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1995/05/25 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 大蔵委員会 第10号
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1995/05/25 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 大蔵委員会 第10号

#1
第132回国会 大蔵委員会 第10号
平成七年五月二十五日(木曜日)
   午前十時二十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十三日
    辞任         補欠選任
     及川 一夫君     鈴木 和美君
     堀  利和君     谷畑  孝君
 五月二十四日
    辞任         補欠選任
     鈴木 和美君     及川 一夫君
 五月二十五日
    辞任         補欠選任
     谷畑  孝君     萱野  茂君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         西田 吉宏君
    理 事
                竹山  裕君
                楢崎 泰昌君
                志苫  裕君
                峰崎 直樹君
                白浜 一良君
    委 員
                上杉 光弘君
                片山虎之助君
                佐藤 泰三君
                清水 達雄君
                須藤良太郎君
                増岡 康治君
                一井 淳治君
                及川 一夫君
                萱野  茂君
                谷畑  孝君
                藁科 滿治君
                猪熊 重二君
                寺崎 昭久君
                野末 陳平君
                吉岡 吉典君
                島袋 宗康君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  武村 正義君
   政府委員
       大蔵政務次官   石井  智君
       大蔵省銀行局保
       険部長      山口 公生君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林 正二君
   参考人
       保険審議会会長  徳田 博美君
       慶應義塾大学法
       学部教授     倉沢康一郎君
       生活経済ジャー
       ナリスト     高橋 伸子君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○保険業法案(内閣提出、衆議院送付)
○保険業法の施行に伴う関係法律の整備等に関す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(西田吉宏君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二月三日、堀利和君が委員を辞任され、その補欠として谷畑孝君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(西田吉宏君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 保険業法案及び保険業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として保険審議会会長徳田博美君、慶応義塾大学法学部教授倉沢康一郎君、生活経済ジャーナリスト高橋伸子君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(西田吉宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(西田吉宏君) 保険業法案及び保険業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 それでは、ただいまから両案の審査のため、参考人の方々から御意見を承ることといたします。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。
 両案につきまして忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の審査の参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、お一人十五分程度御意見を順次お述べいただきまして、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 それでは、これより御意見を承ります。
 まず、徳田参考人からお願いいたします。
#6
○参考人(徳田博美君) ただいま御紹介いただきました徳田博美でございます。
 本日は大蔵委員会にお招きいただき、保険業法案並びに保険業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして私見を申し述べる機会を与えられましたことを大変光栄に存じております。
 さて、私は今、保険審議会の会長をいたしておりますので、今回の法律案が提出されました経緯につきまして保険審議会の面から御説明させていただきたいと思います。
 今回の法律案の目指しております保険制度改革の議論につきましては、平成元年四月から保険審議会におきまして保険事業のあり方及び保険関係法規の抜本的な見直しを行うことを目的として開始されたわけでございまして、三年の検討を経た結果、平成四年六月に「新しい保険事業の在り方」という今回の保険制度改革の基本的方向を示しました答申が提出された次第でございます。その後、この答申を受けまして、平成四年七月から、今回の法律案の骨格づくりを行うための法律の専門家によります法制懇談会を設置いたしまして二年間にわたって検討を行いまして、その報告を受けまして、昨年六月の保険審議会において「保険業法等の改正について」と題する最終的な報告を取りまとめたところでございます。
 この間、私は保険審議会の委員として終始この議論に携わっておりましたので、このような立場から意見を申し述べさせていただきたいと存じます。
 まず、今なぜ保険制度の改革が必要かということでございますが、これにつきましては三つの点が指摘されると思います。
 第一は、経済、社会の変化、特に高齢化というような現象でございます。御承知のとおり、近年、我が国の保険業を取り巻く環境というのは経済面でも社会面でも大きく変化をしておりまして、これに伴いまして国民の保険業に対するニーズも非常に高度化し、また多様化しております。
 具体的に申し上げますと、御承知のとおり、最近における出生率の低下とかあるいは長寿化の進展によりまして我が国の人口の高齢化が急速に進んでいるわけでございます。当然、このように老年人口が増加いたしますと、これは核家族化の進展も一方にあるわけでございますが、国民の老後生活への不安と関心が高まってきているわけでございまして、特に生命保険の分野におきましては、貯蓄性の高い商品とかあるいは健康分野、つまり傷害とか疾病とか介護とか、そういう分野の商品へのニーズが高まっているわけでございます。これは生命保険の分野でございます。
 一方、損害保険の分野におきましても、原子力、宇宙開発などの新しい技術開発がどんどん進んでおりまして、これによって巨大なリスクが出現しているということもございますし、それから最近、我が国の企業といたしましては製造物責任というような新しい、そしてまた多様なリスクが出現しておりまして、こういうものをカバーする商品に対するニーズが出てきているわけでございます。
 このように、経済、社会両面の発展に伴いまして保険に対するニーズも巨大化し、したがって保険会社が引き受けるリスクも必然的に多様化、巨大化しているわけでございます。これが第一の理由でございます。
 第二の理由でございますが、これは金融界、保険業も金融界の中に足を浸しているわけでございまして、その金融界自体が大きく変わりつつあるということでございます。経済・社会環境の変化によりまして金融面におきましても、御承知のとおり、自由化、規制緩和あるいは国際化、そういうことが進んでいるわけでございます。
 このような金融の変化は保険業界にも大きな影響を与えておりまして、特に消費者の意識が、金利自由化との関連もございまして大変に金融に対する知識が高まっておるわけでございまして、金融商品と並ぶ保険商品についても有利なもの、安全なもの、あるいは機能のよく発達しているものを選ぶという、いわば消費者の目が非常に高くなっている面がございます。
 一方、保険会社の資産運用面につきましても、株式、債券等もあるわけでございますけれども、これもまた金利の自由化等に伴って変動幅が非常に大きくなっているわけでございまして、そういう意味の資産運用リスクが増大しているわけでございます。
 そのほか、保険会社独自の立場からの保険引き受けにつきましても、今のようにリスクが巨大化している商品を引き受けるわけでございますから、そういう経営リスクもこの面で増大しているわけでございます。
 三番目に、国際性と規制緩和の問題でございます。
 御承知のとおり、世界規模で経済取引が活発化する中にありまして、国際的にも市場開放あるいは参入の自由化等の要請が高まっているわけでございまして、経済のあらゆる分野におきまして各国間で調和のとれた制度をつくろうではないかという動きが高まってきているわけでございます。今まで二国間あるいは多国間の会議の場におきましては、どちらかというと貿易問題等が主体になっていたわけでございますけれども、最近はこういう金融面におきまして、規制の緩和であるとか障壁の撤廃、あるいは諸制度の調和、国際的なものに対する調和の要求が高まっているわけでございます。
 日本の国際社会における経済的地位の高まり、あるいは日本の保険市場の大きさから申しましても、我が国においてもやはり規制の緩和あるいは国際的に調和のとれた制度ということが非常に大事になってきているわけでございます。
 以上申し上げましたような三つの理由を主体といたしまして、今回の保険制度改革は、このような変化に対応して、かつ保険会社経営の健全性も確保するということを目的としたものでございまして、やはり二十一世紀に向けました新しい保険制度を構築するためにぜひとも法律改正が必要になっているわけでございます。
 そこで、次に今回の法律案の主要な項目につきまして意見を述べさせていただきたいと存じます。
 今回の制度改正のポイントは、これも三つございます。
 一つは、先ほど申し上げた規制緩和あるいは自由化の推進でございまして、この事項の中で具体的なものとして挙げられますのは、第一に生損保が子会社方式で相互参入できることにしたことでございまして、これは大変画期的なことでございます。それから、いわゆる第三分野、つまり生命保険と損害保険の中間にある分野、具体的には傷害・疾病・介護等があるわけでございますが、これにつきましても生損保が本体で相互乗り入れができるということを考えております。ただ、これに対しては、非常に画期的なことをやるわけでございますので、激変緩和措置が必要と考えております。
 これらの改正によりまして保険会社間の適正な競争が推進されまして、一般の消費者としましては、今までのニーズに適応した新しい商品、サービスの提供が受けられることが期待されるわけでございます。
 それから規制緩和の二番目は、届け出制の採用でございます。今まで保険商品とか料率の算定等につきましては一律認可制になっていたわけでございますが、これを改めて、一部届け出制に移行することにいたしました。これによりまして、新しい商品の開発、あるいは実態に即した料率の設定等が可能になると考えております。
 それから三番目は、保険仲立ち人、いわゆるブローカー制度の採用でございまして、これは国際的な整合性とも絡むわけでございますけれども、保険会社からの委託を受けないで独立した販売チャンネルとしての保険仲立ち人制度をつくりまして、これによって利用者に対して客観的な、中立的な、そしてまた有利な商品を買う機会を拡大するということを考えております。ただ、保険仲立ち人につきましては会社のバックがないわけでございますので、保険契約者に損害を与えた場合の措置につきましては、これは契約者保護の観点からいろいろな措置が必要かと考えております。
 次に、保険業の健全性の維持に関する事項でございますが、これについては、第一にソルベンシーマージンの導入でございます。
 保険会社の健全性維持の指標としまして、保険会社の自己資本比率とも言うべきソルベンシーマージンを導入することとしておりまして、大蔵大臣としては、その一つの指標を見ながら、業況によって改善計画の提出を求める等のいわば早期警戒措置ができるということを期待しているわけでございます。
 保険会社を取り巻く環境変化とともに、先ほど申し上げましたように、思いがけない大きなリスクも出てくるわけでございますので、従来のように責任準備金とか株式含み益だけではカバーできないこともこれから出ることが考えられます。そういう意味で、それをカバーするものとしてのソルベンシーマージンの充実というのは非常に必要ではないかと考えております。
 第二に、保険会社は保険契約者保護基金制度を取り入れることにしたことでございます。
 破綻した保険会社の保険契約を救済する保険会社に移転する場合に、その基金から救済する保険会社に資金援助をすることによって、そういう契約の移転を円滑にするということがねらいでございます、
 保険は広く社会に普及しておりまして、保険契約者の大多数は一般の消費者でございます。消費者にとっては、保険会社がつぶれた場合に、今まで払った保険料だけを返してもらったのでは十分ではないわけでございまして、契約自体が生きていないと困るわけでございますから、そういう意味で保険契約の継続というのは非常に重要でございますので、こういう措置を考えられたわけでございます。
 最後に、公正な事業運営の確保に関する事項といたしまして、まず第一に、社員総会にかわるべき機関として、総代によって構成される総代会を法律上規定することにいたしました。
 今までも総代会はあったわけでございますか、法律上の規定がなかったわけでございますので、この点を明確にいたしまして、相互会社に対する経営チェック、これに対してはいろいろと今までも批判をいただいているところでございますので、経営チェック体制を明確にするということにいたしました。また、社員の少数社員権あるいは少数総代権等の行使要件を大幅に緩和するとともに、よく問題になります代表訴権、株主益代表訴訟に相当するものでございますが、これについても単独権で認めることにいたしております。これによって、相互会社に対しましても株式会社並みのチェックができるということを考えております。
 それから、二番目にディスクロージャーの問題でございまして、相互会社につきましてはとかく経営の透明性ということが問題になるわけでございますので、その相互会社が何を考え、どのように行動しているかということを契約者あるいは一般の方にわかっていただき、それによって相互会社自体が自分の行動を自己規制する一つの契機とするということもねらいまして、ディスクロージャーの推進を考えたわけでございます。
 このほか、相互会社から株式会社への組織変更などの規定等所要の整備も行われております。
 以上が法律案の内容でございますが、最後に、今回の法律案に関しまして三点ほど留意していただきたい事項につきまして申し上げたいと存じます。
 第一は、保険と銀行、証券の相互参入の問題でございます。
 実は、この問題は今回の法律案には盛り込まれていないわけでございます。これにつきましては、実は平成六年六月の保険審議会の報告で述べられておりますけれども、最終的には保険と銀行、証券を含めた相互乗り入れ、相互参入が実現することが望ましい、しかしながら一挙にそこにいくのは非常に摩擦もできるので、まず第一段階として保険分野の改革を完全に行って、それが定着してから次に証券あるいは銀行との相互参入について法律改正を行うのが望ましいという報告が出ておりまして、その線に沿ってこの法案がつくられたものと考えております。
 確かに、既に今銀行と証券の分野の相互乗り入れが子会社方式で始まっているわけでございますけれども、これは御承知のとおり、昭和四十五年ごろからのいわゆる金融効卒化答申等から始まりまして、預金保険制度、金融改革法案というようなことで、約二十年の時間を必要としているわけでございます。今はもちろん金融情勢の変化が激しいときでこれだけの時間をかけることはできませんけれども、しかしこういう制度の基本にわたること、特に金融機関の垣根に関することについては、やはりいろいろな影響、特に契約者に対する影響を考えながら慎重に推進するのが適当ではないかと考えております。
 二番目に、傷害・疾病・介護分野等のいわゆる第三分野における今後の相互乗り入れについての問題でございますが、これにつきましても平成四年六月の保険審議会答申で、中小保険会社、外国保険事業者の中に第三分野への依存度の高い会社が存在することを踏まえて所要の激変緩和措置をとることが適当である、こういうふうに述べられておりまして、今回の法律案におきましては、これに沿いまして第三分野に対する配慮規定が設けられております。
 それから三番目に、平成四年六月の審議会答申でさらに検討が必要という答申が出ております支払い保証等の機能を有する安全ネットの問題でございます。これは最近の金融情勢から見ても非常に重要な問題でございますけれども、今回の法律案には入っていないわけでございます。実は、支払い保証機能を持った安全ネットにつきましては、訴訟法上の枠組みであるとか、あるいは契約者、株主等の利害の調整等、法律的に非常に困難な問題がたくさんございますので、今回の保険業法改正をお認めいただいて施行されましたら、その先において速やかに検討すべきものと考えております。
 以上が今回の法律案に対する私の意見でございますが、この法律案は、先ほども申し述べましたように、保険審議会報告に基本的に沿ったものでございまして、この法律案が今国会で成立して、来るべき二十一世紀において国民のニーズと信頼にこたえられるような保険制度が早急に構築されることを強く期待申し上げる次第でございます。
 どうもありがとうございました。
#7
○委員長(西田吉宏君) ありがとうございました。
 引き続いて、倉沢参考人にお願いいたします。
#8
○参考人(倉沢康一郎君) 慶応義塾大学法学部の倉沢でございます。
 保険業法の改正立法の審議に際しまして、このような機会を与えていただいたことを光栄に存じます。
 私は、保険法の理屈をやってきた者として、その立場からこの法案について意見を述べさせていただきます。
 今回の保険業法の改正は、保険業法、保険募集の取締に関する法律及び外国保険事業者に関する法律の三つの現行法をいわば廃止して、新しい一つの法典にするということで、その意味でも基本的な改正立法ということになりますが、このような基本的な改正が現段階において必要不可欠なものと私は考えております。
 その理由は、第一には、今申し述べました現行法はすべてが国の保険事業に対する監督法でありますけれども、現行法の施行されてきたほぼ半世紀の間に、国の保険事業に対する政策目標が大きな転換を遂げてきているというふうに思われることが第一の理由であります。
 それは、端的に言いますと、産業資金供給者、すなわちいわゆる機関投資家としての保険会社の保護育成という政策目標から保険消費者保護への転換ということであります。それが同じ法律として続いているということは、矛盾を内在するという余地がどうしても出てくるんだと思います。
 第二には、保険の発展に伴いまして、現行法が実情に合わなくなり、極端に言えばいわば死文化している点が多々見受けられるという点であります。
 例えば、保険業法というのは、国の事業免許権とか約款の認可権の根拠法でありますけれども、傷害・疾病保険等いわゆる第三分野の事業の免許あるいは商品の認可の根拠規定を欠いておるように思われます。あるいはまた、信用経済が個人にも入ってまいりまして信用生命保険といったようなものが出てまいりますが、これは生保であるとともに損保でもあるという両性を持っている商品でありまして、そういうものについて生損保兼営禁止の規定というものがどう適合するかという問題とか、さらには変額保険とか積立型傷害保険のような証券業あるいは銀行業との領域的な商品というものに対して、法の解釈、適用が極めて難しい状況が出てきているわけであります。
 この業法の死文化というのは、現在問題になっている規制緩和の問題に密接に関連してまいります。といいますのが、国の監督法が死文化しているということになりますと、だからといって、例えば第三分野の保険につき免許や認可を与えないなんということは国民生活の上でも考えられませんので、結局、法に基づかない行政的監督と。行政監督が事実上法律に縛られずに裁量の幅が非常に大きくなるということになってしまいます。このことは、規制がふえることとともに、国際的には行政規制の不透明性と。欧米の先進国では、どうも法律に書いていない行政規制が行われるということを非常に気にしているようであります。
 それから第三には、保険消費者の契約当事者としての復権あるいは復権の傾向、兆しということがあります。
 近時の最高裁判所の重要な商法判例というものを調べてみますと、保険判例の占めるウエートが飛躍的に高まってきております。これは従来なかったことであります。民事事件としての保険判例が増加するということは、結局自分が買った保険というものはこんな保険ではなかったはずだということを人々が主張し始めたということでありまして、それは何かといいますと、保険をいわば自分のライフプランに組み入れる目的的な商品として買い始めた。ちょっと思い切った言い方をしますと、やっと保険を保険として買い始めた。これの一番大きなきっかけになったのは、昭和三十年代の自賠責保険がきっかけになったとは思いますが、そういうことであります。
 保険を人々が目的的商品として買うということになりますと、人のニーズというものは本来多様なものですから、どうしてもそこには自由な選択の余地が必要でありますけれども、現行法はそれに対応すべきものとなっておりません、保険業法もその他の法律も。
 例えば、保険業法の中に契約内容を国が変更してしまうというような戦時統制法的な残滓が残っておりますし、また保険募集の取締に関する法律の禁止規定の中には、例えば商品の比較の禁止といったようなことなども定められております。さらに、相互会社の規定は、背の相互会社の理念というものは、少数の貴族といいますか、紳士の団体であるフレンドリーソサエティーの理念のままでして、仲間が社員総会を開いて議するというようなことを原則的制度として、社員総代会といったような今日ではもう一番本質的な機能を果たす機構が例外的な制度とされて、何ら実質的な規定が置かれていないというようなことにもなっております。
 こういったことで改正がぜひ必要だと考えるわけですけれども、それでは改正法案の内容はどうかという点については、私は、あらかじめ申し上げますと、現段階においては適切な内容のものと考えております。その点について、法律の研究者という視点から幾つか意見を申し述べさせていただきます。
 改正法の理念の第一は、規制緩和、自由化というところにあろうかと思います。
 まず、あらかじめ保険事業に対する規制緩和について申し上げておきたいことは、先ほど申し上げましたように、現行法では行政的規制について必ずしも法治主義というものが生きていない。これに法的な明確な歯どめがかかるということは非常に意義あることだと思います。その意味で、事業の免許主義をとりながら免許の審査基準というようなものを法律の規定として取り入れたこと、それから第三分野の免許の明文化などは大きな改善だと思われます。
 ところで、保険に対する本質的な規制というのは、保険商品、つまり約款でありますが、及びその代金、料率でありますが、この認可制というものが最も本質的な規制であろうと思いますが、この点について改正法案は、百二十三条でございますが、漸進的段階的に保険契約者等の保護に欠けるおそれが少ないものとして大蔵省令で定める事項に限って届け出制に改められるということにしております。この点は私は現段階では妥当な選択であると思います。
 といいますのは、保険は何といっても目に見えない商品で、しかも確率計算を使った技術的な仕組みで成り立っているものであるために、一挙に、例えば安かろう悪かろうという商品を買った消費者がいた場合に、これをその自己責任にまで飛躍するということには現段階では問題があると思うからであります。先ほど申し上げましたように、保険消費者の復権の傾向、兆しが出てきておりますだけに、この際はあるべき方向に一歩踏み出すということを明らかにする立法がなされるべきであって、そのようなものとして法案を評価したいと考えます。
 また、保険料率の一挙な自由化ということのもう一つ考えられます弊害は、例えば保険金支払いのコストを保険会社が削減するために地震多発地帯の人々からは地震保険を引き受けないなどという弊害のおそれも考慮する必要もあろうかと思います。これは保険の公共性ということに関連する問題であろうと思います。
 自由化の点では、第三分野の相互乗り入れと子会社による生損保相互乗り入れを認めたことが改正法案の大きな特徴だと思います。殊に、高齢化社会を考えますと、生保と損保のそれぞれのノウハウを生かし合った新商品の開発がどうしても必要になってまいります。なお、典型的な生保、いわゆる養老保険とか典型的な損保、火災保険とではリ又クの性格が非常に異なっておりますので、生損保の相互乗り入れを親子会社という別法人格によってリスクの波及を遮断するということには合理性があると思われ、これは諸外国のとる制度でもあります。
 それから、消費者の商品選択の自由という点では、ブローカー制度の導入は実際上大きな意味を持つものと思います。我々が物を買う行動を考えてみますと、テレビを買うというときにテレビのメカニズムを知ってある商品を直接ねらって買うということはほとんどありませんで、一つの店に行くと各社の商品が並んでいる、その中で自分の好みに合わせて選ぶということでございますので、どの会社にも属さないブローカー制度というようなものは各社商品がワンポイントで選べるということで重要だと思っております。
 なお、銀行、証券との自由化が見送られておりますことは徳田参考人のお話のとおりであります。この点については、国の金融政策がかかわって保険業法だけの問題ではないので、したがって私の判断の範囲を超えますが、ただ一点申し上げたいのは、私の立場から見ましても、銀行の商品及び証券会社の商品と保険というものが同じレベルで顧客の自己責任原則をもって律し切れる段階に今あるのだろうかという点が気になりますものですから、これも現段階の立法として妥当なもののように感じております。
 一方で、自由化の方向をとりますと、保険の場合、特に現物を今受け取って今お金を払うというものと違って、今安いものを買っても将来事故が起こったときにその保険会社の財産状態が破綻しているということでは困りますので、殊に保険金の支払い時における消費者の保護ということが自由化と見合いになって問題になります。この点について改正法案は、いわゆるソルベンシーマージンと保険契約者保護基金という制度を取り入れております。
 まず、いわゆるソルベンシーマージンというのは、企業会計すなわち企業経営の結果の会計的評価とは全く別に、保険金支払い余力の基準というふうに私は了解しておりますけれども、これを非常に固定的な形で取り入れるのではなくて、改正法案百三十条のように実質的な規定を置いて、その具体的な内容をこれから詰めていくというのが妥当なもののように思われます。
 それから保険契約者保護基金制度ですが、万一破綻会社が生じた場合に、その契約の包括移転または合併という今までのやり方を、現行法のような特定の会社に対する行政処分という強制的な手法によるよりも、業界の自治的な互助制度というような形でこういう契約者救済を図るということは非常に有益なものと思われます。ただ、この保険契約者保護基金制度というもので救済会社が破綻会社から保険の包括移転を受けるというようなことになりますと、破綻会社の方は選択肢としてその会社の解散だけというようなことに原則なりそうなんですが、破綻会社についてそういう選択肢だけでいいかという問題は残ろうかと思います。これは、例えば会社更生法などに保険業法がどのような特別なかかわり方をしていくかという大きな問題を残していると思われます。
 それから相互会社については、保険金削減規定が削除されまして、基金の増加と、ちょうどこれは株式会社で言う増資に相当するものですが、それから社債の発行が認められるということで、いわば従来の相互会社、伝統的な相互会社とは理念が全く変わったということになります。これは私には、保険が限られたエリート集団の内部的な助け合いではなくて大衆商品となったことによる必然の勢いだと理解されます。
 問題になるとすると、それでは新しい相互会社の理念は何か、殊に株式会社とどう違うのかということだと思いますけれども、この点について私は、保険契約者によるコーポレートカバテンスといいますか経営監督、株式会社の場合には株主という保険契約者とは全く違う出資者がコーポレートカバテンスの機能を担うわけですけれども、これについて相互会社では保険契約者によるコーポレートカバテンスというものが新しい相互会社の理念になるんだろうと思います。
 そうなりますと、社員総代会の機能が極めて重要になるわけでありますけれども、改正法案では社員総代会についての規定が新たに定められまして、少数総代権、それも、例えば一つの例ですと、三人の総代で少数総代権が使えるというようなことで評価できます。ただ、将来また考えていく場合に、株主総会の手法というものを後遣いするだけでいいのかどうか。例えば、あるいは適切な比喩じゃないかもしれませんが、社員総代会ですと、株主総会に関する規定ではいわゆる総会屋による権利乱用の防止といったような観点で法制度が検討されるわけですが、そういう検討が必要でない場面も出てくるというようなことになると、社員総代会の機能として株主総会制度の後遣いとは別なことも今後考えていくべきだろうかと思います。
 以上、極めて部分的に申し上げましたけれども、現段階における立法としては、現状を踏まえた上で、あるべき姿への方向へ踏み出したものとしてこの法案の法律としての成立を期待するものの一人であります。
 どうもありがとうございました。
#9
○委員長(西田吉宏君) ありがとうございました。
 引き続いて、高橋参考人にお願いいたします。
#10
○参考人(高橋伸子君) ただいま御紹介にあずかりました高橋伸子でございます。
 本日は、この大蔵委員会にお招きいただきまして、意見を述べさせていただく機会をいただきましたことを大変光栄に存じます。
 お伺いしたところによりますと、平成元年からこの保険制度改革に関する議論が行われてきたということです。この間、私はいわば外から見ていたという立場でして、審議会等の場で議論に参加してきた者ではございません。しかしながら、私はかねてより保険に大変関心を持っておりまして、保険を含めたさまざまな金融商品につきまして利用者ができるだけわかりやすく理解できるように、あるいは安心して利用できるようにしたいという立場から物を考え、活動をしてまいりました。したがいまして、本日は、保険を利用する側の生活者の目も含めまして、この制度改革をどう見るかについて幾つかの意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、今回の改正案を拝見しますと、規制緩和、自由化ということが制度改革の大きな柱となっておりますが、この規制緩和、自由化というのは時代の要請によるものであり、二十一世紀に向けた保険制度改革にとりましては必要不可欠な要素であると思います。規制緩和、自由化により保険会社間の競争が促進され事業の効率化が図られるということは、利用者に対してより安い価格で保険商品が提供されることに結びつき、非常に望ましいことであると思います。
 また、そのような競争を通じて、各保険会社が魅力的な商品開発を行い、経営の特色を生かしたサービスを提供するようになる。このことは、生活者にとっては商品、サービスの選択の幅が広がるものであり、大変好ましいことであると考えております。最近では、生命保険の分野で言いますと、生前給付型商品等利用者のニーズに沿った商品が新たに販売され、好評を得ているようですけれども、今後もますます多様化するニーズに応じた特徴のある商品を各保険会社が競って開発していくことになれば、生活者にとっても大変大きな利益になると思われます。
 また、改正案では、子会社方式による生損保相互参入が認められることとされておりますが、これによりまして生損保商品を組み合わせるなど、より利用者のニーズに合致した商品の提供が期待できるようになると思います。
 また、募集人、代理店といった既存の販売チャネルに加え、ブローカー制度が新たに導入されることによりまして、チャネルという面では保険商品の購入ルートが多様化することになっております。これらの規制緩和は、利用者側から見ますと歓迎すべきことであると思います。
 他方、このような競争の促進は、一方では激しい競争を呼び起こしまして、ひいては利用者に影響が出てくる危険性があるという側面も忘れてはならないと思います。例えば、私たちが加入した保険が必要なときに機能しない、保険金が払われないとか、老後になって年金が払われないとか、こういうようなことは、現在の民間保険の国民生活における位置づけから考えますと、決してあってはならないことだと思います。そういった意味で、今回の制度改革でうたわれているもう一つの柱であります保険会社の健全性の維持ということは、利用者サイドに立ってみても大変重要な課題であると思います。
 今回の改正案では、ソルベンシーマージン基準による監督が導入されることになっており、また相互会社について財産的基礎を充実させるための諸手段の整備が図られる方向にあることは、保険会社の健全性の維持向上に必要不可欠であると考えます。
 また、制度改革の三つ目の柱として公正な事業運営ということがうたわれていますが、その内容としてディスクロージャーの充実、相互会社の経営チェックの充実といった内容が盛り込まれております。ディスクロージャーを充実するということは、生活者が保険商品や保険会社を選択するに当たって、アクセスすることのできる正しい情報が潤沢になり、保険商品や保険会社の適正な評価を行い得る環境が整うことになるということであり、これも非常に望ましいことであると思います。
 さらに、相互会社においては、今回少数社員権などの権利を緩和して、一般の社員が意見を言える機会が大幅にふえますことは、現在の相互会社の規模から考えても当然のことであり、利用者にとっても好ましいことであると感じております。
 このように、今回の制度改革の柱であります規制緩和、自由化による競争促進は、生活者に大きなメリットをもたらすことになると思われますので、積極的に推進していくべきであると思います。ただ、先ほども申し上げましたように、規制緩和、自由化を進めるに当たりましては、利用者サイドから見て保険会社の健全性が維持向上されていくことが前提となると思いますので、この点に留意して保険制度改革を進めていただく必要があるように思います。
 さて、これらの制度改革が進められるに当たりまして、やや気になっていることが二つほどございます。一つは制度改革の進め方の問題で、もう一つは保険契約者の自己責任という問題です。
 まず最初に、制度改革の進め方の問題ですけれども、今回は大変望ましい方向で制度改革が行われるわけですが、これらの改革を一度に行うということは、生活者にとって戸惑いが生じる可能性があるのではないかというふうに危倶しております。制度改革を行うに当たって、大きな混乱が生じたり、エンドユーザーにしわ寄せが行っては元も子もないわけです。実際にアメリカでは、保険料の自由化を行った結果、保険料の高騰ですとか引き受け拒否ですとかといった事態を招致して、その結果、保険料が再び事前認可制に復帰することになったり、さらに新たな規制の立法が行われるといった規制緩和、自由化が失敗に終わった例もあるように聞いております。したがいまして、命回の制度改革を進めるに当たっては、段階的に着実に進めていただくことが最終的には利用者の利益の実現という目的への近道となるのではないかというふうに考えております。
 次に、保険契約者の自己責任という問題ですが、もちろん今後も基本的には生活者が主体的に保険商品を選択していくわけですから、その結果について相応の責任があるということについては言うまでもないことだと思います。しかし、十分なディスクロージャーを行いさえすればすべてが解決して、あとは利用者の自己責任にゆだわればよいと、こういう考え方をとることについてはやや違和感がございます。
 なぜならば、保険の場合はほかの金融商品と比べますと保障期間が大変長期にわたる商品も数多く存在いたしますから、契約時に保険会社の将来の経営状態まで予測することは非常に困難であるということです。また、加入している保険会社の経営状態が悪化したからといって、経済的な損失なしでほかの保険会社と契約し直すといったことが非常に難しい商品でございます。こういった保険商品特有の性格を考えなくてはいけないと思います。また、保険商品も複雑化してきておりまして、すべての人が常に保険商品の内容を完全に把握して保険に加入しているということは残念ながら想像しにくいのではないかというふうに思うわけです。
 したがいまして、生活者の選択した保険商品自体の安全性や、それを担保することにもなる保険会社の将来にわたっての健全性を維持するためには、やはりある程度の規制、監督といったものか必要ではないかというふうに考えます。それによって、生活者が安心して保険商品を購入することができるということだと思います。こういった状態は将来にわたって維持される必要があるのではないかと考えます。
 さらに、安心して保険商品を選択し、購入していくためには、生活者と保険会社の接点となる募集人や代理店の役割も大変重要であると思います。一般の人が保険商品を選択するに当たっては、最終的には自分で決定するわけなんですが、その過程においては何らかのアドバイスを募集人とか代理店から受けるのが普通でございます。したがいまして、人々のニーズが多様化し、高度化していくに従って、ファイナンシャルプランニングといった要素がますます必要になってくると思いますので、募集人や代理店に対する教育には十分力を入れていただき、質の高いコンサルティングを行えるようにしていただきたいと思います。募集チャネルのこういった点につきましては、今回も含めて、どのような制度改革や規制緩和が行われたとしましても、利用者の視点からは必要にして欠くべからざることであると考えております。
 以上、利用する側の視点から意見を述べさせていただきましたが、保険制度改革を進めるに当たっては、保険会社も監督する側も真に生活者のためになる改革を目指して不断の努力をしていただきたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
#11
○委員長(西田吉宏君) ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○楢崎泰昌君 本日は、お三方にはお忙しいところ本委員会に参考人として意見を述べていただきまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。若干の質疑をしたいと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 最初に、徳田参考人は審議会の会長としてずっとこの改正に当たってこられて、大変御尽力いただいてありがとうございました。
 保険業法の改正に際して一番私どもとして大きく感じるのは、子会社による相互参入の問題なんですね。徳田先生が冒頭に申されましたけれども、銀行、証券との相互参入が金融自由化問題を通じてずっと今まで議論されていたんだけれども、今回はそれを見送ったということでございます。見送っている原因幾つかあると思いますけれども、金融自由化の波に沿って持ち株会社制であるとかユニバーサルバンクであるとかいろんなことが議論をされておりますか、今ここで段階的にというのはわからぬでもないんですけれども、どのような展望を将来についてお持ちなのか、お話を願えればありがたいと思います。お願いいたします。
#13
○参考人(徳田博美君) ただいま先生御指摘の問題は、生損保の子会社方式による相互乗り入れの後で銀証に対しても相互乗り入れが実は保険審議会の答申では載っているではないか、これが先行きどのような状態になるだろうかという御質問がと思います。
 確かに、保険審議会の議論の中では、銀証との相互乗り入れということも非常に大きな柱でございまして、かなりこれにつきましては議論が尽くされたわけでございます。そして、保険審議会の答申におきましては、御承知のとおり銀証との間の相互乗り入れにつきましてもかなりの行数を割いて答申が行われているわけでございます。
 ただ、その後の金融あるいは経済全般の情勢の変化はかなり著しいものがございまして、銀証との乗り入れを議論していたのは平成二年、三年ごろでございますが、そのころは経済の成長率は例えば五・三%とか四%とかであったわけでございます。これが、御承知のとおりバブルの崩壊によりまして、例えば平成四年には経済成長〇・三、五年にはマイナス〇・二の成長というようなことになりました。したがいまして、金融面でも今までと違いまして大変いろんな意味での厳しさが増してまいりましたし、パイの大きさもほとんどふえないというような状態になってきたわけでございまして、そういうものも銀証との相互乗り入れを今度の法案に織り込まなかった一つの原因がと思います。
 それから、先ほど申し上げましたように、実は銀行と証券との相互乗り入れは、これも先生御承知のとおり、占領軍のもとで強い改革が行われまして、どちらかというとアメリカの金融制度、グラス・スティーガル法に相当した証取法六十五条もそのときに立てられたわけでございまして、それから現在に至る約五十年の長い議論の歴史があるわけでございます。
 これに対しまして、保険業法と銀証の乗り入れにつきましては実はそれほど時間的には議論も経ていないわけでございますので、これは先ほど参考人のお話にもございましたけれども、何といっても業界自体に摩擦あるいは混乱が起きますと、これはほかの金融商品と違いまして、これまたいろいろお話がございましたように大変期間の長い商品でございまして、保険会社の経営の安定性というのが非常に問題になる。二十年、三十年にわたる長い商品でございますから、その間、契約をした会社も安定的に存続してもらわなければならないわけでございますので、そういうことを踏まえても考える必要があるわけでございます。
 したがいまして、結論的には、この法案にございますように当面早急な導入というのは避けたいと。まず保険業の内部で、これまた生損保相互乗り入れというかなり画期的な改革が行われるわけでございますし、それからまた同時に、安定性確保のためのソルベンシーマージンであるとか、あるいは契約者保護制度とか、そういうものはこれから導入され、これから先にさらにもう一段新しい契約者保護制度についても議論がこれから進もうとしているときでございますので、そういうものが全部導入されて保険業界の基礎が固まり、契約者の一番期待されている一つである保険会社の経営の安定性、しかも永続性、そういうものが確保されるということのめどがつきましてから次の銀証との問題にとりかかるのが適当ではないかと、このように考えているわけでございます。
 したがいまして、今度の法案をもしお認め願えれば、これによって今申し上げたような保険業界内部の体制が固まることが期待できますし、それからもう一つは、やっぱり金融機関的な性格、つまり貯蓄作とかあるいは資金配分機構とか金融仲介機構とか、そういうものが今度の新しい法律でいろいろ方向としては盛り込まれているわけでございますので、そういうものが確立して金融機関としての基礎もしっかりした段階で、次に銀証との相互乗り入れが行われるというのが適当ではないかと、このように考えております。
#14
○楢崎泰昌君 よく御議論をしていただいたように思います。
 そこで、生損保の相互乗り入れというと子会社でありますか、そのときのファイアウォールあるいはクロスマーケティングの問題等、議論を随分なすっておられるようでございますが、生損保については銀証のようないろんな利害相反というような問題が比較的少ないということで、ファイアウォールないしはクロスマーケティングについて相当、緩くというと語弊があるかもしれませんが、もちろん規制すべきことは規制すべきかもしれませんけれども、弾力的に運営すべきであるというぐあいに考えまが、その点についての御見解はいかがでしょうか。
#15
○参考人(徳田博美君) これは先生御指摘のとおりでございまして、現行法では生損保兼営が禁止されているわけでございまして、それは生命保険の契約と損害保険の契約が質的にかなり違うんじゃないかという前提でそういう兼営禁止規定が入ったわけでございます。現在は実は商品の実態面では、損害保険も今まで短かったものがかなり長くなったり、あるいは貯蓄性がふえたりということでいろいろ生命保険と損害保険との商品性が非常に類似してきたわけでございますので、この際もう分離するのは意味がないではないか、むしろ消費者利便の観点から相互乗り入れが必要ではないかということで今回のような結論になったわけでございます。
 方式としましては、やっぱり兼営による弊害をできるだけ少なくしようということで子会社方式にしたわけでございますので、その子会社方式にしただけでかなりもう弊害防止はできる要素がそこに入ってきたわけでございますから、先生御指摘のように、さらにその際に、例えば銀証の中で議論されているような高いファイアウォールを設けるということは必ずしも契約者あるいは消費者の立場から見ても望ましいことではないと考えております。
 したがいまして、先生御指摘のとおり、生損保相互乗り入れの際の子会社についてのファイアウォールについては、ほかの既に先行している銀証とのファイアウォールに比べて極力低いものになることが望ましいと、このように考えております。
#16
○楢崎泰昌君 次に、倉沢参考人にお伺いをいたしたいと思いますが、先生は商法のお立場からということでございます。
 実は、今回ブローカー制度を入れたわけですね。どうも私どもにとってはブローカー制度というのはなじみがない。欧米諸国ではあるのかもしれませんけれども、なじみがない。我が国ではどうなのでございましょうか、これが大きく根づくような経済環境あるいは社会環境にあるのでございましょうか。どのようにお考えになっているか、お教えください。
#17
○参考人(倉沢康一郎君) 社会環境については先生の認識に及びませんのであれですが、考えられますことは、一つは、先ほども申し上げましたけれども、各社に専属している募集人というものは自分の所属する会社の商品しか売らない、それはもう当然のことでございますね。そこで、どうしても我々が商品の選択をしようとすれば複数の募集人に説明を受けなければならないという点が、ブローカーでは各社の商品がいわば陳列されているということが一つございます。
 もっと根本的に、それが我が国で根づくかどうかということでは、先ほど高橋参考人からも御意見がありましたように、我々が八百屋で野菜を買うときにさわったり色を見たりにおいをかいだりするというようなことが保険ではできませんで、セールスに当たる人たちの説明というものがその役割を果たすわけでございます。
 そうなりますと、これから新しい多様な保険商品というものが出てまいりますと、相当その仕事というものが、単に事務的なメッセンジャーというよりは、かなり専門職業といいますか、プロフェッションみたいになってくると思うんです。プロフェッションというものは本来は自由業的なものでございまして、現在各社に所属しているということのメリットの一つとして、自社に所属する募集人というものに対する会社ごとの非常に熱心な教育ということがありますけれども、保険のセールスということを考えますと、むしろ何か資格試験的なシステム、あるいは中立的な教育機関みたいなものがあってプロフェッションとして横に流動していくというようなことは必然の勢いのような気もしないでもないんです。
 そういう中で考えますと、ブローカーという仕組みは定着し得る、保険のセールスに限って言えば、どうもほかのセールスと違って定着し得る余地があるんじゃないか、そんなふうに考えます。
#18
○楢崎泰昌君 ありがとうございます。
 時間の関係で高橋参考人にお願いをいたしたいと思います。
 消費者の立場というぐあいに先生おっしゃっておられますが、やっぱり保険会社が健全でなきゃいかぬ、支払い能力が最後までなきゃいかぬということでありますが、今度の保険契約者保護基金はいわゆる公的法人ではなくて社団法人として設立をされる。これは保険審議会で議論されたのと若干違うところであったかもしれません。それからさらに、安全ネットという点では預金保険機構と若干違う機能であって、いわゆるペイオフではないわけですね。そこら辺について、これで十分保険会社の健全性、まあソルベンシーマージンというのもどの程度役に立つのかなという疑問もございますけれども、そこら辺、この面を含めて、消費者保護の健全性という意味についての御意見を承われば幸いだと思います。
#19
○参考人(高橋伸子君) 保険契約者保護基金から資金援助がされることによって契約移転とか合併といった契約継続のための措置が円滑に進められるものと理解しています、
 預貯金の場合、今信組の問題もいろいろクローズアップされておりますけれども、金融機関を助けるんではなくて個人を助けるという意味でペイオフの方がいいのではないかというふうな声もありますけれども、保険の場合には、ペイオフというふうな形ですと保険料を戻すということになってしまうわけです。保険に入る人というのは保険料を払って預金のように利息を得るのではなくて、保障を購入する、あるいはサービスを手に入れるということでありますから、その保険料を返されたら戸惑ってしまうわけですね。そこでまた新たな保険に入ろうとしますと、年齢が進んでいることで入れなかったり、病気をしているということで入れなかったりということが起こり得ます。ですから、利用者にとっても保険に関しては預貯金とはちょっと違う立場で、やはり継続ということが原則になると思いますので、現在考えられています保護基金の枠組みということは支持したいと思います。
 強制がどうかということなんですけれども、一般的に考えますと、全部入っていてくれたら安心だなということになると思うんですが、現在の状況ではなかなか強制加入というのは難しいと思うんです。業界でなるべく入るような形の仕組みをつくっていただくとか、少なくとも利用者が保険に加入するときに、その保険会社、金融機関というものはそういった保護基金制度に入っているか入っていないか、こういった表示をきちんとしていただくということが必要ではないかというふうに考えます。
#20
○楢崎泰昌君 ありがとうございました。
#21
○峰崎直樹君 お三方、きょうは本当にありがとうございました。特に、徳田参考人には本当に長い間ずっとタッチしていただきまして、先ほどいろいろ聞いておりますと、法案の内容が十五分の間に見事に整理をされてよくわかりました。ありがとうございました。
 さて、その中で、まず最初に徳田参考人の方からお聞きしたいと思うんですが、実はソルベンシーマージンの導入問題ということで、この委員会の審議でもいろいろと議論いたしまして、その性格が早期警戒装置といいますか、そういう性格を持っているということなんでありますが、そういたしますと、これは行政側が主として見ているということでございますが、果たして国民にあるいは消費者の皆さん方にソルベンシーマージンということについて、その性格をよく理解してもらった上でディスクロージャーをすることについてどのようにお考えになっているのか、まずお聞きしたいというふうに思います。
 それから第二点目でございますが、第三分野のいわゆる相互参入の問題で激変緩和のことをお話しなさって、直ちに本体がそこに入っていくことについては一応留保されたわけでありますが、これは日米包括経済協議で大変議論のあったところだとも聞いておるわけでございますが、保険審議会等の分野においてこのアメリカ側の言い分ということについては果たして考慮されたのかどうか、そういった点についてお聞き申し上げたいと思います。
#22
○参考人(徳田博美君) 先生お尋ねのソルベンシーマージンのことでございますが、保険会社の場合には、特に生命保険会社が問題になるわけでございますか、経営の透明性、特に相互会社であることから経営の透明性ということは非常に大事な問題でございまして、このソルベンシーマージンが将来定着いたしまして、そして一般消費者の理解も得られるような段階になれば、これは公表されることが望ましいわけでございます。
 ただしかし、今の段階におきましては、先生も御承知のとおり、このソルベンシーマージンの計算の方法というのは極めて複雑でございます。これに相当するものは実は銀行のBIS規制、自己資本規制があるわけでございますが、これはリスクアセット、つまり貸し出しとか債権とか、それに対して一定のリスク率を掛けて分母を計算して、そして自己資本の比率を出すと。現在、八%が基準になっておりますけれども。これは比較的わかりやすうございますし、それからまた、各金融機関がほぼ同一の商品をあるいは同一の資産運用をしているわけでございますので、比較も容易でございます。
 実は、この保険会社のソルベンシーマージンにつきましては、御承知のとおり、資産運用リスクと保険リスクと両方のリスクを踏まえて計数が出てくるわけでございます、しかも、その運用リスクの計算の方法も、今銀行がやっております自己資本比率の計算の方法とは大分違うわけでございます。そういうこともございまして、これについて正確な御理解を一般の消費者にいただくのほかなり難しいことではないかと考えております。
 それから、これも先生御承知のとおり、このソルベンシーマージンだけが生命保険会社の経営の健全性を示す唯一の指標ではないわけでございまして、契約の状況であるとか、あるいは貸し出し、あるいは債権の不良資産化の程度であるとか、そういうものも非常に大きな要素になっておりますので、そういうものを総合的に判断するべき指標に、少なくとも現状では、恐らく当初はそういうことになると考えられるわけでございます。
 したがいまして、当初はこれを公表いたしますと恐らく誤解を生ずる面も多分にあると思いますので、これはアメリカでも原数値、もとの数字は公表しておりますけれども、率については公表されていないようでございますし、そういう点もございまして、当面はディスクロージャーはかなり難しいのではないか。その辺はしかし、もちろん今後のディスクロージャーに対する努力によりまして先生も御指摘の方向に向かうことが望ましいわけでございますけれども、これにはかなり時間がかかるのではないかと、このように考えております。
 それから、もう一つお尋ねの第三分野のことでございますが、実は第三分野は現状のところでは、先生御承知のとおり、中小保険会社あるいは外国の保険事業者が第三分野を主要な収益源として経営をしているわけでございますので、そこへ大きな生保、損保の保険会社が一挙に参入いたしますと、これはかなり摩擦が生ずるわけでございます。そういう観点から、しかも外国の保険会社はそういう意味で日本の中小保険会社と同じような立場にございますので、保険審議会の答申ではこの外国保険会社を含めた中小保険会社に対して配慮を行うようにとの言葉が載っているわけでございます。
 日米包括協議との関係でございますが、答申は平成四年六月に出されておりまして、日米合意の決着は平成五年十月でございますので、時期的には日米包括協議の決着よりは一年半近く前に答申が出されているわけでございます。したがいまして、もちろんその間のアメリカを中心とした外国保険会社の要望というのは、保険審議会でも参考人として出席してもらいまして、意見は十分に取り入れて、その結果ではございますが、直接包括協議と結びついたということはこの今の時点の関係では必ずしも言えないのではないかと、このように考えております。
#23
○峰崎直樹君 持ち時間が相互で十五分でございますので、大変恐縮ですが簡潔にお願いしたいと思います。
 それでは、倉沢参考人と高橋参考人に同時に質問をいたしますので、あと十分間という中でお答え願えればと思います。それぞれ、もう時間がありませんので、一問ずつに絞りたいと思います。
 最初に倉沢参考人。
 一九四〇年体制と言われている戦時立法から徐々に、今の体制を見直そうというその一環だということが大変よくわかりました。私自身は、これを読んで、大変な膨大なものでございますので、しかも政令事項が百八十七カ所もあるという大変な内容、まだ不明確な点もありますのでわかりませんが、先ほどお話を聞いておりまして、全般的に評価をされると。
 その中で、破綻会社の問題、すなわち契約者保護基金の問題に関連して破綻会社の問題がございました。実は、先ほど話されたときに、破綻をした会社の債権を継続するということについての仕組みはわかったんですが、破綻をした会社の雇用問題というのは、これはどのように考えていったらいいのか。
 一つしか質問しないと言っておいて二つと言ったら怒られるんですが、実はもう一つそこの中で、いわゆる相互会社に株主総会とは異なった機能を社員総代会の機能として持たせるべきじゃないかと、こうおっしゃいました。その株主総会とは違った機能というのを、もしわかれば簡単に教えていただきたいと思います。
 それから高橋参考人の方に、もう最後でございますので一点だけ。
 大変今度の法案を評価されているわけでございますが、消費者の立場ということで、消費者の観点ですが、一つちょっと視点を変えて、私は日本の消費者運動といいますか、大変弱いというふうに思っているわけです。その意味で、消費者へ情報提供するような、これからマルチメディアとかいろんなものが発達してくるわけでございますが、そういった点で何か今後消費者運動を、これは保険に限らず、消費者がさまざまな知識や情報、そういうものをどのように得るような努力をこれからしていったらいいのか、そういった点でもし何かいい知恵がございましたら教えていただければと、こういうふうに思います。御意見があればお伺いしたいと思います。
 以上でございます。
#24
○参考人(倉沢康一郎君) 一言ずつ申し上げますが、破綻会社の従業員等の問題は非常に重要であると思います。
 そこで、一方において破綻会社について保険契約者の権利というものを完全に救済するために包括承継なりということを考えますけれども、その場合にそれか即破綻会社の解散ということしかあり得ないのかどうか。殊に、保険会社で今後得意な分野とかいろいろな分野が出てくるときに、開発メリットを持っているものだけ残して会社更生法に対する特別法みたいなものを保険業法につけ加える形で存続が図れる可能性があるのかどうかということを検討すべきであろうと思います。
 それから社員総代会ですけれども、先ほども言いましたように、単独株主権ではない少数株主権の中には、本来一人の株主がそんなことを提案すべきではないのだという問題、本質的に少数株主権でなければならないものと、本来は単独株主権として認めるべきものだけれども総会屋等による乱用を排除するために少数株主権としているというようなものもあるかと思うのでございます。社員総代会のときにそのまま株主総会の理屈でいいのかどうかということとか、それから株主総会というものが、議題、議案というものは代表取締役の招集通知に書かれたものだけしかやれない仕組みになっておりますけれども、社員総代会といったような限られたメンバーで議論し合えるというときに、一体招集手続等もそういうふうに何か不特定多数、一応株主ですけれども、大勢の人が集まるのと同じにしていいかといったようなことをこれから考えるべきではなかろうかと考えております。
#25
○参考人(高橋伸子君) 保険の場合は仕組みが非常に難しいものですから、消費者という立場で保険を見るとき、いろんな困難な問題があると思います。
 実際に預金商品、昨年秋に預貯金の金利が自由化しましたけれども、それでも、もう半年たってもまだなかなか理解されてなくて戸惑っているという様子が見えるわけなんですが、保険の場合は果たしてどんどん進んだ場合についていけるだろうかというふうな懸念は持っております。
 現在は、そういう情報に接する場合には、保険種類の案内ですとか、営業パンフレットですとか、保険設計書ですとか、あるいは定款、約款と合冊になっています、合本化しています契約のしおり、この辺のものを個人がよく読めば大体保険のアウトラインというものはわかるわけなんですけれども、そういったツールといいますか、資料があるということすら知らない消費者もいるということも現状は確かでございます。
 ですから、保険会社の方でもう少しそういう制度があるんだよということを広めていただくと同時に、やはり保険の場合、マルチメディアというお話もありましたけれども、人的なアドバイ又というのが非常に重要だと思いますので、保険会社のアドバイザーなんかの質の向上も大切ですけれども、消費者教育の場というのはもっと公的にふやしていただく必要があるのではないかなというふうに感じております、
 それから、保険会社の安全性をどういうふうに見ていくかという場合にも、やはり第三者の格付機関のようなものが将来的には出てくることが望ましいのではないかなというふうに考えます。
#26
○峰崎直樹君 ありがとうございました。
#27
○島袋宗康君 参考人の皆さん大変御苦労さまでございます。
 まず、徳田保険審議会会長さんにちょっとお伺いしたいんですけれども、今回の制度改革は相当な改革でございまして、ただいま御説明があったように、長時間にわたって御審議なされて非常に御苦労をしたと思います。今回の改正で生損保が相互乗り入れされると、こういうふうなことでございますけれども、この制度改革によって消費者における、いわゆる利用者におけるところのメリットというものが具体的にどのような形であらわれるのか、それについてお聞かせ願いたいと思います。
#28
○参考人(徳田博美君) 今回の制度改革による消費者に対するメリットという御質問でございますが、実は今度の制度改革自体が消費者利便ということを一番中心に置いて改革が行われたわけでございまして、これに関する項目はたくさんあるわけでございます。
 その中で特にポイントになることを申し上げますと、一つには、これは今まで余り触れられておりませんけれども、比較情報の提供を認めることにしたということがございます。実は、現在の状態では、保険募集取締法というのがございまして、外務貝の方が消費者のところに行きましたときに、ほかの社の商品を並べてこうですよということを言っちゃいけないよというシステムになっておるわけでございます。したがって、消費者としては選択の自由がその意味で制約されているわけでございます。それは好ましくない、これからはむしろ情報提供し、ディスクロージャーする時代でございますので、そういう意味で、弊害のない限り他社の商品もこうでございますということで消費者か選べるようにしようというような改正も行われております。
 それから、生損保相互乗り入れということにいたしましたのは、利用者にとりましてはいわばワンストップショッピング、つまり一つのところで生保の商品も損保の商品も買えるわけでございますから、これはこれで大変便利になったのではないかと思います。
 それから、例えば先ほどブローカー制度の話が出ておりましたけれども、これは当面は恐らく卸売といいますか、大企業相手のものが多いと思いますけれども、将来この制度が活用されれば、ブローカーというのはどこの保険会社にも属していないわけでございますから、極めて中立的な、一番いいと思われる商品を提供できるわけでございまして、この点も利用者利便というところでは大変にプラスになっているのではないかと、このように考えております。
#29
○島袋宗康君 よくわかりました。ありがとうございました。
 そこで、この改革によって新たな商品というものが開発されていくのかどうか、その辺についてもし会長さんの、そういった将来にわたっての新たな商品というものの何かイメージがありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
#30
○参考人(徳田博美君) 商品の開発につきましては、届け出制を採用するということで今までよりもかなり弾力的に、また短期の間に商品が開発される体制ができております。ただ、実際の運用といたしましては、これはいろいろ今までもお話がございましたように、保険商品というのは一般大衆に非常にかかわる商品でございますので、そういうものを、急に新しいものを出してもかえって、自由にやらせると混乱あるいは不健全ということも懸念されますので、恐らく大口の、大企業を中心とした商品開発が主体になるのではないかと、このように考えております。
 それから、もう一つ生損保相互乗り入れの結果の新商品が期待されるわけでございます。第三分野、介護とか疾病とかそういう分野は今のところ生保も損保も乗り入れできますけれども、それぞれのしっぽを引いて入ることになっておりますしっぽを引いてというのはどういう意味かと申しますと、損害保険というのは実際に損害を受けた額だけ保険金を払うわけでございます。生命保険というのは、最初に契約した金額を、例えば一日入院三万円であれば経費が二万円でもちゃんと三万円払うわけなんです。そういう両方の制約を引きずりながら入っておりますので、これが自由に入れることになりますと、その辺の制約なしにいろいろ弾力性のある消費者に便利な商品の開発が行われるのではないかと、このように期待しております。
#31
○島袋宗康君 さきの衆議院大蔵委員会で、櫻井生命保険協会会長さんが自己責任について発言をされておりますけれども、徳田会長さんとしては今後の我が国のいわゆる自己責任の何といいますか、原則ですね、そういったものに対して具体的にお考えでしたら、お述べいただきたいと思います。
#32
○参考人(徳田博美君) 保険契約者の自己責任の問題でございますが、これは将来の姿としては非常に望ましいものと考えられますけれども、先ほど参考人も言われましたように、保険商品と申しますのは一般の預金、債券と違ってかなり複雑な仕組みを持っておりますので、これを契約者の方あるいは消費者の方に理解していただくのはかなり難しいことではないかと考えております。
 このために、例えば生命保険の分野では、御承知と思いますが、生命保険文化センターというようなシステムがございまして、第三者的な立場からこういう保険商品についての知識の普及に努めておりますし、それからこれも参考人からお話がございましたFP、フィナンシャルプランナーというような、生活あるいは資金、そういう貯金設計、預金設計、あるいは貯蓄設計全部についてアドバイスできるようなスタッフも保険会社ではどんどん育てようとしております。
 そういう意味で、かなり難しいものではございますが、だんだん一般の消費者あるいは契約者のそういう物を見る目、保険契約を見る目がどんどん育ってくれれば、それに見合った自己責任というのはある程度お願いすることができると思いますけれども、しかし当面はこれはかなり難しいのではないか。余り消費者の自己責任ということを中心にして、例えば自由化を進めてしまうというようなことは必ずしも適当ではないのではないかと、そのように考えております。
#33
○島袋宗康君 繰り返すようですけれども、櫻井会長さんが保険制度改革を段階的、そして漸進的に進める旨というふうな発言を同じく衆議院の大蔵委員会で述べておられるようでありますけれども、徳田会長のそういった認識、いわゆる国際化にこれは通ずるのかどうか、その進展あるいは歩調、とれるのかどうか、その辺についての御認識をお願いしたいと思います。
#34
○参考人(徳田博美君) 保険商品は普通の預貯金と違いまして、殊に生命保険につきましては二十年、三十年と長いものが多いわけでございまして、やはり経営の安定性、健全性ということが非常に大事でございます。その意味で、ほかの分野、特に証券業あるいは銀行界の改革と比較いたしましてその点に大きな相違があるのではないか、このように考えます。したがいまして、やはりそういう新しい何か健全性確保のための手を打って、それが定着して、確実にそこが固まってから次の段階に進むという漸進的な実施というのが特に保険業界については大事ではないかと、このように考えております。
 現在、そのために、じゃ日本の制度が海外に比べて非常におくれているかというと、それは必ずしもそういうことはございませんので、特に損害保険商品というのは国際的な商品でございますから、そういう意味でも、国際的な面でも十分キャッチアップは命できておるのではないかと、このように考えております。
#35
○島袋宗康君 最後になりましたけれども、障害・疾病・介護という第三分野についての問題を先ほどもお話がありましたけれども、これは若干の規制が残りましたけれども、この第三分野の参入について、今後長期の規制が必要なのかどうか、その辺についての御所見を承りたいと思います。
#36
○参考人(徳田博美君) 第三分野、つまり介護・疾病等の問題につきましては、最初に申し上げましたように、これから高齢化社会が進むにつれてますます重要な分野になってくるわけでございます。パイも恐らくほかの分野に比べて、全体の契約量もどんどんふえると思いますので、そういう意味ではこの第三分野については極力、できる限り競争を導入することが望ましいと考えておりますが、しかし先ほど申し上げましたように、現在は中小会社あるいは外国保険事業者の主要な経営基盤となっておりますので、それに対する激変緩和ということも考えなければならないわけでございます。
 じゃ、いつごろそういうものがある程度緩和されて大手が入るようになるかということでございますけれども、現在第三分野を主たる業務としている保険会社がほかの生命保険、損害保険固有の分野でもかなり業績を上げるというようなめどがついて、収益が確保できるというような見通しがつくということも一つのめどではないかと、このように考えております。
#37
○島袋宗康君 どうもありがとうございました。
#38
○委員長(西田吉宏君) 以上で参考人に対する質疑は終わりました。
 この際、一言お礼を申し上げます。
 参考人の皆様には、長時間にわたりまして有益な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。お礼を申し上げます。
 午前の審査はこの程度とし、休憩いたします。
   午前十一時五十一分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時三十分開会
#39
○委員長(西田吉宏君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、谷畑孝君が委員を辞任され、その補欠として萱野茂君が選任されました。
    ―――――――――――――
#40
○委員長(西田吉宏君) 休憩前に引き続き、保険業法案及び保険業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#41
○猪熊重二君 平成会の猪熊重二でございます。
 今回の保険業法改正案につきましては、既に本会議でも各会派から相当の質問がなされ、また一昨日も委員会で各委員の先生方から種々適切な御立派な質問がございまして、私の方は落ち穂拾いみたいなことで余り立派な質問もできないんですが、いただいた時間を活用させていただいて質問をさせていただきます。
 なお、この保険業法、非常に難しくて、勉強した結果でもなかなかよくわからない面もございますので、今から質問申し上げるのに間違った前提や何かありましたら、政府側の方で遠慮なく御指摘いただければと思います。間違った質問に間違ったお答えじゃ困りますので、よろしくお願いいたします。
 最初に、保険会社の資本金あるいは相互会社の場合の基金総額についてお伺いします。
 改正法の第六条は、一項において、保険会社の資本額または基金総額は政令で定める。二項で、前項の政令で定める額は、十億円を下回ってはならないと、このように規定されています。
 お伺いしたいのは、この十億円以上としたことの根拠はどういうところにあるのか。と申しますのは、現行法三条は、資本または基金は三千万円以上となっております。ですから、単純に計算しますと三十倍以上の額になっているわけですが、十億円というのは一体どこを基準にして十億円なんだろうかということをお伺いしたい。
 あわせて、生命保険、損害保険でこの額について何ら差異がなくてもいいんだろうか、あるいは会社の形態として株式会社及び相互会社との間で十億円という金額に何ら差異がなくて妥当なんだろうか、この辺も含めて御答弁願います。
#42
○政府委員(山口公生君) お答え申し上げます、
 資本の額についてのお尋ねでございますけれども、資本の額または相互会社の場合は基金でございますが、基金の総額の最低額につきましては昭和二十四年に当時十万円から三千万円に引き上げさせていただいておりますが、それ以降一度も改正せずに現在に至っておるところでございます。
 今回の法律改正におきましては、我が国の経済情勢あるいは物価情勢の進展、いろんな諸物価をたくさんとりまして、二十五年に比べて今何倍になっているかというふうなことを検証させていただいたわけでございます。それから、銀行等他業態とのバランス、例えば銀行は二十億円となっておりました。そういったものの例を見ながらバランスを考え、総合的に勘案した結果、最低十億円が適当ではなかろうかということで、今回の法改正でお願いしているわけでございます。
 なお、生損での違い、あるいは株式会社と相互会社での違いというものにつきましてのお尋ねでございますが、生損の別、株式会社、相互会社の別にかかわらず、保険業を行う者に対し最低限の財産的基礎として要求させていただいておりますので、その差異を設けるつもりはございません。
#43
○猪熊重二君 そうすると、この改正法が成立した場合、現存の保険会社の中で資本もしくは基金総額が十億円を下回るような会社があるのかないのか知りませんが、まずあるのかないのか。あるとすれば、その会社の場合には対応はどうなるんだということについてお伺いします。
#44
○政府委員(山口公生君) 現時点での資本金、基金でございますが、生保で申し上げますと、生命保険会社における資本金または基金総額の合計額は七百二十六億円で、二十七社の平均でいいますと約二十七億円というふうになっております。このうち株式会社十一社で見ますと平均が六十六億円、相互会社十六社平均が八十一万円と、こういうふうになっておるわけでございます。
 損保の場合を申し上げますと、損害保険会社における資本金または基金総額の合計額は六千二百五十九億円で、二十六社の平均で約二百四十億円となっております。このうち株式会社について見ますと、二十四社で平均が約二百六十億円、相互会社では二社ございまして、平均が六億円というふうになってございます。
 その次のお尋ねは、仮に十億円以下の保険会社がある場合にその対応はどうなるのかというお尋ねでございますが、今回最低限必要な額として十億円を定めさせていただいております。そこで、既存の会社は当該額まで増加させる必要があるわけでございますが、一挙にやるというのはいろいろ難しい面もございますので、五年の経過措置を設けさせていただいております。各社とも五年で増額させることは十分可能であろうというふうに考えておるわけでございます。
#45
○猪熊重二君 今、部長、生保の相互会社十六社の平均基金額は八十一億円とおっしゃいましたか。八十一億円というと、これ十億円まで持っていくのは大変だけれども、どうなんですか。
#46
○政府委員(山口公生君) 八十一万円と申し上げました。
 といいますのは、ちょっと補足しないといけませんが、三千万円に二十四年に引き上げましたけれども、そのときに、責任準備金がきちんと積まれているときはその必要がないというふうになっていました。それで引き上げていない事情がありまして、今平均値を出しますと八十一万円と。八十一億円ではございませんで、八十一万円でございます。
 相互会社というのはもともとそういう資本金的なものがないという前提に立っている組織でございまして、そういうことからこういう非常に低額にとどまっているわけでございます。それを今回は財産的基礎を固めるということで、一律に十億円以上というふうにさせていただいているわけでございます。
#47
○猪熊重二君 そうすると、今私が質問するときに八十一億円と間違って質問しちゃったけれども、八十一万円を十億円まで持っていくというのはえらいことだけれども、その辺はどういうことになるのか。
#48
○政府委員(山口公生君) 先ほど申し上げましたように、一挙にはなかなか難しいということで、五年間の経過措置で徐々に、各社の事情を勘案して決めさせていただいた五年で増額を各社おやりになるというふうに聞いております。
#49
○猪熊重二君 ところで、もし新規に保険会社を設立するために免許を申請する場合、十億円を下回ってはならぬという言葉はわかるんですが、実際には今後の免許付与のための資本ないし基金の額については、行政としてはどんなことを考えておるんですか。
 要するに、十億円じゃ全然だめなんだと考えているのか、十億円あれば少なくもその額の面に関してはもう十分だというふうな取り扱いにしようと考えているのか、いかがですか。
#50
○政府委員(山口公生君) 今回十億円という最低額をお願い申し上げておりまして、免許申請をした者の最低限の財産的基礎として位置づけておりますので、法律上十億円以上の額を要求するつもりはございません。
#51
○猪熊重二君 また後でお伺いする親子会社の子会社の場合、子会社を設立したいといった場合に、この十億円という額については他の子会社でない形での免許申請と全く同一に取り扱われることになるんでしょうか。
#52
○政府委員(山口公生君) 保険会社の子会社から免許申請があった場合のお尋ねでございますが、子会社であるからといって特別な扱いをする理由はございませんので、全く新規の免許申請と同様に、最低限の財産的基礎として十億円の資本の額または基金の総額が要求されるべきだというふうに考えております。
#53
○猪熊重二君 次に、免許の付与について質問したいと思います。
 免許が申請された場合、大蔵大臣としては法定の免許基準に適合しているかいないかをもちろん当然に審査するわけです。伺いたいのは、このような基準に適合していれば原則として免許が付与されるのか、それとも基準には適合しているけれども免許を付与するかしないかは大蔵大臣の全くの任意に任されているとお考えか、その辺をお伺いしたい。
 それはどういうことかというと、免許基準に適合しているけれども、どんどん免許を与えれば既存業者に対して不利益になるかもしれぬからなるべく渋ってやろうという行政運用を孝えておられるのか、それとも、一口に言えば準則主義的に、免許基準に適合していれば特に支障が認められない限り原則的に付与するという方針でいくのか、これは行政の運用方針の問題ではありますけれども、お伺いしたいと思います。
#54
○政府委員(山口公生君) 他の法令に違反していない限りは保険業法上、五条に規定させていただいております免許審査基準を満たしておりますれば、一般事業法人が子会社方式で参入する場合も含めまして、保険業の免許を得ることができるものと考えております。
 保険業の公共性、専門性にかんかみまして免許制をとらせていただいておりますけれども、この観点から規定させていただいております第五条の客観的審査基準、これに基づいて大蔵大臣が判断させていただくことになるわけでございます。これは、先生大変な専門家でいらっしゃいますのであれですが、羈束裁量的なもので、全くの自由裁量でやるものではないというふうに思っておりまして、端的に言えば恣意的に行うべきものではないというふうに私ども思っております。
#55
○猪熊重二君 大蔵大臣、ちょっとお伺いしておきますけれども、要するに規制緩和という観点からいえば、免許基準に適合していれば原則免許を与えるかどうかという問題は非常に重要な問題でして、保険会社の自己責任原則、また一方において保険契約者の自己責任原則、こういうことを尊重するならば、可能な限り基準に適合していれば即免許というふうな準則主義的な立場に立つべきだと思いますが、大臣の所見はいかがでしょうか。
#56
○国務大臣(武村正義君) 保険業の公共性あるいは専門性という視点を考えますと、保険契約者等の保護、保険業を行う者の業務の健全性の維持、こういう観点から免許制を採用した次第であります。こういう観点から規定される客観的な審査基準をもとにして大蔵大臣が審査をさせていただいて決定をする。
 ですから、大蔵大臣の恣意に基づくようなものであってはなりませんし、同時にまた、先生がおっしゃるような準則主義というのか、一定の形式要件さえ満たしていればどんどん数は制限なく認めていくという考え方をとるわけにもいかないという考え方であります。
#57
○猪熊重二君 次の問題として、いわゆる親会社、子会社の問題についてお伺いしたいと思います。
 改正法の三条三項は、「生命保険業免許と損害保険業免許とは、同一の者が受けることはできない。」、このように規定されています。これは現行法でも同様の規定になっているわけです。この両方の免許を同一の者が受けることができないということの制度趣旨を端的にお伺いしたい。
 なぜかというと、子会社の問題どこの原則との整合性についてちょっと伺いたいことがあるものですから、この制度趣旨を簡潔に、端的にお答え願いたい。
#58
○政府委員(山口公生君) 生命保険は比較的正確な統計的な根拠に基づきまして長期の契約を行うのに対しまして、損害保険は推定を加えました損害率に基づいて短期の契約を行うものでございます。引き受けるリスクや保険期間について両者の間において差異が存在いたします。保険期間が長期であって貯蓄的資金である生保の契約者を、不安定で正確な予測のできない損保の巨大リスク引き受けによる損失から保護する必要がある。逆の面もあるかもしれません。そういうことで、生命保険業免許と損害保険業免許のリスクを遮断するという意味から兼業禁止という規定を置かせていただいているわけでございます。
 諸外国におきましても、このリスク遮断の観点から兼業禁止をとっておるのが一般的でございます。
#59
○猪熊重二君 さて、子会社に関する規定として、百六条によると、生保会社は子としての損保会社、生保会社を持ち得ることになるし、また一方、損保会社は子会社としての生保会社、損保会社を持つことができることになっている。
 ところで、親会社の方は株式会社もしくは相互会社のいずれであってもよいけれども、子会社は株式会社に限るのでしょうか、もし手会社を株式会社に限るとすれば、その理由はどこにあるのでしょうか。
#60
○政府委員(山口公生君) 子会社にする以上は株式を五〇%以上持っわけでございます。相互会社でありますと株式がございませんので、どうしても株式会社の形式のものというふうにならざるを得ないわけで、そういう法的な性格からくるものでございます。
#61
○猪熊重二君 結局、相互会社を子会社とすることは法的に不可能だからというだけの単純な理由と考えてよろしいわけですか。
#62
○政府委員(山口公生君) 御指摘のとおりでございます。
#63
○猪熊重二君 手会社を新設しようとする場合、先ほどお伺いしたら一般の株式会社としての保険会社の新設免許の申請と異ならない、こういうふうにお伺いしたんですが、手会社であるということでの格別の便宜を図ることでもないと、これは先ほど御答弁いただきました。
 次の質問として、現存する保険会社は現存する保険会社の株式を五〇%以上取得することによっても親子関係を創設し得るし、新設した会社を子会社とすることもできる、両方ともできるということだろうと思うんですか、その点はどうなのか。そして、もし既存の会社二つがいわゆる親子関係になったような場合に、それの行政に対する何らかの報告、届け出等はあるのでしょうか。
#64
○政府委員(山口公生君) 今回、子会社方式による生損保相互乗り入れをお願い申し上げております趣旨は、生命保険、損害保険両事業の競争促進を通じて事業の効率化を進め、利用者ニーズへの的確な対応を図るというところにあるわけでございます。
 したがいまして、競争促進に資するという観点からいいますと、原則としまして、既存の会社の買収というよりも新規の子会社の設立の方が競争単位がふえるという意味において望ましいというふうに考えられるわけでございます。既存会社の買収につきましては、それによって寡占化が助長されるような場合には、その認可について慎重にならざるを得ないというふうに思っております。
 しかしながら、例えば破綻のおそれがある保険会社を救済するような場合などにおきましては、むしろ競争単位が減少してしまうのを防ぐという意味において、これは前向きに検討しても差し支えないのではないかというふうに思うわけでございます。ただ、実際の認可に当たりましては、子会社を設立する保険会社との均衡、バランスを踏まえつつ、具体的事案に即して検討してまいりたいと思うわけでございます。
 手続としましては、これは認可を要するということでございます。
#65
○猪熊重二君 この親会社、手会社の場合に、おとといの委員会でも諸先生方から質問がなされ、また政府側からも子会社の独立性ということについていろいろ御説明がありました。
 しかし、株式会社である子会社の株を親会社が一〇〇%持っていた場合、手会社の実質的な支配というものは親会社にすべて握られているということにならざるを得ない。それはなぜかといえば、子会社の取締役を選任するにしても、役員の兼任禁止という八条の規定に触れない限り、親会社が一〇〇%持っているんですから、役員の選任も親会社の意のままであるし、もちろん取締役の選出がそういう状況になりますから、業務決定の取締役会の決定も親会社の意のままである。
 いろいろ営業のすべてがそういうふうに親会社の意のままになされた結果として、決算報告は、それは前回も部長が答えられたように、決算報告は格別になりますけれども、決算報告というのは一年間なら一年間営業したことのその結果としての数字にすぎないわけです。ですから、いや決算は別になっているんだ、会計は流用されていないんだということを盛んに部長はおっしゃるけれども、それは一年間の業績の結果の数字にすぎないのであって、そこまでの運営のすべては一〇〇%株主である親会社の意思一つによって全部子会社が運営されているという実態はあるんじゃないかということを私は申し上げたい。
 その結果としての決算書類の報告の定時総会だって、一〇〇%のお一人様の株主になっているんですから、そうしたら一〇〇%出資の、例えば生保会社が一〇〇%出資した損保会社を持った場合には、一年の活動の結果としての収支決算においてだけは、親会社の方が決算そのものに介入することはできないとしても、すべて結局子会社を実質的に支配しているじゃないかと。そうすると、先ほど一番最初にお伺いした生保、損保の領域を相互に格別にしておくといった基本的な三条三項の原則は実質的に骨抜きになるんじゃないかということで疑問に思うんです。
 何だか表の方では、生保、損保の業務はこういうふうに違うんだから、業態も違うんだから別にせにゃならぬ、独立せにゃならぬ、両方のことを一緒にやってはがちゃがちゃになって困るんだと、こう言っておきながら、子会社という形において実質的には両方をやっているのと同じじゃないか。
 何度もしつこいようですけれども、部長は盛んに、いや最後の決算が違うと。決算は違うのはわかるけれども、決算というのは一年間の運営の結果としての数字にすぎぬと思うんですが、その辺についてどのようにお考えでしょうか。
#66
○政府委員(山口公生君) 先生の御指摘、大変難しい点を御指摘賜っているわけでございますが、確かに子会社であっても独立性を維持しなければ、リスクの遮断という意味の兼業禁止の考え方とそごを来すのではないかという御指摘は、もっともな御指摘だと思うのでございます。
 ただ一方で、本来兼業禁止をしております趣旨が、あくまで生命保険のリスクと損害保険のリスクが余りにも違うので、これを一緒にしてはいけないというのが最大の眼目でございます。ここで利益相反あるいは内部補助等が起きてはならないということでございますので、そういったことをまず中心的な観念に置きながら、また今度は、お互いに似通った業態でございますので、自分のノウハウ等を新しい子会社でも生かしていこうというのも一つの要請としては思考できるものでもあるわけでございます。
 したがいまして、その辺のバランスをどうとるかということでございます。したがって、子会社形式によって独立的なものにしながら、なおかつ、例えばクロスマーケティングとか、あるいはファイアウォールの考え方で、できるだけ資源の有効活用と申しましょうか、そういったものを図っていくと、この兼ね合いをどうするかというところでございます。
 ただ、意思決定等におきまして、先生の御指摘のように、すべて親会社が何でも子会社のものを決めていくというのは、これは余りにも独立性がないわけでございます。例えば、取締役の兼任、これ常務従事取締役は第八条によって兼任禁止をしております。これも子会社に関しても同様だと思っておりますし、それから、例えば取締役会の構成を見まして、重役さんを親会社の取締役が非常勤で全部占めている、社長さん一人だけが子会社の常勤の取締役だというのでは、余りにも先生の御指摘からいくとおかしいということになるわけで、その辺もおのずと、やはり子会社として独立させている以上、けじめというものは必要だろうというふうに思うわけでございます。
   〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
 したがって、ある程度そういった資源の有効利用の考え方から、アームズ・レングス・ルールのほか、ファイアウォールにつきましても、銀証とは違ったような状況がありますので、なるべく低くしながらも独立性の最低限は守らせる。そのラインをどこに置くかというところがポイントではございますが、御指摘のような点も踏まえてきちんとした制度をつくっていく必要があろうというふうに思っておるわけでございます。
#67
○猪熊重二君 結局、役所は役所としていろいろ考えているわけですよ。ところが、私なんかみたいに役所とは無関係な立場で見ると、この保険業法の条文だけからいけば実質的には全く一〇〇%親会社が支配する子会社というものをつくり得る余地がある、
 今、部長の方のお答えは、全くこういうふうに一〇〇%支配されるようなことにせぬように行政指導してうまくやるよということが腹の中にあるのでしょうけれども、やっぱり規則なり規範というものは客観的でなきゃならぬという意味で、もう少し法的にきちんと区分けできるような形にしておかないと、今私が申し上げたような意味で、全く親会社が一〇〇%支配する他の領域の子会社というものが発生し得ることになっているということだけちょっと申し上げておきたい。
 だから、結局、この運用がうまくいかないと子会社の保険契約者は非常に分が悪い立場に行く可能性がある。ということは、子会社が非常に利益が上がったという場合は株主剤当として親会社に利益はみんな持っていかれちゃうわけですよ。なぜかといえば、株上総会で親会社が一〇〇%だ、ああ、この利益配当結構だということになれば、利益が上がったときは株主記半として親会社に利益を全部吸い上げられる。そのくせ今度は逆に損失が生じてどうにもしょうがないというときは、親会社は出資金の損失だけで、ああ、出資金はぱか見たなと言うけれども、それ以上の損失を何ら負担することがないという意味においては、子会社の保険契約者は、うまくいかぬとえらい親会社に利用される子会社の保険契約者という不利益な立場になる可能性があると思うんですが、その辺に対する御心配はしておられますか。
#68
○政府委員(山口公生君) 株式会社形態をとった場合は、契約者に対する還元としての配当のほかに株主配当というのがあるわけでございます。したがって、株主配当に回すか契約者の方へ還元をするかという問題が御指摘のとおり出てくるわけでございます。
 ただ、子会社の場合に限ったケースではございませんで、株式会社形態をとる場合は株主がどういうことであれ、株主の方を優遇するかお客さんとしての契約者を優遇するかという問題が起きるわけでございますし、また有限責任の形式からいって、やはりどうしても出資としての資本金の範囲内でしか株主は責任を持ちませんので、そういったことは子会社でも起きますが、いわゆる子会社でない普通の株式保険会社でも起きるわけでございます。
 問題は、先生の御指摘は、それに加えて親会社の方に利益を回すことを重視する余り、契約者であるお客さんの方に対する還元等がおろそかになるおそれはないかという御指摘だと思うんです。
 その点につきましては、私どもとしては、契約者の保護ということが大変大事なことでございますので、もし万一そういった会社の経営がなされているようでありますと、契約者保護上問題があるという観点から、それはしかるべく指導をしていくということになろうかと思うわけでございます、したがいまして、先生のおっしゃったような視点というのは絶えず頭に置いておかなきゃならない視点だというふうに思っておるわけでございます。
#69
○猪熊重二君 いや、部長、子会社は株式会社である場合にはではなくして、先ほど質問したように、子会社は株式会社だけなんです。ですから、株式会社である子会社、親会社が一〇〇%出資している一〇〇%の株主なんだから、役員から営業方針からすべてを支配するということになると、今申し上げたようなことになる可能性もある。
 役所としては、行政指導でどうだこうだとおっしゃるんですが、先ほど申し上げたことと同じことを申し上げて恐縮ですけれども、行政指導で事を解決しようということではなくして、規範としてそういう事態が起こらないようなことを考えるべきではなかろうかということを申し上げているわけです。結局、お役所の立場とそれからここにある一つの保険業法という法律を客観的にどう見るかという立場の相違なんですけれども、まあ一生懸命頑張ってやってもらうよりしようがありませんね。
 次に、一社専属制についてお伺いします。時間が大分過ぎてしまったんで、私は一社専属制の問題については一点だけお伺いしておきたいと思います。
 生保会社において一社専属制をとることが必要だと仮定した場合においても、なぜ一社専属制というふうなことを法的規制の枠内に取り込む必要があるんだろうかということが疑問なんです。
 要するに、生保会社においていろいろ社員教育から、うちの商品をよく勉強してもらってどうだこうだという意味において一社専属制というものが必要だということがあったとしても、それは何も法律の条文の中に書く必要はないんじゃなかろうか。なぜかといえば、それは生保会社と募集人との間の雇用契約なり、あるいは募集という契約締結媒企業を委任するといういわゆる準委任契約と考えてみた場合であっても、その契約の中の条項としてうちの仕事だけだよということを契約内容に盛り込めばいいことなんであって、それを何で法的に一社専属制だ、どうだこうだなんということを法規の中に入れる必要があるんだろうかということについて御質問します。
#70
○政府委員(山口公生君) 先生の御指摘は大変筋の通った議論だと私も思うわけでございますが、ただ、この一社専属制につきましてはかなり歴史的な経緯がございまして、昭和二十年代の前期に大変な、新契約第一主義と呼ばれたような、特に外地から引き揚げた方々を大量に採用して募集競争が非常に激化しまして、募集混乱と言われたぐらいでございます。それを受けまして、昭和二十三年にいわゆる命の募取法ができたわけでございますが、そのときに一社専属制というのを法定化させていただいたわけでございます。
 その後、やはり生命保険における募集というものが一社専属制でもってきちんと教育あるいは質の向上を図らないと絶えず混乱のおそれがあるということで、これをずっと維持してまいったわけでございます。
 法律上に規定しますと、一社専属制に違反したような場合には法律違反になりますので、登録を取り消すなどの措置がとれるわけでございまして、そういう意味で適正な保険募集をより強固に確保できる、こういう違いがあるわけでございます。
#71
○猪熊重二君 第三分野に関する質問をしようと思いましたけれども、それはちょっと時間の関係で割愛します。
 それから次に、商品、保険料率の自由化の問題に関して、これも質問項目をいろいろ申し上げておきましたけれども、簡単に質問させていただきます。
 私は、保険会社はいわゆる自由経済市場における一つの企業体として商品を自由に設定し、またその商品の代価も自由に設定できるということが原則であるべきだろうと思うんです。要するに、どのような種類の保険、すなわち保険会社にとっては商品ですけれども、どのような種類の保険を保険料すなわち代価を幾らにして売り出すか、これは保険会社の自由であるのが原則だと思いますが、この自由経済市場における自由な商品の設定あるいは代価の設定ということに関して大蔵省としてはどういうふうに考えていますか。
#72
○政府委員(山口公生君) 確かに一般論で申し上げれば、自由経済市場においては自由な価格メカニズムのもとで自由な商品設計、自由な料率設定ということで資源の望ましい配分か達成されると、先生のおっしゃるとおりでございますが、ただ保険につきましては若干他の商品と違った特性かございまして、非常に契約者を害するおそれが含まれております。
 三点ばかり申し上げますと、一つは、保険契約は大変複雑なものでございまして、不当な免責などがもし一項目でも入っていますと、そのチェックを怠りますと大変契約者の方に御迷惑をかけてしまうということで、非常に複雑な約款から成り立っているということ。
 二つ目に、コストの事後確定性と申し上げましょうか、契約をいただくときに、どういうふうな保険金の支払いになるか、あるいはいつ保険金の支払いがあるかというのが未確定なわけでございます。したがって、安くしようと思えば物すごくダンピングもできる。ただ、ダンピングして非常に損をしますと今度は急激にまた料率を引き上げるという、アメリカの例でも御紹介しましたような実例がしばしば起こるわけでございます。
 それから三番目に、自由にしますと保険会社にも自由にお客さんを選ばせていいかという問題になるわけでございます。そこは法律的にどうこうという問題ではなくて、やはり社会的な存命として保険会社がその意義を有しているわけでございますので、いわゆる引き受け拒否というようなものが横行するような自由度というのは余りにも現実からして問題ではないかというふうに思うわけでございます。
 そういったことから、やはり契約者の立場からのある程度の規制というのは残していかざるを得ないのではないかというふうに私どもは思っているわけでございます。
#73
○猪熊重二君 結局、今おっしゃられたような意味における規制が現行法もしくは改正法における規制なんだというふうにお考えなんでしょうけれども、この一つ一つの項目について規制あるいは制約の合理性というか妥当性というか、そういうことについては私もまだそんなに勉強してはおりませんからわかりません。
 いずれにせよ、商品、保険料卒の設定の当初の段階においていかに行政が関与したとしても、保険会社の一年間のすべての業務運営に関与するわけじゃないんだし、いわんや資産運用の適否について、当不当について行政が関与するわけじゃないんだ。そういうことから見れば、商品と代価の決定に何がしか行政が関与する、せめてそれだけでも必要なんだという立論もあるだろう。逆に言えば、そんなことだけやったって、あと一年間ずっとやっているんだから、極端に言えば好き勝手というか、それは企業は一生懸命ですよ、一生懸命やっているけれども、それに対して一から十まで関与しているわけじゃないんだから、入り口だけいろいろ関与してみたってしょうがないじゃないかというふうな意見もある。規制緩和、自由市場原理という点から考えて、もう少し今後またいろいろ私も勉強するし検討もさせていただきたいと思います。
 次に、強制締約のことについてお伺いします。
 現行法及び改正法のもとにおいて、保険会社は保険契約者の契約申し込みに対し承諾すべき義務はないんだろうと思うんです。しかし、保険会社が今私が申し上げたような意味において全く自由主義経済原理に従って運営しているならともかく、事業そのものが免許事業であり、また今申し上げたような商品代価の決定においても行政の各種規制がある。この規制というのは、ある意味においては業界の競争を制限するという意味において業界保護になっているわけです。
 ですから、免許事業であり、結果的に業界保護の各種規制を受けているんだから、保険会社に対し保険契約者からの申し込みに対する受諾義務を認めても支障はないし妥当じゃないかと私は思うんですが、その辺についての御意見はいかがですか。
#74
○政府委員(山口公生君) 現行法及び改正法におきまして、いわゆる保険会社に承諾義務を課しているものは自賠責保険だけでございます。これは御承知のように、この保険が被害者救済の観点からすべての自動車について漏れなく付されなければならないということになるわけでございますので、そういったことからの帰結でございます。
 先生がおっしゃいましたように、いろいろな規制がある以上は保険会社に受諾義務を課してもいいではないかという御意見でございますけれども、現実に保険会社は生保も損保も社会的な役割というのを非常に自覚しておりまして、現在のところいわゆる引き受け拒否のような事象は見当たりませんので、特段法律できつく練らなくても社会的な要請にはこたえられているわけでございます。よほど社会的な混乱が生まれれば別でございますが、一応民間の保険会社とお客様との私契約でございますので、これに一挙に強い公的な義務というものを課していくということについては慎重に考えた方がいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 しかし、先生がおっしゃいましたように、保険会社がそういった社会的な役割を果たしていることは、絶えず、そういった引き受けを拒否したりしないということで各社が守っていただきたいというふうに思っているわけでございます。
#75
○猪熊重二君 自賠責の場合に保険締結が強制されるのは、結局、自賠責保険の最後の帳じりは政府にあるから、保険会社に損得の最終帳じりをおっつけていないから保険契約の強制締結を課しても別に問題ないという観点からすれば、一般の損保・生保会社に契約締結義務を課すというのは、それはちょっと行き過ぎかもしれぬということももちろん考えられるんですが、部長よく考えていただきたいのは、規制というのは、何か非常に面倒くさくてお仕着せがあって大変だというのが規制なんですけれども、既存業界にとっては規制というのは業界保護にほとんど直結するということもまた考えておいていただきたい
 今、御答弁にあったように、日本の現状において締約拒絶ということの事態はそうないし、法的規制の必要がない、だからその条項をあえて取り上げる必要もないというふうなことは、なるほどそうかなと思います。だが、そういうふうな事態があるとすれば、私は法的には締約義務を課しても別に不出なことしゃなかろう、こう考えていることだけ申し上げておきます、
 次に、何か落ち穂拾いみたいにあっちの項目こっちの項目で申しわけないんだけれども、ソルベンシーマージンについてちょっとお伺いしておきます。
 このソルベンシーマージンの基準を、法律でもないし政令でもなく、待命としたことの理由をお伺いします。
#76
○政府委員(山口公生君) ソルベンシーマージンの具体的な基準は非常に細目に係る事項でございまして、大変技術的なものでございます、したがいまして、法制上、省令でもって規定させていただきたいというふうに思っておるわけでございます。
#77
○猪熊重二君 これも一昨日に楢崎先生からいろいろ細かく質問があって、ソルベンシーマージンの基準は省令で公表する、この基準によって各保険会社について算出した数値については公表しないと、こういうふうな大蔵省の方針というかお考えがこの前述べられたわけです。しかし、大蔵省が、行政がこの基準によって得た数値を行政だけが持っていて、何でその持っている情報を国民には示さないのか。行政だけが持っていて国民には公開しないということの合理性、妥当性はどこにありますか。
#78
○政府委員(山口公生君) このソルベンシーマージン基準は、今回新しく入れさせていただきたいということでお願い申し上げている事項でございまして、今試行でいろいろテストをやらせていただいております。それで、どのケースをどういうふうに扱ったらいいかという検証をやっておる段階でございます、
 これが法律の施行後、届け出、私どもに御報告いただくことになるわけですが、各社の比率を仮に公表するということになりますと、この比率自身の大小が会社の経営の優劣そのものだというように契約者の方々に見られてしまうおそれが非常に強いわけでございます。そうしますと、比率の小さい会社から大きな会社へ契約のシフトが生じてしまう。比率の小さな会社は、ほかの面では大変立派な経営をしていろんな努力をされているのに、営業面で思わぬ不利を生ずるということになるわけでございます。
 相互会社の例でいいますと、もともと相互会社は社内にそういう内部留保を持たないという前提で運用してきた存在でありますから、最初からソルベンシーマージンが高いということはないわけでございます。むしろ、高いということは社外流出をとめておったという見方すらあるかもしれぬ。したがって、今高ければ高いほどいいという判断もできないわけでございまして、むしろソルベンシーマージン基準が傾向的に下がっていかないか、あるいはきちんと改善しているかというような面で見ていただければいいわけでございますが、ともすれば営業の第一線で、高い会社がいい会社、低い会社は悪い会社、危ない会社というふうに決めつけられてしまうということになりますと、私どもの意図しているところとは全く違った結果になってしまうわけでございます。
 したがいまして、当面そういった各社の比率を開示していくということは差し控えさせていただきたいと思っておりますけれども、じゃ一切そういうことをしないのかということになりますと、この比率を、ソルベンシーマージン基準の定着をよく見ながら、また私が御説明申し上げたような誤解が生じないような環境を確認しながら判断させていただきたいというふうに思っておるわけでございます。
#79
○猪熊重二君 嫌みを言うわけじゃないけれども、あなたの答弁は、国民が誤解するかもしれぬと、こうおっしゃるわけです。いい言葉で言うと誤解と言うけれども、悪い言葉で言えば国民にソルベンシーマージンの数値を教えても正当な内容を理解できない、だから国民には教えぬ方がよろしいということと裏腹のお考えじゃなかろうか。そうじゃなくて、保険会社自体の企業秘密的な意味において公表は支障があるというような理由ならまだそれなりに私にも理解できるけれども、今のような御答弁だと、この数値を出しても国民はきちんと数値の持つ意味を理解する知識も能力もないから、国民が間違って理解するからやめておけというふうなことは、情報公開全般に通ずる考え方の問題として余り適切じゃないんじゃなかろうかと私は思うことをひとつ、嫌みじゃないけれども申し上げておきますよ。
 私が聞きたいのは、もしそんなふうな取り扱いをするんだとしたら、なぜこのソルベンシーマージンの基準がどうだこうだということを法律に書く必要があるんだろうか。今あなたがおっしゃったような、いろんな資料を保険会社から提出させて、それでいろいろ計算してみて、あなたのところは一〇〇%、あなたのところは二〇〇%、それは人には言わぬけれども私だけはわかっているというんだったら、今の一般的な大蔵行政の中において、保険会社に対する一般業務報告を提出させて得られる数値で十分にできるんじゃないか。なぜこんな法文をわざわざつくる必要があるのかということについてお伺いします。
#80
○政府委員(山口公生君) 法律第百三十条にソルベンシーマージン基準に関する規定を置かせていただいておりますが、これは一般監督権の一つでございまして、書かせていただいている理由は、保険会社の経営の早期の事前チェックを行うために設けたものであるということ、行政の透明性の観点から保険会社がみずから作成する業務改善計画の提出を求めることかできることを明確にしたものであること、それから個別の規制を極力排除して保険会社の経営全体の健全性を維持するためのものといった点から特別に規定させていただいているわけでございます。
 百三十条をお読みいただきますと、このソルベンシーマージン基準その他財産状況をもろもろ勘案し、会社に対して措置を講ずべき事項及び期限を示して、経営の健全性を確保するための改善計画の提出を求めるというふうに、そういったソルベンシーマージン基準と改善計画の提出を求めるということとをリンクしてわざわざ書かせていただいたということで、明確にさせていただいたという趣旨でございます。もちろん、先生がおっしゃるように、一般監督権限の中に入っているじゃないかとおっしゃれば、それは入ってございます。ただ、わざわざ行政もこういった指針でやるからということで明確にさせていただいたという趣旨でございます。
#81
○猪熊重二君 よくわからぬ、何のために必要なのか。保険会社に対するこけおどしのために必要なのかいなとも思うけれども、今の答弁ではちょっとよくわかりませんわ。
 ブローカー制度についてもお伺いするように申し上げておいたけれども、これはちょっと省略します。
 保険契約者保護基金について、最後の項目としてお伺いします。
 これも私の質問は非常にへそ曲がりかもしれませんけれども、この保護基金は生命保険会社、損害保険会社がそれぞれ設立することが予定されている。この法人の設立は、保険業法上は任意であって、法的に強制されているものではない。任意であるとすれば、それぞれの業界がやめておこうといったらつくらなくてもいいのか、つくらぬときにどうするんだ。仮にそれをつくったとしても、その保護基金に加入するかしないかはそれぞれの個々の保険会社の任意であると思うんですが、任意であったら入った人と入らない人とのいろんな問題が出てくるんだろうけれども、この辺についてどのようにお考えなんでしょうか。
#82
○政府委員(山口公生君) 御指摘のように、この保護基金は任意の制度でございます。現在、生命保険協会及び損害保険協会において既に当該基金の設立について具体的な検討が始まっております。したがいまして、基金が設立されないという懸念はないものと考えておりまして、当局としましても基金の早期設立に向けていろいろ御協力を申し上げたいというふうに思っているわけでございます、
 各保険会社にとっての問題のお尋ねでございますけれども、もちろん形式的には任意でございまして、入っても入らなくてもいいということになるわけでございますが、保険会社が基金に加入しているか否かについては、事業参加者、つまり基金に入る方々の名簿が大蔵省に届け出になられると同時に公衆に縦覧されることになっておりますので、契約者はその保険会社が基金へ入っているか入っていないかを知ることができるわけでございます。したがって、保険会社としてはそのメリット、デメリットを踏まえて御判断されるわけでございます。
 また、基金への加入につきましては、募集の際にパンフレットに基金に加入していることを記載しても差し支えないということも考えられると思います。ただ、これを理由に募集をやるというのはいささか問題だと思いますが、それをお客さんの方に自分の会社は基金に入っているということを知らしめるということだけであれば、そういうこともあり得るのではないかというふうに考えております。
 そういったことを考えまして、各社ともにできるだけこの基金に入っていただくように、業界も努力しておりますし、私どもも側面から御協力を申し上げたいというふうに思っているわけでございます。
#83
○猪熊重二君 なるべく通達だとか行政指導だとか、そういうふうな行政の任意的、裁量的な行為によって物事が決められるのではなくして、法律、命令、省令、規則、きちんとした規範によって行政が透明化され、明確化されて運用されていくような方向に行くべきだというふうに私は考えます。
 最後の質問として、この保険契約者保護基金が実質的に個々の保険契約者に対する直接的な何らの保護基金ではないということを前提にした上で、せめて現在いろいろ問題になっている二信用組合問題の際に大いに皆さんから議論の対象になった金融市場における預金保険機構のような保険契約者に対する直接的な保護対策、保護施策を持った機構をなるべく早い段階に考えるべきだと思いますが、これはもう私の質問の最後だから大臣にお答えいただいて質問を終わりたいと思います。
 要するに、預金保険機構みたいな類似のものを早急に検討して、一千万の火災保険を掛けて取りっぱぐれたとか、一生懸命二十五年も保険料を掛けて取りっぱぐれたとかいうことのないような意味における、個々の保険契約者の損失を実質的に補てんできるような意味での機構を早急に御検討いただいたらと、このように思います。それについての大臣の答弁をいただいて終わります。
#84
○国務大臣(武村正義君) 目下、二つの信用組合で預金保険機構の重要性を認識しながら、さらにこれの改善も検討していかなければならないと思っているところでございます。そういうときに保険業法の改正を提案いたしておりまして、今の御指摘はそういう意味でこの保護基金だけでは不十分ではないかという御認識が前提にあるわけでございますが、私どももまずはこういう形で出発をさせていただく。
   〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
しかし、今後新法の施行の状況を見ながら、おっしゃるような契約者保護にかかわるシステムにつきましても、さらに前向きに検討をさせていただきたいというふうに考えております。
#85
○吉岡吉典君 二十二日の質問に続いて、まず変額保険にかかわる問題からお伺いします。
 変額保険については、二十三日にも言いましたけれども、全国で三百件以上の訴訟が起こって今大問題になっている保険であります。
 資料をお配りいたしますけれども、変額保険被害者の会というところからこういうパンフレットも出て、「自殺者まで出た、大手銀行と生命保険会社の横暴を許せない」と訴え、このパンフの裏を見てもらうとわかりますけれども、「私たちは、アピールします。」というので三点の要求を掲げて今運動を続けられている問題であります。
 きょうの審議は保険業法改正にかかわる審議ですので、私はこの事件に立ち至って事件の問題をここで審議しようとは思いませんけれども、ただ、こういう自殺者まで出ているという大問題でありますので、私はこの場をかりて一つだけ大臣及び保険部長にもお願いしておきたいんです。
 被害者の会からこんな膨大な手記が出ております。この冒頭を読みますと、書きつつ泣き、読み返しまた泣きましたと、涙ながらに書いた手記だということが書かれております。これを私は本当を言ったら全部読んでいただきたいんですけれども、余りにも膨大ですから要約したものを大臣と部長に後でお渡しして、ぜひ読んでいただきたいということを最初に提起しておきたいと思います。
 そういう上で、私は保険の制度にかかわる問題として質問していくわけですが、この変額保険の募集に当たって募取法及び大蔵省の通達ではどういうことを禁止しているか、これちょっと最初に説明をお願いします。あわせて、罰則も述べてもらいたいと思います。
#86
○政府委員(山口公生君) お答え申し上げます。
 現行の保険募集の取締に関する法律におきましては、第十五条に募集文書図画の記載に関する禁止条項がございます。第十六条に保険契約の締結または募集に関する禁止行為が規定されております。
 順次御説明申し上げますと、第十五条第二項には、「募集文書図画には、保険会社の将来における利益の配当又は剰余金の分配についての予想に関する事項を記載してはならない。」と規定されております。また、同条第三項には、将来の利益の配当または剰余金の分配についての予想に関する事項を放送、映画、演説その他の方法により、募集のためまたは募集を容易ならしめるために不特定の者に知らせる場合にも第二項の規定を準用する旨の規定がございます、
 第十六条第一項には、生命保険募集人が募集に関して行ってはならない行為といたしまして、
 一 保険契約者又は被保険者に対して、不実のことを告げ、若しくは保険契約の契約条項の一部につき比較した事項を告げ、又は保険契約の契約条項のうち重要な事項を告げない行為
 二 保険契約者又は被保険者が保険会社に対して重要な事実を告げるのを妨げ、又は告げないことをすすめる行為
 三 保険契約者又は被保険者が保険会社に対して重要な事項につき不実のことを告げることをすすめる行為
 四 保険契約者又は被保険者に対して特別の利益の提供を約し、又は保険料の割引、割戻その他特別の利益を提供する行為
 五 保険契約者又は被保険者に対して、既に成立している保険契約を不当に消滅させることにより新たな保険契約の申込をさせ、若しくは新たな保険契約の申込をさせることにより既存保険契約を不当に消滅させ、若しくは既存保険契約を不当に消滅させ、若しくは不当に保険契約の申込をさせ、又はこれらのことをすすめる行為を規定しております。
 なお、通達による規制でございますが、昭和六十一年七月十日付の「変額保険募集上の留意事項について」という通達におきまして、保険募集の取締に関する法律の趣旨を踏まえ、変額保険募集上の禁止行為としまして三点ばかり挙げております。「将来の運用成績についての断定的判断を提供する行為」、「特別勘定運用成績について、募集人が恣意に過去の特定期間をとりあげ、それによって将来を予測する行為」、「保険金額(死亡保険金の場合には最低保証を上回る金額)あるいは解約返戻金額を保証する行為」を禁止行為として規定してございます。
 なお、お尋ねの罰則規定でございますが、保険募集の取締に関する法律第二十二条に、先ほど御説明しました第十五条、第十六条の規定に違反した者については「一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。」との規定が設けられております。
 また、同法第二十条第一項に「違法行為に対する措置」として、大蔵大臣は、生命保険募集人がこの法律に違反したなどと認めるときは、「期間を指定してその業務の停止を命じ、又はその登録の取消の処分をなすことができる。」と規定されております。
 以上でございます。
#87
○吉岡吉典君 懲役一年ということになりかねない、いろいろ募集上の規定があります。法律の文章というのはなかなか難しいものでして、具体的に少し、こういう説明をしていいかどうかということでお伺いしたいと思います。
 仮に、私がこれから保険の募集員になろう、あるいは代理店でも経営してやろうとするときに、どういう説明をしたら一番契約がとれそうかというところで、いろいろな文書を読んでみて研究すると、一つ私は思いつきました。
 保険料を一銭も払わずに高額の相続税対策資金が準備できる相続対策プランが開発されました、それが変額保険です。変額保険の具体的効果として、将来必ずかかる相続税の納税資源の準備ができます。二つ目の効果として、将来の相続財産の評価額が下がります。三つ目の効果として、相続財産評価額と実際の財産価値との間に含み益ができます。相続税支払い後も残りの財産が無償でふえ続けます。こういう説明をして募集に当たってみたらどうだろうかなと私は研究して思いつきましたが、こういう説明はさっきの募取法の規定あるいは大蔵省の通達に照らして構わないのか。もしまずいとすれば、どういう点がまずいのか教えてください。
#88
○政府委員(山口公生君) 今、先生がお話しになりました点について、私も今ちょっと聞いたばかりでどういうふうに判断していいかなかなか難しいわけでございますが、結局そういった説明をほかの変額保険の商品の特徴といいましょうか、そういったものとどういうふうに組み合わせて説明をしているのかというところにかかるのではないか。一般的に相続税対策でこういったものがありますという説明をすること自体を違法だと言うわけにはいかぬと思うのでございますけれども、そういうことと、じゃ変額保険とはどういうものなのか、あるいはどういうリスクがあるのかというようなことをあわせ説明しておれば、そこは問題がむしろ少なくなるというようなことだろうと思うわけでございます。
 だから、今先生のおっしゃったものがどういうふうな使われ方をするのか、あるいはどういった文脈の中で使われるか、そういったものでやっぱり判断していくべきものだろうと思うのでございますが、いずれにせよ誤解を与えるようなことをしてはならないことは当たり前でございまして、私が先ほど御紹介したような通達の趣旨に沿った募集でなければならないことは当然だと思っております。
#89
○吉岡吉典君 これは私が思いついてやろうという場合に、的確な助言をしてもらわないと私は懲役一年になりますからね。ですから、いいですか、確実に相続税の納税資源の準備ができます、これは構わないですか。将来必ず、こういう説明をしていいですか。
#90
○政府委員(山口公生君) 今、先生のおっしゃいました文言の意味というのがどういうふうに解釈していいのかちょっと離しい、また、お客様の方でそれぞれのシチュエーションがありまして、非常にお金持ちの方で相続に悩んでおられる方が受けるときの印象と余り相続財産もなくて心配していないような方々が受ける印象というのは大分違うでしょうし、御高齢の方が受ける印象とそうでない人が受ける印象と違うので、やっぱりそれはちょっと区々ではないかというふうに思うわけでございます、
#91
○吉岡吉典君 はっきりしてもらわないと、僕は懲役一年になりますからね。いいんですか、どうですか。必ずこうなるんだというふうな説明も場合によってはあり得るんですか。
#92
○政府委員(山口公生君) 懲役一年、罰金一万円以下となるケースはすべて全部の、どういう説明があったか、あるいはどういう契約になったか、それがどういうふうに最後の決着になったかというふうなすべての事実関係が明らかになった時点での判断でございまして、ある意味では募集の殺し文句になったかもしれませんが、その言葉だけで懲役問題が出てくるわけではございません。
#93
○吉岡吉典君 こんな押し問答をしていてもあれですけれども、どうして大蔵省はこういうことに答えができないんですか。こういう殺し文句での募集で実際契約してみたら大変な事態になって、さっき申し上げましたこういう手記になっているわけですよ。それで、私は今こういうのが一番被害者がひっかかった言葉だというふうに思って、私の言葉として読み上げたんです。
 こういう文書を持って契約に歩いているんですよ。これは幾つかの募集員が置いていった説明資料ですけれども、あなた方、どういう説明資料でやって歩いているか、こういう説明の資料というのは集めておられますか、お持ちになっていますか。
#94
○政府委員(山口公生君) そのパンフレット等を全部収集しているわけではございませんが、私どもは変額保険の発売に当たりまして各社に通達を出し、十分その辺を徹底するように指導してきたところでございます、
#95
○吉岡吉典君 例えば、私はここに四種類持っていますが、リスクについて書いたものは一つもないんですよ。何でこんなものを置いていったのかもわかりません。私も保険にかかわっていたことがあるけれども、こんなものは絶対置いてくるなというのが保険会社の指導であったんですが、置いて帰るのがいるから相当間抜けな人がいるのか、時代が変わったのか知りませんけれどもね。リスクなんか一言も書いていないんですよ。そして、保険料を一銭も払わずに高額の相続税対策ができるとでっかい字でうたい文句に掲げている。そして、こういう被害者が出て三百件の訴訟か起こっているという状況です。
 こういうことが起こりかわないということを大蔵省はこの変額保険を始めるときに実際は心配していたんでしょう。だから、いろいろ通達でも細かく出していたわけでしょう。それはどうですか。
#96
○政府委員(山口公生君) この変額保険につきましては、ハイリスク・ハイリターンの商品だということで、その販売に当たりまして大蔵省から通達を出して、先ほど御紹介申し上げた六十一年七月十日付の「留意事項について」ということで徹底を図ったということでございます。
#97
○吉岡吉典君 あなた方はこれを導入したときに銀行局保険部長の名前で出した文書の中でこう言っていますよね。「もし、正確な理解がないままに顧客に変額保険を売り込むようなことになると、その後において思わぬトラブルが発生し、変額保険のイメージ、ひいては生命保険そのものの信頼に悪影響を及ぼすおそれ」がありますと。
 これはそういう危険を持った保険だと。だから通達を出したりしなくちゃならなかった。その後も何回も通達を出していましたね。何回ぐらい出していますか。
#98
○政府委員(山口公生君) 六十一年の通達を御紹介しましたが、その後にローンに関する、結局変額保険とローンを組み合わせたようなものが問題になっておりましたので、それに対する通達をまた出しております。
#99
○吉岡吉典君 あなた方は、関係者に対しては口頭通達とか次々出したということを説明しておられます。私もその資料を持っていますけれども、ここであれしません。
 そういうふうに大変なことになりかねないということを言った上で承認されたのが変額保険。後で繰り返し繰り返し通達を出さなくちゃならないということは、私はやっぱりこの変額保険というものが、そういう説明の仕方だけじゃなくて、保険そのものの中に問題を内在していたと思います。
 私は具体的にもう一点お伺いしておきますけれども、銀行員が保険の募集はできますか。
#100
○政府委員(山口公生君) 銀行員は保険の募集はできません。
#101
○吉岡吉典君 この保険の特徴は銀行が主体になっていることですね。銀行員が事実上募集に当たっている。社内でこういう指導までやっているそうですよ。銀行員か保険の契約を行うことはできないので、最後は保険会社を連れていって契約をやれと、そういう内部指導をやっているそうです。だから、実際は銀行がやっている。銀行と保険会社が、このパンフレットにもあるように、一緒になってやっている保険ですね。
 そういうさまざまな問題になることをやりながら、大下の大問題になるような事態を引き起こしたこの変額保険について、いろいろな実態というのをどの程度調査なさっているか、あるいはもうこのままで何も問題ないからやっていくのか。これはやはりいろいろ改善を図らなくちゃいかぬ問題があるか、あるいは再検討しなくちゃいかぬ問題があるか等々、大蔵省がこの問題について何ら調査も検討もなさっていないということではないと思いますので、現在の時点でのこの問題についての考え方を示してください。
#102
○政府委員(山口公生君) まず、変額保険の商品性の問題でございますが、これは欧米各国で既に販売されております保険商品でございまして、消費者の金利選好の高まり、生存保障ニーズの増大を背景として六十一年十月から販売されたわけでございます。
 これは仕組みとしましては、死亡した場合に一定額の基本保険金額を最低保証することに加えまして、一部保険金額を運用実績に基づいて変動させるという保険が特色なわけでございます。だから、通常の定額とは違ったそこにはハイリスク・ハイリターンとしての性格があるわけでございます。
 したがいまして、商品の販売に当たりまして、契約者にその点を十分に説明してお売りするのであれば、契約者との間で無用のトラブルも生じないものでございまして、商品性そのものが問題であるというのは当たらないのではないかと思うわけでございます。問題は、具体的に今先生もいろいろ御指摘いただきましたように、その変額保険の募集の際にどういう説明をし、どういう理解を得ながら販売をしたのかというところが問題になるわけでございます。
 大蔵省としても、通達を出し、きちんとその辺のハイリスク・ハイリターンの性格を説明するようにという指導をしてまいったわけですか、しゃ現実にそれがどう行われたかというところが問題であります。となりますと、具体的、個々の事案で問題になってくるわけでございます。
 今、かなり多くの、訴訟になっておりまして、裁判でも何件か結果が出ておりまして、ことしの三月末現在で地裁での判決が十件、高裁での判決が二件既に出ております。
 この地裁判決十件のうち七件が生保会社から見ての勝訴、原告から見ての敗訴というふうになっております。二件が生保側にとっての一部敗訴、原告側にとっての一部勝訴。それから、一件が生保側の敗訴で原告側の勝訴と、こういうふうになっております。高裁に上がりました二件は、いずれも生命保険側にとっての勝訴で、原告側の敗訴となっております。そのうち一件は、地裁の先ほど申し上げた一部敗訴が逆転している、生保側から見て勝訴というふうになっております。
 個々のケースを見ますと、判決の内容等をつぶさに見ていきますと、おおよそ原告側の主張は、変額保険である旨の説明がなかった、定額の養老保険だと思って入ったというような主張をなさるケースもあるわけでございます。それに対して被告側の保険会社は、いや、設計書などを渡して、そこにはっきりと変額保険だと、変わりますよという説明をして、明記もされているというようなことで、このケースにおいては保険会社が全面的な勝訴になっているわけでございます。
 いずれにせよ、その場でどういう書類をもってどういう説明をしたのか、それからどういうふうにそれが受け取られたのかというような事実の認定の問題が決め手でございまして、これからかなり裁判の結果が出てくると思うのでございますが、私どもとしましては、行政で一律云々という問題より、個々のケースでどういう具体的な例がこれから類型的に出てくるだろうかということを見させていただく必要があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#103
○吉岡吉典君 私は裁判の見通しのことを聞いているわけじゃないんです。この委員会での部長の答弁だと、私はこういうことがもっと起こるようになると思いますよ。
 というのは、私はリスクについて一言も触れない文書、これでもいいのかと言ったら、それはだめだとあなたは断定的に言わないんですよ。状況いかん、状況を見なくちゃいかぬと。通達にはリスクについて述べなきゃいかぬと書いてありますよ。実際現場で、私自身が仮に募集に当たってリスクに一言も触れないで、将来必ずと言ってもいいのかということも聞きましたよ。必ず、うまい話だと、こういう説明をしてもいいのかと。これも状況いかんだということですよね。私がなぜそういうことを言うかというと、リスクについても触れているけれども相手が気がつかなかったという文書ならまだしも、リスクについて一言も書いていない文書が私が持っているだけでも四種類あるわけですからね。
 だから、それはまずいということがない、答弁がここで終わりということになれば、ああ大体、文書はこれでも口頭で言いましたと言い逃れをやればいいなということをあなたはここで示したことになりますよ。それでいいんですか。これは大臣も含めて、通達どおりの、リスクについて触れていない文書なんというのはそれはだめだということを言わなければ、被害者はもっともっとふえますよ、泣く人がもっと出ますよ、いいんですか、それで。
#104
○政府委員(山口公生君) 私が申し上げていますのは、通達はもちろん守っていただく必要があるわけでございます。それで、先ほど先生のお尋ねの、将来必ずというような文言を一言おっしゃいましたが、それだけで判断するというのはそれは難しいですよということでございます。その説明と一緒にリスクについてのちゃんと説明もあればそれは問題がなくなるということを申し上げているわけでございまして、ハイリスク・ハイリターンだということを説明しなくていいと言っているわけではもちろんございません。
 私どもが出しております通達があるわけでございまして、具体的に申し上げますと「将来の運用成績についての断定的判断を提供する行為」、「特別勘定運用成績について、募集人が懇意に過去の特定期間をとりあげ、それによって将来を予測する行為」、「保険金額一死亡保険金の場合には最低保証を上回る金額一あるいは解約返戻金額を保証する行為」、これは禁止するということがありまして、これはきちんと守ってもらわなきゃいけないわけでございます。そういうことは前提として申し上げているわけでございます。
#105
○吉岡吉典君 通達が問題だと言っているわけじゃないですよ。実際にこういう文書を持って歩いているわけです。その文書はリスクが一言も書いてないんだよ。リスクについて触れない文書はどういう文書であれだめだということがなぜ言えないんですか、大蔵大臣に求めましょう。通達、それから募取法どおりの文書でなきゃいかぬと。そうでない文書があってもいいと言うんですか、なぜそれが言えないのか。大問題だ。
#106
○国務大臣(武村正義君) 危険の大きい商品の販売に当たりましては、契約者への十分かつ適切な説明と適切なディスクロージャーに努めていくことが大事であります。そして、契約者との間で無用のトラブルが生じないようにしなければいけない。そういう姿勢で今後とも生保業界の指導をしてまいりたいというふうに考えます」
#107
○吉岡吉典君 私は、これで時間とって次に予定していた質問ができなくなっちゃいましたけれども、二十三日に続いてきょうも言いたかったのは、保険業法の改正に当たっては何よりも契約者保護、利用者へのサービスということを基本にしなくちゃいかぬし、そのためには利用者の声、またトラブルか起こっているとすればそのトラブルの実態、原因をきちっと究明してもらわなくちゃいかぬ。通達がこうだということじゃないです。通達どおりに行われていない結果がこういう事態を引き起こしたんですよね。そこを突っ込んでもらわなくちゃいかぬ。
 それで、被害者はどういう宣伝を受けていたかといえば、繰り返すようですけれども、リスクなんか全然述べていない。これを読んでみますと、リスクがあることがわかっていればそんなもの入りませんよとみんな言っていますよ。まだ約款だってもらっていないんですよ。約款を渡さないで約款をもらったという判こを押されたというようなことから、その手口というのは大変なもので、それは募集員だけのものじゃない。会社の名前をはっきり書いた文書もあるわけですから、それは募集員個人の問題じゃないわけです。
 日本で保険といえば、まだ変額保険が常識的にリスクを伴うものだということが国民の間に定着していない時期に、こういうのが一斉にうまい言葉で売り出されたからこういう事態が起こったわけで、外国でもやられているという話がありましたけれども、果たしてそれが日本社会に適したものかどうかということの研究も含めてこういうものはやらなければ、またどういうふうに改善するか、継続するにしても今まで起こった中からのいろいろな教訓をまとめて、そしてこの保険業法の改正の中にでも生かしていただきたいということを私は言いたかったわけなんです。
 そういう点で、私は今度の保険業法の改正は契約者保護ではなく、やはり会社のための改正だというように思い続けていましたけれども、こんな文書を置いていても、それはもう文句なしにだめだと、リスクについて触れていない文書はだめだと断定的に蓄えないような大蔵省の態度では、これは本当に契約者は大変だし、そういうことをやっていたら日本の保険業の健全な発展もないと思いますよ。私は真剣に考えてもらいたい。
 時間が来ましたからやめますけれども、私はあなたにこの要約したのだけ読んでもらいたいと思っていたけれども、この大きいのを読んでもらわないとどうもわかっていただけないようですので、後からひとつよく読んでいただくように、大臣もぜひ読んでいただきたいと思います。
 最後に、私が今言ったようなことについて、総論的に大臣の所感をお伺いします。
#108
○国務大臣(武村正義君) 契約者保護は大変大事な視点でございます。いずれにしましても、今御指摘の具体的な変額保険をめぐるお話は、今後裁判の行方も十分参考にさせていただきながら大蔵省としては判断をさせていただきたいと思っております。
#109
○島袋宗康君 他の委員からもいろいろ御質問がありまして重複するかもしれませんが、よろしくお願いしたいと思います。
 法律案の第五条によりますと免許審査基準を定めておりますけれども、こうした基準を満たしてさえいればだれでも保険業の免許が取れる、こういうふうに解釈していいのか、あらゆる産業から保険業に参入することができるのかどうか、その辺についてお伺いします。
#110
○政府委員(山口公生君) お答え申し上げます。
 他の法令に違反しない限り、保険業法上は第五条に規定する免許審査基準を満たしておりますれば、一般事業法人が子会社方式で参入する場合も含めまして、保険業の免許を得ることができることと考えております。
#111
○島袋宗康君 「申請者が、その人的構成等に照らして、保険会社の業務を的確、公正かつ効率的に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であること。という文言がありますけれども、この規定がある限り、新規参入については事実上大蔵省が判断することと解釈されるわけでありますが、規制緩和が言われている今日、この条項は好ましいことではないというふうに思いますけれども、大蔵省としての考え方はどんなものですか。
#112
○政府委員(山口公生君) 保険業の公共性、専門性にかんがみまして免許制を採用させていただいておりますが、この観点から規定されております客観的な審査基準に基づきまして大蔵大臣がこの法律の枠組みの中で行ういわゆる覊束裁量でございまして、恣意的に決めるものではございませんので、そういった御懸念はないものと思っております。
#113
○島袋宗康君 恣意的に決められるものではないというふうなことでありますけれども、そういった審査会、認可をする場合の審査をするというふうないわゆるあれはあるんですか、機関は。
#114
○政府委員(山口公生君) この審査は、審査の考え方は法律に書いてございます。これを実態的に審査していくということでございますので、そういう書いてあること以外の理由でもって審査をするということではないという趣旨でございます。
#115
○島袋宗康君 免許基準の中に「保険契約者等の権利義務その他保険契約の内容が、保険契約者等にとって明確かつ平易に定められたものであること。」という規定がありますけれども、現状では契約内容が細かく、また小さな文字で記されているのが実態であります、
 実際、これをすべて読んで承知した上で契約するというふうなものではないと、これは高橋伸子参考人からもそういうふうな御指摘がありましたけれども、今後このようなものに対してどういうような指導をされるのか。
#116
○政府委員(山口公生君) 保険約款は、御承知のように保険契約の個別的事項につきましてできるだけ具体的にその内容を定め、両当事者の権利義務を明確に規定する必要があることから、その内容は複雑かつ長文のものになりやすい性格を持っておるわけでございます。各方面からこの約款の内容か難しくてまた字が小さいというような御指摘もしばしばお受けしているわけでございます。
 したがいまして、従来からこの保険約款については文言をできるだけ明確なものとするなど、わかりやすい約款となるよう努めますとともに、約款のうち特に重要な事項を抜粋した「ご契約のしおり」というものをつくっておりまして、これを配付して約款の重要事項の周知徹底を図っておるわけでございます。
 しかし、この「ご契約のしおり」というものにつきましても、当該保険種類に対して特に重要な事項の概要を解説したものでございまして、具体的な権利義務や手続ということになりますとどうしても保険約款に基づくものとなりますので、今後とも保険約款が理解しやすいものとなりますように、まず用語を平易化したりあるいは条項の配列に工夫を加えるなどできるだけ平明化に努めて、今まで以上に読みやすい約款になるように指導してまいりたいというふうに思っております。
#117
○島袋宗康君 今回の改正で、最低資本金を従来の三千万から十億円に引き上げるというふうなことになっておりますけれども、十億円に達していない会社はどのくらいか、何%ぐらいかお伺いします。
#118
○政府委員(山口公生君) 生保で申し上げますと、十億円に満たない会社は二十七社のうち二十社となっておりまして、全体の七四%でございます。損保について申し上げますと、十億円に満たない会社は二十六社のうち四社、全体の一五%が満たないという状況でございます。
#119
○島袋宗康君 そこで、五年間の経過措置を置いてありますけれども、これは非常に困難性が伴うのではないか。バブルが崩壊している現在の株主の多くは、非常にもう経営難というふうな状態になっていると思います。そういったOBやあるいは個人株主の場合、現在の十倍程度の増資ということになるわけでありますから、払い込みというものが五年間で果たして十分になされるかどうか。経過措置の中でやはりもっとそういった緩和措置とかいうのが必要ではないかというふうにも考えますけれども、それについてお伺いします。
#120
○政府委員(山口公生君) 五年の経過措置を設けさせていただいておりますが、これは各社の事情をお聞きして勘案した結果でございまして、中小の保険会社にとりましても五年で増額させることは十分可能ではないかというふうに考えております。そういうことで御努力を願いたいということでございます。それは、やはり財産的な基礎をしっかりしてもらわないと契約者保護に欠けるおそれがあるのではないかという趣旨からでございます。
#121
○島袋宗康君 十倍の出資というふうなことになりますから、五年という期間の中で、今部長はおっしゃいますけれども、やはりこの五年の経過措置というものが非常に不安でありますけれども、本当に大丈夫なのか、もう一遍確かめておきたいと思います、
#122
○政府委員(山口公生君) 資本の増資の方法としましては、現在の株主への割り当てによる増資のほか、第三者への割り当て、あるいは公募による増資の方法もあります。いろんな手段で各社、経営判断でもって御判断いただきながら、五年間の猶予の中で契約者に安心を与えるためにも十億円に引き上げをぜひやっていただきたいというふうに思っております。
 それでまた、そういうことが可能であるというふうにお聞きしたことから五年という経過期間を置かせていただいているわけでございます。
#123
○島袋宗康君 現在の総代会は実質上社員総会にかわるべきものとなっているようであります。もちろん相互会社の保険契約者が一堂に会することは不可能でありますから、総代会がそれにかわるべきものになる傾向がありますけれども、こうした現状を追認する形で法律上に総代会を規定すれば、社員総会はますます形骸化しないか懸念されるわけであります。
 監督官庁としては、今後社員総会というものの存在をどのように位置づけされるのか、また総会と総代会をどのように調和させるのか、御見解を賜りたいと思います。
#124
○政府委員(山口公生君) 社員総会は、社員の全員から構成される相互会社の議決機関でございますので、社員数が、けさほどの参考人質疑でもありましたけれども、昔と違いまして相当な数に増大をしてしまったわけでございます。その開催が実際上非常に困難になっておりまして、現在では総代会というものがもう事実上総会にかわるべき機関として設置され運営されておるわけでございます。
 今回の保険業法案におきましては、総代会につきまして社員総会にかわるべき機関として法律上明記させていただきました。それで、総代会にかかわる法律関係についても、少数社員権、少数社員総代権の法律関係を大幅に緩和させていただいたわけでございます。
 結局、現実問題として社員総会が非常に開催が難しいという事情から、この総代会をできるだけ社員の声といいましょうか、意思が反映されるように改善を図っていくということで、そういった努力を続けることで総代会の機能を総会にかわるべきものとして位置づけていくということになろうかと思うわけでございます。
#125
○島袋宗康君 今回、相互会社から株式会社への組織変更を認めることとしております。これで双方向での転換が認められたことになります。相互会社から株式会社への転換はどのような理由で改正されたのか、お伺いいたします。
#126
○政府委員(山口公生君) 戦後、特に生命保険会社が再建をするに当たりまして、GHQ等の意向もありまして、資本家のいない、つまり相互会社の方がより民主的ではないかというような感じもありまして相互会社という形の第二会社として出発した例が多くございました。そのため、現在、生命保険会社は相互会社形式をとっている会社が多うございます。大きな会社はほとんどそうでございます。ただ、現実に契約者の方が一千万人とかあるいはそれを上回るというようなことになってまいった場合には、法形式は相互会社であっても実態は株式会社の契約者と同じような関係に立つという実態上の問題があります。
 そうしてみますと、やはり相互会社として、資本も持たない、内部留保も原則としては分配してしまうという相互会社のプリミティブな基本理念でいっていますと、本来の契約者の保護ということが十分に図られるかという問題になるわけでございます。そこで、実際上株式会社的な運用がなされてきている以上は、できるだけそういった相互会社の理念を現実のものに合わせて考えていくということで株式会社的に運用するわけでございます。
 しかし、そこにはおのずと限界がございまして、相互会社である以上はもちろん資本金は持てないわけでございます。そうしますと、会社としては、場合によっては財産的基礎をより確実にするためには株式会社に移行した方がいいという判断をされる場合も出てくるわけでございます。そういったことから今回、今まで株式会社化の道が規定上なかったわけでございますが、これを規定しまして、そういったことを望む企業がありますればそれを可能にしていくということを図っているわけでございます。
#127
○島袋宗康君 はい、わかりました。
 法案の第九十九条において、法定他業として公共債ディーリングを認めることとしております。保険審議会答申においては、一つ目に、国債の窓販を行った顧客等からの売買ニーズに対応できること、二番目に、これまでの国債取引等のノウハウ、経営資源等を活用して、業務を適正に遂行し得るものと見込まれること、三番目に、証券取引法上、政令で定める金融機関が大蔵大臣の認可を受けて本体で行える証券業務とされていること等が法定他業を認める理由と考えられているようであります。
 今回これを認めたのは、どのような利点があると判断しておられるのか、またこの業務はすべての保険会社に認められるものか、限定するとすれば業務遂行能力はどのような基準に基づいて判断されているのか、お伺いいたします。
#128
○政府委員(山口公生君) 第九十九条におきまして法定他業として公共債ディーリングを認めた理由は、今先生の御指摘になったとおりでございます。法定他業でございますので、保険の引き受け等の業務の遂行を妨げない限度において行えることとさせていただいているわけでございます。
 公共債ディーリングを認める場合の認可の基準でございますけれども、現時点で考えておりますのは、ソルベンシーマージン基準などリスク対応体制がきちんと整備されていることや、当該業務の遂行能力を十分に有していることなどが主たる内容になろうかというふうに思っておるわけでございます、
#129
○島袋宗康君 今回の改正で保険契約者保護基金が設立され、生損保それぞれが基金を持つことかできることになっております、
 まず、生保業界が二千億円、損保業界が三百億円規模の基金とするとの報道がありますが、どの程度の金額にするかについて業界と大蔵省との間でそれぞれの立場で相談があったと思われますけれども、この数字の根拠、そして妥当性についてはどうお考えですか。
#130
○政府委員(山口公生君) 今、先生御指摘のように、生保の場合は二千億円、損保の場合は三百億円を一つのたたき台としてそれぞれの業界で御検討いただいておるわけでございますが、この考え方は、仮に例えば中規模程度の会社の資産が一割程度目減りした場合というようなことを想定しづつ、また各社が負担しますのでその負担能力なども勘案しながら御議論いただいているというふうに聞いておりまして、まあ妥当な線での御検討がなというふうに思っているわけでございます。
#131
○島袋宗康君 基金の資金的厚みを増すためには、今後すべての保険会社が参加することが望ましいと考えます。その場合、強制的加入まで考えておられるのか。また、今後海外から進出する外資系の生損保についても加入を強制されるのか、その辺についてお伺いします。
#132
○政府委員(山口公生君) 今回御審議を賜っております保護基金は民法三十四条法人のいわゆる公益法人でございまして、したがって両業界で行うこともできる形になっておりますので、形の上は任意でございます。
 できるだけ多くの会社が入るべく努力をさせていただいておるわけでございますが、仮に強制加入という形をとるといたしますと、法人の形式は少なくとも認可法人以上とする必要があるわけでございます。厳しい縛りというものを法律上書いたものになるわけでございます。そうした場合、行政改革の趣旨とのかかわりもございますし、また基金の組織や運営等が国の厳しい監督下に置かれるということもございます。そういうこともありまして、今回、他業態の相互援助制度も、しばしばお話が出ました預金保険機構を除けばすべて任意の形態をとっておりますので、今回はまずそうしたものをパラレルなものとして創設をお願い申し上げているわけでございます。
 さらに、強制性を持たせた支払い保証制度のようなものは、今後法律施行後早急に検討にかからせていただきたいと思っているわけでございます。
 さらにお尋ねの、外国の保険会社のお話でございますけれども、この保護基金に外国の保険会社であるからといって入れないということはございませんで、希望すればいつでも入れるという状況にしてございます。
#133
○島袋宗康君 海外から進出する企業についてもやっぱり国内と同じような取り扱いをするという意味ですか。
#134
○政府委員(山口公生君) 我が国の保険事業を行う保険会社としましては、同じような取り扱いをさせていただきたいというふうに思っております。
#135
○島袋宗康君 仮に、この基金に参加しないことを決めた保険会社に対しては、商品認可あるいは料率認可について、参加した保険会社と異なる措置をとられるのかどうか、その辺についてお伺いします。
#136
○政府委員(山口公生君) 商品の認可あるいは料率の認可等につきましては、この保護基金に加入しているか否かによって差を設けるというのは別の次元ではなかろうかということで、それとは切り離して考えていきたいというふうに考えております。
#137
○島袋宗康君 この資金は事前に業界から集めることになるのか、あるいはまた毎年業界から積み立てられるものなのか、あるいは破綻した保険会社が出た場合に業界から集める形になるのか、ひとつどういう方向づけになるか御報告をお願いしたい。
 また、報道によれば、損保は損保協会の外に独立した形で設立し、生保は生保協会の中に設立するということでございますけれども、どうして異なる形の設立形態になるのか、その辺の事情についてもお聞かせ願いたいと思います。
#138
○政府委員(山口公生君) 資金の拠出が事前か事後かという問題は、今検討していただいているところでございますが、特に事後拠出でやります場合には、積立金の資産運用のための組織が要らないというようなことから、基金がより簡素な組織とすることが可能になるという利点もございます。また、諸外国における同じような基金におきましては、事後拠出がとられているのが一般的でございます。こういったことを考えながら具体的に検討をしていただきたいというふうに思っておるわけでございます。
 それから、もう一つのお尋ねの、生命保険会社は生命保険協会でやると聞いているけれども損害保険の場合はどうも別になりそうだという御指摘でございますが、これは決まったわけではございませんが、実は損害保険の場合は、主として日本社が加入しております日本損害保険協会と、それから外国の保険会社、支店形態で日本に出ているような会社、もちろん日本の免許は取っておりますが、これが主に加入しております外国損害保険協会と二つ協会がございまして、損害保険協会だけでその事務を全部やってしまうとなると、外国損害保険会社の方が、意思決定等において自分たちが参加していない協会の方で勝手に決められてしまうんじゃないかというような懸念もあるやに聞いております。
 この辺は最終的に決まったわけではありませんが、そういうことを考えると、やむを得ず法人自体は別個につくった形にして、実際の事務は損害保険協会の方で外国損害保険協会とよく意見をすり合わせながらやっていくというようなことが現実的ではないかという意見も出てきております。そういった事情がありまして、損保の場合は別につくるという可能性があるということです。
 生保の場合は、会社生命保険協会に入っておりますので、これは余り問題がないんではないかということで、確定的に申し上げられることではありませんが、そういう話が余り出ていないということの事情を御説明させていただきます。
#139
○島袋宗康君 外国の保険協会というのは、協会に加入をしている企業と加入していない企業がありますか。もしなにでしたら、数字をお願いしたいんですが。
#140
○政府委員(山口公生君) 外国損害保険協会、通常FNLIAと言っておりますが、これは外国保険会社がかなりの数入っておりますが、全部入っているというわけではございません。数は今ちょっと手元にございませんので……。
 再保険等だけをやっているような会社は入っておらない、主にこちらの支店で活動しているところが入っているというふうに聞いております。
#141
○島袋宗康君 後で、もしなにでしたら、数字をお知らせください。
#142
○政府委員(山口公生君) はい、承知しました。
#143
○島袋宗康君 このような基金設立に対しては、最近問題になっております二信組の問題ですね、放漫経営で破綻した保険会社を救済する必然性があるのかとか、あるいは援助対象に大口契約者を含むのかというような批判が出ておりますけれども、これについてはどのような見解をこの保険制度においてなされるおつもりですか。
#144
○政府委員(山口公生君) 放漫経営で破綻した会社を救済することになるのではないかという御指摘でございますが、契約者保護基金の資金援助は救済する側に資金を援助するというものでございますので、破綻保険会社自身を救済するための措置ではございません。
 それは、私どもが守るべきは保険契約でございまして、例えば契約を移転する形でそれを救う場合は、移転する契約を引き受ける方の会社に資金援助をするという形式でやるわけでございます。合併とか子会社化という方法もありますので、結果的に破綻保険会社が残ってしまうというケースもあるかもしれません。しかし、そのときも経営陣は当然全部それなりの責任をとってという前提になろうかと思います。だから、この保護基金自体の目的がそういうことで、破綻会社そのものを救うというものではございませんことを御理解賜りたいと思います。
 それから、もう一つ申されました大口小口の話がございました。保険の場合、大口小口いかんにかかわらず母集団を形成して相互扶助という形をとっておりますこと、それから大口といいましても、中小企業者がその事業を継続するためにどうしても保険に多額に入っていなきゃいけない、あるいは大きな借り入れをするその質権を設定されるために大きな保険契約に入らざるを得ないというようなケースもあります。
 そのとき、大口だから切り捨ててもいいという議論はなかなか難しいということで、大体保険はそういう個人が入っている場合が多うございますので、そこでこの基金においては、その区別をせずに対応するということでやらせていただきたいというふうに思っているわけでございます。
#145
○島袋宗康君 今の放漫経営の破綻会社についてのいろいろ批判がありますけれども、今度の改正によってそういったことは起こらない、あるいはそういった救済はできないんだというような考え方でよろしゅうございますか。
#146
○政府委員(山口公生君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
#147
○島袋宗康君 終わります。
#148
○委員長(西田吉宏君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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