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1995/03/28 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 農林水産委員会 第8号
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1995/03/28 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 農林水産委員会 第8号

#1
第132回国会 農林水産委員会 第8号
平成七年三月二十八日(火曜日)
   午後二時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     林  紀子君     市川 正一君
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     市川 正一君     林  紀子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         青木 幹雄君
    理 事
                大塚清次郎君
                佐藤 静雄君
                稲村 稔夫君
                菅野 久光君
                星川 保松君
    委 員
                井上 吉夫君
                浦田  勝君
                北  修二君
                吉川 芳男君
                谷本  巍君
                野別 隆俊君
                村沢  牧君
                風間  昶君
                都築  譲君
                井上 哲夫君
                林  紀子君
   国務大臣
       農林水産大臣  大河原太一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        秋本 達徳君
   説明員
       農林水産大臣官
       房審議官     福島啓史郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査
 (畜産物等の価格安定等に関する件)
 (畜産物価格等に関する決議の件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(青木幹雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農林水産政策に関する調査のうち、畜産物等の価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○佐藤静雄君 自由民主党の佐藤でございます。
 本日、食肉の諮問が行われたわけでございますが、基本的な事項にさかのぼって御質問をしたいと思うのでございます。
 近年における畜産農家の減少、これはまことに著しいものがございまして、昭和五十一年に四十五万戸ございました肉用牛の飼養戸数は、平成六年には六〇%減、ほぼ三分の二がなくなってしまった。十八万四千戸というような格好になったわけでございますが、これは肉用牛の将来に強い危機感を持っている畜産農家、この農家の方々が確実にその数を減らしておるわけでございます。特に、牛肉自由化に踏み切った平成三年以降その趨勢はますます強まっておりまして、各年前年比五%強の離農が強いられております。
 さらに、牛肉の自給率、これもまことに憂うべきものがございまして、平成三年、自由化時点で自給率五二%でございましたが、逐年その比率を低下させまして、平成四年は五〇%を切って四九%、平成五年が四四%、平成六年は四月から一月時点で四一%、まさに四〇%台を割るような勢いを見せておるわけでございます。
 御承知のように、そもそも世界の牛肉の流通量は極めて小さいわけでございます。牛肉の生産量が三千百万トンという中で、流通市場に出てくるものはほぼ一割強の三百五十万トン、これが輸出に回っているだけでございまして、日本はそのうちの五十一万二千トン、一五%強を独占していると言うとおかしいのでございますが、占めておるわけでございます。
 牛肉は最もぜいたくな商品でございます。アメリカでは、日本には高い牛肉を輸出しながら、自国ではオーストラリアから七十六万一千トンも輸入しておるというような状況でございまして、この数字は口蹄疫の非汚染国で出せる百六十万トンを考えますと、日本の輸入はそれに対して三一%というふうに世界で最も高い数字を示しておるわけでございます。非常に少ない量しか出回らない。そこで、日本が買い占めと言ってはおかしいのでございますが、独占的にそれを買っている。これは、金があるからだけでございます。
 そういう面から考えますと、日本での自給率あるいは日本産の畜産物、これを大切にせにゃいかぬということがわかるわけでございますが、その中で、本日、指定食肉安定価格を決定するべく諮問をしたところでございますが、その諮問の基本的な考え方を大臣からまずお伺いしたいと思います。
#4
○国務大臣(大河原太一郎君) 御案内のとおり、指定食肉の価格決定につきましては、その生産条件なり、それから需給事情その他を勘案いたしまして、再生産確保を果たせるような一定の算定方式に基づきまして価格を定めておるところでございまして、本日はそれに基づきまして算定した数値をただいま畜産振興審議会の食肉部会に諮問中でございます。
 その考え方といたしましては、豚肉については生産コストが横ばいであるということがポイントでございますし、また牛肉につきましては素畜費なりあるいは飼料費が若干ではございますが低下をしておるというようなことでございます。
 なお、肉用子牛の生産者補給金制度の保証基準価格につきましても、生産コストがほぼ横ばいであるということでございまして、そのほか短角その他の黒毛和種、赤毛等と異なる肉専用種やあるいは乳用種等につきましては、繁殖雌牛なりあるいは初妊牛の価格が低下をしておるというようなことを勘案したところでございますし、合理化目標価格については、委員御案内のとおりでございまして、合理化目標価格の下げ要因としては円高とか関税とかの関税引き下げの要因が加わっておりますし、上げ要因としては、輸入牛肉との格差の拡大というような問題があります。それぞれただいま申し上げましたような諸点をにらみまして、価格の諮問値を算定いたしまして、ただいま畜産振興審議会の食肉部会において審議を願っておるところでございます。
#5
○佐藤静雄君 本日の諮問内容でございますが、仄聞するところによりますと、黒毛あるいは赤もの肉用子牛の価格については据え置こうというような御意向のようでございますが、牛肉は今大臣のお話にございましたように、海外の牛肉との差、これを相当配慮しなきゃいかぬ、あるいはウルグアイ・ラウンドでの約束も考えなきゃいかぬというようなことで若干下げと聞いております。
 あるいは豚肉は、最低安定基準価格は農業団体が強い要望をしておりますので、ある程度昨年と同様の措置をおとりいただけるというようなことを聞いておるわけでございますが、このような、先ほど申し上げましたような急激な畜産農家の減少あるいは食肉自給率の低下ということはやはり我が国の農業の基盤を揺るがす、私は憂慮すべき事態であろうというふうに考えております。
 ウルグアイ・ラウンド合意初年度ということを考え合わせれば、価格を引き下げていくという方向については、私は畜産農家の将来展望を失わせることになって、ウルグアイ・ラウンドの議論の際に、ウルグアイ合意は日本農業を壊滅するという主張に沿うようなことになって、極めて象徴的なこととなりまして、残念のきわみというしかないわけでございます。新しい農政の出発点としては、全くふさわしくない下げということになれば、深刻な事態であろうというふうに考えますが、その点を農水大臣はいかがお考えになっておるか。
 それから、先ほど申し上げましたように急激な畜産農家の減少、自給率の低下傾向、これも憂慮すべき事態でございます。私は、厳しく受けとめる必要があるというふうに考えますが、今後の自給率の見通しあるいは畜産物の自給率についての大臣のお考えを拝聴したいと思います。
#6
○国務大臣(大河原太一郎君) ただいま佐藤委員の御指摘の前段でございますが、このたびの食肉価格あるいは子牛価格、補給金の対象になる子牛価格等につきましては、私どもは水準は維持されたと。多少のあれはございますけれども、水準は維持したというつもりでございます。そういうところもございます。若干飼料、素畜等の関係でわずかな引き下げみたいなものはございましたが、水準としては、今御主張のとおりの背景を十二分に踏まえて諮問値を算定したつもりでございます。それが第一点でございます。
 第二点について、自給率の考えでございますが、御案内のとおり、牛乳・乳製品等については、畜産物では大体自給率が維持されたと。牛肉は御指摘のように大変需要の増大というもので、生産の増加が追いつかないという関係でございます。
 ちなみに申し上げますと、自由化後においても我が国国内の牛肉生産は若干でありますが増加を続けております。大変懸念したところでございますが、増加を続けておる。ただし、需要の方がどんどん伸びるものですから自給率が低下して、四四%ぐらいにただいまなっているのではあるまいかと思っております。それから豚肉については、これはやはり生産の停滞ということでございまして、若干でございますが低下の傾向にあるというようなところでございます。
 いずれにいたしましても、畜産については、佐藤委員にもう申し上げるまでもないのでございますが、我が国の農業総生産の四分の一を占めているということでございますし、特にその五割は中山間地域においてその経営が営まれているということ。他方では、畜産物については、御承知のとおり我が国の動物性たんぱくの六割は畜産によって供給されているというようなことを考えますと、この自給率の問題は大変大事な問題であるというふうに考えておるところでございます。
 ウルグアイ・ラウンドの農業合意受け入れの国内対策においても、先進国に例のないような低い自給率だ、低下の傾向にある、したがって、これに対してはやはり歯どめをかけなくては相ならぬ、国内資源を最大限に活用して生産性を高めながらその維持増大を図らなくちゃならぬというような指摘があるわけでございまして、我が国の農業合意の基幹をなす畜産についても、強力にその推進を図らなければ相ならぬというふうに思っております。
 その見通し等につきましては、しばしば当委員会においても申し上げておりますけれども、昨年、国内対策の決定後、直ちに平成十七年を目標とする農畜産物の需要と供給の長期見通し、この作業を行っておりまして、この秋にはそれを明らかにしたいということと、もう一つは、委員御案内のとおり、酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律、この法律に基づきまして酪農と肉用牛生産の近代化の基本方針、これを改定することにいたしまして、同じように平成十七年を目標にしてただいま作業を急いでおって、そこでもそれらの自給率の問題等についても明確な考え方を出していきたい、さように思っておるところでございます。
#7
○佐藤静雄君 先ほど申し上げましたように、やはり牛肉については少なくとも最低五〇%以上を国産で賄う体制を十分整えておく必要があると私は思っておるわけでございます。これからつくられる計画においてもひとつぜひそういう方向で入れていただきたい、こう思っております。
 ところで、ウルグアイ・ラウンド交渉において、輸入が急増したときに、これは四半期ごとに前年の一一七%を超えた場合、こういうふうになっておりますが、関税率を引き上げる緊急調整措置、セーフガードを確保したというふうに御報告をいただいておりますが、現実に輸入の急増という事態に臨んだ場合、これを米国等の諸外国に対して毅然としてかつ機動的に発動をしなきゃいかぬ、こう思っておるわけでございます。
 その点についてお聞きをすると同時に、我が党の農林部会では、これに関してさらに強い輸入調整措置を我が国は準備しておかなきゃいかぬというふうな議論がございまして、大方の農林部会所属の議員はそれに賛成でございます。そうしておかないと、我が国の畜産農家は壊滅するという危機感に立ちまして、山中貞則先生を中心として研究をし、法案化を検討している。仮称でございますが、牛肉輸入調整法という法案を準備しておるわけでございますが、農林水産省においてはこのような法案をどのように評価し、どのように考えているか、その点をお伺いしたいと思います。
#8
○説明員(福島啓史郎君) ただいま先生の御説明にありましたように、ウルグアイ・ラウンド農業合意におきまして、我が国は牛肉の関税率を平成七年度から段階的に引き下げて平成十二年には三八・五%とすることとしているわけでございます。
 この関税率の引き下げに対処しまして、牛肉の輸入が前年度の一一七%を超えて急増した場合には関税を五〇%に引き上げる緊急調整措置を確保したわけでございまして、これは既に関税暫定措置法に措置されております。この法令の規定に従いまして、この措置を適切に運用していくこととしているわけでございます。
 また、先生御案内のように、この新たな緊急調整措置は、発動基準が前年の輸入量の一一七%に設定されていること、また四半期ごとの運用であるということ、またチルド牛肉とフローズン牛肉を分離して適用するということでございまして、従来の日米あるいは日豪合意に基づきます現行の緊急調整措置に比べまして、発動しやすくなっているわけでございます。
 また、後者の御質問でございますけれども、外国産牛肉輸入調整法案でございますが、これは議員提出の法案でございますので、政府としてコメントする立場にはないと考えているわけでございます。あえて本法案について、ガット十九条との関係、WTO協定との整合性などについては問題があるというふうに考えられるわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、政府としましては、牛肉の輸入量が急増しまして我が国畜産に重大な影響を与える場合に対処するための措置としましては、今回の関係国との協議に基づきまして、新たな緊急調整措置を設けることとしたところであります。
 こうした国境措置の活用とあわせまして、牛肉輸入自由化時に措置いたしました肉用子牛の不足払い制度などの国内対策を適切に運用することによって、我が国畜産の維持拡大を図ってまいりたいというふうに考えております。
#9
○佐藤静雄君 次に、肉用子牛生産者補給金制度における指定協会の借入金の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 非常に畜産農家からこの協会は頼りにされておりまして、実は私もこの協会の副理事長をしたことがございます。この制度の円滑な運営をするためには、国はもちろん県あるいは農業団体がそろってこの協会の育成をしなきゃならぬ、こういうふうに考えておるわけでございますが、昨年度までたまったあの借入金は、まさにその存在を危なくするぐらいたまったわけでございます。もっとも、実績は千五百億円以上補てんをしまして、農家に非常に喜ばれたわけでございますが、その県肉用子牛価格安定基金協会の財務基盤をやはり強化していかなきゃいかぬというふうに思います。これは一時的でなく継続的にやっていく必要があると思いますけれども、現在の都道府県協会の財務の内容と農林水産省で講じられた措置、それから今後の見通し、それについてお答えをいただきたいと思います。
#10
○説明員(福島啓史郎君) 先生御案内の肉用子牛生産者補給金制度でございますが、その他の肉専用種、日本短角等でございます、それから乳用種では、平均売買価格が合理化目標価格を大幅に下回って推移しております。その結果、都道府県の指定協会におきましては生産者積立金に不足を生じまして、全国肉用子牛価格安定基金協会から融資を受けて、生産者補給金を交付している状況であります。
 この借入金につきましては、基本的には都道府県指定協会において造成されます生産者積立金で返済されることになっているわけでございますけれども、当面、今後一定の価格回復を見込みましても、生産者積立金によります借入金の返済が困難な状況となっております。
 したがいまして、補給金の円滑な交付に支障を来しかねない状況になっておりますことから、平成五年度におきまして緊急的に国が平成四年度までの借入金の三分の二を助成することとしております。約四十三億円でございます。また六年度におきましても、五年度分の借入金につきまして同様の対応をしたところでございまして、これは百十六億円でございます。
 今後とも、平成六年度分の借入金があるわけでございまして、これが三百億を上回るというふうに見通されております。制度の円滑な運営の確保を図る観点から、必要な対策は引き続き講じてまいりたいというふうに考えております。
 また、都道府県指定協会の業務運営体制の整備強化につきましても、協会の自助努力を前提といたしまして、平成二年度から指定協会の基本財産の積み増しに対しまして国から助成を行っているところでございます。
#11
○佐藤静雄君 次に、酪農関係についてお尋ねをしたいと思うのでございますが、先ほど冒頭申し上げたと同じ傾向が酪農にもございまして、昭和五十一年に十四万七千戸あった酪農家は平成六年には四万八千戸、厳しい営農環境から離農が相次ぎまして、十数年間に三分の一に激減しております。牛肉の自由化は酪農に特に厳しくあらわれたものというふうに私は考えております。
 酪農にかかわる労働、これは本当に厳しいものがございます。平成五年の労働時間では全国で二千三百八十六時間、北海道においてはまさに二千七百二十三時間、我が国農業が目指している年間労働時間千八百時間、これを考えますと夢のまた夢というような感じすら持っておるわけでございます。
 このような厳しい酪農の問題について、ことしはウルグアイ・ラウンド合意初年度でございます。酪農経営の激減、これはウルグアイ・ラウンドでこれから乳製品が関税化されて中長期的には国際化の進展、外国産のものがずっと入るんだろうな、それに一つの原因もございます。さらにこれに加えて先行きに展望が、見通しが全くない、不分明だというところに大きな要因が私はあるのではないかというふうに思っております。
 そこで、まず大臣にお尋ねしたいのは、酪農、乳業の中長期的な展望、これについてお示しをいただきたいと思います。
#12
○国務大臣(大河原太一郎君) 酪農につきましては、環境の厳しさもございますけれども、他方では高齢者で後継者のない方々、小規模の酪農経営等々、あるいは積極的に北海道等に見られるような肉用牛への転換あるいは畑作への転換というような方々等もございまして、そういう意味ではそれぞれのしかるべき理由が戸数の減にはあったと思います。他方では、飼養頭数は確実に二戸当たりが増加しておるというわけでございますし、全国平均でも四十二頭ぐらいになっておる。北海道では七十頭を超しておる、いわゆるEU水準を既に超えておるというようなしっかりした経営体も酪農家の努力によってつくられつつあるところでございます。
 したがいまして、私は、酪農の前途については必ずしも悲観的なものを持っておらないところでございます。施策よろしきを得ればこれはその発展の契機を十二分に持っておるというふうに思っておるところでございます。
 当然でございますが、酪農そのものの体質の強化あるいは乳業の合理化あるいは流通の合理化等々を図らなければなりませんし、特に国際的な影響を受けにくいまさにフレッシュなものとして外国から持ってこられない飲用牛乳、これの需要の拡大と生産の強化を図っていくことが今後の方向であるというふうに思っておるところでございます。
 これについては先ほどの繰り返しになりますけれども、需要と供給の長期見通しはもちろんでございますが、酪農と肉用牛、これについての近代化を図るための基本方針、平成十七年度を目途にこの秋にはこれを作成して、これを一つの目標にいたしまして酪農経営の発展を推し進めたい、さように存じておるところでございます。
#13
○佐藤静雄君 今後の六年間、六兆百億、これがウルグアイ・ラウンド対策費でございますが、日本農業の二本柱である米と畜産に集中的に投資して六年後を迎えて、国際競争力も十分ある、あるいは本当に足腰の強い農業、畜産業をつくっておかなきゃいかぬ、こう私は思っておるわけでございます。
 ところで、明日、乳価それから限度数量の諮問が行われるわけでございますが、我が国の酪農でございますが、先ほど申し上げましたように、非常に厳しい局面にさらされておるわけでございますが、特に二年連続の生産の減産計画実施、それから飲用向け乳価の大幅引き下げ、長く続いた個体価格の低落などによりまして、農水省の作成の資料によりましても、その収益性の推移は最近では平成二年、一戸当たり所得七百二十万円、これは全国でございますが、北海道で一千三十三万円、これをピークに低落傾向にあるわけでございます。算定の方式を変えたとおっしゃるかもしれませんが、事実低落の傾向にございます。
 それにかてて加えて、先ほど申し上げましたように物すごい過重労働でございます。それに負債、酪農がかつて非常に苦しんだときの過重な負債がまだ重くのしかかっておる。それに昨年は猛暑による被害、死廃牛が四千六百頭も出た。それは共済金で賄ったとおっしゃるかもしれませんが、それによって初妊牛の問題あるいは人工授精の回数の増加、獣医診療回数の増加など、本当に酪農家にとっては耐え切れないような負担が次々と重なっておるわけでございます。経営圧迫をする要因が重なったということがございます。
 このような状況を踏まえて、七年度の保証価格及び加工原料乳限度数量については平成六年度の水準を決して下回ってはいけないというふうに私は考えておりますが、その考え方についてお答えをいただきたい。
 また、経営環境がさらに悪化している。しかしながら、先ほど言ったように、これからも酪農を続けていただくためにはヘルパーの費用あるいは環境対策、これもこれもというふうな費用負担が重なってくるわけでございますから、平成六年度に実施した酪農経営体質強化緊急特別対策事業、いわゆる三円対策事業、これは本年度も維持していただかなきゃいけません。実質乳価が前年を下回らないように配慮すべきであろうというふうに思いますが、その点について御見解をいただきたい。
#14
○国務大臣(大河原太一郎君) 御主張を交えての御質問でございますけれども、加工原料乳の算定方式につきましては、もう佐藤委員に申し上げるのも恐縮千万でございますが、加工原料乳地域、北海道における原生産費をもとにして、生産条件、需給事情を勘案しながら、物価修正なり労賃の評価がえをして適正に決めるというルールで本年度も定めようとして、諸要素について今最終の詰めを行っておるところでございます。
 ただいままでの要素を見ますと、副産物収入であるぬれ子とか初生牛等についての価格の低落はとまりましたが、非常にまだ低い水準にあるということでございますし、他方、生産費の二割を占める飼料については低下傾向にございますし、乳量等についても増加しておる、あるいは労働時間も短縮されておる等々の要素が生産費調査の結果からは出ておるわけでございます。諸要素を十二分に勘案いたしまして、慎重の上にも慎重に決めたい、さように思っておるところでございます。
 なお、いわゆる横積み経費と申しますか、委員のお言葉をかりれば三円対策でございますが、これは保証価格とは別にその時々の酪農経営の状態に応じまして緊急に措置すべきものとして、各年、それぞれの理由によって定めておるところでございまして、それはそれで別途のものとして私どもは理解しておるところでございます。
#15
○佐藤静雄君 各年度ごとに各年度の特異な事象に対して対策を講ずる、こうおっしゃるわけでございますが、昨年は昨年で猛暑対策もございまするし、あるいは今言いましたように、物すごい過重な労働時間を合理化していかなきゃ酪農は続けていけないという事態もございますので、これも特異な現象でございますから、これにちゃんと手当てをするのが私は国の責任であるというふうに思いますので、その点よろしくお願いをしたいと思っております。
 さて、平成六年度、大手乳業を初めとして乳業者でございますが、これは非常に猛暑によって乳業メーカーは需要拡大の追い風に乗りまして、高収益の決算が予想されておるわけでございます。しかしながら、平成六年度の生産者団体との乳価交渉は、実はこれは文書も何もなく口頭で、おい三円下げろよ、三円五十銭下げろよというような通告がありまして、指定生産者団体と交渉をしておるわけでございますが、どうもメーカーの方が、簡単に言えば力が強くて生産者団体が押し返せないというような現象になっておりまして、それで各国に批判をされたり、そういうことで大勢は今三円あるいは三円五十銭の値下げ、これを無理無理押しつけられそうな状態になっておるわけでございます。
 私は、やっぱり生産者団体の交渉力を強化して、真の需給情勢を反映した対等の価格交渉力が農業団体になけりゃいかぬというふうに思っておるわけでございまして、そういう面で、これは民間の取引だからわしは知らぬと農水省はおっしゃらずに、やはり適正な交渉が行われるように私は指導すべきものだろうというふうに考えております。
 その点についての御所見、それから今年度の乳価交渉がもう始まったかどうかわかりませんが、乳価交渉の進展に際して、政府はやっぱり今申し上げましたような観点から重大な関心を持って、場合によっては適切な指導をすべきものというふうに考えておりますが、その点についてお聞かせをいただきたいと思います。
#16
○説明員(福島啓史郎君) 平成七年度の飲用乳価の交渉でございます。生産者側は、乳業メーカーの収益が、先生ただいま御指摘ありましたように昨年の猛暑等で好調であるということ、また昨年の猛暑により生乳需給が逼迫傾向で推移していること、さらには二年連続の飲用乳価の引き下げによりまして酪農経営が圧迫を受けているということ等を主張し、一定水準の復元を求めているわけでございます。
 一方、乳業者側は、消費の維持拡大、さらに大型店からの価格の引き下げの要請等を理由に引き下げを求めている中で交渉が行われていると聞いているわけでございます。
 御案内のように、飲用乳価につきましては、従来より取引当事者間ごとに立地条件、地域の需給事情、取引数量等を考慮して、指定団体と乳業者間で自由かつ対等な交渉によって決定されているところでありまして、農林水産省といたしましては指定団体と乳業者間の交渉を見守ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、本年につきましては、全国団体が生産者側の取引当事者として交渉当事者として出てまいっているわけでございまして、少し様相は、生産者側の団結の方向は見えてきたかというふうに思っておるわけでございますが、こうした生産者団体の交渉力の強化の問題につきましては、従来から指定団体のブロック化であるとかあるいは全国連の統合によります再委託の促進等さまざまな方法がこれまでも検討されてきたところであります。
 こうしたことは、いずれにしましても交渉主体であります生産者団体において検討すべき問題だというふうに考えるわけでございまして、これにつきましては生産者団体の方も牛酪等におきまして検討会を持っているわけでございまして、そうした検討の状況を踏まえながら農林水産省としても対応できるところは対応してまいりたいというふうに考えております。
#17
○佐藤静雄君 最後に、乳業メーカーの問題についてお尋ねをしたいのでございますが、我が国の乳業メーカーの製造コスト、これは諸外国に比べましても極めて高いということになっております。酪農経営の合理化とあわせて、乳業、とりわけ中小乳業の合理化を図ること、これが必要な課題と言われております。また中小プラントの処理施設の処理能力、これを合理化していかないと、時として過剰施設の原因となったり安売りの原因となったり、そういうことを言っちゃいけませんが、そういうものにも波及してくるわけでございます。
 もとより、中小メーカーもその営業を合理化して近代化して生き残っていかなきゃいかぬ、こう私は思っておりますけれども、生き残ることは当然だというふうに思っておりますが、それにはやはり合理化、近代化のための助成なり指導を農水省として考えていく必要があるのではないか。それがまた酪農経営全体の利益にも必ずはね返ってくるものというふうに私は考えておりますが、この点について御所見を賜りたいと思います。
#18
○説明員(福島啓史郎君) 先生御指摘のとおり、我が国乳業は国際的に見ましても規模が小さく、このため製造販売コストも諸外国に比べて高い等の問題を抱えているわけでございます。
 ウルグアイ・ラウンド後の国際化の進展等を考慮すれば、乳業の合理化あるいは体質強化が重要な課題となっております。
 このため、乳業の合理化、体質強化につきましては、共同化等によります効率的な乳業施設の整備であるとか、あるいは中小乳業者が共同で行います新技術の導入あるいは新製品の開発等を推進しているところでございます。
 今後、先ほど言いました国際化の進展のもとで、一層の乳業の合理化、これが酪農の合理化といわば車の両輪でございます。この合理化が課題となっているわけでございまして、農林水産省といたしましても、乳業経営の合理化のあり方につきまして、先ほど大臣から答弁がありましたように、現在検討中の酪肉近代化基本方針の中で乳業の合理化を位置づけることとし、乳業団体とも連携をとりながら乳業の合理化あるいは経営体質の強化の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
#19
○佐藤静雄君 終わります。
#20
○谷本巍君 初めに、大臣に伺いたいと存じます。
 今、佐藤委員のことしの加工用原料乳価の諮問価格決定に当たってどういうふうにお決めになるかという質問に対して大臣がお答えになったのは、私なりに要約をいたしますというと、生産費動向というのを重視しながら、従来の算式でもって慎重に決めていきたいと。なお、これまで横積みというふうに言われてまいりました例えば緊急合理化対策などについては別途の問題として対処していきたいということでありましたが、ことしの価格決定に当たっての大臣の考え方は、一言で言えばそういうことでございましょうか。
#21
○国務大臣(大河原太一郎君) おっしゃるとおりでございますが、私は、生産費の動向それから需給事情、これもつけ加えたつもりでございますが、その他は谷本委員のおっしゃるとおりだと思います。
#22
○谷本巍君 大臣が今言われた生産条件と需給事情、私はそれが非常に大事だろうと思うのです。算式がありますから、生産費の動向はちゃんと統計上では出てくるわけですから、機械的にはじいてそれで機械的に決めればいいというんだったら、これは実は政治は要らないわけです。
 法律が言っておりますのは、生産条件と需給事情、そしてその他の経済事情等を考慮して、再生産の確保を旨としてこれを定む、こう言っているわけです。そういう立場からことしの需給事情というのを見てみますというと、大臣も御承知のように、二年連続減産を経て、新年度の場合は二・八%の増産に転ずるという問題が一つございます。
 さらにもう一つは、生産費問題を離れたいわゆる生産事情、状況という立場で見てみますというと、大臣も御存じのように、昨年は頭数も乳量も減りました。そして、その原因の主たるものは猛暑によるものだと言われてまいりましたが、そういう経過を経て、ことしに入ってからは総じて生産意欲が落ちてきているという状況が見られます。この点は、けさほど役所からいただきました限度数量の見通し問題の項の中でも次のように述べております。加工向け生乳の供給力には限界があると見込まれるという言葉が出てまいります。確かに今の生産状況を見てみますというとそういう状況だと私も思います。
 してみるならば、需給事情を、生産農家の動向というのを見てみるというと、算式だけで得られた結果でもって価格を決めてよいということには断じてならないと思います。大臣、いかがでしょうか。
#23
○国務大臣(大河原太一郎君) 酪農経営をめぐるあるいは生乳生産をめぐる諸事情、その他経済事情を参酌するあるいは需給事情ということは当然かと思いますが、なかなかにそれらの要素、保証価格は数字でございますから、それらについてどう織り込むかという点については慎重な検討が必要であろうというふうに思うところでございます。
#24
○谷本巍君 そうしますと、大臣、くどいようですが、私が申し上げた需給問題、それから生産の現状といいましょうか、その辺のところも重視しながら決定に当たっていただくことができるというぐあいに理解してよろしゅうございますね。
#25
○国務大臣(大河原太一郎君) まさに需給事情なり生産事情というものが酪農経営の最も重要な問題であります。保証価格の決定においてもそれを念頭に置かなければ相ならぬというふうに思います。
#26
○谷本巍君 そこで大臣、さらに問題はやっぱり生産をめぐる現状というのをどうとらえるのか、ここのところがことしの場合特に私は重要になってきていると思うんです。
 二戸当たりの飼育頭数の伸び率で見てみますというと、平成四年の場合は対前年比九・五%でありました。ところが、翌五年になりますというと六・七%に落ちた。昨年の場合はどうかというと四%に落ちました。つまり、平成四年をピークにして規模拡大の伸び率というものがずっと落ちてきておるという状況が残念ながら見られます。
 なぜこういう状況が生まれてきたのか。一つの問題としては労働時間の問題があると思います。例えば、平成二年の場合には二千八百四十四時間であったが、平成五年の場合には何と三千時間を超してしまったというような状況があります。つまり、もう手いっぱいになってしまったという問題が労働時間との見合いで言えるような気がいたします。
 同時に、もう一つ大きな問題は、円高に支えられた濃厚飼料依存型の規模拡大が限界的状況に来つつあるという状況があるように見られます。円高で安い飼料が手に入るようになってきましたから、牛を牛舎に据えて安い飼料をどんどん食わせて収益を上げるというのが一つのコスト低減の方法としてはよかったんです。ところが、これは初めはいいが、だんだん続けて、最近の状況になってきますというと、牛の病気がふえてくる、寿命が短くなってくる、リタイアが早くなってくる、かくして搾乳牛の予備軍である後継牛の占める比重が大きくなってくるという状況になってきております。つまり、人間生活でいえば扶養家族がふえるというような状況になってきた。それに加えてふん尿の処理問題、これがもう一つ大きな問題として出てきたという状況等々が見られますのでありますから、くどいようでありますけれども、生産費は今度はなかなか下がりにくいという状況になってきたという点があるように思います。こういう状況の中で価格引き下げをやるということは私は無理だろうというぐあいに申し上げておきたいのであります。
 またさらに、もう一つの問題としては、このまま一直線に規模拡大というのはもういかなくなった。ですからこの先どうするかと。特にこれまでの規模拡大というのは、何といいましょうか異常というか一時的というか、の円高に支えられてきているという不安定な基礎の上に立っていますから、でありますから、そういうふうな現状認識をきちっとしながらことしの乳価決定に当たっていただくということが大事になってきていると思うんですが、大臣いかがでしょうか。
#27
○国務大臣(大河原太一郎君) 諸般の御指摘をちょうだいしたわけでございまして、それぞれの要因があるかと思うわけでございます。
 戸当たりの飼養頭数の増加率、これがあれしたのは、一つは御案内のとおり平成五年、六年を通じて計画生産の抑制、これもやはり直接的には響いておると思うわけでございます。
 他方では、北海道を中心とした限りなき拡大、これについて一つの限度が参りまして、労働力その他から見てゆとりのある酪農経営というようなそういうような一つの転換が出てきておるという点も一つあるのではあるまいかというふうに私どもは思っておるところでございます。
#28
○谷本巍君 それで大臣、私は、これから先の酪農というのは草地型を基本としながらコスト低減の方向も追求していくということが重要なのではないかと思います。
 ことし大臣の手によって編成された新年度の農林水産省の予算を見てみても、総じて環境保全型といいましょうか、そこにかなりの重点を置いてきているということであります。その点は酪農もこれから同じような状況にしていかなきゃならぬように思います。
 そういう意味で、酪農家の皆さんなどに伺ってみますというと、これは北海道の場合でございますけれども、牛一頭当たり草地でいいますと大体六十アールが見当ではないか。つまり、八十頭ということになってきますというと約五十ヘクタールぐらいのものを想定するということが大事ではないか。そういうふうな状況であって初めて持続可能な、そして環境保全にかなった酪農ということになるだろうというお話等々を承ってきております。
 そうしますと、環境保全型の農政のもう一つは展開の仕方が問題になってまいります。環境保全という立場でもって最大限との程度の規模拡大が可能か、これをまず一つ押さえる。これを押さえた上で、あとは技術問題で変動が出てきますけれども、そういう規模拡大農家が暮らしていくことができるような施策をどうするか。それを逆算的に提起をしていかなきゃならぬということになっていくだろうと思うのです。そういう政策の展開に当たっては、当然のこととして所得政策などもいろいろ加味しながら検討していかなきゃならぬ課題にすべきであろうというふうに私は思います。それらの点についての大臣の見解を聞かせていただきたいのです。
#29
○国務大臣(大河原太一郎君) なかなか難しい御指摘なり御質問でございましたが、まず酪農については、谷本委員の草地型酪農、これを推進するということは、本来酪農は土地利用型農業の基幹でございます。しかも家畜の個体からいっても健康の維持にとってどうしても必要なもので、したがって自給飼料基盤を強化していくということが何よりも大事だと思うわけでございます。
 そういう意味では、北海道等土地条件が比較的ゆとりのあるところにおいては飼料畑の造成なり整備というようなことを計画的に進めていく。土地条件の制約が非常にあります内地においては、転作田とかあるいは未利用地だとか遊休山とか遊休地、そういうものを活用してやはり飼料基盤を強化していくということが必要かと思うわけでございます。
 濃厚飼料と粗飼料の比率は、北海道では四対六だと。内地では輸入の粗飼料によってようやくバランスがとれているというようなところでございますが、そういう点を配慮した酪農経営、自給飼料を基盤とした酪農経営の展開があると思うわけでございます。
 なお、次の御指摘の、最後は所得問題まで及ぶ問題等については、もう少し私どもとしては分析、検討をさせていただきたい、さように思うわけでございます。
#30
○谷本巍君 今日の時点でいただけるお答えというのはそんなところかなという気がいたしますけれども、ともかくも価格決定の場合に、日本の酪農というのは将来こういうふうに持っていきますよと、そこのところをきちっと示されて、それとの絡みの中で価格問題についてはこうしていきたい、ああしていきたいという問題提起ならば、これは生産者の納得も消費者の納得も得ることができるわけです。ところが、現在の場合にはそういうふうな状況には実はなっていないというようなことであります。
 ともかくも大河原農林水産大臣の時代に、これからの日本の酪農業は大体こういうふうにしていきますよと、今お答えを既にある程度抽象的にいただいておりますけれども、それをきちっとやっぱり出すようにしていただきたい。そしてまた、ことしの乳価決定に当たっても、先ほど申し上げた生産状況とそれから需給事情等を勘案しながら決めていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。
 最後に、まだ時間がありますから、限度数量の問題について伺ってまいりたいと思います。
 平成六年の北海道の牛乳生産が三百四十万トンでありまして、そのうち加工に回ったものが二百二十万トンでありました。したがって、限度数量二百三十万トンでありましたから、十万トンの枠が余ったという話になってくるわけであります。
 さてそこで、ことしはどうするのか。農林水産省の事務当局の皆さんの間からは、どうも削減論もあるようでありますが、どんなふうにお考えになっているか、まずお聞かせいただきたい。
#31
○説明員(福島啓史郎君) 先生御指摘がありましたように、六年度の不足払いの対象の加工原料乳の供給は限度数量二百三十万トンに対しまして約十万トン程度下回る、要するに枠を残す見込みでございます。七年度につきましては、生産者団体は対前年比一〇二・八%の計画生産を決定しているわけですが、飲用向け需要は底がたく推移している、他方、生産の本格的な回復は年度後半になると認められる、そういったことを総合的に勘案する必要があるだろうというふうに思っております。
 もちろん、加工原料乳の限度数量につきましては、法律に基づきまして生産者補給金を交付しても確保すべき加工原料乳の最高限度という考え方を基本といたしまして、生乳の生産事情なりあるいは飲用牛乳及び乳製品の需給事情、その他の経済事情を考慮いたしまして、畜産振興審議会の意見を聞いて適切に決定してまいりたいというふうに考えております。
#32
○谷本巍君 そこで福島さん、くれぐれもお願いしておきたいと思いますのは、去年がこうだったからことし減らしますよというのは、これは全く筋が通らないということを言っておきたいということであります。
 といいますのは、あなたも御存じのように、加工用向けの供給力、これは限界が来ているなどいう話は既に出ておりますけれども、そういう問題にしても、それから飲用の需要、これがことしも堅調がどうか、生産と消費の関係というのはかなり牛乳の場合は天候に左右されるという問題が残念ながらあるわけですよね。だから、去年がこうだったから、使い残しがあるからことし減らしますよというのであっては、これは全く短期的な視点からの誤った判断ということになりますから、くれぐれもその点はそういう間違った判断なさらぬようにひとつお願いしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#33
○説明員(福島啓史郎君) 先ほど申しましたように、この限度数量といいますのは生産者補給金を交付しても、つまり財政負担をしても確保すべき加工原料乳の最高限度という考え方が基本でございます。したがいまして、生産事情なりあるいは飲用乳及び乳製品の需給事情、その他の経済事情を考慮いたしまして適正に決定してまいりたいということでございます。
#34
○谷本巍君 それからもう一つ申し上げておきたいことがあります。あなたが言われていることから落ちている話なんですよ。それは、加工用原料乳についての不足払い制度、不足払いを行うという制度ができ上がったという用途別乳価制度ですね。これはなぜでき上がってきたかということを再度私はこの場でも強調しておきたいと思います。
 それは去年の場合でいいますと、都道府県の方は猛暑で消費はどんどん伸びるが生産が伸びないという中で、乳価引き下げが強行されたんですよ。強行した側はどういうことで自信を持つことができたか。北海道から持ってくればいいと、この判断だったんですよ。ですから、やっぱり加工用原料乳は北海道なら北海道できちっと消費できるようにしていきませんと、飲用乳への影響が出てくるんです。
 現在、飲用乳価についての乳価交渉、これが団体の間でもメーカーとの間で進めつつあるところであります。六年度の中間決算では、明治の経常利益が七割増というのを筆頭にして、どうもメーカー側は空前の利益だというような話が出ておるところでもありまして、またメーカーも、飲用乳については若干これはやり過ぎかなというような話も一部出ているような話も私耳にしております。そういう状況であるだけに、限度数量については従来どおり二百三十万トン、これはもう維持していただきたいということを再度申し上げておきたいと思います。いかがですか。
#35
○説明員(福島啓史郎君) いずれにしましても、畜産振興審議会の意見を聞きまして適正に決定してまいりたいということでございます。
 なお、飲用乳価の交渉状況でございますが、先ほどの佐藤先生の御質問にお答えしましたように、現在、生産者側とそれから乳業側で今交渉しているわけでございます。ことしは全国団体が交渉当事者として生産者側を代表して出ているということで、多少事情は違ったところが出てまいりました。
 しかし、いずれにしましても生産者団体の交渉力の強化ということが課題になっております。指定団体のブロック化であるとかあるいは全国連の統合等、従来からもいろいろ議論があったところでございますが、生産者団体におきましても牛酪等で検討会を開いて検討するという体制にもなったようでございますので、そうした検討結果を見守って、対応できるものにつきましては対応してまいりたいというふうに考えております。
#36
○谷本巍君 とにかく限度数量問題で飲用乳価交渉の足を引っ張るようなことだけはやっちゃいけませんよ。
 最後に、一つだけお願い申し上げたいことがあります。それは生クリームの生産支援対策問題であります。
 バターがたしか八カ月過剰だと前に言われておりましたが、最近伺ったところでは五カ月見当に減ってまいりました。これは生産者団体の生産制限といったような問題等々もあってのことかと思われますが、ともかくもバターと脱脂粉乳の不均衡、これをどう是正するかということが大きな悩みの種といえば悩みの種であります。そういう意味では、生クリームの生産等を伸ばしていくというのが一つの有力な手法だと言ってよかろうと思います。しかも、この生クリームは新鮮さが求められるので、比較的国際競争力にたえる部門なのではないか。問題は価格水準でありまして、そのために一定の助成が必要だというようなことで、生産者団体等もこの要請運動を今行っておるところであります。
 こうした問題についてもぜひひとつ前向きに対処を願いたいということを申し上げておきたいと存じます。これは大臣、いかがでございましょうか。
#37
○国務大臣(大河原太一郎君) まず、事務の方から。
#38
○説明員(福島啓史郎君) 先生ただいま御発言ありましたように、生クリームはフレッシュな製品であるということで、輸入の影響にさらされるおそれの少ない品目であります。そういう点からでも重要な意味を持っているわけでございます。
 こうした生クリームの消費拡大のためには、競合する植物性油脂との価格差を縮小するという検討すべき大きな課題があるわけでございます。この点に関しまして、既に六年度からホクレンが、生クリームにつきまして一定量を超えて取引された場合には生クリーム向け生乳の価格を引き下げる方式を自主的に導入して、そのことによりまして消費拡大に成果を上げております。こうした生産者団体のみずからの取り組みを注視して対応してまいりたいというふうに思っております。
#39
○谷本巍君 大臣、いかがでしょうか。
#40
○国務大臣(大河原太一郎君) ただいま事務の方からお答えしたとおりでございまして、これに対する支援その他という点については検討してまいりたいと思っております。
#41
○谷本巍君 ありがとうございました。
#42
○菅野久光君 御苦労さまです。
 本年度の畜産物価格を決める畜産審議会の食肉部会が本日、そしてあすは酪農部会が開かれて、政府の諮問案に対する答申が出されることになっております。
 例年この時期に農林水産委員会を開くわけでありますが、私がこの委員会にずっとかかわってから、この時期に、この委員会が開かれているときに大臣が出られるというのはなかったのではないかというふうに思います。大臣が出られるということは私の記憶では本当に初めてではないか、そのように思います。いろいろ忙しい中、やりくりして出ていただいた、それだけことしの畜産物価格というのは非常に重要な意味を持っているという認識のもとに、きょう時間を差し繰ってこの委員会に出ていただいたのではないかというふうに思いまして、その点は心から敬意を表したいというふうに思います。
 私の出身地の北海道は、もう御承知のとおりに酪農及び畜産の主産地でありますし、我が国全生乳生産量の四〇%を占めているのが北海道でございまして、北海道の酪農も、牛肉自由化に伴う大打撃から徐々に回復の基調に向かいつつあるのでありましたが、本年からWTO協定の発効によって再び厳しい状況下に立たされようとしております。特に酪農経営は専業経営であるだけに他に収入を求めることができない。したがいまして、畜産物価格の決定が即経営そのものを左右するということから、今回の畜産物価格の決定を大変重大な関心を持って見守っているわけでございます。
 今回の畜産物価格の決定いかんによって、経営を継続するかあるいは離農するかの判断材料にしているというような話も聞かされております。酪農だけしかできない地帯も北海道にはあるわけでございます。また酪農がその町の基幹産業であるだけに、町全体にとっても大変な関心を持って今回の畜産物価格の決定を見守っているというのが現状でございます。
 そんな状況になるということで、私ども社会党としては、今回の畜産物価格決定の時期を迎えるに当たりまして、北海道のオホーツク海に面しております北見、紋別と興部というところに行って、酪農経営についての実態調査を行いました。農民の方々や自治体、農協関係者の皆さんから大変多くの要望、意見を聞いてまいりました。きょうは、もう時間が余りございませんので、その中の幾つかについて政府の考え方をお聞きしたいと思っております。
 前にいろいろ質問された点もございますので、重複を避けていきたいと思いますが、まず何といっても所得がどう確保できるかということがもう最大の問題でございます。この問題について一体どういうようなお考えを持っておられるのか、価格政策、そして所得政策の方向とか、あるいは導入などについてのお考えをまず承りたいというふうに思います。
#43
○説明員(福島啓史郎君) ウルグアイ・ラウンド農業合意の受け入れによりまして、乳製品の関税化につきましては高水準の関税相当量を設定することができたわけでございますし、また畜産振興事業団によります国家貿易あるいは価格安定機能の維持が図られたわけでございまして、当面そういう意味で国内への影響は少ないものと考えているわけでございます。
 しかしながら、内外価格差の縮小を求める消費者サイドの要請、さらには今後関税化のもとにおきまして、中長期的には国際化の進展に伴って徐々に国際市場からの影響が強まるということが考えられるわけでございまして、先ほど申しましたように、比較的関税化の影響が少ないと考えられる期間におきまして、酪農経営の体質強化、また乳業経営の体質強化、さらに生乳等の流通の合理化等を推進することによりまして生産性の向上に努めていくと同時に、先ほど出ておりました国際市場の影響を受けにくい飲用牛乳等の消費拡大に努めまして、国内の生乳生産の維持拡大を図ることによりまして総合的に酪農家の所得確保を図っていくということが重要であるというふうに考えております。
 こうしたことを踏まえまして、今後の我が国酪農、乳業の中長期的展望を示すために、酪肉法に基づきます酪肉近代化基本方針の見直しを現在やっております。本年秋口を目途に、平成十七年、二〇〇五年を目標年次とした中長期的な展望を示し、それに沿った施策を展開してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#44
○菅野久光君 その所得の関係ですけれども、農林水産省の農家経済調査と労働省の毎月勤労統計調査地方調査というのがあるんですが、そこの調査の状況を見ますと、酪農家の専従者一人当たりの所得と三業種、いわゆる建設業、製造業、運輸・通信業ですが、この三業種平均労働者一人当たりの所得との関係を見ますと、平成四年では酪農家の専従者一人当たりの所得とその三業種平均労働者一人当たりの所得は、酪農家の人はその三業種から見ると八三・五%しかないんですね。平成五年には、それが七二・一%に下がっているんですよ。
 また、酪農家一人当たりの所得を見ますと、これも平成四年には三業種平均労働者一人当たりの所得から見ますと七三・三%しかない。それが平成五年には六〇・三%、一三%も下がっているわけですよ。そういう状況の中でのことしの価格決定でもある。だから、所得をどう確保できるかということが酪農家にとって最大の課題だということについてまずしっかり認識をしておいてもらいたいというふうに思います。
 また、次はコスト低減です。このために一生懸命酪農家の人たちも努力をしておりますが、そのコスト低減を支援するために政府としてどのようなことを考えておられるのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
#45
○説明員(福島啓史郎君) 生乳生産コストでございますが、規模拡大とそれから生産経営技術の進展によります一頭当たりの乳量の増加等によりまして低下傾向で推移しておりまして、平成六年度の生産費調査では生乳一キログラム当たり七十八円三十九銭、北海道では六十七円八十八銭となっております。
 生産コストの費用合計の内訳を見ますと、飼料費が四三%、労働費が二九%を占めております。また飼料費につきましては、共同利用等によります自給飼料生産コストの低減と農場の副産物の活用等、飼料自給率の向上を図っていくというようなこと。それから労働費につきましては、安定的な飼養規模の拡大あるいは新搾乳システム、ブリーストール・ミルキングパーラーといったような新搾乳システムの導入等によります飼養管理の合理化、さらには協業や分業の展開等がございます。そのほか半群の改良なりあるいは飼料給与技術等の飼養管理技術の向上、それから記帳などによります経営管理技術の向上等に努めまして生産性の向上を図ることが重要と考えております。
 国としましては、こうした活動を支援するために草地畜産基盤整備事業あるいは自給飼料生産総合対策事業等の自給飼料対策、それから新搾乳システム定着化事業あるいは地域畜産再編対策事業等の省力化対策、また乳用種雄牛の後代検定事業あるいは乳用牛の半群検定普及定着化事業等によりまして、生産あるいは経営管理技術向上対策に努めております。
 また、ウルグアイ・ラウンド関連対策といたしまして、計画生産のもとで育成すべき経営体に生産を集中するための酪農経営体育成強化緊急対策事業や、あるいはリースによりまして経営効率化に必要な機械を緊急に整備する事業などを平成七年度から講ずることとしているわけでございます。
 さらに、御案内のように丸粒トウモロコシを単体のままで農家段階まで供給できるなどの配合飼料対策。また動物の医薬品につきましても、承認手続の簡素化あるいは合理化、さらには輸入の拡大等によります動物の医薬品、ワクチン等の規制緩和によります衛生コストの低減。さらには、畜舎等につきましても、建築基準法によります基準の検討会を開くなどしまして、資材関係につきましても生産者の努力が実を結ぶように、できるだけ低廉な形で供給されるように推進をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#46
○菅野久光君 コスト低減の問題については、もう酪農家の皆さん方も本当に真剣に取り組んでおりまして、私もそのことにかかわって、実はトラクターの車検の問題で、もう六、七年前になりましょうか、運輸省に行って、十年以上のやつも毎年、一年というやつをもう少し延ばせという話をしたんですが、当時運輸省は、今交通事故がこれだけあれしているのに車検を延ばせとか何とかということは一体何ということだということで随分言っておりました。
 そこで、私は警察庁に行きまして、それで一体トラクターが主因での交通事故というのは全国的にどのぐらいあるんだということを聞きましたら、さあ、と言うんですね。ほとんどないんじゃないですかというんです。圃場で作業をやっていて運転ミスでひっくり返って事故があるのはあるけれども、トラクターが路上を、特に農道を走っていてそれが主因での交通事故というのはほとんど統計もとってないぐらいないということなんです。そのときに警察庁で言っていたのは、いや、それはやっぱり運輸省で整備業界を抱えているからそことの関係があるんじゃないでしょうかと、こういう話なんです。私は何度か農水省の方にも整備の問題について言ったんですが、なかなか運輸省がうんと言わないということだったんですが、もう毎年毎年とにかく行きまして、やっと運輸省も検討委員会か何かつくりまして、そこでやっとことしの七月から、十年以上たったやつについては二年延ばすということになりました。
 もう一つは、農業用のトラックなんです。営業用のトラックも農業用のトラックも車検が同じなんです。毎年毎年なんです。ところが、農業用トラックというのは年間走っても三千キロから五千キロぐらいなんですね。ところが、営業用トラックというのは何十万キロも走るわけです。それも同じというのはおかしいじゃないかといったら、トラックを見分けすることは非常に難しいからできないみたいな話なんです。これだってナンバープレートの色さえきちっとやればできることなんです。
 今度の規制緩和なんかについても、そういう点もちゃんとやってもらいたいというふうに思いますし、過積載の問題なんかについても、それは四トントラックに五トンも六トンも積むのはこれはやっぱりまずいわけです。ところが、今はトラックの性能そのものが三倍なり四倍なり、ひどいのは五倍ぐらい積んでも大丈夫なような性能になっているんです。そんなに積めとは言わぬけれども、もう少し四トントラックであれば七トンだとか八トンまで積めるようなそういう形にすれば、これは国民生活の上でも随分私は変わってくるのじゃないかというふうに言っているんですが、なかなか運輸省というのは、運輸省だけじゃない、農水省もそうじゃないかと思うんですが、一たん決めたことはなかなか変えようとしないのが役所でございますから、そういったようなことなどもこれから我々はもっと運動を進めていかなきゃならぬなと、こう思っております。
 問題なのは、このようにコスト低減をして生産性を向上する、その向上した分が価格引き下げの方に持っていかれる、これはもう何回もどこでも論議されているんです。ところで、ことしの畜産物の価格の算定に当たって、そういう努力によって生産性が向上された分というのは一体何円ぐらいあるというふうに計算されているのか、お考えになっているのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
#47
○説明員(福島啓史郎君) 現在、生産費調査結果に基づきまして最終の作業をしている段階でございますので、この段階で申し上げることは差し控えたいと思います。
#48
○菅野久光君 この段階はいいんですけれども、じゃ、この段階でないときにはそれははっきりするということですね。
#49
○説明員(福島啓史郎君) 諮問の段階になりますれば、その点につきましては御説明できるようにはしたいというふうに思っております。
#50
○菅野久光君 そこで、いろんな事業をやっていても、みんなコストを低減して生産性を向上する、そのことによってより多くの収入を得て、そしてさらに事業を伸ばしていくだとかあるいは生活を豊かにする、そういうことでみんな頑張っているわけです。それが生産性を向上すればした分だけ下げられるのでは、これはやる気が起きなくなるのは当たり前のことだというふうに思うんですね。必ずしも私は全部が全部そうだとは思いませんが、どうもそういうような感じを受けてならないわけです。
 例えば労働費の問題点についても、労働時間が少なくなってきているというんですね。それも引き下げの要素になっているということなんですが、この労賃の問題について先ほど私はちょっと比較の問題でも申し上げましたが、これは毎勤統計からとっているんですが、毎勤の統計ですから毎月とっているんですが、一年分なのか、所定内なのか、それから総合的な総額なのか、その辺はいかがでしょうか。
#51
○説明員(福島啓史郎君) 飼育管理労働費につきましては、酪農の飼育管理労働が周年拘束的であるということから評価がえをしているわけでございますが、その際に、製造業五人以上労賃によります評価がえを行っております。その中には超勤等も含まれております。
#52
○菅野久光君 いや、ですから総額ということで計算をされているのか、そこのところはどうなんでしょう。総額というのは一年間のボーナスも全部入れた総額ということで計算されておるのかどうかということ。
#53
○説明員(福島啓史郎君) そうでございます。
#54
○菅野久光君 超勤も入っているということですが、例えば土曜日の午後だとか日曜日、それから祝祭日、この休日は普通の労働者は二五%以上の割り増し賃金を払わなければならない、こうなっているわけです。
 そこで、例えば日曜日だけでいえば、年間大体五十四、五日、それから祝祭日が十四日あるわけです。それから、普通学ドンと言われている土曜日、その半分とすれば二十七日、そんなようなことなども、いろいろ社会情勢なりいろんな状況を勘案してということになるわけですから、その辺も労働費の中には勘案されているというふうに考えていいんでしょうか。
#55
○説明員(福島啓史郎君) 基本的にはそういうことでございます。
#56
○菅野久光君 基本的にはですから、基本でない部分もあるのかなというふうに思いますが、酪農の人はもう本当に時間を問わず、結局子牛を産むときには夜中でもやらなきゃならぬというようなことなんです。
 そして、新政策でも言っている生涯二億五千万だとかという、そういうような目標も立っているんですが、先ほど言いましたように、農家の経済調査と毎勤統計のところの間では相当の乖離がある。こういうことですから、そういう乖離がないような形でやってもらわなければいけませんし、あとヘルパーの問題も、これも使いたくても使えないと。今の酪農家の乳価の状況では使えない、そういう声も多くあります。
 それで、みんなそれぞれ家庭を持っているわけですから、病気になったとか、あるいは急にどこかに行かなきゃならぬというような、そういう状況ができたときに、そういう農家でもやっぱりヘルパーで、生きているものですから、探らないと乳房炎やなんかにいろいろなるわけですから、そういうところに支援をするような、ヘルパーというのは普通の人件費ではできないんです。だから、何かふだん使えないような農家でもそういったときにはやっぱり支援できるような、そういう対策もしていかなければならないんじゃないかというふうに思うわけでございます。
 最後に、こういったような論議を踏まえて大臣にちょっとお伺いをしたいわけですけれども、北海道における酪農家の離脱状況、いわゆる離農する、そういったような状況を昨年の二月一日から本年の二月一日まで調査をした結果、主な点を申し上げますと、注目すべきは規模別で経営不振だとか将来への不安という理由で離農した層は三十頭から三十九頭の規模で三三%、四十頭から四十九頭規模で三八・三%、五十頭以上で三五・九%と、いずれもこれは五つの項目、どういう理由で離農したかということをやったんですが、いずれもトップといいますか、いえば収入が不安定あるいは将来の見通しが立たないということが主たる原因になっているわけでございます。
 こういった中でことしの畜産価格を決めるということでございますから、この価格決定いかんによっては雪崩を打って離農するのではないかということを心配せざるを得ないわけでございますので、今後の酪農政策なども含めて畜産審議会に臨む大臣のお考えを承りたいと思います。
#57
○国務大臣(大河原太一郎君) ただいま菅野委員のお示しになりました北海道における酪農家の離脱状況でございます。五百五十戸ぐらいの実数があるということも私も承知しておるところでございますが、その中でやはり高齢者、後継者がない離脱農家が半数だと。それから、私の記憶では、畑作とかその他肉用牛、それへの転換をなさった方が二割以上というような数字もある。それから今菅野委員がおっしゃいましたような方が、経営不安とかいう方々もおられるということでございます。
 そういうことでございまして、私どもとしては、やはりそう全体がグルーミーと申しますか、一色ではなくて、それぞれの理由があって転換なり、他の道を選ばれているんではないかというふうにも思いまして、むしろ我々としては今も事務方から申し上げましたように、減頭見合いの塔頭をやるとか、飼育管理の効率的な機械のリースをやるとか、それらによってコストの低減を図るとか、所得の確保を図るとかという方式によって酪農経営への展望を開いていただくと。
 また、しばしば申し上げているように、やはりウルグアイ・ラウンドの農業合意の受け入れをした契機でございますので、早急に目標とすべきあるべき酪農経営、これは所得なり労働時間、これらを含めた目標を地域別に設定をいたして、それに向かった効果的な施策を展開しなければ相ならぬというふうに思っておるわけでございます。
 さて、本年度の乳価等につきましても、それぞれただいままでも勘案事項なり、あるいは考慮事項というような形で委員各位からも御指摘をちょうだいしておりますので、それらを十二分に外しまして、慎重の上にも慎重に算定いたしまして、明日の畜産振興審議会の酪農部会に諮って決定いたしたい、さように思っておるところでございます。
#58
○風間昶君 平成会の風間です。
 牛乳の消費拡大について若干お伺いしたいと思いますが、ますます拡大をしていかなければならない必要性は大臣もお認めになるところだと思います。
 一つは健康面から、カルシウムの重要な供給源でもありますから、骨を強くするという観点からいっても絶対必要なわけで、これは骨が強くなっているかどうかということを調べるためのものです。(資料を示す)超音波でかかとの骨の強さを調べる。写っているのは私ですけれども、これはこれとして、こういう健診、厚生省でやっている十九歳から三十歳までの婦人の健康づくり事業にも、例えば牛乳を六十円ぐらいで出すとか、そういうことも必要ではないかと思います。大臣もう一つ、これはお母さんのクラブ活動ですけれども、ミルククラブというのがあるんですけれども、入っていますか。お母さんのだから入れないかと思ったら違うんで、男の人も入れるんですね。私も先日、年会費千円ですから入ったんですけれども、こういうのがあるんです。そういうことで健康の面から絶対消費拡大は必要だと。
 もう一点は、産業の面からも当然必要ではないかというふうに、特に北海道は明治二年に開拓使が置かれてから、農業の中でもとにかく酪農は大変な状況の中で我が国最大の食料供給基地として今まで発展してきたわけでありますけれども、それが炭鉱も含めた、あるいは鉱工業それから水産業が厳しい状況の中で、酪農も大変厳しい。米も牛乳も北海道でつくっているわけでありますから、酪農家がつぶれたらやっぱり北海道の農業の破壊につながる。これはとりもなおさず日本の食料危機になることは間違いないんです。
 そういう意味で、六年度の需給の結果から見て、牛酪でも平成七年度から三カ年の需要の見通しを立てておりましたけれども、七年度の需要の見通しについてまずお伺いしたいと思います。
#59
○説明員(福島啓史郎君) 来年度の需給見通してございますが、現在作業をしているわけでございます。
 確定的なことは申し上げられないわけでございますが、あえて申し上げますと、不足払いの対象となる特定乳製品向け生乳が、先ほど申し上げましたように、限度数量の二百三十万トンを約十万トン程度下回ると見られる状況のもとで生産の回復が依然おくれていること、また飲用向け需要が昨年の猛暑以降冬場に入りましても底がたく推移していること等を勘案しますと、牛乳・乳製品需給は本年度同様しばらくの間は逼迫基調で推移するものというふうに見通しているわけでございます。
#60
○風間昶君 そこで、牛乳の消費拡大の話にまた戻っちゃいますけれども、僕は飲用量をふやすか、濃度を高くするかもあると思うんですけれども、濃度を高くするということはなかなか、高濃度の牛乳ということになるとまた脂肪の部分でちょっと健康の問題と絡んできますので、むしろ飲用量を多くするというふうなことがより現実的で大事なことではないかというふうに思っているわけです。
 例えばビールなんかは、アサヒのスーパードライとかキリンの一番搾りだとか、サッポロは限定販売ですけれどもクラシックだとか、あるいはサントリーは氷点貯蔵とかありますけれども、牛乳についてはテレビでもちょこっとやっていますよね、牛一頭が出てくるやつ。とても太刀打ちできない、ビールに比べたら。
 事実、六十年から平成六年までのビールの年間の消費量を調べてみました。やっぱり宣伝のかいがあるんでしょうか、年間消費量は、六十年が四百七十八万キロリットルが平成六年は七百十三万キロリットル、伸び率にして五丁六%。ところが牛乳の場合は、計算しましたら七百二十一万トンから八百三十一万トン、伸び率一五%。伸び率にしてもう三倍以上の開きがあるわけですけれども、同じ健康志向ブームの中でなぜこんなに差があるのか。もちろん、飲む年齢とかあるいは世代間のあれがありますけれども、PRをどうやって実効あるものにしていくかということが本当に大事なことになるんじゃないかと思うんですね。
 団体とメーカーさんが二年間、五十億円拠出してキャンペーンすると出ておりました。乳価を二年間据え置くと同じように、政府においてもプロジェクトをつくって、それで大々的に消費拡大運動を指導すべきだというふうに考えますけれども、どうですか。
#61
○国務大臣(大河原太一郎君) 確かに飲用牛乳の需要の拡大というのはウルグアイ・ラウンドの乳製品への影響その他全体を考えても非常に大事なことだと思いますし、健康の問題、栄養あるいはカルシウム、そういうような点からいっても非常に重要な問題であることは委員御指摘のとおりでございます。
 これについては生産者、メーカーあるいは販売店等々、関係団体を構成員とする全国牛乳普及協会というようなものもできておりまして、公の支援もやっておるわけでございますが、率直に申し上げますとややマンネリ化しておるという感じを、印象を私どもは受けるわけでございます。
 したがって、この際さらに踏み込んで、いかなる効果的な消費拡大対策を講ずるかという点については我々としても真剣に考える段階にある、さように思っております。
#62
○風間昶君 ぜひ投資をしていただきたいと思います。そうしないと本当に投げてしまって、土の中にまたいってしまうわけですよね、牛乳が、植物にとったはいいかもしれないけれども。私はむだをなくすべきだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、保証価格の政策についてですけれども、先ほどもお話しありましたけれども、昨年措置されたラウンド対策費としての経営合理化対策のプラスキロ二円、単年度限りというふうに矮小化されていると私は思っているんです。まさにラウンドの開始初年に当たって単年度に限るというのはどういうことかなというふうに思うわけです。当時、確かに旧連立与党の我々が関与しまして最低三年間の継続措置としてプラス二円を認めたと私は思っているわけですけれども、どだいキロ二円の単年度だけでは経営合理化なんという目標は到底達成できるはずがないと思うんですね。
 この点についてどうですかというのと、もう一点、プラス一円の冷夏に伴う緩和策、これについても、私は例えば酪農復興対策事業費なんというぐらいの提案をしたいと思うんですけれども、キロ一円を措置すべきではないかというふうに思うわけです。六兆百億のウルグアイ・ラウンド対策費の中からこの酪農復興対策事業費を捻出すべきだと思いますけれども、どうですか、大臣。
#63
○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
 先ほども御質問がございましたのでお答え申し上げましたように、保証価格自体は従来ルールに基づいて算定をいたしたいということでございますけれども、いわゆる横積み費用といいますか横積み経費といいますか、あるいは三円対策という言葉もあるようでございますが、これらについては、過去の例を見ましても、平成四年、五年、それぞれそのときの酪農経営の実態に即して単年度でこれを措置したということがあるわけでございまして、昨年は冷害による牧草のいろいろな負担があった、あるいは昨年暮れのウルグアイ・ラウンド国内対策がまだ固まらない三月でございまして、その意味で、しかしもう受け入れが決まったということで、乳製品の関税化も決まったということで、それに対して酪農家に合理化努力をお願いするということで二円を措置したわけでございます。
 ガット・ウルグアイ・ラウンドの国内対策においても、委員十分御案内のとおり、牛乳生産の大宗約六割はこの効率的な、伸びようとする意欲のある経営に対して集中努力をするということで、減顔見合いの塔頭、これに対して支援をいたす、あるいはコスト低減のための中間管理の機械等に対して、ミルキングパーラーだとか自動給餌機だとかいろいろございますが、これらの機械に対してリース事業を通じて生産者の負担のないような形で積極的に効率化のために負担をいたすとか、それぞれ国内対策として措置をしたところでございます。
 したがって、本年度はこの問題についてはまさに白紙で考えなければ相ならぬというふうに私どもは思っておるところでございます。
#64
○風間昶君 私の言う酪農復興対策事業費、これが来年度予算の目に入っていなかったら私は予算案に反対しますからね。そのくらいの決意でおりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、ヘルパー事業についてですけれども、ヘルパーの要員は、北海道から取り寄せた資料によりますと、専任が昨年の八月現在で二百二十三人、臨時の方が五百三十六人、酪農ヘルパー加入農家も六千五百十七戸を数えまして、酪農家全戸数一万一千四百六十二戸あるわけですから加入率も五六・九%と全国に比べて高いわけです。
 それにしても、昨日農水省さんからいただいた酪農ヘルパー利用組合加入戸数及び加入率のデータ、平成六年八月現在。北海道も平成六年八月現在。政府の掌握データでは、同じ六年八月現在で北海道の酪農家全戸数が一万二千六百戸になっているんです。ところが、ちゃんと道の方は一万一千四百六十二戸と、同じ日付現在で、つまり一千百三十八戸の酪農家はもう既に離脱しているわけですよ。そういうことからしても政府の実態把握は甘いんじゃないかということを一言指摘しておきたいと思います。政府は一万二千六百戸、道の掌握は一万一千四百六十二戸、同じ平成六年の八月現在で。これはおかしいと思うので一言言っておきたいと思います。
 いずれにしても、このヘルパー事業について農水省の方でも大変頑張っていらっしゃると思いますが、昨年十二月七日のWTO特別委員会で大臣が、六兆百億のうちの七千億の中から、ウルグアイ・ラウンド対策費のその中から、中山間地域に重点融資をしていくという発言があったと思います、私が質問したんですから。明確に大臣がそういうふうに答弁されておりますけれども、経営基盤の強化という観点からだけじゃなくて、経営者でもあり労働者でもあるわけですから、労働者としての酪農家を育てるために、労働条件の緩和にも私はウルグアイ・ラウンド対策費の導入を考えるべきだというふうに思っているんです。どうですか、一言。これで、聞いて質問を終わります。
#65
○国務大臣(大河原太一郎君) 中山間地帯における農業者等に対する各般の支援の方式としては今後についても検討を続けていきたい、さように思っておるところでございます。
#66
○都築譲君 連日御苦労さまでございます。
 私は、きょうは食肉関係について御質問したい、こう思っておったんですが、既に前の委員から論点などを指摘されたところもございますので、通告を申し上げたのとは少し違うかもしれませんが、少し詳しく細かい点をちょっとお聞きしたいな、こう思います。
 まず一点は、需給調整の関係でございますが、今回ウルグアイ・ラウンド合意で、牛肉について暫定税率として二〇〇〇年には三八・五%に引き下げられることになるわけですが、緊急調整措置が設けられて五〇%に関税率を戻すことができることとされた、こういうことでございまして、先ほど福島審議官から具体的な発動の手順なり水準等そういったものについてお話があったわけでございます。
 それで、ちょっとお聞きをしたいんですが、特に牛肉の需給の推移でございますけれども、ここに農林水産省の食料需給表あるいは食肉流通統計、そういったものからとった国内生産量、輸入量、こういったものの昭和六十三年から平成五年度までの数値があるわけでございます。平成三年の四月から日米合意によって自由化がスタートしたわけでございますけれども、平成三年度には輸入量は一四・九%対前年比減少と、こういう形になっておる。ところが、四年、五年度、これについては二九・五%あるいは三三・九%ということで非常に大きな伸びを示したわけでございます。
 それで、お聞きをしたいのは、こういうふうに、平成三年自由化された途端になぜこんなに減少して、四年、五年度には三〇%前後で伸びたのか、そこら辺の理由なりはどういうふうに分析をされておられるのか。
 それから、日米合意に基づくセーフガードがあったわけでございますけれども、それについては結局発動はされなかった。今回のウルグアイ・ラウンドの対前年比あるいは対前年同期比の増加が一一七%、こういうことで設定をされておるわけでございますけれども、それよりももっと厳しい水準であったと、こういうふうなお話も聞いておるわけでございますけれども、その理由なりあるいは発動の基準、こういったものをちょっとお聞かせいただければと思います。
#67
○説明員(福島啓史郎君) 平成三年に輸入量が減少いたしました理由は、その間、平成二年までの間に日米交渉によりまして輸入枠を拡大してまいったわけでございます。ところが、それがいわば在庫増となってたまっていたわけでございまして、平成三年度輸入量が減りましたのは在庫の取り崩しということでございます。したがいまして、その在庫がなくなった段階では輸入が急増したと、もちろん自由化後でございますが、そういうことでございます。
 それから、今回の緊急調整措置と従来の日米あるいは日豪合意によります緊急調整措置との一番大きな違いは、要するに発動の時点、日米・日蒙合意に基づきますトリガー水準がいわば高い水準でございまして、現在時点ではたしか六十数万トンまで行かないと発動できないという水準じゃなかったかというふうに記憶しております。それを今回のウルグアイ・ラウンドの合意におきましては、四半期ごとに一一七%ということで設定したわけでございまして、それもフローズンとチルドに区分けしたわけでございまして、最近チルドの輸入急増が問題になっているわけでございまして、そういう面でも働きやすくなったというふうに考えているところでございます。
#68
○都築譲君 それで、もう一つ今回の緊急調整措置についてお尋ねを申し上げたいのは、前年同期比の一一七%を超える場合ということで、初年度、第一年度でございますけれども、前年度をゼロ年度と、こういうふうにしますと、第一年度の第一・四半期に、それでは一一七%を超える、例えば一二〇%というふうな状況になれば、統計の関係がございますから、超えたか超えないかというのは一カ月とか二カ月ぐらいおくれるわけだろうと思うわけですが、恐らくそれから当該年度の残存期間は五〇%と、こういうことになるわけですね。ところが、問題は、じゃ翌年度はどうなるのか、こういう話もまたあるわけですね。そうすると、翌年度というのは今度、第一・四半期が既に一二〇%に行っている、それをさらに一一七%を超えなきゃいかぬ、こういうことになれば、非常に高い水準に実はなってくるだろうと思うんですね。
 だから、確かに急増による需給調整あるいは価格の安定機能を維持するという観点からはそういうものが必要であるということはわかるんですけれども、実際に本当に先ほどおっしゃられたような形で機能し得るのかどうか。急増するということが実際に起こらなければ、いや問題ないんだ、一二〇%の水準でずっといく、国民の食生活が変化してそういう水準になるんだということであればそうだろうと思いますが、これは、しかし日本の畜産農家にとっては大変厳しい事態を次年度以降はまた強いられていくことになるんじゃないかなと、こういうふうに思うわけですが、その点についていかがでございますか。
#69
○説明員(福島啓史郎君) 今、先生御説明ありましたように、第一・四半期で二七%を超えますと、第二、第三、第四と五〇%に戻るわけでございます。それからまた、第一と第二を合わせまして二七%になりますと、第三と第四ということであります。また、第一から第三まで足しまして一一七になれば、第四が五〇になります。それで、今度は、通年足しまして、第一から第四まで足しまして一一七というふうになりますと、その翌年の第一・四半期が五〇になるわけでございます。
#70
○都築譲君 それで、その翌年のだからまた第一・四半期の水準が高いわけですからね。そうすると、その年度はもうそれでだからずっとその水準でいってしまうわけだと、こういうことになるわけで、大変厳しいんじゃないかな、こう思うわけですが、発動できないじゃないかと。
#71
○説明員(福島啓史郎君) いずれにしましても発動した後の段階だと思いますが、これは緊急調整措置でございますから、やっぱりそれは前年の同一期間が一一七を超えるか超えないかということで判断せざるを得ないところでございます。
#72
○都築譲君 いずれにしても、緊急調整措置という緊急事態に対応することになるだろうと思うんですが、考えられるのは、本当に残りの残存期間とかあるいは翌年度分と、こういうことだけでなくて、実際に畜産農家の方で本当にそれ以後の状況というものが一二〇%の水準で維持されていくということであればまたもとの水準に戻る。だから低減すればそれはいいのかもしれませんけれども、もとの一二〇%の水準でいってしまうということになれば、わずか六カ月とかあるいはそういう期間でその水準に見合った安定した価格で牛肉を提供できるような生産性の向上が本当に図れるのかとか、そういった問題があるだろうと思うんです。だから、それはまだその時点で、いずれ本当に、先ほど風間委員が酪農緊急復興対策とかそんな議論をされておられましたけれども、またそういったものも必要になってくるのかなという点を申し上げておきたいと思います。
 それからこの関係で、実は日本人の食生活が大変豊かに、また多様化をしてきておるわけでございます。そんな中で、諸外国と比べたら本当にどうなんだろうか。もともと米食の伝統があったわけでございますけれども、OECDのフード・コンサンプジョン・スタディステイタスとか農水省の食料需給表などからつくられた資料が、きょうお配りいただいた食肉関係資料の百八、百九ページにあるわけです。
 例えば日本では肉類について四十一・一キロ、これは一九九二年ですが、それから魚介類が六十六・四キロということですから、動物性たんぱく、卵はありますけれどもちょっとこれは別にしまして、そうすると百七・五キロ消費をしている。その他の国はどうかというと、例えばアメリカは肉類を百二十・三キロ、それから魚介類が八・二キロということですから、合計すると百二十八・五。フランスの場合は、肉が百九・四キロ、それから魚介類が二十一・七ですから、百三十一キロ。それから西ドイツの場合は肉類百四キロ、それから魚介類が八・三キロで、百十二・三キロ。こんな水準ですから、大体百十キロから百二、三十キロ、こんなのが肉類、魚介類を合わせたトータルのあれだろうと。
 それで、日本の場合も相当魚介類から肉類の方へシフトしてきているというふうな気がするわけでございます。ただ、肉類の中でもこれはまた牛肉だけでなくて豚肉とかかしわ肉とかそんなたぐいがあるわけでございますから、これだけ豊かになってくるとまたおいしい牛肉がと、こういうふうな形で牛肉の方にシフトしていくのかな、こういうふうに思うわけです。
 今後、本当に牛肉について先ほど申し上げましたような需給の推移で、例えば輸入量が本当に対前年度比で二九・五、三三・九でこのままずっと伸びるのかと、こう思っておったら、きのうの日経新聞に「九四年度三・五%増に」ということで「牛肉輸入量伸び一服」、こんな話になったわけでございます。だから、今後本当にこれからの輸入量についてどういう見通しを持っておられるのか。これはもう本当に国民の皆さんの食生活が左右される話でございますし、また高級志向がどこまでいくのかというのもこれまた所得と関係する話ですからなかなか難しいんだろうと思うんですが、そこら辺について。
 例えば農水省の方では、農政審議会で農産物の需要と生産の長期見通しの改定作業をやっておられるとか、あるいは畜産振興審議会で酪農及び肉用牛生産の近代化による基本方針の改定作業をそれぞれ行っておられる、こんなお話でございますから、今後の国内需給それから特に輸入量、こういったものをどのように想定されておられるのか、その辺についてちょっと御見解をお聞きしたいと思います。
#73
○説明員(福島啓史郎君) 先生の御発言の中でありましたように、現在審議会等におきまして調査審議をお願いしているところでございます。
 それで、あえて現時点での考え方を牛肉について申し上げれば、需要につきましては引き続き増大するだろうというふうに見ております。ただ、その伸び率につきましては、従来に比べれば鈍化するのではないか。しかし、所得弾性値及び価格弾性値、両方とも食品の中では非常に高い部類に入るというふうに見ております。また、生産につきましては、生産性の向上に努めつつ国土資源を有効に活用して、可能な限り国内生産の拡大を図ることを基本として考えていきたいというふうに思っております。
 輸入自由化後、輸入が急増する中で国内生産は若干ながら微増ということでございまして、それをさらに増大を図るべく基本とした施策の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
 一方、輸入につきましては、したがいましてこれまでのように急激に増大する可能性は少ないというふうに見ているところでございます。
#74
○都築譲君 もう時間もありませんので、最後の質問を大臣に申し上げたいと思うわけでございます。
 今、審議官から御説明がありましたような、これからの国内需給あるいは国内生産あるいは輸入量、こういったものを基本的にはお考えになっている、こういうことでございますけれども、食卓の高級化というかそんな中で、特に九四年度その伸びが一服したというのは、国産肉のよさを消費者が理解をしているというような議論もあるわけで、和牛のおいしい肉をできたら食べたい、こういうところはやっぱりあるだろう、こういうふうに思うわけでございます。
 ただ、私自身畜産農家の友人から聞いた話ですけれども、本当に御苦労しているというか、生産技術の改善向上、生産性の向上、コストの低減、こういったところに非常に取り組んでおる。例えば私が聞いたのは、乳牛五十頭それから肉牛五十頭ぐらいやっている、こういうことですけれども、乳牛の乳を出させるために妊娠をさせなきゃいかぬということで、実は和牛の受精卵を人工授精させて、そして妊娠をさせてお乳をとる、片や生まれてくる子供は和牛ということで高く売れるという、本当にもう私など、バイオテクノロジーの最先端を行っているんだなと、こういうことで大変感心をしたわけでございまして、そういった農家の努力、こういったものをもっと本当に支えていただくようなことをお願いしたいなと思います。
 それからもう一つ心配は、そういった日本では和牛があるからまだ国産農家がしっかりと維持できるという面もあるのかなと。例えば、同じ輸入肉でも本当に和牛並みのもっといい品質のものをあの大規模経営でやられてしまったら、一発で終わってしまうのではないか。だから、この点についてはまたいずれもう少し私も勉強してお考えを聞かせていただきたいと思いますけれども、そんな環境の中で、本当にこれから畜産業、畜産農家、こういった方たちに対して基本的にどういう位置づけを農業の中でされて、そしてどういうふうに維持されていこうとされるのか、その点についてお考えをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#75
○国務大臣(大河原太一郎君) 食肉部門、肉用牛部門だけに限らず我が国の畜産は、先ほども申し上げましたように、農業粗生産額の二五%を占めておる、そしてまた中山間地帯でその半分が営まれておるということと、先ほどもお話がございましたように、動物性たんぱくの六割を供給しているというようなことから考えますと、何としても国民の食生活の上からもあるいは農業の基幹的な部門としてもこれをバックアップをして育成していかなきゃならないというのが基本的な問題で、食料自給率の低下の歯どめという場合にも、畜産業の問題は最大の一つの課題であるというふうに考えております。
 いろいろ御指摘になった先行きの問題等についても、確かに懸念されるようなことが相当ございます。例えば肉専用種などについての繁殖農家の、子取り農家の規模はなかなか拡大しないというようなこととか、肉専用種の肥育農家の規模も相当拡大しているけれどもまだまだだというようなことなど諸般の情勢を考えると、それらについての適切な対策をやはり強力に進めなければ相ならぬ、さように思っておるところでございます。
#76
○都築譲君 ありがとうございました。
#77
○星川保松君 私どものような戦前に子供の時代を過ごした者にとっては、食事としてはいわゆる御飯と魚の時代でありまして、東北地方では白い御飯に赤い魚ということで育ってきたわけでありますけれども、戦後になっていわゆるパンと牛乳の時代になってまいり、最近ではもうハンバーグだのステーキだのしゃぶしゃぶだのということで、大変畜産物の消費がふえてきておるようでございます。
 それは大変結構なことでありまして、畜産物の消費がふえるということは、畜産農家にとっては大変これは夢のあることなんですね。ですから、農業の部門では、例えば米のようなのはだんだん消費が少なくなってきておりますので、どうも水田農家は先行き非常に不安なわけでございます。ところが牛肉の場合などは、確かに消費量がふえております。ふえるときは一〇%を超えるようなふえ方でございます。こういうふうにふえていくとすれば、畜産農家にとっては大変これはありがたいことであるわけですけれども、そうはいかないわけです。いわゆる国内の農家の生産量というのはむしろ足踏みか減っていくというような状況なんですね。それで、消費量としてふえていく分については結局輸入の方がふえていくということなわけです。だから、畜産農家にとっては何かトンビに油揚げをさらわれるような状況が今続いていっているわけです。
 こんなことで、牛肉の場合はオーストラリアとアメリカから入ってきておるようでありますが、聞くところによりますと、オーストラリアもアメリカも日本向けの牛肉を出すために、前のようないわゆる安上がりの放牧であとは短期間少し濃厚飼料を食わせて出すというようなわけにもいかなくなって、かなり濃厚飼料での肥育をやらなければならないというような状況になっているそうですね。
 そういうことになってまいりますと、日本の畜産農家の経営とだんだん似てくるんじゃないかと思うんですよ。そういうことになってきますと、やはりこの内外価格差といいますか、そういうものも縮まってくるんじゃないかと思うんです。日本の農家の皆さんも一生懸命コスト低減ということには取り組んでおるのでありますけれども、農家個々の努力ではもう限界に達しているという面がいっぱいあるわけなんですね。ですから、そういうところにやはり国策としてどういう手を尽くしていくかというのが今日の最大の私は畜産行政のいわゆる焦点じゃないかと、こう思うわけです。
 そういうことからして、消費量が伸びていく、国内生産量は伸びない、その間を埋めていくのは輸入だというようなことをいかにして食いとめ、打開していくかということを考えていらっしゃるか、ここからまずお聞きしたいと思います。
#78
○説明員(福島啓史郎君) 畜産物の需給動向でございますけれども、先生の御説明ありましたように、牛肉は安定的に増大をしまして、かつ国内生産は若干ながら増加傾向と。しかし、需要の増大の方が大きいものでございますから、輸入が増大しておるということでございます。
 また、豚肉、鶏肉につきましては、消費はほぼ横ばいでございますけれども、生産が減っておりますので輸入がふえておるということでございます。
 また、牛乳・乳製品につきましては、気候なりあるいは景気による変動を伴いながら、国内生産、需要とも増大している状況でございます。
 また、鶏卵につきましては微増傾向で生産、消費とも増大しておるわけでございます。
#79
○星川保松君 先に牛肉からやってくれよ、牛肉から。
#80
○説明員(福島啓史郎君) それで、牛肉でございますが、基本的に牛肉につきましては、自由化後国内生産を維持するために、子牛段階にその影響は一番及ぶわけでございますので、子牛段階におきます不足払い制度を行っておるわけでございます。かつ、その肥育につきましては、同時に緊急対策ということで、枝肉価格の低落によります収益性が低下した場合に補てんをする緊急対策を実施しているわけでございます。
 そういうことによって、国内生産は若干ながら増加傾向で推移しておるということでございます。
 また、豚肉につきましては……
#81
○星川保松君 牛肉から順次聞いていくんですからいいです。
 それで、牛肉が入ってきているのはアメリカとオーストラリアですから、そのアメリカとオーストラリアの輸入肉に対抗するのに牛肉の場合はどういう手を打っていくかということです、まず。
#82
○説明員(福島啓史郎君) 対応としましては、生産性を向上してコストを下げていくという方式と、それから品質格差を引き続き保って高品質な牛肉を供給していくという、基本的にはこの二つの方向にあるだろうというふうに思うわけでございます。
 そのために、特に和牛につきましては、繁殖段階の生産拡大が重要になるわけでございますので、先ほどの受精卵移植等を含めまして、繁殖資源の拡大を図っているところでございます。
 また、乳用種につきましては、多頭飼育によりましてコストダウンが図られるような形で、技術的な開発も含めまして畜産総合対策等によりましてコストダウンを支援しているところでございます。
#83
○星川保松君 あなたがそういう対策をやって、それで消費が伸びていく、国内生産は足踏み状態だと。その間隙をみんな外国からの輸入でとられてしまうということを本当にとめられるならいいんですよ。何とか私はとめるだけの強力な施策を打ち出してもらいたい、こういうことを言っているんですからね。来年、再来年どうなるか。
#84
○説明員(福島啓史郎君) 緊急的な輸入急増に対しましては、先ほど御説明申し上げました緊急調整措置によりまして、四半期ごとに一一七%以上ふえた場合にはそこで関税率を引き上げるという措置が今回のウルグアイ・ラウンド交渉によりまして獲得できましたので、その適切な運用を図っていくということではないかというふうに思うわけでございます。
 それで、我が国の肉用牛生産につきましてもできるだけコストを下げていく必要があるわけでございまして、そのコストの大部分は素畜費とえさ代になるわけでございます。それで、その素畜費につきましては、先ほど申し上げましたが、繁殖段階の規模拡大によりましてそのコスト、価格を下げていくということ、また、不足払い制度もそれに寄与するところがあるわけでございます。
 また、えさ代につきましては、基本的にはシカゴ相場とフレートと、それから国内での加工費になるわけでございますけれども、その中で、円高の効果をできるだけ生産者に還元できるような施策が重要になるわけでございます。
 特に、平成七年度から単体トウモロコシにつきまして丸粒のまま農家段階まで供給すると。そうしますと、農家段階で自家配をできる農家につきまして、あるいは共同で自家配をする農家にとりましては非常なメリットがあるわけでございまして、そうした規制緩和といいますか、資材関係につきましても対応していかなければならない課題だというふうに考えておるところでございます。
#85
○星川保松君 次に、豚肉ですね。これは肉類では豚肉が一番消費量が多いわけでありますけれども、この豚肉についても国内の生産量がだんだん減っていって、輸入量がかなりふえてきておるというような状況にあるわけです。
 豚の場合は年とも違って豚は放牧なんかしませんから、屋内飼育でしょうから、条件としては日本だって養豚の場合はそう諸外国に比べて決して劣った生産状況ではないと思うんですね。
 さらに、その中で養豚農家の二戸当たりの飼養頭数もこの五年間ぐらいで二戸当たり二百頭から四百八十頭ぐらいですか、倍以上になっているわけですよ。だから、いわゆる零細経営と言われた時代から脱却してかなり経営規模も大きくなっておりますので、そういうことからするとこれはもう諸外国に引けをとらない経営ができてしかるべきではないかと、こう思うんですが、この点についてはどうお考えですか。
#86
○説明員(福島啓史郎君) 我が国と諸外国との豚肉生産コストの比較でございますが、いろんな統計上の制約がございます。また為替レートの関係もございまして、比較することは困難な面があるわけでございますが、概略言えば、台湾及びデンマークとは二倍弱程度の差があるわけでございます。また、アメリカとの対比では三倍弱の差があるわけでございます。
 それはどういうところからきているかといいますと、台湾との比較でいいますと、素畜費なりあるいは労働費が低廉であるというようなこと、また温暖な地域でございますから温度管理経費等が安く済むというようなこと、また食文化の違いから内臓等の副生物価格が非常に高いということなどが考えられるわけでございます。
 しかしながら、最近、台湾におきましても急激な人件費の上昇なり、あるいは畜産環境問題というものが顕在化しておるということでございまして、これからは費用のコストアップ要因を抱えているということではないかというふうに思うわけでございます。
 それから、アメリカとデンマークにつきましては、ここは労働費の問題とそれから自分の農場で生産した穀物を利用しているといったような、飼料費が低廉であるということが挙げられるわけでございます。
 そうしたことから、我が国はアメリカと三倍弱、それから台湾とは一・五倍の差があるわけでございますが、そうしたことから、豚肉につきましては価格安定制度の中で調整保管等によりまして価格を安定させていくこと、また差額関税制度によりましてこれを適切に運営していくこと、さらに国産豚肉のいわば品質を保っていくということから優良種豚の改良増殖なり優良種豚の導入等を促進する、また一番重要な問題であります家畜ふん尿対策につきましては補助、融資、リース等の諸対策を進めているところでございます。
#87
○星川保松君 これは、台湾の場合はやっぱり労賃が安いでしょうし、いろんなあれが安いと思うんですよ。コストも安い。だから台湾との比較というのはやっぱりちょっと無理だと思うんですね。それから、アメリカとの比較というのは、これはやっぱり飼料の関係からいって無理かもしれません。
 ところが、デンマークから十一万トンほど入っているんですね。デンマーク、あんな地球の裏側のようなところから日本へ持ってきて、それで引き合うというのは、これは不思議なことなんですね。私はデンマークに行ってデンマークの豚小屋を見せてもらったことがあります。日本と大して変わりないです、あっちも。残飯のフランスパンの長いやつがごろごろと飼料箱に入っていたりしておったんですが。国情としても日本とそう変わりはないわけです。そんな変わりのないところで日本まで持ってきて引き合うような生産ができるというのは、これはやっぱり調べてみる必要があると思うんですがね。それ調べたことありますか。
#88
○説明員(福島啓史郎君) 先ほど申し上げましたように、大まかに言えば、日本が一頭三万円、コストを三万円としますれば、台湾とデンマークは約二万円、それからアメリカが一万円という差があるわけでございます。
 それで、デンマークについて、なぜそういう価格で供給できるかということでございますが、主な点といたしましては労働費、それから飼料費につきまして、日本はアメリカからトウモロコシを運んできているわけでございますが、デンマークの場合には、自家農場での農場残滓も含めまして、自家農場でつくったものを主として飼料として供給しているということで、飼料費が安くついているということではないかというふうに考えております。
#89
○星川保松君 ですから、デンマークでできることを日本でできないはずがないという私は気がするんですよ。だから、そういう点もよく調べて、日本の養豚もいろいろ改良していくべきだと、こう思っていますから、ひとつよく調べてみてくれませんか。
 次に、酪農の方でありますが、酪農の方は、一戸当たりの飼育頭数が全国平均で三十頭、四十頭という数字もありますけれども、これはもうEUの水準を超したんですね。だから、今までは日本の酪農というのは、やはり飼育頭数が少ないからだ、零細経営だからというようなことを言われてきたんですが、もうそうでなくなってきているわけなんです。ただ、二戸当たりの頭数がふえたのには、いわゆる引き合わないといって小さな飼育農家がやめていったということのために平均が多くなったということだろうと思うんで、これは余り好ましい原因で大きくなったのでないところに問題はありますけれども。
 それからもう一つは、一頭当たりの乳量、これが大変伸びてきたんですね。全国平均で六千七百キロで、北海道だけですと七千キロを超えているんです。こうなりますと、もうアメリカを抜く水準なわけですよ。ですから、オーストラリアとかそんなところはぐんと引き離して、アメリカの水準まで達したというのは私は大したものだと思うんです、これは。こういう高水準の乳量を維持することができるようになったという、このすぐれた能力というのはどこから出てきたと分析していらっしゃるか、それをお聞かせ願いたい。
#90
○説明員(福島啓史郎君) 我が国と諸外国の生乳生産コストの比較は、これもいろんな統計上の……
#91
○星川保松君 コストじゃなくて、乳量の話。
#92
○説明員(福島啓史郎君) 乳量でございますか。乳量につきましては、今先生御説明ありましたように、一頭当たり七千キロ程度に達しているわけでございます。したがいまして、EU諸国なり豪州に比べてもかなり高い水準にあるわけでございまして、米国とほぼ同水準という高い水準でございます。
 これらにつきましては、やはり育種面での遺伝的な能力のすぐれた種雄牛を選抜して、それでもって後代検定事業等によりまして泌乳能力の高い牛を創出し、それをいわば農家段階まで普及していったということが基本ではないかというように考えております。
#93
○星川保松君 乳量をとってみれば、日本の酪農だってこれだけやれるんだという可能性をはっきり私はここで発揮したというところを、そこをやっぱりつかまえていかなくちゃいけないと思うんです。ですから、畜産、酪農なんというのはもう諸外国にはかなわないんだと頭からあきらめたような態度をとっちゃいけないと、こう思うんですね。
 ただ、この場合は果たして農家の努力がどのくらいで、行政の努力がどのくらいか私存じませんけれども、どっちが多いのかわかりませんけれども、まあ両方あったと、こういうふうに考えましても、これは努力すればこういうことができるんだということ、非常に夢のある数字だと思うんですね、これは。
 ただ、いわゆる乳量は大変高くなったんですけれども、各国との生乳生産コストを見ますと、これはまだまだ大変な差があるんです。日本の場合は費用合計が七十九円二十一銭で、英国の場合なんか二十七円六十五銭、米国が三十一円なんですね。これが合計で、その内訳を見ますと、購入飼料費というところが、これがまた日本が二十四円で、英国が六円ぐらいで、豪州なんか二円九十一銭なんというような状況です。
 これはいいとして、この労働費の面で日本が二十五円。ところが、イギリスが六円、米国が六円、豪州は六円台なんですね、これ。労働費で何でこんな差が出てくるんでしょうか。これだけ聞いて終わります。
#94
○説明員(福島啓史郎君) 飼料の制約があるわけでございますが、一つは放牧等を利用しているということ。それから、先ほど御説明しました新搾乳システムといいますか、フリーストール・ミルキングパーラーが基本になっているというようなこと。さらに言えば、労賃がいわば為替レートによりまして日本に比べて安いというようなこと、そういった要因が複合しているんではないかというふうに考えております。
#95
○林紀子君 私は、二月十七日の当委員会で、WTO農業協定でのAMS二〇%削減につきまして、加工原料乳の不足払い制度、これは黄色の政策だから削減を求められるのではないかとお聞きいたしました。そうしましたら、高木畜産局長も東経済局長も、今回のAMSというのは個別産品で考えるのではない、六年間での二〇%削減ということは、我が国はそれを既にクリアしている、だから、この六年間どうということはないというふうにお二人とも口をそろえておっしゃったわけなんです。
 ところが、きょうはちょうど福島審議官に来ていただいておりますので、じかにお伺いできるんですが、一月の九日に札幌で講演をなさったということで、その中で、WTO協定の批准に伴って二〇〇〇年までにAMSで二〇%削減される、これを加工原料乳に単純に当てはめると十二年後の二〇〇六年の乳価は六十円になる、こういうふうにおっしゃったということなんですね。
 そうしますと、現行七十五円七十五銭、毎年平均して一円三十残余り引き下げられていく、こういうふうに理解せざるを得ないわけですが、これはどういう真意で御発言をなさったのかというのをお聞きしたいと思います。
#96
○説明員(福島啓史郎君) 先生御発言のとおり、不足払い制度のもとにおきます我が国のトータルAMSにつきましては、既にクリアしているということはそのとおりでございます。
 それで、私が申し上げましたのは、ウルグアイ・ラウンド合意におきまして二〇〇一年以降の取り扱いにつきましてはWTO協定に基づきました実施期間の終了一年前から改革のプロセスを継続するための交渉が開始されることになっているわけでございます。これは協定上明らかな条文があるわけでございます。
 したがいまして、次回の交渉の結果につきましては、これはもちろん現段階では予断できるものではありませんけれども、仮のいわば話といたしまして、現行のAMSの削減規律が継続すると仮定した場合に、さまざまな前提を置いた上で各種ケースについて試算を行って、その試算の一つをあくまでこういうケースになればこうなりますということを参考として紹介する意味で発言したわけでございます。もちろん、今の段階はクリアしていることはもう明らかでございますから、この次の段階のためのいろんな試算の中の一つとして、いろんな前提を置いてお示ししたわけでございます。
 ということでございまして、別にそれを示したからそれに沿ってやらなければならないということを考えているわけではないわけでございまして、もちろん、保証価格につきましては毎年度法律の定めるところによって定めるものでございまして、要するに生乳の生産条件、需給事情その他の経済事情を考慮しまして加工原料乳地域の生乳の再生産を確保するということを旨として決定されるものであります。
#97
○林紀子君 しかし、生産者の方たちの受け取り方はそうじゃないわけですね。審議官がそういう発言をなさったということで、もうすぐ今回の保証価格に影響するんだと、こういうふうに受け取っているわけですから、本当にそういう軽々な発言といいますか、公式には、国会では大丈夫だ大丈夫だと言いながら、生産者のところに行ったら大変だ大変だという、もうWTO協定へすぐさま影響するというような発言をされるということは大変責任が大きいということも申し上げておきたいと思うわけです。
 そして大臣は、やはりこの十七日の委員会で、価格安定制度というのは農政の基本的制度であり、軽々な意見に対しましては我々は承服いたしかねると、本当に大変厳しい態度で胸を張っておっしゃったと思うわけですね。ですから、これがもし本当にうそではないということでありましたら、今回の加工原料乳の保証価格は引き上げるべきだし、それから限度数量も引き上げるべきだというふうに思うわけなんですね。
 農水省からいただきました資料によりましても、北海道では搾乳牛一頭当たりの所得は二・三%、五千十九円減少して、全算入生産費というのも○・七%上昇している。これだったら、もう引き上げなくちゃいけないということになっているわけなのに、農水省は飼料や労賃などの評価がえで引き下げようとしているんだと、こういう報道もあるわけですけれども、そういうことは絶対許せないと思うんです。
 生産者が将来にわたって意欲と展望を持って酪農に取り組めるように、現在ではもうぎりぎりのところまで来ている酪農家の願いにこたえるためにこの保証価格を引き上げる、限度数量を引き上げる、そのことについてぜひ御決意をお伺いしたいと思いますが、いかがですか。
#98
○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
 林委員の前段のお話でございますが、この点については御案内のとおり、不足払い制度、畜産物価格安定制度その他たくさんの価格安定制度がございますが、これについては、規制緩和というような物差しだけで、その制度に対して緩和とかあるいは廃止とかいうような意見が相当強く今回も出たわけでございますので、やっぱり農政の根幹としてのこの価格安定制度は別の次元で議論すべきであるということでございまして、そのことが直ちに乳価の値上げというようなことには相通じないということを念のために申し上げておきたいと思うわけでございます。
 なお、原生産費と申しますか、加工原料乳の保証価格の決定は、五割以上の加工原料乳がある北海道の原生産費をもとにして、あとは委員も算定方式は十分御案内と思いますけれども、物価修正なり労賃の評価がえということをいたしまして、それによって算定をしておるところでございまして、直ちに北海道における原生産費が保証価格の引き上げに通ずるものではないということだけ申し上げたいと思います。
#99
○林紀子君 先ほど大臣も、酪農家が離農するのは後継者がいないためだというところが大変多いということをおっしゃいましたね。それじゃ、その後継者がどうしていないのかということについて、もっと突っ込んで考えていただきたいと思うわけです。
 これは三月二十日の毎日新聞に出ていた投書ですが、酪農家をなさっている岡山市の松崎まり子さんという方が、「農業学校を卒業して一年、まだ二十一歳で隣県の後継者となる娘を、元気で頑張ってと送り出したい。そして見通しのつかない酪農情勢ではあるが、決してくじけるなと若いカップルを応援してやりたい。」、こういう投書が載っていたわけなんですね。
 私もこれを読んで、二十一歳で酪農を継ぐというその娘さんに頑張ってと言いたいわけなんですが、本当に政府が応援するところというのは、この保証価格というのを引き上げる、こういうところでしか応援できないんじゃないでしょうか。本当に酪農家が、後継者がこれでやっていけるということになったら離農する人というのは少ない、後継者も生まれる、これが示していると思うんですね。そこのことを強く申し上げておきたいと思います。
 時間がありませんので、次に生乳の消費拡大についてお伺いしたいと思います。
 私が住んでおります広島市の保育園では、今も園児たちがニュージーランドから輸入された脱脂粉乳を飲んでいるんです。日本共産党の市会議員の中本康雄さんが、脱脂粉乳がニュージーランドではどういうふうに使用されているか行って調べてきました。そうしましたら、子牛の飼料として、しかも母牛のお乳が少ない場合に脱脂粉乳にビタミンやミネラルをまぜて与えている。広島の保育園の子供は子牛以下なのかということで市議会でも質問をいたしましたが、市の答えといいますのは、脱脂粉乳は脂肪が少ない、三歳以上の園児は脂肪のとり過ぎが問題だ、こういう答えをしたわけです。
 しかし、全国牛乳普及協会の会長の鴻巣健治さんという方は、コレステロールや肥満を心配することはないと知っている人は三〇%にすぎない、ここを改めていかなければならないというふうにおっしゃっているわけで、市の当局も牛乳については非常に認識不足だというふうに思うわけなんですね。
 そして、先ほど来お話がありましたが、生産団体と乳業メーカーは今後二年間で五十億円を拠出して牛乳の消費拡大に取り組むというお話ですから、ぜひ国の方も脱脂粉乳から牛乳に切りかえられるような財政支援も強めていただきたい、このことをぜひお願いしたいと思いますが、いかがですか。
#100
○説明員(福島啓史郎君) 農林水産省といたしましては、飲用牛乳は極力生乳で賄うことが、国民経済的に見ましても、また農家手取り乳価の向上あるいは飲用牛乳の流通の混乱是正という点からも望ましいと考えております。
 こうした観点から都道府県に対しまして、乳業者に対してきる限り生乳を使用するよう指導すること、また関係都道府県、全国連等とも連絡をとって乳業者に必要な量の生乳を供給するよう指定団体を指導することを求めているところでございます。
 今お話に出ました保育所、幼稚園等におきます牛乳飲用の促進を図ることは、乳幼児の健康保持なり増進に資するとともに、牛乳飲用の習慣の定着を通じました牛乳の消費拡大、それから酪農乳業の安定的発展の上で重要なことだと考えておりますから、従来から保育所等における牛乳の集団飲用の促進に対しましては助成してきているところでございます。
 今後とも、我が国酪農の安定的発展を図るために、還元乳の抑制、生乳需給の拡大につきまして、関係者による努力を期待しつつ適切な指導に努めたいというふうに思っております。また、保育所等におきます牛乳飲用の促進を初めとします各種施策につきましては引き続き講ずることとし、飲用牛乳等の消費拡大に努めてまいりたいというふうに考えております。
#101
○委員長(青木幹雄君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。
 星川保松君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。星川君。
#102
○星川保松君 私は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、平成会、新緑風会及び日本共産党の各派共同提案による畜産物価格等に関する決議案を提出いたします。
 以下、案文を朗読いたします。
    畜産物価格等に関する決議(案)
 我が国農業の基幹的部門である畜産業は、畜産物の輸入の急増、需給の不均衡、価格の低迷、農業所得の低下、担い手・後継者の不足等極めて厳しい状況に直面している。これに加えて、本年四月からは、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意に基づく乳製品等の関税化、牛肉・豚肉の関税引下げ等が実施されることとなる。
 よって政府は、これらの情勢を踏まえ、平成七年度畜産物価格の決定等に当たっては、畜産業のあるべき将来を見据えつつ、畜産経営の基盤強化を図るため、次の事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。
 一 国際化の進展等に対応し、畜産経営の将来展望が開けるよう、新たな基本法において畜産業の役割を明確にするとともに、新たな酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針等において国内生産の中長期目標並びにその実現のための生産コストの低減、乳業及び生乳流通の合理化等の具体策を提示すること。また、畜産農家の再生産を確保するため、価格政策を含め、国際化に対応し得る中長期的な畜産政策の展開方向について検討すること。
 二 加工原料乳保証価格については、生産者の営農努力が報われ、その生産意欲が喚起されるよう、再生産を確保することを旨として適正に決定すること。加工原料乳限度数量については、国産生乳供給の十分な確保を旨とした生乳需給計画の下、適正に決定すること。
 また、酪農経営体の育成強化対策を着実に推進するとともに、飲用牛乳等の消費拡大、国産ナチュラルチーズの生産振興、余乳処理施設の再編及び中小乳業の体質強化等への支援措置を引き続き講ずること。
 さらに、本年四月から実施される乳製品のカレント・アクセスについては、国内需給に悪影響を及ぼすことのないよう適切に対処すること。
 三 牛肉・豚肉の安定価格については、再生産の確保を図ることを旨として、経営の安定が図られるよう適正に決定すること。
 また、牛肉については、牛肉輸入の増大により国産牛肉の価格が低下してきている実態にかんがみ、肉用牛肥育経営安定緊急対策を引き続き講ずることとし、豚肉については、価格低迷や環境問題等により飼養戸数が著しく減少している現状に対処するため、養豚経菅の強化対策、糞尿処理施設の整備対策等を一層拡充すること。
 四 肉用子牛の保証基準価格については、繁殖農家の再生産の確保を旨として適正に決定し、合理化目標価格については、肉用子牛生産の実態並びに輸入牛肉の価格低下等を勘案し、適正に決定すること。
 また、子牛生産拡大奨励対策、都道府県内用子牛価格安定基金協会の財政基盤強化対策等を引き続き実施すること。
 五 畜産業の安定的発展に資するため、生産資村費の低減を図るとともに、国産畜産物の食費拡大、生産基盤の強化、流通の合理化、食肉処理施設の再編整備、金融支援の推進などの総合的対策を講ずること。
 右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#103
○委員長(青木幹雄君) ただいまの星川君提出の決議案の採決を行います。
 本決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#104
○委員長(青木幹雄君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、大河原農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大河原農林水産大臣。
#105
○国務大臣(大河原太一郎君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。
#106
○委員長(青木幹雄君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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