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1995/01/20 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 本会議 第1号
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1995/01/20 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 本会議 第1号

#1
第132回国会 本会議 第1号
平成七年一月二十日(金曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第一号
  平成七年一月二十日
   午前十時開議
 第一 議席の指定
 第二 国務大臣の演説に関する件
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、元議員小川半次君逝去につき哀悼の件
 一、特別委員会設置の件
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 このたびの地震、とりわけ兵庫県南部地震により多方面に甚大な被害がもたらされましたことは、まことに痛恨の至りにたえません。
 犠牲となられた方々の御冥福を祈り、その御遺族に対しまして、衷心よりお悔やみ申し上げます。また、負傷された方々、避難生活を強いられている方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早く回復され、平穏な市民生活に立ち戻られますことを心からお祈り申し上げます。
 ここに、犠牲者の御冥福を祈り、黙祷をささげたいと思います。黙祷。
   〔総員起立、黙祷〕
#4
○議長(原文兵衛君) 黙祷を終わります。
     ―――――・―――――
#5
○議長(原文兵衛君) 日程第一 議席の指定
 議長は、本院規則第十四条の規定により、諸君の議席をただいまの仮議席のとおりに指定いたします。
     ―――――・―――――
#6
○議長(原文兵衛君) さきに院議をもって永年在職議員として表彰されました元議員小川半次君は、昨年十二月二十六日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 つきましては、この際、院議をもって同君に対し弔詞をささげることといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院はわが国民主政治発展のため力を尽くされ特に院議をもって永年の功労を表彰せられさきに予算委員長裁判官弾劾裁判所裁判長の重任にあたられました元議員従三位勲一等小川半次君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
     ―――――・―――――
#8
○議長(原文兵衛君) この際、特別委員会の設置についてお諮りいたします。
 科学技術振興に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名から成る科学技術特別委員会を、
 公害及び環境保全に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名から成る環境特別委員会を、
 災害に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名から成る災害対策特別委員会を、
 選挙制度に関する調査のため、委員二十五名から成る選挙制度に関する特別委員会を、
 沖縄及び北方問題に関する対策樹立に資するため、委員二十名から成る沖縄及び北方問題に関する特別委員会を、
 地方分権の推進及び規制緩和に関する調査のため、委員二十五名から成る地方分権及び規制緩和に関する特別委員会を、
 また、中小企業に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名から成る中小企業対策特別委員会を、それぞれ設置いたしたいと存じます。
 まず、科学技術特別委員会、環境特別委員会、災害対策特別委員会、選挙制度に関する特別委員会、沖縄及び北方問題に関する特別委員会並びに中小企業対策特別委員会を設置することについて採決をいたします。
 以上の六特別委員会を設置することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、科学技術特別委員会外五特別委員会を設置することに決しました。
 次に、地方分権及び規制緩和に関する特別委員会を設置することについて採決をいたします。
 本特別委員会を設置することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#10
○議長(原文兵衛君) 過半数と認めます。
 よって、本特別委員会を設置することに決しました。
 本院規則第三十条の規定により、議長は、議席に配付いたしました氏名表のとおり特別委員を指名いたします。
#11
○議長(原文兵衛君) これにて午後四時まで休憩いたします。
   午前十時八分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時二分開議
#12
○議長(原文兵衛君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第二 国務大臣の演説に関する件
 内閣総理大臣から施政方針に関し、外務大臣から外交に関し、大蔵大臣から財政に関し、高村国務大臣から経済に関し、それぞれ発言を求められております。これより順次発言を許します。村山内閣総理大臣。
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(村山富市君) 第百三十二回国会の開会に当たりまして、まず、関西地方を襲った兵庫県南部地震により亡くなられた方々とその御遺族に対し深く哀悼の意を表し、また、負傷された方々や避難生活を続けておられる方々に心からお見舞いを申し上げます。
 政府といたしましては、私自身が先頭に立って、直ちに関係閣僚を現地に派遣し実情把握に努めるとともに、地方公共団体と一体となって、警察、消防、自衛隊、海上保安庁などめ各機関も最大限に動員をし、行政組織の総力を挙げて救援・復旧活動を行ってまいりました。昨日、私も現地に赴き、近代的大都市が初めて経験をした大地震による想像を絶する惨状を目の当たりにして、言葉を失う思いがいたしました。そして、被災者の方々の苦しみと悲しみを痛いほど肌で感じ、改めて住民の方々の不安解消に全力を傾けるとの決意を強くいたしました。
 まず、依然続く余震に厳重な警戒を行いつつ、いまだに行方が確認されていない方々の捜索、救助にあらゆる努力を行ってまいります。
 また、負傷された方々等の医療体制を確保するとともに、厳しい寒さと空腹の中、不安な避難生活を強いられておられる被災者の方々の窮状を一刻も早く改善するため、飲料水や食料、毛布などの供給を初め、公共住宅の活用や仮設住宅の建設による住宅の確保、入浴施設の整備、電気、ガス、水道、電話等のいわゆるライフライン施設の復旧、道路、鉄道、港湾等の輸送手段と施設の確保などを早急に進める所存でございます。
 さらに、速やかに被災者の方々が正常な市民生活に戻り、また経済活動が復興するために、住宅再建のための融資措置、預貯金引き出しの便宜などのきめ細かい対策や中小企業の立ち上がりを助けるための緊急支援措置などを講じてまいりたいと考えています。
 これらの急を要する復旧・復興対策が資金面や制度面の制約などにより遅延することがあってはなりません。復旧に取り組む地方公共団体の活動への財政支援を初め、時期を失することなく、槍玉予算の検討など、あらゆる手段を尽くして万全の財政・金融措置を講じてまいりたいと考えています。
 今回の都市直下型地震がもたらした甚大な被害と犠牲を貴重な教訓とし、また、先年来の北日本を中心とした地震被害や依然火山活動を続けております雲仙・普賢岳の状況も深刻に受けとめて、日本列島全体の災害対策を見直し、再構築していかなければならないと存じます。予想外の被害を見た道路、建築物等についての科学的調査分析と地震に強い構築物や輸送システムの開発、大規模災害時の政府、自治体の対応の検討、予知・予報能力の向上のための体制の強化や研究開発の促進など、総合的な防災対策に万全を期してまいりたい所存でございます。
 なお、全国から、さらには海外各国からも、被災地や被害者の方々への温かいお見舞いと御支援をちょうだいしておりますことに対し、この場をおかりして私から厚く御礼を申し上げたいと存じます。
 平成七年、一九九五年は、戦後五十年の節目の年であります。私は、改めでこれまでの五十年を振り返り、来るべき五十年を展望して、世界の平和と繁栄に貢献し、国民に安心とゆとりを約束する国づくりに取り組む決意を新たにいたしております。この年を過去の五十年から未来の五十年へとつなぐ大きな転機の年としたい、年の初めに当たっての私の願いでございます。
 思えば、敗戦の混乱の中で、国民だれもが「二度とこのような戦争を繰り返してはならない」と胸に深く刻んだところから我が国の戦後は出発をいたしました。そして、あの焼け野原の中から今や一人当たり国内総生産が世界一となるまでの発展を遂げることができたのは、戦後の復興期から高度成長期、さらにはその後の数々の変動を乗り越えて、先輩たちが平和の維持と国民生活向上のために知恵を絞り懸命に走り続けてきたからにほかなりません。その努力に深く感謝するとともに、改めて平和の大切さを痛感いたします。今後の五十年においても、我が国はまず平和国家として生きねばならないというのが私の信念でございます。
 戦後五十年を迎えたこのとき、世界では東西両大国の対峙による戦後秩序は過去のものとなり、国内にあっても社会全体にわたって地殻変動とも言うべき構造変化が起こりつつあります。我々は、今こそ戦後長く続いた政治、経済、社会諸制度を謙虚に見直し、新たな歩みを始めなければなりません。
 昨年六月のこの政権の発足以来、私は、長年の懸案であった政治改革、税制改革、新たな世界貿易機関への積極的な参加、日米包括協議の前進や被爆者援護法を初めとする戦後処理などの困難な諸課題に全力を傾け、それぞれの問題に大きな区切りをつけることができたと考えています。
 しかし、私が掲げる「人にやさしい政治」を実現するためには、時代の要請に応じ、勇気を持ってさらなる改革を行っていく必要があることは言うまでもありません。改革は新しい社会を創造するための産みの苦しみとも言うべきものであります。思い切った改革によって、自由で活力のある経済社会、次の世代に引き継いていける知的資産、安心して暮らせるやさしい社会を創造していくこと、また世界に向かっては、我が国にふさわしい国際貢献による世界平和の創造に取り組んでいくこと、この四つの目標が私の「人にやさしい政治」の目指すところでございます。
 私は、行政改革の断行を初めとする諸課題に全力を傾注し、改革から創造へと飛躍を図ることにより、我が国の新たな地平を開くための「創造とやさしさの国づくり」に真正面から取り組んでまいりたいと存じます。
 国民経済の成熟化、人口の急速な高齢化や価値観の多様化、さらには国際情勢の激変など、内外情勢は大きく変化し、戦後の我が国の発展を支えてきた行政システムも今やさまざまなひずみを生じ、従来どおりのあり方をそのまま踏襲していたのでは社会のニーズに対応できなくなってまいりました。二十一世紀の情勢の変化にも柔軟に対応できる行政の実現を図るためには、今こそ行政の民間の活動への関与のあり方や行政における中央と地方との関係等を抜本的に見直さなければなりません。これによって、生活者の幸福に重きを置き、より自由で創造性にあふれた社会を実現するために全力を挙げることが、我々政府の未来への責務であると考えています。
 改革の方向を一言で言えば「官から民へ、国から地方へ」であります。すなわち、官と民との関係では規制緩和、国と地方との関係では地方分権、国民の信頼確保の観点からは行政情報の公開を進め、また、行政組織やそれを補う特殊法人等を改革して、簡素で効率的な、国民の信頼にこたえる行政を実現していかなければならないと存じます。
 先般、行政改革の実施状況を監視するとともに行政情報の公開に係る法律、制度についての検討などを行う行政改革委員会が発足をしましたが、この委員会の意見を国民の目、国民の声と心得て行政改革の推進を図ることといたします。
 さらに、政と官とが適切に役割を分担し、政治がより強力な指導力をもって改革を進めるためにも、新選挙制度の趣旨が生かされる政策本位の政治の実現と腐敗防止の徹底を図り、国民の政治への信頼を確保していかなければなりません。
 規制緩和については、内外からの要望を踏まえ、本年度内に、今後五年を期間とする規制緩和推進計画を策定し、実施に移してまいります。その際、経済的規制は原則自由化の方向とし、社会的規制は本来の政策目的に沿った必要最小限のものとすることを見直しの基本といたします。
 地方が実情に沿った個性あふれる行政を展開できるよう、その自主性を強化し地方自治の充実を図っていくことは、民主政治の原点であります。住民に身近な行政はできる限り身近な地方公共団体が担っていくことを基本として、国と地方の役割分担を本格的に見直し、地方公共団体自身の改革をも期待しつつ、権限委譲、国の関与の廃止や緩和、地方税財源の充実強化を進めなければなりません。昨年末に決定いたしました地方分権大綱に基づいて、地方分権推進の基本理念や地方分権の推進に関する委員会の設置などを定めた法律案を今国会に提案をいたします。本年は、内閣制度発足百十周年に当たります。政府としては、引き続き、行政組織の見直し、内閣機能の強化、省庁間人事交流の推進などに努めてまいります。
 特殊法人については、情勢の変化によってその事業の役割が十分に果たし得なくなっているものはないか、改めて評価するとともに、行政の減量化と新たな時代の要請にこたえるため、年度内にすべての特殊法人の見直しを行い、政治的リーダーシップを持って統廃合を含めた整理合理化を推進する決意でございます。
 行政情報の公開は、主権者たる国民に対し行政が十分な説明を行い、その信頼を得なければならないという民主主義の基本に照らし、早急に取り組むべき課題であります。このため、行政改革委員会から情報公開に係る法律、制度について二年以内に意見具申をいただくことになっております。また、急速に進歩しつつある情報通信技術の成果を行政分野に積極的に導入し、効率的、効果的な行政の実現を図る行政の情報化に計画的に取り組んでまいります。
 行政改革は本内閣の最重要課題であります。私は、言葉だけの改革に終わることのないよう、不退転の決意と勇気を持って実のある改革を断行する所存でございます。
 我が国財政は、公債残高が昨年末ついに二百兆円を超え、さらに増加する見込みであり、国債費も歳出予算の約二割を占め、政策的経費を圧迫するなど、構造的に一段と厳しさを増しております。財政が新たな時代のニーズに的確に対応し豊かで活力ある経済社会の建設を進めていくため、制度、施策の根本までさかのぼって歳出の抜本的な見直しを行うなど、財政改革をさらに強力に推進してまいります。
 また、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立った税制改革の関連法が昨年成立をいたしましたが、その法律に盛り込まれている消費税及び地方消費税の税率の見直し規定の趣旨を踏まえ、国、地方を通じた行政及び財政の改革の推進、そして社会保障の将来の姿の検討について一層積極的に取り組むとともに、今後とも、あるべき税制に向けて不断に努力してまいる所存であります。
 我が国経済は、引き続き明るさが広がってきており、緩やかながら回復基調をたどっております。一方、雇用情勢が依然厳しい状態にあるほか、設備投資も総じて低迷が続いております。ようやくともった景気回復の明かりが今後とも着実にその明るさを増すように、引き続き、為替相場の動向を含め内外の経済動向を注視しつつ機動的な経済運営に努めてまいります。
 我が国経済の将来への展望を確かなものとするためには、構造的な変化へのしっかりとした対応がなされなければなりません。成長への信頼に陰りが見え、急速な円高の進展や内外価格差等による高コスト経済化、国際競争の激化等の内外環境のもとで、産業の空洞化やそれに伴う雇用への懸念など、先行きに対する不透明感が広がっております。一方、今や経済に国境のない時代となり、我が国産業も世界にその活動の場を拡大しております。
 このような状況のもと、我が国が世界の国々とともに繁栄の道を歩んでいくには、自由で柔軟な、活力と創造性にあふれた経済をつくり上げていくための構造改革がなされなければ、なりません。
 具体的には、まず、内外価格差の是正。縮小であります。内外価格差は、豊かな国民生活の実現への妨げになっており、さらに、国村産業の競争力を低下させております。情報の提供等により消費者や産業界の意識改革を促し、政府規制の緩和や独禁法の厳正な運用、競争制限的な取引慣行の是正を進めることにより積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 この関連で、公共料金については、安易な改定が行われることがないよう、案件ごとに厳正な検討を加えるとともに情報の一層の公開に努めてまいります。
 次に、産業構造転換の円滑化であります。既存の産業がみずからの経営資源を有効活用して行う事業革新を積極的に支援していくとともに、構造的な雇用問題に対応して、労働移動ができるだけ失業を伴うことなく行われるための施策を幅広く展開してまいります。
 かつてのように国の経済を将来に向かって牽引する産業の姿が明らかでない中にあって、経済の新たな地平を切り開く新規産業の育成もまた重要であります。資金調達環境の整備など総合的な支援策の推進に力を入れるとともに、円高等の厳しい環境の中で、中小企業がその持ち前の企業家精粋を発揮することにより構造改革を進展させていくため、中小企業者や創業者が行う研究開発及びその成果の事業化を促進してまいります。
 以上のような観点から、昨年末には、産業構造転換・雇用対策本部を設け、内閣一体となって経済構造改革の推進に取り組んでまいることといたしたところでございます。
 農林水産業は、食料の安定供給という国民生活に欠かすことのできない重要な使命に加え、自然環境や国土の保全など多面的機能を有しております。また、農山漁村は、地域文化をはぐくみ、あの唱歌「ふるさと」に歌われているようなゆとりと安らぎに満ちた空間を提供してくれます。我が国農業はウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴い新たな国際環境のもとに置かれることになりますが、この影響を極力緩和するとともに、我が国農業・農村の二十一世紀に向けた自立と発展を期して、効率的で安定的な農業経営の育成、農業生産基盤の整備、農山村地域の活性化などの施策を総合的に推進してまいります。また、林業、水産業につきましても、緑と水の源泉であり、美しい日本の象徴とも言うべき森林の整備保全に力を注ぐとともに、豊かな海の恵みを生かした水産業の振興、漁村の活性化にも努めてまいりたいと考えています。
 二十一世紀に向け、創造性にあふれた社会を実現するためには、天然資源に恵まれない我が国にとって最大の資源である人的・知的資産をさらにつくり出し、次の世代に引き継いでいかなければなりません。尽きることのない知的資源である科学技術は、私たちの未来を創造し知的でダイナミックな経済社会を構築するかぎでもあります。私は、若者の科学技術離れに歯どめをかけ、人材の育成、確保や研究者の研究環境の改善を図るため、大学や研究機関の教育研究活動の充実や産学官の連携の強化とともに、創造的、基礎的な研究の充実強化等に力を入れ、国民生活に密着した分野や先端技術分野の研究開発の推進、国際的共同研究の促進など、我が国の研究開発活動を活性化し、科学技術創造立国を目指して全力を傾けてまいりたいと考えます。
 生産性の向上や新規市場の創造に大きく寄与し国民生活の充実にもつながる情報化の推進は、我が国が本腰を入れて取り組むべき重要な課題であります。産業の情報化や、学校、病院、図書館、官公庁など国民生活の情報化を推進し、情報通信の高度化に向けた諸制度の見直しに総合的に取り組むと同時に、新たな低利融資制度等による光ファイバー網の整備や電線共同溝などの整備、情報通信関係技術開発等も積極的に進めてまいります。また、これらの施策を盛り込んだ基本方針を策定するとともに、来月に予定されております情報社会に関するG7閣僚会合に臨むなど、世界情報インフラ整備等の情報通信に関する国際的な展開にも積極的に対応してまいりたいと考えています。
 国家は人によって栄え人によって滅ぶと申します。教育を通じて個性と創造性にあふれ思いやりのある心を持った人間を育てることは、国づくりの基本でもあります。いわゆる偏差値偏重による受験競争の過熱化を緩和するために、また、我が国の教育が国際化、情報化、科学技術の革新といった変化により適切に対応し得るよう、いま一度教育上の課題を見直し、より魅力的な、そして心の通う教育を実現するために、教育改革を推し進めていかねばならないと存じます。
 最近、児童生徒のいじめの問題が深刻になっております。まことに心が痛みます。子供や青少年の問題は、いわば社会の縮図であります。教育界のみならず、社会全体が協力して解決すべき課題であり、子供たちがお互いを思いやりながら心健やかに育つよう、家庭、学校、地域社会が互いに手を携えて取り組んでいかなければなりません。政府としても、そのために真剣に努力してまいりたいと存じます。
 これからの日本は、積極的な文化の創造と発信を通じて、人々が心にゆとりと潤いを持って人間らしく生きることができる真の文化国家を目指すべきであると考えます。私は、創造的な芸術活動や地域文化の振興、さらにスポーツの振興に努めてまいります。
 教育、学術、文化、スポーツの分野における国際交流・協力は、国境を越えて互いの多様性を理解し合える環境を築く上で極めて重要でございます。このため、留学生受入れ十万人計画の推進や平和友好交流計画の一環として実施する青年招聘事業、国際共同研究や研究者交流、海外の文化遺産の保存、修復などを進めてまいりたいと考えています。
 人の一生には日の当たる時期もあればつらく厳しいときもあり、また、心身の強健な人もあれば病苦に悩む人もございます。いろいろな立場や状態にある人々が、社会全体の支え合いの中で、人権が守られ、差別のない、公正で充実した生活を送ることができる社会を建設することは、「人にやさしい政治」の中心をなすものでございます。今、地方公共団体でも、お年寄りや障害者に配慮した町づくり条例の制定など、徐々に人にやさしい社会づくりの輪が広がっております。私はその先頭に立って、「やさしさ」を現実の政策に具体化していくため、最大限の力を注いでまいります。
 まず、老後の最も大きな不安要因である介護問題に対処し、安心して老後を迎えることができる社会を築くために、高齢者介護サービスの整備目標を大幅に引き上げるなど施策の基本的枠組みを強化した新ゴールドプランを推進するとともに、新しい公的介護システムの検討を進めてまいります。
 また、少子化の問題に対しては、次代を担う子供が健やかに生まれ育つ環境づくりを進めるため、子育て支援の総合的な施策を推進してまいりたいと存じます。
 さらに、障害者基本法や新長期計画を踏まえ、障害者の自立と社会参加のため、福祉施策の充実や障害者雇用の促進など総合的施策の展開を図ってまいりたいと存じます。
 豊かな人生を送るために何より大切なものは、健康であります。看護職員を初めとする医療従事者の確保など医療体制の整備や医療保険制度の安定に努めるとともに、がん克服新十カ年戦略などの疾病対策を推進してまいります。特に全世界共通の課題であるエイズについては、国際協力を一層進めるとともに、治療体制の整備や啓発普及に積極的に取り組んでまいります。
 社会全体の活力の低下が懸念される中、これまで社会的に能力発揮の場が限られていたお年寄りや女性に、もっとその知恵やエネルギーを発揮していただかなければなりません。二十一世紀初頭までに六十五歳まで現役として働ける社会を実現していくために、継続雇用の推進を初め、高齢者のニーズに応じた多様な形態の雇用機会の確保に努めてまいります。また、育児休業法の定着を図るとともに、介護休業制度の法制化に取り組むなど、職業生活と家庭生活の両立のための対策に力を注いでまいります。さらに、男女の雇用機会均等の確保など、女性の能力発揮の環境を一層整備してまいります。
 雇用に限らず、社会のあらゆる分野に女性と男性がともに参画し、ともに社会を支える男女共同参画社会の形成は、今後我が国社会がその創造性と活力を高めていくためにもゆるがせにできない課題であると思います。政府としては、政府審議会の委員に占める女性の比率を一五%に引き上げるとの目標を平成七年度中に達成するよう全力を挙げることを初めとして、社会の各分野においてさらに男女の共同参画を推進してまいります。また、本年は北京において第四回世界女性会議が開催される予定でもあり、国際的に平和や開発のための女性の行動を強く支援してまいる所存でございます。
 地球規模で、また、将来世代にわたって広がりを持つ今日の環境問題は、人類共通の課題であります。
 我々は、経済社会活動や生活様式を問い直し、祖先から受け継いだ美しく恵み豊かな自然と環境を守り続けていかなければなりません。先般策定した環境基本計画に基づき、環境への負荷の少ない循環型経済社会の構築、自然と人間との共生、環境保全への国民的参加と国際的な取り組みの推進を長期的な目標として、人と環境との間に望ましい関係を築くため総合的施策の推進に全力を挙げてまいりたいと存じます。
 特に廃棄物の減量化や資源の有効利用の観点から、リサイクル関連の技術開発を推進するとともに、市町村、事業者及び消費者の協力を得て、リサイクルの推進のための仕組みを検討し、適切に対応してまいります。また、新エネルギーの積極的な開発や導入によるクリーンなエネルギー政策の推進も不可欠であると存じます。
 環境を守ると同時に、国民生活をより充実するための積極的な環境整備がなされなければなりません。本格的な高齢社会の到来を控え、豊かな国民生活を実現するためには、国民に身近な生活環境を整備し、同時に国際化の進展にも配慮しつつ、国土の均衡と特色ある発展を図る必要がございます。大都市圏における通勤混雑の緩和や都心居住の推進など、住宅、生活環境の改善、地方圏への都市・産業機能の分散や活力に満ちた地域社会の形成、さらには基幹交通網整備等を促進するとともに、北海道や沖縄の開発、振興にも積極的に取り組んでまいります。このため、昨年見直された公共投資基本計画を踏まえて社会資本整備の着実な推進に努めてまいりたいと存じます。
 国民生活の安全は、「安心できる政治」の実現の上で不可欠な要素であります。製造物責任法が本年七月に施行されますが、製品の安全性に関する消費者利益の増進を図る観点から、総合的な消費者被害防止・救済策の確立に努めてまいります。
 最近、一般市民を対象とした凶悪な発砲事件や薬物をめぐる事件が多発しております。良好な治安は、世界に誇るべき我が国の最も貴重な財産とも言うべきものでございます。これを守るために、国民の皆様とともに今後とも全力を尽くす所存でございます。
 以上申し述べました「自由で活力のある経済社会の創造」、「次の世代に引き継いていける知的資産の創造」、「安心して暮らせるやさしい社会の創造」という政策目標の達成のためには、相互に連関した各種の課題を総合的にとらえ、計画的に解決していかなければなりません。このため、政府としては、二十一世紀に向け、新たな経済社会の創造や国土づくりの指針となる経済計画や全国総合開発計画を策定し、これらの創造のための施策を積極的に展開してまいりたいと考えているところでございます。
 私は、戦後五十年という節目の年を迎えて、過去への反省を忘れることなく世界平和の創造に力を尽くしていくことが我が国外交の原点であるということを、いま一度強調したいと思います。我が国が目指すべき平和への道は、武力の行使による平和の実現ではなく、過去の痛ましい経験から得た知恵や世界に誇る技術の力、あるいは経済協力を通じた世界の平和と繁栄の実現であります。それは「人にやさしい政治」を国際社会に広げていく道でもあります。
 我が国は、みずから非核三原則を堅持するとともに、核兵器を含む大量破壊兵器やミサイルの拡散防止、通常兵器の移転の抑制に努力してまいります。昨年我が国が国連総会において提案をした核兵器の究極的廃絶に向けた核軍縮に関する決議は、圧倒的多数によって採択されました。今後とも核兵器不拡散条約の無期限延長の実現や全面核実験禁止条約の早期妥結など、唯一の被爆国として、核兵器の究極的廃絶と軍縮に向け世界に積極的な働きかけを行う考えでございます。
 世界に向けて軍縮を唱える我が国が、みずからも節度ある対応をとることは当然であります。平和憲法の理念を遵守し、近隣諸国の信頼の醸成に力を入れつつ、国際情勢を踏まえた必要最小限の防衛力整備に努めていくことを、改めて内外に申し上げたいと存じます。
 戦後処理の問題については、さきの大戦が我が国国民とアジア近隣諸国等の人々に多くの犠牲と傷跡を残していることを心に深くとどめ、昨年八月の私の談話で述べたとおり、平和友好交流計画や戦後処理の個別問題について誠意を持って対応してまいります。これは日本自身のけじめの問題であり、アジア諸国等との信頼を増す結果となると確信しております。
 本年は国連にとっても創設五十周年の記念すべき年に当たります。この歴史的契機に、世界の平和と安定の確保及び環境、貧困、難民といった地球的課題への対処などの分野での国連の機能を強化し、その改革を一層進展させていかなければなりません。我が国としても、安保理改革を初めとする国連改革の議論に積極的に参加してまいります。
 世界には、冷戦後の今日にあっても引き続き未解決の問題や不安定要因が存在しております。モザンビークにおけるPKOやルワンダ難民救援のための自衛隊部隊等々の活動は国際的にも高く評価されましたが、我が国としては、地域紛争の予防と解決のために、外交努力や人道・復興援助等の面の協力に加え、平和維持活動など国連の活動に人的な面や財政面で引き続き積極的に貢献していく所存でございます。
 アジア・太平洋地域には、目覚ましい経済発展等を背景に、域内各国間の相互依存関係を一層深化させることが必要であるという共通の認識が生まれてきております。我が国としても、この地域さらには世界全体の平和と繁栄を実現するべく、ASEAN地域フォーラム等における政治・安全保障対話やAPEC等での経済面の協議を通じ、協力の強化を図ってまいります。本年、我が国はAPECの議長国として大阪で会議を開催いたしますが、この地域の成長が我が国の繁栄と密接に結びついていることを十分認識をし、発展と調和のとれた貿易・投資の自由化の促進やこの地域の発展基盤の整備等の協力の前進のために尽力する所存でございます。
 朝鮮半島に関しましては、昨年十月の米朝合意が緊張緩和の契機となることを願いますが、情勢は今後とも予断を許しません。まず重要なことは、北朝鮮が今次合意内容に沿い誠実に行動し、核兵器開発問題に対する国際社会の懸念を払拭することであります。我が国としては、韓国、米国等々の関係諸国と緊密に連携しつつ朝鮮半島の平和と安定のためにできる限りの貢献を行っていく所存でございます。
 韓国との間では、友好と協力を基礎とし、未来に向けた両国関係の強化に努めてまいります。
 また、日中関係につきましては、一層の発展を目指し、中国の改革・開放政策が着実に進むよう引き続き協力をし、国際社会が直面する諸問題についても中国とともに積極的に参画してまいりたいと考えております。
 戦後五十年の年の初めに行ったクリントン大統領との首脳会談でも認識の一致を見たとおり、日米両国は、この五十年の間に、世界の平和と繁栄に対する責任を共有するところまでその関係を発展させてまいりました。今回の首脳会談では、これからの日米協力のあり方を十分話し合い、安全保障面での対話、APECの成功のための協力、地球規模の問題の解決や開発途上国の女性支援等、多くの課題において将来に向けた相互の協力関係を一層発展させていくことを合意したところであります。また、このような協力関係の政治的基盤となっている日米安保体制を堅持していくことを改めて確認をいたしました。沖縄の基地問題についても、米国側の協力を得て今後さらなる努力を払っていく所存であります。日米協力関係は、両国にとってのみならず、国際社会全体にとって極めて重要な関係であります。今後ともその協力強化に努めていきたいと考えております。
 日米関係においては、ともすれば経済面での摩擦に焦点が当たりがちですが、両国間の経済関係を円滑に運営していくことが双方の利益であることを改めて想起すべきだと考えます。昨年来大きな前進を見ている包括協議についても、今回の首脳会談の成果も踏まえ、引き続き積極的に取り組んでいく所存であります。
 欧州においては、EUの拡大に向けて着実な進展が見られております。一体性を強め国際社会における発言力を増しつつある欧州との関係強化は、極めて重要であります。最近欧州側も我が国との対話と協調を重視する建設的姿勢をとっていることを踏まえ、経済・政治分野を含む広範な協力関係の構築に引き続き努めてまいります。
 混迷するロシア情勢を注視していく必要がありますが、今後とも政治経済両面にわたり均衡のとれた日ロ関係を進展させる必要があります。特に両国間の最大の懸案である北方領土問題が今日もなお未解決であることは、大変残念なことであります。私としては、東京宣言に基づき、政治対話の推進等を通じ、これを解決し両国関係の完全な正常化を達成するために、さらなる努力を払ってまいる所存でございます。
 中東地域につきましては、昨年の和平に向けての画期的進展を一層発展させていくため、関係諸国首脳等との政治対話、多国間協議への参加、対パレスチナ人及びイスラエル周辺国支援などを通じ協力を進めてまいりたいと存じます。
 今や、国境線を越えて各国や地域間の経済の相互依存関係がますます深化し、国家は対立の中では互いの繁栄を実現できない状況にございます。このような中、我が国としても規制緩和や市場アクセスの一層の改善などにより、国際社会と調和のとれた経済社会の実現に努力してまいります。本年一月一日、WTOが発足し、世界的な貿易の自由化の中核となる国際機関が誕生いたしました。WTOは、貿易の自由化と規律の強化を通じて世界経済に多大の利益をもたらします。これまで自由貿易の利益を最も享受してきた我が国としては、WTOにおいて積極的な役割を果たすことなどにより、多角的自由貿易体制の一層の強化に貢献してまいりたいと考えています。
 世界には、いまだ貧困や停滞から脱することができないでいる諸国や人々が数多く存在しています。これらの諸国の経済的発展を積極的に支援していくことは、平和国家として、そして国際的にもやさしい社会の創造を目指す我が国が最も力を入れて取り組むべき分野であります。我が国の地位にふさわしい貢献を図るため、政府開発援助大綱を踏まえ、環境と開発の両立や民間援助団体との連携も念頭に置いて、貧困に悩む偶発途上国や市場経済への移行努力を続ける諸国などに対する支援を続けていきたいと思います。また、環境問題や人口問題など地球規模の問題については、我が国の知識や経験をもって、引き続き国際社会の共通の認識や枠組みづくりに向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 ことしは戦後五十年であると同時に、あと五年余りで新世紀を迎える年でもあります。二十一世紀が人類にとって希望に満ちた世紀となり得るかどうかは、残された期間における今の世代の取り組みがその成否を決すると言っても過言ではありません。
 二十一世紀というまだ見ぬ未来への助走期間において政治に求められていることは、新たな時代に生きる我々の孫やひ孫のために今我々が何をなすべきかを虚心に話し合い、その答えを見出し、勇気を持って実行に移すことであります。今ほど真摯な政策論議とそれに基づく改革努力が求められているときはございません。私もこのことをしっかりと心に置いて、透明で開かれた政策論議を重ねながら「創造とやさしさの国づくり」に全力を傾けてまいります。
 国民の皆様と議員各位の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(原文兵衛君) 河野外務大臣。
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(河野洋平君) 第百三十二回国会の開会に当たり、私は、改めて心を引き締め、全力で日本外交の推進に尽力する決意であります。
 外交の基本方針につき所信を申し述べるに先立ちまして、十七日に起きました兵庫県南部地震で犠牲になられた方々とその御遺族に対し慎んでお悔やみを申し上げるとともに、負傷された方々及び被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。また、諸外国からも多くのお見舞いと支援の申し出をいただいていることを報告申し上げ、あわせてこれらの国々に謝意を表したいと存じます。
 国際社会においては、冷戦終結後の平和と繁栄を確かなものにすることを目指し、たゆみない努力が続けられていますが、政治経済両面での課題は多く、その実現は決して容易ではありません。外交の目的は言うまでもなく国際政治の現実を踏まえて着実に国民の利益を図っていくことにありますが、国家間の相互依存が深まる中、我が国の安全と繁栄は国際社会全体の平和と繁栄の中でのみ実現できることは明らかになってきております。私は、そのような認識のもと、我が国外交が世界平和と繁栄に創造的役割を果たせるよう努める決意であります。
 本年は戦後五十周年を迎えます。この節目の年に当たり、私は、基本的人権の尊重、民主主義、平和主義といった我が国の憲法の掲げる理念のもと、これらの理念を国際社会においても実現するべく努力をし、人類全体のよりよき未来を築いていかなければならないとの思いを新たにしております。
 次に、我が国として取り組むべき主要な政策課題につき述べたいと思います。
 第一に、地域紛争への対応が冷戦後の国際社会における重要な課題であります。
 私は、この問題の解決のためには、紛争の予防、政治的和解、停戦・選挙監視、人道援助、復興開発援助などあらゆる側面からの包括的取り組みが重要であると考えます。我が国は憲法が禁ずる武力の行使を行わないことはもとよりでありますが、個々の状況に照らし、我が国が最も適切に貢献できる形で紛争解決に積極的に取り組んでいく所存であります。
 昨年、国連の平和維持活動について、我が国はエルサルバドル、モザンビークにおける活動に参加いたしましたが、今後とも要員、物資、資金のそれぞれの観点から国連平和維持活動に積極的に協力してまいります。
 ルワンダについては、我が国として初めて大規模な国際的な人道教憂活動を行うため派遣した約四百名の自衛隊部隊などが、所期の任務を全うし無事帰還いたしました。彼らの立派な活動を心からたたえたいと存じます。政府としては、今後とも、ルワンダの難民支援とその帰還のための環境整備及びルワンダ国内の安定などに向け、NGOなど民間の支援活動との連携を強めながら、国際社会とともにできる限りの協力を行っていく所存であります。
 さらに、我が国は、旧ユーゴスラビアの紛争への取り組みとして人道支援やバルカン半島南部における予防外交などに努めていくほか、中東和平の促進のため、政治対話の強化、多国間協議への参画、対パレスチナ人支援及びイスラエル周辺国の支援などに努めてまいります。
 今後とも、このような形で地域紛争の平和的解決に一層の協力を行っていく所存であります。
 第二に、大量破壊兵器の不拡散など軍備管理・軍縮問題に積極的に取り組んでまいります。
 昨年は、北朝鮮の核兵器開発問題に関して米朝合意が成立し、ウクライナの核不拡散条約への加入による第一次戦略兵器削減条約の発効などの進展も見られましたが、依然核兵器の拡散の危険は大きいものがあります。その中で、我が国は、唯一の核被爆国として、非核三原則を堅持するのみならず、核兵器の究極的廃絶に向け引き続き努力してまいります。昨年、我が国は国連総会において核兵器の究極的廃絶に向けた核軍縮に関する決議を提案し、圧倒的多数によって採択されましたが、これもこのような取り組みの一環であります。我が国は、全面核実験禁止条約交渉の早期妥結とともに、核不拡散条約の無期限延長に積極的に取り組んでいく所存であります。
 また、その他の大量破壊兵器やミサイルの拡散を防止すること、また、多くの紛争が大量に蓄積された武器によって深刻さを増している現実にかんがみ、武器の売却が抑制されることが重要であり、そのために努力を傾けてまいります。
 北朝鮮の核兵器開発問題については、米朝合意が確実に実施され、北朝鮮の核兵器開発に関する国際社会の懸念が払拭されることが重要であります。このため、我が国としても、今後とも米国、韓国などの関係諸国と緊密に連携しつつ最善の努力を払ってまいります。
 第三に、世界経済の繁栄のため我が国は主要な役割を果たさなければなりません。
 主要国経済においては、総じて景気の回復・拡大が見られますが、雇用問題など依然大きな困難を抱えております。このような中にあって、我が国は、世界経済の持続的成長を確保する観点からも、内需主導型の経済運営に努めるとともに、抜本的な規制緩和の実施などの国内経済改革により、市場アクセスの一層の改善と内外価格差の解消に努め、中期的に経常収支黒字の十分意味のある縮小を達成すべく努力する必要があります。
 本年一月一日、世界貿易機関が発足いたしました。これにより、大幅な関税引き下げに加え、サービス貿易、知的所有権、紛争解決手続などの分野における規律の策定や強化が実現されることとなりました。これは、多角的自由貿易体制の維持強化に向け大きな意義を有するものであり、改めて七年以上にわたる農業問題を含むウルグアイ・ラウンド交渉及びその後の国内手続に当たられた関係者の御協力に謝意を表したいと思います。我が国としては、今後、世界貿易機関において積極的に役割を果たすとともに、投資の自由化、貿易と環境などウルグアイ・ラウンド後の課題にも真剣に取り組み、もって多角的自由貿易体制の一層の強化に貢献していく所存であります。
 世界において経済・社会開発を促し人権の尊重と民主主義を確保していくことが、我が国が取り組むべき第四の課題であります。
 アジア・太平洋、アフリカ、中近東、中南米、旧ソ連、中・東欧の多くの国が民主化や経済開発の努力の過程でさまざまな課題を抱えており、我が国は、社会の不安定や紛争の原風を取り除くべく支援をしていくとともに、民主的な制度づくりを助けていく考えであります。開発援助の実施に当たっては、政府開発援助大綱を踏まえ、被援助国の軍事支出の動向や民主化、市場経済化の進展等に注意を払いつつ第五次中期目標を着実に実施してまいります。また、NGOとの連携の強化に努めるとともに、開発途上国の女性に対する支援を拡充していく所存であります。さらに、これらの諸国を国際協調に組み込んでいくため、貿易や投資の促進や政策対話の推進に取り組んでまいります。
 第五に、環境、人口、エイズ、麻薬といった地球規模の問題に取り組まなければなりません。
 我が国は、これらの分野の多くで豊富な経験と進んだ技術を有しており、国際的な枠組みづくりへの貢献や政府開発援助などを通じ国際社会においてイニシアチブを発揮していく考えであります。その一環として、私は、昨年九月、国際人口・開発会議に出席をいたしまして、地球規模問題イニシアチブのもとでの人口・エイズ問題に関する国際協力を表明したところであります。
 国家間の相互依存関係がかつてないほどに深まっている現在、ただいま述べました諸課題への取り組みに当たっては国際協調の強化が不可欠であります。その際、我が国としては、国連やG7などのグローバルな場での協力とアジア・太平洋における地域協力を相互補完的に進めていくことが必要であります。
 国連は、冷戦後の世界の平和と繁栄のため極めて重要な役割を期待されており、国連創設五十周年に当たる本年、時代に適合した国連改革を一層前進させることが重要であります。私は、昨年の国連総会において、我が国は、国際貢献についての基本的な考え方のもとで、多くの国々の賛同を得て、安保理常任理事国として責任を果たす用意があることを表明いたしました。政府としては、国民の皆様の一層の御理解を得て、この安保理改組問題の進展に引き続き努めてまいります。また、本年の社会開発サミット及び世界女性会議の成功に積極的に協力をいたします。
 アジア・太平洋地域においても、経済及び政治・安全保障の両面における具体的な協力の動きをさらに確実なものにしていきたいと考えます。
 特に、昨年十一月のAPEC非公式首脳会議においては、今後のアジア・太平洋地域の発展の観点より大所高所から率直な意見交換が行われ、貿易・投資の促進・自由化と開発面での協力の具体化に向け大きな一歩がしるされました。本年、我が国はAPECの議長国として非公式首脳会議と閣僚会議を開催いたしますが、地域協力の一層の前進を図るため、積極的にその任を果たしてまいります。
 また、昨年は、アジア・太平洋地域における初めての全域的な安全保障対話として、第一回ASEAN地域フォーラムが開催されました。域内各国間の相互の安心感を高めるための具体的協力を進展させるため、今後とも同フォーラムに積極的に参画してまいります。
 このような地域協力を推進していくためにも、日米安保体制をその政治的基盤とする強固な日米関係の存在が極めて重要であります。今般の村山総理の訪米において、日米両国がさまざまな課題において協力を推進していくことにつき合意したことは、日米関係を一層強固なものとすると考えます。日米安保体制については、我が国の安全を確保していくためばかりでなく、アジア・太平洋の安定のためにも極めて重要であることを改めて確認しました。
 我が国としては、今後とも、日米安保体制を堅持し、安全保障面での対話を促進するとともに、米軍駐留経費負担問題を含め、その円滑かつ効果的な運用に努めてまいります。また、日米間の幅広い緊密な経済関係を円滑に発展させていくことが重要であることは、疑問の余地がありません。
 包括経済協議については、昨年来得られた成果をも基礎としつつ、引き続き積極的に取り組んでいく考えであります。特にその枠組みのもとで進められている地球規模問題に関する協力は、具体的な成果を生んでおり、一層の進展を図ってまいります。
 私は、戦後五十周年のこの年に、以上述べた日米協力を着実に結実させることにより、日米パートナーシップを将来に向けた前向きなものとして一層強化していく所存であります。
 韓国との友好協力関係の発展は、我が国外交政策の重要な柱の一つであります。今後とも、歴史の教訓を踏まえつつ、日韓関係を未来に向けた安定したものとし、さらに国際問題にも協力して取り組む関係を強化するための努力を積み重ねてまいります。
 また、良好で安定した日中関係をさらに発展させていくことは、日中両国のみならず、アジア太平洋地域ひいては世界の平和と繁栄にとり極めて重要であります。我が国としては、中国の改革・開放政策が着実に進展していくよう引き続き協力を行うとともに、国際社会が直面する諸問題に関する日中両国の協力関係を強化し、成熟した未来志向の日中関係をさらに発展させていく考えであります。
 このようにアジア・太平洋地域における各国との協調関係を強化する一方、この地域に残っている不正常な関係を正常化することも重要であります。
 言うまでもなく、朝鮮半島における緊張の緩和、南北対話の促進が図られなければなりません。日本と北朝鮮の関係についても、南北関係や米朝関係の進展と相まって改善の努力を強化すべきものと思います。私は、改めて日朝国交正常化交渉の再開を呼びかけるとともに、北朝鮮側の前向きな対応を期待したいと思います。
 日ロ関係の幅は広がっていますが、いまだに領土問題が解決されず、平和条約が締結されていないという極めて不自然な状態が続いております。日ロ関係の完全な正常化は、アジア・太平洋の平和と安全のためにも重要であり、東京宣言を基礎として日ロ関係全般を均衡のとれた形で拡大させるために一層の努力を払う考えてあります。また、領土問題解決に向けて、四島交流など両国国民間の相互理解の促進を図る所存であります。チェチェン情勢については、多数の犠牲者が出ている事態は人道的観点から遺憾であり、国内秩序の平和的回復を強く期待するとともに、ロシアの改革が後退することなく継続されることを希望しております。
 自由、民主主義といった基本的価値を共有し、世界の約七割のGNPを占め世界全体の平和と繁栄に大きな影響を持つ日米欧主要各国の協力は、国際問題の解決に当たってますます重要になっております。我が国としても、G7などの場において引き続き日米欧間の政策協調の強化に努めてまいります。
 その中で、欧州は、欧州連合における協力の拡大、深化を背景として、引き続き国際社会において重要な存在であり、我が国としても、経済分野における協力はもとより、政治対話を含む広範な協力関係の構築に引き続き努めてまいります。
 国際協調を進展させるためには、各国との相互理解と信頼関係を一層強固なものとしていくことが出発点であります。特に本年は戦後五十周年という節目の年であり、我が国としてアジアの近隣諸国などその間の過去の歴史を直視し、そこから将来に向け、各国との相互理解や相互信頼を促進することが重要であります。そのため、昨年八月末の内閣総理大臣の談話で発表された基本方針に従って、歴史研究への支援を含め、平和友好交流計画などにつき誠意を持って対応してまいります。
 また、相互信頼の基礎になるのは、まずお互いの文化に触れ、歴史を学び、心と心の触れ合いを育てていくことであります。そのため、広報活動の強化と文化面での交流、協力の拡充強化を行っていくほか、科学技術面での協力を一層積極的に進めてまいります。
 以上申し述べましたように、激動する国際情勢の中で、我が国が的確かつ機動的な外交活動を展開していく必要性は増大いたしております。政府としては、海外での日本人の安全確保の重要性を強く認識しており、さきの自衛隊法の一部改正により緊急時の邦人救出のために政府専用機などの派遣が可能となったことをも踏まえて、今後とも、在外公館の邦人保護体制及び危機管理能力の強化に努めてまいります。私は、外交実施体制の強化に一層努めるとともに、そのよって立つ基礎としての国民の皆様の一層の御理解が得られるよう引き続き努力してまいります。
 何とぞ議員各位、国民の皆様の一層の御支援と御協力をお願い申し上げます。(拍手)
#16
○議長(原文兵衛君) 武村大蔵大臣。
   〔国務大臣武村正義君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(武村正義君) 平成七年度予算の御審議をお願いするに当たり、今後の財政金融政策の基本的な考え方について所信を申し述べますとともに、予算の大要を御説明いたします。
 まず、今回の兵庫県南部地震で亡くなられた方々とその御遺族に対し深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。今後、速やかに被害状況を把握の上、財政金融上の措置につきましても、補正予算の検討も含めて、最善を尽くしてまいる所存であります。
 我が国は、戦後五十年の間に、国民一人一人の英知と努力により幾多の試練を乗り越え世界にも例を見ない目覚ましい経済発展を遂げてまいりました。バブル経済崩壊以後の長きにわたったここ数年の低迷からも抜け出し、ようやく我が国経済にも明るさが広がりつつあります。
 一方、目を外に転じますと、世界経済の一体化が一層進む中で、アジア諸国の急速な成長や旧計。画経済諸国の国際市場への参入など、我が国をめぐる情勢には大きな変化が見られます。
 このような内外の諸情勢のもとで、今後我が国の進むべき道は、来るべき二十一世紀を展望しつつ、国内的には国民一人一人が生活面での真の豊かさを実感できるような活力ある経済社会を実現していくとともに、対外的には世界経済の安定的発展のために我が国にふさわしい貢献をしていくことにあると考えます。
 まず、財政金融政策の前提となる最近の内外経済情勢について申し上げます。
 我が国経済は、これまで景気を下支えしてきた公共投資と住宅投資が引き続き高水準で推移することに加え、個人消費や設備投資などの民間需要の自律的回復を通じて、内需を中心とした安定成長に向かうものと期待しております。
 国際経済情勢を見ますと、世界経済は、地域によってばらつきが見られるものの、全体として拡大基調を強めております。先進諸国では景気拡大の足並みがそろい、また、旧計画経済諸国の一部に低迷が見られるものの、アジアを中心とした開発途上国では景気は拡大を続けております。
 私は、今後の財政金融政策の運営に当たり、このような最近の内外経済情勢を踏まえ、以下に申し述べる諸課題に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
 第一の課題は、現在回復局面にある我が国経済における内需を中心とした安定成長の確保であります。
 二十一世紀に向けて、我が国が豊かで活力ある経済社会を構築し調和ある対外経済関係を形成していくためには、内需を中心とした安定成長を持続していく必要があります。
 さきに申し上げましたように、我が国経済は、これまでの累次にわたる経済対策等の効果もあって、緩やかながらも回復基調をたどっております。
 平成七年度予算編成に当たりましても、このように回復局面にある我が国の経済情勢を踏まえ、一段と深刻さを増した財政事情のもと、平成六年度と同程度規模の所得減税を引き続き実施するほか、公共投資の着実な推進を図るとともに、国内産業の空洞化の懸念等の構造的課題にも適切に対処し、我が国経済の中長期的な安定成長に資するものといたしたところでございます。
 今般の税制改革も、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立って行ったものであり、我が国経済社会の豊かさと活力の維持増進に資するものと確信いたしております。
 金融面では、七次にわたる公定歩合の引き下げの効果などにより、各種金利は依然として低い水準にあり、今後ともその効果を見守ってまいる所存であります。
 また、為替相場につきましては、経済の基礎的諸条件を反映して安定的に推移することが望ましいと考えており、今後とも為替相場の動向を注視し、適宜適切に対処し、為替相場の安定を図ってまいる所存であります。
 第二の課題は、財政改革を引き続き強力に推進することであります。
 財政改革の目的は、一日も早く財政がその対応力を回復することにより、今後急速に進展する人口の高齢化や国際社会における我が国の責任の増大など社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応し、我が国経済社会の豊かさと活力を維持増進していこうとするところにあります。財政の硬直化がさらに進めば、我が国経済の発展にとって重大な支障となりかねません。このため、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくことが基本的な課題であり、将来の世代に多大な負担を残さず健全な形で我が国経済社会を引き継いていくことこそ今の我々に課せられた重大な責務であることに、改めて思いをいたさねばなりません。
 しかしながら、我が国財政の現状を見ますと、累次にわたる経済対策を実施するための公債発行等の結果、公債残高は急増し、昨年末にはついに二百兆円を超え、国債費が政策的経費を圧迫するなど、構造的にますます厳しさを増しております。また、国際的に比較しましても、公債依存度、利払い費率等が主要先進諸国の中でも一、二を争う高い水準にあるなど、我が国財政は著しく悪化した状況にあります。さらに、これに加え、平成五年度決算において税収が三年連続して減少し、初めて二年連続して決算上の不足を生じるという極めて異例な事態となり、その後の税収動向にも厳しいものが見込まれております。
 平成七年度予算については、各般の努力により、何とか財政体質の歯どめなき悪化につながりかねない特例公債の発行によることなく編成することができましたが、極めて厳しい状況のもと、NTT株式の売却収入に係る無利子貸し付けの繰り上げ償還に係るものを除いた建設公債の発行額を増加せざるを得なかったばかりか、平成五年度決算上の不足額の繰り戻しの延期等の特例的な措置をとるのやむなきに至ったところであります。この結果、平成七年度末の公債残高は約二百十二兆円に増加する見込みであり、また、特例的な措置の中には今後処理を要するものもあるなど、財政事情は一段と深刻の度を増していると言わざるを得ません。
 こうした足元の財政事情に加え、安定成長下の経済におきましては、過去見られたような大幅な税収の増加を期待することは困難であることを考えれば、今や我が国財政は一刻も放置しておけないほどに脆弱な体質になっていると言っても過言ではありません。
 私といたしましては、我が国財政がこのように切迫した状況にあることについて、広く訴えるとともに、国民の御理解と御協力を得て、今後、さらに一歩でも二歩でも財政改革の歩を進めるべく全力を尽くしてまいる所存であります。
 第三の課題は、調和ある対外経済関係の形成と世界経済発展への貢献に努めることであります。
 世界経済は貿易や直接投資の拡大とともに相互依存関係をさらに深めつつありますが、その中にあって、我が国は、調和ある対外経済関係の形成に努めるとともに、世界経済の発展のために積極的に貢献していく必要があると考えます。
 我が国としては、世界経済のインフレなき持続的成長の強化を目指して、G7蔵相・中央銀行総裁会議を通じた政策協調を進めるとともに、APEC蔵相会合等において各国との対話、協調に努めてまいります。
 日米包括協議の金融サービス分野における協議につきましては、先般、決着を見たところであります。その中で、我が国が実施することを表明した金融サービスに係る規制緩和措置等につきましては、これを誠実に実施してまいる所存であります。
 七年半にわたるウルグアイ・ラウンド交渉の終結を受けて、本年一月一日に世界貿易機関が発足いたしました。我が国としても、この新たな国際機関のもと、多角的自由貿易体制の維持強化に一層積極的に貢献してまいりたいと考えております。
 平成七年度におきましては、関税制度について、石油関係の免税・還付制度の適用期限の延長、自動車用繊維製品等の関税撤廃等の改正を行うことといたしております。
 経済協力につきましては、引き続き開発途上国への支援の促進に努めてまいるとともに、旧計画経済諸国についても市場経済への円滑な移行のため、他の主要先進国とも協調しつつ適切な支援を行ってまいる所存であります。
 第四の課題は、金融自由化の着実な推進とともに、証券市場の活性化を図ることであります。
 我が国経済の今後の発展を確保するためには、国民の金融システムに対する信頼を確保し経済活動に必要な資金の円滑な供給を図るとともに金融資本市場の自由化、国際化を着実に進展させることが不可欠であります。
 このような観点から、金融行政においては、金融システムの安定性確保のため万全を期するとともに、金融機関の不良資産の処理の促進及び資金の円滑な供給の確保を図ってまいる所存であります。また、金融自由化につきましては、これを着実に推進しているところであり、昨年十月には、流動性預金の金利が自由化されたことにより預金金利の自由化措置がすべて実施されております。金融制度改革につきましても、証券子会社や信託銀行子会社の営業が開始されるなど、着実に進展しております。
 保険制度改革につきましては、昨年六月の保険審議会報告を踏まえ、所要の法律案を今国会に提出すべく現在鋭意準備を進めているところであります。今回の保険制度改革は、自由化、国際化等の環境の変化に対応するとともに、保険事業の健全性を確保することを目的とした改革であり、二十一世紀に向けて新しい保険制度を構築しようとするものであります。
 証券市場の活性化のための施策につきましては、個人投資家の株式投資を促進し証券市場のすそ野を拡大する観点から、先般、証券投資信託の改革の具体的方策を取りまとめ、実施に移しているところであります。また、我が国における外国株市場活性化のため、外国株に係る上場基準等の緩和と外国企業に係る開示費用の軽減措置を講じたところであります。さらに、研究開発型、知識集約型等の新規事業を実施する企業の資金調達をより一層促進するため、店頭登録制度について所要の見直しを行うこととしております。また、社債の発行に係る適債基準等の基本的見直しを本年度中に行うこととしております。
 次に、平成七年度予算の大要について御説明いたします。
 平成七年度予算は、財政体質の歯どめなき悪化につながりかねない特例公債の発行を回避するため、従来にも増して徹底した歳出の洗い直しに取り組む一方、限られた財源の中で資金の重点的、効率的な配分に努め、質的な充実に配意することとして編成いたしました。先ほども述べましたとおり、平成七年度予算編成をめぐる財政事情の厳しさには尋常ならざるものがあり、全体として歳出規模の圧縮に努めましたが、厳しい中にあって、豊かで活力ある経済社会の構築等のために真に必要な施策に要する経費の確保に努め、いわば風雪の中の寒梅のような予算づくりを目指したところであります。
 歳出面につきましては、既存の制度、施策について見直しを行うなど経費の徹底した節減合理化に努めることとし、一般歳出の規模は四十二兆一千四百十七億円、前年度当初予算に対し三二%の増加となっております。
 国家公務員の定員につきましては、第八次定員削減計画を着実に実施するとともに、増員は厳に抑制し、二千八十五人に上る行政機関職員の定員の縮減を図っております。
 補助金等につきましては、地方行政の自主性の尊重、財政資金の効率的使用の観点から、その整理合理化を積極的に推進することといたしております。
 また、現下の一段と深刻さを増した財政事情にかんがみ、特例的な措置として平成六年度予算に引き続き国債整理基金特別会計に対する定率繰り入れ等三兆二千四百五十七億円を停止する等の措置を講ずるとともに、平成五年度の決算上の不足に係る国債整理基金からの繰り入れ相当額五千六百六十三億円の同基金への繰り戻しを延期するという臨時異例の措置を講ずることといたしております。これらの措置につきましては、税外収入の確保のための特別措置とあわせ、別途、平成七年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案を提出し、御審議をお願いすることといたしております。
 これらの結果、一般会計予算規模は七十兆九千八百七十一億円、前年度当初予算に対し二・九%の減少となっております。
 次に、歳入面について申し述べます。
 税制につきましては、今般の税制改革及び特別減税に関連する法律が成立したことを踏まえ、平成七年度税制改正として、最近の社会経済情勢の変化及び現下の厳しい財政状況に顧み、課税の適正公平を確保する観点から、租税特別措置の大幅な整理合理化を行うとともに、早急に実施すべき措置を講ずることといたしております。今後とも、あるべき税制に向けて不断に努力をしてまいります。
 税の執行につきましては、今後とも国民の信頼と協力を得て、一層適正公平に実施するよう努力してまいる所存であります。
 また、税外収入につきましては、一段と深刻さを増した財政事情のもと、外国為替資金特別会計及び自動車損害賠償責任再保険特別会計からの一般会計への繰り入れの特別措置を講ずる等、格段の増収努力を払っております。
 公債につきましては、公共事業等の財源を確保する等のため、建設公債九兆七千四百六十九億円を発行することといたしております。また、所得税減税の実施等による平成七年度における租税収入の減少を補うため、いわゆる減税特例公債二兆八千五百十一億円を発行することといたしております。なお、借換債を含めた公債の総発行予定額は三十七兆九千七百五十八億円となっております。
 財政投融資計画につきましては、対象機関の事業内容等を厳しく見直すとともに、国民生活の質の向上等各般の政策的諸要請に的確に対応していくとの考え方に立ち、住宅建設、地域の活性化等の分野を中心に一層の重点的、効率的な資金配分を図ったところであります。
 この結果、一般財投の規模は四十兆二千四百一億円、二・一%の増加となっております。また、資金運用事業を加えた財政投融資計画の総額は四十八兆一千九百一億円、前年度当初計画に対し○・七%の増加となっております。
 次に、主な経費について申し上げます。
 公共事業関係費につきましては、昨年十月に策定された新しい公共投資基本計画を踏まえ、本格的な高齢化社会が到来する前に着実に社会資本整備を推進するとの観点に加え、回復局面にある我が国経済情勢も考慮し、高い伸びを確保することとしております。また、住宅、下水道、環境衛生等の国民生活の質の向上に結びつく分野を初め、二十一世紀に向けて新たな時代のニーズに的確に対応するため思い切った重点投資を行うなど、重点的、効率的な配分に一層の努力を払っております。また、住宅金融公庫融資の着実な推進、公共賃貸住宅の供給の促進、住宅宅地関連公共施設の整備の促進など、住宅対策の拡充を図っております。
 社会保障関係費につきましては、老人保健制度及び国民健康保険制度の改正、公費負担医療制度の見直しを行うほか、高齢者保健福祉推進十カ年戦略を全面的に見直し、老人介護対策のさらなる充実を図るとともに、低年齢児保育の充実など緊急保育対策等を推進することに加え、がん対策、エイズ対策等の諸施策についてきめ細かく配慮をしております。
 雇用対策につきましては、雇用の安定に万全を期するため、産業構造の変化や大学新卒者等にも配慮した総合的な雇用対策等を引き続き推進することといたしております。
 文教及び科学振興費につきましては、教育環境の整備、高等教育、学術研究の改善充実、文化の振興等を図るとともに、基礎研究の充実を初め科学技術振興のため、各般の施策の推進に努めております。
 中小企業対策費につきましては、中小企業の置かれている厳しい経営環境に配慮し、技術、ノウハウの開発やその事業化及び創業への支援による中小企業の創造的事業活動の促進策を初め、特に緊要な課題に重点を置いて施策の充実を図っております。
 農林水産関係予算につきましては、世界貿易機関設立協定の承認やいわゆる新食糧法の成立等、我が国農業・農村を取り巻く内外の諸情勢を踏まえ、経営感覚にすぐれた効率的、安定的な経営体が生産の大宗を担う農業構造の実現に重点を置くこととし、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策を含め所要の施策の着実な推進に努めております。
 経済協力費につきましては、開発における女性の役割の重視、環境への配慮等の新しい側面に十分配慮するとともに、NGOとの連携を強化するなど援助実施体制の充実に努めるほか、開発途上国における人づくり支援等老通じ、きめ細かく真に効率的な援跡を目指すことといたしております。
 防衛関係費につきましては、東西冷戦終結後の国際情勢、一段と深刻さを増している我が国の財政事情などを踏まえ、効率的で節度ある防衛力の整備を図ることとしております。
 エネルギー対策費につきましては、地球環境保全の重要性等も踏まえ、総合的なエネルギー対策の着実な推進に努めております。
 地方財政につきましては、平成六年度に引き続き極めて厳しい状況になっておりますが、円滑な地方財政の運営に支障を生じることのないよう所要の措置を講ずることとし、所得税減税、住民税減税の影響について、交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金や減税補てん債の発行により補てんずるとともに、一般会計からの加算や同特別会計の借入金を活用すること等により、所要の地方交付税総額を確保することといたしております用地方公共団体におかれましても、このような厳しい財政事情のもと、従来にも増して歳出の節減合理化を推進し、より一層効率的な財源配分を行うよう要請するものであります。
 この機会に、平成六年度補正予算について一言申し述べます。
 平成六年度一般会計補正予算につきましては、歳入面では、最近までの収入実績等を勘案して租税及び印紙収入の減収を見込む一方、税外収入の増収等を計上するとともに、歳出面では、災害復旧等事業費、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策費、義務的経費の追加など特に緊要となった事項等について措置を講ずることとしております。
 以上によりまして、平成六年度一般会計補正後予算の総額は、当初予算に対し、歳入歳出とも六千七百三十五億円減少し、七十二兆四千八十二億円となっております。
 以上、平成七年度予算及び平成六年度補正予算の大要について御説明をいたしました。両予算が現下の諸情勢に果たす役割に御理解を賜り、何とぞ、関係の法律案とともに御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
 二十一世紀まであと六年足らず。今、新しい世紀を目前に控えた我々の責務は、内外の一層の調和ある繁栄を築き、我々の子孫に伝えていくことであります。
 しかしながら、その道は平たんではありません。我が国経済は、本格的な高齢化社会の到来や国際分業体制の進展など、内外の経済環境の変化を背景としたさまざまな構造的課題に直面しております。従来の発想や行動様式のままでは、これらを克服することはできません。
 二十一世紀に向け、活力に満ちた経済社会をつくり出すためには、簡素で効率的な行政のもとでより自由な経済活動を展開し、我が国に本来備わっている活力を改めて引き出すことが必要であります。そのためには、行財政改革と経済構造改革をともに強力に進めていかなければなりません。それは、困難で苦痛を伴う道ではありますが、国民一人一人が自信と勇気を持って取り組めば必ずや新たな地平を切り開くことができるものと確信しております。
 国民各位の一層の御理解と御協力を切にお願いする次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(原文兵衛君) 高村国務大臣。
   〔国務大臣高村正彦君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(高村正彦君) 我が国経済の当面する課題と経済運営の基本的考え方について、所信を申し述べたいと思います。
 まず、今回の兵庫県南部地震で亡くなられた方々とその御遺族に対し深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。今後速やかに被害状況を把握の上、その影響に十分留意して今後の経済運営に万全を期してまいります。
 戦後五十年間、我が国経済は、国民のたゆまぬ努力により幾多の困難と試練を乗り越えて、目覚ましい発展を遂げ、今や国民一人当たりの国内総生産額はOECD加盟国中第一位となりました。
 しかしながら、内外価格差の是正・縮小が大きな課題となるなど、国民が真に豊かさを実感できる社会の形成に向けてなお一層の努力が必要となっております。
 また、今回の景気調整過程の中で、日本経済のさらなる構造転換の必要性、高齢社会の本格化に備えての長期的な活力・成長力の維持などといった構造的課題がより明確に認識されるようになってまいりました。今ほど、こうした課題を克服し二十一世紀に向けて新たな経済社会を創造していくことが求められているときはありません。
 本年は、景気の回復を確実なものとすることはもとより、これらの諸課題を克服し新たな経済社会の創造を目指していく年としなければなりません。
 内外の経済の状況について申し述べたいと思います。
 世界経済の動向は、全体として拡大基調を強めており、米国では景気拡大が続き、西欧諸国の経済も拡大しております。市場経済への移行を進めるロシア等では総じて経済の低迷が続いておりますが、東欧諸国では生産が回復しつつあります。アジアでは経済が好調に拡大しております。こうした中で、ウルグアイ・ラウンド合意に基づきWTOが創設の運びとなり、APECにおいても当該地域における貿易・投資の促進・自由化等の方向が打ち出されるなど、将来に明るい展望を与える動きが出てきております。
 我が国経済の現状を見ますと、企業設備等の調整が続いているものの、景気は緩やかながら回復基調をたどっており、経常収支の黒字幅も縮小傾向にあります。ただし、雇用情勢については製造業を中心に依然厳しさが見られます。
 以上のような経済状況等を踏まえ、私は、平成七年度の経済運営に当たりましては、特に次の諸点を基本としてまいりたいと考えております。
 第一は、回復局面にある我が国経済を内需を中心とした安定成長へと導くことであります。
 このため、平成七年度予算においても、近年になく深刻な財政事情のもとで、公共事業関係費の四%の伸び率を確保するなど公共投資の着実な推進を図ったところであります。
 税制面においては、平成六年度と同規模の所得減税を引き続き実施し、働き盛りの中堅所得者層の負担累増感の緩和などを図ることとしております。
 さらに、住宅投資の促進、投資環境の整備を通じた民間投資の喚起など各般の施策を講じております。
 金融政策につきましては、内外の経済動向や国際通貨情勢を注視しつつ、今後とも適切かつ機動的な運営を図る必要があると考えております。また、金融機関による資金の円滑な供給、不良資産の処理を促進するための措置などを引き続き講じてまいります。
 雇用面では、産業構造の変化に伴う失業の予防、離職者の再就職促進、失業を経ない労働移動への支援、女性や高齢者の社会参加への支援を積極的に推進することにより、雇用の安定に万全を期してまいります。
 中小企業に対しましては、経営安定や新たな事業展開を図るための支援策を推進してまいります。
 物価の安定は、国民生活安定の基礎であり、経済運営の基盤となるものであります。今後とも、物価の安定の維持に努めてまいります。
 民間部門の自助努力に加え、以上のような政府の施策を適切に実施することにより、平成七年度の我が国経済は内需中心の安定成長に向かい、実質経済成長率は平成六年度の一・七%程度の実績見込みから二・八%程度に上昇するものと見込まれますが、為替の変動、兵庫県南部地震の影響等不確定要因も存在いたします。
 第二は、創造的で活力ある経済社会を構築するため規制緩和などの構造的な改革を着実に進めるなど、我が国経済の将来の発展に向けてその環境を整備することであります。
 まず、規制緩和につきましては、五年を期間とする規制緩和推進計画の着実な実施により、自己責任の原則と市場原理にのっとって民間活力が一層発揮され、新たな分野への挑戦が促されるような環境の整備に向けて努力してまいります。その際、競争制限的な慣行を改め、市場機能の一層の活用を図るため競争政策の積極的展開を図ることが重要と考えます。こうした取り組みは、高コスト構造の是正などを通じて内外価格差の是正・縮小にも資するものであります。
 最近の円高等を背景とした国内産業の空洞化やその雇用面への影響に対する懸念に対処し、政府が一体となって産業構造の転換と雇用対策に取り組むため、昨年末に産業構造転換・雇用対策本部を設置したところであります。規制緩和等の推進に加えて、既存産業による事業革新、新規事業の育成等への支援により産業の活性化を促し、内需主導型の国際調和型産業構造の形成を進め、雇用の確保を図ってまいります。
 さらに、高度情報化への対応、創造的な研究開発、独創的な人材の育成に向けた環境の整備などを積極的に推進してまいります。
 また、国土の特色ある発展に向けて、東京への集中の弊害の除去と地域の活性化を図るとともに、環境と調和し持続的発展が可能となる経済社会を築いていくための施策を推進してまいります。
 第三は、生活者・消費者重視の経済運営により、豊かで安心できる国民生活を実現していくことであります。
 高齢社会が本格化する二十一世紀を控え、真に豊かな生活を実現し活力ある経済社会の発展に資する基盤を構築する観点から、総額六百三十兆円の公共投資基本計画に沿いつつ、今後とも生活関連分野等への公共投資の重点的、効率的な配分を図ってまいります。
 このため、平成七年度予算におきまして、住宅、社会資本の整備により快適で潤いのある生活環境を創出するとの観点から、住宅・市街地、下水道や環境衛生、公園等の事業に公共事業関係費の重点投資を行ったところであります。
 また、良質な住宅の蓄積が豊かな国民生活実現の基礎となるとの見地から、今後とも土地対策や住宅対策の充実を図ってまいります。
 さらに、だれもが社会参加でき生きがいとゆとりを持って安心して暮らせる社会を実現するため、高齢者保健福祉推進十カ年戦略の見直し、いわゆる新ゴールドプランや保育対策の充実、労働時間短縮のための取り組みへの支援などを行ってまいります。
 円高の進展に伴って、産業界におけるリストラの対応、消費者の価格志向の強まりなどを背景に、経済全体にわたる構造的変化とともに急速な価格体系の変化が生じております。内外価格差の是正・縮小につきましては、こうした状況を踏まえ、消費者・生活者重視及び高コスト構造是正の観点から、内外価格差の実態調査を進めつつ、競争環境の整備や輸入拡大のための具体的な対応を進めてまいります。
 公共料金につきましては、昨年十一月の「今後の公共料金の取扱いについて」の基本方針に基づき、個別案件ごとに厳正な検討を加え、適切に対処するとともに、情報の一層の公開に努めてまいります。
 安全で豊かな生活を実現するためには、生活者みずからが主体的な役割を果たしていくことが重要であります。このため、地域活動への参加を初めとする社会参加活動などを促進してまいります。また、消費者取引の適正化や国民生活センター等を通じた情報提供の充実など、消費者保護会議で決定した諸施策を積極的、総合的に推進してまいります。
 特に、昨年成立した製造物責任法につきましては、本年七月の施行に向けて、その内容について周知徹底に努めるとともに、関連する諸施策を含め、総合的な消費者被害防止・救済策の確立に努めてまいります。
 第四は、経済活動の国際的相互依存が一層深まっている現状を踏まえ、我が国として主体的、積極的に努力し、世界経済の持続的発展に積極的に貢献するとともに、調和ある対外経済関係の形成に努めることであります。
 このため、ウルグアイ・ラウンド合意の着実な実施に努め、新たに成立するWTOを中心とする制度的枠組みの中で、多角的自由貿易体制の一層の強化に貢献してまいります。
 また、規制緩和に加え、市場開放問題苦情処理体制、対日投資会議の活動や政府調達手続の改善を通じて、諸外国から我が国への市場アクセスの一層の改善を図るとともに、輸入や対日直接投資の促進を図ってまいります。
 政府開発援助につきましては、開発途上国の安定と持続的発展のため、政府開発援助大綱の理念、原則を踏まえつつ、政府開発援助の第五次中期目標に基づく経済協力の拡充と国別援助方針に基づく効果的、効率的な援助の実施に努めてまいります。
 以上、我が国経済が当面する主な課題と経済遷宮の基本的方向について申し述べてきましたが、これらの諸施策を進めていく上で中長期的な展望が必要なことは言うまでもありません。
 政府は、平成四年六月に生活大国五カ年計画を策定し、生活者重視の経済社会変革を進めるとともに、内需主導型の経済成長を定着させるべく努めてきたところであります。計画策定後約三年を経過し、我が国を取り巻く内外経済情勢は大きく変化いたしました。
 世界経済を見ると、アジア、中南米等新興経済の発展、ウルグアイ・ラウンドの終結、WTOの創設、APECの新たな展開等大きな動きがあるほか、地球環境問題への対応も現実に差し迫った問題となっております。国内的には、バブルの崩壊、急速な円高の進展により戦後二番目の長期景気後退を経験する中で、内外価格差が拡大し、国民が生活の豊かさを実感できない大きな要因となっているとともに、国際分業関係が進展する一方で、我が国産業、雇用の空洞化の懸念が生ずるなど構造的な課題が顕在化しております。また、社会的には、二十一世紀を前に、子供が少なくお年寄りが多い少子・高齢社会がまさに現実のものとなってきております。
 このような現行計画策定時に予期されなかった内外諸情勢のもとで、我が国経済の将来の姿にも変貌が見込まれ、日本の経済社会のあり方について多面的な見直しが必要とされております。
 こうした認識のもと、来るべき二十一世紀に向け、地球社会の発展に寄与しつつ、自由で活力があり、国民が豊かに安心して暮らせるとともに、国内外に開かれた経済社会の創造を目指した新たな経済計画を策定してまいります。
 私は、二十一世紀の新たな座標軸のもとで日本が目指すべき社会は、より一層国民の意欲と能力に応じた参加と多様な選択が実現され、国際社会との調和と世界への貢献を図りつつ、国民が希望に満ち安定した生活を過ごすことができる社会であると考えます。
 私たちは、先人の努力によりこれまで蓄積してきた資本力、高い教育水準、高度な技術基盤やそれを支える文化的基盤などを有しております。これらの財産を二十一世紀に向けた新たな経済社会の創造に活用していけるよう、私は精いっぱい努力してまいります。
 国民の皆様の御支援と御協力を切にお願い申し上げます。(拍手)
#20
○議長(原文兵衛君) ただいまの演説に対する質疑は次会に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十九分散会
     ─────・─────
平成七年一月二十日(金曜日)
    開 会 式
 午後零時五十九分 参議院議長、衆議院参議院の副議長、常任委員長、特別委員長、参議院の調査会長、衆議院参議院の議員、内閣総理大臣その他の国務大臣、最高裁判所長官及び会計検査院長は、式場に入り、所定の位置に着いた。
 午後一時 天皇陛下は、衆議院議長の前行で式場に入られ、お席に着かれた。
   〔一同敬礼〕
 午後一時一分 衆議院議長土井たか子君は、式場の中央に進み、次の式辞を述べた。
   式 辞
  天皇陛下の御臨席をいただき、第百三十二回国会の開会式を行うにあたり、衆議院及び参議院を代表して、式辞を申し述べます。
  このたびの地震により、幾多の人々が生命を失われ、甚大な災害をこうむりましたことは、まことに心痛にたえないところであり、災害復旧に万全を期さなければなりません。
  わが国をめぐる内外の諸情勢はまことにきびしく、解決すべき幾多の問題があります。
  このときにあたり、われわれは、国会が果たすべき責務を深く自覚し、外に対しては、諸外国との友好親善と協力を深め、世界の平和に寄与するとともに、内においては、政治、経済の各般にわたり、当面する重要問題に対処して、適切な施策を強力に推進し、もって国民生活の安定向上をはからなければなりません。
  ここに、開会式にあたり、われわれに課せられた重大な使命にかんがみ、日本国憲法の精神を体し、おのおの最善をつくしてその任務を遂行し、もって国民の信託にこたえようとするものであります。
 次いで、天皇陛下から次のおことばを賜った。
   おことば
  本日、第百三十二回国会の開会式に臨み、全国民を代表する皆さんと一堂に会することは、喜びとするところであります。
  国会が、永年にわたり、国民生活の向上、世界の平和と安定のため、たゆみない努力を続けていることを、うれしく思います。
  今次の地震による被害は、きわめて甚大であり、その速やかな救済と復興は現下の急務であります。
  ここに、国会が、国権の最高機関として、当面する内外の諸課題に対処するに当たり、国民生活の安定と向上、世界の平和と繁栄のため、その使命を十分果たし、国民の信託にこたえることを切に希望します。
   〔一同敬礼〕
 衆議院議長は、おことば書をお受けした。
 午後一時七分 天皇陛下は、参議院議長の前行で式場を出られた。
 次いで、一同は式場を出た。
   午後一時八分式を終わる

ソース: 国立国会図書館
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