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1995/03/08 第132回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第132回国会 交通安全対策特別委員会 第4号
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1995/03/08 第132回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第132回国会 交通安全対策特別委員会 第4号

#1
第132回国会 交通安全対策特別委員会 第4号
平成七年三月八日(水曜日)
    午後零時四分開議
出席委員
  委員長 貝沼 次郎君
   理事 栗原 博久君 理事 栗原 裕康君
   理事 林  幹雄君 理事 工藤堅太郎君
   理事 須藤  浩君 理事 土田 龍司君
   理事 遠藤  登君 理事 宇佐美 登君
      片岡 武司君    河村 建夫君
      茂木 敏充君    山本 有二君
      伊藤 英成君    江崎 鐵磨君
      近江巳記夫君    高橋 一郎君
      山本 孝史君    永井 孝信君
      細川 律夫君    山下八洲夫君
      藤田 スミ君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 亀井 静香君
 出席政府委員
        運輸省海上交通
        局長      平野 直樹君
        運輸省海上技術
        安全局長    小川 健兒君
        海上保安庁次長 松浦 道夫君
 委員外の出席者
        特別委員会第一
        調査室長    田村 勝美君
    ―――――――――――――
二月二十四日
 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第五七号)
 自動車の保管場所の確保等に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣提出第五八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 海上衝突予防法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第四三号)(参議院送付)
     ――――◇―――――
#2
○貝沼委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、海上衝突予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を求めます。運輸大臣亀井静香君。
    ―――――――――――――
 海上衝突予防法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○亀井国務大臣 ただいま議題となりました海上衝突予防法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 船舶交通の安全を図るための海上交通の基本ルールにつきましては、その国際性にかんがみ一八八九年以来国際規則が作成され、主要海運国はいずれもこれらの国際規則をそれぞれ国内法化してきております。我が国におきましても、明治二十五年に海上衝突予防法が制定されて以来、国際規則に対応して、数度の改正を経て今日に至っております。
 最近では、一九九三年十一月の国際海事機関総会において、漁労に従事している船舶の灯火及び形象物に関する事項等について、国際規則の一部改正案が採択され、本年十一月四日から発効することとなりました。
 このため国内法を整備する必要があることから、海上衝突予防法の一部を改正しようとするものであります。
 次に、改正案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、長さ二十メートル未満の漁労に従事している船舶が表示すべき形象物について「かご」を廃止し、すべての漁労に従事している船舶の表示すべき形象物を統一することとしております。
 第二に、長さ二十メートル以上のトロールにより漁労に従事している船舶について、他の漁労に従事している船舶と著しく接近している場合に、当該船舶の操業状態を知らせるため、従来任意であった追加の灯火の表示を義務化することとしております。
 以上が、この法律案を提案する理由であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
#4
○貝沼委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○貝沼委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。須藤浩君。
#6
○須藤委員 新進党の須藤でございます。
 今回、海上衝突予防法の一部改正ということで、海上におけるいわゆる船舶の事故を減らすという趣旨での国内法の一部改正についての御質問をいたします。
 ただいまの趣旨説明にありましたように、従来、国際規則の作成、そしてその改正により国内法の改正ということかと思います。漁船についての衝突事故というものが、平成元年から数字を見てみますと、いわゆる台風であるとか異常気象といったものを除いた場合、平成元年に二百六隻、二年が百九十八隻、平成三年が二百二十四隻、四年が二百七隻、平成五年が百九十八隻、さらに平成六年は百八十九隻。こういった海上における事故が起きているということで、平均しますと大体毎年二百隻前後の衝突事故が起きているということになろうかと思います。
 そこで今回、手続的には国際的な規則の変更により国内においてもそれを改正するということにはなっておりますが、海上における衝突事故を減らす、これは陸上でいえば、先般から問題になっております、車における交通事故を減らすというものと同じだろうと思います。こういったものを少しでも減らすということで、どのような対応をすることができるかということであろうと思います。
 そこで、今回の「かご」ですね。形象物の統一ということで、日本の漁船においては、約四十万隻、そのうちの八割が既に新しい形象物を設置しているということです。そして、灯火の対象になるトロール船が約一千隻、その七割がもう既に設置済みであるということです。
 そうだとすると、今回の法改正によって、漁船に係る海上の衝突というものを防止していくための効果として、現実的にどの程度効果があるのか。前回の改正等を見ますと、長い間何回か行われておりますが、既に七割ぐらいが設置済みであるということです。手続的に今回の法改正をするのですが、この法改正によって果たして実際の海上衝突事故が減っていくのかどうか、このことに関してどのようなお考えを持っていらっしゃるか、まずお伺いします。
#7
○松浦政府委員 現在の制度では、形象物の表示、新しいあれにつきまして、「かご」でもどちらでもよいとか、あるいはライトにつきましては任意のものになっておりますので、船によりまして、大部分は今おっしゃったようについているのですが、それでもやはり制度的にはばらばらなものですから、まだ混乱がございますので、他の船から誤解があったりする場合もございます。そんなことで、今度法制化してきちっと全部に徹底するということで、安全性の効果というのは期待できるのかなと思っております。
 ただし、おっしゃるように、これで全部が解決するというものではございませんので、私どもは、この法改正を機にさらに徹底を図っていく。特に、漁船の事故の中で一番多いのは衝突事故でございますので、そういう意味では、全体の安全ということで、これを機にさらに徹底を図るということで効果を高まらしめていきたいと思っております。
#8
○須藤委員 ここ五、六年の海上における衝突事故は、大体年平均二百件ぐらい起きている。事実上、多くの船舶において灯火がもう既に、任意とはいえ事故防止のために行われている。にもかかわらず、統計的に出てくるのかわかりませんが、二百件ほど出ている。ということで、例えば事故が起こることによって、その原因追及の結果、灯火というもの、いわゆる形象物がどの程度衝突予防に対して反映できたのかというような具体的なことについてはどうなっておりますでしょうか。
#9
○松浦政府委員 私ども今分析しましたら、灯火だとかあるいは形象物がついていなかったがゆえの事故といいますか、それが原因になって起こった事故というのは、海難審判の記録によりますと、年間五、六件でございます。そういう意味では、おっしゃるとおり、これが主因になったものというのは必ずしも多いものではございません。むしろ居眠り事故とか、そういうものの方が多いのは確かでございます。
#10
○須藤委員 国際規則が改定されるに伴い、当然ですが国内法の一部改正ということが生じる。恐らく、これは手続的な問題であろうと思います。問題なのは、やはり実態として毎年二百件ぐらいの海上衝突事故等が起きている。その事故を予防あるいは回避するためにどのような対応策が必要であるかというところがポイントであって、この国際規則に基づく改正そのものが問題云々ということはないと私は思います。
 今のお話で、形象物等が理由の事故というのは五、六件ということですと、それ以外の部分の原因でかなりいろいろな事故が起きているということですから、この事故を避けるための対策というものをやはりしっかりとっていかなければならないということだろうと思いますので、この点に関しては今後積極的に対応していただきたい、このように思います。
 そこで、今回、長さ二十メートル未満の漁船が表示すべき形象物、これは「かご」そのものが廃止されるわけですけれども、統一されるランプ、これが、従来日本の場合ですと、沿岸の漁業にしてもあるいは近海に出ていくものにしても、恐らく日本独特といいますか、独自のこういう「かご」を掲示するということで行っていたのかなと推測するのですが、こういったものが世界統一基準的なものに変わっていくわけですね。そこで担当として、その辺の文化的な背景といいますか、そういうものの考え方があるようでしたらお伺いしたい。それが一つ。
 それからもう一つは、「かご」からいわゆる灯火に変えるわけですけれども、この形象物の値段が幾らぐらいかということですね。できれば、「かご」の値段と、それから実際の変更される灯火について、幾らくらいか、また、この灯火はどちらかのメーカーでつくっているかと思いますが、これは何社ぐらいあるのか、お伺いしたいと思います。
#11
○松浦政府委員 最初の、形象物の文化的意味というところでございますけれども、形象物というのは、歴史をさかのぼってみますと、十八世紀までは御承知のとおり帆を原動力とした帆船が中心になっておりました。そのときは、帆を見ることによって割合外形的に行動が予測できるということなんですが、十八世紀の半ば以降、汽船、蒸気船でございますけれども、蒸気船になってきますと、そこのところが外形的にわからないということで、それを表示する形象物だとかあるいは灯火だとかいうものの重要性が増してきた。特に形象物のいわれについてはそのように聞いております。
 それで、歴史的には一八七〇年代ですか、イギリスで初めて、事故のために運転が不自由になっていますという状態の船につきまして黒い玉を三つつけよう、そういうルールが国内規則で定められております。それが最初のものだと聞いております。それを日本も直ちに、明治十三年、西暦に直しますと一八八〇年ですが、太政官布告という形でそっくり、今言った、事故のために運転が不自由になっているという船舶には黒の玉を三つつけましょう、そんなようなものが始まりでございます。
 それで、そういいながら、今度「かご」から新しいものに、鼓形のものに変わったりするのですが、その形だとかあるいは数の組み合わせだとか、そういうことにつきましては、ちょっと大学の先生だとかそんなところにお聞きしたのですけれども、やはり遠くから見やすいとかわかりやすいとか、そういういわば機能の面から経験則にのっとったルール化をたどって今日に至っている、そんな経緯をたどったものだそうでございます。ちょっとあいまいで恐縮ですが……。
#12
○小川(健)政府委員 形象物、灯火の製造者の数あるいは値段につきましてお答え申し上げます。
 形象物、灯火等の舶用品につきましては、船舶安全法に基づきまして一定の技術基準が定められているわけでございますが、現在、形象物につきましては二社、七型式、それから灯火につきましては六社、二百五十型式が船舶安全法に基づき型式承認を取得して製造、販売を行っております。
 それで、型式承認されていない形象物及び灯火につきましては、船舶安全法に定める基準に適合することを確認した上で認めております。例えば、輸入艇の備品として装備されている外国製の灯火につきましては、現在、六社、六十三型式につきまして使用が認められております。
 値段でございますが、これはいろいろ幅がありまして、型式承認物件の値段で申し上げますと、形象物が千五百円から、高いものになりますと二万五千円ぐらいまであるというふうに聞いております。それから、灯火につきましては五千円から七万円ぐらいというふうに聞いております。
#13
○須藤委員 今の説明で大体わかりました。
 こういった形象物は今後廃止していくわけですから、つくる必要性はないわけですね。あとは、灯火の方は、今お聞きすると、金額の小さいものから大きいものまでかなりあるということかなと思いますが、当然これは省令か何かで定めている基準を満たしていれば、どれを使ってもいいということになるのでしょうか。
#14
○小川(健)政府委員 船舶安全法に基づきます技術基準に合っていれば、どれを使っても差し支えないということになっております。
#15
○須藤委員 では、続きまして、次の質問に移ります。
 今回の改正については、世界共通のルールの改正ということで国内法に移行、これについては罰則規定はないということになっているかと思います。先ほど数字を挙げて私も申し上げましたが、こういった海上衝突を未然に防ぐという意味では、衝突予防法そのもののかなり大胆なといいますか、そういった見直しもどこかの時点で私は必要ではないかというふうに思いますが、この点に関してどのように考えられているか、伺います。
#16
○松浦政府委員 今御指摘のとおり、衝突予防法の関係にはルール違反に対する罰則というのはございません。これは国際規則でもそうなっているのですけれども、中身が、船員のいわば国際的な慣習の蓄積というような、「船員の常務」と船員の世界では言うのですが、「船員の常務」という、いわば慣習の蓄積を明文化した、そういう性格のものでございます。
 したがいまして、例えばの話ですが、一番の安全の基礎になるスピード、速度の制限というようなところの書き方におきましても、例えばそのときの視界の状態だとか、あるいは船舶のふくそうの状況だとか、あるいは自船の操縦性能だとか、あるいはレーダーをつけているときのそのレーダーの探知能力だとか、そういうものを総合して安全な速力をとりなさい、そういうルールになっているものですから、そういう意味では、一律に罰則の構成要件がぴたっとこない、そういう内容のもので成っているものですから、ちょっと罰則になじまない、そういう性格のものがあるので、世界的にもそういうことになっております。
 そこで、では守らなくてもいいのかということになるわけですが、実際このルールが発動されますのは、個々の事件、船が事故を起こしたときに海難審判という制度がございますが、船員の資格を持った船員さんに対する個々のケースをとらまえまして、具体的にこの場合はあなたに過失ありとかということで行政罰を加えるとか、あるいは民事上の措置で、争い事が起きたときに裁判所で、一般的原則でありますが、個々のケースを適用してこの制度を担保する、これが趣旨でございますし、世界的にもそういうふうになっているものでございます。
#17
○須藤委員 いずれにしても、要点は、事前に事故を防ぐ、あるいは起きてしまえば早急に救助をするということでしかないわけであって、国際法規上のそういった慣習的な部分で対応できないとなれば、当然のことながら国内法における整備を十分図らなければいけない、こういうことになろうかと思います。
 そこで、今回、加盟国は百二十四カ国ということをお聞きしていますが、世界全体の船腹の約九六%ほどに当たるらしいです。そうしますと、残り、非常に少ないですが、四%ほどは加盟をしていないということです。それとあわせて、国内的には、漁業関係者についてはいろいろな意味で組合等を通して周知徹底ができるかと思うのですが、一般の船舶あるいはレジャーボート等がたくさんありますが、そういったところへの周知徹底を今どのようにこの一部改正につき考えでいられるか、これを伺いたいと思います。
#18
○松浦政府委員 まず、この国際規則のもとになります条約の未加盟国の総船腹量が四%もあるということですが、特に我が国近辺では、船の大きいあれではフィリピン、これは世界の船腹量の一・八%を占める割合大きい国でございます。それから台湾も一・三%で、割合海運が盛んでございます。そこの両者が入っていないがゆえに四%というようなものがまだ残っている。
 ましてや、日本の近くの国が入っていないというのは、これはこれで問題なんですけれども、そうは言いながら、フィリピンにつきましては、条約手続というのは踏んでおりませんけれども国内では取り入れる、そういうのがコーストガードの規則なんかで周知徹底されております。そんなことだとか、あるいは、台湾に至りましては、あそこは国際規則をそっくり取り入れた制度が整備されております。そんなことで、四%というのはちょっと見かけ上大変な問題なんですが、実態はそういう形で担保されているところでございます。
 なお、フィリピンなんかにつきましては、日本で技術援助なんか申し上げて、制度を整えるとかそういうことに対する専門家を派遣してやっておりますので、そういうことが整い次第加入されることになると思いますので、期待しているところでございます。
 それからもう一点、漁船以外の一般の船舶に対する周知をきちっと図らないといかぬのではないかということでございますが、私ども今まで、漁業関係者なんかにつきましては直接利害関係もございますので、水産庁を通じて、あるいは大日本水産会その他を通じましてよく御相談して、割合周知は行き渡っているのではないかと思いますけれども、一般の船舶につきましてはこれからでございますので、この法制度ができました後、私どもの管区、全国に散らばっておりますが、それぞれ保安部署で説明会をやるとか、それから十分なリーフレットなんかもお配りして、十一月の施行までの間に一生懸命周知徹底を図ってまいりたいと思っております。
#19
○須藤委員 質問時間が来たようですが、最後に、今の私の質問と答弁のやりとりをお聞きしていて、陸上における交通事故と同じように、海上においていかに事故を減らし、あるいは予防していくかということに関して、そういう意味ではかなりしっかりとした対応をしていかないと、年間二百という数字は減ってこないというふうに認識します。これが決してふえることのないように、最後に大臣から、その心構えといいますか、考え方をお聞きして、終わりにしたいと思います。
#20
○亀井国務大臣 委員から、海上の安全につきましての非常に細かい点についてまでの御指摘と御提案がございましたことを、私どもしかと受けとめまして、このたびの法律の改正はそれについて一部寄与する点があろうかと思いますけれども、万般につきまして、自律自戒をしていただける面と、そうでなくて、ある面では法律の強制による面と、両々相またなければならないと思いますけれども、今後努力をしてまいりたいと思います。
#21
○須藤委員 終わります。
#22
○貝沼委員長 次に、藤田スミ君。
#23
○藤田委員 海上衝突予防法の改正に関して伺います。
 今回の改正で、トロールに従事する漁船の灯火や探照灯の設置が義務づけられるわけです。海上衝突の予防のため、その表示する灯火や探照灯についてよりわかりやすくすることは必要なことだと思いますが、探照灯は、グレードにもよりますが、一茎二十万から四十万円もしますし、四灯式の灯火でも八万円程度するというふうに聞いております。
 今、日本の漁業者は、魚価が低迷して、高齢化が進み、かつ後継者がいないという、非常に苦労をしているわけです。したがって、こういう皆さんに理解を十分求めて設置をしていかなければ、受けとめる方も困難ではないかと思いますので、その点についてどう対応されるのか、まずお伺いします。
#24
○松浦政府委員 今先生の、関係者、特に御負担をされる漁業関係者に対して御理解をいただく必要があるのではないかということですが、その点につきましては、私ども、IMOでの国際規則の作業の段階から、御意見を伺いながらということで作業を進めてまいっております。
 具体的には一九八九年ごろから作業に入っていますが、その段階から、水産庁あるいは大日本水産会だとか全漁連だとか、そんなところを通じましてずっと調整をしながらこのルール化をしてきたところでございまして、理解をいただいてきたと思っております。
 さらにこれから本当の、個々の漁民の方々にも知れ渡るように、この法改正ができました後、安全のためにぜひ必要なんです、そういう趣旨のことをよく、津々浦々で説明会をやってまいりたいと思っております。
#25
○藤田委員 私は、海難の防止は重要な課題だともちろん思っています。海上保安白書を見ますと、漁船の海難といいますか、要救助船舶は、全体の四一%、七百三十二そうになっているわけです。漁船の海難の防止は、海難全体の防止の重要な課題であることは言うまでもありません。
 また、旅客船は人を乗せるという点で、これまた海難防止は重要な課題になっています。特に、最近の旅客船は高速化しておりまして、超高速船導入の動きも盛んになり、テクノスーパーライナーの実験船も動き出しています。現在の高速船の典型とも言えるのがジェットフォイルでありますが、これは現在八航路就航しております。ジェットフォイルというのは、九一年の七月に夜間航行が認められ、九二年十月に佐渡汽船などで夜間航行が始まり、関西空港の開港を前に、ふくそう海域での航行、夜間航行が可能になりました。とりわけ、こういう手合いの船の安全対策というのは、通常の船舶と比較して一層強化しなければならないと思いますが、現在はどういう対策をとっていらっしゃいますか。
#26
○平野(直)政府委員 超高速旅客船の安全対策につきまして御説明申し上げます。
 超高速旅客船につきましても、まず、これは一般旅客船と同様でございますが、運航管理者の選任がございます。それから、運航管理規程、これは運航管理の組織でありますとかあるいは運航中止の条件、さらには不幸にして事故が発生したときにおける処理の方法等、必要な事項を定めたものでございますが、こういう運航管理規程を作成するということ、それからシートベルトの装着、こういう指導をしております。
 特に、今先生御指摘のジェットフォイルにつきましては、高速で走るということで、いわば加重をしていろいろな指導をしておるわけでございまして、レーダー等を利用した適切な見張りの実施でありますとか、あるいは超高速船が行き会わないように航行経路の分離というような指導もしております。
 さらに、夜間の航行につきましては、暗視装置を利用した厳重な見張りの実施でありますとか、あるいはジェットフォイルが翼走中であることを示すような灯火の点灯というような義務づけも行っております。さらに、乗組員につきましては、運航海域におけるジェットフォイルの昼間運航の一年程度の乗船経験というものを要求しておりまして、こういう乗組員が運航することというような条件のもとにこれを認めておるというようなことでございまして、安全には万全を期しておるところでございます。
 なお、事業の免許に当たりましては、安全確保を図る観点から、関係の海上保安本部等と十分協議をすることにいたしております。
#27
○藤田委員 その措置は当然のことだと思いますが、私は、やはりもっとこの面では取り組みをしっかりしていかなければいけないのじゃないか、こう思うわけです。
 運輸省では、ジェットフォイルなど三十五ノット以上の速度の船を超高速船というふうにしておられるわけですね。これは大体時速七十キロぐらいになると思います。このほか、高速船、時速二十二ノット以上の水中翼船や双胴船もたくさん航行しております。私、この間関空から淡路に渡りまして、これはもうてっきり超高速船だと思って乗っておりましたら、それは後で聞いたら時速三十四ノットで超高速船じゃないということを知って、ああ、そんなものか、こう思ったわけです。
 陸上では、道路には制限速度というものを設けておりますが、この海上衝突予防法には安全速度ということしかないわけです。このことはつまり、特定の海域、航路には速度制限があるけれども、あとはそれぞれの海域や航路について対処しているということにすぎないわけであります。この点では、海上衝突予防法について、一般的な衝突予防のルールしかない、そこのところをもっと改めていかなければならないのではないか、こういうふうに考えるわけです。
 これは、海上交通関係の学者の皆さんも超高速船は早目に避けるというルールを提案されて、運輸省もジェットフォイルの運航に際してはその先行避航を運航規程に求めているというふうに聞きますが、こうした点は認可の条件で処理するということではなしに、もっと一般的なルールとして定めていくということが必要だと思います。特に、さっき言いましたTSLなども見通していくならば、これからの課題として高速船の定義だとか航行方法のルール化というのは不可欠だと思いますが、この点についてはどういうふうに認識していらっしゃいますか。
#28
○松浦政府委員 衝突予防法そのものは一般海域での本当に全般的に適用になる大原則でございますけれども、具体的な、例えば一つの航路を設定します場合に問題になってくるわけですが、個々の海域ごとに、潮の流れが違うとかあるいは霧が出やすいとか風があるとか、それぞれちょっと状況が違っておりますし、それから船の性能なんかもまた違っております。特に、船の性能の中でも、先ほどの暗視装置が積んである場合、積んでない場合とか、いろいろなケースがあるわけです。
 そこで、私どもは、法制上最低できているのは、衝突予防法上では一般的に衝突が避けられるようなスピードにしなさいという話にとどめておりますけれども、港の中につきましては、さらに、自船の操縦性能のほかに、航走波、自分が起こした波によってほかの船が影響を受ける、そしてその他の船がかじをとられて事故を起こす、そんなことのないようなスピードにしなさいとかいうのが、港則法という、港の中につきましてはそういう新しい特別法がかぶっております。
 さらには、これは海域が特定されるわけですが、海上交通安全法というところでは、通航帯が決められておるところにつきましては十二ノットにぴしっと法定上制限を受けているわけです。
 しかし、個々のケースにつきまして、具体的なものについて、神戸でやりましたようにいろいろな専門家を集めて、全体のスピードの話も、船の性能、それから人的な要素なんかを考慮しながらやるしか、やはり一般論というのはなかなか決めにくいのかなというのが今までの経験でございます。したがいまして、そこのところについては従来どおりきちっとやってまいりたいと思っています。
#29
○藤田委員 船舶の技術的な面がどんどん進歩しているわけですね。しかしながら、その一方で法律的な整備というものがまだあいまいなままではないか、こう私は思うのです。したがって、高速船だとか超高速船の定義というのもはっきりしていませんし、それから、航法などについてももっときちっとした新しいルールをつくっていくというのは、これは方向としては当たり前のことじゃないかというふうに考えるわけですが、違うんですかね。いろいろおっしゃらないで、簡単にどうぞ。
#30
○亀井国務大臣 委員御指摘のように、海上の交通というのは非常に難しいと思います。陸上でございましたら、道路の部分とかそうじゃない部分と仕分けがしていけるわけですが、海上は、漁業から海上交通あるいはレジャー、いろいろな面から多角的に同じ水面が利用されておるわけでありますから、それについての規制というのはなかなか陸上と同じようにはいかないという難しい面があろうかと思います。
 ただ、委員御指摘のように、高速船の場合は、やはり安全性、これはそれ自体の安全性と、先ほど申しました他の利用者との関係での安全性の面で細心な注意を払っていかなければならない分野です。ただ遠ければいいというわけでもございませんので、そういう面につきまして、今度テクノスーパーライナーの導入等も目の前に迫っておるわけでもございますし、従来の旅客船の高速船あるいは貨物船その他を含めまして、そういう点について今後研究をしていきたい、このように考えております。
#31
○藤田委員 もう一つ、漁業との関係で深刻なのは、プレジャーボートの問題です。これはもう係留場所もありますし、それから海難の問題もあります。
 きょう私は、もう時間がありませんので、水上バイクの問題についてだけ伺いますが、水上バイクは現在保有隻数は幾つになっていますか。
#32
○松浦政府委員 水上オートバイの国内での保有隻数は、ちょっと恐縮でございますけれども、大体七万隻でございます。
#33
○藤田委員 大阪湾は、御承知のように大変埋め立てが進みまして、自然の浜というのがほとんどなくなってしまいました。岬町だとか阪南町だとか、わずかに残っている南の方の自然の海岸のある地域は水上バイクにとっても格好な場所になるわけです。しかも交通の便がいいものですから、余計にそこに集中するわけですが、これが漁業との問題も起こしています。とりわけ定置網なんかで漁業の従事中に、その海域を水上バイクがぐるぐるぐるぐる、まるで漁業をしているところをかき回すように走ったり、あるいは網をひっかけたりするわけですね。漁民の皆さんはもうハチが飛んでいるような気がする、浜辺から見ていてもとってもその気持ちはよくわかるわけですが、そういうようなことであります。
 しかも、何かが起こったってその加害者を特定することさえ困難になるこの水上オートバイの問題は、私は、もう少しこれもルール化ということを真剣に考えなきゃいけないんじゃないか。航行区域の制限だとか、それから漁業と海洋性レクリエーションのルールづくりというものをもっと積極的に、特にこういう水上バイクの愛好者というのは非常にとらえにくい対象になっておりますので、そこのところはもっと真剣に取り組むべきではないかということが一点です。
 それで、海上保安庁がパトロールを行っていることはよく知っておりますが、現実には実効が上がっていないのが実態じゃないか。そういう点では、水上バイクの生産、販売者によるユーザー教育の強化、それから海上保安庁による啓蒙啓発の強化をやっていただきたいわけであります。特に、大阪の南部など水上バイクが非常に集まりやすいところに対しては、ことしはもっと重点的、集中的なパトロールを実施することを要望したいわけですが、いかがでしょうか。
#34
○松浦政府委員 水上オートバイにつきましては、正直なところを言って、マナーが余りよくない人たちもいると聞いております。先生も御指摘ありましたけれども、これもよく私ども訪船指導だとか、あるいは安全教室を開いてビデオだとかパンフレットで啓蒙に努めるとか、あるいはメーカー、売った人たちのいわばアフターケアとしての責任を果たしていただくという意味で、パーソナルウオータークラフト安全協会というのを組織させまして、その人たちに安全指導員というのを任命させて、夏場の時期だとかそういうときにいわば自主的に指導するようにとか、そういう指導もしておりますが、何といってもやはり海上保安庁が一番頑張らないかぬところだと思っております。
 しかも時期的に、これは真冬はやっておりませんので、真夏で、なおかつ先生の御指摘のような大阪南部だとかそういう特定の海域に集まるケースが多いものですから、今までも海上保安官はそれなりに頑張っていたつもりですが、これからも御指摘のようなことできちっと頑張りたいと思っております。
#35
○藤田委員 最後になりますが、運輸大臣のお立場からいうと、海は海上交通、こういうことになると思うのです。しかし、私はいつも思うのですが、海は魚をとるためにある、これが一番の原点であるのではないか。したがって、この問題は決して魚をとる漁民だけの問題じゃなしに、実は魚をたんぱく源にする私たちすべての国民の食糧の問題でもある、こういうふうに思うわけです。
 だとしたら、沿岸のこの漁業、特にこれからどんどん二百海里問題で大事にしなければならない沿岸漁業ですね。その沿岸漁業にさまざまな困難をもたらしてきているということについては、これは単に運輸省だということだけではなしに、やはり政府としてもそういうことを真剣に考えていただきたい。
 私がこういうことを言いますのは、ジェットフォイルが走りますと、これは漁場によりますから一概には言いませんけれども、稚魚が浮いてくる。しかし、それをとっている漁業があるわけです。ジェットフォイルを走らせることによってそういうものに対してどういう影響が出てくるかというようなことは、これは当然アセスメントをしなければならないというふうに思うわけですね。ところが、実際にはそのアセスメントは行われていない。
 ここでも、ルール化という言葉を安売りするみたいですが、つまりそういうこともルール化されていないわけですね。漁民はもう非常に心配をして、これが漁業に影響しないか、そういう不安を持つのは当たり前のことですし、そういう点ではアセスメントなどもきっちりやっていくということが大事じゃないかというふうに私は考えますが、大臣のこうした点での御所見をお伺いしておきたいと思います。
#36
○亀井国務大臣 海は、漁民にとってもこれは生活のまさに支えになっておるわけでありますし、国民にとっても御承知のようなたんばく源の供給という重要な役割を果たしておるわけでありますが、しかし一方でいえば、漁民の方が独占的にそこを利用されるというわけにもまいらない。また、その地域が経済的、文化的にも発展をしていくことが漁民のためにもなるわけでありますから、そういう面では、海上交通との、あるいは海上レジャーとのいわゆる共生といいますか、そういうことをやはり漁民の方もお考えをいただき、御協力をいただかなければならないという面があろうかと私は思います。
 ジェットフォイルの点につきましては、現在、私ども認可する場合に、安全面についてのきつい検討、審査をやっておりますけれども、御指摘のようにアセスにつきましては、それをきちっと義務づけておるわけではございませんで、漁業者と事業者の間の協議に一応ゆだねておるわけでありますが、今後、先ほども申し上げましたように、高速船につきましては、運輸省としてもいろいろな角度から、安全性また環境保護というような観点から、これについては十分注意を払ってやってまいりたい、このように考えております。
#37
○藤田委員 終わります。ありがとうございました。
#38
○貝沼委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
 次回は、明九日木曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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