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1995/03/14 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 厚生委員会 第3号
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1995/03/14 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 厚生委員会 第3号

#1
第132回国会 厚生委員会 第3号
平成七年三月十四日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         種田  誠君
    理 事
                清水嘉与子君
                宮崎 秀樹君
                菅野  壽君
                木暮 山人君
    委 員
                石井 道子君
                大島 慶久君
                佐々木 満君
                前島英三郎君
                今井  澄君
               日下部禧代子君
                堀  利和君
                勝木 健司君
                横尾 和伸君
                萩野 浩基君
                西山登紀子君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  井出 正一君
   政府委員
       厚生大臣官房長  山口 剛彦君
       厚生大臣官房審
       議官       丸山 晴男君
       厚生省健康政策
       局長       谷  修一君
       厚生省社会・援
       護局長      佐野 利昭君
       厚生省老人保健
       福祉局長     阿部 正俊君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        水野 国利君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○社会保障制度等に関する調査
 (厚生行政の基本施策に関する件)
○戦傷病者戦没者遺族等援護法及び戦没者等の遺
 族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(種田誠君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 社会保障制度等に関する調査を議題とし、前回に引き続き、厚生行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○木暮山人君 新進党の木暮山人が平成会を代表いたしまして質問をさせていただきます。
 平成六年の七月に、厚生省は二十一世紀福祉ビジョンを公表しました。その中で、我が国は長年の努力により年金と医療は国際的に見ても相当な水準を達成したので、今後の大きな課題は、二十一世紀の少子・高齢社会を高齢者の生活の質、QOLの向上を図り、活力ある社会を構築するため社会経済全体のシステムをつくりかえていくことにあると述べております。そして、この課題を達成するために新ゴールドプランとエンゼルプランを発表したことは御承知のとおりです。
 その中の新ゴールドプランは、高齢者の介護を重要な問題として取り上げ、不安のない明るい老後生活を確保できる介護システムを構築するためのプランであります。その内容を簡潔に申し上げると、家族による介護だけでなく国による介護、すなわち公的介護保険の制度を策定しようというものであります。この理念の方向に対しましては大変結構なことと思います。関係者の努力のたまものであると考えるところでもあります。
 さて、その上で私は、公的介護保険制度、目下のところ厚生省は高齢者介護支援システムという表現を用いていますが、この制度は日本の国情と国民性に立脚した独創的で実効の上がる制度としなければならないと考えておりますが、人にやさしい政治をモットーとする総理もこの点に賛同していただけるものと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#4
○国務大臣(井出正一君) 大勢の先生方のお力添えもいただきまして、新しい年から新ゴールドプランをスタートさせていただけることになりまして、日本はこれまで、国民皆保険あるいは皆年金といった面では先進諸国に比較しても、いろんなそれぞれ問題はもちろん抱えておりますが、ある程度の水準に達してきておるわけでございます。しかし、介護の問題は、従来どちらかというと家庭にお任せしてきちゃっただけに大変立ちおくれていることも事実でありますから、これから特に介護に力を入れていかなくちゃならぬことは喫緊の課題だと考えておるところでございます。
 今、先生御指摘の点、まことに私もそのとおりだと考えております。
#5
○木暮山人君 どうもありがとうございました。
 厚生省は、この制度の中で提供される介護サービスのあり方のプランを立てて精力的に調査研究し、各界から意見を聴取し、政策立案の資料を着々と整備しております。その過程で、中央社会福祉審議会、高齢社会福祉ビジョン懇談会、介護計画検討会、高齢者総合ケアシステム研究会、高齢者介護・自立支援システム研究会等々の諮問機関を設置し、数多くの会議を持ち答申や提言を受けております。
 このうち、最も最近のものは高齢者介護・自立支援システム研究会です。この研究会は、約五カ月の間に十二回の会議を開き、昨年十二月五日に研究会報告書を出しました。厚生省は同月、これを公表しております。
 その報告書の「はじめに」の項の結論に、「この報告書が一つの契機となって、高齢者介護をめぐる問題について、国民各層において幅広い議論が積み重ねられ、新介護システムの早期の実現」を期待したいと述べています。このことは大変結構なことです。このことは大臣も御承知のことと思いますが、これについてもひとつ御所見をちょうだいしたいと思います。
#6
○政府委員(阿部正俊君) 大臣の答弁の前に、ちょっと補足的に申し上げさせていただきたいと思います。
 介護のこれから将来のシステムということにつきまして、現在まだ公式の場での論議というのは始まったばかりでございまして、私どもとしては、先生今お触れになりました高齢者介護・自立支援システム研究会の報告といいますのは、今の段階ではそういう研究会での報告ということにとどまっているのではないかと思っております。つい最近、そういったふうな問題も含めまして、もう一度介護問題全体についての議論を公式の場で始めようということで、老人保健福祉審議会の場で審議が始まったばかりというふうに受けとめております。
 そういう中で、ぜひ私どもこれから考えていかなきゃいかぬ点の一つといたしまして介護保険というふうなことが言われておりますけれども、そういったふうな全体のシステムの構築もさることながら、高齢者自身の個々のサービスというものをどういうふうに組み立てていったらいいのかという点につきまして、従来の福祉サービスなんかの場面では余り意識されてこなかった点ではなかったかと思っているわけでございます。
 お一人お一人に対する状態、あるいは御本人の意思といいましょうか、あるいは自己決定といいましょうかというふうな点との絡みで、これからの介護サービスというのをどういうふうに組み立てていったらいいのかというのは非常に重要なポイントの一つではないか、というふうに認識しておるところでございます。
#7
○国務大臣(井出正一君) いろんな世論調査なんかを拝見いたしましても、国民の皆さんが特に老後の介護問題に大変な関心といいますか、あるいはむしろ心配をなさっていらっしゃることは私どももよく承知しております。
 そういった意味でこの二月から老人保健福祉審議会をまた開いていただいておりまして、ただいま局長お答えいたしましたようないろんな問題につきまして熱心に御論議を開始していただいたばかりでございますし、その審議会だけじゃなく、できるだけ幅広い大勢の皆さん方の御意見をこれからお聞きしながら進めていきたい、こんなふうに思っておるところでございます。
#8
○木暮山人君 まことにそうなのでございまして、この研究会はもちろん、その他の介護システムに関係する諸会議は、各層から幅広い分野の人に加わってもらったとうたっておるにもかかわらず、高齢者の介護の中核的役割を果たす歯科の口腔ケアは歯科口腔介護の専門家である歯科医がどの会議にも一人も入っていないというような現況であります。これは驚くべきことでありまして、医療、福祉の法律上から見ましても問題があるのではないかなどと考えさせられております。
 例えば、口の中の環境を整えてあげ、きれいにしてあげ、よくかめるように、よい味がわかるように、そしておいしいと感じながら食べられるようにしてあげることができる歯科の口腔介護を専門とする歯科界または歯学界から一人の人材も入ってないということは、事実上からも多少問題があるのではないか。
 さらに、もう一つ問題点があります。介護保険制度の基盤になるシステムの研究を行っている高齢者総合ケアシステム研究会が、昨年三月にその研究結果の報告を出しております。この会の研究内容は、米国のナーシングホームで医療・介護チームが行っている医療・介護方法と、それに対する支払い費用をむだなく有効に使用することを目的に研究開発が進められているケアマネジメントの手法の日本における有用性を研究したものです。その研究結果は、少しきつく言えば米国のものを模倣していると言ってもよいぐらい類似しているのは既に厚生省も御存じのことと思います。
 米国におけるこの研究開発のメンバーの中にはもちろん歯科医師が参加しています。ところが、翻って日本の高齢者総合ケアシステム研究会のメンバー表を見ますと、三十八名のメンバーの中に医師会、看護協会、病院長、さらに厚生省の課長さんが三名、自治体の局長、部長、さらに福祉、年金の代表者、さらに医学部、文学部、法学部の大学教授が名を連ねているにもかかわらず、歯科の専門家が一人も入っていないのであります。
 その上、調査研究の内容を見ると、米国の通称MDSと言っているアセスメント表には歯科・口腔の状態という調査項目があるにもかかわらず、この研究会のアセスメント表にはこの項目が削除され、栄養状態という項目の中に埋没されているのであります。歯科界の関係者の一人として全く理解のできない、国民にとっても悲しむべきことだと深く憂慮しておりますが、大臣はどんな御感想か、ひとつ大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#9
○国務大臣(井出正一君) 後ほど申し上げます。
#10
○政府委員(阿部正俊君) 先生の今お取り上げになりました高齢者総合ケアシステム研究会といいますのは、北海道の高齢者関係の病院あるいは老人保健施設、特養等々というふうな人たちの中から、そういったふうな将来の、先ほど私申し上げましたように施設へ入所するということだけではなくて、個人個人に対するサービスというものをもう少し細かく意識して組み立てていき、できれば施設全体として後ほどそれの評価をしていくというふうな仕組みというものを将来考えようではないかというふうな機運が出ました。
 むしろ私どもの認識としては、北海道のそういったふうな関係の施設、病院等の方々の自主的な動きの中で研究会の母体というものができまして、それで北海道庁と協力しましてそういったふうなモデル試行的なことをやりながら、将来のケアシステムといいましょうか、ケアプランというものの組み立てに資していこうじゃないかというふうな研究会としてスタートしたわけでございます。
 これに対しまして、私どももこれからの高齢者の介護を中心としたケアというのを考えていきますと、そういったふうなことも大変大事なことなのではないかということで、北海道庁等の要請に応じまして私どもの担当課長も研究会のメンバーに入れさせていただいたりいたしましたけれども、私ども厚生省が積極的にその研究会を組み立てたというよりも、そういったふうな動きの中で研究会がスタートしたということをぜひ御理解賜りたいものだというふうに思います。
 ただ、それの出た途中の段階でさまざまなケアのプランの試行錯誤が行われておりまして、こういったふうなプランといいましょうか、指針をつくってみたらどうだろうかというふうな中で、先生の御指摘のような言ってみれば口腔ケアの領域が簡略化されたような形での評価表というものがつくられたりしたこともございますけれども、それがすべてこれからもそのとおりでやっていくとかいうふうな性格のものではないということを、先生、どうか御理解を賜りたいものだと思っております。
#11
○国務大臣(井出正一君) 特に、高齢社会におきまして歯科医療の重要なことは私も十分承知しております。
 いろんな審議会に歯科の専門の先生方が少ないじゃないかという御指摘でありますが、できるだけやっぱり専門家の先生の御論議もいただかなくちゃならぬと思いますし、また具体的な審議会の人選につきましてはその都度また御相談あるいは検討を進めていきたい、こう思っているところであります。
#12
○木暮山人君 御理解をちょうだいしてまことにありがたいと思うのであります。
 介護という用語は実は日本の国に古くからあったもののようですが、我が国に介護の具体的内容が正式にあらわれたのは、昭和三十八年に制定されました老人福祉法の条文の中であります。そして、この老人福祉法の平成二年の改正で、第十条の四に介護の措置として、「六十五歳以上の者であって、身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障があるものにつき、」「入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活を営むのに必要な便宜」を供与することと規定した法文の中に具体的に内容が出てきたのであります。これをわかりやすく解釈すると、介護とは障害のある人の入浴、排せつ、食事の三つの大きな生活上の問題と、その他の日常生活に支障を来すことへの支援とお世話をすることであると考えてよいのであります。
 当然、新介護システムの早期実現のプランをつくっている厚生省はこの老人福祉法を尊重した上で、この法律が制定された昭和三十八年以後急速に進歩、発展した我が国の国情や国民性に立脚し、国民一人一人のニーズにこたえ、高齢者のQOLの向上を目指すようなプランが厚生省が言っている新介護システムだと考えてよいと思います。
 この法律で述べられているように、介護の三本柱の一つである食事の介護を供与するということは、さきの二十一世紀福祉ビジョンでうたわれている崇高な理念とも考え合わせて、ただ食事を栄養学的に用意して与えるというだけでなく、先ほども申し上げましたように、口の中の環境を整えてあげ、清潔を保ってあげ、よくかめるように、よく味がわかるように、そしておいしいなと感じながら食べられるようにしてあげる支援なり手助けをすることであると考えてよいと思います。
 となりますと、今まで諸会議や研究会で歯科の専門家が入ってないことは大変な問題があることになります。このことを裏づけるようなことを少し申し上げてみたいと思います。
 実際、数年前から現場でボランティア的に口腔保健、介護を行っている歯科医や歯科衛生士がふえていますが、その人たちから、病院や施設や在宅で介護を必要とする人の口の中は惨たんたる状況になっているという報告をよく聞くようになりました。何日も前の食べ物が舌の上や歯と歯の間や入れ歯の裏側に残っており、それが口の中の細菌によって腐敗し、口腔内の不潔な老人が多く見られるというようなことが言われております。また、病室や居宅の部屋の悪臭の原因にもなっている。口の中の清掃を専門的に行ったらその部屋の悪臭がぐんと減ったという実例報告もよく聞くようになりました。これでは、栄養士さんが心を込めて栄養を考え、おいしい味つけをしたごちそうもその努力は報いられません。さらに悪いことに、多くの場合本人も周囲の人もそれに気づいていないのであります。
 その上、老人は肺炎にかかりやすいのですが、そのほとんどが食物や食物のかすの誤嚥、すなわち気管に吸い込むということによって起こることが判明しました。東北大学の老人科の佐々木教授の御研究によりますと、老人の肺炎の一二%は明らかに誤嚥によるものであり、それ以外の肺炎もほとんどが誤嚥による肺炎と考えてよいと発表されております。老人は一度肺炎にかかると、内科的には安静にしなければなりません。それが寝たきりのきっかけになり、ぼけも始まり、それによって介護の手間と費用が急増し、高齢者の生活の質も低下するという現実が多く我が国に出現しているのです。
 今、現場の医師や看護婦さん、保健婦さんたちは高齢者の介護で大変な苦労をしていますが、ぜひ歯科医や歯科衛生士の力をかりたいと切実に訴えております。中央にはこの声が聞こえていないようでありますが、これはやはり深く取り上げていただきたい問題でございます。これが現在の実態の一部ですが、詳しく申し上げればまだまだ憂うべき問題が多々あります。現在までに原審が出しておいでになる高齢者介護政策立案のためのプランがそのまま制度化されると、それが初めから欠陥制度になることは目に見えています。今からでも遅くありません。歯科の専門性を尊重していただきまして、その知識、技術を活用し、歯科口腔介護システムの制度化へ向けて調査研究を即実施し、高齢者介護・自立支援システムのプランをより充実したものにしでいくことが緊急の課題だと思います。
 以上のことをぜひ御理解いただきまして、歯科口腔介護システム研究会を設立し、研究を行い、その結果を踏まえて政策立案のプランに加えていただければ、これは非常に今後のために資することになると思います。
 これにつきまして、ひとつ局長、厚生大臣の御所見をちょうだいしたいと思います。
#13
○政府委員(阿部正俊君) 先生から大事な点を御指摘いただいたと思っておりますが、私どもも、口腔というよりも介護を受ける場合でありましても、まずお一人お一人の生活というものをきちっと確保していくといいましょうか、成り立っていくように支援していくというのが基本だろうと思っておりまして、その場合に食事といいますのは大変重要な領域を占めるものではないかというふうに思っております。
 御指摘がございましたように、栄養学的にどうか、カロリーがどうかというふうなことだけではなくて、オーバーに言いますと、食事といいますのはやはり人生の一部だというふうに思います。それをおいしく召し上がるだけではなくて、食事の時間といいますのはやはりその人が生きていく重要な一つの文化といいましょうか、というものの一つではないかというふうにむしろ認識すべきものではないだろうかと思っております。
 したがいまして、私どもで今まだ試行錯誤の段階でございますけれども、例えば特別養護老人ホームなり老人保健施設なりのサービス評価というふうなものを少しやっていこうじゃないかということで、施設の方々の御協力を得ながらサービス評価基準というようなものもつくっておるわけでございます。
 その中の項目を見ましても、例えばポイントといたしまして、食事をおいしく楽しく食べるための雰囲気づくりをちゃんとやっているかどうか、あるいは食事の選択が可能になっているのかどうなのか、あるいは温かいものは温かく冷たいものは冷たく提供されているかどうなのか、あるいは食事介助は利用者のペースに合わせているだろうかどうかというふうな点、かなり細かく見ながら食事というものを大事にしていくような形のサービスを展開していこうと努力をしているところでございます。
 あと、先生が先ほど御指摘になりました高齢者ケアプランの策定指針というものを出しているわけでございますけれども、先生が当初お触れになりました北海道で始められた総合ケアシステム研究会の取り組みなんかも最初のスタートでございますけれども、それ以降何度かさまざまな研究会なり検討会なりを重ねまして、現在の段階で私どもが手にしております高齢者ケアプラン策定指針というものをつくらせていただいております。
 その中でも、食事といいましょうか、口腔ケアの部分につきましてもかなり詳細なチェックポイントをつくりまして、今先生御指摘のような発想で食事の提供といいましょうか、提供というより食事というものをどういうふうな形でするのかということにつきましてかなり綿密なチェックポイントをつくりまして、言われましたように高齢者のQOLというものをより高めるための手だてというものをこれから考えていかなきゃいかぬなということで今努力中だというふうに御理解を賜りたいものだと思います。
 これからもこのケアプランのより具体化のための作業が引き続き行われることになるかと思いますけれども、その際にはこれをさらに日本型といいましょうか、日本の形としてうまく運用できるように仕上げていかなきゃいけませんし、一面、先生御指摘のように、個々の高齢者のQOLの向上ということに資するような形に仕立て上げていくというふうな作業がこれからも必要だと思っております。
 ただ、具体的にまだ将来のケアシステム、高齢者の介護システムをどうするかということについて検討会の審議が始まったばかりでございますし、当面は老人保健福祉審議会での検討ということになると思いますけれども、もちろんその中には歯科関係の方々もお入りいただいての検討ということになってくると思いますので、おのずからそういったふうな点も当然に反映されてくることになるのではないか、こんなふうに思っております。
#14
○木暮山人君 どうもありがとうございます。
 それは、今までただ温かいものとかおいしいものと言いますけれども、要するにかんだり、それを栄養化させるためにはそしゃくというのは非常に重大なことであります。かむことによって人生の意義も出てくるという表現もありますが、そこら辺よくひとつ研究していっていただきたいと思いますし、口腔は今まで抜けている部門でありますけれども、できたら、改めて今進められている審議会の中にそういう研究組織というようなものをつくっていくような御意思を持っていただきたい、こんなふうに思う次第であります。
 時間がありませんのでちょっと次に行って、最後にまた大臣の御所見等をお伺いしたいと思いますけれども、次に、いわゆる医療法に関するところの医療計画につきまして少し質問させていただきたいと思うのであります。
 医療計画についてでありますが、医療法に基づいて近年目覚ましい進歩発達を遂げている歯科の医療施設の役割を明確にし、あわせてその体系的整備、連携の強化を図ることが現在緊急の課題になっているということであります。
 ところで、平成二年、第二次医療法の改正を行い、現在は第三次の医療法改正に向けてプランを作成しているように考えられますが、現状はどういうことでありますか。実際は、ここにやはり大きな問題が起きてきておることは事実であります。
 平成三年に改正されました医療法により、歯科医療機関を対象とした地域歯科保健医療計画もなされなければならないはずでありますが、第二次医療法改正にはこのことが全く欠落しておるのであります。第二次も第三次の改正も、来るべき高齢化社会を考えて、かつ介護保険制度をより完全なものにしようと考えての大変に結構な改正だと考えていますが、地域歯科保健医療計画が抜け落ちているということは全くバランスを欠いているのではないかと考えられます。
 先ほどの歯科口腔ケアシステム研究会の設置とあわせまして、システムを補完し運用を効果的にするためにも、地域歯科保健医療計画検討会等も同時に設置されまして、その政策立案のための資料を整えていただかなければと考えておる次第でありますが、これにつきましても、局長、ひとつ御所見をお願い申し上げます。
#15
○政府委員(谷修一君) 医療法に基づきますいわゆる地域医療計画というものにつきましては、既に各県において、たしか昭和六十二年でございましたか、から作成をしているわけでございます。
 先生御承知のように、いわゆるその地域医療計画の中には必要的な記載事項と任意的記載事項というものがございまして、前段の必要的記載事項は、いわゆる地域ごとの医療圏を設定して医療圏ごとの必要病床数というものを決めていくというものでございます。一方、任意的記載事項というのは、それぞれの地域におきます医療の需要あるいは医療福祉施設の連携というようなことを踏まえて、幅広くそれぞれの地域におきます地域医療計画というものを作成していく、あるいは保健計画というものを作成していくというものでございますから、その中には当然歯科についての考え方というものもそれぞれの県において必要に応じて含めて検討をされているというふうに理解をいたしております。
 ただ、今後の問題といたしまして、先ほど今後の医療法改正ということについてお触れになりましたけれども、これはまだ今具体的にいつからどうだというふうなところまで議論が進んでいるわけではございませんが、前回の医療法改正の際のいろいろな議論を踏まえまして、医療施設の機能の連携といったようなことも含めていろいろ関係の審議会で御議論をいただいているところでございます。
#16
○木暮山人君 審議会のいろいろな御意見も結構なのでありますが、やはり歯科というのはまだそこまで認識されている組織でもございません。今考えられることは、歯科大学の中でもこれが機能病院としての指定を受けられない、それはベッドが五百床なければだめとかいろんな問題がありましてなかなかこれからの計画にはまらない法律環境の中に閉ざされておりますもので、そういう意味ではやはりこれの検討会等につきましてもひとつ特別にお考えをちょうだいできればありがたい、こんなふうに思っております。
 次に、時間がございませんので恐縮でありますが、歯科の口腔外科の標榜についてちょっと質問させていただきたいと思います。
 標榜科名は医師法、歯科医師法制定以来、厳然と存在していたものでありますが、昭和二十三年占領軍により、当時米国にはそのような歯科診療科はまだなかったためか急に廃止されてしまいました。口腔外科標榜科名の申請はいわば復活願いであり、新規申請ではないと考えているわけであります。しかし、たまたま医科からの三十以上もの新規申請と重なり、また標榜科そのものが見直される機運にありますことから一括討議されることになり、口腔外科もその中の一つとして取り扱われざるを得なくなってしまったわけです。
 この新しい標榜科名を検討するのが医道審議会の下部組織の標榜科名のための専門委員会で、これが動かなければにっちもさっちもいかないことになっております。ところが、医科から出された三十余りの標榜科名をめぐって医科の中で深刻な確執があるやに聞いており、恐らくそのためにこの専門委員会が平成五年三月十九日から一度も開かれたことがないと、これについて厚生省も意識的に開店休業しているのではないかという思いになる次第であります。
 最近十数年にわたって医療の高度化、多様化は目覚ましく発達しておるところでありますし、医療体系の急速な変化は国民が肌で感じているところであります。しかし、これに対しまして医療機関の表示規制は旧態依然で、昭和二十二年の国民医療法の改正以来大きな変革がなされておりません。そこで、診療科名の表示に関するところの検討会が何回も重ねられ、昭和六十三年二月には一応の結論が出されております。
 これを受けて、医療法改正に基づいた形で医道審議会診療科名標榜専門委員会が結成され、平成五年三月、一度開かれているようです。しかし、それ以来全く開催されておりません。国民にとっては、日進月歩の医療事情に相応したわかりやすい診療科名を切望していることは疑いありません。診療科名の検討にちゅうちょするような原因が厚生省内にまたは医学界に何かあるのでしょうか。そういうことにつきまして、またひとつ局長さんの御答弁をちょうだいしたいと思います。
 あわせまして、時間がありませんものでもう一つ御答弁をちょうだいしたいことは、医師、歯科医師の卒業直後臨床研修の法制化についてであります。
 いわゆる率直後臨床研修が法制化されないまま、不完全な形で各大学医学部あるいは歯学部で行われているのが実情であります。医師法、歯科医師法からいいますと、大学附属病院での、昔はいわゆる臨床病院、研修病院でありましたが、今は医療過誤等のいろんな法律的な問題等がありまして、臨床の核心に触れることは法律的にも困難であることにかんがみまして、国民の期待にこたえるような実力のある若い医師、歯科医師の養成のためには臨床研修が必須であるわけであります。一日も早く法制化がなされることを望むことはもちろん論をまちません。
 しかし、今回の質問といたしましては、現在の我が国における不完全な率直後研修についてであります。すなわち、現在は各国立大学及び私立大学における研修は、言うまでもなく一定の基準で研修が行われておりません。研修財団を通じまして教育充実費が支給されています。今、一人の学生が国立大学でも私立大学でも卒業して研修に入りますと、国立大学の場合は月十五万円ぐらいの研修の手当をちょうだいできるが、私立大学はそれがないとか、また国立はいわゆる文部省管轄になり私立は厚生省管轄である、こんなところにもいろんなギャップが現在率直後研修の中にあるわけであります。
 やはり国民のニーズから考えますと、これはちゃんとした法律にのっとってちゃんとした研修ができるようにひとつ考えていただきたい、これが法制化に対するところの意向なのでありますが、時間が参りましてまことに恐縮でございますが、この二問につきまして端的に御答弁のほどをお願いしたいと思います。
#17
○政府委員(谷修一君) 最初に、まず標榜科の問題でございますが、先ほど先生お触れになりましたように、平成四年の法律の改正によりまして政令で定めるということにいたしたわけでございます。その後、この標榜科あるいは広告できる診療科名の新設ということにつきましては、医療法の中で、医学医術に関する学術団体及び医道審議会の意見を聞くというようなことで定められたものでございますから、医道審議会の下に診療科名標榜専門委員会というものを設置いたしたわけでございます。
 ただ、その間におきまして、いわゆる医学界等が専門医あるいは認定医というものの議論を始めたというようなことから、その議論の行く未というものを若干見きわめる必要があるんじゃないかというようなことで現在まで至っているわけでございます。
 いずれにいたしましても、先生もお触れになりましたように、この診療科名あるいは標榜科名という問題につきましては、患者さんにとってわかりやすい、かつまた理解の得られるようなものにしていく、また最近の医学あるいは医術の進歩に対応したものにしていかなきゃいけないというように認識をしておりますので、この問題につきましては引き続き専門委員会におきます議論を促進するということで対処してまいりたいというふうに思っております。
 もう一点は研修の問題、特に具体的に先生お触れになりましたのは歯科医師についての臨床研修ということでお触れになったと思いますけれども、歯科医師の臨床研修としては、いわゆる予算措置として昭和六十二年から一般歯科医養成研修事業というものを実施いたしております。
 ただ、今後臨床研修をどういうふうにやっていくかということにつきましては、いずれにいたしましても歯科医師の資質の向上を図る上で大変重要な課題でございますので、歯科医師養成の在り方に関する検討委員会というものを設けまして、これはいわゆる医師に対する臨床研修と共通する問題もあるわけでございますけれども、臨床研修の制度化あるいは今お触れになりましたような臨床研修施設をどういうふうに考えていくのか、それから研修の費用の問題、そういうようなことも含めて幅広く御検討をいただいているところでございまして、私どもといたしましては、この専門家の先生方の御意見の集約を踏まえて今後検討してまいりたいというふうに思っております。
#18
○木暮山人君 どうもありがとうございました。
#19
○西山登紀子君 阪神大震災から二カ月近くがたちまして、亡くなられた方は五千五百人、今なお避難所での不自由な生活を送っていらっしゃる方は十万人に近いわけです。私はこうした被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げますとともに、この間の行政担当者の皆さんの不眠不休の活動にもまた敬意を表したいと思います。
 そこで、まず最初に大臣にお伺いをしたいわけですけれども、災害救助法というのは厚生省の所管でありまして主管課は保護課なわけですけれども、この災害救助法の運用というのは被災された方の傘とそれから全生活に直接影響を及ぼします。ですから、国と都道府県の責任は非常に大きいと思うわけですね。ところが、現行の災害救助法というのは今回のような大規模な災害を想定していないのではないかと思うのですが、どうでしょう、大臣。
#20
○国務大臣(井出正一君) 住民の生命の安全維持は一義的には市町村の責務でありますが、当該市町村では対応できないほど大規模な災害が生じた場合には、国の責任において臨時応急的な措置を講ずるために災害救助法が適用されることとなっておるわけでございます。
 その運用に当たりましては、各都道府県のみの判断で適用できる一般基準のほか、これによりがたい特別の事情があるときは国と協議した上でいわゆる特別基準を設定するなど、実情に即して対応することを災害救助法自体も予定しているところでございます。例えば、過般の雲仙の災害におきましても各種救助の期間を延長するとか、あるいは食事の単価及び応急仮設住宅の面積あるいは単価についても特別基準を設定するなど、実情に即して対応してきたところであります。
 災害の規模や対応は千差万別でありますことから、従来より制度のこのような弾力的な対応に努めているところでございまして、今回の大地震災害におきましても、兵庫県等と緊密に連携しながら実情に即した対応に努めているところであります。
 したがいまして、災害救助法が今回の災害のような大規模な災害に対応できないということはないと考えております。
#21
○西山登紀子君 対応できないというようなことはないと言われるんですけれども、私は今回、この災害救助法の体系それから内容を少し勉強してみました。しかし、今回の大震災の教訓から見ますと、やはり見直して改善をする内容が多々あるというふうに私は思いました。日本は地震王国ですから、日本列島どこでも今回のような大地震が起こり得るということを見越した対策が必要になっていると思うわけです。
 そこで、災害救助法の実際の実務というのは具体的には次官通知でもって基本的には決められておりまして、そして実際の実務は「災害救助の実務」という、これは俗に赤本というふうに言われているそうですけれども、これで行われているわけですね。実際、私、今回これを見てみまして大変驚きました。この救助実務というのは法律でもありませんし、国会で審議をして採決されるというようなこともないわけですけれども、重要なことを具体的に指示をしているというふうに思います。
 以下、少し例を挙げてお聞きしたいと思うわけですけれども、例えば人命に直接関係する医療、この実務ではどのようになっているかということなんです。この救助実務というのを見せていただきますと、医療というのは応急の措置でありますから救護班によって行うのがまず原則だということが述べられておりまして、しかもこの医療を実施できる期間、これは「災害発生の日から十四日以内である。」というふうに通知をしているわけです。「これは医療開始の日にかかわらず、患者
 一人につき十四日の医療期間が与えられるという意味ではなくて、災害発生の日から十四日という期間内が本法による医療を受けることができる最大の期間」、これが十四日ということです。
 例えば、九月一日に災害が発生いたしまして十三日目から医療を受け始めますと、本法による医療として認められる期間は十四日までのわずか二日間、こういうふうになるわけです。災害の特殊な事情から延長ができるというようなことが少しは書いてありますけれども、実際はこの十四日以内にとどめるようにという具体的な指針です。
 今回のように医療機関が広範囲にわたって長期に診療が不能になるというような事態が広がる中で、私はこういう具体的な指針というのは今回のような大震災に全然対応していないというふうに思うのですけれども、いかがですか。
#22
○政府委員(佐野利昭君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、災害救助法に基づく医療の場合につきましても、災害の発生によって地域の医療機関等の機能が停止した場合にその空白の状態を応急的に補うものでございますので、一般基準においては今先生がおっしゃったとおり十四日以内というふうに定めているところでございます。
 しかしながら、一般的に災害の程度がどの程度かということが考えられるわけでございますけれども、まさしく今回のような災害といいますのは、本当に何十年に一回あるいは何百年に一回というような大規模な災害でございまして、ある意味で言いますと非常に特異なケースでございます。
 一般的に災害救助法が発動されるような形態の場合を想定してこの一般基準が定められているということでございまして、十四日を超えて実施しなければならないような災害規模が大きい場合にはその期間が延長できることとされております。当然のことながら今回の場合でありましても必要な期間の延長を行うということで、現在もまたその期間の延長を行っているところでございます。
#23
○西山登紀子君 大変まれだというような御発言がありましたけれども、そういう考え方が今回のような震災に当たっての対応の立ちおくれを私は招いたというふうに思うわけですね。
 それで、救護班の編成にいたしましても、五日後の一月二十二日に救護班はわずか十七カ所、千カ所近い避難所のうち救護班が設けられたのは十七カ所ですよ。それから七日後の一月二十四日には、千カ所の避難所に対して四十九カ所しか救護班は設けられていないというような実態があります。そして、二カ月近くにわたってまだまだそういう救護が必要な方々はたくさんいるという状況です。
 次に、それでは飲料水の問題はどうか。これもまた私はびっくりいたしました。飲料水につきましても一般基準の原則は七日以内なんですね。わずか七日です。それも最大七日ということなんです。
 これまた災害実務を少し御紹介いたしますと、もちろん御存じたとは思いますけれども、「災害発生の日から七日の間には、一般的には各井戸水の汚染も浄化され、又は水道が応急的に復旧するであろう。しかし、相当大規模な災害が発生し、」云々というふうなことで、少し延長ができますよというふうになっているんですが、大臣もお聞きになっていて、井戸水というんですね、井戸水の汚染も浄化されると。
 期間の延長というのは、例えば期間の延長があるからいいだろう、運用は弾力的にできるからいいとおっしゃいますけれども、特別基準の申請事項、延長の期間というところはどう書いてあるかといいますと、「延長の期間は通常の場合基準の期間である七日以内に止めるべきである。」と書いてあるんです。一般基準は七日ですよ。そして必要な場合、延長する場合ですね、「通常の場合基準の期間である七日以内に止めるべきである。(再延長の場合も同様である。)」と書いてあるんですよ、この赤本には。これで実務が行われているんですね、私は本当にびっくりしました。
 今回、二カ月近くたっています。資料でいただきましたところ、二週間たった一月三十一日の水道の復旧率は五三%です。神戸の半分の被災地には水が行っていないというような状況があるわけですね。だけれども、七日以内にとどめるべきだとか、再延長の場合は同様だとか、こういう規定がありますとどうしてもこの指針に沿った運用が、実務が行われていくんじゃないでしょうか、どうですか。
#24
○政府委員(佐野利昭君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、まさしく今回の災害はそれほど一般的な規模の災害ではない、本当に大規模な災害であったわけでございます。そのようなことからいえば、この一般基準が適用できないということはもう当然実務者もわかっておりますし、我々も当初からこれでは無理であるということで特別基準のことはもう既に県の方にも連絡をいたしております。したがいまして、実務的にこれで支障を来したということは聞いておりません。
#25
○西山登紀子君 それでは、延長する場合に七日にとどめるべきであるというようなことはやっぱり直さなくちゃいけませんよね。
 次に、炊き出しの問題でも私は指摘をしたい点がたくさんあります。国会でもしばしば問題になりましたけれども、一日八百五十円の炊き出しの水準の問題です。これは、事務次官通知では一日八百五十円になっているんですね。もちろん、この赤本というんですか、これは内容がまだ新しいのができておりませんので八百二十円ということになっているんですけれども、一日八百五十円ということで当初は対策が立てられたと思います。
 この極寒のときにパンと牛乳、おにぎり、一日二回です。冷たい食事ばかりだと栄養不良になるからと、お年寄りが肺炎になって亡くなっていく人もいるんだからということで、私も二月九日にこの厚生委員会の集中質疑のときに質問をいたしました、八百五十円は何とかならないか、せめて温かいものをということで。そのときに厚生省は、改善にやぶさかでありませんというふうに答えられました。
 しかし、実際に私待っていたんです、いつ改善されるかと。実際に改善されたのは、兵庫県が厚生省と協議して決められたのは三月一日ですね、千二百円程度に改めましょうということで。そして、資料をいただきました神戸の改善がされたというメニュー、これが実際に運用されたのはごく最近、三月十日ごろから実施されると聞いたこの一日三食千二百円のメニューは、朝はパンが二個と牛乳、お星もまたパンなんですね、サンドイッチ、ジュース、夕食は日がわり弁当でみそ汁とスープ、カット野菜は週に一回。こういうメニューで、少し改善されたとはいえ、これを毎日食べていらっしゃる方は大変だろうなというふうに私は率直に思いました。
 国会で問題になってからも改善されるまでにとても時間がかかってしまう。その間に、これは数はいろいろありますけれども、NHKの集約では、避難所で亡くなられた高齢者の方は百十三人と「クローズアップ現代」で報道されていました。
 なぜこんなことになるのか。これは、事務次官通知で一般基準一日八百五十円という非常に現実離れをしたといいますか、非人間的な基準がやはりあるからだと思うんです。ですから、これをやっぱり変えなくちゃいけないし、もちろん協議をされて一日千二百円にはなったわけですけれども、この実務通知の内容では、基準を超えた分は自治体負担になるんだということをかなり詳しく繰り返し通知がされているんですけれども、今回協議して千二百円になった分については、これはもちろんすべて国庫負担の対象にされますよね、どうですか。
#26
○政府委員(佐野利昭君) 最後の点から申し上げますと、それは当然、協議をした後の金額につきましては国庫負担の対象になるということは間違いございません。
 それから、前段の八百五十円につきましても、これは多少誤解があるかと思いますが、一日単価として八百五十円ということを言っているのではなくて全体を平均してということで言っておりますし、それは知事の判断でその範囲内であれば自由にできるということでございます。実態から申し上げましても、災害救助の発動をした一番当初のころは、炊き出し、ボランティアのいろいろな提供物資等がございますので、実際に県が支出する分はそこまで達していないのが現実でございます。
 それから、この八百五十円という形でなぜきちんとした食料が提供できないかという点につきましても、これは単価の問題というよりは実際に現場の体制がとてもついていけなかった、それほど災害の規模が大きかったということが現状であろうかと思うわけでございまして、必ずしも単価の問題でそのような事態になっているということではないと思うんです。
#27
○西山登紀子君 八百五十円というのは、普賢岳の場合には一日千三百円に協議で改善をされている問題ですよ。既にそのときに一日八百五十円というのを改善しておけば、今回のように千二百円になるまでに何カ月もかかる、その間にお年寄りが亡くなるというようなことはなかったと思うんですね。ですから、御答弁のあった八百五十円に関係ないんだというようなことでは私は納得いきません。それで、千二百円はもちろん国庫対象になるわけですね。それはわかりました。
 次に、炊き出しの期間の問題、これもまた問題なんです。炊き出しも一般基準は七日間というふうになっているんですけれども、延長ができる期間はこういうふうに書いてあるんですね。「通常の場合基準の期間である七日以内に止めるべきである。(再延長の場合も同様である。)」と書いてあるんです、七日にとどめるべきであると。これは、今回の地震の経過から見ましても全く現実離れしているんではないでしょうか、どうですか。
#28
○政府委員(佐野利昭君) 再三御答弁申し上げているところでございますが、それは通常の例えはちょっとした水害でありますとかあるいは台風災害でありますとか、そういう一般的なときに適用する一般基準でございますので、今回のように何十年あるいは何百年に一回のような大災害を想定しているものではないということは御理解いただけることと思うんです。
#29
○西山登紀子君 認められたように、風水害とかそういうようなときの基準だとおっしゃっているんです。だから、今回のような大規模な震災にはこれは間に合わないということを認められたと思いますし、何十年に一回とか何百年に一回というように何回も言われますけれども、そういう認識が困ると言っているんですね。日本列島、ああいう災害というのはいつ起こるかわかりませんよ、これは。特に、東京都なんかで起こった場合には大変な事態になるということはだれしも思うところでございます。
 次に、時間がありませんので避難所の問題に移りたいと思います。
 避難所、これも大きな検討課題だというふうに思うわけですけれども、避難所の設置は最大限七日というふうにこれも指針ではなっているわけです。相当大規模な災害を予定して七日間に決めたんだから、延長する場合も七日以内にとどめるべきだ、避難所の設置についてもとどめるべきだというふうにこの指針はなっています。
 二カ月近くたって今なお十万人の人々が避難所生活を送っているにもかかわらず七日にとどめるべきだというような、これは厚生省の実務指針だといってもやはり各自治体にかなり拘束力を持っていると思います。県はまた各市町村に対して同じような指針を出しているんですけれども、同じような調子でこれが市町村に通達されていくわけですね。
 私は、余りにも実態に合っていない、七日にとどめるべきだ、延長する場合も七日にとどめるべきだ、再延長の場合もそうだ、こういうふうな内容では今回の実態にも合っていないという最たるものではないかと思うんですけれども、もう一度お願いします。
#30
○政府委員(佐野利昭君) これも再三申し上げておるところでございますが、もともとこの次官通知で示しておりますのは一般的な災害を想定してそれを示しているわけでありまして、それを上回るような特別な災害が起こったときには特別基準が適用できるという形になっておるわけでございます。
 その上回るものも、今回の災害の場合には上回り方がまた極端に大きかったということでございますので、当然のことながら従来考えられるような特別基準もさらに上回ったような特別基準を適用するというのは当然のことでございますし、この避難所の設置あるいはその他今まで御質問をいただいた事項すべてにつきましては、特別基準を適用して遺漏のないように対応を図っているところでございます。
#31
○西山登紀子君 災害救助法というのは一般基準と特別基準というのが通知で決まっているわけですけれども、避難所の設置も七日、炊き出しも七日、飲料水も七日、被服なんかは十日、医療は十四日、こういうふうに原則として一般基準がきちっと決まっているんです。そうすると、その原則というのが市町村段階なんかにいきますと、もう本当に七日で打ち切られるんじゃないか、七日たったからもう打ち切るよと言われたらどうしよう、こういうふうな御心配も私たちの方に届いているわけですね。
 そういうことですから、今回のような災害にはこの災害救助法の一般基準というのは全く適用はしないし、また少し延長ができるよという特別基準も一般基準を基準にしていますから本当に短い期間しか延びないよというような内容になっているし、とどめるべきだなんというふうになっているわけですから、私はこういう点は改善をする必要があるというふうに思います。それで、このような大規模な災害はめったに起こらないというような、そういう前提に立った救助のあり方そのものがやはり問い直されなければならないというふうに思います。
 次に、避難生活の水準の問題なんですけれども、災害救助法をずっと見てみまして、私も乾燥機の問題だとか避難所での生活の問題で大臣にも、乾燥機はなかなかいいね、改善しようというふうに御答弁をいただいたわけですけれども、問題は、この災害救助法ではただ避難所を設ければよいというふうになっているわけです。学校とか公会堂なんかの公共施設、そういうのがなければ広場にテントを建てでもよろしい、そういうことしか災害救助法には書かれていません。つくられたのが一九四七年、昭和二十二年ですから、いわば戦後の焼け野原の時代の避難を念頭に置いた災害救助法じゃないか、今日の時代にマッチしていないんじゃないかというふうに思うわけです。ですから、今度の阪神大震災の大きな犠牲をむだにしないためにも、今後この避難所のあり方は改善される必要があると思うんですね。
 静岡県のある市では、避難生活に必要な資材、例えば電気なら発動発電機をちゃんと備えておくだとか、ろ水器による給水を行う装置を持っているだとか、ガスであればプロパン、卓上こんろ、こういうものを持っているとか、無線機をちゃんと配備してあるとか、トイレは仮設トイレをちゃんと準備してあるとか、プライバシーの保護にはカーテンなどで仕切るような資材を持っているとか、そういうふうなマニュアルを持っている地方自治体もあるわけです。
 ですから、私は今回、広域的でもいいから少なくとも基幹的な避難所にはそういう必要な設備、物資、それの備蓄を含むガイドラインをきちっとつくって、各地方の防災計画が見直されるような状況も出ているわけですから、その一環として厚生省が積極的なリーダーシップを発揮されてはどうかと思うんですけれども、どうでしょう。
#32
○政府委員(佐野利昭君) 避難所の設置場所でありますとか物資、備蓄あるいは輸送などの避難地の生活状況を左右する措置につきましては、災害対策基本法に基づく地域防災計画により定めることとされておりまして、自治体ごとに食料や生活必需品、医薬品を備蓄するそういう施設の設置をしたり、あるいは緊急時の物資の供給元の確保などの工夫をしているのが通常でございます。兵庫県の場合にも、全くそういうものがなされていなかったわけではないというふうに聞いております。
 ただ、実際の問題といたしましては、今回の場合には、先ほどからもう再三御答弁申し上げておりますけれども、想像を超えた大災害であったということと、もう一つは、やはりその災害救助を実施する司令塔となるべきであった兵庫県庁なりあるいは神戸市なりがそのまま災害を受けたというような、これも恐らく予想を超えた事態であったと思うわけでございますけれども、そういうような状況がございましたのでなかなか対応し切れなかった面があることはまさしく御指摘のとおりだと思うわけでございます。
 今回の避難所の生活環境の改善につきましては、先生からも再三御指摘をいただいておりますし、私どもの方といたしましても、県の方にいろいろと指導通知を流したりして取り扱いの改善を図ってきたところでございますけれども、今回の災害を教訓といたしまして、御指摘のように、これからの災害救助のあり方、特に大規模災害に適切に対応するための体制の見直し等につきましては私どもの方でも検討していきたいと思いますし、またそれを各自治体の方にも指導してまいりたい、こう考えております。
#33
○西山登紀子君 それはぜひよろしくお願いをいたします。
 そして、いつも予想もしなかったと、そういうことでは、日本列島全体が地震でいつああいうふうな状態になるかもしれないということを想定した上での災害救助のあり方、これが今国民の要望だと思うので、これからはその点も踏まえてお願いをしたいと思います。
 あと二問ありますが、仮設住宅の問題につきまして、今なお仮設住宅が間に合わないということで避難所暮らしが長引いています。これはもう早急に、希望者全員へ仮設住宅の提供を急いでいただく必要があります。そして、これも今の質問との関連もあるんですけれども、いざ生産が間に合わないというようなことではこれはいけないと思いますので、国の財政援助のもとに一定の備蓄をしておくということで、そういうお考えはありませんか。
#34
○政府委員(佐野利昭君) 確かに御指摘のように、四万戸の仮設住宅を建設するということで現在ようやく三万七千戸が発注できたと、三月末までには何とか三万戸の完成を目途に今一生懸命建設に努めているところでございまして、現在までに約一万一千戸の完成、五千四百戸ぐらいが入居の状況というふうに報告を受けております。
 ただ、こういう仮設住宅の備蓄という御提案でございましたが、応急仮設住宅といえども、特に今回のような大規模な災害を考えますと、どうしても仮設住宅の在住期間も長くなるであろう、場合によったら二年を超える場合も想定されるわけでございますので、やはりある程度長期にわたって使用できる住宅でなければならない。また、住居としての形態を整えるためには水回りや電気等を含めた多種類の資材を調達しなければならないというような形もございますし、そういう面からいきますとなかなか備蓄にはなじみにくいのではないかという感じがいたします。
 現実問題といたしまして、毛布でありますとかあるいは食料というようなものにつきましては備蓄に比較的なじみやすいという感じがいたすわけでございますけれども、やはり建築資材というような形で、仮設住宅をつくるというような形になりますと、これはやはり備蓄というよりは多少時間をいただいてでもきちんとしたものをつくっていくということを考えざるを得ないのではないかということで、そういう面からいきますと、生産工程や何かをやはり把握しておくということも十分必要なことだとは思いますが、ちょっと御提案のような形はとりにくいのではないかというふうに考えております。
#35
○西山登紀子君 地震の災害というのはこちらが思ったとおりに起こらないわけで、いつ起こるかわからないわけですから、またこういうような事態が繰り返されるということも懸念されるわけで、私はその点はぜひ検討が必要だろうと思います。
 最後に、大臣にお伺いしたいわけですけれども、災害救助法の第一条には、「この法律は、災害に際して、国が地方公共団体、日本赤十字社その他の団体及び国民の協力の下に、応急的に、必要な救助を行い、災害にかかった者の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的とする。」というふうに国の責任を明記しているわけです。
 ところが、今までるる私が問題にしてまいりましたように、今の災害救助法というのは非常に今回の災害と対応しないような部分を持っております。東京や神奈川、埼玉なんかは大きな地震に対して被害想定を出していらっしゃるんですけれども、そういうのを見ますと、今回の震災よりも大きな地震の被害を想定している自治体もあります。
 ですから、これから見ましても、現行の災害救助法を、救助の体系とか期間とか水準それから事前の備蓄に対する国の財政支援のあり方、こういうものも含めて抜本的に見直して改善を図る時期に来ているんじゃないか。今回の阪神大震災の犠牲の上に、やはりそれをむだにしないためにも改善が必要だと考えますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#36
○国務大臣(井出正一君) お答えする前に、先ほど局長が御答弁いたしました仮設住宅の備蓄の問題ですが、私も実は何度か現地へ行って仮設住宅の建築現場を見てまいりました。
 いろんな方式があって、終わった後きれいに折り畳んでとっておくのはとても無理だなというようなやり方のもありますし、何か三十分ぐらいで、クレーンで持ち上げておろしてボルトで締めてという大変便利なのもありました。聞いてみましたら、それは大変数は少ないんだそうですが、こんなのはとっておけるなと。例えばこんなのを、こういうようなときにそれぞれの都道府県なんかが用意することはできないのかなと、こんなふうに私は現地でちょっと感じたことは事実でありますが、現実問題なかなか難しい点もありそうだと、ちょっと感想だけ申し上げておきます。
 さて、災害救助法は、災害に際しまして国が地方公共団体等及び国民の協力のもとに応急的に必要な援助を行い、災害に被災した方々の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的としておるものであります。
 災害は、いつ、どこで、どのような規模で発生するかを予測することは困難でありますが、現行制度においては、法の適用基準及び救助方法並びにその所要額について、一般基準として包括的に知事に権限を委任し、応急救助が迅速かつ的確に実施できるように定めております。また、災害の規模や態様によっては一般基準で対応が困難な場合があるわけでございます。その場合には特別基準を適用して弾力的に対応できるよう措置しているところであります。
 このように、応急救助につきましては現行制度の運用で対応が可能であると先ほどもお答えをしたところでありますが、今回の阪神・淡路大震災の応急救助の実施に当たっての教訓も数々ございましたから、それらを踏まえて今国土庁を中心に防災計画全体の見直しが検討されております。したがいまして、厚生省といたしましてもその見直し作業には積極的に参加あるいは協力していきたいと思いますし、災害救助法そのものは極めて大まかなあれでございますから、ある意味じゃむしろかえって弾力的に対応できるとも言えるわけでございます。
 次官通知について、むしろきょうは先生に随分いろいろ御指摘をいただいたわけでありますから、そこらは少し検討してみる必要はあるかなと、こう考えております。
#37
○委員長(種田誠君) 本件に対する質疑は以上で終了いたします。
#38
○委員長(種田誠君) 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法及び戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。井出厚生大臣。
#39
○国務大臣(井出正一君) ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法及び戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、年金の支給を初め各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところでありますが、今回、年金等の支給額を引き上げるとともに、戦没者等の遺族に対して特別弔慰金を支給することとし、関係の法律を改正しようとするものであります。
 以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正であります。これは、障害年金、遺族年金等の額を恩給の額の引き上げに準じて引き上げるものであります。
 第二は、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部改正であります。これは、戦没者等の遺族であって、同一の戦没者に関し公務扶助料、遺族年金等の支給を受けている者がいないものに対し、特別弔慰金として額面四十万円、十年償還の国債を支給するものであります。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
#40
○委員長(種田誠君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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