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1995/06/05 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 本会議 第27号
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1995/06/05 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 本会議 第27号

#1
第132回国会 本会議 第27号
平成七年六月五日(月曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十七号
  平成七年六月五日
   午前十時開議
 第一 育児休業等に関する法律の一部を改正す
  る法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第二 高齢社会対策基本法案(国民生活に関す
  る調査会長提出)
 第三 臨時大深度地下利用調査会設置法案(野
  沢太三君外四名発議)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促
  進等に関する法律案(趣旨説明)
 一、災害対策基本法の一部を改正する法律案
  (趣旨説明)
 以下議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。橋本通商産業大臣。
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(橋本龍太郎君) 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 我が国においては、近年の経済成長、国民生活の向上等に伴い、家庭等から排出される一般廃棄物の量が増大し、その最終処分場が逼迫しつつある等廃棄物処理をめぐる問題が深刻化しております。その一方で、主要な資源の大部分を輸入に依存している我が国にとっては、これらの廃棄物から得られたものを資源として有効に利用していくことが求められております。このような状況において、我が国における快適な生活環境と健全な経済発展を長期的に維持していくためには、関係者の適切な役割分担のもとで、一般廃棄物の減量と再生資源としての十分な利用を図っていくことが重要であります。
 このため、一般廃棄物の大宗を占め、かつ再生資源としての利用が技術的に可能な容器包装について、市町村による分別収集及び事業者による再商品化等を促進するシステムを構築し、もって廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図るため、今回、本法律案を提案した次第であります。
 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、家庭等から廃棄物として排出される容器包装について、市町村による分別収集及び事業者による再商品化等を総合的かつ計画的に推進するため、その分別収集及び再商品化の促進に関する基本的な方向等について、主務大臣が基本方針を定めることとしております。
 第二に、事業者によって行われる再商品化が基本方針に即して円滑かつ確実に促進されていくように、主務大臣が事業者の行う再商品化の量の見込み、施設の設置に関する事項等について再商品化計画を定めるとともに、市町村及び都道府県においては、その区域において廃棄物として排出される容器包装の量の見込み、そのうち市町村の分別収集により得られるものの量の見込み等について、分別収集に関する計画を定めることとしております。
 第三に、容器包装の利用及び製造等の事業を行う者は、毎年度、容器包装の利用量、製造量等に応じて、市町村の分別収集により得られたものの再商品化の義務を負うとともに、関係事業者はその再商品化を促進するための措置を講ずる義務を負うこととする等事業者の義務について定めるとともに、国、地方公共団体、消費者の責務を定め、関係者それぞれの立場で果たすべき役割を明らかにしております。
 第四に、事業者の負う再商品化義務の履行を円滑かつ容易にするため、指定法人に関する事項を定めることとし、当該指定法人への再商品化の委託によりその再商品化の義務は履行されたものとみなすこととしております。
 第五に、容器包装に係る分別収集及び再商品化等の促進の意義、事業者が負担する再商品化に要する費用の商品価格への適切な反映の重要性等について、国は、国民の理解と協力を得るよう努めることとしております。
 以上がこの法律案の趣旨説明であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(原文兵衛君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。牛嶋正君。
   〔牛嶋正君登壇、拍手〕
#7
○牛嶋正君 私は、平成会を代表して、ただいま議題になりました容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律案について、総理及び関係大臣に質問をいたします。
 今や我が国は、世界GNPの一五%を超える生産物を産出する経済大国になり、国民一人当たりのGNPも世界のトップレベルに達しています。戦争によって壊滅的打撃を受けた我が国が半世紀でここまで発展することができたのは、日本国民の勤勉さ、高い貯蓄率、地場産業における技術の蓄積、そして高い教育水準等さまざまな要因が結び合っての結果であったと言えます。
 しかし、この経済大国と私たちの高い生活水準の現状を資源の利用という側面から見るとき、戦後我が国経済がたどってきた路線をそのまま延長して二十一世紀に向けての我が国の進路を考えていくことには、問題があると言わねばなりません。
 例えば、経済大国とは地球上の限られた資源を大量に消費する国というとらえ方もできます。また、物の生産は労働力、資本ストック及び資源の結合によって可能となり、それらを効率的に結び合わせて生産の拡大を図っていくのが技術水準であるとすれば、技術進歩は、資源の効率的利用を可能にする反面、地球全体で見ると、資源の消費を進め、それだけ有限である資源が枯渇する時期を早めることになるともみなされるのであります。
 さらに、資源の消費に伴って排出される廃棄物が自然の環境回復力ないしは浄化力を上回るとき、廃棄物が滞留して環境破壊につながっていくことになります。その典型は、化石燃料の消費とそれに伴って発生する二酸化炭素との関係に見られるとおりであります。大気に滞留する二酸化炭素は、温室効果によって地球の温暖化や森林の破壊を通じて地球の各地域において生態系を崩してきました。
 このように資源の有限性と環境保全とを考えるとき、今こそ、経済発展とは何か、あるいは経済成長とは何かを真剣に考え直す時期ではないかと思います。
 特に、国土が狭く資源の乏しい我が国が、今後とも他の国々から資源の提供を受けて生産活動を続けていかなければならないことを考えるとき、資源の消費をできるだけ抑え、環境を守りながら私たちの生活水準を着実に向上させていくという新しい資源節約型の経済システムの構築を目指していかなければならないと考えます。
 その場合、新しい経済システムには、その中に次の三つの要素が組み込まれていかなければなりません。
 第一の要素は、廃棄物の減量であります。家庭にあっては物を長く大切に利用することでごみの減量を図り、事務所、事業所においても資源の効率的な利用のための技術開発に努めていかなければなりません。
 第二の要素は、資源再利用システムを社会のあらゆる側面に組み込んでいくことです。そのため、廃棄物の再利用のみでなく、家庭と企業、また企業と企業の間でもできるだけリサイクルシステムを組み込んでいくことが求められます。
 第三の要素は、廃棄物の環境に対する負荷をできるだけ小さくすることです。これを実現するに当たって新しい技術の開発が必要となります。
 ただ、我が国の経済システムの基本に市場経済が置かれていることを考えるとき、社会のいろいろな側面にこれらの要素を組み込んで新しい資源節約型の経済システムを構築していくことは、決して容易なことではありません。例えば、戦後の経済発展の過程ででき上がってきた大量生産・大量消費の体制の中でごみの減量を進めることは、かなり難しいことであると言わねばなりません。
 このような視点に立って、今回のリサイクル法案に対して、五点について質問させていただきます。
 第一に、この法案はリサイクルシステム構築の第一歩として評価されますが、その対象が容器包装に限定されていることから、見方によっては一番やりやすいところから手がけたという印象も感じられます。そのため、これ以上のリサイクルシステムの進展は望み得ないのではないかという懸念もあります。
 このような懸念を取り除くためには、公共投資基本計画でも提唱されている循環型の廃棄物処理システムの確立に向かって、技術開発の面でも、また組織づくりの面でも、万全の体制を整え取り組んでいかなければならないと考えますが、これについての総理の決意をお伺いします。
 第二に、このリサイクルシステムが確立した後、このシステムが円滑に機能していくためには、このシステムを市場メカニズムに適合させることが重要な点であると考えられます。現に、アルミ缶や古紙あるいは白瓶などは市場メカニズムに乗って再利用が進められ、それなりの成果を上げておりますしかるに、この法案では、特定事業者に対してその使用量または製造量に応じて再商品化義務量が決められ、それに基づいて再商品化の責任を果たさねばならないとされており、強制性を伴います。したがって、市場メカニズムに乗るというより税に近い性質を持つということを指摘しておかなければなりません。
 そのため、法案は、一定の小規模事業者については適用除外にするとか、中小企業については施行後約三年程度再商品化義務を猶予すると決められていますが、このことが市場における自由な競争をゆがめる結果をもたらすことは明らかであります。リサイクルシステムを確立するためには、このような競争のゆがみをやむを得ないと考えるべきでしょうか。この問題について通産大臣の見解を伺いたいと思います。
 第三は、ごみの収集、処理に関する行政は、地方公共団体、とりわけ市町村の行政において極めて重要な位置を占めてきたという点です。すなわち、ごみ行政は地域住民と行政側との接点として、住民の行政ニーズが行政側に伝えられ、また行政側もごみ行政を通じて住民のニーズをとらえてきた経緯があります。それだけに、個々の市町村はそれぞれの地域性を生かし、独自のごみ行政を展開してきたと言えるのであります。したがって、地方分権の推進に当たって、地方公共団体はごみ行政を通じてそれを受け入れる下地をつくってきたとも言えます。
 しかるに、今回のリサイクル法案では、基本方針の策定に当たって、国が再商品化計画を作成するのとあわせて、市町村は分別収集計画を作成し、それに基づいて都道府県が分別収集促進計画を作成して、厚生大臣に提出・公表するとされています。これによって分別収集量と再商品化可能量との間の過大なミスマッチを調整するとしていますが、この基本方針の策定の流れが地方分権推進への地方公共団体の意欲を抑えることにならないのか、危惧するものであります。その点に関して、地方分権を推進する立場にある自治大臣の御所見をお伺いいたします。
 第四に、この法律では、廃棄物のリサイクルシステムが円滑に機能するため、消費者、市町村及び事業者の三者の責任と役割を明確にしています。すなわち、消費者は分別排出の責任を持ち、市町村は分別収集の役割を担っています。そして、事業者は分別された廃棄物を再商品化する責任を持つのであります。このような責任と役割の明確化は、リサイクルシステムを機能的ならしめるために必要であるともみなされます。しかし、懸念される点は、このことが資源節約型の新しい経済システムの構築のために必要な廃棄物の減量にどのようにつながっていくのかであります。
 もし、多くの消費者が分別排出を行うことでリサイクルの責任を果たしたのだと考えるとすれば、資源を大切にし環境保全のために自分も貢献するのであるという発想の転換や生活態度の変化までには、なかなか至らないだろうと考えられるのであります。その場合、このリサイクルシステムが資源問題や環境問題を考える上で重要な廃棄物の減量につながっていかないのではないかと心配されますが、この点について厚生大臣の見解をお伺いします。
 第五に、廃棄物の再商品化の過程で使用されるエネルギー資源の量が新しい資源を使って商品化する場合に使われるエネルギー資源の量を上回る場合は、廃棄物のリサイクルシステムが確立されたとしても、環境への負荷はかえって増大することになり、資源のリサイクルと環境保全との間にトレードオフの関係が生ずることになります。
 恐らく、今回の容器包装リサイクルシステムではこのような事態はまだ想定されないと思われますが、今後リサイクルシステムの拡充が図られていく過程で環境への負荷が増大するという状況が生じた場合、それでも廃棄物のリサイクルシステムの拡充を進めるか否かの判断に迫られると思われますが、この問題について環境庁長官はどのような見解をお持ちですか、お伺いいたします。
 二十一世紀に向けて我が国の進むべき進路を考えるに当たって、地球上の資源の有限性と環境保全を前提として、資源の消費を極力抑えながら私たちの生活水準を着実に高めていくという新しい資源節約型の経済システムの構築を目指すとき、廃棄物のリサイクルシステムの確立は必須の条件であることを最後にもう一度確認し、この法案がその第一歩として位置づけられることを念願して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(村山富市君) 牛嶋議員の質問にお答えを申し上げたいと存じます。
 循環型の廃棄物処理システムの確立に向けた研究面での体制整備についてのお尋ねでございますが、経済成長や生活様式の多様化に伴い、ごみの排出量の増大、ごみの多様化が進み、近年、最終処分場の逼迫を初め、ごみをめぐる問題は深刻化してきております。
 このような状況を解決し、生活環境の保全を図るとともに、限りある資源の有効な利用を確保するためには、廃棄物を単に燃やして埋める処理から循環型の処理へ転換していく必要がございます。それに向けての第一歩として、一般廃棄物の中でも大きな割合を占める容器包装廃棄物について減量・リサイクルを進める本法案を提出いたしたところでございます。
 政府は、今後、廃棄物循環型社会の構築に向けて、多様なごみの特性に応じたリサイクル技術やシステムの研究開発のための体制整備に積極的に取り組んでまいる所存でございますので、御理解を賜りたいと存じます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私に与えられました御質問は、この法案の内容が税に近い性格を持ち自由競争をゆがめる結果になるのではないかという御指摘でありました。
 本法案は、技術的にはリサイクルが可能でありますが採算に乗らないために現実にはリサイクルが進まない容器包装につきまして、特定の事業者にリサイクルを義務づけ、一たんその費用を内部化させることによりまして市場メカニズムに乗せていこうというものであります。事業者間の自由な競争をゆがめるものではありません。
 すなわち、本システムにおきましては、義務を課された事業者は、みずからが使用する容器包装の減量化あるいはリサイクルしやすい容器包装の使用に努めるなど、事業者の創意工夫が発揮される仕組みになっております。
 その結果として、現時点ではリサイクルが採算に乗らないものにつきましても、義務対象事業者の費用負担が軽減していきますし、将来的にはアルミ缶のように市場で自律的に取引される状況に近づいていくことが期待をされます。
 また、この法律案におきましては小規模企業者に対する適用除外等の措置が講じられておりますが、これらにつきましては、例えば小規模企業者はその利用する容器包装の量は一割強程度、僅少でありますのに比べまして、事業者数は約百十万と極めて多くなりまして、義務対象といたしますことの費用対効果の点で非効率的でありますために義務対象外としたものでありますが、このような措置によって市場メカニズムがゆがめられるような結果になることは考えられないと思っております。(拍手)
   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(野中広務君) 牛嶋議員の私に対する御質問にお答えをいたします。
 収集されました廃棄物が適切にリサイクルされますためには、分別収集と再商品化の調整を図りながら両者を総合的かつ計画的に推進していくことが必要でありまして、基本方針は、こうした観点から両者の数量面での不一致を全国的な規模で解消するために必要なものであると考えております。
 仮に市町村が分別収集しようとする総量が再商品化可能量を上回りそうな場合には、政府といたしまして、できる限り再商品化能力の向上を図る方向で調整を行い、市町村の取り組みを支援してまいるよう関係省庁で配慮することといたしております。
 したがいまして、基本方針は、市町村が分別収集を行うかどうかといった判断や分別収集計画の具体的内容を拘束するものではなく、牛嶋議員御懸念の市町村の地方分権への意欲を抑えるものではないと考えておるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣井出正一君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(井出正一君) 牛嶋先生の私に対する御質問は、本法案によるリサイクルシステムと廃棄物の減量化の関係についてでございますが、従来のごみ処理においては専ら市町村がその責任を負っていたわけでございますが、本法案は、ごみの減量化とリサイクルを進めるために消費者、市町村、事業者の三者が責任を分担し、容器包装を減らせば経済的な利点が得られる仕組みを社会システムに組み込んだものであり、ごみの減量化に著しく寄与するものと考えております。
 また、このシステムは、消費者にも分別排出という重要な役割を担っていただくこととしており、それがごみ減量化に向けた国民の意識の向上につながることをねらいとしているものでもあります。
 さらに消費者には、分別排出の役割のほかに、反復使用が可能な容器包装の積極的な使用や、買い物袋の持参などによる容器包装の過剰使用の抑制に努めていただくことが不可欠であると考えており、本法案においてもこの旨を明記したところであります。
 さらに、厚生省としましては、ごみの減量化の重要性について、政府広報を初め、国民、事業者、行政が一体となったごみ減量化推進国民会議の開催、廃棄物減量等推進員などの地域ボランティアを通じた啓発普及活動を行うとともに、物を大切にする意識を高めるための市民参加型のリサイクルプラザ等の施設整備などにより、国民のごみ減量化に向けた意識啓発に努めてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣宮下創平君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(宮下創平君) 牛嶋議員の私に対する質問は、今後リサイクルシステムの拡充が図られていく過程で環境への負荷が増大するという状態が生じた場合、それでも廃棄物のリサイクルシステムの拡充を進めるのかという御質問でございます。
 今日、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済活動や生活様式の定着によりまして、廃棄物の量の増大、最終処分場の残余容量の逼迫等に伴う環境への負荷が高まっております。
 このために、昨年十二月に閣議決定されました環境基本計画におきまして、経済社会システムにおける物質の循環を促進し環境への負荷を低減するという基本的認識のもとに、廃棄物の発生抑制、使用済み製品の再使用、回収されたもののリサイクル及び廃棄物の適正処理、この四つを進めるという対策の基本的考え方を明らかにしたところであります。
 今回の法案は、この環境基本計画に沿って容器包装廃棄物のリサイクルを制度的に進め、環境への負荷の低減につなげようとするものであり、新しい資源から製品をつくるよりもスクラップからつくる方が製造エネルギーの消費が少ないとされております。
 したがいまして、御指摘のように廃棄物の再商品化により環境への負荷が増大することにはならないと考えております。
 以上です。(拍手)
#13
○議長(原文兵衛君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#14
○議長(原文兵衛君) この際、日程に追加して、
 災害対策基本法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。小澤国務大臣。
   〔国務大臣小澤潔君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(小澤潔君) 災害対策基本法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、阪神・淡路大震災に対処するため行われた災害応急対策に係る車両の通行が著しく停滞した状況等にかんがみ、災害時における緊急通行車両の通行を確保するため、都道府県公安委員会による災害時における交通の規制に関する措置を拡充するとともに、車両の運転者の義務、警察官、自衛官及び消防吏員による緊急通行車両の通行の確保のための措置等を定めることとするものであります。
 以上が、この法律案を提出する理由であります。
 次に、この法律案の要旨を申し上げます。
 第一に、都道府県公安委員会による災害時における交通の規制に関する措置を拡充し、都道府県公安委員会は、当該都道府県またはこれに隣接しもしくは近接する都道府県の地域に係る災害が発生し、またはまさに発生しようとしている場合において、区域または道路の区間を指定して、緊急通行車両以外の車両の道路における通行を禁止し、または制限することができることといたしております。
 第二に、通行禁止等が行われた場合の運転者の義務として、車両の運転者は、速やかに、当該車両を通行禁止等に係る道路の区間外または道路外の場所へ移動しなければならないこととし、当該移動が困難なときは、できる限り道路の左側端に沿って駐車する等緊急通行車両の通行の妨害にならない方法により駐車しなければならないことといたしております。
 第三に、警察官は、通行禁止区域等において、緊急通行車両の通行の妨害となる車両その他の物件の所有者等に対し、当該物件の移動等の措置をとることを命じ、当該措置がとられないとき等は、みずからその措置をとることができることとしております。この場合において、警察官はやむを得ない限度において当該車両その他の物件を破損することができることとするとともに、当該破損については、損失補償の対象とすることといたしております。
 また、警察官がその場にいない場合に限り、自衛隊法第八十三条第二項の規定により派遣を命ぜられた部隊等の自衛官または消防吏員は、それぞれ自衛隊用緊急通行車両または消防用緊急通行車両の円滑な通行を確保するため必要な措置をとることを命じ、またはみずから当該措置をとることができることとしております。
 第四に、国家公安委員会は関係都道府県公安委員会に対し、通行禁止等に関する事項について指示することができることといたしております。
 以上が災害対策基本法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(原文兵衛君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。横尾和伸君。
   〔横尾和伸君登壇、拍手〕
#18
○横尾和伸君 私は、平成会を代表して、ただいま議題となりました災害対策基本法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 あの悪夢のような阪神・淡路大震災から約五カ月が経過しました。震災対策の推進については、これまで私たち平成会は、与党の対応のまずさを厳しく叱責しつつも責任野党を自任し、建設的な姿勢を堅持しながら可能な限り協力をしてまいりました。
 このような状況の中で、政府は今回の貴重な経験を踏まえて災害対策基本法の抜本的見直しを行っていると聞き、私は一日千秋の思いで改正案の国会提出を待っておりました。本日、国会の会期ぎりぎりになって提出された法案は、迅速に行うべきであった緊急対策のほんの一部分であり、抜本的見直しとはほど遠いものになっております。まことに残念でなりません。
 村山総理は、被災直後から、盛んに現行の制度のもとでは最善の策、最善の体制で対応したと強調されておりましたが、五千五百人もの犠牲者を出しながら最善の策、最善の体制を強調されるのは、現行制度に問題があると言わんばかりの主張であります。私は、現行制度の根幹である災害対策基本法がどのように見直されるのか、村山内閣の資質を問うつもりで待っておりましたが、これでは災害対策についての政府の基本姿勢を疑わざるを得ないのであります。
 基本姿勢について言えば、平成七年度本予算には今回の災害対策は一切盛り込まれず、補正予算における災害対策も何と経済対策の一部と位置づけているのであります。このことは、補正予算の趣旨説明においても、緊急円高・経済対策の一環として、阪神・淡路大震災等に対応する経費を計上すると大蔵大臣は明言しているのであります。
 経済対策の一部分ではなく、人命、財産を守るはずの本来の災害対策はどこに行ってしまったのでしょうか。被災者の皆さんは怒っています。国民は怒っております。村山総理はどこまで本気なのか、災害対策の基本姿勢そのものを疑わざるを得ないのですが、この点について総理及び国土庁長官の明快な答弁を求めます。
 今回の阪神・淡路大震災について、初動対応が大幅におくれ、被害を大きくした最大の原因は最高責任者である村山総理御自身の危機管理意識とリーダーシップの決定的な欠如にあったことは、多くのマスコミを初め衆目の一致するところとされております。
 このことについて、被災から五カ月たった今、冷静な頭で、総理及び国土庁長官はどのように受けとめているのか、率直な感想を伺います。
 また、法制度等の欠陥を強調されるのであれば、その内容を簡潔かつ具体的にお答えいただきたい。
 次に、災害対策基本法第十一条第三項に規定されている「防災の基本方針」について伺います。
 消防庁の解説書によれば、「防災の基本方針」とは防災基本計画の基本となるべきもので我が国防災行政の最高方針であるとのことであります。しかし、この最高方針は実は影も形もないというのが実態であります。このようなことでよいのでしょうか。私は、ぜひとも早急に策定すべきものと考えますけれども、総理のお考えを伺います。
 また、本基本法の骨格とも言うべき防災基本計画については、昭和三十八年に決定されたもので、毎年見直すべきと規定されているにもかかわらず、ほとんど三十八年版そのままになっております。
 またさらに、この基本計画については、平成四年に総務庁の行政監察において、現状を踏まえていない面があると指摘され、都市化の著しい進展等の変化を踏まえた検討を行うべきであるとの勧告がなされているのであります。本基本計画の見直しに関し、その進捗状況及び見通しについて総理の御見解を伺います。
 今回の大震災では未曾有の被害を生じ、一家の大黒柱を失った家族、住宅ローンを抱えたまま住宅を失った人、工場・店舗などを失い大きな負債を抱えた人など、将来の生活再建の希望を失った住民を多く出しております。被災住民の再建は自力救済を基本とし、政府、自治体は金融支援や税の一時的軽減などを中心に支援しておりますが、これでは不十分であることは言うまでもありません。
 四月から六千億円の阪神・淡路大震災復興基金が設立されましたが、このような基金は災害発生の都度に基金規模や設立自体をめぐって問題になっているのが実情であります。このような心配がないように、災害対策基本法を改正して大規模災害や長期災害に備える恒久的基金を設立し、その活用方法も被災者救済をより濃くするなどして被災者の自立復興を効果的に支援する必要があると考えるものでありますが、このような国による恒久的基金の設立についての総理のお考えを伺いたいと思います。
 次に、国際的な相互の支援体制について伺います。
 国際的な支援体制の整備は今後もますます強化することが重要になっていくと考えますが、今回の大震災においては、海外からのレスキュー犬の入国手続に手間取るなど、支援の受け入れについて不適切な対応が目立ちました。その主な要因はどのようなものであったのでしょうか。また、今回の経験を踏まえて、これらに関連する規制緩和等の制度改正を行う必要があると思いますが、総理及び総務庁長官のお考えを伺います。
 市民の自発的な救援活動、いわゆるボランティアは今回改めて注目されたところであります。しかし、法的にはその位置づけがなく、被災地の各自治体も受け入れ体制はほとんど整っていないのが実情でありました。今後はこのようなボランティアも救援活動の中でより重要な役割を果たすことが期待されますので、その位置づけを明確化すべきと考えます。このことを踏まえて、現在、議員立法として準備が急速に進められているボランティア基本法の制定に関し、総理の基本的見解を伺います。
 今回提案された法改正の主眼は、災害時における緊急通行車両の通行を確保するため、警察官や自衛官等の権限の強化を図ることと理解しておりますが、強化される権限の悪用や乱用の防止策についても十分なものでなければなりません。この点に関し、総理及び国家公安委員長のお考えと決意を伺います。
 次に、新幹線の安全対策について伺います。
 今回の大震災によって新幹線は百数十本の橋脚が崩壊し、これを含めて合計七百本余の橋脚が損壊しました。列車の通行がなかったことが幸いして、これによって人命が失われることはたまたまなかったとはいえ、世界的に見ても史上最大級の大惨事を惹起する可能性を十二分に備えていたと考えるべきであります。一両に百人程度の乗客を乗せた十六両の車両が時速二百七十キロメートルのスピードで転覆すれば、近傍の住宅やビルも含めてどのようなことになったでありましょうか。約七百本の橋脚が損壊したこの事実、これを総理及び所管の運輸大臣はどのように受けとめているのでしょうか。率直なお考えを伺います。
 今回の大震災により都市高速道路の大規模な崩壊がありましたのは周知のとおりであります。都市高速道路については、今回の被災箇所のみにとどまらず、その教訓を生かして、全国の大都市圏の都市高速道路の見直しと補強の方針を明確に打ち出し、平成七年度補正予算においてもそれなりの予算を計上するなど具体的な措置をとりつつあると理解しておりますけれども、東海道・山陽新幹線については、被災箇所のみの修復を行っただけで、何もなかったかのごとく今や完全な通常運転に戻っております。約七百本もの橋脚が損壊したという事実は史上最大の大惨事を想起させるに十分なものでありますが、今回のこの教訓を踏まえて、現行の東海道・山陽新幹線の全線にわたる安全性の総点検とそれに伴う対策を急ぐべきであると強く進言するものであります。平成七年度の本予算にも補正予算にもその痕跡さえないのはどういうわけでありましょうか。この点に関する総理及び運輸大臣の見解を伺います。
 次に、災害対策基本法の柱の一つである激甚災害について伺います。
 災害対策基本法第九十七条を受けて制定されたいわゆる激甚法は、国の特別の財政援助や助成措置を規定しているものであり、高い率の国庫補助が得られるなど、被災地の復旧・復興にとってかけがえのない重要性がありますしかるに、この激甚法の対象事業には甚だ現状に合わないアンバランスや不公平が顕在化してきており、各分野から見直しの声が上がっております。
 例えば、公共事業の分野では、道路は対象になっているが信号機や道路標識は対象外となっている、下水道施設は対象となっているが上水道施設やごみ焼却場などの廃棄物処理施設は対象外となっているなど、全く理解の及ばないものがあります。また、理解の可否にとどまらず、現場ではこのための不安や心配、無用な手続など大きなロスが生じてしまっております。
 今回の大震災に関して、このような矛盾やアンバランスを是正するために今回限りの特別立法を行って何とか対処しているのが実情であります。しかし、この趣旨は今回限りとすべきではなく、一般化してこそ今回の教訓を全国に生かしたことになるのではないでしょうか。
 私は、既にこの件について小里国務大臣から、十分留意いたしていくべきことであるとのお答えをいただいております。被災地の生活者にとってこんなに大切な問題はありません。激甚法の対象事業のアンバランスを見直し、適正化を図るべきであると強く主張するものでありますが、この点に関し、総理と国土庁長官の基本的な考えと取り組みについて明快な答弁を求めます。
 今回提案された法改正のほかに、以上の質問を含む多くの問題や課題がありますが、そのほとんどは総理が設置された防災問題懇談会で検討中であるとの説明も伺っております。
 この懇談会とはどのような位置づけなのでしょうか。懇談のサロンなのでしょうか。法的な位置づけもなく私的諮問機関でもないこの懇談会に、このような重要問題のほとんどを任せきりにして、それを胸を張って御答弁の中心に据える、これは主体性がなく、頼り過ぎていることにならないでしょうか。任せるのなら、問題の大きさに見合ったそれなりの位置づけを与えるべきと思いますが、この点について総理の明快な答弁を求めます。
 最後に、一言申し添えたいと思います。
 国民がそれぞれ高い税金を払っているのは、安全と安心が得られるからだと素朴に信じているからではないでしょうか。安全と安心の柱の一つこそ災害対策であることが今回の大震災によって明確に示されたのではないでしょうか。国民の生命と財産を守る災害対策にもっと真剣になっていただきたい。
 村山政治の本質は、人にやさしい政治ではなく、自分にやさしく人にはやらしい政治なりとの批判も聞いておりますが、どうか真剣な態度で御答弁くださいますようお願い申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(村山富市君) 横尾議員の質問にお答えを申し上げます。
 まず、災害対策の推進についての基本姿勢について御質問でございますが、今回の災害対策基本法の改正は、人命救助等への影響を考慮して、緊急に対応する必要があるものとして、道路上の放置車両等に関する規定の改正を行うことにしたものでございます。その他の項目につきましても、防災問題懇談会での議論を踏まえて必要な検討を行った上で適切に対処してまいります。
 また、これまで政府としては、平成六年度の補正予算措置及びさきに採択をいただいた……(発言する者あり)ちょっと静かに聞きなさいよ。さきに採択をいただいた平成七年度補正予算において、緊急に行うべき災害対策について十分な額を計上する等の措置を講じてまいりました。
 もとより、我が国は地震など各種災害に見舞われやすく、国民の生命、財産を守ることは国政の基本でございます。今後とも、政府といたしましては全力を挙げて災害対策に取り組んでまいる所存でございます。(発言する者あり)おたくの方からの質問に答えているんだから、静かに聞きなさいよ。
 阪神・淡路大震災の政府の対応について御質問でございますが、政府といたしましては、今回の地震発生後、緊急対策本部や現地対策本部を設置するなど、政治のリーダーシップのもとにおいて、政府一体となって地元自治体と緊密な連携をとり、被災者の救援対策と復旧・復興対策に可能な限りの対応を行ってきたところでございます。また、活力ある関西圏の一日も早い再生を目指して阪神・淡路復興対策本部や復興委員会を発足させるなど、これまでの前例にとらわれない措置等をとってまいりました。
 ただ、初動期における政府の対応についてはいろいろと御批判や御意見のあることは十分承知をしており、私も機会あるごとに、今回の経験に照らし見直すべきところは率直に見直してまいりたいと申し上げてきたところでございます。このため、大規模地震発生時の第一次情報収集体制の強化と情報連絡体制の整備に関する当面の措置について本年二月に閣議決定を行ったほか、国会の御協力もいただき、平成六年度の補正予算措置及び平成七年度補正予算において緊急に行うべき災害対策について十分な額を計上するなどの措置を講じたところでございます。
 また、各種災害対策の基本となる防災基本計画については、中央防災会議に専門委員会を設置をし実戦的な対応が可能となるよう見直しを行っており、近く成案を取りまとめることとしております。また、災害対策基本法の見直しを含む災害対策全般の見直しについては、現在、防災問題懇談会において検討が進められており、本年十月をめどに結論を出すことといたしております。
 こうしたことから、今回の法改正は、特に緊急に対処すべきものとして道路上の放置車両等に関する規定の改正を行うこととしたものでございます。今後は、その他の項目についても、防災問題懇談会等での議論を踏まえつつ必要な検討を行った上で適切に対処し、災害対策に万全を期してまいる所存でございます。
 次に、「防災の基本方針」と防災基本計画の見直しについての御質問でございますが、「防災の基本方針」は防災基本計画の基礎となるべきもので、これまでも防災基本計画の冒頭に計画の基本構想としてその趣旨が記述されてきたところでございます。今後とも記述してまいる考えであります。
 防災基本計画の見直しにつきましては、現在、中央防災会議の防災基本計画専門委員会での検討を踏まえ、事務レベルで作業を行っているところでございます。新たな計画では、このたびの阪神・淡路大震災の経験等にかんがみ、実効性の高い計画とするため必要な施策を可能な限り具体的に記述するなどの見直しを行っており、近く成案を取りまとめることといたしておるところでございます。(発言する者あり)ちょっと静かに聞きなさい。
 次に、国に大規模災害等に備える恒久的基金を設置することについての御質問でありますが、災害発生後の対応策につきましては、災害の態様や規模に応じた施策をその都度ごとに的確に講ずる必要がありますが、あらかじめ基金を設け、それによる対応を図ることは、資金の効率性や施策規模の柔軟性の点で問題点が出てくる可能性がございます。
 したがって、現時点においては、あらかじめ国の基金を設立するということは困難と言わざるを得ません。むしろ、現行制度の適切な運用により、住民の立場に立ったきめ細かい対応をしてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、災害緊急時の海外からの支援の受け入れに関する御質問でございますが、このたびの阪神・淡路大震災に際し七十六の国・地域等から支援の申し出があり、そのうち四十四の国・地域からの支援をお受けしたところでございます。不適切な対応が目立ったと言われますが、海外からの支援の申し出につきましては、政府といたしましては、現地における必要性及び対応体制に応じてお受けしたところでございます。
 しかしながら、今後より一層円滑な受け入れが行われるよう、現在、海外からの支援につきましてその受け入れ体制の整備に関する事項を防災基本計画の見直しの一環として検討いたしておるところでございます。
 次に、災害に関連をして規制緩和のお尋ねがございましたが、公的規制は通常平常時を想定しております。このような平常時の規制については今後とも着実に規制緩和を推進していくつもりでございますが、緊急時の規制のあり方につきましては、今後、運用面、法制面の両面にわたって検討していくべき課題であると考えております。
 次に、災害時のボランティア活動の御質問でありますが、今回の阪神・淡路大震災における多くのボランティアの方々の物心両面にわたる支援活動は、応急活動及び復旧活動を迅速かつ的確に行っていく上で重要な役割を担ったと認識をし、感謝いたしておるところでございます。災害時におけるボランティアの活性化を図るため、その活動の自主性を損なわない範囲内で活動環境の整備を行うことが必要であると認識をいたしております。
 政府といたしましては、ボランティア問題に関する関係省庁連絡会議を設置し、法的整備等の必要性を含め、その環境整備のあり方について現在検討いたしているほか、災害時のボランティア活動の問題については、現在、中央防災会議の専門委員会で行われている防災基本計画の見直しの中で具体的な措置等について検討されております。また、災害対策基本法の見直しを含む全般的な防災対策の見直しを行っておる防災問題懇談会におきましても、現在、精力的に検討いただいておるところでございます。
 次に、ボランティア基本法の制定についてのお尋ねでありますが、今後、国際化や高齢化の進展などの環境変化に適切に対応していくためには、ボランティアや市民公益団体が行う市民公益活動の活性化が重要になると考えております。
 政府といたしましては、現在、ボランティア問題に関する関係省庁連絡会議を設置し、法的整備などの必要性を含め、その環境整備のあり方について鋭意検討いたしているところでございます。したがって、今の段階では、議員立法の動きについての見解を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
 次に、今回の法改正に係る警察官等の権限についての御質問でございますが、阪神・淡路大震災においては、放置車両や家族等の安否を気遣う大量の車両が緊急車両の通行を妨げる等、災害応急対策に著しい支障を生じたところでございます。
 本改正法案は、こうした状況を踏まえ、警察官等に緊急通行車両の円滑な通行を確保するための必要最小限の権限を付与するものでありまして、損失補償の規定も設けているところでございます。
 今回の改正は、災害時という非常事態にこうした権限を決めるものであり、万が一にも権限乱用とのそしりを受けることのないよう警察庁等関係省庁を指導していく所存でございます。
 次に、山陽新幹線の高架橋等の柱が大きな被害を受けたことについてのお尋ねでございますが、これらの施設は過去最大級の地震に対応した構造となっていましたが、現実にこれだけ多くの被害を受けたことについては政府としても重く受けとめているところでございます。
 これらの被災施設の復旧に当たりましては、鉄道施設耐震構造検討委員会の意見を踏まえ、新しい知見によって今回程度の地震に耐えられるよう安全を第一として行ったところでございます。
 次に、現行新幹線の安全性総点検とそれに伴う対策についてのお尋ねでありますが、既存の新幹線につきましては、現在、JR各社において施設の耐力等の総点検を鋭意実施いたしておるところでございます。
 政府におきましても、現在、運輸省の鉄道施設耐震構造検討委員会において、既存施設の取り扱いを含めて鉄道施設の耐震性の向上について検討中であり、早期にその結論を得て適切な措置を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、激甚災害法の対象事業についての御質問でございますが、激甚災害法は、著しく激甚である災害が発生した場合における国の地方公共団体に対する財政援助によりその財政負担を軽減することを目的の一つとしており、このような趣旨を踏まえて同法の支援対象が決められているところでございます。
 同法の対象事業の範囲については、同法の制定の経緯・趣旨やこれまでの災害に対する支援措置とのバランス等を踏まえて決められているものであり、その見直しにつきましては、総合的、多角的観点から慎重かつ十分な検討が必要であると考えているところでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
 次に、防災問題懇談会についての御質問でございますが、同懇談会は、政府として新しい災害対策を策定するに当たって、総理としての立場から、国、地方公共団体等における防災体制のあり方を見定めていくため、各界各層を代表する有識者の方々の広範かつ多様な御議論をいただき、御意見を伺うために設置することとしたものでございます。必ずしも法的位置づけが必要であるとは考えておりません。
 同懇談会では、法律面のみならず、運用の実態まで踏み込んで自由な立場で幅広く検討いただいておりますが、十月をめどに御提言をいただくことといたしており、政府部内でその提言を十分吟味検討し、新たな災害対策の策定に反映させていきたいと考えておるところでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
 以下の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣小澤潔君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(小澤潔君) 横尾先生の御質問は三問と存じます。順次お答えをしてまいりたいと思います。
 まず、災害対策の推進につきましての基本姿勢についての御質問でありますが、今回の災害対策基本法の改正は、人命救助等への影響にかんがみ、緊急に対処すべきものとして、道路上の放置車両等に関する規定の改正を行うこととしたものであります。
 もとより、政府といたしましては、阪神。淡路大震災の経験を踏まえた災害対策全般の見直しを進める考えであり、その一環として、現在、学識経験者等により構成されている防災問題懇談会において検討が進められており、本年十月を目途に結論を出すことといたしております。
 政府といたしましては、その結果を踏まえ、災害対策基本法の見直しも含め、災害対策の充実強化に取り組むことといたしております。また、これまで政府としては、平成六年度に補正予算措置を講じたほか、平成七年度補正予算においても阪神・淡路大震災等関連経費はもちろんのこと、全国ベースでの地震災害等の防止のため緊急に対処すべき事業に必要な経費につきましても十分な額を計上する等の措置を講じてまいっております。
 もとより我が国は地震など各種災害に見舞われやすく、国民の生命、財産を守ることは国政の基本であります。今後とも、政府といたしましては、全力を挙げて災害対策に取り組んでまいる所存であります。
 次に、阪神・淡路大震災の政府の対応についての御質問でありますが、政府といたしましては、非常災害対策本部や緊急対策本部を設置し、関係機関が一丸となって、地元自治体との連携を密にしながら、被災者の救出、援護、各施設の早期復旧などあらゆる施策を講じてまいりました。
 しかしながら、今回の地震では極めて甚大な被害が発生いたしました。私は、これを厳しく重く受けとめ、災害対策の充実強化には今後とも万全を期してまいる所存であります。
 またこのたび、再び大規模災害が発生した場合に直ちに人命救助等に影響が生じるおそれがあり、緊急に対応すべきものとして、道路上の放置車両等に関する規定の改正を行うこととしたものであります。
 今後は、その他の項目についても防災問題懇談会での議論を踏まえつつ、必要な検討を行った上で適切に対処し、災害対策に万全を期してまいる所存であります。
 次に、激甚災害法についての御質問でありますが、激甚災害法は、著しく激甚である災害が発生した場合における国の地方公共団体に対する財政援助によりその財政負担を軽減することを目的の一つとしており、このような趣旨を踏まえて同法の支援対象が定められているところであります。具体的には、原則として法制定前に特例法によって国庫負担率や補助率の引き上げが行われていた事業で、従来、災害時の特例的な立法措置として慣例化したものを同法の対象としたところであります。
 同法の対象事業の範囲につきましては、このような経緯・趣旨やこれまでの災害に対する支援措置とのバランス等を踏まえて決まっているものであり、その見直しについては総合的、多角的観点から慎重かつ十分な検討が必要であると考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣山口鶴男君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(山口鶴男君) 災害に関連して規制緩和のお尋ねがございましたが、緊急時の規制のあり方につきましては、今回の大震災の経験を踏まえまして、運用面あるいは法制面、両面にわたりまして今後検討していくべき課題であると認識をいたしております。
 総務庁におきましては、阪神・淡路大震災に伴う対策の一環といたしまして、許可等の有効期間の延長等に関する緊急措置法案を今国会に提案いたしたところであります。
 なお、平常時の規制緩和につきましては、規制緩和推進計画に基づきまして着実に推進してまいります。(拍手)
   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(野中広務君) 横尾議員の私に対する御質問にお答えをいたします。
 御審議をお願いいたしております改正法案は、警察官の運転者等に対する措置命令及び警察官みずからが行う措置等、災害が発生し、またはまさに発生しようとする場合におきます警察官等の権限を規定しているところであります。
 これは、先ほど総理からも御答弁申し上げましたように、このたびの阪神・淡路大震災におきまして、放置車両や大量の避難車両、家族の安否を気遣う車両等によりまして緊急通行車両が円滑に通行することができず、災害応急対策に著しい支障を来しましたことから、その教訓から警察官に緊急通行車両の円滑な通行を確保するための必要最小限の権限を付与するものであります。また、やむを得ず車両等を破損した場合にはその損失補償を行うこととしております。
 今回の改正は、災害時という非常事態にこうした権限を定めるものでありまして、総理も御答弁申し上げましたように、万が一にも権限乱用とのそしりを受けることのないよう、法の施行に当たりましては各都道府県警察を厳正に指導していきますとともに、警察官に対する教育・訓練の徹底に努め、法の適正運用を図っていく所存であります。(拍手)
   〔国務大臣亀井静香君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(亀井静香君) お答えをいたします。
 新幹線の建設につきましては、先ほど総理からも御答弁申し上げましたけれども、過去、我が日本列島を襲いました関東大震災等最大級の地震にも十分耐え得る、そうした耐震性の基準に基づいて建設をされたわけでございますけれども、結果は極めて無残なことでございました。私どもは極めて深刻に受けとめておるわけでございます。
 そういうことで、直ちに耐震構造検討委員会を設置いたしまして、委員の皆様方に現地で数次にわたりましての克明な御調査を願い御検討をいただきまして、復旧につきましても、安全性を第一ということで、開通の期限を決めないで徹底した安全性を確保した上で開通をいたしましたが、さらに既存の新幹線あるいは新線の建設につきましても、検討委員会の御検討を十分勘案しながら運輸省、JRの技術陣が総がかりで総点検を実施いたしました。
 その結果、当面応急的な措置を講じておるところでありますが、議員の御質問の、私、聞き違いをしておればお許しを願いたいんですが、議員の質問の中で、予算上の措置を耐震性向上について、これについて措置していないというような趣旨の御質問がございましたが、百四十二億円の措置を第一次補正できっちりといたしております。
 以上でございます。(拍手)
#24
○議長(原文兵衛君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#25
○議長(原文兵衛君) 日程第一 育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。労働委員長笹野貞子君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔笹野貞子君登壇、拍手〕
#26
○笹野貞子君 育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、労働委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 この法律案の内容については、既に本会議において趣旨説明が行われておりますので、簡潔に申し上げます。
 本法律案は、少子・高齢化の急速な進展等に伴い家族の介護が男女労働者にとってその職業生活と家庭生活を両立していく上での重要な課題となっていることから、介護休業制度を設けるとともに、事業主や家族を介護する労働者等に対する支援措置を行おうとするものであります。
 なお、衆議院におきまして、事業主は介護休業制度が義務化される前においても介護休業制度を導入するように努めること等の修正が行われております。
 委員会におきましては、星野朋市君外三名発議の介護休業等に関する法律案と一括して審査し、その中では、休業期間、取得回数、実施時期、対象家族の範囲、休業中の所得保障、取得したことによる不利益取り扱いの防止など介護休業制度の内容についての質疑のほか、中小企業の負担軽減策、高齢者介護政策における介護休業制度の位置づけ、介護労働力の確保対策、介護問題における企業の責任等について質疑が行われました。この間、参考人から意見聴取を行ったほか、仙台市において地方公聴会を開催いたしました。これらの内容は会議録によって御承知いただきたいと存じます。
 なお、介護休業等に関する法律案は、去る六月一日、撤回されました。
 質疑を終了いたしましたところ、平成会の星野委員より、休業期間について原案の三カ月間を一年間に延長すること、取得回数について、原案の対象家族一人につき一回を、一の継続する要介護状態につき一回とすること、実施時期を原案の平成十一年四月一日から平成八年四月一日に早めること等を内容とする修正案が提出されました。
 次いで、日本共産党の吉川理事より、休業期間を一年間に延長すること、取得回数の制限を撤廃すること、解雇、原職または原職相当職への復帰の拒否その他不利益な取り扱いを禁止し、その違反に対する罰則を設けること、実施時期を平成八年四月一日に早めること等を内容とする修正案が提出されました。
 両修正案は予算を伴うものでありますので、内閣の意見を聴取いたしましたところ、浜本労働大臣より両修正案に反対である旨の発言がありました。
 次いで、討論に移りましたところ、まず平成会を代表して武田委員より原案に反対、平成会提出の修正案に賛成、日本共産党提出の修正案に反対する旨の意見が述べられました。
 次に、自由民主党及び日本社会党・護憲民主連合を代表して庄司理事より原案に賛成、両修正案に反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終わり、採決の結果、両修正案は賛成少数をもっていずれも否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、各会派共同提案による附帯決議を全会一致をもって行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(原文兵衛君) 本案に対し討論の通告がございます。発言を許します。足立良平君。
   〔足立良平君登壇、拍手〕
#28
○足立良平君 私は、平成会を代表して、ただいま議題となりました政府提出、育児休業法の一部を改正する法律案に対して、反対の立場から討論を行います。
 我が国では現在、世界に例を見ない速さで社会の少子・高齢化が進展しており、それに伴って介護を要する高齢者が数多く発生していること、及び高齢者を介護する若い世代の人数が急激に減少していることは厳然たる事実であります。
 私たちは、高齢化社会の諸問題に対しては、自助、共助、公助、つまり、みずから助ける、ともに助け合う、公で助けるの最適な組み合わせによる重層的対応を原則としつつ、とりわけ年老いた親などの介護の問題については、介護施設の増設など公的介護体制の整備によって対応すべきであると考えております。
 しかしながら、公的介護体制の整備のための新ゴールドプランは、財源の問題をあいまいにしたままであり、その進捗は期待に反して大幅におくれることが必至であります。
 このような状況の中で、毎年八万人を超える労働者が介護のために退職せざるを得ない現状に対応するため、事業主の方々に共助の観点から御協力いただき、公的介護施設への入所等の公助による対応が可能となるまでの一定期間、労働者が介護のために安心して休業できる権利を法律により保障することは、今日の政治の果たすべき緊急の課題であります。
 本日議題となりました政府案は、基本的には私たちと共通した政策を一応志向しつつも、その内容は極めて不十分なものであると断ぜざるを得ません。
 まず、本案によりますと、介護休業期間は時間短縮措置と合せてわずか三カ月、また介護休業の取得は要介護者一人につき一回に制限されていますが、これでは介護施設への入所に一年を超える待ち時間を要するという現実、また要介護状態が再び発生することがあるという現実に到底対応できる内容ではありません。
 また、施行期日を平成十一年四月とする本案は、中小企業における労働組合の低い組織率が示すように、実質的には労使交渉による自主的な制度の導入が困難な現状においては、まさに中小企業に働く四千万人の労働者の大半を切り捨てることに等しいことと言わねばなりません。
 さらに本案は、介護休業の対象者の範囲に同居の親族を含んでいないほか、介護休業の取得による不利益取り扱いを禁止していないこと、また介護休業中の所得保障や社会保険料の免除などの経済的支援措置も規定されていないことなど、制度を有効に活用するための配慮が残念ながら全くなされておりません。
 これに対して私たち平成会は、介護休業の必要性、緊急性をより深刻に認識し、介護休業等に閲する法律案を提出して審議をお願いいたしました。
 その内容は、第一に、権利としての介護休業期間を時間短縮と合せて一年間とすること、第二に、介護を要する状態ごとに介護休業を取得できるとすることにより、新たに介護を必要とする事態が発生した場合にも対応できるようにすること、第三に、介護休業期間中の所得保障を行うことにより、介護休業による経済的損失を可能な限り補充して、安心して介護休業を取得できるようにすること、第四に、平成八年四月から施行することにより、今この時点においても介護のために退職を余儀なくされている労働者を可能な限り早期に救済すること、また早期の法制化による激変を緩和するため、とりわけ中小企業に対して手厚い助成等の特別措置を行うことなどを主たる内容とするものであります。
 労働委員会におきましては、残念ながら我々の主張は修正案の形で否決されましたが、この平成会案の主張こそ、迫り来る高齢化社会の中で一刻も早い実効性のある介護休業制度の実現を望む生活者、勤労者の切実な要望にこたえるものであると確信するものであります。
 「人にやさしい政治」を標榜される社会党の村山総理のもと、なぜかくも不十分な内容の法案を取りまとめられたのか理解に全く苦しむものであります。
 また、介護休業期間を一年とすることは公的介護体制の整備に矛盾し、かえって女性の介護負担を増大させかねないという与党の御主張は、公的介護体制の整備が大きく立ちおくれている現実に目をつぶり、男女の役割分担の流動化の努力をあらかじめ放棄するものであり、理論をもって現実を裁断する本末転倒の議論であると言わざるを得ません。
 また、衆議院段階での異例の与党各党による修正も、努力規定、見直し規定の追加にすぎず、政府案を何ら実質的に前進させるものとは言えません。
 以上の認識に立ち、私は本法案に対する反対を最後に強く訴え、討論といたします。(拍手)
#29
○議長(原文兵衛君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#30
○議長(原文兵衛君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#31
○議長(原文兵衛君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#32
○議長(原文兵衛君) 日程第二 高齢社会対策基本法案(国民生活に関する調査会長提出)を議題といたします。
 まず、提出者の趣旨説明を求めます。国民生活に関する調査会長鈴木省吾君。
    ―――――――――――――
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔鈴木省吾君登壇、拍手〕
#33
○鈴木省吾君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国民生活に関する調査会を代表して、その提案の趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。
 本法律案は、本格的高齢社会への対応を今期の調査テーマとして、これまで三年間にわたって行ってまいりました本調査会の活動を踏まえて、去る二日、各会派の総意をもちまして起草、提出したものであります。
 我が国におきましては、国民のたゆまぬ努力によりまして、かつてない経済的繁栄を築き上げるとともに、人類の願望である長寿を享受できる社会を実現しつつあります。今後、長寿をすべての国民が喜びの中で迎え、高齢者が安心して暮らすことのできる社会の形成が望まれております。そのような社会は、すべての国民が安心して暮らすことができる社会でもあります。
 しかしながら、我が国の人口構造の高齢化は極めて急速に進んでおり、遠からず世界に例を見ない水準の高齢社会が到来するものと見込まれておりますが、高齢化の進展の速度に比べて国民の意識や社会のシステムの対応はおくれており、国民の間には高齢化やみずからの高齢期に対する不安が生じております。
 かような事態に対処して、国民一人一人が生涯にわたって真に幸福を享受できる社会を築き上げるためには、雇用、年金、医療、福祉、教育、社会参加、生活環境等に係るシステムが高齢社会にふさわしいものとなるよう不断に見直し、適切なものとしていく必要があります。
 このため、あるべき社会の姿を明示するとともに、その方向に沿って、国及び地方公共団体はもとより、企業、地域社会、家庭及び個人が相互に協力しながら、それぞれの役割を積極的に果たし、社会のシステムを再構築していかなければなりません。
 本法律案は、このような状況にかんがみ、高齢社会対策に関し基本理念を定めること等によって高齢社会対策を総合的に推進し、もって経済社会の健全な発展と国民生活の安定向上を図ろうとするものであります。
 次に、本法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、前文についてであります。
 この法律案におきましては、特に前文を設け、法制定の趣旨を明らかにしております。
 第二は、基本理念についてであります。
 高齢社会対策は、国民が生涯にわたって就業その他の多様な社会的活動に参加する機会が確保される公正で活力ある社会、国民が生涯にわたって社会を構成する重要な一員として尊重され、地域社会が自立と連帯の精神に立脚して形成される社会、国民が生涯にわたって健やかで充実した生活を営むことができる豊かな社会が構築されることを基本理念として行われなければならないこととしております。
 第三は、国及び地方公共団体の責務等についてであります。
 国は、高齢社会対策を総合的に策定及び実施する責務を有することとし、また地方公共団体は、国と協力しつつ、当該地域の社会的、経済的状況に応じた施策を策定及び実施する責務を有することとしております。さらに、国民は、高齢化の進展に伴う経済社会の変化についての理解を深め、相互の連帯を強めるとともに、みずからの高齢期において健やかで充実した生活を営むことができることとなるよう努めることといたしております。
 第四は、施策の大綱についてであります。
 政府は、政府が推進すべき高齢社会対策の指針として、基本的かつ総合的な高齢社会対策の大綱を定めることとしております。
 第五は、国会への年次報告についてであります。
 政府は、毎年、政府が講じた高齢社会対策の実施の状況及び高齢化の状況を考慮して講じようとする施策等に関して国会に報告することとしております。
 第六は、基本的施策についてであります。
 就業及び所得、健康及び福祉、学習及び社会参加、生活環境の四つの分野において国が講ずべき施策の基本的な方向を定めております。
 第七は、高齢社会対策会議の設置についてであります。
 総理府に、内閣総理大臣を会長とし、関係行政機関の長のうちから内閣総理大臣が任命する委員から成る高齢社会対策会議を置き、高齢社会対策の大綱の案の作成、必要な関係行政機関相互の調整等を行うこととするなど、高齢社会対策会議に関する規定を定めております。
 以上がこの法律案の提案の趣旨及び主な内容であります。
 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#34
○議長(原文兵衛君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#35
○議長(原文兵衛君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#36
○議長(原文兵衛君) 日程第三 臨時大深度地下利用調査会設置法案(野沢太三君外四名発議)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長岡野裕君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔岡野裕君登壇、拍手〕
#37
○岡野裕君 ただいま議題となりました法律案につきまして、御報告申し上げます。
 本法律案は、土地利用に係る社会経済情勢の変化にかんがみ、大深度地下の適正かつ計画的な利用の確保とその公共的利用の円滑化に資するため、総理府に臨時大深度地下利用調査会を設置しようとするものであります。
 その内容を申し上げますと、調査会は、内閣総理大臣の諮問に応じ、大深度地下の利用に関する諸問題について広くかつ総合的に検討を加え、大深度地下の利用に関する基本理念及び施策の基本となる事項並びに大深度地下の公共的利用の円滑化を図るための施策に関する事項について調査審議することとしております。
 内閣総理大臣は、調査会の答申及び意見を受けたときは、これを尊重するとともに、これを国会に報告することとしております。
 また、調査会の構成は、大深度地下の利用に関する諸問題についてすぐれた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する十二人以内の委員をもって組織することとしております。
 なお、調査会は、本法施行の日から三年を経過した日に廃止されることとしております。
 委員会におきましては調査会の審議の進め方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 次いで、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#38
○議長(原文兵衛君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#39
○議長(原文兵衛君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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