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1995/03/17 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 外務委員会 第6号
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1995/03/17 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 外務委員会 第6号

#1
第132回国会 外務委員会 第6号
平成七年三月十七日(金曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田村 秀昭君
    理 事
                大木  浩君
                野間  赳君
                矢田部 理君
                猪木 寛至君
    委 員
                笠原 潤一君
                成瀬 守重君
                野沢 太三君
                宮澤  弘君
                矢野 哲朗君
                大渕 絹子君
                大脇 雅子君
                清水 澄子君
                石井 一二君
                黒柳  明君
                武田邦太郎君
                立木  洋君
                椎名 素夫君
   国務大臣
       外 務 大 臣  河野 洋平君
   政府委員
       外務大臣官房長  池田  維君
       外務大臣官房領
       事移住部長    畠中  篤君
       外務省総合外交
       政策局長     柳井 俊二君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     高野幸二郎君
       外務省総合外交
       政策局軍備管理
       ・科学審議官   林   暘君
       外務省アジア局
       長        川島  裕君
       外務省北米局長  時野谷 敦君
       外務省欧亜局長  野村 一成君
       外務省中近東ア
       フリカ局長事務
       代理       重家 俊範君
       外務省経済局長  原口 幸市君
       外務省経済協力
       局長       平林  博君
       外務省条約局長  折田 正樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大島 弘輔君
   説明員
       防衛庁防衛局防
       衛政策課長    守屋 武昌君
       厚生省社会・援
       護局援護企画課
       長        北場  勉君
       厚生省年金局企
       画課長      宮島  彰君
       食糧庁業務部輸
       入課長      西藤 久三君
       消防庁救急救助
       課長       西村 清司君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○平成七年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成七年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成七年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について
 (外務省所管)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田村秀昭君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 去る三月十四日、予算委員会から、三月十七日の一日間、平成七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 まず、河野外務大臣から説明を求めます。河野外務大臣。
#3
○国務大臣(河野洋平君) 平成七年度外務省所管一般会計予算案の概要について御説明申し上げます。
 外務省予算の総額は七千二百四十七億八千二百万円であり、これを平成六年度予算と比較しますと、三百一億三千三百万円の増加であり、四・三%の伸びとなっております。
 今日の国際社会においては、冷戦終結後の平和と繁栄を確保することを目指したゆみない努力が続けられておりますが、政治、経済両面での課題は山積しており、依然として不透明で不確実な状況が続いております用地域紛争については、旧ユーゴースラビア等の紛争はいまだなお解決の兆しが見えません。また、核兵器の拡散の危険は依然大きいものがあります。主要国経済は困難を抱えたままであり、さらに開発途上国の貧困の問題は一層深刻化しております。加うるに、地球環境、麻薬、難民、人口、エイズといった地球的規模の問題に取り組まなければなりません。
 さらに、本年十一月には、我が国においてアジア・太平洋経済協力非公式首脳会議及び閣僚会議等が開催されますが、我が国は議長国として地域協力の一層の前進を図るため積極的にその任を果たす必要があります。このような状況の中で、我が国としても、一層積極的で創造性豊かな役割を果たす必要があります。
 このような観点から、我が国外交に課せられた使命は極めて重大であり、平成七年度においては、その足腰ともいうべき外交実施体制の拡充と国際貢献策の充実強化の、点を重点事項として、予算の強化拡充を図っております。
 まず、外交実施体制の拡充に関する予算について申し上げます。
 定員の増強につきましては、平成七年度においては百六十名の増員を得て、外務省定員を合計四千八百九十二名といたしております。また、機構面では在ルクセンブルク大使館を新設すること等を予定しております。さらに、在外公館の機能強化のために、在外公館施設等の強化及び海外邦人安全対策、危機管理体制の強化のための経費三百二千億円を計上しております。加えて、外交政策策定の基盤となる情勢判断を的確に行うために不可欠な情報通信機能の強化に要する経費として五十二億円を計上しております。
 次に、国際貢献策の充実強化に関する予算について申し上げます。
 国際貢献策の充実強化の四つの柱は、二国間援助等の拡充、平和及び地球的規模の問題に関する協力、国際文化交流の強化、そして平和友好交流計画であります。
 まず、二国間援助等の拡充の大宗を占める平成七年度政府開発援助、ODAにつきましては、一般会計予算において政府全体で対前年度化四・〇%の増額を図っております。このうち外務省予算においては、無償資金協力予算を対前年度比一、・〇%増の二千五百五十九億円計上しておりますが、その内訳は、経済開発等援助費が二千百二十七億円、食糧増産等援助費が四百三十二億円であります。さらに、人的協力の拡充のため技術協力予算の拡充に努め、なかんずく国際協力事業団事業費は、対前年度化四・〇%増の一千六百九十二億円を計上しているほか、国際協力密業団の定員につき二十六名の純増を図る等、援助実施体制の強化に努めております。
 次に、平和及び地球的規模の問題に関する協力でありますが、新しい世界平和の秩序の構築のだめの国際協力を進めることが必要との認識に立ち、国連の平和維持活動を初めとする平和及び難民・人道分野での国際機関などによる活動の支援のため、また地球環境問題あるいは麻薬問題といった国境を越えて国際社会に影響を及ぼす地球的規模の問題に取り組むため、国際機関を通じて積極的貢献を行うべく総額三百七十億円を計上しております。
 次に、国際文化交流の強化でありますが、各国との知的・文化的交流を図り異なる文化間の相互交流を促進するため百五十八億円を計上し、国際交流基金事業の拡充強化及び文化協力の推進を図ることとしております。また、アジア・太平洋経済協力閣僚会議等APEC経費として二十七億円を計上しております。
 さらに、戦後五十周年の節目を迎え、平和友好交流計画として三十億円を計上して、アジアの近隣諸国等との関係の歴史を直視し、また相互理解を一層増進することにより、ともに未来に向けた関係の構築を図ることとしております。
 以上が外務省関係予算の概要であります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
 以上であります。
#4
○委員長(田村秀昭君) 以上で外務大臣の説明は終わりました。
 この際、お諮りいたします。
 外務省所管平成七年度予算の大要説明は、これを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(田村秀昭君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○野沢太三君 まず最初に、震災関係の問題につきまして、先般の総括質疑の際少し残っておりました課題を含めまして、御質問を申し上げます。
 去る三月六日から十二日にかけましてコペンハーゲンで開催されました社会開発サミットにおきまして、村山総理が演説をしていただきまして、今回の阪神・淡路大震災に寄せられました各国の支援に対し感謝の意を表明していただきました。この際に、閣僚レベルによりますアジアの防災政策会議をできるだけ速やかに開催をいたしまして、このような大災害に対する知識や経験、対策等の交流を行うように提言をされております。
 この件につきましては、三月三日に総括質疑の中で私も総理にお願いをし、実現して、早速世界じゅうに向けて発信をしていただいたことにつきまして御礼を申し上げるわけでございますが、この防災会議の内容とか時期、開催場所等についてはどのように考えておられるか、御説明願います。
#7
○政府委員(高野幸二郎君) まず場所でございますが、場所については本邦、日本ということでございます。
 時期でございますが、具体的に何月何日とまだ決まっておりませんが、恐らくことし後半の秋から年末にかけてということになろうかと思っております。
 それから参加国でございますが、これはアジアということで考えておりまして、ただアジアといってもとりようによっていろいろあるのでございますが、どこまで広げるかということは、鋭意今検討中でございます。
 レベルは、今、先生おっしゃいましたとおり、閣僚レベルの方に御参加いただきたいと思っております。
 問題は、いかなる内容にするのかという点でございますが、今度総理が提唱されました会議、この直接の背景は、今、先生御指摘のとおり、今回の阪神・淡路大震災の経験にかんがみ防災の分野における国際協力ということで、日本としてイニシアチブをとりたいという村山総理の御意向が直接の背景でございます。
 実はもう一つ背景がございまして、といいますのは、そもそもこの今世紀最後の十年というのは、国連の方で「防災の十年」ということになっております。これは、日本が、我が国政府が若干の国と協力いたしまして、総会決議も通し、そういう「防災の十年」ということができたわけでございます。それを受けまして、昨年五月、横浜におきまして防災の十年世界会議というのを日本主催で行いました。そのときに採択されました最終文書として、「より安全な世界に向けての横浜戦路」というのが採択されております。
 その中で、一つの大きなポイントとして、防災のための国際協力を進めていく上で地域協力が必要だと。例えば、アジアとかアフリカとがそれぞれの地域に防災センターをつくって、それを地域協力の拠点とするというふうなことが望ましいという課題になっておりまして、この防災問題について積極的なイニシアチブをとってきました日本といたしましては、アジアにおいてその種のフォローアップを今後考えたいということで、いるいろ関係国と協議しておったというもう一つの背景がございます。
 したがいまして、今度の総理が提唱されました会議におきましては、そういうことについてのアジア諸国間の協議と具体的な取り進め方ということが協議の中心になろうかというふうに考えておるところでございます。
#8
○野沢太三君 いろんな形で、今、世界各国からの支援がいただけたわけでありますし、それに対してまた感謝の意も表明されておるわけでございますが、やはり災害というのはそれに対してどう備えるか、そしてまたそれにかかわる知識、知恵、経験というものが何よりもやはり私は今後の備えとして大事ではないかと思うわけでございます。その意味で、今度の教訓を十分取りまとめまして、どうかひとつこの苦い経験を各国に参考、教訓として再度お礼にかわり発信をするということは日本の務めではないかと思うわけでございます。
 この点につきまして、大臣の所感を一言お願いしたいと思います。
#9
○国務大臣(河野洋平君) 我が国は、国際社会に対して支援を最も多くしている国ということでありましたけれども、今回の災害に際しまして、国際社会から多くの支援をいただくという立場に立ちました。このことで我々は、やはり国際社会は助け合いながら生きているということを実感したわけでございます。我々は、助け合いながら生きていくという、この気持ちを大事にしていかなければならないというふうに思うわけでございます。
 過去の例を見ますというと、我が国が最も多く緊急援助などをしてきたというふうに言われておりますが、そうしたことと同時に、多くの国々に我々がODAで支援をする、つまり開発途上国からも心温まる支援を今回もらったということなどについても十分記憶にとどめていかなければならないと思います。今、議員が御指摘になりましたように、防災体制というものをきちんと整えるということと同時に、やはり一たん事があったときにはお互いに助け合うという体制もまたとっていかなければならないことを忘れてはならぬと、こう思うわけでございます。
#10
○野沢太三君 こういう事態の中で諸外国から御支援をいただいた中で特に私ども記憶にとどめなければならないのは、いち早く駆けつけていただきました救急隊の幾つかの国々の実例がございます。スイス、フランスあるいはイギリス、そして在日米軍等々たくさんの事例が見られるわけでございますが、いずれも自己完結型といいますか、宿泊から食料からすべて自分たちで調達し、こちらに迷惑をかけないという形でお出ましをいただいているということ、これは今後、我が国が諸外国に対して援助をする場合、あるいは救急隊を出す場合に極めて大事な要素であります。それにつきましては、既に緊急援助隊に関する法律も整えられていろいろ準備はしていたわけではございますが、いざとなったときにそれが機能するかどうかということについては、まだまだ心もとないというのが実態ではなかろうかと思うわけであります。
 そこで、我が国の緊急援助隊の今現状として、何かあったときに何人くらいを何日間くらいどこの地域へ出せるのか、この点につきましてちょっと御説明いただきたいと思います。
#11
○政府委員(平林博君) 今、先生がおっしゃいましたように、できるだけ相手に迷惑をかけないような形で援助活動を行うということで自己完結型であることが望ましいということはそのとおりでございまして、今、国際緊急援助隊法によりまして派遣されている消防、警察、さらには医療隊、こういったものも大半は、小規模ではあっても自己完結型でございます。
 これらのチームは、昭和六十二年の法律制定以来三十二チームが派遣されておりますが、地域的に見ますと、アジアが中心ではありますが、一番遠い地域ということになると、例えばイランとかサウジアラビア等まで派遣している現状でございます。
 隊の派遣規模でございますが、数名程度から五十名程度ということでございまして、また派遣期間は数日間から三週間程度ということになっております。
 幸いなことに、これを上回るような出動を要する大規模な災害というものは最近は余りないのでございますが、もしそういうことがあった場合には、平成四年のこの法律の改正によりまして自衛隊の部隊の派遣が可能になっておりますので、また自衛隊はそれに備えて準備をしておりますので、そういった場合には大規模な、また自己完結型の自衛隊の部隊を派遣することができるということになっておるわけでございます。
#12
○野沢太三君 自衛隊、きょうお見えでございますか。
 それでは、自衛隊の方での準備状況、それからいざという声がかかったときに何時間くらいで出かけられるのか、サウジまでというような話も今ありましたが、世界じゅう対応可能なのかどうか、この点等も含めてお願いします。
#13
○説明員(守屋武昌君) 御質問にお答えいたします。
 自衛隊でございますが、自衛隊は陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、それぞれの体制をとっております。
 陸上自衛隊は、医官二十名による医療活動と、それからヘリコプター十機による活動を最大限とする空輸活動、それから浄水セット二基をもちます活動を最大限とする給水活動、こういうものを行うための体制をとっております。そして、全国に四つの方面隊がございますが、これを四半期ごとに持ち回りで体制を維持しているという現状にあります。
 海上自衛隊でございますが、輸送艦二隻、補給艦一隻によりまして援助活動部隊の海上輸送、それから援助活動部隊への補給品の海上輸送、こういうことを実施できる体制を維持しております。これは、横須賀にあります自衛艦隊と全国にある各地方隊がそのために必要な体制を維持いたしております。
 航空自衛隊でございますが、C130という大型輸送機がございます。これの六機によりまして援助活動部隊の航空輸送とそれからその活動部隊への補給品の航空輸送、こういうものを行えるよう航空支援集団という部隊がございますが、ここにおいて体制を維持いたしておるところでございます。
 運用方針でございますが、派遣を想定する地域といたしましては、私どもは主としてアジア及び太平洋の開発途土地域を予定いたしております。
 派遣のタイミングでございますが、先遣隊と主力部隊に分かれて展開することを考えております。先遣隊は、派遣命令があった場合には遅くとも四十八時間以内に出発することを予定いたしております。それから主力部隊は、派遣命令後五日以内に出発を開始しまして、おおむね二週間以内に被災地域に到着することを予定しております。これは、我々自衛隊が派遣される場合は大変大きな災害を予定しておりますので、現地における支援というのはほとんど期待されず、日本人みずからが手当てをしなければいけないことから、トラックとか生活用資材とか、そういうものを持つ大規模な部隊になりますので、空輸に大変期間を要するということでございます。
 それから活動期間でございますが、救援活動実施部隊の主力到着からおおむね三週間程度を目標にいたしております。
 以上でございます。
#14
○野沢太三君 形は大変整っておるということでございましたが、今回の反省で見た場合には、なかなかこれが思うように機能しないという面がある。特に、外国向けには相当整えられていたものが、では国内に対してどうかと言われたときに、ここに一ついろいろ壁がありまして、思うようにその実力を発揮できない、機材等も一遍廃棄処分にしてから寄附をするというような苦肉の策までやらざるを得なかったということもあるわけでございますが、この緊急援助隊の法律を外と中と両方機動的に運用できるように法改正をするというお考えはいかがでしょうか
#15
○政府委員(平林博君) 緊急援助隊法そのものの法改正を含めましていろいろと政府部内で考えたわけでございます。
 今のところのとりあえずの考え方といたしましては、自衛隊から御説明が今ございましたが、もちろん自衛隊は国内の災害出動にはもっと機動的にできるようになると思います。また、警察、消防隊等の関係につきましても、これは本来業務が国内でございますので、今度の地震災害につきましてもそれぞれの所管官庁の指揮のもとに早い段階で出動をしております。
 したがいまして残るのは医療関係者。これは国際緊急援助隊に登録されている医療関係者は一応用ボランタリーに登録しております。したがいましで、こういう方々を組織的に国内に活用するという点で、今瑕疵があるわけでございます。そこで、この点につきましては、厚生省はか関係省庁とも今話をしておりまして、国際緊急援助隊に登録されておられる方々プラス国内のための登録に必ずるような方々、外国語あるいは外国での経験はないけれども国内であればボランタリー活動をやるぞと、こういう医療関係者もおられるわけで⊂ざいますので、そういう者を含めまして、国内的な手当てができるような体制をどうするかということを今考えておるわけでございます。どういうふうな法改正、制度改正をしたら一番いいかということも含めまして、現在鋭意検討中でございます。
#16
○野沢太三君 ボランティアで出ていただける方というのはそう多くはないと私は思うんですね。符に、国際的な支援ができる方は、当然国内的な御協力もいただける可能性があるわけでありますから、中だ外だと分けないで、両方出られるという仕組みをつくっておいた方がこれから役に立つりじゃないか。その意味で、それが法律で保障が必要なら、法律あるいは政令レベルで対応できるならそちらで、やはりいざというときにどこへでも行って何でもやるんだと、こういうことが非常に重要だと思います。そこで、今回一つの反省としまして、いわゆる地方自治体の枠組みの中での救助・救難活動ということでいきますと、どうしても御本人たちが被火者になっているという事態から考えまして、周辺市町村なりあるいは国のレベルなりからそういつ救援の問題を考えたらどうかということで、消防庁等でも今緊急の援助活動をやろう、そういっに体制を整えようという準備をしていただいておりますが、この点につきましてお願いします。
#17
○説明員(西村清司君) 消防におきましては、本米、国内におきまして大規模な災害等が発生いたしますと、全国の消防機関がお互いに協力をして策中的に活動をするという仕組みを持っておりまT。私ども広域消防応援というふうに呼んでおりますけれども、その仕組みに基づきまして、今回の災害に際しても全国の消防機関が現地における活動を行ったわけでございます。
 しかしながら、より一層迅速に、しかも高度な技術を持っている隊員を集中的に投入する体制ができないものかということで、現在、仮の名前でございますけれども、緊急消防救助隊というようなものを国内の消防機関の協力を得て創設できないかということで検討を進めているところでございます。
#18
○野沢太三君 この皆さんもやはり国際的、国内的含め仮にお隣の韓国なり中国ということでもし何かあれば出かけられる仕組み、体制にしておいた方がいいと思うんですが、この点はいかがでしょう。
#19
○説明員(西村清司君) 先ほど外務省の方から御答弁がございましたとおり、国際緊急援助隊の一構成員として救助チームというのがございますけれども、その中に現在五百一名の国際消防救助隊員というものを登録させていただいておりまして、海外からの援助要請に対して迅速に出動できる体制をとっております。これら五百一名の隊員は、いずれも全国の消防機関の中でも非常に高度の技術、体力等を持っているすぐれた隊員でございまして、今回の阪神・淡路大震災に際しましても、そのうち二百五十名程度が現地で活動したところでございます。
 これまでの国際緊急援助活動の活動実績、先ほど御説明ございましたけれども、それから見ますと、消防の救助チームが参りましたのは、多いときでも四十名、通常は十名前後の数で出動いたしておりますので、現在の体制で十分対応できるのではないかというふうに思っております。
 今、委員の御指摘にございましたように、これから国内体制として整備しようといたします緊急消防救助隊を海外でも活動できるようにするかどうかということにつきましては、海外に対する援助体制の規模をどの程度に想定するのか、また規模も大きくなりますとそのための輸送手段、特に人命救助の場合は迅速に輸送することが必要となってまいりますので、輸送手段の確保ですとか、あるいは現地におきます地上の移動手段、体制などが必要となってまいりますので、こういった点につきまして外務省当局の御意見も伺いながら対応をしてまいりたいというふうに考えております。
#20
○野沢太三君 ぜひひとつそういった援助体制をできるだけ機動的に円滑に発動できるように、ふだんから連絡あるいは協調、訓練、これを重ねまして、備えを怠らずにいただきたいと思う次第でございます。
 それから、今回の援助の中で在日米軍の働きというものに大変目覚ましいものがあったということが伝えられておるわけでございます。提供されました話としましては、もう発災当初からクリントン大統領から総理に向けていかなる協力もあり得べしというお申し出をいただいた中で、水あるいは毛布、テント等についての御支援をいただいたようでありますが、これが大変目覚ましく効率的に届けられまして、現地でも大分助かったという声を聞いておるわけでございます。
 安全保障条約というのは、いろいろあるんですが、こういった場合こそまさに平時における備えとして大変この機能が発揮されたと思うわけでございますが、残念ながら余りこれが世間に知られていないわけであります。PRというと、こっちがやるのもおかしいんですが、何らかの形でこういったものを広報に載せて国民の御理解をいただくということは大変大事ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#21
○政府委員(時野谷敦君) おっしゃいますとおり、在日米軍からは極めて迅速に非常に有用な支援を得たということであります。ただいまおっしゃいましたように、毛布、水、防水シート、大型テント、あるいはその設営に必要な海軍及び海兵隊の派遣、さらにはそのために必要でありました航空輸送の支援、こういうものを得たということでございます。
 御指摘のとおり、こういう米軍の活動をより広く国民の方々に知っていただくということは、非常に有用なことだというふうに思います。
#22
○国務大臣(河野洋平君) 在日米軍の支援ぶりというものは、野沢議員御指摘のとおり、本当に目をみはるようなことでございました。現地で大型のテントを張ったりという作業があったのですが、その際にも、被災者の方々がそのテントを張る作業を周りで取り囲んで見て、そのテントができ上がったときにはもうみんなで拍手をして、抱き合って喜んだというような情景もあったように伺っております。
 私も、今、野沢議員が御指摘のように、在日米軍のこうした行動に対して何かしたいと、こう考えまして、近々私は在日米軍の関係者に対して感謝の意思をきちんと表したいと思っております。もちろんこれまでも衆参両院で院の決議で感謝の意思は示されまして、それは即日各国に伝達をいたしたところでございますが、在日米軍に対しては、日本にもおられるわけでございますし、私自身何らかの形で感謝の気持ちを隻だいというふうに思っております。
#23
○野沢太三君 ぜひひとつその辺はフェース・ツー・フェースの感謝をお願いしたいと思うわけでございます。
 それでは次の議題に入りたいと思いますが、朝鮮半島エネルギー開発機構の問題につきまして、昨日も同僚議員から質問が出ておりますが、非常に問題が多岐にわたり、また問題を含んでおると、思いますので、重ねて御質問を申し上げたいと思います。
 現在、このKEDOに対して参加を表明しておる国がまだ必ずしも多くないということでございますし、特に隣国である中国、ロシアがこれに対して、歩外から見ようという、立場をとっておられますが、この状況について御説明をお願いします。 
#24
○政府委員(川島裕君) KEDOの参加国につきましては、なるべく幅広い国際的な参加を得ることが必要であると望まして、日米韓三カ国で連携いたしまして、アジア、太平洋、欧州、中東産油国等の国、に対して参加招請をずっと打ってきた次第でございます。KEDOは、原加盟国としては日米韓の三カ国でございますけれども、それに加えましてKEDOが立ち上がって直ちに開かれました理事会におざまして、豪州、カナダ及びニュージーランド、太平洋の先進国とでも申しますか、この三カ国がKEDOの加盟を承認されまして、近く所要の手腕を下して、カナダ、豪州、ニュージーランドも正式加盟国になる予定でございます。こうなると六カ国が加盟国ということになります。また、英国、フィリピン等もKEDOへの参加の意向を表明しておるところでございます。去る八日、九日の二日にわたってKEDO設立のための準備会合が開かれたわけでございますけれども、このときは二十カ国及びEUから出席を得られました。今後、加盟国数がもう少し増加することを期待しております。ちなみに、二十カ国の中には、ASEAN諸国は全部、それから追加して入ってきたカナダ、豪州、ニュージーランド等に加えて、フランス、ドイツ等のヨーロッパ諸国、それから湾岸からはア首連、クウエート等が参加しております。それから、ロシアも参加した次第でございます。
 お尋ねの中国でございますけれども、これは三月二日、中国外交部スポークスマンが定例の記者会見におきまして、中国は朝鮮半島の核問題の直接の当事者ではないのでKEDOへの参加を考えていないと述べた次第でございます。八日、九日のニューヨークで行われましたKEDO設立の準備会合には、中国からの出席はなかったわけでございます。ただ、中国は米朝合意と申しますか、このKEDOの一連のプロセスに消極的ということではございませんで、一貫して中国はこの米朝合意を支持し、かつ歓迎しております。そして、基本的な姿勢として、朝鮮半島の非核化というものを大変重視しているという姿勢でございますけれども、ただ中国は北朝鮮の大変重要な友好国であるので、いわば独自の立場でKEDOに参加することなく朝鮮半島の非核化と申しますかそういう問題について役割を果たしたいと、こういう姿勢のように見える次第でございます。中国に対しても引き続きKEDOへの参加を呼びかけることは続けたいと思っております。
 それからロシアに関しましては、これはKEDO参加について現在検討中ということで承知しております。ロシアの場合には、軽水炉供与について、ロシア炉の供与の可能性はないだろうかということについて折に触れて関心を表明していることは御承知のとおりでございます。
 いずれにいたしましても、今後とも引き続き米国、韓国と連携しまして、なるべく幅広く各国のKEDO参加を呼びかけていきたいと考えております。何となれば、やはり北朝鮮の核問題に対する対応というのは、国際社会全体として対応すべきものであると考えるからでございます。
#25
○野沢太三君 参加国数が多いほどいいわけですけれども、やはり何といっても米韓日、これが中心になって進めるという事態は変わらないだろうと思いますが、隣国である中国、ロシアがこれに
 ついて消極的あるいは反対ということではこれは成り立たない話だと思いますから、ぜひともオブザーバーなりあるいは連絡の必要というものがあったらいつでも仲間に入れる、情報の交流だけは続けていただきたい、こう思うわけでございます。
 その中で、一番今問題になっております軽水炉の型式につきまして、なぜ韓国型でなければならないかということについてもう一度この場でひと
 つお願いしたいと思います。
#26
○政府委員(川島裕君) お答え申し上げます。
 米朝合意の交渉過程から、御承知のとおり日米韓の三カ国で緊密な協議を行ってきたわけですけれども、その中で韓国はこの軽水炉プロジェクトにおいて中心的な役割を果たす用意がある唯一の国であるということが明白だったわけでございます。これは、財政的負担等において中心的ということは、大変大きな負担をする用意があるということでございます。そういうことですので、韓国型の原子炉を提供するということが本件プロジェクトを実施して米朝合意の着実な履行を図るための唯一可能な選択であり、不可欠な前提であると考えられるわけでございます。
 そういう考え方を踏まえまして、先般設立いたしましたKEDOの設立協定におきましても韓国型の炉の供与ということが明記されている次第でございます。すなわち、KEDO設立協定の第二条というところに、「KEDOと北朝鮮との間で締結される供給取決めに従って、それぞれ約千メガ・ワットの能力を有する韓国標準型原子力発電所様式の二基の原子炉から成る北朝鮮における軽水炉プロジェクトの資金手当て及び供与を行うこと。」というふうに規定されているわけでございます。
#27
○野沢太三君 前提はわかるんですが、相手はこれについて、型式が古いとか炉心の安定性の問題であるとか寿命の問題、あるいは故障率その他さまざまな問題の指摘がございますね。こういったものが克服可能なのかどうか。克服可能であるとした場合、これを国際的な規格でやっているということを考えまして、やはり米国なり日本なりの企業がその間へ入って話を円滑に進めるということができないのかどうか、技術的な克服の問題も含めてどうなのか。これは交渉の一つのこれからの課題だろうと思いますが、どうでしょうか。
#28
○政府委員(川島裕君) お答え申し上げます。
 確かに、これから軽水炉の供給取り決めというものを北朝鮮とKEDOの間で詰めていかなきゃならないわけですけれども、この型式の問題は非常に大きな問題でございます。
 七日の朝鮮中央通信が北朝鮮外交部スポークスマンの言として、北朝鮮に提供される軽水炉についての協定が韓国型を主張する米国のために期限内に調印されないということになるとしても、北朝鮮には韓国型軽水炉を拒否する以外いかなる選択もない、拒否するということを言って、拒否するという姿勢を明確にしているということでございます。そして、軽水炉提供に関する協定が四月二十一日までに調印されるか否かは米朝合意の命運を決定するキーポイントであると述べたというふうに報じられております。
 この問題についていろいろやりとりをこれからやらなければならないわけでございますし、その軽水炉の具体的な供給のやり方等も含めて詰める作業はいろいろ残っているわけでございます。その時点でほかの国がどういうふうに関与するかということもいろいろそれは検討しなければならないポイントと思いますけれども、ただ、いずれにしましても韓国が中心的役割を果たす用意がある、そしてその前提で韓国炉の炉を提供するということが基本でございまして、そこのところは変えられないのであろうと思うわけでございます。そういう中でこれからどういうふうに供給取り決めについて詰めていくかということでございます。
 我が国といたしましては、北朝鮮が韓国型の炉の供与がこのプロジェクトにおいて唯一可能なオプションであるとしうことをぜひとも理解してこの問題について前向きに対応することを望んでおる次第でございますし、ここのところがクリアと申しますか解決されないと、そもそもKEDOが立ち上がりにくくなってしまうものですから、目下、ここ数週間にわたって一つの最初の山と申しますか、順調な実施の最初に至るまでの作業が重要な局面を迎えつつあると こうしうことでございます。
#29
○野沢太三君 大変難しい交渉かと思いますが、資金の問題あるいは将来の問題、安全保障の問題等から考えても韓国型ということは理解ができるわけではありますが一それが合意に達しないということでは元も子もないということですから、そこら辺を含めてぜひひとつこれについては弾力的な解決、これが望まれるわけであります。
 その中で日本が果たす役割というのは、ただ決まったことについていけばいいというだけではいかにも主体性がないわけでありますが、日本の役割というのはその中でどういう立場が考えられるりか、実際どういうふうに働いておられるのか、ひとつお伺いしたいと思います。
#30
○政府委員(川島裕君) お答え申し上げます。これまでは北朝鮮が米国以外相手にしないといつ立場をとってきたものですから米朝間の交渉というもので物が進んできたわけですけれども、これからはKEDOが立ち上がりまして、KEDOかいろんな一連の、軽水炉を含めて取り仕切るという体制でございます。そして、日本はKEDOり原加盟国として米韓両国とともに三カ国で主導的集まり、つまりリードをしていくという立場に立ったわけでございます。そういう中で、一方、我が国といたしましては、軽水炉プロジェクトの全体像のもとで意味のめる財政的役割を果たす用意があるということは既に表明しているわけですけれども、財政的な貢献の具体的内容についてはこれからまさに詰めていかなきゃならないという段階でございまして、まだ全体の像は見えていないという状況でございます。そこで主体的にいろいろ動かなければならないと私どもも思っておりますし、まさにKEDOの組織の組み立てもそういう役割を果たし得るようにできております。理事会はこの三カ国で構成されておりまして、日米韓による理事会がKEDOの意思決定の機関でございます。それから今、事務局ができつつあるわけでございますけれども、私どもとしては事務局の次長にしかるべき者を、邦人を派遣することを考えております。
 まさにこれからKEDOの立ち上がりのいろんなプロセスの正念場を迎えますので、具体的対応に当たって遺漏なきを期したいと考えております。
#31
○野沢太三君 ぜひひとつ事務局におかれましても、また理事会の中におきましても、日本の立場、役割というものがはっきり出るように御努力をいただきたいと思うわけです。そこで、相当量のやはり資金を供給するということが当然ついてくるであろうと思うんですが、有償にするか無償にするか、あるいは長期にわたる資金負担、こういうことになりますと、これをどういうふうにルール化するのか、また国会に対してどう説明をしていただくのか。特に予算ということになりますと、単年度予算主義で組み立てられた予算に対して長期にわたるお約束をせざるを得ないということになりますと、その辺についてのお話はどのような形で国民の皆様にオープンにしていくかということがあろうかと思います。既に衆議院で、外務大臣におかれましては国会に対して承認を求めるというような御説明をいただいたと伺っておりますが、それでよろしゅうございましょうか。
#32
○政府委員(川島裕君) お答え申し上げます。
 具体的な資金スキームがどういうふうになるかというのがまだ固まっておりませんで、これは段取りといたしましては、まさに韓国炉の問題をめぐっていろいろやりとりがこれから行われますところの供給取り決めというものを詰める必要があるわけでございます。そして、供給取り決めができた後、恐らく現地調査とかフィージビリティースタディーみたいなものを早急に実施することになろうかと思います。そういう中で、いずれ具体的資金スキームをKEDOとして詰めるということになろうと思っております。そこにおいて、我が国としてかねて表明していた意味のある財政的貢献というものを具体的に、それではどれくらいのものかということを決断する必要があるわけでございます。
 お尋ねの国会との関係でございますけれども、これが仮に多年度にわたる財政支出を約束するものであれば当然のことながら国会の承認をいただく条約という形で処理することが必要となろうかと思っておりますが、今のところ、例えば有償になるのかそうでないのかとか、そういう資金スキームを含めて、先ほど申しましたとおり、まだ決まっていないので、全体を詰めるのはこれからという段階でございます。
#33
○野沢太三君 それらを推進する意味でも、外交ルートがないというのはまことにもどかしいわけでございます。これまで、第八回までたしか国交回復についてのお話し合いをしてこられておられるようですが、ここで中断しました理由とそれから、既にもう二年ほど経過しておりますが、これを再開する見通し等についてはいかがでしょうか。
#34
○政府委員(川島裕君) 一九九二年、二年数カ月前と申しますか、九二年の秋でございますけれども、直接は李恩恵の問題の取り扱いを契機といたしまして、北朝鮮側が第八回交渉において一方的に席を立ってしまったものですから、以後中断しているということでございます。
 それで、それまでの正常化交渉におきまして番対立点になっていたのは、一つは核開発の問題、それから李恩恵の問題でございました。その後二年を超す時間がたったわけですけれども、この間に米朝合意成立というのは、交渉が中断された当時とは基本的に随分国際環境が変わってきたわけでございます。そういう状況のもとで、政府といたしましては、やはり日朝間の対話というものは再開が望ましいという考えに立ちまして、とにかく無条件で国交正常化交渉の再開をしようではないかという呼びかけはいろいろな形で行ってきた次第でございます。
 この無条件ということは、お互いに交渉再開に先立ってこれを言うなとかあれを言うなとかいう条件はつけないということでございます。つまり、核問題は二度と取り上げないと事前に約束しろとかそういうことを言われても困る、お互いに関心のある項目は開陳し合う形での対話を再開しようではないかということでございます。
 米朝合意が成立したものですから、特に核の問題については中断した前とはおのずから扱いがある程度異なった雰囲気でやれるのではないかと私どもは考えておりますけれども、今のところ正常化交渉の再開には至っていないというのが現状でございます。
#35
○野沢太三君 最近になりまして与党三党に対する招待状が参りまして、これは御相談の上、できるだけ早い機会に党レベルでの交流窓口を開きたい、こういうことで今、与党三党努力をしておりますが、これを早くやはり実現することと、あわせて、政府レベルにおいても何としても交渉、交流が開かれるように努めていただきたいと思うわけであります。アメリカと共同歩調ということも大事ですけれども、歴史的に見ても地理的に見てもとにかく大変かかわりの深い国であるし、また接触できるレベルというか人的パイプというものはいろいろあるだろうと思いますので、それをすべて活用していくということが、この際、大事ではないかと思うわけであります。
 過日、湾岸戦争の折にイラクが日本人を含め人質として大勢を拘束したときに、既に政府レベルでは接触ができなかったんですけれども、党のレベル、バース党と自民党、それから前の中曽根総理とフセイン大統領との個人的な信頼関係、こういったものが物を言って何人かの人質を返していただいたと。私もその一員として現地に派遣させていただいたんですが、やはり国レベル、それからまた党のレベル、民間レベル、個人のレベル、こういったすべてのルートも、この際、生かして北朝鮮との関係を正常化していくということが極めて大事ではないか、その上でKEDOの成功あるいは推進ということがあわせ行われるということが大事ではないかと思いますが、この点につきまして、大臣いかがでしょうか。
#36
○国務大臣(河野洋平君) 野沢委員の御指摘のとおりだと思います。我々は、湾岸戦争のときもそうでございました、あるいは日中の国交正常化のときもそうだったと思います。国交が不正常な状況でございますから、政府間の交渉ということに直ちにならない。そういう状況下において、日中のときには我々の先薙が大変苦心をし、苦労をしながら両国の間をつないで、理解をするための環境整備に当たられたということがございます。
 私も、現在の日朝関係にはそうしたこともまた意味のあることであろうというふうに思っておりまして、政党間と申しますか、あるいは政治家がこの間の正常化へ向かっための環境整備に大変有意義な活動をすることができるであろうというふうに思います。しかし、この問題はそう急いでやみくもにというわけにもまいりますまい。たび重なる努力の積み重ねが大事であろうと思っておりますが、いずれにせよ、不正常な二国間のためにそれぞれのお立場でお考えをいただくことは大変ありがたいことだというふうに思っております。
 ちょっとこの機会に、先ほど御質問がありましたKEDOに関する韓国炉について一言申し上げておきたいと思います。
 私は、今回の北朝鮮の核開発問題解決のための軽水炉プロジェクトについて韓国型の炉を使うということは、我々としてぜひこれを実現したいと強く考えておりますことをぜひ御理解いただきたいと思います。
 その理由は、政治的な側面と財政的な側面と両面あると思います。軽水炉を北朝鮮に従来の黒鉛減速炉にかわってつくるということは、少なからぬ財政的な負担がございます。この少なからぬ財政的な負担と申しますか支援ができる国はどこかといえば、やはり韓国であり、我が国であり、アメリカであり、幾つかの国になると思っております。これをもし韓国型の炉でない炉を使うということになると、こうした財政的な支援というものはなかなかできないであろうというふうに思うのです。もちろん北朝鮮には北朝鮮の政治的な思いがございましょう。しかし、まず最初に財政的な現実性、実現性ということを考えますと、これは韓国型の炉が最も実現性が高いということを御理解いただかなければならないと思います。
 もう一点、政治的な側面を考えてみても、韓国の立場を考えればこれは韓国型の炉を使用してほしいという強い希望があるのは当然のことだろうと思います。そして、この米朝合意というものは、ただ単に黒鉛減速炉にかえて軽水炉を使うということだけではなくて、北朝鮮に国際社会の一負として責任ある立場に立ってほしいという希望、期待を込めたものでもあろうと思います。アメリカは北朝鮮との間に事務所の交換をする、あるいは南北対話を促進する、こういったことまでが米朝合意に書き込まれていることはその証左であろうと思います。これをただ単に別の炉が使えるではないかというだけでこの問題は片づく問題ではないというふうに思っておりまして、我が国としては、アメリカ、韓国とともにKEDOを通してぜひとも韓国型の軽水炉をもってこの軽水炉プロジェクトを実行したいというかたい決意を持っておるということをぜひ御理解いただきたいと思います。
#37
○野沢太三君 よくわかりますが、河野大臣はあわせまして我が党自民党の総裁でもいらっしゃいます。そして今大事なことは、与党並びに野党を含めまして我が国側が北朝鮮に対してどんなシグナルを送るか、こういうことが極めて大事だと思いますので、ぜひひとつそのイニシアチブを発揮していただき、両国関係が一日も早く正常化をされるよう御努力をお願いいたします。
 次に、質問を変えますが、核拡散防止条約の見直しがこの四月から始まるということでありまして、これについては既に相当努力をしていただいてきていると思います。私も昨年の列国議会同盟におきまする演説の中で、これに対する参加の呼びかけと無条件の延長ということについての日本の立場について主張をいたしまして、あわせて核実験の禁止から究極の廃絶へ向けての我が国の悲願を表明してきた次第でございます。
 しかしながら、この件につきましては各国それぞれの思惑等もありまして、まだまだ加盟各国の過半数というところまで押さえ切っていないというふうに伺っておりますが、延長に対する各国の立場について、今どのような状況になっているか、御説明をいただきたいと思います。
#38
○政府委員(林暘君) 来月の十七日から開かれますNPTの再検討延長会議において、NPTの今後の延長についての決定がなされる予定でございますが、それについて加盟各国がどういう主張をしているかということを簡単に御説明申し上げます。
 現在NPTに加盟しております国は百七十三カ国ございますので過半数は八十七ということになりますが、我が国を含めますいわゆる先進工業国、それから旧東側諸国、それから一部の開発途上国、我々の分析では約七十カ国程度になろうかと思っておりますけれども、それらの国々はNPTの無期限延長を実現したいという意見を持っております。
 それから、非同盟諸国の中の一部でございますが、これは国の数を特定することは非常に難しいのですけれども、おおよその数で申し上げれば二十から三十カ国程度になろうかというふうには思っておりますけれども、こういった国々は核兵器国の軍縮努力をさらにしてもらう必要がある、ないしは現在ジュネーブで交渉をいたしております核実験の全面禁止条約を早期に締結してもらう必要がある、ないしは非核兵器国に対する核兵器保有国のいわゆる安全保障の約束、そういったものが重要である等の立場から、NPTを無期限に延長するのではなくてある程度の期限を切った延長をしたらどうかということを言っておりますが、これらの国々が一つの方式ということでまとまっているわけではございませんで、いろいろな形で今申し上げましたようなことを主張して、無期限延長でない形で延長したらどうかということを言っておるわけでございます。
 また、あとのかなりの数の国々というのは、延長会議が一カ月後にはなっておりますけれども、まだ最終的にきちんとしたみずからの方針を決めていないという国々であろうかというふうに思っております。
#39
○野沢太三君 これは単に核の問題としてとらえるとなかなか難しいと思うんですが、それぞれの国の安全保障をどう担保していくかということから考えますと、外交努力で克服できる面が相当あるのじゃないかと思いますが、これに対する日本のこれまでの外交努力という点では、どういうことをどの場でどう訴えてきたか。この点いかがでしょうか。
#40
○政府委員(林暘君) 我々といたしましても、いろいろな機会に我々の考え方、我々がどういう理由でNPTの無期限延長を支持しているかということをいろいろな国々に訴えかけております。それは二国間の会談等の場でもそうでございますし、国連、特に昨年秋の国連総会、特に第一委員会等でもそういうことを言っております。
 今、野沢委員御指摘のとおり、NPT条約というのがそれぞれの国の安全保障ということに深くかかわっているということはそのとおりでございまして、先日参りましたエジプトのムバラク大統領ないしはムーサ外務大臣も、エジプトの安全保障という問題から、イスラエルのNPT未加盟ということを問題にしておるわけでございます。
 各国それぞれの立場はございますけれども、立場は立場として、先ほど申し上げましたように百七十三カ国というほとんど世界じゅうの国々、十数カ国が入っていないという状況ではございますけれども、大多数の国々が入っているNPT条約というものがそういう意味で世界の各国の安全保障に大きな役割を占めていることはそのとおりでございますので、それはそれとして安定的に維持した上で、各国それぞれが持っております安全保障上の問題をどういうふうに解決するかということをそれぞれやっていかなくちゃいけないというふうに思っておりますし、その辺についての説明はいたしておるところでございます。
#41
○野沢太三君 ムバラク大統領もおいでになってエジプトの立場が表明されたんですが、外務大臣のところには世界じゅうからのお客様がひっきりなしにお見えだと思います。それから、ODAを初めとして、我が国がお役に立っている国々もたくさんあるだろうと思いますが、それらのパイプをすべて動員しまして、唯一の被爆国としての日本が、NPTの延長問題を含め、あるいは核実験の禁止、さらなる廃絶へと、これについては絶えず主張していかなきゃいかぬ、また交渉していかなきゃいかぬと思いますが、これに対する外務大臣の御決意をお伺いしまして、私の質問を終わります。
#42
○国務大臣(河野洋平君) 御指摘のとおり、私は昨年秋以来、二国間でお目にかかる外務大臣初め各国の政治的に高い立場の方々に対しましては必ずNPTの問題については問題提起をして、先ほど政府委員も答弁申し上げましたが、我が国の考え方を述べると同時に、この無期限延長がいかに国際社会の安定と平和を維持することに大事かということを申し上げてきております。
 今後もこの態度は変えないのは当然のことでございますが、この問題を二国間関係で処理をするということ、我が国との間という意味ではなくて、外国の要人の話を聞きますと、先ほども御答弁申し上げましたが、どこが持ってないからどうだ、どこが核武装をしそうだから我が方もこうだというふうに二国間の関係で物を考えると、これはなかなか面倒でございます。しかし、これはマルチに考え、しかも中長期に考えればこのことが平和を維持する上で重要な問題であるということを申し上げて、理解を求める努力をしつつございます。未加盟国の問題を指摘する国、あるいは既に核保有国の核軍縮への努力について言及をなさる方、その他いろいろな御意見はもちろんございます。しかし、そうしたことを超えて、核軍縮に向かう言ってみれば一里塚でございますから、これをぜひやりたいという強い願望を私は持っております。
 なお、私は過半数を制して多数決でこの問題が無期限延長にいくということだけでいいのかと。やはりこれは願わくはコンセンサスで無期限延長にいくということでなければならない、全会一致で無期限延長に向かうということが本来は最も望ましい形でございます。なかなか難しいこととは思いますが、少しでもそれに近づくための努力をすることが大事ではないかという気持ちを持って、お目にかかる方々皆さんにそういうことを申し上げているところでございます。
#43
○野沢太三君 残余の質問は別な機会に譲りまして、これにて終了いたします。
#44
○石井一二君 大臣以下皆さん御苦労さまでございます。私より若干の質問をさせていただきたいと思います。
 今、同僚の野沢議員が核兵器不拡散条約、NPTについて御質問でございました。それで、大臣はいろんな国の要人とずっとこの問題について話し合ってきておる、そういうことも御発言になったわけでございますが、一番最近、外国の要人としてエジプトのムバラク大統領、ムーサ外相とこの問題について会談をされたように我々は伺っておりますが、そのときの状況をごく手短にちょっとお聞かせいただけたらありがたいと思います。
#45
○国務大臣(河野洋平君) 私は、この問題を主としてムーサ外相とやりとりをさせていただきましたが、ムーサ外相は二月にも一度来日をしておられまして、この一カ月の間に二度エジプトの外務大臣とはお目にかかりました。二度ともかなり時間をかけていろいろな議論をいたしましたが、このNPTについても多くの時間を費やしたわけでございます。
 私は、NPTについてはぜひ無期限延長でいこうではないかということを申しましたが、一月にお目にかかりましたときには非常にかたい態度で、自分としては意見が違う、イスラエルの状況を考えると、これは無期限どころか、イスラエルが今の態度を変えないのならNPTにとどまることも考えなければならないという非常に強い態度でございました。しかし、NPTというものはと私が説明をしかけると、いや、それはもうわかっている、自分はNPTをつくったときの最初のメンバーだ、自分はNPTのメンバーなんだ、NPTのメンバーでないイスラエルに、君、そういう話は向こうへ行って言ってくれというような態度であったわけでございます。
 その後、ムーサ外相はアメリカに行かれて、中東和平プロセス、非常に厳しい交渉をずっとしておられるわけでございますが、今回お目にかかりましたときには、このNPTにとどまるということはもう自分はそう考えている、ただし無期限延長ということになるとイスラエルの態度いかんだよということをしきりに言っておられました。
 この間、エジプトは、イスラエルに対して直接イスラエルのNPT加盟を呼びかけておりまして、それについてまだイスラエルははっきりとした答えをしておりませんが、一定の期間を区切って、たしか三年ぐらいだったと思いますけれども、期間を区切って考えてみようと。こういう状況になれば考えるとか、いろいろイスラエルは前提をつけているわけでございます。
 エジプトは、なぜイスラエルだけが例外的に未加盟をみんなが認めるような形になっているのか、さらには、NPTとはいうけれどもIAEAの査察の仕組みというものが必ずしも完全ではないのではないか、したがって自分の周辺、イラクにしてもイランにしてもさまざまなことを言われているじゃないか、その中で自分だけがNPTの非常に誠実なメンバーであって、しかも無期限に自分の手を縛るということについては非常に心配があるんだということを言っておられたわけでございます。しかし、村山総理とムバラク大統領との会談その他もございまして、エジプト側の態度はNPTにはとどまるという態度にはなっているというふうに私どもは認識をいたしておる次第でございます。
#46
○石井一二君 それで、このときの会談を伝える各紙の新聞報道によりますと、河野外相はイスラエルベの働きかけを強化していく方針を伝えたと、こういうことで結ばれているわけですが、具体的に日本国の外務省としてイスラエルに対してどのようなアクションを起こされるおつもりか、御予定があればお聞かせをいただきたい。
#47
○国務大臣(河野洋平君) NPTの会議の前に私はイスラエルに人を派遣して、我が国の考え方もイスラエルに伝えたいというふうに思っております。
#48
○石井一二君 精力的な活動をお願い申し上げます。
 続きまして、ODA関係、政府開発援助に関連して若干御質問いたします。
 きょう外務大臣が朗読されました外務省所管一般会計予算案の概要についても、国際貢献策の充実強化の四つの柱として二国間援助等の拡充ということが大きくうたわれておるわけでございます。それで、現時点においてODAで世界一といったしかポストをとっておると思うんですが、ちょっと概況についてどのような御認識に立っておられるか、ごくごく簡単に御発言を願いたいと思います。
#49
○政府委員(平林博君) 石井先生御存じのように一九八九年、それから飛ばしまして九一年以来、日本のODAは世界の第一位の規模になっております。これに加えまして、ODA大綱というODAの指導原則、哲学も確立してきております。したがいまして、今や押しも押されぬトップドナーということでございますが、さらに援助の実施面での改善を加え、また日本の国民の皆様方、被援助国側の国民の皆様方、さらには世界の世論に向けて、日本の援助が有効にかついろいろな地域で役に立っているということをPRすると。この辺のことをやってまいりますと、日本は量的な面でトップであるのみならず、指導的な援助国であるということになろうかと思っておりまして、その面で努力いたしております。
 援助対象国は百五十を超えるまでになりまして、そういった従来の日本側の努力が今般の阪神・淡路大震災のようなときに一つの反響となってあらわれるということではないかと考えております。
#50
○石井一二君 非常に国際的な評価も受けておりますし、今後大いに頑張ってやっていかにゃならぬと私も理解をいたしておりますが、多ければ多いほどよいというものでもないと思うんですね。要は中身だと思うんです。そういう中で、同じODAでも贈与、それも無償から技術協力あるいは政府の貸し付けあるいは国際機関に対する出資とか拠出等々いろいろありますが、この分野でさらに今後力を入れていきたいというような方針について若干方向づけができるならば述べていただきたいと思いますが、いかがですか。
#51
○政府委員(平林博君) 国際的にも日本は贈与の比率が相対的にいうと低い、二十一の援助国の中で下から数えて四番目がそこらということになっておりまして、この贈与比率を向上させるということを期待されております。また、アフリカを含めました最貧国からのそちらの面での要請も、この間のコペンハーゲンの会議でもそうですが、大変ふえておりますので、一般会計から出る贈与の比率、無償資金協力とか技術協力、こういったものをふやしていく必要があろうかと考えております。
 それから、政策的には人口、エイズといった地球規模問題、環境問題、さらにはいろんな国の民主化・市場経済化の努力の支援、さらには国民参加型援助と申しておりますが、政府だけでなくてNGOあるいは国際機関、そういったいろんなところを動員したような援助の形態の促進、またさらにはアジアを初めとしていろいろと今まで援助を受けてきた国が少しずつ援助をしようという機運になっておりますのでそういった国々を助けながら援助を行っていくこういった協力した援助、こういったものを今後とも進めるべきものと考えております。
#52
○石井一二君 援助に関する評価報告書、あるいはまた会計検査院の決算報告書を見ておりますと、本来意図された効果が必ずしも上がっていないというような指摘の例が幾つかあるわけでございます。もちろん申すまでもなく援助は国民の貴重な税金を使うという以上失敗があってはならない。効果的な援助を実施するためには、政府の一層真剣な取り組みということが必要だと思います。これまでの、こうだという方針を決めて、それがすべて正しいということでいつまでも見直さないでずっとやっておるということでいかない場合もございますし、こういった面で絶えず再評価、再検討、そういうことの繰り返しが必要だと思いますが、外務大臣、その辺の御見解はいかがでございましょうか。
#53
○国務大臣(河野洋平君) 議員御指摘のとおりだと思います。これだけ援助の額も巨額に達しておりますし、我々は十分そうしたことを考えなければならないと思います。
 支援する側の各国に援助疲れが見えるというのが今一般に言われていることでございまして、ヨーロッパ各国の支援にも限界があるということになりますと、援助を受ける側は、我が国に対する期待度がますます高まってまいりますが、そうしたときにも我々は十分慎重に、真剣に援助のプロジェクトあるいは方式その他十分考えていかなければならないと思います。援助についての事前事後の評価、そうした点にも十分な慎重な対応が必要だというふうに考えております。
#54
○石井一二君 私は昨日の質問でも、外務省も人が足らない、足らないからできないことは十分理解できますが、まあ頭数よりも中身の問題だから頑張っていただかなきゃならぬというふうなことを申しました。
 ただいまの発言に関連して、平成六年十二月十七日付の朝日新聞を見てみますと、「ODA、百二十一億円分「空回り」」という見出しで、タイなどの三カ国、五事業が全くむだになっておるという実例が紹介されております。これを一々読んでおると時間がかかりますが、例えば外務省が八八年から三カ年間で約三十九億円を無償資金援助したタイ南部のバンナラ川河口付近のかんがい工事とか、いろいろあるわけでございますが、今、外務大臣が言われた意気込みでもって今後いろいろ御精励をいただきたいと思います。
 それで、これはODAの一部になるのじゃないかと思いますが、一九九〇年の二月二日に南アフリカのデクラーク大統領が議会開会演説でアパルトヘイトの撤廃方針を打ち出しまして以後、四月には南ア史上初の全人種参加の総選挙が行われ、現在民主化された南アというものが実現されております。政府は、この民主化を遂げた南アフリカに対しまして、昨年七月、二年間で十三億ドルの支援を打ち出したと聞いておりますけれども、どのような認識のもとにこの支援を行っておられるのか、お伺いしたいと思います。
#55
○政府委員(平林博君) 今の御質問にお答えする前に、大変恐縮でございますが、先ほどの朝日新聞の記事について一言だけ。
 あれは五つのプロジェクトを総計しますと百二十億円少々になるのですが、会計検査院の報告ではこの五つについて予定していた成果が十分には発現していないという御指摘でございまして、部分的には発現しているということでございますので、全部がむだになったわけではございません。また、それぞれのプロジェクトにつきまして事後評価を行いフォローアップしておりますので、今のタイのようなお話ですと、今年中には全部予定どおり先方側の工事が完成して効果が期待できると、こんなことになっていますので、御理解を賜りたいと思います。
 南アの問題につきましては、今まさに先生がおっしゃいましたように、新生南アが民主化され、国際社会の一員として入ってまいりましたので、日本政府としてはほかの国際社会のメンバーと同様の認識を持ちましてこれを助けていきたいということで、おっしゃったように全部で、ODAだけで言いますと三億ドル程度、それから輸銀が五億ドル程度、それから貿易保険関係で五億ドル程度、世界的に見ますと一番大きな援助のお約束をしたということでございます。これにつきましては、今、鋭意先方と話をしておりますが、既に輸銀の関係では三億ドル、三百億円程度の援助案件が一つサインされております。これは、南アの黒人地域を中心にした電気の配電網をつくる計画でございますが、円借款を含めたODAの部分につきましては、今、鋭意先方と打ち合わせ中でございます。
 ただ、まだ政権が発足して間もない一年足らずでございますので、先方はたくさんの計画は頭の中にあるんですが、それをきちんとした形で組み立てて我々にまだ提示するに至っておりませんので、いろいろこちらからも知恵を差し上げながら協力をして、できるだけ早急にまとめてまいりたいというふうに考えております。七月の上旬にはマンデラ大統領も訪日されるというようなお話もございますので、それまでには少しでも前進をするように努力したいというふうに考えております。
#56
○国務大臣(河野洋平君) 一言だけつけ加えさせていただきたいと思います。
 南アに対する支援は、ただ単に南アを支援するというにとどまらず、南アの平和と繁栄というものが南部アフリカの安定につながるという意味があると思います。これは、アフリカ南部の政治的な現在の状況を見ておりましても、まず南アフリカが安定をする、それから経済的に活力を持つということが周辺国への影響が非常に大きいということを考えておるということをぜひ御理解いただきたいと思います。
#57
○石井一二君 大臣のおっしゃることに対して私も全く同感でございまして、理解ができます。お金を出す限り、これは血税でございますので、やはり言うことを言い、指摘すべきは指摘していただきたいと、そういう観点で申し上げておるわけでございます。
 ちなみに、これは九四年十月十七日の読売新聞の夕刊でございますが、英国エコノミスト誌の記事を引用して、見出しが「南アANC政権も「甘い汁」 破格の閣僚・議員報酬」ということで、デクラーク大統領よりもマンデラ大統領の報酬は二倍の高さに大統領就任のときからはね上がっておるとか、これは読売新聞のことしの二月十六日の記事でございますが、「マンデラ夫人流用疑惑
 南ア政府調査 パキスタンの援助金。ということで、「ウィニー夫人は、アフリカ民族会議女性同盟の議長も務めるが、同盟最高幹部の半数近くが十一日、議長の専横に反旗を翻して辞任を発表」とかいうようなことも出ておりますので、お目にかかられる機会があれば、やっぱりそういったことも言っていただいて、本来の目的どおりにODAのお金が使われるように努力をしていただきたいということを要望いたしておきます。
 一方、目をロシアに向けてみたいんですが、平成七年二月九日付の外務大臣の談話によりますと、チェチェン問題に関連して、今後ロシア支援に加えて、さらに新たに同地域で発生しております避難民等の救済のために人道支援の中核として活動しておるUNHCR、国連難民高等弁務官事務所あるいはICRC、赤十字国際委員会に合計五十万ドルを拠出することを決めたと、こういうように報道されておりますが、これについてどのようなお考えなのか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
#58
○政府委員(野村一成君) チェチェンをめぐる問題につきましては、幾つかの側面があろうかと思います。多数の住民の犠牲、あるいは今御指摘になりました難民が出ているという非常に人道的観点からする問題、あるいはロシアの改革路線が今後どうなるかというふうな問題があろうかと思います。
 この点につきましては、実はチェチェンの問題につきましては、ヨーロッパのOSCEと呼んでいます欧州安全保障機構でございますけれども、そこが決定を行いました。難民に対する支援を行うべきであるということでございまして、それを受けまして、我が国の方もこの支援を決定したという次第でございます。
#59
○石井一二君 そのヨーロッパのOSCEが何を決めようと勝手ですが、それに我が国が従わなきゃならぬという理由はないと思うんですね。即従わなきゃならぬという理由はないと思うんです。
 それとロシアの改革路線というものから外れた、これは一国内のやや武力行使を含む内戦状態であろうと思うわけなんですね。しかも、今回はそういうチェチェンとかロシアにする支援じゃなしに、直接的には私が申した二つの事務所に対して四十万ドル、十万ドルというように出すわけですが、こういった組織は緊急アピールを行っただけで、その国へ行って、チェチェンヘ行って何か具体的なことをするという計画もないわけですよね。だから、非常に安易にこういうことをお決めになっておるのじゃないか、そう思うわけですが、その辺いかがですか。
#60
○政府委員(野村一成君) ただいま御指摘のチェチェンに対する人道支援でございますけれども、これは日本だけではなくて、OSCEの決定を受けまして、EU、欧米の各国がそれぞれ、主としてUNHCRと国際赤十字でございますけれども、それに対して行っているというものでございます。
 その基本的な背景といたしましては、例えば赤十字につきましては、これはカフカスという地方でございますけれども、そこには従来から活動拠点を有しておりました。今回の紛争につきましても、昨年末からチェチェン領内あるいは隣接地域で現に人道支援活動を行っているという実績がございます。また、UNHCRにつきましても、ことしの初めからチェチェンの近接地域へ調査ミッションを派遣しておりまして、また一月十五日から支援物資の空輸も開始しているというふうに承知しております。基本的には、そういう今のような現場における活動を通じましてチェチェンから周辺地域に流出した難民への支援を行っているというのが現実に行われている状況でございます。
#61
○石井一二君 私は今手元に、九三年ですから二年ぐらい前ですが、ニューヨーク・タイムズ、三月十九日の新聞のコピーを持っているわけですが、これはフルシチョフ元首相の息子さんがニューヨークにおられて、「Stop Wasting Aid toRussia」ということで、ロシアに援助をしてもどぶにお金を捨てるようなものである、全部官僚の懐に入ってしまうと、こういう記事を投稿されているわけです。
 一個人の立場ですから、投稿されるのは勝手だし、その中身は正しくないと言えばそれまでですけれども、私は北方領土の交渉の進捗状況等を考慮に入れても、ロシアに対して安易にどんどん、どこからか要請が来たからすぐほいほいと四千万円、五千万円ものお金を出していくということには若干異議がございます。しかも、この援助を決めたときは日本の特命全権大使がエリツィン大統領にお目にかかりに行ったんだけれども会えなくて、メッセージを次官を通じて伝達したというような、外交止もこうこうでこうこうするからこれは頼みますよというような、もっと直接的な、意義のある、ありがたみがある使い方がされていないんだと思うんですが、局長、その辺いかがですか。
#62
○政府委員(野村一成君) ただいま御指摘の支援につきましては、これは二月八日付でございますが、村山総理からエリツィン大統領あての書簡及び河野大臣からコスイレフ外務大臣あての書簡という形できちんと先方に伝わるようにいたしてございます。ただ、その具体的な伝達が、直接会うことができなかったという点はあろうかと思います。
 ただ、先般コスイレフ外務大臣が日本にお見えになりましたときに、これはまさに大臣から直接この支援について言及していただいたということはございます。
#63
○石井一二君 昨日の質問で、椎名議員が、我が国の国際公務員的な方、国際分野で働く方が非常に数が少ないようなことを言っておられたように記憶しますが、難民高等弁務官事務所におられる緒方さんあたりの御要請があって今回のこの援助はなされたのかどうか。その辺の関与はどうですか。
#64
○政府委員(野村一成君) 先ほどちょっと御答弁申し上げましたけれども、このチェチェンの問題というのは、私は基本的にはOSCEの枠の中できちんと対応されるべきであるというふうに思っております。そのOSCEが二月三日にこの問題について決定を行い、日本はOSCEにつきましてはオブザーバーというステータスでございます。したがいまして、中に入っていればその決定そのものが意味を持つんだろうと思いますけれども、やはり外にあって、今申しましたような基本的な立場からいたしますと、このOSCEの決定を支持するというのが日本のとるべき対応だと思いまして、基本的には支援の決定というのはそのOSCEの決定を踏まえてなされたものというふうに御理解いただきたいと思います。
#65
○石井一二君 いや、オブザーバーであればなおのこと責任が軽いわけですから、そうほいほいと乗り出していく必要もないのじゃないかと思うんです。
 では、緒方女史の依頼があったかなかったかという面では、全然関係ないと、そういうことですか。
#66
○政府委員(野村一成君) 現実に支援を行うという場合に、先ほどちょっと御説明申しましたけれども、現に現場で活動をしておるのがUNHCRであり国際赤十字であるという、そういう実態に着目することも必要であると思います。それを受けまして、OSCEの決定を受けて、では現実にその支援活動をどういうふうに行えるかということを考えますと、このUNHCRあるいは赤十字というのを通じての支援ということにならざるを得ないわけでございまして、欧米の各国ともそういうふうな対応をとっております。
#67
○石井一二君 質問をもっと率直、フランクに聞いてもらったらいいと思うんですね。何かこう注意して逃げて逃げて間接的に遠回しに言われるけれども、そういう方がおられたら当然意見ぐらい聞いているのじゃないんですか。例えば、ルワンダに我が国がああいったPKOを出されましたけれども、そういうときも緒方さんの方からの要請だったと私は理解しておりますが、その辺はいかがですか。
#68
○政府委員(平林博君) ルワンダの情勢を踏まえまして国際的に救援活動が行われたわけでございますが、そのうちの一部として確かに緒方難民高等弁務官から御要請があったということは確かでございます。そのほかに赤十字国際委員会とか世界保健機関とか国連のボランティア機関とかいろいろございまして、総合的にその都度判断して、どういう組織が一番的確に援助を行っているか、またどういうような活動をそれらの組織が分担してやっているかということをいろいろと調査し、考えた上でやっておりますので、結果的に見ますと緒方さんのやっておられる難民高等弁務官のところに一番多く行っておりますが、その他の機関についてもかなりな程度行っております。
 また、日本のNGOの少なくとも三団体が長期に入ってまだ活動しておりますが、そういう顔の見える援助を日本としてもやっているんだということを現地の皆さんに知っていただくために日本のNGOが大変活動されておられるわけですが、そういう団体に対しまして政府の方からも草の根無償援助とかNGO事業補助金とか、そういう形でかなりの支援を差し上げているということでございます。
#69
○石井一二君 それで、そういったいろいろ情報を入れていただいて我が国がそれに準じて活動するということは、何もいかぬことじゃありませんので、いいわけですが、ただ、こういうことは御注意してくださいよというようなことは、やはり言うべきことは言ってもらわなきゃいかぬという中で幾つかの指摘をしているわけです。
 例えば、今、ルワンダの話をしましたけれども、これは週刊新潮の十一月三日号ですが、ルワンダ外相十八万ドル持ち逃げと。一人当たり国民総生産が約二百五十ドルというルワンダ共和国で一千八百七十万円の大金が消えたということですね。七月にも旧政権の駐米大使が二百万ドルを持ち逃げしたとかいうように、どんどん出しておってもそれが生きているかチェックができなきゃいかぬということで、やや末梢なことを言うようで恐縮ですが。
 もう一つだけ例を言わせていただきたいんですが、これはニューズウイークの九三年十月六日号ですが、シアヌーク殿下がカンボジアヘお帰りになったと。ところが、「王室費もジャパン・マネーで 日本政府がシアヌークに年八万ドルを支給」と。それで王室の運営には税金を使わないと大見えを切っていると、こういうような話もあるわけです。だから事実だと思うんですけれども。だから、何か日本のODAというものが何となく安易に、言えば持ってくるというような感覚で世界で受け取られておれば私は非常に問題だと、そういう面から申し上げていることでございますので、ひとつ誤解のないように受け取っていただいて、また発言すべきは発言をしていただきたいと思います。
 ODA問題の最後に、対ミャンマーについて、新たなODA供与を再開した、食糧増産へ十億円ということですが、ミャンマーは人道的援助に限定してきたというこれまでの方針を逸脱するものだと思いますが、その辺についてちょっと御所見をお聞きしたいと、そのように思います。
#70
○政府委員(平林博君) ミャンマーに対する経済協力を停止した数年前の段階で日本政府が申し上げたのは、緊急援助、人道的な援助はこの限りでない、そのほか継続中の案件もこの限りでないというようなことが書いてございました。
 政府といたしましては、その後、ミャンマー情勢を非常に注意深く追っておりましたが、まだ完全には満足できる状態ではないものの国内の情勢が少しずつ治まってきたと。また、アウン・サン・スー・チーさんは依然として釈放はされておりませんが対話が行われてきたと。いろいろな観点を踏まえまして、ミャンマーに対しましてもう少し国際的に情勢をよく認識して、さらに努力をさせるために、この際、我々としても従来の非常に厳密な枠にとらわれないで一定の範囲内で一歩出る方がよろしいのではないかという判断でございます。
 この食糧増産援助につきましては、しかしあくまでも人道的な色彩を持ったものということ、この建前を貫くために五つぐらいの少数民族地域、特に食糧が非常に不足しておりまして麻薬に頼ったりいろいろしておるような地域、これを選んで供与するということにした次第でございます。
 また、今、石井先生がおっしゃいましたように、当然これを黙って供与するのではございませんで、引き続きミャンマー政府に対しては強力に民主化の方向に向けての努力を働きかけるということでございます。したがいまして、全体として少し、一歩出たという感じはございますが、しかし大枠からはみ出たものではないというふうに認識をしている次第でございます。
#71
○石井一二君 私の持ち時間が四十七分までなので、あと二問聞かせていただきます。質問は一分ですから答えも一分、そういうことで要領よくお願いしたいと思います。
 一つは、平和的目的のための宇宙探査及び利用における協力のための責任についての相互放棄に関する日本国政府とアメリカ合衆国との間の協定、これについて損害賠償請求権の相互放棄を今まで重視してきたわけですが、昨年の向井さんに続いて今度若田さんが行かれる可能性がある。その場合の損害賠償請求権の放棄問題をめぐって日米間の交渉が必ずしもうまくいっていないということですが、結論としてこれはどうなりそうか、日米協定は今国会に提出するのかどうか、その辺を簡略に御説明いただければありがたいと思います。
#72
○政府委員(林暘君) 今、アメリカ側とは交渉をいたしておりまして、まだ最終的に交渉は決着いたしておりません。最低あと一度交渉しなくちゃいかぬかと思っておりますけれども、それをいたしまして、できる限り今国会に提出をしたいというふうに考えております。
#73
○石井一二君 国際化時代を迎えて、日本と外国政府間の年金通算協定というものがどんどん進んでおります。すなわち、アメリカ人で日本にいる方、またその逆で日本人でアメリカにいる方、米国在留邦人は今二十五万二千人、片や在日米国人はたった四万三千人というアンバランスですけれども、この結果、年間約一千億円の保険料がむだになっておるという新聞報道がございます。これは三月十二日付読売新聞でございますが、こういったことについて、今後、国際年金協定の日米間の締結に向けてどのような姿勢と戦略で臨まれようとしておるか、またその先行きについてのお見通しをお伺いしたいと思います。
#74
○説明員(宮島彰君) 先生御指摘のように、国際的な人的交流の活発化に伴いまして年金受給権の保全とかあるいは二重適用の解消が非常に重要な課題になってきております。我が国では特に交流の多いドイツとアメリカにおきまして、過去数次の非公式の事務レベルの協議を重ねてきております。
 まずドイツとの間におきましては、一時滞在者の適用なり老齢年金についてはおおよその合意ができておりまして、あと残っておりますのは障害・遺族年金について、これは両国の制度の仕組みが大きく異なっておりますので、その間の調整を今鋭意詰めておるということでございます。今月末に一応ドイツに参りまして、残っております問題の詰めをやって、本年六月に事務レベルの協議が予定されております。私どもとしては、できるだけ早期に締結に向けて努力すべく、何とか本年中に基本的合意を得たいということで鋭意努力しております。
 それから、アメリカとの間でも過去数次協議を重ねてきておりますが、昨年秋にアメリカの担当者との間で非公式にさらに協議を続けようということで一応合意しております。ただ、アメリカとの間では、先生御案内のように、お互いの一時派遣者の数にかなりのアンバランスがございまして、そのために一時派遣者の適用除外の仕方いかんによっては保険料収入が減って年金財政上に影響を与えるという点がございまして、この点はアメリカが問題視しております。現在、アメリカにおきましては幾つかのケースを前提に年金財政に与える影響の試算を行っておりまして、その結果を踏まえながらこの問題の解決に向けての話し合いをやろうという段階になっておるところでございます。
 いずれにしましても、この通算協定の締結というのは非常に重要な問題でございますので、私どもとしても早期の締結へ向けて鋭意努力してまいりたいというふうに思っております。
#75
○石井一二君 最後に大臣の御所見を承りたいと思います。
 最近の急激な円高によりまして、途上国は円借款の返済に非常に苦しんでいる状況がございます。大臣答弁ですから余り細かなことじゃなしに、基本的なお考えとして、救済という観点から日本政府としてどのような取り組みをお考えか、御所見があれば承りたいと思います。
#76
○国務大臣(河野洋平君) 確かにこの急激な為替の変動はお困りであろうというふうには思います。しかし、大変申しわけない言い方、答弁で恐縮でございますが、基本的には今の段階でこの問題を救済する方法はありません。
#77
○石井一二君 終わります。また次回に伺います。
#78
○猪木寛至君 まず最初に、このたびの与党の訪朝団に関する問題と、それからまた昨日の新聞でも報じられております、北朝鮮が大型の援助引き出しを急いでいるという記事が新聞でも報道されておりましたが、それに関連してタイ米のことがちょっと出ておりました。それについて質問をしたいと思います。
 私も昨年から北朝鮮との四月に行われるイベントに向けて話を今進めている最中なんですが、その中で、関係者から、タイ米が余っているならそれの援助を北朝鮮にしたら大変喜ばれますよというような話を耳にしていたものですから。きのうの新聞に「北朝鮮が交渉再開にからめて、日本に備蓄されたタイ米などの安値買い入れを打診していることについては、金正日書記の正式後継に向けた準備作業の一環とみられている。というようなことが出ておりますが、今、タイ米の備蓄というのは一体どのぐらいあるのか、お聞きしたいと思います。
#79
○説明員(西藤久三君) 緊急輸入米につきましては、昨年十二月末で全体で九十六万トンの在庫を有しております。そのうちタイ米については二十九万トン程度となっております。
#80
○猪木寛至君 今どのような形で保管されているんですか。
#81
○説明員(西藤久三君) 昨年輸入した後、自然条件が暑い条件下でございましたものですから、この品質を維持するために大部分は低温倉庫で保管され、品質の確保を図っております。
#82
○猪木寛至君 お米というのは、御存じのとおり、一年たつと古米になってしまって、それでなくてもタイ米というのは非常に日本人の口に合わないという、緊急の場合はしようがなかったんですが、今はとんとレストランにおいてもどこにおいても純国産米が出回っております。
 そこで、先ほど申し上げました北朝鮮からの要望ということで、どのルートで、あるいはどういう形で申し込みがあったのか。ここに「外務省はニューヨーク、北京などで北朝鮮側と接触を続けた。シンガポールでは与党政治家も交えて」という記事があるんです。多分この方は政府高官、私も存じている人じゃないかなと思うんですが、具体的にこれはそういう話があったのかどうか、ちょっと外務省にお聞かせ願いたい。
#83
○政府委員(川島裕君) お答え申し上げます。
 一つは日朝間の接触でございますけれども、御承知のとおり、二年以上にわたって国交正常化交渉を中断しておりますので、水面下と申しますか、いろいろな場所でその再開の可能性について接触をしたことはございます。ただ、事の性質上、どこでだれがという具体的な話を申し述べることは差し控えさせていただきたいと思っております。それが日朝間のやりとりについてでございます。
 そこで、米の話でございますけれども、これは私も十六日付の、昨日付の朝日新聞というものを読みましたのですけれども、これはソウル発で、日韓消息筋ということのようでございます。
 ただ、政府サイドといたしましては米の話については一切承知しておりません。
#84
○猪木寛至君 そういうお答えだと私の方も質問が詰まりますが、実際、先ほど申し上げたように、一部報道でされている米の慢性的な不足というか、それともう一つはタイ米の余剰と言っていいのか備蓄、これの処理という問題もお聞きしなきゃならないんです。
 きょう外務大臣の説明の中にもありましたように、戦後五十年の節目を迎え、平和友好交流計画として三十億円計上していると。そういう意味で、今回大変向こうが困っていること、その辺の状態というのは私も把握していないんですが、私の得た情報の中でも、タイ米を援助されたらば大変有効に今後の交渉にも役立つんではないかという気がするんですね。それについて政府としてはどういうお考えをお持ちでしょうか。
#85
○国務大臣(河野洋平君) 二つ申し上げたいと思いますが、先ほど政府委員から御答弁申し上げましたが、私も北朝鮮側から北朝鮮国内の食糧事情とか経済事情が非常に困難に直面をしているので支援をしてほしいという意味の先方からの依頼があったということは全く承知しておりません。それが一つでございます。
 もう一つは、たとえ日本の国内から支援をするという機運が出てきたとしても、国交が正常化されていないところへの支援というものはないというふうに私は思います。これまでそうしたことをするということは非常に困難だということは申し上げていいと思います。
 さらに、これは御担当の役所が見えておりますが、米の問題に関してはさらに一層食糧援助、米の援助という点ではさらに国際的な取り決め、ルールその他があって、これも極めて難しいというのが現実だと思います。
#86
○猪木寛至君 ということは、仮にそういう要請があったとしても、今は政府は対応できないというお答えでしょうね。
#87
○政府委員(川島裕君) まず、背景について若干申し述べさせていただきますと、食糧不足、食糧事情が悪いということについては、いろんな報道とか韓国の関係者による分析とかあるのは承知しております。その意味で、猪木先生が向こうにいらして米を供与すると大変温かく受け入れられるでしょうという感じというのは、一つの食糧事情に関しての判断材料としてはなかなか興味深いところがあろうかと思います。
 他方、そういう食糧不足と伝えられる状況のもとで韓国が、三月に入ってからと記憶しておりますけれども、穀物等を長期低利で提供する用意ありということを金泳三大統領がヨーロッパヘ、たしかドイツだったと思いますけれども旅行中に提供する用意ありというオファーを行ったんですが、これに対しては、ピョンヤン放送だったと思いますが、北朝鮮側は大変激しく反応いたしまして、拒絶したというようなやりとりがあった次第でございます。
 そこで、仮に依頼があったときどうするかというお尋ねでございますけれども、これは大臣答弁されましたように、いろいろ整理すべき点があって極めて難しいものを含んでいるという認識でございます。
 いずれにいたしましても、ちょっと仮定の話になってしまいますので、その場合どうするだろうああするだろうということは、確たることを申す状況にはないことは御理解いただきたいと思います。
#88
○猪木寛至君 そういうことではっきりした御返事ができないのは私もよくわかるんですが、これから具体的な話にできるだけ早く入れるように今回の訪朝団はぜひ、何か新聞によりますと政党間の何か争いというか、そんな感じで足踏みしている。できれば大きな視野に立って、百聞は一見にしかず、早く行かれた方が私はいいだろうと思います。私は。その件について質問は終わりたいと思います。
 最後に、もう一度大臣にお聞きしたいんですが、これからの訪朝に関する中身はなかなか今明かすことはできないでしょうが、政府としてどういうお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
#89
○国務大臣(河野洋平君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、国交が正常化されていない状況でありますから、政府と政府が話し合うということは難しいと思うんです。そういう状況の中で政党がそういう意味の環境をつくる、地ならしをするということはあり得ることだと思います。かつて我々の先輩が日本と中国の間の国交正常化前に果たされた大きな役割というものを考えますと、そうしたことは一つの方法としてあるだろうと思っております。もちろんこれは政党に限らず政治家あるいは民間人、いずれにしても人と人とのつながりを徐々に太く大きくしていくということも有効な方法であろうというふうに思っております。
#90
○猪木寛至君 先日、三月の三日ですが、ロスの市民マラソンというのがありまして、私はそこにスターターということでお招きを受けて行ってまいりました。二万八千人という大変な参加者が一斉にスタートして、スポーツがますます盛んになっている。その折、地震関連ですが、ノースリッジの現場を視察してまいりまして、一年後の復興状態がどうなっているかということで見てまいりました。その中でカリフォルニアのカリフォルニア・ステート・ユニバーシティー・ノースリッジという大学が一番被害が多かったということで、その先生方からもいろいろお話を聞いて、特にこんなにページ数の多い報告書をもらったんです。その中で、一部もう報告されているように、建設省の方が行かれて大見えを切ってきたやさきに今回の日本のあの地震が起きたということで、何もあの教訓を得ていませんねというような批判もありましたが、とにかく一年ちょっとの中で地震がまだ約一万一千回以上続いているということで、住民の皆さんは大変不安な状況にある。
 今回、毎日のようにテレビで阪神大震災の報道がされていますが、こうやって毎日毎日それを見せられていると、何というか、その痛みというか、そういうものが日常化して慢性化してしまったというか、何か遠いものになっていく。現実に私も先日神戸の方に行ってまいりましたが、やっぱりテレビとまた現場というのは大分違う。そういう意味で、大変な今回の被災の中で、我々も同じ痛みを感じてないといけないと自分に言い聞かせたわけなんです。その中で、サンフランシスコの地震の教訓を生かしてロスでは非常に対応が早かったということから、被災あるいは死亡者が六十何人という、大きな地震の割には少なかった、そういうことも報告を受けてまいりました。
 そういう中で、先ほど同僚議員からもありましたが、それに対する国際的な援助体制あるいは救援体制というものをぜひこれから確立してもらいたいというのが私の考え方なんですが、それについては同僚議員からの質問がありますので、私の質問はこれで終わりにします。
#91
○武田邦太郎君 最初にちょっと予定外のことになりますが、今日の外務省のお仕事というのはいわゆる外交という言葉では盛り切れない、いわば世界政策とでも言うべきお仕事がいよいよふえていくと思うんですね。ある意味では破局的とも言うべき地球世界を、本当に平和な各国各民族共存共栄するという状況に持っていくのが世界政策とすれば、外務省の予算というものはまことに少なくて、一兆円にはるか及ばないというのは、お仕事に比べてまず言うべき言葉がありませんですね。大臣は今後長く日本の世界政策に責任を持たれると思いますけれども、少なくとも三倍以上の予算を持つ構想をお考えいただけるとありがたいと思うんです。
 きょうは私の予定としては防衛庁、自衛隊に関する問題提起でありますが、このたびの大震災で自衛隊が武器によらないで我が国土及び国民の生命を守るということに比べ物のない効率的な組織、大組織的な行動ができるということを実証したわけであります。翻って我が国土の状況を見ますと、農村地帯で非常に災害が多くて、ことし山林とか川とか大きな災害があって、それを復旧できないうちに新しい災害がやってくるということでありますし、またたくさんできておるダムも、土砂が堆積して崩壊する方向に近づいているのが少なからずあるというようなことも聞いておりますが、こういうことに対して農水省、通産省、建設省が民間の業者を働かせてやることのできない、歯の立たない分野が非常に多くて、こういう問題に対して自衛隊が武力によらずに国土を守り、国民の生命を守る活動を拡大することはできないのか。
 今までややもすると防衛庁はちょっと肩身の狭いところもあったようでありますが、そういうことをもうすっぱり捨ててしまって、思い切ってそういうことに対応する。戦争直後はたしか社会党が平和国土建設隊設置とかなんとかというのをお考えになっているんですね。そのときの案としては国土開発省ですか、そういう名前の案もありましたですね。時代が過ぎましたから名称とか規模はうんと変わっていいわけでありますけれども、そういうものを今考えるとすれば自衛隊しかないわけです。
 それは国内だけじゃなくて、例えば中国やバングラデシュなどの大洪水、それからフィリピンの噴火ですか、地震も随分ある。さらに、毎年数百万ヘクタールの森林が荒廃して地球環境が根本からだめになる、あるいはもう来世紀に至ると食糧が絶対的に不足するにもかかわらず農地の荒廃がひどいと。こういうことに対して、今、国連はほとんどなすところなく無力ですよね。そういうことに対して私は、平和をもって任ずる日本が、まず自衛隊的な大組織をもって、国内がまず第一でありますけれども、全世界的に人類の運命にかかわるような大問題と取り組むという姿勢がまず必要ではないか。
 そのためには、やはり外務省でお願いしたような今程度の予算じゃ歯が立たないですよね。これはもうたちまち財源という話が出るわけであります。これは過去の慣習的に省別に固定化した予算の体系を、今あなたに申し上げるのはちょっと問題がありますけれども、ぜひ長官とか、それから今の問題では社会党が種をまいたようなものでありますから、政策的に。総理大臣に長官を通じて申し上げて、財源、予算体系を思い切って変えて、現在の世界に日本が対応するに必要な的確な予算を、予算の体系をつくり直すぐらいのことを、ちょっとお荷物が重いかもしれませんが長官に言って、私もチャンスがあったら総理に申し上げますけれども、それをぜひ総理大臣に申し上げてほしいと、こういうふうに思うんです。
 これから先の地球の環境をどうするかということは、もう人類全体の共通の問題ですから、だから当然国連がやるべき仕事です。しかし、現在の国連というのは、根本的に民主的改革をしなきゃならぬ国連ですよね。常任理事国が非常に横暴でありまして、国連の仕事をほとんどこの国々が決めてしまって、日本なんかは大変な貢献をしているにもかかわらず情報がちっともわからない、こういう国連でありますから、当然これは根本的に改革しなきゃならない。しかし、口で言ったってだめなんです。それにはまず自衛隊が全世界的に現実に活動して見せて、かくのごときやるのが国連の仕事であると。だから、そういうことを根拠にして国連改革案を出さなきゃならないと思うんですね。
 今もちろん即答は強要しませんけれども、私がきょう申し上げたようなことを長官に要点だけは確実に申し上げていただきたい。長官には、総理に必ず申し上げてくれと、機会があれば武田議員も総理に申し上げると言っているということをお伝え願えますか。
#92
○説明員(守屋武昌君) 先生の御指摘の点、大臣に申し上げておきたいと思います。
 それから、防衛庁、自衛隊という組織でございますが、先生の御指摘されましたようなところの法体制の整備は着々とでき上がっておるのが現状でございます。国際緊急援助隊というものに対しましても自衛隊が入っております。それから、国連の平和維持活動というものも行われるようになりました。今までカンボジア、モザンビーク、ザイール、三つのオペレーションを通じて行っているところでございます。それから、国内的にも、災害派遣ということで、こういう大規模な災害が発生しました場合には、私どもは要請に応じて対応する制度ができ上がっております。
 それから、隊法の中に土木工事の受諾という条文がございまして、地方公共団体が自衛隊の力をかりてその土木工事をする必要がある場合には、その委託に応じて我々が対応できるという制度ができ上がっておるところでございます。
 大臣にはお伝えさせていただきます。
#93
○武田邦太郎君 ぜひお願いします。
 それで私が痛感しますのは、そういう自衛隊の平和的活動によって国際的に日本が心から各国の尊敬なり信頼を得るようにあるということが、本来、国を守る自衛隊の本質的な任務ではないかと。武器で守るということは、核兵器時代には実際には余り役に立たぬ面があるわけですね。だけれども、この平和的建設活動によってこそ日本の安全が各国の尊敬と信頼の中で守られる、こういうことを自衛隊の任務として強調したいと思います。
 終わります。
#94
○委員長(田村秀昭君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十一分開会
#95
○委員長(田村秀昭君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#96
○清水澄子君 まず、ODA予算についてお尋ねいたします。
 今年度、平成七年度のODA一般会計予算は一兆一千六十一億円であり、対前年度化四%の伸びとなっております。また、このほかに円借款分として一般会計予算では三千七百八十九億円、財政投融資規模で九千四百億円となっておりまして、前年と同額になっております。
 このように日本のODA予算は、厳しい財政状況ではありましたけれども、一応の姿勢を示したことは私は評価ができると思います。これによって九三年から九七年までの第五次中期目標として掲げておりますODA実績七百億ドルから七百五十億ドルというのは達成が可能なのかどうか、お願いいたします。
#97
○政府委員(平林博君) 今、先生が御指摘になられましたように、九三年度から始まった中期計画でございまして、数字が判明しているのはまだ九三年だけでございますので、今から五年間全体の達成状況を予想するのはなかなか難しいところはございますが、円高が進めば、ドルの表示で約束をしておりますので実現の可能性がその分ふえるということは言えると思います。これも円高のメリットの一つというふうに考えております。
#98
○清水澄子君 済みません。草の根援助の方はちょっと飛ばします。通告しておきましたけれども飛ばします。
 そこで次に、政府は日本のODA予算が途上国の経済基盤の整備に役立ってきたと評価されておりますし、私もその一面は評価をしております。しかし、その一方では、とどまることを知らない円高の進行によって、円借款の返済で苦しんでいる国が出てきているということを私は改めて認識すべきものだと思っております。中国やフィリピン、タイ、インドネシアなどは、この円高のために借り入れた円借款の五割増し近いものを返済しなければならないという状況にあると思います。
 例えばフィリピンでは、政府予算の四〇%が債務返済に充てられておる状況です。そして、二国間の債務のうち六〇%近く、金額にして百十八億三千六百万ドルが日本に対する債務となっています。また、最近のこの円高によってさらに日本への債務は増加をしております。既にスイスやアメリカ、ドイツなどはフィリピンの債務削減あるいは債務の転換に応ずる方法を講じておるわけですけれども、日本政府は何らの具体的な政策を講じておらないわけです。最近マレーシアは、円借款にはもはや何の利益もない、今後は借り入れないとまで表明をしております。
 このままでは日本のODAのあり方が問われることになるのではないか、日本は何らかの対応策を早急にとる必要があると思うわけですけれども、そのためには私は次の方法があるのではないだろうかと思います。
 それはまず第一に、この円高で債務の膨らんだ額を削減する方法を講ずるということ。これについては、やはりドル換算での増額分を当初の円借款から削減するというように海外経済協力基金法の法改正が必要になってくるのではないかと思いますが、その点について法改正は考えられないのかどうか。
 そして第二点は、円借款を外貨貸しに転換していったらどうなんだろうか。これは政府の政治判断でできると思いますが、その点はいかがでしょうか。
 第三点は、新たに長期低利のローンを提供することができないのかどうか。これはツケの先送りなんですけれども、相手国にとっては当面の救済策となると思うんです。
 そこで、日本のODAによる善意というのは、現状のままでは私は相手国から逆に非常な非難を受けるようなおそれがあると思います。ですから、この点について政府はどのようにお考えになるか、その点についてお聞かせいだだきたいと思います。
#99
○政府委員(平林博君) 今、先生三つほど貴重な御提案をなさったわけですが、その前に一般論を申し上げれば、確かに円高は大変問題であり、単に日本経済の運営のみならず、援助をやっていく上でも問題であることは確かでございます。
 先ほど申し上げましたように、円高のメリットというものもございますが、円借款などにつきまして既往債権については大変借りた方に御迷惑をかけているということでございますが、変動相場制のもとでの援助ということでございますので、この点を制度的に改めるということはなかなか難しいところがございます。また、特に日本の円借款は最長三十年の返済期間でやっておりますので、その三十年の間には変動相場制のもとで為替が上がったり下がったりということもまた将来ともあり得るのではないかというふうに考えております。
 ただ、マイナスの面だけでなくて、過去に提供した円借款によっていろいろなインフラ整備ができ、社会基盤の整備ができ、また円高によって日本企業が進出した結果、中国を含めていろいろな国が大変な経済成長を遂げたという側面もあることは否めないところであろうかと思います。
 円借款を一部軽減するということは、いろいろアイデアはあるわけでございますが、これは特定の国にやりますと、日本の債権、円借款の残高は大変大きなものでございまして、その影響は非常に多方面に深く及ぶという問題も別途ございます。他方、そういう状況ではありながら、多少文句は言っているとは思いますが、この円借款をきちんと払ってきているという国あるいは払うという国もあるわけでございまして、そういう国との関係を考えますと軽々に軽減措置を講ずるということも難しい。特に円借款は最貧国、本当に債務が物すごくたくさんあるという国に供与しているものではございませんので、そういう点を考えますと軽々にはできない。
 また、円借款の軽減を仮にやった場合にはその分OECFを補てんしなければいけないんですね。一般会計で補てんするということをしない限りOECFが破産してしまう。これは新たな税金を注ぎ込むということになるわけでございまして、それが現下の状況でできるかどうか。もしできないのであれば、今あります贈与とか経済協力、無償資金協力、そういうものに当然影響が及ぶわけでございますが、この無償資金協力などはまさに貧しい国、あるいは中国などでも本当に基礎的な生活分野に行っているわけでございます。したがいまして、円借款を救う余り、そういった贈与を必要としている部門に行かなくなるということも問題であろうかと考えております。
#100
○清水澄子君 何か一つもできないという話だけでしたけれども、私はそれだけではやはり済まなくなると思いますから、本当にどういう方法ならあるか、どうぞきめ細かい政策をひとつ検討していただきたい。このことは要望をしておきます。
 それで次に、私は、村山内閣の施策として戦後五十年を契機に平和友好交流事業が企画されたことは評価したいと思います。十年間で一千億円、今年度予算で八十二億円、うち外務省予算が三十億円となっております。この三十億円の内訳は、歴史交流研究支援に十億円、各種の交流事業に二十億円の補助金となっておりますが、しかしこの予定されている事業を見ますと、それがどれだけの効果があるのか、非常に補助金のばらまきのような性格に見える部分もあって、私はやっぱり心配をぬぐえません。
 そこで、このアジア・太平洋戦争に対する日本国民一人一人の反省が諸外国に明確に伝わる形での各種の事業に使われることを私は強く望みたいと思います。この点については私は外務大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
#101
○国務大臣(河野洋平君) 貴重な資金を使うわけですから、それが効果的に使われなければならないというのは清水議員のおっしゃるとおりだと思います。一定の枠の中でありますけれども、その枠の中で効果的な使い方というものについて十分研究をしてきているわけでございますが、なお御意見がございますればどうぞ御指摘をお願いしたいと思います。
#102
○清水澄子君 大臣はそういうふうに使いたいという決意はございますね。
#103
○国務大臣(河野洋平君) 今申し上げましたように、大事な資金を使う方法についてはでき得る限りそれは効果的に使われなければならないと思います。資金を使うために予算措置をしているわけでございまして、その予算措置のための基本的な計画に沿ってぜひ効果的な運用を考えたいと思います。
#104
○清水澄子君 次に、従軍慰安婦問題についてお尋ねしたいと思います。
 これまでも当外務委員会で私はいろんな質問をしてきたわけですけれども、現在政府が進めているような対応というのは国内的にも非常にいろんな意見が出ておりますが、私はきょうは特に、とりわけ国際的な世論ですね、これについては、政府の対応に対する世論というのは非常に厳しいものがあります。政府はここで政策判断を誤ると、国際的な女性への人権問題として、また日本の戦後処理問題として私は禍根を残すことになるのではないかということで非常に深く憂慮しております。
 そこで、この慰安婦問題に対する国際世論の関心について質問をさせていただきたいと思います。
 まず、国連の有力なNGO団体であり、また国連の諮問機関でもあります国際法律家委員会、いわゆるICJの慰安婦問題に関する報告書についてでありますけれども、昨年の十一月二十五日の実は与党の従軍慰安婦問題小委員会において、外務省は、ICJ報告書は政府に渡されていない、そして日本政府とは何ら面会せずに報告書を作成したということを発言されました。
 ところが、私どもはずっとその後この報告書をもらっております。外務省も当然あると思いますが、この報告書には、読みますと、第七章に「日本政府の立場」というのが書かれています。その中で、ICJの調査団が当時の外務省のアジア局次長の高野審議官とか藤井新・北東アジア課長補佐と面会していることがきちんと報告書に書かれているわけです。にもかかわらず、なぜ外務省は面会をしていないとかそれを余りよく知っていないとかという報告になったのか、その理由をぜひ御説明いただきたいと思います。
#105
○政府委員(川島裕君) まさに報告書を入手していないということと、それから高野審議官でしたか会った事実があったわけですけれども、それについて接触をしていないということを十一月二十五日の従軍慰安婦問題小委員会において申し上げたわけでございます。これは全くの事実誤認でございまして、申し開きの余地もないんですけれども、部内におきまして担当部局を昨年の夏以降ちょっと主管が変わったものでございますから、それで事実誤認が生じたということで、これはその後、小委員会において、まことに申しわけない次第で、正確な事実を申し上げるとともに陳謝申し上げた次第でございます。
 その後、十二月九日にまさにその国際法律家委員会の担当の方々が外務省にいらっしゃいましたので、外務省の方から、同委員会作成の従軍慰安婦に関する報告書に関して、同年九月、中間報告がジュネーブの日本政府代表部に送付されてコメントを求められていたこと、それから最終報告が十一月未に同代表部に送付されていたという事実について、内部の手違いにより事実誤認があったということを認めまして、これによって、大変申しわけなかったということをおわび申し上げた次第でございます。これに対しまして、先方、国際法律家委員会の方からこの対応について非常に懸念が表明されたということでございます。
#106
○清水澄子君 そのコメントされた中身はどういうことをコメントされたんでしょうか。
#107
○政府委員(川島裕君) コメントを求められていたということでございまして、日本政府の方からコメントを特にこれこれであるというようなことは申し上げた経緯はございません。ただ、そもそも作成の過程で日本政府と接触がなかったかのごとく従軍慰安婦小委員会で申し上げたのは全くの事実誤認だったということでございます。
#108
○清水澄子君 これまでこういう国会で報告しているようなことをきちんとコメントされていますよ。これが全部この報告書に出ています。ですから、国際的にこの報告書が扱われているのに、私は外務省というのはそういう問題の情報ということについて非常に何か軽視をされているのじゃないかと思いますが。
#109
○政府委員(川島裕君) コメントと申しますのは、昨年の九月に中間報告がジュネーブの代表部に送付されまして、それに対してコメントを求められたのについてはコメントをしていないということでございます。
 他方、日本のいろんな、どういう立場で対応しているか等々については、先ほど御質問の中でございましたアジア局の高野審議官が訪日された国際法律家委員会の方たちといろいろ意見交換というか説明を行う機会があったと、こういうことでございます。
#110
○清水澄子君 中身を聞いています。何をコメントされましたか、どういうふうに。もっと簡単に言ってください。
#111
○政府委員(川島裕君) コメントというのは、昨年の九月に中間報告が出された際にそれについて国際法律家委員会の方からコメントを求められたということでございますが、これについてのコメントをしたということはございません。
 その前に、その一年くらい前だと思いますけれども、高野審議官と国際法律家委員会の間で、これは主として日本政府の立場というか、どういう状況にあるかを取材しにいらしたのではないかということでございますけれども、やりとりは、いろいろ対話をしたということでございます。ですから、コメントというふうには受けとめておりません。その時点ではまだ報告書とかそういうものの準備の段階だったわけでございます。
#112
○清水澄子君 では、私は今はそういうふうに受けとめておきますけれども、この報告書には書いてあります、どういうふうに話されたかということが。それは今まで国会でも言っておられるように、すべての請求権が最終的かつ完全に解決されているんだというふうなことを話をされております。だけれども、それもされていないんでしたら、またそのいない事実を  もう結構です。
 そこで、その次に入りますけれども、このICJの報告によりますと、現在、日本政府は賠償義務を継続しているというふうに位置づけているんですね、この報告では。そして、さらに日韓協定、日比賠償協定では個人の権利侵害に関する請求権は含まれていない、これはICJの見解ですよ、としているわけです。これは日本政府の従来からの主張、完全かつ最終的に解決されたという主張と真っ向から対立することになるんですけれども、これに対して政府はどういう反論をされるわけですか。
#113
○政府委員(川島裕君) 法的立場について申しますれば、一九六五年の日韓請求権・経済協力協定の第二条一におきまして、日韓両国及び両国民間の財産・請求権の問題が完全かつ最終的に解決されたということを確認する旨規定されております。したがいまして、いわゆる従軍慰安婦問題についても、日韓国交正常化交渉の過程で従軍慰安婦問題ということで請求が行われなかったとしても、この問題を含めてすべての財産・請求権の問題が完全かつ最終的に解決されたということは同協定により確認されているとの立場でございます。
 ただ、さはさりながら、まさに昨年の八月三十一日の内閣総理大臣の談話というものを御記憶がと思いますけれども、そもそもあの談話の発出の一つの契機となりましたのが慰安婦問題でございました。そして、先ほどの質問のやりとりのございました平和友好交流計画をこの談話において発足させたわけでございますが……
#114
○清水澄子君 ちょっと済みません、私の質問だけに答えてください。なぜ反論しなかったんですか。そういう意見が違う報告書が出されたならば、なぜ反論しないんですか。
 国際社会とか国際会議で出されている報告書を違うならば違うという意見を出さないと、そのままその報告書がずっと出回っております。ですから、その点でこれに対する政府の反論とは何かとお聞きしたんですが、それについてなぜ反論されなかったんですか。
#115
○政府委員(川島裕君) 国際法律家委員会だけではなくていろいろな非政府機関の法律の見解が従軍慰安婦の問題を含めましていろいろな形で開陳されておりますけれども、非政府機関のいろいろな法律の議論について一つ一つ日本政府としてこれに反論するということはいたしておりません。
 これは先ほど申しましたとおり、日本の法的立場ということはかねてから申している次第でございますし、慰安婦問題の日韓の脈絡では先ほど申した請求権・経済協力協定により解決されたという立場でございまして、それをいろいろな場においてもう一度非政府団体に対して申し上げるということはやっておりません。
#116
○清水澄子君 大臣にお尋ねいたします。
 ICJは昨年の九月二日にジュネーブの日本政府代表部に慰安婦問題に関する最終報告書の草稿を渡したわけですが、これを公表せずに、しかも受け取っていないというさっきの発言、私が質問したところ、それは事実誤認であったとかいろんなことをおっしゃったわけですけれども、内部の手違いとかそういう問題ではやはりこの扱いは済まされない国際信義にかかわる重大な問題になってきているんですね。ですから、いろんな意味で国際的な反発がとても増幅されていっているということを私は指摘をしたいんです。
 そして、最近、社会開発サミットで村山首相はNGOをパートナーと位置づけるという演説をしていらっしゃるんですけれども、これからの時代、日本はNGO団体をとても軽視しているのじゃないかと思います。特にICJというのは非常に権威のあるNGOなんですね。国連に登録されているこういう国際的なNGOの報告書を無視するというふうな扱いですね、こういう態度というのは私はやっぱり納得ができません。
 ですから、国際的にますます日本政府の姿勢に対する反発が起きているんですけれども、このようなことが起きたことに対して外務大臣はどのようにお考えになりますか。
#117
○国務大臣(河野洋平君) 事実誤認があったということを認めて、これは認める認めないではなくて実際に明らかな事実誤認でございましたので、これは外務省としてまことに申しわけないことであったということを与党の会合でおわびを申し上げております。これは国際的な問題ではなくて、政府と与党の委員会における発言に対するおわびでございます。
 そのことが国際的な問題となるかどうかという点は私にはよく理解ができませんが、それはそれとして、いずれにせよNGOとの連携を強めていこうということを私どもは考えております。これは主としてまずは日本国内のNGOとの連携というものが頭にあるわけでございますが、国際的な活動をする上で国際的なNGOとの連携というものも当然考えなければならないというふうに思います。
#118
○清水澄子君 このことが国際問題になるということが理解できないとおっしゃるところが、感覚がやっぱりずれているんだと思います。こういう報告書が世界じゅう回って、そして日本の外務省は知らないと言ったということも全部報告されていますから、今、国連というところではやっぱりNGOの存在、発言というか、非常にある意味で重要な位置を占めているわけで、そういう意味の感覚が問われていますよね。そういうことと、今この慰安婦問題等の問題が非常にそこへ重複してしまっているということを私は指摘を申し上げているわけです。
 それで次に、国連の人権委員会で、女性に対する暴力問題のクマラスワミ特別報告官が、今度、従軍慰安婦問題で調査のために訪日されますね。日本政府はこの二月二十四日にジュネーブでクマラスワミ特別報告官の招待を発表しましたけれども、これは国連からの正式な調査となると思うんですけれども、どのような内容の受け入れ要請があって、どのような日程で来られるのか、御説明いただきたいと思います。
#119
○政府委員(高野幸二郎君) 御指摘のとおり、人権委員会の主要議題の一つでございます女性に対する暴力、これについての特別報告者でありますクマラスワミ女史が、彼女の任期三年間における任務の遂行の一環といたしまして、日本を初め関係国を訪問したいという意向を持っているのはそのとおりでございます。
 ただいま委員おっしゃいましたとおり、先月、御本人から我が方のジュネーブ代表部の方に訪日の申し入れがございました。それを受けまして、私どもは喜んで受け入れたいということを同女史に申し上げた次第でございます。
 ただ、いつごろお見えになるのかまだ具体的な連絡がございませんで、私ども今御連絡を、多分これは人権センターを通じて参ると思いますが、御連絡があるのをお待ちしているという状況でございます。御連絡があり次第、日程及びその他、訪日といいますか滞日中のことにつきましては、私ども最大限誠意を持って対応させていただきたいと思っているところでございます。
#120
○清水澄子君 具体的日程なり決まったときには、ぜひ御連絡いただきたいと思います。
 次に、国連の女性に対する暴力問題委員会のクマラスワミ特別報告官は、昨年の十一月二十二日に、この人権委員会で討議する予備報告書を人権委員会に提出をしております。この予備報告書における慰安婦問題についての骨子は、一つは、国際人道法のもとでの犯罪としての認定とあるわけですね。そしてもう一つは、武力紛争時に犯された暴力の被害女性のための補償による救済。この二点が骨子になっています。
 そこで、私は、一般論としてでいいです、別に慰安婦とかかわらなくていいですが、一般論として政府は、この報告書で言う性的奴隷行為の国際人道法のもとでの犯罪としての認定という部分についてはどのような御見解をお持ちでしょうか。
#121
○政府委員(折田正樹君) クマラスワミ女史の予備報告書は、私どもも勉強させていただいていますし、女性に対する暴力全般について幅広く論じたものでございます。その中に、いわゆる従軍慰安婦に対する部分があるのはそのとおりでございます。そして、今、委員御指摘のように、国際人道法上の犯罪というところにも記述がございます。
 ただ、私どもといたしましては、この国際人道法上の犯罪なるものがどのような根拠、規定に基づく主張であるのか必ずしもつまびらかにしないのでコメントするのはなかなか難しいわけでございますが、いずれにしましても、こういう問題から生じます請求権の問題は、これまでも累次申し上げておりますように、サンフランシスコ平和条約、あるいは韓国の場合でしたら……
#122
○清水澄子君 一般論を聞いております、この問題に対する。日本の経過は今聞いておりません。今のこういう見解に対して、一般論としてどういうふうに受けとめられますかと聞いています。
#123
○政府委員(折田正樹君) 一般論として、先ほど申し上げましたように、国際人道法上どのような根拠でどのような規定で御主張なされているのかというのを我々つまびらかにいたしませんものですから、ちょっとコメントをするのは差し控えさせていただきたいということでございます。
#124
○清水澄子君 ではもう一つの、武力紛争時に犯された暴力の被害女性のための補償による救済という、この報告書の全般的なものをお読みだと思いますけれども、その中には二つある、私は今その二番目の方を申し上げた。これも一般論で結構です。政府はどのような見解をお持ちですか。
#125
○政府委員(折田正樹君) 一般論として申し上げますと、国際法上得る権利が果たして個人も有しているのかという問題だろうと思いますけれども、国家が国際違法行為を行った場合、被害国に対する加害国の賠償義務については国際法上確立しておりますけれども、それでは個人に国際法の主体性が認められるのかということになりますと、そこまでは国際法上確立しているとは言えないのではないかというのが私どもの一般論としての考え方でございます。
#126
○清水澄子君 この報告書のパラグラフ二九〇には、「一九九二年七月、日本の首相は、日本軍が広範な政府運営の売春所網において、何万もの女性に性的奴隷としての労働を強いたことを認めて謝罪した。」とあります。
 政府は、パラグラフ二九〇のこの記述をお認めになりますか。もし認められないとすればどの部分かということをちょっと簡潔に言ってください。
#127
○政府委員(高野幸二郎君) このパラグラフ二九○の話は、今、委員おっしゃいましたとおり、九二年七月という時点を限定しております。その時点との関連で私ども、日本国総理が云々ということは承知しておりません。
 ただ、九二年の七月に当時の官房長官から、従軍慰安婦問題につきまして政府の関与があったと認められることを云々の調査結果を当時発表いたしました。その際あわせて、いわゆる従軍慰安婦として筆舌に尽くしがたい辛苦をなめられたすべての方々に衷心よりおわびと反省の気持ちを表明したという経緯はございます。
#128
○清水澄子君 これは当時官房長官だった外務大臣が報告をされたわけですけれども、外務大臣、日本政府が従軍慰安婦問題について認めだというのは、このパラグラフ二九〇による一九九二年七月ということになりますね。それで、そのことが改めて確認ができるかどうか。そして、一九九二年七月以前には、日本政府にとって慰安婦問題というものは余り意識していなかった、いわゆる存在していなかったということになりますけれども、これは私はもうこれ以上追及しませんから、どうぞ率直に御意見をお聞かせください。
#129
○国務大臣(河野洋平君) ちょっと私、原文を申しわけありませんが見ておりませんので、その原文と合わせて確認をしろと言われるとちょっと今直ちにできませんが、間違いなくその当時官房長官でございました私は、従軍慰安婦問題についてのそれ以前、大分前からこの問題についての調査をずっといたしておりまして、その調査の結果をもとにして発表いたしました。その調査の結果を発表すると同時に、先ほど政府委員が御答弁申し上げましたように、私の気持ちを述べたものでございます。
 発表の時点はその時点でございますが、清水議員も長く関心をお持ちでありましたように、かなり以前からこの問題については政府としても関心を持ち、調査をずっと続けてきた経緯がございます。
#130
○清水澄子君 さっき私がお尋ねしたときに、二九〇のパラグラフについてはこの記述を認めるかというときに、首相という表現だけは別として、あとはお認めになりますか。
#131
○国務大臣(河野洋平君) ちょっと申しわけありません。ただいまの答弁を若干修正させていただきます。
 九二年の発表ということであると、実は私ではなくて加藤官房長官であったと思います。したがいまして、私の今の答弁は、九三年の発言ということに訂正をさせていただきます。九二年の部分については、申しわけありませんが、ちょっと手元にございません。
#132
○清水澄子君 九三年の場合はそういう形でお認めになりますね。
 それで、先ほどの二九〇というパラグラフの部分はお認めになりますか。
#133
○政府委員(高野幸二郎君) このパラグラフ二九○に書いてあることの趣旨におきましては、現実に東京での九二年七月の官房長官の発言とほぼ同趣旨がというふうに私どもとしては考えております。
#134
○政府委員(折田正樹君) ちょっと一点だけ補足させていただきますと、パラグラフ一九〇に性的奴隷という言葉が使っでございます。政府の発言の方にはそういう言葉はございません。
 国際法上、奴隷とは何かということでございますが、日本はいわゆる奴隷条約というのには加わっていないわけでございますけれども、その奴隷条約で定義されているのは、その者に対して所有権を伴う一部または全部の機能が行使される個人の地位または状態を言うということで、まさしく所有権を伴うような感じの定義になっているわけでございます。
 今度の従軍慰安婦問題が果たしてこういう表現にぴったりと当てはまるかどうかというところも問題があろうかというふうに思います。
#135
○清水澄子君 きょう、ちょっと余り論争する気はしませんが、慰安婦なんという言葉は英語にもありませんので、その点どうぞ御理解ください。こういう性的奴隷という表現に国際的にはなっております。
 そういう御認識であるということだけはきょうここで明らかにされましたから、これはまたいろいろ議論をしなければならないことがあるかとも思います。
 そこで、今度は二九一のパラグラフなんですけれども、これもぜひ大臣に私はお聞きいただきたいと思います。この報告書のパラグラフ二九一には、
 第二次大戦後約五〇年が経過した。しかし、この問題は、過去の問題ではなく、今日の問題とみなされるべきである。それは、武力紛争時の組織的強姦及び性的奴隷制を犯した者の訴追のために、国際的レベルで法的先例を確立するであろう決定的な問題である。象徴的行為としての補償は、武力紛争時に犯された暴力の被害女性のために「補償」による救済への道を開くであろう。ということがここで明確に報告書として提起をされて、そしてこの報告書は国連人権委員会に正武に報告をされている文書でございます。
 そして、この文書は、国連の文書として広く一般に公布されておりますし、現在ニューヨークで開かれております第三十九回国連女性の地位委員会においても報告され議論されている問題でありますので、そういう意味でやはり政府も改めてこの従軍慰安婦問題というのは女性の重大な人権問題として国際的に非常に新たな問題になっているという認識をされないと、私は今後非常に大きな政策的なずれというんですか、問題が起きてくるのではないかと思って今までこういう問題について質問してまいりました。ですから今後は、私は、政府は十分にその点を自覚をしていただきたいと思います。大臣、よろしゅうございますか。
#136
○国務大臣(河野洋平君) それぞれのパラについてお尋ねでございますけれども、実は大変恐縮ですが、私が今見ておりますものと訳文が大分違うのでございまして、これはいずれが正確かということはよくわかりませんので、ちょっとその……
#137
○清水澄子君 原文、あります。
#138
○国務大臣(河野洋平君) いや、原文はもちろん持っておりますけれども、その内容について一字一句を議論することはこの際、申しわけありませんが留保させていただくことといたしまして、今の議員の御認識について申し上げれば、私ども政府としてはかねてから、この従軍慰安婦問題についていえば、二国間関係は、繰り返しで恐縮でございますが、国と国との関係は決着がついておるということを一貫して申し述べてきております。
 しかしながら、国と国との関係は決着がついているけれども、一人一人の心の痛みといいますか、そういうものは残っている人もいるし、いない人もいるということだろうと思います。ひどく痛みを感じている人もいれば、余り痛まない人もいるということはございます。傷つけられた方、傷つけた方、あるいはそれが非常に身近な事象としてある人、ない人、それによってさまざまなのだと思います。したがって、個人がいろいろとそれについて議論をなさる、あるいは議論だけでなくて具体的な行動をなさるということはあるだろうと思います。
 したがって、平和友好交流計画を村山総理の指示で私どもは実施しようといたしておりますし、それについても議員にはいろいろ御意見がおありだと伺っておりますが、私は広く国民の皆さんの理解と協力が得られることを期待しているわけでございます。
#139
○清水澄子君 これはその本人の心の痛みの問題だけじゃないですね。やはり日本の姿勢とか日本の人権に対する認識が問われていることだと思いますが、きょうはもう、でも議事録に残るでしょうから。それが今後どういう論議を呼ぶか、私はむしろそういう認識の方に心配をいたします。
 次の質問に入りますけれども、既に私は外務省に韓国の外務部が出された文書をお渡ししておりますけれども、まずこの文書によりますと、韓国政府は日本政府に対して、郵便貯金それから保険金、未払い賃金などの日本政府が保管している文書について返還を要求しているということになっているわけですけれども、そのような韓国政府からの返還要求が出ているのでしょうか。簡潔に言ってください。
#140
○政府委員(川島裕君) 出ておりません。
#141
○清水澄子君 それからもう一つ、韓国のこの外務部の文書によりますと、韓国政府は韓国の遺族代表を現地の慰霊行事に参加させる方法を日本政府に検討してほしいというふうに要請をしているとあるわけですけれども、そのような事実はありますか。
#142
○政府委員(川島裕君) 遺骨の返還問題につきましては韓国側とやりとりが過去にございまして、我が国の誠実な対応を求めてきているわけでございます。その際に、東南アジア等に散在する民間保有の遺骨の調査、収集等の問題に韓国側が触れたことはございましたけれども、正式に現地慰霊行事への参加を要請したことはないわけでございます。
#143
○清水澄子君 厚生省、来てくださっていますね。
 厚生省にもし韓国政府からそういう要請があったとき、韓国の遺族代表を現地の慰霊行事に参加させるというそういう用意はありますか。簡潔に言ってください。
#144
○説明員(北場勉君) 結論から申しますと、大変難しいというふうに考えております。
 私どもがやっております慰霊巡拝、慰霊事業といいますものは、戦没者の遺骨が返還されないという日本人遺族の心情あるいはその要望に基づきまして、日本人遺族の慰謝という観点から昭和五十一年から行っておりまして、具体的な派遣団の構成は、厚生省職員それから日本人遺族、戦友会関係などの民間人を充てておりますが、民間人の方には渡航費用の一部を補助するという一方、これはあくまでも日本政府の事業としてやるということから、民間の方々は厚生省職員の指揮監督に従い、日本政府派遣職員と一体とした行動をお願いしているというような状況でございますので、このような趣旨、形態で行っております私どもの慰霊事業に韓国人の御遺族に参加いただくのは難しいのではないかと思っております。
#145
○清水澄子君 これもちょっと外務大臣、ぜひ考えていただきたいんですが、今、特にこれは韓国の遺族会の皆さんからの要望が強いですけれども、この方々は旧日本軍人として徴用されたり、そして日本の当時の戦争遂行の国策の犠牲になった人たちです。ですから、そういう人たちの要請をどういうふうにしたら人道的な面で満たすことができるのか。私は、これは厚生省よりも外務省の積極的にこの道を開く努力が必要だと思いますけれども、この問題について、遺骨収集とか慰霊巡礼とか、こういう問題は厚生省が援護政策のノウハウをちゃんと持っているわけですから、それを生かすような形でぜひ御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#146
○国務大臣(河野洋平君) これは基本的に厚生省の問題だと思いますので、厚生省の意見をよく聞きたいと思います。
#147
○清水澄子君 厚生省は外務省のと意っていますし、外務箱は厚生省と。だから、そういうやり方じゃなくて、本当に人道の問題として今後ひとつぜひ両方で御検討いただきたいと思います。ぜひ意志統一して、やはりこういう問題こそ解決のためにひとつ努力していただきたいと思います。
 次に、今度は東アジア戦略報告と沖縄米軍基地問題についてですけれども、アメリカの国防総省は二月二十七日に東アジア戦略報告を発表いたしました。この報告書では、東アジア地域の米軍をもう削減はやらないで今後も十万人の体制をとるとしております。そして、日本の米軍基地を極東有事の前進基地として評価をしております。
 こういう状況の中で、沖縄は戦後五十年たってもなおかつ県面積の一一%がこの軍事基地で占められている。沖縄ではまだ戦後が続いているということになります。総理府が三月四日に発表いたしました世論調査を見ましても、沖縄県民の五四%は日本の安全に米軍基地というのは不要だという回答を示しているわけですけれども、大臣はこの沖縄の米軍基地に対する沖縄県民感情をどのように認識しておられますか。
#148
○国務大臣(河野洋平君) 沖縄県に基地が集中しているという事実にかんがみれば、沖縄県民の皆さんのお気持ちはよく理解できます。
 問題は、日本の安全ということを考えて、この問題を沖縄県民の皆さんの御苦労に十分感謝をし配慮をしながらも、いかに日本の国の安全を確保するかということについて考えなければならないというふうに思っております。
#149
○清水澄子君 外務省の資料によりますと、日米事務レベル協議において、読谷補助飛行場、そして那覇港湾施設、それから県道一〇四号線を越えた実弾射撃訓練問題について、解決の重要性が確認されたとあります。それは沖縄県民の要望を受け入れる意味において重要性が確認されたのか、どうなんでしょうか。
#150
○政府委員(時野谷敦君) ただいま先生御指摘の三つの案件というのは、まさに沖縄におきまして当面一番重要な案件ということで認識をされている案件でございまして、そういう意味で私どももその解決を図ることが重要だと、アメリカ側も同様の認識でいる、こういうことでございます。
#151
○清水澄子君 では、これはアメリカの方もこれを解決することにおいて同じように認識したということですね。
#152
○政府委員(時野谷敦君) この三つの問題について何らかの解決策を見出すことが重要であるということにつきましては、日米間で認識が一致しているということでございます。
#153
○清水澄子君 しかし、このアメリカの国防総省の東アジア戦略報告では、沖縄米軍基地については何も言及がありません。そして沖縄では、半世紀もたつというのに、沖縄米軍基地のあり方というのは世界にもこれは例がないのじゃないか、県民にとってももう我慢の限界だという大変強い危機感と、そして本土政府に対する不信感が高まっております。
 また、私は日本の平和の担保のためにも、沖縄が差別と犠牲を強要されていくという、そういうことはやっぱりあってはならないと思うわけですけれども、政府はこの沖縄米軍基地問題の解決のためにアメリカ政府に対してどのような交渉を行っているのか、このことについてぜひ明らかにしていただきたいと思います。
#154
○政府委員(時野谷敦君) 先ほど来申し上げておりますように、この三つの問題について解決策を見出すことが重要だということについては日米間で認識が一致しているということでございまして、そういう認識に基づきまして、私どもは合同委員会等の場を利用しまして東京で主として話し合いを現在行っているというところでございます。
 先ほど先生が御指摘の報告書に沖縄の問題に対する言及がないというお話がございましたが、アメリカ側がこの問題の解決がいかに重要だと考えているかということは、まさに一月の日米首脳会談におきましてクリントン大統領自身からもこの問題の解決のために努力をしたい、こういう言及があったということに照らしても、アメリカ側の認識というのは私どもと同様のものである、こういうことが言えるのではないかというふうに思います。
#155
○清水澄子君 では、これは外務大臣、ぜひお答えください。
 本当にこの問題について沖縄県民は、この三つの事案、米軍基地の読谷補助飛行場と那覇港湾施設、県道一〇四号線の実弾射撃訓練問題についてやはり一つの期待感を持っていたと思いますけれども、なかなかこれは、何か代替地を要求しているような状況であって本当の意味の、沖縄が世界でも例がないような米軍の東アジアの攻撃基地になっていく、重点基地になっていくということとの関係で何ら交渉が進展していないというこの問題について、非常にむしろ逆に強化されるのじゃないか、基地が永久にそのまま維持されて内容は強化されていくのじゃないか、そういう心配を非常に高めているわけです。
 ですから私は、この戦後五十年に当たる、本当に戦後五十年というのだったら、沖縄の皆さんたちは一番、本当に地上戦まで体験した人々ですから、そこの人たちがもっとやはり本当に少しでも米軍の基地から解放されていくという希望が持てるような、そういう意味で政府は米軍基地の三事案の解決についてもっと積極的な解決を図るべきだと思いますけれども、政府はどういう努力を払っていくつもりか。
 このことについて最後に外務大臣の御所見と御決意を伺って、終わりたいと思います。
#156
○国務大臣(河野洋平君) ことし一月に行われました日米首脳会談におきまして、日米両国首脳はこもごも五十年という節目の年を意識して沖縄にございます米軍基地に言及をされました。帰国後、防衛庁長官と私は総理に呼ばれて、沖縄の基地問題について努力をするようにという指示をいただきました。我々は、今、議員が御指摘の三事案につきまして問題解決のためにどういう方法があるかということについて、地元の皆さん方の御協力もいただきながら、よい方法を探るべく努力をいたしております。
 那覇港は沖縄の現在の町づくりの中でも極めて重要な位置にございます。そうしたところをどういうふうにすればいいかというようなこともございますし、その他の二事案につきましてもそれぞれ長い間にわたる沖縄県からの要望もございます。こうしたことを受けて、改善を図るべく努力をいたしたい、こう考えておりますが、これらはいずれも地元の皆さんの御意見も伺いながら、また御協力もいただきながら改善のための努力をいたしたい、こう考えております。
#157
○清水澄子君 地元の意見を伺うというのはとても民主的に聞こえるんですけれども、地元の方の意見は、もうずっと県民は今もほとんど一致していますね、米軍基地を本当に解消してほしいという。ですから、これはもう日本政府が外交として日米間の間で本当に真剣に取り組まない限り、私はなかなかこの問題は解決を見ないと思いますから、その点でお伺いしておりますので、その辺をぜひやはり、沖縄県民の意見を聞きながらというのはとてもいいようなんですけれども、沖縄県民の気持ちはもうずっと決まっていますのですけれども、そのとおりすぐできないとしても、やはり日本政府の姿勢が問われているわけですから、どうぞ外務大臣、これについては真剣に取り組むという決意をひとつお願いいたします。
#158
○国務大臣(河野洋平君) 努力をいたします。
#159
○清水澄子君 終わります。
#160
○立木洋君 大臣、最近、武器の輸出問題、これがまた非常に深刻になってきているというふうに私は見ているんです。
 私、CRSレポート、コングレスというのをここに持ってきているんです。これはアメリカの国会図書館の議会における報告ですが、これを見てみますと大変なんですよ、最近のこの武器輸出の問題が。契約ベースだけで言いましてもアメリカがもうずっとトップを占めてきて、最近の状態では、一九九三年では二百二十二億ドル。トップです。大体全体の七割から占めている。それから、もちろんこれは出荷額は変わりますけれども、出荷額の状態を見ますと一九九〇年まではソ連がトップなんです。ところが一九九一年からアメリカがトップになって、ずっと連続トップの状態が続いて、大体出荷額の五〇%、世界の武器の輸出の五〇%をアメリカが占めているというふうな状態になっております。
 ですから、これはぜひ機会があるときにまた大臣にごらんになっていただきたいのですけれども、そういう非常に深刻な問題になって、あの湾岸戦争のときに、結局、御承知のように、クウエートに対するああいう侵略というのは、大国がイラクに対して大変な武器を輸出してきた、これが後々の問題として大変な事態になったじゃないかという深刻な反省があったんです。しかし、それにもかかわらず今日こういう状態が続いているという問題について、まず大臣、どのようにお考えになっているのか、御所見をお聞きしたい。
#161
○国務大臣(河野洋平君) 冷戦が終わった後の世界は、世界戦争が起こるという可能性は減っだということは言えるのだろうと思いますが、しかしかなり不安定な二国間関係あるいは不確実な状況を持つ地域、さらには貧富の差、あるいは宗教上の問題、民族上の問題で摩擦が生じている地域が非常に多いという状況だと思います。それらに対応して、議員が御指摘のように、過剰な武器のたぐいが蓄積をされているということがあると思います。
 これはいいことか悪いことか、いろいろ意味があると思いますけれども、つまり武器がきちんと管理されているという状況と、それからもう全くその管理ができないで火器が散乱してしまっているという状況と二つの状況があって、一方は散乱している、散乱というのは余り表現が正しくないかもしれませんが、武器が小火器ではあってもそれが非常に多くあちこちにあるということから、トラブルが起きた場合に多くの犠牲者を出すという状況になっていることもあると思います。
 いずれにしても、武器の移転についてもう少しコントロールできる状況というものをつくる必要があるだろうというふうに私は思います。
#162
○立木洋君 湾岸戦争の直後ですけれども、アメリカのいろいろな新聞で、武器の輸出の制限あるいは規制、こういう交渉をやるべきではないか、それからまたアメリカが持っている兵器の、通常兵器も含めてですが、それのシェアの拡大は慎むべきだというふうな批判なんかも外国から出ました。
 当時、自民党の外交調査会の会長をされておられた方は、もうお名前は御承知のとおり河野大臣ですが、その大臣も、やっぱり中東などに対する武器の輸出は制限すべきだということを含む八項目、また古文書を持ってきたと言われるかもしれませんけれども、ちゃんと曲されているわけです。
 それから日本でもその当時問題にされたのでは、地域紛争国だとか紛争を起こす危険性が高いような国に対しては通常兵器の輸出を規制するような武器輸出禁止条約、こういうものを検討すべきだということが政府部内で問題になっているんです。また、九〇年の七月八日にパリで開かれた国連安保理常任理事会五カ国では、武器の輸出について高級事務レベルの協議で、中東向けを中心とした武器の輸出は規制すべきだということで完全な合意が得られたという状況があります。
 つまり、湾岸戦争の後にそういう武器の輸出の問題に対しては厳しい目が向けられておりながら、今どうなっているんだろうか。それがずっとうまく進んでいるのかそうではないのか、そこらあたりの感触は、大臣、いかがでしょうか。
#163
○国務大臣(河野洋平君) 武器の移転については、我が国の提唱で、国連において軍備登録制度というものをつくって武器の移転あるいは軍備それ旧体の登録をしようという呼びかけを、これは余り拘束力がないわけでございますが、呼びかけをして、たしか七、八十カ国はこれに参加をしているわけです。我々はもっとその参加国をふやしたいというふうに思っているわけですが、ここは参加国をふやすべきだという議論と、もっと武器についてのカテゴリーをふやしていくべきだという意見といろいろあってなかなか意見が調わず、その結果、軍備登録に参加している国の数も余りふえない状況でいることはちょっと残念な思いがしております。
 ところが、その武器の問題については、例えば最近でもボスニア・ヘルツェゴビナなどには武器の禁輸措置をめぐっていろいろ意見があって、なかなかうまくいかないとかという状況もある。我々としても非常に残念至極でございます。
 私は一つは、武器の移転について議論をする前に、むしろ軍備についての透明性を高めるという議論が一つ必要なのではないかと思っております。
 ちょっと話が長くなって恐縮ですが、ASEANの拡大外相会議のときに行われるASEAN地域フォーラムでは、アジア・太平洋一帯の信頼醸成措置、つまり信頼が培われていけば敵意はおのずから減じてきて平和、安定ということをつくり出すことができるということから、いかにして信頼醸成をやるかという議論がございまして、私どもからは、情報の交換であるとか軍備の透明性であるとか、政策の協調もしくは政策の交換というような情報の交換をやろうという提案をしておりまして、昨年が第一回目の会合でございましたから、ことし第二回目の会合がございますが、今度はやや、最初はそれぞれアイデアを言い合っただけでございますが、第二回目はそのアイデアを少し収れんさせ、具体化させていく作業をしたいというふうに思っております。
 こうした透明性あるいは政策の交換、情報の交換、こういったことができていくと、つまり武器の必要のない状況をつくるということでございますから、寄与できるのではないかと思っております。
#164
○立木洋君 先ほど幾つかの国の新聞だとか、あるいは国における治安の問題をちょっと紹介しましたけれども、国連においてもこれは問題になったんですね。一九九一年の四十六国連総会でも、過剰かつ安定破壊的な蓄積は緊張や紛争の激化をもたらし、一国及び地域的国際的平和と安全に重大な脅威となるということを指摘して、武器の輸出の問題に対する厳しい批判的な指摘等が行われております。
 ところが、先ほど申し上げましたように、実際にそういう幾つかの、中東に対する武器輸出の規制だとか、いわゆる透明性を高めようだとか、紛争が起こるような危険性のあるところには武器を輸出しないようにしようだとか、いろいろな話し合いがなされてきているんですけれども、現実を見てみますと、一九九三年、当時のブラウン米商務長官は、私は兵器の買い手を見つけるために働くとはっきり述べているんです。そして、アメリカはキプロス問題で対立しているトルコとギリシャの両方に対して武器を提供しているんです。これが九〇年から九三年の間に、トルコには三十三億ドル、それからギリシャには二十八億ドル、けんかし合っている両方に武器を提供しているんです。
 また、中東地域に対しては、大変だと言いながらサウジアラビアやイスラエルなどに対しては兵器の輸出については規制をしておりません。最近では、ポーランドなど東欧の地域十カ国に対してF16戦闘機など先進的な兵器の売却を認めるという方針を決定しました。これが進むかどうかはまだわかりませんけれども、そういう事態というのは現実に進んでいっているんです。この兵器類のあれを見ましても、安保理の常任理事国五カ国だけで武器の輸出が八六%というんですよ。私はまさに大変だと思うんですよね。
 こういう問題に対して、大臣、今までアメリカに対して、こういうことではだめではないかというふうなことをお話しになったことがおありなのかどうなのか、また、あったらどういうふうなときにお話しになったのか、ちょっと御説明をいただきたいんです。
#165
○国務大臣(河野洋平君) 私は、UNHCRの緒方貞子さんからのお話を聞きまして、緒方さんはルワンダなどの難民救済に働いておられるときに、つくづく、武器の過剰な蓄積が多くの犠牲者を出している、何としても武器の過剰な蓄積、それはすなわち武器を過大に売る、過剰に売るということが原因になるわけですが、そうしたことがあってはならない、そういうことのない地球社会をつくらなきゃいけないということを緒方さんはおっしゃっている。そのことをずっと頭に置いて何人かの方と話をいたしました。
 私がお話をする場合にはアメリカでは国務省の方になるだろうと思いますが、ちょっと相手を覚えておりませんけれども、国務省の方とそうした話をしたことがあります。
#166
○立木洋君 もう大臣御承知だろうと思いますけれども、アメリカは今後六年間に二百五十億ドル軍事費をふやすということを決定しました。また、ことしの二月十七日にクリントン政権は、事実上通常兵器の輸出促進政策を発表しましたですね。その文書を、これもう長いから読みませんけれども、見て驚いたのには、武器輸出はアメリカの外交政策の正当な手段であると書いてあるんです。大変驚いたわけですけれども、こういうふうな主張というのは、大臣、大変な誤りだというふうに言えるのじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
#167
○国務大臣(河野洋平君) それぞれの国にはそれぞれの立場があって、必要最小限の防衛力というものを手に入れたいと思う国があることも事実だと思います。しかし、それが一つ間違えると、双方が次々軍事力をふやし続け、軍拡競争をするということにもなりかねないわけであります。しかし、至近距離に強大な軍事力を持った国があって、そことの間の二国間関係がひどく悪くなるなどということになると、どうしてもそういうことを求めたいという気持ちになることはあり得ると思うんですね。そういうものを一切だめと言えるかどうかということは、ケース・バイ・ケースではないでしょうか。私は、一概に全部だめと言えるかどうか、つまり必要最小限の防衛力を整備したいという希望をすべてだめと言えるかどうかということを少し考えます。
#168
○立木洋君 私が先ほど申し上げました自民党の外交調査会の会長の時代に書かれた文書の中にこう書いてあるんですよ。紛争の問題に関しては紛争の背景にある構造的要因を取り除くこと、ここに注目すべきだと。これは私もなるほどなと思います。ところが、武器についての問題でこう述べているんです。武器の輸出は有効な外交手段という大国の考えを改める必要があると言って、四月にゴルバチョフが来るからその問題を提起すべきだと。あなたが会長の時代につくった文書の中にそう書いてあるんですよ、大国のそんな考え方を改めるべきだと。
 今のお話を聞くと、ケース・バイ・ケースで一概にはそうは言えないというのは、どうも外交部会長、調査会の会長をやられたときのお考えと変わったのかと。また古い文書を出されてとおっしゃるかもしれませんけれども、これはやっぱりこちらの考え方の方が私は正当じゃないかと思うんです。
 ですから、私はこういう考え方を、軍縮議連でお仕事をなさっておられたというようなことはよく知っておりますので、今新しい武器の輸出が大変な問題になりつつある状況ですから、国際的な平和という問題を考えるならば、ぜひこれはやっぱり大臣、しかるべき時期にきちっとした形でこの問題をアメリカなどに提起すべきだと思う。何しろ常任理事国が八六%も武器を輸出して、これがどうなるかと。大変な事態になって大騒ぎしても結局また後の祭りになるわけです。
 ですから、こういう前にお考えになっておった時代のことも思い起こしていただいて、もう一度その問題に対してアメリカに対してきちっとした意見を述べていただく機会を必ず設けるというふうにお約束いただけるかどうか、御回答を願いたいと思います。
#169
○国務大臣(河野洋平君) いや、私は以前言ったことを忘れておりません。私が外務大臣になりまして、ここにいる政府委員の諸君にも督励して、例えば究極的核廃絶の決議案を国連に提出したのもそうした考え方の延長線上にあるわけでございまして、たとえ究極的どっこうが、核廃絶についての決議を国連に日本が単独で出すということはいまだかつてなかったことでありますから、そうしたことをやり、武器についても私は大きな関心を持ち続けております。
#170
○立木洋君 言っていただけますか。
#171
○国務大臣(河野洋平君) 先ほども申し上げましたように、これまでも申し上げてまいりましたし、事そういうチャンスがあれば申し上げます。
#172
○立木洋君 究極的廃絶については、この間もちょっと御意見具申し上げましたように明確に違いますが、ここでそれ以上議論をしようとは思いません。
 ただ、全般の予算、日本がとってきている予算の内容を見てみますと、外国からの武器の輸入は、アメリカからの武器の輸入というのが九七・七%を占めております。武器の輸出を最も世界に拡張し、輸出をしているアメリカから、その一〇○%近くをアメリカから購入している。これは日米関係が特別の関係だとおっしゃるかもしれませんけれども、そういう状態になっていることを客観的に見るならば、アメリカの武器の輸出に日本が協力をするという形に私はなりかねない。
 この問題についてはいろいろ議論があるでしょうが、もう最後になりますから、私が申し上げたいのは、結局この問題は、AWACSもアメリカの軍事産業に協力するために買わざるを得なかったんではないかということが一時議論になりました。なぜあれを買うのだ、買う必要がないと言われながらなぜ買うのかということが問題になったときに、国防産業に協力するんではないかということが日本でも議論になりました。
 私は、今の場合、日本が本当に国民の生命と財産、安全を守るならば、それは震災の問題、これに対する対応というのが最も重要だと思うんですよ。福田さんが総理の時代に質問したことがありますが、ソ連が日本を攻めてくるのにどれぐらいの危険性があるのか、可能性があるのかと言ったら、福田総理は、万々々が一だと言ったんです。万といえば、一年は三百六十五日ですから、万が一ということは三十年に一回です。その万々が一と言えば、それの万倍ですから三十万年に一回なんです。さらに万が一というんですから、三十億年に一回あるかないかということなんです。ところが、明治五年から、この間国土庁からもらった資料を見ますと、死傷者が大量に出た大地震というのが四十二回起こっているんです。三十五カ月に一回ですよ。三年足らずに一回、人が大量に死ぬという大地震が起こっているのに、これほど日本の安全保障にとって必要なものは私はないと思うんです。
 だから、そういう意味では、この武器の輸出などについては厳しい御指摘をいただいて、ぜひともそういうふうにならない条件がつくられるために努力することが外務省としては非常に私は大切だと思います。
 きょうの冒頭におっしゃった予算の説明のときにも述べられておりますけれども、そういう立場にお立ちいただいて、この震災の問題についての努力をしていただくと同時に、外交の面では、先ほど述べた点、ぜひとも努力をしていただくということを重ねて要望したいわけですが、その点についての決意のほどを改めてお尋ねして、私の質問を終わります。
#173
○国務大臣(河野洋平君) 自然災害というものは、起こさない、自然災害が来ないようにするということは非常に難しいと思いますね。自然災害からくる被害を最小限に防ぐということはできるとしても、自然災害が起きないようにするということは難しい。しかし、戦争を初めとして人間が起こす災害は防ぐことが私はできると思うんです。そういうための努力はやはり、その割合がどのくらいであれ、限りなくゼロに近くなる努力をするということは必要だというふうに私は思うんです。
 しかし、これは余り議員と意見の違いは、万々々分の一ぐらいしか違わないですから、そう大きな違いではないかと思いますが、私が極めて議員の御意見を聞いて残念なのは、核廃絶について意見が違うというのは私は全く納得が……
#174
○立木洋君 究極的なんです。
#175
○国務大臣(河野洋平君) いずれにせよ、核廃絶について意見が違うというのは日本共産党らしくないというふうに最後に一言だけ申し上げます。
#176
○立木洋君 またの機会にいたします。
#177
○委員長(田村秀昭君) 以上をもちまして、平成七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#178
○委員長(田村秀昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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