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1995/03/16 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 農林水産委員会 第6号
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1995/03/16 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 農林水産委員会 第6号

#1
第132回国会 農林水産委員会 第6号
平成七年三月十六日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十五日
    辞任         補欠選任
     村沢  牧君     及川 一夫君
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     谷本  巍君     会田 長栄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         青木 幹雄君
    理 事
                大塚清次郎君
                佐藤 静雄君
                稲村 稔夫君
                菅野 久光君
                星川 保松君
    委 員
                井上 吉夫君
                浦田  勝君
                北  修二君
                高木 正明君
                吉川 芳男君
                会田 長栄君
                及川 一夫君
                野別 隆俊君
                細谷 昭雄君
                風間  昶君
                刈田 貞子君
                都築  譲君
                林  紀子君
   国務大臣
       農林水産大臣  大河原太一郎君
   政府委員
       農林水産大臣官
       房長       高橋 政行君
       農林水産省構造
       改善局長     野中 和雄君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     日出 英輔君
       農林水産省食品
       流通局長     鈴木 久司君
       食糧庁長官    上野 博史君
       水産庁長官    鎭西 迪雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        秋本 達徳君
   説明員
       法務省民事局参
       事官       小池 信行君
       国税庁課税部所
       得税課長     西川  聰君
       厚生省年金局数
       理課長      熊沢 昭佳君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内
 閣提出)
○地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
 き、農林水産消費技術センターの設置に関し承
 認を求めるの件(内閣提出)
○中小漁業融資保証法等の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○漁業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(青木幹雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、村沢牧君が委員を辞任され、その補欠として及川一夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(青木幹雄君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、農林水産消費技術センターの設置に関し承認を求めるの件、以上両案を一括して議題といたします。
 両案件につきましては、既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○大塚清次郎君 私は、きょう提案されております農業者年金基金法の一部改正について御質問を申し上げます。
 この農業者年金の制度は、制度創設始まって以来二十五年を経過しようとしておりますが、これはそれなりに農業者の老後の安定、それから特に経営移譲を中心にした構造政策、この着実な推進に大変大きな役割を果たしてまいりました。
 それが、先般のガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意という事態が出まして、いわゆる新政策がそれによってアレンジされたわけでございますが、その新政策が出そろったところで構造政策のさらに進捗につきまして一段の加速の必要があるというようなことに着目されまして、この農業者年金の制度の拡充強化を図ろうとされておるわけでございますが、まことに時宜にかなった農林水産大臣の英断だという高い評価をしなければなりません。殊にこのことにつきましては、生産現場でいわゆる経営譲り受けの客体となる農民の期待は非常に大きいわけでございます。
 それを踏まえて、大臣御承知のとおり、全国農業会議所なり、あるいは全中なりが生産者に成りかわってこの改正要望をしきりにいたしてきたところでございます。これがこの際その線に沿った、おおむねその線に沿った改正をしていただくわけでございます。
 それでこの際、農林水産大臣からこの改正についての基本的な考えと、この改正が持つ政策的役割、意義等につきまして包括的に御所見、御見解をまず承りたいと思います。
#5
○国務大臣(大河原太一郎君) ただいま大塚委員からお話があったとおりでございまして、農業者年金は昭和四十六年度に発足したわけでございますが、専従的な農業者の老後の保障はもちろん、さらに適期による経営移譲による経営の近代化あるいは農地保有の合理化というようなことを主眼といたしましてこの制度が仕組まれたわけでございます。
 この制度の政策的な誘導効果といたしまして、現在の年金加入者の状況を見ますと、やはりこれらの加入者の農家の皆さんは農家戸数では一四、五%でございますけれども、経営面積とか農業粗生産額、これらについては四割以上を占めておるというような中核的な経営になっておるわけでございまして、それなりの政策的誘導効果はあったものであるというふうに考えております。
 ただ、御案内のとおりでございまして、農業を取り巻く諸情勢の変化から、新規就農者の減少を背景といたしまして加入者が減ってくる。したがって、そのことからして加入者よりも受給権者がふえるというような、大幅に受給権者が超過するというような事態でございまして、年金財政の安定の観点からもこの点についての配慮をしなければならないという事態になっております。
 他方は、ただいま委員もおっしゃいましたように、経営感覚にすぐれた効率的、安定的な経営をどうしても育成しなければならないというような農政上の大きな課題がございまして、それに対して的確な制度の対応が求められておるわけでございます。
 そういう意味で、これからいろいろ御質疑等があるかと思いますけれども、農業に専従する女性の方々に加入の道を開くとか、あるいは新規就農者に対する加入条件を緩和したり、あるいは農外から入ってくる皆さんに対してもやっぱり的確な第三者移譲として認めるとか、あるいは経営移譲のやり直しとかいうようなことによる農地保有の合理化とか、あるいは離農給付金等についてもいろいろ考える、措置をする等々、制度に対して手当てをいたしまして、この新しい情勢に対応する制度の的確な運用を図ってまいるということで、今回改正についての御審議をお願いしておるところでございます。
#6
○大塚清次郎君 ただいまの農林水産大臣のお答えを敷衍する意味で、特に政策年金としての機能に着目して制度改正されるわけですが、その主なる具体的なポイントだけ、ひとつ構造改善局長から項目を要約して説明してください。
#7
○政府委員(野中和雄君) 政策年金としての機能を強化いたします観点から、今大臣が申し上げたような重要な課題に対応いたしますための改正を行っているわけでございます。
 そのポイントといたしましては、一つは、夫とともに農業に専従し経営者としての実質を備える妻につきまして、農地の権利名義を有しない場合も含めて加入の道を拡大するということでございます。
 それから第二に、後継者が任意加入する場合の農業従事期間、従来三年ございましたが、この要件を撤廃するものでございます。
 それから三番目に、経営移譲の相手方といたしまして、新たに耕作等の事業を行おうとする者を追加するということでございます。
 それから四番目に、兼業経営者に対しまして経営移譲を行った後に、農業者年金の加入者などに対しまして経営移譲のやり直しを行いました場合には、その時点から加算つきの経営移譲年金を支給するということでございます。
 それから五番目に、経営移譲年金の支給を受けるのに必要な保険料の納付済み期間等が二十年を満たす前に、適格な第三者に対しまして移譲して離農する者に対しまして離農給付金を支給するというような措置を講じております。
 また、給付内容の点から二つほどございまして、一つは、農業者年金の加入者で保険料納付済み期間等が十五年以上ある方が障害の状態となって経営移譲を行った場合には、本来必要とする保険料納付済み期間へ二十年を満たす以前ではございますが、経営移譲年金を支給するということが一つでございます。
 それから二番目に、死亡した加入者の経営を承継した配偶者が農業者年金に加入をいたしまして経営移譲を行った場合につきまして、特定配偶者期間、これは空期間と言っておりますが、この三分の一により計算をいたしました年金額を加算することにいたしております等の措置を講じているところでございまして、これらに伴いまして必要となります資金等につきまして追加的な国庫補助も確保するというような内容でございます。
#8
○大塚清次郎君 ただいま非常にわかりやすくこの改正のポイントを御説明いただきましたが、特に今の御説明の中で最大の今度の目玉として農業専従者女性に加入の道が開かれたこと、これは画期的なことだと思います。
 これは非常に待望久しかったことでございまして、特に我が国農業はやっぱり何としましても家族経営形態であるということから、これを改正という法的な側面から認知されたということに大きな意義があると思うんです。それからもう一つは、それによって女性の地位向上、これに非常に役立つということでございます。
 そういう評価さくさくたるものがあるわけでございますが、ただ加入要件を余り絞りますとその本来の目的を殺すことになりかねないということでございますので、特に加入要件について、殊にその中でも家族経営協定という発想が取り入れられております。これをどのように進めてまいられるか、これは非常に大事なことだと思いますので、構造改善局長が今頭の中にどう描いておられるか、その辺についてお聞かせいただきたいと思います。
#9
○政府委員(野中和雄君) 今回加入を認めます女性は、農地の権利名義を有しない以外は経営者である夫とともに農業経営に参画をしておりまして、非常に大きな役割を農業に果たしていただいているわけでございます。
 この要件でございますが、余り厳しくするなということでございますが、具体的に私ども今考えておりますのは三つほどございまして、一つは農業に常時従事をしているという方でございます。それから二番目に、その事業に供します農地の面積が夫婦合わせまして一定の規模、これは一ヘクタールというようなことを考えておりますが、これ以上あるということ、それから三番目に農業経営者であることが夫婦間の取り決めにおきまして明確にされているというような三つの要件を考えているわけでございまして、今申し上げた三番目が先生お話しのような家族経営協定というものを結んでいただくというようなことを考えているわけでございます。
 こういう中で、私どもといたしましては、家族経営協定におきましては、そういう意味から一つはその配偶者、多くの場合は妻の方でございますが、経営方針の決定に関与をしている、一緒に方針を決めていただいているというようなこと、それから二番目にその事業の損益の帰属、収益などが夫婦のそれぞれに分配をされるというようなことなどを定めているというようなことを審査させていただきたいというふうなことを考えているわけでございます。
 こういうような内容を考えているわけでございますが、もとよりこれは家族経営協定ということでございますので、それぞれの事情によりまして、当事者の意思によりいろんな形の協定ができるんだろうというふうに思っているわけでございますが、私どもといたしましては簡素な内容のモデル協定例のようなものを作成いたしまして、これを関係者の方に広く知っていただく、浸透させていくというようなことによりまして弾力的な運用に努めてまいりたいというふうに考えております。
#10
○大塚清次郎君 よくわかりました。その点については特に大切でございますので、これは有効に女性の加入が現実に進みますように格段の御努力をいただきたいと思います。
 それから、今度は年金財政の中長期的な見通しについてでございます。これはなかなかに予測することは難しい点があるかと思いますけれども、先ほど大臣がおっしゃったとおり、ただいままで高齢化、後継者不足の中で年金受給者がずっとふえ続けてきた、それから今度は掛金を掛ける人がずっと減ってきた、大変シェーレが出てきたわけでございますが、これがいつごろになったら受給者数と掛金者数と今後均衡していくか、その見通しについてお触れいただきたい。
 そういう中で、年金でございますからこれは財政再計算の中でやっていくことになる。五年一区切りということであろうかと思いますけれども、そうした場合に年金の給付総額の現状、例えば五年後あるいは十年後に今度の改正によってどうなっていくであろうか、いつでもいいですけれども中長期的なある時点をとらえて。それから、それに対応する保険料、それから二分の一の国庫助成金、特に年金について手だてされております追加国庫補助、この推移予測についてどうなっていくのかお示しいただければ幸いだと思いますが、いかがですか。
#11
○説明員(熊沢昭佳君) 年金財政の見通してございますが、農業者年金の財政は厳しい状態が続いておりますが、これは新規就農者数の減少を背景としまして、本年金への新規加入者が減少したことが主な原因だというふうに考えております。
 しかしながら、農業者年金への新規加入につきましては、今後新政策が掲げる農業構造の実現に向けて就農支援のための総合的な措置が講じられていくこと等、今後徐々に被保険者数は増加していくものと考えております。被保険者数は、将来的には三十万人程度で安定的に推移するものと見込んでおります。一方、受給権者数につきましては平成十二年ごろから減少していくというふうに見込んでおります。
 こうした状況の中で、保険料の段階的引き上げ、追加の国庫補助により単年度収支は今後徐々に改善していきまして、さらに平成三十年ごろには年金受給権者数が被保険者数を上回るという逆転現象も解消されて、年金財政は安定的に推移していくものと考えております。
 次に、お尋ねの将来の農業者年金の給付費等の見通してございますが、給付費総額は平成八年度から十二年度までは毎年千八百億円程度で推移しまして、その後若干増加しまして平成二十年度ごろからは毎年二千八百億円程度の支出で推移するものと見込んでおります。
 次に、保険料総額でございますが、平成八年度から十二年度までは毎年七百億円程度で推移するものと考えておりまして、その後は被保険者数が安定的に推移することなどから増加し、平成三十年度には千六百億円程度の収入が見込まれるというふうに考えております。
 経営移譲年金の二分の一に当たります国庫助成額につきましては、平成八年度から十二年度までは四百億円程度で推移するものと見込んでおります。この後、経営移譲年金の給付費が増加するにつれまして、平成三十二年度ごろには一千百億円程度になるものと見込んでおります。また、追加の国庫助成額につきましては、平成八年度から十二年度までは経営移譲年金の給付費の二分の一程度に相当する額が補助されまして、約四百億円程度と見込んでおります。
#12
○大塚清次郎君 ありがとうございました。
 非常に予測が難しいところでございますけれども、問題は加入者が納める保険料の額に非常に関係してくると思うんです。そういう点にちょっと不安材料が加入者としてはあるわけでございますのと、それからもう一つは、この再計算にあわせ、五年間に出てまいります追加国庫補助、これの将来の成り行き、これは予測が難しいんですが、そういうものとの絡みで、ひとつその辺のところをこの年金の改正の趣旨に沿って、ある意味じゃ私はこれは非常に農家の今の、こう言ってはちょっと語弊があるかと思いますが、いわゆる政策年金としての所得補償的な立場、ここに非常にウエートを置いたやり方の中で運用に遺憾なきを期していただきたい、こう思います。
 御要望いたしまして、私の質問を終わります。
#13
○細谷昭雄君 農年法案の審議に入る前に、若干の時間おかりいたしまして私は新食糧法、この新食糧法の施行を前にしまして、いろんな政省令があるわけでございます。このことに関しまして質問を最初にしたいというふうに思いますので、お許し願いたいと思います。
 新食糧法の施行は二段階になっておりまして、一つはミニマムアクセス関係、これがことしの四月から、その他は十一月というふうにおおよそ決まっておりますので、それぞれ恐らく準備をされておると思います。私ども現地を回ってまいりますと、この政省令がまだ非常に不明確であるということもございまして、新しい食糧法に対する大枠はわかっておっても、具体的には一体どうなるのか、このことを大変農業団体の皆さんも、それから農民の皆さん方も心配をされ、不安に思っておるわけであります。
 私どももこの点については政省令にまたなくちゃいけないということはわかりますけれども、やっぱりことしの種をおろす、春耕、そして収穫、すぐに来年が参るわけでありますので、ぜひある程度皆さんの方でお考えになっておる点がございましたらこの点明らかにしていただきたい、こんなふうに思うわけであります。
 と申しますのは、国会も七月の改選、そして新しい構成になって本格的な議論をするのは恐らく九月ないし十月の臨時国会みたいなことになるんじゃないか、こんなふうに思いますので、この機会をおかりしましてそういう点である程度明らかにしていきたい、こういうふうに思っておりますので、お答えいただければありがたい、このように思います。
 まず最初に、第五条において国産米は流通段階で計画流通米と計画外流通米というふうに分かれるわけでありますが、私どもは計画流通米をどう確保するかということが極めて新食糧法の行方に大きな問題ではないか、こんなふうに思っておるわけであります。
 現行自主流通米というのに対しましては、この確保のために政府は現行六十キロ当たり六百四十円、これを上乗せして自主流通米を確保するように努力しているわけでありますが、今後の計画流通米の確保のためにどういう措置を講ずるつもりなのか、そして総量はどの程度見込んでおるのか。つまり、一千万トンとるとすれば、この計画流通米はどの程度のいわば幅といいますか、量については多少変わると思うんですが、その点についてまず最初に明らかにしていただきたい、こう思います。
#14
○政府委員(上野博史君) 新食糧法の施行に向けまして私どもとしてもいろいろ現在内部での検討を進め、努力をしているところでございますが、今委員お話しのとおり、生産者の方々はこの内容がどういうことになるのか大変御関心を持って見ておられる。必ずしも生産者だけじゃなくて販売業者等関係者皆さんが非常な関心を持って見ておられるということでございまして、できるだけ前広にそういう御要請に対応できるように努力をしていかなきゃならないというふうに思っているわけでございますけれども、その詳細の検討ということにつきましては、いろいろ検討を要する点多々あるわけでございまして、思うようになかなか進んでおらないというのもまた一方の事実でございます。
 ただいまお尋ねのございました計画流通米の数量がどうなるのか、これに対する助成がどうなるのかということにつきましては、まず量的な問題はなかなか見通しが難しゅうございます。しかしながら、基本的にはこの計画流通米というのが現行の自主流通米と政府米というものを引き継ぐような形のものになるわけでございますので、基本的にそういうものが中心になってまいるというふうに見込まれるということは当然だろうと思うわけでございますけれども、他方で、今度の制度のもとで複線的な流通が可能になる、そういう形でより計画流通米として流れるお米の範囲が広がるということはあるわけでございまして、そちらの方を考えますと量的な拡大の可能性があるというふうに考えております。
 ただ、もう一方で生産者が計画外での流通を望むということもあろうというふうに思うわけでございまして、こうなりますと、こちらは減少する方向の要因でございまして、このプラスとマイナスの要因がどういうふうに動いていくのかということについては現在の段階で見通すことは非常に難しいんじゃないかというふうに考えているところでございます。
 しかしながら、この計画流通米を確保する、そして安定的な流通を図っていくということが非常に大事だということは当然のことでございまして、この意義を十分にこれからもPRしてまいりたいと思いますし、先ほどお尋ねのございました助成ということについても検討をしてまいらなければならないというふうに思っております。
 ただ、具体的な助成をどういうようなものにするかということにつきましては、これは今後もう少し検討させていただきたいというふうに考えている段階でございます。
#15
○細谷昭雄君 これは具体的に生産農家なり生産団体はそこら辺がわからないのでさっぱりわからぬということになってしまうわけですよ。難しいことはわかっているんです。したがって、どういうところでそういう議論をするか、ないしは検討していくのかということをなるべく早い機会に打ち出して、国会の我々の議論も聞くとかいうことをやっぱりやっていかなくちゃいけないんじゃないかと思いますので、ぜひ早くやってもらいたいというふうに思うんです。
 以下、わからないことが多いんじゃないかと思いますが、時間がございませんので端的にイエスかノーかみたいな形でお答え願えればありがたい。
 第二番目は、いわゆる政府売り渡し米と言われる政府米ですね、これは第五十九条になっておりますが、備蓄米イコール政府米なのか、そのことをまず端的にお教え願いたいと思うんです。備蓄米は、我々は議論の過程で標準大体百五十万トンというふうに言っているわけでありますが、五十九条の一項で言うところのあれは、いわゆる備蓄米イコール政府米なのか、そこら辺をどう考えるのか。
#16
○政府委員(上野博史君) 国内産米ということに限りますれば、おっしゃられるとおりでございます。
#17
○細谷昭雄君 次は、政府米は五条の二項と五十九条の一項、これに明記されておりますように生産調整実施者、これを対象としております。そうですね。
 そこでお尋ねしますが、これは手上げ方式なんです。この手上げ方式になりますと、当然生産調整に応ずるかどうかということは条件によるわけです。その条件が今後いわゆる政省令ということになって、それもベールに包まれているわけです。私はこの場合にやっぱり明らかにしておいていただきたいと思いますのは、この生産者から買い入れるとされておる数量は生産調整をやった人の分を全部買うのか、それとも割り当てなのか、そこら辺どうですか。
#18
○政府委員(上野博史君) 先ほどお話し申し上げましたとおり、政府が買いますお米というのは備蓄米でございまして、大体百五十万トンを基準として一定のアローアンスを持って考えてまいりたいということでございますので、生産調整実施者から買うということにはなるわけでございますが、生産調整実施者の生産されたものを全部引き受けるということにはならないというふうに考えております。
#19
○細谷昭雄君 政府が買い入れる政府米の価格、つまり政府米米価、この政府米米価の算定の方式や審議会をつくると言っておりますが、審議会は現行の米価審議会と同じようなものになるのか、そういうふうに考えておるのか。政府買い入れ価格はいつ公示をするのか。これはさっき言ったように手上げ方式からしますと、どうしてもやっぱり前の年にやってもらわないと全然だめなんです。しかも、今まだ全然検討しておらない、明確になっておらない。ことしの秋にそういうことを公示しなくちゃいけないという段階ですので、ここら辺は一体どういうふうに考えておられるのか。米穀年度の当初にそれを提示してもらわないと生産者としてはこれは困るわけです。そこら辺はどういう準備で、どういうふうにやるつもりですか。
#20
○政府委員(上野博史君) 新法におきます審議会は基本的には現行の米価審議会と同様なものだというふうに考えておりますけれども、具体的な名前であるとか位置づけであるとか役割とかいうことについてはさらに検討をさせていただきたいというふうに思っております。
 それから買い入れ米価につきましては、今委員お話しの中にもございましたとおり、生産者が生産調整を実施する際の非常に大事な判断要素だというふうにも考えているわけでございまして、前年のうちにそういうものをお示しできるような方向で考えてまいりたいというふうに思っております。
#21
○細谷昭雄君 次に、生産調整を実施するのか。つまり、生産調整やりますと手を上げた農家、これはメリットがないと応じないわけです。今まで現行は例えば十アール当たり最高五万円まで奨励策をとっているわけです。そういう現行の奨励策をきちっとやっぱりつけるというふうな腹づもりでおるのかどうか、そこら辺どうですか。
#22
○政府委員(日出英輔君) 八年度から新しい生産調整を行うという前提で、今新しい生産調整の具体的仕組みにつきまして急いで検討している段階でございます。先生のお尋ねの助成の話につきましては、その中の一つの大きなものとして検討しているわけでございますが、いずれにしてもこの新しい生産調整の手法に合った助成にしなければいけないわけでございます。
 そういう意味で言いますれば、今お話しの政府買い入れ価格ともちろん関係いたしますし、それから基本的には私どもの場合には、例えば生産調整を強めていく局面なのか緩和していく局面かによりましても助成のあり方はなかなか違ってまいるというふうに思っております。等々、なかなかいろんな議論をしなければいけませんが、いずれにしてもその全体需給の調整がとられませんとどうにもなりませんので、そういう意味でこの助成のあり方については大変重要な問題だというふうに意識して今検討を急いでいる状況でございます。
#23
○細谷昭雄君 計画流通米の中での自流米、これの価格形成というのは、これは全く市場経済にゆだねられておるわけですね。そうなると私が心配しておりますのは、かなり価格が下落する、下落まではいいけれども暴落するという危険性さえもあるじゃないかと。価格の高騰は抑えられるわけですね、仕組みとして備蓄制度がありますから。反対にこの下落をとめるという、暴落をとめるという歯どめが全然ないという点で非常に心配なわけですよ。
 二つ法律で考えられておるのが、一つは生産調整、もう一つはいわゆる調整保管、この二つですね。生産調整の方はさっき言ったように検討中だということですが、この二の調整保管という問題で一体JA、まあ全農ですが、全農等が自主流通米法人をつくって、そしてこれが法定機関というふうになっておりますが、ここで下落に対していろんな対策を立てる、法人が。立てる場合に暴落の場合にかなりやっぱり資金が必要になるんですね。その場合に政府がきちっと介入といいますか、その助成といいますか、ちゃんと支えるためのいわゆる資金投与をしなくちゃいけないんじゃないかというように思うんですよ、暴落を食いとめるために。その場合にきちっと政省令の中にそういうことをうたえるかどうか、これについてどうですか。
#24
○政府委員(上野博史君) 政省令の中の内外の問題というのはやや別の話にいたしまして、お米の値段の安定を図るということが非常に大事だということはおっしゃられるとおりでございまして、やはりそのための第一の施策というのは需給、量的な需給のバランスを図ってまいる、そのために的確な生産調整を行うということが一番大事なことじゃないかというふうにまず思っております。
 ただ、それでもやはり農業でございますから、豊凶変動というのはあるわけでございまして、大変な豊作のときに価格が下落をするということはあるわけでございます。こういうときの対応といたしましては、法案を御検討いただきました段階から申しておりますように、国としては調整・備蓄保管の数量のある程度の弾力的な運用ということによりまして対応をすると。
 しかし同時に、新たなこの法制のもとでは生産者側の自主的な運営、対応ということも求められるわけでございますので、我々の行います。その備蓄の運営の弾力的な扱いに相まって生産者団体の調整保管をお願いする、やっていただくということを考えているわけでございまして、この関係につきましての助成というのも今後の検討課題でございますけれども、似たようなことが既に平成六年産米について行われるという段階になってきております。これにつきましてはやはり通常の販売期間を超えて保有をしてもらう、それによって当面の供給量を絞ってもらうということを考えているわけでございまして、その超過になります期間についての金利なり倉敷料というものを助成するという考え方で対応をいたしておりますので、その辺が一つの考え方になってまいるんじゃないかというふうに考えているところでございます。
#25
○細谷昭雄君 以上七点ぐらいにつきまして問題点をお聞きしたわけですが、皆さんの方では現在検討を進めておるというお話でございます。これはやっぱりさっき言ったようにこの点が不明確ですので、全体が一体何なのかという点、大変評判が悪いといいますか、見えないわけです、全体像が。
 ですから、大臣にお願いしたいことは、国会の我々も含めましていろんな現場の皆さん方、それから農業団体の皆さん方等もやはりなるべく早くこの点を具体的に詰めて、その上で具体的に前途が明るくなるような政省令にしていくという努力をぜひしていただきたい。これは大臣に要望したいと思うわけです。
#26
○国務大臣(大河原太一郎君) 細谷委員の御要望なり御意見等は十分わかるわけでございまして、新しい制度への移行でございまして、具体的な運用等がいかになるかという点については、特に関係者、末端の生産農家等にもいろいろな不安があるということは十分承知しておるところでございます。
 これにつきましては、紋切り型になりますが、我々は国会審議等あるいは与党との調整等でいろいろな御意見を既にちょうだいしております。それを踏まえてその政省令規定なりあるいは具体的運用等について固めていきたいと思うわけでございますが、ただいまお話しのとおり、生産者あるいは集荷業者、取り扱い業者あるいは販売業者、これら関係業界の意見も十分酌み取って、その具体的な制度運用に誤りがないようにいたさなければ相ならぬ、そういう姿勢でございます。
 お話のように、これらについての検討を可能な限り早めまして、制度がこうで運用がこうでということで、新食糧法の全容が理解していただけるような努力はいたしたい、さように思っております。
#27
○細谷昭雄君 そのようにお願いしたいと思います。
 次に、本題であります農業者年金基金法の改正について若干の質疑をしたいというふうに思っております。
 前回の改正が平成二年でございました。私は、当時社会党のこの農年改正の責任者でございまして、くしくも今回もまたそういう形になりました。けさ大変びっくりしましたが、当時は山本農林水産大臣で、けさお亡くなりになったということを聞きまして、本当に心から御冥福をお祈りしたいというふうに思います。今回もまたそういう農業者年金基金法の改正ということで、今度は大河原農林水産大臣、時代は変わりましたけれども、この五年間、いろんな点でこの農業者年金の政策的な効果、これに努力されてきたと思うわけであります。
 私たちも、せっかく五年前にああいう形で財政の面でもそして若い農業者の方が出やすいように、そういう意味でも根本的に変えたということで大変期待をしたわけでございます。その改正目的、つまり政策目的がどういうふうにこの五年間に遂行されたのか。これは大臣の率直な感想、先ほどお話がございましたけれども、これは率直で結構です。五年間、頑張ったけれどもよくできなかったという点でも、率直なお気持ちを最初にお聞かせ願いたい、こう思います。
#28
○国務大臣(大河原太一郎君) 先ほど大塚委員の御質問にもお答えしたわけでございますけれども、老後の保障なり、さらには的確な時期の経営移譲等による経営の近代化あるいは農地保有の合理化、これをねらった政策年金でございまして、これについてはそれなりの努力をしたところでございます。現に加入者の状態を見れば、先ほどの答弁を繰り返しませんけれども、やはり加入者は中核的な農業者になっておるということはもう明らかでございます。
 当時も指摘されました新規加入の増加、この問題につきましては、残念ながら減少が続いて、ようやく平成三年ごろから新規営農者の増加というのが島内外から出てきたというところでございます。そういう意味で、実は新規営農者の参入についての対策は、今回のウルグアイ・ラウンドの農業対策で先般成立させていただきました青年の新規の就農支援法でございますか、これによって本格的な取り上げをしたわけでございまして、この点については、この期間においてややおくれた、それをはっきり申し上げますと感じておるところでございます。
 したがって、今後この営農支援対策をいよいよ強化いたしますれば、新規加入等の増加も期待できるのではないかというふうに思っておるところでございます。
#29
○細谷昭雄君 私はちょっと別の考え方を持っているわけです。と申しますのは、農林水産省なり我々農林水産委員会が農業政策と言うだけではなかなかそういう政策目的を完全に達成することはもうできなくて、むしろ現在の経済的な環境の中で農林水産業が置かれておる状況というのは、これは大変な話なんです。これは日本だけではないと思うわけです。そういう中で最大の努力をしても、急速に落ちるのを何とか防ぐという程度でありまして、これは五年前に我々が考えたようなわけになかなかいかないという社会的な条件がやっぱりあったのではないか、こんなふうに思うわけであります。
 したがって、私は農林水産省が怠慢だとか、そういうことを責めるつもりは全くありません。むしろ、総合的な日本の政治、経済、社会、全体を含めてもっと構造的に意識の改革なりないしは農林水産業に対する国民的コンセンサスを高めない限りは、到底もう我々が掲げるような目標は達成できないんじゃないか、内閣全体、政治全体がそういう方に目を向けてもらうようなそういう努力を最大限、我々もやるし政府もやっていただきたい、こんなふうに思っているわけであります。細かい点でございますが、構造政策のいわば効果の点で、数量であらわすとすれば目標達成度はどの程度であったのか。いわゆる農地の集積という点ないしは規模拡大という点、そういう点で数量的に関係があるのかどうなのか。
 もう一つの側面は、大塚先生もお尋ねになっておったようでありますが、やっぱり厚生年金並みの老後保障、これも大きな一つの眼目でございます。現時点で厚生年金の標準受給者と比べた場合まだかなり開いておると思うんですが、問題は五年前と比べると差が大きくなったのか小さくなったのか。このことを端的に二つ数量的に挙げていただきたい、こう思います。
#30
○政府委員(野中和雄君) 本年金によります効果の点を数量的にというお話でございます。
 幾つかの指標がございますが、農業者年金加入者のおります経営体を見てみますと、これは先ほど大臣から御答弁申し上げたものの繰り返しになるわけでございますが、規模が大きく、農家戸数では一四%のシェアでございますが、経営耕地面積なり農業粗収益では四割程度を占めているということでございまして、農業者年金加入者が農業生産の中核的な存在になっているという事実をこれは示しておるものと思います。
 また、農地保有の合理化の観点でございますが、経営を譲り受けました後継者の平均年齢は三十三歳でございます。したがいまして、経営の若返りによりまして新しい技術でございますとか新しい作物の導入などにも積極的にこの年代でございますと対応できるわけでございます。そういう意味では、こういう若い近代的な経営が可能になっているというような状況ではないかと思います。
 また、後継者への移譲でございますが、分割相続じゃなくて、九割が農地の一括相続というようなことでございますので、いわゆる民法に基づきます相続権と比較いたしますと農地の細分化が防止をされているというふうに考えております。
 それから、後継者以外の第三者移譲がございますが、この場合でございますと農地の移動面積は一・二ヘクタールということでございまして、一般の方の移動に比べまして五倍以上ということでございます。第三者移譲の場合にはその方につきましてこれだけの規模拡大ということになるわけでございますので、かなりまとまった農地の権利移動が行われているというふうに考えているわけでございまして、私ども相当程度こういう意味での成果が上がっているというふうに考えているところでございます。
 二番目に、厚生年金並みというようなことはどうかというようなお話でございます。これは先生よく御承知のとおり、今回の財政再計算におきましても老齢厚生年金の算定方式に準拠して算定をしているわけでございます農業者年金でございます。具体的には農業者年金加入者の平均所得に報酬比例乗率、加入期間を掛けて計算をしている、こういうようなことでございます。
 しかしながら、現実の給付額でございますが、今回の農業者年金の財政再計算におきましては、現役世代でございます農業者の年金の加入者の平均農業所得の伸びでございますが、二一%というようなことを見込んで今回年金額の改正を行っているところでございます。しかしながら一方、厚生年金の方でございますが、これは昨年の平成六年に財政再計算が行われているわけでございますが、現役世代の実質賃金の上昇率が一六%ということで年金額の改定を行っているということでございます。
 したがいまして、この両方の年金を比較いたしますと、厚生年金並みという考え方には変更はございません。算定方式の違いもないわけではございますが、このように改定率に格差が生じておりますのは、最近の農業情勢を取り巻きます厳しい状況の中で農業所得が給与所得に比べまして伸び悩んでいるというようなことによりましてこういうような格差ができているということで、やむを得ないというふうに考えているわけでございます。
 しかしながら、我々といたしましては、農業者年金の年金給付につきまして考え方としては厚生年金並みという基本的考え方が維持されているところでございますけれども、今後、年金額の向上の実現を図っていきますためにいろんな施策を強化いたしまして、給付の基礎となります農業所得の向上を図っていくことが重要である、そういうふうにしていきたいというふうに考えております。
#31
○細谷昭雄君 次に、今回の改正の眼目の最大の問題点、当局として大変御努力願ったのが財政の再建であったと思うんですね。今回、特に国庫補助があのとおり、大変我々も心配したんですが、ああいうふうな計画が立てられたということは大きく当局側の努力、これを多としたいと思うわけであります。評価したいと思うわけです。私どもの党も五年前は野党で今回はもう与党と。しかも私は四年ぶりで帰ってまいりまして急に与党質問ということで大変戸惑っておるわけでありますが、しかし与野党というのを別にしましても今回の財政の問題は大変な問題になったと思うんですね。そういう意味では私はやっぱり当局の努力というのを率直に評価できるんじゃないかというように思うわけです。
 問題は、新規加入者の数が非常に問題になるわけであります。先ほども議論がございました。平成六年現在で五千人、かなり難しいのじゃないかというふうに十二月当初考えられておりました。そういう状況の中で、五年後の平成十二年度は一万六千人を見込んでおると。一万六千人、三倍に伸ばすということなんですね、五年間に。これはもう私は至難のわざじゃないかというふうに思うんですが、そうしないとつじつまが合わないということでそういうふうになっているのかもしれません。しれませんが、これはWTO関係、今大臣お話しになりましたWTO関係でも新しい農業の方向ということでいわゆる新規就農者、これは一万五千人を絶対維持するという全体の政策がありますので、これは当然これで根拠としては出していくべきだと思うんですが、問題は国民全体の認識がさっき言いましたように高まっていかないとなかなかこれは達成できない。
 農林水産省だけ、農林水産大臣がどんなに逆立ちしてもそれだけでは不可能だということで、先ほども申し上げましたが、これは農業全体が魅力ある職業なり産業、こうならないともうできないと思うんです。お医者さんは年間七千人、にもかかわらず農業は千七百人。これは何かというと、お医者さんはもうかるというか収入が保証される、農業に行っても収入が保証されない。端的にそうだと思うんですね。したがって、この新規就農者をふやす、そうしない限りは新規加入者もふえない、こういうことでございますので、何としてもこれは新規加入者を確保することに全力を挙げなくちゃいけないと思うんです、これは各層とも。
 そこで、あらゆる施策の最重点になると思うんですけれども、これはうまい手があるかどうか、私はなかなかうまい手がないと思うんですね。総合的な政策以外にはないと思うんです。そこら辺はしかし十分我々は腹に据えてかかっていかなくちゃいけないと思うんです。特別これは御答弁要りませんけれども、一緒になってやっぱり農業全体を高めるしかない、私はそう思います。このことは答弁を必要としません。
 次に、財政計画の中で幾つかの重要な問題がございます。
 これは被保険者とそれから受給権者のバランス、これも大塚先生が先ほど御指摘になりました。現在は掛金を掛ける人が三十八万、そうして年金を受ける人が七十四万ですから、その差が三十六万人。これはもう受給者が圧倒的に多いわけでありますので、平成七年度の資産の状態というのが急速に改善されるということは不可能に近いと思うんですね、不可能に。実際はこういう見通しを持っているようですが、さっき局長が大体よさそうな見通しをつけておるようですが、これはかなり私は難しいんじゃないかという気がするんですよ。むしろ楽観的なことよりもかなり悲観的な、下の方をとってやっぱり計画を立てられた方がよさそうな気がするんですが、この点いかがでしょうか。
#32
○政府委員(野中和雄君) 今後の見通しということでございますが、受給権者につきましては実は今入っておられる方の年齢構成その他がわかっておりますのでかなり確度の高い見通しがつくものというふうに考えているわけでございまして、そういうような状況からいたしますと、現在の七十三万五千人というのはほぼピークでございまして、今後しばらくこういう状況は続きますものの、その後平成十二年ごろからは急速に減少していくのではないかというふうに考えているところでございます。
 問題は新規の加入者でございますけれども、このあたりは別途御議論もあろうかと思いますけれども、今先生のお話がございましたように、農業政策全体の中でできるだけ新しい加入者をふやしていく。それから私どもといたしましても今回いろんな改正をしていただきますれば、これは女性の加入の問題なりあるいは後継者の問題なりを含めましてかなり魅力的な内容ではないかというふうに思っておりますので、私どもこの点は精いっぱいPRをさせていただきまして、加入の促進に努めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
 こういうふうに加入者がだんだんふえていきますれば、平成三十年ぐらいには双方三十万人ぐらいのあたりで均衡をするんではないかというふうに見通しをしているところでございまして、私どもも最大限の努力をしなければならないというふうに思っているところでございます。
#33
○細谷昭雄君 これは見通しですからどういうふうになるかわかりませんが、私は、被保険者数の見通しがずっと横ばいで、平成三十年ごろからは伸びていくというふうに推定しておりますので、これはかなり希望的観測じゃないのかと。むしろ、そういう点では抑えて考えた方がいいんじゃないかなというふうなことを今申しているわけであります。こういうふうに、局長が言うようにできれば一番私はいいと思うんですけれども。
 次に、今回の財政計画で追加国庫補助が平成八年から十二年度までこの五カ年間で二千百八億円、これが計上されたわけでありますが、平成十三年度以降もこのような財政計画が持続されていくことが絶対必要なわけですが、この点で持続されていく、継続されていくというふうに考えていいのかどうか、これはもう大臣からひとつ決意も含めてお願いしたいと思うんですね。
#34
○国務大臣(大河原太一郎君) 御案内のとおり、追加的な国庫補助につきましては、年金の改定期間にあわせまして財政当局との折衝によりまして確保していくわけでございまして、今回も全力を挙げて今お話しの二千百八億、これを確保したわけでございます。
 したがいまして、次の改定期において年金財政全体を見ましてその安定ということから必要な追加国庫補助、これを確保したい、さように考えております。
#35
○細谷昭雄君 保険料を八百円に据え置いたという点も、これも非常にやっぱり大きな努力だったと思います。
 聞くところによりますと、財政的な見地からしますとかなりたくさんの値上げが必要であった。それを八百円に抑えた。この前も千円を八百円に抑えた、五年前も。今度もまた八百円と。大変その点の努力は買うんですけれども、実際問題としまして、現在平均反別の少ない零細農家が多い、そして二種兼業が多いという実態からしますと、八百円でさえも大変だ。国民年金と合算しますので、国民年金の方も当然入るべき人が国民年金に入らない率が二六%になっているというふうに報ぜられておりますし、農年の場合ももう同じことになるわけですね。
 そういう点で、八百円に抑えたことは大変な努力だと思うんですが、八百円でもなおかつ高い。これによって悪循環みたいに新規加入者がなかなかふえない。当然入るべき四十歳代になっても入らない人がそのために多いという実態もあるということなんですね。もうこの点は我々もやっぱり腹に据えておかなくちゃいけないんじゃないかというように思うわけであります。八百円をさらに下げますといったってこれはできっこありませんので、一応こういう実態があるということだけは我々も踏まえてかからなくちゃいけないということを申し上げたいと思うわけであります。
 次に、今回の大変立派なといいますか、我々は修正案まで出して前回は頑張ったんですが、女性の年金権、それから遺族年金、これを出すようにということでやったんですが、残念ながら五年前はこの次の改正のときに実現するからという政府当局の約束で我々引っ込ませたという経緯がございます。
 今回、女性に年金権が与えられた。この点はいろんな法制的な面の難しさがあったというふうに聞いておりますし、本当によかったというふうに私どもも喜んでおるわけであります。しかし、女性に年金権が与えられたからといって財政的に新規加入がわっとふえるというふうには私は思っておりません。これは残念ながらそんなに期待できないと思うんです。
 問題は、先ほども大塚先生からもお話がありましたとおり、この機会にやっぱり家族における女性の役割、農業経営に対する女性の役割、同時に農村社会に女性が占める役割というのを大きくアピールする非常にいい機会だと思うんですよ。私は、農水省それから農業会議所、基金一体になりまして、もうこの五年間むしろ女性の年金権をてこにして強力なアピールをした方がいいんじゃないか。このことが長い将来に向けて農村を活性化させる、そして農村をさらに明るいものにしていく、それの出発点になるという点で、私は非常に大きく評価できると思うんです。
 年金権というのは、これは権利でありますので、使うか使わないかはそれぞれの御本人の選択でございますので、大変そういう意味で大きくこれは活用した方がいいんじゃないか、こんなふうに思っております。これは私の考えてありますので御答弁は要りません。要りませんが、ぜひそういう意味でひとつ政府の皆さん方も効果の上がる方法をお考え願いたい、こういうふうに要望をいたしたいと思います。
 最後になりますが、具体的な政省令への委任事項が二点ございます。
 一つは、女性が年金権を取得する場合に家族経営協定というものを結ぶということに聞いております。これの様式や手続や確認等の機関、これは当然基金が機関だと思うんですが、具体的には農業委員会がそれぞれ委任されてやるということになると思うんです。その場合に、余り難しかったり面倒だったりうんとお金がかかったりということのないように、やはり事務的にも簡便でやりやすくて、しかも間違いのないそういう方法をひとつ考えていただきたいと思いますし、政令の中にもその点をやっぱり十分きちっとしていただきたい、こういうふうに思うわけで、その機関といわゆる要件、こういうことについてお教え願いたい。
 それから若い農業者、これは経営移譲の相手方でございますが、特に農外からの新規加入者の要件、婦人の要件、まあ面積要件その他があると思うんです。それから後の方の農外からの若い農業者、この要件についてどういうふうにお考えなのか、この二つの点についてお伺いしたいと思います。
#36
○政府委員(野中和雄君) 女性が加入をしていただく場合の要件ということでございますけれども、女性は権利名義を有していない以外は経営者である夫とともに経営に参画をしている女性を対象とするということにしておりますので、家族経営におきましてもそういうようなことを明らかにしていただくということでございまして、その配偶者の方が経営の決定に関与をしているということ、それから事業の収益の帰属、収益の配分をそれぞれ受けるというようなことを審査の対象とする、審査の際に確認をするというようなことにいたしたいというふうに考えております。
 そういう意味では、家族経営協定につきましては、具体的には作物の選定でございますとか、農作業の分担でございますとか、資金調達等々につきまして夫婦が協議をして決めていただくというようなこととか、今の農業経営によります収益を夫婦それぞれに分配がされる。それから、経営資産の処分につきましても夫婦で協議をしていただくというようなことが盛り込まれているというようなことを確認していくということでございまして、この辺よく徹底をいたしまして、余り難し過ぎないようにいたしたいというふうに考えているところでございます。
 それから、農外からの新規参入者の人を今度新たに経営移譲の相手方に位置づけることにしたわけでございます。これは、現在農外からの新規参入者というのは非常に期待をされておりますし、また農家の子弟でございましても後継者でない人なんかが新たな担い手として非常に期待をされているというようなことでございますけれども、これらの方が経営移譲年金の被保険者から経営移譲を受けることができないという現状でございます。
 そこで、こういう担い手を確保するというような意味から、今先生お話しのように新規参入者等に経営移譲ができるようにするものでございまして、要件といたしましては、経営移譲終了日までに耕作または養畜の事業に従事をしていた期間が三年以上あるか、または、引き続き当該事業に従事をしていた期間が一年以上あるというようなことでございまして、そういうふうに考えているわけでございます。
 この従事している期間ということにつきましては、これはもう前からそうでございますが、現実に専業していたとかという意味ではございませんで、大学あるいは高校で農業に関する学科を学んだ期間でございますとか研修を受けていた期間、あるいは学生等でございましたけれども農繁期や休日などに農業に従事していた期間というようなことを含めるというような運用をいたしているところでございますので、念のために申し上げさせていただきます。
#37
○細谷昭雄君 最後に、大臣にお伺いしたいと思います。
 大変残念なことに今回の改正で我々の不満は、一つだけ遺族年金に前進が余りなかったという点でございます。
 私どもは、今回の改正でも次の提案をしておったわけです。いわゆる年金加入者が亡くなった場合、その亡くなった時点で支給されるいわゆる年金額、この年金額の二分の一を配偶者が五年間は受給できる、こういう提案をして。おったんですが、残念ながらそれは財政事情が許さないということでだめだったわけです。極めて残念ですが、ただいわゆる空期間室二分の一、これも厚生省で大変に大きな問題であったそうですが、そこまではこぎつけたという点で、若干入り口ができたという点では評価するわけです。
 問題は、こういう一連の農業者年金、それからいろんなこういう施策、こういったのがやっぱり最終的には若い人が農業に参入できる、もう進んで参入したいということに尽きるわけですが、この点で大臣からぜひ、私はやっぱり国民全体のコンセンサスをぐっと農林水産業に引きつけていくというためにも、自然とか食料とか、それから農業とか、特に言うところの食糧基本法、農業基本法、こういったものを含めた今の農業基本法にかわるもの、これをぜひ、これはもう国会と一緒になって農林水産省が旗振りをして政府部内をまとめていく、このことが必要じゃないかと思うんです。これについて大臣からひとつ抱負、農業基本法の発展的な集約した形での新しい基本法をつくるその決意を、お考えをお聞きして、終わりたいというふうに思います。
#38
○国務大臣(大河原太一郎君) このたびの農業協定、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業協定受け入れの国内対策でも明らかにいたしましたように、昭和三十六年の農業基本法についてはこれを見直すべき段階に来ておる。したがって、新しい観点に立って食料・農業・農村対策、これを盛り込んだ基本法を制定すべきであるということは既に打ち出して、我々としてもこれから早急にそれの検討の準備に入らなければならないわけでございます。
 その場合においては、やはり農業基本法で取り上げられなかった食料の安定供給の問題なり、農業・農村の大きな役割、単なる食料の安定供給ではなくて、しばしば言われるような国土保全あるいは環境の維持あるいは地域社会の維持というような諸点、広範な視点を取り入れた基本法の制定になるべきだというふうに我々は思っておるわけでございまして、そういう広い視点から今後の農政の指針としての基本法の制定に努力いたしたい、さように考えているところでございます。
#39
○細谷昭雄君 終わります。
#40
○刈田貞子君 農業者年金基金法一部改正について先ほど来から同僚委員の質問を伺っておりまして、私も今回の改正に当たりまして女性の年金権が発生するということに関して大変関心を持って見てまいりましたが、そのことについて少し伺わせていただきたいと思います。
 先ほど来から局長は家族経営協定の問題についていろいろ御質問に答えられておられましたけれども、もう一度確認をさせていただきますと、この協定の中身は、いわゆる経営方針、収益分配あるいはまた資金調達、財産処分等々、そうしたものについて協定を家族内で結ぶということですか、協定を結ぶということは。
#41
○政府委員(野中和雄君) 女性の方に農業者年金基金に入っていただきます場合に、具体的には先ほど申し上げましたような三つぐらいの要件というのを考えているわけでございまして、専業的農業者の配偶者である、それから耕作または養畜の事業を行う経営者である、それから事業に供する農地の面積が夫婦合わせて一定規模以上であるというようなことを考えているわけでございますが、それでは農地を持たない配偶者の方が一緒に経営をしているというようなことをどうして見るのか、どういう形で担保をするのかというようなことでございます。したがいまして、農地の権利を持っていない方の配偶者が経営の一角を担っていただいているというようなことにつきまして、家族経営協定というようなものをつくっていただいて、そこで確認をしていこうということでございます。
 したがいまして、そういう意味からいたしまして、その内容として女性の方が実質的に経営に参画をしていただいている、共同でやっているというようなことを確認させていただくという意味で、先ほど来申し上げているような家族経営協定の言ってみれば中身というようなことを申し上げているものでございます。
#42
○刈田貞子君 そういたしますと、その協定が今度第三者機関で認定されていった場合には、そこで経営者としての資格が発生することになるんですけれども、そのこと自体はいわゆる現実に即した判定をするという意味合いですか。実態に即した判定というんですね。
#43
○政府委員(野中和雄君) 実態に即したというか、家族経営協定の中で先ほどのように女性の役割なりなんなりというのを書いていただいているというのは、実際にもうそういうふうに役割を既に果たしていただいているからそういうふうに協定をつくるということもございましょうし、今後そういうようなことで実質的に経営に参加するというようなことでつくられる場合もございましょうけれども、いずれにしてもそういうふうに経営に参画をしていただくという実態を反映したものというふうに考えます。
#44
○刈田貞子君 「新しい農山漁村の女性−二〇〇一年に向けて」、このビジョン懇では、女性が農林水産業や農山漁村地域の担い手として社会的に認められ、その意見が適切に反映されるような環境づくりを進めることが必要だということをうたわれております。しかしながら、経営における女性の位置づけは概して不明確である、そして家庭や地域において生産の担い手として適正に評価されているとは言いがたいというふうにビジョン懇で言っております。このことが今農村社会の女性の立場の大きな一つのネックになっているというふうに思うんです。
 つまり、私は農村の女性の問題について絶えず質問してまいりましたけれども、そのたびに農村では女性は元気だ、労働力となってよく働いておる、そして農業をよく支えてくれておる、こう言われるわけです。ある大臣によっては、財布もみんな持っておる、こう言うわけです。それでもなおかつ社会的な位置づけと法制上の位置づけというものはどうなっているのか、あくまでもシャドーワークではないのかというところがずっとついて回っているわけです。この問題について、私はこうした農年の中で女性の位置づけをされたのをきっかけにもっと、さっき私は実態に即した判定と言えますかということを確認したのは、実態に即した物の考え方をきちっとつくっていく必要があるのではないかということからこういうことを申し上げているわけでございます。
 そこで、もう一つだけ確認をさせていただくんですが、その協定というのは、これは公的にはどういう意味を持ちますか。
#45
○政府委員(野中和雄君) 法的には夫婦間の契約というようなことだろうというふうに考えているわけでございまして、そこの協定に書かれたことに従って経営を協議するとか、あるいは休日をとるとか、あるいは収益を配分するとかというような契約が取り決められているというふうに考えるものでございます。
#46
○刈田貞子君 さっき同僚委員の中からも、いろいろな面倒くさい話になるとそういう形の方向に事が進まなくなっちゃうと。だから、かなり私的な部分でやっていけば年金への道は開かれる、こういうことにはなるというふうに思うんです。みなしでやっている部分が今回相当あるわけです。経営者とみなすというところが私はあるように思っております。
 それで、国税庁お見えになっていると思うんですが、所得税取扱通達の中の基本通達第十二条二項ですが、そこの「夫婦間における農業の事業主の判定」というところについてわかりやすく御説明いただければと思います。
#47
○説明員(西川聰君) 所得税の課税に当たりましては、基本的に実質所得者課税の原則というのがございます。そういうところで、生計を一にしている夫婦間におきます農業の事業主、いわゆる申告書を提出していただく方を一体だれに確定するのかということでございますけれども、その場合も実質により判定するということが原則でございます。
 そうした中で、基本通達十二条の三でございますけれども、これは形式的な基準を示したものではございませんで、お尋ねのその十二条の三は、生計を一にしている夫婦間における農業の事業主がいずれであるかというものの判定をする場合には、両者の農業の経営についての協力度合い、耕地の所有権の所在、農業の経営についての知識経験の程度、家庭生活の状況等を総合勘案いたしまして、その農業の経営方針の決定につき、いわゆる支配的影響力を有すると認められる者が当該農業の事業主に該当するというふうに推定するということでございます。ただ画一的にこの基準により判定するというものの内容ではございません。あくまでも推定するということでございます。
 いずれにいたしましても、生計を一にしている夫婦間におきます農業の事業主がいずれになるかはその実質により判断するというのが基本通達十二条の三の趣旨でございます。
 以上でございます。
#48
○刈田貞子君 つまり、農業の場面でいうところのいわゆる農地の権利名義というのは必ずついて回るわけです。しかし、国税の方ではそうではなくて実質に沿って、だれが支配的にこの農業経営をやる、つまりイニシアチブをとってやっておるか、力を投入しているか、生産性を上げておるか、こういうことの実態に沿って経営者としての推定をする、こういうことなんですね。
 ですから、私はこの基本通達を読みますと、日本の農村においては大部分女性が経営者たり得るというふうに推定が相当働くと思いますけれども、御感想はいかがでしょうか、国税の方で。
#49
○説明員(西川聰君) 私、田舎の育ちなんですけれども、農家出身ではございませんのでちょっとその辺存じ上げないんですけれども、ただ確定申告の状況の数字を見ましたところ、女性の方が申告をなさっているというケースは余りないようでございます。
 ただ、その場合になぜそういうことなのかといいますと、国税の場合、どちらの所得に帰属して申告するかというものは確かに重要な要素ではございますけれども、一面では専従者給与というのがございます。実態的に奥様が、配偶者の方が大変な労力を持ってやっておられる場合にはそれなりのいわゆる所得控除の制度がございますので、そういう意味で実質的にどちらが事業主であるかということがそれほど重要な要素ではないという面もあろうかと思います。
 ただ、その意味で実態はどちらが支配力を持っておられるかというのは個々人の判断でございますので、国税として答えるのはなかなか難しゅうございます。
#50
○刈田貞子君 そこで、農水省に申し上げたいのは、基本的にはやっぱり権利名義というものがついて回っておるわけで、今回はその農地の権利名義がないけれども、この家族協定が成立して、それが第三者機関で認められれば、権利名義を持っていない女性も年金がもらえるような道が開きますよということなんですね。
 そうすると、一番の問題は、その家族協定なるものが一体何なのかということで、これの土台の上に立つんですから、これがちゃんとしていなければ、これがしっかりしていなければ話は全くもとと同じだということなんです。
 それで、園芸局に伺いますが、この家族経営協定を結ぶような形の運動をずっと続けてこられましたね。そして啓蒙してきましたね。こういう種類のことが農村家族の中で事実上成り立つかどうか。今言われたように夫婦間の話なんです。家族間の話なんです。これが成立すれば第三者機関は認めないと言わないわけですから、そういうものが成り立つ土壌が農村の家庭に出てきておりますかということが問題になります。
 事実上税法の関係では、実際によく働いて一番労働力を投入しているところを経営者と認めていいんだよと言っているにもかかわらず、農村ではそうなっていないんだから、そうするとこういう家族経営協定みたいなものが本当に成り立つんですかということの方が心配で、これは農水省の内部の方のお話でございますけれども、家族員相互間のルールづくりが家族全員の合意によらなければ成立せず、家族の理解が得られない場合は女性等の状況は改善されないままの状況にある、こうおっしゃっているんです。
 ですから、やはりこうしたものが本当に成り立つ状況というのが実態としてあるのかどうなのか、これをちょっとお伺いしたいと思います。
#51
○政府委員(日出英輔君) 今の先生のお話は大変難しい御質問だと思っております。
 二つございまして、一つの側面は夫と妻という関係での家族経営協定が議論になっておられますが、実際の日本農業におきます家族経営協定の議論は、夫と妻だけではなくて子供とかこういった家族の中での役割分担を経営上明確にしていかなきゃいかぬ、こういう問題からあったわけでございます。
 そもそも、私も調べてみますと、三十年代の後半から家族経営協定につきましては全国農業会議所系統で非常に熱心な指導が行われましたが、やはり一部の地域に限られております。この出発点ほどちらかというと親子の協定が中心になってきたというふうに思っておりますが、それ以後だんだんと女性の問題も入ってまいりまして、家族経営協定の中身がいろんな意味で複雑になり、多様になってきたということだと思っております。
 ただ、この家族経営協定は、先生お話しのように、文書で取り決めることについてやっぱり抵抗感があるとか、あるいは今申し上げましたように、家族が対等の立場で文書化するということについての問題点があったとか、あるいは協定の締結を支援する農業施策の裏づけということもある意味ではなかったということもございまして、そういうことで、一部の先進地域に限られて実施してきたわけでございます。
 私どもは、ちょっとおくればせでございますが、新政策の中で日本の家族農業の弱さを指摘し、それに対してこの家族経営協定で言っておりますような家族間の経営上における位置づけを明確にしたいということでようやく実は思いを新たにいたしまして、近年といいますか、この二年ほど予算事業その他で普及の問題あるいは婦人・生活課の事業の中でこういった家族経営協定をもう一度推進し直そうということでやってきているわけでございます。
 いずれにしても、全国農業会議所の先進的なそういう努力がベースになっておりますので、さらに私ども行政の方もこの年金法の改正を契機といたしまして、この家族経営協定はなかなか難しいと思いますけれども、推進に努力したいというふうに思っております。
#52
○刈田貞子君 だから、この家族経営協定というのはなかなか難しいんですよね、私もそう思います。しかしながら、それが成り立たなければ女性の年金加入権というのは権利名義の持たない者にはないことになるわけで、やはりその辺のところを私は相当にこれから先努力していかなければならない課題が逆にもう一つ出てきたなというふうに思うところでございます。
 法務省においでいただいていると思いますのでお伺いいたしますが、我が国は民法で夫婦別産制をとっております。そこで、農業経営に対しても、これは農業は全く特別な形の体制をとっておりますので特例措置というようなものを設けて、そしてこうした体制がとれるかとれないかを伺います。
#53
○説明員(小池信行君) 御指摘の夫婦財産制に関します民法の規定は、すべての夫婦に一般的に共通する財産の帰属のあり方などについて定めるものでございまして、委員御指摘のような特定の事業を営む夫婦の特定の財産について特別の定めを民法の中に置くということは非常に難しいのではないかと思っております。また、夫婦が協力して農業を営むという場合にも、その協力の態様、程度というものがいろいろあるだろうというふうに思われますので、一律に民法上の権利関係として共有、これは持ち分は平等というふうに推定されるわけでございますが、そういう関係として決めてしまうことが相当かという問題もあろうかと思います。
 ただ、現行の別産制を原則とする夫婦財産制のもとでも、一方の所有に属する農地を、これを他方との共有にするという手段は、これはございます。二つあります。
 一つは、婚姻の際にそれぞれの財産の帰属をどうするかということを契約によって決めるということであります。いわゆる夫婦財産契約と言われるものでございまして、この内容は原則として自由であります。したがいまして、婚姻する時点で夫婦それぞれが所有している財産、それから婚姻後将来取得するであろう財産、そのすべてについて共有とするという約束も可能でございます。
 二つ目は、仮に婚姻の際にそういう契約をしていなくても、婚姻後に一方が所有する財産を共有に転換する、つまり持ち分を相手方に譲り渡すという形で共有するということも可能でございます。
 したがいまして、少なくとも民法の問題といたしましては、夫婦が共同して農業を営んでいるその目的たる農地、これを共有にするという法的な可能性はあるということでございます。
#54
○刈田貞子君 大臣、女性の農業者年金の問題は長いことの課題でございました。そして、今回こういう形で、大変御苦労なさったと思いますけれども、道が開かれた形になっております。しかし、今いろいろ御発言をいただいたわけですけれども、現実としては大変難しい状況下にあろうというふうに思います。
 それはなぜかと申しますと、今法務省の方からも国税の方からもいろいろ伺ったように、その周辺問題というか、あるいはもっと根っこの方の問題というか、そういう問題があり、まだまだ解決されていない部分があるから、だからやはりみなしで何かやっていかなければうまくいかない、こういう部分があるというふうに思うんですね。
 私は、できればやはりこうしたことを機会に、ひとつ農村の女性の問題を中心として農村社会がもっともっとお互いの立場を尊重しつつ元気な営農ができるようになるためにも、女性の法的位置づけをもっといろいろな立場で考えていくということはこれから大きな課題になっていくというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
#55
○国務大臣(大河原太一郎君) 今回の女性の年金加入への道を開きましたことについては一応の評価もちょうだいできると思うわけでございますが、各方面の論議、これで一番端的なのは、国内対策樹立の際の農政審議会の報告におきましてもこの点が大変強調されまして、農業生産に大きな役割を果たしておる、しかしながら、その一翼を担う者としての女性の地位なり役割が明確化しておらぬ、これについては役割を明確化しろ、報酬の問題もあろうし、あるいは就業環境の改善の問題もあろうし、特に地域社会における意思決定、これに対する参画、これを考えるというような提案をちょうだいしているところでございまして、私はそれは法的問題なのかどうかという点についてはまだ不勉強であれでございますけれども、そういう環境整備の問題としてこれを推し進めなければ相ならぬというふうに思っております。
 具体的な例で言えば、例えば農協の理事に対する女性の就任等の問題、こういう問題については現在はまだ現実から遠いというような意見もあるわけでございますし、また個としての女性の農業における役割に着目いたしますれば、だんなさんの方には技術研修とか講習とかいろいろやっているけれども、やっぱり女性についての技術とか経営の管理の研修その他というようなことも別途に本格的に行われてしかるべきではあるまいかということでございまして、それら各般の施策と条件整備、これについて努力をいたさなければ相ならぬ、さように思っておるところでございます。
 なお、もう一言申し上げますと、農業に主体的に取り組む女性の方々がこの一月には全国女性経営者会議というものをつくられまして、大いにこの点についての推進、これを進めようというようなことも私どもにお話をちょうだいしているわけでございまして、いわゆる男女共同参画型社会というのが一つの大きな流れでございますので、その方向に沿って努力をいたさなければ相ならぬ、さように思っておるところでございます。
#56
○刈田貞子君 女性企業家への支援策等を強く打ち出していただいた関係があって、非常に企業家としての女性は元気でございます。おっしゃるとおりです。
 ただ、日本の農業の一番基本的形態である家族経営という問題が今回課題になってきているわけですね。それをどういうふうに今後農村社会やあるいは我々の一般社会に位置づけていくか、特にその中の女性というものは一体どういうふうになっていっているのかというようなことを、これからはこういうことを機会に整備していくべきであろうというふうに私は思いまして、こういう発言をしてみました。
 この一九九〇年農林業センサスでは、女性が主なる経営者、男性が主なる経営者ということを挙げてみても、その経営にいずれにも差が出てこないと。同等の仕事をしているということがこのセンサスの中で出ているようでございますから、女性もやはりきちっと一人前の働きをしているんですから、これを法的にきちっと位置づけていくことをこれから私はしっかりやっていくべきだろうというふうに思います。
 法務省と国税庁、ありがとうございました。
 後は、農業者年金基金法の一部改正に当たって少し感じたことをお伺いしてみたいと思います。
 一つは、今女性の道が開かれたということで、女性の新規加入者の見込みをどのくらいと見ておるかというふうに伺いましたら、余り多い数字をおっしゃられないわけですが、五年間で五千から一万人ぐらいというふうな話をなさっておられましたけれども、どういうところに算定の根拠を置いておよそそんな数字が出てくるのかということをちょっとお伺いしてみたいと思います。
#57
○政府委員(野中和雄君) 農業者年金加入者の配偶者は、新制度の施行時に約三十万人程度いるというふうに見られるわけでございますが、私どもこの農業者年金の加入農家に対するアンケート調査というのを実施いたしました。そういう中で、配偶者の方が農業者年金に加入をしたいというふうに意思表示をされておられます方がそのうちの二四%でございます。二四%でございますが、今回の改正によりまして新たに加入対象といたします方は、先ほど来申し上げておりますように、夫とともに農業に専従をしているということ、そして夫婦二人で加入する場合には、これは当然でございますが、お二人分の保険料負担があるというようなことを考えますと、入っていただける方は恐らくある程度事業規模の大きな経営体の配偶者の方であろうというふうに考えられるわけでございます。
 そういたしますと、この今の加入意向を有します配偶者の方のうち、その農家の農産物販売金額で分けてみますと、一千万円以上の階層の方が二万六千人、そのうち二千万円以上の階層の方が一万一千人でございます。それから、こういう希望を有しておられましても、制度の施行時に五十五歳を超えている方は加入ができないというようなこともございます。
 そういう意味で、今申し上げた数字から大体希望しておられる方の半分ぐらい、五千人から一万人ぐらいの方が八年度から十二年度の五年間において入っていただけるんではないかというふうに見込んでいるわけでございますが、なおこれは一応の計算でございますので、私どもとしては精いっぱいPRをしてさらに入っていただけるように努力を重ねていきたいというふうに思っております。
#58
○刈田貞子君 そこで、女性はなかなかこの農年の道が開かれないということで、平成三年でしたか、にできました国民年金基金、みどり年金ですね、これに加入した者もあるやに思います。このみどり年金とのすみ分けはどういうふうにするんでしょうか。
#59
○政府委員(野中和雄君) 両年金のことでございますが、農業者年金は、先ほど来申し上げておりますように、国民年金の一号被保険者である農業経営者を対象といたしまして、老後保障だけではなくて、農業経営の近代化あるいは農地保有の合理化を目的とする政策年金ということでございます。
 一方、お尋ねのみどり年金でございますが、全国農業みどり国民年金基金でございます。これは国民年金の第一号被保険者で年間六十日以上農業に従事する方を対象といたしまして、老後保障を図るということを目的とする年金でございます。そういう意味で、両者は対象者あるいは目的が異なっているということがございます。
 農業に従事する女性につきましては、夫とともに農業に専従して経営者としての実質を有する方、先ほど来御議論ありますが、こういう方から、夫は専ら経営を行いまして補助労働者として従事をする方までいろいろでございます。
 そういうようなことでございますので、女性の方につきましては、この農業従事あるいは経営の参画の程度に応じまして、先ほど申し上げましたような農業者年金あるいはみどり年金の方を選択して、どちらかに入っていただくというようなことではないかというふうに考えているわけでございます。
 いずれにいたしましても、今後両年金の役割なり目的に応じまして、双方への年金の新規加入が促進をされまして、農業に従事をする女性の方の老後保障の充実等が図られますように関係機関とも十分連携をして進めてまいりたいというふうに考えております。
#60
○刈田貞子君 両方の年金に加入していくにはやはり相当の負担もあるわけですよね。だから、そうはいうものの二戸の農家、家庭にとっては大変な出費にもなるわけですから、これはなかなか大変だろうなというふうに思います。
 さっき同僚の細谷委員の方から保険料の話が出ていましたけれども、あれは本来千円ずつ上がっていくところを八百円ずつに抑えることになったと、今回。そうすると、今回五年のローリングの一番最終年の保険料は幾らになりますか。
#61
○政府委員(野中和雄君) お話しのように、保険料でございますけれども、大変財政状況が厳しい中で我々としては精いっぱいの努力をいたしまして、また同時にこの保険料につきましては他の国民年金なり厚生年金の引き上げの状況というようなものを総合的に勘案をいたしまして、お話しのように毎年八百円ずつ引き上げる、これは月額でございますが、八百円毎年引き上げるというようなことをお願いしているという状況でございます。
 お話しの五年後の保険料につきましては二万一千六百六十円、月額でございます。
#62
○刈田貞子君 二万一千六百六十円。国民年金が今は一万一千七百円。それで農年が一万六千六百七十円ですね、現行。それを足しただけでも二万八千三百円ぐらいになっているわけね。これ掛ける二ですよね。これは現在でも大変です。これが平成十三年になると二万一千六百六十円になるということは、やはり農家の所得が相当これに比例して上がっていない限りは、やはり保険料が家庭に物すごい負担となっていくということになりますね。
 もう一つ、女性の問題にかかわるんでしょうか、遺族年金のことが先ほども出ました。今回も遺族年金は、毎度毎度の改正のときに附帯決議として盛られていながら、なかなか財政上の問題でできないことはわかっております。しかしながら、今後どのように遺族年金を扱っていくようになさるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
 今回は特定配偶者期間等をつくられて、かなりの配慮はなさったわけです。それはよくわかっておりますが、いわゆる遺族年金と称するものについてどのように考えておられますか。
#63
○政府委員(野中和雄君) 遺族年金につきましては、御指摘のように前回の当院の附帯決議でも今後鋭意検討するというふうにされているところでございます。私どもといたしましては、こういう御決議もございますし、いろいろな御要望もございますので、前回以来鋭意検討を重ねて何とか実現をする道がないものかというようなことで検討をしてまいったわけでございます。
 この検討に際しまして農業者年金制度研究会というのを設けてやってきたわけでございますが、この報告の中にこれについて触れているわけでございまして、大きく視点としては三つあるわけでございます。一つは、導入のために非常に多額の費用を必要として、現在追加的な国庫補助をいただいて年金財政の長期安定を図っているというような状況のもとではその財源を国庫補助に求めがたいということ。それから二番目に、保険料にその財源を仮に求める場合には、これを大幅に引き上げざるを得ないということで、加入者の方の負担が増大をするということ。それから三番目に、他の上乗せ年金では国庫補助によります遺族年金の例がないということ、そして他の自営業者などの方とのバランスも大きく失するというようなことがございまして、こういう現状のもとでは導入は困難であるというふうに考えたものでございます。
 したがいまして、今後遺族年金について検討をいたしていく場合におきましても、今申し上げたような加入者、受給権者の動向なり年金財政の状況なりあるいは他の年金制度とのバランスを踏まえて行っていくことが必要であるというふうに考えているところでございます。
#64
○刈田貞子君 それから、何か順序が後先になるような気もいたしますけれども、先ほど来からお話が出ておりますように、この農業者年金というものはいわゆる政策年金と社会保障制度と両方の意味合いを持たせてあるというようなことであります。そのいわゆる政策年金としての効果が上がったのか上がらなかったのかという話が先ほどからありましたが、私は数字で見る限りにおいてはなかなか効果が上がったとは言いにくいものがあるのではないかというふうに思うのです。
 この経営移譲件数の内訳を見ますと、やはり第三者移譲というものの数が物すごく少ないですね、この数字で見ますと。八・七%ぐらいしかこの数字では出ていないんです、私の数字の読み方が違うのかもしれませんけれども。そうだとすると、やはり主なる目的であるところの健全な経営移譲というものができていると言えるのか言えないのかという問題が一つあろうかというふうに思います。
 それから、今受給者となっている人たちの九一%が移譲年金でもらっていて、付加年金をもらっている人は八%ぐらいしかいないというふうに聞いているんです。この数字は私のところにないんですけれども文言で書いてございます。それを考えても決して私は効果は上がっているというふうには言えないと思うんですが、やはりこうした政策年金としての色彩を濃くしてある年金でございますから、そうした政策効果が上がる形の方向へと持っていかなければまた世間の理解も得られないのではないか。
 なぜならば、先ほどからのお話にありますように相当額の国庫負担をここで受けているということでございますから、その辺のところをぜひ考えていかなきゃならない点として御指摘したいと思いますが、いかがでしょうか。
#65
○政府委員(野中和雄君) 経営移譲の効果につきましては先ほど来もお答えを申し上げたとおりでございますが、第三者移譲の率でございますが、平成五年度で申し上げますと一〇・四%、それから元年から五年までの累計で言いますと八・七%、御指摘のとおり第三者移譲というのはまだ一割程度というような率でございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、後継者移譲につきましても、普通の相続からいきますと分割で相続されるというものを九割が一括相続になっているという意味ではきちっと分割されずに一応後継者の方にも移譲されているということでございますし、第三者移譲も今まだ率は一割程度ではございますが、一定の比率を占めるようになってきております。
 ちなみに、今は件数で八・七%ということでございますが、経営移譲面積でいきますと、第三者移譲の面積は平成五年で言いますと二二・一%、累計ですと七・五%、そんなことでございまして、それなりに私どもは分割にならないでの一括の移譲、それから第三者の方の規模の拡大、それからそういうようなことを通じまして何よりも若い方が若いうちに経営を受け継いで経営者として始められるというようなことで、非常に若い後継者の方なりなんなりに希望を与えているというようなことで私どもは大きな効果があるというふうに思っているわけでございますが、お話のとおり、国庫補助もいただいていることでもございます。国民の方の御理解を得るためには今の政策年金としての機能を強化し、さらにPRをするということは御指摘のとおりでございまして、私どももこの点十分なPRを進めていきたいというふうに思っております。
#66
○刈田貞子君 それから、政策年金として非常に色濃いものがあるということになりますと、政策誘導していくことにもウエートをかけていくわけでありますが、いわゆる構造政策の一環としては農業者年金の中では農地に着目してやっているわけです。ですから、農地の流動化を図り、そして担い手を確保する、こういう形のことになっているわけですが、今の日本の国の農業・農村の実態を見ますと、農地の流動化、規模拡大ということも大きな問題でありますけれども、構造政策の中で一番の問題点はやはり担い手の確保だろうというふうに思うんです。
 そういたしますと、この構造政策上の要請からも出ておりますが、施設型農家には農年が対象にされてないということがございます。施設型農家といっても三十アールぐらいの土地はあるわけですから任意加入者としての道は開かれているわけでありますけれども、こうした問題について制度上もっと正当な位置づけをしてもいいのではないかというふうに思ったりもするんですが、この辺はどうなんですか。声はなくはないんですね。
#67
○政府委員(野中和雄君) お話のように、農業にはいろんな経営形態がございますので、五十アール以上の経営規模の方を強制加入というふうにしているわけでございますけれども、施設型のように農地面積は小さくても労働集約的な農業が行われているというようなこともございますので、三十アール以上の経営規模があって労働時間等で五十アール以上の方に匹敵しているような方につきましては任意加入の道というのを開いているわけでございます。また、実態的にも施設農業を営んでおられる方は大体三十アールぐらいの農地をお持ちであるということが実態の調査でもわかっているわけでございます。
 したがいまして、実質的に余り問題はないというふうに考えるわけでございますけれども、こういう場合でも三十アールというのを定めておりますのは、農業者年金制度といいますのが、累次御議論ございましたように、農地を一括して移譲する、分割して移譲していただく、あるいは第三者の方に移譲していただくということで、農地の権利移転を通じて農地の保有合理化を図るということを大きな政策目的の一つとしているわけでございます。
 そういう意味では、一定の規模以上の経営面積を有する方というのを制度の対象としているわけでございまして、こういう政策目的からすると最低限の面積というのを定めているのが適当ではないかというふうに考えているところでございます。
#68
○刈田貞子君 大臣にちょっと私申し上げたいと思うのは、この農業者年金は一般論で言われる年金というのと違って非常に複雑な構造を持っているわけですね。それでなかなか扱いにくい部分もあるわけですけれども、今日、日本の農業は価格政策等前面になかなか打ち出しにくい環境下にあっては、やはり構造政策というものが大きくメーンに出てこなければならない時代に入ってきております。
 そういたしますと、構造政策の一環として農業者年金をもっと位置づけて、他の構造関連政策と関連させながらもっとダイナミックに動かしていくことはできないものだろうかと、いろいろ勉強させてもらいながら私は思ったんですね。年金制度というふうに置いておくんじゃなくて、やはり縦割りでいかないで、他のいろいろな制度とかみ合わせながら、関連させながらこの農業者年金というものをもっと効果あらしめる方法があるだろうというふうに思うんですけれども、これ私見ですが、御感想があれば。
#69
○国務大臣(大河原太一郎君) お話しのとおりでございますが、委員もおっしゃいましたように、構造政策の推進を年金的手法で実現しようとするのがこの農業者年金法でございます。したがいまして、他の構造政策的な各種の手段との連携という点についていろいろ考慮すべきであるという点の御指摘については私どもも今後も検討しなければ相ならぬ、さように思っております。
 やや思いつきに類するけれども、経営移譲を行った場合に、経営規模の拡大だけではなくて、連担化、集団化にするような経営移譲については、これは年金ではなかなか難しいと思いますが、逆に農地の流動化対策、そういうものと結びつけてそういう流動化対策までいたすというようなことも考える。一つの事例でございますが、そういうように総合的な視点からやらなくては相ならぬ、さように思います。
#70
○刈田貞子君 そういう思いで、私の感想として申し上げさせていただきました。
 それから、あと時間もないんですが、今回の承認事項の方の問題について少し伺わさせていただきたいと思います。
 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、農林水産消費技術センターの設置に関し承認を求めるの件、このことでございますけれども、これはかって私がかかわっていた機関等もこのセンターの一環にみんな統合されて今活躍しているはずなんですが、今回初めて私が知ったのは、こうした消費技術センター等のいろいろな動きに対して地方自治法に基づいて国会の承認を得るという、地方自治法とかかわっていたのは初めて知ったわけですね。
 それでお伺いしたいんですが、この農林水産消費技術センターと地方自治とはどういう関係になっているんでしょうか。
#71
○政府委員(鈴木久司君) 今回の農林水産消費技術センターの組織改編は、東京センターの仙台支所、神戸センターの岡山支所をそれぞれセンターの本所に改組することを内容としているわけでございますけれども、この支所から本所に改組することに伴いまして組織の指揮命令系統に変更が生ずる。この場合には、同一の組織がそのまま続くとみなされておりませんでして、新しく地方行政機関の設置に当たるということで地方自治法の規定による国会の御承認を求める必要があるというものでございます。
 このセンターの主な業務は、JASの格付に関する技術指導、食品等に関する消費者相談への対応などでございまして、今回の改正によりまして地方公共団体の行政に直接影響が及ぶものではないというように考えておりますけれども、地域の消費者、食品企業等を対象とする業務を適切に行うためには地方公共団体との密接な連携が重要なものであるというように考えておりまして、今後ともこうした点に十分配慮して業務を進めてまいりたいというように考えております。
#72
○刈田貞子君 よくわかりました。
 このセンターの役割というのがいろいろあるのも勉強させていただいたんですけれども、ここはいろいろな機関が寄り集まった関係上、いろいろな検査事項やら調査事項があるわけですね。その中で、今まで私がかわってきた関係がありますので、JASの関係のことでちょっとお伺いしたいと思うんですが、JAS制度が昨年改正されて業務の内容がふえたんだというふうに思うんですけれども、そういう業務内容を今回こうした改編によってこなしていくような形になるのかどうなのか。
 つまり、業務がJAS改正によって大変ふえたというふうに思うんですね。あのとき私は当委員会におりませんでしたけれども、言ってみれば加工食品からもう一歩出て素材にまでJASの規定を及ぼしていくとか、あるいはまた製造過程に対して枠組みをつくろうという試みをなさったというようなことについては、私は一歩出たという感じで大変評価をしておりましたけれども、それだけ業務内容がふえたというふうに思うんです。
 そういうふうなものを今後こうした機関でもってこなしていくことができるのかどうなのかをお伺いしておきたいと思います。
#73
○政府委員(鈴木久司君) 一昨年のJAS法の改正によりまして特定JAS規格の導入が行われたわけでございます。また、近年、食品の安全性に関する消費者の関心が高まっておりまして、その意味でこういった仕事を取り扱う農林水産消費技術センターの仕事も大分ふえてまいっております。
 センターの組織体制につきましては、従来から輸出検査業務などの簡素合理化を進める一方で、JAS関係業務あるいは消費者対応業務、こういった新しい業務の増大に対応しまして所要の組織体制の整備を図ってまいっております。
 今後とも、特定JAS制度を含めた新しい業務の的確な推進に遺憾のないようにしてまいりたいというふうに考えております。
#74
○刈田貞子君 食の安全性に関する検査体制は、平成六年で八千六十件の分析件数を取り扱っているのだけれども、それは二十四人でやっているということ、それから平成七年では三十八人になることになっていますけれども、これだけの人数でいわゆる検査分析というものができるのかどうなのかということを大変私は心配しておりますし、業務の内容も、実は大変細々と読ませていただいて、大変なものだなということを思っておりますけれども、充実していっていただきたいというふうに思います。
 それからもう一つは、このセンターの新しい業務として、製造物責任法がことしの七月一日から施行されることによって、これに関する業務もかかわってくるというふうに思うんですね。したがって、ここのセンターの果たす役割というのは大変大きく、また大変なものがあるかというふうに思います。
 そこで、PL法について少しお伺いをいたしておきたいというふうに思うんですが、当時、製造物責任法をつくりますときには、私は一番食品にかかわりを持っていた人間でありましたけれども、食は難しいから除かなければならないのではないかというふうに主張していた者の一人でしたけれども、現在施行されるPL法は食品も対象になっているわけですね。したがって、業界及び農水省では七月一日の施行に向けていろいろな作業や準備を進めておられるというふうに思いますが、時間がないので私申し上げてしまいますと、苦情処理機関への対応とか原因究明体制とか、あるいは事故の未然防止に対する対策とか賠償履行確保措置等についての体制づくりとかというふうなことに大別するとなるのだろうというふうに思います。
 その中で、私が一番大変だなというふうに思うのは、四番目の賠償責任に対する措置についてどういうふうに考えていくのかという問題で、これが当初からあったものですから食品は難しいというふうに私は主張してきた者の一人でございますが、先般も産業センターの方にお尋ねをして食品産業共済、いわゆるPL共済をつくられるということを伺いまして、これも大変だなというふうに思っていますので、このPL共済についてどんなふうに今なっているのか。あるいはこの七月一日から始まる製造物責任法の施行に臨んで食品流通局はどんな対応を合していらっしやるのか、この二つを聞いて終わらせていただきます。
#75
○政府委員(鈴木久司君) まず、食品産業に係りますPL共済につきましては、お話がございましたように財団法人食品産業センターにおきまして鋭意検討してまいりまして、この七月から実施をしたいということで今現在関係業界の方と調整中でございます。
 方向としましては、できるだけ事業者の自主性を生かした形で、また選択の幅をできるだけ持たせる中でこの共済が円滑にいくようにという仕組みを今現在検討しておりまして、私どもとしましてもこの仕組みが円滑に進みますように御支援をしてまいりたいというように思っております。
 それからPL法の施行に関しましては、消費生活センターにおきましても原因究明につきましての御相談に応ずるとか、あるいは消費者からの苦情に応ずるといったようないろんな対応をしてまいりたいと思いますけれども、このPL法につきましては、必ずしもまだ現段階におきましても末端の中小の製造業者に対しまして十分にPRが行き届いてないという面もございますので、引き続きこの制度の趣旨徹底につきまして努力をしてまいりたいというように考えております。
#76
○委員長(青木幹雄君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十五分まで休憩いたします。
   午後零時十二分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時十五分開会
#77
○委員長(青木幹雄君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、谷本巍君が委員を辞任され、その補欠として会田長栄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#78
○委員長(青木幹雄君) 休憩前に引き続き、農業者年金基金法の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、農林水産消費技術センターの設置に関し承認を求めるの件、以上両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#79
○星川保松君 今回の農業者年金基金法は、改正によってかなり前進を見せるものとして私どもは評価をしておるところでございます。
 ただ、先ほどもいろいろ質問が出たわけでありますけれども、この年金財政の将来について心配があるわけでございます。何としても年金の加入者が減少をしておる、その反面受給者数の方は増加をしているということなわけでございます。
 それで、いわゆる新農政を積極的に進めていくということになりますと、経営規模の大きい農家を育てていくということになるわけでございます。望ましい経営体というのが示されておるわけでありますけれども、その望ましい経営体が例えば水田の場合は十ヘクタールとか二十ヘクタールということになってまいりますと、今のところはあるだけの水田しかないわけでありますから、一ヘクタールそこそこの農家が二十ヘクタールの望ましい経営体ができれば十九戸が減っていかざるを得ないという、まあ単純計算でありますけれども、そういうことになるわけであります。
 ですから、いわゆる望ましい経営体というものを新農政に基づいて積極的に進めていけばいくほど農家戸数が減る、農家戸数が減れば当然後継者、就業者も減る、就業者が減っていけばやはり新規の年金加入者は減少するということに必然的にならざるを得ないわけでございます。したがいまして、農水省としましてはこの二律背反のような矛盾を抱えて年金の問題と取り組んでいかなければならないんじゃないか、大変だなと私も思うわけでございます。
 そういう見地から、この年金の見通しについての当局のお話を先ほどから聞いておりますと、やはりちょっと甘いんじゃないかなという心配が私も先立つわけでございます。ですから、この点について今の見通しは甘くないのか、これで大丈夫なのかということをまずお尋ねしたいと思います。
#80
○政府委員(野中和雄君) お話のように、新政策の中では三十五万から四十万の個別経営体とそれから四、五万の組織経営体を育成していくというふうにしているわけでございます。
 この過程でございますが、こういう過程でこういう意欲のある経営体を育成していきますためには、安定的兼業農家の方あるいは高齢でリタイアする方の農地というのをできるだけ流動化を図って、将来の農業を担っていただく方に農地を集積していくということが必要でございます。
 私どもといたしましては、この減少をしていく方々、安定的な兼業農家の方々あるいは高齢農家の方々というのは確かにこういうような過程においてだんだんと減っていくということはございましょうけれども、こういうような方々というのは、現在農業年金制度というのはどちらかといいますと専業的農業者の方を加入対象としておりますので、今申し上げたような方々は対象には必ずしも想定をしていないというようなところがございます。
 むしろ、新政策で考えられております三十五万から四十万戸の個別経営体あるいは四、五万の組織経営体を育成していきますためには、新政策のときにも明らかにいたしておりますけれども、これを担っていく若い経営者の方が育ってくるということが必要でございまして、毎年一万数千人の新規就農者を確保して専業的農業者を育成していくということが新政策の目標を達成するためにも必要でございます。
 そういう意味で、私どもは今回の農業者年金の見通しにつきましても、確かに新しい若い農業者の方の確保というのは大変難しい点もございますし、政策的に非常に努力を要する点ではございますけれども、そういうような新政策での各般の施策、それからまた私どもの農業者年金制度のPRというようなことをもちまして、総合的に農業者年金への新規の加入者の方々につきまして将来的にはだんだんとふえて毎年一万数千人に推移をしていくのではないか、そういうふうに政策的にも努力をしなければならないということを見込みまして、そういうことに基づきまして今の年金財政の長期的な見通しを立てているということでございます。
#81
○星川保松君 そうしますと、この望ましい経営体、規模の大きい農家に土地を集積していく場合には後継者のあるような農家はできるだけこれを避けて、そういう後継者のいないようなやめていくような農家を重点的に土地の移動、集積を図っていく、そういう政策的な配慮をする、こういうことなんですか。
#82
○政府委員(野中和雄君) 今申し上げておりますのは、そういう過程で現在農家の方々におきましても後継者のいない方、そして高齢で農業をやめたいと思っていらっしゃる方がかなりあるわけでございます。そういう方の農地につきまして、できる限りその地域で本当に意欲を持って今後農業をやろうという方々にその農地を譲っていただくというふうなことが望ましいのではないかというふうに考えているわけでございまして、農地政策等々でもそういうような政策を目指しているところでございます。そういうような効果が上がってくることによりまして、今後意欲を持った若い農家の方が規模を拡大する余地がかなり出てくるのではないか、またそういうことを援助していきたいというふうに考えているところでございます。
#83
○星川保松君 それから、これは直接この年金の方とは関係ないのでありますが、いつも農業後継者といいますと今も千七百名とかということで新規就農者だけが論じられておるようでございます。
 しかし、私は新規就農者だけが後継者ではない、こう思うんですね。例えばおやじさんが元気なうちは息子さんは会社勤めをして、そしておやじさんが年をとって農業が楽でなくなったというころにはもう厚生年金がもらえるような年数を勤めて、それでいわゆる脱サラで帰ってきておやじさんの後を継いで農業経営をするというような方もかなり多いのではないか、こう思うんですよ。そういう形での後継者というのが新卒の就農者よりは私は人数はむしろ多いのではないかという感じがするんです。
 それからもう一つは、これは余りないかもしれませんが、今は農家の皆さんはもう八十歳ぐらいまで元気であれば経営はできるんですね。というのは、田植えの前の耕うんからずっと一連の作業があるわけですけれども、その作業の中で高齢者には無理な力仕事、それから機械を使わなくちゃやっていけないようなのはどんどん委託ができるんですね、今は。そうして、収穫のときになりますとライスセンターとかカントリーエレベーターがありましてそこでもう刈り取って持っていってくれて、全部やってくれるわけですよ。
 そうすると、極端な場合ですと田んぼの水回り、それだけならもう八十になっても−これは年寄りというのは、私のじいさんなんかがよく言っておったんですが、田んぼの実りを見ているだけで楽しいと言うんですよ。本当に楽しいですよ、田んぼを眺めているだけで。それこそ生き物を育ててのそういう生きがいというものがあるんですね。ですから、そういう意味でいきますと大変生きがいを感じていわゆる水管理ぐらいは八十になってもやれるわけですよ。
 それで、それまで息子さんがずっと勤めていて、八十となりますともう息子さんが六十ぐらいになるわけですから、そして定年退職して今度はおやじさんにかわって農業をやるというのも私はまたこれもかなり今はあるんじゃないかな、こう思うんですよ。
 そういう後継者の数がもしわかっていらっしゃるならお聞かせ願いたいと思います。
#84
○政府委員(日出英輔君) 今、先生お話しのように就農者という概念で考えますと、平成五年には約三万人就農しているわけでございますが、その中の実は四割程度は六十歳以上でございます。それから、ちなみに四十代、五十代が四割、それから三十代以下が二割、ざっと言えばこんな感じでございます。
 私どもとしますと、今、星川先生お話しのように多様な農業の担い手ということを当然考えなきゃいかぬと思っておりますが、ただ他の産業と匹敵するような農業を続けていくためにはやはり新しい若い新規就農者が必要だと思っていることは当然でございまして、先般の新規就農法案もそういう意味で御議論をいただき、可決させていただいたわけでございます。ただ、先生お尋ねのように確かに四十代、五十代あるいは六十代の方々も農業生産という面から見ますとそれなりの大きな位置づけを持っているんだろうと思っております。
 そういう意味で、こういった方々が各地域地域できちんとした農業生産を営み、あるいは地域の農業生産の中心となれるように我々としても政策をきちんと整理していかなきゃいかぬというふうに思っているわけでございます。
#85
○星川保松君 ですから、後継者がこれぐらいしかいないんだからもう間もなく日本の農業がつぶれるみたいなことを後継者の数から推して論ずる方がいらっしゃるので、私はそれはちょっと違うんじゃないか、こう思っているわけなんですよ。ですから、一般の農業以外の方は、就農者千七百人なんというとこれは大変だ、間もなくつぶれるな、こういう感じを持つと思うんですけれども、そこのところは誤解のないように、途中からのこうした就農者もこれぐらいはいるんだということを農水省は農業以外のそういう心配をなさる方にはきちんと説明しておいていただきたい、こう思うところでございます。
 それから、今回の改正で、先ほどからもいろいろ論じられておりますが、女性も加入の道が開けだということは大変な御努力だと私は思っております。どういう根拠のもとに女性の加入ということを開いていくのかなと思って私なりに関心を持って見ておったんですが、いろいろ当局も御苦労なさったようで、家族経営協定というものに基づいてという御苦心の跡は私も評価し感謝するところでございます。
 ただ、農家の一般の皆さんというのは書いたりなんとするのは非常に苦手でございます。特にもう御婦人方は非常に苦手でございます。ですから、そういう方々にこういう書類を出しなさいということになりますと、かなり抵抗があるんじゃないかなという感じがいたします。
 それで、協定は結構なんですけれども、家族経営で女性の方もこういうふうに参加しているんだということを証明させるということならば、今まで大概は農業経営に関する証明というのは農業委員会が出してくれるんですね。例えば農地の競売なんかがあった場合は競売参加適格証明書とか、それから農家であることのすなわち証明は農業委員会が出すわけです。農業委員会というのはかなり人数おりまして、身近にいるわけなんです。だから、そういう人はどこの経営がどなたとどなたでやっているかということはもう完全に把握しておるわけです。ですから、こういうことについては申請があった段階で農業委員会あたりが認定するということにできなかったのかなとこう思うんですが、そういうことも検討なさったんでしょうか。
#86
○政府委員(野中和雄君) これはどういう形で女性が実質的な経営を担っておられるかというようなことにつきまして、どういう形でそれを明らかにするかというようなことにつきましてはいろいろと検討をいたしたわけでございます。
 農業者年金の場合には農業委員会が実質的に認定の業務等をやっているわけでございまして、今お話しのように家族経営協定というのをつくってはいただきますけれども、そういう際にはやっぱりモデル的な例とか具体的にこういうふうにつくったらいいというようなことをお示ししまして、そしてそれに基づいてつくっていただくという形でできるだけ手間がかかって面倒くさいということがないようにするということで指導していきたいというふうに思っております。
 やはり経営に女性の方が実質的に参加をしていただいているということでございますので、それは何らかの形で、協定といいますかそういう形で明らかにしていただくということが必要ではないかというふうに思いますけれども、そのやり方につきましてはモデル事例あるいはその他いろんな機会を通じまして十分指導をいたしていきたいというふうに考えているところであります。
#87
○星川保松君 それで、いわゆる協定そのもののサンプルを私見せていただいたわけでございます。なかなかおもしろいとは思って見たのでありますが、例一、例二、例三まで見てみたのでありますけれども、例一は「夫婦及び後継者夫婦の四者による場合」、それから例二の場合は「夫婦及び後継者の三者による場合」、例三の場合は「夫婦の二者による場合」、こういうことになっているんですね。
 その中身は五項目か六項目あるわけですけれども、その中で、特に私は「収益分配」というところを見てみましたら、「農業経営から生じた収益について、下記の額を毎月○○日に甲、乙、丙及び丁の個人名義の口座へ振り込むものとする。 甲○○万円 乙 ○○万円 丙 ○○万円 丁 ○○万円」、これは四者の場合ですけれども、こういうふうになっているんですね。大変よくできていると思うんです。
 ただ、ここで私これでいいのかと思うのは、まず第一に毎月○○日とあるわけです。全部こうなっているんです、毎月○○日と。いわゆる月給制ということなんですね。そうしますと、これは農家の経営者、おやじさんたちなんか、さてなと思うんじゃないかと思うんです。
 例えば私たちの方の東北の米の単作地帯なんか、これはほとんど米代金は年に一回しか出てこないわけなんですよ。年に一回しか年収ないんですね。それで、何で月給払うことができるのかなと単純に心配するわけです。月給払える農業というのは、考えてみれば酪農みたいに乳を探れば毎日出荷しますので、月給払えるぐらいの月収はあると思うんです。
 そういうことになりますと、皆さんはこれ見てびっくりして、ありや、おれは月給なんか払えないなど、払う方はね。もらう方は、おやじ、おれに月給なんか払えないんだろうなということになりますと、これは困ったなということになると思うんです。それでも書けといえば結局そのようなことにして書かざるを得ないわけですよ。正直な人は書きにくいですね。そういうことになると思いますので、月給で払える人もあるかもしれませんから、これはこれとして、年俸みたいなものでもよろしいというふうにここをしておいてくれませんと、これは非常にびっくりするんじゃないかと思うんです。
 ただ、こういうのをつくった意味としては、いわゆるこれからの農業経営というものはやはりこうした形にすっきり月々給料払えるというような形にしていく努力をしなければいけませんよということで、農家の皆さんの啓蒙の意味でこういうものを示すのであれば、これは大変意味があると思うんです。
 女性の方も、いわゆる母ちゃんの方も年金に入れるよということがどういう形で農家に伝わっていって、そしておやじさんが早く見るのか、これは自分のことだから女性の方が早く見るかもしれませんですね。お母さんが早く見て、お父さん、こうすると私も入れるんだよと、お父さんに話し、でもそのときお父さん、月給を私にくれないとだめだよということになるわけですね。お父さんの方に早く伝わっていけば、今度母ちゃんの方にもそれは加入してもらってやろうかと思うけれども、そうするとおれは月給払わなきゃならぬなと、こういうことになると思うんですね。ですから、この伝わり方が非常に大事だと思うんですよ。
 だから、初めからサンプルとしてはこういうふうに一本にしないで、もう少し弾力的に対応してもいいんだよ、年に一回だって構わないんだよというようなことにしてやっていかないと、ここで加入してもいいと思う積極的な態度をくじいてしまうおそれがあるんじゃないかなと、こういう心配が私はあるんですが、その点についてはどうでしょうか。
#88
○政府委員(野中和雄君) 確かにお話のとおりでございまして、家族経営協定につきましてはさまざまなパターンがあるわけでございまして、私ども現実にあります家族経営協定をいろいろ調べまして、そういうものをもとにいたしまして、いわば成熟した段階のものとしてほかの社会と同じように毎月払えるというような例が多かったものでございますので、これを代表的な事例として挙げたものでございますけれども、これは先生御指摘のようにまさにほんの一例というものでございまして、作目によりましては当然年一回払いの方が適切だというようなこともあろうかと思います。
 要は、女性の方が経営に参画をしているというような形ということが基本でございますので、私どもはこの家族経営協定の例というものを皆さんの参考になるようにという意味でお示しをするわけでございますけれども、今のお話のように画一的になりませんように、そして決して月給制でなきゃいけないということではなくて、年一回でもいいというようなことでございますので、その趣旨につきましては今後説明会で十分説明をするなり周知徹底に努力をしていきたいというふうに思っております。
#89
○星川保松君 ですから、こういうペーパーでずっと流れてしまいますと、それはまじめな出先といいますか現場ほど、結局しゃくし定規にやってしまうおそれがあるわけなんですよ。だから、この下記の額を毎月というようなところに括弧書きして年収でもよろしいというようなことでも入れておいていただきたいなと、こう思うんですが、そのところはどうでしょうか。
#90
○政府委員(野中和雄君) そういうふうな趣旨を徹底いたしたいと存じます。
#91
○星川保松君 それから、これも農業者年金と直接の関係はないんでありますけれども、いわゆる農地の集団化、これを常に考えていかないと、経営規模は拡大した、大きくなった、しかし農地が散在して極めて能率が悪いというようなことで困っている人も多いんです。そのために、いわゆる土地改良なら土地改良のときにこの農地を寄せるという作業はやっているわけです、現に。そのことを、これはむしろ離農の場合の方が、離農一時金とかを払うわけですが、その離農の場合などもやはり集団化ということにつながるような施策が必要なのではないかと、こう思うわけです。
 ただ、農家の皆さんというのは隣と余り仲がいいということでもないんです。今はなくなったが、昔は水引きで争ったりしまして、それから土地の境界争いというのが、これは一寸でも大変なんです。そういう争い事などあった場合は隣が憎いわけなんです。だから、離農して土地を放すなんていう場合も、だれに譲っても隣のおやじにだけは譲りたくねえなんていうような人が多いんですよ。ところが、土地というものは動かせないものですから、売買の対象にはなっても、ほかの品物とは違うわけなんです。ですから、隣接の経営者にとっては大変価値があっても、離れた人にとっては余り価値がないということになりますから、同じ農地であっても買う人がだれであるかによって価値が全く違ってくるんですね。
 そういう意味からしても、隣接の方が規模拡大するためにそれを譲り受けることができるということを進めるためには、やはり何らかの措置をして、隣のおやじは嫌だというような感情も通らないので、その隣接の人に譲ればこういう得策があるんだよということがあれば、私はそういうことが進んでいくと思うんです。
 私、イタリーに農業事情を視察に行ったことがあったんですが、もう大分前ですが、そのときに農水省から大使館の方に出向していらっしゃった方がいろんな説明をしてくれたんですよ、イタリーの農地の制度について。何か隣接の所有者、経営者が優先譲渡を受けることができるような措置がある、そういう話をちょっと聞いたことがあったんです。だから、やはり分散化を防止するためにほかの国でもそういうことを考えているんだなと思ったことがあるんです。
 そういう意味で、離農をする場合などは耕地面積がそこで集団化されれば隣接の方の経営が楽になるわけです。そういうことで、そういう人に譲った場合は、譲った方にすれば問題はないと思うんですね、そっちの方に何か優遇策を設けられないものかなと、これは前から私考えてきたことなんですけれども、こんなことを考えてみる気はございませんか。
#92
○政府委員(野中和雄君) お話のとおりでございまして、先生、地域の事情に大変お詳しいわけでございますが、我が国の農地の場合には二戸の農家が持っております田んぼが何カ所にも分かれているといういわゆる分散錯圃の状況にございまして、これがいわゆる規模拡大をする場合の非常にネックに、効率を上げていく場合のネックになっているというようなことでございます。ただ、この問題をこの農業者年金の中でやろうといたしますと、今のように田んぼが幾つにも分かれている、あるいは隣接に農家の方も何軒かいらっしゃって、またその方が農業者年金を受けていらっしゃるような専業的な農家の方とも限らなかったりなんかするわけでございまして、なかなか難しい点があるなと思うわけでございます。
 ただ、御指摘のようにこの点は大変重要な視点でございまして、私どもといたしますれば別途の施策でいろんな農地の流動化等を図っている中で、幾つかの工夫をしてございます。農地保有合理化法人が間に入りましていろんな農地の集積なりなんなり、あっせんなんなりするというようなことを行っておりますが、そういうときにも当然配慮をしておりますし、それから認定農業者等に農地の利用集積を図りました場合にその実績に応じて助成金を交付するということもやってございます。
 そういう場合に、普通でございますと十年以上の賃借権の設定をいたします場合には十アール当たり三万円でございますが、特に連担化された場合などにつきましては、同じ十年以上の賃借権の場合には一万五千円、五割増してございますが、こういうような加算措置を講ずるとか、あるいは御指摘にございましたが、土地改良の際にできるだけ換地あるいは交換分合で集団化をするとか、あるいはそういうような圃場整備等をいたします場合にも、担い手にできるだけ集積するような場合には無利子の資金を貸し付けるとかいうような、ほかの施策も動員いたしましてできるだけ集積をするように、そしてその中で連担化が進むように努力をしているところでございまして、今後とも御指摘のような方向で、あらゆる施策を通じましてそういう分散錯圃の解消に努めていかなければいけないというふうに思っているところでございます。
#93
○星川保松君 農業者年金の場合の経営移譲なんという場合はむしろ一括移譲という方針をとっておりますから、私が今言うた年金の方と絡めるのはこれはやっぱり矛盾すると思います。ですから、別の方法で、むしろ離農とかなんかそういうときにこれは集団化の機会ですから生かしてやっていただきたいということでございます。
 以上要望して、終わります。
#94
○林紀子君 今回の改正で女性に農業者年金加入の道が開かれました。今まで農業関係者の多くの方たちがこの女性の年金権を求めてきましたし、私たちもこのことを願ってまいりました。ですから、今回の改正はこうした多くの方たちの願い、運動の成果だと思うわけです。しかし、これは手放しで喜べないというところがあるわけです。高いハードルがあると思うわけです。
 その第一は、夫婦二人で一ヘクタール以上の農地所有が必要であること。夫が強制加入者の場合、配偶者が三十アール以上の農地の所有者、こういう場合には最低夫婦二人で八十アール以上、こういうことであれば加入できるということだと思いますが、しかし、それでも八十アール以上という制約があるわけです。
 それから第二に、これが大変大きな問題だと思いますが、保険料の負担が非常に重くのしかかってくる。一家の中で夫婦が加入するとなりますと、丸々一人分の保険料がふえるということになるわけです。農業者年金の保険料は毎年月八百円ずつ値上げされます。一年間に夫婦二人で毎年一万九千二百円値上げされることになる。一方、国民年金の方も夫婦二人で毎年一万二千円ずつ値上げされていくわけです。つまり、農業者年金と国民年金で夫婦二人となりますと毎年三万一千二百円も値上げされることになる。一九九七年の夫婦二人の年間の保険料、国民年金では年三十万四千八百円、農業者年金で年四十四万三千四十円、合計いたしますと七十四万七千八百四十円にもなるという計算です。
 農産物価格の低下、農業経営はこれから決して楽になっていかない、困難の方がふえるだろうということが予想される中で、これで本当に実効性があるのか、女性の加入がふえると思うのか、その辺大臣はどのようにお考えになっていちっしやいますでしょうか。
#95
○国務大臣(大河原太一郎君) 今でもるる申し上げておりますように、配偶者と全く同等な立場で経営に参画する、そういう女性の方の任意による加入を今回は図るわけでございます。したがいまして、端的に言いますと、保険料だけを切り離すだけではなくて給付の方と表裏するわけです。したがって、そこでどういう選択をするかということが一つのあれだと思うわけでございます。これについては、きょう午前中のいろいろな御質疑の中でもございましたように、比較的経営の大きい農家の主婦の皆さんはこれに対して相当な意欲を持っておられるということが、これは抽出的なアンケート調査でございますが、数字としても示されておるわけでございます。
 したがいまして、将来の給付でございますね、それとの関係でどういう選択をするかということだと思うわけでございまして、私はその点について一概にこれが阻害要因になるというふうには思っておりませんし、また保険料の引き上げ方その他等につきましても、他種年金との引き上げ率なども配慮したり農家負担を考慮したり、あるいは一番大事な年金財政の収支とか、そういうものを勘案して今回の保険料の引き上げ等も行っておるわけでございますが、いずれにいたしましても保険料と給付との関係でございますので、これはこれについての選択ということになるかと思います。
#96
○林紀子君 そこでお伺いしたいのですが、前回の財政再計算時における被保険者、新規参入者、受給権者の見通し、そしてその実績はどうなったか。
 これは数字をお伺いしたいのですが、時間の関係がありますので、いただいた資料で見ますと、被保険者数は予想よりはるかに少なくなっていて、初め立てた予想よりも十四万人ぐらい減っているんじゃないかと思うわけです。新規参入者におきましては予想の半分に満たない年もある。受給権者の方もマイナスになっておりますが、これは三万人程度のマイナスということです。被保険者、新規参入者が予想より大幅に少なくなっているために収入は当然予想よりかなり下回っている、こういうことになると思うわけです。
 ですから、今回女性に加入の道を開いて、減収分を女性の加入で補おうとするのが本音じゃないか。しかし、政策年金だから面積要件というようなところはいじることはできない。そういうことが本音じゃないかなというふうに思わざるを得ないようなところもあるわけですが、いかがでしょうか。
#97
○政府委員(野中和雄君) 確かに前回に比べますと、平成二年の再計算でございますが、このときに比べて新規加入者等が減少しているということはございます。これは新規の就農者が減少したということによるものでございまして、現在財政の状況が極めて厳しいというような状況になっているわけでございます。
 しかしながら、今回女性の方に入っていただいたというのは決してそういうような財政上の理由ということではございませんで、現に女性の方というのは、農業の実態を見ましても実質的に農業を担っていただいている、大きな役割を果たしていただいているというようなことでございまして、単に権利がないということ以外は非常に大きな役割を果たしていただいているわけでございます。
 そういうような女性の方の活躍の状況、そしてまた、最近農業におきます女性の地位の明確化等につきましては累次、今御議論もございましたように、私どものつくっております中長期ビジョン懇談会、あるいはそれを受けました農政審議会の答申等々でも積極的な位置づけをしていくということが極めて大事であるというようなこともうたわれているわけでございます。
 こういうような今後の私ども農政を進めていきます場合の女性の位置づけに関します政策的な考え方、そして現実に大きな役割を非常に果たしていただいているというようなことに着目をいたしまして、もちろん国会の附帯決議等の御決議もございましてそういうようなことも勘案をいたしまして、今回女性に加入の道を開くこととしたものでございます。
#98
○林紀子君 そのように女性の役割というのを大変高く評価をしていらっしゃるんでしたら、やはりこの高い面積要件というものをもっと低くする、ハードルを低くする。五十アール以上の強制加入者であって、夫婦そろって農業に従事する場合には配偶者の任意加入を認める、こういう配慮があってこそ農業者年金に女性も入ろうという意欲もわくし、農年の財政収入もふえていくというふうに思うわけですが、この高いハードルを低くするということはお考えにならないわけでしょうか。
#99
○政府委員(野中和雄君) 女性の加入につきましては先ほども申し上げましたような事情で私ども女性の方に加入の道を開くということにしたわけでございます。
 ただ、現在この農業者年金制度というのが一人の経営者として経営を行っているというようなことに着目をいたしまして、政策的に加入を強制する場合には五十アール以上の農地を持っているということを基本としているわけでございます。女性の場合には、農地の権利を持っておられれば当然でございますが、権利を持っていない方を含めて加入の道を開くというようなことでございますので、そういうような制度の基本等々比較勘案をいたしますと、やはり農地についてある程度、お二人で入っていただくわけでございますので、お二人で経営をしているというようなことの実質を勘案する必要があるわけでございまして、そういうふうに考えてまいりますと、現在強制加入面積というのが五十アールになっているわけでございます。
 それからもう一点は、同じ任意加入でも、現在農業生産法人の構成員につきましては構成員の一人当たりの面積が五十アールであることを任意加入ではございますけれども要件といたしております。そういうようなことを総合的に勘案をいたしまして、今回この加入の要件、お二人で一ヘクタール以上というようなことを考えているわけでございまして、御理解をいただきたいと存じます。
#100
○林紀子君 次に、保険料の負担割合ということをお伺いしたいと思うのですが、九四年度の農業者年金加入者の月額平均農業所得は二十三万八千円、こういう資料をいただきました。農業者年金と国民年金の保険料は、九七年には先ほど申し上げましたように年間七十四万七千八百四十円にもなる。月額で見ますと、夫婦で国民年金が二万五千四百円、農業者年金が三万六千九百二十円、合計月六万二千三百二十円、こういうふうになるわけですね。
 そこで、九七年の保険料の負担割合を考えてみたいと思いますけれども、政府の生活大国五カ年計画、これによりますと実質経済成長率三・五%と見込んでおります。しかし、これは高過ぎるということで、今、実際は見直し作業が進められているということですが、この成長率を基礎に九七年の農業者年金加入者の月額平均農業所得を試算しますと、二十六万三千八百七十四円ということになると思うんですね。そうしますと、夫婦二人が払う国民年金、農業者年金の負担割合は二三・六%にも上るわけですね。この成長率というのは三・五%より低くなるだろう、こういうことですから、所得は実際よりもっと今申し上げました数字より低くなる、負担率はもっと高くなる、こういう実態をどういうふうにお考えになりますでしょうか。
#101
○政府委員(野中和雄君) 保険料の負担でございますが、先ほど大臣からも御答弁をいたしましたが、夫婦二人で入っていただきます場合に、女性につきましても一人前の支給、これは全く男性並みといいますか夫並みというようなことで支給をするわけでございまして、そういうようなことをもとにいたしまして一人前の負担をしていただくということにしたわけでございます。
 保険料の負担でございますが、これはいろんな指標で比較検討するというようなことが必要でございまして、私どもも慎重に検討をしてまいったわけでございますけれども、一つには年金財政につきまして多額な国庫補助をいただいているというような現状である。特に追加的な国庫補助を平成二年以来いただいておるわけでございまして、現在経営移譲年金につきましては一〇〇%国庫補助というような状況になっている状況でございます。
 また、一方保険料につきましても、ほかの国民年金等につきましても昨年の財政再計算におきまして今後五年間で三七%上げていくというようなことになっているわけでございまして、こういうようなことを総合的に勘案いたしまして、私どもといたしましては保険料を前回、平成二年以来八百円ずつ月額で上げていっていただいているわけでございますけれども、この程度のアップということであればいろんなほかの年金とのバランス、あるいは年金についてのいろんな財政状況その他も勘案して御負担をいただける範囲ではないかというふうに考えまして設定をしたものでございまして、御理解をいただきたいと存じます。
#102
○林紀子君 先ほど局長は質疑の中でお答えになりましたけれども、これから女性の年金加入者五年間で五千人から一万人というふうにおっしゃいましたね。対象者は三十万人いるというふうにたしかおっしゃったと思うんです。そうなりますと、三十万人の対象者のうち一万人が入るというふうに見込まれているといいますと、この割合は三・三三三%、三十分の一ということになると思うんです。先ほどアンケートでは、この農業者年金に入りたいという女性の割合は二四%にもなっているというふうにたしかおっしゃったと思うんですね。二四%も入りたいという人がいる。ところが実際見込んでいるのは三%。この開きというのは余りに大き過ぎると思うわけです。
 ですから、今、大臣も将来の給付を考えて表裏一体のものだとおっしゃいましたけれども、将来の給付を本当に求めているからこそ二四%もの人が入りたいと言っている。しかし、今出せるお金がどれだけかといったら、こんなに二三%にもなるようなそういう負担割合では到底払うことができない。そして、年収一千万円以上の家族が二万六千軒、二千万円以上の家族が一万一千軒、その辺も含めて五千人から一万人の女性が入るという数になるんじゃないかとおっしゃったわけですけれども、結局そうしますと、大多数の女性に今回年金権が認められたといいましても、その人たちは切り捨てられて本当に三%ぐらいの人、年収が一千万円から二千万円のそういう農家でなければ入れない、こういうことになってしまうと思うわけなんですね。
 厚生年金の個人負担割合は昨年十一月から八・二五%、常々農家も経営者としての経営努力が必要だ、任意だ、こういうふうに言っていらっしゃるわけですが、余りにも負担が重いわけですから、何らかの軽減措置をとるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#103
○政府委員(野中和雄君) 女性の方の加入でございますけれども、私どもはアンケート調査等をいたしまして、現在農業者年金に入っていらっしゃる方の配偶者の方に対する御意向をお聞きいたしまして、先ほど申し上げましたような数で申し上げたわけでございます。
 ただ、これは今後五年間に入っていただくことが見込まれる数というふうにしているわけでございまして、その後を含めましてさらに多くの方に入っていただくように我々としては期待をしているわけでございます。
 農業者年金の保険料の問題というのは、確かに入る方にとっては御負担であろうかとは思いますけれども、先ほど申し上げましたように、これは現在の年金財政の問題、繰り返すようでございますが、経営移譲年金につきましては一〇〇%国庫補助をいただいているというような状況のもと、かつまたその保険料につきましても国民年金等の引き上げの状況等も勘案をいたしまして、このぐらいであれば御負担をいただけるんではないかというふうに考えて決めさせていただいたものでございます。現在の年金財政の大変厳しい状況、そして経営移譲年金について全額の国庫補助をいただいているというような状況の中ではこれが精いっぱいの措置というふうに考えて、決めさせていただいたところでございます。
#104
○林紀子君 これくらいだったら払ってもらえるんじゃないかとおっしゃいますけれども、年額七十万円もの保険金がそんなに簡単に払えるものではないというふうに思うわけですね。
 日本の農業者年金のモデルとなっているドイツでは低所得者に掛金補助というのを行っているということです。また、フランスでは掛金は所有名義人である夫が納付しても、受け取る年金の分け分、配分割合を夫婦で取り決める、そして登録すれば女性の年金権が確立している、こういうふうに聞いております。
 財源がないということをおっしゃるわけですけれども、加算つき経営移譲年金には二千百八億円もの追加補助というのが行われるわけですね。構造政策を推進するためにはどんどんお金を出すけれども女性の加入に当たってはお金は出せない、ここのところをどうぞ切りかえてくださいということを申し上げたいと思うんです。
 最後に、大臣にお伺いしたいと思いますが、このように女性に農業者年金加入の道を開いたといっても、面積要件はある、莫大な保険料負担があるわけです。ですから、面積要件を緩和する、負担の支援措置や軽減措置をとる、これでこそ加入もふえる、また年金財政もそれに従って好転する、こういうふうに思うわけですけれども、御所見を伺って終わりたいと思います。
#105
○国務大臣(大河原太一郎君) 各般の長い間の女性の加入の道を開けというような御意見に基づきまして、今度加入の道を開かせていただいたわけでございます。二月当たり一人というような農林年金の従来の考え方、これに対して我々としては土地についての権利名義がなくても加入していただけるような道を開くというようなことで、我々としては苦心惨たんを案をつくる段階においてさせていただいたというわけでございます。
 したがって、今の御意見のように面積要件を緩和すべきである、あるいは国庫補助を加入する女性の方の掛金負担を軽減するためにというような、随分思い切った御提案もございますけれども、我々としてはこのたび開いた女性加入の道、これを着実にまずとりあえずやらせていただいて、今後我々の期待するような女性加入についての進展がない場合にはいかなる原因があるか等、十分検討いたしまして対策を講じたいというわけでございます。
#106
○林紀子君 終わります。
#107
○委員長(青木幹雄君) 他に御発言もないようですから、両案件に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案件に対する討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに両案件の採決に入ります。
 まず、農業者年金基金法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#108
○委員長(青木幹雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、星川保松君から発言を求められておりますので、これを許します。星川君。
#109
○星川保松君 私は、ただいま可決されました農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、平成会及び新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 以下、案文を朗読いたします。
    農業者年金基金法の一部を改正する法律
    案に対する附帯決議一案一
  ウルグアイ・ラウンド農業合意に伴う新たな国際環境の変化、我が国農業及び農村を取り巻く情勢の変化に対処するため、経営感覚に優れた効率的・安定的な経営体の育成、新規就農の促進等を図ることが、現下における農政の重要課題となっている。
 よって政府は、本法の施行に当たり、農業者年金制度が、今後とも農業者の老後の保障と農業構造の改善に十分な役割を発揮できるよう、次の事項の実現に努め、本制度の長期にわたる安定的発展に万遺憾なきを期すべきである。
 一 農業構造の改善の一層の促進に資する観点から、本制度の財政基盤を長期的に安定させるため、年金財政の動向等に応じて引き続き国庫から必要な額が助成されるよう十分配慮すること。
 また、年金未加入者の加入促進について、一層の努力を行うこと。
 二 保険料については、農家の負担能力の実情、本年金の政策年金としての性格等を踏まえ、過重負担にならないよう設定すること。
 三 農業に専従する女性のうち農地の権利名義を有しない者への加入資格の付与については、農業経営における女性の個の確立等に一歩道を開くとの観点から、その趣旨の周知徹底を図り、加入の促進に万全を期すること。
 四 後継者の加入資格要件の緩和及び適格な経営移譲の相手方としての農外からの新規参入者の位置付けについては、これらの措置が、新規就農の促進、若い農業者の確保に十分活用されるよう努めること。
 また、本年金の加入者等に対して経営移譲のやり直しを行った受給権者に、加算付経営移譲年金を支給することについては、担い手農業者に対する農地の集積の促進に資するよう努めること。
 五 死亡した加入者の経営を承継して加入した配偶者について、本人の選択により、死亡一時金の受給に代えて将来の経営移譲年金の額を加算する仕組みが創設されるに当たり、その趣旨の周知徹底を図ること。
 なお、経営移譲年金の受給権者が死亡した場合における遺族年金については、年金財政の動向等に配慮しつつ、引き続き検討すること。
 六 障害の状態となって経営移譲した者に対する支給の特例措置については、本制度の目的との整合性を確保するよう留意すること。
 また、経営移譲年金の支給停止要件の緩和に当たっては、農地保有合理化の見地を基本としつつ、農業及び農村の活性化の政策課題にも対応するよう努めること。
 七 農業者年金基金においては、被保険者資格管理についてコンピュータによる照合処理システムの導入、新規加入の促進に資する方向での委託業務の効率的実施等に努め、事務の合理化・簡素化を図ること。
 八 中山間地域農業の振興を図るとともに、担い手不足地域における円滑な経営移譲を図るため、農地保有合理化事業、農協による経営受託事業等各種の施策を強力に推進し、併せて、農業者年金基金による貸借業務については、一定の要件の下で耕作を伴う管理を推進
  するなどの改善措置を講ずること。
 右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#110
○委員長(青木幹雄君) ただいま星川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#111
○委員長(青木幹雄君) 全会一致と認めます。よって、星川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、大河原農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大河原農林水産大臣。
#112
○国務大臣(大河原太一郎君) ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。
#113
○委員長(青木幹雄君) 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、農林水産消費技術センターの設置に関し承認を求めるの件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   一賛成者挙手一
#114
○委員長(青木幹雄君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、両案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#115
○委員長(青木幹雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#116
○委員長(青木幹雄君) 次に、中小漁業融資保証法等の一部を改正する法律案及び漁業災害補償法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。大河原農林水産大臣。
#117
○国務大臣(大河原太一郎君) 中小漁業融資保証法等の一部を改正する法律案及び漁業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 まず、中小漁業融資保証法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 我が国の漁業は、食生活において重要な地位を占める水産物の供給のほか、漁村地域の発展にも大きな役割を果たしておりますが、近年、周辺水域における資源水準の低下、国際規制の強化等による漁獲量の減少、魚価の伸び悩み等、厳しい状況にあります。
 このような状況のもとで、今後とも水産物の安定的な供給を確保していくためには、漁業経営を改善するとともに、漁業の担い手を着実に育成確保することにより、我が国の漁業生産力を維持していくことが喫緊の課題となっております。
 このため、中小漁業者等の経営の近代化を促進することとし、この法律案を提出することとした次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
 第一に、漁業経営改善促進資金制度の創設であります。
 漁協系統等の資金を原資として、構造改善事業を実施する中小漁業者に対し、経営の近代化に必要な低利運転資金を融通する漁業経営改善促進資金制度を創設することとし、漁業信用基金協会及び農林漁業信用基金の業務等について、所要の措置を講ずることとしております。
 第二に、漁業近代化資金の貸付条件の改善であります。
 漁業の経営形態の多様化、資金需要の増加等に対応するため、漁業近代化資金の貸付対象者の範囲を拡大するとともに、貸付金合計額の最高限度を引き上げることとしております。
 第三に、漁業者等への資金融通を円滑にするため、漁業信用基金協会の会員資格の範囲の拡大等を行うこととしております。
 また、漁業近代化資金制度及び中小漁業融資保証制度について、金利改定手続の簡素化を図ることとしております。
 続きまして、漁業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 漁業災害補償制度は、昭和三十九年の創設以来、中小漁業者の相互救済の精神を基調とした共済事業の実施を通じて、その経営の安定に重要な役割を果たしてまいりました。
 しかしながら、近年における我が国水産業を取り巻く厳しい環境の中で、共済事業の運営は、新たな対応を必要とするに至っております。
 すなわち、二百海里体制の本格的な定着に加え、資源保護、環境保護の観点からの公海漁場の縮小寺厳しい状況のもとで、我が国周辺水域における漁獲不振等により共済事故が多発してきております。また、共済の加入がいまだ十分ではないという事情もございます。
 政府におきましては、このような事情にかんがみ、漁業及び漁業共済に関する学識経験者等の意見をも踏まえ慎重に検討した結果、中小漁業者の共済需要の多様化に対応しつつ、漁業災害補償制度をより漁業実態に即した制度とし、その健全かつ円滑な運営を確保することを旨として、漁獲共済の仕組み等について所要の改正を行うこととし、この法律案を提出することとした次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、漁獲共済についての改正であります。
 まず、最近の資源管理型漁業の進展等に対応するため、中小漁業者等により構成され、漁獲共済に係る規約を定める等の一定の要件を満たす団体が共済契約を締結することができるようにしております。また、継続申込特約の制度において、契約割合の引き上げの制限を緩和することとしております。
 第二に、養殖共済についての改正であります。
 まず、最近における漁業者の共済需要の多様化に的確に対応するため、てん補方式に選択制を導入し、てん補内容の充実を図ることといたしております。また、継続的な加入を確保し、漁業者の加入手続を簡素化するため、継続申込特約方式を導入するとともに、無事故者に対する掛金返戻制度を導入することといたしております。
 第三に、政府による漁業共済保険事業についての改正であります。
 最近における共済事故の態様等にかんがみ、政府の保険金額の算定方法を改めることとしております。
 何とぞ、これら二法案につきまして、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#118
○委員長(青木幹雄君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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