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1995/04/27 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 地方行政委員会 第12号
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1995/04/27 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 地方行政委員会 第12号

#1
第132回国会 地方行政委員会 第12号
平成七年四月二十七日(木曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岩本 久人君
    理 事
                鎌田 要人君
                岩崎 昭弥君
                釘宮  磐君
                有働 正治君
    委 員
                石渡 清元君
                鈴木 貞敏君
                関根 則之君
                服部三男雄君
                真島 一男君
                松浦  功君
                上野 雄文君
                篠崎 年子君
                山口 哲夫君
                渡辺 四郎君
                小林  正君
                続  訓弘君
                浜四津敏子君
                西川  潔君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    野中 広務君
   政府委員
       警察庁生活安全
       局長       中田 恒夫君
       警察庁刑事局長  垣見  隆君
       警察庁警備局長  杉田 和博君
       自治大臣官房総
       務審議官     二橋 正弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤  勝君
   説明員
       大蔵省関税局監
       視課長      城田安紀夫君
       大蔵省銀行局保
       険部保険第一課
       長        滝本 豊水君
       通商産業省機械
       情報産業局航空
       機武器課長    平井 敏文君
       郵政省郵務局国
       際課長      渡辺 和司君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方行政の改革に関する調査
 (地下鉄駅構内毒物使用多数殺人事件等に関す
 る件)
○銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岩本久人君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 まず、地方行政の改革に関する調査を議題とし、地下鉄駅構内毒物使用多数殺人事件等について報告を聴取いたします。警察庁垣見刑事局長。
#3
○政府委員(垣見隆君) 御報告をいたします。
 まず、地下鉄駅構内毒物使用多数殺人事件についてでありますが、事件の概要につきましては先般御説明いたしたところでありますので省略をさせていただきますが、その後入院中の被害者が一名亡くなり、本日現在、死亡された方は十二名となっております。
 同事件につきましては、警視庁築地警察署に設置いたしました特別捜査本部を中心に、全国警察とも必要な連携をとりながら鋭意捜査を進めているところであります。
 これまで、被害者の方や当時地下鉄に乗り合わせていた多くの乗客などの方々への聞き込み捜査を実施した結果、不審者や不審物件に関する情報を数多く入手しておりますので、関係駅に設置されている防犯カメラのビデオテープ等も参考にしながら、不審者の割り出しに努めているところであります。また、犯行に使用されたサリンを包んでいた新聞紙や容器と見られるビニール様の袋につきましても、その入手経路等の解明に全力を尽くしているところでおります。
 次に、横浜駅周辺における異臭事案についてであります。
 この事案は、本年四月十九日午後零時四十五分ごろから同一時ころまでの間、横浜駅に到着したJR京浜東北線下り線電車内や横浜駅構内通路などの計三カ所において異臭ガスが発生し、約六百名の方が被害を訴えて病院で手当てを受けたものであります。さらに、翌日午後五時二十分ころ、横浜駅西口店舗内の三カ所で異臭ガスが発生し、約三十名の方々が手当てを受けるという事案が発生しております。原因となった物質については、特定に至っておりませんが、被害者の症状等から現在までのところサリンではないと判断しております。
 神奈川県警察においては、戸部警察署に約三百名体制の捜査本部を設置し、現場鑑識活動を徹底するとともに、被害者その他の関係者に対して事情聴取や定時通行者に対する聞き込みを実施しておりますが、両事件の関連性の解明や犯人の特定には至っておりません。
 次に、オウム真理教関係者に対する捜査状況についてであります。
 御案内のとおり、本年三月二十二日、公証役場事務長被害の逮捕監禁容疑でオウム真理教関連施設に対する捜索を実施しましたところ、山梨県上九一色村の施設においてサリンの製造に必要とされる化学薬品などを大量に発見したことなどから、殺人予備の容疑を立証するため、三月二十六日以降、山梨県上九一色村の施設のほか、広範な捜索などを実施しております。この過程で発見された化学プラント様の施設に対する検証活動を現在も進めているところでありますが、これまでのところ、同所においてサリンが製造された可能性が強いものと判断しており、引き続き事実関係の立証に努めてまいりたいと考えております。
 次に、オウム真理教関係者による逮捕監禁事件関係についてであります。
 先ほど申し上げました公証役場事務長被害の逮捕監禁事件につきましては、残念ながら被害者の発見救出に至っておりませんが、事件の被疑者一名を警察庁特別手配被疑者に指定し、全国に公開手配ポスターなどを掲示するなどして早期検挙に努めているところであります。
 また、三月二十二日、山梨県上九一色村の施設を捜索した際、昏睡状態の男女六名を監視していた医師など四名を監禁容疑で逮捕し、四月八日、同所で女性信者を監禁した容疑でオウム真理教附属病院院長を、さらに四月十二日、別の女性に対する逮捕監禁容疑でオウム真理教幹部を逮捕するなどしております。
 次に、武器などの製造関係でありますが、四月六日未明、都内において建造物侵入により逮捕されたオウム真理教関係者らの車両内から銃器の部品ではないかと思われる物品多数が発見されたため、同日、銃刀法違反容疑で車両など四カ所の捜索を実施するとともに、四月八日には武器等製造法違反容疑により山梨県富沢町所在のオウム真理教関連施設を、また九日には静岡県内の同教関連施設に対する捜索を実施し、関係箇所から工作機械などを押収しております。
 このほか、数都府県において、それぞれの事件解明のため、オウム真理教関係者を検挙しているところであります。
 以上、これまでの捜査の概要を御説明いたしましたが、今後さらに徹底した捜査を強力に推進し、早期にその全容解明を図ってまいる所存でございます。
#4
○委員長(岩本久人君) 警察庁杉田警備局長。
#5
○政府委員(杉田和博君) 次に、警察庁長官狙撃事件についてでありますけれども、四月十三日の当委員会において御報告を申し上げて以来、今日まで犯人の特定には至っておりません。
 犯人の人相着衣、逃走方向等については、これまで二百件以上の目撃情報等が寄せられておりまして、現在その裏づけ捜査を実施しているところでございます。
 今後とも、使用されました銃器、現場付近での不審者、不審車両等についてあらゆる角度から関連情報の収集に努めまして、犯人の検挙に全力を挙げてまいりたいと考えております。
 次に、オウム真理教の幹部に対する殺人事件についてでありますけれども、事案の概要は、四月二十三日の午後八時三十八分ころ、オウム真理教幹部の村井秀夫氏が乗用車でオウム真理教の東京総本部前に到着した際、同所で待ち伏せしておりました自称右翼団体の構成員が包丁で村井氏の腹部等を刺し、被害者は都立広尾病院に収容されましたけれども、出血性ショック等によって死亡いたしました。
 犯人は現行犯逮捕されまして、現在、犯行の動機、背景等について捜査中でございますけれども、今後取り調べ及び裏づけ捜査を徹底いたしまして、本件事件の全容解明に努めたいと考えております。
#6
○委員長(岩本久人君) 以上で報告の聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(岩本久人君) 次に、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は去る十三日に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○篠崎年子君 まず初めに、ただいまも御報告がありましたように、地下鉄サリン事件で犠牲になられました十二名の方に心からの御冥福をお祈り申し上げますとともに、また被害を受けられた方々の御全快をお祈り申し上げます。また、三月三十日に銃弾を受けられました國松警察庁長官につきましては、まだ犯人の目当てもつかないというようなことで大変残念に思いますけれども、一日も早い御全快をお祈り申し上げたいと思います。
 それ以前の幾つかの事件と合わせまして、最近の社会治安に対する挑戦的な事件が続いているわけです。特に最近はカラスの鳴かない日はあってもオウムの出ない日はないというほどに大変テレビでも取り上げられておりまして、これらの事件には共通した特徴があると言えると思うんですね。それは一連の犯行自体があたかもテレビゲームのように組み立てられ、凶悪犯罪を行っているとの罪悪感がなく、うまく成功しているかのように見えており、現実感がない、あるいは現実と虚構現実、バーチャルリアリティーとの区別がなくなっているという点で共通性があると言えると思います。
 また、これらの犯罪は、マスコミなどで取り上げられ、国民に恐怖と脅威を与えることがなければ犯罪自体が成り立たない、こういうような意味で劇場犯罪あるいはSF型劇場犯罪とも言われているようですが、この言葉が出ましたのは昭和五十九年に発生したグリコ社長誘拐事件に際して使われ始めたのですが、社会の情報化を背景に生み出された新しい型の犯罪と言えると思うのです。
 こういったような犯罪につきましては、警察庁としても十分に対応していらっしゃると思いますけれども、警察白書等でも述べられておりますように、犯罪への捜査力の重点配分とか国民の理解を得るとか、そういう方法をとられていると思いますが、現実にこのような劇場犯罪が発生したことについて、国家公安委員長としてはどのような見解をお持ちですか、お尋ねをいたします。
#9
○国務大臣(野中広務君) 委員御指摘の事件はいずれもおっしゃいましたように悪質きわまりない卑劣な犯行でございます。社会的反響もまことに大きく、諸方面においてさまざまな表現を用いて論評等がなされておることは私どももよく承知をしておるところでございます。
 とりわけ、サリンを使用したという一連の事件と、さらに横浜駅周辺におきます異臭事件につきましては、公の場所で毒性ガスが無差別に使用をされ、何の関係もない不特定多数の国民の皆さんが犠牲となられた事件でありまして、国民の間にいつ自分もかかる被害に遭うかわからないといった不安感を生じせしめた点におきまして、大変重大なものとして私ども重く受けとめておるところでございます。
 現在、警察におきましては、それぞれ犯人の早期検挙と事案の全容の解明に向けまして、日本警察の持つ総力を挙げまして昼夜を分かたず取り組んでおるところでございます。国家公安委員長といたしましても、このような国民の不安感を一刻も早く解消できますよう、さらに村山総理からも再三にわたりまして事件の全容解明、さらには犯人検挙、そしてこの種事犯の徹底した取り締まりについて要請を受けておるところでございますので、今後とも一層警察を督励し、そして警察の組織的活動を支援して犯人検挙と全容解明に、そして再発防止のために努力をしてまいりたい決意でございます。
#10
○篠崎年子君 ただいまの国家公安委員長の御決意のほど、よくわかりました。御決意を必ず実行に移されるようにお祈りをいたしたいと思います。
 次に、警察の捜査の手法について少しお尋ねをしたいと思いますけれども、オウム真理教は教団組織を法皇官房とか大蔵省とか、あるいは自治省、建設省などというように疑似国家の形態というようなものをとっているようですし、また信者には運転免許証を交付しておりますけれども、これに報道されているようにサリンなどの化学兵器あるいは自動小銃などの武器を装備するなどと、まさに宗教国家であり、また逮捕された医師の中には、これはオウムと警察との戦争だと言ったり、化学班キャップの男性信者のメモからも国家をしのぐ力を備えようとしていると、こういったようなことが出てきているようです。
 そのような中で、警察の捜査体制は、例えばカッターナイフを持っていたから銃刀法違反とか、あるいはホテルの宿泊者名簿に偽名で投宿したから私文書偽造だとかといったようなことで、通常ならば身柄を拘束しないようなことで拘束をする、これも一つの手法だと思いますけれども、こういったような方法がこれからもとられるとすれば、このことがほかの方に波及をしないだろうかというおそれが十分にあると思うのです。
 これについては、別件逮捕などということはできるだけ避ける、してはならないことだと思いますけれども、これに適合した捜査がどうしても必要であるということを容認できるという意見もあるし、一方ではそういうことを絶対に容認してはならないという意見もあると思うのです。
 このような捜査が前例とならないような歯どめをしなければならないと思いますけれども、これにつきましては国家公安委員長としてはどのような見解をお持ちでしょうか。
#11
○国務大臣(野中広務君) オウム真理教幹部が組織的に各種犯罪行為を犯し、また薬品等の危険物を所持しておる等の事実に照らしまして、警察におきましてはオウム関係者に対しまして積極的に職務質問等を行い、違法行為があれば検挙する等の方針をとってきておるものと承知をいたしておるところでございます。検挙に当たりましては、その組織性や被害者の供述状況等を検討の上で、警察において法に定める警察の必要性についても適切に判断して行われておるものと考えておるわけでございます。
 しかし、委員が今もおっしゃいましたように、一つの国家を想定してやっておるのではなかろうかと思われるほど異常な化学薬品やあるいは器具を持っており、あるいは一体これは何の目的で使われようとしておるのかと思うときに、まさしく国家間の戦争を考えておるのではなかろうかとさえ思われるような異常事犯でございます。
 通常の警察の捜査では私は適切な捜査活動はやれないと思うときに、今日でもその困難な中から一件ごとに立件できるようにそれぞれ捜査並びに逮捕状をいただいて、そして困難な中、警察は努力をしておるわけでございまして、何とぞ今回の事犯の異常性をお考えいただき、御理解をいただきまして、民主警察の基本に立ちながら国民の不安を解消し、この種事犯のまた再発を防止するために大変な困難を克服しながらやっております警察官の行動に理解をいただきたいと思うわけでございます。
 また、法律的には手続上何らとかくの疑念を持たれることはないことを私からもつけ加えて申し上げておきたいと存じます。
#12
○篠崎年子君 国民に疑念を持たれないように十分な御留意を重ねてお願い申し上げたいと思います。
 次に、第二十七条の三について少しお尋ねをしたいと思います。
 これは麻薬との関係もありますのでまず麻薬のことについてお尋ねしたいんですけれども、麻薬捜査につきましては、麻薬及び向精神薬取締法五十八条によりまして、麻薬取締官は麻薬を譲り受けることができるとされております。これは麻薬犯罪のように隠密裏に行われ、外部に痕跡を残さない、しかも常習的に行われる犯罪について限定的に認められたものだと思っております。
 今回、銃刀法においても第二十七条の三によって同じ趣旨の規定が設けられることになっております。
 おとり捜査につきましては、既に犯意を有している者にその犯罪実行の機会を与えることによって犯人を検挙する場合と、それから犯意がない者を教唆して犯罪行為を行わせて検挙するといったような犯意誘発型のものがある。後者の方は日本では行われていないとは思いますけれども、そういうふうな型もあるかと思うのです。
 この犯意誘発型の捜査につきましては、犯罪を教唆した警察の政治責任が問われる余地もありまして、現段階では捜査手法として採用することは望ましくないとされておりますけれども、いかがお考えでしょうか。政府委員の方でも結構です。
#13
○政府委員(垣見隆君) お答えいたします。
 いわゆるおとり捜査についての御質問がと思われますけれども、いわゆるおとり捜査につきましては種々のものが考えられるところでありますが、このような捜査手法は現行法制においても一定の範囲において許されるものであり、その適法性を認められる裁判例も集積をしてきているところでございます。警察としては、今後ともこのような捜査手法についてその適法性、妥当性に十分配意しながら運用してまいりたいと考えております。
#14
○篠崎年子君 こういった捜査の方法につきましては、これをやらなければならないということを国民も承知しておかなければいけないと思うし、またそういう場合でなければこの方法を使ってはいけないと思うんです。
 そこで、今度のこの法案につきましてですけれども、国民がなるほどそういうふうな方法をとらなければならないと言うほど日本の銃器の状況というものは今ひどくなっているのかどうか、国民にその状況を十分に周知させなければならないと思うのです。このことについてはふだんからの周知徹底方というのが必要だとは思いますけれども、どの範囲でこれを周知させるかということについては非常に難しい問題もあろうかと思いますが、現在の銃器の状況、けん銃使用等の状況について御説明いただきたいと思います。
#15
○政府委員(中田恒夫君) お答え申し上げます。
 委員既に御案内かと思いますが、昨年、平成六年中の銃器の発砲件数というのは二百四十九回に上っておりまして、平成四年以降二年連続して増加をしているわけでございます。
 発砲回数のこれまでの推移を見てまいりますと、かつては暴力団の対立抗争事件の増減に連動をいたしておったと。したがいまして、対立抗争が多発いたしました昭和六十年前後をピークといたしまして、対立抗争の最近の減少に伴いまして全体的には発砲回数というのは減少傾向にあったわけであります。しかしながら、最近では対立抗争事件の減少傾向の中で対立抗争に伴うもの以外のものの発砲回数が増加しておりまして、これが全体の数を押し上げているわけでございます。
 数字を申し上げましたが、これは数的、量的な問題でございますが、このような傾向もさることながら、最近注目すべきものは発砲事件の内容でございまして、その銃口が市民生活あるいは企業活動、あるいは言論活動、政治活動等に直接向けられる事件が増加をしておるわけでございまして、一種の質的な変化の兆しさえうかがわれるところでございます。そのようなことが多くの国民に重大な不安と脅威を与えているというふうに理解しておるところでございます。
 また、けん銃の押収の状況でございますけれども、ここ数年暴力団以外の者からの押収丁数が増加いたしておりまして、昨年は全体の約三割に達しております。暴力団以外の者にもけん銃の不法所持が広がっていることがうかがわれるわけであります。
 このように、これまで暴力団社会内部のものでありました銃器の所持でございますとか発砲というものが一般社会にまで拡散しつつあることは、けん銃犯罪の質的な変化の兆しとも考えられまして、我が国の安全で平穏な社会の根底を揺さぶりかねない事態であると認識をしておるところでございます。
 警察といたしましては、けん銃の摘発、とりわけその流通の遮断というものに全力を挙げておるところでございますけれども、最近のけん銃取引の実態を見てまいりますと、受け渡しの方法を複雑にするなど極めて巧妙に敢行されているだけじゃございませんで、密売グループの組織防衛も一段と厳重になっておるところでございます。そして、通常の捜査方法では核心に触れる情報を得るとか、あるいは確実な証拠物を手に入れるということがますます困難になっております。
 こうした情勢に的確に対応しまして密売組織を解明して壊滅していくというためには、捜査官が密売人などに接触いたしまして不法に所持されているけん銃などを譲り受けることが確実な証拠を得るというだけじゃなくて密売情報をより確度の高いものにするというような上でもぜひとも必要な捜査手法であるというふうに考えておるところでございます。
#16
○篠崎年子君 次に、クリーン・コントロールドデリバリーにつきましてお尋ねいたします。
 これはけん銃のほとんどが外国から入ってきているものだというようなことでこの方法がとられていると思うのですけれども、これと同じような方法が麻薬捜査においても使われていると思うんですが、これでどのくらい効果が上がっているんでしょうか。
#17
○政府委員(中田恒夫君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、平成四年の七月でございますか、薬物捜査に関してコントロールドデリバリー、監視つき移転と言っておりますが、この手法が導入されたわけでございまして、薬物捜査、薬物犯罪についてはこの手法を活用しているところでございます。既に私ども警察では四十件近くの実施例を見ておりますが、そのほとんどのケースで薬物の不正取引に関与いたしました者を一網打尽にする、そして密売組織を壊滅すると。特に薬物の拡散を防止するという法目的に沿った成果を挙げてきているところでございます。
 なお、クリーンとライブと二つの方法があることは御案内のとおりでございますけれども、ケース・バイ・ケースでその二つの手法を薬物捜査については使い分けております。
 今回は銃器捜査についてはクリーン・コントロールドデリバリーをお願いしているわけでございますが、薬物について最近、例えば一例を挙げて御説明したいと思いますが、うまくいったといいますか好事例でございますけれども、中南米のある国から発送されました航空貨物を税関で通関の際に検査をいたしましたら、中に大量のコカインが隠匿されているというのが発覚したという事件がございました。そこで荷受け人を捜したのでございますが、捜査をしたところ名あて人が架空名義としか思えないものでございました。さらにその荷物の配達先とされておりましたのが、そのある国の人たちが多数投宿しているような安宿があるのでございますけれども、そういうようなところになっておりまして、そこが気付になっておったわけでございます。その宿の帳場というんでしょうか、フロントというんでしょうか、一たんそこへ配達されてしまいますと、受け取りにだれかがあらわれてその前に密売組織のあるいは一員にかっさらわれてしまうというようなこともあり得るだろう、そういうふうな事故の心配も十分に考えられましたことから中身を抜いたクリーン・コントロールドデリバリーを実施することにしたわけでございます。そして、その宿に捜査員が張り込みまして待っておりましたところ、その帳場へ荷受けの名義人、架空名義でございますけれども、その名前を名乗って荷物を受け取りにきた外国人がありましたのでその人間を調べてみますと、荷物の中身については知っているようだということからその人物を逮捕する、そして手づる式にこの者を追及してその密輸グループの主犯格の者も逮捕するに至った例がございます。
 そういうようなことで、これは一例でございますけれども、薬物捜査においては大変効果を上げておるというふうに理解をいたしております。
#18
○篠崎年子君 そういったような手法が今度はけん銃に使われるわけですけれども、けん銃の場合はこれがもしも実物が渡っていたら大変なことになりますのでクリーンが必要だと思いますが、そのときに悪用されないように十分御留意いただきたいと思うわけでございます。
 最後に、こういったような麻薬にしましても銃器の犯罪にいたしましても、国際間の協力が非常に重要なことになってくるのではないかと思っております。
 聞くところによりますと、四月の二十九日からカイロで国連犯罪防止会議が行われることになっておりまして、政府からも代表の方がおいでになるようですけれども、このことについての政府の決意をお聞かせいただきたいと思います。
#19
○国務大臣(野中広務君) 委員御承知のように、我が国は世界で見ましても極めて厳しい銃器規制を行ってきたわけでございますけれども、先ほど来お話もございますように、近年銃器によります犯罪は平穏な市民生活に対して大きな脅威となりつつあるわけでございます。銃器は合法、非合法の両面にわたって国際的に取引をされている状態でありますので、国際社会の協力を得ることなく一国だけで十分な銃器管理を行うことは極めて困難でございます。
 このような情勢を踏まえまして、銃器規制に関する世界各国の関心を高めるとともに、今後の国際的な協力方策を探っていくことを目的といたしまして、このたびカイロで開催をされます第九回国連犯罪防止会議において銃規制のための決議案を我が国から提案することといたしておるのでございます。
 このような提案等を通じまして、各国の理解と情報、さらには協力をいただきながら銃器犯罪を減らすよう一層努力してまいりたいと考えております。
#20
○篠崎年子君 終わります。
#21
○浜四津敏子君 それでは初めに、最近の銃器情勢及びその背景についてお伺いいたします。
 最近までは日本は世界一安全な国だと言われてまいりました。今、大臣御指摘のように、銃器に対する大変厳格な規制が行われてきたことが我が国の治安水準の高さを保ってきた要因の一つと考えられてまいりましたが、しかし近年けん銃を使用した凶悪犯罪が続発しておりまして、先ほど答弁にもありましたが、銃が市民やあるいは政治家、企業幹部あるいは言論人に向けられる、こういう事件がふえてまいりました。
 そして、本年三月三十日には警察庁の國松長官が至近距離から狙撃されました。國松長官は、暴力団対策あるいは総会屋の取り締まりあるいは銃犯罪対策に大変熱心に取り組んでこられた長官でございますし、また仮谷さん拉致事件あるいは地下鉄サリン事件捜索にも陣頭指揮に当たってこられた方でございます。また、今回の銃刀法改正を強力に推進してこられたお一人だと理解しております。一日も早い御回復をお祈り申し上げます。
 こうした銃による凶悪事件の増加あるいは広がり、そしてまた無差別テロであるサリン事件やあるいは警察組織トップへの要人テロなどを見ますと、もはや日本の安全神話というのは完全に崩れ去って、テロリズム社会に陥ったと指摘する人もいるぐらいでございます。そして、これまで予想しなかったこうした銃犯罪の多発、また予想しなかったために準備も十分にしてこなかった異常なテロ犯罪多発への対応に迫られているというふうに言われております。
 先ほど最近の銃器情勢について御報告がございましたが、けん銃押収の数も昨年は史上第三位、また暴力団以外からのけん銃の押収が約三割、また暴力団以外の者によるけん銃を使用した殺人事件がふえておりまして、昨年はその被害者が十二人に上っていて、平成に入ってからは最高の数に上ったと言われております。
 ところで、こうした近年における銃の蔓延、また銃の拡散、銃による凶悪犯罪の続発といった治安状況の急激な悪化は、我が国の治安の根幹を揺るかして国民生活の安全に重大な脅威を与えると言われておりますが、一体どのような背景があってどうした要因によるものなのか、国家公安委員長としてはどのように認識しておられますでしょうか。
#22
○国務大臣(野中広務君) 今、委員からも御指摘ございましたように、最近のけん銃情勢は悪化しておる状況でございます。また一面、地下鉄サリン事件あるいは國松警察庁長官襲撃事件等、あるいはオウム真理教によりますさまざまな事犯等、今日まで治安のよかった我が国として到底想像もつかない事犯が連続をして起きておるということにつきまして、私ども深刻にこのことを認識しておるところでございます。
 特に、今御指摘のございました銃器犯罪につきましては、最近、一つには、厳しい暴力団取り締まりをやってまいりまして、これに伴いまして暴力団から一般社会にけん銃がにじみ出てくるような状況が出てまいりましたこと。もう一つは、暴力団の資金源活動として企業活動に対する介入が強まってまいりました。あるいは国際化の進展に伴いまして、海外に出かけられる方々が非常に多うございます。そういう中で、射撃ツアーへの参加とかあるいは外国銃の模擬銃器のコレクターの増加等により、一部国民の間でけん銃に対する抵抗感が希薄化しつつあるのではなかろうかと思うこと等があるわけでございます。
 いずれにいたしましても、そういう状況を一刻も早くなくして国民の生活実態に安心感を与えるために、それぞれ私ども警察は取り組んでおるところでございます。今日の残念な事件を振り返りながら、一つずつ法に照らして的確に犯人検挙のために総力を挙げて努力をしてまいりたいと考えておる次第であります。
#23
○浜四津敏子君 これ以上の銃の蔓延、拡散を防いで日本を銃社会にしないための対策について伺います。
 対策としては三つの柱があると考えられます。
 一つは、既に国内に存在している銃をいかにして多くまた早く摘発し押収できるかという点であると思います。
 二つ目は、先ほどもお話に出ました水際作戦でございますが、国内で押収されるけん銃の約九割が海外から密輸入されたけん銃であると言われております。しかし、水際で密輸入を阻止できるのはその押収された総数の四%から五%にすぎないと報告されております。一たん国内に入りまして拡散してしまいますと、これをすべて回収するというのは極めて困難なことになります。その意味で、けん銃を密輸させない供給遮断施策、水際作戦こそがこの銃器対策の中でも根幹をなす最も重要なものではないかと考えます。
 また三つ目は、国民の皆様の意識にあるかと思います。いわゆる銃社会と言われる国々では、自分を守るために銃は必要不可欠なんだ、こういう認識が一般的で、その点が日本とは大きく異なっております。しかし、日本も治安が悪化して、また国民の意識が変化しできますと、銃社会には絶対にならないという保証はないのではないかと危惧を持ちます。そうした意味で、国民の皆様の認識そして意識も大変重要なポイントではないかと思います。その意味で三つ目の柱としては広報啓発活動が挙げられると考えております。
 この三つの柱を中心とする具体的な施策と取り組みについて何点かお伺いいたします。
 平成五年の四月一日に警察庁保安部生活保安課の中に銃器対策室というのが設置されました。これは現在までにどのような人数、どのような規模でどういう取り組みをしてこられたのか、どういう成果があったのか、御報告していただきたいと思います。
#24
○政府委員(中田恒夫君) 今、委員御指摘になりましたように、警察庁におきましては、けん銃摘発体制の強化を図るというような観点から、平成五年の四月一日に、当時の保安部生活保安課でございますが、ここに銃器対策室を設置したところでございます。その後、さらにけん銃情勢が厳しくなってまいりましたものですから、この情勢にかんがみまして、昨年の七月一日、警察庁全体の組織改正がございまして生活安全局が創設されると同時に、この銃器対策室を課に格上げをいたしましてさらに体制を強化したところでございます。
 この課におきましては、全国警察におきます銃器対策の中核となるべく位置づけをいたしまして、けん銃対策のための法制等の整備でございますとか、都道府県警察に対します銃器捜査の指導調整、あるいは関係省庁、さらには関係国、関係外国機関、こういうようなところとの緊密な連携の確保というような仕事に取り組ませておるところでございます。
 体制でございますけれども、当初数名で発足いたしましたが、現在は十数名ということで大変強化をされておるところと考えております。
#25
○浜四津敏子君 また、現在、都道府県警察の中でけん銃捜査の専従組織が置かれているところが幾つかあると伺っておりますが、それはどこなのか、また今後全国的に捜査専従体制を強化促進する必要があると考えますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
#26
○政府委員(中田恒夫君) お答えいたします。
 実は本年の春、四月をもちまして、すべての都道府県警察に銃器対策室ないし銃器対策課が設置されたところでございます。こういうことで全国におきましてけん銃摘発体制の整備の強化が進められてきておるということでございます。
 しかしながら、銃器情勢は依然として厳しいものがございますので、今後パワーシフト等によりましてなお一層の専従体制の充実強化に努めますとともに、銃器対策に関連の深い暴力団対策部門でございますとか、薬物対策部門でございますとか、あるいは右翼担当部門との連携により一層の緊密化を図るというような必要もあると考えておりますので、そのような点に努めてまいりたいと考えております。
#27
○浜四津敏子君 それでは、水際作戦についてお伺いいたします。
 密輸入阻止を実効あるものにするためには、各国との国際協力がどうしても必要になってまいります。日本で押収された銃の製造国で、一番多いのがアメリカ、二番目が中国、三番目がフィリピン、こういうふうに報告されております。
 これは平成五年の十月に開かれました第一回銃器対策国際会議で報告された内容によりますと、アメリカでは二億丁以上の個人用の銃器がある、また七千万人以上の銃器所有者がいる、そして許可を受けた銃器販売業者の数が約二十八万、許可を受けている銃器製造業者の数が約一千二百、また一九九一年における銃器使用殺人事件の数は約一万四千件。まさに恐ろしくなるような数字でございますけれども、そのアメリカから日本にたくさんの銃が流れ込んでいる。
 また、二番目の中国でございますが、中国も、押収されている軍用銃の八〇%以上が密輸・密売組織の手を経てベトナムから入ってきたものであるが、それらの犯罪組織が香港、マカオ、台湾、日本にも多くの銃器を密輸出しているものと推定している、こんな報告がございました。
 また、フィリピンも未登録の野放し銃の数を約二十二万五千丁であると見積もっている、また自家製の銃器の密造が国内のいろいろな場所で行われている、こんな報告もなされております。
 国を越えて人、金、物が行き交うボーダーレス時代にありまして、銃の密輸入を食いとめるというのは非常に難しいことではありますけれども、しかし阻止しなければ日本は確実に銃社会に進んでいくことになります。国際捜査協力あるいはICPOの積極的な活用とかあるいは情報交換等、国際協力関係をさらに強化するためにどのような施策を考えておられるのか、具体的にお答えください。
#28
○政府委員(中田恒夫君) お答え申し上げます。
 今、委員御指摘のように、けん銃の取り締まりを進めていきます上で、外国あるいは国際機関の協力が極めて重要であるというふうに私ども考えておるところでございます。
 委員お挙げになりましたが、そういった観点で国際刑事警察機構、ICPOでございますが、こういうものなどを通じまして各国との積極的な情報交換をもちろん行っておりますが、そのほかにも、担当職員を、米国を初め銃器類の製造国でございますとか仕出し国でございますとか、このような関係諸国の取り締まり機関に出張させるなどいたしまして、けん銃の密輸情報の入手にも努めているところでございます。
 また、平成五年からは、先ほど挙げられました銃器対策の国際会議を我が国において開催しておりまして、米国、フィリピン、中国、ロシア等関係国の銃器対策を所掌する機関をお招きいたしまして会議を開いて、協力関係の強化を図っているところでございます。
 さらに、本年からはアジアの七カ国をお招きしまして銃器管理のセミナーを開こうと考えております。そのようなセミナーを通じまして、これらの国におきます適切な銃器管理の確保というのを協議してまいりたいと考えております。
 それから加えて、先ほど私どもの大臣からお答え申し上げましたが、あさってでございますか、エジプトのカイロで開催されます国連犯罪防止会議に我が国から、世界でも初めてだと思いますが、銃器犯罪の抑制に向けた決議案を提出するというようなことをしてまいるということを考えておるところでございます。
#29
○浜四津敏子君 それでは、三番目の国民の方々に対する広報啓発活動でございますが、これについてはどのような取り組みをなされてこられたのか、あるいはこれからどのように取り組んでいかれる御予定でしょうか。
#30
○政府委員(中田恒夫君) 先ほど来お答え申し上げておりますが、最近やはりけん銃の一般社会への拡散傾向がうかがわれるわけでございまして、広報啓発活動を行うに当たってはその辺をポイントにしなければならないと考えております。
 そのようなことで、銃器に対する国民の拒否感というんでしょうか抵抗感を醸成して、国民の規範意識の低下を防止するというようなこと、それから国民の銃器問題に対する関心を高めていただいて捜査活動に対する国民の協力を確保するというようなこと、あるいは三つ目には、今回の例えは法改正の内容を初めといたしまして我が国の銃器規制の内容というのは大変厳格でございます。そういった厳格な銃器規制の内容を熟知していただいて、それによって法律の感銘力というようなものを高める、こういうようなことを目的といたしまして、いろいろなメディアがございますが、ポスターあるいは広報誌の作成配布でございますとか、あるいは新聞、テレビ等のマスメディアの活用というようなこともございましょうが、あらゆるメディアを利用し活用して国民に広く訴えかけてまいりましたし、今後とも努めてまいりたいと考えております。
#31
○浜四津敏子君 それでは、今回の銃刀法の改正案についてお伺いいたします。
 法の第二十七条の三にこう規定されております。「警察官又は海上保安官は、けん銃等、けん銃部品又はけん銃実包に関する犯罪の捜査に当たり、その所属官署の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けて、この法律及び火薬類取締法の規定にかかわらず、何人からも、けん銃等若しくはけん銃部品を譲り受け、若しくは借り受け、又はけん銃実包を譲り受けることができる。」。
 本条はいわゆるおとり捜査を一定の場合に認めた規定と考えられますが、おとり捜査については一般的には次のように定義されております化「捜査官がおとりを使い、あるいは自らおとりとなって犯罪を教唆し、教唆された者が犯罪の実行に着手するのをまって逮捕する捜査手法」である。これは警察庁の保安部の方が「別冊判例タイムズ」に書いておられます。また、「捜査研究」四百九十六号で東京地検の検事の方がこの定義を用いておられます。以後、この定義に従った内容を意味するものとしておとり捜査という言葉を使わせていただきます。
 先ほども質問に出ましたが、これと同様の規定は麻薬及び向精神薬取締法五十八条、それからあへん法四十五条に既に存在いたします。ただし、麻薬及び向精神薬取締法とあへん法は警察官に対するものではなくて、麻薬取締官及び麻薬取締員に対する規定ということになっております。
 警察官に対していわゆるおとり捜査の一方法を本条で認めたことになると考えられますけれども、警察庁としてはこの二十七条の三をどのように理解しておられますでしょうか。また、この二十その三を今回新設するその意味をどのようにとらえておられるか、お答えいただきたいと思います。
#32
○政府委員(中田恒夫君) お答え申し上げます。
 けん銃発砲といいますか、けん銃の発射事犯が増加する一方で隠匿方法の巧妙化というようなことから、けん銃不法所持事犯についての検挙が困難になっております。かつまた、暴力団以外の者にまでけん銃が拡散しておるというふうなことから、けん銃情勢は極めて厳しくなっておるわけでございまして、こういった情勢に的確に対応するとともに、確実な証拠を得て密売組織を壊滅に持ち込んでいくというためには、やはり警察官といいますか捜査官が密売人等に場合によっては接触をいたしまして、不法に所持されているけん銃等を譲り受けるということが必要となってきておるわけでございます。
 ところが、けん銃等の譲り受けは、これは御案内のとおりでございますけれども、銃刀法によりまして一般的には禁止をされておるわけでございますのでございますので、警察官であります捜査員が犯罪捜査のために行ったものでございましても、密売人などからけん銃等を譲り受ければ、個別事案において刑法三十五条の正当業務行為というようなことで場合によっては違法性が阻却される場合があるものを、原則的にはけん銃の譲り受け罪が成立してしまうということになるわけでございます。
 そこで、警察官などがけん銃等に関する犯罪捜査を行う上でけん銃等を譲り受ける必要がある場合に、あらかじめ都道府県公安委員会の許可を受けることによりまして、事後刑事責任に問われることがあるというような懸念をなくしてやる、そういうことによって安んじてこの種の捜査に従事することができるようにするためにこの規定を置こうとするものでございます。
 なお、委員御指摘のこの二十七条の三の規定はおとり捜査の根拠規定がということにつきましては、私どもはそうは理解しておりませんで、おとり捜査そのものは既に刑事訴訟法その他の現行法の規定の中で許されるものは許されるということで、この規定のあるなしにかかわらず、おとり捜査と言われるような捜査手法について一定のものは行うことができるものだとは理解しております。
 ただ、二十七条の三は、そのようなおとり捜査の結果というのはちょっと妥当を欠くかもしれませんが、そのような捜査手法をとった際にけん銃等を譲り受けてしまわざるを得ない場合がある、この場合の免責といいましょうか、捜査員について一種の免責規定を置くものであるということで、おとり捜査の根拠規定を置いたものであるとは理解はしておりません。
#33
○浜四津敏子君 今御答弁ありましたように、これまで捜査実務上おとり捜査というのは殊に薬物事犯については多く用いられてきたところであります。また、今御答弁にありましたように、一定の場合にはおとり捜査は許されるんだという前提でなされてこられたと理解しておりますが、そのおとり捜査が一定の場合に許されるんだという法的な根拠規定というのはどこに求めておられますでしょうか。
#34
○政府委員(中田恒夫君) 現行法で許されるのではないかと申し上げました根拠規定といいましょうか、これは刑事訴訟法等におきまして、捜査に必要な取り調べ、強制にわならない限り必要な取り調べができるという、その中で理解できるものだと考えております。
#35
○浜四津敏子君 わかりました。
 先ほどのお話から総合して理解しますと、そうしますと刑事訴訟法上認められている捜査方法の一手法である、それから刑法三十五条の正当行為に当たる場合もある、それで一般的に一定の条件のもとであれば認められるというふうに警察庁としては理解しておられると理解してよろしいんでしょうか。
#36
○政府委員(中田恒夫君) おとり捜査というのは法律の用語にはございませんので、どこまでをおとりと言うかという問題はあるかと思いますが、いわゆるおとり捜査と言われておるような手法については、今御答弁申し上げましたようなことで、刑事訴訟法等の規定の趣旨に照らし、そしてまた積み重ねられました判例等によって既に現行法の体系の中で許されておるだろうと考えております。
 ただ、今度二十七条の三を設けます趣旨は、これは先ほども御答弁申し上げましたように、結果として捜査員がけん銃の譲り受けをしてしまった場合に銃刀法上の不法所持の構成要件に該当してしまう、その点について除外を設けるものであるということでございます。
#37
○浜四津敏子君 そうしますと、ちょっとまとめさせていただきますが、この二十七条の三は、この方法によりおとり捜査が行われた場合には構成要件該当性を阻却する、そうでない場合には刑法三十五条の正当行為として違法性が阻却される場合があるというふうに理解してよろしいですね。
#38
○政府委員(中田恒夫君) 二十七条の三の手続を踏んだ場合については、もう事前にこのような手続を踏んだ場合につきましては、構成要件に該当すれば一般的には阻却されるものだと思います。
 それから、この手続によらない場合でありましても、刑法三十五条の規定によって場合によって違法性が阻却されることもあり得べしということで、委員の御指摘のとおりだと思います。
#39
○浜四津敏子君 そうしますと、今後、捜査機関がけん銃等の譲り受けを捜査の一環としてする場合には、この二十七条の三の手続、つまり都道府県公安委員会の許可を受けて行われることになるわけでございますが、どういう場合に公安委員会としては許可を与えるのか、その許可の基準を示していただきたいと思います。
#40
○政府委員(中田恒夫君) 二十七条の三、都道府県公安委員会の許可の基準といいましょうか条件といいましょうか、それでございますが、委員御案内のとおりだと思いますが、この許可は、銃器の所持とか使用などに関します規制を行う、ガンコントロールを行うといいましょうか、その行政庁としての立場の公安委員会でございまして、そうでありますと、具体的には、判断の基準といいますか、判断の際に審査すべき事項といいましょうか、それは例えばその譲り受け行為がけん銃等に関する犯罪捜査に当たりなされるものであるかどうかということはもう当然のことでございます。
 それから、被害予防の観点が大事でございますので、譲り受けに際して、関係者、周辺の者等に対して被害予防上の措置が十分とられるかどうかというようなこともありましょうし、また譲り受けた後にその譲り受けた捜査員あるいは捜査機関のその当該譲り受けたけん銃等の保管管理方法について問題がないかどうかというような点、こういうような点について審査をすることになると考えております。
#41
○浜四津敏子君 先ほどもちょっと出ましたが、捜査の実務上はおとり捜査というのは確かに用いられてきたわけでございます。殊に薬物事犯、あるいは時に売春事犯、そしてまたけん銃事犯についても、あるいは非常に少ない事例ではありますけれども窃盗事犯についても用いられたことがあると報じられております。
 これまで捜査方法の一つとしておとり捜査を用いてきたその犯罪類型、どんな犯罪に用いてきたのか、またその件数あるいは成功率を把握しておられるのかどうか、お答えください。
#42
○政府委員(垣見隆君) お答えいたします。
 いわゆるおとり捜査につきましては、委員御指摘のように、薬物犯罪やけん銃犯罪など組織的かつ秘密裏に敢行される犯罪についてその必要性を検討の上実施をなされてきたものというふうに承知をしておりますが、その他の罪種についてどの程度の件数その手法が使われたかどうかについては掌握をいたしておりません。
#43
○浜四津敏子君 確かに今お答えにありましたように、秘密裏に行われる犯罪あるいは組織犯罪等についてはおとり捜査は非常に実効性の高い方法でございますが、一方で適正手続の要請に照らしまして相当性あるいは合理性による制約が当然必要になってくるかと思います。捜査として有効であるがゆえに乱用されやすいという面を持っているわけでございまして、慎重に厳重な条件のもとで行われなければならないと考えます。
 これまでも一定の場合におどり捜査が認められてきたと、こういうお答えでしたけれども、おとり捜査がどういう場合にどういう条件のもとであれば認められるのか、あるいはどういう場合には違法になるのかについては、先ほど御答弁ありましたが、確かに判例が積み重ねられてきております。
 最高裁の昭和二十八年三月五日の決定によれば、他人の誘惑により犯意を生じ、またはこれを強化された者が犯罪を実行した場合に、その誘惑者が場合によっては、教唆犯または従犯として責めを負うことのあるのは格別、その他人である誘惑者が一私人でなく捜査機関であるとの一事をもってその犯罪実行者の犯罪構成要件該当性または責任性もしくは違法性を阻却し、または公訴提起の手続規定に違反し、もしくは公訴権を消滅せしめるものとすることのできないこと多言を要しないと。
 これ以降これがリーディングケースと言われているわけでございますが、しかしこの判例はおとり捜査を全面的に許容した判例ではないと理解されております。むしろ、どういう場合に許され、またどういう場合には違法となるのかについてはよりきめ細かな判断が必要だということで、それ以降、下級審の判例が幾つか積み重ねられております。
 これを違法としたものの一つとして、福団地裁小倉支部の昭和四十六年五月一日の命令がございます。これは窃盗事犯についてでございますが、社会通念上相当でないとして不適法なものと、こういう判断が出されました。
 また、東京高裁の判決で、昭和六十二年十二月十六日、これは適法とした例でございます。暴力団の組織的な覚せい剤密売事件、これは、この事件の特殊性あるいは重大性、そしてまたこの被疑者がおとり投入前からその嫌疑が極めて大きかったと、さまざまな条件のもとで適法と認められております。
 こうした下級審の判例等からいたしますと、適法か違法かの基準といたしまして、先ほど同僚議員からも指摘がございましたが、犯意誘発型のおとり捜査というのは当然違法、機会供与型のおとり捜査は適法と、こういう大きな分別がございますけれども、その上に立って、例えば目的が正当であるとか、あるいは必要性が極めて大きいとか、あるいは手段が相当である、あるいは事件の特殊性、重大性、秘密性あるいは組織性、こういった特殊性、またほかに適当な捜査方法がない、こういう補充性等の条件、これを判断基準とするべきだという考えが有力であると思います。
 警察庁としては、こうした判断基準に立っておとり捜査の実施がなされてきたのか、あるいはこれからもその基準に立ってされるのか、お答えください。
#44
○政府委員(垣見隆君) お答えいたします。
 今、委員御指摘ございましたように、おとり捜査をめぐってはいろいろの論議がございます。私どもとしても、いわゆるおとり捜査を実施するに当たっては、過去の裁判例等も踏まえまして、また委員もただいま御指摘ございましたように、通常の方法による捜査では証拠の収集、犯人の検挙が困難であるかどうか、また対象とする犯罪が重大な犯罪であるかどうか、その方法が適正手続の確保の点から社会通念上是認できるものであるかどうかなどを十分検討してその実施の是非を判断していくべきものと考えております。
#45
○浜四津敏子君 それでは次に、三十一条の十そのクリーン・コントロールドデリバリーについてお伺いいたします。
 このコントロールドデリバリーの捜査方法につきましては、麻薬特例法で既に定められた手法でございます。今回は、コントロールドデリバリーのうち、けん銃についてクリーン・コントロールドデリバリーのみを認めた、こういう規定でございますが、けん銃についてこの手法を取り入れる理由、背景、どういうところにあるのか、お答えください。
#46
○政府委員(中田恒夫君) けん銃などの密輸入事犯でございますけれども、大変薬物などと似通った点もございまして、本当に今のけん銃等は密輸入するものがほとんどでございますから外国から入ってまいるわけでございますから、その受取人のサイドの名前が架空のものであるとか、特に受取人を特定することができないケースが多いわけでございます。そういったことから被疑者を確実に検挙することができないということになりかねないわけでございまして、そうしますと、またさらにその背後に密輸組織があるわけでございますから、そういうものを摘発して破滅していくということが非常に困難になっているわけでございます。
 そこで、繰り返しになりますが、不正取引に関与している者を特定して組織に打撃を与えるというために有効な捜査手法であるコントロールドデリバリー、そのうちのクリーン・コントロールドデリバリーについて今回は対応させていただきたいというふうにお願いしておるところでございます。
#47
○浜四津敏子君 クリーン・コントロールドデリバリーはその中身を入れかえるわけですけれども、具体的にどういう方法で行われることになるんでしょうか。
#48
○政府委員(中田恒夫君) お答え申し上げます。
 ある程度時系列的に申し上げますと、まず税関で通関手続の際に貨物の中にけん銃等が隠匿されているのが見つかるといたします。そして、二つぐらいケースがあろうかと思いますが、その貨物のあて先が会社名義となっているときもございますし、あるいはその貨物の受取人が架空名義になっている場合もございます。このような場合など、貨物の真の受取人を特定するのが困難な場合が一つあろうかと思います。あるいはまた、仮に受取人というものが特定できましても、それはまだ組織の末端であり、その背後に不正取引の密売組織といった組織があるんじゃないか、関与しているんじゃないかというようなことが推定される場合がありまして、首謀者を検挙するためには、その組織全体を明らかにする必要があるというふうに考える場合がございます。こういった場合に、このクリーン・コントロールドデリバリーを実施することを予定しているわけでございます。
 実施の方法でありますが、まずそのけん銃等の抜き取りにつきましては、刑事訴訟法ないしは関税法の規定によって裁判官の発する令状で抜き取るのが当然でございます。そして差し押さえる。抜き取るといいますか、差し押さえるわけでございます。
 薬物なんか空にしたままで行く場合もございますが、けん銃の場合、余り軽くなり過ぎますとかえって疑われますので、例えば他の物品に差しかえるということもあります。それは抜き取ったけん銃と同じような形なり重さの無害な物品に差しかえるわけであります。その後、捜査機関の監視のもとにそのけん銃が抜き取られた貨物の運搬が続く。それをまた我々が追跡いたします。そして、首謀者に到達するという時点までずっと見張りをしまして、最終的に関係者を一網打尽にするという形で実施をされることになります。
#49
○浜四津敏子君 それでは次に、テロ犯罪対策についてお伺いいたします。
 一連のテロ事件あるいは凶悪事件が続いてまいりました。坂本弁護士一家拉致事件、それから松本サリン事件、あるいは仮谷さん拉致事件、地下鉄サリン事件、そして國松長官狙撃事件、こうした犯罪は犯罪史上例を見ない組織性あるいは閉塞性、機動性、計画性、異常性が指摘されております。こうした特徴を有する現代型犯罪と言われておりますが、殊に無差別テロは多くの一般市民の人命、安全を脅かし、また社会を不安に陥れる大変許すべからざる凶悪犯罪でございます。
 現在の警察庁は、従前にはほとんど見られなかったこうした特色を有する現代型犯罪の捜査に十分対応できる体制にあるのかどうか、また不十分とすればどういう点を整備しまた強化する必要があると考えておられるのか、またテロ犯罪捜査の専門家はどの程度いるのか、また育成に取り組んでおられるのかについてお答えください。
#50
○国務大臣(野中広務君) ただいま委員から御指摘ございましたように、坂本弁護士の拉致事件、松本サリン、山梨の悪臭、結果的にサリン事件、そして先般の仮谷さんの拉致事件と地下鉄サリン事件、そして國松警察庁長官の襲撃事件、さらに横浜におきます異臭事件等、相次ぐ最近の事犯は法秩序に対する重大な挑戦ともいうべき凶悪きわまりない犯罪が発生をしておるわけでございます。仮谷事務長の拉致事件の捜査に入ろうとする直前に機先を制したように地下鉄のサリン事件が起きましたり、また治安のトップにあります國松警察庁長官が襲撃をされるという、ある意味において警察の捜査活動をあざけり笑うようなそういう悔しい事件が相次いでおるわけでございます。
 私ども警察に関係する者としては、この犯罪の深刻さと、そして国民生活の基盤である治安の骨幹を揺るがしかねない深刻な事態に陥っておるということを憂慮にたえないところでございます。
 このような治安情勢の悪化に的確に対処をいたしまして、国民の不安感を一刻も早く解消しますとともに良好な治安水準の回復を図ることは、現下日本警察に課せられた最大の責任であると自覚をいたしまして、それに必要な組織、人員、器具等の体制につきましては、予算の手当てをいただきまして十分な体制の整備に努めてまいりたいと考えておるところでございまして、専門員のいわゆる養成、あるいは臨時採用、あるいは関係専門機関の協力等を適宜適切に現在事犯の解明のために行っておるところでございます。
#51
○浜四津敏子君 それでは次に、捜査一般の問題として、電話の傍受による捜査についてお伺いいたします。
 法務大臣は、四月二十日の衆議院予算委員会サリン問題等集中審議におきまして、盗聴等の捜査手法の導入について次のように述べられました。これらの手法は適正手続保障の観点や憲法上の制約などがある。導入には法制度全体との関係を踏まえながら、最近の犯罪情勢にいかに有効適切に対処するか、こういう観点から検討すべきものと考える。こう述べられて前向きな姿勢を示したと報道されております。
 組織犯罪、あるいは密行型犯罪、あるいは重大な法益侵害の危険性の差し迫った事件についてこうした手法がやむを得ず使われる必要性があることも理解しないわけではございませんが、しかし法務大臣が述べておられるように、憲法十三条の保障するプライバシーの権利を盗聴という手段は侵害するものでありまして、また憲法二十一条二項の通信の秘密を侵害するものであります。また、憲法三十一条の適正手続保障の点からも問題となり得る捜査手法でございます。いかに捜査に必要かつ有効な手法といえども、その導入には慎重を期さねばならないと考えております。
 現在でも実際の実務上は検証手続によって電話の傍受による捜査というのは行われているわけですけれども、この盗聴等の捜査手法の導入に関して、法務大臣は先ほどのような内容をお述べになりましたけれども、国家公安委員長の御見解を伺いたいと思います。
#52
○政府委員(垣見隆君) お答えいたします。
 電話傍受の問題でございますけれども、委員も御指摘ありましたように、これまでも薬物事犯の捜査におきまして裁判官の検証令状に基づいて実施された事例がございます。裁判においてもその適法性が認められているところでございます。
 この電話傍受は、犯罪の態様によりましては捜査手法としての有効性が認められるものでございまして、警察としては、その適法性、妥当性に十分配意しながら運用する方針でございますが、今後の犯罪情勢の推移によって、必要があれば立法の問題についても検討をしてまいりたいというふうに考えております。
#53
○浜四津敏子君 これまでの電話の傍受による捜査について判例上も認められているというお答えでございましたが、確かに認めた判例は幾つかはございます。ただし、その中でこう述べられております。
 電話の通話内容を通話中の当事者双方に知られずに傍受することは、憲法二十一条二項の通信の秘密を侵害する行為であり、犯罪捜査のためといえども、原則としてこれが許されないことは言うまでもない。ただ、例外として、犯罪の重大性あるいは嫌疑の明白性、証拠方法としての重要性と必要性等、そうした条件を勘案いたしまして合憲適法なものである場合もあると、例外的に認められているということになっているかと思います。
 このことを、原則は許されない、ただ例外として一定条件のもとに許されるということを認識された上で、手続としては現行法上の検証手続を経てなされるということを守っていただきたいと思います。
 ただ、この検証令状でなされている現行法の手続、現行実務上の手続についてもさまざまな議論がありまして、やはり無理があるのではないかとも言われております。こうした捜査手法を行うための厳格な要件をむしろ立法上定めてしまった方がいいのではないかという見解もございますが、重複するかもしれませんけれども、そうした見解についてはどのようにお考えでしょうか。
#54
○政府委員(垣見隆君) ただいま委員御指摘ございましたように、この検証令状を使っての電話傍受につきましては、先ほども申したように、一定の条件のもとではございますけれども認められているわけでありますけれども、これは学説というか、先生方の間ではいろいろな御意見がございます。検証令状を使ったやり方ではなくて、もうこれはきちっと立法措置をしてやるべきだという御意見もあることは十分承知をしております。
 ただ、そういう御意見も十分承知をしているわけでございますけれども、現在、警察といたしましては、一定の条件のもとで認められているこの検証令状による電話傍受につきまして、必要性がある場合、当然のことながら適法性、妥当性にも十分配意をしながら運用をしてまいるという考え方でおりまして、そういう面からいえば、現在直ちに立法化がどうしても必要だという判断には至っておりません。ただ、今後の犯罪情勢等の推移によりましては、また立法の問題についても検討をする必要があるかというふうな考えているのが現在の段階でございます。
#55
○浜四津敏子君 以上で終わります。ありがとうございました。
#56
○有働正治君 私は、まず冒頭の警察庁の報告とのかかわりで、一連の凶悪事件について幾つかお尋ねします。
 まず、國松長官狙撃事件との関係でありますが、使用された銃器につきまして、短銃や銃弾につきまして、アメリカ製との指摘もありますし、国内の銃撃事件等ではほとんど使用されたことがないものとの指摘もなされているわけであります。
 となりますと、長官狙撃事件の犯人が海外と深く結びついて密輸ルートを持っている、あるいはかかわりがあるということも十分考えられるわけでありますが、捜査ではこうした問題の究明も含めて行っているかどうか、まずお尋ねします。
#57
○政府委員(杉田和博君) 長官の狙撃事件につきましては、ただいま銃の話がございましたけれども、銃につきまして今申し上げられますことは、三十八口径の回転式であるということだけで、けん銃の弾、さらにまた目撃者の証言、こういうもの等から現在銃器の種類その他について捜査をしておるところであります。
 したがいまして、そういうことからあらゆる可能性というものを考えまして幅広く捜査をいたしておりまして、現在捜査中でございますのでこれ以上の答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
#58
○有働正治君 次に、オウム真理教の村井氏が刺殺されたことでオウム真理教に対する捜査、これは一定の支障があるのではないかと国民は懸念しているわけですけれども、この点についてどう見ているのか、まず簡単に。
#59
○政府委員(垣見隆君) お答えいたします。
 現在捜査を進めております個別の事件につきまして、特定の個人がどのような立場にあるのか、あるいはその人物を欠いた場合に捜査にどのような支障が出るかについては申し述べることを差し控えさせていただきたいと存じます。
#60
○有働正治君 国家公安委員長にお尋ねします。
 全然支障がないとは言えないと思うが、この点どうなのか。村井氏の死亡ということがあっても、今後の捜査は徹底的に捜査を尽くすべきであると考えるし、その点は確信を持ってやっておられると思うけれども、この点どうなのか。
#61
○国務大臣(野中広務君) 捜査中の重要な位置づけにあった村井氏がかのような刺殺事件で死亡をいたしましたことはまことに残念でありまして、全然支障がないと言ったらうそになると私は思いますけれども、しかしそういう事犯がありましても一つずつ犯罪は的確に適応をするように今日まで警察は努力をしてきて積み上げておるところでございますから、このことによって事犯の解明に支障がないようには十分な体制をもって取り組んでおると考えておるところでございます。
#62
○有働正治君 反社会的な事件の犯罪捜査において、強制捜査のみならず任意捜査をも積極的に活用すべきなどの指摘もあるわけであります。オウム真理教の一連の事件の捜査において、強制捜査のみに偏っていないかという懸念も指摘されているわけであります。サリン疑惑事件でも、殺人予備罪についていろいろな証拠があり、かなり固まってきているという状況にもあると考えるわけであります。そして、捜査の迅速さも問われているということもあるわけであります。
 村井氏に対する任意捜査、これをもっと早く着手すべきではなかったかという指摘があるわけですが、この点についてはどう考えておられますか。
#63
○政府委員(垣見隆君) お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、捜査中の事件について特定の個人が捜査の対象になっているかどうかについてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じますが、一般的に申し上げまして、捜査を行う必要がある場合、当然任意捜査も含めて関係者の出頭を求め取り調べを行うという手法があるわけでございますけれども、その任意出頭を求めて取り調べる場合はどういう人をどういうタイミングでやるか、またそれは強制捜査でやるか等につきましては、やはり全体の捜査の流れ、特に証拠の収集状況等を含めて総合的に検討して判断すべきものというふうに考えております。
#64
○有働正治君 昨日、いわゆる彼らの化学班なるものの中心人物と思われる人物等関係容疑者が逮捕されています。情況証拠も次第に固まってきていると見られるわけでありますが、事件解明、究明の上で麻原代表からの事情聴取、これは不可欠と考えられるわけでありますが、この点についてどう考えておられるのか。麻原代表についても任意同行を求める、あるいはその点での対応はどういうふうに考えておられるのか、まずお尋ねします。
#65
○政府委員(垣見隆君) 同じような答弁で申しわけございませんけれども、現在捜査中の事件につきまして、特定の人物に対しどのような捜査を行い、あるいはどのような捜査方針で臨むかにつきましては申し述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。
#66
○有働正治君 国民はその点についてどうなるかというのを注視しているわけであります。
 そこで、国家公安委員長、今の点についてどうなのか。当然、成り行きいかんによっては麻原氏逮捕が念頭にあると思う。この点についてどうなのか、国家公安委員長としての所見を求めます。
#67
○国務大臣(野中広務君) 私としてはその捜査の内容について答弁を申し上げるべき立場にはないわけでございますが、オウム真理教をめぐるさまざまな事件につきましては、現在警察において犯人の早期検挙と全体のいわゆる解明のために総力を挙げて取り組んでおるところでございますので、いかなる事情がございましても徹底してこの捜査活動を行っていただきたいと私は要望をしておるところでございます。
#68
○有働正治君 事件解明の上で当然最高責任者の事情聴取等は成り行きいかんでは考えられるというふうな点についてはどうなのか、国家公安委員長、再度求めます。
#69
○国務大臣(野中広務君) 先ほども申し上げましたように、オウム真理教をめぐる事犯はさまざまな問題があるわけでございますので、一刻も早く全体像の解明、さらには犯人の検挙が敏速かつ適切に行われるように期待をしておるところでございます。
#70
○有働正治君 その全体像解明の上で必要な人はきっちりと対応するということで、国家公安委員長、よろしいわけですね。
#71
○政府委員(垣見隆君) ただいま大臣より御答弁ございましたが、捜査中の事件について特定の人物についてどのような対応をするかについては申し述べることは差し控えさせていただきますが、一般論で申し上げれば、捜査活動をする上で必要な措置は当然のことながら必要な時期に行うということで御理解をいただきたいと存じます。
#72
○有働正治君 早期解決で後手に回らないように対応を求めておきます。
 それから、オウム真理教とのかかわりの点で、暴力団とのかかわり等がいろいろ指摘されているわけであります。そういう点で、オウム真理教と暴力団とのかかわり等についても、その背後、あるいは銃器等の入手ルート等を含めましてきっちり徹底解明が求められると思うわけでありますが、この点についてはいかがでありますか。
#73
○政府委員(垣見隆君) お答えいたします。
 一連のオウム真理教関係の違法事案の捜査の過程におきまして、先般、愛知県警察におきまして恐喝容疑で元暴力団幹部を、また大阪府警察におきましても改造けん銃の所持容疑でやはり元暴力団幹部であったオウム真理教関係者を逮捕しているところでございます。
 現段階で同教団と暴力団との組織的なつながりについては把握しているわけではございませんけれども、御指摘のような点も含めて捜査に必要なことについては所要の捜査を行い、解明をしてまいりたいというふうに考えております。
#74
○有働正治君 次に、オウム真理教とロシアとのかかわりでありますが、今回の一連の容疑なりとのかかわり、あるいは銃犯罪等とのかかわりでロシアとの関係も十分に対応が求められるわけであります。この点で、教団の一連の容疑等でロシアとの関係はどのように見ておられるのか、またその徹底究明のためにロシア政府との関係でどのような手だてをとっておられるのか、徹底究明の上で万全の対応を求めるわけでありますが、いかがですか。
#75
○政府委員(杉田和博君) ロシアにおけるオウム真理教の活動の実態につきましては、警察庁におきましても既に係官をロシアに派遣いたしましてロシア当局との情報交換を行うなど、その実態を明らかにすべく努力をいたしておるところであります。
 今後、外務省とも緊密な連携をとりながら、ロシアにおけるオウム真理教の特異な行動実態というものにつきまして十分に関心を払って鋭意解明をしてまいりたい、かように考えております。
#76
○有働正治君 その点でも遺憾のなきように徹底究明を求めておきます。
 次に、法案とのかかわりで暴力団、右翼の銃対策の強化の問題をお尋ねしますけれども、銃刀法とのかかわりで暴力団、右翼の対策が非常に重要だということは、当委員会で私の昨年の質問の中でも非常に重要だという認識で対応しているという答弁もいただいています。
 そこで、お尋ねするわけでありますが、右翼そして暴力団が混然一体となっているような状況があるわけですけれども、その点でもっと毅然として対応してもらいたいとの国民の厳しい指摘もあるわけであります。例えば銃を一回使ったことが右翼や暴力団に箔をつけるということになって、身がわり自首で事件を落着し、その右翼、暴力団の格が上がるということも指摘されているわけであります。過去の発砲事件を繰り返し持ち出して恐喝事件を繰り返す等もあるわけであります。
 例えば、金丸自民党当時副総裁銃撃事件を起こした右翼団体の場合、会長ら数人が債権の取り立てを請け負って暴行脅迫を行って逮捕された、その際金丸事件を持ち出して相手をおどす、あるいは宗教法人の理事らを脅迫した暴力行為の容疑で逮捕されたときもこの金丸氏に対する銃撃事件の切り抜きを見せて脅迫する等々があるわけであります。
 こういう一回の発砲事件を実績のごとく利用して繰り返し脅迫を行う、こういう右翼やあるいは暴力団の活動、これをもっと毅然として取り締まって国民の不安を払拭していただきたいという指摘がなされているわけでありますが、この点について徹底取り締まり、根絶を求めるわけでありますが、いかがですか。
#77
○政府委員(垣見隆君) お答えいたします。
 委員御指摘のように、けん銃対策というか銃対策にとりまして暴力団対策、右翼対策は大変重要であるというふうに考えております。
 暴力団からのけん銃の摘発につきましては、数字でもあらわれておりますように、平成六年で七割、ここ数年八割から七割方けん銃押収数の中で暴力団関係から押収したものが上がっておりますが、今後ともけん銃摘発に向けまして暴力団からの情報収集、捜索等所要の捜査を徹底し、また厳正に行ってまいりたいと思いますし、また右翼についても同様な考えで取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#78
○有働正治君 右翼団体松魂塾が昨年朝日生命元会長宅を銃撃した事件でありますが、その後けん銃を持って自首してきた経緯があるわけであります。これは当委員会で私も取り上げた経緯がありますが、私ここで問題にしたいのは、朝日生命が総額十四億円の保険契約の見返りに都内の右翼団体松魂塾幹部に一億五千万円の融資を約束して、その中の一定額が実行されたことが指摘されているわけであります。
 そこで、まず大蔵省に聞きますが、保険会社が保険契約の見返りに特別の融資の約束をすることなどは、仮にこういうことが行われたとすればこれは法律に違反する、禁止されている事項ではないかと思いますが、この点どうなのか。また、この点について大蔵省としてもそういうことについて必要な調査、法違反があればきっちり対応するということを求めたいわけでありますが、いかがでありますか。
#79
○説明員(滝本豊水君) 事実関係につきましては個別の保険契約にかかわる問題でございますのでコメントは差し控えたいと思いますけれども、一般論として、現行の保険募集の取締に関する法律第十六条第一項第四号におきまして特別の利益の提供が禁止されておりますけれども、御指摘の融資の約束について申し上げますと、生命保険募集人が、保険契約の締結または募集に当たりまして、保険契約者または被保険者に対して、通常の条件より著しく有利な条件で、あるいは通常であれば融資を受けられない場合に融資を約束する、あるいは融資を実行するというような行為をした場合にはこれに違反するおそれがあると考えております。
 当局といたしましては、保険会社に対しましてこれまでも諸法令を遵守し適切な募集を行うよう指導しているところでございますし、今後とも保険会社に対する国民の信頼が損なわれることのないよう適切な指導を行っていきたいと考えております。
#80
○有働正治君 つまり、こういう日本でも名立たる企業、その活動において右翼やあるいは暴力団等社会的犯罪と結びつくような事件が起こるそのかかわりの中で、こういう企業が便宜供与等を行うべきではないということは当然でありますし、国民もこの点は企業として社会的責任をきっちり果たすべきである、それに外れるようなことはやるべきでないということが指摘されているわけであります。
 そういう点で、警察としてもこういう問題については企業に対してきっちり対応すべしということで厳格な対応と改善を求めるわけでありますが、いかがでありますか、公安委員長。
#81
○国務大臣(野中広務君) 委員御指摘のとおりに、平成四年の暴力団対策法の施行以後暴力団排除の機運が一層高まりまして、暴力団を利用したり暴力団に利益を供与したりする行為は許されないという社会的合意が定着をしてきたように認識しておる次第でございます。
 しかしながら、残念なことに国民の一部には依然として暴力団を利用いたしましたり、暴力団に対して資金の提供を行ったりする者がおりまして、暴力団利用対策にも力を注ぐ必要がより重要な位置づけになるわけでございます。いかなる立場の人であっても、暴力団を利用する、あるいは暴力団に利益を供与する、あるいは右翼に同じようなことをするというのは絶対にあってはならないことでございまして、警察としては厳正に対処してまいらなければならないと存じております。
#82
○有働正治君 次に、いわゆる銃器の水際阻止、密輸対策の問題でありますが、時間の関係で簡潔にお尋ねしますけれども、我が国で押収されるけん銃の中で多い国としてはアメリカだと。その点ではアメリカに対してもっと厳しく我が国向け銃の流出対策を要求する必要があると考えるわけであります。また、アメリカのマフィア組織あるいは米軍ルート、このことも過去幾つも事例が指摘されているわけで、きっちりしたアメリカヘの申し入れ等々が求められていると私は考えるわけであります。
 同時に、いわゆるトカレフ型けん銃がよく指摘されるわけでありますが、この旧ソ連軍製の軍用銃、中国では一九五一年から制式けん銃として採用されているものもあるわけであります。中国軍の制式銃であればけん銃に製造番号等もついている可能性もあるのではないかと私は考えるわけでありまして、そうであれば中国当局とのかかわりで密輸ルートがあればそのことを含めましてもっと厳正に対応するよう毅然として中国政府に求める等が必要ではないかと思いますが、この点きっちりやっておられるかどうか。一連の国際会議の報告資料等を見ましても、もっともっと私は毅然とやるべきだと思うわけでありますが、簡潔にお答えいただきたいと思います。
#83
○政府委員(中田恒夫君) 御指摘のようなアメリカ製のけん銃が発見されることが多いのは事実でございまして、ただルートは必ずしもわかりません。
 アメリカもそうでございますが、先ほどございましたトカレフの中国でございますね、このようなけん銃の主な製造国あるいは主たる仕出し国と思われる国はまだそのほかにもございます。そういうことでアメリカ、中国等を含めまして各国の取り締まり機関に対しましてはいろんな国際会議等を通じて適正な銃器管理、不正取引の防止等を積極的に働きかけておるところでございます。
 米軍の話がございました。平成元年以降では外国から米軍ルートを通じてけん銃が密輸されたという報告は受けておりません。ただ、米軍軍属の子供、少年などが小遣い銭欲しさに基地内で登録保管されていたけん銃を持ち出して売るというような事案がございました。こういう件は数件ございました。この件については、その都度それぞれの都道府県警察から在日米軍担当者に管理強化についてきちっと申し入れをしておるところでございます。
#84
○有働正治君 きっちり関係国に申し入れするなど毅然とした対応を求めるわけであります。
 大蔵省の方にお尋ねします。
 国際化の進展に伴い、人、物資の流れが増大化の中で税関の仕事、これも大変ふえているわけでありますが、税関の人手が足りないで銃の密輸の摘発に手が回らないという状況も考えられるわけであります。税関職員の体制の弱さなどがありまして、税関当局ですべての船舶や入国者をチェックするのはとても不可能というため息まじりの声も聞かれる状況があるようであります。
 その点で、税関職員を密輸事犯の規模に対応できるように増強し、密輸入を水際で摘発するよう国民は望んでいるわけでありますが、過去の入国旅客数の伸び、あるいは輸入許可件数の伸び、これは三倍近くになっているようでありますが、その急増とのかかわりで見ると税関職員の伸びというのは、一定対応して人員も増強されていることを私も承知していますけれども、まだまだ万全という状況にはないと考えるわけであります。
 そういう点で、大蔵省として税関の検査体制をもっと今後も充実させていただきたいということについての簡潔な答弁。
 それから最後に、国家公安委員長に対しましてこの点、所管の任務を遂行する上で大蔵当局などに対して税関の検査体制を充実させていただくよう働きかける、要請すること、あるいは海上保安庁などとの協力体制の強化、それによる密輸根絶、この問題についての国家公安委員長としての見解と対策、これを求めたいと思います。
#85
○説明員(城田安紀夫君) 税関におきましては従来から事務の重点化、機械化それから業務運営の効率化等、専ら自助努力に努めてきておるところでございます。しかしながら、このような努力をしてもなお必要となる要員というものがどうしても出てまいります。このような要員につきましては、厳しい行財政事情のもとではありますけれども、定員の確保に最大限の努力を税関としては払ってきているところであります。
 今後とも、迅速かつ適正な通関によりまして、経済社会秩序を維持するという税関に課せられた使命にかんがみまして、厳しい行財政事情のもとではございますが、税関職員の増員について関係方面の理解が得られるよう最大限の努力を払い、銃砲等の水際阻止に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
#86
○国務大臣(野中広務君) 先ほど来お話がございますように、我が国で押収されますけん銃の大半は外国から密輸をされたものでありまして、けん銃の供給を遮断する上で水際対策は重要な課題であると認識をしておるところでございます。
 特に最近の銃器犯罪は、御承知のように、従来の暴力団抗争以外に企業あるいは政治家、さらに一般市民に銃口が向けられるというまことに深刻な状況でございますので、村山総理の指示によりまして昨年十二月二十七日、関係省庁連絡会議を持つことを申し合わせました。税関を初めとする各取り締まり機関は体制の充実強化を図ることとされております。これを受けまして、関係各取り締まり機関におきまして体制の充実強化に努めていただいておるところでございます。また、取り締まり関係機関の有する機能を総合的に発揮するために、関係機関相互の連携が重要であると考えまして、個別事件に対応して警察、税関、海上保安庁等による共同摘発班を編成する等、連携の緊密化を図っているところでございます。
#87
○有働正治君 終わります。
#88
○西川潔君 まず、三月三十日、何者かの狙撃によりまして被害に遭われました國松長官に対しまして、心よりお見舞いを申し上げます。そして、一連のサリン事件同様、許しがたい犯罪を行い住民生活に大きな不安をもたらしている犯人の一刻も早い検挙に向かって全力を挙げて取り組んでいただきますことを心よりお願い申し上げます。
 それでは、まず法案の内容につきましてお伺いをいたします。
 今回の改正案の柱の一つにけん銃の密輸入、これの防止対策がございますが、我が国における銃による汚染を何としてでも食いとめるには、国内での摘発の強化とともに、国外からの流入のもとを絶つということが極めて重要なことであると思うわけです。
 そこで、まずは大臣よりこの密輸入防止についての決意からお聞かせいただきたいと思います。
#89
○国務大臣(野中広務君) 先ほど来からも申し上げましたように、近年警察が押収いたしましたけん銃の九割は海外から密輸されたものでありまして、けん銃の密輸防止が銃器犯罪を抑止するため極めて重要な課題であると認識をしておるところでございます。しかしながら、国際的な物流や出入国の人口の増加、けん銃の密輸方法の巧妙化などのために、密輸けん銃の水際での発見、検挙はますます困難をきわめておるところでございます。
 このため、このたびの法律改正におきまして、クリーン・コントロールドデリバリーを実効あらしめるための処罰規定等の新設をお願いいたしましたところでございまして、今後税関、海上保安庁等関係機関との連携の強化を図り、また捜査手法にもいろいろと工夫をこらしまして、けん銃の密輸防止のために全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
#90
○西川潔君 次に、その具体策についてお伺いしたいと思うわけですけれども、大蔵省では不正薬物、銃砲の押収量の動向を発表されておられます。我が国におけるけん銃など銃砲の押収量の近年の動向についてお伺いします。
#91
○説明員(城田安紀夫君) 税関におきますけん銃等の銃砲の密輸押収実績でございますけれども、平成六年におきましては二十七件、九十七丁でございます。これは前年の二十四件、六十九丁を摘発件数、押収量ともに上回っております。また、本年に入りましてからは三月までに四件、七丁を摘発している実態にございます。
#92
○西川潔君 この密輸摘発によりますけん銃の押収は平成五年で押収全体の約四%ということでございますが、国際化、ボーダーレス化に伴いまして人や物の交流が激しくなる中で、けん銃を水際で食いとめるということは相当な作業であることも実によく理解できるわけですけれども、そうした中で、昨年来、村山総理、野中大臣が先頭にお立ちになりまして、政府としての銃対策を検討し、関係省庁連絡会議において申し合わせを取りまとめておられます。
 この水際対策の強化についてはどういった内容のものであるのか、具体的にお伺いしたいと思います。
#93
○政府委員(中田恒夫君) 御指摘の昨年十二月二十七日の申し合わせの中の水際対策でございますが、六点ございまして、共同摘発班の編成等、それから二点目が不開港対策、三つ目が洋上取引対策、四つ目が航空・船舶旅客等対策、五つ目が一般商業貨物対策、六番目が国際郵便物対策でございまして、この六点についていろんなことが盛り込まれておるわけでございます。
 これを受けて、例えば最初に申し上げました共同摘発班の編成等でございますけれども、個々の事件ごとに警察でございますとか税関でございますとか海上保安庁等の職員で共同摘発班を編成して、合同でのサーチといいますか捜索でございますね、あるいは突き上げ捜査等を現にやっておるところでございます。
 二つ目の例えは不開港対策でございますけれども、国際海空港等を単位として、より現場、実務レベルに近いところで関係取り締まり機関の実務者の連絡協議会を機動的、弾力的に開催をいたしておる。あるいは、港湾関係者でございますとか関係の団体などによります水際監視の協力を要請して組織を結成していただいておるとかということで、民間協力の確保にも努めております。
 それから、三つ目の洋上取引対策でございますけれども、海上保安庁の巡視船などに警察官とか税関の職員が同乗いたしまして、合同で洋上パトロールを行うというようなこともやっております。
 いずれにいたしましても、それぞれの項目について各省庁、緊密に連絡をとりながら水際対策の推進に努力しておるところでございます。
#94
○西川潔君 ありがとうございました。
 その水際対策の中にございます国際郵便物対策についてさらに詳しくお伺いをしたいと思うわけです。
 ことしの一月一日から輸入禁制品に新たに銃器類が盛り込まれたわけですけれども、関税法の罰則が強化されて、このことによりまして国際郵便物対策にはどのような例えば効果が発揮されているのか、この部分を大蔵省にお伺いしたいと思います。
#95
○説明員(城田安紀夫君) 御説明申し上げます。
 さきの国会におきまして輸入禁制品として銃砲が追加されました結果、従来はこういう案件につきましては関税捕脱あるいは無許可輸入罪ということで取り締まっておったわけですけれども、この法律の改正の結果、銃砲自体が禁制品ということになりましたものですから、税関としましては関税法犯則事件としまして税関が持っている能力をこの銃の密輸事件の調査におきまして大変活発に実施できるという体制が整ったものと考えております。
 この結果としまして、私どもとしましては、水際におきます効果的、効率的な取り締まりの強化を図ろうと考えているところでございます。
#96
○西川潔君 この国際郵便物につきましては何と年間約二億通、小包だけでも約二百六十七万個にも上るということでございますので、有働先生の方からもお話がございましたが、本当に人の問題等々いろいろあると思うんですけれども、それらすべてを検査するということも本当に不可能に近いと思うわけです。しかしながら、ここ数年の摘発実績を見ておりますと、全体像がはっきりしないものですから何とも言えないわけですけれども、それにしても十分な対策がとられているんだろうかというふうにやっぱり疑問を抱きます。
 伺うところによりますと、関係省庁連絡会議を受けて、郵政、大蔵両省は連絡協議会を開催したということですが、今後両省ではこの国際郵便対策については具体的にどのような対策をもって取り締まりの強化に取り組んでいかれるのか、大蔵省と郵政省にお伺いしたいと思います。
#97
○説明員(城田安紀夫君) 御指摘のとおりでございまして、国際郵便物を利用したけん銃、それから麻薬も含んでおりますけれども、このような禁制品の取り締まりにつきましては従来から大蔵、郵政両省において連携を図ってきているところではございます。
 しかしながら、最近の銃砲事件の多発にかんがみまして、昨年十二月、大蔵・郵政連絡協議会におきまして主として二つ取り組みをしたところでございます。一つは、エックス線検査装置等取り締まり規定の充実でございます。もう一つは、全国レベルにおきまして税関と郵政間の連携の強化を行っていくということで、今後とも両省間の一層の協力を図ることといたした次第でございます。
#98
○説明員(渡辺和司君) 郵政省といたしましては、本件につきましてこれまで税関の検査に最大限協力をいたしますとともに、関係国に個別に文書を発出いたしまして、国際郵便物を利用したけん銃等の密輸防止について協力要請を行ってきているところでございます。
 今後とも、大蔵省と連携を密にして、国際郵便のけん銃取り締まりについて鋭意取り組んでいく所存でございます。
#99
○西川潔君 ありがとうございました。
 次に、ことしの一月十六日に銃規制についての新聞報道があったんですけれども、これは読売新聞の大阪版なんですけれども、この記事の内容がもし事実であれば非常に恐ろしいなというふうに感じたわけですけれども、この機会に政府の御見解もお伺いしておきたいということでちょっとこの新聞を読ませていただきたいと思います。
 「銃規制に抜け穴」という記事なんですけれども、
 欧米に比べて、厳重だと思われている日本の銃規制だが、意外なところに盲点があった。兵庫県警が摘発したモデルガンショップ経営者らによるライフル銃などの大量不法所持事件が、それを物語っている。法律の不備をついて、廃業した銃砲店から登録のない「ヤミ銃器」が横流しされていた。密輸や暴力団などから流れるピストルとは別の「銃拡散」があった。
 「押収した銃に番号の登録がない」と捜査員から聞かされた時、最初は意味がわからなかった。狩猟用など販売や所持が認められている銃は、輸入や製造から銃砲店、使用者まで、各段階で完全に管理されているはず。銃番号によって所有者もすぐに判明する、と思い込んでいたからだ。
 わが国の銃規制の法律は、銃刀法と武器等製造法が二本柱。
 銃刀法は所持や譲渡の制限などを規定。所持は都道府県の公安委員会が許可し、銃の製品番号を登録する。一方、銃砲店の営業などは武器等製造法の範囲。製造や販売事業の許可、廃業の届け出などを定めている。しかし、二つの法律のはざまで販売前の銃は登録されず、廃業の際の在庫品の取り扱いの規定はない。
 今回の事件では、元銃砲店経営者ら四人が逮捕され、銃三十一丁、実弾三千四百発が押収された。うち改造銃などを除く二十丁がライフル、散弾銃など銃砲店で売られる銃だったが、一丁以外は未登録。大半は廃業後の在庫品を隠し持ったり、モデルガンショップ経営者らマニアに密売したりしたとみられている。
 兵庫県計量保安課は銃砲店に対し▽入荷、販売、在庫の数量を毎月、報告させる▽廃業の際は在庫品を廃棄するか、他店に転売するかを確認する―などの対策をとっているが、帳簿などを改ざんされればチェックできない。逮捕された元銃砲店経営者は九二年の廃業時、在庫は「転売」と届けていた。しかも銃の番号の届け出はないため、何丁がどこへ流れたか、追跡調査もできないという。
 同課は「この法律は経営者を信頼することで成立している。横流しは想定していない」と説明。銃を扱う人が少ない時代の法律で、今のようなマニアの出現は考えていなかった、との指摘もある。
 現在、許可を受けた銃は全国で約五十万丁。銃砲店の在庫を含めると、数倍になるという。狩猟人口の減少で銃砲店は最盛期の半分の約六百店に。在庫の銃は他店に売れば安いが、非合法に流せば高値になる、と関係者は明かす。
 「数年前にも同じような事件があり、法の不備に突き当たった。その時、改善を具申したのだが……」。捜査幹部から、いらだちの言葉がもれた。というふうな新聞報道でございます。この事件について、そしてまた報道にある銃規制の指摘についてそれぞれ事実関係をお伺いしたいと思います。
#100
○政府委員(中田恒夫君) お答えいたします。
 御指摘の事案でございますけれども、全体は大変複雑でございまして、その中の本筋の事件だけをちょっと申し上げさせていただきますと、概要でございますが、兵庫県下の銃砲店の経営者が、これは武器等製造法の猟銃等販売事業者に当たりますが、この者が昭和六十二年八月から平成四年八月にかけまして販売用に所持をしておりました猟銃及び空気銃合わせて二十五丁を銃刀法上の所持許可を受けていない知人の二人に不正に譲り渡したというものでございます。この銃砲店の経営者というのはこの件で銃刀法上の譲渡制限の違反の罪で起訴されまして、現在公判中でございます。
 これらの猟銃及び空気銃でございますけれども、二十五丁でございますが、このうちの五丁につきましては製造番号が削り取られておったもの四丁、また製造番号が打刻されていなかったもの一丁でございまして、残りの二十丁は製造番号は打刻されていたものと認められるわけでございますけれども、この被疑者であります銃砲店経営者がその後廃業いたしまして、その際に関係簿冊を廃棄してしまったわけでございまして、その関係で今となってはその管理状況を明らかにすることはできないということでございます。
 それから、お尋ねの新聞記事で指摘されております法の規制の点でございますが、これも書かれておるとおりかもしれませんが、銃砲の所持は銃刀法で規制されているところでございます。武等法の、武器等製造法の許可を受けて銃砲の製造販売の事業を営んでいる者が、その製造販売に伴って行っている所持という形態がございます。この行為につきましては、銃刀法の態度でございますけれども、こういった事業者は武器等製造法によって各般の行為について規制を受けておるわけでございまして、事業の遂行全般を適切に管理しているであろうというふうに信頼いたしまして、銃刀法としては特段の規制は設けていないということでございます。
#101
○西川潔君 たとえ合法的に認められている銃であっても、法の不備によりまして、あるいは管理体制の不備によって非合法的な流通が行われたのでは住民生活に大変大きな不安も与えるわけです。心配をするわけですけれども、この問題につきましては、警察庁、そして武器等製造法を所管される通産省の御見解もお伺いしたいと思います。
#102
○政府委員(中田恒夫君) 私ども警察といたしましては、製造販売の段階で銃の製造番号等による銃器の管理が何らかの仕組みとしてなされていることが望ましいのではないかというふうには考えております。
#103
○説明員(平井敏文君) 御説明いたします。
 武器等製造法に基づきまして、猟銃の製造・販売事業者は、帳簿を整え、猟銃の製造もしくは販売について、引き渡し、引き受け数及び年月日、または引き渡し、引き受けの相手方の氏名、名称、住所、それを帳簿に記載する義務が課せられております。もちろん罰則で担保してございます。また、販売事業者には、都道府県の公安委員会の銃砲所持許可証を確認の上、本人に販売するよう指導しております。したがいまして、現行法において引き渡し、引き受け数、年月日、住所、氏名、そういった記載義務を課しているわけでございます。また一方、製造・販売事業者は現在刻印された製造番号を用いて商品管理を行っている状況にもございます。
 したがいまして、御指摘の製造番号の点につきましては、例えば個々の販売に当たって販売した商品の製造番号を記録しておくというような行為等についてどうするかということにつきまして、外国からの輸入品の問題もございます、それから銃刀法上のいわゆる銃番号との整合性の問題等がございますが、そういった点を勘案しつつ鋭意検討してまいりたいというふうに考えております。
#104
○西川潔君 ありがとうございました。
 今、質問をさせていただきましたこと等々、この問題を含めて最後に大臣に御見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#105
○国務大臣(野中広務君) 現在の厳しい銃器犯罪の深刻な情勢のもとにおきまして、政府を挙げましてその対策を推進しているさなかに西川委員が今御指摘ございましたような事犯の摘発を見ましたことはまことに残念に存ずるところでございます。
 銃器の管理につきましてはいささかも遺漏があってはならないことでございます。関係諸機関と十分連絡を密にいたしまして、それぞれ努力をされておるところでございますけれども、今後さらにその徹底を図って銃犯罪の撲滅に努めてまいりたいと存じておるところでございます。
#106
○委員長(岩本久人君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#107
○委員長(岩本久人君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 釘宮君から発言を求められておりますので、これを許します。釘宮磐君。
#108
○釘宮磐君 私は、ただいま可決されました銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、平成会、日本共産党及び二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
     銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、最近、一般市民へのけん銃の拡散傾向が顕著となり、また、凶悪なけん銃使用犯罪が急増するなど、市民生活等に重大な不安と脅威を与えている現状にかんがみ、左記の事項について善処すべきである。
 一、銃器による国民の生命・身体・財産の安全及び自由を脅かす行為は、今や放置することができない実情にあることから、銃器犯罪の防止のため総合的かつ有効な対策を確立するとともに、摘発、取締りを強化すること。
 二、いわゆるクリーン・コントロールド・デリバリー及び捜査官によるけん銃等の譲受けの実施に当たっては、国民の人権を侵害することのないよう慎重かつ適正に行うこと。
 三、銃器犯罪の防止は、我が国のみならず、各国共通の課題となっていることから、その解決に向け、諸外国、諸機関と連携し、国際的な取組みを強化するよう努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
#109
○委員長(岩本久人君) ただいま釘宮君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#110
○委員長(岩本久人君) 全会一致と認めます。よって、釘宮君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、野中国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。野中国家公安委員会委員長。
#111
○国務大臣(野中広務君) ただいま銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の結果、採決をいただきまして、まことにありがとうございます。
 ただいまの附帯決議の御趣旨を十分踏まえました上で、総合的かつ抜本的な銃器対策を確立し、市民生活のさらなる安全と平穏を確保してまいる所存でございます。
 ありがとうございます。
#112
○委員長(岩本久人君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#113
○委員長(岩本久人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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