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1995/04/11 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 外務委員会 第8号
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1995/04/11 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 外務委員会 第8号

#1
第132回国会 外務委員会 第8号
平成七年四月十一日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     成瀬 守重君     佐々木 満君
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     佐々木満君      成瀬 守重君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田村 秀昭君
    理 事
                大木  浩君
                野間  赳君
                矢田部 理君
    委 員
                笠原 潤一君
                成瀬 守重君
                野沢 太三君
                矢野 哲朗若
                大渕 絹子君
                大脇 雅子君
                清水 澄子君
                松前 達郎君
                石井 一二君
                黒柳  明君
                武田邦太郎君
                立木  洋君
                椎名 素夫君
   国務大臣
       外 務 大 臣  河野 洋平君
   政府委員
       外務大臣官房外
       務参事官     谷内正太郎君
       外務省総合外交
       政策局長     柳井 俊二君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     高野幸二郎君
       外務省アジア局
       長        川島  裕君
       外務省北米局長  時野谷 敦君
       外務省経済局長  原口 幸市君
       外務省条約局長  折田 正樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大島 弘輔君
   説明員
       内閣総理大臣官
       房男女共同参画
       室長       坂東眞理子君
       文部省初等中等
       教育局高等学校
       課長       河上 恭雄君
       厚生省老人保健
       福祉局老人福祉
       計画課長     吉冨 宣夫君
       通商産業省産業
       政策局国際企業
       課長       永谷 安賢君
       労働大臣官房国
       際労働課長    岩田喜美枝君
       労働省婦人局婦
       人政策課長    坂本由紀子君
       労働省婦人局婦
       人福祉課長    北井久美子君
       労働省職業安定
       局雇用政策課長  青木  功君
       自治大臣官房地
       域政策室長    今仲 康之君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇
 の均等に関する条約一第百五十六号一の締結に
 ついて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送
 付)
○万国郵便連合憲章の第五追加議定書の締結につ
 いて承認を求めるの件(内閣提出)
○万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結
 について承認を求めるの件(内閣提出)
○小包郵便物に関する約定の締結について承認を
 求めるの件(内閣提出)
○郵便為替に関する約定の締結について承認を求
 めるの件(内閣提出)
○郵便小切手業務に関する約定の締結について承
 詔を求めるの件(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田村秀昭君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約(第百五十六号)の締結について承認を求めるの件を議題とし、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○大木浩君 本日は、直接の議題はILO第百五十六号条約でございますけれども、今、日本の経済を取り巻く環境というのは非常に急激に動いておりますし、それに伴って日本の国内の雇用問題あるいはいわゆる空洞化問題というようなことがいろいろ議論されておりますので、多少条約自体を離れての議論もさせていただきたいと思っております。
 今、ここ数日中、円高問題が非常に急激に動いておるし、これが一体日本の経済にどういう影響を与えるだろうかということで非常に関心が集まっておるわけでございます。政府の方でもいろいろと御検討中だと思いますが、大臣、副総理としてのお立場もあるし、新聞等々を見ておりますと閣僚の方からもいろいろと御発言があるようでございます。総理ももちろんそれを受けて早く検討しろというような御指示もしておられるようでございますが、今のこの状況を副総理として、あるいはまたもちろん外交にもかかわることでございますから外務大臣として、今の急激なる円高問題というものをどういうふうに受けとめておられるか、あるいはまたこれから内閣で、もちろんそれはいろいろな担当の大臣おられますけれども、副総理としてはこれからどういうふうにこれに対処していこうとお考えになっておるか。ひとつ全般的な現状認識と、それから政府としての取り組み方について概略的なお話を伺いたいと思います。
#4
○国務大臣(河野洋平君) 議員御指摘のように、大変急激な円高というものは経済にかかわる方々にさまざまな不安をまず第一に与えていると思います。第二に、不安ばかりではなくて実質的にこの影響が出て、それは輸出業者の下請に非常にきつくなってくるとか、そういった問題が非常に深刻に見られております。こういった状況、つまり現実の問題と同時に先行きの不透明感というものを解決する手だてを政府としては考える必要が当然あると思っておりまして、昨今の閣議後の閣僚懇談会においては各閣僚からそれぞれの担当分野に絡んでいろいろと御意見が出ていることは事実でございます。
 こうしたことを受けまして、政府としては、大蔵大臣、通産大臣、経済企画庁長官、それに官房長官と私が入りまして、総理のもとで何度がごの問題に対する対応策についての協議をいたしているところでございます。現在は、今週中に総合的な対策の取りまとめを、経済企画庁長官に総理から指示がございまして、経企庁長官のもとで作業が行われているところでございます。内需振興策あるいは産業構造にも触れて考えてみる必要があると存じます。
 さらに、今回の為替の出題については、国際的な協調というものが重要であるということは言うまでもないことでございますが、アメリカはアメリカ、ドイツはドイツ、それぞれ自身の経済状況等もあって、必ずしもそうした協調関係がうまくいっていないんではないかという御心配の向きがございます。大蔵大臣はたびたびアメリカのルービン財務長官などと電話連絡をするなり、あるいは財務官が連絡に走るというようなことがございまして、おおむね今日認識は一致しつつあるというふうに聞いておるわけでございますが、近々大蔵大臣会合などもございますし、電話ではなくて実際に直接会って十分打ち合わせもするということができるというふうに思っております。我々としては、積極的にその機会を早く持つべきではないかということも考えておりましたが、近々そういう機会が、G7の蔵相・中央銀行の会合などがございますので、その席でもそうした話ができるのではないかというふうに考えているわけでございます。
 市場はいろいろなものを種にしていろいろ動きがございますけれども、政府としてはできるだけ基本的な作業を着々と進めるということが必要ではないかというふうにも思っているわけでございまして、かねてから計画をいたしておりました阪神・淡路大震災の復興対策とあわせてこの問題について考えると。しかし、それはそう悠長なことは言っていられないわけですから、できるだけ早期にこの問題に対する対策を大蔵省としても補正予算という形で考えられることになるというふうに思っております。
#5
○大木浩君 きょうはILO条約が一応議題になっておりますので、三日お伺いしたいというか確認させていただきたいんです。
 このILO百五十六号条約は昭和五十六年、一九八一年に採択されたということですね。しかも、これを国内的に実施するに当たっては別段の国内立法措置ないし予算措置は必要としない、そういうふうに御説明をいただいておるんですが、そうすると、一九八一年以来、何でそんなに時間がかかるのかなというような疑問を持つわけであります。私が事務方から内々お聞きしておりますと、別に法律上というか条約上の新しく措置をする必要はないけれども、やっぱりいろいろと国内での体制を整えておいて、その上で承認措置をとった方がよろしいでしょうと。何というか、国内的な形も整えてということでしょうか、そういうことで今まではちょっと時間がかかっていたと、こういう御説明をいただいているんですが、そういう認識でよろしいですか。いいかどうかだけ一言。
#6
○政府委員(高野幸二郎君) ただいま大木委員仰せのとおりでございます。
#7
○大木浩君 そこで、円高問題を引き続きさせていただきたいんですが、この円高というのは今は百円を切って、またあっという間に一カ月のうちに十何円ですか、大変な姿になっておるわけですけれども、その前から考えますと、実はここ数年間、ずっと円高の傾向というのがあったわけです。それに対してどう対処をしなきゃいかぬかと。もちろん、円高に伴いまして国内企業は、例えばコストの問題があるのでこれからは生産拠点を製造業が海外へ移す、こういうような話もある。そういうことでいろいろと日本の産業、特に製造業の空洞化というような話もあったわけです。
 この円高で日本の雇用、特に国内での雇用がそれだけ機会が減るという可能性は少なくともあるわけですけれども、どういう影響を及ぼしてきたのか、あるいはこれからどういうことになるのか。これは今の九十円を切ってからの影響というものはまだなかなか難しいと思いますが、もうちょっと中期的な、例えば百円を切り出したころから、あるいはその辺のころからの動きがどういうふうに日本の雇用に対して影響を与えているのか。これは労働省でしょうか、大体の姿をひとつ教えてください。
#8
○説明員(青木功君) ただいま先生からお話がございましたように、ここのところの円高の中で、特に製造業を中心に生産拠点を海外に移す動きが強まっております。ただ、その中で、生産拠点が海外に移る、しかしその生産設備その他の基礎材料を国内でつくるという意味で、雇用にとってプラスの面、それから出ていってしまうというマイナスの面、両方があろうかと思います。
 我が国の雇用全体を見ますと、昨年夏以来、有効求人倍率が○・六四ということでございました。最近の景気の回復基調の中で〇・六六というところまで、わずかずつではございますがよくなってまいったところでございます。ただ、最近のこの円高の中でまたそれが心配されるということになるかと思います。
#9
○大木浩君 円高による雇用というか裏から言えば失業の影響というのはなかなか、いろいろ景気の動きもありますから、それだけでどこまでが円高の影響がと言うことは難しいと思いますけれども、こう急激になってきますとこれはもうとてもじゃない、雇用というかむしろ企業そのものがどうしようもないということになってくるわけでありますから、当然にまたいろんな影響が出てくると思いますので、引き続きその状況をしっかりと注目していただきたいと思うわけであります。
 そこで、先ほどから申し上げておりますように、今の円高とそれから少し前からのやや中長期的な円高とあるわけですけれども、日本の企業、特に製造業がそういうことも意識しながらいろいろと海外投資をしてきたということがあると思います。
 日本の海外投資というのを大ざっぱに考えてみますと、一つは対米投資のように、例えば自動車産業が向こう側の公式非公式の輸入規制的な動きに対応するためにむしろ現地生産しようと、こういうことで出ていったものもある。それからまた、先ほどから申し上げておりますけれども、やはり日本の労賃が非常に高いということでコストを削減するために開発途上国に進出する、こういうものもあったようでございますが、そのいずれにしましてもこれは向こうへ進出をする、それは言うなれば向こうに雇用機会をそれだけ創出しておるわけですよね。
 ですから、それはそれで私は相手の国の雇用増大に貢献しておる、こう言っていいと思うんですが、まずどの程度海外投資によって向こうの雇用増大に貢献しているのか、多少その数量的なものがあるならまず教えていただきたい。それからいま一つお願いしたいのは、先進国への進出と開発途上国への進出はいろいろ違うと思うんですけれども、もしできれば両方分けて、どういう姿になっているか、ちょっと教えてください。
#10
○政府委員(原口幸市君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、日本からの海外直接投資というのは八〇年代の後半から急速に伸び出しまして、九四年時点で累計で約二千六百億ドルになっております。
 九五年に出ましたジェトロの白書、「投資編」という白書がございます。これによりますと、九三年の時点で、これは製造業についてでございますけれども、現地従業員の雇用というのは米国で約二十七万人、それから欧州で約十一万人。他方、ASEANで約三十三万人、それから南西アジアで約三万人程度と見通しているようでございます。ただ、先ほど申しましたように、これはあくまで製造業の分野での雇用でございますので、これに非製造業の分野における、雇用を加えますとこれの倍あるいは三倍ぐらいになるのじゃないか、そのように考えております。
#11
○大木浩君 今おっしゃったように、製造柴というのはどこまでが製造業だか、あるいは関連企業というのはどこまであるのかわかりませんが、ちょっとおっしゃった数字が少ないような気もしますけれども、まあそれは一つの統計ですから、それはそれで伺っておきます。
 そこで、まずこれは先進国の方から話しますけれども、先進国、例えばワシントンヘ我々が行きますと、向こうの連邦議員が出てきて、とにかく黒字が大きい、何とかしろという話なんです。黒字というのは何だと考えてみると、彼らの黒字を何とかしろという基本は、議員さんにしてみると自分のところの州の雇用を日本からの輸出によって奪われておるというような、要するに雇用の問題なんですね、一言で言いますと。だから、そういうことで今言ったように日本からも一生懸命企業進出ということで雇用創出に努力しておる、協力しておると。ですから、ワシントンではそういうことを言いますけれども、我々が地方へ行きまして、それで何とか州、オハイオ州だとかインディアナ州へ行って知事さんと会えば、非常に日本から進出してもらって結構だ、こう言っているわけです。
 その辺のところがどうも、一体我が外交当局としては十分にそういうことを説明しておられるのかその辺はどういうふうにアメリカが全体として受けとめているのか。外務省はどういうふうに感じておられますか。
#12
○政府委員(原口幸市君) アメリカの反応というのは、ワシントンで聞こえる反応と、それから州レベルで伝わる反応というのは非常に異なっているというのは先生御指摘のとおりでございます。
 例えば、今、私の手元に九四年九月に第二十六回の日本米国中西部会の合同会議というのがあったときに米側の代表でありましたアイオワ州の知事が発言した記録がございますけれども、これによると、千を超える日本企業が米国中西部を拠点としている、我々は日本企業を誘致するための我々の努力を誇りに思うというようなことを言っておりまして、地方レベルでまさにアメリカの州政府は非常に日本企業の誘致に熱心でございまして、その結果、日本国内にも主として日本の企業誘致をするための州の事務所というのがたしか三十を超える数あるというふうに考えております。したがいまして、私どもは機会あるごとにこの点は強調しております。しかし、それとは別に、大幅な貿易のインバランスとかそういう問題を背景として、ワシントンでは、その部分はその部分として、別の観点から日米の経済関係について批判が出ているというのが現状だと思っております。
#13
○大木浩君 日本側で非常に努力しておると。向こうからの日本に対する輸出とかそういうことについても随分具体的に、例えばジェトロが、ジェトロというのは背は我が方の輸出振興だったんですが、このごろは輸入振興の方で、例えばいろんな州にジェトロからの駐在員を出しまして、向こうから売れるものがないかということで一生懸命協力しているわけですよね。そんなことをしている国は余りないと思うんですが、ひとつそこら辺のところをワシントンでもわかるように、引き続き大いにまたPR活動を続けていただきたいと思います。
 それから開発途上国に対する投資、これも先ほど申し上げましたように、もともとの発想としては、国内生産のコストが非常に高いので競争力が落ちてきた、だからもうちょっと労賃の安いところへ行きましょうかというのがスタートだと思います。それは向こうに対する雇用の創出あるいは技術移転、いろいろな意味でそれなりの効果があると思うんですけれども、意外にいろんな問題が少なくともある時期まで起こってきたように思いますね。
 海外へ進出した企業が現地でいろんな労使紛争に巻き込まれて、例を出して恐縮ですけれども、例えば韓国あたりでは日本対韓国みたいな話になってしまっていろいろ苦労しておったと、こういうようなことを聞いているんですが、こういう状況というのはかなり最近は改善されておるのかどうかそして引き続き今後もアジア諸国に対する日本の企業進出というのは行われると考えておられるのかどうか。その辺のところを外務省からお聞きします。
#14
○政府委員(川島裕君) 八〇年代の後半のときの円高で東南アジアに出まして、それから九〇年代に入ってからの円高で今度は中国を中心に企業進出が出ているわけでございます。国によりまして異なりますけれども、相当労使紛争が多かった国もございます。御指摘のとおり、韓国は今はかなりおさまっておりますけれども、八〇年代来に労働運動が非常に盛んだったころに邦人企業も相当いろんな問題を抱えたということがございました。
 一つ一つの国、それぞれの発展段階とかその労使関係によって異なるから一概に言えないと思いますけれども、いずれにいたしましても、私どもも現地の在外公館を通じて実態の把握に努めておる次第でございます。ただ、政府といたしまして、個々の進出企業の労使紛争について外国に対してあれこれ容喙がましいことをするというのはなかなか微妙なものでございますから、まずは事情聴取をして、ケース・バイ・ケースで助言を行うというようなことももちろんあるわけでございます。
 全般的な感じとして申しますと、韓国なんかはひところより静かになっていて、他方、タイとかインドネシアとかでも折に触れて、若干昨年でも労使紛争がございます。それから、中国なんかもこれからもう少しふえてくる可能性はあるかなというような感じではございますけれども、いろいろ眺めていきたいと思っております。
 今後とも進出は進むと思いますし、その中で国によって労働運動と申しますか労使関係全般がどういうふうに推移するかによって紛争の出方等も異なると思いますけれども、いずれにしましても製造業の進出というのはさらにふえると思いますものですから、そういう中で労使紛争の状況については注意を払っていきたいというのが今のところの姿勢でございます。
#15
○大木浩君 これだけいろいろと多国籍企業というようなものもどんどんふえていますし、企業進出も多くなっておるわけですから、それに外交当局がいきなり飛び出るというのは確かに問題があると思いますけれども、しかしやっぱり労使紛争というものをどういうふうにするかというようなことは、これはある程度国際的にも共通の問題じゃないかと思うんです。
 労働省、せっかくILOも抱えておられるし、それから共通の問題というのはいろいろなところで議論していると思うんですが、そういった日本の海外企業進出に対して、ILOであるいは労働省でどういうふうにそれをとらえておられるかあるいは今のところただ静かに見ているだけなのかそれ以上のことなのかちょっとその辺のところを伺いたいですね。
#16
○説明員(岩田喜美枝君) 多国籍企業の労使関係につきましては、ILOでもまたOECDでもガイドラインを策定いたしておりまして、我が国の海外進出企業で構成しております在外企業協会というところがございますが、この在外企業協会では、先ほど申し上げましたようなILO、OECDなどの多国籍企業向けのガイドラインを念頭に置いてみずからまた独自のガイドラインをつくっておられまして、そのガイドラインに基づいて労使関係の適正化を図っているというふうに承知をいたしております。現地の労使関係の法規、それからその労使の慣行を尊重していくという姿勢であろうかというふうに思っております。
 全般的な労使関係の現状は外務省の方でお答えになったのと同じ認識をいたしておりまして、アジアNIESそれからASEAN、一部中国など市場経済に移行している国では新しい労使関係の経験をやっておりまして、そういう中で労使関係が若干ふえているというところもございますけれども、一般的には労使関係は落ちついてきているというふうに見ておりまして、その中で特に日系企業が問題になるというようなケースというのは多く聞いておりません。
 以上でございます。
#17
○大木浩君 さっきのOECDでも勉強しておるというお話で、私もOECDの、数年前ですね、何か研究をやって、その報告書も出て、あれを読ませていただいたんですが、確かにその対策というのを書いてあります。対策というのは書いてあるんですけれども非常に抽象的な、そう言っては悪いけれどもお軽みたいなものをずっと書いてあるだけで、非常にマクロな経済みたいなことが書いてありまして、それを一生懸命やれとかそれから財政赤字は減らさなきゃいかぬとか、そういうものと、現実に目前の雇用の問題と結びっくのかなという実は感じを持ちました。
 それで、ILOとしては、そういった一般的なマクロ経済どうするとかそういうことでなくて、やっぱり労働関係の専門機関なんですからもう一歩踏み込んで、いろんな研究なりあるいは技術協力ですか、そういったものをやるという動きはないんでしょうか。
#18
○政府委員(高野幸二郎君) 委員今御指摘のとおり、確かにILOというのはもともとは国際的な労働基準の設定ということを主としてやってきたわけでございますが、戦後、特に近年に至りまして各国への労働分野における技術援助ということに力を入れてやっております。そういう意味で昨今注目すべきは旧共産圏諸国に対する技術協力ということを、これら諸国の課題でございます市場経済への移行ということに対する協力という意味で積極的にILOとして取り組んでいるということはございます。
 例えば、中東諸国に対します多角的なアドバイスチームを派遣したり、あるいはイタリアのトリノにILOのトリノ・センターがございますが、そういうトリノ・センターを通じた旧共産圏諸国に対する技術協力というふうなことを積極的に最近行っておるということでございます。
#19
○大木浩君 確かに旧共産圏諸国が市場経済に移行すると、市場経済における労使関係、労使慣行というのを余りまだよく勉強していないというか経験がないと思いますね。私、実は今おっしゃった旧共産圏のことをお聞きしようと思ったんです。
 旧共産圏の諸国、旧ソ連諸国あるいは東欧諸国というのは大体みんなILOに入って普通にというか活発にというか行動しておられる、そういうふうに理解してよろしいですか。
#20
○政府委員(高野幸二郎君) そのとおりでございます。
 若干申し上げますと、まず旧ソ連圏諸国でございますが、これは旧ソ連の解体あるいは旧ユーゴスラビアの解体に伴いまして、まず独立国家の数が非常にふえました。旧ソ連関係でいいますと現在十五カ国になっております。アルメニアとかアゼルバイジャン、エストニア、ベラルーシ等々、ロシアも含めまして現在十五カ国になっております、独立国家が。すべてILOに入っております。それから旧東欧でございますが、これはアルバニアとかボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア等々で、現在十カ国、独立国家がございますが、これらはすべてILOに入っております。
 ちなみに、これらを合わせますと二十五カ国になるわけでございますが、これらのうちロシアとチェコとルーマニア、これが現在ILOの理事会の理事でございます。その三カ国の中でも、ロシアにつきましては委員御承知のとおり主要産業国という制度がございまして、選挙によらないで常任理事国的な地位をロシアは持っているということでございます。
#21
○大木浩君 ILOは御存じのとおりに三者構成になっていますよね。今まで旧共産圏諸国が共産圏諸国であったときもメンバーであった国が幾つかありますね。そうすると、三者構成というのは一体何だろうと。労働者と使用者と国とみんな同じじゃないかというような我々は素人的な感触も持ったんですけれども。だんだん市場経済に移っていくわけですから、その三者が、本当の三者と言うと言葉は悪いかもしれませんけれども、だんだんに分化してそれぞれの立場で仕事をされるということで、それは結構なわけだと思います。
 先ほど申し上げたように、市場経済についてまだ十分な少なくとも経験はない、知識はあるかもしれませんけれども経験はないというところで、何かILOとしてそういった旧共産圏諸国、あるいはまた開発途上国もあると思いますが、いろいろと雇用の問題についての技術協力といいますか、いろんな勉強をしておられるのかどうか。ILOではそういうことをどの程度やっておられますか。
#22
○政府委員(高野幸二郎君) 一つ言えますことは、私は先ほどの答弁でちらっと言及させていただきましたが、中・東欧に対しますILOとしての多角的なアドバイスチームというものを出しております。その中身といたしまして、雇用の問題、職業訓練、産業関連あるいは労働組織等々の分野を対象といたしまして、ILOとして助言チームを東欧各国に出しているということでございます。
 例えば、ロシアの場合は、銀行関連でロシア人のマネジャーのトレーニングコースというふうなこともやっておりますし、あるいはロシアにおける中小企業の発達に関する職業訓練、あるいは職業安全問題に関するワークショップを開きましてロシアの人にそこに参加していただく、このような事業をILOとしてはやっております。
#23
○大木浩君 今、中東と言われましたね。中東ですか東欧ですか。
#24
○政府委員(高野幸二郎君) 失礼、東欧です。
#25
○大木浩君 東欧ですか。いや、もし中東だとこれはまた非常に……
#26
○政府委員(高野幸二郎君) 中欧と東欧と二つございます。失礼しました。
#27
○大木浩君 わかりました。
 そういうことで、いろいろとこれから旧共産圏諸国との協力関係というのも強めていくことは一つの相互理解の手段にもなると思いますので、ひとつ引き続き進めていただきたいと思います。
 それから、いよいよことしもG7のサミットがあるわけでございますが、これはいろんな機関で雇用の問題というのが取り上げられておる。たしか前回のサミットでも成長と雇用というような言葉が出ておりますし、それからたしか近藤労働大臣のときに労働サミットをやろうということで、その後いろいろなサミット的なものが行われているようでございますが、こういったところから具体的に何かこういうことをやりましょうというようなことが出てきているのかどうか。労働省の方からちょっと御説明いただきたいと思います。
#28
○説明員(岩田喜美枝君) 先生おっしゃいますように、昨年の三月にアメリカのデトロイトで雇用サミットが開かれまして、G7の労働関係の閣僚、経済関係の閣僚が一律に会しまして、先進国で共通のいわば内政課題として優先的に非常に高い課題でありました雇用・失業問題について議論がなされております。その際、マクロ経済的な議論だけではなくて、構造的な側面にも焦点を当てた議論がなされております。
 会議の成果は、具体的には議長のステートメントとして要約されております。その特徴を見ますと、まずは適正なマクロ経済運営を実施するということはもう前提でございまして、そういうことはもとよりでございますが、雇用創出のためのさまざまな構造改革に取り組もうということをうたっております。
 構造改革の中でも特に強調されたというふうに私ども思っておりますのは、技術革新というものが雇用を創出していくんだと。一部に技術革新というのは雇用を失うという懸念がございましたけれども、むしろ雇用を創出するものであるという認識ですとか、また新しい技術革新に対応して人材を養成していくために人的資本に対する投資を惜しんではならないというようなことがうたわれたというふうに理解をいたしております。
 この、雇用サミットの議論は、その後のさまざまな非常にハイレベルの会合、例えばOECDの閣僚理事会ですとかナポリ・サミットでもその基調は引き継がれまして、失業克服のためにはマクロ経済対策とあわせて構造的な対策が重要であるという共通の認識ができてきたように思います。
 この昨年の雇用サミットのさらにフォローアップをするために、今OECDで少し具体的なテーマが与えられて検討が引き続きなされているというふうに聞いておりまして、一つは「生産性、雇用創出と技術」。技術革新が生産性の向上ですとか雇用創出にどういうふうにかかわるかという、こういうテーマ。それからもう一つは「雇用の創出と雇用の喪失のデータの整備」。その関係の統計的なデータの整備を国際比較ができるような形てやろうという、この二つの具体的なテーマについてはOECDの中で検討が進んでいるというふうに理解いたしております。
#29
○大木浩君 技術革新ということになると通産省あたりが山川番ということでいろいろと検討しておられると思うんですが、今の雇用の拡大と技術革新ということについて、いろいろたくさんやっておられるので細かくはあれですけれども、その辺も意識してこういうことをやっているよという一言、二言では御説明できないかもしれませんけれども、ひとつ一生懸命やっているという、例示的でも結構ですけれども、御説明をいただきたいと思います。
#30
○説明員(永谷安賢君) ちょっと私の所掌範囲を超える部分があるんですけれども、いずれにしましても、今、先生おっしゃいましたように技術革新というものに一生懸命取り組んでいくと。御案内のとおり、我々の最近の新政策の二丁目一番地にもなっておりまして、国際的な動向等も踏まえながらそのあたりを一生懸命取り組んでいくということでございます。
#31
○大木浩君 先ほどから申し上げておりますように、いろんな国際機関で今の雇用の問題というのを取り上げている。取り上げているんだけれども、またやや隔靴掻痒の感があるというのが本当のところじゃないかと思います。しかし、例えば今の円高でもこれだけ急激に動くということになると、これはもうとてもじゃないけれどもゆっくりしておられないという感じもするわけです。
 大臣、またサミットに戻りますけれども、G7を近く控えられておると。先ほどもアメリカでもよくやっておるというお話がございましたけれども、どうも我々は見ておりますと、まだもう一つ今の円高問題についてもアメリカの反応が鈍いなと、人の国のことは余り言えないですけれども、という感じもあるので、G7に向かって、あるいはその前にでもアメリカとの協調というか話し合いも十分に進めながらこの円高問題、そしてまた雇用の問題にひとつお取り組みいただきたいと思います。
 その辺の大臣の御所感を伺いまして、質問を終わりたいと思います。
#32
○国務大臣(河野洋平君) 私の経験で言いましても、たしか東京サミットの折にも集まられた首脳の間で雇用問題というのが非常に議論になったと記憶しております。あのときに私は横で聞いておりましたけれども、これまでの常識は、失業がふえればアクセルを吹かして嫌気をよくして、景気がよくなれば失業者は吸収される、こういうことであったけれども、今はもうそう単純なわけにはいかないな、幾ら景気がよくなっても失業問題というのはまたそれとは別にあるということをこもごも言っておられて、そのときにはたしか技術革新というものが本当に雇用問題を解決することになるんだろうかというふうなことを言われた首脳もおられたりしたわけです。
 その後、労働サミットなどが行われて各国の認識が一つになってきている。そして、この問題にはやっぱり技術革新も非常に効果がある、あるいは新しい労働市場を開拓していく、あるいは職業訓練というものをどういうふうにするかとかいろいろな角度の議論が行われました。昨年のナポリ・サミットでも同じように雇用と成長というテーマで行われましたし、次のサミットでも恐らくこの問題については各国相当関心を持っておられるだろうというふうに思います。
 私どもとしても、G7に総理がお出かけになられるに当たっては、こうしたことについても十分我が国のスタンスというものもはっきりさせながら、それから我が国も今御指摘のように円高その他で雇用問題というのは非常に深刻な状況にあるわけでございますからこの問題の解決策なども十分考えながらG7には対応しなけりゃならぬというふうに思っております。
 さらに、御指摘がございました円高対策につきましても、主要国との協調という点は極めて重要でございますので、これらについては私どももさらに努力をしてまいりたいというふうに思っております。
#33
○大木浩君 終わります。
#34
○大脇雅子君 今回は、ILO百五十六号条約の批准に当たりまして質問をさせていただきます。このILO百五十六号条約と勧告は、一九八五年、雇用機会均等法成立とともに女子差別撤廃条約を批准いたしましたころから私どもあらゆる働く女性が批准を希望してきたものでございまして、きょうここに審議をさせていただくということを非常に喜びとするものであります。この条約が北京会議に向けて批准を完成するということに大きな意義を見出しております。
 それでは、このILO百五十六号条約を中心に質問をさせていただきます。
 まず最初に、ILO百五十六号条約の題名といいますか条文名ですが、これは「CONVENTIONCONCERING EQUAL OPPRTUNITIES ANDEQUAL TRATMENT FOR MEN AND WOMENWORKERS: WORKERS WITH FAMILY RE-SPONSIBILITIES 」となっているわけですが、日本語の訳は「家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約」と言われております。
 このコロンを省略した意味、どうしてこういう訳になったかということについてお尋ねをいたしたいと思います。
#35
○政府委員(谷内正太郎君) 確かに英文の表題はそのようになっておるわけですけれども、一般にコロンは英語におきましては、通常、説明何等の前に用いられておるわけでございます。本条約のタイトルにおきましては御指摘のように「MENAND WOMEN WORKERS」の後にコロンが用いられておりますけれども、これはコロンの後の「WORKERS WITH FAMILY RESPONSIBILITIES」という形で前の言葉を説明しているというふうに考えております。したがいまして、本条約のタイトルにつきましては「家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約」というふうに訳するのが日本誌としては適当であろうということから、このように訳した次第でございます。
#36
○大脇雅子君 この条約の審議経過によりますと、労働者委員とオーストラリア、カナダ、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、アメリカの政府委員が、家庭責任を持つ労働者を、男性及び女性労働者の機会均等及び平等待遇、コロン、家庭責任を持つ労働者に言いかえる修正案を提出し、この修正案の理由として、家庭責任を持つ労働者の状況は男女労働者の機会均等及び平等待遇の全般的見地から検討され、分析されることを明確に指摘するためであると説明をしているわけであります。したがって、これは家庭責任を持つ労働者の問題に限定される新基準の採択を望むインド等の反対意見を留保した上で、賛成五千二百九十二票、反対百八票、棄権三千四百四十票で修正案を可決したといういきさつがあるわけです。したがってこのコロン、これは最初、素案の段階では括弧にくくられていたわけですが、それがコロンになってきたということには大きな意味があるわけです。
 したがって、この条約のテーマは、この条約の内容、家庭責任を有する労働者の平等と男女労働者の平等問題のいわば二つの理念を位置づけているという点で非常に重要だと思うわけですけれども、この条約の理念というものをどのようにとらえていらっしゃるか、御説明をいただきたいと思います。
#37
○政府委員(高野幸二郎君) ただいま委員おっしゃいましたとおり、私どもの解釈といたしましても両面カバーしていると考えております。すなわち、男女間の機会均等という面と、それから家族的責任を有する者と有さない者との間の平等、この二つの平等、機会均等ということが本条約の理念であるというふうに私どもとしても解釈しております。
#38
○大脇雅子君 それから、この条約はILO百十一号条約の雇用及び職業の差別禁止条約というものが家族的責任に基づく区別を明示的には対象としていないということにかかわって補足的な基準が必要だということで規定されているわけですが、百十一号条約の批准に関してはどのようにお考えになっているのか。また、未批准であることの理由、そして批准に向けての展望等について外務省と労働省にお尋ねしたいと思います。
#39
○政府委員(高野幸二郎君) 外務省としての考え方を申し上げさせていただきます。
 委員御承知のとおり、この条約というのは雇用及び職業に関する極めて広範な差別、これを対象としているものでございます。したがいまして、このような条約の批准ということになりますと、国内法制との整合性等につきましてさらに慎重にそれを検討する必要があるということで、現在、引き続き検討を行っているというところでございます。
#40
○説明員(岩田喜美枝君) ILO百十一号条約は、雇用、職業に関する差別待遇を除去することを目的とする条約でございまして、私どもも数多くあるILO条約の中でも大変重要な条約の一つであるというふうに認識をいたしております。
 我が国においても、基本的には憲法十四条で法のもとの平等が規定されておりますし、雇用、職業の分野でも労働基準法、職業安定法、男女雇用機会均等法などで差別に対する対策が講じられておりますし、それ以外にも行政指導、啓発活動などさまざまな取り組みをいたしているところでございます。
 しかしながら、外務省もお答えになりましたように、一つにはこの条約が非常に広い差別事象を扱っておりまして、人種、皮膚の色、性、宗教、政治的意見等々大変差別事象が広いということと、それからそれらの差別を除去するためには立法措置を講ずることを要求しているということがございまして、我が国においては直ちに一律にそういう形で対応をするということは困難であるということで、条約の批准には引き続き慎重に対処する必要があるというふうに思っているところでございます。
#41
○大脇雅子君 ILO百五十六号条約と男女労働者の平等に関しましてはまさに一体とした条約でないかというふうに考えられますので、ILO百十一号条約の批准についてはさらなる検討を鋭意進めていただきたいと思うものであります。
 それでは次に、このILO百五十六号条約はILO百六十五号勧告と一体となってILO総会で採択されているわけですが、条約と勧告の違いについて御説明をいただきたいと思います。
#42
○政府委員(高野幸二郎君) まず条約につきましては、これは批准した場合、その当該国、批准国に法的義務を課すというものでございます。他方、勧告の方は法的義務を課すものではない、むしろ各国における政策立案とか法令制定に対しまして一定の指針を与えるものであるというふうに理解しております。
#43
○大脇雅子君 そうしますと、ILO百五十六号条約というのは非常に弾力的で包括的な規定になっておりまして、さらに具体的な措置というものは勧告の中に入っているわけです。そうしますと、勧告に関しては具体的ないわば立法その他政策の指針を示しているものというふうに理解してよろしいわけですか。
#44
○政府委員(高野幸二郎君) さように私どもも考えております。
 これは、委員御承知のとおり、条約と勧告の違いについて今申し上げたとおりでございますが、なぜ一つの範疇に入る問題を条約と勧告に分けるかというと、条約に入れました場合、法的義務が批准国に対して課されるということがございますので、そういうことになるとどうしても参加国が少なくなるということで、むしろ法的効果を持たない形に落としてなるべく多くの国の国内施策の上でのガイドラインという形にした方がよいのではないかというのが条約と勧告に分かれているゆえんでございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、勧告内容につきましては、これを勧告として、その内容を踏まえた国内施策を行っていくというふうに対応しているところでございます。
#45
○大脇雅子君 そうしますと、ILO百五十六号条約の批准に当たって、勧告も一つのガイドラインとして国の施策の一定の方向を示すものだと理解されるわけですが、それについて外務大臣、どのようにその点をお考えで、今後これらを踏まえて政府としてどのような努力をなさるのか、御質問をさせていただきたいと思います。
#46
○国務大臣(河野洋平君) 私どもは、男女共同参画型社会を目指すということを掲げてもろもろの施策を行っているところでございます。
 ただいま政府委員から御答弁を申し上げましたように、本条約を批准するということに相なりますれば、勧告の精神も踏まえながら本条約の趣旨に沿った施策の充実に向けて努力をすると、こういうことが政府としての考え方でございます。
#47
○大脇雅子君 そうしますと、とりわけ労働の分野におきまして大きな影響を及ぼすと思うわけですが、この勧告の精神を踏まえてガイドラインとして立法政策の指針とするという点については、労働省もそのようなお考えで対応されるでしょうか。
#48
○説明員(岩田喜美枝君) 勧告につきましては、批准をしたということで即拘束をされるということではございませんが、ILOという場で三者構成で望ましい政策のあり方の一つとして示された重要な文書であろうというふうに思っております。したがいまして、今後のこの分野での労働政策の検討の際には一つの重要な参考資料として念頭に置きつつ、また日本の労使が我が国の実情に即してどういう対策が今最も適切であるかという観点で検討をされていくというふうに理解をいたしております。
#49
○大脇雅子君 それでは、逐条的に少し質問をさせていただきたいと思います。
 第一条は「この条約は、被扶養者である子に対し責任を有する男女労働者であって、当該責任により経済活動への準備、参入若しくは参加の可能性又は経済活動における向上の可能性が制約されるものについて、適用する。」と。この「経済活動」ということの意味はどのように理解すべきでしょうか。
#50
○政府委員(高野幸二郎君) 公務員部門及び民間部門のいかんを問わず、また営利及び非営利部門のいかんを問わず、すべての形態の職業を含むものと解しております。
#51
○大脇雅子君 そうすると、あらゆる活動で非常に射程距離が広いというふうに考えられますが、そう解釈してよろしいわけでしょうか。
#52
○政府委員(高野幸二郎君) ただいまお答え申し上げましたとおりでございまして、その限りにおいては極めて広いということは言えるかと思います。
#53
○大脇雅子君 そうしますと、第一条の二項では「介護又は援助が明らかに必要な他の近親の家族に対し責任を有する男女労働者」というふうに適用範囲がなっておりますが、この「近親」の意義というものについてお尋ねしたいんです。
 非常に家族形態が多様化しておりまして、それに対応しましていわゆる近親ということの内容も非常に幅広いものにこれからはなっていくのではないか。とりわけ、同居をしている友人とか、いわゆる家族でも友人同士の家族も家族だというふうに理解されると思うんですが、どのあたりまで考えられるのかということについてお尋ねをしたいと思います。
#54
○政府委員(高野幸二郎君) まず、私の方から条約上の解釈といいますか定義の観点からお答えさせていただきます。
 御下問のあれは一条の二項でございますが、そのすぐ後の一条の三項におきまして、各国が法令等によりそれぞれ定めることとするという規定がございます。すなわち、一条の二項に言います「介護又は援助が明らかに必要な他の近親の家族」の範囲につきましては、本条約上は具体的な定義は置かれていない。繰り返しになりますが、一条三項により各国が法令等によりそれぞれ定めることとなっているというのが条約上の解釈でございます。
#55
○大脇雅子君 そういたしますと、例えば労働省は、今、育児休業法を改正いたしまして介護休業制度を導入しようとしておられるわけですが、その中にいわゆる近親の家族というのは具体的にどのようなものとして規定されているんでしょうか。
#56
○説明員(北井久美子君) 今国会に提出をいたしております育児休業改正法案におきましては、労働者の権利として定める介護休業制度の対象となる要介護家族の範囲といたしましては、制度利用者の実態等を勘案いたしまして、配偶者と子供とそれから父母と配偶者の父母を基本といたしております。さらに、父母及び子供に準ずる一定の範囲の親族をも対象とするということにいたしているところでございます。
#57
○大脇雅子君 そうしますと、それは同居という要件は入っていないように理解されるんですが、例えば血縁の問題について将来的に、今の現状の中では家族というのは親族の範囲などありますから問題になると思いますが、将来において血縁という要素というものも変更し得るというふうに考えてよろしいんでしょうか。その点についてはどのようにお考えでしょうか。
#58
○説明員(北井久美子君) 労働者の権利として介護のため休業することを認める制度を法定する場合、その家族の範囲を検討するに当たりましては、やはり社会一般の認識と申しますか国民のコンセンサスが必要であると考えておりまして、ただいま先生も御指摘のように家族形態の変化は重々労働省でも認識しておりますけれども、現在定めますとすればそこまで広く含めることは社会の合意ができていないと考えております。将来の点につきましても直ちにまだ申し上げかねるところでございます。
#59
○大脇雅子君 それでは、これは通告をしていなかったんですが、第三条についてお尋ねをいたしたいんです。
 第三条の一行目で「また、」以降ですが、「できる限り職業上の責任と家族的責任との間に抵触が生ずることなく職業に従事する権利を行使することができるようにすることを国の政策の目的とする。」というふうに書いてあります。これは「without conflict between their employmentand family responsibilities」となっていて、その「between their employment」、「employment」と書いてあるところを職業上の責任というふうに訳すのかなというふうな気がするんです。「employment」といったら普通は雇用というふうに訳すんではないかなと思うんですが、ちょっとこの点、どうしてこうなったのかなというのが直前に気がついたので、質問をさせていただきます。
#60
○政府委員(谷内正太郎君) 英語からだけ見ますと、確かにこの「employment」とそれから「family responsibilities」が言ってみれば対比されているという読み方も可能かと思いますけれども、条文としてここで規定しておりますことは、家族的責任との対比においてこの、「employment」をどう解釈するかという問題だろうと思いますので、その対比ということで言いますと家族的責任とそれから職葉上の責任、これを対比して読むべきであろうと思いますし、またそういう考え方のもとでこういう規定がされているというふうに理解してこのような訳し方にしたわけでございます。
#61
○大脇雅子君 だけれども、職業上の責任というのは一体どういうことかなというふうに思うんです。家族的責任というのはわかりますが、「employment」から責任まで広がるのが少しわからないので、内容的にどうかなという気がするんです。だから、「employment」は雇用の意味だというふうに理解していいわけですか職業上の責任というのは。
#62
○政府委員(谷内正太郎君) 先生の御理解と私どもと違うわけではないと思いますけれども、私どもが職業上の責任として申し上げていることは、労働者が職業についている場合にそこで一生懸命働くとかというようなことは、当然職業をきちんと果たすという、そういう責任はあるわけでございましょうから、例えば執務時間中は働くというような意味でございますけれども、そういう意味での職業的な責任ということを私どもは思っておるわけでございまして、その点、先生のおっしゃっていることと恐らく同じことを申し上げていると思います。
#63
○大脇雅子君 ただ、「employment」といった場合には雇用上の責任だけではなくて処遇なんかも当然含まれるわけです。それからまた労働条件なども含まれるのではないかということになりますと、「責任」というふうに言い切ってしまうと労働者の権利の側面が何か消えちゃうような気がして、これはやっぱり重要なことではないかなというふうに思ったんですが、これはちょっと問題ではないかなと思うんです。「family responsibility」といったら「family」が「responsibility」に係るわけですけれども。
 これについて私も通告しないで質問しているものですが、雇用、職業と訳すとか、そういうことは内容的にそごはないかもしれません、わざわざ「責任」という言葉は出てこないのではないかなと思います。
#64
○政府委員(谷内正太郎君) 先生おっしゃっていることを私はひょっとしたら正確に理解していないのかもしれませんけれども、私が申し上げておりますのは、この英語は「employment responsi-bilities and family responsibilities」というふうに読むべきではないかということを申し上げているわけです。つまり「employment」と「familyresponsibilities」が対応しているわけではなくて、この英語からいいますと「employment responsi-bilities and family responsibilities」というふうに対比されているんだと思います。
 したがいまして、そういうコンテクストでいいますと、家族的責任を果たす労働者がそれと同時に職業的責任を果たさないといけないということがありますから、その両者が抵触を生ずることなく職業に従事することを国の政策の目的としなさいということをこの三条の一項の後段が決めているというふうに考えておるわけでございます。
#65
○大脇雅子君 だけれども、「employment」というのは修飾になるんですか。「employment responsibility」という言葉はありますかね。そういう用語を使いますか。
#66
○政府委員(谷内正太郎君) 今、先生御指摘の点は、「employment」というのは名詞であるから、それが形容詞的に使われるのかという御指摘かと思いますけれども、その点は「familyresponsibilities」も同じことでございまして、「family responsibilities」の「family」もこれは名詞でございます。したがいまして、この「employment」と「family」というのはそれぞれ対応し、「responsibilities」を繰り返すことなく最後につけ加えたといいますか「family」の後につけ加えられていると、こういう理解が正しいのではないかと存じます。
#67
○大脇雅子君 「family responsibility」というのは一つの慣用句として使われておりますけれども、「employment responsibility」というのは私も初めて聞く言葉だと思いまして、むしろやっぱり「employment」には、「家族的責任」と対応するのは「employment」のいわゆる権利と義務ということ、すなわち労働条件、処遇、そして責任というふうになって、家族的責任というのはこれは義務でありますから、何か非常に対比の仕方がおかしいというふうに思います。
 したがって、私の方は、職業上の責任と訳していくのなら、その内容に労働者の労働条件やその処遇ということも家族的責任との間で抵触が生ずることなく職業に従事する権利を行使するというふうな意味だとおっしゃっていただければとりわけ言葉にはこだわりませんが、責任だけだ、権利や処遇はここに含まないと言われると「employment」の意味で納得がいかないというふうに思いますが、内容的にはどうですか。
#68
○政府委員(谷内正太郎君) 大変先生の御意向には従わない答弁をしているかと思いまして恐縮でございますけれども、フランス語のテキストを見ましても、英語でそのまま訳してしまいますと「responsibilities employment and family」と、こういう書き方になっています。つまり、英語のテキストとは逆の形でフランス語では書かれていますから、したがいまして、フランス語でも私が申し上げているように「employmentresponsibilities」と「family responsibilities」というのは対比になっているというふうに読むべきではなかろうかと思います。
 その点を前提にいたしまして、それでは労働者の例えは昇進の問題とかそういった処遇のお話についてもこの家族的責任との間に抵触が生じないようにすべきではないかという御指摘であるかと存じます。まことに申しわけございませんけれども、ここでコンフリクトが生ずる、抵触が生ずるというのは、あくまでも責任の部分が抵触することがあり得るので、それがないようにしなさいということをこの第三条一項は規定しているのではないかというふうに理解いたします。
#69
○大脇雅子君 その条約、私はフランス語のそういう訳については知りませんでしたが、「employment」と言った場合に、やはり処遇とかそういったものも含まれるべきではないかというふうにどうしても解釈、条約全体から見て考えられるのではないかというふうに思うわけです。その点、もう少し勉強させていただきます。
 それでは次の質問に移ります。
 差別を受けることなくそういう権利を行使するということですから、いわばその法制度というか、差別を受けることなくする施策というのは一体何か、御説明いただきたいと思います。これは要するに国の政策として何があるかということをお聞きしているわけです。
#70
○政府委員(高野幸二郎君) お答え申し上げます。
 この第三条一項の内容を具体的に国の政策の目的として示しているものといたしましては、次のものが挙げられると考えております。
 一つは、一九九二年六月閣議決定の「生活大国五カ年計画」、これは「地球社会との共存をめざして」というサブタイトルがついてございますが、この中におきまして男女共同参画型社会を実現することの必要性を述べております。
 それからもう一つはその前年の一九九一年五月に婦人問題企画推進本部が決定し、閣議報告されました「西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画 ―男女共同参画型社会の形成を目指す―」というのがございまして、これは育児、介護についての社会的な支援システムの整備を図り、女性の社会参加と男性の家庭参加の双方を促進することにより男女の共同参画によって支えられる社会を実現すべき旨ということになっております。
#71
○大脇雅子君 そうすると、差別を受けることなく家族的な責任を有する労働者が職業に従事する権利を行使するための施策というのは各省庁の施策であると考えられますので、簡単にお聞きをしていきたいと思いますが、労働省にお尋ねをいたします。
 まず、この条約は八条で家族的責任それ自体で解雇をしてはいけないというふうに書いてあるわけですが、例えば子供の病気だとかあるいは老人の介護、それのみの理由で例えば遅刻をしたとか欠勤をしたとかというような場合、その不利益取り扱いがされた場合はどういうふうに理解したらよろしいんでしょうか。
#72
○説明員(岩田喜美枝君) この八条が言っておりますのは、家族的責任を有しているということそれだけを理由として解雇がなされるということをいけないというふうに言っているわけでございまして、今、先生がおっしゃいましたようないわば家族的責任があるということが遠因になって、そのために欠勤が多い、勤務不良が起こっているというような問題については、その勤務不良の程度が解雇相当性があるほどいわばひどい程度であるというような場合についても解雇を禁じているということではないということでございます。これは、八条についての条約審議の審議経過等で明らかになっていることだというふうに理解しております。
#73
○大脇雅子君 そうしますと、家族的責任を持っているということはそれ自体解雇の理由にならないけれども、今、遠因と言われましたけれども、遠因じゃなくてまさにそれが直接的な原因で、しかもそれほど重くないような場合にも解雇されるということは妥当ではないというふうに理解されると思うんですが、いかがでしょうか。
#74
○説明員(岩田喜美枝君) それが例えば民法第一条第三項によりまして権利の乱用として無効とされるような解雇であれば、そういうものはもちろん無効になるということだと理解いたしております。
#75
○大脇雅子君 それでは文部待にお聞きしたいと思います。
 文部省の施策としてこのILO百五十六号条約の規定を踏まえてどういう施策を立てられるかあるいは教科書などの見直しをされる予定があるかどうか、お尋ねしたいと思います。
#76
○説明員(河上恭雄君) この条約の第六条におきまして「情報の提供及び教育を促進するための適当な措置をとる。」という記述がございます。男女の人間関係のあり方でありますとか家族的な責任を有する労働者の労働条件の改善の問題につきましては、幼少時から男女の平等でありますとか男女の相互理解あるいは家族の大切さなどに関する教育というものが家庭や学校や社会を通じて行われることが必要であるというふうに考えております。
 学校におきましては、いろんな教科や道徳とか特別活動という時間がございまして、教科におきましては、例えば中学校の社会科、公民的分野というものがございます。あるいは高等学校の公民科、家庭科、こういったところで指導をしております。特に、高等学校におきましては、平成六年度から家庭科の男女必修が始まっておりまして、この中で男女が協力して家庭生活を築いていくということについて指導することになっております。
 具体的に教科書について見ますと、教科で申しますと中学校の社会科それから高等学校の現代社会、家庭一般という科目がございますけれども、この三種類につきましては、すべての教科書におきまして、女性の就労に関しまして従来の男女の役割分担を見直して社会的な支援が行われる必要があるということが記述されております。
 具体的にちょっと申し上げますと、例えばある高等学校の教科書、家庭の教科書でございますが、こういった記述がございます。「従来、子育てと女性の就労は、女性だけの問題とみられる傾向があったが、近年、国際的にも男女に共通する問題として受けとめられるようになり、関係する条約もつくられた。そのなかでは、親が家庭と仕事の責任を両立するために必要な対策は、国が用意することと定めている。」とございまして、注釈で、女子差別撤廃条約や一九八一年第六十七回ILOの総会で採択された家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約などが示されております。
 以上でございます。
#77
○大脇雅子君 ぜひ次の世代の子供たちにこの条約の趣旨を徹底させるよう、文部省の方としても教科書などを精査しでそのような項目を挙げていただきたいと思います。
 次に厚生省にお尋ねをいたしたいと思いますが、厚生省は近年、新ゴールドプランを策定しておられますが、こうしたいわゆる高齢者の介護等の計画について、ILO百五十六号条約の趣旨を踏まえて家庭責任、家族的責任を持つ労働者のだめに何らかの視点から見直しをされあるいは修正される意思があるかどうか、お尋ねをいたします。
#78
○説明員(吉冨宣夫君) 高齢者に対します介護サービスにつきましては、介護サービスを必要とします高齢者だれもが必要なサービスを身近に手に入れることができる、こういったような体制をつくることが必要ではないかというふうに考えております。こういったことから、昨年末、新ゴールドプランを作成し、また自治体が策定をします老人保健福祉計画に基づきまして必要なサービスの提供基盤の整備に努めているところでございます。
 新ゴールドプランにおきましては、サービスの提供基盤の整備に際しまして、単に量的な拡充のみならず利用者の立場に立った介護サービスの充実に努める、こういうことにしてございまして、その一つとしまして、今年度から休日や早朝、深夜にも対応できます二十四時間巡回型のホームヘルプサービスの普及を図る、こういうことにいたしているところでございます。こういった施策を推進することによりまして、利用者のニーズを十分把握した上で必要な介護サービスを提供する、それによりまして家族の介護に対する支援といいますかこういったものを充実してまいる所存でございます。
 以上でございます。
#79
○大脇雅子君 自治省にお尋ねをいたしたいと思いますが、この条約の第五条は国内事情及び国内の可能性と両立する措置ではありますが、地域社会の計画に応じて家族的責任を有する労働者のニーズを反映し、サービスを提供するということを規定しております。具体的には、例えば老人保健福祉計画など各地域がお持ちですが、そういったところでILO百五十六号条約の趣旨を踏まえて施策をどのように推進されるか、お尋ねをしたいと思います。
#80
○説明員(今仲康之君) 今の第五条の(a)項の関係でございますけれども、地方公共団体におきましては基本計画というものをつくっておりますけれども、これは地方公共団体の運営の基本的総合的な指針という観点で、中長期的な観点から計画的な対応を図るということで策定をいたしておるものでございます。現在の地方公共団体の基本計画におきましても、男女共同参画型の地域づくり、女性の社会参加といった点につきましては、重要なものとして一般的に盛り込まれている状況でございます。
 今御指摘の第五条に関係する内容につきましても、条約の批准がなされますれば、地方公共団体に対しましてそういった内容の周知ですとか、あるいは関連情報の提供ということに努めてまいりたいと考えております。
#81
○大脇雅子君 時間がありませんので最後になりますが、この条約を実施して家族的責任を有する田刀女労働者の均等処遇を真に実現するためには、まず現在のいわゆる男性の働き過ぎということを是正いたしましてさまざまな生き方が可能になる、いわゆる働き方の見直しと男性の家族的責任への積極的な参加が必要だと思われるわけです。
 この点については労働省に最後にお尋ねいたしたいと思いますが、この方向に向けてどのような施策をこれから展開されるかお尋ねをしたいと思います。
#82
○説明員(坂本由紀子君) 先生御指摘のように、働く女性がふえておりますので、今後とも男女労働者がともに職業生活と家庭生活とが両立できるような施策の推進に努めてまいりたいと考えております。具体的には、今国会に介護休業の法制化のための育児休業の改正法案を提出しているところでございます。
 このILO条約の趣旨にものっとって一層施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
#83
○大脇雅子君 最後に、総理府の男女共同参画室にお尋ねをいたしたいんですが、この条約が批准された以降、総理府としては各省庁の各施策を統合してどのような形で作業をされるのかお尋ねしたいと思います。
#84
○説明員(坂東眞理子君) 総理府といたしましては、先ほど御紹介がありましたように、「西暦二○〇〇年に向けての新国内行動計画(第一次改定)、の推進を全省庁と協力して進めさせていただいておりますが、中でも女性が男性と同様に社会にも家庭にも職場にも共同して参画していくためには、その背後にある意識の改革、固定的な役割分担意識、男性は仕事だけをしておればよい、女性は仕事だけではなしに家庭のこともしっかりやらなければならないといったような固定的な役割意識を見直すような社会の雰囲気づくりと申しますか慣習の変革、あるいはまた個々の条件整備を一層推進できるように努めてまいりたいと思っております。
#85
○大脇雅子君 勧告は一つのガイドラインであるということで、立法施策として各省庁におかれましては豊富なガイドラインとしての中身を持っておりますから、百六十五号勧告の趣旨を踏まえられましてさらなる施策を展開されますよう要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#86
○清水澄子君 私は、このたびのILO百五十六号条約の批准を、一九八一年にこの条約が国連で、ILOで採択されたときから日本の国内における批准というものを要求しておりましたし、そしてちょうど昨年が国際家族年でありましたので、一昨年のときに外務省にぜひこの条約を批准すべきであるということを要望しておりました。これまでの条約の批准の手続から見ると時間がかかるんですけれども、それが今回は割合に早くこの批准の手続をとられたということについては高く評価をしたいと思います。
 そこでお尋ねをしたいわけですけれども、この百五十六号条約どこれを補完する百六十五号勧告が一九八一年の六十七回ILO総会で採択されたわけですけれども、この採択時に政府はどのような認識のもとにどのような主張をなさったのでしょうか。
#87
○政府委員(高野幸二郎君) 今、委員からお話がございましたとおり、一九八一年の六十七回のILO総会でこの条約が勧告とともに採択されたわけでございますが、その際、日本政府代表といたしましては、これに賛成投票を投じております。当然のことながらこの条約の趣旨また勧告、条約ではございませんが、勧告の趣旨等にかんがみまして、日本政府としてもこれを条約もしくは勧告として積極的に支持し得るということで賛成投票を行ったということでございます。
#88
○清水澄子君 賛成されたことは知っているわけですけれども、この条約の審議のときに日本政府は、家庭責任は各国の社会的、経済的及び文化的な慣行と不可分であり、またこれらの責任は各市民によって任意に遂行されるべきものであって、各国の法制によって実効を期することを規定するには不適切であるということを主張されておるわけです。そして、できるだけ弾力的な文章にして、したがってむしろ条約よりも勧告とすべきことを主張されておりました。でも、それは一応そのときの認識であったと思うんですが、それが今日、これが社会的には当然の条約であるということで批准されるわけですから、この十四年の間の変化というものが非常に強く感じられるわけです。大体、日本政府は、ILOの機関にいても余り積極的な先進的な発言をいつもの条約のときになさっていらっしゃらないのですけれども、この場合もそうであったということを指摘しておきたいと思います。
 そこで次に、この条約は家族的背任を負う男性及び女性の労働者としているわけですが、男性労働者をこの条約の対象としていることの意義について政府はどのような認識を持っていらっしゃいますか。
#89
○政府委員(高野幸二郎君) 従来、ややもすれば、女性に対する家族的責任ということになりますと女性の方に負担がかかるというふうなことがあったということにかんがみまして、この家族的責任を男女でともに担うという考え方でございます。また、この考え方は、この条約が志向しております男女共同参画型社会の構築というもののためにも必要不可欠なものとして位置づけられているというふうに考えております。
#90
○清水澄子君 女子差別撤廃条約が批准をされて、そしてそういう社会及び家庭における男子の伝統的役割を女子の役割とともに変更しなければならないといういわゆる性差別撤廃という視点から、この家族的責任というのは女性の役割であるというふうに伝統的に固定化してきたことをどう男性とともに担うか、分かち合うかという思想からこの条約が出てきたと思うわけです。この条約というのは女子差別撤廃条約との関係が非常に強いと思うんですね。
 そこで次ですけれども、先ほど大脇議員も質問しておりましたけれども、本来、この百五十六号条約を批准するに当たって具体的な規定を持つ百六十五号の勧告、これを私はやっぱり本当は同時にセットにしてこの内容を日本の国内法の中に法制化していく、具体化していく、そういう私は意味が非常に大きいと思うんですけれども、そういう意味で勧告との関係を政府はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
#91
○国務大臣(河野洋平君) 先ほど大脇議員にお答えをいたしましたけれども、御指摘のように、勧告の精神というものも十分踏まえていかなければならないということを私どもも考えておりまして、その趣旨、精神を踏まえつつ本条約の趣旨に沿った施策をこれから進めていかなければならないというふうに考えているわけでございます。
 これらは議員も大変御努力をいただいたわけでございますが、先ほど申し上げました男女共同参画型社会というものを目指して政府としても施策を進めようと思えば、それは当然のことであろうというふうに思います。
#92
○清水澄子君 ぜひ勧告も尊重して取り組んでいただきたいと思います。
 次に、外務省にお尋ねしたいんですが、この第三条には「男女労働者の機会及び待遇の実効的な均等を実現するためことあります。ここで言う「待遇の実効的な均等を実現するため」という意味はどういうふうに受けとめていらっしゃるか。
#93
○政府委員(高野幸二郎君) 単に形式的な平等だけではなくて、実質的に意味のある平等というものを意味しているものと理解しております。
#94
○清水澄子君 ですから、結局、効果的な平等、実質的な平等という意味ですね。
 それでは、そういう平等を実現するためにこの三条の終わりの方にそれを実行するために国の政策目的を求めているわけですけれども、これらについては先ほどの答えなんでしょうか。もっと具体的なものはないんでしょうか。
#95
○政府委員(高野幸二郎君) 先ほど大脇委員の御質問に対して答弁させていただいたとおりでございます。
#96
○清水澄子君 本当はこれについてはもっと具体的なものが必要だと思いますが、次へ行きます。
 そこで、今度は労働省にお伺いをしたいと思います。
 今回批准する百五十六号条約の第三条、ここでも私は実はさっき火協議員が質問していた職業上の責任というところに非常に疑問を持っていたわけですけれども、これらは本来、いわゆる雇用と家族的責任が矛盾なく働けるようにという労働の権利の立場からむしろ規定されているはずだと思います。ですから、そういう意味では、いわゆる雇用と家族的責任の間に矛盾を生ずることなく働けるようにするということを国の政策目的とするということがここで求められていると思いますので、これらは単に労働行政だけじゃなくて非常に広い範囲で、社会福祉なり社会保障なり税制なり教育なりさまざまな側面の見直しなり強化が私は必要だと思うわけです。とりわけ労働行政は、この条約の批准に当たって改善していかなければならない面というのは非常に多いと思うわけです。現在、育児休業と介護休業導入のための法改正が準備されていると思います。それらは承知しているわけですけれども、これ二つがあればいいんだというものではないのではないかと思います。
 労働省は、この条約の批准に当たって、例えば短時間労働者、いわゆるパート労働者の育児休業とか介護休業の権利とか、その家族責任を果たせるためにどういう方法をとろうとされているかそれから交代制労働、夜間労働の勤務体制への配慮についてはどのように考えられるか、それから労働者が転勤する際の配慮、そういう問題についてこの家族的責任を有する男女労働者に対して具体的にどのような施策を講じていかなければいけないと考えておられるか、ぜひお聞かせください。
#97
○説明員(坂本由紀子君) 先生御指摘の点についてでございますが、条約の第三条は「職業上の責任と家族的責任との間に抵触が生ずることなく職業に従事する権利を行使することができるようにすることを国の政策の目的とする。」と、こういうふうにこの条約を私どもは理解をさせていただいております。
 それを踏まえて、この条約の趣旨が実現するように、育児休業制度、介護休業制度の普及を図ることはもとよりでございますが、今、先生御指摘の例えは交代制労働ですとか夜間労働に従事する場合の配慮についてでございますが、これにつきましては、百六十五号勧告の中に交代制労働や夜間労働の割り当てについて「労働者の特別の必要一家族的責任から生ずる必要を含む。)を考慮すべきである。」とされております。
 勧告につきましては、国が政策を図る上での一つの考え方として考慮するものと考えておりますので、このようなことも踏まえて、具体的には労使がそれぞれ交代制労働等の具体的な実施についてはお取り組みをされるわけでありますので、その際に育児や介護という家族的責任についても十分踏まえた取り組みが各企業においてなされることを期待するものでございますし、あるいは今後いろいろな企業における勤務態様等を労使でお決めになる場合にも、基本的にはそのような問題は労使が十分お話し合いをいただいて自主的に判断すべきものであると考えますが、その際に職業上の責任と家族的責任とが両立するということも十分踏まえて適切な対応がなされることを労働省としては期待しているものでございます。
#98
○清水澄子君 労働省がやはり一番積極的にこの条約の趣旨を徹底していかないとなかなか、これはある意味では価値観というか意識の改革等も非常に影響してくると思いますし、特に労使の関係は一般的教育とはちょっと違いますから、やはりその点は労働省がどれだけこれに対して取り組むかということに非常に大きな意味があると思いますから、ぜひ強力に取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、百五十六号条約の第三条の「男女労働者の機会及び待遇の実効的な均等を実現するためことあるのは、さっき外務省は実質的な平等ということができるようにという解釈でしたけれども、これは労働省はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#99
○説明員(坂本由紀子君) この部分につきましては、男女の労働者がその意欲や能力に応じて等しく取り扱われるようにすることを意味していると考えております。
#100
○清水澄子君 だから、これは形式的な平等ではなくて実質的な平等を実現するためにという理解でいいわけでしょう。
#101
○説明員(坂本由紀子君) 形式的な平等だけではなくて、先ほど外務省の方からお答えになりましたが、実質的に意味のある平等ということで理解をいたしております。
#102
○清水澄子君 次に、具体的な事例を挙げて労働省にお尋ねいたします。
 つい先ごろ、日本航空ではアルバイトスチュワーデスの採用が話題になりましたが、これは本当は労働基準法から見ても非常に問題のあるところですけれども、きょうはその内容についてはちょっと質問を避けたいと思います。
 日本航空のようにある意味では非常に大きな企業がアルバイトスチュワーデスを導入していく、そしてその導入に先立って特別早期退職優遇措置を実施されているわけですね。しかもこれは三十歳からの早期退職の実施でありますけれども、このようなやり方は女性の早期退職を促していくものである。この早期退職優遇措置を実行したことによってスチュワーデスの方が二百八十四名退職ですね。そしてその年齢の分布を見ますと、三十歳から三十四歳が百四十名、三十五歳から四十四歳までが百四十二名で、二百八十四名中、女性が二百八十二名やめているわけです。そして、あと男性が二人だけなんです。
 こういうことを黙認していけば、やはり女性が仕事と家族的責任を果たしていける職場というのは非常に私は限定されていかざるを得ないだろうと。そして、ILO百五十六号条約の第九条にはちゃんと「この条約は、法令、労働協約、就業規則、仲裁裁定、判決若しくはこれらの方法の組合せにより」とありますでしょう。こういうふうに組み合わせによって適用することができるとあるわけですけれども、労働省はこういう結果として女子雇用差別ができているということを黙認していたのではだめなのではないか。だから、この早期退職優遇措置の実態というものをどのように把握しておられるのかということをまずお聞きしたいんです。
 そして、こういう女子雇用差別を、選択的若年定年制という形になっているわけですけれども、そういうものを認めている労働協約とか就業規則に対して、労働省はこの百五十六号条約の第九条の規定との関係でどのようにお考えになるかということを聞かせてください。
#103
○説明員(坂本由紀子君) 先生御指摘の日本航空の早期退職優遇制度の具体的な内容については、具体的な数字をただいま手元には持ち合わせておりませんが、早期退職優遇制度そのものは、基本的には労働者にそれぞれの意思に基づいて一定の条件のもとに退職するかしないかの選択をゆだねた上で行われている制度かと思いますので、したがいましてそれが直ちに均等法に違反する等のことはなかなか言いがたい事案ではないかと考えております。
 個別の企業におきましてどのような雇用管理をとるかというのは、均等法の趣旨等にのっとって女子労働者がその職場でその能力を有効に発揮することができるように、そういう観点を踏まえて各種の制度が労使で十分お話し合いをいただいた上でとられることが望ましいと考えております。
 個別の事案につきましては、直ちに均等法に違反するというようなものでないと。基本的には、労使が申し上げましたような趣旨にのっとって十分適切な対応をいただくものと考えます。もちろん、法に違反するというような事態があれば、都道府県の婦人少年室等で必要な指導を迅速に行ってまいりたいと考えております。
#104
○清水澄子君 これは、本人がやめなければいいんだという、選択的な定年制であるという側面というのは確かにあるかもしれません。だけれども、やはり特別早期退職優遇措置としてこれを、去年の五月一日から六月三十日の間にそれを募集しますとやって、三十歳以上から三十五歳までの人とか三十五歳から四十五歳までは勤続十年以上の方は申し込みなさいとか、ずっとそういうことで出されれば、職場の中では自分が対象になっているというやっぱりそういう不安があります。
 こういうことを募集しておいて今度はアルバイトのスチュワーデスの導入。本採用されている正規のスチュワーデスは、今まで国内線であった人たちを国際線に回すと。こういう勤務の変更ということをこれだけ露骨にやられている。ちょうど三十歳代のいわゆる最も子育て期間の人たちですよね、対象になっている人たちが。ですから、こういうことの中で現在、日本航空のこのアルバイトスチュワーデスの導入によって今までの正規のスチュワーデスの労働条件に非常に大きな影響が出てきているわけです。
 そして、国内線はもうこれからはアルバイトだと、国際線は正規のスチュワーデスによる勤務にするということで、従来は休日が、国内線であればいつ休みと固定していたわけですから子供を養育する場合でも計画が立ったわけですね。そして、特に子供を養育しているスチュワーデスを乗務させるということを国内線の方に配慮していたわけですけれども、今回のアルバイトスチュワーデスの導入によって、逆に国際線に乗務しているママさんスチュワーデスというのはもう本当に自分の日常の暮らしのサイクルが立たないという訴えをされておるわけです。
 実際に、今、スチュワーデスの皆さん方の訴えによりますと、国際線を飛んでいるママさんたちは子供を実家に預けてお休みのたびに実家に帰っている、そしていつも自分の親戚に来てもらって子供を任せるとか、それから休日が絶えず固定しないで変わるために子供や家族との生活の予定が非常に立ちにくくなっている、さらに学校行事とかそういうところはもう当然行こうと思っても計画が立たない、だから自分の休む時間、眠る時間を削って子供を見てもらえる人を探している状況だということを訴えているわけです。
 このような日本航空の経営のあり方は、今、私たちがこうして家族的責任を持ついわゆる男女労働者の保護といいますか権利として、こういうILO百五十六号条約などを批准しようとしていることとはもう全く逆行していると思うわけですね。労働省はこの条約の批准の趣旨から見て、それからこの百六十五号勧告の十九項にはちゃんと家族的責任を持つ労働者の交代制労働とか夜間労働の勤務体制は配慮しなきゃいけないというふうなことがあるわけです。
 ですから、勧告を今後尊重していくというそういう趣旨から見ても、私はこの実態、どういう問題が起きているか。家族的責任を持つ、本当は男女労働者ですけれども、スチュワーデスの方々は女子労働者になりますが、特に今そういう人たちの間にどういう問題が起きているかという実態を調査される考えはありませんか。
#105
○説明員(坂本由紀子君) 個別に男女雇用機会均等法等に照らしまして、女子労働者と会社との間で紛争が生じている場合等につきましては、都道府県の婦人少年室長が助言等を行いますほか、各都道府県に調停委員会が設けられておりますので、そちらで紛争の解決のための援助を行うということになっております。
 事案がそのようなものに該当する場合には、関係者の方々にそういう制度を御利用いただくということが一つあろうかと思いますし、個別のそれぞれ企業の中で労使で具体的な勤務形態のあり方とかあるいは雇用管理等に協議をなさる際には、先ほど来繰り返し申し上げておりますが、この条約の趣旨に沿って、また勧告に示された考え方を一つの考え方として、労働者が職業上の責任と家族的責任とを両立するということについて十分それを踏まえた適切な対応が行われるということをお願いしたいというふうに思っております。
#106
○清水澄子君 ちょっとはっきりわかりにくかったですけれども、ぜひ労働省はこの日本航空の国際線の勤務体制について、やはり家族的責任を持つ女子労働者の職場の確保の観点から、今この条約の批准という趣旨を尊重しながら、この労使に対して私は何らかの啓蒙といいますか働きかけというものをしていただくことを要望しておきたいと思います。
 次に、日本の労働慣行の一つとして男子労働者の単身赴任が非常に広く行われているわけですが、これは子供の養育を父親から取り上げることになると思うんですね。本条約の言う家族的責任と職業の両立、それをやはり著しく阻害するものだと思うわけです。
 百六十五号勧告の第二十項には、労働者の転勤に際しては家族的責任と配偶者の就業場所、子供の教育を考慮すべきものとしているわけです。日本の労働慣行の一つである転勤が嫌なら会社をやめるという男子労働者に対する転勤ですね、転勤がすべていけないというわけじゃないんですけれども、特に子育ての中でその役割をやはり父親も担っているという場合のときに、父親の子供を養育する権利確保のためにはどういう施策を講ずるべきだと労働省は考えますか。
#107
○説明員(坂本由紀子君) 我が国におきましては、先生御指摘のように、企業の中でいろいろな仕事を経験し、あるいはいろいろな勤務場所に就業をするというようなことを通じてその能力を高めていくというような措置が行われていることが一般的でございます。したがいまして、転勤の問題につきましても基本的には労使の話し合いによって取り組んでいただく問題であると考えております。その際、家族的責任を有する労働者が家族的責任と仕事、職業上の責任とを両立することができるということにつきましては、そういう両立についてそのような問題を十分踏まえた取り組みがなされることを期待しております。
#108
○清水澄子君 期待しておりますじゃなくて、今後そういうものを徹底するために努力しますとお答えいただきたいと思います。
 最後に外務大臣、いろいろお聞きいただいておりましたように、私はこの条約の批准は評価したいと思うんです。しかし、今まで指摘しましたように、この条約を実効性のあるものにするためには相当の努力がなされないと、なかなかこれは効果が上がらないと思います。そこで、やはりこれを外務大臣は政府を代表して、この条約が実効性のあるものにするために、今後ともこの条約の趣旨をさらに広く私は広報する必要があると思いますし、それからそれらを各省庁間の中で徹底させるために、大臣はこれを批准された所管の大臣ですから、ぜひそのための決意を私はお聞かせいただきたいと思うんです。
#109
○国務大臣(河野洋平君) 御審議をいただいておるわけでございまして、院の御意思が決まれば我々としても全力を挙げて努力をするつもりでございます。
 先ほど来からのお話のように、勧告というものの趣旨というものもよく踏まえて、内閣には女性担当大臣もおられるわけでございますが、そうした方々にも御協力をいただいて、ぜひ男女共同参画型社会を完成させるために努力をしたいというふうに考えております。
#110
○清水澄子君 終わります。
#111
○委員長(田村秀昭君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
#112
○委員長(田村秀昭君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約(第百五十六号一の締結について承認を求めるの作を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#113
○石井一二君 私は、当該議題となっておりますILO第百五十六号条約に関連して、まず若干の質問をさせていただきたいと存じます。もう午前中に同僚議員よりいろいろ質疑があったので、いささかダブった場合はお許しをいただきたいと思いますが、念のための確認という意味も含めてお答えをいただければありがたいと存じます。
 まず、第七条に「家族的責任を有する労働者が再び労働力の一員となること等ができるようにするため、国内事情等と両立するすべての措置をとる。」の、この「すべて」の意味をもう一度確認しておきたいんですが、いかがですか。
#114
○政府委員(高野幸二郎君) 委員の御質問は、第二条の「すべての種類の労働者」の「すべて」の意味について……
#115
○石井一二君 第七条だと記憶していますが、二条にございますか。
#116
○政府委員(谷内正太郎君) この第七条に規定しております、今、先生御指摘の部分でございますけれども、ここに申しておりますすべての措置といいますのは、「職業指導及び職業訓練の分野における措置等」、そういうすべての措置ですが、ただこれにつきましては形容句がついておりまして、「国内事情及び国内の可能性と両立する」と、そういう形容句がついた上でのすべての措置でございます。
 具体的に、それでは日本についてはどういう措置になるかという点につきましては、労働省の方からお答えさせていただきます。
#117
○説明員(北井久美子君) 女性の職場進出が続きます中、育児あるいは介護などの理由によりまして一たん職業生活を中断いたしまして、それが一段落した後また再就職を希望する労働者が多くなっております。このため労働省といたしましては、そうした方々の円滑な再就職を援助するための施策といたしまして公共職業安定所におきまして適切な職業相談、職業細分を行いますとともに、公共職業能力開発施設におきまして、そういった再就職希望者のニーズに応じました職業訓練を実施しております。
 また、特に女性には相当期間職業生活を中断される方が多くなっておりまして、再就職の場合、十分な知識、技能がない方も多くなっております。また、家事、育児等の制約を持つ方も多くなっております。このため、そうした再就職に向けて準備をしている家庭の主婦などを対象にいたしまして、再就職の心構えであるとか仕事の探し方などを内容とするセミナーもやっております。さらには、都道府県の婦人就業援助施設におきまして、こうした再就職を希望する女性に対して広範な相談指導あるいは技術講習などもやっているところでございます。
#118
○石井一二君 課長、すべてというのはそれで全部という意味ですから、それではあなたのおっしゃったこと以外はもう入らない、一切しないと、そう解釈していいわけですか。
#119
○説明員(北井久美子君) 労働待といたしましては、再就職の援助策として今申し上げましたようなことを現在やっておりますが、ただこの条約の趣旨を踏まえまして、今後とも国内事情を勘案いたしまして必要な措置について検討をし、また施策の充実に努めてまいることは当然だと考えております。
#120
○石井一二君 十一条に「労働者団体は、国内事情等に適する方法により、この条約を実施するための措置の立案等に当たって参加する権利を有する。」と。これは労働者同体に対してのみやや逆差別的な特別な権利を与え過ぎているような感がいたしますけれども、その辺いかがですか労働省。
#121
○説明員(岩田喜美枝君) 本条第十一条は、労働者団体だけではございませんで、使用者団体と労働者団体がこの条約の趣旨に沿った措置の立案あるいはその適用に参加をする権利があるということを定めたものでございまして、ILOの基本原則でございます政労使の三者構成主義にのっとった重要な規定であるというふうに考えております。
#122
○石井一二君 では、その労働者団体というのはどうやって選ぶんですか。その時々によって変わるんですか。何を指すんですか。
#123
○説明員(岩田喜美枝君) 国により社会経済情勢が異なりますし、また労使関係の実態ですとか、それから労使団体の役割、ありようも国によって大きく異なることがございます。したがって、この十一条では締約国に対しまして特定の方法によって労使団体の参画を求めているということではございませんで、締約国が適当であるという判断でこれらの団体の参加を可能にするような措置をとればいいというふうに理解いたしております。
 具体的には、どういう形で我が国の場合には労使固体の参画を求めているかということでございますが、労働行政の分野でありますと、例えば育児休業、介護休業などの問題を御審議いただいております婦人少年問題審議会ですとかそれ以外の関係審議会等において労使団体の御推薦をいただいた労働者団体、使用者団体が委員として施策の審議に参画をしているという、そういう整理をいたしました。
#124
○石井一二君 本年の二月十七日現在で締結国は二十二カ国、すなわちオーストラリア、フランス、オランダ、スペイン、スウェーデン等となっており、アメリカとかアジアの国々の状況がどうなっておるかということに関心を持っておりますが、その辺の状況について御説明を願いたい。
#125
○政府委員(谷内正太郎君) アメリカにつきましては、連邦政府とそれから州政府の権限関係が主として州政府にこの労働に関する権限が属しておるために、この条約を実施することについて連邦政府としてはその権限上責任を負えないという事情もあって現在まだこの条約に入っていないというふうに承知しております。
 それから、アジア諸国も御指摘のようにほとんど入っておらないということでございます。事情については今つまびらかにいたしません。
#126
○石井一二君 外務大臣にお伺いしますが、日本は何でもアメリカについていけばいいというような、ややそういうことが多いんですが、アメリカがこれを締結してからでも遅いことはないのじゃないですか。あるいはまた、アジアのリーダーをみずから任ずるという立場でアジアの国々とはこういった問題についてどのような打ち合わせなり連絡をとっておられるのか。責任者としての御所見を承りたい。
#127
○国務大臣(河野洋平君) 国際社会の中でILOに加盟をし、労働問題についてそれなりに日本としての国際社会の中における役割を考えますれば、こうしたことのために努力をするのは当然であると思いますし、国内的に見ましても、午前中にも申し上げましたが、男女共同参画型社会を目指すという我が国の現在の政策から考えてもこの条約は時宜に合ったものであろうと思います。
 これまで育児休業制度であるとかあるいは介護休業制度であるとか、制度的になかなか合意ができないものもございましたけれども、こうした問題の整備が整いつつある今、我が国としてはこの問題には正面から取り組みたい、こう考えているわけでございます。
 アメリカあるいはアジアの国々にはそれぞれ国内事情があろうかと思いますが、我が国としてはこの問題に今申し上げたような姿勢で取り組みたいと思います。
 アジアの国々には、今申し上げましたが、アジアの国々それぞれの事情があろうと思います。これは、労働問題について第一次産業というものが極めて多いということ、あるいはその第一次産業から第二次産業への大きなシフトが今行われつつありますけれども、まだまだこうした状況にまで到達をしていないということがあろうかと思っております。我が国がアジアにいろいろな問題で技術指導その他を行う場面がしばしばございますけれども、こうした点も我が国としてこれから先きちっと踏まえていかなければならなかろうと思っております。
#128
○石井一二君 今、アメリカがまだやっていない、だがしかし我が国は我が国の立場でこれをやっていきたいんだということですが、今、大臣のおっしゃった男女共同参画型の社会という面ではアメリカははるかに日本より進んでいると思うんです。だから、私はそういった面でもう少し慎重であってもよかったのではなかろうかという気もいたしますが、大臣初め外務省の御英断ですから前向きに考えるべきであろうと思います。
 ただ、もう少しお聞きしておきたいのは、ILOが一九一九年の設立以来、現在までに百七十五本の条約を採択しておりますが、批准されているものがどれぐらいあってその基準はどうなっているのか、少し基本的な姿勢について御説明をいただきたい。
#129
○政府委員(高野幸二郎君) ILO関連条約の批准問題についての政府の基本的考え方でございますが、政府といたしましては、各ILO関連条約のそれぞれの目的、内容、それから我が国にとっての意義等をまず十分検討いたします。これにあわせまして、またその時々の国際世論あるいは日本国内のコンセンサス等を勘案いたしまして、総合的に批准することが適当と考えられるというものにつきましては国内法制との整合性を確保した上でこれを批准すべきものであるというのが基本的考え方でございます。
#130
○石井一二君 私は今、大臣にアメリカの本条約に対する取り組みについてお聞きしたんですが、アメリカに関しまして、最近クリントン大統領がいわゆるトルーマン元大統領が原爆投下の決断を下したことは正しい、謝る必要はないと、そういった趣旨の発言をワシントン・タイムズの編集局長の質問に対してしている。これに対して大臣の御所見をちょっと承りたいのですが、いかがですか。
#131
○国務大臣(河野洋平君) 原爆投下に対するクリントン大統領の最近の発言についてのお尋ねだろうと思います。
 原爆投下は、多数の、本当に多数の非戦闘員を巻き込んだ人道上極めて遺憾なものであるというふうに私は思います。私は、核兵器の使用に関して、我が国にはこの問題について強い国民感情というものがあるということをかねてから申し上げてまいりました。これはアメリカヘ行っても私は申し上げたことがございます。
 ことしは戦後五十年という年でもございますし、この年をどういう年にするかということについて新年早々の日米首脳会談の前に行われた日米外相会談でも、私はこの問題についてクリストファー長官に、五十年という年をどういう年に我々がしなければならないかということを申し上げたときに、あくまでも感情的な議論をするのではなくて、お互いに理性的にそして冷静にこの年に当たって、過去を振り返るときにもきちんと過去を振り返り将来を考える、そういう年にすべきだということを申し上げてきたわけでございます。
 したがって、今申し上げたように、私は日本国民の強い国民感情というものがあるということはアメリカにこれまでも伝えてまいりましたし、私自身もそういう気持ちを持っておりますが、一つ一つの発言についてその都度その都度我々が何かを言うということよりも、両国が将来に向けてどういう協調関係をつくっていくか。それはこの過去の五十年の両国の歩みを考えてみても確かなように、我々は今協力関係をつくっていくことが十分できてきているし、またこれから先もできるというふうに私は思います。
 ただし、私の気持ちを申し上げれば、あの悲惨な原爆の状況というものを二度と繰り返してはならない、そういう強い願いを持って後世にもちゃんとこのことは伝えていかなければいけないし、私は核兵器の究極的廃絶というものに向けて努力をしていきたいというふうに思っております。
#132
○石井一二君 大臣は極めて遺憾であると、そういう御発言がありました。クリストファー長官にも言ってある、だからアメリカの議会あるいは行政府の中にそういう精神が浸透するであろうと、そういう期待を持って御発言になったと思いますが、大臣がクリストファー長官にそういったことを言われたときよりもクリントン大統領の発言の方が近いんです。ということは全然効き目がなかったということなんです、考えようによれば。
 また、その一つ一つの発言についてその都度とうのこうのコメントするべきではないというような趣旨のことを言われましたが、例えば村川内閣の中において桜井元長官が何か発言したら結局謝って大臣をやめなきゃいかぬようになる、それに対して外国がいろいろコメントしてそれが新聞に載る、こういう中で重要な発言というものは見逃すべきではない、そういうように私は思うわけなんです。
 そういう観点から、極めて遺憾に思うということをあなた自身思っておられるんだから何らかの意思表、小を来るべき時期にされるべきじゃないかと思いますが、もう一言端的に御所見を承りたいと思います。
#133
○国務大臣(河野洋平君) 村山総理御自身からもそういう発言がございました。この問題について遺憾だという意味の御発言がございました。
 私は、繰り返して申し上げますが、一つ一つの発言にはそれぞれの国のそれぞれの立場というものがあるわけで、それに一つずつ発言をし合っていくということが決して建設的だとは私は思いません。もっと未来志向の建設的な議論をしたいというふうに私は思っております。
#134
○石井一二君 これについてはかみ合いませんが、私は最近、河野大臣が必ずしもこういう委員会とか本会議等において事実を述べておられないんじゃなかろうか、その場の詭弁に走っておられるんじゃなかろうかというような気がするんですが、あなたの委員会とか本会議における発言というものはあなたの全知全能で知る限り真実を述べていただいている、そのように基本的に理解していいんでしょうか。
#135
○国務大臣(河野洋平君) そう理解していただきたいと思います。
#136
○石井一二君 過日、本国会の基本方針演説の中で村山総理が所信を述べられて、平成会の代表の扇千景議員がいろいろ質問をしたことがあります。
 その中で震災に関して、アメリカが空母インディペンデンスを差し向けてもいいですよということを言ったけれどもそれに対して日本が断ったというくだりがあるわけなんですね。そのときの御答弁というのが、そういうことはなかった、一般的に何かいたしましょうかこういうことだったんだということですが、やはりそのことはそうだったんですか。
#137
○国務大臣(河野洋平君) 正確に文言は覚えておりませんけれども、私が承知しておりますのは、アメリカ側から在日米軍ができることは何でもいたしますという提案があったわけで、それ以上のものはなかったというふうに記憶しております。
#138
○石井一二君 私はここに二月五日付のニューヨーク・タイムズ、それからロサンゼルス・タイムズは一月二十四日付ですが、それぞれアメリカ側の書類でははっきりとインディペンデンスを差し向けるという言質をしたというように報じられているわけですよね。それを受けて、「選択」の三月号百十一ページですが、同じようにそういう問題について外務省は言うならば事実を答弁していないんじゃないかというような指摘がある。こうして見ると、どちらかが間違っているかどちらかがうそをついているわけですね。
 私は「選択」に対してまず問い合わせしてみたいと思うんですね、文書で。恐らく日本の雑誌社は答弁してこないと思いますよ。だがしかし、ニューヨーク・タイムズは必ず答えてくると思うんですね。その結果、やはりそういうちゃんとした申し出を日本にして日本からそれを断ってきたということであればあなたの答弁は食い違うわけですが、その場合は答弁の御訂正をしていただけますか。いかがですか。
#139
○政府委員(時野谷敦君) 大臣がお答えになります前に事実関係について述べさせていただきます。
 アメリカ側からは、先ほど大臣が申されましたように、できることは何でもいたしますということを言ってまいっておりまして、その中に一般的な形で空出というものも入っていたということではございますけれども、アメリカ側から、空彫をお使いください、こういうものがございます、こういうお役に立ちますという形での申し出があったということではございません。
#140
○石井一二君 今わけのわからぬことをあなたは言われたけれども、具体的に空母という名前があったと言われた。インディペンデンスと書いてあったでしょう。
#141
○政府委員(時野谷敦君) 当時はアメリカと継続的なやりとりをしておりましたので、ただいま正確に覚えておりませんが、インディペンデンスというふうに言ってきたか空母ということであったかということは、ちょっと今記憶にございません。
#142
○石井一二君 あなたは北米局長でしょう。その担当の局長がそんなことは記憶にないと。予算委員会でも本会議でも大臣が答弁していることが、そんなことで務まると思っておるんですか。調べてこい、今から行ってもう一遍思い出してごらんなさいよ。名前ぐらい出ているのははっきりわかるでしょう。
#143
○政府委員(時野谷敦君) とういう言葉でやりとりがあったかということのちょっと記憶がないということを申し上げたのでございまして、アメリカが言っております空母というのはインディペンデンスでございます。
#144
○石井一二君 私は、大臣が全知全能を絞って知っている限りの本当のことをおっしゃって真剣に外務大臣として御答弁いただいているかどうか時々疑わしく思うんだという御無礼なことを申し上げたんですが、これはニューヨーク・タイムズ等に照会をしてみて恐らく答えが来ると思うんですね。そうすると、私はアメリカ政府自身に対しても何らかの問い合わせをしてみたいと思うんです。
 それで、私はここに茶色い封筒を持っておりますが、何でもない封筒ですが、これはいやしくも一応ホワイトハウスから来た封筒です。ここに一通の手紙がありますが、押し印があってサインもあります。クリントン大統領が私に個人的にくれた手紙なんですが、大統領にも、アメリカの報道と日本政府の答弁、あるいは受けておる事実感覚というものが違っておるということについて、どのような食い違いでそういうことが起こるのかということを私は問い合わせさせてもらいたいと思うし、それは私の自由ですからね。
 ただ、大臣に申し上げたいことは、本会議で最初そういったことはないということを言われた。また予算委員会等でもこの話は出ている。そういった中で、やはり火のないところに煙は出ないんだから何らかの確認を確実に今後やっていただきたい、そのように思うんですね。ましてや担当の局長が、と思いますとか、はっきり覚えておりませんではこれは済まぬと私は思いますので、指摘をしておきまして、この問題はまたの機会にもう少し詳しく述べさせていただきたいと思います。
 次に、最近北朝鮮に訪朝団が与党から行かれました。これは三党合体軍のようなもので、団長が三人おられて座長がおられるとかいう非常に大きな団だと思いますが、その成果について外務省としてはどのように受けとめられておるか、ちょっとお聞きしたいと思います。
#145
○国務大臣(河野洋平君) 与党の北朝鮮訪問団につきましては、政府としてこれまでも北朝鮮に対して国交の正常化交渉の再開を呼びかけてきているわけでございますが、なかなかその再開ができずにおりましたところ、今回の与党代表団の訪朝によりまして交渉再開の道筋がつけられたということであって、そのことは歓迎しております。
#146
○石井一二君 交渉の道がつけられたということは、その与党の代表団の交渉結果に基づいて、それをベースとしてさらに政府が、今後、国交回復のためにいろいろ努力をしていきたい、そういう近隣国に対する前向きな姿勢の御表明である、そのように理解していいわけですか。
#147
○国務大臣(河野洋平君) 国交の正常化をすることが朝鮮半島、ひいてはアジア地域の安定あるいは平和の維持というためにも非常に意味があることだと思いますし、何よりも我が国と北朝鮮との間の正常な国交を持つということは極めて重要だというふうに考えております。
#148
○石井一二君 といたしますと、政府が本来やるべきことの幕開きをこの団がやってくれた。与党ですから当然ですが、政府と一体である、したがって主張なり方針的にはそこに大きな路線の違いはない、そういうぐあいに理解してもいいわけですか。
#149
○国務大臣(河野洋平君) 国交を正常化するための交渉を行う必要があるという意味では全く意見を同じくしております。
#150
○石井一二君 ちなみに、この団というのは何名ぐらいで構成されておったんでしょうか。
#151
○政府委員(川島裕君) お答え申し上げます。
 与党三党代表団でございますけれども、自民党が渡辺美智雄元外務大臣を団長として団員五名、それから社会党が久保書記長を団長として団員四名、新党さきがけが鳩山代表幹事を団長として団員二名、その他若干それぞれの党から随員も同行しております。それから外務省からは四名が随行したということでございます。
#152
○石井一二君 今言われた若干それぞれの党から随員が随行しているというのは、何人ぐらいの随員が行かれたわけですか。
#153
○政府委員(川島裕君) ちょっと手元に正確な数字がございません、申しわけありませんが。
#154
○石井一二君 正確じゃなくてもいいですから、およそわかりませんか。
#155
○国務大臣(河野洋平君) 与党の訪朝団でございまして、与党の訪朝団についてのお尋ねに私ども正確に申し上げられるかどうかということが多少心配でございます。これはできれば与党側にお答えをいただくことが適当だと思いますが。
#156
○石井一二君 与党の中の一番大きな政党である自由民主党の副総裁のお名前をちょっとお教えいただきたいんですが。
#157
○国務大臣(河野洋平君) 自由民主党であれば副総裁は小渕恵三先生でございます。
#158
○石井一二君 済みません、今あなたと間違えました。
 それはそれとして、私はおよそでいいからと言っているわけです。ただその前に、党と政府は基本的路線で表裏一体だというようなニュアンスの御答弁もいただいたわけですが、およそ何名ぐらいのグループで行かれたかわかりませんか。
#159
○政府委員(川島裕君) 十五名前後ではないかと記憶しております。これは全くの印象論でございます。
#160
○石井一二君 それはトータルですか、随員の数がですか。
#161
○政府委員(川島裕君) 随員です。
#162
○石井一二君 随員が十五名。
#163
○政府委員(川島裕君) はい。
#164
○石井一二君 その中に、衆議院議員加藤紘一事務所吉田猛という方がいらっしゃるんですよね。
#165
○政府委員(川島裕君) 随員の名前については私は……
#166
○石井一二君 いや、まだ聞いていない、途中だよ。
 それで、この方は新日本産業株式会社取締役社長、北朝鮮との専門商社の社長なんですよ。その方が身分を偽って、いわゆる日朝の政府間交渉の幕開き役を務めた与党三党の団の中に入って、あたかも政府を代表するようないろいろ印象を相手に与えた可能性があると、こういうことについて私はいささか問題があると思うんですね。
 むしろ、自分の会社の名刺を持ってそれでお行きになるならまだしも、自民党の政調会長の事務所の名刺ですからね。その辺について、北朝鮮に対して今後、米を日本から輸出するとかなんとかそういう話がある。だから、政治を何となく商売に利用しようというようなムードがあるのではないかということを懸念するのですが、そういうことをいささかでもお聞きになったことがございますか。
#167
○国務大臣(河野洋平君) 議員のお尋ねの中に、政府を代表するというふうにお尋ねになりましたが、この団は政府を代表している団ではございません、恐らく言い間違えだろうと思いますが。
#168
○石井一二君 言い間違えじゃないです、あなたのニュアンスを聞いて。
 まあちょっと聞きましょう、大臣のおっしゃることを。
#169
○国務大臣(河野洋平君) この与党訪朝団は政府を代表する訪朝団ではございませんので、政府を代表する云々というお尋ねであれば、我々はそれは全く御認識が違うというお答えをする以外にはございません。
#170
○石井一二君 政府交渉の幕開き的な立場で与党三党が代表団を送って、その路線に従って我々は今後交渉していくんだと、それがあなたの先ほど来の答弁ですからね。そういう面では私の言っていることもほぼ正しいと、私はそう思うわけです。
 したがいまして、私が今申し上げていることは、自由民主党の政調会長の事務所という身分を偽って、そういう専門商社の方が商売のための事前調査のような、あるいはコネづけのために訪朝するといったようなことに対してどう思うか、あるいはそういったことをいささかでも報告として受けておられるかと、そういうことを聞いておるわけですが、川島さん、いかがですか。
#171
○政府委員(川島裕君) 随行の方について、政府サイドといたしましては、これを承知しておりません。
#172
○石井一二君 承知していらっしゃらなければ、いい機会ですからまた調べておいていただいて、そういう懸念が全くない、御安心くださいと、そのようにまた話をお聞かせいただくことを希望いたします。
 続いて、ほかの質問に移ります。
 国連の財政状態について、とかく非常に財政的に苦しいというような話をよく聞きますが、我が国として国連の財政状態についてどのような認識をお持ちか、お聞かせ願いたいと思います。
#173
○政府委員(高野幸二郎君) 国連の現在の財政状況というのは、いわゆる俗に、言う火の車という状況でございます。
 これの主たる背景といいますか理由というのは、これは一部の加盟国の分担金の未払いということが大きくございます。ちなみに、本年のこの三月末の時点で未払い総額は約二十八億ドル、国連本部の通常予算の約二年間分でございます。ただし、この二十八億ドルというのは、通常分担金とPKO分担金、両方合わせての数字ではございます。
 その中で、大口の未払い国というのは米国でございまして約十一億ドル弱、ロシアが六億ドル強、ウクライナが二億ドル強というふうな状況に相なっております。
#174
○石井一二君 ちょっと今聞き漏らしたんですが、アメリカは幾らと言われましたか。
#175
○政府委員(高野幸二郎君) 米国は十・八億ドルでございます、三月三十一日の時点。これは通常分担金とPKO分担金と合わせてでございます。
#176
○石井一二君 これは後日でもいいですが、差し支えなければ分担金の国別明細をまた勉強のために教えていただきたいと思います。私が取り立てに行ったりしませんので、ひとつよろしくお願いできますでしょうか。
#177
○政府委員(高野幸二郎君) 即刻お手元に行くようにいたしたいと思います。
#178
○石井一二君 それで、先般、我が国は常任理事国入りの意思表示を演説の中でされたりしておりますが、その問題はその後どう推移しておるか、お聞かせをいただきたいと思います。
#179
○政府委員(柳井俊二君) 安保理改革の問題につきましては、御承知のとおり国連で作業部会というものがございますが、ことしに入りまして、昨年に引き続きましてこの都会での議論を再開しております。一月から九回ほど集まっておりますが、この作業部会におきまして安保理の拡大問題、それから安保理の運営方法の改善の問題という二つの議題について議論を行っているところでございます。
 これまでの議論におきまして、安保理議席の拡大が必要であるという点につきましてはほぼコンセンサスがあると申して差し支えないと思いますが、ただその拡大の範囲と態様に関する具体的な点につきましてはさらに議論が必要な状況にございます。
 また、運営方法の改善につきましても引き続き議論が行われておりますが、安保理の審議の透明性の拡大といったような幾つかの改善策が提案されておりまして、またそのうちの幾つかのものは既に実施されつつございます。
 我が国といたしましては、国連創設五十周年という本年の秋の総会を一つのめどに、安保理改革の大枠につきまして国連加盟国の広範な合意が得られるよう今後とも建設的に議論に参加してまいりたいというふうに考えております。
#180
○石井一二君 これは、常任理事国にもしなった場合は軍事参謀委員会に出席するということになるように聞いているんですが、そういうことはあるんですか。
#181
○政府委員(柳井俊二君) 現在の国連憲章におきましては、常任理事国をもって軍事参謀委員会を構成するというふうになっておることは御案内のとおりでございます。
 ただ、今後この拡大をどういう態様で行うかという点につきましてはまだ具体的な方向が出ておりませんので、結論的にどういうことになるか軍事参謀委員会との関係はどうなるかということにつきましてはまだ具体的な案ははっきりしておりません。
#182
○石井一二君 もし将来そういうことになれば、当然我が国は憲法上も軍事的な参画はしない、PKFについても今後論議しなきゃならない。そういった中で軍事参謀委員会には出席する、あるいはまたそういったことはノーだというようなことは当然今後も貫いていかなきゃならない主張がと思いますが、その辺の局長の御認識なり御見解をちょっとお聞きしておきたいと思います。
#183
○政府委員(柳井俊二君) 将来の安保理の改革の具体的な姿がまだ必ずしも見えてまいりませんので、我が国がどういう形で軍事参謀委員会に参加するのかどうかという点も現時点におきましてはなかなか具体的に議論しにくいところでございます。
 ただ、いずれにいたしましても我が国といたしましては、憲法に従って、憲法の範囲内で安保理のいろいろな議論なり決定等に参加していくという考え方でございます。
#184
○石井一二君 これはちょっと通告を忘れたのでお答えできなかったらそれでいいですが、先般来PKOに我が国はいろいろ派遣をしてきた。その関連の要員の給料に相当する部分、これは本来国連から払い戻される金額だと思うんですが、国連の財政がそういう状態の中で二年分後払いになっているという中で、もらっていますかもらっていませんかいかがですか。
#185
○政府委員(柳井俊二君) 隊員に対する手当及び装備品等に対する消耗の補償というようなものが国連から払い戻されることになっておりますが、私はこれまでの具体的な我が国の参加につきましてどの程度払われているかという点はちょっと今ここに資料を持ち合わせておりませんので、調べた上で後ほど御報告させていただきたいと思います。
#186
○石井一二君 河野大臣にお聞きしたいんですが、第四十九回国連総会において大臣はいわゆる旧敵国条項の削除を主張されました。これについて現在どのような見通しと、今後戦略的に我が国がどのような場でどのような主張を続けていくおつもりか私の持ち時間は四十七分までですので、その範囲内で御示唆をいただければありがたいと思います。
#187
○国務大臣(河野洋平君) 今お尋ねの問題につきましては、昨年十二月に国連総会におきまして憲章特別委員会に対し、本作に関して検討を行い、最も適切な法的措置を勧告するよう要請する総会決議が採択されております。
 先般、すなわち二月二十七日から三月十日まで開催されました憲章特別委員会では布総会決議を踏まえた検討が行われまして、その結果、国連憲章の旧敵国条項、すなわち憲章第五十三条、第七十七条、第百七条の関係条項を削除することによって、国連憲章の改正を行うために憲章第百八条に規定する憲章改正手続を将来の最も至近の適当な会期に開始すべしとの趣旨の総会決議案を含む報告がコンセンサスで採択されております。
 旧敵国条項の削除のための憲章改正手続を将来の最も近い、至近の適当な会期に開始すべきことを総会に対して勧告した今回の報告は、この問題についての大きな前進だと考えられます。本条項の削除を重視してきた我が国としてもこの報告を高く評価したい、こう考えております。
#188
○石井一二君 あっちこっち話題が飛んで恐縮ですが、国民から見れば非常に関心の深い問題でありますので、ここ数日の間に極端な超円高になってまいりました。これは大蔵省がどうの通産省がどうのとおっしゃると思いますが、国際的な取引に関係がございますので外務大臣とても全く関係のないことではない。外務大臣としてこの問題について日本が後手後手に図らずに何らかの手を打つべきだというような御所見をお持ちなのか、もう今ので十分なのかというような、いろいろ御感想もあろうかと思いますが、一言、一分間で御答弁願いたいと思います。
#189
○国務大臣(河野洋平君) きょう午前の質問で同趣旨の御質問がございました。そのときにもお答えを申し上げましたが、この急激な円高は我が国にとってやはり大きな問題だと、当然そう思っておりまして、総理からの御指示もございまして、今週をめどに経済企画庁長官ともども今その対策の取りまとめに当たっているところでございます。
#190
○石井一二君 一応時間ですので、結構です。
#191
○立木洋君 最初に、ILO再五十六号条約に関連してちょっと二、三お尋ねしておきたいと思います。
 女手差別撤廃条約が一九八五年に批准されて、去年まで三回にわたって国連へ日本政府が報告書を提出してきていると思うんですが、去年の一九九四年一月の二十七、二十八日、二日間にわたって日本政府の報告書に基づく国連での審議が二十三人の専門の方々の中で行われたわけですが、この審議の内容を日本側としてはどういうふうに受けとめられたのかまずそのことをお尋ねしたいと思います。
#192
○政府委員(高野幸二郎君) 今、委員御指摘のとおりでございまして、去年の一月に女子差別撤廃委員会におきまして日本が提出いたしました報告書が審査されました。
 その審査の全般的な審査といいますか評価といいますか、簡単に申し上げますと、まず我が国、日本が女性の地位向上のために努力しているということは大変評価するという点が一つと、さはさりながら第二次大戦後日覚ましい経済成長を遂げてきた経済大国日本、それにふさわしい女性の地位の確保ということになるとちょっともう少し努力すべきだというのが大体全般的評価でございます。
 私どもといたしましては、今申し上げました審査を真剣に受けとめまして、今後一層女性の地位の向上に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
#193
○立木洋君 大臣、聞いておいてほしいんですけれども、審議の内容というのは非常に厳しいものなんですよ。私は記録をいろいろ読ませてもらいました。今、もうちょっと努力したらと高野さんは言ったけれども、もうちょっとどころじゃないんじゃないですか。相当厳しい指摘がありますよ。政府の報告は現状の説明とデータばかりだ、解決策を見出すための分析がなされていない、政府の報告は正直言ってがっかりした、日本における外国人女性の生活状況が全く書かれていない、日本政府の報告は状況を正しく報告していないのではないか。
 この時期にカウンターレポートが十ほど出されていましたね、初めてNGOから。このNGOのレポートを読むと、悲しくなる、政府の認識とNGOの認識には余りにも差があり過ぎる、政府の報告には疑問がいっぱいあると、非常に手厳しい内容です。私も政府がつくった報告をあれしましたけれども、女子差別撤廃条約を結んでから九年、三回にわたる報告書が出されて、政府の報告は本当に正しく報告していないんじゃないかなんというふうなことまで言われるというのは、条約は批准したが実際には実効が伴っていないということと同じことになるわけですよ、締局は。
 そうすると、今度のこのILOの百五十六号条約もここで審議して賛成して通ったと、あとは通ったらもう外務省の方としては余り目を配らないというふうなことではこれは困るので、やっぱり確実にそれが実効あるということを、さっき高野さんは実効性のあるということを効果の面でも言われているわけですから、本当にそれが実効を伴わなければ問題にならないわけで、その点についてこういう厳しい報告について今後、本当にどういうふうに考え努力されていかれるのか。大臣、いかがですか。
#194
○国務大臣(河野洋平君) 御審議をいただいて条約を批准することになれば、我々としては誠心誠意その趣旨を生かしていきたいと思っておりますし、もちろん条約でございますから拘束力もあってそれなりの法律的な整備その他についても最大の努力をするのは当然だと思っております。
 政府委員から補足の説明をさせたいと思います。
#195
○政府委員(高野幸二郎君) 簡単に申し上げます。
 今御指摘の日本の報告書に対する委員会側としての批判的コメントがあったこと、これは事実でございます。ただ、委員も最終コメントをお読みになったようでございますので御承知かと思いますが、二本立てになっておりまして、肯定的評価と否定的評価、非常にいい面と悪い面と両方書き分けてございまして、私どもとしては全体としてそれを受けとめて、足らざるところについてはそれはそれとして私ども素政に受けとめておるということでございます。
#196
○立木洋君 確かに、法律上の平等はほぼ達成して均等の機会もある程度努力されてきているというふうな報告書の内容もあり、それについての向こう側の評価もあるということを私は否定するつもりはないんです。
 そういうことがあったということは事実なんですが、その厳しい指摘の中でこういうのがあるんですね。均等法の導入にもかかわらず法の目をくぐった個々の差別が続いており、厳しく制裁されるべきだ、さらには均等法はもっと強い措置が必要である、企業はコース別管理を女性差別への抜け道にしていると。こういう指摘に対してはどういうふうにお考えですか。
#197
○政府委員(高野幸二郎君) まず外務省といたしましては、そもそも関連の国際諸条約、これに日本は相当コミットしております。それとの関係におきましても国内における男女平等の実現ということが確保されることが、国際協力という観点からのみならず日本の国益上も必要なことだということで、外務待としてはその方向に向かって日々努力しているということでございます。
 具体的には労働省の方から御答弁がございます。
#198
○説明員(坂本由紀子君) 女子差別撤廃委員会におきまして、日本の男女雇用機会均等法に関連して述べられているコメントといたしまして私どもが承知しているところでは、雇用機会均等法の導入にもかかわらず個別の差別が継続していることに留意をした、こういう点でありますのと、提案といたしまして民間部門が雇用機会均等法を遵守することを確保するべきであり、民間部門において女性が直面している昇進や賃金についての間接的な差別を取り扱うためにとった措置について報告すべきであるというふうに伺っております。
 それで、直接コース別雇用管理について私どもが承知しているところでは言及はなされておらないのでございますが、委員御指摘のコース別雇用管理につきましては、労働省といたしましては平成三年にコース別雇用管理の望ましいあり方を示してこの周知徹底を図りまして、男子、女子という性による雇用管理が行われることなく、制度の趣旨にのっとって労働者の意欲や能力に基づいてコース別雇用管理が運用されるようにということの確保を図っておるところでございまして、引き続きこの問題については十分対応してまいりたいというふうに考えております。
#199
○立木洋君 言うまでもなく、この均等法の中で第八条に「事業主は、労働者の配置及び昇進について、女子労働者に対して男子労働者と均等な取扱いをするように努めなければならない。」というふうになっていますね。
 これは今現実に起こっている問題で、御承知だろうと思いますけれども、去る四月五日に東京都の職場における男女差別苦情処理委員会というところが、総合商社の兼松の女性労働者の申し立てていた男女差別是正の調整が不能になったとして、兼松の会社に改善を求める見解を発表しているということは御承知だと思うんです。
 そこでは、兼松は八五年にコース別人事制度を導入したんですね。男性は一般職、女性は事務職、例外なくこれを男女に振り分けたんです。これは労基法四条の男女同一賃金の原則に反する。また同時に、これは調べてみますと、このため女性の賃金が最高になる五十四歳になっても二十七歳の男性の賃金に追いつかない、こういう実態さえ計算上ではっきりしてきているわけですね。
 東京都の差別苦情処理委員会の見解では、コース別以前の賃金体系を実質的な男女別賃金体系であったというふうに認めて、それを一般職、事務職に適用したことは雇用管理における男女平等の姿勢への配慮が十分でなかったというふうに東京都の苦情処理委員会では指摘をしているわけです。ですから、事業主が事実上コース別という形をとっているから男女差別ではないなどというふうな言い立ては全く成り立たないので、コース別という形で男女を差別するという賃金の処理の仕方をするならば、これはまさに間接的であれ直接的であれ男女差別になるわけですから、この問題については今あなたがおっしゃったようなことではないんじゃないか。
 だから、そういう問題についてはどういうふうに対処されていくのか。先ほどもそれぞれの地方自治体でそれぞれ対処するというふうな話を同僚議員の質問にはしておりましたけれども、しかし労働省としてはどういう考えをするのか。
#200
○説明員(坂本由紀子君) 先生御指摘の東京都の苦情処理委員会につきましては、これは東京都が独自に設けておられます職場における男女差別苦情処理委員会でございまして、これは東京都の設置基準に基づいて運用されておるものですから、労働省としてはその内容について十分承知をいたしておりません。
 ただ、先生御指摘になりましたコース別雇用管理の運用のあり方につきましては、先ほども申し上げましたように、コース別雇用管理が性による雇用管理であるとすれば、それは男女雇用機会均等法の趣旨に照らして好ましくないものでありまして、コース別雇用管理というのはあくまで労働者を意欲、能力、適性等によって評価をして処遇するシステムとして考えておりますので、そういう趣旨にのっとって制度がつくられ、また運用されるということで、労働省としては示しておりますところの望ましいあり方の基準にのっとってコース別雇用管理が運用されるように周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
 なお、賃金に関して申し上げれば、御承知のように労働基準法の四条で「女子であることを理由として、賃金について、男子と差別的取扱をしてはならない。」ということになっておりますので、これは性を理由とするものであれば、コース別雇用管理云々ということとは別の問題として、労働基準法上の問題として厳正な措置がとり得るものであると考えております。
#201
○立木洋君 だから、私はさっきの記録の一部を読み上げたんです。国連の女子差別撤廃委員会で指摘された問題として、均等法はもっと強い措置が必要である、企業はコース別管理を女性差別への抜け道にしている、こういうふうに指摘しているんです。
 だから、私はあえてその部分を読み上げて、コース別というのは男女差別に直接的には関係がないんだと、正しい運用をやればいいんだというふうなおっしゃり方なんだけれども、事実上これを抜け道にしているという指摘が審議の中で行われているわけですから、きのう私はあえて兼松さんの名前を出して、兼松の会社ではこういうふうにやっている、だからそれを調べてちゃんと返事ができるようにして出てきてくださいと申し上げておいたのに、出てきたら、兼松の問題については承知しておりませんがというふうな返答じゃ困るんです。
#202
○説明員(坂本由紀子君) 男女雇用機会均等法に照らして、女子労働者と会社との間で紛争が生じた場合には、労働省の出先機関として各都道府県婦人少年室が設置されておりますので、そちらの方にお申し出をいただきましたら室長が必要な助言指導等を行いますし、また調停委員会がそれぞれの都道府県ごとに婦人少年室のところに置かれておりますので、そこの場において迅速に紛争を解決するための調停を行うというシステムもございますので、そういう制度を当事者において御利用いただくということをお考えいただくということも一つの手だてではないかと思います。
#203
○立木洋君 そういう答弁では困るんです、ここは国会ですから。ですから、国会でこういう問題をやったら、苦情処理委員会に行ってお聞きになってみればわかりますだとかあちらの方に行ってお尋ねになれば問題は解決されますとかといったって、国会で私たちはこの問題を取り上げて、兼松ではこういうことになっていますよと。だから、この問題についでこれが男女差別の賃金体系の問題にならないかどうか。そういうことは労働省が責任を持って当たって、その問題がどうなっているのかということを確かめてもらわないと、私は国会で提案しているわけですから、そういう回答ができるような方に出てきてくれと私はきのうも言ったんです。
 だから、今のような答弁では私は全く納得できませんから、この問題についてあなたの方で、労働省の方で調べて、その結果を後日でもいいですから報告してくれますか。
#204
○説明員(坂本由紀子君) 先生、先ほど御指摘になりました東京都の苦情処理委員会の見解につきましては、これは東京都の公労使の三者構成から成る委員会がそれぞれ労使双方から事情を聞かれ、結論を下されたものと考えますので、この内容につきましては私どもとしてはいずれの当事者からもお話を伺っておりませんので、この問題について労働省として特に内容について申し上げるということはできないことと考えております。
#205
○立木洋君 機会均等法に違反するかもしれないという事態があるのにそれを放置しておくというお考えですか、あなたの答弁は。そんなものは私、労働省はかかわることができませんという答弁ですか。
 ここで問題になっているのは、苦情処理委員会で提起しているのは、やっぱりこの雇用管理における男女平等の視点に配慮が十分でなかったと、実質的なコース別以前の賃金体系、つまり男女差別の、実質的な男女別賃金体系であったと、それを適用したんだと、コース別に。だから、そういう男女の差別の問題に対して十分な配慮がなかったという結論を出しているわけです。法に反する疑いがあると、だからそれについて調べて問題があれば是正していくという必要が生じるわけですから。
 そういう問題に関して労働省の方では、法に反しているかもしれないという事態があるのに、それは東京都の方で判断を下しているんですから私の方ではもうそれ以上何ともできませんなんと言うんだったら、法が違反の状態のままで労働省は放置しておくということになるんですよ。おかしいんじゃないですか。
#206
○説明員(坂本由紀子君) 先生御指摘の事案について、どのような事実関係で調査を東京都の委員会がなさって結論を下されたかということについて私どもとしては特に伺っておりませんし、独立して東京都がおつくりになっている制度でいらっしゃいますので、それに対して労働省が国の立場から申し上げるという性格のものでもないように思います。
 ただ、事案につきまして、男女雇用機会均等法については労働省がその履行確保について責任を持って対処しなくてはならないというのはもとより当然でございますので、それにつきましては都道府県の婦人少年室及び労働省が一体となってそれぞれ労使双方に対して必要な助言指導等は行ってまいりたいというふうに考えます。
#207
○立木洋君 だから私は、少なくとも今あなたが聞いてないと言うんだから、この問題について事情を調べて、そして報告してくださいということについてもできないというわけですか。違反の疑いがあるという形で問題になっているわけですから、だから違反があるんだったら違反しているのかしていないのか。労働省の方でこの均等法については責任を持ってあなた方はやらなければならない立場にあるわけですから、それを調べて事実そういう違反がないのか、あるいは疑わしい実態があるのかはっきりさせるということが必要なんじゃないですか。
 後で報告してもらえるかどうかだけはっきりしてください、もう私は時間がないんだから。
#208
○説明員(坂本由紀子君) 東京都の委員会が明らかに法違反を指摘されたかどうかということについては、私ども必ずしも法違反を明確に指摘しているとまでは、新聞報道で伺っている程度でありますが、難しいのではないかと思います。
 ただ、企業や女子労働者に対して法律にのっとった必要な措置をとることは当然でありますので、その一環として十分この問題についても引き続き対処をしてまいりたいと思います。
#209
○立木洋君 私は後で労働省に行って聞いてきますよ。あなたの答弁には全く納得ができない。そんな態度じゃ、あなた労働行政やっとってもらったら困るわな。東京都がそういうふうな配慮は十分でなかったと育っているわけだから、私がそういう差別の疑いがあるんじゃないかと、だからそれを調べてみて差別があれば直すようにしてほしいと。だから調べてくれないかというふうに言っているわけだから、あなたがまだ聞いてないと言うんだから調べてくれというのは正当な要求だと私は思いますよ。
 河野大臣も首振っているから、あなたの答弁が大体おかしい。私は労働省に行きまして大臣によく話を聞いてみますよ、浜本さんに。その結果どういうふうに言われるか。この問題についてはほかに問題が残りましたが、あなたのような御答弁をいただいておったんじゃ私は時間が大変もったいないという気がして本当に残念でたまりません。だから、私は別の問題でちょっと大臣の方にひとつお聞きします。
 第三次横田基地訴訟の問題について、東京高等裁判所が去年の三月三十日、米軍機の騒音等によって一審原告は日常生活の妨害という被害を受けていることが認められるとして、これは直接この被害を生じさせているのは米軍であるというふうに認定をして、それで地位協定の十八条五項にある米軍が法律上責任を有する不作為で第三者である住民に損害を与えた場合のことを認定しているわけですね。そこでは同じように、合衆国のみが責任を有する場合には裁判により決定された額はその七五%を合衆国が分担されるというふうになっております。
 米側は賠償額の七五%ということになりますと、判決の時点では総額約五億二千万円で、実際は賠償額に利子などの遅延損害金などを含めると七億一千万円日本側が払っておると思うんですね。だから、その七五%の五億三千二百五十万円を米側が日本側に支払ったのかどうか。この支払うものについては「日本国の権限のある裁判所による確定した裁判は、両当事国に対し拘束力を有する最終的のものとする。」というふうになっているわけですから、最終的に裁判で決まっているわけで、当然これは米側が七五%支払うということになっているわけですが、米側は日本側にこれを払ったんでしょうか。今どうなっているんでしょうか。
#210
○政府委員(時野谷敦君) ただいま先生が提起されました横田基地にかかわる騒音訴訟でございますが、これの損害賠償金、これは先生がおっしゃいましたように政府は払いました。
 その分担の問題というのが御指摘のとおりあるわけでございますが、この問題につきましては騒音訴訟にかかわる初めての事例だということもございまして、現在日米間で協議中でございます。したがいまして、日米間でその支払いのいかんについてまだ決定をされていないというのが現状でございます。
#211
○立木洋君 日本側が支払いの請求の明細等については分担案を合衆国に通知しなければならないということになっているんですが、これは通知したわけですね。
#212
○政府委員(時野谷敦君) 通知をいたしました。先ほど申し上げましたように、その後、日米間で協議を引き続き行っておる、こういうことでございます。
#213
○立木洋君 「二箇月以内に回答がなかったときは、その分担案は、受諾されたものとみなす。」というんですから、それに対しては否定的な回答が返ってきたわけですか。どういう意味の回答が返ってきたんですか。
#214
○政府委員(時野谷敦君) 協議の内容にわたる点は恐縮でございますが控えさせていただきたいと思いますが、日米間でこの問題をいかに取り扱うかということについていまだ決着を見ていない、すなわち日米間で合意を見ていないということでございます。
#215
○立木洋君 これは地位協定の十八条で決まっているんですね、五項の取り扱いで。アメリカ側に責任がある場合についてはアメリカ側がその損害を与えた分の七五%を支払うということが、これはもう地位協定で明確に決まっているんですよ。それで、最終的な判決はもう日本の裁判所で出したわけだから、これは両方が認めなければならないということになっている。それを何で今ごちょごちょ言っているのかという問題になるわけですよね。これについて今度日本側がまた譲歩するようなことになると、これは絶対に認められないことなんです。決められたことさえ守らないでやるというようなことになると、この間から私がもう大臣に何回も繰り返し指摘しているようなことになるわけですから、これについてはきちっとした対応をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#216
○政府委員(時野谷敦君) 先生がおっしゃいましたように、米軍の行為によって損害が生じているということを判決は言っておりますが、それがそうであるがゆえに民特法によって被告であるところの国に対して損害賠償を命じた、こういうことでございまして、判決はそれ以上のことを言っているわけではないのでございます。したがいまして、この払いました損害賠償をどういうふうに日米間で取り扱うのか地位協定との関連はどうなのかということについてまで判決は視野に入れて言っている、こういうことではないというのが私どもの理解でございまして、したがって今、日米間で話をしているということでございます。
#217
○立木洋君 だから、これは民特法で決められるということはわかっているんですよ。それについては地位協定十八条で決まっているんですから、どうなるかということについては。アメリカ側にだけ責任がある場合にはどうするかということは決まっているんだから、そんなことまで裁判で言ってなくたって地位協定に基づいて処理すればきちっと処理できることになるわけですから、あえて向こう側が不服を申し立ててきているからといってそれを受け入れてしまうようなことになるととんでもないことになりますよということが一点。
 もう一点、航空機の騒音問題についてはアメリカの場合は非常に厳しいんですよ、アメリカの国内で。アメリカの国内では、騒音防止委員会だとか苦情処理専門なんかの機関が設けられてルールがきちっとあってやっているんですね。このことについては、例えばホノルル国際空港だとかサンフランシスコ国際空港だとかキャッスル空軍基地だとか、全部あるわけです、苦情処理委員会というのは。日本の裁判でもああいうふうにして話し合いを続けてほしいという内容になっているわけですから、自治体と住民との間で恒常的な協議の場を設けるつもりがないかどうか、その二点だけ最後に大臣の回答をいただきたい。
#218
○国務大臣(河野洋平君) 委員は御質問の中で、何か毎回指摘をしているけれどもアメリカの言いなりじゃないかみたいな話をされましたけれども、決してそんなことはございませんので最初に申し上げておきたいと思います。
 今御指摘の問題は、先ほど政府委員が御答弁申し上げましたように初めてのことなんですね。第三次訴訟で判断が下されたということで初めてのことだということもあって、協議はやっぱり若干慎重にやらなきゃいかぬということがあるわけです。それはアメリカ側にはアメリカ側の言い分がある、日本側には日本側の言い分が、もちろん地位協定とかなんとか委員は今おっしゃいましたけれども、それぞれいろいろな背景があるものですから、初めてのことでもあるし協議は慎重にしっかりやろう、こういうことで今協議中だということはぜひ御理解をいただきたいと思います。
 それから、苦情処理委員会については今つくるという考えはないそうです。ないそうですというのも妙な言い方なんですが、今確認をしましたが、ないそうです。それはなぜかというと、問題があれば逐次話を聞いて処理すべく全力を挙げるという姿勢になっているそうですから改めて苦情処理委員会というものを設ける必要はない、こういう判断をぜひ御理解いただきたいと思います。
#219
○立木洋君 委員長に一言だけお願いを申し上げておきたいんですが、きょうの労働省の課長さんの答弁、私は大変不満なんです。きのうちゃんと事実を述べて、こういう問題について調べてちゃんと答弁できるようにしてきてほしい、答弁できる人に来てほしいと私は言ったんです。ところが、きょう来たようなあれでは、私は聞いてないし調べてないしわからぬしなんというようなことで、そういうコース別の問題についてもちゃんときのう申し上げているのにそれについてもあいまいな答弁しかしないというようなことは困るので、委員会としての十分な審議ができるように保証していただきたい。
 だから、委員長としても、今後他の省のメンバーに来て参加してもらう場合にきちっと答弁できる人を責任を持って出すように、ひとつよろしく私の方で申し上げておきたいと思うんです。
#220
○委員長(田村秀昭君) しかと承りました。
#221
○椎名素夫君 ILO百五十六条約の承認については賛成でありますのでそれに関する質問はやめておきますが、きょうは一つだけ、実は大変に最近困惑しておりますのでお知恵をかりたいんです。
 一年来、私のところに随分いろんなところから、アメリカのみならずアジア、ヨーロッパ、諸外国の連中が訪ねてきたりしまして、日本の政治というのは一体どうなってしまうのかねという質問を年じゅう受けておりまして、去年の暮れぐらいからことし初めぐらいには少しはこれが緩んだのですね。どうしてこのごろ聞かないのかなと言ったら、ある人が、いやもう考えてもしょうがないと、こう言った。ところが一月からまたこれが再燃をいたしまして、地震の問題、サリンの問題、それから円高の問題、日本の経済構造改革の問題、こういうものが必ずしもうまくいっていないねという話で、また一体どうなっているのかという質問が極めて再燃をしてきたという感じがするんです。これは外務省の諸君も、あるいは特に出先の大使とかその他みんな困っているんだろうと思うんですね。
 それで、一番わからないのは、せっかく政治改革ということで法律を変えたのにどうして選挙をやらないのか、おれたちには全然わからぬ、こういう話をほとんど異口同音に申しまして、私も自分の国の悪口を言うのは嫌ですから何のかのといろいろ説明していたんですが、おとといに至って、これはちょっとノックアウトパンチみたいなもので、二人ばかりから電話がかかってきて、選挙をやらないわけがやっとわかったと、こう言うわけです。どうわかったのか聞き返すとやばいから内密でありますが、それで何というか、非常に説明が難しいという感じを持っております。
 これは私だけが困っているのならいいんですが、何かわからぬ国だということになりますと、諸外国から見たイメージが実体に影響する、またいわゆるリビジョニストという人たちを勢いづけたりいたしますので少しはましな説明をしたいと思っておりますが、ほとほと知恵が出なくなりましたので、大臣、一体こういうのをどういうふうに説明していらっしゃるのか、参考までに例えればというのが私の質問であります。
#222
○国務大臣(河野洋平君) 椎名議員は外国の方々とのおつき合いの非常に多い方でありますから、いろいろ今お話しのようなこともあるいはあるかもしれませんが、他方、外国の人たちは一つ一つの事柄を割合と理論的に分けて考えることもしていただけるのではないか。つまり日本という国はわからない国だ、地震もあるしサリン事件もあるし円高もあるしと。これは全部別々の問題なんですね。実際は地震というものまで一緒にして、地震と円高を同列にして説明しろというのはこれはもう全くできない話でございまして、地震はもう地震の問題であって、確かにそれは後の処理の問題がいろいろあったじゃないかということを含めれば、これはまた多少人為的な問題を含めればそういうこともあるかもしれませんが、しかし地震の問題はもうあくまで地震の問題であって、円高の問題と一緒に一つにして説明をすることはなかなか困難なのではないかというふうに私は思っております。
 それから、サリン事件というのも、全く悪質なこういう事件が起きたということ、これらは仮に地震が起きた後の処理の仕方が適当であっなかなかったかということと、サリン事件が起きたということとを一つのラインの上で説明するということは実は実際はなかなか難しいのではないかというふうに私は思っております。さらに円高の問題はこれは全く異質の、それらとは別の問題ではないかというふうに思っているわけです。
 ただ、人によっては、これは政治がしっかりしていて非常に独力なリーダーがいれば犯人も直ちに検挙したであろうし、地震の後の復旧工事も全部ブルドーザーでざっとならしたんではないかなどとおっしゃる方もあるかもしれませんが、それは全く違うのであって、復旧の仕事、復興のための準備、これらはこれらで兵庫県、神戸市あるいはその周辺の被害に遭われた地域の自治体の意見などを十分に聞きながら、しっかりと復旧のための作業、それから復興のための準備というものは取りかかっていて、このことについて日本がよその国と違うのではないかというふうに言われることは恐らく私はないだろう。一年たってみれば、結果として上手にゃったなと言われることにぜひしたいと思って、それはそれで懸命に取り組んでおります。
 サリンの事件についても、これは確かに国際的なテロリズムとの関係からいって、私もこれは相当深刻な話だというふうに思っておりますが、いまだに犯人を検挙するというところまでいっていないことはまことに残念なことでございます。かてて加えて、狙撃事件などが起こるに及んで本当に一刻も早く犯人の検挙が望まれるわけですが、これとて日本の警察は他国の警察に比べて劣っているとは思いませんし、全力を挙げてこれはこれで作業をして検挙のための仕事をしてくれているわけでございます。
 問題は、円高と景気対策だと思います。この策気対策、円高についてどうすることが大事かということについては、これは政治が真剣に取り組まなければならないもの、つまりそれ以前の問題についてはもちろん政治も重要ですけれども、警察を初めとして行政というものが相当重要ですが、この景気対策、円高問題についてはやはり政治が責任を持って対応するという必要があるだろうと思います。これまで一カ月近くの間、円高にさらされてきているわけで、これまでの間、大蔵省を中心に国際的な協調体制をつくる、国際的な理解、協力を求めるために努力が繰り返されたわけでありますが、今日のような状況になりました。
 為替の問題でございますから、これは市場が決めていくということもあって、為替のレートをどこにするかというところまで政治が決めるわけにはいかないわけですが、こういうことになってみれば日本の経済それ自体をどう考えるかということは政治が考えなければならないわけで、先ほど来申し上げておりますように今週中に総合的な対策の取りまとめをするという状況になっているわけです。
 政治それ自体について、椎名先生は恐らく一昨日の選挙の結果を踏まえて、国民と政治との間の関係というものをどういうふうに見るかということが非常に重要だと思っていらっしゃるのではないかと思うんですが、東京、大阪の結果には実は私の立場からすれば大変残念な思いをいたしました。
 私は、実は東京あるいは大阪という世界有数の大都会の知事として、この大都会が抱えている問題を解決する、あるいはこの大都会の抱える問題をどうマネジメントするかということを考えれば、候補者としてそういうマネジメントができる、あるいは問題解決ができる有能な候補者を探すということは何より重要なことだと思うんです。私は、責任を担う政党が候補者を選定するときに、選挙に当選しそうな候補者を探すか、あるいはその問題を解決できる能力を持った人間を探すかということを考えれば、責任政党としてはやはり何といっても問題を解決する能力のある人を探すということが当然先になると思うんです。
 ただ残念なことに、問題解決の能力のあると我々が信じた人が、その人の能力とか名前とかというものが周知徹底できなかったということは、そういう意味で私は非常に残念だと思っているわけでございまして、そんなことは少し愚痴話じゃないかと言われればそれはそうかもしれませんが、我々とすれば、例えば大阪は現職の知事さんが、再選を目指しておられた知事さんが直前になって立候補を取りやめるということになった結果、大阪の抱える問題にきちんと対応できる人を探そうということで、結果、直前に候補者を決めるということになった。その候補者は全く知名度がなかった。その知名度を上げるという努力はしたけれども、やはり横川さんの知名度、人気というものには及ばなかったということであると思います。
 これは、都民が選び、府民が選んだわけですから、都民が選んだ知事、府民が選んだ知事というものが当選した以上はその知事の御活躍に期待する以外にないわけですけれども、少なくとも選挙に臨むに当たっては、より有能な人を探すという努力をした我々の判断というものは理解していただけなかった、わかっていただけなかったことは非常に残念だという気持ちがあるということだけは申し上げたいと思っております。
 そのことが直ちに、無党派属が主流になって政党が全部否定されたんではないかというふうにマスコミに伝えられたことは私はどうも是認はできません。やはり同じ時期に県会議員選挙、府議会議員選挙その他の選挙があって、それらはきちんと各党の議員が誕生をしているわけであって、それからまた東京、大阪を除けばそれぞれ政党によって推薦をされ支持されている人たちが戦って当選もしているわけでありますから、ただ単に日本全体が無党派時代になったというふうには私は見ていないところでございます。
#223
○椎名素夫君 時間が来ましたので、これでおしまいにします。
#224
○委員長(田村秀昭君) 他に御発言もなければ、本件の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約一第百五十六号一の締結について承認を求めるの件に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#225
○委員長(田村秀昭君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、本件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#226
○委員長(田村秀昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#227
○委員長(田村秀昭君) 次に、万国郵便連合憲章の第五追加議定書の締結について承認を求めるの件、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件、小包郵便物に関する約定の締結について承認を求めるの件、郵便為替に関する約定の締結について承認を求めるの件、郵便小切手業務に関する約定の締結について承認を求めるの件、以上五件を一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。河野外務大臣。
#228
○国務大臣(河野洋平君) ただいま議題となりました万国郵便連合憲章の第五追加議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 万国郵便連合は、郵便物の国際交換制度の確立を目的として明治七年に設立された世界で巌も古い歴史を有する国際機関の一つであり、我が国も明治十年に加盟して以来その活動に積極的に参加し、郵便の分野における国際協力のために努力してきております。
 万国郵便連合憲章は、万国郵便連合の基本文書であり、第五追加議定書は、この憲章について万国郵便連合の組織及び運営の効率化の観点から所要の改正を施すことを目的とするものであります。
 この議定書を締結することは、我が国が万国郵便連合の一員として今後ともその活動に引き続き積極的に協力していくために必要であると考えられます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 万国郵便連合一般規則は万国郵便連合憲章の適用及び万国郵便連合の運営について定め、万国郵便条約は国際郵便業務に適用する共通の規則と通常郵便業務に関する規定とを内容とするものであり、すべての連合の加盟国に対して締結が義務づけられております。
 この一般規則及び条約は、国際郵便業務における最近の事情を考慮して万国郵便連合の運営及び国際郵便業務に関する事項について所要の修正と補足を施した上で現行の一般規則及び条約を更新するものであります。
 この一般規則及び条約を締結することは、我が国が万国郵便連合の一員として今後ともその活動に引き続き積極的に協力していくため、また我が国が国際郵便業務を引き続き円滑に運営していくために必要であると考えられます。
 よって、ここに、この一般規則及び条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、小包郵便物に関する約定の縦縞について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 小包郵便物に関する約定は、締約国の間における小包郵便物の交換を規律することを目的としております。この約定は、小包郵便業務に関する最近の事情を考慮して所要の修正と補足を施した上で現行の小包郵便物に関する約定を更新するものであります。この約定を締結することは、我が国が国際的な小包郵便業務を引き続き円滑に運営していくために必要であると考えられます。
 よって、ここに、この約定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、郵便為替に関する約定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 郵便為替に関する約定は、郵便為替の交換を規律することを目的としております。この約定は、郵便為替業務に関する最近の事情を考慮して所要の修正と補足を施した上で現行の郵便為替に関する約定を更新するものであります。この約定を締結することは、我が国が国際的な郵便為替業務を引き続き円滑に運営していくために必要であると考えられます。
 よって、ここに、この約定の締結について御承認を求める次第であります。
 最後に、郵便小切手業務に関する約定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 郵便小切手業務に関する約定は、郵便振替口座を利用して行う送金業務を規律することを目的としております。この約定は、郵便小切手業務に関する最近の事情を考慮して所要の修正と補足を施した上で現行の郵便小切手業務に関する約定を更新するものであります。この約定を締結することは、我が国が国際的な郵便小切手業務を引き続き円滑に運営していくために必要であると考えられます。
 よって、ここに、この約定の締結について御承認を求める次第であります。
 以上五件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
#229
○委員長(田村秀昭君) 以上で五件の趣旨説明の聴取は終わりました。
 五件の質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時二十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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