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1995/06/14 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 本会議 第29号
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1995/06/14 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 本会議 第29号

#1
第132回国会 本会議 第29号
平成七年六月十四日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十九号
    ―――――――――――――
  平成七年六月十四日
   午前十時 本会議
    ―――――――――――――
 第一 内閣総理大臣村山富市君問責決議案(松
  尾官平君外五名発議)(委員会審査省略要求
  事件)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 日程第一 内閣総理大臣村山富市君問責決議案(松尾官平君外五名発議)(委員会審査省略要求事件)
 本案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、これを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、本案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。松尾官平君。
    ―――――――――――――
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔松尾官平君登壇、拍手〕
#5
○松尾官平君 私は、平成会を代表いたしまして、ただいま上程されております内閣総理大臣村山富市君問責決議案について提案の趣旨を説明いたします。
 まず、決議案の案文を朗読いたします。
  本院は、内閣総理大臣村山富市君を問責す
 る。
  右決議する。
 以下、その理由について申し上げたいと思います。
 今、政治、経済、社会、外交のすべての分野で時代閉塞感が日本全体に満ちあふれております。このまま何もできないのであれば日本の危機的状況に陥るという、大きな転換点に立っているわけであります。戦後五十年を経て、二十一世紀という大切な未来に向かっての新しい仕組みをつくるための改革が求められているわけであります。このときに当たり、内外の諸課題を正しく認識し、国家百年の大計に立ち、政策に誤りなきを期していかなければならない重大な時期を迎えているわけであります。
 問責の第一の理由は、村山政権にはこの大切なときを乗り切る意思も能力も欠如していると考えるからであります。
 村山内閣の自民、社会、さきがけという政治理念も基本政策も違う政党が連立維持を最優先にしたため、譲歩と妥協に精力を割き、無節操な理念なき政権ができ上がったのであります。与党三党の政策には本質的に大きな違いがあり、山積する重要課題に対して何らの解決も提示することのできないそのツケは、後世の禍根となって国民に降りかかり続けるでありましょう。
 第二の理由は、失礼ながら総理御自身が問われている問題だということであります。
 日本の政治のかじ取りをしっかりと進めていこうという総理の言葉はありましても、その努力や意気込みが感じられないのであります。今ほど総理の強いリーダーシップが求められているときはありません。村山内閣の最重要課題と公約である行政改革の停滞、災害や危機に立ち至ったときの指導力欠如、経済無策による円高の放置、国際社会での信頼の喪失など、総理大臣の指導力によって解決しなければならない問題が山積しているにもかかわらず、村山総理は一向に指導力を発揮しようとはされなかったのであります。
 国民が政治に、そして総理の指導力に大きく期待しているにもかかわらず、事もあろうに、連立政権の限界を語り、みずからやめたいという意思を与党三役に漏らされたという報道や、それは村山総理の口癖だとも言われた報道も出ています。
 また、阪神・淡路大震災に際して、初めてのことですからと発言されましたが、総理はお忘れになったのでしょうか。我が党は、三陸はるか沖地震の際、官邸の三役不在という緊張感を欠く対応に、地震多発国である日本でありますということを、常に緊急対応体制の必要性を指摘してきたわけであります。村山総理の正直なところは率直に認めますけれども、公党の申し入れには正直にこたえてもらいたいというのが念願であります。
 第三の理由は、村山内閣は改革の政治に背を向け、これを後戻りさせるような政権であり、これ以上政権の座にとどまることはふさわしくないと考えるからであります。
 政治改革、行政改革、経済改革、教育改革等々、我が国のあり方そのものを大きく変えていかなければならないときに、あなたは総理になられてどんな改革案を提示し実現したでありましょうか。消費税の税率引き上げのときのかたい約束でありました行革に対する対応はまことにお粗末、中途半端、重大な公約違反であると考えるわけであります。
 新進党は、現在、中央省庁の統廃合、特殊法人の整理合理化、国家公務員法改正案等の提出を準備しておりますが、こうした具体的な改革案を提示することのできない村山内閣には、政権を担当する資格のないものと断ぜざるを得ないのであります。参議院選挙制度、立法府の機能強化などの政治改革、紛争解決方法の多様化などを図る司法改革、官僚主導・輸出主導型の経済構造を市場経済、国際競争時代に対応したものとする経済改革、資産・消費・所得のバランスのとれた税体系を確立するための税制改革、受験に偏し画一・硬直化した現状を是正する教育・文化改革、国民が老後に不安なく暮らせる体制の整備や危機や災害に強い国家とするための社会改革など、枚挙にいとまがないのであります。
 第四の理由として、村山内閣の経済無策、円高に対する対応の失敗を挙げなければなりません。
 総理、あなたは今日の我が国が未曾有の難局の中で迷走を続けている経済実態の深刻さをどれだけ真剣に認識してこられたでありましょうか。新進党が、急激な円高が進んでいた三月七日には直ちに対応策を申し入れ、さらに円高が一層進行した三月二十八日には非常事態に対処するための緊急経済対策を提言いたしました。その後、一段と円が急騰した四月三日には再度緊急対策の実施を申し入れ、続いて、一ドル八十円を迎えた四月七日には談話を発表して緊急対策を促すなど、執拗なほどに不況、円高の深刻さを訴え、根本的な政策、改革の実施を求めてまいったのでありますしかるに、ようやく政府が緊急円高・経済対策を発表したのは四月の十四日のことであり、まさにタイミングを失ったばかりか、新味に乏しく実効性がないものと言わざるを得ないのであります。
 円はきのうの終わり値を見ましても八十四円台前後、景気の先行指標とも言われる株価は一万四千円台に入っています。このままでは、円高に苦しむ中小企業を救い、産業の空洞化を防止することはできません。思い切った生活関連公共投資や学術研究、新産業開発育成のための研究投資が円高対策の背景として必要であります。また、市場開放と内外価格差是正のため、規制緩和は重要な課題でありますが、この問題についての政府の対応に至っては、精査して確信を持った計画とは認められないわけであります。
 最後に、この村山内閣が続くことは、議会制民主主義にとって不幸な結果をもたらすということであります。
 村山政権を支える与党三党は、戦後五十年に当たっての国会決議の取り扱いに関して、議会政治のルールを無視し、しかも内容の意味不明な点のある国会決議を提出し、これに対してよりよい内容への提案をしても、問答無用の強行採決を行うという暴挙をされたのであります。このような与党の上に乗った政権は、議会制民主主義にのっとった政権とは到底言えるものではありません。
 私は、以上、五点にわたり主な理由を申し上げました。
 何とぞ本決議案に対し議員各位の御賛同をいただきたく、参議院らしい結論が得られるよう心からお願いを申し上げるわけであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(原文兵衛君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。野沢太三君。
   〔野沢太三君登壇、拍手〕
#7
○野沢太三君 私は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合を代表して、ただいま上程されました内閣総理大臣村山富市君問責決議案に対し、断固として反対の討論を行うものであります。
 まず、冒頭、国難とも言うべき阪神・淡路大震災の復興、オウム・サリン事件が重大段階にあり、対外的にハリファクス・サミットを目前に控え、懸命にこれら内外の重要課題に取り組んでいる最中、村山総理に対して問責決議案が提出されたことは、国益を無視して党利党略に走った暴挙と言わざるを得ないのであります。村山内閣は、昨年六月に、民意を代表し得ない少数連立政権により、政局が混迷をきわめる中、責任と安定の政治により火急の重要課題を処理すべしとの世論にこたえるべく誕生したものであります。
 この一年間、村山総理大臣に対する信頼を中心に、与党三党の政策協調、民主的で透明性の高い政治手法によりまして内外の難しい懸案事項を次々に処理してまいりました。
 具体的に申しますと、昨秋の臨時国会においては、選挙制度の改正、年金の改正、税制改革、WTO加入のための国内対策等を次々に実現し、朝令暮改の国民福祉税等に象徴される無責任な政治の後始末をなし遂げ、内閣提出法案を全部成立させるという立派な実績を上げたものであります。さらに、今通常国会において大震災、サリン事件関係、地方分権を初め内閣提出法案百二法案の全部の成立をなし遂げたことは史上かつてない快挙であり、何もしない内閣などと言うことは全くためにする議論にほかなりません。
 これを可能にしたのは、過去のイデオロギー対立を超え内外の動向に即した政策路線をとられた村山総理大臣の英断によるところ大であり、何が国民の役に立つかという同じ土俵の上で与党三党が現実的な政策協調に努めた成果であります。
 連立政権のもとで、緊急課題に取り組む政策合意を発表し、政策協調により責任を持って国民の声にこたえていく、これが連立内閣の使命、政治手法であります。各与党の公約がそのまま内閣の政策にならないことをもって公約違反、野合と声を大にして言うことは、強権政治、信義違反により無責任政治をもたらした政治勢力が、何の反省も行わず、新しい時代の政治運営の何たるかをいまだ全く理解していないものと断ぜざるを得ません。
 三月からの急激な円高に伴い景気の先行きに不透明感が出ておりますが、これにいち早く対応するため本年度予算を三月二十二日と戦後最も早期に成立させることができたことは、しっかりした政権基盤にある現内閣だからこそできたものであります。政治改革最優先で、六年度予算成立をこれよりも三カ月余りも遅く成立させ景気回復に水を差した前・元政権との経済対策への取り組みの違いが、これだけとっても歴然たるものがあります。
 さらに、規制緩和の二年前倒し実施を初め、輸入促進、経済フロンティアの拡大等の緊急円高対策を発表、実施しつつあるところであります。
 円高は、累積した貿易黒字がその背景にあるものの、米国の経済運営や投機筋等の影響も大であり、内需拡大と相まって国際的な協調が真剣に協議されている最中、さらにWTO提訴問題で自由貿易を守るための交渉がなされようとしているやさき、経済無策呼ばわりして国内から足を引っ張ろうとしていることは、交渉相手を利することになり、まことに理解に苦しむものであります。
 本年に入り、大震災やオウム・サリン事件等の大事件が続発いたしました。これはだれしもが予見しがたい不幸な惨事であり、かつて歴代内閣が経験しなかった大事件であります。
 危機管理体制の問題については、村山内閣のみならず、前内閣も含めた歴代内閣、議会全員がこれを教訓として真剣に反省すべき問題であります。これについては、全力を挙げて目下取り組み、まず官邸への迅速な情報収集を初め体制の整備に早急に着手しているところであります。
 震災の救援、復旧については、総理の大号令のもと、内閣は被災地と一体になり総力を挙げて取り組み、六年度第二次補正予算、本年度補正予算において着々と復旧工事を進めつつあります。さらに、今国会において地震防災関連閣法十七法律の迅速な成立をなし遂げ、阪神・防災都市づくり等の復興が本格化しようとしている段階であります。
 オウム・サリン事件は、宗教法人による無差別テロ事件として全国民を震憾させ、総理大臣の再三にわたる早期捜査の指示、昼夜を分かたぬ警察総動員体制により、事件発生後五十八日の短期間に麻原代表等の逮捕にこぎつけ、起訴に至りました。ここに、国民の安全を守るための使命に邁進された総理初め関係者の多大なる労苦に対し、深い感謝の念をあらわすものであります。
 このような国難に果敢に立ち向かい、国民の災禍を救うため日夜粉骨砕身されている村山総理の真摯な姿を拝見するにつけ、疑惑にまみれて予算を途中で投げ出した元総理と何と違うことかと感銘いたしている次第であります。
 村山総理大臣は御就任のときからリンカーンに似ていると言われておりますが、これは生い立ちとか風貌だけでなく、この一年間の政治姿勢を見て、人民の人民による人民のための政治をモットーに心がけ、民主主義の原点を大切にし、「人にやさしい政治」をいかに実現していくかに最大限尽力されていることが強く伝わってくるのであります。
 戦後五十年の国会決議につきましては、一部野党の欠席のもとに衆議院で議決され、まことに残念なことになりました。
 国会決議に先立ち、与党内においては三党の政策合意に基づき議論を尽くしたものであり、新進党においても、並行的に検討し、取りまとめた党声明の趣旨が与党三党の合意した決議案に反映されていると、一時は前向きの姿勢が見られました。しかしながら、このまま与党三党の決議案に賛同したのでは野党の存在意義がなくなるとして、まさに党利党略に基づき、党内の議論も十分尽くさないまま、修正案を押しつけ、その協議の要請に対してさえも応じることなく、本会議を欠席したものであります。
 これは、内外に向かって、過去の反省と将来への平和の貢献のための国会決議の意義をないがしろにするものであり、このような真摯な姿勢を欠く政治勢力との関係においては、民主主義の基本に戻り出席者多数により決議いだすことは至当であり、十分理解され得るものであります。
 村山総理は、本日午後、サミット出席のため日本を離れられますが、我々は以上の理由により本決議案を断固否決いたしますので、自信を一層深められ、主要国の首脳会談においては、日本の経済と文化を世界の平和と発展のために役立てる決意を堂々と披瀝されたいのであります。
 今まさに内外においてかつてなく多難なこのとき、政治混乱を引き起こし党勢挽回の好機にしようと策動して出された本問責決議案は直ちに圧倒的多数によって否決されるべきことを訴えて、私の反対討論といたします。(拍手)
#8
○議長(原文兵衛君) 大久保直彦君。
   〔大久保直彦君登壇、拍手〕
#9
○大久保直彦君 私は、平成会を代表して、ただいま提出されました内閣総理大臣村山富市君問責決議案に賛成の討論を行うものであります。
 ただいま反対の討論をお伺いいたしておりまして、保守本流政治を貫いてこられた自民党の赫々たる議員が、ついこの間まで自衛隊は憲法違反であるとおっしゃっておった村山総理を歯の浮くような言葉を並べて褒めたたえたこと、どこまで本心であろうかなと思うのでございます。
 私がこの決議案に賛成する第一の理由は、この内閣が国民を裏切った背信内閣だからであります。
 日本社会党は、第二次世界大戦終結後、数十年にわたり反自民を旗印に国民から支持を得てきた政党であり、野党の第一党でございました。社会党はアンチ自民であると国民のだれもが思っておりました。その社会党が事もあろうに自民党と結託をして、数合わせで誕生したのがこの村山内閣でございます。
 反自民であった社会党は、自民党と結託した時点でその社会党の役割は終わってしまったと言えるのではないでしょうか。使命と役割を終えた政党の党首が総理大臣として日本のかじ取りをしていることに、日本の政治の不幸と国民の不幸があるのでございます。
 村山総理は、水と油の自社連立政権の中で、社会党の伝統や政策をごみ箱に捨てるように次々と放棄していきました。いや、自民党に社会党の政策を放棄させられたと言った方が正確かもしれません。
 政党は、その政策を実現するために政権を目指すものであり、政権にしがみつくために党の政策を一つ一つ、そして全部変えてしまう、政党としてこれほど国民をばかにしたことはないと思うのでございます。
 一昨年の総選挙で金権政治をたたき、自民党打倒を掲げて国民の支持を得た社会党、その政党が自民党と連立を組み、自民党の復権、カムバックに手をかしたこと、これは明らかに国民に対する背信行為であります。村山内閣は野合政権であり、政党政治及び議会制民主主義にかつてない国民的な不信を招いた元凶の内閣と言わざるを得ません。
 ワシントン・ポストの極東総局長のトム・リードさんという方が、政権発足当時、外国人の僕が見てもこんな内閣は頭にくるし不愉快です、こんな政権は信頼できませんね、クリントン大統領も期待は抱いていないと言い切っておられます。
 村山さん、四十年間、あなたが政治家としての魂であり信念だと叫び続けてきた政策をいとも簡単に変更する。外国人の目から見ますと、日本人の信念とは一体何なのか、日本人の精神構造が理解できないとの声すら起きているのでございます。
 村山総理、あなたの行動は日本人全体に対する評価を狂わしめているのでございます。国民からも海外からも信頼されない不幸な政権が村山政権です。村山内閣が国民の支持を得ていない、国民の意向とは逆方向に向かっている内閣であることは改めて述べるまでもありませんが、最近のマスコミの世論調査でも内閣支持率は連続して下降線をたどっております。逆に、不支持率は五〇%を既に超えたとさえ言われております。
 その国民の意識が明確に示されたのがさきの統一地方選挙でありました。与党・自民党も惨敗、社会党は大惨敗であったことは、御承知のとおりであります。地方選挙とはいえ、国民の審判は明確であります。自社野合の村山政権を国民は認めていないのであります。
 歴代の社会党委員長なら、ここでその責任を強く受けとめ、潔い態度をとられたものでありますが、しかるに、村山総理は今もなお恋々と政権の座に居座り続けておられる。社会党委員長は自民党に取り込まれ、のみ込まれているので、けじめをつける気概すらなくされてしまったのかとさえ思うのでございます。
 国民に対する責任を感ずるならば、国際社会からの信頼を取り戻すためにも、一日も早く退陣すべきであります。
 私が賛成する理由の第二は、村山内閣が無為無策の無責任内閣であるということであります。
 申すまでもなく、我が国を取り巻く内外情勢は、国際的には、冷戦後の新たな世界秩序を模索している中で世界平和の維持と経済の発展をどのようにして図っていくのか、日本はそれに対してどのような貢献ができるのかが問われております。国内的には、超円高傾向が続く中、戦後最大の長期不況、また大震災等に対する危機管理体制の確立、高齢社会、少子社会への取り組み、行政改革、規制緩和等々の課題が山積しておりますしかるに、村山内閣は、この現実に対する厳しい認識もなく、改革の意欲もなく、何もしようとはせず、ただ政権維持にのみきゅうきゅうとしているのであります。
 何度も申し上げるようでありますが、阪神大震災に対する初動態勢のおくれは村山内閣の危機管理能力の無能さを国民の前に示し、国民から怒りを買うだけではなく、世界各国からも信頼を失ったのであります。
 さらに、地下鉄サリン事件への対応では、リーダーシップの欠如、国民の生命、財産を守ろうとの政府の責任のある姿は全く見られない状態であります。国民は村山内閣に失望しております。日本の政治に不安を感じております。
 我が国の経済は、戦後最大の危機的状況にあると言っても過言ではありません。国民が不況にあえいでいても、村山政権は何もできない、何もしない、ただ課題を先送りする無責任内閣なのであります。責任ある政治ならば、円高対策一つにしても、例えば円高の背景にある経常黒字を削減するための具体的な努力目標としての数値を提示するなど、思い切った方針を速やかに打ち出すべきでありました。しかし、政府は事の本質を見誤り、国際協調を唱えるのみで、またしても無為無策の先送りに終始したのであります。
 リストラに次ぐリストラで疲労の極にある輸出関連企業は、このまま円高が続けば、中小企業の大半は倒産し、国内の製造業は海外流出し、恐るべき産業空洞化をもたらしかねません。日本経済は、まさに沈没のふちに立っているのであります。
 しかるに、村山総理、あなたは何ら深刻な理解を示されない。村山内閣がこれ以上続けば、日本丸は沈没をしてしまうのであります。
 政治改革はつまるところ政治家改革であり、いかに政治家が責任を持って危機に立ち向かい、そして村山総理にそのリーダーシップを発揮するかの、その意欲も責任感もありません。
 私は、総理が今国民のためになし得るただ一つのこと、すなわち一刻も早く退陣されることを強くお勧めいたしたいと思うのでございます。
 賛成する第三の理由は、村山内閣は議会制民主主義を破壊する内閣であるということであります。
 一九六〇年代、自民党の一党独裁の政治はまことに目を覆うものがありました。自民党の野党の少数意見を無視した多数による強行採決という暴挙は、国民から政治不信の批判を浴び、怨嗟の的でありました。
 村山さん、自民党のこうした暴挙に対して、先頭に立ってそれに反対し、抗議し、阻止せんと体を張っても闘い、自民党内閣不信任案を提出して正論を貫いてきたのが日本社会党だったのではありませんか。その社会党が今や自民党と一緒になり、結託して強行採決を行っているのでございます。一体どうなっているのでございましょうか。
 多数を是としての強行突破は議会の自殺行為であり、民主主義に対する挑戦であります。
 過日の衆議院における戦後五十年の国会決議は独善的強行採決そのものであり、衆議院予算委員会の証人喚問の強行採決は、まさに村山政権が持つ暴力的性格を明確にあらわしておるのでございます。これほどのルール違反は、自民党単独政権時代にも見ることはできませんでした。これは「やさしい政治」とはあべこべに権威的、傲慢な態度以外の何物でもありません。
 その姿勢は、本院における村山総理の答弁にもあらわれております。
 あなたはこの本会議場において、静かに聞きなさいと発言するなど、答弁者にあるまじき態度を露呈しているのでございます。議場で整理が必要なときは、それは議長、副議長の役割であり、議院運営委員会の仕事であります。いかなる事態であろうとも、総理大臣が静かに聞けなどと本院議員に注文をつけるとは何事でありましょうか。
 あなたがそのような姿勢でありますから、村山内閣の大臣にもその影響があらわれております。野中自治大臣の発言、浜本労働大臣の答弁の中にもそれがあらわれております。また、さきの本会議での平成会の横尾和伸君の質疑に対する亀井運輸大臣の答弁であります。
 亀井大臣は、いやしくも本院の議員の質問が間違っているかのごときの答弁をなされました。
 村山総理、本院議員の質疑に行政の責任者が注文をつけるとは言語道断、前代未聞の出来事であります。本院を侮辱するのも甚だしいと断ぜざるを得ないのであります。
 今、一例を申し上げましたが、今日我が国の議会制民主主義は崩壊の危機に瀕していると言っても過言ではありません。このまま村山内閣が続けば、日本の民主主義は破壊されます。
 私は、村山内閣の退陣こそ我が国の議会政治の信頼回復と国民生活の安定、さらに世界平和に寄与するものであると申し上げ、重ねて村山総理の退陣を要求して、問責決議案の賛成討論を終わります。(拍手)
#10
○議長(原文兵衛君) 立木洋君。
   〔立木洋君登壇、拍手〕
#11
○立木洋君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました村山総理大臣問責決議案に対し賛成の討論を行います。
 昨年十月の臨時国会で、我が党の不破委員長は、村山総理は自民党単独政権時代よりももっと乱暴な国民無視の極端なやり方で悪政を横行させていると、退陣を強く要求しました。村山政権誕生から今日に至る約一年の軌跡は、まさにこの内閣が問責に値するものであることを白日のもとにさらけ出しました。
 村山総理を問責する第一の理由は、戦後五十年決議の問題で、我が国憲法の平和原則のよりどころとなっている侵略戦争への根本的反省を覆すところにまで突き進んでいるからであります。
 旧憲法下、当時の日本政府が、早くから朝鮮人民に植民地支配の圧政をしくとともに、アジア・太平洋地域で領土と勢力圏の拡大を目的とした侵略戦争を遂行し、中国人民を初め二千万人を超えるアジア諸国民の命を奪い、甚大な被害を与えたのは、厳然たる歴史の事実であります。
 国連憲章が敵国による侵略戦争の再現を許さないと明記しているように、戦後の国際政治は日本、ドイツ、イタリアの侵略諸国家への厳しい断罪を共通の基礎としており、二度とああいう軍国主義、ファシズムを許してはならないというのが共通の出発点であります。
 我が党は、こうした原点や事実を踏まえて、政府に侵略戦争の深い反省と関係諸国への真摯な謝罪、誠意ある国家補償、戦争を二度と繰り返さない決意を求める決議案を本院に提出いたしております。
 ところが、村山総理の強い要請のもとに衆院で強行され、参院でも与党から提示されている決議案は、植民地支配や侵略的行為は世界の近代史において数々の国も行った世界の一般的風潮であり、日本もその時流に乗っただけで特別に悪い罪はないんだという、驚くべき侵略戦争合理化の論理に貫かれたものであります。
 侵略戦争を行った諸国もそれと戦った反ファシズム連合諸国もどっちもどっちと開き直り、歴史的にも国際的にも確定している第二次世界大戦の性格を根本から否定したものであります。これまで政府が侵略戦争は認めないが侵略的行為だけは認めるなどとしてきたごまかしに加えて、いわば過去の日本の犯罪的戦争を合理化しようとする開き直りでなくて何と言うべきでしょうか。
 戦後五十年のこの年に、歴史のこの厳然たる事実を否定し、戦後の世界政治の原点に逆らう、このような決議が全世界の心ある人々の怒りと軽べつを呼び起こしているのは当然ではないでしょうか。
 村山総理問責の第二の理由は、みずからの公約を恥じることもなく破り捨てて、国民の暮らしと命を脅かしていることであります。今、公約違反の政治を大手を振ってまかり通らせ、政治に対する不信を未曾有の規模で広げている元凶こそ村山内閣と断ぜざるを得ないのであります。
 社会党は、前の選挙で消費税反対を公約し、村山総理自身、新聞の候補者アンケートで消費税は廃止すべきだと明確に答えていました。あなたは、この公約を正面から裏切って消費税増税を実行したのであります。さらに言えば、六年前の参院選挙であなたの党は、まさにこの消費税廃止を第一に掲げて本院で大きな議席を占めたのではありませんか。この公約さえ平然と踏みにじるような政治は、断じて容認できません。
 その上、あなたは、年金の支給開始年齢を五年間も引き上げる年金改悪をごり押しし、米輸入自由化を受け入れるなど、国民生活にかかわる重大な問題で公約違反を重ねてきたのであります。これらの悪政が日本共産党を除く事実上のオール与党の体制で進められてきました。
 皆さん、公約は政党・政治家にとっての魂であります。この公約を裏切ることは、国民主権と民主政治を大もとから踏みにじることにほかならないのであります。
 こうした国民不在の政治に対し、国民の怒りは頂点に達しています。村山内閣の責任は極めて重大であり、さきの都知事選や一斉地方選挙の結果こそ、こうした公約違反の政治ノー、オール与党政治ノーの声を明確に示したものではありませんか。国民の審判は下されたものと言えるのであります。
 村山総理問責の第三の理由は、今日の日本が、阪神・淡路大震災問題、円高不況問題、サリン・オウム問題などなど、政治、経済、社会の各分野にわたる深刻な行き詰まりと危機に直面しているもとで、村山内閣が機敏に適切な方策を見出せず国民の期待に全くこたえていないことであります。
 まず、阪神・淡路大震災に関して言えば、日本は列島全体が地震帯に組み込まれている世界でも有数の地震国であります。阪神・淡路大震災から酌み取るべき最大の教訓は、国民の安全保障とは国民の生命と財産を震災から守ることであり、この対策を国政上の最優先課題の一つとすることであります。
 ところが、総理は、軍事費や大企業奉仕の公共事業など不要不急の経費を削り震災に強い国土づくりのための予算の組み替えをという国民と我が党の要求には一切耳をかさず、これを拒否しました。この結果、いまだに消防車増強予算は米軍の思いやり予算の四十六分の一にすぎず、予算全体の一万分の一にも満たないのであります。
 また、震災から五カ月を経過していながら、三万人近い被災者が避難所暮らしを余儀なくされ、震災で失った家や営業用資産などの損失を補てんするために不可欠となっている個人補償も何の措置もとっていないのであります。世界第二の経済力を誇る日本でなぜこのような事態が放置されているのか、まさに政治の責任が鋭く問われているのであります。
 また、円高については、その構造的なゆがみの原因がアメリカのドル垂れ流し、これによる歯どめなきドル低落と、日本の大企業が円高を口実に労働者、下請にさらなる犠牲を強いて、海外市場に輸出拡大を続け、異常円高を一層進めるという悪循環、すなわち悪魔のサイクルにあることは自明であるにもかかわらず、村山総理は、困ったもんだなどと無責任な態度に終始しただけであります。
 さらに、オウム・サリン事件についていえば、このような反社会的行為が野放しにされた今月のような事態を招いた一因に、坂本弁護士拉致事件の事実上の放置、松本サリン事件での見込み違いの捜査、上九一色村の異臭発生事件での残土採取のおくれなど、政府の対応に重大な立ちおくれがあったことは明々白々であります。
 村山内閣が国民生活で生起するさまざまな問題に対する対応で全く無能無策の内閣であることは、明らかであります。
 以上、私は村山総理が問責に値することを重ねて指摘し、日本共産党を代表しての賛成の討論を終わるものであります。(拍手)
#12
○議長(原文兵衛君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#13
○議長(原文兵衛君) これより採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#14
○議長(原文兵衛君) 投票漏れはございませんか。投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#15
○議長(原文兵衛君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#16
○議長(原文兵衛君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十票
  白色票           六十二票
  青色票          百五十八票
 よって、本案は否決されました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      六十二名
      足立 良平君    荒木 清寛君
      井上  計君    石井 一二君
      泉  信也君    猪熊 重二君
      牛嶋  正君    及川 順郎君
      大久保直彦君    風間  昶君
      片上 公人君    勝木 健司君
      刈田 貞子君    北澤 俊美君
      釘宮  磐君    黒柳  明君
      小林  正君    木暮 山人君
      木庭健太郎君    田村 秀昭君
      高桑 栄松君    武田 節子君
      都築  譲君    続  訓弘君
      常松 克安君    鶴岡  洋君
      寺崎 昭久君    寺澤 芳男君
      直嶋 正行君    中川 嘉美君
      中西 珠子君    中村 鋭一君
      永野 茂門君    野末 陳平君
      長谷 川清君    浜四津敏子君
      林  寛子君    平野 貞夫君
      広中和歌子君    星野 朋市君
      松尾 官平君    矢原 秀男君
      山崎 順子君    山下 栄一君
      横尾 和伸君    吉田 之久君
      和田 教美君    小島 慶三君
      市川 正一君    有働 正治君
      上田耕一郎君    聴濤  弘君
      高崎 裕子君    立木  洋君
      西山登紀子君    橋本  敦君
      林  紀子君    吉岡 吉典君
      吉川 春子君    翫  正敏君
      西野 康雄君    山田 俊昭君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百五十八名
      青木 幹雄君    井上 吉夫君
      井上 章平君    井上  孝君
      井上  裕君    伊江 朝雄君
      石井 道子君    石渡 清元君
      岩崎 純三君    上杉 光弘君
      上野 公成君    浦田  勝君
      遠藤  要君    小野 清子君
      尾辻 秀久君    大河原太一郎君
      大木  浩君    大島 慶久君
      大塚清次郎君    大浜 方栄君
      太田 豊秋君    岡  利定君
      岡野  裕君    岡部 三郎君
      加藤 紀文君    狩野  安君
      鹿熊 安正君    笠原 潤一君
      片山虎之助君    鎌田 要人君
      木宮 和彦君    北  修二君
      久世 公堯君    沓掛 哲男君
      倉田 寛之君    河本 三郎君
      佐々木 満君    佐藤 静雄君
      佐藤 泰三君    斎藤 十朗君
      斎藤 文夫君    坂野 重信君
      沢田 一精君    志村 哲良君
      清水嘉与子君    清水 達雄君
      下稲葉耕吉君    下条進一郎君
      陣内 孝雄君    鈴木 栄治君
      鈴木 省吾君    鈴木 貞敏君
      世耕 政隆君    関根 則之君
      田沢 智治君    高木 正明君
      竹山  裕君    坪井 一宇君
      中曽根弘文君    永田 良雄君
      楢崎 泰昌君    成瀬 守重君
      西田 吉宏君    野沢 太三君
      野間  赳君    野村 五男君
      南野知惠子君    服部三男雄君
      林田悠紀夫君    二木 秀夫君
      真島 一男君    前島英三郎君
      前田 勲男君    増岡 康治君
      松浦  功君    松浦 孝治君
      松谷蒼一郎君    宮崎 秀樹君
      宮澤  弘君    村上 正邦君
      守住 有信君    森山 眞弓君
      矢野 哲朗君    柳川 覺治君
      山崎 正昭君    吉川 芳男君
      吉村剛太郎君    会田 長栄君
      青木 薪次君    穐山  篤君
      一井 淳治君    糸久八重子君
      稲村 稔夫君    今井  澄君
      岩崎 昭弥君    岩本 久人君
      上野 雄文君    小川 仁一君
      及川 一夫君    大渕 絹子君
      大森  昭君    大脇 雅子君
      梶原 敬義君    上山 和人君
      萱野  茂君    川橋 幸子君
      菅野  壽君    喜岡  淳君
      久保  亘君    久保田真苗君
      日下部禧代子君    栗原 君子君
      佐藤 三吾君    櫻井 規順君
      志苫  裕君    清水 澄子君
      篠崎 年子君    庄司  中君
      菅野 久光君    鈴木 和美君
      瀬谷 英行君    竹村 泰子君
      谷畑  孝君    谷本  巍君
      種田  誠君    千葉 景子君
      角田 義一君    野別 隆俊君
      浜本 万三君    肥田美代子君
      深田  肇君    渕上 貞雄君
      細谷 昭雄君    堀  利和君
      前畑 幸子君    松前 達郎君
      三重野栄子君    三上 隆雄君
      峰崎 直樹君    村沢  牧君
      村田 誠醇君    森  暢子君
      矢田部 理君    安永 英雄君
      山口 哲夫君    山田 健一君
      山本 正和君    吉田 達男君
      渡辺 四郎君    藁科 滿治君
      武田邦太郎君    田  英夫君
      島袋 宗康君    下村  泰君
      西川  潔君    赤桐  操君
      堂本 暁子君    安恒 良一君
     ―――――・―――――
#17
○議長(原文兵衛君) これにて休憩いたします。
   午前十一時休憩
   〔休憩後開議に至らなかった〕
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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