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1995/03/16 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 法務委員会 第6号
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1995/03/16 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 法務委員会 第6号

#1
第132回国会 法務委員会 第6号
平成七年三月十六日(木曜日)
   午後三時三十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十四日
    辞任         補欠選任
     國弘正雄君      翫  正敏君
 三月十六日
  委員山本富雄君は逝去された。
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中西 珠子君
    理 事
                下稲葉耕吉君
                糸久八重子君
                荒木 清寛君
                平野 貞夫君
    委 員
                斎藤 十朗君
                志村 哲良君
                北村 哲男君
                深田  肇君
                山崎 順子君
                翫  正敏君
                紀平 悌子君
                安恒 良一君
   国務大臣
       法 務 大 臣  前田 勲男君
   政府委員
       法務大臣官房長  原田 明夫君
       法務省民事局長  濱崎 恭生君
       法務省矯正局長  松田  昇君
       法務省保護局長  本間 達三君
       法務省入国管理
       局長       塚田 千裕君
  事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 恒男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○更生保護事業法案(内閣提出)
○更生保護事業法の施行及びこれに伴う関係法律
 の整備等に関する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中西珠子君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十四日、國弘正雄君が委員を辞任され、その補欠として翫正敏君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(中西珠子君) この際、議事に先立ち一言御報告いたします。
 皆様既に御承知のことと存じますが、本委員会の委員であられた山本富雄君は、本日未明、逝去されました。まことに哀悼痛惜にたえません。
 ここに、皆様とともに謹んで黙祷をささげ、哀悼の意を表して御冥福をお祈り申し上げたいと存じます。
 どうぞ御起立を願います。黙祷。
   〔総員起立、黙祷〕
#4
○委員長(中西珠子君) 黙祷を終わります。御着席願います。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(中西珠子君) 更生保護事業法案及び更生保護事業法の施行及びこれに伴う関係法律の整備等に関する法律案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○下稲葉耕吉君 山本委員の逝去に際しまして、黙祷をささげていただきまして御礼申し上げます。ありがとうございました。
 質疑に入ります前に、一言法務大臣に申し上げておきたいと思いますが、去る三月十三日、月曜日の毎日新聞、その後連日のようにいわゆる入管関係の問題が報道されているわけでございます。
 「法務省、二任意団体を特別扱い 外国芸能人入国審査 役員に入管OB ブラックリスト点検認める」とか、「癒着と言われれば…」云々とか、「「入管との信頼」強調 OB理事長、認める」とか、あるいはいろいろございまして、衆議院の法務委員会で問題になりまして、大臣が事実関係を調査してみると、「処分も考える」というような見出しで報道されているわけでございます。
 入管の問題につきましては、先般来この委員会でもいろいろ議論し、入管職員の暴行事件等にも絡めまして私も何回か発言いたしました。そして、そういうふうな暴行そのもの、非常によくないことだと。それと同時に、やはりそれに至るまでの背景の問題、あるいは職員の士気の問題、いろいろ御論議していただきました。そして、その入管職員が自殺なさったというふうなこともあったわけでございますが、今度はそういうふうなことと質は違いますけれども、やはり底辺には入管にまつわるいろいろな複雑な問題が競合しているような感じがするのでございます。
 入国関係の仕事が大変複雑で、しかも数が多い。現在の体制で乗り切れるかどうかというふうなことに関連して、数次にわたる増員等もなされているわけでございますけれども、やはりその辺のところは、この報道で私が一番よくないと思いますのは、入管のOBであった人があたかも現職であるかのごとき扱いを受けでいろいろなことを処理しておられる、これが一番よくないことだと思うのでございます。
 もちろん、仕事がいろいろふえて云々というようなことがあれば、それはそれなりにシステムを考えるべきであると。入管の職員だけでどうしてもできないというふうなことなら、やはりそういうふうなことがスムーズにできるような私は仕組みを検討する必要があるんじゃないか。そうでなければ、癒着だとか特権だとか何だかんだ言われるようなことが今後も続くんではないだろうかというふうな感じがいたします。
 法務大臣は、その辺のところを調査して、そしてあるいは処分する者は処分するというふうな御答弁をなさっているようでございます。きょうは法案の審議でございますので、私はこれだけ申し上げまして、いつか、いずれ機会はたくさんあるだろうと思いますから、そういうふうな検討の結果を大臣あるいは法務省から御報告いただきたいということを最初にお願いいたしておきます。
 次に、いよいよこの二法案の質疑に入らせていただきたいと思います。
 昨年の百二十九国会におきまして、更生緊急保護法の国会審議における審議の際に、当委員会は附帯決議をしました。
 その附帯決議は三項目ございまして、一つは、この更生緊急保護法そのものを初めとして、法整備を含めて制度の改善、充実を図るべきであるということが一つ。
 それからもう一つは、いろいろ議論の過程で、社会福祉事業との関係でいろいろ税制止の優遇等で劣っているというふうなこと等にもかんがみまして、附帯決議で「社会福祉事業との均衡にも留意し」と、この文言を入れるのに本当は大変苦労したいきさつがあるわけでございますけれども、「社会福祉事業との均衡にも留意し、被保護者に対する補導援護体制の強化に努めること。」。
 三番員は、要するに保護施設の改善について計画的かつ早期の実現を図る。この三つでございます。
 三番目の問題は、これは主として予算に関連することでございますので一番最後に触れたいと思いますが、この一番目と二番目の問題を法務省が早速取り上げていただきまして、そして精力的に関係省庁との折衝等を遂げられまして、今回、更生緊急保護法を廃止して新しい二つの法案を整備して提案されたということにつきましては、私はその努力と各方面の御協力を高く評価するものでございまして、ざっくばらんに言いますと、法務省にしてはばかに早いじゃないかというふうな感じがしたわけでもございます。
 そこで、今度は内容の面につきましてお伺いいたしたいと思いますが、更生緊急保護法を廃止してそして本法の制定というふうなことをお考えになっておるわけでございますが、細かい問題は結構でございますが、基本的に、まだ更生緊急保護法は現行法でございますから、それを仮に前法、そして本法というふうな言葉で申し上げたいと思いますが、この前法と本法との間で変わった主な点をまずお伺いいたしたいと思います。
#7
○政府委員(本間達三君) お答えいたします。
 変わった主な特徴的な点を挙げますと、次の四点かと存じます。
 第一点は、更生保護事業を営む主体といたしまして更生保護法人の制度を新たに創設いたしまして、その管理、監督等に関する規定を設けたことでございます。第二に、更生保護事業の概念につきまして、従来かなり狭い概念で用いられていたものをより広げかつ明確化したという点でございます。第三点は、更生保護事業に対する国の責務を明らかにしたということでございます。第四点は、地方公共団体の協力に関し規定を設けたということでございます。
 大ざっぱに申しますと、この四点が更生緊急保護法との比較におきまして新しい特徴点というふうに考えております。
#8
○下稲葉耕吉君 今お話がございましたが、私は、非常にマクロに見まして、今最初におっしゃいましたように、民法法人から今度は法人格をきちっと付与する、決められたということだろうと思いますし、それから第二番目はやはり税制上の優遇措置というものを規定されたということじゃなかろうかと思うんです。
 そこで、国の責任の問題についてお伺いいたしたいと思いますが、今回の法律には第三条に「国は、更生保護事業が保護観察、更生緊急保護その他の国の責任において行う更生の措置を円滑かつ効果的に実施する上で重要な機能を果たすものであることにかんがみ、更生保護事業の適正な運営を確保し、及びその健全な育成発達を図るための措置を講ずるものとする。」、そういうふうなことで第三条の第一項に「国の措置」ということでこういうふうな表現を新しく織り込んだわけですね。
 前法におきましては、現行法ですが、同じ第三条なんですが、「更生保護は、第一条各号に掲げる者に対し、その更生に必要な限度で、国の責任において、行うものとする。」、こういうふうに規定されておる。
 表現が大分違うんですけれども、これはどういうふうに理解すればいいんでございましょうか。
#9
○政府委員(本間達三君) このたびの法改正で廃止となります更生緊急保護法の第三条第一項の規定は、いわゆる整備法案の中の犯罪者予防更生法四十八条の二第二項に同様の規定を設けることといたしました。
 御質問のありました国の責任のことでございますが、更生緊急保護法第三条第一項の国の責任ということの内容、それから事業法の第三条第一項の国の責任の内容に変化があるのかどうかという御趣旨かと思いますが、国の措置の実施に当たりまして国が責任を持つという意味におきましては、この両法の関係におきまして何ら異なるところはございません。
 ただ、「国の責任」という言葉が用いられております。その文脈の違いから申しますと、そこで用いられている意味にやや違いがあるかと思いますのは、更生緊急保護法やそれからこのたび改正して犯罪者予防更生法に取り入れられました規定の中での特に国の責任というふうに規定している意味合いは、これらの法律によりまして更生緊急保護法の措置をとるべきものというのは、本来国の監督から離れてしまっているものでございますので、本人からの申し出がありまして国が保護の必要があると認めたその段階から国が責任を持って本人に対し更生緊急の保護をとるということを明らかにしたということでございまして、いわゆる国の責任がそこから生じるという意味におきましてこの言葉を使っているということでございます。
 これに対しまして、更生保護事業法におきます第三条第一項の方の国の責任ということは、「国の責任において行う更生の措置」というものを示しまして、先ほどの更生緊急保護のほかに、保護観察あるいは救護あるいは援護もあるわけでございますけれども、このような国の責任において行う更生の措置を実施する上におきまして、更生保護事業が重要な役割を果たしているということを明らかにするというねらいのもとに、この国の責任という言葉をここで用いさせてもらったということでございます。
#10
○下稲葉耕吉君 今の御説明は、そういうふうなことで、旧法に比べてやはり前進であるというふうに理解いたしたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。
#11
○政府委員(本間達三君) 委員御指摘のとおり、国の責任の意味につきまして、ただいま御説明したとおりでございますが、更生緊急保護法で用いていた国の責任というのは、ややそういう意味では狭いと申しますか、いわゆる費用支弁の根拠を示すとかそういう意味合いにも読まれておりますが、ちょっと狭い意味で用いられていたという意味におきまして、更生保護事業法の国の責任という方が観念が広がっているというふうに理解しているところでございまして、委員御指摘のとおりでございます。
#12
○下稲葉耕吉君 時間もございませんので、次に地方公共団体との関連について御質問いたします。
 前法におきましては、十条におきまして「地方公共団体は、更生保護事業を営むことができる。」という規定がございました。本法におきましては、それが四十八条に規定されましたけれども、今申し上げました三条の国の責任の次に二項を設けて、「地方公共団体は、更生保護事業が犯罪をした者の更生を助け、」云々というふうなことで、「その地域において行われる更生保護事業に対して必要な協力をすることができる。」という規定が新しく加わりましたね。これは前法にはなかったことで、本法で初めて規定されたことでございます。
 これが「必要な協力をすることができる。」、それから「更生保護事業を営むことができる。」、これは地方公共団体そのものがですね。従来、地方公共団体そのものが更生保護事業を営むことができるということだけだったんだけれども、「必要な協力をすることができる。」、協力をすることができるというのは、協力する相手は更生保護事業を営んでいる民間のボランティアに対する協力ということしか読めないんですが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#13
○政府委員(本間達三君) 結論的に申し上げますと、そのとおりでございます。
 ただ、地方公共団体がみずから更生保護事業を営むという場合におきましては、これもまた広い意味の更生保護事業への協力行為というふうに読み得るものと私は考えておるところでございます。
#14
○下稲葉耕吉君 今までは、地方公共団体が更生保護事業を営むことができるということだけだったんですけれども、地方公共団体によってはその自分の管轄区域内にある更生保護事業にいろいろ支援しておられる、助成をしておられる。聞くところによると、そのトータルが年間二億ぐらいだというふうに私伺っているんですけれども、要するにそういうふうな実態を踏まえて、それを正当化すると言ってはなんですけれども、法律がついていったというふうな形になったというふうに理解するんですか。それとも、もう少し前向きの考え方でこの条文が入ったんでしょうか。どちらでございますか。
#15
○政府委員(本間達三君) 委員御指摘のとおり、これまで地方公共団体、伺いますと全国で三千三百あるそうでございますが、そのうちの約三分の一の団体から各更生保護会に対して多額の援助をいただいているというのが実情でございます。その根拠とされる規定は、地方自治法の二百三十二条の二という規定がございまして、これは地方公共団体は、必要がある場合には、補助または寄附をすることができるという規定になっております。従来、更生保護会が補助をちょうだいいたしましたのはこの規定によるものでございました。
 そういうことで、従来から財政面の協力はいろいろやっていただいてきたわけでございますが、更生保護会が地方におきまして地元の福祉あるいは安全に非常に寄与しているという実態を考えますと、なお一層地方公共団体からの御協力をいただけるのではないかということで、このたび第三条第二項におきまして「その地域において行われる更生保護事業に対して必要な協力をすることができる。」という規定を設けたわけでございます。
 その協力の態様につきましては、この条文の文字づらからは特段の限定はございませんので、極めて広い範囲に、広範囲なものというふうに解する余地はございますが、財政的協力につきましては先ほど申し上げた地方自治法の規定もこれありますので、今度新たに規定いたしましたこの「必要な協力をすることができる。」ということは、それぞれ地方公共団体の判断におきまして、更生保護事業に対し、例えば人的な支援の問題あるいは行政面での支援、そういったことを中心として協力をいただけるということの根拠として意味があるというふうに考えているところでございます。
#16
○下稲葉耕吉君 この第三条第二項、今問題になりましたね、この条項が入るときのいきさつにつきまして、自治省との関係において私もその経緯を実は知らぬわけじゃございません。
 この際、率直に申し上げておきますけれども、この法律に限らず、法務省はほかの役所との折衝というのがなかなか下手くそといえば下手くそですね。余り平素そういうふうなあれが、折衝がなかったのかなとも思うんです。この前、戸籍法のときには地財計画との関係でも、これも自治省でしたけれども、いろいろ話を私は両方から聞いてみますと、これ以上申し上げませんけれども、この問題にいたしましても、ここまで来たということは私は前進だと思うんです。前進だと思うんです。
 そしてまた、大変御理解をいただいている地方公共団体が、今言われた自治省の条文だとかこの条文を背景にしていろいろ御支援なさるというような形でやっていただけるということは、根拠ができたわけですからいいことだと思うんですが、もう少し積極的にそういうふうな問題に取り組んでいただいて、現場の人たちのニーズを十分反映して実現することができるように、これは私どもも努力いたしますけれども、ひとつお願いいたしたい、このように思います。
 時間も余りなくなりましたので、今度は施行法の関係で、これはもう大変私は重要な法律だと思うんです。普通の施行法というのは大したことないんですけれども、関係法令が全部整備してある。
 その中で、大臣は、「土地収用法の一部を改正して、更生保護事業を収用適格事業とすることと規定しております。」、これが云々というふうな、提案理由の中で書いておられるんですが、こればかりじゃないと思うんです。それは地方税法との関係もあれば、あるいは国税との関係なんかもいろいろある。これは施行法を見れば、条文に当たればわかることなんですが、余り時間もございませんので、結論だけでいいですから、およそ、この法律の改正によって全国百ぐらい、今、この今度法人格を得る団体があると理解するんですけれども、トータルで幾らくらい福祉法人並みに減税といいますか、になるのかひとつ、はっきりしたことは言えないにしても、ある程度の見通しはつくと思いますが、いかがなものでございますか。
#17
○政府委員(本間達三君) このたびの立法措置によりまして、税制上の優遇措置といたしましては、整備法の方に掲げてありますとおり、地方税法上の法人住民税均等割部分の非課税ということがございますが、もう一つ、これは政令レベルでございまして、法人税法の施行令によりまして、収益事業を営む更生保護法人がその収益事業に属する資産のうち更生保護事業のために支出した金額、これはいわゆる部内のものでございますからみなし寄附金と呼ばれていますが、それの損金算入限度額を、現行は百分の二十七となっておるところでございますけれども、これを社会福祉法人並みに百分の五十に相当する金額、あるいはその額が二百万円に満たない場合には年額二百万円まで引き上げる……
#18
○下稲葉耕吉君 局長、細かい中身はわかっておるから、私の質問の趣旨は、トータルとして何万円か何千万円か何億か、その辺のところを聞いているんです。
#19
○政府委員(本間達三君) はい、わかりました。
 その前提といたしまして、ただいま申し上げた二点の優遇措置を前提といたしまして、平成五年度におきます全国の更生保護会の納税申告額を基準にして試算をやってみましたところ、仮に平成七年度から施行されたと仮定いたしますと、前年、すなわち平成六年度との比較では約四千二百万円ほどの金額がこれによってセーブされるといいますか、ということになります。
#20
○下稲葉耕吉君 四千数百万円というのを少ないと見るのか多いと見るのか、なかなか難しいところですよね、事業主体が数が百ぐらいでございますから。まあしかし、おやりになっているところは金の潤沢なところじゃないんですよね。非常に苦労してボランティアで事業をなさっているわけですから、少しでもお役に立てばいいんじゃないかな、こういうふうに考えるべきだろうと思うのでございます。
 そこで、時間も参りましたので、最後に大臣に、一つだけ大臣の決意をお伺いしたいと思うんですけれども、こういうふうに今度の場合は、法律の整備だとかあるいは税制上の問題だとか、最後は施設の問題だと。施設の問題、これはまあ更生保護事業ということは、施設の問題もあれば、それは人件費の助成の問題なり委託事業、トータルとしていろいろあると思うんですが、本年度の予算のときに、率直に申し上げまして保護局というのは法務省の中で余り日の当たらない、失礼ですけれども、局だったんじゃないかと思うんですよ。最近、更生緊急保護法の問題なり更生保護事業の重要性というのが重要になりまして、私どもも関心を持っていろいろ勉強させてもらった。
 それで予算のときにも、何とか助成金を積み上げしようということで勉強させてもらった。そうしますと、つくづく感じましたのは、例えば施設費の助成にしても、更生保護事業を営んでいる団体、今度法人格を得るわけなんですが、そこが申請しなければ助成がつかないわけですね。というのは、元金がなければ助成ができないわけでしょう。だから、幾ら金をやろうといっても、その元金がというような、補助率はこれは五割でしたかね、だからその五割はそれぞれの団体が集めなくちゃならない。だから、それがなかなか集まらないものですからできないんですという返事がはね返ってきたんですよ。
 そこで申し上げたいんですけれども、これは、ボランティアのそういうふうな団体ができないから助成をやろうと思ってもできないんですと、そういうふうな受け身の姿勢というのが果たしていいのかどうか。そういうふうなことだったら、熱心なところは行くけれども、熱心でない県はもう全然だめなんだということになりますわね。
 だから私は、保護観察所長というのがこれは責任のあるお役所の出先ですわね、この人たちが何なさっているんだと。団体が金つくって助成をお願いしますというときに、ああそうかそうかと、じゃ本省に申請してやろう、そういうふうなスタンスだったら一向できないと思うんですよ。やはり平素から地元のそういうふうな、行政を含めていろんな有力者の方々と接触をされて、更生保護事業の重要性なりなんなりを訴えられるというふうな現場の地道な努力があれば、結果としてどんどん事業の拡大なり更新につながってくるんじゃないだろうか。私は、そういうふうなところに更生保護観察所長さんの仕事の大きな部分があっていいんじゃないだろうか。これは間違っておったら御指摘いただきたいと思うんです。
 そういうふうなことで、もともと国がやらなくちゃならない事業として「国の責任」と書いてあるんですから。ところが、国は一つもやっていない、地方公共団体も一つもやっていない、そして専ら現場のボランティアに頼っているというふうなのが実態ですから、だからその辺のところについて、私はやはり基本的な哲学というか考え方というか、これが大切じゃないかという感じがするんです。
 最後に大臣の所信をお伺いします。
#21
○国務大臣(前田勲男君) 本委員会でも附帯決議等をいただきまして、おかげさまでこうした審議をさせていただけるに至っておりますことを何よりも感謝を申し上げておるわけでございます。
 ただいま、特にこの施設の整備、居住環境が老朽化しておくれている中で、その施設整備に対して国が、あるいはもっと具体的に言えば、この更生保護幹部職員、保護観察所長等が、まさに先般の国会で改正いただきました施設整備の二分の一の補助、このいわば自己資金の調達の努力をもっと熱心に積極的にするべきではないかという先生からのありがたい、といいますか、御質問あるいは御指導であろうと思っております。
 私も、まさに御指摘のとおりでございまして、更生事業の推進を直接所掌しております保護観察所長等幹部職員が中心になりまして、まさに自前の努力をしていく姿勢が何よりも大事であろうと考えておるところでございまして、今後ともこのような観点から関係職員の皆々が常に心にとめて努めてまいるように指導してまいりたいと、かように思っておるところでございます。
#22
○下稲葉耕吉君 終わります。
#23
○深田肇君 私のいただいている時間が大変短いんですが、大変恐縮ですけれども、一言、御報告とお礼をこの機会に申し上げたいと存じます。
 実は、埼玉県の石川一雄さん、仮釈放を私の方では毎度この本委員会などでもお願いをしてまいりましたが、昨年の十二月二十一日に仮釈放の決定をいただきまして、現在は自宅に帰りまして元気に仕事をいたしております。大変いろんな意味でお世話になりました本委員会の諸先輩を初め法務大臣、同時にまた関係者の皆様方、特に千葉刑の所長さんを初めとする皆様方に心からお礼を申し上げておきたいと存じます。
 本人は大変健康の方もすぐれておりまして、お見さんがやっている仕事を手伝いながら、大工仕事でありますが、一生懸命頑張っていることを御報告申し上げておきたいと存じます。
 千葉刑時代にちょっと勉強したようでありまして、すぐ歌といいますか、そんなものをつくるのが出てまいりまして、今度彼が発表いたしましたのは「故郷に立てどわれは浦島」といって、やっぱり三十一年ぶりに帰りますと、もう地域も変わっちゃって、自分のうちも変わっているし、お父さん、お母さん亡くなっているものですから、「故郷に立てどわれは浦島」というようなことを言いながら、地域の皆さん方と仲よく仕事をしていますことを御報告申し上げておきたいと思います。
 それにつけましても、一日も早い再審が開始されまして、物事が明確になってまいりますことを実はお願いをしていることを最後に申し上げて、お礼としておきたいというふうに思います。
 そこで、いわゆる本題に入りまして、一つ二つと御質問申し上げたいのでありますが、先ほどやはり先輩の下稲葉先生の方からお話があったことに類似をするわけでありますが、先般、大臣のお話を伺っておりまして、やはり附帯決議に基づいて今回の新法、私は新法と思っていたんですが、これを提起されたんだなと思いました。
 しかしながら、私の側が率直に感じましたのは、附帯決議の流れは、ここに書いてありますように、今お示しがありましたとおり、三つの項目に書いてあるのでありますが、私が大変意識いたしましたのは、更生保護事業は「国の責任において行われるべきものである」と、この「事業の健全な育成、発展のためこと、こういうふうにずっとあるわけでありまして、そして「法整備を含めて制度の改善」をというふうに参議院の附帯決議もありますし、衆議院の方も「国の責任」ということが入っているのであります。
 これ、そういうことを私が気にするのはおかしいのかもわかりませんが、大臣の提案の中には国の責任なんという言葉は一言もないんですね、ここには。それは、国が法律を出すことが責任だから、わざわざここに日本語としての国の責任に基づいてということを入れなくていいとおっしゃればそれまでのことだが、どうも国の責任に対する評価が違うんじゃないかということを直観的に感じましたことを率直に申し上げて、法案に賛成反対ということを言いますと糸久理事からしかられますから、そこは申し上げないことにいたしますが、大変違和感を持ったということを感じながら、一つ二つと御質問させていただいておきたいと思います。
 そこで、「更生保護事業は、民間篤志家のたゆまぬ努力によって」と、こういうふうにお書きになっているのでありますが、今話がありましたように、民間の篤志家なり諸団体がまずは出資金を集めることから大変苦労していることはお互いに確認ができることでございますが、それにしても、保護局が出している印刷物にありますように、迷惑施設だというのはもう言われているんですよね。いわゆるいろんな意味で刑の償いをして出てきた方ですから、もうそこで免除なんでありますけれども、地域から見ると、そういう方々が集まるところだというので、迷惑施設だというふうに法務省の文書にもあるほど地域からそういう目で見るということでありますから。
 そうしますと、今一番大事なことは、地域住民とこのことに対する、人権問題を含めて、しかも法律の精神をしっかり含めて、更生保護法という言葉の問題もありましょうけれども、そういうことも含めてしっかりと地域住民の理解を求めて、お互いに協力して新しい社会復帰のための環境づくりやお手伝いをする、こういうふうな地域住民側の思想の転換や協力を求めるというのもやはり法務省側が一生懸命やらにゃいかぬだろうし、と思っているんです。
 この前、たまたま先般の委員会でも同じようなことを申し上げたのでありますが、御苦労されていると思いますよ、現場の方々は。したがって、国の責任というのは、そういう苦労に対してやはりしっかりと認めて、苦労があるだろうと、したがってその苦労に対しては感謝するし、敬意を表するし、したがって云々と、こういう形の、どう言いますか、導入、誘導が大臣の言葉から出るのが現場のメンバーからすればうれしいことなんではないかということを率直に感じていることを申し上げておきたいというふうに思います。
 そこでまた、大臣の提案された中身に関連してちょっと具体的に伺いたいのでありますが、まず最初の第一の質問でありますが、いわゆる平成六年度の予算において先般決めました更生保護施設整備費補助金というのが認められたと、こういうことで施設整備の面については相応の改善処置が講じられたところでございますというのだけれども、これ、どのくらい本当に改善されたというふうに自信を持って言われるのかどうか。このことといわゆる今度の新法との関係、勉強不足でよくわからないんだけれども、この前、そういう予算をつけることになって、それで果たしていいのか、その程度の額でいいのかという論議もさせてもらった立場からすると、新法ができるに当たってまずはきちんと確認しておきたいことは、この平成六年の経過の中でどれだけの効果があったのか。目に見えるものとしてどれだけのものがあって、現場の方々はどんなに喜んでおられるのかという報告があれば聞きたいものだなというふうに実は思います。
 同時に、この前申し上げたことだから二度言うことはいかがかと思いますが、どうも箱物をつくるという、施設をどうするということだけがどうも中心的にあって、もっともっとボランティアの人の心だとか気持ちだとか、それから地域住民との関係、あれですよ、お祭りに行くんだって大変らしいですから。それで、中にいる人とか世話している人たちが地域の皆さんと一緒になって、お盆のお祭りを一緒にやるときなんかの努力でも大変なわけで、その会もみずからが自費で集めなきゃならぬという苦労もされるわけでありますから、そういう意味ではいわゆるこの補助金行政というものはどれだけの成果が上がったかということについて、ひとつ御報告を簡単でいいですから、聞かせていただければいいなというふうに思います。抽象的な御報告でもいいと思います。
 それに関連しまして、二つ目の質問でありますが、やはり御説明の中に、これ二ページですね、更生保護会の現状を見ますときに、この経営基盤はなおも脆弱なものであるということを書いているんですね。そして、更生保護事業は多くの困難に直面していると、早急にその改善を図る必要があると、こう書かれておるんであります。
 そうすると、現状を見たときに経営基盤が大変弱いものだというのは、何を基準にして弱くて、どこまでいけば弱いという表現でなくなるというふうに、基準をお持ちなのかどうなのか。もう弱いことは余りにも、今大先輩おっしゃったとおり、半分の金を集めるのも大変なわけですから、浦和なんか立派なものができて、埼玉県は立派なものができたけれども、この苦労話を聞けば大変ですね。というふうに感じますから、全国的なことを考えれば、それは相当本気で更生保護の行政というものをやらないと、本当に地域から認められて、新しい人生をつくっていく人たちのための道を保障するということにはなかなかならぬだろうと思うことがございます。
 そういうことも含めて、多くの困難に直面しているというのは、アルコールであるとか薬物の乱用者が多いということを必ずしもおっしゃっているんじゃないと思うから、多くの困難というのはどういうことをおっしゃっているのか、これもできれば聞かせてもらっておいて、私どもが知っている多くの困難と一緒かどうかについて対比してみたいと思いますので、それもひとつ御説明いただければありがたいと思います。
 時間があれば第三問をやりたいと思いますので、とりあえずそこまで御説明いただきたいと思います。以上。
#24
○政府委員(本間達三君) お答えいたします。
 まず、保護会の施設整備の点でございますが、更生緊急保護法の一部改正が百二十九国会で行われまして、それに伴いまして施設整備の補助金を新設していただきました。平成六年度予算におきましては、一億四千二百万円の予算をちょうだいいたしました。これは五〇%補助でございます。これによりまして、四団体が現在地域住民の方々の御理解と御協力を得ながら順調に施設改善を進めているところでございます。なお、施設改善につきましては、この国の補助を得て行っているもののほかに、自前の資金をもちまして、小規模のものも含めましてこのほかに四カ所ほどで施設改善を進めているのが現状でございます。
 それから、もう一点の、いわゆる更生保護会の経営基盤の点、それから多くの困難に直面している実情等についての御質問でございますが、経営基盤の脆弱ということの一つの指標といたしまして、更生保護会の収入が、分析しますと、国から支弁されております委託費がその約六割を占めているという実情なわけでございます。しかも、その委託費と申しますのは、更生保護会が現実に保護を行った実績に応じて支払われておりますために、経営が常に収容人員に左右されておりまして、非常に不安定な状況に置かれているわけでございます。
 更生保護会の中には資産、いわゆる流動資産として果実を生むようなものが五千万円以下しかないというようなものが相当たくさんございます。そういう点から、収入といいますか、資金を補うために篤志家あるいは地方公共団体等からの援助、御寄附を仰ぐというようなことで何とか経営をつないでいる、そういう点が非常に更生保護会の苦しい現状でございます。
 このような経営状態は、職員の給与の抑制という点でまたはね返ってまいりまして、そういう観点で職員確保という点も困難になりますし、特に最近は処遇困難者が増加しておりますことから、なかなか職員の確保ができにくいという新たな問題も生じてきているところでございます。
 そういった困難な状況がございますが、今般法改正によりまして税制上の優遇措置がとられ、金額は別といたしましても、とられましたことによりまして、この経営基盤の充実に若干とも寄与できるものというふうに考えているところでございます。
#25
○深田肇君 説明を例えばそういうことだろうと思いますから、そういうことなのかもしれませんが、どうなんでしょうか。
 じゃ、こういう聞き方が許されるかどうかわかりませんが、今度の新法ができて新法人ができたら、そういう働く人の御苦労だとか、地域住民とのいわゆる大変難しい問題なんかはこの法律でできるという保障はありますか、なかなかそうはいかないというふうに、ぱらぱらと読んだんですがね。それは大臣が答えるんじゃ大き過ぎるんなら局長で結構ですが、私なんかなかなかそうはいかないという感じを持っているんですがね。
 ということをまず申し上げた上で、次の問題も後で一緒にまとめて御説明いただきたいんでありますが、三ページ一番最後に「第一に、既存の更生保護会は、組織変更により更生保護法人になることができる」という旨が書いてあるところ、できるんですね、なることができる、全部なるわけじゃないらしいんですね。これは日本語のとおり、全部なるわけじゃない。なれるという、今、下稲葉先生の御質問に対して、レベルがよくなるという話だったんだから、よくなるところへなれることができるのだか、なれないことがあるのか。なれないことがあるなら、なれない人は差別されないか。新しい法律をつくってよくなる人と、現在のままでそのまま泣いておけというのと、二つできないか。こういうことを、保護局長、提案して、優しい政治になる。
 ということも印象として考えながら、私はどうも、賛否言いません、賛否言いませんが、すかっと落ちないなという気持ちを持っていますので、局長のお話の後、ひとつ大臣から一斉いただいてもいいんですが、まあそんな印象を持ちますね、正直なところ。というのは、大分現場と私はずれていると思うね、現場の苦労話とは。ということを印象として申し上げたいと思います。
#26
○政府委員(本間達三君) 現在の更生保護会が更生保護法人に組織変更をすることができるという規定の、いわばその結果がどうなるかということの御質問だろうと思いますが、この更生保護法人という特別の法人成りをするということにつきましては、更生保護会の団体からも非常に強い要望もあったところでございます。そういうことと、それから各更生保護会の意向というものも私ども現場から聴取をいたしておりますが、ほとんどの更生保護会が新しい法人に組織変更を希望しているというのが実情でございますので、私どもとしてはほぼ全部がこの新しい法人に組織変更していただけると期待をしているところでございます。
 ただ、この法案にも書かれておりますとおり、民法法人と比較いたしますと、例えば役員の数とかあるいは同族支配の排除等、厳しい面もないわけではございません。そういう意味におきまして、特別の事情のある更生保護会におかれては、あるいはその要件をクリアしにくいということで更生保護法人にならないという意思決定をされるところがないとは私は申せないというふうに考えております。この点については、基準をクリアできるように、私どもとしては当該団体につきましては全面的に御支援申し上げたいというふうに考えているところでございます。
#27
○国務大臣(前田勲男君) まず、先生から最初に国の責務というお話もございまして、その辺からお答え申し上げたいと存じますが、私ども国の責務と考えておりますのは、この更生保護事業全体あるいはそれらの仕組み、運営等について、国が総体的、総括的にその責務、まさに責任を果たす、まずそういうことであろうと思いますし、御質疑の中にもございますが、足らざるところあれば積極的にかつ強力に支援していく。ただ、先生も御指摘のとおり、足らざるところあればというよりも、足らざるところがまだ多過ぎるという状況にあることは強く認識して取り組んでいきたいと思っております。
 また、国の責務の中で、まさにこの法案、法律を御整備いただくことによってその法律的な基盤が今整備ができるんだと、かように考えながら積極的に取り組んでいって更生保護事業の発展を図っていかなければならないという強い決意でおるところでございます。
 また、局長から御答弁なかった、漏れでございますが、例えば迷惑施設だという、確かに住民感情の中にはそうした事例もないわけではございません。また、あるということでございますが、また反面、大変篤志家の皆さんが慈愛の精神に満ちて運営をされて、百年以上の歴史を持つこうした施設もあるわけでございまして、こうした中で、いい方だけを見れば、まさに地域住民の中に溶け込んで祭りや地元のいろいろ行事にも参加させていただき、社会参加をありがたく受け入れていただいておる。
 そして、これは私の個人的な感じでございますが、まさに行刑施設等の中から出てきたときに、やはり何よりも世間の冷たい目と申しますか冷たい風と申しますか、こうしたものに理解をして、それに耐え得る、まさに家族的と申しますか、温かい雰囲気の中できめ細かい対応をしていただいておるのがまさにこの更生保護会だと思っておりまして、そうした社会的な大きな貢献ということも踏まえて、私どもはまさに国の責務と理解して積極的に支援をしてまいりたい、こういう決意でおるところでございます。
#28
○深田肇君 済みません、もう時間がありませんから終わりますが、ぜひひとつ、この保護会のメンバーを大切にしてやってもらうことが大切なんじゃないかと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 終わります。
#29
○荒木清寛君 先ほどからもう議論になっておりますが、この法案の提案理由説明の中にも「更生保護会の現状を見まずに、その経営基盤はなおも脆弱」であると、そういう指摘がありまして、国としても改善方に取り組んでいきたいということであろうかと思いますし、私も調べてみるほど、本当に更生保護会の特に経営者の方は大変苦労されているというふうに思うわけでございます。
 不十分な職員体制あるいは後継者難あるいは施設の老朽化等、多くの問題を抱えているわけでありますが、例えばこの職員数を見ましても、定員二十人の施設で四人が基準というふうに聞いております。もしもそうであれば、他の福祉施設等に比べますと随分格差がありまして、この点も今後是正をする必要のある問題ではないかというふうに思いますが、この点の御認識を伺いたいと思います。
#30
○政府委員(本間達三君) 職員数の点でございますけれども、職員数を幾ら、何人雇うかということは各更生保護会の独自の判断で行っているところでございます。ただ、更生保護会の収入源の六割以上を占める委託費、国からの委託費というものがありますから、更生保護会の経営という観点からいきますと、先ほど先生の御指摘のありましたような二十人以下は四人というような基準というものがぎりぎりのところというのが現状だろうと私は思っております。
 ただ、社会福祉法人との比較という点でまだ足りないんではないか、こういう御指摘もございました。これは国からの人件費等に対する補助のあり方とか、そういうことと絡む問題でございますし、私ちょっと社会福祉法人の職員の実態というものを詳しく承知しておりませんので、いずれそのあたりも検討いたしまして、しかるべき対策がとれるんであればまた検討してみたいというふうに考えております、
#31
○荒木清寛君 あるいは職員の給与水準も比較的に低い、その割には勤務時間が長くてなかなかその適任者を得られないという実情であると聞いておりますが、そのとおりでしょうか。
#32
○政府委員(本間達三君) 給与の面からいきますと、委員御指摘のとおり、社会福祉法人の同レベルの職員から比較いたしますと低いということは事実と認識いたしております。
 それから、超過勤務の実態はちょっと私も、社会福祉法人の超過勤務の実態を承知しておりませんので、ちょっと比較は自信を持って申し上げられないところでございます。
#33
○荒木清寛君 給与水準は低いけれども仕事はそれ以上にきついというのが実態ではないかと思います。また、後継者難あるいは施設の老朽化等も問題になっているわけでありまして、大臣としましても経営基盤の強化についてどう取り組んでいくのか、積極的な御決意を聞きたいと思います。
#34
○国務大臣(前田勲男君) 更生保護会のまさに脆弱な経営基盤を強化することが急務であろうと考えております。
 そこで、更生保護会の収入の主たるものは国からの委託費、寄附金それから利息、配当金等の収入でございますが、特に国から支弁される委託費はまさに更生保護会の経営基盤の一番大宗を占めるものでございますし、一番重要なものであると認識をいたしておりまして、七年度予算におきまして委託費の大幅な増加、大幅と申しましても四・七%でございましたか、という増をお願いいたしておるところでございます。
 施設整備につきましても、前回の法改正で二分の一の補助をお認めいただいておるわけでございますが、これにいたしましても、先ほど来も出ておりますが、自己資金等々に大変苦労いたしましてなかなか難航いたしておるのも事実でございます。
 いずれにいたしましても、この補助金の増額にいたしましても、この予算でこれから努力をしていかなければならない、かように考えておるところでもございます。
 更生保護会がまさに我が国の刑事政策上果たしております役割、大変大きいものがあるわけでございまして、先生御指摘の更生保護会の職員が大変老朽化した施設の中で、少ない人数で苦労をされておるというような状況も真摯に受けとめて、経営基盤の強化ということに私どもも積極的に全力で取り組んでいかなければならない、かように考えておるところでございます。
#35
○荒木清寛君 経営基盤の強化ということで具体的に二点ほどお伺いしたいと思います。
 一つは、先ほど来、更生保護会の収入のうち六割が国からの委託費であるというお話でございますが、こういう厳しい経営状況ということを考えますと、本当に六割でいいのか。来年度予算は四・七%増というお話ではございましたけれども、大幅にふやして、六割でなくて七割あるいはそれ以上という姿が望ましいのではないかというのが一点でございます。
 もう一つは、委託費のあり方でありますけれども、現在の計算方法というのは、委託をした実人数によって掛けていくというお話でございますが、これは委託を受ける側の方から考えますと、一〇〇%常に稼働しているのであればそれでいいと思いますが、実際は、稼働率と言うと語弊がありますが、平均六割ぐらいではないかというふうに言われているわけでありまして、その収容の割合によって国からの委託費が相当高くなったり低くなったりというのが一つの経営の圧迫要因ではないかと思うんです。仮に一〇〇%の人がいてもあるいは六〇であっても人件費等の固定費は全く変わらないわけでありまして、そういう意味からしますと、委託をした実人数によって計算をしていくという考え方を、計算方法を再検討した方がいいのではないか。要するに、固定費部分は基礎的な委託費として託して、そのプラスアルファ分としてこの実人数を考慮していくという、そういうあり方が私は適切ではないかと思うんですが、この点どうですか。
#36
○政府委員(本間達三君) 委員御指摘の人件費の問題につきましては、現在の予算の組み立て方が、今、委託費という形でその中に人件費分を含め、それを交付することによりまして人件費を賄っていくという方式がとられているわけでございますけれども、予算の要求の仕方といたしましてはこれはいろいろのやり方があるということは私どもも承知いたしております。いろんなアイデアというものは考えられるかと思います。
 そういう意味におきまして、抜本的な対策というのはどういうのかというのは、これは民間の更生保護会でございますから、常に一〇〇%を補償するのが最も望ましい形なのかどうかという基本的な問題もございますので、これは十分慎重に検討する必要があると私は考えておりますが、予算の組み方ということでは、例えば人件費を補助金化するとかいうふうなやり方とか、いろいろあると思います。この点については私どもも問題意識は持っておりまして、今後この人件費のアップという点に焦点を当てまして、予算の要求の仕方ということについてなおいろいろ工夫をして臨んでみたいというふうに考えております。
#37
○荒木清寛君 ぜひ現場の実態をよく調査されまして、適切な支援のあり方というのを今後も検討していただきたいと思います。
 次に大臣にお尋ねいたしますが、今回、更生緊急保護法を廃止して更生保護事業の概念を明確にする等、この法整備につきましても附帯決議を受けて一歩前進をしたということは私も評価をするわけであります。
 しかし、関係法令の統合整備といった抜本的な法体制が整ったとは言えないわけであります。例えば保護観察につきましても、犯罪者予防更生法あるいは執行猶予者保護観察法の二本立てという体制はいまだに続いているわけでありまして、そういう意味ではさらにこの関係法律の抜本的な整備に取り組んでいく必要があると思いますが、大臣の所信をお伺いします。
#38
○国務大臣(前田勲男君) 御指摘の更生保護法制につきましては、制定から現在まで四十五年を経ておりまして、幾つかの問題点が御指摘になっておりますことから、犯罪者予防更生法、執行猶予者保護観察法等、関係法律につき抜本的改正を行う必要があると考えているところでございまして、先生の御指摘のとおりでございます。
 現在、保護局を中心に、犯罪者予防更生法と執行猶予者保護観察法を統合して新たに更生保護の基本法を立案するというような方向で検討を進めておるところでございます。今まで関連法案四本ございまして、保護司法はこれはまた別でございますが、更生緊急保護法は今回なくすということになりまして、残る二本をまとめて新たな基本法として立法していくというような検討を始めておるところでございます。
#39
○荒木清寛君 先ほど局長の方から、更生保護会と社会福祉法人の税制上の格差が二点にわたって是正をされたというお話でございました。かなりの改善でありますけれども、残っている問題もあるわけであります。社会福祉法人との対比という意味で格差がまだありまして、この収益事業で得られた利益の九〇%以上を本来事業に支出する場合の法人住民税の非課税問題というのがあるわけですね。社会福祉法人の場合には非課税ですけれども、今回の改正によっても更生保護会はこういう場合でも法人住民税の課税は受けるという形になるわけでありますね。この格差の是正に取り組んでいただきたいと思いますが、お尋ねいたします。
#40
○政府委員(本間達三君) ただいま御指摘をいただきました地方税法上の優遇措置の問題につきましては、昨年の税制改正の問題の一つとして私どもも鋭意検討をし、関係省と協議をしたところでございますけれども、ついに協議が調わなかったという経緯がございまして、非常に残念には思っておりますが、今後なお引き続き関係省の理解を得るように、そして更生保護法人がこの点でも社会福祉法人並みの優遇が得られますように引き続き努力をしていくということを今決意しているところでございます。
#41
○荒木清寛君 恐らく自治省とのそういう交渉というお話であるかと思いますが、今回の事業法の三条二項にも地方公共団体の協力、義務とは書いてありませんが、実質的にはそういう趣旨があるわけでありますから、その辺の意義をしっかり訴えてこの是正に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、今回の法律を読ませていただきまして、まあ更生保護事業とは直接の関連がないわけですが、事業法の附則の二ですね、「政府は、この法律の施行後五年を目途として、」云々と、「この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」という、そういう一項があるわけであります。
 言われているところのサンセット条項であるかと思いますが、今回の法律にこの条項が入った趣旨ですね、及び五年を目途として再検討するというお話でありますが、それは法務省の中で再検討した結果はきちんとこの委員会に報告をしていただけるのか、あるいはこの委員会自体でそういう見直しの検討をしていくのか、その点について御答弁願います。
#42
○政府委員(本間達三君) このいわゆるサンセット条項によりまして、私どもといたしましてはこの法律の施行状況をつぶさに検討し、多角的に問題点を洗い出して改善すべきところは改善するということが必要だということでこの規定を設けさせていただいたわけでございますから、私どもとしては、自発的に五年を目途にこの法律の成果というものに検討を加えて、この規定にさらに改善を加えるべきことがあるかどうかということの結論を出し、必要に応じ当委員会にも報告をする予定はございます。
#43
○荒木清寛君 今回の更生、保護事業法によりまして、更生保護会が民法上の公益法人から大臣認可の更生保護法人というふうになる道が開けたわけであります。
 ちょっと話題が違うわけでありますが、民法上の公益法人につきまして殻近ちょっと事件がありまして、いわゆる休眠法人を偽造書類で乗っ取ってしまって税制上の優遇措置を受けようとしたなんという、まあよくそんなことを考えるものだなと思ったわけであります。ところが、新聞の報道によりますと、その乗っ取られた法人というのは戦前に設立されたような、もう五十年もたったような法人であったそうでありますが、そういう長年、実質上休眠している公益法人が数千もあるのではないかなんという、そういう報道もあったわけであります。
 その数がどれほど正確かどうかわかりませんが、こういう休眠法人が出てくる原因というのを考えますと、商法の場合には休眠会社の整理という、そういう規定があるわけです。民法の場合にはそういう規定がないわけでありますが、こういう休眠している公益法人を整理していくといいますか、片づけていく、そういう法的な措置も必要ではないかと思ったわけでありますが、最後にその点をお伺いしたいと思います。
#44
○政府委員(濱崎恭生君) 御指摘のとおり、商法上の株式会社につきましては、五年間登記をしないという会社については一定の手続を経て解散の措置をとるという、いわゆる休眠整理の規定がございますが、民法法人につきましても、民法七十一条の後段におきまして、正当な事由がなくして引き続き三年以工事業を行わないときには、主務官庁が設立許可の取り消しをすることができるという規定がございます。これは昭和五十四年の改正で新しくつけ加えられたわけでございますが、その規定の適正な運用によって休眠法人の整理をすることができるという法体系になっております。
#45
○荒木清寛君 実際、主務官庁がそういう監督をして取り消しをするんですか。きちんと機能しておれば、そんなたくさんの休眠法人があるはずもなかろうと思うわけでありますが、一度検討していただければというふうに思います。
 以上です。
#46
○政府委員(濱崎恭生君) これは、民法法人につきましては、それぞれ主務官庁が監督官庁として適正な監督をされる、またこの休眠整理についても適正な運用がされるということを期待されているわけでございます。
 もう委員も御案内かと思いますけれども、公益法人の監督のあり方ということにつきましては、総理府の方で各省庁の責任者をメンバーといたします公益法人等指導監督連絡会議というものが設けられておりまして、そこで監督のあり方についていろいろ検討がされておるわけでございまして、その一つのテーマといたしまして、今御指摘の休眠法人の適正な整理ということも課題になっておりまして、今そちらの会議の方で鋭意努力しておられる、私どももそのメンバーに入って努力をしているということでございます。
 今後とも適正な運用を期待しているところでございます。
#47
○山崎順子君 私、法務委員会に入ってまだ日が浅いんですが、もう一つ今国会から入りました環境特別委員会で、実はついこの間附帯決議をちょっとさせていただいたときに、今までどんな附帯決議があるか委員会で調べてみたんです。そうしましたら、環境の方は三年前も五年前もずっと同じ附帯決議がついておりました。ということは、附帯決議をせっかくつけても何の意味もないのかなと大変むなしい思いがしていたんですけれども、今度法務委員会では昨年の附帯決議がこのように速やかに法案として出てきたということで、これは大変いいことだな、こういうふうでありたいものだというような感想を持ちまして、大変そういう意味では評価させていただいているんですけれども。
 それにつけましても、更生保護事業の現場というのは大変なんだなということが今度の勉強でよくわかりました。お聞きしたところによりますと、築六十七年の施設もあるとかで、雨漏りがしていたり大変な老朽施設があるわけですね。ということは、今回の附帯決議については大変速やかであったわけですけれども、いかに長い間、国の責務もあるとは言いながら、民間の方々の御好意の上にあぐらをかいて甘えていたのではないかなということで、今度の改正だけではまだまだ問に合わない部分をこれからぜひとも法務大臣や皆さんのお力で、私たちももちろん努力いたしますが、速やかに是正、改善していきたいなと思っているところでございます。
 そこで、幾つか御質問させていただきたいんですが、今まで諸先生方も随分御質問なさっていますので重なる部分もあるかもしれませんけれども、国庫補助は二分の一ということで、その後、皆さん必死で寄附とかしていただくために走り回っていらっしゃったり、それから自己資金をどういうふうに用立てなさるのか。そのあたりのことについては、今回の一億四千三百万ですか、それから平成七年は一億七千万とか、少しアップしたようですけれども、これだけではとてもじゃないけれども、まだまだ六十八カ所も修理の必要な施設があると聞いておりますので、配分も難しいし、間に合わない。
 そして自己資金、寄附金を集めるのも大変だというあたり、どのように寄附金集めや自己資金の用立てを国は後押しなさるのか、その辺についてちょっと御説明いただきたいと思います。
#48
○政府委員(本間達三君) 難しい問題でございますけれども、各保護会におきましてそれぞれの自己努力というのはもちろんしていただいているわけでございます。
 国といたしましては、先ほど下稲葉先生からもいろいろ御指摘がございましたとおり、出先の保護観察所が中心になって篤志の協力者あるいは地方公共団体等に赴いて御寄附をお願いする、あるいは補助をお願いするということで、相当努力はさせていただいているつもりでございます。
 とりわけ地方公共団体につきましては、これは平成五年度の実績といたしましても、三カ所の施設に対しまして計一億九百万円の補助を出していただいたというようなこともございます。
 補助金の二分の一の裏づけということに対しては、これからもそういう努力も必要でございますし、また更生保護会の中の一つとして連絡助成保護会というのがございまして、この保護会の中には相当の資金を持って補助しているところもございますので、こういった団体からの協力ということについてもお互いに連携をとり合ってやっているというのが実態でございます。
#49
○山崎順子君 やはり、施設がよくなれば働く方々もとても快適なところで働きやすくなりますから、それはひいては入っている方々にもいい形で影響すると思うんですけれども。
 先ほどもほかの先生から御質問がありましたけれども、大変お給料も低額でしかも労働条件が厳しいために職員を確保することも難しいという、そういう問題についてなんですが、先ほど社会福祉関係の方の収入とそれから更生保護会の職員の方との収入については、はっきりした比較は手元にないというようなお話でございましたけれども、昨年六月二十一日の法務委員会で下稲葉先生が御質問になった答えの中に、更生保護会と福祉関係の人の給料の比較について、調理員の方のですけれども、更生保護会では六万五千円、それから福祉関係の方では二十七万円ぐらい平均取っていらっしゃるということがございました。今でもまだこういう状況なのか。
 今回の法改正ではこの辺のソフトの部分まではとても補助ができないかもしれませんけれども、もしこういった状況であれば、先ほど荒木先生の御質問にもありましたけれども、入所者の一人について一日四千四百円という金額の委託金がありますけれども、入所者が減ると当然入ってこない。この四千四百円の内訳というのは大体どうなっているのかをちょっとお聞かせ願いたいんですけれども。
#50
○政府委員(本間達三君) 平成六年度予算で申し上げますと、人件費分として約二千百円でございます。それから物件費分といたしまして二百九十二円、それから補導費分として百三十九円、それから食事つき宿泊費がございます、これは千八百六十二円、予算上はそのようになって、合わせまして約四千四百円ということになります。
#51
○山崎順子君 そうしますと、入所者一人の方がお使いになるのは千八百六十二円というふうに考えてよろしいんでしょうか。それ以外は経費ですよね。そういうふうに考えてよろしいですか。―ありがとうございます。
 そうしますと、例えば二十人の定員のときに、今、北海道などでは雪が深いときにはなかなか職場もないので、何か二人しか入っていらっしゃらないなんというような、そういう時期もあると聞いております。そうすると、二人分しか入らないということは、本当にもう大赤字ですよね。というか、経費、ふだん必要な人件費とかそういったものが全く貯えないということになりますけれども、このあたり、先ほど荒木先生の御質問と同じですけれども、千八百六十二円については人数分渡すけれども、それ以外のところは入所者がいなくても定員分は出すというような形にできないものなんでしょうか。
 そうしますともう少し、それでも人件費は社会福祉関係と比べて大変低いということがありますけれども、まだ少しはよくなるかなと思うんですが、いかがでしょうか。
#52
○政府委員(本間達三君) この点は先ほどお答えしたとおりでございまして、現在の予算の組み立てがこういうことになっておりますために、委員の御指摘のような、非常に保護される方が少ないということによって人件費の捻出に非常に苦労するところが出てくるということになるわけでございます。そういう意味におきまして、人件費確保のための予算の組み立てということにつきましては、これから大いに私どもも工夫をしていかなければいけないということは十分認識しておるところでございます。
#53
○山崎順子君 ぜひそういう方向で御努力願いたいと思います。
 それでは、次の質問でございますけれども、今、高齢化社会にどんどん日本は入っておりますけれども、高齢化の問題は犯罪者にも及んでおりまして、更生保護会でも十年ほど前と比べますと六十歳以上の入所者とか五十歳代の入所者が大変ふえていると聞いております。
 平成三年に発表されました犯罪白書によりますと、昭和五十四年と平成二年の比較ですと、例えば五十代では一五・一%だったものが全体の二四・七%を五十代が占める、また六十代は五・六%だったものが八・七%にふえているという状況でございますけれども、実に五十代、六十代で三割近く、ちょうど三割ですね、三三・四%ですから、占めているんです。
 こうした傾向は今後ますます加速されると思われますけれども、こうした高齢者を受け入れるための方策、これは多分今までも軽労働を提供し得る事業所の開拓ですとか医療機関や福祉機関との連携の緊密化など、保護観察所も更生保護会も力を注いでこられたとは存じておりますけれども、今後さらにこれを推し進める必要があると思うんですが、そのような高齢者のための職員の増員やそれから施設の改善等、そういった財源確保についてはいろいろお考えになっておられましょうか、そのあたりお願いいたします。
#54
○政府委員(本間達三君) 委員御指摘のとおり、更生保護会に入会する人の高齢化というのは非常に進んでいるところでございます。
 私どもの統計を見ますと、一応更生緊急保護法に基づいて委託を受けている方々の数をもとにして申し上げますと、平成五年におきましては六十歳以上の者が一四%でございましたが、十年前はわずかに五%であったということ、率にしまして約三倍近い伸びを示しているということでございまして、その傾向は今後も続くと予想されておりますので、今後の更生保護会における処遇あるいは運営に相当の負担がかかるということは十分予想しているところでございます。
 これにつきまして、委員から大変御理解のあるお話をいただきましてありがたいんですが、私どもといたしましても、就労の機会が与えられないという高齢者というものに対しては、協力雇用主等の特別の配慮をいただくとか、あるいは病弱の方については生活上特別に温かい処遇に心がける、そういったことで処遇をいたしておりますし、できるだけ社会福祉施設へ最後には円滑に移行できるように関係機関と密接な連携を図るように今努めているところでございます。
 また、高齢者の増加に対応して補導職員の増員という点も御指摘いただきましたが、なかなか人間をふやすという点は財政面からいきますと、更生保護会にとりましても非常な負担になるわけでございます。
 国といたしましては、この点に配慮いたしまして、委託事務費の特別加算という予算項目がございまして、これによりまして、わずかでございますが、一人一日につき六百九十円の特別加算ということをさせていただきまして、高齢者その他非常に特別の配慮を要する方々の委託について委託費を特別に差し上げているということでございます。
#55
○山崎順子君 女性のための施設が数が少ないとちょっと思えるんですけれども、今度、修理だけでなくて補助金が出ることによって改築などをなさるときに、そういった共同化を推進する、男女一緒の施設、そういったことのお考えはございますでしょうか。
#56
○政府委員(本間達三君) 初めて委員の御提案をちょうだいいたしましたが、私どもちょっとその点は考えておりませんでございましたので、将来もし更生保護会がそういうことを考えるというのであれば、やはりこれは、建物の構造等にもよりますが、望ましい場合もあるのではないかというふうに考えております。
#57
○山崎順子君 老人ホームと更生保護施設の問題は違うかとは思うんですけれども、自然界には男と女が半々おりまして、どうもやはり同性同士よりも異性がそこにいる方が人間というのは心やわらかくなるといいますか、態度などもよくなるようなことがございましてね。
 老人ホームの方が、あそこもほとんど男女別々なんです。それで、お部屋はもちろん別なんですね。今、高齢化社会で女性の方が長生きいたしますから老人ホームに入る方は圧倒的に女性が多いんですけれども、女性、おばあちゃまたち四人か五人のお部屋と、こちらはおじいさんだけが何人かという、そういうところである試みをなさった所長さんがおりまして、例えば女性三人に男性一人の共同のお部屋にしたんですね。そうしましたら、今まで面会の人が持ってきてくれたお菓子をもう自分で一人でこう抱え込んで、お菓子一つでとり合いの大げんかをやっていたような女性だけ、男性だけのグループが、たった一つのおまんじゅうでも、男の人がその部屋にいることによって、じゃ四つに分けて食べましょうかというふうな、そのくらいに変わるということで大変ホームの中の雰囲気がよくなったなんという話がございました。
 いろんな問題もあって、そういうふうに最初になさるのは大変不安があるかもしれませんけれども、でももう既に男女の施設もあるわけですから、そういったこともお考えになっていただくのもどうかなということで、ちょっと提案をさせていただきました。
 それともう一つは、女性の更生保護会にいらっしゃる、もちろん数は少ないんですけれども、これは家族の引き取り手がないとか行き場所がない方々が利用なさる施設ということで、男女の比率で申しますと、男性よりもずっと女性の方が今引き取り手がなくて更生保護会の方を利用なさる数字は高いわけですね。そういったことからいいますと、まだまだ数は少ないにしても、そういった施設もぜひ考えていただきたいなということなんですね。
 それともう一つは、これは男女に関係ないんですが、更生保護会をお出になった方、入所なさって社会に出ていった方の方が、更生保護会を経由しない方たちよりも再犯率が低いと聞いております。これは更生保護会の趣旨からいきましても大変いいことなわけで、社会の犯罪予防というようなことからも大変喜ばしいことだと思うんですね。
 ところが、この更生保護会に入るという処遇の対象者というのは極めて限られているわけで、多数の犯罪を犯した人たちは更生のための特段の方策が考慮されていないという状況が今あると思います。そうしますと、犯罪防止機能を効果的に働かせるにはもう少し更生保護会を活用した方がいい。つまり、施設なり入所者の定員をふやすなんということも私は考えられないかなというふうに思うわけですが、どうしても家族の引き取り手がないということは、刑期を終えて出る方たちにとっては大変なきっとショックだと思うんですね。
 ですから、そういう意味におきますと、更生保護施設を利用するということは、ある意味では御本人たちにとったはいいことと思えないんじゃないかということがありまして、本当はそうじゃなくて、多分、家庭やそういったところに帰った人たちの方が、再犯率が高いということは、まず刑務所から出るときの所持金が八五%の人が十万円未満なんですよね。それしか持っていなくて、犯罪を犯した人というのは、もちろんその人の素質の問題などもあるかもしれませんけれども、ほとんど個別的に見ますと、家庭環境が悪かったり地域の中での受け入れ体制が悪かったりという形で、ある意味では大変同情的な部分がありますから、そういう人たちが犯罪を犯して刑務所に入って刑期を終えて帰ってくるときに、温かく迎えてくれる家族ってそう多くないんじゃないかと思うんですね。
 そうしますと、まあしょうがないという形で、帰っていらした方々がまたそこで自立の後押しをしてもらえないで再犯ということになるということであれば、ぜひとも、更生保護会というのは大変温かく迎えてくれる、いいところなんですよというふうな形でPRする必要があると思うんです。決して家族のところに帰るだけがベストではないと。
 どういった更生保護会の存在を伝えていらっしゃるのか、PRといいますか、入所対象者に対して、その辺のことをちょっとお聞かせ願いたいなという気がいたします。
 それと、できれば、先ほど言いました施設をふやすとか定員をふやすとか、定員割れをしているところにどうすればもう少しちゃんと定員きっかりの人たちが利用できるようになるのか、その辺も何かきっとお考えを持っていらっしゃると思うんですね。定員割れになっているのをそのままほうっておかれているわけではないと思いますので、お聞かせ願いたいと思います。
#58
○国務大臣(前田勲男君) この更生保護施設のPRということでございますが、これはお入りになる方が決まった方でございますから、パブリックにやるということじゃございませんで、要は矯正施設に入っておるときに、入所してから出所するまでの間にそういう施設があるということを周知をするというようなことになっておるわけでございます。
 それから、特に引受人がなく帰住予定地がない方は、更生保護会制度について特に施設職員、矯正施設の職員から具体的に写真ですとかビデオでございますとか、こういうようなものを見てよく理解をして更生保護会でお世話になる、かようなことだというふうにいたしておるわけでございます。
 それから、再犯率のお話もございましたが、やはり更生保護会におきまして社会復帰、自立更生のお助けをしておって、その中で特に職業あっせん等あるいは補導等をいたしておりますので、こうしたことが実を結び、かつまた地域社会におきましては、大変中に地域全体としても温かくお迎えをいただいて、特に矯正から出所したいわば心の非常に不安定にある者が、大変精神的な安定のもとで新しい職を探し職につけるということが再犯率の低い原因に大きく寄与している、かように思っております。
#59
○山崎順子君 もちろん、更生保護施設以外のところで、出た方たちを保護司の方やいろんな方たちが随分頑張ってそういう再犯を防いたりという形で温かく迎えてくださっているんだろうと思いますけれども。
 この施設の職員も、先ほど入る方も高齢化していると申しましたけれども、職員も随分高齢の方が多いんじゃないか、それから保護司の方たちも、もちろん社会的信望のある方というようなところも条件にありますから当然そうなるのかもしれませんが、六十代を平均年齢超えていらっしゃるということですし、更生保護婦人会の方々も、私もあちらこちら全国行きますとよくお会いしますが、おおむね年が割合上の方が多いということです。
 犯罪を犯した人たちに対して温かく迎えてくれる多分風上が、そういう犯罪とか関係なく、この間の阪神大震災のときも若者たちが大変ボランティアに一生懸命やってくださっているのを見ますと、この更生保護施設のことなどももう少し若い方たちのボランティアを活用できるような、そういうPRも必要なんじゃないかなと思うんですね。先ほど大臣がおっしゃったように、入所者に対して更生保護施設のビデオもあるということですので、一度私もぜひ見せていただきたいと思いますが。
 更生保護施設という、更生保護会なんという言葉自体が、一体どういうところなのかしらというふうになじみがない、大変かた苦しい言葉ですけれども、もう少し若い学生さんたちそれから普通の家庭の三十代、四十代の方たちにもなじみのあるような形にやはりPRしていくことが、今後明るい犯罪の少ない社会をつくっていき、たまたま犯罪を犯した人たちも温かく社会に受け入れられるようになるんじゃないかと思いますが、一言最後にお願いいたします。
#60
○政府委員(本間達三君) まことに委員御指摘のとおりでございまして、更生保護会の役割というものにつきましてもっともっとPRをする必要があることはもちろんでございます。保護司さんあるいは更生保護婦人会の方、それからBBSという団体がございますが、こういった方々に対しましてはもう常時情報を提供いたしておりますから十分御承知でありますけれども、それ以外の一般の方々あるいは学生を中心にしたそういった方々に更生保護とはどういうものかということについて十分PRをしていくということが必要でございまして、これは一つは、やはり出先の保護観察所の観察官、そういう方々がやはり大学とかあるいは地方の集会とか、そういうところで大いにPRしていくという必要があります。また、保護司さんを中心とする民間の協力者にお願いして、更生保護会への協力を広く呼びかけるということも必要かと存じております。
 法務省の例年七月に行います「社会を明るくする運動」なんというのもございますが、これも非常に重要な一つの国民的運動でございますが、その中でもこういう更生保護会ということのPRということにもやはり留意してやっているところでございます。
 いずれにいたしましても、若い者、若い方々の参加を図っていくということが今後の更生事業の発展のために必要だということは委員の御指摘のとおりでございます。今後とも努力をさせていただきたいと思います。
#61
○翫正敏君 全国には九十九カ所の更生保護会があると聞いておりますが、そこで仕事をしておられる常勤の職員の方の人数をお示しください。また、奉仕的に協力をしておられる方の人数もあわせてお示しいただいた上で、この奉仕的に協力しておられる方の職業別のパーセントもお示し願いたいと思います。
#62
○政府委員(本間達三君) お答えいたします。
 当局におきまして平成六年の調査を実施いたしました結果で、直接更生保護会、いわゆる収容施設を持っているところでございますが、有給職員は全部で五百三十一人でございます。
 次に、直接更生保護会に対して奉仕的に協力している職業別の人員でございますが、ボランティアとして一時的あるいは継続的に御協力いただいている方々の職業については調査を行っておりませんために、そのような方々を除きまして、直接更生保護会の理事やあるいは評議員など、無償で役員に就任している方々の職業を比率の高い順に申し上げますと、役員総数が約二千三百人でございますが、一番多いのが会社、団体役員の三五%、二番目が主婦、無職の方々で二二%、第三番目に宗教家の方でございまして、一二%を占めている、こうなっております。
#63
○翫正敏君 特に、こうした仕事に携わっておられる方の中でも、奉仕的な協力者の方というのは大変だろうと思うんですけれども、どういう気持ちで奉仕的に協力しておられるというふうに認識しておられるか、大臣の方からの所見をお聞かせ願いたいと思います。
#64
○国務大臣(前田勲男君) この更生保護会に奉仕をしていただいていらっしゃる方々、まず更生保護会のまさに役員がございますし、協力雇用主あるいはまた更生保護会をお支えをいただいておる更生保護婦人会、あるいは直接間接に保護司の皆様、それから先ほどちょっとお話が出ておりましたが、非行少年等の更生を助けようとするBBSの皆様、こうした関係の皆様方が大変奉仕の精神で、罪を犯した人の更生と社会復帰を図るためにまさに物心ともに献身的な御尽力をいただいておるわけでございまして、特に精神的な支え、あるいは宿所その他自立更生のために具体的に物理的なお支えをいただいており、大変法務省としても敬服をして感謝をしておるところでございます。
 こうした御奉仕に対してあるいは御苦労に対して少しでも報いることができるように、国の財政の許す範囲で関係予算の充実を図って、かつまた奉仕をしていただく皆様に対しては各種の顕彰制度の中でお礼の気持ちを表したい、かように考えております。
#65
○翫正敏君 更生保護会連盟の方から法務大臣あてに、本法律を新しくつくってほしいという要望書が出されていると聞いておりますので、内容を簡単に御紹介してください。
#66
○政府委員(本間達三君) お答えいたします。
 全国の更生保護会の連合体でございます全国更生保護会連盟からは、これまでも税制改正等につきまして法務大臣あてに要望書が提出されております。
 すなわち平成七年度の税制改正に関しましては、平成六年八月二十六日付で法務大臣あてに要望書が提出されておりまして、その内容を御紹介しますと、一つが、更生保護会が行う収益事業に係るみなし寄附金の損金算入率を社会福祉法人並みに引き上げること。二番目に、更生保護会が行う土地の取得につき、社会福祉法人と同様に土地収用法の適用を受けることができることとすること。三番目が、更生保護会が納付している道府県民税、市町村民税及び都民税を社会福祉法人と同様に非課税とすること。四番目に、更生保護会が行う収益事業の所得のうち、百分の九十以上を当該更生保護会が行う更生保護事業に充てるときは、当該収益事業を収益事業とみなさず、法人住民税を非課税とすること。この四点について要望がございました。
#67
○翫正敏君 さらに、矯正保護審議会というところからも本法律をつくるべしという建議書が出されておると聞いておりますので、これも簡単に内容を紹介してください。
#68
○政府委員(本間達三君) 矯正保護審議会と申しますのは、更生緊急保護法に規定されておりますところの法務大臣の諮問機関でございますが、この矯正保護審議会におきまして更生保護事業の充実強化について審議が行われました。その結果、以下のような建議がなされました。
 ちなみに、西原春夫矯正保護審議会会長から法務大臣に対して提出されたその建議でございますが、「更生保護事業の健全な育成発達を図るため、社会福祉事業との均衡にも留意しつつ、更生保護法人に関する制度を創設するなど、更生保護事業に関する法制度の整備を早急に行うべき」であるという趣旨でございました。
#69
○翫正敏君 現在ある九十九の更生保護会は、希望さえすれば、本法律成立後、すべて更生保護法人になることができると理解してよろしいでしょうか。
 さらに、本法律の成立によって更生緊急保護法が廃止ということになるわけですけれども、この九十九の施設が円滑に本法律の法人に移行できるようにすべきだと思いますが、それぞれの施設に対してその手続などを十分に説明しなければならないと思いますが、現状どういうふうになっているか、説明してください。
#70
○政府委員(本間達三君) 更生保護会が社会福祉法人並みに税制上その他の優遇措置をとられるようにということで、今般、更生保護法人という制度をつくったわけでございますが、この点につきましては従来から更生保護会の側から強く要望されていたところでございます。したがって、このたびの法制化はこの制度に沿ったものでございますから、私の期待するところはほとんどすべて更生保護会が更生保護法人に移行していただけるというふうに考えておるところでございます。
 組織変更の点でございますが、更生保護事業法の施行及びこれに伴う関係法律の整備等に関する法律の第二条の規定によるところでございまして、この組織変更に関する規定は、公布と同時に施行されることになりまして、準備期間といたしましては、平成八年九月三十日までの間にこの組織変更の手続をとることができるということにいたしております。
 手続でございますが、各団体において更生保護法人の定款を定めまして、法務大臣に対しまして組織変更の認可申請を行います。法務大臣は、先ほど申し上げましたが、矯正保護審議会がございますが、ここの意見を聞いた上で認可を行うということになります。また、各団体は認可を得た後に組織変更の登記を行う、こういうことで手続が完了するということに相なるわけでございます。
 当局といたしましては、連絡助成を行う更生保護会も含めて百六十五、すべての更生保護会が円滑に更生保護法人に移行いたしますように、全国及び地域別に行われております更生保護会の会議、研修会等におきまして必要な手続について十分説明いたしますとともに、各所管の保護観察所においても個別的に助言、指導、支援を行う所存でございます。
#71
○翫正敏君 次に、本法律の第三条の三項にある地方公共団体云々という規定がありますが、これはどういう目的で入れられている項目でしょうか。
#72
○政府委員(本間達三君) 更生保護事業は、御案内のとおり、犯罪をした者の再犯を防止してその者が善良な社会の一員として社会復帰することを助ける、そのことによって地域住民の福祉増進に寄与しているわけでございます。また、更生保護事業は、犯罪をした者を受け入れる地域住民の理解と協力なくしては成り立たないわけでございます。
 そういったことで事業法案におきましては、地域社会の住民等の安全、健康及び福祉の保持に努めるべき地方公共団体が更生保護事業に協力をすることは、すなわち地方公共団体の利益にも沿うものだというふうに考えられるところでございまして、その観点から、地方公共団体から「更生保護事業に対して必要な協力をすることができる。」という規定を設ける意味が十分あるということで、このたびの規定を置くことにしたわけでございます。
#73
○翫正敏君 地方公共団体にそういう必要性があるとか、またそのことは地方公共団体にとって大切だというふうなことはわかるんですけれども、逆に更生保護法人、そちらの側にはこの地方公共団体の協力が得られるということでどんなメリットが想定されておりますか。
#74
○政府委員(本間達三君) この点につきましては、いろんな面の協力が考えられるわけでございます。先ほど下稲葉委員の御質問の際にもお答えを申し上げましたが、例えば人的な支援あるいは行政面の支援というのが考えられるわけでございまして、地方公共団体の職員が更生保護法人の役員に就任することによりまして適正な運営への貢献を図るとか、あるいは住民に対する啓発とか広報などの支援をお願いするとか、そういったことで協力が得られるかと思います。
 こういう地方公共団体の支援につきましては、これまでも種々実績がございますが、この規定のように根拠が明確になることによりまして、これまで以上に地方公共団体の更生保護法人に対する支援が充実、促進されるんではないかというふうに期待しているところでございます。
#75
○翫正敏君 この法人にとっては、国からのお金だけではなくて、寄附に頼っている面というのは非常に多いと思うんですが、この寄附が地方公共団体の協力があることによって集めやすくなる、こんなふうにも考えておられますか。
#76
○政府委員(本間達三君) 寄附は、先ほどもお答え申し上げましたけれども、地方公共団体は、必要がある場合には、寄附をすることができるという地方自治法の規定がございます。あわせて、このたびの事業法の三条二項というものがございますので、その意味におきましてこの規定は、財政面も含めまして地方自治体に対していろんな面の協力を得る大きな支えになる規定と考えております。
#77
○翫正敏君 それで、寄附のことなんですけれども、第六十条に寄附金の募集の項目がありますけれども、ここで大臣の許可というものをとって寄附金を集める、こういうことになっていますが、この大臣の許可というのは、書類さえ整っていれば必ずといいますか必然的にといいますか許可されるという、そういう手続をしなさいという規定と理解してよろしいでしょうか。それとも、何らかの形で更生保護法人が寄附金の募集をするときには規制が加えられると、このような規制の項目、法項目といいますか、そういうふうに考えるべきなんですか。
#78
○政府委員(本間達三君) この寄附金募集に関する規定は、現在の更生緊急保護法にも同種の規定があることは御承知のとおりだと思いますが、この寄附金募集についての許可制度と申しますのは、更生保護事業が健全に運営されるためにその経理の内容とか、特に寄附金の支出について十分に公正が保たれる必要がありますことと、また事業の名をかりまして不当な寄附金募集がなされることを防止する、そういった意味からこの許可制度というものをとっているものでございます。したがいまして、更生保護法人につきましても、寄附金を募集する場合この許可を受けなければならず、これに違反すれば罰則が科せられるということになっているわけでございます。
 現行法のもとにおきまして、その寄附についての一応手続といいますか要件についてちょっと御紹介しますと、当該団体の理事会の議決を経ていることとか、あるいは一年以内に共同募金の配分を受けていないとすることなどが規定されておりますので、今度の更生保護法人につきましても同様の要件というものは最低限必要ではないかというふうに考えているところでございます。
#79
○翫正敏君 その寄附の場合ですが、例えば個人の人が寄附をする場合の上限枠とか、それから企業、事業所などが寄附する場合の上限枠とか、そういうものは特段にはないと、このように理解してよろしいですか。
#80
○政府委員(本間達三君) 上限については制限はございません。
#81
○翫正敏君 一月十七日に阪神・淡路大震災がありましたが、神戸の方の更生保護会で神戸学而園という名称の施設があると聞いておりますが、どういう様子だったか、御紹介ください。
#82
○政府委員(本間達三君) 阪神・淡路大震災の際には、神戸管内にあります神戸学而園につきましては特段の被害はございませんで、内壁にひび割れが生じた程度ということであるというふうに報告を受けております。
 かえってこの神戸学而園におきましては、緊急の避難先として建物を開放しまして、約百名の人を被災者として受け入れたということがございましたし、また被災直後に、学而園に保護されている十一名の人が被災者の救助活動を行いまして、倒壊した家屋の下から二名の方を救出したという報告を受けております。
#83
○翫正敏君 最後に、大臣から本保護法人の今後の活動に対する期待その他所見を述べていただいて、終わりたいと思います。
#84
○国務大臣(前田勲男君) この更生保護事業でございますが、犯罪者の改善更生を図り、再犯を防止する上で極めて重要な役割を今日まで果たしてまいったものでございまして、ほとんどの犯罪前歴者を対象とするものでございまして、先ほども地域社会の理解等々の問題点も御指摘ございましたが、まさに一般国民の関心は決して深いわけではございませんで、強いて言葉を選んで申し上げまして、いわば日の当たらないところで特に職員の皆さんは御許労いただいて、しかも古い施設の中でなかなか給与等も厳しい状況にある、かように理解をしておるわけでございます。
 そうした現実も踏まえ、附帯決議もいただき、今日を迎えておるわけでございまして、更生保護事業を営む法人を更生保護法人とすることによりまして経営基盤をなお充実強化するとともに、まさに社会的地位とか評価、これが改めて高められること、そして今までの更生保護会以上に地域社会の信頼と理解をいただけるということにこれから資していきたいと考えております。
 今日まで歴史的にもまさに我が国の刑事司法制度の一翼を形成してきていただき、かつまたそれが大変奉仕の精神というか、大変篤志家の皆さんのありがたい御支援の中で行われてまいりました。振り返ってみますと、奉仕と篤志家の皆さんのお気持ちもあり、逆に国が出おくれたという歴史的な事実も私はある面ではあるのかなという気もいたしておりますけれども、今後まさに国の責務としてこの更生保護事業を充実させていき、まさに国民の中に定着し、そして改善更生、社会復帰がスムーズに行われるようになることを私どもも努めてまいりたい、かように思っております。
#85
○翫正敏君 終わります。
#86
○委員長(中西珠子君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 次回は明十七日午前九時三十分から委員会を開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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