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1995/02/17 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 法務委員会 第2号
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1995/02/17 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 法務委員会 第2号

#1
第132回国会 法務委員会 第2号
平成七年二月十七日(金曜日)
   午後零時三十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中西 珠子君
    理 事
                下稲葉耕吉君
                糸久八重子君
                荒木 清寛君
                平野 貞夫君
    委員
                斎藤 十朗君
                坂野 重信君
                志村 哲良君
                北村 哲男君
                深田  肇君
                山崎 順子君
                翫  正敏君
                國弘 正雄君
                紀平 悌子君
                安恒 良一君
   国務大臣
       法 務 大 臣  前田 勲男君
   政府委員
       法務大臣官房長  原田 明夫君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  永井 紀昭君
       法務省民事局長  濱崎 恭生君
       法務省刑事局長  則定  衛君
       法務省矯正局長  松田  昇君
       法務省保護局長  本間 達三君
       法務省人権擁護
       局長       筧  康生君
       法務省入国管理
       局長       塚田 千裕君
       公安調査庁長官  緒方 重威君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   涌井 紀夫君
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  石垣 君雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 恒男君
   説明員
       警察庁生活安全
       局少年課長    岩橋  修君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (法務行政の基本方針に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中西珠子君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題とし、法務行政の基本方針に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○下稲葉耕吉君 先般の前田法務大臣の所信表明に関しまして質問いたします。
 大臣は、所信表明の冒頭におきまして、今回の大震災の問題に触れられまして、「被災地における法秩序を維持するとともに、被災者の権利を保全するため、全力で取り組んでいるところでございます。」というふうに表明いたされました。
 今回の大震災は、文字どおり非常に地域も広範にわたっておりますし、それから住民の方々の土地その他に関する権利関係も大変複雑に入り込んでいるわけでございます。そういうふうな問題と同時に、片や震災のない都市をつくろうという都市計画等々の問題もございまして、その辺の調整の問題が現地並びに政府としても今後大きな課題になることだと思います。
 そういうふうな問題に関連いたしまして、報道によりますと、前田法務大臣は法曹三者に呼びかけられまして、積極的にそういうふうな問題に取り組んでおられるような様子を承知いたしておるわけでございますが、法務省といたしまして、この種の問題に関連いたしまして、どういうふうな問題が法務行政の中であるのかどうか、そしてそれに対する法務省としての対応をどのように取り組んでおられるのかどうか、まずその点をお伺いいたしたいと思います。
#4
○国務大臣(前田勲男君) お答え申し上げます。
 法務省がこの大震災に対しましてとっておりますのは、所信でも申し上げましたが、法秩序の維持と権利の保全ということが根底にございます。
 そこで、幾つか端的にもう時間を短く申し上げますが、法秩序の維持に関しては、さきに検察庁長官会同がございまして、そこでも治安の維持等、検察当局また警察等の関係機関との緊密な連絡のもとにその使命を全うするようにお願いをいたしたところでございます。
 他方、先ほど先生からもお話ございましたが、この地震によります法務省のなすべき役割というのが幾つか具体的に出てまいりまして、申し上げたいと存じますが、やはりまず何よりも住民の権利関係に不安を持たれないというような観点からも、借地借家の権利等あるいは滅失した建物等の権利保全、このために二月六日に罹災都市借地借家臨時処理法に基づきました災害適用地域を指定する政令を施行いたしたわけでございます。
 また、これに加えまして、この罹災都市借地借家臨時処理法等あるいは登記手続等の手続その他中身につきまして、極めて日常あることではございませんので、正確な情報を提供するために周知徹底を図るべく各種の広報活動、相談業務に現在精力的に取り組んでおるところでございます。
 特に、権利関係をめぐる各種の紛争の予防ということが予想され、今日また極めて多くの、日弁連初め近弁連、神戸弁護士会等にも数多くの法律紛争相談が連日押し寄せておるような現況でございまして、この紛争予防、解決のために法曹三者間で法曹三者震災対策連絡協議会、これを設置をいたしまして、被災者の皆様に紛争解決に当たりましてできるだけ簡便にと申しますか簡易に、しかもそれについては法務当局としても柔軟に対応してまいりたい。また、なるべくコストも、訴訟費用その他を安く負担を軽くしていかなければならない。また、復旧が、復興が急がれるためにできるだけ迅速な処理をしなければならない。かような点で今、鋭意協議をしながら取り組んでおるところでございます。
 なお、この地震に関しての立法的な手だてでございますが、今申し上げた罹災都市借地借家臨時処理法を初めといたしまして、現在検討をいたしておりますのは、破産宣告の猶予の特例、あるいは来年の三月末に期限が参りますが、商法の改正によります最低資本金制度、この被災地の期限猶予期間の延長といったことを現在具体的に準備をいたしておるところでございます。
 なお加えて、検討をなお続けておりますのは、いわゆるマンション区分所有法、これらも非常に法制定当時どこの震災の実態との極めて大きな乖離がございまして、これらも十二分に対応するように今鋭意検討をいたしておるところでございます。
 なおまた、調停の申し立て手数料その他費用をできる限り御負担を軽くするというような観点からも検討もいたしておる点を加えたいと存じております。
#5
○下稲葉耕吉君 きょう実は、政府が震災関係の五つの法案を国会に提案されまして、そのうちの三つの法案は参議院でもきょう議題になるように承っております。
 ただいま大臣の御説明によりますと、法務省関係につきましても、破産法の問題でございますとか、あるいは商法の、いわゆる会社法の関係だろうと思いますが、その他いろいろ検討されておられるというふうに伺いますが、そういうふうな法務省関連の法案はいつごろまとまりまして、そしていつごろ提案されるのかどうか、その辺の見通しがあればお伺いさせていただきたいと思います。
#6
○国務大臣(前田勲男君) いわば本日に続いての第二弾ということになろうかと存じますが、これにつきましては現在、法務省でも取りまとめ中でございますし、各省においても取りまとめておる、いわば作業中でございます。
 いつ御提案できるかということにつきましては、提案の仕方等々も今検討中でございまして、ちょっと今お答えできる状態にございません。
#7
○下稲葉耕吉君 災害関連の法案がだらだら何本も出てくるということになりますと、法案の審議につきましても、多岐にわたりますから、できるだけタイムリーに、そして要領よくまとめられまして御提案されるように要望をいたしておきます。
 それでは、その次の問題に入りますが、同じ所信表明の中で更生保護事業について大臣が述べておられますが、その中に「更生保護事業につきましては、その充実・強化のための基盤整備を図る必要がありますので、第百二十九回国会における衆参両院の法務委員会での附帯決議の趣旨を踏まえ、更生保護事業法案とその関連法案を今国会に提出することといたしたいと考えております。」ということでございまして、なるほど政府の今国会提出法案の内容を見てみますと、この関係の法案が二つあるように承知いたしております。しかも、この法案につきましては参議院先議になっておるわけでございますので、私どもといたしましては、できるだけ速やかに政府内の手続を終えられまして提案していただくようにお願いいたしたいと思うのでございます。
 大臣の御説明にもございましたように、昨年、更生緊急保護法の審議をいたしまして、その際における当委員会の附帯決議の中で、「更生保護事業の充実を図るため、社会福祉事業との均衡にも留意し、被保護者に対する補導援護体制の強化に努めること。」ということが附帯決議の中に盛られているわけでございます。
 当時、私ども検討いたしました内容によりますと、少なくとも社会福祉事業と同じような税制その他の優遇措置をとってほしいというふうなことを強くお願いいたしたわけでございます。したがって、今検討しておられますこの提出法案の内容も、この附帯決議を踏まえて云々というふうに大臣がおっしゃっておられますので、そういうふうな内容が盛られることだと思うのでございます。
 例えば、国税におきましては法人税法の中におきましても問題がございますし、それから地方税におきましても都道府県税、市町村民税について均等割あるいは法人税割等々の問題において、社会福祉事業との関連において見劣りがするというふうな状態でございます。
 そういうふうな内容について当然触れられていると思うのでございますが、まだ法案の内容を見ませんのではっきり申し上げられませんけれども、提出の内容と今私が質問申し上げました内容について検討し、それが法案の内容になるのかどうか、その点だけお伺いいたしたいと思います。
#8
○政府委員(本間達三君) お答えいたします。
 ただいま委員御指摘の、国税あるいは地方税上における社会福祉法人と更生保護会との間の優遇措置上の差異につきましては、今回提出を予定しております更生保護事業法案とその関連法案の中で、法律的な事項についてはすべてこれを盛り込んで、優遇措置について社会福祉法人並みにするということとしたいというふうに考えております。そのような内答の法案を現在準備しているということでございます。
#9
○下稲葉耕吉君 時期。
#10
○政府委員(本間達三君) 失礼しました。
 提出時期につきましては、現在、関係省庁との協議を鋭意進めているところでございますけれども、今月、すなわち二月中に提出する予定で現在、最終的な詰めを行っているというところでございます。
#11
○下稲葉耕吉君 承知しました。その問題は、法案が提案されましてから十分検討させていただきたいと思います。
 きょうは時間もございませんので、最後に私は、出入国管理行政、入管行政の問題について若干申し上げたいと思います。
 実は、昨年の十一月八日、当委員会で入管行政について私は質問いたしました。当時の会議録を持ってきているわけでございますけれども、それは、十一月一日、東京入国管理局の入国警備官が不法残留者の入管法違反者を摘発した際に、その外国人女性に働いた暴行事件の問題を取り上げたわけでございます。
 私はその中で、職務執行の過程で警備官が暴力を振るったことは、これは絶対よくない、それなりの責任が追及さるべきであるというふうなことを、会議録の中を読んでみますと三回も申し上げております。
 それと同時に、他面、その過程で、警備官に対しまして大変な抵抗をこの不法残留者の入管法違反の摘発を受けた女性がした。指をかむやら、あるいは両足をけられたり、あるいはつばをかけられたり、当時の入管局長の御報告ですと、一週間の診断書をもらっている、あるいは暴行はある。つばをかけられた、これ自身も私は暴行罪だと思うんですが、要するに公務執行妨害になることは明らかでございまして、その点は大臣も御答弁なさっているわけでございます。
 ですから、私は、そのような問題を取り上げて、一〇〇%とまでは言えないまでも、警備官が悪いんだというふうな形でこの問題が処理されると、現場の人たちは士気が阻喪し、そして希望者もなくなるし、入管行政がうまくいかなくなるんじゃないでしょうかという懸念を当時いたしたわけでございます。
 ところが、一月三十一日の報道によりますと、その減給処分を受けた警備官が役所の中で自殺をなさったわけでございます。私はこの報道を聞きまして、大変複雑な思いがしたわけでございます。大変難しい中で、繰り返して申し上げますが、職務執行の傍ら暴行を振るうということはよくないけれども、現場の大変難しい複雑な状態の中で仕事をなさっていて、そしていろいろな原因があっただろうと思いますけれども、このことが自殺の原因でないと私は言い切れない、このように思うのでございます。
 そこで、大臣は所信の中で、「いやしくも国民の信頼を損なうことがあってはならないのでありますから、国民にも外国人にも出入国管理行政が正しく理解されるべく、職員が一丸となって一層の綱紀の保持に努めるよう指導を尽くす所存であります。」、この問題も含めていろいろな問題についての大臣の所信がこういうふうな形で表現されていると私は理解いたします。
 そこで、もう少しこのことにつきまして大臣の所信をお承りいたしたいと思います。
#12
○国務大臣(前田勲男君) 先生御指摘の、入国警備官が昨今大変残念なことにみずからの生命を落とされたわけでございまして、大変お気の毒にまた哀悼の意をもってお悔やみを申し上げたような次第でございます。我が省としても極めて有能な人材をなくしたことで大変残念に思っております。
 先生御指摘のとおり、業務遂行に当たって、やはりいかなる場合も暴行があるということは避けなければならない厳正な事実であると思っております。ただ、現場の状況というのは、先生御指摘のとおり複雑な状況にあったことも事実でございます。こうした警備官の職務執行に際しまして、その抵抗に対してどの程度のいわば制圧行為が許されるかという、ある意味では深刻かつ重大な問題を含んでおるわけでございます。
 そこで今後は、収容者の人権にも配慮しつつ、適正な職務を遂行するための職務執行のあり方について十二分に検討し、これを職員に周知徹底してまいり、また片や公務執行妨害罪が成立する案件については警察に通報するなどして、職務執行の安全の確保にも努めていく必要があると考えておるところでございます。特に、昨今急増いたしております入国管理業務につきまして、本年度の予算要求でも百二十四名の増員をお願いしておるところでございますが、今後こうした観点からも特に職員の教育、研修というもの、綱紀の保持というものが大事であろうと、かように考えておるところでございます。
 そこで、こうした観点を具体的に実行していくために、管理監督いたしております責任者の率先垂範はもとよりでございますが、具体的な職員の行動の指針というものを指示していかなければならないということを考えております。
 もう少し具体的に申せば、昨年の十月に地方入管あるいは収容所警備監理官・警備課長会同におきまして、また昨年十一月の入国管理局入国収容所次長会同におきましても、綱紀の保持について指示をいたしたところでございます。また、新たに本年の三月には、指導的立場にございます入国警備官による適正な処遇を徹底させるための警備処遇専門研修、これを実施いたしたいと考えております。
 また、適正な業務遂行のための実務マニュアル、これを作成いたしまして職員の間に十二分にその徹底を図ってまいりたいと思っておりますし、またこれが士気の高揚にも努まる、また努めていかなければならない、そして綱紀の保持になお一層努めてまいる、かような決意でおるところでございます。
#13
○下稲葉耕吉君 いろいろ具体的にお聞かせいただきました。この自殺者の遺族に対しましても、大臣初めいろいろ温かい御配慮をなされておられるということも私承知いたしております。そしてまた、警備官の一人一人の方々が大変な自覚を持たれると同時に、明るい円満な職場環境の中で難しい困難な仕事が十分遂行されるように、一層の御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
#14
○糸久八重子君 社会党の糸久でございます。
 先般、二月九日に大臣から所信をお伺いいたしました。本来ならば、所信の全般にわたりまして御質問申し上げるところでございますけれども、時間的な制約等もございますから、本日は阪神・淡路大震災関連事項に限って質問をさせていただきたいと存じます。
 震災後、きょうでちょうど一月でございまして、けさの報道を聞いておりますと、亡くなった方が五千三百七十八人、そしてまた二十一万人の方たちが避難所生活を余儀なくされているということでございまして、本当に心が痛むところでございます。
 さて、神戸地裁や神戸法務局等の被害状況につきましては、二月二日の理事懇等で説明をお受けしたところでございますけれども、次の点につきまして裁判所及び法務省から簡単に御説明をいただきたいと思います。
 まず第一に、現時点における被害額はどのように見積もっておりますでしょうか。それから二番目に、業務への影響はどう対処していらっしゃるのでしょうか。それから三番目に、従前の状況へ復旧するめどはどのように見ていらっしゃるのでしょうか。もう一つ四番目に、今後、緊急時への対応として今回の経験をどう生かしていくのでしょうか。それらについて法務省、裁判所からお聞かせをいただきたいと存じます。
#15
○政府委員(原田明夫君) お答え申し上げます。
 大変、法務省関係の状況につきまして御心配をおかけ申し上げました。現時点で、法務省関係の諸機関で合計八十九庁がさまざまな形で被災いたしました。その中で特に、神戸地方法務局、同西宮支局、また同東神戸出張所におきまして、庁舎の一部が破損いたしまして登記簿等の簿冊が散乱する、また登記情報システムに関しますコンピューターシステムが停止するという被害がございました。また、大阪入国管理局神戸支局、同神戸港出張所におきまして庁舎の一部が損傷いたしまして、いわゆるOA機器等が使用不能になるような状況がございました。
 そのような上に、これらの機関におきましては職員の出勤にも困難を来しまして、一時業務の執行を停止せざるを得なかった状況でございます。その他の機関におきましては、職員等が駆けつけまして基本的には業務の維持ができたわけでございます。特に、刑務所関係その他矯正関係、それから入国管理関係での被収容者につきましては、一名も損害が出すことがなく済みました。
 それで次に、業務への影響、どのように対処したか、またしているかということでございますが、法務局関係また大阪入国管理局関係等業務を停止いたしました各施設につきましては、海上経由で応援職員を投入いたしまして当面の復旧に努めまして、法務局関係では一月三十日から業務を再開することができました。また、入国管理局関係でも、二月一日から業務の一部を再開いたしまして、二月十三日から業務の全面再開をすることができたのでございます。
 また、その間、入国管理局関係で収容されていた収容中の外国人等につきましては、大阪入国管理局に船で移送するというような緊急の措置もとらせていただいたわけでございます。
 その他の機関におきましては、当初出勤できる職員が大変少なかったという点もございますけれども、緊急の事案から業務を再開いたしまして、現在では全面的に業務遂行を行えるような状況になっております。
 それから、被害額でございますが、ただいま最終的に集計いたしておりますけれども、基本的な法務省関係の被害は建物等の被害でございまして、それらにつきましてはほぼ六億円程度の被害ということで、これらにつきましては補正予算の中で手当てがしていただけるようにお願いいたしているところでございます。その他は什器、備品でございますが、これは通常の予算の中のやりくりですべて対応することができました。
 今後、これらの状況を踏まえて再度、緊急の事態に対してもさまざまな教訓を酌み取って生かしていくわけでございますが、やはり通信手段の確保また職員間の連絡、その他書類その他の重要な書類の保管等、さまざまな配慮をしなければならないと考えております。
 また、法秩序維持の観点からの法務省の責任を果たしていくためにさまざまな酌み取るべき教訓がございましたが、これに当たる職員またさまざまな応援の職員、法務本省におきます本部における集められた情報等をこれから分析してまいりまして、それを教訓にして今後の対策に努めさせていただきたいと考えております。
#16
○国務大臣(前田勲男君) なお、追加をして申し上げますが、被害の中に、まことにこれは残念でございますが、長年御尽力いただいた七名の保護司の方、その後一人またふえられまして八名になったそうでございますが、お亡くなりになっております。まことに残念でございますが、弔意と、また保護司として御貢献いただきました感謝の意を法務省として表しておきました次第でございます。
#17
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 裁判所関係の被災状況につきましてもいろいろ御心配をいただきまして、どうもありがたく思っております。
 裁判所の場合も、幸い職員に死亡者が出るというふうな被害はございませんでした。施設の関係では、やはり神戸地裁・家裁の本庁が相当の被害を受けております。玄関の門柱が倒れましたり、あるいは大きな煙突が倒れたり、あるいは玄関の部分が陥没したりといったような被害が生じております。ただ、幸い庁舎自体が損壊するとか、そういった状況にはなりませんで、今後の執務はこの庁舎を使って継続していくことができるという状況でございます。現在、不自由な中で職員一同で執務体制の確立に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
 事件に対する影響でございますが、実は裁判所の関係では、震災の当日から緊急の事件の処理の体制はずっと継続してとっておりまして、裁判所としての機能が停止するという状態は一日も生じないで済んでおります。震災後一週間経ました二月六日の週からは、何とか平常どおりの事件処理ができる体制をしいております。
 ただ、当事者でありますとか、あるいは代理人の方々がむしろ被災されまして、裁判所に出頭してこられることができないというような事例が多数出ておりますので、そういう方たちの事件につきましては、この被災のために権利救済の機会が奪われることのないように、できるだけ柔軟な対応を心がけているところでございます。
 今後の問題としましては、やはり借地借家関係の紛争が多数裁判所に持ち込まれるのでなかろうか。特に、訴訟とけいますよりも、両者の合意で解決のできます調停の申し立てがかなりふえてくるんじゃないかというふうなことを考えております。現在、そのための事件の処理体制を整備しておるところでございまして、ほかの、神戸以外の他の管内の調停委員の方にも神戸の調停委員になっていただくというふうな手続を現在進めているところでございます。
 それから、施設の復旧でございますが、これは緊急に復旧することが必要なものから順次、その復旧を図るための準備を進めているところでございます。
 今回の経験でございますが、我々の方では、被災の当日から事務総長を本部長といたします対策本部を設置しまして、できるだけ早く現地にも調査団を派遣する等の措置もとりました。さらに、緊急の援助物資の送付でありますとか、事件処理体制の回復のためにいろいろ苦労をいたしました。そういう経験を踏まえまして、今後全国の裁判所で同じような事故が起こったときにも、裁判所を御利用になる国民の方にできるだけ御不便をおかけしないような形の体制をとっていきたい、そういうふうなことを現在考えているところでございます。
#18
○糸久八重子君 二月六日の日に、罹災都市借地借家臨時処理法を適用するという政令を公布したと伺っております。被害を受けた借地借家人の権利を保護するために、今回の措置というのは極めて時宜にかなった適切な処置であると思います。問題なのは、法的に借地借家人の権利保護のための措置がとられても、その実効性が担保されなければ何にもならないわけでございます。
 今回の政令は、建築基準法八十四条に基づく建物制限等が行われているところも大変多いわけでありまして、せっかく罹災都市借地借家臨時処理法が適用されても、優先借家人になる申し出とか、それから借地権取得の申し出が制限されているわけですけれども、過去の事例で、例えば福井地震などの場合、この政令の適用がどの程度機能したのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
#19
○政府委員(濱崎恭生君) この法律は、御案内のとおり、直接には戦災被害を対象とする法律としてできたものでございますが、その後、二十七くらいの災害について適用されたというふうに承知しております。ただ、この政令を適用した過去の事例について、具体的にこの法律に従って処理された件数がどのようにあるか、あるいはその具体的事案の内容等につきましては、申しわけありませんが、統計等の資料がございませんので数字を挙げてお答えすることができないわけでございますが、それらの災害にこの法律を適用したことによって不都合が生じだというような話は聞いておらないところでございます。また、法律の内容も、殊に借地権に与えられる対抗力の補充規定などから考えまして、借地人、借家人の権利の保全に役立っているものと考えている次第でございます。
 御指摘の建築基準法八十四条の建築制限というのは、されている地区があるわけでございますけれども、これらの地域ではこの法律が適用されましても、そういった制限の範囲で土地の利用の制限を受けるということになりますけれども、しかしそういう制限のもとでも、この法律の適用によって適切にその保護が図り得るものであるというふうに考えているところでございます。
#20
○糸久八重子君 震災関係で同僚議員がお尋ねになりました、法務省として滅失登記とか法人の破産等の猶予期間等の特例措置等がこれから新しい法律として出てくるそうでございますけれども、それは出てきたときにまたお伺いをしたいと思います。
 一つ心配なのは、マンションの問題なんですね。兵庫県下には分譲マンションが二千九百棟あるそうでして、これもけさちょっと私もニュースを聞いていたんですけれども、どうしても建てかえを必要とするものは、そのうち十八棟あるそうです。それで、部分修理は二十七棟あるということなんですね。
 建物区分所有法では、建てかえはその居住者の五分の四以上の同意が必要だと、これは六十二条に書いてありますけれども。これまでですと、その建てかえの場合に、容積率に余裕がある施設が居住者全員の賛同で建てかえられる例が大体今までほとんどだったと。そのような場合でも、同意取りつけに大体六年から七年ぐらいかかっていると。これはマンション管理センターがそう言っているわけですけれども。
 今回の場合は、亡くなった方がいらしたり、それから避難先が分かれたりしてその同意取りつけというのが大変だろうと思うのですね。建てかえ問題では居住者の利害も絡むでしょうし、現行法では困難ではないかというふうに考えるんですけれども、その辺はいかがなんでしょうか。
#21
○政府委員(濱崎恭生君) 御案内のとおり、現行の建物区分所有法におきましては、建物の一部が滅失した場合の復旧、修復でございます、それと建てかえのための規定が用意されておりまして、御指摘のようなかなり厳しい多数要件を置いているわけでございますが、これは専有部分はそれぞれ独立の所有権の対象になっているということを前提にして考えますと、建てかえの必要性と、片や反対する、このままでいいという少数者の権利の保護という観点の考量の上に、やはり多数決で建てかえるということについては慎重な配慮が必要であるという観点から、これは昭和五十八年の改正で実現したものでございますけれども、そういう手続になっているわけでございます。
 この多数要件を満たすということはなかなか難しいという問題があるわけでございますけれども、これはやはり私人の権利と権利の間の調整の問題でございますので、こういう大事業をするということについては、そういう多数要件を満たしていただく必要があるのではないだろうかというふうに考えております。
 それからまた、実際問題といたしましても、建てかえるということになると大変高額な費用を要するものでございますので、かなりの多くの人が建てかえる必要なし、あるいはその費用がないから建てかえないでいいと言っているような場合に、果たして実際問題として多数決で押し切って実現することができるかどうかという観点から考えましても、大変難しい問題なのではないだろうかというふうに考えております。
 これまでの一般の建てかえが問題になっている事例と申しますのは、建物がだんだん古くなって、そして建てかえた方がいいという人とこのままで住めるという人との意見の対立があって、なかなか多数要件が満たされないということであったように思いますけれども、今般の場合にはこのままでいいということを主張するという度合いというのはかなり低いのではないだろうか。
 そういう観点から考えまして、これはいろいろ当事者があちこちに出ておられるというようなことで協議は難しいであろうと思いますけれども、しかし、その意思を無視して実行するというのはますます問題でございますので、そういう御努力、それは専門的な業者等のいろいろな、何と申しますか、助言といったようなものが期待されるわけでございますが、そういうことで運用上のいろいろな工夫をしていただくということによって区分所有者間の調整ということを図っていただくことを期待しているわけでございます。
 なお、今の制度は建物が一部滅失した場合の措置でございまして、建物が全壊してしまったという場合については、現在、多数決でやるという手当てがされておりませんので、その点について特に、今次災害に関して多数決で建物の再建をすることができるという手当てを講ずる必要があるかどうかという観点から現在、私ども検討をしているところでございます。
#22
○糸久八重子君 大変、住宅とか土地問題で法律相談がたくさんあるそうでございますけれども、近畿の弁護士会でも地震一一〇番を設けて無料の法律相談に協力してくださっているそうなんですが、非常に殺到している電話はもうパンク状態だということなんです。
 国といたしましても、ボランティアに依存するのでなくて、資金的にも弁護士会等に援助する必要があるのではないかななんということを考えるわけでございます。例えば、法律扶助協会による法律相談等の活用等も考えられるわけですけれども、本年度の補助金は大変少額でございます。
 そういうようなこと等も含めて、そういう所要の措置もとれないのか等も含めて、大臣、これから地震対策についての御決意などをお伺いさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#23
○国務大臣(前田勲男君) ただいまの地震に関するいわば法律相談でございますが、地震発生以来、一月二十六日ぐらいから日弁連、近弁連、神戸挙げて、あるいはまた法律扶助協会、土地家屋調査士、司法書士、公証人の皆様、大変ボランティアとして御活躍をいただいて今日に至っている。なお、その相談件数というのはふえておるさなかにございます。
 そこで、法律扶助協会等団体に対しましても、国としての財政措置、これをぜひとらしていただき、ふやしていかなければならないということで財政当局と現在交渉いたしておりますが、財政措置はかなり補助金等々で負担させていただくことができるのではないか、そんな感じがいたしておりますし、また訴訟費用等につきましても、現在その補助等につきましてあるいは減免等につきまして前向きに検討し、可能性がありその減免等が図れるものと、現在そのような確信を持つに至っております。
#24
○糸久八重子君 ありがとうございました。終わります。
#25
○荒木清寛君 まず、今回の大震災で亡くなられました五千三百人を超える皆様の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆様に対し心からお悔やみを申し上げます。また、負傷された皆様、さらには避難生活を余儀なくされている皆様等を初め被災者の皆様に衷心よりお見舞いを申し上げます。さらには、寝食を忘れて復旧復興のために活躍をされておられます関係者、ボランティアの皆様に心より敬意を表する次第でございます。
 そこで、まず大臣に震災対策についてお尋ねをしたいと思います。
 法曹三者震災対策連絡協議会というものもできたようでありますし、大臣が陣頭指揮をとっていらっしゃるという話も聞いておりますので、その点は本当に敬意を表する次第でございます。ただし、政府全体の対応ということで見ますと、やはりいかにも遅いといいますか、お役所仕事という点が随所に感じられるわけでございます。
 このたび、罹災都市借地借家臨時処理法が適用になると、これはもうけだし当然であろうと思います。しかしながら、この決定も二月三日でございまして、やはり遅いということを私まず感じたわけなんです。いろいろ専門家からも指摘があり、さらには新聞でも話題になってようやく決まったという感じがするわけなんです。確かにこれは、被災者の方のきょう飲む水がないとかパンがないとか、そういう話とは違うわけなんですけれども、たくさんの方が借地借家の中で家が倒壊しアパートが倒壊するという、そういう不安を持っているわけでありまして、少しでも早く安心をさせてあげるということが必要であったんではないかというふうに思います。
 それで、法務当局に聞きますと、これは地元自治体との調整がどうのこうのという話になりまして、また地元のせいにしちゃうわけなんですけれども、確かにどこの地域にこの法律を適用するということは、そういう詰めが必要なんですけれども、しかし、今回の被災についてこの特別措置法を適用するという、そういう方針をまずばんと打ち出すというようなことはもっと迅速にできたはずじゃないかというふうに思うわけでありますが、大臣いかがでしょうか。
#26
○国務大臣(前田勲男君) 御指摘の罹災都市借地借家臨時処理法の適用でございますが、実は六日から施行されたわけでございます。私も一日も早く適用すべきということで努力をしてまいりました。
 先生からお話しございましたとおり、実はこれはまず一つは、建設省との共管でございまして建設省との協議も必要でございましたが、それと同時に、何よりもこれは地域指定の要件を持った法律でございまして、十二市十一町、それぞれ、初めはもう兵庫県全部に網をかけたらどうだというような議論もしたのでございますが、各地区ごとの指定というようなこともございまして、地元の御要望等々も踏まえ、かつまた今後の復興計画、先ほどの都市計画、建築基準法等々のお話ございましたが、復興計画との関係等々がございまして、取り急ぎ、急ぎ急いで二月六日に公布ができたというように解釈しておりまして、ある意味では最大限早くできたのかなと。
 ただ、現地の避難されておる皆さんのあの厳しい状況を見たときに、私も一日も早く適用して、少なくとも精神的な安定は持っていただきたいという気持ちはあったことは事実でございますが、適用は最大限速やかに行ったということはひとつ御理解を賜りたいと存じます。
#27
○荒木清寛君 先ほどもお話がありましたが、今回の特別処理法の施行に伴ってといいますか、あるいはそれも含めて、特に借地借家をめぐる調停の申し立てというのは大変ふえるんではないかと思うわけです。
 そこで、最高裁にお尋ねをするわけですけれども、関東大震災の折には、大正十二年九月一日ですが、この借地借家の申し立てがもう大変にふえたと。大正十一年は二百二十四件しかなかったんですが、十二年にはもう六千百十一件と、九月に震災があって三カ月で六千件もあったというわけです。十三年は一万八百七十七件、十四年は七千三百四十四件という、そういう統計であります。
 今回の震災につきましては、確かに震災のその規模といいますのはまだこれでも関東大震災に比べれば小さいといいますか、比較をすればの問題でありますが、こういう状況ではありますけれども、しかし権利関係の錯綜あるいは権利意識の向上という面から見ますと当時の比でないわけでありまして、今回ももう相当数の被災地におきまして調停の申し立ての増加というのが予想されるわけでありますが、具体的にどの程度ふえるというふうに、そういう見通しを持っていらっしゃるんですか。
#28
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 今、委員から御指摘のありましたとおりでございまして、認識としては私どもも全く同様の認識を持っておりますが、私どもの手持ちの資料によりますと、別の見方でちょっと申し上げますが、関東大震災のときにはほぼ一年間で約一万二千件の調停事件が申し立てられて、うち約九千件について調停が成立したという報告が残っております。
 今回の大震災におきましては、事件の発生しました一月十七日から二月十五日までの間、神戸地裁管内の簡裁に申し立てがあった震災関係の調停事件は十数件でございます。今のところ、そういう意味では十数件ということになりますが、しかしながら、マスコミ等の報道によりますと、弁護士会の無料法律相談に多数の被害者が訪れてさまざまな相談を持ちかけておられるということでございます。
 委員の御指摘のとおり、今後さらに特にこの借地借家関係の事件は大量に申し立てられるということが予想されるわけでございます。この種の事件は継続的な人間関係に基づきますので、訴訟で白黒をはっきりさせるというよりは、当事者の合意によって円満に解決をする調停事件という方向へこの事件が流れていくのではなかろうかというふうに考えておりまして、この民事調停事件が積極的に利用されることになるであろうというふうに考えておりますが、まだ具体的なその事件数等につきましては今の段階で軽々な推計は難しかろうと思いますので、これは御容赦いただければと存じます。
#29
○荒木清寛君 といいますのは、先ほどのお話で、調停の増加に備えて調停委員の確保あるいはそういう施設の確保という話もあったんですけれども、ある程度、どのぐらいあるかという見通しを立てなければ、ただやみくもにふやしているあるいは全然計画性がないという話になると思うんですね。
 今、どの程度のそういう調停の受理に対応できるような体制というのを念頭に置いているわけですか。
#30
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) なかなかこの推計が難しいということは先ほど申し上げたとおりでございますが、家屋の焼失件数であるとかあるいは焼失面積とかいろいろなところからいろんな計算、試算ができるということは事実だろうと思いますが、関東大震災当時と比べましてもその社会的な状況がかなり違っておりますので、大ざっぱに言いまして、あえて申し上げれば、数千件単位の事件は当面覚悟しておかなきゃいかぬではなかろうかと、私自身はそう考えております。
#31
○荒木清寛君 今は確かに十数件ということは、もう今仮設住宅に入れるかどうかという段階ですからそうなんでしょうけれども、皆さんがそういう、一応落ちついたという段階になりますと一挙に多量の申し立てがあるというふうになるのではないかと思いますので、そのときになって裁判所の方が慌てるというようなことがないように、ぜひ今から増強といいますか、人員、施設の増強に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、大臣に、所信表明の中に監獄法の全面改正というお話がありましたものですから、お聞きをしたいと思います。
 先般、国際法曹協会、IBAというふうに略称しておりますが、その代表が日本に参りまして大臣にもお会いしたいという申し出があったと思いますが、お会いされましたでしょうか。
#32
○国務大臣(前田勲男君) 残念ながらお目にかかれておりません。
#33
○荒木清寛君 法務省の方と懇談をされた。懇談というよりも、十分の予定であったけれども三十分ぐらい激論をしたというふうに聞いているわけであります。
 そのIBA、国際法曹協会が日本のいわゆる代用監獄につきまして昨年の九月ですか調査をしまして、そして本年二月に一つの報告書を出しているわけなんです。法務省にも届いていると思いますが、その報告書の中の「建議」という、要約といいますか提言のところに、「監獄法を改正し、代用監獄を減らしていくことによって、これを廃止すべきである。」、こういうことを言っているわけです。
 このIBAといいますのは、単に弁護士だけの集団ではなくて、英米法なんかは法曹一元ということですから、検事といいますか検察官なんかも入っている団体なんです。会員も二百五十万人いるというような話なんですが、こういう一つの国際的な法曹組織からこのような建議がなされたということにつきまして、大臣はどういう所見をお持ちですか。
#34
○国務大臣(前田勲男君) 御質問のIBA予備調査報告書に日本の代用監獄制度というようなものが盛り込まれておると私も理解をいたしておりますが、代用監獄制度につきましては、五十五年十一月の法制審の答申にも審議会全会一致の結論として、制度上及び運用上、所要の改善を加えた上で存置することとしておりまして、これは廃止の実現困難性等が現実として総合的に考慮された上での結論と、かように実は承知をしておるところでございます。
 さきの衆議院の解散によりまして廃案となった刑事施設法案におきましても、答申の趣旨に沿って制度上、運用上、所要の改善を加えた上で留置施設への代替収容を制度として具体化をしているところでございます。
 なお、法制審議会の答申には、法改正の実施に当たっての運用上の配慮事項として、将来、できる限り拘置所または拘置支所の増設及び収容能力を増強して、被勾留者を留置施設に収容する例を漸次少なくしていくことが示されておりまして、この示されたことに対しまして今後ともできる限りの努力を続けてまいりたいと、現状はこう考えております。
#35
○荒木清寛君 この監獄法の全面改正の必要性ということにつきましては、余り異論はないと思うんです。ですけれども、先般といいますか、かつてのように与野党対決の法案として出すというのではなくて、大臣の所信にも「種々の観点から検討を加えてまいりたい」というふうにくくってあるわけです。なるべく広く合意を得るような形でぜひ改正をしてもらいたいというふうに思うんですが、簡単にその点いかがですか。
#36
○国務大臣(前田勲男君) 基本的には、所信でも申し上げましたそのとおりでございます。
#37
○荒木清寛君 次に、これも所信の中に、いじめ問題につきましても積極的に取り組むということがありましたものですからお尋ねいたします。
 今回の震災でもう関心が全部、全部といいますか、もうそちらの方にいってしまいましたので、何か随分前のような感じがする場合もあるんですが、私は西尾市の大河内君のいじめの自殺のその地元愛知県なのでございます。
 先般、この問題につきまして、いわゆるいじめた側の加害者といいますか、その少年につきまして書類送検がなされたという報道もあったわけなんです。全体の恐喝された金額が百万円を超しているという中で四万円ぐらいの立件であった、二人についてというお話で、何か非常に釈然としない思いも残るわけでありますが、これはいろいろ証拠上の問題があったんではないかと推察をするわけであります。
 ところで、このいじめ問題につきましては、もう大きな社会問題になっておりましたし、今もその状況は全然改善されていないわけでありますが、法務局といたしましても、特別調査班をつくりまして、この愛知県西尾市のいじめ問題につきまして人権侵害の観点から調査を始めたと、昨年の十二月でございますか、というふうに聞いております。もうそろそろその結論が出てもいいころでございますけれども、どうなっておりますでしょうか。
#38
○政府委員(筧康生君) ただいま委員の方から御指摘を受けましたとおり、この大河内君のいじめ自殺問題に関しましては、名古屋の法務局それからもちろん西尾の支局、さらに今回新たに設けました人権擁護委員の中の子どもの人権専門委員の方をも含めまして事件調査のための特別調査班を設置したところでございまして、それらの方々が関係者から事情を調査するなどの調査活動を現在続けておるという段階にあります。
#39
○荒木清寛君 最終的な結論が出まして、これはもう人権侵犯に決まっているわけなんですが、決まっているというとあれですが、明らかであると思いますが、その場合に、いじめた側といいますか、あるいはその保護者の方、そういう方にもやはり私は勧告といいますか、それをすべきじゃないかと思うんですが、そういうこともあり得るわけですか。
#40
○政府委員(筧康生君) 人権擁護機関の行います調査活動、それからその処理の結果も含めてでございますけれども、その原因となった行為者を何か糾弾するとか、その非の責任を問うということよりも、もう少し前向きに、その原因の中から明らかになった事柄を通じまして関係者の啓発をし、再び同じようなことが繰り返されないような、そういう前向きな処理をするということを絶えず考えているところでございます。
 したがいまして、その必要な限りにおいて、調査の結果、人権侵犯事件として認められる場合におきましては、処理規定に定められました適切な処理をとるということを考えております。その中には、それはもちろん、その行為が人権侵犯事件として認められたという場合のことを前提とするわけでございますが、加害者あるいはその保護者等も含めてこの問題を考えておるという状況にあります。
#41
○荒木清寛君 この大河内君は、親にも学校にもどこにも相談できなくて、告白できなくて、もうそういう悲惨な道を選ばざるを得なかったわけであります。
 本当に子供さんが、児童の方が気軽に相談できる窓口があればということを私は思うわけなんです。もういろんなボランティアの方あるいは弁護士会でもそういう相談窓口を今設けているわけでありますが、そういう民間の方だけに任せるんではなくて、やはり行政というか政府といいますか、の方でもそういう常設的な相談窓口を設けるべきだというふうに思います。
 それで、子どもの人権専門委員というお話がありましたが、この専門委員の方が子ども人権一一〇番をつくって活動をしているというふうな報告もいただきました。これが去年の八月一日に任命になったそうでありますけれども、この一一〇番がどのくらい機能しているのか、いじめの相談がどの程度寄せられて解決しているのか、それを御報告願いたいと思います、
#42
○政府委員(筧康生君) この子どもの人権専門委員制度というのを設けました趣旨というのは、ただいま委員の方から御指摘がありましたように、子供が抱えておりますいろんな人権問題に対して相談をするという窓口を人権擁護機関としてもぜひ設けたいというのが一番の眼目でございます。
 そのために、まず私どもが第一に心がけておりますことは、まずこの制度自体を広く周知して、子供さんにもあるいは保護者の方々にも子どもの人権専門委員制度がある、そしてその身近な人にはこういう人がいるということを周知徹底するという、そういう活動をまず第一にしなければいけないと考えておる次第であります。
 さらにまた進みまして、子どもの人権専門委員が十分に活動をするためには、子供の生の声といいますか、そういうことを十分聞く必要があるということを考えておりまして、その取り組みの一つといたしまして、子どもの人権専門委員の設置されました局において、子どもの人権一一〇番という愛称を持った電話相談を設けることにいたしておるわけでございます。
 これは、先ほど委員にも御指摘受けましたように、昨年の八月一日から委員の指名をし、その後順次電話による相談も開設しているという状況にありますが、現在、その相談件数等についてはまだ統計的に全体的な件数を申し上げる処理をいたしておりませんから、統計数字等を申し上げることはできないわけでございますが、各地からの情報によりますと、この電話を利用して相当数の相談が寄せられてきておるというような状況になっております。
 私どもといたしましては、引き続いて、この制度さらにまた子どもの人権専門委員の名前等を広く周知させるということによって一層相談体制を充実させてまいりたい、このように考えている次第でございます。
#43
○荒木清寛君 私は、この問題につきましても、縦割り行政の弊害というのが見られているんじゃないかと思うんですね。
 この相談窓口につきまして、確かに法務局の中にあるんでしょうけれども、そういうことを知っている子供というのはまずいないんじゃないかと思うんですね。法務局に相談すればいいなんということはまず知らない。また、文部省は文部省でいしめ問題等に関する相談業務体制の整備という事業をやっているわけなんです。また厚生省にも児童相談所とかあるわけなんですね。みんなばらばらにやっているわけなんです。
 私は、例えば東京都を例にとりますと、一月十日に知事を本部長とする対策本部というのを設置して、都全体としてやっているわけなんです。地震の救済は救済として、これも大変な問題なんですから。
 私は、各省がばらばらに相談窓口をつくってやるんではなくて、きちんと連携をとって、場合によっては政府の中に対策本部をつくって各省庁まとめてやるべきではないか。そのくらいの意気込みがないとこの問題というのは解決していかないんではないかというふうに思うんですが、大臣のお考えを聞きたいと思います。
#44
○国務大臣(前田勲男君) 子供がいじめに対して相談をする、なかなかこれ子供にとっても勇気が要りましたり、あるいは特に役所等に相談をかけるというのは、子供にとっては大変なことだと思います。
 そういうことからも、子供に十分開かれた、優しい、相談しやすい窓口をとにかくつくることが肝要だと、かように考えておりますが、お尋ねの件、各省ばらばらでやっておるではないかというようなお話もございます。まあまあそれは、それぞれ分担に応じてともかく最大の努力をしているということでもございますけれども、昨年の十二月に関係閣僚会合を開いておりまして、そこで大変熱心に協議もしてまいりました。
 そこで、現時点では取りまとめは総務庁の青少年対策本部が中心となって、現在まさに関係各省庁まとめて取り組んでおるわけでございまして、今、当面とるべき措置等各省申し合わせももう既にいたしたところでございまして、総務庁を中心に政府一体となっていじめ問題解決に向けて努力を続けておるところでございます。
#45
○山崎順子君 無国籍の子供と、また婚姻関係にない日本人男性と外国人女性の間に生まれた子供の日本国籍の問題について質問させていただきます。
 皆様も御存じと思いますが、本年一月二十七日、リース夫妻の養子であるアンデレ・ロバートちゃんの日本国籍が最高裁で認められました。
 このアンデレちゃんというのは、日本人である父親は不明で、フィリピン人と見られた母親は長野県内の病院でリースさんにその子を、アンデレちゃんを預けたまま行方がわからなくなりました。日本の国籍法は、無国籍の子供を救う目的から「父母がともに知れないとき、」は日本国籍を認めると定めておりますけれども、なまじアンデレちゃんは母親がフィリピン人らしいとの情報があったために、日本政府はフィリピン国籍を主張し、フィリピン大使館は自国民と確認できないと退けて無国籍となったケースでございます。
 そこで、アンデレちゃんとその養父母は日本国籍を求めて裁判を起こしたのですが、一審では認められ、二審で逆転敗訴、そして今回の最高裁でやっと日本国籍が認められたわけです。
 このアンデレちゃんに日本国籍を認めることを拒み、二審に控訴までした法務当局が今回敗訴したわけですけれども、この最高裁判決をどのように受けとめていらっしゃるか、また、国籍をめぐるきょうまでの法務行政に対し今回の最高裁判決は反省を迫っているものだと思われるのですが、法務大臣に御答弁をお願いいたします。
#46
○国務大臣(前田勲男君) アンデレちゃんの件につきましては、私もある意味では結果をほっといたしておる一人でございます。最高裁のこの判決を今後踏まえて、法務当局としても十二分にまず対処していきたいという決意を申し上げたいと存じます。
 裁判の今日までの経過をお話しございましたが、国側としては、まさにこのアンデレちゃんのお母さんが外国姓を名乗っておられて、かつ同じ時期にそのお母さんらしき方がフィリピンから我が国に入国をしておったと思うような事実があったわけでございまして、こうしたことから反証活動として今日裁判を続けてきたわけでございますが、最高裁の判断は、国側の立証では疑わせるには十分でないと申しますか、お母さんがフィリピンかどうか十分でないというような新たな判例と申しますか、判例に近いものを残していただいたということでございますので、今日までの経過は経過として、新たなさっき申し上げた決意で取り組んでまいりたい、かように思っております。
#47
○山崎順子君 大臣がほっとなさったというのも本当に当然のような、今回の最高裁の判決はわかりやすく常識的だったと思うんですけれども、法務省の民事局も「真摯に受けとめ、今後の国籍行政に生かしていきたい」とのコメントを発表なさっておりますが、大臣が今後対処していきたいとおっしゃったり、また国籍行政に生かしていきたいとおっしゃる、そのどういう点を今回のことで各地方の法務当局に通知なさったのか、それからどういうふうに具体的な対処をなさるのか、ちょっとその辺をお聞かせ願いたいと思います。
#48
○政府委員(濱崎恭生君) 基本的な考え方はただいま大臣が申し上げたとおりでございまして、まずもって、今回の判決の意味するところというものを、戸籍事務を担当しておられる現場である市区町村の職員あるいは担当の法務局職員に周知させる必要があるだろうというふうに考えております。
 これは大変重要な判決でございますけれども、個別の事件の問題でございますので通達という形はとっておりませんけれども、これから公式的には全国的なあるいは各地域の会同等の場でその周知を図るということを考えておりますが、また法務局職員の関係では、法務局職員すべてが目にする内部の機関誌にそれを紹介する、あるいは市区町村の戸籍の現場におきましては、担当職員がほとんど手にしております戸籍に関する機関誌がございますが、そういうもので内容を紹介するということを通じまして徹底させたいというふうに考えているところでございます。
 それからまた、こういった、本件はまことに事実認定上大変微妙な事案でございますが、そういった事案につきましては、市区町村から対応の法務局を通じまして私ども民事局、本省の方に相談があるという取り扱いが一般的でございますので、今後ともこういう事案があればそういう御相談があるであろうと思います。本件も実はそういう経緯があったわけでございますが、先ほど大臣が申しましたような観点から私どもとしては判断をしたわけでございますけれども、そういう場面におきましてはもちろん、今回の判決の趣旨を十分に踏まえて適切にやっていきたい、そんなふうに考えているところであります。
#49
○山崎順子君 通達という形はとられないそうですけれども、もう一度確認させていただきたいのは、では市町村から問い合わせなどがありました場合に、アンデレちゃんと同じようなケースの申請の場合は、もう速やかに裁判をせずとも国籍が認められると考えてよろしいわけでしょうか。それから、市町村からわざわざそういった場合でもなおかつこちらの方に確認をなさるんでしょうか、御相談があるんでしょうか。もう市町村でそのまま速やかに認められるというふうにはならないんでしょうか。
#50
○政府委員(濱崎恭生君) これは個別の事案ごとにそれぞれ事実関係が異なるわけでございまして、実はもう新聞紙上等でも委員御案内かと思いますけれども、本件に似通ったケースで、しかし、本件とは違って母親がだれであるかという特定する資料が乏しい、本件よりもずっと乏しいという事案については、これはやはり母が知れないときに該当するとして戸籍の現場で日本国籍を認めたという例もあるわけでございます。
 したがいまして、それぞれ事案ごとに、これははっきり母親がどなたであるということが認定できる場合とそうでない場合とあるわけでございますので、やはり個々の事案ごとに戸籍の窓口でもあるいは対応する法務局でもあるいは私どもとしても考えていかなきゃならぬ、そういう問題であることを御理解いただきたいと思います。その際に、今回の判決の趣旨を十分踏まえて対応していきたいということであります。
#51
○山崎順子君 今回の判決の趣旨を、多分国籍法二条三号の「父母がともに知れないときこという立証責任の所在等について最高裁が初判断を下して、それを踏まえて行政指導に生かしていきたいとおっしゃっているんだと思うんですけれども、今回の最高裁のは国籍法の二条三号だけではなくて、子どもの権利条約ですとか、いろんなところで子供というのはもう生まれながらにして国籍を持つ権利があるというふうに書かれております。そのことを踏まえて最高裁は、すべての子供たちを無国籍状態にしないために今回の判決を出したんだと私などは考えておりますけれども、そういう趣旨からいいますと、そんなに個別の事情個別の事情というところにこだわっていられては今回の最高裁判決の趣旨が生かされないと思うのですが、前田法務大臣はどうお思いになりますでしょうか。
#52
○国務大臣(前田勲男君) 一つは人道的な大きな問題がございますが、また反面、それぞれの国には国籍法もそれぞれの国が所有していることも事実でございまして、それぞれの国の国籍法上の判断がされるとまずは理解をされますが、例えば日本で生まれた子供が無国籍児となるケースも法律上ないわけではございません。
 例えば、子供が日本で生まれて、父親が例えばアメリカの方だった、お母さんが例えば韓国の方だった、しかし日本で生まれたと。日本は生地主義でございません。そうなってくると、特にアメリカの場合はお父さんが生地主義、それから韓国の場合はお母さんは血統主義でございますから、国籍を決定することは法律上極めて難しい、こういうような状況もございます。
 今後こうした課題に、先生のおっしゃるような趣旨で国籍の決定をどうしていくか、極めて重大な課題だと、かように理解をいたしております。
#53
○山崎順子君 日本の今の国籍法は一九八四年に改正されましたが、その際に、当時の国籍法二条四号の適用範囲を拡大した方がいいんじゃないかという検討がなされたというふうに聞いております。このときに、日本で出生じ日本国籍を付与されなければ無国籍となるべき子のすべてに当然に日本国籍を付与するものと、そういうふうにしたらどうかというふうにもうもちろん検討されているわけですね。
 それで、国によってはベルギーなどのように、今、法務大臣がおっしゃったようなさまざまなケースで無国籍になる子供が生じるようなときに、その国に生まれた場合は、親の国籍が持てないようなときはすべての子供にその国の国籍を付与するという、そういう理想的な国籍法を持っている国々もあるわけですね。それはやはり国籍というのは、人のアイデンティティーに属するもので、人権を享有するための人権というふうにもう本当の基本的人権だと思いまして、それがなければ保護される国も決まっておりませんし、権利も行使できませんし、人としてやはり人間らしい生き方ができないわけで、国としては国籍を付与するのはもう当然のことだと人道的立場からも考えられるんですけれども。
 例えば日本の場合は、先ほどのアメリカ人の父親と韓国の母親というケースよりは今一番多いのは、外国人登録をされていて無国籍となっている百三十八人という平成四年の末の数字で、それ以後の新しい数字はまだお聞きしたけれども把握していらっしゃらないようでございますけれども、あればもちろん教えていただきたいんですが。
 それ以外に、不法滞在の人たちが、今バブルがはじけて人数は少し減っておりますが、逆に経済的事情から帰れないで滞在期間が長期化しております。そういう中で、日本人男性との間に法的な婚姻関係がなくて生まれる子供たちというのが随分ふえております。その数を把握なさっているか。そういう子供たちに対して、もし無国籍となるようなときにはどうすべきか。それから、日本人国籍が得られなくて母親と子供が退去命令が出されるというようなケースもございますけれども、そういったことはどういうふうにこれから行政指導なさるのか、ちょっとお聞かせ願いたいんですが。
#54
○政府委員(塚田千裕君) 我が国に無国籍の子供が何人いるのかという一番新しい数字でございますが、私どもは外国人登録でもってこれを把握しているわけでございますけれども、二年に一度取りまとめております。その資料によりますと、平成四年の十二月末現在で、十九歳未満の未成年者が二百四十七人把握されております。また、大人も含む無国籍者の総数は千五百二人ということになっております。
 それで、不法滞在の女性が日本で子供を産んでその在留資格がどうなるのか、例えば退去強制というようなお話でございますが、いろんなケースがあろうかと思います。母親だけが退去を強制されて子供が残ってしまっている場合だとか、子供だけが残っている場合、その子が在留資格がないから退去強制されてしまうのかとかいろいろケースがあろうかと思いますが、それは分けて考える必要があろうかと思います。
 子供だけが事実上残っていてだれもいない、無国籍で日本にいるのが人道上も自然であるというような場合は、やはりできるだけ親だとか養親の在留上の現在の地位というようなものを勘案しますし事情も調査いたしますけれども、最終的には何らかの在留資格を考えるというようなことはやっていきたいと思っております。
#55
○山崎順子君 現在、広島地裁で、日本人の父親、そしてフイリピン人の母親による非嫡出子のケースの国籍確認訴訟が行われておりますが、係争中ですけれども、この場合に、父親は日本人の妻がいてこのフィリピン人の母親とは婚姻関係を結べないということで、子供の認知をしたわけです。ですが、子供の方は外国人登録をしてフィリピン国籍を持っておりまして、その場合、日本にずっと住んでいたかったのですが母と子で強制退去の命令を受けて、それで何とか日本国籍を持てるようにということで広島地裁で係争中なんですけれども。
 ここでの問題点というのは、国籍法の中でたと思うんです、胎児認知の制度はございますよね。なぜ生後認知の場合は国籍が取れないのか。それは決まっているからだと言われればそうなんですが、胎児認知の制度というのはほとんど一般に知られていないと思うんですね。生後認知をしても胎児認知と同じように、日本の民法ですと民法七百八十四条で、認知の効力というのは出生のときにさかのぼるとされておりますから、生後認知でも日本人国籍を与えてもいいのではないかと考えているのですが、こういうようなケースはいかがでございますか。
#56
○政府委員(濱崎恭生君) 国籍法二条の一号によりまして、出生のときに父または母、本件、御指摘の例は父の問題でございますが、出生のときに父が日本国民であるときという規定になっておりまして、胎児認知をすれば出生のときに父が判明している。しかし、生後認知した場合は、父子関係というのは認知によって発生するものですから、出生のときにはまだ父という関係になっておらないということで、当然には日本国籍を取得しないということになっております。
 他方、国籍法三条一項の規定によりますと、認知だけではなくて、その後父母が婚姻していわゆる準正が生じますと、これは婚姻関係にある父母の嫡出子という関係になりますので、このときは届け出によって日本国籍を取得することができるということになっているわけでございます。
 したがいまして、現在の解釈といたしましては、先ほど申しました二条一号の、出生のときに父が日本国民であるときというのは、先ほど申しましたように、認知で言いますれば胎児認知している場合に限るという考え方でございまして、これは先般の国籍法の改正の際の審議におきましても、そういう解釈を前提にしてそういうことでよろしいかどうかという議論がされたというふうに承知しております。そして、それはやはり出生後に認知したというだけで当然にその子供に日本国籍を与えるということにするのは適当でないといいますか、必要でないといいますか、そういう審議結果に基づいて現行法の規定になっているというふうに承知しております。
 御案内のとおり、胎児認知をするには母の同意が必要でございますし、また成年した子供を認知するについては本人の承諾が必要でございますが、例えば子供が十六、その年齢に達したときに、その子を認知するには子の承諾は要らないわけですけれども、認知によってそういった子供が当然に国籍の変動を生ずるということになってよいのかどうかというような問題もございまして、今申しましたような解釈のもとに現行法のこの二条一号の規定になっているということでございますので、解釈としては、御指摘のとおり、そういう場合については認知によって当然届け出による日本国籍を取得することができない。
 ただ、そういう子供さんについては、帰化という観点からの要件は極めて簡易化されておりますので、帰化ということによって国籍を取得していただくということが適当なのではないかというふうに考えておるところであります。
#57
○山崎順子君 帰化ということももちろんあることは存じておりますけれども、これも日本に例えば三年以上居住していないと簡易帰化がおりないということがありますし、そうすると三年間無国籍ということについてはどう思われますか。
#58
○政府委員(濱崎恭生君) 三年間、帰化するまでに待っていただくということがいいのかどうかということについては、いろいろお考えがあろうと思いますし、もちろん、委員御指摘のとおり、認知によって当然に国籍を取得させるべきだという考え方も有力な考え方としてあるわけでございますけれども、小さい生まれたばかりのお子さんが三年間無国籍の状態にある場合に、これについて国籍という問題にとらわれないでいろんな場面でどう対応していくか、これは私どもの所管外のことでございますが、そういう問題等総合的に考えるべき問題なんではないだろうかというふうに思っています。
#59
○山崎順子君 不法滞在の場合には、やはり強制退去させられるのが怖くて出生届も出せないとかそういうケースがたくさんあるように聞いておりますけれども、不法滞在で三年間もし日本に子供が、仮に母親がもう生活に困窮して子供を育てられなくなったような状況で、もちろん父親もわからない、それで施設に子供が預けられて三年間そこにいたとした場合、その子は帰化できるんでしょうか。
#60
○政府委員(濱崎恭生君) 無国籍の状態で生まれた子供が当然に退去ということにはならないのではないかと、これは所管外でありますが、考えております。
 今の御質問の趣旨、帰化の条件の中に日本に居住しているという要件がありますが、その居住の中に不法滞在中の期間が含まれるのかどうかという観点からの御質問がと思いますけれども、これは「五年以上日本に住所を有する」というのは、これは適法な居住を言うものであるというふうに考えております。
 これは、一定期間の日本に住所を有することを要件としております趣旨は、これによって日本、我が国への定着度が高いという徴憑としてとらえているわけでございますので、そういう不法滞在という状況はそういう観点からも住所を有することには該当しないというふうに考えているところであります。
#61
○山崎順子君 そういうことで、不法滞在の親から生まれた子は、その子には本当に何の責任もないんですけれども、日本で生まれ父母が知れない子供たちは、結局、日本を生活の場として生きていくしか道がないわけですし、親を選べませんし、そういう子供たちには何らかの措置をして国籍を与えるべきではないかと考えるんですが、今いろいろ御答弁いただいた形からいけば、国籍法がそのとおり、それに沿った形でしか、厳格に遵守してやっていくしかないのかなという、何かいかにもすごいしゃくし定規な感じがしてならないんですけれども。
 最も基本的なことをお尋ねしますけれども、法務省はその地裁判決を不服として控訴までなさったわけで、最高裁の今回の判決は常識的だと先ほど申し上げましたが、一般の人が当たり前じゃないかと思うようなこういう常識が認められるのに四年もかかったわけですよね、結局。そうすると、法務省というのは、無国籍児童の存在を是としているのではないかというふうな疑問まで持ってしまうんですけれども。
 そもそも国籍というものは国が個人に与えるものなのか、国の権利なのか、それとも個人の権利なのか、どういうふうにお考えなのか。個人権利としては、親から受け継ぐ国籍継承権と考えていらっしゃるのか、それとも個人自身の国籍取得権と考えていらっしゃるのか、ちょっとその辺を明確にお答えいただきたいんですが。
#62
○政府委員(濱崎恭生君) これは大変難しい御質問でございますけれども、やはり基本的には、国籍を付与するということは、国の主権に基づいて国が与えるものであるということであろうというふうに考えております。
 ただ、その際に、やはりそれぞれの人の人権というものに十分配意をしたものでなければならないということであろうというふうに考えております。
#63
○山崎順子君 現在の世界機構のもとでは、個人の権利も義務もいずれかの国家の法的保障のもとに実現されることが極めて大きい、また人は必ずいずれかの国籍を持つべきであるということが基本的人権の一つだと、そういう見解はもう常識になっていると思われます。だからこそ、世界人権宣言の第十五条でも、すべて人は一つの国籍を有する権利があると、そのように規定しておりますし、先ほども申しましたように子どもの権利条約の七条一項も、子供は出生のときから名前を持つ権利及び国籍を取得する権利を有すると定めているわけですね。
 その七条二項で、日本はこの子どもの権利条約を批准しておりまして締約国ですけれども、その締約国は、特に何らかの措置をとらなければ子供が無国籍になる場合には、国内法及びこの分野に関連する国際文書に基づく自国の義務に従いこれらの権利、つまり国籍を取得するような権利ですね、その実施を確保することを、子供が無国籍になることがないように具体的措置をする義務を課しているわけですね。
 こういう予どもの権利条約を締約しているんですけれども、条約と現行法とではそごがあるのではないかと考えるのですが、国内法を改正する、まあこれは立法の方になりますけれども、私たちの責任かもしれませんが、行政を、今度の最高裁の判決も踏まえて、緩やかに子供たちに国籍を認めるというふうな指導をなさるおつもりはございませんでしょうか。
#64
○政府委員(濱崎恭生君) 今回の最高裁の判決は、御指摘のような御思想を含んでいるのかもしれませんが、無国籍を絶対的になくしろということまで含んでいるものではないと承知しておりますが。
 無国籍の子供が発生するという主たる原因は、それぞれの国で国籍法が異なっている、大きく分けて血統主義と生地主義というものに大別できますが、それぞれの国によって国籍の付与の仕方が違う。これはそれぞれの国の主権の問題でございますので、そういうことになっているということが主要な原因であろうというふうに思っているわけでございます。
 ただ、それぞれの国におきましても、そういう状態の中で、国籍法上できるだけ無国籍者を少なくするという努力をしておられると承知しておりまして、我が国におきましても、委員からの御批判はあるところと思いますけれども、基本的に血統主義を採用しながら部分的に生地主義を補充的に採用するという形で、可及的に無国籍児の発生を少なくするという努力はしているところでございます。
 そういうことでございますので、今御指摘の条約に現在の法律が反しているというふうには理解しておらないところでございますが、今後の重要なかっ国籍付与という問題でございますので、大変慎重な検討を要する問題であろうというふうに思っております。
#65
○山崎順子君 国籍を持てない子供たちがいるということや、それから婚外子差別等、条約に反することはたくさんあると思うんです。だから、その辺をきちんと認識していただいて変えていくという姿勢をやはり見せていただきたいと思うんですけれども、反してないというふうにおっしゃられると本当に困ってしまうんですけれども。
 最後にちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、例えば今回の最高裁判決は、やはり無国籍の子供をつくらないようにしようという、そういう子供たちをなくしていこうというのが一番大きな趣旨だと思うんです。日本は経済大国になって国際貢献のことをいろいろ各国から言われておりますけれども、大体、不法滞在の人たちが日本人との間に子供を産む場合に、ほとんど日本の男性が認知をしないとか、それからアジアの女性たちを人間としてではなくて性の商品化というか物のように扱って妊娠したら捨ててしまうというような、そういったこともあってとても諸外国から非難されているような状況の中で、せめて生まれた子供たちが国籍を持ってしっかり日本人らしい生活がしていけるような、そういう社会的状況を整えてあげるというのはとても大事なことで、仮にまず日本国籍を与えて、十八歳ぐらいになったら子供の意思で国籍を変更できるというような、そういうようなことも考えていいのではないかと思うんですけれども。
 この無国籍の問題、また母親の国籍はあっても日本人国籍を取れないような問題についてお考えをお聞かせいただければと思います。
#66
○国務大臣(前田勲男君) いずれにいたしましても、国籍のない子供がいるということは、子供の人権を守る意味からもこれは人道的にも極めて大きな問題であると理解いたしております。先生のお話の中に、日本人の男性は無責任に認知しないからこういうことになるんだと。日本人の男性の一人として、大変これは日本人が反省しなければならない、もっと根本的にあるところだと思いますけれども。
 いずれにいたしましても、今日の国際化をされ、また外国から日本に多数お見えになっている国際交流の非常に活発化された状況の中で、いろいろ例を挙げて、例えば十八歳になったら国籍選択権を有するとか いろいろ御示唆もいただきましたが、こうしたまさに我が国の国際化の状況の中で、国際情勢等も十分配慮をして国籍法の改正ということについて研究をしていかなければならない、かように考えております。
#67
○山崎順子君 ありがとうございました。終わります。
#68
○翫正敏君 翫正敏です。
 大臣の所信の中で、「近時の非行少年の特質、多様な問題性等にかんがみ、その立ち直りを図る」という御指摘がありますが、この「近時の非行少年の特質、多様な問題性」ということについて、どういう内容を言っておられるのか説明してください。
#69
○国務大臣(前田勲男君) 「近時の非行少年の特質、多様な問題」でございますが、具体的に申し上げれば、少年院に収容されております少年の特質などを見てまいりますと、シンナーなどの薬物を乱用する少年が約六九%、暴力団等不良集団に属する少年が五九%を占めておりまして、高い比率と昨今なっておるわけでございます。これは平成五年度の数字でございます。また、殺人、強盗等の凶悪事犯を犯す少年、また恐喝等の粗暴事犯、窃盗等を常習的に反復して犯す少年も後を絶たない現状でございます。
 また、加えまして最近は一般の、いわゆる普通の家庭と申しますか、普通の家庭の少年少女が、無気力・逃避型のいわば社会的に未成熟な少年等の入院もこのところ多く見られる傾向がございまして、大変問題性が複雑多様化してきておる、かように理解をいたしております。
#70
○翫正敏君 次に、職員の増員の問題について書いてございますが、他の職員のところはすべて増員ということになっておりますが、公安調査庁につきましては九人の減員というふうに、この庁だけが城となっているんですけれども、公安調査庁の仕事の概要を踏まえて減員になった理由を簡単に説明してください。
#71
○国務大臣(前田勲男君) 先に公安調査庁の業務について申し上げますが、我が国の民主主義的な憲法秩序を暴力をもって破壊しようとする団体につきまして、破壊活動防止法に基づきましてその組織、活動状況等を調査し、規制処分が必要であると判断されるときには、公安審査委員会に対しまして処分の請求をする機関でございます。また、その請求の要否を判断する前提といたしまして、国の内外の公安情勢全般を把握するために必要な情報収集、分析をいたしております。さらに、必要に応じてこれら情報を関係機関に提供して公共の安全の確保に寄与することを公安調査庁は主とした業務といたしておるわけでございます。
 この定員の問題でございますが、公安調査庁につきましては部門間配置転換職員、この受け入れに伴います定員増四人に対しまして、特に昨今需要が逼迫しておりますが、地方入国管理官署への定員振りかえが十三名ございます。結局、差し引き九名の減員査定となっておるわけでございます。
 この振りかえにつきましては、まさに世界の東西冷戦構造の消滅等、最近の内外公安情勢の変化を受けまして公安調査庁の業務体制の見直し、また事務処理の合理化が現在進行中でございまして、殊に今回は入国者収容所、西日本入国管理センター、これが新設をいたしまして、この必要な増員等に対応するために行われた結果でございます。
#72
○翫正敏君 公安調査庁というのは、私の知っているところでは、例えば大臣の所信表明の中なんかでは、「テロ・ゲリラ活動を標榜する過激派集団」とか、「企業・マスコミ等に対し不法事犯を敢行する右翼諸団体」とかいうような表現が出てきますが、こういうのに対する警戒とかそういう情報収集とか、こういうものも重要な職務の一環だろうと思うんですけれども、こういうことはやっぱり一時期から見れば減少しているというようなこともあって他の部署の増員に対して減員になっている、こんなような理解でよろしいでしょうか。
#73
○政府委員(緒方重威君) 公安庁の定員の推移を若干歴史的な面から申し上げたいと思っておりますが、公安庁が発足しました当初の定員数というのはほぼ現在と同様の数字で、千八百を若干欠けるという数字でございます。ところが、昭和三十九年に、七〇年安保を控えて過激派等の活動が活発化するであろうということがございまして、一挙に三十九年に二百人の増員を見たわけでございます。それから約五年間、まさに過激派による街頭闘争等が激化いたしまして、それだけの調査力があったがゆえにまた十分な調査をなしてきた、かように思っておるところでございますが、その後、街頭闘争が若干終息したということを踏まえまして、臨調の答申を受けて、一挙に二百増員になったものが、五年間四十名ずっということで削減して千八百という数字になったわけでございます。
 私どもとしましては、今、委員がおっしゃいましたように、過激派の確かに事件としては減ってはきてございますが、しかし、彼ら自身の勢力はそのまま温存されたままでございます。かえって、そのゲリラの内容等は非常に悪質な、しかも人命にかかわるような形でのゲリラを志向しているということでございますので、この調査というのは、委員の御指摘のとおり、地道に、しかし長い時間をかけつつも絶えることなく調査をしていかなければならない。そういう意味におきましては、現在の人員数で十分かという御質問が仮にあるとすれば、決して十分ではないというふうに申し上げたいと思いますけれども、しかし、限られた人数の中でも、やはり切り捨てられる部分は切り捨てて、とにかく本当に国の安全にかかわるような部分に関しては我々は精いっぱい努力していかなければならない。
 一方、入管の増員ということにつきましては、まさに喫緊の問題であったがゆえに、やはりそれなりに法務省内においても我々は御協力申し上げていかなければならないだろうということでございまして、非常にあちらを立てればこちら立たすと言うとやや語弊がございますけれども、私どもとしては精いっぱい現在の数で頑張らなければいけない、かように思っている次第でございます。
#74
○翫正敏君 次に、阪神・淡路の震災に関連して所信に書いてあることで、先ほどから何回か質問で出ていることなんですが、罹災都市借地借家臨時処理法、これの政令が施行されたということですが、これは要するに土地を借りたり家を借りたりしている人の生活権を保護するための法律というふうに理解しているんですが、それでよいと思いますが、これを実効あらしめるためにいろいろ被災地の人たちに周知徹底をするための措置をとっておられると思いますが、この法律は私が申し上げたような理解でいいのかということと、周知徹底のためにどのような今行政をしておられるかということを説明してください。
#75
○国務大臣(前田勲男君) 罹災都市借地借家臨時処理法という法律でございますが、これはふだん余り適用されることは決して歓迎すべきことじゃございません。災害がないことが望ましいわけでございますが、この中身について簡単に申し上げれば、災害によりまして建物が滅失したときに借地人や借家人がもとどおりに住む家を確保できるように法律的な権利保全手当てをするということの趣旨でございます。
 それで、大きく分けますと借地人と借家人の保護ということになりまして、まずそれでは借地人から申し上げますと、借地人につきましては、家を建てる資金は自分から手当てできるという人につきましては、借地期間が十年未満しか残ってないという場合には、政令施行の日、すなわち二月六日から十年間借地期間が続くことができる。また、その借地の地主が土地を他人に売却をいたしますと、本来、借地権の登記あるいは建物の登記がございませんと借地権を、買った土地の買い主に主張することができないのが通例原則でございますが、この法律、政令によりますと、今後五年間は借地権あるいは建物の登記がされてなくても借地権を主張できるということになっております。
 それから、借家人につきましては、建物が通常でございますと滅失した場合には、当然家がなくなりますから権利関係が消滅して借家権が普通はなくなるわけでございますけれども、この法律によりますと、地主が新たに建てた建物については、申し出をすれば優先してその建物を借りることができるということになっておりますし、また、その借家人の地主が建物を建てていないとき、建てないときは、二年以内に申し出をすれば優先的にみずからが借地人となることができる。ただし、それには適正な対価を支払う必要がございますし、地主が自分で使用する必要があるという正当な事由がある場合は、このような申し出はできないというようなことを基本とした、いわば借地権、借家権の権利の保全の法律でございます。
 そこで、実は地震発生以来、多数のお問い合わせが法務関係、もちろん弁護士さんのところへ多数殺到したわけでございますが、この法律が極めてなじみの少ない法律でございまして、この法律につきまして、実は六日に政令が施行されたわけでございますが、二月十日、先週金曜日でございますが、大阪におきまして日弁連、近弁連の先生方を中心に、土地家屋調査士、司法書士の皆さん、あるいは裁判所からもおいでいただきまして、まず大阪で約七百名弱の法曹関係の皆さんがお集まりをいただきまして、その詳しい説明会をいたしたところでございますし、なおその後、神戸市におきましても、神戸で約二百数十名のこれまた弁護士さん初め関係の皆様方がおいでをいただいて、法務省民事局より詳しくその説明を申し上げたところでございます。
 そして、法務省といたしましても、おわかりやすくしていただくために、とりあえず二万部のパンフレットを既にお届けをしてお配りをしてございますし、特に日弁連、近弁連、神戸弁護士会、皆様大変御尽力、御奉仕をいただきまして、各避難所へチームを組んで法律相談等に回っていただき、また電話相談等におきましても、この法律等についても大変わかりやすい御説明を現在していただいておる最中でございますし、法務省といたしましてもお問い合わせに対して丁寧に御説明をいたしておるところでございます。
#76
○翫正敏君 ところで、きょう付で、建設省の所管の法律なんだろうと思いますが、被災市街地復興特別措置法が提出されましたが、新聞の報道なんかを見ますと、この法律においては、私権を制限し、土地計画、都市計画の特例を設けるというような報道になっているんですけれども、私権制限という問題について、実際問題、現行の土地区画整理事業において自治体が区画の指定を決定しますけれども、その後に、例えば道路に決定されたところには家を建てられないとかですね、そういう規制がかかりますけれども、そういうこと以上にこの法律によって私権制限と言われるものが加えられるということがあるのか、現行法との比較において説明していただきたいと思います。
#77
○政府委員(濱崎恭生君) まず、事務方からお答えさせていただきますが、御指摘の被災市街地復興特別措置法案、これは建設省の所管の法案として用意されているものでございますので、私ども必ずしもその全容を正しく掌握しているわけでございませんし、その内容の当否について申し上げるわけにもまいらない立場にあるわけでございますが、今回の法律において、例えば土地区画整理事業の都市計画が定められるまでの間、これは二年間という範囲内で一定の建築制限等を行うというような規定が用意されているということのように承知しておりますけれども。
 この法案は、ともかく被災地の健全な復興を目的として制定されているものでございまして、その中には、今申しましたようなことのほか、公共の福祉による制約という範囲内で一定の制約が伴うということであろうと思っておりますけれども、この法案について、私どもの民事法の立場からいたしまして、特に大きな問題があるというふうには考えておらないところであります。
#78
○翫正敏君 つまり、特に問題がないというふうに考えているということは、現在、土地区画整理事業が行われるときに、法律で、自治体が指定して、そして実際行っておりますが、各地でですね、全国各地で行っておりますが、そういうときに行われる私権の一部制限ですね、それにプラスされるような私権制限がこの法律に付加されているというふうには法務省としては少なくとも考えていないと、そういうふうに理解してよろしいですか。
#79
○政府委員(濱崎恭生君) 今申しました建築制限の規定は、これは新しいものであるというふうに承知しておりますが、そういう分野で建築制限の適用される場面が広がるということ、それからこういう大規模な被災の復興という観点からその適用対象、これまでの都市計画よりもその適用対象が広がるということから、いわば量的にそういう範囲が広がるというようなことがあろうと思っておりますが、いずれにいたしましても、私ども民事法の立場から見て、私権制限という観点から特段の問題があるということではないだろうと思っているということであります。
#80
○翫正敏君 次に、前にいただきました、婚姻制度等に関する民法改正要綱試案とその説明という資料の内容について質問します。
 これを読んで一応私なりの理解で言いますと、婚姻制度に関して、夫婦別姓というものを認めるかどうかということについてA案、B案、C案というのが書いてございますが、これはいろいろ表にしたりしてさまざま書いてありますけれども、簡単に理解して、A案が原則同姓、別姓も可、B案が原則夫婦別姓、同姓も可、それからC案の方は通称の使用を戸籍に記すと、こういうようなA、B、C案だと、こんなふうに大体理解してよろしいですか。
#81
○政府委員(濱崎恭生君) おおむね仰せのとおりであろうと思っております。
 ただ、ちょっとつけ加えさせていただきますと、あわせて、夫婦の間に生まれた子供の氏について、A案では、婚姻の際にどの氏にするかということを定めて、子供の氏は共通的に同じになる、同じにするということであります。B案の方は、子供の氏は子供の出生ごとに夫婦の話し合いで定める、したがって、兄弟の間で氏が異なることもあり得るということでございます。
 なお、C案の方は、俗称というとあれでございますが、呼称というふうに呼んでおりますけれども、これは単なる通称というようなことではなくて、いわば戸籍上の正規の呼称ということでございます。
#82
○翫正敏君 世論調査のことに関して、昨年、選択的夫婦別姓を導入することに賛成か反対かというのがあって、されておりまして、そのときにいわゆる賛成というふうに答えた人が何%、反対の人が何%ということになっているんですが、それパーセントを今言いますけれども、要するに賛成という答えは、このA、B、C案ということに比較して言いますと、A案とB案とをプラスしたものを賛成というように理解してこのアンケート調査を読めば、アンケート調査の結果を理解すれば大体よろしいでしょうか。
#83
○政府委員(濱崎恭生君) 選択的夫婦別姓導入に賛成という仕分けをしておりますのは、A、B、C案、三つ含めてでございます。
#84
○翫正敏君 ああ、そうですか。C案もそうなんですか。
 一九八七年から一九九〇年の間、この間に二倍ぐらいに賛成の、A案、B案、C案全体といいますか、それを支持する人が二倍ぐらいにぽんとふえていて、今次の一九九四年、昨年の調査ではほとんど変わっていないというような結果になっているんですけれども、それから、若い人ほど賛成が多い、都市部に住んでいる人ほど賛成が多い、こういうふうに読み取れるんですけれども、この一九八七年から一九九〇年までの三年間に一気に二倍ぐらいに賛成がふえたというようなことは、どんなふうに大臣としては理解、なぜだというふうに理解しておられますか。
#85
○国務大臣(前田勲男君) 基本的には、女性のやはり社会進出あるいは女性の権利擁護というのが進展をしてきたことではないかなと考えております。
#86
○翫正敏君 わかりました。
 この冊子を見ますと、平成七年一月二十日までにこの件についての御意見をお寄せいただける場合は寄せてほしいということで、法務省の民事局の方から出ていますよね。この間に寄せられた意見を概略紹介してほしいんですが、概略紹介するとまた大変長くなると思うので、極めて簡単に言って選択的夫婦別姓に賛成の人の声がかなり多かったんではないかと思いますが、寄せられた意見はそんな方が多いというふうに理解していいですか。
#87
○政府委員(濱崎恭生君) ただいま御指摘の照会に対して、意見照会先の団体から四十通、そのほかの一般の団体、個人から約七百六十通の多数の意見が寄せられておりますが、これは一月二十日までということで、若干その後に寄せられるものもありますので、現在整理に着手しているところでございまして、四月ないし五月を目途にして取りまとめて公表いたしたいと思っておりますしたがいまして現段階では、いわば大きな団体と申しますか、その点だけ御紹介申し上げますと、裁判所の御意見はA案の支持が多い、それから弁護士会、日弁連の意見は、いろいろ選択肢がございますが、比較的、相対的に言えばB案に近い御意見である、それから研究者、大学研究者等の御意見は、これはもちろん多岐にわたりますけれども、全体としてはB案が多い、大体現在調べているところではそんな状況でございます。
#88
○翫正敏君 大臣、どれがいいと思いますか。
#89
○国務大臣(前田勲男君) 私はこの諮問をしておる立場にございまして、ただ、あとづけ加えて申しますならば、今、A案、B案、C案、いろいろ裁判所あるいは弁護士さん、日弁連等の大所の感じを申し上げたわけでございますが、あと私は、やっぱりこれは国民全員の問題であるので、広く国民の皆さんから年齢を問わず意見を聞くべきだということで、一月十七日にホットラインでファクスを設置をいたしまして、新聞、ラジオ、テレビ等でその番号は御案内したところでございますが、現在約百七十通ほどの意見が寄せられております。
#90
○翫正敏君 それはそれでいいんですが、もう一点、この嫡出子、非嫡出子ですね、これのことについても婚姻制度に関する民法改正案の説明のところに載っておりますので尋ねておきたいんですが、この相続分、非嫡出子の相続分について、現行二分の一となっておるのを同等とするという、こういう案になっているんですが、これは裁判の判決の結果、違憲判決が出ておる。それから、一九九三年十月に国連の国際人権B規約に日本の制度は反しているという意見表明があった、こんなことを受けての提案である、そんなふうに理解してよろしいですか。
#91
○政府委員(濱崎恭生君) 御指摘の嫡出子、非嫡出予の相続分をどうするかという問題は、これは実は昭和五十四年の民法改正、これは相続に関する改正を実現したわけでございますが、その審議の段階から既に懸案事項でございました。そういうことで、引き続きの懸案事項ということでございますが、さらに今御指摘のような最近の高裁の裁判例、それから国際世論の動向、そういったことをも考慮して検討しているものであります。
#92
○翫正敏君 この民法の九百条の四が改正されるということになった場合には、私は当然戸籍の記載方法そのものが変わるというふうに思うんですが、多分、私の推測では、現在、「長男」、「長女」、嫡出子についてはそんな記載になっていますし、非嫡出子については「男」、「女」と、こういうような記載になっているのを統一的な記載にするのだろうと思いますが、その点については決まっていないのかもしれませんけれども、検討中なんだろうと思いますが、当然ここの記載に差異を設ける意味合いがなくなるわけですから、こんなふうになるんだろうと、こう理解してよろしいでしょうか。
#93
○政府委員(濱崎恭生君) 子の相続分の問題をどうするかということ、これ自体、寄せられた意見あるいは世論調査の結果等をも踏まえて法制審議会で最後の詰めの審議をしていただくということになるわけでございまして、その審議においてやはり相続分を同等とするという方向が示された場合には、御指摘の戸籍における続柄の記載をどうするかということについても検討をしていかなければならないであろうというふうに考えているところであります。
#94
○翫正敏君 もう一点だけ。
 今、戸籍のコンピューター化の法案が去年通って進められていますが、そのこととこの戸籍の記載が変わった場合、もちろん夫婦別姓に、選択別姓になった場合も変わるんですけれども、そういうこと等まずい点というのはありませんか、それを進めていくにはコンピューター化というのは別に問題ありませんか、その点だけ聞いて終わります。
#95
○政府委員(濱崎恭生君) 既にコンピューター化の準備に着手しておられる地方公共団体相当数あるわけでございますが、一たん現在のシステムでコンピューター処理を始めたという後に、今の夫婦別姓あるいは子供の戸籍の続柄の記載というものをもし変えるということになりますれば、それに必要なシステムの修正ということが伴うわけでございますが、それについては各市区町村において十分そういうこともあり得べしということを前提にして考えていただいておるところでございますので、それが支障になるということはないものと思っております。
#96
○翫正敏君 わかりました。終わります。
#97
○紀平悌子君 よろしくお願いいたします。
 今回の兵庫県南部地震によって亡くなられました方々、その御遺族に対しまして、まず深く哀悼の意をささげたいというふうに思います。
 法務省関係について、お伺いするところによりますと、被収容者、矯正施設、入管収容施設でございますが、そこに被害がなかったことは安堵いたしました。非常に御努力もあったのかしらというふうに思っております。しかし、職員の方の負傷者は、もっとふえているかもしれませんが十名、他に、先ほど長くお勤めになりました保護司の方々が八名お亡くなりになったということを伺いまして、さらに悲しみを深くいたしております。お悔やみ申し上げます。
 今回の兵庫県南部地震は、高齢化と都市化が急速に進んだ社会で直面した初めての地震災害と言ってもいいと思います。災害からの立ち直りというものは本来自助努力によるのが、いわゆる個人の面倒までは国は見ないというのが原則だそうですけれども、雲仙・普賢岳の噴火災害や北海道奥尻島の地震災害でも義援金が個人の救済にかなりの役割は果たしております。特に精神的には果たしておりますが、全体に若い活力を持ち、地域や親族の関係の強い社会ならそれもまた非常に有効に働くのですけれども、やはり義援金で個人の救済に非常に有効であるかどうかは、このような場合は非常に限界があるということが今回もう自明のことではないかと思います。
 法務大臣の「安心して暮らせるやさしい社会」、これが所信の中で述べられまして、法務省も国民の安全を守るために政府の枢要な位置づけとして御努力されていることはまことに御苦労さまに存じますけれども、目標実現のためになお一層の御努力を賜りたいというふうにお願いをいたします。
 私、もう余り時間がございませんので、質問は用意してまいりましたけれども、まず第一に、現在、兵庫県南部地震で被害をこうむった神戸地方法務局、同検察局、同保護観察局等の各施設がどうなっているか、現状と復旧状態をお聞かせをいただきたいというのが一間なんですけれども、実は多分時間が圧倒的に足りないと思いますので、もし文書でお知らせいただければまことにありがたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。せっかく御答弁を御用意、お立ち上がりになっていますから、じゃ一言何か。
#98
○政府委員(原田明夫君) 委員の御質問に関連いたしまして必要な資料等はお届けさせていただきます。
#99
○紀平悌子君 ありがとうございます。
 それから、被災者の権利保全ということについて、今一番どんな問題が起こっているかというのは、先ほどの同僚議員の御質問の中、あるいは所信の中にも一部お述べになっていらっしゃいますけれども、それらに対する法務省としての対策はどうなっておられますでしょうか。これは法務省あるいは法務大臣、お時間がもしあれでございましたら法務大臣でなく法務省当局からでも結構でございますが。
#100
○政府委員(原田明夫君) 先ほど来、大臣また関係事務当局から御説明した中に基本的な具体的な事象については御説明させていただいたところでございますが、今後とも私どもといたしましては、関係当局相寄りまして、また必要に応じて裁判所当局、弁護士会の皆さん方とも相談しながら、政府間あるいは地方公共団体そして地元の皆様方、さらには法務省のいろいろ関係しております司法書士の方々、不動産鑑定士の方々その他の専門家の方々とも相諮りまして、必要な対策、それに関連する情報については逐一側説明できるように、そしてそのことが広く理解されるように努めてまいりたいと考えております。
#101
○紀平悌子君 ぜひ、その御実績をどのように上げられていらしているかということが周知できますような手段を講じていただきたいというふうに思います。時折お伺いをして状況をお聞かせいただくつもりでおります。
 次でございますけれども、大臣の所信の中で、特に人権擁護行政についての御発言がございました。外国人それから部落差別の問題、そして特に子どもの人権相談員の制度の展開ということを述べられております。次の世代を担う子供たちが直面するいじめ問題と家庭における児童保護の問題について若干お伺いをしたいと思います。
 まず、実は法務省が主でございますけれども、警察庁にももしお答えをいただければと願っております。いろいろ相談員を配置なさいまして、そして先ほどの御答弁の中に、まずそれを周知すると、どこに人権を守る組織というかあるいは人がいるのかということを熟知することから始めるということで、まことにいささか心寂しい思いがいたしました。もちろん、そこからしなければ、どこにだれがいるのか電話のかけようもないわけですから結構なんですけれども、どうもこの子供のいじめの問題につきましては何かエンドレスに続くような感じが私はいたしております。
 委員会のたびにしつこくお伺いをしているわけでございますけれども、やはりだれがどこでどういう責任を持つかということが非常に大事だと思います。学校なのか、学校の中でも現場の教師なのか校長なのかあるいは教頭なのか、あるいは家庭に問題があるのか、または今言ったような人権擁護に携わる方々にあるのか、あるいは警察も一部関係が、それが犯罪ということになりますとあるのか、その辺が何か本当に抱えていない。だれがどうどこで抱えているのかというのが最終的にはどうも見えてこないというふうに私は感じております。
 まず、小中学校におきますいじめ問題に対する対応の現状、これについて、これは法務省お願いいたします。
#102
○政府委員(筧康生君) 子供の人権問題、特にいじめの問題が極めて重要なことだと思っておりますが、法務省の人権擁護機関といたしましてはこの問題が極めて重要な問題であるという基本的な認識のもとに取り組んできたわけでございますけれども、いじめの状況というのは依然として深刻な状況にあります。文部省の統計等を拝見しましても、これは数字の上でございますが、一時鎮静化の見えた件数も再び増加の傾向にある。しかも、いじめに起因すると思われる極めて重大な事案が相次いでおるというような状況にあります。私どもはこれにさらに本腰に取り組まなければいけないと考えておりまして、そういう姿勢を示す意味におきまして本年度、これは実は昨年もそうだったんでございますが、啓発の重点目標として子供の人権を守ろうというのを重点啓発目標に掲げたわけでございます。
 さらに、先ほどの質問にお答えいたしましたように、人権擁護委員の中から子供の人権を専門的に取り扱う子どもの人権専門委員を指名し、その取り組みを強化したということでございますが、委員の御指摘のように、子供の人権問題、特にいじめの問題というのは大変根が深く、その原因にも多様なものがあるわけでございまして、私どもも幾つかの事例を通じて感じますことは、これさえやれば防止できるという、いわば特効薬的なものはなかなかないというのが残念ながら私どもの認識でございまして、家庭も学校もそして地域社会も、それからまた人権擁護機関も、とにかくおのおのがやれることを精いっぱいやるということの努力の積み重ねがこのいじめ問題の解消に次第に近づいていくと、そういうような観点でやらざるを得ないのではないかというのが私どもの考えでございます。
#103
○紀平悌子君 私は今のに対してもう一つ申し分がございますけれども、もう少し私の方も勉強をしまして、こういうことはどうかということを申し上げたいと思います。やはり抽象論をいただいたような感じがいたしてなりません。
 次に、少年犯罪としてのいじめ、これの救済について法務省の対策、少年犯罪としてのいじめ救済です。
 それから、警察庁にもちょっとお口添えをいただきたいと思います。
#104
○政府委員(則定衛君) いじめ問題、しかもそのいじめの範囲といいましょうか、これは非常に応うございますが、その中で刑罰法に触れるいわゆるそういう犯罪少年の問題でございますけれども、これらにつきましては、やはり年齢にもよりますけれども、一つの社会的人格として現在の日本の少年法制の中で、保護の面と場合によりますと刑事処分の面と両面を念頭に置きながら、当該少年の更生というもの、これは少年法の思想ではございますけれども、それを重点的に考えて検察としても警察等から送致されます事件について所要の捜査を行いまして、検察官として保護処分が当該少年に適しておるのか、それとも事案にかんがみまして刑事処分として通常の裁判でその責任を明らかにするということがむしろ適しておるのか、この辺をよく勘案し、意見をつけまして家庭裁判所に送致するということで、当該少年の更生並びにそういう刑罰法令に触れる少年犯罪の一般的な防止という面で従来から対応してきておるわけでございまして、今後ともそういう観点で努力を重ねていく必要があると考えております。
#105
○説明員(岩橋修君) 警察でいじめの事案を把握いたしました場合は、多くの場合には関係する少年あるいはその保護者に対しまして指導助言を行ったり、あるいは教師と連携いたしまして少年たちの相互の関係を改善するなどの事実上の行為でいじめが早期に解消されますように努めておるということでございます。
 ただ、中に、非常にその事案の内容が悪質であって見過ごせないといったものにつきまして刑事事件として立件するなど、事案に応じた対応をしているところでございます。
#106
○国務大臣(前田勲男君) 先生、毎回いじめについて大変御熱心に御論議をいただいておりまして、いじめをだれが国として対応するか。これはもう極めてだれと、もちろんこれは国が全面的に努力をしなきゃいかぬ問題でございますが、まず何よりも私はやっぱり平素の学校あるいは社会における人権教育、これがまず基本になるものだと思っております。
 そしてまた、そのためには地域社会の協力も必要でございますし、学校、また学校の中でも校長先生、担任の先生、教頭先生、すべてやはりかかわっていただかなきゃなりませんし、また具体的な事例が起こった際にはもちろん、今刑事局長また裁判所、警察からもお話がございましたが、それぞれの対応もあると思いますし、また私もまだ小学生を抱えておる、現役の子育てをやっておりますが、いろいろたくさんの子供らにも聞いてまいりますと、やはり幾つか複合した数多くの原因があろうと思っております。
 例えばその中にも一つは、子供から、これはじかに子供たちから聞いた話ですが、テレビでゲームでいじめるゲームが多い。熱いお湯にほうり込んだりこういう、先生方見ていらっしゃるかどうかわかりませんが、高いところから足にロープをつけてゲームで負けた人が落とされたり、こういう影響も子供たちには大変あって、おれたちもやってみようと、こういうことになったりしているんだというような話から、一人っ子の場合の精神的な不安定の問題もございましょうし、対症療法はいろいろ考えられなきゃならぬと思いますが、強いて私が感じておりますのは、子供をひとりにしない、孤独にしない。まず子供を孤独にするとやはりそうした問題が起こり、特に孤独になってしまうと自殺の道を選んでしまうというような悲惨な例につながるのではないか。
 私どもも、人権教育を含め、子どもの人権擁護委員、専門委員もおりますので、これからも最大の努力を法務省としてもしていきたいと思っております。
#107
○紀平悌子君 時間がもう来ておりますけれども、この次に、家庭内における児童虐待の問題というのも今法務大臣には特に御質問申し上げようと思っておりましたので、一区切りをしてからと思っておりました。いろいろとお答えありがとうございます。この問題はそれじゃ、後に残させていただくことにいたします。
 ありがとうございました。終わります。
#108
○安恒良一君 まず私は、今回の兵庫県南部地震によって亡くなられた方々に哀悼の意を表すと同時に、負傷された方や、復興のために村山総理以下、法務大臣を含め、政府機関、関係者が全力を挙げてやっておられますので、そのことは既に多くの同僚委員から質問ありましたから、時間がございませんから質問を省略いたします。どうぞ一層の御尽力を大臣以下賜りますように、まず冒頭お願いしておきます。
 そこで、時間の範囲で、私は大臣の所信の中で、去年も司法改革について質問をいたしましたので、ことしも司法改革について質問をしたいと思うんですが、最近、ロッキード・丸紅ルートの上告審の結審がありまして、判決はこの春にあるだろうと、こう言われていますが、当時新聞は一斉に、老いと死とか、長過ぎた審理とか、教訓も風化などの大見出しで報じられました。
 確かに私は、やっぱり十八年間の審理は長過ぎると思いますし、また異常とも思います。しかし、我が国ではこういうことがまれなのかどうかと考えますと、そうでないのですね。ですから、この委員会でもまたいろんな角度から裁判の迅速化が叫ばれてきておりますが、率直に言って一向に改善される気配がないということを私は大変心配しています。
 そこで、きょう私は大臣に、長い裁判の根本的な原因はなんだろうかと。私はまず、法曹の人の不足と司法の予算が余りにも貧弱だと、こういうふうに思いますから、その観点から少し大臣にお聞きしたいんです。
 まず、我が国の裁判官、検察官の定員数は、裁判官は人口六万人に対して一人であります。検察官は同十二万人に対して一人でありまして、両方とも多数の事件の処理に精いっぱいの努力をされているというのが今の現状であります。しかも、この定数について、実数は定員をまだ割っています。異常なことですね。私はどうも裁判の長期化の現象の根本原因の一つはここにあるんではないかなというふうに思います。
 そこで、ちなみにちょっとヨーロッパと比較をしてみたんですが、ヨーロッパでは、検察官、裁判官、弁護士合わせて、合計しまして、法曹人口は人口十万人当たり、日本は十五人です、フランスは百十一人、英国は百二十七人、ドイツは二百十八人、米国は三百三人です。余りにも少ないんではないか。これが私はどうも最大の原因の一つだろう。
 それから第二点目には、やっぱり予算の問題を取り上げざるを得ませんが、立法府、行政府、司法、三権と呼ばれていますが、司法予算が一般会計に占める割合の中で、特にこの裁判所予算の割合を昭和五十六年からずっと調べてみましたら、大体〇・四%以下なんです、〇・四%以下。例えば平成六年は〇・三九%、平成七年、今審議している予算で〇・四二%なんですね。
 これでは私は、非常に人の面からいっても予算の面からいっても、やはり裁判が長期化する原因がここにあるんじゃないか。この点について大臣はどういう御認識をお持ちの上で、さらにこれらの対策についてどういうふうにお考えか。数字のことはもう私が既に申し上げましたから、時間がないですから、政策として大臣のお考えをお聞かせください。
#109
○国務大臣(前田勲男君) 裁判の訴訟遅延の現状は解消されていない、かつ、それは裁判官の不足あるいは予算の面において諸外国と比較しても少ないのではないか、こういう御指摘でございます。
 裁判官の不足につきましては、最高裁判所が御判断を第一義的にはされておることでございまして、最高裁判所の御判断を私はまず仰ぎたいと思っておるところでございますが、確かに外国と比較いたしました場合に、それぞれ国の法律制度そのものは違うにいたしましても、余りにも大きな差があるという認識をいたしております。また、予算の面も、法律全体、特に法律扶助等を比べましても大変少ないことも私どもよく承知をいたしておるところでございます。
 そこで、裁判の迅速化という意味からも、現在、特に人の問題からまいりますと、法曹人口問題等検討小委員会におきましても先般もそれぞれの御意見が出されておるところでございますが、こうした御意見を踏まえながら適切に対処してまいりたい、かように考えておるところでございます。
 裁判所関係の予算につきましても、最高裁が実質財政当局と折衝していただいておるわけでございますが、今後とも内閣の一員として近い場所にございます法務省としては、最大の裁判所関係の予算の獲得にお手伝い、努力をしていかなきゃならぬ、かように考えておるところでございます。
#110
○安恒良一君 裁判所にもその点を答えてもらいますが、ちょっと私、裁判所の答えられる前に数字を申し上げておきたいんですが、明治二十三年に裁判官の定数は千五百三十一人でした。平成四年で二千二十九人ですね。そうしますと、当時の、明治二十三年の日本の人口は三千九百九十万なんです。今は一億二千四百万ですね。ですから、裁判官はこれは倍増していないんですよ。ところが人口はこれだけふえているんです。ですから、どうしても私はやっぱり裁判遅延の最大の原因は、一つは法曹人口が極端に低い、少ない、このことだと。
 それといま一つは、予算についても、というのは裁判所の予算を調べますと、人件費が八六・四%なんですよ、裁判所予算全体の。ですから、結局ここでいわゆる人のふえるのが抑えられている。裁判所の予算がわずか〇・四%でずっと続いているわけですから、私はここのところを改善しないと、何か質問するとすぐ何とか委員会何とか委員会で研究しておると言うけれども、根本的に僕はそこを大臣は御努力願いたいじ、この点について、時間もありませんから簡単に、裁判所の方から考えがあったら聞かせてください。
#111
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 現在の我が国の裁判、民事、刑事含めまして、迅速性の点で大きな問題を抱えておることは委員御指摘のとおりでございます。その原因いろいろございます。
 具体的に言いますと、やはり今の裁判のやり方というのは、当事者双方の言い分を整理するという段階で非常に時間がかかります。それから証拠調べに時間がかかる。その点を何とかうまく効率的にやるような工夫を考えていかないといけないと思っております。今、現に、民事につきましては民事訴訟法の改正というような形でそれを考えておるところでございます。
 もう一つは、委員御指摘のように、やはり人員の問題であろうと思います。これも必要人員数の考え古いろいろあろうかと思いますが、裁判所の方としては、できるだけ適正・迅速な処理ができるような人員を充実していきたい、そのための予算措置の獲得にも努力していきたいと思っております。
#112
○安恒良一君 また、これいずれ定員法がかかりますからそのときにあれするとして、それからいま一つは、私は裁判が遅延している原因の一つに、法曹界の人々の質の問題もあるんじゃないかという心配をしています。それはなぜかというと、大学を卒業して司法試験に合格して、二年間の修習生活を終えてすぐ裁判官、検察官になられるんです。そうしますと、一般市民としての社会の経験が非常に不足しているんじゃないか。ですから、人の深刻な悩みや特別な社会の実情が十分に理解できているんだろうか、裁判官や検察官が、そういう心配をします。しかし、これは私が日常そういう方に接するわけじゃありませんから、日本弁護士連合会の司法改革推進本部長の代行の中坊さんがこういうことをある新聞に書かれていました。
 私が弁護士として接する裁判官の多くは社会の常識に欠けている。社会から遠ざかって閉鎖的であり、より独善的である。権力と権威をかさに着て、関係者を納得させるような努力を怠る裁判官に日常接している、そういうことをお書きになっていますが、こういう面があるんじゃないかという心配を私はします。
 それからまた、私は、例えば暴力検事事件がよく報道された。これもやっぱり強大な権力によって生活を送っている中で、何となく人権感覚が麻痺したから過去に起きたような暴力事件が起きるんじゃないかという心配をします。
 それから一方、弁護士の方もここのところ不祥事がうんと続いているんです。ですから、本来、弁護士さんの公共的使命よりも自分の営利を優先させる、こういう誤った職業意識、そこに問題がある。
 ですから、これはもう簡単にお答え願いたいんですが、こうした法曹界の質の向上の問題について大臣としてはどういうお取り組みをされようとするのか、簡単に答えてください。
#113
○国務大臣(前田勲男君) 先生から御指摘ございましたが、たまたま私が接しております法曹界の皆さんは立派な方ばかりでございます。ただ、いろいろ新聞紙面をにぎわす事例もふえておることを憂慮しておる一人でございます。
 基本的には、検察におきましても暴力事件等も、マンネリ化、綱紀の緩み等々おっしゃっておりますが、これはもう絶対あってはならない。特に、我々、法的手続の原点に戻って考えるべきだというようなことも論じておりますが。
 こうしたいろいろ先生の御論議の中で、一つだけ私が気にかかることがございまして、それは司法試験の合格者の平均年齢が約二十九歳前後でございまして、あの世界にも類を見ない難しい難関の試験を受けて合格される方の平均が三十近い。この間に、人間として一番大事な時期に、司法試験に日夜没頭されるということを考えたときに、先生の御指摘される問題の原因の一つもそこにはあるのかなという気がいたしておりまして、こうした試験制度改革の中などにもひとつ問題意識として現在取り組んでいただいておるところでございますが、心してやってまいりたいと思います。
#114
○安恒良一君 そこで、私は司法改革に具体的提案をしたいんですが、今まで私が聞きますと、いやこれは法務省と弁護士会とか、裁判所とどこどこ、それに若干学識経験者を加えたいろんな委員会がつくられています。しかし、私は法曹界内部だけでやると次のような弊害が出てくると思いますのは、内部だけの議論をすると、本当に嫌な部分は余り触れたくないというのが人間の心理の一つです。それから、一番やはり警戒しなきゃならぬことは、法曹界の内部で司法改革がいろんな角度から議論されていますが、これは国民にわからないんです。国民にわからない。
 そこで、国民が司法のユーザーの立場で司法制度を根本的に考え直すべきではないかと私は思います。そのためには、今までの人だけじゃなくて、国民も幅広く参加した司法改革推進会議というものが私は設置されるべきではないだろうか。この点についてぜひ大臣に御検討願いたいじ、既にこのことについては、いわゆる小さな政府がいいとかいろんなことを言っている財界も、やはり司法問題についてはきちっとしなきゃならぬと、それがためには人が要れば人をやっぱり出すべきじゃないか、ふやすべきである、財政もふやすべきだ、しかし、それをやるときに司法の内部だけでは困る、私と同じような司法改革推進会議的な構想を財界も打ち上げています、率直に。
 ですから、私は極めて、国民がユーザーですから、国民の意見をいろいろ聞くこと、それから内部だけの、内輪の議論だけでは十分でないということについて、大臣、どういうお考えでどのように今後進められようとしますか。
#115
○国務大臣(前田勲男君) 司法制度の抜本改革のために広く国民の声を聞くべきであるという御指摘でございまして、大変まことに私どもにとりまして傾聴に値すると申しますか、御意見をいただいて大変ありがたく思っております。
 この法曹養成制度の抜本改革、先ほども先生おっしゃったとおり、改革協議会において協議をされておるわけでございますが、たまたまこの協議会の委員は、法曹三者以外に実は大学の先生方、学識経験者にも御参加をいただいておるところでございます。今後、こうした司法改革に取り組む場合に、先生の御意見を特に配慮して運営をしていくことを考えてまいりたいと、かように思っています。
#116
○安恒良一君 それで、去年、私が民事訴訟に関する扶助制度のあり方を質問したら、当時の大臣から、検討委員会を、研究会をつくってやると、こう言われていますが、問題は、その後どういうふうに進行しているか。どうも僕の耳には、三年間ぐらいかかるんじゃないかと聞いていますが、外国の諸事例はたくさん公にされていますから、三年間も悠長にやられたのではかなわぬと思いますが、その点ほどういうふうな現状になっていますか。どのくらいしたら結論が出ますか。
 以上です。
#117
○国務大臣(前田勲男君) 法律扶助制度研究会でございますが、昨年の十一月に正式に発足をいたしまして、現在海外の制度等、今月も恐らく海外へ行っていらっしゃるところでございます。
 そこで、私どももこの扶助制度そのものを抜本的に改革をしたいと、こういうことでございまして、研究会の方には特にいつまでというお願いをいたしておりません。ただ、相当期間を要すると。今日の検討の様子から見ますと、やはり先生おっしゃったように、二、三年程度が目途かなという気がいたしておりますけれども、遅ければいいというものでもございませんので、先生のそういう貴重な御意見があったことも踏まえて、今後活動に対してよろしくお願いをしていきたい、かように考えておるところでございます。
 また、出ました研究成果については、その結果はできる限り実現をしていきたいと、かように思っております。
#118
○委員長(中西珠子君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後三時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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