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1995/03/17 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 文教委員会 第5号
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1995/03/17 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 文教委員会 第5号

#1
第132回国会 文教委員会 第5号
平成七年三月十七日(金曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     会田 長栄君     谷本  巍君
 三月十七日
    辞任         補欠選任
     谷本  巍君     会田 長栄君
     渕上 貞雄君     本岡 昭次君
     高崎 裕子君     橋本  敦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         松浦 孝治君
    理 事
                南野知惠子君
                森山 眞弓君
                会田 長栄君
                及川 順郎君
    委 員
                井上  裕君
                木宮 和彦君
                田沢 智治君
                上山 和人君
                肥田美代子君
                本岡 昭次君
                森  暢子君
                林  寛子君
                山下 栄一君
                乾  晴美君
                江本 孟紀君
                橋本  敦君
   国務大臣
       文 部 大 臣  与謝野 馨君
   政府委員
       文部大臣官房長  佐藤 禎一君
       文部大臣官房総
       務審議官     雨宮  忠君
       文部省生涯学習
       局長       泊  龍雄君
       文部省初等中等
       教育局長     井上 孝美君
       文部省教育助成
       局長       遠山 耕平君
       文部省高等教育
       局長       吉田  茂君
       文部省学術国際
       局長       岡村  豊君
       文部省体育局長  小林 敬治君
       文化庁次長    林田 英樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青柳  徹君
   説明員
       警察庁長官官房
       総務課長     黒澤 正和君
       大蔵省主計局主
       計官       木村 幸俊君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○平成七年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成七年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成七年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について
 (文部省所管)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松浦孝治君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、渕上貞雄君、谷本巍君及び高崎裕子得が委員を辞任され、その補欠として本岡昭次君、会田長栄君及び橋本敦君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(松浦孝治君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(松浦孝治君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に会田長栄君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(松浦孝治君) 去る十四日、予算委員会から、十七日の一日間、平成七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 予算の説明につきましては既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○田沢智治君 予算の委嘱審査でありますので、予算にかかわる事項について若干の質問をさせていただきたいと思います。大蔵省、見えておりますね。
 まず、私学助成問題を中心に予算編成の手順についてお伺いしたい。
 毎年四月に八月末の概算要求を目指しての各省庁の検討が始まり、九月から大蔵省の政府原案作成作業が行われております。平成七年度の予算案の場合であると、十二月二十日に大蔵原案が閣議で了承され、復活折衝を経て二十五日の閣議で政府案が決定されていることを記憶しております。まず、概算要求の意味と目的についてお伺いをしたいと思います。
#7
○説明員(木村幸俊君) 大蔵省の文教担当主計官の木村でございます。よろしくお願いいたします。
 ただいまの委員の御質問でございますが、予算につきましては、内閣が編成して国会に提出するということが憲法で規定されているわけでございます。この予算編成の第一歩といたしまして、財政法第十七条で、「内閣総理大臣及び各省大臣は、毎会計年度、その所掌に係る歳入、歳出、継続費、繰越明計費及び国庫債務負担行為の見積に関する書類を作製し、これを大蔵大臣に送付しなければならない。」というふうに規定されているわけでございます。この今申し上げました「歳入、歳出、継続費、繰越明計費及び国庫債務負担行為の見積に関する書類」、これが概算要求書でございまして、この概算要求をもとにいたしまして各年度の予算編成が毎年行われているというところでございます。
#8
○田沢智治君 その説明のとおりだと思うんですが、財政法第十八条によれば、「大蔵大臣は、前条の見積を検討して必要な調整を行いこと書いてあります。概算要求をもとに必要な調整が行われると考えるが、その必要な調整の範囲について、あなたはどういうような見解を持っていますか。
#9
○説明員(木村幸俊君) 今委員から御指摘ございましたように、財政法第十八条、「大蔵大臣は、前条」、先ほど申し上げました条文でございますが、「の見積を検討して必要な調整を行い、歳入、歳出、継続費、繰越明計費及び国庫債務負担行為の概算を作製しこと規定しておりまして、この検討、調整の事務的作業がいわゆる査定というものでございます。
 それで、大蔵省の方では、その概算要求書の提出を受けまして、各省各庁の所管側から概算要求についての詳細を聴取いたします。そして、その必要な書類につきましても提出を求めまして、検討いたしまして個々の経費について査定する、こういうプロセスでいわゆる必要な調整が行われているわけでございます。
 今委員から御質問ありましたその調整の範囲でございますが、これはなかなか難しい質問でございまして、必要な調整、今申し上げた形で行われるわけでございますが、まさに各年度の予算編成におきまして、その時々の財政事情、それから個々の予算要求の内容、そういったものを踏まえまして、それを総合的に判断して行っているというわけでございます。
 したがいまして、これは委員もよく御承知のとおり、その個々の要求について見ますと、要求が全く認められないというものもありますし、また要求どおりの予算額がそのままつくということもあると。したがいまして、その範囲につきまして一概に申し上げるということはなかなか難しいということを御理解いただきたいと思います。
#10
○田沢智治君 そこで、問題になるのは、いつも私学の予算なんです。平成七年度は大臣に大変御尽力いただいて大分ふやしてもらったんだけれども、例えば私立高等学校等の経常費助成費を見ると、平成六年度は概算要求の五一・五%減という内示なんだね、五一・五%減。これは調整の範囲を超えて、もしこういうような内示をするとなれば、これは組み替えに等しいような実態じゃないかと私は認識するんだが、あなたはどういうふうに思うか。
#11
○説明員(木村幸俊君) ただいま申し上げましたことの繰り返しになって恐縮でございますが、要するに予算要求は個々に違うわけでございます。それぞれの内容におきまして、その時々の財政事情を踏まえて総合的な観点から必要な調整を行っているわけでございまして、まさにその結果として、先ほど委員がおっしゃいましたのは、大蔵原案の内示額の数字でございますが、それはあくまでもその結果として、先ほど委員から御指摘のあったような数字が大蔵原案の数字になったというふうに考えております。
#12
○田沢智治君 僕が言っているのは、五一・五%も削ったような内示を出して、これも調整の範囲であるという見解を持つのか持たないのか、はっきりしてくれ。
#13
○説明員(木村幸俊君) まさに先ほど申しましたように、必要な調整の中で、結果として要求額が全部認められないという場合ももちろんあるわけでございます。したがいまして、必要な調整の範囲というのは、個々の予算要求におきましてそれぞれ結果としては異なってくるというふうに御理解賜りたいと思います。
#14
○田沢智治君 結果としていろいろなことがあるだろうが、私立学校については、御承知のとおり私立学校振興助成法という法律があるわけよ。これは、二分の一を目途に経常費を助成するというふうに位置づけられているにもかかわらず、半分以下に削っちゃって、これが調整の範囲ですというのは一体法制上そういうことが言い切れるのかどうか、常識的にいかが考えますか。
#15
○説明員(木村幸俊君) 私学助成につきましてですが、これは今五〇%とおっしゃられましたのは、たしか大学についてそういう二分の一以内というような規定があったと記憶しておりますけれども、私学助成につきまして、五十七年度以降、極めて厳しい国の財政事情のもとにおきまして、臨調答申等を踏まえましてその総額を抑制してきているところでございます。
 その中でも、大型の教育研究装置に対する補助制度の創設とか、私大等経常費補助において、社会的要請の高い特色ある教育研究に対する特別補助の充実など、内容の充実については十分配慮してきているというところでございまして、また七年度におきましては、委員よく御承知のとおり、私立大学等経常費補助金につきましては、前年度二・六%増の七十億円の二千八亘二億五千万円を計上しておりまして、私どもとしては今厳しい財政状況の中で精いっぱい私学助成の推進に努めてきている、そういうふうに考えているところでございます。
#16
○田沢智治君 概算要求というのは八月に出すことだから、私立学校ではこの概算要求の実態を踏まえて予算編成をするわけよね、翌年の。ですから、概算要求というものが幾らでも削ることができますよというのなら、概算要求なんというのはやめちゃった方がいいよ。本ちゃんでやり合ったらいいんじゃないの、本ちゃんでやり合った方が。ということは、概算要求というのを一つのめどにしてそれぞれがそれぞれの事業計画を立てるわけよ。
 平成七年度の場合は、大学と高等学校以下で百何は復活させてもらいました。これはありがたいことだと私たちも思っているけれども、百何十億というふうに復活してくれるならば、初めから、頭からぶった切っちゃって、陳情合戦で一生懸命頭を下げて、大蔵省にお願いしますお願いしますと言って、それで百億上積みしました、これで立派なものじゃないんですかというような顔をされると、これは話にならないんだよ。だから、正確な内示を、ぎりぎりのところでこれですよというような、何というのかな、社会一般的に見て一般国民が理解できるような、そういう内示の仕方をしていないんだよね、毎年。しているということが言えますか。
#17
○説明員(木村幸俊君) 大蔵原案における内示額というものでございますが、これはまさに各年度の予算編成におきまして、これは言葉として繰り返しになって恐縮なんですが、まさにその時々の財政事情、個々の予算要求の内容を踏まえまして財政当局としての考えを総合的に数字でお示ししたものでございます。
 したがいまして、先ほど復活段階でというお話ございましたけれども、これはこれで復活折衝というものが大蔵原案、これは財政当局の考え方を反映したものでございますが、それを踏まえまして各省各庁それぞれ御意見ございます。そういったものをあわせまして復活折衝の過程でその時々の社会経済情勢とかを全部踏まえまして、それを総合的に判断した結果が最終的な概算決定になっていると、そういうふうに御理解を賜りたいと思っております。
#18
○田沢智治君 あなたと押し問答をやってもしょうがないけれども、概算要求というものに対してはある程度評価をしてもらいたいんだな、それに基づいてみんな予算を組むんだから。ですから、余り組み替えみたいな結果を招くような、おどかしみたいな切り方を今後やられるということは非常に不愉快なんだ、私たちは。ですから、結果的には一〇%前後の調整でおさまっているような実態についてはそれなりの評価をしなければならぬ、これは大学も含めてしなければならないと思うけれども、これから概算要求と最終的な予算決定額との間に大きな落差を持たせないような、そういうやり方をぜひ頼みたいんですよ。そうじゃないと予算編成できないわけよ。
 国は予算編成で足らなかったら補正予算を組めばいいけれども、民間は補正予算なんか組めないんだから。それは借金で充てなきゃならぬということになる。そういう意味では、やさしい政治を村山内閣がやろうというのなら、やさしい政治をやってくださいよ。ちっともやさしくないような面が出ちゃったんではうまくないんじゃないかな、私はそう思いますよ。
 ですから、この問題はいろいろ後に残すけれども、しかし大学においては八〇%を私学が擁しているわけよね。国立が全部持ってくれればいいけれども、できないんだから。高等学校だって二五%前後持っているんでしょう。幼稚園なんかは九〇%ぐらい私学に頼っているわけでしょう。そうすると、日本の教育体系を見ると、大体私学が国を支えているという結果が出てきているわけよ、そういう実態に対して、それらしい対応の仕方というものを私は大蔵省も愛情を持ってやってほしいなということを希望しますので、余り大きな落差をつけないでひとつ来年度からの対応についてよく研究し、検討してもらいたいということを御要望を申し上げます。御要望を申し上げます。
 私立学校助成法というのは、これは文部省の所管になるかどうか私はわからぬけれども、本院においてはこれが成立するについては附帯決議というものを通して、年々人件費も上がるし経費も上がるんだから、ひとつこの本旨に基づいて、助成法制定の際の目的趣旨にのっとった助成を向上させていただきたいということを附帯決議で位置づけておるし、資源のない日本、やはり人的資源の開発は教育力によって国を支えていかざるを得ないという実態があるわけです。ですから、この辺のところもよく考えながら、五十五年は二九・五%の助成率であったが、今一一%、一二%を切っているような状況下にあるという現実を見たときに、このままでは私はまずいと思うんで、文部大臣、この私学助成法の趣旨、目的に対してどういうような見解を持ち、どうしようとするのか、所見をお伺いさせてもらいたいと思います。
#19
○国務大臣(与謝野馨君) 先生御指摘のように、幼稚園から大学に至るまで私立学校の果たしている役割の重要性にかんがみ、また私立学校振興助成法に書いてございます。その趣旨にかんがみまして、文部省としては毎年財政当局に対して必要な経常費助成が実現できるよう最大限の努力をしているところでございます。
 今後とも、私どもは私立学校振興のために必要な財政措置がとらるべきだという視点に立って、予算獲得のために最大限の努力をするということが私どもの責任であると、そのように考えております。
#20
○田沢智治君 大臣のその考えに対して私も全く同感でございますので、今後ともひとつそういう方向で努力してもらいたいと思います。
 大蔵省、恐縮ですが、愛情を持って私学助成に対しては努力してもらいたいということをお願いいたしまして、もう結構です。きょうは時間がないから、また必要に応じてお願いいたします。
 次に、これは文部大臣に聞いた方がいいのかな、科学技術の振興政策ですけれども、村山内閣は施政方針演説で、科学技術創造立国を掲げて、大学や研究機関の教育研究活動の充実や産官学の連携、創造的、基礎的研究の充実強化に力を入れるとしております。平成七年度の予算では、科学研究費の補助金が初めて百億円アップし九百二十四億円と急速な伸びを示し、厳しい財政事情の中で学術研究基盤の充実が図られたことは非常に評価できると私は思っております。しかし、既存の財政制度の中で飛躍的な増加を目指すのは大変困難な面があるのではないだろうか。そうしますと、制度自体を根本的に見直す必要がもうそろそろ来ているんじゃないか。
 例えば、科学技術庁では研究費に国債を活用できるかどうか研究しようといって研究費をつけていると、こういうような実態があるんですが、文部省として何かいい知恵をお持ちであるかどうか、あるいはそういうものも含めて現在研究しているかどうか、局長でもだれでもいいですが、先にお聞かせをいただきたいと思います。
#21
○政府委員(岡村豊君) 先生御指摘のように、平成七年度の予算案におきまして、科学技術庁に御指摘のような調査費が五百万余計上されております。これは文部省の特殊法人にはございませんが、科学技術庁の特殊法人等におきましては現に政府出資を活用して研究開発費に充てているという状況でございます。これはみずから研究事業をやる特殊法人でございますが、こういう実情がございます。今回の調査費につきましては、これは科学技術庁所管の調査費でございますが、この現在やっている政府出資を活用した研究開発費を各省庁にも活用できるように拡充することについて検討する予定というふうに私ども伺っているところでございます。
 文部省としては、学術研究のための研究費を拡充していくということについては大変重要なことと考えておりますので、この科学技術庁の、まだ予算案が成立しておりませんので予備的な検討を進めておりますが、この検討にも文部省として参加をいたしておるという状況でございます。
#22
○田沢智治君 非常にこれも一つの試案とすればいいと思いますね。やっぱり文部省の場合はもう八〇%近いほど経費でとられちゃうし、政策費というのは非常に少ないという現状を見る場合、教育研究費というものを継続してふやしていくということになると、今の話のように政府出資の活用、資金の出資の活用で教育研究活動がある程度できるというのも一つの活路じゃないだろうか。そういうものも勇断を持って進めていくという方法も大切じゃないだろうか。
 教育は先行投資という次元の中では、国民が公平に負担するという一つの考え方、これは後世においてもいいんじゃないだろうか。教育国債というものができるかどうかはわかりませんけれども、そういうような視点に立って、やはり各国に比して日本の文教予算は少ないということは先進諸国の実態を見てもわかるんですから、文化の振興を含めて、そういうような物の見方、考え方の手法を検討していくということが大事だろうと思うんですが、高等教育局長、御意見があれば一言。
#23
○政府委員(吉田茂君) 私どもも、高等教育ということで学術研究とは極めて密接な関連があるわけでございます。私どもとしても、今学術国際局長が申し上げたようないろいろな努力、内部的にも相協力しつつ、特に高等教育の充実には努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#24
○田沢智治君 両局長がそういう決意を表明して今後一生懸命やろうということだから、私たちもそういう意味においては御協力申し上げて、よりよい日本の知的水準の向上に貢献していくことが我が国の発展に大きく寄与する道であると私も考えております。
 文部大臣、本件について所見があれば一言お願いします。
#25
○国務大臣(与謝野馨君) ここ十数年、日本の財政というのは大変厳しかったわけでございます。そして、予算編成にはシーリングという手法がとられまして、特に大学等における研究費は小刻みでございますけれどもどんどんカットされてきておりまして、大学等における研究施設あるいは設備あるいは機器等が将来の必要な研究開発にたえ得るかどうかということについては多くの疑問もあり、またこういうものを新しくしていかなければならないということは識者の一致した私は見解であると思います。
 そこで、研究費というものをどう考えるのかという問題でございます。研究費というものを通常の経常的な経費というふうに考えるのか、あるいは研究費というものを将来に対する投資的な経費と考えるのかということでございますが、私はやはり研究開発費あるいは基礎研究にかかわる経費というのは将来の日本の社会にとって必要な投資である、投資的な経費であるというふうに考えた方が自然であると思っております。
 そこで、財政法に掲げる国債の発行、これの対象経費になるかどうか、ここはなかなか議論が分かれるところでございますけれども、現在科技庁が中心になりまして、研究開発費もまた投資的経費で財政法の予定をしております国債の対象経費になるんだと、そのためにどういう工夫をしていく必要があるかということについて五百万円余の予算がついたわけでございますので、やはりそういう範囲内で、どうしたらこれが投資的経費として国債の対象になるかということについて、私どももこの一年間かけまして研究をしなければならない。
 いずれにしましても、先生が御指摘のように、このまま放置しておきますと、ことしは科研費が約百億増加になりそれはそれなりにほっといたしましたけれども、このまま放置しておきますと、日本の科学技術の水準、基礎研究の水準というものは国際的に見て一歩後退したものになるというおそれも感じながらこの問題を考えていかなければならないと思っております。
#26
○田沢智治君 大臣がそういう危機感を持ちながら、教育研究についての情熱を燃やしながら財源等を含めた前向きの検討をしたいという所信でございますので、私も大変うれしく思います。どうかそういう方向で頑張ってもらいたいと思います。
 次に、いじめ問題について二、三御質問したいんですが、いじめ対策費というのは平成七年度との程度積み上げることができたんですか。
#27
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 平成七年度予算におきましては、いじめ問題等につきまして児童生徒の心の悩みに対応するためにスクールカウンセラー委託の調査研究事業ということで、各都道府県に小中高等学校一校ずつでございますが、各県三校で百四十一校分の三億七百万円の予算が計上されているわけでございます。それとともに、国立教育会館にいじめの対策センターを設けるということで九千万円の予算を計上いたしまして、いじめ問題のいろいろな事例のデータとか、あるいは相談員を配置しまして各県とのネットワークによる相談事業を行う。また、各市町村に相談員を設けまして、これは地方財政措置を設けて約十四億円の予算措置を講じているということでございます。
 そのほか、第六次の教職員配置改善計画におきまして生徒指導関係の充実を図るということで、平成七年度におきましてもその定数改善計画に基づきまして生徒指導担当教員を四十五人、登校拒否児童生徒対応で百三人、養護教諭百九十七人の改善を図るというような予算の計上を図っているところでございます。
#28
○田沢智治君 大変いじめ問題が深刻化する中で、予算をそのようにとられたということは前進したものだと私たちも評価しますけれども、毎日毎日新聞を見ると、いじめでもいじめをした子供を今度は親がいじめちゃうというわけのわからないような世の中になってきちゃっている。いじめる方もいじめられる者も解決の糸口がつかめずに大変苦しんでいるなというような実相を私たちは持つんです。
 こういうような実態に対して、文部省は文部省としていろいろな研究会をつくるなり、有識者を集めてどうしたらいいかという一つの答申をいただくなどしておりますが、最近報告が出たわけですが、その報告を受けて、皆さん方はどうその報告を受けとめておられるのか、それに基づいてどうしようとしているのか、この辺のところをひとつお話しいただきたいんですが。
#29
○政府委員(井上孝美君) ただいま先生からお話がございましたように、三月十三日に公表されましたいじめ対策緊急会議の報告におきましては、まず、いじめの発生をできるだけ防止しますとともに、いじめについてはだれよりもいじめる側が悪いのだという認識のもとに、いじめを受けている児童生徒を守っていこうという基本的な考え方に貫かれているわけでございまして、私としても全くこれは同様の思いを持っているところでございます。
 また、この報告におきましては、このような考え方のもとで、学校全体での一致協力した取り組みの必要性や全人格的な接し方による教師と児童生徒との深い信頼関係の醸成、さらには生命尊重の教育の充実など、学校、教育委員会等の関係者が行うべき具体的な取り組みについて各般にわたって貴重な提言をいただいておりまして、すべての関係者がこれらの提言を真剣に受けとめ、いじめの問題の解決に向けて取り組みを強化していかなければならないものと考えております。
 文部省ではこの報告を受けまして、同日付で教育委員会等関係機関に指導通知を発出しましてその趣旨の周知徹底を図ったところでありまして、今後とも報告の趣旨等を踏まえまして、いじめの問題の解決に向けた施策の一層の充実を図っていきたいと考えております。
#30
○田沢智治君 いじめる生徒を出席停止にする、これも一つのやり方だと思うが、私はこういうようなものじゃ結論的には解決しないと思うんです。
 もう一つは、養護教諭の役割の重視というもの、これも一つの方法だと思うんですよ。現在、小学校、中学校の実態から見て、公立学校の場合はどれだけの養護教諭の配置率になっているのか。これは質問の予告はないが、わかりますか。養護教諭に重要な役割を持ってもらいたいというんだが、配置率が少なかったらそんなこと言ったって意味がないんじゃないの。その実態をわかっていてそういうことを受けたのかな。
#31
○政府委員(井上孝美君) 第六次の公立義務教育諸学校教職員配置改善計画におきましては養護教諭につきまして配置率の改善を図っているところでございまして、今回の全体の改善計画では千百八十四人の改善を図るということにしているわけでございます。そして、これによりまして原則小規模の三学級までの学校につきましては全校に配置できるような配置改善を行いますとともに、大規模校におきまして複数配置ができるような改善内容となっているところでございます。従来から養護教諭の役割等、私どもとしても十分そういう大きな役割を果たしていただいているということから、この定数改善計画におきましても改善を図ることとしているところでございます。
#32
○田沢智治君 図るように努力するはいいけれども、やっぱり養護教諭というのは非常に大事なんですよ。私も学校やっていてわかるのは、養護教諭というものは点数に関係ないから、胸の痛み、疲れた自分というものを養護教諭に甘えに行くわけです。それが人間対人間の触れ合いの中で大きな成果を上げているということは事実ですよ、事実。ですから、この答申で養護教諭の役割は重いというのはまことにそのとおりで、そのとおりならそのとおりのように配置率を具体的に高めて、もっと充実した内容を並行して来年度はやっていくとか、スクールカウンセラーももっともっとふやしていくというような具体的な施策が相まってこそ、こういう答申案が生きると思うんですよ。
 結局は、生徒と先生の触れ合いと信頼関係の中で解決しなきゃならないわけ。それには先生方もこれは大変な負担をしょっちゃっているわけよね。しかし、自分たちの教育というものを生徒により理解してもらうというために、私立学校では、例えば私の学校では、問題が出たなということになると、校長、教頭、教師が分担して朝校門の前で生徒を一人ずつ出迎えるわけ、おはようといって。そうすると、生徒一人一人を出迎えると、生徒の体調や精神状態を見ることができるわけですよ。ああこの子は元気ないな、きのうまで元気あったのにどうしたのかな、君とうしたんだと呼びかける。そういうような中で先生と生徒が触れ合う。これは言えば情操教育になるのかね。そういうものを通して、情操感を通して生徒と先生というものに非常に信頼関係が出てくると思うんですよ。そういう中に立って、いじめ問題の解決という問題を具体的に結果として成果を上げてきているわけです。
 公立学校の先生方はそこまでやっているかという話は私は聞いていないんだけれども、どういうふうに皆さん方はとらえていますか。
#33
○政府委員(井上孝美君) 最初にちょっと養護教諭につきまして補足をさせていただきます。
 先ほど申し上げましたように、今回の改善計画では、三学級以上の学校は従来の四分の三からすべての学校が配置できるように改善と、三十学級以上の学校については一人から二人の複数配置を行うということで、現在配置率は中学校の場合、公立中学校で九三・四%の学校に養護教諭が配置されているという状況になってきております。
 今回のいじめの問題の最終報告におきましても、養護教諭が学校全体のいじめ対策においてより積極的な役割を果たせるように、学校の実情に応じて養護教諭も保健主事に充てることができるように学校教育法施行規則の改正を行うように提言されておりまして、文部省としても現在それについて検討し、その措置を講ずるように今準備を進めているところでございます。
 そこで、先生からただいま、私立学校の中では校長や教頭、教師が分担して毎朝校門に立って生徒一人一人を出迎えて全体としていじめ等の問題に対処しているというお話がございましたが、公立学校におきましても、数多い公立学校の中でございますので、私どもそういう対応をしている学校もあるというように聞いているわけでございます。
 いずれにいたしましても、いじめの問題に対処するに当たりましては、ただいま先生からお話がございましたように、教師が児童生徒の発する危険信号をあらゆる機会を通じて鋭敏にとらえるとともに、児童生徒の悩みを受けとめることができるよう全人格的な接し方に心がけまして、日ごろから児童生徒との温かな触れ合いをできる限り多く持つことが大切でございますので、そういう意味で一人一人の児童生徒との心のチャンネルを形成するなど、深い信頼関係をはぐくむことが重要であると考えております。
 このような観点に立ちまして、文部省といたしましては、今後ともいじめの問題の解決に向けて学校における指導の充実を図ってまいるように指導してまいりたい、このように考えているところでございます。
#34
○田沢智治君 時間が過ぎているんですが、木宮さんと相談しながら自民党の時間の範疇でやりますので、あと一問。
 一般的に言って、義務教育では先生が生徒を教育するという考えが一般的ですね。私は、それでは生徒一人一人の個性や能力を伸ばすということができるのかなという問題意識を持っているんです。これからの教育は、真の教育の原点は、教師が生徒一人一人に張りついてそのよきものを引き出して教え育ててこそ、個性を生かし能力を伸ばす愛情教育が具体的に集塊できると思うんです。
 先生が生徒に張りついていろいろの人間形成をしていく中で、この子はなかなか記憶力がいいな、手先が器用だな、非常に友人関係がうまくいくな、この人は孤独感が強くて人との接触を余り好まないな、社交性がないなというように、それぞれの子供の内なるものを見ることができるんですよ。だから、生徒に張りついていくという、そういう先生方になると、よきものを引き出し、教え育て、個性を生かし、能力を伸ばすことが私はできると思う。そういう中にいじめ問題というものを解決する糸口があるんじゃないだろうかと、こう思うんです。
 しかし、それほど先生がみずからのすべてを教育に今注いでいるんだけれども、待遇が余りよくないんだよな、待遇が。学校の先生は二つの給与体系きりないの。管理職のレーンと教員のレーンと二つきりないわけよ。一般の公務員の方々は、何年たつと係長のレーンへ走っていくというふうに、それぞれがそれなりの生き方、生かし方ができる多様なレーンがあるわけ。給与で直近上位でどんどん移っていく。学校の先生はないんだよね。管理職にならないと管理職の給与体系の直近上位ができないという、こういう一つの仕組み。こういう仕組みでいいのかということも考えながら、生徒に張りついて一生懸命教育をやるんだということを期待するけれども、期待するならば期待した側の方がそういうような給与の仕組みとか生活実態に即した待遇の対応をも考えなきゃならぬと。
 昨年、僕はここでやかましく人事院の人に言ったんだが、そういうことも検討しますと、ちっとも検討していないんですよ。だから、これも今度は呼んでその後どうなったかと聞きたださなきゃいかぬが、一生懸命いじめ問題も含めて先生方頼むよと言うならば、頼むんなら頼むだけのこともやっぱりちゃんとやってやりながら、やはり自分たちが努力すれば努力した分だけ報われるんだと、お互いさま、そういうような関係を維持していくという学校の意識改革をしなければならないんじゃないだろうかと、私はそう思っておるんです。
 そういうものも含めて、最後に大臣の所見を伺わせてもらいまして、質問を終わりたいと思います。
#35
○国務大臣(与謝野馨君) 一人一人の教師が形だけの授業を行うということではなくて、例えば自分が担任しているクラスの一人一人の児童生徒の特性、個性、こういうものをよく理解するということは大変大事なことでございまして、そういう理解の中からその子供に最も適した教育あるいは行動の指針というものを先生が与え得ることができるのだろうと私は思っております。
 次に、一般的に教師の方々の待遇の問題に触れられましたが、いわゆる人確法ができまして以降の教師の待遇は、一般社会に比べて万全とは申しませんけれども、他の公務員の給与水準に比べて、私は他の公務員との比較においてはなかなかの水準をいっているのだろうと思っております。しかしながら、私どもとしてはやはり教師、教諭の仕事の重要性にかんがみまして、また人材確保法に書かれておりますいろいろな精神にのっとりまして、教師の待遇ということについては、先生御指摘のように常に改善されるべきという観点に立って努力をしていかなければならないというのは、私は当然のことだろうと思っております。
#36
○木宮和彦君 それでは、田沢先生の後を受けて。通告した質問事項たくさんございますが、とてもあと三十五分では全部はできません。
 今もお話がございましたけれども、例のいじめの問題で、実は二、三日前新聞で私初めて緊急会議の最終報告というのを読ませていただきました。十二月九日に緊急会議の緊急アピールという大変どうも物々しい緊急宣言がございまして、私はあれを読んで、十二月の何日でしたか、十三日の文教委員会でもって感想を申し上げました、大変がっかりしたという。今回の当面とるべき方策についての最終報告を読ませていただきましたが、どうもしっくりいかないんですね。これは大臣に、これを受け取ってどういう御感想なのか、それをまずお聞きしたいと思うんですが、大臣の意見だけを聞くのは失礼でございますから、最初に私がそれを読んでみて感じたことを申し上げたいと思います。
 いじめ対策緊急会議の最終報告を読みまして、こうまでしなけりゃいじめ対策というかいじめというものはなくならないのかなと。これは、私も学校を経営しておりますものですから、学校にとっては非常に屈辱的な報告で、対症的にああせい、こうせい、あらゆる方面にこういうことを書いてございます。中にはいいこともたくさんありますよ。でもここまで教えてくれないと学校は対応できないのか、教育委員会は対応できないのかと思うと、何を月給もらっているんだと、そういう気が私はまずしたんです。これは私の勝手な意見でございますから。世の中にはそうは思わない人もたくさんいらっしゃると思いますが、大臣はいかがに思いますか。一言で結構でございますが、ひとつ御感想をお願いいたします。
#37
○国務大臣(与謝野馨君) いじめの問題は学校だけで解決できるものではありません。社会全体に、例えば弱い者いじめはだめだとか、数を頼んで一人の人間を攻撃することはだめだとか、いろいろな倫理的な基盤というものが必要なわけでございます。
 それと同時に、やはり児童生徒、これは幼児期は両親、保護者とともに過ごすわけでございますから、そういう学校に入る前、あるいは学校に入った後も、両親、保護者から基本的な倫理観、これは大げさなものではなく、ごくごく人間がこの世に登場してきて以来、人類、民族を超えて共通の規範となっているものが私はあると思います。そういうものを身につけていただく、基本的なルールを知っていただく、こういうことがやはり一番大事であろうと思います。
 それをだれが教えるかということでございますが、これはその子を産んだ親というものがまず第一に責任を持たなければならないわけですし、学校に上がった後は、やはり両親並びに教育現場の先生、そういう方々がみずからの人生体験を通じて得た基礎的な規範、倫理観というものを子供たちに教えていく必要があると思います。私は、こういう大きな社会的な雰囲気が醸成されるということが長期的にはいじめ問題をなくす大事な出発点であると思っております。
 しかしながら、当面起きております問題につきましては、これを早急に解決し、例えば先般の調査でわかりました一万八千件のいじめ、この内容については私は大変大きな衝撃を受けましたが、一万八千件をまとめて解決する方法というものはないわけでございまして、一つ一つのケースを丁寧に解決していく、そのためにどうするかということもあわせて考えていかなければならないと、この両面から私は物事を考えていく必要があるんだろう、そのように考えております。
#38
○木宮和彦君 私も大臣がおっしゃることよくわかりますが、この最終報告で、いろいろ分析したわけじゃございませんけれども、判断基準というものを初めて示されて、「いじめであるか否かの判断は、あくまでもいじめられている子どもの認識の問題である」と書いてある。こういうことで初めてこの判断基準を示しました。これでは、学校はいじめの判断基準さえ今まで持っていなかったということをこれは指摘していると、私はそう思うんですよ。
 ですから、いじめられたと、本人がいじめられたと思ったものがいじめだと、こうおっしゃっているんですが、これもおかしな話だと思うんで、いじめられたやつがまたいじめるということもありますしね。だから私は、人間社会にはいじめというものは存在するということを学校の先生もまず認識して、常に過剰にいじめられないように防衛してやるというのが学校の教師なり親の責務ではないかな、こう思うんです。これについては文部省の御回答は結構でございます。私は勝手にそう思っているんです。
 それで次に、学校の対応が悪過ぎる。例えばこの間の大河内清輝君の場合も、私のところの静岡県でもついこの間ですが、浜松の東部中学のときもそうですが、学校が最初に説明したのは決まっていじめの認識はなかったと、こう言っているんですね、学校では。途中から変わってきちゃうんですが、最初はともかくいじめの認識はなかったと。学校側にいじめの認識がなければ、そのものの存在はないんですよ。だから、統計を幾らとったってこんなものはだんだん減っていくんですよ、認識がなけりゃ。
 だから、ともかくいじめはあるという一つの仮定から始めていけば、人間には性善説と性悪説がありますけれども、私は少なくとも性悪説、人間というのは悪いんですよ。それを教育したり、あるいは倫理を教えたり、先輩から教わったり、親に教わったりして、そしてしていいことと悪いことのけじめをつけるというのが人間のさがでございます。ですから、その辺を子供は悪いことをしないんだというふうに考えて教育したら、これはとんでもない教育になっちゃうと私は思うわけです。その結果、学校側はたくさんのいじめの現象をみんな見逃す。
 傍観したり、はやし立てたりすることも許されないと、こう書いてある。ですから、その対応の甘さ、要するに学校のいじめに対する対応の甘さというものが、そんなものはいじめの範疇に入らないよということで、これはもうお互い人間だからちょっとはいいやと。それは確かにそのとおりだと思いますけれども、それでやはり見過ごされる。知っていて見過ごすのと知らないで見過ごすというのは、私は大きな差異が出てくると、こう思います。
 ところで、あの報告書によりますと、いろんなことを言っていますが、まず最初に養護教諭、今も田沢先生がおっしゃいましたけれども、養護教諭の役割を重視することは非常に大切なことだと思いますよ。しかし、じゃ養護教諭の本旨は何だということを今度は裏返しに考えれば、意地悪く言えばそうならざるを得ない場合もあります。だから、私は教員一人一人がやっぱり大変だろうけれども先ほどのお話のように子供と密着してやるという、これが根本治療であって、あるいは給料を高くするのもそうだと思いますが、そういう根本的な治療というものをどうして我々が考えてあげられないのだろうか。
 どうもその点、いじめに対してこの最終報告では、学校へ出てきちゃいけない、要するに子供の出席停止を、させてもいいとは書いてありませんけれども、そういうのがクローズアップしちゃっている。学校に出席しなくてもよろしいというのは、これは本当に、それはしょうがないわな、処置の方法としてはそれもやむを得ない場合もあるでしょうけれども。
 しかし、こんなことを言わなくたって、私調べたら、既にもう明治二十三年の小学校令二十三条に規定してあるんだ。明治ですよ。昭和じゃないですよ、明治。戦前にもそれがあったんです。昭和二十二年の学校教育法の二十六条にも戦前とほぼ同じ規定があって、こういう場合にはと。しかもそれは、御丁寧に昭和五十八年十二月五日の初等中等局長の通知には、かくかくのことをやったやつは学校に出てこなくてもいいよという通知まで出してあるんです。今さらこれ言わなくたって、今までだってやれる。
 ところが、どうも見ていると、いじめる子供に学校に来ちゃいけませんよということではなくて、むしろ先生が扱いにくい、例えば中学校でパーマネントをやった変なのがいたり、赤く染めたり、ズボンが変なのをはいたりしているやつ、これが来るとやっぱり見苦しくて学校も体裁が悪いもんだから、それにはそれを直すまでは学校に来ちゃいかぬよと。いじめのためのいわゆる出席停止じゃなくて、先生が目ざわりになるやつだけ出席停止やっちゃうんだな、先生というのは、これは仕方がないけれども。そういうことに使われたんじゃ、かえって信頼関係が私は、学校の先生と生徒の間のね。
 ですから、果たしてその出席停止をやって、その子供が学校へ出てこないので学校の中のおりの中ではいじめられないかもしれませんが、その子供をどこかへ監禁しておくわけじゃないし、殺しちゃうわけじゃありませんから、そこらでうろうろしているわけですから、帰りを待っていて、あのやろう、おれを先生に告げ口したから、よし今度はやっつけようと思って隠れて待っていて、余計やられちゃうかもしれない。だから、私はそういう意味で今回の最終報告については余り評価できない、はっきり言ってもっと根本的な治療を、やっぱり最終というならば、もうちょっと何とか。
 ただ、一ついいところは、家庭について触れていますね。やはり家庭の責任だということを言っているということは、私は唯一今回の、家庭の重要さということを言っているということは私は非常にうれしく思います。これはやっぱり言うべきだと思います。
 しかし、それは既に臨時教育審議会のプロジェクトチームの子供の行動問題に関する研究会というのがまとめてありますが、その報告書に出ておりますけれども、その背景を発達的、文化的、教育的背景と、三つの背景を指摘しています。その発達的背景の中で母と子のスキンシップ、乳幼児期の保育が非常に必要だと。いじめっ子は三歳児で発見できるとまで明言しているが、その乳幼児の保育の重要さを再確認する必要があるという臨教審のプロジェクトの報告になっているんですね。私は、それはやっぱりいいところに着目していると思いますよ。もう小学生、中学生の餓鬼になってから先生が必死になってやっても――餓鬼と言っちゃいかぬかね。それは取り消しても結構でございます。悪いやつは餓鬼と言うんですよ、我々は。ですから、それはやっぱり三歳児からある意味においてはそういうものを大事にするという規範。
 ですから、アメリカでもイギリスでも、やはり教育には一つのことを暗唱させて、人間としてどうしてもしなくちゃならない大事なことは、そらんじさせてみんな言えるようにしてありますね。かつては、私も前回春いましたけれども、教育勅語というのを暗記させられたし、私なんか一代から百二十四代の天皇を全部すっと、今でもちょっと言えますけれども、もう大分忘れましたが。そらんずるということ、それは一つの形かもしれないけれども、精神教育の中に形からはめ込むということも私は必要なことで、何をもって子供を教育するかということをもう少し真剣に取り組んでいくのは、やはり現場の教師であり、また我々関係者であると、私はかように思いますが、それについて文部省の方で、あるいは大臣でも結構です、どなたでも結構ですが、何か特別御意見ございましたら、ひとつお願いを申し上げたいと思います。
#39
○国務大臣(与謝野馨君) 先生の御質問、御意見は非常に幅広いものでございますので、どこからお答えしたらいいのかということを迷っておりますが、まず、緊急アピール、またこの最終の報告で書かれておりますことは、私としては大変いい御提言、御意見をいただいたと思っております。
 まず、出席停止などをやってもという御意見も若干各方面にございますけれども、これは法律の中に書いてございます処置をするということでございます。私立学校の場合は、先生御経験あると思いますが、停学とか退学とかという処分がございますけれども、義務教育課程においてはそういうことは予定されていないわけでございます。
 しかしながら、出席停止という処置は先生御指摘のように法律に書いてございます。これをいかなる場合に適用するか、適用することについての是非とか妥当性というのはどういうことから判断されるのかということでございますけれども、出席停止をするとその方の学業機会が奪われるという御意見がございますけれども、他人の学業機会を奪った者については、出席停止という処分を受けて学業機会を奪われるということは、私は処分の均衡あるいは行為と結果の均衡ということを考えましても、それは是認されるものであろうと思っております。
 次に、先生は乳幼児期の教育について、その重要性についてお触れになりましたけれども、これはやはりこの最終報告でも書いてございますように、家庭における教育の重要性についても触れておりますが、家庭における教育というのは何も学校に通った後の教育だけを指しているのではなくて、子供が生まれた瞬間から親として教えるべきことは教える、あるいは豊かな愛情を子供に注ぐ、そういうことが将来の子供の人格形成に大きな影響を与えるわけでございます。乳幼児期の親が子供に与える基礎的な倫理観、基本的なルールを教えるということがその子供の将来の人生の歩みに本当に重大な影響を持っているということを、ぜひ子供を産まれる親の方々は自覚をしていただきたいと、私はそのように思っております。
#40
○木宮和彦君 この問題をやっていますと夕方までになってしまいますからもうこの辺でやめておきますが、なかなかやはり一朝一夕では直らないというか、もうこれだけ優秀な先生方が一生懸命議論したあげくがこれだから、私は余り評価はできません。
 しかし、何とかしてこれはなくさなくちゃならないと、このジレンマで私も考えておりますが、今の出席停止の問題でも、私の学校は中学校が二つありますし小学校もございます、高校もありますが、停学も退学も余りやらないんです、最近は。そういうのは隔離しちゃう、教室の中に。それで、そこへ一人空き時間の先生が見張りに行って、ともかく自習させるんですよ、もうそれ以外に方法はないから。外へ出せば余計汚染させてしまうので、学校の評判を落とすだけですから。だから、それはともかく、もう一つの教室へ連れてきて、そこで先生が見張っている。この本を読んで感想を書けとか、能力のないやつは漢字を今からこれだけやっておけとか何か課して、読み書きそろばんじゃありませんが、あるいは簡単な計算でもあてがってやらせるとか、ともかく拘束しちゃうんですよ。それ以外に方法はないと思って、私の学校ではそんな試行をしております。
 ただ、学校への出席停止だけではちょっとこれは納得が私はいささかいかないような気がいたしますけれども、まあそれは結構です。何とか救ってあげなくちゃならないことは事実でございますから、だからそれをどうするかということは、やっぱりこの間申し上げましたが、一つの選択肢を持たせるということも大事なことではないかなと、かように思います。
 時間もあと七、八分になってしまったもんですから、もう何にもできないんですけれども、次に、週五日制ですか、学校五日制。これ変ですね、週休二日制とまともに言えばいいんですが。
 学校五日制が来年から月二回になります。将来はこれが完全五日制になる可能性の方が強いと私はにらんでおりますが、さてそのときに、もしそうなるんなら、来年は何とかなるでしょうけれども、それから後のことについては、指導要領を変えたり、科目を変えたり、学校行事を減らしたりということをするのかしないのか。夏休みは減らすのか、あるいは在学年数をふやさなきゃならぬというのか、あるいはもっと能率よくやらせるのか、何かいい施策がありましたら教えていただきたい。また、それは具体的に、カリキュラムにはもうすぐ取りかかるのか、まだ当分取りかかる必要がないのか、これはなかなか言いづらいかもしれませんが、もしも完全五日制を実施するとするならば、やっぱり今からPRしておく必要があろうかと思いますが、その辺の進捗状況を、漏らしてもいい程度で、そんなに詳しくは結構ですが、その気持ちだけでもお伝え願いたいと、こう思いますので、よろしくひとつ。
#41
○国務大臣(与謝野馨君) 学校週五日制が月二回というのは本年四月から実施するわけでございます。
 一回から二回に移った過程というのはそう質的な変化というものは恐らくなかったんだろう、またないように移行するわけでございますけれども、学校完全週五日制に移行をいたします場合には、単に時間という、授業時間が少なくなるという量的変化でとらえるのではなくて、やはりそこには大きな質的な変化があるというふうに、あるいはそういう質的変化の中で完全五日制に移行するんだというふうに考えた方が私は正しいのではないかと思っております。
 そういう意味では、現在、文部省では中教審を四月ごろからお願いをいたしまして、ここで学校週五日制に移行する場合のいろいろな問題点について御議論をいただきたいと思っております。
 これは何も学習指導要領あるいは教育課程等ばかりでなくて、完全五日制と家庭との関係、完全五日制のもとにおける学校と地域社会の関係等々、もろもろやはりあらかじめきちんと議論をしておく必要のあるテーマがあるわけでございまして、やみくもに完全五日制に移行するということではなくて、あらかじめ十分準備をし、議論をした後にそういう方向に進むべきものだと私は考えております。
#42
○木宮和彦君 ひとつしっかりやっていただきたいと思いますが、義務教育においては今一番足りないのは私は読み書きそろばんだと思うんですよ。これは基礎科目なんですよ。これをしっかりやれば、実はけさも慶応義塾大学の塾長さんの鳥居先生のお話を聞いてきたんですが、大学生、慶応の学生でも「当前」をトウマエとか読んだといって笑っていましたけれども、国語をやらな過ぎです。だから、私はむしろ、金をかけるんなら衛星放送でもって、教室へ入れて、特に読み書きそろばんについては、週四時間もし数学があれば、二時間は衛星放送を見ながら勉強して、あとの二時間で先生がそれを復習するようにした方がいいと思うんです。そして、家庭でもそれが流れてくれば、家庭でもちゃんとそういう勉強の仕方を覚えますからね。いろいろ工夫があると思うんですね。特に山間あるいは非常に先生の足りないところ、小規模の小学校、中学校がだんだんできてくると思いますから、その辺も一工夫をしていただきたいと思います。
 あと一分になりましたので、あと国立大学についていささかお話を聞きたいと思ったんですができません。ただ、きょうの話でもございましたが、日本では大体一二%が公費。アメリカでは二〇から四〇、学校によって違いますけれども。イギリスの大学ではすべて一〇〇%困と地方内治体の金でやっている。フランスの高等学校教育については大体公立学校が九一・二%、国立がありませんから、私立学校が三二・三%、こういう公費の支出だそうでございます。
 やはりこれから目指すべきは国立でもなければ私学でもない、その中間だと私もそう思っていたんですが、いわゆるイギリスのパブリックスクール、パブリックというのを慶応大学では慶応義塾と、わざわざ固有名詞をつけたのはそこだと。要するに、みんなで、それは税金も入るだろうし、寄附も入るだろうし、授業料も入るだろうけれども、そういうものでもって運営していく大学、これがいわゆる新しい姿の、これからの日本の大学の主流にならなくちゃならないんじゃないか。国立は国立であってもいいですよ。その辺は一度よく私も考えるし、また文部省でもぜひ考えていただきたいのが一点。
 もう一点、これは今度の大震災で長田地区の中には非常に埋蔵文化財がたくさんあります。文化財保護法によれば、これを調査しなければならない、しかも自分の負担でやらなくちゃならない、それでなければ開発しちゃいけないことになっているんですが、復興とこれの調査といずれを優先するか。恐らく文化庁は頭を痛めていると思いますが、これはやらないわけにはいかぬと思うので、全国の教育委員会のそういうエキスパートを全部寄せて、短期間に、二月かそこらの間に全部それを調べるというような方策をとってでもぜひこれは実行をしていただきたい。
 もう時間がありませんので、本当はお答えをいただきたいんですけれども、ここでお答えをいただくとほかの人に迷惑をかけますので、またこれは個々に御意見を伺うことにして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
#43
○肥田美代子君 よろしくお願いします。
 私が口を開きますと学校図書館としか言わないわけでして、まるで学校図書館おばさんだと自分で思っております。
 鳩山文部大臣、森山文部大臣、赤松文部大臣、それから与謝野文部大臣と四代の大臣に同じことをずっと申し上げてまいりましたが、ここに至ってまだ学校図書館法の改正すらができないということは、まさに私自身の力が足りないというふうにも思います。私の議員としての任期ももう数カ月で終わることでございますので、この辺で何とかひとつと焦っております。そこで、きょうまた学校図書館についてお尋ねいたしたいと思います。
 今世紀の初めに、ジョン・デューイという人が、古い教育を新しい教育に変えるためにはどうすればいいかというと、要するにコペルニクスによって天体の中心が地球から太陽に変わったように、今までは教育の中心になかった子供たちを中心に持ってきて、その周りにもろもろの営みが組織される、そういう教育観に立つことが必要だと言いました。全くそのとおりだと私は思います。
 そこで、指導要領の中には「個性を生かす教育の充実」、「自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力の育成」と、こういうふうにはっきり書かれておりますが、この指導要領の内容を実際に実現するためにどういうふうにすればいいと文部省はお考えでいらっしゃいますか。
#44
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 ただいま先生からお話がございましたように、現行の学習指導要領では、個性を生かす教育の充実を目指して学校におきましては教育活動が展開されているわけでございますが、その中で学校図書館につきましては、児童生徒の知的活動を増進し、人格形成や情操を養う上で学校教育上重要な役割を担うものであるというように考えておりまして、学校の教育課程の展開を支えるものといたしまして資料センターの機能を発揮いたしますとともに、児童生徒がみずから学ぶ場として学習センターの機能を発揮することが求められているというように認識しております。学習指導要領では、このような学校図書館の役割にかんがみまして、総則におきまして、すべての教科、道徳、特別活動に共通する配慮事項として学校図書館の計画的な利用とその機能の活用を明記しているところでございます。
 文部省といたしましては、従来から、学校図書館の利用と学校図書館における読書指導等につきましても、学校におきまして児童生徒に対して十分行うように指導してきているわけでございまして、今回の新しい学習指導要領の趣旨も、先ほど先生からお話があったとおりでございますので、教育課程全般で学校図書館が積極的に活用されるように引き続き指導してまいりたいと、このように考えております。
#45
○肥田美代子君 今、引き続き指導していくとおっしゃいましたけれども、具体的にどういうふうに指導していかれるんですか。例えば、図書館の指導の時間というのがあるんですか。
#46
○政府委員(井上孝美君) 学校図書館につきましては、ただいま先生からお話がございましたが、例えば教科の中では国語でございまして、読むことの指導につきましては、読書意欲を高めまして、日常生活において読書活動を活発に行うことを促すようにするとともに、他の教科における読書の指導や学校図書館における指導との関連を考えて行うことを求めているところでございます。
 特に、児童の読む図書については、人間形成のため幅広く偏りがないように配慮して選定することというように国語の中で取り上げているわけでございますし、また特別活動の中では、学級活動におきまして、日常の生活や学習への適応及び健康や安全に関すること、あるいは不安や悩みの解消、基本的な生活習慣の形成などとともに、学校図書館の利用や情報の適切な活用を行うように学級活動の中でも学校図書館の利用や活用、また読書に対する指導、そういうものも求めているところでございます。
#47
○肥田美代子君 理科の教科ではどういうふうに指導していらっしゃいますか。
#48
○政府委員(井上孝美君) 理科につきましては、先ほど最初に申し上げましたように、学習指導要領の総則におきまして、全体として指導計画の作成等に当たりましては視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図るとともに、学校図書館を計画的に利用してその機能の活用に努めていただきたいということを総則で言っているわけでございまして、そういう意味で理科につきましても、そういう視聴覚教材、教育機器などとともに学校図書館を利用することによって、理科に対する興味、関心を図書を通じて児童生徒に起こさせるというような指導も全体として総則において求めているところでございます。
#49
○肥田美代子君 私が申し上げたいのは、利用、指導を別に取り上げてやるということじゃなくて、あらゆる教科に共通の基礎的な技能として図書館を利用するということを教えていかなきゃいけないと思うんですね。そのためには、教科学習の中でそれぞれ必要に応じてカリキュラムをつくっていく、私はそういうことが必要だと思うんです。例えば、発達段階に即した利用項目の全体計画をつくって、どの教科でどういう図書館利用を学ぶかという、そういうふうな構築の仕方をしてみたらどうでしょうか。
#50
○政府委員(井上孝美君) 確かに先生がおっしゃるように、図書館の利用につきましては学校教育活動全体の中で取り上げていくということが必要でございまして、先生がおっしゃった例えば小学校の理科における実践例等を御紹介いたしますと、郊外に出かけて生きたものを観察する際に、事前事後の指導におきまして、その名前や特徴を知るために図鑑等を利用して一層理解を深めることができるようにしているというような指導も図書館を利用することによって行っているという実情でございます。
#51
○肥田美代子君 今後の話ですが、全体計画をつくりまして、それぞれの科目で図書館利用のレベルを発達段階に応じて上げていくということがぜひ必要だと思います。ぜひこれからの参考にしていただけたらと思います。
 そこで、こういう本が出ていますね。私は、これをうかつにも知らなかったんです。「学校図書館の利用と指導」という本でありまして、これが文部省から出ている。拝見しましたら、すばらしいことが書いてありました。
 昭和二十八年八月に学校図書館法が公布されてから、はや三十年が経った。この間、学校図書館の学校教育における意義の認識も深まり、図書館の設置、蔵書数の増加等、着実に充実の途を歩んできた。司書教諭有資格者も年々、着実に増加してきている。
 しかし一方、児童生徒の問題行動の多発など、学校教育上緊急に解決すべき課題が山積している。こうした時期にこそ学校教育は、児童生徒が自ら考え正しく判断し、実践できることを願い、豊かな人間性を育成するために一層重視されなければならないのである。
 学校図書館は、こうした課題に対しても重要な役割を果たすことをすべての教職員が理解して、学校教育充実のために、今後、学校図書館を一層活用することが望まれるのである。そのためにも、本書を十分に役立て、当初の目標を遂げることを期待するものである。これはもう私が一言も申し上げる必要ないぐらいですが、これをおつくりになったきっかけと、それから最近どういうふうに利用されているかを教えてください。
#52
○政府委員(井上孝美君) 先生から今お話がございました「小学校、中学校における学校図書館の利用と指導」につきましては、昭和五十八年に刊行されたものでございますが、学校図書館の利用、指導の改善を図る指導資料として作成されたものでございます。
 そして、この資料につきましては、平成七年度から実施予定の学校図書館情報化・活性化推進モデル地域とかあるいは読書指導研究指定校などによる先進的な取り組み事例の成果、あるいは現在審議を進めております児童生徒の読書に関する調査研究協力者会議のまとめ等を踏まえまして、本指導資料の改訂について現在取り組んでいるところでございまして、このような時期にどのような資料を刊行するのが適切であるかという観点からも、これを取り上げているわけでございます。
 そして、この指導資料につきましては、都道府県及び市町村教育委員会の指導主事、小中高等学校等の教員を対象に文部省が毎年開催している学校図書館研究協議会におきまして、資料を刊行した五十八年度からテキストとして利用するなどいたしましてその活用を図っているところでございますが、今後ともこの資料につきましては、さまざまな機会にその活用を図り、またよりよいものに改善していくような努力をしたい、このように考えているところでございます。
 本資料は、これまでに約一万六千冊が購入されているという実情にございます。
#53
○肥田美代子君 一人一人の先生がこれをじっくり読んでくださると、私、かなり学校の中の教育の形が変わってくるんじゃないかと思います。結局、教える先生の体質が変わらない限り、教育のありさまというのは変わらないような気がするんですが、大いにこれを役立てていただきたいと思います。
 それで、文部省も努力してくださって学校図書館整備五カ年計画をつくってくださり、そこに五百億円を計上してくださったんですが、これは文部省の本予算じゃなくて地方自治体の交付税ということですので、ひょっとしたらこのせっかくのお金が道路になったりそれから建物になったりしていないかと心配しているんですが、いかがですか。
#54
○政府委員(井上孝美君) 学校図書館図書の計画的整備を図るために、ただいま先生からお話がございましたような学校図書館図書整備新五カ年計画に平成五年度から九年度までの五年計画で現在取り組んでいるところでございますが、公立の義務教育諸学校の学校図書館の蔵書数を現在の一・五倍程度の冊数までふやしまして、その図書の充実を図っているところでございます。その実施に必要な経費としては、平成五年度から九年度までの五カ年計画で総額五百億円でございますが、地方交付税によりまして平成五年度は八十億円の措置をし、平成六年度は九十億円を措置したところでありまして、そういう意味でこの計画の円滑な実施に現在努めているところでございます。
 先生がおっしゃるように、地方交付税は地方自治体の一般財源になるものでございますので、その実際の使途は地方自治体の判断にゆだねられているものでございますが、今回の措置を踏まえまして、学校図書館図書の計画的整備が図られるように各種の会議や広報紙等あらゆる機会をとらえて図書購入経費の予算化に努めるように指導をしておりまして、計画はおおむね順調に進んでいるというように考えております。
 なお、学校図書館協議会が平成六年に行いました調査によりますと、平成六年度当初予算または補正予算に学校図書館図書費を上乗せまたは計上した市町村は八四・五%となっております。
#55
○肥田美代子君 八四・五%なんですが、回答してきたのは何%ですか。
#56
○政府委員(井上孝美君) 回答してきた教育委員会は千三百八の教育委員会でございまして、平成六年十月七日現在で回答率は四〇・一%という状況でございます。
#57
○肥田美代子君 回答してきたのが四〇%ということは、あとの六〇%はまだ全然関心も何にもないのかもしれないし、何もとっていないかもしれませんよね。これは随分もったいない話なんですね。ですから、もっと頑張って、この五百億が五年後に一・五倍の図書になるように現場に指導していただきたいと思います。
 次に参ります。
 中教審再開の意向と伺っておりますけれども、その諮問内容につきましては、私の方で承知いたしております。私はこの中に学校図書館に詳しい人を一人入れてほしいと先日文部省のお役人さんに申し上げましたら、いや肥田さん、中教審というのはもっと大きい話をするところで、そういうことは小さいというふうにおっしゃったんです。私は、実はちっとも小さくないと思うんですね。中教審の今度の諮問内容を考えましても、そういう学校図書館関係の人を一人入れるということが小さいというふうにどうも理解できないんですが、大臣、どう思われますか。
#58
○国務大臣(与謝野馨君) 先生の御関心は、学校図書館のあり方、その活用の仕方等々でございますので、今後再開されます中教審で果たして学校図書館がテーマとして扱われるのかどうかということがまず第一点でございますが、その問題は、諮問の中でマルチメディア等の情報化という項目がございますので、学校図書館のあり方等もこのテーマのもとで当然議論をすることが可能でございます。
 それでは、そういうことをよく議論してくださる方が委員の中におられるかという問題ですが、中教審は臨時委員という制度もございますし、また専門委員という制度もございますし、また学校図書館関係者からのヒアリングということも可能でございますので、いずれにいたしましても、先生の御要望の学校図書館のあり方については中教審においても御要望どおり議論される機会をつくりたいと思っております。
#59
○肥田美代子君 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
 それで、つい最近、東京新聞に東京の教育委員会で小中学校に嘱託制度ではありますけれども司書教諭を配置したというニュースがありました。文部省はどういうふうに評価されますか。
#60
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 東京都教育委員会におきましては、現在、退職した教職員のうち、司書教諭有資格者や図書主任、図書係などの経験老から希望する者を嘱託職員として再雇用いたしまして、一部の小中学校の学校図書館に配置して図書の貸し出しや利用指導を担当させることを検討中ということを聞いておりまして、できれば平成七年度中に制度化をして平成八年度から配置していきたいと考えていると伺っております。また、これとあわせまして、積極的に司書教諭の発令を行い、学校図書館の利用や読書活動の指導計画を司書教諭が中心となって作成するなど、学校図書館の活性化を図っていく方針とのことでございます。
 文部省といたしましては、今回の東京都教育委員会の取り組みは学校図書館を活性化する上で一つの注目すべき工夫であり、他の教育委員会や学校においても学校図書館の充実、活性化に向けてさまざまな工夫が行われることが重要というように考えているところでございます。
#61
○肥田美代子君 これは、学校図書館にとってまさに第一歩だというふうに考えます。東京都でできることが日本全国でできないことはない、ましてや文部省がそれの音頭をとれないことはない、私はそう思います。工夫していけば、先ほどからもお金がないということでいろいろと議論もございましたが、何とかなるのじゃないですか。東京都ができることを文部省ができないわけはない、私はそう思うんですが、いかがですか。
#62
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 東京都はいわゆる地方交付税上の富裕団体ということで、財政的に他のいわゆる一般県とは異なる事情にあるということは先生御案内のとおりでございまして、したがいまして私どもとして学校図書館法の趣旨を踏まえながら、従来からも専任教員の資格者がふえるような、大学における司書教諭資格を取得できるための講習会につきましても平成六年度から十五大学から十八大学にふやすなど、その専任教員の有資格者の増加を図るための予算措置も行ってきておりますし、また今回の六次の定数改善計画におきましても、大規模の小中学校におきましては事務職員を複数配置して、図書館の司書としての資格を持った人にできるだけ図書館の円滑な運営に当たっていただくようにお願いをしているところでございます。
 そういう意味で、そのような学校全体におけるコンポジションとしての適正な教職員の配置につきましては、今後とも私どもとして各都道府県教育委員会を通じて指導していきたい、このように考えているところでございます。
#63
○肥田美代子君 もう時間が来ましたので終わりますが、申し上げたかったのは、工夫をすれば何でもできるということです、やる気さえあれば。嘱託員制度というのは苦肉の策だと思います。これがすべていいとは思いませんけれども、しかしなせば成るということだと思います。今後、全国に司書教諭の配置を広めるように文部省が率先してやってくださるんですか、それともまだまだ遠い話だとおっしゃるんですか、どっちでしょうか。
 大臣、最後にお願いします。
#64
○国務大臣(与謝野馨君) 大変先生は長い間この問題に取り組まれてこられたので、どこがネックになっているかということは多分おわかりだろうと思っております。
 そういう図書館に対して深い知識を持った人が配置されるということは、もちろんそれ自体は大変望ましいことでございますし、そういう方向で我々努力をしなければならないわけでございます。東京都のような若干他の府県に比べますと財政的に余裕がございますところでは、ただいま先生が御紹介されましたような工夫も可能であるわけでございます。しかしながら、全国的に見ますと、それが果たして一律に現時点で実現できるかどうかということになりますと、やはりなかなか困難な面もございます。しかしながら、努力する方向ははっきりとしていかなければならないと思っております。
 先生の希望されている方向に物事が一気に動かないということについては大変申しわけないと思いますが、方向としてはそういう方向に進むということをぜひ御理解いただきたいと思っております。
#65
○上山和人君 日本社会党・護憲民主連合の上山和人です。
 きょうは予算の審査でございますけれども、平成七年度の文部省所管一般会計予算の総額は五兆六千三百九十三億円、伸び率一・七%です。この結果をどう見るかということにつきましてはいろんな評価の視点もあると思いますけれども、私は大臣を先頭にして文部省の皆さんが随分と予算編成の過程で努力をされていたことをよく知っております。また、与党三党としましても、文部調整会議、その下に三つのプロジェクトチームをつくりまして、一体的に努力をした経緯もございます。そういう立場では、大蔵省との厳しい関係の中ではまずまずの成果だったと言っていいのかと思いますけれども、しかし教育は未来への先行投資であるという今の政権の基本理念に照らして考えれば、大変多くの課題を残していると言わなければならないと思うんです。
 これは、きょう四十分の制限時間の中で一々触れる時間はございませんから、また別の機会に譲らなくてはなりませんけれども、文部省としても、教育は未来への先行投資として位置づけるという今の政権の基本理念に照らして十分分析をしてほしい。そして、来年度の予算編成に向けて準備を、既に始めていらっしゃるとは思いますけれども、もう始めなければいけないんじゃないかと思っておりますので、その点をまず申し上げておきたいと思うんです。
 きょうは、期せずして、いじめ対策緊急会議の報告の集中審査みたいになっておりますけれども、特に緊急を要する問題があると思いますので、私もその点に関連して絞って御質問申し上げたい。
 ことしは、平成七年度の予算案の中では新規事業としていじめ問題対策事業、九千百万円を計上された。国立教育会館の中にいじめ問題対策センター、これを設置して問題解決に当たるという新規事業でありますけれども、それを含めて、いじめ対策関連の予算としては十二億九千五百万円が計上されております。決して小さな額ではないと思いますけれども、これで果たして大丈夫かというと、全くそうではないという認識はみんな同じじゃないんでしょうか。むしろ問題はこれからだと。
 したがって、最終報告書も出ましたけれども、問題はこれからだという段階だと思います。このいじめ問題については、悠長に構えて一つ一つその年度の財政の範囲内で対策を積み上げていけばいいという性格の問題ではないように思うんです。したがって、文部省としましても、報告書が出ました、それをもとにして集中的にいじめ対策につきましては御審議いただいて、対策を立てていただきたい。
 委員長、こういう場でお願いは少し場違いかもしれませんけれども、当委員会としても、そういう意味で改めてこのいじめ問題については、最終報告書が出た段階でございますから、集中審査の機会がやっぱりこの委員会の責任上も必要だと思いますので、ぜひ理事会として御検討いただきたいものだとお願いを申し上げておきたいんです。
 そこで御質問なんですけれども、いじめ問題解決のためのアピールがおよそ十年前、八五年六月二十八日に一遍出されております。それから十年経過しております。そして、昨年の十二月九日に緊急アピールがございました。そして、今、三月十三日に最終報告書が出ました。この間、およそ十年過ぎているわけですね。アピールの内容を見てみますと、十年前のアピールの内容も十年たった十二月九日の内容も今度の最終報告書の内容も、最終報告書はかなり詳細に整理をされておりますから分量も多いですけれども、大筋内容は余り変わっていないように思うんです、特徴はいろいろございますが。
 局長も大臣も少しお答えいただきたいと思いますのは、十年前にもほぼ同じようなアピールをして努力したにもかかわらず、なぜいじめの問題は減らなかったのか、むしろ報告がありましたように年々ふえ続けているのか、その点をどのように文部省としては把握していらっしゃるのか。十年前にアピールを出して努力したのに減らないでふえているという状態について、どのように反省をなさって、どういうふうに問題をとらえていらっしゃるか、そこが出発点になると思いますから。
#66
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 ただいま先生からもお話がございましたように、いじめの問題に関しましては、昭和五十年代の終わりから六十年代にかけまして多くの事件が発生するなど憂慮すべき状況にありましたことから、昭和六十年六月二十八日に児童生徒の問題行動に関する検討会議緊急提言が発せられるなど、関係者によるさまざまな取り組みが行われたところでございます。
 昭和六十年の緊急提言におきましては、緊急に取り組むべき事項といたしまして、学校全体の一致協力した体制づくり、相談体制の充実、生き生きとした学級、学校づくりの推進、教員研修の充実などを提言いたしますとともに、長期的観点に立つ施策として生活体験の充実などを提言してきているわけでございまして、そういう意味から文部省では、これらの提言につきまして都道府県教育委員会等の関係機関に周知徹底を図りますととともに、教育相談活動モデル推進事業の実施や教員研修の充実、さらには体験学習活動の充実などの施策を推進しますとともに、平成元年の学習指導要領の改訂に当たりましては、心豊かな人間の育成、基礎・基本の重視と個性教育の推進、自己教育力の育成といったことを基本的な方針として改訂を行ったところでございます。
 そこで、文部省の行っている生徒指導上の諸問題の現状を見てみますと、十年前、昭和六十年度よりいじめの件数は減少傾向に全体としてはあるというように考えているわけで、例えば小学校につきましては、昭和六十年度にいじめの発生件数は九万六千四百五十七件でございましたが平成五年度には六千三百九十件、また中学校では、昭和六十年度がいじめの発生件数は五万二千八百九十一件が平成五年度は一万二千八百十七件という調査結果でございますから、そういう意味では減少傾向にあるというように考えておりますが、先般行った総点検では一万八千件という多くのいじめが新たに発見されておりまして、まことに憂慮すべき事態にあるものと認識をいたしております。
 また、いじめの原因、背景には、それぞれのケースによってさまざまでございますが、一般的に申しますと、社会環境や家庭環境、学校における教育指導のあり方などのそれぞれの要因が複雑に絡み合っていると考えておりまして、この問題の解決のために、今回の最終報告におきましても、学校、家庭、地域社会がそれぞれの役割を果たして一体となった取り組みを行うことが重要であるという提言をいただいておりますので、そういう趣旨を踏まえて、私どもとしても、国また各教育委員会もそれぞれの役割を十分発揮していじめの防止といじめが起こった場合の適切な対応等について取り組んでいきたい、このように考えているところでございます。
#67
○上山和人君 今の局長答弁、なかなか私どもすとんと落ちるような御答弁になっていないんですよね。だから、十年前からアピールを出して努力してきてなお今日の深刻な状態になっている。この問題、どこに原因があるかという正確な把握がなければ、新しいいじめ問題の解決に向かう今としては、私は非常に大きな問題だと思いますから、これはまだ今からも当委員会としてぜひ審議をしてほしいし、文部省としても御検討いただきたいんです。
 先ほど、大臣は前の委員の質問に対して、緊急対策あるいは長期的な対応、両面から考えるべきだとおっしゃったように思うんです。まさに、十年前のアピールは読み返してみて昨年十二月九日の緊急アピールよりも整っていたと思いますのは、いじめ問題の対策については緊急対策と長期的対策と両面があるんだとはっきりアピールの中で明記されておりますよね。やっぱり私どもは、今いじめられている子供、今いじめている子供たちをどう救うか、そういう問題からどう解放するかということの、短期的なといいますか、緊急対策がもちろん必要です。しかし、長期的に見れば、学校からあるいは社会からこういう問題がなくなるような状態にするためにはどういう対策が必要かというのが長期的対応、長期的な施策だと思います。
 時間がありませんからこちらの方で問題提起をしておきますけれども、ますます深刻な状況にいじめ問題がなってきているのは、緊急対策はそれなりに今度のアピールの中にもいろいろと盛り込んでありますから、私どもだってなるほどそうだと思う点がいろいろ多いですね。それはそれでいいと思うんです。ところが、長期的な対策、それが足りなかったんじゃないでしょうか。不十分だったんじゃないかという反省が私どもの側にはあります。文部省の側にはそれは全くないんですか。
 ついでに申し上げますと、私は両アピールに、十年前と今回のアピールに共通して欠けているものが二点あると思います。
 それは根本的に、一つは、今度の最終報告書は、木宮先生は評価できないとはっきりおっしゃいましたけれども、いろんな問題を含んでいますよ。例えば、いじめる側の子供たちに対しての処置の仕方、出席停止をするとかあるいは警察等の協力も得なくちゃならないといったようなことについては慎重にも慎重を期して、それをどう具体的に発動するかということにつきましては慎重にも慎重を期して現場が対応しなくちゃならないことだと思うのでありますけれども、そういうことで根本の問題の解決にはならないということはみんな承知の上で、緊急避難的な対応策の一つとして提起をされているのかなと思います。
 そういう問題いろいろありますけれども、やっぱり根本的に二つのアピールに欠けているものは、いじめたら悪い、いじめは悪いというのは、それは当然そういう教育は必要です。でも、子供たちをなぜいじめに走らせるのか、何が子供たちをいじめに駆り立てるのかということについての踏み込みが全くないですよ。これは両アピールに共通しています。なぜ子供たちがいじめに走るんだろう、何が子供たちをいじめに駆り立てるのか、その背景なりその要因に全く踏み込んでいない。これは根本的な長期対策に直結する問題ですから、それがないのをどういうふうにごらんになるかということ、文部省として。
 もう一つは、これは言いにくいこともありますけれども、長い間の戦後の文部行政、教育行政に果たして責任は全くなかったのかどうか。教育行政がいろんな政策展開をしてきた、その文教行政の政策展開に全く何の責任もないのか。少しでも、一端の責任はあるんじゃないかといったような表現ですら、両アピールの中には教育行政みずからの反省としては何もない。これは極めて重要な根本的な問題だと思いますが、この二点について率直に、最終報告書は触れておりません、文部省はどのようにお考えですか。
#68
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 まず、第一点の何が子供をいじめに走らせるのがが踏み込みが弱いという御見解でございますが、今回公表されましたいじめ対策緊急会議の報告は、いじめの問題の解決のために関係者が当面とるべき方策等について取りまとめられたものでございます。
 この報告では、いじめの原因、背景につきましては、例えば弱い者、集団とは異質な者を攻撃したり排除しようとする傾向に根差して発生することが多く、特に学校をめぐっては、教師が単一の価値尺度によって児童生徒を評価する指導姿勢等に大きなかかわりを有している場合があること、また近年、家庭や家族を取り巻く社会環境の著しい変化の中で家庭の教育機能の低下やしつけの不徹底といった状況が生まれており、これらがいじめの背景の一つとして指摘されていることなどが取り上げられているところでございます。
 また、今回の最終報告におきまして、国における取り組みにつきましても当然提言を受けているわけでございまして、その中におきましては、先ほどの昭和六十年の提言の中でも、長期的な施策についての取り組み、そういうものについては、さらに国において教育委員会や学校におけるいじめの問題への取り組みを支援する施策の一層の充実を図っていくことが期待されるという指摘をいただいているところでございます。
 また、各学校における指導体制の充実のためには、中長期的には、教員養成段階における生徒指導、教育相談に関する指導のあり方、生徒指導にかかわる教員配置などの一層の改善充実に努める必要があるという指摘をいただいているところでございまして、そういう点で中長期的なそのような対応について文部省としても努力はしてきておりますが、このようないじめ問題等に対応して必ずしも十分ではないという御指摘をいただいているところでございまして、私どもとしても、国においてもさらにその施策の充実を図っていきたい、このように考えているところでございます。
#69
○上山和人君 それなりの私は問題把握は理解できますのでも、もっと深いところに、これは第十四期の中央教育審議会の答申が今の日本社会の病理として指摘した問題があります。学歴社会、受験競争、そして偏差値教育です。これは日本社会の病理として文部大臣の諮問機関である中央教育審議会が答申をしておりますよ。
 そういう中教審の答申が指摘した日本社会の病理が根本的な背景にあるという認識がなければ、全く当を得た、的確な長期的な対策は立てられないんじゃないですか。もう少しその点は、局長の御答弁に不満でありますけれども、どんどん時間が過ぎて余り時間がなくなりましたから次に移りますけれども、ぜひ、そういう教育改革そのものに直結するいじめ問題対策だと思いますので、これからも十分、中教審の第十四期答申が指摘するような背景などを含めた根本的な要因にメスを入れる教育改革の道筋を文部省としては明らかにされる必要があるんじゃないか。しかも、急ぐべきじゃないか。
 既存のいろんな計画はあります。一番最後に申し上げますけれども、第六次義務標準表の教職員配置改善計画があります。高校は第五次改善計画ですよ。六年計画ですから、三年目です。この計画、六年計画をそのままの形で六年間続けるのか、こういう事態に照らして少し短縮をするのか、中身を見直すのか、そういうことを含めて考えなくちゃならない大変重要な事態に今私たちは直面しているんじゃないかということを一番最後に申し上げるつもりでありますけれども、そういう問題だと思うんです。
 そこで、長期政策、かなり中期的な政策になりますけれども、木宮先生も田沢先生も養護教諭の問題に触れられました。今度の最終報告書が養護教諭の役割を重視したことについては、私はかねて非常に厳しい環境の中で懸命に各学校の養護教諭の先生たちが努力をされている姿がやっぱり正しく評価されている、そういう点ではこの最終報告書のその点については評価することができると思うんです。
 ただ、そこでくれぐれも留意しなくちゃなりませんのは、文部省も指導的立場で御留意願いたいと思いますのは、だからといって、養護教諭本来の職務がありますから、これは規定されておりますから、その養護教諭本来の職務を超えて、この最終報告書に基づいて養護教諭の皆さんに過重な責任、そしてまた仕事の負担が転嫁されてはならない。そうならないように厳重にそこのところは御指導をいただかなければならないことになるんじゃないかと思いますが、その点について局長はどのように今お考えですか、最終報告書が出た段階で養護教諭の位置づけについて。いじめ対策の問題としてですよ。少し答弁を簡潔に願います。
#70
○政府委員(遠山耕平君) お答え申し上げます。
 このたびのいじめ対策緊急会議の報告におきまして、いじめ問題に対する学校の指導体制の充実強化を図る観点から、学校の実情に応じまして養護教諭も保健主事に充てることができるような措置を講じることによって、養護教諭が学校全体のいじめ対策においてより積極的な役割を果たせるようにする必要がある旨提言されているところでございます。それから、従来より全国の養護教諭の教育研究団体である全国養護教諭連絡協議会等から、保健主事には教諭だけではなくて養護教諭も充てられるようにするよう要望がされているところでございます。
 したがいまして、文部省としましては、これらの提言を踏まえまして、学校の実情に応じ十分な資質、能力を有する養護教諭につきましては保健主事に充てることができるよう、現在学校教育法の施行規則の改正等の作業に着手しているところでございます。
#71
○上山和人君 根本的に子供たちの指導に当たって重要なことは、やっぱり学級担任を中心にして教職員全体が連帯の努力をするのでなければ所期の目的は達しがたい。養護教諭の役割の重要性を強調したこの機会に、誤解を招かないようにするためにも、根本の認識をさらに徹底すべきではないかと思います。
 そこで、そういう重要な役割を評価されて位置づけられることは先ほど申し上げたとおりでいいのでありますけれども、それであるならば、養護教諭が配置されていない学校があることをどう考えるかというのは緊急に解決しなくちゃならない問題だと思いますが、配置率はわかっています、資料もありますから。今、例えば小学校二万四千三百九十校、中学校一万五百六十八校ですよ。小学校で養護教諭が配置されていない学校が何枚あるか、分校も一校と計算して報告してください。
#72
○政府委員(遠山耕平君) 小学校につきましては、現在未設置の学校が千百七十七校、これは分校も合わせてでございます。それから、中学校では六百四十五校の学校が養護教諭未配置になっております。
#73
○上山和人君 高校はどうですか、ちなみに。
#74
○政府委員(遠山耕平君) 高等学校につきましては、本校、分校合わせて四千八百七十二校に四千九百二人が配置をされておりますけれども、分校につきまして未配置校についてのデータはございません。
#75
○上山和人君 配置率は教職員の配置改善計画でだんだん高くなっているんですね。それなりの努力の成果が上がっております。それは現場もみんな受けとめて評価しておりますけれども、配置率が高いのは高いなりにいいんだけれども、小学校で千百七十七校も養護教諭が配置されていない学校があることが問題なんです。中学校で六百四十五校も配置されていない、そのことが問題ですよね。
 だから、これだけ養護教諭の皆さんに御苦労をいただく、その役割の重要性はみんなわかっていますから、それなら千百七十七校、六百四十五校をどう整備、養護教諭の配置を急ぐのかというのは、一体的なものとして、従前の計画にまつだけではなくて、この際、緊急に解決をしなくちゃならない問題ではないでしょうか。どのようにこの最終報告を受けてお考えになっていらっしゃいますか。
#76
○政府委員(遠山耕平君) 現在第六次の定数改善計画を進捗中でございますが、養護教諭につきましては、三十学級以上の学校には複数配置、それから三学級の学校について現在四分の三の学校に配置されているわけですが、それを全校に配置するということで進んでいるわけでございます。
 したがいまして、現在主として未配置校で進んでおりますのは三学級の学校に養護教諭を配置する計画が進められているわけでございますが、現在第六次の計画が進んでおりますので、これの円滑な進捗を図っていきたいと考えております。
#77
○上山和人君 だから、最終報告書を受けて、文部省の施策を進める上でそれで本当に最終報告書を尊重することになるんですか。それは最終報告書については、木宮先生も言われるように、私もたくさんの問題を感じていますよ。でも、それだけの位置づけをしながら千百七十七校も、六百四十五校も養護教諭がいない学校があるのを、あと四年かかるんですよ、第六次改善計画が完結するのは、その今の計画どおり待つという姿勢で果たして責任を果たせるんですか。まさに私はこれは大臣の政治決断だと思うんです。これは私どももそれなりに考えなくちゃならない問題じゃないでしょうか。この千百七十七とか六百四十五という数は多過ぎますよ。
 しかも、そうはいっても全体の学校の数から見るとほんのわずかになっていますね。予算上もそう大蔵省が目をむくようなそんな予算額にはなりませんよ。これは六次計画の中途ではあるけれども見直して、この一、二年の間に完全配置を実現するということにすべきだと思いますけれども、大臣、どうですか、検討するということを含めて。
#78
○政府委員(遠山耕平君) 現在養護教諭が未配置の学校は三学級の学校の一部と、それから一学級、二学級の学校でございまして、いずれもごく小規模の学校でございます。そういう点では、児童生徒数と教員の割合からいうと非常に子供たちに先生の目が行き届きやすい、そういう環境にあるわけでございます。そういう点で、現在三学級の学校を中心に養護教諭の配置を進めているところでございますので、文部省としましてはこの改善計画の円滑な推進に努めてまいりたいというぐあいに考えております。
#79
○上山和人君 そういうことはかり言っていると、全く問題の緊急性を認識されていない。しかも、十年一日のごとく。何のための緊急アピールなんですか、何のための報告書なんですか。そういうことをもとにして、やっぱり前の方を向いて、大胆に勇気を持って改めなくちゃならないところは改めるのでなければ、全国の教職員やお父さん、お母さんたち、子供たちの信頼を集めることはできませんよ。これは納得できませんからね、そのお答えでは。だからぜひ今後御検討いただきたい。
 しかも、養護教諭は、局長、置かなければならないんですよ、学校には全部。それは二十八条でしょうが。しかし、百三条で、その規定にかかわらず当分の間置かないことができると。この当分の間で何十年たっていますか、当分の間が。置かなければならないんですよ。分校だから、目が行き届くんだから置かないでいいとは書いてないんですよ。置かなくちゃならないのに、財政上の事情もあって、置かないことができるという百二条を盾にとって置かずに来た。こんな状態で、今だってこんなにたくさんの学校で置かれていないんですから、もうこの百三条はなくすべきですよ。そして、本則だけにすべきですよ。置かなくちゃならない、置く必要があるから学校教育法にも置かなければならないと規定されているのであって、そういうやっぱり原点に立ち返って、これは勇気を持って、大臣、御検討いただけますか。これは大臣簡潔にお答えください。
#80
○国務大臣(与謝野馨君) 助成局長からお答えいたしましたように、まだ未配置のところは、例えば三学級、これは学年で三学級ではなくて全学年で三学級というような大変小規模なところがそういう状況になっております。局長がお答えしましたように、そういう小規模学校でございますから、一人の先生が預かっておられる児童生徒の数というのは普通の他の学校に比べては少数でございまして、目の配り方、行き届いた配慮というものは他の学校に比べては可能である、そういうこともございますし、また先生御指摘のように、財政の状況あるいは従来の計画との関連でも現在のような状況になっている、そういうことをぜひ御理解いただきたいと思っております。
#81
○上山和人君 大臣は別の御答弁があるのかなと期待していましたけれどもね。この間申し上げましたように、二十世紀を開いた女性、与謝野晶子のお孫さんでいらっしゃるというのはこれは別ですけれども、大臣に期待したいですね。これは大臣だけの問題ではないと思いますよ。みんなでやっぱり検討しなくちゃ本当にいけない問題じゃないでしょうか。ぜひ続いて、養護教諭の完全配置については、今の改善計画を待つのではなくて、再検討するという方向でひとつ御検討いただきたいと御要望を強く申し上げておきます。
 時間が五分残っておりますが、保健主事の問題に先ほど局長が触れられました。保健主事のあり方については現場でいろんな意見があります。それで、養護教諭を保健主事に今度充てる。これは施行規則で規定をされている問題ですけれども、今は教諭をもって充てることになっています。それを養護教諭にまで範囲を広げて、十分な資質を持っている者とかいろんな表現がありますけれども、今度保健主事にしたいという御意向のようですから、いずれ施行規則を改正なさる御意向かなと思いますけれども、今まで現場で必ずしも保健主事制度というのはすんなり定着はしておりません、現場の実情は、あり方をめぐりましていろんな意見がありますので。
 したがって、今度新しくこういう制度を導入なさるにつきましては、少し時間をかけて、養護教諭本来の職務を通して子供たちを指導するのにどういう大きな成果を上げてきたかというのは評価されているし、その努力は養護教諭の皆さん一生懸命続けられるわけですから、保健主事制度を新しく変えられるについては、十分養護教諭の皆さんの御意見も、また現場の皆さんの御意見も集約なさった上で慎重にしていただきたいとお願いを申し上げておきます。
 最後に、先ほどちょっと申し上げましたけれども、やっぱりいじめ問題、子供たちの指導の根本は教職員一人一人、それを中心にした連帯の力だと思います。ですから、教職員配置改善計画というのは、この第六次、第五次計画は、今のままで本当にあと四年、進行するのを待つだけで、養護教諭の問題は特段お願いをしましたけれども、全体的にもいいんでしょうか。子供たちにどう目が行き届くかという観点で、今までこの問題はいつも議論されている。局長は、分校は子供たちの数が少ないから先生たちの目がよく行き届くからなどとおっしゃいましたけれども、そこにだって置かなくちゃならないというのが学校教育法二十八条の規定なんですから、置かなくちゃならないんです。
 しかし、そういう観点で見ますと、子供たちに学級担任の目がより行き届くようにするために、ぜひ三十五人学級にしてほしい。これは大方の強い要望だったんです、二年前この改善計画を改正するときには。でも、四十人学級のままなんです。子供たちが減るんですから、どんどん減るんですから、この機会に三十五人学級にしてほしい、そして少しでも教職員配置を豊かにしてほしいという願いが聞き入れられずに四十人学級のままで進んでいますが、果たしてこれでいいんでしょうか。
 教職員配置改善計画は、確かにこの六年間で小中学校では三万四百人ふえることになります、新しい改正で。でも、子供たちが減るのに伴って六万四百入減るんですよ。だから自然減に伴う減員の数が三万人多いんですから、プラス・マイナスこの六年間でこの改善計画のスタート時よりも三万人教職員が学校から消えるんです、減るんですよ。高等学校だって九千七百人も減るんです。そういう計画でいいんでしょうか。それはやっぱり三十五人学級にしないで四十人学級のままで残したということに根本的には原因があるわけですから、このいじめ問題を解決するということは最も今は根本的な教育問題ですから、教育行政の短期施策、長期施策、これに焦点を当てながら御検討されるべきじゃないかと思います。
 したがって、そういう観点から、一番大事な教職員配置改善計画というのはあと四年このままの計画で進むのか。私どもは今度の予算編成では、与党三党は二年短縮をすべきだという結論を出して大蔵省には折衝しました。これはうまくいきませんでしたけれども、やっぱりそういう事態に対処する有効な政策については、長期であろうが短期であろうが、もっと政治的な大臣の英断も必要かと思います。
 ぜひ教職員配置改善計画についても、養護教諭の完全配置を一日も早く実現することとあわせて強くお願い申し上げておきますので、鋭意御検討いただき、次の機会には一定のお答えをいただきたい。そのことをお願い申し上げまして、時間が参りましたので、これで終わります。
#82
○委員長(松浦孝治君) それでは、午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十三分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時十二分開会
#83
○委員長(松浦孝治君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中文部省所管を議題として質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#84
○及川順郎君 予算にかかわる問題につきまして、一、二点私の方から質問させていただきます。
 まず、一部報道によりますと、今回の阪神・淡路大震災で被災いたしました国公立学校、非常に多額に上っておりますし、数も多くに上っておるわけでございますが、この問題につきまして国公立とそれから私立の国庫補助率の引き上げ、これを文部省が決断をいたしまして財政当局に働きかけていくと。校舎復旧等につきましては、激甚災害法に基づきまして国公立が三分の二ですか、それに対して私立の場合は二分の一と格差がある、こういう状況がございまして、先般の当委員会におきましても同僚の林委員から現場の大変窮状を抱えております私立学校の実情をつまびらかに訴えまして、この格差是正につきまして御要請申し上げたところでございます。報道のとおりに、文部省がこうした決断をされたということはまことに敬意にたえないところでございますが、今後の具体的な取り組み等につきまして、まず文部省の今後の段取りを伺いたいと思います。
 なお本予算につきましては震災関係が入っておらないのが残念なんですけれども、しかしこれは震災関係の次の補正にかかわる財政措置等でもございますので、この点についてのまず御見解を承りたいと思います。
#85
○政府委員(吉田茂君) まず、私どもから事実関係を申し述べておきたいと思います。
 被害を受けた私立学校の学校施設の復旧につきましては、被災大学等から補助率等につきまして強い要望があるということは事実でございますし、この委員会でもその点が議論をなされておるわけでございます。
 この復旧策、補助率のあり方を含めての復旧策につきましては、財政当局ともいろいろ相談をしてきておるところでございますが、激甚災害法で規定する他施設の補助率との均衡等の問題がありまして、激甚災害法に基づく現行の補助率は変更しないこととされておるわけでございまして、これを踏まえて六年度の二次補正が編成され、これによりまして当面六年度の復旧事業の推進を図っているというのが現状でございます。
 御指摘のような平成七年度以降の本格復旧のための措置全般につきましては、実のところこれは今後の課題であるということで、私立学校施設の復旧事業が円滑かつ迅速に実施できるように、引き続き財政当局とも十分相談をしながら適切に対処してまいりたいということでございますが、今御指摘のような点について私どもとしてあるいは要請するというようなことではなくて、現在のところ復旧策を、どのような方策があるか多面的な総体の問題としていろいろ財政当局と相談をしているという段階でございます。
#86
○及川順郎君 この格差是正につきましては学校行政として非常に重要な問題ですので、やはりこれは大臣としても政治決断をするぐらいの決意で現場に対する対応をぜひお願いいたしたい。大臣の御所見があれば承りたいと思います。
#87
○国務大臣(与謝野馨君) 現状につきましては今吉田局長からお話ししたとおりでございます。
 そこで、平成六年度補正では私立学校に対するこういう補助は約二十億円が計上されております。これは専ら仮設校舎の建設を中心にした補助でございまして、実際の校舎の復旧等は今年度の予算ではなくてむしろ来年度の予算、なおかつ平成七年度の総予算が成立した後、どういう考え方で補正を組んでいくかということによっております。
 そこで、先生が問題にされておられます補助率二分の一というのは激甚災害法に書いてあります補助率でございまして、激甚災害法自体は伊勢湾台風直後に成立した法律でございます。そのときの社会状況と今の社会状況は実は違ってきているわけでございます。特に、激甚災害法に予定をしておりませんでした社会福祉施設等が今回被災をしておりまして、それに対する予算上の今回の措置は事実上三分の二の補助率になっております。
 そういうことから考えますと、公立学校あるいはそういう激甚災害法で予想されていなかった社会福祉施設が三分の二の補助を受けているということから考えまして、一部学校関係者の間で私立学校の復旧も三分の二にすべきだという議論が出てくるのは私は当然であると思います。しかしながら、二分の一を三分の二に上げるというのはなかなか容易な作業では実はないわけでございますけれども、私どもとしてはそういう御要求は考慮に値するのではないかという感じを持っております。
 具体的には、今後財政当局とも御相談をし、また激甚災害法で指定されております他の案件の補助率等との均衡等もあわせ考えまして、平成七年度補正、本予算を審議しておりますときに補正という話はどうかと思いますけれども、いずれにいたしましてもそういうものが必要になってくるわけですから、私立学校等の被害、私立大学を初めとする私立関係の諸施設の被害の状況というもの、あるいは復旧の計画というものが固まりつつあることに大体合わせまして、そういう物の考え方が可能かどうかということはやはり検討する必要があるのではないかと思っております。
#88
○及川順郎君 ぜひ御尽力を賜りたいと存じます。
 それでは、もう一点ですが、広島の原爆ドームの世界遺産化の問題につきまして承りたいと存じます。
 実は、昨年の七月七日、私ども理事懇談会のメンバー、当委員会といたしましても広島の現地を委員長と御一緒に視察いたしました。いろいろ問題が提起されまして、大変地元からも世界遺産化への強い願望が寄せられました。
 やはり法的な整備等が必要だということで、環境整備に向けての努力に私たちも関心を持ってまいったわけでございますが、本年に入りまして二月十七日に文化財保護審議会の答申がございまして、三月六日に現行史跡指定基準を改正と、こういう前進がなされたことは私どもは非常に好感を持って受けとめておるところでございます。
 そこで、今後の作業を進めるに当たりまして、今年度予算措置は大丈夫かなと、こういうことがすぐ念頭にあるわけでございますが、ここに盛り込まれております関係予算の数値でこれからの事業推進が大丈夫かどうか、このことも含めてまず御所見を承りたいと思います。
#89
○政府委員(林田英樹君) 原爆ドームの世界遺産化につきましてはこの委員会でも何度か御議論があったわけでございますが、その際にもお答え申しておりますように、原爆ドームの世界遺産一覧表への記載に関しましては国内法上の保護措置等の課題があるということで、文化庁におきまして平成六年の九月以降、近代の文化遺産について検討する委員会を設けまして鋭意検討を行ってまいりました。
 先生今おっしゃいましたように、本年一月二十日に、第二次世界大戦終結ごろまでの遺跡を対象とすることが適当であるというようなことを含めます近代の遺跡の史跡指定に関する基本的考えの取りまとめをいただいたということでございます。また、三月六日には史跡の指定基準が改正されたということでございます。
 したがいまして、今後の作業といたしましては、個別の具体的な遺跡について史跡として指定するかどうかということを審議会にもお諮りいただきながら検討していくということになるわけでございますので、具体的にはこれからの検討ということになるわけでございます。
 今のお尋ねは、あわせて史跡関係の予算について心配がないのかということでございましたけれども、今申し上げましたように、個別の史跡の指定につきましてはこれからの検討ということになりますので、それに必要な予算がどうなるかというのは直ちにはお答えしにくいわけでございますけれども、関連の予算といたしまして文化庁で、例えば史跡を公有化する予算でございますとか史跡等の整備活用の予算というものをかなりの金額持っておりますので、必要に応じてそれらを具体的な配当の中では考えていくべき事柄であろうかと思っております。
#90
○及川順郎君 これから個別の文化遺産それから世界遺産推薦物件の検討が行われるわけでございますが、現地へ参りましたときに、焦点になっております広島の原爆ドームの件で、これはドームだけではなくて記念公園全体をこの対象としていただきたいという声がございましたし、私個人としましても、それはそういうぐあいにすべきだという実感を持ってまいったわけでございます。
 ぜひこの点について今後の作業の中でそういう配慮をお願いしたいということと、あわせまして、同じ被爆地であります長崎につきましてこの対象物件として検討すべき事案があるのかどうなのか、このことについても承っておきたい。あわせまして、本年十月一日までに世界遺産委員会に対して各加盟国からの推薦をいただくという状況に作業を合わせまして考えても、それまでの作業はかなりのハードスケジュールになるんではないか、こういう思いもするわけでございますが、この点についてはぜひひとつ全力を挙げて取り組んでいただきたい。見通し等について承りたいと思います。
#91
○政府委員(林田英樹君) 原爆ドームを含めました広島平和記念公園のことでございますけれども、先ほども申しましたように、具体的な個別の事柄についてどういうものを指定するか、またその際にどういう範囲で対象にするかということはこれからの検討課題でございますので、現段階で確定的なことはお答えしにくいところがございますけれども、先生御承知のとおり、具体的に広島平和記念公園について申し上げますと、これは戦後、広島市によりまして都市公園法上の公園として建設されたものであると承知しております。
 一方、本年一月に取りまとめられました近代の遺跡の保護に関します調査研究報告におきましては、当面、第二次世界大戦終結ごろまでの遺跡を対象とすることが適当とされておるわけでございますし、また「歴史事象とそれを表象する遺跡とが直接に又は密接に関係していること。」ということを史跡の指定の対象となる遺跡の選択の際の考慮要件というようなことにしておるところでございます。
 したがいまして、先ほど申しましたように、原爆ドームの史跡指定につきましては、審議会におきまして御検討いただく事柄ではございますけれども、ただいま申し上げました考え方によりますと、広島平和記念公園全体を史跡指定の対象ということは困難ではないかというふうに考えておるところでございます。
 それから、長崎につきましては、原爆ドームに匹敵するような原爆の惨禍を被爆当時の状況で示す建造物というようなものになりますと、それだけのものは建造物としては残されていないというのが私どもの理解であるわけでございまして、現時点で史跡指定ということにつきましては難しいのではないかというふうに考えておるところでございます。
 それから、今後の作業ということでございます。先ほど申しましたように、これからまず審議会にお諮りをするという段階でございますので、今の時点で確たることは申し上げにくいわけでございますけれども、先生もおっしゃいましたように九月いっぱいという期間でございますので、時間の関係が陣害にならないように私ども最大限努力をいたしたいと思っております。
#92
○及川順郎君 大臣、原爆ドームの世界遺産化の問題につきましては、やはり被爆国として戦後五十年の一つの節目の中で非常に注目される課題でございます。人類の未来に核兵器廃絶、これにかかわる日本、また私たちの一種のアピールする発信基地としてやはり重要な意義を持つことと理解しております。懸念される問題も決してないことではございません。例えば、核兵器保有国の反応とか日本の戦後処理に対するアジア諸国の対日感情とかいろいろございますが、総理も記者団との懇談の中で前向きの発言をしておりますし、ぜひ所管大臣としてこの取り組み、積極的に推進をしていただくと、こういう御決意のほどを承りまして、あと山下同僚委員の質疑に移りたいと思います。
#93
○国務大臣(与謝野馨君) 遺産は遺産でございまして、遺産からどういう歴史的な価値を酌み取るかということは、その遺産を見た人の気持ちによるのだろうと私は思います。
 しかしながら、近年、広島市を中心として原爆ドームを世界遺産に登録せよと、こういう大変盛り上がった運動がございまして、それに対しまして私どもとしては、そのような世界平和に対するアピールの重要性については十分理解した上で作業を進めているつもりでございます。
 ただ、先生御承知のように、世界遺産に登録するためには、一つは文化財保護法上やはり史跡として指定をしなければならないという手続が必要でございます。その上で世界遺産に登録をするという手続をとる、こういうことでございまして、現在の段階は文化財保護法上の史跡として登録するための一連の作業をやっております。ただ原爆ドームだけを取り出してきてこれは史跡であるという形の指定はできないわけでございまして、明治二十三年に小泉八雲が住んでおりました松江の家が、これは建造物としての最後の史跡でございまして、それ以降のものについてはどういう基準で史跡にするかという物差しが決まっておりません。ですから、今はその物差しづくりをやっているところでございます。
 その物差しができましたら、その物差しに当てはめまして、これは近代遺産である、近代史上の遺産である、文化財保護法上、国内の問題として史跡として指定すると、そういう手続を絆ました上で世界遺産に登録する手続をするわけでございまして、その物差しづくりが相当進んだというふうに御理解をいただきますと現状を御理解いただけますが、物差しづくりは三月六日に実は一応済んでおりまして、今物差しを原爆ドームに当てはめているところでございます。
#94
○山下栄一君 平成会の山下でございます。
 私も、午前中問題になっておりましたいじめ問題に絞りまして何点か御質問したいと思います。
 まず、今回の文部省に置かれましたいじめ対策緊急会議の最終報告につきまして御質問したいと思います。
 いろいろ厳しい評価も出ておりました。私は木宮先生みたいに厳しい評価は、そこまではいきませんけれども、私も余り評価できない、こういう認識でございます。特に基本認識、これは大変大事だと思うわけでございまして、基本認識がどれだけ深いかによって具体的な提言の中身もどれだけ効果があるかということになってくると思うわけでございます。先ほど上山先生の方からも突っ込みが足らぬというお話がございました。
 なぜ子供がいじめに走るのかということで先ほど初中局長もお話しございましたけれども、私は、例えば家庭のしつけの力が弱くなっているとか、また学校教育における先生方の指導のあり方が問題なんだというとらえ方ももちろんなんですけれども、基本認識としては、子供の側に立った子供の生活の実情を鋭く認識するといいますか、この観点が基本認識の中に欠けておるのではないかと。子供の側に立った子供の生活環境、また学校生活の現状、これをきちっと大人がどうとらえておるかということがここには書いてないということが問題なんではないかと思います。これが一点です。
 もう一点は、子供はかけがえのない存在であるという児童観といいますか、そういうとらえ方が教師は大事なんだという御指摘があったわけでございますけれども、大人として、親として、特に親かもわかりませんが、どんな子供に育てたいのかという子育ての哲学といいますか、これは一人一人違うのかもわかりませんけれども、どんな子供に育てたいのかということが議論されないとか余り問題にない状況では、やはり学校依存体質といいますか、とにかく預ければよいとかということになってしまうのではないかと思うわけです。
 親としてどんな子供に育ってほしいのかという、そういうことを国民的な議論というようなことでしっかりやっていくことがこれから大変大事である。こういった日本の現状ではなかなかそういうことが不明確といいますか、余り議論されておらないのではないのかということもございまして、そんな認識を持っておりますが、この点、大臣にちょっとお聞きしたいと思います。
#95
○国務大臣(与謝野馨君) 一言で子供の側に立って物を考えるという話をしますと、必ずこういう問題の結論というのは、大人が悪い、社会が悪い、学校が悪いという結論になって、責任の所在があいまいになり、議論が拡散をしていく傾向が実はあるわけでございます。
 子供の側に立つという議論が一体どういうことを指しているか私ははっきり承りたいわけでございますが、子供の側に立つということが子供を甘やかすという意味でお使いになっているとすれば、私は余り賛成できる話ではない。やはり、子供にはその年齢に応じた社会的責任が発生している。また、学校においてもそれぞれ自分の身につけた社会的ルールに従って行動をするという、どんな年齢の児童生徒にも私はその責任があると。子供は子供なりにそういう責任を自覚していただくことが私は大変大事なことだと思っております。
 もちろん、子供の側に立って物を考えるということを私は一概に否定しているわけではありませんが、やはりそういう子供の年齢に応じた社会的責任ということがあるんだということを子供に教えるということもまた一つの教育であろうと思っております。
 それから、どういう家庭をつくるか、どういう子供を育てるかということについては、これはマニュアルはないわけでございまして、やはり結婚する方々一人一人の人生観、世界観、そういうものに基づいて子を産み、子を育てるわけでございまして、そこまでマニュアル化した社会というのはむしろおぞましいのではないかと私は思っております。
#96
○山下栄一君 後の方のどんな子供に育てるかという問題は、こういう子供に育てるべきであるということは一人一人違いますでしょうし、哲学も異なるかもわからない。ただ、地域とか家の中とか、また学校における先生方の議論の中で、大人がそういうことを国民的な議論として展開していくことが必要なのではないかという、そういうことを指摘したわけでございまして、この緊急会議報告の中に盛り込めとか、そういうことを申し上げたわけではございません。
 子供の側に立った基本認識が抜け落ちているという意味は、子供の生活の現状がどうなっておるのかということを、子供の現場ですね、その辺を大人はどういうふうに認識しているのかという指摘もこの緊急会議の基本認識に欲しかったということを申し上げておるわけでございます。私は、子供同士の、子供同士と申しますか、子供の人格的触れ合いが今はもう非常に減少してきておると。家の中も、兄弟も少ない、御両親もなかなか家にいらっしゃらない。家庭の中における人格的触れ合いも非常に少なくなってきておる。これはライフスタイルの問題もあるかもわかりません。それから地域においても、地域の中で子供たちが触れ合うチャンスも場も非常に少なくなっておる、特に都会におきましては。そういういろんな子供の生活そのものがひとりで生活可能な、そんな環境も非常に広がってきておることもあると思うわけです。
 特に学校におきましても、教師と子供、授業の中におけるやりとり、触れ合いが、今一方的な授業形態で、進度を早めなきゃならないとか五日制の関係でそういうことも少なくなってきております。また、特別教育活動とか学校行事も少なくせざるを得ないというような状況もありまして、子供同士の触れ合いの場が学校の中においても、学校は学ぶ場であると同時に生活の場であるというふうなことがもう一度問い直されなければならないのではないか、こんな認識がございましたもので、その観点から大人が今子供の現状をどうとらえておるのかと。そういう意味で追い詰められた子供の生活、現場の実態があるということ、これがいじめられ、またいじめる側における非常に閉塞した状況にあるのではないかという、そういう指摘も基本認識の中に一つほしかったなということがございましたもので申し上げた次第でございます。
 あと時間が余りございませんけれども、この問題はどのような形で取り組んでいったらいいのかということを自分なりにちょっと考えましたもので、それも踏まえましていろいろお聞きしたいと思うわけでございます。
 今回の報告の中でも、教育相談体制、学校ではない地域における教育相談体制の充実強化ということが言われておるわけでございます。十二月十三日の内閣におけるいじめ対策関係閣僚会議ですか、そこにおける村山総理のお話の中にも、教育相談所が機能していないのではないかという御指摘があったわけでございますけれども、私どもそういう認識がございまして、教育相談体制の充実強化、これが今回の特に地方財政措置の中に市町村レベルで教育相談員の配置を促進するという、そういう項目があるわけでございますが、私はどんな人に相談員になっていただくかということが非常に大事であると思うわけです。
 学校と地域の教育相談機関との連携も非常に大事だということも御指摘あるわけでございますが、学校の先生が、また親が地域の教育相談所に行って、教育センターに行って相談したくなるような、そういう相談員の充実というのが非常に大事であると思うわけでございます。そういう教育相談の相談員の充実という観点から、どのようなお考えがあるかということをお聞きしたいと思います。
#97
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 先生がおっしゃるように、いじめ問題の解決に当たりましては、児童生徒の心の悩みにこたえる適切な相談活動を行うことが重要でございます。都道府県、市町村の所管いたします教育相談機関の相談員につきましては、教員経験者、指導主事、医師、臨床心理士など幅広い分野から各相談機関の実情に応じて配置されているものと承知をしているところでございます。
 平成七年度におきましては、教育委員会における教育相談員の配置についての地方財政措置も講じられることになっておりまして、文部省といたしましては、今後とも教育界のみならず、臨床心理士や精神科医など心理学や医学などの幅広い分野から適切な人材が得られるように指導してまいりたいと考えております。
#98
○山下栄一君 これは先日の予算委員会でも大臣から御答弁いただいたわけでございますけれども、相談員として教育経験者、これは当然考えられる。これが今まで非常に中心でなかったのではないかなと思うわけです。それプラス臨床心理士、心理学の専門家といいますか、それから精神科医の方、これはよく出てくるんですけれども、市町村レベルでそういう方々を配置できるのかなと。都道府県でも私は教員OBがまだまだ中心であると思うわけでございます。
 私の地元におきましても、やっとこの二、三年においてお医者さんとか、あと精神科医、小児科医、それから心理学の専門家の方がやっと配置されたばかりであると、非常勤で。だから、都道府県をずっと広げますと、非常に充実しているところもあれば、まだまだそういうところまで至っていないと、都道府県レベルにおいてもそういう状況にあると思うのでございます。市町村になりますと、臨床心理士を探したり精神科医を持ってくるというようなこと自身が非常に困難であるのではないかなというように思っております。
 そこで、御提案ですけれども、都道府県に精神保健センター、これは厚生省の管轄かもわかりませんけれども、そういうようなものがございます。特に思春期の相談、心のケアということで、これは文部省の方も入られての懇話会の中でのいろいろな御提言があるわけでございますけれども、その中で、そこにおける相談員というのは精神科医、その次に精神科ソーシャルワーカーというのが出てくるわけですね。具体的にはそのソーシャルワーカーの方が実は中心となって心のケアの仕事をされておるということがございまして、この精神科ソーシャルワーカーというのは相談員として、特に教育センター、市町村における教育相談所におけるメンバーとしても取り入れていくべきではないかなというようなことを思っておるんですけれども、この辺いかがでしょうか。
#99
○政府委員(井上孝美君) 児童生徒の相談体制の整備につきましては、先生がおっしゃるようにいろいろな観点から、その地域の実情に即し、また学校の実情等を踏まえまして、相談機関と学校との連携協力関係というものも十分念頭に置きながら、そこに適切な人材が確保できるように各市町村等で十分配慮をしていただくように私どもとしても指導していきたいと思っているわけでございます。
 特に、平成七年度から、私どもとしては新たに学校におけるカウンセリング等の機能の充実を図るために、高度に専門的な知識、経験を有するスクールカウンセラーの活用、効果等に関する実践的な調査研究も行うこととしているところでございますので、そういうスクールカウンセラーの今後の充実策等についてはそれらの調査研究の成果を見て適切に対応したいと思っておりますので、そういうほかの省庁の所管する相談体制等とも十分連携をとりながら相談体制の整備を図っていきたい、このように考えております。
#100
○山下栄一君 十二月十三日の総理の御指摘も、やっぱり教育相談所が本当に機能しておるのかと。実際、教師が、また親が相談したくなるようなメンバーになっておるのかみたいなことの御指摘があったと思うんですけれども、特に教育経験者というのは、もちろんたくさんいらっしゃるわけですけれども、中には、特に学校の方では、先生方が、教育センターの方が元校長先生とかというとなかなか相談する気が起こってこないというふうなことも現状としてはあるという、そんなこともあるわけでございます。
 そういう意味では、教育現場以外の、またそれ以外の面での心理関係のプロも考えていかなきゃならないと思うんです。ただ、市町村となりますと、先ほど申しましたように全国三千三百の中で、臨床心理士とか精神科と言ってみても、どうしてもそういう人が見当たらなくて結局は教員OBが中心になってしまうというようなことが考えられますので、もう少し分野を広げて、やはり具体的な形で市町村にも指導していかないとなかなかそういう相談員の確保ということ、また充実ということが図られないのではないのかということがございましたもので、この点、今申し上げたような観点から、精神科ソーシャルワーカーも含めまして御検討いただきたいと思います。
 それから、今局長おっしゃったスクールカウンセラーなんですけれども、これは来年度、新規事業と言っていいのでしょうか、調査研究委託ですか、こういうことが、特にいじめ問題が非常に大きく、いわゆる西尾市の問題がございまして、十二月の段階でしたか、一挙に三倍にふえるような、政府全体としてもこのスクールカウンセラーの文部省の措置が非常に高く評価されたと思うわけでございます。タイムリーな研究委託事業になったと思うわけでございますが、スクールカウンセラーなんてそんな制度はもともとないわけですよね。これは、臨床心理士ということが主要なメンバーと考えられているようでございますが、このスクールカウンセラーの制度化につきまして、今後の方向としてどのようなお考えなのかということをお聞きしたいと思います。
#101
○政府委員(井上孝美君) 先生がおっしゃるように、スクールカウンセラーの活用、効果等に関する実践的な調査研究は来年度予算で三億七百万円の予算措置が初めて講じられたところでございますので、来年度そのスクールカウンセラーの調査研究事業を行うことによりまして、さらに児童生徒の心の悩みにこたえる適切な相談体制というものを整備していきたいというように考えているところでございます。
 スクールカウンセラーの選考に当たりましては、財団法人の日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士あるいは児童生徒の臨床心理に関しまして高度に専門的な知識、経験を有する者などを起用したいというように考えているわけでございまして、先生おっしゃるように各市町村になりますとなかなかそういう人が得られないという場合には、生徒指導等のベテランの退職校長、教員等につきましてもそういうスクールカウンセラーとして起用し、その人たちの実際の相談のあり方等を見ながら今後におけるスクールカウンセラーの充実について対応していきたい、このように考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、スクールカウンセラーの職務である児童生徒へのカウンセリング、あるいは教職員及び保護者に対する助言、援助とか、あるいは児童生徒のカウンセリング等に関する情報収集、提供、そういうものを総合的に、カウンセリングに必要な条件等を見ながら適切に今後対応していきたい、このように考えております。
#102
○山下栄一君 学校の中にそういう教員免許を持っておられないお医者さんとか精神科医の方、また臨床心理士の方が入ってこられるということも非常に大きな開かれた学校という意味でも評価できる部分があるんではないかなと思うわけでございます。私は、この方向を、学校の実情、登校拒否の増加とか、またさまざまな心のケアを必要とするような今の社会の事情から考えますと、スクールカウンセラーの制度というのはこれから広げていくべき課題ではないかなと思っております。
 二年間研究委託された状況を見られるわけでございますが、特に臨床心理士なんですけれども、これは非常に高度な知識を有するということで、大学院が基本的な受験資格といいますか、資格要件になっているわけですね、これを卒業されているということが。ただ、今全国に五千名ほどいらっしゃるそうでございますが、この震災におきましてもそういう臨床心理士が活躍されておるというようなことも考えますと、学校だけじゃなくて社会全体がそういうカウンセラーを必要とするような時代になってきておるということを考えましたときに、カウンセラーの専門家の養成ということが社会の課題にもなってくると思うわけでございます。そういう意味で、大学における心理学の、大学院におけると申しますか、定員の拡大ということも考えていかなくちゃならぬのじゃないかなと、このように思っておりますが、この点いかがでしょうか。
#103
○政府委員(吉田茂君) カウンセリング機能の充実を図るための臨床心理士、非常に高度の専門的知識を有する人材養成が非常に増大してくるということは御指摘のように予想されております。
 大学院における心理学及び心理学隣接諸科学に関する専攻について調べてみますと、昭和六十年度、入学定員で修士千百五十人、博士二百六十人、合わせて千四百十人となっておりますが、平成六年度の入学定員は、修士が千七百十二人、博士三百三十六人、合わせて二千四十八人、千四百十人が二千四十八人と四五%程度ふえております。特に、中心的な臨床心理学を専門とする専攻がその後できまして、京都大学など三大学で設置されておりまして、その入学定員は、修士五十人、博士十人、合わせて六十人、これは二千四十八人の内数でございます。以上のような状況でございます。
#104
○山下栄一君 大学院における心理学の講座の拡充、これも大きなこれからの課題ではないかなと思いますので、前向きの御検討をお願いしたいと思います。
 スクールカウンセラーという制度を公的な制度として整えていく、そういうお考えはどうでしょうか。
#105
○政府委員(井上孝美君) スクールカウンセラーにつきましては、特にいじめ問題等児童生徒の心の悩みにこたえる適切な相談体制の整備ということになるわけでございますので、今回の調査研究の成果等を踏まえて検討していきたいと思っているわけでございます。そして、スクールカウンセラーにつきまして、例えば臨床心理士、精神科医等の専門家を活用して調査研究を行うわけでございますが、そのスクールカウンセラーの資格等につきましてはこの調査研究の成果を踏まえて今後の研究課題として考えていきたいと思っております。
#106
○山下栄一君 どうぞ研究委託のこの事業を踏まえて取り組みをお願いしたいと思います。
 もう時間がなくなってまいりましたので、あとポイントだけお聞きしたいと思います。
 養護教諭の問題につきましては上山委員からもお話がございました。私は、未配置のところじゃなくて大規模の方なんですけれども、三十学級ということは最大千二百人以上については複数、二人置くと。ただ、今回の報告でも養護教諭の役割というのは非常に評価されておりまして、これからも、非常に時間を要する心のケアに取り組む、そういう役割が今までの仕事にプラスしてくるわけでございます。ましてや保健主事ですか、になってもよろしいということになってきますと、保健主事になることについては養護教諭の立場が非常に高まるということで私は評価するわけでございますけれども、そういう役割がどんどん広がる中で、千二百人の学校でないと二人置けないというのでは、これは非常に要求されていることと現実に乖離があるというふうに思えるわけでございまして、複数配置の大規模のレベルを下げる必要があるのではないか。例えば、三十学級じゃなくて二十学級以上とか、そういうふうなことを踏まえた配置改善計画の見直しを検討していただきたい、こういうふうに思います。この点どうでしょうか。
#107
○政府委員(遠山耕平君) 現在、平成五年度から六年計画で進めております第六次の公立義務教育諸学校の教職員の配置改善計画におきまして、大規模校において一名の養護教諭の配置では児童生徒の健康指導等に十分な対応ができにくいんではないかという実情にかんがみまして、新たに三十学級以上の学校に養護教諭の複数配置を行うこととして、それを進めているところでございます。文部省としましては、この改善計画の着実な推進に努めてまいりたいと思います。
#108
○山下栄一君 もちろん三十学級以上がすっかり配置されること自身が前進なんでしょうけれども、社会はそれのさらにスピードアップを求めておるという現状がございますので、特にこういう大きな問題になってまいりました状況の中で、報告でも養護教諭の役割が非常に大きくなっておるわけでございますので、これもやっぱりしっかり検討し、見直す必要があるのではないかということを指摘するにとどめたいと思います。
 学校医なんですけれども、これも私は見直しをする必要があると思います。子供の健康チェック、健康診断、健康相談、これは学校の役割であるわけでございます。学校保健法の中で位置づけられておるわけでございますが、これが昭和四十年代に一項、内科だけではなくて眼科とか耳鼻咽喉科という、拡大されて以来、この二十何年間ずっとそのままになっておるわけでございますが、子供の健康は心の健康が非常に重要になってきておるわけでございまして、そういう意味でこの学校医も見直さなくてはならない実情にあるのではないかなと思うわけです。特に精神衛生面の校医さん、実際健康診断という形で何百人を一遍に診るというようなことは無理かもわかりませんけれども、別の工夫をしながら、学校医の中にそういう精神衛生面の専門家、お医者さん、これを配置することも検討すべきである、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
#109
○政府委員(小林敬治君) 今、先生から御指摘いただきましたように、現状を申し上げますとやはり内科、眼科、耳鼻科の先生に学校医をやっていただいているわけでございますけれども、ただいまお話がありましたように、疾病構造がだんだん変わってまいりまして、精神衛生面での学校医の役割というものも大きくなっておりますので、今後学校の設置者や学校関係者に対しましてその点について留意をしてもらうように指導してまいりたいと思っております。
#110
○山下栄一君 最後に、大臣にちょっとお聞きしたいと思うんです。
 先ほど冒頭、子供の生活現場を大人がどういう形で厳しく認識しておるかということがこの中に盛り込まれていないということを払お話し申し上げましたけれども、子供の人間的触れ合いのチャンスが非常に減ってきておると同時に、生活体験が乏しいということが大きな課題になっているわけですね。このことについては大臣も何度も御指摘されておるわけでございまして、学校生活における生活体験を豊かにしていくような、そのような教育内容をしっかり確保する必要があるということなわけです。
 大臣の御指摘、私もそのとおりなんですけれども、ただ七年度から五日制が実施されるわけでございますが、この五日制の実施を決断するに当たってのいろんなアンケート調査によりますと、少なくなった授業をいかに確保するかという中に、生活体験がますます乏しくなるような対応を学校がしておるという実情があるわけです。学校行事を減らして授業に充てる、それからゆとりの時間を減らして授業に充てるという、これが七年度から大々的に始まるわけでございまして、それは生活体験が乏しくなるわけですよね。
 ところが一方では、生活体験が乏しいから豊かにしなさいというふうにいじめ対策で言ってみても、これは現状とは全然反対の状況になっておるというわけでございまして、この点は週二回の実施に伴いましてますますいじめがふえていくというふうなことが非常に懸念されるわけです。この点について大臣のお考えをきちっとお聞きしておきたいと思います。
#111
○国務大臣(与謝野馨君) 子供たちの豊かな成長にとりまして、体験的な学習を取り入れることは大切なことだと認識をしております。今回のいじめ対策緊急会議報告においても、いじめの問題の解決のためには学校や家庭において体験的な学習や活動を行うことが重要である旨の指摘がなされているところでございます。
 また、来月から月二回実施する学校週五日制の趣旨からも、学校で子供たちがみずから学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などを育てる観点から体験的な学習を一層充実するとともに、家庭や地域社会における子供たちの体験を豊かにする工夫が必要であります。このことは、学校週五日制の実施通知においてもお示しをしております。
 文部省といたしましても、このような学校、家庭、地域社会における子供たちの学習や生活全体を通して体験的な学習や活動が一層充実するよう、引き続き努力してまいりたいと考えております。
#112
○山下栄一君 今大臣、紙を見ながら御答弁されましたけれども、五日制の対応ですよ。指導内容を工夫する中に体験的な学習を重視すると書いてあるんですけれども、ところが授業時数を確保しなきゃいかぬわけですよ、この五日の中で、授業が減るわけですから。そのために学校現場がどんな対応をしているかという文部省のこれは集計なんですよ、アンケートの。学校行事を削減する、ゆとりの年間授業時数を減らすということを大半の学校でやっているわけですね。これが実情なんです。触れ合いの時間を減らす、生活体験を減らすというふうなことに追い込んでいくわけです。それがこの四月から始まるわけですよ。だから、今おっしゃったこと、全然現実と違うわけです。それに対するやっぱり大臣としての正確な認識を持っていただかないといじめはますますふえていくと思いますけれども。
#113
○国務大臣(与謝野馨君) 学校週五日制が二回導入されますと、当然授業時間も工夫をしなければなりませんし、学校行事もいろいろ工夫を要するようになるわけでございます。
 一方、児童生徒あるいは両親、保護者にとりましては、土曜日がもう一日休みになるわけでございますので、その一日の土曜日をどう有効に使うかということはやはり家庭でも考えていただかなければなりませんし、また地域社会の中でも、どう子供たちの一日を有効に過ごしていただくかということも実は考えていただかなければなりません。ただ一日休みがふえただけというふうに御認識をされるのか、あるいはどうその一日を有効に使っていただくかというふうに認識するかで随分結論は違ってくるんだろうと思います。
 私どもは、確かに先生おっしゃったように、授業時間も現在の学習指導要領を消化するということであれば多少窮屈になりますし、学校行事の方ももちろん窮屈になりますけれども、その結果出た余裕の一日というものを有効に使えば、先生が御指摘になりました体験学習の重要性を含めまして有効に私は活用できると、そのように確信をしております。
#114
○山下栄一君 全然納得できませんけれども、次の機会にします。
#115
○江本孟紀君 本日は、文部省に二件、そして警察庁に関連の質問をしたいと思います。警察庁につきましては、後半の文部省の質問も一応お耳に入れていただいて対応をお願いしたいと思っております。
 まず、これまでの委員会で再三質問を受けているかとは思いますけれども、今回の東京共同銀行の設立に伴う東京協和信用組合の大口預金者リストに名前が挙がった文部省関係の財団法人について質問をいたしたいと思います。
 財団法人国際青少年育成振興財団、財団法人情報科学国際交流財団、この両者はいずれも文部省の管轄団体であることは間違いありませんでしょうか。
#116
○政府委員(岡村豊君) そのとおりでございます。
#117
○江本孟紀君 先日、この両団体に関する資料を文部省から届けていただきましたけれども、この二つの内容はほとんど同じで、情報科学の方に選考委員会が入っているということを除けば、あとは数字がちょっと違うだけでほとんど同じであります。寄附行為というものは大体こういうふうなものなんでしょうか。
#118
○政府委員(岡村豊君) お答え申し上げます。
 財団法人の寄附行為につきましては、基本的には財団法人という法人格を設立するという性格から、かなりの部分は大体似たような内容になってまいります。ただ、事業の内容でございますとかあるいは役員の数等々異なっている部分も相当あるわけでございます。同じ財団法人という基本的なものを設立する基本的な規約でございますので、似ている部分も相当あるわけでございます。
#119
○江本孟紀君 この両財団の理事長が同じ人というわけでそうなっているということではないでしょうね。
#120
○政府委員(岡村豊君) 大体財団法人の基本的な寄附行為についてはひな型的なものがございますので、理事長が同一人だからということではございません。
#121
○江本孟紀君 この両財団の理事長はあの高橋治則さんということですね。
#122
○政府委員(岡村豊君) 情報科学国際交流財団につきましては、昭和六十二年四月一日に設立されたわけでございますが、設立代表者でございます高橋治則氏が寄附行為の定めるところにより最初の理事長に就任したわけでございますが、その後、平成三年六月に理事長を退任いたしまして、平成七年一月には理事をも辞任いたしております。
#123
○政府委員(泊龍雄君) お尋ねの国際青少年育成振興財団につきましては、高橋氏は平成六年十二月十二日付で法人の理事を辞任いたしております。
#124
○江本孟紀君 理事長という立場は、寄附行為上から見ても、法人の資産を管理して、基本財産は定期預金など確実な方法で管理をできる、そういうことですね。
#125
○政府委員(岡村豊君) 寄附行為によりますと、理事長は資産の管理及び保管について責任があるわけでございます。
#126
○江本孟紀君 公表されました信用組合の預金者リストによりますと、国際青少年育成振興財団は二億円、それから情報科学国際交流財団が四億二千四百万円、それぞれ五・九%で運用されておりますけれども、何とこれが年利ではなくて月利というか、一カ月、月の利息ということですけれども、これは大変な割合になると思います。この高額の金利というものは普通一般の国民からすると大変すごいなという感じだと思います。この預金高と金利というのは事実でしょうか。それから、この資産の運用状況は文部省へ報告をされているのでしょうか。
#127
○政府委員(岡村豊君) まず、先生のおっしゃるようなリストが、確かに、私もその責任の衝にあるわけでないのでよくわかりませんが、予算委員会の何か秘密会に提出されたというふうに伺っておりますが、公表されたということかどうかについてはよく承知いたしておりません。
 それから、月利五・九ということは常識的にはあり得ないというふうに思っております。
 また、文部省に対しまして、文部省の管轄下にございます財団法人から、毎年度、事業の状況あるいは収支決算等の書類を届け出ることにされておりますが、これは監督官庁として民法で規定された公益法人の監督を行う上で必要ということから提出を求めているものでございまして、公表を前提としたものではございません。これを公表することは、公益法人の円滑な監督指導上、支障が生じることも予想されますので、今の後半のお尋ねについては答弁をお許しいただきたいと存じます。
#128
○江本孟紀君 資料というのはどういうわけか私の手元にありまして、これちゃんと書いてあるんですけれども。
 それで、今の御答弁ですけれども、契約期間が一カ月ということになっていますから、当然月利というふうになるとは思いますけれども、また御検討願いたいと思います。
 次ですけれども、国からの補助金を受けている公益法人の金が五・九%もの利息の預金に回されているということは、いわゆる導入預金の疑いを持たれてもこれは仕方がないと思います。その疑いもあって、それを監督指導に当たるべき文部省がしっかり理解をして管理できているか、その辺を知りたいわけですけれども、信用組合だけではなく財団法人までもが実際に私物化をされていては困るというふうに思うのが普通ではないかと思いますけれども、大臣いかがでしょうか。
#129
○国務大臣(与謝野馨君) 普通、資産を運用したり資産を管理するときに、財団が当然高い利回りで資産を運用する、あるいは基本財産を運用するというのは実は当たり前のことでございまして、むしろ低い資産運用であると本当に理事長としての責任を果たしているかどうかということだろうと私は思います。
 しかし、このケースではいろいろな人的なつながり等の中で高い金利を獲得したわけでございまして、果たして財団本来の安全確実という点について配慮がなされていたかどうかということについては、若干私は疑問があるのではないかと思っております。
#130
○江本孟紀君 高い金利で運用するというのはこれは当然でしょうけれども、ちょっと異常ではないかなと思います。
 この二つの財団法人の理事なり役員はどのような経緯で決まったのか、その許認可は文部省のどこで決定されたのか、お聞きしたいと思います。
#131
○政府委員(岡村豊君) その前に、先ほどこの財団に国からの補助金が出ているというような御指摘がございましたが、国から補助金は出ておりません。
 それから、財団の理事等につきましては、これは寄附行為の定めによりまして評議員会で選任するということになっております。この選任については、文部省の許可とか認可とかそういうものは一切要らないわけでございます。そして、役員につきましては、登記簿に記載することになっておりますが、登記簿に記載した事項の変更があるときは監督庁に届け出るということで、事後に文部省に登記事項が変わりましたということで届け出がなされるわけでございます。
#132
○江本孟紀君 今のもう一つの質問もお願いします。――もう一度言いましょうか。
#133
○政府委員(岡村豊君) 役員の選任につきましては、一切監督庁、この場合ですと文部省の許可とか認可は必要ないわけでございます。財団法人の評議員会で選出すれば、それはそれでそのまま有効ということになるわけです。それは登記簿に登記しますので、登記簿の変更については監督庁に届け出るということで、後で監督庁に届け出られる、こういう手続になっております。
#134
○江本孟紀君 許認可は文部省のどのところで決定されるんですか、もう一度お願いします。
#135
○政府委員(岡村豊君) 情報科学国際交流財団の設立の認可は、文部省の学術国際局で行っております。
#136
○江本孟紀君 さっきのあれですけれども、補助金を出さないで済むぐらいの基本金があるというのは、ちょっとそれも異常だと思うんです。その辺の問題をやっているとちょっとややこしくなりますけれども、実際には補助金を出さなくても済むぐらいの多額の運用資金があったのではないかというふうに受け取られます。
 これは文部省だけの問題ではありませんけれども、こういった一たん認めた公益法人に不始末等があった場合、認可を取り消されたような財団とか社団とかというのは戦後あったのかどうかお聞きしたいと思います。
#137
○政府委員(佐藤禎一君) 公益法人の設立の取り消しという処分は法人の存立にかかわる大変重大な処分でございますことから、法人が仮に公益を害する行為等を行った場合にも直ちにそれを取り消すということではございませんで、民法第七十一条の定めるところにより、他の方法により監督の目的を達成することができないということを要件としているわけでございます。すなわち、必要な監督上の改善命令等によって改善ができるというような場合には、そういった方法によって改善をさせるということが原則的な扱いでございます。
 文部大臣が所管をいたします公益法人について、設立の許可の取り消しという状況がどうであったかということの戦後にさかのぼってのデータはちょっとそろっておりませんけれども、最近におきましては、特に昭和五十五年の民法改正によりまして、三年以工事業を行っていないという、いわゆる休眠法人の取り消しの規定の整備がなされまして、それ以後、この条項を根拠にした設立許可の取り消しがかなり行われてございます。例えば、この五年間の統計によりますと、合計二十二の法人の取り消しが行われているという状況でございます。
#138
○江本孟紀君 この情報科学国際交流財団の方には、最近やめた役員の方に窪田邦夫さんという名前が挙がっていますけれども、この方が理事になった経緯を少し説明していただきたいと思います。
#139
○政府委員(岡村豊君) 窪田邦夫氏は、平成三年六月にこれまた寄附行為の定めるところにより評議員会で選出されて理事に就任したものでございます。なお、御指摘のとおり、平成七年一月には理事を辞任したと報告を受けております。
#140
○江本孟紀君 次に、福原学園についてお伺いしたいと思います。
 二月十日の毎日新聞、東京協和の大口預金者リストに六十三億もの預金をしていた学校法人ですけれども、これまでいろいろな問題を起こしているというふうに聞いております。不祥事の概要といいますか、それを教えていただきたいと思います。時間の都合でもしそろわなければ後で資料をいただいても結構でございます。
 この福原学園と、北九州市の折尾地区を対象とした学園都市構想とは何か関連があるのでしょうか。
#141
○政府委員(吉田茂君) 福原学園につきましては、私ども承知しておりますのは、財団法人自由ケ五教育振興財団、生涯学習を目的とする財団でございますが、そこに対して基本財産の寄附をいたしたと。それで、この財団法人自由ケ五教育振興財団が、北九州折尾地区におきまして生涯学習施設の用地を確保し生涯学習活動を行うという計画を持っておるということは承知しておりますが、それ以外についてはつまびらかにしておりません。
#142
○江本孟紀君 ちょっと時間がないのでお答えは簡単で結構でございます。
 あるマスコミが、実はこういうことに関連して福原学園から文部省の役人に金が渡ったんではないかというような記載がありましたけれども、事実関係はいかがでしょうか。あったかないか言っていただければ結構です。
#143
○国務大臣(与謝野馨君) そのような事実はないと確信をしております。
#144
○江本孟紀君 いろいろ入ってくる話の中には、無関係ではなかったというふうに聞きますけれども。大体、官庁というのは、キャリアは行かれて一、二年でまた帰ってきて、後の処理はやってしまえというようなことですけれども、事実調査をしても、結局責任は残った人に行ってしまうんではないか。今回の大蔵省の癒着等の問題はそういった部分もあると思います。
 問題は、事実関係の調査ですけれども、このことに関して当時の県、市の教育長についても行ったのかどうかお答えいただきたいと思います、あったかどうかを。
#145
○政府委員(佐藤禎一君) この法人は、県の所管する法人でございますけれども、私どもからただいま御指摘のようなことについて直接調査をしたことはございません。
#146
○江本孟紀君 文部省というのはやはり将来の日本を支える子供の教育に関する職員という重要性から、余りこういったうわさが出ないような積極的な体制というのをつくるということで常日ごろから指導をしていただきたいと思います。これはお答えは結構でございます。
 次に、時間がありませんので、警察庁の方に先ほどの関連について少しお伺いしたいと思います。
 国会では毎日何かいろんな情報が入ってくるわけですけれども、そういった中で国会メールという比較的新しいあれが届いたんですけれども、それに関して、こういった中身については検討をされているのかどうかお聞きしたいと思います。
#147
○説明員(黒澤正和君) お答えいたします。
 そのような報道がなされたことは承知をいたしておりますが、調査の結果、そのような事実はないと県警から報告を受けておるところでございます。
#148
○江本孟紀君 こういったものは事実無根、誹謗中傷ということで、こういったものも調査をされていると思います。
 私も、実は警察官の息子なものですから、意外かもしれませんけれども、そういったことで警察職務の重要性とかそういったものは非常にわかっております。こういった警察関係に関しての職務を冒涜するようなことに関しては非常に私も個人的にも腹が立つわけですけれども、その辺の感覚だということを理解しておいていただきたいと思います。
 九州関係にもよく行きますけれども、何か福原学園と県警がどうだとか、現職の署長さんが自殺をされたとかなんとかというようなことがあって、そういったことに関しては調査は十分されたかどうかということなんですけれども、その辺をお聞きしたいと思います。
#149
○説明員(黒澤正和君) お答えいたします。
 自殺の原因につきまして調査を福岡県警においていたしたわけでございますが、原因は調書偽造事案に関しまして署長としての監督責任を痛感してのことであるとの県警からの報告を受けておりまして、それ以外の理由によるものではないと承知をいたしております。
#150
○江本孟紀君 いろいろ言われている中で、私たちも何とかすっきりしていただきたいなと思うんですけれども、まず先ほどの文部省と同様、当時、地元警察だけではなく、福岡県に出向された課長さん、部長さん、本部長さんにもこれに関しては調査を行ったと聞きますけれども、その中には議員になっている人とか選挙に出る人もいるようですけれども、一応調査を行ったと考えてよいのでしょうか。
#151
○説明員(黒澤正和君) いわゆる福原学園疑惑に関与いたしました県警幹部はいないという報告を受けております。
#152
○江本孟紀君 いずれにせよ、こういった問題が一応出た以上、また後ほどはっきりさせていただきたいと思いますけれども、どうかこういった問題、社会正義のためにいつも働いている人たちのことですから、余り警察そのものが誹謗中傷を受けないようにぜひ御指導をお願いしたいと思います。
 そういったことも踏まえて、最後に警察庁としての所見をお聞かせいただきたいと思います。
#153
○説明員(黒澤正和君) 報道されているような事実はないと承知いたしておるわけでございますが、警察といたしましては引き続き厳正な規律の保持に努めてまいる所存でございます。
#154
○江本孟紀君 ありがとうございました。
#155
○橋本敦君 きょうは、依然として大事な阪神・淡路大震災に関連をして教育の復興という緊急の課題について質問をさせていただきたいと思います。
 大震災から二カ月がたったわけでございますが、被災地の学校では一応授業が大変な苦労の中で再開をされる方向に行っておりますが、本格的な再開あるいは正常化という点から見ますと、まだまだほど遠い状況であると思います。神戸市では、いまだに一千人以上の被災者が避難をしている避難所になっている学校が小中学校で三十四校もあると聞いております。
 こうした中でそうした学校がどういう現状になっているか。これはもう大変深刻な状況でございまして、先日私も、例えば神戸市立の長田工業高校の現場の先生から伺ったんですが、その一端をお聞きいただきますと、電気科、機械科の大事な実習棟は倒壊をして立入禁止になっている状況。体育館あるいは体育教官室は約五百人の被災者が寝泊まりをしていらっしゃるという状況で、体育授業は思うに任せません。食堂や和室は診療所に使われている。医療ボランティアの宿舎にも使われている。中庭は住民の駐車場と仮設トイレ、仮設ふろ、あるいは炊き出しの施設でいっぱいでありまして、自転車置き場は生徒の自転車ではなくて住民の自転車や単車でいっぱい、こういう状況でございます。そしてまた、生徒の更衣室は地域の住民自治会の本部に使われている。長田地区は、大臣も御存じのとおり大変な被害を集中的に受けたところですからそういう状況になっておりまして、こういう状態がいつまで続くかということは住民の不安であると同時に生徒と教育現場の不安でもあるわけですね。
 こうした中で教職員の皆さんは、今の時期は学期末、新学期を迎えまして大変ですが、そういった授業のほかに被災なさっている皆さんのお世話、そしてまたボランティアのお世話、調整連絡、そういったことにも大変な力を注がなくちゃならぬという状況でございます。また、その教師自身が大変な被災をされたということで、いわば家庭を顧みず頑張っていらっしゃる方がたくさんあるわけです。
 こういう状況でありますから、このままの状況が続けばどうなるかといった切実な不安、心配が日ごとに大きくなっているわけであります。どうやってこれを改善するか。根本的には、学校に避難して苦しい避難生活を続けていらっしゃる皆さんは好んで学校にいるわけじゃない、一日も早く住居を確保したいという切実な願いでいっぱいであります。学校の方も、こうした被災者の皆さんに早く住宅に入っていただいて学校としての正常機能を取り戻したいと、こう願っております。
 こういう接点を考えますと、やっぱり両方とも大事な課題は何としても仮設住宅の早急な建設、住宅確保、こういうように思うわけです。この問題は、文部省、文部大臣の所管ではないにしても、教育の現場における正常化という観点から、総理や担当自治大臣あるいは建設大臣に、教育を守る立場でも避難所を早く解消するために仮設住宅の建設には一段の努力をしてほしいということを、私は文部大臣としても教育の立場から強く要請をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#156
○国務大臣(与謝野馨君) 兵庫県内の学校は、授業が再開されたとはいえ、短縮授業であったり二部授業であったり、あるいは他の学校の校舎を借りて授業を行うとか変則的な状況が続いております。そして、なおかつ学校の教育諸施設にはいまだ七万人以上の方が大変不自由な生活を過ごしておられるという現状でございます。これは、その七万人以上の方々の生活自体も大変でございましょうし、また今後新学年度になりましてからの授業再開を考えましても、先生御指摘のとおり仮設住宅の建設が急がれるわけでございます。
 特に、地域住民にとりましては、やはり自分のふるさとともいうべき、自分が今まで住み、なれ親しんできた土地を離れるのは嫌だ、避けたいという気持ちが大変強いわけで、遠隔地に住居を御用意いたしましてもそこに移る気にはなかなかなれないという自然な感情があるわけでございます。そこで、政府が今進めております三月中に三万戸の仮設住宅の建設、そして四月いっぱいに追加のもう一方戸の仮設住宅の建設、これが実現できるように私どももお手伝いをしなければなりませんし、またその重要性も説いていかなければなりません。
 なお、文部省では、文部省が管理しております国有地九万平米を一応仮設住宅の建設用地の候補地として申し出ておりますけれども、九万平米をどう使われるかということははっきりしておりませんが、なかなか場所の関係で私どもの御提供を申し出た土地には仮設住宅の建設がどんどん進むというわけではないようでございます。
#157
○橋本敦君 そういった積極的な協力もなさっていただいているということもよくわかりますが、私どもがかねてから議論しておりますように、三万戸プラス一万戸ではとても需要に及ばないのではないかといったことも含めて大変心配をしているわけでございまして、大臣も教育現場確保という立場から積極的な御協力をさらに一段としていただきますよう、政府の中で御検討、御努力をお願いして次の質問に参ります。
 今度は被災した学校施設設備の復旧の問題であります。これは予算との関連で議論もされたところでありますが、神戸市の実情を伺いますと、教育関係の被害総額は約千三百億円に上るということでございまして、これはもう市の九四年度教育予算九百二十億円、それ自体をはるかに超える額になっておりますので、国の全面的支援なしては学校施設の復旧は到底できないという現状であることがこの点からもよくわかります。
 神戸市教育委員会の発表によりますと、四十校園が建てかえを必要としておる、改修の必要な数は三十五校園となっておりまして、神戸市はこれを三ないし五年計画で実施する予定だと、こう伺っております。建てかえや改修に今から三年ないし五年かかるということになりますと、その間はプレハブ教室や今大臣がおっしゃった他の学校を借りて教育を進めるということも余儀なくされると思うんですが、子供たちの学習権を早く保障するためには、これをやっぱり急ぐという手だてで、国が援助をして自治体を指導、そして支援を一層強めていただく必要があるのではないかということが一つです。
 それからもう一つ、現場の方で意見、不安が出ておりますのは、小中学校はなるほどそういうことだが高校はどうなるか、あるいは幼稚園がどうなるか。つまり、三年、五年計画に外れてしまって幼稚園、高校がおくれるのではないかという心配と不安、そういう声があるんですね。私も、これを聞きまして、なるほどそういうことがあってはならないなと思うわけで、幼稚園、高校も含めて一斉に、一定期間はかかりますが、学校の整備充実が進みます方向をやっぱり基本的にはしっかりと踏まえていただいて、教育全体として子供たちの学習権が幼稚園から高校に至るまで保障される方向に文部省としては鋭意指導、援助をお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#158
○政府委員(遠山耕平君) 今回の阪神・淡路大震災によりまして、公立学校施設は全部で約三千校が被害を受けているところでございます。その復旧計画の作成、それからその実施は当該学校の設置者が行うものでございまして、国はその復旧計画の提出を待って種々の支援、それから財政援助を行うものでございます。
 具体的に申し上げますと、財政援助としましては、災害復旧費国庫負担法によりまして三分の二、それから激甚災害に該当しますので、その上にさらにかさ上げを行う予定でございます。文部省としましては、被害を受けました学校の設置者に対しまして、早急に復旧計画を作成するよう指導しているところでございます。
 しかし、今回の大震災においては、先生御指摘のように多数の学校が被害を受けておりまして、これらの作業には相当の期間を要すると思われるものでございます。また、復旧事業の実施に当たっては、設計事務などがございますので相応の期間が必要でございます。文部省におきましては、迅速な復旧を図る観点から、設置者事務負担を軽減するために被害区分判定要領を作成したり、あるいは統一単価の設定など、設置者の事務の大幅な簡素合理化を図っているところでございます。
 先生がおっしゃるように、小中だけではなくて高校、幼稚園につきましても、設置者でよくそこのところを目配りをして円滑な学校施設の復旧が図られるよう最大限の努力をしてまいりたいと思います。
#159
○橋本敦君 それでは次に、同じ問題の一つでありますが、具体的に実験、実習施設の設備が非常に多く壊れておりまして、工業高校や職業高校ではこの実習施設というのが言ってみれば教育のコア、核になる大事な問題ですね。これがないと教育が成り立たないと言ってもいいわけであります。
 したがって、この問題については大事なんですけれども、仮設校舎の建設という問題では普通授業教室が主になっておりまして、特に実験、実習室に考慮をして仮設校舎を建設するといったスキームではないわけですね。そういう意味では、実習、実験が大事な工業高校や職業高校では実情を把握した上でこの実習、実験施設の整備に特に力を入れると、こういったことで、県、市の実情を把握し、必要な指導と援助をこの点でも強めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#160
○政府委員(遠山耕平君) 公立高校の災害復旧につきましては、実験、実習施設の建物、それから設備を原形に復旧する経費についても、被害額が、建物それから設備ごとに県立学校については六十万円以上、それから市町村立学校につきましては三十万円以上でございますれば、公立学校施設災害復旧費国庫負担法に基づきまして国庫負担が行われることになっております。
 現在、関係の教育委員会におきましては、各学校ごとの復旧計画の策定を急ぐとともに、被害の軽微なものについては早急に復旧工事を行っているところでございます。それから、建てかえが必要であるなど被害の甚大なものにつきましては、相応の期間を要するものと考えられるわけでございます。
 文部省としましては、今後、被災した高等学校の実験、実習施設それから設備の復旧が円滑かつ迅速に行われ学校教育活動に供することができるようにするために、最大限の努力をしてまいりたいと思います。
#161
○橋本敦君 実験設備等について、とりわけそれが重要な役割を果たす学校については、特にその点について現地の県、市の要望にも積極的にこたえる方向で指導も検討もお願いしたいということを重ねて強調しておきたいと思います。
 被災した生徒の修学保障の問題に移りますけれども、この点については衆参の委員会で議論があり、大臣にもいろいろお願いするなど、授業料の免除、奨学金の貸与、こういった問題で一応諾は進んでいるわけです。
 しかし、問題がございまして、被災した生徒で既に授業料免除や奨学金の貸与を受けている生徒もあるわけですね。その生徒たちには新たに何をしてやれるか、これが問題なんです。これから受けていない者に授業料を免除してあげよう、これはわかりますよ。ところが、そういう生徒も一段と苦しくなって修学が継続できるかどうか、そういうことが深刻な問題になってくるわけですね。
 そこで、こうした生徒に対しては奨学金の併給が受けられるようにするか、あるいは高校生の場合については修学援助の制度そのものがないわけですから、教材費、通学費、修学旅行積み立てなどの助成として、例えば育英会で特別な制度をつくってやれる、そういう問題の検討ができないのかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
#162
○政府委員(遠山耕平君) 今回の阪神・淡路大震災によりまして被災した高校生で、以前から奨学金を受給したりあるいは授業料の減免を受けていた人は経済的に恵まれない方々でございまして、今回の地震でさらに困難な状況に直面していると思われるところでございます。
 そのため、文部省としましては、今回の地震で住宅に被害を受け、あるいは修学上支障がある高校の生徒に対しましても、小中学生と同様に災害救助法の対象として教科書、学用品、通学用品の支給を行うよう厚生省に要請を行ったところでございますが、高等学校が義務教育でないということで、残念ながら結果としては実らなかったわけでございます。
 そのように、義務教育でない高等学校の生徒につきましては災害救助法の対象に現在なっていないこと、またこれまで大きな災害により被災した高校生に対する措置との均衡等を考慮すると、残念ながら高校生の通学に要する経費ですとかあるいは修学旅行費、学用品費、教材費などについて国として財政上の措置を講ずることは困難と考えられるわけでございます。
 なお、兵庫県におきましては、災害救助法に基づく小中学生に対する教科書、学用品の支給に準じて、高校生に対しても教科書あるいは学用品の支給を行っていると承知しております。
#163
○政府委員(吉田茂君) 奨学金の併給の問題でございますが、日本育英会の奨学金につきましては他の奨学金との併給は禁止していないところでありまして、また多くの民間育英奨学団体等が実施する奨学事業におきましても併給は禁止していないところが多数であるというように承知をしております。
#164
○橋本敦君 できるということですね。
#165
○政府委員(吉田茂君) 育英会と他の奨学金については可能でございます。
#166
○橋本敦君 まだ細かく議論をすればあるんですが、大臣もお聞きのように、せっかく大臣も当局も尽力いただいても、厚生省がうんと言わないという問題があるということで、私は何とかもっと温かい施策を全面的に政府全体として進めてやっていただけないかということを痛感いたします。大臣の一層の尽力をお願いして、次の問題に移ります。
 教員定数の問題です。被災地からたくさんの児童が転出して、二万人を超えると言われておるんですが、四月からの新学期を控えて教職員が定数の問題で大幅減が心配されるという状況がございまして、これは衆参の文教委員会でも私ども指摘をし、大臣にも直接お目にかかって弾力的な運用をお願いしてきたところでございます。現地の教職員からは教員定数について、しゃくし定規でなくて大震災前の段階の定数を少なくとも三年間は維持してほしい、出ていった生徒も帰ってくる可能性もあるし、現場での大変な状況から見れば特別加配がほしいほどですから、そういった要望が強く出ております。
 文部省は兵庫県神戸市の要望を聞きながら財政当局とも相談するというお話が予算委員会でもあったわけですが、どうなったのかという点でございます。この点については、きょう、大臣が閣議の後、記者会見でお話しいただいたということも伺っておりますので、大臣の御答弁を求めて質問を終わりたいと思います。
#167
○国務大臣(与謝野馨君) この問題は国会でもたびたび取り上げられておりまして、私どもとしては被災地兵庫県に特段の配慮をする必要があるという観点からいろいろ検討してまいりました。
 第一の事情は、何と申しましても震災直後多数の児童生徒が県外に避難をして、そこで教育を受けておりますので、現時点での在校者数あるいは本年四月一日、五月一日の在校者数が平成六年の平均的な在校者数よりは大幅に低いはずであるということ、また逆に、県外に去った方々が実は近々戻ってこられるということを前提に定数を計算いたしますと、本則定数のほかに特例定数として二百四十四人必要であると。そのほかに、加配する定数として百二十八人、これは被災直後でございますので、子供たちも悩みを抱え、いろいろ精神的なケアが必要だということでカウンセラーを中心とした加配でございまして、この二つのものによりまして、兵庫県の教職員の定数は本来の定数のところまで戻っております。
 これは各党の議員の皆様方も熱心にこの点について主張された結果でございまして、近々政令改正を行ってその実施をいたすことにいたしたいと考えております。
#168
○橋本敦君 ありがとうございました。
 終わります。
#169
○委員長(松浦孝治君) 以上をもちまして、平成七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#170
○委員長(松浦孝治君) 御異議ないと認め さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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