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1995/05/11 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 厚生委員会 第11号
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1995/05/11 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 厚生委員会 第11号

#1
第132回国会 厚生委員会 第11号
平成七年五月十一日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         種田  誠君
    理 事
                清水嘉与子君
                宮崎 秀樹君
                菅野  壽君
                木暮 山人君
    委 員
                石井 道子君
                尾辻 秀久君
                大島 慶久君
                佐々木 満君
                前島英三郎君
                今井  澄君
               日下部禧代子君
                竹村 泰子君
                堀  利和君
                勝木 健司君
                横尾 和伸君
                萩野 浩基君
                西山登紀子君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  井出 正一君
   政府委員
       厚生大臣官房長  山口 剛彦君
       厚生省健康政策
       局長       谷  修一君
       厚生省保健医療
       局長       松村 明仁君
       厚生省児童家庭
       局長       佐々木典夫君
       厚生省保険局長  岡光 序治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        水野 国利君
   説明員
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部障害者雇
       用対策課長    後藤 光義君
       自治省行政局公
       務員部公務員課
       能率安全推進室
       長        犬塚 英則君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○精神保健法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○結核予防法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(種田誠君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 精神保健法の一部を改正する法律案及び結核予防法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○前島英三郎君 おはようございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 ただいま議題となりました二法案のうち、精神保健法の一部を改正する法律案に関しまして私は質問させていただきます。結核予防法改正案につきましてはベテランの宮崎先生に我が党はお任せすることにいたしまして、前半を私が担当させていただきます。
 精神保健法は、前回の改正が平成五年でありましたのでまだ二年しかたっていないわけでございますが、さらにその改正法の施行が平成六年、去年の四月でございましたので、実質的には約一年で再改正ということになるわけでございます。このため、今回の法案の提出に対しましてやや唐突な印象を受けた人も中にはおられるんじゃないかというふうに思うのでありますが、私の方は逆に、前回改正でもう少しでできたと言えるような中身をいわば二年おくれで提出することができた、こういう受けとめ方をいたしておりまして、大歓迎でございます。
 しかしといいますか、だからこそといいますか、制度改正の大きな流れにつきまして国民にわかりやすく、十分な説明、PRをする必要があるんじゃないかというふうに思っております。なぜ今このような改正が必要なのか、まず冒頭伺っておきたいと思います。
#4
○政府委員(松村明仁君) 今回の精神保健法の改正は、第一に、精神障害者の社会復帰の促進やその自立と社会参加の促進を図るため、精神障害者保健福祉手帳制度の創設、あるいは社会復帰施設や事業の充実、相談指導の充実等を行いまして精神障害者の福祉施策を法律的に位置づけるとともに、地域精神保健福祉施策の充実を図ること。第二に、精神保健指定医制度の充実など、よりよい精神医療の確保を図るための所要の措置を講ずること。第三に、精神医療を取り巻く諸状況の変化を踏まえまして、これまでの公費負担医療の公費優先の仕組みを保険優先の仕組みに改めることを内容とする改正を行うものでございます。
 なぜ今かということにつきましては、精神保健法につきまして今御指摘のように平成五年に改正が行われたところでございますが、その後平成五年十二月に障害者基本法が成立いたしまして精神障害者が基本法の対象として明記されましたこと、また平成六年七月に地域保健法が成立いたしまして地域保健対策の枠組みが改められたことなど、精神保健を取り巻く状況に変化が生じましたために、こうした変化を踏まえまして、御指摘のように、従来からの課題でございました精神障害者の福祉施策の位置づけや公費負担医療制度の見直し等について関係審議会の御意見もいただきながら、今回御提案している改正法案を取りまとめたものでございます。
#5
○前島英三郎君 障害者基本法ができた、あるいはまた精神障害者に対する施策のいろんな声が満ちあふれているというようなことで、決して唐突なものではなく、むしろそうした声を背景としてやるべきは早くやる、こういう姿勢のように思うんです。我が国の精神保健とかあるいは精神障害者の福祉施策というのが近年かなりダイナミックに変わりつつあるというような状況もその背景にあるというふうに思っているわけでありますが、ある人は、法体系は動いているという表現をした方もおりますし、私もそんなふうに感ずるわけですね。
 ところが、今回中身をいろいろ、いいことなんだけれども、公費負担医療の保険優先化を行うということ、どうもそこにスポットが当たってしまいまして、このためこれが本目的でそれ以外の改正、例えば福祉の法制化を何かついでに行うかのように思っている人がなきにしもあらずだというようなことも言われております。
 それは一つには、公費負担の予算が減少する分が一般財源などに消えてしまいまして精神障害者の社会復帰と福祉に余り回ってこないんじゃないか、こういう印象、あるいは精神医療に対する国の責務が何だか薄まってしまうんじゃないかという心配、こういうふうなことがそういう声になっているんじゃないかという印象を持つわけでありますが、これらが絡み合ってそういう声の中に釈然としないものもあるんじゃないかというふうに思うんです。
 保険優先化を図るに当たって、こうした釈然としない印象を残さないようにしっかりしなきゃならぬと思いますし、厚生省に頑張ってもらわなきゃならぬわけでありますが、制度改正で十分な配慮をしたのか、また予算確保のために十分な努力を行ったのか、今後、そういう釈然としないものもあるとしたならばどういう努力をするつもりなのか、頑張るつもりなのか、局長、この際ひとつ明快にお答えいただけますか。
#6
○政府委員(松村明仁君) 現在の精神保健法の公費負担医療は公費優先の仕組みをとっているわけでございますが、これはこれらの制度が昭和二十年代から昭和三十年代の医療保険制度が脆弱な時期に制度化されたこと等のために、公費優先の仕組みによらなければ患者が確実に医療を受けることを期待することが困難であった、こういう状況によるものでございます。
 しかしながら、現在国民皆保険が定着して久しいこのときに当たりましては、一般の疾病の場合と同じように公的医療保険制度をまず適用いたしまして、その上で、自己負担部分に引き続き公費による負担を行うことによりまして患者が確実に医療を受けられるようにしていくことが適当であると考えているところでございます。
 したがいまして、今回の改正は公費と医療保険財源との調整方法を改めるものでございまして、精神医療の役割や精神医療に関する国や都道府県の公的責任につきましては従来と同様であり、何ら変更を与えるものではないことを御理解いただきたいと思います。
 また、今後どのような展開をしていくのかという御質問でございますが、平成七年度の精神保健福祉関係予算におきましては、社会復帰施設やグループホーム、小規模作業所、通院患者リハビリテーション事業の整備を積極的に進めますとともに、新たに都道府県及び市町村が地域の実情に即した各種の事業を実施するための地域精神保健対策促進事業、さらに精神障害者の緊急時におきます適切な医療と保護を確保するための精神科救急医療システムの整備、また精神障害者のための手帳の交付事業等を行うことによりまして、精神障害者に対する保健福祉施策の充実強化を図ることとしているところでございます。
 今回の改正を契機といたしまして、厚生省としてもよりよい精神医療の確保や精神障害者の社会復帰対策、福祉施策の一層の推進に努めてまいりたいと思います。
#7
○前島英三郎君 そういう意味では大蔵のペースなんかに乗らずに、やっぱりそういうものはしっかりとまた新たな政策の中に予算化していくように、保険優先化になったことは決して予算を大蔵省に戻すんじゃありませんよというような強い姿勢でやってもらわなければ、この精神障害者の問題というものはまだまだ非常に谷間の位置にいるわけですから、その辺は頑張ってもらいたいと思います。
 テンポの速い制度改正の流れに対してもう一つの心配の声が聞かれるのは、これですべてが打ちどめになって精神障害者の問題はもう終わりなんじゃないかというような心配をする家族会の人や当事者の方々もおるわけであります。
 前回の改正、これは精神保健法なんですが、附則で、政府は施行後五年を目途として見直しを図ることと定めてあるわけですね。今からですと四年後の平成十一年を目途にということになるんですが、今回一部改正を行ったとしてもこの規定はなお生きていると私どもは理解をしているわけですが、厚生省はどのように考えているか、また今後に残された課題として、何と何はこれは次の改正の一つの目途にしたいという思いがあるのか、その辺の一端を聞かせてほしいと思うんです。
#8
○政府委員(松村明仁君) 精神保健法につきましては、平成五年の法改正の際に附則で、改正法の施行後五年を目途といたしまして法施行の状況等を踏まえて検討を加え、所要の措置を講ずることとされているところでございますが、この規定は引き続き効力を有するものと考えております。
 また、今後に残された問題という御質問でございますが、課題といたしましては、保護者制度の見直しあるいは資格制限のあり方など、前回の法律改正の際の国会の附帯決議に盛り込まれている事項に関し、今後とも法改正の施行の状況や精神保健を取り巻く環境の変化を勘案しつつ、関係審議会や関係団体等の意見を伺いながら引き続き検討してまいりたいと考えております。
#9
○前島英三郎君 さて、今回の改正によりまして法律の中に精神障害者の福祉、福祉ということは重要な柱ができることになったわけでありますが、私は前回の精神保健法改正の段階で精神保健福祉法という題名にすべきだということを考えましたし、自由民主党の中の社会部会におきましてもその辺は随分主張してきたわけでありますが、初めてこの精神障害者の福祉の芽が出たということは大変すばらしいことだというふうに思っているわけであります。
 しかし、当時はまだ障害者基本法も成立しておりませんでしたので法律の定義上の困難があったようでありますけれども、今回は法律の目的規定に自立と社会参加への援助という内容を盛り込むとともに、法律全体の組み立てを大きく変えまして、第六章には「保健及び福祉」という新しい章が設けられているわけですね。これは、精神障害者の福祉とは何かという概念をあらわす上で非常に重要なポイントであろう、このように思っているわけであります。
 福祉の概念は精神障害者の障害に対するものであって、その疾病に対するものではありません。医療が終わり、リハビリテーションが終わり、その次に福祉がやっとやってくるということでもないわけでありまして、医療、保健というレールがあって、それと並行してもう一本の福祉というレールを今回敷いたんだということだというふうに思うんですね。二本の矢じゃ折れてしまうけれども、そこへ福祉というもう一本の矢が入って、例の故事の三本の矢というような強力な形になって、精神障害者の保健福祉というものが推進されるということだろうというふうに私は理解しているんです。
 将来に向けて最も大切なポイントであると考えるので、この福祉の概念をどのようにとらえたのか、今回提出の法案に照らしながらひとつわかりやすく説明していただければと思います。
#10
○政府委員(松村明仁君) 精神障害者の福祉といいますのは、精神障害者が精神疾患があることによりまして生活能力に障害がある、これによりまして日常生活または社会生活を営む上でハンディキャップが生ずることになります。これを補うための援助を行ってノーマライゼーションを図る、こう考えるものでございます。
 精神保健は、精神障害者を精神疾患を有する方としてとらえまして、精神障害の予防、治療、リハビリテーションを行うものでございますが、精神障害者の福祉は、生活能力の障害、ここに着目をいたしまして必要な援助を行うものでございます。
 これまでの精神保健法におきましても、社会復帰の促進という福祉的な概念は含まれていたのでございますが、今回の改正ではさらに、退院して地域で自立して生活する方に対する生活の援助や社会参加の促進のための援助という幅広い要素も加えまして、福祉の理念を明記したものでございます。今回の改正は、初めて精神障害者の福祉を法体系上位置づけまして、福祉施策の推進の枠組みを整えるものでございます。今後、これに基づいて一層の福祉の推進を図ってまいりたいと考えております。
#11
○前島英三郎君 一層の福祉の推進、ぜひそう願いたいと思っております。
 さて、その障害者の福祉を具体的に展開していくためには、やっぱり計画の段階から当事者が参加して、個々の場面においても当事者の意思を最も尊重しながら進めていくということが極めて重要なんですね。精神障害者の場合においては、これまでどうしても家族とかあるいは家族会などが主体となることが多かったわけであります。精神障害者に対する社会の偏見という一つの暗い歴史がありましたので、家族会の皆さん方の大変な頑張りで今日まで日の当たるところにいろんな要求あるいは活動も出てきたということはすばらしいことだと思うんですが、やはり突き詰めて考えていきますと、本人でなければわからない痛みというものがあるはずであります。
 他の障害を持った仲間の組織というのはかなりもう充実してきまして、それぞれがボイス・オブ・アワ・オウンじゃありませんが、我ら自身が声を出してみずからの人生をみずからが決定をするんだと、こういう組織化ということも大変顕著になっているわけであります。しかし、厚生省もその辺は、昨年暮れあたりから精神障害者自身による団体の方々といろいろと取り組みを始めだということを聞いております。四月十六日でしたかの新聞報道では、新設を予定している手帳制度の具体的な進め方について、当事者に参加を呼びかけて勉強会をしたというふうなことも報道されているので、私も大変いいことだと思っているんですね。
 障害者自身の声を聞くためには、一方では障害者の組織づくりというものを支援する必要があるというふうに思うんです。まだ精神障害者の当事者の組織というのは脆弱なところもあろうと思いますし、今、芽は出つつありますが、組織化が一体化しているというようなまだそういう状況ではないというんで、家族会とのチャンネルあるいは当事者とのチャンネル、その当事者の組織づくりをどうバックアップするかということをやって、その声を吸収して福祉の推進ということに結びついていくんじゃないかと思うんで、今回の手帳についてはもちろん、次の見直しの機会に向けて精神障害者自身の声を聞く努力をぜひ厚生省に継続的にやっていただきたい、こんなふうに思うんですが、厚生省のお考えも聞いておきましょう。
#12
○政府委員(松村明仁君) 障害者施策の推進に当たりまして、障害者の方々の御自身の意見を聞くということは極めて重要だと私どもも認識しておるところでございます。今回の法改正によりまして新設されます手帳制度につきましても、その内容については専門家の検討会に検討していただくことにしておりますが、その過程で障害者の方々の意見を反映させていくこととしております。
 今後とも、精神障害者施策の推進において可能な限り障害者の方々の声を聞いていくように努力してまいりたいと思います。
#13
○前島英三郎君 手帳だけにとどまらないと思いますがね。手帳を別に持たせるわけじゃなくて、持つ側の意見がないと、何を持たせられるかわからないというところがあるわけですから、やっぱり持つ人の意見を聞いてということが大変重要じゃないかというように思います。法律名に福祉を入れて、保健及び福祉という新しい章を設けるといいましても、本当の実体をつくっていくのはまさにこれからだというふうに思っております。
 精神保健法を制定したときに、市町村も社会復帰施設を設置することができるように規定されましたが、これまでの精神保健対策の仕事というのは実際にはもうほとんど都道府県が軸に推進が図られてきたように思っております。しかし、精神障害者の福祉まで施策の幅が広がっていくわけでありますから、これからは市町村に期待される役割というのは従来とは比較にならないほど大きなものになってきております。障害者基本法でも、国、都道府県、三千三百の市町村、いわばそういうものは向こう三軒両隣から声がやがて国に上がってくるんだという基本的な考え方が盛り込まれているわけですから、これからは市町村が非常に重要になる。
 しかし、その市町村が精神障害者についてどれだけ理解しているかというと、この辺は非常にまだ私は幼いところがあるんじゃないかというふうに思うんで、それには市町村に十分な力量をつけていくということも厚生省はやっていかなければならぬことだと思います。そのノウハウを早急に蓄積させるということが大切だというふうに思うんです。
 地域保健法もできて地域保健のあり方も今後変わっていくわけでありますから、それらとあわせて市町村がしっかりした体制を整えられるように、国として計画的に系統的にこれを支援、指導していく必要があると考えますが、厚生大臣、まだ一言もお言葉を伺っておりませんから、どうぞひとつその辺の御決意を。
#14
○国務大臣(井出正一君) 精神障害者の保健福祉施策は、先生御指摘のとおりこれまで都道府県を中心に取り組まれてきたところでございますが、障害者基本法においては精神障害者が障害者として明確に位置づけられるとともに、市町村の福祉の増進の役割についても明確化されたところでございます。さらに、地域保健法に基づく基本方針では、専門的、技術的な役割は都道府県の保健所が担う一方、精神障害者の社会復帰施策等のうち、身近な利用頻度の高いサービスについては市町村の保健センター等において実施することが望ましいとされたところでございます。
 このような流れに沿って今回の精神保健法の改正では、正しい知識の普及とかあるいは相談指導などについては都道府県だけじゃなくて身近な市町村もその推進に努めるようその役割を明らかにしたところでございます。そのために今年度の予算におきましても、都道府県とともに全国約百カ所の市町村で地域の実情に合わせた精神保健福祉施策を推進する事業を新たに創設したところでございます。予算は八億円だったと思いますが、一応これでモデルの市町村を創設したい、こう考えておるところでございます。
 こんな予算も活用しながら、市町村が精神障害者の保健福祉施策の推進に積極的に取り組めるよう、そして確かにまだ今まで経験は浅いものですから、そういった面で頼りになれるような市町村であってもらえるように支援をしていきたい、こう考えております。
#15
○前島英三郎君 ぜひその辺を期待しております。
 社会復帰施設について伺っておきますが、本法案では新たに二種類の施設を追加するわけでありますが、いずれも予算措置としては既に認められているものですから特に問題はないと思うんですが、問題となるのは社会復帰施設の全体としての数量であると思うんですね。精神障害者関係ではあんなに多くの要望や必要性を叫ぶ声があったのに、どうも伸び悩んでいるように思えてなりません。
 ほかの障害者関係ではもう施設はいいと、それよりも自立する、社会復帰する、そういうもろもろの周りの法体系をノーマライゼーションに沿って完全参加の方向へというような声が強いわけでありますが、やっぱり精神障害者の場合には病院から一遍に家庭へというわけにはいかないところもある。病院からワンクッションあるいはツークッションぐらい置かなければというところもある。その辺で施設というものはどうしてもいろんな意味で必要になってくるものだというふうに思うんですね。
 そこで、何が施設の増加を阻んでいるのかということですが、原因の一つとしては設置運営基準や補助要綱が弾力性に欠けるという問題点があるんじゃないかと思います。例えば施設の定員にしましても、身体障害者や知的障害者の施設では多様な定員が認められましてそれに応じた補助金が支払われるのに対して、精神障害者の施設では一律に決められているんです。入所期間も原則二年、延長一年などと一律に決められちゃっている。もう少し弾力的なものにこの際見直すべきではないかと思うんですが、その辺お考えがありますか、どうですか。
#16
○政府委員(松村明仁君) 今御指摘のように、精神障害者の社会復帰施設の整備ということでございますが、なぜ整備が十分に行われていると言えない状態にあるかということの理由といたしまして、精神障害者の社会復帰対策が他の障害者施策に比べて歴史が浅いことに加えまして、精神障害者社会復帰施設につきましては、当初、運営費の四分の一が設置者の負担、こういうふうなことになっておりました。施設設置者の費用負担が大変重いものになっていたというようなことも一つの理由がと考えているところでございます。
 こういったことのために、平成五年度には、これまでございました運営費の設置者負担の解消を行いました。また平成六年度では、職員の業務省力化等勤務条件の改善に必要な経費を新たに運営費に加算するなど、その運営の安定化を図ってきておるところでございます。また平成七年度予算におきましては、勤務条件の一層の改善に必要な経費の拡充でございますとか、年休、代替要員の確保に必要な経費の新設等の改善策を行ってきておりまして、運営費の補助額の引き上げを図ってきたところでございます。
 また、今委員御指摘のように運営の弾力的な運用ということにつきましても、今後必要な検討を行いつつ社会復帰施設の積極的な整備を進めてまいりたいと思います。
#17
○前島英三郎君 ぜひその辺は弾力的な運用を図ってもらいたい。
 例えば小規模作業所がありますね。地域に開かれたということでこれ大変重要で、小規模作業所の存在というのは精神障害者の社会復帰には非常に重要な位置づけとなっているんですが、国の助成対象となっているのは平成七年度予算では四百カ所ということになって、これも近年四百カ所だっと設置をしてきた。実際には、精神障害者を対象にしているものだけでこの倍以上現実はつくられているわけです。この数はどうですか、大体倍以上、千カ所ぐらいになっているんじゃないですか、どうです。
#18
○政府委員(松村明仁君) 国が補助しているものは現在三百六十カ所でございまして、平成七年度におきましては四百カ所程度にこれを伸ばす考えでございます。
 また、今御指摘の全体の数ということであるかと思うんですが、これは約九百カ所です。
#19
○前島英三郎君 そこで、この小規模作業所、いわば共同作業所、精神障害者にとって総合的、多面的な意味で有益というか、非常に有効であるということがわかってきていると思うんです。社会復帰施設などが不足しているから共同作業所ができるというんじゃなくて、共同作業所だからこそ社会復帰や福祉的支援になるという面を見なければならないと思っているんです。小規模作業所を今のままで直ちに法定化できるとは考えませんが、こういうことにも多くを学んで弾力的な運用を図って、その特質を政策、制度に取り入れるという姿勢がこれからは必要だというふうに思うんです。
 これはことし七年度で四百カ所になりましたが、恐らく来年度予算も六百、七百、八百という要求が来ると思いますよ、恐らく来るはずです。ですから、こういう法律を改正したときを一つのばねとして、保険優先化になって一般財源がどうも大蔵省に持っていかれちゃうんじゃないかという心配を払拭するためにも、この際は精神障害者の社会復帰のためのいろんな施設づくりには弾力的なことを検討していくけれども、当面は小規模作業所、共同作業所という向こう三軒両隣型の中で、精神障害者も他の障害を持った人たちも一緒に作業所の中でもって社会復帰のための、社会参加への基礎的な訓練をやっていくんだというものの法定化も含めて、そういう要求も四百カ所をもう一気に倍増するぐらい、国が補助しているのは百万ちょっとですからこれだって問題がありますよ、もう何百万、何千万ということなら四百カ所というと大変な予算になるんですけれども、例えばそれを倍にしたって大した予算じゃないと思います。そのくらいの、法律の中に福祉という文言を入れるならば、それをやっぱり一つのばねとして、来年度予算にはしっかりとその辺の形はつくってもらいたいと思う。
 精神障害者のための小規模作業所に対する厚生省の認識あるいはその制度化という面に取り組む姿勢を、もう時間がなくなってしまいましたね、ぜひひとつ大臣その辺を、非常にこれからは地域に根差したものが大切だということに照らして、この小規模作業所に対する思い切った助成措置あるいは法定的な立場、そういうようなものに対する御決意を伺いたいと思います。
#20
○国務大臣(井出正一君) 小規模作業所の大変重要な役割は私も認識をしておるつもりでございます。そして、例えば過般の阪神大震災のときにも、被害を受けた小規模作業所の方へ国として何か援助ができないかという御質問を随分ちょうだいいたしました。授産所みたいな規模になりますとある程度できるんですが、残念ながらその要件に該当しておらなかったものですから、あの阪神地域に関しましては、例えば某新聞社とか某生命保険会社の厚生事業団みたいなところから工面していただいたわけでございますが、大変大事なことは確かでありますし、先生がおっしゃったように一カ所当たり百万円でございますから、国であれしている場合でもふやすこともそんなに大きなお金を必要とはいたしません。
 したがいまして、今厚生省の中に設けでございます障害者保健福祉施策推進本部で精神障害者の小規模作業所に対する制度化等のあり方についても検討をしておりますから、今回の改正事項には含めておりませんが、この検討結果を踏まえて必要な措置を講じていきたいと考えております。
#21
○前島英三郎君 最後に意見だけ述べさせてもらいますが、精神障害者の福祉はこれから始まるわけであります。身体障害者や知的障害者の福祉施策とは大きな格差がございますから、この格差を埋めるためにも積極的な御努力をいただきたいと思います。疾病を有するという他の障害分野と異なる側面を持つとはいえ、福祉という原則的に共通のベースの上に乗り、早期に肩を並べられるようにしていく必要があると考えております。
 昨年の九月、厚生省の中に推進本部をつくって検討していただいておるわけでありますが、局あって省なしなどとも言われるように、組織の壁がバランスのとれた施策の推進を阻むという要素は否定できないだろうと思うんですね。福祉は厚生省の時代は終わったというように、身体障害、知的障害、精神障害者に関しては、これはもう三局が一緒になって障害者局というような感じでやっていく、ただ精神障害者の問題は保健医療局だけでというような時代はもう終わったと、こういう意識をやっぱり持ってこれから取り組んでいただきたいと思います。
 ゴールドプランのようにこれからの数値目標も、精神障害者の一つの法律の改正をきっかけとして次の予算には形としてあらわしてもらいたいというように思いますし、精神障害者の福祉を早く育てるためにも、同時にまた、身体障害者やあるいは知的障害者の福祉をよりよくしていくためにもこれからぜひ頑張っていただくことを心からお願い申し上げまして、後は宮崎議員にバトンタッチをいたします。
 どうもありがとうございました。
#22
○宮崎秀樹君 大臣、WHOは御苦労さまでございました。お休みいただいて結構ですから、局長答弁でいろいろお伺いします。
 まず第一点は精神保健法、今度、社会復帰そして社会におけるケア、福祉ということで、大変画期的なことで私は大いに結構なことだと思います。そこで、現場におきましてはそういうフォローをきちっとしなきゃならないということで、PSWとかいろいろな問題が今出てきております。そこで、看護職員の問題につきまして衆議院でも質問が出たそうですけれども、確認しておきたいんです。
 現場におきましては、准看護婦、准看護士それから看護士、看護婦というようないろいろなコースによって養成された方々がお働きいただいておるわけであります。そこで、准看護婦制度を廃止するんだというような話が既に一部出るような状況もあるんですが、しかし現況においては、文部省の管轄では既に高等学校の中で准看課程というのがございますし、大学もあっても結構ですし、いろんな養成コースというのがあってそして需要をきちっと満たしていく、と同時に、やはり教育内容はカリキュラムをしっかり改正して質を高める、内容をよくすると、これは私は異論ございません。
 しかし、現状において准看護婦制度を廃止するということは非常に混乱を招くということでありますので、その辺のことにつきまして厚生省はどんな考えをお持ちか、確認しておきたいと思います。
#23
○政府委員(谷修一君) この准看護婦問題につきましては、長年各方面から議論をされてきているわけでございます。昨年暮れにまとめられました少子・高齢社会看護問題検討会の報告書におきましても、准看護婦の養成を停止すべきという意見と、制度の改善を図りつつ継続をすべきであるという両方の意見がございました。結論といたしましては、この報告書におきましては「この問題については、現在准看護婦免許を有する者の将来や今後の看護職員全体の需給状況等を勘案しながら、准看護婦学校養成所等の実態の全体的把握を行い、関係者や有識者、国民の参加を得て速やかに検討し結論を得るべきである。」というふうにまとめられているところでございます。
 私どもといたしましては、この報告書を受けまして、今後、准看護婦養成所の実態の把握ということについてまず取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#24
○宮崎秀樹君 結構でございます。そのような方向でひとつ進めていただきたいと思います。
 それから、結核の方に入ります。結核でございますけれども、大変今大きな問題になってきつつございます。その中での今度の改正でありますけれども、これは対応を誤ると私は大変なことになっていくんじゃないかと思っております。
 まず第一点は、今アメリカは非常に結核患者がふえてきております。これは一つは、難民というアメリカのそういう社会状況もあると思うんですが、私のところへ実はフロリダのマイアミ大学の方から、結核の専門医を日本から送ってくれよというようなことも来ております。
 そこで、一つはエイズとの絡みなんですが、これは御案内のようにレトロウイルスのいわゆる免疫不全ということで、結核に非常に感染しやすくなる状況がございます。そこで、合併症を起こしている方が感染源となっていくというようなこともございますし、それとは全然別に、日本においても最近三千人以上の方が結核で亡くなっているんですね。
 それじゃ、ほかの予防接種をやっている病気ではどのくらいの人が亡くなっているかといいますと、コレラでは亡くなった方は去年なんかないんですね、平成三年度ですか、これは。ほとんどないんですね、もう亡くなる方というのは余りない。ところが、三千人以上の方が毎年結核で亡くなる。しかも今は十九万人以上、約二十万人の結核患者の方がいらっしゃいます。
 私も最近、四十前後の御婦人で美容師の方ですが、典型的な結核患者を実は診ました。子供さんたちにも感染をしている。こういう例が、報告されていない例も方々あると、恐らくこれは大変な数になっているんじゃないかと思うんですね。
 そこで、日本ではエイズと合併をしているというようなデータだとかそういうことについてどの程度の状況把握をされているか、簡単で結構ですからお話しいただきたいと思います。
#25
○政府委員(松村明仁君) 御指摘の結核とエイズの合併症の問題でございますが、現在、結核治療の専門病院でございます複十字病院などでそういう例が確認されております。複十字病院では現在二例、全国では結核研究所の調査で把握しているもので二十五例確認されている、こういうふうに聞いております。
#26
○宮崎秀樹君 こういう問題も大変これから深刻な問題になってくるんで、私は予防ということは大変必要だと思うんです。
 そこで、ツベルクリン反応であります。これに関しまして、一部私は趣旨徹底がなされてないような気がするんですね。と申しますのは、予防接種法が変わりましてそのときの通知が実は出ているんですけれども、それによりますと、これは平成六年八月二十九日に日本医師会が出しているんですけれども、そのとき行政との話し合いの中で、本年の十月一日をまたいでその前後にツベルクリン反応検査及び予防接種を実施することのないよう厳に留意されたいと。それはどういうことかと申しますと、十月一日より予防接種を行ういわゆる法的根拠が異なるために、万一健康被害が生じた場合に健康被害救済制度が適用されない、こういうようなことが昨年の十月一日の改正時にございました。
 ここに一つ問題があるのは、ツベルクリンというのは検査なんです。検査とBCGの予防接種、ほかのものと区別しないとこれは問題が起きる。ツベルクリンというのは集団接種をいわゆる原則としております。しかし、予防接種法の中を見ますと、一時間に二十名程度とせよというようなこととか、問診の問題とかいろいろな問題が同時に出ている。現場ではそれを一緒にするものですから、その辺の問題が整理されていないということで、国と都道府県、都道府県と市町村、市町村と医療の現場と、パイプが幾つもあるものですからこれは全部詰まっていっちゃうんですね。中の伝達系統がスムーズに流れてないから、現場では非常に混乱を来しているというのが実態だと思うんです。実際、学校医等の話を聞いても、非常にこれは困ったということで頭を悩ましておるわけであります。
 やはりこれも義務からいわゆる勧奨になった。健康は自分で守れよと、こう言っても、予防接種と検査ということにおいてはこれは違うんですから、検査をしなけりゃBCGの過程へ進まないわけですね。だから、そこら辺の問題もどういうふうにとらえているか、また具体的にどういう伝達方法をしているか、おわかりになったらひとつお教え願いたいと思います。
#27
○政府委員(松村明仁君) ツベルクリンの反応検査と申しますのは、BCG接種、すなわち結核の予防接種を実施する必要があるかどうかを判定するための検査、御指摘のように検査でございます。したがいまして、予防接種そのものとは異なるものでございますから、この点は明確にしたいと思っております。
 しかし、ツベルクリンの反応検査につきましては、重い急性の疾患にかかっている場合など一定の場合にはこの検査を行わなくてもよいということになっておりまして、このために検査の実施に当たって、このような場合に該当するか否かについて予診表に基づいてチェックを行うことを勧奨しておるところでございます。
 そこで、今御指摘のようにツベルクリン検査の実施に当たりましては、BCGすなわち結核の予防接種と同じ取り扱いをしなければならない、こういうような誤解が生じているのかもしれませんので、そういうことがあればそういう混乱が生じないように、今後その取り扱いについて改めて周知を図ってまいりたいと考えております。
#28
○宮崎秀樹君 そこで、一般の国民に対するそういうPRと申しましょうか、こういうものですよというような、実際どういう具体的な方法でやっているか、と同時に、医療関係者等についてどういうような文書なりどういうような方法でこれを周知しているか、そこのところがわかったらお答え願いたいと思います。
#29
○政府委員(松村明仁君) 予防接種の実施の方法につきましては、これまで国におきましても保護者向けのパンフレットを作成したり配布しておるほか、電話相談事業等も実施しておるところでございます。
 また、医師会といいましょうか専門の実施していただく団体の方々には、それぞれ団体を経由してこの予防接種の専門的、技術的な点からの情報提供を図っておるところでございます。
#30
○宮崎秀樹君 局長は偉いから、余り具体的なことはわからないんで、私は実際現場にいて、そのパイプがはっきりしたものが出てこないから今質問しているんです。
 これはもっと具体的に、こういう文書をこういう形で流しているとか、一般の保護者なり国民に対しては、いわゆるツベルクリンというものはこういうものですよ、そしてこれが陰性と出たときにはこういう状況になるからBCGをやる必要があるんですよというようなことをやはりお教えしないことには、一般の国民ははっきり言って何か難しい、ここに一つサンプルをいただいているんですけれども、まとまった予防接種のガイドラインとかこういう冊子をもらっても、なかなか細かくて目を通さないですね。わからない。
 だから、やっぱりそういうふうに地域でやることも必要だろうと思いますし、またいろんな機会を設けてそういう教育といいましょうか、健康教育というようなことを市町村単位で開くことも必要だろうし、そういう具体的な発想なり構想がおありになったら、ひとつお答えいただきたいと思います。
#31
○政府委員(松村明仁君) 予防接種の普及につきましては、昨年の結核予防週間においてBCGの接種が努力義務になったというようなことから、BCG接種普及を重点目標に掲げまして、啓発、普及活動に取り組んでおるところでございます。
 また、各自治体におきましても結核対策特別促進事業費補助金を活用していただいて、それぞれの地域で創意工夫を生かした啓発活動を実施しておるところでございますが、今後ともこういった活動実績を集めまして、こういった情報をさらに私どもから各自治体に還元をさせていただくと、こういうふうなことを検討していきたいと思います。
#32
○宮崎秀樹君 ぜひそういう点をきちっと徹底していただきたいと思います。
 それから最後に、結核予防会というのがございますね。結核予防会について、やはりある程度結核の現状というものを踏まえたときに、ここを活用していくということも私必要だと思うんですよ。それで補助金もことしはちょっと余計とっていると思うんですけれども、この結核予防会について今後さらに状況を見て補強をしていく、強化していくというようなお考えがございましたら、お聞かせ願いたいと思います。
#33
○政府委員(松村明仁君) 結核予防会は、結核予防週間等を通じまして、結核予防思想の啓発、普及活動の実施、あるいは在日外国人に対する相談事業の実施とかいろんなことをやっていただいておるところでございます。
 今御指摘のように、厚生省といたしましても、従来から結核予防会の実施いたします事業に対し支援を申し上げているところでございますが、平成七年度の予算におきましても、結核国際移動セミナー開催事業、米国等との国際共同研究事業、結核・エイズ合併症治療研究事業を創設するなど、結核予防会に対する助成を増額しておるところでございます。
 厚生省といたしましても、引き続きその取り組みを支援してまいりたいと思っております。
#34
○宮崎秀樹君 ぜひ真剣に取り組んでいただきたいと思います。
 終わります。
#35
○堀利和君 私は、精神保健法について取り上げたいと思います。よろしくお願いします。
 法律では、精神疾患を有する者から始まって精神障害者、雇用では精神障害回復者と、イギリスではみずからをユーザーなどとも言っておりますけれども、そういう点で医療、保健、病院の問題、それから地域生活としての福祉の問題、そしてさらには雇用の問題ということで、この辺のところはやっぱり総合的、そして連携を持って施策を推進しなければならないんだろうと思っております。
 そこで、今回の法改正の意義と、法律の題名も福祉というのが盛り込まれましたので、その辺の福祉の充実についてどうお考えか、まず大臣にお伺いしたいと思います。
#36
○国務大臣(井出正一君) 今回の精神保健法の改正でございますが、障害者基本法や地域保健法の成立を踏まえまして、精神障害者の社会復帰の促進やその自立と社会参加の促進を図るために、精神障害者保健福祉手帳制度の創設とかあるいは社会復帰施設の充実等を行いまして、精神障害者の福祉施策を法律にきちっと位置づけるということとともに、精神保健指定医制度の充実などを図りまして、よりよい精神医療の確保を図るための所要の措置を講じることによりまして精神保健福祉対策の推進を図ろうとしているものでございます。
 そして、今回の改正によりまして精神障害者の福祉が法制上明確に位置づけられるわけでございますから、この改正を契機として、精神障害者の社会復帰あるいは福祉施策の一層の推進に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#37
○堀利和君 福祉のことで申し上げても、身体あるいは知的障害、精神薄弱者の場合はマラソンで例えれば折り返し地点ぐらいを走っているんですが、精神障害者の場合はスタートして五キロか十キロぐらいだというふうに思うんですね、まあ三十キロぐらいで一緒になるのかなということも感じるんですが。
 そこで、今回の法改正を通しても福祉の充実が求められるわけですが、昨年九月に省内に障害者保健福祉施策推進本部が設置されて、ここでどんなふうに精神障害者の福祉、保健が位置づけられ、検討されているのかお伺いしたいし、同時に、私は予算委員会などでも繰り返し申し上げているのは、やはり三局三課に障害者行政が分かれていることは大変不幸なことで、子供と大人も分かれている、これはやはりどうしても一本化、いわば障害者の保健福祉局という形をとるべきだろうと。これが、後でも取り上げますが、最も身近な自治体においても障害者の総合的な保健福祉対策を組むということも、やはりまず上の厚生省から一本化すべきだろうと思うんです。
 今回の法改正を契機に少しは近づいたんではないかという感触もあるんですが、その辺大臣、あわせてお伺いしたいと思いますが、どうでしょうか。
#38
○国務大臣(井出正一君) 今回の精神保健法の改正は、精神障害者の福祉を初めて法体系上明確に位置づけるものでございまして、これによって精神障害者についても、身体障害者やあるいは精神薄弱者に対する福祉施策と連携しながら、総合的な施策を展開していくための前提となる枠組みは整えられたと、こう考えております。
 障害者施策につきましては、これまで身体障害あるいは精神薄弱、精神障害といったおのおのの障害の種別や年齢に応じた適切なサービスが講じられるよう対応に努めてきたところでございますが、今後、ノーマライゼーションの理念を踏まえまして、地域における障害者の生活を支えるための総合的な施策展開が大きな課題だと考えております。
 先生、昨年の予算委員会でも御質問くださいましたし、また先ほど前島先生も最後に御意見としてお触れになられましたが、厚生省の三局三課体制を一本化できないかと、こういった問題につきましても、省内に設置しております障害者保健福祉施策推進本部の主要な検討項目として今検討を行っておるところでございます。効果的な施策推進が可能となるような体制のあり方、具体的に申し上げますれば、今申し上げましたような三局三課体制の一本化もここに含まれると思いますが、検討を進めておるところでございます。
 可能なものについては夏ごろまでに中間的な取りまとめが行われると、こう聞いておりますから、夏までに結論がもし出るようでしたら、それからさらに一歩を進めていきたい、こう思っておるところであります。
#39
○堀利和君 ぜひその辺を強力に推し進めていただきたいと思うんですね。地域、市町村レベルで総合的な障害者施策を講じるにも、もちろん下から進めるという手もあるんですが、やはり何といっても上の厚生省の方からやるのが早いのかなというふうにも感じます。そういう点で、後発部隊としての精神障害者の保健福祉をぜひもう強力に推し進めていただきたいということを重ねて要望申し上げたいと思います。
 次に、障害者基本法に基づく都道府県及び市町村の地方障害者計画についてお伺いしますけれども、今総理府の方でガイドラインを策定しているというふうにお聞きしております。この辺の進捗状況がどうなっているのか、そしてその際に、やはり今まで身体障害あるいは精神薄弱、知的障害が主でしたけれども、精神障害者の問題についてどんなふうに位置づけようとしているのかについてお伺いしたいと思います。
 さらに、既に三百ぐらいの都道府県なり市町村で計画を立てているわけですけれども、この計画にはそういった精神障害者の問題が盛り込まれているのか、反映されているのかお伺いしたいと思いますし、もしそうでなければ、私はやはりこれから十年それでいくというんではなくて見直すべきとも思うんですけれども、その辺の見解もお伺いしたいと思います。
#40
○政府委員(松村明仁君) 障害者基本法に基づきます地方における障害者計画につきましては、現在都道府県レベルで計画が策定されていると伺っておりますが、市町村レベルでは、総理府の調査によりますと、平成六年五月末現在で全市町村の一割程度が策定済みという状況である、このように伺っております。
 こうした状況を見ますと、大半の市町村は今後計画を策定していくことになるわけでございますが、精神障害者対策につきましては確かにこれまで都道府県を中心に取り組まれてきておりまして、市町村はなじみが薄いという面がある点は否定できないと思います。しかしながら、障害者基本法におきまして精神障害者が障害者として明確に位置づけられまして、市町村においても福祉の増進の役割が明確化されたところでもあり、また昨年成立いたしました地域保健法に基づく基本指針においても、精神障害者の社会復帰施策等について、身近で利用頻度の高いサービスは市町村保健センター等において実施することが望ましい、こういうふうにされているところでございます。
 こういうような一連の流れに沿いまして、今回の精神保健法の改正では、正しい知識の普及や相談指導につきまして、都道府県のみならず市町村もその推進に努めますようその役割を明示したところでございますので、障害者基本法に基づきます市町村計画の策定におきましても、精神障害者対策が適切に位置づけられますよう関係省庁と連絡を図りつつ、必要な指導、援助を行ってまいりたいと考えております。
#41
○堀利和君 よろしくお願いいたします。
 次に、医療費の問題ですけれども、公費優先から保険優先へということ、これは私はもう基本的に賛成でございますけれども、ただいつも指摘されるように、措置入院というのはこれ強制入院ですね、本人の意思とはかかわりなく入院させられるわけです。そうなりますと、これはやはり公費というのが私は当然の考え方ではないかと思うんですけれども、その辺のことをまずお伺いしたいと思います。
 そしてさらに、保険においては個人負担が当然あるわけですけれども、これについて東京都なり神奈川県では、精神科の通院の医療費の負担に補助が出されているんですね。これはもう地方公共団体の単独事業ですから難しいところですけれども、やはりその辺のところの配慮ということも当事者の皆さんからの御要望も強いわけですけれども、厚生省としてどのようなお考えか、お伺いしたいと思います。
#42
○政府委員(松村明仁君) 精神保健法に基づきます措置入院制度につきましては、自傷他害のおそれのある方を強制的に入院させる制度であるわけでありますが、これは御自分の病状について認識に欠ける場合が多い精神障害者の方々に確実に医療を受けていただくという本人保護の側面と、さらに他人への危害の防止という側面をあわせ持つ制度になっておるわけでございます。
 したがいまして、この制度について、制度が創設されました昭和二十五年におきましては医療保険制度が来成熟でございまして、公費優先の仕組みとすることが患者に確実に医療を受けさせるために必要である、こういう考えによってこのような制度になったものと考えております。
   〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕
 したがいまして、国民皆保険という制度が既に定着して久しい現在におきましては、他の疾病の場合と同じように公的医療保険制度をまず適用していただいて、その上で自己負担部分に引き続き公費による負担を行うことによりまして患者の方が確実に医療を受けられるようにしていくこと、これが大事なことではないか、このように考えておるところであります。
 また、医療保護入院とかあるいは任意入院につきましては、措置入院とは異なりまして自傷他害のおそれのない方でございます。また、保護者や本人の同意を得て入院させる制度でもございますので、一般の医療と同様に取り扱うことが適当であると考えております。したがいまして、特別な公費負担を行うことは考えていないという状況でございます。
#43
○堀利和君 次に、今回の法改正のもとで精神障害者にも手帳が交付されるわけですけれども、その点についてお伺いしたいと思います。
 精神障害者保健福祉手帳というのが保健所で交付される。私としてはやはり福祉事務所で交付されるのが望ましいんではないかと思うんですけれども、この辺について、なぜ保健所なのかについてお伺いしたいと思います。
 さらには、手帳を申請して手帳を持つ側からすると、ややもすると身体障害者と違ってまだまだ非常に偏見、差別が強いのがまた精神障害者に対する現状ですから、その辺が非常に心配されるわけで、私が持っている身障手帳は写真がついているわけですけれども、写真の問題とかあるいは医療機関の記入の問題などその辺もかなり心配しているわけですけれども、この法律が成立した後にどんなふうになるのかについてもお伺いしたいと思います。
 そして、手帳を受けた場合のメリット、これはどんなものがあるのかについてもお伺いしたいと思います。
 さらに、福祉対策の充実に当たって手帳の交付が言ってみればどんなふうな役割といいますか推進役といいますか、というものになるのか、その辺もあわせてお伺いしたいと思います。
 さらには、現段階では不可能だと思いますけれども、やはり障害者手帳という一つにして、その中にそれぞれ身体があり知的障害の精薄がありあるいは精神障害があるということで、そういう意味では手帳がやっぱり一つになるべきだと思うんです。
 今、都道府県でもばらばらになっているんですが、将来そういう点ではまさに障害者保健福祉局というふうに総合化される、法律もかなり整備されて体系的になるんだろうと思いますけれども、その辺の将来に向かっての見通しも含めて、手帳のあり方についてお伺いしたいと思います。
#44
○政府委員(松村明仁君) 精神障害者保健福祉手帳の交付の窓口は保健所ではなくて福祉事務所でも行うべきではないかという意見があることは私どもも存じておりますが、現段階におきましては、残念ながら多くの市町村では精神保健福祉に対する体制が整っているとは申せないような状態ではないかと思います。したがって、相談指導をこれまでも行ってきております保健所でこういった事業と一体的に実施する方が適切だと、こんなふうに考えておりまして、当面保健所で行うこととしておるところでございます。
 また、手帳の問題でございますが、手帳の様式等については別途専門家による検討会で御検討いただくこととしておりますが、御指摘の写真や医療機関名の取り扱いにつきましては、当事者団体の中で意見の一致が現在見られないところでもございますので、これらについては写真についても当面張らないというような形でスタートしていくのかなと、こんなふうに考えているところでございます。
 さらに、精神障害者手帳の効力といいましょうか、これについての御質問でございますが、現在の法令上の仕組みといたしましては、通院医療費公費負担の事務手続の一部省略、あるいは所得税や住民税の障害者控除等がこの手帳をもとに行われることになります。
 また、将来の役割というような御質問もありましたが、これにつきましては、現在、先発でございます身体障害者手帳あるいは療育手帳につきましてはいろいろな特典というようなものもあるわけでございます。例えば公共交通機関の運賃割引等が行われておる、こういうことがございますが、今後、この精神障害者の手帳の交付を受けた方についてもひとつ同様な配慮が行われるように私どもといたしましても関係各方面に協力を依頼してまいりたい、このように考えておるところでございます。
 また、障害者手帳の将来の像ということの御質問でございますが、これについて一本化というようなお話もあるわけですが、身体障害者の身体障害者手帳、それから精神薄弱者の療育手帳、こういったものほかなり先発の制度でございまして既に定着を見ておるわけであります。また、こういった手帳は普通は更新ということがなく一生涯の手帳というような性格を有しておるものでございますが、精神障害者手帳の場合には、精神障害の状態が変動するということもございまして一定の期間に有効期間を定めるというようなことも考えられるところでございまして必ずしも同一でない、したがいましてこれを一本化するということについてはかなり難しいんではないかなと、こんなふうに考えております。
#45
○堀利和君 手帳の一本化については私なりに異論もありますけれども、時間がありませんので次に行きます。
 これからいわば福祉が進んでいくわけですけれども、そうなりますと、生活者としての精神障害者にとって自治体における福祉の窓口といいますか、福祉行政とのかかわりというとこれはどういうふうになるのか、具体的にお教え願いたいと思います。
 さらに、福祉サービスは精神障害者の場合どんなものになっているのか。例えばホームヘルプサービスはないわけですけれども、こういった見通しも含めてどのようにお考えでしょうか。
#46
○政府委員(松村明仁君) 窓口の御質問でございますが、先ほども申し上げましたように窓口ということにつきましては、保健所において福祉業務を保健と一体的に行うのが総合的な施策を行うために好都合であり、また精神障害者にとっても便利ではないかということで、保健所におきまして精神保健の業務と一体的に行われるようにすることとしておるところでございますが、さらに全国の市町村の機能が充実をしてまいりまして、例えば市町村の保健センターというようなところでも十分に相談対応ができるようになれば、こういったところも窓口として機能していただけるようになるのではないかなと考えておりますが、当面は保健所を窓口と、こういうことでスタートさせていただきたいと考えております。
 また、精神障害者に対しますグループホームの問題でございますが、こういった問題あるいは社会適応訓練事業、小規模作業所などいろいろ行うわけでございますが、お尋ねのホームヘルプサービスにつきましては当面直ちに実施することは考えておりませんが、今後とも都道府県や市町村におきます施策の取り組み状況を踏まえまして、精神障害者の福祉施策の充実を図るようさらに努めてまいりたいと思っております。
#47
○堀利和君 保健所の問題については当面と言われましたけれども、法律では当面と言って十年から長いのは四十年も当面という条文があるんですけれども、これはやはり一日も早く福祉事務所なり地域保健センターなり、きちっとした窓口を開いていただくことをお願いします。
 そして、ホームヘルプの問題も、体が不自由だから家事介護が必要だというのはもちろんですけれども、精神障害者の場合も非常に状態が悪くなったとき食事をつくることができないということがあるんですね。そういう観点からも、今後その辺を強く要望したいと思います。
 次に、自治省にお伺いしますけれども、地域での福祉保健対策がこう進んでいくわけですから、当然そうなりますと市町村レベルではマンパワーといいますか職員配置が必要ですけれども、この辺については市町村の独自の対策といいますか人員配置だというふうに逃げないで、自治省としてそこのところを十分な指導といいますか対策というものを考えていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
#48
○説明員(犬塚英則君) 市町村の職員の充実確保の問題でございますけれども、最近の地方公務員の総数につきましては増加傾向にございます。その中でも福祉関係の職員につきましてはふえておる状況にありまして、それだけ人員の手当ても行われてきておるというふうに考えております。
   〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕
 自治省といたしましては、社会経済情勢の変化に伴いまして増大する行政需要に対しましては、基本的にはスクラップ・アンド・ビルドの徹底、それから事務事業や組織、機構の見直しなどを行って、効率的な執行体制の確保を図りながら対応していくということが大切であろうと考えております。
 ただ、職員をそれぞれの自治体で具体的にどのような部門にどのように配置していくのかにつきましては、やはり各地方公共団体の地域の実情を踏まえまして、それから今御指摘のございましたような行政需要等を考慮して、みずからの責任と権限において適正に行われるべきものであろうと考えております。
#49
○堀利和君 やはり福祉は箱物から人的、人手のサービスの方に移ってきているわけですから、そういう点では十分職員の確保について自治省としての行政指導をお願いしたいと思います。
 次に、地域精神保健対策促進事業、これが先ほど大臣も答弁の中でおっしゃっておりましたけれども、八億円、市町村百カ所ですね、なかなか社会復帰を含めた福祉対策が進まないんですけれども、この辺の見通しをお伺いしておきたいと思います。
#50
○政府委員(松村明仁君) 本年度創設いたしました地域精神保健対策促進事業は、精神障害者の社会復帰、自立や社会参加等の促進を図るために、都道府県を中心といたしまして、市町村、社会福祉事務所、医療機関、社会復帰施設等、関係各方面と連携をいたしまして各種の事業に地域ぐるみで取り組むことによりまして、精神障害者の社会復帰、自立や社会参加等を促進しようとするものでございます。
 この事業におきましては、市町村につきましても都道府県の協力、指導のもとに、モデル的な事業として全国百カ所の市町村に対し地域の創意工夫を生かした精神保健福祉施策を行うこととしたところでございます。精神障害者の地域交流のための事業でありますとか、社会復帰促進等のための学習会、それから精神障害者及び家族の教室、心の健康相談、地域精神保健福祉に関する情報提供等、地域の実情に合わせて必要な事業を実施していただきたい、このように考えておるところでございます。
#51
○堀利和君 それでは次に、労働省から来ていただいていると思いますが、精神障害者の雇用についてはやはりこれも大変おくれている分野です。
 ILOの戦後の勧告でも、本来障害者と訳すべき、また対策を組むべきところを、我が国では勧告の仮釈といえどもディスエーブルトピープルを身体障害者と訳して、身体障害者雇用促進法でずっと来てしまって、ようやく八〇年代になって障害者の雇用促進法というふうになったわけですけれども、非常に立ちおくれている精神障害者の雇用の状況、現状がどういうものなのか、さらにはそういう点で、一層進めるためにもどんなふうなきめ細やかな対策が組まれているのか、お伺いしたいと思います。
#52
○説明員(後藤光義君) 労働省におきましては、平成五年十一月に従業員規模五人以上の事業所を対象にいたしまして、精神分裂病、躁うつ病、てんかんにかかっておりまして、症状が安定し就労可能な方々の雇用状況について調査を行っておりますが、その結果によりますと、約二万三千人の方が雇用されているという状況にございます。しかし一方で、先生御指摘のように就職を希望しながらいまだ雇用の場につくことができない方も多く見られる状況でございます。
 私どもといたしましては、精神障害を有する方に対しまして、公共職業安定所が中心となってきめ細かな職業相談指導を行うと同時に、職場適応訓練制度の適用、あるいは特定求職者雇用開発助成金の支給、さらには納付金制度に基づく各種助成金の支給等によりまして雇用の促進に努めているところでございます。
 また、平成四年から平成六年にかけて開催しました精神障害者の雇用に関する調査研究会におきます指摘を踏まえまして、精神障害者雇用のための環境条件整備について必要な検討を行っている状況でございます。
 今後におきましても、精神障害者の障害特性に応じた職業リハビリテーションの充実、事業主に対する援助、労働機関と医療・保健・福祉機関の連携のあり方等につきまして具体的な施策を検討し、精神障害者の雇用の促進に努めてまいりたいと考えております。
#53
○堀利和君 それでは最後に、精神薄弱者、知的障害者の方々の授産施設におけるいわゆる重度加算についてお伺いしたいと思います。
 更生施設と並んで適所授産については適所特別指導費というのがあるわけですけれども、実態から見ると、本来重度の方がいないはずの通過施設としての授産所でありますけれども、実態はやはり重度の方も入ってきているわけです。そういう点では本来の姿に、更生施設と授産施設という形に戻すべきなのか。あるいは、実態に着目していわゆる重度加算があるわけですけれども、現場の方々から聞くととてもこれではやれない、県によっては県単事業として職員配置の補助も出て何とかやっているところもあるんですが、国の補助ではとてもやれないと。実際に多くの重度の方が授産所にいるということから大変困っているわけです。
 確かに、財政当局、大蔵からこういった予算を引き出すというのは大変苦労されたし、その点は高く評価するんですが、今日の現状から見て、ある施設では更生施設よりも授産施設の方が重度が多いということもありますので、ぜひその点は実態に合わせて、いわゆる重度加算というものを厚くしていただきたい、このことを要望申し上げたいと思いますが、御見解を伺いたいと思います。
#54
○政府委員(佐々木典夫君) 適所の授産施設における精神薄弱者の重度の方がふえていることへの対応で、具体的に運営費の助成の面でどうするか、先生は率直にもう実態をよく御承知の上でのお尋ねでございます。私も御質問の趣旨をよく検討させていただきました。
 今もお話がございましたが、建前としまして基本的に更生施設と授産施設とがある。授産施設の方は、基本的にはなかなか通常の職業自立はできないけれども自立に必要な職業を与えるというようなことで、建前としては相対的に軽い方々が入っている。一方、更生施設の方は、どちらかというと保護、指導が中心で、重いというような建前でございます。
 そんなわけですが、適所の更生施設、授産施設、いずれも直接処遇職員、指導職員は、例えば三十人のところですと四人置いてございますが、授産施設の方は授産活動をやるということで、それを担当する職員を多く置いているというようなところでございます。そんなようなわけですが、更生施設の方については、重度化が進んだということで、平成三年度から三年ほどかけまして非常勤の介助職員を一人多く置けるような対応をしてまいったところでございます。
 今お尋ねの問題点でございますが、私ども平成六年度から、適所の授産の方におきましても、半分以上、五割以上重度と判定される方々が入っている施設につきましては更生施設に準じた扱いをしたわけでございますが、実際の実情から見ますとそのままでいいのかどうかというお尋ねでございます。
 ただ、制度の建前から申しまして、授産施設では授産の担当職員も置いた上で、特に重い人が入っているところに限ってとりあえず平成六年度からこういうふうに踏み切ったところでございますので、しばらくは今の姿で運営をしてみたいと思っております。ただ、御指摘のございました点はそのとおりでございますので、制度の基本的なそれぞれの施設のあり方あるいは実情をどう考えていくか、なお問題意識を持った上でこれを見てまいりたいというふうに思っております。
#55
○堀利和君 時間が来ましたから終わりますけれども、医療、保健、福祉、雇用、全体的な総合的な対策を、もちろん精神障害者の問題もそうですけれども、組んでいただきたいということをお願いして、終わりたいと思います。
#56
○今井澄君 それでは、まず精神保健法に関連して数点御質問したいと思います。
 阪神・淡路大震災はあらゆる分野で大きな教訓を残してくれたと思いますが、特に精神科における救急医療体制の整備、これの重要性はかねてから指摘されていたところでありますが、この大震災でも改めて認識されたと思います。このことに関しましては地元の公私のスタッフに大変頑張っていただき、またこれに対しては厚生省も相当力を入れて、まあ十分とは言えませんけれども頑張っていただいたことを評価し、敬意を表したいと思うわけです。
 厚生省としては、今年度予算で予算措置をしていわゆる精神科救急医療システム整備事業というのを行うわけで、今年度は十二都道府県等で行うことになっているわけですが、これが順調に進みそうかどうかという見通しの問題と、それから特に今度の兵庫県の場合には県立光風病院というのが非常に頑張り、兵精協の方もそういう病院を中心に救急医療システムを組んでほしいという希望を持っていると聞いているわけですけれども、この辺、厚生省として光風病院を中心としたこの整備事業をやっていくことについての考え方、姿勢をお伺いしたいと思います。
#57
○政府委員(松村明仁君) 精神障害者の社会復帰や地域ケアを進めるためにも、緊急時におきます適切な精神科医療が提供できるような精神科の救急医療体制の整備は急務と、このように考えておるところでございます。
 このため、平成七年度予算におきまして精神科救急医療システム整備事業というものを計上したところでございます。この事業の推進によりまして、都道府県におきます精神障害者の緊急時における適切な医療の機会を確保するための精神科救急医療体制を順次整備していくことにしておりますが、その見通しということでございますが、本年初めての事業でございますので、私どもも大いに努力を傾けてまいりたいと考えております。
 また、兵庫県におけるこのシステムの整備をどうするかという御質問でございますが、これは精神科だけではないと思うんですが、医療の救急体制ということにつきましては、その体制を実施する地域の実情に合わせて構築していく必要があることは当然のことでございます。特に精神医療の場合はそういう面が強いのではないかと考えておるわけでございますが、兵庫県におきましても県内の事情をよく分析していただいて、適切なシステムがつくられますように県を指導してまいりたいと考えております。
#58
○今井澄君 この災害後、夜間の入院患者が大変ふえて、ピーク時では平常時の二倍あった。現在でも、減ってきたもののまだ一・五倍ぐらいあるようですね。そしてまた、こういう大災害の状況の中で一時的に入院した患者さんも、退院して帰るところがない、避難所にしか行くことができない、そしてまた再入院も少なくないということなわけで、まだまだ心配されるわけです。
 一時は、多くの人々の御協力で県外からの派遣医師など応援体制が続いて、救護所、避難所等における精神科救急医療や巡回診療なんかもまあまあうまくいっていたようですが、この応援体制がなくなると同時に夜間救急体制が解除されてしまったということで、今非常にこれが問題となっている、空白が生じていると思うんですね。確かに数は減ってきたとはいうものの非常に問題じゃないかと思うんですが、これに対しては一体どうしようと考えておられるのかということが一点。
 それからまた、災害後の問題としては退院患者の受け皿づくり、これは一般的にもそうですが、急がれているわけですが、仮設住宅や公営住宅の受け入れが十分ではない。特に、これは先ほどから縦割りの弊害が指摘されていることにも関係するんですが、第一次の仮設住宅の入居のときには障害者の中に精神障害者が含まれていなかったんですね。それで、それに気がついて第二次から入った。
 ところが、これが一級ということになりますと、身体障害や精薄の場合には何か千人から万の規模でいるようですね、手帳を持った方が。ところが、精神障害一級というのはわずか十九人しかいないんですよ。しかも、その人たちはほとんど入院している人で、在宅の人が実質は全然入れないんですね。そういう状況で、対策をやっているとはちょっと言えないんじゃないか。
 また、単身の公営住宅への入居も非常に困難だというのは、これは神戸だけではなくいろいろあるわけですが、そういう点についてどういう対策を今後とられるのか、あるいは現にとられつつあるのかということです。
 それと、こういう住居などのハード的な面だけではなくソフト面やスタッフ面が大事なんですね。今、仮設住宅であいているところがあるけれども、これは遠いとか生活基盤がない、近くにお店がないというので行かないわけですよ。せっかくあいているんですから、こういうところへ例えば指導員なりPSWなりをつけて精神障害者の方に入っていただければ、あるいは食事の宅配サービスをやるとかいうソフト面のサービスを付加すれば、十分に病院からも退院できるし、それから救護所からもそういうところへ障害者に入ってもらえるんですね。こういうことについてはどうかということをちょっとお尋ねしたいと思います。
#59
○政府委員(松村明仁君) たくさんの御質問でございます。現在の兵庫県の状況でございますが、震災後約四カ月を経過いたしまして、災害対策も応急期の対策から復興期の対策へと転換していることは御承知のとおりだと思うんですが、精神保健の医療体制につきましても、被害を受けられた医療機関の診療再開等によりまして平時の体制が徐々に確保されつつあると聞いておるところでございます。夜間の対応につきましても、それぞれが必要な対応を行う震災前のシステムに戻ってきているのではないか、こんなふうに聞いております。
 それから、精神障害者の仮設住宅あるいは公営住宅への入居につきましては、当初、委員御指摘のような状況がございましたが、これを改善いたしまして、精神障害者の方も優先的に仮設住宅、公営住宅へ入居していただけるように指導を申し上げたところでございます。
 また、そういうところに入られた方あるいはまた病院から今後退院をしていかれる方々についても、兵庫県におきましては本年度より、被災者や精神障害者の心のケアを担うためにこころのケアセンターというのを開設いたしまして、被災地十二カ所にも地域ケアセンターというようなものを設置し、それぞれ精神科の医師等三名の専門スタッフにより相談、援助を行う、こういうことにしております。また、グループホームですとか小規模作業所もここのところに併設されることとしておりまして、国といたしましても、社会復帰対策予算等を活用いたしましてこうした取り組みを支援してまいりたいと思います。
 こういったことを通じて、今委員御指摘のような点には総合的に対応していきたいと考えております。
#60
○今井澄君 平常時に戻りつつある、確かに傾向としてはそうですけれども、まだ戻っていないというこの空白がちょっと心配されるということと、今のこころのケアセンター等についても急いでいただきたい。
 それから、特に神戸については、よその市のことを批判しちゃいけませんけれども、町づくり、箱物づくりはよくやってきたけれども、福祉がおくれているというとかくの批判があるわけですから、この復興対策の中に十分福祉対策というのを盛り込んで、ある意味ではモデル的な福祉地域にするために頑張っていただきたいと思いますし、またそういう熱意は地元にあるあるいは支援体制があるという好条件ですので、ぜひ厚生省のお力をお願いしたいと思います。
 時間がありませんので次に行きたいと思います。
 この神戸でも先頭に立って大活躍をしたPSWの皆さんたちがおられるわけですが、精神科医療に不可欠であり、同時に社会復帰のためにはもう絶対に欠かせないPSW、精神科ソーシャルワーカーについてその国家資格化が急がれるべきだというのはほぼ常識になっていると思うんです。そして、本委員会で私を初め大勢の方が取り上げ、また附帯決議までしているわけです。それで、厚生省もこれに真剣に取り組んできたということを私は信じております。
 しかしながら、今回の法改正にこれが入っていないということ、これは非常に問題だと思いますが、その見送られた理由と、あと国家資格化へ向けての厚生省としての、厚生大臣としての御決意について、簡単で結構です、大臣御みずからちょっとお答えを願いたいと思います。
#61
○国務大臣(井出正一君) PSWの国家資格化につきましては、公衆衛生審議会におきましても資格制度をつくるべきだという意見の一致は見ているところでございますが、ただ残念なことに、まだ医師や看護婦の業務との関係とか、あるいは医師の指示、さらには社会福祉士等との関係、さらには資格の名称など、その資格のあり方についてはさまざまな意見がございまして、今回この問題の結論を出せなかったわけでございます。
 今後、関係団体の間でさらに意見の調整をしていただいて、できるだけ早く結論を得るよう努力してまいりたいと思っております。
#62
○今井澄君 ちょっと個別の問題に移りますが、大阪の大和川病院の問題ですが、これは前にも私取り上げたことがございますが、患者さんが別の病院に転送されて急死をする、院内暴力によるあれだということで裁判も始まっておりまして、私の友人の医師がつい最近家族側の証人で出て、次は反対尋問だという話であります。その後も急死している例があるといううわさもあるんですが、まあこれはいろいろあります。確かに、こういう問題は何も病院側だけの責任ではなく、家族にもそういう病院に預けたがる家族がいるとか、いろいろ周囲の問題もあると思いますが、しかしやはり今の時代にこういう問題のある病院があってはならないと思います。
 そこで、最近私がいろいろ聞きましたところでは、家庭にいる精神障害の患者さんが状態が愛やる、家族から病院側に依頼があると病院から救急車が行くわけですが、そのときに乗っていくのは看護士とそれからあとガードマンとおぼしい人たちだけなんですね。それで行って、保護衣を着せて連れてきちゃうんです。医者は行っていないんですね、精神保健医の方は乗っていっていない。そういうスタッフだけで、しかも保護衣を着せて連れてきちゃう。
 これは果たして合法なのかどうかということですね。しかも、保護衣を着せて連れてきて入院させた患者を任意入院として届けているんですね、扱っている。これはおかしいんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#63
○政府委員(松村明仁君) 任意入院の患者さんに保護衣を着せて体の自由を拘束した状態で搬送するといった事例がもしあるとすれば、これは任意入院制度の趣旨からして不適当な事例であると考えます。
#64
○今井澄君 時間がないので、最後にちょっと意見だけ言わせていただきます。
 結核予防法関連で幾つか質問をしたかったわけでありますが、先ほど宮崎先生も御質問ありましたように、私も結核については、今度の保険優先、要するに一般医療の方向へ持っていくべきだと、もうかつてのような結核、社会防衛という立場で何か強制的に入院させることを基本とした方向はやめるべきだと思うんですね。にもかかわらずやっぱり結核が減っていないということについて、厚生省でもそれなりの取り組みをしておられると思います。
 結核に関連して、エイズ対策が感染症対策として非常に今大事ですけれども、つい最近、報道を見ますと、厚生省の方針で拠点病院を整備しているわけですね、ところが拠点病院を引き受けたものの名前を公表してほしくないという病院がある。私は非常に腹が立ったというか、嘆かわしいことだと思うんですが、ぜひ厚生省としても、エイズ拠点病院の整備と同時に、病院は名前を公表すべきであるという立場に立って体制の整備や御指導をお願いしたい。
 要望を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
#65
○木暮山人君 平成会の木暮が、精神保健法及び結核予防法の一部を改正する法律案に関しまして質問をさせていただきます。
 まず第一に、保険優先の問題につきまして質問をさせていただきます。
 今回の改正は、障害者基本法の成立やそれに基づく障害者基本計画の策定あるいは地域保健法の成立などを背景に行うものとのことでありますが、国の財政が厳しい中で公費負担医療の保険優先化を行うこともその緊急の必要性の一つだったのではないでしょうか。
 精神保健法の公費負担医療について、これまでの公費優先の仕組みから保険優先の仕組みに改める趣旨を、改めてひとつ御説明いただきたいと思います。
#66
○政府委員(松村明仁君) 精神保健法の公費負担医療は、実は昭和二十年代、三十年代の医療保険制度がまだ脆弱な時期に制度化されたものでございます。これは当時のさまざまな事情のもとで、精神医療を確実に行わせるために公費優先による公費負担医療の仕組みをとったものでございます。
 今日、医療保険制度が国民皆保険制度として整備を見ております。給付率の改善など普及、充実するとともに、一方で精神医療の治療技術の進歩、精神障害者の社会復帰の進展などの状況変化を踏まえまして、一般の疾病の場合と同様にまず医療保険制度を適用していただいて、その基盤の上に公費による負担を組み合わせた保険優先の仕組みとするものでございます。またこれは、これまでの医療費の公費負担を中心とした施策から、精神障害者の社会復帰対策、福祉対策等の一層の充実に、限られた公費財源を重点化してより有効に活用するように改めたものでございます。
#67
○木暮山人君 昨年八月の公衆衛生審議会の意見書で、精神の公費負担医療の保険優先化の方向が示されて以来、全国の精神科医の間から保険優先化の考え方にはさまざまな疑問の声もありました。それは、精神医療が公費優先で行われているということについて、精神科医は国からの付託を受けて特別な医療を担っているという自負心がありました。それが保険優先化により精神医療の役割が低下してしまう、あるいは国の責任が後退してしまうという不安感を覚えさせられたのではないかと考えております。
 そういう点から見まして、ただいまの説明も結構でありますが、保険優先化は精神医療の役割や精神医療に対する国の責任の後退ではないという厚生大臣の明確な確認等の御説明をちょうだいできればと思います。
#68
○国務大臣(井出正一君) 保険優先化の趣旨につきましては、ただいま局長の方からお答えを申し上げたとおりであります。
 したがいまして、今回の改正は公費と医療保険財源との調整方法を改めるものでございまして、先生今御指摘のように、精神医療の役割とかあるいは精神医療に関する国や都道府県の公的責任につきましては従来と全く同様でございまして、何ら変更を与えるものでないということをはっきり申し上げられますし、またそう御理解いただきたいと思います。
#69
○木暮山人君 大臣のそういうお考えがあるとすれば、担当医も非常に安心して今までどおり精励できることと考えております。
 次に、指定医に関しましての質問をさせていただきます。
 我が国の制度では、医師の資格は一つの資格を持つことにより、内科医、外科医、産科婦人科医、眼科医、耳鼻咽喉科医、精神科医などすべての診療科について行う資格が与えられる仕組みであります。それぞれの診療科の専門医として力を発揮していくために努力と研さんと経験を積み重ねていくものであります。
 精神医療においては、強制的な入院や行動制限を行うなど人権抑制的なことも行うために、精神科医は医学附な知識においても深いものを持っていることが必要であるとともに、人権擁護のためのさまざまなルールや、精神障害者の社会復帰や生活の自立を援助するための保健福祉の制度についても最新の知識を持っていることが必要であります。このため、精神医療の一定の知識と経験を有する医師を精神保健指定医として厚生大臣が指定し、強制的な入院や一定の行動の制限を行うためには指定医の診察がなければできないこととしているのであります。
 今回の、五年ごとの研修を受けなければ指定が失効するという研修の受講促進の措置の趣旨については、その意義自体は認めますが、研修の意義を一層明確にするためには研修の内容をもっと充実させ、受講する医師にも魅力的なものとすべきではないかと思われますが、いかがなものでしょうか、御所見をお伺いしたいと思います。
#70
○政府委員(松村明仁君) 研修につきましては、御指摘のような問題があることは私どもも承知をしております。現在、この研修につきましては、初めて指定を受ける方もあるいはまた更新の方も同一の研修内容となっておりますが、初めての方と更新の方とで研修内容に変化を設ける等によりまして研修内容の充実を図る、さらには御指摘のように受講者に魅力的なものとなるように十分検討してまいりたいと思います。
#71
○木暮山人君 指定医については、五年ごとの研修を受けなかった場合は、研修を受けられなかったことについてやむを得ない理由がある場合を除きその指定は失効することとなるが、余り硬直的ではよりよい精神医療のため日夜努力している医師にとって困るし、逆に何でも認めてしまうのではこの改正の意味を失ってしまいます。
 研修を受けなかった場合でも指定が失効しないこととするやむを得ない理由として、これからのことについて具体的にどんなことが考えられるか、ひとつ御所見等をお伺いしたいと思います。
#72
○政府委員(松村明仁君) 今話題になっております研修でございますが、この研修は年六回開催されておるわけでございますが、研修を受けられなかったことについてやむを得ない理由がある場合を除いてその指定は効力を失う、こういうことになっておるわけでございます。
 そこで、このやむを得ない理由ということでございますが、これは私どもは、例えば病気で療養中であるとかあるいは長期の海外出張であるとか、こういった真にやむを得ない理由がある場合につきましては、翌年の研修を受けていただくことによりまして引き続き指定が有効なものになるような、そういう柔軟な対応は考えてまいりたいと考えております。
#73
○木暮山人君 ひとつそのようにお願いしたいと思います。
 次に、精神科救急の問題に関しましての質問をさせていただきたいと思います。
 改正により新たに設ける第四十七条二項では、「都道府県等は、必要に応じて、医療を必要とする精神障害者に対し、その精神障害の状態に応じた適切な医療施設を紹介しなければならない。」とありますが、夜間でも日曜休日でも、緊急の場合に医療機関の紹介、あっせんが受けられる仕組みを整備することが必要であり、このためには二十四時間対応の電話相談や二十四時間対応の精神病院側の受け入れ体制の確保が必要であります。
 精神科救急医療体制の整備にもう少し積極的に取り組むべきと考えますが、いかがなものですか、またその推進方策はいかがなものでしょうか、お考えをひとつ御説明願いたいと思います。
#74
○政府委員(松村明仁君) 緊急時に適切な精神科医療が提供できるような精神科救急医療体制の整備は急務であると考えております。このため、平成七年度予算におきまして精神科救急医療システム整備事業というものを計上しているところでございます。この事業を順次推進していくことによりまして、都道府県におきます精神障害者の緊急時における適切な医療及び保護の機会を確保することとしております。
 この精神科救急医療システム整備事業におきましては、今委員御指摘のような問題につきまして、例えば精神科救急医療相談あるいは情報センターというものを設置し個別の事例の相談に応じますとともに、精神科救急病院の利用の案内なども行おうと考えておるところでございます。このためには、常時受け入れ可能な当番病院を確保するというような問題もございますが、何よりもその地域におきましてこの精神科救急医療システムがうまく動くように連絡調整をしていただく連絡調整委員会というようなものも設けまして事業を行うこととしておるところでございます。
#75
○木暮山人君 精神病院の入院患者の三割は十年以上の長期の患者であります。しかも、この中には症状が重くない患者も少なからずおります。この長期入院患者の社会復帰や医療ケアを今後どうしていくおつもりか、その対応を御説明願いたいと思います。
#76
○政府委員(松村明仁君) 現在、入院中の精神障害者の方は約三十三万人ほどいらっしゃるというように考えておりますが、このうち数万人の方は、社会復帰施設やグループホームあるいは相談援助体制などが整備されることによって退院が可能だと言われておるところでございます。
 したがいまして、長期入院者の社会復帰対策といたしましては、社会復帰施設やグループホーム等の整備を鋭意進めてまいりますとともに、精神病院におきます医療についても、生活訓練や作業療法など社会復帰を促すような医療ケアの推進を図ってまいりたいと考えております。
#77
○木暮山人君 社会復帰施設やグループホームの整備がなかなか進まない理由の一つとしては、住民の反対運動があり、老人福祉の施設ならばよいが精神障害者の施設は危ないから困るという、いわば迷惑施設として住民が反対するという事実がありますが、施設などできちんとした生活指導がされ適切な通院医療を受けている場合、精神症状も薬などで抑えられ、いわゆる凶悪な事件を起こしたりする危険はないし、またそのような実情を住民に精神障害についての正しい知識の普及を図ることが大切であり、普及啓発を含めた地域精神保健福祉活動の充実を図るべきではないかと考えられますが、いかがなものでしょうか、御所見等をお伺いしたいと思います。
#78
○政府委員(松村明仁君) 社会復帰施設の整備がなかなか進まないということでございますが、相当数の施設の整備が行われてきたのも事実ではございますが、御指摘のように、全体的に見ますと現在十分な整備が行われているとは言えないような状態にあることは承知をしております。
 また、なぜこういうことになるのかということにつきましては、まず何と申しましても、精神障害者の社会復帰対策が他の障害者施策に比べて歴史が浅いこと、こういうこともあろうかと思います。また、精神障害者社会復帰施設につきましては、当初、運営費の四分の一が設置者の負担とされておりましたために、施設設置者の費用負担が大変重いものになっておりました。これも大きな理由として考えられております。またこのほか、御指摘にもございましたが、精神障害者に対する地域住民の方々の御理解が必ずしも十分ではない、施設の設置につきまして周辺住民の方々の御理解を得ることが容易でないということも課題の一つとして指摘をされているところでございます。
 こういった理由が考えられますために、平成五年度には、これまでございました運営費の設置者負担の解消を行うとともに、平成六年度以降も運営費の補助額の改善を図ったところでございますが、今後とも、こうした改善に加えまして地域の関係の方々の理解と協力が得られ、社会復帰施設等の積極的な整備が進むように努力をしてまいりたいと思っております。
#79
○木暮山人君 よろしくお願いします。
 次に、よりよい精神医療に関しましての質問をいたしたいと思います。
 精神病院の中には、職員が少なく十分な医療ができなかったり、病院の施設が貧弱であったりするものもあり、時に問題を起こす病院もあります。よりよい精神医療を求めていくためには、国が基準を定め、立入検査などを行って監督していくことも一つの方法であります。また、よい医療を行っている病院にはそれ相応の診療報酬を与えることも一つの方法であると思います。しかし、このほか精神医療界における自主的な取り組みとして、医療担当者がお互いに医療内容を評価し合い高め合っていくような努力を進めていくことも重要であります。
 近年、病院の機能評価やピアレビューの重要性が指摘されており、日本精神病院協会などでもその推進に着手しておりますが、国としてもこのような動きを推進し、よりよい精神医療の確保のために努めるべきではないかと考えますが、お考えをお伺いしたいと思います。
#80
○政府委員(松村明仁君) 病院の機能評価でありますとか、あるいは医療の担当者みずからがお互いに医療の質の評価を行いますいわゆるピアレビューということを推進いたしますことは、御指摘のとおり精神医療の質の向上のために大変意義のあることだと考えております。私どもも、日本精神病院協会などの専門医療団体がみずから精神医療の向上を図るためにこうした努力を傾けられることは大変好ましいことであると考えております。
 厚生省といたしましても、このような取り組みに対しましては必要な協力をしてまいりたいと考えております。
#81
○木暮山人君 今回の精神保健法改正は、我が国の精神医療と精神障害者福祉に新たな枠組みをつくるものであり、新しい時代の始まりとなるものでもあります。これを今後どのように生かして実効あるものとしていくかが重要なことであります。
 この法律を踏まえまして、よりよい精神医療と精神障害者福祉を実現していくための努力を行っていくことについて大臣の御決意等がございましたら、ひとつお伺いさせていただきたいと思います。
#82
○国務大臣(井出正一君) 御指摘のとおり、よりよい精神医療と精神障害者福祉の実現は極めて重要な課題でありまして、今回の精神保健法の改正によって精神障害者の福祉の法的枠組みが初めて整えられましたし、またよりよい精神医療の確保を図るための措置も講じられたところでございます。
 したがいまして、今回の改正を契機としまして、厚生省といたしましてもよりよい精神医療の確保や精神障害者の社会復帰対策、福祉施策の一層の推進を図ってまいりたいと考えております。
#83
○木暮山人君 どうもありがとうございました。
 次に、結核予防法に関しまして質問させていただきます。
 とかく結核は過去の病気と思われがちでしたが、主要先進国に比べて我が国の結核の罹患率は高く、その要因の一つとして、都道府県別に見ると結核の罹患率は三・八倍もの格差があり、いわゆる地域格差の問題が指摘されております。これを是正するためには地域の特性に応じたきめ細かい結核対策が重要と考えますが、具体的にどのように進めていくお考えか、ひとつ御説明願いたいと思います。
#84
○政府委員(松村明仁君) 地域の結核予防対策の具体的な取り組みということでございますが、私ども、地域の特性に配慮した結核対策の推進、あるいは結核に対する正しい知識の普及、こういったことを通じて地域に格差があると言われている結核の蔓延状況等に対してそれぞれの地域がそれぞれの対策を講じていただく、例えば相談事業を行うとかあるいは地域の結核予防団体を通じて研修会を行っていただくとか具体的に挙げることはなかなか難しいところがありますけれども、きめ細かな対策をお願い申し上げていこう、このように考えておるところでございます。
#85
○木暮山人君 厚生大臣の告示で定められている結核医療の基準についてはこれまでも何度か改正されておりますが、現在の基準も入院や長期療養を主体としたものとなっており、より短期的に強力な化学療法が行えるよう見直すべきであるという意見が強くなってきております。
 そこで、結核医療の基準の見直しを行うべきではないかと考えておりますが、御所見はいかがなものですか。
#86
○政府委員(松村明仁君) 御指摘の現行の結核医療の基準というものは入院や長期医療を主体としたものとなっておりますが、世界的には結核の標準的な治療方式は短期の強化医療というものへと変化しております。このため、昨年八月の公衆衛生審議会からの意見具申におきましても、より短期的で強力な化学療法が行えますように結核医療の基準を見直すべきであると御指摘をいただいておるところでございます。
 このため、今後、私どもといたしましては、結核病学会等の専門家の御意見を十分に伺いつつ、公衆衛生審議会におきまして具体的な内容について御論議をいただいた上で結核医療の基準の見直しというものも行ってまいりたいと考えております。
#87
○木暮山人君 終わりに、厚生大臣の御決意と御所見等をひとつじっくりお伺いさせていただきたいと思います。
 かつて国民病と言われた時代に比べて、結核の罹患率が劇的に低下したのは事実であります。結核の罹患率は、昭和三十六年の人口十万人に対しまして四百四十六人から、平成四年には人口十万人に対しまして三十八人と十分の一以下に減少しております。平成三年の公衆衛生審議会の意見具申では、西暦二〇三〇年代には結核根絶を目標に掲げるに至っておりますが、この目標達成に向けてのいわゆる大臣の御決意をひとつお伺いさせていただきたいと思います。
#88
○国務大臣(井出正一君) 先生御指摘のとおり、我が国の結核事情は目覚ましい改善を遂げまして、かつてのいわゆる国民病の時代から、西暦二〇三〇年代には結核根絶を目標とする状況に至ってまいりました。
 しかしながら一方で、近年の結核罹患率の低下傾向の鈍化、あるいは罹患率の地域格差、さらには既感染者の高齢化に伴う再発事例の増加とか、あるいは結核に罹患している在日外国人の急増とか、あるいはエイズ・結核合併例の出現とかいった新たな問題が出てきておりまして、また世界的には結核はむしろ増加傾向にあります。
 したがいまして、従来の取り組みを継続していくだけでは平成三年の公衆衛生審議会の意見具申にあります二〇三〇年代の結核根絶目標の達成が大変難しい状況になっておるわけでございます。このため、今回の法改正におきまして、地域の特性に配慮した結核対策の推進、また結核に関する正しい知識の普及、結核研究の推進等を国及び地方公共団体の義務として位置づけ、結核根絶に向けた結核対策の推進を図ることとしているところであります。また予算面におきましても、今年度は対前年比三〇%増の約二十六億円でございますが、これを計上し、結核対策の充実を図ろうとしておるところでございます。
 今後とも、結核根絶に向けて取り組みを強力に推進してまいりたいと考えております。
#89
○木暮山人君 どうもありがとうございました。質問を終わらせていただきます。
#90
○委員長(種田誠君) 両案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時九分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時十分開会
#91
○委員長(種田誠君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、精神保健法の一部を改正する法律案及び結核予防法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#92
○萩野浩基君 新緑風会の萩野でございます。
 今回の精神保健法の一部を改正する法律案の提案理由を見てみますと、「平成五年十二月に障害者基本法が成立し、精神障害者が基本法の対象として明確に位置付けられたこと等を踏まえ、これまでの保健医療対策に加え、福祉施策の充実を図ることが求められております。」、こうした旨のことが出ておりますけれども、平成七年度の予算を見るときに、何か私はちょっとまだ足らないんじゃないかと思いますけれども、どの程度の充実ができると考えていらっしゃいますでしょうか。
#93
○政府委員(松村明仁君) 今回の精神保健法の改正は、平成五年の十二月に障害者基本法が成立いたしまして精神障害者が基本法の対象として明記されたこと、御指摘のとおりでございます。
 また、平成六年七月に地域保健法が成立をいたしまして、地域保健対策の枠組みが改められたこと等を背景にいたしまして、精神障害者の社会復帰の促進や自立と社会参加の促進を図るために、精神障害者保健福祉手帳制度の創設あるいは社会復帰施設や事業の充実、相談指導の充実等を行いまして、精神障害者の福祉施策を法律に位置づけるとともに、地域精神保健対策の充実を図ることとしているところでございます。
 このため、平成七年度の精神保健福祉関係予算におきましては、社会復帰施設やグループホームあるいは小規模作業所、通院患者リハビリテーション事業の整備を積極的に進めますとともに、新たに都道府県及び市町村が地域の実情に即しました各種の事業を実施するための地域精神保健対策促進事業、あるいは精神障害者の緊急時における適切な医療と保護を確保するための精神科救急医療システムの整備、さらに精神障害者のための手帳交付事業等を行うことによりまして、精神障害者に対する保健福祉施策の充実強化を図ることとしておるところでございます。
#94
○萩野浩基君 最初申し上げたとおりに、予算はこれは見ればわかるとおりでございますけれども、今もろもろのことを挙げられまして、確かにそれが充実していけば立派と思いますけれども、もう一応平成七年度の予算というのはそのとおりになっているわけですから、今後こうしたものを推し進めるためには十分考えていっていただきたいと思います。
 また、この目的や責務規定等に自立と社会参加の促進ということが特に強調されておりますが、この理念を実現するために、私は特に現代医学の進歩とあわせて精神障害者の今後の社会復帰ということが非常に大事な点だろうと思います。これは一つの理念にかかわることでありますので、大臣、簡単で結構でございますから、一言御答弁お願いします。
#95
○国務大臣(井出正一君) 先生御指摘のように、確かに医薬を含めた医学の進歩の結果でしょうか、かつては収容医療みたいなものが普通だったのが通院医療が主になり、さらに自立あるいは社会参加ということがむしろ大変大事なテーマになってきたわけでございます。
 今回の法律の改正もまさにその点にございまして、精神障害者が地域の中で自立して生活し、社会のさまざまな分野に参加していけるよう社会復帰対策を進めていくことが極めて重要な課題だと考えております。予算につきましては決して十分とは思いませんが、ただいま局長の方から御答弁をしたところであります。
 この法の改正を契機に、今後ともより一層こうした施策の推進を図ることによりまして、精神障害者の皆さんの社会復帰対策の一層の促進を図ってまいりたいと思います。
#96
○萩野浩基君 ぜひそのようによろしくお願いいたします。
 次に、これは同僚の委員の方からもいろいろな角度から質問されておりましたけれども、手帳の問題です。改正案の四十五条の精神障害者保健福祉手帳の問題でございますが、特に大事な点は、いろいろ御配慮されておるというのは、私は政府の方からこの法案作成の経緯も聞いておりますが、どうしても人権とのかかわりというのに非常にみんな関心を持っております。
 そこで、その人権とのかかわりと手帳の交付基準ということについて、くどいようですが、質問いたしたいと思います。
#97
○政府委員(松村明仁君) 精神障害者保健福祉手帳につきましては、精神障害者に対する福祉の枠組みをつくり、手帳の交付を受けた方に対して各方面の御協力をいただいて各種の支援策を講じやすくすることにより精神障害者の社会復帰を促進いたしまして、その自立と社会参加の促進を図ることを目的としておるところでございます。
 この手帳制度につきましては、これまでプライバシーの観点などから、手帳は御本人の申請により交付する制度にしてほしいとか、顔写真は張らないこととしてほしいなどの御意見が出されているところでございます。このため、今御指摘のような点にも配慮いたしまして、今回の改正におきましては手帳は申請に基づいて交付をするという制度としておるところでございます。
 また、手帳の内容でございますが、別途専門家による検討会を設けて検討していただくこととしておりますが、今御指摘のような点に十分配慮をして、この手帳がうまく受け入れていただけるように考えてまいりたいと思っております。
#98
○萩野浩基君 ぜひその辺よろしくお願いいたします。
 以前、私は法務委員会におりまして、そういうところで指紋押捺の問題とかこういう点について、もうかんかんがくがくの議論をいたしました。非常に大事な点でありますので、人権とのかかわり合いということを十分御配慮の上、お願いいたしたいと思います。
 次に、ちょっと角度を変えますけれども、こういう機会ですので、精神科ソーシャルワーカーの問題が話題になりながらどうも消えておるという点についてちょっとお尋ねさせていただきたいと思います。
 公衆衛生審議会の答申の中に附帯意見というのが出ておるのを御案内と思いますが、このソーシャルワーカーをどうしても国家資格制度というものに変えていかなければならない、私もそのように思っている一人であります。今回の法改正にできれば盛り込んでほしいというようなことであったと思いますが、資格制度そのものについては意見の一致を見ているようにも聞いております。
 だけれども、これは大変手厳しいことを言うようですけれども、厚生省の方を見ますと、私も福祉の方をやっておりますからいろんな問題にぶつかるときに、どうも縦割りが強いんですね。だから、せっかくソーシャルワーカーの国家資格制度創設というのにも、お医者さんの方からとかまた看護婦さんの方からとか、いろんな業務関係などでなかなか意見の一致を見ない。そうしたところからいまだに先送りされておる。
 私は、やっぱりこの辺で厚生省の方が、何も強引にするのではなくてそれぞれコーディネートしながら、もうこの辺のところである程度結論を出さなきゃならないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#99
○政府委員(松村明仁君) 今御指摘の精神科ソーシャルワーカーでありますが、精神科の医療と精神障害者の福祉に関する知識を持たれて、医療機関や保健所、社会復帰施設等におきまして、精神障害者に対する適正な医療の確保や社会復帰の促進及び自立と社会参加の援助のために働く専門家でございます。
 この精神科ソーシャルワーカー、PSWの国家資格制度の創設につきましては、平成六年の十月に専門家による研究会の研究報告が取りまとめられたところでありますし、またその報告書を踏まえて、今御指摘のように、公衆衛生審議会において今回の精神保健法の改正に向けて新しい資格の制度化を盛り込むことをも含めて検討をいただいたところでございます。
 資格制度をつくるべきであるということについては審議会の意見の一致を見たところでございますけれども、関係する方々、いろいろ医療関係の方々がございますが、そういった方々、すなわち資格を持っておられる方々の団体との間で意見の一致を見ていないという状況で、今回この法案に盛り込むことができなかったところでございます。
 いずれにいたしましても、厚生省といたしましては、今後関係団体を含めた検討の場を設けまして、国家資格のあり方について関係団体の御意向も十分に調整しながら結論を得るように努めてまいりたいと思っております。
#100
○萩野浩基君 御案内のとおりに、複雑多岐な現代社会の中で我々生きていく中においては、いつ何とき我々がいろんな心の悩みそれからそれが障害になっていく、そういうようなことが起こらないとは限りません。
 そういうので、このPSWに関して日本が遅々として進まないというのは、これは私さっきも言いましたからもう余りくどく言いたくはないんですが、どうも縦割りでいっている、そこをやっぱり厚生省の方が、ある程度の意見の一致は見ているんで、私も経過はずっと読みましたけれども、少し進んでいるんです。だから、これをもう一歩、公衆衛生のこういう見地からぜひともこれを前向きに推し進めていくというぐらいの姿勢は、ひとつ大臣、ちょっとここで言っていただきたいんですが、いかがでしょうか。
#101
○国務大臣(井出正一君) 今、局長から御答弁申し上げたような経緯で、資格制度化につきましては意見の一致を見ながら、具体的な問題になるとまだなかなかそれぞれのお立場の皆さんのあれが一致を見ないわけですが、これをほうっておいてはいつまでも見ないということになっちゃいますから、少し厚生省の方で積極的にお願いをするというか、それぞれに理解していただかなくちゃならぬとは思っております。
 ただいま局長から申し上げましたように、検討の場をできるだけ早くつくって、もう大目標は一致しているんですから、それぞれのお立場のあれはあるでしょうが、それに向かってやはりある程度それぞれが譲り合っていただかないとどうしてもできないことじゃないかなと思っておりますから、そんな方向で努力したいと思います。
#102
○萩野浩基君 それぞれがかなり今譲り合ってきているというのは私も議事録等を見まして感じておりますので、大臣、ぜひともその辺ひとつ、大変なPSWの実現に向けてよろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、精神科の今話題になっておりますデイナイトケアの問題についてちょっと触れてみたいと思いますが、福祉福祉と言われておりますが、この精神科のデイナイトケアの場合、同じ患者でも入院させるよりもデイナイトケアの方がより高い収入を得るケースが出てくるんじゃないかというような場合も考えられます。
 つまり、本来であれば入院の必要な患者が、例えば病院の都合でデイナイトケアに移されるというケースが起こる可能性があると思います。また起こっておるとも聞いておりますけれども、厚生省はこれにどのような方向で臨む姿勢でいらっしゃるんでしょうか。
#103
○政府委員(岡光序治君) 今回の法改正の趣旨でございますが、やはり自立と社会参加の促進というふうなことが目指されているわけでございまして、そういういわば社会復帰の促進ということを大いに心がけるべきではないだろうかと思っております。そういう意味では、御指摘がありました精神科のデイナイトケアというふうなこういう方策は非常に有効なんじゃないだろうかと思っております。
 この点数は平成六年十月、昨年の十月に設定をしたものでございまして、入院治療を必要とするほどではない精神病の患者を社会生活に順応できるように訓練を行うということでございまして、あくまでも入院の必要な患者さんは入院治療をしていただかなきゃならぬので、そこのところはしっかり区分けをしているつもりでございます。
 先生御指摘のようないろんな精神科の入院のケースもありますので、点数を端的に一つのことで言えませんが、例えば精神分裂病で長期入院しているような人は、確かにこのデイナイトケア、これが一日につきまして千百三十点になりますので、それよりも低い点数の入院の患者のケースもあることはあります。しかし、それは結果としてそうなっておるのでありまして、あくまでも入院の必要のない人を念頭に置いているわけでございます。
 そういう意味で、病院の都合で入院の必要な人なのにこのデイナイトケアの方に渡してしまう、そんなふうなケースがありましたらこれはちょっと問題でございまして、その点は個別に適切に指導していかなきゃいけない。そこは考え方が違っておりますので、あくまでも区分けをして対応していくべきではないかと思っております。
#104
○萩野浩基君 わかりました。その点を特に御注意いただきたいと思います。こういう制度はいい方向に使われないと意味がないので、よろしくお願いいたします。
 次は、結核予防法について質問いたします。この法律案の趣旨につきまして、もう同僚の方からこれに関してはいろいろ質問がありましたので、通告しておきましたけれどもそれはやめまして、これも同僚委員から出ておりますが、ぜひ聞いておきたいと思いますのでお尋ねいたします。結核の根絶目標ですね。
 公衆衛生審議会は平成三年の九月に、二〇〇〇年までに結核にかかる率というのを人口十万人当たり二十人以下とする、このようにされております。二〇三〇年代に根絶するという目標にされております。ところが、昨年の八月になりましたら、この審議会は今度はこういうことを言っているんですね。「目標の達成は難しい状況になりつつある。」という危機宣言を出しておられまして、それは六項目にわたっております。
 そこでお伺いいたしますが、二〇三〇年代の結核根絶目標の実現が困難な理由というのは、六項目挙げてはいらっしゃいますけれども、もうちょっと具体的にお話しいただけませんでしょうか。
#105
○政府委員(松村明仁君) 我が国の結核は戦後順調に減少を見ておったわけでありますが、昭和五十年代の前半からだんだん結核の罹患率の低下傾向というものが鈍化をしてまいりまして、今御指摘のように平成三年の九月に公衆衛生審議会は、結核対策推進計画ということで二〇三〇年代の結核根絶を我が国の結核対策の最終目標としたところであったわけなんです。
 しかし、それからまた分析を進めてみますと、罹患率の低下傾向の鈍化は、新登録結核患者の高齢化や罹患率の地域格差が存在しておるために現在も回復の兆しが見えない、したがってこのまま推移すればこの目標、すなわち二〇三〇年代に我が国の結核を根絶することは難しいという見解が昨年の八月に公衆衛生審議会から出されたわけでございます。
 このため、当面の結核対策といたしましては、結核罹患率低下傾向の鈍化への対応策、さらに研修及び啓発普及活動の充実、医療技術の進歩に対応いたしました結核管理あるいは医療対策の見直し、それから結核医療費の公費負担のあり方、あるいは研究、国際協力の推進、さらにその他結核患者の定期的な病状把握等、六項目について具体的な御提言をいただいたところでございます。
 そこで、私ども厚生省といたしましては、この御提言を受けて、平成七年度予算におきまして次のようなことを進めることとしております。その第一は、地域の実情に応じました結核対策を一層推進いたしまして結核の罹患率を改善するための結核対策特別促進事業の充実、さらに結核研究所等における研修の充実、あるいは研究及び国際協力を推進するため国際共同研究事業等の創設、それから主治医から保健所への情報提供の充実のために定期に病状調査をする定期病状調査事業の創設等を行ったほか、今回御提案を申し上げております法改正におきましても、国及び地方公共団体は、適正な医療に関する施策を講ずるに当たっては地域の特性に配慮しつつ総合的に実施するよう努めなければならないこととするとともに、結核に関する正しい知識の普及を図らなければならないこととしております。またさらに、公費負担医療制度の見直しをも盛り込んでいるところでございます。
 また、結核の活動性分類の見直し、あるいは結核の標準治療方式の見直し等、医療技術の進歩に対応いたしました結核管理、医療対策の見直しに関する御提言につきましては、今後、結核病学会等で専門家の御意見を十分に伺いながら、具体的な内容を検討していくこととしておるところでございます。
#106
○萩野浩基君 過去の病気と思われがちな結核がどんどん減少していくというのが、先ほどもおっしゃったように、また私も申し上げましたけれども、少し予想と外れてきたということはこれは事実だろうと思います。特に六十歳以上については新しく結核にかかった人の過半数も含んでおる、平成五年には五三%を占める、こういうのを見ますと減り方がどうも少ないように思います。
 特に私が指摘しておきたいのは罹患率の格差ですね、例えば山梨は一八・一、大阪は六八・五というような、こういう非常に極端な差が出ているのは御案内のとおりと思います。これに対しては、この差がある分にはどのような対処をお考えでございましょうか。
#107
○政府委員(松村明仁君) 我が国の結核の感染率と申しましょうか、こういったものは昭和三十年ごろまでの結核の蔓延状況を反映しておりまして、高齢者になるほど結核に既往がある、こういう状況になっております。これらの結核に既往あるいは既感染、既に一回感染したことのある方は、高齢化によって抵抗力がだんだん低下してまいりますと結核が再発をしやすくなってくると言われております。これが、昭和五十年代前半からそれまで順調に減少をしてまいりました結核の減少傾向が鈍化した大きな要因の一つではないかと指摘されているところでございます。
 また、委員御指摘の結核罹患率の地域格差の要因の推定でございますが、今申し上げたように既感染者の再発が多いということから、現在の罹患率の格差というのは各地域の過去における結核の蔓延状況をある程度反映しておるのではないかと思っております。
 それからさらに、高齢者に結核が多いという傾向から、地域の老人人口の割合あるいは受療行動あるいは治療期間に差が見られる、こういった社会経済的な要因も考えられるかなと思っております。
 さらに、結核患者の早期発見、治療、予防接種、定期外の健康診断の実施、あるいは適切な患者管理等が地域的には取り組みの格差という形で存在しておるのかなと。
 さらには、特定のハイリスクグループ、これは端的に申し上げると外国の方が多いというような場合についてもある程度地域的な要因を形づくるものになっているのではないか、このように考えております。
#108
○萩野浩基君 今、終わりに言われましたが、格差の原因にはいろいろあると思いますが、特に目につくのが在日外国人の間に結核患者が多い。これは原因はいろいろあると思いますが、中には既感染率が高いだとかいろいろ言われておりますが、移動による感染の機会の増加や、また栄養分が十分でない、それからまたストレスとかいろんな面でこうしたものがふえているんじゃないか、そのように思います。日本もこれからはだんだん国際化していくわけでございますから、今後厚生省としてもこういう面については十分配慮をしておかなきゃならないと思います。
 これは局長並びに大臣に質問して、私の質問を終わります。
#109
○政府委員(松村明仁君) 在日外国人に対します結核対策でございますが、都道府県におきまして結核対策特別促進事業というものを活用していただいて、短期の外国人就学生等に対して定期の健康診断、こういったものの対象にならない方に対する結核健診やあるいは結核に対する知識の普及等を行うためにパンフレットをお出しするというようなことを通じて、まず結核の予防や早期発見に努めているところでございます。
 また、昨年からは財団法人の結核予防会におきまして、在日外国人のために、すべての国とは言えないんですが、何カ国かの外国語によります電話相談事業をも実施しておりまして、外国の方々が気軽に結核に関して御相談いただけるようなこともしておるところでございます。
 また、結核予防法に基づきます公費負担医療につきましては外国人に対しましても適用をしておるところでございまして、今回の制度改正後も引き続き在日外国人の結核治療に係る公費負担医療を適用することとしております。
 こうした事業の実施を通じまして、現在、外国人の結核患者の問題に鋭意対応をしておるところでございます。
#110
○国務大臣(井出正一君) 今後の結核対策の推進についてどうだというお尋ねだと理解いたしますが、ただいま御論議いただいたところからもおわかりのように、従来の取り組みを継続していくだけではこの二〇三〇年代の結核根絶目標の達成は大変難しいという状況になっておるわけでございます。
 こうした新たな局面に対応した結核対策の推進を図るためには、従来の法に基づく全国一律的な措置に加え、ハイリスク者に対する重点的な対策等、地域の実情に応じたきめ細かな対策を効果的に推進すること。そしてまた、結核は過去の病気という考え方が広まって、医療従事者の間でも診断技術の低下が見られるなど憂慮すべき状況もございますから、正しい知識の普及啓発を図ることを通じて結核予防の推進、早期発見を図っていかなくちゃなりませんし、またそのためには結核の情報を迅速に収集、把握、分析することによりまして、重点的かつ効果的な予防対策を講ずる必要もございます。さらにまた、より短期で効果的な治療を行えるような治療薬の開発もしていかなくちゃなりませんし、エイズとの合併例に対する研究の推進にも対処していかなくちゃなりません。
 こんな諸問題をこれから図っていかなくちゃならぬわけでございますが、現行法はこうした取り組みに対する視点にいささか欠けているわけでございまして、このたびの改正によって、国及び地方公共団体は、結核の予防及び結核患者の適正な医療に関する施策を講ずるに当たっては、地域の特性に配慮しつつ総合的に実施するよう努めなければならないこと、また国及び地方公共団体は結核に関する正しい知識の普及を図らなければならないこと、また国は結核に関する情報の収集、整理及び分析並びに研究の推進に努めなければならないことを法律上明確にし、ただいま申し上げましたような新たな局面に対応した結核対策の弾力的かつ効果的な推進を図ろうとしておりますし、このためには予算も必要でございますから、必要な予算措置を講じつつ、結核根絶に向けた取り組みを強力に推進してまいりたいと考えております。
#111
○萩野浩基君 終わります。
#112
○西山登紀子君 まず最初に、大臣にお伺いをいたします。
 本改正の二法案については、関係する患者や家族の皆さん、医師の間でも後退ではないかという指摘がございます。つまり、現行法では医療費は公費を優先する方式であったものが、改正案では医療保険を優先するものとなるわけです。その結果、精神、結核の両方で合わせまして国費の負担が七月以降で百四十七億円、満年度で百九十六億円削減をされると医療保険の負担がふえることになるのではないか、ですから国の医療に対する姿勢の後退ではないかという主張です。
 これは確かに、私はこの法案の提出されましたルーツをさかのぼって考えてみますと、この法案が提出されました動機が、言葉は少し悪いですけれども不純ではないかというふうに思うわけです。昭和五十四年、一九七九年の財政制度審議会の報告がございますけれども、その中に「歳出の節減合理化に関する報告」という部分がございます。その検討する項目の中で、「結核の医療費については、現行の公費負担制度から、保険を優先して適用する制度にできるだけ早期に改めるのが適当である。」、こういう指摘があるわけです。昭和五十四年ですから一九七九年、かなり前に報告がされているものです。
 ですから、今回の法改正というのが歳出の削減合理化、これを目的とした改正ではないか、したがって国の姿勢の後退だと見る意見には私は根拠があるというふうに思うわけです。我が党はこうした点も踏まえながら、患者負担が軽減されるという点に着目をいたしまして衆議院では賛成をいたしました。
 そこで、確認をしておきたいと思うんですけれども、精神障害者の措置入院、結核患者の命令入所などの強制措置に関しては患者負担がほとんどなくなり、それ以外の外来については、国保の場合は加入者負担は一五%から五%へと軽減されるわけですが、こういう患者さんから歓迎をされている点を、今後、財政不足などを理由にして運用上の今回の措置を変えて患者負担を重くするなどということが絶対ないようにしていただきたい、約束をしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#113
○国務大臣(井出正一君) 最初の方の御指摘、むしろ後退じゃないかという点につきましては、午前中の御論議でも御答弁申し上げましたように、今回の改正は公費と医療保険財源との調整方法を改めるものでございまして、精神医療の役割とかあるいは障害者についても同じですが、国や都道府県の公的責任というものについては全く従来と同様である、何ら変更なされるものではないということを申し上げておきたいと思います。
 それから、今後自己負担がふえるようなことは絶対ないと言えという命令みたいな御質問でありますが、私もふやしたいとは思っておりません。しかし、患者負担のあり方につきましては、今後とも必要な医療を確保するという観点から、社会経済情勢を踏まえた適正なものであるべきだと考えますから、この場で絶対にないというお約束は残念ながらいたしかねます。
#114
○西山登紀子君 患者の方々から歓迎をされている点ですから、大臣の方から絶対やらないというお答えをぜひいただきたいと思ったんですけれども、ぜひ今後こういう点は努力をしていただかなければならないと思います。
 次に、精神障害者の措置入院の場合ですが、公費負担医療になっているわけですが、これは入院患者のわずか一・九%です。それ以外の医療保護入院、任意入院については公費負担とはなっておりません。そこで、我が党は衆議院の段階では、精神障害者の措置入院以外の入院についても結核患者の場合と同じように公費負担の対象に加えるように修正案を提出したわけでございます。障害者医療につきましては、やはり国庫負担を削減する方向ではなくて公費負担の医療を拡大する、これが国の基本姿勢として求められている点だと思いますけれども、精神障害者の場合の医療保護入院、任意入院についても公費負担の方向にしていく、こういう努力についてぜひ要望をしたいと思いますが、どうでしょう。
#115
○政府委員(松村明仁君) 精神保健法に基づきます措置入院制度は、自傷他害のおそれのある方を強制的に入院させる制度でございまして、確実に医療を受けさせる必要が特に高いことから公費負担医療を行って自己負担の軽減を図ろうとするものでございます。
 これに対しまして医療保護入院あるいは任意入院は、措置入院とは異なりまして自傷他害のおそれのない方について保護者あるいは御本人の同意を得て入院させる制度であることから、一般の医療と同様に取り扱うことが適当ではないかと考えておりまして、特別な公費負担を行うことは考えておりません。
#116
○西山登紀子君 入退院を繰り返している精神障害者の医療費の負担は非常に高いというようなアンケート結果もありますので、ぜひ御検討をしていただきたいと重ねて要望しておきたいと思います。
 次に、全国精神障害者家族会連合会、いわゆる全家連が行われた調査がございます。九一年から九二年にかけて行われた調査です。これはこういう冊子にもなっておりまして、大変立派なものです。しかも、この調査というのは八五年に行った調査に次ぐものでありまして、継続的にそして定期的に時間的経過も踏まえ、しかも全国的なデータを積み重ねたという点で精神障害者と家族の置かれた実態を正確に把握することを目的としたものですけれども、大変貴重な調査だと思います。厚生省ももちろん御存じのことだと思います。
 そこで、その置かれている実態はどうかということで少し御紹介をしたいと思いますが、一つは本人の高齢化の問題があります。発病の時期が大体二十歳代前後というのが圧倒的に多く、入院の継続も二十年以上経過しておられる方が五七%、こういうふうな率からも御本人自身の高齢化、そしてまた世話をする方々の高齢化、これが問題になっているわけです。
 中高年齢の精神障害者をお世話する親御さんは老父母世帯、それは入院していらっしゃる方の三五%、在宅していらっしゃる方の五七%に上ります。生活の収入は何によっているかといえば、御本人の場合は年金の依存率が非常に高くて六一%です。そして、本人を支える家計の中心者は父親が多いわけですけれども、その収入源は無職、年金ですね、これが四一%というように年金で支えられている家庭が非常に多くございます。
   〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕
 家族の生活の困難度の中で、先ほども言いましたが、出費の中でも繰り返しの入院費が三四%で、困難度の中では最も高く出ております。最近一年間の生活上の苦労は、最も多いのは将来の見通しが立てられない不安や焦りが七一%も占めております。病気が回復しても働く場や訓練の場所がない、これが五一%を占めているわけです。あとは、家族員の結婚の問題の気苦労、いろいろあります。そして、近い将来の生活の場としてどこで住みたいかという問いの一番多い答えは、やはり家族とともに暮らしたいが四〇%、病院が二五%、福祉施設は二二%、こういうふうになっているわけです。
 そして重要なことは、精神保健法の後に医療や福祉がよい方向に改善されたと評価する者は四八%ありますけれども、変化がない、むしろ悪くなった、どちらとも言えないというのを合計いたしますと二五%ある、こういうような実態であります。
 私は京都ですけれども、精神障害者を抱えていらっしゃる御家庭を訪ねてまいりました。十八歳で発病されて今四十二歳の息子さんを抱えながら、御両親は相当高齢です。お店をしながら見ていらっしゃる。やはり兄弟の結婚の問題、本人の就労の問題、救急の問題、そして最後には親が病気あるいは親亡き後の対策が本当に心配だ、こういう声を聞いてまいりました。
 こういうような実態についてはもちろん厚生省は御存じだと思いますけれども、こういう全家運のアンケート調査結果なども踏まえまして、精神障害者の置かれている実態についてのまず認識をお聞きしたい。
 そしてあわせて、今回の改正では法律の名前に福祉というのが入ったわけですけれども、今回の改正は、収入が低い、家族が高齢化している、将来に対する不安が大きい、こういう精神障害者の生活の実態に政治の光といいますか、福祉の光を当てる、そういう決意を示したものだと理解をしてよろしいかどうか、確認をしておきたいと思います。
#117
○政府委員(松村明仁君) 全国精神障害者家族会連合会の調査によりますと、精神障害者御本人については日々の生活に精いっぱいであるということで経済的にも苦しい方が単身者を中心にして多くいらっしゃる、また実際の生活においては食事づくりや掃除、洗濯が苦手であるというような日常生活に困難を抱えておられる、また対人関係が苦手であるため社会生活上の困難があり、また将来設計に対して多くの方が自信を持ち得ない状況にある、こういう調査の結果があることにつきましては私どももよく承知をしておるところでございます。
 また、今御指摘の御家族との関係につきましても、精神障害者のお世話に心身ともに疲れると訴えられる方が多く、さらに家族の方々が高齢化をされまして将来の見通しが立てられないことに不安や焦りを抱えていらっしゃるという実態にあるということも認識をしております。
 私どもは、今回の精神保健法の改正は、精神障害者御本人あるいは御家族についてこのような認識をした上で、その生活実態に光を当て、さらに精神障害者の自立と社会参加の促進を図るための福祉の施策を明確に位置づけるものでございまして、今後の社会福祉の充実のための第一歩というふうに認識しておるところでございます。
 決して十分とは申せないとは思います。これを契機に、精神障害者の保健福祉施策の一層の充実を図ってまいる所存でございます。
#118
○西山登紀子君 精神障害者対策の基本というのは、強制入院とか隔離ではなくて通院治療と社会復帰を進めること、このことが非常に重要だと思うわけです。さきに全会一致で成立を見ました障害者基本法の中で、基本的理念の第三条の二項にはこういうふうに述べられています。「すべて障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとする。」、こういうふうになっているわけですけれども、この精神を生かすことが政治のあり方だと思います。
 実は、厚生省の八三年の実態調査を見ましても、入院患者のうち条件が整っていればおよそ三〇%が退院できるというふうになっているわけですけれども、精神保健法が施行されて六年たった今日、毎年少しずつ改善されてきているとは思いますけれども、社会復帰施設の実態はまだまだ不十分だと思うわけですけれども、そうではないですか。
#119
○政府委員(松村明仁君) 精神障害者の社会復帰の促進につきましては、昭和六十二年の精神保健法改正以来、精神保健対策の重点課題の一つと位置づけまして、社会復帰施設の整備やグループホーム事業の推進に努めることによりまして相当数の施設の整備が行われてきたと考えておりますが、全体として見るとまだまだ十分な整備が行われているとは言えない状態にあると考えております。
#120
○西山登紀子君 今回の改正で福祉ホームそれから福祉工場、これが社会復帰施設として法文化をされました。この点は評価ができるわけですけれども、その今ある数、福祉ホームは七十カ所それから福祉工場は今年度一カ所しかないわけですね。ですから、法文化されたということを契機といたしまして今後どのようにふやしていくのか、計画を教えてください。
#121
○政府委員(松村明仁君) 社会復帰施設の整備は、今申し上げましたように私どもも六十二年以降努力はしてきておるわけでありますが、御指摘のように現時点におきましては福祉ホームは八十カ所、それから予算上も新規に設けられた福祉工場については一カ所にとどまっており、今後積極的な整備の必要は感じておるところであります。
 今後の計画ということでございますが、精神障害者の社会復帰施設の必要数につきまして現時点で具体的な数値としてお示ししますことはなかなか難しいところでございます。こうした点も含めまして、昨年九月に厚生省内に設置いたしました障害者保健福祉施策推進本部において、障害者施設のあり方について幅広い観点から現在検討を行っているところでございます。
 いずれにいたしましても、今回の改正で明定されます福祉ホームや福祉工場等の社会復帰施設は、現在必ずしも十分整備されているとは言えない状況にございますので、この法案が決定をいただいた後には、今後ともその積極的な整備に一層努力を傾けてまいりたいと思います。
#122
○西山登紀子君 法文化されて非常によかったという障害者やそういう団体の皆さんの期待もあるわけですから、なかなか前途遼遠だなと、今の答弁を聞いておりますとそういうふうにしか思えないわけですけれども、そういうことがあってはならないと思います。
 質問を続けたいと思うんですけれども、先ほどの全家連の調査で、パートやアルバイトも含めまして現在働いている精神障害者の方は全体の二五・九%だという資料があるわけです。そればかりか、御家族の方から見られた本人の就労意思、ぜひ働きたいというのが一三・七%、できれば働きたいが三八・四%、合計五二・一%ございます。前回、八五年の調査のときには四五%でしたから、七・一ポイントもふえているわけですね。
 精神障害者の方も働きたいと思っている、就労意欲を持っている、こういう就労意欲にこたえて働く場をつくること、それが政治の責任ではないかと思いますけれども、どうでしょう。
#123
○政府委員(松村明仁君) 就労意欲を持っておられる精神障害者が就労されることによりまして自立と社会参加をしていけるように図っていくことは、精神障害者施策を進める上で重要な課題であると考えております。このため厚生省といたしましても、授産施設あるいは福祉工場、通院患者リハビリテーション事業などの整備を進めますとともに、小規模作業所に対する助成等を行っておるところでございます。
 今後とも、労働行政の施策との連携も図りつつこれらの施策の推進を図るとともに、広く一般国民に精神障害者の就労について御理解をいただけるような啓発に努めるなど、精神障害者の就労に対する意欲を生かしていけるようなそういう支援施策の充実に努めてまいりたいと思います。
#124
○西山登紀子君 精神障害者の方の就労意欲を生かす、そういうことは非常に特別の施策が必要だと思うわけです。就労意欲がありましても、現在の就労状況を見ますと必ずしもよくはありません。
 先ほど御答弁にもありましたけれども、通院患者リハビリテーション事業、こういうのが行われているわけですけれども、それでは通院患者リハビリテーション事業によって訓練が終わり、その後の就労状況はどうなのかという資料がございますけれども、それを見てみますと、訓練期間が終わった後、事業所に復帰できた患者さんのパーセンテージというのはわずか五%です。訓練事業所と合わせましても一五%という数字を見ますとやはり極めて厳しい。いろいろな原因があるわけですが、生易しいものではない現実がある、このように思います。だからこそ、障害者の意欲を大切にした特別の施策が必要だと思うわけです。
 そこで、小規模作業所の問題なんですけれども、全家連の調査によりますと、その中で小規模作業所で働いている障害者の方が非常に多いわけですね。前回調査の八・一%から二一・一%へとその数はふえています。そして、今いろんな形で働いていると答えた人の三六%がその小規模作業所で働いている方々です。精神障害者の方々の就労の受け皿といいますか、それがいかに小規模作業所が非常に大きな役割を果たしているか、このことがその数字でもわかると思うわけです。
 小規模作業所が地域に草の根のように普及してきたことにはやはりその理由があって、地域において必要に迫られて住民の皆さんが、国民の皆さんが、家族、御本人も含めて運動に取り組まれ、地方自治体の援助も若干進んでまいっているわけですけれども、定着を見てきた、こういうことだろうと思います。いろいろな小規模作業所へ私も行ってみましたけれども、小規模作業所というのは精神障害者の方にとっては単なる就労の場ではありません。デイケアの場であったり憩いの場であったり社会交流の場であったり、まさに生活の場だというような実感を私は強く持ったわけです。
 そして、今度の衆議院では、二年前にはありませんでしたが、小規模作業所の制度的位置付けに向けて検討を進めるし、今回こういう附帯決議が入りました。参議院でも準備がされているところですけれども、私はこの点は非常に重要な点ではないかと思います。就労意欲があっても就労するということが一般的な企業などでは大変難しい、そういう精神障害者の実態を踏まえて、草の根的に生まれているこの小規模作業所をどのようにして育成していくか、励ましていくか、ここに国の施策として制度的な位置づけを抜本的に考え直す時期に来ているのではないかと思うわけです。
 そこで、その施策として制度的な位置づけを抜本的に改善する、その改善の方向はここに私持ってきました共同作業所全国連絡会が請願署名を行っているわけですけれども、その中にその制度改善の方向が示されているのではないかと思うわけです。請願項目の一つにこういうのがあります。「小規模作業所に対する補助金制度については、現行の障害別制度を一本化し、補助額の大幅な引き上げ、ならびに都道府県・政令指定都市を通じてすべての小規模作業所に交付すること。」、こういう方向が運動の中から生まれているわけです。
 そこでお伺いいたしますけれども、この小規模作業所の制度的な位置づけを抜本的に考え直す時期に来ているのではないかと思うんですけれども、どうでしょう、検討する必要があるのではありませんか。
#125
○政府委員(松村明仁君) 精神障害者の社会復帰を促進するための施設で作業の訓練を行う施設といたしましては法律上授産施設があるわけでございますが、小規模作業所はこれらの要件に該当しないような小規模なものでございます。また、その地域における取り組みもかなり自主的な方法で取り組まれていると承知をしておるところでございます。
 今御指摘のように、この小規模作業所の制度的位置づけにつきましては現在厚生省の障害者保健福祉施策推進本部で検討しておるところでございます。そこで、今回の改正事項には含まれていないわけですが、今後こういったところの検討結果等を踏まえまして、例えば一本化の問題であるとかあるいは補助の仕方の問題でありますとか、今御指摘になられたようなことも含めて検討をしていきたいと考えております。
#126
○西山登紀子君 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 精神保健法について、最後に大臣にお伺いしたいわけですけれども、社会復帰施設の推進につきまして私も前回の改正のときに質問をしたわけですけれども、少しはふえてきてはおりますけれども、問題なのは、一つは自治体ごとにばらつきがあるという問題です。平成六年十月現在の資料で見ますと、援護寮のない県が十一、福祉ホームのない県が十五、適所授産施設のない県が十三、あとは福祉工場は一県とか、そういうふうなことなんですね。ですから、このばらつきを是正するのが国の責任ではないかと思うわけです。
   〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕
 今度の法改正では、地方自治体はこうした社会復帰施設を設置することができるとなっているわけですけれども、これではまた同じ結果になりはしないかなというふうに大変心配をいたしております。
 昨年の公衆衛生審議会でもこういう指摘があるわけですね。社会復帰対策についての指摘ですけれども、
 精神障害者の社会復帰施設やグループホーム事業等については、精神保健法施行後約六年を経過しているにもかかわらず、なお、未設置の府県があることなどを踏まえ、政府及び地方公共団体が十分な連携を確保しつつ、中長期的な観点に立って、精神障害者の社会復帰を促進するため、社会復帰施設等について計画的かつ積極的な整備・普及を進めること。さらには、昨年の障害者基本法の成立により、国、都道府県及び市町村の障害者施策に関する計画策定の規定が設けられたが、こうした計画の中においても精神障害者対策が適切に位置付けられる必要がある。こういう指摘があるわけですけれども、ぜひこういう指摘を生かして、政府としても都道府県と連携を深めて、目標値を設定し計画的に積極的にこうした施設を整備促進する、この点についての大臣の御決意をお伺いいたします。
#127
○国務大臣(井出正一君) 精神障害者の社会復帰の促進につきましては、昭和六十二年の精神保健法の改正以来、精神保健対策の最重点課題の一つとして位置づけ、今までに全国で二百四十五カ所の整備を行うなど社会復帰施設の整備を積極的に促進してきたところではありますが、なお都道府県によって大変な格差があることを初め、決して十分に整備されているとは言えない状況にあると認識しております。
 したがいまして、今後は地域の整備状況を踏まえながら、都道府県に対して一層積極的な整備を支援あるいはまた指導してまいりたいと考えております。
#128
○西山登紀子君 それでは次に、らい予防法の見直しについてお聞きしたいと思います。
 ハンセン病患者は、全国十三療養所で五千八百七十九人が生活、療養されております。平均年齢は七十歳を超えているわけです。ことしの四月二十二日、らい学会が見解を発表されています。御存じだと思いますけれども、少し御紹介をしたいと思います。
 日本らい学会「らい予防法」検討委員会から出された見解ですけれども、伝染源の隔離を目的に制定された「旧法」も、推計学的な結果論とはいえ、あえて立法化する必要はなかった。それでも「現行法」は「旧法」の基本原理を変えずに制定された。当時すでにプロミンの効果は明らかであったし、国際的には患者の隔離は否定されていた。ということで、特別の感染症として扱うべき根拠は全く存在はしないというようないろいろな理由が述べられておりまして、
 「現行法」はその立法根拠をまったく失っているから、医学的には当然廃止されなくてはならない。と結論づけています。さらに、強制隔離によって、肉親を引き裂かれた人の悲痛な叫びに、今改めて耳を傾けながら、これほどの無惨さを黙視したことに対し、日本らい学会には、厳しい反省が求められるであろう。それに、らい対策も医療的対策以外の何ものでもないから、隔離の強制を容認する世論の高まりを意図して、らいの恐怖心をあおるのを先行きせてしまったのは、まさに取り返しのつかない重大な誤りであった。この誤りを、日本らい学会はもちろんのこと、日本医学会全体も再認識しなくてはならない。こういう声明が出されているわけです。非常に真摯ならい学会の見解だと思います。多くを言う必要はないと思うわけです。
 これに関しまして五月に、患者団体であります全国ハンセン病患者協議会から九項目の要望が厚生省に提出されているわけです。
 例えば九項目の第一には、「強制隔離政策が憲法の基本的人権の侵害にあたることを国及び厚生省に認めさせ、精神的、肉体的、物的被害による損失の補償を要求します。」。二番目には、「ハンセン病十三施設を国立医療機関として存続させ、入所者の移住権を奪う再編・統合には反対します。」、こういう項目もあります。さらには、「療養所運営と関連の必要経費は、引き続き国庫負担とすることを要求します。」。年金の問題もあります。最後に、「法の下に平等に立ちかえりたいというのが私達の切なる願いであります。ここに改めて法改正作業の促進を強く要請する次第であります。」、このように結んでいるわけです。
 私は、生涯を隔離され人権を無視される中で生きなければならなかったそういう患者さんの声として、九項目を今全部読み上げませんでしたけれども、もっともな要望でありますし、この際、らい予防法を見直す必要があると思うんです。その際には、患者の現状、歴史を十分考慮して、患者団体の意見を尊重して改正すべきだと思いますけれども、大臣の御決意をお伺いいたします。
#129
○国務大臣(井出正一君) ハンセン病患者の方々が、今日まで家族の方々も含めてさまざまな大変つらい思いをされたことに対しましては、私も非常にお気の毒なことと大変心を痛めているところでございます。
 私自身も、役所の方へ患者さんの団体の皆さんあるいはハンセン病療養所長さんの皆さんもお見えくださって意見交換をしたこともございますし、今委員お読みになられました先日の日本らい学会の声明も承知しているところでございます。
 らい予防法につきましては、現在、患者の皆さん方を含むハンセン病問題の関係者による検討会を財団法人藤楓協会に設置しておりますが、この検討会の検討結果が近く発表されると聞いております。その結果も踏まえて対処したいと思っておりますが、いずれにいたしましても、現在療養所に入所されている患者さんの方々の処遇の維持、継続を大前提に、患者の皆さんを初め関係者の御意見を十分に伺いながら、必要な見直しを検討してまいりたいと考えております。
#130
○西山登紀子君 最近、私の手元に「隔絶四十年」というらい患者の方が書かれた本がある友人から届けられました。その方はごく最近にようやく本名を名乗った、こういうことでございまして、その本の中に私が本当に御紹介したい部分がございます。
 長島愛生園との間に邑久長島大橋というのが一九八八年五月につくられたわけですけれども、「「人間回復の橋」とうたったこの橋も、強制隔離を制定している「らい予防法」があるかぎり、その真意を問われることであります。」と、こういうふうに書かれている部分があります。長島大橋はかかったけれども国民や家族とらい患者の間には橋がない、その橋を阻んでいるのがらい予防法だという指摘です。ぜひこういうことも念頭に置いて改正をしていただきたいと思います。
 最後に、結核予防の対策についてですけれども、少し時間が少なくなってまいりましたので、大臣にお伺いをして終わりたいと思います。
 先ほども結核対策推進計画の中間報告などについて質問もあったわけですけれども、実は公衆衛生審議会が一九九一年九月に中間報告を発表しておられます。その中間報告には結核予防の対策を非常に事細かく具体的に提言をしておりまして、この提言は大変評価できる必要な対策だと思うわけですが、一九九四年八月の同審議会の意見書で、いきなり二〇三〇年代の結核根絶は非常に困難だということが強調されるとともに、公費優先医療の見直しが提起をされてきたわけです。全く突然です。
 この姿勢が今回の法改正に対して患者さんらに不安感を与えていると思うわけです。公費優先は後退するし、二〇三〇年代の根絶は先延ばしにされるのではないかという不安感であるわけです。削減された国費百一億円、これも結核の予防対策に使われるのかというとそうでもなさそうだと、こうなりますと確かに不安があります。
#131
○委員長(種田誠君) 質問時間を超えておりますので、まとめてください。
#132
○西山登紀子君 中間報告が示した二〇三〇年代の根絶、二〇〇〇年を節目とする目標の達成についてどう努力されるか、お伺いをいたします。
#133
○国務大臣(井出正一君) 従来の取り組みを継続していくだけでは二〇三〇年代の結核根絶目標の達成が難しいという新しい事態になってまいりましたから、それにむしろ対応すべく今回の法改正を行って、地域の特性に配慮した結核対策の推進、結核に関する正しい知識の普及、結核研究の推進等を国及び地方公共団体の義務として位置づけ、結核根絶に向けた結核対策の推進を図ろうとしているところであります。
#134
○委員長(種田誠君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより順次採決に入ります。
 まず、精神保健法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#135
○委員長(種田誠君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、木暮君から発言を求められておりますので、これを許します。木暮君。
#136
○木暮山人君 私は、ただいま可決されました精神保健法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、平成会、新緑風会及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 以下、案文を朗読いたします。
    精神保健法の一部を改正する法律案に対
    する附帯決議(案)
 政府は、精神障害者のノーマライゼーションを推進する見地から、次の事項につき適切な措置を講ずるべきである。
 一、精神障害者手帳制度の創設に当たっては、障害者のプライバシー保護に最大限の配慮を図ると同時に、手帳の有無にかかわらず、社会復帰施設の利用などができるようにすること。また、手帳制度に基づく福祉的措置の充実が図られるよう努めること。
 二、精神障害者の社会復帰と自立と社会参加を促進するため、社会復帰施設等の積極的な整備に努力すること。
 また、今回法定化が見送られた小規模作業所の制度的位置付けに向けて検討を進めるとともに、精神障害者の地域における生活の支援のための拠点の整備に努めること。
 三、精神保健におけるチーム医療を確立するため、精神科ソーシャルワーカー及び臨床心理技術者の国家資格制度の創設について検討を進め、速やかに結論を得ること。
 四、より良い精神医療の確保や精神障害者の社会復帰を促進するという観点から、精神保健を担う職員の確保に努めるとともに、患者の病状に応じた適切な精神医療が行えるよう、社会保険診療報酬の改定に当たっては、必要に応じ、所要の措置を講じること。
 また、精神医療審査会が、患者権利擁護機関として機能できるよう、運営等について検試すること。
 五、精神保健指定医の研修内容の充実を図るとともに、精神医療の質の向上を図るよう適切な措置を講じること。
 六、精神障害者に対する社会的な誤解や偏見を是正するための正しい知識の普及をはじめ、地域精神保健福祉の推進を図ること。
 七、精神障害者を抱える保護者に対する支援を充実するとともに、今後とも公的後見人を含めて保護者制度の在り方について検討すること。
 八、精神障害者の定義については、障害と疾患の区別を明確にしながら、その趣旨の徹底を図ること。
 また、精神障害者の各種資格制限及び利用制限について、精神疾患を有する者が全て適格性を欠くというものではないことから、その緩和や撤廃について今後とも引き続き検討すること。
 九、精神科救急医療の体制の整備を一層推進するとともに、阪神・淡路大震災における被災者・精神障害者が通常の生活に復帰できるよう万全の相談と診療の体制をとること。
 右決議する。
 以上であります。
#137
○委員長(種田誠君) ただいま木暮君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#138
○委員長(種田誠君) 全会一致と認めます。よって、木暮君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、井出厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。井出厚生大臣。
#139
○国務大臣(井出正一君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
#140
○委員長(種田誠君) 次に、結核予防法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#141
○委員長(種田誠君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#142
○委員長(種田誠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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