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1995/05/18 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 外務委員会 第13号
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1995/05/18 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 外務委員会 第13号

#1
第132回国会 外務委員会 第13号
平成七年五月十八日(木曜日)
   午後三時四十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十七日
    辞任         補欠選任
     大渕 絹子君     村沢  牧君
 五月十八日
    辞任         補欠選任
     村沢  牧君     大渕 絹子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田村 秀昭君
    理 事
                大木  浩君
                野間  赳君
                矢田部 理君
                猪木 寛至君
    委 員
                笠原 潤一君
                野沢 太三君
                矢野 哲朗君
                大渕 絹子君
                大脇 雅子君
                清水 澄子君
                松前 達郎君
                黒柳  明君
                武田邦太郎君
                立木  洋君
                椎名 素夫君
   国務大臣
       外 務 大 臣  河野 洋平君
   政府委員
       外務大臣官房外
       務参事官     谷内正太郎君
       外務省総合外交
       政策局長     柳井 俊二君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    法眼 健作君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大島 弘輔君
   説明員
       総理府国際平和
       協力本部事務局
       派遣担当参事官  國方 俊男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際連合要員及び関連要員の安全に関する条約
 の締結について承認を求めるの件(内閣提出、
 衆議院送付)
○平和的目的のための宇宙の探査及び利用におけ
 る協力のための損害賠償責任に係る相互放棄に
 関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間
 の協定の締結について承認を求めるの件(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田村秀昭君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 国際連合要員及び関連要員の安全に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題とし、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○大脇雅子君 国連平和維持活動に参加する国連要員の安全確保に関する国際条約は、一九九四年十二月九日、コンセンサス採択され、二十二カ国が批准して、三十日後の発効の運びとなっています。
 条約が成立した国際的な情勢とこの条約の意義、我が国が批准して後、果たすべき積極的役割について大臣にお尋ねをいたします。
#4
○国務大臣(河野洋平君) 国際連合平和維持活動、いわゆるPKOなどに従事する要員の死傷者の数が近年増加してきておりまして、これらの要員の安全の確保は、国際社会にとって極めて重要な課題の一つになってきたわけであります。このような背景のもとで、この条約は、昨年の十二月九日に第四十九回国際連合総会においてコンセンサスによって採択をされました。
 既存のテロ防止関連条約をモデルとしながら、これらの要員に対する犯罪を防止し、並びにその犯人を処罰するための法的枠組みなどについて定めるこの条約は、これらの要員の安全の確保に関する初めての国際約束として大きな意義を持っていると思います。
 また、この条約は、国際社会が国際連合の平和維持活動などの活動の重要性及びこれに従事する要員の安全に引き続き強い関心を持っていること、及びこれらの活動の効果的な実施のために今後とも協力を行っていく決意を持っていることを示すものとして重要な意味を持っているわけであります。
#5
○大脇雅子君 それでは、本条約の内容について御質問いたします。
 本条約は、第二条一項において「前条に定める国際連合要員及び関連要員並びに国際連合活動について適用する。」と定めています。この場合、例えば湾岸戦争における多国籍軍は含まれないと解してよろしいでしょうか。また、人道援助活動につきましては、真っ先に食料や資材を運ぶという活動で常に強奪の危険などにさらされているわけですが、人道援助活動はどこまで含まれるのでしょうか、あるいはまた含まれる要件についてお尋ねをいたします。
#6
○政府委員(柳井俊二君) この条約の適用範囲でございますが、この条約の対象となる活動すなわち「国際連合活動」とは、国際連合憲章に従いまして国連の権限のある機関によって設けられ、かつ国際連合の権限及び管理のもとで実施される活動であって、第一に「当該活動が国際の平和及び安全の維持又は回復を目的とするものであること。」第二に「この条約の適用のため、安全保障理事会または国際連合総会が当該活動に参加する要員の安全に対して例外的な危険が存在する旨を宣言したこと。」のいずれかの要件を満たすものを言うわけでございます。
 そこで、具体的な例でございますけれども、この規定によりましてカンボジアにおけるUNTAC等の活動、いわゆるPKO活動でございますが、これはこの条約の適用の対象になるわけでございます。
 それから、国際連合活動とされる人道的な救援活動がございますが、これにつきましては、安保理または総会によって例外的な危険が存在するという宣言がございます場合には、人道的な救援活動にも適用されるということでございます。
 ただ、多国籍軍のような活動につきましては、この国連憲章に従って国連の権限ある機関によって設けられたものということは言えませんので、このような活動には適用がないということでございます。
#7
○大脇雅子君 人道援助につきましては、例外的な危険の存在の宣言がなされる場合にはこの条約が適用になるということですが、条約作成の際、これをめぐってどのような議論がなされたのでしょうか。そして、効力発効後のこの条項の運用に関してどのような認識を持っておられるでしょうか。
#8
○政府委員(柳井俊二君) 先ほど先生も御指摘になられましたけれども、人道的救援活動につきましてもいろいろ危険な状況において活動することが多いわけでございます。そこで、我が国といたしましては、PKOの要員のみでなく人道的な救援活動に従事する要員についてもこの条約のもとでの保護が与えられるべきであるという主張をこの採択会議の過程でしてまいったわけでございます。
 ただ、この適用範囲を人道的な活動に広げるということにつきましては、主としていわゆる非同盟諸国の間に慎重な議論もございまして、そこでこの条約のような規定になったわけでございます。すなわち、人道的な救援活動につきましては安保理または総会が例外的な危険が存在するということを宣言した場合に適用になるということになったわけでございます。いわば妥協の産物でこういうことになったわけでございます。
 今後の運用といたしましては、我が国はそのような主張に基づきまして、採択の際にこのような宣言はいわば日常的にと申しますか柔軟に出されるべきであるということを発言しております。多くの先進国はそのような考え方に同意をしておりますので、この条約の発効後における運用につきましてはそういう方向で進めてまいりたいというふうに考えております。
#9
○大脇雅子君 そういたしますと、例外的な危険の宣言は安全保障理事会または国際連合総会が宣言するわけですが、これはPKOの展開地域外の人道救援活動をも含むということでしょうか、全くそのPKOの展開地域内に制限されるのでしょうか。新聞紙上によりますとPKOの展開地域外の人道救済援助は含まれないという批判がなされているんですが、これはこの条項との関係でどうなるのでしょうか。
#10
○政府委員(柳井俊二君) いわゆる人道的な救援活動は、PKOと一緒に行われることもございますし、またそれ自体独自に、PKOとは別に、あるいはPKOのないところで行われることもあるわけでございます。したがいまして、この規定ぶりから見まして、人道的な救援活動はPKOの活動区域ということではなくて人道的な救援活動そのものに適用になるというふうに考えております。
#11
○大脇雅子君 第二条の適用除外といたしましては、国際連合憲章第七章の規定による強制行動として安保理の認めた国際連合活動で、「要員のいずれかが組織された軍隊との交戦に戦闘員として従事し、かつ、国際武力紛争に係る法規が適用されるもの」としています。この「国際武力紛争に係る法規」とは何を指すのでしょうか。
#12
○政府委員(柳井俊二君) この二条二項にございますように、「国際武力紛争に係る法規」というものが言及されておるわけでございますが、これはいわゆる交戦において適用になるジュネーブ諸条約等でございます。昔は戦時法規というような言い方をしておりましたけれども、最近はむしろ人道法というような名前で総称されるものでございます。典型的には一九四九年のジュネーブ諸条約、あるいは戦前に採択されましたヘーグ陸戦法規等が該当するわけでございます。
#13
○大脇雅子君 そうしますと、この要員条約というのはいわば平時に適用されると解されるわけですが、近時のPKOは、当事者の停戦を待って国連が違反を監視するという形だったものから、戦闘が燃え盛る場所あるいは戦闘が一触即発の場所にも出かけ、そして戦争に巻き込まれるケースが少なくありません。例えば、カンボジアではこれが適用されるということでしたが、ソマリアではPKOの活動枠外の緊急作戦部隊が軍事行動など展開をいたしましたが、この場合のPKO部隊についてはこの条約は適用されるのでしょうか。
#14
○政府委員(柳井俊二君) この第二条二項の規定は、この条約の適用される場合と、それから交戦状態になりまして先ほど申し上げましたいわゆる国際人道法が適用される場合の適用関係を整理した規定でございます。
 具体的にどのような場合に第二条二項の規定によりましてこの条約の適用が排除されるかということにつきましては、その活動の状況をケース・バイ・ケースに判断する必要があると存じます。この二項の規定にございますように、国連憲章七章の規定に基づく強制行動として安保理が認めました国連の活動につきましては、その要員のいずれかが組織された軍隊との交戦に戦闘員として従事する、かつ国際武力紛争に係る法規が適用されるような状態が生じたということであればこの適用が排除されるということでございますが、それは具体的な状況に従って判断する必要があると存じます。
 ただいま御指摘になりましたように、カンボジアにおきましては、これはUNTACの活動は国連憲章七章に基づくものではございませんでしたのでこの二項の規定の適用ではなく、すなわちこの条約の適用になるケースでございます。
 それから、先ほど御指摘のございましたソマリアにおける活動でございますが、これは安保理決議によりましてその任務において憲章第七章に基づく強制措置をとり得る、そういう権限を付与されているPKOでございました。その場合におきましても、ソマリアでのPKO活動の中で要員が交戦状態に入るというようなことでない場合にはこの適用排除の規定は該当いたしませんで、この条約は適用になるということでございます。すなわち、同じPKOで、七章のもとでのPKOにおきましても、実際の活動の態様が強制行動を伴って交戦状態になるということでなければ、いわば伝統的なPKOと同じようにこの条約が適用になるという考え方でございます。
#15
○大脇雅子君 そうしますと、交戦状態に入ると二条二項の適用除外が出てくるということですと、例えばボスニア・ヘルツェゴビナにおきますクロアチアのムスラム勢力とセルビア人勢力の戦闘下における国連防御軍というものには適用されるのでしょうか。もし国連がNATOの戦闘参加を要請してそれがなされた場合はどうなるんでしょうか。
#16
○政府委員(柳井俊二君) ボスニア・ヘルツェゴビナのPKO、いわゆるUNPROFORでございますが、これも御承知のとおり、安保理決議におきまして第七章が引用されているわけでございます。したがいまして、一定の場合にはいわゆる強制行動がとれる、そういう任務を与えられた活動でございます。したがいまして、ソマリアの場合と同様に、通常の場合ではこの条約が適用になっているわけでございますが、要員が交戦状態になるということになりますとこの二条二項によりまして適用除外になる、言いかえれば国際人道法の適用される世界になるということでございます。
 それから、このUNPROFORを支援するNATOの要員が武力を行使した場合にどうなるのかという点でございますけれども、NATOの要員はこの一条の(b)の(@)に言います「関連要員」ということになると考えられるわけでございますが、この関連要員による武力の行使がいわゆる交戦に従事したということになります場合、これらの要員が支援している国連活動についてもこの条約の適用が排除されるかどうかということにつきましては、その支援の形態、態様等、種々の要素に照らしましてやはり個別具体的に判断する必要があるというふうに考えられます。
#17
○大脇雅子君 そうしますと、交戦状態に入って適用除外になるかどうかという場合の交戦状態の概念というのはどんなものか、議論はされたのでしょうか。
#18
○政府委員(柳井俊二君) いわゆる昔流に言えば戦時法規あるいは現在の国際人道法が適用される交戦状態と申しますものは、一般的にそういう例えばジュネーブ諸条約の適用されるような状態というものは国際的に広く理解されているところでございますので、この条約の交渉の過程でその辺が非常に深く議論されたというふうには承知しておりません。
#19
○大脇雅子君 そうしますと、この条約が適用されるべきPKO活動というのは交戦状態にないいわゆる中立性が維持されるPKO活動というふうに考えられるわけですが、国際的な民族紛争が多発いたしまして大国の利益が錯綜する状況の中で、中立性のいわば認定といいますか公正性というものは、この条約では何か担保されていないように感ずるわけですが、どういうふうに理解したらよろしいんでしょうか。
#20
○政府委員(柳井俊二君) 先ほど来御答弁申し上げたことを若干整理させていただきますと、一番典型的な適用例は、ただいま先生がおっしゃいましたようないわゆる伝統的なPKOということでございますが、それ以外にも国連憲章七章下のPKO、言いかえますと、七章で一定の場合には強制的な活動が認められるようなPKOにおきましても実際の交戦状態にならない限りはこの条約が適用になる、こういうことでございます。
 それから中立性につきましては、これはこの条約で担保すると申しますよりは、国連のPKO活動そのものがその任務、それから国連の元来申立的な存在というようなことで担保されるということでございます。この条約等によって初めて申立性が担保されるというよりは、活動そのものの性格によって担保されるというふうに考えております。
#21
○大脇雅子君 そうしますと、ザイールの難民救援活動は当然含まれるのでしょうか。この条約の適用を受けるのでしょうか、受けないのでしょうか。
#22
○政府委員(柳井俊二君) 我が国がザイールのゴマにおきまして行いましたルワンダ難民の救援活動でございますけれども、これは国連難民高等弁務官、UNHCRの行っておりますルワンダ難民救援活動の任務の遂行を支援する活動であったというふうに考えられます。したがいまして、このような活動の場合、安保理または総会が例外的な危険が存在するというふうに宣言いたしますれば、この活動を支援する我が国の自衛隊員は関連要員、これは一条の(1)の(a)に該当するわけですが、関連要員といたしましてこの条約の適用対象になったものと考えられます。
#23
○大脇雅子君 大体条約のイメージが明快になってまいりました。
 少し横にそれますが、先般クロアチアを訪問されました外務大臣に御質問をいたしたいんですが、明石代表の和平努力を支えられたことに敬意を表したいと思います。
 きょうの読売新聞によりますと、セルビア人勢力指導者のコリェビツチ氏がボスニア・ヘルツェゴビナのセルビア人勢力の独立の承認とコンタクトグループの分割案見直しという二条件を出したという新聞報道がありました。現在、セルビア人勢力はボスニアの七〇%以上を支配しておりまして、コンタクトグループ案に対しては、発電所や工場地帯等のほとんどがムスリム人勢力に帰属させられているということで、セルビア人勢力の反発を買っていたわけです。
 しかし、私はボスニアのカラジッチ氏とコリェビヅチ氏にも会いましたが、そのときは、ブルチコ回廊などセルビア人勢力を分断しないで今のコンタクトグループ案の領土の四九%を五二%に組み直せば和平の意思があるというようなことを漏らしておられましたし、また新ユーゴ側の政府首脳によりますと、ボスニアにおけるセルビア人勢力が我々と統一できれば分割案の受け入れも多少の手直しで可能であるというふうに言われていたわけです。
 現状で外務大臣は、ボスニア問題の和平への可能の道筋は今どこに難点があり、どういう打開があろうかと考えておられるのでしょうか。
#24
○国務大臣(河野洋平君) 先般、クロアチアを訪問いたしまして、ザグレブにおきまして関係者何人かとお目にかかりました。さらに、ハンガリーのブダペストに移って、ここでも何人かの当事者とお話し合いをすることができました。
 今お話しのように、私は現地に参りまして、基本的にはまず明石代表の努力というものを正しくそれぞれの当事者に理解をし、評価してもらいたい、と同時に、我々日本は明石代表のこうした行動を支援しているということをはっきり伝えたいと考えたわけでございます。そういう意味では、それぞれ正確に私は自分の口でメッセージを伝えたわけでございます。
 今、議員は既にこの問題に深い関心をお持ちになって、かつてサラエボを訪問されたと伺っておりますが、恐らく議員がお会いになったカラジッチ氏を初めボスニアのセルビア人勢力の方々とは、私は今回お目にかかりませんでした。それは、いろいろ私も考えましたけれども、現在、旧ユーゴの問題でさまざまな方々がさまざまな調停案といいますか和平案というものを考え、提案をしておられますが、その中で我々考えますのに最もゴールに近くまで行っているものの一つがコンタクトグループの案ではないかというふうに思ったわけでございます。この際、私がこのコンタクトグループのこうした案と別のメッセージを出すようにとられることは、かえってこの和平への道を混乱させることになるかもしれない、こんなふうにも思ったわけでございます。
 私は、過去数回にわたってコンタクトグループの方々とG7の外相会議などでお目にかかり、いろいろと御説明を伺っておりまして、G7の外相でコンタクトグループに入っていないカナダでございますとかイタリーでございますとか、我が国もそうでございますが、我々は話をよく聞いた上でコンタクトグループの作業を支持するということを言ってきたということもございます。そこで、今回はボスニアのセルビア人勢力の方々にはお目にかからなかったわけでございます。
 今、議員がお話しのように、コンタクトグループが調停案として出した領土的な量からいうと四九対五一とたしかなっていたと思いますが、問題は広さではなくてその内容が非常に問題だということをセルビア人勢力の方々は言っておられるということを伺っておりました。そして、これがもし仮にもう数%その重要な地域をセルビア人勢力側に組み入れてくれれば我々とすれば合意する余地があるというふうに言われたということも伺っておりましたが、そのことはまた逆に言えば、今度は相手側から見ればこれはもう全く納得のできないところだということになるだろうと思います。
 さらにもう少し申し上げれば、もう議員もよく御承知のとおり、あのボスニア・ヘルツェゴビナの地域というものはそうはっきりときれいに割ることのできない地勢もあり、あるいは住民の住み方もあって、非常に難しい割り方にならざるを得ない状況になっているように聞いております。
 私も短時間で御説明申し上げるだけの力もまだありませんけれども、我々が現地で聞き、またこれまでも我々が聞きあるいは判断をしてきた段階におきましては、残念ながらまだまだ旧ユーゴの紛争を解決するだけの道筋というものは見つからない。明石さんとも話をいたしましたけれども、まずとにかく戦闘状態をやめて、戦いのない、紛争のない時間帯をつくって和平への話し合いを積み重ねる以外にないのだという議論もあったわけでございます。
 私が現地に参りましたのは、たまたま停戦の合意が切れる数十時間前でございますから、私は当事者の方々に停戦の合意をさらに延期して停戦状態を続けてほしいということを要請いたしましたが、停戦の合意をさらに続けることは困難だという御返事でございました。しかし、合意を延期はできないけれども実質的な停戦状態を続ける努力をしよう、こういうお話でございましたので、ぜひそれはそうしていただきたい、そのことは、それによって和平への冷静な話し合いがさらにできる可能性、環境をつくることになるということを私は考えたわけでございます。
 残念ながらまだその道筋は明らかではございませんが、ぜひ関係者の努力によって静かな環境の中で和平への話し合いが進んでほしいというふうにまず現在は願っているところでございます。
#25
○大脇雅子君 クロアチアの側ではセルビア人がさらに数%の領地を要求していると言っているんですが、私どもが聞きましたのは、四九%を五二%ということで、三%というのはブルチコの回廊のところではないかというふうに思っておりますので、バルカンやユーゴの領域に利害関係や歴史的な負のかかわりがない日本が何とか中心になって停戦への御努力をさらに続けていただきたいと心からお願いをいたしたいと思います。
 PKOに質問を戻しましてお尋ねをいたします。
 日本のPKOの派遣をめぐりましては、例えばカンボジアでは選挙が終わってポル・ポト派と再び戦闘が激化したり、あるいはルワンダではザイールにおける難民への支援が虐殺を行ったフツ族の政府要員や軍隊の支配力をかえって強めることに役立ったという批判がありますけれども、PKO派遣のその後の情勢の評価というものを外務省としてはどのようにとらえていらっしやるでしょうか。
#26
○政府委員(柳井俊二君) いろいろなPKOがございますけれども、我が国が参加したあるいは我が国が行いました人道救援活動に関して若干の考え方と申しますか、情勢認識を申し上げたいと存じます。
 PKOが終了いたしました後のカンボジアにおきましては、御案内のとおり、シアヌーク国王の指導のもとで各派が連立して新政府をつくったわけでございますが、これらの諸勢力、諸政治勢力が一致して新しいカンボジアの国づくりに努力をしているところでございます。選挙にはポル・ポト派は残念ながら参加いたしませんでしたけれども、それ以外の諸勢力は選挙に参加いたしまして、非常に高い投票率を得て、政党政府がつくられたということでございます。したがいまして、このPKOの活動は一つの成功例であるというふうに国連でも見られているところでございます。
 ただ、確かにポル・ポト派の活動はまだ続いておるようでございますし、また経済的な困難も続いているということはございますけれども、大筋といたしましてはこの新しいカンボジアの政府が国の復興に努力をしているということでございます。ポル・ポト勢力につきましては、これを脱退すると申しますか抜け出してきた兵士も多いと聞いておりまして、かなり数が減ってきているというふうに聞いております。
 それから、モザンビークにおきましては、かつて反政府勢力でございましたモザンビーク民族抵抗運動、いわゆるRENAMOでございますが、これが昨年十月の選挙結果を受け入れまして、野党として活動を行っているところでございます。シサノ大統領を長とする政権のもとにおきまして、国内の政治状況は安定していると聞いております。この新政権は新しいモザンビークの国づくりを進めているわけでございますが、何分、長年、内戦が続きましたので、この国の経済社会は大変疲弊しております。したがいまして、今後この経済社会の復興、大量の帰還難民、あるいは退役した兵士たちの円滑な社会復帰という難題に取り組む必要がございまして、こういう面でも国際社会の支援を必要としている状況にあると存じます。
 それからルワンダでございますが、ことしの四月に国連事務総長報告というのが出ております。この報告によりますと、ルワンダ新政権ができまして以来、以前に比べればルワンダ国内の状況は改善されたとしております。ただ、いろいろ問題があることは事実でございまして、まだまだ状況は困難であろうと思います。
 他方、国連難民高等弁務官事務所によりますれば、周辺国に流出しておりますルワンダ難民の数は減少傾向にあるということも報告されております。それから、ザイールに流出した難民の中には、御案内のとおり、旧政府勢力の民兵等がいるというふうに言われておりまして、これが難民支援活動でございますとか、あるいは難民帰還の促進への大きな障害になっているのも事実であろうと思います。それから、ルワンダの国内におきまして、この難民の受け入れのための体制が依然整っておらず、さらに帰還した場合の難民の安全が確保されないという問題がございます。したがいまして、改善はあるにいたしましても、まだルワンダ国内の状況は依然厳しいというふうに考えております。
 なお、先日、一時帰国されました難民高等弁務官の緒方さんのお話では、ザイールにおきます難民のキャンプでございますが、その中の治安の問題につきましては、ザイールの政府、ザイールの官憲の協力を得て、以前に比べれば相当改善されてきたというお話がございました。
#27
○大脇雅子君 カンボジアでは高田警部補が殺害されたわけですが、その高田警部補殺害事件に関して、国連の報告書を外務省は受け取っておられるでしょうか。その報告書は公開できるのでしょうか。
 「ザ・スクープ」によりますと、これまでの報道や説明によりますと、高田警部補は、身を伏せることもかなわず三メートルの至近距離からいきなり撃たれたという受けとめ方が一般的でありますが、当時二台の車に分乗していて、一台目の自動車のオランダ兵四人が機関銃を載せていて発砲し、二台目のオランダの指揮官と同乗していた高田さんがその戦闘状態に巻き込まれて死亡した、したがっていわゆる応戦の中で死亡したというふうに報道されておりますが、この国連の報告書はどのようになっているのでしょうか。
#28
○政府委員(柳井俊二君) 高田さん、この方は後に警視になられましたので高田警視と言わせていただきますが、高田警視が亡くなられた事件につきましては、国連から調査委員会の報告書をいただいております。この事件につきましては、我が国として大変大きな関心を持っておりますのでこの内容を公表したいということを国連側に申し入れたわけでございますが、この種の報告書は一般に公表しないという慣例になっているそうでございまして、残念ながらこの内容を公表することはできないという回答に接したわけでございます。したがいまして、残念ながらこの内容そのものを御報告、ここで公開はできないわけでございます。
 ただ、この報告書を読みます限り、私どもが当時いろいろな形で聞いておりました事件の概要につきましては、特に新しい事実は含まれておらないところでございます。また、その後も残念ながら犯人が逮捕されていないということからも見られますように、この犯人たちが特定されたということもないようでございます。
#29
○大脇雅子君 応戦中に射殺という、その中の弾に当たって亡くなったということは事実でしょうか。
#30
○政府委員(柳井俊二君) 事件の詳細は何分非常に急に起こったことでございますし、混乱の中で高田警視が亡くなられ、またオランダの要員及び我が国のほかの文民警察の四人の方が負傷されたという事件でございますが、これはいわゆる犯人たちによる待ち伏せの銃撃ということのようでございます。したがいまして、この銃撃によってけがをされ、あるいは亡くなったということでございます。
#31
○大脇雅子君 カンボジアとかモザンビークあるいはザイールヘの派遣については、口上書というものが国連ないしはUNHCRから出されているということですが、ザイールヘの自衛隊の派遣については、UNHCRからの要請書を私は見せていただきましたが、これはどこからどこへ出ているものなんでしょうか。UNHCRからどこの部局へ出ているのでしょうか。
#32
○政府委員(柳井俊二君) ザイールの活動につきましては、UNHCRから日本政府にあてて要請が来ております。
#33
○大脇雅子君 そうしますと、このザイールヘの自衛隊の派遣というのは国連の要請ということではなくてUNHCRですから、要するに日本政府独自の判断で派遣をしたと、こういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
#34
○政府委員(柳井俊二君) 御案内のようにUNHCRは国連の人道問題担当の機関でございます。そして、我が国の国際平和協力法におきましては、これも御案内のとおり、国際的な人道救援活動は、国連の総会、安保理もしくは経社理が行う「決議又は別表に掲げる国際機関が行う要請に基づきことなっておりまして、そのような要請に基づいてこれに応じて我が国が参加するという形になっております。この別表には、UNHCRを初めといたしまして、かなりの数の国連機関及び国連以外の機関が掲げられているわけでございます。
 最終的な判断、すなわちこのような要請に応じて活動するかどうかという判断は、もとより我が国政府が閣議決定をもって行ったわけでございます。
#35
○大脇雅子君 ゴラン高原、UNDOFについて、いつの時点でだれから、例えばいかなる部局のどのポストの人から直接要請があったかということがさまざまな議論を呼んでいます。重ねて御質問をしたいのですが、いついかなる部局のいかなる日本政府のポストに直接要請があったのでしょうか。
#36
○政府委員(柳井俊二君) ゴラン高原のPKO、すなわちUNDOFでございますが、この要請と申しますか、打診と言った方が適切だと思いますが、打診は昨年の五月に行われております。これは国連のPKO局の担当者から我が国の国連代表部の担当者に対しまして、UNDOFのカナダ後方支援部隊が担っております機能の一部を我が国がかわって担当する可能性について検討をしてみてほしいというような非公式の打診が行われたわけでございます。これは非公式の打診でございますから、口頭で行われております。
 一般論といたしまして、正式の要請が来る前にこういった形で非公式の要請あるいは打診がございまして、これに国連の加盟国が応じられるかどうか、法律上の問題のみならず能力上の問題その他いろいろございますので応じられるかどうかというようなことを非公式な打診に基づきまして検討しまして、いけそうだということになりましてから正式の要請が来るというのが大体の慣例になっております。
#37
○大脇雅子君 PKOの派遣の際にはPKO派遣の五原則というものがありますが、口上書が出されたのをいずれを見ても、何らそれには五原則を認めるとか認めないとかというようなことには触れられていないわけですが、この派遣五原則というのは国際的にはどのように担保されるものなんでしょうか。
#38
○政府委員(柳井俊二君) 国際平和協力法の基本原則になっております五原則につきましては、この法案を起案いたしましたときに、実は従来からあるいろいろなPKOの先例を調べまして、そういうものの中から原則になっているようなものを拾い出したのがもとになっているわけでございます。したがいまして、いわゆる伝統的なPKOの基本原則として広く国際的に受け入れられているところでございまして、そういう意味で国際的な理解は広く行われているということは言えると思います。
 それから、我が国の国際平和協力法が成立いたしました際に、我が国の国連平和維持活動に対する協力が五原則を含む国際平和協力法に従って行われるということにつきまして国連に詳細説明いたしまして、その時点で国連の了解を得ております。
 その後、具体的な個々のPKOへの参加の際には、我が国の要員の参加は関係法令、特に日本の参加を規律する五原則を規定する国際平和協力法に従って行われるということを確認しているところでございます。今まで幾つかのPKOに我が国としてこの法律のもとで参加してきておりますし、国連側の理解は十分に得られているというふうに考えております。
#39
○大脇雅子君 国連に通告したりあるいは確認したり了解を得たということですが、国連のどの部局と政府のどの部局とのレベルでそういう協議なり話し合いが持たれるのでしょうか。
#40
○政府委員(柳井俊二君) 国連との連絡あるいは確認はいろいろな機会に行われておりますが、主として国連事務局のPKO局でございます。我が方はニューヨークにございます日本の国連代表部でございますが、先ほどちょっと申し上げました国際平和協力法が成立した際の説明には東京からも人が行っております。
#41
○大脇雅子君 今度そのUNDOFの問題で問題になるのは、カナダ軍の指揮下に入るということで、ガリ事務総長などの文書などを読みますと、指揮権の統一性ということについて繰り返し念押しがされているわけですが、この点については国連との間で何か話し合いはされたでしょうか。
#42
○政府委員(柳井俊二君) 国連のいわゆるコマンドの問題につきましては、御案内のとおり、この国際平和協力法案の国会審議の際にかなり突っ込んだ議論が行われた経緯があるわけでございます。UNDOFに限らず、いずれのPKOにつきましても、参加各国の要員あるいは部隊はそれぞれのPKOの司令官、軍事部門で言えば司令官でございますが、のコマンドに従うということになっているわけでございます。この点、UNDOFで特に違った面があるということはないと思います。
 この法案の審議の際にもいろいろ議論がございましたけれども、この国連のコマンド、この法律では「指図」という言葉を使っておりますが、これは部隊なり要員なりの配置とか活動等に関するコマンドでございまして、懲罰等の人事権のようなものは派遣各国の本国政府が依然として持っているという理解でございます。
 これは国連のPKO特別委員会等でもいろいろ議論がございまして、かつてはこのコマンドの意味が必ずしも今申し上げたように明確に認識されていなかったこともございますけれども、最近では先ほど申し上げたような意味であるということが相当明確に各国に意識されるようになったということが言えると思います。
#43
○大脇雅子君 UNDOFが常駐をしております兵力引き離しの非武装地帯というのは国連の管理下にあると思われますが、この場合、受け入れ国の同意といった場合にはイスラエルとシリアの二国の停戦協定を指すということになるのでしょうか。
 この非武装地帯を挟みまして七十五台の戦車と約六千人の兵力、地対空ミサイルが双方に対峙しているというふうに言われていますが、そういうのが現状であるでしょうか。そのとき、本件の要員条約の適用はあるのでしょうか。
#44
○説明員(國方俊男君) お答え申し上げます。
 仮に我が国の要員がUNDOFに参加することになった場合には、ゴラン高原に展開しておりますUNDOFの根拠となっております一九七四年の兵力引き離し協定の当事国でございますシリア及びイスラエルにつきましては、国際平和協力法上の受け入れ同意が必要となるわけでございます。
 なお、先般派遣されました政府UNDOF調査団の報告書にもございますように、我が国がUNDOFへの参加を決定すればこれを歓迎する旨をシリア及びイスラエルが表明しておりますことから、両国の受け入れ同意は得られるものと考えております。
#45
○大脇雅子君 けさの新聞によりますと、PKFの見直しに外務大臣が言及されたということの報道がありますが、憲法九条とPKFの関係を考えたときに、その見直しについてどのように理解されているのでしょうか。
#46
○国務大臣(河野洋平君) 昨日、衆議院の予算委員会においてこの件について御質問がございました。御質問は、現在のPKO法は三年後の見直しということになっておる、そこでこの見直しの規定に基づいて見直すかどうか、その際PKFについても見直すべきではないかと、こういった趣旨の御質問でございました。
 そこで私は、PKO法の見直しについては三年後見直しということになっておって、これについてはカンボジアであるとかモザンビークであるとかあるいはザイールであるとか、その他我が国からPKOに実際に参加して貴重な経験をしてこられた方々もおられる、あるいはこれに関係した多くの方々もおられる。そうした方々の意見などもよく聞き、考えなければならないが、実際には国会での議論というものも重要であろうというような趣旨のことを申し上げたわけでございます。その際に、PKFについても質問の中で言及がありましたので、これについても政府としては同じようにこれまでの経験その他を十分踏まえて考えるということを申し上げた次第でございます。
#47
○大脇雅子君 今までのさまざまなPKOの経験を考えますと、「平和への課題」、ガリ事務総長の年頭所感等にもありますように、やはり軸足はできる限り予防外交の方へ行くということが最も経験を生かす道ではないかと私は思います。
 UNDOFにつきましては、本体がPKFである限り後方支援はやはりPKFと密接不可分で切り離し得ないのではないかというふうに考えておりますし、軍縮への展望と、これから非軍事の国際貢献への道というのが我々日本の国の歩むべき方向であると確信をしているわけです。
 本条約の成立には賛成はいたしますけれども、さらに要望しておきたいのは、PKOの要員が現地の人たちにさまざまな不祥事を与えているという事例がいろいろ報告されておりまして、真偽のほどはわからないんですけれども、例えばオランダ軍が地雷の上に菓子をまいて子供に拾わせて地雷の有無を確かめるとか、あるいはカナダ人が現地の人を射殺したとかいうような話もあるわけですから、そういった人たちの人権擁護の道もやはり国連はあわせ考えるべきではないかというふうに思うわけです。
 その点について大臣の御所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#48
○国務大臣(河野洋平君) 我が国から派遣をしておりますPKO派遣要員の人たちの行動については、地元から大変好意的な報告を我々は受けて大変喜んでいるところでございます。規律の正しさとか、あるいは地元民とともに汗を流そうという気持ちがそこここに見られるということから、大変好感を持って見られているということでございます。
 ただ、一般論として、今、議員が報道に接せられた旨お話がございましたけれども、それは若干のそうした話があるかもしれません。これについては国連におきましてもやはり研修その他を行うことによってそうしたことをなくす努力がなされておりますし、私どももまた国連参加のための要員に対してはそうしたことを繰り返し指導者が述べているところでございます。しかし、御指摘はよくわかりますので、一層努力をいたしたいと思います。
#49
○立木洋君 先般のUNDOFの問題が残っておりますので、最初にこれからお尋ねをすることにします。
 昨年の五月に国連から打診があった、つまりカナダの輸送部隊の一部の機能を日本が担当する可能性があるかどうかについて。五月の何日でしょうか、これ。時間が短いので端的で結構です。
#50
○政府委員(柳井俊二君) 国連のPKO局の担当者と我が国の担当者の間で日常的にいろいろ接触がございまして、その中で出てきた話でございます。
 今、何日というところは記憶しておりませんが、五月の初めの方だったと思います。
#51
○立木洋君 カナダとUNDOFの問題で話し合いをしたのは最初はいつでしょうか。
#52
○政府委員(柳井俊二君) 国連からの非公式の打診がありまして、その後、調査団と申しますか関係者を出張させまして、その上でカナダ側といろいろ意見交換をしております。
#53
○立木洋君 その日にちはいつか。これが大切なんです。
#54
○政府委員(柳井俊二君) 調査団と申しますか、出張者たちが参りましたのはたしか六月だったと思います。申しわけありませんが、今、正確な日付を持っておりません。
#55
○立木洋君 UNDOFの問題でカナダの一部の機能をというふうな打診が国連からあったということについては、確かに国連のPKO馬とそれから日本の代表部と日常的に接触する中で出されてきた問題だということについては私も間違いないと。これは確かめました。ところが、この打診をしたのは五月じゃないんですよ、夏だと言っているんです。それ以前に、カナダに調査団を派遣する前に国連にあったカナダの代表部とこの問題で話し合った可能性はあるんじゃないですか。
#56
○政府委員(柳井俊二君) 五月の前の接触につきまして、申しわけありませんが、私、記憶にございません。
#57
○立木洋君 私は、国連事務総長のスポークスマンの補佐官にこの問題について尋ねてみました。昨年の夏、日本代表部とPKO当局が協議を行った際にそこで出された問題だと。国連の側から出した問題だとは言ってないんです、日本の側から出された問題だというふうに言っているんですが、これは日本側で説明しているのと内容が違うんですけれども、どういうふうに解釈したらいいんでしょうか、柳井さん。
#58
○政府委員(柳井俊二君) 私どもの接触は先ほど申し上げたとおりでございまして、スポークスマンの方がどういうふうに言っておられたか存じませんし、またどういうふうにかかわっておられたか、その辺も存じませんけれども、PKO局との接触の過程はこれまで御説明してまいりましたとおりでございます。
#59
○立木洋君 日本で問題になっているのは、つまり国連の側から打診されたんではなくて日本の側からこの問題を持ち出したんじゃないかといっていろいろ言われているんですよ。新聞にもそういうふうに書いている、疑念を持って書かれている節がある。だから私は確かめたんです。国連の事務総長のスポークスマンの補佐官に尋ねたんです。そうしたらそういうふうな回答なんですよ。それから私はカナダの代表部にも問い合わせました。そうしたら、カナダは輸送部隊を撤退させる計画はありませんと明確に答えました。
 計画は持っているんですか、カナダは。輸送部隊の一部でも撤退させる計画は。交代ではないんですよ。撤退させる計画はあるんですか。
#60
○政府委員(柳井俊二君) 交代でなくて、つまり後任がないまま撤退するというような計画があるとは承知しておりません。つまり、引き継ぐほかの部隊がないままにカナダの輸送部隊が撤退すると、そういうような計画があるとは承知しておりません。
#61
○立木洋君 カナダの輸送部隊は定期的に交代しているんですよ、みずからの部隊と。撤退させる計画というのは全くないんです。だからほかの国に要請する、国連の側に代替部隊を他の国にあるかないか要請してみてほしいというふうな話がカナダから出る根拠がないんですよ。だから、カナダからそういう要請がない限り国連がほかの国にカナダの輸送部隊の一部の機能を日本で持ってもらえないかというふうなことを打診するという根拠もないんですよ。これは一体どこから出てきた問題でしょうかね。
#62
○政府委員(柳井俊二君) 確かに、今、立木先生おっしゃいましたように、カナダの部隊は三カ月ごとにその一部ずつを交代させているところでございます。
 それから、カナダにつきましては、いわばPKOの先進国として非常に多くのPKOに参加をしておりまして、若干PKO疲れと申しますか少し手を広げ過ぎたという気持ちがあるということがかねてから言われておりまして、これはカナダから私たちの方にもこれより前から言ってきたことがございますし、また国連でもそのようなカナダ側の立場と申しますか考え方が広く知られているところでございます。したがいまして、そういう背景のもとでカナダが例えば非常に長くなっておりますゴラン高原の参加部隊の一部をとこか適当な国があればかえたい、交代を考えるというようなそういう背景はあったんだろうと思います。
#63
○立木洋君 さっき国連からの要請などというよりも打診といった方が適切ですというふうにおっしゃいました。国連からこれまでの間に、カナダの一部の輸送部隊の機能を日本が代替してほしいという要請の文書は来ているんでしょうか。来ていないんですよね。
#64
○政府委員(柳井俊二君) 先ほどもちょっと大脇先生の御質問の際に申し上げたつもりでございますけれども、通常、最初は非公式な打診がございまして、これこれの活動があるけれどもおたくはこういう部隊を出せますかというような非公式の打診があるわけでございまして、そこで需要と供給が全然合致しない場合には話が消えるわけでございます。いわゆる文書の要請というのは相当非公式な話が煮詰まってから、いけそうだという感じが出てまいりましてから来るものでございまして、そういう意味でこのUNDOFの案件につきましてはまだそこまでいっておりませんので、国連からは文書の要請というのは来ておりません。
#65
○立木洋君 それでは、カナダの方から一部の代替部隊を出してほしいという要請的な申し入れはあったんでしょうか。
#66
○政府委員(柳井俊二君) カナダ側とはオタワあるいは国連あるいは東京におきましていろいろな機会に接触がございます。そのような中でカナダ側としては、適当な分野において日本が代替してくれれば非常にうれしい、一部ということでございますのでこのUNDOFの中で日本とカナダが協力して活動ができれば非常にうれしいということをいろいろな機会に言っております。
#67
○立木洋君 国連にあるカナダの代表部の方の説明によりますと、そういうニュアンスじゃないんですよね。私は、さっきカナダは輸送部隊を撤退させる計画はないとまず言いましたよね。日本が参加するというのであれば、歓迎するということだと、そう言っているんですよ。だから問題は日本側の態度なんだと。カナダの方から来てくれ来てくれというふうに言っているんじゃないんですという話なんです。これは、御承知のように、いまだに国連の方から正式な要請文書もない、ましてやカナダの方からそれについて強力にぜひかわってほしいという要請の文書が来ているわけでももちろんない。
 これは経過を私ははっきりさせる必要があると思うんですよ、この問題については。その打診したのが、一体最初に打診があったのがいつだったのか、カナダと協議を開始したのがいつだったのか、そしてそれがどういう内容だったのか。その問題について国連の側が言っているのでは、そこで出された問題だ、日本側から出された問題だと。だから、PKO局と日本の代表部と話し合いをする、接触する機会というのは、そんなにもう何カ月かに一回だとかということではなくて、しばしばあるでしょうから、その場合に日本の側からPKOの問題について協力する可能性があるんじゃないかみたいな話が日本の側から出ていたっておかしくないんですよ、これは。
 それを、暗に国連の側から出てきたんだ、打診があったんだというふうなことを言って、そしていかにも国連の要請があり、カナダからの要請もあるかのような主張をして、ゴラン高原に、UNDOFに一部の自衛隊を送ることがいろいろ国際的な貢献になるんだという形で、私は先般も申し上げたように、向こうが求めている経済協力ではなくて、まさにいわゆる軍隊をPKFそのものに送り込むというふうなことに、さらにカナダやあるいはモザンビークやあるいはルワンダ等よりも一層拡大した形で軍事的な役割を担おうとするというのは、下心がないと河野さんはこの間おっしゃいましたけれども、だれもが不思議に思うのは明白だと思うんです。
 この経過をお聞きになって、大臣、どのようにお考えですか。
#68
○国務大臣(河野洋平君) 議員にはっきり申し上げられることは、私、先般ニューヨークでカナダのウエレット外務大臣にお目にかかって外相会談をいたしました。その席でカナダの外相は私に対して、ゴラン高原でぜひ日本にカナダのやっている仕事の一部をやってもらいたい、そういうことがやってもらえるならカナダとしては大変ありがたいという趣旨の話がございました。これはNPTの総会に私が参加をしたときのことでございますから、まだそう以前の話ではありません。ごく最近のことでございますから、今の話は私はかなり明確に覚えております。
#69
○立木洋君 だから、私は去年どういう形でこの話が始まったかということを重視して最初に聞いたんです。ここまで動いてきて、大臣に会われたときに、これまでの経過があるからそういうことを踏まえてそういう話が出るという可能性は私は全く否定しませんけれども、しかしこういう経過の中で日本が主導的に動いた可能性が極めて強い。このことは、このPKFを事実上いわゆるなし崩し的に見直しをやるような方向にまで進めようとするやり方を私は厳しくやっぱり指摘しておく必要があると思うんです。だから、そういうふうなことを日本がやるんではなくて、もっと真剣に、軍事的な協力ではなしに相手側が求めている経済的な協力を進めるべきだということを特にここで指摘しておきたいと思うんです。
 それから、先ほどの問題で若干補足的に述べておきたいことは、ことしの一月の五日に「平和への課題」でガリ事務総長が補足報告をしましたよね。この報告の中でも述べられているように、カンボジアの問題だとかソマリアの問題などをとって、国連のいわゆる指揮下に従わない形で他国から派遣された軍隊が動くということは、これは極めて士気の統一が乱れていわゆる効率性が弱まる、だから今後は士気をより一層国連のもとに統一していくことが重要だということが強調されているんです。この問題についても私は指摘をしておきたいし、日本は五原則を守りますなんて言っているけれども、そうではないという側面をガリ事務総長が報告しておるということも指摘をしておきたいと思うんです。
 最後に、この条約そのものについても一言やっぱり述べておかなければなりません。
 先ほど言いました一月五日の「平和への課題」の補足報告をガリ事務総長が行ったときに、平和維持を成功させるためには平和維持に関する一定の基本原則を尊重することが不可欠であるということが確認されたと、これはもう御承知のように述べてありますね。そこで特に重要な原則として、当事者の同意それから中立性などの問題が明確に強調されているということは、改めて私は指摘しておきたいと思うんです。
 ですから、この受け入れ国の同意や協力を得て国連活動が実施される場合に、その実効性、安全性が高いということがこの条約の前文でも明確にされておりますようにこういうことを踏まえて、やはり第二条の「適用範囲」の第二項で規定されているものには適用しないということも述べておりますから、そういうことを踏まえた上で、私は、国連要員等の安全を確保することは当然であると考えて、もちろんこの条約には賛成をいたします。そういう考えであるということを最後に述べておきたいと思います。
 終わります。
#70
○委員長(田村秀昭君) 他に御発言もなければ、本件の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。
 別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 国際連合要員及び関連要員の安全に関する条約の締結について承認を求めるの件に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#71
○委員長(田村秀昭君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、本件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#72
○委員長(田村秀昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#73
○委員長(田村秀昭君) 次に、平和的目的のための宇宙の探査及び利用における協力のための損害賠償責任に係る相互放棄に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。河野外務大臣。
#74
○国務大臣(河野洋平君) ただいま議題となりました平和的目的のための宇宙の探査及び利用における協力のための損害賠償責任に係る相互放棄に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 政府は、アメリカ合衆国政府との間で、平和的目的のための宇宙の探査及び利用における協力のための損害賠償責任に係る相互放棄に関する協定を締結するため、アメリカ合衆国政府と交渉を行いました結果、平成七年四月二十四日にワシントンにおいて、我が方栗山駐米大使と先方ワース国務次官との間でこの協定に署名を行った次第であります。
 この協定は、宇宙分野における日米両国間の協力を促進するため、損害賠償責任に係る相互放棄の枠組みを確立することを目的としたものであり、日米両政府、政府機関等の協力の当事者及び関係者は、協定の定める共同活動について、損害賠償責任に係る相互放棄に同意すること等を定めるものであります。
 この協定の締結により、日米間における宇宙分野での共同活動における損害賠償に係る紛争を回避することを通じて、両国間の宇宙分野における協力が一層円滑に進展し、ひいては日米間の友好協力関係のさらなる発展にも資することが期待されます。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
#75
○委員長(田村秀昭君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本件の質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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