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1995/05/11 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 文教委員会 第6号
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1995/05/11 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 文教委員会 第6号

#1
第132回国会 文教委員会 第6号
平成七年五月十一日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十七日
    辞任         補欠選任
     肥田美代子君     久保  亘君
     山下 栄一君     北澤 俊美君
 三月二十日
    辞任         補欠選任
     久保  亘君     肥田美代子君
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     上山 和人      青木 薪次君
  三月二十九日
    辞任         補欠選任
     青木 薪次君     上山 和人君
 五月十日
    辞任         補欠選任
     森  暢子君     萱野  茂君
     北澤 俊美君      山下 栄一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         松浦 孝治君
    理 事
                南野知惠子君
                森山 眞弓君
                及川 順郎君
    委 員
                井上  裕君
                木宮 和彦君
                世耕 政隆君
                上山 和人君
                萱野  茂君
                肥田美代子君
                本岡 昭次君
                林  寛子君
                山下 栄一君
                乾  晴美君
                江本 孟紀君
                橋本  敦君
    国務大臣
        文 部 大 臣 与謝野 馨君
    政府委員
        内閣法制局第一
        部長      津野  修君
        文部大臣官房長 佐藤 禎一君
        文部大臣官房総
        務審議官    雨宮  忠君
        文部省生涯学習
        局長      草原 克豪君
        文部省初等中等
        教育局長    井上 孝美君
        文部省教育助成
        局長      遠山 耕平君
        文部省高等教育
        局長      吉田  茂君
        文部省学術国際
        局長      岡村  豊君
        文部省体育局長 小林 敬治君
        文化庁次長   林田 英樹君
    事務局側
        常任委員会専門
        員       青柳  徹君
    説明員
        警察庁刑事局刑
        事企画課長   篠原 弘志君
        法務省刑事局刑
        事課長     小津 博司君
        厚生省児童家庭
        局企画課長   吉岡 大忠君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (第十五期中央教育審議会の諮問に関する件)
 (阪神・淡路大震災対策に関する件)
 (教諭・養護教諭の資質向上に関する件)
 (いじめ問題に関する件)
 (校長の処遇改善に関する件)
 (オウム真理教問題に関する件)
 (学制の改革に関する件)
 (大学改革に関する件)
 (児童の権利条約に関する件)
 (学校週五日制に関する件)
 (子育て支援対策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松浦孝治君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、北澤俊英着及び森暢子君が委員を辞任され、その補欠として山下栄一君及び萱野茂君が選任されました
    ―――――――――――――
#3
○委員長(松浦孝治君) 教育、文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○南野知惠子君 自由民主党の南野でございます。
 戦後からこの五十年間、教育、世相というものをちょっと語ってみたいといいますか、大げさでございますが、言葉というものの表現にはいろいろございましたので、少し拾ってみました。
 学校制度の改革、画一教育、適性教育、能力別・学力別・習熱度別学級編制、塾競争、受験戦争、学力テスト、偏差値。教育の流れをつくるものとしては、日教組、臨教審、中教審のあり方に影響されております。社会的現象としましては、許容社会である。また、黙認的、放任的社会をつくった。それに関連するモラルの低下があり、学校規律の低下、親や教師の威厳の低下、家庭内離婚、単身赴任、さらに家庭内暴力、校内暴力、登校拒否、保健室登校、いじめ、これには児童、高齢者、弱者の虐待というものもあらわれております。さらに、性非行、麻薬、ピストル、そして毒ガス、サリンに至るまでいろいろなものが反映されており、これら多くの単語からそれぞれの単語が意味を持ち、世相の流れを感じさせております。
 特に、今日に見られる高学歴化、高度な科学技術教育の尊重、教育にも脱イデオロギー的大国と言われ、物質的豊かさで飽満しておりますが、その反面、人間形成、大人として成熱する基盤となるべく道徳教育が不十分と思われております。心の貧しさ、人間自身も空洞化しているように思われます。人の心を豊かにするのは教育にあると存じております。また、信じております。家庭、学校、社会、国、それぞれを構成する人々相互の思いやり、お互いを認め合う心、そのきずなが幸せな人の原動力となるとも思っております。
 そこで、大臣、二十一世紀を担う子供たちの幸せ、人生に向けて残す我々の遺産としての教育のありようを今中教審で検討されようとしておられますが、主な課題は何でありましょうか、お伺いいたしたいと思います。
#5
○国務大臣(与謝野馨君) 今日、我が国の教育は、受験競争の大変な過熱化、いじめ問題や登校拒否など、さまざまな問題に直面しているわけでございます。また、学校週五日制の今後のあり方や青少年の科学技術離れへの対応などについて検討が求められているわけでございます。さらに、二十一世紀に向けまして、国際化、情報化、科学技術の発展、高齢化、少子化や経済構造の変化など、我が国の社会は大きく変化をしておりまして、このような変化を踏まえた新しい時代の教育のあり方がこれまで以上に強く問われているわけでございます。
 文部省におきましては、臨時教育審議会や第十四期中央教育審議会の答申を踏まえ、教育改革の推進に努めてきたところでございますけれども、このような状況にかんがみまして、このたび中央教育審議会を再開し、二十一世紀を展望した我が国の教育のあり方について諮問をしたところでございます。
 この諮問につきましては、御審議をいただく際に特に、まず第一に「今後における教育の在り方及び学校・家庭・地域社会の役割と連携の在り方」、第二には「一人一人の能力・適性に応じた教育と学校間の接続の改善」、第三には「国際化、情報化、科学技術の発展等社会の変化に対応する教育の在り方」、こういう三つの事項について御検討をいただくようお願いしたところでございます。
#6
○南野知惠子君 審議が実りあるものになるように期待いたしております。
 ところで、阪神・淡路大震災からもう三カ月以上過ぎておりますが、現在の学校施設の復旧状況並びに生徒たちの就学状況はいかがでしょうか、お教えいただきたいと思います。
#7
○政府委員(遠山耕平君) 公立学校施設につきましては、このたびの阪神・淡路大震災によりまして約三千校の学校が被害を受けたところでございます。これらの学校のうち軽微な被害のものにつきましては、既に補修をしまして正常な状態に復旧をして教育活動に使用されているところでございます。また、被害の大きな学校施設につきましては、設置者におきまして応急仮設校舎の建築など、施設の復旧までの間に必要な措置を講ずるとともに、学校施設の復旧計画の策定を急いでいる段階でございます。
 文部省としましては、これまで応急仮設校舎の建設など三百四校に対しまして平成六年度の第二次補正予算によりまして国庫補助を行うとともに、現在、市町村等の復旧計画が提出され次第、早急に国庫補助のための現地調査を行っているところでございます。
 被災した学校のうち、軽微な被害のものにつきましては国庫補助による補修を行うとともに、被害の甚大なものにつきましては応急仮設校舎の建設につきまして国庫補助を行うことなどによりまして、現在必要な教室数はおおむね確保されておりまして、授業時数もほぼ平常どおり確保されていると承知をしております。
#8
○南野知惠子君 ありがとうございました。元気な声が運動場に戻ってくることを切に願っております。
 三月二十八日に学校教育法施行規則の改正が行われました。大臣におかれましては、養護教諭の果たす役割を積極的に評価され、速やかに保健主事への道を開かれ、また複数配置をお進めいただきましたことに感謝申し上げます。養護教諭の方々から、さらに役割を充実させていく意気込みを伝えてもらっております。しかし、経年研修が制度化されていないと聞きますが、現在どのような研修が制度化されているのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
#9
○政府委員(小林敬治君) お答えいたします。
 近年、御指摘ございましたように、児童生徒の心身の健康問題が大変複雑多様化しておりまして、これに当たります養護教諭の資質の向上というのが大変重要になってきていると考えております。このため文部省といたしましては、従来から養護教諭の研修の機会の充実に努めているところでございまして、養護教諭中央研修会、それから全国養護教諭研究大会を実施いたしますとともに、養護教諭実技講習会やヘルスカウンセリング指導者養成講座など、養護教諭の抱える課題に対応した研修機会の充実に努めてきたところでございます。
 それからまた、今御質問にもございましたが、平成元年度からは経験年数に応じた研修機会の充実を図る観点から、都道府県が行う新規採用の養護教諭の研修に対する補助を開始するなど、研修の一層の充実を図っているところでございます。これは各都道府県が実施いたしますので全国一律ではございませんが、例えばある県では、初任研の場合に十日間ぐらい、六年経過した段階で六日間、それからさらに十一年経過した段階で四日間というぐあいに、それぞれ経験年数に応じた中身の研修を実施しているところでございます。
 なお、以上申し上げましたとおり、大変重要な問題でございますので、養護教諭の研修の機会の拡充、それから研修内容の充実といったことに今後とも努めてまいりたいと考えております。
#10
○南野知惠子君 ありがとうございます。
 今、研修の内容をお聞かせいただきましたが、単数しか配置されていないところでは、幾らきれいな研修がおぜん立てされてもなかなかそれを受講する機会がなかったということを現場の養護教諭たちは嘆いておりました。そういった研修が実りあるように、また全部の養護教諭が参加できるような形でぜひお計らいいただきたいと願っております。
 さらに、養護教諭の業務というのは身体的、精神的発達段階にある児童生徒とのかかわりが主になってまいりますが、それらの中でも身体的欠陥を持った児童、または病気、体力、気力の弱い生徒、そういった人たちが比較的いじめの対象となる傾向があります。したがって、複数配置を進めていかれる中で、一人は看護の資格、いわゆる身体的な面を十分にキャッチできるそういった資格を持っている養護教諭の配置が望ましい、そういったものでバランスをとれると思うのですけれども、大臣の御所見はいかがでしょうか。
#11
○国務大臣(与謝野馨君) 養護教諭の配置につきましては、御指摘のように、大規模校において一名の養護教諭の配置では児童生徒の健康指導等に十分な対応ができにくいという実情にかんがみまして、平成五年度から六年間計画で進めている現在の第六次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画におきまして、新たに三十学級以上の学校に養護教諭の複数配置を行うこととしたところでございます。
 養護教諭の養成につきましては、大学の養護教諭養成課程の修了等により免許状を取得させることを原則としているところでありますが、しかし現在免許状取得の約二〇%の方が保健婦、看護婦の免許を受けた後に文部大臣の指定する養護教諭養成機関において単位を修得することにより免許状を取得されております。このような方の中から、都道府県教育委員会が適任者を選考の上、学校の実情等を考慮し具体的な配置を行っているところでございますけれども、養護教諭の資格のほかに保健婦、看護婦等の資格を有する者がいることは好ましいことだと考えております。
#12
○南野知惠子君 ありがとうございました。大臣の御所見、大変心強く思いますので、いじめが起こらないようにさらに努めていきたいと思っております。
 また、いじめについてでございますけれども、去る三月十三日には、いじめ対策緊急会議で学校、教育委員会、家庭、国、社会、それぞれにおける取り組みについて御提言がなされました。まだその後にもいじめが原因ではないかと思われる子供の自殺が相次いで起こっているのは、これは残念でなりません。
 また、英国でも昨年の秋でしたでしょうか、十二歳の少女が学校でのいじめを苦に自殺したという情報が新聞にございます。新聞によりますと、英国教育省では直ちにいじめの対策に着手して、「沈黙していてはだめ、一人で苦しまないで」というキャンペーンを行ったそうです。テレビ広告を流し、全国の小学校に小冊子とビデオテープを送り、子供たちに「沈黙しないで、守ってあげるから」と呼びかけ、先生にも父母にも事の重大さを気づかせ、いじめっ子には社会全体の厳しい目を感じさせることになったとのことでございます。
 このようなキャンペーンは、いじめられている子供たちに勇気を与え、社会や家庭の注意を喚起するのに有効と思われますが、このようなキャンペーンについての大臣の御所見はいかがでしょうか。
#13
○国務大臣(与謝野馨君) いじめ問題の解決のためには、学校、家庭、地域社会などそれぞれの関係者がみずから果たすべき役割についての認識を深め、一体となった取り組みを行うことが重要でございます。
 文部省といたしましては、いじめ対策緊急会議の報告を受け、都道府県教育委員会等の関係機関に対して通知を発送してその周知徹底を図るとともに、テレビや雑誌等のメディアを通じて、それぞれがとるべき方策等について積極的な広報活動を行ってきたところでございます。今後とも、いじめの問題の解決に向けて、さまざまな場を通じて幅広い広報活動に努めてまいりたいと考えております。
#14
○南野知惠子君 ありがとうございます。ぜひメディアを通じて子供たちがキャッチできるキャンペーン、そういったものをお願いしたいと思っております。
 さらに、昨年十二月に文部省から御提示いただきましたいじめ問題への取り組みについてのチェックポイント、それやことしの三月のいじめ対策緊急会議の報告では、学校において実効性のある指導体制を確立するために、校長先生のリーダーシップのもとに全教職輿が一致協力して取り組むことが必要であると述べられております。また、大臣は今月九日に行われた閣議後の記者会見におきましても、校長のリーダーシップは不可欠であると強調されております。
 学校運営に当たっての校長先生のリーダーシップは不可欠でございますが、これだけの重い職員に対し処遇が改善されなければ、校長職は負担感ばかりが重く、魅力の薄いものになりかねないと思っております。全国連合小学校長会が平成六年度に行った調査資料も拝見いたしておりますが、校長先生たちの処遇改善の必要があると考えております。大臣の御所見、または御見解をお伺いいたします。
#15
○国務大臣(与謝野馨君) 先生の御指摘のように、校長、教頭は学校の管理運営に重大な責務を有しておりまして、近年特にいじめ問題への対応、新教育課程の実施、学校週五日制への適切な対応のための家庭、地域社会との連携など、その職員はますます増大してきております。
 このため文部省としては、校長、教頭についてその職務と責任に見合うような管理職手当を引き上げる必要があると考えており、今後人事院、財政当局等々関係省庁と協議しつつ、その実現のために努力をしてまいりたいと考えております。
#16
○南野知惠子君 学校運営をスムーズにして機能が発揮できるように、校長先生その他の職員たちに対してもぜひよろしくお願いいたします。御見解、ありがとうございました。
 今度はオウムと関連することでございますが、四月十四日に山梨県上九一色村のオウム真理教の施設に対する一斉捜索がございましたが、その際に五十三人の子供が一時保護されました。子供たちは、長い間偏った環境の中で育てられ、いわゆる社会的、一般的な生活にとってのしつけもされておりませんでした。また、身体的発育も悪く、病気になっていたり健全育成が阻害されているというふうに我々には見られておりまして、さらにそれは児童虐待ではないかとまで思うようなものでございました。
 我が国には義務教育制度がありながら数年間も放置されていた現状が確認されたわけでございますが、その間、どのような手だてがとられたのでしょうか、お伺いいたします。
#17
○政府委員(井上孝美君) オウム真理教の教徒の児童生徒の就学問題につきましては、従来から富士宮市に住民票が登録されております二十六名の児童生徒につきましては、富上宮市の教育委員会から義務教育の就学を行うようにという督促を、長いものにつきましては五年半、短いものでも一年にわたりまして督促を重ねてきたところでございますが、その保護者あるいは児童生徒から何ら応答がなかったという事実があるわけでございます。
 その後、オウム真理教側からは、それらの児童生徒は富士宮市には一切おらず上九一色村の方に居住をしているというような話があったわけでございます。しかし、新聞報道等でも御案内のとおり、それらの児童生徒の居住環境、また居住関係等につきましては必ずしも明確でないというところがございまして、ただいま先生からもお話がございましたような、児童生徒の養育の環境として果たして適当であるかどうか、またその児童生徒の健康状態等も非常に問題があるというようなことから、四月十四劇に山梨中央児童相談所に五十三人の児童生徒が保護されたわけでございます。また、四月二十四日には東京都の児童相談センターに一人の児童が保護されまして、計五十四人の子供たちが保護されたわけでございます。
 それらの子供たちは年齢も家庭の事情も置かれている状況も違うために、当該児童相談所や移された先の児童相談所におきましてケースワー力ー等がこれらの子供たちの詳しい事情を聞いているところでございまして、その結果を踏まえ、子供たちにとってどこに帰すのがよいかという問題も含めまして、一人一人の状況に応じた対応をすることとなると考えているところでございます。
 しかし、これらの子供たちの中には長期間にわたりまして通常の学校教育を受けていない者もあるわけでございますので、年齢相当の学力がなかったり、基本的な生活習慣が身についていないなどの問題もあると考えております。このため、今後それぞれの子供たちが帰る場所の教育委員会や児童福祉機関などが連携をとりまして必要な配慮を行っていくよう、関係省庁とも十分に連携しながら指導してまいりたいと考えております。
 また、現在もオウム真理教関係施設にとどまっている子供につきましての詳細が把握できていないわけでございますが、これらの子供たちへの対応につきましては、今後とも警察、住民登録事務、児童福祉担当部局などの関係機関が密接な連携をとりながら、法令に基づきまして適切に対応を行うように関係する教育委員会を指導してまいりたいと考えております。
#18
○南野知惠子君 ありがとうございました。
 大変複雑な状況があるということは十分理解いたしておりますけれども、今お話の中で一年から五年間の間教育が全然されていないと。そうすると、日本では義務教育制がとられておりますので、そこら辺については未就学児童を今後どのように対処されるかという一つの課題といたしまして、一年生からずっと五年間学校に行っていなかった子供たちに対して、教育委員会その他適切なところと交渉されるにしても、じゃどのレベルに就学させるのか。六年に行くのか、いやいやそれはまた一年生からするんだと、そういうふうな具体的な問題については何か御検討ございますでしょうか。
#19
○政府委員(井上孝美君) ただいまも申し上げましたように、具体的に児童生徒の状況というのが一人一人異なるわけでございますので、先生ただいまお話がございましたように、年齢相当の学力がついていない、あるいは生活習慣が身についていないという基本的な問題があるわけでございまして、そういう事情を教育委員会の方でつぶさに状況を適切に把握して、その上でどういうような学校教育を行うのが適切であるかという御判断をいただいた上で、就学義務の適切な履行をしていただくように関係の市町村教育委員会に対しまして十分指導してまいりたいと考えているところでございます。
#20
○南野知惠子君 その点くれぐれもよろしくお願いしたいと思っております。小学生だけじゃなく、すぐ中学校に行ったりするような子供も中にはいるのではないかなと思ったりいたしております。進学制度が厳しい日本でございますし、そういったことも御考慮いただければと思います。
 次は、オウム真理教の問題をきっかけに宗教法人法の改正も視野に入れた宗教法人審議会が去る四月二十五日に開催されたようでございます。全国的活動を行う宗教法人のあり方、二番目には所轄庁による設立後の活動状況の把握のあり方、三番目には宗教法人の情報開示のあり方などを主な論点として審議をお願いされたように伺っておりますが、これらのことに関しまして、大臣御自身どのようにお考えでございましょうか、お聞かせいただきたいと思っております。
#21
○国務大臣(与謝野馨君) 宗教法人審議会は、先生御承知のように、仏教系の団体の方、神道系の方、キリスト教系の方、あるいは新宗連系の方、また学者の方等で構成されております審議会でございます。
 今回は法律を改正するということを前提に審議をしていただいているわけでは必ずしもありませんで、昭和二十六年にできました法律、そのときの社会的な状況と現在の社会的状況とは若干異なっている面もございまして、そういう社会的背景の中で宗教法人あるいは宗教法人法のあり方について率直な意見の御開陳をお願いすると、そういう趣旨でございます。
 先生がお話しになられました三つの点は、それぞれ既にいろんな方面で話題になり、あるいは問題点として指摘をされていることでございますが、私自身としては、オウム真理教のあり方をもって他の十八万有余の宗教法人が全部論じられるというのは、他の善意かつまじめな宗教法人にとりましては大変迷惑なことなんだろうと思っております。したがいまして、今御提示になられました問題についてもやはり冷静に御議論をいただいて、ある種の方向性というものをお示しいただければと、そのように考えております。
 ただ、私個人としてどういうふうに考えているかといえば、所轄庁が持っております宗教法人に対する基礎的な知識というものが大変少なくて、宗教法人発足のときにはある程度必要な基礎知識を御提示いただいた上で宗教法人の認証をするわけでございますが、その後その宗教法人が刻々と宗教活動の範囲等を広げましても、それについて所轄庁として知り得る立場にないというのは果たして国民に対して責任を十分に果たしていることになるのかということは私は常々感じているところでございます。
#22
○南野知惠子君 大変難しい問題であろうかと思っております。例えばオウム教の場合には、東京都で認可され、さらにそれより大きな支部ができてしまって、そこで大きな活動が行われ、どちらが支部か本部かわからないような体制になったときに、先ほどの教育の問題とも関連したいろいろ社会的な影響を及ぼしてくるだろうと思っております。
 そういった意味では、今回の審議会においても、宗教法人に係る所轄の審査権限、これは大変緩やかなもののように私には映るんでございますが、それらについても論議の対象になっていると理解してよろしいのでしょうか。
#23
○国務大臣(与謝野馨君) 昨日山梨県の知事が発言をされておりますが、例えばオウム真理教の場合をとってみますと、オウム真理教が認証を受けました所轄庁は東京都でございます。しかし、実際に幅広く活動をしております場所の一つに山梨県があるわけでございます。山梨県がこういうものは大変迷惑だということを陳情に行く先が実は東京都であるというのは、やや行政全体の仕組みとしては不自然かなと私は今思っているわけでございます。
#24
○南野知惠子君 大臣がお思いでございましたら、ぜひそこら辺の改正といいますか、手をつけていただきたいと思っておりますし、さらにまた十八万の法人というものをどのようにこれから処理されるおつもりでいらっしやるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#25
○国務大臣(与謝野馨君) 先生御承知のように、昭和二十六年に宗教法人法ができましたときというのは、やはり戦前の治安維持法とかその他の法律によって宗教団体等がいたずらに弾圧をされたり抑圧をされたりということ、また新しい憲法ができ大変自由な空気が流れている中であの法律ができたわけでございます。かてて加えまして、自分たちの町、自分たちの村等々にございますお寺も神社もあるいは教会もそれぞれが一つ一つの宗教法人として認証を受ける、そういうことになりまして十八万になったわけでございます。その当時、一つの宗教法人が生まれて、それが全国展開をし、なおかつ海外まで行って布教活動を行うというようなことは恐らく予想されないでこの法律はできていると、そういう側面は多分あるんだろうと思います。
 しかし、御承知のように、それぞれの村や町にございます単一の宗教法人はそれぞれその宗教の歴史や伝統に基づいて大変まじめな善意な活動を展開しているわけでございまして、このオウム真理教のケースをもって十八万有余の宗教法人を諭ずるというのは大変先方に御迷惑だろうと思いますし、私もこれをもって全国の宗教法人、宗教団体を論ずるということは大変気の毒なことであると思っております。
#26
○南野知惠子君 大変難しい作法になるだろうというふうに思っております。我々も資産公開をするという義務がございますので、その方たちにもなるべく適切な監視というものがされてしかるべきであろうというふうに思っております。
 最後になりましたが、新聞報道によりますと、大臣は長い間時間をかけないで審議会からお答えをいただきたいというような御意向をお持ちのようでございますが、具体的にいつごろを念頭に置かれているのかお聞かせいただければと思います。
#27
○国務大臣(与謝野馨君) いつごろと具体的な期日は申し上げられませんが、宗教法人審議会の委員の任期は二年でございますから、少なくともこの二年間内にはいただかなければなりませんし、私の念頭にございますのは、それよりもっと早い時期にいただければ大変ありがたい、余り長い時間をかけていただかないで結論がいただければというふうに願っております。
#28
○南野知惠子君 ありがとうございました。
#29
○木宮和彦君 自民党の木宮和彦でございます。
 いろいろ世の中が非常に目まぐるしく今展開をしております。これは政治もそうですし、また経済もそうですし、社会もそうですし、教育もそうではないかなと私は常々こう思っております。それに対して、教育行政といいますか、文部省の対応がやや後手後手に少しずつ回っているのではないか、社会の動きの方が早いんじゃないかなというような気がして私はなりません。
 いろいろありましてまとまらない質問で大変恐縮でございますけれども、私は昭和二十四年から既にもう四十六年間、私立学校の経営と教える方に回って関係をしてまいりました。私のおやじも私の兄弟も全部いわゆる背の官学出身といいますか、私学というものを全く知らない世界におりまして、それがある口突然、終戦後ですが、昭和二十一年の六月八日から私のおやじが私立学校を始めたわけです。
 始めだとはいっても初めは潜りでございまして、戦後すぐのことでございますので、浅間神社という神社の回廊を借りて、今でいう短大生ですね、背の高等女学校の生徒さんたちが学徒動員でみんな工場へ行って何にも勉強していなかったからひとつ再教育をしてやろうというのが最初のきっかけで、同時にまた、戦後復興といいますか、日本を興すためにはやはり女子教育をまずやらにゃだめだと、こういう信念で始めたわけでございます。
 そして、私もおやじと一緒に昭和二十四年からずっと学校に携わってきたわけですが、ちょうど六年たったとき、中学校を始めて高等学校の一回生を卒業させましたときに、私立学校というものは本当に一体将来どうなるんだ、ひとつ勉強しようというので、当時まだ非常に経済状態も悪かった、なかなか汽車の切符も買えない、ましてや住むところもないし食うものもない時代ではございましたけれども、昭和二十九年に約半年間おやじに暇をもらって東京へ出まして、東京の私立学校をあちこち約半年間、長いところで大体二週間、短いところでも三日か四日、あちこちの東京の有名私学と称せられる学校に全部お邪魔して、つぶさに自分の目でその内容を実は検討してみました。
 先輩たちが大変いろいろと教えてくださいまして、今でもその教えは鮮烈に残っておりますが、中でも玉川学園という学校へ行きましたら、創立者は小原国労先生でございまして、あの学校はふざけていると言っちゃいけませんけれども、駅から歩いていきますと、当時は正門もございません。岩がありまして、そこに刻んでありまして、「働かざる者食うべからず」と書いてある。あれが正門だとおっしゃるので私もびっくりいたしました。小原先生に実はお会いいたしまして、白髪で、当時幾つでしたか、恐らくもう七十近かったと思いますが、私はまだ二十七歳の小僧でございましたけれども、行っていろいろ見ますと、大変感心しました。
 特に図画の教室などへ行きますと、我々の学校ではせっかく教材を買ってきても生徒にさわらせないんですね、みんな戸棚にしまっちゃって。必要なときにちょっと出して、またつぶれちゃいかぬからすぐしまっちゃうんですけれども、そこへ行きますといろんなものが散らかっているという言い方は失礼でございますが、作品がオンパレードで、大井から壁かられの上から、子供たちがそこで絵をかいたり作業をしたりするのに本当に手にとるようにわかるような教育を私はじかに見まして大変感心いたしました。
 そして、チャペルがありまして、そこでもってミサ、礼拝もいたしますが、小学生が全部集まって何か行事をやろうというときには、一人の代表の子供が壇の上に立って、そして賛美歌第何番と言うと、そうするとみんなそれを歌い出す。その生徒がタクトをとって歌をだんだんだんだん歌い出す。それが終わると静かになって朝礼が始まる。大変合理的なんですな。私の学校は、子供は私語をしますから、当時まだ私は若かったですから、壇の上に乗って、うるさい黙れ、静かにせいと、こうやってやっとこさ静かにさせて朝礼が始まるというような状況でございましたけれども、玉川の小原先生の学校はそういうすばらしい教育をしておりました。
 そして私は、実はその創立者の小原先生のところへ行きまして、この学校はクリスチャンの学校ですかと不用意に聞いたわけです。そうしたら、その温厚な小原国労先生が烈火のごとく怒りまして、君、違いますよと言うんですよね。違いますよといったって、賛美歌を歌うし、そこにチャペルもあるじゃないですかと言ったら、君、よく聞きなさいと。クリスチャンの学校というのは宗教が教育を利用して布教するためにやる学校だ。私の学校は逆だ、教育が宗教の雰囲気を利用して教育しているんだ。だから、私の学校は別にキリスト教じゃなくてもいいし、仏教でもいいし、神道でも回教でも何でもいいんだ。要するに、教育の中には宗教的な雰囲気を入れないと教育効果は上がらないんだ。今の子供たちに一番導入しやすいのはどの宗教かなと見たところ、どうもキリスト教が一番手供たちが抵抗が少ないだろうと思って私はキリスト教のやり方をただ利用しているだけだ。決して私はキリスト教の普及だとか、あるいはキリスト教の教えをやるんじゃないんですと、こういうお話がありまして、私も何か目からうろこが取れるようなそんな気がいたしました。
 今、日本の教育で最も欠けているものは何か。やっぱり心の教育だと思います。
 特に最近テレビを見ておりまして、オウム真理教の若い人たちが、しかもそれが東大だとか京大だとか筑波だとか、あるいは信州大学だ早稲田だ慶応だと、いわゆるエリート中のエリート、しかも大学院まで出た方がそれにのめり込んでしまう。そして、それを本当に何の反省もなく信じ込んで、言われれば、言われることをみんなやっちゃう。サリンまでつくっちゃう。しかも、それも無差別に。あれはオウムがやったことかどうかわかりませんよ、まだわかりませんが、どうも状況証拠としてはたくさんありますから。もしもそうだとすれば、なぜそんな現象が起きたか。
 私はこれはやっぱり教育の欠陥がそこにあらわれたような気がしてなりません。ともかく視野が非常に狭窄的ですから、ここしか見えないんですね。だから、全体のことがわかれば、もう少し何かわかれば、決してあそこまでのめり込まなくたって済んだものを、自分のやっていること、特に今の大学教育もそうでございますけれども、専門ばかと言っては悪いんですけれども、すなわち専門のことはとうといことだ、価値のあることだ、そうでないことはだめだということで、今の大学改革もそうですが、教養科目を専門科目に取り入れていいという改正が行われると同時に、特に有名大学はこぞって教養のカリキュラムを減らして専門にどんどんどんどん回しているのが現状でございます。果たしてそれでいいのか。
 かつて私も旧制の高等学校で三年間教育されましたけれども、あの三年間というのは、今でも同窓会をやりますともう七十、八十のじいさんがみんな大勢来て、そして昔の青春を思い出して、寮歌を歌ったり、あるいは変な格好をして寮歌祭をやったりしています。
 私は、あの三年間のいわゆる何でも自分の好きなことを一生懸命、哲学だとかあるいは倫理だとか宗教だとか、そういうものに自分で悩んで悩んで悩んでいろんなことを三年間にやって、言ってみればあれは昔は帝国大学の予科ですから、一応高等学校を卒業すればどこかの帝国大学に入れるような仕組みになっておりましたので、その三年間の何といいますか、勉強と同時に幅広いことをやったことが非常に背の教育のよかった点ではないか。決して全部がいいとは私は思いませんけれども。そういう意味で、ともかく現在の教育の欠けたるものは、やはり何といったって私はそういう心の教育が足りないのではないかと、こう思います。
 ところで、これは大変大きな問題でございますが、憲法第二十条の三項にはこう書いてあるんです。「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」、こう規定してございます。これは当たり前のことと思いますけれども、しかし、宗教的活動はしてはいけませんけれども、宗教の社会生活上の意味を明らかにして宗教的な寛容を養うことを目的とする教育というものは私は許されてもいいんじゃないかなと、こう思うんです。
 今はともかく知的なことに余りにも走り過ぎて大事なことを忘れている。例えば、読み書きそろばんというのは小学校でこれは大事なことですけれども、それ以外にやはり日本の伝統文化であるとか、あるいは作法であるとか習字であるとか、あるいは茶道、お花、あるいは体育でも剣道だ柔道だ弓道だというようなもの、こういう日本の伝統文化というものを今の小学校、中学校、高等学校が抹殺したとは言いませんけれども、少なくとも正規のカリキュラムの中には組まれていないのは事実だと私は思うんです。これからの教育というものは知育だけあるいは偏差値だけでなくて、もう少し人間を豊かにするようなそういう教育を私はすべきだと、こう思うんですが、文部大臣、これはこれからの教育の大変大事なことだと思いますが、御所見がありましたらひとつお聞かせを賜りたいと思います。
#30
○国務大臣(与謝野馨君) 先生御指摘のように、日本の憲法及び教育基本法におきましては、国公立の学校が特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動を行うことを禁止しております。しかしながら、教育基本法第九条第一項においては、「宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない。」と規定されております。
 現行の学習指導要領におきましても、宗教的情操教育に関連して、五年生、六年生の小学校の道徳では「美しいものに感動する心や人間の力を超えたものに対する畏敬の念をもつ。」、中学校の道徳では「自然を愛し、美しいものに感動す豊かな心をもち、人間の力を超えたものに対する畏敬の念を深めるようにする。」、高等学校の倫理では「人生における哲学、宗教、芸術のもつ意義などについて理解させ、人間としての在り方生き方を考えさせる。」などを定めております。
 今後とも心の教育の充実を図ることにより、心身ともに健全な児童生徒の育成に努めていかなければならないと、そのように考えております。
#31
○木宮和彦君 ぜひひとつその点、私もう一回言いますけれども、今の日本の学校教育において、偏差値だけとは書いませんけれども、どうも見ていますと、小学校も中学校の受験のために塾へ通うし、中学生は高校へ行くためにやはり一生懸命塾へ通って偏差値を上げる、そして高等学校へ行くとなおひどくなって、有名大学へ入るために偏差値を一生懸命上げることのみに邁進している。それを父兄も町としているし、大学へ行きますと、先ほど申し上げましたように、今度は専門分野が学問、研究であって、大学のすべきことであって、教養的なことはもう終わっていると、こういうお考えで今結局学校が動いているわけです。ですから、そこに思想もなければ哲学もなければ倫理もなければ、そういう気がして私はなりません。これはやっぱり戦後の一番大きな教育に関する弊害だと、私はそう思うんです。
 今、毎日新聞に「岩波書店と文藝春秋」という毎日曜日に囲み記事でもって出ております。その中に、岩波書店の「世界」という雑誌が戦後、昭和二十一年の一月から出まして、その四号ですね、これに、津田左右音さんというこれは有名な早稲田の歴史学者でございますが、津田左右吉さんは「神代史の研究」という本を三冊ほど書きまして、岩波書店で出版いたしました。戦時中でございまして、いわゆる皇国史観にのっとりませんから、これが出版法違反でもって禁錮三カ月、岩波茂雄さんと二人とも言ってみれば刑罰に処せられたわけです。戦後これは解除になりましたけれども。そのくらい危険思想、当時は危険思想と言われたと言っては失礼ですけれども。
 その津田左右吉さんが、戦後、この第四号に「建国の事情と万世一系の思想」という原稿を寄せてきたわけです。そして、その原稿の中にこういうことが書いてある。実証史学のチャンピオンの津田左右吉さんが、「国民の皇室」、「われらの天皇」と熱烈な親愛の情が吐露されている。「国民とともにあられるが故に、皇室は国民と共に永久であり、国民が父祖子孫相承けて無窮に継続すると同じく、その国民と共に万世一系なのである」、「国民みづから国家のすべてを主宰すべき現代に於いては、皇室は国民の皇室であり、天皇は「われらの天皇」であられる。「われらの天皇」はわれらが愛さねばならぬ」、こういうぐあいに実は津田左有吉さんが「世界」という雑誌に寄稿されたわけです。
 これを見て、有名な吉野源三郎という編集長がびっくりいたしまして、これはそのまま載せられない、どうかしなくちゃいかぬというので、友だちの歴史家の羽仁五郎さんに相談に行った。ところが羽仁さんは、こんなものを載せたら革命が起これはギロチンになっちゃう、やめておけと。こういう何といいますか、身もふたもないお答えだったんですが、そうかといってこの有名な津田左右吉先生の原稿を勝手に変えるわけにはいきませんので、編集長がわざわざ本人のところまで、当時東北の方にいらっしゃったらしいんですけれども、これを持っていって、これでいいですか、載せてもいいですかと言ったら、いいよということで載せたという裏話がここに出ております。
 私は、この実証史学者の津田左有吉先生ですら日本の天皇制あるいは天皇というものが国民と密着しておると。これは新憲法が出る前でございます。新憲法になってこれが国民の象徴というぐあいに位置づけられたわけですけれども、やはり憲法を大事にするならばその国民の象徴である天皇というものをいま少し教育の中に入れるべきであるし、また日本の国民の心の糧として、心の教育の一端として、国民として民族的な誇りを持たせるためにも、日本の歴史だとかあるいは日本の今までの民族というものの生い立ちというものをしっかりとやはり記述すべきだと私は思うんです。これは歴史の教科書じゃなくて結構です。そういうふうに最低限度の国民としての誇り、そしてまた日本人としての自覚、こういうものをやはり教育の中に入れるべきだと。
 もし、これが公立学校でどうしてもできないというのなら、私は私立の小学校なり中学校を大いに奨励していただいて、それなりにしっかりと教育すべきものは教育するという姿勢に立ってやるべきだと私は思いますけれども、この辺ひとつ文部大臣なり文部大臣がもし答弁しがたいならば法制局でも結構です、御意見を賜りたいと、こう思います。
#32
○政府委員(津野修君) お答えになるかどうかわかりませんけれども、天皇につきましては、御承知のとおり憲法第一条で天皇の地位につきまして規定しているところでございまして、それによりますと「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」という規定があるわけでございます。したがいまして、憲法の天皇ということをいろいろと教育する、教育で憲法上の天皇の地位に関していろいろ教えていくというようなことは当然であろうというふうに考えるところでございます。
#33
○木宮和彦君 憲法上差し支えなければ、それは文部省としてももう少し、色濃くしなくてもせめてそういう思想というものを――実は私は小原国芳先生の教えに従って今から十五、六年前に研修センターというのをつくりまして、そこに百二十人が座禅を組めるような禅堂をつくりました。そして、生徒を大体二クラスずつ五日間泊まらせて一年間使っております、坊さんを一人お願いして。これは決して宗教教育をするわけじゃありませんから、どうしてもしたくないやつはせぬでもいいと言っても全部やります。最初のころはほかの宗教の人でちょっと文句を言った親もいましたけれども、その後十五年間やっても何もだれも文句を書っておりませんし、みんな喜んで、しかも後でもって反省文を書かせますが、それを見ると本当によかったと、今まで自分が経験していない、いわゆる幹といいますか、静かなそういう生活が。
 あるいは座禅だけではなくて、食事をするときには食事五観というのを読みまして、そして食事をさせます。食事中は全部しゃべっちゃいけません、一言も。それで、自分が食べられないものは先に返しなさい、自分が手をつけたものは全部食べなさいと。しかも、最後にはお茶でもって、茶わんなりお皿なりに全部お茶を入れまして、たくあんできれいに洗って最後に飲んでしまう。これは禅宗のやり方で、粗末にしない。それをやらせております。初めは女の子、特に短大の女子なんというのは嫌っていましたけれども、でもよくしたもので、みんなでもってやると非常にそれがすがすがしくて、必ず卒業式のときの答辞などに研修センターの思い出が一項目出てきます。私は、非常にいいことをしたと思う。
 ただ、私のところは臨済宗ですから外へ向くというか壁に向かわないでやりますけれども、下へ敷く布団は曹洞宗の丸いやつを使って両方チャンポンでやっています。私は宗教にとらわれない。そういうことじゃなくて、自分を見直すためにこれを利用しているんです。自分の心というものを一度静かに眺めようと。これが教育の中に私立学校だからこうやって取り入れられると思いますけれども、しかし本来ならば、そういう経験をやっぱりある程度させてもらわないと、子供たちがただやみくもに偏差値を上げることだけに終始してしまったんじゃかわいそうだなと、私は今そう思っているわけです。
 その結果、いわゆる無菌培養といいますか、今の子供たちはそういう心のよりどころもないし、それを親も教えないし先生も教えないし社会も教えない。何か悪いことというか、子供たちが電車の中でもって土足のまま立っても、親もしからないし、隣の人も嫌な顔はするけれども下手に言えば親が変な顔をしますから黙っている。
 もっとひどい話は、よくスーパーマーケットに行きますとちっちゃな子が、ちょうど自分の手でとれるところにあめとかせんべいみたいなものがあると、それをちょっととってなめて、親はそれを見て知らん顔をしている。そして、会計へ行って初めて子供のこれも入れてくださいと言う親もいるし、知らん顔をしているとレジの人がこれはと言うと、はいと。そういうことでもって、子供に、これは人の物、これはだめだよ、食べたかったらあっちへ行ってお金を払って、それからはいいいよと、こう言う。これがけじめというものですが、今の親というものはそういうけじめの仕方すらもなかなか基本的なことですができない。
 それはやっぱりどこかに、社会全体の中にこれだけ何といいますか、経済が発展している割には私は大きな間違いがあって、それが今回のオウム真理教の現象の一つじゃないかと。これはオウムだけじゃございませんけれども。やっぱり自分の心に一つのよりどころがない。本当に何も知らない。無菌培養してすっと大きくなっちゃったから、そこで何か悩みがあったときに麻原さんに問いただしたらずばっと答えてくれて、それから好きになっちゃったという女性が大勢いるそうでございますけれども、やっぱりそういう点で、本来の人間形成のための教育というものをいま少しこの際見直す必要があるのではないかなと、私はそう思います。
 ぜひひとつその点も、今度はたまたま、先ほども南野先生の質問にもありましたけれども、第十五期の中教審の会合でもって文部大臣が第一から第二、第三とこれは言っております。教育のあり方、特に家庭、地域の役割、二番目には一人一人の能力を適切にしよう、三番目は国際性あるいはこれからの新しいマルチメディアに対しての教育の対応ということを諮問されておりますけれども、確かにこれも結構なことで私は否定するわけでも何でもありません。当然のことだと思います、
 それにも増して、やはり心の教育はどうすべきか、そしてもっと大事なことは、また後で申し上げますけれども、学制改革ですね。もう五十年たっているんですよ。これをひとつこれからの諮問の一つのテーマにしていただかないとちょっとまずいんじゃないかなということを私は思っておりますが、今のことについて、非常にくどいようでございますが、文部大臣のお考えがありましたらひとつお尋ねを申し上げたいと思います。
#34
○国務大臣(与謝野馨君) 心の教育、オウムの中に相当高学歴の方も入っておりますし、ああいう教育的な背景の方がなぜああいう団体に入るのかと、そういうことでございますけれども、あの宗教団体は、いわば薬物を使いましたり、あるいは大変私どもには考えられないような環境で繰り返し洗脳を行う等、従来の私が持っております宗教団体のイメージとは全く違うことをしておりまして、これが直ちに教育の問題と結びつくのかといえば、多分そうではないんだろうと私は思っております。
 それから一方では、心の問題かといえば、やはり事に当たって理性的な判断ができるかどうか、あるいは事に当たって実証主義的な手法がとれるかということにかかわってくるわけでございまして、超能力等をいたずらに信じるというのは、やはり私自身の理性を信ずるとかあるいは実証主義的な手法を信じるとかということとは全く反していることでございまして、そういう意味では、心の問題もさることながら、やはりみずからの理性を信ずる、理性に従って行動するという側面の教育が私は大事なんだろうと思っております。
 それから、最後にお尋ねの、中教審に諮問した以上、学制改革については議論をしないのかという御質問でございましたけれども、現時点では学制に及ぶ議論にはならないというふうに考えております。
#35
○木宮和彦君 次は、宗教法人につきまして、先ほども大臣の御答弁がございました。当時、宗教法人法ができた時代は今のようなことは想定できなかった、そういう側面はなかったと。そのとおりだと私は思います。しかし、現実はそこへ進んじゃったんですから、やっぱり変えるべきは変えるべきだし、また今できる範囲内ではやるべきだと思うんです。
 例えば、神社とかお寺の場合には、それぞれのお寺、それぞれの神社が一つの宗教法人で、それをいわゆる総括する総括宗教法人があって、それは文部省が所轄する。それで、各地方にあるのはそれぞれの都道府県の知事さんの所管になる、こういう仕組みだと思いますが、今言った新しく最近できた宗教は、オウムに限りませんが、すべて総括法人になっていないんで、やはりこれは少し行政の手抜きじゃないかなと、私はそう思うんです。
 これからでも遅くないですから、それぞれの場所に教団があったり、あるいはいろんなそういう施設がありましたら、やはりそれはそれでもって宗教法人として既成の各宗教のように指導すべきじゃないか。それでないと、あってなきがごとき行政監督になってしまって、非常に不透明であるし、先ほどの話のように、山梨県の知事さんにとっては非常に迷惑な話なので、やっぱりそういうことはこれからひとつ、今までは宗教とか政党だとか、あるいは大学だとか組合だとかいうのは何となくタブーにしておったような気がしますが、そうじゃなくて、一般国民と同じように私は正すべきことは正すという姿勢がないとこれからの新しい時代にはもたないと思うんですが、どうですか、その辺は。
 今ある宗教の中で各地方にまたがっている宗教はそれぞれ個別に宗教法人として登録をして、それで総括法人にするというような、行政指導と言ってはおかしいかもしれないけれども、そういう方向に進むという気持ちがございますか。ひとつその辺をお伺いしたいと思います。
#36
○国務大臣(与謝野馨君) 所轄庁のあり方というのは今までも随分議論がされてまいりましたけれども、具体的にこういう問題が事実あるというケースは多分今回が大きな問題としては初めてであろうと思います。
 この問題につきましては、所轄庁は東京都でございますけれども、急速に全国展開をし、また海外にも行って布教活動を行っている。その場合に、例えば山梨県で活動して大変周辺住民に迷惑をかけた。周辺住民は山梨県庁に行ってそのことについて一体苦情を言えるのかといえば、山梨県庁では苦情を受け付ける場はないわけでございます。それでは東京都かといえば、果たして山梨県の方が東京都庁まで来ていろんな苦情を申すということが合理的な方法なのかといえば、多分私は違うんだろうと。
 昭和二十六年に宗教法人法ができましたときの都道府県認可の宗教法人というのは、やはり私どもが日ごろ身近で見ておりますお号とか神社とかあるいは教会とか等々、そういうものを想定した私は認証の仕方であつだろうと思っております。
#37
○木宮和彦君 この宗教法人の問題は非常に難しい問題だとは思います。特に憲法上の問題もございますし、それから心の問題ですから、宗教法人を解散したからといって人の心まで解散することは到底できないわけでございます。しかし、反社会的な行為が目に余ったり、あるいは破防法に引っかかるようなことをするようだったら、断固としてやるべきだと私は思うんです。これはロシアでもってオウム教の解散を命じたという話がもう既に出ておりますけれども、私はまさにそれが政治だと思うんです。
 ですから、確かに法律がある以上は法律にのっとってやるのが当たり前なんですけれども、しかしその辺は国民の何というか、治安といいますか公序良俗が妨げられないようにやはり行政も裁判所もやるべきだと、私はこう思うんです。
 どうもその辺がやや手ぬるいと言うとおかしいですけれども、それはいろいろあるでしょう、維持できるかできないかというような問題もあろうかと思いますが、その辺は、ともかく非常に危険な物を扱って、いつ何ときどこでそれが出てくるかわからないようだったら、やっぱりこれはもう少し我々も監視する必要がある。
 また、それはもう二回も三回もあったんですから、地下鉄であって、あるいは今度は新宿にもあった。そういうことでもって次から次へとこういうものが出てくるということは、かつて日本は世界の中で最も安全な国といって褒められた国がこうなってしまったということは非常に残念だし、ぜひひとつこの根を絶やしてもらうためには総力を挙げて、政府だけじゃありません、国民全体が怒りを込めてこれにある程度対処していかないといけないんじゃないかなと、私はそう思います。
 その点、文部省としてもできる範囲内においてぜひ最善の努力を払っていただきたい、こう思いますので、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。
 次に、先ほど大臣は、この間の中教審の諮問の中で学制改革については一切触れていないし、またそれは諮問していないと、こういう御返答でございました。それはそれで結構でございますが、私はやっぱり何といっても、もうそろそろこの辺でもって抜本的に学制改革をすべき時期に来たなという気持ちでいっぱいでございます。
 実は明治以降、明治五年に学制が発布されまして、紆余曲折を経ながらも、原則的には最初は授業料をとって義務教育を行ったんです。明治十九年になってその制度を変えて、明治二十二年に旧小学校令は廃止されました。最初の明治五年のときには太政官布告でもって「邑に不学の戸なく家に不学の人なからしめん薪を期す」と、こういう一つの太政官布告でもって今日の義務教育が始まったわけでございます。
 それから、戦前の十六年にこの義務教育を、複線でございますが、高等科二年も義務教育にするという法律がもう発布になって、実際は戦争中でございましたので実行はできなかったわけです。昭和十六年には国民学校令でもって義務教育は八年ということになったんですが、実際は行われないで六年で、ただし高等科二年へ大体進んでいたようでございますが、戦後昭和二十二年に新しい制度でもっていわゆる六三三制度で義務教育が九年間になったわけでございます。
 だから、前の時代も約五十年、それから昭和二十年から今日まで大体五十年、いずれも五十年ずつたっております。経済も、これは文部大臣御存じかどうか知りませんが、ロシアのコンドラチェフという人の学説によりますと、コンドラチェフ長波というんですけれども、五十年を周期にして経済の新しい改革というんですか、技術の改革が行われるということが書かれております。産業に応じてやっぱり教育も変わっていかにゃいかぬだろうと私は思うんです。そういう意味で、今や今までの学制は一応解体して、それを整理して、そして仕組みを再構築して新たにスタートする時期だと、今が一番いい時期だと私はそう思えてならない。
 どういうふうにするかということは、これはいろいろな御意見もあろうし、いろいろなやり方も、複線もいいだろうし、あるいは飛び級もいいだろうし、年数も、どうするかということはこれから我々が一生懸命考えていかなくちゃならないことだと思います。
 文部省さんもぜひひとつこの際、しかもこれだけ間口が広くなった。例えば、教えることが広くなった。かっては、旧制度の方が大学までですと一年長いんですよね。小学校が六年で、それから中学が五年で、高等学校が三年で、大学が三年ですから。ところが、今は六三三四ですから一年少ないわけです。しかも、教える科目はうんと多いわけですから、昔に比べて。化学でも物理でも、あるいは心理でも何でも、歴史でもそうですけれども、すべて、社会科学あるいは自然科学あるいは人文科学にしても、教える分量は戦前に比べればうんとふえているわけですから。しかも、寿今も延びていますしね。だから、もう少し大学卒の年数をふやしてもいいんじゃないかなと、これは私は当然な思考だと思います。
 今までは高度成長でしたから、言ってみれば企業に余裕がありましたから、大学を出てきた学生さんを採用しても、それを即戦力として見なかった。自分の会社でもって再教育して、自分の会社になじむような研修をやって、そして育てて自分の会社の人間にしていった。それだけの余裕がありました。しかし、もう経済も、ここへ来て日本産業も御存じのように大分おかしくなってきておる。そう簡単に自分の思うとおりに金をかけるというわけにはいかなくなってきた。
 だからこの際、国がやるべきことは、やはり学制をひとつ、今まであったものは大事でございますが一度見直して、スクラップ保アンド・ビルドでもう一回この辺でもって決断する今は時期ではないかなと、私はそう思えてなりません。文部大臣は軽々なことをお答えできないとは思いますけれども、しかし現状を見ながら、皆さんはひとつ文部省当局として今のままでいいのか。
 それからなお、もう一つ大事なことは、今の義務教育は都道府県の教育委員会でもって全部これを統括してやっていますけれども、例えば静岡県の場合、私は静岡県ですが、高等学校が県立だけで百十くらいあるし、それから中学校が三百、小学校六百ですから、全部で千校以上あるんです、はっきり言って。
 それで、これは名前を挙げちゃ失礼なんですけれども、いいでしょう本当のことですから。静岡県の知事と私、この間話をした。この人は、かつて静岡県の教育次長を長くやったんです。そして、自治省へ帰って、今度は昨年知事に当選されて今は知事をやっていますけれども、自分が教育委員会にいた時代のことを考えてみると、千の学校を教育委員会が統括して監督しょうといったってそんなのできっこないよと。先生、これ何とかもうちょっと仕組みを変えてもらわないと各都道府県はみんな平を上げちゃいますよ。この辺はもう少し真剣に国会議員の先生考えてくださいと私は言われたから、考えますと言って帰ってきたんです。
 私は、そういうふうに現場の方、実際に携わった人から聞いてそう言われているんですが、文部省はまた違う考えがあるかもしれませんけれども、ひとつその辺についても、この際、勇断を持って今の学制をどう変えるべきか、そしてまたその仕組みをどう変えるべきか、大学のことはまた後で申し上げますけれども、まずともかく今の学制につきまして何か所見がございましたら、文部大臣、ひとつお答え賜りたいと思います。
#38
○国務大臣(与謝野馨君) 学制については、やはり現在の学制は定着をしておりますので、先生のように大胆に全部をスクラップして、また新しい制度をという考え方は現段階ではないわけでございます。
 しかしながら、中教審におきましては、学制改革そのものを私どもとして諮問しているわけではございませんが、かなり自由な討議、自由な意見交換が行われるわけでございますから、そういう中で現在の学制についてもいろいろな意見が出てくるのであろうということは予想できると私は思っております。
#39
○木宮和彦君 ぜひひとつ、そういう御意見がありましたら、やはりそれを謙虚な耳でひとつ聞いていただいて、なかなか文部省としては荷の重たい話だと思います。実際なかなか、私みたいに言うのは楽ですが、これはやるとなれば大変なことは百も二百も承知でございます。しかし、やっぱり時と場合には、それを大いに日本の将来、未来の教育を先取りするというとおかしいですけれども、そういう意味からもこの辺で改革する必要が私は非常にあると思う。これは経済からいっても社会からいっても、あるいは偏差値の問題、いじめの問題、あるいはその他いろんな問題が今全部そこへ集約していますからね。やっぱりこれは、ただ今の現状を何とかしてこそく的に直そうと思っても、もう直せないんじゃないか。やっぱりこの辺でひとつぜひ、いろいろあると思いますけれども。
 例えば、今の教育はともかく画一的なんです。これを何とかして、いろんな知識が、情報化に備えて、やはり画一化ではない方向に行かなくちゃいけない。これが教育の目的の大きな問題だと思います。それから、社会的な背景からいいましても、今のはいわゆる近代社会、農業社会から工業社会への転換期につくられた学制だと思います。それで高度成長をなし遂げたんですから、ですから貧困から脱却したんですから、今の教育は。しかし、これからの教育というのはそうじゃなくて、工業社会から脱工業社会へ今転換しているんです、逆に。ソフトの方へ来ているんです。高度情報社会、豊かな社会の病理から脱却しなくちゃいけない。私は、成熟社会に対する教育はこれからどうあるべきかということが大事だと思います。
 また、国家の役割、文部省の役割ですが、今までは文部省が、国家が配給して規制する画一的な教育、国営教育が主体だった。文部行政は許認可の規制、補助金が中心だったんです。しかし、これからは教育は国営から民営に移管して、配給型の教育から選択の自由度の大きい教育へ転換して、文部行政は政策を中心にしてもらいたい。これは私の意見なので反論していただいて結構でございますけれども、私はそう思う。
 それから、今までは単線型で官学主導型だったんですね。それで義務教育は強制的にやるというのが性格的に濃厚であったわけです。しかし、これからはやはり複線総合ネットワークでもって私学の主導型で、義務教育は就学保障的な性格、いわゆるだれでも学校で学べるような性格を持たせなくちゃいけないと。そして、選択肢をつくって、親がある程度選択してそこへやる。そして、内分の子供はこういう教育をしてもらいたい、結果がよくも悪くもそれは親が責任をとると。このくらいの仕組みに変えていかないと、いじめの問題にしてもその他の問題にしてもなかなか解決できないんじゃないか。これは私の意見なので、全部できるなどとは到底思えませんけれども、私はそう思います。
 それから、もう一つは競争なんですが、どっちかというと需要サイドのみの競争激化なんです。そうじゃなくて、教育サービスというものは、需要サイドではなくて供給サイドでもって競争することによって選択の自由が得られるというふうにこれから変えていくべきだと私は思うんです。
 それから、いろいろありますけれども、人生五十年の時代の教育と今の人生八十年の教育、生涯教育とのシステムを構築していく今は過渡期だと、私はそう思います。そういうことを考えますと、やはりこれからの学制というものは、何とかして皆さんの大半の御意見を伺いながら、ぜひともひとついい結果が生まれますように御努力を願いたいと思います。これは私の希望でございますからお答えは結構でございます。
 それでは次に、大学改革につきまして私はぜひお伺いしたいんです。
 今の大学は非常にいい点もあれば悪い点、先ほどからもう何回も申し上げましたけれども、新しい大学審議会によりまして、教養というものが大分、退けられたわけじゃありませんが、専門化しつつある。これが一ついいのか悪いのかという問題がございます。
 それともう一つ、私はぜひともこれはお願いしたいのは、三つ要点がございまして、一つは、国立大学に限りませんが、私立大学もそうですが、今は選挙でやっていますけれども、あれはやめてもらいたい。国立大学の学長は任命制にしてもらいたい。任命制にするには、やっぱりそれぞれの国立大学が一つの順位でもって、そこで責任を持って運営できるように私立学校の理事会みたいなものをつくっていただいて、地元の有識者も入れ、文部省の役人も入れてもいいし、また大学の先生方を入れて、そしてそこでもって討論して、その中から大はが責任を持って学長を任命してもらいたい。それでないとなかなか大学で私はリーダーシップをとれないと思う。
 選挙でやるということはいい点もありますけれども、逆に言う当たりさわりのないことだけを言って、耳ざわりのいいことだけを言って票を稼がなくちゃならぬということになっちゃったり、ひどいのになれば、こういうことは今はないから結構ですけれども、そのうちに現金が流れたりしたら困るんですね、教育の場で。
 ですから、そういう意味からいっても私はこの際、国立大学がもしできなければ私立大学はせめて任命制で理事会でしっかり任命するように御指導願いたい。事実そうなっていると思いますけれども、中にはそうでないところもあると思いますから、どちらがいいか悪いかということはあると思いますが、私は今の大学を改革するために一番必要なことは、学長の任命制を何とかここでもって決断を持ってやると。
 二つ目は、大学の先生の任期制、十年。十年なら十年でもって任期を決めて、そこで評価して、そして、再び使うようにする、あるいはそこでもってひとつやる。大学の先生の場合には自分の研究と学校の業績とそれから教育の貢献度があると思いますけれども、やはり一応任期制をしっかり確保してもらって、どうしてもこの先生は不適当と思えばそこでもって解雇できるように、解任できるようにすべきだと私は思うんです。一たんそこへ入っちゃったら定年までずっと何にもしないで、同じ古いノートを持ってきてそれを読んでいるだけじゃ困るので、やっぱりその辺、あるいは文科の先生なんというのは非常勤の先生と同じように、授業のときは来るけれどもあとはいないなんていう先生が大勢いますからね。これはやっぱり問題があると思うんです。
 そういう意味で、私は大学の先生にも自覚を持ってもらって、やはりきちっとその任務にこたえられるように、そのかわり給料を上げるべきだと思います。そういうことをして初めて大学の活性化ができる。ですから、学長の任命制と先生の任期制。
 それともう一つ、これも大事なことです。これは文部省さん非常に嫌がるかもしれませんが、大学入減センターの試験はこれはもうなるべくやめてもらいたい。むしろ逆に、やるんだったら、大学を卒業した者の資格テストをやって、それでなけりゃ学士を与えちゃいけませんよという方が私はよっぽどいいと思う。入る方は楽だけれども出る方は難しいというようなシステムの方が私は大学の活性化のために非常にいいと思う。
 これら三つ、私のこれは私見でございまして、何か印しわけないような気もいたしますが、こういうことをぜひ、何にもやらないじゃやっぱり一向に変わらないと思いますので、ぜひひとつこの際、大変大きなことばかり申し上げて恐縮でございますけれども、もし所見がありましたら局長で結構でございますし、文部大臣でも結構でございます、何かありましたらひとつお答えを賜りたいと思います。
#40
○政府委員(吉田茂君) 御指摘の、まず学長の任命の関係でございますが、国立大学の場合、学長は評議会の選考による、こういう形になっておるわけでございます。評議会の選考によるものとされ、その申し出に基づいて任命するということでございますが、これは御案内のとおり憲法二十二条の学問の同曲との関係においてこういう規定がなされておるわけでございます。その前段階に選挙による学長の選考方法が広く行われておるわけでございます。社会が大きく変化する中で、学長のリーダーシップが強く求められているときに、御指摘のような点があるいはあろうかと思いますが、一方で、多くの教員の支持を得て選ばれているということから、学長の言動が尊重されるという面もあるという意見もあるところでございます。
 大学審議会では大学の組織運営上の課題についてこれからさらに審議することとしておりますので、私どもとしてはこういった審議を踏まえて、御指摘の学長のリーダーシップを発揮するための方策について多面的な検討をしてまいりたいと考えております。
 それから二番目の教員の任期制でございますが、国立大学の教員の大事については、ややもすれば閉鎖的になる、あるいは身分保障に安住して活動が停滞しやすいというような問題がありまして、大学審議会の昨年六月の答申では他大学出身者など多様な経験、経歴を持つ者の採用等の提言をしております。さらに、教員人事の一層の流動化を図るため、現在大学審議会の組織運営部会において、御指摘の教員の任期制の導入について審議をしておるところでございます。
 任期制は、人事の流動化による開かれた大学づくりであるとか、教育研究組織の活性化であるとかいうメリットがあるわけでございますが、一方で現在終身雇用制が強い我が国社会の中で、大学のみに導入した場合に問題が起きるのではないかというような議論もございます。こういった議論を踏まえまして、現在大学審議会で精力的にこの問題については審議を進めておるところでございまして、その審議を踏まえまして対処をしてまいりたいというふうに考えております。
 それから大学入試の問題でございますが、私どもとしては大学入試センター試験、これは各大学の二次試験との適切な組み合わせによる入試の個性化、多様化、これをねらったものでございまして、こういった形で入試についてはさらに充実させていきたいというふうに考えておるわけでございます。出るに易しいというような問題については、さらに大学の中の教育の充実ということを要請してまいりたいと、かように考えております。
#41
○木宮和彦君 学問の自由は私は当然のことで、これはやらなくちゃいけませんけれども、大学の自治といいますか、学問については自由にやるのは結構なんで、私は大学運営とは違うと思うんですね、その辺は。
 これはお調べ願いたいんですが、私が調べた範囲内では世界じゅうのどこの国でも、恐らく学長を選挙で決めているという国は余りないですね。ですから、この辺は日本独特の制度であって、これはやっぱり戦後の後遺症だとしか思えないんです。今みたいに大学が肥大化しましたから、これにそれを持ってくるというのはやっぱり私は適当でないというふうに思います、かつての帝国大学ならいざ知らず。
 ですから、今はそれが工業高等専門学校、これなどはやはり文部省が任命されておると思います。選挙でやっていないと思います。工業高等専門学校、これは短大と大体同じくらいですね、二年までですから、高校と短大を兼ねたようなものですから。だけれども、それに対して学問の自由が損なわれるとか、あるいは学内がうまくいかないとか、そういう弊害は余りないと思う。私が見た範囲内では一生懸命やっていると思うんですね。なかなか社会的に、やはり教科が足りない部分もありますけれども、しかし学内の運営というものは非常にうまくいっているような気がいたします。
 ぜひそういうことも考えて、大学だけが治外法権的であってはいけないし、そうすると中が腐ってきますから、この際、これは大学審議会の問題だと思いますけれども、大学審議会もぜひひとつ広い意見を入れて、大学人だけではなくていろんな人を入れて、あるいは産業人を入れたりあるいはジャーナリストを入れたりして、今後の大学のあり方というものを真摯にひとつ検討していただきたい。それを要望いたしまして、ちょうど時間が来ましたので、まだ聞きたいことはありますけれども終わりにいたします。ありがとうございました。
#42
○上山和人君 日本社会党・護憲民主連合の上山和人でございます。
 きょうは五月十一日でございますけれども、この五月十一日という今の時点はちょうど子どもの権利条約が発効いたしましたのは去年の五月二十二日でございましたから、それからほぼ一年目の時点になります。そして、学校五日制が月二回に移行いたしましたのはこの四月一日でございましたから、それからほぼ一カ月が経過したというときであります。
 もう一つは、五月五日のこどもの日には総務庁から子供人口が発表されました。そして、前年比三十九万人も子供たちが減っているということが発表されているわけでございまして、教育の根幹にかかわるこれらの問題について今お互いに深く考えさせられているときでありますから、そういうときにタイミングよく文教委員会が招集されたことに私は委員長初め理事会の皆様方に敬意を表するものであります。それだけにきょうのこの委員会の審議が教育の第一線の期待に少しでもこたえることのできるものになればと、そんな思いを込めながら数点にわたって御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、木宮先生の方からもお話がございましたけれども、今新聞をめくりましても、テレビのスイッチを入れましても、いつどこでも私たちの目に飛び込んでくるのはオウム真理教をめぐる諸問題でございます。そして、特徴的なのは高学歴の、いわゆる高学歴と言った方がいいと思いますけれども、高学歴集団の存在がその中で明るみに出ている。それも、いわゆるエリートの理系大学、大学院を出て、時代の先端を行く近代科学の研究をしてきた人たちがなぜ、およそ対局にあると思われる神秘・正義にのめり込んでいくのか。なぜだろうという疑問が茶の間でも、それからちまたでも、もちろん学校現場でも、私たちの間でもそういう疑問、話題でいっぱいです。
 それはなぜだろうかというそのなぜは、果たしてこの戦後五十年継過した日本の戦後の教育はこれでよかったのだろうか、教育に何か問題はなかったのであろうかという疑問にまたつながって話題になっているんだと思うんです。それは、木宮先生も少しその問題についてお触れになりましたけれども、とても深刻な大きな問題ですが、教育の根幹にかかわる問題だと思いますけれども、文部大臣どうでしょうか。この昨今のオウム真理教をめぐる問題の中で浮き彫りにされているいわゆる高学歴集団の存在について、どのように文部行政の責任ある立場に立つ大臣として御認識をなさっていらっしゃるか、お聞かせをいただきたい。
#43
○国務大臣(与謝野馨君) こういういわばカルト集団に参画した人たちの中に今回高学歴の方が目立つ、こういうことでございますが、あの方々は知識はあるけれども多分知恵と理性はない方々だろうと私は思っておりまして、これは学校教育とは全く関係のない存在であると私は思っております。あの方々以外の大多数の青年男女は大変健全であり堅実であるということを見れば、これは直ちに教育の問題として論じられない問題であると思っております。
#44
○上山和人君 少し意外な大臣のお答えが返ってきたわけですけれども、果たして学校教育と無関係なんでしょうか。今、端的に大臣が言われたのは、ああいう人たちは知識はあるけれども知恵と理性はない、したがって学校教育とは無関係だというふうにおっしゃいましたけれども、本当にそういうふうにきちんと割り切れる問題でしょうか。
 もういろんなところでみんなでこの問題は今考えられているところですけれども、例えばこれは朝日新聞のウイークリー、「アエラ」というのがございますね。その週刊誌の中の一ページですけれども、「まじめな偏差値勝者が危ない」という見出してこの問題に踏み込んでいろいろ問題が提起をされておる。そしてまた、木宮先生おいでになりませんけれども、教育とのかかわりを指摘されましたが、その中で、今の教育は危険な人物を大量生産しているんではないかという問題を、これは問題として提起をしている週刊誌もあるんです。いろんなマスコミのそういう考察も非常に深く私は進められていると思うんです。
 文部大臣が教育とは無関係だと言われますと、これは本当にこの問題に絞って何時間でも掘り下げて議論をしなくちゃならないような問題だと思うんですけれども、知識はあるけれども知恵と理性のない集団であって、エリートであって、今までの、また現行の教育とは無関係だと本当に言い切れますか。もうちょっと大臣に責任ある御見解を承りたい。それ以上にないとおっしゃれば、またそのようにお答えいただきたい。
#45
○国務大臣(与謝野馨君) 一人の人間が世の中に出ますまでには、家庭における環境、両親あるいは保護者から受ける精神的ないろいろな影響、また自分の参ります学校でのいろいろな環境、あるいは自分が所属する地域社会での環境、そういう総合的な影響を受けながら一つの人格というものができ上がっていくわけでございまして、あるいはその中にはもちろん友人がどういう方であったかということも非常に重大な影響を持っております。また、たまたまどういう宗教に出会うかということもその人間を形成する上で非常に重要なファクターになっております。
 こういう問題が起きますと、常に日本の教育にその責任があるという諭し方をされるわけでございますけれども、一人の人間の人格が形成していく過程というのは非常に複雑多岐でございまして、教育がそういう人格形成の唯一の原因であったというふうには私は直ちに考えられないことであると思っております。
 ただ、指名手配されあるいは逮捕されている方々の学歴を見ますと確かに高学歴ではありますけれども、そういう方々はそれまでの成長過程での精神形成にやはり欠陥があったんであろうと思われますし、また理性に対する信仰も足りませんし、実証主義的な手法においても欠陥があるのであろうというふうに思っております。やはり豊かな人間関係の中に包まれていないで、世の中の本当のことを知らないで育ってしまった方々ではないかというふうにも思われるわけでございます。
#46
○上山和人君 大臣の御見解は、根本的には今のお話をお聞きしましても変わらないように思いますわ。
 人間の人格形成の過程は複雑であるから、いろんな要因が重なり合って人格は形成されているんだという趣旨のお話でございます。したがって、今私が申し上げているような問題が起きると教育の責任をいつも問われるけれども、非常に人格形成の過程は複雑なんであって、それが即教育だけの責任ではないとおっしゃる。何も教育だけの責任であるとは言っていないんです。こういう問題が起きたときにこそ教育のあり方をまず考えなくちゃいけないのが文部大臣の立場じゃないですか。私は、非常に今の大臣の見解は理解に苦しみますね。
 何も教育だけに責任があると言っているんじゃないんです。教育だけの責任だと言ってはいないんです。大方の今この問題をめぐって教育のあり方に関して進められている考察も、決して教育だけに責任を負わせるような発想ではないと思うんです。しかし、戦後五十年の節目なんですけれども、戦後のずっと教育の流れを見て、子供たちがどんなに偏差値主義で木宮先生が言われた心がゆがんできたかということ、点数主義の中で子供たちが小学校、中学校、高校、ずっとこの教育を受けなくちゃならない環境にあったということは紛れもない事実なんですから。
 これはもうずっと大臣を初め局長たちのこれまでのこの委員会での答弁をお聞きしておりましても、教育は改革しなくちゃならないとおっしゃる。それは大臣だってそうおっしゃるんです。そして、偏差値中心の教育から個性を重視する教育に改革するんです、脱皮しなくちゃならないとおっしゃるのは、文部省もそうおっしゃるんです。ところが、後で申し上げますけれども、子どもの権利条約をめぐる問題、学校五日制の問題を見ましても、相変わらず現場は知育偏重に陥ってそこからなかなか抜け出せないんじゃないですか。そういう今の学校の教育体制、ずっと戦後五十年続いているわけですよ。改革の意欲が文部省にもある、現場にもあるけれども、戦後五十年の長い積み重ねの中でそれをなかなか脱却することができないで苦しんでいるんですよ、現場は。
 そのことにやっぱり私は目を向けて、オウム真理教をめぐるああいう集団が明るみに出たときにこそ日本の教育のあり方を振り返って考える、一番最初に文部大臣のところからそういう発想でこの問題をお考えになるべきじゃないかと思うんですけれども、どうですか。私たちは、大きな問題は教育だけの責任ではもちろんありませんけれども、教育のあり方がその責任の大部分を負わなくちゃならないという発想でこれからもこの問題は考えるべきだと思うんですが、やっぱり大臣の御所見は変わりませんか。
#47
○国務大臣(与謝野馨君) 学校においては、道徳、倫理等を学習指導要領に基づいて子供たちに教えるわけでございます。学習指導要領に書いてありますことをすべて実践いたしますと、あのような事件は起こらないはずでございます。
 小学校の高学年においては公共心を道徳においてお教えしますし、中学校においては進んで公共の福祉と社会の発展のために尽くすよう努めることということをお教えします。また、社会的な役割、責任、これにつきましては、社会科でも小学校中学年の目標として、地域社会の一構成員としての自覚を育てる。道徳につきましては、小学校の高学年におきまして、自分の役割を、自覚し、協力して主体的に責任を果たす、こういうこともお教えするわけでございます。
 そのほか、郷土愛、国を愛する教育、思いやりの心、こういうことはきちんと学習指導要領の中では網羅的にあるわけでございます。学習指導要領に基づきまして教育がなされ、道徳、倫理等についても、現場の学校の先生は既に御熱心であると思いますが、学校も保護者も熱心にこういう公共心を養う、遵法精神を養う、郷土愛を養う、他人に対する思いやりの心を養う等々、もろもろの大事な人間として守るべき価値がこの学習指導要領の中には書いてございまして、そういうものを熱心に教師の方々に児童生徒に教えていただく。また、児童生徒も、あるいは児童生徒を保護する両親、保護者も、進んでそういう教育の重要性を御自覚いただくということが大切なことであるということについては、先生とは全く意見の相違はないと私は思っております。
#48
○上山和人君 学習指導要領に沿って教育が行われているならああいう集団は生まれないんだとおっしゃると、じゃ現場は学習指導要領に沿って教育をしていないんですか。そういうことになりますよ。
 私たちから見ると、文部省の指導にもかかわらず学習指導要領の弾力的運用が現場でできなくて、それは大臣が言われる以上に現場は学習指導要領に忠実に授業時間を確保して内容を教えようとして一生懸命に努力をしていますよ。それでもあんな状態が出る。そういうときに、完全な指導要領だと思っていらっしゃるんでしょうけれども、その指導要領に忠実に現場が教育をしているにもかかわらずああいう状態が生まれるということについて、やっぱりどこかに問題はないのかという発想がなぜないかなと。教育とは無関係だとこう言い切られると、非常にこの問題はおさめることができないという気がしてならないんです。
 しかし、時間がもう二十分経過いたしておりますから先に進まなくちゃいけないけれども、文部大臣、大臣におなりになってから文部行政の責任者として一生懸命に努力をされていることはよくわかっていますよ。でも、もっとやっぱり謙虚に教育の延長線上の問題として起こっているような問題については反省をするところから物事を踏み込んで考えるということにお互いにしないと、本当の意味の教育改革はできないんじゃないか。
 これ以上この問題もう触れませんけれども、ぜひ私は、大臣にも、御同席の文部省の局長以下の皆さんにも、オウム真理教をめぐる事件を中心にして明るみに出ているいわゆる高学歴集団の問題については、教育とのかかわりについて真剣にお考えいただきたい。そして、やっぱり今後の教育のあり方に生かすべきではないか。そういう観点でこれからもいま一度深い御検討をお願い申し上げておきたいと思うんです。
 そこで、関連はしますが、この問題について私は、いろんな人たちが心配をしているんですけれども、結局これから一体どうするんだと。ああいう人たちは学習指導要領に沿う教育が徹底すれば生まれないはずだとおっしゃるけれども、現にああいう集団がはっきり生まれている。じゃ、どうすればいいかということにこそお互いに英知を集中して考えなくちゃいけないんじゃないでしょうか。その一つとして、やっぱり大学の教養教育に期待したいというこの問題提起があることも事実なんです。それは毎年のように、三月の下旬になりますと準日切れ法案として国立学校設置法の一部を私たちはこの委員会で改正をしてきました。そのたびに国立大学の教養部が消えていくんです。ことしだって静岡大学の教養部が姿を消していった。そして、九十八ある国立大学の中で今教養部が残っているのはわずかに十六大学です。
 私たちがこういう内容を含む国立学校設置法の一部を改正する法律案に賛成してきたのは、その前提として、カリキュラムを改革して、教養部はなくなるけれども今まで以上に教養教育、一般教育を重視するんです、それはカリキュラムにも具体的にこのように改革してその趣旨を盛り込んでありますという責任あるお答えがあって、それを私たちは信頼してきたから賛成をしてきたわけです。
 果たして今こういう問題に遭遇しますと、一体このまま教養部がどんどんなくなると、恐らくすべての国立大学でこの二、三年の間に、数年の間に教養部はなくなるんじゃないでしょうか。そのときに、果たして本当に大学における教養教育、一般教育は保障されるんだろうかという心配が依然として消えません。
 現に、私はある大学の教授と最近深い話をする機会がありましたけれども、正直に言って大学の教官たちは専門教育には熱心だけれども教養教育には余り熱心じゃありませんよと、実情をやっぱり真剣に語られるんですね。実態なんですから、それが。
 ですから、本当に国立学校設置法を改正して教養部が消えていく、その前提条件として私たちが理解してきた、確認をしてきた今まで以上に教養教育を大事にするんだ、重視するんだ、充実させるんだということが具体的に大学の中では保障されているんだろうかと思うんですが、高等教育局長、この問題についてどのように現状を認識されておりますか。
#49
○政府委員(吉田茂君) 御指摘の大学の教養教育、一般教育でございますが、お話のございました教養部の改組の問題は、一つには一般教育の理念、目標と実際の授業との間に乖離が生じていたという状況。それから、専門教育との関係でも、専門教育と一般教育の間の有機的な関連性が欠如していた、あるいはそれぞれの担当教官が固定をしてしまって両者の間の有機的な交流なりがない、大学が前期、後期、二つに分かれているような形になってしまうというようなことがございまして、そういった批判も踏まえて、平成三年に改正された大学設置基準の改正におきまして一般教育と専門教育の区分を廃止する、各大学が授業科目の枠組みにこだわることなく、全学の教官が一体となって専門教育、一般教育を有機的な関連のもとに一貫教育として実現していきたいという考え方を掲げまして進んでおるわけでございます。
 その中で、それでは教養教育、一般教育が具体的にどうなっているのか、こういうお話でございますが、私どもとして大学にいろいろ要請している基本のところは、やはり教養教育が極めて重要であるという認識に立ちまして、各大学が授業科目の枠組みにこだわることなく教養教育の理念の実現に向けて創意工夫を図るということをお願いしておるわけでございます。一つには、一つの授業科目を複数の教官が担当して現代社会の抱える課題に学際的にアプローチする、あるいは少人数のクラス編制でみずから考え判断する能力を養う、そういった授業科目を開設するというようなことで各大学も現在努力を進めておるところでございます。
 そういった中で、御指摘のように教養部が改組されたことによって教養教育というものがなおざりにされるということはこれは許されないことでございまして、大学全体の授業の中で一般教育、専門教育の有機的な関連性においてこの問題を充実すべく我々としては努力してまいらなきゃならぬ、かように考えております。
#50
○上山和人君 大学の中に入ることは非常に難しいことだと思います、大学自治との関係もございますから。それはまた大事にしなくちゃいけませんし、一々文部省が教育内容を検閲するような印象を与えたりするようなことになってはいけませんし、非常に難しい問題です。
 ですけれども、国立学校設置法をどんどん私たちがここで改正して、もちろん本会議で成立をするわけですけれども、改正をしてきたその責任からも、本当に前提条件として確認をされた、より以上に教養教育を重視する、一般教育を充実させるというこの大学側の意思表明がその後本当に具体化されているかどうかということについては、文部省もまた私たちもこれから十分フォローしながらしっかり点検をする必要がある問題だと思います。ぜひ文部省にもそういう観点で、これから恐らくこの問題はまたどこかで、先ほど木宮先生もちょっとそのことも大学改革の一つの視点として言われたようにお聞きしましたけれども、必ず起こってくる問題だと思うんです。
 委員長にちょっとこの場ですけれどもお願いをしておきたいのは、近く当文教委員会の視察が予定されております。既に先ほどの理事会で場所も日にちも決まりましたけれども、できるだけ近い機会に、これまで教養部を廃止した大学についてその後のこういう問題を私たちが十分知り得るような視察の機会を設けていただけないものか。その点を委員長にお願い申し上げておきたいと思いますので、どうかひとつ理事会で御検討いただきたいと思うんです。
 そういう点について再度、局長いかがですか、どのようにお考えですか。
#51
○政府委員(吉田茂君) 教養部改組前と教養部が改組された後、一般教育、教養教育、こういったものが前よりなおざりにされるということがあってはならないわけでございますし、改組した目的はむしろ専門教育と教養教育を融合させたより高度の授業、そういうものをやっていただくということでございまして、その点については各大学とも現在努力を展開中でございます。
 我々としては、それを十分に支援してまいりたい、かように考えております。
#52
○上山和人君 それでは、質問をその次の問題に移しますけれども、子どもの権利条約が国連総会で全会一致で採択されたのは、五年前でございますから、一九八九年の十一月でしたか。そして、去年の三月二十九日だったと思うんですけれども、参議院の本会議で初めて我が国でもこの批准案件が承認、可決をされたわけでありまして、五月二十二日に先ほど申し上げましたように効力を発しているわけですが、世界で百、五十八番目の条約締約国になったわけでございます。
 それから一年たちました。一年たちましたけれども、そのとき文部大臣は、一つは文部広報の中で、もう一つはこの文教委員会の質問にお答えになりまして、この権利条約の意味について明快に見解を表明されております。そして、どのように各学校の隅々までこの精神を行き渡らせるか、周知させるか、大変大事であるからそのことについては全力を挙げて努力をしたいという趣旨の御表明をなさいました。
 ほとんど一年たっているんですけれども、この一年の間に子どもの権利条約が大臣が決意を表明されたような状態になって、その決意に沿って本当に行き渡っておりますか。現状について局長、ひとつ御報告いただけますか。
#53
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 児童の権利に関する条約につきましては、ただいま先生からお話がございましたように、我が国におきましては平成六年四月二十二日に批准をいたしまして、五月二十二日に効力が生じたところでございます。
 この条約の趣旨の徹底を図るために、文部省といたしましては、昨年五月二十日付で文部事務次官通知を発送したほか、各種の広報紙や刊行物を活用いたしますとともに、教育委員会の担当者や教員を対象とする各種の会議や研修会の場で趣旨の徹底に努めているところでございます。
 特に学校における教科指導では、中学校社会科公民的分野や高等学校の現代社会、政治・経済、家庭一般などにおきまして、基本的人権の尊重や人権に関する国際法の意義と役割、また子供の成長や人間形成について取り扱うこととしておりまして、これらの教科書においては児童の権利について具体的に取り上げているところでございます。
 これらを適じて学校における条約の趣旨の周知が図られているところでございますが、今後とも各都道府県におきます取り組み状況の把握に努めまして、必要に応じてさらに一掃趣旨の徹底を図ってまいりたいと考えております。
#54
○上山和人君 そういう努力が行われているということは疑いません。しかし、現状はどうなんですかとお尋ねしているんです。
 例えば、これは時間を節約するために申し上げますけれども、外務省が作成したポスターがございましたわ。これを文部省がすべての学校のすべてのクラスに行き届くように配付するとおっしゃったんです。本当にすべての学校のすべてのクラスにこれが行き届いて張られていますか。具体的にお答えください。
#55
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 ただいま先生が御指摘いただきました児童の権利に関する条約についてのわかりやすい子供向けのポスターにつきましては、外務省において作成するに当たりまして文部省としても協力してきたところでございます。
 学校現場への配布につきましては、昨年七月二十二日付でその速やかな配布方につきまして各都道府県教育委員会等に通知をいたしますとともに、各都逆府県教育委員会の担当有の会議において、このポスターが各クラスに行き渡るとともに、教室や廊下等に適宜掲示するなど積極的に活用していただきたい旨要請したところでございます。
 なお、各都道府県におきましては学校現場に配付していると承知しておりますが、具体的な活用方法は各学校の工夫にゆだねているところでございます。
#56
○上山和人君 それは当然また学校の主体性も重んじなくちゃなりませんし、文部省の指導の限界は大体局長が言われるようなところかなとは思いますよ。でも、その指導の結果、具体的には現場でどうなっているかということについてはやっぱり時々点検をなさる必要はありませんか。
 お答えをまつまでもなく申し上げますけれども、ある県の実情です。これは職員室に一枚張ってあればいい方だと言われています、これが。各クラスにまでというのはとんでもない状態だと。ある学校においては、これもそうですけれども、校長が条約の条文を記載したパンフを職員に全然お配りにならなかった学校があります。
 なぜですかと職員から質問があった。校長答えていわく、文部省からは、この条約が効力を発したことによってこれまでの学校教育が変わるものではないと指導されたから配る必要はないと思ったと校長は言って、条約の条文のパンフレットを配っていないという実情さえあるんですね。これは職員室に一枚張ってあればいい方だと言っているんです。
 これは、ここで局長がその責任をすべて私は負わなければならないという気持ちはありませんけれども、今言われるように一生懸命いろいろ努力をなさっている。にもかかわらず、例えば一つの県の例は先ほど申し上げているような状態です。そして、マスコミにももう子どもの権利条約なんて忘れられかけているんじゃないか、そんな問題提起をローカル紙の社説などがしていますよ。そういう状態じゃないんでしょうか、実情は。
 だとすれば、これは当然のことですけれども、文部大臣は非常に強い決意の表例をなさっていますよ。この文部広報もそうですけれども、この委員会での質問に対する答弁の中で、これは時間がないから省略しようと思ったんですけれども、「学校現場の隅々にまでこの条約の精神が及んでいくことを願っている」、だから全力を挙げて努力をするとお答えになっていらっしゃるんです。これは日本国憲法に準ずる法的効力を持つ国内法規範だという認識でそういう答弁をなさっていらっしゃるわけですよね。
 私は、一年たった状態で大変寂しい状態だ、子どもの権利条約なんてもうどこかに忘れ去られようとしているんじゃないかという懸念を持つものですから今の御質問を申し上げております。あと十日したら丸一年ですね。この一年たつのを機会にぜひ点検をしてほしい。本当に文部省の意欲に現場が沿って努力をしているのかしていないのかということは、やっぱり集約をした上で、これほどの新しい時代に向かう教育改革の一つのよりどころとして私たちが期待をしているこの条約がそういうふうに現場で軽視されているような状況があるとしたら、やっぱり責任を持って積極的な御指導が必要だと思いますので、これは局長、今後の取り扱いについてお考えがあればお聞きしたい。
#57
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 この条約の趣旨のさらなる徹底につきましては、私どもとして各学校段階に応じ適切な指導を行うようにさらにその指導の徹底を図っていきたい、このように考えているわけでございます。昨年以来、先ほど先生からもお話がございました各種の広報紙や刊行物を活用し、また教育委員会の担当者やあるいは校長会、教員を対象とする各種の研修会や会議の場できめ細かな周知をさらに私どもとしては図っていきたい、このように考えているところでございます。
 また、例えば文部省の主催する教職員等中央研修講座におきましては、人権尊重の教育や教育関係法規等の講義の中で、先ほど先生からもお話がございましたこの条約の趣旨、そういうものを十分踏まえた学校教育の充実について指導をしているところでございます。
 また、児童、向けの資料については、昨年のリーフレットというものの活用等についても十分各学校で工夫をしていただき、それが教職員のみならず児童生徒の直接目に触れて、児童の権利というものが十分尊重されるような学校教育が展開されるように私どもとしてさらに指導をしていきたい、このように考えておるところでございます。
#58
○上山和人君 わかりました。ぜひ積極的に御努力を願いたいんですが、私はこんな状態になるんじゃないかということを恐れたから、去年の当委員会の質問の中で、ほぼ一年たつことしの五月五日のこどもの日を中心にして一周年記念行事を企画したらいかがでしょうかと。
 これはいろんな段階での御指導はよくわかります。しかし、人間ですからやっぱりインパクトを強く与えるようなイベントなり、そういう行事などを織り込むことなしには忘れるんですよ、人間ですから。だから、そういう意味でこの大事な条約が忘れられないように、より現場に周知されるように、普及していくように、大臣が言われたように学校の隅々にまでこの精神が行き渡るようにするためにも、せめて一年たったときに記念行事を企画したらいかがですかと。
 特に、外国の例にならいながら、あるいは鹿児島県の伊佐郡菱刈町が子供議会というのをいつも開いて子供の意見表明権なりを育てようとしていることを紹介しながら、例えば子供国会を開くことはいかがでしょうか各県では県議会に子供たちの代表を集めて子供議会を開くといったようなことはどうでしょうかという問題提起をしたんです。
 それに対して当時の初中局長は否定的なお答えをなさいましたけれども、大臣は明らかに、「条約の精神をよりよく多くの人に知っていただくにはいろんな試みがあると思います。その一つとして一周年記念というのは考えとしてあると思いますので、どういうことをすればよろしいかということをよく考えさせていただきたいと思いますしというふうにお答えになりました。とにかく検討するとおっしゃったんです。
 その文部大臣の私の質問に対するお答えは、その後どのように進んでおりますか。
#59
○政府委員(井上孝美君) お答えを申し上げます。
 ただいま先生からお話がございましたとおり、昨年六月二十二日及び十一月一日の参議院文教委員会におきまして、御指摘の点について御提案があったことは承知をしているわけでございます。
 児童の権利に関する条約につきましては、その趣旨に沿って児童の人権に十分配慮し、一人一人を大切にした教育が行われることが重要であると認識をしているところでございます。ただ、基本的人権尊重の精神については、やはり教育活動全体を通じて徹底を図っていくことが大切でございまして、教科指導、生徒指導の充実を図るなど、日常の教育活動の積み重ねによって条約の趣旨を具現化していくべきことと考えているところでございます。
 全国レベルで子供国会を開催することについては、昨年の委員会においても御説明したところでございますが、どのように代表を選んでどのように実施するかなどの問題もありいかがかと考えますが、各学校における教育指導に当たりましてさまざまな創意工夫をしていただくことが大切でありまして、例えば学級や生徒会等で国会のような形式をとって討議する場を設けるような教育指導はあり得ると考えているところでございます。
 また、各都道府県におきます。そのような記念行事的な例といたしましては、例えば教育委員会が主催して各中学校生徒代表が学校生活における諸課題について意見を交換する中学生フォーラムのような行事等について行われている例もあるわけで、それは先生の御指摘のような趣旨に合うものと思うわけでございます。また、都道府県等の主催では、一日児童相談所の開設とか、あるいは子供による子供討論会などを実施している例もあると聞いているところでございます。
#60
○上山和人君 これは一年前の当委員会でも当時の初中局長が同じような御答弁をなさったんです。教育活動全体を通して周知させるべきものである、当然のことですよ。でも、それだけではやっぱりお互い人間のことですから忘れたり薄れたりする。みんなそうです。何十周年記念行事、何十年記念行事というのはいっぱい私たちの周りにもあるんですから。それはやっぱり人間集団の知恵ですよ。インパクトを与えながら、思い起こしながら新たな気持ちでまた前に進もうという、そういう人間の知恵です、人間集団の。
 だから私は、これほど憲法や教育基本法と軌を一にする法的効力を持つ国内法規範と規定をされている大事な、これから教育改革に向かう、とにかくいじめの環境を取り除いていく上でも大変重要な役割を果たすと思われるこの子どもの権利条約については、大臣が昨年書われたように、本当に学校の隅々にまでその精神が行き渡るように十分知恵を集めて、文部省としても御指導されてしかるべきだと思います。
 そして、局長からいろんな各県の事例を今お聞きしました。なるほどと思いますよ。これは各県や現場はそれなりに工夫をしている。そういうものを全国的に御紹介するなどして、積極的な御指導がもっとあっていいんじゃないか。そうすると、みんなやっぱり啓発されてもっと積極的な前向きの子どもの権利条約に対する取り組みを続けるようになるんじゃないでしょうか。
 ぜひこの一年の間に、今局長が言われたような全国の事例があるとすればそういうのも紹介しながら、ひとつ向こう一年間に向けて、私はまだ任期三年ありますから、あと一年たったらまたここで同じような質問をすることになるのかもしれません。ぜひひとつ真剣にフォローして御指導をお願い申し上げたい。
 この問題の終わりに、九州のローカル紙のこの問題に関する記事を御紹介申し上げて、問題提起をしてこの質問を終わりたいと思うんです。
 子どもの人権を尊重し、その環境の改善を目的にした「子どもの権利条約」が発効してから、間もなく一年を迎える。
 規則や管理で縛りすぎることなく、もっと自由や権利を認めようというのが条約の趣旨である。ところが、せっかくの条約も、名前すら知らない人が多く、学校や家庭にどこまで浸透しているか疑問だ。
 ローカル紙の社説です。ぜひ、そういう見方が地方ではあるという実情を今お伝えしたわけですので、十分受けとめて、この子どもの権利条約だけはもう少し、記念行事等の検討も含めて、どんなふうに積極的に、大臣が表明されたこの条約の趣旨が学校の隅々で生かされるようなものになるか、そのことについての御努力をいただきたいと思います。
 局長からいろいろお答えいただきましたので、文部大臣にぜひひとつこの点についての御決意をお伺いして、午前中は終わりたいと思います。
#61
○国務大臣(与謝野馨君) 児童権利条約は、日本国も批准、加盟している条約でございます。もちろん、児童権利条約に書いてありますいろいろな子供の権利等々につきましては、既に日本国憲法あるいはその他児童関係の法律で具現化されているものがほとんどであると私は思っておりますけれども、やはり全世界で統一的に児童の権利に関する考え方というものを表明した条約について加盟した以上は、そのような精神が広く行き渡るということの重要性については先生と見解を同じくするものでございます。
#62
○委員長(松浦孝治君) それでは、午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十分開会 
#63
○委員長(松浦孝治君) ただいまから文教委員会を再開いたします、
 休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#64
○上山和人君 それでは、午前中に引き続きまして、残り三十分でございます。
 学校五日制が月二回に移行してから一カ月たったばかりでありますから、この状態で月二回がどのように学校五日制の趣旨に沿って現場で定着しようとしているかということについてはなかなか実態を掌握しにくい時期ではあると思いますけれども、一カ月もたちましたし、全国に情報網の非常に、何といいますか、機能の高い文部省ですから、一カ月たった今、月二回に移行した学校五日制がどのような状態で現場で進んでいるのか、問題点は特に起きていないかという今の状態について、局長から御報告いただけますか。
#65
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 ただいま先生からもお話がございましたように、月二回の学校週五日制は本年度の四月から実施されたわけでございまして、今までに、第二土曜日と第四土曜日でございますので、第四土曜日は一回だけ経験をしたわけでございます。そういう中で、各学校におきましては、昨年までの六百四十二校あるいは七百校余りの調査研究協力校の研究の成果などにつきまして私どもは事例集を発行いたしまして、そういう従来の調査研究協力校における実践的な取り組み、そういうものの周知徹底を図りまして、そういうものを検討した上で各学校におきまして現行の教育課程の基準に従って実施をしていただいているところでございます。
 そういう意味におきましては、各学校でそれぞれ、学校、地域、そういうものの事情を踏まえながら教育課程の編成に当たっていただいたものと思うわけでございます。
 また一方、各地域においては、学校外活動としての第四土曜日の受け入れについてもそれなりの、博物館、図書館等における料金の無料化等の取り組み、また社会教育施設等における受け入れ、学校施設の開放、そういうようなものの取り組みも積極的にやっていただいているところでございます。私も、科学博物館やあるいはオリンピックセンターにおける世界の遊びというような企画がございましたので、第四土曜日に実際にそういう子供たちの参加している状況を見ますと、子供たちが生き生きと体験的な学習あるいはそういう国際的な交流に参加しているという実情を体験してきたわけでございます。
 今後、そのように児童生徒が学校外におけるそういう活動におきましても自主的、主体的に参加をし、それによって体験的な学習というものも身につけていただくことを私どもとしては期待をしているところでございます。
#66
○上山和人君 局長なりの把握していらっしゃる今の状態だと思いますけれども、学習指導要領は六日制のままで、それを手直しをすることなく月二回週五日制になったわけですから、現場で今四苦八苦しておりますのは、一回から二回に移行してそのために授業時間が幾ら減るか、その減る時間をどこで生み出すかということに現場の議論は向かっております。
 その実態は私は御存じだと思いますけれども、学校五日制というのは美しい言葉でいろいろ言われております、バラ色の夢をやっぱり持たせようとしていますよ。これからの学校教育、教育改革の起爆剤としてみんながこれに期待しているわけです。これが完全に実施されるようになったら、恐らくいじめが起こる環境も克服されるんじゃないかという期待すらこの五日制には込められていると思うんですね。
 したがって、局長、標準授業時間数、これをどのように今指導なさっているか、明確に簡潔にお答えいただけませんか。今までのものは聞いていますよ。
#67
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 今回の学校週五日制の実施に当たりましては、昨年の十一月二十四日に学校週五日制の実施について通知を各都道府県教育委員会にあてて発送いたしまして、その趣旨を踏まえて学校における教育課程の編成、実施について取り組んでいただくようお願いしているわけでございます。その場合に、各学校においては、学校週五日制の趣旨を踏まえまして、児童等がみずから考え主体的に判断し行動するために必要な資質や能力を身につけることを重視しまして、教育課程の基準に従い、授業時数の運用、指導内容、指導方法の全体にわたる工夫改善を一層進め、教育水準の維持に努めることを基本的な留意事項としてお願いしているわけで、その際に、各学校の実情を踏まえつつ、児童等の学習負担に配慮しながら、各教科の教材等の精選や学校行事や各教科等外の活動の精選、短縮授業の見直しなどを総合的に行うように努めていただくように通知を差し上げているところでございます。
 そこで、各学校現場におきましては、そのような通知を踏まえ、また各教育委員会等の指導を受けて実際の教育課程の編成に当たっていただいているわけでございます。私どもとしては、そのような中で、標準授業時数については、もう先生御案内のとおり、学校教育法の施行規則にそのような年間の標準授業時数が定められているわけで、そこでは、学習指導要領が示している各教科等の内容を指導するのに要する時数を基礎として、学校運営の実態などの諸条件も十分考慮しながら標準として定めているものでございますから、通常の場合はこのとおり実施することが期待されているという指導をしているわけでございます。
 ただ、実はこれについて、例えば阪神大震災のような場合に、特別な事情がある場合にはある程度弾力的な運用をせざるを得ないわけで、それぞれの学年の課程の修了の認定あるいは卒業の認定等については、若干そこは弾力的な扱いが必要な場合もあることは阪神大震災後の私ども各都道府県教育委員会に対する指導においても述べているところでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、通常の場合においてはやはり教育水準の維持を前提にしているわけでございますので、学習指導要領が定める教育内容の指導に要する時数として標準授業時数が定められておりますので、そういうものを踏まえて適切な教育過程の編成、実施に当たっていただくように指導しているところでございます。
#68
○上山和人君 今の局長のお話をお聞きしておりますと、現場は弾力的な運用といいますか、授業時間数は減らしてもいいという理解はしがたいと思いますわ。
 通常の場合は、大体週六日制でできている指導要領が適用されて週五日制が月二回実施されるようになっているわけですから、どだい無理なんですよ。減る時間数をどこかで生み出さなければならないという発想に現場は陥るんです。私は、今の局長のお話をお聞きしていまして、現場がそう受け取るのは無理もないなと思いましたよ。通常の場合は、ちゃんと定められているように標準時数が守られることが望ましい、学力水準を維持するのが目的だからとおっしゃる。ただ、阪神・淡路大震災のようなああいう特別の場合はそれは別でしょうとおっしゃる。極めて例外的なものしか弾力的な運用は原則としては認めがたいんだという趣旨に聞こえますよ。
 これは標準なんですか、最低なんですか。これはもうはっきり替ってください。
#69
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたように、月二回の学校週五日制は、調査研究協力校の研究の成果などを踏まえて検討した結果、現行の教育課程の基準に従って実施することとしたものでございまして、標準授業時数は、学習指導要領で示している各教科等の内容を指導するのに要する時数を基礎といたしまして、学校運営の実態などの諸条件も十分考慮しながら標準として定めているものでございますから、通常はこのとおり実施することが期待されているものであることは先ほどのとおりでございます。
 そこで、標準授業時数につきましては、授業時数の最低を必ずしも定めたものではなくて、各学校でこれを標準として、学習指導要領に定める内容を指導できる範囲内において地域や学校の実態を十分考慮して授業時数を定めることができるものでございます。したがって、年間を通じて時数確保の努力をした結果、一単位時間も下回ってはならないとするものではなくて、あくまでもその場合に教育内容の指導が十分行えるということももちろん必要であることは言うまでもないところでございます。
 このような考え方につきましては、これまで指導書などによりまして各学校や教育委員会に対して指導をしてきたところでございますが、今後ともこのような指針を通じまして指導、助言に努めてまいりたいと考えております。
#70
○上山和人君 標準であって最低時間数ではないということは明確におっしゃいましたね。しかし、その指導をなさっている内容をお聞きしますと、どうしても現場は今の要領で定められた標準時間数を確保することを最優先させるんじゃないでしょうか。
 局長、端的にお伺いしますが、弾力的運用の幅は標準時数の何割ですか。
#71
○政府委員(井上孝美君) お答えいたします。
 その点につきましては、指導書の中でもそのような疑問に対しまして記述をしているわけでございます。授業時数を標準とした趣旨からいたしまして、結果的にはこの標準を下回ったり上回ったりできる許容の範囲、すなわち標準の幅というべきものについて具体的に範囲を示すことは、結果的に授業時数の最低と最高を定めることになって授業時数を標準とした趣旨から見ても適切ではない。したがって、下限は学習指導要領に定められた各教科の目標を達成し、必要な内容を指導できる限度であるということを指導書では述べているわけでございまして、そういう趣旨で従来から指導をしているところでございます。
#72
○上山和人君 私どもがこれまでお聞きしている限りでは、どなただったかというのは定かに把握できませんけれども、初中局長が一割の幅はあると明言をされたとずっと伝えられています。一割の幅はあるんだと。だからこそ、六日制の要領で月二回の週五日制が可能なんだというふうに言われているんです。それは違うんですか。
#73
○政府委員(井上孝美君) お答えいたします。
 標準授業時数については、今指導書で具体的に述べておるとおりでございまして、従来から私どもとしてはそのような考え方について述べているわけでございます。
 そして、通常の場合においては、標準授業時数を確保することは、これは当然学習指導要領の内容を児童生徒に徹底し、教育水準を確保し、教育内容についても十分その内容を確保するという意味から当然のことでございます。
 ただ、ある程度そこに、若干それを下回るという場合は、例えば先ほど申し上げましたような阪神・淡路大震災のような場合を念頭に置きつつ、通常ではないがそういう場合についてはどうしても弾力的な取り扱いが必要になるという場合を念頭に置いておったことが二月の予算委員会などではございます。しかし、基本的に学校週五日制になったから標準授業時数を弾力的に扱っていいということにはならないわけでございまして、現行の学習指導要領に従って、それを学校において教育活動を実施する上で何ら支障がないということの上で月二回の学校週五日制を実施することになったことは既に先生も御存じのとおりでございます。そういう趣旨において、学校週五日制が円滑に実施できるように私どもとして指導していきたいと考えているところでございます。
#74
○上山和人君 どうも思わぬ局長の答弁にぶつかりまして大変当惑しております。
 何も阪神・淡路大震災のような特別なケースを想定して今申し上げているんじゃないんです。それはそれです。でも、今私たちが心配していますのは、学校五日制がせっかくスタートして月二回にこの四月からふえた。学校五日制というのは教育改革、学校改革の起爆剤になるとみんな期待している。これが円滑にこの趣旨に沿って進むと、子供たちにも教職員にも、そして学校にもゆとりができて、いじめが起こるような環境もやがて克服できるんじゃないかという期待が込められているだけに大変重要な問題だと思うんです。
 私が今持っております資料は、朝日新聞の「学校解体新書」というシリーズ、連載の欄があります。これは編集委員の方がずっと執筆をなさっている。これはことしの二月六日、月曜日の記事です。この中に明確に、これは根拠のない記事じゃないと思いますから、これはいずれはっきりしなくちゃならないと思いますけれども、「現在の学習指導要領は、それを作った初等中等教育局長(当時)さえ「一割の幅はある。完全五日制になっても、いまの要領で対応できる」といっているほど、弾力的なものだ。」と解説をしています。初中局長のどなたかがおっしゃっているはずなんです。
 これはいずれ資料を精査して明らかにしなくちゃならない、この記事をフォローして私はしっかり責任を持って明確にしなくちゃならないと思いますけれども、前の初中局長が明らかに一割の幅がある、だから完全五日制になっても今の指導要領でもいいんだと言っているほど弾力的なものなんだという解釈を私たちはするんですよ。ところが、局長のお話をお聞きしますと、そうじゃないんだ、学校五日制になったからといってこの標準時数を弾力的に運用していいというわけでは必ずしもないんだとおっしゃると、どうも逆な方向に標準時数の取り扱いの解釈が向いているように思えて大変気になります。
 そこで、先ほど実験校などの成果を踏まえて月二回に移行しても今の指導要領でやっていけるという判断をしたんだというお話をなさいましたから、ある中学校の実験校の例を御紹介します。
 ある県のある中学校、実験校です。ここは昨年九月以降、後半ですね、月二回に移行することによって、九、十、十一、十二、一、二、三の七カ月間で、月二回の五日制に移行することに伴って三十二時間の授業時間が今までよりなくなる。したがって、この三十三時間をどう確保するかという観点で研究が行われている。
 そして、結果として申し上げると、三十三時間の授業時間は全部確保しています。そのためにどこがカットされているかというのが問題だと思うんです。これは全部を申し上げる時間はもうどんどん過ぎていますからありませんけれども、例えば学芸的な行事、校内弁論大会を二時間あったものを全部廃止しています。それから、音楽祭が二時間あったものを全部廃止しています。そして、体育大会の準備に二時間当てていたのを全部これも廃止している。文化祭の準備のために設けられていた一時間も全学年全廃しているという状態ですよ。そうして三十三時間を生み出しているんです。
 さらに、大変大事な問題だと思うんですけれども、学年、学級の自主活動が大幅に削減をされております。こういう問題こそ大変大事じゃないかと思うんだけれども、勤労体験学習の時間が、三時間ずつあったのが二時間ずつ廃止されております。一時間になっている。それから表現、鑑賞活動、これは映画教室とか音楽鑑賞の時間というものですが、これは六時間ずつあったのが二時間ずつ減らされております。まして、教育相談の時間が、中学校ですから一、二、三学年各学年とも五時間ずつあった。二時間ずつみんな減らして三時間にしています。教育相談の時間すら、五時間あったものを二時間ずつ減らして三時間にしているんですよ。
 そういうふうにして三十二時間、なくなる授業時間は確保しました、成果がありましたと言っているわけです。そういう実験結果が文部省に報告をされるんです。そういうものを踏まえて今のような局長の答弁になっている。
 今のように、失う、なくなる、消える授業時間を確保することを最優先させて、今端的に例を御紹介しましたけれども、これは一つの中学校の歴然たる事実ですから、そんなふうに学芸的な行事や、何といいますか、勤労体験とか鑑賞活動とか教育相談の時間までカットして授業時間を生み出す目的で学校五日制を月二回に移行したんですか。
#75
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 月二回の学校週五日制の実施通知では、各学校におきまして教育課程を編成、実施する際の留意事項として、それぞれの学校の実情を踏まえつつ、児童等の学習負担に配慮しながら、各教科の教材等の精選、学校行事や各教科等外の活動の精選、短縮授業の見直しなどを総合的に行うように示したところでございます。その趣旨は、学校の教育課程全体を見直す中で、教科の学習との関連や家庭及び地域社会との連携を考慮して学校行事等を見直してほしいということでございます。
 学校行事の精選につきましては、一律に削減するのではなく、個々の行事の教育的な効果を十分検討して、学校行事の準備に要する時間を削減したり、複数の学校行事を統合してより効果的に実施したり、教科の内容として位置づけて実施するなど、学校の実情に応じ必要なものを適切に行うことが大切であると考えております。
 文部省といたしましては、このような趣旨が各学校や教育委員会において徹底されるように、通知とともに事例集を作成、配付するなどして指導を行ってきたところでありまして、今後とも学校週五日制の趣旨を生かした取り組みが各学校において一層適切に進められるよう、引き続き指導、助言に努めてまいりたいと考えております。
#76
○上山和人君 今のような御指導をなさった具体的な結果が、今申し上げているとおりなんですよ。こういうふうにして三十三時間を確保することが望ましいと思っていらっしゃいますか。勤労体験学習の時間を切ったり、教育相談の時間をカットしたり、映画教室を廃止したり、そういう行事を見直すことで三十三時間を確保すること、こういう現場のやり方が望ましいとお考えですか。学校五日制の趣旨に沿いますか。
#77
○政府委員(井上孝美君) 先ほども御答弁申し上げましたように、学校の教育課程全体を見直す中で、教科の学習との関連や家庭及び地域社会との連携を考慮して学校行事等を見直してほしいということについては指導しているところでございます。
 そういう意味で、先生からただいまお話がございましたような、学校行事の中で、必ずしも学校でやらなければいけないということではなく、家庭あるいは地域社会においても体験的な学習、そういうものができるものについては、学校においてその地域の実情等を踏まえて、教育課程全体を見直す中でそのような精選を行ったというように理解もできるわけでございます。
 学校週五日制は、この四月始まったばかりでございますので、今後における学校等の取り組みについても、私どもも十分掌握しながら適切な対応をしていただくように指導していきたいと考えているところでございます。
#78
○上山和人君 文部省におられて一つ一つの学校の実情について具体的に掌握なさるのは、それは無理だと思いますよ。でも、はっきり一つの中学校の具体的な実態をお示しして、これでよろしいんですかというふうにお尋ねしているんです。
 小学校だって同じですよ。実験校の小学校の例を今度は簡単に出しますが、映画教室を二時間あったのを全廃しているんです、小学校で、授業時間を確保するために。この学校は一時間ずつ図書館祭りというのをやっていた。これも廃止しているんです。そんなふうに、私たちから見ると、木宮先生おられぬけれども、心の教育が大事だと書われた。その心の教育にまさに一番重要だと思われるようなものがどんどんカットされているわけですよ。
 例えば、健康安全・体育的行事についても、交通教室、これは大事ですよ、小学校の子供たちにとりましては。これは三時間ずつあったのを一時間ずつ減らしていますね。体力・運動能力検査というのは全廃しています。廃止しているんですよ、そういう検査も、校内の水泳大会も廃止した。運動会の練習時間も全部なくした。ゼロにしているんです、各学年二時間ずつあったのを。それで、遠足、スケッチ大会、これももうほとんどなくなっている。
 こういうふうに授業時間を確保することを最優先させて、まさに子供たちの心の教育に重要だと思われるようなものにしわ寄せが行ってカットされて、果たして学校五日制がその目的に沿って進んでいると理解をしていいんですか。逆ですよ、これは。こういう状況ではいつまでたってもいじめの環境は克服されませんよ。むしろ、子供たちはまずます窮屈になるんじゃないですか。逃げ場をどこに見つけようとするんですか、こういう状態で。学校の中では、月二回の週五日になって、かえってぎゅうぎゅう授業で追い回されているという実態になっている。小学校と中学校の例を申し上げました。
 そこで、時間がもう三分しかない。現場はこういう実態なんですよ。ぜひ局長、これでいいかどうかということを大臣を中心にして文部省全体で、こういう実態が本当に五日制の趣旨に沿うものであるかというのを検討されて、改めて別の機会に明確な答えをしてください。これでいいとおっしゃるんなら私たちは考え直さなくちゃいけないですよ。文部省の今進めていらっしゃる行政に対して、与党としてもこれは対応を考えなくちゃいけない、これでいいとおっしゃるんならですね。だから、もう少しぜひ御検討なさって、まとめた見解を一遍お示しいただきたいですね。
 最後に、五月八日から電話相談窓口が設けられましたね。これは〇三−三五〇六−○〇七八という代表番号で、電話が四本ある。きのう聞いてみましたら、一日平均二十本のいじめの相談があると。きのうは偶然に三十本以上あって大変忙しい日だった。四本で足りますかと言ったら、とても足りませんと。ただ、八日にスタートしたばかりですから、まだ四日しかたっておりませんから全体を見ることはできませんけれども、まだ余り知られていないのにこの四日間でこういう状況です。とても足りない状況になりますと。
 しかも、〇三−五〇六−〇〇七八ですから、これは電話料の要る電話なんですね。朝日新聞のコラム欄が指摘をしていますけれども、全国からこの状態で相談がわんさとあるということを予想された上で、これを設置されたこと自体は評価しますよ、でもわずか四本。しかも、電話料の要る電話になっている。せめて、とても電話が鳴りっぱなしで間に合わないという状態でないようにふやすことと、(「フリーダイヤル」と呼ぶ者あり)そうですね、今おっしゃっているように、フリーダイヤルにはできませんか。子供たちはこの電話だったらなかなか使えないんですよ。大人が多いと言っています、きのう聞きましたら。子供たちが率直に、親にも打ち明けられない、先生にも言えないことを、せっかくの文部省の漸進的な取り組みだと私は思いますので、もっと自由に全部できるようにフリーダイヤルにすることはできませんか。それだけは具体的にお答えください、これぐらいは。
#79
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 ただいまお話がございました国立教育会舘のいじめ問題対策情報センターは、おかげさまで五月八日に電話相談事業を開始したところでありますが、ただいまお話がございましたように、初日の五月八日には二十件、九日には十九件、十日には三十四件の相談があったところでございます。
 そこで、ただいまお話がございました電話相談に当たってのフリーダイヤルにつきましては、経費的な問題や運用上の諸問題などを勘案して、今年度新たに設置をしたということで実施をしなかったところでございますが、今後の相談の状況やセンターの運営の状況等を勘案しながら今後の検討課題として考えてまいりたいと思っております。
#80
○上山和人君 フリーダイヤルにしてどのくらいの経費が要りますか。補正予算は、十五日に国会に出されて来週じゅうに成立をさせる努力をみんなしていますが、二兆七千億ですよ、補正予算の規模は。そんなものをよく考えてと、フリーダイヤルにすることで本当に、こんな大きな問題を、そんな経費の問題などでちゅうちょすることじゃないです。これは大臣の決断が私は必要だと思いますよ。大臣、これくらいやりますと言ってください。
#81
○国務大臣(与謝野馨君) フリーダイヤルにするかどうか、もう少し様子を見て判断をさせていただきたいと思っております。
#82
○上山和人君 それでは、もうそれはそれ以上出ませんから、ぜひ近いうちにフリーダイヤルにして、子供たちあるいはお父さんお母さんたちが不自由のないように、せっかく相談しようとしているわけですからぜひ勇断を、勇断というほどの問題じゃないんですよ、ひとつ大臣に決断をしてほしいと思いますね。
 先ほどの授業時間確保を最優先させる、そして大事な学校行事をカットするやり方については、実態をさらに調査されて次の機会にまた御報告を願いたい。局長、それはよろしいですね。
#83
○政府委員(井上孝美君) 御趣旨を踏まえまして、適切に対応したいと思っております。
#84
○上山和人君 それでは、もっとたくさん言いたかったのですが、これで終わります。
#85
○山下栄一君 平成会の山下でございます。
 私も、最初に五日制のことにちょっと触れさせていただきたいと思います。
 今、上山委員の方から御指摘ございました。私も前回の三月十七日の質問のときに申し上げましたが、標準授業時間数、これを確保することがやはり最優先されておると。したがって、月二回五日制を導入したために、その分学校行事や学年行事、またクラス行事、特別活動等の子供同士が触れ合う時間、そして学校全体として知恵や工夫を発揮しながらさまざまな行事を考えてきた歴史、今もお話ございました音楽祭とか映画鑑賞とか水泳大会、交通教室、さまざまな御指摘がございましたけれども、こういうものを削らないと授業時間数が確保できないという状況に追い込んでおると。
 特に、本年度からの月二回につきましては、先ほども局長が触れられましたように、この月二回実施に当たっては、全国六百四十何校ですか、調査の中から乗り切れるという判断の上で月二回実施に踏み切ったという話がございましたですけれども、その六百四十校余りのアンケートの中にも、特に中学校におきましては、この月二回の土曜日の六時間ないし八時間の授業が減った分の穴埋めとして、ゆとりの時間を減らし、学校行事を減らすことによって対応するという中学校が圧倒的に多いというデータは出ておったわけですね。だから、そういうことは既にわかった上での導入であったと思うわけです。
 したがいまして、前回大臣もお話ございました、今も局長からございましたように、学校の生活における体験学習とかそういう行事は地域、家庭で補うんだという意味のお話があったわけですね。僕はそれはちょっと違うのではないかということを前回に申し上げて途中で終わってしまったんですけれども、要するに学校生活そのものがどんどん知識中心にさらになっていくと。もちろん、地域、家庭にその分ゆとりの時間が生まれるのだから、地域の行事とか、またはお父さんお母さんとの触れ合いとかがふえる可能性はある。だけれども、学校生活そのものは非常に窮屈になるということは歴然たる事実であるわけですね。それを地域、家庭で補うというのではなくて、私は学校生活そのものにゆとりがなくなってくることが問題であると。
 今、学校嫌いがふえている、不登校もふえている、学校は楽しんで行くところなのかと。いろんな生徒との思い出、教師との思い出をつくる場所というよりは、懐かしく思い出される学校生活というよりは、生活者の学校というよりは、とにかく知識押しつけ教育といいますか、そういうふうな生活体験の少ない状況になっていることが学校嫌いをつくり、不登校をつくっている大きな原因であるというふうに考えましたときに、やっぱり子供たちの自由な時間、学校における友達との触れ合いみたいなものが支えで小学生、中学生は生活しておる。特に中学生なんかはそういうことが多いと思うんですね。
 だから、学校行事を減らしたりクラスとか学年の創意工夫された行事を減らすということについては大変な大きな問題で、月二回を実施することによって標準授業時間数を確保するために学校行事を減らし、大事な行事を、特別活動の時間を減らすことは、ますます学校嫌いをつくり、そしていじめがふえる可能性を拡大することになってしまうというふうに私は思うわけです。
 したがいまして、特に問題点となるのが標準授業時間数なんですけれども、これについてやはり弾力的運用を、地震とかということで超例外でなくて、文部省の方から思い切った弾力的運用が可能なんだということをある程度示してあげることが救いになるのではないか。そうは言っても、実は学校現場は入試等の圧力があってなかなか減らせないということがあるかもわかりませんけれども、そういう標準授業時間数に対する考え方の見直し、これが必要なのではないかと、このように考えます。
 それと、先ほど局長がおっしゃった、標準授業時間数の確保というのは教育水準を維持するため、また学力水準を維持することになるから標準授業時間数を確保せないかぬのだというお話がございましたが、この考え方そのものを私は見直す必要があるのではないか。
 確かに、授業時間数の量といいますか、それがイコール学力水準の維持ということになるのかもわかりませんけれども、これだったら完全五日制なんてできないわけでございまして、やはり教育内容の精選とか重点化ということが完全五日制の実施に伴ってどうしてもやらなきゃならない指導要領の見直しにつながっていくわけですから、要するに授業時間数を確保することが教育水準の維持につながるんだという考え方を見直す必要があるというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。
#86
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 月二回の学校週五日制は、先ほども申し上げましたが、調査研究協力校の研究の成果などを踏まえて検討した結果、現行の教育課程の基準に従い実施することとしたものでございます。
 そういう意味で、標準授業時数は、学習指導要領で示している各教科等の内容を指導するのに要する時数を基礎として、学校運営の実態などの諸条件も十分考慮しながら標準として定めているものでございまして、通常このとおり実施することが期待されているわけでございます。
 そういう意味で、先ほども申し上げましたが、標準授業時数については、授業時数の最低を定めたものではなくて、各学校でこれを標準として、学習指導要領に定める内容を指導できる範囲内において地域や学校の実態を十分考慮して授業時数を定め得るものでございます。
 そういう意味で、月二回の学校週五日制の実施に当たっては、各学校において学校行事の精選や短縮授業の見直しなどを行いますとともに、体験的な学習や問題解決的な学習を重視しまして、子供たちが自分の興味や関心などを生かして自主的、自発的に学習に取り組むようにすることが大切でございます。
 文部省といたしましては、このような学校の取り組みが一層適切に進められるよう指導、助言に努めてまいりたいと考えております。
#87
○山下栄一君 余りよくわかりませんけれども。
 ちょっと大臣にお聞きしたいんですが、学校完全五日制を実施するためには学習指導要領の見直しは不可欠であると、この点はこれでよろしいんでしょうか。
#88
○国務大臣(与謝野馨君) 完全五日制に移行するためには、学習指導要領は直さなければならないということでございます。
#89
○山下栄一君 それに関連しまして、第十五期中教審のテーマの一つがこの学校週五日制の今後のあり方、家庭、地域、学校の連携と役割のあり方ですか、これが諮問の一つのテーマになっておるわけですが、この第一回目の会合のときに、これは新聞記事なんですけれども、有馬会長が、「学校五日制がいいのかどうかも含めて議論したい」と、こういうお話があったわけでございます。この学校完全五日制の実施についてはちょっと待てよというふうな、待てよというか実際やるかどうかということそのもの、学校完全週五日制はやらないんだということも中身に入っているわけですか、この中教審の今回の諮問の中の一つには。その点はどうなんでしょうか。
#90
○国務大臣(与謝野馨君) 大きな社会の流れとしては、いずれは完全五日制に私は移行していくんだろうと思っております。日本の社会全体が週休二日という方向に動いておりますし、学校の制度がいつまでもそういう社会の状況とは全くかかわりのないところで、土曜日が休みでないということが永久に続けられるかということになりますと、そうではなくて、やっぱり長期的な方向としては完全五日制に移行していくというのが全体としての私は流れであると思っております。
 ただ、流れであるからといってそのまま五日制に移行するということではなくて、やはり完全五日制に移行する場合には、きちんと立ちどまって物を考えてから移行すべきだと。そういう意味で中教審の先生方に、五日制に移行する場合どのような物の考え方で移行するということが正しいのかということをお考えいただく、こういう趣旨でございます。
#91
○山下栄一君 その実施に向けての条件の一つに、学力水準が維持できるかどうかと。今の日本の科学技術の水準といいますか、低下が心配される。特に、理数科離れとかそういうことがもう一方の課題としてございまして、この五日制が進めば進むほど学力水準の維持ということが心配になってくるぞということがあるのかなと思うんですけれども、この指導要領の見直しと学力水準の維持について、大臣はどのようにお考えでございますか。
#92
○国務大臣(与謝野馨君) 多分、学力というのは単純に授業時間に比例したものではないんだろうと私は思います。しかしながら、授業時間が少なくなることによって消化できる範囲というのは狭まるわけでございますから、そういう意味では、学力が低下するかどうかは別にいたしまして、消化できる範囲が狭くなるということは多分事実であろうと思っております。
#93
○山下栄一君 消化できる範囲が狭まると。ということで、先ほど局長が申された授業時間数を確保することが学力水準の、教育水準の維持につながるということの話に戻ってくるんですけれどもね。僕は、完全五日制を実施することによって、これは少なくとも授業時間数は減らさざるを得ない、教育内容を重点化し精選化することは不可欠であるというふうに思うわけでございます。
 今の大臣のお話なんですけれども、大臣はいろんな機会に理数科離れに対する非常に懸念の御表明もあるわけでございまして、日本の技術力の向上は絶対大事なことであるとおっしゃっているわけですが、もちろん授業時間数、量的な確保そのものが学力水準の維持ではない、だけれども消化範囲は狭まるという微妙なお答えなわけでございます。
 五日制を完全実施する、こういうふうなことを前提にいたしまして、なおかつ学力水準の維持のためにはどういうことが必要なんだと、授業時間数を減らさなきゃならない、それにかわって何が必要なんだということについてはどのようにお考えですか。
#94
○国務大臣(与謝野馨君) 授業時間が減ると申しましても、何も授業時間が半分になるという話では実はないわけでございまして、完全五日制に移行した場合にはさらに月に二回、土曜日の午前中の授業時間がなくなるという話ですから、消化できる範囲が狭まると申しましてもそうドラスチックなものでは実はないと私は思っております。
 そういう中で、やはり教え方あるいは教科書のあり方、そういうもろもろのことを工夫してまいりますと、私は現在の学力水準と大差のない水準は恐らく維持できるんだろうと想像をしております。しかしながら、これはあくまでも想像でございまして、やはり完全五日制に移行する前には、まず完全五日制になった場合の学校、家庭あるいは地域社会の役割というものも考えなければなりませんし、また学校の授業のあり方、教科書のあり方、あるいは学科別の配分のあり方、こういうものはやはり中教審の委員の先生方に十分お考えいただき、御提言をいただいた上でそういう方向に進むべきだと、そのように考えております。
#95
○山下栄一君 教員の資質向上といいますか、また指導方法の深化といいますか、そういうことが不可欠になってくると思うわけでございます。
 それと私は、とにかく授業時間さえ確保すれば学力は維持できるんだという何かやっぱりそういうものが非常に根強くあると思うんですよね。したがいまして、各教科、学校現場においては授業時間数を一時間減らすことについての大変な抵抗があるということもあるわけでございまして、そういう意味で、量的な確保、そして知識の量イコール学力なんだという考え方は根本的に見直す必要がある。
 それよりも、自己学習力といいますか、自分で学ぶ力を身につけさせることが知識を与えるということよりもまさに学力の水準の向上につながるんだと、これがまた新しい学力観に伴う考え方でもあるというふうに思うわけでございます。そういう意味で、考える力、そして判断力とか創造力とかそういうことが今求められている。画一化の教育ではなくて、個性を伸長させる教育というのはまさにそういうことだと思うわけでございます。
 そういう意味で私は、もちろん教師と生徒の授業のやり方そのものを確保するということも大事だと思いますと同時に、さまざまな体験ですね、自然体験とか、それから人間的な触れ合いとか、クラブ活動も含めまして、文科系そしてまた体育系も含めまして、そういうことそのものがまさに学力の水準の向上につながるんだというような考え方もこれから取り入れていく必要があるんではないかなと、このようなことも考えるんですけれども、この点は大臣いかがでしょうか。
#96
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 ただいま先生がお話しされましたことは新しい学習指導要領におけるいわゆる新しい学力観に基づく考え方でございまして、児童生徒がみずから考え、主体的に判断し行動するために必要な資質や能力を身につけることを重視するとともに、先生がおっしゃるような自己教育力をつけることによって、生涯学習社会においてみずから生涯にわたる学習の資質、能力を身につけていくということにつながっていくわけでございます。そういう意味では、先生がおっしゃっていることは、今回の学校週五日制を実施する場合におきましてもそのような趣旨を踏まえた通知を差し上げているところでございます。
#97
○山下栄一君 今の局長のお言葉を踏まえまして、先ほどの上山委員の結論にかかわってくるんですけれども、今おっしゃったことをそうと受けとめますと、先ほどの問題点でございます月二回実施に伴う問題点、教師また生徒が一生懸命創意工夫した学校行事とかさまざまな特別活動、これと、いわゆる標準授業時間数を絶対確保するという、どちらを優先させるかということにつながってくるかもわかりませんけれども、やはり授業時間数の方を優先させるという考え方そのものを見直していただきたい、このように思うわけです。学校行事とか特別活動そのものもまさに学力の深化につながるんだということも考慮に入れながら、特に授業時間数の弾力的運用が図られるような御指導をぜひやっていただきたいと御要望しておきたいと思います。
 次に、教員の資質向上の観点なんですけれども、これも過去何度も指摘され、また臨教審の答申等でも非常に具体的に踏まえられているわけでございますが、なかなか現実は改善されていないというふうに思っております。
 資質向上のために、教員の養成、採用、研修とこの三つの段階が考えられるわけでございますけれども、この真ん中の採用からちょっと聞きたいと思うんですが、教員採用についての改善策、これについて現在文部省はどのような取り組みをされておりますか、お伺いしたいと思います。
#98
○政府委員(遠山耕平君) 教員の採用についての改善でございますが、これにつきましては臨教審の答申を受けまして局長通知等で指導した結果、かなり改善をされてきているわけでございます。
 しかし、なおまた改善の余地があるのではないかということで、昨年三月に教員採用等に関する調査研究協力者会議を設けまして研究を行っているところでございます。その際、任命権者でございます都道府県あるいは指定都市の教育委員会の現状を踏まえつつ、さらに検討をする必要があるということでございます。それから、審議と並行しまして、選考方法の多様化等について具体的に委嘱研究を実施しているところでございます。
 現在の審議状況でございますが、各種団体からのヒアリングを行った結果についての論点を整理しているところでございまして、今後、先ほど申し上げました委嘱研究の結果なども加味しながら報告書を取りまとめていただきたいと考えております。最終的には平成七年度中、今年度中には報告書をいただきたい、このように考えております。
#99
○山下栄一君 平成七年三月三十一日までに研究を終えることについては、これは終わっているわけですね。報告書を取りまとめているという段階ですか。
#100
○政府委員(遠山耕平君) 教員採用等に関する調査研究協力者会議は単年度の事業として予算上措置されておりますので、一応単年度と要綱上はなっておりますが、実際上は継続して研究を行っているわけでございますので、平成七年の三月三十一日で報告書をいただく形にはなっておりません。
#101
○山下栄一君 わかりました。報告書の取りまとめはこれからだと、具体的な取り組みはこれからだということなんですけれども、選考方法の多様化ということで具体策が出てきた場合に、それをどういう形で都道府県に具体化されていくんでしょうか。手続についてお聞きしたいと思います。
#102
○政府委員(遠山耕平君) 臨教審の答申を受けた場合でも局長通知で各都道府県、指定都市に指導を行ったところでございますので、今回の調査研究の結果、指導すべき事項が決まりましたら、やはり局長通知で各都道府県、指定都市に指導していきたいと考えております。
#103
○山下栄一君 実際の採用試験はペーパーテスト中心の都道府県がいまだに大変多くて、問題も非常に細かい知識を試すような質問が多くて、実際、子供が好きで教師になりたいという人ほど採用試験に通りにくいと。それで、子供は余り好きじゃないけれども、教師の待遇その他を考えて、でもしか先生までいかなくても、そういう人が通りやすいという実態になっておる。子供が本当に好きで教師になりたいという人が通りにくいというふうなことが現実にあって、そのために改善されなきゃならないことだと思うんですよね。
 実際、採用されてしまうとそんなに簡単にやめるということは考えられない。したがいまして、教師の当たり外れという言葉があるぐらい、どの先生に教えていただけるか、担任していただけるかが御両親とか子供たちの最大の関心事であると。したがいまして、やはり採用するのにもっと力を入れて、時間をかけて、お金も使うというふうなことが非常に大事なのではないかというふうに思うわけです。
 したがいまして、ぺーパーテスト中心のあり方、その方が大変安易、便利というか簡単に採用できるかもわからないけれども、その分、後から大変なしっぺ返しがあるということだと思いますので、教員の資質向上ということが言われて久しいわけでございますが、そのためにも選考方法を多様化し工夫するということが不可欠である。
 幾つかわかりませんけれども、いろんな工夫がされておると。面接についても集団面接、個人面接に時間をかけたり、また模擬授業を実際やってもらうとか、三分間スピーチをやるとか、そんなこともさまざま工夫されているわけですが、この教員採用については時間をかけてしっかりと取り組むという方向で考えていかないと、やはり資質向上という面からこの点はもう最大の課題ではないかな、このように思いますけれども、この辺の認識はよろしいでしょうか。
#104
○政府委員(遠山耕平君) 先生おっしゃるとおり、教育の技術も大事ですが、教員として一番大事なのは子供に対する愛情、情熱でございます。それをいかに面接等でその先生の熱心さをはかるかということが一番の問題でございます。
 したがいまして、先生おっしゃられるとおり、ぺーパーテストのほかに必ず各都道府県、指定都市におきましては面接試験を実施しまして、その教育的な情熱なり考え方なりをはかろうといいますか、本当にそういう人を選ぼうということで選考をしていただいているわけでございます。
 そのほか、そういうものを判定する材料の資料の一つとしまして、クラブ活動の状況でございますとか、あるいは社会的な奉仕活動の状況等もいろいろ調査をして教員の採用に当たっての参考資料としているわけでございます。
#105
○山下栄一君 今、局長おっしゃったクラブ活動の体験とか、またボランティア経験とかさまざまな社会的経験も考慮に入れて採用するということは賛成でございます。
 年齢制限について、年齢制限を設けない方がいいと思いますが、この点はどうでしょうか。
#106
○政府委員(遠山耕平君) 現在、各都道府県、政令指定都市の方で実施する教員採用試験の受験年齢ですが、全然受験年齢について制限をしていないというのは二県でございます。あとの県につきましては何らかの形で年齢制限をしているわけでございますが、昔に比べましてかなり年齢制限は緩やかになってきておりまして、上限の年齢を引き上げる傾向にございます。
 現在一番多いのが四十歳未満というもので、十九県ございます。その次が三十六歳未満というもので、十一県ございます。それから、一般的に三十六歳とかそういう年齢を設けながら、さらに特例として、ある特定の教科についてはさらにそれを引き上げるというような措置をとっているところもかなり多いわけでございまして、私どもとしては、今後とも教員全体の年齢構成に配慮をしながら、広く社会に人材を求める観点から受験年齢の制限の緩和については各都道府県、政令指定都市に対しまして指導をしていきたいと考えております。
#107
○山下栄一君 今、指導していきたいとおっしゃったのは、年齢制限については原則を余り設けないようにするということですか。
#108
○政府委員(遠山耕平君) 年齢制限を撤廃するのがいいかどうかというのは、現在のところ必ずしも判定できませんので、私が申し上げましたのは、年齢制限について緩和の方向で考えると、こういうことでございます。
#109
○山下栄一君 社会的なさまざまな職業経験とかそういう経験があればあるほど、要するに生徒も多様化しておるわけですから、教育内容も多様化している、特に高校なんかどんどん新しい科目も生まれている状況ですので、教師もやはりさまざまな人材が必要である。そういう意味から社会的な経験ということは非常に大事なのではないか。さまざまな職業を経験された方が教師になるということですね。そういう意味で、年齢制限は原則設けないという考え方の方が正しいのではないか、このように考えておりますが、この点、大臣はどういうお考えでしょうか。
#110
○国務大臣(与謝野馨君) 教師になられる方は、大学を出ましてから教師の資格を取って実際に子供に触れていくわけでございます、教師も人間でございますから、年齢に従い、あるいは人生経験の積み重ねの中でさらに高い人格を確保、獲得していくわけでございます。そういう意味では、教師もまた生徒とともに育っていくものだと私は考えております。
 そういう中で、教師としていろいろ社会的な経験も必要な場合もございますし、また、ある年齢に達することによって初めて児童生徒に物を教える、あるいは人生を教えるということも可能になる、そういう場合もあるんだろうと思っております。そういう意味では、ただいま遠山局長がお話し申し上げましたように、年齢制限を撤廃するというのではなくて、段階的に年齢制限を緩和していくという考え方が私は正しいんであろうと思っております。
#111
○山下栄一君 この採用のあり方は、単に教師の採用に限らず、企業の採用その他、入試のあり方も含めまして、これから多様化が時代の流れであろうと思うわけでございますが、特にこの教員採用試験、採用のあり方については非常に閉鎖的といいますか、なかなか実態がよくわからないという状況があるのではないかなと、こういうふうに考えております。
 特に、試験問題は基本的に公表されていない、非公開。公開している県はないのではないかなと思うんですけれども、こういうことではなかなか採用のあり方そのものの研究が進まないのではないか、このように思うんです。試験問題の公表を含めまして、各都道府県の採用のあり方の情報公開といいますか、これを私は文部省に指導していただきたいなと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
#112
○政府委員(遠山耕平君) 教員採用試験問題を公開することにつきましては、先生おっしゃるような点も確かにあるわけでございますが、一方また弊害面としましては、それが公開されると、例えば大阪府の採用試験はこういう問題が出そうだというような傾向みたいなのが受験生と申しますか教員の受験をする人に伝わりまして、一層先ほど言われましたぺーパーテストの偏重といいますか、そういう方向に流れるおそれもあるということもございまして、現在、各都道府県では教員採用試験問題を公表していないところでございます。
#113
○山下栄一君 実際は、試験は公表されていないんですけれども、試験問題の何といいますか、いわゆる問題集、もちろんそれは情報を業者が集めて出版しているというふうなことであると思うんです。と同時に模擬テストも行われていますし、現実は教員採用試験の模擬テストも非常に盛んになってきているというふうな認識があるんです。
 したがいまして、もちろん試験問題だからペーパーテストオンリーではいけない、多様な採用のあり方を研究し実施していく必要があるということを申し上げているわけで、いずれにしましても都道府県の教員の採用のあり方が極めて不透明であると思うわけです。したがいまして、この試験問題の公表も含めて、採用のあり方そのものをもっと情報公開する必要があると、このように考えております。
 それから、採用スケジュールの件なんですが、三月のぎりぎりにならないと採用されたかどうかわからないというふうな県が大変多いわけです。これは教員になる人材を逃してしまう一つの原因になっておる。要するに、三月まで実際に採用されるかどうかわからない。合格はしているけれども内定通知が来ないというふうなことですね。したがって、十月ぐらいには合格の判定はされているんですけれども、実際の内定通知は三月のぎりぎりになってしか来ないという県が大変多いわけですよ。それまで待てない、したがってもう別の会社に行ったりとかそういうようなこともあり得る。人材を確保するためには、一般地方公務員と同じような形で、合格即内定とかそういうふうなことも、早めて内定するというふうなことも非常に大事なことではないかなと思うんですけれども、この点いかがですか。
#114
○政府委員(遠山耕平君) 先生御指摘の採用時期の早期化でございますが、これも臨教審の方から指摘をされておりまして、各都道府県に私どもの方からも強く指導したところでございます。
 確かに、昔は十一月と三月が一番多かったわけでございますが、その後、定年制も施行されまして、それから文部省の指導等もありまして、現在では一番多い内定時期は十月でございまして、四十七県が主たる内定時期を十月としているところでございます。ただ、採用者全部をその十月に内定するということは不可能でございます。というのは、定年者につきましては十月の時点でもうはっきりしているわけでございますが、いわゆる勧奨退職によりまして退職される方が確定するのはやはり三月の初めごろでございますので、例えば五人採用するうち九十五人は十月に内定できるけれども、あとの五人はやはり勧奨退職の人数が決まる三月に決まるということは当然あり得べきことだと思います。
#115
○山下栄一君 ちょっと認識が私と違うんですけれども。実際、全体的な内定通知が三月であるという県があると思うんですよ。今、四十七全部と何かおっしゃっていましたけれども、その調査は不十分じゃないかなと思うんですけれども、どうなんでしょう。
#116
○政府委員(遠山耕平君) 全部が十月ということではなくて、五十九県市のうち四十七県市が主たる内定時期が十月ということでございまして、先生がおっしゃられるように、現在まだ三月というのを内定時期にしている県も若干ございます。
#117
○山下栄一君 教職課程の件でございますが、教職課程も見直しが余りされておらないという状況があるんですけれども、今、教師として必要な力、もちろん教科の能力もあるわけですけれども、生徒指導の力とかカウンセリングの力とか、そういうふうなことが非常に重要な時代性になってきておる。したがいまして、教職科目の中にカウンセリング講座を設置するとか、そういうことは考えられないのかということをお聞きしたいと思います。
#118
○政府委員(遠山耕平君) 先生おっしゃられるように、現在、各教科の授業だけではなくて生徒指導あるいはカウンセリングというような事柄が非常に学校では大切な事柄になっておりまして、教員免許におきましてもそのことを考慮しまして、昭和六十二年の教育職員免許法の改正におきまして、従来からの教育心理学等の科目に加えまして、新たに生徒指導及び教育相談に関する科目、それから特別活動に関する科目というのを必修にして、教職に関する科目の修得単位を従来よりも五単位増をしております。
 文部省としましては、今後とも大学に対しましてこれらの教職科目の内容を一層充実するように指導することによりまして、教員免許状を取得しようとする者について御指摘の点に関する指導力の向上を図ってまいりたい、このように考えております。
#119
○山下栄一君 大学における臨床心理の講座の数がまだ非常に少ないのではないか。日本の心理学の流れが理論心理といいますか、机の上の心理学というか、研究の要素が非常に強くて、実際の臨床心理というのが非常におくれておるという実情があると思うんですけれども、この辺の改善について具体的な取り組みはどうなっておりますか。
#120
○政府委員(吉田茂君) 国立大学におきます心理学の講座は充実を図ってきているわけでございますが、特に御指摘のようなカウンセリングあるいは臨床心理学、こういった授業科目についてもさらに充実を図ってまいりたい。
 例えば熊本大学、静岡大学の教育学部のシラバスを見ますと、相談心理学というような授業科目を設定しております。こういうところでは、いわゆるカウンセリングマインド、こういったものの涵養を表面に押し出しておるわけでございます。
 こういった形での臨床心理学等の実践的な心理学の授業科目の充実につきましては、今後私どもとしてもその整備充実につきまして力を入れてまいりたい、こう考えております。
#121
○山下栄一君 現在、国立大学で臨床心理学の講座のある大学は幾つのうち幾つあるんでしょうか。
#122
○政府委員(吉田茂君) いわゆる臨床心理学という名称をつけた数についてはちょっと今正確な数を把握しておりませんが、いわゆる心理学の講座の数は、現在、国立九十八大学のうちの六十六大学、百十九講座を設けております。その中で臨床心理学的な、あるいはカウンセリングにかかわるような授業科目の充実が現在図られておるという状況でございます。
#123
○山下栄一君 臨床心理といわゆる精神科、医学の面ですね、この辺の境がちょっとはっきりしないということもあるのかもわかりませんけれども、今の日本の時代性から考えまして、これは単に学校だけではなくて企業の中、また地域、家庭におけるそういう心のケアの問題というものの非常に需要がふえておると思います。前回も申し上げましたが、そういう意味で臨床面の実践心理といいますか、その辺の学問の普及拡大というようなことは非常に時代性として不可欠であると認識しておりますので、その辺の取り組み、先ほど局長が申されましたけれども、取り組んでいただきたいと思っております。
 それから、今度は採用されてからの教員研修ですけれども、これも基本的な研修のあり方が机の前の研修といいますか、講座研修みたいなものが現在では普通になっておると。実際の実地研修というふうなことが少ないように思うんですけれども、これの取り組みはどうでしょうか。
#124
○政府委員(遠山耕平君) 教員に採用された場合に、まず一年間の初任者研修を実施しております。それから、各年数を経るごとに五年あるいは十年、それから中堅教員研修、あるいは管理職のための研修というぐあいに、研修については現在体系的に都道府県の方で研修計画をつくって実施をしているところでございます。
#125
○山下栄一君 大学院とか大学への内地留学みたいなこともあると思うんですけれども、そうではなくて、申し上げましたのは、教員になってからも福祉の現場に実地研修に行くとか、それから少年院とか教護院、そのようなところに行っていろいろ勉強するというふうなことも今の時代性では大変大事なのではないかなと考えておりますが、この辺の考え方はどうでしょうか。
#126
○政府委員(遠山耕平君) 教員につきまして、その視野を広めていただくために、初任者研修の校外研修の中でいろんな福祉施設やあるいは企業等を見学したり、あるいは実際に企業等で一日実務を行うというような研修を行っている都道府県もございます。
 それから、ある一定の年齢を経験した後で、全員ではございませんが、そのうちの一部の教員につきまして、企業等へ数カ月派遣されてそこで研修を受けるとか、あるいは大学院へ留学する、内地留学をするというような形で研修を行っている県がかなりふえてきております。
#127
○山下栄一君 研究研修の方向もあると思うんですけれども、いわゆる実地研修、この充実が今求められておると思いますので、その辺の取り組みの強化をぜひ図っていただきたいと思います。
 それから、社会人講師の件なんですけれども、社会人講師ですからパートの教師になるのかもわかりませんけれども、これは生徒の多様なニーズに合わせるためにも大事なんではないか。特に中学生、高校生にとっては、社会人講師に触れることによって具体的な進路指導になる。世の中がどうなっておるのかというようなこと、どんな仕事があるのかということをそういう社会人講師を通して勉強できる、このように考えます。
 と同時に、教員の研修にもなる。新しいタイプの社会人の方に来ていただいて今までにはない新鮮な授業を見たり、またその社会人講師と触れ合うことによってずっといらっしゃる教師の研修にもなる、そういうように考えまして、この社会人講師の採用は普及を図っていく必要があると、このように考えておるわけでございますが、採用実績についてちょっとお聞きしたいと思います。
#128
○政府委員(遠山耕平君) すぐれた知識あるいは技術を有する社会人を学校教育で活用することは、学校教育の多様化あるいは活性化を図る上で極めて重要でございます。
 そのために二つの方法があるわけでございます。現在の制度では、一つが社会人を教諭に直接採用する特別免許状の制度でございます。それからもう一つが、免許状を持たない人であっても非常勤講師として採用する制度、これが特別非常勤講師の制度でございます。
 そのうち特別非常勤講師の制度につきましては、平成五年度は高等学校を中心に全国で千七百八十二件実際に採用されております。都道府県で申しますと三十七都道府県にわたっているわけでございまして、平成六年度はさらにふえているのではないかと思います。
 特に中学校について言及されましたが、文部省では、平成六年度から公立中学校における社会人の活用を推進するために、中学校に特別非常勤講師を配置して指導上の効果を研究する場合に国庫補助を行っているわけでございまして、それによりまして平成五年度と比べるとかなりふえているのではないかと思います。現在、その数字については調査中でございます。
#129
○山下栄一君 私は採用実績を聞きました。平成六年度はわからないかもわかりませんけれども、実際ほとんど採用実績がない県が多いわけです。私が申し上げたのは中学校ですけれども、その辺をちょっと今お聞きしたんです、採用実績。
#130
○政府委員(遠山耕平君) 千七百八十二件というのは小中高、特殊全部合わせてでございますが、そのうち平成五年度は、中学校は全体で九十五件でございました。そのうち公立は三件しかなかったわけでございますが、先ほど申し上げました国庫補助制度によりまして平成六年度は一応三件が百十三件にふえている、こういう実績にございます。
#131
○山下栄一君 ゼロの県、質問通告でお願いしてあったんですけれども、わかりましたでしょうか。
#132
○政府委員(遠山耕平君) 特別非常勤講師の活用がなされなかった県は、平成五年度では十県でございます。
#133
○山下栄一君 平成六年度はわからないということですね。
#134
○政府委員(遠山耕平君) はい。
#135
○山下栄一君 先ほど申しましたように、社会人講師が子供にとっての進路指導になる、それから教員にとって生きた研修になるということから社会人講師の積極的な活用を図るべきであると、こういうふうに思っておりますので、この予算措置も含めまして積極的取り組みをぜひお願いしたいと、このように思います。
 それに関連しまして、中学校の免許外教員の解消事業が平成六年度から補助率三分の一で始まっておりますが、着実に成果が上がっているようでございますが、この解消に向けてのスケジュールができておりましたら教えてください。
#136
○政府委員(遠山耕平君) 中学校教員の免許外担当の問題でございます。これにつきましては、理由としまして三点原因がございます。
 一つは、僻地学校等で小規模校が非常に多いということ。それから二番目としましては、ベビーブームのときに急激な教員増を行いましたが、そのときの影響によりまして教科別に必要な教員と現員との間に若干の乖離があるというのが二つ目の原因でございます。それから三つ目は、これは総務庁の行政監察で指摘された事柄でございますが、各学校で教員の持ち時間の調整のために免許外担当を行っている、こういう実態もあるわけでございます。これら三点のそれぞれ原因別にやはり対応していく必要があろうと考えております。
 一つは、いわゆる標準法に基づきまして教員定数をふやすことでございます。これは現在第六次の教職員定数改善計画が進行中でございます。年次計画によりまして教職員定数の計画的な改善を図っておりますので、その中で免許外教科担任の解消にも配慮をしていきたいと考えております。
 それから、二つ目の教科別の必要な教員と現員との若干の乖離の問題でございますが、これにつきましては、各都道府県、指定都市の教育委員会におきまして、教員を採用するときにそれを是正するような教員採用計画をきちんと立ててもらうことが必要だと思います。そういうことをしていただくように各県、指定都市の教育委員会に対し指導を行っているところでございます。
 それからもう一つは、単に教員の持ち時間調整のために免許外教科担任が発生する、こういうことでございますが、これはやはりそういうことのないように、教員の負担の均衡化のためには校務分掌等で教員の負担を同じようにしていくということで、持ち時間数の調整のためだけで免許外教科を担任するというような措置をとらないように各都道府県、指定都市に対して指導を行ってきているところでございます。
 平成六年度でございますが、その指導の結果、前年度と比べまして約二割、八千六百件減となっております。しかし、まだ三万六百件免許外教科の担任がございますので、さらにその削減に努めてまいりたいと思います。
#137
○山下栄一君 削減に努めたいという話の具体的なことを聞きたかったんですが、平成七年度予算で約三億円近いお金が免許外教科解消のための予算になっておるわけです。非常に強化されてきていると思うんですけれども、この方向が続いていくというふうに考えてよろしいんでしょうか。
#138
○政府委員(遠山耕平君) 平成七年度予算におきましては、免許外教科担任の解消のための非常勤講師の配置の補助事業でございますが、平成六年度は各県九人程度の予算でございましたが、それを七人各県ふやしまして、各県十六人程度にふやしております。したがいまして、時間数としましては、四千四百時間程度から七千九百時間程度にふやして予算を措置しているところでございます。
#139
○山下栄一君 七年度はわかっているんです。だから、その方向が続いていくということですね、解消に向かって。
#140
○政府委員(遠山耕平君) はい。このような措置によりまして、七年度は平成六年度よりもさらに免許外教科担任が減るものと私どもは期待をしているところでございます。
#141
○山下栄一君 スクールカウンセラーの配置がこの四月から考えられておると。実情はどうなっておりますでしょうか。
#142
○政府委員(井上孝美君) スクールカウンセラー活用調査研究委託事業につきましては、実施校について現在その選定作業を進めているところでございます。また、実施校の選定に当たっては、本調査研究事業の趣旨、目的を踏まえつつ、各都道府県の意向を十分聴取し、それを尊重しながら行っているところでございまして、今後できるだけ早い時期に本調査研究事業の実施を行うようにしていきたい、このように考えておるところでございます。
#143
○山下栄一君 既に各都道府県の計画といいますか、それはもう全部刷り上がっているわけですね。具体的に配置されるのはいつごろなんでしょうか。
#144
○政府委員(井上孝美君) スクールカウンセラーについては、現在各都道府県においてその選考が行われているところでございます。また、その各都道府県における人選に当たっては、この事業の趣旨を考慮して、臨床心理士を初め精神科医や大学の教官など、児童生徒の心の問題に関して高度に専門的な知識、経験を有する者を起用することとしているところでございまして、そういう各都道府県におけるスクールカウンセラーの選考を待ちまして、文部省にそういう申請が参りましたらできるだけ速やかに決定をしたい、このように考えておるところでございます。
#145
○山下栄一君 今年度予算で措置されているわけでございまして、各都道府県から、我が県は小中高こういう考え方で、またこういう人を配置したいという、これはもう既に終わっていると思うんです。提出済みだと思うんです。ところが、これは今年度予算ですから、悠長にしていたら文部省が都道府県の要請どおりにやらない場合もあると思うんです、これは全額国庫負担だと思いますので。違いますか。
 いずれにしても、都道府県の計画が文部省の決裁によって変わる場合があると。となってくると、またどんどんずれてくる可能性があるので聞いているわけでございます。
#146
○政府委員(井上孝美君) 実は私どもも早急に、四月当初からということで各都道府県に対してその申請を要請してきたところでございますが、予算成立後、今年度に入って各県からのそういうスクールカウンセラーの選考等、また実施校の選定、そういうものに若干時間を要している県があるわけでございまして、そういう各県の選考状況等を進めるように今お願いしているところでございますので、できるだけ早い時期にそういう調査研究の実施校を決定したいと考えております。
#147
○山下栄一君 平成七年度はもうどんどん進んでおりますので、これはいじめ対策の最大の、最大かどうかわかりませんけれども、非常に重要な文部省の、また国全体としての取り組みの委託研究だと思うんです。
 そのなかなか決まらない状況が人の問題ではないかなというふうなことを思うんですが、実際これは臨床心理士の中から各都道府県が協会と相談して決めるということ、この人選の方法として都道府県が考える、それぐらいしかないのかなと思うんです。人の問題で困っているのではないかなと思うんですが、臨床心理士とか精神科医以外に、前回のこの委員会の御答弁で局長が教員OBをおっしゃったんですが、これは間違いないんでしょうか。
#148
○政府委員(井上孝美君) スクールカウンセラーの職務といたしましては、児童生徒へのカウンセリング、カウンセリング等に関する教職員及び保護者に対する助言、援助、それから児童生徒のカウンセリング等に関する情報収集、提供、その他児童生徒のカウンセリング等に関して各学校において適当と認められるものというものを職務として考えているわけでございます。
 したがって、こういう職務を遂行できるように、スクールカウンセラーの人選に当たりましては、臨床心理士など児童生徒の心の問題に関して高度に専門的な知識、経験を有する者を起用することとしているところでございますが、地域の実情等によってこれらの専門家が得がたい場合には、十分な知識、経験を持った、特に生徒指導等についても長い経験を持ったベテランの教員経験者を活用することもあり得るところというふうに考えて、三月十七日にお尋ねをいただいた本文教委員会でも御答弁申し上げたところでございます。
 いずれにしても、本事業の実施に当たりましては、その趣旨を踏まえまして、適切な専門家が起用されるように各都道府県に配慮をお願いしておるところでございます。
#149
○山下栄一君 スクールカウンセラーは現職教員の中からは選ばないということですね。ただし、OBはあり得るということになるわけですね。
 私が理解しましたのは、これは教員経験者というよりは、教員免許を持たないいわゆる心の治療の専門家といいますか、臨床心理士とか精神科医というふうに理解していたんですけれども、そうではないということですね。
#150
○政府委員(井上孝美君) スクールカウンセラーの起用に当たりまして、先ほど申し上げました職務を遂行できる専門家、高度に専門的な知識、経験を有する者を起用することが適当であると考えているところでございますから、本来でありますと、臨床心理士あるいは精神科医や大学のそういう心理学等の教官などで児童生徒の心の問題に関して高度に専門的な知識、経験を有する者を起用することが望ましいことは事実でございますが、場合によって、やはりそういうカウンセラーの職務を遂行できるような、生徒指導等を長年経験し、ベテランでかつカウンセリング能力を持つというような教員の経験者を活用することも場合によってはあり得るのではないかということを申し上げているところでございます。
#151
○山下栄一君 教員免許所有者もあり得ると。
 ちょっと簡単に御答弁願いたいのですが、小中高の比率ですけれども、これは一対一対一じゃない、場合によっては中学二人で小高どちらかで一人ということが考えられる。この小中高の比率なんですけれども、実際、都道府県の実情に合わせて、中学校の厳しいところは中学校で二校とかというのが考えられると思うんですね。都道府県のそういう意向を尊重するのか、そうじゃなくて、文部省でその比率については全体のバランスを考えて変更することもあり得るというか、その辺はどちらなんでしょうか。
#152
○政府委員(井上孝美君) スクールカウンセラーの各都道府県の実際の配置に当たりましては、もちろんスクールカウンセラーを配置することが緊急に必要であるというような学校を重点的に配慮しながら各都道府県で申請をしてくると思うわけでございますが、私どもとしては、やはり中学校を重点に置いてその実施校を選定していただくようにしていきたいなというようにも考えているところでございますから、各都道府県もそういう学校の、小中高等学校の実情を踏まえながら適切にそういう実施校については選定して申請をしていただけるものということを期待しているところでございます。
#153
○山下栄一君 ということは、全都道府県の要望の中で小学校がほとんどないとなった場合、全体的に中学校が非常に多くなった、中高中心になったと。そうすると、バランスは非常にアンバランスになるけれども、それでもある程度構わないということですか。
#154
○政府委員(井上孝美君) 本年度最初の事業でございますので、現在各都道府県の申請の状況は必ずしもまだ出そろっておりませんが、県によっては今先生がおっしゃったようなケースも考えられるわけでございまして、できるだけ私どもとしては県のそういう実情、御意向というものを尊重しながら実施校を決定したいと思っております。
#155
○山下栄一君 非常に期待されている事業と思いますので、できるだけ都道府県の一生懸命考えられた意向を尊重して、今の局長の御答弁どおりにお願いしたいと思います。
 最後にエンゼルプランの関係なんですが、要するに家庭の教育力の向上ということで、特に若い御両親、お父さんお母さんの相談に乗る、特に育児相談なんですが、家庭の教育力向上のために社会的に支援する必要があると、それがエンゼルプランの中に入っていると思うんですけれども、既にこれはもう予算化されておると。
 特に厚生省の取り組みの地域子育て支援センターなんですが、各市町村の保育所に地域子育て支援センターを併設して、そこでこの各市の中にある幾つかの保育所で子育てのネットワークをつくっていくという構想のようでございますけれども、特に若い御両親が具体的に相談できるかどうかと考えました場合に、平日の普通の時間帯では余り意味がないのではないかなと。特に夜間とか日曜日等、休日に相談したいというそういう要望が僕は非常に広範囲にあると思うんですけれども、その辺の受け入れ体制ができるようなプランなのかどうか、お聞きしたいと思います。
#156
○説明員(吉岡大忠君) 御説明を申し上げます。
 子育ての経験のない若い母親に育児の相談の支援体制を整備する、御指摘のように大変重要な課題でございまして、過日、文部省さん等も入りました四省庁のエンゼルプランの中においてもこういった施策を進めていこうということが記述されておるわけでございます。
 厚生省といたしましては、既に母親になる前から保健所でありますとか児童相談所、あるいは福祉事務所の家庭児童相談室といったいろんな相談の窓口におきまして相談事業をやっておるわけでございますけれども、御指摘の地域子育て支援センター、これを各市町村一カ所程度いずれ配置をして地域の子育て不安の家庭の相談を強力に進めていこうということで、計画的に整備を進めていきたいと考えておるわけでございます。
 休日、夜間の相談体制につきましては、この地域子育て支援センターでいきなりそういった体制をしくかどうかということにつきましては、なお検討させていただきたいと思っておりますが、既に児童相談所等におきまして夜間あるいは休日に電話によりまして相談を行う事業を平成元年度から実施しておるところでございまして、できるだけ身近なところでそういった需要にこたえられるような体制の整備を今後とも検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#157
○山下栄一君 児童相談所は都道府県単位ですね。電話相談もないよりはましだと思うんですけれども、実際、需要にかなうためにはやはり夜間とか休日の相談事業という、具体的にそこに出向いて相談に乗っていただけるという体制が必要なのではないか。これは特に自治体の問題かもわかりませんけれども、具体的にそういうところが非常に少ないように思いますので、ぜひ国の方でリードしていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
#158
○江本孟紀君 先日、五月五日のこどもの日に全国四十七都道府県五十カ所で、私が役員をしております日本プロ野球OBクラブというのが子供に無料で野球教室を開くというイベントを行いまして、子供が大体一万五千人ぐらい、それにかかわる父兄、それから学校の先生その他いろんな方が来られました。大変なイベントになったわけですけれども、その際に文部省から後援をいただきまして大変ありがとうございました。この場をかりてお礼を申し上げます。文部省が後援すると言ったら自治体も張り切って応援をしていただきまして、子供にとっても大変なイベントで、大変喜ばれました。
 全国でやるということに意義があったんですけれども、特にきょうは何を言いたいかといいますと、その中で、神戸でやらせていただきました。神戸と西宮、二カ所で兵庫県はやったわけです。費用の問題もあって何カ所もできないものですから、とにかく神戸と西宮ということで、神戸ではグリーンスタジアムというところでやったんですけれども、子供が六百名ぐらい、学校の先生も参加して、それから町の監督、コーチというか指導者といいますか、そういう人たち、それから市役所の方たちも大勢来られて、父兄の方はもちろんですけれども、大変なイベントになったわけです。
 そこで皆さんからいろいろお聞きをして、大変だったと、神戸の人は特に大変でしたねということでお話を聞いたところが、このグラウンドで、久々に広いところで野球ができたということを非常に喜んでおりました。実際に被害の一番ひどいところから子供を集めたところが、収容し切れないものですから半分以上断りまして、ぜひもう一回やってくれというようなことがあったわけです。
 その中で一つ気になるのは、どうしても日ごろ子供が震災以降十分に運動ができていない。グラウンドもないというようなところから、きょうはその辺を絡めてお聞きをしたいと思います。
 阪神大震災が発生して三カ月以上たっておりますけれども、そういうことで、現時点での避難者数がどのように文教施設に分布されているのか、幼稚園、小学校、中学校、高等学校ごとにそれを示していただきたいと思います。それぞれ使用されている教室、体育館、グラウンド、格技場の使用状況を、特に被災の甚大であった地域を例に挙げて示していただきたいと思います。
#159
○政府委員(遠山耕平君) お答え申し上げます。
 五月八日現在の阪神・淡路大震災による兵庫県下の公立学校への避難者数は二万五千三百五十六人でございまして、学校数百八十九校の公立学校に避難をしておられます。これは全避難者数三万八千九、百八十九人の六五%に相当いたします。ちなみに、ピーク時は一月二十四日でございまして、このときは十八万一千百五十六人の方が三百八十三校に避難をしておられましたので、ピーク時の大体七分の一くらいに減少しているわけでございます。
 それから、兵庫県の教育委員会の報告によりますと、これも五月八日現在で、避難者を受け入れている学校のうち普通教室が使用されている学校は九十校でございます。教室数でいいますと六百九十四教室になっております。これを幼稚園、小、中、高、特殊と分けますと、幼稚園が六園、小学校が六十四校、中学校が十六校、それから高校、特殊が四校、計九十校となっております。それから、教室数六百九十四教室の内訳でございますが、幼稚園が七室、小学校が五百四十室、中学校が九十五室、高校、特殊が五十二室、計六百九十四教室となっております。
 特別教室でございますが、特別教室が使用されている学校は全部で百三十校、五百十四教室になっております。この学校別の内訳でございますが、幼稚園が二園、小学校が八十九校、中学校が三十五校、高校、特殊が四校、合計で百三十校となっております。それから、教室数の内訳でございますが、幼稚園が三室、小学校が四百室、中学校が八十九室、高校、特殊が二十二室、合計で五百十四室となっております。
 体育館でございますが、体育館が使用されている学校は七十校でございまして、この小、中、高、特殊別の内訳でございますが、小学校が四十五校、中学校が十五校、高校、特殊が十校となっております。
 それからグラウンドでございますが、グラウンドが使用されている学校は三十二校でございます。学校種別では、小学校が十七校、中学校が十一校、高校、特殊が四校、計三十二校となっているわけでございます。
 最後が格技場でございますが、格技場が使用されている学校は三十五校でございます。学校種別では、小学校が一校、中学校が二十七校、高校、特殊が七校で、合計三十五校となっているわけでございます。
 以上でございます。
#160
○江本孟紀君 特にその中で被害の甚大であった地域というのはどこら辺ですか。やっぱり長田とかあの周辺でしょうか。――まあ、それはいいです。
 そういうことで、今のをお聞きしても大変な状況にあると思います。それから、ちょっとサリンやなんかで地震関係のことが少し意識が薄れてきつつあるなというところにおいてもまだこのような状況ですので、やはりそのことを忘れてはいけないと思います。
 特に、体育施設等も、先ほど私は子供の野球も言いましたけれども、グラウンド等もまだまだ自由に使い切れないということで非常に不満もあると思いますが、同時に、教室を失った生徒たちの授業というものが現在どういうふうな状況になっておるのかお聞きしたいと思います。
#161
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 避難地域の多くの学校は被災住民の避難所として提供されているわけで、公立学校の休校数は地震発生翌日の一月十八日には六百校を超えていたわけでございますが、住民生活の安定を基本に置きつつ、自校だけでの再開が難しい場合には他の学校や他施設の利用や二部授業等の工夫も行いながら授業再開が進められた結果、二月二十四日までに全校で授業を再開したところでございます。その後、必要な学校への応急仮設校舎の建設等を図りまして、新年度からは一部の学校を除きましてはほぼ平常通りの授業を実施しているわけです。
 現在、高等学校五校が一部交通機関の不通のために一日当たりで三十分程度の短縮授業を行っており、また校舎の損壊や被災者の受け入れ等のために、幼稚園が一園、小学校二校、高等学校一校の計四校園では、授業時数は平常通りでございますが、他校等を借用して授業を実施しているところでございます。
 また、体育館や校庭が避難所となっている公立学校における授業の状況につきましては、体育の授業について見ますと、兵庫県教育委員会からの四月十二日現在の報告によりますと、避難者を受け入れている学校のうち体育の授業への影響が生じているとする学校は九十校となっておりますが、これらの学校では、例えば近隣の公園、他校、他施設等の代替施設で対応したり、体育館で行うべき授業についてグラウンドで対応したり、あるいは校内の他の施設で対応するなど、各学校の実情に応じた工夫が行われているところでございます。
 その他の避難者受け入れによる授業への影響といたしましては、一部の学校では特別教室なども避難所などとしているために、理科の実験、音楽、美術などの実習、実技を伴う教科科目について必ずしも平常通りの指導ができないところもございますが、各学校では大きな支障が生じないようさまざまな工夫を行いながら授業を進めていると聞いているところでございます。
 被災地の学校や教育委員会におきましてはこのように種々の努力をしているところでございますが、文部省としても、可能な限り体育その他の科目の授業時間が確保できるよう、地元の教育委員会と相談しながら実情に応じた指導をしてまいりたいと考えております。
#162
○江本孟紀君 今のような実態を聞くにつけ、やはりこれは避難住民の実態に合った仮設住宅というものを早く建設を促進すべきではないかというふうに考えます。
 そこで、こうした学校施設の実態に関連することでありますけれども、同じ文教施設でも激甚法の第五章十七条によりますと専修学校、各種学校については激甚法が適用されないということで、今回補正予算で二億円の支援ということにはなりましたけれども、この際、専修学校という問題を少しここで考えていただきたいなと思います。
 私は余りこういうことは得意ではないんですけれども、たまたま関係している人たちからいろんなことを聞いてみますと、これはぜひ震災のときだからこそ少しこういう問題を出してくれないかということで話が来たものですから、ここでさせていただきたいと思います。
 これは私学教育振興会というところに大阪日日新聞の伊牟田さんという方が投稿された文なんですけれども、その中で、
 今回の震災で多くの被害を出した神戸市を中心とする専修学校については「激甚法」が適用されず、ママ子扱い。つまり災害の復旧に要する工事費等の助成金が支給されるといっても一条校と違い、法的根拠はなく、関係者の間では
 「専修学校が学校でないことがこれではっきりした。」というふうに言っております。
 それから、今回補助を二億円ぐらいするけれども、それは金だけで済むものではないというふうなこともこの中には書かれております。
 実際、この中に書かれておる専修学校と各種学校の被害ですけれども、全壊が専修学校では二校、各種学校で九校、半壊は専修学校が六校、各種学校が二校というふうになっているそうです。専門学校ですから、確かに学校設備の中にはコンピューターとか教育機器といったものの損壊が非常にひどいということで、授業の再開のめどが立たないものも依然として多いということが書かれてあります。
 もう一度、また返りますけれども、確かに激甚法第十七条によると「激甚災害を受けた私立の学校とは、学校教育法第一条に規定する学校をいう」と明記してあり、解釈論が入り込むすきはない。というふうに書いてあります。
 先般、自民党の文教委員の方と文部省の幹部一行の方が行かれて、いろいろその中で話し合ったことも書かれてありますけれども、この一行の、要するに国の方の何といいますか答えというのが、とにかく特別立法や改正では時間がかかる、一条校に準じて財政措置を論じたのだからいいじゃないかというふうに、何となくこの問題をちょっと避けるような感じで終わっていたというようなことを著かれております。しかし、このことが一つの議論になって、全国の専修学校の制度の見直し等について問題が発展していくのではないかというふうにも書かれてあります。
 実際に、全国で三千校余り、それから学生数も七十万から九十万というふうに言われておりますこの専修学校は、短期大学の規模を上回っている。
 一月には文部省が専門課程のある学校で大学の「学上」にあたる「専門上」の称号を付与できる学校を認定公表し、高等学校教育機関としての位置づけも明確になった。
 「文部省は口を開けば、社会に欠かせぬ有用な教育機関といっておだててきたが、お金のことになると手の平を返したように学校でないといった口調に変わる。これで専修学校が怒らないのが不思議です」というふうなことが書いてありまして、実際この損害を受けた専修学校等が激甚法ではこれは学校じゃないから適用しないんだというのもおかしい。それから、ここで事細かに専修学校どうのこうのと言ってもこれは始まらないんですけれども、しかし、こういう適用を受けるときに、ちょっと言っていることとやっていることに矛盾が出てくるので、専修学校といってもそれはピンからキリまであると思いますけれども、今の社会的な役割からいってもかなり学校という一つの位置づけとしては考えるべきではないか。そういうことで、専修学校の制度の見直しというのをぼちぼちされてはいかがかなというようなことでございます。
 その辺のことについてどういうふうにお考えなのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
#163
○国務大臣(与謝野馨君) 専修学校も各種学校も学校であります。
 ただ、激甚災害法の補助対象になっているかどうかという違いは実はありまして、激甚災害法では、そのような激甚災害があった場合、一定の補助卒を法律で定めておりまして、そういうものの対象になる施設はどのようなものかということを制限的に列挙しているわけでございます。
 しかしながら、今般の阪神・淡路大震災被害の状況から考えまして、また専修学校あるいは各種学校等が日本の教育の中で果たしている役割にもかんがみまして、やはり専修学校あるいは各種学校のうち外国人学校等の被災額に対する補助というのは二分の一補助ということで、これは予算措置として国会の御承認を既に一部いただき、補正予算でもまた御承認をいただくことになるわけでございまして、私は専修学校等に対する災害に関する国庫の補助、あるいは復旧にかかわる費用に対する補助というのは極めて順当な、他と均衡を保った補助であったと、また、であるというふうに考えております。
#164
○江本孟紀君 確かにそうではありますけれども、学校には違いないとおっしゃいましたが、一応学校教育法第一条の学校群ということでいえば、大学、短大、小中高、幼稚園というふうになっておりますから、激甚法ではやっぱり学校ではないということになるわけです。だから、そこら辺で専修学校の一つの考え方というものをこれから少し考えていただいたらどうかなと。こういう問題が単なる補助でちょこっとお金を出したらいいというようなことでは、やっぱり同じ学校として一生懸命やっている専修学校にしても納得がいかないんではないかということで、少し検討を今後していただきたいなと思っております。
 それからもう一つ、被災した学生の住宅問題ということで言いますと、大変な問題だと思います。特に、下宿をしている学生というのは非常に大変じゃないか。
 それから、もう一つは外国人の留学生の住宅、住居対策だと思います。これは国際的にも日本というのは今ちょっと何やかや言われているときですから、むしろ、留学生なんかでも神戸、西宮あたりは大変困っていると思うんですね。だから、こういう状況の中でも外国人に対しても大変な手当てをして、皆さんが納得いくような、そういう何といいますか、対策をとっているんだということをアピールするということも必要ではないかと思います。
 そこで、留学生の専用仮設住宅といったものを建設すべきじゃないかと思いますけれども、現況の報告とあわせて所見をお伺いしたいと思います。
#165
○政府委員(岡村豊君) 文部省におきましては、地震発生以来、被災した留学生のためにさまざまな支援措置を講じているところでございますが、居住場所をなくした留学生に対しては、御案内のように一人十万円の緊急援助金を約六百五十人に支給したところでございます。
 また、住居の問題につきましては、学生に対する一般的な居住施設の確保策に加えまして、特に留学生につきましては、文部省、大学等は関係方面と連携いたしまして、例えば経済同友会と財団法人の留学生支援企業協力推進協会、これを通じまして会社の社員寮の特別枠の提供をお願いしておりますし、また各大学では、新聞等を通じましてホームステイ先の確保、あるいは留学生会館や一般の学生寮の改造等による留学生の受け入れに努力をしているところでございます。
 このような大学の努力や関係者の御協力等によりまして、現在、被災留学生の居住施設はほぼ確保されているところでございますが、留学生はいろいろ事情を抱えておりますので、今後とも各大学と連携してこの問題については努力してまいりたいと考えております。
 なお、大学の方は、仮設住宅というのはあくまでも仮設のものでございまして、留学生の住居というのは日本における生活あるいは人間関係の場でございますので、できるだけ普通の環境のところが確保できる限りそういうところに居住施設を確保したいという方針でやっておりまして、今のところ仮設住宅という話は出てきておりません。
#166
○江本孟紀君 先ほども申しましたけれども、震災関係のことについては、ちょっと今ほかのことで気をとられておりますけれども、まだまだ問題は解決をしていないし、まだまだ続いていくのではないかということで、きょう少し出させていただいたことなどもまた検討していただければと思っております。
 時間がちょっと早いですけれども、終わらせていただきます。ありがとうございました。
#167
○橋本敦君 私も、まず震災問題についてお伺いすることから質問を始めたいと思います。
 文部省は、被災した児童生徒のために就学援助の認定の弾力的取り扱いなどを含めて、授業料の減免及び教育委員会等にその点の配慮を含めて要請をしていただくとか、日本育英会の奨学金の貸与についても配慮をしていただくとか、いろいろ御尽力をいただきまして特別の手だてをとっていただいたわけですが、どれくらいの児童生徒がこの特別措置を受けたのか、そしてまた希望する生徒にほぼすべて適用可能であったのか、現状はどうでしょうか。まず、この点を明らかにしていただきたい。
#168
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 阪神・淡路大震災の被災児童生徒に対する就学援助について申し上げますと、まず教科書の配付状況でございますが、教科書につきましては、文部省としては、今回の地震によって教科書を失った児童生徒に教科書を速やかに再給付するように、社団法人教科書協会、社団法人全国教科書供給協会並びに関係の都道府県教育委員会等と緊密な連携、協力のもと、全力を挙げて対処したところでございます。具体的には、兵庫県におきます被災児童生徒に関しまして約三十万冊の教科書を供給し、また今回の地震により転入学した児童生徒に約十五万冊の教科書を給付したところでございます。
 また、文房具等につきましては、阪神・淡路大震災で被災した児童生徒に対する就学援助制度の適用に当たりましては、先生もおっしゃったとおり、可能な限り速やかに認定いたしますとともに、支給品目について、通学用品費、新入学児童生徒学用品費は学年を問わず支給できるよう各都道府県教育委員会を通じて市町村教育委員会を指導したところでございます。これによりまして平成六年度は全国におきまして約四万四千人の児童生徒が対象となりまして、その所要額約七億円についても必要な予算措置を講じたところでございます。
 また、公立高校で授業料免除を受けている生徒数についてでございますが、兵庫県の公立高等学校では、一月から三月分の授業料につきましては八千四十二人の生徒に対しまして全額免除を行ったと報告を受けております。四月以降につきましては、申請を受け付けているところでございますが、現在約一万八百人の申請があるとのことでございます。大阪府では一月から三月分の授業料について二百十六人の生徒に対し全額免除を行いまして、四月以降についても現在申請を受け付けているところと聞いております。その他の多くの府県におきましても、被災生徒の転入学を受け入れた場合には罹災証明書の提出によりまして全額免除をすることとしていると聞いているところでございます。
#169
○橋本敦君 ありがとうございました。
 いろんな点で御尽力、御配慮いただいていることはよくわかりましたが、この問題は九四年度だけで済まないという問題ですね。先ほどもお話があったように、授業は大変な努力でほぼ平常どおり進んでおりますが、被災した皆さんの住居だとか職業あるいは事業の回復といった点ではまだまだですから、生活困難という状況は当分続くと思われますね。そういう中で、こうした特別の手だてについてはさらに引き続いてやってほしいという要望が大変強いわけです。
 この点で、地方の市や教育委員会等では文部省がその点はっきり方向を出していただきませんとなかなか対処しにくいという事情もあるやに聞いておるんですが、これからも続いてこの点について、文部省としては引き続き特別の配慮についてはやっていくという方針をこの際明確にして指導していただきたいと思いますが、いかがですか。
#170
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたが、阪神・淡路大震災で被災された児童生徒等につきましては、なおそのような被災の状況が続いているということは申すまでもないところでございますので、私どもといたしましては、地元兵庫県の教育委員会、神戸市の教育委員会等の実情を踏まえ、またそれらの要望を十分お聞きしながら適切に対処してまいりたいと考えております。
#171
○橋本敦君 次の問題としては、文部省も御尽力をいただいておる問題なんですが、被災した私立学校の復旧の問題であります。
 この点については、私立学校の施設復旧費について国庫補助率を現行の二分の一から公立並みの三分の二に引き上げてほしいという私学関係者の要望が大変強いわけですね。これは文部省もお聞きになっていると思います。この点について、被災した私立学校は六百四十六校にも上っておりまして、私立学校関係が国民教育に果たしている役割が極めて大きいことはこれはもう言うまでもないわけですから、せめて公立並みの補助卒をという、こういう要望も私は当然かと思います。今度の補正予算に関連をして、この点の要望を可能な限り受け入れるという方向で大臣に御尽力いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#172
○国務大臣(与謝野馨君) 昨日夕方行われました閣議で七年度補正の大体の枠が決まりました。その中の考え方は、まず私立学校施設の災害復旧費補助は二分の一補助でございますが、その中で研究棟等の建設費の単価アップをしております。また、その他の施設についても単価のアップをしておりますし、解体撤去工事にかかわる単価の引き上げもしておりますので、実質的には二分の一補助とは言いながら内容は相当まず改善されたものになっております。
 加えまして、新規の費用として私立学校教育研究活動復旧費補助というものを計上する予定でございまして、ただいま申し上げました私立学校施設災害復旧費補助とこの私立学校教育研究活動復旧費補助を足しますとちょうど三分の二になるはずでございまして、実質的に三分の二の復旧費補助をしたことになります。
 加えまして、災害復旧融資の金利の引き下げも行っておりますし、加えまして利子補給の実施も新規として行いますし、先ほど御説明申し上げました学費減免に対する経常費助成というものも行います。また、日本私学振興財団への追加出資によって私学振興財団が低利融資する場合の逆ざやの解消もいたしますので、全般的に先生御要望の公立学校並みの三分の二の水準は達成しているということが言えるんだろうと思っております。
#173
○橋本敦君 大変御尽力いただきましてありがとうございました。実質的にはそういった方向で御尽力いただいたということで、この点については了解をして次に進みたいと思います。
 次は、問題になっておりますオウム真理教問題に関連をして質問をいたします。
 まず最初に警察庁にお伺いをしたいのでありますが、警察庁としては、警視庁を初め大変な御苦労の中で鋭意捜査を今努力していただいておるわけでございますが、今日までの時点でオウム真理教関係者に対する強制捜査の主な容疑罪名、どういった問題で操作を遂げてこられたのでしょうか。
#174
○説明員(篠原弘志君) お答えいたします。
 警察といたしまして、現在総力を挙げてオウム真理教関連の犯罪行為に対して捜査を行っておるところでございます。
 罪名は多岐にわたっておるわけでございますけれども、かいつまんで申しますれば、まず第一にサリン製造容疑ということで、殺人予備で御承知のように山梨県上九一色村におきますオウム真理教施設などにおきまして捜索を行いまして薬品類等の押収をしております。現在、第七サティアンにおきます化学プラント様の施設におきます検証を中心にサリン製造疑惑についての捜査の詰めを行っておるという状況でございます。
 また、同教団におきます武器の製造疑惑につきまして、これは現在山梨県の富沢町あるいは富士市のオウム真理教関連施設に対する捜索を実施しておりまして、現在これについても捜査を行っておるというところでございます。
 また、仮谷さん事件につきましては指名手配のみで残念ながら検挙に至っておりませんけれども、このほかに約八事件の監禁あるいは営利誘拐、いわゆる拉致事件につきましてそれぞれ検挙あるいは共犯者の指名手配を行っておる、そういう状況でございます。
 以上でございます。
#175
○橋本敦君 そのほかに毒物取り扱いの関係でも捜査があるんじゃないでしょうか。
#176
○説明員(篠原弘志君) 御指摘のとおり、静岡県警等におきまして毒物劇物法違反において検挙いたしておりまして、またこれらの罪名で山梨県の上九一色村等の施設の捜索も行っておるところでございます。
#177
○橋本敦君 かなりの関係者が逮捕されておるようですが、現時点で逮捕者総数は何名に及んでおりますか。
#178
○説明員(篠原弘志君) 私どもの方に来ます報告が軽罪あるいはすぐ釈放という場合について必ずしも来るわけではございませんので、総数的なものについては詳細な把握をいたしておりませんが、百名は大幅に超えている状況ではないかというふうに思っております。
#179
○橋本敦君 その逮捕者の罪名は、いただいた資料によりますとたくさんありますが、逮捕監禁罪、営利略取、それから恐喝、銃砲刀剣所持違反、それから毒物劇物取締法違反、火炎瓶使用処罰に関する法律違反、公務執行妨害、こういったことが多いようですが、間違いありませんか。
#180
○説明員(篠原弘志君) 御指摘のとおりの状況でございますが、そのほかに組織的に指名手配犯人をかくまうということでの犯人隠避というものも見られるところでございます。
#181
○橋本敦君 問題のサリンについて、サリンの製造が行われていたという状況、そして地下鉄事件で発散させられたサリンと内容が同一であるということが大体認定し得る状況にまで捜査が及んでいて、殺人予備罪から殺人罪への容疑切りかえでの捜査が進むのではないかということが言われておりますが、捜査の進展ぐあい、その点はどうですか。
#182
○説明員(篠原弘志君) 捜査の非常に具体的な中身でございますので、具体的には答弁を差し控えさせていただきたいと思いますけれども、私どもといたしまして、この両者の関連性について、それを念頭に置いて捜査をしているのは事実でございます。
#183
○橋本敦君 次に、検察庁にお伺いをいたしますが、そういった状況の中で、既に起訴された関係者は現在で何名に及んでおりますか。
#184
○説明員(小津博司君) お答えいたします。
 最近のものに限ってのことでございますが、昨五月十日時点までに公判請求されたもののうち、当局におきましてオウム真理教関連の事件であると把握しておりますものは、被告人の数で二十三に上っております。
#185
○橋本敦君 起訴されたその二十三名は、主な罪名としては、いただいた資料によりますと、監禁罪、公務執行妨害罪、建造物侵入、傷害、営利略取、それから犯人隠匿といったような状況ですが、間違いございませんね。
#186
○説明員(小津博司君) 委員御指摘のとおりでございます。
#187
○橋本敦君 既に起訴された中で幹部と見られる者が多数ありますが、その中で防衛庁長官といわれる岐部氏、それから商務省大臣といわれる越川氏、それから治療省大臣といわれる林氏、自治省大臣といわれる新実氏、これが含まれておることも事実ですね。
#188
○説明員(小津博司君) 委員御指摘の氏名の者が含まれていることは確かでございます。
#189
○橋本敦君 以上、現在の捜査の実態から明らかになりましたように、裁判所の許可令状によって押収捜索が進んでいるそういう中で、百名以上の者が逮捕され、二十三名、幹部を含めて起訴される。まことに宗教団体としてはあるべからざる異常な事態が既にここまで到達をしておるわけですね。既にこういった二十三名の起訴に続いて、捜査が進めば起訴がふえていくということも当然目前に迫っておると思うわけであります。
 そこで、一体こういうようなオウム真理教が宗教法人としてまだ存続し得ていいのであろうかという問題を本当に真剣に考えざるを得ないと思うわけです。
 言うまでもありませんが、宗教法人法の第一条、第二条によりますと、法人として認める宗教団体というのは、宗教の教義を広め、儀式行事を行い、信者を教化育成することを主たる目的とする、こういう団体として認証されることになっておる。
 今お話をしたサリンの製造だとか、また銃器の製造だとか、それから人権侵害の拉致監禁だとか、毒物の使用だとか、あるいはまた、伝えられるところによりますとロシアまで出かけていって特別のロシアの特殊部隊から射撃訓練を受けるとか、あるいは射撃訓練ツアーをやるとか、こういったことをやっているということは、どこからどう考えても宗教法人として資格を与えていることとはおよそかけ離れ過ぎていると言っていいと思いますが、異常な事態が進行してきたわけですね。
 そもそも、このオウム真理教が東京都の法人の認証を得るときにも問題がありまして、子弟を奪われた父兄から奪還の要求があり、にわかに法人認証をしてもらいたくないという陳情があり、そういった中で東京都としても慎重に構えていたわけなんですが、行政訴訟を起こすとか、あるいはまた幹部宅に夜電話攻勢をかけるとか、集団で都庁に押しかけるとか、さまざまなことがあって認証が八九年八月になされたという経緯もありますので、私どもとしては、もともとその出発点から既に資格のない団体であったというように思わざるを得ないのであります。
 それが一応認証された現時点において、ますますこのオウム真理教のまともな宗教法人としての本来の資格とはかけ離れた反社会的実態ということがもう明々白々に今なってきていることは国民だれが見ても明らかだと、そんな状況だと私は思うんですが、大臣の御見解はいかがでしょうか。
#190
○国務大臣(与謝野馨君) オウム真理教にかかわる一連の捜査は継続中であり、まだ捜査自体は中盤にあるのではないかと私は想像をしております。いずれこういうものも一つの方向に向かって収束をしていくわけでございます。
 そこで、オウム真理教という宗教団体が法人格を持っていることに関してどう考えるのか、また今後どう対処していくのかというこの二つの問題であると思います。
 まず、オウム真理教という宗教団体が法人格を持っていることはおかしいということはほぼコンセンサスができていることであって、オウム真理教を解散請求することによって解散せよという社会的要請は、私はもう既に存在しているのだろうと思っております。しかしながら、これは裁判所に御判断いただくわけでございますから、これを法律の手続にのせるためにはやはり慎重な準備が必要でございます。
 そこで、現在、検察庁、警察庁、文部省そして東京都も加わりまして、実務者の段階で宗教法人法の解釈、運用に関する意見の調整をしております。それが終わりまして、捜査もある程度見通しがつき、起訴も相次ぎまして材料もさらにふえるといった段階で解散請求に踏み切るわけでございますが、やはりこれは裁判所に御判断いただく以上、裁判所が判断しやすい法律解釈も私どもで準備をしなければなりませんし、裁判所が自信を持って判断していただくための資料も添えて解散請求をする、こういうことに相なります。
 一体だれが解散請求をするのか、こういうことでございますが、宗教法人法には所轄庁、検察官あるいは利審関係人と書いてございますけれども、その三者のうち、一者でやる場合もありますし、二者でやる場合もある、そのように考えております。
 いずれにいたしましても、社会的な要請と申しますか、社会的な声というものと、それからそれを法律の手続にのせて裁判所に解散請求をするという問題は一応分けてお考えいただいた方がいいのではないか。後者については法律上の手続でございますから、やはりきちんとした適正な手続にのっとって慎重な進行が求められているものと思っております。
#191
○橋本敦君 おっしゃるとおり、後者について、これは法律手続ですから法に照らしてやらなくちゃなりませんので、慎重な手続が要るでしょう。私が言いますのは、そういう手続を具体的に進める準備を早急に始める、そういう状況にもう達したであろうと、だからその準備を早急に政府として進めてもらいたい。今、大臣がおっしゃった法務省、警察庁それから東京都との実務レベルの協議を始めだというのは、そういう準備に具体的に着手したものと理解をさせていただいてよろしいと思うんですが、それをテンポを上げてさらに進むように速やかに進めてもらいたいということが一つてあります。
 それから二つ目は、大臣がおっしゃったように、確かにこの八十一条には、請求する担当者として所轄庁、これは東京都ですね、それと利害関係人及び検察官の請求とあります。私は第二番目の問題で大臣に要請し、お願いしたいのは、検察官が八十一条でなぜ請求者に入っているかといえば、検察官はいわゆる公益の代表者と、こういうように言われておりますから、こういった問題では国民的立場に立って公益の代表者として職務権限を行使するという、そういう責任と権限があるわけですね。だから法律は検察官をここに入れているわけです。
 それと同時に、今私が指摘したようなさまざまな捜査の進行状況、証拠の集めぐあい、それから法の適用、そして裁判所への資料の提出ということになりますと、東京都庁だけが請求者であった場合、当然警察も法務省も協力しなきゃなりませんが、検察官が東京都庁と並んで請求をするということに踏み切るならば、当然資料の提出も容易になり、合理性を持ってくるわけですね。だから、そういう意味で今大臣がおっしゃった請求者の点についても、政府としては法務大臣及び総理とも御検討いただいて、検察官も法律上請求者になり得るし、また本件の場合はなるにふさわしい事案だと、こう思いますので、この点についても積極的な検討をお進めいただくように私は特に要望しておきたいと思うんですが、以上の点いかがでしょうか。
#192
○国務大臣(与謝野馨君) 現在の段階は、ただいま御質問と答弁の中にありましたように、幾つかの案件での公判請求があった段階でございますが、まだまだ材料はふえると予想する方が私は自然であると思っております。したがいまして、現在は事実関係というよりはむしろ法律をどう解釈するのかと、いわゆる解散請求に至るための公共の福祉を害する行為というのは一体何かというような、例えば解釈をきちんとすり合わせしておく必要がございます。これはもう実務者のレベルで既に始まっておりまして、内容は聞いておりませんが、ある程度意見の調整が進んでいるわけでございます。
 それからもう一つは、先生御指摘のように、請求者というのは公共の代表であるということであって、利害関係人はその当該宗教法人、宗教団体との利害があっての請求でございますが、今般のようにまさに公共の福祉を脅かすような事案については、やはり所轄庁も検察官もともに請求者名に入っているということが私は望ましいと思いますし、検察官が連名であるということは裁判所に対して事案の疎明をするにさらに有力な方法であると思っております。
#193
○橋本敦君 今、大臣も私と考えを同じゅうする方向で御答弁いただきましたので、ぜひそういう方向で政府部内でも御検討をさらにお進めいただきたいと思います。
 結論的に言えば、私は、現時点でもう既に八十一条に言う解散の要件としての法令に違反して著しく公共の福祉を害することが明らかに認められる状況であるし、同第二号で言うところの宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしているということも言えると、こう思います。こういった状況があるからこそ、大臣御指摘のように宗教法人法の解釈についての協議も実務レベルでもうお進めいただいておる、こういうことになっておりますので、解散請求に向けて、そういった方向で踏み出していただいていることをよく理解いたしましたが、積極的かつ速やかに進めていただいて、捜査は捜査で万全の体制で進めていただいて国民に安心を早く与えていただきますように、そして不法な行為は根絶をしていく方向に政府としてもう一段の御尽力をいただきますように重ねてお願いして、時間が来ましたので質問を終わります。どうもありがとうございました。
#194
○委員長(松浦孝治君) 本日の調査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時六分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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