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1995/03/16 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 大蔵委員会 第5号
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1995/03/16 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 大蔵委員会 第5号

#1
第132回国会 大蔵委員会 第5号
平成七年三月十六日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十三日
    辞任         補欠選任
     野別 隆俊君     一井 淳治君
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     鈴木 和美君     大森  昭君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         西田 吉宏君
    理 事
                竹山  裕君
                楢崎 泰昌君
                志苫  裕君
                峰崎 直樹君
                白浜 一良君
    委 員
                上杉 光弘君
                片山虎之助君
                佐藤 泰三君
                清水 達雄君
                須藤良太郎君
                増岡 康治君
                一井 淳治君
                大森  昭君
                久保  亘君
                鈴木 和美君
                谷畑  孝君
                寺崎 昭久君
                野末 陳平君
                池田  治君
                吉岡 吉典君
                島袋 宗康君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  武村 正義君
   政府委員
       大蔵政務次官   石井  智君
       大蔵省主計局次
       長        伏屋 和彦君
       大蔵省主税局長  小川  是君
       大蔵省関税局長  鏡味 徳房君
       大蔵省理財局長  田波 耕治君
       大蔵省証券局長  日高 壮平君
       大蔵省銀行局長  西村 吉正君
       国税庁次長    松川 隆志君
       国税庁課税部長  堀田 隆夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林 正二君
   説明員
       国土庁土地局地
       価調査課長    垣内 康孝君
       通商産業省産業
       政策局企業行動
       課長       北村 俊昭君
       労働省労政局労
       政課長      菅原 英夫君
       建設省住宅局民
       間住宅課長    坂田 隆史君
       自治省税務局固
       定資産税課長   板倉 敏和君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○平成七年度における財政運営のための国債整理
 基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(西田吉宏君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十三日、野別隆俊君が委員を辞任され、その補欠として一井淳治君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(西田吉宏君) 平成七年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○清水達雄君 自民党の清水達雄でございます。きょう私は、租税特別措置法に絡みまして、土地税制を中心に御質問をいたしたいと思います。
 実は、今回の土地税制改正につきましては私も端っこの方でいろいろ関与はしているわけでございます。でき上がった内容につきましては私としても必ずしも満足をしているわけではございませんで、そういう点も含めてお話を申し上げますが、その点については僕は全部大蔵省のせいだと言うつもりはありませんで、与党内でなかなか合意を得ることができなかったという面があるということはもちろんよくわかった上で御質問を申し上げたいと思います。
 まず第一に、土地の長期譲渡所得課税でございますが、特別控除後の譲渡益四千万円以下の部分について税率を三〇%から二五%に引き下げたわけでございますけれども、この引き下げをどのように説明するのか、かなりこれは政治的な折衝の舞台があってこういうふうになったというふうにも思うんですけれども、政府としてこういう引き下げというのをどんな理屈づけでどういうふうに御説明なさるのか、お伺いいたしたいと思います。
#5
○政府委員(小川是君) 長期でございますが、個人の土地譲渡所得課税制度につきまして、改正前の制度におきましては一般の長期譲渡所得につきまして所得税率三〇%、住民税九%で分離課税になっておりました。今回の改正では、四千万円を超える部分につきましては従来どおり三九%、四千万円以下の部分について三二・五%という改正を御提案しているわけでございます。
 こうした改正を御提案するに至りましたのは、平成三年度の税制改正におきまして、それまで四千万円を超える部分は三二・五%、四千万円以下の部分は二六%となっておりましたのを、勤労所得等との負担の均衡にも配慮して、土地については相応の負担を求めるべきだということで一本化し、かつ三九%という、それまでの二分の一長期譲渡所得の課税といった考え方を引っ張っていたところから離れたわけでございます。
 今回の税制改革におきましては、勤労所得に対する税負担が軽減されたというところから、そうした負担とのバランスも考えるべきではないかということで議論が行われたわけでございます。一方で、この土地譲渡所得につきましては、やはり長期安定的であるということが一つ重要でございますし、また簡明であるということも重要であるというふうに考える次第でございます。そういう意味からいたしますと、それまでの平成三年度前の仕組みを離れて新しい制度をつくった。
 また、若干もとへ戻るところがございますけれども、なぜ四千万円で区切ったかと申しますと、三年度以前にそういう形があったというところから、比較的国民全体にとってもわかりがいいだろうというところから四千万円の区切りをつくり、それから勤労所得に対する税制上の軽減がかなり進んだところから、一律三九から三二・五に下げる部分をつくったと、こういう考え方で整理をいたしているところでございます。
#6
○清水達雄君 今のお話ですと、所得税改革で大体五%ぐらい所得税率が下がった、これはいろんな階層がありますから一概には言えませんけれども、そういうふうなところから三〇%を二五%に下げたというふうなお話でございますが、いわゆる譲渡所得課税につきましては、昭和二十一年に発足以来、いわば二分の一総合課税という原則を打ち立てて、これはまた後で言いますけれども、これはやっぱり税の性格からしてそういう考え方を基本にしながら運用をしてきた。途中でいろいろ変動はありましたけれども、一つの哲学はそういうところにあったのではないかというふうに思うんです。
 平成三年度の税制改革で勤労所得との比較という議論が出てきているわけでございますけれども、そこのところでやっぱり哲学というか考え方の変化があった、少なくとも大蔵省としてはそういうふうなことになったのかどうかという点について、ちょっともう一回お答えいただきたいと思います。
#7
○政府委員(小川是君) 平成三年度の税制改正の前、一年かけまして税制調査会では土地税制の問題の議論が行われました。この議論が行われましたのは、その背景に長年にわたる土地に関する議論が、平成元年末の土地基本法の制定というところが背景にあったわけでございます。
 そこで、税制調査会で土地税制について譲渡所得に対する議論が行われましたときには、やはり土地についての土地基本法における認識が、公共の福祉の優先であるとか、あるいは土地の価値の増加というのは主として外部的要因で、経済全体で、社会全体で上げていくものである、そういったところが基本法にうたわれたところから、税制調査会では、長期譲渡所得については従来のような二分の一総合課税ということが頭にあるのは事実であるけれども、土地についてはこの考え方から離れて、むしろ相当程度税負担を引き上げていくことが適当であると考えるという答申に至ったわけでございます。
 その意味では、今委員御指摘のように、いわゆる累進課税を緩和する観点からの長期譲渡所得の二分の一課税という考え方と土地の譲渡所得課税についてはこの段階で考え方が離れていった、あるいは切り離されたというのはそのとおりであろうというふうに認識いたしております。
#8
○清水達雄君 この問題はまたもうちょっと後で議論したいと思いますから、先に進みたいと思います。
 それで、法人に対する一〇%の追加課税については引き下げをやらなかったわけでございます。この問題については、例えば赤字でない法人が土地を売った場合には国税、地方税合わせて六十数%の税がかかるわけですね。こういうふうなことになりますと、不良資産を処理するとこれは相当の赤字が出るわけでございますけれども、その赤字を埋めるのには、譲渡益が出る土地を売るとか、あるいはこれは譲渡益が出ても出なくてもしょうがないかもしれませんが、株式を売るとかいうことにして赤字を消さないと不良資産の処理ができないという、そういう実態にあるわけでございまして、私は、これは今の我が国の企業の活力の問題に非常に大きな影響があると思っているんです。
 そういう意味で、また後からちょっと個別具体のケースに即して御質問いたしますけれども、住宅建設の促進等の観点からも非常に問題があるところで、個人の長期譲渡所得課税について若干の引き下げを行ったのに、法人についてはなぜやらなかったのかということを御説明いただきたいと思います。
#9
○政府委員(小川是君) なぜ法人の課税制度には手をつけなかったかという点につきましては、個人の譲渡所得に対する課税をなぜ見直したかというのが、先ほど申し上げましたように、勤労性所得に対する所得税の全般的な軽減ということを背景にして、譲渡所得についても見直しをある程度してはどうかという考え方があったわけでございます。
 法人につきましてはそのような特別の事情はないわけでございまして、むしろ、平成三年度に法人の土地譲渡所得についても一般的に一〇%、通常の法人税のほかに課税を行うという考え方がとられ、その考え方は今回もそのまま踏襲すべきである、このように考えられたからでございます。
#10
○清水達雄君 法人について平成三年度の改革でなぜ一〇%追加課税をやったかということにもさかのぼって議論しなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、個人についてはいわゆる所得税率の税率構造が変わる等々して減税になったから個人の譲渡所得課税は引き下げたけれども、法人についてはそういうことが何もなかったからやらないんだと。税を考える場合に、世の中の実態を余り見なくて、どうも何かそういう形の上での論理というふうなことに引きずられ過ぎているんじゃないかという感じを持っているわけで、これは私の感想でございますからお答えはいいですけれども、そういう感じが非常にするわけでございます。
 そこで、実は法人についても一〇%追加課税が適用除外をされる場合があるわけですね。優良建築物の造成のための譲渡というふうなものについてはこの一〇%追加課税が適用除外になるわけですが、これも非常に複雑なんですね。
 そこで、法人が持っている棚卸資産についてはみずから一定の造成、建築を行って譲渡をすれば追加課税が適用除外になる。それからビルの敷地といったふうな固定資産については、買い受けた者が新たに造成、建築を行えば適用除外が受けられるというふうなことになっているわけですが、これはそのとおりでございますか。
#11
○政府委員(小川是君) 一〇%の追加課税を行ったのがなぜかというのが問題の発端だというのはそのとおりだと存じます。
 そこで、ちょっとそこを御説明させていただきたいと思うんですが、先ほどもちょっと触れましたように、土地が公共的性格を有するものであって、その価値が公共事業とか経済活動の集積などの主として外部的要因によって増加するものである。他の商売でいろいろリスクを冒して利益を上げるというのとは土地の譲渡益は性格が異なるんではないか。したがって、ある程度他の所得よりも高い負担を求めるのが公平にかなうし、土地を持っていると有利であるという土地の資産としての有利性の縮減にかなうものである、このように考えられて、土地に係る所得に対して追加課税が行われるようになったわけでございます。
 したがいまして、逆に申しますと、そこから見れば外す方が適切ではないかというふうに考えられますような、基本的には棚卸資産のように土地を造成して売買を行うというような行為というのは、先ほどのような外部的要因であるとかいうものとは別のものとして考えていいのではないかというふうに考えられるわけでございます。
 そこで、現状では、棚卸資産である土地の譲渡で一定の要件に該当するものという、不動産業者に対する一定のものについての追加課税をしないということ。もう一つは政策的な観点から、これを買い受ける側、公有地を確保する、あるいは優良な宅地の供給であるとか優良な建築物の供給に資する土地の譲渡である、これは土地政策上からも進めるべきであるというふうに考えられまして、一〇%の追加課税を行わない、適用除外とすることにいたしているわけでございます。
#12
○清水達雄君 土地基本法から発する基本的な大蔵省なり政府の税制調査会の考え方は私は間違っているというふうに思っているわけです。というのは、部分的にしか土地基本法を引っ張り出していない、土地基本法を総合的につかまえてない。
 そのことはまた後から申し上げますけれども、土地の値段というものが公共施設の整備とかそういう社会経済的条件によって動くんだという面はもちろんありますけれども、土地を有効に利用する、しなきゃならぬというのが土地基本法の最大の理念でありまして、そういう点に抵触しているわけですよ、今、大蔵省がやっている土地税制というのは。そういう意味で、非常に部分的にしか土地基本法を受け取っていないということがありまして、これは従来から言っているわけです。
 そのことはちょっとおいておきまして、どういう場合にこの一〇%追加課税が適用除外になるかならないかという点についてちょっと具体的にお伺いをいたしたいと思います。
 まず第一点ですけれども、不動産企業が未造成地を国、地方公共団体あるいは他のディベロッパーに譲渡する場合には、この一〇%の追加課税は適用除外になりますか、なりませんか。
#13
○政府委員(小川是君) ただいまの不動産企業が造成していない土地、未造成地を国、地方公共団体あるいはほかのディベロッパーに譲渡する場合につきましては、一〇%課税の適用がございます。適用除外にならないというお尋ねはそのとおりでございます。
#14
○清水達雄君 個人が国、地方公共団体に土地を譲渡した場合には軽減税率が適用されるんですよね。個人が譲渡すれば軽減税率が適用されるけれども、法人が譲渡した場合には、言うなれば軽減税率に該当するような追加課税の適用除外という措置がとられないというのは私は税制としては非常に不公平といいますか、思想が一貫していないというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。
#15
○政府委員(小川是君) ただいまの点は、一般の法人が譲渡をした場合には一〇%追加課税の適用除外でございますが、不動産を扱う事業者がその棚卸資産として国や地方公共団体に譲渡したからと、それだけの理由で適用除外にはならないということでございます。したがいまして、一般の事業者が個人と同じ立場で譲渡をされる場合には、ほとんどすべての法人については適用除外になるということでございます。
#16
○清水達雄君 わかりました。その点はちょっと私の方の認識が間違っていたかもしれません。
 それから、不動産企業が保有ビルを取り壊してマンション分譲をする場合にはどうなんでしょうか。
#17
○政府委員(小川是君) 繰り返しになりますが、不動産事業者が棚卸資産、つまり他人に譲渡する目的を持って取得した土地を売却する場合につきましては一〇%の適用を基本的にはしないということでございます。
 しかしながら、不動産事業者であっても、ほかの法人と同じような目的で土地を持っている場合、例えば本社ビルであるとかあるいは支店のビルであるとか、賃貸ビルの用地として持っているような土地、これを取り壊しまして例えばマンションを建てて分譲をするというような場合には、これは他の法人が持っている土地と同じ性格の資産としての土地ということになってまいりますから一〇%の追加課税の適用対象になる、こういう関係でございます。
#18
○清水達雄君 適用対象になるんですか。
#19
○政府委員(小川是君) 一〇%の追加課税が適用になる、一〇%の課税が行われるということでございます。
#20
○清水達雄君 これはいわば棚卸資産じゃなくて固定資産でありますね、通常の固定資産。これを取り壊してマンションを建てて売った場合には、これは固定資産の方の論理からして、自分が自分の土地にマンションを建てて売ったんじゃ追加課税になりますよということなんですね。どうもそういう点がよくわからないんですね。大蔵大臣に急に聞いてもあれかと思うんですが、経営も苦しくなってきたから本社ビルを取り壊してマンションを建てて売るというときに、これについて追加課税がかかるという税制になっているわけですよ。どうも常識的に理解ができないわけです。
 じゃ、もうちょっと行きます。今度は、不動産企業が保有ビルを取り壊してマンションをつくるんじゃなくて、そのままビル経営を承継する他の会社に譲渡をする場合、これはどうでしょうか。
#21
○政府委員(小川是君) 御説明がうまくないのかもしれませんが、法人が持っております土地を売却いたしますと、当該法人が黒字であれ赤字であれ、その譲渡益の部分については原則として一〇%の課税が行われるわけでございます。なぜ行われるようになったかというのは、先ほど申し上げたような土地の資産としての有利性の縮減といったようなことでございます。
 これは今はちょっと逆のことが起こっているということかと存じますが、長年にわたる土地についての議論というのは、企業は一般的には、工場を建てたり建物を建てるときには、いざというときのためにできるだけ土地を持っておく方がいいんだということを経営者の方なんかは公言しておられたわけでございます。まさにこういう不測の事態のときには土地というものを売れば何とか生き延びていけるもんだと。ところが当時の議論は、そういうことが我が国における土地、不用の土地、あるいは利用に貸さない、今利用しない土地をみんなが持つようになって地価の高騰を招いているということが議論されたわけでございます。
 したがって、今度は、土地を売ったら赤字であってもその土地の譲渡益の部分については一〇%の負担をしていただくということになったわけでございます。しかしそのことは、例えば土地を買って売る、造成をして売るということを業としておられる方は、まさに売るために買っておられるわけでございますから、その部分については一〇%の追加課税をしないということが規定されているわけでございます。
 今度は、今おっしゃった本社ビルを片づけてその土地を売る、あるいはビルごと売るという場合には、今申し上げたような買って売るということを業としておられる土地とは違うわけでございますから、たとえ本社ビルの用地を売ったのが不動産会社でありましても、他の事業会社が本社ビルを売ったときと同じように一〇%の追加課税を受ける、こういう考え方で、一応一貫した考え方がとられているというふうに私どもは御説明を申し上げたいと思うわけでございます。
#22
○清水達雄君 それから、今、不動産会社の話をしましたけれども、一般企業がかなり遊休化したような工場、倉庫等を閉鎖して、みずからマンションを建てて分譲する場合にも一〇%の追加課税がかかるんですね、これは。ちょっと確認します。
#23
○政府委員(小川是君) 考え方としては、利益があれば一〇%の追加課税がかかるわけでございます。
 二つそれについて申し上げたいと思いますのは、一般の企業であれ不動産会社であれ、その土地あるいは建物を売りましてはかに同じような物件を求められるときには、圧縮記帳という制度がございます。事業継続の場合の圧縮記帳がございますから、利益の部分がそれだけ小さくなるということが一つ。
 それからもう一つは、昔の土地を売った場合の利益計算のときに、当時の簿価に加えて、これまで保有していた期間に応じて、簡単に申し上げますと年率で一〇%に相当する部分を帳簿価額に上乗せをしていく。そして、売った価額との差を求めて、その部分にこの一〇%追加課税を行うという制度になっております。したがいまして、丸ごと追加課税を受けるわけではありませんで、年率一〇%相当分を控除した残りの利益に課税が行われるということを追加して御説明させていただきたいと存じます。
#24
○清水達雄君 どうも税の専門家じゃないからよくわからないんですけれども、一〇%上乗せするというのはどういう意味なんですか。
#25
○政府委員(小川是君) 例えば、七年前に一億円で土地を取得した。それをことし一億二千万円で譲渡をしたとしますと、形の上では一億円が一億二千万円でございますから二千万円の利益が出ることになりますが、この追加課税の計算上は、一億円に対して一年につき一割ずつ、七年間ですから七割、七千万円を乗せまして一億七千万円を原価として計算するという仕組みになっております。
 したがって、七年前に一億円で取得された土地を一億二千万円で譲渡されますと、会社にとっては確かに二千万円の利益が出ますが、一〇%の追加課税を受けるかどうかという点につきましては、一億二千万円で売ったけれども、一億七千万円がコストだという計算ができるようになっておりまして、追加課税を受けないということでございます。
 したがって、近年取得されました土地で余り上がっていないということであれば、今のように売却をした場合でも課税を受けない場合もございます。昔取得したものには、帳簿では一億円になっているけれども、例えば借入金で持っているとか、コストもかかっているであろう、管理費もかかっているであろうというところから、一年につき一割分はそういったいわばコストであるとみなして利益から引く、そのことを申し上げた次第でございます。
#26
○清水達雄君 今のような措置をとるというのは、企業経営計算上そういうことをやるということじゃなくて、一〇%追加課税に関して特別にそういう措置をやるということなんですか。
#27
○政府委員(小川是君) そのとおりでございます。
#28
○清水達雄君 例えば東京臨海部の鉄鋼業とかああいうものについてはどうなるんですか。それはもういつ買ったなんて話じゃなくて、もう相当昔買ったというふうな土地についてはどうなんですか。
#29
○政府委員(小川是君) 今おっしゃった三十年前、五十年前のものは、帳簿価額がもともと極めて低くなっているだろうと存じますけれども、その場合でも、二十年分であれ三十年分であれ、一年につきその帳簿価額の一〇%分をずっと足し上げていくというふうに課税上はなっていると、それはそのとおりでございます。
#30
○清水達雄君 そういう一〇%追加課税をするときに、帳簿価格に毎年一〇%ずつ上乗せをして、それをコストとみなして上乗せをするというのは、何かよくわからぬ非常に甘い措置をとるというか、どうもバランスがよく我々の頭の中にうまく入らないんです。そういうことを知らないと、一般企業が工場や倉庫等を閉鎖してそこにマンションを建てて売るというときに一〇%の追加課税がかかるんですよというようなことになったら、そこしか知らなかったらみんなこれはえらいことだということになっちゃうわけですよ、六十数%も税金取られるのかと。マンションを売るというのは、エンドユーザーに売るときにかかる税金ですからね。
 要するに、今度、都心居住絡みの大都市法の改正とか、再開発法の改正とか、区画整理法の改正とかいろいろやりました。つまり都心居住の推進なんというのは、やっぱり一番先にやるのは、臨海部の遊休化した工場とか倉庫なんかを住宅にして供給するということが僕は一番大事なことだろうと思っているんですけれども、何かこういうふうに表現をされて、今の一〇%の上乗せのコストが見られていますよなんということを知らなければ、これはどうしようもないような話になっちゃう可能性があるわけでございまして、こういう税制というのはどうも複雑過ぎて本当にわからないんですよね、普通の場合には。こういうことをつくづく感ずるわけでございます。
 優良建築物整備事業というふうな軽減税率をやっても、要件とかいろんなことが複雑過ぎちゃって非常にわかりにくい。不動産業者自身ですらなかなか理解ができないというふうな実態なんですよ、本当は。だから、これは平成六年分の土地の譲渡課税がどういうふうに分かれるかわかりませんが、平成五年までの分で見ますと、いわゆる軽減税率の量というのが比較的小さいんですよね。三九%も払うような、そっちの方の適用額の方が大きいというふうな状況にどうしてもなっちゃっているわけでございます。
 それからもう一点、やや手続絡みのことを聞きますけれども、優良建築物整備事業のための譲渡につきましては、個人がいわゆる軽減税率の適用を受ける場合、あるいは法人が一〇%の追加課税の適用除外を受ける場合には、譲渡の申告時に建築確認申請書を出さなきゃいけない。これが正式に受理されないと軽減税率の適用を受けるとか一〇%の追加課税の適用除外になるとかということにならないわけです。
 ところがこの建築確認申請というのは、ただ設計書をつくって出せばいいというものではなくて、周辺住民の建築同意の取りつけというのが必要なんですよ。ところが、これはやってみないと周辺住民の建築同意がとれるかとれないかなかなかわからない。かかってみて、もめ出してきたら、これはもう相当な期間を要するというような話になっちゃうわけです。
 したがって、特に企業なんかの場合には赤字対策で土地を売る方は売ろうとするとかいうことがありますから、いつ同意がとれるかわからぬというようなことになっちゃって、計画的な譲渡というのがなかなか難しいという実態なんですね。こういうあたりは適用要件について何とか知恵はないものですかね。こういうことだとなかなかスムーズに移転ができないということになるわけでございますけれども。
#31
○政府委員(小川是君) 土地の譲渡に係る税制が大変複雑になっているというのは残念ながらまことにそのとおりでございます。
 私どもも実は税を担当いたしますとこの土地の譲渡所得を勉強するだけで大変な、三十年にわたる歴史がございまして、なぜそういうことになっているかと申しますと、当たり前のことでございますが、通常の商品のように定型化されているものではなくて、土地は極めて個別性が強い、場所的にも地域的にも、それから同じ場所でも形、面積で違うわけでございます。それを公平、その他政策目的に合致する形で制度化しようといたしますと極めて複雑なものにならざるを得ない。政府部内では、建設省とか国土庁とか、その他各省と議論をしながら公正の確保と簡素化と両方を試みておりますけれども、ただいまの委員の御指摘は非常に心しなければいけないなと常々思っているところでございます。
 ところで今の、優良建築物の建築に当たって一〇%の適用除外にするときに、建築確認申請書を出せ、添付をしろということになっているわけでございますが、それはその土地を買った方が、確かに優良な建築物を建てるということが売る人にとって税金が安くなる要件でございますから、売る人が税金をまけてくれというためには、買った人がそういうものをつくるということを何らかの形で明らかにしていただかなければならない。その部分が建築確認申請書という形になっているわけでございます。
 実は、建築確認申請書だけでは建築が行われたかどうか最終的に確認できません。したがって最終的には、建築が行われて、建築の検査が行われて、それの証明書がつくことが最後になって軽減されることの要件でございますけれども、その手前に、申請だけでいいということにいたしているわけでございます。
 なお、周辺住民による同意などの手続になりますと、これはちょっと今の法律を超えて、各市町村等でいろいろ要求をしておられる上乗せ条件がかかってきているためのもう一つの手間であろうかなというふうに思うわけでございます。
#32
○清水達雄君 結局、今主税局長がお話しになったように、税制の側で、売られた土地が有効に使われなきゃだめだよ、有効に使われることを前提に税を軽減するよというふうなことをやると、いろんな要件がくっついてくるわけですね。ところがその要件というのは、一方において今盛んに議論されている規制なんですよ。だから、建築確認申請の話がありましたけれども、現実には建築主事は建築確認申請を受け取るときに周辺の同意がないと受け取らないんです。これは農地転用でも同じです。
 私は、田舎に昔あった土地を草屋根の家だったからつぶしちゃった。それで今度また家を建てようかなと思って行ったら、これは畑になっていたんです。地籍調査がなんかやって畑になっていた。ところが、昔宅地で畑になったのを今度はもとの宅地に転用するのに相当な時間を要したんですよ。それで、隣のみんな同意を持ってこいと言うんですよ。これは田舎のことですよ。農地転用でもそうです。
 結局、そういう規制の問題、それから軽減税率の問題でも都道府県知事の許可というか認定とかというのが必要なわけですよ。ところが、一方において開発指導要綱というのがあるもので、都道府県知事の許可を受けに行けばそこに開発指導要綱がくっついてきて非常に負担が重くなる。
 しかも、公共団体によってその指導要綱の中身が違うものだから、これが非常に怖くて中小不動産業者などは行った方がいいものか行かない方がいいものかと迷うわけですよ。こういうふうな問題が絡んできちゃうんです。だから、この要件というものと規制というものとが結びついちゃつているわけですよね。そういうことがあるものですから、とにかく税制というのはいろんな特例措置を、難しい要件をくっつけてやったんじゃ動かないんですね。
 ということで、土地税制についてやっぱりもっと単純化をしていかなきゃいけないのじゃないかなというふうに非常に思っているんです。もうちょっとはっきり言うと、もう軽減税率制度なんというのはやめちゃって、それから長期譲渡所得課税の三九%とか三二・五%もやめちゃって、全部二〇%プラス六%というふうな、前やっていたようなことにもう一本化しちゃう方が僕はいいんじゃないかなというふうにも思うんですね。何かもうちょっと単純化を図っていかないと、規制のためのいろんな事柄とこの税制の要件とが絡んじゃってどうしようもないという感じが非常にするわけでございます。
 この辺につきまして大蔵大臣はどのようにお考えでございますか、お伺いしたいと思います。
#33
○政府委員(小川是君) 大臣がお答えになる前に、ただいまの御指摘を私どもなりに整理をさせていただきたいと思います。
 二つの大きな問題の御指摘だと思っております。
 一つは、委員がおっしゃられたように、土地利用の問題というのは実は税制の問題ではございません。したがって、国家、社会として土地をどのように利用するかというのは、漏れ承りますと各国非常に厳しい規制で、社会的にどこの土地はどう利用するか具体化するときには、いわば都市計画審議会みたいなものでございましょうか、そういうところで一つ一つ厳しく利用を規制しているというふうに聞いております。その手続の部分はどこまで行っても規制であろうかと存じます。日本の場合にはそれがいろいろな形で行われている。その部分は利用規制の問題であろうかと思います。
 片方で、税はそれではどうかということになりますと、土地という資産にかかる税負担のあり方としては、やはり他の所得に対する税負担に比べると幾分か重い負担を求めるというのが、勤労性所得等との関係からいえば適切ではないだろうかというところへ今日至っていると思いますし、また、土地を保有している方には資産としての有利性から、コストとして保有について負担をしていただくという問題であろうかと思います。
 問題は、利用規制が一つしっかりしたものができないために、むしろ税を利用しているというところがあろうかと思います。将来の方向としては、土地利用規制は土地利用規制、あるいは建築規制は建築規制、税はできるだけ資産に対する課税のあり方一本でということはあろうかと存じます。現在はかなり土地利用との関係で政策的に税が使われてきているというのが事実でございます。譲渡所得の課税の水準という問題になりますと、むしろ軽減税率よりは本則税率の方であるべきであるというふうに考えてきている次第でございます。
#34
○国務大臣(武村正義君) 委員と局長のやりとりを聞いておりましても、大変土地の税制は難しいんだなということを改めて再認識をしております。
 今は土地利用計画とか建築確認等も含めて幅広く問題提起をいただいておりますが、基本的には日本のあるいは日本人の土地に対するかかわりといいますか、私も昔ヨーロッパで少し実地を見てきましたが、どうもシンプルにいかないというところがございますね。その辺が複雑にしている一番根源的なものかなというふうにも思うわけでありますが、しかし御指摘のように、ここはちょっと土地利用の計画とかということは別としましても、小川局長もお答えしておりますように、土地税制に関してももう少しわかりやすく仕組みを単純化していく努力は必要だなと、今、御意見を承っていてそんな感想を持ちました。
#35
○清水達雄君 私がさっき申し上げたように、二〇%プラス六%に一律しちゃえというのは、これは課税の公平という面から問題があるとするならば、資産の譲渡課税の本則にもう私は戻していいんじゃないかと。
 結局、土地に対する需要というのは従来と変わって今後はそんなに多量なものは出てこないと私は思います。今までは確かに日本経済が高度成長期を経でずっと膨らんできておりますし、住宅も非常に悪かったから住宅建設もどんどん進めなきゃならないという状況になってきました。しかしもうこれからは、これは一つでは困ることかもしれませんが、円高問題とも絡んで、企業は国内と海外とうまくバランスをとってやっていかないととても為替レートの変動には対応できないというふうな状況になってきているから、むしろ国内への設備投資というのをどうしてふやしたらいいかというふうな事態になってきている。
 それから住宅についても、一応はみんな住んでいて、値段が高いときはもう買うまい、安くなったら買おう、あるいは金利が安くなったら買おうというふうな世の中になってきていますから、もうこれからはそんなに大きな土地需要というのはないんです。地価は、平成七年の地価公示も発表されましたけれども、地価の下落率はやや小幅にはなりましたがまだ続いておりますし、これからもまだ私は地価は下落していくと思います。
 そういう状況に合わせて、今までいろいろ御苦労なさった政策的配慮といいますか、そういうものを捨てて資産譲渡の本則税率にだんだん戻していくということの方がいいんじゃないかという感じが非常にします。
 そうすると、これはいわば二分の一総合課税の問題であるわけでございます。勤労所得との議論がさっき主税局長からありましたけれども、土地を買うためにはどうして買うかというと、まず自分が働いて所得を得たら所得税を払って、自分で生活を支える消費をして、余ったらばそれをためておいて資産を買うということになる。資産を買ったら、土地を買ったらどうするかというと、もしそれを貸して地代が入ったら地代についても所得税が毎年かかる。一方、固定資産税等を初めとする保有税も毎年かかるということであるわけです。
 じゃ、今度はそれを売るときにどうなるかというと、長年かかってそうやってきた譲渡益というものが一挙に出ちゃうわけですね。そうすると、年々発生する所得と違って、何年間もの譲渡益が一遍に出ちゃって、総合課税みたいなことをやると累進税率ですから非常に高い税金を取られちゃうというようなことにももちろんなってくるわけですが、そういうことを考えて益に対して二分の一の課税をするということだったんだろうと思うんです、二分の一総合課税というのは。
 これは我が国の歴史では非常に古くて、昭和二十一年に譲渡益課税が発足して以来、昭和四十四年までは一応原則として二分の一総合課税原則だった。これは二十四年間あります。それから昭和五十七年度の税制改正で、山中税制調査会長が長期安定的な土地税制をつくると言って、いわば二分の一総合課税にのっとったようなことをやってから平成三年まで十年間、四千万円以下は二〇%ですけれども、四千万円以上の益については二分の一総合課税ということをやってきたわけです。我が国の土地税制の歴史の中でこの期間が一番長いんです。
 その間に非常に宅地需要が強かったから、土地を供給するためには税金を安くしようとやってみて、毎年少しずつ税金を上げていくというようなことを三年間やったこともあるとか、土地成金がふえてきたから一番高いところでは四分の三総合課税なんということをやったこともあるとか、いろんな変遷を経たけれども、もう安定期に入っているから、わかりやすく二分の一総合課税の原則にのっとった課税に変えていくべきじゃないか。平成三年度の税制改革の背景になった状況というのは、今やまさに全くその反対の状況になっちゃっているわけです、土地の問題、資産の問題については。これは後からまた地価税に関連して申し上げますけれども。
 したがって、そういう方向に持っていこうということを検討するお考えはないでしょうか。
#36
○政府委員(小川是君) 土地税制について、特に譲渡所得課税について長く議論がされましたものが土地基本法成立後の平成三年度の土地税制であったというふうに思います。
 その中で最も論議され、重視され、異論がなかったのは、土地の譲渡所得に対する課税制度は長期安定的であるということが何よりも重要であると。そうでありませんと、それまでの過去においてそうでございますが、土地の取引が一次的ブームになる、その後にスランプが来る、またブームが起こる。スランプになったときに必ず土地の譲渡所得課税を軽減すべしという議論が出てくるわけでございまして、また、そのようなことが起こったわけでございます。そのこと自体が、土地というのは黙って持っていると必ず譲渡所得課税は緩和されるという期待を牢固たるものとして植えつけてしまった。それが最大の問題であるというのが一つのこのときの議論の柱でございました。
 その意味からいたしますと、現在の制度につきましてことし若干の手直しをさせていただくという点について御批判もあろうかと思いますが、先ほど申し上げたような、基本原則とのバランスからの見直しということも一つ受け入れていただける面があるのではないかというふうに思うわけでございます。
 もう一点の二分の一総合課税の問題でございますが、これは御案内のとおり、所得税が累進性を持っているために、長い間で得たキャピタルゲインにそのまま累進課税を適用するのはいかがかということで、考え方として出てきているものでございます。
 しかしながら、これまた土地に対する課税につきましては、二分の一であれ何であれ、累進的な課税をすると土地の切り売りを助長するという問題がございます。それから、お隣同士、土地を売ったときに一体どれくらいの税負担になるかということが相互にわからない、御自身でもその年の所得によってわからない、不明確であるという問題があり、円滑な土地取引を阻害するということが指摘されております。こういったことから、土地の譲渡所得は分離で、比例税率で課税をするというのが四十四年以来定着してきていると、ほぼ四半世紀にわたって定着してきているというふうに考える次第でございます。
 なお、五十七年以降、四千万円を超える部分につきまして、非常にテクニカルでございますけれども、実は二分の一総合の上積み課税が行われておったことは事実でございますが、これも二〇%の税率を上回る部分でございますから、ほぼ皆さん方にとっては比例課税に近い受けとめ方をされていただろうというふうに思うわけでございます。
#37
○清水達雄君 二分の一総合課税にこだわるわけじゃなくて、確かに切り売り問題というのはありますから、五十七年度税制改正でやったような、今の局長の御説明では分離、比例課税だというふうなお話でございますが、それでもいいと思うんですよ。何かもうちょっとやっぱり単純でわかりやすいように検討すべきではないかというふうに思うわけでございます。
 そこで、資産課税の問題に入りたいと思いますけれども、平成六年十二月に平成七年度の税制改正に関する政府税調の答申というのがあるわけでございます。そこで、この所得、消費、資産等のバランスのとれた税体系のあり方という考え方からすると、消費課税や個人所得課税が改正されたことを考えると、資産課税の充実を図ることが垂直的公平の観点から望ましいという指摘がなされているというふうに言われているわけでございますけれども、この考え方についてもうちょっとわかりやすく、どんなことをこれは意味しているのかということを御解説をお願いしたいと思います。
#38
○政府委員(小川是君) 税制調査会でも同じでございまして、一般に学者の方や何かがこの問題について言われますときには、やはり所得課税というのは、大きな経済力を持っている方はそれに応じて大きな負担をしていただく、垂直的公平にとって非常にいい税だと。したがって、今後も我が国の税制の大事な基幹的な柱となるべきだというところはほぼ一致していると存じます。ただ、所得課税についてはやはり所得捕捉の困難性といったような問題もあり、勤労意欲に対する影響もあるので、余り過度な累進課税というのは避けた方がいいだろうということでございます。
 一方、消費課税につきましては、経済力が同じ人には使い方に応じてひとしく課税が行われるという意味で、水平的な公平にかなっているのではないかということでございます。
 第三番目の資産課税につきましては、富の再分配あるいは所得課税の補完税、土地をただ持っていると所得は出てこない、あるいは金融資産を持っていればそこから所得が何がしか出てくる、そういったところから所得課税の補完税として資産課税、資産の保有に対する課税を行うということには十分理由があるのではないかということでございます。
 ただ、いずれの税にも長所と短所があるので、これを適切に組み合わせていくべきであるという考え方がこの所得、消費、資産等のバランスのとれた税体系ということの言葉の合意だと存じます。
 そこで、その次に、資産課税の充実を図ることが重要ではないかということが指摘されているわけでございますが、一つには、やはり所得税の累進性を緩和してまいりますと、先ほどの裏返しになりますけれども、所得税の補完という意味からしますと、資産を保有しているということについて適切な負担を求めることの重要性が高まってきているのではないか。
 それから、消費課税を充実していくということからいたしますと、水平的な公平は進むわけでございますけれども、大きな経済力を持っている方にはなお負担を補完的に求めるべきではないかという観点からもやはり資産課税というのが重要ではないか、こういったことがこの税制調査会の答申に至る前での御議論であったように記憶いたしております。
#39
○清水達雄君 資産課税については、所得税の補完というふうな意味で資産課税をやる、今回は所得税についてある程度の軽減措置等がとられたので、資産課税についてはもうちょっと強化をして補完の度合いを少し強めるかなど、こういうふうに理解をしていいわけですね。
#40
○政府委員(小川是君) 資産課税と申しますときに、資産から生ずる所得に対する課税と、資産を持っているということ自体に対する課税の問題がございます。
 資産から生ずる所得に対する課税の問題につきましては、従来、利子配当とかキャピタルゲインの課税問題でございますけれども、技術的になかなか難しい問題があり、経済取引に対する中立性の問題なんかもございますけれども、これについてさらに充実を図っていくべきであるということが一つ。
 もう一つは、資産の保有というものについて、これまでよりは緩めるというのではなくて、やはりこれまた充実を図るという方向で今後は税を考えていきましょうというのがこの税制調査会の答申の考え方であるというふうに存じます。
#41
○清水達雄君 それで、よくこういう物を言うときに出てくるのが所得、消費、資産等のバランスという話なんですね。これは前にも一回御質問したことがあるんですけれども、一体このバランスというのはどうやって判断をするのかなというのが非常にわからないんですよね。税金の話というのは金の話ですから、数量的にこういう場合ならバランスが崩れているとか、こういうふうになっているとうまくバランスがとれているとかという表現をしないとなかなか税金の話にはならないんですよ、文学的なことを言っていてもね。
 それで今、資産から発生する所得とそれから保有についての税という二つのお話があったわけですが、今後資産課税の充実がバランス論という意味からも必要だというようなことが言われているけれども、この点についてもうちょっと具体的に、こういう面で資産についてはまだ課税が少ないとかいうふうなことがあって、その上でこういう文学的表現を使われているのかどうか、その辺について御説明いただきたいと思います。
#42
○政府委員(小川是君) その点は数量的にどうかということになりますと、例えば過去、直間比率といったようなものでよく御議論をいただいたことがございます。直間比率の場合でも、直接税が七割がいいのか六割がいいのか五割がいいのかというのは、実はどの学者にお尋ねしてもないわけでございます。ただ、直接税のウエートがいろいろ考えると高過ぎるから、もう少し直接税のウエートを下げるべきであるという方向性とイメージはかなりの皆さん持っておられるのかもしれません。しかし、定量的にはどなたもお示しになりませんし、なれないことだと思います。所得、消費、資産のバランスという問題も同じようなところで、何%ぐらいであればバランスがとれるということにはならないと存じます。
 ただ、例えば資産課税のウエートが国によってかなり違っておりまして、我が国はOECDのデータによりますと資産課税が国税、地方税を通じまして税収のうち一六%ということで割に上の方にございます。これはしかし、各国同じ経済活動をしていましても、所得に対して資産が何らかの理由で非常に大きな価値を持つ、日本のように土地が経済とのバランスからいって非常に大きな価値を持っているようなところは、同じような課税をしているつもりでも、資産に対する課税というのがウエート的には見かけ上は上がってくるというところもあろうかと思います。
 それから、この所得と消費のところの負担にいたしましても、税負担率が低いときと、次第に上がっていかざるを得ないときにはどこに税負担を求めていったらいいかというところから、皆さん方の方向性はあろうかと存じます。しかし、説明をせいというんで説明をさせていただきましたけれども、定量的に幾らぐらいはどうだということを言ってみいということになりますと、残念ながらそれを申し上げられる性格のものではないということを御理解賜りたいと存じます。
#43
○清水達雄君 直間比率の問題につきましては、確かに日本の所得税は非常に高かったから、OECD二十四カ国の中で所得税の構成比が一番高い。それから間接税については一番低い。ところが、資産課税については七番目だか五番目だかというふうなところにあるわけで、直間比率という点ではこれはかなり明らかにわかるんですよね。
   〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
 確かに日本の場合は、国際的に見ると少しゆがんだ感じだなというのがわかるんだけれども、資産課税については、やっぱりそれは利子に対する所得税あるいは株式の譲渡益に対する所得税、まあ不動産所得というのはいろんなものと合算されてあれするんでしょうけれども、何かそういう所得税について相互に比較しながら高いのか低いのかとかいうふうなことはある程度議論ができるような気がするし、それから保有税の問題、これは主として土地では固定資産税と地価税になるわけですけれども、これについては全体を合わせて、本来ならば収益に応ずるような課税になっているかどうかというような問題であるとか、あるいは国際比較とか、何か個別にはいろんなそういう検討ができるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、一応とにかく税制改革と称して所得税と消費税についていじくったから、今度は資産だというのがどうもぴんとこない、よくわからないような感じが私はしているわけでございます。
 それで、この税調の文書では、資産課税の項目としまして、土地税制とか有価証券取引税とか、利子あるいは株式等の譲渡益に対する課税だとか、年金課税だとかいうふうなものが挙げられていますけれども、資産形成に対する中立性というふうなことは、これは心してちゃんと見ていかなきゃいかぬかなということはありますが、結局こういったもろもろの税については、言うならば経済政策論とか経済運営の問題として、内需振興との関係はどうかとか、空洞化との関係はどうだとか、円高対策との関係はどうだとか、生活の安定というふうなこととの関係はどうだとかという、さまざまな要素が絡んでくるわけですね。
 今後、資産課税を検討するに当たって、基本的にどのような取り組みをなさろうとするのかについてお伺いしたいと思います。これは大蔵大臣に。
#44
○国務大臣(武村正義君) 先ほどから御紹介もございましたように、平成七年度の税制改正に関する答申の中で資産課税につきましては、「高齢化、ストック化、国際化といった我が国経済の構造的な変化の中、所得・消費・資産等の課税バランス、更には、資産の種類毎にその取得、保有、譲渡の各段階で課税が行われるという資産課税の性格等を踏まえて、当調査会としては、今後早い機会に幅広い観点からの検討に取り組む必要がある」と、こういう答申がなされているところでございます。
 税調の会長初め関係者の御相談が始まっているようでございますが、今後そういう視点に立ちまして、資産課税全体についてことしの夏ごろ前後には政府税調で正式にこの問題を論議の対象にしていただこうという計画でございます。
#45
○清水達雄君 この間、新聞を読んでいましたら、主税局はもう非常に忙しくて大変だと。確かに考えてみますと、経済対策としての減税の問題だとか、あるいは消費税と所得税の改革の話であるとか、それから七年度税制、それから阪神大震災のための税制特例。この阪神の税制特例などは、もう大変意を用いてやっていただいて私は非常に感謝をしているわけでございますけれども、恐らく物すごく主税局は大変だったんだろうとも思いますけれども、それでもう大分くたびれたから、少し休みをとって、当初考えていたよりも検討の時期を少しおくらせなきゃならぬかなと、人事異動でも終わってから始めるかというふうな記事が載っかっていたんですが、この辺についてはどうなんでしょうか。
#46
○政府委員(小川是君) 時期は今大臣から申し上げたとおりでございまして、昨年末税調の答申で検討するというお話でございましたから、部内におきましてかなり準備作業をしなければいけないということで、既にいろいろな作業をやっておるところでございます。どういうタイミングでどういうテンポでこれを御議論をしていただくことになるか。できるだけ早い段階から御検討をいただかなければいけないということで精いっぱい努力をいたしているところでございまして、ほかの作業があるからといってこちらをおろそかにするわけにはいかないというふうに思っているわけでございます。
#47
○清水達雄君 また土地税制に戻るわけですが、今回、きょう審議しております税制改正で譲渡益課税について若干の軽減が行われたわけでございまして、従来からの議論ですと、譲渡益課税などはそう簡単にちょこちょこ直すもんじゃないよというふうな話が一方にあるわけでございますが、資産課税として検討する場合に、保有税の問題は当然あると思います。地価税の問題がありますし、固定資産税につきましても、非常に地価が高いときに評価をしちゃったものですから、固定資産税についてはもう大変これは自治省もいろいろ困って、負担調整措置の再強化というようなことを今年度もやるというようなことになっているわけですが、この保有税の問題は当然議論をされるだろうというふうに思います。
 ただ、土地税制として考えますと、私はどっちかというと保有税はきちっと取れ、しかし譲渡益課税はできるだけ軽減すべきである。つまり、資産の流動性はきちっと確保してやらないと土地利用がうまくいかない。土地が移転しませんから土地利用がうまくいかないということがあって、譲渡課税はできるだけ低くすべきだと。また資産全体についても、移転税制については、移転のときに余り税金を取るということはやめないと、日本経済がマクロとしてうまく上に向かって動いていかないよという状況に今なってきていると思うわけですけれども、保有税についてはやっぱりきちっと取るべきだという感じでいるわけです。
 そこで、資産課税の検討に当たって、この土地税制について保有税と譲渡益課税とを一体的に議論の対象としてやるのか、あるいは保有税中心にやるのか、その点についてお伺いいたします。
#48
○政府委員(小川是君) ただいまの点につきましては、税制調査会で議論をいただきましたときも、土地の譲渡益課税制度については長期安定的であるということが最も重要であると。そういう意味からいたしますと、この七年度の改正で若干の手直しをいたしますにつきましても、三年度改正以来の基本的な考え方の中であるということで若干の手直しは入れていただいたわけでございます。
 しかし、これによって改めて長期安定的な譲渡課税制度がつくられたという認識でございまして、今後資産課税を検討する際の土地税制につきましては、そうしたことを前提にして、当然この保有課税が中心となって論議が進められていくことになろうかと思う次第でございます。
#49
○清水達雄君 ことし譲渡益課税についていじくるわけだから、今後の資産課税の中でまたいじくるよというふうなことはなかなか言えないとは思うんですけれども、やっぱり保有税と譲渡益課税というのは一体的に当然議論をされるべきものであるというふうに思います。
 それから、もうこれは私、当選以来言い続けてきておりますけれども、平成三年度の土地税制改革の考え方というのは私は間違っているというふうに思っておりますので、どうもこの譲渡益課税の問題について、あるいは地価税もそうですけれども、ここはやっぱり今もって平行線で行くということになるのかなというふうな感じでございます。
 それで、これ以上議論していてももう決着はつきませんので、地価税につきましてちょっと質問したいと思うんです。
 この地価税の創設の目的というのは、土地の有利性の縮減ということが最大の目的であったと思うんですね。なぜ土地を持っていることが有利かということを税制調査会の報告の中にかなり克明に書いてあるんですけれども、若干簡略化して言いますと、例えば土地の希少性、長期的な需給逼迫傾向から、地価上昇は土地の生産性の伸びや国民所得の伸びをかなり上回るということ。これは現実にはもう四年間も地価は下落を続けているということがあって、今、五十八年を一〇〇とした指数で見ても、GDPの水準よりも住宅地の地価の指数の方が下がっていると思います。もう地価はGDPとの関係では五十八年以前の状態に戻っているということになっていると思いますけれども、要するに、地価上昇というのは生産性の伸びや国民所得の伸びをかなり上回る。
 それから、株式等に比べリスクが小さく値上がり期待が大きい資産で、このことが一層の地価上昇を招くということが書いてありますが、株式と土地とどっちがリスクが大きかったか、もうほとんど変わらない。むしろ土地の方がリスクが大きくて、不良債権とか不良資産が物すごく発生している状況はもう目に見えているわけでございます。
 それから、土地の価格は外部的な条件によって上昇し、事業や他の資産への投資に比べ土地への投資をより有利なものにしていると。これは土地を持っている人はみんなもう困っちゃっている実態なわけですね。
 それから、税制が土地の有利性を助長しているものとしてというようなことで幾つか挙げているんですけれども、株式等と異なり地価下落のリスクは極めて小さく、売却時点を容易に選択でき、譲渡益課税を先延ばししやすいなんということを書いてありますけれども、これはとてもそんな状況にはないわけでございます。
 それから、相続についても書いてあるわけですよ。土地の評価が実勢価格より低く、小規模宅地の評価の減額特例があるので、他の資産より相対的に有利なんて書いてある。
 もうここに書いてあるようなことはほとんど今は逆になっちゃっているわけです。やっぱり世の中は、バブルで上がったものはいずれ下がるよということは当然あるんですが、平成三年度の税制改革というのは、何か恒常的な状態として土地というものをこういうふうに、今言ったようにとらえているということがあるわけでございます。さらに、そういうものを乗り越えて、一見二重課税とかなんとか言われるような地価税というものが出てきたわけでございます。
 この辺について大蔵省としてはどう考えておられるんですか。要するに、世の中がもう完全に変わっちゃって、土地について言っていたことがもう全然そうじゃない、それは時勢によってどんどん変わっていくんだということであると思うんですけれども。
#50
○政府委員(小川是君) ただいま御指摘がありました土地の問題は、我が国における土地の本質的な問題と、そのときどきにおける土地の動きと二つの問題があると存じます。
 本質的な問題は、平成元年の土地基本法に集約されている考え方、それが我が国における土地についての基本的な考え方の集約であるというふうに思うわけでございます。地価税の問題は、そうした本質的な土地に対する考え方を背景として税制調査会で一年議論をしていただいて、そしてこういう改革が行われたということでございます。
 いま一点は、その当時のバブル的な土地の高騰とその後における下落というのは、過去におきましてもこれほどひどいものではございませんでしたが、現象としてはあったわけでございます。したがいまして、現在の状況をもって土地の譲渡所得に対する課税制度、あるいは地価税の本質的な部分を左右する考え方というものをとることはできないというふうに思う次第でございます。
#51
○清水達雄君 保有課税が全体として低いよという話ならわかるんですよ。ところがそうではなくて、一方で固定資産税というのがあるのに、その上に何かよくわからない地価税というものが出てくるということがよくわからない。そうすると、資産の保有の有利性とかなんとかよくわけのわからぬものを引っ張り出さないと地価税というのは出てこれないわけです。こういう問題があるわけでございます。
 実はあのときに自治省が、固定資産税の評価の適正化とか、ちゃんと課税をするよというふうなことを言っていれば私は地価税は出てこなかったと思うんです。固定資産税については、公示価格ラインの七〇%にするというようなことで非常に混乱を来しているわけで、負担調整措置をもともとつくったし、ことしもまた拡大しなきゃならぬというふうな状況になっている。そういう状況を考えてみますと、やっぱり地価税というのは、要するに理論的にも固定資産税と二重課税だし、しかも部分的な二重課税というふうなことになるんですね。
 だから、私は地価税というものはあってはならないと思うんですよ。もし必要があるならば、固定資産税の中で住宅については特例的な軽課がなされてきましたけれども、固定資産税の中で事業用土地についてはこうだとかというふうなものがあるんならまだ話はわかるんだけれども、どうもこの点については何か大蔵省も税制調査会も片意地を張り過ぎているんじゃないかというふうに非常に思うんですけれども、いかがでしょうか。
#52
○政府委員(小川是君) 土地保有課税の議論をいたします前提は、やはり土地をどう考えるか、土地についての問題はどういうことかというのが先であると存じます。そういう意味で、土地の資産としての有利性、保有コストが低いということが問題になったわけでございます。
 そこで、ではそれを税としてどう対応するかというときに、当然固定資産税がそういう機能を果たしているのではないか、果たすべきではないか、果たすことができるかということがもう圧倒的な大きな議論であったわけでございます。ところが、固定資産税はやはり土地、建物に保有課税をいたしておりますが、基本的な性格が市町村の行政サービスに対する対価である、そういう性格の税であるというふうに説明されてきておりましたし、今日もそうであるわけでございます。
 そこで、その固定資産税に土地に対する保有コストという観点から負担をしてもらえないか、役割を分担してもらえないかということになったわけでございますが、そのときには、今委員御指摘のとおり、それは難しいということで地価税が出てきたわけでございます。その後、固定資産税は評価を一元化し、公示価格の七割にといって今進んでいるわけでございます。
 固定資産税にはやはり二つの問題がある。当時もありました。今日もあると存じます。一つは、地価の水準に対する負担が不均衡である、北海道から沖縄まで、東京を含めて各地の負担が不均衡であるという問題が一つ。もう一つは、負担が時価に対して低いではないかということでございます。
 土地の資産としての有利性にこたえるというのは二番目の問題でございまして、一番目の問題は各地域の評価を一元化するという問題でございます。その後、固定資産税は確かに時価の七割という方向で進んでおります。極めて大幅な負担調整措置を持っているわけでございまして、いつになったらそれがなくなるかというのは、恐らくちょっとめどが立たないんであろうというふうに思うわけでございます。
 そういう意味からいたしますと、土地の価格に対する負担のあり方という問題としては、やはり地価税が全国一律の評価で一律の負担を求めるということから極めて大きな意味を持っているというふうに思うわけでございます。
 しかし、土地を持っておられる方にとっては同じような負担であるから、この二つの問題を考えるべしというのが、地価税法ができましたときに、少なくとも五年ごとに見直しを行うべしという精神であろうかと存じますし、これからも私どもは固定資産税の負担のあり方を見ながらこの地価税の見直しの作業をやっていかなければいけないというふうに考える次第でございます。
#53
○清水達雄君 それで、地価税法の附則にありますように、固定資産税の負担の状況等を踏まえて検討するというようなことがあるわけですけれども、土地の保有税というのは一体どのぐらいにあるべきかという議論がありまして、地価税法を国会で審議したときに、土地の保有税、実効税率一%ぐらいというふうな答弁が当時の主税局長からあったように思うんでございます。ところが、この土地保有税の実効税率というのがよくわからないですね、国際比較をやってみても。
 それで、ちょっと資料をお配りしてあると思うんですけれども、大蔵省資料というのがありましてアメリカとイギリスと日本について書いてありますけれども、例えばアメリカは、ニューヨークのオフィスビルで三・五六%とか四・七八%なんというべらぼうに高い実効税率が書かれている。本当にこんなことがあり得るのかなと思うんです。それからイギリスでも六・八六%なんというのが書かれている。ところが日本の場合には、オフィスのところを見ると〇・六三%か〇・四九%とかというようなことになっている。
 ところが、不動産協会の方の資料も出しているんですが、まず実効税率というのは市場価格で保有税額を割ったものであるわけですけれども、この市場価格の価格の方が非常に問題があるというふうなことで、アメリカの場合には市場価格の把握においてもいわゆる収益還元法が極めてなじみやすいと。日本では売買事例価格を市場価格とするのが一般的である。片や収益還元法を基礎とした市場価格、片や売買事例を基礎とした市場価格をもって実効負担率をはじいてみたってしょうがないよという話があるわけです。
 そこで、二のところにある表は、これは要するにビルの値段で割らないで税額が幾らかという資料なんです。一平米当たり保有税の税額が幾らかというのを見ますと、ニューヨークも東京も土地一平米当たり、建物一平米当たりを両方足すと税額自体はほとんど変わらないというふうなことになっているわけなんです。要するに、国際比較をやるといっても非常に難しくて、価格の評価をどうしているかというようなところをごく詳細に見ていかないとわからないという問題があるわけです。
 こういう状況では、なかなかこれは詰まった議論にならないわけでございますので、私は官民合同調査団でも編成して国際比較調査みたいなことをきちっとやってほしいなというふうに思うんですけれども、その辺のお考えはどうでしょうか。
#54
○政府委員(小川是君) 二つ申し上げさせていただきたいと思いますが、大蔵省の資料につきましては、まさに土地の評価とか土地の時価とかいうのは私どもも全くわかりにくいものでございますから、外国の不動産につきましてはニューヨークとかロンドンの会計事務所を通じましてそれぞれ調べていただき、その資料によって作成をいたしたものでございます。また、日本の事例につきましては政府部内で建設省の関係部局にお願いをして類似のものを調査していただいたものでございます。そういう意味におきましては、この調査自体、データ自体としてはそれなりにきちっとしたデータであるというふうに思うわけでございます。
 問題は、今お示しいただいたものとかなり差があるのは何かと申しますと、今お示しいただいたものは面積当たりの負担税額でございます。私どもがお示ししておりますのは、その土地の価額に対する負担額、価額に対する負担率を見ていただいているわけでございます。土地の価額が低ければ面積当たりの負担税額が低くなるのはいわば当然でございますし、それにもかかわらず負担率は時価に対して高いということは十分あり得るわけでございますから、ここでこの地価税あるいは保有課税の議論をいたしますのは、やはり面積当たりの負担額ではなくて、その土地の持つ経済価値に応じた負担がどの程度であるかということであろうと思うわけでございます。
 その意味においては、やはり各地における土地の経済価値が幾らぐらいで取引されていると考えるか、それに対してどれくらいの割合の負担をしているかということで御議論をいただくのがよろしいのではないかと考えるわけでございます。
#55
○清水達雄君 時間がなくなりましたので最後に大蔵大臣に伺いますけれども、与党の税制改正の議論の中で、大綱に書いてありますけれども、地価税については平成八年度税制改正において結論を得るべく努力する、こう書いてあるんですけれども、地価税についての検討の結論というのは八年度税政改正でやるのか、九年度税政改正でやるのか、その辺伺いたい。
#56
○国務大臣(武村正義君) 委員の専門的な御質問の中でおっしゃっているように、土地に対しても、保有税はいい、ゲインに対して、収益に対してかけるのは軽くしてという御主張がございました。問題は、その土地保有は、固定資産税そして地価税が始まったわけでありますが、ちょうどバブルのさなかに地価税がスタートをして、間もなくバブルが崩壊し、地価が下落を始め、今日に至っているわけでありまして、そういう直近の状況からいきますと、余分なことをしたという見方も幅広くあるのを私も認識はいたしております。
 ただ、先ほど来議論がありましたように、固定資産税の制約といいますか、保有税としてオールマイティーでない点も認識をしながら、補完するとは言いませんが、片方全国的な立場で統一した基準でこうした税制がスタートを切ったことを考えますと、すぐに根本的な見直し、まあ廃止の声もございますが、それはいかがなものだろうかというふうに感じております。
 ただ、御指摘のように五年後、というと本当は九年になるんでしょうか、見直しという目標を設定いたしております。その中で与党は八年度というふうな目標も定めていただいていまして、その辺からもう一度固定資産税との絡みも含めて真剣な御議論をいただくことは結構なことだというふうに思っております。
#57
○清水達雄君 終わります。
#58
○志苫裕君 租特につきましては午後から峰崎委員がお尋ねしますので、私は前回の続きを少しやらせてもらいます。
 十日の委員会で、東京協和、安全二信組の処理というんですか、東京共同銀行の設立のいきさつを聞きました。きょうはたまたま予算委員会で、これと深いかかわりのある長銀と前の日銀総裁においでいただいて参考人の意見聴取をすることになっておりますが、同時進行の形になって恐縮ですが、少し端的にお伺いしたいと思います。
 詳しくは申し上げませんが、長期信用銀行がイ・アイ・イ・グルーブ、あるいはそれの資金繰りの元締めである二つの信用組合、特に協和信用組合と深いかかわりのあったことはもう言うまでもありませんで、一々繰り返しません。
 そこで、端的にお伺いしたいのは、その長銀の資料によると、九三年の七月、撤退の時点でのことなんでしょうが、長銀は九一年ごろからイ・アイ・イ・グループの二次にわたるリストラを求めて、大体その目的は達したと。しかし、海外不動産市況の低下やらあるいは債務超過等々の実態から和議による再建を進めた、このようになっております。しかし、当の高橋が言うことを聞かなかったんでこれは引き揚げたと、こういう流れになっておるようです。もう一方、これよりも早い九二年の四月ごろ、これを監督しておる東京都は、二信組の業務を長銀に移管するといいますか合併するといいますか、そういうことを提起している。その資料によると、念が入ったことには、このことは大蔵省と日銀しかわからない極秘事項だと、こういうことにもなっておるようです。
 お伺いしたいのは、和議の話といい、それよりも一年早い時点での長銀との合併の話といい、この問題は大蔵省はどの程度かかわって、どの程度を知っていたのかということを述べてくれませんか。
   〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
#59
○政府委員(西村吉正君) 九三年の七月ごろに、イ・アイ・イ・インターナショナルに対する長期信用銀行の対応ということで、長銀から公にも一部されておりますが、イ・アイ・イ・インターナショナル社のリストラ計画の支援を続けてきたけれども、今回人的、資金的な支援の打ち切りに踏み切ることとなったというようなことを当時長銀が発表しております。その時点と相前後しまして、そのような事情については大蔵省も長銀から説明を受けておるというふうに理解をしております。
 その前の時点の、先生の御指摘では九二年の四月に都が二億組の長銀移管問題を提起したという御指摘の点については、私はそのようなふうには聞いてはおりませんし、恐らくそういう問題について大蔵省が相談を受けていたということはなかったのではないかと、私、確認をした上でお答えしているわけではございませんが、少なくとも私が今まで聞いたことはございません。
#60
○志苫裕君 高橋証言にもあったりまた手記にもあったりするんですが、長銀がなぜこの事業グループにのめり込んでいったかということは、大蔵省に聞いてもせんない話ですから、それは向こうさんに聞いてくれということになるかもしれません。
 いずれにしても、その時点で、行く行くは経営の肩がわりでもしてもらおうかと、当の高橋の方もそう思ったし、長銀もまんざらではなかったと、こういう経緯があったことは確かなようで、それを受けて、それにしても債務超過だ、少したちが悪いとかいろんな問題が出てきたので、和議だあるいは合併だといういきさつがその間に介在をしてくるんで、これは当然のことながらこのスキームを考える上で重要な要素になったはずなんです。
 あなたは、東京都のレポートといいますか、資料をわからないと言うんですが、例えばけさのNHKによりますとその資料が実物入りで映っているわけです。これは日銀と大蔵省しか知らない極秘事項だというくだりをわざわざクローズアップして映しているんです。当時の所管がどこだったかわかりませんが、これを大蔵当局知らないとは言えないんじゃないですか。
 しかも、私が前回の委員会でこの問題のいきさつを時系列を遣いながらお伺いしたときに、皆さんの方からお話があったのは、長銀が引き揚げちゃって、それが七月ですが、そして八月から九月にかけて東京都に頼まれて一緒に調べたと。そこからのかかわりなんですが、それ以前にかかわりがなかったとは言えないのじゃないか。また、長銀といえば皆さんの監督下なんで、それほどの情報が届いていないというのも合点ができない、こう思うんですが、もう一度。
#61
○政府委員(西村吉正君) 御指摘のように、私ども長期信用銀行につきましては従来から何年間に一回検査もやっておりますし、常々意見の交換もやっておりますから、長期信用銀行の経営状況なりあるいは基本的な経営方針については承知をしておるつもりでございます。
 そういう意味において、長期信用銀行がイ・アイ・イ・グルーブのメーンバンクとして従来から関係が深かったということは、この信用組合の問題が起こる以前から承知はしておりました。ただ、それはイ・アイ・イと長期信用銀行との関係でございまして、この二つの信用組合と長期信用銀行の関係ということになりますと、一昨年の夏に東京都に協力いたしまして検査をともにする、そういう機会を通じて知り得たと、そういうふうに私は理解をしております。
#62
○志苫裕君 今わからぬと言うんだからそれ以上聞いてもしょうがありませんが、協和の方には顧問を派遣もしておるし、この二つの信用組合というのはイ・アイ・イ・グループの紛れもない資金繰りの元締めになっているわけです。
 何でも長銀さんは、いや、イ・アイ・イ・グループの融資というのはおればっかりじゃないんで、三井信託だ、三菱信託だ、あるいは日債銀だとか、仲間五行でやったんだとは言いますが、九三年の七月の時点で見ますと、五行の融資残高のうちの七割以上は長銀になっているわけです、その当時二千億ちょっと欠けるぐらいの融資残高ですけれども。そういう状況が監督を機関委任事務しているとはいっても届いていないというのも、大蔵省も日本の信用全体に目くばせしている割には案外情報に疎いもんだなという気がしなくもない。このことはおきましょう。
 しかし、これは大事な点になると思う。というのは、私もこの間の委員会で二倍組の処理にかかわって、今度のスキームも一つの方法だろうとしながらも、従来幾つかの例があったわけで、ほかの方法があったのではないかなと。とりあえず私の問題意識にありましたのは、言葉は悪いですが、協和などというのをいろいろ調べてみますと、何となく長銀のノンバンクみたいな位置づけを持っていたと考えれば、長銀との業務移譲とか合併とかそういう方策が容易に考えられる方策なのに、そこの点がどのようになったのかわからないので、例えばペイオフ方式がなかったか、ほかとの合併はなかったか等々の観点でお尋ねしたわけです。
 このように和議だ、合併だといういきさつがあったとすれば、これは当然大きな検討材料になったはずだという観点がどうしても私の認識から消えない。そういう意味でお伺いをしたんですが、これはまたいずれ何か事態の展開があればお伺いすることになるでしょう。
 いずれにしましても、ある日突然に日銀の一存でどこの銀行協会にも入らないような銀行ができるとか、あるいは当局の強権発動に近いような形でほかの金融機関が協力を求められるとか、あるいは公的支援が行われるとか、その行われる銀行を調べてみたらこれまたでたらめにもほどがある、大口の預金だって導入預金か何かわけのわからないものがあるかもしれない、こういう事態になってまいりますと、もう少しその経緯をただしておく責任が我々にもあるという意味できよう改めてお伺いしたんです。
 異常ずくめと言えば異常ずくめ、この処理は例外と言えば例外なんでしょうけれども、大蔵大臣もこの間お話がありましたが、やっぱりいい教材になったと思うのです、率直に言いまして。ですから、今後の慎重な目配りのきいた対応をこの機会に、本日のところは要求をしておきたいと思うんです。
 大蔵省幹部職員の交際や接待の話がクローズアップされておりますが、このたびの事案とは直接かかわりのないのが救いと言えば救いのような気もいたしますが、しかし慣習化しておるこの接待、私は大蔵に限らずないとは言えません。我々もどこかにいたかもわからない。そういう慣習もあるわけですから、これはやっぱりこの機会にしっかりとけじめをつけるように強く要望したいと思いますので、これは大臣、所見を一言述べてください。
#63
○国務大臣(武村正義君) おっしゃるとおり、こういうさなかに、過去ではありましても具体的な私的なつき合いの状汎が表に出ましたので、そういう意味で一層厳しく御批判を受けているところであります。過去のことだから今はしてないというふうに申し上げるわけではありません。そういう延長線上に今日もあるとも思いますし、たとえこのケースでなくても、そもそも公務員の民間人とのつき合い、どういう節度で律していったらいいのか、改めて今日までを深く反省をして出直さなければならないと思っている次第でございます。
 職務に直接かかわってということでなかったことや、いわば私的な交際、これを僕がよく盛んに言うものですからテレビはこの言葉ばっかり報道したりしてくれていますが、現実にそういうことで、少なくとも今処分の対象になった職員も、大蔵省の中ではありますが、そういう職務を直接背負っていたわけではありません。そのことで申し上げているわけでありますし、また、今回のこういう処理方策に彼らが影響を与えたとは全く思っておりません。そのことはないと信じております。
 ただ、それであっても世間からどう見られるか。全体の奉仕者である公務員としての節度を越えた、私的な行為といえども、これは一人一人がということも言えますし、大蔵省全体がという両面から、規律保持委員会も設置をいたしましたし、反省の上に立って、新しいそれなりのわきまえるべき基準というものを踏まえてぜひ努力をしていかなければいけないと思っている次第でございます。
#64
○志苫裕君 ちょっと小川主税局長、この間あなたがおらなかったので要領を得なかったんだが、イ・アイ・イ・グループなり協和から撤退をした長銀が、まあ少し身軽になろうと思っているのかわかりませんが、九四年にいわば元本債権なども含めて無税償却を行って債権の減額を図った、こう言われておるんですが、それはどういう事情か御存じですか、どういう内容だったんですか。
#65
○政府委員(小川是君) ただいまのお尋ねは個別の案件であり、また国税庁における税務執行の範囲内の問題でございますので、私は全く承知いたしておりません。
#66
○志苫裕君 守秘義務もいいけれども、言うときには言って世の中明るくなった方がいいですよ。そのことだけは申し上げておきたいと思います。
 輸銀とOECFの統合が決まったということですが、それぞれのノウハウが生かされて、またメリットが出るような運営が期待されるわけですが、三月の上旬ごろから大蔵大臣の手元でこれは検討されていたんだ、このように報道されていますが、どのような判断であったのか。あるいはまた性格が違う部門もあるわけで、それぞれ別勘定で運営されるのか、その辺簡潔にでも結構ですから聞かせてください。
#67
○国務大臣(武村正義君) 二月十日でございましたか、政府の特殊法人全体についての方針を取りまとめる時期が来まして、御記憶いただいているような状況で、政府系金融機関についてはさらに年度内を目標に努力するということに相なりました。主として与党が中心になって進めていこうということではありましたが、大蔵省としましてもかねがね三つの比較的大きな政府系金融機関を専管いたしている立場もございますし、各省庁共管しているのがほとんどでございますだけに、ひときわ政府系金融機関の改革ということになりますと大蔵省が率先垂範といいますか、それなりのやはり責任を全うしなければならないという考え方もございまして、直ちに事務当局に大蔵省所管の三つの金融機関を基本にして大蔵省みずからが考え方をまとめるべしという指示をいたしました。
 そして、与党は与党で真剣な議論をしていただいておりましたが、省内でもたび重なる議論の中で、やはり輸銀、開銀の統合のような、まあ異質といいますか、背負っている役割が全く違うものを合併することは避けるべしである、むしろ、なるたけ近いといいますか、類似の役割を担っている金融機関の中で可能性があるかないかを真剣に見詰めていこうということになりまして、開銀と北東公庫の統合、あるいは国民金融公庫と環衛公庫の統合、これはそういう類似という意味では非常に理解がしやすい二つの具体的な事例なんでありますが、私どもの方よりもむしろ相手方をめぐって政治的にもさまざまな壁がありそうである、容易でないという判断をしておりました。
 その中でもう一つは、国際的ないわば投資といいますか、ODAと輸銀とはかなり性格が違うといえば違います。ODAは明らかに政府の援助としての借款でございますし、輸銀は純商業ベースの、財投を使っておりますが、民間よりはやや有利と言えるかもしれませんが、そういう純商業ベースの対外融資という性格の違いがございますが、それでもそういった共通性がございます。
 かつてこれは一本であったのを分けた経緯もありまして、当時はこの二つの融資が混同されて、受ける側にとっても非常に批判が出てきたこともあったようでございまして、分けるということになってきているわけでございます。あのころはタイドローンが中心といいますか、ひもつきにするような借款融資が非常に多かったわけでありますが、今や大方がもうアンタイドローンに変わってきているという現実もございまして、改めてこの機関を見詰め直して統合するような考え方に立ったわけであります。
 しかし、おっしゃるように、この役割はきちっと分けなければいけない。ODAと非ODAの役割分担は統合してもきちっと分けて、対外的にも誤解されないようにするというのが一番大事な原則ではないかというふうに思っておる次第でございます。
#68
○志苫裕君 いずれにしましても、政府系金融機関のあり方の検討はこれで終わったんでも何でもないんでして、これからも精力的に検討が続けられるものと、こう理解しております。
 政府系金融機関を含む特殊法人は国の仕事を受け持つ国の子会社のようなものでして、どの仕事を国が直接やるか、あるいはどの分野を子会社にやらせるかといった関係にあると思うんですが、その関係は時代の推移に応じて変わっていくのは当たり前で、検討されるのが当然と、こう思います。
 特に、特殊法人の多くは戦後の復興期に設立されて、資金の集中的な運用といいますか投入の必要性を背景としておるんですが、おかげさまで日本も成長して国民のニーズや国際環境も変わってくる。したがって、どの分野を国がやるか、特殊法人がやっている仕事がなおまだ国の仕事なのか等々の見直しが求められるのはこれは当然なんですよ。しかも、政府系金融機関が財投機関になっていることにかんがみますと、世界に例を見ない大きな額の財投のあり方もあわせて考えられるべき問題になってくる。
 大蔵大臣に聞きますと、大蔵省所管の金融機関のことに重心があって、どちらかというとほかの省庁が所管をしている金融機関まで口出しするのはいかがなものかというような気持ちがいつもうかがわれるんだ。しかし、私はそうではないと思うんですよ。特殊法人や政府系金融機関をめぐる論議は、とかくどことどことをくっつけるとか、どことどことを切り離すとか、そういう何というか底の浅い、レベルの低い議論をしているように思えてなりません。
 ですから、当然のことながらこの機会に財投のあり方やあるいは政策金融、公的金融のあり方などを含めて総合的に問題点を整理して、公的金融なり特殊法人、広いものになりますが、そういうものほかくあるべしということをやっぱり財政、金融を預かる当局としての見解が表明される時期ではないか。大蔵省所管のものを半分切るとか切らぬとかそういうけちな話じゃなくて、そういうもう少し大きな観点で金融財政当局が所見を述べるというのがむしろ求められている役割だと、このように思います。
 一応意見だけ申し上げて、答弁はあした改めて聞くことにいたしましょう。それで結構です。
#69
○委員長(西田吉宏君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十七分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時開会
#70
○委員長(西田吉宏君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、鈴木和美君が委員を辞任され、その補欠として大森昭君が選任されました。
    ―――――――――――――
#71
○委員長(西田吉宏君) 休憩前に引き続き、平成七年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#72
○峰崎直樹君 私も租税特別措置に関して昨年来から税制調査会でいろいろと仕事をさせていただきました。その意味では、むしろつくった方の側に立っているわけですから余り指摘することもないのかもしれませんけれども、ある意味では念のためにといいますか、さらに今後の課題を明らかにするという観点から少し質問してみたいと思うんですが、実は私も、関連して最近の雑誌類にこの評価はどういうふうになっているかなということで何点か評価を見てみたわけです。
   〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
 その中で、私も、前の予算委員会だったでしょうか、前の大蔵大臣時代に聞いたことがございますけれども、政府税調の会長は加藤寛さんですね。冒頭、大臣にちょっとお聞きしてみたいんですが、この政府税調の委員の人選といいますか、これは政府が任命をするわけでしょうね、当然のこととして。その点、最初に政府税制調査会の性格といいますか、特に委員の人選といったようなことについてはどういう観点から行われているのか、ちょっとお聞きしてみたいんです。
#73
○国務大臣(武村正義君) 余り詳しく知りませんが、形の上だけはこれは総理の諮問機関でございますから、昨年たまたま官房長官を務めておりまして、去年の四月からかわった新しい人事の相談やら報告がありましたので、その限りでは、大蔵省が原案をつくりながら、総理の最終御判断をいただいて決めているということだけは申し上げられます。
#74
○峰崎直樹君 何でそういうことを申しますかといいますと、「税務弘報」のボリューム43ナンバー2、この中で加藤さんはこういうふうにおっしゃっているんです。この今回の税制改革あるいは税制改正、去年の九月とこの間十二月に出しましたものについて評価をしているんですけれども、こういうふうに言っているんですよ。それはむしろ連立批判をやっています。「自民党とさきがけと社会党の三者のせめぎ合いですから、」「どういう理念に基づいているからなんて聞かれること自体がおかしいんですね。あれは理念なき連立ですから。理念なき連立政権が理念を持っているはずがないんです。」と、こういうふうにおっしゃっています。
 そしてさらに、宮智さんという人ですか、テレビ東京の解説委員が「もっとも、あの政権に政策を聞くのはヤボだという言い方もありますからね。」なんて、これは民間の人ですからいいんですが、政府税調の加藤さんは「そうですね。全く意味ないです。足して二で割るしかないんですから。」と。
 私、たしか前回の予算委員会で、当時は藤井大蔵大臣だったかもしれませんが、日経の「経済教室」に、前に同じように、我々が真剣に議論していることに対して非常にこれをある意味では刺激的にやゆする表現なんです。つまり今の政府は理念がないというふうに言って、こういう人が政府税調の会長をやっていることは私はどうもおかしいんじゃないかなという気がしてならないんですけれども、大蔵大臣どう思われますか。
#75
○国務大臣(武村正義君) 御発言がそのとおりであれば、特に政府税制調査会会長として発言をされているとすると私も委員と同じような感想を抱くわけでありますが、特に連立政権そのものが、今回の連立政権をおっしゃるのか連立政権全体をおっしゃっているのかよくわかりませんが、一刀両断で理念がない政権だとおっしゃるのは、これは間違っていると思います。一党政権よりは連立政権の、違う政党が集まって、その中で必死で一致点を見出すということも大事でありますし、違う政党が第三の新しい政策理念を生み出すこともあり得るわけでありますし、そういうところに全然目が向いていないなというふうに思います。
 確かに、村山政権出発当初はそういう物の言い方がかなり荒々しくあったようには思いますけれども、今なおそういう御心境だとすると、少し正確に物を見ていただきたいと思います。
#76
○峰崎直樹君 とにかく、政府税調の会長として任命しているんですから、一回だけならまだともかく、二回もこういう発言をされている。もともと刺激的な発言をされることが多い人ですけれども、これは私はいつか何らかの形で本人の釈明なり、あるいはおやめになっていただくとか、そういうふうに考えないと、どの政権をというんじゃなくて、もう明確に言っているんですよ。今の自民、社会、さきがけ政権に対して言っているんですよ。そうしたら、そんなところの税調会長をやっていられないんじゃないかと。
 私はあの人の理論を別に批判しているんじゃないんですよ。非常に私も勉強しなきゃいかぬすぐれた方だと思うけれども、どうも発言なさっていることは、自民、社会、さきがけ、一生懸命今努力をして、人によっては非常にすぐれた政権だと言う人もいらっしゃいます。いろいろ価値観はあるでしょうね。あるんだけれども、もし今の理念なき三党だということでおっしゃるんだったら、私はおやめになった方が筋が通るということだけ、これは大蔵大臣にお話ししても仕方ないことです。仕方ないというのは、任命権者は恐らく総理でしょうから、総理の方にもそういう意見があったということはぜひともお伝え願いたいというふうに思います。
 さて、内容に入っていきたいと思うのでありますが、実は私、気になっていることがあるわけであります。というのは、私ども野党時代と違って与党になってまいりました。当然責任という問題は非常に重くなってきたと思うのであります。
 昨年、実は減税を六・二兆円やっているんです。五・五兆円は所得税、住民税減税、〇・七兆円というのは例の相続税、贈与税の減税、さらには特別法人税の湾岸戦争のときのマイナス分、これらが昨年の税制改革のときに実は〇・四兆円、すなわち四千億円だけ、これはたしか相続税の見直し分だったと思いますが、これについては面倒を見ているわけです。手当てをしているわけです。ところが、残りの〇・三兆円、三千億円という金額は今度の税制改正の中でも実は十分議論されなかったような気がするんであります。
 この点について、これは一体扱いをどうしたらいいんだろうか。大変私も気になっておるわけでありまして、この点とういうふうに大蔵当局としては考えておられるのかお聞きしたいと思います。
#77
○政府委員(小川是君) 法人特別税と自動車に係る消費税率の特例の廃止は、税制改革、税制全般の見直しの一環として位置づけられるものであると思います。ただ、これらの措置は今委員おっしゃいましたように湾岸戦争のときの経緯で設けられていたものもございますし、その後の財政事情がありまして延長をさせていただいた時限的な措置であったわけでございます。その意味におきましては、所得税や相続税の基本的な恒久的な見直しの問題、あるいは消費税の問題とは若干性格を異にしていることも事実でございます。
 そうした観点から、今回の税制改革の枠組みの中では、実は両者合わせて四千億であったと思いますが、計算上入れてございません。ございませんが、平成七年度はいわば、六年度のときもそうでございますが、七年度のときもこうした財政事情、減収要因をのみ込んでと申しますか、全体として財政事情の中で対応をしてまいったわけでございますし、この税制改革のフレームには入っておりませんが、今後とも全体としての財政収支、財政構造の問題の一環として財政運営上対応していかなければならない課題であると考えております。
#78
○峰崎直樹君 相続税の減税というのは、これはなぜ相続税の減税が去年やられたんでしょうか、ちょっとその点を明らかにしていただきたい。
#79
○政府委員(小川是君) 一昨年来税制全般の議論が行われましたときに、当面急ぎ手をつけなければいけない基本的な事項としては所得課税の問題がございました。住民税を含めまして、さきの抜本改革でいわば残されたといいましょうか、見直すべきところが基本的にあるということでございました。そのほかに、もとより消費課税の問題をあわせて見直すべきであるということでございました。
 その際に、相続税につきましては、やはり近年における主として土地の高騰、既にそれは下がる方向にあるわけでございますけれども、水準が非常に高いレベルにあるために相続税の課税をこのままほうっておくわけにはいかないというところから、主として土地のもたらす資産価値がどういう影響をしているかということを考えながら、相続税の基本的な見直しを行うことになったわけでございます。
 その際には、例えば法人税の問題は、これは中長期的な課題として今後とも検討、勉強をしていくべき課題である、そういった形で当面取り組むべき抜本改革の問題の一つとして相続税が取り上げられ、六年度改正で対応が行われたという経緯でございます。
#80
○峰崎直樹君 今の質問をしたのは、土地が高くなって相続税をなかなか払い切れない、重くなった、物納しなきゃいけないと。だんだん今、土地は下がってきているんでしょう。国土庁の方に土地の状況をどういう状況になっているかということを教えていただきたいんです。最近の土地の状況です。
#81
○説明員(垣内康孝君) 最近の地価状況につきまして御説明いたします。
 ことしの一月一日の地価公示がまだでございまして、昨年の七月一日、平成六年の都道府県地価調査の結果ですけれども、それによりますと、大都市圏における地価は住宅地は下落、商業地は顕著な下落、それから地方圏では総じて横ばいまたは下落ということですが、具体的に東京圏で数字を申し上げますと、東京圏全体で住宅地は昨年七月一日時点で、その前の七月一日からマイナス五%、それから商業地につきましてはマイナス一八・〇%という下落になっております。
#82
○峰崎直樹君 ということは、バブルの時代に土地の値段がずんずん上がっていった。今どんどん下がってきている。そうすると、私が言いたいのは、相続税のいわゆる減税をやっていったわけです。ところが、どうも調べてみると相続税は高いんだ、高いんだと。特に自民党の渡辺美智雄さんが書かれた本なんかを読むと、相続税は税率が七〇%だよ、世界でも最も高いんだよとおっしゃる。ところが、もうこれはよく御存じのように、げたを履かしてある、控除額はたくさんある、実際上ほとんどかからないで済んでいる。それをなおかつ軽くしていったわけです。ところがまた地価が下がってきた。
 そうしたら、私が言いたいのは、あの去年やった三千億円ですか、この相続税の減税というのはもう一回もとへ戻した方がいいんじゃないか。そうすることによって、湾岸戦争のときの四千億ですか、そのお金をむしろ逆に、制度減税としてやった相続税を、これだけ今地価が下がってきているわけでありますから、そうするともう地方に行ったら、相続税なんか全く払わなくてもいい、税を払わないで世代間の財産がどんどん移転をするというんですね。そうすると、持っているやつはいつまでたっても持っているけれども、持っていないやつはなかなか持てないという。
 本当に日本というのは、いわゆる競争社会という意味でいえば、土台のところから、よく我々の政治家仲間で機会の平等だ、いやいや結果の平等だと言うけれども、機会の平等というのは最初から平等でなきゃいけない。私はこの相続税というのは、貧乏人の生まれだからかどうかわかりませんが、この点をきちっとやはり是正をしていかないと、本当に日本の社会というのは、これまで非常にうまく進んできたかもしれないけれども、この点はぜひとも私は、もし税制調査会が政府でも開かれるようであればもう一回、去年やってことしまた直すというのはそれは余りに朝令暮改だよという声があるかもしれないけれども、しかし私は、このことによるいわゆる世代間の対立といいますか、内部矛盾の格差の拡大といいますか、このことは見逃すことができないんじゃないかと思うんですが、この点、これは主税局長にお聞きして、大臣もし所見があればお聞かせ願いたいと思います。
#83
○政府委員(小川是君) 一昨年十一月の政府税制調査会の答申におきましては、今まさに言われましたように、地価の下落ということを十分考慮に入れた上でなお、さきの改正から昨年までの間における資産の公正、土地の価格のレベルといったようなものから相続税について、主として住宅地、住宅用地の見直しを中心に負担を見直すべきであるということになったわけでございます。
 なお、相続税の負担水準のあり方についてはたくさんの御議論があるわけでございますが、事実としてデータを申し上げますと、相続税の一つは課税件数の割合、お亡くなりになった方に対する相続税が課税される方の割合というのは、昭和五十年代を通じまして三%前後でございました。それが近年、昭和六十年代に入りまして、バブル以降は地価は下がっているにもかかわらず六%台でございますし、これが東京国税局の管内といったようなことになりますと一〇%を超える、あるいは麹町税務署の管内になると半分以上であるといったような状況にございます。これは専らと申し上げてよろしいと思います、土地の高騰によるものでございます。
 もう一点データを申し上げますと、相続税の税収が国税収入に占めるウエートは昭和六十年代に入りましても三%程度でございました。最近のところで申し上げますとこれが約五%程度の水準にございます。相続といったような一定のいわば資産が世代がわりをするときに、それに保って入ってくる税収というものは通常の生産活動から入る税収とは違うものでございますが、そうしたものの税収のウエートが非常に大きくなっていると、そしてそれを負担しておられる方の人数は極めて限定的であるというあたりをどのように考えていくかという課題であろうかと思うわけでございます。
#84
○峰崎直樹君 今の数字を聞いて、そうするとまだ下落の度合いが少ないのかなというふうにも思ったりいたしますが、いずれにせよ相続税という問題は、本当に資産課税といいますか、先ほど午前中に議論がありましたけれども、決して軽視できない重要な課題ではないかなというふうに思っておりますので、今後とも引き続き御検討をお願いしたいというふうに思います。
 さてそこで、実は急速な円高が進んでおります。先日来私も参議院の予算委員会で円高問題に触れておったわけでございますが、そこで円高対策として今回、円高対策というよりも今回の租税特別措置の中で、かなり企業関係租税特別措置について新しく大企業のリストラに対する支援だとか、あるいはベンチャービジネスに対する問題だとか、こう出されてきているわけです。
 そこでまず最初に、通産省からお見えになっておりますでしょうか。企業関係租特と言われておるものですね、昨年度ベースで大体平均しますと四千三百二十億円だったでしょうか、このくらいの企業関係租税特別措置に伴う税収減があるわけですね。その分そのままやはり補助金として該当する企業に行っているんだろうというふうに思いますが、この企業関係租税特別措置は、過去、エネ革税制であるとか試験研究促進税制とか、さまざまな大きな産業政策上の課題を持って進められたんでありますけれども、過去のそれらの政策というのは、いわゆる税をまけたことに伴って一体効果があったものなのかどうなのか、その点はどのように評価をされておるでしょうか。
#85
○説明員(北村俊昭君) お答えいたします。
 先生御指摘のように、租税特別措置につきましてはその時々の政策の重点課題に応じて講じられておるものでございまして、先生が例示でおっしゃいましたエネルギー構造改革税制、あるいは試験研究税制について例をとらせていただいてこれまでの成果、効果を御説明させていただきます。
 まず、エネルギー構造改革税制でございますけれども、御案内のように、我が国のエネルギー政策の重点はエネルギーの安定供給あるいはエネルギー環境問題への対応ということでございます。
 具体的に省エネルギーの成果について申し上げますと、対GNPエネルギー消費原単位という指標がございますが、これを昭和五十三年度と最近の実績であります平成四年度で比べてみますと、昭和五十三年度が一億円のGNPを生むのに必要だった原油換算のエネルギーが約百六十八キロリットルでございます。これが、平成四年度になりますと、同じく一億円のGNPを生むために必要であった原油換算の石油が約百二十七キロリットル。一億円当たり約四十一キロリットルの改善効果が見られております。
 この点につきましては、IEA、国際エネルギー機関がこういった日本のエネルギー消費効卒の改善に対しての努力を大変高く評価しておりまして、そのための我が国が講じてきた政策の一つとして、非常に重要な政策としてこのエネルギー構造改革税制を高く評価しているところでございます。
 もう一点申し上げますと、増加試験研究税制というものが我が国の試験研究に対しての基本的な政策でございます。これについての指標を申し上げますと、試験研究費というものを各企業の売上高に対する比率で見てみますと、昭和五十五年度には全産業の試験研究費の売上高比率が一・四八%でございました。これが最近時点では、平成五年度で見ますと二・七六%と非常に大きな伸びを示しております。これはもちろん民間企業の試験研究の努力の成果でございますが、こういった民間の試験研究の努力を税制面で大きく支援しているのがこの増加試験研究費であるというふうに考えております。
#86
○峰崎直樹君 企業というのは、北村課長、こういうことで税を支援しますよ、税をまけてあげますよということで、よしじゃ一生懸命試験研究やったるかなと、こういう仕掛けになるものなんでしょうかね。私はそこのところは、マインドとして、気分としては、確かにそういう減税をすることに伴って、あっ、税の面でも支援してくれているのかということはあるのかもしれないんですが、どうも逆に、これは経済団体の中でも、経済界の中でも二つに分かれたように思うんですが、むしろこういう企業関係租税特別措置法というのは全廃してもらって、その分法人税制下げた方がいいよと。要するに課税ベースを広げて税率を下げるという、これは経済同友会の考え方ですね。それに対して、経団連を中心としたところは、いや、やっぱり個別に税をまけてそのインセンティブを培った方がいい、こういう二つの対立する考え方があるんですね。
 私は、最近の経済政策を見たときに、従来の既存産業、鉄鋼であるとか造船であるとか自動車であるとか、こういう産業、しかももうかっているところだけに実は税が戻されるんです。赤字になっている企業には、減税の恩典といったって、税を払ってないんだから、それは戻しようがないんですよということになるんです。
 そうすると、これから日本の経済、きょうはその日本の経済のことを論じているわけではないんですけれども、アメリカではあのビル・ゲーツだとかああいう人たちが出てきて、マイクロソフトだとか、あるいはアップルだとか、新しいベンチャービジネスをつくって、そして新しい情報産業というものが夢開いている。日本にはそういうニュービジネスといいますか、リーディングインダストリーがないじゃないのかというのが一番の問題になっていると思うんですね。これは通産省もよく御存じだから、今回ベンチャービジネスを支援していこうじゃないかと、こういうスキームを考えられたんだと思うんですね。
 それにしても、そういう人たちに、税の世界でこうしてあげますよ、ああしてあげますよという格好で物を組み立てるよりも、いや、税を取りませんと、要するにもっと減税をいたしますと、こういう形で支援する方が経済に対しては、特に既存の産業じゃなくて新しいビジネスというのは、何が新しいビジネスかわからないわけですから、その新しいビジネスを考えている連中にやる気を起こさせ刺激を起こすためには、私はこの租税特別措置という手法よりも、こういうものはもう基本的にはなくして、そして減税というやり方の方が効果があるんじゃないかと思うんですが、これは企業行動課長にお聞きしていいのかどうかわかりませんが、もしその点について何かありましたら通産省としての見解もお聞きしたいんです。
#87
○説明員(北村俊昭君) お答えいたします。
 私ども租税特別措置について、先ほどの繰り返しになりますけれども、その時々の経済環境に基づいて大きな政策課題を設定し、それに伴ういろんなインセンティブを与えていく。その場合には補助金あるいは政策融資、あるいは租税特別措置といったものが考えられますけれども、租税特別措置は民間企業の自主的な活動があって初めて租税特別措置の効果が出てくるということでございまして、そういう意味ではいわば民間の自主性が尊重される制度であるというふうにまず考えております。
 それから、費用対効果という面で考えましても、補助金あるいは政策融資、あるいはそれ以上に限られた財源で大きな効果を上げてきたものであると考えておりまして、こうした産業関係の租税特別措置の有効性については、これまでの実績を踏まえて考えますと、私どもとしては引き続き有効なものであるというふうに考えております。
 なお、先生御指摘の、いわゆるニュービジネスあるいは新規事業、ベンチャービジネスといった新しい分野の開拓にどういった政策的な助成手段が最も妥当かということでございますけれども、これは、やはりひとり税の力ではとてもかなわないと思いますけれども、総合的な法律的な裏づけ、あるいは融資の面、あるいはさらに店頭公開市場といった資金調達の問題等々含めまして、国として総合的に支援していくべき問題だと思っております。
#88
○峰崎直樹君 その点、私も一概に決めつけて、そんなもの効果ない、早くやめちまえと、そこまで極論を申しているわけではないんですが、どうもやはり我々から見ると、この租税特別措置というのはやっぱり隠された補助金になっているわけであります。
 しかも、それはもうかっている企業だけが、つまり税を払っている企業だけが税の恩典に浴しているという点では、むしろ困っている企業、つまりは支援してやらなきゃいけない企業は赤字企業なのかもしれない。そういう企業には実はこの恩典は浴さないという点では、我々としては公平性という観点から見た場合、もっと別の形で企業を支援する方法、今申し上げたように課税ベースを広げてそして税率を縮小していくという方向の方が私は望ましいと考えているんですが、大蔵大臣、今お聞きになってその点どのようにお考えなのか、もし所見があればお聞きしたいと思います。
#89
○国務大臣(武村正義君) 租税特別措置はその時々のまさに政策判断によって行われるべきものでありますし、そういう意味では、時が終われば措置も終わるという、そこは非常に柔軟でなければいけないと思うのでありますが、今日までの結果は、ややもすると一たび措置をとるとなかなか廃止ができないという状況もあるわけであります。極力最小限に絞って、法人税等を中心にした一般税制できちっと対応すべきだという御主張は、私も基本的には間違っていないように受けとめております。
#90
○峰崎直樹君 引き続き、産業空洞化問題ということでお伺いします。
 私は先日予算委員会の場で、独禁法第九条の持ち株会社を解禁することについて今政府側がどういう対応をされているのかということで、実はこれは規制緩和問題で今政府の中でも、通産省はこの純粋持ち株会社を解禁すべきであると。公正取引委員会は、いや、これはもう絶対だめだと。憲法第九条というのはかっては大変大きな論争でございましたけれども、恐らく産業界のこれからのあり方をめぐって、独禁法の九条の改正問題というのは多分これからもまた華々しい議論が続くのではないかと思っておるんです。
 私は、この話は大変重要な課題だというふうに思っているわけであります。どうしてかというと、今の大企業、巨大な企業というのは一人の社長のもとでたくさんの従業員が働いているわけでありますが、一人の社長すなわち経営者と言われている経営感覚豊かな人間をつくるというのは、小さな会社で訓練して、そこで失敗するかもしらぬ、あるいは成功するかもしれない、そういう訓練を通じて実は人材が育成されるというふうに言われているんです。
 アメリカの経営学修士を取った人は、大抵ベンチャービジネスや中小企業に出向いていって武者修行してくるという。そういう優秀な人材がそちらに流れる構造になっている。日本はそれができていない。だからむしろ持ち株会社を解禁して、そして子会社をたくさんつくって、そこに三十代の若さで社長業をやらせて、実績を積みながら日本の経済を活性化させようという、そういう発想というのがこの独禁法の中の持ち株会社の解禁問題であるわけであります。
 そこで、そういう問題はもちろん産業政策上の問題あるいは独禁法上の問題ですから、税の世界に戻ってみたとき、アメリカでゼネラル・エレクトリック社、GE社というのがございますが、これは純粋持ち株会社を持っていると言われている。そうすると、そこでは子会社と親会社との間の税の関係は、これは連結の税になるんでしょうか、それとも個々の子会社ごとの税が徴収されるということになるんでしょうか。そのあたり、当局でわかっていれば教えていただきたいんです。
#91
○説明員(北村俊昭君) 御指摘のアメリカでの連結納税の個々の企業、今先生がおっしゃった例えばGEについてどうかという点については詳細は把握しておりませんけれども、制度として見ますと、一定の要件を満たす企業グループ、企業集団については、その集団内の個別の企業の損益が通算をされてグループ全体での、企業集団全体での法人税額が算定されるという連結納税申告制度がアメリカでございまして、これはかなり広範に利用されているというふうに承知しております。
#92
○峰崎直樹君 まだ日本ではそういうものが解禁をされていませんから、恐らく解禁されたときの税の仕組みとしては、主税局長、もし解禁されれば日本も同じような仕組みにした方がいいんじゃないかというそういう意見があるんですが、その点、想定の話でございますからなかなか難しいかもしれませんが、どのようにお考えでしょうか。
#93
○政府委員(小川是君) 連結納税制度の問題につきましては、我が国におきましても連結決算報告書がつくられるようになって、二十年ほど前ある程度の議論が行われたわけでございます。
 当時、私どもが考えておりましたのば、やはり我が国の商法における会社制度、子会社であれ実質的な支配会社であれ、商法における個別の会社が独立した人格を持って存在をしている、そして商法上の決算が求められているという問題。それから企業会計の原則が、連結の制度はございますけれども基本的には個別企業ごとに決算を行うという筋道になっているということ。さらには、アメリカのような連絡納税制度をとってまいりますときには、当然親子会社間を連結いたしますとその間に損益の通算が生じますので、やり方によっては現行より非常に大きな法人税収の減を生ずるという財政問題もございます。
 そういったことがある程度問題としては認識をされておりました。おりましたが、その後連結制度そのものが、あるいは持ち株会社制度そのものの議論が、その後の二十年の間の展開は今日見るような状況でございますので、連結納税制度についての議論も全く行われていない、そういう状況でございます。したがって、やはり実態に合わせて将来議論されるべき課題であろうと考えるわけでございます。
#94
○峰崎直樹君 恐らく今後また議論を呼ぶ点だろうと思いますので、私どももしっかり勉強していきたいと思います。
 今の空洞化問題の関係で、店頭市場公開制度、NASDAQというのがアメリカにあるわけですが、日本ではJASDAQと呼んでいいんでしょうか、それはもう既に始動し始めているんでしょうかね。これは通産省でしょうか、どちらの方がわかるでしょうか。もしこのJASDAQというのがあるとすれば、これはやはり有価証券取引税の対象に当然なるんだろうと思うんですが、その点、技術的なことですが、ひとつお聞かせ願いたいと思うんです。
#95
○政府委員(堀田隆夫君) 有価証券取引税でございますけれども、有価証券の譲渡が行われたときに課税されるということになっておりまして、このJASDAQにおける取引につきましても、取引所における取引と同様に有価証券取引税が課税されるということになっております。
#96
○峰崎直樹君 たしかこれは取引の段階でもう既に源泉で徴収しちゃうわけですね。そういう意味では課税漏れはJASDAQの場合でもないということですね。
#97
○政府委員(堀田隆夫君) このJASDAQにおける取引は証券会社への売り委託により行われるわけでございますけれども、この場合には、今先生御指摘のございましたように、証券会社が有価証券を譲渡する者から取引税を特別徴収して納付するという仕組みになっております。したがいまして、全体としては適正に納付されているものと考えているところでございます。
#98
○峰崎直樹君 次に土地の問題に移っていきたいと思うんですが、午前中もう大先輩の清水先輩が大きな議論をされたので、かなりの点はダブりますので、その点については私省きたいと思うんです。
 清水先生と認識が一致するかどうかわかりませんが、外国の企業が日本に来ていて、それがまた例えば証券会社が証券空洞化と言われているようなことが起きてきている。あるいはこれはちょっと古い数字かもしれません、私の記憶している限り、日本から外国に直接投資する比率と外国から日本に直接投資する比率は十三対一、専ら日本は外へばかり投資していて、向こうから日本に投資をする、直接投資ですよ、その比率は非常に少ない。これは証券投資じゃありませんが。
 その原因をよくよくたどってみると、日本という国で商売をするということについては土地代というものが非常に高い。これが実は先ほどニュービジネスの話をしたときも、ニュービジネスを阻害する要因で一番最大のものは何ですかといったら土地なんですよ。私は、これからメガコンペディションと言われる大きな大競争時代へ入ってきて、内外価格差というのは恐らくこれからずんずん競争関係に入っているところはその価格は下がっていくだろう。そうすると、価格が下がらないでむしろ上げようとした公共料金だとかあるいは土地の問題なんというのは、これからますますほかはずんずん下がっていくのに上がっていくのは何ですかといったときに、高いものは何ですかといったときに公共料金と地価でしたと、こういう状態が浮かび上がってくる危険性があるんではないかなと思っているんです。
 その点で、土地は税制だけで片づく問題ではないというふうに、これは午前中、主税局長の答弁でそうだろうと。それは土地計画や土地利用計画等が非常に重要だと思うんでありますが、しかしやっぱり、税制が地価の問題については非常に大きな影響を与えていると思うんであります。
 私は、まず認識をお聞きしてみたいのは、今もまだ下がりつつあるという土地の値段はやはりまだ高過ぎるんじゃないのか。これがうんと下がらなければ、日米経済構造協議でも土地問題というのが指摘をされたわけですね。だから八九年に土地の基本法ができ上がって、土地税制を手直しするというところまで来たんだろうと思うんです。その点私はもっともっと下がってしかるべきじゃないかというふうに考えているんですが、この点は大蔵当局としてはどのようにお考えになっているんでしょうか。
#99
○政府委員(小川是君) 具体的な土地価格の水準につきましては国土庁がこれをウォッチしておりますし、最近の下がりぐあいによって次第に十年余り前の水準に近くなっているという話でございます。
 一方で、今お尋ねのような経済との関連で土地をとらえておりますと、やはり税収で見ておりますと非常に大きな税収がなお入っている。そのことの意味というのは恐らく、税収は一般的には毎年の経済活動、生産されるものから税収が入ってくるわけでございますけれども、そういう角度から見ますと、経済企画庁が出しておりますSNAベースの時価総額と国民総生産の比率という観点から見ますと、日本は昭和三十年代から五十年代を通じまして二倍から三倍程度、つまりGNPの三倍程度の時価総額でございまして、バブルの時代にはこれが五倍を超えるというようなところになりまして、今恐らく四倍から三倍へ向かっているというようなあたりかなという気がいたします。
 ちなみに、アメリカですとこれが一倍に達するか達しないか、イギリスは若干上がり傾向ですが一ないし一・五倍程度ということでございまして、そういう観点からいたしますと、土地の全体としての価格の水準といいますか経済の中に織り込まれているというものは、生産活動との関連から見ると我が国の場合にはかなり高い水準にあるということは否定できないと思います。
#100
○峰崎直樹君 大臣、ひとつ決意といいますか、お伺いしたいんです。私は日本経済というのは今デフレ基調に入っているとこの間から何回も主張してきているんですが、その中で土地の値段が今主税局長がおっしゃったようにアメリカなんかに比べて高いわけですね。これは土地が狭いから高いんじゃないと思うんですよ。何かそこに土地を高くしている要因があるんだと思うんです。
 私は、経済のこと、あるいは特に国際的な競争だとか円高問題だとか、日本経済が直面していることを考えたときに、もっと経済の活力を考えたときに、つまり外国との間の競争をやるときに日本の方が土地が五倍も六倍も高いということだったら、その土地が高いというところでしか勝負ができなくなっちゃう。
 そうすると、確かにもう日本は経済大国ですから、発展途上国の安い賃金と同じもので勝負しろという気持ちは全然ないんですけれども、これからは恐らく情報産業や第三次産業や未来の先端産業が重要だろうと、しかし、それを実際に日本でやるときの土地の値段というのは、やっぱり土地を高くしている要因というものを一つ一つ探って、これを下げていくということでないと将来的に日本の経済というのは私は大変なんじゃないかなというふうに思うんです。これはもう日本の政治が、戦後五十年の間に悪くしてきた要因がこの土地問題だとすれば、それをやはり我々は全力を挙げて来世紀までには直していかなきゃいけないんじゃないかというふうに思っているんですが、この点、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#101
○国務大臣(武村正義君) 大蔵大臣としてよりも、皆さんと同じように一政治家としての感想でありますが、私は、国際比較においてもそうだし、何といっても、サラリーマンのマイホームを持つための能力からいっても、日本の土地は高いという認識を強く持っている一人であります。
 一般的には土地神話と言われますように、何となく、日本は小さな島国で、その島国の大半は山で、そこに一億二千万といったくさんの人が住んでいるから地価が高いのは当たり前だ、経済活動が活発になるにつれてそれが上がるのも当たり前だと、そういう見方が幅広く我々国民の中にある。この意識がどうも土地を上げているのではないかと私は一つは思っております。これは明らかに神話ではないかと。
 あるときに少し調べてみて、もう記憶がおぼろでありますが、日本列島は三十七万平方キロございますが、当時調べました数字では、傾斜度九度というのは、まあ丘は入ってきますけれども、大体開発可能な、利用可能な土地という一つの物差してございますが、三二%あります。もうそれは平地もありますし山も入ってくるんですが、国土の約三分の一近くが傾斜度九度以下であります。これは北海道から沖縄まで入れた数字でございます。
 今、人口集中地区等を基本にして一体どのくらい都市的な土地利用をしているのかというと、当時は三・二、三%でした。だから、利用可能な日本列島の土地のうち約一割ぐらいしか都市的には活用していないと。当時、私はだからこれを倍にしよう、六%台の活用をすれば宅地も公共用地も今の倍ぐらいゆったり使えるはずだ、それでもまだ傾斜度九度以下で八〇%はちゃんと農地その他で確保できるんだという主張をしたことがありました。
 言いたいことは、土地利用の仕方に問題がないだろうかと。土地利用計画も含めて、都市と農村の仕分けも含めてそういうところに一つ問題がないだろうかと。もちろん、峰崎さんの北海道ははるかに高くて人口は少ない。人口や産業の特定地域への過度の集中という問題が一つ背景にあるのは事実でございますが、でも、この島国をうまくこれから百年ぐらいかけて使い直す知恵を出し直せば、我々は今の倍ぐらいの敷地でもう少しゆったりこの国でも生きていくことができるはずだという私は気持ちを持っている一人でございます。
#102
○峰崎直樹君 ぜひとも私もそういう方向に向けてこれからも頑張っていかなきゃいかぬなと思っています。
 いわゆる土地の問題を考えたときの保有税の問題がきょうございました。固定資産税と地価税と二つあるわけでございますけれども、午前中、固定資産税が充実すれば地価税は要らないという声があったわけでございますのですけれども、午前中の主税局長の答弁で、ともかく余りにも東京一極集中とか大都市集中をしているときに、恐らくそれは固定資産税だけでは救い切れないなと。午前中の清水先生のつくっていただいた資料を見ても、東京の固定資産税の実効税率は〇・六ぐらいしか行っていませんでしたですね。
 きょうは固定資産税課長に来ていただいておりますが、本来その本則は何%が地価に対してかかるわけでございますか。
#103
○説明員(板倉敏和君) 現在、土地に係ります固定資産税の評価につきましては、平成六年度の評価がえから地価公示価格の七割で評価をするということになっておりますので、その七割に対して完全に本則課税が行われるということになりますと、一・四%の標準税率でございますので大体今一%ちょっとというぐらいの感じになろうかと思いますけれども、現在の課税の水準は、従来の評価ないし課税をベースに負担調整をするということでやっておりますので、かなりまだ低い水準にあるということでございます。
#104
○峰崎直樹君 午前中にいただいた、これは大蔵省につくっていただいた資料でございましょう。港区西麻布にある建物が五十一・〇四のマンション、これは土地の値段が七千七百万、それに対して固定資産税六万一千八百九十七円、これは土地だけですよ。土地、建物に関して両方で〇・二一%、十分の一以下なんですね。
 そういう点で、その本則どおり取ったら恐らく本当に東京じゅうから反乱が起きるんじゃないかと思うんです。つまり、それぐらい実は固定資産税では取れない限界があるんだと思う。そこで、地価が十万円以下というところであれば税がかからない地価税ですから、そういう点では、やはり私は土地の値段を下げるためにもこの地価税というのは引き続き必要だというふうに意見を持っているわけでございます。
 もう一回、固定資産税課長に。評価がえのシステムをより簡便化して毎年やれるようにしないと、三年に一回の評価がえをやっておりますと、これはもう本当にいつも固定資産税課長を悩ませることになるんじゃないかと思うんですが、その点いかがでございましょうか。
#105
○説明員(板倉敏和君) 毎年評価がえをやったらどうかという御提言でございます。
 従来から、固定資産税におきましては、膨大な課税対象の土地の評価に当たりまして、価格を一定期間据え置くということの方が評価事務の簡素・適正化ですとか、課税の安定を図る上におきまして当を得ているというふうにされてきておりまして、毎年の評価がえは、市町村における評価のコスト面や体制など、その辺の検討すべき課題がいろいろあるというふうに考えております。
 また、算定方法を簡素化すべきであるということでございますけれども、これにつきましても、個々の固定資産の価格を可能な限り適正に評価をする必要があるということと、また納税者の側におきましても、それぞれの資産につきましてできるだけほかとの均衡を考えながら適正に評価してほしいという要請もございます。このようなことから、固定資産の評価がある程度精緻な方法にならざるを得ないというふうに考えておるところでございます。
#106
○峰崎直樹君 確かに公平性という点ではそういう声があると思うんですけれども、しかし、より簡便な、しかも効果的な方法というものもやっぱり考えられてしかるべきじゃないかなということだけまた意見として申し上げておきたいと思います。
 さて、土地の問題と関連した住宅の問題なんですが、きょうは建設省にお見えになっていただいておりますが、住宅取得促進税制というのは、今租税特別措置法の中で最大のものは何ですかといったら、これが一番大きいんですよね。この金額はたしか平年度ベースに直すともう六千億を超えているんじゃないでしょうか。これ一つで六千億ですよ。というのは、先ほどその成果はいかがですかと大分厳しく言った企業関係租特は四千億足らずですよ。それに対して、住宅取得促進税制はもう六千億を平年度で超えそうだということなんであります。
 そこで、六千億もかけているんですが、一方で金利に対する助成措置、住宅金融公庫だけで結構でございますが、住宅金融公庫にかけている金利の一年間の、単年度のいわゆる補助、この金額と住宅取得促進税制でかけている補助というのはどちらが大きいんでしょうか。ちょっと事前に言っておりませんでしたが。
#107
○説明員(坂田隆史君) 住宅取得促進税制によります減税額、減収見込みでございますが、これは約五千五百億程度というふうに承知しております。
 それから、住宅金融公庫の利子補給でございますが、これは約四千億でございまして、減収見込み額の方が大きくなっております。
#108
○峰崎直樹君 私は昔、特別分譲住宅というのを買ったことがあるんですけれども、そのとき、見たときに何を一番気にするかというと、幾らくらい支払っていったらいいものかなと。サラリーマンが買うとき、つまり五年据え置き二十年で払うとか、そして元利均等払いなのかどうなのかとか、月々の支払いは幾らなのか、ボーナス時は幾らなのかということが一番やっぱり気になるんです。
 ということは、五千五百億、恐らくそれは去年の実績なんですが、平年度ベースに直すと、過去のいわゆる改革をしていったものがずっと続いて、単年度換算すると、これは主税局長の方が詳しいんですが、実際上は恐らく六千億を超えていると思うんです、やがてそれがあらわれてまいりますけれども。それと比較したとき、金利が安くなる方が買う人たちにははるかにインセンティブがあると私は思っているんです。にもかかわらず、そちらの公庫の補てん、これも恐らく財投の関係、あるいは国庫補助ですから税の関係が出てくるんだろうと思うんですが、私は住宅取得促進税制でやるよりもむしろ金利負担を軽くしてあげる方が住宅を取得したいという人たちに対するインセンティブというのははるかに働くと思うんですが、この点、建設省いかがでございましょうか。
#109
○説明員(坂田隆史君) 住宅金融公庫の貸し付けを行った場合の返済につきましては、御案内のとおり、十年目までは財投金利より低い基準金利ということになっております。それから、十一年目以降は財投並みの金利という二段階の金利ということになっておりまして、返済額はそれぞれの期間を通じて一定ということになっております。一方、住宅取得促進税制の方は、当初六年間、税額控除により返済負担率を下げるというような形でやっております。したがいまして、住宅金融公庫の融資の場合は長期にわたって負担軽減を図っていく、それから住宅取得促進税制の方は初期負担の軽減を図るというような役割を担っているわけでございます。
 したがいまして、利子補給の拡充ということになりますと、例えば公庫金利を引き下げるというようなことになりますと、長期にわたる負担軽減という方は十分つながっていくわけでございますけれども、初期負担の軽減という点からしますと、特に住宅取得の過半を占めますのが七百万以下の中堅所得者層でございます。それらの方々の住宅取得については特に初期負担の軽減というところが大事なところでございまして、このところに住宅取得促進税制が効果的に働いているというふうに考えているわけでございます。
#110
○峰崎直樹君 もう時間がありませんから最後に、両方合わせて一兆円を超えるような優遇措置が実はこれにとられているわけです。しかし、これはまだ家を持てる人に対する措置としてある。そして、家を持てない人に対しては全然そういう措置はないんです。
 そういう点で、年収七百万といったらきっと所得税三十万円払っているか払っていないかぐらいだと思うんです。その人たちに実は最初の二年間は三十万、それから二十五万が四年、つまり百六十万ですね。この間はとんと所得税を払わなくて結構ですというぐらいの優遇をしているということについて、これはちょっといかがなものかなという気持ちを実は私も持ち続けているわけでございまして、この点は来年度の税制改正等で引き続き議論をしてより公平なものにしていきたいなというふうに考えて、そういう意見を言って、終わりたいと思います。
#111
○野末陳平君 租税特別措置の中、まあいろいろありますが、減収額の多いものを幾つか取り上げて質問してみます。
 まず生命保険料控除の方ですが、これもかなり古くからあるやつで、もう当たり前過ぎて、何の疑問も感じないで惰性で控除されるというような受け取り方を納税者はしているかもしれませんが、まず、この生保の控除適用の状況、どのくらいの人数が受けていて、そして最高の五万円がそのうちのどのくらいか、その辺のことをちょっと説明してくれますか。
#112
○政府委員(小川是君) 生命保険料控除の最近の適用状況でございますが、一つは民間企業に勤務しておられる方のデータがございます。平成五年のところで適用を受けておられるのが約三千万人、納税者の方の八四%に相当いたします。一人当たりの控除額は約四万八千円ということになっております。頭打ち、最高限度五万円でございますから、ほぼそれに近いところでございます。
 なお、申告所得者についての適用状況は、重複もございますが、約七百三十万人、適用割合で八六・七%でございます。さらに、一人当たりの控除額は約四万九千円、このようになっております。
#113
○野末陳平君 適用を受けている人はほぼ最高の五万円を受けている。これはこのごろの掛金からいけば当然なんでしょう。ただ問題は、八四あるいは八六・七、九割とは言わないが、ほぼ九割がこの控除を適用されていると、こういうことになりますね。
 そうなりますと、創設時の目的、昭和三十年代でしたか、果たして今でもきちっとその政策目的が必要であるという判断をしていいのかどうか、それはどうですか。
#114
○政府委員(小川是君) 生命保険料控除の沿革は実は戦前にございまして、大正十二年に、当時は保険の奨励といったような観点から議員立法で始められました。一たん昭和二十二年に制度が廃止されましたが、二十六年に復活して今日に至っております。復活のときの理由といたしましては、生命保険料控除は税制簡素化等の見地から廃止されていたが、資本蓄積措置の一環として復活するということにされたわけでございます。
 したがいまして、当初はどちらかといいますと保険の奨励、戦後復活いたしましたときには資本蓄積措置の一環、こういった沿革で今日に至っておりますが、もし、そういった目的からしていかがかということであれば、適用状況から見まして、どちらの目的に対してもそれなりの十分なる効果を終えているのではないかという感じがする次第でございます。
#115
○野末陳平君 ちょっと僕が三十年代と間違ってましたけれども、今の主税局長の答えでもわかるとおり、もうほぼ全員が最高の五万円を受け取れるというところまで来ているともはや政策目的は達成されたと見ていいんですが、さてそれならば、どういう問題意識を持って今後この生命保険料控除を見ていきますか、当局は。
#116
○政府委員(小川是君) 税制調査会での御議論をまず御紹介いたしますと、制度創設以来長期間が経過しているこうした控除については、「保険加入率も相当の水準に達しており、保険契約を奨励するという当初の制度目的は既に果たされているのではないか、また、保険契約の貯蓄商品的側面に着目すれば、こういった控除は金融商品間の中立性に反するのではないかといった論点が提起されている。」、さらに減収額の問題もあるという問題意識、問題の提起でございまして、こうした問題意識をベースに今後議論を進めていただくことになるというふうに考えております。
#117
○野末陳平君 この税調の答申というか、その考え方もかなり前からあるんですけれども、一向にそれが反映されていかないというか、まさに税制改正でもこれは惰性で既得権化しちゃっているんですね。
 今、保険の奨励という目的は達成したと言うんだが、例えば損保は掛け捨ての保障型だから、損保はいまだに一万五千円であると。この両者の格差というか不公平感というか、それが一つ。
 もう一つは、局長も答弁してくれたけれども、利子配当の課税というそっちと比べても、生保は貯蓄型、そういう面も強いから、その格差というか、比較すれば不公平感もあると。
 こういう問題が全く税制改正に反映されないまま五万円が続くというのは、これは基礎控除を五万円上げていることと同じわけだ、九割ともなると。なぜ続けるんだということだけれども、なぜ毎年続けているのか、そろそろもう変えなきゃいけないんじゃない。
#118
○政府委員(小川是君) 確かに、損害保険料控除に至りましては、実は金額が小さいということもございまして、恐らく皆さん損害保険料がおありになるにもかかわらず、損害保険料控除の適用状況というのは決して生命保険料控除のように高くないという実情にございます。どちらの控除につきましても問題意識としてはかねて議論がされているところでございますし、特に、先般の消費税導入の際の税制改革の際にマル優を廃止いたしました。その際にもこの議論が行われたわけでございますが、なおしばらくということで続いているわけでございます。
 適用の割合が極めて高い、九割にも達すれば、むしろ先ほどの、企業関係租税特別措置を全廃して法人税率を下げるというのも一つの考え方ではないかという考え方と同様に、これが一般的な所得税のあり方を見直すときの一つの財源、控除の引き上げという考え方もとれるではないかという御指摘があるのも、これまた税制調査会などで御意見があるところでございます。
 恐らく、今後の審議におきましては、そういった経緯論のほかに、金融商品間における中立性と申しますか、特定の商品設計をすると有利である、保険に入ると税金はかかりませんといったようなセールストークが大変有効であるというふうに言われておりますが、そういった問題を含めて御議論を展開していただけるのではないかというふうに考えている次第でございます。
#119
○野末陳平君 ですから、問題意識は全く一般化しているんですけれども、なおしばらく続けるなんて、そういう積極性が果たして感じられるかということなんですね。まだいろんなことを言いますけれども、とりあえず大臣、もう役割が終わったと見るべきなんですね、局長の答弁でわかるとおり。
 そうすると、毎年似た議論をずっと続けながら、問題点もはっきりしていながら何ら見直さないということをこれ以上続けるのはもうだめだと。これだけじゃありませんよ、減収額はかなりの額で、これを一挙に全部やめると、そうなったら損保はどうするかとかいろいろな問題が出て、今まではむしろ損保と生保の差があるから損保を上げろとか、そんな話も一時あった。損保の方について言うと、短期と長期でまた額も違ったりするから、必ずしもこれは一万五千円を取れるというわけじゃないんだけれども、この生保控除は、惰性で続けるような毎年の税制改正はもうやめてもらいたいと。全廃と一気に言えるかどうかは別として、これは廃止する方向あるいは縮小する方向、それ以外にないと思いますが、どうですか。
#120
○国務大臣(武村正義君) 政府の認識は、税調の御議論も踏まえた、今、小川局長が申し上げたような認識でございますが、与党の議論と一体に進めておりまして、与党の中にもそういう意見は今回の論議の中にもあったようでございますが、真剣に見詰めているところでございます。
#121
○野末陳平君 生保は五万円と。それで、今度は年金の方がまたとぼけているんで、年金の重要性が強調され過ぎた余りか、それまで五千円だったのが一挙に十倍の五万円になっている。その両方だからね、今。年金の方は五万円そのまま存続していいとすれば、やはり生保の方は全廃だと、これが僕は正論だと思うんですよ。そういう意味で言っているんだけれども、それはどうですか、大臣。
#122
○政府委員(小川是君) 今のお話は、生命保険料控除のほかに、個人年金保険料控除が設けられ、その最高限度が五万円になっているという点でございます。
 二つの問題があろうかと思いますが、一つは今おっしゃいましたように、保険料控除と年金控除のあり方をどういうふうに考えていったらいいかという問題が一つでございます。恐らく委員が示唆されましたように、年金控除を重要視するなら、保険料控除は役割を果たしたから、これをやめてむしろ年金控除を充実していくというのも一つの考え方であろうという御指摘であろうかと思います。
 いま一つの問題は、実は年金に関する議論の中に、公的年金につきましては、どんなものであっても社会保険料控除ということで全額控除されているわけでございます。所得控除されているわけでございます。近年、公的年金につきましては、任意加入のものもあれば、それからかなり高い水準のものもある。しかも、それは掛金だけではない負担が入っていく部分もある。そちらの方は負担した年金掛金が全部所得控除される。一方、任意で入る私的年金については金額控除されるわけではないと。
 そういった問題について、公的年金、私的年金を通じて、掛金といったものについての税制のあり方がどうあるべきかという角度からもう一つ問題が提起されつつあるわけでございます。こうした問題をこれから広く御議論をしていただかなければならないというふうに考えております。
#123
○野末陳平君 僕は年金の方を重視するのが時代に合っているんじゃないかと思っているんですね。生保の場合は、さっきも言った貯蓄型という面がかなり強いということも問題なんだけれども、相続税のときの控除が拡大される一方だから、そうすると、相続税のときにも生命保険は有利であると、これは遺族にとって有利ということになるね。同時に、掛けている本人は毎年の所得控除があると。
 この二重の有利性というか、これはやっぱり生命保険というのが余りにも有利な金融商品、もちろん金融商品と言い切れない面があるにせよ、ちょっと商品の有利性が目立ち過ぎる。となると、これはダブルでやっているんだから、毎年毎年優遇され、そして死んでもらったときに優遇される、ここまで甘いというのはもう時代おくれ、こう見ているんです。
#124
○政府委員(小川是君) ただいまのお尋ねは、相続税の課税上、課税財産に入ります生命保険金の問題と、生命保険を掛けていく段階の保険料の控除の問題との御指摘でございます。生命保険の保険料控除は今のお話のとおりでございますが、生命保険金の相続税の課税上の控除につきましては、これは長らくの間、保険金の限度額は法定相続人お一人当たり五百万円ということにされているわけでございます。この点につきましては、もとより全体としての課税最低限があるわけでございますから、その中で見ればいいんで、古く、いわば保険思想を奨励するときにはこういったもの、あるいは保険金に対する相続人の方の生活保障というもののウエートが高いころは重要であるにしても、課税最低限で見てもいいのではないかという御議論があることは承知しております。
 しかし、この程度でと申しますか、水準を抑えられているというところからいたしますと、一つの相続財産に対する課税のあり方としての考え方としては許容範囲なのかなという感じもするわけでございます。
#125
○野末陳平君 相続税の面だけをとって言えばそういう見方はできなくはないけれども、しかし商品全体から見ると、やはりこれは相続税のときにいじるよりも、毎年の生保の控除をいじるべきときにもう来たんだと、こういう認識ですよ。それをやってもらわなきゃもうだめで、考え方はわかる、議論は続いている、だけど実行しない、これがもう一番だめなんだ。
 大体、大蔵省もそうだけど、癒着とは言わないけれども、議員さんもそうだけれども、やっぱり生命保険会社との関係がいろいろあるから大胆にやれないんじゃないかと思うし、お役人も横滑りするのか天下りするのか知らないけれども、これは必ず毎年の議論に出ていたんだから、そういうのも僕はもう非常に不愉快なんだよね。
 そういうことを表には出しませんが、いずれにしても、そのような事情を背景にしつつ、議論は進んでも最後のところで踏み込めないんだ。でしょう。
#126
○政府委員(小川是君) こうした租税特別措置のあり方については、その時々にいろんな角度からの御議論がありましたし、先ほど申し上げたように、保険思想の奨励あるいは貯蓄の奨励という問題からすれば、おおむね集約されつつあるのではないかというふうに思っております。
 問題は、むしろ現段階におきましては、各種の金融商品に対する課税の問題と、あるいはこれは一方で金融の国際化といったようなことも含め、貯蓄水準が大変上がってきているというところから、国民の貯蓄に対する資産選択というのがかってに比べてはるかに研ぎ澄まされてきている。それがゆえにこの税の違いということが一層際立ってまいるといいますか、問題意識としてとらえられるようになってまいりました。
 つまり、中立性の問題が公平のほかに重要になってきていると存じます。それが今後におけるこの種の制度の見直しの一つの大きなてこになり得ると考えて、重ねてでございますけれども、今後とも検討を強めてまいりたいというふうに思っております。
#127
○野末陳平君 もう検討の結果、実行に踏み切るという方に行ってほしいと思いますよ。何しろ税調も毎回、前から同じようなことを似た文章で書いているんだけれども、どうもそれじゃ、税制改正というような趣旨からいうと、作文書かれても意味ないと、こういうことですね。まあ、これは局長と話したって理屈ではなかなか勝てないから。だから、やってくれと言うだけにしておくから。こればっかりやっていたってしょうがない。もう問題はわかっているんだ、やらないだけなんだ。
 次は、先ほどから出ている住宅取得促進税制ですが、これ創設のとき、所得控除じゃなくて税額控除だというところですごくいろいろな意義を感じて僕も喜んでいたんです。また最近は、もう住宅だけが経済の牽引車みたいなもので、これを拡充するのが正義という感じでやってきましたけれども、さっきの質疑にもあったけれども、かなりなところまで来ちゃったなという実感をここのところ持つんですね。
 だからといって、これを縮小しろとかどうしろと言えないという問題でもあるんで、この制度そのものについてはもう少し様子を見るしかないと見ていますが、今回の改正で三千万円の所得要件、これを二千万円というところまで引き下げましたね。これはなぜですか。
#128
○政府委員(小川是君) 住宅取得控除の適用要件の中に一つ所得要件が入っております。所得の要件につきましては、一昨年までは所得二千万円ということになっておりました。平成六年度の改正の際に、あらゆる景気対策を講ずべしという中で、住宅取得控除につきましては一年に限り二千万円を三千万円に引き上げるという措置を講じたわけでございまして、今回の七年度の改正ではもとの所得要件二千万円に戻したいと。
 なお、所得金額二千万円といいますのは、サラリーマンの場合ですと給与収入で二千二百八十四万円、約二千三百万円ということでございますから、ほとんどの給与所得者はこれでカバーされることになるというふうに考えております。
#129
○野末陳平君 そのとおりなんで、となると、平成六年の改正で何で三千万に上げたんだということだな。これは。
#130
○政府委員(小川是君) 住宅取得促進税制につきましては、経済とのかかわりにおきまして繰り返し繰り返しその対象要件を緩和いたしてきているところでございまして、最近のところで申し上げますと、平成五年度には、当初の五年度税制改正で床面積要件を引き上げ、あるいは建築後経過年数の緩和といったようなことをした上に、四月の新総合経済対策あるいは九月の緊急経済対策で、何かこの対象を広げるところがないかということで緩和を行ってまいりました。
 加えまして、六年度におきましては、既にあれもこれもやり尽くしたところで、どこか広げると。ころが景気対策として考えられないかというところから、苦肉の策と申しましょうか、所得要件の緩和ということを行った次第でございます。
#131
○野末陳平君 やり尽くしたところで景気対策として所得要件を二千万から三千万に上げたわけだね。じゃ、これによってどれだけ効果があったわけ。減収額でもそれから適用人数でも何でもいいから、数字で効果を言って。景気対策としてやったんだから、景気対策にこれだけ貢献したという。
   〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
#132
○政府委員(小川是君) もとより、平成六年一月一日以後のものから適用いたしておりますから、その適用実績が出てまいりますのはこれからの確定申告以降でございます。
 当初、私どもがこの二千万から三千万の引き上げでは十ないし二十億円程度の減収を招くことになるかなという見積もり、推計をいたした経緯がございます。先ほど申し上げましたように、二千万円を超えるという所得者の数は極めて限られているわけでございますから、その減収効果といいますか、及ぼす効果も当然限られたものにならざるを得ないというところでございます。
#133
○野末陳平君 だから、そういう理屈は当然で、もうちょっと時間がたたなきゃデータが出てこないけれども、それならば、景気対策でほかにやることがないかというんで、これがあるというんでやったと言うならば、少なくとも効果があるんだかないんだか見きわめないうちにまた二千万に落としちゃうというのは理屈にならないんじゃないか。
 今まで大蔵省が一番嫌ったのは、朝令暮改を嫌ったんだ。何かというと朝令暮改になるからと言い続けたんだ。こんなのは朝令暮改どころじゃない、一年じゃないの。それだったら初めに三千万に上げなきゃいいんだよ。上げた以上はもう少し様子を見なきゃ、景気対策だと言うなら。それも推計だけでデータが出ていない。だけれども、やっぱり二千万だと。
 じゃ、景気がよくなったの、もう景気対策でこれは必要ないの。どっち、答えてみなさい。
#134
○政府委員(小川是君) この所得要件の緩和ということが、こうした所得階層の方々の住宅の建設というもの、取得というものに対して何がしかのマインド効果なり、それが具体的な住宅建設に結びつくことを期待してこのような所得要件の緩和を行ったわけでございまして、もとより、将来に向けましては、税制としては、所得二千万円という水準でも十分誘因的といいましょうか、奨励的な税制としては、カバーをした高い水準ではないかというふうに考える次第でございます。
#135
○野末陳平君 大臣、これは三千万にするのがいい、二千万にするのがいいという議論はどこに視点を置くかで大分違っできますけれども、住宅がどんどん建ち、庶民レベルから見ると広くて立派、豪華というか質のいい住宅が建っても、どちらにしても経済効果があるとするならば、この三千万とか二千万とかというところで考えないで、もう上げたら三千万でもいいんじゃないか。だって、金のある人が家をどんどん建ててくれたっていいんですよ。お金持ちは所得制限する、一般の人は制限しないとか、その線を引くという考え方は、今までは必要であったと思いますが、これからはもうそこまで神経質になる必要はないんじゃないか。
 僕はもともと三千万に上げなくてもいいと思っていましたよ。だけれども、上げた以上はまた下げるなんてみっともないことはやめて、三千万でほっといていいんじゃないか。何人適用されて、どのくらいの減収があるかそれは別として、住宅を建てようとする人たちがあるんだったらば、この優遇をやったってそれほど不公平になるほど、目くじら立てるほどのお金持ちに対する、高額所得者に対する優遇ではないもの。
 そこで、これは下げる必要はないと思いますよ。大臣、そういう考え方はどうですか。
#136
○国務大臣(武村正義君) 数は多くないということでありますから、多くはありませんがその範囲内での影響があったということでございます。あえて下げる必要はなかったんではないかという御指摘は、今後の教訓として承りました。
#137
○野末陳平君 だから、上げずに二千万のままにしておけばよかったんだけれども、変な理屈をつけて上げたんだから、上げたら、適用される数も多くないんならほっといてもいいと。それをまた理屈をつけて下げる。自分に都合のいいときはいろんな理屈をつけるんだよ。それで、乗らないときは朝令暮改だと言うんだよ。これは大蔵省の決まり文句なんだ。そういう税制改正なんかへ理屈つけてやるなと言いたいんですよ。
 ところが、生保みたいなずっともう前から議論されていることについては手をつけないんだ。癒着だよ、それは。大蔵省で生保や損保の方に世話になるのはどのぐらいいるの。そういうことも言い出せば今回の東京共同銀行問題と同じなんですよ。僕はもうこの改正のプロセスをみんな知っているから言いたくないけれども、どうも大蔵省もへ理屈つけていつも自分たちの改正を正当化しようとするんだ。
 その年その年の正当化の理由が数年前とスタンスが変わっているんだ。時代が変わったからと言えばそれまでだけれども、税はおれたちだけ専門家で、おれたちがやっているという意識が余りにも強過ぎる。もう時代は変わっているんだから、一年ごとに変えないで、二年、三年、五年を見つめて問題があるものはすぱっと変えていくというぐらいの度胸というか決断がなければ専門家と言えないと思いますよ。まあ局長相手に理屈言ったってしょうがないけれども、局長は毎年かわるんだから、それで偉くなっていくんだから。その場を取り繕えばいいと思って答えているから不愉快だけれども、次へ行きますよ。
 きょうはずっと土地住宅税制の見直しがあったけれども、これもわからないんだよね、三九%だったのをなぜ三二・五という半端なところに下げたの。さっきから聞いていると、これもほかの所得税やなんかが少し減税になったからとか、基本原則とのバランスからの見直しがどうしたとかへ理屈を並べているけれども、三九%をなぜ三二・五に、これは住民税込みですが、下げなきゃいけなかったのか。四千万というのは別よ、なぜ税率を下げなきゃいけなかったの。
#138
○政府委員(小川是君) この税率の引き下げにつきましては、やはり平成三年度に土地の譲渡所得に対する課税のあり方について議論が行われ、土地の譲渡所得についてはむしろ他の所得よりも大きな負担を求めるということが土地の性格、公共的な性格あるいは有利性という観点から公平ではないかということになったわけでございます。その際に、土地についてはしたがって所得税は三〇%、住民税九%を加えて三九%にするということになったわけでございます。
 しかし、昨年の税制改革において他の所得に対する累進構造が相当大幅に手旗しされ、緩和されたわけでございますので、そうした他の所得とのバランス上、より重くてもいいという考え方は維持しながら、ほかの勤労性所得の税負担が緩和されたことを勘案いたしまして、そういった議論の未に、三二・五%というのは所得税で二五%、住民税で七・五%ということでございますけれども、二段階の税率をとることにしたわけでございます。
 ちなみに、平成三年の改正の前には四千万円のところで上の方が三二・五%でございました。下の方が二六%というふうになっておったわけでございます。その意味からしますと、二段階は同じで、当時に比べますと上へそれぞれ階段が上がったというふうな姿になっているわけでございます。
#139
○野末陳平君 いきさつはそうだね。だけれども、二六から三九に上げたときだって、一般の所得税は緩和の方向にあったわけだからね。上げている方向になかったね。だけれども、土地の問題が特別にクローズアップされちゃったから、二六から三九に上げたときには土地は悪者、土地を売ってもうけるのはとんでもない、だから課税強化と言っていたんだ、その理屈だったんだよ。
 今度はそうじゃないんだね。今度は一般の所得税その他が緩和されているんでバランス上、下げるんだと言うと、上げるときと下げるときの理屈が全然違うわけだね。違って悪いとかいいとか言うんじゃないんだけれども、その場その場でもっていろんな理由で上げたり下げたりされたんじゃ困っちゃうんだ。
 だから、三九%に上げたときの、土地のいろいろな問題があったから課税強化という方向に踏み切った以上は、そのときの問題点がこの時点でどういうふうになってきているかということが答えがなくちゃだめだね。その上に、一般の所得要件が緩和されて減税だからというならわかるんだけれども、バランス上そこがはっきりしていないじゃない。上げるときは上げたよ、上げたときの効果その他についてはもう知らないよ、今度は違う流れだよって、それは大蔵官僚が余りにも自己都合で税をいじり過ぎるんじゃないの。
#140
○政府委員(小川是君) ただいまの点につきましては、平成三年度の改正のときには、土地の譲渡益につきましては従来とは異なり、勤労所得等に対する税負担との均衡を図る観点から相当程度引き上げることが適当である、こういう税制調査会の答申でございました。したがって、全体として他の所得とは違う税率構造、例えば二分の一の総合課税でありますと、最高税率五〇とすれば二五が限度だという考え方もございましょうが、それよりもやや高い税率の負担を求めていっていいという考え方でございました。
 したがいまして、今回は、一つは税制改革を行って所得税の税率、最高税率五〇はそのままでございますけれども、一〇、二〇、三〇、四〇とブラケットを相当広げてまいりました。そういう意味からいたしますと、対応して考えるべき勤労所得等に対する税負担が一般的に下がるわけでございますから、全体として土地の譲渡所得に対する負担割合を下げるというのも一つの考え方であろうかと思います。
 しかし、大きなところにつきましては五〇%の税率は維持してあるわけでございますし、一般的な減税額も二百万ちょっとのところで減税額は終わってしまうわけでございますから、土地の譲渡所得について勤労所得等とのバランスを考えて少し税率を下げるにいたしましても、全部下げるというのはやはりおかしいのではなかろうかと。そこで、以前の区切りでありました四千万円というところをつかまえまして、全体を下げることなく、四千万円以上は三九%のまま、その下を三二・五と、こういう形の改正をお願いしているわけでございます。
 これは勤労所得等に対する負担よりは重いという基本的な考え方は維持しながら、今回はその税率構造を直したことを織り込んだというところでございまして、それなりに考え方として通しているといいますか、全く矛盾するその場しのぎということではないというふうに考えている次第でございます。
#141
○野末陳平君 その考え方を肯定するならば、逆にいじり過ぎだね。
 第一、僕だって、この土地住宅の税制をぱっと言えと言われたとき、それは簡単に言えないよ。短期、長期だ、五年だ、十年だ、税率はどうだ、四千万だ。それはなぜかというと、長期安定と言いながらも短期なんだもの。大体今まででもそうじゃない、二年ぐらいごとにくるくるくるくる変わっているね、はっきり言って。素人は覚え切れない。
 そういうのは、僕は土地住宅の税制というのはあっちゃいけないなと。だって、売る人にとってはすごく税金は動機になるんだよね、増税、減税ともに。それはもう税務署のデータで大体出ているんだ。だからなお長期安定にしなきゃいけないと思うんだけれども、今みたいに大体二年ぐらいでどんどん変わるというのはよくないと思うんで、三九を変えるならば、三二・五にして四千万でという複雑なことよりも、もう二六にはっと戻すとか、さっきの二分の一とか、やっぱりわかりやすくしてくれないと、不動産を持っている人というのは税に敏感なだけに、改正される前の税法が頭にあって、結構やっていますよ。やってみてから、ええなんて驚いている例も、これは税務署で聞く話だからね。
 そういう意味で、もうこれからは余り小細工でべ理屈つけていじらずに、長期安定でいいんじゃないか。アメリカなんかずっと安定しているでしょう。こんな細かいことやりませんよね。素人でもすぐわかるよね、譲渡所得のどのくらいが税だって。こういうのが僕は一番いいと思います。
 ですから、これからの土地住宅税制のあり方は、簡単で素人がぱっと計算ができるということと長期安定的、この二つをきちっとしてほしいと思います。大臣、そうでしょう。
#142
○国務大臣(武村正義君) 午前中もそういう議論がございまして、本当に複雑な土地の税制をなるたけやはりわかりやすくシンプルにする努力も必要だと思いました。同時に、たびたび変えるべきでないというのは主税局も含めて私どももそういう認識でございます。ことしのこの中間的な措置は、一層譲渡益課税の仕組みをわかりづらくしたというふうにも思います。しかし、理由は今局長が申し上げましたような理由があって御提案を申し上げていることはぜひ御理解を賜りたいと存じます。
#143
○野末陳平君 じゃ、ちょっと角度を変えて、この問題は非常に大事で、土地問題を今後どう考えるかという場合に税制もその影響が少なからずあるから、別の角度で聞きます。
 三九%だった所得課税、これが下がることを喜んでいる人が二、三いたから、確かに税金が安くなれば売りたくなるという人が出てくるというのはわかるんで、ひょっとしてことしは売りたい人が売りに出すかなとは思うんです。
 さて、ここからなんですよ。局長、専門ではないかもしれないけれども、土地の流動化というか、これは値段にも影響してくるけれども、とりあえず不動産市況が完全に冷えていて土地の流動化が全く行われていない現状だけれども、この減税と言うべきか、とにかく税率を下げたことは土地流動化にどういう効果が期待できるか。これはやはり考えてやるの、それともそれは全然考えずに税として今回いじったわけ、どっち。
#144
○政府委員(小川是君) 今回は、土地に対する税制のあり方として、いろいろ議論をいたしましてこういう形で改正をお願いしているわけでございます。このことの最も重要なことは、改めて長期安定的な税制として位置づける、そういうものとして改正をお願いしているわけでございまして、これが土地の売りを促進するかどうかという点はむしろ別の問題であろうかというふうに思うわけでございます。
 土地の供給がロックインされる、促進されるということがよく言われますが、これは、ある一定期間を区切って税率の変更を世の中に制度としてお示ししない限りは、ロック・インとかあるいは促進とかいうことは譲渡所得課税では出てこない、むしろほかの客観情勢、その他の与件が決めてくるものであるというふうに私は思っております。
#145
○野末陳平君 それは税を考える立場からいえば正論だね。だけれども、一般の人はそれと違って税によって売ったり買ったりみたいなことはしているから、その辺のずれはあっても仕方がないんだけれども。
 一つ気になった。長期安定的な税制として位置づけると言うけれども、そこまで言っていいの。今度の改正は、じゃ、ずっと長期で打っちゃうの。それならそれでいいんですよ、そういうふうにみんなに認識してもらえばいいんですから。でも、あなたは長期安定的な税制改正として位置づけるんだって断言したから心配になってきたんだけれども、大丈夫。
#146
○政府委員(小川是君) その点につきましては、土地税制を今回いじる際に税制調査会でも最も御議論のあったところでございまして、土地譲渡益課税につきましては、この現行制度が流動化を阻害しているのではないかといったような意見も審議会の中では主張がされました。そういう意見もございました。
 しかし、さまざまな議論の結果、改めてこの基本的な土地税制の枠組みを維持するということが大事である、その中で税制の調和を考えるのが限界であるということが言われまして、私どもは、その限界の中、つまり基本的枠組みを長期的、安定的に維持するというものとして、その中でこの制度の改正を御提案しているわけでございます。
#147
○野末陳平君 税の専門家としてはそうなんだよね。でも、この三九を下げろ下げろと言った業界あるいは先生方の本音は、やっぱり土地の流動化の促進というか、そういう面が多かったわけだ。だから、専門家の考えたのとそれを求める方とのギャップがあるので、やはり世の中というのは現実だから、税金が安くなって土地が動いてほしいと業界なんかしきりに思っている。そういう反映もあってこういう数字になったような気がするから、ちょっとあなたは余り長期安定的な位置づけと言わない方がいいと思ったんだ。というのは、世の中の流れでまたこれをもっと下げるという声が出てくるよというようなことなんです。ですからこれは、いい悪いということは僕は言いませんけれども、いじり過ぎがまずいという点だけを主張しておきます。
 そこで、土地なんですけれども、大蔵省は専門外と言いながらやはり相当なる見識を持って土地税制をいじるわけだから、どうなんだろう、今いかに税が安くなっても、売り手が売ろうとしても、土地持ちが売ろうとしても買い手がいないですね。これはまだ土地が下がるという先安感もあったり、あるいは銀行がお金を貸さない、まあこっちの方が大きいかな。いずれにしても買い手が出てきませんから、これによって流動化が促進されるというふうには僕は思いませんよ。また、それをねらった税制改正ではないと思っている。これは局長と同じだね。
 だけれども、さて問題は、土地を持っている人はやはり相当敏感に土地税制を考え、損得をはかって処分を決断するようだからあえて聞くんだけれども、大蔵省としては、あるいは税務当局としては、土地というのはさらに下がるだろうと思っているのか、あるいはここで手綱を緩めて土地税制を甘くすると土地の値上がりにつながるという不安があるのか、そのあたりの感触はどうなの。なかなか言えないけれども、でも税が無関係じゃないんだからね。どうだろう。
#148
○政府委員(小川是君) 土地の取引、とりわけ売りがふえるか、あるいは買い手がふえるかという点をどう見るかという点につきましては、実態をどう見たらいいかというのはわからないというのが正直なところでございます。
 ただ、これだけ連続して地価動向が下がってきておりますから、持っておられて処分をしたいという方はその傾向を見れば売りたい、売り急ぎたいというふうに思われるでありましょうし、買おうという方は少しでも待てるものなら買うのを待ちたいと思われるだろう、それは当然のことであろうと思います。
 現実、私どもが税の方で見ておりますのは、税収それから各種の発表されます登記あるいは取引件数といったようなもので動向を見ているわけでございますけれども、最近の新聞報道などでは、土地の取引が昨年の夏以降、件数としてはかなりふえている、小規模化しているのはずっと傾向でございますけれども、取引件数はふえているということでございます。
 それから、これまた新聞報道、雑誌等で読んでいるわけでございますけれども、残念なことに震災の関係などで、マンションの取引よりは小さくてもやはり土地の取引という傾向が見られるというような報道も読んでいるところでございまして、傾向としてどっちへ向いていると見ているかという点については残念ながらお答えのしょうがないところでございます。
#149
○野末陳平君 じゃ、次に行きましょう。
 買いかえとかいろいろ聞こうと思ったんだけれども、時間も経過するから、今度は財形のことです。
 財形貯蓄の減収額は思ったほどじゃないんだけれども、この制度もかなり古くからの制度ですから、これを労働省にちょっと最近の事情を説明してもらいたいんですけれども、勤労者の財形貯蓄ですが、途中から年金と住宅に制限されました。さて、最近の利用者数の推移、それからそれの特色、それをかいつまんで言うとどうなりますか。
#150
○説明員(菅原英夫君) お答えいたします。
 財形貯蓄の利用状況につきまして、平成六年九月末現在の数字でお答えさせていただきます。
 財形年金、住宅貯蓄などを合わせまして、加入者数につきましては延べ約千八百万人ということでございます。貯蓄残高につきましては約十七兆四千億円となっております。貯蓄残高につきましては着実に伸びてきておりますが、一方、加入者数につきましては近年横ばいの状態ということになっております。
 こうした加入者数が横ばいである原因といたしましては、一つには、大企業におきましては制度の普及が進んできておりますが、一方で中小企業におきましての普及率が低いといったことが要因として挙げられるのではないかというふうに考えております。最近の財形の利用状況については以上でございます。
#151
○野末陳平君 まさに僕の持っている大蔵省から来ている資料もそれを裏づけているんですけれども、加入者数の伸び悩みというか横ばいというか、それはいろんな分析ができるとは思うんですが、大企業は確かに多い。しかし、中から下はなかなか数がふえていかないんだが、結局これは財形の欠陥みたいなもので、金融機関との契約を企業がしてくれていないというか、その辺に原因があるの。それとも給料そのものがレベルが低いからとか、どっちなんでしょうね。
#152
○説明員(菅原英夫君) 中小企業におきまして普及が進んでいない一つの要因といたしまして私どもとして考えられることといたしますと、一つには、金融機関におきまして大企業に対するほどの働きかけと申しますか、中小企業に対しての働きかけというのがどうだろうかということもあろうかと思います。
 それと一方、事業主におきましても、財形制度の内容が必ずしも十分に承知されているかどうかといったこともあろうと思います。あるいはまた、天引き制度ということで事務負担が非常に大きいんじゃないかと考えているというか、そういうような考えを持たれているということもあるかもしれません。あるいはまた、比較的労働者の移動率も高い。そういうことから制度の導入ということに対してちゅうちょするといったこともあるかもしれません。あるいは勤労者におきましても、現に制度が導入されていないということから加入されていないといったこともあるかもしれません。
 いずれにいたしましても、そうした原因も考えられるのでございますが、私どもといたしましては中小企業に対しましての普及といったものに努力してまいりたいということでございまして、十月を中小企業に対しましての普及促進月間ということとして昨年から進めてまいりました。今後とも中小企業の普及促進といったことに向けまして努力していきたいというふうに考えている次第でございます。
#153
○野末陳平君 まさに普及がはかばかしくないのはいろいろ複合的な理由が考えられると思いますから、それをもって今後財形がどうあるべきかはなかなか安易な結論は出せないんですが、一つ考えるのは、ほんのちょっとですけれども枠が拡大された、この枠拡大ということの効果というのはきっちりと出ていますか。それとも余り出ていませんでしたか。
#154
○説明員(菅原英夫君) お答えいたします。
 五十万円非課税枠が引き上げられたということでございますが、実質的にそれが引き上げられたのは昨年の一月からということでございます。そういう意味で、まだ最近ということでございますので、効果がどれだけということ、その辺にはついてはまだ分析中なんです。そういったものの十分な期間と申しますか、データというものがまだちょっと得られていないということでございますので、よろしく御理解、御了承いただきたいと思います。
#155
○野末陳平君 これは老人マル優を五十万円上げたときに財形も一緒になったんだけれども、これはちょっと拡大するのはどうかなという気がしていたから僕は反対だったんだ。そしたら哀れなお年寄りを優遇とか、哀れな年寄りがそんな一千万からの貯金を持っているわけないだろうというようなことを言っていたぐらいなんですが、サラリーマンにとってはこれが効果があるかどうかちょっと知りたかったんですが、まあそれはもうちょっと先ということですから。
 ところで、今までの話だけでも僕が感じるのは、この財形は創設から一時はすごい勢いで伸びだし、また役に立ったんだけれども、どうも利用する人たちのニーズが一巡しちゃっているんじゃないかと。これからはいろいろ普及に努めても伸びていく要因が余りなくて、そういう期待は無理じゃないかなという感じがするんだけれども、そうであるならば、この貯蓄制度をどう見直すかという問題が出てくるんだけれども、まず僕がそう感じる点について当局はどうなの、これはまだまだもっと普及すべきであり、普及してもらいたいと、特に中小企業にと。気持ちはわかるんだが現実にはどうです、なかなか難しそうな気がするんだが。
#156
○説明員(菅原英夫君) 財移住宅貯蓄につきましては昭和四十六年に発足いたしました。二十年以上たっているわけでございますが、勤労者が自助努力といいますか自己資金によりまして計画的に住宅を取得していく、あるいは老後生活の安定に備えていくということ、そういう意味で非常に大きな意義を有しているものというふうに考えておるわけでございます。
 財移住宅貯蓄につきまして現在の契約者数で申しますと、二百七十万人余という契約者がございます。あるいは年金につきましても三百二十八万人余というふうな契約者もございます。そういう意味で、住宅を取得していくということ、あるいは公的な年金制度と相まって老後生活の安定を図っていくということ、非常にやはり勤労者にとって大きな課題、重要な課題というふうに考えております。そういう意味で、やはりこの財形制度に対しましてのニーズは非常に高いものというふうに考えておるわけでございます。
 もちろん私どもといたしましても、今後とも中小企業を中心といたしまして財形制度の普及の促進ということに一層努めてまいりたいということと同時に、これから非常に高齢化が進展してくるとか、あるいは働く人たちの意識が多様化してくるとか、いろいろな経済社会の変化といったものが生じつつございます。そういう中で、より安心して豊かに暮らせるような勤労者生活を実現するために、財形制度の充実といったことに向けまして対応してしていきたいというふうに考えております。よろしくお願いします。
#157
○野末陳平君 じゃ、中小企業への普及をもう少し頑張ってやってもらいましょう。やはりこれは住宅と年金については非常にいい制度ではあるんですけれども、二十年もたっちゃったから、何となくもう一巡したかなと思っているんで、一応さらなる普及を望んでおきますね。
 今、たまたま話が出ましたけれども、マル優ですね、マル優というとどうしてもマル老というふうになってきて老人マル優の話になりますが、これどうなんでしょう、五十万ずつ上げるときに、僕は余り積極的じゃなかったんだけれども、そのときにやはり基本的にお年寄りは気の毒で弱者であってというような発想がかなりあったですよ。それがいい悪いは別として、この老人マル優も減収額が大きいからね。
 そこで聞きますが、今いわゆる高齢者の平均貯蓄はどのくらいで、そして上の方の階層と下の方の階層、その辺のところをちょっと実態を説明してくれませんか。あちこちからいろんなデータが出ているんだけれども、みんな平均のところなもんで、上と下の差が知りたいんですよ。
#158
○政府委員(小川是君) 貯蓄の現在高で申し上げますと、データのとり方が六十歳―六十九歳、七十歳以上という形で全国消費実態調査の報告が平成元年分でございます。六十歳―六十九歳ぐらいのところの貯蓄現在高は一千万円をちょっと上回る程度でございますし、七十歳以上の方は一千万円をちょっと下回る、つまりほとんど一千万円前後とお考えいただいたらよろしいと思います。なお、これが五十歳―五十九歳ぐらいになりますと八百万円程度、四十歳―四十九歳ですと六百万円程度という形で貯蓄現在高が下がってまいります。
 そこで、六十―六十九歳の方のレベルがこうだといたしまして、ここでは四分位の階級をとっておりまして、上と下がどれぐらい開いているかというのは、六十歳―六十九歳の方も、七十歳以上の方もいずれも四・三倍の開きでございます。ちなみに、五十歳―五十九歳ですと三・九倍、その次の四十歳―四十九歳ですと三・四倍といったような姿になってございます。
#159
○野末陳平君 今のは興味ある数字ですが、そしてもう一つは、いわゆる貯蓄からくる利子部分ですね、配当も入るかもしれないけれども、利子配当が生活費全体に占める割合というのはどのくらいなのか、つまり利子をどれぐらい当てにした生活が設計されているのか、それはどうですか。
#160
○政府委員(小川是君) これはまた別の国民生活基礎調査というものに、高齢者世帯の所得がどういうところに依存しているかというデータがございます。平成三年分のところで申し上げますと、利子配当による所得は三%でございます。年金、恩給が五二%、それから働いてなお得られる部分が三四%、その他ということになっております。
 なお、二十年前になりますが、同じものを昭和五十年について申し上げますと、この当時は利子配当だけ取り出すものがございませんでしたが、年金、恩給は二六%、働いて得られた所得が五六%ということでございましたから、かなり傾向が違っております。利子配当所得の占めるウエートがわかります直近のところは、実は平成三年の前の平成元年でございまして、その当時で利子配当部分は二・一%ということでございまして、ごく最近のところでございますが、そのウエートが若干高まってきているというところでございます。
#161
○野末陳平君 確かに、高齢者の貯蓄が年々ふえている。それだけ一部のお年寄りは裕福になったということなんだよね。今の局長の答え、高齢者世帯の所得の種類別で年金、恩給が半分、これはいいことで、となると今の利子配当部分というのが生活費全体に占めるウエートが思ったより低いということが感じられるんだね。
 僕がいろいろ聞いてみると、高金利のとき一番はっきりしていたんだけれども、やはり利息の非課税というのはすごいありがたい、遊べるお金なんですね、生活費じゃなくて。これはいいことだと当時は思った。海外旅行に行くのにも利息が減っちゃうと当てが外れちゃうとかいろんなことを言っていたんで、それはそれで、お年寄りがレジャーのお金がそういう利息で賄えるというのは悪いことじゃないと思っていたんです。
 さてそうなると、今度は本来のマル優を設定する政策目的というものから見てさてどうかなということも当然考えてみるべきだと思うんですね。
 それで、公的年金や恩給についての課税は勤労階層に比べればかなり甘いですね。これは見方はいろいろあるけれども甘い。となると、生活費の半分を占める年金のところで課税をかなり優遇してあげているというのがある以上は、このマル優というのが一千五十万までの枠を必要とするかどうか。これはやはりちょっと今までの考え方と違う物差しを当てはめてみる必要があるなと思うんですが、問題意識は今のところ大蔵省はどうだろうか、それを聞いて、僕の考えも聞いてもらいたいと思うんです。
#162
○政府委員(小川是君) やはり最近の経済情勢あるいは人口の高齢化の問題、財政状況を考えますと、現状でもあるいは今後における展望からいたしましても、租税負担というものが従来に比べて高まっていかざるを得ない状況になってきているわけでございます。そうだといたしますと、いろいろな分野において課税ベースの問題、税負担の問題を御議論いただかなければならないというふうに存じます。
 そうした角度から老人マル優のあり方について申し上げるならば、やはり課税ベースという点から見ていかがかと。それともう一つは、確かにこうした形での助成というのはあり得るにいたしましても、先ほど申し上げたように、高齢者の方といっても相当いろんな分散がおありになります。そうした中で利子について相当程度の枠で非課税ということを置いておくということについては、いろいろなデータを見ながら総合的に検討をしていくべき課題ではないか、このように考える次第でございます。
#163
○野末陳平君 問題はそういうことなんですが、具体的にいかないとやっぱりだめだと思うんで、これからは大臣の考えも聞きたいところなんです。
 年金も優遇してある、貯蓄にも優遇がある、その他の所得に対する諸控除もいろんな点で優遇がある、というようなことで高齢者優遇というのが税制改正の柱であった時代がずっと続いたんですけれども、高齢者の中の同一世代内にも相当な開きが出てきた、暮らしぶりなり資産状況、所得にも。同時に今度は若い人との世代間の、つまり年金で言うならば保険料を掛ける世代ともらう世代との世代間の髪もかなり広がってきた。いろいろなデータを参考にしても、お年寄りを全部一色で、弱者あるいはお気の毒だから優遇という時代はもう完全に過ぎたと、そう思いますよ。
 となると、負担できる人にはやはり負担をしてもらうのが当然ですから、年金の課税強化というのを軽々に言うのは誤解も招くと思いますが、老人マル優はやはり一千万円という貯蓄というものが枠になっているので、それがあるなしにかかわらずだけれども、こっちの方は、貯蓄の利子の方は課税を受けてもらってもいいんじゃないか、そういう時代に来たんじゃないかと思うんですよ。これは反発はあるに決まっていますからね。
 でも、低金利のときはその二〇%といったってたかが知れているから、だから今はもうありがたみもないし、それからこの存在も高齢者の生活に特別潤いをもたらしてもいないんですね。だから直せじゃないんですよ。そういう事情のときにやはりこの見直しを正論として訴える、そういう時期に今来たと僕は思っているので、本来高齢者の貯蓄を優遇するという理由が相当薄れ、ここ数年先には逆になってきて、年寄りの方が楽で、若い者の方があれやこれや引かれたりして、生活費もかかってこれは大変だというふうにすぐなるんじゃないかという気がするんです。
 そこで大蔵大臣に聞くんですが、これだけの減収額をもたらす税税特別措置の一つであるところの老人マル優というのは既得権にしておいたのではいけないんで、そろそろこれは縮小、廃止の方向を打ち出す、まあきれいごとで言えば見直しだ。今やこれが次の税制改正の租特に関する中ではポイントかなと思いますが、どうでしょう。
#164
○国務大臣(武村正義君) 老人マル優の措置、ありがたがっている人がいないとは私は思わないんでありますが、これはこれで今日までお年寄りを激励するための一つの大事な政策手段として評価をされていると思うんであります。
 ただ、きょうは財政繰り入れ特例法の論議も並行してお願いをいたしておりますが、我が国の財政の状況から考えますときに、たとえ福祉の分野といえども何もかも十二分な采配はなかなかしにくい状況になってきたなと。いわゆる年金も充実していく、医療も公的な支えをさらに強化していく、その上おくれておりますところと介護のシステムも完備していくという、全部やっていくというのは大変難しい状況に来ております。
 そういう意味では、ある種の選択の議論をしなければならない時期が来ておるというふうに思いますし、税制についても、今先生が御指摘のように、たまたま今老人マル優でございましたが、年金や恩給に対する措置あり、そしてこちらにも措置ありという中で今、先生の御感触を承ったわけでありまして、そういう歳入歳出全体をめぐる我が国の財政の論議という視野から見ますときには、一つ一つの項目について、先ほどは生保の控除の問題が出ましたが、例外なく見詰め直していくことが大変必要な時期に来ているという認識を持ちます。
#165
○野末陳平君 税制だけじゃありませんが、まさに高齢者優遇ということを金科玉条のようにして改正をしてきたという経過はもう既に役割を終わったわけで、これから始まる時代は、高齢者を支える世代に対して余りにも過酷な負担があってはいけないわけですから、その場合にじゃどうするかといったらば、やはり高齢者にも応分の負担をいろんな面でしていただくと。ただし、そういう憎まれることをやるのはみんな嫌ですからね、嫌だけれども、それをやるべき時期に来たんだということですよ。
 そうすると、毎年の税制改正の手直しのような作業は、租特ならなおそうですけれども、既得権というものがありますから一年ごとでは大胆な改正はできないから、やはりもう三年、五年ぐらいの期間の中でやるんだという、そういう改正をこれからしていかないと、所得減税も当然そうやる方向になっているわけですが、こういう租特などすべてを含めて年度の改正といって手直し手直しを続けてきたその税制改正の歴史はここらでおさらばして、大胆にやるためには一年ではやれないんだから、三、四年かかってここまで打っちゃうという、そういう改正をこれからは検討してほしいなと思っているんですよ。
 ですから、その中でたまたま租特に関する部分がきょうは幾つか出ましたけれども、このマル優も例外でなく、当然これはもう見直ししなきゃいけないなと、そういう認識だけを強調して、この辺でやめておきます。
 ひとつ次の税制改正のときには、大蔵大臣は総理大臣かもしれないし野党かもしれないし、それはわからないけれども、やはりその年その年の改正という意識に余りにも大蔵当局がこだわり過ぎると、どうしても大胆なことはできない。議論ばっかり続けて実行に踏み切れない。それは大臣が在職中にそういう方向など、あるいはそういう流れを出すということが今大事じゃないかなと。
 どうも武村さんの就任以後のいろんな考え方は大蔵省の官僚ペースというか、非常に目立つ。本人はそうじゃないと思っているかもしれないが、僕などが見ると、大蔵大臣になっても結局は余り意味がない、役人の言っていることを言っているんじゃないかというふうにしかとれない。それが残念だから、あえて苦言を呈して終わりにしましょう。
#166
○池田治君 ただいま野末議員から税税特別措置の見直しにつきまして具体的な議論がございましたが、私は、若干抽象的でございますけれども、同じ整理合理化について若干お尋ねをいたします。
 ことしの政府税制調査会の答申では、現在の租特措置が余りにも細かく個別的な政策目的に細分化され、極めて複雑になっており、特定の者しかわからなくなっているとか、租税特別措置がいろいろな基準や行政当局の認定・承認を適用要件としており、規制緩和の流れに逆行するなどと挙げまして、問題があることを指摘されております。
 この租税特別措置というのは、特定の政策目的のために、条件に合致した個人や企業を対象として特別に税金を軽減するというものでございまして、政策目的が到達されたりある程度目的を達成すればこの措置は常に見直して、税の基本原則であります簡素とか中立、公平というような見直しが必要であると思うんでございますが、政府税調の考えと税の本質というものとを総合して考えました場合、税の簡素化、規制緩和、こういう要請と反しているということならば、この特別措置との関連をどういう考えで大臣は見ておられますか。極めて基本的な問題を、抽象的で結構ですが、お答え願いたいと思います。
#167
○国務大臣(武村正義君) 租税特別措置は政策的な意図を持って行っているものであります。時代時代、その経済社会の中で特に有効であり必要なものに限定して対処をしていくべきものだと思いますが、同時に絶えず見直し、改廃を含めてその努力を並行して進めなければいけないというふうに思います。
 特に企業関係の租税特別措置に関しましては、税調の中でも、特別措置が余りにも細かく個別的な政策目的に細分化され、極めて複雑なものになってきている、さらに、種々の基準や行政当局の認定・承認等を適用要件としており、規制緩和という経済社会の構造改革の流れに逆行する面がある、明確なこういう御指摘もいただいているところでございます。
 先生のおっしゃるとおりだと思っておりますが、ぜひ制度の透明性、簡素性等の要素にも留意をしながら努力をしなければならないと思います。
#168
○池田治君 そこで、特別措置が設けられてから二十五年以上も経過している企業関係の特別措置が現在三十項目もあるようでございます。
 調べてみますと、特定の登録ホテル等の減価償却資産の耐用年数の特例というのは昭和二十四年から延々と今日まで続いております。また、船舶の特別償却につきましては昭和二十六年から、新築貸家住宅の割増償却につきましては昭和二十七年から、渇水準備金につきましても同年であります。技術等海外取引に係る所得の特別控除については昭和二十八年、保険会社等の異常危険準備金につきましては昭和二十八年から。保険会社も今は危険なようでございますが、一時、バブルの時代にはかなりの株式投資や土地投資もなされたと伺っておりますので、こういうものはとっくに廃止してもよかったんではないかと思いますが、それが二十年も三十年も残っていること自体が問題であると思います。
 長期化している理由につきましては、日経新聞の社説で、政策そのものが間違っているか、もしくは税制を利用する政策手段に問題があるか、既得権化して政治的にもう廃止できなくなっているか、そのいずれかではないか、こういう指摘がなされておりますが、これにつきまして大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#169
○政府委員(小川是君) 創設以来大変長くなっている租税特別措置につきましては、今御指摘のあった幾つかの例を含めましてさまざまな事情があるわけでございます。もとより、その意図している政策から見ましてなお継続を要すると考えているわけでございますが、一方において、ただいまお話のありましたように、どうしてもこういったものが長くなればなるほど、これを外すことによって負担が重くなるということが現状を破ると申しますか、産業活動、経済活動をやっていく上で負担が重くなり過ぎると。したがって、繰入率等を引き下げてでも何とかこれを維持したいということがあるのは一つ事実だと思います。
 それからさらには、先ほども御議論ございましたけれども、新しく出てくる産業あるいは成熟化している産業、どんどん伸びなければならない産業、さまざまな産業にとりまして横のバランスと申しますか、どこか特定のところだけ削っていくということが実際上困難だという点もあるわけでございます。
 それからもう一つは、政策の方向性がかつての日本経済のステップがまだ若いころには非常に大きな形で打ち出されておりまして、例えば輸出振興であるとか内部留保の充実といったようなこと、あるいは公害防止といったような大きな政策で打ち出されておりました。それが次第に細分化されて、各種の産業間において細かく優遇措置、助成措置を残したいというのがふえてまいりました。
 そこで、一つは先ほどの問いに戻るわけでございますが、規制といいますかいろんな要件を付することによって維持をする、しかも細分化したところで維持するといったような傾向は否めないような気がいたしております。それが本年の税制調査会においてはいわばずばりと、そういう問題について別の角度からもちゃんとやっていかなければならないということを指摘されたことだと受けとめている次第でございまして、そういった御指摘を踏まえてこれからも毎年きちっとした見直しをやってまいりたいと思っております。
#170
○池田治君 見直しは結構なんですが、前半に局長はいろいろな理由があるんだとおっしゃいましたけれども、昨年十二月に連立与党の税制改革プロジェクトチームは企業関係の租税特別措置の見直し案を提示されました。それによりますと、今年末に期限が切れるものや創設してから長期間が経過したものを中心に、全体で八十二項目ある企業関係の特別措置のうち二十五項目を廃止するということも言っておられます。また、法人税の税額控除や特別償却の枠を二割程度圧縮するということなども案を示されました。
 ところが、七年度税制改正においては企業関係の租特の廃止が純減の三つしかない。大蔵省案の二十五から大幅に後退したものとなっております。そしてまた、税額控除等の一律二割圧縮という目標も実現しておりません。こうしたことと局長の前半に言われたいろいろな理由があるんだということとは若干矛盾するように思いますが、局長、いかがでございますか。
#171
○政府委員(小川是君) もとより、最終的な租税特別措置の整理案をまとめる中途の段階におきましては、政府部内におきまして、関係省庁に対して私どもは、例えば長期化しているではないか、細分化し過ぎているではないか、もう政策目的は果たしたとしてこの辺でやめてはどうか、あるいは総体的に率を縮減してはどうかというような形でいろいろ議論をいたしましたし、過程において整理合理化の案を事務的な議論のたたき台としてお示しをしたことも事実でございます。
 しかし、いずれの制度もまたそれだけの意味があってと申しますか、政策目的があってのことでございますし、それぞれ利用状況等を説明され、政策目的を説明され、最終的には今回お出ししているようなものに落ちついて、全体として政府としてこういった特別措置の改正をお願いしたという経過でございます。
 経過の途中におきましては、私どもは、どちらかというとこれまでのものを見直して縮めていくという立場から議論をし、各省は、もしどうしても新しいものをつくるために縮めなければならないのであればこちらを縮めることにしたい、そういった議論をいたしたことは事実でございます。
#172
○池田治君 いろいろな議論はあったと思いますが、一つおもしろいのもございます。
 地震防災対策用資産の特別償却制度につきまして、ことしの一月十三日に七年度改正要綱の閣議決定をするときに、こういう地震のときの防災用資産の減価償却はやめようということを一たん閣議でお決めになった。それから四日したら地震が起きた。これは大変だ、これは廃止を決定したら人ごとになるということでまた廃止を取り消すということもあったようでございますが、この点、大臣も直接担当されていると思いますけれども、どういう経過でこういうことになったんでしょうか。
#173
○国務大臣(武村正義君) いや、これはちっともおもしろい話ではなくて、まさに震災が起こったという事態で急遽こういう修正をさせていただいた次第であります。
#174
○池田治君 修正はわかっておりますし、もっともだと思いますが、一たん廃止を決めるときに防災に対する閣僚の皆さんのお考えはいかがなお考えだったかをお尋ねしたいと思います。
#175
○政府委員(小川是君) これは、各種の制度が相当期間を経過し、あるいは私どもが政策目的をそれなりに果たしたんではないかと思われるようなものを部内でいろいろ議論をいたしたわけでございます。
 その際に、今回の地震防災対策用資産の特別償却といいますのは、それぞれ昭和五十年代から六十年代前半にかけまして当時の状況で導入されまして、そして、かなりこれは誘導的な、できるだけ早目にそうした防災対策を講ずるようにという政策目的を持って講じられた措置でございました。
 そこで、近年の利用状況を見ますと、その利用がほとんどなくなってきているというところから見まして、防災に目を向けて、そして対策を講じていただくという効果はそれなりに果たし終えたんではないかということから廃止をしようと。また必要があれば、それはそのとき考えればいいではないかということで整理の対象にいたしたわけでございます。
 それが、大臣申し上げたようなことで、大変不幸な事態が起こったというところから、やはりこれはお互いにすぐ議論をいたしまして、このときにこそ再び防災に目を向けていただく、それを税制上もバックアップするということが重要ではないかということから法案の段階までに復活をさせるということになった、そういった経緯でございます。
#176
○池田治君 防災用資産の償却制度を利用する者が少なかったということのようでございますが、いっあるかわからぬのが災害でございますので、利用が少ないからもう廃止しようという考えそのものは今後改めていただきたいとお願いをしておきます。
 それから、次は登録ホテルの減価償却の特例制度でございますが、昭和二十四年に創設された特定の登録ホテル等の減価償却資産の耐用年数の特例、これは観光を通じた外貨獲得を目的に、ホテルや旅館等が一定面積以上のロビーなどを備えますと減価償却上の耐用年数を通常よりも短縮できるということで年々の減価償却がたくさんできるような制度になっておりますが、大蔵省は四十五年前に創設されたこの特例措置を租特の対象として一たん廃止しようということで案を出されたやに伺っております。これに対して運輸省とか関係業界から政策目的はまだ失われていないと強い反論が起きまして、平行線をたどって、最終的には廃止を前提に制度のあり方を検討しようということになったやに伺っております。
 この特例措置見直しに対する大蔵省のスタンス、廃止を前提に制度のあり方を検討するということはどういうことか、私は伺いたいと思います。もうこれはとっくに制度目的を達して、到達したと言われる大蔵省の原案の方が私は正しいと思っておりますが、いかがでございますか。
#177
○政府委員(小川是君) 登録ホテルの減価償却の特例につきましては、実は昨年、平成六年度の税制改正におきまして同様の議論をいたしました。その結果、六年度の税制改正で、六年度、七年度、八年度と次第に特例の割合を縮減していくということにいたしまして、その案を成文化して現在に至っているわけでございます。その意味におきましては、平成九年三月三十一日までの間の特例は次第に縮減される具体的な案といたしまして定まっているわけでございます。
 本年度、七年度にこの問題を改めて議論いたしましたのは、これを直ちに廃止の方向へ持っていくべきではないか、あるいは期限が来たら当然にそこで廃止をすべきではないかということとして議論をいたしたわけでございます。その結果、昨年度、六年度のときに決めた三年間の縮減の過程は、当然それを前提とした上で制度のあり方を来年度までに検討をしようということにいたしたわけでございまして、検討の方向性は既にいわは出ているわけでございますから、あとは検討の時期をやはり毎年毎年見直すということではなしに八年度で見直しをしようという、いわば政府の中での決意をお互いに確認したというところでございます。
#178
○池田治君 そうしますと、日経新聞の社説に書いてあった、既得権化して政治的に廃止することができなくなったという、こういう範疇には入れなくてもいいですね。
 また、政策目的そのものは間違っていなかったわけですから、目的が達成されれば当然廃止すべきものだと私も考えますので、これは大蔵省も強く頑張っていただきたいことを要望しておきます。
 次に、情報開示の必要性でございますが、特別措置というのは一般会計の補助金とよく対比をして考えられます。これはある政策で特別に税金を軽減するということでございますから、臨時に補助金を出すのと裏腹の関係になっていると考えられるところでございます。補助金につきましては予算書で一応内容が把握できて数字も把握できます。しかし、租特の減税というのは具体的項目や金額も国民の目から非常に見えにくくて不透明であることが問題になります。
 そしてこの利用状況が、どれだけの人が、どれだけの企業が利用しているのか、そして減税をしたためにどのような政策効果があったのかということが国民にはわかりません。したがって、見直しを考える場合、具体的項目や金額だけでなく、その利用状況とか効果につきましても見える形で国民の前に判断材料を提供していただければ非常に国民は皆納得するのではなかろうかと思っております。
 いろいろ大蔵省も苦労されているようですが、業界や通産省、運輸省側と折衝される場合にも、こういう情報開示をした上でこの見直しが必要だと言われれば業界の方にも一応納得してもらいやすいんじゃなかろうか、こう思いますが、当局はどうお考えでございますか。
#179
○政府委員(小川是君) 租税特別措置と補助金あるいは政策金融は、いずれも政策目的を達するための手段としては同じでございます。
 補助金や政策金融の場合には、その要件、あるいはそれは予算等を通じて御審議をいただいているということがあるわけでございます。他方、租税特別措置の場合には、まさにこうした法律あるいは法律に基づく政令という形でそれぞれ適用を受けるべき要件が明らかにされ、法律として御審議をいただいているわけでございます。
 確かに、この租税特別措置が、全体として各項目がどれぐらい適用になっているのかという点は私どもも全部は把握をし切れないわけでございます。これはいい点と悪い点とございまして、調べたいと思うときにわからないということがございますが、他方において、法令に基づいて納税者の方が御自分で計算されて自動的にそれだけ軽減がいくということからしますと、そのコストという面からは大変手間がかからないというメリットもあるわけでございます。
 実際に適用状況がどうかとなりますと、実は納税者の方はかなり細かい数値あるいは事実を申告書に添付いたしましてかなり細かく書いていただくようになっております。法人税法の省令に金部別表という形で細かい表がついておりまして、その表に従って、どの法律のどの規定に基づいてこの適用を受けようとするか、受ける事実等を書くようになっているわけでございます。
 したがいまして、納税者の一人一人についてはそういう計算が行われておりますが、税務統計としてそれをまとめることができるかといいますと、これは二百万からある法人でございますので限度がございます。
 したがいまして、国税庁が会社標本調査結果というのを一年に一遍公表いたしておりますが、この中では重立った税額控除あるいは所得控除、それから準備金、特別償却といったようなものにつきまして金額が一年に一遍集計されて公表されております。特定会社はもちろんわかりませんが、資本金の階級別にどういうふうに適用されているかということと、産業の大きな種類別に分類がなされて公表されているところでございます。
 もとより、大きなくくりではございますが、以前に比べますとかなりの程度のデータを、一生懸命国税庁に頑張ってもらいましてお手元に、あるいは公表されるように努力を続けてきているところでございます。これからもそういった方向性はしっかりと持っていきたいと思っている次第でございます。
#180
○池田治君 また、減価償却制度について海外と比較してみますと、日本では税務当局が細かに細分化されておりまして、世界に類例のないほど日本の減価償却制度は細かいと言われています。
   〔委員長退席、理事楢崎泰昌君着席〕
 その中で決定的に一番力の強いのが、大蔵省の省令で償却資産の耐用年数はがちっと決めている。これについてはもう二十年、三十年どころか、一九六四年度の見直し以来ほとんど変更なくこのまま今日まで来ているということでございます。
 ところが、アメリカでは八一年度のレーガン税制改革で、税法上の償却可能額を大幅に拡大して加速度償却制度というものを採用し、耐用年数の区分の簡素化も実施しておられます。ヨーロッパでも耐用年数は原則として企業の判断に任せている例が多いようでございますが、日本だけは大蔵省令ががちっと定めておる。そしてそれ以外のものは絶対許さないという態度のようでございます。
 これも、減価償却制度の本質の問題もあれば、ちょっと規制緩和の問題にも関連するんじゃなかろうかと、こう考えます。そして、これは大蔵省令の全面的改正をしなくちゃできないわけですが、そういった減価償却期間の短縮とか簡素化など、制度を弾力的にすれば租特の見直しに対する産業界の理解も得られ、他省庁の理解も得られやすいんではなかろうかと思いますが、これはいかがお考えでしょうか。
#181
○政府委員(小川是君) 減価償却資産の耐用年数についてのただいまの御指摘は、二つの問題を含んでいるように思います。
 一つは、我が国では省令で決めております耐用年数が実態に合っているかどうかという点でございまして、確かに一番大きく全体を手直しいたしましたのは約三十年前でございますが、十年ほど前に、税制調査会からもう一度よく見直しをするようにということで、再検討といいますか、データをとったことがございます。昭和六十二年度は実は十三設備の見直しを行いましたが、その後も細々と見直しを行っております大きなもとは、その十年ほど前に行いましたデータチェックでございます。これはさすがに全体を見るというのは、十年、二十年という大きな期間、間隔をとりながら考えていくべきことだというふうに思っております。
 それから第二点といたしましては、耐用年数が設備等に応じて細かく決まり過ぎているんではないか、もっと大きくくくって、例えば御指摘があったアメリカとかその他の国の例を参考にしてはどうかという御指摘だろうと思います。これは将来における検討課題ではあろうかというふうに思うわけでございますが、他方において、我が国の場合はとりわけ各業種、業態によりまして、ある水準が標準であれば、自分のところはそれよりもこの設備はちょっと短いはずであるという、なかなか標準から遠い、それが租税特別措置をまた耐用年数と離れますが細分化させるところでありますけれども、そういった気分が強いというところを大きな見直しをする際に次第に簡素化できるかどうか、御指摘は将来への課題にさせていただきたいと思うわけでございます。
#182
○池田治君 最近、大蔵省の人気といいますか批判がかなり強いので、大蔵省も御遠慮なさるのかもしれませんが、こういう規制緩和に通ずるもの、そして税制の簡素化に通ずるもの、こういうものだけは権威を持ってがちっとやらなければ国民のために尽くせる大蔵省とは言えないと思いますので、局長、ちょっとそういう気分的な問題で言わないで、もっと全国の立場で耐用年数の短縮などについては取り組んでいただきたいと思います。
 ところで、通告はしておりませんでしたが、原子力発電所の耐用年数はたしか十五年で償却だというふうに私伺っておりますが、償却期間は十五年、実際は三十年、四十年と続いているのが現状のようでございますが、こういうのはどうお考えですか。
#183
○政府委員(小川是君) 原子力発電所につきましては、現在の耐用年数省令で十五年になっているそうでございます。ここがまた大変難しいところでございますが、一つ原子力発電所だけではございません、各種の発電所、大きさも違えば置かれている土地も違います。それから修繕、維持の手当ての仕方もございます。したがいまして、現実には個別に差があり得ることは事実だと存じます。
 耐用年数省令で定まっているものよりも長く使っているという事例は機械設備等でも多々あろうかと思います。それは、維持、修繕にどの程度、平均的なものからどの程度かけているかというところがあろうかと存じます。今のは長い方でございますが、例えば自分のところは短くなっているというような場合には、実は省令は決まっておりますけれども、その使用の状況あるいは置かれている特殊な場所、例えば塩害や何かが多いといったようなところは、データをつけて税務署長に申請をしていただきますと、個別に耐用年数を見るという制度も置かれているわけでございます。
#184
○池田治君 ぜひ弾力的な運用をお願いして、質問を終わります。
#185
○吉岡吉典君 最初に、やりくり法案で締めくくり的に大臣にお伺いします。
 前回の論議で、このやりくり法案そのものが日本の財政危機の深刻さを示すものだということが明らかになったと思います。七年度末の国債残高は二百十三兆円、公債依存度は二二・四%で、イギリスに次いで世界でも二位という状況だということが明らかになりました。それに加えて隠れ借金、これ四十一兆五千億円ですか、こういう事態ですね。
 私は、そういう状況の財政をどう打開するかという点で、最初にまとめて二、三点大臣にお伺いしますけれども、第一点は、赤字公債だけでなく隠れ借金も含めての日本のこういう危機的な財政をどうするかという点で、やはり明確な見通しを立ててこの打開に取り組まなくちゃならないと思いますが、その点どうお考えかという点。
 続いて、その際、例えば去年の消費税論議との関係でも問題になりましたような行財政改革、税制改革という問題があるわけですが、財政改革と言う場合に、きょうも医療、年金ということについての大臣の発言もありましたし、きのうの衆議院の厚生委員会では国保への国庫負担は四百三十三億円削減されるという答弁があったと、これは大臣じゃありません、別の委員会ですけれども。ということがあるわけですけれども、そういうように医療、年金等は今後とも国庫負担を削減していく方向でこれを打開しようということを考えておられるのか。
 また、高齢者対策というのが政府の重点施策になっているわけですけれども、去年の税制国会でも厚生省からは、厚生省の考えているところの福祉ビジョンと比べるとまだまだ乖離があるということが発言されていたわけですけれども、こういう財政危機の中で高齢者対策も抑制しようというふうにお考えになっているのかどうなのか、これが第二点です。
 それから第三点の問題としては、去年、私が質問したときに、財政需要要因として高齢者対策、それから国際貢献、公共事業と、こういうふうに大臣は御答弁になりました。その第一番目が高齢者対策で今お伺いした点ですが、第二番目に挙げられました国際貢献にかかわる日本の負担、例えばこの中には増大一途の在日米軍基地に関する負担もあるわけですけれども、この国際貢献あるいは在日米軍基地の負担等はこれはもう検討の対象外、聖域なのか。国際的に大変気前よくばらまくという状況は、この日本の財政危機を打開する上ではこの問題も含めて検討なさるのかどうなのか。これをまず最初に一括してお伺いしておきます。
#186
○国務大臣(武村正義君) 我が国財政の置かれている状況は、吉岡委員もおっしゃっていただきましたが、たびたび申し上げているとおりでございます。大変厳しい険しい状況に立ち至っております。歳出をどう抑えていくことができるか。歳入の議論が片方にございますが、まずは歳出をどこまで整理していけるかということが大事なテーマであります。
 そういう意味で今二つの御質問がございましたが、今後の国の財政を考えていきますときに、これは政治の方向でもありますが、高齢化、国際化の方向に積極的に対応をしていかなければならない、このことは共通の認識でもあるわけであります。
 高齢化は私も積極的な対応だと、財政的にもそう思っておりますが、ただ、高齢化といい福祉といっても、すべての需要に積極的にこたえていくことはできるだろうか、その中でやはり何が一番大事なのか、一番とは一つだけという意味じゃありませんが、十あれば七つか八つは重視する、しかし二つは政策の選択でやはりある程度抑えていく、こういう厳しい選択も迫られてくるんではないか。
 先ほど年金、医療、介護の例を挙げながら申し上げました。ある学者が言っておりましたけれども、例えば年金を積極的に充実するなら、医療、介護は公的な対応は少し控えて、その充実した年金でみずからがカバーしていただくという、こんな話をされていた方がありました。あるいは年金はもう自立自助でやっていく、額は相当減ってもやむを得ない、そのかわりに万一病気になったり困った場合には医療と年金で一〇〇%国がしっかり支えていく、こういう選択もあるではないかという意味の御議論を聞いたことがありまして、私のまだ整理した考えという意味ではなしに申し上げたわけであります。
   〔理事楢崎泰昌君退席、委員長着席〕
 国際化と米軍に対する思いやり予算とはちょっと関係がないんではないかと私は今話を伺って感じたわけであります。国際化というのは、やはり日本の国の世界に対する期待も大きくなってきておりますから、これを果たしていかなきゃならないということだと思っております。PKOもございますが、どっちかといえば、憲法を踏まえれば非軍事的な貢献の分野でこれからも積極的な役割を担っていくべきだという考えだと思っております。
 思いやり予算というのは、我が国の防衛、この中に安保条約があり、米軍の駐留という現実があって、そのことに対して日米間で協議をしながら対応してきている問題であります。
#187
○吉岡吉典君 思いやり予算や国際貢献の需要増については余り見直しはやらないというように受け取りましたけれども、それでいいですか。
#188
○国務大臣(武村正義君) 見直しというのは、そういう意味では聖域はないのかもしれません。財政の健全化のためには、福祉ですら例を挙げながら申し上げているぐらいでございますから、基本的には例外なしにすべての分野に目をもう一度向けていく必要があるという考えてありますが、今、日米安全保障条約堅持という姿勢をとっている中で、今この問題について見直しをする考えは持つべきでないというふうに思っております。
#189
○吉岡吉典君 次に、租特法案に関連してですけれども、去年の臨時国会で租特の見直しというのが政府の大変強調された公約であったというふうにも言えると思います。大胆な検討、思い切った見直しということが繰り返し強調されました。私、印象に残っているものでは、特に自治大臣の答弁なんか聞いていると、大企業優遇の租特の抜本的、根本的な見直しということで、あたかも全廃と言わんかのようなニュアンスさえ受け取れるような答弁もありました。
 ところが、実際今度提案されたのは廃止八項目、新設四項目で、増収は平年度でも三百九十億円。これは八〇年の千百億円、七六年の九百六十億円に比べても非常に低い額でしかないわけで、これが去年の臨時国会で大胆な検討、思い切った見直しということを強調された結果だというのは、私自身にとっても予想外の結果でありました。
 去年の十二月に与党の税制改革大綱が発表されましたが、その中でも、税制面では「資産課税の充実、租税特別措置等の抜本的な整理合理化といった、公平・公正な税制の確立に向け積極的に取り組まなくてはならない。」ということが強調されて、こういうふうにも言われていますね。これらの問題が、「われわれの姿勢を見守る国民の、厳しくも期待をこめた視線を強く意識しつつこれをやらなくちゃいかぬということが書いてある。
 そうすると、そういう厳しい国民の注目の中での我々の姿勢を示す結果が今度の法案だったということになるわけですけれども、大臣、これは本格的な見直しの過程でのいわば中間的な、あるいは第一歩としての結諭なのか、去年言われた大胆なあるいは思い切った見直しというものの結果がこういうものなのか、その点最初にお伺いします。
#190
○国務大臣(武村正義君) 政府・与党の表現としては、大幅な整理合理化に取り組むという考え方でやってまいりまして、大幅であっなかなかったかはいろいろ御評価があろうかと思いますが、政府としてはかなり真剣に取り組んで今回廃止が八つ。廃止の数はそういう数でございますが、二十七項目について縮減合理化をいたしておりますので、これだけの項目に取り組むことができたのほかなりな成果であるとみずからも評価をしているところであります。しかし十分ではありません。したがって、今後も引き続きこうした姿勢で租税特別措置に対する見直しの努力を進めていかなければならないと思っております。
#191
○吉岡吉典君 今までの見直しに比べても、さっきも言いましたように、増収額というのは一番多いときに比べれば半分以下、八〇年が千百億円ですからね。七六年の九百六十億円に比べてもこれはうんと低い額で、かなり大幅な結果だというふうにおっしゃると、かけ声で言われていた租借の見直しということの姿勢、その実際の中身はこういうことであったのかというふうに私は言わざるを得なくなるわけです。
 そこで、幾つか税制にかかわってお伺いしたいと思います。私は、去年の公約である不公平税制是正という面からと、それから同時に、時間がうまくとれましたら税の執行体制の面からもお伺いしたいと思います。
 まず、今回の見直しを幾つかの項目についてお伺いしていきたいと思いますけれども、例えばエネルギー需給構造改革推進投資促進税制についてですが、これは減収額が六百億円で、減収規模としては試験研究費の税額控除制度に次いで大きい租税特別措置であります。この制度はもとをたどると一九七八年に創設された投資促進税制にその端を発しているわけです。この投資促進税制が設けられた当時、臨時異例の財政を組むとともに、内需拡大の観点からこういう提起が行われ、そのとき一年限りの措置としてこれは設けられたわけです。ところがその後、一年限りだったものが期限が来るたびに名前を変え、そして今日まで存続してきています。
 最初創設したときには政府自身が、一定の期限を設けた時限措置でなければその効果も期待できない、こういうふうに言っていたのが、こういうふうに長く今日まで続けられるに至っているわけですけれども、このことはどういうふうに説明なさるんですか。
#192
○政府委員(小川是君) 具体的なエネルギー需給構造改革推進投資促進税制を例示されてのお尋ねでございますが、この税制はエネルギーの需給構造の改革、省エネの推進といったことからスタートをいたしまして、その後、省エネルギーあるいはエネルギーの需給構造改革、そうした政策目標のために必要であるということから、制度、大きな枠は継続をいたしておりますけれども、期限が到来する都度、対象設備の見直しなどを行いまして現在に至っているわけでございます。
 例えば、近年で申し上げますと、地球温暖化問題といったようなものへの配慮、これにどのように対応するかといったような角度から内容を置きかえあるいは見直しを行っているわけでございまして、確かに、私どもは、内容を見直したりあるいは政策目標が少し重点の置き方が変わりますときには、やはりその体に合った名前に変えるべきであるというところから名称を変えております。それは名前を変えることに目的があるのではなくて、むしろ内容について吟味をした上でこういう形で継続をしているというものでございます。
#193
○吉岡吉典君 いろいろ今説明なさったんですけれども、出発したときには一年限りで、それで一定の期限を設けたものであり、時限措置でなければ効果がないんだということまで言っていたものが、今いろいろ説明がありましたけれども長く今日まで続けられている。しかも、長く続いただけでなく、対象設備も次々と追加され、減収規模もだんだん大きくなっている。私はやはり、一度創設されたら、環境がどう変わろうと、あれこれ理由をつけてその存続を図っているというのが実態じゃないかと思います。そのことはこの項目だけでなく他の項目についても言えることです。
 例えば増加試験研究費の税額控除制度というものをとってみても、六七年に創設以来、基盤技術研究開発促進税制、特別試験研究促進税制など新しい制度を拡大して、今回の改正は、本体をそのままにした上で新たに基準時点を間近な時点に置いて、それに比べてふえた場合を税額控除の対象にするという制度の拡大を図ろうとしています。これの実態を見ると、資本金百億円以上の企業が圧倒的に多いという実態です。これも結局、利用が少なくなったら廃止するというのではなく、利用が少なくなったら、より利用しやすくするというように制度の拡大を図ってきている、こういうものだと言わざるを得ません。
 この項目、私時間があれば幾つかもっと挙げて聞こうと思っていたんですけれども、時間の関係で結論的にお伺いするんですが、租税特別措置というのは、個々に見ると、創設のときにはもっともらしい理由をいろいろつけて生まれましたが、一たん創設されると自己増殖をし始め、状況が変わっても政策目的をあれこれとつけ加えて名称まで変えて続けている、これが実態ではないのか。こういうことに抜本的にメスを入れることが今度の税制改革、租特の見直しで求められていたことだと思います。
 その点、今後もこういういろいろなやりくりをしながら続けていくという態度をとるのか、こういうやり方自体に抜本的なメスを入れる用意があるかどうかということをお伺いします。
#194
○政府委員(小川是君) 確かに、この租税特別措置は、これが設けられますときには相当大きな政策的な要請が社会的にも強くあるわけでございます。創設されるときには、なるほどそうかなということでスタートをいたします。
 多分、今御指摘いただきましたように、二コースぐらいあるのかと。一つは、いつまでも、そのままどこまでも継続したいという方向が一つ。もう一つは、その政策をさらに細密化といいますか、よりウエートを置いて姿が変わっていくというものとがあろうかと存じます。
 姿が変わっていく方は、政策の吟味の結果、ウエートを置きかえていっているという点をひとつ御理解いただきたいと思いますし、姿を変えずに継続をしているというものは、私どもは、見直しの都度、その政策の重要性はあってもむしろウエートを下げるべきではないかと。先ほどのような率を縮減するという形で次第に期限を持っていく、継続することの意味はあるにしても次第に縮減をしながら期限をつけていく、実質的な期限に持っていくと、こういう対応をしてきているところでございます。
 今後も、できるだけ早くという面と新しい要請が出てくるという点の兼ね合いを十分見きわめながら、御指摘のようなことを十分踏まえて対応してまいりたいと考えている次第でございます。
#195
○吉岡吉典君 そういう説明では通らなくなったのが今の時点だと私は思います。だから、去年の臨時国会でも大胆な見直しということを政府は繰り返し言わざるを得なかったし、政府税調の答申でも、公平な税制という立場から抜本的な整理合理化の推進が一層強く要請されていると、先ほど池田議員からも言われたように強調されているわけです。私は、政府が言ったとおり、これを抜本的に改めて不公平税制の是正の一部として進めるように求めたいと思います。
 その次、そういう不公平税制を正すという努力とあわせて、国税職員の問題に関連して、これは大臣にも後でお伺いしますのでちょっと聞いておいていただきたいと思います。
 一つは国税職員の宿舎の問題なんですね。つい最近なくなったと聞いていますけれども、独身寮で一人一室じゃなくて相部屋での生活が続いていたということを私は聞きました。長い間、一人一室にしてくれという要求で、東京の荻窪の例は一人一室になったと聞きましたけれども、まず、そういう相部崖というのはもはや全国どこにもないのかどうなのか。相部屋での一晩や二晩なら別として、もうとても一人一室でない生活なんというのは、これは近代的な感覚から見てとても許せる状況ではないと思います。
 それから、一人一室になったといっても、例えばもう三十数年もたって床が波打って、それに合わせて畳も波打ち、穴があいていてあっちから虫が出る、ネズミが飛び込んでくるというふうな宿舎もあるということ。これは私は福島県の例で聞きました。東京の独身寮の例を見ても、例えば四畳半といっても畳は三枚しか敷いてない、あとは板と入口のところがあるという見取り図をもらいましたけれども、こういう状況では、本当に税制がより正しく理解され、国税労働者が国民の支持のもとに税の執行に当たるという上での私は難点として残ると思うんですね。
 こういう宿舎の問題をどういうふうに解決されようとしているのかということについて、まずお答え願います。
#196
○政府委員(松川隆志君) 国税職員の宿舎、特に独身寮の問題でございますが、御指摘のとおり、つい最近一人一室ということが実現したわけでございまして、現在では原則として独身寮については一人一室入居という状況でございます。
 長期的にどうかということでございますが、これにつきましては、やはり独身者の長期的な見通し等もございましてやや予測困難でございますが、できるだけ一人一室を継続する方向で努力していきたいと思っております。
 そして、老朽宿舎の問題でございますが、これにつきましては、厳しい財政事情のもとでございますが、今後とも引き続き宿舎、独身寮の改善に努力してまいりたいというふうに考えております。
#197
○吉岡吉典君 相部屋は全然ありませんか。
#198
○政府委員(松川隆志君) 全くないかということでございますが、我々が把握しているところでは、現状においては相部屋はないというふうに承知しております。
#199
○吉岡吉典君 当然のことで、これは今の社会で相部屋での生活なんて成り立たないわけですから、その点は国税庁としても一層の改善を要望したいと思います。
 その次に、国税庁の職員の非常に強い要望として私に寄せられているのは大量配転の問題なんですね。例年七月十日発令で三割から五割の職員が大異動をさせられると。これは国税庁職員にとって大変な問題になっているわけですね。特に多いのが北海道、続いて東北というふうに私は聞いていますけれども、例えば一人の例ですと、六年間で二回転居を伴う配転があったというような人から、そういう大変な配転の中で、配転の規模の縮小という要求が一つ出されている問題。
 それから二つ目の問題として、内示が中三日というのですか、三日前に転居を伴うような、配転が予告されても、これは宿舎の問題もあれば子供の学校の問題もあるでしょうし、私これ本当大変だと思いますね。他省庁に比べても国税庁の内示が一番短いということだそうで、この内示を中三日というふうなことでなく、私が国税庁及び大蔵大臣にも要望してくれということで聞いているのは、少なくとも二十日ぐらい前には知らせてもらうように要望してくれということを受け取っております。
 そしてもう一つは、そういう大量配転が改められる間にも、せめて定年前には希望地で勤務ができるようにしてもらえないかという三つの要望を受けております。
 人事院が昨年十二月に、転勤問題研究会というところから出した「新しい時代の転勤像を求めて」という提言を行っております。その中でも、今の国家公務員の配転制度についてここなりに新しい問題意識を持ってそういう提案を行い、この提起した施策については関係機関の早急な検討を要請すると、こういうふうに言っているんですね。国税庁も含め、国家公務員の転勤のあり方について問題提起を行っているというわけですね。
 私は、具体的な今出された問題について国税庁の配慮をお願いすると同時に、大臣、国家公務員全体についての配転問題、そういう提起もあるので検討なさるかどうかということ、あわせてお伺いします。
#200
○国務大臣(武村正義君) 宿舎、独身寮のことは御心配をいただきましてありがとうございました。順次さらに今後も改善に努力をしてまいります。
 大蔵省、五万七千人の国税庁職員が頑張っていただいておりますが、二十日前とか定年前のお話は御要望としてはお聞きしましたが、異動規模をなるたけ必要最小限になるように今後とも努力をしてまいります。
#201
○政府委員(松川隆志君) ちょっと大臣の御答弁に補足したいと思います。まず異動規模の問題でございますが、人事院における報告書は我々も承知しておりまして、そうした意味で今後も十分検討していきたいというふうに考えております。
 それから予告日の問題でございますが、五万七千人という非常に巨大な組織で、人事異動の作業も大変膨大なものがございまして、これを現在以上に早めることは大変事務的に困難であるということでございます。ただし、転居を伴う場合どうだということでございますが、これにつきましては、異動に際しましては転居等に要する日数を考慮して、着任するまでに必要な期間について別途配慮しているところでございます。
 そして最後に、定年退職前の任地について配慮してほしいという御意見でございますが、これにつきましては、我々もできるだけその職員の希望というものを聞きながら、公務の要請と調和してやっていきたいというふうに考えております。
#202
○島袋宗康君 まず、土地の譲渡益課税からお伺いいたします。
 九五年度税制改正の焦点は保有期間が五年を超える土地の譲渡益課税であったわけでありますけれども、与党税調は昨年末にそれを引き下げる合意をしたということでありますけれども、従来の三九%を三二・五%とした根拠はどういうことか、まずそれをお伺いいたします。
#203
○政府委員(小川是君) 現行の長期土地譲渡益課税の税率は、所得税三〇%、住民税九%ということで平成三年度改正で実施をされたものでございます。このときの議論は、土地の譲渡所得につきましては、他の所得、とりわけ勤労性所得とのバランスからより重い負担を求めてしかるべきであるという考え方がとられたわけでございます。
 今回御提案しておりますのは、譲渡益のうち四千万円以下の部分につきまして所得税二五%、住民税七・五%へと引き下げるものでございますが、これは、昨年の税制改革におきまして所得税の税率ブラケットをかなり大幅に改正いたしました。その結果、勤労性所得等の全体的な税負担がある程度下がってまいりましたものですから、こういったことも考えまして、四千万円以下の部分については税負担を引き下げるということで御提案をしているものでございます。
#204
○島袋宗康君 従来、政府は、土地保有については重く課税するかわりに土地の譲渡については軽い課税をしてきております。しかし、九一年の改正で保有、譲渡とも重く課税するようになっております。そしてまた、今度は保有、譲渡とも軽く課税されるようだと私は理解しておりますけれども、地価税廃止の声も聞かれる今日、長期的視野で土地税制を行うべきではないかと考えますが、政府の土地税制の基本理念あるいはビジョンについてお伺いいたします。
#205
○政府委員(小川是君) ただいまの点は、一昨年の政府税制調査会の中期答申におきましても、また、今回の七年度税制改正の答申を作成するに当たりましても税制調査会で大いに議論されたところでございます。
 一番大きなポイントは、土地の公共的な性格といった土地基本法成立に見られます土地に対する考え方を大事な柱として、そして、税制を全体として長期安定的なものとするということが重要であるという指摘を受けているわけでございます。
 今回の譲渡所得課税の若干の改正につきましては、本年度の税調答申におきましては、土地税制全体の基本的枠組みを崩すことのないよう、その中での慎重な対応が必要ということにされておりますし、また地価税につきましては、平成三年度創設以来それなりの役割を果たしてきているということから、五年ごとの見直しという規定がございますが、この問題はいずれ十分慎重に検討をしていく必要があると言われているところでございます。私どももそうした角度からこの問題に今後も対応してまいりたいと考えているところでございます。
#206
○島袋宗康君 次に、地価税についてお伺いします。
 地価税の目的は達したとする廃止諭についてどう考えますか。また、課税が一部企業あるいは業種に偏重しているということも指摘されております。大蔵省はそういった問題についてどういう見解をお持ちですか。
#207
○政府委員(小川是君) 地価税の存立につきましては、土地が有利な資産である、土地は公共的なものである、保有のコストを適切に求めることが土地のあり方として重要であるという、この税創設のときの考え方は引き続き堅持すべきものであるというふうに考えております。
 これまで課税の実績が既に平成四年、五年、六年と三年分出てきております。その課税の実情から見ますと、とりわけ法人につきましては、約二百万社を超える法人の一%弱の法人がこの地価税を納めております。そのデータから見ますと、全国の法人が持っている土地の、時価ベースでございますけれども、五割強の土地をこの一%足らずの法人が持っているということでございます。
 しかも、課税されている業種で見ますと、確かに一定の都市型の立地をする業種がどうしても税負担が大きくなっているわけでございますが、そのことは、そうした産業あるいは負担をしていただいている法人が非常に大きな資産価値を持つ土地をそれだけ保有している、面積から見れば小さいけれども、非常に大きな価値を持っている土地を有しているということのいわば裏返しであるということでございまして、このことをもって業種あるいは法人別に偏った負担になっているということは全く当たらない、むしろ地価税の目的からしてそうした姿になっているということが適切なものではないかというふうに思うわけでございます。
 ちなみに、この地価税の税収は、土地価格の低下を反映いたしまして平成四年から次第に低下してきておりまして、最初に比べますと現在は六割強のところへ税収が来ているというところでございます。
#208
○島袋宗康君 地価税については、創設時に附則第八条の規定により、少なくとも五年ごとに負担のあり方を見直すことになっているわけでございます。また参議院大蔵委員会の附帯決議などもありますが、大蔵省はそのことについてどのように見直しを行ってこられたのか、それをお伺いいたします。
#209
○政府委員(小川是君) この法律におきましては、少なくとも五年ごとに特に固定資産税との関係を見ながら見直しを行うようにということになっているわけでございます。五年と申しますと平成九年ということになりますが、次第に課税上のデータも出てまいっております。また、固定資産税の評価がえといったようなこと、それから、それに伴いまして固定資産税は、地価税がずっと減ってきておりますのに対照的に実は固定資産税はふえてきているわけでございます。そうしたことからくる負担の状況といったようなものを十分今後吟味をして見直しの作業をしなければならないと思っているところでございます。
 なお、この附帯決議におきましては、確かに、三年を目途にできるだけ早期に最初の検討を行うようにということになっております。ただ、今申し上げたようなデータ等の出てまいりますのは、なかなか三年というところでは出そろっておりませんでしたが、しかし、これまで毎年地価税の検討をし、毎年一応それでも議論をいたしておりますが、この税はそれなりに役割を果たしているのではないかというふうに考えているところでございます。
#210
○島袋宗康君 そこで、その附帯決議には、地価税収の使途についても土地対策などに配慮する旨明記してあるわけであります。それが一般財源化しているということはどんな事情からか、その辺について御説明願いたいと思います。
 また、九三年度をピークに地価税収が減ってきているという原因についてもどういうふうな分析をされているのか、それをお伺いします。
#211
○政府委員(伏屋和彦君) 最初にまず、地価税収の使途の方についてお答えさせていただきます。
 地価税収の使途につきましては、税制調査会の答申でも、土地対策等に資するという観点から歳出を通じ国民生活に適切に還元することにより、地価税創設の趣旨を生かすべきものと考えるとの提言をいただいたところでございまして、各年度の予算におきましても、この税調答申とか、今委員が言われました御指摘の附帯決議の趣旨等を踏まえまして、土地対策等に資するという観点から、歳出面におきましてこれらの経費には適切な配慮を行っているところでございます。
 具体的にその土地対策等に資する経費について若干申し上げますと、土地対策等に資する経費ということでは非常に広範な関連が考えられるわけでございます。したがって、これを一義的に特定することはなかなか難しい面もございますが、基本にございます土地政策といたしましては、一つは土地需要の調整、また二番目には土地に関する情報の整備等、三番目には住宅宅地供給促進など、これらのようなことが土地政策として考えられまして、その上で土地対策等に資する経費としてその考え方に沿ったものが例として挙げられるわけでございます。
 これらの例をあえて単純に合計いたしますと、七年度予算では約八千三百億円に上る経費が計上されていると試算しております。
#212
○政府委員(小川是君) 地価税収の推移でございますが、平成四年度は、最初の年でございますが五千三百四億円でございまして、平成五年度は六千百四十二億円でございまして、ここで税収がふえておりますが、実は平成四年度は税率が〇・三%ではございませんで〇二一%でございました。したがって、〇・三%であったといたしますと平成四年度は七千九百五十六億円という計算になります。したがいまして、平成五年度の六千百四十二億円ということで四分の一ほど減ったということでございます。
 平成四年から平成五年に税収が四分の一ぐらい減った理由といたしましては、課税価格が、私どもで概算いたしますと、平成四年の三百四十兆から平成五年には二百七十兆へ減っだということが原因でございます。そして、平成六年度は税収が四千九百七十八億円でございまして、これは課税価格で見ますと二百二十兆円ということで、さらに五十兆円ほど減ったわけでございます。
 なお、予算ベースでございますが、平成七年度には四千三百四十億円という地価税収を見込んでいるところでございます。これは当初の平成四年度から見ますと約五五%程度の水準まで税収は下がってくるわけでございますが、ひとえにこれは地価の低下を反映するものでございます。
#213
○島袋宗康君 今回の土地税制見直しで地価税の課税価格の計算の特例がついておりますけれども、それは特例の特例となると思います。そうしますと、それは租税特別措置の縮減化という改正趣旨に反するのではないかというふうに指摘したいわけであります。また、具体的にその計算の特例にはどの程度の件数、面積が該当しているのか、お伺いいたします。
#214
○政府委員(小川是君) 今回の地価税の特例につきましては、二つ改正を盛り込んでおります。
 一つは、特定の届け出駐車場につきまして、課税価格に参入すべき土地等の価額を二分の一に軽減するというものでございます。
 もう一つは、特定の地区整備計画に基づく壁面の位置の制限により創出される地区施設である公共空地に係る土地につきまして、同じく三分の二に軽減するというものでございます。
 これらは確かに特別措置ではございますが、地価税が持っております性格、つまり一般的な資産価値に着目をして課税いたすわけでございますけれども、その土地の利用が法律等によって厳しく規制をされている、あるいは公共的な性格のために用いられる等の事情がある場合には非課税であるとか、あるいは課税価格を減額しているわけでございまして、それにならって、こうした制限のついたものに対する特例措置を講ずることとしているものでございます。
 この改正による減収額といたしましては、地価税は約四十億円というのを平成七年度について見込んでいるところでございます。
#215
○島袋宗康君 次に、固定資産税についてお尋ねいたします。
 地価税が導入されたとき、固定資産税の評価は公示価格の三割から四割程度であったわけです。しかし、現在、固定資産税は公示価格の七割となっているわけでございます。そうすると固定資産税の評価の前提が崩れたことになるわけでありますけれども、この場合、地価税との関係あるいは存在をどう考えるのか。二重課税の問題等いろいろありますけれども、それについてどう考えるかお伺いします。
#216
○説明員(板倉敏和君) 固定資産税は、資産の保有と市町村の行政サービスとの間に存在します受益関係に着目をして、広く土地、家屋、償却資産の保有一般に対しまして経常的に課される税でございまして、税源の普遍性などから、市町村税にふさわしいものとして、市町村の基幹税目と認識をされております。したがいまして、引き続き土地評価及び税負担の均衡、適正化を着実に推進いたしまして、中長期的にその充実を図るべきものと考えております。
 一方、御指摘の地価税は、土地の資産としての有利性を縮減する観点から、土地の保有コスト自体を引き下げるために設けられた税制とされておりますので、固定資産税と地価税は税の趣旨、性格を異にしていると考えております。ただ、おっしゃいますように、納税者の観点に立ちますと、同じ土地に両方の税負担を求められているといった感もあろうかと存じます。
 いずれにいたしましても、地価税法附則におきまして、先ほど来お話がございますように、その「負担の在り方については、少なくとも五年ごとに、」保有課税の基本である「固定資産税の土地の評価の適正化等を勘案しつつ土地の保有に対する税負担全体の状況等を踏まえて検討するものとし、必要があると認めるときは、地価税の課税対象及び税率等について所要の措置を講ずるものとする。」とされているところでございますので、その趣旨に沿いまして、固定資産税などの土地保有に対する税負担全体の状況を勘案しつつ検討を行い、議論されるべきものと理解をしております。
#217
○島袋宗康君 三割、四割程度から七割に持ってきた、それは非常に不合理ではないかというような声が強いわけですよ。それは見直しというものをやはり国としてはっきりした方がいいんじゃないかというふうに私は思うわけです。それは地価税との話もありますけれども、まずその評価額の問題についてやっぱり具体的に国民に示す必要があるのではないかというふうに思うわけです。その辺についてお考えがあればお伺いします。
#218
○説明員(板倉敏和君) 平成六年度の固定資産税の評価がえにおきましては、地価公示価格の七割程度を目途に評価の均衡化、適正化を図ったということでございます。これは、土地基本法第十六条にございます、「公的土地評価について相互の均衡と適正化が図られるように努める」、その条文の趣旨などを踏まえて実施をしたところでございます。
 これに伴います税負担につきましては、総合的な調整措置を講じましてその増加を抑制し、過重な負担とならないように配慮をいたしておるところでございます。
 いずれにいたしましても、次期九年度の評価がえにおきましてもこの考え方は堅持をしてやってまいりたいと考えておりますし、おっしゃいますように、その七割ないしその評価の基本的な考え方は、できるだけ国民の皆様方に理解ができるように私どもの方からもよく御説明をしてまいりたいというふうに考えております。
#219
○島袋宗康君 最後になりましたけれども、これまで政府は所得、消費の局面での税制改革を行ってこられましたけれども、資産課税についての改革は今後の課題となっているわけでございます。資産課税の改革はいつごろを目途に考えておられるのか、お伺いします。
#220
○政府委員(小川是君) ただいまの資産課税につきましては、所得、消費、資産の課税のバランス、さらには、資産の種類ごとにその取得、保有、譲渡の各段階で課税が行われるという資産課税の性格などを踏まえまして、税制調査会では今後早い機会に幅広い観点からの検討に取り組む必要があると、このような七年度改正における答申が出されているところでございます。
 現在、私どもは事務当局といたしまして御議論を進めていただくための準備をいたしておりまして、資産課税の現状であるとかあるいは考え方というものを整理をし、準備を整えまして、できるだけ早い機会に政府税調でレビューをしていただきたいというふうに考えているところでございます。
#221
○島袋宗康君 今回の改正は土地税制の軽減だけが目立っているわけでありますけれども、今後、所得、消費、資産間のバランスはどのようにお考えになるか、この問題は非常に国民の知りたいところでありますけれども、その方向性を示していただきたいと思います。
#222
○政府委員(小川是君) 資産課税の問題につきましては、まず一つは資産性所得、資産から生ずる利子配当、あるいは譲渡をしたときのキャピタルゲイン課税といったような問題があるわけでございます。こうした資産性所得の課税の問題につきましては、これは納税者番号制度に深く絡んでくるわけでございますが、基本的には総合課税という方向性を見詰めながら検討を進めていく。そのときには納税者番号制度というものをさらに具体的なものとして検討をしていかなければならないというのが一つでございます。
 もう一つは資産の保有に係る課税問題でございまして、所得課税の補完税として、あるいは消費課税が充実されていくということとの兼ね合いからしますと、資産保有課税というものについて充実をしていくということが重要であると指摘されているところでございますから、その方向でこの問題を検討していかなければならないというふうに思っているところでございます。
#223
○島袋宗康君 所得と消費と資産と、どういうバランスというふうな意味であるのかということをお尋ねしているわけです。
#224
○政府委員(小川是君) 所得、消費、資産のバランスについての考え方は、それぞれ、所得課税には垂直的公平でいいところがある、しかし捕捉あるいは痛税感といったような問題がある。消費課税は水平的公平というメリットがある。資産課税には先ほど申し上げたような所得課税等の補完税というプラスもある、あるいは経済力に応じた負担というプラスの面もある、しかし、そこから大きな税を期待するということにはこれまた負担力というところから見て限界がある。
 といったようなことから、このバランスといいますか、三つの課税のやり方がうまく組み合わさっていなければいけないというのはどなたも御異論がないところでございますけれども、さて、それではどれぐらいずつ具体的に定量的に考えたらいいかというところになりますと、これはなかなか見出しがたいといいますか、どなたもお決めになりがたい問題でございます。これまでの税制調査会の議論は、資産課税を少なくとも弱めることのないように、むしろこれを充実していくようにという方向性が示されているところでございます。
#225
○島袋宗康君 時間がないですから最後に、利子課税についてどういうふうにお考えですか。
#226
○政府委員(小川是君) 利子課税につきましては、基本的には総合課税を目指すべきであるという考え方のもとで、そのためには現実に乗り越えなければならない諸問題がございます。納税者番号制度が一つでございますが、さらに課税のやり方によりましては各種の金融商品に対する影響が大きくあろうかと思います。
 各種の経済取引、とりわけ金融取引が国際化している状況のもとにおいてそうした問題をどう考えるか、金融商品間のアンバランスを生ずることがないか、そういった理論的な側面及び実質的な執行、あるいは人々の取引行動に及ぼす影響、そういった現実的な側面もあわせ検討をしていかなければいけない課題であるというふうに考えております。
#227
○委員長(西田吉宏君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#228
○吉岡吉典君 私は、日本共産党を代表して、九五年度財政運営特例法案及び租税特別措置法一部改正案の両案に対して反対の討論を行います。
 まず、財政運営特例法案についてであります。
 本法案は、九五年度の財政の歳入不足の穴埋めのために、九項目にわたるやりくりを講じ、つじつまを合わせようとするものであります。とりわけ国債整理基金への定率繰り入れの停止措置は、国債の償還のために必要な資金の確保に支障を来すものであります。法案は、国債整理基金の資金繰りのために、NTT事業貸付金の繰り上げ償還を求める一方、建設国債を増発して、これに置きかえようとしています。しかし、これは国債償還のために新たに国債を発行するに等しいものであります。
 このほか、本法案では、決算調整資金の国債整理基金からの借入金の返済を繰り延べるなど、全く異例の諸措置がとられています端これらのやりくり措置は、正規の財政赤字以外に、いわゆる隠れ借金を膨らませており、財政危機を一層深刻にするだけでなく、国民にますますその実態をわかりにくくさせているのであります。
 次に、租税特別措置法の一部改正案についてであります。
 本法案に関して、まず不公平税制の是正が全く不十分なことを指摘しなければなりません。租税特別措置の見直しは、昨年の消費税増税法案で、消費税の税率アップを実施する前に検討しなければならないものの一つに掲げられました。その意味で、今回の租特改正はその第一関門と位置づけられるものであります。ところが、今回の見直しは全く不十分で、制度の根源から真剣に見直した跡は全くうかがうことはできません。廃止八項目についても、ほとんどが中小企業向けであり、大企業向けの大型特別措置には手がつけられていません。
 それどころか、本改正案においては、増加試験研究費の税額控除制度を拡大するなど、大企業向け優遇措置の拡大を図っております。
 また、土地税制についても、バブルの反省から強化された土地税制の一部を緩和するものであり、今後の全面緩和の突破口となることが懸念されます。
 以上の理由から両案に対して反対の態度をとるものであります。
#229
○委員長(西田吉宏君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより順次両案の採決に入ります。
 まず、平成七年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#230
○委員長(西田吉宏君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 白浜君から発言を求められておりますので、これを許します。白浜君。
#231
○白浜一良君 私は、ただいま可決されました平成七年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、平成会、新緑風会、二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    平成七年度における財政運営のための国
    債整理基金に充てるべき資金の繰入れの
    特例等に関する法律案に対する附帯決議
    (案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一 毎年度の予算編成に伴い、国債整理基金への定率繰入停止等の特例措置を講ぜざるを得ない我が国財政の実情にかんがみ、国の財政の実態をより一層明らかにすることにより、財政改革の必要性についての国民の理解と協力の確保に努めること。
 一 膨大な国債残高を抱える我が国財政の現状を真剣に受け止め、財政の柔軟な対応力の回復を図るため、既存の制度・施策や歳出構造について、更に徹底した見直しに取り組むこと。
 一 繰入れ特例等の各種の措置はあくまで臨時緊急の措置であり、各特別会計が果たしているそれぞれの制度・施策の運営に支障を生じない範囲で行われることは当然として、厚生年金保険事業等に係る国庫負担の繰入特例措置分等については、国及び各事業の財政状況等を勘案しつつ、できる限り速やかな繰戻しに努めること。
 右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#232
○委員長(西田吉宏君) ただいま白浜君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#233
○委員長(西田吉宏君) 多数と認めます。よって、白浜君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、武村大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。武村大蔵大臣。
#234
○国務大臣(武村正義君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえ配意してまいりたいと存じます。
#235
○委員長(西田吉宏君) 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#236
○委員長(西田吉宏君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 峰崎君から発言を求められておりますので、これを許します。峰崎君。
#237
○峰崎直樹君 私は、ただいま可決されました租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、平成会、新緑風会、二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    租税特別措置法の一部を改正する法律案
    に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一 国民の理解と信頼に基づく税制の確立のため、引き続き、公平・公正の見地から税制について不断の見直しを行い、特に租税特別措置については、政策目的、政策効果、利用状況等を十分吟味し、今後とも徹底した整理・合理化を推進すること。
 一 変動する納税環境、業務の一層の複雑化・国際化、制度改正等に伴う事務量の増大及び税務執行面における負担の公平確保の見地から、国税職員については、その職員の年齢構成の特殊性等従来の経緯等に配慮し、今後とも処遇の改善、職場環境の充実及び定員の一層の確保につき特段の努力をすること。
 右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#238
○委員長(西田吉宏君) ただいま峰崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#239
○委員長(西田吉宏君) 全会一致と認めます。よって、峰崎君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、武村大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。武村大蔵大臣。
#240
○国務大臣(武村正義君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
#241
○委員長(西田吉宏君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#242
○委員長(西田吉宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#243
○委員長(西田吉宏君) 関税定卒法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。武村大蔵大臣。
#244
○国務大臣(武村正義君) ただいま議題となりました関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、最近における内外の経済情勢の変化に対応し、我が国の市場の一層の開放を図る等の見地から関税率等の改正を行うとともに、商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約の改正に伴う関税率表の品目番号等の改正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、その内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、関税率等の改正であります。
 平成七年三月末に適用期限の到来する石油関係の免税還付制度について、その適用期限の延長を行うとともに、自動車用繊維製品等の関税率の撤廃を行うこととしております。また、トウモロコシに係る関税割当制度を拡充する等その他所要の措置を講ずることとしております。
 第二は、関税率表の品目番号等の改正であります。
 商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約に定める品目表が改正されることに伴い、関税率表の品目分類に関する所要の調整を行うこととしております。
 以上が法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。
#245
○委員長(西田吉宏君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案の質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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