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1995/03/28 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 厚生委員会 第7号
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1995/03/28 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 厚生委員会 第7号

#1
第132回国会 厚生委員会 第7号
平成七年三月二十八日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     佐々木 満君     成瀬 守重君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         種田  誠君
    理 事
                清水嘉与子君
                宮崎 秀樹君
                菅野  壽君
                木暮 山人君
    委 員
                石井 道子君
                尾辻 秀久君
                大島 慶久君
                大浜 方栄君
                成瀬 守重君
                前島英三郎君
                今井  澄君
               日下部禧代子君
                竹村 泰子君
                堀  利和君
                勝木 健司君
                横尾 和伸君
                萩野 浩基君
                西山登紀子君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  井出 正一君
   政府委員
       厚生大臣官房長  山口 剛彦君
       厚生大臣官房審
       議官       和田  勝君
       厚生省健康政策
       局長       谷  修一君
       厚生省薬務局長  田中 健次君
       厚生省社会・援
       護局長      佐野 利昭君
       厚生省老人保健
       福祉局長     阿部 正俊君
       厚生省保険局長  岡光 序治君
       社会保険庁運営
       部長
       兼内閣審議官   横田 吉男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        水野 国利君
   説明員
       文部省高等教育
       局私学部私学行
       政課長      若松 澄夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(種田誠君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 国民健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○前島英三郎君 おはようございます。よろしくお願いします。
 国民健康保険制度は、健康保険、共済組合などの被用者保険の加入資格を持たないすべての国民を対象としておりまして、我が国の国民皆保険体制のいわばかなめになっておるわけであります。
 私はもう十八年もこの永田町に勤めておりますが、当初地方行政委員会に属していまして、これは大変よかったと思っておるんです。というのは、市町村こそが福祉の最後のとりでであるということを十分に学ぶことができましたし、自来、福祉関連八法も、市町村へ権限が移行されたり、いわば福祉は向こう三軒両隣型福祉がこれからの二十一世紀には大変重要ではないかというようなこともいろんなところで提言もさせていただいておるんですが、これは福祉ばかりじゃありませんで、医療もまたそうであります。それが具体的には国民健康保険制度にほかならないわけであります。
 しかしながら国保は、産業構造や就業構造、これはもう時代の変化も著しいわけでありますし、家族形態の変化やあるいは高齢化の進展、こういった社会経済情勢の変化の影響をもろに受けるし、非常に強く受けているというのが昨今の状況であろうと思います。特に近年、さまざまな問題が一層深刻になってきたような気がしてならないわけであります。
 国保の被保険者は、いわば市町村の住民の中からほかに勤めに出かける人を除いた住民で構成しているわけであります。会社や役所といったところがそれなりの目を配ってくれるのと違いまして、もう市町村だけしか頼るところがないわけであります。ですから、すべての国民に必要な医療を保障するという観点からも、国保の運営を安定したものとすることは極めて重要なことであろうと思います。
 そこで、国保が現在どのような問題を抱えているのか、厚生省としてどのように認識しているのかお尋ねしたいことと、そして今回の国保制度等の改正はそうした問題にどのように対応しようとしているのか、まず冒頭承っておきたいと思います。どうでしょう。
#4
○国務大臣(井出正一君) 国民健康保険におきましては、低所得者層の増加とかあるいは小規模保険者の増加さらに保険料の地域格差等さまざまな構造的な問題を抱えておることは先生御承知のとおりであります。
 大きく分けて三つに分けられると思うんですが、その第一は、所得の低い世帯が増加し、この結果、中間所得者層の保険料の負担が過重になってきている等の問題でございます。これに対しましては、今回の改正では応益割合に応じた保険料軽減制度の拡充を行うこととしております。
 第二番目は、社会経済情勢の変化等によりまして小規模保険者が増加しております。その結果、運営が不安定または保健事業等が十分に実施できないなどの問題が生じていることでございます。これに対しましては、高額医療費共同事業の拡充や国保連等による保険者支援の強化を行うことにより運営の安定化を図ってまいりたいと考えております。
 第三番目は、医療費の地域格差を主たる要因といたしまして、保険料についても最も高い市町村と最も低い市町村では約六倍というような大きな地域格差が生じているわけでございます。これに対しましては、医療費が極端に高い市町村におきましては国民健康保険運営の安定化計画を作成していただき実施することとし、またその上で基準超過医療費共同負担制度について基準の見直しを行うこととしております。
 また、レセプト点検やあるいは保健事業などの医療費適正化対策についてもさらに推進していく必要があると考えておるところでございます。
#5
○前島英三郎君 今、大臣から三つと一つの対応の指摘があったわけでありますが、それではこの国保制度の改正について端的に伺っていきたいと思うんです。
 第一点は保険料です。軽減制度の拡充についてということでありますが、今回は一方で応益割合、つまり保険料に占める定額保険料部分の割合を、現在の平均である三五%からできるだけ五〇%に近づけていこうという考え方をとっているわけですね。もう一方では、低所得者層の場合、応益割合をふやすことによって保険料が高くなってしまうことになりますから、保険料の軽減措置を拡充する必要がある、こういう考え方のようであります。今、大臣がそんなふうなことをおっしゃいました。
 しかし、保険料の実態は市町村によって相当大きな開きがあるということも今大臣述べられたわけでありますが、応益割合でも九・五%から七〇%以上まで幅がありますし、一人当たりの保険料の額でも最低と最高では六倍近い開きがある。例えば、沖縄と北海道の格差なんというのはすごいものです。この辺は大浜先生が、沖縄はなぜこんなに国の保険料負担が少ないのか、それは沖縄の医療はこうであるというようなことをよく言いましたね。その点北海道は何だというようなことをおっしゃったこともありますが、それはゆっくり後でやってください。
 それはそれとして、もともと被保険者自体が多様なのが国保でありますからこういうことにもなるんであろうし、そういう言い方も出てくるんだというふうに思うんですが、それだけ公平さを確保するということがいかに難しいかということも言えるんじゃないかと思うんですね。
 今回の制度改正によって、保険者間または被保険者間での保険料の負担の公平、これはやっぱりついて回ると思うんです、この公平という問題は。これをどのように図ろうとしているかあるいは図れるのか、具体的にお答えをいただきたいと思うんですが、いかがですか。
#6
○政府委員(岡光序治君) 応益割合が五〇%前後の保険者につきまして、御指摘がありましたように保険料軽減制度を拡充しよう、こういうことを考えておるわけでございますが、これによりまして、応益割合の低い市町村が低所得者の負担増にも配慮をしながら応益割合を高めることを支援しようとしているわけでございます。これによりまして、結果としては中間所得者層の負担が軽減をされて、同一の保険者内における被保険者間の保険料負担の公平につながるのではないだろうかというふうに考えております。
 また、今御指摘がありましたように、応益割合も各保険者で相当の差がございまして、これをやはり五〇%に近づけるというふうに誘導してまいりますと、その点保険者間での保険料負担の公平にもつながっていくんじゃないだろうか。この二点から、今回の改正をぜひともやらせていただきたいというふうに考えております。
 あわせまして、医療費が非常に高い地域につきましては安定化計画をつくっていただきまして、いわゆる医療費適正化に努めてもらうということを考えておりますので、これによりましても保険者間の負担の公平に資するのではないだろうか、そんなふうに考えております。
#7
○前島英三郎君 高齢者の医療も七兆円時代というようなことも言われておりますし、この保険料というのは市町村が定めることになっているわけですね。市町村議会を通じて市町村住民の理解とコンセンサスを得て決めるということであろうと思うんです。今、統一地方選挙も行われておるわけでありますが、その前に市町村自体、そのトップの首長さんにこれはどうしても理解してもらわなければならない点ではないかというふうに思うんですね。
 ある雑誌に載った報告によりますと、全国国保主管課長会議というのがあるんですか、本年二月一日、岡光局長さんがそこで大演説をいたしまして、それが載っておりました。こんなふうに言っているんですね。
 皆さんの役割は、市町村長に国民健康保険の運営に関して、励まし、そして理解してもらうことである。市町村長に何を理解していただきたいかについて数点申し上げる。
 要は市町村の仕事を進めるに当たり、何が大切であるかである。道路を作り、橋を渡し、公共の建物を建てることも必要であるが、むしろ住民の要望は自分の健康を守りたいとか、あるいは歳をとった後の生活に不安がないかどうかであり、安心して生活をしたいということである。というんで、これかなり長いんですよ。長いものですからこの辺までにしますけれども、市町村の首長さんに、実例を挙げて国保行政の大切さを理解してもらうことをアピールするという訓示の内容のように私は見たんですね。
 実際問題として、今回この法律を国会で改正した後、保険者である市町村当局がそれぞれの議会にこれはかけなきゃならないわけですね。その場合、各市町村そして各市町村長の御理解を得ることは極めて重要であると思うんです。それが市長村議会のさらには市町村の住民の理解につながっていくわけでありますから、この点について厚生省としても十分過ぎるぐらいの配慮と努力が大変重要ではないかというような気がするんですが、この辺は御訓示なされた岡光局長、もう一度ひとつその認識をしっかりと演説してもらいたい。
#8
○政府委員(岡光序治君) 国民健康保険制度の果たしている役割について市町村長さんにより御理解をいただくということでいろんなことを申し上げているわけでございますが、今回改正をいただくならば、その点につきましてもいろんな機会を通じまして趣旨の徹底を図りたいと考えております。また、私どもだけでは不足をいたしますので、国民健康保険中央会とか各県の連合会を活用しましてそういった情報提供もあわせ図りたいと考えております。
#9
○前島英三郎君 私もちょっとアドバイスを受けたことがあるんですけれども、老人ホームが一万人ぐらいの町へ一つつくられる、そこへ近郷近在も含めてその町のお年寄りが結構入所するようになっていく、たまったものじゃない、保険料が上がって、保険負担が上がって。たまったものじゃないというので反対運動のようなものは起きないけれども、かなり市町村議会でしつこく首長さんが責められて、老人ホームというようなものは安易につくるとやっぱり町の人たちの負担が多くなって大変じゃわいというようなことを言った方がいたものですから、私はこういうことを言ったんです。
 とにかく、そこに一つの特別養護老人ホームができる。それによって地域の人が雇用で確保される。地域のおじいちゃん、おばあちゃんが安心して老後が迎えられ、そこで使う食べ物やすべてはその町でカバーし、そしてそこに所得も含めたものがすべて落ちてくる。国からは月額何十万というお金が当然そこに落ちてくるんだから、それによって町は潤うに違いない。特別養護老人ホームがあることによって安心、安全というお年寄りたちの気持ちと、若干の負担というものとを比較してどちらが得策と思うかよく計算してごらんなさいよと言うと、特別養護老人ホームがあることによって町は経済は活気づいたというようなことを後日説明を受けて、これは首長さん、厚生省がかなりそういう経済効果も含めた説明をしながら応分の保険料の負担ということはもう当然避けることはできないわけですから、その辺もやっぱりこれからやることが大変重要だなと、メンタルな部分で、こういう思いを大変強くしますから、一言申し上げておきます。
 国保制度改正についての第二のお尋ねは、一つは小規模保険者の問題なんですね。特に町村部においては高齢化の影響を強く受けるほか、過疎化によって保険規模の小規模化が一層進むだろうというふうに思いますし、運営が不安定になっていくという大変困難な問題に直面しているんじゃないかと思います。衆議院では保険規模の広域化といった議論も出ていたようでありますが、国民健康保険が市町村によって運営されていることのメリットというものも大切にする必要があるんじゃないかと思います。
 今回の改正では、この小規模保険者の問題にどのように対応する考えなのかお伺いしたいと思うんですが、また今後必要とされている取り組み、その考えもあれば伺いたいと思います。
#10
○政府委員(岡光序治君) まず、特別養護老人ホームのケースで、住所地の問題でございますが、これはもう先生よく御承知のとおり、昨年の健康保険法の改正で、特別養護老人ホームなどの施設に入所する場合、他の市町村からその施設所在地の市町村に転入してきた人のようなケースにつきましては、措置が行われた際、現に住所を有していた市町村が行う国保の対象にするということで、いわば現実には住まいが移っているわけでございますが、制度上はもとの住所地の市町村国保の保険者にするという制度をつくったわけでございます。そういうことで住所地の特例を講じまして、今御指摘がありましたような負担の面についての調整は一応のところ図っているわけでございます。
 第二段目の小規模保険者の問題でございますが、一つは、規模が小さくなりますと、高額の医療費が発生するとそれがすぐ当該の保険者の負担に及ぶということになりますので、この辺を高額医療費共同事業を拡充強化することによって、もろに負担に響かないようにということを今回講じようとしているわけでございます。
 一つは、都道府県単位の共同事業につきましてその対応を拡充するということと、それから全国規模で共同事業をやることを創設したいということを考えております。
 それからまた、規模の小さい保険者ですと、事務面におきまして専任の事業運営に当たる人の確保が非常に難しいというふうなこともございますので、そういう意味で県の連合会、国保連合会なりあるいは国保中央会の支援措置をこの際法制上も整備をする、そして地域の実情に応じて具体的な支援をしよう、こういうことにしております。
 それから、そもそもの構造問題としてこの小規模保険者に対してどうするんだ、もう少し規模を拡大したらどうだ、こういう御指摘があるわけでございまして、これは十分認識をしております。しかし、これにつきましてはなかなか保険料負担にもばらつきがございますし、直ちに保険者を例えば県にするとかこういうことにつきましては御議論が多いところでございます。したがいまして、その辺は少し時間をかけて制度全体の見直しの中で取り組まさせていただきたいというふうに考えております。
#11
○前島英三郎君 老人医療費、これをどうしたら国民全体が公平に負担できるか、この問題は今後の高齢化社会の進展を展望いたしますと本当に重要な問題であると思います。
 そうした中で、老人加入率上限二〇%の問題はかねてから解決を求められていたものであり、今回の改正によっても調整が十分であるとは言えないと思います。
 とはいえ、私自身、上限二〇%の撤廃を求めるふるさと山梨県を初めとする多くの市町村のいろいろな陳情を受けて、その一方では重い負担を強いられている被用者保険サイドの皆さんからの陳情もあったりいたしまして、いずれの主張も耳を傾けるべきそれなりの理由がありまして、非常に板ばさみのような状況で、率直に言って悩んでおるわけであります。
 ですから、簡単な問題ではないということはよくわかっておるんですが、厚生省としても今回の改正案をどのように自己評価しているのか。その辺は阿部局長いかがですか、自己評価という点では。
#12
○政府委員(阿部正俊君) どう評価するかというのは私どもとしては大変答えにくいものでございますけれども、先生今御指摘にございましたように、老人医療費につきましては上限二〇%問題だけにとどまらず、現在の老人保健制度といいますのは国民皆保険ということを前提にいたしまして、金お年寄りの医療費というのをどういうふうに賄ったらいいのか、みんなでどういう形で出し合ったらいいのかということでの一つの合意に基づく制度でございます。
 そういう意味からしますと、やはり大きく分けて被用者保険サイドでの御意見と、それから市町村を中心にした国保サイドの御意見というのと、一言で言いますとどうしても利害が対立するような構図にならざるを得ないわけでございます。そういう中で今回の改正といいますのは、ぎりぎりそれぞれのお立場を持ちながら、どこまでより公平に近づけるのかというようなことでの合意形成が図られたものであろうというふうに思っておりますので、私どもとしては今回の措置ですべて解決とは到底思っておりませんけれども、現時点における医療保険制度全体の関係者の方々の合意形成という中での改正案でございますので、一歩前進といいましょうか、当面必要な措置が講じられるというふうに思っております。
 ただ、今回の措置もやはり基本的にもう少し見直してみる必要があるんじゃないかということでは関係者の皆さんがほとんど共通でございます。ただ、個別の御意見となりますとなかなか合意が難しい面はないではないんですけれども、それを三年以内にもう一度基本点も含めて議論しましょうという中で当面どう対応するかということで形成された合意でございますので、現段階では関係者の意見をできる限り踏まえた妥当な中身ではなかろうか、こんなふうに思っております。
#13
○前島英三郎君 ちょっと前かがみで語るところを見ると、そう胸を張ってというところでもないようですね。
 各医療保険制度の制度間調整を公平に行うということは、その前提として国保における経営努力の点の充実というものがやっぱり不可欠であると考えるんですが、その中でも特に保健事業の充実というのは、被保険者である住民の健康の増進を図る観点から、医療費の適正化の観点からも大変重要だというように思います。国保の経営努力、中でも保健事業をどのように充実強化していくのかということは大変重要だと思いますし、国保の保健事業というだけでなく、市町村が行っている保健、医療、福祉のすべての施策、すべての資源をやっぱり連携させてトータルな意味での効果的な行政をやることによって、そして地域の人の今、健康も守られていくという仕組みが大変重要だと思うんです。
 市町村がこうした総合的な取り組みをしやすくすることをいろいろやっぱり厚生省も考えていかなければならないと思うんですが、そういう意味での保健事業、あるいはそういう取り組みを市町村にどういうふうにしやすくこれからアドバイスをしていくのか、その辺もちょっと伺っておきたいと思います。
#14
○政府委員(岡光序治君) 一つは、現在やっております保健事業の推進の中で国庫助成をしておりますが、七年度予算におきまして、在宅療養のために必要な用具の貸付事業を新たに助成の対象につけ加えたいと思っております。
 それから、今回の法改正におきましては、御指摘がありました市町村の保険者の保健事業への取り組みを県の国保連合会などが積極的に支援をしていく、こういう規定をお願いすることにしておりまして、県という広域の観点に立ちながら個別の市町村保険者の支援の充実もしていきたい、こういう発想をしたいと思っております。
 それから、もう一点御指摘がありました市町村が行う他の保健医療福祉施策との関連でございますが、御指摘がありましたように、国保事業と積極的に連携を図りながら効率的な事業展開ができるようにこれまた指導をし、また市町村段階で取り組んでいただきたいというふうに考えております。
#15
○前島英三郎君 いずれにいたしましても、今回の国保改革というのは、例えば保険基盤安定制度に係る国庫負担を定額とする件など二年間の暫定措置とされておりますように、どうしても二年後には本格的な見直しが必要であろうというふうに思いますね。介護システム研究会の発表などもあったしいろんなこともあって、また老人保健法の医療費拠出金についても、三年以内を目途として検討を行い所要の措置を講ずることなんというようなこともうたっているわけですから、これからがいわば正念場だろうというような気がいたします。
 このような当面の暫定措置も必要でありましょうが、歴史的に見れば我が国の医療保険制度というのは当面の策ではなく本格的かつ全般的な見直しを行う時期がいよいよやってきた、クライマックスは近いという思いがするわけでありますが、厚生大臣、これからの検討の方向、展望、御決意のほどをひとつ伺っておきたいと思いますが、いかがですか。
#16
○国務大臣(井出正一君) 先生御指摘のように、二十一世紀の本格的な高齢社会におきましてもすべての国民が安心して医療を受けることができるよう、そのためにも医療保険制度の長期的安定を図らねばなりません。しかし、医療保険をめぐる状況は今日大きく変化しておりまして、また給付と負担の公平化のあり方を初め、医療保険制度の将来構想につきましては関係者の皆さんの間にさまざまな考え方があることも事実でございます。そんなことから、現在、医療保険審議会におきまして制度全般について、給付と負担の公平など幅広い観点から審議を進めていただいておるところでございます。
 厚生省といたしましては、こうした議論やあるいは国民の医療ニーズが高度化また多様化している状況等を踏まえるとともに、先生からもただいま御指摘のあったような問題につきまして、具体的には新介護システムの導入とかあるいは国保の抜本改革さらにまた老人保健制度の見直しといった課題を検討する中で給付と負担の公平を図るとともに、来るべき高齢社会においても医療保険制度の長期的な安定が図られるようさらに努力をしてまいるつもりでおります。
#17
○前島英三郎君 これらについても、それから今国会でも介護システムなんかが議論されまして、木暮さんも立派な演説をして質問をして、既に議事速報がこちらにも来ているんですが、当然のことでありますが、この介護システムについては総理の答弁も厚生大臣の答弁も基本的には同じトーンであったと思います。
 簡単に要約すれば次の二つの点に集約できます。一つは、新介護システムの検討に当たっては社会保障制度全般にわたって総合的に検討を進めていく必要がある、こういう点が一つのポイント。もう一つは、必要な情報の公開に努めるとともに広く関係各方面の御意見を伺う。したがって、今の国保の暫定の二年、三年の一つの流れが重要な、あらゆる市町村も含めた、国保も含めた、社会保障も含めたトータルな意味での集約時期に来ているんじゃないかというような気がするわけでありますが、いずれもこの二点はぜひしっかりと守っていただきたいというふうに思います。
 私は、高齢者の介護の問題と障害者の介護の問題について既に予算委員会でも述べたんですが、一つの私なりの考えを持っているわけであります。しかしながら、新介護システムについての論議を行う場として現在選ばれているのは老人保健福祉審議会なんですね。この事実から、実は障害者のことを忘れた介護政策が打ち出されるんじゃないのかという障害者関係団体からの心配の声があることも私としては無視することはできないわけであります。
 したがって、向こう三軒両隣にはお年寄りだけじゃなくて障害者もいるんだということも含めた、いろいろなものを構築していく中には、絶えず高齢者福祉と障害者福祉は車の両輪のようにやっていきながらもろもろの社会保障制度は考えていくときであるというふうに思いますので、ぜひ頑張っていただきまして、国民のコンセンサスを得ながらこの暫定期間を無事乗り切って、立派な社会保障制度全般が二十一世紀までには構築できるように心から期待をいたしまして、御答弁は要りませんので、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#18
○宮崎秀樹君 ただいまは前島委員のすばらしい演説をお聞かせいただきまして、それに引き続いて関連して御質問申し上げます。
 まず一番目は、医療保険制度の一本化、一元化の問題であります。
 これはもう皆様方専門家ですから御案内だと思いますけれども、我が国の医療保険は大正十一年に制定、公布されたわけでありまして、昭和二年に全面施行された健康保険法というものをもってその始まりとしております。その後、約三十回にわたりまして法改正をされております。これは戦中の方は経験があると思いますけれども、戦後、特に我々靴下がなかったんですね。靴下というものがないから、継ぎはぎだらけで一つの靴下をはいていたわけです。今やこの健康保険制度、医療保険制度というのは、もとの生地がない靴下になっているんですね、継ぎはぎだらけ。
 それで、特に重立ったものを挙げますと、戦後の昭和二十二年、労災保険というのができました。健康保険から一部分離されました、業務上の傷病に対する給付のいわゆる廃止を健康保険でやったわけですね。それから、昭和二十三年には社会保険診療報酬支払基金法というのができたわけです。それから昭和四十七年、老人福祉法の改正がございました。いわゆる老人医療の無料化がここで初めて取り入れられたわけです。また、昭和五十七年には老人保健法が制定されました。このように重立ったものを挙げても大きな変革があったわけです。
 かつて日本医師会は、保険はもうばらばらであるから何とかしろということで、職域保険それから地域保険それから老人保健制度と三本立てにするのがいいではないかというような提言をしたことがございます。しかし、それに対しては具体的な政策というものは何も行われなかった。それが現在に及んでおるわけでございます。
 そこで、こういう問題をやっとおみこしを上げて、先ほど大臣がおっしゃった医療保険審議会で現在この問題を取り上げつつあります。と同時に、また介護保険の問題が台頭してきたわけでございます。これは大変いいチャンスですから、こういうものをひとつ理念的に、医療保険制度というのは一体どういうふうに持っていったらいいんだろうかと。人間が生まれてあの世に行くまで、日本国民として生まれたらこういうシステムの中で社会保障は補完されていますよというようなものを、やはりきちっとした憲法をつくるべきである、今まさにその時期に来ているんじゃないか。
 ただ、推計で平成十二年には医療費は四十二兆円になります、しかもそのうちの十五兆六千億は老人医療費ですよ、こういうことだけ掲げているんじゃなくて、じやこれの裏打ちをどうするんだという問題を早急にやらないと、これは阪神・淡路の大震災じゃございませんけれども、事が起きてしまってから対応すると、まさに今から準備をしてそれに備えるということが欠けているんじゃないかと思うんですけれども、まず大臣に御所感を伺いたいと存じます。
#19
○国務大臣(井出正一君) 先生御指摘の医療保険制度の一本化あるいは一元化の問題は、全国民を通じた給付と負担の公平化を図ることだと私は理解しているのでございますが、これに向けてこれまでも医療保険制度や老人保健制度の改革が逐次進められてきたわけでございます。
 しかし、例えば昭和六十一年に、一元化の時期を「昭和六十年代後半のできるだけ早い時期に実施する。」といったような報告もあったのでございますが、既に昭和でいえば七十年に入っちゃったわけでございます。ただ、先生が今御指摘くださいました新介護システムといった問題も大きく浮上してまいりましたし、したがってもう今度こそはまた先延ばしというようなことは許されない時期になってきておると思います。
 とはいうものの、医療保険をめぐる状況は大きく変化しておるんですが、この公平化に関しましては、あるいは医療保険制度の将来構想といいましょうか、関係者の皆さんの間でもまださまざまな考え方があることも事実でございます。したがいまして、目下医療保険審議会におきまして制度全般について、給付と負担の公平なあり方など幅広い観点から審議が進められておるところでございます。
 厚生省といたしましては、先ほど前島先生にもお答えいたしましたが、こうした審議会の議論やあるいは国民の医療ニーズが高度化、多様化している状況等を踏まえながら、新介護システムの導入あるいは国保の抜本改革、老人保健制度の見直しといった課題を検討する中で、給付と負担の公平化が図られるよう、もうそんなに時間的余裕はないという認識のもとに努力してまいりたいと考えております。
#20
○宮崎秀樹君 大変力強いお言葉で、ぜひ真剣に取り組んでもらいたいと思います。特に大臣、これから余生がまだまだ長いお方でありますから、ひとつ頑張ってやっていただきたいと思います。
 次に、具体的な問題でございますけれども、市町村国保ですが、平成五年度においては黒字保険者が三千百二十七、黒字額が三千百二十七億円、これ偶然数字が一致しているんですけれども、赤字保険者は百二十五、そして六百六十五億円の赤字であります。また、その差し引きは二千四百六十二億で、一応見かけは黒字になっておりますけれども、これはいろいろ財源補てんをしておるわけでありまして、実際には地方財政を圧迫しているのは事実でございます。
 それから組合国保ですが、これは自営業者が多いわけで、三百八十九億の黒字になっております。これも組合の性格上の問題とそれから負担額、保険料率の問題もあろうかと思います。
 また政管健保、これは平成五年度では一兆四千億円のいわゆる事業運営安定資金の残高がございます。しかし、なし崩しに今崩しておりますので、これももうすぐ赤字に転落していくということは目に見えております。
 しかし一方、組合健保でございます。これは大変黒字が累積されておりまして、平成四年では法定準備金が一兆五百五十八億、別途積立金が二兆二千三百十億ということでございます。これは、大企業なんかはきちっと健康管理をやって、定年になったらそれでもう弱小の健保へみんな移らなきゃならない、特に国保へ入ってくる、こういうことが大きな原因でございます。
 そのように、いろいろなことで不公平感と申しましょうか、同じ人間に生まれて、そして国からの保障、これは国費でございますけれども、国庫負担、そしてまた地方の自治体の負担というものをあまねく平等に受けているかというと、そうでもない。それからまた、自分たちが出した保険料を積み立てておいて、そしてそれを年とってから還元されるということもないというようなこともあろうかと思います。
 ですから、押しなべてここら辺は、やはり同じ日本人に生まれてきたならば、いわゆる弱者救済というのが一つの建前ですから、自助努力をして、だめなときには同じような給付を受ける、そういう公平感が国民の間にないと、やはりこういうものは私は長続きしていかないんじゃないかというふうに思っております。
 そこで、日本は確かに今まで医療保険制度というのは世界に冠たるものであるというふうに胸を張っておりましたけれども、これは実態は非常にプアなんですね。何でプアかといいますと、アメリカ等へ行って医療現場を見てきますと、これは格段の差がございます。日本の病院に入院したことがあるとおわかりになりますけれども、二人部屋なんかに入ると、頭の上でおむつをかえているんですね。今はいい機械がありますから、もうTの字でなきゃ入れないんですね、機械を搬入するから。そうすると、頭の上でおむつをかえているその下で寝ていると。
 そういうようなことで、今はもう日本人は大変中流階級意識が強いので、大体一人一室確保できるような状況になってきております。だから、自宅にいるよりも病気になると悪い環境に入っていく。そして、病院の御飯というのは非常にまずいんです、非常に安いですからね。それで悪いものを食わされる。それで早く病気を治せといってもなかなかこれは難しい話でありまして、そういうような状況が現在の状況だと言ったって私は過言じゃないと思うんです。
 ですから、そういういろいろなことを考えた中で、トータル的に質を上げるというよりは、病気になったらまさにリッチな感覚になるような状況をつくり出す、そして負担についても自助努力というものを考えていかなきゃいけない、そういうものを考えた中で国民負担率というものを考えなきゃならない、そういうことを私は考えておりますけれども、保険局長さん、方々でやはりいろんな演説をやっていらっしゃいますので大変私は優秀な方だと思っておるので、名案があったらひとつ保険局長さんのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#21
○政府委員(岡光序治君) 大臣が御答弁申し上げましたように、医療保険制度全体を通じる給付と負担の公平というのは大変な課題でございまして、これはもう先生御指摘いただきましたが、従来からの懸案でございましてなかなか意見の一致を見ておらないというのが正直なところでございます。かつ、今御指摘がありました病室の環境であるとかあるいは給食の内容であるとか、これにつきましても種々御指摘をいただいている点でございます。そういういろんな状況を根本から見直しをして、もう一度制度全体を組み直さなきゃいけないようないわば大きな転換点に来たんじゃないかなという感じがしているわけでございます。
 そういう意味で、ますます国民の皆様の中で御議論を大いに起こして、そして一定のコンセンサスを得るような努力を私どもはしなきやいけないんじゃないか、こんなふうに認識している次第でございます。
#22
○宮崎秀樹君 それでは、今度は細かい具体的な問題に入りたいと思います。
 そこで、社会保険診療報酬の点数の妥当性ということでございますけれども、まず甲乙一本化というので、御案内のように甲表乙表という診療報酬体系がございましたけれどもこれが大体一本化されてきた。
 そこで、初診料が今幾らか知っている方はこれはドクター以外はほとんどいないと思うんですね。初診料というのは今二百二十一点、これは一点十円ですから二千二百十円であります。この初診料が何で二千二百十円なのか、その根拠ですね、これが何で積算されてこの値段がついたのか、明確に御答弁できたらお願いしたいと思います。
#23
○政府委員(岡光序治君) もう先生よく御存じのとおり、初診料といいますのは、病気になって患者が初めて医療機関を訪れた際に、診察それから診察の際に行われる例えば血圧の測定などのような簡単な検査、こういったものを包括して評価をしているわけでございます。
 御指摘がありましたように平成六年四月の改定で、診療所につきましては二百二十一点、病院につきましては二百八点ということで、甲乙ばらばらでございましたがこれを一本化したわけでございます。
 その考え方でございますが、これは今申し上げましたように、初診の際のもろもろの判断料、それから関連する医療行為につきまして包括的に評価をしているという中身でございまして、そういう意味ではその分野を特定いたしまして原価計算をしているわけではございませんので、この二百二十一点なり二百八点のよって来る正確な根拠というのはなかなか説明しにくいところでございます。
#24
○宮崎秀樹君 当然そういうことしか言えないと思うんですね。じゃ、これが三千円であってはなぜいけないのかという問題も逆にあるし、また五千円であってもいいではないかというような議論もあろうかと思います。言うなれば、私は医療費というのは一つのどんぶりだと思うんですね、キャパシティー。そのキャパシティーをみんなで分け合っていくというのでこういうことになったというふうに、逆に、先にトータルがあってそれを割っていくというような発想がどこかに見え隠れしているんではないかというふうに思うわけでございます。
 そこで、昭和四十年に初診料は二百四十円でした。それで、JRの初乗りが、当時は国電ですね、十円でございました。現在、JRの初乗りの値段が百二十円、ちょうど十二倍です。そうしますと、現在二千二百十円というと、これは二百四十円の十二倍になっていないわけですね。私は、やっぱりある程度何かメルクマールがあってそしてほかの公共料金とのつり合いがあるのならいいと思うんですけれども、よく床屋さんのお値段と初診料は一緒だよと、こういうのが昔からあります。今、ちなみに床屋さんは平均が三千四百五十二円だそうでございます。そこで、二千二百十円ということで今は大分初診料が安い。
 それから、保健医療サービスというのは、これが昭和四十年四〇・一という数字が出ております。平成四年が一〇五・一。理美容サービス、昭和四十年が一二・八、これが今一〇七・三、こうなっておりまして、医療サービスの方が非常に伸びが鈍化している。こういうことを考えると、医療というのは命にかかわることですから、やはり手厚くしてきちっとやることが実態であると思います。
 その反面、医療監視なんという言葉を使って、医療を全く罪人扱いにしているということもおかしな話で、この間、公害監視というのがありますよという話でしたけれども、公害というのは悪いんですよ、もうそれ自体が。だからこれは監視しなければいけない。じゃ、公害と医療は一緒かと、こうなるわけですね。医療と公害とを一緒にされて監視されたら、これはたまったものじゃない。だから、そこの考え方をきちっと整理してもらわないといけないと思うんですが、こんな実態になっていますが、これに関してどうお考えでしょうか。
#25
○政府委員(岡光序治君) 先生も御指摘がありましたように、初診料につきましてこれまでずっと必要に応じて改定を行っておりますが、そのときの改定の考え方は、全体の改定率というんでしょうか、財源がどれだけあるかということと、それから医療経済実態調査で把握をいたします病院、診療所、あるいは甲乙種別、あるいは診療科別の医療機関の経営の状況を把握しましてその安定化を考える、あるいは病院、診療所などの医療機関に応じた外来機能の評価をする、こういったことを総合的に勘案して決めているわけでございますのと、それから御指摘がありましたが、診療報酬点数は、その性格の一点には財源の配分係数であるという点もあるわけでございまして、そういったことを考えて対応しているつもりでございます。
 なお、いろんな指標との比較でございますが、私どもは一応消費者物価の動きとか人件費の動きというのをよく念頭に置いているわけでございますが、参考までに申し上げますと、昭和四十年度の消費者物価を一〇〇といたしますと、平成五年度の伸び率は三九三ということでございます。そういう意味では、四十年一月の二十四点に対します平成六年四月の二百二十一点は五・六七倍でございますので、そういった数字の状況であるということを認識しております。
#26
○宮崎秀樹君 今は初診料だけのことを取り上げましたけれども、医療費全体の中でやっぱり内容が変わってきているんですね。例えば、高い医療機器を開発しそれをまた取り入れる、医療環境をよくする、これはもう全然サービスの内容が違うんですね。だから、やっぱりそこだけをとらえて私はこれは議論できないというふうに思いますよ。
 それから、もう一つ申し上げたいのは、医療費全体の問題ですね。結局、財源がこれしかないからこれだけなんだよという発想なのか、あればもっと医療費というのは高くてもいいんだよというふうに思っているのか、ここの違いがわからないんですが、どうでしょう。じゃ、今の医療費を見て、これは妥当なんだ、これでやれとおっしゃっているのか、いや財源があればもっとつけてもっといい内容にしろよと、こう思っているのか、そこはどうなんですか。
#27
○政府委員(岡光序治君) そもそも論といたしましては、良質な医療が効率よく確保されるということを目指すべきだと考えております。
 しかし、今おっしゃいました財源的には保険料それから公費負担それから患者一部負担でその財源構成がなされているわけでございますので、そこにはおのずと限界があろうかと思っております。国民負担率議論なんというようなことも大いに議論されておるということはその一つの例証じゃないかと思っております。そういう意味では、やはり一定の財源の中で今申し上げましたような良質な医療を効率的に確保するという観点で一体どう考えていかなきゃいけないのか。
 それから、もちろん国民の健康水準というものが上がらなければならないわけでございますので、テーマごとにいろんな課題があるわけでございますからその課題には適切にこたえなきゃいけないという、いわば非常に苦しい両サイドからの要請があるものというふうに認識しております。
#28
○宮崎秀樹君 最後に苦しいとおっしゃったので、これ以上告しめると気の毒だからもうやめますけれども。
 それでは、ぜひ良質な医療、いわゆる日本国民が病気になったときには最高の治療を受けて、最高の環境で、一生を終わっちゃいけませんけれども、また社会復帰していただくというふうに私は願うものでございますので、そこら辺は今後前向きに何とぞよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、次の問題は付添看護の問題であります。
 平成八年三月三十一日で一応付添看護の廃止ということで、今いろんな取り組みをしております。しかし、私のところに寄せられるいろんなファクスなり電話なりまたお会いしてお話を聞くと、現場は今大変混乱しております。
 その混乱の一つは、まず国公立病院から付き添いの必要な生活保護の患者を逆に民間病院へ受け入れてくれというのが今非常に多い。要するに手間のかかる、付き添いさんがついている生活保護の方はもう出ていってくれと、それが一つであります。
 それから、特三類承認の国公立病院でありますが、CCUに入っておりましてそして付き添いを自費でつける、また個室で重症でつける、そういう人が特室料を払ってそして家政婦料を払うと、これが実は月額七十万円ぐらいになるんですね。こういうところは付添看護を廃止ということになりますと大変なことになるので、ここからも転院を迫られてほかの病院へ移すということを言われて困っておる、こういうことでございます。国公立病院から進んでそういうことをおやりになるのならいいんですけれども、逆な傾向が今出ている。
 私は、実はおとといですか、実際に会って話を聞いてきました。これはなかなか大変です。私も個人的なことですけれども、実は胆石の手術をしまして、昭和六十一年だったですか入院して、それで手術した後一日はリカバリーへ入って、翌日病室へ移されたけれども、付添看護婦さんかだれか一日一人ずつといなければ、術後はつきっ切りでいなければこれは大変ですね。
 だから、実際に自分たちが腹でも切って入って経験されるとこれは大変なことだとわかるんですけれども、人のことだからということでこういうことを強引にやられると非常に迷惑な話なんで、この辺はどういうふうにお考えになっているか、お聞かせ願いたいと思います。
#29
○政府委員(岡光序治君) 御指摘のありましたような追い出しと言われるような事例につきましてはいろんなケースがあるのではないかと思っておりまして、個別によくお話を聞いた上で必要な指導をする必要があるというふうに考えております。
 いずれにしましても、医療上の判断とは別途の観点から患者に退院を強いるようなケースは、これは不適切でございます。それからまた、新しい看護体制なりあるいは基準看護を採用しておる医療機関につきましては付添看護をつけることができないというのは御承知のとおりでございまして、そういったところに付き添いさんをつけなさいというふうなことをもし強要するようなケースがあるのであれば、それはまさに不適切でございます。
 こういった不適切と考えられるケースにつきましては、都道府県を通じまして十分指導をするという考えでございますが、そもそも今回の、昨年十月から始めました付添看護の解消につきましては、医療機関における努力も必要でございますし、それから実際に今まで付添看護をしていたサイドの方々のいろんな御協力あるいは職場転換とかそういったことも必要になってまいります。
 皆さんの総合的な御努力で、何とか付き添いのない、病院の責任のもとでの看護サービスが提供できる体制を整備していきたい、こういう考え方で皆さん方の御努力それから御協力をいただきながら何とかこの体制を定着させたいという考え方をとりたいと思っております。
#30
○宮崎秀樹君 そうはおっしゃっても、現場はなかなかそうはいかないんです。特に私的病院においては、新看護体系それから入院医療管理料の病院に移行しまたは移行するための付添看護解消計画を提出している病院、そういうところからそういう基準をとっていない病院へ一日に三、四件の転院、追い出しの問い合わせが来ているんですね。これが実態です。結局、重症患者の追い出してあります。
 それともう一つ、有床診療所、これも今問題になっておりまして、大体有床診療所で新看護体系に移行しますと、赤字がこれは百五十万です。これは全部実態を調査して出てまいりました。百五十万円持ち出さないと今度はできない。それだけの社会保険診療報酬の裏づけがあるかといったら、ないわけですね。それをやって百五十万の赤字。だから、もう病棟を、病室を閉鎖するしかないんだよというのが実態であります。都会地においては病院が充実しているけれども、これは佐賀県だとかそれから九州に非常に多いんですけれども、有床診療所が山間地にございます。こういうところが全部やられてしまうと、これは大変なことになるんじゃないかというふうに思っております。
 ですから、ぜひ実情をよく御勘案いただきまして、ひとつ調査方をお願いしたいと思います。いかがですか。
#31
○政府委員(岡光序治君) 先生御指摘いただきましたように実情をよく把握して対応したいと思っておりますが、確かに今の段階で調査をいたしますと、診療所につきましては解消計画をつくっていないところが多うございます。有床診療所はその地域において大変重要な地域医療確保のための役割を担っておるわけでございますので、そこが有床診療所でなくなってしまうということは地域医療に対して大変な影響を受けますので、何とかそれを続けてもらう、かつ付添看護の解消の実も上げていただく、こういうことを考える必要があろうかと思います。
 そういう意味では、実情をよく把握しながら、その対応ぶりについてなお必要な点がないかどうか十分検討させていただきたいと思います。
#32
○宮崎秀樹君 そういうことでございますので、今局長から御答弁いただきましたけれども、この問題は深刻な問題でございます。これは病院側だけじゃなくて患者さんが大変なんですよ、また家族の人たちも大変。ですから、そこら辺を総合的に見て国民が困らないようにひとつやっていただきたいと思います。
 大臣、最後に御決意だけ聞いて、これで終わります。
#33
○国務大臣(井出正一君) 付添看護の解消は、私ども長い間の懸案でもあったわけでございます。しかし、今先生御指摘くださったようないろんな事情、実情もこれまたきちっと把握していかなくちゃならぬと考えております。
 医療機関等の御努力をいただかなければならない問題もいろいろありましょうが、厚生省といたしましては、こうした関係者の皆さんの御協力を得ながら、計画をいたしました平成七年度末の解消の実現に向けて全力を挙げて取り組んでいきたいと思いますし、また診療報酬等に十分それが考慮されていないという御指摘につきましては、また少し検討をさせていただきたい、こんなふうに思うわけでございます。
#34
○今井澄君 日本社会党・護憲民主連合の今井澄でございます。
 国保法の改正等について質疑をさせていただきますが、まず最初に、国保の意義について一言申し上げておきたいと思います。
 どうも国民健康保険というのは、低所得者が多いとかいつも財政が赤字が多いとかということで何か保険の中で厄介者扱いをされてきている。だけれども、これはやっぱり大変間違った考えじゃないだろうかと思うわけです。それは昨今言われておりますように、地域保健としての重要性ということ、特に高齢化が進むに従って、あるいは今また少子化が問題になっているところで、地域の重要性ということが非常に強調されている中におきましては特に地域保健としての国保の役割というのは大きいわけですが、それだけではなく、国保の諸活動の歴史的な意義というものを皆さん方にやはり思い起こしていただきたいというふうに私はまず最初に思います。
 実は、国保が非常に困難な問題を抱えているというのは、確かに最近高齢化が進むに従って特にそうなったわけですが、何も今そうなっただけではなくて、発足当初から農民を主体とする国保として財政的に非常に厳しいという問題は抱えていたわけであります。そうであるだけに、国民健康保険は、国民健康保険法第八十二条に保健施設活動をすることができるという規定があって、当初から健康づくりとかそういう地域の諸活動に取り組んできたということは非常に大きいことだと思うんですね。
 特に、その保健施設活動という中で市町村に保健婦を置いた。今、市町村にいる保健婦はもう普通の市町村の保健婦だと皆さんお思いでしょうが、これは昭和五十三年にそういうふうに移管がえになったわけでありまして、昭和五十三年まではこれはもうほとんどが国民健康保険の保健婦だったわけですね。
 ですから、国民健康保険制度は単に医療の給付を行うというだけではなく、住民の健康をいかにして守り増進するかということを発足当初からやってきた、まさに今老人保健法あるいは新ゴールドプラン等の中の精神を発足当初からやってきたということ、これは国民健康保険の持つ重要性として私どもは認識しなければならないので、財政的に苦しいということで何か厄介な保険だという考えをまず捨てるべきだろうというふうに思います。
 もちろん、国民健康保険以外の健康保険も、健保組合にしましても、私など入っておりました共済、市町村共済にしましてもいろいろやってきているわけですが、こういうところのやってきた保健活動はまたちょっとも色が違っていまして、有名な観光地、保養地に保養施設をつくるとか、組合員がそういうところを安く利用できて非常にゆとりのある生活ができるとか、それから入ったときには薬箱をいただきまして、その中に救急薬とか風邪薬とか入っていて自分の健康はちょっとしたことは自分でやりなさいというふうなこともありますし、また血圧計などを非常に安くあっせんしていただきまして、そういう意味ではもちろん組合員の健康を守る活動をやっているわけでありますが、国保の場合は今言ったような保健婦というもので活動している。
 もう一つ、国民健康保険は国民健康保険直営の病院や診療所をつくりました。これは戦後、国民健康保険制度ができるに当たって、保険あって医療なしということで、保険証はもらうけれどもかかる医療機関がないということで、全国津々浦々に病院、診療所をつくってやってきたのも国民健康保険であるわけです。
 既に高齢社会の中で有名な病院、新ゴールドプラン、ゴールドプラン関連で今どこを挙げるかというと、だれでも文句なしに広島県の御調町の病院を挙げるだろうと思います。ここはまさに国保の病院であります。またさらに、以前を振り返ってみますと、乳幼児医療を無料化する、老人医療を無料化する、自分たちで自分たちの健康を守った村として本にもなっている岩手県の沢内村、この沢内病院も実は国保病院であります。かく言う私も、実は二十年間国保の地域医療で病院に勤務して、長野県の諏訪中央病院というところでやってきたわけです。
 今、例えばこの新ゴールドプランに関連して地域医療活動をやっている病院御三家というのがあるんだそうですが、これは宮城県の涌谷町、それから新潟県の大和町、それから広島県の御調町、そこに病院があってやっている。私の仲間ですけれども、できれば四天王として諏訪中央病院も加えていただきたいなと思っているわけですが、それはそれとして。
 こういう病院においては、診療報酬制度の中に訪問看護制度とかそういうのがない時期からやってまいりました。私の病院でも、訪問看護をやっても一銭にもならない時期から、朝通勤のときにあるいは帰りの途中に看護婦が寄ったり昼休みを活用したりいろいろやってきているわけです。そういうものが今日の新ゴールドプランの具体的な在宅医療の礎を築いてきたということもあるわけです。
 大臣は長野県御出身ですからよくおわかりだと思いますが、大臣のおひざ元にはもう世界に有名な佐久総合病院があり、農村医療を展開してきております。これが長野県の地域医療、健康づくりに大きく貢献してきていることは言うまでもありませんが、同時に、そのすぐ近くに国保の浅間総合病院があります。また、保健婦等が非常な活躍をしている南牧村あるいは北御牧村、あるいは病院では国保依田窪病院というのが大臣のおひざ元にあることも御存じだと思います。
 長野県ではそういう国保の病院、診療所、全部で五十余りありますが、市町村の保健婦、かつての国保保健婦と一緒になって地域住民の健康を守る活動をやってきた。一方で厚生連があり、今長野県は男は日本で一番長生き、女性は三番目に長生き、そして老人医療費はつい最近発表されたところでは日本で一番少ない、一番高い北海道の半分、こういうふうな状況になっているわけであります。
 こういう国保の持っている意味ということ、特に高齢社会の中で国保が果たしている重要な意味というのを踏まえた上で、しかし非常に困難な問題を抱えている、どう解決するかということについて質疑をしていきたいと思います。
 私は、基本的に今回の国保法等の改正につきましては、いろいろ問題があるにしても基本的には賛成し支持する立場からやっていきたいと思いますが、残念ながらこれは暫定的な改正にすぎないというところで、先ほどから抜本的な改正、一元化問題を含めて議論がされていると思います。
 そこで、まず一元化問題、先ほど大臣からもお答えをいただいたんですが、厚生省の方も昭和六十二年当時はこの一元化問題を高らかにうたいとげていたんですね。そして、六十二年の年末には老人医療制度の改革、いわゆる加入者按分率を引き上げるという改革を行ったところで、これで一元化に向けて大きく前進したと誇らしげに、確かにそういうふうに当時は考えたわけですね。ところが、その後この一元化問題は一向に進まない、厚生省の方も口を閉ざして語らないということがこの五、六年ずっと続いてきていると思うんです。
 そのことに対して国会の方では、これは平成二年ですか、衆参の当時の社労委員会、両方とも一元化に向けて取り組むべきであるという附帯決議をしておりますし、今国会においても去る三月十五日、衆議院の厚生委員会において附帯決議をしたところであります。
 もう既に大臣から前島委員、宮崎委員の御質問に対してお答えがあったので簡単で結構なんですけれども、大臣からお答えいただく前に、まず今回の改正について三点ほどお尋ねしたいんですけれども、一元化問題というのは何かというと、負担と給付の公平化を図るということですね。国保はまだ三割自己負担ということがあるわけです。
 そういうことで三点お尋ねしたいのは、まず一点、今回の改正においては給付の公平化、要するに七割給付を引き上げることについては全然考慮されていないけれどもどうしてかということです。それから二番目には、じゃ負担の方の不公平の是正については今回の改正の中で図られている点があるのかということ。それから三点目は、例の老人医療費の拠出金算定の二〇%問題について、二%の改善が行われるわけですが、このことによって一元化に向けて何か条件がよくなるのか、前進するのか、その点をお答えいただきたいと思います。
#35
○政府委員(岡光序治君) まず、制度間の給付の公平化ということでございますが、今回の改正ではこれには残念ながら触れておりません。これは医療保険全体の問題でございますので、その全体の問題を議論する中で検討いたしたいと思っております。
 先生御存じのとおり、健康保険法本則では八割給付ということになっておるわけでございますが、現在はその本則は動かさない格好になっております。本則を動かずに当たっては広く検討した上でその対応をどうするかというのが課題になっているわけでございまして、御指摘ありましたように課題として十分認識をしているわけでございます。
 それから、負担の公平の面につきましては、少なくとも国民健康保険の世界におきまして保険者間の負担の公平あるいは同一の保険者の中における被保険者間の負担の公平、これに向けてインセンティブを何とか働かせたいという考え方を取り入れたつもりでございます。
 それから、老人加入率の上限の引き上げと公平な負担ということでございますが、老人医療費の拠出金制度は、いわば国民全体で親孝行して、かつ保険者一人当たりのいわばお年寄りを支える頭割りを、人数割りを平等にしようではないかというのがそもそもの現在の拠出金制度の考え方でございますので、その二〇%の上限を少しでも動かしていく、そして実態に近づけていくということは、それはやはり公平な負担ということに進んでいく仕組みだというふうに考えております。
 なお、議論がありますのは、老人保健の拠出金は今のシステムでいいのかどうかという実は基本的な問題が提起されておりますので、これは今回の暫定的な引き上げ措置を講じながら、そもそも老人医療費に対する拠出は一体どうあったらいいのかという議論をする中で、皆さん方のコンセンサスを得て合理的な拠出のあり方を探るべきではないかと考えております。
#36
○今井澄君 そこで、先ほど宮崎委員の御質問にもお答えがあったわけですが、ここで改めて大臣に、まずその一元化問題について、厚生省がずっとこの間、口を閉ざしてきたわけですが、今この時点でどういうふうな展望をお持ちかあるいは決意をお持ちか、お聞きしたい。
#37
○国務大臣(井出正一君) 口を閉ざしてきたと先生に今御批判をいただいたわけでございますが、医療保険制度の一元化というのは、先生おっしゃるように給付と負担の公平化を図ることというふうに言いかえられると思うのでございます。厚生省といたしましても、これまでその給付と負担の公平化を図ることという観点から医療保険制度の改革を逐次実施してきたつもりでございます。例えば、平成二年には国民健康保険法の改正をいたしまして保険基盤安定制度の確立等を創設いたしましたし、平成四年には老人保健法の改正により老人訪問看護制度の創設とかあるいは介護に着目した公費負担割合の引き上げ等を行ったところであります。
 しかし、給付と負担の公平のあり方を初め医療保険制度の将来構想につきましては、正直なところ関係者の間にさまざまな御意見があるものですからなかなかまとまり切れません。例えば三師会初め病院団体の御意見、あるいは健保連、日経連、連合などもそれぞれ御意見をお持ちでいらっしゃるわけであります。このため、平成四年の九月に医療保険審議会を設けまして医療保険制度全般にわたり審議をしていただいておるわけでございますが、まだもう少し時間を要するというのが現状でございます。
 しかし、先ほど申し上げましたように、今回の改正はもうまさに当座の改正でございまして、二年とかあるいは三年という期限を切られておる状況でございますから、これに向かって今開かれております医療保険審議会の議論を踏まえながら、新しく問題になってきております新介護システムの導入とか、今申し上げましたような国保の抜本改革あるいは老人保健制度の見直し寺といった課題をこれからこの期間に解決していかなくちゃならぬと考えておるところでございます。
#38
○今井澄君 そこで、国保が抱える大きな三つの問題点、それについて逐次御質問をいたします。
 まず最初に、低所得者が増大している問題であります。これが実は国保が抱えている一番大きな問題だろうと思うんですね。それで、実際この問題は給付に見合っただけの保険料を徴収できないという問題でありまして、これは保険原理だけでは解決できないという非常に大きな根本的な問題だと思うんですね。今回の改正でその点にどういうふうに解決を迫っているかといいますと、この点は率直に申し上げまして大変疑問があるというふうに言わざるを得ないわけであります。
 例えば、今度二割軽減制度を創設するということ自体、あるいはさらに平成八年度以降は六割、四割軽減をそれぞれ七割、五割軽減というふうに軽減割合を引き上げるということ、これだけ取り上げてみると大変前向きの低所得者向け対策としては前進だというふうに評価できるわけですけれども、しかしこれは応益割合が四五%から五五%の保険者のみに適用するということですね。
 それで一方で、当面あるいは多分二、三年以内には適用できないだろうから実際には実効性がないというふうに御説明を受けているわけですが、応益割合の低い保険者の場合には現在の六割、四割軽減を五割、三割軽減にするという案が盛り込まれているわけですね。これは一種のペナルティーだろうと思うんですけれども、これは低所得者対策としてはむしろ逆行と言わざるを得ない方向だろうと言えます。そもそも応益割合を高める、均等割ですね、定額割を引き上げるということは低所得者対策としては道なんじゃないかというふうに思うんですね。その点についてお伺いをしたいと思います。
 特に、平成四年度の国民健康保険実態調査報告、これを拝見いたしますと、国民健康保険の被保険者で一番多いのは年収百万から百五十万という世帯なんですね。その人たちの保険料負担の所得に対する比率を見ますと九・八%、所得の約一割を保険料として支払っている。それに対して、年収が七百万から一千万の世帯では五・二%、約半分なんですね、負担率にしますと、負担額は多いですけれどもね。一方、三十万円未満という超低所得者では何と一八・六%ということなんですね。こういうふうに現行でもこの保険料の負担率には物すごい逆進性があるわけです。
 こういうことを解決することこそが低所得者対策として大事なんであって、応益割を引き上げることというのは低所得者対策としてはおかしいんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#39
○政府委員(岡光序治君) 国保の被保険者はさまざまな職種で構成をされておりますので、それが一つの保険組織を構成してお互いの危険を分散させ合う、そういうことを動かしていく保険料のシステムとしましては、いわゆる応益割と言っております定額の保険料、それから応能割と言っております所得に応じた保険料、この二つで構成せざるを得ないんじゃないかと思っております。
 応益割の保険料は定額でございますので、そういう意味では、所得に応じた割合を出してまいりますと御指摘がありますようにアンバランスというのか、所得の低い階層の方が負担率が高い、そういう結果になるわけでございます。その点をこの軽減措置を講ずることによってできるだけ是正して、全体の保険構成をしている被保険者間の負担の公平を図っていったらどうかというのが発想の原点でございます。
 なお、応益割合が非常に低い市町村におきまして実態を調べてまいりますと、私どもその点につきましては、応益割の保険料を引き上げるということはその絶対額が低いということを考えますとある程度お願いしてもいいんじゃないか、応益割合が高いその他の保険者との比較を考えた場合にやはりそこのところは必要なんじゃないかと思っております。
 そういうことのコンセンサスが得られないならば国民健康保険制度の中での負担の公平というのはなかなか図りにくいというふうに考えておりますので、そこは十分議論をし納得していただかなければなりませんが、方向としては私どもそれが負担の公平につながる方向ではないかというふうに認識をしております。
#40
○今井澄君 保険者間の負担のアンバランスということも考慮しなければならないということも十分考えなければいけないと思います。
 さてそこで、今回の改正の主眼は中間所得者層への保険料負担のしわ寄せを解消するというところにあるように思います。そのことは非常に大切なことだと思いますけれども、ただ、要するに低所得者が多くなって取れないから、中間所得者側に負担がかかるということを解消するには、大きく分ければ三つの方法があると思うんですね。
 一つは、中間所得者に負担がかからないように、低所得者から取れない分を公費負担をふやすという方法。それから二番目には、広く浅く皆さんからいただく、これはある意味じゃ低所得者からもいただくということになるわけです。三つ目は、高所得者層からもう少し保険料をいただく、こういう三つの方法があると思うんですね。
 本筋は私は公費投入だと思うんですが、三番目の高所得者については今回賦課限度額を五十万円から五十二万円に引き上げるわけですね。私はこのことを基本的に支持するわけですが、ただ額について五十二万円でいいのかどうか、なぜ五十二万円にしたかというその判断の理由をお聞きしたいというふうに思います。
 そこで、ちょっと先ほど引用した同じ資料を見てみますと、賦課限度額を超えている世帯がどのぐらいあるかというと、全国平均で一〇%余り、大都市部にいくほど多くなるんですね。だから、例えばこれは同じ自営業者でも大都市部の自営業者の方が高所得者が多いんだろう。ただ、賦課限度額が一定ですから、お金を払わなくて済む人が都市部に多いんじゃないだろうか。
 これを額で見ますと、賦課料の算定をしますね、そして賦課限度額を算定するわけですが、実際に賦課限度額で切るとその賦課限度額を超えた額、これだけ本来計算上はいただきたいというのが四〇%もあるんですね。都市部ではさらに五五%、要するに賦課限度額の上のものが随分あるわけですね。
 これは他の医療保険制度、政管健保とか組合健保と比較して高所得者の負担が軽減されている割合はどうなのかということですね。特に、これはよくクロヨンなどと言いまして、所得把握の不公平性も指摘されている中で妥当な賦課限度額はどうなのかという議論はどういうふうに行われているのか、その辺をお尋ねしたいと思います。
#41
○政府委員(岡光序治君) 今回の賦課限度額の見直しに当たりましては、御指摘いただきました政管健保などの被用者保険における限度額との均衡にも配慮をしたつもりでございますのと、所得の伸び、それから医療費の伸び、それから過去の賦課限度額の引き上げ幅の趨勢、こういったふうなものを総合的に勘案して五十万円から五十二万円、二万円の増ということを考えました。
 そもそも、なぜ賦課限度額を設けておるのかということでございますが、所得に応じて天井なしで取っていくということになりますと、医療保険における被保険者の受益の程度ということを考えまして、いつ病気になるかわからないということではございますが、やはり受益には一定の限界がありますので、そういう意味で保険料の賦課にも一定の限界を設けざるを得ないんじゃないかというのが私どもの発想でございます。そういう中で、限度額を設ける場合には他の制度とのバランスも配慮の中に入れているつもりでございます。
 おっしゃいましたように、この限度額を低く設定しますとそのツケは中間あるいは低所得にはね返るわけでございますので、それが大きなはね返りになっては公平の観点から問題でございますから、そういったことも配慮をして適宜賦課限度額の見直しを行うということをしているわけでございます。
#42
○今井澄君 その点については確かにおっしゃるとおり、保険制度である限り天井なしで賦課するわけにはいかないということはわかるわけですが、逆に言いますと、例えば所得税は天井なしなわけですね。そういう意味で、社会保障というのは所得再配分という機能もあるわけですから、そこで公費をもうちょっと入れるべきだ、保険だけでは解決できないという問題があるのではないかと思います。
   〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕
 さて次に、今度は国保のもう一つの問題で、保険料負担の不均衡の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 保険料負担の不均衡というのは、国保制度の安定化を図る上でもそれから医療保険の一元化を図る上でも大きな障害の一つだということを言われておりますし、先ほど広域化の問題でもそういう障害のことが言われていたんですけれども、この保険料負担の不均衡の原因には幾つかありまして、医療費の地域格差がある、これが一番の大きな原因。それから、被保険者の所得水準の地域差があったり、保険料賦課方式が違うということが指摘されていると思います。
 そこで、まず第一点お尋ねしたいんですが、確かにこういう保険者によって保険料負担あるいは負担率が違うということは、一元化を図ったりあるいはこの制度そのものを運営する意味で確かに障害があるという考え方もできますけれども、しかし一方では、地方自治の観点からしますと、賦課方式や賦課率が市町村、保険者によって多少違っているということはある程度の許容範囲で当然なんではないだろうか。また、これは国保だけの問題ではなくて組合健保なんかにつきましても料率が違うわけですね、組合によりまして。このことを余り目くじら立てて言うべきことではなくて、おのずとある程度の範囲内であればいいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#43
○政府委員(岡光序治君) 御指摘のとおりだというふうに認識をしております。保険料の水準というのは個々の保険者が、自分のところの医療給付費の状況に応じて自主的に決定するというのが本来のあり方だと思っております。それからまた、受益に応じた負担という観点からしますと、その受益の水準に応じた負担というのも当然あってしかるべきだと思っております。そういう意味では、画一的な完全一本というようなあり方というのはおかしいと思っておりまして、国民健康保険の世界でも従来から標準保険料という発想をとっているわけでございます。
 しかし、一方では、同じ収入のレベルでありながら、たまたま隣の町に住所を移したら保険料負担がぐんとふえちゃった、こういうふうなケースがあるわけでございまして、それについては余りにもおかしいじゃないかという素朴な発想もありますし、現にそういう感覚もあるはずでございます。
   〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕
 そういう意味では、私どもは一本にはできませんが、ある程度の幅の中でやはり負担の公平という若干のアローアンスは認めながらも、その状況が実現されるのが必要なんじゃないかというふうに考えております。
#44
○今井澄君 そこで、医療費の地域格差の中で、病院の入院ベッド数だとか、あるいはそもそも医療機関や医者の数という医療供給の量の差異で医療費の格差が起こるという問題、これはそれぞれの保険者で解決できないわけですね。自分の市町村に病院が多いから医療費が高くなるというのは解決できない。そこのところで、そうすると医療費が高くなって保険料も高くなる。
 これは是正しなければならないというふうなこともあるわけですが、保険者の責任によらないものについては国保財政安定化支援事業によって地方財政措置が行われているわけですが、この額が平成七年度千二百五十億円ですね、前年に比べてふえていないわけです。そうすると、こういう市町村の責任によらない医療費の格差について国の支援というのは平成六年度に比べて七年度は強化されるとは言えないと思うんですけれども、その辺についての事情を一つお尋ねしたいんです。
 もう一つ、実はこの問題ちょっと皮肉な見方をしますと、今受益ということからいいますと、医療供給量が多い、医者も多い、病院も多い、入院ベッドも多いというところの人が高い医療費を払っている、したがって保険料も高く納めるというのは、受益と負担という意味ではこれはいいんじゃないかという見方もできないことはないんですね。
 私は、今から七、八年、十年ぐらい前ですか、ある地域医療の学会がありまして、あるところへ行ったんです。日本で非常にベッド数の多い県なんです。そこで、患者さんの代表まで含めてシンポジウムがあって、壇上に患者さんの家族の代表が出ていたんですね。その方は、自分のうちの年寄りをもう七年間病院に入院させていて云々ということを堂々とおっしゃるんです。我が長野県では、自分のうちのお年寄りを七年間入院させてというようなことを堂々と学会のパネルディスカッションの壇上でなんか言えない、ある意味では恥ずかしいというか、在宅医療がもう少し進んでいますのでね。
 それからもう一つ、夜中にちょっと飲んで宿舎に帰ってきたら、近くの病院にこうこうと電気がついて外来に患者が大勢いるんです。長野県ではそういうことはないんですね。そうしますと、私が学会で行ったあるところは七年間も平気で入院させておけるぐらいベッドが多い、それから夜中でも何でも医者にかかれるというだけのサービスがあるわけですから、その地域の人はたくさん保険料を払ってもしょうがないんじゃないか。長野県はそういう状況にはないから保険料も少ない。そのかわり、別に長野県の人が早死にでも何でもない。さっきも言いましたように日本一長生きなんですね。
 そういうことを考えてみますと、これは病院が多いから医療費が高い、だから保険料負担が多いというのもしょうがないんじゃないか。その地域で考えてもらうしかないという考え方もあっていいんじゃないかということもありますし、また逆に、ある地域に特別に病院や医者が多いということで医療費がふえて困るというんだったら、例えば医療圏ごとに支払いの医療費の総額を決めるというふうなことを国として政策としてやったら、あるいはそこのお医者さんは、ここは総額が決まっているので一人当たりの実入りがどうも少ないからもっと医者の少ないところに行って開業しようとかそういうことも起こるかもしれないということを考えると、もし本当に医療費を平均化するというんだったら、国としてそういうことを、矛盾することを今二つ申し上げましたけれども、その辺についてはどうお考えでしょうか。
#45
○政府委員(岡光序治君) まず、国保財政安定化支援事業の額の点でございますが、この支援事業は、先生御承知のとおり平成五年の改正のときに五年度と六年度限りの事業ということで実は限定をした上で法定化いたしました。そのときは、平成七年度以降、国保のもう少し基本的な見直しをしようという構えでございました。
 どうも私どもそのところに到達できておりませんで、結果としましてはなお二年間の継続ということをお願いして、大臣からも御答弁申し上げましたが、その間に抜本的な見直しをしようということでございまして、そういう意味で財政安定化支援事業につきましても二年間の継続ということにしたわけでございます。
 継続をするに当たってはどれだけの額にするかという議論があったのでございますが、過去のそういう事業実績等を踏まえまして、七年度は六年度と同じ額の千二百五十億円ということにとどめたわけでございます。
 そういう意味で、今まさに御指摘がありましたが、一体医療給付のありようについてはどうするんだ、医療保険という公的な制度で考える以上、かつまた財源構成が保険料と一部負担と公費負担というふうに限定されている以上、出る方についても何かいわばコントロールの方法があっていいんじゃないかというのは従来から実は指摘をされている点でございます。
 よく御承知のとおり、標準医療というふうな考え方も提案があったことでございますが、これはほとんどの賛成が得られませんでした。医療については医学に基づいて個々の医師が判断するものであって、そこに枠をはめるというのはけしからぬというのがやはり議論の大勢であったと思います。
 それから、もう一点御指摘がありました医療圏ごとに医療費を一定の限度という、いわば総額請負制みたいな発想だと思います。これは御存じのとおり、戦前の医療保険の制度では保険者と医療団体等が契約をして、年間これだけ払いますという総額請負のようなことをやりました。そんなふうな過去の事例もあるわけでございますから発想としてこういったものがあながちないというわけではないと思いますが、なかなかそこのところは支払い方式の点におきまして合意が得られておらないというのが一つの動きでございます。
 ただし、外国ではそういう総額支払い制というのか請負制みたいなことを導入しているケースもあるわけでございまして、この点については診療報酬のあり方について議論をするときに一つのテーマとして議論すべきではないか。そのことがある地域における医療費が一定レベルにレベルが整って、結果として保険料負担が均衡化されるということになるならば、それは一つの方法ではないかなというふうに考えておりますが、繰り返しになりますけれども、これはなかなか議論の多いところでございまして、結論を得るには相当議論を煮詰めなきゃいけないというふうに考えております。
#46
○今井澄君 私も、先ほど二点申し上げた点は非常に乱暴な議論だと思っています。それが解決の方法だとは思いませんが、しかし医療費の地域差というのは、同じ日本の中で余りにひどいんですね。これを何とかしないといけない。確かに国保においては医療費の地域差がその地域の人の保険料にはね返ってきているということで、どこに住むかによって同じ収入でも保険料が違うというのはこれは大きな問題だと思うんですが、それはさっきの乱暴な議論を引用すれば、それなりにサービスを受けているからしょうがないと、地域でもっと考えてもらうべきことでもあるだろう。
 だけれども、例えば政管健保とか組合健保や共済組合の全国規模になりますと、これは非常に問題になるんですね。同じ給料をもらって同じものを払っていながら医療費が全国移動をしているわけですね。最近のデータによりますと、医療費の高いところは北海道、福岡、山口、高知、大阪、石川、富山、長崎、こういうところです。低いところが千葉、山形、長野、こういうところです。私はもう長野県でずっと国保のレセプトの審査も含めて、病院の院長も含めて、あるいは地域の皆さんとの活動をしてきました。私は、医療費の高いところに、何でみんなが払った保険料が特別ある地域に持っていかれるのか、非常にこれは不満を持つというか、ある意味では怒りさえ覚えるわけです。
 そこで、最近の厚生省が発表したデータを見ますと、医療費の地域格差のうち、病院が多いとかそういうふうなこと、そういう供給量が多いということのほかに、一日一人当たりの点数が高いようなところの原因に薬価差があるんじゃないか。薬をたくさん使っているかどうか、高い薬を使っているかどうかによって実は地域の医療費の差があるんじゃないかというデータが出ているので、ちょっと御質問をしたいと思います。
 平成五年度国民健康保険事業の動向というものによりますと、これは厚生省である都道府県とある都道府県、特に外来の医療費の日本一高いところと日本一低い都道府県とを比較してみまして、三つの病気、急性上気道感染症いわゆる風邪症候群、それと白内障と高血圧症、ごく標準的なしかもこの病気だけで医者にかかっている人のレセプトを何十枚か出して比較をしております。
 そうすると非常におもしろいことが出ているんですが、仮にこれをA県とB県と言いましょう。もっと言うとどこかわかっちやうんで、このようにしておきます。
 そこで、いわゆる風邪症候群について、A県では風邪を引いて治るまで一件当たり一万二千五百四十六円かかっている、B県の方は三千六百二十九円、何と九千円も差がある、三・五倍の差があるんですね。その中で大きく診察料と検査代と薬代とに分けてみますと、そのどれも差があるんですが、一番大きいのが薬代なんです。薬代はA県とB県でどれだけ違うかというと、五千五百円違う、六倍違うんですね。ここに外来の医療費の地域差が出ているんじゃないだろうかというふうな感じがします。
 例えば高血圧、もうある意味では非常に安定しているというか、ごく日常的にある診療ですけれども、これはA県とB県で一万円と七千五百円の差がある。二千五百円。風邪ほどの差はないわけです。ところが、薬代の差だけで二千六百円あるんですよ。だから診察料、検査料はほとんど差がないか、むしろA県の方が多少少ない。にもかかわらず、薬代がA県では二千六百円高いということ、二倍違いがあるんですね。どうも薬剤費、薬の使い方に地域格差があるんではないかということが一つ言えると思うんです。
 この薬代というのは、ずっと私もこの厚生委員会で何回も問題にしてきました、日本は医療費の中で薬代の占める比率が高いんじゃないかと。あるいは、最近では大阪府保険医協会が発表して大分議論になりまして、これはいろいろ議論のあるところのようですが、日本の薬代がそもそも外国に比べて高いんじゃないかとか使い方が多いんじゃないか、いろんな議論がされていると思いますが、きょうはそれはおいておいて、この薬の問題は医療費の効率的な平等な使用という意味からも問題があるし、もう一つは、これは昨年ソリブジン問題等で我々やりましたけれども、薬というのは害がある、あり得るものなんですね。そうすると、国民の健康を考えたときにこういうことは問題がある。ある都道府県に行くと非常に薬を使う、ということは患者の安全性からも医療費の面からも問題があるんじゃないだろうかというふうに思うんですね。
 ついでに、同じ資料をぱらぱらとめくってみましたらおもしろいことが出てきたんです。年齢階級別にどういうお薬を使っているかという統計があったんですが、これを見て私ちょっとびっくりしたというか、恐ろしくなったんです。十四歳以下の子供に出されている薬のうちの四割が抗生物質だというんですね。
 私は大腿四頭筋短縮症の悲劇を思い出したわけですが、かつて子供が熱を出すと太ももにぼんぼん注射をするという、当時の医療としてこれが当たり前だったわけなんですけれども、その結果、短縮症が出てきた。それで、もちろんこれは抗生物質だけじゃないんですが、当時はクロマイそれから解熱剤の注射ですね。そういうことを考えますと、子供に抗生物質がこういうふうに使われるということ、子供が引くのは風邪が多いんだが、もちろん肺炎になる子供もいますけれども、この辺で薬の問題はどうしても考えてみなければいけない。
 それでこういう問題については、さっきから言っています地域格差については、市町村長があるいは市町村の保健担当課長や保健婦が是正できる問題ではないんですね。これは国を挙げてやらなきゃならない。これは当然医師会の御協力とか病院の協力とか、それから特に大学病院での薬の使い方が私は非常に問題だと思うんですね。私も病院長をやっていましたが、大学から来た若い医者は大学で薬の実験をやっていたような延長でいろんな薬を、新薬をぼんぽん投与したりしてみる。こういう大学も含めて医師教育の中でこれはやらなきゃならない。これは国の責任じゃないだろうか。
 それから、健保組合や共済組合や政府が直轄している政管健保だって、先ほど申しましたように、同じ組合員で同じ保険料を払っていながらあるところでは医療費が高いというのはおかしいわけですから、これはやっぱり全国レベルで取り組むべき問題ではないんだろうかと思うんですが、いかがでしょうか。
#47
○政府委員(岡光序治君) 大変多くの問題点を指摘されたのでなかなかお答えが難しゅうございますが、一つはっきり言えますのは、医薬品の使用の適正化を図るという観点から、医師会の御協力を得まして、高血圧とか肝疾患あるいは抗生物質、こういった場合の診療の手引を作成して、いろんなケースについて標準的な医療についての例あるいはその指針をお示ししているわけでございます。
 それから一方では、診療報酬上の手当てでございますが、包括化をしたりあるいは多剤投与の場合にその対策を講じましていわば提言をするような施策をするとか、こういう診療報酬上の手当てもやっているわけであります。それから、受け手の方の患者サイドでございますが、一つは医療費のお知らせ通知をしてどんな医療を受けているかということをお知らせし、かつまた保険者サイドからそれぞれの被保険者に啓発活動をいろいろやっていただいておる、こんなことでございます。
 確かにA県とB県の外来の場合の疾病別、診療行為別の点数比較がなされておりますが、それは一つの事例だと思いますのと、やはり基本的には診療に当たるお医者さんの考え方それからまた受診をする患者サイドのビヘービア、いろいろなものが総合的にこういう結果を引き起こしておるのだと思っておりますので、それが直ちにいい悪いという判断に結びつかないんじゃないだろうか。
 それからまた、これも御指摘ありましたが、それぞれの地域における医療供給体制の差それから地域の人たちの医療に対する考え方、これも影響すると思いますので、なかなかきれいに割り切れないという点があるのが悩ましいことでございます。
 私どもが非常に単純化して言っておりますのは、一人当たりの医療費と一番相関関係があるのは何だろうかというので単純に計算をいたしますと、まさにベッド数でございます。そういう意味では供給体制との関係が一番相関が高いのかと思いますが、それをもって直ちに何をするかという結論まで出せないところがなかなかこの問題の難しさがあるゆえんではないかと思っております。
#48
○今井澄君 そういうことかもしれませんが、ベッド数もあるんですが、厚生省の資料の中にベッド数によって医療費が高い地域、それからそうじゃなくて外来で、ベッド数には関係なく外来の点数が高いのがちゃんと出ておりますので、これは厚生省としても分けて対策を立てておられるんだろうと思うので、特に私は後者の方について申し上げましたが、今保険局長のお答えにもあるように、私はやっぱり国民の責任、国民の意識もあると思うんですね。
 私もずっと診療しておりまして、二十年前私が長野県に行ったときには、とにかく注射をしなきゃ帰らない、何しろもう腕を出して、先生注射注射と言って、いかに注射をしないで帰すかということを説得するのにうんと苦労した経験があるんです。これは国民にも責任があるんですよ。薬をもらうと、これでうんと得をしたとか診てもらったという気持ちになる。こういう国民意識も非常に問題で、これは国民自身の責任でもあると思いますので、その辺も啓発活動が大事ではないかと思います。
 さて、その薬のことなんですが、これは厚生省もごらんになって冷や汗を流されたと思いますが、三月二十五日の日経新聞の夕刊、「薬害対策「重症」」ということで、あのソリブジン問題があったのに、それ以後もまた教訓が生かされずにいろんなことが起こっている。テルフェナジンという薬で死んだとか塩酸イリノデカンで死んだとかいうふうなことで、薬害対策はどうなっているんだということが出ています。それから、やはりここで私どもソリブジンのときにもお話ししましたように、これは単に薬害の問題ではなくて、日本の薬の開発体制、治験体制、これも諸外国に比べれば本当にお恥ずかしいお粗末な治験体制だということをここにもまた指摘をされております。
 例えばこの中で、ホパンテン酸というやはり有名なお薬があるんですが、これはぼけだとか脳血管障害に非常に役に立つと鳴り物入りで宣伝されて、私も現場にいたときに使い出したんですね。ところが、これが副作用があるということで十一人死んだんですよ。それで、実質的にこの薬はもう今は廃止になっちゃったようなんですね。例えばその開発に関係した人は日本の老人医療の権威のある方なんですけれども、老人医療のこういう脳の働きをよくする薬というのはみんなその人の、みんなではないですけれども、その人のもとで治験が行われると、こういう大失敗をやっていながらその学者は全然その権威を失わないということがあるんですね。
 それから、きのうはエイズのことで裁判が結審、いよいよこれから判決が出るわけですが、そのエイズのこと。これは厚生省は冷や汗が出たと思いますが、血液製剤が安全だといってそれを許可したときの厚生省の当時の担当局長、課長がそれぞれ国会議員、東大教授へと転身、非加熱血液製剤の安全宣言をした厚生省エイズ研究班班長の私立大学医学部教授は副学長へと昇進したというふうなことが書いてありまして、これはその人たち個人の責任ではないと思いますけれども、やはり日本で薬をつくること、開発すること、あるいはそれを承認すること、そしてさらにそれを使うことの責任の問題ですね、このことの自覚がやっぱりかなりおくれているのではないだろうかと思う。
 この点は私も、昨年の六月九日の本厚生委員会において、こういうことについて薬の問題全般にわたって見直すべきではないかということを提案したわけですが、厚生省としてその後どんなことを行っておられるのか、御回答をお願いしたいと思います。
#49
○政府委員(田中健次君) お話がございました医薬品の治験から承認審査、その後の使用に至る各段階におきます安全性の確保は非常に重要な課題であると私どもも認識をしております。ただいま先生お話がございましたが、特に医療現場での医薬品の適正使用も極めて大切なポイントだと思います。
 厚生省といたしましては、医薬品の安全性を一層高めるために、医薬品に関する情報を医療現場に的確かつ迅速に提供するということで本年度から、一つは承認審査過程の情報につきまして新医薬品承認審査概要、SBAと申しますが、これを作成して公表いたしまして審査過程の透明化を図っております。
 それからまた、医療機関内の適正使用に資するために、医薬品適正使用推進のモデル事業を現在実施いたしているところでございます。
 また来年度から、承認後の副作用に関する緊急の安全性情報につきましては、ファクシミリ同報通信システムというのを導入いたしまして、全国およそ十七万の医療機関に即時に情報伝達ができることといたしたところでございます。
 さらに、治験から承認審査さらに市販後に至る各段階におきます総合的な医薬品安全性の確保対策につきましては、お話がございましたように昨年六月の本委員会におきまして今井先生の御指摘もいただきまして、それらも踏まえまして医薬品安全性確保対策検討会というのを昨年の十月に設置いたしました。座長には元東大学長の森亘先生にお願いをいたしまして、医学、薬学の専門家のほかに、法律学者、弁護士あるいは作家の方にも参加をしていただきまして審議をお願いしております。これまで五回開催をしてきました。
 この検討会におきましては、現在、治験につきまして活発に御議論をいただいているところでございまして、順次答テーマにつきまして十分御議論をお願いいたしまして、意見の取りまとめをいただきますと、これに基づきまして医薬品の安全性確保対策を抜本的に見直していきたいというふうに考えているところでございます。
#50
○今井澄君 薬の問題についてはまだ時を改めて議論をさせていただきたいと思います。
 さて、また国保の問題にちょっと戻りまして、先ほどから議論されております小規模保険者の問題ですが、これは高額療養費制度がかなりうまくいっているんではないかと思いますし、余り本質的な問題ではないように私は思えてならないんですが、それは別といたしまして、その小規模保険者対策もさることながら、赤字保険者問題というのはこれは結構大きな問題なんではないかと思います。
 実質収支が赤字である保険者というのがいろいろあるわけですが、例えば平成四年度の上位十保険者の五位まで見てみますと、東大阪市、札幌市、和歌山市、大阪市、苫小牧市というふうに並んでおりまして、大体上位十保険者、大阪と北海道の都市の名が並んでいるんですね。順位もほとんど動いていないし、東大阪市と大阪市は昭和四十五年からずっと赤字保険者。それから、札幌市は昭和五十四年からずっと赤字保険者で大体いつもトップなんですが、たまたま平成四年は東大阪市に抜かれて二位ということになっているわけですけれども、ここなんですね。
 過疎地の小規模保険者の問題もさることながら、むしろこういう都市部のずっと赤字を抱えている保険者の問題とは一体何なのかということについて、厚生省の認識とその解決方法をお尋ねいたします。
#51
○政府委員(岡光序治君) 御指摘のありました事例を見てまいりますと、主な原因と考えられますのは医療費が高いということとそれから保険料収納率が低いということでございます。
 それで、御指摘のありました事例で申し上げますと、東大阪市も大変努力をしておりまして、昭和六十二年度における収納率が七四・三でございましたが、これが平成五年度では九〇・二九というふうに、首長がかわったこともございまして大変その辺は改善が図られております。それから、札幌市も保険料収納率について低いのでございますが、何とかこれ努力をしてもらうべくお願いをしているところでございます。
 対応でございますが、今申し上げましたように、医療費が高いという点につきましては、基準超過医療費共同負担制度ということで、平均よりも著しく医療費が高い市町村につきましては安定化計画をつくってもらって医療費適正化努力を促すということにしております。
 それから、県に応援をお願いしまして医療機関に対する指導監査体制を強化する、それから保険者自身においてはレセプト点検あるいは病気にかからないような健康診査などの保健事業の充実をする、それから入院医療費につきましては、できるだけ在宅で生活できるようにいわゆる新ゴールドプランあるいは在宅医療の推進を進めているところでございます。
 それから、収入面につきましては、結局中間所得者層に負担がかかっておって、その人たちが負担が重いものですから保険料を払わない、そういうことによって収納率が低下をしているというのがどうも典型例でございます。したがいまして、個別には戸別訪問をする、そのための体制を整えるということでございますのと、口座振替の推進などをしております。
 それと、根本問題としましては、所得の高い階層からはしかるべき保険料を取るということで、上限の引き上げなりあるいは全体薄く広く負担をしてもらうという意味で応益割合をできるだけ五〇%に近づけるような促進をする、こんなふうなことで対応するというので、その辺は今回の改正でぜひともお願いをしたいと思っている点でございます。
#52
○今井澄君 私、数字をいろいろ見ておりましてちょっとよくわからない点があったんですが、都道府県からの繰り入れというのがあるんですね。これを見てみますと、東京都が断トツに多くて二百八十億円繰り入れているんです。
 一方を見ますと、東京都に赤字保険者があるわけではないし、東京都の医療費がそんなに高いわけではない。ただ、東京都は人口規模が大きいから繰入額も大きいのかなとは思うんですけれども、東京都がこの二百八十億を一体だれに何の目的で繰り入れているのか、東京都は保険料負担とか収納率とかそういうのはどうなっているのか、その辺をちょっとお尋ねします。
#53
○政府委員(岡光序治君) まず、一般会計繰り入れの状況でございますが、いわゆる法定内繰り入れ、保険基盤安定、つまり保険料軽減のための財源補てんであるとかあるいは職員給与の手当てであるとか助産費の手当てであるとか、こういった法定内の繰り入れにつきましては都内六十四の全保険者につきまして約九十九億円の繰り入れになっております。
 それから、法定外の繰り入れで、保健施設費であるとかあるいは保険料負担の緩和とかそのほか二十三区につきまして財政調整をしておるのでございますが、このトータルで八百三億円、そのうちこの二十三区の財政調整に係る交付金が六百三十三億円、こういうふうな状況になっております。
 それから、応益割合でございますが、非常に各区で違っておりますが、二〇%を切っているところそれから二〇%から三〇%のところ、大体なべて言えますのは二〇%から三〇%にとどまっておるのが各区の状況のようでございます。
 あと、収納率につきましても各区でちょっと違っておりますが、港区とか新宿区は八九%台でございますけれども、それを除きますと大体九〇%から九五%の間に入っておるというような状況でございます。
#54
○今井澄君 もう時間がなくなっちゃったので、最後に大臣の決意を伺おうと思ったんですが、最初に伺っておきましたので、今の質疑をお聞きいただいて、やっぱりこれは公費投入がどのくらい大事かということについて御理解いただけたんではないかと思うんです、保険制度だけの問題では解決できないだろうと。
 それから、介護保険制度導入のときが抜本改正の時期であることは間違いないんですが、介護保険制度を導入すれば国保の問題が解決するという問題でもないということもそれは御理解いただけていると思うんですが、ぜひ一元化に向けても御努力をお願いしたいと思います。
 以上で終わります。
#55
○萩野浩基君 新緑風会の萩野でございます。
 今回の改正案におきましては、老人加入率の上限を上回る保険者数がふえてきたということから、老人保健制度の安定を図る、特に低所得者に配慮し老人加入率の上限となる割合を引き上げる、こうしたもろもろの老人医療費の拠出制度を見直していく、そういうことでありますから、これは私は了といたします。
 ところが、先ほどもたしか宮崎委員の方からだったかと思いますが、この拠出制度の見直しに関しては、三年以内を目途として老人医療費拠出金の算定方法に関し検討を行うということになっておりますが、どうも具体的なものが余り見えできていない。だから、どのような検討を行うかというのはもうちょっとはっきりしておくべきじゃないか、私は率直にそのような感じを持ったわけであります。
 それから、特にこの条文を一々眺めていってみまして、私はある一つの目的を持って見ていたんですが、それは将来に向けて何としても一元化に向けた医療保険制度改革ということを目指していかなきゃならない、この全体像というのはもう全く見えていない、大変厳しい言い方ですが、そのように見られても仕方がないと思いまして、この辺は残念なごどのように感じております。そういうことを前提に置きながら質問に入らせていただきます。先ほども同僚委員の方から出ておりましたが、導入が検討されております新介護システムということについてでありますが、これを検討するということでございます。新介護システムの導入というのは、医療保険のみならず社会保険制度全体にかかわるこれは大切な問題であろうと思います。
 そこで、この介護制度導入を検討する上で国民の皆さんにちょっとここで、丁寧でなくていいですから、こういう点が一番の重点だというような論点をちょっとお示しいただきたいと思います。
#56
○政府委員(和田勝君) 高齢者の介護問題は国民の老後生活の最大の不安要因でございまして、国民だれもが身近に必要な介護サービスをスムーズに利用できるような新しい介護システムの構築というのが課題になっているというふうに受けとめております。このような視点から、昨年十二月に策定されました新ゴールドプランにおきまして、こうした新介護システムの創設を含めまして総合的な高齢者介護対策の検討を進めるということにされているところでございます。
 また、同じ時期に高齢者介護・自立支援システム研究会が取りまとめ発表しております報告書におきまして、新介護システムについては高齢者の自立支援ということを基本理念に置いて、既存の介護に関連するいろんな制度を再編成する。その際、高齢者自身がみずからの意思に基づいて利用するサービスを選択できること。保健、医療、福祉を通じて介護サービスを一元化し、サービスの利用手続あるいは利用時の負担といったものについての格差の解消を図ること。そしてまた、高齢者の個別性に配慮した介護サービスが適切に提供できるようにケアマネジメントといった仕組みを確立すること。そしてまた、社会連帯を基盤とした社会保険方式を採用し社会全体で介護のリスクを支え合うといったようなことが提言されておるところでございます。
#57
○萩野浩基君 介護制度導入を検討する上に当たりましては、今論点をアピールされましたけれども、その点をひとつ十分御配慮いただきたいと思います。
 さてそこで、言うまでもなくこの新介護システムを導入する上で最重要な課題というのは、実際に介護を行うマンパワーの確保ということがこれはもう言うまでもなく重要でございます。どんなにすばらしいシステムを机上でつくり上げましても、人材、マンパワーの確保がなければこれはどこまでも絵にかいたもちにすぎないものになってしまいます。
 今おっしゃいましたものを、この新ゴールドプランの実現におきましては、さっき今井先生は医療の面からでしたので、私は特に福祉の面から申し上げますけれども、とにかく今しきりに人材のクオンティティーのことが言われておりますが、これはクオンティティーも無論のことですが、クオリティーの、質の問題も私は同時に考えていく必要があると思います。
 加齢とともに、だんだん年をとっていくとともに身体の機能が低下した高齢者の方々が安心して福祉施設に入所するなり、また在宅も含めまして質の高い福祉を受ける、そういうのにちなみまして、御案内のとおり社会福祉士それから介護福祉士等の人材の養成が今行われております。これは厚生省が大きく関与しているわけなんですが、厚生省はこの福祉施設職員の特に人材養成についてどのように将来考えておられるかを一言で、簡単でいいですから大臣、御答弁いただけますか。
#58
○国務大臣(井出正一君) マンパワーの確保がこれからの高齢化社会における介護サービスのまさに担い手となること、まさに先生が御指摘のとおりだと認識をしております。そのために、平成四年に制定されましたいわゆる福祉人材確保法に基づいて総合的なマンパワー確保策を目下推進しているところでございます。
 昨年末に策定されました新ゴールドプランにおきましても、特別養護老人ホーム等の寮母、介護職員の整備目標を二十万人と位置づけるとともに、人材確保を介護基盤の支援施策の重要な柱として位置づけておるところでございます。
 社会福祉施設職員等の人材確保の具体策といたしましては、介護福祉士の養成施設の整備などの養成力の強化、それから全都道府県に設置されております福祉人材センターによる就業あっせんなど就労の促進、さらに研修の充実などによる資質の向上、あるいは勤務時間の短縮など処遇の充実等の施策を講じることによりまして、今後ともより一層のマンパワーの確保あるいは資質の充実に努めてまいりたいと考えております。
#59
○萩野浩基君 それに関連いたしまして、福祉系の新しい大学、既存の大学も含めましてですが、大学の中に社会福祉の学部なり学科なりコースなりというのが最近非常にふえております。というのは、高齢社会を支えるという意味も含めて大変そのニーズがふえておりますが、最近そういうのが大変ふえていると思うんですが、文部省、大まかな数字でいいですが、ここはどのぐらいふえておりますか。
#60
○説明員(若松澄夫君) お答えいたします。
 社会福祉関係の学部、学科の設置につきましては、この分野の人材養成に対します社会的要請というものに対応いたしまして、現在、大学等の新増設というのは原則抑制という方針に全体としては立っておるわけでございますけれども、その例外といたしまして取り扱うということになってございます。
 これによりまして、平成二年度から六年度までの五年間におきまして、四年制大学では二十一学部、二十一学科、入学定員で申しまして千七百六十四人の設置が認可をされてございます。
#61
○萩野浩基君 そこで、さっき大臣は介護福祉士と言われましたが、私は社会福祉士と両方の観点から質問をさせていただきますが、例えばお医者さんなりまたは歯医者さん、医師または歯科医師さん、こういう者を養成するのには御案内のとおりに大学でそれなりの学部がございます。それには附属の病院がオブリゲーションとして課せられておる、これはもう言うまでもないことでございます。しかし私が問題にしたいのは、社会福祉士並びに弁護士を養成するときに福祉系の、特に私のところのような単科大学におきましてそれは認められないんですね。その点をまず頭に置いておいていただきたいと思います。
 実は私、ここ十年間、学生にアンケートをとってみますと、本大学でこれからは何が一番必要かと、こういうときに、何としても自分たちがすぐできる施設なり実習の場を欲しい、これは学生からはそういう希望です、先生方もそういう希望。
 先ほど言いました、特にクオリティーの高い人材を養成していくのには何としても必要だと、そう思いましてもうすごい努力をしたんですが、これは規制緩和にも関係すると思いますが、社会福祉事業法第四条、これがどうしてもひっかかってくるんですね。ただし、ちょっと救いがあるのは、例えば先ほどから出ております特別養護老人ホームなどを経営する場合なんですが、これは「社会福祉法人が経営することを原則とする。」というので、だから「原則とする。」とあるならば、それから外れてもいいということになるんですがね。
 もっと言いますよ。五十六条の第一項によりますと、やっぱりこういうのをやっていくときには措置の問題があります。今度はこれがひっかかってきまして、社会福祉法人に対して補助金を支出する、このようになっているわけです。それから、これはちょっと救いになるかと思いますが、五十七条を見てみますと、社会福祉法人以外の者は、特別養護老人ホームなどを設置し事業を行おうとする場合は知事の許可を受けなければならない。じゃ、知事がこれオーケー出してくれるかというと、出してくれないんですね。
 だから、これだけ福祉をやりたいという者がおりながら、特に私のところの大学等におきましてはやりたいと思っているんです。だけれども、これはまず措置がもらえない。それから、大学の財産を、例えば土地なり提供しますね、いろんなものでも。これは学校会計からお金を出せなくなってしまうんですよ。だから、この辺の矛盾はだれも指摘してないですけれども、福祉を充実させようさせようといって福祉系の大学はふやしながら、例えば私が今言っているように、やりたいと思ってもできないというのがこれが現状なんですね。こういう現実に対して、大臣いかがでございますか。
#62
○政府委員(阿部正俊君) 今の事情についてお答えさせていただきたいと思うんですが、これは今までの社会福祉事業なり特別養護老人ホーム等の設置及びその中のサービスの展開についての日本の法体系上の考え方というのを前提にしての話でございますが、やはり社会福祉事業法もさることながら、それをより具体化しました実定法というもので老人福祉法というのがございまして、そこでは、都道府県、市町村がまずつくるということが原則と言えば原則になっていまして、それの例外として、社会福祉法人がつくる場合に都道府県知事の認可を受けてつくれますよというだけにしてございまして、その他一切認めていないというふうな法体系になっております。
 なぜこうなっているのかということでございますけれども、先生も先ほどちょっとお触れになりましたけれども、そもそも特別養護老人ホーム等への入所及びその場において受けるサービスは、言ってみれば行政的な権限とそれから責任において展開するサービスであるというふうな考え方になっているわけでございます。社会福祉法人がやる場合でも、社会福祉法人の仕事というよりもむしろ事業を県なり市町村から委託を受けてその事業を展開するんだということで、あたかも公的な仕掛けというふうな枠の中での整理ということになっていまして、かなり厳格にそういうふうな仕掛けになっておるのだろうというふうに思っております。
 ただ、例えば今新しく介護システムというふうなものが検討されようとしていますが、そのときに、先ほど審議官から言いましたように、むしろ公的な責任での展開というよりも利用者の選択だとかいうふうなことになっていきますと、今の体系が絶対必要なのかどうなのかということについてはさまざまな御意見があり得るものではないだろうかなと、こんなふうな気がしますが、現在の、実態より以上に法的な枠組みというのはそういう仕掛けになっているものですから、今言いましたように都道府県、市町村を原則にして、例外的に認可を受けて社会福祉法人だけができますよと。
 したがって、一方でまた社会福祉法人の財産の帰属等につきましても、言ってみれば私的な部分というのを非常に限定いたしまして、社会福祉法人が仮に解散した場合には公的な財産として帰属するのが当然のことだというふうな形にむしろなっているわけでございまして、そういう枠組みの中での形、そういう政策自体のよしあしというのはあるかもしれませんけれども、現在はそんなふうな状況であるということをちょっと御理解いただければと思っております。
#63
○萩野浩基君 大臣、今おっしゃるとおりなんですよ。だから、こういうのを打破していくのがマンパワーを確保していくもとなんであるから、これはどうしても大臣の前向きな答弁がぜひ必要なんで、こんなところにとまっていたんじゃこれから良質なマンパワーの確保の場が得られないと思う。これはもうぜひ大臣、積極的な検討をすると、それからまた文部省にも働きかけて、特に福祉の単科大学だとかそういうところにおいてはぜひそういうような許可、大臣、余り隣に相談しないできちっとやってください。
#64
○国務大臣(井出正一君) 今、局長が御答弁申し上げましたように、従来はこの法律……
#65
○萩野浩基君 法律はわかっていますから。
#66
○国務大臣(井出正一君) しかし、今後はむしろ利用者の選択といった面が重視されなくちゃならぬシステムが私は必要だと思います。
 そういった意味では、今先生御指摘のような点、現在の法はこういう形であるようでございますが、少し変わっていかなくちゃならぬ問題を含んでいるんじゃないかなと、こう思いますから、文部省ともまたあるいは関係当局とも少し勉強させていただきたいと思います。
#67
○萩野浩基君 勉強の次に結果は、政治とはやっぱり結果ですからね、その結果の方向に向けてお願いいたしたいと思います。
 私の解釈からしますと、これは絶対できないことはないと思うんです、さっき局長はそのように答えられましたけれどもね。法的には私も大分調べてみたんです。例えば社会福祉法人以外の個人がこれは全くできないというような解釈はないんであって、くどく申し上げますけれども、特に福祉を目的としての、先ほど文部省からありましたように、あれだけの新設の大学なり学科ができ上がっているんですから、ここは何としてもすぐ学生たちが実際にそこで実習できるような場を与えていただきたい。
 というのは、学校法人と社会福祉法人はやはり財産処分の問題だとか寄附行為の問題になってきますからね。だから、この辺のところは特に厚生省の方が大きく譲っていただいて、文部省の方はオーケーということになれば、これは簡単にいくことじゃないか。いいことはやっぱりちゃんとやった方が私はいいと思うんですね。
 それからもう一点、もう時間があれですから。先ほども申し上げましたが、福祉の、斎藤十朗先生が厚生大臣のときでしたけれども、社会福祉士とそれから弁護士、こういうのをつくって質的向上、これは名称独占でございますけれども、質を上げていこうということが行われて今日に至っているんですが、実はこういうことが起こるんですね。四年制の大学を出ますと社会福祉士の受験資格なんですね。そして、短大におきましては弁護士の方なんですよ。そこで、四年制の大学を出て社会福祉士の試験をパスして取ったと。だけれども、これは弁護士の資格は与えられないんですね。
 もっとわかりやすく言いましょう。私は自動車の免許証、大型免許を持っていますが、普通車にも軽自動車にも乗れます。だけれども、四年制の大学でこの社会福祉士の資格を取っても弁護士はできない。これは私は簡単に、社会福祉士の資格を取れば、それはあともう少し、機能的な職分においての違いは若干あるかと思いますが、そういうのをちょっと付加すればこれも取れるんだというのは、もうこれが施行されて大分たつのでこれは十分考えてみたらどうかと思いますが、ちょっと御答弁をお願いします。
#68
○政府委員(佐野利昭君) 先生この分野の専門家でいらっしゃいますからこれはよく御存じのことと思いますけれども、社会福祉士の業務内容と介護福祉士の業務内容とがかなり違うわけでございます。したがいまして、同じ教育課程で、そのままで両方の資格を取るということは、これは極めて困難であろうかと思います。
 ただ、今先生がおっしゃったような社会福祉士の受験資格を持つ授業内容にプラス、オンをして、それで介護福祉士の資格取得に必要な授業をさらにやるということであれば当然その介護福祉士の資格も取れるわけでございます。ただ、これは確かに学生の方々にとりましては大変労の多い授業内容になるわけでございますけれども、四年間で両方の、社会福祉士は受験資格を取得しそれから介護福祉士は資格を取得する、こういうふうな形態をとることも可能でございます。既に二校でございますけれども、現実にこのようなケースもございます。
#69
○萩野浩基君 ありがとうございました。
 ただし、私はこの辺は余り四角四面に、今度は文部省の方にも関係しますけれども、オーバーラップする科目が大部分なんですよ。だから、それをもう一遍同じものを二つ取る必要はないんで、私から見ると、ほんのちょっとプラスすればすぐ取れるということなんで、今非常に積極的な御答弁いただきましたから、文部省の方もそういうのはぜひお認めいただきたいと思うんですがね。
#70
○政府委員(佐野利昭君) 文部省というよりも、私どもの方の資格の問題でございますので。
 確かに先生おっしゃるような形ではございますけれども、実は両方オーバーラップする科目は、一般の科目といたしますと六科目でございまして、例えば社会福祉士の受験資格に必要なのはそのほかに七科目ございますし、それから実は介護福祉士の場合は非常に実技分野が多いわけでございます。リハビリテーションの関係でございますとか、あるいは介護実習でございますとか、合わせますと共通科目以外にも介護福祉士の場合には十三科目ぐらい取らなければならないという形でございますので、その点で授業が大変になろうかと思うんです。特に介護実習などは相当の時間を踏まなくちゃいけないということがございますので、そういう点で実際にそういう体制をとるためには生徒さんの方が大変であろうかと思います。
#71
○萩野浩基君 そのとおりなんですよ。だから施設が必要なんです。だから私のもとの質問に返ってくるわけで、この辺は大臣、ひとつしっかりとお願いいたしたいと思います。
 とにかく、マンパワーを確保するためにせっかくの社会福祉士と弁護士の制度があるんですから、こういうのを全然別々にするのではなくて、もっと人材を確保していくために抜本的にこの辺の点も考えていくという積極的な御答弁をいただければ、私は質問を終わります。
#72
○国務大臣(井出正一君) 今の先生の御質問の社会福祉士と介護福祉士、まさにこの実習する場所があればほとんど同時に資格が取れる準備ができるんじゃないかと、まさにそのとおりかなと私も感じて今お聞きをしておったところであります。
 マンパワーの確保というのは、本当に今度の新ゴールドプランが成功するかしないかのある意味じゃポイントでもあるわけでございますから、そういう意味でこの社会福祉士あるいは介護福祉士という皆さんの任務は大きいしまた大切なわけでございますから、そういった皆さんがたくさん生まれ出るようなことは国としても考えなくちゃならぬ大変大事な問題だと、こう考えております。
#73
○萩野浩基君 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。
#74
○委員長(種田誠君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十五分まで休憩いたします。
   午後零時二十九分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時四十五分開会
#75
○委員長(種田誠君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国民健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#76
○勝木健司君 平成会の勝木でございます。御苦労さまでございます。
 午前中も大分やりとりをされておりますが、重なる部分もあろうかと思いますが、御答弁を簡潔にお願いしたいというふうに思います。
 医療保険を取り巻く環境といったものは極めて厳しい状況であります。今後も少子あるいは高齢化の急速な進行によりまして、年金とか医療とか福祉などの社会保障負担も増大していくことが見込まれるわけであります。その中で、医療費の国民負担が過大なものとならないように、しかも質の高い医療を効率的かつ安定的に供給できる医療保険制度を確立していかなければいけないと思っておるわけであります。
 そういう意味で、今回の改正に当たってどのような考え方で臨まれておるのか、厚生大臣の御認識についてお伺いいたしたいと思います。
#77
○国務大臣(井出正一君) 二十一世紀の本格的な高齢社会においてもすべての国民が安心して医療を受けることができるよう、医療保険制度の長期的安定を図ることが大切であると考えております。
 その中で、国保制度は国民皆保険体制の基盤をなすものでありますが、現在、高齢化の進展による老人加入率の増大、さらに低所得者層の増加や小規模保険者の増加による国保財政の脆弱化といった制度運営の根幹にかかわる問題が生じてきておりまして、これらの問題への対応が必要となってきております。
 ただ、こうした構造的な問題の抜本的な改革のためには、検討の始まっております新介護システムの影響や国と地方とのかかわり等につきましてなお引き続き幅広い観点から検討をする必要がありますことから、今回の改正においては制度運営の安定化のために当面必要な措置を講ずることとしたものでございます。
#78
○勝木健司君 今回の国民健康保険制度は、今大臣からありましたように当面ということでありますが、抜本改正までのつなぎ暫定措置として位置づけられておるわけであります。
 私は、二年前の平成五年の国民健康保険制度改正のときにも国保制度の基本論議が行われ、結論が得られるまでの平成五年あるいは六年の二年間の暫定措置であるという点について、この二年以内に国保制度の抜本的な見直しが図られるのかという質問をいたしました。そのときには、平成七年度を目途として方向づけを打ち出すという旨の明確な答弁をいただいておるわけであります。
 今答弁があったように、今回も暫定措置としての改正であるということでありますが、おくれた理由等々について御見解をお願いしたいというふうに思います。
#79
○政府委員(岡光序治君) 現在、老人保健福祉審議会におきまして、新しい介護システムのあり方あるいは国と地方公共団体の役割分担、負担のあり方につきまして議論を要するというふうに考えられておりますし、また議論が進行しているわけでございます。国民健康保険の抜本的な見直しにつきましては、こういった関連の議題につきましてやはり明確な方向性が打ち出されないとなかなか手がつけられない、こういう状況にあるわけでございまして、そういう意味で今回の改正は、もう一度当面の構造的な問題への対応でとどめさせていただいたような次第でございます。
 大臣からもお話がございましたが、こういった条件をいただきながら基本見直しにつきまして積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#80
○勝木健司君 今回の国民健康保険法改正における保険基盤安定制度の継続は二年間の暫定措置の延長ということでありまして、これもかねてからの暫定措置の延長ということであります。
   〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕
 今回も暫定措置ということでありますが、抜本的な対策を当然考えるべきでありますが、考えられておるとすればこの点はいつを目途にどのような手順で行うおつもりなのか、お伺いしたいというふうに思います。
#81
○政府委員(岡光序治君) 二年間の暫定措置の期間をいただいておりますので、老人保健福祉審議会の議論を先行させまして新しい介護システムのあり方の議論をまずやっていただく。その議論と並行的に医療保険審議会を動かしまして、国民健康保険を初め医療保険各制度につきまして、特に給付と負担の公平化というところに焦点を絞って議論を願う。二年間の暫定措置の切れるところにおきましては新しい見直しが動くように、いわば暫定措置と切れ目なく新しい見直しが動いていくようにということを想定しているわけでございます。
#82
○勝木健司君 大臣にお伺いしますが、国民健康保険の改正だけでなく、やはり二十一世紀に向けて医療保険全体についての改正を当然検討していく必要があろうかと考えるわけでありますが、その点についての大臣の考え方をお伺いしたいと思います。
#83
○国務大臣(井出正一君) 午前中も申し上げましたが、二十一世紀の本格的な高齢社会においてもすべての国民が安心して医療を受けることができるよう、医療保険制度の長期的安定を図ることは大変重要だと考えております。
 ただ、医療保険をめぐる状況は今日大きく変化してきておりまして、また給付と負担の公平化のあり方を初め医療保険制度の将来構想については関係者の皆様方の間にさまざまな考え方がございますことから、現在医療保険審議会において制度全般について、給付と負担の公平など幅広い観点から審議を進めていただいておるところであります。
 厚生省といたしましては、こうした議論や国民の医療ニーズが高度化、多様化している状況等を踏まえながら、新介護システムの導入あるいは国保の抜本改革さらには老人保健制度の見直しといった課題を検討する中で給付と負担の公平を図るとともに、来るべき高齢社会においても医療保険制度の長期的な安定が図られるようさらに努力してまいりたいと考えているところであります。
#84
○勝木健司君 昨年六月の当院の厚生委員会でも当時の厚生大臣は、二十一世紀に向かって諸外国に例を見ない速度で進んでいる高齢化社会の現状に対応していくために、社会保障制度の給付、負担の面でどういう役割分担が必要なのかということの検討が今求められておる、そして今後の社会保障のあり方については国民に十分理解いただくような手だてを講ずることが今一番大事だというふうに述べておるわけでありますが、今回の国民健康保険法等の一部改正の中では、将来的な給付と負担のあり方というのが私どもを含めて国民に十分見えているとは言えないというふうに思うわけでありますが、もう一度厚生大臣の見解をお伺いしたいと思います。
#85
○国務大臣(井出正一君) 医療保険制度につきましては、今後人口の高齢化あるいは医療の高度化等によりまして国民医療費の増大は避けられないわけでございますが、国民の負担が過大なものとならないようにする必要もございます。したがいまして、高齢社会にふさわしい良質かつ適切な医療を効率的また安定的に供給できるような体制づくりに努めていく必要があるわけでございます。
 その中で、今回の改正は国民皆保険体制の基盤を支えております国保制度について、高齢化の進展、低所得者層の増加あるいは小規模保険者の増加といった構造的な問題に対応して、当面必要な措置を講じることによりまして制度運営の安定化を図ろうとしておるものでございます。
 今後、国保制度や老人保健制度の見直しといった課題の検討や、あるいは現在老人保健福祉審議会において議論されております新介護システムのあり方等も踏まえながら医療保険制度全般にわたる検討を進め、揺るぎのない医療保険制度の構築に向けてさらに努力をしてまいりたいと思っておるところであります。
#86
○勝木健司君 大正十一年に健康保険法が成立をして、昭和三十四年に国民健康保険法が施行されて以来、国民すべての人が何らかの健康保険に加入することが義務づけられて、そのことによって我が国の平均寿命が延びたんじゃないか、人生八十年と言われるような世界有数の長寿国となったということも私は言い過ぎではないというふうに思います。
 しかし、我が国の今の財政赤字の状況は二百兆円を超える、そして平成七年度予算でも国債費が十三兆二千二百十三億円、総予算の一八・六%を占めておる。しかもこれは、歳入欠陥の穴埋めのための国債整理基金への定率繰り入れの停止、あるいは厚生年金国庫負担の一部繰り延べなど、さまざまなやりくりを行った上での数字であろうというふうに思います。
 アメリカでは、向こう五年間の財政赤字が二千億ドルに達するという予想をされております。そのため、福祉予算の削減が議論をされておるわけであります。我が国においてもこのような議論が出ることは絶対に避けねばならないというふうに考えておるわけでありますが、厚生大臣は、この財政が厳しいという現実の中で健康保険制度の維持発展についてどのように取り組んでいかれるつもりか、アメリカとの比較においても御認識をお伺いしたいというふうに思います。
#87
○国務大臣(井出正一君) 御指摘のように大変厳しい財政事情の中にあるわけでございますが、しかしその中にあっても、まさに国民皆保険制度の根幹をなす国保の制度の安定化はきちっとしたものにしておかなくてはならないと考えております。そんな意味でも、これまでも国民の負担が過大なものとならないよう医療費適正化対策に取り組むとともに、医療保険制度やあるいは老人保健制度の改革も逐次進めてまいったところでございます。
 医療保険をめぐる状況は先ほども申し上げましたように大変大きく変化しておるわけでございますが、この給付と負担の公平なあり方につきましてはいろんな御意見がまだ集約できませんものですから、ただいま医療保険審議会におきまして制度全般について幅広い御論議をいただいておるところであります。
 先ほども申し上げましたように、こうした御議論やあるいは国民の医療ニーズ等を踏まえながら、新介護システムの導入あるいは国保の抜本改革さらにまた老人保健制度の見直しといった課題を検討して必要な制度改革に取り組みながら、国民の皆さんが安心して医療を受けられるような医療保険制度の確立に向けて努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
#88
○勝木健司君 それでは個々の問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 昨年の健康保険法の一部改正によりまして、入院給食費の自己負担の実施とともに付添看護の解消といったものが盛り込まれたわけであります。これに伴いましてマンパワーの確保ということが非常に重要な問題となっておるわけでありまして、昨年十月の診療報酬改定において看護補助職員に係る診療報酬の評価を拡充することによって、医療機関における看護サービスを質、量ともに充実をさせる中で、付添看護・介護のない看護体制の整備を図っていくとのことであったわけであります。
 この診療報酬の改定により、看護体制の整備というのは計画どおり順調に現在進んでおるのかどうか、実際の現場における進捗状況そして今後の進め方についてもお伺いをしたいと思います。
#89
○政府委員(岡光序治君) 付添看護解消プログラムを開始して二カ月たった昨年の十二月一日現在での調査によりますと、付添看護をつけられる病院のうち約二割の約八百カ所が付き添いを必要としない看護体制へ移行しております。また、一割弱の約三百五十カ所が付添看護解消のための計画を立てて解消に取り組んでいるところでございます。
 それから、付添看護解消の問題そのものの点でございますが、この問題につきましては医療保険制度の長年の懸案でございました。御承知のとおり昨年十月の診療報酬改定におきまして、新しい看護体制の創設、解消計画を策定した場合の加算、こういった付き添い解消のためのできる限りの支援措置を講じているわけでございます。
 この問題につきましては、医療機関の御努力、それから従来付き添いとして仕事をなさっていた方々のいろんな対応、それから患者サイドの理解、いろいろ関係者がかかわってくるわけでございますので、そういう意味で皆さん方の御努力、御協力をいただきながら、一応目標が平成七年度末ということでございますので、その実現に向けまして全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
#90
○勝木健司君 次に、平成六年六月に出されました医療保険審議会国民健康保険部会の中間まとめにおきまして、「応益割と応能割の比率を五〇対五〇とする」ということが意見として出されておったわけでありますが、この応益負担と応能負担のあり方については厚生大臣はどのようにお考えになっておられるのか、御認識をお伺いしたいと思います。
#91
○国務大臣(井出正一君) 国保の保険料は、所得再分配的な機能を持つ所得に応じた応能保険料と、被保険者の職業あるいは稼得形態等の実態が多様なため受益に着目して定額負担を求める応益保険料とから成っております。この両者のバランスをとることが重要でございまして、従来より地方税法及び国保施行令上その比率の標準は五〇対五〇と規定されているところでございます。
 また、現在、中間所得者層に重くなっておる保険料の負担を緩和し被保険者間の負担の公平を図る観点からも、応益割合の低い保険者においてはその引き上げを図ることが望ましいと考えております。このようなことから、応益保険料と応能保険料の比率はおおむね五〇対五〇が一つのバランスのとれた姿であろうかと思います。
#92
○勝木健司君 今回の改正では、応益負担と応能負担についてはおよそフィフティー・フィフティーといった水準にしていくことを求めておるわけでありますが、しかし現状の応益割の平均は三五%程度であるということで、少ないところでは一〇%というところもあるようであります。
 そこで、現行では応益割の程度に関係なく一律六割、四割となっている保険料の軽減制度を段階的に改正していく、そして応益割を五〇%に近づける、そういう政策的な誘導をされようとしておるわけであります。しかし、この応益割三五%未満の保険者についての五割、三割の引き下げについては当分の間六割、四割のままとすることができるといった内容となっておるわけでありまして、果たしてこの応益割を高めるためのインセンティブの付与といった効果がどこまで発揮されるのか甚だ疑問であるわけであります。
 厚生省は、今回の改正でどの程度応益割の割合がふえていくというふうにお考えなのか、お伺いをいたしたいと思います。
#93
○政府委員(岡光序治君) まず、現在の応益割合が三五%未満のところにつきまして、本則では六割、四割というところを五割、三割にしてということを考えているわけでございますが、そういたしますとやはり低所得者につきましてはそれだけ負担が増になるということを勘案いたしまして、市町村保険者の判断で当分の間は現行の六割、四割の軽減のままという暫定的な考え方もとり得ることにしたわけでございます。これは、いわば移行の段階での大きなショックがあってはいけないという配慮でございます。基本的には私ども、五〇%に近づけるようにということで誘導したいし指導したいというふうに考えておるわけでございます。
 お尋ねがありましたが、どの程度移行するかという数字をお示ししての改正の効果を予測することは困難でございますけれども、私どもこういった趣旨をよく説明し納得をしていただいて、かつ地域の国保の被保険者の理解をいただいた上で、応益割合を五〇%に近づける保険者が徐々にふえていくんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
#94
○勝木健司君 この国民健康保険法改正の結果、応益保険料が引き上げられることによりまして中所得者層の負担は確かに軽減されるわけでありますが、反面、今もありましたように低所得者層の負担がふえることになるのではないかということであります。
 今回、低所得者の保険料負担が増大しないよう保険料軽減制度を段階的に拡充するといった措置が確かに盛り込まれておるわけでありますが、それでも一部の低所得者層は負担が増大するといった指摘もなされておるわけであります。こうした低所得者層への手だて、配慮はどのように考えられておるのか、御見解をお伺いいたしたいと思います。
#95
○政府委員(岡光序治君) 今回は要するに五〇%に近づけるように促進をしたいということでございますので、応益割合が四五%から五五%の状況にあるそういう保険者につきまして、現在の六割軽減を七割に、四割軽減を五割に、かつ住民税の所得割以下の世帯につきまして二割軽減という新しい軽減の範囲を創設するということにして、いわばなだらかな負担関係をこの際実現したいというふうに考えたわけでございます。
 確かに、この四五%から五五%の範囲に当てはまるところはそういうことで一応なだらかな対応になるわけでございますが、それでは応益割合が低いところはどうだということになりますけれども、これにつきましては現行の六割、四割の軽減というのを維持できることになっておりますので、そういう意味では今のままの応益割合でずっといるところの市町村についてはいわば低所得者の保険料水準は動かない、そんな格好になるのではないだろうかというふうに見ておるわけでございます。
 そもそも論といたしまして、応益割合が低い市町村の実情を見てみますと総体的に低所得者の保険料水準も低いわけでございまして、全体の市町村間のバランスを考えた場合には、なおその点については低所得者についても若干の負担能力はあるんじゃないだろうかという認識は一方で持っておるところでございます。
#96
○勝木健司君 それでは、国民健康保険料の収納率についてお伺いをいたしたいというふうに思います。
 収納率は全国平均で平成五年度九三・五%であるということで、ここ数年間九三%台の後半から九四%の間で推移をしております。この収納率を一般の方と退職者というくくりで見てみますと、平成四年度では一般が九三・一%、退職者では九九%となっておるわけであります。勤労者は現役時代は拠出金といった形で国民健康保険の負担をしていく、そして退職してもまじめに保険料を納めているということだろうというふうに思います。
 やはり一生を通じての公平な負担という、公平な負担とは何なのかという点について十分目を向けていく必要があるのではないかというふうにも考えるわけでありますが、もちろん収納率が一〇〇%というところも二百ほどあるわけでありますが、これについての御見解をお伺いいたしたいと思います。
#97
○国務大臣(井出正一君) 御指摘のとおりだと思います。国保を含む医療保険制度は被保険者の相互扶助で成り立っているわけでございますから、その財源となる保険料の徴収、確保は制度を維持していく根幹であります。国保においては、退職者も含めて年齢が高いほど収納率が高くなる傾向であることは事実でありますが、やはり負担の公平の観点からはそうじゃない年齢層の皆さんにもやはりきちっと納めていただかなくちゃならぬことはこれは当然でございまして、収納率の向上に向けた努力をこれからもしていかなくちやならぬと考えております。
#98
○勝木健司君 次に、老人保健法の改正についてお伺いいたしたいと思います。
 今回の改正は、老人加入率の上限二〇%問題について三年限りの暫定措置をとろうというものでありますが、この問題については早期解決が叫ばれて以来これだけもつれた背景には、現在の老人医療費拠出金のあり方については無理があるんじゃなかろうか、増大する老人医療費を支え切れなくなっているということが挙げられておるんじゃないかというふうに思います。
 老人医療費拠出金のあり方の見直しが当然要請されるようになっている原因、あるいは現行の拠出金制度の問題点についてはどのように大臣は認識をされておるのか、お伺いをしたいと思います。
#99
○国務大臣(井出正一君) 今回の老人保健制度の改正は、老人医療費拠出金の算定に用いられます老人加入率上限二〇%を上回る保険者数が著しく増加してきたことにかんがみまして、三年以内の抜本的な改正を前提に当該上限を段階的に引き上げることとしたものでございます。
 現行老人保健法における老人医療費拠出金制度につきましてはさまざまな意見がございますことから、附則における検討規定の趣旨を踏まえまして、公的介護制度に関する論議の推移を見きわめつつ、三年以内を目途といたしまして広範な視点から検討を行ってまいりたいと考えております。
#100
○勝木健司君 現行の老人保健制度における老人医療費拠出金については、何点かの不合理な点があるというふうに考えておるわけであります。まず、対象とすべき老人医療費の範囲でありますが、この制度の趣旨から考えますと、本来老人以外の一般医療費といったものを超えて老人の医療費が高くなっている部分、これが対象となるべき部分ではないかと考えるわけでありますが、現行はこの老人医療費全体が対象となっておるわけであります。こうした点についてはどうお考えなのか、お伺いをしたい。
 また、老人医療費拠出金は乳幼児あるいは学童等の負担能力がないところからも無差別に徴収して老人を支える仕組みとなっておるわけであります。こうした仕組みは、未成年者の比率が高い被用者保険に重い負担となってかぶさるわけであります。こうした点についてもどのように考えておられるのか、見解をお伺いしたいと思います。
#101
○政府委員(阿部正俊君) 老人保健制度で老人医療費を全体で賄いましょうということでやっているわけでございますが、それの基本的な考え方といたしまして、我が国における医療保険制度のさまざまな保険集団といいましょうか、政府管掌健康保険から市町村国保の各市町村単位の保険者それから健康保険組合等のそれぞれの保険者ということを前提にしてどう組み立てるかということになっているわけでございます。
 その際、老人医療費の賄い方の基本といたしまして、それぞれの保険集団で老人加入率が非常にアンバランスになっているので、これを全体的に原則的に平均的にみんな一緒であるというふうな一つの仮定を置きまして、それを前提にしてそれぞれが負担しましょうということになっていますので、先生御指摘のように必ずしも今の老人の医療費が高いからということではなくて、老人の加入率がかなりばらつきがあるのでそれを全国的にならしていきましょうというふうな思想でございますので、先生御指摘のような形での医療費が高いから高い分をみんなでどうするんだということでは必ずしも今の制度はございません。
 ただ、審議会の中でそういう御意見もありますので、そういったふうなことにつきましてもこれからどうしたらいいのか検討の一つのテーマにはなるんだろうと思いますけれども、現在の仕組みとしては加入率ということが一つのメルクマールになっているということを御理解いただきたいと思います。
 そのような意味から、今先生の御指摘がありました未成年者といいましょうか、いわば稼得能力のない人たちの集団に重い負担になっているのじゃないかということでございますけれども、そこはそれぞれの保険集団の中での問題でございまして、保険集団の組み立て方そのものの問題としてあるいはあるのかもしれませんけれども、老人医療分をどうするかという議論からその問題まで解決するというのはなかなか難しいのかな、こんなふうに思っております。
#102
○勝木健司君 今、老人医療費の問題が出ましたけれども、老人全体では五千億円ほどの保険料が納められておる。そのうち四千億円ほど国民健康保険に対し納付されておるというふうに伺っておるわけでありますが、しかしこうした老人の納める保険料が老人医療費から控除されないまま拠出金が調整されているのが現状じゃなかろうかというふうに思います。
 やはり老人が国民健康保険に納めている保険料といったものをきちんと老人医療費の保険料として計上して、その上で拠出といった措置が講じられるべきではないかというふうにも考えるわけでありますが、御見解をお願いしたいと思います。
#103
○政府委員(阿部正俊君) 現在の老人保健医療制度といいますのは、老人医療につきまして老人を取り出しましてそれの保険者、被保険者というのを構成して、その給付と負担をどうするかということでは構成されていないわけでございます。医療保険という、国民皆保険といいましょうか、あくまでもそれぞれの保険集団のどこかに皆さん属してもらうということを前提に、それぞれの集団のつくり方がお年寄りについて物すごくアンバランスになっているので、その加入というものを平均化した考え方で出していこうじゃないか、こんなふうなことでございますので、先生のおっしゃったようにそういう意味ではお年寄りを別建てにしておりませんので、老人の保険料は幾らで、それの給付は幾らで、足らざる分は幾らでというふうな構成にしておりませんので、先生の御指摘のような形での考え方には今の制度はなっていないわけでございます。
 ただ、この辺につきましてはこれからの議論の一つとして出されておる点でもございますので、最近、通常の所得と違いまして特にお年寄りの年金からの所得というのが大変多いわけでございますので、そういった点をどう考えるのかというふうなことも、これから老人保健制度の拠出金の算定をどうするのかというときの一つの議論にはなり得る点ではないか、こんなふうに思っております。
#104
○勝木健司君 今の老人保健制度は加入率を按分してその平均をとってやっていくという、今の制度を肯定すれば一応そういうことであろうというふうに思いますが、そういう中に含まれるいろんな問題点があるので、もっと抜本的にこの制度自体も根本から考え直していくべきじゃないかということで問題提起をしておるわけであります。
 今回の老人保健法の財政措置については、三年限りの暫定措置として各審議会においても了承されたものと理解しておるわけでありますが、したがいまして三年後には老人医療費拠出金のあり方も含めて制度全体の抜本改正が行われるものと私は理解をしておるわけでありますが、そのように理解していいのかどうか、大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
 あわせて、健康保険組合といったものの財政は、この老人医療費拠出金の負担によって極めて厳しい現状にあるわけであります。同様の問題は政管健保あるいは退職者医療拠出金についても言えるわけでありますが、とりわけ健康保険組合については、平成五年度の決算では経常収支の赤字組合が六百五十六と平成四年度より百五十二組合ふえているわけであります。
 こうした現状を考えますと、今後財政状況がさらに悪化する等の状況が生じたときには、三年後と言わずに早急な制度改正も当然そのときどきの必要に応じて改正を行っていく必要があるんじゃないかというふうに思いますが、あわせて御見解をお伺いしたいというふうに思います。
#105
○国務大臣(井出正一君) 今回の老人保健制度の改正は、昨年の十二月に提出されました老人保健福祉審議会の意見具申を踏まえ、三年以内を目途として行われる基本的検討に基づく措置が講じられるまでの間の当面の措置として、老人医療費拠出金の算定に用いられる老人加入率の上限を段階的に引き上げることとしたものでございます。
 老人医療費拠出金のあり方につきましては、上記の意見具申におきまして、「近い将来予想される公的介護制度に関する議論に関連し、」「広範な視点から基本的検討がなされ、その結果に基づき必要な措置が講じられるべきである。」旨指摘されているところでありまして、附則における検討規定にありますように、三年以内を目途として基本的検討を行うつもりでございます。
#106
○勝木健司君 この老人医療費拠出金とあわせて退職者医療拠出金の健保組合の保険料に占める割合も今日三〇%にも達しておるということで、健保組合の財政を圧迫しておるわけであります。老人医療費拠出金の検討とあわせてこの退職者医療制度のあり方についても抜本的な改正が必要ではないのかと思いますが、大臣の御認識をお伺いいたしたいと思います。
#107
○国務大臣(井出正一君) 退職者医療制度は、サラリーマンOBの皆さんの医療給付費を退職被保険者本人の保険料と被用者保険の拠出金により賄う制度でございまして、被用者保険のOBと現役被保険者との連帯感に基づく医療費共同負担の仕組みとして関係者の御理解を得ているのではないかと考えておりますが、今後、医療保険制度や老人保健制度にかかわる見直しの議論の中で、関係者の御意見を踏まえつつ必要に応じて適切に対応をしてまいりたいと考えているところであります。
#108
○勝木健司君 今回の改正では被用者保険側に大きな負担がのしかかってくるわけであります。しかし、政管健保の財政も急速に悪化をしておりますし、健保組合においても、既にこの老人医療費拠出金の負担等によって保険料を引き上げざるを得ない組合も出ておるやに伺っておるわけであります。
 さらに、この制度改正によって政管健保の負担増が三百五十六億円、健保組合の負担増は百六億円と見込まれておるわけであります。被用者保険の財政が圧迫されておる今日、この過大な負担増に対しては十分な国の支援が当然必要になってくるだろうというふうに思います。
 厚生省は今回、助成措置を行うようでありますが、この助成の効果をどのように考えられておるのか、お伺いをいたしたいと思います。私どもは、あくまで被用者保険の保険料率の引き上げにつながらないということを大前提にしていただきたいというふうに思うわけでありますが、お伺いをしたいと思います。
#109
○政府委員(岡光序治君) 御指摘のように、今回の改正が被用者保険各制度の保険料率の引き上げに直接つながらないように対応したいというふうに考えております。
 具体的には、政府管掌健康保険には五十五億円、それから組合健康保険の方には十八億円の財政支援対策費を計上しておりまして、かつ財政窮迫の組合には別途の措置も講ずることにしております。こういったことを講ずることによって、今申し上げましたように保険料率の引き上げにつながらない結果になるというふうに理解をしております。
#110
○勝木健司君 九三年度の老人医療費は、過去最高の七兆四千五百億円にも達しておるわけであります。この背景にはいろいろあるだろうと思いますが、福祉施策のおくれによって介護の相当部分を老人医療費で見ているという現実があろうかと思います。
 こうした問題を解決して十分な老後の介護サービス体制を確立するとともに、健保組合あるいは政管健保等々のこの老人医療費の拠出金負担を軽減するためには介護保険制度の早急な検討が当然必要になってくるだろうというふうに思いますが、この介護保険の導入に関していつごろを目途としておられるのか、検討状況についてお伺いをいたしたいと思います。
#111
○政府委員(和田勝君) 国民の老後生活にとりまして最も大きな不安要因となっております介護問題につきまして、国民だれもが身近に必要なサービスをスムーズに得られるような新しいシステムづくりということが課題になっております。これにつきまして、新ゴールドプランでも総合的な対策の一環として検討を進めるようにとされておるところでございます。
 この問題につきましては、本年二月から老人保健福祉審議会におきましてこれまで既に三回開かれておるところでございます。この問題につきましては、国民から大変強い関心あるいは不安が寄せられている課題でもありますことから、私どもといたしましては、できれば本年じゅうに具体的な制度案の基本的な考え方について御意見を取りまとめていただければと考えておるところでございます。
 なお、新介護システムの実施時期等につきましては、サービス基盤の整備など実施体制の準備に相当期間が必要であろうと思われることから、現段階で具体的な時期をお示しすることができるような状況ではないというように考えております。
#112
○勝木健司君 介護を必要とする高齢者は現在でも二百万人にも上ると言われておるわけであります。こうした中で、今後の高齢者の医療費あるいは介護に要する費用、介護サービスのあり方といったものが当然検討課題となってくるわけであります。
 特にこの介護システムについては、その具体化次第では医療保険制度や年金制度あるいは社会福祉制度といったさまざまな制度に大きな影響を与えることが考えられるわけであります。それぞれの制度間の整合性をどうとっていくのか、あるいは医療、福祉にまたがるサービス等の一元化も当然考える必要が出てくるのではないかということでいろんな視点から検討していかなければならない課題だろうというふうに思いますが、厚生大臣はどう考えられておるのか、御見解をお伺いしたいと思います。
#113
○国務大臣(井出正一君) 先生御指摘のように、高齢者介護問題は保健、医療、福祉、さらに年金等、社会保障の各分野にまたがる幅広い課題でございます。
 そこで、新介護システムの検討に当たりましては老人福祉制度や老人保健制度について見直しが必要となりますほか、医療保険制度と関連する諸制度についても影響が大きいものと考えられまして、社会保障制度全般にわたって総合的に検討を進めていく必要があろうかと思います。
 こうした新介護システムにつきましては、昨年四月から高齢者介護対策本部を設置してただいま全省的に検討を進めるとともに、本年二月から老人保健福祉審議会において審議を開始していただいたところでありまして、今後、医療保険審議会を初め関係審議会とも連携を図りながら鋭意検討を進めてまいるつもりでございます。
#114
○勝木健司君 昨年十二月に新ゴールドプランが合意されたところでありますけれども、新ゴールドプランは主として公費負担による制度の充実を図っているわけであります。今後、介護保険制度が導入されたときに、こうした公費負担が撤退していくようなことがあってはならないというふうに考えておるわけであります。
 基盤整備は公費においてしっかりと整備をする、その上で公平な負担を考えながら、ランニングコストは公費、保険料、利用者負担など幅広い財源で賄うべきであるというふうに考えておりますが、こうした点についての大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#115
○国務大臣(井出正一君) 従前から福祉施設等の基盤整備につきましては公費を中心に行われてきたところでありまして、新介護システム導入後も基本的には公費を中心にその着実な推進を図っていくべきものと考えております。
 また、新介護システムの費用保障のあり方につきましては、昨年十二月の研究会報告におきまして、社会保険方式の導入を図ることが適当であるとしつつ、現行の老人福祉制度や老人保健制度において公費負担が組み込まれていること等を踏まえて、保険料と並んで公費負担についても制度的に組み込むことを考えるべきである、こうされているところでございます。
 さらに、利用者負担につきましても、公平性やコスト意識の喚起等の観点から、サービスの内容に応じて一定率または定額の負担が必要であるとも指摘されております。
   〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕
 いずれにいたしましても、新介護システムにつきましては本年二月から老人保健福祉審議会において審議が始まったところでございますから、今後、こうした財源のあり方についても具体的に検討を進めてまいるつもりでございます。
#116
○勝木健司君 高齢化の進展とともに、福祉分野においてもその需要が多様化あるいは広範化して、いかに対応をしていくのかということが現在大きな課題となっておるわけでありますが、国として国民に提供しなければならない質と量を確保した上で、国民のさまざまなニーズに対応をしていくべく在宅福祉サービス等々の分野にも積極的に民間活力を導入していくべきであるというふうに考えますが、厚生大臣の見解をお伺いしたいと思います。
 またあわせて、現在措置費で賄われております社会福祉施設の経営といったものについてはどのようにお考えなのか、今後の進め方についての御認識をお伺いしたいと思います。
#117
○政府委員(阿部正俊君) いわゆる民間活力の導入ということでございますけれども、私どももこれからの基盤整備という意味でも大事な一つのポイントであろうというふうに考えておりまして、新ゴールドプランにおきましても、介護サービスの実施主体に関する規制の緩和を図る一方、優良民間事業者への業務委託の推進を図るといったふうな方向づけをしているわけでございます。
 実際にも、例えばシルバーサービス振興会といったふうな事業者団体の公益法人をつくっていただきまして、そこで例えばシルバーマークといったような利用者にとってある程度信頼できる一つの広い意味での品質表示制度のようなものをつくりまして、民間事業者の参入がしやすく、かつ消費者に対して適切なサービスが提供されるような形をつくるべくこれからも努力し、かつ将来的にはさらに新しく新介護システムというようなものが想定されるならば、なおさら一層そういったふうな方向づけをより充実していくべきではなかろうかと思っております。
 もう一つの問題でございますが、老人福祉施設の運営は現在の制度ではいわゆる措置費で賄われているわけでございますが、これにつきましては当面今の制度の中で、新ゴールドプランということで基盤整備の一番重要な柱として進めていくべきものであろうと思っておりますし、将来に備えることもございまして、質的な改善というようなことで、例えば居室面積の拡充等々につきましてより積極的に対応していこうというふうにしているわけでございます。
 これから先、例えば新しく検討されております新介護システムというような中で、こういったふうな措置費で賄われている老人福祉施設の運営あるいは新介護システムでの関係づけということにつきましてはこれからの問題ではなかろうかと思っております。
#118
○勝木健司君 もう時間が参りましたので、最後に大臣に所見をお伺いしたいというふうに思います。
 この医療保険制度といったものの改正、特に今回は暫定措置ということでありますが、抜本改正というときには、医療関係者はもとより福祉関係者あるいは国民の関心も極めて高いものがあろうというふうに思うわけでありますので、この検討に当たっては情報を公開して広く関係者の声を聞いて抜本改正を行っていく必要があろうというふうに考えておるわけでありますが、この点についての厚生大臣の御所見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#119
○国務大臣(井出正一君) 医療保険制度の将来構想につきましては、先ほども申し上げましたが、関係者の間にさまざまな考え方があります。したがいまして、御指摘のように幅広い論議の中から検討を進めていく必要があると考えております。
 現在、医療保険審議会において、制度全般について給付と負担の公平など幅広い観点から審議を進めていただいておりますが、同審議会は、その審議内容の性格上、労働組合あるいは経営者団体さらに医療関係団体などを出身母体とする方々が委員に多く御就任いただいておりまして、さまざまな立場を踏まえた審議を行っていただいておるものと認識をしております。
 今後とも、医療保険審議会における御論議をお願いしながら、さらに幅広くさまざまな皆様方の御意見を伺いながら、二十一世紀にも通用する医療保険制度の構築に向けて努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
#120
○勝木健司君 ありがとうございました。終わります。
#121
○西山登紀子君 日本共産党の西山でございます。
 まず最初に、大臣にお伺いをいたします。
 国民健康保険というのは国民の三四%が加入をしておりますし、今回の改正には大きな関心が寄せられているわけです。そして、国保加入者の多くは、保険料が高過ぎるから何とかしてほしい、こういう切実な声を持っているわけです。
 私の地元は京都なんですけれども、昨年は京都市で、この高過ぎる国民健康保険料を引き下げよ、こういう直接請求の署名運動が取り組まれましたけれども、わずか一カ月の間に二十五万人の署名が集まるという、これほどに運動が盛り上がるような実態がございました。保険料が払えなくて保険証が未交付になって痛ましい犠牲者すら出ているわけです。ですから、改正と言うならば、私はこうした声にこたえた改正、こういう実態をなくすような方向での改正でなければならないと思います。
 もともと国保というのは保険としては構造的な脆弱さを持っていると思うわけです。加入者の平均年齢は非常に高いです。そして、老人の加入割合も一八・八%と高い。したがって、当然医療費は高くなりますし、その結果一世帯当たりの保険料も高くなる。しかも、無所得の方や低所得の方が四分の一近くいるという、このような構造的な脆弱さを持っているわけですから、それだけに、国が十分な手だてを尽くす以外に国保の安定的運営はあり得ないのではないでしょうか。大臣の御所見をお伺いいたします。
#122
○国務大臣(井出正一君) 国民健康保険制度は、御指摘のように高齢者や低所得者の方がたくさんいらっしゃること、あるいは小規模保険者がふえてきたこと等の構造的な問題を抱えておりまして、ほかの保険制度に比べ財政的にも脆弱であることは確かであろうと思っております。
 このため国といたしましても、医療給付費の二分の一という高率な国庫負担を行うとともに、老人保健制度の創設あるいは退職者医療制度の創設を初めとする累次の制度改正を行うなど、国保制度の運営の安定化に努めてきたところでございます。
 国保制度は国民皆保険体制の基盤をなすものでありますから、今後とも国民生活の安定のためにその健全な運営に引き続き努力してまいりたいと考えておるところであります。
#123
○西山登紀子君 国がいろいろ手だてをしてきたと言われたわけですけれども、私はこれは国保の安定とは全く逆のことをしてきた、そのように思うわけです。国保の運営を困難にしてきた最大の要因というのは、国庫負担を減らしてきたそのことだと思います。
 その国庫負担を減らしてきたという歴史を少し振り返ってみたいわけですけれども、一九八三年の二月には七十歳以上の老人を国保から切り離して老人保健制度というのを施行いたしました。医療費無料を有料化に戻したわけです。国の負担はそのとき二割とし、医療費は国民が連帯して負担するようにいたしました。翌八四年の十月に退職者医療制度を創設しましたけれども、退職者医療制度は国庫負担はゼロです。本人保険料と現役労働者の拠出金で退職者医療費を賄う、こういうふうになりました。そして、そのとき同時に、国保に対する国庫負担は医療費総額の四五%から三八・五%に引き下げたわけです。これは保険給付費の五〇%にしたということでよく混同されるわけですけれども、医療費総額の四五%から三八・五%に国庫負担を引き下げたわけです。
 その後、今回の改正で暫定的に継続されることになりました保険基盤安定制度あるいは国保財政安定化支援事業、高額医療費共同事業などなど、いろんな手だてを講じてきたわけです。そしてその一方では、審査を強化したり、診療報酬や医療法の改正、老人差別医療等々、医療費の抑制対策も一方では強化をしてきました。それでも、今回保険料の上限五十万円を五十二万円に引き上げて国民の負担をふやすという方向を提案せざるを得なかった。
 私、京都に帰りましたら、地方ではもう既にこういう法律の改正を見越して保険料をもっと上げようという準備をしている地方自治体もございました。これが国保の現状なわけですね。
 大臣にもう一度お伺いしますけれども、一連の改革をやってこれで国保は安定すると断言できますか。
#124
○国務大臣(井出正一君) 国保制度の抱える構造的な問題につきましては抜本的な改革を図る必要があると考えております。そのためには、現在検討されております新介護システムによる影響やあるいは国と地方のかかわり等につきさらに議論を要するわけでございますから、今回の改正におきましては、制度運営の安定化を図るため当面必要な措置を講ずることとしたものでございます。
 今後、医療保険制度全体のあり方について幅広い観点から議論を行っていく中で、国保制度の安定を図るための抜本的見直しを行うべく努力してまいるつもりであります。
#125
○西山登紀子君 大臣もわかっていらっしゃるごとく、国保は安定するというふうには断定できないわけです。暫定暫定というふうなことをおっしゃっているわけですが、関係者も大変心配をしているわけです。
 国保制度改善強化全国大会、昨年の十二月一日に宣言が採択されているわけですけれども、こういうふうに宣言を出していらっしゃいます。「近年の数次にわたる制度改正や保険者の懸命な努力にもかかわらず、二十一世紀の超高齢社会において国民健康保険が地域保険としての機能を十分に発揮し得るのかどうか、強く懸念せざるを得ない状況にある。」と、こういうふうに関係者は強い懸念を表明しているわけです。
 私は、国保の基盤というのは構造的に脆弱さを持っているというふうに言いましたけれども、臨調路線で国が国の負担をどんどん減らしてきた、そこに国保の今の困難の最大の要因があるというふうに見ているわけです。
 そこで、少し国保の赤字保険者の問題を指摘したいと思うんですけれども、国保の赤字保険者の数、少し振り返ってみますと、これが一九八三年には六十五であったのが八四年には百五十六というふうに一気に倍以上にふえています。八五年には、昭和六十年ですけれども、百五十六が三百七、一九八六年、昭和六十一年には三百六十一、このように赤字の保険者の数がふえています。
 老人保健制度の創設や退職者医療制度の創設によって国庫負担が減らされたことによって、それと退職者医療の見込み違いもあったわけですが、赤字保険者が急増した、こういうことではないでしょうか。
#126
○政府委員(岡光序治君) 先生がお使いになっている収支の資料と私どもが持っております実質収支の赤字保険者の推移の資料と若干違うのでありますが、私どもの資料では、昭和五十九年度は実質収支の赤字の保険者は四百二でございましたが、六十一年度は三百三十七になっております。これは一般会計からの繰り入れも入った実質収支で申し上げておるのでベースが違うのかもしれませんが、その後、実質収支の赤字保険者数は減ってきておるというのが傾向としてうかがえるというふうに私どもは承知しております。
#127
○西山登紀子君 私が引用いたしましたのは、平成四年度の国民健康保険事業年報という資料でございます。いろんな言いわけをなさっているわけですけれども、私は率直に認められた方がいいと思うんですね。
 一九八八年の社会労働委員会、同じく国保改正案が審議されたときに、我が党の沓脱タケ子議員がこの委員会で質問をしております。「国保運営の特に赤字の保険者が急増したというのはいつごろからですか。」という質問に対して、当時の保険局長は、赤字保険者の数がふえてきたのは五十九年以降だというふうに答弁をされて、そしてその理由は、「五十九年度というのは老人保健法の改正が行われまして、その影響による財政運営というものが一つ影響しているかと思います。
 また、それに合わせまして退職者医療制度の導入に伴う財政影響というものが五十九年に限っては出てきているんではないか、このように思っております。」ということで答弁をされているわけです。私は、当時の保険局長が、国庫負担の削減が赤字の保険者がふえた大きな要因だと認めておられる点を指摘したいと思います。
 それから、近年赤字保険者が少なくなってきているということですけれども、私はそれは保険者が非常に高い保険料を取るようになったということの一つの反映でもありますし、そういうことも指摘をしておきたいと思います。
 それから、国庫負担の削減という点では、中小企業労働者が加入しております政府管掌の健保、これでもやっているということなんです。保険料率を引き下げたことも作用しているわけですけれども、一九九二年度から一六・四%の国庫負担を一三%に減らしましたね、その結果九三年度では九百三十五億円の赤字になったということですが、これが仮に一六・四%のままであれば、これは黒字になっていたはずではありませんか。
#128
○政府委員(横田吉男君) 政府管掌健康保険につきましては、長引く不況の影響もございまして、平成五年度におきまして御指摘のとおり十三年ぶりに九百三十五億円の単年度赤字を計上したところでございます。
 それまでは比較的賃金の上昇率も高く、医療費の伸びが一方において比較的低かったということもございまして、政管健保も黒字基調を維持できたわけでございます。五年度以降、平均標準報酬の伸びが非常に低くなった、その一方におきまして医療費の方はそう低くならないということで、医療費の伸びの方が保険料収入の伸びを上回る勢いになってきております。こうしたこともございまして、六年度には単年度収支不足が二千五百億円程度、七年度におきましてはさらに上回る趨勢となっております。
 こうした中で、国庫補助率を一六・四に据え置いた場合の影響でございますが、先生御指摘のとおり、平成五年度におきましては九百三十五億円でございますので赤字でなくて済むわけでございますけれども、六年度、七年度の趨勢を考えますと、これをもってして収支不足を補うわけにはいかない状況でございます。こうした状況に対しまして、私ども事業運営安定化資金を取り崩しましてバランスをとるように対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#129
○西山登紀子君 今おっしゃったように国庫負担を一三%に減らしていなければ、一六・四%のままでいっていれば赤字は出なかったわけですね。
 私、社会保険庁に計算をしていただいたわけですけれども、国庫負担が一六・四%のままであればどれぐらい国庫補助がふえるのかと計算をしていただいたわけです。平成五年度には千四百十三億円ふえます。平成六年度には千四百九十七億円、現行の国庫負担よりもこれだけ多く国庫負担が政管健保には入ると。国の側からいえばそれを負担する義務があるということになるわけです。
 それで、非常におもしろいことをやっていらっしゃるんですね。平成五年度赤字になったと言うんだけれども、千三百億円ほかに流用しているんですね。千三百億円ほかに流用していらっしゃる。
 こういうことをやっていて、そして九百三十五億円赤字だ、十三年ぶりの赤字だということで、これは平成七年度の全国保険・国民年金課(部)長会議というような物々しい会議が開かれているわけですけれども、そのところで社会保険庁運営部長がわざわざ言っていますね、十三年ぶりに九百三十五億円赤字になったと。そして、予備費をつぎ込んでいかないと平成六年度も平成七年度も赤字になります、こういう報告をしていらっしゃるけれども、私はどうしても納得がいきません。平成五年度には千三百億円流用していますし、平成六年度にも千二百億円流用しております。そういう流用もしないでそして国庫負担金を一二%に減らさなければ、この政管健保というのは十分な黒字があるわけですね。
 例えば平成六年度、先ほど説明がありました、予備費を入れて赤字が出ないようにゼロにしているというわけなんですけれども、千二百億円の流用もしないで、そして国庫負担を一三%に減らさないでもとの一六・四%のままであれば、千四百九十七億国会の計算よりは入ってくるということになりまして、赤字二千五百億を引いても百九十七億円の黒字にすることができる、こういう計算なわけです。
 私は大変不思議に思います。国庫負担を減らして、赤字になった赤字になったということで宣伝をされるし、また千二百億だとか千三百億だとかそういう大きなお金をほかに流用して、そして赤字になった、こういうふうなことをおっしゃられるわけですね。これではまじめに働いて保険料を納めている人は、労働者は納得しないと思うんですけれども、どうでしょうか。
 一六・四%が守られていれば黒字にもなるし、さらに保険料の引き下げも可能になるのではないでしょうか、どうですか。
#130
○政府委員(横田吉男君) 平成六年度におきまして、国庫補助の繰入特例措置といたしまして千二百億円を減額いたしております。これはいわば一般会計に貸してあるということでございまして、今後利息収入つきで返していただくことになっているわけでございます。
 ただ、先生御指摘のとおり、この繰入特例措置がなくかつ国庫補助率が従前のままということであれば、平成六年度におきましては収支償う計算になるわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、現在の賃金の伸びが一%台というようなことで非常に低くなっていることもございまして、医療費の方はこれを上回るという趨勢の中で、医療保険をめぐる基調といたしましては非常に悪化傾向にあるということでございます。
 七年度におきましては、この場合においても相当な収支不足が見込まれる状況ということで、現時点におきまして保険料をさらに引き下げるというような状況には到底ないというふうに考えております。
#131
○西山登紀子君 私は労働者の責任に転嫁するというようなことは本当に許せないというふうに思います。国庫負担を削減してきた、国保においても政管健保においても国庫負担を削減してきたというところに地方自治体や国民や患者の負担がふえたその最大の原因があるということを申し上げたいと思うわけです。
 これを少し財源別国民医療費の年次推移という資料でさらに指摘をしたいと思うんですけれども、一九八三年、つまり五十八年度から平成三年、一九九一年の国民医療費の年次推移がどうなったかということです。
 国庫負担は三〇・六%から二四・五%に見事に六%ほど減っています。地方自治体の方の負担はどうかというと、五・七%から六・七%に一%ふえています。国民の方はどうかといいますと、六三・六%から六八・八%、五%ほど負担がふえている。つまり、臨調路線のもとで国庫負担は見事に減らしてきたけれども、一方で国民の負担はこれまた見事にふえている、こういうことになるかと思います。
 時間がありません。次に移りますけれども、老人医療費の負担の問題。
 いろいろと同僚議員からも指摘がございましたけれども、この老人医療費の負担は今回の改正案でも関係団体の中で一番いろんな反発もあった点です。これも、増加する老人医療費は、国は二割負担で、あと残りは各保険者の拠出金で貯えと、こういう根本的な問題があるわけですが、老人医療費というのは毎年確実に増加いたしますし、各保険者、ひいては国民の負担増に直結する、こういう仕組みになっているわけですね。老人医療費の拠出金の負担、特に全保険者に負担感が大きいのではないでしょうか。特に労働者の側に負担感が大きいのではありませんか。
#132
○政府委員(阿部正俊君) 負担感といいましょうか、これはそれぞれ受けとめ方だろうと思いますのでお答えできる能力がないわけでございますけれども、ただお年寄りの医療費というものをどうやって国民皆保険という中で賄うのかということでございまして、いずれ後代がどの程度賄い御自分でどの程度賄うのかということがまず第一にございます。
 その後代で賄う部分につきまして保険料あるいは税がと、こういう話でございまして、後代も負担がふえずお年寄り自身も負担がふえずという中でこれから先の老人医療費を賄うということは私は不可能に近い、こう思います。
 それからしますと、今回の老人保健制度の加入者按分率の手直しといいますのは、あくまでも現在の仕組みというのを前提にいたしまして、国民皆保険という中で国民がどう賄っていったらいいのかということにつきましての被用者保険サイドと国保サイドという中でのいわば一つのぎりぎりの納得できる線としての選択であったんではないか、こう思いますので、関係者は私は納得していただいている改正内容ではないか、こんなふうに思っております。
#133
○西山登紀子君 関係者が納得されたとおっしゃるんですけれども、納得していないから三年後に見直すというようなことになっているんではないかと思うんですね。やはり私は、国民といいますか各組合の健保ですね、そういう人たちの負担感というのはもうそれは絶大なものがあるというふうに思います。
 組合健康保険で見てみますと、一九九三年度、平成五年度の保険料収入は五兆四百十一億円あるわけですが、保険給付費は三兆八百七十二億円です。老人保健拠出金というのは一兆二千三百七十五億円。この拠出金というのは、割合を見てみますと保険料収入の二四・五%に当たります。そして保険給付費の四〇%に当たるわけです。保険給付費の四〇%を老人保健拠出金として出している、この負担感は非常に大きいと思います。
 さらに驚くことには、その拠出金の将来推計ですね、これは資料をいただいておりますが、一体二〇〇〇年にはどれだけになるだろうという資料が出ているわけです。被保険者一人当たり老人保健拠出金の将来推計というこの資料を見てみますと、平成七年度、一九九五年度には被保険者一人当たりの老人保健拠出金は三万五千円ですが、それが二〇〇〇年になりますと七万五千円になる、実に二・一四倍になるという推計が出ています。これは政府の出していただいた資料ですから、政府が推計をしておられる。
 これを先ほど紹介いたしました五年度の数字に仮に単純に当てはめてみますと、実に保険料収入の約半分、保険給付費に相当する額を老人保健拠出金として出さなければならなくなるわけです。政管健保にも同じような傾向を与えると思います。これはもう保険としては成立しない、保険でなくなる。健保組合の方々や労働組合が大きな危機感を持つというのは私は当然だと思うんですけれども、いかがですか。
#134
○政府委員(阿部正俊君) 日本の老人の医療費の賄い方は、それぞれの医療保険制度を前提にいたしまして、加入率ということで調整していきましょうということでございますので今のようなお話になるわけでございます。ただ、健康保険組合の例を出されましたけれども、例えば市町村国保におきましても拠出金というのを出しているわけでございまして、その率だるや今の例以上に大きくなっている市町村もあるわけでございます。そういう中で、全体でどういう公平な出し方をすればいいのかというふうなことで賄ってきているわけでございます。
 ただ、全体の医療費の中に占める老人の医療費の割合が相対的に高くなっていきますので、これをこれから先五年、十年、二十年というような中で見通したときに、それを今の医療保険制度の保険集団の組み立て方ということを前提にして今の制度のままでいけるということになるのかということにつきましては、やはり保険制度という中でやる限界というものもかなり意識され出してきたということは事実でございます。
 それぞれの国民全体での負担がどうだから老人の医療費はなかなか負担が難しいというふうなことではこれから先私ども大変困る事態になるわけでございまして、これから三年間ございますけれども、老人の医療費を全体で賄っていきますという基本的な認識を持った上で審議会等での御議論に期待していきたい、こんなふうに思っております。
#135
○西山登紀子君 私の質問に率直にお答えをいただいていないように私は思います。本当に大変なことになるということを健保組合の皆さんや労働組合の皆さんがお感じになるのは私は当然だというふうに思います。
 十二月八日に、健康保険組合の皆さんが要求大会を開いていらっしゃるわけですが、そこには「老人医療費公費負担の積極的な拡大」という一項目があるわけです。一方、十二月一日の国保制度改善強化全国大会は、やはり同じく「老人医療に対する国の負担を拡充強化すること。」。この両者の要求は完全にこの点一致をしております。当たり前の要求でありますし、もっともな要求だからだと思います。
 この要望を本改正案に取り入れられましたでしょうか。老人医療費本体に対する国の負担の積極的な拡大、今回の改正案に入っているかどうか。
#136
○政府委員(阿部正俊君) 老人医療は、老人保健制度における拠出金、国庫負担あるいは利用者負担の割合をどうするのかというのが一番基本的な問題ではございますけれども、今の制度では、基本的には給付費の三割を公費負担、国、地方自治体で持つ、残りの七割を拠出金で賄いましょうという姿になっていますが、一部につきまして、介護的な要素の強い部分、例えば老人保健施設等の経費でございますけれども、これにつきましては公費五割で残りの五割を拠出金ということで整理をしてございます。
 趨勢的に申し上げますと、この公費負担五割の部分の経費が徐々にふえてきておりまして、これから先かなりな勢いで増加していくのではないか。結果として、相対的に公費負担の割合が徐々に高くなっていく傾向になるのではないかと思いますし、今回の制度改正の中ではまだ小さいものではございますけれども、その五割の対象の中に診療所における言ってみれば定額払いの部分、こういったふうなものも入れて公費負担の対象を拡大していこうというふうな措置も、若干ではございますが入れでございます。
#137
○西山登紀子君 入っていないんですよ。むしろ減らすんですね。国保で四百三十三億、老健法の関係で二百八億円減らすということだと思います。
 拠出金のあり方を三年以内に見直すことになっているわけですけれども、私は最後に大臣にお伺いをしたいと思います。
 新介護システム、いわゆる介護保険制度の創設との関係で見直すということですけれども、健保組合は「現行拠出金方式に依存しない公費中心の介護保障の確立」をと注文をつけているわけです。私は、この注文というのは国民的な要望だというふうに思うわけです。
 といいますのは、いろんな検討が始まっている中で、例えば高齢者介護・自立支援システム研究会の十二月の指針を見ましても、費用の負担というのは「国民全てが公平に高齢者介護費用を負担し合う」というふうな文言がありますし、また二十一世紀福祉ビジョンの資料を見てみましても「国民全体の公平な負担」と、やはりこういうふうな文言が出てきます。つまり、これでは老人医療費拠出金の二の舞になるのではないかと思うわけです。拠出金が介護保険料にかわる。
 私は、国民の老後の……
#138
○委員長(種田誠君) 西山君、時間が過ぎておりますから、質問をまとめてください。
#139
○西山登紀子君 老後の医療と介護保障のあり方というのは、国民に新たなそしてこれ以上の負担を強いる方向ではなくて、国を中心とする公費負担を根本に据えた制度として検討すべきではないか、単に組み込む程度ではだめです、国の公費負担を根本に据えた制度として検討すべきではないかというふうに思いますが、大臣のお考えを伺って終わります。
#140
○国務大臣(井出正一君) 新たな公的介護制度の財源につきましては、具体的なシステムのあり方の検討とあわせて今後さまざまな観点から検討がなされるべき重要な課題だと考えております。
 今、先生がお触れになられました昨年十二月に公表された自立支援システム研究会の報告書におきましても、社会保険方式の導入を図ることが適当であるとしつつ、現行の老人福祉制度や老人保健制度において公費負担が組み込まれていること等を踏まえて、保険料と並んで公費負担についても制度的に組み込むことを考えるべきだと、こうされているわけでございます。
 今後、こうした指摘も踏まえながら、その費用負担のあり方について具体的な検討を進めていきたいと思っております。
    ―――――――――――――
#141
○委員長(種田誠君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、佐々木満君が委員を辞任され、その補欠として成瀬守重君が選任されました。
    ―――――――――――――
#142
○委員長(種田誠君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#143
○西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、国民健康保険法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。
 今回の改正は、三年以内の見直しを前提として、現行制度の延長が大部分となっていますが、いずれも医療保険の国庫負担を削減して国民負担と地方負担をふやすという従来のやり方を踏襲したものとなっており、到底認められません。
 以下、反対の理由を述べます。
 第一に、国民健康保険料の応益割合の引き上げは、低所得者への負担増となることです。二割軽減措置の創設程度では到底緩和されません。
 第二に、保険基盤安定制度は、保険料軽減費負担金として全額国の負担で発足したものです。それが、八八年に保険基盤安定等負担金となって国の負担を五割とし、さらに暫定措置として定額化しました。これはまさに国庫負担削減の歴史そのものです。国庫負担金を地方交付税で措置したとしていますが、結局その負担を市町村に押しつけることとなっています。
 第三に、国保財政安定化支援事業は、国保に対する地方自治体の負担を固定化するものです。このような事業は、本来国庫負担金で措置すべきものです。
 第四に、国民健康保険料の限度額の五十万円から五十二万円への引き上げは、国保加入者に新たな負担増を押しつけるものです。また、老人加入率の上限引き上げは、被用者保険加入者の負担増となります。
 以上の制度改悪により、国民健康保険法で四百三十三億円、老人保健法で二百八億円の国庫負担が削減されることとなります。
 そもそも国民健康保険は構造的に脆弱なもので、それだけに国の十分な手だてが必要です。ところが、政治の実際は全く逆で、政府は国保改革のたびに国庫負担の削減を行ってきました。これが国民健康保険が苦しい最大の要因です。同時に、政府管掌健康保険に対する国庫負担も一六・四%から一二%へと減らし、赤字の要因をつくり出しました。これでどうして人にやさしい政治と言えるでしょうか。
 私は、政治の流れを国民の命や暮らしを優先する政治に今こそ改めるべきであることを強調して、討論を終わります。
#144
○委員長(種田誠君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 国民健康保険法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#145
○委員長(種田誠君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、木暮君から発言を求められておりますので、これを許します。木暮君。
#146
○木暮山人君 私は、ただいま可決されました国民健康保険法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、平成会及び新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 以下、案文を朗読いたします。
    国民健康保険法等の一部を改正する法律
    案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講
 ずるよう努力すべきである。
 一、構造的問題を抱える国民健康保険制度の長期的安定を図るため、国と地方の役割の在り方、低所得者・小規模保険者への対応等を含め、その抜本的な改革を早急に行うとともに、医療保険制度全体の給付と負担の公平化のための一元化に向けた取組みを進めること。
 二、医療費の地域間格差を是正するため、地域の実情に応じた医療費適正化対策、レセプト審査の充実等を進めるとともに、国においても所要の措置を講ずること。また、保険料収納率の向上等に努めるとともに、保険料負担の平準化に継続的に努力すること。
 三、二十一世紀が健やかに安心して過ごせる長寿社会となるよう、新ゴールドプランを積極的に推進すること。その際、健康診査、機能訓練等老人保健事業の一層の充実を図るとともに、国民健康保険においてはその地域保険としての特性にかんがみ、新ゴールドプランの積極的支援等保健事業の拡充を図ること。
 四、新たな公的介護システムの構築に向けた検討を、国民への情報公開を図りつつ、早急に進めること。また、老人医療費拠出金制度の在り方について三年以内に見直しを行うに当たっては、その議論等を踏まえ、必要な措置を講ずること。
 右決議する。
 以上であります。
#147
○委員長(種田誠君) ただいま木暮君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#148
○委員長(種田誠君) 多数と認めます。よって、木暮君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、井出厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。井出厚生大臣。
#149
○国務大臣(井出正一君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
#150
○委員長(種田誠君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#151
○委員長(種田誠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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