くにさくロゴ
1995/01/24 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 本会議 第2号
姉妹サイト
 
1995/01/24 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 本会議 第2号

#1
第132回国会 本会議 第2号
平成七年一月二十四日(火曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二号
  平成七年一月二十四日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 第二 国務大臣の報告に関する件(平成七年兵
  庫県南部地震災害に関する報告について)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 日程第二 国務大臣の報告に関する件(平成七年兵庫県南部地震災害に関する報告について)
 以上両件を一括して議題といたします。
 日程第二について、小里国務大臣から発言を求められております。発言を許します。小里国務大臣。
   〔国務大臣小里貞利君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(小里貞利君) 私は、政府を代表いたしまして、平成七年兵庫県南部地震災害について、その状況を御報告申し上げます。
 まず、今回の地震災害による多数の犠牲者の方々に心より哀悼の意を表しますとともに、御家族や友人を亡くされた方々、火災や倒壊により住宅を失われ避難生活を送られている方々に対しまして、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。被災者の方々に対しましてもお見舞いを申し上げる次第でございます。
 加えて、災害発生以来多くの国民の皆様方から地元に対して寄せられました多大な御支援、御協力に対しまして、心から感謝の意を表するものでございます。
 次に、今回の地震災害による被害の状況について申し上げます。
 去る一月十七日午前五時四十六分ごろ、淡路島を震源とするマグニチュード七・二の兵庫県南部地震が発生をいたしました。この地震による被害は極めて甚大であり、社会的、経済的影響も大きいことにかんがみまして、非常災害対策に万全を期するため、中央防災会議の答申を受けて、去る十七日の閣議におきまして非常災害対策本部を設置したところでございます。
 二十三日午後十時三十分現在、被害は、死者五千二十人、行方不明者百六人、負傷者二万五千七百七十九人、住家の全半壊等五万九千五百八十一棟に及んでいるほか、火災が四百九十六件発生、鉄道・交通関係では、新幹線が高架橋の落下により一部不通、阪神高速道路が倒壊により一部不通といった被害が生じ、ガス・水道等のライフライン関係では多数の世帯で断水等が続いております。また、なお約二十万人を超える方々が避難生活を余儀なくされています。
 政府といたしましては、発災後直ちに非常災害対策本部第一回本部会議を開催して、余震に対する厳重な警戒、被害状況の的確な把握、行方不明者の捜索・救出、被災者に対する適切な救済措置、火災に対する早期消火、道路・鉄道・ライブライン施設等被災施設の早期復旧について、当面重点的に実施する事項として決定をいたしまして、直ちに実施に移しているところでございます。
 さらに、被害状況を的確に把握するため、国土庁長官を団長とする政府調査団を第一回本部会議終了後直ちに被災地に派遣をいたしました。政府調査団は、今回の地震により甚大な被害のあった神戸市、淡路島などを調査して、寸断している阪神高速道路、ビルや民家の倒壊現場などを調査し、また被災住民の避難場所を訪れ、被災者の方々の生の声に耳を傾けて各種要望を承っているところでございます。
 政府調査団の帰京を待って、十八日午後六時三十分から首相官邸におきまして閣僚会議が開催されました。
 国土庁長官から政府調査団の結果を報告するとともに、村山総理も政府全体の動きに特に意を払っておられることから、
 一、被災者の救援や消防活動等に総力を挙げて取り組むこと。
 一、医療物資、医師・看護婦等の応援体制の確保について万全を期すること。
 一、非常食料や飲料水等の供給及びその輸送手段の確保に努めること。
 一、非常用物資の供給のための迂回路の緊急確保、道路復旧の早急な実施。
 一、電気・ガス・電話等のライフラインの復旧に全力を挙げること。
 一、被災者の方々の当面必要な緊急融資等及び応急仮設住宅の適切な供給。など、特に緊急に必要な事項等について対策に万全を期するよう、総理から指示があったところであります。
 政府調査団の調査結果及び閣僚会議での議論を踏まえ、十八日午後八時より非常災害対策本部第二回本部会議を開催いたしました。
 同会議におきましては、第一回本部会議での決定事項等を引き続き実施することのほか、当面重点的に実施すべき事項として十七項目を決定し、直ちに実施に移したところであります。
 これらのうち主要なるものを申し上げますと、
 一、住民に対する危険防止及び生活援護に関する情報の周知を図ること。
 一、被災者に対する適切な医療救護体制の確保に努めること。
 一、飲料水、食料及び生活必需品等の物資の確保とその供給体制の整備に努めること。
 一、道路、鉄道、港湾等の被災施設の早期復旧を図ること、特に、緊急輸送路の確保、航空機による代替輸送の拡充に全力を傾けること。などであります。
 さらに、村山総理が一月十九日に被災地を視察いたしましたが、総理の帰京後、政府として一体的かつ総合的な対策を講ずるため、内閣に総理大臣を本部長とする兵庫県南部地震緊急対策本部を設置し、同日午後八時から全閣僚により当面の対策を協議したところであります。この中では、特に国の総合的な対策を速やかに効果的に実施するため、現地対策本部の設置を進めることとし、二十一日に閣議決定により神戸市に早速設置したところであります。
 また、二十日には、私が兵庫県南部地震災害担当の国務大臣に任命され、早速非常災害対策本部の本部長に就任をいたしました。
 政府といたしましては、今後とも関係省庁が一体となって、兵庫県、神戸市など関係被災自治体などと緊密に連携しながら各種の対策を総合的かつ迅速に推進するとともに、事態の推移に応じ適切な措置を講じてまいる所存であります。また、昨年以来、北海道東方沖地震災害、三陸はるか沖地震など、大規模地震が相次いでいることにかんがみ、地震予知・観測体制の一層の充実にも取り組んでまいることといたしております。
 以上、兵庫県南部地震災害に関し、その被害の状況と政府の対策について御報告を申し上げた次第でございます。
 我が国はその自然条件から災害を受けやすく、災害から国土を保全し国民の生命、身体及び財産を守ることは国政の基本であります。政府といたしましても、全力を傾注し災害対策の推進に取り組んでまいる決意であり、国民及び議員各位の御理解、御協力をこの機会に改めてお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(原文兵衛君) 去る二十日の国務大臣の演説及びただいまの国務大臣の報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。黒柳明君。
   〔黒柳明君登壇、拍手〕
#6
○黒柳明君 このたびの地震で亡くなられました五千有余のみたまに、心よりお悔やみを申し上げます。あわせて、いまだ行方不明の百余名の御無事が一分も、否一秒も早く判明するようお祈りしている次第でございます。
 そして、被災者の皆さん、大変でしょうが、どうか頑張っていただきたい。私たちも物心両面の支援を全力を挙げていたしますことを約束いたします。
 政府としましても、被災者の救済さらには復旧対策に万難を排して取り組むことをまず強く要望させていただきます。
 私は、新進党、公明の皆さんのお許しを得まして、平成会を代表しまして質問させていただきます。
 まず地震対策につきまして、緊急対策本部長である総理に質問をいたします。
 この未曾有の大災害に際しまして、まず総理大臣がやらなければならないことが一つ残っていると思います。それは何か。被災者の皆さん方に心からおわびをすることです。
 政府の危機管理の不備さらには行政の立ちおくれ等が、このたびの大災害をもたらした一因であることは間違いありません。であるならば、その最高責任者は総理大臣でございます。この厳粛な議政壇上から、まず兵庫県の、大阪の、そして阪神の、さらには広く国民の皆さん方に心からおわびをすべきではないでしょうか。(発言する者あり)
 お悔やみも当然、あるいは種々の対策をなすことも当然、しかし、総理の演説の中には「申しわけございませんでした」という言葉が見当たらないんです。これでいいですか。今やじを言った方、いけないんじゃないでしょうか。「やさしい政治」、総理がおっしゃる、皆さん方がおっしゃる「やさしい政治」は、みずからの非を率直に認めて、そして謝るべきは素直に謝っていく、これが「やさしい政治」の原点である、私はこう思う次第であります。
 さらに、総理、二十日の衆議院の本会議で総理がおっしゃった言葉、初めての経験なので、早朝なのでと。とんでもない話です。地震が初めてのところは避けて通るとでも言うんですか。あるいは地震が、早朝だからまず目覚ましを鳴らしてからガタガタ揺れますと。そんな地震がどこにあり、ますか。全くあいた口がふさがらないというのは、このことであります。ひとつ総理は今の時点においてどういう反省をしているのか述べていただきたい。
 さらに、昨日の衆議院の本会議ではもっとひどい発言をしました。
 政府の震災に対する措置は最善であった。まあこれを訂正したとかしないとか。総理の言葉は、これは重みがあります。この言葉を聞いて被災者の皆さん方は憤った。何が最善だ、何が最善の措置だ、不備がいっぱいあるだろう。これは総理大臣が、あくまでもみずからのすねの傷を隠して、そして開き直りの姿勢じゃないでしょうか。
 今私がこの本会議場に入る前にメモが入りました。総理、このメモ、質問事項に入っていません。読みます。このことを総理は知っているかどうか、イエスかノーかで答えてください。質問事項じゃありませんから、聞いておいていただいて。まず御存じないと思います。どういうことか。
 まず、一。空からの物資投入が極めて重大なため第一空挺団、これは千葉の習志野ですね、第一空挺団は二時間で現地に行けるので態勢を整え指示を待ったが、指示なく空振りになった。
 二番目。中部方面伊丹部隊、これは兵庫の地震のど真ん中の部隊ですね、伊丹部隊は発生後直ちに出動態勢をとりトラックに乗って指示を待ったが、指示が出たのが一時間三十分後。その間、トラックに閉じ込められたまま待ちぼうけでした。現地の指揮官は、自衛隊はそれこそ一生懸命なんです。その姿があらわれているじゃないですか。
 三番。海上自衛隊は呉から水を補給艦で神戸港に運んだが、関係者から接岸する場所が危険との理由で断られた。もともと危険なところに着岸できるのが自衛隊の補給艦である。
 もっとひどいのがありますよ。
 おくれて一昨日設置された現地対策本部には、自衛隊からは将官クラスが出て現地で判断、即決しているが、政府・行政側は課長クラスで現場判断ができず、指揮の混乱を来している。
 当然、失礼ですが、こういうこと、総理のお耳にはまだ入っている段階じゃないと思います。だからこそ、最善の措置をしたなんという言葉は出ないんです。それを、最善の措置をしたと。とんでもない話じゃないでしょうか。
 さらに、けさの新聞ですと、新聞記者に対して、措置はうまくなかった、最善の態勢と言うべきだった。そんな総理大臣の発言は軽いものではないはずです。たとえ最善の態勢としたって、その態勢があったとしたって、いろんな指示命令系統、措置がなければ、現場は混乱します。被災者は十分な援護は受けられません。
 こういう面においても、総理、反省をしてもらいたい。どういう反省とどういうこれに対して措置をするのか、答弁をお願いしたい。
 ところが、もっと大変なことがあるんです。ここまでなら、序の口なんですよ。
 十九日、地震が発生して三日目、大変なときです。火事がどんどんどんどん延焼する。もう全国民がテレビを見ていて、消えないのかしら、あの瓦れきの下にはまだ何千という人がそれこそいらっしゃるんじゃなかろうか、何とか、というその十九日の午前から午後にかけて、亀井運輸大臣、あなたはどこに行って何をやっていましたか。
 青森県の知事選の応援に行っていた。知事選の応援と。これだけ全国民が阪神へ阪神へ阪神へ、みんなが一緒になって災害救済、復興に対して頑張っているときに、復興の重職にあるべき運輸大。臣が青森に行って選挙の応援をやっているなんということはとんでもない。(「そんな問題は小さいよ」と呼ぶ者あり)それを小さいとかなんとか言っている議員の心が知れない。だから、被災者の皆さん方は行政に対して怒っているんです。さらに、ただ単に運輸大臣だけではありません、農林大臣も同行したみたいです。さらに、二十二日の日には野中自治大臣も青森県の選挙に行った。どうですか、総理大臣、これは一人や二人や三人の閣僚の責任の問題ではありません。村山内閣としての責任の問題じゃないでしょうか。
 瓦れきの下で幼い子が助けを求めている。そのそぱで、お母さんが手も足も出ない。お母さん助けて、何にもできないんだよ、そういう状態。あるいは、西宮北口から、寒いのに雨の中、被災地へ被災地へと全国の皆さん方が荷物を背負って復興に対して救済に対して頑張っているとき、総理、閣僚の一人二人、のみならず三人までも県知事の応援に行っているとはどういうことですか。ここにいらっしゃる二十一名の閣僚の中でも、これはうまくないと感じている閣僚が多々いるでしよう。
 総理、これはあくまでも村山内閣としての責任です。どうこれに対して責任をとるのか、はっきりした答弁をちょうだいしたい。
 次に、自衛隊の派遣の問題について質問します。
 派遣の時期についてでありますが、自衛隊の派遣がおくれた。なぜ早期に大規模の派遣ができなかったのか。県知事の要請がなかったからなのか。あるいは二項、三項によって自主的な派遣はできたけれども、小規模な派遣にとどまり、大規模にはできなかったのか。自衛隊法の八十三条がネックになっていたのかどうなのか。
 現に、午前五時四十六分、地震が発生したその一時間三十分後、七時十五分には陸自のヘリコプター二機が飛んで、一時間、上空から被害状況を偵察しております。相当の規模の災害であることを把握しているはずであります。どのような状況を把握したのか、御報告願いたい。
 そのとき、なぜ大規模な派遣をしなかったのか。さらに言うと、その四十五分後、八時、伊丹から四十八名の自衛隊員が阪急の伊丹駅に出動しております。さらに、二十分後、八時二十分、姫路から二百六名が西宮に派遣されております。すなわち、七時十五分、上空からの状況把握とともに、八時、八時二十分、二百五十四名の自衛隊員が地上からも相当の状況把握をしたわけであります。そのときに、なぜもっと大規模な派遣ができなかったのか。もしやっていたならば、何十何百というとうとい人命が救われたことは間違いありません。
 ところが、防衛庁長官は、いや、それは自衛隊というのは警察や消防とは違うんですよ、部隊編成に時間がかかる、あるいは、自治体と相談してどこに派遣していいか的確な判断をしなきゃならない、こういう言いわけをしております。
 百歩それを譲ったとしても、第二次派遣をしたのはいつですか。それから五時間後の午後一時十分、午後二時、伊丹から、姫路から、さらに四百名の自衛隊が神戸に、芦屋に行っているわけであります。この五時間の空白。百歩譲って、部隊編成に時間がかかる、適切な場所を探すのに時間がかかるといっても、五時間も空白な時間があって、五時間も部隊編成に、地方自治体との相談に時間がかかったら、自衛隊は緊急なときには間に合わない自衛隊という残念ながらレッテルを張られちゃう。それじゃ現場の自衛隊員がかわいそうです。
 どうですか、総理、こういう点についてもお考えいただきたい。そして、今言ったことについて、なぜそういう事態になったのか、理由をお述べいただきたい。総理はこの現実をどう認識し、どう反省し、どう対処していこうとするのか、お答えを願いたい。
 次に、地方自治体と自衛隊との関係についてですが、各地方自治体は、それぞれ地域防災計画を持っており、その立案に当たっては、果たして、自衛隊と調整し、その意見、協力を求めて作成しているんでしょうか。
 私の調査によりますと、各県レベルで非常に差異があります。図上プランはできていても実質は何もやっていない。図上プランと実質と、それこそ真剣になってもう四十七都道府県がまちまちです。地域計画はあったって、事自衛隊との連絡協調になりますと物すごく差があります。今回のような大規模災害については言うまでもありません。その状況の把握、対処の仕方は、特に人命救済は、自衛隊の力なくしては自治体だけではほとんど不可能の点が多いわけであります。
 兵庫県知事も、八時三十分に災害対策本部をつくったが全体の把握はほとんどできてないと、こう発言しております。八時三十分。ところが、さきも申しましたように、七時十五分には、八時には、上空から地上から自衛隊は相当数の被害についてもう既に把握しております。これは組織を持ち機動力を持っている自衛隊が、すべて初期初動の状況把握については、これは的確につかむことは当たり前なことであります。
 ふだんから自衛隊との協力関係や状況把握の仕方などについて計画を地方自治体に準備させておくよう早急に政府が指導すべきだと思いますが、いかがでしょうか。また、政府が自治体に対してモデルケースのようなものを作成して示した方がよいと思いますが、あわせてお伺いいたします。
 もし、もしもですよ、社会党としてのこれまでの自衛隊に対する認識がもし地方自治体に対して協力関係、連絡関係について悪影響を及ぼしているということがあれば、これは重大な責任があります。総理、お答えください。
 また、今回、兵庫県から海上自衛隊、陸上自衛隊に対して派遣要請がありましたのは、海上自衛隊が十七日の夜の七時五十分、航空自衛隊が何と翌十八日の夜の九時、これも私は、失礼ですが、兵庫県の状況把握の甘さにあったのではなかろうかなというような気がしてなりません。総理、どういうふうに認識しておりますか、お答え願いたい。
 最後に、自衛隊の任務の変更、そして法改正についてお尋ねします。
 政府・与党の首脳の中から、この際自衛隊法を改正すべきだという意見も上がっておりますが、総理のお考えはどうでしょうか。また、けさの一部マスコミは、長官判断で派遣できるようにしたいというような旨の報道がありましたが、運用の変更なども考えているのでしょうか。
 問題は決して八十三条だけにあるのではありません。例えば、自衛隊の災害派遣は、地方自治体や警察のお手伝いではなく、まず初期の段階の状況把握については一義的には自衛隊に責任を持たせる、さらにはそのためには自衛隊機を最大に活用する、そして一定のものについては自衛隊にその任務を付与する、こういうような任務の変更などについても今後の検討事項としなければならないと思いますが、いかがでしょうか。特にこのような初期の状況把握の面における自衛隊の活用については、どうでしょうか。
 次に、総理官邸の危機管理能力、情報収集能力のお粗末さについて厳しい批判の声が上がっております。その典型的例があの二十日の官房長官の発言です。最初は、死者が二十人、これは大変だと思った、それが百人を超え大変だと思った、今は四千人を超えた。何ですか、この内容は。総理、みずからの周辺の危機管理、情報収集についてどのような反省をしているのか、お聞かせいただきたい。
 政府として、自衛隊の災害派遣を含め危機管理体制として、例えば官邸がイニシアチブをとって指導するため機動的に現地に移動できるような特別の機関を設けるような措置をとるべきではないでしょうか。このような非常時に行政的な手順を踏んでいては遅過ぎることもあります。集中的権力をあるところに与えるということもまた検討課題ではあるのかな、こう思いますが、いかがでしょうか。
 総理は先週の衆議院本会議で、全国的に防災体制の見直しをする旨発言をしております。急を要する問題であります。どのような構想をお持ちか、今回の大災害を踏まえて当面とのあたりを見直すのか、お答えください。
 本年は一月当初から北海道、東北、関東、そして関西、きのうは九州、地震が頻発しております。言うまでもなく、地震列島日本、我が国の国民の生命と財産を守るには、今後、行政としての強力な姿勢を示していく必要があります。
 そこで、私は提案をしますが、地震庁を創設したらいかがでしょうか。現在は、日常の地震観測と東海地震の予知は運輸省、地震予知連絡会は建設省、地震予知推進本部は科技庁、防災は国土庁と、文字どおり多元行政です。有事には強力な権限を持ち指令を発動することができる地震庁を設けて今後の万全を期すべきではないかと思いますが、総理、いかがでしょうか。
 ライフラインの復旧のめどについてお伺いいたします。
 部分的には日々報道されておりますが、この際、ガス、水道、電気、電話について政府から各市別にまとめてはっきりとその復旧のめどについて述べていただきたい。また、交通機関についてはどうでしょう。JR、私鉄も不通になっている各路線の再開の見通しはいつごろになりますか。そして、高速・一般道路の復旧のめどはどうでしょうか。仮設住宅の建設着工はしておりますが、どこに何月いつごろまでに完成するのか。また、市営、公団住宅の空き部屋は何月あるのか。そして、それらの応募、申し込みの手続はどうなっているのか。まとめて述べてください。
 自民党も担当閣僚も特別立法の方向を意図していると報道されておりますが、もう既に内容の検討が始まっているのかどうか、お答えください。
 また、激甚災害並み扱いとなっておりますが、いつの時点になれば指定に変わるのでしょうか。そして、政府の緊急対策本部は基本法に基づく緊息災害対策本部には絶対にしないということはもう最終決定なのでしょうか。
 以上、まとめて三点、お伺いいたします。
 次は、私どもの政策について述べさせていただきます。
 既に衆議院で、大蔵、午後には外務、そして明日は文教と。私は残った安全保障、景気、経済、公共料金、税制等について所信を述べさせていただきます。
 まず最初に、総理の政治姿勢なかんずくリーダーシップヘの懸念について申し述べます。
 我が国は、今日、世界第二位の経済力を持つ国として、冷戦終結を受けた国際政治のカオス状況から世界を脱却させるために、新しい平和秩序の構築に寄与することを強く求められております。また、国内にあっては、旧来の政治、経済、行政の行き詰まりを打破する大改革をなし遂げられるかどうか、国のあすの運命がかかっているのであります。
 こうした重要な時期に、政府・与党とりわけ総理の所属する社会党は、自分の存立さえ確保できるか否かの不安定な状況にある。総理としては、到底、国際的、国内的な重大責務を果たすためのリーダーシップを発揮し得ないところに追い込まれております。
 申すまでもなく、社会党の不安定さは、水と油の関係にあった自民党と社会党が連立したことに起因するものです。水と油は一時的にはかきまぜてまざっても、しょせん分離してしまうのが理の当然であります。
 さらに、総理は正月早々体調を崩され、予定された行事を遂行できないといった事態となりました。また、ナポリ・サミットの際も体調の異変を訴えられたという経緯があります。これでは、ハードの外交活動はもとより、待ったなしの諸々の改革に責任を持ってリーダーシップを発揮するということは無理な相談ではないでしょうか。
 「人にやさしい政治」という点について一言触れておきます。
 申すまでもなく、政治の本質は権力をいい意味でどう行使するかにあり、その権力の中核をなすのは強制力であります。したがって、権力の座にある者は、国民にやさしさを約束するだけではなく、同時に嫌なことをもやってもらう決意が求められます。その意味で、権力はもろ刃のやいばであります。政治家たる者、権力の怖さを自覚せずに、やさしさといった甘い言葉だけで国民を惑わしてはなりません。総理にはそうした厳しい姿勢がないのではないでしょうか。
 私たちは、政治の何たるかをしっかりと踏まえ、「たゆまざる改革」と「責任ある政治」という二本の柱を基本に据え、節度ある政治的リーダーシップを発揮することにより、国内の行き詰まり状況を打開し、世界の未来のために意味ある貢献を目指しております。
 翻って、総理の場合は、そのすばらしいお人柄があったとしても、総理が置かれた現在の見境と条件、そして政治に対する甘い考え方からして、私たちが目指していることを実現することは到底できないと考えざるを得ないわけであります。
 次は、安全保障についてであります。
 冷戦構造崩壊後の世界は、新秩序構築の期待とは裏腹に民族紛争が多発し、激化し、地球環境、貧困、飢餓、麻薬、テロ、エイズ、人口問題など、地球的規模の問題がますます深刻化しております。こうした中で、地球の未来を構想し、それにふさわしい安全保障秩序を構築していくことは、責任ある政治家に課せられた最大の使命であります。
 私たちは、一国平和主義、一国繁栄主義を脱却し、混沌とした中に光を求めて、各国や各地域、さまざまな人々が共生できる世界を築くために先導的役割を果たす決意を改めて表明するものであります。
 私たちは、日米安保体制を堅持し、これを歴史の要請に適応させ、アジア・太平洋地域の政治、経済、社会など全領域にわたる新たな安全保障秩序の中に再定義してまいります。国際の平和と安全の維持に果たす国連の役割を再確認し、これを新時代に適応させるため、安保理事会等の改組、行財政改革にイニシアチブを発揮し、PKOなど紛争解決機能の充実強化に向けて、改革を待つのではなく、積極的提案を行います。そして、国連改革サミットの広島開催を提案し、各国の合意が得られれば、現在の戦勝国中心の国連にかわる第三世代の国連の創設を提案いたします。
 また、安全保障政策は、外交、防衛に限らず、経済、エネルギー、食糧政策等、総合的、多角的な面から確立していくべきものであります。何が日本の国益にとって重要なのかを常に念頭に置きながら国会の場でも真剣に議論すべきでありますし、内閣にあっても、閣僚のつくった文書を単に承認するだけの形骸化している安全保障会議の機能を強化拡充し、総合的、多角的な安全保障戦略について協議する場にしたいと思います。
 周知のように、本年は中期防衛力整備計画の最終年度で、八年度以降における防衛力の整備をどうするのか検討する重要な時期であります。防衛力の整備は、単年度ではなく、中長期的視点に立って実施していくものであります。昭和五十一年に策定された防衛計画の大綱も冷戦構造が崩壊した今ではそぐわない面が多々見受けられ、昨年八月には防衛問題懇談会の報告が出されましたが、村山内閣ではどのように検討されているのか一向に明らかにされておりません。
 冷戦の終結、ソ連の崩壊といった国際情勢にもかかわらず、アジア・太平洋地域では軍拡が進んでいることも事実でありますが、今こそ防衛大綱を幅広く見直し、自衛隊の組織、人員、装備全体について効率化、適正化を求めるべきであり、さらに、安全保障政策の基本方針の明記や防衛計画の国会承認等を内容とした安全保障基本法の制定を検討する時期に来ていると痛切に感じております。
 また、平成七年度の防衛予算の伸びは○・八五五%増にとどめましたが、これは昭和三十五年度以来の低い伸び率であり、人件費、特別協定負担分が増額する中で、正面装備の調達数の削減や訓練等の抑制等で帳じりを合わせたようでありますが、精強な部隊を維持していくには日ごろからの訓練は不可欠であることを忘れたやり方であります。政府・与党は、軍縮ポーズをとろうとして数字に固執する余り、今後の防衛体制がいかにあるべきかという議論を置き去りにしております。
 そうした中で今回TMD調査研究費がつきましたが、北朝鮮のノドン一号など長距離弾道弾ミサイルに対する有効な防護のあり方を真剣に検討する必要があり、これは我が国の防衛体制を根本的に変える可能性を秘めた重大な問題であります。また、防衛費の圧迫要因の一つである在日米軍駐留経費を防衛費から切り離すことも考えるべき問題であると思います。次に、景気、経済問題についてであります。
 我が国経済は、平成三年以降、バブル崩壊後の深刻な不況の中にありながら、昨年二月、当時の細川内閣が決定した総額十五兆を上回る史上最大規模の総合経済対策が実施に移されると、景気に徐々に明るさが広がってまいりました。特に夏以降は、五兆五千億に上る所得税減税の実施が効果を発揮し、消費の拡大に拍車がかかったほか、企業の生産活動にも回復の動きが見られるようになりました。
 しかし、国際経済の動きは目まぐるしく、アジア諸国の急速な発展や米国経済の復活、加えて一段と進んだ円高で、我が国経済は厳しい状況に追い込まれ、設備投資は海を渡って海外へ出てしまうという最悪の状況であり、これでは景気の回復に力強さが出てこないのではありませんか。景気は上昇局面に入ったとはいえ、我が国経済は依然として一歩間違えば失速しかねない不安定な状況にあります。
 こうした状況下では、経済構造、産業構造の改革を早急かつ円滑に進め経済を一日も早く安定した経済路線に移行させていくことが必要でありますが、村山政権の経済政策は、我々旧連立内閣の焼き直しや手直し程度で、何ら目新しいものはないばかりか、構造改革を果敢に進めていこうという意思も熱意も全く感じられません。
 産業の空洞化を防ぎ日本経済を再び活性化させるためには、保護・規制政策から自由化政策への転換を図るとともに、研究・人材開発体制の強化、ベンチャーを含む新規事業の支援、さらには情報通信や福祉関連といった新産業の育成などを進めていかなければなりません。そのために、我々は、政府・連立与党に対し、規制緩和推進五カ年計画を三カ年に繰り上げるとともに、日本経済構造改革計画を直ちに策定することを提案いたします。そのためなら、我々野党は斬新的なアイデアと知恵を惜しみなく提供することを、申し添えておきます。
 さらに、空洞化が言われる東京国際金融市場についても、まさに規制緩和等により海外の金融市場と同じ条件、環境をつくり出すことが緊急の課題であり、一刻も早く手数料の引き下げ、新しい金融商品への認可基準の緩和等を講ずべきです。
 次に、公共料金についてであります。
 羽田前内閣は、昨年五月、公共料金の年内凍結を決定いたしました。六月末に村山内閣が発足するや否や公共料金凍結解除の方向を打ち出し、まさに公共料金引き上げ内閣との批判が、一般国民はもとより、経済界などから続出しております。
#7
○議長(原文兵衛君) 黒柳君、時間です。
#8
○黒柳明君(続) はい。
 昨年夏に政府が行った公共料金に係る総点検も、結局は国民が期待する抜本的見直しにはつながりませんでした。
 以上、与えられたわずかの分野でありますが、私たちの政策と提言を述べました。どうか国民の皆さん方の賢明な御判断と御支援をお願いし、細かくは予算委員会で一問一答の形で詰めていくことをお約束させていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(村山富市君) 答弁を申し上げる前に一言申し上げておきたいと思いますが、五千名を超す方々が亡くなられた未曾有の大惨事となりました。亡くなられた方々や遺族の方々に対して謹んで誠の意をささげたいと存じますし、また、けがをされたり避難生活を余儀なくされておる方々に対しても心からお見舞いを申し上げたいと存じます。
 市の職員や県の職員や、あるいはまた消防、警察等々の関係者の中には、みずから被災を受けながら身を挺して不眠不休で救援作業に取り組み、あるいはまた復旧に努力をされておる方々、そしてまた医療をつかさどって避難をされている皆さん方が集結している場所を巡回しながら身を挺して医療対策に取り組まれている方々や、あるいはまた自衛隊の諸君、そしてまた全国からNGOの民間団体が奉仕的な活動を一生懸命やられておる。あるいはまた、全国から救援物資が寄せられておる。外国からも応援やら救援の方々がおいでになりました。私は、この席をおかりして、そういう方々の御努力に対して心から感謝の意を表したいと存じます。
 政府も、この際、国会の皆さん方の御協力もいただきながら全力を挙げて救援と復旧のために力を傾注してまいる決意でありますから、どうぞ被災された皆さん、関係者の皆さん、力を合わせてお互いに協力し合って頑張っていただきたいと心からお願い申し上げます。
 以上申し上げまして、御質問にお答え申し上げたいと思います。
 今度の大災害は、政府の危機管理の不備、行政の立ちおくれが大きな原因であり、まず国民に謝罪すべきではないかとの御質問であります。
 防災上の危機管理体制の整備は重要な課題であり、その充実に今後とも一層努めてまいらなければならぬと考えています。我が国は災害を受けやすい国土条件にあり、国民の生命、身体、財産を災害から守ることは国政の基本であり、政府としては全力で人命救助、救援対策、復旧に取り組んできたところでございますが、今後とも積極的に災害対策を推進していくことについて私の決意を申し述べましたところでございまして、国民の皆さんの御理解をいただきたいと存じます。
 次に、私の発言についての御質問がございました。
 これは、誤解されると大変困るんですけれども、私が申し上げましたのは、先ほども申し上げましたように、早朝五時四十分に起こった地震ですけれども、(「四十六分だ」と呼ぶ者あり)四十六分に起こった地震ですけれども、私がその第一報をテレビで見たときに、これは大変だと思いましたけれども、現場の市の職員や県の職員等は、先ほども申し上げましたように、みずから被災家族になっているわけですよ。ですから、なかなか職場には行けない、そういう混乱した状況もあったんではないかという現場の実情を申し上げたのであって、政府、内閣が混乱をしたと言ったのではないんですよ。そのことは正しく御理解を賜りたいと思います。
 一方、今次の災害は極めて大規模なものであり未曾有の大都市災害となったことにかんがみまして、今後とも防災体制の充実に努めてまいる所存でございます。
 次に、亀井運輸、大河原農林両大臣が十九日に青森県知事選挙の応援に行ったことの問題について御質問がございました。
 両大臣とも必要な措置につき遺漏なきを期した上で出発をし、常に本省と連絡をとりつつ必要な指示を行ってきたと聞いております。また、同日夜開かれました緊急対策本部の会議には両大臣とも出席をしております。私は、両大臣とも兵庫県南部地震対策には全力を挙げて取り組んでおるところでありまして、このことで地震対策に支障を来したとは考えておりません。
 次に、自衛隊の派遣がおくれたのは兵庫県からの要請がなかったからか、また、自主的にもっと大規模の派遣をすべきではなかったかという御質問でございますが、自衛隊は、今回の地震直後に、兵庫県知事からの災害派遣要請を受ける前から、必要に応じ、午前八時二十分には合計二百五十四名の隊員が災害派遣されておるなど、自発的に各種の対応を行ったところであると聞いております。また、派遣規模につきましても、地震被害による困難な状況のもとで可能な限りの努力を行ったものであると考えているところでございます。
 次に、地震直後、自衛隊がどの程度状況を把握していたのかとの御質問でありますが、自衛隊は地震直後の午前六時三十分には中部方面隷下の第三師団、第十師団、第十三師団及び第二混成団等々の部隊に非常呼集をかけ、一月十七日午前七時十四分及び三十分には陸上自衛隊中部方面航空隊のヘリコプター二機が上空からの目視による偵察を実施したものと承知をいたしております。その結果、神戸及び淡路島において相当程度の被害が出ている可能性があることを確認したものと承知をいたしております。
 さらに、午前七時五十八分及び八時二十分に派遣されました第三十六普通科連隊は、伊丹駅の倒壊等を確認したものと承知をいたしております。
 かかる情報については、おのおの所定の部隊に報告をされ、陸上自衛隊としては、これらの情報も踏まえ、効果的な救援活動に必要なさらなる状況把握に努めるとともに、兵庫県からの要請後は、地震被害による困難な状況下で可能な限りの努力を行ったものであると承知をいたしております。
 次に、自衛隊の第二次派遣隊が出るまでに五時間を要したのではないかとの御指摘でありますが、自衛隊は兵庫県知事からの災害派遣要請を受ける前に、地震直後から必要に応じ自発的に各種の対応を行ったところでありまして、また、災害派遣の要請を受けた後は、直ちに姫路所在の第三特科連隊による災害派遣を行ったほか、福知山所在の第七普通科連隊からも派遣を行っているところでございまして、地震被害により道路が破壊されている等車両の通行が非常に困難な状況もあり、それぞれ所在地から約六十キロメートル及び約七十キロメートル離れた現場への到着には時間を要したところであると承知をいたしております。
 いずれにいたしましても、自衛隊の諸君は当時の情勢に照らしてできるだけの措置をとったものと考えておりますが、現在も全力を挙げて人命救助、物資輸送等に従事いたしておるところでございます。
 また、今回の災害派遣に関する反省、改善につきましては、今回の災害派遣の経験を踏まえ反省すべきところは謙虚に反省をし、今後の改善に資したいと考えているところでございます。
 次に、地域防災計画立案に当たっての自衛隊との調整についてのお尋ねでありますが、災害基本法第三十五条では、地域防災計画において重点を置くべき事項として、自衛隊の災害派遣の効率化に関する事項が掲げられております。また、同法第十五条により、都道府県地域防災計画の作成及び修正に当たるおのおのの都道府県地域防災会議の委員として、陸上自衛隊の方面総監またはその指名する部隊もしくは機関の長が充てられています。したがって、地域防災計画の策定に当たりましては、自衛隊との調整が十分図られていると考えているところでございます。
 次に、災害の状況把握、人命救助等についての自衛隊との協力についてのお尋ねでありますが、大規模災害における人命救助等については自衛隊の協力が不可欠であります。そのため、かねてより自衛隊と緊密な連絡が図られるよう指導してきたところでございます。今後、地域防災計画について具体的かつ実践的な見直しを図る中で、各自治体に対し自衛隊との連携を強化するよう一層指導を徹底してまいる所存でございます。
 次に、自衛隊と地方自治体との連絡についての社会党のこれまでの認識との関係が問われましたが、早朝の午前五時四十五分に地震が発生したことを考えれば、自衛隊が直ちに非常勤務体制をとり、被害状況の把握から部隊はできるだけ迅速に出動させたと認識をいたしております用地方自治体においても、職員の大多数が被災を受けたにもかかわらず、可能な限り迅速な対応をしたとの報告を受けております。
 なお、社会党は自衛隊の災害出動やその際の地方自治体との連携について、これを否定するような方針をとっていないことは周知のとおりでございます。したがって、両者の連絡協力体制に社会党のこれまでの自衛隊に対する認識が影響したとの御指摘は当たらないと考えています。
 次に、兵庫県知事からの自衛隊の派遣要請についてのお尋ねでありますが、兵庫県におきましては兵庫県地域防災計画に基づき、その計画ルートにのっとって自衛隊に対し部隊の派遣受講が行われたと報告を受けています。したがって、その派遣要請は最大限の努力をしてなされたものであると考えているところでございます。
 次に、自衛隊法の改正、任務変更についての御質問でありますが、現時点では自衛隊の災害派遣について法制面での問題は特にないものと考えております。なお、初期の状況把握につきましては、今回の地震災害におきましても、自衛隊は地震発生後、速やかにヘリコプターにより状況の把握に努めるなど適切に行われたものと考えておりますが、今後とも日ごろから地方公共団体に自衛隊が密接に連携していく等々により、こうした自衛隊の能力が有効に活用されるようにすることが必要であると考えているところでございます。
 次に、大規模災害時の危機管理体制を強化すべきとの御質問でありますが、災害発生等により緊急事態が発生した場合には、政府は一体となってこれに対処することといたしております。また、緊急事態における情報収集は、迅速かつ的確な指示を行うために不可欠であり、このような事態が生じた場合におきましては、関係機関が被害状況等を把握し直ちに私に所要の報告を行うこととなっております。
 いずれにいたしましても、防災上の危機管理、情報収集体制の充実は極めて重要な課題であると認識しておりまして、今後とも、今回の経験に照らし、その強化に努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、機動的に現地に移動でき、集中的権限を付与されたような特別の機関を設けるべきとの御質問でありますが、政府といたしましては、今次の兵庫県南部地震災害に関し、政府を挙げて応急対策を強力に推進するため、神戸市に非常災害対策本部の現地対策本部を設置したところでございますけ今後、同様な災害が不幸にして発生した場合は、臨機応変にこのような現地対策本部を設置して政府、関係自治体等一体となって適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、当面防災体制のどのあたりの見直しを行っていくかとの御質問でありますが、このたびの兵庫県南部地震災害の経験にかんがみますと、迅速かつ効果的な災害応急活動が可能となるよう、防災体制の充実は極めて重要な課題であると考えております。
 その際、特に災害に関する情報の収集伝達体制、国、地方公共団体、公共機関における初動期防災業務体制、各機関の相互連携応援体制などを充実強化することが重要であると考えております。
 次に、地震庁の設置を考えよとの御質問でありますが、震災対策に関しましては、建設省、気象庁、科学技術庁等がそれぞれの専門分野において対策を講じており、中央防災会議及び国土庁が政府全体の震災対策の総合調整を実施しているところでございます。また、今回のような大規模震災が発生しだ場合は、非常災害対策本部を設置して政府一体となって対策に当たることとしておるところでございます。政府といたしましては、現時点におきましては、現行の組織を最大限活用して災害対策に全力を挙げることが最善であると考えておることを申し上げておきたいと存じます。
 次に、電気、ガスの復旧についてのお尋ねでありますが、電気につきましては、地震発生直後に計約百万戸が停電をいたしましたが、昨日午後三時、関西電力管内全域で仮設設備による応急送電の体制が整い、倒壊家屋等を除いて電気の供給ができるようになりました。ガスにつきましては、二次災害防止の観点から神戸市、西宮市、芦屋市等の全域または一部地域においては計約八十五万戸のガス供給を停止しておりますが、早期復旧に全力を傾注してまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、兵庫県下の各市ごとの水道の復旧の見込みについてお尋ねでございますが、神戸市は二ないし三週間程度、西宮市と芦屋市は一カ月程度、宝塚市は三週間程度、伊丹市と明石市は十日程度、尼崎市は一週間程度、川西市は四、五日程度でございまして、淡路島の各町につきましては、北淡町と一宮町は十日程度、津名町は四、五日程度、淡路町は二、三日程度であると兵庫県から報告を受けておるところでございます。
 次に、電話について、神戸市を中心に洲本市、西宮市、芦屋市等の約六万台が不通となっております。このうち、家屋の倒壊によるものを除く電話約二万台についてはすべての被災市において今月末までに復旧できるよう努めてまいっておるところでございます。また、残りの四万台につきましては、家屋の復旧に合わせ、速やかに電話ができるよう復旧に努めてまいりたいと対策を講じているところでございます。
 次に、JR、私鉄等の交通機関の復旧再開の見通しについてのお尋ねでありますが、不通となっております山陽新幹線の新大阪−姫路間につきましては、運行再開におおむね四、五カ月を要する見込みであります。JR在来線、民鉄につきましては、一部路線について未定のところがございますが、東海道・山陽線の開通についておおむね四、五カ月程度、阪急神戸線の開通についてはおおむね六カ月程度を、それぞれ要する見込みでございます。鉄道の復旧につきましては全力を挙げて取り組んできておりますが、既に相当の路線を開通にこぎつけておりますし、今後とも最善を尽くすよう督励する所存でございます。
 次に、高速道路、一般道路の復旧などについてのお尋ねでありますが、緊急支援物資等の円滑な輸送を確保することが最優先課題であると認識しておりまして、応急復旧に全力を挙げておるところでございます。現在までに逐次交通確保を図ってきておりますが、残された区間につきましても早期に交通解放を図るよう全力を挙げて取り組んでおるところでございます。
 次に、仮設住宅の着工状況についてのお尋ねがございましたが、応急仮設住宅につきましては、被災者に一日も早く入居をしていただくよう、鋭意、建設を推進をしているところでございます。現在の計画は、神戸市ほか十六市町村において一万五千戸を建設する予定でありますが、このうち約三千戸が発注済みでございます。これについては、約二千戸が一月末に、残りも二月早々に完成する見込みであります。未発注のものにつきましては、住宅・都市整備公団が保有土地の提供や職員による地元地方公共団体の建設業務の支援活動を行うこと等により、着工の促進を図っているところでございます。
 公営住宅、公団住宅等の空き家につきましては、これまでに約二万戸を確保し、既に一部の市町村におきましては応募受け付けを行い、約四千戸が入居済みとなっております。残りの市町村におきましても近日中に応募受け付けを行う予定でございます。今後、入居事務の一層の促進を図ってまいる所存でございます。
 次に、災害対策の特別立法を考えているかとの御質問でありますが、政府は一丸となって、災害対策基本法時今の法体系の中でやれることはすべてやり尽くすということであらゆる対策を講じているところでありますが、さらなる立法措置については、今回の地震による被害の甚大性にかんがみ、被災地方公共団体の実情、意見等も踏まえつつ検討しなければならない課題であると認識をいたしておるところでございます。
 次に、激甚災害並み扱いとなっているがいつの時点で指定に変えるのかという質問でありますが、兵庫県南部地震により被害を受けた中小企業者等に対する災害融資等につきましては、一月二十日の閣議決定により、激甚災害指定を行った場合と同等の特別措置を講じたところでありますが、その後鋭意手続を進め、本日の閣議において激甚災害指定の政令を決めたところでございます。これにより特別措置を講ずるものとなっております。
 次に、政府の基本法に基づく緊急対策本部についての御質問がございました。
 災害対策基本法では、非常災害が発生し特別の必要があると認めるときに、内閣総理大臣が閣議にかけて災害緊急事態の布告を行うことができることとされ、その場合は内閣総理大臣を本部長とする緊急災害対策本部を設置することとなっております。
 このような災害緊急事態の布告を発するかどうかを決めるに当たっての最大のポイントは、災害対策基本法第百九条に基づく緊急措置が果たして必要かどうかということであります。この緊急措置は、災害緊急事態の布告があった場合には、国会が閉会中または衆議院が解散中などの場合に、国会の議決を経ずして内閣の権限と判断において物資の統制、物価統制、金銭債務の支払い等について国民の私権の制限を含む非常時立法を行うことができるとするものであります。しかも、この非常時立法に当たっては、刑事罰の威嚇をもって国民の私権を制限することも認められております。
 このような緊急措置をとるかどうかを判断するに当たっては、国会の尊重、三権分立の観点からも慎重に対処すべきであると考えています。
 現在のところ、この災害対策基本法に基づきまして非常災害対策本部を設置いたしまして、専任大臣を指定して今当たっておりまするし、先ほども申し上げましたように、その非常災害対策本部のもとに現地に現地対策本部を設置いたしまして、県庁の中に今部屋を借りて現に活動いたしておりまするけれども、県、市町村と連携をとりながら一体となって進めております。
 これをさらにバックアップしていく意味で、私が本部長になった緊急対策本部を設置して、全閣僚がそのメンバーになってそれをバックアップするという体制を整えておりますから、私は現在の取り組みが最善の体制であるというふうに考えておりますということを申し上げたのでございます。皆様方の御理解と御協力をお願い申し上げます。
 最後に、黒柳議員から健康のことまで御心配いただきまして恐縮に存じます。おかげで元気で頑張っておりますから、よろしくお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(原文兵衛君) 倉田寛之君。
   〔倉田寛之君登壇、拍手〕
#11
○倉田寛之君 本題に入る前に、謹んで申し上げます。
 先日、一月十七日早朝の兵庫県南部地震における多くの犠牲者の方々及び御遺族に対し深甚なる哀悼の意を表するとともに、被災、負傷された方々に衷心よりお見舞い申し上げます。
 私は、自由民主党を代表して、さきの政府演説及び地震災害報告に対し、当面の緊急課題につきまして村山総理初め関係閣僚に若干の質問を行います。
 まず、現下の最大の緊急の課題である兵庫県南部地震について、政府の対応をただしたいと存じます。
 被災者の皆さんには、不自由な生活のもとでよく耐えられ沈着に行動されておりますことに感動し、敬意を表しますとともに、また被災地では、みずからが被害をこうむりながら我が身をなげうって救援活動に従事されている自治体の職員やボランティアの皆さんを初め、全国各地から救援に来られた自治体、警察、消防、自衛隊、医療等各団体の皆さん、さらには各国の関係者に対しまして、深く感謝を申し上げたいと存じます。
 目下、政府・与党の対策本部、地方公共団体を中心に、昼夜を徹して救援活動に懸命に取り組んでいるところであります。
 今回の大都市直下型地震は戦後最大の震災となり、二十四日現在、死者五千五十一人、行方不明者が百六人、家屋の半壊全壊五万六千二百四十三棟、火災四百九十六件等による大被害を初め、高速道路やライフラインの破壊等に未曾有の被害をもたらし、日を追って拡大する甚大な被害にいたたまれない思いであります。
 通常国会の直前に起きたこの大地震を、私は「政治よ、しっかりせよ」という天の啓示として厳しく受けとめ、政府が緊急に講ずべき対策について、以下質問いたしたいと存じます。
 まず伺いたいことは、これまでおよそ地震とはほとんど縁のなかった兵庫県地方にどうしてこれほどの大震災が一挙に発生したか。とかく日本の地震帯は東海地方や南関東ということが一般的に受けとめられていましたが、東北地方や北海道、そして今回の兵庫県南部で大規模な地震の発生を見ましたことは、とりもなおさず日本全土が大規模地震発生のおそれが極めて高い地域として受けとめなければなりません。そのためには、これまでの認識を改め、必要な措置を講ずべきと思います。総理、いかがお考えでしょうか。
 今回の地震でこれほどの多数の犠牲者を見ましたが、政府はその原因をどう受けとめておられましょうか、お伺いいたします。
 以下、順次基本問題について質問に入りますが、その第一は非常事態における危機管理への対応であります。
 これまでの政府の対応を見て遺憾なことは、どうも当初の対応が国民の求めるものと絶えず一呼吸、一歩おくれがちで推移しているように思えてなりません。結果論でありましょうが、官邸が情報をもっと早く入手していれば恐らく総理は先陣を切って被災地へ飛んだことでありましょう。それがあれば、緊急対策本部の設置がえや本部長の交代もなく、総理の指示が一本の形で機敏に統制がとれ対策が行われたことと思います。
 また、本来だれよりも早く的確な情報を収集し得る立場にある自衛隊の初期対応がおくれたということが伝えられていますが、伺いますと、当日、地震発生十五分後の六時には陸上自衛隊中部方面隊は情報を収集、六時半には出動態勢に移行、そして八時二十分には伊丹の陸上自衛隊普通科連隊が災害派遣を行っており、既に陸海空ともに万全の待機準備は整っていたと承知しております。なぜ自衛隊への派遣要請がもっと早く行われなかったのか、極めて心残りであります。
 総理、経済大国を自負する我が国には、こうした大緊急時における災害対策について、危機管理のマニュアルは一体あるのでしょうか。あれば、それはどういう形で機能したか、お知らせ願いたいのであります。
 建物の下敷きになっている被災者は一分でも一秒でも早く救出していただきたい、それを自衛隊にお願いしたいと切望しています。自衛隊は、種々の制約の中で、地震発生の十七日には二千三百人、十八日には九千三百人、十九日には九千五百人が出動しております。
 本来の自衛隊の出動は、自衛隊法第八十三条により、地方公共団体等からの要請を受けるのが基本となっております。例外的に緊急時の場合は独自の行動は認められるとしても、災害時における自衛隊の迅速な出動を可能とするマニュアルづくりは当然あってしかるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 大都市における近代的なビルが崩壊すれば、その除去には当然ながら重機械、特にクレーン類が必要であることは論をまちません。今回も、地震によるビル等の倒壊により前面道路が閉鎖されたり、ビル内に人が閉じ込められたりしています。
 ところで、必要なクレーン類は民間企業が保有していますので、その速やかな活用のためには、常日ごろからどこにどのような種類の重機がどれだけあるのか、大枠は協会などを通じて国で把握し、出動の条件についてあらかじめ協議しておくことが必須であります。いかがでありましょうか。
 今回の震災により家屋を消失した被災者に対しましては、応急住宅五千戸、被災者住宅一万戸の建設及び公的住宅施設のあっせん等が決定されておりますことを多とするものであります。さらにその増設を強く要望しておきます。学校等の避難場所での生活にも限度があります。一日も早い着工、入居を切望しております。
 そこで、今回の震災で被災したがまだ倒壊しない建物については、でき得れば我が家で住みたいのが人情であります。ところで、大地震発生直後は避難場所で生活するものの、数日たつと我が家に帰り、そこで余震により命をなくした例は、外国でも国内でもたくさんあります。
 今回の地震では、近県から二百八十名余の建築士が被災地に入り、被災を受けた建築物の危険度の判断をいたしておりますが、関係住民にとっては命にもかかわることであり、また判断する建築士にとっても責任問題が生ずるおそれもありますので、被災建築物の危険度の判断を制度上、例えば建築士法上確立しておくことがあらかじめの対応と存じますが、いかがでしょうか。
 総理、昨年来の北海道東方沖地震、さらには三陸はるか沖地震では、近代的な耐震設計の構築物は安全で被害を受けておりませんでしたが、今回は我が国の科学技術の粋を集約した高速道路の高架橋が各所で倒壊をいたしております。
 政府は今まで、予算委員会や建設委員会で、橋梁は関東大震災クラスの地震でも大丈夫と太鼓判を押していながら、なぜ今回の地震では高架橋が倒壊したのか、御説明をいただきたいのであります。
 仮にもし関東でもこんなような規模の直下型地震があれば、首都高速道路の高架橋も各所で落橋する危惧はないのか、お伺いをしておきたいのであります。
 総理、昨年の七月八日、北朝鮮の金日成主席が死去したとき、我が国の国防の緊急事態に対処する我が国としての安全保障会議はどういうことを議論し、分析、展望したことでありましょうか。遺憾ながら、何ら閣僚間での危機管理への対応は伺えませんでした。
 ひとり国際的な軍事問題にかかわらず、国内の治安、社会の非常事態においても、当然のことながら、危機への対応のマニュアルに基づき、総理という司令塔のもと、災害直後の飲料水・食料等の確保や、ガス・電気・水道などのライフライン、交通手段の確保、仮設トイレ、バキュームカー、衛生管理設備等あらゆる事態に対応した行動指針を確立しておき、機能的な対応への備えを図るべきと存じます。
 大震災発生後一週間を経過いたしましたが、こうした被災者への対応の現状をお伺いしたい。
 総理、災害対策基本法第十一条に中央防災会議の設置が規定されております。総理はその会長であります。この会議に諮り早期に非常災害時のマニュアルを作成すべきと存じます。あわせて、同法百七条に基づき緊急措置について権限のある緊急災害対策本部を設けるべきという要請がありますが、いかがお考えでしょうか。
 第二は、災害復興の問題であります。
 今回の兵庫県南部地震は関東大震災以来初めて大都市を襲った大災害であり、その救援、復旧に当たっては国家レベルで措置すべきことが多く、地方公共団体との密接な連携により被災者の皆さんの窮状に直ちにこたえる心のこもった対策を届けることが、何よりも大切であります。
 このような大災害に対しては、従来の慣例にとらわれず、緊急時には超法規的な対応も含め、現場の決定を重視できる体制を至急確立する必要があります。
 関東大震災のときは、九月一日に地震が発生し、九月二十七日には早くも帝都復興院が勅令により創設され、復興に着手しております。現状は、当時に比べて官庁組織の細分化が進み、一層複雑化しており、また、民間の経済社会における役割分担がはるかに大きくなっているなど、かなりの差異はあるものの、参考になる一面も多々あると思います。
 そこで、今回の地震による被災公共施設の復興の企画、計画、予算を所掌し、かつ県・市の復旧事業を受託できる、また、民間住宅や中小企業関連施設の復旧のための無利子の金融を実施する関西復興院の現地創設を検討いただきたい。
 この場合において、民間関連施設復旧のための無利子資金融資の原資として、利子収入への課税を免除することにより、債券の利率を低く抑えるいわゆる免税債の発行による資金調達ができるようにしてもらいたいと存じます。」
 今回の震災について、具体的に復興を検討するに当たり、まず問題となるのは、分野ごとの被害状況及びその総額がどのくらい見込まれるのかであります。現時点で把握されている数字で結構ですから、お答え願います。
 本格的な復興は防災に強い都市づくりに配慮して十分な検討が必要となりますが、応急的な復旧については、手おくれにならないよう、まずは第一弾として、今次の補正予算の予備費一千億円の充当に加え、思い切った必要欠くべからざる経費の追加計上を行い、迅速な審議、機敏な事業の実施が不可欠であります。
 要は、政治主導により、発想を転換し、組織、予算、税制、金融あらゆる手段を総動員して国全体を挙げて復興に取り組むべきであり、以上四点につき、総理の「人にやさしい安心できる政治」の真価を発揮すべく、大方針を承りたい。
 第三は、経済への影響の問題であります。
 今回の震災の中心である神戸市は、日本の東西の接点に位置し、京阪工業地帯の中核をなし、港湾の荷揚げ量も全国で」、二位を争う地位を占める物流の中心であります。産業インフラ、物流システムの破壊により個々の企業経営を初め関西経済圏のダメージ、日本の景気回復への悪影響がどの程度となるのか、心配でなりません。さらに、部品の輸出、積み出しがおくれ、東南アジア拠点工場の操業停止など、海外への影響も出始めています。
 昭和四十八、九年の第一次オイルショックにおけるトイレットペーパーの暴騰を思い出すとき、今次震災により生活関連物資や建設関係資材の値動きや需給動向を十分注意し、便乗値上げのないよう国民とともに監視する必要があります。推移のいかんによっては、生活関連物資等の買い占め売り惜しみ緊急措置法の発動もちゅうちょせず毅然たる態度で臨むべきと考えますが、いかがでしょうか。
 今回の大震災の影響は決して地域的なものでなく、マクロ的にとらえその復興に巨費を投ずることは、被災者の救済はもちろんのこと、国民経済、生活上も急務であります。
   〔議長退席、副議長着席〕
これについて、全国民の理解と支援を得るとともに、海外からも協力を求めていくべきであります。これに関して政府の積極的な組織対応がどうなっているのか、伺いたい。
 以上、総理大臣の強いリーダーシップに期待し、総理及び小里国務大臣に答弁願います。
 政府演説に対し、引き続いて若干の質問を行います。
 我が国は、明治以来、先進諸国に追いつけ追い越せを国是として今日に至りましたが、それが内外において大きな壁にぶつかり、日本の先行きが不透明になり、不安が生じています。
 最近のある新聞社の世論調査では、平成七年はどのような年になるかとの問いに対し、「混迷」という答えが最も多く四八%、次いで「変革」二六%、以下は「安定」一八%、「その他」となりました。「混迷」と「変革」は表裏の関係にあります。つまり、混迷打開のためには変革が必要であり、変革のためには混迷を避けて通れません。「混迷」と「変革」合わせて七四%に達する調査を、私は、国民の多くが大きな転換期を迎えている時代の流れと自覚し変革を期待していると受けとめ、改めて、今、政治の背負う責任の大きさを痛感しております。
 今ここで我々が混迷、閉塞状況を打開する有効な手を打つため、国民のエネルギーを結集できる新しい目標、指導理念について総理みずから国民に語りかけ、それに真剣に取り組むことがぜひとも必要となっています。
 総理は、新春の村山ビジョンの中で、「創造」をキーワードに行政改革、経済構造の改革など四項目を掲げられました。歴史の教えるところ、新しいものを創造するためには古いものを破壊することは避けて通れません。
 現実的に新たな改革に伴う組織、人員の見直しなどの問題にいかに対処していくのか、「やさしい政治」によりどのように摩擦を少なくして大きな成果を上げることができるのか、具体的に政治手法、政策が厳しく問われる局面にあります。改革から創造へを単にきれいごとのスローガンに終わらせず、新しい指導理念へと高めていくためにこの辺のところをわかりやすく説明していく必要がありますが、総理、いかがでありましょうか。
 生産者重視から生活者重視へ、中央集権から地方分権へ、許認可重視から規制緩和へ、消極的国際貢献から積極的国際貢献へ。行財政改革、農業改革、新産業の創設など、どこを向いても改革を望む声が高く、我が国は、今、国の命運をかけた歴史的な転換期を迎えているのだと思います。
 転換期に最も重要なことは、政治を安定し、的確な政策を打ち出して国民の希望にこたえることであります。この点、現在の自由民主党、日本社会党、新党さきがけ連立政権は、戦後厳しく対立してきた自社両党が、イデオロギーを超え、ようやく同じ土俵に上がって、手を組みながら大転換期に対処しようという各与党の決意を示すもので、すぐれた選択であったと思います。事実、昨年末の臨時国会では、政治改革法案など政府提出の議案が一〇〇%可決、成立するという見事な実績を上げました。
 マスコミの調査によると、村山政権に対する国民の信頼度は次第に高まっております。私は、現政権の基盤を強化して政治を安定し、激動する内外情勢に的確に対処することこそ、今、最も重要と考えますが、まず総理の御見解と御決意を伺います。総理、どうか確信を持って決意を表明し、国民の期待にこたえてください。
 本年は、第二次大戦が終結して五十周年という意義ある節目の年であります。
 確かに東西の冷戦は終わり、米ソ両大国の二極対立構造が崩れ、世界戦争の危険性はなくなりましたが、民族や宗教的な地域紛争はむしろ以前より激化しており、難民問題を初めとして経済摩擦、環境破壊、人口爆発、エイズ問題など、新たな地球的規模の問題が発生しております。
 今こそ我が国は、過ぐる歴史を直視して自省し、改めて我々は世界の中で何をなすべきかを真剣に考えねばなりません。世界の新しい発展と秩序づくりに向かって、その持てる経済力、技術力を駆使して、非軍事的な部門で精いっぱいの国際協調を果たすべきと考えます。今や我が国は、欧米とアジア、さらには南北のかけ橋としての役割を果たすべきでありましょう。戦後五十年、日本外交の進むべき道を総理及び外務大臣はどうお考えでしょうか。
 総理、新春早々より米国訪問、まことに御苦労さまでした。
 日米五十年の歴史において、これまでいろいろなことがございました。日米両国は政治や安全保障、文化交流等では比較的良好に推移してきたところでありますが、経済面ではややもするとぎくしゃくし、摩擦、競合することがこれまでもしばしばあります。今日のところ、その火種が全く消えたわけではありませんが、概してよい状況で推移しているように見受けられます。
 この記念すべきときに当たり、日米両国の首脳が創造的パートナーシップのもと不断の対話を進め、二十一世紀に向けて環境など地球的課題について日米の幅広い協力関係の強化が図られたことは、極めて意義深い実りある会談であったと受けとめております。総理は日米首脳会談の成果をどう受けとめ新たな日米関係をどう構築されるのか、御答弁願います。
 日米包括協議では、これまで政府調達、保険、板ガラス及び米国の輸出振興・競争力強化の四分野は合意されておりましたが、未決着でありました自動車・同部品分野の協議が月内再開の方向で決まりました。自動車は日本との貿易不均衡の六割を占めていると言われているだけに、その進展が強く促され、我が国としても厳しい対応を迫られると思います。決着のめどをどこに置き、政府としてどう対応されるのでありましょう。どうか管理貿易的手法での安易な妥協とならぬようくれぐれも注意していただきたいのであります。総理及び通商産業大臣に御所見を求めます。
 総理、私は、あなたが今回の日米会談で、日米安保体制の重要性を再確認され、その堅持を言明されたことを高く評価いたすものであります。
 今日、お隣の朝鮮半島では、韓国、北朝鮮合わせて百五十万人を超える地上軍が非武装地帯を挟んで対峙している状況にあります。また、北朝鮮における核や長距離ミサイルの開発の動き、中国における海空軍事力を中心とした国防力の増強、極東ロシア軍の装備の近代化、さらには南沙群島や我が国の北方領土などの未解決な問題が残っていることに思いをいたすとき、冷戦後のアジア・太平洋地域において日米安保条約に基づく米国のプレゼンスは依然として重要な役割を果たしており、日米の緊密な友好関係の維持どこれら地域の安全のためには、今後とも堅持すべきことは言うまでもありません。
 ただ、安保条約の堅持といっても米ソ対立時代の日米二国間の安全保障に限定するものではなく、新しい時代のアジア・太平洋地域における平和と安全に幅広く寄与する日米安保条約であるべきと考えます。総理はいかがお考えでしょうか。
 今回特に在沖縄米軍基地の統合整理について米大統領が理解を示されたことを、心より歓迎するものであります。政府は今後どういう方針で対処されるのか、お伺いいたします。
 今回の日米首脳会談において、北朝鮮の核開発問題が討議されております。北朝鮮の核兵器開発問題は、我が国を含む北東アジアの安全保障上極めてゆゆしき事態であるのみならず、核不拡散体制や国際社会の安全保障にとって重大な問題であります。
 昨年十月の米朝合意を受け、黒鉛減速炉と関連施設の稼働や建設は停止されたようで、確かに北朝鮮の核兵器開発問題の解決に向けての第一歩で、歓迎するものであります。
 総理は、北朝鮮の軽水炉転換について、支援のための朝鮮エネルギー開発機構に対して、意味のある財政的役割を果たすと財政支援を約束されております。問題は、軽水炉の建設費だけで四十億ドルとも伝えられます。総理は具体的な負担額を表明していませんが、それらの費用の各国分担はどうなるのか、また、核査察を先送りした今、核軍事転用の検証をどうするかなど、いろいろ問題がありますが、今後どう取り組むのか、総理の御見解を承りたい。
 総理は、本年十一月、大阪で開催されるアジア・太平洋経済協力会議、APECの議長国として、その成功に向けて米国に協力要請をいたしております。我が国は、従来よりAPECをアジア・太平洋の経済的な発展を進めていく上で中核となる協議のフォーラムと認識し、積極的な取り組みを行ってきたところでありますが、このたび議長国としてアジアと米国の橋渡しとして、域内の貿易・投資の自由化に向けた行動指針を取りまとめねばなりません。今後APECの一層の発展にどう努力していくのか、政府の所見を承りたい。
 さきに我が国及びアジアの安全保障にとって日米安保体制の重要性を指摘いたしましたが、我が国の独立と平和を維持し国民の生命と財産を守るためにみずから適切な規模の防衛力を整備することは、国家としての当然の責務であります。
 さきの内閣において、総理の私的懇談会として防衛問題懇談会が設けられ、新たな防衛計画大綱の骨格について諮問が行われましたが、その後、村山内閣が誕生じ、昨年八月十二日に村山総理がその報告書を受け取っております。現行の中期防衛力整備計画は本年限りとなっておりますので、次の防衛計画の大綱をどう策定するのか、早期に検討に入る必要があろうかと存じます。現行の大綱決定時の昭和五十一年当時と今日の国際情勢は大きく変化しているほか、技術水準の動向や自衛官募集適齢人口の減少、さらには財政事情など大きくさま変わっているだけに、防衛全般について中長期的な視点からの大幅見直しは必至でありましょう。与党三党は、連立政権の合意事項として軍縮を進めることをうたっておりますが、総理は防衛計画の大綱の見直しに当たってどういう基本的な考え方のもとで行うのか、その所見を披瀝願いたい。
 今回のルワンダPKOの派遣を顧みて、隊員諸君が規律と責任のもと任務を全うし、現地の人々や国際社会より高い評価を得たことは、目に見える国際貢献の一つとして同慶の至りであります。今後とも自衛隊の国際平和維持活動の参加をより機動的に行っていくためには、PKO業務を現行の自衛隊法の雑則による位置づけではなく、自衛隊本来の業務に格上げすべきと考えます。政府はどのようにお考えでしょうか。
 また、本年八月にはPKO協力法が施行されて三年目を迎え、現在参加を凍結している国連平和維持軍、PKFの見直しの時期を迎えます。これまで三回のPKOの派遣の実績、カンボジア、モザンビーク、ルワンダから、現地の実態に即応して幅広い積極的な国際貢献を行うためには凍結を解除すべきとする意見が強くあります。総理はこれをどう受けとめておられますか、御所見を求めます。
 今回のいわゆる平成不況は、三十カ月に及ぶ戦後二番目の長さを記録し、一昨年十月に景気の谷底を通過したと言われますが、その回復の足取りは重く、一年以上たった現在でも実感として薄日が差し込むところまで来ているのかどうかはっきりしません。景気回復パターンが従来と大きく異なっていることに十分留意した対応が必要であります。
 やや落ちつきを取り戻しつつある円相場も、いまだファンダメンタルを反映した水準とかけ離れており、アジア諸国等からの安い輸入品の増大により価格破壊が目立ち、日本の産業に衝撃を与えています。このような状況のもと、国内での民間設備投資の回復ははかばかしくなく、産業の空洞北が進展し、雇用は依然として低迷し続けています。
 世界は今や大競争時代に突入しつつあり、アジア諸国の激しい追い上げなどを考えると、このままでは日本経済は衰退に向かうのではないかとの懸念さえ出ています。総理は、今後の景気回復テンポ、日本経済の将来をどのように展望されているのか、まず伺いたいのであります。
 総理は、施政方針演説などで日本の経済構造の革新、経済フロンティアの拡大を掲げられていますが、具体的には、情報通信、ハイテクなど新規投資分野を開拓し潜在成長力を持続的に引き出しつつ雇用の安定を図ることがポイントになります。これらの点を踏まえ、新経済計画をどのような方針で策定されるのか、答弁を願います。
 経済社会発展の原動力は、言うまでもなく独創的な研究開発によるイノベーションに負うところが大であります。今後我が国の高い教育水準や産学官の連携を生かしつつ、海外土の競争的共存を図っていくため、科学技術立国を目指し、教育、研究開発の先行投資を優先していくべきと考えるが、総理の見解を伺いたい。
 我が国の先端科学技術の粋を集めた宇宙開発ロケットについて、失敗を乗り越え、恐れずに果敢に挑戦し続ける技術者の皆さんに敬意を表するとともに、来月二十二日のHU試作機の打ち上げの成功を心から祈るものであります。
 不況、円高により一番大きなダメージを受けているのは、我が国経済を支えている六百四十八万事業所に及ぶ中小企業であります。特にそのうちで自力のみでは新しい分野への進出や雇用の維持が困難な小規模零細企業の救済について早急に対策を講じていくべきであり、通商産業大臣、具体的な対応策を答弁願いたい。
 さらに、深刻な雇用問題において大きなしわ寄せを受けている中高年、女性、新規学卒者に対し、「やさしい政治」の観点から採用促進対策を層きめ細かく推進するとともに、終身雇用システムが崩壊しつつある過程で痛みを伴わずに労働力の流動化をどう図っていくのか、お考えを述べていただきたい。
 また、WTOの発足に伴い国内の体制整備が急がれますが、特に農業・農村の再建、活性化についてはウルグアイ・ラウンド農業合意対策要綱に基づいて着実に推進し、安心して営農に取り組み、食料の安定供給が図られることが肝要であり、発想の転換が強く求められております。このための新しい基本法制定の基本的な考え方をこの際お聞かせ願いたい。
 我が国は少子化、高齢化が急速に進行しており、本格的な少子・高齢社会の到来が間近に迫っております。来るべき二十一世紀を展望するとき、国民生活に安定と安心を保障する社会保障制度の果たすべき役割はますます大きくなっていくものと思われます。
 総理は、二十一世紀の少子・高齢化社会に向けて新しい福祉理念、社会福祉像をどのように考えているのでしょうか。また、我が国の急速な少子化、高齢化の進行は当然ながら年金、医療、福祉など社会保障に要する費用が増大しますが、将来の社会保障の給付と負担のあり方についてどのように考えているのか、お考えをお伺いいたしたいと存じます。
 社会保障政策の喫緊の課題は、新ゴールドプラン、高齢者介護の問題であります。
 昨年十二月、平成七年度予算編成に先立ち、関係大臣の協議により新ゴールドプランが新年度からスタートすることが決定されました。これによりホームヘルパーの整備目標を大幅に引き上げるなど、これまでのゴールドプランが根本的に見直されて、高齢者介護施策を今まで以上に充実させていくこととなり、評価はいたします。
 この新ゴールドプランによって、国民が安心して年をとることができるような介護サービスの供給体制が整備できるのでしょうか。新ゴールドプランに掲げられた目標を今世紀までに達成することは可能なのでしょうか。
 また、国民は老後の生活において万一寝たきりになった場合の介護の問題に高い関心を持っています。新ゴールドプランの策定はこれに対する一つの答えであると考えますが、ニーズに応じたサービスを迅速に利用できる仕組みが全国的に構築されるためには、現行制度の見直しを含めたさらなる取り組みが必要とされるのではないでしょうか。
 そこで、すべての国民が公平に必要なサービスを利用できるような社会づくりに向けてどのような展望を持っておられるのか、さらに、これに関して介護保険制度に関する検討が政府において行われていると伝えられていますが、その検討状況について、総理、お伺いしたいと思います。
 生きがいと潤いのある生活のためには、地域の連帯による相互扶助システムのネットワークづくりを進め、サマータイム導入による自由時間の拡大、ボランティア活動の促進を図ることなどいろいろ工夫していく必要がありますが、総理、いかがでしょうか。
 昨今、義務教育課程における学校でのいじめにより痛ましい自殺が相次ぎ、大きな社会問題となっております。これは根の深い問題であり、短期間で解決することは難しいことかもしれませんが、一時的な議論だけで終わらせることなく、村山内閣が全力を挙げて取り組んでいくことが焦眉の急であります。
 高齢化社会を迎える今日、人間として、お年寄りやすべての人に対する思いやりや、人の痛みがわかる心をはぐくんでいく教育が何よりも大切なのであり、そのためにも、教師と子供との信頼関係、父母と子供の家庭における暮らし、しつけ、子供同士の助け合う気持ちが何よりも大切であります。学校、家庭、地域社会が連携をとって二十一世紀の担い手としての次世代の子供たちをはぐくまねばなりません。
 戦後五十年の教育を顧みて、これでよかったのかと自問自答しつつ教育の総点検をすべきと考えるが、この点、総理にお伺いをいたします。
 総理は施政方針演説において、行政改革、規制緩和、地方分権を内閣最大の課題として位置づけられております。長い間、成長最優先の大方針のもとに形成されてきた日本型の経済社会システム全体がここに来て大きく行き詰まり、内外の厳しい批判にさらされています。
 民間においては、バブル崩壊に伴い、生き残りをかけ、人員整理や年功序列の見直しを初め、既存システムの総点検、リストラが徹底的に行われています。
 他方、日本の成長に大きな役割を果たしてきた官僚組織は、今や目標を失い、省益や天下り先を守るのにきゅうきゅうとしているかのように言われますが、そんな視野狭窄的な官僚ばかりではないと信じております。
 すなわち、ポスト産業成熟社会の新しい経済社会システムがどうなるのか、その中で行政がいかなる役割を果たしていくべきか、ここのところを明確にしなければなりません。総理の見解はいかがでしょうか。
 例えば、来るべき高度情報ネットワーク社会において、集中から分散へ、規制から創造へとパラダイムすなわち基本的な知的枠組みが百八十度転換していく中で、セクト主義を排し内外の知的集積センターの中核として行政システムを位置づけていくことも検討に値するのではないでしょうか。
 第三者機関である行政改革委員会において、各界の幅広い意見を集約し、新しい行政の役割を踏まえた具体的な提言を積極的に打ち出されることを強く期待をするものであります。
 行政改革の断行は、今や内外注視の的であり、待ったなしの最重要課題であります。単なる数合わせや格好づけで事済ますことは許されません。行政改革、規制緩和、地方分権一体としてはっきり国民の目に見える形で目標と効果を提示し、その実行が担保されることが不可欠でありますが、昨年暮れの大綱ではこの点が明確になっているのかどうか、御答弁願います。
 特に大きな焦点となっている特殊法人の問題については、年末の閣僚からのヒアリングでは取り組みがばらばらの印象を受けましたが、このようなことで二月中に抜本的な改革の政府案がまとまるのかどうか心配であります。総理、自信のほどはいかがでありましょうか。
 「隗より始めよ」ということわざがありますが、昨年、特殊法人改革の具体案を公表された新党さきがけの党首であります武村大蔵大臣は、所管の政府系金融機関の統廃合についていかが対処される考えか、各省の様子見を打破するためにも具体的にお答え願いたい。
 規制緩和につきましては、過日の日米首脳会談で取り上げられ国際公約の履行問題にもなっていますが、各省から出てきた小手先の寄せ集めではなく、各界の要望を十分に反映しつつ、競争条件の整備や内外価格差の縮小などに真に役立つ規制緩和五カ年計画でなければなりません。毎年の点検も不可欠であります。これに関し明確な見通しを伺いたい。
 また、地方分権は住民に対するよりよいサービスの提供が可能となるよう地方自治体の受け皿づくりや効率化がその前提であり、我が国戦後民主主義の集大成という視点を大切に、地方の要望に十分留意しながら推進されるべきであります。
 地方分権の基本法については、今、国会審議の最大の懸案事項であり、官僚等の壁を乗り越えて、この法律において国と地方の役割分担を明確にし、権限委譲の基準や地方分権推進委員会の監視、勧告権限をいかに明記できるかどうか、ここは総理の勇断が最も求められるところであります。確固たる方針をお聞きしたい。
 質問を終わるに当たり一言。
 この一年を顧みて、前政権下の前半は、強権的な政治手法のもと、国民福祉税構想、日米経済包括協議等が破綻し、政局は混迷を深め、予算を度外視して取り組んだ政治改革さえも仕上げることができませんでした。
 この間、我が党は、国民の批判を謙虚に受けとめ、厳しく反省し、自己改革に真剣に取り組んできたところであります。自由民主党は地震復旧に全力を挙げるため党大会を二カ月後に延期しましたが、この党大会で内外の情勢の変化に対応するため新しい理念、綱領等の決定を目指しています。
 今次内閣においては、与党三党が民主的な手続を重視しつつ、政治改革関連法の成立を初め国益最優先の課題処理に努め、政局は落ちつきを取り戻してきました。依然厳しい内外の情勢、火急の課題が山積する中、理念、政策を二の次にして党利党略に明け暮れることはますます政治不信をもたらすことになり、もはや許されません。
 明治維新の大先達は、激烈な政争、大混迷の中、国家百年の大計に立ち近代国家の基盤を立派に築いたのであります。本年はまさしく行政改革維新、地方分権元年であります。ここは党利党略を超えて、不退転の決意のもとに、猶予できない兵庫県南部地震対策はもとより、国民的な課題、特に行政改革、経済構造の革新について与野党とも全力を挙げて取り組むべきであります。
 また、本年は春の統一地方選挙、夏の参議院選挙と、国民の判断を仰ぐ機会が相次いで予定されております。国会改革を初め政治改革に引き続き取り組んでいくことが政治の使命であります。
 「治を為すは、多言にあらず、力行如何を顧みるのみ」。十八史略の一文であります。国を治めるの道は決して多言を弄することではない、いかに政策を実行するかにかかっている。まさに今日の政情を鋭くえぐる言葉であります。
 今、総理にこの言葉を贈り、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(村山富市君) 先ほどの答弁の中で、公営住宅、公団住宅等に入居済みの戸数について間違いがございましたから訂正させてもらいます。約四百戸が入居済みであります。
 次に、倉田議員の質問にお答え申し上げたいと思います。
 日本全土が大地震帯であると認識をし必要な措置を講ずるべきではないかとの御質問でありますが、地震多発国である我が国は、過去多くの地震災害を経験しており、これまでも震災対策は特に緊急な課題であるという認識のもとに都市防災化の推進や防災体制の強化などの対策を講じてまいりました。今回の地震により、建築物の倒壊や火災の発生、道路や鉄道の被害などが発生をし、五千人以上の方が亡くなられるという甚大な被害が発生をいたしましたが、この事態を重く受けとめ、今回の災害について詳細な調査分析を早急に行うとともに、その結果を踏まえて人的被害の軽減も含めた地震対策の拡充強化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に、緊急時の災害対策についての御質問がございましたが、防災上の危機管理体制の整備は重要な課題であり、情報収集体制、関係機関に対する迅速かつ的確な指示を行い得る体制の整備等、その充実に努めてきたところでございます。また、大規模災害の発生に備え、毎年九月一日の総合防災訓練等を実施しているところでございます。
 今回の災害においては、地震発生後に速やかに非常災害対策本部を設置し、当面重点的に実施をする事項について決定し、直ちに政府調査団を派遣するなど迅速な対応に努めてきたところでございますが、今回の経験にかんがみ、見直すところは見直して、さらに一層充実したものにしなければならないと考えているところでございます。
 災害時における迅速な出動を可能にするマニュアルについての御質問がございましたが、防衛庁においては災害派遣に関する訓令を定めており、また、自衛隊からも委員が任命されている都道府県防災会議で作成される地域防災計画には自衛隊の災害派遣の効率化に関する事項を定めることとなっておりますが、今回の経験に照らしまして、さらに自治体関係者とも協議を童ね充実させなければならないと考えているところでございます。
 早期に非常災害時のマニュアルを作成すべきとの御質問でございますが、中央防災会議においては、これまで防災基本計画の立案や南関東地域直下の地震対策等については対策を講じてまいりましたが、今次の経験にかんがみまして、非常災害時における災害対策のあり方についてさらに検討を行ってまいる所存でございます。
 また、緊急災害対策本部にしないかとの御質問でありますが、災害対策基本法では、非常災害が発生し特別の必要があると認めるときに内閣総理大臣が閣議にかけて災害緊急事態の布告を行うことができるとされており、その場合は内閣総理大臣を本部長とする緊急災害対策本部を設置することとされております。
 このような災害緊急事態の布告を発するかどうかを決めるに当たっての最大のポイントは、災害対策基本法第百九条に基づく緊急措置が果たして必要かどうかということであります。この緊急措置は、災害緊急事態の布告があった場合には、国会が閉会中または衆議院が解散中であるなどの場合に国会の議決を経ずして内閣の権限と判断において物資の統制、物価統制、金銭債務の支払い等について国民の私権の制限を含む非常時立法を行うことを可能とするものであります。しかも、この非常時立法に当たっては、刑事法の威嚇をもって国民の私権を制限することも認められております。
 このような緊急措置をとるかどうかを判断するに当たりましては、国会の尊重、三権分立の観点からも極めて慎重に対処すべき問題であると考えております。
 現在のところ、先ほども申し上げましたように、現在取り組んでおる体制で十分に事態に対処できるものと考えておりますので、あえてこのような措置をとる必要はないと考えているところでございます。
 次に、関西復興院の設置についての御質問でありますが、今回の地震による被害からの復興については、各省庁の所管する現行制度を十分に活用することにより鋭意対策を講じていく考えでございます。特にこのたびの災害では非常災害対策本部の現地本部を設置いたしまして、現地においても政府として県・市と一体となって災害からの復旧、復興を推進することといたしておるところでございます。
 政府といたしましては、今後とも現行の組織を最大限活用し、災害対策について全力を挙げておるところでございまして、新たな立法措置等につきましては検討しなければならない課題であると考えているところでございます。
 いわゆる免税債の発行による資金調達についてのお尋ねでありますが、今回の地震による災害復旧等に関しましては関係省庁が鋭意復旧対策を講じているところでありまして、これに支障がないよう財政的にも必要な措置を適時適切に講ずることとしておりまして、最善を尽くしてまいる所存でございます。ただし、御指摘の構想には検討すべき問題点が多々あると考えますので、いずれにいたしましても財源措置については十分検討してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、地震災害対策のための財政措置として思い切った必要な経費の追加計上を行うべきではないかとのご指摘でございますが、先ほども申し上げましたように、今回の地震による災害復旧等に関しましては、必要な財政措置を適時適切に講ずることとしておりまして、時期を失することなく、補正予算の検討などあらゆる手を尽くして万全の措置を講じてまいる所存でございます。
 次に、地震の経済への影響についてお尋ねがございました。
 被害総額は甚大なものとなると見込まれ、今後具体的な数字につきましてその的確な把握に努めてまいりたいと考えております。このため、関西経済圏においては被災地域の住民の生活や生産、物流などの経済活動に当面マイナスの影響があるのは必至であると考えざるを得ません。
 ただし、同地震による我が国経済全体への影響につきましては、復興への対応の動向等も含めて考える必要があります。政府としては、今後の経済運営に万全を期す所存であることだけは申し上げておきたいと存じます。
 次に、生活関連物資等の便乗値上げ等についての御質問でございますが、政府といたしましては、被災地域における生活関連物資等について供給の確保を図っていくとともに、価格の安定を確保するため需給・価格動向について調査・監視を強化するほか、情報提供等に努めるなどによってそのような事態が発生しないよう適切な対応を図ってまいる所存でございます。
 今回の兵庫県南部地震の復興に関し、全国民の理解と支援を得るとともに海外からの協力も求めていくべきとの質問でありますが、御指摘のとおり今回の地震災害の復興は急務の課題と認識しており、政府といたしましても、全国民の御理解と御支援、また必要に応じ海外からの協力も得ながら復興に対する事業量の確保など万全の対策を講じてまいりたいと考えているところでございま号す。
 次に、改革による摩擦と「人にやさしい政治」との関連についてお尋ねがございましたが、改革は新しい社会を創造するための産みの苦しみとも言うべきものであり、何らかの意味での社会的な摩擦を伴うものであると考えています。私が目指す「人にやさしい政治」は、このような改革の産みの苦しみを避け、やすきにつく政治ではございません。私は、みずからに厳しく、社会の構成員に対して真に責任を持った政策決定を行うことによって、行政改革の断行を初めとする諸課題に全力を傾注し、改革から創造へと飛躍を図ってまいる考えでございます。
 次に、政権の基盤を強化し内外の情勢に的確に対処すべきでないかとの御質問でありますが、内外ともに大きく変化する時代にありまして、今ほど真摯な政策論議とそれに基づく改革努力が求められているときはないと考えています。このためには政権を安定させ、国民から安心感を持って迎えられる政治を実現することが急務であると存じます。
 この連立政権は、昨年六月以来、透明で民主的な政策論議を重ねつつ、長年の懸案であった改革の諸課題に大きな区切りをつけてまいりました。引き続き、時代の要請にこたえ、さらなる改革を推し進めてまいる所存でございます。皆様方の御理解と御協力をお願い申し上げます。
 我が国外交の進むべき道についてお尋ねでありますが、私は、戦後五十周年という節目の年を迎え、改めでこれまでの五十年を振り返り、来るべき五十年を展望し、世界の平和と繁栄のために取り組んでいくとの決意を新たにいたしております。この年を過去の五十年から未来の五十年へとつなぐ大きな転換の年にしたいと願っております。
 こうした考え方に立ちまして、平和と安全の確保という政治面、繁栄の確保という経済面、そして環境問題、人口問題といった地球的規模の側面で国際社会が直面する諸課題に積極的に取り組む所存でございます。
 次に、今般の日米首脳会談についてお尋ねでありますが、私は、戦後五十周年という節目の年の初めに、クリントン大統領と打ち解けた雰囲気のもと多くの項目について具体的な意見交換を行うことができ、非常に有意義であったと考えています。
 中でも、私とクリントン大統領は、これまで日米関係が国際社会に果たしてきた役割を改めて確認するとともに、日米関係を前向きで将来に目を向けたものとしてとらえることで合意をいたしました。そして、その具体的方策として、環境、人口、エイズ、途上国の女性支援等の地球的展望に立った協力、安全保障、APECなど多くの分野での日米間の協力を進めることにつきましても意見の一致を見たところでございます。
 私は、今後日米関係を一層発展させていくために、首脳会談の成果を踏まえ、引き続き日米関係が日本外交の基軸であるとの認識に立って、アジア・太平洋地域さらには世界平和と繁栄のために日米両国が一層責任を担って協力関係を発展させていくよう、政府として努力を尽くしてまいる所存でございます。
 次に、日米包括経済協議についてお尋ねがございました。
 この協議につきましては、今般の日米首脳会談においてもクリントン大統領より、先般決着を見ました金融サービス分野を初め過去一年間に種々の成果が得られたことを評価するとともに、この協議のもとでのさらなる進展に対する期待の表明がございました。我が国としても、日米包括経済協議につき引き続き積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 自動車及び同部品の分野については、今般の日米首脳会談におきましてもクリントン大統領より、本件は日米双方にとって困難な問題ではあるけれども、作業を誠実に継続していくことが必要であるとの認識が示されました。
 我が国としては、従来より明確にしてまいりました日米包括経済協議の原則、すなわち、双方でとる措置について政府による対応が可能で責任の及ぶ範囲の事項に限定すること、将来の結果をあらかじめ約束することはできないこと等の原則を堅持しつつ協議に臨んでいくことといたしておるところでございます。
 次に、安保条約のアジア・太平洋地域の平和と安全に対する寄与についてのお尋ねでございましたが、ソ連邦の解体により東西冷戦は名実ともに終結をし、地球的規模の戦争の可能性は大幅に減少したことに加え、核大国間の軍縮への努力が進展し、国際協調に基づく新しい世界の構築が模索されています。他方、このような中で国際社会は依然として多くの不安定要因を内包しております。このような時代の変化の中にございまして、日米安保体制は、引き続き我が国の安全を確保するとともに、日本と米国が協調し、アジア・太平洋地域の安定、ひいてはこの地域の平和と繁栄を促進していく上で大きな役割を果たしていくものと認識をいたしております。
 政府といたしましては、日米安保体制を堅持し、これが最も効果的に機能するよう、今後も安全保障面での対話を促進し協力関係を進めることが重要であると考えているところでございます。
 次に、在沖縄米軍基地の統合整理についてのお尋ねがございましたが、日米安保条約の目的達成のために必要な施設・区域を米軍に提供することは日本政府にとっての条約上の義務であります。他方、特に沖縄県を中心に米軍施設・区域の密度が高く、その縮小及び整理統合などについて従来より沖縄県民の方々から強い要望のあることも十分承知をいたしております。
 この問題につきましては、先日の私の訪米の際にクリントン米大統領と話し合ったところであり、政府といたしましては、安保条約の目的達成と地域住民の要望との調和を図りつつ、地元の御協力もいただきながら、この問題に進展が見られるよう引き続き努力してまいりたいと考えているところでございます。私より、外務大臣及び防衛庁長官に対しましても、鋭意努力をするよう指示をしたところでございます。
 次に、北朝鮮の軽水炉転換に対する各国の費用分担及び我が国の今後の取り組みについてのお尋ねでありますが、北朝鮮の核兵器開発問題は国際社会の安全保障にかかわる重大な問題であるとともに、我が国の安全保障上の重大な懸念でもございます。
 軽水炉プロジェクトに関する費用に関する各国の貢献は今後協議されていくことになりますが、我が国としては、さきに述べた観点から、同プロジェクトの全体像のもとでの意味ある財政的役割を果たす必要があると考えているところでございます。
 同時に、御指摘の核の軍事不転用を含め北朝鮮側による米朝合意の履行状況につきましては、米朝合意の当事者である米国及び査察を実施するIAEAを中心に、国際社会として厳密に確認していくことが重要であります。我が国としても、今後、米朝合意を実施するために設立される予定の国際コンソーシアムに参加し、積極的に北朝鮮に対して義務の履行を求めていきたいと考えているところでございます。
 次に、APECの発展への努力についてのお尋ねでありますが、我が国はこれまでAPECをアジア・太平洋の経済的な発展を進めていく上で中核となる協議のフォーラムであると認識をし、積極的な取り組みを行ってまいりましたが、本年は議長国としてAPECの一層の発展に努力してまいりたいと考えております。
 昨年のボゴールでの会議では、アジア・太平洋における貿易・投資の自由化、円滑化の大きな方向性につき合意をいたしましたが、我が国は、今後、APECの議長国としてボゴール宣言の具体化のための行動指針を十一月の大阪会合で取りまとめたいと考えているところでございます。ただ、その際、貿易・投資の自由化、円滑化に関する種々の作業の促進を図るとともに、地域の多様性にかんがみまして人材育成等経済開発の側面における各種の協力についても一層の進展を図ることが重要であると考えているところでございます。
 次に、防衛計画大綱の見直しについての御質問でございますが、我が国は、憲法のもと専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本理念に従い、日米安保体制を堅持するとともに、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ節度ある防衛力を自主的に整備してきたところでございます。かかる我が国の基本方針は、今後とも引き続き堅持をしてまいりたいと考えています。
 また、我が国の安全を一層確固としたものとするには、国際社会をより平和で安定したものとしていくことが肝要であります。国際社会における軍備管理・軍縮の動きはかかる観点から見て歓迎すべきものであり、我が国としてもこのような軍備管理・軍縮の促進を訴えていくことが必要であると考えております。他方、我が国としては、周辺諸国との信頼関係の構築を進めつつ今後の我が国の防衛力のあり方について検討を行っておりますが、これについては、冷戦後の国際情勢の変化、国際社会における軍備管理・軍縮に向けての努力、将来における我が国の人的資源の制約の増大、科学技術の進歩、一段と深刻さを増している財政事情等も踏まえて、今後とも慎重に検討する必要があると考えているところでございます。
 次に、国際平和協力業務の本来任務化についての御質問でありますが、自衛隊法第三条を改正し、国際平和協力業務を自衛隊の本来の任務とすることは、自衛隊の存立目的を変えることとなるものであります。このためには、自衛隊による国際平和協力業務の実績等を踏まえるとともに、防衛庁、政府部内はもとより、国民的な議論を経た上で行うことが適当であると考えております。
 次に、いわゆる平和維持隊本体業務の凍結解除についてのお尋ねでございますが、自衛隊の部隊等が行う国際平和協力業務の一部である同業務につきましては、別に法律で定める日まで実施しないものとされております。この一部業務の凍結の解除を含めた国際平和協力法の見直しに当たりましては、既に終了いたしましたカンボジア等への派遣や先ごろ終了したばかりのザイール等への派遣、さらには間もなく終了するモサンビークヘの派遣といったさまざまな貴重な経験をも踏まえた上で検討する必要があると考えております。
 なお、政府といたしましても、今後の検討に際しましては、本法の法案審議の経過等にかんがみ、国会等における御議論にも十分に耳を傾けていくべき問題であると考えているところでございます。
 次に、今後の景気回復、日本経済の展望についてのお尋ねでございますが、景気は緩やかながら回復基調をたどっており、六年度の実質GDP成長率の実績見込みは一・七%といたしております。七年度につきましては、これまで景気を下支えしてまいりました公共投資と住宅投資が依然として高水準で推移する中で、民需の二大需要項目である個人消費と民間設備投資が需要の中心として景気を牽引していくものと考えております。この結果、我が国経済は内需中心の安定成長の実現に向かい、国内総生産の実質成長率は二・八%に高まるとの見通しを立てておるところでございます。
 円高は輸出入の両面から経済に影響を与えますが、急激な円高は、輸出産業の円建ての手取りを減少させ、企業収益を圧迫することから、企業活動に悪影響を与える面があり、為替の動向に引き続き注意を払っていく必要があると考えております。一方、産業の空洞化やそれに伴う雇用への懸念など先行きに対する不透明感が広がっております。このため、自由で柔軟な活力と創造性にあふれた経済をつくり上げていくための構造改革に今後一層取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 次に、新経済計画の策定方針についてのお尋ねでありますが、今後、我が国が自由で柔軟な活力と創造性にあふれた経済をつくり上げていくためには、御指摘のように情報化の推進などにより経済フロンティアを拡大し、あわせて雇用の安定を図ることが重要であると考えております。
 こうした中で、二十一世紀に向け、自由で活力があり、国民が豊かに安心して暮らせるとともに、国内外に開かれた経済社会を創造するための長期的な経済運営の指針として新しい長期経済計画の策定に取り組む考えでございまして、経済審議会にその諮問を行ったところでございます。また、昨年末には産業構造転換・雇用対策本部を設けまして、内閣一体となって経済構造改革の推進に取り組んでいるところでございます。
 次に、科学技術立国を目指し、教育、研究開発の先行投資を優先すべきではないかとの御指摘でありますが、施政方針演説でも述べましたが、尽きることのない知的資源である科学技術は、私たちの未来を創造し知的でダイナミックな経済社会を構築するかぎであると認識をいたしております。
 今後の科学技術政策といたしましては、平成四年四月に閣議決定をいたしました科学技術政策大綱に掲げられました「地球と調和した人類の共存」、「知的ストックの拡大」、「安心して暮らせる潤いのある社会の構築」という三つの目標を目指して、我が国の研究開発活動を活性化し、科学技術創造立国を実現するよう全力を傾注してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、雇用対策や労働力流動化についてのお尋ねでありますが、今後産業構造が大きく変化することが見込まれ、これに伴いまして産業間、職業問の労働移動を余儀なくされるケースも大きくなることが見込まれます。こうした変化に対応した雇用対策を推進するために、特定不況業種雇用安定法の改正案を今国会に提出することといたしております。また、雇用支援トータルプログラムの継続的な実施等により、中高年齢者や女性も含めた離職者の再就職の促進を引き続き図るとともに、新卒者等の円滑な就職を全力で支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、農業・農村の再建、活性化に関連しての新たな基本法制定の基本的な考え方についてのお尋ねでありますが、昨年十月二十五日に決定をいたしましたウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱においては、農業基本法にかわる新たな基本法の制定に向けて検討に着手することとされたところでございます。このため、農業生産や農業経営の視点に加えて食料の安定供給や消費者の視点、農業・農村の有する多面的機能の位置づけなど、幅広い視点に立ちまして今後検討を行っていく考えであることを申し上げておきたいと存じます。
 次に、新しい福祉理念、社会福祉像についてのお尋ねでありますが、二十一世紀の少子・高齢社会におきましては、経済社会の活力を維持しつつ、高齢者や障害者の方々などいろいろな立場や状態にある人々が社会全体の支え合いの中で公正で充実した生活を送ることができるよう福祉社会の実現を図っていくことは、「人にやさしい政治」の目標とするところでございます。我が国の社会保障は国際的にも相当高い水準にありますが、社会保障制度をより公平公正、効率的なものへと再構築をして、我が国独自の福祉社会の実現を図っていくことが肝要であると存じます。
 私といたしましては、このような考え方に基づきまして、今後とも活力ある福祉社会の実現に向けて一層努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、社会保障の給付と負担についてのお尋ねでありますが、今後の高齢化、少子化の進行に伴い、社会保障に要する費用が増大し国民負担も相当程度増加していくことが見込まれております。社会保障の給付と負担のあり方は基本的には国民的な選択にゆだねられるべき事柄ではありますが、経済社会の活力を維持していくためには、それぞれの社会保障ニーズに適切に対応した給付を、できる限り過重な負担にならないよう配慮しつつ実現していくことが必要であると考えているところでございます。
 私といたしましては、このような基本的方向を十分に踏まえながら、長期的視点に立って社会保障制度の基盤の強化を進めてまいりたいと考えております。
 次に、新ゴールドプランについてお尋ねがございました。
 介護の問題は、老後の最大の不安要因であり、本格的な高齢社会の到来を目前に控え、介護サービスの基盤整備を初め関係施設の充実は急務であると考えております。新ゴールドプランは、安心できる介護体制の基盤を整備するため、自治体の老人保健福祉計画で明らかになりました地域の介護ニーズを踏まえたものでございまして、今世紀末までにその目標の達成に向け全力で取り組みたいと考えております。次に、介護保険制度の検討状況に関するお尋ねでありますが、昨年十二月に策定されました新ゴールドプランでも、新しい介護システムの創設を含め総合的な高齢者介護対策の検討を進めることにいたしております。特に、公的介護保険制度につきましては、厚生省における研究会の報告書においても高齢者自身がサービスを選択することを基本とする社会保険方式の導入が提案されています。今後、こうした指摘も踏まえ、新しい公的介護システムの構築に向けまして検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、相互扶助、サマータイム、ボランティア促進などについてお尋ねがございました。
 生きがいと潤いのある国民生活の実現は、生活者重視の観点からも重要な課題であると認識をいたしております。このため、議員の御指摘も踏まえ、自由時間の拡充に向けての施策の推進、地域活動への参加を初めとする社会参加活動促進のためのボランティアの活動等について、具体的な環境整備が必要であると考えているところでございます。
 教育の総点検をすべきとの御提案でありますが、御指摘のとおり、二十一世紀を担う子供たちがお互いを思いやりながら心健やかに育つように、家庭、学校、地域社会等が互いに手を携えて教育上の諸課題に取り組んでいかなければなりません。いま一度教育上の課題を見直して、より魅力的な心の通う教育を実現するための教青改革を一層推進してまいりたいと考えております。
 次に、行政の役割を明確にすべきとのお尋ねでありますが、国民経済の成熟化、急速な高齢化、国際情勢の激変など、行政を取り巻く内外の情勢は大きく変化しております。これらの変化に柔軟に対応していくことは行政に課せられた基本的な使命と考えております。
 このため、「官から民へ、国から地方へ」を基本的な方向として、簡素で効率的な、国民の期待と信頼にこたえ得る行政の実現に向けて積極的に努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、行政改革の実行の担保についてお尋ねがございました。
 政府におきましては、与党の「行政改革を進めるに当たっての基本方針」等を踏まえまして、去る十二月二十五日に村山内閣として初めての行革大綱を閣議決定したところでございます。
 この行革大綱におきましては、規制緩和については、その積極的かつ計画的な推進を図るため、本年度内に五年を期間とする規制緩和推進計画を作成することといたしましたし、地方分権につきましては、同じく十二月二十五日に閣議決定をした地方分権大綱に基づきまして、地方分権の推進に関する法律案を今国会に提出することといたしておりますなど、政府といたしましての行政改革の当面の推進方策を明らかにしているところでございます。今後、これに沿いまして行政改革の推進に対する積極的な取り組み、国民の目に見える形で成果を上げるべく努力を払ってまいる決意でございます。
 次に、特殊法人の改革についてお尋ねがございました。
 昨年末には、予算編成終了後直ちに官房長官と総務庁長官から各閣僚に個別に協力要請を行い、これを受けて現在各省庁においては閣僚のリーダーシップのもとに徹底した見直しに取り組んでおり、二月十日には各省庁からその結果の報告が行われることとなっております。
 また、与党におきましても検討を重ねられているところでございまして、政府・与党一体となって、特殊法人の設立当時の原点に立ち返って事業の役割、意義を改めて評価するとともに、行政の減量化と新たな時代の要請にこたえるため総合的かつ全般的な見直しを進め、本年度末には、統廃合、事業・組織のスリム化その他の整理合理化の問題について具体的な結論を出すように全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 次に、規制緩和への取り組み方針についてのお尋ねがございましたが、国民生活の向上はもとより、経済の活性化や国際的調和あるいは内外価格差の縮小の観点に立ちまして規制緩和を断行することが不可欠であると認識をいたしております。
 このため、政府は、本年度内に今後五年を期間とする規制緩和推進計画を策定いたしまして、さらに積極的かつ計画的に規制緩和を推進することといたしております。また、同計画につきましては、内外からの意見、要望等も踏まえ毎年度改定することといたしております。
 次に、地方分権の推進についてのお尋ねでありますが、政府といたしましては、昨年十二月二十五日、地方分権大綱を閣議決定したところでございます。この地方分権大綱に沿いまして、国と地方の役割分担の見直し、権限の委譲等に積極的に取り組むとともに、地方分権を推進するために十分な機能を備えた委員会を設置する所存でございます。
 このために、今国会に地方分権の推進に関する基本理念や委員会の設置などを盛り込んだ地方分権の推進に関する法律案を提出することといたしているところでございます。なるべく早期に御審議をいただきますよう、鋭意検討を進めて実りある成果をおさめるべく努力を払ってまいる決意でございますので、皆様方の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣小里貞利君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(小里貞利君) 地震災害に関連いたしまして、貴重な御意見、同時にお尋ねがございました五項目につきまして当席よりお答え申し上げます。
 最初、倒壊いたしましたビル、これを取り除くために重機が必要だ、その実態をどのように把握しておるか、またその出動条件を整えておくべきではないかというお話でございます。
 御指摘のとおり、ビル崩壊の除去を初めあらゆる緊急事態に備えましてあらかじめ民間保有の重機械類の実態を把握しその出動条件を協議していくことは、最も望ましいことでございます。従来から各種の災害には民間の協力を得て重機械類の出動に円滑に対応してまいっておるところでございますが、何分にも今回の地震による被害は、御承知のとおり、崩壊建物の範囲などにおきまして未曾有の事態であり、あらかじめの予測をはるかに超えた次第でございます。目下、関係団体等の協力を得まして、現時点におきまして可能な限りの出動をお願いし、そしてまた稼働をいたしておるところでございます。
 次に、被災を受けました建物の被災度の判断の上におきまする建築士の問題についてのお尋ねでございます。
 政府といたしましては、現在、余震等による建築物の倒壊、部材の落下等から生じる二次災害を十分注意しながら、そして住民の安全の確保にも留意しながら、地方公共団体が行う被災建築物の応急危険度判定を支援するために建築技術者の派遣等の支援活動を一月十八日以来行っているところであります。
 当面は、緊急措置でもございますが、被災住民の安全確保に向け最大限支援に努めることといたしておりますが、お話しのとおり、法制上の位置づけの必要性については今後十分検討をしてまいるつもりでございます。
 近代的ないわゆる耐震設計の高架橋が今回の地震で倒壊した、同時に、関東でこういう規模の直下型の地震があったらどうなるか、そういうお話でございます。
 高架橋の安全性についてのお尋ねでございますが、我が国の道路橋については、従来から、関東大震災や新潟地震等の経験を生かしながら技術基準を定め、関東大地震クラスのまれに起こる大きな地震に対しましても、落橋が生じないよう整備を行ってきたところであります。しかしながら、今回の地震では、震度七という我が国未曾有の大きな揺れが生じたとはいえ、高架橋が落橋するという大きな被害が発生したことを極めて重く受けとめているところであります。そのため、地震工学、橋梁工学の専門家から成る震災対策委員会におきまして被災原因の徹底的な究明を図り、この際必要な対策を講ずることといたしております。
 また、首都高速道路等につきましては従来から耐震性の向上に努めてきたところでございますが、委員会での検討などを踏まえまして必要な措置を積極的に講じてまいる所存でございます。
 次に、先生の御指摘の危機への対応マニュアルにつきましてお答え申し上げますが、南関東地域におきまして広域的かつ激甚な被害をもたらす地震に対処するため、南関東地域震災応急活動要領を既に策定はしております。しかしながら、今般の兵庫県南部地震を踏まえ、全国を対象とし、かつその内容をより充実した新たなマニュアルを策定してまいらなければならないと考えております。
 被災者への対応の現状といたしましては、飲料水・食料等の供給、電気・ガス・水道・電話等のライフラインの早期復旧、道路・鉄道等交通手段の早期復旧、仮設トイレ・仮設ふろ等の設置、仮設住宅等の建設等につきまして最大の努力を講じているところでございます。
 最後になりましたが、このことにつきましては総理からもその影響についてはお答えがございましたが、私は震災の分野ごとの被害状況及びその総額がどれぐらいかということについてお答え申し上げます。
 兵庫県南部地震への対応といたしましては、今なお多数おられる行方不明者の捜索・救援活動を最優先としつつ、生活必需品の確保、電気・ガス・水道等のライフラインの早期復旧、住宅や道、路交通の確保等、緊急に行わなければならない業務に最善を尽くしている段階でございますので、現時点では被害額の把握は困難な事情がありますことも御理解いただきますと同時に、公共施設や中小企業の被害額は激甚災害指定に最小限必要なそれぞれ三千四百億円、約一千九百億円をはるかに超えることは明白と見込まれております。今後、具体的な数値につきましては、関係省庁とも連絡の上、より的確に把握をいたしまして順次早期に御報告申し上げたいと存じております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(河野洋平君) 戦後五十年、日本外交の進むべき遣いかん、こういうお尋ねでございました。
 既に総理からお答えを申し上げておりますが、私として一言申し上げれば、我が国としては、民主主義、平和主義、あるいは基本的人権の尊重、こういった価値を大切にしながら、新たな平和と繁栄の枠組みの構築に向けてたゆまず努力をしていくことが肝心である、こう考えております。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(橋本龍太郎君) 自動車及び自動車部品交渉につきましては、日米間におきまして、数値目標の設定でありますとか政府による対応が可能で責任が及ぶ範囲外の話、これは協議の対象としないことを合意することができましたので、今月二十六、二十七日、次官級協議を行うことといたしました。
 今回の交渉再開に当たりましては、日本の補修用部品市場における規制緩和及び他の関連事項、国内の日本企業及び米国内の現地法人における外国製部品の調達の相当程度拡大に寄与するような購入機会、外国製自動車の日本の自動車市場へのアクセスの三分野を対象とすることといたしておりまして、各メーカーの自主的部品購入計画の取り扱いでありますとか外国車を取り扱うディーラーの将来の数といった問題については議論をいたしません。できる限り早く決着が得られることを期待いたしております。
 また、平成七年度中小企業対策につきまして、中小企業の創造的事業活動の促進のために資金調達、技術情報提供の円滑化、販路開拓の支援など、法的な措置を含めた総合的支援策を講ずることを予定いたしております。
 さらに、小規模企業対策におきましても、商工会、商工会議所の経営指導員によります経営指導事業の着実な推進に加えまして、平成七年度におきましては新たに創業支援指導事業を新設するなど拡充を図っておるところであります。
 今後とも、為替相場の動向や中小企業の景況を十分注視しながらこうした対策の活用により全力を挙げて対策を講じてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣武村正義君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(武村正義君) 政府系金融機関の統廃合につきましては、各機関の設立当時の原点に立ち返って事業の役割、意義を改めて評価をいたしているところでございます。また、各省庁にまたがる政府系金融機関全体のあり方として、目下、見直しと整理合理化の方針を固めているところでございまして、今年度末には具体的な結論を出すよう鋭意取り組んでまいります。(拍手)
#17
○副議長(赤桐操君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○副議長(赤桐操君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト