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1995/02/28 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 外務委員会 第3号
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1995/02/28 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 外務委員会 第3号

#1
第132回国会 外務委員会 第3号
平成七年二月二十八日(火曜日)
   午後二時三十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田村 秀昭君
    理 事
                大木  浩君
                野間  赳君
                矢田部 理君
                猪木 寛至君
    委 員
                笠原 潤一君
                成瀬 守重君
                野沢 太三君
                宮澤  弘君
                大渕 絹子君
                大脇 雅子君
                松前 達郎君
                石井 一二君
                黒柳  明君
                武田邦太郎君
                立木  洋君
   国務大臣
       外 務 大 臣  河野 洋平君
   政府委員
       外務大臣官房領
       事移住部長    畠中  篤君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     高野幸二郎君
       外務省総合外交
       政策局軍備管
       理・科学審議官  林   暘君
       外務省アジア局
       長        川島  裕君
       外務省経済局長  原口 幸市君
       外務省経済協力
       局長       平林  博君
       外務省条約局長  折田 正樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大島 弘輔君
   説明員
       法務省入国管理
       局参事官     片山 義隆君
       厚生省保健医療
       局企画課長    川邊  新君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○旅券法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田村秀昭君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 旅券法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○大木浩君 きょうは外務大臣においでいただきまして、予算委員会の方で大分お疲れでございますが、引き続きまたひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
 きょうは、旅券法の一部を改正する法律案ということで、旅券法について後でまた若干の御質問をさせていただきたいと思いますが、これは内答的に見れば、有効期間の延長とか手の併記制度の廃止、要するにいろんな現実に合わせた改正ということで、各議員の方もおおむね御賛同のようでございますから余り時間を費やさずにひとつ審議を進めたいと思います。
 実はちょっとここの場所をおかりして外務省にも御報告ないし御礼申し上げたいんですが、先般、日本とEC、今度はEUになりましたが、EUとの議員会議というのがございまして、これは衆参から正規の日本側のチームを編成いたしまして行ってまいりました。最近、EUがメンバーの方も拡大、あるいは従来はむしろ経済的な統合体であったのが、さらに政治的なことというようなことについても共通の政策を進めようというようなことでいろいろ議論しております。
 そういうところで私どもも議論してきたわけでありまして、特に今ヨーロッパというのは、一つは従来のソ連、東欧というものが非常に変貌しております。それからもう一つは、もう少し具体的に言いますと、ユーゴなどいろいろと地域的な問題であるけれども非常に頭の痛い問題もあるというようなことで、そんなことも議論してきました。
 まず、いろいろと外務省の方も出先でお世話になりましたので御礼申し上げるとともに、大臣として今のEUというものをどういうふうに考えておられるのか、新しいEUというものを日本から見て。
 私、実はきょうは旅券法をいろいろ議論するんですけれども、EUを見ておりますと、従来のネーションステートといいますか、一つの民族があって、非常に排他的な主権を持った国が集まってお互いにやっておるというのがだんだん変貌していますね。そういうことで、そういうのを相手にしてこれからまた日本としてもいろいろと外交を進めていくわけでありますが、もう既にいろいろとECないしはEUと御経験も積んでおられますが、EUとのこれからの関係というものをどういうふうに大臣としてお考えになっているか、ひとつ簡単にお伺いしたいと思います。
#4
○国務大臣(河野洋平君) EUを見ておりますと、二十一世紀に向かってそれぞれの主権国家の政治家が新しいチャレンジをしているというふうにまず感ずるわけでございます。
 主権国家がそれぞれの主権の中でいろいろ競い合う、あるいは共存し合おうという努力というものはもちろん重要だと思いますけれども、もうそれを超えて、主権の一部を自分たちが拠出してももう少し新しい世界というものを見つけ出したいという気持ちも一つあるんだろうと思います。
 もちろん、ヨーロッパにはヨーロッパの古い歴史とか文化、共通の文化、そういったものがあって、そういうものがつくりやすい。つくりやすいといってもこれはそう簡単だという意味ではありませんけれども、ほかの地域に比べれば共通点の多い部分もあってそういう作業が行われるんだろうと思いますが、私は政治家として、二十一世紀に向かって一つの新しいチャレンジをしているなというふうにまず最初に思いました。
 そこで、問題はどういうつき合い方をするか、あるいはどう見るかということでございまして、EUの人たちがこのEUというものをさらに拡大をする、あるいは進化させる、いろいろなことを言ったり考えたり、ある意味で試行錯誤と言ったら少し言い過ぎかと思いますけれども、さまざまな角度から議論をし、しかしそれぞれの主権国家の存在というものがなかなかうまくEUの考え方を進められずにいるというのが現状だと思います。しかし、周辺国の関心が非常に高くて、どんどんEUに参加する国の数がふえる、EUが拡大される、その拡大されることに伴ってまた本来の考え方が薄められる、あるいは違った方向に行きつつある部分もある。
 いずれにしても、EUが何といいますか余り排他的な経済の地域になることについては我々はいささか懸念を持っておりますが、少し無責任な客観的な言い方をすると、新しいチャレンジだなと最初に申し上げましたが、そういう感じで私は見ておるわけでございます。
 ただ、いずれにしてもヨーロッパはEUになり、アメリカはNAFTAをづくりという、地域的なブロック経済みたいなことになることは決して我々が歓迎できるものではないのでございまして、そこら辺は大いにまだ議論を我々もしなければならないだろうと思っております。
#5
○大木浩君 ありがとうございました。
 EUのことは本題とちょっと外れておりますので、もし若干後でまた旅券法の中で何か関連が出てくればお伺いするかもしれませんが、いずれにいたしましても、私も今度ブラッセルで会議をやり、あるいはその前後に半日ほどパリとかロンドンも通ってというような日程でやらしていただきまして、当院の志苫先生、荒木先生とも御一緒に行動したわけですが、どこへ参りましても何せ非常に日本人が多いわけであります。
 特に、今ちょうど春休みというようなことで日本の若い方、学生さんぐらいの年齢の方が実におられる。ああいった方がみんなパスポートを持って、日本の旅券を持って歩いているんだなということで、帰ったら早速また旅券法やるんだということを感じながら帰ってきたわけですが、とにかくあれだけ日本人の旅行者が多いということになれば、これは旅券発行している方もなかなか大変だろうと、こう思うわけでありまして、御同情申し上げるわけで、御同情というか大変だということで、そのお仕事についてはそれを多とするわけです。
 そういう意味におきましても、先ほど最初に申し上げましたように、現実に合った有効期間の延長だとか、子供は併記をやめるとか、そういうことはむしろ現実的なことだということですから、それ自体は非常にいいことだと思うんですが、仰せこれほど日本人がたくさん出かける、それから実は日本人が出かけるということと裏腹といいますか、向こうからも来るわけですね、外国からもたくさん入ってくる。
 とにかくそれだけ日本もまたよその国から入ってくる、入ってきたい、そういう国でありますから、それに対してきちっとした対応をしていかなければいかぬということで、言うなれば人的交流というか、初めから交流という目的で来る人もあるし、あるいは交流というのにはちょっと必ずしも言葉が合わないけれども、とにかく流入と言っちゃ悪いかもしれませんが、してくる人もあるしというようなことでいろいろ問題があると思います。そういうことで大変に仕事が多い。
 今これからまたいろいろと、予算の方は一応衆議院通りましたから、今度こちらへ来るというようなことですから、そこの中でまた外務省の予算なりあるいは人員の問題なりいろいろと議論になると思うんですが、私が客観的に一歩離れて見ていまして、最近特に自分が人に頼まれることが多いからそういうことかなと思うんですが、とにかく今日本の行政機関の中で一番忙しいのが私は法務省の入管と、それから外務省の旅券関係あるいは邦人関係の仕事じゃないかと思っております。
 実は、私がたまたま外務省におったものですから、ビザのことも何か外務省関係やっているんじゃないかと、よその国から入ってくるビザですね。そういうことで入管へ参りますと、東京の入管も大変なんですけれども、地方の入管局というのは本当にもうごった返してございまして、大変な状況になっている。これを上手にやるということは、後でまた入管にも、法務省の方にももし時間があればお聞きすることもあるんですけれども、大変なことなんで、外務省は入管にも人も出しておられるはずでございますし、これはひとつ法務省と外務省でかっちりと手を組んで上手にやっていただきたいというふうに思っております。
 入管へ行きますと、とにかくその量が多いということから出てくる問題というのが物すごく多いわけでございまして、本当はもっと親切にやってやろうという気はあるかもしれませんけれども、今のところ親切にやっているととても仕事がはかどらないということですから。しかも、残念なことにはというか、入管へ持ってこられる仕事の中にやっぱりしっかりと審査をしないと間違っちゃう、言葉は悪いんですけれどもだまされてしまうというようなケースもあるものですから、そういうことで非常に難しい。
 ですから、これはここで応援団で申し上げるわけじゃないんですけれども、ひとつ外務大臣としてまた副総理としてそこら辺のところ、やっぱり内閣全体の中でどういうふうに人を配置するかというのは本当に大事な問題だと思います。
 ということでございますので、外務省としては旅券課というのはそういった国民に対する一番これ、外務省でも何とか政策局とかそういう難しいところとは普通の人は余り関係ないわけですよ。だから、外務省の評判というのはむしろ旅券課とか、あるいは時々は間違えて入管も外務省の一部だと思っている人もあるようですけれども、法務省さんも御協力いただきまして、これはできるだけいいサービスをしていただきたいと同時に、やっぱりいろいろときちっとしていただきたい、こういうことがありますのでよろしくお願いをしたいと思います。
 そういうことで、今申し上げましたように、非常に外務省の中ではある意味では地味であるけれども、そういった領事移住部の仕事、あるいは法務省入管の仕事というものをひとつ今後もしっかりとやっていただきたいんですが、これどうでしょう、外務大臣としてというかむしろ副総理として、今のそういったことについて人間が非常に大変だぞということは御認識しておられると思いますが、いかがでしょうか。
#6
○国務大臣(河野洋平君) 行政改革が叫ばれる中でございますけれども、これ何でも減らせばいいという話ではなくて、必要なところにはふやしていくということが大事だと思いますね。つまり、行政のニーズが一昔前と比べると大分違ってきてしまった、そこでその行政に対するニーズに見合った行政の配置をするということが重要なんだというふうに思います。外務省それ自身が相当に人手不足と言われる中で、今議員御指摘のように、この仕事は大変手仕事でございますし神経の要る仕事でございますから、もっともっと人をふやす必要があるだろうというふうに認識しております。
 今はとにかく速くやるということがサービスだということになるわけですけれども、実際は速くやるだけではなくて、やはり親切に事情を聞いてやるとか、応対をちゃんとするとかということがやっぱり本当の親切にならなきゃいけないわけで、専門家がいるのに私が言ってはいかぬかもわかりませんが、今はそこまでなかなか行けないんじゃないかという気もしておりまして、やはり人的な余裕ができれば速くしかも丁寧に十分相手のこともよく聞いて作業ができるようになるだろうというふうに思っておりまして、そうした認識をいたしております。
#7
○大木浩君 ありがとうございました。
 それで、非常にたくさんの人がパスポートを持って出かけるわけでございますが、年間千三百万ですか、昨年の統計で大体それぐらいですね。ところが、これだけたくさん出かけますといろいろと事件も起こる。それは行った人の責任が半分ぐらいあるような事件もあるようですし、それはたまたま災害だというようなこともあるけれども、非常に多いんですが、そういうものについて、これは領事移住部長さんで結構ですけれども、いろいろ事件がかなり多いものですから、どういうふうに心配しておられるか、対策しておられるか、ちょっと教えていただければありがたいと思います。
#8
○政府委員(畠中篤君) 海外邦人の安全対策につきましては、従来から外務省本省のみならず大使館、それから総領事館、組織を挙げて対応しておりますけれども、先生御指摘のとおり、残念ながら依然として海外の在留邦人や旅行者に対する殺人、誘拐等の凶悪事件、あるいは騒乱、災害等の緊急事態が世界各地で起こっているのが実情でございます。このため、外務省といたしましては、先ほども御指摘ありましたけれども、邦人保護に関連いたします要員の拡充、それから緊急事態に備えた連絡体制あるいは通信体制といったもののハードの面の整備も毎年重点項目として予算をいただいてやっております。
 しかし、一番重要なことと申しますか私どもが意識しておりますことは、海外旅行者といいますかお出かけになる方の中に、海外での旅行や生活に対する十分な準備といいますか事前の情報といいますか、そういうものを持たないで出ておられる方々もかなりおられまして、やはりいかにしてそういう人たちが事故に遣わないようにしていただくか、それから事故に不幸にしてお遭いになったときにどう対応していただくかというようなことは、基本的には旅行者自身がある程度自覚をしていただいていることが非常に重要だと思っております。
 そういうことで、最近は特に外務省といたしましては、例えば海外安全相談センターといったものを設けまして、いらっしゃる前にいろんな相談をしていただく、あるいはビデオなどもつくったり、あるいは最近やっておりますことは、各国別に一番新しい治安情勢とか、こういうことを気をつけた方がいいですといったような旅行者のための情報を全部まとめましてファクスその他でアクセスをしていただけるようなことも今やっておりまして、できるだけ幅広い国民の方に、海外に出られる前にそういう知識をいささかでも持って出ていただけるように努力をしているところでございます。
#9
○大木浩君 どうぞひとつよろしくお願いしたいと思います。
 今おっしゃったのはどちらかといえば短期的に旅行するというような方々が該当するようなお話が多いと思うんですね。余り外国のことをよく知らないでぽっと出ちゃった、そういう人ももちろん問題がある。
 もう一つは、そうじゃなくて、相手の国へ行ってしっかりと仕事をしよう、例えば商社の駐在員とか、商社じゃなくてもいろいろメーカーさんもたくさんおりますが、最近はそういった海外進出も非常に多いわけです。ただ、そういった方々が働くに際しまして、例えば入国査証の問題とか向こうでの滞在の条件の問題だとか、あるいは行ってからの税金の問題だとか、その辺でいろいろ必ずしもすっきりしないところがあるように思います。
 これは相手の国によりましていろいろ非常に違うんで、ただ一般的に見て、外務省がどの程度にそういった現状を認識しておられるか、これは外務省ばかりじゃなくて通産省だとか大蔵省とかほかのいろんな方々とも必要に応じて御連絡いただかないと解決つかない問題かもしれませんが、まずはとにかく在外公館にひとつおすがりというんですか御相談してということになりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思うんです。
 私、最近行って自分でいろいろ聞いた話でも、例えばロシアなんというのは、今ちょっとロシア自体が非常に混乱しているものですから、例えば一体こういうことについてどういう税金がかかるかと言ってもだれに聞いてもわからないというようなことで、とにかくいろいろとやっているうちに何となく話がついたとか、人によって答えが違ったとか、もういっぱいあるわけですね。そういったものについて、もちろん現地で総領事が見ておられるわけですけれども、なかなかそういうレベルだけで解決つかないような問題がございます。ロシアの偉い人が来ると日ロ友好関係だとか何か育っていますけれども、むしろそういうこともきちっとやっていただくことの方が、まずは我々日本人はロシアと一生懸命一緒に協力しようという気持ちになるわけですから、そこら辺はひとつよろしくお願いしたい。
 それから、先般ブラッセルへ行きましたついでというか、フランスの議員の御招待というかでフランスの方へ入りました。リールという工業都市がありますが、そこへは日本人のメーカーさんの代表なんかが数名そのあたりに進出して合弁企業などもしておられますんですが、フランスでも今のような滞在のビザとかあるいは税金とか、そういった問題についてはどうも少しすかっとしないところがあるというようなことがあるようでございます。
 特にフランスなんかですと、中央ばかりじゃなくて地方政府というのがあそこはなかなか強いんですかね、かなり独立権限も持っているようなんで。フランスの議員さんも一緒に行ったので、私どもはこういうことをきちっとしなきゃだめじゃないかという話はしてきたんですけれども、ひとつその辺のところをできるだけ、これから日本の進出というのはますますふえるわけでございますので、在外分節でもできるだけひとつきめ細かく見ていただいて、それはなかなか商社の人が出かけていっても解決つかないのを大使のレベルで話をつけていただければ解決つくというような問題もあると思いますので、ひとつよろしくお願いしたい。これは国によっていろいろ違いますけれども、一般的にひとつ在外公館、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それから、今のはお答えは特に要りませんが、先ほど最初に申し上げましたこれからの国際交流、人的交流といえば、こちらから行くばかりじゃなくて向こうから入ってくる人の問題もあるわけでありますけれども、向こうから入ってくる人をどうするかというのは私非常に難しい問題があると思うんですね。
 一つには、できるだけ交流を多くして大いに日本もこれから国際化しようということなんですから、大いに来てもらって理解を深める、あるいは経済交流、文化交流というのは進めるのが望ましい、これが一つある。
 しかし同時に、何というか、日本にとってちょっと入ってきてもらうと困るという、少なくとも結果的には日本の社会にとってはマイナスになるというような人が入ってくる、いろんな意味でのマイナスがありますけれども。一番困るのはそれは犯罪的なことにかかわっている人もありますけれども、とにかくいろんな意味でマイナスになるという問題もある。
 これは、言うなれば二律背反の問題をどういうふうにきちっとするかというようなことで、先ほども申し上げましたけれども、そういうことで入管の方のお仕事も、片一方ではきちっとなるべくやろうと思うけれども、やっぱり物すごく非常に数が多いということですから、数が多い中にはいろんな問題があるからどうしても厳しくやらなきゃいかぬということになりまして、地方の入管へ行きますと、先ほども申し上げましたけれども、なかなか親切にもしておれないし、まずは疑ってかかれというようなことにならざるを得ない。人を見たら泥棒と思えとは言いませんけれども、とにかくそういうようなこともあるので、その辺は大変に難しいと思います。
 きょうは法務省おいででございますが、出入国管理及び難民認定法、正式に申すとそういう法だと思いますが、その法律の改正というのはたしか平成二年の六月からでしたか、改正をされたと思います。あのときは非常にいろいろな不法入国、不法在留というような問題がむしろ頭にあったと思うんですが、あの改正によってそういった目的はかなり達成されておるのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#10
○説明員(片山義隆君) 今、先生御指摘になりました入管法の改正ですけれども、二つの内容を持っておりました。
 一つは、人の交流といいますか、それを活発化するといいますか、そういう円滑化対策というのが一つの方向性です。もう一つは、今先生御指摘ありましたように、不法就労者に対して、不法就労者を雇う雇用主とかブローカーを罰し得るような不法就労助長罪といった罰則の新設、こういったものを主な内容としていたわけです。
 入管法を施行した後を考えてみますと、人の交流といいますか、そういう円滑化対策という面につきましては相当大きな効果があったというふうに思っております。他方、不法就労対策につきましても、雇用主等に対する罰則を適用し得るという面では一定の成果があったというふうに考えておりますけれども、今なお依然として不法残留者といいますか不法に滞在している人たちが約三十万ぐらいおります。そういう面で、この問題につきましては、関係機関というものと連携を密にしながら今後その対策を進めるとともに、今先生の御指摘がございましたように、体制の充実についても進めていって実効的な対策を講じていきたいというふうに考えております。
#11
○大木浩君 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 これは、水際で入ってくるところでまずどうするかという問題と、入ってこられてからきちっと法に従って行動していただく、あるいは不法に滞留しない、滞在しないというようなことになるんで、これは国内の警察を初めとする諸機関との連係プレーも必要だと思いますので、その辺は副総理に全体の問題としてひとつ今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 それから、査証の問題は、場合によっては日本人が外国へ行く場合の査証というものも、先ほど申し上げましたけれども、行ってからまた延ばしてくれとか、あるいは行く前にどうだとか。この間も実はある日本人がアメリカから帰ってきまして、これはマルチのビザを持ってもう一遍行くはずで、ただしパスポートが切れちゃうというんでアメリカ大使館へ持っていったら、おまえはビザ移してやらないと。つまり、命持っているパスポートから、古いやつから新しいやつに、査証はあるわけですからそれをそのまま自動的に移るんだと思ったら文句言われたというような話がありましてね、なかなか難しいんです。
 今ちょっと時間がありませんからアメリカのことは細かくやりませんが、査証をお互いに相互免除というようなことで、もうはっきりわかっていてそう問題がないのはどんどん査証なしにしたらどうだというようなことも、ヨーロッパなんかに行きますとそういう感じになってくるんですが、どうなんでしょう、全体の姿、どういう方針かちょっとお願いしたいと思います。
#12
○政府委員(畠中篤君) お互いの国の査証の免除をいたしますのは、我が国の場合には現在五十二カ国と相互査証免除協定を持っております。先ほどお話ありましたように、主といたしまして先進国同士というのはかなりうまくこれが動いておるわけですが、ただ、査証免除ということを申し上げましても、そのときにはいわゆる短期の訪問でございまして、実は長期の滞在許可とかあるいは就労するためのビザといったようなものになりますと、それぞれ各国がなり厳しい審査をして査証をきちんと出しておるのが現状でございます。
 もう一方、お互いに査証を免除する協定でございますけれども、これは一部の途上国との関係で、日本も合わせて五十二カ国持っておりますが、先ほど法務省の方からもあれがありましたけれども、不法滞在者その他が非常にふえているということもありまして、五十二カ国の中でも一部の国につきましては、先方と話をしましてこの査証の免除の取り決めを一部停止しているといったような状況が現状でございます。
 そういうことでございますので、国によりましてそういう問題がないところとは査証免除ということは意味があると思いますけれども、現在の日本の状況から申しますと、これから新たにそういう協定を結んでいくということについてはかなり、先進国の間ではもう持っておりますので、途上国との関係で申しますと慎重にならざるを得ないというのが現状でございます。
#13
○大木浩君 国によってということで、先進国、途上国と余り分けるのはどうかなと思いますけれども、相手を見てということにならざるを得ないんで、それはよくわかるんです。
 先ほどお尋ねしました平成二年に一度出入国管理法の改正があったわけですが、またいろんな状況を考えて必要に応じて改正というようなことを政府部内でも少なくとも御検討はしておるやに伺っておるんですが、御検討はしておられるのか、その辺のところを外務省でも法務省でもいいんですが、ちょっとお願いします。
#14
○説明員(片山義隆君) 先ほども申しましたように、今入管局、非常に大きな問題、いろいろな問題を抱えておりまして、その中でいろんな実効的な対策を考えるということをやっております。その中の一つの問題としまして、いろんな内外の情勢とかそういうものを勘案しながら慎重に研究、検討を進めているという状況でございます。
#15
○大木浩君 いろいろとこういう国際化時代でございますので、そういった点からも、現状を見ながらひとつ前向きの御検討をお願いしたいということをお願いだけいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#16
○大渕絹子君 このたびの旅券法の一部改正は、平成元年四月の改正、それから平成四年十一月の改正に次ぐもので、第三次臨時行革審の答申で一般旅券の有効期間について現行五年を十年に延長するとの意見に沿って行われたものと認識をいたします。国際化の対応、国民生活重視の観点、それから今回子供の併記ということをやめたわけですけれども、この観点からも非常に私は喜ばしい改正であるというふうに思っています。
 昨日、私たち女性国会議員は、国連から派遣をされております子供の権利委員会の委員の方から、子供の権利についてという御講演をいただきました。その中で、「子どもの権利条約」ということで去年条約批准をしたわけですけれども、子供の権利とは特別な権利を指すものではない、一個の人間としてみんなが持っているべき権利を子供にも与えるということの観点からすれば、今回のこの旅券法の改正はそういう観点からも一歩前進をした内容であるというふうに受けとめております。
 この旅券法の改正については全面的に賛成をするという立場で、きょうは本当は旅券法の審議ですからこれに集中をしなければならないのですけれども、外務委員会での質疑の時間が余り与えられることがありませんのでお許しをいただきまして、ちょっとそれる観点になります。また、中にはこの旅券法に関連した問題も出てまいりますけれども、少し観点を変えた質問になりますけれども、よろしくお願いをしたいと思います。
 旧日本軍が遺棄をした化学兵器についての質問になりますけれども、中国政府は九二年二月、ジュネーブの軍縮会議に資料を提出して、旧日本軍が遺棄した化学兵器が二百万発、化学剤が百トンも未処理のままになっていることを公表して、我が国に対して処理の責任を求めました。
 外務省は、それに先立って九〇年から九二年にかけて三回の調査をいたしておるわけでございますけれども、この三回の調査によって把握した実態は中国がジュネーブ軍縮会議に提出をした報告書とそう大差のないものであったのかどうかということをまずお尋ねをしたいと思います。
#17
○政府委員(川島裕君) お尋ねのとおり、九二年二月に中国側が今の二百万発云々の報告書を出したわけでございます。それに先立ちまして、それからその後も何回か調査団を派遣するとともに、中国側と事務レベルでいろいろ協議と申しますか情報交換をやっております。
 それで、何分にも大変広い地域にばらまいたというかあちこちにあるものでございますから、全貌を日本側の調査で全部カバーするというところには到底まいっておりませんですが、これまでの調査で確かにこれは日本軍が持っていったものであろうということは確認できだということは言えると思います。ただ全般的に、それだけ各地にあるいろいろなものがどういう状況にあって、保存とかこれからどういう措置をとりあえずしないといけないかとか、どの程度毒性が緊急に危なくなっているかとか、まだいろいろ実態把握しなきゃならないものなど項目が多々ございますので、また実は今調査団を現地に派遣しているところでございます。
#18
○大渕絹子君 前回の調査のときに中国側が指摘をした吉林とか遼寧省とかに多分行っていると思うんですけれども、そのときに提示をされた爆弾の中身等、その提示の内容というのは違っていなかったのですか、その現地で。
#19
○政府委員(川島裕君) おおむねかねて中国側が言われていたとおりというふうに承知しております。
#20
○大渕絹子君 二月二十六円から合同調査団が派遣をされておりますけれども、今回の調査団の目的と構成人員についてお尋ねします。
#21
○政府委員(川島裕君) まず今次調査は、場所としては浙江杭州市、安徽省ジョ州市、江蘇省南京市などを予定しておりまして、化学兵器がこれは保管されているところがあるわけでございます。杭州市とかジョ州市において保管されている化学兵器の現状及び種類の鑑定を行いますとともに、密封包装を行いまして保管倉庫への運搬を行うということを想定しております。
 また、化学兵器が依然として埋められているところ、これも杭州市とか南京市にあるわけですけれども、これにつきましては現地視察とその発掘、どういうふうに発掘するとどういう問題が起こり得るか、それから発掘に当たってどういう道路とかの準備が要るかとか、そういう問題についても調査あるいは現地での協議ということでございます。
 それから構成でございますけれども、これは外務省、外政審議室、我が方の中国大使節の職員、外務事務官の兼職を受けた防衛庁の職員、それから民間企業の関係者等によって構成されております。
#22
○大渕絹子君 防衛庁の職員が三名、外務省への出向という形をとりながら参加をしておりますけれども、これは旅券法との関係もあると思うのですけれども、中国側はビザを発行するに際して、何らか外務省に難点を示されるようなことはなかったのでしょうか。
#23
○政府委員(川島裕君) ございませんでした。
#24
○大渕絹子君 そうですか。それだったらよろしゅうございますけれども、特殊なものの処理でございますから特殊な技術を持った人を当然派遣しなければならないということはわかるわけでございますが、これから先の処理に当たっても恐らく自衛官の力をかしていただかなければならないと思いますけれども、無用の摩擦ができるだけ起きないような配慮をしていただかなければならないというふうに思います。
 それから、今回民間の企業の方も参加しているわけでございますけれども、これは毒物の処理というような大変重要な任務でございます。万一これの調査のときに民間の方たちに何か事故が起こった場合はどのような対応をなさるのでしょうか。その責任というのはどうなるんでしょう。
#25
○政府委員(川島裕君) 確かに、普通の調査と違いまして、これは老朽化したとはいえ危険性の高い物質でございますので、安全にはいろいろ対策を講じております。
 具体的には、現場に赴きまして作業に携わる方々の安全確保のための防御措置、それから周辺の安全確保の防護措置、それから緊急事態発生時に備えた緊急体制の確保、それからそれでも何か起こったときの補償措置の手配等を詰めました上で派遣した次第でございます。
#26
○大渕絹子君 総勢が十五名となっておりますけれども、これは何か根拠がございますか。
#27
○政府委員(川島裕君) いろんな現場での作業からそのくらいの人数が必要だろうという判断でございます。
#28
○大渕絹子君 九三年にパリで条約調印しておりますけれども、この化学兵器の禁止に関する条約の中に、その処理をするに出たっておおむね十五人ぐらいの構成でということが軍事検証制度、こういう中で書き込まれてありますね。そして期間は一つの場所に五日間以内、要員は十五人以下ということが明記されているわけですから、それに沿った人員の派遣だというふうに理解してよろしゅうございますね。
#29
○政府委員(林暘君) まず、今田の調査団は、いずれにいたしましても日本が条約を批准する前の調査団でございますし、条約に基づいて中国に派遣している調査団ではございませんので、特に我々としては今回の調査団がこの条約に規定していることに基づいて、中身を含めまして構成を含めまして、そういうことに基づいて派遣されたとは理解はいたしておりません。
#30
○大渕絹子君 そういうふうな答弁をされているならそれはそれで結構でございます。
 中国における遺棄化学兵器の犠牲者は二千人以上にも上っているというふうに言われているわけですけれども、これらの人に対する補償問題が生じているのではないでしょうか。
 それからもう一点、河北省の石家荘で中学校の校庭から兵器が発見をされて、学校の移転要求というようなことも起きておりましたけれども、この案件の処理はどうなっておりましたか。
#31
○政府委員(川島裕君) まず河北省の藁城市藁城中学の校庭の件だと思いますけれども、中国側が提出しました資料におきまして、藁城中学の校庭で日本の遺棄化学砲弾が発見されて、学校側が安全な地区への移転を要求している旨述べているということは承知しております。それで、その後どういうことになったかということでございますけれども、私どもの承知しているところでは、結局この藁城中学は移転しておりませんで、校庭に埋まっていた化学兵器はほかの安全なところに移した、こういうことのようでございます。
 それから、二千人という数でございますけれども、私どもの理解では化学兵器によって何らかの被害をこうむった方が二千人に上っているということでございます。国際法上から申しますと、本件補償問題を含めまして戦争にかかわる日中間の請求権の問題は一九七二年の日中共同声明発出後存在していないというのが従来よりの立場でございます。
 ただ、旧日本軍が遺棄した化学兵器の問題につきましては、その実態等についてまずは現地調査を行い、その結果を踏まえまして事実関係の把握を進めた上で、日中共同声明、日中平和友好条約、あるいは化学兵器禁止条約の精神を踏まえつつ、具体的な処理のあり方について中国側とも協議していきたい、こういう姿勢でございます。
#32
○大渕絹子君 まだそれではその補償問題について何ら中国側との交渉が開始をされておらないというふうに理解をしてよろしゅうございますね。
#33
○政府委員(川島裕君) 補償問題ということについては、中国側とのやりとりはやっておりません。
#34
○大渕絹子君 日本における化学兵器の製造に携わった人々の中にも毒ガス中毒によって被害を受けた方がたくさんおると聞いておりますけれども、それらの人々に対してはどのような救済が行われていますか。厚生省、来ておりますか。
#35
○説明員(川邊新君) 毒ガス障害者につきましては、旧令の共済組合の組合員に対しましては大蔵省の方で、またそれ以外の動員学徒等につきましては厚生省におきまして、健康診断の実施、医療の給付、あるいは各種の手当の支給を予算措置で行っているところであります。
#36
○大渕絹子君 当然、このたびのことで中国側とも補償問題というような問題が議論をされていく中で、日本にあります毒ガスによって障害を受けた人たちに対する救援というものもまた一歩踏み込んだ議論に発展をしていくというようなことがあろうかと思います。
 そういう中で、援護法というようなことも考えておかなければならないのではないかと思いますけれども、今の段階では厚生省はまだそこまでお考えになっておりませんでしょうか。
#37
○説明員(川邊新君) 毒ガスの障害者対策につきましては、大蔵省及び私ども厚生省もいずれもそれによる健康被害に着目して行っているものでございまして、その原因についての御議論なり等については私どもの所管外でもあり、あるいは法制化の議論につきましても地域なり対象者が極めて限定されている問題もございますので、現段階では考えておりません。
#38
○大渕絹子君 それでは、大蔵省が救済を行っている旧陸軍の造兵廠の曽根製造所に従事をしていた人たちがどのぐらいあって、それとは別に学徒動員それから女子挺身隊の人たちが被害を受けた人数がどのくらいなのか教えてください。
#39
○説明員(川邊新君) 大蔵省の数字を私どもの方から言うのが妥当かどうかわかりませんが、とりあえず数字がございますので。
 大蔵省関係では、平成五年度末でございますが二千四百四十人、それから厚生省の関係では二千六百五十五人、合わせまして五千九十五人が対象になっております。
#40
○大渕絹子君 これらの議論はまた化学兵器禁止条約が今国会に提出をされたときの議論になろうかと思いますので送りますけれども、条約の批准はまだですが、中国に遺棄した化学兵器の廃棄計画というのは一日も早く作成をして処理に当たらなければならないと思います。今後の予定をお尋ねいたします。
#41
○政府委員(川島裕君) 実は、政府部内でどういう体制にするかというのを含めまして相当いろいろ詰める必要がありますものですから、将来像をきちんとした形ではまだ策定できておりません。まずは現状把握ということで調査を行うというところで動いているのが実態でございます。
 物理的に何が必要かということを言えば、調査の次には、それを収納して行く行くは廃棄と申しますか、いろいろなことが必要になるんだろうと思いますけれども、例えば廃棄と申しましても、テクノロジーのどういうふうなのがあるとかいろいろ、日本にそもそもないものでございますから、その辺やなんかも詰める必要があるんだと思いますけれども、今の時点では、政府の体制を含めましてこれから詰めていかなきゃならないという段階でございます。
#42
○大渕絹子君 今回は中国に遺棄をした化学兵船が問題になっているわけですけれども、ほかの国、いわゆる侵略のときにほかの国には遺棄をしてきていないのですか。
#43
○政府委員(川島裕君) これは、旧軍がどこに持っていったかという資料がないとこちら側からはわからないということだろうと思います。中国の場合は、九〇年代になって提起されまして、これは恐らくそのころの開発で見つかり出したんだろうと思いますけれども、そういう観点から、今の時点でほかの例えはアジアの国で似たような化学兵器という話が提起されているかということであれば、今のところはございません。
#44
○大渕絹子君 日本において三百五十万発の化学兵器が製造されたという記述があるように聞いていますから、中国で二百万発、まあ処理をした部分が多少ありますけれども、そのほかについてもほかの国に持っていかれている可能性というのは十分にあるわけでございます。そこらは軍の記録というのが残っていなければわからないわけですけれども、その点も十分に慎重に日本政府としては自発的に調査を進めていく必要があるんじゃないかと思います。指摘をしておきたいと思います。
 それから、先ほど、まだ処理計画、廃棄計画というのができておらないと言いましたけれども、これはちょっと無責任というふうに思います。
 それはなぜかといいますと、今国会にこの条約が提出をされるというふうに私たちは聞いているわけなんですけれども、この国会でそれが批准をされますと、遺棄した化学兵器については、発効後三十日以内に利用可能な情報については技術事務局に全部を提出しなければならないという義務がうたわれていますね、この制度の中に。その義務からしますと、今国会中に批准がされるならば、それから直ちに三十日以内にこれが報告されなければならないわけですから、現時点であらかじめ全体を包んだ中でこれから将来における廃棄計画というようなものが外務省で当然進められておらなければならないというふうに思うわけですけれども、もう一度お答え願います。
#45
○政府委員(林暘君) 化学兵器禁止条約の規定によりますと、今御指摘のように、条約が自国について発効した後三十日以内に遺棄化学兵器について入手可能な情報を技術事務局に提供することになっております。したがいまして、三十日以内にその時点で入手可能な情報を提供することが義務になっております。
 片や廃棄でございますけれども、廃棄につきましては、これも条約に別途の規定がございまして、この条約が自国について効力を生じた後二年以内に開始し、十年以内に完了するという規定になっておりますので、廃棄そのものについて三十日以内に計画を出さなければいけないという規定には、条約にはなっておりません。
#46
○大渕絹子君 いえ、廃棄の計画といいますか、中国側に置かれている状況を報告する義務は当然この中に含まれていると思います。だから、それに沿ってこちら側が廃棄計画を立てるのはごく当たり前のことでございます。これから条約が出されたときの外務委員会の議論に資するためにも、どうしてもこの現状、中国に置かれている現状についてできるだけの資料をこの委員会に提出していただかなければこれから先の議論というのはなかなかかなわないと思います。
 委員長にお願いをしておきたいと思いますが、ぜひ外務省でつかんでおられる情報のすべてを当委員会に提出し、そして各委員からの慎重な御議論の糧にしていただきたいと思います。よろしゅうございますか。
#47
○委員長(田村秀昭君) はい、わかりました。
#48
○大渕絹子君 取り扱っていただけますね。
#49
○委員長(田村秀昭君) はい、検討させていただきます。
#50
○大渕絹子君 河野外務大臣に最後にお尋ねをいたしたいと思います。
 今、中国に遺棄をしてきた化学兵器のことで、本当にまださわりの部分ですけれども質疑をさせていただきました。戦後五十年たってまだなおかつ中国本土に二百万発の化学兵器、百トンにも及ぶ化学毒物が放置をされたままになっているということを踏まえても、いかにかつて日本が他の国に対して多大な迷惑をかけたか、この一事をもってしても私は証明ができると思います。
 この戦後五十年に当たって私たち社会党は、国会の決議の中で二度と再び戦争を起こさない不戦の誓い、不戦の決議をしたいということを強く申し上げてまいりました。そして、三党合意の中でもそのことが確認をされて現政権がつくられております。何とかこの国会の中におきまして不戦の決議ができますように、特段自民党の総裁としてリーダーシップを発揮していただきたい。自民党内部に終戦五十周年国会議員連盟というようなものができて、この不戦の決議に対しましてもなかなか慎重な態度であられることも十分承知をしておりますけれども、ぜひ自民党の総裁としてのリーダーシップを発揮していただけるようにお願いをしたいと思います。その御決意をお聞かせいただきたいと思います。
#51
○国務大臣(河野洋平君) 社会党あるいは新党さきがけとともに村山政権をつくる際に三党で合意が幾つかできております。その中で今御指摘の問題も指摘されているわけでございます。それは私はよく承知しております。
 私は、この五十周年という年にふさわしい文言を三党で練り上げて、三党合意の上で国会に提出をされることが重要だというふうに思っているんです。これはいずれにしても、その三党合意は三党で合意したものをつくろうと、こういうわけでございますから、私は、五十周年にふさわしい文言を三党でぜひ見つけて練り上げて合意の上国会に出して、さらに院として御決議に至ればこれは大変いいことだと思っているわけです。閣僚の立場で院の決議についてまでやるべきだとかやるべきでないとかということを、差し出がましいことを言うことは気をつけなければならないと思いますが、全く個人的立場であえて申し上げればそういう気持ちを持っております。
#52
○大渕絹子君 個人的な立場でなくて自民党の総裁として、あるいは現内閣の副総理として、国会決議することを三党合意の中で政権がつくられておるわけですから、この議員連盟の中には閣僚の方もあるいは幹事長の方も名前が連なっておられますけれども、その人たちとも十分に協議をした中でぜひ実現ができるように御努力をいただきたいことを重ねてお願い申し上げます。
#53
○国務大臣(河野洋平君) 伺っておきます。
#54
○猪木寛至君 旅券法に関連した質問をさせていただきますが、二、三日前にちょっと古いパスポートを調べておりましたら、渡航先という欄に英語で書いてあるんですが、エクセプト・ノース・コリアという部分があるんです。北朝鮮は除いてほかの国はどこへでも行けるということだと思うんですが、この部分は、新しいパスポートというか平成三年度以後パスポートから削除されている。
 この経緯について、一つは自民党、社会党、そして朝鮮労働党との三党合意の中でその文言がうたわれております。一九九〇年九月二十八日ということで、三党合意四の項目の中に、三党は、在日朝鮮人が差別されず、その人権と民族的諸権利と法的地位が尊重されるべきであって、日本政府はこれを法的にも保障すべきであると認める。三党は、また、日本当局が朝鮮民主主義人民共和国と関連して、日本のパスポートに記載した事項を取り除くことが必要であるとみなすと、その三党合意の中にうたっているんです。
 その経緯についてお伺いしたいと思うんですが、その前に、この三党合意、今現在政府としてはどういうお考えか、あるいはこの合意書というのは現在も同じなのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
#55
○政府委員(川島裕君) 三党共同宣言というのができまして、そのときの金丸訪朝団の訪朝を契機といたしまして政府当局間の対話が始まったわけでございます。これがすなわら平成二年九月の共同宣言でございますけれども、十一月から国交正常化交渉のための予備会談が開始されて、さらに国交正常化の本会談にまで至ったわけでございます。ただ、その後国交正常化交渉自体は、二年以上前でございますけれども途絶しておりまして、正常化交渉は行われていないということが現在の状況でございます。
 その意味で、この三党共同宣言が日朝間のその後の政府当局間の対話への動きとかいういろいろな動きの一つの端緒になったということはそのとおりでございます。
#56
○猪木寛至君 その削除された経緯をちょっと御説明願いたい。
#57
○政府委員(畠中篤君) 三党共同宣言の中の言及ぶりは先ほど先生おっしゃったとおりでございます。また、これを受けて予備会談、それから国交正常化交渉の本会談が開始されましたが、このような流れの中で、日朝間においては、例えば北京にある双方の大使館を介して必要に応じて連絡をとることが可能になったという判断をいたしまして、平成三年四月一日以降、先ほどお話ありましたように数次往復用の旅券の渡航先から北朝鮮を除外することを取りやめたということであります。
#58
○猪木寛至君 在日朝鮮人の要するに権利というかその部分で、お聞きするところによるとパスポートがない、そのかわりに再入国許可書というんでしょうか、そういう形で外国に出られるわけですが、国によってはその再入国許可書というものがパスポートとしてみなされないというトラブルがあるというふうに聞いております。そしてまた、その都度それを申請しなきゃ出られないという大変不都合なことがあるということなんですが、いかがでしょうか。
#59
○政府委員(川島裕君) 再入国許可書でもって日本から出入りをしておられると承知しておりますけれども、再入国許可書の話は法務省の所管でございますので、外務省として直接責任ある答えがいたしかねる状況にございます。
#60
○猪木寛至君 一つには、例えば在日という部分で、これは民団系、総連系という二つに分かれるそうですが、どうしてもやはり外国に出たいパスポートが必要な人というのは韓国大使館でパスポートをもらって行く。ところが、総連系の人たち、そういうことは嫌だという人は結局今は再入国許可書で出ていくということになるわけです。それで、韓国の場合でも、北朝鮮に行った人は今度は逆にその都度ビザの申請をして行かなきゃならないというか、パスポート、何かチェックがあるそうですがね。
 そういう意味では、この三党合意の中にうたわれている人権というか権利という部分で大変気の毒だなという感じがいたしまして、きょうたまたまパスポートの中に記載されたものが削除された、これは大変よかったなと思う反面、もう一方でそういう問題がまだ依然として残っている。これについていかがでしょうか。
#61
○政府委員(川島裕君) 朝鮮半島の場合、御承知のとおり南北分断しておりまして、特に南北の間の人の交流というものはなかなか難しいものがあるようでございます。その具体的な規定ぶりはっまびらかでございませんけれども、その反映と申しますか、日本におきましても今御指摘のとおり、確かに韓国の民団系、朝総連系と両方の方々がおられるわけでございます。
 パスポートにつきまして、確かに韓国については韓国旅券ということで整理は可能なわけですけれども、朝総連系の方たちについては、御指摘のとおり、何と申しますか正常化にまだ至らない状況のもとでは現状のようになっておるということで、それ自体南北分断の一つの反映でございます。
#62
○猪木寛至君 もうちょっと突っ込んだ質問をさせてもらいたいなと思うんですが、時間の関係もあります。
 最後に、先日香港を訪れたときに、大変香港でも命一番日本人が人国する数が多いそうですが、そういう意味では領事館が大変苦労されているということを聞きました。
 一方で、非常に犯罪がふえていて、パスポートの紛失、そういうことによって領事館に駆け込んでくる人たちがあって、その中でも非帝に質の悪いというか、家に電話すると、いやあいつはもう帰ってこなくていいですよ、好きにほっておいてくださいというようなことがあるそうで、そういう場合でも何とかして領事館、大使館としては旅費をつくって送り返す。その回収がまたできないというようなことを聞いております。
 私もたまたまこの前キューバに行ったときに、メキシコの空港で置き引きというか、あっという間に物を盗まれてしまって、私はたまたま懐にあったお金を気の毒だなと思って、これからキューバを回ってずっと行くというので、お金なしてはかわいそうだと思って千ドル貸してあげたんですね。そうしたらそのままになってしまいましたけれどもね。
 これから大変そういう事件というか、安全のガイドというのが出ていますけれども、もっともっとやっぱり徹底してあげたら、これからやはりせっかくの夢の旅がすばらしい結果に終わりますように、ひとつ気を使っていただきたいと思います。
 終わります。
#63
○立木洋君 今回旅券法が改正されて有効期間が十年になるというのは、海外に渡航して一往復すると一旅券ということでやっていた時代から見ればもう二十数年たっているわけですね。
 あの当時から日本人の海外への渡航というのは大体二十倍から四十倍ぐらいになっている。ですから、こういうふうに事務処理を簡潔にして合理的にするということは、これは結構なことだと私も思います。
 ただ、これは先ほども話が出ましたけれども、平成元年と平成四年に旅券法の改正があったんです。その当時から既に海外渡航者は一千万を超えていたんですよ。それで、旅券の発給数も四百万を超えていたんですね。あのころから大体もうし年ぐらいにしてもいいのではないかという話なんかもちらほら聞いていました。
 それが、御承知の平成四年六月の第三次行革審の答申で十年にしたらという意見が出たからこうなったと思うんですが、前回そういう話がありながらもっと早く十年にするようなことができなかったのか、何かそのあたりに若干の経過があったのか。説明は長くは要りません、簡単で結構です。
#64
○政府委員(畠中篤君) 先生御指摘のとおり、十年有効旅券の導入ということについては長い間御意見がありました。
 私どもといたしましても、具体的にその検討を始めましたのは平成四年の第三次、行革審の答申が出てからですけれども、私どもがそのときに十年有効旅券を導入できるかどうかをあれしますには、やはり十年もたせる旅券、十年写真なりなんなりがぼけてしまってだれかわからないようにならないようにするとか、そういった技術的な面で果たして導入ができるかどうかということで今まで準備をしてきたわけでございます。そのめども立ちましたので、今度の旅券法の改正で導入をしたいということでございます。
#65
○立木洋君 理由はわからないわけではありません。簡素化してより合理化していくというのは、可能ならばできるだけ早くやることの方が私はいいと思うので、御承知のICAOでMRPの読み取り機を入れるようになったというのは平成四年の十一月ですから、それの後になっているということもわかりますけれども、そういうこともちょっと感じましたので、そういう合理化について必要な処置についてはできるだけ速やかにやるようにということをひとつ申し上げておきたいと思います。
 それからもう一つの点は、旅券が今度十年有効になるわけですが、手数料が一万五千円というのはいかがなものかという感じがちょっとするんです。
 これ調べてみますと、アメリカは十年の旅券で手数料が六千二百七十円なんです。イギリスが四千二百三十九円、ドイツが千九百二十円なんです。それからフランスとイタリアは、これ五年の有効期間ですけれども、六千円そこそこですから、一万五千円というのはいかにも日本だけがちょっと高いんじゃないかというような、何でも物価は日本が高いというふうに言われることの一つの証明みたいなものですから、これもできるだけやっぱり庶民の方々に、海外に行くだけの金があるからいいんだということではなくて、やはりできる限り手数料を抑えるというふうな考え方も私は必要ではないかと思うんですが、そのあたりのお考えをちょっとお聞かせいただきたい。
#66
○政府委員(畠中篤君) 今度導入いたしました十年有効旅券の手数料は新たに設定したものでございますけれども、これを幾らに設定するかというときに、やはり平成四年に手数料を改正させていただきました、五年有効旅券が二万円であるということをベースにいたしまして、それに実際に開発費とかあるいは先ほど申し上げましたような冊子の改良とかいろんなことで直接経費がかかることもございますけれども、加えまして有効期間が倍になるということも踏まえまして、一応一万五千円ということに決定いたしました。
 先ほど御指摘のように、旅券の手数料の各国の比較というのは、なかなか各国それぞれの歴史に基づいて長い間ここまでの水準になっておりますので、先ほど御指摘がありましたように非常に差がございます。それで、今お話しになりましたような一万円とか一万五千円という日本の手数料を単純に今の為替レートで比較いたしますと、先ほど御紹介ありましたような非常に高い感じに見えますけれども、これも多くは最近の急激な円高が大きな要因となっております。
 国際比較ということをいたします場合に、単純な円レートだけではなくて、例えば購買力平価の為替レートとかあるいはGNPに対する比率とかいろんな比較がございます。そういうことでいたしますと、例えばGNP比率、一人出たりの比率でどのくらいかというようなことを比べますと、今の日本の手数料の水準は、大まかに申しますとアメリカの水準と大体同じぐらいという数字も出てまいります。そういうことでいろいろ考えまして、今の水準になっております。
#67
○立木洋君 私も購買力平価で若干計算はしてみましたけれども、もうそれは申しません。できるだけ物価、手数料というのは抑える方がいいんじゃないかという気持ちがあるものですから、そういう意見を述べさせていただいたわけです。
 それからもう一つは、今度たしか四十八ページですかにふえるわけですね、ページ数が。ところが今までも、私も一回お世話になったことがあるんですが、五年の間に外国に行く機会が非常に多い、何回も何回も行きますと、外国ではビザの判こを一ページにでっかいのをばんと押してくださるところがあるんですね。法務省なんかもいろいろ努力されて、出入国の判こなんかは小さくされたというようなこともやられていますけれども、査証が必要なところに行く回数が多い人ほど、あれ途中で増ページしてもらわなければならなくなるんですよ。ところが、増ページは一回なんです。これ二回はやっていただけないんです。そうすると、同じくまた旅券をもらわないといけないんですね、また手数料がかかりますけれども。
 だから、何回にするかということもあるでしょうし、合理的にやるためにはどういうふうにしたらいいのか。適記という欄がありますけれども、追記の欄なんというのは余り書くことがないんですよ。私は何回も行っているけれども、一回も書いていただいたことはない。ただ、問題は査証の欄なんです。査証の欄、あそこが物すごく、非常に多く使われるんです。これについての何らかの改善をお考えいただきたいということが一つ。
 それからもう一つの問題は、これもお聞きしたんですけれども、外国人による旅券の不正利用ということについてお話を聞いたら、一九八〇年代については大体年間十数件だったというんです。ところが、一九九二年から八十件になって、九三年に百八十七件になって、九四年には二百十四件になったというふうな件数を聞きました。
 これは多いというか少ないというか、それは評価は別といたしまして、国際的に今後友好的な関係をよりよくしていくためにもこういう問題が大きな問題にならないように、やっぱり事前に対応策を考えておくということが私は必要ではないだろうかと思いますので、旅券を利用する人の増ページの問題と、それから不正利用ができるだけそういう大きな状況にならないように、その二点だけ最後にお願い的に要望しておきたいと思います。
#68
○政府委員(畠中篤君) 最初の方のお尋ねでございますけれども、増補を一回しか今度の十年旅券は認めておりませんけれども、これは突き詰めて申しますと、十年間もたせるために、余り厚くしてしまいますととじたところがぼろぼろになるとか、非常にそういうことで旅券自体の信用性がなくなるということで、とりあえず一回ということでお願いいたしました。それで、実際のいろいろ増補される方の数とかいろんなあれをいたしますと、かなりの方は一回増補で間に合うような感じで私どもは思っておりますけれども、今後、推移を見てまだ検討させていただきたいと思います。
 それから、偽変造の方ですけれども、これはMRP導入にも伴いまして、私ども偽変造防止のためにいろいろな技術的なことも含めまして対策を講じております。今後とも進めていくつもりでおります。
#69
○立木洋君 終わります。
#70
○委員長(田村秀昭君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより放ちに採決に入ります。
 旅券法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#71
○委員長(田村秀昭君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#72
○委員長(田村秀昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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