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1995/05/24 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 本会議 第25号
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1995/05/24 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 本会議 第25号

#1
第132回国会 本会議 第25号
平成七年五月二十四日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十五号
  平成七年五月二十四日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(オウム真理
  教関連事件について)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 以下議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 広中和歌子君から海外旅行のため来る二十八日から十一日間の請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(原文兵衛君) 日程第一 国務大臣の報告に関する件(オウム真理教関連事件について)
 野中国務大臣から発言を求められております。発言を許します。野中国務大臣。
   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(野中広務君) オウム真理教関連事件について御説明申し上げます。
 本年三月二十日、地下鉄車両内においてサリンを発散させ、多数の方々を死に追いやり、あるいは負傷させるという未曾有の事件が発生いたしました。まずもって、亡くなられた方々に心からの御冥福をお祈りいたしますとともに、負傷された方々にお見舞いを申し上げる次第であります。
 本事件は、朝のラッシュ時間帯をねらい善良無事な市民を無差別に殺傷するという日本の犯罪史上例のない悪質きわまりない犯行であり、国民に多大の不安と脅威を与えたものであります。
 我が国が誇る安全をまさに根底から揺るがしかねない事態を目の当たりにし、警察においては、早期全面解決を目指して全国警察の総力を挙げて不眠不休で懸命に捜査に取り組んでまいりました。
 このような徹底した捜査の結果、本事件がオウム真理教関係者による組織的な犯罪であることを解明し、五月十六日早朝を期して教団の幹部らを逮捕するという段階を迎えることができたところであります。
 オウム真理教に対する捜査はこのような新たな局面に入ったところでありますが、これは全容解明への一つのステップにすぎないのであり、今後とも事案の解明のため徹底した捜査がなされるものと確信しております。
 その他、同教団が組織的に敢行したと見られる逮捕監禁事件や武器等の製造容疑など幾多の犯罪容疑があることから、それぞれの事件についても捜査を完遂し、事案の全容を明らかにして、国民の皆様に安心していただけますよう重ねて督励してまいる所存であります。
 次に、再発防止についてでありますが、今申し上げた捜査活動に加え、これまで警察においては、連日、通常勤務員に加えまして数万人の警察官を動員し、公共交通機関や行楽地等多数の人が集まる場所に対して厳重な警戒措置を実施してきたところであります。
 また、公共の安全を確保する観点から、サリンを使用した犯罪を有効に取り締まるため、国会の深い御理解により、早期にサリン等による人身被害の防止に関する法律を成立をさせていただいたところであります。
 さらに、村山総理の指示により、サリン使用犯罪の再発を防止するとともに、サリン使用犯罪が発生した場合の迅速的確な措置を講ずるために設置されましたサリン問題対策関係省庁連絡会議を中心に、各関係省庁との緊密な連携のもと、政府一体となった諸施策の推進に取り組んできたところであります。今後とも、捜査の進展を見守りつつ、引き続き警戒措置を継続し、万全を期することとしております。
 これまでの事態の推移を振り返りますと、警察は、オウム真理教をめぐる疑惑の真相を一刻も早く解明してほしいとの国民の期待にこたえつつあるものと認識をしております。
 警察職員にありましては、国民の安全を守るという崇高な使命を達成するため、厳しい環境のもとで疲労こんぱいになりながらも、積極果敢に、かつ士気高く捜査や警戒活動に従事しているところであります。
 そして、このような警察活動はひとえに国民の皆様の御理解と御協力に支えられたものであり、国家公安委員会委員長として、国会の皆様はもちろん、国民の皆様に感謝を申し上げるものであります。
 なお、オウム真理教との関連は現時点では明らかではありませんが、いわゆる松本サリン事件、警察庁長官狙撃事件、地下鉄丸ノ内線新宿駅構内における殺人未遂事件等、法秩序に対する重大な挑戦とも言うべき事件の発生も見ており、こうした現下の厳しい情勢のもと、国家公安委員会委員長といたしまして、良好な治安の確保のために今後とも全身全霊を傾け職務に精励してまいる所存でありますので、国会の皆様はもちろんのこと、関係諸機関、国民の皆様の御理解をいただきますことを心からお願いを申し上げる次第であります。
 以上申し述べ、御報告といたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(原文兵衛君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。下稲葉耕吉君。
   〔下稲葉耕吉君登壇、拍手〕
#8
○下稲葉耕吉君 私は、自由民主党を代表し、ただいま国家公安委員会委員長より報告のありました、いわゆる地下鉄サリン事件について、総理並びに関係閣僚に若干の質問をいたしたいと思います。
 質問に先立ち、不幸にもこの事件の犠牲となられた十二名の方々の御冥福を改めてお祈りいたすとともに、御遺族やいまだ入院加療中の方々にこの場をかりて心からお見舞いを申し上げます。
 ただいま御報告のとおり、警察は、去る五月十六日、オウム真理教の教祖麻原彰晃容疑者等を実に事件発生以来五十八日目に逮捕いたしました。これを契機に捜査は一段と前進するものと思われます。
 多くの国民の協力と激励のもと、警視庁を初め全国の警察が、単に刑事、警備、公安部門のみならず、その組織の総力を挙げ、昼夜の別なく、あらゆる困難を克服し、さらには捜査員等の家族に対する嫌がらせにもめげず、重要犯人の逮捕にまで到達し、本日の中間報告を迎えることができましたことに対し、まず心からその御労苦に対し敬意と感謝の念をあらわし、質問に移りたいと思います。
 まず、広域捜査、情報収集のための体制の整備についてでございます。
 今回の一連の事件の捜査は、目黒公証人役場の仮谷さん拉致事件の捜査を突破口とし、オウム真理教の全国関係箇所の捜索へと発展し、地下鉄サリン事件の解決へ向かったと思います。
 しかし、事件の展望がおおむね判明した現在の時点で検討した場合、注目を要するのは、オウム真理教が関与し、あるいは関与しているのではないかと思われる事件は、それまでも、例えば昨年六月、死者七名と多数の負傷者を出した松本サリン事件、さらには関東、中部、関西、九州で発生した逮捕監禁、誘拐事件など、全国の多くの都府県で発生しているという事実であります。
 現在の警察法では、都道府県警察はそれぞれの公安委員会の管理のもとに独立した運営がなされており、それぞれの警察は相互に協力する建前になっております。
 私は、戦前の治安維持法を連想させるような、時の政府の指令一本で動く全国的警察組織を望むものではありませんし、政治権力の直接の関与を避けた現在の国家公安委員会の管理のもとにある警察の制度を高く評価するものでありますが、今回の一連の事件を見る場合、タイムリーな総合的情報の収集と分析によって、オウム真理教の犯罪の実態解明がもっと効率的にもっと早く進んだのではないかと憂うるものであります。
 このような立場から、都道府県の枠を超え今後の犯罪情勢に対応し捜査情報の収集分析を図る組織、体制を整備し、これらの事案に対応する必要があるのではないかと思われますが、この点について総理、国家公安委員会委員長の答弁を求めます。
 次に、世界で一番平和で安全な都市東京と言われ、日本の治安のよさを私たち日本人は世界の人たちに誇りとしてまいりました。政治、経済、文化などあらゆる社会活動の根幹に平和と安全があることは当然のことだとだれしも知ってはいても、私たち日本人は、あたかも空気みたいに余りそのありがたさを今日まで実感していなかったのではないでしょうか。今回の事件は、それに対する警鐘の乱打であったと思います。私たちは、この基本に立ち、この事件を契機として問題解決に真剣に取り組むべきだと思います。
 日本の科学水準は、総じて今や世界的なものであります。原子力にしても、それを例えば電力のように人類の幸福のために使用すべきでありますが、それを兵器として使用すれば人類の破滅につながります。
 今回の事件は、まさに一流大学をおえた専門家集団によって科学が悪用され、サリンが生成され、それが使用された事件であり、高度の科学知能犯罪とも言うべきものであります。
 捜査は、相手より一歩も二歩も先を行く必要があります。科学捜査体制を質的にも確立し、人員のみならず装備資機材も整備充実しなければ、おくれをとります。また、犯罪の広域化、スピード化、巧妙化ということが言われて久しいですが、ここ四年間、それに対応する警察官の増員は一名もされておりません。
 重大な事件が発生してからの手当てはだれでもやれますが、平穏な社会生活の確保という基本に要するコストは平素の手当てが大事で、それは我々政治家の責任と思います。総理、国家公安委員長のこれらの点についての見解を承ります。
 去る四月三日の予算委員会において、私は、地下鉄サリン事件に関係ある十数省庁の名前を挙げ、その省庁が一致して協力するよう総理に指導力の発揮をお願いいたしました。総理は、直ちに内政審議室を取りまとめ役として関係省庁の会議を設け、会合を重ね、対策を練っておられることは承知いたしておりますし、うれしく思っています。私は、今やその総合力の発揮が重要な段階に来ていると思います。
 オウムの信者で出家に際し全財産をお布施として失った人が脱会を決意し社会復帰しようとするとき、まず困ることは、帰るべき家もなく職業もないことでしょう。また、マインドコントロールされた人、特に幼児等の処遇の問題等もありましょう。
 今から次々といろんな問題が出てきて対応を迫られることになりますが、これらについての内閣の見解を求めます。
 次に、宗教法人法上の問題について、二点、文部大臣にお伺いいたします。
 一つは、オウム真理教の解散問題についてであります。
 報道等によれば、裁判所に解散請求の時期は起訴を一つのめどとしておられるようにうかがいますが、そのように認識してよいのでございましょうか。
 その際の適用条項は、宗教法人法八十一条一項一号の「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」なのか、二号の「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと」なのか、その両方なのか。その適用によって今後の展開に影響があると思われるので伺います。
 もう一点は、現行宗教法人法そのものの改正の問題であります。
 文部大臣は、宗教法人審議会にその点を諮問されました。当然のことと思います。十八万数千の宗教法人の関係者のほとんどの方々は、今回の事件を苦々しく思っておられることと思います。
 憲法で保障された信教の自由は守らねばなりません。したがって、その取り扱いについても慎重でなければなりません。
 しかし、宗教法人の認証のときに厳格であれば、その後は何をしようと全く関知するものではないという現行の制度がよいとは思いません。認証した東京都の知事が、山梨県上九一色村にその宗教団体の施設があるのかないのか、宗教活動以外のどのような行為をやっていても認証した以上知らなくてもよいのだという現行の制度に、私は問題があると思います。
 宗教法人を隠れみのにして反社会的行為に走ったり法令に違反しても、認証した文部大臣や知事は知るべき立場にないということでは、何のための認証かと言いたくなります。この点について、審議会のめどを含め文部大臣に伺います。
 地下鉄サリン事件は、麻原容疑者の逮捕により事件解決の入り口について一つの節目を迎えたことは事実ですが、未逮捕者も多数いるとうかがっております。一つ一つの小さな証拠を丹念に発見し、地道に積み上げ、社会正義実現のため真実を追及していく捜査はなかなか困難で苦労の多いものでしょうが、いよいよ本番に入った段階だと思います。
 さらに、坂本事件、松本サリン事件、仮谷事件、そして國松警察庁長官銃撃事件など、解決せねばならない事件はまだ多くあります。
 本事件は海外に大きな波紋を投げかけており、来月開催されるカナダのハリファクス・サミットにおいて総理はテロの防止対策についてどのように提唱をされていくのか、方針をお聞かせください。
 最後に、中間報告を機として、これら事件全体の解決と本件を取り巻く問題処理に臨む政治の最高責任者としてめ総理の決意を伺い。私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(村山富市君) 下稲葉議員の質問にお答えを申し上げたいと存じます。
 都道府県の枠を超え捜査情報の収集分析を図る組織、体制を整備する必要があるのではないかとのお尋ねでございますが、国民の安全で平穏な生活を確保するために新しい犯罪情勢に常に的確に対応し得る警察組織を確立していくことは、極めて重要なことと考えております。今回の一連の事件の捜査経過を踏まえ、警察においては捜査情報の収集分析のための組織、体制について必要な検討がなされるものと認識をいたしております。
 次に、科学捜査体制の確立並びに装備資機材の整備充実を図るべきではないかとのお尋ねでございますが、今回の地下鉄サリン事件においては、オウム真理教幹部らが高度の科学知識を悪用してサリンを生成し無差別殺人を敢行した悪質きわまりない犯罪であります。
 今般の補正予算において装備資機材について所要の措置を講じたところでございますが、今後とも、このような科学知識を駆使した凶悪犯罪に対しましてより的確に対応するために、科学捜査体制の整備、装備資機材の充実についてこれからも配慮してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、警察官の増員についてのお尋ねでございますが、法秩序に対する重大な挑戦とも言うべき凶悪な犯罪が続き、国民生活に不安が生じていることは憂慮にたえません。良好な治安は世界に誇るべき我が国の最も貴重な財産とも言うべきものであり、これを守るために今後とも全力を尽くしてまいる所存でございます。このために必要な警察体制の整備につきましては、十分に検討していく必要があると考えております。
 次に、信者の社会復帰等についての御質問でございますが、罪のない善良なオウム真理教信者の方々が一日も早くもとの落ちついた生活を取り戻すことができるよう願っております。
 政府といたしましても、幼児等の処遇を含む諸問題に的確に対応するため、信者の方々の置かれておる困難な状況の把握を含め、講ずべき必要な措置について既に各種検討を始めているところでございますが、今後、これらの検討状況も踏まえ、関係省庁連絡会議の開催や、必要に応じて関係自治体とも十分連携をとるなど、政府としての取り組みを推進してまいりたいと考えておるところでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
 次に、地下鉄サリン事件に見られたようなテロ問題に関するサミットにおける取り組みについてのお尋ねでございますが、地下鉄サリン事件が海外において大きな関心を持って受けとめられているのは御指摘のとおりでございます。ハリファクス・サミットは、本件を含めテロ問題全般について各国が確固たる姿勢で対処し、テロ対策についての協力を進めていくべきことを確認するための貴重な機会と考えております。各国首脳との間で有意義な意見交換が行われることを期待しておるところでございます。
 次に、事件全体の解決と本事件を取り巻く問題処理に関するお尋ねでございますが、地下鉄サリン事件を初めオウム真理教幹部らによる種々の犯罪容疑事案については、現在、警察当局において関係被疑者を逮捕するとともに、全容解明に向け、御意見にもございましたように、懸命に捜査に取り組んでおり、着実に成果を上げているものと承知をいたしております。
 御指摘のように、本件を取り巻く問題は広範多岐にわたっておりますが、今後、捜査当局における全容解明とあわせ、問題解決のために政府が一体となって対処してまいる所存でございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(野中広務君) 下稲葉議員の私に対する御質問にお答えをいたします。
 都道府県の枠を超え捜査情報の収集分析を図る組織、体制を整備する必要があるのではないかとのお尋ねでございますが、ただいま総理の答弁もあったところでありますが、オウム真理教関連事件につきましては、警察庁において所要の調整を行いますとともに、関係都道府県警察におきましても緊密な連携のもと情報交換を行うなど、効率的な捜査に努めてきたところであります。
 今後一層の広域化が予想される犯罪情勢により効果的に対応するために、御指摘の点も踏まえまして、その組織、体制について所要の検討を行ってまいりたいと存じております。
 次に、科学捜査体制の確立並びに装備資機材の整備充実を図るべきではないかとのお尋ねでありますが、警察におきましては、これまでも科学捜査体制、装備資機材の充実に努めておるところでありますが、今回の地下鉄サリン事件を踏まえまして、科学的知識を要する犯罪捜査をより的確かつ迅速に推進するため、人員、装備、体制の面においても、村山総理の指示のもと関係省庁の御理解を得て具体的な検討に入っており、今後必要な人材の養成・確保、装備資機材の充実など、捜査体制の整備に努めてまいる所存であります。
 次に、地方警察官の増員についてでございますが、ただいま総理の御答弁もございましたけれども、御承知のように、臨時行政改革推進審議会による原則凍結の答申や厳しい財政事情等を考慮し、可能な限り今日まで抑制しているところでございます。
 各種警察におきましては、その警察需要は増加の一途をたどっており、治安情勢は年々厳しい状況を増しておるわけでございますが、とりわけ、最近、いわゆる地下鉄サリン事件や警察庁長官狙撃事件など、法秩序に対する重大な挑戦とも言うべき凶悪な犯罪が続き、国民生活に不安が生じていることは憂慮にたえないところであります。
 このような治安情勢に的確に対処し、国民の不安を解消するとともに良好な治安水準の維持を図ることは警察に課せられた責任であり、そのためにも、必要な体制の整備につきまして、先ほど申し上げましたように、関係機関の御理解を得て具体的に取り組んでまいりたいと考えておるところであります。(拍手)
   〔国務大臣五十嵐広三君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(五十嵐広三君) 申すまでもなく、凶悪な犯罪に対しましては厳しく対処しなければなりませんが、他方、深く心に傷を受けたオウム真理教信者の方々が社会復帰しもとの落ちついた生活を取り戻すことができるようにするのも、大変大事なことであります。そのためには、ただいま御指摘をいただきましたとおり、就労、医療、住居、あるいは幼児の処遇等、さまざまな問題にしっかり対処していかなければならないと存じております。
 それらの問題を解決し、社会復帰しようとする信者の方々が置かれ、また抱えているであろう種々の問題についてどのような措置が必要であるかということで、サリン問題対策関係省庁連絡会議において会議を重ね、現在検討を進めているところでございます。
 今後は、これらの検討状況を踏まえて、引き続き各省庁十分な連携をとるとともに、また関係自治体とも連携をとりまして、政府としての総合的な対策に遺憾のないようにしてまいりたいと考えます。また、社会全体としても御協力をいただくことが不可欠でございますので、国民の皆様の深い御理解をこの機会にお願い申し上げる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(与謝野馨君) まず第一に、オウム真理教の解散命令の請求時期の御質問ですが、宗教法人の代表役員たる者が報道されているような重大犯罪に関与していたということであれば、解散命令の請求を行う必要があることは論をまたない状況であると考えます。
 しかしながら、裁判所へ解散命令を請求するためには解散命令の請求に必要な資料の収集等が必要であり、麻原代表の逮捕後、直ちに具体的に関係機関との間で準備を行うよう指示したところであります。麻原代表の起訴後、できるだけ速やかに解散命令の請求を行うべきものであると考えております。
 次に、宗教法人法八十一条の適用条項の御質問ですが、お尋ねの件については、宗教法人の代表役員たる者が逮捕容疑である殺人罪等の重大犯罪に関与していたということであれば、宗教法人法八十一条一項一号を適用すべき状況であると考えられますので、その方向で解散命令の請求を行うことについて関係機関との間で現在検討を行っているところでございます。
 最後に、宗教法人制度の改正問題についての御質問ですが、オウム真理教事件を契機に、宗教法人制度について国会等において種々の議論が行われ、宗教法人の所轄庁のあり方や認証後の活動状況の把握などについて問題点が指摘されているところであります。下稲葉議員の御指摘はまさに的を射ているものと考えております。
 現在、宗教法人審議会において、これら制度上の問題について検討を行っていただいております。この問題は、信教の自由や政教分離原則にかかわる問題であり、慎重な検討が必要でありますが、できるだけ早期に取りまとめをいただきたいとお願いしているところでございます。(拍手)
#13
○議長(原文兵衛君) 大脇雅子君。
   〔大脇雅子君登壇、拍手〕
#14
○大脇雅子君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表し、ただいま国家公安委員長からありました御報告に関して御質問申し上げます。
 まず、昨年六月の松本サリン事件、ことし三月二十日の地下鉄サリン事件でお亡くなりになられた方々に深く哀悼の意を表し、御遺族の方々にお悔やみ申し上げます。また、この二つの事件、さらには横浜の有毒ガスによると思われる事件等で負傷された皆様にお見舞いを申し上げますとともに、今なお療養中の皆様につきましては、一日も早く全快されることを祈念いたします。
 そして、この一連の事件の渦中、人命救助に当たられて殉職され、また負傷された地下鉄職員、消防職員、警察官の皆さんに深く敬意を表するものであります。
 東西冷戦構造のもとで軍事大国の化学兵器の研究は驚異的に進歩し、一九七〇年代には、二つの低毒性の化学物質を装てんして化学反応を起こして致死性の神経ガス・サリンを発生させる兵器、バイナリーと言われる二成分兵器が開発されました。
 オウム真理教は、こうした軍事的技術の考え方を用いてサリンの前段階物質を生成し、使用の直前に化学反応を起こしてサリンの合成をしたと言われております。国民の受けた不安と脅威ははかり知れないものがあります。
 五月二十三日、オウム真理教団は破壊活動防止法の調査団体に指定されたとのことですが、その理由及び適用の要件について法務大臣にお尋ねをいたします。
 また、化学兵器に関する情報が自衛隊より流れたという新聞報道がありますが、情報管理はどうなっているのでしょうか。防衛庁長官にお尋ねいたします。
 人類の生存に危害を加えるおそれのある化学物質については、化学兵器禁止法、サリン等による、人身被害の防止に関する法律等の諸法令がございますが、所轄官庁別の管理の壁を取り払い、輸出入規制や届け出制を徹底するなど、総合的な管理規制の法制度を早急に確立する必要があると考えます。総理の御所見をお伺いいたします。
 一連のテロ行為は、民主的な法秩序に対する公然たる挑戦として、適正な手続のもとで処罰されなければなりません。しかし、今回の捜査に関しては微罪逮捕が問題になっています。確かに、前例のない国民一般に対する危険であり特殊案件として今回だけは超法規的対処が許されるべきであるという考え方もあります。しかしながら、平和な日常の中でたとえ異常事態が発生したとしても、憲法と国際人権法上の確立された適正な手続、国際人権規約B規約九条、十条等は我が国の刑事諸法規とともに厳正に遵守されなければならないと思います。市民一般の基本的人権侵害に対する不安を逆に惹起することのないようお願いいたします。総理、法務大臣、国家公安委員長の答弁を求めるものであります。
 国民は、今、事件をめぐるメディアの情報洪水の中にあって、いかなる情報を信じてよいかわからない状態にあり、捜査機関である検察や警察からの的確な情報の開示を求めております。国民に不安や混乱を与えることのないよう、できる限り時を失せず、捜査当局は国民に対し、可能な限りの情報を開示されるよう御検討を要請いたします。この点、法務大臣、国家公安委員長にお伺いいたしたいと思います。
 また、横浜の坂本弁護士一家、仮谷さん等の拉致事件について捜査はどのようになっているのでしょうか。国家公安委員長の御見解をお伺いいたしたいと思います。
 オウム真理教の活動はオーストラリア、ロシア、ドイツ、アメリカにも及び、多くの疑惑を生んでおります用地下鉄サリン事件等は世界に驚愕と不安を巻き起こしております。民主主義に挑戦するテロ行為に対して、我が国は、厳然たる態度で臨む旨を表明し、国際的に各国に協力を求めて情報を収集し、再発防止に向けて、国境の壁を取り払い、各国と連携を強化していく必要とその責任があるのではないでしょうか。総理大臣にお尋ねをいたします。
 今、このような事件発生をめぐって、危機管理体制の強化と宗教法人法の見直しが問題になっております。しかし、危機管理体制の確立て政治が免責されることはありません。私は、このような事件の発生は、命と人権を尊重するという日本社会の持つ規範力が低下しつつある傾向に対する大きな警鐘と受けとめる必要があると考えています。今後必要なことは、経済発展を優先した中で人間の魂を忘れた技術への熱狂と暴力を生んだ日本社会の土壌に目を向け、個人の尊厳、自由と民主主義という市民社会のルールを一層強固なものにするため、教育、政治、経済、家族のあり方など、さまざまな次元から検証を行うことではないでしょうか。市民社会のルールの確立こそ、私たちの社会の安全と自由を確保する唯一の方法であると信ずるものであります。
 最後に、真相の徹底した早期解明と国民の安全確保、及び、今なお耐えがたい恐怖の中で深く傷ついた被害者の救済措置のために、総理と国家公安委員長の御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(村山富市君) 大脇議員の質問にお答えを申し上げたいと存じます。
 化学物質の管理のあり方についての御質問でございますが、化学物質の不正な使席を防止し国民生活の安全を守るためには、毒物及び劇物取締法や、国会の皆さんの御協力もいただき先般施行されました化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律、及びサリン等による人身被害の防止に関する法律を厳正に運用することが必要でございます。
 このため、平成七年四月十九日に行いましたサリン問題対策関係省庁連絡会議における申し合わせにおきましても、サリンの原料となり得る物質の管理等につきましては、適正な保管・管理等を一層徹底するための対策等を講じることといたしたところでございます。今後の対応につきましては、警察の捜査結果や、流通実態の調査を行っておりますが、その結果等を踏まえ、現行法の趣旨、目的を勘案しつつ、必要に応じて適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、いわゆる微罪事件による逮捕についてのお尋ねでございますが、捜査は法令の定めるところに従い適正に行われなければならないのは当然でございます。今回のオウム真理教関係者による事件につきましても、憲法や市民的及び政治的権利に関する国際規約の趣旨にのっとり、法律の定めに従った適正な捜査が行われているものと承知をいたしております。
 次に、国際的な協力による犯罪防止の必要性についてのお尋ねでございますが、オウム真理教の海外での活動につきましては、現在、関係当局において係官を派遣するなどしてその実態を明らかにするための努力が行われているものと承知をいたしております。世界各国もオウム真理教の活動実態には重大な関心を有しているところでございまして、今後とも、関係各国と緊密な連携を図りつつ、実態の解明と違法事案の発生防止に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、地下鉄サリン事件等のオウム真理教関連事件についてのお尋ねでございますが、これらの事件は善良な市民を無差別に多数殺傷するなど悪質きわまりない犯行であり、国民に多大の不安と脅威を与えたものでございます。これまで警察の懸命な努力によりまして捜査は着実な成果を上げているものと考えておりますが、今後、引き続き警察における徹底した捜査により残存サリンの有無をも含め事案の全容が解明され、国民の不安が早期に解消されねばならないものと確信をいたしております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(野中広務君) 大脇議員の御質問にお答えをいたします。
 化学物質の管理のあり方についての御質問でございますが、ただいま総理から答弁をされたところでありますが、警察におきましては引き続き厳正な取り締まりを推進いたしますとともに、今後におきましても、サリン問題対策関係省庁連絡会議等の場を通じてより効果的な施策について十分な検討が進められていくものと考えておるところでございます。
 いわゆる微罪事件による逮捕についてのお尋ねがございましたが、現在、警察におきましては、国民の不安を一刻も早く解消するための昼夜を分かたぬ懸命の捜査に取り組んでおるところでございまして、被疑者を検挙するに際しましては、事案の具体的な状況にも即して、法の定めるところに従い適切な判断がされているものと承知をしております。したがって、警察のこのような捜査活動は、憲法や市民的及び政治的権利に関する国際規約の趣旨にのっとったものであり、議員御承知のとおり、国民の御理解を賜っておるものと認識をしております。
 坂本弁護士一家に関する事件等についてのお尋ねでありますが、警察におきましても本事件は大変重大なものと受けとめておりまして、即刻神奈川県警に捜査本部を設置して今日まで全力を挙げて事件の解明に向けて取り組んでいるところでございますが、いまだ解明に至っておらないことはまことに残念なことでございます。警察におきましては、本事件についても各都道府県警察の連携を密にして捜査を進めてきたものでありますが、今後とも広域捜査力のより一層の強化について十分検討してまいりたいと存じておるところであります。捜査で判明した事実の公表に関するお尋ねでありますが、捜査における秘密の保持と国民への公表の要請については、常にその調和が図られることが肝要であると考えております。警察におきましては、捜査の過程で判明した事実があって国民に公表することが有益であると認められる事項につきましては、捜査活動等への影響を配慮しながら、捜査の節目節目で、例えば国会の委員会におきまして私を初め担当局長が御答弁を申し上げ、また警察庁におきましては定期的に警察庁次長が記者会見をし、可能な限り公表を行っているつもりであります。また、内閣とされましては、内閣官房長官が適時記者会見をされておるところでもございます。しかし、議員御承知のように、報道におきましてはワイドショー等が常に優先をされまして、十分国民に私どもの報道が伝わらないことはまことに残念に思うところでありますけれども、今後も国民に対する必要な公表は私どもは十分措置していくべきであると承知をしておるところでございます。
 地下鉄サリン事件等の真相の早期解明についてのお尋ねでありますが、本事件は国民生活の基盤である治安の骨幹を揺るがしかねない重大なものであると受けとめ、警察におきましては昼夜を分かたず懸命な捜査が行われてきたところであります。この結果、教団幹部多数を逮捕し、オウム真理教をめぐる犯罪の捜査が進展しているところでありますが、一刻も早く全容を解明して国民の皆様に安心していただけますよう、引き続き督励をしてまいりたいと存じております。(拍手)
   〔国務大臣前田勲男君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(前田勲男君) 大脇議員にお答えを申し上げます。
 まず、オウム真理教を公安調査庁において調査対象団体に指定した理由及び団体規制の要件についてでございますが、今回の一連の事件に関しましては、公安調査庁におきまして公安上憂慮すべきものと認識をいたしまして重大な関心を持って情報収集に努めてまいりましたが、オウム真理教が団体として事件に関与した疑いがありまして、公安調査庁長官において同団体を調査対象団体に指定したものでございます。
 また、団体規制の要件は、団体の活動として暴力主義的破壊活動が行われ、さらに将来、継続または反復してこれが行われるおそれが明らかであると認めるに足りる十分な理由がある場合とされております。
 次に、犯罪捜査におきましては適正手続が守られるべきであるという御指摘でございますが、犯罪捜査が法令の定めるところに従い適正に行われなければならないのは当然のことでございます。オウム真理教関係春による一連の事件につきましては、事案により、組織的な背景事情等も含めて捜査を尽くす必要があり、捜査当局はこうした点も考慮しつつ、憲法等の趣旨にのっとり、法令に従って適切に判断しているものと承知をいたしております。
 次に、オウムに関する一連の事件につきまして可能な限り適宜適切な情報を公開すべきではないかとのお尋ねについて申し上げます。
 捜査当局は、関係者の名誉・人権の保護、裁判に対する不当な影響の防止、あるいは捜査一般に対する国民の協力の確保等の観点から、その秘密の保持に徹し、慎重かつ細心の注意を払いつつ捜査に臨んでいるところであります。具体的事件における捜査の内容やその結果の詳細について公表できる範囲にはおのずと限界があるところでありますが、捜査当局におきましては、この種の事件の真相解明のためには国民の御理解や協力を得ることが不可欠であるということを念頭に置きながら、適切に対処しているものと理解をいたしております。(拍手)
   〔国務大臣玉沢徳一郎君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 大脇議員の御質問にお答えいたします。
 陸上自衛隊の二等陸尉がオウム真理教関係者に渡した内部資料の中には)化学兵器に関する資料というよりは化学武器の防護に関する資料が含まれていると考えております。この資料は秘に該当するものではありませんが、重要な内部資料であり、このような資料が漏えいしたことはまことに遺憾でありまして、調査の上、厳正な処分を行う考えであります。
 防衛庁におきましては、従来より部内における文書等の保全・管理を含め、自衛隊における情報の管理に努めているところでありますが、今回の事案にかんがみ、隊員に対する秘密保全等の教育及び服務規律の徹底を図り、情報管理に万全を期してまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(原文兵衛君) 平野貞夫君。
    〔平野貞夫君登壇、拍手〕
#20
○平野貞夫君 平成会を代表し、ただいま報告がありましたオウム真理教関連事件に関して、我が国の危機管理問題を中心に質問をいたします。
 まず、この事件で犠牲者となられた方々に心から哀悼の意を表し、負傷された方々にお見舞いを申し上げます。また、日夜この事件の捜査や再発防止に当たられている方々の御労苦に対し、心から感謝し敬意を表するものでございます。
 この事件に関する政治の責任は極めて重大であります。政治全体で反省すべきは反省し、党派を超えて再発防止のための危機管理体制を確立すべきであると思います。
 それにつけても、村山総理、あなたは一連の捜査に対して、際どい別件逮捕とか、サリンでなくてよかったとか、危機管理の最高責任者にあるまじき不見識、無責任きわまりない発言を繰り返しました。これは、訂正とか陳謝で済まされる問題ではありません。
 村山総理にお伺いしますが、あなたは責任を果たしていると思っているんですか。この事件で、閣僚レベルの対策本部をどうして設置しなかったんですか。また、事務レベルの関係省庁連絡会議に公安調査庁が入っていないのはどういうわけですか。公安事件としての認識が政府に欠如していたのではないかと思います。
 今、一番大事なことは、この事件をどのように認識し、どう対処するかということだと思います。
 この事件は、世界を震憾させました。今でも震撼させております。国際社会は、この事件を発生させた現代日本社会に不安と危惧を表明し、いら立ちを持って我が国を見詰めているのです。
 オウム真理教団の実態は、反体制的主張を行い、憲法の権利を拡大して解釈し、疑似国家的な機構を持ち、ハイテクを活用し入手可能な化学薬品による大量殺りく兵器や銃をも製造し、武装集団を組織化していたことでございます。
 地下鉄サリン事件は、最も多くの人が集まる場所と時間帯を選び、大量の死傷者が出ることを前提にしている点で、オクラホマの米連邦ビル爆破テロと共通したものがあります。これまでにないテロでございます。諸外国の専門家は、大量殺りくそのものを目的とした新しいテロの時代に入ったと指摘しております。これは米ソ冷戦終結後の地域紛争とは別のもので、人類社会に対する新しい残酷な挑戦であります。
 これからの国家社会への侵略、攻撃行為は、こういった形をとる場合が予想されます。このような視点で今回の事件を認識すべきではないでしょうか。
 村山政権のこの事件に対する認識は極めて短絡なもので、先ほどの報告も刑事事件としての経過説明が中心でした。政府の一連の姿勢は、何かの意図があってか、宗教法人の問題にすりかえ、問題の本質を国民の目からそらそうとしているのではないかと思えてなりません。どうして国家と社会秩序を破壊する犯罪というとらえ方ができないのですか。
 この事件の背後関係が暗くて深いものであることは、国民のみならず、国際社会全体が危惧しております。サリン製造の方法、多量の生産を可能とすることが判明しただけでも、背後に不気味さを感じさせます。国際的テロ組織との関連も推測されております。多量の覚せい剤の存在も、我が国の暗黒社会とのかかわりを予想させております。
 この事件の本質を総合的に把握すれば、我が国の憲法秩序を破壊するだけではなく、世界の安全を脅かすものであることは明白であります。破防法の適用という明確な国家意思を示すべきであると思います。また、事実関係と証拠によっては、内乱罪も視野に入れて対処すべきだと思います。村山総理の御所見をお伺いします。
 六月十五日からサミットが始まります。村山総理、あなたはここでみずから発言を求めて、この事件が世界を震憾させたこと、迷惑をかけたことをわび、日本は普通の民主国家として世界が安心する危機管理体制を確立させるという決意を表明すべきだと思いますが、いかがでございますか。
 野中国家公安委員長にお伺いします。
 國松警察庁長官銃撃事件の捜査状況と背後関係について明らかにされたいと思います。
 前田法務大臣にお尋ねします。
 オウムのロシア・コネクションの中心人物で過激派集団のメンバーだったと言われる早川容疑者が、一九八七年から九四年にかけて二十一回ロシアを訪問し、うち十数回はモスクワから北朝鮮に入国しているとの報道があります。事実でしょうか、お答え願いたいと思います。
 国民は、一連の異常事件に国際的謀略があるのではないかと危惧しております。また、この事件にかかわった公務員の規律が問題となっています。信教の自由に配慮することは当然でありますが、犯罪にかかわりがあれば厳重に処罰されんことを要望します。事態に応じ、政治責任もきちっととるべきだと思います。
 現在、我が国は三つの危機に直面しております。一つはサリンなどの危機です。二つは急激な円高や金融信用不安におびえる経済危機です。三つは極東における核拡散の危機です。
 村山総理、あなたが中国から帰国後、中国は地下核実験を行いました。朝日新聞の「天声人語」でも、「傍若無人の行動」、「円借款を見直すのがよい」と主張しています。
 危機管理に関して、村山総理に調査を要請したいことがございます。三月三十日に北朝鮮が日本海側に向けて中国が開発したと見られる数発の短射程ミサイルの発射実験を行ったことは、御承知だと思います。この実験が与党訪朝団と北朝鮮側が国交正常化交渉再開に合意した同じ日の直後に行われたことに注目しなければなりません。報道によれば、三月二十九日から三十日にかけて開かれた実務者会談で、北朝鮮側はミサイルの発射角度を二度ずらせばほかの国に飛んでいくと標的を日本とした恫喝発言を行い、日本側を唖然とさせたとのことです。この発言を証明するかの実験です。国民は強い不安感を持っております。
 このような事態の中で、国際的常識の上に立った国交正常化交渉が行い得るでしょうか。村山総理、実務者会談の北朝鮮側の恫喝発言の真偽を確認する義務があなたにはあると思います。報道が事実でなければ、政府・与党の名誉にかけて抗議、告発をすべきであります。事実であれば、北朝鮮側に抗議し、反省を求めるべきだと思います。それが真の友好だと思います。村山総理、この場で調査、確認することを御答弁いただきたい。そうでなければ、あなたには危機管理体制を確立し、国民の生命、財産を守る意思がないと断ぜざるを得ません。
 サリン事件を初め、内外の非常事態は国家の存立を脅かすものであります。私はこれらの危機に対して適切な対応ができない村山首相のもどかしさに憤りさえ感じております。危機管理体制の確立ができないのなら、あなたがその地位にとどまることは国民と国家にとっての不幸であります。
 これらの危機状況は、戦後五十年にわたる現在の我が国の政治、行政、経済、文化、教育等々の空洞化がもたらしたものであります。その根本原因は、日本人の精神の崩壊、民族の魂の空洞化にあると思います。指導的立場の人たちがそれに気がついていないことが今日の日本の悲劇であります。
 事件の真相解明と再発防止対策は始まったばかりです。極めて不備な我が国の危機管理の諸制度を一日も早く整備し、国民と国際社会を安心させることが政治の緊急課題であり、改革の重要課題であると思います。本院において、党派を超えて真相の解明と危機管理体制確立のため特別委員会を設置し、政治の責任を果たすよう要望しまして、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(村山富市君) 平野議員の質問にお答えをいたします。
 閣僚レベルの対策本部が設置されなかった理由についての御質問でございますが、いわゆる地下鉄サリン事件の発生後、政府といたしましては、関係行政機関相互の緊密な連携を確保し、同種事案の再発の防止を図るとともに、被害の防止に必要な対策について実務的に検討し、具体的な対応策を取りまとめるためサリン問題対策関係省庁連絡会議を設置したところでございます。
 オウム真理教がかかわる一連の事件につきましては、現在鋭意捜査が進められており、その経過等につきましては随時報告を受けているとこうでございます。
 今後、オウム真理教をめぐっては、政府としての取り組みを一層推進していく必要もあろうと思われますので、警察の捜査結果その他状況の進展等も踏まえながら、必要があれば閣僚レベルの会議等の設置、開催も検討していきたいと考えております。
 次に、サリン問題対策関係省庁連絡会議に公安調査庁が入っていない理由についての御質問でございますが、公安調査庁は法務省の外局として設置されており、法務省刑事局長が公安調査庁を含む法務省全体の代表としてサリン問題対策関係省庁連絡会議に出席をいたしておりますことから、公安調査庁はメンバーに入っておりません。御理解を賜りたいと存じます。
 次に、オウム真理教関連事件に関し破防法及び内乱罪を適用すべきではないかとの御指摘でございますが、一連のオウム真理教にかかわると思われる各般の事案につきましては、現在検察及び警察当局が連携しながら真相究明に向けて鋭意捜査を行っているところでございます。
 オウム真理教に対する破防法の適用につきましては、検察、警察の捜査状況及び公安調査庁の調査の結果を見ながら関係当局が適切に判断することになろうかと考えております。
 また、内乱罪の適用につきましては、検察及び警察当局の捜査により事案の真相が解明された上で、検察当局において、いかなる罰条を適用するのかということを含め、法と証拠に基づき厳正な処分が行われるものと思っております。
 次に、地下鉄サリン事件に見られたようなテロ問題に関するサミットにおける取り組みについてのお尋ねでございますが、地下鉄サリン事件が海外において大きな関心を持って受けとめられているのは御指摘のとおりでございます。
 ハリファクス・サミットは、本件を含めテロ問題全般について各国が確固たる姿勢で対処し、テロ対策について協力を進めていくべきことを確認するための貴重な機会と考えております。各国首脳との間で有意義な意見交換を行えることを期待しているところでございます。
 次に、与党訪朝団と北朝鮮側との実務者会談で、北朝鮮側がミサイルの発射角度を二度ずらせばほかの国に飛んでいくと標的を日本とした恫喝的発言をしたのではないかとのお尋ねでございますが、そのような事実はなかったものと聞いております。
 また、いずれにいたしましても、政府としてはこのような報道について報道機関への抗議などということは全く考えておりません。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(野中広務君) 平野議員の私に対する質問についてお答えをいたします。
 國松警察庁長官狙撃事件につきましては、治安の最高責任者の殺害をねらった許すことのできない犯罪であります。
 事件発生以来五十日余りになりますが、警視庁において目撃者からの聞き込み等所要の捜査を鋭意推進いたしますとともに、全国警察におきましても関連情報の収集に努めているところであります。
 本事件につきましては、これまでに二百件以上の目撃情報等が寄せられておりまして、現在裏づけ捜査を実施しておるところであります。
 背後関係につきましては、捜査中でございますので、明確なことを申し上げる段階にございませんことを御了承いただきたいと存じます。
 今後ともあらゆる角度から関連情報の収集に努め、全国警察の名誉をかけ、その総力を挙げて犯人の検挙に取り組んでまいる所存であります。
 村山総理に対しましてさまざまな御指摘と御批判がございましたが、国家公安委員長として申し上げます。
 地下鉄サリン事件発生以来、村山総理は、再三再四、残酷かつ卑劣な今回の事件の再発防止、徹底した犯人検挙、全容解明を再三にわたり指示され、常に警察活動を激励され、内閣一体となった努力がようやく先日の麻原代表を初めとするオウム真理教の幹部の逮捕に至ったことを申し上げておきます。政党と政治家は、その発言に責任を持つべきであります。今回のオウム真理教とロシアとの関係について、報道によりますれば政治家とのかかわり合いが言われておりますことをお互いに銘記するべきであります。いたずらに攻撃をするだけでなく、まさしく国家的危機に瀕しておる今日の状況に与野党一体となって真剣にお取り組みをいただきますことをお願い申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣前田勲男君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(前田勲男君) 平野議員にお答えを申し上げます。
 早川容疑者が一九八七年から一九九四年にかけて二十一回ロシアを訪問したこと等に関する事実の確認についてでございますが、早川容疑者のロシア訪問回数二十一回につきましては、先生御指摘のとおりでございます。その他の点につきましては確認できておりません。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#24
○議長(原文兵衛君) 池田治君。
   〔池田治君登壇、拍手〕
#25
○池田治君 私は、新緑風会を代表して、ただいまの捜査報告に対して次の質問をいたします。
 質問に先立ち、地下鉄並びに松本市内のサリン事件、目黒公証人役場事務長及び坂本弁護士一家の拉致監禁事件、警察庁長官狙撃事件など一連の事件で亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方々に対しまして心からのお見舞いを申し上げるものでございます。
 次に、昼夜を徹して捜査に当たられた全国の警察、検察の皆様に対して敬意を表するとともに、今後なお一層の御活躍を期待する次第でございます。
 また、地下鉄内のサリンを洗浄して短時間で地下鉄を開通させた陸上自衛隊毒ガス防護班に対しましても、常日ごろの訓練のよさと素早い行動に対しまして心からの敬意を表するものでございます。
 これら一連の事件はまだ捜査中でございまして、一部の起訴があったとはいえ重要部分の起訴もないので明言は避けたいと思いますが、先ほどの捜査報告書やマスコミの報ずるところが事実とすれば、宗教団体オウム真理教は宗教のベールをかぶった犯罪団体と言わねばなりません。人類を救済する宗教団体が人類を破滅に陥れる団体化していたことは、許すことのできないことでございます。
 かような宗教団体を今後再び発生させないためには、宗教法人法の見直しも必要でございます。しかし、我が憲法は、第二十条で「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。」と規定しております。これを受けて制定された現在の宗教法人法は、第二次世界大戦中、宗教に対する国家統制を行い戦争への道を強制したことに対する反省として、宗教団体の自治を尊重した規定となっています。宗教法人法の見直しについても、宗教の自由を侵すことがあってはなりません。
 しかしながら、宗教団体といえども人間の集団であります。今回の事件の教訓として、布教活動が全国的なものや海外にまで及ぶものが都道府県単位で認証を行うのは時代に適合しないことが明らかとなりました。速やかに同法第五条を改正して国の所轄に移すべきものと考えます。
 また、第十二条では、法人設立の際、必要事項を記載して所轄庁の認証を受けることになっておりますが、この必要事項の中には、公序良俗に反したり反社会的行為をしないと認められる一項を加えて、事前事後にある程度のチェックができる規定を置くべきではないかと考えます。
 総理並びに文部大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に、公安調査庁は、宗教法人オウム真理教に対して破防法の適用を本格的に検討するため調査対象団体に指定したとのことでございます。
 宗教法人法第八十一条による解散は、宗教法人としての法人格がなくなるだけで、任意団体としての宗教活動を続けることは自由であるのに対しまして、破防法による解散指定は宗教団体としての活動が全面的に禁止されます。したがって、解散指定は短時間でかつ根本的に解散の目的が達成されることになります。
 しかし、この団体規制は、破壊活動を現に行い、また将来も同様の活動を反復、継続して行うという要件が必要で、その上に同法第三条では、団体の規制は必要最小限度に行うべきで、宗教活動、表現の自由などを不当に制限してはならないと乱用を戒める規定があること等を考えるとき、調査団体の指定は当然としても、団体規制をするには、捜査の結果や公安調査庁の調査の結果を待たなくては早急な結論を出すことは許されないと思いますが、総理並びに法務大臣の御所見をお願いいたします。
 次に、オウム真理教は、布施と称して信者に多額の金銭を要求し、土地や家屋等の不動産を寄進させたりして莫大な財産を取得しています。その総額はざっと一千億円余に上るとも言われています。このようにして蓄積されました財産は、法人が解散されると宗教法人法第五十条により最終的には国庫に帰属することになります。信者から詐欺や恐喝まがいで取得した財産は、結果として国のものとなりますが、かくては国が不当な利益を得るのではないでしょうか。脱会して社会復帰をした者に対しては残余の財産を返還すべきと考えますが、総理並びに法務大臣のお考えをお聞かせください。
 次に、サリンを製造、運搬、行使して殺人の実行行為をした者は、それぞれ有名大学の医学部や理工系大学の卒業生でございます。人間の命を救う医者や科学技術を通じて人類社会の発展と文化の発達に寄与すべき人たちが、なぜこのような残虐な行為をしたのでしょうか。
 人間のあるべき現在の姿は、遺伝的な素質と環境の所産だと言われております。遺伝的要因は別として、彼らが育った環境の一つに偏った学校教育がございます。点数中心の教育を受け、情操教育や社会道義を軽視した偏差値中心の教育の中で育ったので、円満な人格形成ができなかったものと思われます。教育の改革は、最近、叫ばれまして一層進められておりますが、なお一層の教育改革の努力が必要と考えます。総理並びに文部大臣の御所見をお伺いいたします、
 また、上九一色村の教団施設内等から保護された子供たちの今後の養育や教育をどうするつもりかについてもあわせて御答弁願います。
 最後に、今後の捜査について国家公安委員長にお伺いいたします。
 一、坂本弁護士一家・目黒公証人役場事務長事件等は、拉致監禁の疑いで、不眠不休の捜査にもかかわらず、いまだに確たる証拠は見つかっておりません。一説には、既に不幸な結果となっているのではないかという悲観的な見方をする方もあります。今までの捜査の結果からして、今後ほどのような捜査をなさるのか、方針をお尋ねいたします。
 二、警察庁長官狙撃事件につきましても、その後の捜査はどうなっているのか、捜査妨害にならない範囲で国民の前にお示し願いたいと思います。
 三、オウム真理教は、ロシアの政府高官と密接な関係にあり、高官を通じて軍用ヘリコプターその他の武器購入を計画して、その一部を実行したという情報がございますが、この真相はどうですか。ロシアヘも捜査のメスは入れておるのかどうか。
 以上の諸点をお尋ねし、今後、新たな局面を迎えた捜査がスムーズに展開することを願い、かつ再びこのような犯罪集団が発生しないことを祈って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(村山富市君) 池田議員の質問にお答えを申し上げたいと存じます。
 宗教法人法改正についてのお尋ねでございますが、オウム真理教事件を契機に宗教法人制度につきましても国会等で論議が行われ、種々の御指摘や御意見があることは十分承知をいたしております。このため、文部省の宗教法人審議会でこれら制度上の問題について検討を行っていただいているところでございますが、憲法の信教の自由や政教分離の原則に配慮しながらできるだけ早期に検討を進めていただきたいと考えているところでございます。
 次に、オウム真理教に対する団体規制は捜査や調査の結果を待たずして論ずるべきではないとのお尋ねでありますが、御意見のとおり、破防法の適用につきましては、警察、検察の捜査状況並びに公安調査庁の調査の結果を見て関係当局が適切に判断をすることになるものと考えております。
 次に、オウム真理教から脱会した信者に対する財産の返還についてのお尋ねでございますが、宗教法人が解散をした場合には、その清算手続の過程において、個々の信者の寄附の実態など個別具体的な事情に即して、関係法令の規定にのっとって適切な処理が行われるべきものと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(野中広務君) 池田議員の御質問にお答えをいたします。
 坂本弁護士一家事件、公証役場事務長被害の逮捕監禁事件等についてのお尋ねでありますが、警察におきましては、公証役場事務長被害の逮捕監禁事件につきましては、被疑者を逮捕するなど事件の捜査・解明に全力を挙げて取り組んでいるものと承知をいたしております。
 坂本弁護士一家事件につきましては、残念ながらいまだ解明をすることに至っておりませんが、先ほども申し上げましたように、即刻、事件発生とともに神奈川県警に捜査本部を置きまして、自来、全国警察と連携をしながら事件の解明に徹底して努力をしておるところでございます。
 両事件につきまして現段階においてその見通しを述べることは困難でありますが、警察におきましては引き続き捜査を徹底し、早期に真相解明に向けて努力をいたしており、国家公安委員会といたしましてもこれを督励してまいっておるところでございます。
 國松警察庁長官の狙撃事件につきましては、先ほどもお答えを申し上げましたように、最高の責任者であります國松警察庁長官を殺害しようとしてこれをねらった許すことのできない犯罪であると認識をいたしております。
 事件発生以来五十日余りになりますが、警視庁におきましては目撃者からの聞き込み等所要の捜査を鋭意推進いたしますとともに、全国警察におきましても関連情報の収集に努めているところでございまして、本事件につきましては、これまでに、先ほど申し上げましたように二百件以上の目撃情報が寄せられておるところでございます。現在、その裏づけ捜査を実施しておるところであります。今後とも、あらゆる角度から関連情報の収集に努め、全国警察の名誉をかけ、その組織の総力を挙げて犯人の検挙に取り組んでまいる所存であります。
 オウム真理教のロシアにおける特異な活動実態につきましては、十分に関心を払っております。警察庁におきましても、捜査係員を既にロシアに派遣いたしますなど必要な情報収集を行っておるところであります。御指摘のロシア高官との関係につきましては、現在、具体的な事実を申し上げる段階でございませんことを御了承賜りたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(与謝野馨君) 宗教法人の所轄や認証など宗教法人制度の見直しについての御質問ですが、宗教法人の所轄庁のあり方や規則の認証の方法などについて問題点が指摘されているところでございます。現在、以上の点を含めまして、宗教法人審議会においてこれら制度上の問題について検討を行っていただいております。できるだけ早期に取りまとめをいただきたいとお願いしております。
 次に、オウム真理教から脱会した信者に対する財産の返還についての御質問ですが、宗教法人が解散した場合には、法令の規定に基づき適切に清算手続が行われるべきものと考えております。この清算手続の過程において、個々の信者の寄附については、それがどのような実態で行われたものかなと個別具体の事情に即して、関係法令の規定に沿って適切な処理が行われるべきものと考えております。
 次に、地下鉄サリン事件と教育問題についての御質問でありますが、地下鉄サリン事件のような反社会的行為が許されないことは当然であり、普通一般人の常識では到底考えられない特異な事件であります。文部省としては、学校教育はもとより、社会全体として、子供たちがみずから考え、理性的に判断し、実証的科学的な考え方に基づいて行動できる資質や能力をしっかりと身につけるとともに、豊かな人間性をはぐくむことが重要であると認識しており、今後ともその方向で一層努力してまいりたいと考えております。
 最後に、上九一色村のオウム教団施設等から保護された子供たちの今後の教育についてでありますが、オウム真理教の施設から保護された子供たちについては、児童相談所において詳しい事情を聞き、その結果を踏まえ、子供たちにとってどこで生活するのがよいかという問題を含めて適切に対応することといたしております。これらの子供たちについては、健全な成長ができるような環境で生活し、子供たちにふさわしい保護者のもとで学校に通わせることが必要であります。年齢も家庭の事情も置かれていた状況も違うため、一人一人の状況に応じた対応を要するものと考えております。文部省といたしましては、今後とも関係機関と連携をとりながら、適切な対応を行うよう教育委員会を指導してまいります。(拍手)
   〔国務大臣前田勲男君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(前田勲男君) 池田議員にお答えを申し上げます。
 オウム真理教に対する破防法による団体規制は捜査や調査の結果を待たずして論ずべきではないという御意見についてでございますが、今回の一連の事件に関しましては、公安調査庁におきまして公安上憂慮すべきものと認識をいたしまして、重大な関心を持って情報収集に努めてまいりましたが、オウム真理教が団体として事件に関与した疑いがございまして、公安調査庁長官において同団体を調査対象団体に指定をいたし、鋭意調査を進めておるところでございます。
 破防法の適用につきましては、議員御指摘のとおり、警察、検察の捜査状況並びに公安調査庁の調査の結果を見て検討することになろうと考えております。
  以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#30
○議長(原文兵衛君) 橋本敦君。
    〔橋本敦君登壇、拍手〕
#31
○橋本敦君 私は日本共産党を代表して、オウム真理教関連事件について質問いたします。
 初めに、サリンで不幸にして亡くなられた多数の方々に心から哀悼を表し、さらに、今なお重大な負傷で呻吟されておられる多数の負傷者の皆さんに対して心からお見舞いを申し上げるものであります。
 さて、オウム真理教は、東京都に圧力をかけてまで宗教法人の認証を受け、以来、拉致監禁を初め数々の反社会的行為を重ねてきました。そして、ついに猛毒サリンまで製造し、一般市民に対する許しがたい無差別テロを組織的に行い、殺人容疑で多数の幹部とともに麻原教祖が逮捕されるに至ったのであります。
 言うまでもなく、この麻原逮捕はオウム関連事件の全容解明のまさに第一歩であります。したがって、今回の逮捕をきっかけに、サリン大量殺人事件を初めとして、拉致監禁、児童虐待、信者の財産強奪など、すべての犯罪事件の全貌を速やかに徹底的に解明することはもちろん、さらには銃器製造、自衛隊員の加担、ロシアの政府高官や軍事組織との関係、暴力団や右翼とのかかわりに至るまで厳しく究明して、国民の前にすべて明らかにすべきであります。
 とりわけ、毒物を投与して拉致したとのオウム幹部の供述が報道されるに至って、坂本弁護士一家及び仮谷さんの所在確認と救出は人命にかかわる一刻の猶予も許されない事態であります。直ちにあらゆる手だてを尽くすべきであります。
 これらの今後の捜査についての政府の基本認識と対応、ざらに、残されたサリンの追及や再発防止について国民の不安をどう解消するのか、まず政府の明確な答弁を求めるものであります。
 国民の命と安全を守る政治の最大の責任を果たし、今後の厳正的確な捜査を進め再発防止を期するというなら、そのためには、これまでの警察と行政の対応を検討しておく必要があります。
 八九年十一月、坂本弁護士は子供を返せと願う肉親とともに、上祐、青山、早川らのオウム幹部と交渉して激論を交わしていました。そのわずか三日後に坂本弁護士一家を襲った法治国家にあるまじき事件であります。今回逮捕されている幹部の供述で、オウムの活動に支障になるとして家族ぐるみ拉致した冷酷な犯行であったことが浮かび上がりつつあります。
 事件発生当時、現場にはオウムのバッジが残されていました。その後、オウムの機関紙では、オウムに背く者に対するカルマ返し、いわゆる天罰の事例として坂本弁護士一家の神隠しを挙げるまでしていたのであります。それなのに、警察は明確に拉致犯罪事件としてとらえず、失踪事件と称して、坂本弁護士の母さちよさんの一日も早い救出をという痛切な願いにも、また多数の弁護士のたび重なる要求に対しても、冷ややかな対応に終始したのであります。
 なぜ警察は直ちにオウムの本部や施設に対し断固たる厳正な捜査を行わなかったのですか。警察のこの対応のおくれはまことに重大であり、母さちよさんを初め無事を願う国民は、今、痛恨の思いであります。現在、警察はどう考えているのか、率直に伺いたいのであります。
 次に、サリン事件であります。
 九四年六月の松本事件では、化学の基礎知識がありさえすれば、身の安全を守る装置もないところで危険きわまるサリンの製造や実験など考えられもしないことはたちどころに明白であったはずでありますが、被害者である第一通報者の河野さんを警察はあえて容疑者と想定して追及し続けるというとんでもない人権侵害の見込み違い捜査を行いました。次いで、同年七月の山梨県上九一色村での異臭発生事件に対しては、住民の強い要求にもかかわらず、直ちに具体的調査に着手せず、ようやく九月になって残土を採取し、しかも、その結果そこからサリン残留を示す重大な鑑定結果が出されたのは何と十一月になってであります。これほどにおくれた理由は一体何なのか。
 このオウム施設での異臭事件は松本サリン事件の直後であるだけに、現場の県警任せにしていた警察の怠慢と立ちおくれの責任はまことに重大ではありませんか。
 根本問題として、サリンという世界でも恐れられている殺人兵器の出現の重大性、それにオウムの反社会的危険性についての認識が極めて不十分であったのではありませんか。明確な答弁を求めます。
 さらに、行政当局の対応の立ちおくれも重大なのであります。
 オウム真理教の最大の拠点となっている上九一色村では、八九年以降、数々の無法行為が横行し、山梨県がまとめただけでも、無届けで地下室をつくるなどの建築基準法違反、大量の危険物を購入した毒物及び劇物取締法違反を初めとして、国土利用計画法など実に二十数件の違反があるのであります。全国各地でも見られるこのようなオウム真理教の無法行為がなぜ野放しにされてきたのですか。こうした行政の立ちおくれについて、政府はどう反省し今後どう対応する方針なのか、総理に伺いたいのであります。
 次に、宗教法人の解散請求についてであります。
 総理は衆議院で、幹部の起訴を待ってなどと答弁しましたが、解散請求はその手続も法的要件の判断も刑事事件の起訴や裁判とは異なることは自明の理であります。その弁解は成り立ちません。そもそもオウム真理教なるものは、もはやまともな宗教団体ではなく、幹部の個々の犯罪の公判請求を待つまでもなく、国民だれの目から見ても直ちに解散請求をすべき反社会的実態であることは明白ではありませんか。
 総理は、恐るべきサリン生成や銃器製造をやっている、これでもこれが公共の利益を害するという解散理由に当たらないとでも言うのですか。明確な答弁を求めます。
 また、解散によってオウム真理教の資産は、宗教法人法及び認証されているオウムの規則によって国庫もしくは地方公共団体に帰属することになります。その際重要なことは、国の責任で、痛ましくもサリンで亡くなられた十九人の方々はもちろん、数千人のサリン負傷者に対する全面的損害賠償責任を果たさせる必要があります。そしてさらに、出家信者からお布施と称して強制強奪した全財産の返還と補償、これをさせることは当然ではありませんか。
 さらに、オウム施設の周辺住民は、関連施設の全面撤去、捜査終了後の市民生活の安全確保を強く求めています。また、多くの一般信者について、社会復帰のケアは子供たちも含めて必要であります。このため政府はどう対応するのか、具体的に総理の責任ある答弁を求めます。
 それにしても、日々平和に暮らす市民を突然サリンで無差別に大量殺傷するという言語道断の凶悪犯罪をオウム真理教が組織的に行ったその目的、理由は一体何なのか。およそ常識と正常な理性では考えられないところであります。
 ところが、驚くべきことに、オウム幹部の供述によれば、オウムは、平成二年総選挙大敗後の組織、財政の立て直しのために、オースチンすい星による破滅が来るというその危機を唱え信者を石垣島に結集したように、サリン事件は、麻原教祖の毒ガス充満や世界の終末戦争、いわゆるハルマゲドンが来るというその予言の的中を実現するための自作自演、それによるオウムの勢力拡大を画策したアクティブメジャーズ、積極工作であったというのであります。何ということでありましょうか。自己の妄想的世界観と利己的野望のために無差別テロを敢行するなどは、およそ人間性と理性の一かけらもない憎むべき蛮行と言うほかはありません。
 同時に、地下鉄サリン事件は、強制捜査を察知したオウムが先制攻撃で捜査撹乱をねらったものであります。
 政府は、サリン事件のオウムのねらい、その背景的状況についてどう把握しているのか、明らかにされたいのであります。
 世界戦争が起こるなどという破壊的な終末思想は、人間の理性、社会の進歩と相入れないものであります。まさに今日の社会の病理現象に深く根差す問題であります。政治が国民の信を失い、最低限の道理に背いて、それで社会が健全であるわけはありません。政治の責任もまた重大であります。
 我が党は人間尊重の基本精神を政治にも社会にも貫くため全力を尽くすことを表明して、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(村山富市君) 橋本議員の質問にお答えを申し上げます。
 オウム真理教施設内における各種法令違反についてのお尋ねでございますが、地元山梨県におきましては、法令違反の洗い出しを進め、違反行為の是正等のための措置を講じていると承知をいたしております。また、これまでも、法令の規定に基づき立入検査なども厳正に実施してきたと承知をいたしております。
 各種法令違反の適正な処理につきましては、これを認知したときは法令の規定に従い厳正かつ速やかに所要の措置が引き続きとられるよう、今後とも徹底を期してまいりたいと考えております。
 次に、オウム真理教についていまだ解散請求をしていない理由についてのお尋ねでございますが、オウム真理教に係る事件に関しましては、教団幹部の監禁罪等による逮捕に次いで、この十六日には麻原代表が殺人罪等の容疑で逮捕され、引き続き捜査を進めているところでございます。
 所轄庁等が裁判所に解散請求をするには、宗教法人法の定める解散事由に該当する具体的な法令違反事実の特定やその事実を立証する資料等が必要であります。今後、これらの点を固め、教団幹部の起訴の状況も見ながら、解散請求に向けて適切に対処してまいる所存でございます。
 次に、オウム真理教から脱会した信者に対する財産の返還や損害賠償責任についてのお尋ねでございますが、宗教法人が解散をした場合には、その清算手続の過程において、不法行為による損害賠償責任や個々の信者の寄附の実態など個別具体的な事情に即して、関係法令の規定にのっとって適切な処理が行われるべきものと考えております。
 次に、オウム真理教施設の周辺住民と信者の社会復帰についてのお尋ねでございますが、不安な日々を送られているオウム真理教施設周辺住民の方々が安心して平穏な生活ができるようにするため、また罪のない善良なオウム真理教信者の方々が一日も早くもとの落ちついた生活を取り戻すことができるよう願っております。
 政府といたしましても、オウム真理教施設の実情や信者の方々の置かれておる困難な状況の把握を含め、講ずべき必要な措置について既に各種検討を始めているところでございますが、今後、これらの検討状況も踏まえ、関係閣僚会議あるいは関係省庁連絡会議の開催や、必要に応じて関係自治体とも連携をとるなど、政府として責任ある取り組みを推進してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、今回の事件は今日の社会の病理現象に深く根差す問題であり政治の責任も重大ではないかとのお尋ねでございますが、いかなる宗教、思想に基づくものであっても、多数の人々を対象とした無差別テロは卑劣きわまりない行為であり、断じて許すことのできないものでございます。安全な国と言われてきた我が国においてこのような事案が発生したことは、単に一部の者の例外的犯罪行為として片づけることだけでは済まされない問題であると考えています。
 捜査当局によって進められている事案の全容解明の結果を踏まえつつ、その社会的原因についても、教育、家庭、社会、政治など広範な分野にわたって真剣に検討していかなければならない課題であると考えています。今後、再犯防止を講じていくことに加え、安全で安心して暮らせる社会の実現に力を尽くしていくことこそがまさしく政治の責任であると認識をいたしております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(野中広務君) 橋本議員の私に対する御質問にお答えをいたします。
 オウム真理教関連事件の速やかな解明に対するお尋ねでありますが、ただいま総理からも御答弁を申し上げましたところでありますが、御案内のとおり、地下鉄サリン事件を初めオウム真理教幹部らによります種々の犯罪容疑事件につきましては、警察において関係被疑者を逮捕しますとともに早期解決に向け全力を挙げて捜査が行われているところでありまして、今後の捜査におきまして事案の全容が必ずや明らかにされるものと確信をしておるところであります。
 次に、坂本弁護士一家及び仮谷さん事件に対する今後の捜査の見通しとサリン事件の再発防止対策についてのお尋ねでありますが、仮谷さん事件につきましてはこれまでに関係被疑者を逮捕いたしましたところでありますが、残念ながら両事件とも被害者の救出には至っておりません。そのため、警察におきましては、連日にわたり一日も早い発見救出を目指して懸命に捜査に取り組んでおるところであります。また、サリン使用犯罪等の再発防止対策に関しましても、残存サリンの有無についての確認はもとより、関係省庁とも緊密な連携を図り、警戒措置の万全を期しておるところ保でございます。
 次に、坂本弁護士一家事件への対応についてのお尋ねでありますが、警察においては、発生以来、事件解明を目指して全力で捜査を推進してきたところであります。総理からも申し上げましたように、犯罪の捜査は予断を排して証拠の着実な積み重ねによって事実を明らかにしていくもので保あることを御理解いただきたいと存じます。
 次に、上九一色村の異臭事件について現場の県警任せにしていたとの御指摘でありますが、警察といたしましては、当時、犯罪の具体的な容疑を間擬するに至らなかったものと承知をいたしております。今日の事態になりますと、なぜ昨年のあの時期に強制捜査に入らなかったのかとの御指摘もございましょうが、当時の状況は証拠に基づく具体的な犯罪を特定するに至らなかったことを御理解いただきたいと存じます。
 その後、警察庁、関係警察が連携をとりながら、諸方面から得られた情報を多角的に分析をし、所要の証拠の収集や鑑定がなされるなど必要な措置がとられたものと承知をいたしております。
 次に、サリンの重大性とオウムの危険性についての認識が十分であったのかとのお尋ねでありますが、警察においては、多数の死傷者を出した松本サリン事件発生以来、サリンの危険性について重大な関心を持って捜査を進めてきたところと承知をいたしております。現在進めている捜査から明らかなように、オウム真理教に対しては粘り強い捜査を進め実態の解明に努めるなど、御指摘の点を十分認識して強力な取り組みを行ってきたものと承知をしております。
 サリン事件におけるオウム真理教のねらいについてのお尋ねでありますが、本事件については、先般、教団代表を逮捕するなど鋭意捜査がなされているところであります。今後、徹底した捜査により、犯行の目的や事件の背景なども含めて事案の全容解明が図られるものと承知をいたしております。(拍手)
#34
○議長(原文兵衛君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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