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1995/04/24 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 本会議 第18号
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1995/04/24 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 本会議 第18号

#1
第132回国会 本会議 第18号
平成七年四月二十四日(月曜日)
   午後一時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十八号
  平成七年四月二十四日
   午後一時開議
 第一 地方分権推進法案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、議員山本富雄君逝去につき哀悼の件
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 議員山本富雄君は、去る三月十六日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 同君に対しましては、議長は、既に弔詞をささげました。
 ここにその弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院はわが国民主政治発展のため力を尽くされさきに大蔵委員長の要職につかれまた国務大臣としての重任にあたられました議員従三位勲一等山本富雄君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
    ―――――――――――――
#4
○議長(原文兵衛君) 青木薪次君から発言を求められております。この際、発言を許します。青木薪次君。
   〔青木薪次君登壇〕
#5
○青木薪次君 本院議員山本富雄君は、去る三月十六日、東京都港区の慈恵会医科大学附属病院において、肝不全のため逝去されました。
 体調すぐれず三月七日から入院しておられましたが、御家族の懸命の看病もむなしく、ついに幽明境を異にされることとなりました。まことに痛惜哀悼の念にたえません。
 私は、ここに、皆様の御賛同をいただき、議員一同を代表いたしまして、従三位勲一等故山本富雄君の御功績をしのび、謹んで哀悼の言葉をささげたいと存じます。君は、昭和三年十一月、群馬県吾妻郡草津町に生を受け、陸軍士官学校への進学を目指し、地元の名門校、旧制高崎中学に進まれたのであります。
 昭和三十年四月、君は、わずか二十六歳の若さで草津町議会議員に当選されて政界入りを果たされました。以後、町議会議員を三期十二年間、次いで県議会議員を三期十年間にわたって務められ、昭和五十一年には、自由民主党群馬県支部連合会の幹事長にも就任されました。
 そして、昭和五十二年七月、第十一回の参議院議員通常選挙において、見事、県内史上最多の四十八万票を獲得しまして初当選を果たされたのであります。しかも、このときの君は、公示日直前に患った急性肝炎のために、病床に伏したまま一度も選挙運動を行うことができず、かわって奥様が遊説から立会演説会に至るまで大活躍をされてこのような成果を上げられたのであります。このことは、今なお地元の話りぐさとなっているのでございます。
 その後の国会における君の活動も、このような奥様の支えがあって初めて可能だったのであり、ここに理想的な夫婦像を見ることができるのであります。
 さて、君は、本院においては、法務、外務、大蔵、商工、運輸、予算等の委員会に属して、さらに大蔵委員長として活躍をされました。また、参議院自由民主党においては、平成元年八月に国会対策委員長に就任されましたが、少数与党という自由民主党にとって厳しい情勢のもとで、円滑な国会運営を行うために誠心誠意努力されたのであります。さらに、平成四年八月からは、党幹事長として、党が初めて野党となった期間を挟んで、党、国会の運営に大変な御苦労をされました。
 ところで、君を語るとき忘れてならないのは、参議院改革に対する君の功績であります。
 参議院のあり方に深く思いをいたしていた君は、参議院改革に心を砕き、党幹事長就任後、党の参議院改革に関する研究会の座長に就任するとともに、参議院の組織運営、さらに選挙制度及び参議院自民党の改革問題等につき中間報告を取りまとめたのであります。
 そればかりでなく、君は、平成五年一月二十六日の代表質問の中で参議院改革を取り上げ、この壇上から、こう呼びかけたのであります。「同僚議員の皆さん、みずからの所属政党、会派の立場を超えて、参議院創設の原点に立ち、かくあるべき参議院の理想を求めて、この際発想の大転換を行おうではありませんか。要は実行へのお互いの決断であります。」と。私どもは、この言葉を決して忘れることなく、今後も参議院改革のために、党派を超えて協力し合っていかなければならないと思うのであります。
 しかし、君が国会で上げられた最大の功績は、言うまでもなく農政の分野においてでありました。
 君は、平成二年二月、第二次海部内閣において農林水産大臣として入閣を果たされたのであります。農業県である群馬県の出身者として早くから農政に情熱を傾けていた君にとって、最もふさわしいポストについたのであります。農政の最高責任者となった君は、農は国の基、林は国の礎と言って、この信念を胸に多くの困難な問題を抱える農政に取り組まれたのであります。
 当時、新任大臣の君を待ち受けていた最大の難問は、最終段階を迎えていたガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉でありました。
 強硬に米などの農産物の自由化を迫る欧米諸国を向こうに回して、君は、世界最大の農産物純輸入国としての我が国の立場を踏まえて、食糧安全保障、国土・自然環境の保全、地域社会の維持等、農業が果たしている多面的な役割を十分配慮される必要があると繰り返し主張し、一歩も譲らず我が国の基本的立場を堅持し続けられました。このような君の姿勢に対して、与野党を問わず大きな信頼が寄せられたことは申し上げるまでもありません。
 その後、党の総合農政調査会長に就任し、引き続き農業・農村の活性化のために奮闘されました。特に、昨年秋のウルグアイ・ラウンド農業合意受け入れに伴う国内関連対策では、党の陣頭に立って総事業費六兆百億円の対策実現のために大変な尽力をされたことは記憶に新しいところであります。
 一方、私人としての君は、スポーツマンとしても大変な実績の持ち主でありました。全日本選手権の滑降第二位、国体の大回転第三位という輝かしい経歴を持ち、昭和三十一年の第七回冬季オリンピック銀メダリストである、あの猪谷千春選手の好敵手であったのであります。
 君の頑固なまでのしんの強さは、このようなスポーツによって培われたものでありましょう。そして、不撓不屈、信なくば立たず、一期一会を座右の銘として、目をみはるような行動力、指導力を発揮されました。
 しかし、その半面、君は、義理人情に厚い上州人らしさを持ち多くの人たちから慕われてまいりました。
 家庭にあっては、お子様方のしつけについて大変厳しく、それでいて寂しがり屋で、御家族とは団らんの機会を持つことを楽しみにしておられたのであると漏れ承っております。
 このように、農政を初め多方面にわたって大きな業績を上げ多数の人々から慕われた君は、それらを遺産として、今、不帰の客となられました。
 政治家としてはまだこれからという年齢であり、この夏の参議院選挙に向けて、四期目の立候補を予定して準備を進めている最中のことでありました。病床で政務復帰を望みながら志半ばにて倒れた君の無念を思うとき、同じ参議院に籍を置く者として涙なくしては語られません。
 現在、我が国は、社会経済の全般にわたって次々に起こる多くの困難な問題に直面し、政治の適切果断な対応が求められております。このようなときに、危機になるほど卓抜したリーダーシップを発揮することのできる君を失ったことは、御遺族のお悲しみはもとより、本院や国家国民のためにもまことに損失であり、痛恨のきわみと申さなければなりません。
 ここに、生前の山本君の御功績とお人柄をしのび、院を代表して心から御冥福をお祈り申し上げます。
 以上をもって、哀悼の言葉といたします。
     ―――――・―――――
#6
○議長(原文兵衛君) 日程第一 地方分権推進法案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。山口国務大臣。
   〔国務大臣山口鶴男君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(山口鶴男君) 地方分権推進法案について、その趣旨を御説明いたします。
 国民がゆとりと豊かさを実感できる個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現が求められております今日、地方公共団体がその実情に沿った個性あふれる行政を展開できるよう、その自主性及び自立性を高めていくため、地方分権の推進が不可欠であります。
 このため、政府は、地方分権の推進を当面の重要課題の一つとして位置づけ、各方面の御意見を踏まえつつ、昨年十二月二十五日に「地方分権の推進に関する大綱方針」を閣議決定いたしました。本法律案は、この大綱方針の基本的方向に沿って取りまとめ、ここに提出申し上げる次第であります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
 第一は、地方分権の推進に関する基本理念並びに国及び地方公共団体の責務であります。
 地方分権の推進は、各般の行政を展開する上で国及び地方公共団体が分担すべき役割を明確にし、地方公共団体の自主性及び自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることを基本として行われるものといたしております。また、国及び地方公共団体の責務について所要の規定を設けております。
 第二は、地方分権の推進に関する基本方針であります。
 地方分権の推進は、国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務など国が本来果たすべき役割を重点的に担い、地方公共団体においては地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担うことを旨として行われるものといたしております。
 また、地方分権の推進に関する施策として、国は、地方公共団体への権限の委譲を推進するとともに、地方公共団体に対する国の関与、必置規制、機関委任事務、補助金等の整理及び合理化その他所要の措置を講ずるものといたしております。
 このほか、国は地方税財源の充実確保を、また、地方公共団体はその行政体制の整備確立を図るものといたしております。
 第三は、地方分権推進計画であります。
 政府は、地方分権の推進に関する基本方針に即して地方分権推進計画を作成し、当該計画を国会に報告するとともに、その要旨を公表しなければならないことといたしております。
 第四は、地方分権推進委員会であります。
 委員会は、地方分権推進計画の作成のための具体的な指針を内閣総理大臣に勧告するとともに、同計画に基づく施策の実施状況を監視し、その結果に基づき内閣総理大臣に必要な意見を述べることを任務としており、委員会の勧告または意見については、内閣総理大臣はこれを尊重しなければならないことといたしております。
 委員会は、すぐれた識見を有する者のうちから両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命する委員七人をもって組織することとするとともに、委員会の事務を処理させるための事務局を置くことといたしております。
 また、委員会は、行政機関及び地方公共団体の長に対して資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができることとしているほか、特に必要があると認めるときは、みずから行政機関及び地方公共団体の業務の運営状況を調査することができることといたしております。
 なお、この法律は、政令で定める施行の日から起算して五年を経過した日にその効力を失うことといたしております。
 以上がこの法律案の趣旨でございますが、衆議院において、地方公共団体に対する国の関与、必置規制、機関委任事務、補助金等の整理及び合理化は地方自治の確立を図る観点から行うものとすること、並びに内閣総理大臣は、地方分権推進委員会から指針の勧告を受けたときはこれを国会に報告するものとすることを内容とする修正が行われております。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(原文兵衛君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。鎌田要人君。
   〔鎌田要人君登壇、拍手〕
#9
○鎌田要人君 私は、自由民主党を代表いたしまして、先ほど趣旨説明がございました地方分権推進法案につきまして、総理及び関係閣僚に対し若干の質問を行いたいと存じます。
 我が国は、今年に入りましてから、阪神・淡路大震災に始まり、地下鉄サリン事件、オウム真理教事件など、日本の安全を脅かす大事件が続発し、最近は円相場の暴騰により日本経済の先行きにも大きな不安が生じております。
 このようなかってない難局におきまして、今こそ国民のエネルギーを結集して、二十一世紀に向け我が国の展望を切り開くために、行政改革を初め経済・社会システムを抜本的に見直していくことが必要でございます。
 地方分権につきましては、内外から問いただされております我が国の古い体質、すなわち東京への一極集中を排除し、中央集権的行政、縦割り的な官僚制度を打破し、国と地方が共通の目的でございます国民の福祉増進に向けまして相互に協力し合うことに最大の眼目があり、まさに我が国の活路を切り開く緊要な切り札であると考えておりますが、総理の御所見はいかがでございましょうか。
 このような視点に立ちまして、以下、地方分権推進法について具体的に質問を行いたいと存じます。
 まず、国と地方公共団体との役割分担のあり方について伺います。
 国と地方公共団体との役割分担に関し、原案におきましては、国においては国が本来果たすべき役割を重点的に担い、地方公共団体においては地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担うべきことを旨として行われるものとすると、あいまいかっ抽象的な表現にとどまっておるのであります。地方制度調査会答申、行政改革推進本部地方分権部会の意見等と読み合わせてみましても、この感は否めないところでございます。この点に関する総務庁長官と自治大臣の御説明をお願い申し上げます。
 また、「地方分権の推進に関する国の施策」と題しまする法第五条に対する衆議院の修正の意義と、それに対する考え方はいかがでありましょうか。特に、この修正は、機関委任事務の整理合理化に密接な関連を有するものでございますが、この点につきましての総務庁長官のお見通しを伺いたいのでございます。
 次に、地方税財源の充実確保について伺います。
 法第六条の趣旨はわかりますが、実質的に何事をも物語っておらないに等しいという感じを持ちます。国と地方公共団体との間の事務再配分を真剣に考えるのであれば、これに対応する地方税財源の充実確保は必須の課題でございます。この重大お問題をわずか一行足らずの条文で簡単に片づけるなど、ここにこの問題に対する政府の腰の引けた姿勢がほの見えると言えば言い過ぎになりますか、総理及び自治大臣からしっかりお答えをお願いいたします。
 次に、国から地方公共団体への権限委譲等の推進について伺います。
 行政の簡素化及び規制緩和の観点から、行政事務そのものの必要性を検討することは当然でございますが、その上で国から地方公共団体への権限委譲等を推進する場合、行政分野ごとに権限委譲、国の関与、補助金の整理等を一括して見直し計画的に推進する旨の昨年十二月二十五日付の「地方分権の推進に関する大綱方針」と題する閣議決定の趣旨には大賛成であります。
 ただ、そこでなお書きでうたわれております「全国的な統一性、全国的な規模・視点を重視して行う必要のある事務についても、その執行に当たり地方公共団体の裁量に委ねることが適当なものについては、国は、極力、基準の提示や制度の大枠の制定にとどめるものとする。」となっておりますが、自治大臣及び総務庁長官が具体的にどのような事務を考えておられるのか、お伺いいたしたいと存じます。
 政府は、目下行財政の改革に取り組んでおり、その成果はいまだ道半ばでございますが、この中で地方分権を推進するに当たり、地方公共団体がその受け皿づくりをいかに効率的に行い、地域住民に対してよりよい行政サービスの提供を図っていけるかどうかに地方分権全体の成果が問われているところであります。政府、地方公共団体あわせたトータルでの国民負担の状況につきまして、今後十分なチェック体制を検討していく必要があると存じますが、自治大臣並びに総務庁長官、この点いかがでありましょうか。
 また、地方公共団体の体制整備を推進するに当たり、市町村合併の一層の推進、広域連合等広域行政体制の整備、人材の確保育成に積極的に取り組んでいく必要がありますが、この点につきましての方針を自治大臣に伺いたいと存じます。
 次に、地方分権推進委員会に関して伺います。
 地方分権推進委員会に関して、地方分権推進法即地方分権推進委員会法だと言ってよいくらいこの委員会の存在は大きな意義を有しますが、それだけに、その委員の任命に当たりましてはいやが上にも慎重でなければなりません。同法第十二条に「委員会は、委員七人をもって組織する。」とされ、第十三条第一項では「委員は、優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」とされておりますが、この委員の構成につきまして、地方自治関係者何人、学識経験者何人等の構想がございますれば、総務庁長官のお考えをお伺いいたします。
 また、推進委員会が十分な調査審議を行ってまいりますためには、推進委員会事務局の体制整備が不可欠のことと存じます。その意味で十分な規模の人員配置が必要と考えますが、この点についてもお答えを願います。
 最後に、一言申し上げます。
 この法案は、我が国の現代史において画期的な意義を有する法律案であると存じます。
 顧みますれば、我が国が欧米諸国の有色人種支配のほうはいたる波の中で決然と立って独立の大旆のもとよく列強に伍して今日に至ったのは、中央集権国家として一国の総力を結集し得たからにほかなりません。
 しかし、時代の流れ、また今後における我が国の使命は、国際場裏にありましてよくその使命を果たすことにあり、内政の面におきましては明治維新以来既に百二十年余の歴史を経た地方公共団体に原則としてこれをゆだねることが適当でございます。このような観点から、このたびの地方分権推進法案の制定の運びとなったものと考えられます。その意味で、このたびの地方分権推進法案の制定は、第二の明治維新、第二の開国の幕あけとなるものでございます。
 地方分権の積極的推進については、一昨年、当参議院におきまして全会一致で決議を行ったところでございます。その趣旨を十二分に生かして推進されますよう総理の御決意を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(村山富市君) 鎌田議員の質問にお答えを申し上げたいと存じますが、まず、地方分権に対する認識についてのお尋ねでございます。
 今日、国民が豊かさとゆとりを実感できる魅力ある地域社会を実現することが極めて重要であり、地方公共団体がみずからの創意に基づく施策を積極的に展開していくことができるよう地方分権の推進を図ることが、何よりも必要であると考えております。そのためにも、国と地方公共団体は、意思疎通を図って相協力をして住民福祉の増進を図っていくことが大切であります。
 地方が、その実情に沿った個性あふれる行政を積極的に展開できるよう国と地方の役割分担を本格的に見直し、権限委譲や国の関与等の廃止。緩和、地方税財源の充実強化を進め、地方公共団体の自主性・自立性を強化していくことが必要であると認識をいたしておるところでございます。
 次に、地方税財源を充実確保すべきとのお尋ねでありますが、先般の税制改革におきましては、地方分権を推進し地方税源の充実を図るため、地方消費税を導入することとしたところでございます。また、今後の高齢化の進展に伴う地域福祉の充実や生活関連社会資本の計画的整備等を考えあわせますと、地方税財源の充実強化を図ることはますます重要な課題になるものと考えております。
 地方の税財政基盤の整備は、国、地方を通ずる事務配分等を初めとする地方行財政制度全般のあり方を踏まえつつ検討する問題でもあり、地方分権の推進状況を踏まえながら、分権の趣旨に沿った地方税財政制度が構築されるよう適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、地方分権の推進に取り組む決意についてのお尋ねでありますが、一昨年六月に衆参両院におきまして、地方分権推進に関する決議が全会一致で行われたところであります。
 地方分権を推進していくことは、現内閣の重要課題の一つであり、今回の地方分権推進法案を今国会においてできる限り早期に成立させていただき、それをもとにして具体的に地方分権を強力に推進していくことが重要であります。私といたしましても、具体的な成果を上げるべく強い決意でこれに取り組んでまいる所存でございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣山口鶴男君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(山口鶴男君) 国と地方公共団体の役割分担のあり方についてのお尋ねでございますが、国としては内政に関する役割は思い切って地方公共団体にゆだね、国が本来果たすべき役割を重点的、効果的に担うとともに、地方公共団体は地域における行政を自主的、総合的に担うよう行政システムの変革が求められているものと認識をいたしております。
 本法案の第四条はこうした考え方に立ちまして国と地方の役割分担のあり方を示したものでございまして、昨年末に閣議決定した地方分権大綱を検討する過程で、地方制度調査会や地方六団体を初め各方面の御意見を参考といたしまして取りまとめをいたしたものでございます。
 もとより、具体的な役割分担の見直しは地方分権推進計画を立案する過程におきまして検討いたしていくことになると思いますが、本法案に示された基本的な考え方は、その際の十分な指針となるものと認識をいたしております。
 次に、衆議院における第五条の修正についてのお尋ねでございますが、この修正の趣旨は、地方分権の推進に当たっては、地方公共団体の自主性・自立性を確保する必要があることにかんがみまして、法案第五条に定める国の関与、必置規制、機関委任事務、補助金等の整理合理化につきまして、地方自治確立の観点から行う旨を追加することによりましてその整理合理化の方向を明確にするためのものと認識をいたしております。政府といたしましても、この御趣旨を十分に踏まえまして、機関委任事務等の整理合理化を積極的に推進してまいる保つもりでございます。
 次に、全国的な統一性、全国的な規模・視点を重視して行う必要のある事務のうち、その執行に当たって地方公共団体の裁量にゆだねることが適当な事務についてのお尋ねでございますが、具体的にはどのような事務がこれに該当するかどうかにつきましては、地方分権推進委員会から勧告される具体的な指針を尊重いたしまして、政府が権限委譲等の具体的施策を展開する際に個々の事務事業の性格を踏まえまして個別具体的に明らかにしていくべきものであると考えております。
 次に、政府、地方公共団体あわせたトータルとしての国民負担についてのお尋ねでございますが、地方分権はもとより地方行政改革の重要な柱の一つであり、これを推進するに当たっては、国、地方全体を通じまして簡素で効率的かつ国民の期待にこたえ得る行政を確立するとの視点に立って対処すべきもの、であると考えております。
 最後に、地方分権推進委員会の委員の構成及び事務局の体制についてのお尋ねでございますが、委員の人選につきましては、同委員会がその広範な任務を的確に果たしていくため、国、地方の行政について高い見識を有する者をバランスよく配置する必要があると認識をいたしております。本法案の成立後、国会における御審議をも参考にしつつ、任命権者である内閣総理大臣におきまして両議院の御同意が得られるよう適切な人選が行われるものと考えておる次第であります。
 また、事務局の具体的な規模、構成等につきましても、国会における論議を踏まえまして、簡素を旨としつつ委員会の任務を補佐する上で最も適切な人材を配置するなど、委員会の業務に支障のない体制を確保してまいる所存でございます。
   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(野中広務君) 鎌田議員の御質問にお答えいたします。
 国と地方公共団体との役割分担についてのお尋ねでありますが、ただいま総務庁長官からも答弁のあったところでありますが、本院におきます一昨年の決議を初め地方制度調査会答申等を踏まえまして、地方分権推進法案では、国と地方公共団体の役割分担につきましては、国は国際社会における国家としての存立にかかわる事務等国が本来果たすべき役割を重点的に担い、地方公共団体は地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担うこととされております。このような基本的な考え方に沿いまして、具体的に権限委譲等を推進していくことによって国と地方公共団体が分担すべき役割が明確になっていくものと考えております。
 なお、その際には、地域に関する行政は地方公共団体が主体的に担えるよう、地方公共団体にゆだねるべきものは思い切ってゆだねるという姿勢が重要であると認識をしております。
 国と地方公共団体の事務配分についてのお尋ねでありますが、地方税財源を充実確保すべきと御指摘がございましたが、ただいま総理からも御答弁を申し上げましたが、地方分権の推進に当たりましては、地方公共団体の税財政基盤を確立していくことが最も重要な課題の一つであります。先般の税制改革におきましては、地方分権を推進し地方税源の充実を図るため地方消費税を導入することを実現していただきましたのも、その重要な柱の一つであると存じております。
 また、今後の高齢化の進展に伴う地域福祉の充実や生活関連社会資本の計画的整備等を考え合わせますと、地方税財源の充実強化を図りますことはますます重要な課題になるものと考えております。
 こうした中で、地方税財源の充実確保に当たりましては、まず地方税の充実強化を基本としつつ地方交付税の財政調整機能により地方団体の財政基盤の整備を図ることが必要であり、分権の趣旨に沿った税財政制度が構築されるよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 全国的な統一性、全国的な規模・視点を重視して行う必要のある事務につきましても、国は、極力、基準の提示や制度の大枠の制定にとどめるものとするとの点についてのお尋ねでありますが、国と地方公共団体との役割分担の見直しに当たり、従来、全国的な統一性、全国的な規模・視点が過度に強調され過ぎた嫌いがあることにかんがみまして、このような事務でありましても、一方で地域に関する行政という面を有している場合には、できる限り地方公共団体の責任と判断が尊重されて処理できるようにしていくことが地方分権を推進していく上で重要なことであると認識をいたしております。
 具体的な権限委譲等の推進に当たりましては、個別にそのあり方を見直していくことが重要であります。地方分権推進委員会において検討されることとなると存じますが、その際には、地方の自主性・主体性を高める観点から議論がなされるものと期待しております。具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じますが、地方分権推進委員会の議論、結果を踏まえまして、政府といたしましても具体的な措置を講じてまいりたいと考えております。
 国、地方を通じます行財政改革の推進の必要性についてのお尋ねでありますが、地方分権推進の成果を十分上げていきますためには、もとより地方公共団体への権限委譲等国の側における努力が必要であります。同時に、地方公共団体におきましても、自主的、積極的に行政改革を進めますとともに、行政の公正の確保と透明性の向上、行政能力の向上、自己チェックシステムの整備、住民参加の充実等、新たな地方公共団体の役割を担うにふさわしい地方行政体制の整備確立を図ることが重要であると認識をしております。
 こうした国、地方公共団体双方の努力によりまして、国、地方を通じた行政の簡素効率化を推進していくことが何よりも大切であると考えております。
 地方公共団体の体制整備についてのお尋ねでありますが、地方分権の推進につきましては、地方がその実情に沿った個性あふれる行政を積極的に展開できるよう、国と地方の役割分担を本格的に見直し、権限委譲や国の関与等の廃止・緩和、地方税財源の充実強化を進め、地方公共団体の自主性・自立性を強化していくことが必要であります。
 このような地方分権推進の成果を上げますためにも、もとより地方公共団体への権限委譲など国の側における努力が必要でありますが、同時に、御指摘のとおり、地方公共団体においても、自主的な市町村の合併の推進、広域的な行政需要への対応、人材の確保育成に積極的に取り組むなど、新たな地方公共団体の役割を担うにふさわしい地方行政体制の整備確立を図ることが必要であると考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(原文兵衛君) 岩崎昭弥君。
   〔岩崎昭弥君登壇、拍手〕
#14
○岩崎昭弥君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表し、ただいま議題となりました地方分権推進法案につきまして質問いたします。
 中央集権を排して地方分権を推進しようという課題は、過去何度も地方制度調査会や行革審などで提起をされてまいりましたが、これが一気に実現への歩みを強めたのは一昨年の地方分権推進の国会決議においてでありました。私は新人議員としてその国会決議に参加できたことを大変喜んでいるのでありますが、参議院議員として改選の時期を迎える今、その仕上げとも言うべき地方分権推進法案の審議に加わることができますことを、感無量の思いで受け取っているのであります。さて、戦争体験を反省して制定された日本国憲法は、その第九十二条で地方自治の本旨を定め地方自治の重要性を提起いたしております。戦後民主主義は、戦争に向けて中央集権化された行政を分権化するとともに、地方自治を支援するために自治体の財政力の強化に努めたのであります。ところが、戦後の経済混乱や朝鮮戦争の勃発によって、この地方自治の確立への歩みは押しとどめられ、再び中央集権化が強化されてまいったのであります。一九六〇年代、七〇年代には、反戦運動の高まりとともに革新自治体が急増し、再び地方自治の確立と地方分権の推進を求めました。しかし、残念ながら、この運動も完全に花開くことはできずに終わったのであります。
 今日、改めて地方分権の機運が高まってまいりましたが、今回の地方分権推進法案の提出は、戦後三度目の地方分権への挑戦であると同時に、未完に終わった戦後民主主義の完成を目指すもう一つの戦後五十年の課題であると考えるのであります。
 今回の法案のもう一つの重要な側面は、東西冷戦構造の崩壊とともに訪れた戦後五十年の価値観の大きな転換に根差すものであります。
 国民生活も単に経済的豊かさの追求だけではなく質的豊かさが求められるようになり、政治や行政に対する国民要求も多様なものとなってまいりました。中央集権化され巨大化した政治や行政では、的確に対応することが無理になってきておるのであります。また、国際的には日本の貢献が大きく期待されるようになり、国政は国際社会の課題に敏速に対応することが求められるようになっております。こうした観点からも、内政課題は住民に身近な自治体で行うことが期待されてきており、地方分権の推進が必然のものとなってきているのであります。
 私は、以上のような認識を持ってこの地方分権推進法案の審議に臨むつもりでありますが、まず、総理並びに官房長官、総務庁長官、自治大臣に、この歴史的認識について御所見をお伺いいたします。
 私は、地方分権推進法案について、我が社会党のシャドーキャビネットの先駆的な地方分権推進法案の提起を受け継いだものであると思っているのであります。そこで、かつて社会党のシャドーキャビネットの自治大臣としてその案の作成を行った官房長官に、本法案の提出に当たっての感慨をお伺いしたいと存じます。
 次に、機関委任事務についてお伺いいたします。
 私は、地方自治体の事務のうちの相当大きな部分を占めている機関委任事務を原則として地方に委譲することなしに地方分権を実現することはできないと考えているのであります。また、自治体を国の機関と位置づけること自体が自治、分権の考えに反していると思っているのであります。
 衆議院の委員会審議におきましても、法案の意味するところは、機関委任事務の単なる整理合理化だけではなしに、その原則廃止を目指し、制度のあり方自体についても検討を行うということでありますとの趣旨の答弁が行われているのであります。再度総理から確認の意味でお答えをいただきたいと存じます。
 また、機関委任事務制度を廃止するなら、国の固有事務のうちどうしても地方自治体に協力を求めなければならないものについては、国と地方との新たな協力関係が必要になってくると思います。この点について総務庁長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 さて、自治省設置法によれば、自治省は、地方自治に影響を及ぼす国の施策に関し必要な意見を関係行政機関に申し出ること、地方自治に関する制度及び運営の調査研究、内閣総理大臣の権限の行使に関する助言その他の援助等を行う強力な権限を持っており、まさに地方分権は自治省の本来的な仕事ではないかと考えるのであります。にもかかわらず、改めて地方分権推進委員会を設置する必要があるのはなぜなのか、また、地方分権推進委員会と自治省の関係はどうなるかについて、総務庁長官及び自治大臣の見解をお願いしたいのであります。
 また、法案は、地方分権推進委員会が地方分権計画のための指針づくりとともに具体的な権限委譲等の検討を行うことになっており、委員会が重要な役割を果たすこととされております。
 そこで私は、地方の意見を反映させるためにも地方の関係者を入れるべきだと考えます。また、自治の実現のための分権ということからも、住民や自治体に見える形で検討が進められる必要がありますので、委員会自体の情報公開も検討すべきであると思うのであります。
 さらに、委員会を支える事務局の存在も重要な意味を持つことから、事務局に必要な定員の確保はどうするのか、事務局長は次官級に位置づけるべきではないのか、事務局の予算はどうなるか等について、総務庁長官から御答弁をお願いいたします。
 さて、国の機関として地方自治体との窓口である自治省が地方分権への取り組みを真剣に行わなければ、他の各省庁に対してもその努力を求めることは難しいと考えられます。従来から指摘されてきております地方債の起債の許可権や自治体に対する指導のあり方など、自治省自体の地方分権への取り組みはどうなるのか、この点について自治大臣の御見解を賜りたいと思います。
 また、地方分権の推進に伴って、国と自治体の新たな関係の構築や住民参加の充実、地方税・財政制度の改革等が必要となってきます。したがって、地方分権の推進とあわせて、地方自治の基本法である地方自治法の見直し、改正も不可欠であろうと考えるのでありますが、この点について自治大臣の御見解をお示し願いたいのであります。
 さて、今日、多くの自治体は地方交付税なしにはやっていけないのが実態です。しかし、地方分権の推進は、この自立てきる自治体の数をふやしていくことを課題にしていると考えるものであります。したがって、地方税源の委譲を進め、当面、少なくとも三割程度は自立できるようにしようというような考え方が必要ではないかと思うのでありまずが、いかがでしょうか。
 また、税源を委譲すると税収の地域偏在が起きるという指摘もありますが、この問題に関連して、地方交付税の制度を改革した新たな財政調整の仕組みが必要になることも考えられますが、自治大臣の見解をお伺いいたします。
 最後に、地方分権の推進において大事なことは、各省庁と地方の権限のとり合いではなくて、地方自治の実現、より徹底した民主主義の実現であることを強調したいと思います。戦後五十年の間に蓄積された霞が関のノウハウも重要でありましょうが、大胆に地方分権に踏み出すことこそがより国民のニーズにこたえる道であろうと考えます。このために総理のリーダーシップの発揮が必要不可欠でありますが、その点について総理の御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(村山富市君) 岩崎議員の質問にお答えを申し上げたいと存じます。
 地方分権についての歴史認識についてのお尋ねでございますが、これまでの我が国の歩みを振り返るとき、我が国の近代化そして戦後の発展を進める上で中央集権的システムが一定の効果を発揮してきたことは否定できないところでありますが、我が国を取り巻く内外の諸情勢は大きく変化し、成熟社会へと移行しつつある状況にあって、国民の価値観の多様化に対応した政治、行政、経済システム全般にわたる改革が求められていると思います。
 今日、国は国として果たすべき役割を重点的に担う体制を確立し、地方はその実情に応じて多様で個性あふれる行政が積極的に展開できるよう分権型システムヘの転換が求められておると考えております。
 地方分権の推進は、今や時代の大きな流れであり、実行の段階にあることから、その計画的かつ着実な実施に向けて具体的な第一歩を踏み出すことが何よりも重要であると考えているところでございます。
 次に、機関委任事務についてのお尋ねでありますが、機関委任事務につきましては、個々の事務について見直しを行い、整理合理化を推進することとしており、その結果、廃止すべき事務があれば廃止することになるのは当然であります。
 政府といたしましては、地方分権大綱及び本法案に基づき機関委任事務の整理合理化を積極的に進めるとともに、機関委任事務制度につきましても、そのあり方を含め適切な検討を行ってまいる所存であります。もとより、その検討に当たりましては、国会における御論議や各方面の御検討を十分踏まえてまいる所存でありまして、その検討の結果、制度の廃止ということになれば所要の措置を講ずることとなるものでございます。
 次に、地方分権の推進に取り組む決意についてお尋ねがございましたが、地方分権の推進につきましては、地方がその実情に沿った個性あふれる行政を積極的に展開できるよう国と地方の役割分担を本格的に見直し、権限委譲や国の関与等の廃止・緩和、地方税財源の充実強化を進め、地方公共団体の自主性・自立性を強化していくことが必要であると考えております。
 現内閣の重要課題の一つであると考えておりますが、このため、今回の地方分権推進法案を今国会においてできる限り早期に成立させていただき、それをもとにして具体的に地方分権を強力に推進していくことが重要であります。
 私といたしましても、具体的な成果を上げるべく強い決意でこれに取り組んでまいる所存でございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣山口鶴男君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(山口鶴男君) お答えいたします。
 地方分権の推進に関する歴史的認識についてのお尋ねでございますが、明治以来の我が国の近代化、戦後の復興、諸外国へのキャッチアップ、追いつき追い越すというこれまでの流れの中で、中央集権型の意思決定のシステムは我が国が世界有数の経済力を備えるために一定の効果を発揮してきたと考えております。
 しかしながら、世界は今や歴史的な変革期を迎えております。国としては、内政に関する役割は思い切って地方公共団体にゆだね、国が本来果たすべき役割を重点的、効果的に担う体制を確立することが急務と考えております。
 また、成熟期を迎えつつある今日、各地域がそれぞれの個性を生かした多様で活力あふれる地域づくりを進めることができますよう、地域の主体性を重視した行政システムヘの変革が求められていると考えております。
 衆参両院の国会決議で明らかなごとく、地方分権の推進は今や時代の大きな流れであります。地方分権推進法案を今国会においてできる限り早期に成立させていただき、これをもとにして具体的に地方分権を強力に推進していくことが重要と考えております。私といたしましても、かつて地方分権推進の国会決議を推進した立場から、充実した成果を上げるべく強い決意でこれに取り組んでまいる所存でございます。
 次に、機関委任事務についてのお尋ねでございますが、機関委任事務については、政府として積極的に整理合理化を推進することといたしております。事務自体の必要性を吟味し、不要と認められたものにつきましては、事務そのものを廃止いたします。また、事務自体の必要性の認められるものであっても、地方公共団体の事務とすることが適当なものにつきましては、積極的に団体事務化を図ることにより機関委任事務としては廃止していくことになると考えます。
 また、最終的に国の事務として残らざるを得ないものもあると考えておりますが、機関委任事務制度そのもののあり方についても検討してまいる所存であります。その際には、御指摘の国と地方の協力関係いかんという点も十分考慮すべきものと考えております。
 次に、地方分権推進委員会設置の必要性及び同委員会と自治省との関係についてのお尋ねでございますが、地方分権推進委員会は、地方制度調査会の答申を踏まえまして、地方分権推進計画の具体的指針の勧告及び計画の実施状況の監視を行うための第三者機関として設置するものであります。
 地方分権の推進は、国と地方の両者の行政全般にかかわる問題でありまして、自治省のみならず、政府全体として取り組むべき課題であると考えております。
 このため、本法案におきましては、地方分権推進委員会を総理府に設置するとともに、内閣総理大臣が地方分権推進計画の取りまとめに当たることになっているところであります。もとより、総務庁といたしましても、自治省と協力しつつ、総理を補佐し、地方分権推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に、地方分権推進委員会の委員の人選についてのお尋ねでございますが、委員の人選につきましては、同委員会がその広範な任務を的確に果たしていくため、国、地方の行政について高い識見を有する方をバランスよく配置する必要があると認識をいたしております。本法案の成立後、国会における御審議をも参考にしつつ、任命権者である内閣総理大臣におきまして両議院の御同意が得られますよう適切な人選が行われるものと考えております。
 次に、委員会の審議公開についてのお尋ねでございますが、委員会の審議の取り扱いにつきましては基本的に委員会自身の決定にゆだねるべき問題でございます。もとより、地方分権を推進するに当たりましては、広く国民の理解を得ることが必要でございまして、委員会における論議をできる限り国民一般に周知させるよう配慮されることは望ましいものと考えております。委員会におきまして国会における御論議を踏まえまして適切に対処されるものと考えております。
 また、事務局の具体的な規模、構成等につきましては、法案の成立後、委員会の発足に向けて検討していくことになるわけでございますが、簡素化を旨としつつ、委員会の任務を補佐する上で最も適切な人材を配置するなど、委員会の業務に支障のない体制を確保してまいるつもりでございます。(拍手)
   〔国務大臣五十嵐広三君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(五十嵐広三君) 岩崎議員の御質問は、いわゆる地方自治の我が国における進み方の歴史認識というようなことであったろうと思いますが、今もそれぞれお答えございましたように、我が国の憲法が第八章九十二条以下のところで、いわゆる地方自治の本旨を中心にして地方自治に関するそれぞれの明文化がなされたわけであります。あるいはそれに関連して地方自治法など地方自治に関する法律もそれぞれ制定され、非常に立派な建前ができたのでありますが、しかし問題は、やはり地方自治というのは住民の意識にかかわる問題でありまして、そこにどれだけ我が国で本当の意味の自治が根をおろすかということが一番大事な問題であったろうと思うのであります。
 この五十年きまざまなことがお話にございましたようにあった。殊に、これもお話にありましたように、一九六〇年代には、当時、高度成長の初期のころでありますが、環境の問題であるとか公害、あるいは特にそれぞれの土地問題であるとか、あるいは多様な都市問題とされるものであるとか、こういうさまざまな問題の中で、住民が自分の暮らしをどう防衛するかということの中でこの自治というものが地域に芽生えてきたと思います。あのころからいわば本当の意味の自治というものが我が国では育ち始めてきて、殊に近年ではむしろ国よりも先取りをするような行政がいろいろ目立ってまいりました。環境の問題であるとか、あるいは情報公開の問題であるとか、あるいは町づくりであるとか福祉であるとか、こういう点でも個性のある行政が随分各地域で花開いたものであるというふうに思います。
 そういうこの五十年間における我が国の地方自治の成熟の中で、ようやく今日、本当の意味の国と地方の役割分担、分権というものが目の前にあらわれてきた、こういうぐあいに考えている次第であります。
 確かに、一方、考えてみますと、東京の一極集中の問題であるとか、あるいは行政改革の面で官と民、中央と地方、こういうことの関係における鋭い国民的な批判であるとか、あるいは国の場合でも巨大であれば必ずしもそのことが強い国家とは言えないんだというような反省も私は随分あるんじゃないかと思うのでありますが、こういう中で今日のこの地方分権がようやく具体的になってきた、二年前に衆参両院で満場一致で議決を見て、あれからわずか二年にしてこうしていよいよこの法案が審議されるということは、まさに感慨無量の感じがする次第でございます。
 御審議をいただきながら、ぜひ一日も早くこれが成立を見て二十一世紀にふさわしい我が国の地方自治が実現できますように心からお願い申し上げて、御答弁にかえる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(野中広務君) 地方分権についての歴史的認識についてのお尋ねでありますが、戦後半世紀に近いこれまでの間に地方分権を求めるという声がありましたことは御承知のとおりでございます。その反面、先ほど鎌田議員からも御指摘がございましたように、また総理初めそれぞれ御答弁がございましたように、戦後の復興、経済の発展を進めるために、中央集権型の行政システムによって国力の繁栄をもたらさなければならなかった背景もあったかと存ずるのでございます。
 しかしながら、我が国を取り巻く内外の諸情勢が大きく変化をし、成熟化の社会へと移行しつつある今日におきましては、高齢化の急速な進展、国際化への対応など近時の社会経済情勢の変化に対応しながら住民福祉の向上を図っていくために、国民がゆとりと豊かさを実感できる社会を実現し、住民の多様なニーズに対応した個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図りますことが今日的な政策課題であると存じておるところでございます。
 このような政策課題に的確に対応いたしますためには、住民に身近な行政は思い切って地方公共団体にゆだね、地方公共団体の自主性・自立性を強化していくことが必要であり、積極的に地方分権を推進し地方自治の一層の充実発展を図ることが現下の重要課題であると考えておるところでございます。
 地方分権推進委員会についてのお尋ねでありますが、地方分権の推進につきましては、地方がその実情に沿った個性あふれる行政を積極的に展開できますよう、国と地方の役割分担を本格的に見直し、権限委譲や国の関与等の廃止・緩和、地方税財源の充実強化を進め、地方公共団体の自主性・自立性を強化していくことが必要であります。
 また、地方分権の推進は今や時代の大きな流れであり、まさに実行の段階でありますが、国と地方の関係等広く行政全般にかかわる問題でありまして、単に自治省のみならず内閣全体として推進すべき重要な課題であると存じておるところであります。このため、法案では、地方分権の推進に関する基本理念や基本方針を定めますとともに、地方分権推進委員会を設置いたしまして、この委員会が勧告する指針を尊重し、政府として地方分権推進計画を作成いたしまして、地方分権を総合的かつ計画的に推進していくこととしているところであります。
 自治省といたしましては、従来より地方自治に影響を及ぼす法令案や地方公共団体の負担を伴う法令案につきまして、適宜的確に関係行政機関に対して意見を申し出ることに努めてまいりましたが、本法に基づき地方分権が強力に推進されますよう、総理を初め総務庁を中心といたしまして最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
 自治省自体の地方分権の取り組みについてのお尋ねでございますけれども、地方分権の推進につきましては、自治省にとりましても最重要課題であると認識をしておりまして、御指摘のように、自治省自身の事務も含め、国と地方の役割分担を本格的に見直しまして、権限委譲や国の関与等の廃止・緩和、地方税財源の充実強化を進め、地方公共団体の自主性・自立性を強化していくよう、これまでもあらゆる機会をとらえて努力を行ったところでありますが、いずれにいたしましても、二十一世紀に向けた時代にふさわしい国と地方の関係を確立いたしますため、自治省といたしましても、具体的な成果を上げるべく強い決意でこれに取り組んでまいります。
 地方分権の推進に伴う地方自治法の見直しについてのお尋ねでありますが、もとより地方分権の推進の成果を十分なものにしていくためには、国と地方公共団体の役割分担を踏まえまして、分権の時代にふさわしい地方行政体制の整備確立を図ることが必要であります。
 昨年の地方自治法の改正によりまして創設されました中核市制度、広域連合制度は、いずれも地方分権を進める具体的方策の一つとして位置づけられるものでありますが、外部監査制度の導入等、地方制度調査会の答申で提言された検討課題もございますので、今後とも地方分権の推進の状況に応じまして所要の見直し、検討を行ってまいりたいと考えております。
 地方税源を充実確保すべきとのお尋ねでありますが、先般の税制改革におきましては、地方分権を推進し地方税源の充実を図るための地方消費税の導入をお願いすることといたしたところであり、まして、御提案を申し上げておる地方分権推進法案におきましても「国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保を図るものとする。」とされているところであります。
 また、今後の高齢化の進展に伴い、地域福祉の充実や生活関連社会資本の計画的整備等を考えあわせますと、地方税財源の充実強化を図ることはますます重要な課題となると考えておるところでございます。
 こうした中で、今後、幅広い観点から検討を加え、税制調査会や地方制度調査会等の御審議を煩わしつつへ分権の趣旨に沿った地方税財源の充実強化が図られますよう適切に対処してまいりたいと考えております。
 新たな財政調整についてのお尋ねでありますが、地方公共団体が必要とする財源は基本的には地方税をもって賄われることが最も望ましいと考えておりますが、一方で、御指摘のように地域の経済力の格差により地域間の税源の偏在が著しい我が国の現状にかんがみますと、すべての地方公共団体に一定の行政水準を確保し自主的・自立的な財政運営を保障する地方交付税制度は必要不可欠であると存じておるところでございます。
 したがいまして、地方分権の推進に当たりましては、地方公共団体が地域の実情に即した自主的、主体的財政運営を行えるように地方交付税の総額の安定的確保を図りますとともに、その算定方法を地方公共団体の財政需要をより的確に反映させることのできるものとするなど、その財政調整機能の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(原文兵衛君) 勝木健司君。
   〔勝木健司君登壇、拍手〕
#20
○勝木健司君 私は、平成会を代表して、地方分権推進法案について質問いたします。
 二十一世紀を目前に控え、新しい世紀に生きる次世代のためにゆとりと豊かさを実感できる社会を実現していくためにも、地方分権の推進は今日の私どもに課せられた政治の最重要課題であります。
 平成五年の第百二十六国会では、衆参両院の本会議において地方分権の推進に関する決議が全会一致で採択されました。
 ここでは、中央集権的行政のあり方を問い直し、国と地方の役割を見直し、国から地方への権限委譲、地方税財源の充実強化等地方公共団体の自主性・自律性の強化を図り、二十一世紀にふさわしい地方自治の確立が急務であるといたしております。
 戦後半世紀を迎える中、私どもは立法府の総力を挙げて、責任を持って地方分権を推進する歴史的使命があると考えるものであります。
 以下、順次お伺いいたします。
 第一に、地方分権の取り組み姿勢についてであります。
 私どもは、細川内閣時代、第三次行革審の答申を受け、平成六年一月には内閣総理大臣を本部長とする行政改革推進本部を設置し、同年二月に平成六年度内を目途に地方分権を図るための大綱方針を策定するとともに、直ちに地方分権推進法案の制定を目指すことを明示した閣議決定を行い、羽田政権発足とともに第二十四次地方制度調査会を設置して地方分権推進に関する諮問を行うなど、一貫して地方分権の推進に取り組んでまいりました。
 村山総理は、こうした流れの中で、第二十四次地方制度調査会より地方分権の推進に関する答申を受け、平成六年末の大綱方針を経て今国会に地方分権推進法案を提案をされました。しかしながら、その内容たるや地方制度調査会の答申の具体的中身から大きく後退した極めて抽象的なものとなっております。
 地方分権推進をどのように進めるのかがあいまいにされたまま地方分権推進委員会を設置し、具体的な内容はすべて委員会の審議にゆだねるといった何もかも委員会任せというものであり、総理の地方分権についてのリーダーシップはもとより、目指すべき地方分権の具体的理念も精神もうかがい知れない極めて無責任なものとなっているのであります。
 地方分権の推進は、今や論議のときを超え、具体的な実現を図るときであり、そのための強力な政治のリーダーシップの発揮が求められているときであります。
 総理は、地方分権の推進について一体どこまで本気で取り組もうと考えられておるのか。地方分権の推進に臨む総理の御決意及び地方分権推進法案の位置づけについて御見解をお伺いいたします。
 地方分権の推進は、何よりもそれぞれの地域に根差す住民の視点に立った行政構造の転換でなければなりません。しかしながら、政府の法案は、国、地方間の役割分担のあり方に即して権限の委譲を推進するというだけで、国から地方への分権が住民自治の実現という分権の基本的な価値観を置き忘れているように思えてならないのであります。単なる役割分担の見直しというだけならば、分権を推進するのも押しとどめるのも、いかようにも理屈はつけられるのであります。
 だれのために何のために行うのかがあいまいな現在の政府の取り組み姿勢では、住民と地方公共団体の要望に全然こたえていないのではないかと強く疑問を抱くものであります。
 また、政府の法案からは権限や財源の具体的な分権の方策が明確に見えできませんが、そのことは分権についての思想、価値観の欠如によるものであります。
 立法府としては、世論に押されて仕方なく分権を行うのではなく、分権の道筋、具体的な姿を国民の前にこの法律によって明らかにしていかなければならないと考えます。この点について総理はどうお考えか、御見解をお伺いいたします。
 第二に、衆議院での修正についてお伺いいたします。
 衆議院におきまして、政府提案の法案のほかに新進党の対案が提出され、あわせて審議をされました。その結果、政府提案の法案について、第五条と第十一条について修正され可決されております。総理はこうした修正の経緯をどのように受けとめておられますか。
 衆議院で修正された法案ではありますが、しかし私どもは、まだまだこれでは地方分権の姿が見えず、明確性に欠けるなど極めて不十分な内容であると考えております。
 細川元総理は、分権の思想が全く明確でなく極めて不十分、従来のおすそ分け的な発想の域を出ない法案が成立することによって、今後当分の間、現状が固定化されてしまうことは、地方分権そのものの促進を妨げるものであり、千年禍根を残すものと言っております。
 将来に禍根を残さぬよう真摯に論議を進め、法案の実効性を高め、国民の期待にこたえるよう必要な点はさらに修正を加え、真の地方分権を実現していくことこそ、我が参議院、良識の府参議院に課せられた使命であると考えております。この点について総理のお考えをお伺いいたします。
 第三に、地方分権の推進に関する基本理念並びに国及び地方公共団体の責務についてお伺いいたします。
 いわゆる中央集権型の行政システムが明治以来の近代化、戦後の復興期から高度経済成長期を通じて一定の役割を果たしてきたことは事実であり、私どもも評価いたすものでありますが、今日においては逆にこうした行政システムが国への過度の行政権限の集中をもたらし、東京への一極集中や過疎化の進行等の弊害を招いております。今、成熟型社会に向けた多様な国民のニーズに対応できる政治・行政・経済システムヘの構造転換が求められており、このためには中央集権による管理・指令型の体制から、自治を基盤とした分権・参加型の社会に移していかなければならない、このように考えるものであります。今こそ、我が国の憲法にもうたわれております「地方自治の本旨」を法律や制度に実現していかなければならないと考えております。
 国と地方の役割を根本的に見直し、国が果たすべき役割を外交、防衛、財政などできる限り限定的に明確にするとともに、住民に身近な行政については地方公共団体が主体的にこれを担い、地域の実情に合わせて個性的、効率的に行政を展開できるよう企画立案、調整、実施と一貫して対応できる体制にしていくべきであります。総理の御見解をお伺いいたします。
 昨年九月には、全国知事会を初めとする地方六団体から「地方分権の推進に関する意見書」が、また各地方公共団体の議会からも地方分権推進法の早期制定を求める意見書が多数寄せられております。こうした地方からの貴重な意見について重く受けとめていかなければならないと考えますが、自治大臣の御認識をお伺いいたします。
 今後、地方分権推進委員会が策定する指針、そして政府が策定する地方分権推進計画におきましても、当然こうした地方の意見を尊重しながら国と地方公共団体の役割をより一層明確にしていかなければならないと考えますが、総理のお考えをお伺いいたします。
 第四に、地方分権の推進に関する国の施策についてお伺いいたします。
 権限の委譲に当たって、国の関与、必置規制、機関委任事務等については、「地方自治の確立を図る観点から」と修正はされたものの、「整理及び合理化その他所要の措置を講ずる」とあるのみで、具体的な内容が一切示されておりません。国の関与の実態把握によりますと、国の関与は、機関委任事務、団体委任事務など平成六年三月末で前年より五十六仲多い三千二百九十三件となっておりまして、調査開始以来毎年ふえ続けているのが現状であります。こうした状況をどのようにとらえておられるのか、総務庁長官の御見解をお伺いいたします。
 私どもは、国の関与、必置規制といったものは、廃止の方向を明確にし、必要最低限のものとして縮小を図っていかなければならないものと考えております。また、行われる場合は法律によるべきものと考えております。今後どのように取り組んでいかれるおつもりか、総理の明快な御見解をお伺いいたします。
 また、機関委任事務制度は、国が上級官庁、地方公共団体が下級官庁として下請機関として実施されるものであり、地方自治の確立という観点から見れば本来あってはならない制度であると考えます。第二十四次地方制度調査会の答申でも、機関委任事務については、「概念を廃止し、現在、地方公共団体の機関が処理している事務は、地方公共団体の事務とすべきである。」と明確に示しております。しかしながら、本法案では整理合理化を行うとされているだけであります。
 また、同じく答申で廃止が明記されている地方事務官制度につきましては、法案では全く触れられておりません。これではだれが見ても答申から後退した内容であるとしか思われないのではありませんか。総理は、みずからの諮問機関であるこの地方制度調査会の答申をなぜ尊重して取り入れようとなさらなかったのか、御認識をお伺いいたします。
 私どもは、機関委任事務制度、地方事務官制度については原則として廃止すべきであると考えております。法案にあるこの整理合理化ということは、衆議院で国民に約束されましたように、制度自体の廃止を含めて検討するということで私どもも受け取ってよいのかどうか、総理の御見解をお伺いいたします。
 第五に、地方公共団体の税財政基盤についてお伺いいたします。
 真の地方分権を実現していくためには、権限の委譲のみならず、地方公共団体が事務事業を自主的・自立的に執行できるよう財政的な裏づけとなる税財源の充実強化が図られなければ、地方分権も実体が伴わないものとなってしまいます。本法案の重大な欠陥は、財源措置についての裏づけについて見るべきものが何もないという点であります。権限委譲に伴う税財源の充実は相当大変なものであると私どもも認識しておりますので、私どもは五年をめどに具体的な提案を図っていく必要があると考えるものであります。税財源の充実のためには、まず自主財源である地方税制において地方税制体系が確立されなければならないと考えます。総理の御見解をお伺いいたします。
 住民に身近な行政権限を広範囲に地方公共団体に委譲するとなりますと、地方交付税制度自体の改革の必要が生じてくると考えます。さらに、地方公共団体にとって地方債も財政資金の中で重要な位置を占めておりますが、しかし起債対象の事業が限定をされ、自治大臣あるいは知事の許可が必要とされている点などについても弾力的運用や発行の簡素化を行う必要があると考えておりますが、これらについて自治大臣はどこまで具体化を図っていくお考えか、御見解をお伺いいたします。
 また、従来の補助金制度も抜本的な改善を行い、人件費補助や交付金の一般財源化、奨励的補助金の廃止等地方公共団体の自主性・自立性を高める観点からの見直しが不可欠であります。総理の御見解をお伺いいたします。
 第六に、受け皿としての地方公共団体の行政体制についてお伺いをいたします。
 真の地方分権を考えるならば、権限や財源の移管先となる自治体の受け皿の整備に向けた対策が不可欠であろうと思います。総理は、地方分権の主人公となる地方公共団体のあるべき姿、また今後の対策についてどのようにお考えになっておるのか。私どもは、広域的な行政需要に対応するための広域連合制度の活用や自主的な市町村の合併の支援、地方公共団体の行財政改革の推進、地方行政の公平性・透明性を確保するための監査機能の充実、情報公開の推進、住民参加の拡大等、新たな地方公共団体の役割を担うにふさわしい地方行政体制の整備に今すぐにでも着手していかなければならないと考えております。総理の御見解をお伺いいたします。
 第七に、地方分権推進委員会についてお伺いいたします。
 人員の構成については、十分地方の意見が反映されるものでなければならないと考えております。そこで、委員には地方公共団体の代表あるいは推薦する者を少なくとも半数は入れていくべきだと考えますが、総理の人選に向けたお考えをお示しいただきたいと思います。
 地方分権推進委員会の勧告あるいは意見といったものは内閣総理大臣に対してなされ、内閣総理大臣はこの勧告、意見を尊重しなければならないと記されておるわけでありますが、私どもは立法府の総力を挙げて取り組む課題であると考えておりますので、推進委員会の勧告、意見を国会へ報告するとともに、広く公表すること、そしてそれを遵守することが開かれた審議には不可欠と考えております。総理の御所見をお伺いいたします。あわせて、推進委員会を支える事務局の充実と独立性の確保についてどうお考えなのか、お伺いをいたします。
 第八に、法案の時限立法としての扱いについてであります。
 法案は五年間の時限立法とされております。重要なことは、どれだけ地方分権の具体的な成果を得るかであり、五年に限定したために大した成果を得ることなく期限となってしまったというような言い逃れがあっては断じてならないと考えております用地方分権は今回だけで終わるものではありません。継続的に進めるべきと考えますので、時限立法とするのは不適切であると考えております。総理の御見解をお伺いいたします。
 村山総理は、地方分権を行政改革、規制緩和、情報公開と並ぶ内閣の最重要課題と位置づけられております。最重要課題とされるからには、もっと踏み込んで、政治がリーダーシップを発揮していると明らかにわかるような対応が必要だと考えます。地方分権推進につきまして、この五年間で一体何を、いつまでに、どのように実現していかれるのか道筋を明確にされ、地方分権推進計画はいつごろを目途とされるのか、これを受けたさまざまな法改正をどのようなスケジュールで行っていかれるのか、総理の御決意と御見解をお伺いいたし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(村山富市君) 勝木議員の質問にお答えを申し上げます。
 地方分権に取り組む決意と法案の位置づけについてのお尋ねでありますが、地方分権推進法案は、一昨年六月の衆参両院における全会一致の決議を一つの契機として、地方制度調査会答申等の趣旨をも踏まえて昨年末に閣議決定された地方分権大綱の基本的方向に沿って取りまとめられたものでございます。
 地方分権を推進していくことは、現内閣の重要課題の一つであります。今回の地方分権推進法案を今国会においてできる限り早期に成立させていただき、それをもとにして具体的に地方分権を強力に推進していくことが重要であります。私といたしましても、具体的成果を上げるべく強い決意で取り組んでまいる所存でございます。
 次に、地方分権の筋道、具体的な姿を国民の前に明らかにしていくべきではないかとのお尋ねでありますが、今般の地方分権推進法案では、まず地方分権の推進に関する基本理念を示し、その上で国の施策の基本方針を示しており、さらに具体的な手順、道筋等を明らかにしてまいったものでございます。
 なお、地方分権の個別具体的な内容につきましては、地方分権推進計画の作成過程において具体的に検討されていくべきものであると考えております。
 次に、法案修正についてのお尋ねでありますが、衆議院においては、本法案について精力的な御審議をいただき、与野党間で慎重に協議された結果、全会一致をもって政府案を修正の上、可決されたものと承知をいたしております。もとより、政府としてはその結果を尊重する所存でございます。
 政府といたしましては、当院におかれましても十分に御審議をいただき、なるべく速やかに可決していただけるようお願い申し上げる次第でございます。
 次に、国と地方の役割の明確化についてのお尋ねでありますが、昨年十二月に閣議決定いたしました大綱方針の中で、国は本来果たすべき役割を重点的に分担することとし、その役割を明確なものにしていくとともに、地方公共団体は地域における行政を広く担い、企画・立案、調整、実施などを一貫して処理していくべきものとされているところでございます。本法案に規定された基本方針は、この大綱方針を踏まえたものであります。したがいまして、本法案の基本方針に即して作成される地方分権推進計画等を通じて、国と地方が分担すべき役割が明確になっていくものと考えております。
 次に、委員会の指針や計画において地方の意見を尊重すべきとのお尋ねでありますが、地方分権推進委員会においては本法案の基本方針に沿いまして具体的指針を勧告していただけるものと期待しているところでありまして、政府といたしましては、委員会の勧告を最大限に尊重し、推進計画を策定してまいる所存でございます。
 次に、国の関与、必置規制についてのお尋ねでありますが、地方分権を推進し地方公共団体の自主性・自立性を高めていくためには、地方公共団体への権限委譲はもとより、国の関与、必置規制の整理合理化に積極的に取り組む必要があると認識をいたしております。
 政府といたしましては、地方分権大綱に基づき、御指摘の国の関与及び必置規制については必要最小限のものに整理合理化を図る所存でございます。
 次に、機関委任事務制度、地方事務官制度等についてのお尋ねでありますが、まず機関委任事務につきましては、地方制度調査会の答申の趣旨を踏まえて地方分権大綱を閣議決定したところでございます。
 政府といたしましては、この地方分権大綱及び本法案に基づき、機関委任事務の整理合理化を積極的に進めるとともに、機関委任事務制度につきましても、そのあり方を含め適切な検討を行ってまいる所存でございます。もとより、その検討に当たりましては、国会における御論議や各方面の御検討を十分踏まえてまいる所存であり、その検討の結果、制度の廃止ということになれば所要の措置を講ずることとなるものであります。
 また、地方事務官制度につきましては、臨調以来の経緯やこれを廃止すべきとする地方制度調査会の答申等、種々の御議論があることは承知をいたしておりますが、同制度は、機関委任事務のあり方や国と地方の役割分担のあり方等とも関連する事柄であり、当該事務の帰属あるいは職員の身分問題等については慎重に検討していくべきものと考えておるところでございます。
 次に、地方税体系の確立を具体的に示すべきとのお尋ねでありますが、先般の税制改革においては、地方分権を推進し地方税源の充実を図るため地方消費税を導入することとしたところでございます。また、今後の高齢化の進展に伴う地域福祉の充実や生活関連社会資本の計画的整備等を考え合わせますると、地方税源の充実強化を図ることはますます重要な課題になるものと考えております。
 地方の税財政基盤の整備は、国、地方を通ずる事務配分等を初めとする地方行財政制度全般のあり方を踏まえ検討する問題でもあり、税制調査会や地方制度調査会等の御審議を煩わせつつ、地方分権の推進状況を踏まえながら、分権の趣旨に沿った地方税制が構築されるよう適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、補助金制度についてのお尋ねでありますが、補助金等につきましては、地方行政の自主性・自立性の尊重、財政資金の効率的使用の観点から、「地方分権の推進に関する大綱方針」等に沿いまして、事務事業の内容等を勘案し、地方公共団体の事務として同化、定着、定型化しているものや人件費補助にかかわる補助金、交付金等については一般財源化等を進めるとともに、奨励的補助金等について基本的縮減を図るなど、国と地方公共団体との役割分担の見直しにあわせまして、真に必要なものに限定していくことにより整理合理化を推進してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、地方公共団体の行政体制の整備確立についてのお尋ねでございますが、地方分権推進の成果を上げるためには、地方公共団体への権限委譲など国の側における努力が必要でありますが、同時に、御指摘のとおり、地方公共団体においても広域連合制度の活用、自主的な市町村の合併の推進、行財政改革の推進、監査機能の充実に積極的に取り組むなど、新たな地方公共団体の役割を担うにふさわしい地方行政体制の整備確立を図ることが必要であり、また、国としても地方公共団体に対して必要な支援を行うことが適当であると考えているところでございます。
 次に、地方分権推進委員会の委員の人選についてのお尋ねでございますが、委員の人選につきましては、同委員会がその広範な任務を的確に果たしていくため、国、地方の行政について高い見識を有する方をバランスよく配置する必要があると認識をいたしております。どのような分野から委員を選任するかは本法案の成立を待って検討することとしております。いずれにいたしましても、国会の御同意がいただけるよう適切な人選に努める所存でございます。
 次に、委員会の勧告等の公表及び事務局体制についてお尋ねでありますが、委員会の勧告及び意見については、もとより広く公表されることとなるものと考えております。また、政府といたしましても、委員会の勧告、意見を最大限に尊重する所存でございます。また、本法案では委員会に独立の事務局を置くこととしているところでありますが、その具体的な規模・構成につきましては、本案の成立後、委員会の発足に向けて検討していくこととなります。いずれにいたしましても、委員会の業務に支障のない体制を確保してまいる所存でございます。
 次に、時限立法としての扱いについてのお尋ねでありますが、法案においては、地方分権推進計画の作成から実施まで一定の期限内に集中的かつ計画的に取り組むことが具体的な成果を上げる上で最も効果的であるとの認識のもとに、地方制度調査会の答申等をも参考にして五年の時限立法としたものでございます。明確な期限を切ってその間に最大限の努力を尽くすことが、地方分権を進める上で最善の方法と認識をいたしているところでございます。
 今後のスケジュールについてのお尋ねでございますが、政府といたしましては、地方分権推進委員会から勧告をちょうだいすれば、これを尊重して具体的作業を進め、なるべく速やかに地方分権推進計画を策定するとともに、委員会からの督励をいただきつつ、五年の間に着実に充実した成果が上げられるよう積極的に努力してまいる所存でございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣山口鶴男君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(山口鶴男君) お答えいたします。
 国の関与についてのお尋ねでございますが、総務庁におきましては、昭和六十三年以降、各省庁の所管する国の関与の総数について統一的に実態を把握し、公表に努めてまいったところでございます。
 御指摘のとおり、新たな行政需要に応じまして各般の制度改正に伴いその総数は若干増加しておりますが、もとより地方公共団体の自主性・自立性を高めていくためには国の関与の整理合理化に積極的に取り組むべきものと考えております。
 このため、地方分権大綱におきましては、国の関与について、必要最小限のものに整理合理化を図るとともに、存置する場合においても事前関与から事後関与、権力的関与から非権力的関与への移行を基本とすることにいたしたところであり、政府としては、この考え方に基づき整理合理化に積極的に取り組んでまいる決意であります。(拍手)
   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(野中広務君) 勝木議員の御質問にお答えいたします。
 地方からの意見についてのお尋ねでありますが、昨年九月の地方六団体からの意見書や議会からの意見書等は地方自治法の規定に基づきまして行われたものであります。また、地方分権の担い手であり住民に直接接する立場にある地方公共団体の側から現実の地方行政の経験に基づき提出されたものであること等に思いをいたし、重く受けとめるべきであると考えております。
 自治省といたしましては、今後とも地方分権を進めていきます上で地方の意見を十分踏まえまして地方分権の実現に努力してまいる所存であります。
 地方交付税制度についてのお尋ねでありますが、地方分権の推進に当たりましては、地方公共団体が地域の実情に即した自主的、主体的財政運営を行えるように地方交付税の総額の安定的確保を図るとともに、その算定方法を地方公共団体の財政需要をより的確に反映させることのできるものとするなど、財政調整機能の一層の充実を図ることが必要であると考えております。
 このような地方交付税の算定方法につきましては、毎年度地方公共団体の意見をお聞きして改善を加えるなど適正な運用に努めているところでありますが、今後とも、地方分権の推進に資する観点から、地方公共団体の意見、実情等がより一層反映されるよう配慮してまいる所存であります。
 地方債の発行についてのお尋ねであります。
 地方債の許可につきましての御指摘でありますが、地方債の許可に当たりましては、その手続につきましては臨時行政推進審議会の答申等も踏まえまして、かねて融資手続を含む許可手続の簡素化、すべての事業債の枠配分等、弾力化、簡素化を図っております。今後とも、去る十二月に閣議決定されました「地方分権の推進に関する大綱方針」等を踏まえまして、簡素化の対象範囲の拡大について検討してまいりたい決意であります。
 勝木議員から地方分権についてさまざまの御指摘がございましたが、鳴り物入りで宣伝をすることより、政治の要請はいかに具体的、的確に実施をし実現をさせるかであります。村山内閣は、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意の前政権における後始末を初めとし、敏速に処理をし、さきの臨時国会、今国会の法案の成立、予算の編成、早期成立等々着実に実施しておるところでありまして、地方分権は、与野党挙げて今後五十年の大きな節目に立ってぜひ実現をしていただきたいと存ずるところであります。(拍手)
#24
○議長(原文兵衛君) 星川保松君。
   〔星川保松君登壇、拍手〕
#25
○星川保松君 私は、新緑風会を代表して御質問をいたします。
 まず、地方分権の理念の達成についてでありますが、本法案は、地方分権の基本理念として「地方公共団体の自主性及び自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現」を掲げておりますが、現在の自治体がいかに自主性や自立性に欠け個性や活力を失っているかの認識について、権限や財源を委譲する側の国と、それを受ける側の自治体との間にはかなりの落差があると思われます。
 三千三百と言われる自治体は、南北に長く連なる日本列島の大きく異なる気候や風土の中で、それぞれ特色ある歴史をたどり、伝統文化を育てながら、山のふもと、川のほとり、あるいは海辺に臨んで地域共同社会を形成しております。
 人間の一人一人の顔や性格が異なる以上に、個々の自治体の性格は多彩なものであります。そこに居住する住民はその特質を熟知しておりますが、自治体の面積や人口など無味乾燥な統計数字によって自治体をとらえるほかない国の側には、その実態は見えてきません。したがって、霞が関からは多彩な自治体の特性を的確にとらえた行政を打ち出すことは至難のわざであり、没個性的になることは避けられません。
 地方住民みずからの手によらなければ「個性豊かで活力に満ちた地域社会」という地方分権の理念は達成できないと考えますが、総理の御意見をお尋ねいたします。
 次に、国と地方の役割分担についてでありますが、国と地方公共団体の役割分担について、国の役割は、国家物存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい事務、地方自治に関する基本的な準則に関する事務、全国的な規模もしくは視点に立って行うべき施策や事業となっています。これに対し、地方公共団体の方については住民に身近な行政を処理するとされております。国の役割についてはかなり具体的でありますが、地方公共団体についてはただ住民に身近な行政と極めて抽象的であります。特に国の役割とされる全国的に統一して定めることが望ましい事務が強調されますと、地方公共団体の分担すべき役割はどこまでも圧縮されてしまうおそれがあります。なぜ国の役割についてのみ具体的に示し、自治体の役割を抽象的に示すにとどめたのか理解に苦しむところでありますが、総務庁長官からその理由をお聞かせいただきたいと思います。次に、地方財政余裕論なるものについてお尋ねをいたします。大蔵省には、以前から、国の財政に比べ地方の財政には余裕があるという考えがあります。その根拠は、国債残高が二百兆円を超えるのに地方債の残高はその約半分の百兆円余にすぎないという極めて単純な論拠によるものと聞きますが、これは国と地方の仕事の質的相違を無視し、累積債務の数量の単純な比較による誤った論理であります。
 今も大蔵省がこのような地方財政余裕論を持っているとすれば、このたびの地方分権の推進に当たって財源の地方への委譲について支障が生ずるおそれがあります。仕事だけ地方へ委譲して、その裏づけとなる財源の手当てが十分に行われないのではないかと自治体の方も心配をいたしております。
 今でも地方の超過負担が問題にされているさなか、地方財政余裕論なるものがいまだ大蔵省の中に残っているのかどうか、大蔵大臣にお聞きしたいのでありますが、不在のようでありますので、これは総理から御答弁をお願いいたします。
 次に、機関委任事務についてであります。
 地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務、つまり機関委任事務は、都道府県の場合は七〇から八〇%、市町村でも五〇%に及ぶと言われております。この数字は、自治省に尋ねましてもその比率の算出法がないと言って答えてくれませんが、実際に機関委任事務を扱っている自治体では、この比率がほぼ定説になっております。
 これでは国の出先機関としての役割が余りにも強く、自治体とは名ばかりと言われても仕方がありません。機関委任事務こそ自治体に自主性や自立性を欠き、個性と活力を失わせる最大の原因になっております。
 そもそも、この機関委任事務なるものは、国が権限と財源とを握ったまま仕事だけ自治体にやらせるというまことに変則的な制度であります。極めて中央集権的な明治憲法に対して、民主政治を掲げる日本国憲法が初めて地方自治の一章を導入し地方自治の確立を目指しましたが、本来ならば、その際に大幅な権限や財源の委譲による地方分権が行われるべきでありました。
 しかし、地方自治の制度はできたばかりで、自治能力の面においても十分でなかったことから、本来は自治体の仕事ではあるが、自治体がその能力を備えるまで当分国の機関委任事務として扱う方がよいと当時の関係者は考えたものと思われます。以来、半世紀を経た今日、我が国の自治体は民主諸国家の自治体と何ら遜色のないまでに成長いたしました。したがって、機関委任事務は原則廃止の方針で臨むべきであると思います。
 総理並びに総務庁長官の決意のほどをお聞かせいただきたいと存じます。
 最後に、自治体への天下り大事についてお尋ねをいたします。
 自治体に対する国の関与や必置規制などについても緩和策を講ずるようでありますが、いわゆる国から地方への天下り大事についてはどうするおつもりでありましょうか。
 平成六年九月一日現在、各省庁から都道府県へのいわゆる天下りと言われる人々は七百五十七名に上り、そのうち副知事が十六名、総務部長が三十一名、財政課長が同じく三十一名、地方課長が十名となっております。このように多数の人々が国の省庁から天下り、しかも自治体の要職について四六時中にらみをきかせているのでは、干渉しないなどと言ってもだれも信用できないではないでしょうか。
 地方分権との関連において、この天下り大事に今後どのように対処するおつもりか、総務庁長官と、最も多く派遣しておられる自治大臣にこの所見をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(村山富市君) 星川議員の質問にお答えを申し上げます。
 まず、地方分権の理念についてのお尋ねでありますが、地方分権の推進については、地方がその実情に沿った個性あふれる行政を積極的に展開できるよう、国と地方の役割分担を本格的に見直し、権限委譲や国の関与等の廃止・緩和、地方税財源の充実強化を進め、地方公共団体の自主性・自立性を強化していくことが必要でございます。
 御指摘のとおり、地方分権の推進により、国民がゆとりと豊かさを実感できる社会を実現し、住民の自発的、積極的な参加を尊重しつつ、多様な住民のニーズに対応した個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現が期待されるものであります。今後とも地方分権を推進し、真の地方自治の確立に積極的に努力してまいる所存でございます。
 次に、地方財政の現状認識についてのお尋ねでありますが、現下の地方財政は巨額の借入金残高を抱えているほか、地方税や地方交付税が伸び悩んでいる一方で、住民に身近な社会資本の整備、高齢化に伴う福祉施策の充実、災害に強い安全で活力ある地域づくり等、その財政需要はますます増大しており、極めて厳しい財政状況にあるものと認識をいたしております。
 次に、機関委任事務についてのお尋ねでありますが、機関委任事務制度をめぐる論議は地方分権を推進していく上で重要なテーマであると認識をいたしております。機関委任事務につきましては、個々の事務について見直しを行い、整理合理化を推進することとしておりまして、その結果、廃止すべき事務があれば廃止することになるのは当然であります。
 政府といたしましては、地方分権大綱及び本法案に基づき、機関委任事務の整理合理化を積極的に進めるとともに、機関委任事務制度についても、そのあり方を含め適切な検討を行ってまいる所存であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣山口鶴男君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(山口鶴男君) お答えいたします。
 国と地方の役割分担についてのお尋ねでございますが、国としては内政に関する役割は思い切って地方自治体にゆだねまして、国が本来果たすべき役割を重点的、効果的に担うとの観点から、国際社会における国家としての存立にかかわる事務等、国が重点的に担うべき役割を例示しているところでございます。一方、地方公共団体につきましては、地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担うべきことといたしまして、住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体におきまして企画・立案、調整、実施、これらを一貫して処理するとの観点を示すことによりまして、その趣旨を明確にしているところでございます。
 こうした考え方のもとに地方分権推進委員会において検討が進められ、具体的な成案を取りまとめていただけるものと期待をいたしている次第であります。
 次に、機関委任事務についてのお尋ねでございますが、機関委任事務については、政府として積極的に整理合理化を推進することといたしております。
 特に、事務自体の必要性を吟味いたしまして、不要と認められるものについては事務そのものを廃止いたします。また、事務自体の必要性の認められるものであっても地方公共団体の事務とすることが適当なものにつきましては、積極的に団体事務化を図ることによりまして機関委任事務としては廃止をしていくことになると存じます。
 また、最終的に国の事務として残らざるを得ないものにつきましては、機関委任事務制度そのもののあり方について検討してまいるつもりでございます。
 地方公共団体への出向大事については、基本的にはそれぞれの省庁における人事運用の問題と考えておりますけれども、一般的に申し上げますと、国と地方公共団体との人事交流が地方公共団体の主体性を損ねることがないように行われることが必要であると認識をいたしております。そういった観点でお互いの理解を深めるということは必要であると考えております。
 最後に、各議員から総理の指導性について御意見がございました。私はこの際申し上げたいと思いますが、地方分権推進委員会が監視、勧告という強い権限を持つものとして今回提案することになりましたのは、村山総理大臣の強いリーダーシップのもとにこのような法案を作成することになった、その経過について率直に申し上げる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(野中広務君) 星川議員の御質問にお答えいたします。
 私には天下り大事についての御指摘でございました。
 地方分権を推進する上で、地方公共団体の人材育成は極めて重要な課題の一つでございます。地方公共団体におぎましてはこれまで以上に職員研修の充実などに努めてまいる必要がありますが、国と地方公共団体との職員の交流もまた相互の資質の向上や理解を深めるという点で意義のあるものと考えております。今後、機関委任事務の廃止に伴いまして、より多くの国家公務員が地方分権に参画していただきたいと考えておるところであります。
 自治省の人事交流についてお話がございましたけれども、自治省といたしましては、それぞれ地方公共団体の要請に基づきまして職員を派遣し、また地方公共団体からも現在百四十名ほどの職員を自治省に派遣していただき、それぞれ地方と国との勉強をしていただいておるところでございます。これによりまして、その能力やフレッシュな感覚を地方行政に生かせること、あるいは地方公共団体の職員と交流することによりまして相互に切磋琢磨し資質の向上が期待できますこと、国と地方とが相互に理解を深める上で有益でありますこと等、非常にメリットがあるわけでございます。
 私は、自治省に入りまして経験をいたしまして、率直に申し上げまして、入省いたしまして間もない若い人たちが地方公共団体に出かけていきまして、地方の実情を数年勉強してまいります。その後、三十歳からそれぞれ地方公共団体の課長あるいは部長、副知事等と求められて出向をしていくわけでございますけれども、それぞれその地方に参りまして、地方の実情を十分認識をし体につけ、地方の痛みを知り、特に地方で議会議員として選挙で選ばれた方々のその厳しい意見を肌に受けて、帰ってきて中央省庁でこれを施策に生かしていくというのは大きな経験でありますとともに、バランスのとれた人材育成にも役立っておると考えておるわけでございます。
 今後とも、積極的に地方と国との人事交流を行ってまいりたいと考えておるところでございます。(拍手)
#29
○議長(原文兵衛君) これにて質疑は終了いたしました。本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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