近くはイラン・イラク戦争、テレビ等でもその被害状況を見たことがございます。そういうようなことで、いろいろと常にいかなる時代でも今までは問題にされてきたところであります。
 しかしながら、長い論議を経まして、今回、昨日御説明をいただいたような条約批准という形になってまいったわけであります。したがいまして、まず第一に化学兵器禁止条約の意義についてお尋ねを申し上げたいと思います。
 化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約でございますけれども、一九六九年から二十年、長い間論議をされ、そして今日思いますとまことに軍縮条約としては画期的なものだと思っております。その意味で、本条約及び本法案は、他の多量破壊兵器の分野における軍縮を進める意味でも私は大変大きな一石を投じた価値あるものだと判断をいたしておるところでございます。人道的に見ましても、無差別多量殺りく、こういう化学兵器が、そしてまた原子力爆弾等々が地球上に存在をしておるということはまことに残念なことでございます。
 それらを踏まえられまして、通産大臣の御所見を承りたいと思います。
#87
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員のお話にもありましたように、一九二五年に「窒息性ガス、毒性ガス又はこれらに類するガス及び細菌学的手段の戦争における使用の禁止に関する議定書」というものが結ばれたわけであります。この議定書で禁止をされましたのは、化学兵器の戦場における使用というものだけでありました。
 そして、今回この化学兵器禁止法案を提出いたしますもとになりましたその条約と申しますものは、その意味では私は、本当に東西冷戦の終結という大きな歴史の転換を受け、参加するすべての国に対して化学兵器の開発、生産、使用などを全面的に禁止いたすだけではなく、既にこうした兵器を所有している国に対してもこの廃棄を義務づけている、しかもそれらの事項を厳重かつ効果的に実施するために申し立てによる査察を含む非常に厳しい検証制度を導入するなど、軍縮条約として極めて画期的なものであるというのは委員の御指摘のとおりであると思います。
 ただそれだけに、これを実行していきます場合に、私どもはさまざまな点でなお検討していかなければならない問題点を持っております。例えば、その検証の手法あるいはこれらが産業活動に与える影響をどうすれば最小限に、あるいは未然に防止をすることができるか。そうしたことは必要といたしますけれども、同時に、大量殺りく兵器あるいは大量破壊兵器と言われるものの中で、軍縮を効果的に進めていく上で一つの大きなモデルケースがここに生まれたわけであります。
 私どもは、この条約が本当に一つのモデルケースとして今後の軍縮の中で大きな役割を果たしてくれることを心から信じておりますし、また願っております。それだけに、この条約の適確な実施というものが重要であると考え、その条約を国内においていわば実効あらしめるものとして本法案の御審議をお願いすることになりました。
 どうぞ、その意味では、慎重御審議をお願い申し上げますとともに、委員の御指摘にもありましたような、この条約の持つ大きな意義というものを御評価いただけることを願っております。
#88
○斎藤文夫君 次は、本条約を効果あらしめるためには世界じゅうの国々が参加をしていただくことが一番いいわけでありますが、現在の署名国あるいは批准国、また今後いかなる国が批准に応じてくるか、また本条約はいつごろ発効するか、お聞かせをいただきたいと思います。
#89
○説明員(高松明君) ただいま御質問にございました本条約の発効の見通してございますが、条約の規定上、六十五カ国が批准いたしまして後百八十日後に発効すると規定されているわけでございます。
 現在、条約の批准国は本日時点で二十七カ国となっております。本条約を批准していない諸国につきましては、私どもといたしましては現在、特に欧米諸国でございますが、できるだけ早く批准しようということで準備を鋭意進めているというふうに聞いております。
 私どもといたしましても、本条約の締結につきまして御承認いただきました暁には、まだ批准をしていない国々に積極的に働きかけてまいりまして、できるだけ早い本条約の発効に向けまして努力をしてまいりたいと考えております。
#90
○斎藤文夫君 六十五カ国に早く達するように御努力を願いたいと思います。
 また同時に、この条約が発効しできますと、化学兵器の禁止のための機関という準備委員会が持たれるわけですね。そういうようなこととか、あるいはアジア諸国に対して、今これからアプローチを日本がいたしますということでございますけれども、そういう国々に対する協力というものはどうお考えになっておられますか。
#91
○説明員(高松明君) 本条約のいわゆる準備機関といたしまして、現在オランダのハーグに条約機関のいわば準備機関といたしまして暫定事務局というものがございます。この暫定事務局が、条約の発効後、本格的な化学兵器禁止条約機関として条約の実施体制の中核になっていくという手はずになっております。
 委員御指摘のアジア諸国等における批准の促進につきましては、これは先ほど申し上げましたとおり、できるだけ多くの国が批准を急ぐことによりまして発効が確保されるということがございますので、アジア諸国につきましても積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
#92
○斎藤文夫君 お隣の中国は批准の方向で動いておられるようでありますが、かつて日本軍が中国に遺棄してきたとされる化学兵器、ついこの間も何かテレビ等々で私は見た記憶がございますが、こういうものに対して我が国がいかなる責務を負うのか、我が国がそれを処理するというようなことになるのか、そういうことについて日本政府としてはどうお考えになっておられますか。
#93
○説明員(野本佳夫君) ただいま先生御指摘の中国の遺棄化学兵器の問題、これは旧日本軍がさきの大戦時に中国に化学兵器を遺棄したということで中国側よりその処理を求められている問題でございます。
 中国側の調査によれば、この化学兵器は砲弾で約二百万発、化学剤で約百トン、それが未処理のままになっておるということでございます。本件につきましては、中国側から処理の要請がありまして以降、日中間で既にもう協議及び視察、調査が行われてきております。現在、破棄されました遺棄化学兵器の現状をまず把握いたすべく、去る二月下旬から今週初めにかけても調査団を現地に派遣しているところでございます。
 本件につきましては、その実態につき、現地調査、視察等の結果を踏まえ、今後一層事実関係の把握に努める必要がございますが、我が国といたしましては、日中共同声明、日中平和友好条約、またこの化学兵器禁止条約の精神を踏まえまして、具体的な処理のあり方につきまして今後中国側と鋭意協議をしていく考えでございます。
#94
○斎藤文夫君 今、現地調査をされておると言いますが、中国全土に散らばっているわけですかその二百万発とか百トンというのは。
#95
○説明員(野本佳夫君) 中国側の御説明によりますと、やはり東北地区が多うございますが、かなりの程度において中国各地に散らばってございます。
#96
○斎藤文夫君 防衛庁おいでになっていますか。――ちょっとお尋ねをいたしますが、自衛隊として化学兵器等に関する研究とかは現状はどうなっているんですか。
#97
○説明員(山中昭栄君) お答えを申し上げます。
 防衛庁におきましては、化学兵器そのものの研究はいたしておりませんが、万が一化学兵器を使用された場合を考慮いたしまして、その防護の見地からの調査研究を行っているということでございます。
#98
○斎藤文夫君 防護については後で時間があれば触れさせていただきたいと思います。
 続いて、先ほど大臣からもお言葉がございましたが、本法案の産業界への影響、そしてまたそれに対する対策について以下何点かお尋ねを申し上げたいと思います。
 まずその第一は、本条約により化学兵器に使用されるおそれのある化学物質あるいは原料物質が規制対象となるわけでありますけれども、これらの規制の対象となる事業所というのは一体全国でどのくらいおありになるんですか。
#99
○政府委員(中島邦雄君) 化学物質と申しますと何万というものがございますが、そのうち化学兵器に使われるおそれがある、あるいは化学兵器の原料になる可能性のあるものとして五十弱ございます。そのうち、特に化学兵器にしか使えない、表現をかえますと化学兵器のために開発したようなサリンのようなもの、こういったものを条約では表一剤と称しておりますが、これについては、日本ではこういったものを生産している工場はございません。事業所はございません。
 それから、化学兵器に使えるけれども一般の我々の民生用にはほとんど用途のないもの、こういったものを表二剤と申しておりますが、こういったもの、例えば三塩化砒素とかこういったようなものはいろんな用途がございますのですが、これにつきましては九十の事業所がございます。それから、民生用に非常に広範に使われる、こういったものを表三剤と言っておりますが、こういったものについての事業所は約四十でございます。合わせまして約百二十の事業所がそれに該当いたします。
 それから、一般的にそのほか有機化学物質というかなり広範なとらえ方をしているカテゴリーがございますが、こういったものについては約一千の事業所があるというのが今私どもの調査でございます。
#100
○斎藤文夫君 本法案の規制の対象となるのは言うなら一般の化学産業ですね。そうなりますと、このルールを我が国も受け入れる、そうなれば中小企業その他産業界に荷重が相当かかってくるのかなと。とりわけ中小企業の負担をむしろ軽減するような対策をお立ていただかなければならないと思っておりますし、大臣もそういう御心配をいただいておると先ほどごあいさつがございましたが、この点についていかがでございましょうか。
#101
○国務大臣(橋本龍太郎君) この届け出あるいは検査と申しますものが民間企業に大きな負担がかかることなく円滑に実施されることの必要性というものは既に国際的にも共通の認識になっている、そういうふうに承知をいたしております。現在もそのための必要な方策につきましては、外務省からお話のありましたオランダのハーグに設置されております準備委員会及びその専門家会合において議論をされているところでございます。
 日本としても、産業界の実態などを踏まえながらこの議論に積極的に参加をいたしてまいりました。また、日本自身の対策といたしましても、これまで円滑な届け出、検査の実施のために関係の事業者が利用されるマニュアルを作成し配付すること、特に中小企業を対象とする情報の提供あるいは指導事業などの対策につきまして産業界の御意見を踏まえながら講じてまいっております。
 今後も、引き続き国際的な検討と国内対策の両面において適切に対応しながら、中小企業を初め関係の産業界が過重な負担を強いられることのないように全力を尽くしてまいりたい、そのように考えております。
#102
○斎藤文夫君 ぜひその点は十分に御対応いただきたいと思います。
 また、この条約を導入してまいりますと、条約機関による検査等が当然行われることになります。今までそういう経験が日本の産業界にはありませんから、その辺の混乱、あるいは企業側も国際機関の調査というようなことになると大変だなという認識になるわけであります。
 それとあわせまして、とにかく全国に千数カ所あるとすれば、それらについて、いろいろ調査があるよ、あるいはあそこの工場で化学兵器に何か利用されるようなものをつくっているよと言われるだけで今の日本の場合には、風評被害といいますか、風聞、伝聞によって、あの工場はやめてもらおうよ、出ていってもらおうとかいろんな波が立つのが今の我が国の実情でございます。
 この辺を踏まえまして、どういうお考えがございますか、対策もあわせお聞かせをいただきたい。
#103
○政府委員(清川佑二君) 条約機関による検査などにかかわる企業の不安という問題、そしてまたいわゆる風評被害の問題を御指摘いただいたわけでございます。
 まず、条約機関による検査、これについての不安という点につきましては、検査の対象となる企業に対しまして化学兵器禁止条約の内容に関する説明会を回数多く既に開いているところでございます。そのほかに、今後さらにいわゆる模擬検査というような、実際の検査に等しいような実地訓練を行う、このようなことも考えながら、情報提供、指導といった事業を行ってまいりまして、積極的に検査企業に対する情報提供などを行うことにより安心感を与える、このように考えております。
 また同時に、通産省といたしまして検査に立ち会う職員がございます。これまでも、まず通産本省における検査職員、地方通産局における検査職員の専門職員の増員などの体制の整備充実に努めてきているところでございますが、これらの職員に対しましてはマニュアルを作成いたしまして、そしてまた同時に、国際機関の検査官の候補者を受け入れまして実地の模擬訓練を実施するというような形でこの検査に習熟し、十分な対応ができるようにいたしてまいりたいと考えております。
 他方、条約機関による国際機関からの検査官あるいは政府職員の立ち入りが実際に行われるという場合に、あらぬうわさなどを立てられて有形無形の損害を受けるといういわゆる風評被害の損害が生じるおそれがございます。これを防ぐための対策を掲げているわけでございますが、まず第一に、このような風評被害の発生を未然に防止するために、単に化学関係の業界にとどまらずに、広く国民各層に対しまして化学兵器禁止条約の趣旨あるいは検査の意味を周知徹底いたしまして、この検査が化学兵器そのものの製造などの懸念とは直接関係のないものであるというようなことの理解を得ることが必要であろうと考えております。
 このような観点から、当省といたしましては、条約機関による検査の趣旨についての周知徹底、普及啓蒙活動を行いたいと考えております。
 具体的には、関係企業を対象とする条約に関する説明会の開催、あるいは中小企業を対象とする条約内容にかかわるパンフレットの作成、配付、さらにまた風評被害を防止するための中小企業向けマニュアルの作成、そしてまた関係企業の周辺の住民に広く条約内容について普及活動を図るために、地方公共団体の協力も得ながらポスターあるいはパンフレットを作成し、配付を行うことといたしたいと考えております。
#104
○斎藤文夫君 本法案の第三十三条二項には都道府県の公安委員会が立入検査をする規定があるんです。企業の正当な経済活動を公安委員会が調査をすると。それは一体どういう場合におやりになるのか。特に慎重に対応していただかないと、今の風評被害、これはもう住民に何事やと思われただけでも困る、こう思っておりますが、いかがでしょうか。
#105
○説明員(瀬川勝久君) お答えいたします。
 本法案の十七条の二項におきまして、特定物質を運搬しようとする場合に都道府県公安委員会に届け出がなされるということになっておりますが、その届け出があった場合においては、都道府県公安委員会といたしましては、その「運搬において特定物質が盗取され、又は所在不明となることを防ぐため必要があると認めるときは、運搬の日時、経路その他国家公安委員会規則で定める事項について、必要な指示をすることができる。」、このようになっております。
 先生御指摘の三十二条二項による立入検査等というものにつきましては、この十七条の二項の規定に基づきましていろいろ安全確保のための必要な指示をする、その指示が的確に実施されるということが盗取あるいは所在不明を防止するためにどうしても必要なことであろうということでございまして、その目的のために必要な限度におきまして警察職員に立入検査を行わせるということを考えているものでございます。
 もとより、この立入検査につきましては必要な範囲に限定をすることとされておりますし、具体的には、運搬状況を確認するために業務日誌等を確認したり、あるいは関係者に対して質問したりということが想定されるわけでございますが、無用のあるいは過重な負担を関係者に与えることがないように十分配慮してまいりたい、このように考えております。
#106
○斎藤文夫君 ぜひ慎重に運用してください。そういうのが決まってしまうと割合ひとり歩きして、立入検査ができる、だからどんどんと、こういう可能性が今まで多く見られましたので、よろしくお願いをいたします。
 産業界への影響の最後ですけれども、情報の申告とかあるいは条約機関が検査等々をやるようになってくるわけですが、企業にとってはいわゆる企業機密というものがあります。それをどうしてもディスクロージャーさせられるような不安がないかな、こういうことを企業サイドの人は言っておりますが、この辺についての配慮はどうなっておりますでしょうか。
#107
○政府委員(清川佑二君) 斎藤委員御指摘の企業情報の機密性の確保につきまして、化学兵器禁止条約におきましても十分に留意すべきものということにされておるわけでございます。
 具体的には、この条約に秘密情報の保護に関する附属書というものがございますが、ここにおきまして秘密情報の取り扱いに関する規則、検査官も含めた条約機関職員の守秘義務、あるいは検査における秘密の保護、守秘義務違反の場合の手続などが定められておりまして、企業の秘密情報の保護が図られるように条約としては多くの規定を置いているところでございます。
 他方、我が国といたしましては、今後まず国際会議におきまして策定されるいろいろな手続、検査手続などがございます、さらにまた各施設ごとに条約機関と条約締約国との間で締結される施設協定というものがございますが、このような協定におきまして秘密情報の保護が十分に考慮されるように努めていくということにいたしております。
 そしてまた、実際の検査の立ち会いにおきまして、通産省職員などが立ち会うわけでございますが、秘密保護に十分な配慮がなされますように検査の立ち会いマニュアルを作成する、あるいは検査官を訓練するといったような努力を積み重ねまして適切な対応を図り、秘密保護対策に万全を期してまいりたいと考えております。
#108
○斎藤文夫君 戦争中の子供ですから、私は昔の本当に旧式の、一体どこまで効果があるのかわからない防毒面をかぶって、炎天下、一生懸命行軍をさせられた大変な思い出を持っている一人であります。今のこういう科学の進歩発展の過程の中で、先ほど防衛庁関係の方から防護用の研究はしている、こういうお話がございましたけれども、今我が国ではこういう問題についてどういう研究がなされているのか。こういう条例ができると、もうなくなるんだからそんな防護目的の研究は要らないじゃないかこういうことにもなるかもしれませんけれども、やはり科学というもののいろんな可能性というものを探るときに、防護の目的のいろいろな材料とかあるいは対応の器具というものを備えるべきではないか、こんな思いがありますが、いかがでしょうか。
#109
○説明員(石井道夫君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、我が国はもちろん化学兵器は保有しておりませんけれども、仮に他国が化学兵器を使用した場合に、それを検知、測定しあるいは防護し、除染するための器材というのは持っておく必要があると考えております。
 そこで、今までに防衛庁としましては、防護マスクですとかあるいは戦闘用防護衣等の開発を終了して装備品として持っております。また現在、除染装置ですとかあるいは個人用の防護装置、こういったものについて研究開発を実施しているところであります。
#110
○斎藤文夫君 最近、特に震駭させた事件として松本のサリン事件があります。先ほどもお話がありましたが、サリンという毒性の強いガスというようなものを考えますときに、やっぱりこういうものについての規制というものは強くしていかなきゃいけない、このように思っておるところでございます。
 したがいまして、このような法案によってそういうものが防止できるのか、また同時にあのサリン事件はその後どんな調査状況になっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#111
○説明員(中島勝利君) 最初に、松本のいわゆるサリン事件につきましてその捜査状況を申し上げます。
 お尋ねの事件は、平成六年の六月二十七日夜の十一時ごろ、長野県の松本市北深志一丁目で発生をした毒ガスによりまして付近住民の七名の方が死亡いたしまして、二百七十名余の市民の方々が被害を訴えまして病院で受診をしたという事案でございます。事件発生以来、長野県警におきまして現場周辺における所要の捜査、あるいはサリンと推定される物質を製造するための薬品の販路捜査等を現在続けております。
 そういうことで、事案の全容解明に向けてこれからも真剣に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#112
○説明員(瀬川勝久君) この法律案は、化学兵器禁止条約の適確な実施を確保することを目的とするというものだと承知をしておりますけれども、サリンあるいはマスタードガスといった特定物質につきましては、その製造、使用等につきまして厳格に規制するほか、特定物質の盗難または紛失を防止するためにその運搬を都道府県公安委員会に対して届け出させるとともに、これらの規制に違反したものを処罰するというような仕組みになってございます。
 したがいまして、御指摘のような事件の防止にも相当の効果があるものではないか、このように考えております。
#113
○斎藤文夫君 最後に、大臣にお尋ねをいたします。
 本条約を早期批准し、批准後本条約の適確な実施をするためには条約機関の検査受け入れとかいろいろな体制を整備しなければなりません。
 そういうようなことを考えますと、本条約の国内実施体制、これを早く確立していかれる必要があると存じますが、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#114
○国務大臣(橋本龍太郎君) 我が国が第二次大戦終結後五十年間、平和な国家として今日まで歩んでまいりましたその足跡というものを考えますときに、国際社会の中でどういう役割を今後果たしていくのかをある意味では問われている時期に我々は進んでいるように思います。
 この化学兵器禁止条約につきましても、その意味では本当にその早さをある意味では期待され、可及的速やかに批准をすると同時に、この条約の枠組みの中で積極的な役割を果たしていくことが非常に重要だと私は考えております。
 今後ともに、本条約の発効及びそれを受けての本法案の施行に向けまして、私どもは例えば先ほど御指摘のありました風評被害といったようなものを防止するためにも国民への普及啓蒙あるいは産業界への条約内容の周知徹底、さらに条約機関の検査の受け入れ体制の整備でありますとか国内の実施に向けた通産省の対応体制を整備していくことなど、国内体制の一層の整備に努めてまいりたい、そのように考えております。
#115
○斎藤文夫君 ありがとうございました。
#116
○梶原敬義君 化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律ができるということは本当に歓迎すべきことでありまして、まさに賛成であります。米ソの核超大国による、かつて核戦争何分前がこういうことが言われてきましたが、冷戦構造が解消して、同時にまた核不拡散に向けて世界各国が努力をしている、そういう点からは世界は大きく一歩いい方向に進みつつあると思います。こういう時期にさらにこの化学兵器の禁止をするということは、本当にこれは冒頭言いましたように歓迎すべきことでありまして、ぜひ我が国は率先してその条約の効果が出るように頑張っていただきたいと思います。
 先ほど斎藤委員に署名国並びに批准を終了している国の数、そして六十五カ国が批准した百八十日後にこの法律が発効する、こういう説明でございましたが、六十五カ国が批准をするであろうというこの見通しについて、外務省に若干その辺について可能性を含めて教えていただきたいと思います。
#117
○説明員(高松明君) 本日時点におきます批准国の数は、先ほど斎藤委員の御質問に対する答えでも申し上げましたとおり二十七カ国でございます。六十五カ国にはいささか数があるわけでございますが、現在欧米諸国を中心に早急に批准準備が進められているというふうに私ども承知しております。暫定事務局の見通しては、早ければ本年半ばにでも六十五カ国の批准が成り、本年末あるいは来年年初には本条約が発効するのではないかというふうに考えられている、そういう状況でございます。
#118
○梶原敬義君 大きな核戦争の危機というのは随分遠のきましたが、民族紛争あるいは宗教にかかわる部分戦争が絶えませんね。こういう時期ですから、我が国外交の総力を挙げて、早期にこういう危険な兵器が使われないようにあるいはつくられないように全力を挙げていただきたいと思います。
 次に、特定物質の中にサリン類があったりいろいろなものが入っておりますが、どうも長野のサリン事件等を見ても、大体こういう物質が野放し状態にされておったこと自体が、この条約とはかかわりなく国内的にも大変問題があったんじゃないか。厚生省で毒物劇物取締法でやっても網にかからない物質が幾らでもある。外為法で輸出入の規制をしておったこともあるようでありますが、これらの点について、どうしてこれまでこういうのがどっちかというと野方図に国内で放置をされておったのか、お尋ねしたいと思います。
#119
○政府委員(清川佑二君) 現在、一部の化学物質につきまして梶原委員の御指摘のように外為法による規制がなされているところであります。
 これはしばらく前のことになりますが、イラン・イラク戦争の際に化学兵器が使用されましたことが確認されたわけでございます。これに端を発しまして、日米欧等二十八カ国の国際的な合意に基づきまして、この物質は化学兵器の開発、製造に使用されることを防止するために輸出規制を行う、こういった形で輸出に関する規制が行われているわけでございます。
 他方、国内におきましては懸念のないという状態でございまして、その中で危険な化学物質につきましては御指摘のとおり毒物及び劇物取締法等におきまして厳格な管理が行われている、このような状態でございましたので、このようなものに指定されているもの以外につきましては国内について規制をする必要がなかったという状態でございました。
#120
○梶原敬義君 厚生省、見えていますか。――今お話がありました毒物劇物取締法の概略について厚生省に説明していただきたいし、関係物質がどのくらいあって、この毒物劇物取締法の中の数とそれからどのような管理をされておるかをちょっと。
#121
○説明員(植木明広君) 毒物劇物取締法の法的目的及びその内容ということでございますが、毒物劇物取締法は、日常流通しております有用な化学物質のうち、作用の激しい化学物質につきまして国民の保健衛生上の観点から必要な規制を行うことを目的としております。
 その内容といたしましては、毒性、劇性の強度に応じまして毒物、劇物、特定毒物を指定いたしまして、製造業、輸入業、販売業の登録を行い、毒物劇物取扱責任者を設置いたしまして管理を義務づけております。また、販売に当たりましては、事前に毒物、劇物の名称、数量、年月日、氏名、職業、住所等を記載し、印を押した書面の提出を受けるなどの手続を定めております。また、危害防止のための飛散、漏出あるいは運搬等における基準設定を行うなどの規制もいたしております。
 それから、この毒物劇物取締法におきまして規定しておる物質でございますが、毒物が六十六、劇物が二百四十六、合計三百十二でございまして、その用途につきましては化学工業品とか試薬あるいは農薬といったものでございます。
 以上でございます。
#122
○梶原敬義君 ありがとうございました。
 それから、この法律の施行日につきましては、六十五カ国が批准した後さらに百八十日だという随分遠い話ですが、これはもっと前倒しみたいなことが国内ではできないものかどうか、この法律の趣旨を生かした前倒しはできないのかどうか、お尋ねします。
#123
○政府委員(清川佑二君) この法律につきましては、御指摘のとおり「条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。」ということになっているわけでございます。しかしながら、多くの条項につきましては、国際機関に対する届け出等の関係もございまして、実績その他の届け出などにつきましては条約の施行に先立って届け出の義務を課し、報告をいただくというような手だてを講じているところでございます。この条約そのものの施行に先立った形でこの法律は一部施行させていただく形になっているところであります。
#124
○梶原敬義君 ありがとうございました。
 次に、斎藤委員からも先ほど少しお話がありました旧日本軍がさきの大戦中に中国に遺棄した化学兵器の処理にかかわる問題でありますが、外務省からいただいた資料によりますと、これは中国側の調査では、旧日本軍の化学兵器は砲弾で約二百万発、バルク状で約百トンが中国国内で未処理のまま放置されておる、これまで二千名の被害が発生しているというようなことを言われているということでありますが、本条約が効力を発する場合には、中国に遺棄してきた化学兵器の処理は条約上どのように位置づけられるのか、外務省にお尋ねします。
#125
○説明員(高松明君) 委員のただいまの御質問に対しましては、現在御承知のとおり我が国も中国も本条約の加盟国ではないわけでございます。我が国につきましては今国会で条約の締結について御承認をいただくということで今準備が進められているわけでございますが、中国につきましてはいつの段階でこの条約に加盟するかまだ確たる見通しはない状況でございます。
 ただ、中国がこの条約に加盟した段階で日本と中国との間で条約が発効いたしましたら、中国がいわゆる遺棄化学兵器に関する領域締約国、我が国が遺棄締約国ということになりまして、我が国は条約上中国に対する一定の義務を負うということになります。
#126
○梶原敬義君 そういうことですか。この辺もちょっと勘違いしておりました。そうすると、仮に日本がこの条約を批准して加盟する、そして一方中国は加盟していない、しかし国際的に見るとこの条約は生きている、そういうときに、中国が条約に加盟していないから今の答弁ではこれはできないんだ、こういう内容の答弁のように聞こえたんですが、そういうことですか。
#127
○説明員(野本佳夫君) お答え申し上げます。
 中国との関係におきましては、現在日本も中国もまだ締約国ではございませんが、しかし日中間の問題といたしまして既に日中間でこの問題について協議それから視察、調査、こういうものを行ってきておりまして、日本側、我々といたしましてはまずはこの事実の把握に努めるとともに、日中共同声明それから日中平和友好条約、そういう日中間の精神を踏まえて対処してまいりたいと思っておりますし、また条約が双方、日中それぞれに発効いたしましたときにはさらに条約上の権利義務関係に入るものというふうに考えております。
#128
○梶原敬義君 そうしますと、中国はこの条約に当分加盟しない、入らない、日本は条約国に入る、そうした場合、世界から見ますと、それは条約国として日本には一定の責任があるんじゃないか、こうなる。しかし、中国が条約に加盟していないからこれは日中間の問題だ。極端に言うとこういうことになるわけですか。
#129
○説明員(野本佳夫君) 先生御指摘のとおりだというふうに考えております。
#130
○梶原敬義君 どうもそうすると、例えば日本が条約に加盟している、そして、中国じゃないんですよ、どこか東南アジアなら東南アジアの小さい国は条約に加盟していない、そういうときに、日本は化学兵器をそこにたくさん置いてきた。その問題については国際的に、この条約加盟国の中で、これはちょっとおかしいんじゃないか日本が処理しなきゃいかぬのじゃないかと。中国のような大国じゃない、小さい国を想定した場合、条約加盟国の中で、当然この条約の精神からいったら日本に責任とか義務が生ずるようになっているね。そうすると、その国が条約に入っていないからといってそれは当事国の間だけの問題で済まされる問題かね。済まされる問題ではないんじゃないですか、条約の精神からいったら。
#131
○説明員(高松明君) 委員御指摘のとおり、確かに条約上非常に厳しい権利義務の関係が生じる規定ぶりになっておりますが、他方、二国間関係という視点から見ますと、片方の国が仮に条約にまだ加盟していない、それで片方の国が条約当事国であるということであれば、この条約上の権利義務はやはり生じない。ただ、もちろん条約の趣旨に従って、いわば道義的に我が国にとってこの問題を処理するという立場に当然なるというふうに思われます。
#132
○梶原敬義君 これは条約の審査のときにまた場面を移せばいいと思いますので、次に移ります。
 これは読売新聞に先般出ておりましたが、ちょっと見出しだけ読みますと、「「毒ガス弾、宇部沖に捨てた」 米軍命令で数万発 終戦直後美祢の炭鉱から運ぶ 旧陸軍工場の二従業員証言」、こういうことで、私は大分県出身で、大分県も関係あるから中身を若干読んでみますと、国東半島と山口県の間の周防灘に投棄をしたというんですが、「「私たちが製造した毒ガス弾を安全に処理して欲しい」。北九州市小倉南区にあった旧陸軍の毒ガス弾工場「東京第二陸軍造兵厰曽根製造所」の元従業員二人が、終戦後、米軍の命令で、山口県内の炭鉱に隠匿されていた大量の化学兵器を同県宇部市沖に投棄した事実を読売新聞に証言した。」、こうなっております。
 「外務省は関係省庁に旧日本軍の毒ガス弾投棄情報の提供を求めており、元従業員らの証言は重要な意味を持つ」、このように書かれておりますが、外務省はこの件については御承知ですか。
#133
○説明員(高松明君) 化学兵器禁止条約の規定によりまして、締約国は国内に存在し得る老朽化した化学兵器につきまして入手可能な情報の提供とその廃棄を規定しております。
 外務省といたしましては、条約締結準備の一環といたしまして、過去の経緯に関する情報収集等につきまして関係省庁と現在まで協議を行ってきております。
 他方、化学兵器禁止条約は、一九四六年以前の老朽化した化学兵器につきましては申告と廃棄等に関し規定しておりまして、我が国におきまして旧軍が仮に遺棄いたしました何らかの毒ガス弾等が発見されました場合には、条約の規定に従って処理されることになるわけでございます。
 ただし、条約の規定によりますと、一九七七年一月一日以前に締約国の領域内に埋められました化学兵器であって引き続き埋められたままであるもの、または一九八五年一月一日前に海洋に投棄された化学兵器については、締約国の裁量によりまして条約の規定、具体的には申告と廃棄でございますが、その条約の規定を適用しないことができるというふうに規定しているわけでございます。
 したがいまして、海洋に投棄されました旧軍の化学兵器等につきまして、条約上は実態を改めて調査の上、申告、廃棄することまで義務づけてはいないというふうに解釈しております。
#134
○梶原敬義君 ちょっとどういう内容かというのを少し読んでみますと、造兵厰の製造所で完成した毒ガス弾の検査職員だった各務亨さん七十六歳、これは小倉南区の人ですが、と、イペリット、ルイサイト弾充てん分隊長だった山口操さん八十五歳、これも小倉の方ですが、「「漁場や旅客船航路にもなっている沿岸海域で、強烈な毒性のガス弾が放置されたままだと、将来事故が起きる」と思い、証言を決意した。」ということで、新聞にお話をしているわけです。
 そして、「毒ガスの種類は、びらん性のイペリット、ルイサイト、ジフェニールシアンアルシンが全体の七、八割、残りは窒息性のホスゲン、青酸で、長さ四十センチ弱の迫撃砲弾、五十キロ、百キロの投下爆弾もあった。」、このように言っております。
 そして、これは非常に経過があるんですが、この新聞では、「水産庁によると、宇都市沖では一九五一年ごろ毒ガス弾による事故が起き、これをきっかけに関係省庁連絡会議が発足。五六年、海上保安署から許可を受け、投棄砲弾を引き揚げ中の作業員二十数人が被弾する事故が発生。 その後も事故が起き、七三年には山口、福岡、大分三県知事が防衛庁長官に処理を要請。七四年一月の同庁事務次官通達で、海自呉地方隊、陸自、三県、海上保安庁が合同で掃海、処分に当たることになった。」ということで、五十発ぐらいを回収したんですが、レントゲン検査の結果、イペリット弾などの疑いが強いということで、危険なために解体せずにコンクリート詰めにしてまた海に投棄したと。
 五万発のうちのもうごくわずかでありますけれども、呉総監部の説明では「海底の表面に露出したものだけを引き揚げた。大半の弾薬類は海底に没し固着、固定化したり、ヘドロに覆われて回収不能だった、」、このように言っております。そして、「同年十月、環境庁を主体に関係省庁による「掃海問題等検討小委員会」が設置されたが、七五年代初めから事実上、活動していなかった。」、このように書かれております。
 主務官庁はどうも環境庁のようでありますが、経過はどうなっておりますか。
#135
○説明員(生田長人君) 先生お尋ねの旧軍の毒ガス弾につきましては、昭和四十七年に広島県の大久野島で毒ガス容器らしきものが発見されたことを契機といたしまして、大久野島毒ガス問題関係省庁連絡会議というものが開催されておりまして、この広島県の大久野島が環境庁の所管地であります国民休暇村の中にあるということもありまして環境庁がこの会議を主宰した経緯がございます。
 この会議におきましては、大久野島におきます処理対策に加えまして、旧軍の毒ガス弾等の全国調査を行うことを決めておりまして、各省庁が役割を分担いたしまして実施した調査の結果が昭和四十八年の三月に発表されているところであります。
 その調査によりますと、終戦当時におきまして毒ガス弾等が処理されました際に、海中に投棄された、八海域がございますが、その中の一つに周防灘が含まれているという報告がございます。そのときの調査によりますと、海洋投棄が行われました八海域につきましては、安全上何らの措置も講じられていない箇所はなかったという報告を私どもは受けておりまして、周防灘につきましては、先生の今お話がありましたとおり山口県知事からの要望も踏まえまして防衛庁等により実地探査が行われたというぐあいに承知をしております。
#136
○梶原敬義君 八海域というのはどことどこか、ちょっとすぐわかりますか。
#137
○説明員(生田長人君) 大分県の別府湾、それから青森県の陸奥湾、千葉県の銚子沖、それに周防灘、広島県の大久野島周辺海域、それに神奈川県の相模沖、高知県の土佐沖、さらに静岡県の遠州灘というぐあいになっております。
#138
○梶原敬義君 別府湾というのも余り深くないんですよね、豊後水道のところは深いんだけれども。これは漁師さんなんかがよく行くところで、客船もずっと走るところがその込もうたくさんあるわけですね、阪神航路やなんかがありますから。
 関係省庁会議というのは七五年から何か雲散霧消したようになっているようでありますが、どうしますかもう一度この関係については、私はこの際、確かにこの条約の第三条では、今外務省の担当者が言われましたように、一九八五年一月一日前に海洋に投棄された化学兵器については、当該締約国の裁量により条約として各国はいろいろ言わないということですが、これは国内の問題として、当然この点については外務省も、この条約を締結したら、日本にはこういう海洋投棄をしている、捨てているという届け出は世界にするんでしょう。これはいかがですか。
#139
○説明員(高松明君) 先ほどお答えを申し上げましたとおり、条約上、一九八五年一月一日以前に海洋に投棄された化学兵器等につきましては、その実態を調査の上、条約機関に対しまして申告、廃棄することまで義務づけられてはおりませんので、先生御指摘のような御要望も踏まえまして、事実上の問題といたしましてどう対応するか今後さらに検討をしてまいりたいと思います。
#140
○梶原敬義君 また、これは条約の三条の一項の同のところに「自国の領域内に遺棄化学兵器が存在するか否かを申告し、及び検証附属書第四部(B)8の規定に従ってすべての入手可能な情報を提供する。」と。こういう点からすると、私の読み方が悪いのかもわからぬが、ある程度はこれは条約の中で、日本の海の中に何万発か今捨てていると、こういうことは言わざるを得ないんじゃないかね。
#141
○説明員(高松明君) 先ほども申し上げましたとおり、海洋に投棄されたものにつきましては適用しないことができると書いてございますので、私どもといたしましては、今先生御指摘の条項は、今後、旧軍の化学兵器等につきまして陸上で発見された場合につきまして条約上の申告、廃棄等の義務が生じるというふうに考えております。
#142
○梶原敬義君 今、漁師さんが網で魚をとる場合も、昔と随分違いまして、そんなに深くないです、周防灘も別府湾も深くない。これはやっぱりひっかかってくる可能性はこれからもあると思うんですよ。だから陸上でも海底でも、それは何千メーターという海底ならそれはわかりますよ。たかだか深くても百メーター以内ですからね。だからそこは少し深い海のことを想定して、浅いところでも海ならいいということになるというのは、ちょっと実態から見るとおかしいのではないかと思います。
 時間が余りありませんのでもう一度、どこが担当か、防衛庁なのか厚生省なのか環境庁なのかわからないけれども、これは掃海問題等検討小委員会が設置をされているんだがうやむやになっているということのようですが、少しこの点については各省庁連絡会議か何かでもうちょっと真剣に検討してみる必要があるのではないかと思うんです。
 なぜなら、この人たちが言っているのは、これを工場で洗った液体が出ていくその水道管が、洗ってもすぐ腐食すると。だから爆弾の弾頭の入れ物がいつまでも腐らぬという保証はないんじゃないかと。それでぶくぶくと泡が、これガスは専門的に言うと浮くんですか浮かないんですか、通産省。浮いてくれば、やっぱりぶくぶく噴き出せば非常に危険ですからね。ちょっとそこのところ、浮くか浮かないか。
#143
○政府委員(中島邦雄君) お答えになりませんですけれども、私はこういった毒ガスとのつき合いが全くございませんもので、勘で言って皆様方に御迷惑をかけてもいけませんので、コメントはちょっと、申しわけございません、後で調べてお答えさせていただきます。
#144
○梶原敬義君 大臣もおられますので、できれば本件は関係省庁会議等で一度検討してみるというような方向でもう少し努力していただきたいと思います。
#145
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私自身もこれ一体、大体水に溶けるのか溶けないのか、比重がどうなのか、さらに砲弾といいましても金属の容器になるわけでありますが、その容器の腐食性がどうなのかといったこと、全く知識がありません。これは専門家にちょっとその辺を調べさせて、改めて御報告をさせていただきたいと思います。
#146
○長谷川清君 私もこの案件につきましては積極的に賛成という立場で幾つか質問したいと思います。
 ちょうど今梶原先生とのやりとりの中で出てきておりますから、そこから入っていきたいと思いますが、海洋投棄は制約に入らないですね。それからいま一つ、条約上、化学兵器の廃棄についても制約に入らない、義務づけはないと。こうなりますとかなり問題があると思います。例えば、保有国は今ロシアであるとかリビアであるとか、トータル的に二十カ国とも言われておりますが、まだ私は確認できておりません。確認できている化学兵器の保有国は今どのくらいの状態か。まずそこからお願いします。
#147
○説明員(高松明君) 化学兵器の保有国として現在公表されているといいますか、みずから認めております国は、アメリカ及びロシアの二カ国でございます。アメリカは約二万五千トン、ロシアは約四万トンの化学兵器を所有しているということでございます。
#148
○長谷川清君 確認は二カ国と言われておりますが、実数は二十数カ国になるのではないかと思われるところがございます。よしんば、今言われたところの国の中でも、経済的に非常に混乱状態があったり、そしてその廃棄の技術を持たない国々が横へ流していく危険性があるのではないかという心配が出てまいります。
 私は、まずは積極的に賛成だという前提の中には、ここまで何十年かけてやっとチャンスが訪れた、このチャンスをやはり物にしなければいかぬという、この地球上から化学兵器は根絶しようという意思が今働いているわけですね。この条約にはそのためにはありとあらゆる方途をとろうという基本精神が貫かれていると思います。
 いろいろな意味において、例えば化学兵器が今保有されている国の中で、いろいろの事情があってその国内において自力で爆破できない、解決できない、そういう国は、例えばロシアとアメリカは一九八九年と一九九〇年に二回にわたって化学兵器に関する協定を結んでおります。二国間協定があります。そういう関係にあるのなら、日本あたりは、直接ではないにしてもアメリカに、いわゆる外交努力によりまして、ロシアにある兵器の爆破をそのままアメリカが手伝う、日本がもしやることがあるとすれば、資金援助はできるならするとか、そういう具体的な、地球上から根絶する、今ある兵器というものをいかに爆破するか、ここのところが非常に大きな解決点になるのではないかと私は思いますが、そういう方法はとれるのかとれないのか横流しの危険はないと考えでいいのかどうか、その辺をひとつお願いします。
#149
○説明員(高松明君) 今、委員が述べられましたとおり、化学兵器禁止条約は世界から化学兵器を廃絶しようという条約でございます。そういった意味で、いわゆる大量破壊兵器の中でも核兵器と並びまして最も恐るべき効果を持ちますこの兵器を廃絶する、そのための条約を批准するということは、我が国にとりましても、さらに世界の平和と安全にとりましても極めて重要なことだと私ども考えているわけでございます。
 委員御指摘の、アメリカとロシアの化学兵器あるいはさらにその他の国にあり得る化学兵器の問題につきましても、これが廃絶されるということが非常に重要でございますので、化学兵器の禁止条約にこれらの国ができるだけ早く加入する、そういった努力をしていきたいというふうに考えているわけでございます。
 ロシアにつきましては、御承知のとおり、非常に混乱した中で化学兵器の廃棄の作業がやや難しいのではないかという見通しも一部でされているわけでございますが、先生御指摘のとおり、アメリカとロシアの間でこの化学兵器の廃棄のためのいろいろな協力の枠組みができておりまして、例えば昨年合意されました米ロの化学兵器廃棄支援協定では、アメリカがロシアに対して三千万ドルの支援をするということで合意されたと私ども承知しているわけでございます。
 私どもとしましては、そういった動きをできるだけ見ておりますけれども、現在の時点で化学兵器の廃棄につきまして他国に何らか支援を行うということは考えておりません。
#150
○長谷川清君 この問題の一つは、保有国がなかなか実態上つかみづらい、確認しづらいという問題があります。今ロシアとアメリカとわずか二カ国だけでありますね、確認は。
 トキシンという物質の場合を例にとりましても、民生用の工場で核爆弾程度の、同質の威力を持つ爆弾を製造することができると言われているんですね。しかもそれは非常に小さいスペースで大量の生産ベースが可能である。しかも技術的には容易である。価格はというと非常に低コストである。こういう一つの例もあります。
 根絶をしようというなら、やはりいろいろな意味において、肝心な要所要所はきちんと条約で押さえるべきであると思うんです。そういう視点に立ったときに、これはまだこれから長い努力が必要な部分だと思いますけれども、当面できることは、既にもう日本がいろいろ説得をいたしまして、パキスタンとかイランとかインドネシアとか、そういう逡巡していたところが説得によって合意して署名もしたということで成功しているんですね。これは一つの成果だと思います。
 今、百五十九カ国が署名はしたが、二十七カ国批准だと、こう報告がありました。問題なのは、実際上保有をしている国で未加盟の国、そういう中でどのくらいの国が批准をするかということが成功するための一つの大きな勝負どころになるのではないかこう思いますから、今まで日本の外交で努力してきた成果というものを、さらにできるだけ多く批准してもらえる方向に、これまでの実績をさらに高めていくという点についてぜひ努力してもらいたいなと思いますが、その点については外務省どうでしょう。
#151
○説明員(高松明君) 今、委員御指摘のとおり、私どもといたしましては、この化学兵器禁止条約を真に実効あらしめる条約体制として確立することが非常に重要だというふうに考えております。そのために、すべての国にこの条約に加盟、批准してもらうべく今後とも積極的に働きかけていきたいというふうに考えております。
 まず、その最初の努力の一歩といたしまして、我が国としてこの条約の締結につきまず御承認いただきまして、それを受けまして他の国に積極的にぜひ働きかけてまいりたいと考えております。
#152
○長谷川清君 いま一つ重要なことは、一つの例としまして、原子力の場合もそうでありますが、これも使い方一つでいわゆる兵器にもなり平和利用もできる。化学兵器の方の化学物質も、その取り扱いにはまさに天と地の違いがありまして、そういうものを持っております。
 原子力の場合には、IAEAも既に日本の場合でも四十年、世界でも五十年実績を積んで今日安定しておりますが、一つは構造であります。連絡、連携が保てるような条約機関というものと、これからできる日本、各国との関係という点について、まず一つは、今条約は仮の姿だ、こうおっしゃっておりましたが、まだどうもそこには、どういう陣立てで、どういう機能を持って、どのようになっておるのかということがイメージで浮かんできませんから、今あるオランダのハーグの建物とかスペース、陣容、そういったものについてお聞きをしたい。
 それから、各国におきます受け皿の問題では、大体アメリカもドイツもイギリスも、特にオーストラリアあたりは既にいろいろな意味の国家機関の準備局というものを設置して、そこが窓口になってこの条約機構とタイアップするということなどをやっており、しかも中で法律を決めて、政労使の三者構成によって諮問機関の設置も終わったというふうに聞いております。
 たまたま今日まで、いろいろと二十数年にわたります間の途中においては非常に断念的な、絶望的なときもありましたけれども、それ以降においては、私も所属しておりますICEF、いわゆる世界の化学エネルギー労協というのがございます、その労協がそういう物質を扱っている化学分野で働いている人々の国際的な機関になっておりますが、そこが中心になりまして、ICFTU、国際自由労連あるいはILO、そういうものとも連携して、化学兵器絶滅の運動のために、条約をつくっていくために積極的に今までも関与してきたのであります。私もちょうど三年ぐらい前にICFTUの会合がアメリカで行われたときにも参加しております。
 きのうまでいろいろなファクスがここにハーグ発でどんどん届いてきております。いろいろな国のいろいろな対応、それからその国々における新聞の記事、いろいろなものがここにもきのうまでファクスで届いておりますけれども、いろいろな面で見ていると、せっかくできるハーグの事務所、機関と我が国内におけるつながり、ここを少し説明していただきたい、どうなるのか。
#153
○説明員(高松明君) まず、どのような機関になるかということでございますが、新たにヘーグに条約発効後設立されます化学兵器の禁止のための機関は三つの主要な内部機関からできるわけでございます。
 締約国会議というのが一番重要な機関でございまして、すべての基本的な問題について決定する機関でございます。執行理事会というものもできることになっております。これは締約国会議に対するいろいろな勧告あるいは指針、そういったものを審議し決めていく、そういった機関でございます。さらに、事務局といたしまして技術事務局というものができることになっておりまして、ここでいろいろな調整機能を行い、また先ほどもお話のございました条約機関としての検証をここが実施するという手はずになっております。
 また、職員数につきましては、これはまだ確たる数字ではないと思いますが、一応準備委員会では、機関が条約発効によりまして発足する際には約三百七十名ぐらいの職員数になるのではないかという一つの数字がございます。
 また、委員からお尋ねのございました我が国と機関との連絡体制につきましては、現在外務省を窓口といたしまして、特に産業界との接点になります通産省その他関係省庁と連絡をとりまして、円滑にこの条約の実施ができるような国内の連絡体制を今後最終的に確定していきたいというふうに考えております。
#154
○長谷川清君 オランダのハーグにある事務所の役割分担のイメージがこれで大分わいてまいりました。受け皿の方ははっきりは言いませんでしたが、恐らく外務省がその窓口になるという解釈でいいんですか。
#155
○説明員(高松明君) 私どもといたしましては、対外的な窓口といたしましては外務省がそれに当たりまして、国内の関係省庁と協力いたしまして我が国の条約実施体制を確保してまいりたいと考えております。
#156
○長谷川清君 一応そういう責任体制、窓口と。私がこの問題にこだわりますのは、チェルノブイリの事故がありましたあの後、ずっとヨーロッパ、北欧から九カ国回ったんです。そのときちょうど、私も知りませんでしたが、IAEAの総会が開かれて、三つのことについて条約の批准があった。日本だけは批准しないで帰ったということが当時あったんです。もう既に十年近く前の話ですが、これは行くところ行くところで、なぜ日本は批准しないのか、署名をしないのかと。
 三つの内容を聞きますと、チェルノブイリのようなああいう事故があると世界じゅうで問題だから、一つには技術のあるところが技術の援助をしよう、二つにはオープンスペースのあるところはオープンスペースの提供をしよう、三つには医療の、という三つの内容です。
 ドイツに行ったときに、ドイツのすべての大使館をずっと回りました。ドイツに行ったときに、ちょうど大使をされていたのは当時の宮澤総理の弟さんでしたよ。宮澤大使から聞いた話によると、日本も条約を批准できるように三カ月も前に公使を派遣して、IAEAで努力をして、いつでもサインして帰れる準備はして行った。ではなぜ日本は署名できなかったんだと。聞いてみると、何か国内でいろいろと、藤尾文部大臣がやめるのやめないのというようなことのやりとりで結局担当大臣が行けなかったと。いわゆる国内問題で、国際的に重要なそういうものに結局日本だけが、サインしないで帰った。ほかに一カ国あったそうです。その国は国内法との関係で一定期間待ってほしいというちゃんと意見を付して帰っているが、何の条件もつけないでそのまま帰っている。だれが行ってもいいですけれども、日本を代表して署名をする役割を持って行くなら、これはやはり外務省、事さように日本というのはどうも内向きなんですね。
 私は、こういう意味において、原子力においては平和利用、核兵器は憲法から非核三原則からあらゆる意味において完全に閉じ込めて、ここで新しく今度は化学物質についてこれから国内法の問題に入りますけれども、この条約は、冒頭言いましたように、世界じゅうの化学兵器を根絶させようと、だから厳しく何でもやれるものはやろうと。ところが、日本に当てはめてみますると、原子力がそうでありますように、化学物質も一〇〇%平和利用に使っているんですね。そういう日本にこれを当てはめていったときに、こっちの方の条件を厳しくやればやるほど、平和利用の中に悪影響とリスクが食い込まないかどうかという部分が出てくると思うんです。
 私は、そういう意味において、世の中全部がいいというものじゃない、だから両立させていかなきゃいけない、そういう部分における国内においての幾つかの大事な点が出てくるだろう、こう見ておるわけであります。
 そこら辺の基本的な、この条約と国内法というものに関係する境目の部分、それと、余り大きな太い柱というのはないと思います、幾つかしかないと思いますが、そこから出ている多くの枝葉には重要な現実の問題がかかわってくると。そういう中に、先ほどから言われておりますような企業の負担軽減の問題とかあるいは機密の保持の問題とかあるいは風評から起こる被害をどうするかという問題とか、いろいろな問題がそこから具体対応として必要になってくるというふうに位置づけるのであります。その基本的なところ、条約機関というものと、この兵器を保有している国も一〇〇%平和利用している国も、それぞれが同じ条約のもとにそこに結集するわけでありますから、国内のきめ細かいそういう部分とのつながりが出てまいります。さっき例に挙げましたような、そういう大事な国際会議で批准もできないで帰ってくるというようなことが二度とあってはいけないと思うんです。
 ですから、責任の体制をはっきりしておいていただきたい。外務省だ、いや通産省だ、いろんなことがそうならないようにしていただきたいなと思いますが、そういう点についてひとつ大臣の方からの見解をお聞きしたいと思うんです。
#157
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員がさまざまな角度から提起をされましたこの条約、その意義を認められた上での問題点、非常に真剣に聞かせていただきました。
 日本の場合に、少なくとも化学兵器を製造するための物質、すなわち表一剤に当たるものを生産しておらない、この点はもうどなたもが認めていただけることであると思います。それだけに、この条約において行おうとしております化学物質の規制というものは、特定の化学物質が化学兵器に転用されないようにということで行うものでありますから、その条約の適確な実施に必要な部分に限定をして行うものであるということは間違いがありません。ですから、この法律案によりまして化学物質の持つ有用性が損なわれるあるいは産業界に過度の負担を課すことはないと考えておりますけれども、要は運用の問題にかかるであろうと存じます。
 私どもは、この法案を最初に考えました時点で、昭和四十年代の一時期、農薬が火炎瓶等に転用され過激派の武器として利用され、全く予想しなかった状態をどうするかで苦しんだことを想起いたしました。そうしたことも考えあわせてみますと、実際の施行に当たりまして、そうした問題点を含みながらも、産業界に過度の負担をかけないようにという視点は常に持ち続けてまいりたい、そのように考えております。
#158
○長谷川清君 機構、組織の問題にちょっと入ってまいりましたから、外務、通産それぞれの、今回新たにこういう仕事が出てまいりますが、それに対応するための組織とか、今通産なら通産のどこの部署がこれを受け持ってやるのか、あるいは外務なら外務のどこの部署がやるのか増員を必要とするのか、予算についての措置の考え方等々があればお聞きをしておきたいと思います。
#159
○政府委員(清川佑二君) 通産省の組織、人員、予算につきましてお答えを申し上げます。
 現在、私ども通産省におきましては、本省基礎産業局に化学兵器・麻薬原料等規制対策室がございます。この室の職員につきましては、平成六年度及び平成七年度にそれぞれ増員をしていただくということで準備を進めておりまして、平成六年度には通産局と合わせまして十四名増員、平成七年度には八名の増員をしているわけでございます。これは、実際に機能する場合に、本省と同時に地方通産局が非常に大きな機能を果たすために地方まで含めて人員の増員を図っているわけでございます。
 予算面につきましては、平成六年度に二億四千六百万円を計上いたしまして、届け出データの管理システムの開発、あるいは検査受け入れマニュアルあるいは届け出マニュアルなどの各種のマニュアルの整備を行っております。御案内のとおり化学物質でございますので、その化学物質をきちんと確認をする、そして誤りなきように確認をしながら報告等をする、こういうことが必要でございますので、このようなマニュアルの整備をしていくわけでございます。また、中小企業に対する条約内容の啓蒙普及活動あるいは現地指導等を行っていくことにいたしております。
 平成七年度におきましては、さらに資料を分析する、データを分析することが必要でございます。そしてまた、実際に国際機関から検査官補、検査官の候補者に多数我が国に来ていただきまして、我が国通産省の職員立ち会いのもとに実際に国際模擬検査を行うというような形で訓練をする。このようなことも含めまして二億八千五百万円の計上をお願いしているわけでございまして、このような形で人員、組織、予算、こういった面につきまして万全の体制をとるべく努力をしているわけでございます。
#160
○長谷川清君 ぜひひとつ形を整えていただき、またそこに意思をきちんと持って、大事なところにおけるいろんな国際機関とのかかわりというものをきちんととっていただきたいなと思います。
 また、細かいことになってまいりますが、検査をする場合の事前のインターバル、通知というのは、チャレンジ査察という一番厳しい段階で十二時間前に通告があるというふうに聞いておりますが、これはチャレンジ査察を必要とするような状態が、先ほどお答えがありました日本の対象の約千カ所ですね、そういうところには該当するものがあるのかどうか。つまり、このチャレンジ査察というのは抜き打ち検査的な、完全に疑惑があってその必要性があるから入るという状態のことを指しているんじゃないかと思われるんですが、そういうケースはまず日本にはないと考えでいいのかどうか、その点。
#161
○政府委員(清川佑二君) いわゆるチャレンジ査察、私ども申し立てによる査察とも言っているわけでございますが、これは、要請国が一定の資料を添えてその疑いを示して、かっこのような場所がどうもおかしいんではないかというようなことを含めて国際機関に申告をした上で、その申し立てに基づく査察ということでございます。
 そのような条約上の定めがございますが、我が国におきましては特定物質について生産をしていることはないし、第一種指定物質、第二種指定物質等につきましてはきちんとした報告、届け出が行われるものと考えております。
 また、その他の有機化学物質につきましても、これは現時点ではまだ国際機関におきまして物質を明快に特定されていないわけでございますが、これにつきましてもきちんとした届け出、報告が行われるように私ども万全の体制をとってまいりたいと考えております。そしてまた、現実に産業界とも十分に意思疎通を図っているところでございます。
 このような形で現状把握はいたしておりますけれども、委員御指摘のように疑わしい物質、特に毒性の強い特定物質に近いようなもの、こういったものの生産ということはないというふうに私ども把握しておりますので、このチャレンジ査察そのものは、条約上にはございますし、この法制でも読み込めるようにはしておりますが、実際に我が国にはないだろうというふうに考えております。
#162
○長谷川清君 想像するのに、恐らくないだろうなと思います。
 これよりももう少しく緩やかな査察ですね、これは年に何回ぐらいが想定されますか。それと、工場に入るわけでありますが、工場の一体どの部分までを対象として入っていくのかという点についてはどうでしょうか。
#163
○政府委員(清川佑二君) 条約の言葉で言いますと、表第二剤、表第三剤、今委員の御指摘の民生用にも使われるものについてでございます。
 まず、表二剤につきましては冒頭に報告をいたします。どのような実態で生産がなされているか、どのような場所で化学物質が生産されているかということにつきまして報告をいたしますが、その後三年以内に冒頭査察という形で査察を行う、検査を行うということになっております。その場合に、どのような形で国際機関が検査に来るかということにつきまして施設協定というようなものを作成することになっております。これにつきましては、現在モデルの案を国際機関と各国が協議をしている段階でございまして、まだ確定をいたしておりません。このような形で冒頭査察が行われ、施設協定が行われますが、回数につきましては年二回以下というふうになっております。
 また、表三剤、すなわちより民生用の使用の多い表剤につきましては、検査につきまして技術事務局が地理的配分等を考慮したコンピューターの無作為抽出で回数、場所を決めていくということはございますが、回数は年二回以下、そしてまた全体としてこの検査の回数の合計は申告事業所数の五%、または二十回以下という条約上の定めがございます。
 なお、申し忘れましたが、先ほど申し上げました表二剤につきましては、年十回以下という定めがございますので、このような範囲で検査が実施されるということを想定いたしております。
#164
○長谷川清君 大分わかってまいりました。
 ここに至りますまでの間にICFTUやICEF、そういう機関がハーグの事務局の方に文書をもっていろいろと要望を出している点がございます。
 それは当然条約の中には入っておりませんけれども、幾つかありますが、その中の一つとして、工場等に外国の青い目をした人たちがいろいろ入ってきます。そして、そこには工場の職員が立ち会ってまいりますね、説明役か何かで。いろいろそこには人がかかわりますから、そういうことの結果、結果的にいろんな不利益が及ばないようにという点なんです。
 これはやりとりでありますから、企業にとって非常につらいようなことがぽっと発言に出たり、それらのことのゆえをもって、一番厳しいのは解雇とか、あるいは昇給、昇格とかいろんな部分でその職員に不利益が及ばないようにという点を国際機関の労働組合は提出したんですけれども、それは結局は採用されていないんです。それは内容が悪いからというのではなくて、各国全部にかかわっていくわけでありますから、いろんな国がありますので、それはそれぞれの国の方でという範疇だと、こういうことだと思うんです。
 ですから、そういう文言が入る入らないは別といたしまして、それらも大きな被害のうちの一つになりますから、ぜひ風評被害や何かの一つの中にも加えてそれらの犠牲が出ないように計らっていただきたい。マニュアルをつくるのなら、そういうマニュアルの中にきちんとそういう点も明確にしておいていただきたい、こう思いますが、いかがでしょう。
#165
○政府委員(清川佑二君) 立入検査の際にどのような形でその検査が実施されるべきかということと非常に密接に関係している御指摘でございます。
 現在、この秘密保護のため、そしてまたこの条約に基づく検査がスムーズに行われるためにマニュアルを作成しているところでございます。もちろん、このマニュアルは国際機関のモデルとの相関関係がございますので最終的なものではございませんが、その策定に携わっているわけでございます。
 今御指摘がございましたような問題、すなわち企業としてその場に立ち会う人はどのような人なのか、どのように対応すべきなのか、どこまでが義務となるのかというようなことにつきましてもこのマニュアル等ではっきりさせていく。まだはっきりしませんが、例えば工場長等の管理責任者などに限ることとするとか、多くの点につきまして今の御指摘を念頭に置きながら私どももマニュアルの作成に携わってまいりたいと考えております。
#166
○長谷川清君 最後にお願いでございますが、これからいろいろとやっていくわけでありますので、今申されましたような諸点について企業の過大な負担というものが軽減されて、そして企業秘密も守られて、なおかつそういった風評被害のようなものも起こさないで、そしてうまくこれが機能して国際条約の精神にのっとるような行動がとれるということが、言うならば私は資金的な国際協力も一方にあると同時に、いいお手本をつくることが国際協力の最たるものだと思うんです。
 今私どもの社会では、原子力において国際平和利用という点は優等生の立場にあると思います。この部分においても、今度この機会にぜひそういう我々の行動を通じてお手本をつくると。そして、そのノウハウというものをそれぞれの国々にもこうしたらいいよというような感じで波及、水平展開できますように私も努力したいと思いますし、ぜひ政府においても頑張っていただきたいと思います。
 以上をもちまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#167
○小島慶三君 私が伺いたいと思っておりましたことの大半は既にお答えをいただきましたので、ごくポイントを限って、問題を限ってお伺いしたいと存じます。
 大体、化学品というのは、これはもう本当に千差万別であり、また非常にお互いに連関性が強い、それから化学品と言うくらい化けるものでありますから、これは非常に対象がとらえにくい、そういった性質を持っていると思うのであります。
 今回のような条約、条約に基づく国内法の制定、これは全くそれだけの必要があると私も思います。そういう意味においては法律に賛成でありますが、問題になるのは、検査の対象になる化学品というのは、これは平和的利用のものであるのかあるいは兵器用途のものであるのかという、これは同一のものが軍事品あるいは民生品として使われる、これは往々にしてあるわけでありますが、どういうふうな用途であるかということを見きわめる、それが検査でありましょうが、その検査のポイントというのは一体どこに置かれているのか今回の条約によってはどういう形になっておるのかその辺をまずお伺いしたいと思います。
#168
○政府委員(清川佑二君) 条約機関の検査のポイントについてのお尋ねでございますが、条約の中に検査の目的がそれぞれの表剤に従いまして出ております。
 例示的に第二の表剤、すなわち、ここで言っております第一種指定物質に関して申し上げますと、このように条約には概要が書いてございます。
 検査は、この活動が条約に基づく義務に従っていること及び申告において提供された情報に合致していることを検証することを一般的な目的とする。そして、事業所における検査は特に次のことを検証するとございまして、第一に、表一の化学物質が存在しないこと、特にその生産が行われていないこと。つまり、この法案に言います特定物質でございますサリン、ソマン、タブンといった毒性の強い民生用途がほとんどないものにつきまして、そのような化学物質が存在しないこと。そしてまた生産が行われていないことを確認する。
 そしてまた、第二に、表二の化学物質の生産、加工、消費の水準が申告に合致していること。そして第三に、そのような物質がこの条約によって禁止されている活動のために転用されていないこと。こういったことを目的としてこの条約に書いてございます。
 今例示的に申し上げたわけでございますが、取りまとめて申し上げますと、具体的には化学兵器禁止条約に明記されている特定物質が申告されることなく製造されていないかどうか、条約機関に申告されたとおりの化学物質が申告されたとおりの方法で製造されているかといった点についての確認を条約機関の検査官が検査する、こういったものでございます。
#169
○小島慶三君 ありがとうございました。
 しかし、そういうふうに規定されていましても、現実の場合にはなかなか難しい問題が多いと思うんです、見解の相違ということもありましょうし。その辺についての運用よろしきをお願いしたいと思います。
 それから、もう一つ伺いたいのは、確かにこの問題は明らかに新しい規制がふえるということについての合意が成り立ち得る性質のものだと思うんですが、私この国会でいろいろ法律を伺っておりまして、ともすれば新しい規制が追加されるようなものが非常に多い。恐らく今、規制緩和の大合唱のもとでやっているわけでありますが、一方では規制緩和が進む、他方ではまた、いろんな目的がありますから一概にそれをどうこう言うわけではありませんが、規制がふえるということが非常にあるというふうに思っておるわけであります。悪口を言えば、さいの河原のようなもんで、積んでは崩しというのが規制という問題なのかもしれませんが、この辺は私どもとしても十分心したいというふうに思っております。
 それで、これは先ほど大臣がお答えになったことであるいは尽きているのかもしれませんが、要するに今回のような必要があって規制する場合でも、これは化学品というものの性質上、いろいろベースがあってそれから新しいものがどんどん出てくるというわけでありますから、行き過ぎた規制によって新しい産業発展の芽が摘まれないようにぜひお願いをしたいと思います。
 この点はどういうふうにお考えになっておられますかお伺いいたします。
#170
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かにこの法律におきまして、その目的からして新たな規制を生み出すということは委員の御指摘のとおりであります。しかし、私は規制というものをただ緩和だけしていればいいというものだとは考えておりません。
 かつて我々が野党の立場にありまして、細川内閣のときであったと記憶をいたしますが、平岩研究会と言われる研究会が規制緩和についての報告を提出され、その別表を見て私は激怒したことがあります。なぜなら、暴力団対策法から毒物及び劇物取締法、さらには銃砲刀剣類所持等取締法、こうした法律が規制緩和の対象法律としての別表に掲載されていたからであります。そんな不まじめな話あるかというのが、本気で私はそのころ怒った中身でありました。ある意味では、今回この法律が新たな規制を生む部分は、まさにそうした社会的に安全を守っていくという視点からの規制でありまして、これは私は許容されるものであると思います。
 問題は、委員が御指摘になりましたように、その規制というものが行き過ぎて新たな産業技術の芽を摘むことがないようにしなければならないということでありまして、この点は通産省としても十分脳裏に刻み込みながらこの法律の運用に当たってまいりたいと、そのように考えております。
#171
○小島慶三君 ありがとうございました。
 以上で終わります。
#172
○市川正一君 各委員がそれぞれ総論、各論にわたって論じられましたので、私も重複を避けて数点に限って確認をいたしたいと思う。
 私の予定していた第一問は、この法案の規制対象となる化学物質の多くは、化学兵器に使われることもあるが、同時に産業活動や国民生活にも不可欠なものが多いと思う。この法律による規制は、正常な産業活動や国民生活に可能な限り支障を与えないようにしなければならないと思うが、法律の運用における考え方を確認いたしたいというのが第一問でありましたが、先ほど来、そして特にただいま大臣から御答弁がありましたのでこれはもうパスいたします。
 第二問でありますけれども、これは新しい問題でございますが、化学兵器は御承知のように先端技術産業であります。国際的にも技術開発にしのぎを削っている産業分野であります。国際機関に対する必要な情報の申告あるいは査察に伴って、化学産業にとって重要な技術情報を初めとした企業秘密を開示される可能性があるんでありますが、こうした広い意味での知的財産権を保護する十分な対策は行われているんでしょうかお伺いいたします。
#173
○政府委員(清川佑二君) 化学物質の技術先導性についての御指摘がございましたが、まことに御指摘のとおり企業秘密、企業情報の保護、確保というものが非常に大きな課題でございまして、この化学兵器禁止条約におきましても、企業情報の機密性の確保について十分留意すべきものとされているところでございます。
 具体的には、この条約の秘密情報の保護に関する附属書におきまして、秘密情報の取り扱いに関する規則、検査官も含めた条約機関職員の守秘義務あるいは検査における秘密の保護、守秘義務違反の場合の手続などが定められておりまして、企業の秘密情報の保護が図られることになっております。
 我が国といたしまして、一つには、今後国際会議において策定されます具体的な検査手続の検討の場におきましてこういった点について十分意見を申し述べることが必要であると考えております。また、各施設ごとに条約機関と各条約の締約国との間で締結されまする施設協定などにおきまして秘密情報の保護が十分に配慮されるように努めていくということを考えております。
 また、実際に検査の場合でございますけれども、この法案に基づきまして政府職員が立ち会うということになっておりますが、その場合に秘密保護に十分の配慮ができるようにきちんとしたマニュアルをつくり、かつ訓練もし、このような形で秘密保護対策に万全を期してまいりたいと考えております。
#174
○市川正一君 仮に、重要な技術情報が漏えいして当該化学企業が損害をこうむったような場合はどうなるのか。今御説明があったにもかかわらず、御承知のように条約は、国際機関は技術事務局の構成員による秘密の扱いに関する違反について損害賠償責任は負わないと、こうなっています。
 まず、外務省に伺いますが、これでいいんですか。
#175
○説明員(門司健次郎君) ただいまの規定の趣旨でございますが、技術事務局の構成員の一定の行為によって損害をこうむった者が訴えを提起した場合に、機関はこの規定の存在を主張することによって損害を賠償する責任を免れることができるということを定めたものでございます。
 ほかの国際機関についてでございますが、同様の趣旨の規定を置くものといたしましては、例えば国際連合の特権及び免除に関する条約というものがございまして、この条約では、例えば国際連合は「あらゆる形式の訴訟手続の免除を享有する。」という規定を有しております。
#176
○市川正一君 結果として僕はざる法になってはまずいと思うんですね。それは国内法との関係から言いましても、化学工業の分野で非常な開発競争が国際的規模でも行われているときに、信頼して情報を提供した国際機関からその情報が漏れても何の補償もないというのならば、正確な情報が提供される保証はないし、また秘密情報のとられっ放しになる。どの国がとは申しませんが、往々にしてこういうことをやるところがありますんですね。
 したがって、通産省としてもこういう事態に対応する対策といいますか、こういうことは御検討なすっているでしょうか。
#177
○政府委員(清川佑二君) 当条約についての規定ぶりにつきましては今外務省からお話があったとおりでございます。
 この条約上、損害を与えた条約機関職員の裁判権からの免除が秘密漏えいなどあった場合には剥奪されるということにもなるわけでございますから、当該職員個人に対して責任を追及するということに法律上はなろうかと思うわけでございます。ただ、その場になって法律上責任を追及する、訴えるということではやはり十分ではないと考えます。それに至る前の予防措置が極めて重要であると私どもは考えているわけでございます。
 そのようなことでございますので、事業所に立ち入る場合に施設協定を策定するということになるわけでございますが、その場合に秘密情報の保護について十分な考慮を払うということ、これが非常に大切であろうかと考えております。
 さらにまた、繰り返しになりますが、当省としても、検査を適切に受け入れるために、そしてまた同時に企業秘密の保護を図る、あるいは風評被害の防止等もございますけれども、こういったことに留意をしてきちんとしたマニュアルを整備する、こういったマニュアルをもとに訓練をいたしまして当省職員も検査に立ち会う、このような形で私どもとしては機密防衛、企業秘密の漏えいに至る前の予防措置を十分に払っていくことが極めて大切であると考えて対応いたしております。
#178
○市川正一君 万全を期していただきたいと思います。
 先ほど来、中国での遺棄化学兵器問題が出ました。条約では、他国に化学兵器を捨てている国は、その化学兵器を廃棄するため、すべての必要な資金、技術、専門家、施設その他の資源を提供することになっています。梶原さんがさっき提起した問題だと思うんです。これについて外務省は、中国が本条約を批准しない限り日本としてはこの義務を中国に対して果たす責任は持たないという趣旨のことをおっしゃったと理解したんですが、それでいいんですか。
 私は、この条約の精神から言っても、またあの侵略戦争の戦後処理の立場からしても、さらにこの条約の実効性を国際的に示す、日本が積極的に貢献するという立場からも、この問題についてはやはりもっと能動的積極的な対処を協議を含めてやるべきだと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
#179
○説明員(野本佳夫君) お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたのは、厳密な法的な意味で、双方が当事国にならない限りこの条約の権利義務はその当事国において発生しないということを申し上げました。
 ただ、中国のいわゆる遺棄化学兵器の問題につきましては、中国からもう既に、これは九〇年でございますが、その遺棄化学兵器の処理につきまして要請がございまして、既に我々は日中間で協議をし、及び日本から視察も行い、調査も現在行っているわけでございます。日中間で話をいたしましても、やはり現状を把握することが処理をするにしましても一番大事なことであると、こういうことでございまして、去る二月下旬から今週初めにかけても日本から調査団を出している次第でございます。
 その意味で、今後さらに事実関係の把握に努める必要がございますが、我が国は、日中共同声明それから日中平和友好条約という日中関係の観点から、またこの化学兵器禁止条約の精神を踏まえて、具体的な処理のあり方につきまして今後さらに中国側と相談をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#180
○市川正一君 梶原さん、そういうことだそうです。よくわかりました。
 時間がないので、もう一点。この遺棄化学兵器問題というのは中国だけなんですか。ほかの例えばアジアの国にもあるんでしょうか。
#181
○説明員(高松明君) 私どもがただいままでに承知している限り、中国との間にこの問題があるだけということでございます。他の国からそういう具体的な申し立てといいますか申し入れあるいは問題提起といったものはございません。
#182
○市川正一君 私は、やはり積極的に日本の側からも調べる必要があると思いますので、外務省としてひとつ対処していただきたい。
 最後に私は、改めてこの化学兵器禁止条約を歓迎するとともに、人類にとって最大緊急課題になっている核兵器の廃絶、すなわち実験、開発、生産、貯蔵及び使用の全面禁止並びに廃棄の実現のために我々が奮闘することが大きな国際的責務であるということを表明し、時間が余ってございますが、これで質問は終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#183
○委員長(久世公堯君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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