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1995/03/10 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 文教委員会 第3号
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1995/03/10 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 文教委員会 第3号

#1
第132回国会 文教委員会 第3号
平成七年三月十日(金曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十八日
    辞任         補欠選任
     川橋 幸子君     森  暢子君
 三月二日
    辞任         補欠選任
     喜岡  淳君     会田 長栄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         松浦 孝治君
    理 事
                南野知惠子君
                森山 眞弓君
                会田 長栄君
                及川 順郎君
    委 員
                井上  裕君
                木宮 和彦君
                田沢 智治君
                上山 和人君
                肥田美代子君
                本岡 昭次君
                森  暢子君
                林  寛子君
                乾  晴美君
                江本 孟紀君
                橋本  敦君
   国務大臣
       文 部 大 臣  与謝野 馨君
   政府委員
       文部大臣官房長  佐藤 禎一君
       文部大臣官房総
       務審議官     雨宮  忠君
       文部省生涯学習
       局長       泊  龍雄君
       文部省初等中等
       教育局長     井上 孝美君
       文部省教育助成
       局長       遠山 耕平君
       文部省高等教育
       局長       吉田  茂君
       文部省学術国際
       局長       岡村  豊君
       文部省体育局長  小林 敬治君
       文化庁次長    林田 英樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青柳  徹君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (文教行政の基本施策に関する件)
○国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松浦孝治君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二日、喜岡淳君が委員を辞任され、その補欠として会田長栄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(松浦孝治君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(松浦孝治君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に会田長栄君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(松浦孝治君) 教育、文化及び学術に関する調査のうち、文教行政の基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○南野知惠子君 自由民主党の南野でございます。
 本年は戦後五十年という節目の年に当たります。また、大臣が所信でお述べになられました来るべき二十一世紀はわずか六年後に迫っております。
 戦後、日本の教育は飛躍的な拡大、発展を遂げており、平成六年度の高等学校への進学率は九六・五%、大学、短大へは四三・九%、専門学校を含めた高等教育全体では六二・四%に達しております。このような普及のもとに我が国の今日があると思っております。しかし一方、初等中等教育ではいじめや不登校、高校中退などの問題、高等教育では大学改革などが課題となっております。
 臨教審以来、中教審、大学審、生涯学習審議会などで教育改革、教育のあり方が検討されてきておりますが、五十年を振り返っての評価と二十一世紀を見据えた今後の教育のあり方について、大臣のお考えをお伺いいたします。
#7
○国務大臣(与謝野馨君) 明治維新を境にいたしまして、それまでの私塾、寺子屋を中心とした一般国民に対する教育から国が中心となった教育制度に移ったわけでございます。そういう意味で、日本の教育は小学校、中学校、高等学校を通じまして、ある意味では世界に類例のないほどの成功をおさめた私は教育であったと思います。
 また、そのことに関しては外国でも高い評価を受けておりまして、今でも日本の学制や教育制度を知りたいという各国の、発展途上国の方々もたくさんおられるということだろうと思います。そういう意味では、全体的に見れば日本の教育行政というものは成功したと私は評価していいのだろうと思っております。
 しかしながら、こういう教育を進めてまいりますと、とかく画一的になりがちでございますし、また画一的になったことの弊害、受験戦争などというようないろいろな弊害も生まれてきております。そういう意味では、硬直性を打破するということは我々文部省あるいは国会に課せられたやはり大きな課題の一つであろうと思っております。
 臨教審を境にいたしまして、個性重視の原則、あるいは人間一生学ぶのであるという生涯学習の考え方、あるいは日本一国内で通用するようなことだけではだめで、やはり国際的に通用する教育というものを考えていかなければならないという思想もまた生まれてきたわけでございます。
 現在はそういう個性重視あるいは生涯学習あるいは国際化、そういう物の考え方を軸として教育改革が進められているわけでございますけれども、先生御指摘のように、二十一世紀という新しい時代を迎えるに当たって、私どもとしては現在さまざまな検討をすべき課題、あるいは解決しなければならないという課題に直面しているんだ、そういう認識を持たなければならないと思っております。そういう意味で、中央教育審議会、中教審を再開すべく、私どもとしては現在省内で準備中でございます。
#8
○南野知惠子君 新聞報道によりますと、現在第十五期の中教審の設置が検討されているようでございます。来年度予算にはカリキュラム構成等に関する調査研究費が新規に計上されており、二十一世紀の学習指導要領を作成するための調査研究も動き出しております。学校教育に対する社会の要請と学校週五日制をにらんだ大変難しい作業になるのではないかと思われますが、この際、中教審を開いて大いに議論すると今大臣お話ございましたが、大変結構なことだと思っておりますが、中教審発足についての大臣の御所見と、ぜひ議論してほしいテーマ、また希望などがございましたらお聞かせいただきたいと存じます。
#9
○国務大臣(与謝野馨君) 最終的に確定しているわけでございませんけれども、中教審に諮問する内容については以下のように考えております。
 一つは、学校週五日制、いじめ問題等に対処いたしまして、学校、家庭、地域社会の役割と連携をどう図っていくべきかという問題。第二は、理科離れ、国際化、マルチメディア等の情報化など社会の変化に対応する教育をどう進めるか、こういうものを柱に諮問してはどうかというのが現在文部省内での議論の中心でございます。
#10
○南野知惠子君 次は、早いもので阪神・淡路大震災より既に八週目に至っておりますが、被災された皆様方の御努力、全国からの善意や協力が積み重ねられておりますが、学校教育の正常化、それに向けての復旧、復興の現状と今後の見通しについてお伺いいたします。
#11
○政府委員(遠山耕平君) 阪神・淡路大震災により被害を受けました学校施設は、公立学校施設で約三千校、私立学校等を含めました学校施設全体で三千九百校となっておりまして、これらの施設の復旧を早急に行う必要があるわけでございます。
 これらの学校のうち、軽微な被害については、既に復旧工事を行いまして正常な状態に復旧し、教育活動に使用されているところでございます。それから、被害の甚大な学校施設につきましては、設置者におきまして応急工事を行う一方、応急仮設校舎の建設など施設の本格的な復旧までの間に必要な措置を講ずるとともに、学校施設の復旧計画の策定を急いでいる段階でございます。
 文部省としましては、これらに必要な国庫補助金等につきまして平成六年度第二次補正予算に計上したところでございますが、今後とも学校施設の復旧が円滑かつ迅速に行われるよう最大限の努力をしてまいりたいと思います。
#12
○南野知惠子君 ありがとうございます。一刻も早く学生が校庭または教室に、その喜びの声が満ちあふれるように願っております。
 それから次でございますが、近年、高齢化の問題とともに少子化の問題も大きく取り上げられております。少子化が学校教育に与える影響につきまして文部省としてどのようにお考えになっておられるのか、また来年度からは少子化対策専門官が置かれるようでございますが、設置の目的と文部省の少子化問題に対する施策についてお伺いいたします。
#13
○国務大臣(与謝野馨君) 近年の少子化の進行に対応いたしまして、政府全体として子育て支援のための政策展開を図ることが大変重要な課題であると考えております。平成六年十二月に、今後十年間における子育ての基本的方向と重点施策を盛り込んだいわゆるエンゼルプランを文部省、厚生省、労働省、建設省の関係四省で取りまとめをしたところでございます。
 文部省関係の重点施策としては、安心して子どもを産み育てる環境の整備を図るため、子育てに伴う経済的負担の軽減、子育てに関する相談体制の整備等による家庭教育の充実等が挙げられております。
 文部省といたしましては、来年度予算案においても幼稚園就園奨励事業の推進や家庭教育の充実など関連施策の充実に配慮いたしましたところでございますが、今後とも関係省庁と連携、協力しながら、一層の推進に努めてまいりたいと考えております。
#14
○南野知惠子君 子供を産む、産まないというのは個人的な問題でございますが、少子化の問題は文部省のみならず全省庁にまたがると言えるほど大変大きな問題だと思います。国としてはさまざまな施策を積み重ねておられますが、今ほど大臣がお話しくださいましたように、子供を産み、育てやすい環境を整備していくという方法しかないのではないかと思われます。いずれにしましても、内閣が一体となった総合的施策の推進が必要と考えますが、さらに大臣の御所見をお伺いいたします。
#15
○政府委員(泊龍雄君) 少子化に対する文部省としての取り組みにつきましては、先ほど基本的な考え方を大臣から御説明申し上げたところでございますが、お尋ねの中にございました少子化対策専門官の設置についての件でございます。
 これにつきましては、いわゆる少子化対応ということで文部省内においても関係局課が一体となって施策を推進する必要がございますが、特に教育という観点から、家庭教育面における充実あるいは意識改革といったようなことを企画、立案していくといったような形で少子化対応の積極的な施策の展開を図りたいということで、来年度、少子化対策専門官という形での設置を予定いたしているところでございます。
#16
○南野知惠子君 次は、いじめの問題につきましてでございますが、大臣も所信の冒頭にお取り上げになられました。解決に向けての意気込み、または熱意が伝わってまいりました。文部省では、現在、いじめ対策緊急会議における検討やいじめ総点検の調査も実施されております。いじめ対策緊急会議における検討現状とその報告や時期、またいじめ総点検調査の結果について簡単にお教え願いたいと思います。
#17
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 いじめ対策緊急会議は、愛知県におきますいじめを苦にした中学生の自殺事件など最近の深刻ないじめの状況等を踏まえまして、昨年十二月九日に発足し、いじめの問題に関する緊急の対応方策等については集中討議を行いまして、関係者が当面緊急に対応すべき点を緊急アピールとして取りまとめ、提言を行ったところでございます。
 その後、緊急会議におきましては、いじめの問題解決のために関係者が当面とるべき方策等につきまして数回にわたって精力的に御検討いただき、来る十三日に開催予定の第七回会議におきまして、緊急会議としての報告を取りまとめまして文部省に提言をいただく予定となっているところでございます。現在、報告の最終的な取りまとめ作業を行っているところでございます。
 また、いじめに関する調査につきましては、現在最終的な集計を行っているところでございまして、これにつきましても十三日までにはその結果を取りまとめてその集約を行いたい、このように考えているところでございます。
#18
○南野知惠子君 現代社会は日常でも非常にストレスの多い社会になっております。子供にとりましても同様であり、心の健康、メンタルヘルスの問題にどう対処するかは学校にとっても喫緊の課題だと思っております。不登校、保健室登校、いじめなどの対策として、養護教諭による相談活動の充実は不可欠であると考えております。
 養護教諭の役割につきましても前回要望申し上げましたが、一部の自治体では健康主任、養護主任という制度もあるようでございます。緊急会議の報告がまだでございますが、それらの中にはそのような回答も見られるのではないかというふうに思っております。その点で、養護教諭の保健主事への登用を求めるとも言われております。ぜひ、その実現をお願いしたいのですが、新学期からはそうなるよとの力強い大臣の御所見をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#19
○国務大臣(与謝野馨君) 先生御指摘のように、近年心の問題を持って保健室を訪れる児童生徒が多く見られる状況にございます。いじめなどの問題解決のためにも、養護教諭がこうした児童生徒の心の悩みにこたえる適切な相談活動を行うとともに、養護教諭が得た情報を学校全体で共有し、いじめの問題の解決に活用していくことは大変重要であると考えております。
 このように、養護教諭がいじめの問題解決に果たす重要な役割やその専門性を活用して保健主事として活躍できるようにすることについては、いじめ対策緊急会議においても議論されているところでございます。文部省としては、このような養護教諭の果たす役割の重要性にかんがみ、養護教諭を保健主事に充てることができるよう前向きに検討してまいりたいと思っております。
#20
○南野知惠子君 全国の養護教諭のみならず、学生、児童たちが喜ぶのではないかなと思いますので、ぜひそのようにしていただくことを大変感謝申し上げます。
 平成三年の日本学校保健会の調査では、一日当たりの保健室の利用者数は、小学校、中学校、高等学校と順に多くなり、おのおの一校一日平均約三十人にも及んでおります。また、同調査によりますと、教育相談部に所属している養護教諭は約三分の一となっていますが、学校全体の養護相談活動は養護教諭を含めて展開すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、約三分の一の小中学校には保健室に付随する相談室、相談コーナーがあるとされておりますが、子供たちのプライバシー、人権を守るためにもこのような相談室は相談活動に不可欠と思われますが、いかがでございましょうか。あわせて御所見をお願いいたします。
#21
○政府委員(小林敬治君) お答えいたします。
 養護教諭が行う相談活動の充実を図ることが非常に重要になっているわけでございますので、養護教諭の先生方にはカウンセリング技術の向上を図っていただきますとともに、保健室が児童生徒に常に開かれたものとなって相談を受けやすい環境をつくっていくということが重要だと考えております。
 このため、例えば保健室に相談室あるいは相談コーナーといったものを付随させていくということが重要でございまして、今先生がおっしゃられましたように、平成二年に私どもが行った調査でも、小中高等学校の約三分の一にそうした措置がなされておるわけでございます。今後とも私どもといたしましては、児童生徒に対する相談活動につきましては、空き教室等を活用した相談コーナーの確保などを含めまして、児童生徒が相談しやすい場が確保されまして、相談活動が一層充実したものとなるように指導してまいりたいと考えております。
#22
○南野知惠子君 ありがとうございます。そのような場所で性教育などの相談もできればこの上ないことだというふうに思っております。
 文部省、特に文部大臣におかれましては、先ほど御答弁もいただきましたが、養護教諭が果たす役割の重要性についてよく御認識いただき、感謝申し上げます。
 平成五年度から十年度までの六年間の教職員配置改善計画では、養護教諭の複数配置も含め、小中学校では千百八十四名、高校では八百三十九名の計二千二十三名の増員が予定されておりますが、養護教諭に対する期待と子供たちのニーズを考えますと、この計画を一年でも短く前倒しで行っていただきたく要望を申し上げます。さらに、複数のうちの一人は救急処置、応急手当てや心身の変化が読める看護教育の背景がある方が望ましいということは前回も申し上げましたので、御高配いただけるものと確信いたしております。
 養護教諭になる道は、一種免許取得の方法の一つに、看護教育の後、公衆衛生看護学校でさらに一年間の計四年の教育がありますが、内容を御検討いただきますと、この通した四年間の教育は大学と同じレベルにあるとも思います。また、平成五年、愛知教育大学に養護教諭専攻の課程も設置されました。養護教諭の教育と大学レベルでさらに大学院へとつないでいきたいと考えるものであり、大臣にこれらのことを強く要望申し上げておきます。
 次に、専修学校に学ぶ生徒の数は平成六年五月一日現在で八十三万七千人、そのうち専門課程は六十八万五千人で高等教育人口の約二〇%を占めております。専修学校は、職業人の教育を行う高等教育機関として我が国の高等教育の拡大に大きな役割を果たしてきたと思います。昨年六月には専修学校設置基準の改正も行われ、専門学校から大学への編入学のための条件整備も整っているのではないかと思います。また、今月末に開かれる大学審議会大学教育部会総会では、平成七年度に編入を正式に承認し、文部省に答申する見通しと新聞に報じられております。専門学校卒業生の大学への編入について、大臣の御所見をお伺いいたします。
#23
○国務大臣(与謝野馨君) 専門学校は、学校制度上は一条学校とは別個のものと位置づけられております。そのため、専門学校卒業者の大学編入学は現在制度上認められておりません。しかし、大学における学習機会の多様化を図る方策の一つとして、生涯学習及び高等教育の活性化の観点から検討すべき課題であると認識しておりまして、現在大学審議会において専修学校設置基準の改正や専門学校の実情などを踏まえつつ御議論いただいているところでございます。
 大学審議会では、現在、編入学の道を開くことについてはその意義を認める意見も多いわけでございますけれども、一つは、学校教育法上、これまで一条学校以外から一条学校への編入学は認められていないことから、法律的な考え方をどうするのか。第二には、専門学校の教育内容や水準は学校により多様であることから、大学編入学を認める場合の基準をどうするか。これらについてさらに十分な御審議をいただいているところでございます。
 文部省としては、大学審議会に鋭意御検討いただき、できるだけ早い機会に方向をまとめていただきたいと考えております。
#24
○南野知惠子君 本当にそのような道が開かれますならば、我々にとっては朗報と言えると思いますし、学校の活性化にもつながるのではないかなと思っております。よろしく御検討をお願いしたいと思っております。
 最後に、教科書の価格についてでございます。
 予算案を見ますときには、いつも新規の予算に目が行ってしまいます。財政当局が教科書有償化をねらう中で、平成七年度の予算で文部省が一番頑張られたのが教科書価格についてではないかと思っております。昭和五十七年度以来最高の三・四%引き上げとなった価格改定ではないか。
 近年、教科書も大型化し、またカラー化が広がってきております。主たる教材としての、子供たちが学習が楽しく、学科が好きになるような教科書、そういった役目を考えますときに、単に低価格であればよいというわけにはまいらないと思います。低価格に抑えることが企画、編集などのさまざまな試みを抑制する結果になるだけでなく、発行供給に対し支障を来すことも十分考えられます。魅力ある教科書を供給するために今後も適切に価格の改定を行っていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 さらに、これは平成五年度の数字でございますが、例えば小学校の家庭科の教科書は百九円、算数は二百六十三円、社会は二百七十円、中学の音楽は百九十円でございました。ちなみに、本日持参いたしておりますが、小学校の生活科は本年度七百九円から来年度七百三十三円になります。また、理科は五百八円から五百二十五円になります。それと中学校の外国語、これは英語でございますが、このようなきれいなカラーでございます。これが二百六十二円から二百七十一円でございます。これは普通のノートでございますけれども二百八十円でございます。
 そのようなことを考えますときに、やはり価格の適正化というのが必要でないかと思っております。教科用図書検定調査審議会におかれまして価格算出のあり方自体を見直すべきなどの委員の御意見がございますが、定価算出方法の見直しにつきまして大臣のお考えをいただきたいと思います。
#25
○国務大臣(与謝野馨君) 詳しくは政府委員から答弁をいたさせますが、教科書をつくっていただいている方に赤字で教科書をつくってくださいというのは、これは無理な話でございます。しかしまた、教科書をつくって大もうけをする世界でもありません。そういう意味では、やはり公正な価格の決め方というものがあるはずでございまして、先生の御指摘の点を含めまして私ども考えていかなければならないと思っております。
#26
○政府委員(井上孝美君) 教科書の価格につきましてはただいま大臣から御答弁があったとおりでございますが、事務的に補足をさせていただきますと、教科書の定価につきましては、先ほど先生からお話がございましたように、教科用図書検定調査審議会におきます主要教科書発行者の教科書関係部分の経営分析を踏まえまして、公共料金や財政的観点も考慮した上でその改定を行ってきているところでございます。平成七年度予算案におきましては、先ほど先生からもお話がございましたように、三・四%の定価改定にかかわる経費を計上しているところでございます。
 文部省といたしましては、個性豊かで多様な教科書が発行されるよう、今後とも引き続き適正な価格改定を図るように努力してまいりたいと考えております。
#27
○南野知惠子君 そのような点でぜひ御考慮いただき、やはり業者の倒産などがないようにお願いしたいと思っております。
 ありがとうございました。これで質問を終わります。
#28
○木宮和彦君 自民党の木宮でございます。
 きょうは大変忙しくて、予算委員会やら、沖縄の特別委員会の理事もやっていますし、それも今委員会やっていますし、文教の方もありますので、幾つ体があっても足りないような一日でございます。一時間今から質問しろということで、通告を受けましたのがおとといの朝でございまして、何も考えておりませんが、一応ともかく一時間責務を果たさなければなりませんので、いろいろとあっちへ行ったりこっちへ行ったりとんでもないことを聞くかもしれませんが、それはあらかじめひとつ大臣、御了承を賜りたいと思います。
 まず最初に、今いろいろ政治改革が行われ、そして行政改革が行われ、そしてまた財政問題についてもいろいろと議論されておりますが、私は戦後五十年たってやはり日本の教育も大分ほころびてきたなと、言ってみれば金属疲労を起こしたようなもので、あちこちにほころびが出ていると思います。
 それは、例えば二、三日前に有馬先生が座長をやっている、実業高校をこれからは専門高校というふうに名前を変えて、そして大学の先生もそこへ非常勤で行って実務的なこと、あるいはその他いろいろ好きなことを子供たちにひとつ夢を持たせてやらせたらどうだと。現状では、例えばの話で恐縮でございますが、農学校なども、どうしても行けないからしようがなく農学校へ行くんだと、おれは百姓やる気はないよというような子供が実は入ったりする。これは国家的に言いましても、本人にとっても学校の先生にとっても非常にやりがいのないことでございます。
 ところで、そういうことについて、これから根本的な問題がかなり多くなりますので、ひとつ大臣よろしく、わかる範囲で結構ですから、ぜひいつもの調子で自由に御発言を賜りたい、こう思います。
 まず最初に、実はNHKでこの間アンケートをしていましたが、あなたの近くにもし震災があった場合にあなたはボランティアとして参加しますかということで、年層別にこれをやりましたら、一番多いのは何と、私そのとき目を疑ったんですが、二十歳の前半とそれから五十歳の後半の七〇%以上の人が、私もボランティアに参加して何かやりたいという世論調査が出たそうでございます。
 なぜ二十歳の前半と五十歳の後半が七〇%以上で、その中間が比較的少ないといいますか、それに比べれば低いと思いますが、これは大臣、もしこのことを聞かれて何か自分で思い当たる点、大臣たまたま五十の後半に入りかけたころだと思いますけれども、恐らくそういうボランティアをやりたいその部類のお一人だと思いますけれども、どうですか、何か御感想があればひとつお話しいただきたいと思います。
#29
○国務大臣(与謝野馨君) 人間は個人で生きているという部分と社会に帰属して生きている部分と両方あるわけでございまして、自分がどこかのこういう社会に帰属しているという帰属感というのは、やはり人間の一つの私は生きがいであると思っております。
 ボランティア活動というのは、みずから進んでこういうことをしたいという気持ちがあり、なおかつ、そういう行為によって何か利益を得ようとか償いを得ようとかという世界でもございません。やはり国や社会や公共のために社会的に有用性のあることをやりたい、こういうことでございまして、専らボランティア活動に参加するということは、それぞれ個人の内面的な満足感を得る、またその内面的な満足感を得ることによって社会に帰属しているという帰属感を得るといった、端的に言えばそういうものを通じて自分の生きがいを見出すということでございまして、今の若い方々もやはりそういう社会的に有用性、意義を持ったことに参加をしながら自分の生きがいを見出そうと、そういう大変健全な私は思想であると思っております。
 五十代の後半がどうであるかということはちょっとわかりませんけれども、多分いろいろな職業、自分の職業を十分やってこられ、また家族も立派に育てられ、今後社会のために何か役に立つことをやろうという大変高邁な、まさにみずから進んで生きがいを求めようと、そういう行為であると思っております。
#30
○木宮和彦君 これは私見で大変恐縮でございますが、どうも二十歳の前半の方というのは、大体今の二十の人は昭和五十年に生まれたわけですね。それからまた、二十五歳の人は四十五年に生まれたわけです。言ってみれば、四十四年、五年というのは東大紛争のあった時期でこざいまして大変世の中が混乱をしておりました。そして、そのころ生まれた子供さんがいよいよ物心がついて、そして落ちついて学校で教育がある程度なされるような時期にちょうど入っていったということで、私は、これは勝手な意見ですから当たってはいないと思いますけれども、どうも学校生活が充実したり落ちついてしっかり勉強できれば、やっぱりそのときに培われた思いやりの精神というものが年をとってからもある程度それが出てくると。
 五十歳以上もそうだと思う。これは戦後、ちょうど戦前に生まれた方が戦争を経て、そして平和になって新しい教育体制になって、混乱はしたけれどもしかしそこで教育がなされた。その思いが、やはり五十五になっても六十になってもそのときのことを思い出して、やっぱり何とかして日本の国をよくしたい、こういう意図が私は何となく出てきているんじゃないか。
 そこへいきますと、その中間の人は、教育の中で何かぼうっとやってきたり、あるいは混乱の中でやってきたからなかなかそれが芽生えなかったんじゃないか。これは勝手な私見でございますから、決して私は学者でもなきゃ分析したわけでもございません、勘でございますが、そんな気がしてなりません。
 さあ、ところで、きょうは三月十日でございます。もう与謝野大臣はよく御存じだと思いますが、三月十日は東京大空襲があった日です。私にも思い出がございます。私は別に東京に住んでいたわけではありません、静岡に住んでおりましたけれども。
 私のおやじがたまたま歴史の学者でございまして、特に遣唐使、遣隋使については当時も非常に立派な業績を残し、戦前にも立派な著書をつくりました。そして、それをそのときに改訂いたしまして、新しく模様がえをして、当時は日華文化交流史と言いましたけれども、実は原稿が書き終わって、そして冨山房という本屋に、出版するというんで原稿をその出版社に送った。ところが、その原稿が墨田区の下町の印刷所に回されておって、それが一夜にして全部灰じんに帰しちゃった。今まで自分が三十年かかって、あるいはもっとかかって一生懸命研究したことが全部そのときに一瞬にして灰になってしまった。そして、電報が来て、原稿が焼けましたというそれだけの電報だったと思いますが、その電報を自分が受け取って見た、そのときのおやじの何というか、がっかりしょぼんとしたその姿をいまだに私は思い起こすことができます。五十年前です、ちょうどね。それが東京の大空襲の日であったと思います。
 さあ五十年たちました。国会でも平和と不戦の決議をするのしないのと、私はしない方がいいと思っていますが、まああっちの人はするかもしれませんけれども、これは政治的な問題でございまして、私は、いろいろ歴史観、特に戦争に関してはいろんな意見があると思います。私も戦争中はどちらかというと戦争大反対だった。
 自分のことを言って大変恐縮でございますけれども、昔は軍事教練というのがありまして、甲乙丙丁とあった。甲と乙にならないとこれは上の学校、上級学校を受けてもそれだけでもう文句なしに、操行不良ということですな、はっきり言えば、受けたところでみんな試験の点数を見ないで落とされちゃう。私は残念ながらそのとき丙を一回とりまして、もうこれで将来は全くなくなりましたが、たまたま高等学校の教師を私のおやじが知っていたので、うまいこと校長に頼み込んで、何とかしてくれということで、言ってみれば横から入ったようなものでございますけれども、そんなことがございました。
 もう五十年たった。私は、その間、日本という国はやはりいろいろ反省し、平和を有し、理念もあったけれども、残念なことは教育においてはまだ足かなる国是といいますか、日本はこういう人間をつくりたいんだというね。戦前は教育勅語というのがありました。私もいまだに覚えています、いい悪いは別として。今読んでみても何が悪いのかよくわかりません。まあ、天皇が中心になったというところが戦争を起こし悪かったということであると思いますけれども。
 しかし、ああいうものじゃなくても結構です。もっとわかりやすい、子供にわかりやすいもので、平和を愛しましょうとか、親を大事にしましょうとか、友達を大事にしましょうとか、何かあったら、災害があったときにはみんなでもって助け合いましょうとか、やはりそういうわかりやすくて、しかもみんなに受け入れられるようなもの。
 小学校なり中学校に、学校教育の中に、昔は修身、今は道徳があると思いますが、それを活用して、国家意識、特に今安保がありますけれども、安保はもう空洞化して機能をこれから果たさないと思います。みずからはみずからの力でもって、日本人は日本人でもってこれからはしっかりと生きていくような人間を私はつくっていかなきゃならない、こう思います。
 この間も予算委員会で私言いましたけれども、よくリベラルと簡単に使っちゃいますけれども、リベラルというのは自由じゃないんです。自分の意思で決定してそれを自分で行って、そして最後の責任は自分が負うというのが私はリベラルの本当の精神だと思うんです。だから、今度の日教組の問題も大変私は残念に思っております。
 そういう意味で、人間に例えますと、教育というのは私は体だと思うんですよ。それで、例えば産業とか経済とかいろんな基盤のことについては、これは洋服なんですね、言ってみれば、人間にとってみると。だから、幾らきれいな洋服を着たって、幾ら立派な服装をしたって、やはり体や心が汚れておったり薄汚かったらこれは何にも人間としての価値がないと思う。だから、日本においても、教育というものはまさに体だと思いますが、その体が侵食されたり不健康であったりしたならばこれは本当の教育の効果が上がらない、私はこう思うんですね。
 ですから、もうちょうど五十年たった。社会党さんも自民党と組んで今連立与党になっています。ぜひこれから未来に向けて、これからの五十年間に向かって、日本の教育はこういうふうな子供を育てるんだという旗を自信を持って文部省が高々と上げてもらいたい。それをみんなでもって、大勢の人の意見を聞いて、こういうものがいいだろうということをやるなら結構です。別に文部省だけでかつてのようにつくることはないと思う。しかし、そういうものがないということは、価値観の多様性は結構ですけれども、やっぱり最小限度、平和であるとか隣人を愛するとか、親に孝養を尽くす、あるいは先生に対しても敬愛する、そして友達同士が仲よくやるというようなことは、これはもうぜひ必要。
 それからもう一つ大事なことは、やっぱり宗教的を雰囲気といいますか、別に宗教に利用されちやいけませんけれども、何か子供たちがそういうことに接することにおいて私は効果が上がってくると思うんです、これは私の考えでございますが。
 文部大臣として、私の今のお話を聞いて、いやそれはあかんとおっしゃるならそれで結構でございますし、それも少しは考えた方がいいということでしたら、それもまた将来必ず考えていただきたい。これはすぐ、きょうあすの問題じゃございませんけれども、ひとつその御感想をお願いいたしたいと思います。
#31
○国務大臣(与謝野馨君) 日本の憲法というのをどう考えるかということでございますけれども、日本の憲法ができましたのは日本が戦争に負けた直後でございましたけれども、十九世紀、二十世紀を通じましていろいろな国々がいろいろな憲法を試みたわけでございます。そういう中で、第一次世界大戦の惨禍あるいは第二次世界大戦の非常に大きな、本当にもう地球全体を巻き込んだような大きな戦争、そういう戦争全体を反省し、やはり理想主義的な憲法をつくるべきだということは日本人も恐らく考えておりましたでしょうし、また世界各国も考えていたわけでございます。
 日本の憲法に流れ込んでいる思想というのは、一つは、やはり明治憲法の反省の上に立った一つの思想。あるいは国際連盟、国際連合と続きましたいわば世界を法によって支配する、法的な支配によって世界平和をつくろうという思想も流れ込んできておりましたし、また、やや理想主義的過ぎると言われましたワイマール憲法の思想もその中に恐らく入ってきたのだろうと思います。
 しかしながら、総じて申しますと、そういう意味ではいろいろな思想が取り入れられておりますけれども、戦後混乱期につくられた憲法としては秀逸な憲法であり、事実の問題としては、やはり日本の戦後五十年の平和を守ってきたということについては私は大変高い評価を与えるべきものだろうと思いますし、また国民は憲法に関しましては全く抵抗感なく受け入れ、それは国民の間に私は今や定着しているものだろうと思っております。
 また、日本の戦後五十年の教育に関する思想の淵源、根源と申しますのも、やはり戦後の私どもの憲法から流れ出たるものでございまして、昭和二十二年につくられました教育基本法の第一条も「教育の目的」として、「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」と書いてございまして、昭和二十二年に大変立派な法律をつくられたものだと私は今考えております。
 その中で、先生の今御質問の中にありました道徳教育の問題でございますが、これは戦前は修身と呼び、戦後は道徳と呼んでおりますけれども、これは同じことを言っているのだろうと思います。人間が生きていくため最低限持つべき基礎的な倫理観、また他人に対する思いやり、そういうものを全部包含して道徳と呼んでいるわけでございます。
 また、それと同時に、地球上の人口が毎年一億何千万という規模でふえていく現状を考えますと、みずからの生き方という面での基礎的倫理観のほかに、やはり環境問題等に関する一つの考え方、倫理観というものを持っていかなければ地球人としての資格に欠けるという側面も新しい時代の課題として出てきたのではないかと思っております。
#32
○木宮和彦君 大臣のお話もわからないわけではございませんが、やはり教育の中に具体的に何か、現在道徳という時間が設定はしてありますが空洞化してほとんど、恐らく予習か補習か何か知りませんが、そういうものに活用されているような現状でございます。これではやっぱり教育としては、決してこういう人間をつくれなんて頭から決めることはありませんけれども、例えば震災を取り上げても、あるいは環境の問題を取り上げても本当にやることはいっぱいあるんですね、人間として生きていくためには。やっぱりそういうことを一つの理念に基づいて、それはきちっとやってもらわないと子供がかわいそうだと思います。将来、生きるために私は非常に大事なことだと思います。
 次に、これもタブーでして、こんなことは余り言われちゃ困るとは思うんですけれども、日本の近代史ですね。戦前は、日本は皇国史観といいまして、かの有名な平泉澄先生が、東大の先生ですが、この人が皇国史観をやりました。それでずっと流れてきましたから、イザナミ、イザナギノミコトから、アマテラスオオミカミから神話が始まってきましたけれども、戦後はそれが、卑弥呼が出てくるし、要するに邪馬台国が出てくるし、やれ考古学が出てきて、客観的ないわゆる実証的な日本史にだんだん移りつつありますが、その方はいいです。
 ごく最近、ここ百年から百五十年ぐらいのことについては現場でも触れたがらない。しかも、歴史の授業のときに、日本史の授業をずっとやっていますと、大体二月ごろになるとそこら辺にきて、もう学校なくなっちゃうものだから結局はやらない、教科書には書いてあるけれどもね。先生も意見を言いたくない、それから試験にも余り出ない。だから、そういうことでもって非常に、今の若い人たちと言うと怒られますが、要するに近代日本の成り立ちとか経過というものを私はほとんど知らないと思います。
 実は私、この間、ある短大を卒業した子供に吉田茂の話をしたら、そんな人知らないと言うんだもの。ああそうかな、吉田茂も知らないかなと。吉田茂は戦後政治家の代表だと私は思っていたんだけれども、その人すら知らないのならあとは全然知らない。田中角栄も知っているかどうかわからぬ。だから、日本の歴史の近代史というものはほとんどやられていないというのが現状だと私は思うんです。
 なぜそうなっちゃったか。これは日本の国民が自信がなくなってきてしまったからじゃないか。戦争のことについても、これははっきり分析して、学者なり、しかも日本だけじゃなくて近隣の国も入れて、あるいはヨーロッパの人も入れて、日本の歴史を客観的にやっぱり史実を解明する必要が私はあるんじゃないかなと思う。
 実は、私の経験ですが、いつだったかな、昭和四十年ぐらいだと思いますけれども、生まれて初めて韓国へ行きました。日本の看板は一つもありません。走っている車は全部自分の国か外国の車で、日本の車は一台もなかった。しかも、あそこの仁川の公園へ行ったら安重根という立派な銅像が、これ何だと言ったら、そうしたら案内してくれる人が、これは英雄だと、伊藤博文をハルビンで殺したんだと。私、その安重根なんて知らない。アンジュウコンだからおまんじゅうかなと思ったら、そうじゃなかった。
 それからまた、向こうでは加藤清正、豊臣秀吉、伊藤博文というのは、これはやっぱり韓国にとっちゃ国賊。我々にとってはそれほど、僕は織田信長と豊臣秀吉と徳川家康といえば日本人の最も何というか、世論調査じゃないけど、どの人が一番好ましいと思うかというと、大体豊臣秀吉じゃないかと思うんですね、日本人の感覚としては。これは教えられた教育のせいもあるでしょうけれども、日本人的な考えと隣国の韓国の人の考え方とでやっぱり人間の評価も違うんじゃないかと、こう思います。
 私は、さきの大戦は、大体この間の大戦も、さきの大戦と天皇陛下がおっしゃいます。あの大戦とかまだ名前もづいていない、はっきり言って。昔は大東亜戦争とか太平洋戦争とか第二次大戦とか言いましたけれども、今はそれは全部、マッカーサーが太平洋戦争を使っちゃいかぬと言うから使えないから、結論は今やこの間の大戦です。だから、過去の大戦とか、そういう評価――評価というか、そのくらいあやふやにしてきていることは事実なんです。
 私は、はっきりとここで、日本国民としてあるいは日本政府として、文部省としても、さきの大戦じゃなく何々の戦争はと。これは悪けりゃ悪いでいいです。私は、これは全部悪いとは思わないです、はっきり言って。やっぱり中国に対して最初に侵略したのは、あれは侵略戦争です。日支戦争というのは、当時あれは日支事変と言っていた。あれは宣戦布告も何にもしていないんですよ。あれは陸軍のばかが行って――きょうは、それに対して反論する先生が時々いますからね。私は、あれは侵略戦争だと思っていますよ、はっきり言って。
 だけれども、アメリカと戦争をやったのは、これは宣戦布告していますし、しかもあれは向こうは知らなかったと言うけれども、それはあやしいし、チャーチルに至っては、ああこれでもってドイツと戦争やって勝てる、日本が攻撃してくれたためにアメリカが参加してくれるだろうというので、まああれは意図的にやられた。しかも、ハルノートというあの手紙を見ればわかる。あれを読めばどこの国だってもう戦争せざるを得ない。食うものから石油から何から全部だめになっちゃうんですから、これは自分で生きるには自分でやっぱりやらにゃならぬというのは、これはしょうがない。
 だからこそ、我々の同級生みんな戦争でもって、これはだまされたかもしれぬと言うけれども、みんな特攻隊でもってたくさんの若い命が、あそこの九州の鹿屋の基地へ行きますと、本当にあの遺書を読むと私は泣けてくる。そういう侵略戦争ということが国民の意識にあれば、あんなことはありませんよ。やはり当時は、ともかくこの戦争は私は、日支事変は別ですが、アメリカとの戦争においては、これはある意味において、それは世界観が違いますから人によってみんな違うと思いますけれども。
 それから、大東亜戦争と言ったのは、それは石油が欲しいあれが欲しいということでもって、やっぱりこれも侵略行為だったと思うね、私は。そういうふうに私は思うんですけれども、しかし、それらをあやふやにして何も一から百まで全部悪い、あるいは逆にここがよかったと言うとまた怒られるということでもって、全く今やこれが論争にもならないし、タブーになって、黙っていた方が票がとれると政治家は思っているし、文部省も黙っていた方が日教組にやられないと思うし、みんなそれぞれお互いに自分のことに拘泥して、これが表へ出てこないことは非常に不幸なことだと私は思います。
 ぜひひとつそういう意味で、文部大臣はお若いですし、それから非常にいいお年だし、私みたいに古くなるとあいつと思われますけれども、余り若過ぎてもいけませんが、将来の名文部大臣のために、ぜひ日本の近代史の史観について、文部省としてもある意味において取り上げていただくような、決意なんというそんな大げさなものじゃありませんが、そういう作業みたいなことをやる気がございますか、ひとつお伺いしたいんです。
#33
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 先生御案内とおり、歴史教科書の検定は、国が特定の歴史認識あるいは歴史事実を確定する立場に立って行うものではなく、あくまでも検定の時点における客観的な学説の状況等に照らしまして記述の欠陥を指摘することを基本としているところでございまして、そういう点から御理解を賜りたいと思うわけでございます。
 また、日本の近現代史につきましては、特に昭和五十七年に教科書検定基準を改正いたしまして、近隣のアジア諸国との間の事象につきましては、「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること。」を追加いたしまして、その後はこの基準に基づきまして検定を実施しているところでございます。
#34
○木宮和彦君 局長のおっしゃるとおりだと思いますよ。だけれども、令ともかく私が言ったことについて、文部大臣、言いたくなければ結構でございますが、どうでしょう。この日本の近代史について大いにみんなでもって、決めるのはまだ十年先でいいと思う、あるいはもっと先でもいいと思うが、やっぱりこれは検討すべき事柄だと私は思う。それがまた将来のために私はいいことだと思うんで、それは声を大にしなくてもいいですけれども、ぜひひとつ客観的に日本を見詰めてもらういいチャンス、ちょうど戦後五十年でございますから。その辺はどうでしょうかね、お答えができればどうぞ。
#35
○国務大臣(与謝野馨君) 歴史は、歴史的な事実とあるいは歴史観に基づいた史実の評価と、大ざっぱな分け方をいたしますとそういう二つの側面があるのではないかと私は思っております。
 そして、過去に関しましては、過去を消し去ることはできないということもございます。明治維新のときに日本が門戸を開放して以来、西欧に追いつき追い越せとまでは言わなくても、追いつかなければならないという日本人の考え方がございまして、そういう意味では無理を重ねたという側面は否定しがたいものが私はあると思っております。そういう意味では、さまざまな歴史観がございますけれども、よその国に行って戦争をするというようなことを繰り返したということは、やはり私ども日本人としては反省をしなければならないことだろうと思っております。
 歴史の見方というのは、それはいろんな史観がございますからいろいろな角度から物を見ることはできるわけでございますけれども、昭和に入りましてからの日本の政治家の判断というのは誤りの連続ではなかったかというふうに考えております。
#36
○木宮和彦君 与謝野大臣のおばあさんは、弟よ「君死にたまふことなかれ」と、これは当時としては大変な発言というか詩だと思うんで、これは物議を醸したと思いますけれども、私はやっぱりそういう、今はそういう人がいなくなり過ぎたですね。本当のことを言わないから、だからみんな縮こまっちゃって、日本人は。
 この間、平山郁夫東京芸術大学学長先生を自民党でお招きして、実は文化についてのお話を聞いたんです、今プロジェクトをやっていますから。そのときにいみじくも平山先生いわく、日本人は何で日本文化を大事にしない、日本文化を知らな過ぎると。外国人は、ともかく自分の国の文化を中心にしてよその文化のことについて普及していく。だから逆に、日本で評価されなくてパリへ行って絵をかいて、そして向こうでもって非常に立派になった人だけれども、それで一生懸命油絵をかいているんだけれども、やっぱり逆に、逆説的に日本の文化というものを物すごく、現地では日本の文化に誇りを持って毎日生きていると。だけれども、日本に来るとそうでもなくなっちゃうと。確かにそういう側面があろうかと思いますが、やはりこの文化についても、現在の文化も日本文化というものはどうやら戦後相当抹消されてきた、そんな気がする。
 これはなぜかというと、学校教育の中に入り込む余地がなかったから。それからもう一つは、漢方医学といいますか東洋医学も西洋医学、オール・オア・ナッシングで、漢方医学なんというのは大学の医学教育のカテゴリーの中にほとんど入れないから、結局各種学校か何かでやってしまう。そういうことによってやはり社会的な評価ができない。しかし、今になってみると、どうも西洋医学もおかしいじゃないかという、そういう何といいますか、実際に患者になってみると、いや、あのお医者さんよりこっちの漢方の方が効いたよというような声もしばしば難病の場合には聞くわけです。
 そういう意味でもどうかもう一度、日本人は東洋を思い出し、日本を思い出し、文化でもそれから芸術でもぜひそういう点について文部省は着目をしていただけないかどうか、ひとつ大臣いかがですか。
#37
○国務大臣(与謝野馨君) 現在、国際化ということが言われておりますけれども、やはり国際化を論ずるのであれば、日本人自体の立脚点がしっかりしていなければならないというのは先生の御指摘のとおりだと私は思います。
 日本の伝統的な文化というものは、私は大変高く評価すべきものだと思っておりまして、そういうものを今後とも守り育てるということは大変文化庁にとりまして大事な仕事であるわけでございます。
 それと同時に、日本人の今の若者はファッションの世界でも世界超一流の方を輩出しておりますし、また建築の分野、デザインの分野あるいは音楽の分野、こういう世界での日本人の活躍というのは国際的レベルにもう当然到達し、中にはそういう中でのリーダーも随分生まれてきているわけでございまして、大変私は頼もしく思っているわけでございます。
 それと同時に、先生は東洋医学のお話をされましたけれども、大学によっては、例えば北里大学では東洋医学の研究所も持っておりますし、決して日本人が東洋医学等を軽く見ているというわけではない、むしろそういうものに対しての尊敬を持っていると思っております。
 ただ、近代的な科学や医学の思想の中には実証性ということが大事な視点になっておりまして、これが効くのだという風間で医薬品を使う、あるいは東洋医学の薬を使うということではなくて、東洋医学であれ西洋医学であれ、やはりそれが効果があるという実証性に基づいて医学というものは成り立っていると、そういうことは離れることのできない一つの大事な私は原点であると思っております。
#38
○木宮和彦君 今、大臣の中から文化庁の話が出ましたけれども、私はやはり、こういう行政改革のときだから省をふやすということは大嫌いですけれども、しかし文化省ぐらいはつくってもいいと思うんだよね、はっきり言って。なぜかというと、これはもう先進国みんな文化省ありますよ。しかも、文化大臣というのは物すごく国際的に活躍をしています。
 先ほどの平山郁夫先生は、プノンペンへ行ったり、あるいはエジプトへ行ったりして、若い人を連れていってボランティアでもってその遺跡のあれを一生懸命復元したり、いろんなことをやっている。そうすると、向こうで何か国家的行事があるときには、ともかく元首が出てくる。そして、平山さんのところには必ず招待状が来る。だからへたなODAやら橋をつくったり、ああするこうするというよりも、むしろ文化を通じてやることはだれも敵にもならないし、非常に喜ばれるし、しかもそういう遺跡について盗掘されたり、あるいは補修ができなかったりして特にアジアの国々は困っている。
 そういう意味で言うと、私はむしろ今の六百億円なんてけちな金じゃなくて、もうちょっとやっぱり、せめて三倍、四倍出して、そして文化庁が国際交流、ODAをもらってくればいいんだから、そういうことをやれるような仕組みというものを日本はつくっていくべきだと、こう思うんです。これは平山先生もそう、私も前々からそう思っていて、ああ同じことを考えているなと思って実は非常に何といいますか、心強く思ったんですが、どうですか、文化省を設立するというお考えは文部省の中にはないですか。
#39
○国務大臣(与謝野馨君) 文化省をつくるべきだという御意見は各方面にございます。実は、文化省をつくるということも大事な考え方の一つでございますけれども、むしろ真の文化を振興するということがやはり最も大事なことであると思っております。ただ、私がいつも考えておりますことは、文化文化と言って官製文化ということでは困るので、やはり国民がみずからの意思と能力と発意でそれぞれの分野で文化的な価値を高める活動をしてくださる、そういうものに対して文部省、文化庁が側面的な御支援を申し上げるというのが私は正しい姿ではないかと思っております。
#40
○木宮和彦君 私も同感でございます。それは大臣のおっしゃるとおりだと思います。
 ただ、現在、各市町村、自治体に行きましても、いわゆる市民文化会館あるいは町民文化会館、立派なものをつくっていますよ。これをどうするんだ、具体的には名前を言いませんけれども、言うと怒られますから。ともかく二十億も三十億も、時には五十億もかけて小さな田舎の町でもって、自分のところの一年間の歳費の三分の一ぐらい使ってつくっていますよ。もう競争でつくっている。いいことですよ。だけれども、その運用の実情は、つくるともうがらがらで、来るのはほとんどカラオケをやりに来るくらいのものでして、本当に文化のにおいらしい行事というものは行われていないんです。
 それだけまた何にも育っていない。それじゃ採算もとれない。しかも、高くつくったから料金も高く設定せざるを得ない。そうするとあいちゃうから、私の学校なども、ともかく卒業式でも何でもいいから、おたくに講堂があるかもしれないけれどもこっちでやってくれと言われるから、ああわかったといって協力していますけれども、しかしそれじゃ本当に情けないと私は思う。
 もう少し、せめて、せめてそういうものをつくるんだったら、美術館も同じですけれども、そこに学芸員がいると同じように、やはり博物館があったり美術館があったりするのと同じように、そういうホールができたらそのホールの運営をサポートする人間を養成してもらわないと、これはうまくいかない。
 電話をかけてごらんなさい。上野ならいざ知らず、例えば地方のホールに電話をかけて、今月はどういう催しがありますかと聞いたってわかりませんよ。それはどういう人が来て、どういう曲をやるんですかと言ったってわからない。これはどういうあれですかと言っても、それもわからない。要するに、彼らがそこに常駐しているのは、ただ建物の管理、安全管理が一番の仕事であって、それを運営しようというそういう、だから私は、美術館もちょっと足りないとは思うけれども、学芸員みたいなもので、やっぱりホールにはホールなりに文化を運営していくような、大分最近大きな都市ではそういうのを委員会つくってやろうなんということで始めましたけれども、何かそれは早急にある程度、宝の持ち腐れになっちゃいかぬし、仏つくって魂入れずじゃ困るんだから。そういう意味からも本当にみんなが、それには文化的なセンス、いいものに接する、そういうことをしばしばやらないと日本人が文化的な興味を持たないんじゃないかと、私はそう思いますが、文化庁何か御意見ありましたら、あるいは何かこれからの施策がありましたらどうぞ。
#41
○政府委員(林田英樹君) ただいまの先生の御指摘、大変重要な点だと私どもも思っております。
 近年、地方公共団体におきまして公立文化会館のような施設が相当拡充をされてまいりましたけれども、御指摘のように必ずしも十分活用されていないものも多いということが私どもの調査でも出てまいっております。そういう意味で、文化庁として近年この点に特に力を入れておりまして、地域文化の振興のための課も設置をいたしまして、また御審議いただいております明年度予算につきましても、このような文化会館の活動を支援するためにいろんな事業を入れたものを予算としてもお願いしておるところでございます。
 特に、芸術団体と文化会館の関係者の情報ももっと交流を密にするというふうなこと、それから最近、先生もおっしゃっておりましたけれども、アートマネジメントというようなことの重要性がいろいろ言われるようになっておりますけれども、そういう専門家の研修活動というふうなことを中心にいたしました事業を予定いたしておるところでございます。
 もちろん、こういうものは地方公共団体が中心になってやっていただく必要がございますけれども、私どもとしても、地域文化振興のための施策を今後このような施策を進めながら充実してまいりたいと思っております。
#42
○木宮和彦君 ぜひひとつ頑張って。
 実は、私も夕べ、静岡で私の短大の音楽科のコンサート、これはモスクワの音学院の先生、すばらしいですね、やっぱりピアノの音。それからバイオリンやりました。きょうも東京の何とかというところでやるので私も行きますけれども、きのうは朝から五時半まで仕事をして、それで行って、また夜中の十二時に宿舎へ帰って、それからきょうの質問のことで、だからちょっと頭が痛いんですけれどもね。しかし、やっぱりいいものね。
 これはモスクワの人なんで、そう言っちゃ失礼ですけれども、本当に金がないし、今生活苦、その上にまた、ああいう体制の国だからスポーツでも芸術でもいいものはどんどん国が養成したものだから、もうそれは日本人が圧倒されますね、素人の私が見ていても。ああこれはもっと大勢の人に聞かせたいと思ったって、私の力はそんなにないし、東京に出てきてやるといったって、そんなに券が売れるわけでもないし、今夜どうなるかと非常に心配をしています。
 まあ、そこそこ皆さんがやっぱり苦労もしているし、また音楽家というのは一匹オオカミですから、なかなか協調してやろうなんという精神の人は少ないんですよ。そこをチームワークでもってある程度そういうことを日本のために、文化のためにやろうという、そういう意識を文化庁がひとつ、自分から率先してやってもらうということがこれから非常に必要だと、私はそう思います。
 そんな話ばかりしていると、まだたくさん余っています。全部余っていますけれども、あと十五分ですから、今度は具体的な話に。私の演説はやめます。
 まず最初に、大学問題から先に行きましょう。私はこの間も予算委員会でちょっと申し上げたんですが、国立大学と私立大学、公立大学をいろいろ分析してみました。ところが、どうも非能率、非効率で、そして難しいというのが、これが国立大学の経営でございます。これは無理もないと思います。それぞれ法律がたくさんありますからね。やれ人事院の規則だとか、しかも大学そのものは一般行政と同じ仕組みでやれというので、学校の先生もそれにやっぱり属されていますから、四十時間の勤務時間というと、それをうそを一生懸命事務官がつくるわけですから大変ですよ、これは。
 だから、国立大学事務官というのはすごいですな。大体教授と同格というか、同じくらいの数がいるんですよ。私立学校は、私の学校なんか半分もいませんが、ひどいのは二割か三割ですね。それじゃ手を抜いているかというと、そうでもないですよ。やっぱり仕組みが、今の国立大学のいわゆる会計事務なりあるいは先生方の何というか、時間割り一つ作成するにも、入学試験についても、すべてが非能率的であるということだけはまず間違いないと、私はそう思っています。
 人件費率から見ても大体国立大学というのは、私が調べた範囲ですが、学校によって違いますが、大体平均でもって七三・九%なんですね。それに対して公立の方は四五・七%、私学は五八・一%です。これは非常にアバウトな数字で、正確かどうか知りませんよ。私の計算によると、大体そんなことになっています。
 これは要するに、国立大学の先生の人件費が多いというのは先生が給料がいいということじゃないんですね。それじゃ公立大学が低いか、そうでもない。これは研究費との関係がある。研究経費が多いところは人件費が下がっちゃうし、人件費が多いところは、そこら辺は何といいますか、パーセンテージで占める率ですから必ずしも当たっていないと思いますが、少なくとも現在の国立学校においては、そういう意味では一生懸命やっている割には効率が上がらない。何とかこの辺は考えてもらわないと、将来のためにも、国立大学の存亡がかかっているような気がいたします。
 具体的には、ここに何という先生だかのいい論文がありますから、これここで読み上げませんけれども、ぜひまた勉強していただいて、どうしたらもうちょっと効率的な国立大学の経営ができるかどうか、これがまず第一点。
 それからもう一つは、前に予算委員会でもお聞きしたんですけれども、学校教育法によれば、大学でもそうですが、要するに一条校がつくれるのは国か地方公共団体があるいは学校法人、この三つだね、放送大学は別として。この三つなんですよ、設置者は。だから、設置者が違うということはこれはよくわかる。いろいろやり方も違うでしょう。だけど、少なくとも国立大学の大多数は、八割程度のものは、私立大学とやっている内容も、やっている事柄も、やっている方法も、まあ大体似ているのじゃないかな、こう思います。
 だからもう少し、今は大学がそこまで普及しちゃっている、かつては、帝国大学令の場合には、国民の中の本当にごく一部のエリートなんですね、まあ一〇%に至らないと思いますよ。そういう人たちのときにつくった慣習をそのまま今日まで受け継いでやっているからおかしくなってしまう。これはやっぱり改革してもらわないと。
 大学の自治というのはありますけれども、私は大学の自治というのは認めなくちゃいけないけれども、これは学問の自由なんですよね。あの人はこういうものを発表したから首切っちゃう、これでは困る。これは教授会もそのためのあれがあると思います。しかし、会計の中身まで一々自治でやるわけじゃありませんから、だからその辺はひとつ各学校を信頼されて、予算の配分にしてもある程度やっぱり大づかみでやって、それでもって運営させるような機構をぜひとつてもらいたいと私はそう思いますけれども、どうですか国立大学について。
#43
○政府委員(吉田茂君) 前段の人件費の関係でございますが、これは御指摘のようにいろいろの数字のとり方がございまして、なかなか難しいわけでございます。例えば、大規模な研究所を含めるかどうかというようなことがございますが、私どもの試算ですと、四年度のベースで考えますと、国立大学については人件費の占める割合は約五六・七%、公立大学については約四四・四%、私立大学については約四八・八%、これが人件費の占める割合ということでございますが、これは数字のとり方その他によりまして相当変わってくるわけでございまして、これは一つの例でございます。
 国立大学が多いのは、私ども分析いたしますと、一つは研究所などの学術研究のウエートが多いのと、それから医学部、工学部を初めとして教職員の数を要する理科系の学部が多いというようなこともございますが、しかし御指摘のように、国立大学の効率的運営ということは非常に大事なことでございまして、そのための大学改革を現在いろいろな形で進めてまいっております。
 組織、運営等の改善充実は一層推進しなければなりませんし、学部等の人員、入学定員は既に来年度予算では減少というような形になっておるわけでございます。そういった効率的な運営につきましては、さらに努力をいたしたいと思っております。
 それから、いろいろな人事、会計、そういったものにつきましての旧来のやり方、そういうものは御指摘のように改善をしていかなければならないということでございまして、事務組織の効率的な運営を含めまして、あるいは学長のリーダーシップの充実、あるいは自己点検評価の推進、こういった改革をさらに一層進めてまいりたい、このように考えております。
#44
○木宮和彦君 ぜひひとつ文部省としても効率のいい国立大学の経営をしていただきたいと思います。
 ただ、先ほども申しましたけれども、国家行政組織法第八条の二の文教施設として行政官庁となっているんですね、国立大学は。ですから、これはやっぱり考えにゃいかぬことでありますし、国家行政組織の一つとしての一般行政官庁の規律をすべてこれに応用していますから、だからなかなか大変だと思います。ただ、あるのは教育公務員特例法がありますけれども、これでもやっぱり一般職と同じで本当はやらにゃいかぬですけれども、なかなかその辺が非常に複雑な人事院規則に縛られておりますから、なかなか事務員がたくさんいるということはよくわかります。しかし、その辺はひとつ悪いことは早く直して、それが少しでも有効な方へ金が使われるようにやっぱりすべきではないかなというのが私の感想でございます。
 いずれにいたしましても、国立大学の役目は非常に大きいし、また今後も国民が期待しているわけですから、ぜひひとつその点は心して今後ともやっていただきたい、こう私は思います。
 次に、今度は六三三制の問題に関してですけれども、今は大体幼稚園と保育園がもう九一%以上の就園率なんですね。これ小学校と大差ないんですよ。静岡県なんか九六%なんです。もうほとんどの親も、四歳になれば、最近は三歳でももう六〇%になっているんですが、三歳か四歳になれば必ず幼稚園へやる。また、やらなきゃ小学校に入ったって知恵おくれみたいになっちゃいますから。
 だから、幼稚園教育というものをもう少しやはり、一条校であるし、今までは私立六〇%、それから保育園が大体三〇%、公立は一〇%ぐらいなもんでしょう。そういう意味で、何とかこの幼稚園教育にスポットライトを当てて、そしてしっかりした教育をしていただきたいと私は思います。非常につましい経営でもって、本当に何といいますか、毎日毎日闘っているような幼稚園の方が多いというのが現実でございますが、その辺は目をそらさないで、ぜひひとつ考えてもらいたい。
 今回の村山政権はやさしい政治と言うんですから、まさにその辺が、お母さんもお父さんもまた若いから経済的な能力もないし、むしろ小学校へ行くとほっとするというような、幼稚園はそのぐらい金がかかるわけなんですから、その辺のことについてひとつ今後の文部省としての力の入れ方について御答弁願いたい、こう思います。
#45
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 幼児期の教育は、生涯にわたる人間としての健全な発達を図り、社会の変化に主体的に対応する能力を培う上で基礎となるものでありまして、生涯学習の基礎を培う観点からも重要な役割を果たしていると認識しております。
 特に幼稚園教育につきましては、家庭、地域社会と一体となってよりよい教育環境を擁して、幼児が発達に必要な経験を得られるような適切な教育が行われることが必要でございまして、先生おっしゃるとおり、幼児教育の重要性は一層高まっているというように認識しているわけでございます。
 平成六年五月一日現在で、幼稚園の就園率につきましては、三歳児二七%、四歳児も五七%というようにふえてきているところでございまして、また経済的にいろいろ幼稚園児を持つ父母が若年であるということから、その収入、所得も一般的に低いわけでございますから、従来から幼稚園就園奨励費等の予算措置も講じまして、その負担の軽減にも努めているところでございます。
 今後とも幼稚園教育の充実に向けた施策につきましては、私どもとしてその施策の充実に向けた取り組みを一層進めていきたいと、このように考えているところでございます。
#46
○木宮和彦君 もうあと三分でございますので、今度は私の言いっ放しで、答えは結構でございます。
 この間から村山内閣、一生懸命やっています。特に特殊法人の統廃合、それからきょうはまた規制緩和についての中間まとめと。私は、文部省さんからいろいろ示されまして、正直言ってこれで仰々しく規制緩和だとかあるいは特殊法人だとか言うのはおかしいなと思ってはいるんですが、これはお答えは結構でございます。
 せめて、私立学校法というのがありますね、これは私も私立学校の理事長でございますからよく知っていますけれども、私立学校の役員というのは三親等以内は一人を超えてはいけないというんです。だから、親子でやればそれだけで、ほかの三親等以内の人は一人も入れません。兄弟でやっても同じことです。私のところも、私が理事長をやっていますから、現在は一人めいの亭主がやっていますけれども、それだけです。あとは全部役員にはなっておりません。だから、特殊法人も、できたら一省庁一人を超しちゃいかぬと、大蔵省のあれだったからね、ほかの省ならいいけれども。そうでもしない限りは、あんなことを一生懸命役人さんにお願いしてやったってできるはずがないと思うんだね、きょうは総務庁、いるかもしれませんけれども。
 私はそういう意味で、切り口を変えて、やっぱり必要なものは残して大いにやってもらわにゃいかぬと思う。何もなくすだけが能じゃないと思う。文部省なんかも一生懸命やっているんですから、今回はたまたま私学が弱いから私学共済組合と私学振興財団が一緒にさせられるけれども、いいですよ、それも。私は別に反対しません。
 だから、国のために、国民のために、これから税金をまだまだたくさん取らにゃならないんだから、そのためにはやはり国みずからがスリムになって、これだけのことをやりましたから、国民さんよろしく頼むというそういう姿勢がなければ共感は得られないと思いますね。ですから、そういう意味で、文部省さんもそうですが、総務庁さんも大いにひとつ期待しておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 時間になりました。言いっ放しで済みません。
#47
○森暢子君 社会党の森でございます。
 まず第一番に、阪神・淡路大震災における地域での学校の役割、こういうテーマで質問いたします。
 私も、二月十三日ですが、神戸市長田区のある中学校に行ってまいりました。その学校では、先生方が朝六時ごろもう出勤なさって、体育館にいっぱい被災者の方がいらっしゃるんですが、その人たちの食事の世話と管理、それから物資の運搬と仕分け、そういうことをなさっているわけですね。何人かの先生方は学校に泊まり込んでいらっしゃるということで、大変お疲れの様子でした。それで、授業再開をしたくても先生方が被災者の方のお世話でなかなか授業再開ができない、こういう状況でした。
 そこで、被災者をいろいろとお世話している学校が授業再開できるように協力しようということで、他県の教職員の組織が立ち上がりまして、そしてボランティアを募ってその学校にボランティア活動を実施しておられたわけです。それでようやく午前中の授業、午前中だけですけれども、授業を再開することができたということでした。つまり、その学校に避難している人たちのお世話を引き受けて、先生方に学校を始めてもらう、そういうことをやっていらしたわけです。それぞれ各県は三人一組で二泊三日、これを三月じゅう続けるということでした。
 阪神・淡路大震災における文部省の対応が「文部省関係地震対策の概要」ということで、こういうのが出ておりまして、そこを見せていただきました。その中で、学校が避難所として使用されて十六万人を超える被災者を受け入れているということです。この概要の中に書いてありますのが、教職員が救援活動に従事しているというふうに書いてあります。そして、「教育活動の早期再開のための措置」として、これも「円滑な実施」ということで報告されているんですが、「関係機関に施設・設備の応急復旧を指導。」、それから「安全点検のため、文部省、各都道府県教育委員会の建築技術者を派遣。」、こういうふうに書いてあるんですね。
 それで、教職員が被災者のお世話をしながら学校教育の早期再開というのがこれでできるんだろうかな、何かずれがあるんではないかとこう思ったわけですが、現場へ行ってみての感想なんですけれども、いかがお考えでしょうか。
#48
○国務大臣(与謝野馨君) 一時期は確かに、先生がおっしゃるような数の方が学校に避難をされておられました。現在はその数も大分減ってまいりまして、六万人をちょっと超える数になってきております。しかしながら、学校施設等はいまだ避難場所としての重要な拠点となっております。そこで、先生がごらんになったとおりでございまして、校長先生を先頭にほぼ全職員が食事の世話、健康の世話、あるいはもろもろの外部との連絡等々、文字どおり獅子奮迅の御活躍をされておられます。
 こういうものに対して、今後本格的な授業再開に向けてどうするのか、こういうことでございますが、現在ほぼ全校授業再開に至っておりますけれども、これもいずれも変則的な授業再開でございまして、短縮授業をやったり、あるいはよその学校を借りたりということで、やはり本来それぞれの所属する学校に行って短縮授業でないフルの授業を受ける時期を早くつくらなければならないと思っております。
 そういう面では幾つかの大事なことがございまして、一つは、やはり学校施設で被害を受けているところをなるべく早く復旧すること、通学路等の安全を確保すること。それから、これは仮設住宅との関係がございますが、避難民の方が円滑に他の場所に彩られるというような他の省庁の施策にまつべきものもございますけれども、そういうハードの面での整備。それから、現在まで働いてこられた教職員の方々も相当お疲れになっておりますので、そういう方に気持ちの上でも体力の上でも回復をしていただくということも大事なことでございます。また、一時的に県外あるいは通学区域外に彩られている児童生徒も多数おられますので、そういう意味では授業再開に至ったときの教職員配置の弾力的な考え方、そういうもので十分な教職員を確保するということも大事でございます。
 また、もう一つ、ソフトの面では、やはり授業が再開された後に児童生徒の心の問題をきちんと解決する体制をつくっておく、こういうもろもろのことをやり遂げて本格的な授業再開に到達しなければならない、そのような決意で文部省は仕事をしております。
#49
○森暢子君 そこで、校長それから教頭、先生方どお話をしたんです。聞きましたところ、避難していらっしゃる人たちがいろんな悩みを持っていらっしゃる。それを聞いたり、要求を聞いたり、意見を酌み取って、そして秩序ある生活ができるように、食事もきちっと平等に分けてするとかいうふうなことに対して先生方がすごく能力を発揮されたということをおっしゃっておられました。これは本当にしつけているからよかったのかなと思うんですけれども、ぼっと来たボランティアの方では到底できない、それを先生方が大変きちっとなさったということを評価なさっておりました。
 ただ、学校の施設設備をすべて開放するという方針でやっているので、本格的に学校現場が授業を再開されたときに備品とかいろんなものはどうなるのか心配だ、これを文部省に要求してほしいというふうな御意見を聞いて帰ったんですね。ところが、補正予算の地震対策のを見ましたら、そこに施設設備を含んで補正が組まれていたようなので、多分それで足りるんではないか、目的は達成できるんではないかというふうに思っております。
 それでもう一つは、学校が避難所として今回被災者の受け入れに大変重要な防災拠点であるということを実証したわけですね。しかし、学校には水とか食糧とか、そういうものを備蓄する設備がありませんし、冷暖房の設備についてもほかの公共機関とは大変劣っているわけです。非常時の通信手段も学校にある電話だけということで、防災拠点としての機能の不備があると思う。これは大きな教訓を残したと思います。
 その防災拠点としての整備が進まない大きな原因として、備蓄倉庫の設置は学校の目的外使用となって、その部分には補助金が出ないというシステムになっていると聞いておりますが、文部省は自治省との間で補助金の弾力的運用などの協議を行うということだそうですけれども、これから各関係省庁に働きかけて学校の防災拠点としての設備とか充実、そういうことに取り組まれると思うんですけれども、その辺について決意と御所見を伺いたいと思います。
#50
○国務大臣(与謝野馨君) 学校というのは教育施設でございまして、まず教育施設としての機能を完全に持っていなければならないということは当然でございます。しかしながら、今回の大震災の例を見るまでもなく、やはり学校というのは地域コミュニティーの中核的な存在である。また、建築も堅牢であったということから防災拠点、避難場所として多く使われたということは事実でございますし、今後もそのようなことになるのではないかと思います。
 そこで、それならば学校施設自体にいざというときのいろいろな施設も併設をしておいたらどうかという御意見だろうと思いますが、そういう例は事実東京二十三区にもございまして、食糧の備蓄を学校でも行っておりますし、また、例えばプールの水を浄化装置を通じて飲料水に変える装置を持っている学校も東京二十三区内には既にございます。こういう傾向は少しずつ全国的に広がっていくものだと思いますが、その御判断はやはりそれぞれの市町村等が防災という観点から御判断されることだろうと思います。
 先般、閣議後、野中自治大臣から、そういう問題について自治省と文部省と話し合いをしたいというお申し出がありましたので、私どもの事務当局も現在自治省と、学校と防災、あるいは防災施設をつくる場合の予算を含めたもろもろのこと、こういうことを実務的に、事務的に話し合いを始めているところでございます。
#51
○森暢子君 それでは次に移りたいと思いますが、次は、私が見出しをつけましたら、羽ばたけ十五歳、十五の春を泣かすな、こういうテーマでちょっとお話ししたいと思うんです。
 つまり、高校改革の一つとして、今高校入試制度の改革が各県で行われているようです。これも文部省から公立高等学校入学者選抜の改善等に関する状況ということで資料をいただきまして、この中に見直しの状況がどういう方向で行われているかというのが出ておりました。
 その中で、一つの例を挙げますと、県立高校の入試で推薦入試を拡大する、枠を拡大。それから、傾斜配点といいまして特定の教科の比重を高める配点をする、調査書の中ですね。それから調査書については、学習の記録の欄に興味とか関心、意欲などを評価する観点別学習状況欄の新設とか、学区を広げるとか狭めるとか、いろいろな見直しがされようとしているんですけれども、これについて、このようになったらプラスになるとか、いや、これはちょっとおかしいんではないかとか、いろいろなこれらに対する評価があると思うんですが、文部省としてどのようにお考えでしょうか。
#52
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 高等学校入学者選抜の改善につきましては、文部省といたしましては従来からその改善について指導をしてきているところでございますが、さらに平成五年二月に都道府県教育委員会等に対しまして通知を発しまして、各都道府県や各学校の積極的な取り組みを求めたところでございます。
 現在、各都道府県におきましては地域の実情等に即しましてさまざまな方策によって改善が進められているところでありまして、先ほど先生からもお話がございましたように、例えば推薦入学の積極的活用、調査書と学力検査の比重の置き方の工夫、学力検査の実施教科等の工夫、生徒の個性や長所を多面的に評価するための調査書の改善、小論文、作文、実技検査等の活用などが図られているところでございます。
 文部省といたしましては、このような取り組みを引き続き進めますとともに、さらに、例えば各学校、学科等の特色に応じた多様な選抜方法を実施することや、受験機会の複数化の面などについても一層の改善を進めていく必要があると考えており、今後とも各都道府県や各学校におきます取り組みを促してまいりたいと考えております。
 また、入学者選抜の改善とともに、生徒の個性を最大限伸長させるため、生徒の学習の選択幅を拡大するなど各学校の教育課程を改善していくことや、総合学科や単位制高校の設置を初め特色ある学校づくりを行うことが肝要でありまして、この点の取り組みについても推進してまいりたいと考えております。
#53
○森暢子君 しかし、地域の実情に応じてということで文部省は取り組んでいるようですけれども、実際現場に行きますといろいろ問題があるんですね。例えば、通学区域の見直しというのが今やられておるんですが、学区を拡大するんです。それで、全県から自由に受験できるということです。または、学区を拡大、廃止する方向で進められている県がたくさんありました。
 学区を今まで設定してきたその裏には、特定の高校へ入学志願者が集中することを避けるとか、高等学校教育の均等化を図るとか、それから生徒の就学とか通学の適正を図るとか、そういうことが目的に行われてきたと思うんです。例えば、自転車で三十分以内に通えるのを一つの学区というふうに決めるとか、それぞれやってきたはずなんです。それが学区を拡大、廃止する方向でもし改革されれば、高校の学校間格差がますます拡大するのではないか、それからそのために受験競争がより激化するのではないか、または不本意入学の増加を招いてまた十五の春が泣かれるのではないか、そういう懸念を持っております。そういうことについてどのようにお考えでしょうか。これでいいでしょうか。
#54
○政府委員(井上孝美君) お答えいたします。
 ただいま先生からお話がございました通学区域につきましては、各都道府県で地域の実情を踏まえながら各高等学校に特色を持たせ、生徒の特性に応じた学校選択が可能となるような方向で検討する必要があること、また生徒の居住地によって高等学校受験の機会が大きく異なることのないように配慮する必要があることなどについて通知を差し上げているところでございます。私どもとしては、やはり実際の通学区域の設定につきましては各都道府県教育委員会が各都道府県の実情を踏まえて適正な通学区域の設定をしていただきたいというように考えておるところでございますので、ただいま申し上げました点を配慮していただいて、通学区域については適切に対処していただきたいと思っているわけでございます。
 なお、中学校における進路指導の改善については、もう既に先生も御案内のとおりでございますので、そういう進路指導の改善、高等学校における入学者選抜の改善、それと現在高等学校教育改革を推進しておりますが、そういう三つの観点を総合的に勘案しながら、高等学校の入試改善についてはより一層効果があるような取り組みを私どもとしては指導してまいりたいと考えておるところでございます。
#55
○森暢子君 いろいろと実情がございますので、ぜひ十五歳の春が羽ばたけるように文部省はしっかりと各県の実情を見てください。そして、適切な御指導をやっていただきたいと思います。
 それで、これまで子供たちは高校入学のために激しい受験戦争をくぐり抜けなければいけなかった、関門があったわけです。厳しい試練を知らず知らず私たちは与えていました。学校も家庭も先生方も、これはいけないなと思いながらも、ぜひ全員に高校に入学してもらいたいという思いから厳しいそういう試練を知らず知らず与えてきたと思うんです。そういう中で、いろいろと今後考えなきゃいけないんですが、私が言いたいことは、これを機会に高校準義務化へ考えていけないかということなんです。
 その一つの資料としまして、少子化が進んできますね。これはお聞きしようと思ったんですが、十五歳人口が平成元年の二百五万人、これをピークにこれから減少していきます。少子化の影響ですね。平成十六年には百二十九万人になるという予測がされております。これに対して、平成六年度の高校入学定員は約百六十四万人です。ですから、このまま今の高校の定員規模を維持していけば高校全員入学も可能となる計算になるんです。十五歳人口減少期に入ったこの今の時期が、希望する生徒がすべて高校に入学できる高校準義務化のもう最高のチャンスではないかというふうに思います。
 文部省は今こそこれを見て中長期的にそういう計画を立てるべきではないかというふうに思うんですけれども、文部省の見解をお伺いしたいと思います。
#56
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 中学校卒業者の高等学校進学率は平成六年度におきましては九六・五%に達しておりまして、高等学校進学希望者のほとんどが高等学校に進学している状況にあることは先生もお話しのとおりでございます。
 高等学校段階の青少年の能力、適性、興味、関心、進路希望等は多様化している状況にございます。高等学校におきましては、これらの青少年にその能力、適性等に応じた効果的な教育を実施していくためにも入学者選抜を行うことが必要でございます。したがって、高校への進学希望者を選抜なしですべて入学させることは適切ではないというふうに考えているところでございます。
 また、この段階の青少年の多様化した能力、適性、興味、関心、進路希望等にふさわしい進路選択が行われることが大切であると考えておりまして、一律に高等学校への就学義務を課すことは適切とは考えていないところでございます。
#57
○森暢子君 全員に高校に行きなさいという就学義務を課することは、それは問題があるというふうに今おっしゃったわけですね。それはいいと思いますよ。それぞれ人生を、自分は学問でいこうとか、または専門教育をつけてそういう世界で、コックとしてやっていこうとか、理容、美容の世界で生きていこうとか、それは人生の選択でありますからいいと思うんですけれども、十五歳に厳しい受験競争の中で、それを理由にいろいろと小さい胸を痛め、そしていじめの問題も起き、その中で脱落していく子供たち、そういう現状が競争主義でやってきた私どもの教育の中の負の遺産として今残されていると思うんです。これを今回、少子化の問題と、それから今、南野先生から御質問ありました中央教育審議会で何を目的として何を審議するのかというところに大きな目標がなければ本当に子供たちは救われない、そういうふうに思います。
 続いて、中央教育審議会の充実に向けてということで、南野先生の方から審議会再開とか内容はどうかというふうなことで文部大臣の御所見もあったのでこれはもう省きますけれども、私が申し上げたいのは、何を審議するかはこれから文部大臣がお考えになると思うんですけれども、やはり完全学校五日制に向けて学習指導要領の見直しというのも当然あるのではないかと思います。何かいろんな議会で、地方議会が学習指導要領の抜本的見直しを求めて意見書も出しているというふうなこともお聞きしております。それも一つでしょう。それから、マルチメディア時代へ対応した教育のあり方、これも大事だと思います。
 それと、今私がぜひ申し上げたいのは、二十一世紀に向けて教育政策をどうしていくか、反省の上に立って、そういうことが必要だと思うんですが、大臣、もう一度テーマ、開催の時期、諮問内容、心づもりを簡単にお伺いしたいと思います。
#58
○国務大臣(与謝野馨君) 先生おっしゃるとおりでございまして、中教審再開に当たっては、やはり二十一世紀を担う人材をどう育てていくかということが大きな柱でございまして、その中で、例えば学校週五日制の問題等を御議論いただくということになるわけでございます。
 テーマとしては、先ほど申し上げましたけれども、おおむね学校週五日制、いじめ問題等に対処して学校、家庭、地域社会の役割と連携をどう図るか。第二は、理科離れ、国際化、マルチメディア等の情報化など社会の変化に対応する教育をどう進めるかということでございます。
 当然、先生が御指摘になられましたように、子供の人口がどんどん減少傾向にあるということはもうはっきりしているわけでございます。そういう際に、高校あるいは大学、短大、専門学校、専修学校、中学校を終えた後のいろいろな進路があるわけでございまして、そういう問題を含めまして当然議論は展開されると思いますし、先生の御期待におこたえできるようなテーマ選択も行われるものと私は信じております。
 ただ問題は、十五の春を泣かせるなということも大事でございますけれども、やはり児童生徒どこかの時点で一度は勉強していただかないと困るわけでございまして、ずっと楽な進路を小学校から大学まで楽な状況でどんどん進んでいくというのは決していいことではありませんし、どこかの時点でまとめて勉強していただくということも私は大事なんではないかというふうに個人的に思っております。
#59
○森暢子君 もう一つ中央教育審議会についてですが、これは諮問に答えるだけでなくて重要施策について建議する役割も持っていらっしゃるわけですね。したがって、多角的な検討が必要である。委員も多様な分野から選ばれるべきだと思います。前回の委員は二十人いらっしゃいまして、いろんな分野から見識を持った人格的にすばらしい方が選ばれていらっしゃると思うんですけれども、今回はやっぱり、現在の初等中等教育の抱える問題も大変多いし、そういうことで小中高の校長先生でも結構でございますが、日常的に子供と接している現場の方、または子供を育てて悩んでいる保護者の代表とか、そういうふうな点で入っていただくということにぜひ配慮していただきたいんですが、いかがでしょうか。
#60
○国務大臣(与謝野馨君) ここに中央教育審議会、どういう方で組織するかということははっきり書いてございまして、「中央教育審議会は、人格が高潔で、教育、学術又は文化に関し広くかつ高い識見を有する者のうちから」選ぶ、こう書いてございます。しかしながら、具体的にどうするかということになりますと、まず内閣から審議会をつくるときには女性の登用をとにかくどんどん促進しろということでございますからそれも考えなければなりませんし、先生がおっしゃったような観点からも当然いろいろ考えていかなければならないと思っております。
 余り現時点で、委員の選考が進捗しておりませんので、具体的にこういう方で先生の御意見におこたえできるということを申し上げられる段階ではございませんが、全体としてバランスのいい委員の選考を図っていきたい、そのように考えております。
#61
○森暢子君 大変前向きな御答弁をいただきまして、まだ委員の選考も固まっていないということをお聞きしましたので、その中にぜひそういう現場の声を入れるというふうな方向で考えていただきたいと存じます。
 それで、きょうは四十分の中でたくさんの質問を用意いたしましたのですが、もう一つ、いじめ問題に対する取り組みで、今回、文部省の予算の中に生徒指導の充実強化ということが入っておりまして、新規の事業といたしましてスクールカウンセラー活用調査研究委託とか、いじめ問題対策事業というのが入っているわけですね。これは文部省としてはどういうことをなさろうとしているのか、これだけでは読み取れませんので、具体的にお答えください。
#62
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 いじめの問題の解決に当たりましては、児童生徒の心の悩みにこたえる適切な相談活動を行うことが重要であると考えております。
 このため、来年度におきまして新たに学校におけるカウンセリング等の機能の充実を図るため、高度に専門的な知識、経験を有するスクールカウンセラーの活用、効果等に関する実践的な調査研究を各学校において行いますスクールカウンセラー活用調査研究委託事業を実施することとしているわけでございまして、先生も御案内のとおり、来年度予算では三億七百万円を計上しているところでございます。
 また、国立教育会館内にいじめ問題対策センターを設置いたしまして、全国のいじめ問題に関する事例や相談機関などの情報をデータベース化し、関係者に提示いたしますとともに、教育相談員による相談体制を整備することといたしているわけでございます。
 そのほか、生徒指導の充実に関する予算も計上しているわけでございまして、生徒指導総合推進校やあるいは地域における生徒指導のための研究委嘱、教育相談活動モデル推進事業あるいは児童生徒の問題行動等に関する総合的調査研究等についても予算を計上いたしまして、私どもとしては今後とも生徒指導関連施策の充実を図りまして、いじめの問題の解決に努めてまいりたいと考えております。
#63
○森暢子君 スクールカウンセラーの配置というのは各県どのくらいになりますか。
#64
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 予算上の措置といたしましては、小中高等学校を対象に各都道府県三校で合計百四十一校ということになっているわけでございますが、先般の阪神・淡路大震災による被災地につきましては、私どもとしてはできるだけ重点配分をし、それによって児童生徒の心の悩みにこたえるようなそういう相談活動の実践的な調査研究が円滑にできるような配慮をしていきたい、このように現在考えているところでございます。
#65
○森暢子君 各県三名ですね。これでいいのかな、大丈夫かなという思いを持っております。つまり、今の時期に三名の、いないよりはいらっしゃった方が心強いと思いますけれども、各県三名のスクールカウンセラー、それから実験校での総点検だの調査研究対策だの、それはもう遅いんです。遅過ぎるんです。もっともっとこのいじめの問題は根が深く蔓延しているんです。それをこういう調査で、本当に真実の調査が上がってくるか。そんなことを言ったら大変各学校に悪いんですけれども、見えない部分の方が多いんです、このいじめ問題というのは。
 だから、調査をしても氷山の一角だと思います、出てきた数は。これ悪いんですけれども、事実そうなんですね。ですから、それよりも何をしたら一番いいかということを、これももちろん結構ですよ、やっていただいて、しっかりやっていただくということは結構なんですけれども、こういうことであの大河内清輝君たち多くのいじめで小さい胸を痛めた子供たち、現在もたくさんいると思うんですね、それにこたえるものになるかどうかというのを本当に考えていただきたいと思うんです。
 それで、幼稚園、小学校、中学校大体固まっておりますので、岡山の場合は小中学校が六百五十校あるんです。郵便局の数が四百五十あるんで、大体各地域へ行きますと学校と郵便局と役場というのがどこでもあるわけです。
 それで、小中学校へ行きまして校長先生以下いろんな先生方どお話をしたんです、このいじめの問題について。どうしたらいいだろうかといろいろとお話ししましたら、最終的にみんな、校長初め全員が言われたのが、やっぱり先生の数をふやしてほしい、これだと。それか一クラスの児童の数、生徒の数を減らしてほしい、これは裏腹だと思うんですけれども。先生にゆとりがない。一生懸命子供と話したくてももう授業と準備、またはいろんな研究会、研修と追われて、ああ、あの子供とちょっと話したいと思ってもなかなかゆとりがないということが本当の声なんですね。これを言ってそれがいいかどうか今ちょっとわかりませんけれども、現場の先生方は、目先の対応に追われるのに精いっぱいということなんです。それで、ぜひ教職員の数にゆとりを持たせてほしいと言うんです。それが一番のいじめ対策の効果を上げる問題ではないか。
 ところが、今定員の問題では、数の上では増になっていますけれども、実質は減っているという現象がありますね。そういうことで、ぜひ現場のニーズにこたえて、まずは先生方の数をふやしていただくということを切にここでお訴えしておきたいんですが、いかがでしょうか。
#66
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 先生もう御案内のとおり、平成五年から平成十年度までの六年計画で第六次の義務教育諸学校の教職員配置改善計画を現在推進しているところでございまして、この六年間に小中学校等義務教育諸学校では三万四百人の定数改善増を行うということで、現在年次計画に従って来年度につきましても要求どおりの定数を確保しているところでございます。
 そういう中にありまして、生徒指導関係についても従来から充実をしてきておりますが、生徒指導担当教員等の定数改善は平成五年度から七年度までの三年間で千三十五人の定数改善を行うことにいたしまして、こういう生徒指導、いじめあるいは校内暴力あるいは登校拒否等の生徒指導の充実につきましても、このような定数改善を一層進めることによって、その適切な学校における対応を現在お願いしているところでございます。
 いずれいたしましても、平成十年度までは、第六次の教職員配置改善計画に従いまして円滑な定数改善を推進していきたい、このように考えております。
#67
○森暢子君 学校というのはきちっと勉強して人格を形成していくという上でも大切ですけれども、しかしその中で本当に豊かにゆとりを持っていい子供を育て守っていきたいというふうに思います。
 そういう意味で、文部省の役割というのは私は大変大きいと思いますし、文部大臣の役割も大変大きいと思うんです。本会議でずらっと並んでいらっしゃいますが、私はもう総理大臣の隣に文部大臣が座るべきだと、そのくらい教育というのはすべての原点であって、一番大事で、人間をつくる基礎でありますので一番大事な大臣ではないかというふうに思っておりますので、ぜひ頑張っていただいて子供たちにこたえてやっていただきたい、こういうことをお願いして私の質問を終わりたいと思います。
#68
○委員長(松浦孝治君) それでは、午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開会
#69
○委員長(松浦孝治君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査のうち、文教行政の基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#70
○上山和人君 日本社会党・護憲民主連合の上山和人でございます。
 大臣、毎日御苦労さまでございます。きょうは大臣の所信に対する一般質疑でございますから、総論的にいろいろと、主として長期的観点に立って御質問申し上げますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。
 ここ三代、文部大臣は特徴のある方ばかりなんです。森山文部大臣が女性でございまして、その後また赤松文部大臣も女性でいらっしゃいまして、女性の立場から、特に教育行政でございますから、私どもは随分期待をいたしました。そういうことも森山大臣にもそのときに申し上げた記憶がございますけれども、それなりの成果を上げていただきました。
 今度は与謝野大臣でございますけれども、与謝野晶子さんを見直す運動といいますかそういうものが、改めて今見直されておりまして、今度の日曜日、十二日に「与謝野晶子…二十世紀を開いた女」というシンポジウムが丸の内ビル東商ホールで行われることになっております。おばあちゃんに当たる人ですから、身内のことで余り大臣がお記しされにくい点はあるかもしれませんけれども、それはそれとして割り切ってお答えいただきたいのは、今二十一世紀を前にして、与謝野晶子に学ばなくちゃいけない、与謝野晶子を見直すことは大変重要だと言われてシンポジウムが開かれ、いろいろな人たちが運動を進めようとしております。
 それはなぜかといいますと、与謝野晶子は、とにかく夫の鉄幹とはお互いに相手を認め合う立場で自立した家庭を築いて、特に子供の教育の重要性をそのころ考えて新しい女性原理に進んでいたと言われておりまして、まさに時代の改革者的存在であったというところから、二十一世紀を前にして与謝野晶子さんを見詰め直そうというシンポジウム、運動が展開されようとしているときです。
 こういうことを考えますと、前のお二人が女性文部大臣、今度は与謝野晶子さんの孫に当たられる今の大臣がまた非常に関係がありますね。おばあちゃん、孫という関係ではなくて、与謝野晶子に与謝野馨文部大臣は何をいつも学ぼうとしていらっしゃるか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#71
○国務大臣(与謝野馨君) 私個人としては与謝野馨を見直したと言われたいと思うくらいでございますが、確かに私の祖母でございますが、祖母という感じを持ったことは実は一度もない、むしろ歴史上の人物としてしか私の心の中にはないわけでございます。
 恐らく、そういう見直すという話が出てまいりましたのは、今まではいわば芸術的な側面のみをとらえた与謝野晶子論だったんだろうと思いますけれども、ともかく十一人子供を産んで育てたという人ですから、やはり夫であり自分のライバルでありました鉄幹とともに、それだけのたくさんの数の子供を産み、育て、教育し、世の中に送り出すと、そういう家庭の母としての役割ということも見直されているんだろうと思います。また詠みました和歌というものが生涯約十万首ございましたので、ざっと数えましても一日二十首か三十首詠んでいないとそれだけの数になりませんので、そういう意味では働き者という面での見直しも出てきているでありましょう。
 また、女性解放ということは、例えば土井たか子先生が好んで引用される「山は動く」というのも、これは青準社を平塚らいてう先生がつくられましたときの巻頭の詩でございますが、そういう女性解放運動も一生懸命やりましたし、また文化学院という学校をつくるときも、学校教育ということの重要性にかんがみまして学校の創立に加わり、また教壇に二十年ぐらい立ってきたということもございます。また、割に知られておりませんけれども、教育諭とかその他もろもろの随筆あるいは論文も残っておりまして、そういう意味では歌詠み与謝野晶子ということのほかに別の側面を研究してくださっているという傾向が最近出てきたんだろうと思います。
 私自身としては、余り自分が孫だとか与謝野晶子が祖母だという意識は生まれてこの力持ったことがございませんけれども、多分あの世で大変喜んでいるのではないかと思っております。
#72
○上山和人君 祖母、孫という血の流れている大臣でございますから、やっぱり子供の教育の重要性をあの当時お考えになって、時代を開く情熱を持って生きておられたということは、今見直されなくても、私どももそれなりに理解して情熱の歌人与謝野晶子を考えているわけです。
 ですから、申し上げたいことは、ぜひ大臣、そういう与謝野晶子のシンポジウムがこの日曜日にあるというとき、ちょうど戦後五十年の節目で、これから教育改革をお進めになる責任者でいらっしゃいますから、教育のことを、子供の教育の重要性を考えながら、時代を開く、しかも情熱をお持ちいただいて頑張っていただきたい。与謝野晶子が見直されるこのときに、たまたま文部大臣の責任をお持ちでございますから、私ども大変大きく期待をしておりますので、ぜひ勇気を持って情熱的に教育改革の道をお進み願いたいとお願いを申し上げたいのでございます。
 そこで、私は、大臣がこれから二十一世紀を展望しながら教育改革をお進めになる場合に、これは全国の子供たちを中心にした教育に対する影響といいますか、責任ある存在でございますから、何といっても文部省の役人の皆さんとの関係が、私は呼吸が合って、お互いにそれぞれの役割を分担しながらも大臣を中心にして一致結束して進んでいただくのでなければ成果は期しがたいと思うんです。
 文部大臣に就任されましてから八カ月余りたちました。その間、どうですか、文部省の居心地といいますか、役人の皆さんとの環境といいますか、今私が申し上げるように、本当に一致結束して大事な行政の責任を果たす環境としては居心地のいい環境なのか問題があるのか、どのようにお感じになっていらっしゃいますか。ちょっとお聞かせいただけますか。
#73
○国務大臣(与謝野馨君) 文部省の官僚は次官を初め皆さん大変教育行政に熱心に取り組まれておられますので、私は大変居心地がいいと、先生の御表現をかりればそういうことでございますが、あの建物は少し古くて居心地が悪い、こういうことでございます。
#74
○上山和人君 非常にいい環境で、みんな大臣を中心に一致結束して教育行政の発展を目指している、そういうふうにお聞きいたしましたけれども、実は前の赤松文部大臣のインタビューの記事があります。大臣をおやめになった後、去年の八月、毎日新聞のインタビューに対するお答えなんですけれども、気になることがあります。今もそれが続いているとは思っていませんけれども、今の大臣のお話をお聞きしますと。
 赤松さんは、去年八月五日のインタビューにお答えになりまして、まず閣議のことをおっしゃっています。閣議が最高の意思決定機関だと。毎週火曜と金曜日午前中に行われて、大臣二十一人がそろう。しかし、中身は前日の事務次官会議で決まったことがそのまま上がってきて、たくさんの紙にサインをしてこれでおしまい。議論する場ではないと言われ、へえ、そんなものかなと思ったと。これは閣議のことですから。ところがその後、それにかわるのが、これで閣議は終わりますという官房長官の言葉で始まる閣僚懇談会。正式な決定機関ではないけれども、自由に意見を言える。多くの閣僚が賛同し、総理大臣も加われば政策に反映される。したがって、私は時々閣僚懇談会では問題提起をした。こんなふうに述懐されています。
 そこで、その次からですが、文部大臣としては、文部省千四百人ぐらいいらっしゃいますか、その行政の頂点にお立ちになるわけですけれども、その文部大臣として文部省の中のことを次のようにおっしゃっています。自分の言葉で話すことは文部省の中では意外にない。事務方の方針と違ったことを言うとなかなかうまくいかなかった。官僚の助けは必要だが、大きな政策は大臣が判断すべきだと思ったのだがとおっしゃっています。
 例えば教科書検定問題を例に挙げていらっしゃいますけれども、検定結果が公開されていたのは全国で一カ所だけだった。そこへ行かなければ見られない。それでオープンな検定と言えるだろうかと職員に尋ねると、六カ所にふやす準備をしています、そういう答えが返ってきたから、せめて各県一カ所にはできないかと言ったところが、趣旨を説明できる職員の数を考えると十カ所がせいぜいという答えがまた返ってきた。データベース化をと言うと、研究させていただくとそつなく答えが返ってきた。
 こういうふうに文部省在任の何カ月間かのことを振り返っていらっしゃいます。お互いに、だれが言った、それは問題だという発想ではなくて、やっぱり精いっぱいの赤松前文部大臣の感想ではないんでしょうか。私は、だから非常に気になりました。今、与謝野文部大臣は居心地いいとおっしゃいましたから安心しておりますけれども、ぜひ官僚の皆さんとの関係を改善しながら、本当に一致結束して、この重大な教育行政に責任を持つ体制をさらに前進させる御努力を願いたいと思うんですが、重ねて文部省の今の御感想はどうですか。
#75
○国務大臣(与謝野馨君) 官僚が言っていることが一〇〇%時代に合っているかどうかは別にいたしまして、やはり官僚はたくさんの情報も持っておりますし、優秀な方々の集団でございますから、彼らの判断というのは、おおむねほとんどの場合、私は正しいのだろうと思っております。ただ、政治家が政策的な判断をしなければいけないということは年に二回や三回はあるだろうと私は思っております。毎日毎日政策判断の連続ということは事実の問題としてはあり得ないと思っております。
 私は、役所をやめてからみずからその長にあった役所を批判するということは自分はしないつもりでございますし、例えばそういう気持ちになりましたときには、みずからが力不足であったというふうに考えるたちの人間でございます。
#76
○上山和人君 後の方の御答弁は少しどうかと思いますけれども、やっぱり率直にお話しになるのは建設的だと私たちは思います。だから大臣としては、赤松さんのような感想をやめてから語らなくちゃならないような環境にはしたくないという意味でお答えになったと受けとめたいと思います。
 それで、局長以下何人も課長の皆さんもおいでだし、私たちも随分長いこと、私はまだここに来てから二年半ぐらいですけれども、おつき合いをさせていただいているし、どれほど有能な、そして熱心な皆さんばかりかというのはよくわかっておりますのでも、こういう前の大臣の感想を聞きますと、もう少しやっぱり大臣を助ける立場の役職員の皆さんの自覚を促したいし、ぜひこういうことをまたもとにして、大臣を中心にして本当に一致結束して教育行政の前進、発展に向かう体制が強化されたらいいな、そういう思いで言っておりますから、大臣、これからはぜひ指導性を発揮なさってそういう体制をおつくり願いたいと思います。一言。
#77
○国務大臣(与謝野馨君) これは政治家と役人との関係でございますけれども、前々から思っておりますのは、政治家は役人を力で抑え込んではいけない、政治家が役人を抑え込むときには理屈で抑え込むべきだと、そのように考えております。ただ、役人と政治家のたった一つの違いがあるとすれば、役人は純粋な理屈の世界で生きている方々ですし、政治家は、ある物事を決めたときに、それによって世の中がうまく治まるかどうかという観点からも物を考えなければならない職業であると思っております。
#78
○上山和人君 とにかく、官僚の壁とか官僚政治を打破せよとか、マスコミの論調もずっとそんなふうに向いていますよね。そういう論調になるような状態が少なくとも文部省ではないようにというのが私たちの願いですから、また全国の子供たちや教職員の皆さんやお父さん、お母さんたちの期待だと思いますから、そういうふうに官僚政治だ、官僚の壁だ、官僚の政治体制を打破せよといったような論調がずっと続くような事態は、これは脱却しないと本当に日本の政治の発展もあり得ないなと思いますから、文部省からぜひそういう理想的な環境に向かって御努力いただきますように、重ねてお願いを申し上げます。
 そこで、きのう衆議院で証人喚問が行われましたが、大蔵省の幹部と信用組合の理事長との癒着の問題が明らかにされておりますね。私たちは、文部省はそういうこととは無縁の省だと思っていますよ。思っていますけれども、ここ一、二年の間に残念ながら不祥事が起こっておりますね。官房長いらっしゃいますか、特にここ一、二年の特徴的な文部省の職員の一口に言ったら不祥事、御報告いただけますか。
#79
○政府委員(佐藤禎一君) 大変残念なことでございますが、ここ数年の間に綱紀にかかわる事件が幾つか起きてございます。
 一つは、私どもの大学課の元職員による収賄事件というものが発生をしたことがございます。本件につきましては、既に判決も終わりまして、本人は懲戒免職になっているところでございます。
 それから、最近の例でございますが、昨年の暮れに問題になりましたのは、これは静岡大学の事務局職員によります公金の騙取事件というものがあったわけでございます。この件につきましては、現在公判係属中でございまして、大学当局において把握をされました事実に基づき処分が行われている、こういう状況でございます。
#80
○上山和人君 まさか文部省ではこういうことはないとみんな思っているのに、こういうことが起こりますと、文部省おまえもかという気持ちにやっぱりなりますね。そして、文部行政への不信を買うことに当然なると思うんです。幸い、次から次にという状態ではありませんけれども、私たちからこういうことを忘れさせないようにやっぱり起こるんですね。ぜひ、文部省はこういう問題とは最も無縁の教育行政を預かる省だという責任にかんがみても、根絶しなくちゃならない重要な課題だと思っておりますので、こういう問題の今後の取り扱いについては、特にOBを含めて、これは文部省を退官したらもう後は自由だ、根本的にはそうでしょうけれども、やっぱり「文部省OBに現金攻勢」という大きな見出しで書かれるような事態が起きた経験に照らしても、OBを含めてぜひこういう問題が再び起こらないような強い文部大臣の指導性が望まれると思いますけれども、御決意をひとつ明確にしていただきたいと思います。
#81
○国務大臣(与謝野馨君) 文部省は経済官庁ではございませんけれども、公務員としての綱紀というものは常に守っていくという厳しい姿勢が必要でございますし、また李下に冠を正さずというやはり注意深さも必要であると思っております。これら二つの事件を機会に、事務次官を初め各人が、文部省が公務員として持つべき綱紀について改めて深い自覚を持ったということでございます。
#82
○上山和人君 ぜひひとつ決意を新たにして頑張っていただきたいと大臣にお願い申し上げておきます。
 そこで、今、文部省の文部行政の環境のことについて申し上げたんですけれども、そういう環境の中で、木宮先生が戦後五十年とおっしゃいました。私も、大臣の所信を読ませていただきまして、ちょうどその委員会の当日は別の用事で欠席せざるを得なかったものですから読ませていただきましたが、戦後五十年という記述が一カ所もありませんね。この戦後五十年の節目と言われる年の通常国会における文部大臣の所信に戦後五十年の記述がない。
 私どもは、やっぱり戦後五十年というのは、明治維新、そしてまた五十年前のあの第二次大戦の終わり、これに匹敵する日本の歴史の大きな節目とも言われているわけでありますから、この五十年の節目を文部行政としてはどう位置づけていらっしゃるのか。戦後五十年を今振り返りながら、これから私たちが進んでいく新しい五十年、教育は国家百年の計といえばこれから新しく進んでいく百年の計ですね。これからの五十年ないしは百年の姿をどう描くのかというのが問われているときに、戦後五十年の文部行政の位置づけが明確にされていない。戦後五十年をどう振り返って、これからどう新しい五十年、百年に進むかという観点の所信として読めないんですね。大臣、文部行政の責任者として戦後五十年をどのように位置づけていらっしゃいますか。
#83
○国務大臣(与謝野馨君) 私にとりましては、戦後四十八年も戦後四十九年も戦後五十年も、また戦後五十一年も同じ価値を持つものでございます。
 ただ、五十年というのは一つの切りのいい節目でございますから、これを機会に戦後五十年間のことを考え、また昭和初期、昭和十年代に行われた数々の戦争等を振り返り反省しという、私はいい機会であると思っております。しかしながら、とりたてて教育問題として戦後五十年を節目にという考え方は実際はないわけでございまして、やはり戦後は戦後十年も二十年も三十年も四十年も、また昨年も、また来年も私どもにとりましては重要な年だと私は考えております。
 ただ、先生御指摘のように、五十年というのはちょうど切りのいい数字、節目と考えてもいいときでございますから、それなりに文部省としては思いをいたすところもございまして、そういう意味で中教審も、戦後五十年であり、また二十一世紀まで五年であるということでございますから、二十一世紀を担う人材はどうあるべきか、こういうことを考えるために中教審を再開しようと、こういうふうに考えたわけでございます。
#84
○上山和人君 四十九年も五十年も五十一年も同じ価値があるとおっしゃる、その点は理解はできます。しかし、今、国会決議をどうしようかと政府・与党で懸命に苦労をしながら努力も重ねていますよね。先ほどから申し上げるように大きな節目に違いないんですよ。私は、教育行政も例外ではないと思う。戦後五十年を振り返ることなしに新しい五十年への出発はないと思っているんですよ。
 それは、四十九年も同じだ、五十年も同じだ、五十一年も同じだといえば、毎年そういうことをしなくちゃいけない。そうじゃなくて、節目は節目としてやっぱり非常にいい機会ですから、この五十年の教育行政をどう振り返るのか、そこからどういう問題があったのか、どういう成果があったのか洗いながら、これから新しく五十年なり百年に向かわなくちゃいけないんじゃないですか。そういう五十年として位置づけていらっしゃるなら少なくとも所信の中にその表現があったはずだと思いますけれども、なるほど四十九年も五十年も五十一年も同じだとお考えになっていらっしゃるから戦後五十年の位置づけが明確にされなかったのかと思いますと、それは大変私どもは問題だと思っています。
 だから、本当に戦後五十年を、文部行政としても例外ではないと思いますから、むしろ今からでも、どんなふうにこれをまとめて、どういうところから教訓を導き出し、その教訓にどう学びながら新しい五十年なり百年に向かうのかということを明確にされないと、これは教育改革のビジョンだって生まれないんじゃないですか。やっぱり四十九年も五十年も五十一年も同じだと、それで通されますか。
#85
○国務大臣(与謝野馨君) 教育行政というのは、政権がかわろうがどの政党が政権をとろうが、やはり一貫したものでなければならないと私は常に思っております。これは文部大臣にだれが就任しようが、教育行政の安定性、継続性という観点からそのようなものだと私は思っております。
 ただ、先生おっしゃるように、確かに戦後五十年というのは戦後の教育のあり方を振り返るよい機会であると思いますし、そのようなものを振り返ることによってまた将来の展望も考え得ることができるという先生の御指摘もまたしかりであると思っております。そういう意味では、中教審を近々再開いたしまして、過去を振り返りつつ、二十一世紀に向かってどのような教育、どのような人材、どのような研究、こういうものを行っていくのか、そしてまた二十一世紀、日本が世界の中で生き抜いていく、または生き抜きつつどのような国際貢献を行っていくかということもまた考えなければならない時期に来ている、そういう意味では私と先生の五十年に対する認識は全く変わっていないと考えております。
#86
○上山和人君 全く変わっていないとおっしゃれば、もうそれ以上何を言うかなという気持ちもありますけれども、しかし少しやっぱり政府・与党の関係ではありましてもしっくり気持ちが、何かこの問題は大臣と質問している私との間でもう一つ完全に合わないという感じはします。
 これから中教審を、だからこそ中教審を再開するんだとおっしゃるのかと思ったら、中教審のことはおっしゃいますけれども、何か五十年とは無関係とおっしゃるようにも聞こえましたが、やっぱりそうじゃないんじゃないですか。五十年だからこそ、今までの五十年を振り返りながら新しい教育改革に進もう、そのために休んでいた中教審を再開しようとおっしゃるんだと私たちは思って、中教審の問題もこれからを左右する大変大事な問題だと思っているんです。これはもう既に南野先生からも森陽子先生からも質問がありました、後ほど重ねて御質問は申し上げますけれども。
 申し上げたいのは、学校図書館法の問題から具体的にいきますと、例えばの話として申し上げますが、昭和二十八年に成立をしていますよ。七月に成立をして八月に公布されている。この学校図書館法は四十二年経過していますよ。四十二年、戦後五十年の大部分です。四十二年経過しているのに附則第二項がそのまま四十二年継続されている。これはやっぱり戦後の教育行政の反省の一つじゃないんですか。四十二年も附則第二項をそのままにしてきたことについて、大臣は何の反省もございませんか。
#87
○国務大臣(与謝野馨君) この法律は、多分議員立法でできた法律だろうと思います。「当分の間こというのは一体どのぐらいかというのも解釈が分かれるところでございます。また、具体的に、それじゃ司書教諭をつくった場合にどのくらいの人数が要るのか、どのくらいの予算がかかるのかということもまた重要な問題であると私は思っておりまして、今日までこのような状況できましたということは、それなりの事情があるということはぜひ御理解をいただきたいと考えております。
#88
○上山和人君 その点は大臣、幾ら今の関係でも理解できないんですよ、やっぱり。四十二年「司書教諭を置かないことができる。」という附則がそのままずっと引っ張られてきているわけですね。これは附則ですから、あくまで。「当分の間、」「司書教諭を置かないことができる。」、これをよりどころにしてむしろ司書教諭を配置してこなかった。この点はそれなりの事情があるということは理解してほしいとおっしゃいますけれども、なぜ早くこの附則を撤廃できるような努力がされなかったか。できたことをしなかったと、私たちはこの点だけは厳しく受けとめております。
 例えばの話をしているわけです。戦後五十年の節目のことを今考えておりますと、こういう問題をまさに四十二年も放置してきた。じゃ、どうするんだ。もう後はないんじゃないですか、学校図書館法のこの問題につきましても。計画を見ますと、かなりの予算も計上されております。そして、司書教諭を配置するための司書教諭の養成についても、随分と予算の中に努力されて計上をされておりますよ。でも、例えばことしの平成七年度の司書教諭の講習の実施要領を見ましても、十八大学、四単位取る、夏に集中した講座ですよ。こういうやり方で、一人の受講者が完全に司書教諭の資格を取るのに何年かかりますか、この要領でいきますと。
#89
○政府委員(井上孝美君) 司書教諭につきましては、教諭の先生方が司書教諭の講習会におきまして八単位の単位を取得しまして、それによって司書教諭の資格を得るということになっているわけでございますので、そういう意味で、その司書教諭の資格を得たいという先生の努力によっても一年ないし二年とその差はあろうかと思いますが、今の講習会で四単位を夏期等に取得できるということであれば、計画的に八単位を取るということであれば二年間でその資格を得られるというように考えております。
#90
○上山和人君 二年間では取得できるわけですよね。ところが局長、学校図書館法は司書教諭を配置しなければならないと規定していますが、附則第二項が当分の間置かないことができるとしているわけです。
 この状態で平成四年度の図書館の現状を見ましても、司書教諭の発令状況は小学校で〇・一%ですよ。中学校で〇・二%ですよ。一%じゃない、〇・一%ですよ。中学校で〇め二%でしょう。高等学校で〇・四%。特殊学校はゼロなんです。司書教諭は置かなくちゃならないと規定されているが、附則第二項で当分の間置かないことができる。そういう状況で、司書教諭の発令の現状は〇・一%、〇・二%、〇・四%、ゼロ。こんな状態になっていることについて、どのように今までの対応を行政として反省していらっしゃるのかというのを問いたいじ、私の質問時間もあとなくなりましたけれども、これはもう後がないと思う。
 だから、年度年度のこういう計画はわかりますけれども、何年までには附則二項が実質ないものになるような状況にしようという、その年々の計画ではなくて、例えば五カ年計画を立てるとか、あるいはもっと言えば三カ年計画でこれを完了するとか、そういうもっとめり張りのきいたきちんとした展望の持てる政策を打ち出すべき時期じゃないでしょうか。だから戦後五十年を言っているわけですよ。四十二年もこういう状態が続いてきた。私はもうこれ以上この問題をゆるがせにできる状態ではないと思います。三年計画なり五カ年計画で附則二項が実質ない状態になるような施策というのが必要じゃないでしょうか。そういう意味で、戦後五十年というのは大変重要な節目じゃないでしょうかと申し上げています。
#91
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 司書教諭がふえない理由といたしましては、有資格者の絶対数が少ないことのほか、学校におきまして学校図書館や司書教諭の職務の意義や必要性について認識が不足しているということや、あるいは教員の側にも司書教諭として発令されることに伴う負担増に対する抵抗感があるものと考えられるわけでございます。
 平成四年に実施いたしました学校図書館の現状調査におきましても、司書教諭の有資格者を司書教諭に発令しない主な理由として、学校図書館でなく他の校務分掌を担当している、あるいは学校の規模からして図書係等の校務分掌で担当することで足りるなどが掲げられているわけでございまして、このような学校における認識が示されているところでございます。したがいまして、司書教諭の職務に対する学校の認識を高め、発令に対する教諭の抵抗感を除いていくために、できるだけ早期にすべての学校に司書教諭の有資格者が配置され、その司書教諭の発令をしやすい状況をつくっていく必要が肝要であると考えているわけでございます。
 文部省といたしましては、それとともに、引き続き司書教諭講習会、先ほど先生からもお話がございましたようなそういう講習会において有資格者の養成に努めますとともに、学校図書館の新しい時代のあり方について検討するために現在文部省に設置しております児童生徒の読書に関する調査研究協力者会議における審議も踏まえながら、今後一層学校図書館の時代に合ったあり方、また司書教諭の発令を促進するための施策の推進についても積極的に取り組んでいきたいと、このように考えておるところでございます。
#92
○上山和人君 局長は今のような御答弁ですが、大臣、本当に真剣に受けとめてほしいですよ。学校図書館法第五条、本則は「置かなければならない。」とある。附則で「当分の間、」「置かないことができる。」。四十二年間そのままですよ。そして〇・一%ですよ、司書教諭の配置率は。〇・二%ですよ。〇・四%。特殊学校はゼロですよ。こういう状態をごらんになって、大臣としてどんなお気持ちかなと私たちは思います。
 ですから、これは局長、例えば年次計画とかそういう予定は今のところのお気持ちはございませんか。何とか明確に計画を立てて、その年その年積み重ねるやり方ではなくて、それで四十二年来ていますから、それでこういう状態ですから、年次計画を立てるなりの積極的な展望を明らかにする施策はお考えになっていませんか。
#93
○政府委員(井上孝美君) 司書教諭の講習会の充実については、先ほども先生からお話がございましたように、平成六年度から十五大学から十八大学にふやして講習を受けやすい条件整備をしているところでございますが、ただ、この司書教諭講習を受けるのは教諭一人一人の御本人の意思によってその講習を受けるかどうかというのはもちろん決まるわけでございます。
 司書教諭講習修了者数も、平成元年度以降を見てみましても約三千名強の方々が毎年受けているわけでございますが、ただ講習修了時に現役教諭であった者の数を見てみますと、平成元年度六百名ないし平成六年度では千二十二名というようにまだ千人前後というような数でございます。そういう意味で、現在、昭和二十九年から平成六年度までの講習の修了者総数が十五万七千七百三十一名でございますが、そのうち現役教諭である者は五万一千六百二十六名というような状況になっているわけでございます。
 したがいまして、私どもとしては、今後とも司書教諭の有資格者がよりふえるような指導につきましても、先ほど申し上げましたような観点からその施策を推進して、できるだけ早く司書教諭の有資格者の確保に向けて取り組んでいきたいと、このように考えておるところでございます。
#94
○上山和人君 時間がなくなりましたが、大臣、睡眠不足であくびも随分出ているようですが、お疲れの御様子ですけれども、どうですか、局長のお答えはそれなりのお答えだと思いますけれども、本当にこの図書館の状態はこれから教育改革のベースになる、学校図書館をどう位置づけるのか、五日制の問題とも絡んでまいりますので、どう位置づけるのか、どういう教育的役割を図書館に期待するのかということを考えますと、今までのような四十二年の繰り返してはもういけないんじゃないですか。年次計画なりの積極的な施策を講じられるようにきょうはお願いを申し上げて、いずれかの機会にまたフォローさせていただきたいと思いますので、十分真剣に御検討いただけませんか。お願い申し上げます。
 時間がなくなりましたので、いじめの問題などもそういう観点で少し御質問してみたかったのですけれども、次の機会に譲らせていただきます。
 最後に、南野さんも、それからうちの森暢子さんも質問されました中教審の問題ですけれども、朝日新聞は、これは早く二月十九日に報道しました。ここに既に二月十九日の時点で中教審に諮問されるテーマなどについても報道されております。読み上げる時間ございませんけれども、これは十分大臣は把握なさっていらっしゃると思いますが、朝日新聞が報道した内容は、諮問なさる文部大臣のお考えになっていらっしゃることと近いのか遠いのか、全く根拠のないことなのか、どうですか。
#95
○国務大臣(与謝野馨君) 全く近いということでございます。
#96
○上山和人君 それでは、それを受けて、きのうの毎日新聞一面の中ごろに、「中教審会長に有馬氏」という見出しで「俵万智さんら三女性委員も内定」と、新聞辞令が中教審委員の問題で出ていますね。この内容は近いんですか、それとも根拠のないことなんでしょうか。
#97
○国務大臣(与謝野馨君) 最近の新聞記者の取材能力というのは大変高まっております。
#98
○上山和人君 近いと言われると困ることがあります。
 これは実際、今回の委員選考でいろいろありますけれども、俵万智さん、それから川口順子さん、永井多恵子さん、女性の三名の固有名詞まで出ておりますよね。会長は有馬先生と、こう出ておりますよ。これどこまで今進んでいるんですか。新聞記者の取材能力は高いとおっしゃったんですから近いのだと思いますけれども、どこまで進んでいるんですか。
#99
○国務大臣(与謝野馨君) 中教審の人事というのは文部大臣が発令するわけでございますけれども、これは閣議の御了解をいただいた上で発令するわけでございますから、この場で具体的な名前は申し上げられないというのが私の立場でございますが、新聞の書いてあることは最近は相当いい線を行っていることが多いというふうに私は読んでおります。
#100
○上山和人君 この中で気になるのは、もう読みませんが、三段になっておりますけれども、二段の後段の方が非常に気になる内容でありますから、改めて大臣、目を通してください。
 そして、南野先生からも森先生からも、とにかく開かれた民主的なものであるべきだというのは当然のことと思いますから、ぜひそんな組織にしてほしいのと、私はこの中教審のスタートが本当にこれからの教育改革を左右することになるんじゃないか。それで全くいいとは思いませんよ、これは審議会ですから、文部大臣の諮問にお答えになる、しかし文部省設置法の第七条で建議をする権限も与えられておりますから、この中教審が私はこれからの新しい五十年、百年の教育の姿を描き直すといいますか、大きく左右することになるんじゃないか。
 そういう意味では、こういう新聞辞令はありますけれども、これからもまだ時間あるんでしょう。念には念を入れて十分慎重に、偏らないメンバーに、みんながやっぱり今までの五十年とは違う、これは戦後五十年を節目にして新しい教育改革を求める中央教育審議会、それを諮問する機関としての中央教育審議会はやっぱり変わったと、新しい時代に向かう二十一世紀を展望すみ時期にふさわしいメンバーにもなった、みんながそういうふうに思えるような内容にしてほしいですね。
 特に、現場の代表、現場の声が反映されるような委員をとにかく配置するということは不可欠のことだと思いますから、これはここにわずかの名前しか出ておりませんので、大臣のことですから思っていらっしゃることは十分あると思います。慎重に、まだまだ時間はあると思いますから、ぜひ今申し上げるような、だれでもが新しい時代に向かう文部大臣の諮問機関の姿だとわかるような構成にしてほしい。この点について一言文部大臣の思っていらっしゃること、御決意をおっしゃっていただきたいと思います。
#101
○国務大臣(与謝野馨君) これは従来から教育界あるいは教育学者、大学人、マスコミ、文化人等々、各方面からいろいろな角度から検討して決めております。先生がおっしゃるように、直接教育現場の方を起用できるかどうかは別にして、少なくとも教育現場のことをよく知っている、あるいは教育現場を体験した方の御意見も尊重しなければならないということは先生と全く同意見でございます。
#102
○政府委員(雨宮忠君) 若干補足させていただきたいと思います。
 先生先ほど御指摘の文部省設置法の七条の規定をごらんいただきますとおわかりいただけますように、中教審は文部大臣が内閣の承認を経て任命する二十人以内の委員で構成するというのがあるわけでございますが、それ以外に特別の事項を調査審議するためということで臨時委員を置くことができるというような規定もございます。また、事項によりましてはいろいろな専門的なお立場から御意見もいただかなければならないというような場合も出てくるわけでございまして、そういう場合には中教審の発足後、会長の御意見等も伺って専門の方にも大勢入っていただくというような手だてもあるわけでございます。
#103
○上山和人君 ありがとうございました。まだいっぱいございますけれども、別の機会に譲ります。大臣、冒頭申し上げましたように、時代を開いた女性として与謝野晶子さんが見直されるときの大臣ですから、大きな期待を寄せていることを再度申し上げまして、質問を終わります。
#104
○林寛子君 きょうは、参議院としては常任委員会の定例日ではございませんで、特別委員会が開かれている日でございまして、私、同じ二階ですけれども科学技術特別委員会とかけ持ちでございますので、席を暖めていませんで同僚議員の質問とダブる面がもしありましたら御寛容いただきたい、なるべくダブらないようにと思っていたんですけれども、ずっと座っていられませんでしたので、お許し賜りたいと思います。
 まず、きょうは大臣の所信ということで、大臣が今回の災害に対して必要な財政措置を含めて万全の措置をとってまいりたいと、先週所信を伺ったときに私大変心強く思いまして、現在それに対して文部省がどのように措置されているのか概要をお知らせいただきたいと思います。
#105
○国務大臣(与謝野馨君) これは、とりあえずは平成六年度の補正予算で措置をしているわけでございます。今後、被害額あるいはどれほどの復旧が必要かということが順次判明次第、今後予想され得る補正、あるいは先になりますけれども、平成八年、平成九年と逐次年次計画の中で予算措置をしてまいるわけでございます。
 現在、補正予算で計上されておりますのは、私立学校施設災害復旧費補助、被災私立学校に対する教育研究用物品の復旧費補助、日本私学振興財団の災害復旧貸付事業、また学校法人への経営資金の貸し付け、既往債務の返済猶予措置、私学振興財団への追加出資ということのほかに、国公立に対する財政措置は万全な措置が講じられていると考えております。
#106
○林寛子君 今おっしゃったようなこと、六年度の補正の中でというお話もございましたし、平成八年あるいは平成九年までに及ぶという大臣のお考えには私はぜひそうしていただきたいという切なる希望を持っております。現実的に平成六年の補正予算等々で災害に対する措置をしたというお話でございますけれども、阪神の大震災というのは学校の教育現場に本当に私たちが想像できないような甚大な被害をもたらしてしまった。
 そして、国立学校については今大臣が最後にちよろっとおっしゃいましたけれども、文部省あるいは地元の県あるいは市、それぞれに法に基づいて激甚災の適用というようなことで、それぞれのものはほとんどと言っていいくらい、激甚災の三分の二ということも含めまして補われるわけでございますし、また学校がつぶれているところもそれによって建て直せる。そういう意味では激甚災によって国公立は救われるということで私どもほっとしているんですけれども、それでは公的な支援が期待されない私立学校、とりわけ私立大学、短大の被害が甚大なところは果たしてどうなるんだろうという心配も持っているわけでございます。
 今大臣は被害額がわかっていったら随時とおっしゃいました。けれども、端的に今私の手元で概略わかっているだけでも、私立大学、短大の物的な被害額というのは約三百四十三億、これから出てくるということで約四百億という数字も出てきているわけでございます。それが国公立の激甚災の三分の二に比べて私立の場合は二分の一ということで、学校の再開あるいは学校運営、あるいはそれに通う子供たちとどんどん広がってまいりますので、果たして三分の二と二分の一というものが今回の災害で法に照らして仕方がないと言えるかどうかという御感想、大臣、どのようにお考えでしょうか。
#107
○国務大臣(与謝野馨君) これは学校だけの問題として単独で補助率を考えることが適当かどうかという問題が実はございまして、やはり激甚災害の他の項目との横並び、均衡ということを考える中で補助率というものは決められるべきでありまして、あらかじめ二分の一という補助率が決まっておりました。他のいろいろな項目についても補助率が決まっておりましたので、今回やはり横並び、他の項目との均衡ということを考えまして、財政当局と従来どおりの二分の一でいくと、こういうことと相なったわけでございます。
#108
○林寛子君 他の方と横並びということであれば私もいささか大臣にお願いしなければならないと思うんです。
 横並びというのであれば、私さっき述べましたように数百億に及ぶ被害が出ている、そういう現状を顧みまして、じゃ、さて復旧、復興のためにはどうしていくかということになりますと、私立大学、短大等の経営を大きくその被害が圧迫してしまって、それらはこのままであると学費の値上げ等の形で学生に、特に被災学生の家庭に、やっぱりおうち自体も被災していますからそれの復興もしなければならないのに、そこまで学生の費用を上乗せして負担させる結果になってしまって、果たしてこれでいいんだろうかという現実があるわけですね。
 そしてまた、教育というのが社会的に意義のある事業だというのは当たり前の話なんで、地元の市町村の助成が期待できない私立学校、あるいは今回一括法で、特別財政援助法で設置されたように、社会福祉法人並みの助成、三分の二というものにどうして引き上げられなかったんだろうか。今、大臣がおっしゃったように、横並びとおっしゃるのであれば、特に福祉に三分の二を助成することは意義のあることで、私はそれはいいと思っているんですよ。けれども、福祉だから手厚くて教育だからそれは法律で違うということになれば、福祉施設も教育施設も同じ被害を受けたんではないかと思うんで、横並びとおっしゃるのであれば、私はあえて申し上げたいのは、こういうときこそ福祉も大事、教育も大事という、その横並びのお考えができないでしょうか。
#109
○国務大臣(与謝野馨君) 補助率は二分の一ということで従来決めたとおりやっているわけでございますけれども、残りの二分の一につきましては、私学振興財団の長期融資制度というものがございまして、その利率は平均いたしますと、全期間にわたっての平均値をとりますと三・九%という低利融資になっております。
 加えまして、私立学校が仮設校舎をつくった場合も補助の対象にする、こういうことも決めましたし、また私立学校が持っております物品等が被害を受けた場合に関しましても、これも補助の対象にするということで、確かに先生御要望のように、あるいは他の多くの団体等が御要望のように、二分の一が三分の二にはなっておりませんけれども、他の分野で相当手厚く私どもとしてはいろいろ工夫をして、私立学校が一日も早く復興の道をとれるように工夫をさせていただいたつもりでございます。
#110
○林寛子君 私学振興財団の貸付額あるいは長期という話は、後で私学をまた問題にいたしますのでそこへ持っていきたいと思いますけれども、今おっしゃったように三分の二というのは、基本的には激甚災で三分の二というものが法律的には認められているわけですけれども、そのほかに県、市というものから見ていきますと、県、市が国公立に出すお金のことを考えますと、今後の復興に関してはほとんど一〇〇%に近いものという計算になってくるわけなんですね。
 ですから、特に私学が二分の一だけで、もともと自分たちで建てたんだからあとは自分でしなさいよ、私学振興助成法でもするからとおっしゃいますけれども、私学振興助成法がいかにあれだったかというのは後に回すとしまして、今言ったように、私は福祉が三分の二だから福祉をやめてこっちにしろと言うんじゃなくて、せめて大臣がおっしゃった他の制度と横並びにということをどうしても私は申し上げたい。
 なぜかと申しますと、私が聞いておりますところによりますと、兵庫県から災害の額が大体出てまいりましたけれども、四十億以上の被害の出た私立大学というものだけでも、例えば甲南大学が約八十七億、そして芦屋大学、短期大学では約七十億、神戸女学院では四十億、兵庫医科大学では四十六億、大手前女子大数十億というふうに、四十億以上の被害の出た学校は今申し上げましただけでも物すごくあるわけですね。
 そうしますと、これらの学校がその四十億以上の被害の出たものを直して、そしてなおかつ、今度は学生も調べてみましたら、五万人以上の学生が被害に遭っているわけでございます。それらの学生が、被災した児童生徒、学生及び留学生が就学の機会を奪われることのないようにと所信でおっしゃっていますけれども、私はこのままでいきますと、被災した学生たちは、今まで奨学資金もらって何とかしていたけれども、私立の場合は学費に転嫁せざるを得ないということで学費値上がりというようなことになると、修学心に燃える子供たちが、親が被災している、家を建て直さなきゃいけない、なおかつ自分が私学に入って授業料も上がるというような二重苦三重苦の中で、果たして大臣がおっしゃっているような就学の機会を奪われることのないような現状になるであろうかととても心配しておりますので、再度大臣の御意見を伺わせてください。
#111
○国務大臣(与謝野馨君) 今度の災害の被災地の学生でございますけれども、多くの私立大学においても入学金あるいは学費の免除ということをやっております。
 これをどう補っていくのかということですが、私立大学の場合には、私学振興財団を通じての経常費助成の中でこういうことは重点的に配慮をしていくということが一つ。それから、私立学校等につきましては、これは県を通じての補助でございますけれども、県と御相談をしながら私学に対する御支援を入学金の免除、授業料の免除等については行っていくということは決まっております。
 そこで、今度は育英資金の問題でございますけれども、育英資金というのは従来、まあ言ってみれば勉学の意欲はあるけれども経済的な困窮に遭遇している、学力はあるけれどもそういう事情でなかなか就学できないということで、経済的な事由、これは家計基準と呼んでおりますが、また勉学の意欲、勉学の能力がある、これを学力基準と、こう言っておりますが、家計基準、学力基準とも満たしている方から一定の時期に育英資金のお申し出がありますと育英資金を貸与するという、こういう制度になっております。
 今回の被災地の方々については、まず育英資金のお申し出の時期につきましては、一定の期間ということではなくて、この申し出の期間は極めて弾力的に取り扱います。また、家計基準あるいは学力基準についても当然のこととして被災地の方々には極めて柔軟な対応をするということを決めているところでございますので、私どもとしては、現行制度を十分活用しながら被災地の学生の皆様方の就学機会ということを、十分とは言えないまでも十分に近い形で就学機会を確保するために全力を挙げたつもりでございます。
#112
○林寛子君 地元の兵庫県では、このほど、国の措置の後押しということで、私立高校などの私立学校ですね、要するに幼稚園から小中高校、専門学校、各種学校に通う罹災児童生徒の在校生及び新入生に対しての受験料あるいは入学金、そして授業料などの免除措置、そういうものを一月にさかのぼって一年間ということで決めたわけですけれども、一方、私立大学、短大に対しては何もないんです、免除というものが。それはどうなっていますか。
#113
○国務大臣(与謝野馨君) 私立の短大、大学が授業料を免除する、あるいは入学金を免除するというのは、それぞれの学校の経営方針のいかんにかかわっていることでございまして、これこそまさに大学の自主的な御判断によるものであると。ただし、そういう御判断をした場合には、先ほど申し上げましたような私学振興財団を通じての経常費助成について、十分な配慮と重点的な助成ということを当然のこととして考えるということを申し上げたわけでございます。
#114
○林寛子君 そこが一番問題でございまして、私学は独自の学校の方針でとおっしゃいますけれども、例えば先ほど私が数字を述べましたように、一つの例を挙げますと、甲南大学という学校は被害額が約八十七億出ているんです。これは附属の小中学校を入れると百二十億に達しているんです。そして、今おっしゃったように、受験料及び入学金、授業料等々を独自でおやりなさい、独自に今までやってきたんだから、それは育英奨学金の方で見ますよと大臣はおっしゃいますけれども、学校自体が、一つの大学を例に挙げても八十七億あるいは百二十億に及ぶ被害があって、今言った甲南大学で受験料、入学金、授業料、これの免除を実施しますと、私計算しましたら約八億円になるんです。
 これだけの被害を出している一つの私立大学が、今おっしゃったように私立大学等々は自分でというお答えであれば、その上に上乗せして入学金、授業料等々で八億円をカバーできるだけの能力は、私はそれは無理な話であろう。どう考えてもそれだけの巨額を捻出しなきゃいけないということになると、やっぱり私は学生にやがてそれを転嫁していかなければいけないだろう。それしか逃げる場所ないんですね。
 育英資金とおっしゃいましたが、後でまた育英資金のことで言いますけれども、今大臣から学力及び家計のというお話が出ました。その標準を甘く見るようなお話でございましたけれども、これにはやっぱり基準があって、被災された全部の生徒がそれに当てはまるとは限らないわけなんです。
 ですから私は、このままでいくと今の私立大学、短大に対しての国の、あるいは国からのものということになると、激甚災から二分の一までということになっているとすれば、今数字で挙げましたように、どうしてもやっぱり入学をあきらめる生徒もいるだろうし、あるいは私立大学に家庭としてはとてもやっていられないと中途退学する生徒も出てくるんではないか。
 今おっしゃったように、私立は私立の学校のやり方でという大臣のお答えで、果たしてこういう生徒が出てきた場合どうするんだろう。その責任は今、私たち国会議員一人一人あるいは国民の一人一人が、国会議員でなくてもみんなが災害地を思う気持ちというのは一つだろうと思うので、何としてもこの方法に対して何か大臣の方でもう一工夫、文部省としてはお考えになれないものでしょうか。私の言うのが無理なんでしょうかということをもう一度お伺いしたい。
#115
○政府委員(吉田茂君) 御指摘の点でございますが、まず育英会の育英奨学金でございますけれども、これは御指摘のようにすべての方にというわけにはまいらないわけでありますが、大臣から答弁申し上げましたように、学力基準あるいは家計基準の弾力化を図りまして、多くの被災学生、生徒に対して適用ができるよう努力をしておるところでございます。
 また、授業料等の減免措置を行う私立大学等に対する私学助成上の措置につきましては、やはり災害を受けられた学費の負担者あるいは学生数等の状況、それから学校法人の取り組み状況、減免措置の及ぼす影響等、これは十分勘案しながら、学費減免の授業費の一部につきまして平成七年度の経常費補助の中で配慮をしてまいりたい、このような施策を有機的に連携をとりつつ、絡み合わせながら、御指摘の点に最大限の努力をしてまいりたいと、かように考えております。
#116
○林寛子君 今、局長がおっしゃったことはよくわかるつもりでございますし、最大の努力をということなんですけれども、今おっしゃいました育英奨学制度で「優れた学生及び生徒であって経済的理由により著しく修学に困難があるものと認定された者に」と、こうなっているわけです。今回の場合は、今おっしゃったように、局長は全部の生徒に渡すわけにいかないけれどもと言う。けれども、法律の中にちゃんと書いてあるんですね。そうすると、今まで学力基準というのが、もちろんご存じのとおりでございますけれども、少なくとも無利子貸与の場合は三・五以上、あるいは有利子の場合は三・二以上という基準があるんですね。それを、今おっしゃったように、弾力的に適用というお言葉がありました。弾力的に適用という言葉の中身を教えてください。
#117
○政府委員(吉田茂君) 学力基準は幾つかあるわけでございます。例えば大学の基準の一つとして、内規的なものでございますが、大学での成績が三分の一以内というのが通常の場合でございますが、これを例えば二分の一以内に持っていくというような形での弾力化。あるいは家計基準の場合には、通常の場合は災害の場合の控除はないわけでございますが、今回の場合は被災等により将来長期的に支出増となる額あるいは収入減となる額を特別に基準から控除して対応するというような形での弾力化を進めたいと、かように考えております。
#118
○林寛子君 局長、今の基準からという言葉の中身をちょっと教えてください。ただ、一般の家庭でも経済的にと言われても、個人の場合は被害額の判定がかなり家庭によっては違うんですね。ですから、その辺のところの今の中身、もう一遍教えてください。
#119
○政府委員(吉田茂君) 現在、具体的な作業を進めておるところでございますが、概括的に申しますと、今申し上げましたように、被災によって今後長期的に支出増になる額というものが当然出てくるわけでございます。あるいは被災によりまして収入が減るというような部分もあるわけでございます。こういったものを災害によって特別に控除する額ということにいたしまして、いわば家計基準でございますから、実際作業をする場合にはその部分はネグレクトして、それで作業をしていく。その部分は作業の段階としてはこれをかさ上げして、それによって家計基準を適用していくということになるわけでございますから、現実の場合にはそういった部分は収入から引かれるという形になりますので、その分有利になってくる、こういう考え方でございます。
#120
○林寛子君 おっしゃる中身のことが私にはもう一つわからない。対象がどこまでになるかということを今文部省で検討していらっしゃるということですから、わからないものはしょうがないというか、まだ災害の規模というものがわからないから一定の家計の基準というものが出てこないというようなこともあろうと思うんです。
 今回、育英会に対する対応を今おっしゃいましたけれども、申請を適時受け付けて採用を弾力的にするという話なんです、これは文部省の言ですけれども。そうしますと、受け付けの枠はどれくらいにするおつもりなんですか。
#121
○政府委員(吉田茂君) 平成六年度の二次補正で育英会の育英資金の貸付金をふやしておりますが、現在のところ一億七千三百万円、千三百六十二人分を補正として計上しておるわけでございます。
 これは話が細かくなって恐縮でございますが、二次予算に計上できるぎりぎりの二月十日までの申請状況を踏まえて計上しておりますが、それだけではなくて若干の予想人数も含めて計上をした数でございます。それによってこの部分の弾力化に対応してまいりたい、こう考えております。
#122
○林寛子君 今おっしゃいましたけれども、六年度の二次補正、一億七千三百万というお話でございました。これで国公立、私立の高校、大学、大学通信教育あるいは大学院、高専、専修学校、全体でこれを計算しますと、今おっしゃいましたけれども千三百人程度にすぎないんです、約二億弱ですから。そうすると、私立大学の学生人数枠は多くても二百人程度にしかならないんじゃないですか、どうですか。
#123
○政府委員(吉田茂君) 現実には申請がそれぞれからどのくらいあるかということによって枠取りが決まってくると思いますので、アプリオリに何人ということがなかなか出にくいと思いますが、当面この千三百人強の人数を予測しておるわけでございます。
 ただ、今の御指摘のようにこれで対応ができるのか、人数が少ないのではないかということは、もちろん予測としてどうなるかというのはまだ数字が出ておりませんので考えられるわけでございますので、年度末、この三月末の段階におきましてこの計上額を超えて予想以上に多く申請が出てきた場合には、七年度における資金交付の中で対応したいということを考えておるところでございます。
#124
○林寛子君 申請が三月いっぱいということで、まだわからないので明らかにできないというような局長のお話ですけれども、大臣、申請がこれより数多くなれば対応できないから七年度というようなお話を今局長がおっしゃったんですけれども、私立大学だけでも被災学生は数万人の規模なんです。奨学金制度がそれでは余りにも冷た過ぎるんじゃないか。私は余りにも少な過ぎると思いますし、あるいは今まで学費の面倒を見てきたおうちの人たち、とても家族に今後も大学に通わしてくれと言えなくなるような状況というのはあると思うんです。それを文部省はいち早くキャッチしてあげて、せめて国公立に比べて、ふだんでも私立の場合は授業料が高いわけですから、何のための奨学資金制度だったのかななんて思われないように文部省が私は対応してほしいと思います。
 こういう時期なんですから、日本育英会の特殊法人の見直しをしても私はいい機会ではないかなと、それでなければ存在意義が問われるんではないかと思うんですけれども、いかがですか。
#125
○国務大臣(与謝野馨君) 日本育英会というのはそんな小さな組織ではございません。日本育英会が年間やっております事業というのは、二千二、三百億の事業をやっております。どこからお金が来ているかといいますと、過去に育英会の奨学金をもらった方でそれを毎年営々と返しておられる方が平成七年度返される額が約九百億円ございます。それから、国からの借り入れが約七百億近くございます。また、財政投融資から回っできます金が約六百億ございますから、これは二千二百億の非常に大きな規模の奨学金制度でございます。もちろん被災地の方々には、その全体の枠の中で面倒を見ると言ったら失礼ですが、そういうものの中で対応をしてまいります。
 ただ、奨学金制度というのは、あくまでも学校で勉強したいという意欲を持っており、なおかつ学力があり、育英会の奨学金をもらいたいという家計的な背景を持っている方に対して奨学金を給付するという制度でございますから、お申し出のあった方全部に奨学金を差し上げるというのは、育英会そのものの基本的な考え方とは相なじまないものでございます。
 しかしながら、先生に繰り返し申し上げましたように、被災地の方々は経済的な困窮に遣われていることは間違いないわけでございまして、家計基準においても、学力基準においても、あるいはお申し出の時期についても私どもとしては弾力的に取り扱うように育英会の方にお願いをし、また育英会の方でもそのような方針で今回臨むと申しておりますので、被災地の学生の方には十分御活用いただける制度となっていると確信をしております。
#126
○林寛子君 大臣がはっきりそう言ってくださると私も大変心強いんですけれども、現在全学生の生徒数に対する奨学金の貸与率を考えてみますと、わずか六%なんです。ですから、今おっしゃったように財源として育英会というのは大きいものと、それは大きくて当たり前なんです。今までそれで救われた人もいるし、あるいは無利子もあるしということで、いろんな種類はございますけれども、今回の場合は特別だということで、大臣が今財投からの資金の話もなさいましたので、こういうときこそ財投の投入の額をふやしていただいて、希望者はほとんど予算措置として財投をふやして措置できるような、大臣の今おっしゃったような決意がそのまま生かせるような文部省の体制をとっていただきたいということを私は改めてお願いしておきたいと思います。いかがですか。
#127
○国務大臣(与謝野馨君) 財投のお金を借りてまいりますと、普通よりは金利が高いわけでございますから、いわば一般の金融機関が行っている教育ローンとほぼ同じような考え方になるわけでございます。これが有効かどうかということはまた議論のあるところでございます。
#128
○林寛子君 それから、これは予告をしていないことで申しわけないんですけれども、実は私、科学技術特別委員会とかけ持ちをしていると申しました。先ほど田中眞紀子科学技術庁長官が、文部大臣に五項目にわたる質問を出していたんだけれどもなかなか返事をくれない、返事が返ってきたら中身がないと委員会の場でおっしゃったんです。私びっくりいたしまして、委員会の中で公式の発言なものですから科学技術庁に、どういう質問を文部大臣に五項目お出しになったのか出してほしいとさっき頼んだけれども、私的なことで私どもには資料がありませんとおっしゃるんです。私的なことで資料がないものを公の委員会で公言なさるということに私はびっくりしたんですけれども、いかがですか。それはどういうことでしょう。
#129
○国務大臣(与謝野馨君) 林先生のような方に科学技術庁長官になっていただくということもまた考えなければならないことだと思っております。
#130
○林寛子君 もう一つ、これは中身をぜひ、後日でもいいですから、今お手元にないのであれば、私的だとおっしゃるんで、本当に私的なのか、科学技術庁から文部省に対してしたのかという点がはっきりしないんです。
#131
○国務大臣(与謝野馨君) 田中長官は教育問題には大変御関心のある方でございまして、幾つかの御質問をいただきました。天下の閣僚からいただいた御質問でございますので、文部省挙げて適切な答弁を書くことに苦労をいたしました。あの文章を十分な読解力をもって読んでいただければ、文部省の意図するところは十分御理解いただけるのではないかと、今でも私はそのように確信をしております。
#132
○林寛子君 これは、私通告をしていることではございませんし、またそれが今おっしゃったように私的なのか、あるいは文部省こぞってというお答えであれば、役所こぞってへ対しての質問だったのかという、いよいよ中身をお聞きしたくなるなと思いますので、これは後で資料があれば、私的であればどうして公式な委員会でそういう御発言があったのかというのをちょっと疑問に思っていますので、もしも五項目にわたる質問書というものがあるのであれば後日で結構ですから見せていただきたいと思いますし、文部省挙げて田中長官に理解いただけるような答弁をお書きになったというのであればそれも見せていただきたいと思います。
#133
○国務大臣(与謝野馨君) 私どもにとりましては常識であることをわかりやすく書いたつもりでございます。先生がもし御関心があればそのコピーを後ほど差し上げます。
#134
○林寛子君 それから、もう一点だけこの件に関して、申しわけないんですけれども、何か汗をかいていらっしゃる方が後ろにいらっしゃるようですけれども。
 所信の中で、「教育研究環境の改善充実などに積極的に取り組むとともに、理工系教育の魅力向上のための施策の充実を図ってまいります。」と私も所信を伺いました。ところが驚くべきことに、さっき私びっくりしたんですけれども、これも田中長官が発言されまして、二月二十八日、ある大学へ行きました、研究室を見ました、驚くくらいでびっくりしました、汚い、暗い、危険だ、これでは研究者が育つのか、また研究意欲がわくのかと、今そこで発言されたんです。私びっくりいたしまして、どこの大学の何部へ長官がいらしたんですかと科学技術庁に聞きました。そうしましたら、二月二十八日、東大の理学部、医学部を視察されたそうでございます。
 私、大変残念でございまして、文教行政に御熱心で御見学いただくのは大変ありがたいと思いますし、私どもも絶えずそういう機会を得て、大臣が特に理工系の環境確保とかあるいは研究所の充実というようなことに努めますとおっしゃっていますし、私たちもそれに対して予算の充実等々していかなきゃいけないんですけれども、同じ内閣の閣僚の方が東大の研究所に行って、汚い、暗い、危険と言われたのではやっぱり文部省も顔がないと思うので、何とかこれはしなければいけないと思うし、同じ内閣の中でそう言われたのでは、私たちも委員会で何としてもこれは奮起しなきゃいけない。一体、暗い、汚い、危険と言われて、どうしてそこでしなきゃいけないんだろうと言われてしまう、私、大変惨めな思いをさっきいたしましたので、それに対しても大臣、いかがでしょう。
#135
○国務大臣(与謝野馨君) 林先生には科学技術特別委員会に行っていただいて、少し科学技術庁長官の御発言を聞いていていただいた方がいいんではないかと先ほどから思っております。
 私どもは、そのように汚いとか暗いとか言われましても、ぼろは着てても心はにしきという精神でやっております。どんな汚い屋根裏からもいい研究は生まれると、このように確信をしております。
 ただ、総じて言えますことは、予算に関しましてシーリングというものを設けまして以来、ややもすれば大学の研究施設あるいは実験等に必要な機器等の予算がいたずらに削られるという悲しき宿命にあったことも事実でございまして、そういう意味では、長い間そういうことを積み重ねてきたことによって大学の研究施設が狭隘化している、あるいは機械等が陳腐化しているということは紛れもない事実でございます。
 しかしながら、私どもは高い精神を持って研究に臨んでいるということだけはぜひお間違えないように願いたいものだと隣の委員会に向かって叫びたいような気持ちでございます。
#136
○林寛子君 大臣のおっしゃるとおりで、ぼろは着てても心はにしきとうまいことをおっしゃいましたね、さすが文部大臣だと思ったんですけれども。
 本当に私どもはそういう意味で、文教委員会でこうして皆さん御熱心に、至らなくても勉強したりそういうふうにしておりますので、何としても今おっしゃったように、環境によっていいものが生まれる生まれないということは二次としても、少なくとも同じ内閣の閣僚に汚い、暗い、危険と言われるようなことはなるべく払拭するように私たちも最大の予算をとっていきたい。もう一言、長官が、私立は知りませんけれどもとつけ足されましたので、これも私びっくりしたんです。まだ私立の研究所の視察に行っていらっしゃらないようで、私立はきれいなんでしょうけれどもという一言がついたので余計、国公立は余りにも暗い、汚いだけではとても情けないなと思いました。
 私どもも、与野党とかそういうことは抜きにして、日本の将来のために学生の中から優秀な研究者を出し、あるいは育成し、そして日本の将来の二十一世紀のために役立つ研究の発信ができるような成果を上げてもらいたいということを、与野党ということじゃなくて応援していきたいと思いますし、大臣がおっしゃったように、それを払拭して、あの研究所からあれだけのものが出たと言えるように、私たちも平成八年度の予算では最大限に努力していかなければならないなと思っていますので、ぜひその辺も大臣に頑張っていただきたいと思います。これは余分でしたので、この程度にしておきます。
 あとは、ちょっと大臣に私立学校の振興助成法についてお伺いしたいと思います。
 御存じのとおり、国公立と私学の割合というのは、ここにも私学の理事長をしていらっしゃる方もいらっしゃいますし、もう今さら言うまでもないんですけれども、私は我が国の学校教育の発展普及の上で私立学校の今日までの貢献は本当に大きいものがあったと。それは皆さんお認めになっておることであろうと思います。もう私学と国公立の大学の比率を見ても、学校数あるいは生徒数の比率を見てもわかることなんですけれども。
 大臣が所信で述べられましたように、「個性の尊重を目指す教育改革」の構築のためにはということがあるんですね。独自の建学の精神に基づく個性豊かで多様な教育研究活動を積極的に展開している私学は、まさに大臣がおっしゃいました「個性の尊重を」というのが建学の精神でございますので、私はそういう意味におきまして、今までの私学の教育界に果たしてきた役割、その重要性等々を考えますと、私学助成というもののあり方をやっぱり考えていただきたいと切に願うんです。
 なぜかといいますと、もう大臣もともとおわかりになっていると思いますけれども、金額的にも、昭和四十五年には助成金が百三十二億だった。そして、御存じのとおり五十年ではこれが一千七億、二〇・六%にまで行ったわけですね。そして、五十一年には一千二百九十億、平成七年度は二千八百三十五億ということになっているんです。
 もう大臣先刻御承知のように、私もこれ随分見てきたんですけれども、やっぱりこの中で一番の問題は、法律の中で「二分の一以内」と書いてあるんですね。私学助成で「二分の一以内」という、この「以内」というのが大変問題のある言葉で、含蓄のある言葉で、仏その当時の委員会のあれを見ましたら、本当は二分の一にしたがったと、けれども大蔵省がそれをうんと言わなくて、この「以内」という言葉をつけたんですね。
 ですから、私が見ましたように、大臣のところに見えるかどうかわかりませんけれども、(資料を示す)このようにグラフというものは昭和四十五年から大体五十四年、五十五年がピークになって、今やまさに下降線をたどって、今申しましたように平成元年では二千八百二十五億で一五・〇%にまで落ちてきているわけです。
 今申しましたように、私学の教育界に対する貢献度あるいは学生の優秀さ等々も含めまして、何としてもこの「二分の一以内」という、「以内」という言葉をどうお受け取りになり、今の私学助成のこのカーブの推移、山が下がってきて最低線にまでなっているという私学の状況、私学助成法の現在をどうお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
#137
○政府委員(吉田茂君) 私立大学あるいは私立高等学校等経常費助成費、こういったものの補助につきましては、例えば私立大学等経常費補助の経常費全体に占める割合というものは一時より下がってまいってきておる、御指摘のとおりでございます。
 これは非常に厳しい財政状況の中で、例えば臨調なりあるいは行革審の指摘の中で、私学の助成費というものの相対的な額が低下しているという厳しい状況の中で推移してきておることは御案内のとおりでございます。
 しかしながら、このところ毎年度一〇%減という大変厳しいシーリングの中で、文部省全体としてとにかく私学の経常費補助をふやさなきゃいけないということで増を図ってきておるわけでございまして、そういった財政の困難な中、マイナスシーリングの中で、しかし経常費補助をふやしていくという努力を私ども続けてきてまいっておるわけでございまして、その点はぜひ御理解を賜りたいと思います。
#138
○林寛子君 状況はよくわかっておりますし、私どもも力が足りないなと思うところもあって、これをもっとふやすべきである、せめてこのときの法律のように二分の一に近くしていきたいと思っておりますので、これは文部省も頑張っていただきたいと思うし、秋どもも頑張っていきたい。
 今、局長がおっしゃったことで、財政が苦しいときというお言葉は、私これは言わないでいただきたい。なぜなれば、苦しいときというのは私学も苦しいんです。家計も苦しいんです。そのときに、私学は授業料でやっているものですから、一番苦しいときにこそ手を差し伸べるのが私は助成法の本来であって、苦しいときはお前やめておけよ、それでは何にもある意味がないものですから、今は財政的に苦しいですからという局長のお言葉は、この私学助成法に対してはなるべく使わないでいけるようなことを今後も財政措置として考えていただきたいし、私たちも頑張っていきたいと思いますので、ぜひその点をよろしくお願いしたいということで、ちょっとあと質問の時間が余りありませんので先へ進みます。ただ、頑張っていただきたいし、私たちも頑張るということで、この件は締めさせていただきたいと思います。
 通告が行っていますので数字をちょっと出していただきたいんですけれども、まず年度別に行きたいと思います。
 質問の一番最後に出しましたけれども、昭和五十五年、オリンピック記念青少年総合センター、これを特殊法人から文部省直轄にいたしました。これは、現在、直轄にしたことによってどれくらい人員削減あるいは費用が変わってきましたか、報告ください。
#139
○政府委員(泊龍雄君) オリンピックセンターにつきましては、昭和五十五年度に特殊法人から国の直轄施設へ機能面の合理化を図ると同時に、定員措置等、いわゆる機構面における合理化も図ったところでございます。
 概略申し上げますと、定員面に関して申し上げますれば、特殊法人時は、昭和五十四年度の数字でございますけれども、役職員総定員八十二名でございました。そして、これをいわゆる国立の直轄施設として再発足するとき、内部的な文部省の規定定員のやり繰り等を三十五名ほどいたしまして、スタートとしては七十八名でスタートをいたしたわけでございます。
 その際、機能面におきましては、それまではいわゆる集団宿泊施設という機能が主でございましたが、国立の直轄施設化するに際しまして、青少年教育に関するいわゆる調査研究、情報提供、指導者研修等々の事業を加えるという形をとってスタートいたしました。ただいま現在、平成六年度では定員数六十四名と、さらに合理化がされているところでございます。
#140
○林寛子君 ありがとうございました。
 ちょっと数字だけ先に聞いていきますので、ごめんなさい。
 その次に、これは昭和五十七年、御存じのとおりでございますけれども、日本学校給食会と日本学校安全会を一つにしまして日本学校健康会というのに改組いたしまして行政改革の実を上げようということだったんですけれども、これに関しまして、どれくらいの人数の減と、数字的に変わったか教えてください。
#141
○政府委員(小林敬治君) お答えいたします。
 ただいま先生おっしゃられましたように、五十七年に二つの法人を統合いたしまして日本学校健康会を設置いたしたわけですが、その統合に伴いまして役員が十三人から八人に五入減りました。それから、職員でございますが、両法人合わせまして三百四人から三百一人、三入減でございます。それから、費用の関係でございますが、今役職員が合わせまして八名減でございますので、したがいまして理論的にはその分だけの人件費が減るわけでございます。事業費等は、事業はそのまま引き継いでございますので事業費がそれによって減ったというようなことはございません。
#142
○林寛子君 ありがとうございます。
 それでは続きまして、昭和六十年、国立競技場と日本学校健康会、これを統合いたしまして日本体育・学校健康センターにいたしました。これに関しての数字を同じように教えてください。
#143
○政府委員(小林敬治君) 昭和六十一年三月に御指摘のような統合がございまして、その統合に伴って役員が十四人から十一人、三入減でございます。それから、職員につきましては四百八十九人から四百七十九人で、ちょうど十入減でございます。
#144
○林寛子君 費用は。
#145
○政府委員(小林敬治君) その際も、やはりそれぞれの事業をそのまま引き継いでございます。
#146
○林寛子君 今お聞きいただきましたように、文部省としても昭和五十五年あるいは五十七年、六十年、まあ六十一年から施行されたわけですけれども、そのように今までも行革を行って努力してこられたわけでございますのでも、大臣もお聞きになったように、人数的には、これは定年があったのか新規採用をやめたのか、どういう理由で減になったのかというのは私はまだ内容を聞いていませんけれども、人員的には役員が三入減ったり、その役員の給与だけが節約になったと、そういう御説明をお聞きになったと思います。
 今回、行革として文部省が私立学校教職員共済組合と日本私学振興財団とを統合しようという案をお出しになったんですけれども、これによってどれくらいの人数と経費が変わっていくんでしょうか、お知らせください。
#147
○国務大臣(与謝野馨君) 今回の特殊法人の整理統合は村山内閣の一つの大きな方針でございまして、文部省としてはその方針を受けまして相当真剣に御関係者とも話し合いながら進めてまいったわけでございます。文部省の所管する特殊法人は、それぞれの役割を持ち、それぞれ重要な仕事をやっておるわけでございまして、必要性があるか不必要であるかという観点から考えますと、いずれの特殊法人も使命を持っており、また重要な役割を持っているということでございます。
 しかしながら、統合をするということが一つの内閣の方針でございましたので、いろいろ検討した結果、ただいま先生が御指摘になった私学共済と私学振興財団は、ともに私学の振興ということを目的にしております。そういう意味で、これはいずれも私学関係の団体でございますので、私学御関係者とよく御相談をし、この特殊法人を統合していただく、そういうことに決めたわけでございます。
 私学共済は、もとより私立学校の職員等の掛金による共済事業を主たる業務にしておりますし、また私学振興財団の方は、私学の経常費助成並びに貸し付け等を主たる業務にしております。いずれにしても、私学の振興ということについてはこれらの二つの特殊法人は同一方向に向いているわけでございまして、御両者によく御理解をいただいて統合に踏み切ったわけでございます。
 そこで、これらの二つの特殊法人を統合しましたときにどれだけの歳出削減効果があるか、こういうことでございますけれども、これは直ちにそういう歳出削減が起こるわけではありません。これはやはり、ある一定の期間を過ぎますと役員数が減ることによる歳出の削減、また共通する管理部門が、二つの特殊法人の例えは総務部とか経理部とかそういうものが、同じ仕事を重複してやる必要はないわけでございまして、そういう意味での歳出削減効果、こういうことも期待されるわけでございます。
 むしろ私どもは、これら二つの特殊法人が一緒になりますことによって、二つの特殊法人が持っております私学振興に対する意欲と潜在力が発揮されて、私学振興の基盤がますます強固なものになると、そのように信じております。また、私学は私学の道を選ぶということで私学の自主性を大いに尊重して、これら二つが統合した後もそれぞれの所期の目的を同一組織内で達成できるよう大いに私どもも御支援申し上げたいと、そのように考えております。
#148
○林寛子君 それらのものは、今、大臣がおっしゃったように、今までそれぞれの目的とそれぞれの仕事というものの実を上げていらしたということに関しては私もそれでよかったと思いますし、今おっしゃったように、今は数字が出ないけれどもやがて役員の減、あるいは歳出の面としては、実際には今計算できないけれども将来にわたってはその実を上げていくのではないかということであれば、私もそれは結構なことだろうと思いますし、文部省も頑張っていただきたいと思うんです。
 私は、きょう時間がありませんので、あとわずかですので、ちょっと私案といいますか私の希望をお聞きいただきたいと思います。行政改革の中でこうした方が、お金ではなくて、精神的にも現実的にもよくなるのではないかと思う部分が一つあるんです。お気に召すか召さないかは別としまして、ちょっと私の案でございますから。
 それは、文部省の組織令の施設等機関の中にあります第七十九条、国立青年の家、そして第八十条、国立少年自然の家、これを私は調べました。この第七十九条、第八十条の中身を見ますと、両条項とも中身の中で、団体宿泊訓練を通じて健全な青年の育成を図るための機関とする、全く同じ文句なんですね。そして、これがどこにあるかというのも私は全部調べました。地域は違うとしましても、青年と少年の違いなんですね。
 国立青年の家は全国に十三カ所。職員も調べました。これは、全部書いてないものですから役員を一つ一つ数えましたら、国立青年の家は今、職員、所長、課長、全部含めまして百五十一名なんですね。そして、国立少年自然の家というのは、現在全国に十四カ所ございます。そして、職員等々全部含めましたら百四十名ということでございまして、全部で二百九十一名働いていらっしゃるんです。私、この働いていらっしゃる人を減らせというのではなくて、御存じのとおり、私どもは大変難しい時代に今差しかかっている。と申しますのは人口問題ですね。
 御存じのとおり、私は人口問題もかなり勉強させていただきましたけれども、お母さん方が子供を産まなくなってしまった。全然産まないわけではありません。産みたくないというか、とにかく出生率というのが、二十二年に四・五四人産んでいたんです。与謝野先生のおばあ様のように十一人産んでいればいいんですけれども、残念ながら私どもは、この世代では平成元年で一・五七人、平成五年で一・四六人しか子供を産まなくなってしまった。一人っ子になりますと、兄弟が少ないものですから、けんかをしたり、あるいは兄弟で助け合ったりということを知らない子供がだんだんふえてくるんです。ですから、私はこれもいじめの一つの原因であろうと思っております。
 文部省の中の国立青年の家と国立少年自然の家というのを一緒にしてしまえば、青年と少年と違う年代を一緒にして自然に親しみ、あるいはこの中の、私動いていることも随分見ましたけれども、これは規律並びに公衆道徳を守る習慣性を身につけさせるとともに、友愛、共同の精神を養うという大変いいことをしておるものですから、それだったら私はこの機会に、行革と言うのであればこういうものこそ一緒にして、金額的、職員的には変わらなくても、将来の青年あるいは少年のためにこの方がよくなるというようなことで一緒になすった方が、行革は必ずしも人数を減らしたり歳出を減らすだけが私は行革ではないと思います。
 二十一世紀のために、少子時代を迎えて一人っ子が多くなるときにこそ、こういうものを一緒になすった方が私は将来のためにいいのではないかというのが私見なものでございますから、ちょっと行革に絡んで言わしていただきましたけれども、大臣お考えとしてはいかがお聞きになったでしょうか。
#149
○国務大臣(与謝野馨君) 今回の特殊法人あるいは行革で気がついていただけないのは、例えば札幌の大倉山シャンツェ、これは文部省が手を放しまして札幌市に移管をするというようなこともいたしました。
 今の二つの種類の組織でございますけれども、先生はなかなかいいポイントを私はつかれていると思います。ただ、これはでき上がった経緯が経緯でございますから、そういうことも十分考慮しながらやらなければならないと思っております。
 ただ、新進党が出しておりますいろんな行政改革、特殊法人の例の中では、科学技術庁をばらばらにして科学技術庁の研究所も相当こちらでいただけるということで、大いに期待をしておりますので、向こうの委員会に行って少し頑張っていただきたいと、そういうふうに思っております。
#150
○林寛子君 それはそれとして、また新進党が政権をとりましたときには、特殊法人だけではなくて本庁の移動というがらがらぽんというものも一度して、戦後五十年のけじめにして、新しい日本の道を開いていくようにさせていただきたいと思いますけれども、現在村山内閣は行政改革が目玉ということをおっしゃっていますので、ただ人数を減らしたり、お金の面だけを計算するという狭い心の行革ではなくて、日本の将来のためになる行革をお考えいただきたいということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。今後頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 以上で質問を終わります。
#151
○江本孟紀君 大臣、初めて質問させていただきます。よろしくお願いします。
 私は、今回の被災地での高校野球の開催について少し御質問をしたいと思います。被災地での例えはスポーツのイベントだとか文化、芸能、そういったことで被災者に何かメンタル面で貢献できるようなこと、そういったイベントは大いに結構だと思います。
 高校野球のことについてお伺いしたいと思いますけれども、本来高校野球は高野連が主催するわけですけれども、一般的には高校野球というのは文部省が実際に運営をしているんではないかというふうな印象が非常に世間一般では強いわけです。
 しかし、実際にはほとんど関与していないというか、相手にされていないというか、ちょっと言い方は失礼ですけれども。たまに、たまにという言い方もおかしいんですが、夏と春に始球式に呼んでいただいて始球式だけやるというような、そんなかかわりしか実際にはないんじゃないか。今回も行かれますか。これは答弁いいですけれどもね。実際に行っても、多分高校野球関係者にしたら、大臣に始球式だけでもやっておいてもらったらいいじゃないかというような程度のかかわりしかないと思うんですね。
 僕も実際に今までの、こちらの仕事をする以前でしたら、野球関係者と同じような感覚で、始球式だけでもいいじゃないかというふうに見ておりましたけれども、やはりここへ入ってきて皆さんと一緒に、お世話になっている関係上、どうもこっちの味方もしたいなという気分がありまして、そんな状況では本来いけないんじゃないか、本来ならしっかりやっぱり、管理までしなくてもあれですけれども、きちっとした関与の仕方をすべきではないかというふうに考えております。
 実際、高野連の特殊性についてはまだ別の機会にやりたいと思いますけれども、ただいまだに、私たちもときどき話をしたりする機会があるんですけれども、なんで文部省と一緒になってやらないんですかと言うと、戦中でしたか戦前でしたか、野球統制令というのが出たと、こういうことを文部省はすぐやってくるぞというんで、あんなものを入れちゃいけないというのがいまだに真剣に議論されておるような特殊性を持った、そういう団体ですから、非常に難しい面もあると思いますけれども、しかし、いずれにせよ高校野球の開催そのものは別に悪いものではない、大いにやっていただいて結構だと思います。
 そこで、被災地の中で大会を開催するに当たって、安全性ということについて少しお聞きをしたいと思います。
 いろいろお聞きしたいと思いますけれども、一つ目に現在の甲子園球場の被害状況と、それから球場そのものの耐震基準というのがあると思いますけれども、それを少しお聞きしたいと思います。
#152
○政府委員(小林敬治君) お答えいたします。
 甲子園球場の今回の震災による被害状況でございますが、甲子園球場は震災によりましてアルプススタンドを含む内外野スタンド及びスタンドへの入り口近辺のコンクリート部分に数カ所の亀裂、それから照明施設の基盤のコンクリート部分に一カ所の亀裂が生じましたほか、グラウンドの天然芝と土の境目及びバックネット前の側溝と人工芝の間に亀裂が生じたということでございますが、大会の開催に支障の出るような大きな被害ではなく、既に修復は完了しているというふうに伺っております。
 それから、二点目の耐震基準についてでございますけれども、球場の責任者からお話を聞きましたところでは、震度幾つの地震に耐えられるかといった明確な基準があったというような記録は残されていないそうでございますが、当時としては国際的に見てもかなり高い安全性を備えておりまして、今回の地震による被害の状況から見ても震度六の地震に耐え得る施設ではないだろうかというふうに考えているということでございます。
#153
○江本孟紀君 私も甲子園球場には六年ほどおりましたのであの中身はよく知っておるんですが、いまだに動物と一緒に過ごすようなところですので、かなり中はもうぼろぼろなんですよ。さっきもちょっと球団事務所に電話したんですけれども、いまだに補修を一生懸命やっているそうです。それから、中も相当悪くて、クラウンドヘおりてスタンドを見ると相当波を打っているものですから、ちょっとクラウンドヘおりてスタンドを見るとまだ恐怖感があると、そういうふうに言っておるのが現実なんですね。
 そこで、もう一つお聞きしたいんですけれども、開催を決定されるに当たって、安全基準というのをたしか出したと思いますけれども、その辺をお聞きしたいと思います。
#154
○政府委員(小林敬治君) 主催者が安全確保の観点から警察とか消防当局の協力を得まして球場、周辺道路、それから周辺地域を詳細に調べましたところ、西宮市の被害状況は局地的に偏った状況にあるということでございまして、球場へのアクセス、それから球場の使用には危険がなく、また安全な宿舎の確保も可能であるとの判断を得たというふうに伺っております。
#155
○江本孟紀君 その辺をもう少しお聞きしたいんですけれども、これ開催されますと恐らく数万人単位の人があそこに来ると思うんですね。実際に今度の野球大会を開いた場合に、被災者そのものがさあ出かけるかというのは実態として、僕らも行ってみて、あるかどうか、数からいえば結構少ないんじゃないか。それよりもむしろ、被災地でも見学がてら野球でも行くかみたいな、そういう人たちもかなり来るんじゃないか。
 そういう人たちも含めてかなりの人が来られると思うんですけれども、こういう人たちに対する安全性といいますか、例えば球場内で何か起きた場合に避難誘導する人員の配置とか、それに対する人数の確保、それからもしもということの災害訓練、それからそういうことのできる資格や経験が十分あるかどうか、そして人材がきちっと配置できるかどうか、そういったもののきちっとした数字とかマニュアルとかというものが必要だと思います。
 それから、警備の警察官、消防、それから今お話しになりました宿泊とか交通機関の現状、そういったものの安全性というか、そういったものも含めてお聞きしたいと思います。きのう、おとといの新聞によりますと、警備も、甲子園署が管内ですけれども、甲子園署は今の状況だと通常の警察の甲子園大会に対する警備はとてもできないというふうにはっきり言っておりますので、それにかわるようなものがきちっとあるのかどうか、その辺のことをお聞きしたいと思います。
#156
○政府委員(小林敬治君) 大会開催中に、例えば余震のようなものがあったり、予期せぬことがあったりという場合に、避難誘導等に適切な措置が考えられているのかどうかという点でございますけれども、主催者と球場の関係者はふだんから避難誘導訓練等を行っているということでございますが、今回の特別のケースにかんがみまして、今回は特に、一つには、地震の専門家でありますとか社会心理学者等の協力を得まして、余震対策マニュアルをつくりまして、観客でありますとか出場校応援団に周知を図ろうと、これが一つでございます。その際には、兵庫県の災害対策本部の御意見も仰ぐということでございます。
 それから二点目に、出場校応援団を統括して指導する責任者を各学校の教師から一人選びまして、二十人から三十人に一人の割合で安全誘導係員を選出すると、これが二点目。
 それからもう一点、球場職員等につきましては、種々の余震の程度等に即応して避難誘導できるよう、消防とか警察当局の協力も可能な限り得ながら、何かの際の対策を含めまして周到な避難誘導訓練を繰り返していくというふうな、この三点を中心に考えているようでございます。
#157
○江本孟紀君 今お話にありましたような対策がある程度できているというようなことでございますけれども、実際にこの大会中にもし地震が発生した場合、あそこの球場は六万人以上入る球場ですけれども、そういった人たちに対する、選手、観客も含めて、安全性が今の説明で十分、聞いたようなことで絶対安全な施設というふうに言えるのかどうか、その辺を大臣にお聞きしたいと思います。
#158
○国務大臣(与謝野馨君) 施設が安全かどうかという問題と、たくさんの人がおられた場合、その方々が一体どういう行動をするかということと、二つ分けて考えなければならないと私は思っております。
 施設の方は、施設が耐震性を持っているか、避難通路、避難出口等をきちんとわかるようにしているかどうかということのほかに、例えば戦後日本で起きました事件の中には、神社で階段をたくさんの人が一遍におりて何十人という人が圧死したという事件もありましたし、最近ヨーロッパでは、フーリガンというサッカーの観客の中で行儀の悪い人たちがスタンドで騒ぎを起こしますと、それに驚いた観客が何十人と人に踏まれて死ぬというような、そういったくさんの人がいる場合に思わぬことが起きるわけでございます。そういう意味では、四万、五万という観衆がいる場所で余震のある程度の規模のものが来ましたときには、大衆の心理というものをよく事前にわかっていて、きちんとした指導、誘導というものを行うということがやはり大事なことだろうと思います。
 これは被災地で野球を見ている方と例えば明治神宮で見ている方とは、やはりその行動のパターンというのは当然変わってくるんだろうと思っております。したがいまして、高野連も毎日新聞社も地元兵庫県あるいは県警とよく相談をされて、そういうことの起きないようにやはり観客等にも周知徹底をさせるということをあらかじめしておく必要があると、そのように考えております。
#159
○江本孟紀君 神戸、西宮、この周辺は、やはりこれだけの地震が起きて、もしかしたらまだ余震が来るかもしれないというような状況で言えば、非常に危険な場所であるということはやっぱりだれが見ても予測されるような場所であるということはわかると思うんです。そういう危険な場所に多くの生徒や父兄とかそういう人を集めて、高校野球そのものは教育の一環と言われる、部活の一つであるというふうに言われておりますから、そういった場所にそういう状況の中で集合させていくということは問題があるんではないかなと思いますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。
#160
○国務大臣(与謝野馨君) 甲子園を避けるということは大変簡単なように見えますけれども、やはり他の球場を今から確保して行うということは、球場そのものの確保のほかに、やはり宿泊施設、あるいはそれぞれの学校のための練習場の確保等々なかなか技術的に難しいこともあるのではないかと思いますし、また江本先生御懸念のこともありますけれども、そういうことには十分注意を払いつつ、やはり長年伝統を守ってまいりました甲子園の高校野球というものを開催するということがいろいろな意味で意義のあることではないかと私は思っております。
#161
○江本孟紀君 確かに、移転をしたらどうかとかいろいろな問題も考えられたとは思いますけれども、現に危険な場所である、ちょっとしつこいようですけれども、そういう場所に仮に地震が発生して、これで万一人命を損なうようなことがあった場合に、じゃ、だれが責任をとるかというような問題も当然出てくると思うんですね。そうすると、例えばそれは連れていった監督が悪いとか、それから部長さんの責任かとか、学校長さんだとか、それは高野連が連れていったなら高野運が悪い、それをやらせた文部省が悪いんだとか、甲子園球場の施設が悪いとかなんとかという問題がどんどん出てくるかもしれませんので、そういったときに何かあいまいなままやってしまうということも非常にこれは危険なことではないか。そういった場合に、現状で、こういうことに関してはこういうふうに責任をちゃんととりますよということを明らかにすべきではないかなというふうに思いますけれども、その辺は大臣、いかがでしょう。
#162
○国務大臣(与謝野馨君) 大変蓋然性の低いことに対してあらかじめどう責任を明確にしておくかということですが、蓋然性の低いことでありましても、先生がおっしゃるように、あらゆる面で万全の措置をとりながら開催に向けて準備を進めていくことだと私は考えております。
 ただ、やはり兵庫県等も地震学者等あるいは気象庁の関係者に十分あらかじめお話を伺っていると思いますし、高野連もそういう側面からも十分各方面の意見を聞かれた上での御決断だと思っておりますので、文部省としても、高野連、毎日新聞が決めたとおりの形に対して脚後援を申し上げたいと思っております。
#163
○江本孟紀君 この辺ちょっとまだ、しつこいようですけれども、今お話しになったようなことで、例えば危険性はまあどうかわからないということですけれども、今度十五、十六日に阪神タイガースがとりあえず試合をしてみると。それでどうかなというんで、私にもちょっと見に来いと言われたんですけれども、たまたま委員会その他がありますので、休ませていただけるなら視察に行ってこようかなと思っております。
 そういうこともあって直ちに、私もあの辺にいたものですから被害状況もかなり見てきたんですよ。甲子園周辺そのものも、それからそこに非常に近い場所にしてもかなりの被害を受けておるわけですね。あの周辺で、我々の友だちを含めて聞いてみると、必ずしも歓迎はしていないわけです。歓迎していない方の声を出すのは今ちょっと空気的にぐあいが悪いので言わないというのもあるんですけれども、しかしそういった状況で言いますと、例えば甲子園署の管内だけでも五十何名以上の方が亡くなられて、ついでに警察で倒壊家屋とか負傷者がどうだと言ったら、警察はそれは知らないと言われまして、縦割りの見事なシステムをわからせていただきました。それはよそへ行ったらわかると言われたんです。要するに、実際に死者だけでもそういう状況ですから、住民感情というか、そういったものも実際にはいろいろあるんではないかというふうに思うんです。
 高野連というものそのものが本当にいろんな関係者、それから地元住民を含めて、全国的なものも含めて意識調査なりをしてやったのかどうか、開催を決めたのかどうかということを、実情としてはどうなのかということをお聞きしたいと思います。
#164
○政府委員(小林敬治君) 今回の大会を開催することを決定いたしましたのは二月十七日の臨時の運営委員会でございますが、その前に、兵庫県、西宮市等の関係自治体、それから警察、消防当局とも綿密に打ち合わせを重ねておりまして、二月十五日に高野連会長が相談に出向いた際にも、被災地として厳しい状況にはあるが被災者激励のためにもぜひ開催に向けて努力してほしいといった旨の激励を受けたと聞いております。それから、加盟校につきましても、全国九地区の代表理事を集めまして協議をしましたところ、同じく開催に向けて努力すべきという意見が多かったというふうに伺っております。
#165
○江本孟紀君 私が今質問しているのは、決してこの大会をやめろというふうに言っているんではなくて、それは当然いい状況でやれるならやった方がいいという考え方なんです。だけれども、その中に安全性というものをやっぱり最重要視しなければいけないのじゃないか、そういうものがきちっと担保され、確認されてからやるべきではないか、あいまいな部分でやっては非常に危険が多いのではないかということを言いたかったわけです。
 実際に、やられるとしたらいろんな手があったと思うんです。考えられることは、他の球場に移すとか、先ほど大臣ちょっと大変だというふうなことをおっしゃられておりましたけれども、実際にできないことはなかったと思うんです。仮にそれができなくても、実際甲子園でやったとしても、今度は収益金を復興費に全部充てるとか、例えば入場料、そういったものを充てるとか、いろんなことを計画して考えてあげるべきではないか。
 現に、甲子園球場のすぐ近くの避難所、近くに避難所があるんですけれども、そこから二、三日前電話がかかってきました。子供が野球をしたいんだけれども火事やその他でユニホームがなくてできないから何とかしてくれないかというので、ちょっと考えたんですけれども、これは自腹でユニホームを買ってやるしかないかなと今考えているんですけれども、実際にそういう声も出てきておりますから、そういったものに充てるとか、そういったことも含めていろんな計画を、高野連の方にもこういうふうにしたらどうかというふうなことをお話しして開催するようにされたらどうかと思いますけれども、その辺のお考えをお聞きしたいと思います。
#166
○政府委員(小林敬治君) 先ほど大臣の方からもちょっと申し上げたんですけれども、今回の開催するかどうかというその検討の過程におきましては、一つの選択肢として甲子園球場以外での開催も内々検討されたということでございますが、もし仮に他球場で開催するということになりますと、宿泊施設の確保などの点で大体二カ月間を要するであろうと。三月の下旬から新学期が始まるまでの期間にやらなければならない大会でございますので、その時期を固定いたしますと他の球場というのは大変苦しくなってくると、こういうふうな事情があったというふうに伺っております。
 そういうことから二月十七日まで、あの震災の周辺も含めまして、いろんな検討を加えて様子を見ていたということもあるかと思います。いろんな方面からの御意見も伺ったり、調べたり、それからどこまで万全の対策をとれるかということもいろんなことを考え合わせまして、最終的には甲子園で開催をするのがいいということになったと聞いておるわけでございます。
 それからなお、今回の大会に際しましては、運営費から一千万円を学校体育・スポーツ復興資金として兵庫県教育委員会に寄附するということも決定をいたしております。
#167
○江本孟紀君 ぜひそういうような状況の中ですばらしい大会になるように私の方は祈っておりますけれども、いずれにせよ、最初に申しましたように、この大会は高野連が開くわけですね。だから、ちょっと高野連の特殊性ということを考えれば、これを機会に高野連との関係といいますか、文部省との関係を少し考え直してほしいなと思います。
 というのは、例えばこういう被災のときに高校野球大会を開くのであれば、野球関係者、いろんな関係者がこの大会を盛り上げるために応援をしてあげたいといった場合に、例えばプロ野球出身者は相も変わらず来てはいけない、中へ入ってきてもいかぬと。甲子園周辺で練習場もない、小さな空き地でもし練習するとしたら、出身者が行って少し練習の手伝いをしてやろうかといったら、これは禁止されているわけです。そういうことをやると即甲子園大会出場停止になりますから。
 そういうような状況でやられる、高野連というそういった体質を持った団体が主催する大会であるということをわかっていただいて、ちょっと早いですけれども私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#168
○橋本敦君 続いて、私から質問をさせていただきます。
 まず最初に、今大きな政治問題になっております東京協和信用組合の乱脈経理、倒産、こういったことに関連をいたしまして、福原学園の問題をただしていきたいと思うんです。
 この北九州の学校法人であります福原学園、これはもう皆さん御案内のように、昭和五十九年に九州女子短期大学の学生数の虚偽報告というとんでもない問題が明るみに出まして、私学の経常費補助金の返還、そしてまた五年間の交付停止という厳しい処分を文部省もなさったことがあるわけであります。
 この学園が今また三十八億円に上る巨額の無担保融資という問題で、学校経理としてそれは健全なのかということとも関連をして、いろいろ地元でも大きな問題になっているようでありますけれども、文部省はこの点について御承知でしょうか。
#169
○政府委員(吉田茂君) 福原学園が土地取得に当たりまして、その購入資金として約三十八億円を十分な保全措置をとらずに不動産会社に支払っていたという旨の報道が平成五年十二月になされたわけでございますが、このことについて、同月、学園から事情聴取をしたところでございます。
#170
○橋本敦君 今お話がありましたその件が実際に行われたのは平成三年から平成五年のようなんですが、ここで伺っておきますが、平成三年から五年にかけてこの福原学園に対しては私立大学等経常費補助金はどれくらい交付されておりますでしょうか。三年、四年、五年で結構です。
#171
○政府委員(吉田茂君) 平成三年度は、まだ補助金の今御指摘の措置が七五%という時期でございまして四億四千三百万円強、それから平成四年度は六億八千万円強、平成五年度は六億五百万円強でございます。
#172
○橋本敦君 したがって、この三十八億円に文部省の方で今おっしゃった交付した金が使われたという、これはそういう証拠もないし具体性もありませんからそうは言いませんが、要するに多額の経常費補助金が交付されている中での問題ですから、経理については責任ある健全な措置が当然要るわけですね。
 この問題になっておる状況を具体的に見ますと、平成三年から五年にかけまして地元の北九州市の建設会社大盛組に自動車学校用地取得という名目で十五億円、それから東京の港区に本社があります経営コンサルタントのパシフィックネットワークというところに専門学校用地取得の名目で十六億円、福岡の建設企画会社のヤマトコミュニティというところにこれまた専門学校用地取得の名目で七億円、いずれも出しているわけです。
 今、これを出すことについて契約上全く十分でなかったということをおっしゃいましたが、どういう点がごらんになって十分でなかったんですか。そしてまた、どう指導されましたか。
#173
○政府委員(吉田茂君) 福原学園が業者と取り交わした契約内容につきましては、契約の対象物の取得の期間、それから取得できなかった場合の取り扱い等が明記されていなかったこともございまして、文部省では学校法人の資産の保全を図るという観点から土地取得に関する契約等は慎重に行うべき旨の指導を行った結果、学園では土地取得計画を一たん白紙に戻しまして、平成六年三月末までに業者から当該前渡金の全額を回収したということでございます。
#174
○橋本敦君 今お聞きしたようなことで、私も弁護士ですからいろんな契約に立ち会ったりして承知しておりますが、これだけ巨額の資金を投下するのに、用地の買収と言いながらいつまでに買収をやり遂げるかというそこのところの一番肝心な契約の問題が明確にされていない。もしもそれが実際に実現されなかった場合に、金を先渡しするわけですから、それの返還義務や返還の場合の債務の履行についてその保証はどうあるのかというのは、これは当然契約上だれもがやらなくちゃならぬことですが、そういうことさえやっていない。そういう意味では、常識を超えた放漫な資金運用をやっているということがわかるわけです。
 実際にこの用地買収計画というのはほとんど進んでいなかった。その証拠に、文部省が今おっしゃったような指導をいたしますとたちまち、これはもう全部白紙に戻しますと、こういうことで三月末までに、六十三年でしたか四年でしたか、白紙にするということで白紙に戻した、こういうわけですね。だから、これは一体本気になって用地取得をやろうとしたのかどうかさえ疑わしい実に奇怪な事件であります。
 この三十八億円が本当にもとに戻ったかどうかさえこれでは疑問がわいてくるんですが、この点は文部省としては確認されておりますか。
#175
○政府委員(吉田茂君) 福原学園に返還されました三十八億円でございますが、これにつきましては、平成六年の三月末に学園から受けた報告、それから業者と申しますか、不動産業者からの学園名義の銀行口座への振り込み、その写しをもって私どもとして確認したところでございます。
#176
○橋本敦君 わかりました。その平成六年の振り込みの預金口座の写しということですが、これは九州の銀行ですか、東京の銀行ですか。
#177
○政府委員(吉田茂君) 九州の銀行と承知をいたしております。
#178
○橋本敦君 返金振り込み先は、今私が指摘した三つのそれぞれの企業からそれぞれの金額であることは間違いないんですか。
#179
○政府委員(吉田茂君) 間違いございません。
#180
○橋本敦君 三十八億というのは大きな金ですが、返還利息はついていますか、ついていませんか。わからなかったらわからないでいいです。
#181
○政府委員(吉田茂君) ついていなかったと承知しておりますが、確認しておりません。
#182
○橋本敦君 といったような極めて常識を超えるあいまいな処理をやっているわけですね。
 この福原学園が問題の東京協和に六十三億円という巨額の預金をしていることも明らかになっておりまして、私どもの調べでは、昨年十一月末現在の大口預金者リストに福原学園の六十三億円がございます。これは東京協和の本店で口座番号二〇二七九四七ということまでわかっておりますが、利率は三・二%の定期預金です。三・二%といいますと、五%を超えるという高利率の問題もありますから、それに比べれば低いとはいうものの、一般の定期預金金利は三%以下というのが多いわけですから高いことは疑いないですね。
 しかも、福原学園の大口預金を見てみますと、これは東京協和の中で第二位ですね。第三位は三十七億円、第四位は二十二億円、第五位は二十億円という大口預金ですが、六十三億円というのは断トツで第二位ですね。
 そこで伺いたいのは、これは協和信用組合の問題として、法律上の規制がいろいろあるということを文部省も御承知だと思うんですね。言うまでもありませんが、信用組合というのは中小企業等協同組合法でつくられるわけです。その中小企業等協同組合法は第一条で明確に、これは中小規模の商工業者や勤労者、こうした皆さんの相互扶助の精神を基本として、これに基づいて自主的な経済活動を促進し、そういった皆さんの経済的地位の向上を図る、そういった地域に密着したものとしてつくられていると。だから、こういう建前を貫くために、例えば大口貸し出し規制については一口自己資本の二〇%以内、そういったことで健全な貸し出しをやりなさいよということが言われておる。
 反面、今度は組合員以外からの預金は、これは預金比率を、同法の第九条の八というのがありますが、これで定める法定限度額二〇%ですが、これ以内にしなさいと、こう言っているわけです。ところがこの協和は、東京都からの示達書でも明らかですが、員外預金の比率というのは物すごくて、法定比率の二〇%をはるかに超える八三・六五%という、こういう状況になっているんですね。だから、これ自体法令違反です。
 私が言いたいのは、福原学園が六十三億もの巨額の大口預金をするということは、それは高い金利で利益をねらったのかもしれませんが、この信用組合について、中小企業等協同組合法が定める本来の信用組合の基本的な性格をゆがめるような役割を社会的に果たすという、そういうことになっておるわけです。だから、学校法人たるものは、町の一般の企業、そういったものと違って、みずからの利益を求めるためにこういった法令違反に加担するようなことをやってもいいということになって私はいいとは思わないんです。
 そういう意味で、文部省としても福原学園の六十三億円大口預金の問題はしっかりとつかんで、しかるべき指導をしていただかなくちゃならぬと思うんですが、この六十三億円の大口預金は御承知ですか。
#183
○政府委員(吉田茂君) この問題につきましては、報道がなされた段階での学園からの説明によりますと、学内でいろいろ検討した結果、資産の効率的運用を図るために、これは定期預金でございます、定期預金の中で金利の高い同信用組合に定期預金をしたとの報告を受けておるわけでございます。
 それで、預金の預け先、そういった学校法人の資産運用につきましては、私どもとしては明らかな法令違反等がない限りは、それはやはり学校法人が自己の判断によって運用すべきものだというふうに考えておるわけでございまして、御指摘の中小企業等協同組合法の規定につきましては、私どもとしては百分の二十というような規定の適用とは別に、国、地方公共団体その他営利を目的としない法人、その預金の預け入れということで、この百分の二十という問題にかかわらないところの営利を目的としない法人というふうにこの学校法人を考えておるわけでございます。
#184
○橋本敦君 そこのところは文部省の解釈でしょうが、私は社会的に見て問題になっているこの信用組合のあり方について、今私が指摘したような問題も考えていかなくちゃならぬのじゃないかということを指摘しているんです。
 高い利率を求めて預金したということはわかりましたが、わざわざ北九州から東京までというのは普通じゃない。これは一体どういうところからこの福原学園が東京の協和まで預金するようになったのかといういきさつについては聞かれましたか。
#185
○政府委員(吉田茂君) これは、東京協和信用組合の担当者が学園を訪れて預金預け入れの勧誘があったというふうに報告を受けております。
#186
○橋本敦君 今、営利を目的としないということから、この問題は私が指摘した協同組合法の観点と別のところで是認されるから問題にしないとおっしゃったが、本人は営利を目的として、いいですか、高い金利を求めてやっているんですよ。だから、営利法人のようなことをやっているじゃないかということをしっかり踏まえないと問題の本質をそらすことになりますよ。私の質問の趣旨をしっかり認識されないと困るんですよ。
 しかも、多くの記事がもう出ていますから御存じかもしれませんが、福原学園が出資して設立した財団法人自由ケ五教育振興財団というのがあるんです。文部省は、こういう財団があって、そしてこの福原学園が大口出資の財団の理事に越山会の女王と言われた佐藤昭子さんが昨年六月まで就任されておられた、これは御存じですか。
#187
○政府委員(佐藤禎一君) ただいま御指摘の財団法人は、福岡県教育委員会によりまして平成三年に設立された法人である、このように承知をいたしております。
#188
○橋本敦君 佐藤さんは理事かどうか、昨年六月まで。
#189
○政府委員(佐藤禎一君) 福岡県教育委員会からの報告によれば、同氏は平成五年三月より平成六年六月まで理事に就任をしていたものと伺っております。
#190
○橋本敦君 そこで、この佐藤氏は、御存じのように協和の高橋氏と親しくてゴルフをする間柄だと言われておるんですが、それを仲介したのが中西啓介さんだというように世間でも言われておる。そういう関係があるんですね。したがって、高橋氏、佐藤氏、中西氏の言われている深い関係を考えますと、この福原学園が六十三億を大口預金したというのは、これは佐藤氏あるいは高橋氏あるいは中西氏の線を通じて来たというように考える筋があるわけですが、そういった点について事情を聞かれたことはありますか。
#191
○政府委員(吉田茂君) そういうことについては聞いておりません。
#192
○橋本敦君 この問題は、今大変大きな国会でも論議を呼んでいる問題ですから、文部省としては、今私が指摘したことも含めて、当然監督官庁として事実はきちんと聞かれておく方が、今問題がこれだけ大きくなっているときだけに必要だと思いますが、そういった問題も含めてきちんとこの件についての経緯をもう一度正確に聞いていただきたいと思いますが、どうですか。
#193
○政府委員(吉田茂君) この点につきましては、既に事情の説明を受けておりまして、学園側からの説明は今申し上げたとおりでございます。なお、さらに問題が起きれば別でございますが、現在のところ、この説明で私どもとしてはこの問題については承知をしているというふうに考えております。
#194
○橋本敦君 私は調査が十分でないよと。今私が指摘したようなことについては知らないし、聞いていないんだから。いいですか、協和から人が来て預金してくれと言ったというだけですからね、聞かれたのは。その経緯について、私が指摘したようなことも含めて、ないならない、あるならあると、文部省としては、こういう大きな問題になっているときだけに、きちんと一遍聞いておきなさいと、こう言っているんですよ。どうですか。
#195
○政府委員(吉田茂君) 東京協和信用組合への預金預け入れの経緯につきましては、私どもとしては既に学園側から十分話を聞いております。いろいろな角度での話し合いの中でそういう話を聞き、私どもとしてはそれを承知したということでございますので、この点につきましては既に十分の説明を受けているというふうに私どもは考えております。
#196
○橋本敦君 いや、それはおかしいよ。
 私はもうやめようと思ってなお聞いているんだが、今私が指摘したような経緯があるかないかについては、あなたの方は問題意識を持って聞いたんですか。聞いた結果ないということで、そうだと言うんですか。そうじゃないんでしょう。今私が指摘したような関係で、どういういきさつで協和の人が預金してくれと言ってきたか、その背景には私が指摘したような人脈があるかどうか、これは知らないと言ったんですから、聞いてないんでしょう。
#197
○政府委員(吉田茂君) 今申し上げたことは、聞いていないと申し上げたのは、そういった事実は聞いていないという意味で申し上げたわけで、そういうことは向こうから説明にはないということで申し上げたわけでございます。
 この信用組合、東京協和信用組合に預金することとしたのは、あくまでも学園としての自主的判断に基づいたものであって、これは第三者の紹介を受けたかということはもちろん聞いておりますが、第三者の紹介を受けてのものではないというふうな説明を受けております。ちょっと説明が足らなくて恐縮でございました。
#198
○橋本敦君 この協和が、何にもないのに九州まで飛んで福原へ行って、全然見知らぬところで預金してくださいと言わないですよ。東京ではチラシを出したりいろいろやっていますよ。そこへ行くということについては、いいですか、協和の人が行くようになった経過として、今私が指摘したような人脈が背景にあって行ったのではないか、そこのところを聞いておきなさいと言っている。
 これだけ大きな問題が国会で起こっているときに、福原学園というのは、今私が最初に指摘したように、前にも文部省が厳しい処置をしたところだから、社会的信用を回復するためにも健全な学校運営が要るんだよ。三十八億の常識に反するような資金運用だってやっているということで、これ自体、私学助成金たくさんくれてやるということの中では問題があるから文部省も聞いているわけでしょう。
 六十三億、自主的に判断したと言うけれども、これは今の問題の背景としていろんな絡みがあって、いろいろあるという可能性もあるから、この際きちっと文部省としては、しかるべききちっとした態度をもって聞くべきことは聞いておかないと責任を果たしたことになりませんよと、こう私は言っているんですよ。この点について、なぜ聞くぐらいのことができないんですか。おかしいじゃないですか。
#199
○政府委員(吉田茂君) 繰り返しになって恐縮でございますが、ただいま申し上げましたように、この信用組合に預金を預け入れるということについての周囲の事情、それは既にそれについての説明を聞いておりまして、その内容につきましては、申し上げているとおり、学園としての判断に基づいたものであり、担当者が学園を訪れて勧誘に来たということであって、第三者の紹介を受けたものではないということを学園側は私どもに説明をしておりまして、そのことについては私どもなりに十分説明を聞き、調査をしたというふうに承知をしております。
#200
○橋本敦君 十分説明を聞き調査したことにならぬですよ。勧誘に来たと言うけれども、六十三億ですよ。この品物を買ってくれませんか、これ五千円です、一万円です、買いましょうという勧誘と違うんだよ。だから、六十三億預けるところは、あなたわざわざ来たけれども、東京の協和というのはどういうところか、前から知っているから預けたのか、協和ということをだれかから聞いているから安心して預けたのか。背景がなきゃ預けるものじゃないよ、六十三億も。常識に反するようなことをあなた言ったら、それはもう全然監督責任果たすだけの資格ないよ。何ということを言うんだね。
 六十三億ということは、千円や二千円の品物を預けたり、売り買いしているのと違うんだよ。常識に反するじゃないか。東京からだれか知らぬけれども勧誘に来た。六十三億、はい預けましょう、金利が高いから。それ信用して預けたのはいいけれども、これ破産状態になったら、六十三億どうして回収するんだね。破産だよ、本当はこれ。六十三億回収できなくなったら重大な問題じゃないか。だから、六十三億も預けるのはそれなりの判断と理由と背景があってのことじゃなきゃおかしいんだよ。そういうことをきちっと調査しないというのは、僕は文部省の責任重大だと思うよ。
#201
○国務大臣(与謝野馨君) 確かに、そういう先生の御指摘の側面はあると存じますけれども、文部省と大学との関係というのは、やはり経営の健全性という観点からいろいろ報告も受け、また指導もしているという立場でございまして、司法当局のような感じで物事を聞くわけにはなかなかいかないということでございますし、こういう問題も恐らく今後司法当局がいろんな周辺事情を解明される中で明らかになっていくと私は思っております。
 ただいま吉田局長がお答えいたしましたのは、文部省と通常の学校法人との関係を申し上げたわけでございまして、それ以上のことをあえて聞くという行動に出なかったということは事実でございますし、またそこの経緯まで文部省として聞くべきだったかどうかということは、少し議論を要するところではないかと思っております。
#202
○橋本敦君 何か聞くことが文部省の負担になるのか、聞いて悪いという気があるのか、そういう腰の引けた態度というのが私は本当に納得できませんね。
 大臣がおっしゃった議論のあるところだというその趣旨はその趣旨なりに私は踏まえたいとは思いますよ。思いますけれども、本当に考えてごらんなさい。この六十三億、でたらめな乱脈経理をやって、本当ならこれつぶれるんですよ。破産ですよ、いいですか、今度のスキームがなかったら。
 そこへ一人の勧誘員が来て、六十三億ぽんと預ける、高利だからと。そんな乱脈な経理をやっている、そんなところへ、巨額の私学の交付金もやっておるだけじゃなくて、学校経営を安心して任せますか。何らかのことがなきゃ六十三億預けませんよ。そんなおかしなことを平気で自主的判断だと言っているような感覚で問題の解明なんて実際できやせぬのですよ。私は、今の態度は断じて認めることができないということを重ねて申し上げておきます。そしてまた、機会があれば、文部省のこうした態度も含めて、私は問題にしていきたい、こう思います。
 時間がありませんので、被災問題について聞きたいと思っておりましたが、委員長、またの機会に譲らせていただきます。
#203
○委員長(松浦孝治君) 本日の調査はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#204
○委員長(松浦孝治君) 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。与謝野文部大臣。
#205
○国務大臣(与謝野馨君) このたび、政府から提出いたしました国立学校設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、国立大学の学部の設置及び短期大学部の廃止等について規定するものであります。
 まず第一は、学部の設置についてであります。
 これは、各大学における大学改革と教育研究体制整備の一環として、静岡大学の教養部を改組して情報学部を、和歌山大学にシステム工学部を、島根大学の理学部及び農学部を改組して総合理工学部及び生物資源科学部を、それぞれ設置しようとするものであります。
 なお、これらの学部は本年十月一日に設置し、平成八年四月から学生を受け入れることとしております。
 第二は、短期大学部の廃止についてであります。
 これは、昼夜開議制による教育体制の充実のため、静岡大学及び香川大学に併設されている夜間三年制の短期大学部を廃止してそれぞれの大学の関係学部に統合するとともに、看護等医療技術教育の充実等を図るため、金沢大学に併設されている医療技術短期大学部を廃止して同大学の医学部に統合しようとするものであります。
 なお、これらの短期大学部は、平成八年度から学生募集を停止し、静岡大学及び香川大学に併設されている夜間三年制の短期大学部は平成九年度限りで、金沢大学に併設されている医療技術短期大学部は平成十年度限りで廃止することを予定しております。
 このほか、昭和四十八年度以後に設置された国立医科大学等に係る平成七年度の職員の定員を定めることといたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いいたします。
#206
○委員長(松浦孝治君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する自後の審査は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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