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1995/05/11 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 外務委員会 第12号
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1995/05/11 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 外務委員会 第12号

#1
第132回国会 外務委員会 第12号
平成七年五月十一日(木曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田村 秀昭君
    理 事
                大木  浩君
                野間  赳君
                矢田部 理君
                猪木 寛至君
    委 員
                笠原 潤一君
                成瀬 守重君
                野沢 太三君
                宮澤  弘君
                矢野 哲朗君
                大渕 絹子君
                大脇 雅子君
                清水 澄子君
                松前 達郎君
                石井 一二君
                黒柳  明君
                武田邦太郎君
                立木  洋君
                椎名 素夫君
   国務大臣
       外 務 大 臣  河野 洋平君
   政府委員
       外務大臣官房外
       務参事官     谷内正太郎君
       外務大臣官房領
       事移住部長    畠中  篤君
       外務省総合外交
       政策局長     柳井 俊二君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     高野幸二郎君
       外務省総合外交
       政策局軍備管理
       ・科学審議官事
       務代理      杉内 直敏君
       外務省アジア局
       長        川島  裕君
       外務省欧亜局長  野村 一成君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    法眼 健作君
       外務省経済局長  原口 幸市君
       外務省経済協力
       局長       平林  博君
       外務省条約局長  折田 正樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大島 弘輔君
   説明員
       総理府国際平和
       協力本部事務局
       派遣担当参事官  國方 俊男君
       環境庁水質保全
       局企画課海洋汚
       染・廃棄物対策
       室長       吉田 徳久君
       海上保安庁警備
       救難部海上環境
       課長       今里 鉄男君
       海上保安庁警備
       救難部海上防災
       課長       柚木 浩一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○千九百九十年の油による汚染に係る準備、対応
 及び協力に関する国際条約の締結について承認
 を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○国際連合要員及び関連要員の安全に関する条約
 の締結について承認を求めるの件(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田村秀昭君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 千九百九十年の油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約の締結について承認を求めるの件を議題とし、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○野間赳君 油によります汚染事件に関しましては、これまで海洋汚染を防止するための包括的な規制を内容といたしますいわば予防的なMARPOL条約と、去年の国会で承認をいたしました事後の賠償につきましての条約とも言えます責任条約及び基金条約があるわけであります。それらに比べまして、本条約は予防と事後賠償との中間的なものであると思っております。初期行動について各国がいかに協力をしていくかということが定められておるものであると思います。今回の大震災を見ましたときにも、初動の対応ということがいかに重要であるかということが明らかなのでありますが、これまで今回の条約のような国際協力の枠組みが定められていなかったということがむしろおかしなくらいと感じております。
 今日までそのような枠組みが持てたかった、なかったという理由、またこの条約に期待される役割等について、まず大臣にお伺いを申し上げます。
#4
○国務大臣(河野洋平君) 海洋環境の保全につきましては、主として、事故の未然の防止、汚染損害が生じた場合の被害者に対する賠償及び補償などの観点から、これまでにも多くの条約が作成されておるわけでございます。油による汚染事件への準備及び対応に関しまして各締約国がとる措置、国際協力の枠組みたどについて定めているこの条約は、これらの条約とあわせて油汚染事件に関する国際的な体制の一層の充実を図るものでございます。
 本条約と特に関係の深い条約といたしましては、有害物質の流排出を防止するために船舶の構造及び設備の要件などについて定めた千九百七十三年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書、さらに汚染損害の被害者に対する賠償及び補償などについて定めた千九百六十九年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約及び千九百七十一年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約などがございます。
 我が国といたしましては、これら諸条約をすべて締結しているわけでありますが、汚染事件における初動態勢の充実などについて定めた今回のこの条約を締結することによりまして、海洋環境の保護及び保全のため、さらに一層努力をする所存でございます。
#5
○野間赳君 本条約が油による汚染源として船舶だけでたく沖合施設、海港及び油取扱施設を含めている点は、従来の関連条約と異なっております画期的な点であると思っております。
 締約国は、国家的な緊急時計画を策定しまして、それによるものを各施設に備え置きしなければならないということであります。そのための法改正も今国会で行われると聞いておるわけでありますが、我が国の石油会社、廃油会社、化学会社、港湾管理者等々、千二百に余る施設が新たに油濁防止緊急措置手引書を義務づけられておるということであります。その影響はそういったことで広範に及ぶと考えられるのでありますが、この条約締結により生じる新たな義務はこれらのものにどのように影響を及ぼすのか、また国家的な緊急時計画の策定の予定などについてお伺いをいたします。
#6
○政府委員(高野幸二郎君) まず、最初の方のお尋ねの点でございます本条約の締結により我が国がいかなる義務を負うのかという点でございますが、大別いたしまして五点から成ると理解しております。
 第一点は、我が国を旗国とする船舶、我が国の管轄のもとにある沖合施設の管理者、我が国の管理のもとにある適当と認める海港及び油取扱施設に責任を有する管理者等に対しまして、油汚染緊急計画等を備えることを要求されております。
 それから第二点は、我が国を旗国とする船舶の船長、我が国の管轄のもとにある沖合施設並びに海港及び油取扱施設の管理者等に対しまして、当該船舶において油の排出を伴い、または伴うおそれのある出来事が生じた場合及び海上等で油の排出を伴う出来事を発見した場合には、その旨を状況に応じ最寄りの沿岸国または我が国の権限のある当局に遅滞なく通報するよう要求されております。
 それから第三点は、油の排出を伴う出来事が生じた等の旨の通報を受けた場合には、当該出来事の評価、関係国への通報等を行う。
 それから第四点は、油による汚染事件に迅速かつ効果的に対応するための国家的な体制を確立すること。
 第五点は、油による汚染事件が重大なものである場合には、関係する他の締約国の要請によりまして、我が国の能力及び関係する資源の利用可能性の範囲内で、当該事件に対応するために技術上の支援、資材の提供等を行うことが要求されておるということでございます。
 次に、お尋ねの国家的な緊急時計画の点でございますが、まずOPRC条約の第六条一項の(b)におきまして、各締約国に対しまして油による汚染事件に対する国家的な緊急時計画の策定が求められておるところでございます。
 我が国といたしましては、関係行政機関等がそれぞれの所掌事務及び関係法令等に基づく責務のもとにおきまして油汚染事件に対応してきたところでございますけれども、ただいま申し上げましたOPRC条約のこの趣旨を踏まえまして、これらに基づく各種の措置が相互の有機的な連携のもとに一層迅速かつ効果的に実施されますよう、今後における油汚染防除措置と海洋環境の保全措置の一体的かつ計画的な推進を図るための計画を政府として取りまとめることとしている次第でございます。
 この取りまとめにつきましては関係省庁、具体的には環境庁、外務省、海上保安庁等十七省庁にわたるわけでございますが、これらの省庁間の連絡会議を設置いたしまして、同条約が我が国について効力を生ずるまでにこれを行うということにしているところでございます。
#7
○野間赳君 環境庁にお尋ねをいたします。
 油汚染事故の発生ということになりますと、野生生物の被害など環境保全上重大な問題の発生が懸念をされるところであります。この条約に基づきまして、国家的な緊急時計画においてどのように環境保全に配慮をし、また実際にどのように取り組んでいくのか、環境庁にお尋ねをいたします。
#8
○説明員(吉田徳久君) 拍答えいたします。
 環境庁といたしましては、今、外務省から御説明がございました条約に基づく国家的な緊急時計画の策定が環境保全措置として極めて重要なものであるというふうに認識をいたしておるところでございます。
 環境庁といたしましては、この計画に事故発生時における各種の環境保全に関する組織間の連絡体制を整備するということ、あるいは野生生物保護のための体制の整備といった各種の環境保全上の措置を盛り込んでいくことが必要であるというふうに考えております。
 また、不幸にして油汚染事件が発生した場合におきましては、この計画に基づきまして、関係省庁、地方公共団体、それから環境保護に関する民間のNGO、獣医師会等の間の密接な連携を保ちながら、環境への被害を最小化し、その修復を適切に行うよう努めてまいりたいと考えております。
#9
○野間赳君 本条約によりますと「締約国は、油による汚染に係る準備及び対応に関する二国間又は多数国間の協定を締結するよう努める。」とされておるわけであります。既にヨーロッパではバルト海や北海等、特定海域の油汚染に対応するために地域的な多数国間協定が幾つか締結をなされております。我が国周辺海域では、このような地域的な多数国間協定が締結される見通しがあるのかどうか。
 また、この条約は明後日、五月十三日に発効される予定でありますが、署名国、締約国を見ますと、これまでアジア地域の署名ではフィリピンのみ、締約国はパキスタンのみということであります。アジアの各国はこの条約に消極的であるとも受けとめられるわけでありますが、中国、韓国等を含めたアジア近隣諸国の対応等についてあわせてお伺いをいたします。
#10
○政府委員(高野幸二郎君) アジア・太平洋地域におきます油汚染関係の地域取り決めが存在しているかどうかたいしは今後の展望についてのお尋ねでございますが、アジア・太平洋地域にはこの油による汚染事件にかかわる協力等について定めました地域取り決めというのは現在のところまだできておりません。
 ただ、これは法的拘束力を有するものではございませんけれども、昨年の九月、ソウルで開催されました第一回政府間会合におきまして北西太平洋地域計画というのがございまして、これが日本海及び黄海海域における海洋環境保護にかかわる関係国間の協力に関する行動計画というものとして採択されております。それをもちまして関係国の協力の枠組みが一応できだということが言えるわけでございまして、今後、海洋汚染防止のための諸措置についてもさらに検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。また、アジア・太平洋地域における地域協定の作成自体、我が国としても積極的に今後考えてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 それから次にお尋ねの本件条約のアジア近隣諸国による締結の点でございますが、今、委員御指摘のとおり、締約国はパキスタンだけでございます、現在のところ。ただ、アジア近隣諸国は本件条約についていずれも本条約の趣旨には賛成しているというふうに承知しておりまして、これらのアジア近隣諸国が本件条約の締結についていつごろこれを行うのかという時期についてはまだ私どもも承知しておりませんけれども、そういうことでこれらの諸国は締結のための検討をそれぞれ行っているというのが現状であるというふうに認識しております。
#11
○野間赳君 この条約作成に向けて我が国はIMOの作業に積極的に参加をし、協力してきたと思っておりますが、どんな役割を果たしてきたのか。しかしながら、我が国が条約に署名をしていないということはどういうことであったのか。その理由をお尋ねいたしておきたいと思います。
#12
○政府委員(高野幸二郎君) まず、署名をしていたい理由でございますが、政府といたしましては、これは一般論でございますが、条約の署名というのはその条約を実施するための国内法の整備状況、こういうものもある程度めどが立った段階で、その上で署名をするというのが一般的なやり方でございます。そういうことが理由で署名はしなかったということでございます。
 それからその前にお尋ねの我が国は本条約の作成にどのような役割を果たしてきたのかという点でございますが、本条約の作成されました経緯等についてはもう委員よく御承知のことと存じますので省略させていただきますが、御承知の八九年のエクソン・バルディーズ号事件以来の一連の経緯を踏まえまして、本件条約の作成過程におきまして我が国といたしましては条約交渉のすべての会合に代表団を派遣いたしまして、条約の起草段階、条文の作成、それから採択という各段階におきまして、我が国といたしましては、それぞれの段階で積極的な貢献をしてきたというふうに考えております。
#13
○野間赳君 条約以外のことでお尋ねをさせていただきます。
 河野外務大臣におかれましては、連休を返上なされてクロアチアとハンガリーを訪問されました。旧ユーゴスラビアで続く紛争の当事者と会談をされたのであります。紛争が始まって以来、我が国の外務大臣が旧ユーゴを訪問するのは初めてのことであります。また、今回の訪問は、四カ月間の停戦協定切れを直前にして再び戦闘が激化をするのではないかと心配をされます。その時期と重なったわけでありますが、今回の訪問のねらい、また現地の空気を直接肌でお感じにたられた大臣の率直な感想などをお聞かせいただきたいと思います。
#14
○国務大臣(河野洋平君) 旧ユーゴにおきます紛争は、ヨーロッパの一地域における紛争と言うには余りにも国際的に影響も大きく、関心の度合いも高いものでございました。私は、就任以来、機会を見て旧ユーゴのいずれかの地域を訪れたい、こう考えておったわけでございますが、国会のお許しをいただきましたので、クロアチアの首都ザグレブを訪問することができました。
 御案内のとおり、ザグレブは国連の明石特別代表がここに拠点を設けて、この紛争調停のためのさまざまな努力をここでしておられるわけでございます。
 旧ユーゴスラビアの紛争はまことに複雑な背景を持っておりまして、その民族、その宗教、そして歴史的た経緯、まことに糸口を見つけることも難しいということでございますが、その中にあって、国際社会は、いわゆるコンタクトグループと称するアメリカ、ロシア、ドイツ、イギリス、フランス、この五カ国が調停に乗り出しておりますし、それ以外にもさまざまな提案も行われているわけでございます。しかし、残念ながら、この地域におきます小規模な紛争というものは後を絶ちません。
 私が参りました四月三十日というのは、おっしゃるようにちょうど停戦合意が切れる前日という非常にせっぱ詰まった状況でございました。私のねらいの一つは、紛争当事国の責任者に明石特別代表の努力というものを正しく認識してもらいたい、それから明石さんの調停への努力についても協力もしくはこれを正面から受けとめて十分検討してほしいということを申し上げることが一つ、それから、これまでも我が国はかの地に人道的支援、経済的援助を行ってまいりましたけれども、なかなか顔が見えないなどの御批判、御指摘もございましたので、私自身現地へ行って直接これらの地域の人たちどお目にかかってお話しし、我が国の考え方も申し上げたい、こう思ったわけでございます。
 心配をいたしておりましたが、紛争当事者、各国の責任者は明石特別代表の努力あるいは行動というものを高く評価しておられまして、自分たちとしてはこの明石さんの行動を支持するつもりであるということを口々に言っておられました。
 私は、停戦合意をさらに延長して、そしてその間に紛争解決のための平和的な話し合いが行われることが望ましいと、こう考えておったわけですが、残念ながら停戦のための合意は延期できませんでした。明石代表も最後まで努力をされましたが、それができないということがわかった時期に、明石さんは、合意は延期できないけれども、停戦の合意が延期できなくとも事実上停戦状況が続くことが望ましいということで、最後まで努力をしておられた次第でございます。
 また、我が国といたしましては、クロアチアを初めとするこの地域の中に、難民支援を初めとして幾つかの人道的支援あるいは問題解決のための経済的な支援を行う旨表明をして、それぞれの評価をいただいたわけでございます。
 さらに、十分時間もございませんでしたので、これらの地域の外相もしくは担当者の方々と引き続き我が国との間に話し合いを続けるという合意をして戻ってまいりました。この合意を生かしてこれから先も話し合いを続けてまいりたいと、こう考えているところでございます。
#15
○野間赳君 最後に、日米新経済協議の問題につきまして、この際、お尋ねを申し上げておきます。
 先日の交渉が決裂に終わったわけでありますが、今回の争点は大まかに三点あったかと思います。自動車部品購入自主計画の上積みというのが一点、二つといたしまして日本での米国自動車販売網の拡充、三つ目に補修部品に関する規制緩和ということであったかと思うのであります。
 その中におきましても、部品購入自主計画をめぐりましては、米側は上積みと政府によるその保証を要求し、これに対しまして日本側は、政府が民間企業の活動を拘束する立場にないとの原則を述べ、これを拒否したとのことであります。私は、自由な市場経済にあっては当然のことと考えるものでございます。
 本日の未明、日米自動車交渉の決裂を受けましてカンター米通商代表は記者会見をいたしまして、対日制裁リストについては数日中に公表をすることとした上で、日本自動車部品に不公正な慣行があるとしてWTOに提訴をする方針を明らかにしたのであります。我が国も米国の三〇一条による制裁がなされた場合にはWTOへの提訴の方針を示したわけでありますが、この発表をどのように受けとめ、またどのように対処をなされるのか、お尋ねをいたしておきたいと思います。
#16
○国務大臣(河野洋平君) 議員御指摘のとおり、本日未明と申しますか昨日の深夜と申しますか、アメリカがこの問題について態度を表明したところでございます。これまで非常に長時間にわたって真剣な議論を続けてきた両国関係者の努力にもかかわりませずこういう結果になったことは、まことに残念なことでございます。
 我が国といたしましては、今、議員が御指摘になりましたように、アメリカとの協議におきまして、ディーラーシップ及び補修部品の規制緩和に関しまして政府の責任の範囲内の事項について協議をまとめるために誠実かつ多太な努力を払ってきたわけでありまして、アメリカが事実上の数値目標を最後まで求め続けたために決着することができなかったということをまことに残念に思っているわけでございます。
 特に、今回アメリカ政府が通商法三〇一条に基づく決定を行い、数日中に報復措置の候補リストを明らかにする旨発表したことは、包括経済協議のもとでの二国間の話し合いの基礎を失わせるものであって、またWTO協定との関係でも問題があるというふうに考えているわけでございます。
 他方、日米両国はいずれもWTOの加盟国でございます。我が国の自動車、同部品市場に関連してアメリカがWTOの紛争解決手続にのっとり問題の解決を図るということであれば、我が国としてもこれに応じてWTOの紛争解決手続にのっとって我が国の主張を貫いていく、こういう考えでございます。
 なお、この問題をずっと担当してこられました通産省、とりわけ通産大臣は、先ほど談話を発表しておられますのできましたら通産大臣の談話等につきまして後ほど委員にお配りをさせていただきたいと思います。理事会でお取り扱いをいただげればと思います。
 その中で特に私はこの外務委員会の皆さんに申し上げたいと思いますことは、通産大臣は談話の中で、「日米両国の相互関係は着実に進展し、両国が相互にとって不可欠な存在であること、自動車・同部品分野における立場の相違は、日米関係を害するものではないとする米国政府の立場を、我が国としては、全面的に合意するものであることを強調しておきたい。」ということをその談話の中で述べておられますことを申し添えたいと思います。そう長いものではございませんが、この談話のお取り扱いについては後ほど委員長におかれまして御判断をいただきたいと思います。
 なお、先ほど私申し上げましたが、我が国の立場といたしまして、アメリカがWTO協定違反を構成する一方的措置の発表を行う場合には、WTOの場での話し合いを我が国としても求めたいと考えているということをつけ加えたいと思います。
#17
○野間赳君 終わります。
#18
○清水澄子君 この油に関する条約は、日本の批准を待たずともことしの五月十三日にはもう発効する見通しですね。この条約は一九九〇年に作成されているわけですし、日本は世界有数の私は海運国であると思いますし、また現実に原油の輸入国であるわけですけれども、その日本がどうして批准までに五年を費やしたのかという面で、それは何が一番大きな問題だったんでしょうか。
#19
○政府委員(高野幸二郎君) ただいま委員御指摘ありましたとおり、本条約の内容にかんがみまして、我が国としてこれを大変有意義と思っておりまして、前向きに考えてきたところでございます。
 お尋ねのなぜ五年かかったかということにつきましては、一番主たる理由といたしましては、国内的な体制整備ということを鋭意やってきたわけでございまして、そのほかに条約の発効のタイミングについての見通してありますとか、あるいはそれとの関連におきます近隣諸国の動向等、こういうこと全体を見ながら国内体制の整備ということを慎重に検討してきたということでございます。ただ、今、委員御指摘のとおり、本年の五月十三日発効ということもございまして、今般、所要の検討を下しまして、国会の御審議を求めることになったということでございます。
#20
○清水澄子君 この条約は、船舶というのは自国の旗を掲げるという締約国の責務が規定されているわけですが、リベリアとかパナマなどを船籍とする便宜置籍船、これは日本人の船長がこの船を運営しているという場合がありますけれども、そういう場合にはこの条約との関係はどのようになるんでしょうか。
#21
○政府委員(高野幸二郎君) お答え申し上げます。
 この条約上は、今、委員御指摘のとおり、自国を旗国とする船舶に対して当該船舶内に所要の油汚染緊急計画を備えることを要求する義務、それからまた当該船舶の船長等に対して油の排出を伴う出来事を生じた場合にはその旨を最寄りの沿岸国に通報を行うよう要求する義務を負うことにたっております。これは本条約第三条あるいは第四条の関連でございます。
 ところが、今お尋ねのいわゆる便宜置籍船の場合につきましては、これらを要求する義務を負うことにはならないということにたっております。
#22
○清水澄子君 ちょっと終わりがわかりませんでした。
 便宜置籍船の場合は、船はリベリアとかパナマの船、船長は日本人。そうすると、船はリベリアならリベリアの旗を掲げなきゃいけない。その場合、汚染したらリベリアの責任ということになるんですか。
#23
○政府委員(高野幸二郎君) あくまでこの条約は旗国主義をとっておるものでございますから、便宜置籍船の場合は対象にならないということになっています。
#24
○清水澄子君 では、この条約の七条「汚染への対応に対する国際協力」ですけれども、日本はこれまでこういう分野でどのような国際協力をされてきたんでしょうか、そしてこの条約を締結することによってどのような国際協力が必要にたってくるのでしょうか。
#25
○政府委員(高野幸二郎君) この油汚染にかかわるこれまでの国際協力という点につきましては、我が国の場合、国際協力事業団による技術協力の枠組みを活用いたしまして、諸外国からの研修生の受け入れ、あるいはこれら諸国に対する専門家の派遣などを行っております。また、この分野における国際協力を促進するために二国間の専門家会議の開催、国際セミナーの開催等を行ってきたところでございます。
   〔委員長退席、理事猪木寛至君着席〕
 特に、九一年の湾岸戦争の際のペルシャ湾における油汚染問題につきまして、我が国は、サウジアラビア、カタール、バーレーンに対しましてオイルフェンス、油の吸着剤あるいは小型の油回収船等の資機材の供与を行うとともに、サウジアラビアに対しましては流出原油回収のための防除に関する専門家派遣を行ってきております。またさらには、IMOからの要請に基づきまして、IMOの湾岸地域における油汚染防除対策事業にかかわる湾岸油汚染災害基金に対しまして百五十万ドルの拠出を実施したということがございました。
 また、今後のことでございますが、我が国の場合、海外の地域で大規模な災害が発生した場合には国際緊急援助隊の派遣に関する法律及び国際協力事業団法、これに基づきまして、被災国政府の要請に応じまして国際緊急援助活動を行うための人員の派遣、資機材の調達及び輸送について迅速かつ効果的な対応が行い得るような国内的な枠組みというのが既に整備されているところでございます。したがって、本件条約に規定する油による汚染事件が適用対象となるような場合には、これらを活用いたしまして七条一項に規定する国際協力を行うことが可能であるということでございます。
 我が国といたしましては、我が国が世界有数のタンカー保有国及び石油輸入国であることにかんがみまして、今後ともこれらの枠組みを利用しつつ、油による汚染事件に対する国際協力を増進してまいりたいと考えておるところでございます。
#26
○清水澄子君 平成五年の海洋汚染の統計を見ますと、油による汚染の原因の中で、取り扱い不注意が全体の四〇%、次いで故意が三一%になっております。故意というのが三分の一を占めるようであれば幾ら国際条約を締結しても海洋汚染はたくならないのではないかと思いますが、なぜ故意による海洋汚染が起きるのか、それに対する罰則の適用状況というのはどのようにたっているのか、お答えください。
#27
○説明員(今里鉄男君) お答えいたします。
 海上保安庁が認知いたしました船舶からの油による海洋汚染につきましては、先ほど御指摘のように、平成五年におきましては全体の約三分の一が故意による排出でありますが、この汚染の形態のほとんどはビルジの排出であります。ビルジといいますのは、船底にたまりますところの油まじりの混合物ということでございます。本来、ビルジの処理は、廃油処理事業者に依頼するか、船舶に備えつけております池水分離装置でみずから処理するというようなことになってございますが、処理時間の短縮、処理費用の節約、関係機器の整備作業の軽減等を理由に違法に排出されているものと思われます。
 また、このような故意による船舶からの油の排出行為は、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律第四条一項により禁止されておりまして、これに違反した場合は六月以下の懲役または五十万円以下の罰金に処せられることになっております。
#28
○清水澄子君 それでは、条約とは違った問題に入りたいと思います。
 まず、この四月二十五日にODAに関する総務庁の行政監察の結果が発表されています。十八省庁に対して勧告が出されておるわけですが、これによりますと、日本は援助額では世界一だがきめ細かな配慮に欠けている、そして官庁の縦割り行政の結果、被援助国に負担をかける結果とたっていると指摘されておるわけです。
   〔理事猪木寛至君退席、委員長着席〕
 そこで、外務大臣は、この行政監察の結果と勧告についてどのように受けとめておられるのか、そして今後その勧告をどのように生かしていく御決意なのか、お聞かせいただきたいと思います。
#29
○国務大臣(河野洋平君) 我が国の政府開発援助は、国民の理解と支持を得て着実に拡充し、我が国の国際貢献の重要な柱とたっていると思います。今後とも政府開発援助を強化充実して、途上国援助の面において我が国が国際社会をリードしていくために、環境、人口、エイズ、途上国の女性支援といったような新しい課題に積極的に取り組んでいくとともに、援助をより一層効果的、効率的に実施することが重要だと思います。
 外務省といたしましては、今回の勧告の主要な対象となりました無償資金協力及び技術協力につきましては、目まぐるしく変わる国際情勢の中で政府開発援助大綱を踏まえて効果的、効率的な援助を行うために、今後とも必要な措置をとってまいりたいと考えております。
#30
○清水澄子君 この行政監察は、外務省に対しては援助の透明性の確保について勧告をしているわけですね。私は、その中の次の三つについて具体的にお答えいただきたいと思います。
 まず第一に、このプロジェクト方式技術協力事業及び開発調査事業案件については、討議議事録の実施細則の締結後速やかに事業団の発行する月刊誌に概要を掲載したさい、そして事業団を指導することとあるわけですが、これについては今後おやりになるのかならないのか。
 それから二つ目。無償資金協力による援助案件の受注企業についてはすべて公表しなさいとなっています。これも公表するのかしたいのか。
 それから三つ目。「我が国の政府開発援助の実施状況に関する年次報告」に、関係省庁がそれぞればらばらで見えないので、関係省庁の協力を得て政府開発援助にかかわる事業の概要及び予算額を掲載、公表すること、こういうことが勧告されておりますけれども、この三つについて具体的にやるのかやらないのかという点について、その対応をお答えいただきたいと思います。
#31
○政府委員(平林博君) お答えを申し上げます。
 まず第一点のプロジェクト方式技術協力事業及び開発調査の討議議事録等を公表するということでございますが、これにつきましては、現在でも国際協力事業団及び国会図書館におきまして一般に閲覧可能な状態に置いております。報告書の中に掲載された事実関係がわかるようになっておりますが、今回の行政監察の報告書を踏まえまして、今おっしゃいました事業団が発行する月刊誌等への概要の掲載という方法も含めましてどういう方法が一番いいのか、検討してまいりたいというふうに考えております。
 二番目の無償資金協力に関する受注企業、この全部の受注企業を公表するべきだという勧告につきましては、昨年の公正取引委員会のODA関連商社への立入検査があった時点から決定いたしまして、平成六年度分からは全案件につきまして、落札金額も含めてすべて受注企業を閲覧方式により公表するということに決めておりますので、勧告に沿った対応だというふうに考えております。
 三番目の各省庁の事業の概要、予算額を掲載、公表せよと、こういうことでございます。御承知のように、年次報告は九三年以降国会を中心として御報告申し上げているわけでございますが、昨年から国別援助方針だとかODA大綱の原則の運用状況だとか審議を加えております。今年度もまたさらに国別援助方針等を充実してまいりたいと思っておりますが、今御指摘の各省庁の事業の概要、予算額、これにつきましても各省庁の御協力を得つつ、せっかくの行政監察報告でもございますので、そういう方向で検討してまいりたいというふうに外務省としては考えております。
#32
○清水澄子君 ぜひ勧告を受け入れていただきたいと思います。
 次に、「新たな課題への積極的な対応」としてWID、開発と女性についての実施方針、基準の策定が求められていると思います。外務省は、来年度のこの開発と女性の予算、計画を立てるに当たって、その実施方針、基準の策定をする用意があるのかどうか。そして、もしあるとすればそれはどのようなプロセスにより策定するのか。
 私はここで提案したいんですけれども、実施方針とか基準の策定に当たっては開発と女性に取り組んでいるNGOがありますから、そういうNGOからの意見を参考にしていく、そういう措置をとる必要があると思いますが、その点についてどうお考えになるか。これは大臣、お答えください。
#33
○国務大臣(河野洋平君) 政府といたしまして、今後も途上国の女性支援に十分配慮をしていく所存でございます。予算面におきましても途上国の女性支援強化のための予算措置は講じてきております。なお、予算に直接あらわれているもの以外にも個々の経済協力事業予算の枠の中で具体的プロジェクトが実施されていくことになります。もしお尋ねがあれば、詳細は政府委員から御答弁をいたします。
 さらに、来年度の予算要求に際しましても、今、議員御指摘のように、途上国の助成支援強化に向けまして、NGOを含めて多方面の意見に配慮しつつ検討を進めてまいりたいと考えます。
#34
○清水澄子君 配慮というよりもNGOからいろいろな実態を聞き、意見を私は取り入れていただきたいと思います。ぜひそういうプロセスにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#35
○国務大臣(河野洋平君) 今申し上げましたように、NGOの活躍ぶりというものは我々も十分評価をしておりまして、認識をいたしているつもりでございます。NGOの皆さんからの御意見も十分伺いたいと思いますし、それに配慮した予算措置を考えたいと思っております。
#36
○清水澄子君 また、この勧告の中に供与した援助にきめ細かい配慮が欠けているということが指摘されています。よく今までも言われているんですが、機械は提供されているけれども動かなくなっているとか、学校は建って教科書もあるけれどもそれの運営ができない。そういうことで、もっとこの事業自体がうまく実施されていくようたそういう援助後のフォローといいますか、そういう面でやっぱり援助後に一定期間プロジェクトの要員の確保とか、それから管理運営のための費用負担の方策がここでは必要だということが勧告されております。この点については今後どのようにお考えになりますか。
#37
○政府委員(平林博君) 今、先生御指摘の点はごもっともだと考えております。無償資金協力で供与されました施設、機材が往々にして今御指摘のようだ状況になっていることは過去におきましてもありましたし、現在でも散見されることはそのとおりでございます。合意に基づきまして、被援助国が一たん完成された施設あるいは供与された機材を責任を持って維持管理するということになっておりますが、何分開発途上国のことでもありまして、財政事情の悪化等いろいろありまして、御指摘のようだ事態になることがあるわけでございます。
 当方といたしましては、そういう状況に対応するために機材供与のその後の使用状況について定期報告を受けるとともに、必要であればフォローアップ調査を行いましてスペアパーツ等の供与も行って、こういう事態のないように改善に努力しております。その他フォローアップということで必要な措置はとるように努力してはおりますが、今後ともいろんな調査、スペアパーツの供与、さらには専門家を改めて派遣するとかいろんな措置を講じまして、今指摘されたような問題が起こらないように最大限努力してまいりたいと、このように考えております。
#38
○清水澄子君 私は最初に大臣にどう受けとめておられるかと伺ったんですけれども、非常に抽象的なお答えだったと思っています。
 私は、今回のこのODAについての総務庁の行政監察の結果というのは、やはり日本のODAのあり方の欠点といいますか、あり方を問うものだと思っています。これは国民の税負担ですし、また国民の年金や郵便貯金を資源としている経済援助ですから、非常にこれは透明なものでなければならないと思いますし、そしてまたそれはむだのたい、やっぱり効果の上がるものでなければならないと思うわけです。ですから、ここに指摘された部分は全部今までいろんな議論がされてきたところなんですが、特に援助のやりっ放しというところですね、この点では日本の場合はこれは物しか援助の対象にならない、人とか人を養成するとかそういうところがなかなか援助になっていないわけですね。
 ですから、援助後も相手の国とか人々が自立していけるようたそういう管理運営ができるようなソフト面での援助というものを私は日本のODAの基本原則の中に新たに確立する必要があると思いますけれども、その点についてはどのようにお考えになりますか。
#39
○国務大臣(河野洋平君) 行政監察の結果については、我々は十分尊重したいと思います。
 ただ、私あえて申し上げますが、先ほども御答弁申し上げましたように、国際情勢の目まぐるしい変化というものがございます。とりわけ、幾つかの国・地域におきましては政治的な不安定、しかしそういうものも含めて我々が支援しなければならない国民生活というものがあるわけでございまして、したがって、私は先ほど申し上げましたように、NGOの意見も聞くけれども、それを含めてさまざまな見方、情報というものが必要だということを申し上げたわけでございます。その国が置かれている状況、それは政治状況もございましょうし経済状況もございましょうし、さまざまだ状況というものを十分やはり我々としては責任を持って、情報を収集して分析をしてそして援助を行うということでなければならないということをつくづく痛感しております。
 さらに、今、議員御指摘のように、物のやりっ放しというのは、我々そんなつもりは全くございませんけれども、物の支援というだけではなくて、まさに人づくりと申しますか、そういうものの重要性というものは我々も認識をいたしておりまして、非常に緊急の場合には物でとりあえずの手当てということがあるかと思いますが、中長期にわたって国づくりを応援していくときにはやはり人づくりを支援するということは極めて重要だということは我々も考えておりまして、これはODA大綱の中にも書いてございます。そうしたものを踏まえて支援は推進していくべきものだと、こういう認識を持っております。
#40
○清水澄子君 最後に、私は三月十七日の外務委員会でも質問しました。それは、円高による円借款の負担削減策について、このままでいいのだろうかということだったんですけれども、きょうまた重ねて質問をしたいと思います。
 最近、中国も円借款は最近の為替水準で計算すると契約時の一・九倍、約二倍に膨らんでいると試算しているわけです。だから、少なくともことしの供与分からはぜひ利率を引き下げてほしいというようなことも出ておりますし、それから対外貿易経済協力相はやはりそういうことを、ことしの供与分から利率を引き下げてほしいなんという要請が伝えられているわけです。同じようなことが五月四日に開かれたアジア開発銀行の年次総会でも、円高による負担増に対する不満の声が高まっておるわけです。
 前に私が質問しましたときの政府答弁では、それは一般会計からの歳出増につながるから認められないという非常にそっけない答弁であったわけですけれども、今日、一ドルが八十円を切る、そういう前後であるという円高の高進の中で、私はやっぱり円借款の負担増は無視できないものになってきていると思うわけです。ですから、相手を助けるためにやっている円借款が、これが逆に日本の方がもうかるような状況になったり相手が困るような状況になっているというこの問題、これはやはり日本の経済協力のあり方の根本にかかわってくるんじゃないかと思いますが、政府はこの問題で再考の余地はないのか、その点について改めて私はお伺いしたいと思います。これは最後ですから、大臣、ぜひ決意を述べてください。
#41
○国務大臣(河野洋平君) 最近の円高に伴いまして被援助国に非常に困難な事情が生じているということについては十分理解をいたしているところでございます。しかしながら、円借款の返済義務を軽減するということはそう簡単なことではございません。中国からも大変強い要請がございましたけれども、特定の被援助国一国の問題ではないわけでございまして、債務の返済を着実に行ってきている他の多くの被援助国の自助努力にもそれは悪影響を及ぼすということも懸念されるわけでございます。こうした点にも配慮が必要だろうと思うわけでございます。
 今、議員が御指摘になりましたように、我が国は自助努力による国づくりに対して支援を行うということが経済協力の基本方針でございます。このように被援助国の自助努力を損なうことが懸念される返済義務の軽減を行うということよりも、支援の継続によって経済社会インフラの整備を行うことの方が重要ではないかという見方もあると思います。一方、被援助国にとって円高によるメリットももちろん少なくはございません。これは一々申し上げるのもどうかと思いますけれども、そうした問題も当然あると思います。
 しかし、プラスマイナス両方をいろいろ考えまして、我が国としては、あくまで被援助国が健全な経済発展を実現できるよう適切な条件で借款供与を今後とも実施していくとともに、引き続き円借款が途上国に十分歓迎されるというか喜ばれるものでなければならないというふうに思っているわけでございます。
 もうこれは議員十分御承知のとおり、我が国の円借款が我が国にとってもうかるというようなことはあるはずはないのでございまして、三十年という長期間にわたって支援をするということにたっているわけで、この支援によって被援助国の相当た体力強化につながっているものと私は確信をその点はいたしております。
#42
○清水澄子君 終わります。
#43
○石井一二君 私がいただいた時間は十九分でございますが、この中で今議題となっております油に関する国際条約の件、それからもう一つ、関連事項といたしましてドミニカ共和国関連の質問をすることをお許しいただきたいと思います。
 まず最初にドミニカ関連でございますが、実は、去る四月二十九日午後十一時ごろであったと思いますが、NHKの夜の番組で「楽園の夢破れて・ドミニカ移民三十九年目の訴え」と題するドキュメンタリーが放送されたわけであります。大臣はお忙しいのでごらんになっておらないと思いますが、私も偶然チャンネルをひねったら出てきたということで、事前に知っておったわけじゃないわけであります。その内容を聞いておりまして非常に心を打たれるものがあったわけであります。と申しますのは、私が外務政務次官をやっておりましたころに大統領就任式に日本国特使としてドミニカにも行かせていただいて、現大統領の政策、お考え等についていろいろ感ずるところもあるわけです。
 この話は古い話で三十九年前の話ですが、簡単に申しますと、当時ドミニカヘ移民しないかという甘いお誘いがあって、特に非常に膨大な農地がもらえ、そして未来への展望が開けるということであったが、行ってみると、聞いておった面積の五分の一、しかも耕作権のみで所有権は五年たっても回ってこなかったし、それは岩山のような土地であったというような話たんです。
 それで、その間いろいろ経緯はあったようですが、まずこういった問題について現状認識としてどのような御認識を持っておられるか、大臣または関連の局長からでも結構でございますので、お聞きをいたしたいと思います。
#44
○政府委員(畠中篤君) ただいま御指摘のありましたドミニカに移住された方々の現状につきましては、私ども大使を通じまして逐次いろいろお話し合いをしておりまして、現在どういう状況にあるかということも、またどういう御要望があるかということも私ども承知しております。
 お話がありましたように、当初三十数年前に、昭和三十一年ごろですけれども、皆様が行かれましたときには、当時の状況といたしましてトルヒーヨ元帥という方が非常に日本の移民に対して理解のある態度を示していただきまして、そのときにいろいろこういうことで受け入れたいというお話がありました。私ども政府としてそのときにはできるだけの援助をするということで送り出しをしたわけでございますけれども、残念ながらトルヒーヨ元帥からお話を伺った内容が完全には満たされない状況が当時ございました。
 それにつきましては、尚時、我が方の公館を通じましてトルヒーヨ元帥の方にいろいろ御要望もして少しずつ改善の努力をしてまいりましたけれども、残念ながらその後トルヒーヨ元帥が暗殺されるというような状況になり、またそれに伴い経済状況、政治状況が大変混乱いたしまして、本来のようなことでこれ以上相手政府にいろいろお願いするということもなかなか難しい状況になりまして、昭和三十六年でございますけれども、現地に行かれました方々に、帰国されます方は国の援助で帰国していただくように、またほかの中南米地域に移住を希望される方についてもそれはお世話する、それから残られる方についてはもちろん残っていただいても結構なんですが、その後も移住者としての、いろんなところの地域に援助をしておりますけれども、その延長線で援助をしていくということでこれまで努力してまいりました。
 ただ、残念ながら現状と申しますのは、その後のドミニカの経済情勢その他がはかばかしくありませんので、必ずしもほかの移住地のように生活が向上している状況にはございません。そういうことで、私どもといたしましても現在どういう支援をすべきかというようなことで現地の移住者の方々といろいろお話をしておるところでございます。
#45
○石井一二君 あなたの御説明を聞いていますとなるほどと思うんですね。テレビによりますと文書番号二九一と二〇一二というのがあって、これによると、当時ドミニカの政府があの場所は耕作地には面したいよということを言ったにもかかわらず、それを承知で日本が移民を送ってきたという言及がNHKの番組であったわけです。それは間違っておるんだからNHKに行って怒っできますというのたら行って怒ってもらいたいんです。
 ただ、行かれた移民の方はそれを信じて行った、しかもそういうことを向こうの政府が言ってきているにもかかわらずそれを知らさずに送り出したところに問題があるし、今、何やかんややっていただくことは結構だけれども、この三十九年という過ぎ去った歳月は返らないわけですね。貴重な人生というものがそこに埋没しかからんとしておる。こういう中で、私は早急にもし何かしてあげられることがあればしてあげていただきたい。これは政府の責任である。当時の外務大臣がどうだとか、当時の政権がどうだったという問題ではない、そのように思うんです。局長じゃなしに大臣、ちょっと御所見をお聞かせいただくわけにいきませんか。
#46
○国務大臣(河野洋平君) ドミニカに限らず世界の各地に出ていっておられる移住者の方々は、それなりに全く未知の分野に出られるわけですから不安もあり、それからまた一方、希望も持って出られたと思います。さらにまた、そうした未知の世界に飛び出すためにはそれなりに十分な情報も得、準備もして出ていかれたに違いないと思うんですが、しかしそれでもなおかつ、現在でも移住者の方々にお目にかかると自分の想像していたのとは少し違ったとおっしゃる方も、よくそういうお話をいい話であれ悪い話であれ伺うわけで、なかなかこれは難しい問題だろうと思います。
 今、政府委員が答弁申し上げましたように、政府としても状況の非常な困難さというものを認識して、昭和三十六年といいますから移住者の方々が移住されてから五年後にもう一度それぞれの方々に御判断を伺って、日本へ帰られるなら帰られる、あるいはまたほかの国へ移られるなら彩られるという御希望を伺ったようでございますが、しかし一度行かれた方の中にはやはりここでどうしても頑張ろうと、こう思われた方がおられたのだろうと思います。
 残念ながら、非常にその後も困難な状況の中で努力をしておられる苦難の状況というものを私は拝見をしませんでしたが、テレビ等で報道されたということでございまして、まことにそういう意味では大変な状況の中で御努力をしておられることについていろいろな気持ちを持っておりますが、現状では我々がなすべきことは、移住者に対して支援をするというシステムがございますから、移住者に対する支援を行う。それから水不足に対する対応、かんがい計画の実施についてどういう状況になっているかということもよく調査をしたいというふうに考えているわけでございます。
 この畑地かんがい計画というものが実施されれば状況は少し改善をされるのではないかというふうにも聞いておりまして、ぜひひとつ環境が改善されて、今となれば現地で頑張って努力をしていっていただくということが一番望ましい方法ではないかというふうに思っているわけでございます。現地の苦難の状況というものを我々も十分伺って、我々ができる範囲は何かということもまた考えたいと思います。
#47
○石井一二君 時間の関係もありますのでこの問題はこれ以上触れずに、善処方また御努力方を要望しておきたいと思います。
 ちなみに、私は早速現地の大使に手紙を書きまして質問を何ぼかいたしましたが、連休の前に出しておって連休があけてみたらぱっと返事が来ておりまして、日本の外務省も捨てたものじゃないなと今さら感じたわけでございます。また、御本人にも激励の手紙を出してひとつ頑張ってほしいということでやっておりますので、力を合わせて今後この問題の成り行きを見つめていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次に、油関係の国際条約でございますが、既にさきの質問者がお伺いになったとは思いますが、現在の締結の国数とか発効の予定とか、その辺の現状について簡略に御説明を願いたい。
#48
○政府委員(高野幸二郎君) 現在の締約国は二十一カ国でございます。発効予定日は本年五月十三日ということになっております。
#49
○石井一二君 これは、ただ単に締約しただけじゃなしに批准とかいうものが後へ続くのじゃないかと思うんですが、その辺の見込みについては、日本についてのみならず世界的レベルでどのような分析になっておられますか。
#50
○政府委員(谷内正太郎君) 本条約の締約国のうち、署名の後、批准により締結した国は十二カ国でございます。それから署名の後、承認という形で締結した国は二カ国。それから署名の後、加入により締結した国は六カ国でございます。それから、単に署名だけによりまして締結した国は一カ国。以上の構成になっております。
 我が国につきましては、加入という形をとることを考えております。
#51
○石井一二君 この締結後の処理として、加入と承認と受諾と批准に分かれるのじゃないかと思うんですが、その違いを御説明いただきたいんです。
 また、我が国が加入に踏み切るとすれば、他の三つをとらずにこの方法をとらんとしている理由を簡略に御説明いただければありがたいと思います。
#52
○政府委員(谷内正太郎君) 条約そのものは先生御承知のように条約そのものとして発効いたしまして、それぞれの国がその条約に何らかの形で加入する、メンバーになる、こういうことでございます。
 日本につきましてはまだ署名しておりませんで、署名という手続もとらずに加入書を事務局に寄託いたしまして、そういう形で加入するわけでございます。
#53
○石井一二君 いや、質問に答えていませんよ。批准、受諾、承認という、こういう定義についてわかりやすく説明してほしいというのが私の質問です。これは通告もしてあります。
#54
○政府委員(谷内正太郎君) 失礼いたしました。
 それでは、御説明させていただきます。
 この条約の十五条では、先生が御指摘のように締結手続といたしまして批准、受諾、承認、加入等を規定しておるわけですけれども、これらはいずれも条約に拘束されることについての同意を表明するために認められている方法でございます。一般には批准が最も伝統的で、かつ重い手続でございまして、よく批准条約と言われるようなものでございます。それから、それ以外に受諾あるいは承認という手続がございまして、これは新しくより簡略された手続でございます。それから加入につきましては、条約交渉に参加しなかった国あるいは条約に署名しなかった国がとる手続でございます。
 いずれにしましても、こういう手続によって締結行為が行われるわけですけれども、法的な効果という点では全く同じでございます。
#55
○石井一二君 法的効果は同じで四つもチョイスがあればややこしくてしょうがないと思うんですね。それと、拘束されることについての同意という方向づけが一つであれば何らかの格好で集約されるべきだと思うんですが、国際社会におけるオピニオンリーダーたる努力をする過程として、そういったことを提唱される意義があるのかたいのか、また御意向があるのかないのか、その辺、どのようにお考えですか。
#56
○政府委員(谷内正太郎君) 御承知のように、こういう国際条約というのは近代国際社会ができて以来、非常に手続的なものが積み重なってきておるわけでございまして、条約法条約でもそういう考え方が国際的に通用することはあるわけでございます。そしてまた、条約に入ることにつきましては、それぞれたるべく重いものにしよう、あるいは各国の意思をさらにそこで確認的にも強いものにしようとか、いろんな配慮がございまして、そういうバリエーションが認められているということでございます。
 他方、ややこしいではないかという点も確かにございますので、そういう点は私どもとしてもこれから今後の条約締結手続というのはいかにあるべきかということは国際的な議論の中に加わっていきたいというふうに考えております。
#57
○石井一二君 これは今のところ大体二十一カ国が云々ということを言われていますが、世界にある国々の数が約百八十何カ国ということになりますと、その中のたった二十一カ国で全体的な効果がどの程度のものであろうかと思うわけです。私もちょっと知識が足りないんですが、海に面している国というのが百八十六カ国のうち何カ国ぐらいあって、この二十一カ国での全体的な効果ということについてどの程度の期待をされておるんですか。
#58
○政府委員(高野幸二郎君) 国連加盟国はたしか百八十六になっていたと思います、それ以外にもあるわけですが。そのうち海に面している国が何カ国あるのか。ちなみにIMOの加盟国、これが百五十あるということでございますので、百八十から九十のうち百五十ぐらいが海に面しているということが言えるようでございます。
 そこで、そのうち二十一カ国程度でどの程度この条約の実効性があるのかというお尋ねでございますが、そもそもこの発効要件は十五カ国でございまして、二十一よりもっと少ないわけでございますが、なるべく早くこの条約に基づく体制を条約上の措置として立ち上がらせたいというふうなこともあって、まず批准発効要件としての数が十五ということで確かに低い数字で抑えております。それを上回る二十一カ国が加入、批准等をしたということで条約は発効するわけでございますが、確かにこれで足りるといいますか条約が実効的なものになるというふうには我々は考えておりません。
 したがいまして、今後ともIMO等の場を通じまして、今後、より多くの国がこの条約に入ってくるように日本としても努力いたしたいというふうに考えているところでございます。
#59
○石井一二君 非常に初歩的なことを聞いて恐縮ですが、IMOの略を教えておいていただきたいんですが。
#60
○政府委員(高野幸二郎君) インターナショナル・マリタイム・オーガナイゼーションです。
#61
○石井一二君 平成五年には二百三十四件のいわゆる汚染関係防除措置をとられたケースがあったと思うんですが、最近、そういうことが起きると金銭的損害というのは一件当たりどの程度のものなんですか。
#62
○説明員(柚木浩一君) 損害額というのは、事故の規模、態様、さまざまだ要件がございまして一様には申し上げられないのでございますが、たまたま最近の事例で一例挙げさせていただきますと、一昨年の五月に福島県の沖合で五百キロリットル余りの油を流した事件がございます。このときには防除措置にかかった費用自体でまず九億円ぐらい、それから漁業損害で約十億円と、二十億円近い規模の損害が生じているという事例がございます。
#63
○石井一二君 イラクの例の湾岸戦争のとき、世界的なスケールで油の汚染がありました。あれは地球規模で言うとどれぐらいの損害にたっておるか、もし数字があれば御提示を願いたい。
#64
○政府委員(法眼健作君) お尋ねの額を算出することは極めて困難だと思うのでございますけれども、一つの事実関係といたしましては、あのときにペルシャ湾に流れ出ました原油の量は約三百万から四百万バレルと言われておりまして、これによって生じました被害は、沿岸国の漁獲量の減少だとか、サンゴ礁に及ぼす影響、ウミガメ、ジュゴンなどの野生生物に及ぼす影響、それから原油から発生する毒性、それが海洋生態系構成生物、プランクトンとかいろいろあるわけでございますけれども、そういうものへの影響とか、それから海洋生態系の酸素収支、それの状態に及ぼす影響とか、いろんな複雑な大きな影響がございます。
 先ほどの日本近海の例で二十億円というのが出ておりますけれども、これはそれのもう何倍とも何十倍ともというふうに思われますが、損害額が多岐た面にわたるものでございますから、私ども調べたのでございますけれども、これという決め手になるような損害額は算出されていたいようでございました。
#65
○石井一二君 その最後のことだけ答えていただければよかったんですが、時間がなくなってしまいました。
 結論として、二十一カ国プラスアルファが一刻も早く出るように国際社会で積極的な発言と御努力をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
#66
○猪木寛至君 先日、四月二十六日、この委員会を欠席させてもらって朝鮮民主主義人民共和国に行ってまいりましたが、その前にきょうは油の汚染に係る国際条約に対する質問をさせてもらいます。
 これについては私は賛成なんです。今、石井先生からもありましたが、湾岸戦争の折にやはりイラクが重油を流したということから、私も四回イラクにも訪問しておりまして、二回目ですか、油が流されたのは。そのときにちょうど私どものグループがいろいろ研究していることがあって、先ほど御説明がありましたけれども、油の処理というか除去という問題について、くみ取ったり、いろいろ、ただそれだけでは不十分です。やっぱり大変な当時としてはショックだったわけです。
 その中で最近、東江という人が書いた本たんですが、その人の名前をとった菌だと思うんですが、油を食べる菌、これは自然の中にいると思うんですが、その菌とは違う好気性の菌という、やはり油を食べる菌を私どもは研究しておりまして、私の部屋の方にも水槽を入れまして、実際どのくらいのスピードで油が食べられるかというので実験しまして、重油を持ってきてやりましたけれども、一週間ぐらいで大体されいになったんです。今後、当然起きないための予防をしないといけない、それが一番大事だろうと思うんです。
 それからもう一つは、今いろんな途上国の港を飛行機から見たりあるいは船の上から見たりすると、油があっちこっちに浮いているんですね。かつて日本の東京湾もあるいは横浜もそうだったように、ちょうど日本の今から何十年前が途上国で今行われている。
 ですから、こういう新しい技術というものをもっともっと知らしめるというか、これは大変お金のかからないというか、菌をうまくまき散らして、そして好気性というのは空気を送ってやらないと酸素不足で繁殖していかない。そういうことで、当時、自民党の関係の方とも随分お話しして、そういう協力をぜひ私自身やりたいということでサウジアラビアの関係者とも話したんです、私の方はそのままになってしまったんですが。最近、東江菌が湾岸戦争のときに大変活躍したという記事が出ていたので、実際そんなことがあったかなと。もし、その情報がありましたら聞かせていただきたいと思います。
#67
○政府委員(高野幸二郎君) 大変残念でございますが、必ずしも私どもその点、実態を承知しておりません。ただ、お話の中にございました、特に開発途上国におきまして工業用の油の垂れ流しということがかなり国際的にも問題になっているということは言えるかと思います。
 ちなみにUNEP、国連環境計画という環境関係の国連の機関がございますが、ナイロビに本部がございます。そのUNEPの主催で、陸上の活動に起因する海洋環境の保全に関する政府間会合というのがことしの秋に開かれることになっておりまして、我々といたしましてもそういう場を通じてこの種の問題に取り組んでいきたいというふうに考えております。
#68
○猪木寛至君 余り時間がたいものですから、きょうはとりあえず二十六日から行ってまいりました報告をちょっとさせていただきたいと思います。
 出発に当たってアメリカ政府も大分気を使ったようで、モハメッド・アリ氏を同行させたんですが、出発前まで許可がおりなくて、彼は恩義を感じてというか、日本へお断りの記者会見ということで来たんですが、出発前にいろんな議員さんが動いてくれて許町がおりたということで一緒に行くことができたんです。アリという人の存在というのは我々が考えている以上に大きいというか、そういうことで北朝鮮としても大変歓迎をしてくれたわけたんです。
 イベント自体は、大変な盛り上がりというか、あちらの政府の方の肝の入れようというのは大変だったんですが、とにかくイベントが終わるまではいろんな話が一切できないという状況でした。そして二十八日にイベントが行われたんですが、これは初めてプロレスを見せるということであちらの方にとっては戸惑いがありまして、なかなか日本のような反応が返ってこたいということで、関係者が私のところに来てこれで大丈夫ですかというので、翌日の二十九日は私がメーンイベントをとるということで、任せてくださいと、私も三十五年のキャリアがありますから。そんなことから十五万人という発表になっていますが、実際は十八万人から十九万人、立ち見が入っだということです。私も初めての経験なんですが、とにかく会場がずらっと。
 そして、本当の、ある意味ではマスゲームとか人文字とかいうのは何か全体の北朝鮮の顔みたいな感じで出ているわけですが、今回は全く反社会主義的なもの、要するに個人のスポーツという部分で、これがいろんな外人の記者からも質問があったんですが、それをドッキングさせたということで非常におもしろかったと思うんです。最後には、とにかくその十五万人あるいは十九万という人たちが一体になりまして、猪木コールがかかったということで大変私自身も先栄だったんです。
 例えば私のテーマミュージックというのがありますけれども、非常に音楽の規制もあったり、例えばリングヘ登場するときに「アリラン」という音楽がかかってもちょっと気合いが入らない。そういう意味ではアメリカのロック的な音楽が初めて流れた。テレビが全部これを放送していたんですが、そういうことで今回のイベント自体は大変成功だったろうと思うんです。
 その中で北朝鮮の人たちが何をそのイベントを通じて訴えたいのかということは、言葉にはなってないんですが、一つはやはり平和ということを願っているんだろうし、大変緊張が高まる中でそういう一つのきっかけが欲しかったんではないか。
 それからもう一つは、金正日書記が出てくるという話があったものですから我々もそれを期待していたんですが、当日姿を見せることはなかったんです。でも、多分来週あたりどこかの週刊誌がすっぱ抜くかもしれませんが、当日会場に来られていたようですね。それは、ちょうど試合の始まる前に車を置くところが大変されいに整理されて、前日はずっと車が並んでいたんですが、貴賓室があって、入ったところから大変警戒が厳しくて、ある一時期全く我々もそこに入れたい状況ができて、そのときにもしかしたら来られたという気がするんです。本当はここで出てこられたら一番「平和」というテーマでよかったのじゃたかったかなという気がするんです。
 そういう中で、我々も大変な歓迎を受けてレセプションをやっていただきまして、答礼のレセプションをやったときに金容淳さんがつきっきりでずっと我々に応対してくれました。最後に、三十日に夜会という形で金日成広場でダンスがあったんですが、我々の一行もその中に加わって踊りました。そのときに我々は貴賓室の中でいろいろ閣僚の方ともあいさつをさせてもらって、特に李鐘玉さんという副主席、それからもう一人、朴成哲さんという二人の副主席ともごあいさつさせてもらって、そのときに金容淳さんとも約三十分ぐらい、大成功で終わりましたねということで話をしたんです。南北問題とか、それから全く私は個人的な立場ということでいろいろ質問をさせてもらいました。
 一つは、やはり大変厳しいなというのは、韓国における国家保安法というのがあります。この保安法の内容を私は詳しくはよくわからないんですが、北朝鮮と接した人間は罰せられるという法律なわけです。そうすると、対話を求めても、要するにだれかがそれをやったらそれは処罰の対象になるということ、これを何とか撤廃したい限り我々は交渉に応じられないという話がありまして、私ももうちょっと勉強したいと思うんです。もう一つは、去年の主席の逝去のときに哀悼の意を表さなかったということが大変民族的な意識というか、これは我々が想像する以上に、もっとあれすれば歴史的なものというのか、そういうものも考えていかないとなかなか理解しにくい。
 そういうようなことで、今回の目的はイベントを成功させるということで、お互いがそれなりの目的を達成したなという満足感を得て帰ってまいりました。
 次の段階として、日朝の交渉も進んでもらいたいし、それから南北問題も進んでもらいたいしということです。ところが、きのうあたりの新聞を見ますと、金泳三大統領の発言なんかに北朝鮮の内部混迷軍事態勢に万全をしとか、記事が出ております。
 それからもう一つ、金正日は父なる領袖と。私も行っている間に何回かお礼の手紙を書きまして、そのときにやはり敬称、偉大なるあるいは親愛なる金正日閣下、あるいは敬愛なる、偉大なる指導者金正日閣下。きょうの新聞には、今度は父なるというのが出てくるわけなんです。私もちょっと理解しにくい部分たんですが、開会式のあいさつのときにそういう言葉が何カ所か入っておりますと会場の皆さんがうわっと一気に沸き立つわけなんです。ここでその体制がどう変わっていくかということ。恐らく逝去一周忌を迎えたときには出てこられるんだろうと私なりに思うんです。
 最後に、時間が来ましたので、要するに今後の北朝鮮の私なりに見た部分と、それからまた政府が今とらえている北朝鮮というものを聞かせていただきたいと思います。
#69
○国務大臣(河野洋平君) 現在、米朝会談が非常に重要な場面にたっているように思います。日朝関係につきましても、私どもとして与党三党がつけてくれた道筋というものを大事にして日朝会談の開会の道筋を今探っているところでございます。
 まだ具体的な場所、日取りまで至りませんが、そうした接触は行いつつございます。全体的な動き、流れというものを十分注意深く見たがら判断をしたいというふうに思っているところでございます。
#70
○猪木寛至君 終わります。
#71
○立木洋君 条約に関連して、時間が短いものですから二、三お尋ねさせていただきたいと思います。
 これは海上保安庁の方にお尋ねすることになるかと思いますけれども、最近数年間、世界的に見て船舶だとか油の関連施設からの油の流出の事故、それが大体どういうふうな数になっているんでしょうか。
#72
○説明員(柚木浩一君) お答えいたします。
 世界的た動向でございますけれども、たまたまこれは手持ちの資料の単位が一万ガロン以上という、ドラム缶で言いますと大体百九十本ぐらい、これ以上の規模についての統計というものがございます。それで見ますと、最近五年間ぐらいを見ますと大体二百件前後で推移しております。一番新しい数字で申しますと、平成五年、一九九三年、一昨年ですが、二百二十一件という数字になっております。
#73
○立木洋君 日本での何かそういう統計をとられた数値はあるでしょうか。
#74
○説明員(柚木浩一君) 今の数字の中には我が国の数字も含まれているわけでございますが、同じレベルで申し上げますと大体各年五件前後。ちなみに昨年、平成六年ですが、一万ガロン以上の汚染事故というのは二件となっております。
#75
○立木洋君 これは例えば十年前、二十年前と比較すると数はふえているんでしょうか、あるいは少なくたっているんでしょうか。
#76
○説明員(柚木浩一君) 世界的な動向につきましては、極めてこれは大ざっばになりますが、一時期減っておったんですけれども、アバウトに申し上げれば最近また少しふえぎみかなという感じがいたします。
 ただ、我が国につきましては、まずこういう大きな規模の事故というのは非常に少のうございますけれども、それに至らない小さな事故のレベルで見ますと、ここ五年間でも二百件ぐらい、五百何十件という数字が三百件台に減るという形でかなり改善が見られております。
#77
○立木洋君 世界的に見てこういう油の流出の事故が起こるという原因、例えば最も多い原因はどういう原因なのか。その原因について二、三、理由があれば。
#78
○説明員(柚木浩一君) 世界的な原因がきっちり分析されていたいので極めて概略になりますけれども、一般的に大きな事故を引き起こす原因としてはやはり船舶の海難によるものが圧倒的に多うございます。
 海難といいますのは、船舶が船舶同士あるいは陸上にぶつかる、それから暗礁に乗り上げる。今回の条約の契機となりましたエクソン・バルディーズ号事件、これもアラスカ湾で暗礁に乗り上げて船がタンクを壊したということにたっております。これは日本でも同様でございまして、大きな事故は大体船舶の海難が原因になっております。
#79
○立木洋君 千九百七十三年の船舶による汚染の防止のための国際条約とそれに関する議定書というのが審議された経過があるんですけれども、議定書の中では、船舶の構造及び設備の要件等を定めるとして、船底を二重にするだとかいろいろな改造の方法をとられるということになったんです。
 そういうものがやられても、今のお話を聞きますと、そういう油の流出事故というのは一万ガロンの件数で見れば若干ふえぎみだという、そういう議定書の世界的な執行状況といいますか、事実上船が改造されているようだ状況というのは進んでいるんでしょうか。どんなふうにたっているんでしょうか。条約を批准してしまうとそれで終わりではなくて、その後、実際にそういうものが確実に守られているのかどうかというような点については、外務省がどこか十分につかんでおいでになるんでしょうか。
#80
○政府委員(高野幸二郎君) 御質問に直にお答えすることになるかどうかわかりませんが、私ども承知しておりますことは、タンカーによる海洋汚染事故対策ということでIMOにおいて今御指摘のダブルハルを義務づけるというMARPOL条約の改正案が既に採択されております。これは九三年の七月六日に効力が生じた、こういうことでございます。これは御承知のエクソン・バルディーズ号事件の関連で起きたことでございます。
 その結果、新造タンカーというのは九三年七月六日以降に建造契約が結ばれるものからダブルハル化する、あるいはこれと同等の構造が義務づけられているということになっております。また、現存のタンカーについては一九九五年の七月六日以降、船齢二十五年になるとダブルハル化等の措置が義務づけられる、そういう措置が最近講じられているということは承知しておりますが、そういうことで状況を今しばらく見るということでございます。
#81
○立木洋君 この間見た数値では、タンカーが世界的に大体六万八千隻ぐらいあるというような数字をちょっと見たんですけれども、九二年の数値だったかた。
 今、依然として古い外国船が問題になっているというような話を聞くんですけれども、実際に改造されていく進行ぐあいなんというようなことはどういう見通しになるんでしょうか、今のお話と関連して。
#82
○政府委員(高野幸二郎君) 確かに今おっしゃったとおり、かつまた私が先ほど申し上げましたとおり、ダブルハル化の義務づけというのは船齢二十五年以上のものに限られているものでございますから、今あるタンカーが直ちにダブルハルタンカーとして代替建造されるということにはなっておりません。
 将来的には比較的大型のタンカーはすべてダブルハルタンカーということになっていくのだと思いますけれども、それまでの間におきましてはMARPOL条約等の規定を厳格に適用していく、かつまたその規定に基づきまして寄港国による監督の実施というふうなことを通じて事故の防止に努めていくということになるかと存じます。
#83
○立木洋君 前回のときも議論された中の一つに、便宜置籍船の事故というのが比較的多いという状態なんですが、最近の状況はどうなんでしょうか。便宜置籍船の事故の比率というのは少なくなっているのか、そういう対策が講じられて進んだのかどうか。
#84
○政府委員(高野幸二郎君) 確かに御承知のとおり、便宜置籍船の場合、特に船員の質の問題がございまして、いろいろ問題があるということはそのとおりでございます。
 そういうこともありまして、MARPOL条約の改正等を行いまして寄港国による監督の強化というようなことをやっているわけですが、その辺の結果を数量的に私どもまだ把握しておりませんので、恐縮でございますが申し上げられる状況にございません。
#85
○立木洋君 もう時間がないので最後になるかと思いますけれども、前回やった国際基金条約、これは一万ガロン以上が世界的に見れば年に大体二百件ぐらいの数値で動いているというんですが、この国際基金が関与している件数というのはどのぐらいの比率にたるでしょうか。
#86
○政府委員(高野幸二郎君) 九三年のIMOのアニュアルレポートが手元にございますが、それによりますと六件ございます。
#87
○立木洋君 これまでも油の流出の問題についての対策というのは、先ほど申し上げた千九百七十三年の船舶による汚染の防止のための国際条約や議定書、さらに責任条約だとかあるいは基金条約だとか、それの議定書等も審議してきたわけですが、そのたびごとにいろいろ議論されて、できるだけこういうものを防いでいくということが強調されてきたわけですが、今回の場合もこれを日本国として受諾するにおいてはきちっとやっぱり十分な責任がとれるような体制を強化していただきたいということを最後に申し上げて、質問を終わります。
#88
○椎名素夫君 油の条約についてはいろいろ同僚議員から御質問があって、特につけ加えることはありません。
 ただ、世界じゅうの海の話ですから、先ほどからもお話があるように、なるべく締約国をふやして世界的な規模でこういうことが行われるように、我が国としても加入したらそれなりのきちっとした努力をするように政府も努力していただきたいと思います。
 ちょっと関連するようなしないような話ですが、海のことで、油の汚染ということに限っても今一番多いのは海難だとおっしゃったけれども、戦争をやって、海上戦闘かたんかやって海に沈めたりすると相当なことになりますね。そういう意味で、世界じゅうそうですけれども、特に日本が通る道というのは常に安全に保たれていなければいけない。その見地からいって、南シナ海の南沙諸島でいざこざみたいなことが最近起こっておって、これが一体どうなるのかよくわかりませんけれども、この件について政府はどういうふうな認識を持っていらっしゃるのか。また、それに対して日本政府として何かできることがあり、またおやりになるつもりがあるのか、この一点だけ私は伺いたいと思います。
#89
○国務大臣(河野洋平君) まず、前段の議員の御認識は私も同感でございます。つまり、これだけ地球環境問題というのをかまびすしく議論している中で、戦争というものが引き起こす公害というものは一番大きい。まさに武力戦争というものは公害の最大のもとだと言って差し支えないと私も思います。つまり、これはまさに人間が意図的に引き起こす公害であって、こうしたことをなくすということが何より重要だということは私も全く同感であることを申し上げたいと思います。
 それから、いわゆるミスチーフ礁における問題でございますが、二つ申し上げることがございます。
 一つは、やはり我が国としてはこの地域に過去のさまざまないきさつがあって、これについて我が国が突出して何かを言ったりやったりすることが果たして適当かどうかということについて若干のちゅうちょが正直あるということでございます。我が国には全く、過去の問題は過去の問題として、今これらの地域に地域的な野心を持っているとか、何か別の意図を持っているということはないわけですから、それならそういうものがないなら整々とさばさばと正論を吐いたらどうかということもあるいはあるかと思いますが、我々としてはやはりこの地域に対する物言いについてはできるだけ慎重に注意深くやらなければならないという基本的な姿勢があるということをまず申し上げたいと思います。
 その上で、この地域の持つ、北東アジアとインド洋を結ぶ海上交通で最も重要な場所であって、この地域にもめごとがあるということでは我が国としては非常に問題なわけでございまして、この地域の問題については十分注目をしなければならないと思います。
 今申し上げましたように、南沙群島を含む南シナ海諸群島の領有権問題について、関係当事者が自制しつつ、話し合いによって平和的に解決していくことを強く希望しているところでございます。このことは先般の日中首脳会談で李鵬総理に対しまして、村山総理からこうした我が国の立場は既に説明をしているところでございます。現在、中国、フィリピンの間でやりとりがあるわけでございますが、平和的な、冷静な話し合いによってぜひともこの問題が解決されることを望んでおります。
#90
○椎名素夫君 終わります。
#91
○委員長(田村秀昭君) 他に御発言もたければ、本件の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 千九百九十年の油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約の締結について承認を求めるの件に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#92
○委員長(田村秀昭君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、本件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#93
○委員長(田村秀昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#94
○委員長(田村秀昭君) 次に、国際連合要員及び関連要員の安全に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題とし、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#95
○石井一二君 まず、この条約の意義についてどのようなことをお考えになっておるのか、簡略に御説明を願いたいと思います。
#96
○国務大臣(河野洋平君) この条約は、御案内のとおり、国際連合の平和維持活動などに従事する要員に対する殺人、誘拐などを犯罪として定めて、その犯人の処罰、当該犯罪についての裁判権の設定などについて規定をするものでございまして、これらの要員の安全の確保に関する初めての国際約束としての大きな意義があるというふうに考えております。
 また、この条約は、国際社会が国際連合の平和維持活動などの活動の重要性及びこれに従事する要員の安全に引き続き強い関心を持っていること、及びこれらの活動の効果的な実施のために今後とも協力を行っていく決意を有していることを示すものとして重要な意義があると思います。
#97
○石井一二君 私が承知しておりますところでは、この条約は批准国が二十二カ国に達してから三十日後に発効するというように理解しているんですが、その理解が正しいかどうかということが第一点と、これまで、十六カ国ぐらいが署名したのではないかと思いますが、批准国が何カ国ぐらいになっておるか、お聞かせを願いたいと思います。
#98
○政府委員(柳井俊二君) この条約の発効規定につきましては、ただいま先生の御指摘にたったとおりでございます。
 現在の批准国はデンマーク一カ国でございます。署名を済ませた国といたしましては、二十六カ国ございます。
#99
○石井一二君 私の質問に十二分に答えていないと思うんですが、再答弁願います。
 もう一回言いましょうか、質問を。
#100
○政府委員(柳井俊二君) よろしくお願いします。
#101
○石井一二君 二十二カ国が批准してから三十日後に発効するというように理解しているが、これが正しいかどうかということをお聞きしたんです。
#102
○政府委員(柳井俊二君) この発効規定につきましては、二十七条の第一項でございますが、「二十二の批准書、受諾書、承認書又は加入書が国際連合事務総長に寄託された後三十日で効力を生ずる。」ということでございますので、先生の御理解のとおりでございます。
#103
○石井一二君 失礼ですが、私の質問を注意深く聞いていただきたいということを御要望させていただいてよろしいでしょうか。
#104
○政府委員(柳井俊二君) 質問を取り違えたといたしましたら大変失礼申し上げました。
#105
○石井一二君 取り違えじゃなしに聞いていたいのであります。
 そこでお聞きいたしますが、今あなたはデンマークが批准したとおっしゃっていますが、多分そうなんでしょう、局長がおっしゃいますから。僕はこれは締約国じゃないかと思うんですが、例えば四月十六日の読売新聞には批准した国はまだないとなっていたんですが、デンマークはその後に批准したんですか。そこのところを確認しておきたいと思います。
#106
○政府委員(柳井俊二君) 私どもが承知しておりますところでは、四月の十一日に批准書を寄託した由でございます。
#107
○石井一二君 というと、読売新聞の記事は間違っておるということをあなたはおっしゃるわけですか。
#108
○政府委員(柳井俊二君) 私は今、読売新聞の記事を持っておりませんが、私どもが承知しているところでは、四月の十一日に寄託したというふうに聞いております。
#109
○石井一二君 後日、私はこの事実関係を確認しておきたいと思います。
 次にお伺いいたしますが、こういった条約は実際PKOを出す国に対する一つの義務を課するものであろうと思うんです。そういたしますと、現在までの条約国の分析をした場合に、先進国と途上国、特にPKOの現場というのは途上国の場合が多いんですが、その色分けが大体どうなっておるか、事実関係について御説明をいただきたいと思います。
#110
○政府委員(柳井俊二君) これまでの署各国といたしましては、二十六カ国ございますが、多くは先進国でございます。
 全部申し上げましょうか。
#111
○石井一二君 いや結構です。
#112
○政府委員(柳井俊二君) 多くは先進国ということでございます。
#113
○石井一二君 といたしますと、現場は開発途上国が多いというように私申しましたが、肝心の開発途上国でこれに批准をして参加してこられる国をつくらなければ絵にかいたもちのごとく効果が薄いのではないかという心配をするんですが、その辺はどのような御見解をお持ちでしょうか。
#114
○政府委員(柳井俊二君) その点は御指摘のとおりでございまして、この条約の実効性を十分確保するためにはPKO等の受け入れ国どたり得る国々がこの条約を締結することが重要であると思います。
 したがいまして、我が国が国会の御承認をいただきました上でこの条約を締結した暁には、他の諸国とも協力しつつ、できるだけ広い範囲の国々がこの条約を締結するように働きかけていきたいというふうに考えております。
#115
○石井一二君 外務大臣、局長は開発途上国でできるだけ多くの国々がこの条約に参加するように働きかけたいということを申しておりますが、同じようなお考えでしょうか。だとすれば、具体的にどのようなアクションをおとりになる御予定でしょうか。
#116
○国務大臣(河野洋平君) 働きかけるためには、まず何よりも我が国がこの問題について国会の御承認を得るということが必要かと思いますが、そうしたことを前提として、二国間での話し合いその他の機会を使って慫慂したいというふうに思います。
#117
○石井一二君 この条約に関するアメリカ合衆国の態度についてもしわかっておれば、これは通告していませんので、わかっておらなきゃ結構です。ちょっと私、今、関心を持ちましたので、もしわかっておればお教えいただきたいと思います。
#118
○政府委員(柳井俊二君) アメリカ合衆国につきましてもこの条約に賛成でございまして、できるだけ早く国内手続を進めて締約国になりたいという意向のようでございます。
#119
○石井一二君 この内容を見ておりますと「関連要員」という言葉が出てくるんですね、「国際連合要員及び関連要員」。「関連要員」というのは具体的にどういう人々を指すのか、わかればお教えいただきたいと思います。
#120
○政府委員(柳井俊二君) この条約で「関連要員」と言っておりますものは、三つのもののいずれかに該当する者でございます。そういう者で、「国際連合活動の任務の遂行を支援する活動を行うものをいう。」というふうに第一条の(b)項で規定されております。
 まず第一に、「国際連合の権限のある機関の同意を得て、政府又は政府間機関によって配属された者」がございます。具体的には例えば、UNHCRのルワンダ難民救援活動を支援するためにザイールに派遣されました自衛隊員がこれに該当すると思います。
 それから第二のカテゴリーといたしまして、「国際連合事務総長、専門機関又は国際原子力機関によって任用された者」がございます。例えば、PKO活動を支援するために現地で医療活動を行う世界保健機関、WHOの職員等がございます。
 それから第三といたしまして、「国際連合事務総長、専門機関又は国際原子力機関との合意に基づいて、人道的な目的を有する非政府機関によって配置された者」がございます。例えば、UNHCRのルワンダ難民救援活動を支援するために医療活動を行っております国境なき医師団、そのようなものがございます。
#121
○石井一二君 今お伺いした「関連要員」以外に、人道的な国際救援活動に協力する業務に従事する者という表現も出てくるんですが、これはNGOを指すんですか、御説明をいただきたいと思います。
#122
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘の規定は一条の(b)の(B)というところであろうと思いますが、これは国際連合事務総長、専門機関またはIAEAとの合意に基づきまして人道的な目的を有する非政府機関によって配置された者ということでございますので、いわゆるNGOに該当すると思います。
#123
○石井一二君 我が国は、かつてこのPKOに関して苦い二人の犠牲者を出したと私は記憶しております。一人は高田警視であり、一人はボランティアの中田さんであったと思います。このお二方は、それぞれ今あなたの申されたカテゴリーとすればどこに入りますか。
#124
○政府委員(柳井俊二君) カンボジアで亡くなられました高田警視と中田さん、中田さんはUNVという形で行っておられましたけれども、このお二方につきましては、「関連要員」というよりは「国際連合要員」の方に入ると思います。
 お、一方の場合は、いずれもUNTACの要員といたしましてこのPKOの要員そのものでございましたので、この条文に則して申し上げれば、第一条の(a)の(@)というところに該当すると思います。
#125
○石井一二君 当時この条約が既に発効されておれば、この二人の犠牲者に対する対応も、それぞれの国において違った格好、具体的にはカンボジアにおいてということになったわけですが、この条約に遡及効果を持たすというようなことが可能なのか不可能なのか、およそ考えもつかないことなのか、御所見を承りたいと思います。
#126
○政府委員(柳井俊二君) この条約は遡及効果を持たないわけでございますが、一般論といたしまして、このような刑罰を含む条約あるいは法律につきましては遡及効果を持たせるということは非常に困難であろうというふうに思われます。
#127
○石井一二君 この条約ができたことによって、逆に現地でのPKOあるいはまたその関連の方々の活動範囲がある程度制限されるというようなことがあり得るのではないかと思うのですが、そういった可能性があるのかたいのか、あるとすればどのような制限が起こり得るか。もしおわかりであればお教えをいただきたいと思います。
#128
○政府委員(柳井俊二君) 御案内のとおり、この条約は、この条約上定められました犯罪行為を処罰するかあるいは引き渡すという制度でございます。そういうことを通じて要員の安全を図るということでございますので、この条約が活動そのものを制約するというようなことはないであろうと思います。
#129
○石井一二君 この条約の第九条では一定の行為を犯罪として規定しておりますが、具体的にこの一定の行為というものを述べていただくことは可能でしょうか。
#130
○政府委員(柳井俊二君) 九条にございますように、国際連合要員及び関連要員の殺害でございますとか誘拐、傷害、監禁といったような行為、またこれらの要員が寝泊まりしております建物に対する放火あるいは破壊行為、さらには車両に対する襲撃というようなものが具体的には考えられると思います。
#131
○石井一二君 それは例示されているのですか、具体的に羅列して限定していて、それ以外に書かれていないものは違うというやり方ですか、どちらですか。
 特に、これは各国でそれに関連した法律をつくるように要請しているはずなんです。したがって、おのおのの国が統一した法律をつくってくれないと、有効性というものが国際的に、ユニバーサルにならないと思うんですが、その辺、いかがですか。
#132
○政府委員(柳井俊二君) 御案内のとおり、この条約と同様の構造を持った条約が幾つかございます。人質防止に関する条約でございますとか、あるいは国際的に保護された者に関する条約とか、幾つかございます。
 いずれの場合につきましても、この犯罪の類型を具体的に列挙しようかというような案もございましたけれども、なかなか各国の法制が違うということもございまして、非常に典型的な殺人、誘拐、あるいは要員の身体または自由に対するその他の侵害行為というような共通のことを書いてございまして、具体的な犯罪の類型につきましては各国の国内法にゆだねるという形をとっております。
#133
○石井一二君 今申された中で「その他」の中にどういうものが入りますか、もしおわかりであれば。
#134
○政府委員(柳井俊二君) 「その他」といたしましては、傷害、暴行等があると思います。
#135
○石井一二君 傷害は「その他」ではなしに、もうあなたが先に羅列された中に入っておったわけですね。
 それで、私がなぜこれを執拗に聞いておるかと申しますと、やや言葉の表現としては不適切かと思いますが、今、世界的に女性の方々がいろいろ御活躍をいただいております。青年海外協力隊にも多くの方が参画されております。私は国名を知っておりますが、あえて国名を今申しませんが、そういった中でレイプ事件なんかも起きているんですね。実例があるんです。そういう中でそれがここに含まれているかどうかを知りたかったんですが、いかがですか。
#136
○政府委員(柳井俊二君) ただいまお挙げになったような犯罪類型もここに含まれると解しております。
#137
○石井一二君 外国のことを言う前に、では日本はこのために必要な立法措置を講じる必要があるのか、既に日本では今申したようだ案件がすべて犯罪として認定されておるので新たな法的措置は要らないのか。我が国に関してどのようでございましょうか。
#138
○政府委員(柳井俊二君) 結論的に申し上げますと、我が国の現行刑事法規を変更する必要はないというふうに考えております。いずれも現行の法律でカバーされるというふうに考えております。
#139
○石井一二君 今、我が国はPKOとして海外にはどこへも出していないと理解していますが、それは正しいですか。
#140
○政府委員(柳井俊二君) そのとおりでございます。
#141
○石井一二君 世界から日本を見た場合に、出ておったけれども皆引っ込めた。途端に要員保護の条約を批准せよせよと世界に言って回る。裏には、何か腰だけ引けてへっぴり腰の憶病者が環境だけ先につくってくれと言って、その間自分のところはカメが首を引っ込めたようにじっと国内に閉じこもっておる、そのような印象を与えはせぬかという心配を老婆心で私はいたすのですが、そういったことについて外務省内で論じられたことがあるかないか、またそういったことについて局長の御所見を承りたい。いかがですか。
#142
○政府委員(柳井俊二君) ただいま、例えばモザンビークでございますとかあるいはザイールのゴマに派遣されました自衛隊がもう引き揚げておりますので我が国の要員は一人もございませんけれども、ただこの条約がつくります制度は今後長きにわたって適用されるわけでございますので、今後我が国が派遣されれば当然適用になります。
 たまたま今、我が国の要員がいないということはございますけれども、我が国がこの条約を締結すれば、この制度をつくるという意味におきまして今後他国に対しても締結を慫慂するということは十分できると思います。
#143
○石井一二君 どうも私の質問にお答えになっていないように思うんですね。
 私がお聞きしたのは、自分のところは今出していない、だけれども出した場合の要員の保護条約をやれやれと言うことは、憶病者が出ていく前に世界的な環境のみをつくることに走っておるというような感じを与える可能性がないか。そのようなことについてあなたの御所見をお聞きしたいということだったんですが、質問の意味が通じにくいですか。いかがですか。
#144
○政府委員(柳井俊二君) 御質問の趣旨はよくわかります。
 確かに我が国が要員を出している場合の方が説得力があるだろうと思いますが、どういうPKOに我が国として参加するかということにつきましてはそれぞれのケースについて検討の上決めるべき問題でございますので、そういう意味で、今たまたまございませんけれども、いずれどこかに参加するということも十分あると思います。したがいまして、現在ないからといってこの条約の締結を慫慂することができないということではないだろうというふうに思います。
#145
○石井一二君 先ほど私は我が国で二名の犠牲老が過去PKOで出たと申しましたが、世界全体でよその国の犠牲者の数等、もしわかれば教えていただきたいと思います。これは通告外ですので、もしわからたければ結構です。
#146
○政府委員(柳井俊二君) いわゆるPKOが一九四八年に創設されまして以来、ここにございます統計は九三年の十月までの四十六年間のものでございますが、その間に一千二十四名の要員が亡くなっているというふうに伺っております。特に一九八九年から九三年十月までの約五年間の死者の数は二百六十九名ということになっておりまして、この期間はその前の期間に比べますと死者の数はふえております。
 ただ、この死者数と申しますのはいわゆる敵対行為による死者だけでなくて、事故、病気等による死者も含んでおります。ちょっとここには敵対行為によるものとそうでないものの区分けした統計は持ち合わせておりません。
#147
○石井一二君 病気とかもあるということですから全部ではないですが、この一千二十四名のほとんどの方がこういった条約のいわゆる救済対象になる、適用対象になると、そう理解していいわけですね。
#148
○政府委員(柳井俊二君) このうちのどの程度がいわゆるここで犯罪とされているような行為によって亡くなったか、その点、統計はございませんけれども、そういうような行為で亡くなったという方々については適用がある場合が多いだろうと思います。
#149
○石井一二君 これは大臣にお聞きしたいんですが、ゴラン高原へ調査団をお出しにたって帰ってこられた。それで、新聞情報等を聞いておりますと、積極的な意見が出ていたが、ややその後もう少し慎重論に変わってまだ御決断になっていないようですが、与党調査団及び政府調査団の報告書を踏まえて御所見を承りたい、そのように思います。
#150
○国務大臣(河野洋平君) 御承知のとおり、先般、政府及び与党三党から成る調査団が現地へ調査に行かれました。戻ってこられて、政府調査団それから与党調査団はそれぞれ調査報告書をつくっておられます。
 政府調査団の報告書は私も拝見をいたしました。与党調査団の報告書も拝見をいたしましたが、与党におかれましては、その後、その調査報告書などを踏まえて与党としての態度を決めるべく検討しておられるというふうに伺っております。そう遠からず結論が出るものと期待をしておりますので、その結果を拝見した上で最終的判断をいたしたいと思っております。
#151
○石井一二君 大臣はお忙しいからそういうことだと思うんですが、与党が調査結果に基づいて検討をしているように伺っているという第三者的なお立場ですが、自民党総裁でもあり副総理でもあるわけですから、もう少し突っ込んで主導権を持ってこうせよとかと言えるようなお立場ではないかというように私は大臣を御信頼申し上げているんですが、今よりもう一歩突っ込んだこうなるであろうというような示唆的な御所見があれば伺いたいと思いますが、いかがですか。
#152
○国務大臣(河野洋平君) 政府調査団の報告書と与党調査団の報告書とはおおむね同じトーンのように拝見をいたしますが、与党調査団の方には数点留保がついております。二カ所にわたって政府はこれこれを確認すべきであるという意味のことが書かれておりまして、その二点につきましては直ちに政府としては確認をいたしまして与党側に御返事をしております。
 今申しましたように、そうしたことを踏まえて与党はそれぞれ検討をしておられるようでございまして、自民党、新党さきがけ、日本社会党、それそれがこの報告書の評価をたさっておられるというふうに承っております。
 いずれにせよ、与党三党の調整が図られるものというふうに聞いております。
#153
○石井一二君 いずれにいたしましても、この国連要員の安全に関する条約については私は賛成でございますので、国際的にも幅広く働きかけていただいて、我が国はもとより、こういった条約が一日も早く日の目を見、できるだけ多くの国の参加によりその効力を発するように御努力いただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
#154
○委員長(田村秀昭君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十分開会
#155
○委員長(田村秀昭君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国際連合要員及び関連要員の安全に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#156
○野沢太三君 自由民主党の野沢でございます。
 外務大臣におかれましては、連休を返上されまして、旧ユーゴあるいはハンガリーまで足を延ばされまして、問題にたっております当地区の紛争に絡みまして明石代表や紛争当事国の要人と会談をされてまいりましたこと、まことに御苦労さまでございました。顔の見える外交を展開していただくという意味で大変有意義な出張であったかと思うわけでございます。
 そこで御質問を申し上げたいわけでございますが、せっかく東西の冷戦構造が停止になりたがら、旧ユーゴにおきましては民族紛争が呼び起こされまして大変な悲劇が続いているわけでございます。何とかこれを話し合いで解決ができないか、我々から見るとこう思うわけでございます。これまでも米、ロ、英、独、仏等のいわゆるコンタクトグループの努力やら、さまざまな国々がこれに関与をしてきておるわけでございますが、これまでの話し合い努力がうまくいかなかった理由、そしてまた、これはあきらめるわけにはいきませんから、これからそれでは何としても武力による解決でなくこれが話し合いでの解決に進んでいくようにするにはどうしたらいいのか、現地に行ってまいりました大臣の率直な御感想、御意見があればお伺いいたしたいと思います。
#157
○国務大臣(河野洋平君) 私は、今回クロアチアを訪問したわけでございますが、これはこのユーゴ紛争発生以来、我が国外務大臣として初めての訪問ということもございまして、現地の方々多数にお目にかかることができました。それは現地、つまり紛争当事者の方々の我が国に対する期待感というものも非常に強くあったということがうかがえます。
 それは、もっと申しますれば、我が国がこの旧ユーゴ紛争当事国にとって、歴史的に見ても、それから宗教的、民族的に見ても一方に偏するということが今までなかったということ、つまり白紙の状況であって、中立的にフェアにこの問題を見てくれる、この問題に対応するに違いない、こういう期待があったからではないかと思います。それは、裏返して言いますと、この地域に歴史的にかかわりのあった国々にはそれぞれ歴史的にいろいろな問題がございまして、それぞれの当事者たちはその歴史に思いをいたし、あるいは宗教上の問題、民族的な背景というものから、いずれの発言に対しても何か思惑があるのではないかというようなことからいま一つ信頼できないと、まあこれは少し言い過ぎかもわかりませんが、そういう思いがあるのではないかとすら感ぜられたわけでございます。
 私は、現地に参りまして、とりわけこの問題で苦労をしておられる国連特別代表の明石さんの行動、発言をバックアップしたいという思いがございまして、お目にかかった方々に必ず明石特別代表の行動、発言というものを支持してくれるように強く要請をいたしました。参ります前に、その明石代表の発言というものが、我々にとって不利だ、我々にとって不利な主張があるなどといって、明石代表について若干批判がましい発言があるたどというふうに聞いてまいりましたので少し心配をしておりましたけれども、今回行ってまいりますと、そういうことよりもむしろ明石さんに対する期待感、それからこれまでの特別代表の非常にフェアだ態度というものに対して信頼感が寄せられているふうに感ぜられ、大変その点はうれしく思った次第でございます。
 難民に対する人道支援あるいは新ユーゴとボスニア・ヘルツェゴビナとの間の国境監視ミッションに対する経済的支援だと、我が国としてたすべき、あるいは期待されている支援を行う旨表明をしてきたところでございまして、非常に短時間の訪問でございましたので、さらに引き続きそれらの国々の責任ある立場の方々と今後も会談を継続したいということを申し上げ、合意に達して帰ってきた次第でございます。
 引き続き、これからも機会を見て、これらの国々に対しては我々の考え方を申し述べ、あるいはそれぞれの国の要望についても耳を傾けたいと考えております。
 なお、私といたしましては、大変この問題の解決に努力をしておられますコンタクトグループのこれまでの努力を支持してまいりたい、こう考えていることもつけ加えさせていただきます。
#158
○野沢太三君 大臣今御指摘のように、日本がこの地域において中立的な立場で発言し行動ができる、しかも今御指摘のとおり、コンタクトグループに対していずれも日本は良好な外交関係があるということからいたしましても、これを機会にひとつぜひ一般の外交努力すべてを動員いたしまして影響力を強めていく、こういうことをお願いいたしたいと思うわけでございます。
 そういう中で、紛争をとめるということに直接かかわる問題として武器の供給停止ということをそれぞれ約束をしておったはずでございますが、最近にたってこの供給停止を緩めるというような動きがアメリカあたりから出るという状況について心配をしている一人でございます。むしろやはりこれこそみんなでとにかく武器供給をやめるということからして紛争そのものの規模の縮小なり停止たりへと、こういうことが物理的にできるならこれも一つの解決方法ではないかと思いますが、この武器供給停止の継続の問題については大臣どうお考えでしょうか。
#159
○政府委員(野村一成君) 御指摘のとおり、旧ユーゴに対する武器禁輸が一九九一年の安保理決議で採択されておるわけでございますが、先生御指摘のとおり、この武器禁輸の解除をした方がいいのではないかというふうな考え方も一部には出ておるわけでございます。日本としましては、このボスニア・ヘルツェゴピナを初めとしまして旧ユーゴにおける武器禁輸というのは、紛争の激化を防止する観点から非常に重要であるというふうに考えております。
 したがいまして、この武器禁輸の解除につきましては、まさに先生御指摘のとおり、どの勢力に対するものでありましても、戦闘をさらに激化させるおそれがあるので、慎重に対処すべきものであると考えております。我が国としましては、そのような考え方を機会をとらえまして関係国に対して伝えてきているところでございます。
#160
○野沢太三君 こういった側面からの働きかけも、我が国が平和憲法というようなものを持って、その上でかつ積極的にPKOにも参加していこう、こういった姿勢をとっております昨今、一番大事なこれは分野ではないかと思うわけでございます。どうか外務省御当局におかれましても、各方面にそのような主張を陰に陽にひとつ繰り返して続けていただきたいと思うわけでございます。
 そういう中で、この旧ユーゴの実態を見ると、停戦の合意とかあるいは紛争当事者の協力要請とかいったいわゆるPKO業務に関する原則がここではまだでき上がってない、いわゆる国連が出ていく地だらしができていないところに入っていったという嫌いがあるのではないかと思うわけでございます。そして、やはり国連の立場というのはあくまで中立的た立場を貫かないと、どうしても一方からは非難をされ、一方からもまた恨まれる。先ほどのお話じゃありませんが、どちらからも不満に思われるというようではやはり国連の存在も意味が薄くたりますし、また明石さんの立場も苦しくなるんじゃないかと思うわけでございます。
 この同意原則をさらに再確認してもらうこと、あるいはそこで中立性をどう維持するか、こういった点についてはいかがでしょうか。
#161
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘の旧ユーゴにおける国連のPKOでございますけれども、御案内のとおり、従来、国連保護隊、いわゆるUNPROFORと称しておりました。このUNPROFORのもとで、クロアチアにおけるPKOとそれからボスニア・ヘルツェゴビナにおけるPKO、さらにマケドニアにおける活動、この三つの性格の異なる活動が行われていたわけでございますが、ことしの三月末にこのPKOは三分割されまして、クロアチアにおきましては国連クロアチア信頼回復活動、略してUNCROと言っております。これが一つ。それから、マケドニアにおきましては国連予防展開隊、UNPREDEPとなりまして、国連保護隊、いわゆるUNPROFORはボスニア・ヘルツェゴビナのみを対象とすることになったわけでございます。ボスニア・ヘルツェゴビナにつきましては、残念ながら四月末に停戦の合意が切れまして、その後の合意ができていないという状況になっていることは御案内のとおりでございます。
 河野外務大臣がボスニアの副大統領のガニッチさんにお会いになりましたときにこの話も出まして、ぜひ停戦の合意を続けてほしいということを申し入れられたわけでございますが、それにつきましてガニッチさんの方からは、停戦の合意はできないとしても自分の方から攻撃することはないというような、いわば自粛の意向が示された経緯がございます。
 国連の活動そのものにつきましては、いずれの場合におきましても受け入れの同意はございますが、また中立的に活動しているというふうに考えております。ただ、紛争当事者によっては国連の活動が必ずしも中立的でたいというような批判をすることはございますけれども、客観的に見ますと中立的に活動していると思います。
 それから、クロアチアにつきましては、一時クロアチア政府が国連の活動の継続に反対したことがございますが、この三分割されましたいわゆるUNCROの活動につきましては同意をするということにたった次第でございます。
 それから、マケドニアにつきましてはこれも御案内のとおり武力紛争は一切起こっておりませんで、まさに予防展開という形で予防的に展開をしているということでございます。したがいまして、停戦の合意というものは、そもそもその対象がないわけでございますが、受け入れの同意あるいは中立性といったことは確保されているというふうに考えております。
#162
○野沢太三君 停戦の合意が切れているということで、そのままほっておくとまた何が起こるかわからないということではまことにこれは先行きが心配ということでありますが、新しい停戦の合意なりあるいは和平なりへの枠組みづくりというのはどこが責任を持ってどこが主体的に動いているか。こういう点はいかがでしょうか。
#163
○政府委員(野村一成君) 停戦の合意の達成というのは、実際の和平のための政治的解決の中身と関連していることだと思います。その意味におきまして、今、和平のための努力、何とか政治的解決の方途がないかということでコンタクトグループが中心となってやっている、これが一つの大きな柱であろうかと思います。
 にもかかわらず、やはり現場と申しますか、現実に展開しておる国連の平和維持活動の側面からいたしますと、特に明石さんを中心とします国際連合の方においても何とかとにかく和平、政治的解決を目指して、その間やはり現実に武器を使うということはやめるべきである、そういう立場で大いに努力しておられるということでございまして、コンタクトグループ及び国連というのが中心的な役割を果たす。もちろんそれぞれの関係当事者の積極的な意欲がたければだめであろうというふうに思っております。
#164
○野沢太三君 御指摘のとおり、その意味でコンタクトグループと明石代表の役割というのは非常に大きいわけでありますが、コンタクトグループについて見ると、非常に国益あるいは立場によってどうもばらばらな対応が自立っわけでございますが、その意味で国連を代表して現地におられる明石さんの役割というものは大変大きいんじゃないかと思います。ただしかし、孤立無援では仕事にならない。これまでスタッフを一人出したり、あるいは資金を供給したり、また今回大臣が行かれて御激励もしていただいたりいろいろしておられるのですが、明石さんがさらに力を発揮できるように立場を強化されて、カンボジアのような状況にはいかないかとは思いますが、何らかの立場で局面の打開ができる、こういう条件づくりを日本としてやっぱりしてあげることが大変大事ではないかと思います。
 日本として可能な支援それから明石代表に対するサポート、こういったものをどうしたらいいか、御意見ございましたら。
#165
○政府委員(野村一成君) 先ほど大臣の方から御答弁がございましたけれども、今回の外務大臣の旧ユーゴ地域訪問の大きな柱の一つは、やはり明石代表の努力に対する強力な支援ということでございまして、これはそれぞれ、新ユーゴ、ボスニア、クロアチアの指導者に対して大臣がお会いになった際に、単にこちらから全面的に支持を要請したというだけではございません。先方の方からもそれぞれ明石代表を中心とする国連の調停活動を全面的に支持するという表明があったわけでございまして、この点は私は明石代表にとってもやはり非常に心強いものがあるんではないかというふうに思っております。
 ただ、具体的にどうするかという点につきましては、先ほど先生の方から、外務省職員を国連政務官として明石特別代表オフィスに派遣しておるわけでございますけれども、さらに現実に明石さん自身がこのために何をしたいということで考えておられるアイデアが幾つかございます。それに対して日本として協力するということだろうと思います。現に今まで、明石特別代表の要請を受けまして、国連PKOの地雷対策のために約三百万ドルを国連に拠出したこともございます。
 それから、明石代表は、特にボスニアのセルビア勢力の動向が大事なのでございますけれども、単にああするたこうするなと強く、いわばむちという形で言うだけではなくて、やはり和平が達成されればこういうことがあるんだ、いいことがあるんだという、そういう要素を重視されて、和平の暁のサラエボの復旧・復興計画にも取り組むべきだという考えを強く主張しておられました。これに対しましても日本政府としては非常に積極的に対応しておる。これがまさに明石代表の考えておられることを強くバックアップするということになっているということでございます。
 いずれにしましても、今回の訪問につきましては、実はこのクロアチアにおきます問題としまして、クロアチアの中のセルビア入居住地域、クライナ地区と呼ばれているのでございますけれども、その地区のセルビア人とクロアチア人との間の経済交流その他を活発化するためのいろんな計画が行われておるわけでございますが、それを確保するための国連職員がザグレブに追加的に必要だということで、そのための最大二十八万ドルの拠出を表明する等々のことを行っております。
 今、若干の例を申し上げましたけれども、基本的には明石代表がやられようとしておられる努力に対して個別具体的に日本として支援をしていくということが一番いい方法ではないかというふうに考えておる次第でございます。
#166
○野沢太三君 いろいろ御検討をいただいているようでありますが、ぜひひとつ、それが日本のやはり意思として、とにかく現地にとってお役に立つ仕事であるということができるだけわかるような形で御努力いただければありがたいと思うわけでございます。
 引き続きまして、UNDOFの派遣問題について御質問をいたしたいわけでございます。
 先般、与党の調査団と政府調査団が参りまして、それぞれ御報告を出していただいております。先ほども同僚議員からの御質問にお答えをいただいておりますが、私自身もこの御報告を伺いますと、大筋では政府調査団と与党調査団の内容は一致していると思うわけでございますが、政府側として特に留意した点についてございましたらお話をいただきたいと思います。
#167
○説明員(國方俊男君) お答え申し上げます。
 先般派遣された政府UNDOF調査団でございますけれども、この調査団は、UNDOFへの自衛隊の部隊の派遣の可能性につきまして、技術的、実務的な観点からの検討をさらに進めるために必要となります情報の収集及び関係者との協議を行うことを主たる目的として、与党UNDOF調査団と同時期に並行して派遣されたものでございます。
 調査の結果、我が国が引き継ぐことを期待されております輸送業務につきまして、政府調査団の報告では「我が国の自衛隊の部隊が現在有する能力の範囲内で十分対応可能た業務であり、また、我が国として能力を十分に発揮しうる分野である。」とされております。また、与党調査団の報告でも「国際平和協力法で部隊がなし得る平和維持隊後方支援業務として妥当なものである。」とされるなど、ただいま先生御指摘のとおり、双方の調査団の報告は大筋の一致を見ているところでございます。
 政府調査団といたしましては、UNDOFの活動状況、我が国要員のUNDOFへの派遣に関する関係国の反応、さらには派遣に当たっての国際平和協力法との関係などの点に特に留意しながら技術的、実務的な観点から調査を行いまして、所要の成果を得て報告書にまとめたところでございます。
#168
○野沢太三君 ああいった国へ行く場合には食料とかあるいは気候風土とかそういった面でも違った環境に置かれるということから、隊員その他が健康が十分確保できるかどうか、こういった点については引き続きお調べをいただきまして、心配がないという状況を確認していただきたい、こう希望するものでございます。
 その中で、やはり当事国であるシリア、ジョルダンあるいはイスラエルあるいはレバノンもあろうかと思いますが、こういった関係国の和平意欲というものにどうもこちらから見ていると大分違いがあるんじゃないかという感じを受けるんですが、今回、各国首脳あるいは担当の皆様にお会いをした中で、この辺の温度差がないのかどうか。いかがなものでしょうか。
#169
○政府委員(法眼健作君) 今般の、ミッションは、シリア、ジョルダンそれからイスラエル、それぞれの国々におきまして外務大臣など、それからまたイスラエルにおきましてはラビン首相とも会見をなさって、突っ込んだ意見交換をしてこられました。
 御案内のように、イスラエルとジョルダンの間につきましては、昨年十月に平和条約が締結されております。一方、イスラエルとシリアの間におきましては、これは今引き続き交渉中でございます。そういった観点からその姿勢に違いがあるのではないかという御質問でございますが、私どもが承知いたします限りは、それぞれの当局者は皆、安保理決議ほかそういう国際的な枠組みのもとで真剣な交渉を行っていると見ております。
 もちろん抱えている問題がいろいろ違っているものでございますから、例えばイスラエルとシリアの間にはゴラン高原をどういうタイミングで返すかという問題があるわけでございまして、その状況、状況が国と国との間でいろいろ違うという面がございます。ございますが、いずれの当事国も和平実現に向けてひとしく強い決意を有して進めているというふうに私ども見ておりまして、この点についてはUNDOFの調査団も先ほど申し上げました各国の首脳の皆様方と御会談なさった際にも確認されてお帰りになったと、このように私ども理解しております。
#170
○野沢太三君 そういう中で、我が国のPKO派遣五原則について、このUNDOFの場合には抵触するおそれはないと考えてよろしいでしょうか。
#171
○説明員(國方俊男君) お答え申し上げます。
 国際平和協力法上のいわゆる参加五原則との関係につきましては、先般の政府UNDOF調査団の報告書におきまして、停戦の合意、受け入れ同意及びUNDOFの中立性については問題はなく、また我が国要員・部隊の撤収と武器の使用が国際平和協力法の関係規定に基づいて行われることについては、これまでの経験上、国連との間で確認されていることから、いわゆる五原則は満たされるものと考える旨が報告されているところでございます。
 また、与党調査団より、停戦の合意、受け入れ同意及びUNDOFの中立性には問題ないが、我が国要員・部隊の撤収と武器の使用につき、日本として国際平和協力法の原則を貫くことに支障がないか、改めて国連との間で明確にしておく必要があるとの報告がございましたが、この点につきましては、先般、外交ルートを通じまして、我が国要員の派遣は国際平和協力法に基づき行われる旨、国連との間で確認がなされたところでございます。
#172
○野沢太三君 国連本部に再度外交ルートでの確認も並行して行われたということで、結構かと思います。
 さらに踏み込んで、いわゆるPKFの、本体業務の凍結事項がございますが、カナダ部隊のやっておりました輸送業務の関連で、この本体業務凍結項目に抵触するようなことはないかどうか。私が報告書を拝見した限りではその心配はないというふうに読み取れるんですが、いかがでございましょうか。
#173
○説明員(國方俊男君) お答え申し上げます。
 仮に、UNDOFへの我が国の自衛隊の部隊が派遣された場合には、我が国輸送部隊は後方支援部隊に属しまして、停戦の遵守状況の監視などを行う歩兵部隊とは組織上も運用上も相互に独立した形で業務を行うこととなること、また業務の内容につきましても、UNDOF全体の活動に必要な食料品などを主要な港湾などから輸送するものであることが、先般派遣されました政府UNDOF調査団により確認されたところでございます。したがいまして、我が国部隊が行います輸送業務は、いわゆる平和維持隊後方支援業務に該当し、自衛隊の部隊が行うことが凍結されておりますいわゆる平和維持隊本体業務には該当しないと考えておる次第でございます。
#174
○野沢太三君 現行の法体系のままで十分派遣可能な状況にあると、こう承れるわけでございますが、その一方で八月になりますと現行のPKO法の見直し時期が三年目ということでやってまいります。
 このPKF本隊業務の凍結を解除する時期がいつになるかということでありますが、これまで積み重ねてまいりましたカンボジアあるいはモザンビーク、さらにはルワンダにおける人道援助、こういった一運の経験を通じて、そろそろこれについては凍結を解除していいんじゃないかと私は思うんですが、政府としてはどのようなお考えでございましょうか。
#175
○国務大臣(河野洋平君) 自衛隊の部隊などが行う国際平和協力業務の一部につきましては、別の法律で定める日まで実施したいということにたっているわけでございます。この一部業務の凍結の解除を含めた国際平和協力法の見直しに当たりましては、既に終了いたしておりますカンボジアあるいはモザンビーク、ザイールヘの派遣といったさまざまな貴重な経験を踏まえた上で検討をするという必要があると考えております。
 なお、政府として、今後の検討に際しましては、本法の法案審議の経緯などにかんがみまして、国会などにおける御論議にも当然十分耳を傾けてまいるべきものと考えております。
#176
○野沢太三君 これについては、与野党含め大いに議論を積み重ねまして、まずは我々議会関係の意思を、コンセンサスをつくり上げる、これがやはり大事であろうかと心得ておるわけでございまして、機会ある都度そういった議論を起こしたいと思っておるところでございます。
 そこで、もし行くということになった場合、派遣の期間がどのくらいになるのか。現地のコステルス司令官のお話ですと一年以下では短いのではないかという話があるようでございますが、カナダは既に十年以上の実績もあるようでございますが、この点ほどのような見通してございましょうか。
#177
○説明員(國方俊男君) お答え申し上げます。
 仮にUNDOFへ自衛隊の部隊が派遣される場合の派遣期間につきましては、政府といたしましては、今後、与党とも相談しつつ決定すべきものと考えておりますが、具体的な派遣期間につきまして申し上げる段階にはないことにつきましてぜひ御理解を賜りたいと存じます。
#178
○野沢太三君 この派遣の時期を判断する時期でございますが、訓練とかあるいは先方の都合とかということになると少なくとも半年前には決めてやらなきゃいかぬということでございますが、その辺の実情はどういう状況でございましょうか。
#179
○説明員(國方俊男君) お答え申し上げます。
 我が国のUNDOF参加問題につきましては、昨年五月に国連から非公式の打診を受けて以来一年近くが経過していることもございまして、カナダからはできるだけ早期に参加の可否について連絡するよう要請されているところでございます。さらにカナダ側からは、交代に際してカナダ国内の人事計画等を調整する必要があるため、交代時期を六カ月前に連絡するよう要請されております。また、自衛隊の部隊としても、仮に参加が決定しました場合には、現地施設の整備でございますとか、あるいは事前の話学研修などを行う必要があるため、準備期間が半年程度必要となるという事情がございます。
#180
○野沢太三君 よくわかりましたが、これについての議論は一層これからひとつ各党間深めまして合意を形成しなければならぬ課題と思っております。
 ところで、このUNDOFの歴史を見ると、一九七四年に発足してから大変順調に推移をしておりまして、この調子ならば、あそこにいわゆるPKO部隊が展開するということ自体が必要ないのではないかという期待すら持てる状況があるわけでございますが、これはひとつ関係国の和平交渉を早めまして撤収する道を開くことが大事ではないかと思いますが、この点はいかがでございましょうか。
#181
○政府委員(法眼健作君) これはまさに先生御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、中東和平がたされましてそしてUNDOFの任務が、もうその役割が十分果たされたというような状況が一日も早く来ることを願っております。関係国の外務大臣や首相のような首脳の皆さん方も、包括的で公正な中東和平を目指して一日も早くそういうものを達成したいということを考えておられますし、また、この間の調査団に対しましても、シリアのシャラ外相、イスラエルのラビン首相、ペレス外相、このような方々は皆さんそういうようなことをおっしゃっておられます。
 したがいまして、まさにそのUNDOFの任務が円満に終了いたしまして、そして一日も早く和平が達成せられ、その上でUNDOFが撤退するという日が一日も早く来るように、関係者の努力とともに、日本側といたしましてもできる限りの中東協力をしていきたいと、このように考えております。
#182
○野沢太三君 パレスチナにも日本から援助の申し出があったということで、当地いわゆるパレスチナの紛争地でもようやく建設への道が開かれていくといううれしいニュースもあるわけでありますから、これはPKO派遣というレベルのみならず今の和平交渉努力、こういった面での日本の働きというものをぜひひとつ展開していただきたい。これは要望でございます。
 そういった前提に立ちまして、PKO要員の安全条約について触れさせていただきたいと思います。
 この条約の趣旨、目的についてはよくわかるわけでございますが、これを見ますると、やはり裁判関係の法律の枠組みをつくるということに主な重点がありまして、これで果たして効果が上がるかどうか。これまで随分大勢の方々が犠牲になってきておるわけでございます。手元にある資料で見ても既に亡くたった方が千人を超えておりますし、負傷も入れますと三千八百を超える皆様が大変な犠牲になっておるということでありますが、こういった方々の数を減らしていく、あるいはなくしていくということに果たしてこれがつながるかどうかということを心配するわけでございますが、いかがでございましょうか。
#183
○政府委員(柳井俊二君) ただいま先生御指摘のとおり、これまでのPKO活動でかなりの死傷者が出ておりまして、また近年その数がふえているという事実がございます。ただ、これまで発表されました数字の中には病死その他事故死のようなものも入っておりますので、すべてが敵対行為によるものではございませんけれども、それにいたしましても死傷者の数がふえているというのは事実でございます。
 そこで、これも先ほど御指摘ございましたように、裁判管轄権の設定、裁判、そして引き渡しという法制度を整備するのがこの条約の主たる眼目でございますが、このような種類の条約がPKO活動等についてできましたのは今回が初めてでございます。その意味で、安全確保に対する一つの方法と申しますか制度ができるわけでございます。
 ただ、もとより要員の安全というものはこういう法制度の整備だけで十分かといえば、そうではございませんで、これに加えまして、装備の点でございますとかあるいは通信でございますとか、種々の面で安全対策も並行してとっていく必要があろうかと思います。
 なお、受け入れ国におきまして警察とか司法の機能の低下が見られるというようなことがございますので、そのような場合に備えまして、この条約の第七条三項におきましては「締約国は、この条約の実施に当たり、適当と認める場合、特に受入国自身が必要な措置をとることができない場合には、国際連合及び他の締約国と協力する。」という規定を設けておりまして、そのような協力によってさらに実効性を高めようという考え方も入っておる次第でございます。
#184
○野沢太三君 署名国が先ほども石井議員からのお話がございましたように二十六という段階でありますし、しかもその内容が派遣国が主体であって受け入れ国に相当するところがまだ名前が見えないということで、これではどうも実効が上がらないんではないかと。もう少したくさんの国がこれに参加するようだ我が国の働きかけが、もちろん締約第一でございますが、必要ではないかと思います。いかがでございましょうか。
#185
○政府委員(柳井俊二君) この点も先生御指摘のとおりでございまして、これまでのところは署名国の多くは先進国でございます。また、これまで批准書を寄託した国はデンマーク一カ国でございますが、今後は受け入れ国になり得る諸国にも締結してもらう必要がございますので、我が国が国会の御承認をいただきまして締結した暁には、他の諸国とも協力しながら締約国をふやす努力をしたいというふうに思っております。
#186
○野沢太三君 PKOを受け入れるときには、この条約を批准するくらいのことを条件にするということも一つの方法がと思うんですが、しかし実際は混乱した現場あるいは秩序のまだ確立されていない国ということである場合が多いと思います。そういう場合でも、犯人の捜査、調査、さらには見つけたとしても公正な裁判がそこで設定できるかどうかちょっと心配でございますけれども、そういった法秩序の確立されていない場合、先ほども国連の力をある程度期待をしておるようなお話もございましたが、どういうふうにこれを展開されるのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
#187
○政府委員(柳井俊二君) 先ほどもちょっと読み上げさせていただきましたけれども、この条約の第七条三項におきまして、ただいま御指摘のような場合、すなわち警察、司法機能の低下が受け入れ国で見られる場合におきましては、国際的に協力をするということにたっておるわけでございます。
 具体的には、今後の具体的なケースに応じまして検討する必要があるとは存じますけれども、例えば受け入れ国の警察、司法機能の強化のために人材の養成を行うとか、あるいは技術協力を行う、あるいは場合によりましては装備を提供するというようなことも考えられるところでございます。
#188
○野沢太三君 署名国をふやす努力あるいは締約国をふやす努力は当然これからも続けなければならぬわけでありますが、枠外にある国に対してもこれは拘束力をできるだけ持たせていくということが大事ではないかと思いますが、この辺についてはどうでしょうか。
#189
○政府委員(柳井俊二君) やはり基本的にはこの条約の締約国の数をふやすということが重要であろうかと存じます。条約でございますからその拘束力を及ぼすためにはこの条約の締約国になってもらう必要がございますので、そういう意味でこの締約国の数をいろいろな機会をとらえまして国際的にも協力しながらふやしていく、そういう努力が必要であろうというふうに思っております。
#190
○野沢太三君 これまでの犠牲者の数を国別に、あるいはPKOの派遣グループごとに見てみると、最近非常にそれが多くなっているということで、特に、先ほども話がございましたUNPROFOR、旧ユーゴに対する派遣、あるいは第二次の国連ソマリア活動、UNOSOMのUですか、この辺で激増をしておるというのが実態がと思います。こう見てまいりますと、PKO活動のあり方そのものにやはり無理が多少あったのではないかという気がするわけでございます。その意味でPKOは伝統的な停戦の合意あるいは紛争当事者の協力というものが前提でなければならぬじゃないかと思いますが、この点いかがでしょうか。
#191
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘のとおり、最近、特に八九年以降に死者の数がふえているという事実関係がございます。これはやはりいろいろな原因に基づくものだと思いますが、一つは最近国連のPKOの数が急激に増加したということもございますし、また件数が増加したのみならずそれぞれのPKOの規模が大きくなっている、またその活動が多様になっているということもあろうかと思います。
 また、これも先ほどお話にございましたけれども、その一部の活動についてはなかなか困難な活動であったということも言えようかと思います。どの程度無理があったかということにつきましては、それぞれのケースにつきまして検討する必要がございますので一概には言いにくいところではございます。ただ、先ほども御指摘がありましたような、例えばソマリアのUNOSOMUというPKOにつきましては、一定の場合に強制的な活動というものもございまして、紛争に巻き込まれる事態もあったわけでございます。そのようなこともございまして犠牲者が残念ながらふえたということも事実であろうと思います。
 この点に関しましてガリ国連事務総長もことしの一月に「平和への課題」の追補という報告書を出されております。その中で、いわゆる平和執行活動というものはある程度の強制力を伴うというものでございますが、このような活動は現状では極めて小規模の場合を除きまして国連の能力を超えているというふうに述べておられます。
 そういう意味で、このようないわゆる平和執行活動についての反省というものが出てまいったと思います。また、それは同時に、伝統的なPKOの重要性をいま一度見直す、評価するというような動きにつながっていると思っております。いわば伝統的なPKOへの回帰と申しますか、そういうものに戻ってきたという感じがいたします。
#192
○野沢太三君 本条約はそういう意味で直接ずくに効果をあらわすということではないかもしれませんが、やはり犯罪というものをはっきり特定して、しかも宣言をするということによる効果というものは非常に大きいと思います。日本のPKO活動というものがやはり本筋を歩き始めたなということであろうかと思いますので、その意味で国際的な面でもPKO本来のあり方につきましても踏み込んだ発言をしながら事を展開していただければと期待をするものでございます。
 それでは、まだ少し時間ございますので、NPT条約の延長問題について御質問をさせていただきます。
 河野大臣、国連での御演説をやっていただきまして、おかげさまで無期限延長がコンセンサスでできるという情報が来ておるわけでございますが、これができて、さあ次がしかし問題であろうかと思います。核不拡散であるとか軍縮であるとか平和利用であるとか、課題が山積をしておるわけでございますが、今回の無期限延長に関するコンセンサスができた評価、それから今後の我が国として取り組むべき課題は何か、こういう点についてはいかがでしょうか。
#193
○政府委員(杉内直敏君) 現在、ニューヨークでNPT再検討・延長会議が開催中でございますけれども、その現状をまず申し上げますと、去る五日に、我が国を含む百四カ国が共同提案しております無期限延長案を含めまして三つの延長決定案が総会に提出されたところでございます。そして、そういった状況を踏まえましてコンセンサス、すなわち総意でございますけれども、総意による延長決定のためダナパラ議長から、無期限延長決定、再検討プロセスの強化、そしてまた核不拡散と核軍縮の原則の三つの分野から成る議長調停案が関係国に提示されまして、同調停案につきまして現時点ではまだ同議長を中心とした大詰めの協議を行っているという状況でございます。
 我が国といたしましては、核兵器の究極的廃絶を求める立場に基礎を置きましてNPT無期限延長を支持してきておりまして、議長を中心とするこうした協議をも積極的に支持、支援してきているところでございます。同会議におきまして無期限延長が締約国の総意で決定されるとともに、核兵器の究極的廃絶を目標として着実な核軍縮への道筋が生まれることを期待しているところでございます。
#194
○野沢太三君 我が国は声を大にして、そしてまた他のどの国よりも先駆けてこの問題について取り組む必要と義務と権利があるだろうと私は思うわけでございまして、一層のひとつ御努力をいただき、さらにこの条約が実効あるものとして引き続き生きていきまするようお願いをいたしたいと思うわけでございます。
 ただ、これを見ますと、まだ非加盟国でどうも物騒なお国が幾つもあるやに見えるわけでございますが、今後そういった非加盟国に対する働きかけをどうするか。これはどうでしょうか。
#195
○政府委員(杉内直敏君) 我が国は、NPTが最も普遍的な核軍縮・不拡散の条約として新たな核兵器国の出現を防止してきたことを評価しておりまして、NPTが今後一層普遍的なものとなることが重要であるというふうに考えております。
 こうした観点から、従来から我が国といたしましてもさまざまな機会をとらえまして、いわゆる核疑惑国を含むNPT未加入国に対しましてNPTへの加入を呼びかけてきたところでございます。また、昨年の国連総会におきまして我が国が提案し、圧倒的多数で採択されました究極的核廃絶に向けた核軍縮決議案におきましても、さらには現在行われておりますNPT再検討・延長会議において河野外務大臣が行いました演説におきましても未加入国にNPT加入を呼びかけたところでありまして、今後も引き続きこのような努力を行っていきたいというふうに考えております。
 現在、このNPT再検討・延長会議は会期末に近づいておるところでございますが、同会議におきましても各国からNPTの普遍性が非常に強く強調されているところでございます。
 我が国といたしましては、各国とも協力しつつ、NPT未加入国に対しまして加入を働きかけていきたいというふうに考えております。
#196
○野沢太三君 今回の合意が形成されました裏舞台の話というのはいろいろあるだろうと思いますが、河野大臣の演説とあわせてやはり日本の経済外交、そういったものが大変物を言っていると、こういった報道もなされておるわけでございますので、今後ともひとつそういった努力を継続していただきたいと思うわけでございます。
 そして同時に、この条約が本質的に不平等条約だということを考えますと、これからはマイナスを縛るというだけではなくて、IAEAというせっかく立派な機関をつくったわけでございますから、この査察方法、特別査察等の方法を実効あらしめるものにした上で各国の平和利用のインセンティブというものをもう少しこの条約を一つのばねにして進めたらいかがかと思うんですが、これについてはいかがでしょうか。
#197
○政府委員(杉内直敏君) まず、査察方法の強化でございますけれども、IAEAによる保障措置制度の強化が必要であるということにつきましては関係国の共通の認識とたっておりまして、一九九二年以降、IAEA理事会におきまして、通常査察等により得られる情報に疑義がある場合などに行われる特別査察の実施のメカニズム、それから設計情報の早期提出並びに核物質及び非核物質の輸出入に関する報告制度についての合意がなされております。
 今後とも核不拡散体制を維持強化し保障措置制度の信頼性を維持していく上で同制度の強化は重要であるというふうに考えられ、我が国といたしましても、今後とも保障措置制度の強化、合理化のための作業を引き続き積極的に支援、協力していきたいというふうに考えております。
 また、平和利用の点でございますが、我が国といたしましては、現行のNPT体制は先進国間及び対途上国の平和利用協力を円滑に推進するための国際的な枠組みとしては基本的には有効に機能しているというふうに認識しております。
 ただ、今後ともNPT体制下におきまして核不拡散等に留意しつつ、原子力利用先進国として二国間及び多国間の国際協力の推進にできる限り貢献していく考えでございます。一方、IAEAにおきましては、その加盟国を対象として各種の技術協力が広範に進められてきておりますが、こうした協力はNPT第四条の精神を具現するものでございます。我が国といたしましても、これまで可能な限り協力をしてきておりますが、今後ともかかる協力を積極的に続けていく所存でございます。また、IAEAは、各国の真のニーズにこたえ、かつ優先順位の高い優良な技術協力案件を選定し、効率的に実施していくために、一層の努力を傾注すべきであるというふうに考えております。
#198
○野沢太三君 これと並行いたしまして、KEDに関します米朝協議がベルリンで行き詰まって、今、高官協議という段階で進められることになっておるわけでございます。先日もガルーチさんに韓国まで来てもらって、日韓米の相談をしていただいているということであります。
 こういう中で、アメリカと北朝鮮だけに交渉の主体を任せずに、韓国あるいは日本もそれぞれの立場でできることがいろいろあるんじゃないかと思うんですが、この点はいかがでございましょうか。
#199
○政府委員(川島裕君) 日本政府といたしましては、日朝国交正常化交渉の再開の段取りを話し合うべく、今、北朝鮮側と接触をしているところでございます。まだ具体的な時期、場所等々まで詰めるに至っておりませんけれども、仮にそういう話し合いの場ができますれば、日本政府としてもKEDOOの問題、軽水炉支援の問題、核開発の問題について当然日本の考え方を述べたいと思いますし、それは非常に意味があることではないかと考えておる次第でございます。
 他方、昨日も日米韓三者協議をソウルにおいて行った次第ですけれども、そこにおきまして、やはり韓国がこの問題、軽水炉プロジェクトにおいて中心的役割を果たす用意のある唯一の国であるということを確認したわけでございまして、この基本的な立場に立って三者足並みをそろえて北朝鮮の説得に当たっていくということ、これはこれで進めたいと考えている次第でございます。
#200
○野沢太三君 最後にもう一問。
 今お話のありました日朝関係の改善でございますが、与党三党の使節団が行きまして、前提なしにひとつ政府間交渉を始めようという合意をとってきたということであります。今の米朝協議の成り行き等もあり、なかなかタイミングは難しいかと思いますが、やはりこれはできるだけ、ゆっくり急いでと言った方がいいかもしれませんが、しっかりした立場を固めながら交渉の窓口は開いていくということが大事ではないかと思いますが、この辺の見通しについていかがでしょうか。
#201
○政府委員(川島裕君) 確かに米朝協議の結果とか見通しということもひとつ見ていかなければならないのでございますけれども、いずれにいたしましても、日朝国交正常化交渉再開のタイミングについてはいろんな状況を見ながら、北朝鮮とやりとりをしながら調整を進めていきたいと考えております。
#202
○野沢太三君 ひとつしっかり進めてください。
 以上で終わります。
#203
○清水澄子君 まず、外務大臣にお尋ねいたします。
 この条約の意義は、国連の平和維持活動が増大するのに伴って国連要員及び関連要員の安全の確保にあると、こういうふうに理解いたします。しかし、非常に何かこの中身がわからないというのか理解しにくいところが幾つもありますので、そこで私は、この条約の持つ問題点とそれからこの条約と密接な関係にある国内法、PKO協力法とのかかわりについて問題別に分けてお尋ねしたいと思います。
 まず、この条約の実効性についてですけれども、先ほどからも質問がありますように、もともと国連の平和維持活動が行われる地域というのは法秩序が破壊されている、そして混乱している地域であると思うわけです。そのような地域、受け入れ国に、この条約は、国連要員や関連要員に対する殺人や誘拐の行為を犯罪として認めて、その犯罪の処罰のために犯人を捕らえたり裁判をしなさいということを求めているわけですけれども、法秩序が破壊されているところで果たしてそういうことが可能だというふうにお考えでしょうか。私は非常に疑問に感じます。むしろこういう地域は実効性を確保するための具体的な手段すらたいという地域もあると思うんですね。ですから、外務大臣はこの条約の実効性についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、その点について御見解を伺いたいと思います。
#204
○国務大臣(河野洋平君) 清水議員がおっしゃるように、この条約は万能ではないと思います、少なくとも現時点では。PKOが派遣されるような状況というものは、おっしゃるように法秩序というものが完全にそこに存在するということでない場合が多いと思います。もっとも、今後、PKOというものがどういう場面で、どういう状況で派遣されるかということがよくわかりませんので、さまざまなケースがあるので一様に論ずることはできないと思いますが、これまで我々が目にし耳にしてきた状況から見ると、これはたかたかこのことが万能薬にたるというふうには思いません。かてて加えて、おっしゃるように、受け入れ側となるであろう国々がまだ締約国になっていないということも、さらにそれに輪をかけているように思います。
 しかしながら、少なくともPKO、国連平和維持活動を行っていこうとする国あるいは派遣される人々の安全を少しでも維持しようと思えば、何か我々はやらなければならない。しかも、それは二国間の条約ではなくて、やはり普遍性のあるものでまず考えるということであるとするならば、万能薬ではないけれどもこうしたものをやはりやっていくということに意味があるというふうに私は思うわけでございます。
 残念ながら万能薬ではないと今申しましたが、この条約をつくり上げて、この条約ができる限り多く効果を発揮するように、例えば受け入れ国側となるであろう国々が締約国とたることを慫慂していくとか、今後の努力もまた必要にたるのではないかと思います。
#205
○清水澄子君 これまでの国連平和維持活動においての死傷者はとても多いんですよね。三千八百十六名と言われているんですが、この数の中にはNGO要員とかそういう人たちは含まれていないと思うんです。そういう意味でも、こういう数字を見ただけでもこの国連平和維持活動というのは非常に危険度の高いものだという認識を持つわけです。
 では、これまでに国連自身は国連平和維持活動に当たる国連要員の安全を図るためにどのような具体的な措置をとってこられたのでしょうか。具体的な例で示してください。
#206
○政府委員(柳井俊二君) 御案内と思いますけれども、九三年の八月に国際連合活動の安全に関する国際連合事務総長報告というものが出されております。これによりますと、国連におきまして安全確保のために次のような措置がとられているということを言っております。
 大別いたしまして、一つは、PKOということでなくて、いわば平常のときの国連の活動に従事する文民の要員を対象とした措置がございます。その中に例えば国連それから専門機関の職員及び専門家に対して特権・免除を与える条約がございますが、そういうような措置が一つとられております。
 それから、安全問題を担当する職員といたしまして、事務総長のほかに事務総長が任命する安全調整官あるいは国連の各機関が指名する指定職員等を置いているということも報告してございます。
 それから、各勤務場所での安全対策の主たる手段といたしまして、安全調整官の承認を得て国別の安全計画をつくるというようなこともやっているようでございます。その他細かい手順も決まっておるようでございます。
 それから、平和維持活動に従事する要員を対象とするものといたしまして、一つは、PKOのいわゆる地位協定というものをつくりまして、その中で要員の特権・免除を定めるということが一つございます。
 それからPKOに従事する要員、特に軍事部門の要員につきましては、ある程度の武装をしているということで、自衛のための武器の使用が一定限度内で認められるということもございます。ただ、この報告書で強調しておりますことは、やはり安全という観点からも、このPKOの活動が関係当事者の協力と同意に基づくものであって、また中立的な立場で紛争に関与しないということも非常に大事なことであるということも強調されております。
 また、NGO等のメンバーに対しましても、国連としては可能な範囲で国別安全計画上の措置に基づく支援を行ってきたというようなことも含まれております。
 その他、現地におきましては、例えば緊急の場合のヘリの輸送でございますとかあるいは通信の確保等々、具体的ないわば物理的な安全措置もとられていると承知しております。
#207
○清水澄子君 そんなに安全であるなら要りませんよね、この条約。それほど万全に国連がこれまでさまざまな国連平和維持活動とかそういう活動にあらゆる安全な措置が機能していたのであれば、なぜこういうものをつくらなきゃいけないかということになるでしょう。これまでどういう危険があったのかということも伺ったけれども、これも公表されていないんですね。それから、どういう安全規則がつくられているのかということもわからないんですね。ですから、そういうことが秘密にされている状況の中で安全を守るこの条約というのは非常に説得力がないと私は見ます。私は、安全でたいからこれをつくるんだろうと思うんです。
 そういう状況の中で、これまで国連がとった国連要員への安全確保の方策というのがなぜ有効に機能したかったのか、その点は外務省としてはどういうふうにその原因を分析しておられるんでしょうか。
#208
○政府委員(柳井俊二君) まず第一に、PKO活動に一定の危険が伴うということは事実でございますし、また残念ながら犠牲老も出ているというのも事実でございます。
 他方、先ほど幾つか例示的に安全対策を挙げさせていただきましたけれども、その一つ一つが万全かといえばそのようなことはないわけでございまして、先ほど大臣もこの条約が万能ではないということをおっしゃっておりましたけれども、またその他の措置も万能ではないわけでございます。したがいまして、いろいろな角度からのいろいろな種類の安全措置をとって、できるだけ安全を確保するという努力が必要であると思います。
 これまでの安全対策は一応の成果を上げたものもあると思いますが、ただ最近におきましては非常に混乱の度合いが大きいとか受け入れ国の状況が非常に困難な状況にあるというようなこと、あるいはPKOの件数がふえてきた、あるいは規模が大きくたった等々の理由によりまして危険がふえてきたということがあろうかと思います。したがいまして、やはりこの安全の確保ということは最も大事なことでございますので、万能な措置ではございませんけれども、いろいろな措置をとって少しでも安全性を高めるということが必要だと思います。
#209
○清水澄子君 安全だなというふうに全然わからたかったんですけれども、何か非常に抽象的なんですよね。それはそうだろうと思う。だからこの条約をつくらたいと安全がなかなか確保できないんだろうと思います。
 そこで、現在行われている国連平和維持軍の安全確保は、まず受け入れ国の安全確保義務がありますね。そして、国連平和維持軍の地位協定の締結によるものと思いますけれども、これまで国連平和維持活動において受け入れ国との間に国連平和維持軍の地位協定に基づいて行われてきたものがあれば、それについて具体的な事例を挙げて、どういう安全があったかという内容を示してください。
#210
○政府委員(柳井俊二君) 今までの広く言いますとPKO、ただいま先生はいわゆるPKFのことを特におっしゃっていましたけれども、地位協定というものをつくってまいっております。いわゆる平和維持隊につきましては、例えばシナイ半島のUNEFIという活動でございますが、これは国連と受け入れ国であるエジプトとの間で地位協定をつくっております。
#211
○清水澄子君 ちょっと済みません。それでは、日本に一番関係のあるカンボジアの例を挙げて説明してください。
#212
○政府委員(柳井俊二君) カンボジアにつきましても国連とカンボジアの間で地位協定をつくっております。それから、我が国が参加いたしましたモザンビークのONUMOZというPKOにつきましても、国連とモザンビークとの間で地位協定をつくっております。
 その内容とするところでございますけれども、それぞれ幾つか相違はあると思いますが、例えば要員が現地で行う行為に関しまして一定の場合に現地の刑事裁判管轄権あるいは民事の裁判管轄権を免除するというようなことでございますとか、あるいは活動の拠点になる事務所等の不可侵というようなこと等々を規定しているというふうに承知しております。
#213
○清水澄子君 全然わかりにくいですね。例えば、カンボジアで高田警視正や中田さんの事件があったわけですね。これは、犯人をこういう場合捕まえて裁判をする義務があるはずですね。どうなったんですか。
#214
○政府委員(柳井俊二君) カンボジアの場合につきましては、これは当然でございますが、この条約の発効前でございますし、この条約が遡及適用されるということはないわけでございます。したがいまして、この条約で規定しているような裁判にかける義務あるいは逃亡犯罪人の引き渡し義務というようなものはあの当時は存在していなかったわけでございます。
 ただ、カンボジア現地当局と国連が協力して事実の捜査というのを行ったわけでございますが、残念ながら非常に混乱した中で正確な事実関係はこれまでわかっておらない、そういうことでございました。
#215
○清水澄子君 ですから、ああいう状況の中で幾ら地位協定があってもその結果は、そういうふうに犯人を挙げたり裁判ができる状況ではなかなかないわけですよね。しかも、そういう中で地位協定が結ばれているといっても、何が結ばれているかその中身がほとんど公表されないというところがむしろ非常に問題だと思うんです。
 ですから、地位協定の中で何が約束されているのかということを私は聞きたいんですけれども、これは外務省に聞いてもわからないということであったんですが、ぜひこういうものを公表するように私は要求をしていってほしいと思います。
 時間がありませんので、次へ行きます。
 この条約の対象にたっている範囲ですけれども、第一条では適用上の定義がされております。第一条の(c)項に「国際連合活動」という定義があって、そしてその中の(A)に「この条約の適用のため、安全保障理事会又は国際連合総会が当該活動に参加する要員の安全に対して例外的な危険が存在する旨を宣言したこと。」とあるんです。そうすると、ここで言う「例外的な危険」の存在というのは一体具体的にはどのようなものが想定されているわけですか。具体的な一つの例で言ってください。
#216
○政府委員(柳井俊二君) この第一条の(c)項の(A)というところで言っております「例外的な危険」の具体的な判断基準につきましては、現在のところまだ具体的に明確にはなっておらない次第でございます。今後の国際連合における運用の積み重ねの中で確立していくものであろうというふうに考えております。
 この条約の交渉の段階から、我が国といたしましては、PKOのみならず国際連合が実施する人道的な国際救援活動等についてもこの条約を広く適用すべきであるという主張を行ってまいりました。ただ、それに対して慎重な議論もございまして、いわば妥協の産物としてこのような規定ができたわけでございます。規定がこのような形になりましたので、我が国といたしましては、今後の運用上、いわゆる「例外的な危険」というものの認定につきましてはできるだけ柔軟にすべきであるという主張を採択のときに行っております。また、多くの先進国も同様の意見を開陳した経緯がございます。
 この条約の発効後の運用に当たりましては、ぜひそういうところに留意して効果的な運用を図っていきたいというふうに考えております。
#217
○清水澄子君 ですから、現在はまだこの人道の援助組織とかそういうものは適用外ですね、現時点では。
#218
○政府委員(柳井俊二君) 適用外ということではございませんが、ただ「例外的な危険」というのが具体的にどういう場合かという点についての基準と申しますか先例がまだないということでございます。これを広く柔軟に運用することによって、できるだけ人道的な活動にもこの条約が実際に適用されるようにしていきたいという趣旨でございます。
#219
○清水澄子君 それでは、この条約の第二条の「適用範囲」ですけれども、第二項に、国連憲章の第七章の規定に基づく強制行動による戦闘行動であり、かつ国際武力紛争については適用対象にならないとありますね。そうなりますと、一九九一年一月に行われた湾岸戦争のような類型のものは適用の対象にならないと理解してよろしいでしょうか。
#220
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘の湾岸戦争の際に編成されましたいわゆる多国籍軍でございますが、これは御案内のとおり参加各国の軍隊でございます。ただ、国連との関係におきましては、安保理決議のたしか六七八号だったと思いますが、におきまして、ある場合には最終的には武力行使も許容されたというものでございます。
 この条約の第一条(c)項でございますが、そこの柱書きには「国際連合憲章に従い国際連合の権限のある機関によって設けられ、かつ、国際連合の権限及び管理の下で実施される活動」というのが国際連合活動としての定義になっているわけでございます。したがいまして、この定義に照らせば、湾岸戦争のときの多国籍軍のようなものはこの条約の適用される国際連合活動には該当しないということでございます。
#221
○清水澄子君 それたら国連のこの間のソマリア活動の枠外にあったアメリカの緊急作戦部隊についても適用の対象にならないと見てよろしいんですか。
#222
○政府委員(柳井俊二君) ソマリアにつきましては、いわゆる第二次国連ソマリア活動は安保理決議によりましてその任務において憲章第七章に基づく強制措置も行い得るという権限を与えられた活動でございました。そのような活動でありましても、いわゆる交戦あるいは武力紛争に係る法規が適用される場合を除けば適用になるわけでございます。ただ、このようなものに該当しない多国籍軍というようなものにはこの条約は適用にならないということでございます。
#223
○清水澄子君 外務省というのは、条約の批准というのはとても必要なものでも、長い時間をかけても批准してもらえないことの方が多いわけですけれども、この条約は昨年の十二月に国連総会で可決されて成立したものですね。それからまだ半年もたたないうちにこういうふうに国会での審議という事態なんです。しかも、現在締約国はデンマーク一カ国のみだという中で日本は批准を急いでいると思いますけれども、なぜこの条約の批准をそんなに急ぐんでしょうか。これだけ急がなきゃならない理由を私は大臣にお答えいただきたいと思います。
#224
○国務大臣(河野洋平君) こういうものをなぜそんなにゆっくりやるんだと言っておしかりを受けることはよくありますが、なぜ急くのかと言っておとがめをいただくいわれは余りないように実は思うわけでございます。
 国際的にこの種の重要性について多くの国々の代表が相当な時間を費やして練り上げたものでございます。そして、これは我が国だけの問題ではない、世界各国がPKO活動に参加をしているわけで、これは正直もう十分条件を満たしているからいいではないかと言えば別ですけれども、それぞれの国が努力をしてこういう締約を行うことによってこれは発効されるわけであって、我が国と関係がないからやらなくてもいいというわけにはなかなかいかないところもあるのだろうと私は思います。
 国際社会の一員として果たすべき役割でもあるというふうに思いますので、先生からなぜ早くやるのかという御質問は、心外と言うとおしかりをいただくかもわかりませんが、よく御質問の趣旨が理解できないところでございます。
#225
○清水澄子君 なぜ私がそういうことをお尋ねするかというと、本当に早いと思うんです。いろんな条約で急がなきゃならないものがもっといっぱいあるのに、それは物すごく、何年も何十年も置いてあるわけです。
 私がここでそれをお聞きしたのは、この条約の批准と発効によって日本からもPKOに参加しやすくなるんじゃないか、またいわゆるPKFの凍結解除もしやすくなるという条件づくりのようにも感じられるわけです。ですから、大臣、もう一度PKF凍結解除との関係はどうなのかということを御発言ください。
#226
○国務大臣(河野洋平君) 何か下心があるんじゃないかと言わんばかりの御質問でございますが、そういう下心はございません。PKFについては、これはまた国会で御審議をいただくわけでございまして、そのときに十分御審議をいただけばいいのではないかと思っております。私どもは、PKFの解除を早めたいためにこれをやっているのではないかという御質問であるとすれば、それは明確にそうではございませんとお答えを申し上げます。
#227
○清水澄子君 次に、日本のPKO等協力法とのかかわりですけれども、PKO等協力法の第十条の「協力隊の隊員の任免」の規定には、日本の平和協力隊は本部長である内閣総理大臣の任命にたっておると思います。しかし、こちらの条約の規定によれば、国連要員は国連事務総長により任用または配置された者とあります。ですから、この条約の保護対象になる場合、日本の平和協力隊隊員と国連要員として扱うという国内法と条約との関係ですが、どこでどういうふうにつながるんですか。
#228
○政府委員(柳井俊二君) 御案内のとおり国連のPKOの要員は各加盟国が提供するわけでございます。これは一人一人の要員の場合もございますし、あるいは部隊として提供するという場合もございますが、いずれにいたしましても要員は加盟国の提供する要員ということになっているわけでございます。
 先ほど御指摘のございました国際平和協力法第十条の任命というのは、自衛隊員ばかりではございませんが、文民の場合もございますけれども、これは我が国が我が国の要員を参加させる、そのために任命すると。具体的には国際平和協力隊員になるわけでございますが、そういう任命行為でございます。任免でございますからやめさせる場合もございます。それから、国連の方のこの条約の第一条に言っております任用とか配置は、これはそのようにして各国から提供をされました要員を国連のPKO等の活動の中でどこにどういうふうに任命するあるいは配置するかといういわば受ける側の方の行為でございます。
#229
○清水澄子君 そうすると、そういう場合、何で約束するんですか。それは何かちゃんと契約するんですか。文書ですか。
#230
○政府委員(柳井俊二君) たくさんあるPKOのすべてについては承知しておりませんけれども、通常はこういう種類の要員を何名ぐらい出してくれというような要請が国連からの口上書によってなされまして、それに対しまして公文書、やはり口上書の場合が多いと思いますが、それでは我が国はこれだけの要員を出しますというような返事を出すという形で取り決められていると承知しております。
#231
○清水澄子君 そうすると、その日上書の内容というのは公開はできるものですね。
#232
○政府委員(柳井俊二君) それは今までもお知らせして、公にしていると記憶しております。
#233
○清水澄子君 きょうはもうそれ以上入りませんが、今度のゴラン高原のこれも、いつどこでどういうものか聞いても、よくわからない、話があったんだということですが、これを口上書と言うんですか。
#234
○政府委員(柳井俊二君) 口上書と申しますのは外交文書の一つでございます。これは国連との間で交わしているものでございまして、我が国の場合は、御承知のとおり、国際平和協力法におきまして手続も非常に厳密に規定しておりますので、具体的には閣議決定をいたしまして、どういう業務をどういう機関、どこでやるかということを実施計画で決めまして、さらに細かいところは実施要領という形で国際平和協力本部の本部長の決裁で行っているわけでございます。
 この閣議決定をされました実施計画は相当細かく書いてございますが、これはこの法律によりまして直ちに国会に報告することになっておりますので、従来から、あるPKOに参加した場合にはこれをすぐ国会に御報告申し上げております。
#235
○清水澄子君 口上書というのは、これからきちんと内容が公開されると受け取っていいですね。
#236
○政府委員(柳井俊二君) 従来どおりの取り扱いをさせていただきたいと思います。
#237
○清水澄子君 この条約の第七条は国連要員及び関連要員の安全確保義務ですけれども、受け入れ国が保障できない場合は国連及び他の締約国と協力すると。しかし、その協力の中身は触れられていませんけれども、この規定が想定している協力というのはどういうものなんでしょうか。
#238
○政府委員(柳井俊二君) この協力の内容につきましては、それぞれの状況によっていろいろ違ってくるとは思いますが、例えば国連要員及び関連要員の安全を確保するための情報の提供でございますとか、あるいは物資の提供あるいは犯罪の捜査に必要な情報の提供等々が考えられると思います。その他、例えば現地の警察官の研修とか指導、技術協力というようなことも考えられるところでございます。
#239
○清水澄子君 それだけで安全が守れますか。結局、受け入れ側の法的な秩序が崩れている場合に、自分で自分を自衛しなければならないとかありますね。さっき申されたように、この規定が想定している協力というのは例えば情報の提供とか食料を運ぶとか、そういうものだけですか。
#240
○政府委員(柳井俊二君) 初めにお断りいたしましたとおり、どういう場合にどういう協力が必要かということにつきましては、ケース・バイ・ケースに判断していく必要があると思います。先ほど具体的な措置をごく例示的に申し上げた次第でございますが、先ほど申し上げたようなことに限らず、その場その場での最も適切なことを行っていくということでございまして、これは何も限定的な規定ではないと思います。
#241
○清水澄子君 この辺も私はよくわからないです。例えば日本の平和協力隊の場合、そこに安全が確保されないという場合には自警団をつくったりそういうふうなことをやるんだという説明を外務省から受けていたんですけれども、そうしますと何かよく理解できないんですね。この条約は国連から派遣した要員の安全を求めている条約なのに、自分の安全は自分で守りなさいと、そして自分の周りを警備活動しなきゃならないということの中で、結局それは相手の国の主権との関係も出てくるという状況も感じられるんですね。ですから、この条約というのは何かすごく矛盾が多い条約だなと見ているんですけれども、そういうふうにお感じになりませんですか。
#242
○政府委員(柳井俊二君) 矛盾とおっしゃる意味が必ずしもよくわからないのでございますが、初めにもお答え申し上げたように、一つ一つの措置にはそれぞれ限界があるわけでございまして、特に現地の警察、司法機能が低下したような場合にとり得る措置というものには万能なものはたいだろうと思います。ただ、そういうような中でもできるだけの安全措置をとる、そして受け入れ国だけで十分な措置がとれない場合には国連なりあるいはほかの加盟国が協力して、そういう体制を少しでもよくするという趣旨でございます。
#243
○清水澄子君 条約についてはそれで終わります。
 次に従軍慰安婦のことですけれども、この五月二十三日に国連人権委員会特別報告官のクマラスワミさんが来日されます。政府はクマラスワミさんの来日目的についてどのような認識をお持ちでしょうか。
#244
○政府委員(高野幸二郎君) 今お話がありましたように、この二十三日に国連人権委員会のクマラスワミ女史が訪日されます。同女史から私どもの方に訪日の連絡がございましたときにお手紙をいただいております。その手紙によりますと、そもそもこの訪日の目的というのは女性に対する暴力、とりわけ戦時における性的奴隷の分野に関する情報収集及び建設的対話ということにたっております。
 私どもといたしましては、そういうことで来日される同女史に対してできるだけ協力申し上げたい、そういうことによって従軍慰安婦問題についての同女史の理解が深まれば結構なことではないかというふうに考えております。
#245
○清水澄子君 私が聞いていますのは、クマラスワミさんの来日目的には、日本の従軍慰安婦問題の法的違法性について明らかにしたいというふうに伺っております。
 政府は、一九九三年の七月下旬にソウルで元従軍慰安婦であった人たち十六名から聞き取り調査をなさったわけですが、これは日本国内にはみんなが公表すべきだと言っていましたけれども、公表されておりません。こういうものも含めて、このクマラスワミさんの調査に対して協力をなさる意思がおありなんでしょうか。
#246
○政府委員(高野幸二郎君) 先ほど申し上げましたとおり、私どもといたしましては、同女史が滞日中、その本来の目的を果たされるようにできるだけ御協力申し上げたいというふうに考えております。そういう観点からいたしまして、同女史が来られて具体的にどういう資料の入手を希望されるか、それを承知した上で具体的には私ども判断させていただきたいとは思いますが、一般的に言えばできるだけ協力させていただきたいというふうに考えております。
#247
○清水澄子君 もう一度確認しますけれども、これは慰安婦問題で調査に来られるんですよね。
#248
○政府委員(高野幸二郎君) 同女史の御関心がいわゆる従軍慰安婦問題にあるというふうに私どもは認識はしております。
 ただ、先ほども申し上げましたように、繰り返しで恐縮でございますが、同女史のもともとのお立場というのは、議員御承知のとおり、人権委員会におきます議題の一つであります女性に対する暴力、これの特別報告者で三年間の任期で活動しておられます。その同女史の本来任務の中で従軍慰安婦問題も御関心の一つである、そのこととの関係で訪日されるというふうに理解しております。
#249
○清水澄子君 そうすると、慰安婦問題は一つの関心であって、あとの性的奴隷というと何でしょうか、日本で。
#250
○政府委員(高野幸二郎君) 今のところ、私どもといたしましては、それ以外に御関心事項があるというふうには承っておりません。
#251
○清水澄子君 それでは次に移ります。
 先月二十八日に化学兵器禁止条約の批准を国会で承認したわけですが、この条約の批准の目的の一つに中国に残された旧日本軍の化学兵器の処理があります。それで、実際の処理に当たって、今までの政府の御報告では、処理の内容とか処理技術に見通しが立たない、それで来年度の概算要求が見送られる見通したという、そういう報道もなされているわけですけれども、この条約上は十年以内に日本が処理する義務を負っていると思います。この条約の履行義務を前提に、中国に遺棄された化学兵器の処理見通し、それについてはどのような御認識でしょうか。
#252
○政府委員(川島裕君) まず、概算要求云々の報道につきましては、これは全く事実無根でございまして、まだ方針は決定しておりません。
   〔委員長退席、理事猪木寛至君着席〕
 それから、化学兵器禁止条約の脈絡でこれまで本件について御審議をいただいたわけですけれども、私どもといたしましてはこの条約の精神を踏まえつつ従来からやってきたわけで、その意味で化学兵器禁止条約に今般日本が当事国となるかどうかの前からやっていたつもりでございます。
 そして、化学兵器禁止条約の法的義務という脈絡でございますと、これは日本と中国の両方が入っていなければ法的なものは生じないと思うんですけれども、そういうのにまつことなく、いずれにせよ日中共同声明、日中平和友好条約及び化学兵器禁止条約の精神ということでこれまで対応してきたわけでございます。
 それで今の段階は、引き続きまずは現地調査ということで、どこにどれぐらい埋まっているかということを把握したいと次のステップに移れないということでございます。行く行くは、それを掘り出して、どこかに収納して、その上で、その収納してある場所のそばになるんだろうと思いますけれども、これを焼くなりなんなりして無害化する工場みたいなものを建てる必要があるというのが物理的な段取りとしては見えているわけでございます。
 ただ、現在の時点では、事務的な体制としてそういうのをどうやっていくかということについては、まだ政府部内では詰め切っていたいというのが現状でございます。
#253
○清水澄子君 この化学兵器ですけれども、これが遺棄されてきたということは、中国からジュネーブの軍縮会議に提出されたそういう資料から日本はそれをもう認めているわけです。残したことは認めたわけですが、政府は、日中戦争、第二次大戦において旧日本軍が中国においてこの化学兵器を使用したということをお認めになりますか。
#254
○政府委員(川島裕君) 本件に関しましては、防衛研究所に保管されております戦史資料によれば、旧軍がくしゃみ剤などの非致死性の化学剤を充てんした兵器を多用したと考えられる由でございます。
   〔理事猪木寛至君退席、委員長着席〕
 いずれにいたしましても、この遺棄化学兵器の問題については、今申しましたとおり、今後の処理を踏まえて、まずは調査に全力を挙げているというのが実態でございまして、そのために引き続きいろいろ中国と協議も続けたいと考えております。
#255
○清水澄子君 そこにある文献でなくても、中国から帰還した兵士の会というのが日本にはいっぱいあります、帰還者の会という、中国から帰ってきた。元兵士の皆さんがいろいろ証言をされております。そして、いつどういう指示を受けてどういう訓練を受けてどういう毒ガスを使ったという、そういう記録も証言も出回っておりますから、もう少しそういう点もきちんと正確に、こういう問題については私たちが後始末をしていかなきゃいけないわけですから、ぜひそれについてはもっときちんと真摯に調査をするということをやっていただきたいと私は要望をしておきたいと思います。どうですか、それは。
#256
○政府委員(川島裕君) 事実関係についていろいろ調べるべきではないかというお尋ねでございますけれども、まずは私どもは処理をどうするかということを重点にこれまで作業を進めていた次第でございます。
 ただ、今後中国側といろいろこの処理を踏まえてやりとりする中で、使用の実態等についても事実関係が明らかになれば、それはそれとして歴史的な重みを持つ事実として受けとめたいとは考えております。
#257
○清水澄子君 この中国側の資料がジュネーブに出されて、そして中国側から日本に来ていますね、その実態の資料が。その資料によりますと、中国に遺棄された旧日本軍の化学兵器によって中国人民の生命といいますか生活環境に重大な危害を及ぼしたと書かれています。そしてそこでは、初歩的な統計によれば、化学砲弾とか化学剤によって中毒症状をこうむった者は二千人余りに達していると。それからまた、吉林省なんかでは水源地のダムの上流に数多くのそういう兵器が埋められて、ひどく腐食をしているためにこれがもし漏出した際には現地が大変な災害を受けるということが出ているわけです。
 こういうふうな遺棄した化学兵器による被害、それが日本のものであるというときに、これは戦時中ではないです、今起きていることですから戦後ですよね。そうすると、こういう被害に対しては日本政府は補償をする義務も責任も一切ないとお思いでしょうか。
#258
○政府委員(川島裕君) まず、二千人という数の被害があったということが中国側の調査で出されていることは御指摘のとおりでございます。ただ、中国側とのやりとりにおいては、どこの地域でどういう方がという具体的な被害についてのやりとりは行われたことはございません。
 それで、調査を急いでおりますのは、ほっておくと腐食が激しいというようなそういう状況にあるとすれば、そこはさらなる損害を防ぐという観点から急ぐべきであろうということは私どもとしても認識しているわけでございます。
 御質問が、今起こっている被害であるから補償する必要があるのではないかということでございますれば、これは旧日本軍が戦争に際して残したものでありまして、やはり戦争にかかわる日中間の請求権の問題であると考えておるわけでございます。これは一九七二年の日中共同声明発出後は存在していたいというのが我が国の立場でございます。
#259
○清水澄子君 そういう答弁で本当によろしいでしょうか。遺棄されているのがわかったのは最近でしょう。中国がこれをジュネーブの軍縮会議に提出して、そしてこの問題が提起されて初めてこれは日本との二国間で解決すべきだということで、九二年でしょう。そういうものが今わかったわけですけれども、それは戦争中のことだから日中共同声明で一切補償も何もしない、これから被害が出てもそれは前の問題ですということになりますか。
#260
○政府委員(川島裕君) 私どもの認識は、これはやはり戦争にかかわる日中間の請求権の問題であるということでございます。ただ、遺棄化学兵器を処理すべきであるという話は、累次申し上げているとおり、これはきちんと対応せねばならないということで、これまでまず調査をやってきている次第でございます。
#261
○清水澄子君 それでは、これは絶対補償しないということですね、どんな事態が起きても。
#262
○政府委員(川島裕君) 戦争にかかわります日中間の請求権の問題につきましては、ただいま累次申し上げたとおりでございます。
#263
○清水澄子君 最近、中国人強制連行による花岡事件の遺族や生存者が、これは鹿島建設やいろんな民間の企業に対してもですけれども、賠償を求めてこの六月に提訴するというふうに報道されております。また、五月四日には中国の外務省のスポークスマンが幾つかの件については補償が必要であると、こういう記者会見をしております。その場合も日中共同声明を認めつつですから国と国の間はもう終わりですと、しかし民間賠償が必要であるというふうな発言をしておりますね。
 この問題では、さっきの化学兵器のことも含めて今後こういう問題が、幾つかのというのは、私は幾つかやはりそこに課題があるんだと思いますけれども、化学兵器もこれから必要になってくるんじゃないかなと思います。それ以前に中国人の強制連行による花岡事件の人たちの問題については本当にこれは私は民間賠償の必要があるんじゃないかと思っていますけれども、日本政府は中国政府のこうした見解をどのように受けとめておられるのか。これは外務大臣、ぜひお答えください。
#264
○政府委員(川島裕君) ちょっとその前に御指摘のスポークスマンの発言についてだけ私どもの承知しているところを申し上げたいと思います。
 これは四日の定例記者会見で、民間団体や個人が日本政府に対して賠償を求めることを黙認するのか、認識するのかということに対しまして、「中国政府は中日共同声明の中で述べられている立場を堅持している。この点については如何たる変化もない。戦争が残したものが今に至っても依然人民民衆の心身に危害となっている問題について、我々は日本政府が責任ある態度を以て真剣に対応し、早期に効果的な措置をとり、適切に処理することを求める。この中には補償が必要なものもある。」と、こう述べておられるわけでございます。それで、基本的には日中共同声明の立場を堅持ということだと思います。
 それから、人民及びその財産に対する請求権、まあ個人の請求権ということでこれが放棄されているのかどうかという御質問であるとすれば、これは先ほどから累次申し上げておりますとおり、日中間においては中国人民及びその財産に係るものを含め民間人の請求権についても日中共同声明発出後は存在していないという立場たことは先ほど申したとおりでございます。
 ただ、個々人が我が国の裁判所に訴えを提起することが妨げられるものではないということはございまして、そのような請求が認められるかは司法府の判断によると、こういうのが私どもの立場でございます。
#265
○清水澄子君 私はまた違った向こうの発表のものを持っております。実際にそれを聞いてこられた方からのを持っています。ですから、国としては日中共同声明をちゃんと認めているわけですけれども、やはり幾つかの件についてはということはおっしゃっております。このことは違うんだということなのかどうか知りませんけれども、日本の方も道義的な責任のあるものはやっぱり真剣に考えるべきだと思いますが、最後に大臣、これをどうお考えになりますか。
#266
○国務大臣(河野洋平君) 政府としては、政府と政府のやりとりというものがあるわけで、国と国との関係というものはきちんとした約束、ルール、これは外すべきではないというふうに思います。今、政府委員が答弁申し上げましたように、個人の請求権については、これは個人が我が国の裁判所において訴えを提起することが妨げられるものではないということでございますが、この場合においてもこうした請求が認められるかどうかということ、私が予断を申し上げるわけにはまいりませんが、これは司法の判断によるものとしか言いようがございません。
#267
○清水澄子君 終わります。
#268
○猪木寛至君 先ほど時間がなかったのでちょっと聞き漏らしたのですが、金容淳委員長との話の中で、三月に与党三党が訪朝されて、その返礼として、今回私どもはイベントのお礼として日本にお招きしたいけれどもどうでしょうかということと同時に、三党を招待した意味で政府として、あるいはこれは自民党としてでしょうか、返礼の意味で招待する考えがあるかないか、お聞かせ願いたいと思います。
#269
○政府委員(川島裕君) これは党のベースの話でございますので、行政府サイドとして申し上げるべき立場にないのであろうかと思います。ただ、いろんな人の行き来というもの自体は、相互理解を増すという観点からは意味のあることであろうとは考えております。
#270
○国務大臣(河野洋平君) 党の問題で、私の立場としてはなかなか答えにくいところもございますが、党とすれば、三党が招かれて行ったという形になっておりますから、三党が合意し、いい機会があれば、それは今おっしゃるようなことも考えるということもあるかもしれません。しかし、まだ今のところ具体的にそうしたことは考えていないところでございます。現在は具体的に考えておりません。
#271
○猪木寛至君 できるだけ早い時期にと私は願うわけです。決まっていたいことですから日程を決めることはできないと思うんですが、ちょうど参議院の選挙も控えて、私としては時期としては夏ぐらいはどうでしょうかと向こうにお伺いを立てたときに、いい時期ですねという答えが返ってきたんですが、その辺はどうでしょうか。
#272
○国務大臣(河野洋平君) 直近に訪問された猪木議員のお話でございますから、よくお話は承らせていただきます。
#273
○猪木寛至君 それでは、PKOの方の質問に入りたいと思います。
 PKO法案が通るときに徹夜国会ということで、あのときのことがよみがえっできます。今回はその安全を確保するということで、この書類の中に二百六十九名の死者が出ていると書いてありますが、締結の意義というところで「この条約は、国際連合の平和維持活動等に従事する要員に対する殺人、誘拐の行為等を犯罪として定めこというところがあるんです。
 私自身、カンボジアにもちょうど自衛隊が派遣される前に訪問して、何度かその後も行っているんです。その後、二年前の十二月でしょうか、ソマリアに米軍が上陸したときに、一日おくれてセスナで、小さな飛行機で向こうに入ったときに、バイドアとそれからバルデラというところが一番ひどかったんです。テントが一枚張ってあって、その下に難民というか、その人たちが寝転がっていて、子供が死んでいく姿を見て、私なんか講演のたびによくその話をさせてもらうんですが、本当に生き地獄というのを見てきました。
 そのときに、ユニセフの人たちだけがそこに入っていて、やはり水の供給というのが一番大変だったと。ゲリラがそこへ来て水のタンクを壊してしまう、あるいはそれを持っていってしまう、それを今度はお金で買い取れというような条件交渉をしてくるというようなことでした。
 そのときにアイディドという将軍とコンタクトがとれまして、隠れ家と言っていいのか、そこへ案内されて約一時間半ぐらい話したんです。最初見たときに、とにかくこの人は、色のことを言うとちょっと語弊がありますけれども非常に黒くて、目だけがぎょろっとして、この人なら人を何人殺しても平気だなというような感じの迫力のある顔をしていました。ただ、そのときは米軍を大変歓迎するという意向を持っていたんですが、その後どういう経緯があったのか、結局逆に米軍に敵対する側に回ってしまった。それから、元の大統領がやはりある地域でまだ支配しているというような非常に複雑な状況だったんです。
 今回、その派遣する側とそれから派遣される側の人たちの気持ちというのがやっぱりすごく大事じゃないか。というのは、カンボジアに行ってもそうたんですが、それからモザンビークでも視察をさせてもらったときに、我々が頑張って行ってきてくださいともろ手を挙げて送り出していくのと、何となく反対もあり賛成もあり、その中ではっきりしない形で出ていくというのは、隊員にとっても何か解せないんじゃないかなと思います。
 そこで、新聞なんかを通じて見ますと、与党の中で何か意見が統一されていないということをお聞きしますけれども、与党の意見統一がなされているのかどうか、その辺についてちょっとお聞きしたいと思います。
#274
○国務大臣(河野洋平君) 猪木議員の御質問がゴラン高原への派遣ということであるとすれば、現在、与党で意見の調整が行われているということでございます。
 これはたびたび申し上げていることでありますが、過日、現地へ政府調査団及び与党三党の調査団が同じ時期に訪問をしたわけでございまして、与党調査団から調査報告書は出ておりますけれども、その調査団の調査報告書をどう評価するかということでしょうか。
 各党で調査団の報告書についての御議論をなされているというふうに伺っておりまして、まだ最終的に与党調査団の報告書に対する評価と申しますか、最終的な与党としての判断というものが行われていたい状況でございますが、極めて早い時期にこの取りまとめのための会合が持たれるというふうに伺っております。まだその結論と申しますか、どういう判断を示されるかについては承知しておりません。
#275
○猪木寛至君 私も一昨年の一月だったですか、国際問題調査会の委員派遣ということで、エジプトからクウエート、それからシリア、ヨルダン、そしてイスラエルと回ったときに、ちょうどシリアのゴラン高原、クネイトラを訪問させてもらいました。そこに立ってみると、我々がここで論じているのとは違う切実な問題というか、破壊された家がそのまま残っていて、実際にその離散家族というのが国境を隔てて、拡声機というか大きなマイクを持ってきて、それで日曜日か何かに連絡をとり合うということを見てきました。
 そのときにゲリラ的な事件が発生しましたというような情報が流れてきた。過激派というのか、イスラム原理主義というか、こういう人たちが暗躍する。カンボジアもポル・ポトの問題がありましたけれども、終わってみると危険というのはそれほどはなかったみたいに思います。
 今回、例えば派遣に当たって、やっぱり言語が違う、宗教が違う、ましてや酒が飲めない、いろんな問題が出てくる。この辺の現実の問題として、酒は一体飲めるんですかというようなことにも発展してくる。そしてやはり、与党の中できちっとした意見の統一のもとに隊員を派遣されるのであればしていただきたいし、その辺を十分慎重に検討していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#276
○国務大臣(河野洋平君) 政府調査団、与党調査団それぞれ報告書が提出されておりますが、政府調査団の報告書は、現地の状況あるいは技術的な問題その他を調査されて我が国からの派遣に問題はないという意味の報告書が出されております
 与党側からの報告書もおおむね現地調査の状況については政府調査団の報告書に近いものでございますが、一、二点留保すべきものがある。それは、一つは撤収。もし派遣したときに撤収の時期その他についてどういうことになるかと。これは、御承知のとおり、あそこのPKOは現地に展開されてもう二十数年を経ているわけで、我が国からPKOを派遣した場合にそれはどういうことになるのかという問題点があるのではないかというようなことが一つございます。もう一点は、武器使用の問題について確認をする必要があるのではないかという点がたしか指摘をされていたかと思います。
 これらの点につきまして、外務省といたしましては、早急に国連本部と連絡をとって確認をしろという御要請もございましたので、それらの点は国連本部と連絡をとって確認をして与党各党には御返事を申し上げておるところでございます。
#277
○猪木寛至君 終わります。
#278
○武田邦太郎君 PKOないし国連に関連する問題について若干私見を申し上げて、大臣のお考えを伺います。
 武力紛争をするところに行って武器を使わないで知性なりモラルによって問題を解決してもらいたい、こういう注文をつけるときに、そこへ行ってそういうことを呼びかける先進国自体が武器を使う。例えば旧ユーゴの場合なんかそうでありますけれども、これは重大な矛盾ではないかという気がするんですね。そういうことを考えると、武力でけんかをするなということを呼びかける先進国自身の国家としての姿勢を見れば、日本のように戦争放棄を宣言している国は一つもない、大変な武力を持っている。こういう状況がひいては各地の民族闘争、武力紛争の解決を至難ならしめているのではないか。
 今さら何を言うかというような話でありますけれども、文明の進歩なり科学技術の進歩なりで世界は非常に狭く小さくなりました。経済的に言えば一つのマーケットになりつつあるということがありますし、また地球環境の問題については少し過大に言っているじゃないかという見解もありますけれども、もう既に人類の運命が一つになっている。それから、ずっと前の話でありますけれども、大陸間弾道ミサイルの出現で、もし核戦争が起これはこれは敵味方とも破局を迎える。言いかえてみれば戦争手段は進歩の極限に達している。
 こういうことを考え合わせますと、我々はもうかつての歴史段階とは異質の歴史段階に生きているということで、例えば民族自決なんというようなことでは何事も解決しない、我々は全く新しい国際ルールたり民族モラルなりを要求されているではないかと。それを明確にしなければ、特に先進国は先駆的にそれをつくっていかなければ、途上国あるいはそれに準ずる国で武力による民族闘争が起こっても、それじゃおまえさんたちの姿勢はどうだと。そんなことは言わぬでしょうけれども、言われたらぎゃふんとなってしまうようた先進国、あるいはそういう先進国が非常に幅をきかせている国連であるというようなことについてどうでしょうか。
#279
○国務大臣(河野洋平君) 先進国とは一体何かという問題があるのだと思います。ただ単に経済的なもの、物質的なものをたくさん持っている、そういうものを指して先進国と言うのであれば、それは全くただ単なる先進国にしかすぎないと思います。物質的にも経済的にも豊かでありながら自制心を持つ、あるいは十分なモラルというものを持つということが、そうしたものの裏づけと申しますか、あるいはそれがむしろ前面にあるという意味で先進国と言われるたら、その先進国はある意味で尊敬を受けるに違いないと思うんです。現在、先進国と言われて十分な尊敬を受けるものであるかどうかというものは、先進国と呼ばれる国はそれぞれみずからの胸に問わなければならない部分がきっとあるだろうというふうに私は思います。
 議員先ほどおっしゃったように、PKO活動というものに積極的でありながら武力を行使するということであって果たしていいのかという問いかけというものは、私はPKO活動を行う者にとっては常につきまとうのだろうと思います。明石国連代表は、何も武器を使わない、それが本当の国連平和維持活動だと。
 先日もUNPROFORの本部で明石さんと話をしましたけれども、我々はUNと書いた自動車に乗って走ります。それはもうはっきり目立っているんです。ところが一方、迷彩服を着て目立たないように目立たないように動こうとする者もあるんです。我々ははっきりUNと書いて走ることがむしろ大事だと、そう思っていますということを明石さんも言っておられました。明石さんは、またあるところでは、PKO活動というものはショーウインドーのようなもので、だれかがガチャンと割ればそれは大きな音がしてみんなが大変なことだと言って集まる。みんなが集まるからウインドーも割れないんだ、そういうものなんですよとどこかで言っておられたことを伺ったこともあります。
 まさに武力で制圧するといいますか、押しつぶすという形のものはPKOではないというふうに私は思います。しかし、それだけにPKOが派遣されるためには、停戦の合意とかあるいはPKO派遣についての同意とか、そういうものがしっかり守られたところに行くということでありますが、ではそうなるまでの間に失われる人命というものはどういうことになるのか。それまでの間に多くの市民の犠牲も出るでありましょう。そういう犠牲となる市民の人命というものをどう考えるかということが、またつらい厳しい判断なのだろうと思います。
#280
○武田邦太郎君 先進国とは何かという非常に本質的な問題に言及をなさったわけでありますけれども、それは単なる平和とかモラルという意味からいえばネパールあたりの方がずっと先進国かもしれません。今、先進国と言われておりますのは人類の運命にとって現実に重大な影響を与え得る国、現に与えている国ということになりますと、これは日本なんかもその中に当然入りますし、国連の安保常任理事国の国々も当然その中に入るわけであります。したがって、この意味におけるこれらの先進国の責任は極めて重大だ、そういう意味で先ほど申し上げたのでありますけれども、大変私には快いお返事でした。
 そこで今度は、今、世界で持っている兵器産業のあり方ですが、これが世界の平和を維持し、各国の安全を守るのにちょうどいい兵器産業の種類なりスケールなりであるのか、それとも人類が自殺行為に走る危険にしょっちゅうさらされているような兵器産業の持ち方であるのか。
 ここでも問題になりましたけれども、国連の安保理常任理事国五つで兵器輸出の八割をやっているという指摘がありましたけれども、例えばソマリアにアメリカの軍隊が行って、そしてアメリカの兵隊さんはアメリカ製の武器を使う敵と戦うというようなことは、まことにアメリカにとっても人類にとっても悲しい姿でありますけれども、こういうことがやはり民族闘争に重大な問題をそこに秘めているではないかと。
 もちろん膨大な兵器産業でありますから、一挙にやめれば大変な経済混乱、失業問題を起こすわけでありますけれども、国連あたりの世界秩序を新しく生み出していく一つの羅針盤としては、兵器産業のあり方あるいは兵器輸出のあり方、これは日本は随分努力をしているわけでありますけれども、これをやはりいわゆる先進国の共通の羅針盤として持つようなことを、今すぐといっても時期は熟していたいかもしれませんけれども、時期が熟したらいわゆる先進国の間で、あるいは国連総会あたりで問題提起をしていただけるかどうか。余りに過剰な兵器生産をやっていると思うのですね。
#281
○国務大臣(河野洋平君) 現在問題になっておりますのは、核軍縮、大量破壊兵器をどうやって少なくしていくかという問題、これはしかし非常に限られた国が対象でございます。それから、おっしゃるように通常兵器をいかに軍縮をしていくかという問題がございます。それからそれ以外に一般の町中にまではんらんしつつある銃の規制、こういったものに対する関心も非常に強まっていると思います。
 今のお尋ねはいわゆる通常兵器だろうと思いますが、これらの問題につきましては、私も昨年の秋、通常兵器というものを何とかして減らしていく方法はないものかということを国連の演説では提起をいたしました。提起をすることまでは簡単でございますけれども、実際にそれをどうやって減らしていくのかということになると、これは現実問題としてなかなか難しいところがございます。我が国からの提案もあって、軍備の登録制、それから武器の移動についての登録制などを提案して、かたり最近では多くの数の国がこれに参加をしてくれておりますが、まだまだ十分ではございません。しかも、その軍備の登録は幾つか限られた種類でございますから、十分とは言えないものがございます。
 本当に深刻に考えなければならない問題であるという認識をいたしております。あるいはまた、非常に安易に使われる地雷のたぐいがどのくらい多くの死傷者を出しているかわかりません。こうした問題についても我々は真剣に考えていかたきゃならないことであると、そういう認識は持っております。
#282
○武田邦太郎君 もう時間が来たようでありますけれども、質問だけ申し上げます。
 通常兵器はもちろんでありますけれども、NPTなんかの形で今の核保有国が自分らの核保有はそのままにして核兵器が広がるのを抑えようとする。そういうことをやりましても、原発をロシアからイランにやる、これは明らかに将来の憂いとして核兵器を持つ素地を、種をまくようなものでありまして、そのゆえにアメリカは強硬に反対しておりますけれども、中国はこれに賛成する。こういう状態で、イランのみならずちょっとパワーのある途上国はこういう形で、現在のようなままでは核兵器の拡大を防ぐことは至難だろう。
 結局またいわゆる先進国の問題になりますけれども、核保有をしている国がまず核を廃絶すると。進んで言えば、日本みたいに戦争放棄ということを掲げて前進するのでなければ核の拡大は容易に防げたいのではないか。これはまたお返事をいただきます。
 終わります。
#283
○立木洋君 条約の前に質問させていただきたいのはゴラン高原のUNDOFの問題で、先ほど来問題になっておりますことで私も質問したいと思うんです。
 御承知の第四次中東戦争、これがイスラエルの占領地域の奪還ということを目指して起こった。そしてその直後の一九七三年の十月二十二日に安保理三三八決議がなされて、直ちに停戦を進めるようにと。それが一方の側であるシリアの方としては条件つき受諾という形をとったわけですけれども、その後、中東で和平会議が開かれたときにはシリアは参加しなかった。結局、その後アメリカなどの提起などもあって、一九七四年の五月三十一日、いわゆるイスラエルとシリア間における国連兵力引き離し協定の問題についての合意を見て、そしてその明くる日にUNDOFが派遣されるという決定に至ったということになっている経過だと思うんです。
 私はこの基本問題をちょっと考えておいていただきたいのは、この七四年五月三十一日にイスラエルとシリアの間で行われた兵力引き離し協定というのは平和協定ではないんです。これはその引き離し協定の中にちゃんと平和協定ではないというふうに明記されています。ですから、これは言うならばカンボジアだとかモザンビーク等で行われた平和協定がきちっとできて、どういう形での見通していわゆる平和を回復するかというふうなことが明確にされているものとは違う引き離し協定たんですね。
 既に先ほども問題になりましたように、この問題が二十年余りの非常に長期にわたっている。これは中東におけるその他のPKOの展開が大体長期にわたっているということの特徴の一つには、中東問題の複雑さというのがあるということは御承知のとおりだろうと思うんです。そうすると、イスラエルとシリアの間は平和協定が締結されていたい。先ほど大臣も言われたように、これからこの問題がどうなるか、どれくらいの期間でどうなるかという問題が一つあるのじゃないかというふうなことを言われましたけれども、両国間でまだ事実上、公的に言えば戦争状態にあるという状況で行われたこの引き離し協定、この協定についての性格、それから平和協定がどういう形でなっていくのかというその見通し、中東におけるイスラエルとシリア間の協定の問題とその問題の将来的な見通しの問題、その点についてまず大臣の認識を最初にお伺いしておきたいと思います。
#284
○政府委員(法眼健作君) まさに先生御指摘のようたいろいろの経緯を経て現在に至っておるわけでございますが、これをここ数年の期間に立ち戻って考えてみますと、一九九一年の秋に現在の中東和平プロセスがマドリッド会議という形でもって開始されてきているわけでございます。そしてそのプロセスで九三年の秋にはイスラエルとPLOの間で暫定自治に関する原則宣言が署名されておりまして、また九四年の秋にはイスラエルとジョルダンの間で平和条約が締結されております。そういったようた形でこれまでの和平プロセスは大きく前進したという認識でございます。
 一方、その他の当事者であるシリアそれからレバノン、これにつきましては引き続きイスラエルとの間で和平交渉がなされているところでございます。もちろんシリアとイスラエルの間にはゴランの、帰属につきましてはこれはもうシリアのものであるということについては明確な認識はございますが、シリアに戻る形態、これにつきましてはイスラエルとシリアの間で考え方に違いがございまして、それがまたクリアされなければならないわけでございます。そういった問題はございますが、両者間で中東のこれからの将来というものにつきましては、やはり戦いではたく和平と平和ということが基本であるという共通の認識があると思われます。
 そういった意味からも、今後いろいろな紆余曲折はあると考えられますが、和平プロセス自体はもはや不可逆的、後戻りができない、そういう状況に来ておりまして、そしてその後戻りができないというだけではなく、何とかそういう問題を乗り越えて包括和平を築き上げたいという認識を関係諸国の首脳及び国民は持っていると、このように私どもは理解しております。
#285
○国務大臣(河野洋平君) 今、詳細は政府委員が答弁申し上げたとおりでございます。
 私は、やはりこの和平の流れという大きな流れは、多少滞るところはあったとしてもこの大きな流れはやはり流れていくのであろうというふうに思います。その流れが急流になるかあるいは一時的に堰でとどまることがあるかはわかりません。しかし、この流れは和平へ向かって流れるであろう、そう思います。
#286
○立木洋君 今度のゴラン高原に行った政府の調査あるいは与党の調査、これも両方見せていただきました。その中でとりわけ強調されているのは、これらの関係諸国の間で経済的な開発の援助の問題を非常に重視したということ、このことが強調されているというのが私は一つの特徴だと思うんです。
 これはジョルダンのハッサン皇太子の発言なんかも出ていましたけれども、新聞の報道によると、これは正確に本人が述べたのかどうかわかりませんけれども、括弧づきで出していましたけれども、このいわゆるUNDOFによって平和がつくられるわけではないんだ、中東の平和と安全の条件から見てこれは第二義的な問題だ、こういう指摘がされているというんですね。
 今、ゴラン高原についての自衛隊の派遣問題で、慎重論の問題にしろあるいは反対論の意見にしろ、閣僚の中でもいろいろ御議論があるというふうなことも報道されているのに、なぜもっと経済的な問題を重視したようだ考え方に立たたいて何としてでも自衛隊を派遣するという方向に外務省が動こうとするのか、そこらあたりがよくわからぬのです。
 先ほどは下心がないというふうにおっしゃったけれども、私は下心があるとは青いませんけれども、どうもやっぱり納得できない。
#287
○政府委員(法眼健作君) ただいま先生は我が国の中東諸国に対する経済的な支援という点について御言及をたされたわけでございますけれども、実は先生が御案内のとおり、例えばパレスチナ支援というものについて考えますと、私どもは九三年の九月に二年間で二億ドルのパレスチナ支援というものを打ち出しまして、既に一億ドルは拠出済みでございまして、そして今年度中に残りの一億ドルを積み上げて拠出するということはもう決めてございます。そしてまた来年度につきましても、額は今申し上げる立場にないのでございますけれども、今これを十分積み上げて恥ずかしくないような支援をするということで一生懸命やっているところでございます。
 また、イスラエル周辺国としてエジプト、ジョルダン、シリア、レバノン、こういったところに対しても、例えばジョルダンに対しましては九四年度は無償の資金協力を三十億円、これは前年度の約三倍の支援をしておりまして、パレスチナ周辺国、それからもう一つ多国間協議、これは御承知のとおり当事国に加えて多国間、たくさんの国が和平を少しでも助長するようにということで水資源だとか難民だとか経済開発とか環境とか、そういったような問題でもって支援をしておるわけでございまして、これにも我が国は積極的に参画いたしております。
 こういったようなことで、ゴランがこれは副次的なものであって各国の支援が大事である。ゴランが副次的かどうかということにつきましては、それは議論がいろいろあろうかと思いますが、各国の支援が大事であるという点は、これは先生の認識と私どもの認識、全く同じでございます。そういった意味で、今申し上げたような形で各国の支援は十分に和平との絡みで大切であるということを念頭に置いて私どもとしては一生懸命やっておるということはひとつ御理解をいただきたいと存じます。
#288
○立木洋君 やっている方は一生懸命やっていると言うんですが、受け取る方にしたらこれでは足らぬのだ、もっと経済開発の問題で力を入れてほしいんだという要請が出されているというのは、向こうがそれで満足してもうこれ以上経済開発についての援助は要りませんという態度をとっているわけじゃないんですから、やっている側はやっていますやっていますと言ったって、それはやっぱり認識の相違が両者の間にあるのじゃないでしょうか。
 その問題では、私は特にこれ以上突っ込んでは言いませんけれども、ただ中東の問題では、戦後のあり方から見て日本政府の対応というのは非常に揺れてきたところなんです、中東に対する対策というのは。いわゆる油欲しさ以前の態度と、油の問題が最大の問題になってからのアラブ寄りになったというふうなことが言われた状況。では、今度はそういうところで本当に経済的にやって努力するのかというと、今度自衛隊を派遣すると。さらにまた変化を起こすのかというふうなことになってくると、日本政府の本当に平和の問題に対する認識の仕方が自己の利益だとかそのときそのときの立場によって変わった対応を中東にしていくなんというような問題は果たしていかがなものか。
 これは、この外務委員会でもこの中東問題に関しての議論というのはこれまでも何回も繰り返しあった問題なんです。そういうことが私は特に念頭にあるものですから今の点を強調したいわけです。
 そこで、このゴラン高原に派遣されるUNDOFの任務というのは一体何なんでしょうか。自衛隊のじゃない、UNDOFの任務です。
#289
○政府委員(柳井俊二君) UNDOFの任務につきましては、御案内のとおりいわゆる兵力引き離しの監視ということでございまして、その監視をまた支援する部隊もある。その支援部隊の方は現在はカナダが担当しているということでございます。
#290
○立木洋君 そうすると、あそこに派遣されているUNDOFというのはいわゆる国連兵力引き離しの監視軍です。だから、その地帯の監視を行うということ、これが唯一の目的です。それ以外の目的は何もないんです。それをあえて言葉上もたい、日本政府だけが使っている後方支援みたいな格好の言葉をつけるというのは私は納得できないんです。
 この任務は、PKO協力法の第三条第三号の国際平和協力業務のイで規定している武力紛争の停止の遵守状況の監視、これ自身なんです。これ自身の任務がUNDOFの任務なんです。そしてそのUNDOFに参加するのが自衛隊なんです。そのUNDOFに参加する自衛隊が輸送の任務を行うのだから後方支援でありましてというふうなのは私は若干筋違いではないか。これはもう既に御承知のように、PKFとして凍結されている業務部分が武力紛争の停止の遵守状況の監視そのものですから、それを構成しているのがやっぱり輸送部分でもある。だからこれはPKFの凍結に反するのではないか。
 だから、先ほど言われたようにUNDOFそれ自体の任務はただ一つしがたいんです。兵力の引き離しの監視なんです。それ以外の任務はないんです。これを支えているのがUNDOFなんです。そのUNDOFに参加するのが自衛隊なんです。その任務に加わるということは、どのような任務を分担しようとも、たくてはたらたい兵力引き離しの監視、本体そのものの業務をやるということになるんです。いかがでしょうか。
#291
○政府委員(柳井俊二君) 御案内の上での御議論だとは思いますけれども、国際平和協力法の凍結業務は三条三号のイからヘまでということになっているわけでございます。これは、部隊でもってこのような業務を行うことは当分の間凍結するという趣旨にたっているわけでございます。この三条三号の国際平和協力業務として掲げられております業務は、一つ一つのPKOの任務が何かということに着目してのことではございませんで、それぞれの具体的な業務をイ、ロ、ハ、ニとずっと掲げているわけでございます。
 そこで、確かにUNDOFの主たる任務が停戦の監視ということでございますが、ただその中にも後方支援的な活動もあるわけでございまして、その活動については、イからへに入っていないものであれば凍結はされていないということでございます。
 今回どういうことになるかわかりませんが、検討の対象になっている業務というのは第三条三号のタに規定する輸送の業務ということでございますので、イの業務ではないということでございます。
#292
○立木洋君 あくまでもあなたは後方支援という言葉をお使いになるけれども、後方支援という言葉は国連の文書の中にはたいんです。ロジなんです。いわゆる兵たん支援なんです。
 そして、PKOの問題が検討されたときも、PKO法案の三党再修正が出されて、PKFの本体の業務と複合したときにしか実施できないような後方支援の業務は事実上本体の業務と同じ扱いになるというふうに統一して見解が発表された。そういうふうにしてPKFが凍結されたわけです。
 問題は、ゴラン高原において兵力引き離しを行うという本体の業務と、便宜上あなた方が使っている言葉で言えば本体の業務と目的上分離された輸送業務があるのではないんです。輸送自体が兵力引き離し業務、目的に不可分のものとして組み込まれたものとして存在しているわけです。ましてや分野全体を扱う司令部要員が派遣されるということになるならば、唯一の目的である兵力引き離し監視軍、その目的を達成するための任務以外の何物でもないではないかということになるわけです。
 御承知のように、歩兵部隊も輸送部隊も通信部隊も、これは武装されている部隊であって軍隊たんです。そしてこれらの部隊は、イスラエル側ではゴラン高原のジウァニ・キャンプにいますし、シリア側ではファウアール・キャンプに駐留している。同じキャンプに駐留しているんです。これは間違いないですね。
#293
○政府委員(柳井俊二君) 基地といたしましてはUNDOF本部は、ちょっと発言は自信がございませんが、ファウアール基地というところがシリア側、それからジウアニ基地というのがイスラエル側にございます。
#294
○立木洋君 それで、武器の輸送の問題についてあそこの司令官に質問したのに対して、武器の輸送については司令官が何と答えたかというと、知る限りではなかったと言うんです。過去にはたかったということなんです。問題は、これまでこういうことが起こり得なかったと。起こり得ませんという保証じゃないんです、司令官の発言は。私の知り得るところではたかったと言っているんです。これから起こり得ませんかといって質問したのじゃないんです。だから起こり得ませんといって司令官は回答しているわけじゃないんです。武器の輸送は起こり得るんです。もしくは問題がいかたる事態かに発展していくことになるならば、そういう危険性をはらんでおる回答だと。現に重大な緊急事態が生じる可能性がないとは言ってたいんです。可能性が少ないと言っているんです、政府報告の報告の内容についても。これは厳密に読んでいただくとそういうふうになっているんです。だから、問題が起こり得る可能性は少ないのであって、ないのではないんです。武器の輸送は今後起こらないんではなくて、起こり得るかもしれない。今まではなかったと言っている報告書でしかすぎないんです。
 だから、そういうところに武器の輸送をすればもう本体業務そのものですよ。そういうことが起こり得る可能性があるところになおかつPKFを凍結している状況のもとで派遣するというようなことを決めるというのは、これはやっぱり国会で審議をされて取り決められた内容からも逸脱するものになるのじゃないでしょうか。大臣いかがでしょうか。
#295
○政府委員(柳井俊二君) 御承知のとおり、UNDOFはいわゆる伝統的なPKOでございます。だから、武器を持っていると申しましても、これは自衛のための最小限のものしか持っていないわけでございます。したがいまして、そういう性格、実態からいたしまして、ほかの国の部隊のために大量の武器・弾薬を運ぶというような実態はないということが基本的にあると思います。
 将来、それでは停戦が崩れたらどうなるかというような事態のときは、これは五原則の根底が崩れるわけでございますから、そのときは恐らくこのPKO自体が終わる、あるいは少なくとも我が国については撤収をする、こういう事態になるわけでございます。
#296
○立木洋君 それからもう一つは、年二回、四日間にわたる共同訓練を行うというふうに報告書の中では書いてある。これはカンボジアだとかモザンビークではあり得なかったことなんです、共同訓練というのは。これは本来のPKOだと。本来のPKOといえばこれはPKFなんです。そうすると、ここで言っている国連の兵力引き離し監視軍が一体とたってやらなければならないいわゆる業務たんです。いかに輸送業務だといったって、これは後方なんという言葉を勝手に日本政府がつけただけであって、国連の言葉の中には後方なんという言葉はないんです。いわゆるそれ自体が全部PKFなんです。
 そういうことになると、この問題は先ほど来問題にたっているように、行って問題が起これは撤収すると言ったけれども、撤収する事態の問題もきょうは私は時間がないからこれ以上質問を続けていくことができませんから次の機会にまたやらなければなりませんけれども、この共同訓練をやるということは一体何を意味するのかということと、それから結局、カンボジア、モザンビークのように平和協定があるところは任務の終了がいつの段階で終わるかということは大体目標が持てるわけですけれども、平和協定がないところは平和協定があるまでいなければならない任務を持っているわけなんです。ガリ事務総長が言っていますよ、今度の報告の中だって。イスラエルとシリアのいわゆるUNDOFについては引き続き存在することが重要であると、こう言っているんです。
 そうすると、平和協定ができるまでいなければならないんです。そういうときに日本だけが勝手に帰ることができるのかどうかという問題さえ問題になっているから、いわゆる期限がどうなるのかと言ったら、期限の問題については今はお答えする時期ではございませんと言って、午前中だったか何か担当官の方が述べられたけれども、こういう問題になってくるのは、もともと本来がこの業務自身がPKFの業務だからなんです。
 そういうことをも考えて、平和協定ができてたい状況のもとで、そしてPKFの仕事にいわゆる後方支援という言葉を使って参加するということ自体が問題なんだと。これは取り決められているいわゆるPKO協力法において凍結した部分に対する誤った態度であるというふうに指摘をせざるを得ないんですが、どうですか、大臣。もう最後の時間にたるので、最後にやっぱり大臣が言わないと話が締まらないのじゃないですか。柳井さんはもう結構です。大臣、今述べた幾つかの問題についてお答えいただきたい。
#297
○国務大臣(河野洋平君) 確かにUNDOF自体の任務は……
#298
○立木洋君 PKFですよ。
#299
○国務大臣(河野洋平君) そんなこと言ってませんよ。UNDOF自体の任務は、イスラエルとシリアの和平交渉のいかんによっていつまでその任務が続くかという問題はあると思います。しかし、そこに仮に日本が参加、協力をするとすれば、日本が参加をするのがいつからいつまでにたるかということは、UNDOFの任務が終わるまですべてカバーするかどうかということとは必ずしも一緒ではないというふうに今申し上げる以外にないと思います。
 この問題は少し仮定の問題になり過ぎておりますので私はこれ以上申し上げられませんが、現実に現地を見て現地で話を聞いてきた人たちがおられるわけで、今、委員も私もその人たちの報告書をもとにして議論しているわけで、現実に行ってこられた方々が、これから最終的にその報告書の評価などを与党の中では決められるわけですから、それらをよく聞いて、政府は政府としての報告書もございますから、十分我々は慎重に判断をしなければならないと思っております。
#300
○立木洋君 次の質問は次回にいたします。
#301
○椎名素夫君 このPKOの要員、関連要員の安全に関する条約ですか、安全に関すると書いてあるんですけれども、安全を確保するということじゃたくて、そういうことが起こったときには殺人とか誘拐とかその他の行為に及んだ者がきちっと罰せられるということなんですね、これは。
 つまり、先ほどから実効性ということについて随分いろんな御議論があって、確かに相当実効性は低いんだろうと私は思うんですね、現実の問題として。しかし考えてみると、今までは無法地帯に乗り込んで自分の身は自分で守れというような何か西部劇的な、今までも安全のためいろいろやっていますと言うけれども、結局行った方の話だけであって、ですからなるべくその法治ということを前面に出してこれからやっていこうというのは方向としては大変いいことだと思うんです。
 先ほど先進国というのは何かという話がありましたけれども、結局は一番大事なのは、それぞれの国、社会が法治のシステムを持っているか持っていないかというのは、これは金持ちかどうかということよりももっと大事な条件だと思うんです。今までも国際連盟とか国際連合というようなことでいろいろやってうまくいったりいかたかったりしますけれども、結局目指すところはそこたんです。ですから、そういう方向に向かっているということで、この条約はたちとしてはいいものだと思うんです。
 ただ、PKOに行く方はみんな署名したり締結したりしているけれども、受け入れる方はなかなかないというお話だったんですが、大体そのうちPKOに来てもらわなきゃと思っている国というのは余りたいんでしょうから、その勧誘というのも随分難しいんだろうと私は思うんですけれども、一体どういうようなせりふで勧誘することになるんでしょうか。
#302
○国務大臣(河野洋平君) それは、あなたのところは今にPKOの受け入れもしなきゃならぬ場合もあるかもしれないから早く入っておった方がいいぞなんという言い方はできないのだと思います。つまり言うとすれば、この条約というものはやっぱり普遍性が必要だと、すべての国が入るということが重要だということを言わたければいけないんだと思います。
#303
○椎名素夫君 それもまたいいことだと思うんですね。やっぱりこの条約に入るためには法秩序みたいたものがある程度しっかりしていないことにはいかぬということになっていますから、そういうような努力を促すという意味でもいいと。
 ですから、これは実効性があるないというようなことは、とりあえずは私はこれはもう余りないと思ってかかる以外にないんだろうというふうに実は思っております。けれども、こんだ条約といって捨ててしまうものではないというのが私の考えで、この批准には賛成なんです。
 安全ということを言いますと、PKO要員あるいは関係要員、一〇〇%完璧に安全というようなことを言い出すと、こういうPKOなんてやらないのが一番いいんですね。かかわりを持たなければ安全なんです。しかし、これからも日本、ほかの国もそうですが、日本がPKO活動というものにかかわりを持つとすると、どこかでやっぱり危険な状態に巻き込まれるということは覚悟しなきゃいかぬ。可能性ゼロということはないんで、可能性は排除できない。どこの国にとってもそうだろうと思うんです。その危険にもかかわらず、これは平和のためにやらなきゃいかぬということでやることだろうと思うんですね。
 ですから、やっぱりPKO活動というものは世界のために必要だという前提がそのまた前にある。そのあたりがどうも日本ではまだはっきりしていないんじゃないかという気がいたしまして、これはやはり危険ということを一切排除しなければできないというようなことではなしに、それにもかかわらず必要だということだと私は思っておりますけれども、そのあたりの議論は本当は基本としてきちっとやっておかなければいけないのじゃないかという気がいたします。
 先ほどからゴラン高原のお話は随分出て、与党の中で何かおやりになって、まあ妥当だろうという報告書があるにもかかわらずいつまでも決まらぬというのはどういうわけだというようなお話は、もうお答えがありましたからこれは省略いたしますが、今も立木委員からもお話があったようなPKOとPKFという問題が出てきますね。こういう区別をしているのは日本だけでして、そもそもPKOというのはPKOなんですね。その中にFとかいうのを入れたのは日本の法律なのでありますが、法律に違反することをやることは絶対いけない。
 しかし、余り無理なことをやっていると私はいけないのじゃないかと思うんです。やっぱりPKOというものに参加するんだったらPKOとして扱わないと、同じものをこっち側から、表から裏から見て、いや違いますとかたんとかいいかげんなことを言う癖が日本にはありますけれども、そういうものだということを前提にしてやるということは非常に必要だと思うので、私は見直し、PKFという言葉は余り使いたくないんですけれども、これはなるべく早くおやりいただくべきだと思っておりますが、そこらあたりはどうお考えですか。
#304
○国務大臣(河野洋平君) 前段の先生の御認識は非常に私にとっては示唆に富む御指摘でございました。
 ただ、私の経験からいうと、国際貢献は日本としてやらなきゃならぬ、これは積極的にやろう、こういうことは我が国は決心をしたわけです。そこで、国際貢献はやろう、しかし問題はその国際貢献をやるについてどういう国際貢献をやるかということでした。それについてはいよいよPKOとして我が国からも自衛隊も派遣しますよという決断をしたわけですが、私、自分自身の経験にかんがみて申し上げれば、やはり日本から外地へ若者を出していくということになれば、それは確かにPKOが必要な地域にはいろいろ問題はあるとは思います。思いますけれども、やはり我々が若者を出していくときには一人の命も失ってはならぬという気持ちを持って、できるだけ安全に、しかし任務をきちんと果たしてもらいたいという気持ちになることは当然なんだと思うんですね。
 危ないところへ行くんだから多少けがをしても、一人二人死んでも仕方がないというわけにはいかないわけで、それは当然のことですが、そうなればやはりどうやって安全に、しかし任務を果たしてくれるかということのためにいろいろ考えるわけです。それを少し過保護な教育ママ的など言われればそれはそういう御指摘もあるかもしれないけれども、しかし行ってくれという指示を出す以上はそれは当然のことなんだろうと私は思っておりまして、その限界はどうしても超えられないのでございます。
 しかし、それでは国際貢献をするんだと決心をしたにもかかわらず十分な国際貢献にならないではないか、少なくともPKOに参加すると決めた以上はその中にまたタブーをつくったり条件をつけたりすることはいかがなものかと。少なくともこの法律をつくるときに、まだ一度もそういう作業に国際的にも取り組んだことがたい我が国が、まず最初三年間ぐらいはフルタイム、フル稼働するのではなくて云々という議論が仮にあって、少したったらもう一度見直そう、こういう留保がついたということであれば、それは約束どおり一定の期間がたては見直すという作業はする必要があると思うんです。
 その作業には、カンボジアの経験、モザンビークの経験にちなみ、あるいはザイールの体験談だとも踏まえ、そしてそれらの評価もするということも必要だろうと思うんです。それから、それ以外に国会での御議論というものも十分伺わなければなりません。そうした議論を踏まえて見直すのかあるいはまだその時期でないという判断を下すか、それは今申し上げたような経験者の意見も聞き国会の御議論も踏まえた上の判断によるべきではないかというふうに私は思います。
#305
○椎名素夫君 見直すかあるいは今のままもう少しいくかという二つのチョイスをおっしゃったけれども、PKOというのはこういうものだったらやめちゃうということだってありますよ。
#306
○委員長(田村秀昭君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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