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1995/03/16 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 文教委員会 第4号
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1995/03/16 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 文教委員会 第4号

#1
第132回国会 文教委員会 第4号
平成七年三月十六日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十五日
    辞任         補欠選任
     北澤 俊美君     山下 栄一君
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     本岡 昭次君     渕上 貞雄君
     橋本  敦君     高崎 裕子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         松浦 孝治君
    理 事
                南野知惠子君
                森山 眞弓君
                会田 長栄君
                及川 順郎君
    委 員
                井上  裕君
                木宮 和彦君
                田沢 智治君
                上山 和人君
                肥田美代子君
                渕上 貞雄君
                森  暢子君
                林  寛子君
                山下 栄一君
                乾  晴美君
                江本 孟紀君
                高崎 裕子君
   国務大臣
       文 部 大 臣  与謝野 馨君
   政府委員
       文部大臣官房長  佐藤 禎一君
       文部大臣官房文
       教施設部長    木村  直君
       文部省初等中等
       教育局長     井上 孝美君
       文部省高等教育
       局長       吉田  茂君
       文部省学術国際
       局長       岡村  豊君
       文部省体育局長  小林 敬治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青柳  徹君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松浦孝治君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、北澤俊美君が委員を辞任され、その補欠として山下栄一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(松浦孝治君) 国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○森山眞弓君 国立学校設置法の一部改正の趣旨を伺いまして、これには異議はございません。これは、最近数年間にわたる大学改革の一環だというふうに承知いたしておりますが、たしか昭和六十一年の臨教審第二次答申というのがありまして、その後平成三年二月に大学審議会の答申というのが出され、それが一つの大きな基本になりまして、幾つかの大学改革が次々と行われてきたというふうに承知しております。
 この大学審議会の答申では、一般教育と専門教育の改善とか、大学設置基準の大綱化、その他それまで昭和二十年代に決められたままほとんどさわられなかった大学の問題について非常に思い切った答申を打ち出したものというふうに受け取られまして、それをもとにいろいろな方面で努力が続けられているということはよく承知いたしております。ことし出てまいりましたこの法案はそのうちのことしの分だというふうに考えられるわけですが、平成三年の大学審議会の答申以来今日までどのように進んでまいったか、それからこの後どのような手順でどういう計画で大学全体の改革をなし遂げていらっしゃるおつもりかということをお聞きしたいと思います。
#5
○政府委員(吉田茂君) 御指摘をいただきましたように、平成三年に大学審議会から大学教育の改善についての答申をいただきまして、文部省では、大学教育の基本的枠組みを定めた大学設置基準等の大綱化、あるいは自己点検・評価制度の導入等を行いまして、各大学がみずからの教育理念に従って個性豊かな教育を自由に展開していくことができるということを目標に努力を続けておるところでございます。
 今までに実施いたしました主な事項は、やはり教養教育と専門教育の有機的な連携を図るなどのためのカリキュラム改革、あるいは学部から独立した大学院や高度専門職業人の養成を目指した大学院の設置など大学院の質量両面にわたる改善、あるいは社会人の受け入れなど生涯学習へのいろいろな需要への積極的な対応、あるいは自己点検・評価の実施と結果の公表、こういった多岐にわたる改革が各大学において進められておるわけでございます。
 例えば、平成六年度までに全大学の三分の二の三百七十五大学でカリキュラム改革が実施されております。さらに、授業計画の作成、学生による授業評価の実施など、授業の質の改善に取り組む大学もふえておるわけでございます。
 今後のことでございますが、現在、さらに改革への取り組みが進んでおるわけでございまして、大学の組織面で言えば、例えば教養部を設置しております残り十三大学の大半におきましてその改組の検討が進められているほか、これから高い需要が予想されます大学院レベルでの教育研究組織の充実についても、多くの大学で構成を構想されているところでございます。
 そのほかに、今後の課題につきましては、引き続き大学審議会で幾つかの項目にわたりまして精力的な審議が行われているというのが現在の状況と見通してございます。
#6
○森山眞弓君 今最後の方でおっしゃいました教養部が残っている十三大学というのは国立大学のことですか。
#7
○政府委員(吉田茂君) 国立大学のことでございます。
#8
○森山眞弓君 そうすると、国立大学は九十八でしたかあるうち、まだ新しいこれという改革が着手されていないのは十三と考えてよろしいんでしょうか。それとも、ほかの基準ではかればそうじゃないんでしょうか。
#9
○政府委員(吉田茂君) 教養部に限って申しますと残り十三大学がございますが、ここでは教養部に絡む一般教育についての基本的な改革なり組織の改編にはまだ至っていないというふうに御理解いただければよろしいかと思います。
#10
○森山眞弓君 ことしも三つか四つの大学の改編についての御提案でございますが、単純に計算してあと十数件残っているということになりますと、あと四、五年かかりそうな感じがいたしますけれども、そのくらいの予定を立てていらっしゃるんですか。
#11
○政府委員(吉田茂君) 教養部改革につきましては、基本的にはやはり各大学におけるカリキュラムの充実を目的としておりますので、したがいまして教養部の改組について今後やはり各大学がどう検討していくかということにかかってくるかと思います。御案内のように、廃止自体が目的ではないという意味からそういうことであろうと思いますが、今後何年間に幾つずっというような形ではなくて、検討状況を踏まえながら対応をしていくことになろうかと思います。
#12
○森山眞弓君 必ずしも全然その改善を必要としない大学もあるかもしれませんし、非常に作業に時間がかかるというところもあるでしょうけれども、それにしても平成三年に大学審議会の大変抜本的な思い切った答申が出てからざっと十年近くかかるような計算になるのではないかというふうに思いますと、もう少し早くする方法はないのかなと。問題意識はその大学審議会の答申にあらわれているわけですし、そこまで来るのには各大学の実情あるいは関係者の意識というものがそこまで来ていたはずなわけですから、できるだけ改めることは早い方がいいのではないかなと私は個人的には思っているのです。
 大変皆さんが鋭意努力していらっしゃるのはわかっておりますけれども、一つちょっと気になるのは、大学審議会の答申というのが基準になっている。そしてその基準に基づいて、その結果出てくる国立大学の学部の改編とかいうことが法律によらなければならない。何か問題が逆ではないかなという気もするんですね。もし、基本的なことを法律で十分審議をして、その結果こういう方針に改まったということになると、それに基づいて、例えば規則とかそういうことで改正できるようなふうな仕組みの方が理解しやすいような気もするんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
#13
○政府委員(吉田茂君) 確かに御指摘をいただいた点は一つの大きな問題であろうかと思います。国立大学の設置につきましては、現在、大学における教育研究をより機動的かつ弾力的に展開しようということで、組織運営に関するいわば規制は可能な限り緩和していくということは基本的なテーマであろうかと思います。
 確かに、設置基準みたいな省令事項と設置法の法律事項との関係という問題もあろうかと思いますが、この問題はいずれにしろ法律事項の問題、学部の設置が法律事項になっているということを含めてのそういった点については、最終的にはもちろん国会での御判断であろうかと思いますが、今までの経緯から申しますと、この点につきましてはやはり国の教育機関、国の機関を法令上どう扱うかというまた別の面のアプローチの問題でもあろうかと思います。
 過去にこの問題が検討されたことがございまして、昭和五十八年、五十九年のころに、そのときはやはり学部は大学を構成する基本的構成要素であるというような、いわば組織論的な観点から現在法律事項のままに残っておるというような状況がございますが、この点は一つの大きな検討課題であろうかと思っております。
#14
○森山眞弓君 おっしゃる点、よくわかります。そして理由が何であっても、ともかく国立大学の改編について国会で毎年少しずつ議論をされて、そして多くの方がこれに対する御意見を述べていただく、考えていただくというチャンスがあるということは悪くないというふうに思いますし、大学問題というのはそういうことでもなければなかなか国会の議論にはならないかもしれないという心配もあるわけですので、そういう意味ではプラスではないかな。いろいろプラスマイナスあると思いますが、今の仕組みがこうなっているわけですから、その線でできるだけ早く必要な改善はしていただくようにお願いしたいと思います。
 そのように大変懸命に努力していらっしゃるということは、私はもちろん、政府もそれから文部省も大学も、関係者の方はみんなよく知っているわけなんですけれども、教育というのは国民一般に非常に高い関心のあるテーマでございまして、どなたでも何か一言あるわけですね。そして、いろんな人がこれを議論なさるわけです。教育に深い御経験のない方でも、自分の見聞する範囲で御自分の感想などを述べられるということはよくあることでございまして、経済界とな言論界とか大変いろんなところで取り上げられるわけですから、それ自体は歓迎すべきことだと思いますけれども、中には大変影響力のある方が、割合に十分御存じないままに発言なさるということもございまして、そういうことがあったときには、直ちに説明をする、誤解を解くという努力をやっぱりしていただくということが大切なんではないかな、正しい改善が速やかに進むためにこれは大変必要なことなんではないかなと思います。
 実は私、正月の休みにネイチャーという雑誌をたまたま見る機会がございました。これは英国で出版されている科学雑誌、週刊誌でございまして、国際的に大変評価の高いものと聞いております。これは、中の記事は全部英語ですけれども、この辺に日本語の広告やら、最初にごく簡単な要約が日本語でついていたりして、日本語版でもあるんですね。
 私はこういう難しい雑誌をふだん見ているわけではないんですが、たまたま目にしたものですから、ぱらっとめくってみましたらば、一番前の巻頭言のところに「ホワットフューチャーフォージャパンズユニバーシティーズ」という論説が載っていたんです。これは、日本の大学にはどんな未来があるだろうかという意味なんでしょうね。それで私も非常に興味を持ちまして、中を一生懸命ちょっと読んでみました。
 その要旨は、日本の大学は改革のために早急に自治を確立する必要がある、文部省が国立大学の予算と事務局の重要人事を握っているので、研究、教育の自由が阻害されていると。自由闊達な研究のためには、国立大学を独立した特殊法人にでもして、文部省の支配から抜け出させるべきだと書いてあるんですよ。
 相当過激な発言だというふうに思いました。中には正しい指摘ももちろんあるんですけれども、かなり思い切った、外国の雑誌だからこういうことが書けるのかなと思うような相当激しい意見だなと思って見たんです。
 さらにその中を見てみましたら、数ページ後に、十二月十二、十三日に東京で第四回ネイチャー東京国際会議というのが行われたそうで、その内容を報道されておりました。
 そのテーマは、いかにすればすぐれた学問研究を追求できるかということなんでしょうか。英語では「ハウ・ツーパースーアカデミックエクセレンス」というふうに書いてありましたが、その題によって、日本の有数な学者の皆さん、それから外国の方々、大変大勢集まられて活発な議論があったというふうに書いてあります。
 そこはもちろん科学者の集まりですから、そしてテーマが先ほど申したようなものですから、大変建設的な内容の濃い立派な議論が行われたというふうに思っているわけですけれども、その中でも文部省を批判するような発言が少なくなかったと書いてございます。そして、その討議のことをもとにして恐らくさっき申した巻頭言も書かれたんじゃないかなと思われるわけでございます。
 私がちょっと気になったのは、その記事の方によりますと、会議中議長を務められた江崎先生が、文部省についての批判的な言葉が出た後で、文部省からだれかここにいるんじゃないですか、いらっしゃるなら発言の機会を与えますよと、わざわざ声をかけてくださったそうですのに、いたのにだれも何も言わなかったというふうに書いてあるんです、この中に。
 この雑誌は、世界の科学者五十万人が毎週目を通すという大変評価の高い一流の国際科学雑誌でございます。その中に日本の大学の現状が取り上げられ、そして批判された。非難されたと言った方がいいくらい激しい口調でやられているわけですね。正しい指摘もありますけれども、誤解もある。だけど、日本の文部省は余りそれに御関心がないように思われたのです。外国でこれを読まれた何十万人かの外国の科学者たちは、日本の文部省というのは悪い役所だと、日本の大学や研究所はひどいところだという印象を持ったんではないかという感じがいたしまして、私は大変心配になりました。
 一月、お正月が終わってから、そこにおいでになる吉田局長に、この記事を御存じですかと聞いてみましたら、御存じなかったのでございます。それで、これは国際的な学術雑誌なので、担当は学術国際局だということがわかりました。そこで、学術国際局の担当者にもこれ御存じですかと聞いてみました。そうしたら、その方はお読みになって御存じてした。こんなこと言われていいんですかと私が聞きましたら、余り気にしてないみたいなので、ちょっとびっくりしたわけです。
 それで、文部省は大変多くの人の関心を持つ仕事をやっていらっしゃるから、始終いろんなことをいろんな人が言うので、一々そんなことに構っていられないという考えなのかもしれません。しかし、考えてみると、学術国際局は大学の担当ではないからまあいいやと思ったのかもしれないとも思えるわけでございまして、ちょっとそれは困るなというふうに思ったんです。
 私の感想ですけれども、国際会議でもまたそのほかの会議でも大体そうですけれども、何か非難されたり関連のあることを発言されたとき、黙っていると認めたことになっちゃうんですよね。もし日本の雑誌や日本の新聞でこのたぐいのことが出たらどうなさったでしょうか。恐らく早速連絡をなさって、ここのところはこういう意味でございますとか、こういう事実がございますので御理解くださいとか、説明なさるに違いないと思います。あるいは、御指摘は正しいのでそれを確かにちょうだいしてこれからの参考にさせていただきますとか、何かなさるはずだと思うんですよ。国際的な雑誌だから我々の範疇ではないと思っていらっしゃるのかもしれないけれども、学術国際局というのがあるんでしょう。だから、そういうことに注目をしていただくということは大変重要なのではないかと思うんですね。
 一月にお呼びしてお話ししたとき、何かなさった方がいいんじゃないですかということを申し上げましたので、その後どのようにしていただいたか、それを聞かせていただきたいと思います。
#15
○国務大臣(与謝野馨君) 先生が文部省に、ネイチャーにこういう記事が載っているという御指摘を高等教育局あるいは学術国際局にされた直後に私のところにきちんと報告がありましたので、文部省としてこれを看過していたわけでは実はないわけでございます。
 ネイチャーという、先生御指摘のように大変影響力のある雑誌が、しかもその巻頭論文で日本の大学あるいは文部省の大学行政を批判している、これを見逃していいのかどうかというのはなかなか難しい判断でございます。
 その記事の中には、素直にやはり耳を傾けなければならない点も確かにございますし、二つの点ではやはり誤解を解いておかなければならない点が私はあったと思うわけでございます。
 一つは、科学研究費の配分について、文部省の御機嫌をとる科学者たちが余計科学研究費の配分を受けるというようなふうに受け取れる記述がございました。これはちょっと私どもとしては得心のいかないところでございます。
 それから、大学の行政について、先生御指摘のように、特殊法人化をするというのは大学の経営形態と申しますか運営形態を改めるということでございますが、その中には、先生御指摘されたように、日本には大学の自治がないんではないかということがその根底に流れているわけでございます。そのようなことは決してない、日本の大学は、予算は国会の御承認が必要であり、また、今問題になっております学部等の大学の組織というものは法律事項になっておりますけれども、学内での人事、研究のテーマ、あるいは大学一つ一つがつくります予算要求等は、それぞれの大学が自治を持っておりまして、私どもは形式的に人事を発令したり承認したりするということはありましても、世界の中でも、やはり国立大学としては日本の大学はその独立性、自主性という点においては他に比肩し得る私は存在であると思っております。
 そこで、それの治癒をどうするかという問題でございますが、これはいたずらに放っておきますと、そういう話が定着する可能性があるわけでございます。これはまさに先生が申されましたように、反論せざることは受容したというようなことにもなりますので、今月の、少しおくれましたが、三月十三日月曜日に草原審議官の名前でネイチャーの方に、事実の誤り等あるいは誤解があった点については、こういうことが事実でございますというお手紙を差し上げましたし、また今月末にはネイチャーの東京におられます編集の責任者の方と文部省の幹部が会いまして、大学の実情、将来等について詳しく御説明をして、誤解があった点については十分正しい理解をいただけるように努力をさせていただきたいと思っております。
#16
○森山眞弓君 私の心配を理解していただきまして、具体的なアクションをとっていただいたのは大変結構だったと思います。
 これからも、国際的な交流ということがいろんな面で言われると思いますけれども、それは留学生を受け入れたり、外国の学会へ出かけていったり、共同研究をしたりということだけではないのでありまして、皆さんが世界にその目や耳を傾けて、そして必要なときには適時適切に反論し説明し提案するということを国際的にやっていただくということが非常に重要な部分だと思うんですね。ですから、そういうことをこれからも心がけていただきたいとお願いをいたします。そういうのはお金は余りかかりませんので、心がけ次第と私は思っているわけでございます。
 最後に、昨年の六月、前大臣に御質問いたしましたことですが、研究補助者の問題について確認したいと思います。内閣もかわりましたし、大臣も局長もかわられましたので、念のためでございます。
 大学や研究機関の設備、施設の老朽化、狭隘化ということは、この数年来、大変あちこちで心配されておりまして、理解が進み、予算的にも少しずつ前進しつつあるというふうに思いますが、問題は人的支援体制なのでございます。
 どなたでも御存じの某大学の有名な先生のお言葉ですが、私にいただいた手紙で、「今大学で、空間の劣化も深刻だが、」、空間というのは建物のこととわざわざ書いてあります。「時間の劣化もさらに深刻だと言われます。これは支援職員減によって、与えられた時間の有効な活用がむずかしくなっていることを意味し、現在の最大の課題です。」というふうにおっしゃって、わざわざ私に手紙をくださいました。つまり、研究本務者というのは少しずつふえつつあるんですけれども、それを助けお手伝いをする補助者というものが減りつつあると。
 国立大学、研究機関だけでも、研究者の方は十五年間に二割ふえていますが、事務官、技官は一割減という調子で、一人当たりの補助者の割合は甚だ少ないわけであります。外国に比べると、三分の一、四分の一あるいは五分の一になるくらい大変少ないわけでございまして、どんな偉い大先生でも一人で研究はできないわけでございます。お一人でコピーをとるのやらぞうきんがけまでやっていたのでは、研究のために全部の時間を使うことはできないのは当然でございます。
 そのような補助職員について、あるいは国家公務員でなければならないと思い込むこともないんじゃないかと私はそのときも御指摘申し上げたんですが、パートタイマーとかアルバイトとか、あるいは場合によってはボランティアの活用だってあり得るんではないか。外務省がかなり幅広くやっていらっしゃいます支援要員のような工夫だって考えられるんではないかというふうにも思うわけでございまして、学問の研究ということですから、文部省だけじゃなく、ほかの省庁にも関係があることです。みんな相談をしてよい方法を考えていただきたいということを昨年の六月に申し上げました。その後、いかがでございましょうか。
#17
○政府委員(吉田茂君) 先生の昨年の御指摘につきましては、私どもも頭を離れない重要な事柄でございまして、いろいろ検討、折衝等を行ってきたわけでございますが、研究支援職員については、全体の国家公務員の第八次の定員削減計画の中で、全体としてはやはり定員削減ということで対応せざるを得ない、現在の行財政事情の中で、ということであったわけでございます。しかし、定員削減はあるわけでございますが、一方でやはり新規需要に伴う増員措置も教育研究支援職員について実施してきております。差し引きマイナスになってしまっておるわけでございますが、そういう意味での新規需要に伴う増員措置は行ってきておるわけでございます。
 それから、今御指摘の、国家公務員でなくてもいいんではないか、こういうことでございまして、その点につきましては、いわゆるティーチング・アシスタント制度が現在あるわけでございます。教官の指導のもとに大学院学生が実験やゼミでの学部学生の指導等を行うティーチング・アシスタント。この人たちは、大学院学生に教官の教育研究の補助にも携わっていただくという意味で、例えば六年度のティーチング・アシスタントにつきましては予算額が八億六百万円ということでございましたが、特にティーチング・アシスタント制度については、現在御提案しております七年度予算の中では二十八億四百方ということで、大体三倍増の予算措置を行っております。このティーチング・アシスタントはまさに国家公務員ではないわけで、やはり教官の補助ということをやっていただくという意味もございまして、こういった形で御指摘については努力をしておるつもりでございます。
#18
○森山眞弓君 ぜひこれからも多様なアイデアを提案して、この問題の解決に努力していただきたいと思います。
 以上で終わります。
#19
○会田長栄君 おはようございます。
 国立学校設置法の一部を改正する法律案につきましては、基本的に私どもも賛成であります。したがって、これらに関連をして幾つか質問していきたい、こう思っております。
 そのうちの一つは、平成三年五月十七日に大学審議会から「平成五年度以降の高等教育の計画的整備について」という答申が出されて、今日営々と努力されていると、こう思いますが、改めて、大学審議会から出された答申の特徴といいますか、特色といいますか、その点についてひとつ簡潔にお尋ねしたい。
#20
○政府委員(吉田茂君) 簡潔に申しますと、五年度以降の高等教育の計画的整備につきましては、平成五年度から平成十二年度にかけての十八歳人口の減少期における国公私立を通じた高等教育の整備につきまして、大学等の新増設については原則抑制との方針を示しつつ、その方針のもとに地域配置及び専門分野構成に係る原則抑制の例外取り扱いの基本的方向を示しております。
#21
○会田長栄君 それでは、この答申を受けて平成七年度、具体的にそれではどのような施策が盛り込まれているか聞かせてください。
#22
○政府委員(吉田茂君) 例えば、国立大学について申しますと、現在御提案申し上げておりますような大学の理工系学部の設置、情報学部も含めてでございますが、そういうものは、新増設についての原則抑制という方針のもとに、しかし地域配置及び専門分野構成に係る原則抑制の例外取り扱いであるということで、理工系学部の設置をこの法案の中に盛り込んでおるということが一つの方向であろうかと思います。
#23
○会田長栄君 私は、この答申の中で特に興味をそそられたのは、実は特に「大学等の地域配置及び専門分野構成について」という項目ですね。それは今答弁のありましたとおり、「大学等の新増設については原則抑制との方針を前提とし、その範囲内において、地域配置の適正化及び専門分野のバランスある発展の観点から次のような配慮を行うことが適当である。」と、こう述べられている。
 特にその中で、地域配置について一体どうかという点について、昭和四十年代まで地域間格差があった。その点、是正に努めてきた。「大学等の教育研究活動は都市機能と密接な関連を有している面があり、都市の活性化に寄与していることを考慮する必要がある」、そして「特に、地方の中枢的都市及びその周辺地域での大学等の整備を重視することによって、大学等が地域社会の中核として当該地域の文化や産業の充実発展に寄与し、また、若者の大都市指向を中枢的都市において吸収するとともに、大都市圏への進学者の過度の集中を緩和することが期待される。」、この項目に大変興味を抱いたわけであります。
 例えば、今回提案されておりますところの法律の一部改正でも、島根県が出ています。特に、総合理工学部及び生物資源科学部というものを設置する、こういう話であります。そういう点から考えてみますと、私も島根県というものをよく見てみましたら、人口は七十七万二千人、これは平成五年度統計。公立高校、私立高校の入学定員というのは一万一千百四人、国立大学の入学定員というのは一千九十人という枠があるわけです。そういう点を見て、昭和四十年代以降格差是正に努めてきたと、こういう御意見でありますけれども、審議会の中では各先生方が、国立大学の地域配置並びに専門分野のバランスという点からいって、どういう一体議論をされたか、その要点を聞かせてほしい、こういうことです。
#24
○政府委員(吉田茂君) こういったケースでの議論のポイントでございますが、一つは、やはりその県の中におきます国公私立大学の学科の状況、例えば文科系学部がどうであるとか、理工系学部がどうであるとかいうことが一つでございますが、さらに県内の大学の全体の入学定員、あるいはその県内の高等学校卒業者の大学への進学志願の状況、あるいはその県内におきます国立大学なら国立大学のある一定の学部の設置状況、こういったものが一つの検討の対象になるわけでございますが、さらに県内において大学設置についてどう考えておるかとか、あるいは重要なのはその県内の国立大学において学部の設置等についてどういう検討が進められているかということが検討の対象になりまして、一つの方向性が打ち出されてくるということでございます。
#25
○会田長栄君 それでは、端的にお聞きしますが、島根大学の増設、改編といいますか、和歌山大学の理工系の導入といったことについて、どういう客観的な背景と理由があってまず手をつけたか、その点聞かせてください。
#26
○政府委員(吉田茂君) 和歌山大学につきましては、一つの指標といたしまして、県内にもちろん国立の工科系学部はない、それから私立の工科系学部はございますが、規模的には非常に小さいと。それから島根大学につきましては、国立の工科系学部はないというようなことが一つの判断の材料になるわけでございます。
 そういったことと、それからそれぞれの大学において、工科系学部の設置についてどのような目標を定め、今までにどのような検討がなされ、それがどこまで熟度が上がってきているかというようなことを主な判断材料としつつ、こういう方向性が出てまいっておるということでございます。
#27
○会田長栄君 私はなぜこのような質問をしたかといいますと、実はよく検分してみますと、いわゆる国立大学の適正配置という点では、実に、全国各都道府県というのは格差のあったことも事実であるし、その格差が是正されないまま残っていることも事実なんですね。非常に特徴があるんですね。
 これは一例でありますけれども、東北の青森県で言いましょう。これは人口百四十七万、高校の入学定員というのは二万二千四百七十九人、国立大学の入学定員というのはこれは千二百九人。お隣の岩手県というのは、実は人口が百四十一万五千、高校入学定員というのは二万九千八百九十五人、これは二万人を割っています。国立大学の入学定員というのは千二百九十五人。意外と千人台規模なんですね。宮城県は、御承知のとおり、人口が二百二十九万、高校の入学定員が三万一千三百七十四人、これは公私立含めてです。国立大の入学定員というのは二千九百九十四人です。
 これが秋田県にいきますと、人口が百二十一万六千、高校の入学定員が一万六千九百九人、国立大の入学定員というのは九百一人、このように違うんですね。山形県にいきますと、これは人口が百二十五万三千人、高校の入学定員が公私立含めて一万七千三百六十六人、国立大の入学定員が千八百八十一人、こうなっているんですね。これは東北の一例です。
 今度は北陸にいってみましょう。
 富山県は、人口が百十二万一千、高校の入学定員が一万五千六百九十四人、国立大の入学定員が千七百八十二名、これは富山県の実態ですよ。石川県は、人口が百十七万一千人、高校の入学定員が公私立含めて一万六千六百十五人、国立大の入学定員が千七百七十人です。
 そして最後に、私の福島県の例を言います。これは、人口が二百十二万二千人ですよ、平成五年度で。今、若干ふえています。高校の入学定員が二万九千七百七十人です。ところが、国立大の入学定員というのは全国最低クラスの九百人台です。これは余りないんです、千人以下という県は。まことに珍しいんですね、この点では。
 前回の鳩山元文部大臣のときに、それは、福島県は高校進学率が低い、大学志願の率も低いからじゃないんですかというふうな答弁をいただきまして、私も全く困ったものだなと、こう思ったことがあるんですよ。しかし、これが実際なんです。
 そういうことを考えますと、この地域適正配置という問題と専門分野のバランスという問題について、やっぱり高等教育局として、これは相当審議会の中でも議論されてきたと思うんですが、こういうところの視点に立っての議論というのは私は余りされなかったんじゃないのかと、こう思っているんですね。
 そういう意味からいうと、福島県の例を言いますと、福島市というのは県庁所在地ですよ。人口が三十万を超していますよ。今、五十万都市指定を受けようと努力しています。しかし、依然としてここには国立大学は福島大学一校しかありません。よその地域は、会津にしても郡山にしてもいわきにしても、私立大学を誘致して、実はその基盤というのをつくってまいりました。この点でお世話になっていますから改めて御礼を申し上げておきますが、福島だけは特徴的なんですね。
 だから、福島の都市づくりということになったら、これは大変なことができるので、私は再三再四、こういう時代が来ているにもかかわらず、理工系の学部のない国立大学というのは全国で珍しいんじゃないですかと。前回の答弁では、大体八県があるというので、和歌山と島根に今年度から手をつけますということになって、残り六地域ですと、こういうことを受けているわけなんですけれども、実際はしかしよく考えてみますと、これは本気になってデータをもとにして、地域の要求をもとにして検討しているんだろうかという気がしてならない。
 そこで、改めてこれは局長にお尋ねいたしますが、理工系学部のない国立大学、そういう都道府県というのは今幾つ残っていますか。
#28
○政府委員(吉田茂君) 御指摘のように、八県のうち今回の提案で和歌山、島根が外れると六県ということで、青森、福島、滋賀、奈良、それから香川、高知の六県でございます。
#29
○会田長栄君 それでは重ねてお尋ねします。
 八県あって二県が今度努力の結果、それはよしと、あとの六県ですと、こうなったが、このうち自然科学系の学部のない国立大学の都道府県はどこが残りますか。
#30
○政府委員(吉田茂君) 自然科学系に範囲を広げますと、福島県と滋賀県に自然科学系の学部を有する国立大学はない、こういうことでございます。福島と滋賀でございます。
#31
○会田長栄君 これは何も文部省だけ責めている気なんかは私毛頭ないんです。福島県の今日までやってきた幾多の大先輩の政治家もいるわけですから、それは福島県自体の問題も私はあると思いますよ。だから文部省だけ責める気はありません。これは考えなきゃならないときに私は来ていると。したがって、理学部もない、農学部もない、工学部もないというのは珍しい。先ほど奈良県と言われましたが、奈良県は理工学系の大学院というものを設置していただいたから、それはある一定のところ解消するでしょう。これは、地域の適正配置といったら一日見ればわかるんですからね。これはまことに珍しい問題であるから、一体こういうことについてどのように文部省は考えているのか、なぜこのようになっているのかということを、率直に御意見があったら聞かせてほしい、こう思います。
#32
○政府委員(吉田茂君) 国立大学の学部構成等につきましては、御案内のとおりいろいろな事情のもとに現在の姿ができ上がってきておるわけでございます。戦前の旧制大学から旧制の専門学校等を包摂して戦後に新制大学が設置された。さらには、昭和四十八年以降の無医大県解消計画による新設医科大学・学部あるいは新構想大学までさまざまな経緯で多様な構成になっているということが、経緯的なものが一つあろうかと思います。
 もう一つはやはり、各都道府県における高校生の進学志願動向、あるいは国立以外の公私立大学の設置状況、あるいは各都道府県におけるいろいろな雇用その他の周囲を取り巻く状況、こういったいろいろな状況等からの検討結果、方向の打ち出しというような中で現在の形ができ上がってきているのではないかというふうに思っておるわけでございます。
#33
○会田長栄君 残念ながら、福島県は高等教育を県民の子弟に充足させたいというところから、もちろん県立てもって医科大学をつくりました。同時に、会津地域に情報工学系統の県立大学もつくりました。この点は感謝を申し上げますけれども、結果的に、子供たちが大学進学の夢を持ちながらも、その基盤というものが整備されていないために、みずから県がそれに手をつけているという状況でしょう。私は今、国立大学の各都道府県の地域適正配置ということを考えたら、これほど格差があっていいものなんだろうかと、こう思っているんですよ。
 それは御承知のとおり、福島県の高校の入学定員は三万人に近いですからね。同時に、大学の進学率だって全国に比して低いわけではないですからね。しかし、その器がない。とすれば私は、大学審議会などがあったときに、いわゆる地域の適正配置というものとあるいは地方都市の中枢的文化、産業の連携の役割を果たせるというなら、やっぱり話題ぐらいにはなっていいではないかと、審議会の中で。大先生がいっぱい集まっているんだから、皆さんがそのデータを全部出すわけですから。
 だから、そういう意味で、実は大学審議会の先生方の議論に、こういう理工系学部のない都道府県の国立大学あるいは自然科学系学部のない都道府県の国立大学について話題というのが私は当然出てきてよかったんではないかという視点に立ってお尋ねしているんですよ。そうでなければ、四十年代以降のいわゆる学校の規模なり適正配置なりあるいは地域との連携を含めて提携しなさいと言ってみたって、原則的に学部増設はだめですと、こう言っているんですから、新増設は。そして、大学院の増設に移行するとなってきたんですから。しかし、こういう落ち込んでいる問題についてはとりわけ取り上げて、私はそういう条件整備ができればやっぱり文部省がこたえる、あるいは指導する、助言する必要があるんではないかと思うから、実はお尋ねしているんです。
 最後になりますが、こういうやりとりを聞いておりまして、文部大臣、どういう御所見をお持ちか、聞かせてください。
#34
○国務大臣(与謝野馨君) 先生の郷土愛あふれるお話を伺っておりまして、福島県にも理工系の学部をというその御熱意には打たれるところがございました。特に、福島県と滋賀県しかあと残っていないという状況がなぜできたのかということが先生のお話の趣旨だったのではないかと思いますが、もちろん文部省も非常に厳しい財政のもと、また国家公務員の定員の枠、こういうものが厳しく抑制されている状況のもとにおいて、各県の地元の御要望等についてはできるだけこたえていくということを努力してきたつもりでございますが、いまだ福島県の御要望にはおこたえできていないというのは大変残念に思うわけでございます。
 そこで、確かに福島県のような人口を持った県、そういうところで地元に理工系学部に進学したくても行く場所がないというときには若者が都市に流れてしまうということは必定でございまして、そういう意味では大学審議会の答申も、大学等が地域社会において果たす中核的な役割ということを指摘しているわけでございますから、そういう意味でもやはり先生の御指摘は正しいものであったろうと思います。正しいわけでございますけれども、今後少子化が進んでまいります。それと、引き続き非常に財政状況も厳しいということもございますし、定員の問題もございます。こういうものをどう乗り越えていくかということは、まさに文部省も努力をいたしますが、国会の皆様方もそういう御努力をしていただいて、両々相まって先生の目指しておられる方向に物事が一歩でも進めばというふうに思っております。
#35
○会田長栄君 ありがとうございます。
 やはり大学審議会の答申の中身を見ますと、実に的確にそれは今日の高等教育の規模なり現状なりを指摘していますが、この点の欠落している部分も私はあるということを実は研究してみて感じているわけでありますから、今後とも一層の、私どもも努力をしてまいりますが、地元における条件整備、これなども働きかけていきますが、どうぞ検討されるように要望いたしまして、私の質問は終わります。
#36
○及川順郎君 今回の国立学校設置法の一部を改正する法律案、対象大学は五つの大学になりますか、和歌山、島根、静岡、金沢、香川。いずれもこれは学部の改組、それから併設短期大学の改組ということで、時代要請の中での一歩前進ということで、この法律案に対しては基本的に賛成ということで私たちは考えております。ただ、こういう改革が進んでいく中で留意しなければならない点につきまして若干質問をさせていただきたいと存じます。
 まず、今度の新学部の設立というこういう状況からは、静岡、和歌山、島根、こういう大学の、地域の問題が出ておりましたけれども、やはり新学部の設立につきましては、一つは地元要望があったのかどうなのか。
 それからまた、こうした改組の改革につきまして、既に教養部を中心に改組改革が進んでいるという状況の中で、今まで既に終わっている大学につきましてその結果の状況について文部省として掌握をし、いいものはより発展的に持続させていく、留意、改革しなければならない点は今後の改組改革に生かしていく、総括という言葉は適切でないかもしれませんが、そういう視点でこの改組改革について総合的に並行して検討を進めているかどうか。まず、この点についてお伺いいたしたいと存じます。
#37
○政府委員(吉田茂君) まず第一点の地元要望の件でございますが、和歌山大学、島根大学につきましては、もちろんのこと県からの要望、非常に強うございました。そのほかに、その地元自治体、あるいは産業界等によって構成されております整備促進協議会であるとかあるいは整備推進懇話会といったような民間的な組織からも非常に強い設置の要望をいただいておるわけでございます。静岡大学につきましても、地元自治体や産業界から情報学部の設置を強く要望されてまいりました。
 第二点目の、その後の不断のチェックと申しますか、改革の実が上がっているのかどうかという点でございますが、例えば教養部の廃止を例にとりますと、教養部の廃止によって一般教育、教養教育が衰えるということがあってはならない、むしろより充実しなければならないというような観点に立ちまして、全学での教官の出動によります一般教育、教養教育の充実という本来の所期の目的が達成されているのかどうか、そのための具体的な各学部の動きなりがどうであるかというようなことは、いろいろの折に各大学から事情を聞きまして、それを踏まえてのさらなる充実策というものを心がけておるつもりでございます。
#38
○及川順郎君 ただいま出ました例えば教養部の廃止ですが、これは教養部の解体という表現が適切かどうかは別といたしまして、これは基本的に大学設置基準が御承知のように九一年に緩和されて、教養部で学ぶ一般教育科目をとらなくても学生さんが卒業できる、こういうぐあいに改められたという理由が一つの柱になっているわけですね。
 昨年まで既に十三の大学で教養部が廃止されている。十三の中で、そのうち六校でそれにかわる学部の設置が認められている。今度のこの改正案で、静岡大学の教養部の改組、これなどが加わってくるわけでございますけれども。
 教養部の廃止、新学部の設置という状況が、時代の要請というよりは、むしろ産学住という地域性の中で、産業活動を中心にしてそれにやはり引っ張られて、まず新学部の設置ありき、こういう状況から引っ張られているんじゃないかという懸念を関係者からよく耳にするわけですが、この点についての文部省としての認識を伺いたいと思いますし、もしそういう点に対して懸念される状況を認識しているとするならば、今後、どういう点に留意してそういう懸念が出ないような、教養部を廃止しても一般教養の充実という点についての努力をしていきたいと、これは具体的な大学の学部組織面について、それに沿った見解を聞かせていただければ伺いたいと思うんですが。
#39
○政府委員(吉田茂君) 御指摘のように、確かに一つの物の考え方に従ってだけ改組をやるということは避けなければならないわけでございますし、非常にその場合には総合的な観点からの検討が必要であるということについては御指摘のとおりであろうかと思います。
 例えば、平成六年度に教養部を改組した大学は六大学ございますが、その際、学部を新しく設置した大学はそのうちの二大学でございます。ということは、他の四大学につきましては既設学部の充実あるいは大学院の充実という方策を選んだわけでございますし、二大学は学部を新設するという方策を選んだと。
 この点は、まず基本的には当該国立大学の長年にわたる検討の結果に基づきます構想と申しますか、その構想がベースにあるわけでございまして、それは私どもとしては尊重してまいっておるわけでございます。
 ただ、その基本的な構想をつくる場合に、学問的な理由以外にも、広くやはりいろいろな検討をしていかなければならないわけでございますし、例えば県民あるいは県がどう考えているかというようなことも含め、もちろん産業界あるいは地元のいろいろな経済界の意見、それはいろいろな意見を聞くあるいは考える場合の一つの要素ではあろうかと思いますが、総合的な検討に従ってこういうものを考えていくべきであるというふうに考えております。
#40
○及川順郎君 今の問題の延長線上で特徴的に見られるのは、理工科系の中でシステム工学とか環境工学といった、今日的な時代相を反映しているということでしょうけれども、そういうネーミングがやはり話題になるんですね。
 私の地元の大学でもやはりそのようなことを、学長や大学の首脳と懇談いたしますと、そういうことを考えていると、こういうことを伺うわけですが、一方におきまして、理工科系の充実という状況の陰で、いわゆる文科系の高等教育の充実という視点が薄らいできているのではないかという、こういう指摘もあるわけです。これは、適切であるかどうかは別といたしまして、一つの基礎研究の状況を見ましても、確かに推薦の分類を見ますと圧倒的に理工科系の分野が非常に多いわけです。こういう状況は感じられるんですね。文科系の中で特に内容の充実という点から見ますと、言語学の分野の充実ということが、これがおくれているんではないかと、大変その点の指摘が多いわけでございますが、この文科系とりわけ言語学の分野の充実についてどのような見解を持っておられるのか、今後の取り組みの計画がございましたら承りたいと存じます。
#41
○政府委員(岡村豊君) お答え申し上げます。
 私ども、学術研究の振興というのを任務といたしておるわけでございますが、学術研究の振興に当たりましては、文部省におきましては人文社会科学から自然科学にわたるすべての分野、このレベルアップを図るということを基本的な方針にいたしております。
 御案内のように、学問の進展の状況につきましては、特に自然科学系が今は大変目覚ましいわけでございますので、先生御指摘のような状況も現象面としてはあろうかと思います。しかしながら、私どもは基本的な方針として、人文社会から自然科学にわたるすべての分野、これのレベルアップを図るということを基本的な考え方にいたしております。
 なお、人文社会科学の振興につきましては、現在、学術審議会におきまして小委員会を設けまして、今後の人文社会科学の振興の方策のあり方について御検討をいただいているところでございまして、遠からずそのまとめが出ようかと考えておりますので、私どもそれを踏まえながら、言語学を含みます人文社会科学の振興につきまして適切な対処をいたしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
    ―――――――――――――
#42
○委員長(松浦孝治君) この際、委員の異動について御報告申し上げます。
 本日、本岡昭次君が委員を辞任され、その補欠として渕上貞雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#43
○及川順郎君 最近の改組の方向としては、時代流行の流れを重視する文部省として、国際化というのは、冠をつけてもなかなか新学部通らないだろうというような、これは事実かどうかは別といたしまして、そういう言葉も聞かれる状況の中で、私はやはり国際化はこれからずっと進んでいく状況の中で、グローバルな各国の交流というものがますます進むことはあっても後退することはない。その中において基礎になるのはやはり言葉ですね。ですから、そういう意味で言語学の充実というのは、これからの時代状況の中で、地味ではございますけれども非常に重要な内容という認識を持っておりますので、ぜひその点に留意されました今後の尽力、これをさらに希望しておきたいと思いますが、御決意のほどをもう一度承りたいと思います。
#44
○政府委員(岡村豊君) 私ども、研究者の意向をよく踏まえまして、どの分野は大切でないというようなことは全く考えておりませんので、研究者の意向を十分踏まえまして、今後とも適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
#45
○及川順郎君 最後に、今度の改組につきまして、大学の予算、先ほども同僚委員の質疑の中で触れられていた部分がございますが、九十八校の各大学別予算というものが、決算ではこれは明らかになっておりますから、何もこれを公表することをはばかっているわけではないとは思いますけれども、予算は一括してというこういう状況の中で、大学別の予算一覧というものが、これが提示されない。一括袋の中に入れた形で予算措置がなされておるわけでございます。こういう今までの行き方、これがいいのかどうなのかということは、私は再考する時期に来ているのではないかと思います。
 各国立大学の予算が出せない理由ということも担当の省職員の説明等私たちも聞いておりますけれども、やはりこれは各大学別に予算を立て、そしてその予算を執行し、その結果がどうかと。先ほどの大臣の答弁の中でも、我が国の大学の独立性、自主性というのは極めて確立されているという、こういうお話がございましたが、もう一歩進んで、やはりそれを裏打ちする、いろんな動きをするときには財政的裏打ちがもとになるわけでございまして、予算の段階から大学としての意思を明確に出して、そしてそれを遂行していくという中に、より大学の発展的な意欲というものが出てくるんじゃないか、こんなぐあいに思いますが、この各国立大学の予算の問題について、まず基本的に、現状のままでいいのか、検討するべき時期に来ているという認識を持っているのか、この点について最後に大臣の所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#46
○国務大臣(与謝野馨君) 大学の予算も国の財政の例外の対象とはなっておらず、厳しいシーリングの枠の中で予算編成をやってまいりました。
 これは、財政を考えますとやむを得ざることであったわけでございますけれども、やはり国の限られた財政をどう配分していくか、その中でどう効率性を見出していくかという観点からすれば、シーリングという方法は一つの方法ではあったにしろ、それが長い間続いてまいりますと大学予算も大変寂しい状況が生まれてきているわけでございます。
 特に顕著なのは、理工系学部におきまして、やはり研究費等も不足してまいりますし、大学の施設自体も大変狭くなり、また大学で使用するいろいろな測定機器、実験機材等も古くなり陳腐化してまいりまして、そういう点では、大学の研究機能等については理工系学部のみならず文科系においてもやはり憂慮すべき状況になっているのではないかと私は思っております。
 したがいまして、長期的には、大学の活性化ということを図っていくためには、人事その他もろもろのこともございますが、やはりしっかりした財政的な裏づけというものもまた必要であるということは私は先生の認識と全く同じでございます。
 私ども文部省も、大学予算獲得のために今後とも努力をしてまいりますが、どうぞ大学教育の将来について深い憂慮を持っておられる先生方の御支援と御指導も心から私はお願い申し上げたいと思っております。
#47
○江本孟紀君 よろしくお願いします。
 改正以前の大学設置基準では保健体育科目が必修となっておりましたけれども、大学設置基準の大綱化によってその取り扱いは各大学にゆだねられるということになりましたけれども、私は、保健体育科目というのは大学においては非常に重要な部分ではないかと。例えば健康教育とか生涯スポーツ、それに関連して社会の中でいじめの問題とか、それから社会生活の連帯感といいますかそういったものとか、それからボランティア精神といったそういった関連も含めて、この保健体育科目の取り扱いが非常に気になるところですけれども、それを各大学に一応ゆだねられているということでありますから、それはそれなりに各大学である程度いろんな考えをされて、我々がぱっと見ても、なかなかいいアイデアだなとかユニークなやり方をしているなというような例があると思いますので、もしあるようでしたらその辺をお答えしていただきたいと思います。
#48
○政府委員(吉田茂君) 御指摘のように、保健体育科目につきましては、それぞれ基準の大綱化の中で大学にゆだねられた面が多いわけでございます。
 各大学においても、やはり生涯を通じた心身の健康の保持増進という、競技スポーツと並んだ生涯スポーツの非常に重要な観点からの改革が進められておるわけでございます。
 教育内容、方法についても改善が進められておりまして、どんなのがあるのかという御指摘でございますが、これは私ども承知しておるのは、例えば信州大学でございますが、ここは非常に恵まれた自然環境がございます。こういった恵まれた自然環境等を生かして大学の独自の教育内容、方法を構築しておりまして、登山であるとかあるいはキャンプ、こういったものを実技種目として実施しているわけで、ここら辺はやはり改革の一つの大きなポイントではないかと思っております。
 あるいは鳥取大学なんかでは、テニス、バドミントン、スキー、ゴルフなどの実技を実施するという中で、生涯にわたる生活プランを設計し得る知見と能力をつくっていこうというテーマのもとに、今のような実技であるとか、あるいは科目としてもスポーツバイオメカニクスであるとか生涯スポーツであるとか、従来の枠にとらわれない講義を充実するというような非常に積極的な試みがなされております。
#49
○江本孟紀君 大学教育におきましては、単にその知識や技能を身につけるということだけではなくて、身につけたその知識とか技能というものを実践でいかに活用するか、そういった実践活動からまた新しい知識や技能を身につけるということが非常に大切なことではないかと思います。
 例えば、今回の地震のような突発的に起きたものに対して、随分学生さんたちが例えばボランティア活動に自発的に参加をされました。こういったのも実践活動の一つだとは思いますけれども、ボランティアとして活動している学生さんたちの時々聞こえてくる感想なんかを聞きましても、ボランティアというものは非常に大事なんじゃないか。
 それで、そういったボランティアというものは、やはり大学教育の中でも非常に高い評価をすべきじゃないか。今後もまた評価をしていって、何かシステムとしてボランティアという考え方というものを浸透させる、そういった部分が必要じゃないかと思いますけれども、その辺について大臣がどういうお考えですか、お伺いします。
#50
○国務大臣(与謝野馨君) 大学教育については、授業による単位の修得ももとより重要でございますが、そのほかにクラブ活動等を含めた学内外での諸活動も大切な要素でございます。これらを通じまして総合的に人間形成が図られることが大変望ましいわけでございます。
 このような観点から、各大学におきましては、建学の精神や特色を考慮した種々の活動が奨励されていると承知をしております。その一つとしてボランティア活動が大学みずからの判断により奨励されることは、総合的な人間形成を図る上で大変有意義であると考えております。
 既に、ボランティア活動等を関連ある授業の一環として位置づけている大学もございまして、文部省の調査では、平成五年度においては、国公私立を通じまして六十三大学でこのような取り組みが行われているところでございます。
 ただ、大学における教育課程は文部省などが強制するものではなく、ボランティア活動を大学がどのように位置づけをするかということは各大学が自主的に決めることでございまして、文部省としては各大学において見識ある判断が行われることを期待しております。
 今回の阪神・淡路大震災に関して、文部省としては、学生がボランティア活動に安心して参加できるよう、まず第一にはレポートの活用による学習の評価などによるボランティア活動に参加しやすい条件づくり、第二には授業の一環としてのボランティア活動の位置づけ、第三点については安全管理の徹底などの配慮について各国公私立大学等に対して協力をお願いしてきたところでございます。
    ―――――――――――――
#51
○委員長(松浦孝治君) この際、委員の異動について御報告申し上げます。
 本日、橋本敦君が委員を辞任され、その補欠として高崎裕子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#52
○江本孟紀君 ぜひそのボランティア活動の部分においては、またより一層御推進していただきたいと思います。
 次に、平成三年に大学設置基準が改正されまして、一般教育科目や専門教育科目というのが、その区分が廃止されたということですけれども、それを踏まえて各大学ではそれぞれの特色を生かした新しいカリキュラムというものを進めているとは思います。しかし、大学教育の目的というのは、専門性というものを深めると同時に幅広い教養といったものを身につけるということが非常に大事であるのではないかと思います。
 教養という部分においては、私らも余り大きいことは言えませんけれども、やはり大学時代にかなり自然に身につくといった部分もあるし、そういった意味では教養という部分においては本当に今後も普遍的な重要性というのはあると思いますので、その辺について文部省の御見解、そして大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#53
○政府委員(吉田茂君) 教養教育の重要性はまさに御指摘のとおりでございます。設置基準改正後もその視点に立ちまして、授業科目の枠組みにこだわらないで、一般教育、専門教育といった枠組みにこだわらないで教養教育を充実していく。あるいは、例えば今まではなかったことですが、高年次、三年次、四年次あたりでも一般教育をやるというような、自由なかっ有機的な関連性の中で、一貫した教育の中で教養教育、一般教育を考えていくというような創意工夫が必要であるということで、私どもいろいろ各大学にもお願いを申し上げておるところでございます。
 改正後の設置基準におきましても、教育課程の編成に当たっては、大学は、学部等の専門の学芸を教授するとともに、幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、豊かな人間性を涵養するよう適切に配慮しなければならないといった旨の規定も置いておりまして、御趣旨の方向でさらに努力を続けてまいりたいと考えております。
#54
○江本孟紀君 私は、そういった部分もより一層進めるということで言えば、影響ということで言えばスポーツも非常に大切な重要な部分だと思います。例えば国立大学の運動部なんかは、何をやっても実際に非常に弱いんですけれども、だけれども東大の野球部のように弱くても弱くてもしつこくやっていくというあの精神はなかなか立派だと思いますので、しかし今後東大の野球部も本当に強くなるような、優勝もできるような、そういう勉強もスポーツも東大が一番だと言われるような、それぐらいの後押しの仕方といいますか環境づくりというか、そういったものもぜひ考慮に入れながら応援をしていただきたいな、私の方はそう思います。ちょっとそれは一言つけ加えて、これで質問を終わりたいと思います。
#55
○委員長(松浦孝治君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 国立学校設置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#56
○委員長(松浦孝治君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#57
○委員長(松浦孝治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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