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1995/05/15 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 本会議 第22号
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1995/05/15 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 本会議 第22号

#1
第132回国会 本会議 第22号
平成七年五月十五日(月曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十二号
  平成七年五月十五日
   午前十時開議
 第一 地方分権推進法案(内閣提出、衆議院送
  付)
 第二 国務大臣の演説に関する件
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、育児休業等に関する法律の一部を改正する
  法律案及び介護休業等に関する法律案(趣旨
  説明)
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案及び介護休業等に関する法律案、以上両案について、提出者から順次趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。浜本労働大臣。
   〔国務大臣浜本万三君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(浜本万三君) 育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明します。
 少子・高齢化の急速な進展、核家族化等に伴い、家族の介護の問題は、育児の問題とともに我が国社会が対応を迫られている国民的重要課題となっております。
 こうした状況において、労働者が生涯を通じて充実した職業生活を営むためには、仕事と育児や家族の介護とを両立させつつ、その能力や経験を生かすことのできる環境を整備することが極めて重要であります。
 中でも、介護休業制度は、労働者が介護のために雇用を中断することなく家族の一員としての役割を円滑に果たすことのできる制度であり、労働者はもとより企業にとっても有意義な制度として普及、定着が図られるべきものと考えております。また、休業制度のみならず、育児や家族の介護を行う労働者の職業生活と家庭生活との両立のための支援事業の充実も求められているところであります。
 こうした背景のもとに、政府としては、一昨年四月より婦人少年問題審議会において介護休業制度等の普及対策について御検討いただいてまいりましたが、昨年十二月同審議会から建議をいただきましたので、この建議に沿って法律案を作成し、同審議会その他関係審議会にお諮りした上、ここに提出した次第であります。
 次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、介護休業制度の創設であります。
 労働者は、一定範囲の家族を介護するため、期間を明らかにして事業主に申し出ることにより、連続する三月の期間内において、対象となる家族一人につき一回の介護休業をすることができることとしております。
 第二に、勤務時間の短縮等の措置であります。
 事業主は、介護休業期間と合わせて連続する三月の期間以上の期間において、勤務時間の短縮の措置その他の労働者が就業しつつ一定範囲の家族を介護することを容易にするための措置を講じなければならないこととしております。
 第三に、育児または家族の介護を行う労働者等に対する支援措置であります。
 国は、育児または家族の介護を行う労働者等の雇用の継続、再就職の促進を図るため、事業主等に対する相談・助言及び給付金の支給、労働者に対する相談・講習、育児または介護により退職した者に対する再就職支援その他の支援措置を講ずることとしております。
 第四に、育児休業または介護休業を取得する労働者の代替要員に関する委託募集の特例についてであります。
 一定の基準に合致すると認定された事業協同組合等が、その構成員たる中小企業者の委託を受けて育児休業または介護休業を取得する労働者の代替要員の募集を行う場合は、許可制を届け出制にして手続を簡素化することとしております。
 なお、この法律は、本年十月一日から施行することとしておりますが、介護休業、勤務時間の短縮等の制度に関する部分については、全事業所において介護休業等の制度を円滑に導入するための準備期間をとるため、平成十一年四月一日から施行することとしております。
 以上が育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(原文兵衛君) 衆議院議員松岡滿壽男君。
   〔衆議院議員松岡滿壽男君登壇、拍手〕
#7
○衆議院議員(松岡滿壽男君) ただいま議題となりました介護休業等に関する法律案につきまして、趣旨とその内容の概略を御説明申し上げます。
 我が国は、世界に例を見ないほど急速に人口の高齢化が進行しておりまして、二十一世紀初頭には世界一の超高齢社会が到来するのであります。それは先進諸外国が経験したことのない急激な変化であります。その結果として、高齢あるいは疾病のために介護を要する高齢者が急増しており、これに対応する施設、制度の充実は国民の切実な要請であり、それにこたえることは政治の急務であります。
 また、今日、急激な核家族化と女性の就業率の増加が進行しており、その結果、高齢者等の介護を担う勤労者の精神的、肉体的、経済的負担は過重なものとなっており、介護を支える家庭的、社会的環境は急速に悪化しております。したがいまして、勤労者が安心して家族の高齢者等の介護を行える制度を確立することは政治の重要な課題であります。
 こうした状況を前にして、政府は平成元年に高齢者保健福祉推進十カ年戦略を策定し、さらに平成六年にはその全面的見直しである新ゴールドプランを策定する等、高齢者福祉の実現のために諸制度の整備を進めておられることは承知しております。しかしながら、現在の政府の取り組み状況を見ると、その実現への道のりは遅々としたものと言わざるを得ません。
 申し上げるまでもなく、高齢者等の介護体制の整備は総合的に取り組むべき課題であります。要介護者の介護については、福祉施設の整備によって施設介護の体制を整備するとともに、他方では社会保険制度の拡充や介護サービスの充実により在宅介護を支援する体制の確立を図らなければなりません。このために、介護を要する家族を抱える勤労者が雇用を継続しつつ介護ができるよう介護休業制度の法制化がぜひとも必要であります。現在なお公的介護体制が十分とは言えない状況のもとで、介護を要する家族を抱える勤労者にとって介護休業の権利の速やかな確立は緊急の要請であります。また、介護休業は自助、共助、公助の重層的な介護システムを構築するための介護の方法について国民の選択肢を多様化するという観点からも制度化する意義があると考えます。
 我々新進党は、以上の認識に基づき、介護休業制度の可及的速やかな確立を図るため、ここに本法律案を提出いたしました。
 以下、本法律案の内容の概要を御説明いたします。
 第一に、この法律は、日常生活を営むのに支障がある家族に対する介護を行うために権利としての介護休業制度を設けると同時に、勤務時間等に関し事業主が講ずるべき措置を定めるほか、家族の介護を行う労働者及び事業主、事業主の団体等に対する支援措置を定めることにより家族の介護を行う労働者等の雇用の継続等を図り、これらの者の職業生活と家庭生活の両立に寄与することを通じて、高齢化社会に向かっての経済的、社会的条件の整備を目指すものであります。
 第二に、この法律においては、介護休業の対象となる家族の範囲を配偶者、子、父母もしくは配偶者の父母またはその他の同居の親族としており、配偶者には事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含み、親子関係には事実上養子縁組と同様の事情にある者を含むものとしております。
 第三に、介護休業期間は一年間を限度とすることとし、介護休業の回数は介護休業の対象となる家族のおのおのが介護を必要とする一つの継続する状態ごとに一回としております。なお、労働者は原則として休業開始予定日の二週間前までに事業主に申し出ることにより介護休業をすることができることとしており、この申し出があったときには事業主はそれを拒むことができないものとしております。
 第四に、就労しつつ家族の介護を行うことを希望する労働者に対して、事業主は一年間以上の期間にわたり勤務時間の短縮等の措置を講じなければならないこととしており、この措置は介護休業と組み合わせて取得することもできることとしております。また、事業主は、介護休業や勤務時間の短縮等によらずに家族の介護を行う労働者に対しても、それらに準じた必要な措置を講じるように努めなければならないものとしております。
 第五に、事業主は、介護休業あるいは勤務時間の短縮等の措置を申し出あるいは取得した労働者に対して、そのことを理由として解雇その他の不利益取り扱いをしてはならないこととしております。
 第六に、国は、介護休業制度及び勤務時間の短縮等の措置の導入による事業主の急激な負担の増加を緩和するとともに、これらの制度、措置の円滑な定着を図るため、事業主に対する給付金の支給を含む各種の援助を行うことができることとしております。その際、現時点における介護休業制度の導入比率が低く、また導入に当たっての困難が大きいと考えられる中小企業者に対しては特別の配慮をするものとしております。また、国は、介護休業を取得する尊家族の介護を行う労働者に対しても相談・講習等の措置を講じること、地方自治体もこれに準じた措置を講じるよう努めなければならないこととしております。
 第七に、中小企業者が介護休業等を取得した労働者の代替要員を確保するのを支援するため、一定の要件を備える中小企業団体は例外的に、届け出をするだけで介護休業等の取得者の業務を処理するために必要な労働者の委託募集を行えることとしております。
 第八に、国は、介護休業中の労働者の所得を保障するため、別に法律で定めるところに従い労働者に介護休業給付を支給するものとしております。なお、この介護休業給付は雇用保険制度から支給することを想定しております。
 第九に、介護休業を取得する労働者の負担を軽減するため、介護休業中の労働者の負担すべき社会保険料については、別に法律で定めるところにより免除することとしております。
 第十に、この法律のうち、介護休業等に関する規定は国家公務員及び地方公務員に関しては適用しないこととしております。なお、国家公務員及び地方公務員に関しては、別途法律を定めて一年間の介護休業制度を導入することを予定しております。
 最後に、介護休業制度の早急な必要性を考慮して、介護休業等に関する規定の施行期日は平成八年四月一日としております。
 以上が本法律案の趣旨とその概要であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(原文兵衛君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。庄司中君。
   〔庄司中君登壇、拍手〕
#9
○庄司中君 私は、自由民主党の御了解をいただきまして、日本社会党・護憲民主連合を代表して、本日の議題となりました育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、内閣総理大臣並びに関係大臣に質問いたします。
 御承知のように、我が国は既に高齢化社会に入っており、しかも、今後、少子化状況と相まって欧米諸国に例を見ない速いスピードで超高齢化社会に移行していくと推測されます。
 問題は、高齢化社会の水準とともに、欧米諸国の二倍から五倍のスピードで進む高齢化のテンポであります。テンポが速いと、どうしても状況の変化への社会システムの対応がおくれる。つまり、状況と社会システムの間に摩擦や衝突が起こりやすいということであります。とりわけ懸念されますのは、高齢化一般よりさらに速いテンポで介護の必要性が高まる後期高齢者、七十五歳以上の人口が増大していくということであります。
 そこで、まず総理にお尋ねしたいと思います。こうした社会構造の変容に対してどのように認識されておられるのか、また、こうした変容に対していかに介護サービス等の社会システムを遅滞なく積極的に改革、整備していくのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
 さて、こうした介護問題は今や国民の最大の関心の一つとなっております。我が国の介護サービスの制度化はヨーロッパ諸国に比べて大幅におくれ、ようやく九〇年代に入ってから高齢者保健福祉推進十カ年戦略としてスタートいたしました。そして今般、このゴールドプランが見直しされ、上積みされ、より包括的な新ゴールドプランとして再スタートしたわけですが、もう一方の家族責任に基づく介護休業制度は、これは労使の御努力にもかかわらず平成五年度の調査で普及率が一六・三%となっており、特に中小企業では低い普及率のまま停滞しております。
 こうした状況を打開すべく、今回、介護休業の法制化に踏み切ったことは、「人にやさしい政治」を標榜する総理の決意、労働大臣のリーダーシップに負うものであって、私としては心から敬意を表したいと思います。
 そこで、総理と労働大臣に、今回の法制化を決断されたことにつきまして、見解あるいは心境をお聞かせいただきたいと思います。
 さて、介護問題には社会サービスと家族責任の二つの側面があり、この二つの側面がそれぞれ充実し、かつ、うまく補完し合う関係にないと、十分な効果を上げ得ないと考えるのであります。
 しかし、近年、女性の労働市場への進出、少子化、核家族化、高齢者単独世帯の増加など、家族の介護能力が極端に低下しているにもかかわらず、これをカバーすべき社会サービスや家族責任の諸施策が不十分であることから、悲しい出来事、例えば家族が介護の辛苦に耐えられず介護を受けていた人を手にかける、配偶者が心中をはかるなどといった悲しい報道を耳にいたします。
 介護サービスには要介護者のニーズに応じた質の高さが求められていることから、これには主として社会サービスの側が当たるべきではないでしょうか。そして、家族責任の側は、社会サービスでカバーできない要介護者の精神的な支え、緊急対応、介護方針の決定、関係施設との連絡折衝などを担うことになるのではないかと考えるのであります。
 そこで、このような介護の問題に対応するためには、何よりもまず介護サービスの充実が必要と考えますが、この問題に対して今後どのような方針で施策を講じていかれるのか、厚生大臣にお答え願いたいと思います。
 また、労働大臣にお尋ねしますが、介護サービスの充実とあわせて家族責任の側の充実が必要と考えますが、いかがでしょうか。また、介護サービスとの分担、補完のあり方をどう考えておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。
 今回の法律案は職業生活と家庭生活との両立のための法律として作成されていますが、いまだに「男性は主として仕事を優先して家族を犠牲にする、女性は家族を優先して仕事を犠牲にする」といった傾向にあるのは問題であり、これは両立のための基盤が制度的に成立していないことに起因するのではないでしょうか。
 これからは男女共同参画型の社会の実現が必要であり、今回の法案は、男女がそれぞれを尊重し、仕事において自己実現を図り、共同で豊かな家庭生活をつくり、職業生活と家庭生活との両立を図っていく上で有効であると考えますが、いかがでしょうか。労働大臣にお答え願います。
 以下、今回政府から提出された法案の内容等につきまして、幾つかの点について労働大臣からお答えいただきたいと思います。
 まず、介護休業の期間についてお伺いいたします。
 法案で介護休業の期間を三カ月とした理由を明らかにしていただきたいと思います。また、労使の取り組みによってさらによい制度を設けている企業もありますが、こうした企業に悪影響を及ぼすのではないかと懸念しますが、いかがでしょうか。
 次に、介護休業の取得回数についてお伺いいたします。
 法案では介護休業の取得回数は要介護者一人について一回となっておりますが、これで大丈夫なのでしょうか。法的な義務づけとしては制約があるにしても、もっと弾力的にこれを上回る制度を労使協定でつくれるよう支援すべきではないでしょうか。
 次に、施行時期についてお伺いいたします。
 中小企業における介護休業制度の普及率は極めて低い水準のまま停滞しております。今回の法案ではその施行時期は平成十一年四月とされておりますが、このような現状を考慮すると、法の施行まで三年間の準備期間を置くということは十分に理解できるところであります。しかしながら、法の施行を待たず、それまでの間においても自主的な労使の取り組みによって介護休業制度が普及していくよう積極的に施策を講ずるべきではないでしょうか。
 次に、介護休業中の所得保障の問題についてお伺いいたします。
 育児休業の場合、休業中に育児休業給付が支給されることになっておりますが、当然、介護休業制度が実施される際には、育児休業の場合と同様、何らかの所得保障が必要と考えますが、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 さて、今回の法案によって初めて介護休業の法制化を行うことになるわけでありますが、法が施行された後、介護休業に関して、その普及の経過あるいは定着の実績といった点について十分なチェックを行っていくことが肝要と考えますが、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、介護の問題が国の最重要課題の一つとなっており、介護休業制度をできるだけ早急に広く社会に普及させていくことが重要となっている中で、介護休業の法制化にかたい決意で取り組まれている総理、労働大臣の一層の御尽力をお願いしまして、質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(村山富市君) 庄司議員の質問にお答えを申し上げたいと思います。
 社会構造の変化と介護の問題についてのお尋ねでありますが、高齢化や少子化の進展、女性の就業意識の変化等の中で、高齢者の介護を支援する施策を充実させていくことは喫緊の課題であると認識をいたしております。
 このため、国民だれもが安心して老後を迎えることができるよう、新ゴールドプランを着実に推進していくことにより、介護サービスの基盤の整備にこれからも全力を注いでまいりたいと考えているところでございます。
 次に、介護休業の法制化を決断したことについてのお尋ねでありますが、介護休業制度は、高齢化、核家族化が進展する中で、介護を必要とする家族を抱える労働者が働き続けるためにまことに重要な制度であると考えております。
 この法制化につきましては、長い間さまざまな立場から議論が重ねられ、今回成案を得て法律案を提出することができたことは極めて意義があることだと考えているところでございます。
 何よりも大事なことは、中小零細企業なども含めて、働く皆さんがひとしく介護休業を現実の制度としてすべての労働者のものにすることにあると思います。そういう意味では一定の期間が必要であることは申すまでもございません。
 この制度は、私が日ごろ念頭に置いております「人にやさしい政治」を大きく一歩進めるものであると考えておるところでございます。この法律案の今国会における速やかなる成立を心から御期待申し上げておるところでございます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣浜本万三君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(浜本万三君) ただいま庄司議員から現実的な御質問が出されておりますから、順次お答えをいたしたいと思います。
 まず第一は、介護休業の法制化を決断したことについてのお尋ねでございますが、介護休業制度は、高齢化、核家族化が進展する中で介護を必要とする家族を抱える労働者が働き続けるために非常に重要な制度であると考えております。
 このため、私といたしましては、議員御指摘のように、全体の普及率から申しますとまだ十六・三%しか普及をしておりませんが、介護制度の法制化の問題を大臣といたしまして大きな仕事の一つと考えまして、積極的に取り組んできたところでございます。介護休業制度を労働者の権利として盛り込んだ法律案を今国会に提出することができたことは、極めて有意義なことであると考えております。この法律案の今国会における速やかな成立を期待しておるところでございます。次は、介護の問題に関しまして、家族責任を果たすための施策の充実と介護サービスとの分担、補完のあり方についてのお尋ねでございますが、介護の問題を乗り切っていくためには、国や地方自治体はもとより、企業も個人も、それぞれの立場でこの問題に取り組み、少子・高齢化社会を担う一員としての社会的役割を果たすことが重要であると考えております。
 こうした観点から、労働省といたしましては、介護休業制度の法制化を初め、労働者の職業生活と家庭生活との両立を支援するための施策を総合的、体系的に推進することとしております。こうした施策と公的介護サービスの充実等が相まって初めて高齢化社会に向けての介護対策が十分なものになると考えておる次第でございます。
 男女労働者の職業生活と家庭生活との両立の観点から見た法律案の意義についてお尋ねでございますが、今回の法律案は、男女労働者がともに仕事と育児・介護との両立を図ることができるよう、介護休業制度の法制化や育児・介護を行う労働者に対する支援措置の実施等を盛り込んでおります。男女労働者の職場、家庭における生活のそれぞれが充実し全体としてバランスのとれた豊かな勤労者生活を実現していく上で、極めて意義のあるものと考えておる次第でございます。
 次は、介護休業期間についてのお尋ねでございますが、今国会に提出いたしました法律案は、婦人少年問題審議会の建議において、介護休業制度の定着を確保し得るような基本的法律、枠組みをつくるべき時期に来ておるとしつつ、その内容につきましては、家族介護や労働者の雇用の継続の必要性と企業の負担との調和が図られるよう十分配慮する必要があるとの指摘がなされたことを踏まえまして作成をいたしたものでございます。
 もとより、法で示す最低基準を理由として労働条件を切り下げるということがあってはならないと思います。政府といたしましても、法律の基準を上回る制度の導入が労使の自主的な話し合いにより進められるよう、必要に応じて支援していきたいと考えております。
 次は、介護休業の取得回数についてのお尋ねでございますが、本法律案は、婦人少年問題審議会の建議を踏まえまして、介護休業制度の法制化については法ですべての企業に一律に介護休業を義務づけることとする一方、義務づけた部分は最低基準として、これを上回る部分については企業の努力義務として労使の自主的な努力を促すという基本的考え方に立って作成をいたしたものでございます。
 具体的には、回数としては、対象家族一人につき一回は確保することとしつつ、再発した場合など一回を超えて介護をする必要が生じた場合には、労使間の話し合いによりまして妥当な解決が導かれるよう必要な努力を促してまいりたいと考えております。
 次は、介護休業制度の施行前にも制度の普及のため積極的な施策を講ずべきではないかというお尋ねでございますが、労働省といたしましては、施行期日といたしました平成十一年四月一日までの間におきましても、中小企業を含む事業所でなるべく早期に介護休業制度が導入されることが望ましいと考えております。
 そのため、事業主に対し、法の趣旨、内容の周知啓発に努めるとともに、中小企業団体を通じた中小企業の計画的取り組みに対する相談・援助、介護休業制度導入奨励金の支給等、企業が円滑に介護休業制度を導入できるようにするための支援措置を初め積極的に指導・援助を行い、円滑な実施を図っていきたいと考えております。
 次は、介護休業期間中の所得保障についてのお尋ねでございます。
 育児休業中の経済的援助につきましては、御承知のとおり、育児休業制度がすべての企業に適用される本年四月一日から育児休業給付が支給されることになっているところでございます。
 介護休業中の経済的援助につきましては、昨年の十二月に出されました婦人少年問題審議会の建議におきまして次のようになっております。「休業期間中の経済的援助のあり方については、今後、介護休業制度が適用される時期を念頭におきつつ、更に十分に議論することが適当」であるとされておるわけでございます。したがいまして、制度の適用時期を念頭に置きながら、十分に検討の上対処してまいりたいと考えております。
 最後の御質問でございますが、法施行後、介護休業に関する普及、定着の状況をチェックすべきではないかとのお尋ねでございますが、御指摘のとおり、介護休業制度の実施状況、その他法律の施行状況につきましては、法の施行後、的確に把握するよう努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣井出正一君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(井出正一君) 庄司議員にお答えをいたします。
 介護サービスの充実についてのお尋ねでありますが、国民が安心して老後の生活を迎えることができる看護体制を整備していくことは極めて重要であります。そのために、先刻、総理の御答弁にもありましたように、新ゴールドプランを着実に推進し老人保健福祉計画に基づく地方自治体の取り組みを全面的に支援していくことによりまして、地域の実情に応じた介護サービスの基盤の整備に全力を尽くしてまいります。
 さらに、必要な介護サービスを身近なところでスムーズに利用できる体制を構築していくため、新しい公的介護システムの検討を進めていく所存であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(原文兵衛君) 星野朋市君。
   〔星野朋市君登壇、拍手〕
#14
○星野朋市君 私は、平成会を代表して、政府提出の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案と、新進党提出の介護休業等に関する法律案に対しまして質問させていただきます。
 我が国の人口は、かつて厚生省の人口問題研究所が試算で最大一億四千万人と想定をいたしましたが、現状では、西暦二〇一〇年に一億三千万人でピークを迎え、現在の出生率をもとにして計算をいたしますと、その後、総人口の急速な減少が想定されております。このような厳しい現状が存在していることを見逃すことはできません。
 この事態は、先進国につきましてはある程度共通の現象であることは事実でありますけれども、我が国の特徴は、これまで世界のどの国もが経験したことのないほど高齢化のスピードが速いということはさんざん指摘されております。
 現在、六十五歳以上の老齢人口は約一千六百九十万人、人口に対しまして七・七人に一人の割合でございますけれども、高齢化のピークを迎えるであろう西暦二〇二五年にはその数約三千二百五十万人と想定され、何と三・九人に一人という超高齢化社会になることが予想されておるところでございます。また、本案の趣旨である要介護老人は現在約二百万人、それがその時点では五百二十万人に急増するであろうと言われております。
 このような状況に関しまして、政府は高齢者保健福祉推進十カ年戦略いわゆるゴールドプランを推進中でありますが、残念ながら現実の問題解決には道ほど遠しの感が否めません。
 特に、介護にかかわらなければならない家族の悩みは深刻であり、そのしわ寄せはどうしても女性に偏らざるを得ないという事実がございます。さらに、仕事と介護を両立させなければならない立場の人には、その困難が重くのしかかってきているのであります。
 人間はだれしもケアなしには生まれ育つことは不可能であります。そして、ある年齢に達すれば、これまた周囲のケアが必要になるのは必然であります。家族と家族生活、人間と人間が生活の中でケアし合うということは、基本的に人間そのものの問題であります。
 調査によれば、要介護者の六〇%以上が在宅で介護を受けており、完全看護の病院に入院中のお年寄りでも、本心では在宅介護を希望しているのが実情でございます。
 このような中で、家族の介護や看護のため仕事をやめていかなければならない人たちの数は、年間八万一千人にも達しております。特にその中の女性については七万三千人、異常な割合でございます。
 また、働く人たちの「介護者を抱える家族」についての実態調査によれば、主たる介護者となっているのは、在宅では七〇%が女性、残り三〇%が男性であります。
 このような事態を考えてみますと、ただいま議題となっている介護休業制度の法制化は実に重要な問題であり、だれにでも、この議場におられる諸先生方にも、少なからずその御経験がおありになるだろうと推測されるのでありますが、だれにでもいつ何ときその状態を経験するかもしれないという問題として、働く者みんなが着目し、実効ある法案の成立を期待していると言っても過言ではありません。
 さて、諸般の事情をるる説明させていただきましたが、ここにいずれも家庭生活と職業生活の両立を図ることを目的として提出された二つの介護休業制度の法制化案を比較し、これらの問題についてそれぞれ質問をいたします。
 まず、その第一として、介護休業の対象となる家族の範囲についてであります。
 政府案では、要介護者の範囲を配偶者、父母、子、配偶者の父母に限定しておりますが、昨今の家族形態はさまざまにふえまして、核家族化が進んでいるとはいえ、現実に兄弟姉妹や祖父母、おじ、おば等の介護の必要があるにもかかわらず、政府はそれは対象外だと割り切れるのでしょうか。労働大臣、お答えいただきたいと思います。また、新進党はこの点についてどう考えておられるのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
 私は、以下何点かについてお尋ねをいたしますが、このような政府案と野党案が同時に審議をされるということは参議院では非常に珍しいケースでございます。そこで、両案の比較の意味からも、またここはぜひ強調しておきたいという点がございましたら、野党案はぜひその点について明確な御発言をお願いしておきたいと思います。
 第二点といたしまして、介護休業の取得期間と取得回数についてお尋ねいたします。
 子育ては、一年たてば一歳に、二年たてば二歳にと確実に見通しが立ちます。しかし、高年齢者の介護では何と一年以上が圧倒的に多く、平均して五年八カ月という調査結果もあります。政府案の三カ月というのは、三カ月で大体介護のめどがつくという根拠にあると思うのですが、現実には三カ月では施設への入所もできず、やむを得ず退職を余儀なくされるというのが実情ではないでしょうか。政府案は三カ月、一万新進党案は一年となっている期間の根拠を、それぞれにお伺いをいたします。
 また、その取得回数についてでありますが、政府案では要介護者一人につき一回となっていますが、これは介護休業を取得する者にとって、その時点では取得すべきか否かの判断が非常に難しく、再発した場合や新しい介護が必要となってきたときはどうすればいいのでありましょうか。残念ながら資格なしとなるのではないでしょうか。政府はどう考えておられるのか、労働大臣にお答えいただきたいと思います。まさしくこの条項は、仏つくって魂入れずの典型的な例としか言いようがございません。新進党案はその点リーズナブルであると思いますが、提案者の説明をお願いいたします。
 次に第三点目として、取得者の不利益取り扱いについてお伺いいたします。
 政府案は、介護休業及び介護時短について解雇の禁止を定めておりますけれども、それの取得に付随して考えられる不利益取り扱いについては、育児休業について指針で示しているからそれでよいのだと、同様に考えておられるのでございましょうか。労働大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。また、新進党はそれに対してどう対処されようとしているのか、あわせてお伺いいたしたいと思います。
 さて四点目は、介護休業中の所得保障についてであります。
 主たる介護者の年代が、四十代と五十代で六五%以上を占めており、ちょうど家庭的に一番負担のかかる年代であることがわかりますが、政府は介護休業中の所得保障について何も定めてはおりません。その理由をお聞かせいただきたいと思います。また、新進党の考えも提出者にお聞きいたしたいと思います。
 次に第五点目として、事業主とりわけ中小企業者の支援措置についてお伺いいたします。
 介護休業制度を導入するに当たって、事業主とりわけ中小企業の負担がその円滑な導入を妨げる要因となり得る可能性が大でありますが、政府はどのような措置を考えておられるのか、お答えをいただきたい。また、新進党にも同様にお答えをいただきたいと思います。
 そして第六点目は、施行期日についてであります。
 今、年間八万一千人もの人たちが介護や看護のために退職せざるを得ない実態の中で、多くの人たちがこの法案のできるだけ早い実現を望んでいるにもかかわらず、政府案は実に四年先の実施を考えているのはなぜなのでしょうか。この間、四千万人に上る中小企業に働く人たちは介護休業の恩恵に浴することなく退職を余儀なくされることになりかねません。これは今必要な法律であるということが政府には全くわかっていないんじゃありませんか。それをお答えいただきたいと思います。新進党が来年の早期実現を求めているのは当然のことだと思いますが、その点についていかがお考えでございましょうか。
 最後に、村山総理にお尋ねをいたします。
 総理は常々「人にやさしい政治」を表明していますが、私が今まで何点かにわたって政府案と新進党案の主な違いを質問して、それぞれにお答えをいただくことになりますけれども、政府案は育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案であるのに対して、新進党案は介護休業等に関する法律案という独立した法案の名称となっております。その名が示すとおり、政府案は形だけで実のない、もしくはあっても中身の乏しい法案だと思いますが、いかがお考えか、総理の御所見をお聞かせ願いたいと思います。
 今まで述べてまいりましたように、新進党案の方がはるかに人にやさしい法案であることは明白でありますので、一刻も早く新進党案のような内容の充実した法案を成立させていただくよう強く要望して、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(村山富市君) 星野議員の質問にお答え申し上げたいと思います。
 政府案では制度をつくるだけで実が入っていないのではないかとのお尋ねでありますが、介護休業制度は、高齢化、核家族化が進展する中で、介護を必要とする家族を抱える労働者が働き続けるために極めて重要な制度でございます。
 政府提出の法律案につきましては、長い間、労働者代表、使用者代表及び公益委員で構成される婦人少年問題審議会において真摯な検討が行われ、労使ぎりぎりの折衝を重ねた結果を踏まえ、家族介護や労働者の雇用の継続の必要性と企業の負担との調和を図ることによって、中小零細企業を含め、すべての労働者にこの制度が確実に定着するようにと考えて作成したものでございます。この点については十分御理解をいただき、この法律案の早期成立に御協力をいただきたいと思います。
 以下の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣浜本万三君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(浜本万三君) 星野議員の御質問にお答えをいたします。
 まず第一は、介護休業制度において対象とする家族の範囲についてのお尋ねでございますが、企業に一律に義務づける制度の枠組みにおきましてこの点を検討するに当たりましては、労働者本人が休業してその家族の介護に当たる必要性について国民的コンセンサスが必要であると考えます。
 このため、本法律案では、制度利用者の実態等から見まして配偶者、父母、子及び配偶者の父母を基本としておりますが、婦人少年問題審議会の議論を踏まえ、父母及び子に準ずる一定の範囲の親族をも対象とすることとしております。具体的に申しますと、同居及び扶養の要件を付して祖父母、兄弟姉妹及び孫についても労働省令で対象に含める方向で検討いたしたいと考えております。三親等のおじ、おばを含めることにつきましては、そこまでの社会的な合意ができておるとは考えておりません。
 第二の御質問でございますが、介護休業の期間及び回数についてのお尋ねでございますが、今国会に提出した法律案は、婦人少年問題審議会の建議を踏まえまして、介護休業制度の法制化については、法ですべての企業に一律に介護休業を義務づけることとする一方、義務づけの部分は最低基準とし、これを上回る部分については企業の努力義務として労使の自主的な努力にゆだねるという基本的な考え方に立って作成したものでございます。
 具体的には、法で義務づける介護休業期間については、第一に、介護休業制度は家族による介護がやむを得ない場合の緊急的対応措置であり、家族が介護に関する長期的方針を決めることができるようになるまでの期間といたしまして三カ月程度の期間が必要と判断をされたこと、第二に、既に介護休業制度が導入されている民間の事業所において実際に介護休業を取得した者の大部分、これは七七・七%でございますが、三カ月以内に復帰していることなどから三カ月としたところでございます。また、回数としては、対象家族一人につき一回は確保することとしつつ、再発した場合など一回を超えて介護する必要が生じた場合には、労使間の話し合いにより妥当な解決が導かれるよう必要な努力を促していくことといたしております。
 次は、介護休業に関する不利益取り扱いについてのお尋ねでございますが、介護休業の申し出をし、または介護休業をしたことを理由とする解雇の禁止や、年次有給休暇の取得要件である出勤率の算定に当たって介護休業を出勤とみなす取り扱いについては、法に規定したところでございます。これ以外の賃金、配置その他の事項については、いかなる行為を不利益取り扱いとして禁止することが適当であるかのコンセンサスが得られていない等にかんがみまして、法律上は明文化しないことにしたわけでございます。
 なお、介護休業を取得する権利行使を妨げるような不当な取り扱いはあってはならないところであり、適切な指導を行っていくところでございます。
 次は、介護休業期間中の所得保障についてのお尋ねでございますが、昨年の十二月に出されました婦人少年問題審議会の建議において「休業期間中の経済的援助のあり方については、今後、介護休業制度が適用される時期を念頭におきつつ、さらに十分に論議することが適当」であるとされたことであります。制度の適用時期を念頭に置きつつ、十分検討の上対処してまいりたいと考えております。
 中小企業に対する支援措置についてのお尋ねでございますが、介護休業制度の導入率につきましては中小企業の事業所において特に低くなっており、介護休業制度の法制化に当たっては中小企業に対する配慮が最も重要な課題となっております。このため、法律案においては、中小企業においても介護休業制度が円滑に導入できるよう介護休業制度の施行時期を平成十一年四月一日からとしたところでございます。
 これまでの間において、中小企業集団を通じた中小企業の計画的取り組みに対する相談・援助、代替要員の確保のための支援、介護休業制度導入の奨励金の支給など、中小企業に特に配慮した援助策を総合的、体系的に推進してまいりたいと考えております。
 最後の御質問でございますが、施行期日についてのお尋ねでございますが、介護休業制度の適用時期については、介護休業制度の現時点での普及率一六・三%を考慮いたしますと、各事業所において介護休業制度を円滑に導入するための準備期間として三年間程度とする必要があるとの婦人少年問題審議会における多数意見を踏まえまして、平成十一年四月一日としたものでございます。
 労働省といたしましては、これまでの間におきましても、中小企業を含む事業所でなるべく早期に介護休業制度が導入されることが望ましいと考えております。そのため、先ほど述べましたさまざまな支援措置を積極的に行い、円滑な施行を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔衆議院議員桝屋敬悟君登壇、拍手〕
#17
○衆議院議員(桝屋敬悟君) 星野議員の我が新進党案に対します御質問について、お答えを申し上げたいと思います。
 質問の第一は、介護休業の対象となる家族の範囲についてでございます。
 新進党案では、介護休業の対象となる家族の範囲を配偶者、子、父母及び配偶者の父母だけでなく、同居の親族も含めるものとし、その旨を法文上明示しているところでございます。したがって、御質問にあるようなさまざまな家族構成の場合でも、親族であれば介護休業の対象となります。その理由は、介護休業法の基本思想である共助の理念に基づいて考えますれば、家族形態の多様化している今日においてはとりわけ同居の親族は当然介護休業の対象とすべきであると判断したからでございます。
 質問の第二でございます。介護休業及び勤務時間短縮措置の期間と取得回数についてであります。
 まず、介護休業及び介護時短の期間についてでございますが、新進党案は合わせて最長一年間としております。その理由は、御指摘のような介護に要する期間の実態を踏まえつつ、かつ公的介護施設の充実が大変におくれておる、こういう実態、さらには施設入所までの待機期間が平均一年を上回っている、長いところでは三年、四年という、こういう現状を踏まえまして、いかにも三カ月は少ない、このように考えたからでございます。さらに、労働者の要望や既に企業において労働協約等により導入されている介護休業制度の内容を考慮した結果、最低一年間の介護休業期間が必要であると判断したからでございます。
 次に、介護休業及び介護時短の取得回数についてでございます。
 新進党案は、一つの継続する要介護状態につき一回収得できるものとしております。その理由は、御指摘のように、取得回数を家族一人につき一回とすると一たん回復した後に同じ原因あるいは異なった原因によって再び要介護状態になった場合にはもはや介護休業は取得できないこととなり、現状ではそのときには退職せざるを得ず、取得範囲が狭過ぎて実態に合わず労働者の保護に欠けると判断をしたからでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔衆議院議員大野由利子君登壇、拍手〕
#18
○衆議院議員(大野由利子君) 続きまして、星野議員の新進党案への御質問にお答えいたします。
 質問の第三は、介護休業及び介護時短を取得することにより不利益な取り扱いを受けることへの対応についてであります。
 新進党案では、介護休業等の取得による解雇の禁止はもちろんのこと、不当な配置転換のような不利益取り扱いをも禁止しております。その理由は、労働者が介護休業等を取得する権利を行使したことにより不利益をこうむることを放置するならば介護休業を制度化した意味が大幅に失われるからであります。解雇以外の不利益取り扱いにも、この規定をもって対処できると考えております。
 星野議員の質問の第四は、介護休業中の所得保障についてであります。
 新進党案では、国等は介護休業中の労働者に対して、別に法律で定めるところにより、介護休業給付を支給するものとしております。その理由は、介護休業を取得する労働者及びその家族の生活の安定を図るとともに安心して介護休業を取得できるようにするためには、介護休業中の所得保障が不可欠であると判断したからであります。
 なお、介護休業中の労働者の経済的負担の軽減のために、新進党案では、介護休業中の労働者の社会保険料を免除することとしております。
 以上でございます。(拍手)
   〔衆議院議員河上覃雄君登壇、拍手〕
#19
○衆議院議員(河上覃雄君) 星野議員の御質問のうち、私からは第五、第六について答弁をさせていただきます。
 質問の第五は、事業主とりわけ中小企業への支援措置についてであります。
 新進党案では、介護休業制度の実施に関しまして、国が事業主等に対して助成金の支給その他の必要な援助を行うに当たっては中小企業主に対して特別の配慮をする旨の規定を設けております。
 その理由は、介護休業制度の導入率の低い中小企業者にとって制度の早期導入の負担を軽減するため、手厚い助成措置を講ずる必要があると考えるからであります。そして、この規定に基づき、手厚い助成措置を実施し、介護休業制度導入の円滑化を図りたいと考えております。そして、中小企業の労働者が介護のために退職を余儀なくされることのない状態が実現する結果として、中小企業にとっても熟練労働者の確保が図られるものと考えております。
 最後になりますが、質問の第六は施行期日についてでございます。
 新進党案では、介護休業制度本体の施行期日を平成八年四月一日としております。
 その理由は、第一に高齢化の進展により介護を要する高齢者が急激に増加していること、第二に公的介護施設の充実は新ゴールドプランの存在にもかかわらず大幅におくれていること、第三に総務庁平成四年の就業構造基本統計調査にも明らかなように介護のための退職者が年間八万人に上ること等々、介護休業の一刻も早い実施を必要とする状況が存在し、当面する困難を乗り越えて本制度の早急な実現を図ることが国民の福祉の向上と豊かな生活に向けて不可欠であると判断したからであります。
 なお、制度の早期導入に当たっての負担軽減措置を講ずることは、先ほど申し上げたとおりでございます。
 最後になりますが、良識の府である参議院の皆様方におかれましては、より生活者の視点に立った新進党案に御賛同あらんことを要望し、答弁を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○議長(原文兵衛君) 吉川春子君。
   〔吉川春子君登壇、拍手〕
#21
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の育児休業法の一部を改正する法律案について、総理並びに労働大臣に質問いたします。
 介護という問題に突き当たったとき、多くの働く女性たちは仕事か家庭かの二者択一を迫られています。世間にはまだ、高齢者の介護は女の仕事とする性別役割分担意識が濃厚に残っておりますし、戦後なくなったはずの家族制度も、嫁と呼ばれる人々を苦しめています。この問題は、一九七五年の国際婦人年、翌七六年からスタートした国連婦人の十年の取り組みの中でも、真の男女平等を実現する上での障害であるとして国際的な課題になりました。
 こうして、社会及び家庭における男子の伝統的役割を女子の役割とともに変更することが男女の完全な平等の達成に必要であることをうたった国連女子差別撤廃条約やILO百五十六号条約が成立したのです。本法律案提出の背景には、こうした男女平等に関する世界の流れがあったからではありませんか。総理の御認識を伺います。
 我が国では、今でも「男は仕事、女は家庭」という役割分担論と差別的労働条件の前に、無念の涙で職場を去る女性が無数にいるのです。このような性別役割分担論について総理はどのようにお考えですか。
 総理、ILO百五十六号条約は、家族的責任を有する男女労働者の就業の権利を保障するために労働条件や社会保障など特別の施策を講ずることを国の政策の目的とするよう明記しております。そのためには、今回法制化される介護休業制度に加えて育児休業制度、保育制度の一層の充実、学童保育の制度化など、家族的責任を果たすことを可能にするためのさまざまな措置を講ずるべきです。それが条約の締約国としての責務ではありませんか。
 さらに、高齢化が急速に進行する我が国では公的介護サービスのおくれは極めて深刻です。今回の介護休業制度が、公的介護のおくれをそのままにして、個人に介護の役割を押しつけるものとなっては本末転倒と言わなくてはなりません。公的介護の充実を一層進めるべきではありませんか。総理の御決意を伺います。
 我が党は、かねてからILO百五十六号条約の批准と多様な社会的介護支援システムの充実とともに、介護休業制度の実現を強く要求してまいりました。したがって本法律案の提出には感慨深いものがあります。しかし、その内容は果たして十分なものと言えるのでしょうか。
 以下、具体的にお尋ねいたします。
 第一は、介護休業の対象となる家族の範囲についてです。
 政府案は、配偶者、子、本人の父母、配偶者の父母などとその他労働省令で定める親族としておりますが、高齢化と核家族化、少子化が進む中では、兄弟姉妹や祖父母、さらには同居の親族をも対象に加えるべきです。なぜなら、同居していること自体が親族以外からの介護を期待できないことを示しているからです。明確な答弁を求めます。
 第二は、介護休業期間と取得回数についてです。
 政府案では、休業期間を連続三カ月、しかも家族一人につき一回と制限しています。労働省は、既に介護休業制度を有している企業では三カ月未満の取得が多いことを最大の理由にしていますが、しかし、国民生活白書によれば介護の必要な寝たきり老人の約半数が寝たきり期間三年以上なのです。ですから、介護の必要性が三カ月未満で足りるからではなく、休暇を継続したくとも経済的事情からやむを得ず三カ月未満で打ち切っているというのが実情です。しかも、長いかもしれない看護の期間を考えると利用に踏み切れず、実際休暇をとったのは母の死の二週間前だったという例もあり、三カ月では短過ぎてかえって休業しにくいのです。せめて一年間に延長すべきではありませんか。
 介護は短期間で終わるものではないため、多くの労働者は今ある社会的介護サービスをさまざまに組み合わせ、家族や親族との連携のもと懸命に介護を続けているのです。介護休業制度はこうした組み合わせの中で利用しやすいものにするべきではないでしょうか。そのためには要介護状態ごとに断続して利用できるようにする必要があるのです。あわせて答弁を求めます。
 第三に、介護休業制度の実効性の確保についてです。
 この制度の利用に関して、解雇だけでなく、職場復帰、配転、昇給などあらゆる面での不利益取り扱いを禁止すべきではありませんか。そして、それは罰則をもって担保すべきだと思いますが、いかがですか。
 第四は、中小企業対策です。
 確かに、中小企業においては長期の休業者の代替要員を配置することには困難が伴うものです。したがって、すべての労働者に介護休業を保障するために、政府として最低でも代替要員を確保した中小企業者等に対して賃金の助成を行い代替要員の配置を容易にする措置を講じることが必要だと思いますが、労働大臣、いかがですか。
 第五は、介護休業中の所得保障についてです。
 政府は、育児休業について今年度から雇用保険からの所得保障措置を講じております。他方、治療費や器具の購入など経済的負担の重さにおいて育児とは比較にならない介護に所得保障がないことはどうしても納得できません。国と事業主の責任で何らかの所得保障を講ずることは絶対に必要だと思いますが、答弁を求めます。
 総理、一日千秋の思いでILO百五十六号条約の批准と介護休業制度を望んできた多くの女性たちは、条約の批准を十四年間も待たされました。この間どれだけの人々が職場を去っていったことでしょう。しかも、肝心の介護休業制度の施行はさらに四年後になるというのです。なぜこの条約の批准にかくも時間を要したのか、またその責任をどうお考えになっているのですか。かくなる上は、せめて介護休業制度を直ちに施行すべきではありませんか。総理の明確な答弁を求めます。
 ことしは第二次世界大戦終結及び女性参政権獲得から五十年になります。また、夏には第四回世界女性会議が開催されますが、それに向けて女性差別撤廃の草の根の運動が日本でも世界でも精力的に進められております。女性解放の世界の流れはもはや押しとどめることはできないのです。女性が全く無権利状態に置かれた戦前の暗黒時代に先駆的に女性解放を掲げ、そのために身命を賭して闘った党として、日本共産党は国民の皆さんとともに、この流れを我が国において一層実りあるものにするために全力を尽くす決意を申し上げまして、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(村山富市君) 吉川議員の質問にお答えを申し上げたいと存じます。
 本法律案提出の背景と性別役割分担論についてのお尋ねでございますが、伝統的な男女の役割分担意識の是正を図っていくことは、女性が職場、家庭、地域においてその能力を発揮していくために重要なことであると考えております。
 本法律案は、介護休業制度の法制化や育児・介護を行う労働者に対する支援措置の実施等を規定しており、男女労働者がともに仕事と育児・介護との両立を図り、職場でその能力を十分発揮することができるようその条件整備を図ろうとするものでございますので、御理解をいただきたいと存じます。
 次に、家庭生活と職業生活との両立のための施策の充実についてのお尋ねでありますが、少子・高齢化が進展する中で労働者が生涯を通じて充実した職業生活を送るためには、仕事と育児や家族の介護との両立を支援していくことが重要であると認識しております。今回提出いたしました法律案もこの目的を達成するためのものでございます。また、保育サービスや放課後児童クラブについては、本年度から緊急保育対策等五カ年事業を計画的に推進することといたしておるところでございます。
 今後とも、労働者の職業生活と家庭生活との両立を支援するための対策の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、介護サービスの充実についてのお尋ねでありますが、国民だれもが安心して老後を迎えることができるよう、新ゴールドプランを着実に推進していくことにより、地方自治体の取り組みを全面的に支援し介護サービスの基盤の整備に全力を注いでまいりたいと考えているところでございます。さらに、必要な介護サービスを身近なところでスムーズに利用できる体制を構築していくため、新しい公的介護システムの検討も進めているところでございます。
 次に、ILO第百五十六号条約の批准に時間を要したことについてのお尋ねでありますが、我が国が締結した条約についてこれを誠実に実施するのは当然のことであり、これを可能とするためにも、締結に先立って条約の解釈、国内法制との整合性につき慎重に検討を行う必要がございます。
 ILO百五十六号条約についても、このような基本的立場からよく検討を進め、これに長期の時日を要した次第でありますが、平成三年に条約の趣旨に沿った育児休業等に関する法律等が制定されて以来、関連の諸制度が徐々に整備されてきたこともございまして、また我が国が本条約を締結することは今後男女共同参画型社会を目指すという我が国の基本的な考え方に沿うものであるので、その締結について本年四月十四日に国会の御承認をいただいた次第でございます。
 次に、介護休業制度の施行を直ちに行うべきではないかとのお尋ねでありますが、本法案の施行日につきましては、介護休業制度の現時点での普及率などを考慮すると、中小零細企業を含め各事業所において介護休業制度を円滑に導入し、すべての労働者に保障できるようにするための準備期間を十分とる必要があると考え、平成十一年四月一日としたものでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣浜本万三君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(浜本万三君) 吉川議員にお答えをいたします。
 介護休業制度において対象とする家族の範囲についてのお尋ねでございますが、企業に一律に義務づける制度の枠組みにおいてこの点を検討するに当たりましては、労働者本人が休業してその家族の介護に当たる必要性について国民的コンセンサスが必要であると考えます。
 このため、本法律案では、制度利用者の実態などからかんがみまして配偶者、父母、子及び配偶者の父母を基本としていますが、婦人少年問題審議会の議論を踏まえまして、父母及び子に準ずる一定の範囲の親族をも対象とすることとしております。具体的には、同居及び扶養の要件を付して祖父母、兄弟姉妹及び孫についても労働省令で対象に含める方向で検討いたしたいと考えております。
 なお、これ以外の同居の親族まで範囲を広げることにつきましては、社会的合意ができていないので、考えておりません。
 次は、介護休業の期間及び取得形態についてのお尋ねでございますが、今国会に提出いたしました法律案は、家族介護や労働者の雇用の継続の必要性と企業の負担との調和を図りつつ介護休業制度が確実に定着するようにと考え、作成をいたしたものでございます。
 したがって、法で一律に義務づける介護休業期間につきましては、第一に介護休業制度を家族による介護が必要な場合の緊急的対応措置として位置づけましたこと、第二に介護休業取得者の大部分、七七・七%がいわゆる三カ月以内に復帰していることなどから、三カ月間としたのでございます。また、要介護状態ごとの断続的取得につきましても、法で一律に義務づけますと企業には負担が重過ぎることになりますために、対象家族一人につき一回、連続する三カ月としているものでございます。
 次は、介護休業に関する不利益取り扱いについてのお尋ねでございますが、介護休業の申し出をし、または介護休業をしたことを理由とする解雇の禁止や、年次有給休暇の取得要件である出勤率の算定に当たって介護休業を出勤とみなす取り扱いにつきましては、法に規定したところであります。それ以外の賃金、配置、その他の事項につきましては、いかなる行為を不利益な取り扱いとして禁止することが適当であるかのコンセンサスが得られていないことなどにかんがみまして、法律上は明記しないことにいたしておる次第であります。
 なお、罰則をもって担保することにつきましては、介護休業の普及状況、介護政策全体における介護休業制度の位置づけ等を考えますと、罰則をもって強制することまでのコンセンサスは得られていないものと考えております。
 次は、代替要員確保のために中小企業への援助措置を講ずるべきではないかとのお尋ねでございますが、介護休業制度の導入率につきましては中小規模の事業所において特に低くなっており、介護休業制度の法制化に当たっては中小企業に対する配慮が最も重大な課題となっています。とりわけ、企業における介護休業制度の導入に際しての最大の大きな問題となっている代替要員の確保につきましては、中小企業に対する特別の支援が必要であると考えております。
 このため、中小企業集団が傘下の中小企業に対して代替要員の採用や雇用管理のノウハウについての情報の収集・提供や相談・援助等を行うことを支援する事業を充実させることなど、さまざまな方法で対応することとしておりますが、さらに、一定の基準を満たす事業協同組合等が傘下の中小企業の委託を受けて代替要員の募集を行う場合には、許可制を届け出制とする特例を創設することといたしたところでございます。
 最後に、お尋ねの介護休業期間中の所得保障の問題につきましては、昨年の十二月に出されました婦人少年問題審議会の建議におきまして「休業期間中の経済的援助のあり方については、今後、介護休業制度が適用される時期を念頭におきつつ、更に十分に論議することが適当」であるとされたところであり、この制度の適用期間を念頭に置きながら、今後十分に検討の上対処してまいりたいと考えております。(拍手)
#24
○議長(原文兵衛君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#25
○議長(原文兵衛君) 日程第一 地方分権推進法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。地方分権及び規制緩和に関する特別委員長小林正君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔小林正君登壇、拍手〕
#26
○小林正君 ただいま議題となりました法律案につきまして、地方分権及び規制緩和に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、地方分権を総合的かつ計画的に推進するため、地方分権の推進について、基本理念並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、地方分権の推進に関する施策の基本となる事項を定め、並びに必要な体制を整備しようとするものであり、その主な内容は、
 第一に、地方分権の推進は、国と地方が分担すべき役割を明確にし、地方公共団体の自主性、自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることを基本として行われるものとすること。
 第二に、国においては、国際社会における国家としての存立にかかわる事務など国が本来果たすべき役割を重点的に担い、地方公共団体においては、地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担うことを旨として行われるものとすること、また、国は、地方公共団体への権限の委譲を推進するとともに、地方公共団体に対する国の関与、必置規制、機関委任事務、補助金等の整理合理化その他所要の措置を講ずるほか、国は地方税財源の充実確保を、地方公共団体は行政体制の整備確立を図るものとすること。
 第三に、政府は、地方分権推進計画を作成し、これを国会に報告するとともに、その要旨を公表しなければならないものとすること。
 第四に、両院の同意を得て内閣総理大臣が任命する委員七名から成る地方分権推進委員会を総理府に設置し、委員会は、地方分権推進計画の作成のための具体的な指針を勧告するとともに、計画に基づく施策の実施状況を監視し、その結果に基づいて必要な意見を述べることを任務とすること、また、委員会に事務局を設けることとすること。
 第五に、この法律は、政令で定める施行の日から起算して五年を経過した日にその効力を失うこととしております。
 なお、衆議院におきまして、地方分権の推進に関する施策として講じられる機関委任事務等の「整理及び合理化その他所要の措置」は「地方自治の確立を図る観点からの整理及び合理化その他所要の措置」とすること、及び内閣総理大臣は委員会から具体的な指針の勧告を受けたときは「これを国会に報告するものとする。」との修正が行われております。
 委員会におきましては、村山内閣総理大臣ほか関係大臣等に対して質疑を行うとともに、五月九日は富山県及び大分県の両県に委員を派遣して、いわゆる地方公聴会を開催し、同十日には参考人からの意見を聴取いたしました。
 委員会における質疑の主な内容を申し上げますと、地方分権を今推進することの意義、国と地方公共団体との役割分担の明確化、機関委任事務制度の整理合理化のあり方、分権に伴う地方税財源の充実確保の方策、国と地方との人事交流のあり方、地方公共団体側の意見の反映ができる委員会委員の人選の必要性、五年間の時限立法の妥当性と具体的スケジュール等でありますが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑終局の後、平成会を代表して勝木理事より、国の役割の一層の限定と地方公共団体の役割の明確化、機関委任事務制度、地方債許可制度等の廃止、委員への地方六団体推薦者の参加等を内容とする修正案が提出されました。
 次いで、採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して、国と地方の役割分担の明確化、機関委任事務の整理合理化と制度のあり方の検討、地方税財源の充実強化と地方債許可制度の弾力化・簡素化、地方の意見が反映される地方分権推進委員の人選及び委員会の運営における自主性の確保と審議状況の周知の四項目から成る附帯決議が全会一致をもって付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(原文兵衛君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#28
○議長(原文兵衛君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
 これにて休憩いたします。
   午前十一時三十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後七時五十一分開議
#29
○議長(原文兵衛君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第二 国務大臣の演説に関する件
 大蔵大臣から財政について発言を求められております。これより発言を許します。武村大蔵大臣。
   〔国務大臣武村正義君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(武村正義君) 平成七年度予算につきましては、去る三月二十二日という早い時期に成立を見、既に着実な執行がなされているところでありますが、今般、さきに決定されました緊急円高・経済対策を受けて、阪神・淡路大震災からの復旧・復興事業等を盛り込んだ平成七年度補正予算を提出することとなりました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要を御説明申し上げます。
 まず、最近の経済情勢とさきに決定されました緊急円高・経済対策について申し述べます。
 我が国経済は、個人消費や生産活動の増加に加え、企業収益の改善が見られるなど、緩やかながら回復基調をたどっているものの、最近の急激な為替レートの変動は、我が国経済の先行きに重大な悪影響を及ぼすおそれがあります。
 このような事態に対処するため、我が国としてみずから緊急にとり得るあらゆる措置を内容とする緊急円高・経済対策を決定いたしました。本対策におきましては、阪神・淡路大震災からの復旧・復興事業等を盛り込んだ補正予算の編成など機動的な内需振興を図るほか、規制緩和推進計画の前倒し実施、輸入促進の具体策、円高メリット還元策、中小企業対策等円高による影響への対応、経済構造改革の推進、金融機関の不良債権の早期処理、証券市場の活性化策等、実効性のある各般の施策を盛り込んでおります。
 また、金融政策の面では、先般、公定歩合の第八次引き下げが実施され、その水準は史上最低の一・〇%となっております。
 このような幅広い諸施策が相まって、我が国経済の先行きに対する不透明感を払拭し、現在の回復基調をより確実なものにすると考えております。
 なお、対策に盛り込まれた輸入促進税制の拡充などの税制上の措置につきまして、租税特別措置法の一部を改正する法律案を提出し、御審議をお願いすることとしております。
 さらに、さきにワシントンで開催されました七カ国蔵相・中央銀行総裁会議におきましては、最近の為替レートの変動は、基礎的な経済条件によって正当化される水準を超えており、こうした変動を秩序ある形で反転させることが望ましいという点で通貨当局間の共通の認識を確立したところであります。これを踏まえ、今後とも為替市場の動向を十分注視し、関係各国と緊密に連絡をとりつつ、為替相場の安定に努力してまいります。
 今般提出いたしました平成七年度補正予算の大要について申し上げます。
 今回の一般会計補正予算につきましては、歳出面において、ただいま御説明いたしました緊急円高・経済対策の一環として、阪神・淡路大震災等に対応するために必要な経費一兆四千二百九十三億円を計上するほか、地震災害等の防止のため緊急に対応すべき事業に必要な経費七千九百億円、科学技術・情報通信振興特別対策費三千二百五億円、円高対応中小企業等特別対策費七百三億円、輸入促進関係経費五百八十八億円等を計上しております。また、最近における新たな類型の犯罪の発生に対応し、捜査・警備体制を緊急に強化するために必要な経費三百二十八億円等を計上しております。なお、税収の減少に伴う地方交付税交付金の減額三百七十八億円に対し、同額の地方交付税交付金の追加を計上しております。
 他方、歳入面においては、租税及び印紙収入について阪神・淡路大震災への税制上の対応及び今回の対策に盛り込まれた税制上の措置を実施することに伴う減収見込み額一千三百八十億円を減額するとともに、その他収入三百八十一億円の増加を見込んでもなお不足する歳入について、やむを得ざる措置として公債の追加発行二兆八千二百六十億円によることといたしております。
 なお、追加発行する公債のうち二兆二千六百二十二億円が建設公債、五千六百三十八億円が特例公債となっております。特例公債の発行等につきましては、別途、平成七年度における公債の発行の特例に関する法律案を提出し、御審議をお願いすることといたしております。
 この結果、平成七年度一般会計補正後予算の総額は、歳入歳出とも当初予算に対し、二兆七千二百六十一億円増加して、七十三兆七千百二十二億円となっております。
 以上の一般会計予算補正等に関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算につきましても所要の補正を行うこととしております。
 財政投融資計画につきましては、阪神・淡路大震災からの復旧・復興事業及び地震災害等の防止のために緊急に対応すべき事業の実施のため、この補正予算におきまして、住宅金融公庫等九機関に対し総額五千五百二十五億円の追加を行うこととしております。
 以上、平成七年度補正予算の大要について御説明を申し上げました。
 何とぞ、関係の法律案とともに御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。(拍手)
#31
○議長(原文兵衛君) ただいまの演説に対する質疑は次会に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時五十八分散会
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ソース: 国立国会図書館
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