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1995/04/14 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 本会議 第16号
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1995/04/14 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 本会議 第16号

#1
第132回国会 本会議 第16号
平成七年四月十四日(金曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十六号
  平成七年四月十四日
   午前十時開議
 第一 家族的責任を有する男女労働者の機会及
  び待遇の均等に関する条約(第百五十六号)
  の締結について承認を求めるの件(衆議院送
  付)
 第二 所得に対する租税に関する二重課税の回
  避及び脱税の防止のための日本国政府とフラ
  ンス共和国政府との間の条約の締結について
  承認を求めるの件(衆議院送付)
 第三 原子力の安全に関する条約の締結につい
  て承認を求めるの件(衆議院送付)
 第四 受信設備制御型放送番組の制作の促進に
  関する臨時措置法案(内閣提出、衆議院送付
  )
 第五 電気通信基盤充実臨時措置法及び通信・
  放送機構法の一部を改正する法律案(内閣提
  出、衆議院送付)
 第六 大気汚染防止法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第七 道路交通法の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
 第八 自動車の保管場所の確保等に関する法律
  の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院
  送付)
 第九 地方公務員災害補償法等の一部を改正す
  る法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第一〇 石油製品の安定的かつ効率的な供給の
  確保のための関係法律の整備等に関する法律
  案(内閣提出、衆議院送付)
 第一一 電気事業法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、新議員の紹介
 一、食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正す
  る法律案(趣旨説明)
 一、化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁
  止並びに廃棄に関する条約の締結について承
  認を求めるの件(趣旨説明)
 一、刑法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 以下議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。
 議席第二百二十番、比例代表選出議員、山田俊昭君。
   〔山田俊昭君起立、拍手〕
#4
○議長(原文兵衛君) 議長は、本院規則第三十条の規定により、山田俊昭君を逓信委員に指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○議長(原文兵衛君) この際、日程に追加して、
 食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。井出厚生大臣。
   〔国務大臣井出正一君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(井出正一君) ただいま議題となりました食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 食品の安全性に関する問題の複雑多様化、輸入食品の著しい増加、国民の栄養摂取状況の変化など、我が国の食品保健を取り巻く状況は大きく変化しております。また、規制緩和の社会的要請、規制の国際的整合化の要請に対応していくことも重要となっております。
 今回の改正は、こうした状況の変化等にこたえ、食品の安全性の効果的な確保、食品を通じた国民の健康づくり等、総合的な食品保健対策を推進するため必要な措置を講じようとするものであります。
 以下、この法案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一は、食品衛生法の改正であります。
 まず、食品添加物の規制の見直しであります。規制の国際的整合化を図りつつ食品の安全確保を推進する観点から、人の健康を損なうおそれのない場合として厚生大臣が定める場合に限り販売等が認められる添加物の範囲を、化学的合成品たる添加物から天然香料等を除いた添加物へと拡大することとしております。
 なお、現在、販売等がされている添加物については従来どおりとすることとしております。
 次に、残留農薬基準の策定を推進するため、農林水産大臣に対し、農業の成分に関する資料の提供等の協力を求める仕組みを設けることとしております。
 さらに、食品の製造規制の弾力化であります。
 従来、製造・加工の方法については、衛生上の観点から一律の基準により規制しておりましたが、近年の製造・加工技術の高度化に対応して、新たに個別承認制度を設け、規制の弾力化を図ることにより多様な食品の製造・加工を可能としようとするものであります。
 また、食品の輸入手続の効率化を図る観点から、電子情報処理組織を活用した届け出手続等を制度化することとしております。さらに、輸入食品の検査制度について、輸入者による自主的な検査の普及等を踏まえ、適切かつ効率的な検査を実施するための改正を行うこととしております。
 このほか、営業許可の有効期間の延長等、営業許可に関する規制の見直しを行うほか、指定検査機関の質の向上及び地域における食品衛生水準の向上のための規定を整備することとしております。
 第二に、栄養改善法の改正であります。
 まず、食品の栄養表示基準制度の創設であります。塩分、カロリー等の過剰な摂取が問題となる栄養摂取の状況を踏まえ、栄養強化に関する表示の許可制度を、栄養表示をしようとする者が遵守すべき基準を定める制度へと改めることにより、食品の栄養成分に関する適切な情報を広く国民に提供することとしております。
 また、乳幼児、妊産婦等が用いる特別用途食品については、その表示の許可制度を維持しつつ、表示方法の弾力化を図る措置を講ずることとしております。
 最後に、この法律の施行期日は、一部の事項を除き、公布の日から一年を経過した日からとしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(原文兵衛君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。横尾和伸君。
   〔横尾和伸君登壇、拍手〕
#9
○横尾和伸君 私は、平成会を代表いたしまして、ただいま議題となりました食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律案について、村山内閣総理大臣並びに厚生大臣に質問をいたします。
 今回の改正は、昭和四十七年の食品衛生法の抜本改正以降実に二十三年ぶり、栄養改善法においては昭和二十七年の制定以降初めての大改正であります。
 この間、我が国の食品をめぐる状況は大きく変化してまいりました。とりわけ、輸入食品の増大や国際基準への適応、残留農薬・ポストハーベスト問題等を背景に、食の安全性をめぐる国民の不安とその安全確保を求める声はいやが上にも高まってきております。また、国民個々人の努力ではもはや食品の安全性を確保することは不可能な状況になっております。
 総理並びに厚生大臣は、今回の改正は、こうした国民の不安を払拭し、その要請に真正面からこたえるものであると胸を張ってお答えになるのでしょうか。私は、まずこの点についてお伺いいたします。
 振り返ってみますと、PCB問題のかのカネミ油症裁判において、国の主張は、行政は国民に対し有害な食品が供給されることを防止すべき法律上の義務を負わないし、また食品の安全を国民に対し保障しているものでもないというものでありました。いわゆる反射的利益論を振りかざしたわけであります。政府は、あれから二十数年たった現在、この点に関しどのような見解をおとりでありましょうか。
 前述のように、食品の安全性の確保は今や個々人の努力の限界を超えております。社会党内閣においては、よもやあのときと同じように国の責任を回避する反射的利益論を繰り返されることはないと確信するものであります。そこで、国民は食の安全性を求める権利を有し国は国民に対しその責務を負うと明言されるのでしょうか、あるいは明言できないのでしょうか、総理にお伺いいたします。
 同時に、長年にわたる国民の訴えにもかかわらず、政府はなぜ食品衛生法の目的の改正や食品の安全に関する消費者の権利の法文化に今回手をつけなかったのでしょうか。単に危害を防止するという食品衛生法の目的を改正し、国民の生命、健康、食の安全の確保等を明文化し、かつ食の安全の確保に関する消費者の権利を明文化すべきだと思いますが、この点に関し、すべての国民に納得のいく答弁をぜひともお聞かせいただきたいのであります。
 今回の法改正では、情報の公開や消費者の参加、行政手続規定の法文化も見送られました。食べる側の国民が正確な情報を知り、その意思が食品行政に十分反映されることは、国民の食に対する不安を解消するための必要条件であります。消費生活用製品安全法においては、第九十二条に主務大臣に対する申し出を規定しておりまして、消費者からの措置請求権を認めておりますけれども、食品衛生法に関しても、消費者の生活実感を尊重し不安を解消することの意義が極めて大きいことを踏まえまして、このような消費者の措置請求権を認めるべきと考えますが、政府の見解を求めます。
 また、食と健康を考える懇談会報告書でも強調された食品保健関係の情報の公開及び食品調査会への消費者・生産者の参加について、その対応を伺いたいと存じます。
 今回の改正内容が厚生大臣の私的な諮問機関として臨時に設けられたいわゆる懇談会において主に検討されてきたものであり、正式の諮問機関である食品衛生調査会はただ一回の審議のみで、同日の諮問、答申を行ったものであります。まさに、形式的には本末転倒と言わざるを得ません。今後は、この反省を踏まえて食品衛生調査会の拡充を図るべきことを申し添えておきたいと思います。
 次に、世界貿易機関すなわちWTO協定の締結と国際基準への整合性の問題について、お伺いいたします。
 WTO協定の一部であるSPS協定すなわち衛生植物検疫措置の適用に関する協定が本年一月に発効したことにより、我が国における食品の安全に関する規制は、FAO・WHO合同食品規格委員会すなわちコーデックス委員会が策定した国際基準との整合性を図ることとなりました。
 この点に関しては、今、国の内外で注目されている規制緩和の推進と大いに関係すると考えられますが、一方では、食品の安全性を確保するための規制は強化しなければならない点が多くあります。食品の安全性を確保するための規制のあり方と行政改革の一環として注目されている規制緩和との関係について、まず総理の基本的な見解を伺います。
 コーデックス委員会の基準は、貿易の障壁とならないことを主眼として設定されたものであり、多くの加盟国が受け入れられる基準としておのずから緩いものにならざるを得ないという指摘が各方面からなされております。政府は、国際基準への整合性において我が国の食品に関する安全性をどのように確保していくおつもりでしょうか、また、我が国の食品規制が大きく実質的に後退することはないと明言されるのでしょうか、総理及び厚生大臣の責任ある答弁を求めます。
 また、この件に関し、政府はこれまでSPS協定においても科学的正当性がある場合にはより厳しい措置をとることができる旨強調してこられました。科学的正当性はだれがどのように認定するのでありましょうか。我が国が主張する科学的正当性は国際的に認知されているのか、発がん性やその他の毒性に関する主張を含め一〇〇%認められると断言できるのでしょうか、しかとお伺いしたいと思います。
 さらに、今後はコーデックス委員会による国際基準の策定に関して、我が国が積極的に関与し食品の安全性に関する我が国の研究成果を国際基準に反映させることが、国益のみならず、実質的な国際貢献につながることから極めて重要であると考えますけれども、その具体的方策について伺いたいと思います。
 コーデックス委員会に対する消費者の参画を促進すべき旨をコーデックス委員会自身が勧告しておりますが、我が国こそ率先して消費者の参画を促進すべきと考えます。このため、参加費や旅費等の経済的負担を軽減することも含めて国が努力すべきと考えますが、この点についての見解を伺います。
 さらに、WTO協定の農業に関する協定等に伴い今後輸入農産物のさらなる増大が見込まれますが、これに対応した検査体制の拡充こそ急務であり、最重要課題の一つであります。この点に関しどのように取り組まれるのか、責任ある答弁を求めるものであります。
 次に、残留農薬基準の設定についてであります。
 我が国においては、残留農薬は食品添加物のようなポジティブリスト方式をとっておらず、残留農薬基準が設定されていない農業は事実上野放しといってよい状態にあります。このため、厚生省の食と健康を考える懇談会報告は農業二百種程度を目標に計画的に基準設定を進めるべきであるとしておりますが、政府はいつまでにどのようなスケジュールでこの基準設定を進めるおつもりか、また、本来は指定されたものしか使えないいわゆるポジティブリスト方式に変更すべきと考えますけれども、この件に関する厚生大臣の見解を伺います。
 また、残留農薬基準が拡充されポジティブリスト方式への本格的検討を行える程度になるまでには相当の期間がかかると予想されますが、それまでの当面の措置として、現在既に設定されている農業取締法の登録保留基準を準用することが極めて有効であると考えますが、この点について厚生大臣の見解を求めます。
 次に、一元的な食品保健行政の推進と統一的な食品法の制定について伺います。
 既に前回改正の際、衆参両院の社会労働委員会は、食品行政の一元化と統一的な食品法の制定への指向を附帯決議しております。政府は、その後この問題についてどのように取り組んでこられたのか、そして今後どのように取り組んでいかれるのか承りたいと存じます。また、当面、関係各省庁の緊密な連携と省庁間の密接な情報交換を行っていく必要があると考えますが、総理並びに厚生大臣の御見解を伺いたいと思います。
 次に、今回の法改正に対する政府の認識の程度及び責任感の深さについて伺います。
 天然添加物の新規規制や残留農薬基準の策定の急速な推進、及びこれらに伴う検査体制の整備・検査事務の増加など、今回の改正を新たなスタートとして食品行政の充実を図るためには相当の予算と人員の確保等が必要でありますが、シーリング等にかかわらず総理の決断により是々非々でこれに対処し、もって国民の食の安全性を確保すべきと考えますが、この点についての総理のかたい決意を承りたいと存じます。
 最後に、食品による人体への影響に関連して、水俣病問題について伺います。
 昨年九月の決算委員会において、私は村山総理に、関係者の高齢化による死を待つような方法をとっては絶対にならないという観点から、水俣病問題の政治的決断による早期解決を促す質問をいたしました。これは、羽田内閣を構成していた旧連立与党として、昨年七月に、政治的決断の必要性、時期、方向性について明確な見解を表明しているので、これを受け入れてはどうかというものでありましたが、総理の答弁は検討中とのことでありました。あれからはや七カ月が経過しており、これまでの間も環境庁に働きかけるなど催促に努力してきましたが、もう待ち切れません。総理のお考えを、これからのスケジュールも含めて具体的にお伺いしたいと思います。
 幼子を背負い二人目の生命を宿している妊婦の方から、食べ物の安全性は本当に大丈夫なんですか、子供たちへの悪影響は本当にないんですねと、射抜かれるような真剣なまなざしで詰問されたことがあります。また、孫の手を引いた男性の御老人から全く同じ声を聞かされたことがあります。私は、このことが心に残り頭から離れません。ここにおられるすべての国会議員が同種の経験をされていると思います。
 この国民の素朴にしてかつ切実な声を念頭に置きながら、以上の質問に御答弁いただくことを期待して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(村山富市君) 横尾議員の質問にお答えを申し上げたいと存じます。
 今回の改正は国民の不安を払拭し、その要請にこたえるものか否かというお尋ねでありますが、今回の改正は、国際化の進展や食生活の変化等の環境の変化に適切に対応し、食品保健対策を総合的に推進するためのものでありまして、食品の安全確保に対する国民の期待に十分こたえることができるものであると考えております。
 食品の安全性についての国民の権利や国の責務についてのお尋ねでありますが、食品の安全性については、憲法第二十五条に規定されているところの公衆衛生の向上、増進に関する国民の権利や国の責務が存するものと考えております。
 このような憲法の規定に基づき、食品衛生法は食品の安全確保のために営業者に対する必要な規制を定めたものでございまして、これはあくまで公益的目的の責務であって、この規制により結果的に消費者が利益を受けることになりますが、これは法律上の権利ではなく反射的なものであると考えられます。したがって、御指摘の反射的利益論につきましては、現在においても妥当なものと考えているところでございます。
 次に、食品衛生法の目的規定の改正についてのお尋ねでありますが、現行の食品衛生法は公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的としており、この規定は憲法第二十五条を受けて決められ、国民の生命や健康の確保を第一に考える趣旨のものであること等から、その改正を行うことは必要ないものと考えております。
 次に、消費者からの措置請求権に関するお尋ねでありますが、食品の安全性の確保については、消費者からの申し出を待つまでもなく、食品衛生法に基づき行政がみずからの責任において公衆衛生上の見地から必要な規制を行っているものでございまして、お尋ねのような規定は必要ないものと考えております。
 今回の改正と規制緩和との関係についてのお尋ねでありますが、食品衛生法の規制は国民の健康の確保のための社会的規制として必要最小限にとどめるとの考え方で行ってきておりまして、今回の改正も、食品の安全を確保し国民の健康を守るために必要な規制を行うとともに、一方で、営業許可の有効期間などについては社会経済の状況の変化に対応して緩和する等の配慮を行っているものであり、御理解をいただきたいと存じます。
 次に、食品の安全基準の国際基準との整合性についてのお尋ねでございますが、衛生植物検疫措置の適用に関する協定、いわゆるSPS協定の締結後におきましても、この協定の中には、科学的に正当な理由がある場合等においては国際基準よりも高いレベルの保護水準をもたらす措置を採用し維持することができるとされておりまして、政府といたしましては、国民の健康確保を第一に考えて対応することとしており、国民の健康確保に支障を及ぼすような食品の安全基準の緩和を行う考えはございません。
 次に、食品保健行政等についてのお尋ねでありますが、これにつきましてはこれまでも関係省庁間で十分連携を図ってきたところでございまして、今後とも、国民の健康の問題や産業の振興についてのそれぞれの専門省庁が役割を分担しながら十分に連携をとって推進していくことにより効果的な施策の推進を図ることが重要だと考えているところでございます。
 次に、関連予算及び人員の確保についてのお尋ねでありますが、平成七年度においても輸入食品監視体制の充実強化など必要な予算及び人員の確保をしているところでございまして、引き続き所要の予算等の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、水俣病問題の政治決着についてのお尋ねでありますが、政府といたしましては、水俣病問題は行政の重要課題の一つであるとの認識に立って、これまでも認定業務の促進、水俣病総合対策事業の実施等さまざまな施策を講じてきたところでございます。同時にこの問題は、被告として裁判で争っている経過等からもいろいろ難しい点があることも御理解をいただきたいと思います。
 しかし、私といたしましては、「人にやさしい政治」を進める立場から、関係者の方々の置かれた状況に深く思いをいたし、何とか水俣病問題を解決するようさらに一層努力をする決意でございます。
 なお、この問題につきましては、現在、与党の水俣病問題対策会議において議論が行われているところでありますので、その推移を見守り、検討を進め、解決に向けて努力をしてまいりたいと考えていることを申し上げておきたいと存じます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣井出正一君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(井出正一君) 横尾議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、今回の改正は国民の不安を払拭し、その要請にこたえ得るものか否かというお尋ねでございますが、先ほど総理も御答弁申し上げましたとおり、今回の改正は、国際化の進展に伴う輸入食品の増大や国民の食生活の変化など食品保健行政を取り巻く環境の変化に適切に対応し、天然添加物についての指定制の導入、食品輸入手続のペーパーレス化による輸入食品監視体制の効率化など規制の国際的整合性や行政事務の効率化に配慮をしつつ、食品の安全と国民の健康を守るための食品保健対策を総合的に推進しようとするものでありまして、国民の皆さんの期待に十分こたえることができるものと考えております。
 次に、食品の安全性に係る情報の公開についてのお尋ねでありますが、今後も、食品衛生調査会の審議に用いました資料等について、知的所有権等に配慮をしつつ可能な限りの対応を行ってまいりたいと考えております。
 次に、消費者・生産者の食品衛生調査会への参加についてのお尋ねでありますが、法改正を契機として、食品衛生調査会に消費者や生産者の御意見をより取り入れられるよう広い範囲の学識経験者の中から委員等の委嘱を行うこととする中で、さらに努力してまいる所存であります。
 次に、国際基準と国内基準の関係についてのお尋ねでありますが、これも先ほど総理御答弁のとおり、国際基準は第一に消費者の健康の保護を目的として作成されているものでありまして、我が国においても基本的にはこのような国際基準により国民の健康が確保できるものと考えております。
 また、SPS協定では科学的に正当な理由がある場合等においては国際基準よりも厳しい基準を採用し得ること等の規定も盛り込まれており、この協定の締結によって国民の健康確保に支障を及ぼすような食品の安全基準の緩和を行うことは考えておりません。
 科学的正当性についてのお尋ねでありますが、SPS協定に言う「科学的に正当な理由がある場合」とは、食生活の違いにより国民の健康が国際基準では十分に確保できない場合等が考えられます。
 各国の措置に科学的に正当な理由があるかどうかはそれぞれの国が措置をとる際に判断しますが、貿易上の紛争が生じた場合はWTOの紛争解決了解に従って解決されることとなっておりまして、WTOに設置された小委員会が必要な場合には専門家の助言に基づき判断することとなっております。
 我が国の基準は、専門家から成る食品衛生調査会の慎重な審議を経て策定されるものであり、SPS協定に言う科学的に正当な理由があるものと考えております。
 次に、コーデックス委員会への積極的な関与等についてのお尋ねでありますが、我が国としては、今後ともコーデックス委員会の国際基準の設定等に一層積極的に関与していくとともに、今年度末にはコーデックス・アジア地域調整委員会を東京で開催することも予定しております。
 コーデックスの審議につきましては、今後ともその審議状況等に関する情報の提供を積極的に進めるとともに、消費者等より多くの方々の御意見を広く参考にしつつ、政府としてのコーデックス委員会への対処方針を決定してまいりたいと考えております。
 さらに、政府代表団への消費者の参加につきましては、アドバイザーという形が考えられますが、アドバイザーは少なくとも政府代表を専門的立場からサポートすること、また、政府の対処方針に従っていただくことなどの要件を満たすべきものでありまして、その可能性については今後慎重に検討する必要があると考えております。
 次に、輸入食品の検査体制についてのお尋ねでありますが、輸入食品の増大に対応した適切な検査体制の確保のために、輸入審査へのコンピューターの導入、検疫所における食品衛生監視員の確保、機器の整備による検査機能の強化等検査体制の充実に引き続き努めるとともに、今回の改正により平成七年度以降、輸入届け出手続のコンピューター化、違反の蓋然性の高い食品に対する検査命令制度の改善、指定検査機関の検査管理体制の充実等を進めることとしております。
 次に、食品残留農薬に係る規制方式についてのお尋ねでございますが、我が国はカロリーベースで六三%の食品を海外に依存しており、また、農産物に使用が認められている農業は世界で約七百と言われておりますが、現在、食品衛生法上の残留農薬基準は百三農業についてしか設定されておりません。
 このような現状において、基準が未設定の農業が残留する食品の流通を一律に禁止すると国民への食糧の供給が極めて困難になること、また、国際的にも完全なポジティブリスト制を採用している国は主要国ではアメリカのみであることから、現時点ではポジティブ方式への移行は困難と考えております。
 今後の基準策定については、二〇〇〇年を目途に二百農業程度まで計画的に作成することを当面の目標としており、ポジティブリスト方式への移行につきましては、将来、相当程度基準が策定された段階で、国際的な規制の動向、食糧自給の程度等を勘案して判断すべきものと考えております。
 次に、残留農薬基準への登録保留基準の準用についてのお尋ねでございますが、農業取締法に基づく登録保留基準は、国内で販売する農業についてその使用方法、適用作物等を前提に策定されるものであります。一方、食品衛生法に基づく残留農薬基準は、国内の農作物だけでなく輸入農作物にも適用されるものでありますので、外国における使用方法、適用作物等も前提に策定される必要があります。
 したがって、多くの農業は国内だけでなく外国においても使用されており、登録保留基準のみをもとに残留農薬基準を策定することは困難と考えております。
 最後に、食品保健行政の一元化と統一的な食品法の制定についてのお尋ねでありますが、これらの問題については、厚生省を含め関係省庁による検討が行われてきたところでありますが、食品に関しては、国民の健康確保という観点と産業政策という観点から、それぞれの専門省庁が分担していくことが適当であると考えております。しかしながら、残留農薬対策を初め、必要に応じ省庁間で十分な連携を図ることにより効率的で総合的な施策の実施に努めてまいる所存であります。
 以上です。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(原文兵衛君) 萩野浩基君。
   〔萩野浩基君登壇、拍手〕
#13
○萩野浩基君 私は、食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律案につき、政府に対して新緑風会を代表して質問をいたします。
 昨年末、政府が世界貿易機構WTOの設立協定を批准したことにより、食品の安全基準が日本より甘い国際基準に統一される可能性が強まったため、国民の健康を守る立場から、以下総理及び関係大臣に質問をいたします。
 まず初めに、総理のこの改正案に対する基本的姿勢、これについてお伺いいたします。
 二十三年ぶりのこの改正案は、部分的には評価されるものの、しかし、天然の添加物に規制をかける点など、改善は部分的な最小範囲にとどまり、国民の健康を守るために国が責任を持つ開かれた法律や、生活者、「人にやさしい政治」からはまだほど遠くなっていると残念ながら言わざるを得ません。また、規制基準の決定に当たり消費者の要望が受け入れられないで、果たして二十一世紀に通用する食品衛生法と言えるのでありましょうか。
 マラケシュ協定は本年一月に発効し、もはや後戻りは許されないのであります。
 総理は、昨年十一月、本院で国際基準より厳しい国内の安全基準を緩和する考えはないとはっきりと答弁されておられます。さらに、御案内のとおり、衆参両院でも、WTO設立協定に関して、食品の安全性の確保に努めるべきであるとの決議を採択しているのであります。こうした決議が単なるお題目に終始しないためにも、この改正案に国民の生命や健康、食の安全を優先させる旨を明記すべきではないかと思うのであります。
 戦後五十年、冷戦下のイデオロギー論争の陰に隠れていたこの問題こそ冷戦後の重要な政治課題であるのに、いかなる理由で明記できないのか、子々孫々のためにも、総理として国民の前に姿勢を明らかにする責任があります。ぜひとも総理の前向きな答弁をお願いいたします。
 さて次に、国際基準と国内法との関係であります。
 今、焦点となっているWTOの設立協定すなわちSPS、これによる甘い国際基準と国内法である改正案との整合性をいかにしてとっていくかという方向性が見出せないところに国民の不安が一層増幅しているのであります。情報公開や行政手続に消費者参加の道がない現在、国民の不安を解消するため、総理は国民の前にどうしても安全という保証の方向性を明白にする責任があります。
 今や規制緩和は世界の主要な課題でありますが、緩和すべきは経済的規制であって、健康や環境といった社会的規制はむしろ強化すべきで、拙速な改正では国民の納得は得られません。総理の明快で責任ある答弁を求めます。
 次に、厚生大臣、食の安全確保に万全を期するため、大臣の決意のほどをお伺いいたします。
 二十一世紀を前に、食の国際化、多様化はますます進展する状況にあります。改正案は、行政手続などを通じて消費者団体や国民の真剣な要望を尊重したと果たして言えるのでありましょうか。日本の食糧自給率が初めて四〇%を切った現在、外来食品の安全性のチェックも消費者に対する安全と責任を明確にするための課題でありまして、同時に情報公開、これも必要不可欠な重要な課題であります。
 現在、国際基準を定めるのは国連食糧農業機関FAOと世界保健機構WHOの合同国際食品規格委員会でありますが、会員企業の関係者が多数参加しているこの委員会は、残留農薬や添加物についてこれまで甘い基準を勧告し、しかも、科学的かどうかの判断もこの委員会にすべてゆだねられているのであります。このような不透明、情報不足による不安が消費者団体や国民の不信を生んでいる最大の原因であります。
 政府が国民の健康に安心できる対策を推進するためにも、規制基準、品質表示、栄養成分表示など食に関する情報公開や行政手続への消費者参加の道を開くことが厚生行政として「人にやさしい政治」を掲げる政府の使命であり責任ではないかと思うのであります。厚生大臣の明快な答弁を求めます。
 最後に、健康のもとの食べ物は、単なる物的エネルギー源ではなく、著しく風土の異なる世界のそれぞれの民族の精神をも包含していることを忘れてはなりません。この改正案が現実を直視し、二十一世紀に向け、高い次元より世界に健康な文化生活を伝え、日本が共生共栄の平和な国際交流に貢献することを切に期待し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(村山富市君) 萩野議員の質問にお答えを申し上げたいと存じますが、今回の改正案に国民の生命、健康等の安全を優先させる旨を明記すべきではないかとのお尋ねでありますが、現行の食品衛生法においては既に「公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とする。」と規定されておりまして、この規定は憲法第二十五条の規定を受けたものとして国民の生命や健康、食の安全を守ることを当然に含んだものであることから、改めて御指摘の改正を行う必要はないものと考えているところでございます。
 食品衛生行政につきましては、今後とも食品の安全や国民の健康の確保を第一に考えて対応してまいりたいと考えていることを申し上げておきたいと存じます。
 次に、国際基準と国内基準の関係についてのお尋ねでありますが、国際基準は第一に消費者の健康の保護を目的として作成されているものであり、我が国においても基本的にはこのような国際基準により国民の健康が確保できるものと考えております。また、先ほども御答弁を申し上げましたが、衛生植物検疫措置の適用に関する協定、いわゆるSPS協定でございますが、科学的に正当な理由がある場合等においては国際基準よりも厳しい基準を採用し得ること等の規定も盛り込まれているところでございます。
 こうしたことから、協定の締結によって国民の健康確保に支障を及ぼすような食品の安全基準の緩和を行う必要はなく、今後とも国民の健康確保を第一に考えて対応してまいりたいと考えているところでございます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣井出正一君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(井出正一君) 萩野議員の御質問にお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、食の安全に万全を期することは極めて大切でありまして、政府の責任であると考えております。
 食品の規制基準に関する消費者参加と情報公開についてのお尋ねでございましたが、食品衛生行政に消費者や生産者など広範な国民の意見を反映させることは重要でございます。このため、今回の法案策定に当たりましても、消費者団体等から広く御意見を伺うなど努力してきたところでございますが、今後も法改正を契機といたしまして、食品衛生調査会については消費者の御意見をより取り入れられるよう広い範囲の学識経験者の中から委員等の委嘱を行うこととするなど、さらに努力してまいる所存であります。
 また、食品衛生調査会の審議に用いました資料等の情報公開につきましても、知的所有権等に配慮しつつ可能な限り対応してまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(原文兵衛君) 西山登紀子君。
   〔西山登紀子君登壇、拍手〕
#17
○西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、食品衛生法等の改正案について総理並びに関係大臣に質問いたします。
 国民の命と安全を守ることは、国として最優先の課題でなければなりません。ところが、本改正案の背景を考えるとき極めて危惧される問題があります。
 多くの国民の声を無視して批准されたガット・WTO協定によって、主食である米を含め農産物の全面的な輸入自由化がなされました。しかも、WTO協定を認めることによって、アメリカとその多国籍企業主導で作成されたいわゆるコーデックス食品規格にすべての加盟国が従うよう求められているわけです。
 コーデックス食品規格とはいわゆる非関税障壁の除去を通じて国際貿易を促進するためにつくられた基準であり、その内容は、日本で使用できないと十九の食品添加物を含む上、発がん物質の臭素酸カリウムの使用が日本の一・六六倍も認められているなど、安全性に対する我が国の厳格な基準を緩めるものです。
 総理、本改正案はガット協定の受け皿づくりにほかならず、我が国の食品安全基準をコーデックス食品規格にまで緩和、迎合させるための改正ではありませんか。そのような改正で果たして国民の命と安全が守られるでしょうか。総理の明確な答弁を求めます。
 次に、食品添加物の指定制度の問題についてお伺いします。
 本改正案では、指定添加物の範囲を天然添加物まで拡大し、厚生省は、現在使われている千五十一の天然添加物についても安全審査もせずそのまま添加物として使用できるとしています。
 しかし、これは問題です。天然といえども決して安全とは言い切れないことは、天然のものから数多くの発がん性物質が出ていることからも明らかです。安全性が確認されたものについてのみ使用を認めるという現行指定方式は厳格に守るべきであり、これに例外を持ち込むことは国民の命と安全を守るために絶対許されることではありません。厚生大臣、この点とう認識されているか、お伺いをいたします。
 さらに、このような例外をつくって指定制度の空洞化を進め、事後的に今後五年間かけて安全審査を行っていくということについても重大な危惧を持たざるを得ません。もし、今後の安全審査で使用を規制する必要が生じた場合、それまで国民に有害な食品を食べさせていたという政府の責任をどのようにとるつもりか、この点は総理に厳しく質問をいたします。
 一九七二年、食品衛生法改正の際、食品衛生法の運用に当たっては、単に危害の防止にとどまらず、積極的に国民の健康の保護増進を図るよう努めること、そのため食品添加物については常時その安全性を点検し、極力その使用を制限する方向で措置することなどを明記した衆参両院社会労働委員会の附帯決議がなされています。
 ところが、本改正を契機に、コーデックス食品規格の基準に合わせ、我が国では未指定の七十九品目を順次指定し、天然添加物も指定していくことになれば、指定添加物は現在の三百四十八品目から一気にふえることになります。そうなれば、食品添加物の使用を極力制限するというこの附帯決議に明らかに反するのではありませんか。国権の最高機関の意思は重いものです。これを尊重するのは政府の当然の義務ではありませんか。厚生大臣の見解を問うものです。
 次に、本法改正をめぐって消費者の最大の関心である残留農薬基準の問題についてお尋ねします。
 現在、ポストハーベスト農業使用は基本的に認められておりません。ところが、コーデックス食品規格の基準に基づいてポストハーベストを前提とした新たな残留農薬基準の準備が進められ、厚生省は二〇〇〇年をめどに二百種類程度の基準を策定したいとしています。
 その内容は、従来の残留農薬基準をはるかに緩和した内容になることは明らかです。現に、一九九一年十二月、食品衛生調査会が答申した残留農薬基準は驚くほど緩い基準を設定しています。例えばジャガイモの発芽防止剤として使用されるクロルプロファムは、環境庁の保留基準では〇・〇五ppmと定められていたものが、コーデックス基準に合わせて一挙に五〇ppmと千倍の緩和が図られました。これでどうして安全だと言えるのでしょうか。
 厚生省の全国調査でも、子供の三人に一人がアトピー性皮膚炎にかかっており、食べ物との関係も大いに心配されているではありませんか。安全性の検討も十分なされないまま、また日本人の食生活の特徴を考慮せずに一律にこうした国際基準に合わせることは、将来にわたって国民の健康を脅かす重大な影響をもたらすものではありませんか。コーデックス食品規格に迎合することなく、日本の実情に合わせた農業の残留基準を設定すべきではありませんか。あわせて厚生大臣の見解を求めます。
 次に、輸入検査の体制についてお伺いします。
 本改正案によって輸入食品の安全チェックは主に輸入者の自主検査に任されることになり、国が行う検査は輸入食品が任意に行うモニタリング検査、また輸出国の情報などにより食品衛生法に違反する疑いがある場合にのみ行われます。これで輸入食品の安全は守られるでしょうか。輸入食品がますます増大する中、信頼性の高い行政検査の充実強化こそが求められているのではありませんか。厚生大臣の御見解を伺います。
 総合衛生管理製造過程HACCPによる食品製造方法を新規に承認していることも問題です。
 新しいこのシステムによって製造された食品は、衛生的に問題がないとみなされ、国の内外を問わず食品衛生法第七条の適用除外となります。これでは、非関税障壁を撤廃せよというアメリカの圧力に屈し、国内の大企業の利益を優先したものとなり、食品の安全確保を全面的に企業に任せることになります。
 国民にとって食品の安全に対する厳格な基準とその厳守がいかに重要な国の責任であるかは、過去の森永砒素ミルク中毒事件等の悲惨な実態を見ても明らかではありませんか。製造過程で混入した砒素入りミルクを飲んで死亡した赤ちゃんは百三十人、今なお後遺症に苦しむ被害者は一万四千人を数えるのです。安全性について国民的なコンセンサスも検証もないこのようなシステムの性急な導入はやめるべきです。厚生大臣の御答弁を求めます。
 最後に、総理にお聞きします。
 今必要な改正を行うとすれば、我が党や消費者団体、日弁連などが強く要求してきたように、法の目的に食の安全の確保を明記すること、残留農薬を取り締まる根拠を法に明文化すること、ポストハーベスト等による農業の残留する食品は原則として流通を禁止することなどを取り入れるべきです。これらの改正こそ国民の健康と安全を守り国民の願いにこたえるものではないでしょうか。総理の答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(村山富市君) 西山議員の質問にお答えを申し上げます。食品の国際基準と我が国の食品安全基準との関係についてのお尋ねでございますが、今回の改正は、近年の食品保健行政を取り巻くさまざまな環境の変化に対応して総合的な食品保健対策を推進するために行うものでございまして、食品の規格基準を緩和するために行う趣旨のものではございません。
 また、WTO協定の中の衛生植物検疫措置の適用に関する協定、SPS協定では、科学的に正当な理由がある場合等には国際基準より厳しい措置をとることができるとされておりまして、国民の健康確保に支障を及ぼすような基準の緩和を行う必要はなく、御心配のようなことはないと考えております。
 さらに、既存の天然添加物の取り扱いについてのお尋ねでございますが、これらの添加物は、これまで長い間にわたり一般に使用されているものであるため、今回の法改正においても従来どおりの取り扱いとするものでございます。したがって、今回の法改正によって政府の責任が変化するというものではございません。
 食品添加物の安全性確保につきましては、今後とも最新の科学レベルに沿って安全性の確認等必要な措置を講じてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、法の目的に食の安全の確保を明記すべきである等のお尋ねでございますが、現行の目的規定における「公衆衛生の向上及び増進」は憲法第二十五条の規定を受け決められているものでございまして、改正する必要はないものと考えております。
 また、農業の残留する食品については、残留農薬基準の整備を促進することにより適切な規制ができるものと考えております。したがって、その原則禁止ということは、国民に対する食糧供給を困難にすること等から適当でないものと考えております。残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣井出正一君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(井出正一君) 西山議員にお答えをいたします。
 まず、既存の天然添加物の取り扱いについてのお尋ねでございますが、これらの添加物は長い使用実績があり、人の健康確保にとって問題があるという個別具体的な知見の報告はなされておりません。また、既に広く流通し特に問題がないものを安全性が評価されて指定されるまで一たん禁止することは、過剰な規制であるとともに混乱が生じるなど妥当でないと考えております。
 なお、厚生省といたしましては、これら既存の天然添加物の安全性につきましては、念のため、従来から行っております天然添加物の毒性試験の実施等を充実強化してまいる所存でございます。
 次に、食品添加物の指定についてのお尋ねでありますが、新たな添加物の指定に当たっては、個別品目ごとに必要な資料を添えて要請があったものについて、食品衛生調査会の意見を聞いて、科学的に安全性、有効性が確認できたものに限り指定を行っているところであります。
 今後とも、国民の健康確保を第一に考えて対応する所存であり、昭和四十七年の国会附帯決議の趣旨に反するものとは考えておりません。
 次に、残留農薬基準の設定方法についてのお尋ねでありますが、ポストハーベストの農業を含め、農業が残留する食品の適切な流通規制を行うためには残留農薬基準の早期策定が必要と考えております。
 基準策定に当たっては、国際基準を考慮しつつも、我が国の食物摂取の実態等を踏まえ、国民の健康確保を最優先に基準を設定していく所存でありまして、国民の健康に支障を及ぼすものではございません。
 次に、輸入食品の検査体制についてのお尋ねでありますが、今回の改正案における検査命令に関する改正は、違反の蓋然性が高いものについて重点的に厚生大臣または厚生大臣が指定する検査機関の検査を受けることを命ずることとするものでありまして、自主検査にゆだねようとするものではありません。
 また、検疫所の検査実施体制の整備については、高度な検査を集中的に実施する輸入食品・検疫検査センターの整備、食品衛生監視員の増員等、検査体制の充実強化を図ってきたところでありまして、今後ともその充実に努めることとしております。
 次にHACCP、総合衛生管理製造過程の導入についてのお尋ねでございますが、この制度は、事業者みずからが製造過程で生じる危害を分析しポイントごとの安全対策が総合的に講じられていることを厚生大臣が確認し、その製造過程を承認した場合は、従来のような食品ごとの一律の製造基準の適用を除外するものであります。
 この制度は、WHOもその推進を図っているものであり、また厚生省が安全性を十分検証した上で承認するものでありますので、安全性上何ら問題なく、かつ事業者ごとの多様な方法による製造・加工が可能となるものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
#20
○議長(原文兵衛君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#21
○議長(原文兵衛君) この際、日程に追加して、
 化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約の締結について承認を求めるの件について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。河野外務大臣。
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(河野洋平君) 化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨の御説明を申し上げます。
 この条約は、平成五年一月にパリで作成されたものであります。この条約は、化学兵器の完全な廃絶を目的とするものであり、化学兵器の生産、使用等の禁止及び化学兵器の廃棄について規定し、あわせて条約上の義務の実施を確保するための検証措置等について規定するものであります。
 化学兵器に関しましては、大正十四年にジュネーブで作成された窒息性ガス、毒性ガスまたはこれらに類するガス及び細菌学的手段の戦争における使用の禁止に関する議定書により、窒息性ガス等の戦争における使用が禁止されましたが、その後、平時における化学兵器の開発、生産、貯蔵等の禁止については、長期にわたる交渉の努力を要しております。昭和四十一年の第二十一回国際連合総会におきまして化学兵器及び細菌兵器の使用を非難する決議が採択されたことを契機として化学兵器の禁止が重要な軍縮問題として取り上げられるようになり、昭和五十五年には、軍縮会議の前身である軍縮委員会において化学兵器の禁止のための条約の交渉作業が本格的に開始されました。この結果、平成四年の第四十七回国際連合総会において、軍縮会議が採択していた条約案を推奨する決議が採択され、右決議を受けてこの条約が作成された次第であります。
 大量破壊兵器の軍縮及び不拡散が緊急の課題となっている今日、化学兵器の完全な廃絶を目指すこの条約は、国際社会の平和と安全を支える重要な柱の一つとなるものであり、歴史的な意義を有するものであります。我が国は、条約交渉時からこの条約の趣旨及び内容を積極的に評価し、平成五年一月の条約作成の際に、他の百二十九の国々とともにこの条約に署名いたしております。我が国がこの条約を早期に締結し、その効果的な実施に向けた貢献を行うことは、化学兵器の完全な廃絶に向けた国際協力を促進するとの見地から極めて有意義であると考えます。右を御勘案の上、この条約の締結について御承認を得られますよう格別の御配慮を得たい次第でございます。
 以上が、化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#24
○議長(原文兵衛君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。長谷川清君。
   〔長谷川清君登壇、拍手〕
#25
○長谷川清君 私は、平成会を代表して、ただいま提案のありました化学兵器禁止条約について質問をいたします。
 質問に先立ち、先月の二十日に発生いたしました地下鉄サリン事件により亡くなられた十一名の方々と御遺族の皆さんに対し、本当に深く哀悼の意を表します。また、五千名を超えます被害に遭われました方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。
 地下鉄サリン事件は、あのヒトラーですら使用をしなかった猛毒のサリン、これをこの日本で使用し多くの人々を無差別に殺傷するという、人類史上極めて悪質な犯行であります。民主主義社会に対するこのような卑劣な攻撃は、人道上断じて許すことができません。加えて、警察庁長官狙撃、こういう信じがたい事件が続いたことを考え合わせますと、これまで世界に誇ってまいりました安全な社会という我が国への信頼は根底から揺さぷられ、国際的な信用は既に失墜したのでございます。総理はこのような事態をいかに受けとめておられるか、お伺いをいたします。
 思えば、昨年の六月には、長野県松本市においてサリンと見られる物質によって七名の死者が出ております。五百九十三名の人々が被害に遭ったと言われております。その直後の七月には、山梨県上九一色村においてサリンの類似物が関係したと見られる悪臭騒ぎというものが発生したと承知しております。
 しかし、その後の捜査の進展は、この状況を見る限り、正直に申し上げて歯がゆいものを感じました。捜査当局は、サリンがわずかな量で何万人もの人を殺傷することができ、もし使用されれば重大な結果をもたらすことを十分に認識をしていなかったとは申しませんけれども、私は、地下鉄サリン事件の発生をなぜ未然に防止できなかったか、残念でなりません。
 捜査当局はこの事態を重く受けとめ、これまで以上の危機意識を持って強力に捜査を進める必要があると考えますが、総理並びに国家公安委員長から捜査の現状と今後の方針についてお聞きをいたします。
 私は、このようなテロを未然に防止するため、国内体制の整備はもとより、さらに国際的な協力体制を構築すべきであると考えます。例えば、テロ集団による化学物質等の取得の早期発見、早期取り締まりのための各国の捜査当局による情報交換、万一に備えての救助・医療体制の整備等、これらが不可欠であると考えますが、総理並びに国家公安委員長の御所見を伺うものであります。
 化学兵器は貧者の核兵器とも呼ばれておりますように、原材料が非常に簡単に手に入るということ、製造も非常に容易であって、しかも残虐な大量の殺りくをもたらすという。その全面禁止は我々人類にとって長年の悲願であったと思います。
 既に、毒ガス等の使用禁止条約、一九二五年のジュネーブ議定書が存在をしておりますけれども、これは戦争における使用を禁止するだけでありました。このため、平時においても化学兵器を全面的に禁止する取り決めが望まれたのでございます。その交渉は、東西冷戦の影響もあって、進展ははかばかしくいきませんでしたけれども、ゴルバチョフ大統領による平和攻勢や、湾岸戦争を通じてのイラクによる化学兵器使用の恐怖がクローズアップをされて、それ以降大きく進展をしてまいりまして、一九九三年一月、化学兵器の開発、生産、使用等の禁止、保有化学兵器、遺棄されました化学兵器及び化学兵器生産施設の廃棄などを規定するこの条約が策定をされたのであります。我が国がこの条約を締結する意義は極めて大きいと考えますが、まず外務大臣にこの点についてお伺いをいたします。
 この条約は、化学兵器の全面禁止を確実にするため、軍事面のみならず産業分野をも対象とする検証措置、並びに、条約違反の疑いのある場合には締約国の申し立てによりまして査察ができるといういわゆるチャレンジ査察という徹底的な検証措置を規定しており、過去に類例を見ないほどの画期的な軍縮条約であると承知をいたしまして、私は大賛成であります。それだけに、査察といいますと、我々の脳裏にはすぐこの間ありました北朝鮮に対する核査察が思い浮かぶのであります。これに比較をいたしまして、果たしてこの化学兵器禁止条約は本当の意味でこの査察について実効性が上がるのでありましょうか。期待をしたいのでありますが、この点について外務大臣から御説明を賜りたいと思います。
 また、化学兵器を持たない我が国におきましては、検証ということになりますと産業検証が中心になるというふうに思われます。企業にとりましては、査察を受けたというだけでサリンに関係しているんじゃないかという風評がそこに生まれ、風評被害というものが発生することになります。条約の実施に伴う産業の保護につきましてどう対処するおつもりであるか、通産大臣にお伺いをするわけであります。
 さらに、産業検証の過程において、国際査察官などの現地立入査察による企業秘密の詐取並びに漏えい等の損害が発生をした場合に、だれがその損害を補償し賠償することとなるのでありましょうか。アメリカにおきましては、条約の国内実施法案で、研究データや特許データは条約の義務に適合する範囲においては開示をしなくてもよいという規定をしております。我が国の場合にはそのような制約は見当たらないわけであります。我が国の対応を通産大臣並びに外務大臣にお尋ねいたします。
 次に、遺棄化学兵器につきましてお伺いをいたします。
 この条約上、他の締結国の領域内に化学兵器を遺棄した国は、その遺棄した化学兵器を廃棄し、そのためのすべての資金や技術的なあらゆる提供をしなければならないのであります。
 先ごろ、政府は、中国に遺棄されております化学兵器の一部が旧日本軍のものであるということを確認いたしております。つまり、我が国は将来、中国に遺棄した化学兵器の廃棄の義務を負うことになるのであります。これまでの国会論議を通して聞いておりますと、廃棄の計画や方法についてはいまだ調査検討中ということであります。条約上、これらの義務の履行には期限が付されておりますだけに、そのことを考えますと、少なくとも廃棄計画や廃棄方法についてある程度の見通しは立てておかなければならないのではないでしょうか。外務大臣にこの点をお伺いするものであります。
 また、廃棄には膨大な資金と技術的なノウハウというものを要すると思われるのであります。どのような方針でこれらについて考えているのか、あわせて伺うものであります。
 今申しましたように、化学兵器及びその生産施設の廃棄は非常に大事な点であります。廃棄なくしては条約の発効が出てまいりません。それはしかし、膨大な費用を要すると言われておるのであります。それだけに、現在、財政に苦しむロシアは、その保有する化学兵器あるいは生産設備を廃棄する負担に耐えられるのかどうか、場合によっては費用の負担を理由にしてこの条約を締結しないというおそれはないのかどうか、心配でございます。
 その意味においても、九〇年の六月に調印されております米ロ二国間の化学兵器削減廃棄協定の早期なる発効というものが望まれておると思いますが、その見通しはいかにという点について外務大臣にお尋ねをいたします。
 さらに、化学兵器の保有が確実視されておりますリビアや北朝鮮、これらはこの条約に署名すらしておりません。条約の実効性をいかにこれらについて確保するのか、この点について政府の対応をあわせてお聞きをいたします。
 最後に、生物兵器についてお伺いをいたします。
 化学兵器と同様におぞましい大量殺りく兵器でございます生物・毒素兵器につきましては、その開発、生産、貯蔵等を禁止する条約は既に一九七五年に発効しておりますけれども、これは検証措置が存在しないためにその実効性に欠けるものという、そういう批判が起こっております。
 そこで現在、生物兵器禁止条約の強化が図られつつあると承知しておりますが、その状況についてどうなっているかを外務大臣にお伺いいたします。
 また、その製造が比較的容易である一方、取り締まりが非常に難しいため、今回の地下鉄サリン事件のように生物剤がテロに使用されるのではないかという危惧が広がっております。こうしたテロや犯罪の未然防止のためにいかなる措置を講じておられるのか、国家公安委員長にお伺いをいたします。
 この条約が一日も早く効力を発効するように悲願をここに込めまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(村山富市君) 長谷川議員の質問にお答えを申し上げます。
 地下鉄サリン事件、警察庁長官狙撃事件の発生という事態をいかに受けとめているかとのお尋ねでありますが、それぞれの事件は諸外国においても大きな関心を呼んでいるところであり、安全な社会という日本に対する評価を損ないかねない極めて凶悪な重大な事件であると認識をいたしております。
 このため、国民の皆様の御理解と御協力をいただきながら本件を一刻も早く解決するとともに、政府においては、サリン問題関係省庁連絡会議を設置するなど、関係省庁のより一層緊密な連携のもとに、同種事案の再発防止に向けて全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
 次に、サリンを使用したと見られる事件の捜査の現状と今後の方針についてのお尋ねでございますが、これらの事件は、何の関係もない人々を大量無差別に殺傷するという悪質きわまりない事件であり、国民の間に大きな不安が広がっているところでございます。
 本事件については、現在、警察においてそれぞれ鋭意捜査中でありますが、今後とも事案の全容解明に向けて全力を挙げて取り組んでいくものと考えております。国民の皆様にも、この点御理解をいただくとともに御協力をお願いするものでございます。
 次に、テロ犯罪の早期取り締まりや万一の事態に備えての各種体制整備についてのお尋ねでございますが、具体的なことにつきましては関係大臣から答弁をさせますが、国民生活の安全を確保することは国の根幹をなす重大な問題であることから、御指摘の点も含め、今後とも政府を挙げて全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(河野洋平君) まず最初に、条約を締結する意義についてお尋ねがございました。
 化学兵器禁止条約は、化学兵器の完全な廃絶を目指すものでありまして、戦時、平時を問わず化学兵器の使用を禁止するとともに、その開発、生産、貯蔵、保有の禁止、並びに化学兵器の廃棄を規定し、あわせて条約上の義務を確保するための検証措置について規定するなど、極めて包括的な内容を有しております。
 この条約は、国際社会の平和と安全を支える重要な柱の一つとなるものであり、軍備管理・軍縮の推進において歴史的意義を有するものだと考えます。我が国がこの条約を締結することは、化学兵器の完全な廃絶に向けた国際協力を促進するとの見地から極めて有意義だと考えております。
 次に、査察の実効性に期待ができるかどうか、こういうお尋ねでございました。
 この条約の検証措置につきましては、化学物質の生産を行う施設などに対する通常の検証措置と並んで、これまでの多数国間軍縮条約に例のない画期的な申し立てによる査察の制度が規定されております。
 我が国としては、このような画期的な検証制度を含む包括的な内容を有するこの条約が適切に実施されることによって、化学兵器の廃絶のために大きな効果を上げ得るものと考えており、この条約の早期発効、効果的な実施などのために引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、査察による企業秘密の詐取、漏えい等についてお尋ねがございました。
 この条約は、機関が遵守すべき義務を詳細に定めるとともに、締約国の権利として、締約国は秘密を保護するために必要な措置をとることができると規定しております。したがって、秘密情報の保護との関連で問題が生じる可能性は実際上はほとんどないものと考えております。仮に、この機関の職員が秘密情報を保護する義務に違反し、これにより企業に損害が生じるような場合には、我が国は機関の事務局長に対し、その職員の裁判権からの免除を放棄するよう求めることになると思います。
 次に、旧日本軍が遺棄した化学兵器の問題についてお尋ねがございました。
 今後、一層その実態の把握に努める必要があると考えておりまして、そのために引き続き現地視察、調査を行っていく考えでございます。廃棄処理を行うための技術、予算、体制などにつきましては、右により明らかにされる遺棄化学兵器の実態を踏まえて検討していくことになるわけでありますが、現時点でそれが固まっているわけではございません。
 いずれにせよ、我が国としては、日中共同声明、日中平和友好条約、そしてこの化学兵器禁止条約の精神を踏まえつつ、具体的な処理のあり方について今後中国と協議していく考えでございます。
 米ロ二国の交渉についてお尋ねがございました。
 一九九〇年六月に米ロ間で署名された化学兵器の削減・廃棄に関する二国間協定につきましては、残念ながら現時点においてその発効の見通しが立っていない状況にあると聞いております。他方、米ロ間では、ロシアの化学兵器の廃棄支援に関する合意がございまして、アメリカのロシアに対する協力が進行中ではございます。
 化学兵器の完全な廃絶を目指すこの条約は、国際社会の平和と安全を支える柱でございますが、その早期発効と同時にできるだけ多くの国による加盟が望ましいことは申すまでもございません。政府としては、いまだ署名をしていない他の国について、今後とも二国間協議の場などあらゆる機会を通じて早期に署名、批准を行うよう必要な働きかけの努力を行ってまいる所存でございます。
 生物兵器についてもお尋ねがございました。
 生物兵器禁止条約に係る検証措置の検討につきましては、本年七片より法的枠組みを検討するための専門家会合が本格的な作業を開始することとなっており、明年九月に開催予定の本件条約再検討会議に報告書を提出すべく作業が進められることとなっております。(拍手)
   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(野中広務君) 長谷川議員の御質問にお答えをいたします。
 サリンが使用されたと見られる事件の捜査の現状と今後の方針についてでありますが、ただいま村山総理からも御答弁があったところでありますが、これらの事件は、一瞬にして多数の方々のとうとい生命を奪うなど悪質かつ卑劣な犯行であり、国民に多大な不安と脅威を与えたものであります。
 現在、警察としては、いわゆる地下鉄サリン事件等について全力を挙げて捜査に取り組んでいるところであります。また、御指摘のいわゆる松本サリン事件につきましても、事件発生直後から懸命の捜査を続けてきたところでありますが、残念ながらいまだ犯人を検挙するに至っておりません。
 しかしながら、およそ犯罪捜査は、法にのっとり証拠を一つ一つ積み重ねて着実かつ適正に行われるべきものであり、予断を加えることは厳に慎まなければならないのであります。また、いわゆる松本サリン事件の発生当時におきましては、我が国にはサリンの製造、発散等を取り締まる法則がなかったこと等も捜査の敏速な遂行に結びつかなかったことを御理解いただきたいと存じます。
 今後は、御指摘の一連の事件を一刻も早く解決して国民の不安を取り除くよう、国家公安委員長として強く督励してまいりたいと存じております。
 テロ集団によりますテロ犯罪の早期発見及び早期取り締まりにつきましては、従来より警察庁が必要に応じて各国関係機関との情報交換を行ってきております。また、国際刑事警察機構ICPOを通じて加盟各国に対して被疑者の手配等を行っているほか、各種国際会議にも係官を派遣し国際協力の推進を図っているところであります。今後とも、関係各国との連携を一層緊密にし、本件の真相解明及び同種事案の防圧に当たる所存であります。
 万一に備えての救助体制の整備につきましては、警察に対して初動措置の万全を期すよう指示するとともに、全国の消防機関に対しまして、特別救助隊の装備すべき呼吸保護器や防毒衣等の保護用器具の装備状況を改めて点検し、必要に応じてその充実に努めるよう指導しておるところであります。
 地下鉄サリン事件については、全国警察の総力を挙げて犯人の早期検挙に向けて捜査を推進しているほか、地下鉄等の公共交通機関や地下街、公共施設等大勢の人々が集まる場所を中心に警戒活動を強化しておるところであります。この種の無差別テロは、その手段のいかんを問わず、絶対に許されない行為であり、警察としてはさまざまな事態を想定して全力を挙げて未然防止に努めていると承知をいたしております。
 お尋ねの生物剤につきましては、これまでテロ等に使用されたことはありませんが、このような事案の発生の可能性も想定し警戒、警備に当たるとともに、より効果的な警戒、警備の手法の開発に努めるほか、外国捜査機関との情報交換や技術交流を推進するなど種々の角度から検討を進めてまいり、先般来の一連の事件につきましても、総理より強い要請のもと、再発防止と犯人の検挙により、国民の不安解消に警察の総力を挙げて取り組んでまいりたいと存じております。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(橋本龍太郎君) 長谷川議員から私へのお尋ねは二点であります。
 まず、風評被害についてのお尋ねでありますが、条約機関による検査などによりましていわゆる風評被害が生じるおそれがありまして、これを防ぐための対策が必要であることは当省としても十分認識をいたしております。そして、このような風評被害の発生を未然に防止いたしますためには、単に化学産業の関係者にとどまらず、広く国民各層に対し、化学兵器禁止条約の趣旨、またこの検査の意義を周知徹底することによりまして、本検査が化学兵器そのものの製造等の懸念とは直接関係がないことについて十分御理解をいただくことが必要であると思います。
 このような観点から、当省といたしましては、条約機関による検査の趣旨などについての周知徹底、普及啓蒙を図りますために、関係企業やその周辺住民に対するパンフレットの作成、配布などを行うなど、適切な対応をしてまいる所存であります。
 次に、企業機密の保護についてのお尋ねでありますが、本条約上、秘密情報の保護には十分配慮すべきものとされておりまして、そのような観点から詳細な規定が設けられております。また、化学兵器禁止法では、条約機関による検査は条約で定める範囲内のみ行われるとされております。
 さらに、化学兵器禁止法は、条約機関の検査に我が国の政府職員が立ち会うことを義務づけております。実際の検査におきましては、この立ち会い制度を利用いたしまして、秘密情報の保護に十分配慮した検査が実施されますように適切に対応してまいりたいと考えております。(拍手)
#30
○議長(原文兵衛君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#31
○議長(原文兵衛君) この際、日程に追加して、
 刑法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。前田法務大臣。
   〔国務大臣前田勲男君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(前田勲男君) 刑法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 現行刑法は、明治四十年に制定された法律でありますが、今日までに十回余の一部改正がなされましたものの、法文は当初のままの片仮名まじりの漢文調の古い文体である上、難解な用字用語が少なくありません。そのため、かねてから、一般国民が法文を読んで内容を十分に理解することが困難であるとの指摘があったところであります。加えて、第百二十回国会で成立いたしました罰金の額等の引上げのための刑法等の一部を改正する法律の審議に際しましても、刑罰法令の現代用語化について政府は努力すべきである旨附帯決議で求められたところであります。このようなことから、国民の日常生活に深いかかわりを持つ法律である刑法の表記を平易化し国民にわかりやすくすることは、早急に取り組むべき課題となっているものと認められるのであります。
 この法律案は、以上のような事情を考慮いたしまして、刑法の表記を現代用語化して平易化し、あわせて刑罰の適正化を図るために必要な改正を行うこととしております。
 改正の要点は、次の三点であります。
 その一は、刑法の表記を平易化することであります。刑法の表記の平易化が緊急の課題となっており、なるべく早期に実現する必要があることにかんがみ、内容の変更を伴う改正は行わないとの基本方針のもとに、現行刑法の条文を、次に述べます二点を除き、可能な限り忠実に現代用語化して平易化することとしております。
 その二は、尊属加重規定の削除であります。尊属殺人に係る刑法第二百条につきましては、昭和四十八年四月四日、最高裁判所におきまして違憲の判断がなされているところでありますので、今回の改正に当たり違憲状態を解消する必要がありますが、事案の実態や違憲判決後約二十二年にわたり通常殺人の規定が適用され、被害者が尊属である事情を踏まえ、事案に即して科刑が行われてきている実情にかんがみ、これを削除することとし、これとの均衡等を考慮し、尊属傷害致死、尊属遺棄及び尊属逮捕監禁についても、あわせて削除して通常の傷害致死等の規定によることとしております。
 その三は、いんあ者の行為に関する規定の削除であります。現行刑法第四十条は、ろうあ者の行為については、これを罰せず、または刑を減軽することとしておりますが、この規定は、聴力及び発語能力を欠くため精神的な発育がおくれることが多いと考えられていたことから設けられたものでありますところ、現行刑法制定後の聾唖教育の進歩拡充等の事情にかんがみますと、今日においては、責任能力に関する一般規定を適用すれば足り、同条を存置しておく理由はなくなったと考えられますことから、これを削除することとしております。
 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が刑法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#34
○議長(原文兵衛君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。荒木清寛君。
   〔荒木清寛君登壇、拍手〕
#35
○荒木清寛君 私は、平成会を代表しまして、ただいま議題となりました刑法の一部を改正する法律案について質問いたします。
 社会に犯罪はつきものであります。社会は犯罪の撲滅を目指して努力しなければなりません。刑法はその一つの手段です。しかし、それは単に一つの手段にしかすぎません。真の犯罪対策は犯罪原因そのものの除去でなければなりません。
 この点、昨今の我が国では、世界一の安全な国と言われたその安全神話の崩壊を思わせる重大事が続いております用地下鉄サリン事件と國松警察庁長官に対する狙撃事件は、極めて卑劣なテロであり、法秩序に対する露骨な挑戦です。さらに、オウム真理教施設に対しては殺人予備罪などの容疑による大規模な捜査が現在も続いており、国民の不安は募るばかりです。
 総理は、施政方針演説の中で、「安心して暮らせるやさしい社会」の創造を約束されました。しかし、果たしてこのような状態で安心して暮らせる社会であるとお考えですか。現政権の社会秩序の維持に向けての決意の欠如、危機管理体制の不備が指摘されてもやむを得ません。安全な社会を実現するために、中でも凶悪な犯罪を絶滅するために何をするおつもりなのか。これらの点に、総理、お答えください。
 具体的にお尋ねします。
 昨年六月二十七日の松本サリン事件の段階から徹底的な捜査が展開されていたならば、地下鉄サリン事件を防止することができた可能性が十分あります。極めて強力な殺傷力を持つ悪魔の兵器とも言うべきサリンが現実に初めて使用されたという点に政府及び当局はどれほどの危機感を持って臨んだのか、捜査を県警任せにしていたのではないか、大いに疑問であります。そればかりか、捜査当局は第一通報者を容疑者と見立てて誤った見込み捜査を行うという初動における大失態を演じ、現在に至るまで犯人の検挙に至っておりません。
 また、オウム真理教施設に対する捜索では、救出された多数の衰弱した信者、押収されたおびただしい薬品の山を見るにつけ、なぜもっと早い時期に捜査がなされなかったのかとだれもが疑問に思っています。さらに、警察の情報が一斉捜査に入る前に相手方に察知された可能性があったことを国家公安委員長も本院の予算委員会で認めておられます。捜査が後手後手に回っている印象をぬぐえないのであります。
 以上に述べた疑問に明確に答えてください。
 さらに、一般市民の安全を守るために社会の変化に対応した捜査体制の抜本的な見直しを行うべきだと考えますが、いかがですか。答弁を求めます。
 なお、この際、ことしに入ってからオウム真理教関係者がどのような罪名によってそれぞれ何人逮捕されているのか、またそのうち何人が起訴されているのか。逮捕者は百人を超えたとの報道もありますが、実人数で報告を求めます。
 さて、刑罰法規は、何をすればどう処罰されるのかということが国民のだれの目にもわかるようになっていなければなりません。憲法第三十一条から導かれる罪刑法定主義の要請するところであります。こうした観点から、国民にわかりやすい刑法の第一歩として今回の改正がなされたのです。そうであれば、改正法案の中に罪刑法定主義の大原則だけは新設するべきではなかったのか。罪刑法定主義は明治憲法下でも認められていた原則であり、これを確認することは何ら現行刑法の意味内容を変更するものではありません。答弁を求めます。
 現行刑法の全面的な見直しや改正については長い経緯があります。
 法制審議会刑事法特別部会は、昭和四十六年に刑法に全面改正を加える必要があると決定し、その第一の理由として、現行法の用語が漢文調の文語体で一般国民に理解しにくいものとなってきていることを挙げました。これを受けて、三年後の昭和四十九年に法制審議会総会で改正刑法草案が決定されました。しかるに、今般、刑法の全条文が現代用語化されることになったのですから、この改正刑法草案は草案として存在する根拠をもはや失ったと言うべきであります。そこで、改正刑法草案に基づく刑法の全面改正問題には事実上終止符が打たれたと理解してよいのかどうか、御答弁をいただきたい。
 国民にわかりやすい刑法という視点からお伺いします。
 今回の現代用語化に当たっては、常用漢字以外は用いないのが原則であったはずです。ところが、改正された法律案によってもなお常用漢字以外の漢字が十八カ所も用いられております。
 しかし例えば、「禁錮」の「錮」は「固」という字を使う、「閉塞」は現代用語としてふさわしくないから「ふさぐ」とする、「名誉を毀損する」は「名誉を害する」と改める等により、常用漢字以外の漢字をさらに減らすことは可能です。なぜその努力をしなかったのか。
 また、法案百五条の二の証人威迫罪における「面会を強請し、又は強談威迫の行為をした者」との表現は、現代用語とは言えません。「面会を強要し、または威迫する言動」と改めるべきです。さらに、日常の用語例からして、「又は」「若しくは」は平仮名で表記するべきです。
 以上、今回の現代用語化にはまだ不徹底なところがあると考えますが、いかがですか。見解を求めます。
 今回の改正には、尊属加重規定の削除も含まれています。
 特に尊属殺人罪については、最高裁昭和四十八年四月四日の違憲判決による違憲状態が二十二年を経てようやく解消されることになります。この点、法制審議会では昭和四十八年五月の段階で既に尊属加重規定を削除すべきであるとの答申をしておりますが、現在に至るまで政府が法案を提出できなかったのはいかなる事情によるのか、お答えください。
 さらに、最高裁が合憲と判断した尊属傷害致死罪のほか、尊属遺棄罪、尊属逮捕監禁罪の規定をも今回あわせて削除しようとする理由は何か、被害者が尊属であることを理由とする刑の加重はいかなるものであれ許されないと考えるのか、総理のお考えをお伺いします。
 次に、第百二十回国会では、罰金の額等の引上げのための刑法等の一部を改正する法律の成立に際して、衆参両院の法務委員会でそれぞれ附帯決議が付されています。「罰金が選択刑として定められていない財産犯及び公務執行妨害罪等の犯罪につき、罰金刑を選択刑として導入することを検討すること。」などがそれぞれ決議されております。
 刑法改正については、法制審議会の答申を経るのが通例ではありますが、唯一の立法機関である国会の意思を無視することは許されません。そこで、これらの附帯決議の趣旨を実現するべく、いつまでに国会に改正法案を提出できるのか、明確な答弁を求めます。
 最後に、政府の審議会の内容は、広く国民的な論議を高めていくために公開されるのが当然であります。現に諸外国では、各種審議会の議事録は公開されております。ところが、我が国では今回の刑法改正を含めて法制審議会の審議内容はほとんど秘匿されたままであり、刑事法部会委員の氏名さえ公表されていないのが現状であります。これでは情報公開にはほど遠いと言わざるを得ません。今後、法制審議会の情報開示を積極的に行うべきだと考えますが、総理の所見をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(村山富市君) 荒木議員の質問にお答えを申し上げます。
 凶悪犯罪への対応についてのお尋ねでございますが、地下鉄サリン事件や警察庁長官狙撃事件など、法秩序に対する重大な挑戦とも言うべき凶悪きわまりない犯罪が続発をし、安全な社会への国民の信頼が大きく損なわれかねない事態に至っているところでございます。
 良好な治安は世界に誇るべき我が国の最も貴重な財産とも言うべきものであり、これをs守るために警察において事件の検挙に万全を期するとともに、政府といたしましても関係省庁が緊密な連携を保ちながら必要な諸対策を講じていくなどして安心して暮らせる社会の実現に向けて全力を挙げて取り組んでいるところでございます。次に、尊属加重規定削除の理由についてのお尋ねでございますが、最高裁判所は、尊属に対する尊重報恩は社会生活上の基本的道義であって、このような自然的情愛ないし普遍的倫理の維持は刑法上の保護に値する。尊属に対する犯罪を重い社会的道義的非難を受けるものとして一般的に刑を重くすることは直ちに不合理な差別とは言えないとしております。
 したがいまして、尊属加重規定を設けること自体が直ちに憲法に違反するものではなく、尊属加重規定を設けるか否かについては適正な立法政策にゆだねられている事柄であると考えております。
 尊属殺人規定につきましては、事案の実態や連憲判決後二十二年にわたり通常殺人の規定が適用され、被害者が尊属である事情を踏まえ、事案に即して科刑が行われてきている実情にかんがみまして、これを削除することとしたのであります。
 そこで、最も基本的な犯罪である殺人罪について尊属加重規定を廃止することとした以上は、尊属傷害致死ほかの尊属加重規定につきましては、尊属殺人規定を削除することとのバランスや量刑の実情等にかんがみ、あわせて廃止するのが相当であると考えたものでございます。
 次に、法制審議会の情報の開示についてのお尋ねでございますが、審議会等の透明性の一層の向上を図る等のために、平成六年六月二十四日、関係省庁連絡会議におきまして「審議会等及び懇談会等行政運営上の会合の運営等に関する指針」についての申し合わせを行い、審議会の委員の任免、活動状況、議事の公開等に係るガイドラインを策定したところでございます。
 法制審議会においても、今後ともこの中し合わせに従い、運営の透明性の確保に努めていくものと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣前田勲男君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(前田勲男君) 荒木議員にお答えを申し上げます。
 ことしに入ってオウム真理教関係者がどのような罪名によって何人起訴されているかとのお尋ねでございますが、当局においてオウム関係者と把握している限りについて申し上げますと、東京地検におきまして三名を上九一色村における監禁罪で東京地方裁判所に対して起訴をいたしております。また、検察におきましては、オウム関係者と思われる者多数について警察から送致を受け、鋭意捜査を行っているところでございます。
 次に、今回の改正の機会に罪刑法定主義の規定を新設しなかった理由についてのお尋ねでございますが、罪刑法定主義が刑事法の基本原理としての憲法上の原則であることには異論がないところでございます。
 今回の刑法改正に関する法制審議会における審議におきましては、この規定を新設すべきであるとの意見も少なくありませんでしたが、罪刑法定主義の原則の内容などについても十分検討すべきであるなどの意見もあり、憲法規範というべき内容の規定を法律で定めることの適否等、法制実務上解決を要する種々の問題も指摘されました。
 審議の結果、今回の改正の目的が現行刑法の表記の平易化をできるだけ速やかに実現することにあることから、罪刑法定主義の規定の新設につきましては事務当局において検討を継続することとされたものでございまして、この法制審議会の答申を踏まえまして今回の改正案を立案したところでございます。
 次に、今回の改正により、改正刑法草案に基づく刑法の全面改正問題には事実上終止符が打たれたと理解してよいかとのお尋ねでございますが、刑法の全面改正につきましては、昭和四十九年に法制審議会から改正刑法草案の答申がなされているところでございますが、これに基づく刑法の改正につきましては種々の御意見があるところでございまして、これらの御意見も踏まえながら検討を続けてきたところでございます。今後も検討を続ける所存でございます。
 いずれにいたしましても、今回の改正は、今後の刑法改正のまさに基盤整備作業として大きな意味を持つものと理解をいたしております。したがいまして、今回の改正が成立をいたしましたならば、平易になった刑法を踏まえまして、刑法をめぐるさまざまな御議論、御意見に耳を傾け、社会の状況に合致したよりよい刑法の実現を目指して努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、今回の現代用語化にはまだ不徹底なところがあるとの御指摘でございますが、今回の改正は基本的に現行刑法の意味内容に変更を加えない、つまり、用語の変更によって刑罰の範囲を拡大または縮小しない、これを前提にする改正でございます。どうしてもこうした観点からは原文を尊重せざるを得ず、新たに刑法をつくるのと同じ程度にまで現代用語化することは困難がございます。
 その意味で、なお不十分ではないかという御意見もあろうかと思われますが、この点につきましては、今後適宜な機会に対処することとし、今回の改正は、国民の理解しやすいようにするため、できる限りの範囲で現行刑法の表記を現代用語化することによって平易化するものであることを御理解を賜りたいと存じます。
 次に、尊属殺規定についてのお尋ねでございますが、法務省におきましては、最高裁判所の違憲判決後、直ちに尊属に対する殺人事件の実態とこれに対する社会一般の評価及び裁判例等を総合的に検討いたしました結果、尊属殺規定を削除し、あわせて尊属傷害致死、尊属遺棄及び尊属逮捕監禁に関する規定も削除することを相当と考えまして、法制審議会に諮問し、その答申を得、尊属加重規定を削除する内容の刑法の一部を改正する法律案を第七十一回国会に提出すべく準備をいたしましたが、関係方面との調整が整わず、法案提出に至らなかったものでございます。
 この問題につきましては、各個人の家族観、倫理観、社会観とも極めて深く関係するところでございまして、その後の国会におきましてもたびたび議論の対象とされてきたところでございます。
 法務省におきましては、これらの経緯や議論を踏まえまして、事案の実態や量刑の実情等の調査を行うとともに、種々の角度から検討を続けてまいりました。今回、刑法の表記の平易化に当たり、尊属に対する殺人等の実態、量刑の実情の調査結果、法制審議会からも累次にわたり全部削除の答申があったことなどを踏まえ、尊属加重規定を全部削除することが相当と考え、今回の法案を提出いたしたものでございます。
 次に、御指摘の附帯決議で検討等を求められた事項についてのお尋ねでございますが、このうち、罰金刑に伴う自然人と法人との経済力の格差から生ずる不公平を解消するための罰金制度のより適正な見直しにつきましては、法制審議会から、いわゆる両罰規定を切り離して法人に対する罰金を引き上げることは可能であるとする検討結果を得ております。なお、これに基づいて独占禁止法等の改正がなされております。また、刑罰法令の現代用語化と尊属加重規定の見直しにつきましては、今回の改正において対応することとしているところでございます。
 その他の点につきましては、刑罰制度全体の見直しの中で検討すべき問題であり、かつ多岐にわたるものでございますので、具体的な時期を申し上げることは困難でありますが、法制審議会刑事法部会財産刑検討小委員会の約二年にわたる審議、検討の結果を踏まえ、現在は事務当局におきまして基礎的な調査、検討を継続しているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(野中広務君) 荒木議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、いわゆる松本サリン事件への対応についてのお尋ねでありますが、本事件は何の関係もない市民を大量無差別に殺傷するという悪質きわまりないものでありまして、警察におきましても事態を重大に受けとめ、警察庁科学警察研究所職員を直ちに現地に派遣したり、関係都道府県警察が連携して関連情報の収集等の諸対策に当たってまいったのでありますが、いまだ犯人検挙に至っておらないことは残念に存じておるところであります。
 次に、オウム真理教に対する捜査がなぜおくれたのかとの御指摘でありますが、先ほども長谷川議員の御質問にお答えをいたしましたとおり、犯罪捜査は法にのっとり証拠を一つ一つ積み重ねて、着実かつ適正に行われるべきものでありまして、予断を加えることは厳に慎まなければならないことから、東京品川の公道上において公証役場の事務長が拉致され、その運搬車両からオウム真理教の内部における容疑者を特定することができましたので、警察庁特別手配をもってオウム真理教の捜査に入ることができたことを御理解いただきたいと存じます。
 しかしながら、この捜査途上で再びサリンと見られる有毒ガスが都内において使用されたことについては大変厳しく受けとめておりまして、捜査を徹底して一刻も早く犯人検挙と事案の全容解明がなされるよう強く督励をしておるところであります。
 捜査体制の見直しについてのお尋ねでありますが、今般の一連の事件に見られますように、捜査活動を取り巻く環境の変化は著しいものがあるところであります。当面は、まず警察において今回の事件の捜査を徹底し、事案の全容解明に全力を尽くすべきものと考えておりますが、あわせて、その過程で得られました教訓事項を踏まえまして、治安事象に対応した捜査体制のあり方についても十分検討される必要があるものと考えております。
 オウム真理教関係者の検挙状況についてのお尋ねでありますが、被疑者がオウム真理教関係者であるかどうかの判断につきましては慎重を期さなければならないところでありますが、これまでオウム真理教から脱会を希望した大学生に対する逮捕監禁事件三名、山梨県上九一色村施設内を捜査中、昏睡状態の信者六名を監禁していた医師ら四名を逮捕したことを初め、毒物及び劇物取締法違反、営利誘拐を含む種々の罪名でおおむね百名以上の者を逮捕しているものと承知をいたしております。(拍手)
#39
○議長(原文兵衛君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#40
○議長(原文兵衛君) 日程第一 家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約(第百五十六号)の締結について承認を求めるの件
 日程第二 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件
 日程第三 原子力の安全に関する条約の締結について承認を求めるの件
  (いずれも衆議院送付)
 以上三件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外務委員長田村秀昭君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔田村秀昭君登壇、拍手〕
#41
○田村秀昭君 ただいま議題となりました条約三件につきまして、外務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、家族的責任を有する労働者条約、いわゆるILO百五十六号条約は、家族的責任を有する男女労働者が職業上の責任と家族的責任との間にできる限り抵触が生ずることなく職業に従事する権利を行使することができるようにすること等を国の政策の目的とすること等について定めるものであります。
 委員会におきましては、この条約の実効性を確保するための国内措置、ILO関連条約の批准状況等について質疑が行われました。
 質疑を終え、採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、フランスとの租税条約は、現行の租税条約を全面改正しようとするものでありまして、特に親会社が子会社から受け取る配当について源泉地国における限度税率を引き下げるとともに、条約の不正利用防止を目的とする条項を新たに設けるほか、全般にわたって最近の租税条約の改善された規定をできる限り取り入れようとするものであります。
 質疑を終え、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して立木委員より反対する旨の意見が述べられ、次いで採決の結果、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 最後に、原子力安全条約は、原子力の高い水準の安全を世界的に達成し維持すること等を目的として、原子力施設の安全を規律する法令上の枠組みを定めること等を締約国に義務づけること等について定めるものであります。
 委員会におきましては、この条約の適用対象を陸上に設置された民生用の原子力発電所に限定した理由、原子力の安全のために我が国が講じている措置等について質疑が行われました。
 質疑を終え、採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#42
○議長(原文兵衛君) これより採決をいたします。
 まず、家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約(第百五十六号)の締結について承認を求めるの件並びに原子力の安全に関する条約の締結について承認を求めるの件を一括して採決いたします。
 両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#43
○議長(原文兵衛君) 総員起立と認めます。
 よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。
 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件の採決をいたします。
 本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#44
○議長(原文兵衛君) 過半数と認めます。
 よって、本件は承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#45
○議長(原文兵衛君) 日程第四 受信設備制御型放送番組の制作の促進に関する臨時措置法案
 日程第五 電気通信基盤充実臨時措置法及び通信・放送機構法の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長山田健一君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔山田健一君登壇、拍手〕
#46
○山田健一君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、受信設備制御型放送番組の制作の促進に関する臨時措置法案につきましては、放送の分野における急速な技術革新にかんがみ、国民が情報を選択する機会を拡大するため、視聴者が個々の関心に応じて多様な方法で視聴することができる受信設備制御型放送番組の制作を促進しようとするものであります。
 委員会におきましては、高度情報通信社会の構築に向けての政府の取り組み、ソフト制作支援のあり方等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、全会一致をもって四項目から成る附帯決議を行いました。
 次に、電気通信基盤充実臨時措置法及び通信・放送機構法の一部を改正する法律案につきましては、電気通信基盤の整備充実を図るため、電気通信基盤充実事業に新たに高度有線テレビジョン放送施設整備事業を加えるとともに、通信・放送機構に高度通信施設整備事業及び高度有線テレビジョン放送施設整備事業の実施に必要な資金の借り入れに係る利子に対する助成金交付の業務を行わせるものであります。
 委員会におきましては、マルチメディア社会に向けての情報通信基盤整備のあり方、CATV事業の現状と課題等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、全会一致をもって五項目から成る附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#47
○議長(原文兵衛君) これより採決をいたします。
 まず、受信設備制御型放送番組の制作の促進に関する臨時措置法案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#48
○議長(原文兵衛君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 次に、電気通信基盤充実臨時措置法及び通信・放送機構法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#49
○議長(原文兵衛君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#50
○議長(原文兵衛君) 日程第六 大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。環境特別委員長篠崎年子君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔篠崎年子君登壇、拍手〕
#51
○篠崎年子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境特別委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 本法律案は、自動車排出ガスによる大気汚染の防止を図るため、自動車燃料の性状及び自動車燃料に含まれる物質の量の許容限度を定め、その確保のための措置を講ずることとするとともに、自動車排出ガス抑制のための国民の努力について定めようとするものであります。
 委員会におきましては、許容限度の設定水準、低公害車の普及促進方策、大都市の自動車排出ガス対策、気候変動枠組み条約への取り組み等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終わり、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、全会一致をもって附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#52
○議長(原文兵衛君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#53
○議長(原文兵衛君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#54
○議長(原文兵衛君) 日程第七 道路交通法の一部を改正する法律案
 日程第八 自動車の保管場所の確保等に関する法律の一部を改正する法律案
 日程第九 地方公務員災害補償法等の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長岩本久人君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔岩本久人君登壇、拍手〕
#55
○岩本久人君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、道路交通法の一部を改正する法律案は、運転免許行政をめぐる最近の情勢等にかんがみ、自動二輪車に係る運転免許に関する規定の整備を行うほか、自転車の定義の明確化等、所要の規定の整備を行おうとするものであります。
 また、自動車の保管場所の確保等に関する法律の一部を改正する法律案は、軽自動車の保管場所に係る届け出等に関する規定の適用地域を拡大する場合における当該届け出をしなければならない者を定めるほか、所要の規定の整備を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終局し、順次採決の結果、両法律案はいずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、地方公務員災害補償法等の一部を改正する法律案は、最近における社会経済情勢等にかんがみ、介護補償の創設、遺族補償年金の額の引き上げ等、地方公務員災害補償制度における補償の内容を改善するとともに、福祉施設についてその名称の変更及び内容の拡充を図る等の措置を講じようとするものであります。
 委員会における質疑の詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#56
○議長(原文兵衛君) これより三案を一括して採決いたします。
 三案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#57
○議長(原文兵衛君) 総員起立と認めます。
 よって、三案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#58
○議長(原文兵衛君) 日程第一〇 石油製品の安定的かつ効率的な供給の確保のための関係法律の整備等に関する法律案
 日程第一一 電気事業法の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。商工委員長久世公堯君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔久世公堯君登壇、拍手〕
#59
○久世公堯君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、石油製品の安定的かつ効率的な供給の確保のための関係法律の整備等に関する法律案は、石油製品輸入の自由化を促進するために、特定石油製品輸入暫定措置法を廃止するとともに、緊急時における供給を確保するための石油備蓄法の改正、石油製品の品質を適正に管理するための揮発油販売業法の改正等の措置を講じようとするものであります。
 次に、電気事業法の一部を改正する法律案は、即発電市場への新規参入の促進など事業規制の緩和、料金規制の改善、保安規制の合理化等の規制緩和を通じ、より効率的な電力供給体制を構築しようとするものであります。
 委員会におきましては、両法律案を一括議題とし、輸入自由化による石油製品の内外価格差及び製品間価格差の縮小への効果、指定地区制度廃止を受けた小規模給油所の経営への影響と対応策、新電気料金制度における指標の設定基準、分散型電源の導入・促進と環境への影響等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終わり、順次採決の結果、両法律案はいずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、石油製品の安定的かつ効率的な供給の確保のための関係法律の整備等に関する法律案に対して四項目、電気事業法の一部を改正する法律案に対して五項目の附帯決議をそれぞれ行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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#60
○議長(原文兵衛君) これより両案を一括して採決いたします。
 両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#61
○議長(原文兵衛君) 総員起立と認めます。
 よって、両案は全会一致をもって可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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