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1995/03/16 第132回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第132回国会 地方分権に関する特別委員会 第5号
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1995/03/16 第132回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第132回国会 地方分権に関する特別委員会 第5号

#1
第132回国会 地方分権に関する特別委員会 第5号
平成七年三月十六日(木曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 笹川  堯君
   理事 中馬 弘毅君 理事 野田 聖子君
   理事 蓮実  進君 理事 山崎広太郎君
   理事 山本  拓君 理事 吉田  治君
   理事 畠山健治郎君 理事 田中  甲君
      甘利  明君    遠藤 利明君
      西田  司君    浜田 靖一君
      平林 鴻三君    古屋 圭司君
      山口 俊一君    青木 宏之君
      今井  宏君    岩浅 嘉仁君
      佐藤 茂樹君    谷口 隆義君
      赤松 広隆君    網岡  雄君
      緒方 克陽君    穀田 恵二君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  村山 富市君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 山口 鶴男君
 出席政府委員
        総務庁長官官房
        長       池ノ内祐司君
        総務庁行政管理
        局長      陶山  晧君
        文部省初等中等
        教育局長    井上 孝美君
        自治政務次官  小林  守君
        自治省行政局長 吉田 弘正君
        自治省行政局公
        務員部長    鈴木 正明君
        自治省行政局選
        挙部長     谷合 靖夫君
 委員外の出席者
        地方分権に関す
        る特別委員会調
        査室長     前川 尚美君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十六日
辞任          補欠選任
  若林 正俊君     古屋 圭司君
  富田 茂之君     谷口 隆義君
同日
辞任          補欠選任
  古屋 圭司君     若林 正俊君
  谷口 隆義君     富田 茂之君
    ―――――――――――――
三月十四日
 地方分権の推進に関する法律の制定に関する請
 願(小川元君紹介)(第二二七号)
 同(唐沢俊二郎君紹介)(第二二八号)
 同(中島衛君紹介)(第二二九号)
 同(若林正俊君紹介)(第二三〇号)
 同(小坂憲次君紹介)(第二四六号)
 同(北沢清功君紹介)(第三四〇号)
 同(堀込征雄君紹介)(第三四一号)
 地方分権の推進に関する法律制定に関する請願
 (桜井新君紹介)(第二六七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
三月十五日
 地方分権推進に関する法律の制定に関する陳情
 書外九件(金沢市広坂二の一の一石川県議会内
 北村茂男外十一名)(第一六五号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地方分権推進法案(内閣提出第六一号)
 地方分権の推進に関する法律案(冬柴鐵三君外
 三名提出、衆法第二号)
     ――――◇―――――
#2
○笹川委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、地方分権推進法案及び冬柴鐵三君外三名提出、地方分権の推進に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古屋圭司君。
#3
○古屋委員 私は、自由民主党の古屋圭司でございます。
 このたび提出になりました地方分権推進法案につき、総理大臣に御質問をさせていただきたいと思います。特に現場の委員会にわざわざ総理にお越しいただいて、大変光栄でございます。本当にお忙しいところ、ありがとうございます。
 東京への政治、経済、行政、あるいは文化の一極集中ということが言われて久しいわけであります。しかし、地方分権という言葉は出ているものの、なかなかその第一歩を踏み出すことができなかった。しかし、今こそその地方分権というものを単なる言葉で終わらせることなく、着実な第一歩を歩み出す機が熟してきた、こういうふうに思っております。
 平成五年には衆参両院におきまして、憲政史上初の地方分権推進に関する決議がなされました。とかくこの問題については総論賛成、各論については関係省庁、あるいは関係者からのいろいろな問題から反対ということで、なかなか実りある前進というものが難しかったわけでございます。しかし、憲法にも保障されています地方自治の理念、すなわち、住民に身近なところで処理をすることが地方公共団体の責任なのだという問題もございます。また、今般の村山連立政権の柱は、行革、規制緩和、そして地方分権、この三本柱でございます。そういった意味からして、地方を基本にした唯一の法案がこの地方分権推進法案でございます。もしこの分権が法律の趣旨にのっとって進められることになるならば、明治維新以来の大改革になるであろう、いわゆる歴史的な意義を持つ法案である、私はこのように位置づけております。
 私ども与党三党もプロジェクトチームを編成いたしまして、私もその一員として三十回余りの会合を重ねてまいりました。一部には無責任な批判はあるようでございますけれども、今般提出された法案は、十二月末のいわゆる地方分権大綱の内容よりももう一歩踏み込んだ内容が示されているわけでございまして、そういった意味では、地方六団体も一定の評価をいたしております。
 そこで総理に、この地方分権推進法案に取り組まれる総理の決意と、そしてまた、この法案を速やかに成立させて実質的な地方分権を進めていくことが何よりも大切だと思います。この点につきましての総理の御所見をお伺いしたいと思います。
#4
○村山内閣総理大臣 今委員からもお話がございましたが、政府・与党三党で熱心な御議論をいただき、まさに歴史的な画期的な私は法案ではないかというふうに思っております。
 私も地方議会を経験してまいりましたが、地方の時代という言葉が使われて随分もう久しいわけです。国の政治全体をやはり変えていくためには、国と地方自治体との行政の仕組みというものを基本的に見直す、これは国の政治改革の大きなやはり柱になる、こういう理解というものはもう共通して皆さん持たれていると思いますね。そして、地方六団体を初め、地方制度調査会からも、随分久しい間この分権問題というものが議論をされて、そして提議もされてきたわけです。
 しかし、議論はされながら、総論で賛成するけれども、各論に入るとなかなかまとまらない、こういう経緯もあったのだと思いますが、これまでこの法案の提出ができなかった。この内閣になって、与党の皆さん方の御協力もいただいて、まさに日本の国の政治を大きく転換をさせる歴史的な法案との位置づけでこれから御審議をいただくということは、全く感慨無量のものが私自身もあるわけでございます。
 そういう受けとめ方をいたしておりますから、これは国のしなければならない仕事の分野、責任と、地方自治体が身近な住民の生活を担っていく、そういう役割というものを考えた場合に、余りにも画一的な行政というものはやはり排除した方がいい。
 これは私は時々申し上げますけれども、最近は若干変わってまいりましたけれども、全国どこに行っても、学校の建物なんかを見ますと全く同じような規格でつくられておる。公営住宅も同じ、その地方の持っている特色というものが生かされておらない、こういうことを痛切に感じてきた一人でありますけれども、それはやはりそれぞれの地域にはそれぞれの地域の条件があるし、違いもありますから、その条件や違いや持っている特性が十分に生かされて、地方住民のためになるような行政というものを自主的に自立的な立場でやっていけるということになることが非常に国のためにいいことだ、住民のためになることだというふうに私は考えております。そういう基本的な考え方に立って地方分権というものは大いにやはり進めてもらわなきゃならぬというふうに思っておりますから、この内閣に課せられた歴史的な課題であり、役割である、こういう理解と認識を持って進めていきたいというふうに思っておりますので、この議会でも十分ひとつ御審議をいただいて速やかに成立をいただき、地方分権が具体的に進められていくような過程ができますように、皆さん方の御理解と御協力をこの際重ねてお願い申し上げておきたいというふうに思います。
 非常な決意でこの問題に取り組んで、必ず実現をさせていくという方向で努力をいたします。そのことだけは申し上げておきたいと思います。
#5
○古屋委員 総理から並々ならぬ決意を拝聴させていただきました。どうか速やかに成立をすることによってこの地方分権を着実に進めていただきたい、御要望申し上げたいと思います。
 さて、今般の法案につきましては、政府提案並びに新進党の方からの提案がございますが、その基本理念においては、よく読んでみますと、そう大きな隔たりはないと思います。幾つかの差異がございます。
 具体的には機関委任事務の問題、あるいは地方事務官制度の問題について、新進党御提案の法案は廃止ということを規定しているようでございます。確かに機関委任事務制度につきましては、地方制度調査会であるとかあるいは臨時行政改革推進審議会の方で何度か指摘をされ、見直し、整理を行うべきだ、こういうようなことで言われてきました。しかし現実には、これは五十年近くこの制度が行われてきておるわけでございますし、また、パスポートであるとか、戸籍であるとか、あるいは国政選挙、または自衛隊とか警察官の募集等々につきましてはもうこれは機関委任事務でございまして、したがって、こういったものをすべて一方的に廃止するというのは、利用されている住民から見ても余り現実的ではないのじゃないか、こんな気がいたします。
 また、地方事務官につきましても同様でございます。現在は約一万八千人の地方事務官がおみえでございますが、この間、昭和二十二年に地方自治法に規定されて以来、例えば運輸関係については廃止をされたという経緯があるようでございますけれども、しかしこれも、今すぐ全面廃止するということになると余り現実的でないのじゃないかな。むしろ今後、この法律の成立後に地方分権推進の委員会が設立されますので、この中で十二分に議論しながらよく整理、見直しをしていく、これが現実的な対応だと思いますが、この点についての御所見をお伺いしたいと思います。
#6
○村山内閣総理大臣 今お話がございましたように、新進党から提出されている法案と政府案とを比較しまして、ほとんど一致をしている部分が多いのではないか、目指すべき方向についても余り大きな違いはない、これは分権を進めていこうという考え方には違いはないわけですから。
 ただ、中身について、今お話がございましたように、機関委任事務については廃止をすべきだとか、あるいは地方事務官制度については廃止をすべきだとか、あるいはまた、五年という年限を切るのはどうかとか、こういうところの違いが若干あるわけですね。
 これは私は考え方の違いがあるのかどうかよくわかりませんけれども、やはり分権を進めていくということは地方に権限を保障していくわけで、与えていくわけですから、したがって、国がこれとこれとはこうしますよと言って上から決めてそしてやることについては、むしろ分権を進めていくという趣旨からすれば、若干問題があるのではないかというような気がいたしますし、そうした問題も含めて、やはり専門家を含めた形でいろいろな方々の英知等を集約をして意見も聞いて、そしてよりよい結論を出していくということの方がむしろ妥当ではないかというふうに思っておりますから、機関委任事務も一律一括してこれはもう廃止だというわけにはいかないので、やはりその中はあらゆる角度から分析をし、検討していただいて、そしてよりよい結論を出していただく。その結論を尊重して政府は実行していくというような段取りにした方がむしろ合理的ではないか、いいのではないかというふうに思っております。
 そういう点が若干違うのではないかと思いまするけれども、大体中身を検討いたしましても余り大きな違いはないと思いまするし、同時に分権を進めていこうとすることについては違いはないのではないかというふうに思っておりますから、十分御議論をいただければ合意は得られるものではないか、私はそう思っております。
#7
○古屋委員 今総理の方から御指摘ございました五年の時限立法の問題についてもちょっと触れさせていただきたいと思います。
 一口に地方分権といいましても、その対象は極めて広範なわけでありまして、このような観点から、とても五年では無理なのではないか、こういう議論があろうかと思います。
 しかし、私はそれはむしろ逆に考えております。大改革であるからこそ出口をしっかり決めて取り組んでいくべきでありまして、出口のない目標はなきに等しい、私はそんなふうに思っております。極論すれば、五年間でしっかりとめどをつけて推進できなければもうだめだ、これくらいの気持ちで取り組んでいかなければいけないと思います。したがって、この法案で五年間と時限法案にした趣旨と、そしてまた、この辺に対する総理の御見解について御所見をお聞かせいただきたいと思います。
#8
○村山内閣総理大臣 今もちょっと触れて申し上げましたけれども、やはり期限を切って、この期間内に集中してそして必ず結論を出すのだというふうに課題を限定した方が、事は計画的に進められるのではないかというふうに思いました。
 同時に、このことは、地方制度調査会の答申の中にも、五年を限度にやはり期限を切ってきちっと結論を出した方がいいこういう答申もございますから、その答申も尊重してしたことであって、私は期限を切らないとこれはかえって結論は出しにくいのではないかというふうに思いますし、そのことがまた引き延ばしになる可能性さえ考えられるということからしますと、やはり一定の期限を切った上でその期限内に結論を出していただくというふうに、計画的に集中的に議論をしてもらうようにした方がいいというふうに判断をしたので、そういう法案にさせてもらったわけでありますけれども、そのことについては十分御理解をいただけることだというふうに私は考えています。
#9
○古屋委員 地方分権は一日にしてならずでございますが、やはり五年の間にしっかりと筋道を立てていただきたい、このように要望をしておきます。
 さて、次の質問に移らせていただきます。今回の法案の中のいわば魂というべきものが地方分権推進委員会並びにその事務局を設置するということであります。この部分につきましては地方分権大綱で示された内容よりも具体的に踏み込んでいる、私どもはそう思っておりまして、この部分につきましても総理のリーダーシップを大変発揮されてこのような形になった、こういうふうに承っております。委員会の中に、総理への勧告、あるいは実施状況を監視したり、そして意見を述べることができる、こういう機能を持たせてあるわけでございます。また、独立の事務局も設置しているということでございます。
 しかし、この法案を本当に意味のあるものにするためには、その委員会と事務局の役目というか体制をいかにつくり上げるかにかかっていると思います。強力な布陣をしいていくべきでございます。したがって、その点につきまして、委員会並びに事務局の構成についてはどのような形が理想であるのか、そしてどうしたいのか、この点につきましての総理の御見解をお伺いしたいと思います。
 また、推進委員会の計画の策定に当たりましては、私は分権すべき事項をはっきりと政策的に分類をして、例えば柱をつくる、土地利用であるとか、都市計画であるとか、社会保障、環境、」ういったものをしっかり柱をつくって、その柱に基づいて審議していく、これが不可欠だと思いますけれども、この辺を含めての総理の御見解をお伺いしたいと思います。
#10
○村山内閣総理大臣 今お話がございましたように、この法案の主要なやはり任務を背負うのは推進委員会ですね。したがって、その推進委員会がどういう構成になるか、あるいはそれを担当する事務局の構成というものがどうなるかということは、やはりこの分権の大きな課題が課せられておるその委員会の構成によって、これはこういうふうになっていくのだなということが目鼻がつくぐらいに重要なやはり存在になると私は思っておりますから、委員の御指摘のとおりだと思います。
 それだけに、この委員の選任につきましては、国、地方の行政について高い識見を有しておる、この趣旨に十分沿い得る人ということがやはり適当だと思います。これからこの国会でも審議をされるわけでありますから、その審議の経過も十分やはり参考にしながら、同時に、この人事というのは国会の両院の承認を求めなければならぬ人事ですから、同意が求められるような人ということもやはり検討しなければなりませんし、そういう意味では、今申し上げましたようなこの趣旨に沿ってその目的が十分達し得るような適当な人を早急に法案成立後選ぶということにしたいというふうに私は考えております。
 それから、事務局の構成につきましても、これはもうむしろ委員会に資料を提供したり、審議に供するいろいろなものを作成したりするのはやはり事務局がするわけでありますから、その事務局も、この委員会の設立の趣旨、この法案の目的等に十分沿い得るような役割の果たせる事務局というものをつくる必要があるという観点から、十分慎重な検討を加えた上で、皆さん方の意に沿えるような事務局の体制というものをしっかりつくっていきたいというふうに考えております。
#11
○古屋委員 確かにこの委員会と事務局がこの法案を左右しているということだと思います。具体的な人選等を今総理の方から御指摘いただくのはなかなか難しいかと思いますけれども、今総理が御答弁された内容を十分踏まえまして、より広範な、そして十二分にこの推進法案を実施していけるにふさわしい陣容で、あるいは事務局も整えていただきたい。強く要望をいたしておきます。
 さて次に、地方分権を推進していく上で地方分権の受け皿側の問題というのは避けて通れないと思います。すなわち、地方分権をすれば当然地方公共団体の自己責任の原則が強化されるわけでございます。そういったことからも、しっかりとした受け皿をつくっていく、地方公共団体をつくっていくためには、市町村合併のような体制強化というものがこれは避けて通れないのではないかな、こんなふうに思います。
 確かに昭和二十八年に町村合併促進法で、全国に一万ぐらいあったのですか、これが三千数百になりました。今度は第二十四次のいわゆる地方制度調査会あるいは地方分権大綱におきましても、市町村の自主的合併の推進というものがはっきり指摘をされております。また、この法案にもそのような趣旨が示唆をされておるわけでございます。
 確かに本音ベースでは、自治体関係者あるいは議員、我々国会議員も含め、余り積極的な自治体の合併、地方公共団体の合併というのは歓迎できないのかなという気もありますけれども、しかしそんなことを言っていては地方分権というのは全くできないわけでありまして、今国会にそういった意味でこの法案とは別個に日切れ法案として市町村合併特例法が提出をされておるわけであります。
 内容的には、御承知のとおり、合併協議会設置の請求をすることができるいわゆる住民直接請求制度、住民発議制度のようなものを含んでいること、あるいは財政的な特例制度を認めているようなことでございます。
 こういった法案を期限を延長して成立させることはもちろんでありますけれども、やはり地方分権と市町村の合併というものは不可分なものなんだということにつきまして、総理はどのようなお考えをお持ちか。あるいはまた、市町村合併の促進につきましての総理の御見解をお伺いしたいと思います。
#12
○村山内閣総理大臣 これは地方分権の推進の観点からして、基礎的な自治体というのは、私は市町村だと思いますね。その市町村の規模がどの程度の人口規模で、どの程度の財政力があることが一番理想的でいいのかということについては、いろいろな角度から検討されるいろいろな意見が私はあると思いますね。したがって、大きければいいというものだけではないというふうに思うんですね。したがって、そういうのはやはり、それは産業のあり方やらあるいはその地域の広さやら、地形の状況やら等々いろいろそれぞれ地域住民が考えて、そして自主的に判断をされて、あくまでも自主的な市町村合併というものが検討されていくということが何よりも大事ではないか。
 そういう意味で、自主的に市町村の判断で合併が進められたというような地域については、国はまたそれなりに財政的な特別の助成もしながら応援をしていこう、協力していこう、こういう仕組みになっていると思うんですけれども。そういう意味では、あくまでも私は、やはり市町村合併というのは、その住民の自主的な判断、それぞれの自治体の自律的な考えによって推進をされることが適当であるというふうに思います。
 しかし、客観的に考えてみて、例えば国民健康保険一つをとってみましても、やはりある程度の規模を持った市町村でないとその管理運営が難しいんではないかというふうにも思われますから、したがって、そういう意味における合理的な規模というものは、やはりお互いに判断をされて、そして最もいい市町村の姿というものをつくり出していく努力というものは、不断にやはり行ってしかるべきものではないかというふうに思いますから、今度のこの市町村の合併を推進をする法案については、そういう意味で、あくまでも自主性を尊重するということを前提にして考えられておりますから、私はそれなりに合理性を得ているんではないかというふうに思っておりますが、市町村もそういう立場でこれから推進をされていくべきものであるというふうに思います。
#13
○古屋委員 昭和二十八年の町村合併促進法、六、七千人ぐらいの規模ということで考えられたと思いますが、いずれこの地方分権の法案が成立をいたしまして、実質的な地方分権が始まっていきます。やはり、ある程度の規模というか、ういうのも考えていかなければいけない。これは具体的に今いろいろ指摘をすることはなかなか難しいかと思いますが、しかし、今答弁の中で、やはり基礎体力をつけるためには合併というものは避けて通れない、こういうふうに私も今解釈させていただきました。恐らく総理もそういうお考えだと思いますので、どうか、その辺につきましては、しっかりそういう御認識のもとで取り組んでいただきたいな、こういうふうに思います。
 さて、時間がなくなりましたので、あと一問だけ質問させていただきますけれども、総理、御承知かと思いますけれども、すべての法律の中で、今まで明治維新以来、いわゆる地方分権という言葉が含まれている法律というのは、今回で二本目なんですね。一本目は何かといいますと、国会等の移転に関する法律、これは平成四年十二月に成立をいたしました。たしか総務庁長官が所管のときに成立をいたしました。ちょうどここに、前文に「地方分権」という言葉が入っています。これ以外には一切ないそうなんですね、地方分権という言葉は。
 したがって、一部には、地方分権をどんどん推進をしていけば、国会等の移転、すなわち首都機能の移転、これはもう特に必要ないんじゃないか、こういう議論も最近は出ているように聞いておりますけれども、しかし、地方分権を推進していく、そしてまた、そういった国が身軽になった上で首都機能の移転というものを進めていく、すなわち、この地方分権推進と首都機能の移転というのは、表裏一体、密接不可分の関係なんだ、両輪なんだ、私はそういうふうに思っております。
 特に、新首都推進懇談会というのが、恐らく総理もメンバーではないかなと思うんですが、超党派で二百五十大規模で今組織をされておりまして、総務庁長官もメンバーでございます。そこで、三年後には場所を決めようというぐらいの意気込みで今取り組んでいる。こういった状況を勘案しまして、この首都機能の移転、そして地方分権、これにつきましての総理の御見解をちょっとお伺いしたいなと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#14
○村山内閣総理大臣 今委員からお話がございましたように、地方分権の推進と首都機能を移転するということとは、まさに一体のものであり、ある意味では車の両輪の役割を果たす。これは一極集中を多極分散型にするという意味だけではなくて、日本の政治、経済、社会、教育も含めて、すべての分野でやはり影響を持つ、改革を進めていく上で大事なことではないかというふうに思っております。
 現に、国会の移転の調査会では、もうそれぞれ審議が進められて、具体的な提言もなされてきつつある状況にありますが、今委員から御指摘がございましたように、この地方分権の推進と首都機能をどう分散をして移転をしていくかということについては、今申し上げましたような視点に立って、一体的なものとして推し進めていきたい、その方針についてはいささかも変わりはないということを明確に申し上げておきたいというふうに思います。
#15
○古屋委員 ありがとうございます。
 首都機能の移転というのは、例えば、今、地方分権と密接にかかわり合っている、こう御指摘申し上げましたけれども、自分の家のことを考えても、五十年、百年なれ親しんだ家を、今いろいろ不要なものがたくさんあるわけですね。しかし、捨てようかな、人に上げようかなといっても、なかなか上げられない。しかし、引っ越しをするときとか、不要なものは人に上げたり処分していくわけです。これは、ある意味では地方分権の一つかもしれない。そして、身軽になった上でやはり引っ越しをしていくということだと思います。
 また、今回阪神大震災がございまして、大変な被害がございました。こういった意味からも、災害に強い首都機能、そして官邸機能、こういうものを構築をしていく上でも、やはり首都機能の移転というものはしっかりと推進していかなきゃいけないと思います。
 したがって、再度指摘を申し上げますが、首都機能の移転とそして地方分権の推進、表裏一体のものだという考えのもとで大いに取り組まれることを期待を申し上げておきたいと思います。
 時間がもうなくなりましたので、以上で質問を終わらせていただきます。総理、きょうはお忙しい中、本当にありがとうございました。
#16
○笹川委員長 山本拓君。
#17
○山本(拓)委員 新進党の山本拓でございます。時間が三十分でございますから、簡単明瞭に質問させていただきたいと思います。
 先ほど総理の御答弁の中で、新進党の出しましたあの地方分権推進法について、前の本会議でも触れられましたけれども、いま一度、衆法に対してどのような受けとめ方をなさっておられるのか、また、基本的には方向性は同じでありますけれども、こちらの方が一歩踏み込んでいるわけでありまして、その踏み込んでいるか、踏み込まないかという差が、いわゆる政府案と衆法の違いだという認識を、これは明確にあるわけでありますが、その点についてのお考えをまずお尋ねいたします。
#18
○村山内閣総理大臣 さっきもお答えを申し上げましたけれども、今委員からもお話がありましたように、余り大きな違いはないと思いますし、分権を進めていこうとする考え方にも、違いは私はないと思いますね。
 ただ、具体的な中身について、踏み込みの違いは、私はやはりあったのではないかと思うんですね。先ほど例にも挙げられましたけれども、例えば機関委任事務を廃止するとか、あるいは地方事務官制度を廃止するとか、あるいは年限を五年に限ることはかえっておかしいんではないかとか、そういう意味の意見の違いというものは若干ありますね。
 しかし、大綱として、基本的な考え方については余り違いはないんではないかというふうに思いますから、十分ここで御議論をいただければ合意が得られる問題ではないか、ぜひ合意をしていただきたいというふうに私は期待をいたしますけれども。
 さっきもちょっと申し上げましたけれども、具体的な中身に踏み込んで、決定的なものを前提にして委員会に審議をしていただくということよりも、いろいろな角度からやはり検討してもらう素材を提供して、そしてその委員会で議論をしていただいて、結論を出していただくということの方が、私は、推進委員会の立場から考えた場合に、その方がやはりいいんではないかというふうに思いますし、まだまだいろいろな角度から検討しなきゃならない問題点というものはたくさんあるんではないかというふうに思いますから、そういう視点からの議論を十分やはり期待をして、そして最もいい合意点を見出し、結論を出していただく、その結論が出れば、それを尊重して政府は計画の中に取り入れて推進をしていく、」ういう段取りにすることの方がいいんではないかというふうに私は思いますので、ぜひともそういう部面における御理解は賜りたいというふうに思います。
#19
○山本(拓)委員 政治というのは評論家集団じゃありませんので、要するに何をやるやるという総論じゃなしに、こういう方向でやるという明確な具体策を示していかないと、一歩進まないわけですね。きょうは総理にきちっと方向性をお示ししていただきたいなと思っているのですが、基本的には新進党が出した、具体的に踏み込んだその中身については御理解なさいますね。
#20
○村山内閣総理大臣 新進党が出しておりまする法案の中身についてはよく検討させていただいておりますから、理解はしておるつもりであります。
 ただ、今申し上げましたように、扱い方の考え方については、今ここで方向をきちっと示せというのと、いや、方向は、問題点だけをこう挙げて、そして方向は示さずに委員会で議論をしていただいて結論を出していただくということの方がいいんではないかというところの考え方の違いは若干あると思いますけれども、新進党が出しておる法案に対する理解はしておるつもりでございます。
#21
○山本(拓)委員 例えば、具体的にお聞きしますと、こちらの方は、国の関与、必置規制、機関委任事務、基本的にはこれは廃止をして、そしてそれから、それを前提にどういったものが最終的に必要かという話を議論していった方が、逆に言うと地方の方も参加意識がわくし、まずこういう考え方は、総理も御存じのとおり、地方制度調査会できちっと答申を出しているわけですね。これは一致しているわけですよ。そういう方向性と、例えば総理がおっしゃっているように、整理合理化という、ただ縮小するだけと、それも五年以内にという話と、基本的には方向性がちょっと違うわけですよ。
 だから、一点お尋ねしたいのは、原則的にまず廃止をしてという考え方については総理はどうお考えですか。
#22
○村山内閣総理大臣 いや、整理統合をして措置をするというふうに言っておりますけれども、その整理統合ということは、それは整理という言葉の中には廃止も入っているわけですしね。ですから、それはこの機関委任事務すべてを廃止するということになるのか、やはりこれは妥当だから残した方がいいというふうに思われるものもあろうし、いや、これはこういうふうに手直しをし改善をして残すなら残すということにすべきだとか、いや、これはもう必要ないから廃止をすべきだとかいうようなものも私はあると思いますね。
 ですから、そういうものも含めて、この委員会で、この推進委員会で十分検討して結論を出していただきたいというわけでありますから、まあそれほど大きな考え方の違いはないんではないかというふうに私は受けとめております。
#23
○山本(拓)委員 今のお話の中で、整理の中にも廃止が含まれるということは、要するに我々が言っている原則廃止という考え方に非常に近いと理解してよろしいですか。
#24
○村山内閣総理大臣 さっき申し上げましたように、一口に機関委任事務と言ったって、その中身にはいろいろあるわけでありますからね。したがって、地方自治体から考えてみても、いや、これはやはり国の方が大きく責任を持って、そして地方にこの分だけ住してもらえた方がいいというふうに思われるものもあると思いますよ。
 私は、さっき言いましたように、地方議会も経験してきておりますから、そういう点はこの地方議会で審議をする際にも感じたことは間々ありますけれどもね。こんなことまで地方自治体におっかぶせるというのはおかしい、国が責任を持ってきちっとやりなさい、やった方がいいというようなものもありますし、同時に、こんなものを国から一々指図を受けてやるよりも、地方自治体がもっと権限を持って自主的に国とは関係なしにやった方がいいというような問題もあることは、いろんな経験をしてまいりました。ですから、一口に機関委任事務と言っても、そういうふうに改善をした方がいいと思われるものもあるし、あるいはこれはもう必要ないから廃止をした方がいいというものもあると思いますしね。
 ですから、そういうものもやはり含めてこの委員会でいろんな角度から十分審議をして、そして結論を出していただく。その結論の中には、もちろん廃止をするものも含まれておるでしょうし、改善をするものも含まれておると思いますから、したがって、結論が出れば、その結論は尊重して、そしてこの推進計画の中に取り込んで、そして分権を推進をしていきたい、こう考えているわけですから、余り大きな違いはないと思いますし、新進党のおっしゃることも十分理解をしているつもりでございます。
#25
○山本(拓)委員 総理は政治のベテラン、地方行政のベテランでありますから、議論を聞くまでもなく、頭の中にもうこれとこれとこれは大体廃止して当然だというものがあると思うのですが、代表的なものを幾つか挙げてください。
#26
○村山内閣総理大臣 これからこの法案が成立すれば推進委員会が設置をされて、その推進委員会でもって議論をしていただくということになっておるものを、今私がここで、これは廃止した方がいいとか、これはこうした方がいいとかいうようなことについて言うことは、これはやはり推進委員会に対して失礼になると思いますから、差し控えたいというふうに思います。
#27
○山本(拓)委員 まあ大体総理の言うリーダーシップというのは何かなと。やはりリーダーシップを示して、このぐらいもあるよと。全部お任せお任せ、システムだけつくって、どうぞやってくださいというのでは、とてもこの表現ではもう到底、役人に任せるわけですから、整理合理化、いわゆる措置を講ずるで、五年間で何もないという結果になることを非常に恐れています。
 だから我々は、原則廃止してという考え方のもとで、何が必要なのかという議論をしていった方が明確になるのではないかという話を申し上げているので、そういう考え方は理解できますね。
#28
○村山内閣総理大臣 このリーダーシップということがよく議論されるのですけれども、私はやはり、この今の時代に即応する政治の姿勢、物事の決め方のプロセスというものは、できるだけ民主的に透明度の高いものにする必要があるということを前提に物を考えています。ましてこれは連立政権ですからね。
 したがって、社会党とさきがけと自民党と、それぞれ政策の違いもあるし、理念の違いもある、考え方の違いもある。しかし、その違いというものは、ある意味から申しますと、これは国民からそれぞれの立場で支持を得て国会に出てきているわけですから、したがって、それなりの住民の、有権者の声を代弁している、う思いますね。
 ですから、それだけやはり今国民の意識は多様化しているわけです。価値観が多様化しているわけです。そういう多様化している意見がそれぞれの党を通じてこの国政に反映されてくる。そこでいろいろ議論をされる。議論をされて合意を得られたその合意点というのは、ある意味ではそうした多様化した国民の意思のコンセンサスが求められていく、こういうふうに思いますから、そういう意味における議論というものは尊重しなきゃならぬものだというふうに私は思いますね。
 その合意を得られた場合に、その合意をどう実行していくかというのはまさに内閣の仕事であって、私はその限りにおいては、決断を持って、少々の抵抗があっても実行はするというところにリーダーシップというものがあるのではないかというふうに思いますし、どうしても合意が得られない、もうここはひとつ内閣総理大臣でもって決断してほしい、こういうことになれば私の責任において決断をする、そして結論を出して実行していく、こういうことが私はやはり言われる意味のリーダーシップではないか、こういうふうに思っておりますから、先に方向を示してこれでやれと、こういうふうにすることは決して今の政治のあり方にはそぐわないのではないか、むしろ逆行するのではないか。
 むしろ今は透明度の高い民主的な、国民の皆さんにもよく判断をしていただき、理解をしていただくような手だてというものが必要だ、時間がかかるかもしれないけれども、その民主的な運営というものは大事にせなきゃいかぬ、こう私は思っておりますから、そういう考え方でやっているつもりでありますけれどもね。
 どうもリーダーシップがないとかいろいろ批判を受けていることは、十分承知をいたしております。承知をいたしておりますけれども、私はそういう政治に対する基本的な考え方はやはり変えない方がいいと思うし、これは私のある意味では政治的な信念ですから、その信念は守っていきたいというふうに考えています。
#29
○山本(拓)委員 総理のリーダーシップの考え方というのが今やっとわかりました。
 要するに、みんなに議論させて、そして結果を出たやつを私がそれを代弁して命令を出します、しかし、その議論が民主主義を尊重するばかりに時間がかかるのもやむを得ないという、そこが私は怖いのですよ、時間がかかるというのが。だから時間がかかって、五年、十年かかる、それも仕方ない、過程だということで何もできない、そこを恐れていますので、だから五年なら五年でめどを立てる必要があります。
 だから、例えば五年という年限の中で結果的に任せてはいるけれども、大体、大まか、機関委任事務の合理化、整理とおっしゃるならば、大体半分ぐらいは確実に減らせる、また十分の一は減らせる、大体どのくらい、細かいことを言うと失礼だというのなら、大体大枠の何%というぐらいのめどぐらいは個人的な見解で述べられませんか。(山口国務大臣と呼ぶ)
#30
○笹川委員長 ただいま、山口総務長官の発言でありますが、委員長の了解なくして御答弁いただきましたので、一応議事録から削除いたします。
 山本君、続けてください。(「そういうのは理事会で相談するものだよ」と呼ぶ者あり)それでは、ちょっと理事、集まってください。
 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#31
○笹川委員長 それでは、速記を起こしてください。
 ただいまの山口長官の御発言につきましては、善処方については理事会で協議をさせていただきます。
 では、山本君。
#32
○山本(拓)委員 はい。では、総理。
#33
○村山内閣総理大臣 この機関委任事務の中で何割ぐらいをどうしようと考えておるのか、こういう御質問だと思いますけれども、これは私は、さっきも言いましたように、これからその法案が成立をしたら、推進委員会を設置をして、その推進委員会でこの法案の趣旨あるいは考え方に基づいていろいろな角度から検討してもらおう、こういう状況にあるときに、私が何割ぐらいをどうこうするというようなことをここで言うことが適当かどうかということについて、私はむしろそういう予見を与えない方がいいのではないかというふうに考えておりますから、その点は御理解をいただきたいというふうに思うのです。
 ただ、今、そういうリーダーシップの考え方ではずるずるいって物事が決まっていかぬのではないか、こういうお話でございましたから、私ははっきり申し上げておきたいと思うのですが、そういうこともあるから五年という期限を切って、そしてこの五年以内に結論を出してもらいたいと。五年以内で結論がどうしても出ないような問題について、これは総理の決断を求めたい、こういうような要請があれば、それは私はやっぱり決断をしますと。そこがやっぱり責任者の仕事だ、任務だ、こういうふうに思っておりますから、さっきも言いましたように、できるだけ民主的な議論で、皆さんの英知を集めて結論を出していただくことが正しいと。どうしても結論が出なくて総理の決断を求めるというような事態になれば、これは何も委員会だけの問題でなくて、行政全般の問題についてもそうですけれども、やっぱり責任者として決断をすべきには決断をするということはもちろん当然あることだと私は思いますから、そういう問題ではないかというふうに受けとめております。
 リーダーシップのとり方というものについて、そんなことでなくて、いつも総理が前面に立って、そして指揮をとって、そして右向け、左向けとやって引っ張っていくぐらいの力がなくてどうして責任が果たせるか、こういうふうに言われるとすれば、私はそういう指導の仕方は、リーダーシップのとり方は、むしろ今の民主政治に逆行するのではないかというふうに思いますから、その道はとりたくない、これが私の政治的な信条だし、物の考え方ですということについては、御理解をいただきたいというふうに思います。
#34
○山本(拓)委員 言っていることは、結局何もやらないということをおっしゃっているわけでして、結局、私の役割は、地方分権はやります、やりますと言いながら、中身は、その推進委員会をつくってそれに任せます、方向性も示さずに、何も示さずに、その結論が出て、五年たって、結果的に何も出なかったらそれでやめますということにとられるのですよ。当然そうなるのですね。だから、そうならないために五年でしょう。だから、その方向性だけは私は示す必要があると思うのですよ。こんなのは別に外交とかそれじゃなしに、国内問題であり、地方分権という総理が一番得意とすることですからね。
 だから、その委員会を村山内閣としてこれを出したわけでありますから、村山総理のある程度の方向性、例えば具体的に言いますと、機関委任事務とか合理化、その他の問題、例えばこれだけを限定してお尋ねした場合に、これはもう総理はベテランですから、全部知り尽くしているはずでありますから、大体これの方向性というものを示すべきじゃないですか。だから、これは基本的には中身には一切タッチしないということですか。
#35
○村山内閣総理大臣 これは法案の中にもきちっとこの方向は示してあるのですよ、方向は。ただ、具体的に何をどうするということについては、これは委員会でもって十分ひとつ審議をしてほしい、こういうふうに申し上げているので、これは例えばこの法律の中の第四条に、
 地方分権の推進は、国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立って行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い、地方公共団体においては住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体において処理するとの観点から地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担うべきことを旨として、行われるものとする。こういうふうに一定の方向というのはきちっと示しているわけですよ。
 その方向に立って何をどうするか、かにをこうするかということについては、この委員会でもって具体的な問題について十分審議をして結論を出してほしい、こうしたいわけですから、何の方向も示さずに、考え方も示さずにどうぞよろしくお願いします、こう言っているわけじゃ決してございませんから、その点をひとつ十分御理解をいただきたいというふうに思います。
#36
○山本(拓)委員 私が申し上げているのは、要するに、総理がおっしゃるのは、前段をこれだけ言っているだけで、要するに、後段の結論をどうするかというところが我々にとって一番大事なんですね、政治決断として。だから、方向性をお聞きしているのは、例えば、じゃ、整理合理化、機関委任事務等の細かくそういうところまでは任せるといっても、総理としては、基本的にはすべてのものを対象に一回見直して、整理化、合理化の対象としてすべてのものを一遍俎上に上げた上でやるべきだとお考えですか。
#37
○村山内閣総理大臣 要するに、今国が分担をすべき、国が責任を持つべき分野と地方自治体が身近な住民の期待にこたえて責任を持ってすべき仕事の分野というものは、やっぱり考え方としては、こういう考え方でこの分権を進めてほしいという考え方がこの法案の中には私は示されておると思うのですね。
 それで、その考え方に立って、具体的な、国と地方とのかかわり、行政全般について、これはさっきお話もございました機関委任事務の問題も含まれておりますし、補助金の問題もあるでしょうし、いろいろな問題があると思いますけれども、そういう全般的な国と地方自治体とのかかわりの問題について、あらゆる角度から全般的に議論をしていただく、検討していただく、分析していただく、そして結論を出していただけるようにこの委員会に期待をする。委員会から結論が出れば、その結論は尊重して、政府として具体的な分権計画の中に取り入れて、そして具体的に進めていく、ういう段取りになるというふうに私は思いますし、ぜひそうすべきものだというふうに考えています。
#38
○山本(拓)委員 そうすると、総理の今のお話だと、委員会に任せて、その結果、十分その委員会が検討した結果、総理の手元にほとんど機関委任事務の整理合理化については小幅ぐらいで終わったという報告が出てきた場合には、それは認めるということですか。
#39
○村山内閣総理大臣 これは法案の趣旨と、政府がこの法案に盛っておる分権を推進する理念、考え方、それから国と地方自治体の役割分担等々前段に明記して、そしてこの役割を担って地方分権を具体的に推進していく、その審議を分権推進委員会にしていただいて、そしてその分権推進委員会でもって事務局もつくり、結論が出たら、その結論は尊重してやりますというようなことをこれから国会でも議論をしていただく、審議をしていただくんです、法案について。その法案について審議をしていただくときに、小さな結論しか出なかった、ささいな結論しか出なかったという場合にどうするのかというようなことをここで私は期待いたしておりません。
 それはもう、この法案の趣旨に十分こたえて、地方六団体の要請にもこたえて、地方制度調査会の答申にもこたえてもらえるような結論がこの委員会から出せるものだというふうに期待をいたしておりますから、また、そういう議論の過程における連絡とか話し合いというものは行われると思いますから、私どももそういう方向に、行政として協力できる点については大いに協力をして、一緒になって推進をしていきたいというふうに考えておりますから、そんな結論になることを期待いたしているものではございません。
#40
○山本(拓)委員 そうすると、総理の地方分権に対する取り組み方、考え方、いわゆるその延長のリーダーシップ的発想というか、村山総理の取り組み方というのは、いわゆる、村山総理は総理大臣でありますけれども、基本的には自分の考え方は一切示さず、要するに、ただやってくださいよという考え方に徹する、自分の意向は示さないということで、具体的な自分の、これだけはこうしてほしいという具体的なものは示さないということで理解してよろしいですね。
#41
○村山内閣総理大臣 法案をよく御理解いただければそういう誤解はなくなるのではないかと思いますけれども。
 具体的に、例えばさっきからお話がございますように、機関委任事務について、この委任事務については廃止をした方がいいと思いますとか、この委任事務についてはこうした方がいいと思いますとか、そういう前提を付して委員会に付託することは、私はやっぱり委員会に対して失礼ではないかというふうに思いますし、さっきから何遍も言っておりますけれども、前段に基本的な政府の考え方、分権を推進するための基本的な理念、これはもう法律の中にきちっと明記してあるわけですから、その基本的な理念や考え方に基づいて、そして国と地方自治体とのかかわり合いについての具体的な仕事の問題については、その委員会でもって十分分析をし、御審議をいただいて、そして結論を出していただく、その結論は尊重する。
 この法案の趣旨が生かされるような方向で結論が出るように、必要なことについては政府も協力もしますし、政府も力を入れていきたいというふうに申し上げておるので、私は、それ以上踏み込んで具体的にどうこうという考え方をここで申し述べることはかえって法の趣旨に反するのではないか、委員会の権限に対してやっぱり影響を与えるんではないかというふうに思いますから、むしろ申し上げない方がいいんではないかというふうに考えています。
#42
○山本(拓)委員 そうすると、全く期待できないということですね。具体的なことは一切言わない。いわゆる、問題は方法論で、どのような手順で具体的にこれをやりなさいと。これは五年といったって、五年間総理をやっているわけじゃないでしょう。やっているんですか、それはわかりませんけれども。
 結局村山さんの政治改革というのは、内閣が特色を出して、そして政党政党が国民に違いを見せていこうと。これは連立政権ですから仕方ありませんが、総理の今の考え方とは地方分権という概念は大体共通していますね。それを具体的にどうリーダーシップを、役人の抵抗を抑えていくかというのが勝負なんですよ、早い話が。だからその場合に、手順をどこへ持ってくるか、その方法論、仕組み。総理しか強制権は持っていないのですよ、あなたしか。
 だから、そういう方向性、一番知り尽くしているわけですから、村山さんの独自的な方向性は一切示さないということで、この中身については一切示さないということだけで理解してそういうことですね、今。もう一回確認します。
#43
○村山内閣総理大臣 いや、法案の中に方向性と考え方というのはきちっと示してありますと。それ以上個々の問題について具体的に示すことは、委員会の審議に対して失礼になるのではないかというふうに私は思いますから、したがって、基本的な考え方と方向性だけは示して、そしてその基本的な考え方に立って委員会で具体的な問題について検討していただくということの方が妥当ではないか、正しいのではないかというふうに私は思っておりますから、それ以上踏み込んで私の見解を申し述べるということは、委員会の審議に対して予見を与えることになる、だから、むしろそれはやらない方がいいのではないかというふうに考えておりますから、ただ、何にもなくて、何にも考えもなくて、そして方向も示さずにどうぞよろしくお願いします、こう言っているものではないのだ、そのために法案を出して、法案で御審議をいただいているわけですから、その点はひとつ誤解のないように御理解をいただきたいと思います。
#44
○山本(拓)委員 では、最後にその委員会のメンバーですけれども、結局そのメンバーも中立的、総理が、こういう考え方の人とか自分の意向を酌んだ人とか、そういったものも全然示すつもりもなく、第三者的に選んで入れていただくということでいいのですか。
#45
○村山内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、この法案の趣旨を体して、その法案の趣旨、理念、考え方に立って最も推進に適当な人、妥当な人、これは国会の同意を得なければならぬことですから、この審議の経過も十分踏まえた上で、法案が成立をしましたら、その趣旨に沿った妥当な人、同意の求められる人を選任をしたいというふうに考えております。
#46
○山本(拓)委員 時間ですから終わりますが、よくわかりました。総理のリーダーシップというのは何もしないということでよくわかりましたので、ぜひとも今後、総理が自分の考え方というのをひとつ大いに発揮していただきますように要望いたしまして終わります。
 ありがとうございました。
#47
○笹川委員長 畠山健治郎君。
#48
○畠山委員 私ども与党三党は、この法案の提出に向けて、プロジェクトチームをつくって三十回に近い議論を鋭意進めてまいりました。法案を見ていただければおわかりのように、三党の合意、政府・与党案としてはベストのものだというふうに考えております。
 その後、出されました野党案を見せていただきまして、あれ、これは著作権に触れるのじゃないだろうかというような気さえいたしたところでございます。
 確かに文言の違いは幾つかございます。その違い等につきましては、プロジェクトの段階で十分議論をした経過がございます。しかし、その経過からいたしますれば、法案が成立すれば委員会をつくっていただいて、推進計画をつくっていただくわけでありますから、この具体の中身というのは委員会で十分議論をしていただく、そうあらなければならないだろうというふうに考えておるわけでございます。
 そういう立場から、議論を通した中身を何とかして委員会並びに推進計画の中につなげていきたいという観点から御質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 第一の問題は、御案内のとおり地方分権推進法案というのは、一昨年、両院における国会決議が基本になっておるわけでございます。したがいまして、政府だけじゃなしに、我々立法府も責任があるというふうに受けとめております。そういう意味で、この法案の十分なかっ慎重な審議を重ねて、一日も早い成案を得なければならないのではないだろうかというふうに考えております。そういう並々ならぬ決意で審議に臨んでおるわけでありますが、特に総理としてこの法案に対する決意のほどをお聞かせをいただきたいと存じます。
#49
○村山内閣総理大臣 今委員からもお話がございましたように、与党三党で熱心に、真剣にこの分権についての議論をしていただきまして、一応の結論もいただいております。
 同時に、今お話もございましたように、両院で分権に関する国会決議もなされております。それから、地方六団体からも強い要請をいただいておりまするし、地方制度調査会の答申もいただいております。そういうもろもろの皆さん方の意見を十分踏まえた上で、政府としては、地方分権の大綱を決めまして、その大綱に基づいてこの法案を作成をして、今国会に上程をし、これから皆さん方の御審議をいただくことにしてあるわけであります。
 今申し上げましたような背景というものを考えた場合に、ある意味では地方分権というのは時代の大きな流れになっておる。ある意味から申しますと、先ほども御意見がございましたけれども、日本の政治改革の大きな柱の一つだというふうにも思いますし、これは全く維新にも値するような歴史的な法案ではないかというぐらいの重みを持ったものだというふうに私は考えております。
 したがって、そういう点を十分に踏まえた上で、国会の御審議もいただきながらできるだけ早く成立させていただきまして、そして委員会の設立も行って、具体的に分権の作業が進んでいけるような状態にしていただきたい。これは単に行政府だけの問題じゃなくて、国会と車の両輪で協力し合ってやらなければならぬ仕事であるというふうにも考えておりますから、ぜひ皆さん方の御理解と御協力もいただきながら政府は積極的に取り組んで推進をしていきたい、これだけの決意は申し上げておきたいと思います。
#50
○畠山委員 地方分権というのは、古くて新しい問題だというふうに言ってよろしいかと思っております。
 特に一九四九年のシャウプ勧告以来、事あるごとに各方面から要請されてまいりました。そうした歴史的な経緯の中でも、特にシャウプ勧告を契機に設置されました地方行政調査委員会議の報告書、つまり神戸委員会が一九五二年に明らかにした報告書は、現在読み直してみても実に新鮮味が感ぜられると思っております。
 その後、実にさまざまな調査会、審議会から幾多の答申が出されております。が、神戸委員会が底辺にあるのではないかと思っても間違いないというふうに思っております。その意味では、中央、地方を分権化する具体的な下地はかなり前からでき上がりつつあったというふうに言ってよろしいのではないだろうかというふうに思っております。
 したがいまして、地方分権推進委員会の改革指針に基づいて政府が速やかに推進計画を策定、実施することは、過去の経緯等を含めて、十分とは申しませんけれども、でき上がった背景があったというふうに言ってもよろしいのではないかと思っております。そういう意味で、五年間と言わず、もっと早い完成を目指してぜひ頑張ってもらわなければいけないというふうに思っておりますが、その点についての御所見をお承りいたしたいと思います。
#51
○山口国務大臣 お答えいたします。
 私が衆議院に議席を置きましたのは一九六〇年であります。神戸委員会の中身は、当時、私は若かったわけでございますが、感激を持って読んだことを今でも忘れることができません。
 その後、西田先生もおられますけれども、一昨々年、私は国会等の移転に関する法律を西田さんとともに議員立法いたしました。その際、特に私が強調しましたのは、国会等の移転は地方分権と的確に関連づけてやるんだということを強調いたしました。当時、政治改革のことが言われておりましたが、私は、本当の政治改革は公選法改正ばかりではない、地方分権を進めることが真の政治改革につながるという信念であの法律を提案いたしたつもりです。
 そういう中で、一昨年は、当時の自民党の三塚政調会長に話しまして、この際、地方分権推進に関する国会決議を進めようではないかという話をいたしまして、当時、地方行政委員会を中心にしてそのお話を進め、衆参両院の国会決議を実現することができました。
 そういう意味で、私は、神戸委員会以来、数々地方分権推進についてかかわってまいりました。今、私は地方分権推進法案の主務大臣として、こうして法案を提案できますことを本当にうれしく思っている次第です。私の政治信念をかけてこの法律を何としても立派に成立させたい、総理とともに、総理のリーダーシップをいただきながら、これを実現いたしたい、かように考えております。
#52
○畠山委員 本法案に対しまして、地方分権の実現の端緒が開けたというふうな評価もございます。しかし、一方からいたしますれば、先ほど野党の皆さん方もおっしゃっておりますように、具体の問題からすると、ある種の乖離があるのではないだろうかというような疑問も多少はあるのではないだろうかというふうに率直に思っております。それは、先ほど来総理のお話にもありましたように、方向性は示しておりますけれども、具体の問題からすると、野党が言っておられますような、これは疑念だというふうに言ってよろしいかと思っております。特に地方六団体等は具体的な提案等も含めて問題提起をしておるわけでありますから、そういう方々からすると、ある意味からすると、乖離さえ感ずるんじゃないだろうかというふうに率直に私個人は思う部分があろうかと思っております。その点について総理の御見解を承りたいと存じます。
#53
○小林(守)政府委員 総理が既に御答弁されておるところでございますけれども、地方分権推進計画には、国と地方公共団体との役割分担のあり方に即しまして、地方公共団体への権限の移譲、国の関与、必置規制、機関委任事務及び地方公共団体に対する補助金等の整理合理化、並びにその他所要の事柄について講ずべき必要な法制上または財政上の措置その他の措置を定めることになっております。
 政府といたしましては、権限の移譲や国の関与、補助金等の整理等に関しましては、行政分野ごとに一括して見直すことを基本として計画的に推進したいと考えているところでございます。
 委員会の勧告する具体的な指針の中身の御質問でございますけれども、本来委員会の御判断によるものでございますけれども、可能な限り具体的な指針を勧告していただけるものと期待しておりますし、この出されました指針を尊重して、できる限り具体的な中身の地方分権推進計画にしてまいりたい、そのように考えているところでございます。
#54
○畠山委員 地方分権の推進には三つの基本条件ともいうべきものがあろうかと思っております。
 その一つは、中央、地方の新たな役割分担を明示すること、つまり中央政府の行政事務を限定することであろうかと思いますし、二つには、中央、地方の関係の対等、平等の保障ということではないかと思います。三つには、住民の自己決定権の保障という三つではないだろうかというふうな気がいたします。
 そこで、国の役割分担と事務の問題について御質問する前に、推進委員会の所掌事務についてお尋ねをいたしたいと思います。
 法第十条には、推進委員会は推進計画のための具体的指針を勧告するとありますが、この具体的指針とはどのような内容を想定なさっていらっしゃるのか。個別法制ごとに改革すべき内容を期待しておるのでしょうかどうか、その辺のところを明確にしていただきたいと存じます。
#55
○山口国務大臣 地方分権推進計画には、国と地方公共団体との役割分担のあり方に即して、地方公共団体への権限の移譲、国の関与、必置規制、機関委任事務及び地方公共団体に対する補助金等の整理合理化並びにその他所要の事柄について講ずべき必要な法制上または財政上の措置、その他の措置を定めることであろうと存じます。
 具体的には地方分権推進委員会が勧告する指針を尊重して作成することになりますが、その内容につきましては、この地方分権推進の国会決議をいたしました国会の御同意を得て、しかも地方分権推進に極めて熱意をお持ちの総理が、この有識者の方々を、どの方を御委嘱したらいいかということでお考えになって、そして委員の方々を決定なされるわけでございますから、したがいまして、そういった立派な委員の皆さん方のお考えに即して、その勧告に即してこの計画を決定すれば、私は十分国民の皆さんの期待する地方分権が実現できる、かように確信をいたしております。
#56
○畠山委員 具体的改革のための指針を期待するとするならば、法第四条にいう役割分担は、どのように具体化されるのか。
 申し上げるまでもなく、多くの識者が役割分担の明確化と国の事務の限定が不可欠と指摘をするのは、憲法に定めるオールマイティーな立法権及び中央の行政権と、憲法第八章に定める「地方自治」との間に新たな均衡を設ける必要があると考えるからで、これと個別法制の具体的改革の提示があって初めて国民は地方分権の全体像を鳥瞰できるのではないかと思います。そういう立場からの御所見を承りたいと存じます。
#57
○山口国務大臣 お答えいたします。
 この点は、国と地方公共団体を定めました第四条ですか、そこに政府といたしましての基本的な考え方を示しておるわけでございまして、国の存立にかかわる事務は、これは国の事務、それから統一的ルールを示した方がいいものについては、これも国が扱うべきもの、国が統一的な一つの方針を示して対処すべきものについても、これは国が扱うべき事務でいいのではないか。そして、地方住民の身近な要求にこたえて自治体が行う事務は、この計画から調整から実施の段階に至る、一貫して地方公共団体がこれについては扱っていくという形があるべき姿であるということを明確にお示しをいたしました。
 私は、そういう上に立って、地方分権推進に極めて熱意をお持ちの方々によって構成される地方分権推進委員会は、十分私どもの方針にこたえる立派な勧告を、意見具申をやっていただける。それに沿って、我々政府としてはそれに的確に対応いたしまして、これを尊重して推進計画を定めていくということでありますから、委員の御意見にまさに即したものになるということだと存じます。
#58
○畠山委員 第二の条件に関してお尋ねいたしたいと思いますが、その前に、法第五条に規定する、国の関与、必置規制、機関委任事務について「その他所要の措置を講ずる」としておりますが、「その他所要の措置」の中には制度の廃止も含まれておると理解してよろしいでしょうか。
#59
○村山内閣総理大臣 先ほども質問にお答え申し上げましたように、「整理及び合理化その他所要の措置を講ずる」という「その他所要の措置を講ずる」という「所要の措置」の中には廃止が含まれておるのか、こういうお話ですね。
 これは、先ほど来お話し申し上げておりますように、機関委任事務というのはいろんな中身のものがあるわけですから、したがって廃止をした方がいいというものもあるし、それから改善をした方がいいと思われるものもあるし、それからもっとこれは地方の方にウエートを置いた方がいいというふうに思われるものもあるかもしれませんし、いろいろその中身についてはあると思いますね。したがって、この「所要の措置」の中には、御指摘のように廃止というものも含まれるというふうに私は認識をいたしております。
#60
○畠山委員 推進委員会の推進勧告は何年以内に行ってほしいという期待感がおありでございましょうか。また、勧告を受けてからどれぐらいの期間で推進計画が作成できるだろうかというような一応の見通しがございましたら、お尋ねいたしたいと思います。
#61
○村山内閣総理大臣 地方制度調査会の答申が、やはり五年で、時限立法でやってほしい、もうこれは強い要請がありまして、この国会にはぜひ出してほしい、こういう要請もございました。
 それから、先ほど御質問がございました、地方六団体の要請とそれから地方制度調査会の答申と、若干の違いはあるわけですけれども、違いはあるけれども、それは具体的に言っておるか言ってないかというところの違いであって、基本的な考え方、理念というものについてはそれほど大きな違いは私はないというふうに受けとめておりますから、地方六団体からも、今度の出された法案についてはそれなりに十分期待にこたえていただいたという評価もいただいておりますから、私は、ある意味では自信を持って提出をさしていただいておるというふうに思っておりますが、可能な限り速やかに結論の出せるものについては結論を出して方向を示していただくということが大事ではないかというふうに思いますし、可能な限り促進をしていきたいというふうに思います。
 それから、仮に推進委員会の方からある程度結論が出されれば、その結論を尊重して、直ちに具体的な分権化の作業に取りかかって、法改正の必要なものについては法律案をつくって国会の審議に付したい、こういうふうに考えておりますから、これは時代の流れで、皆さんの大きな期待の中に審議をされているわけですし、期待の中に進められていく課題でありますから、そういう考え方で、可能な限り速やかに御期待におこたえできるような段取りをつけていきたいというふうに考えています。
#62
○畠山委員 次の質問に入る前にもう一つお伺いをしておきたいというふうに思いますが、国の関与、必置規制、機関委任事務のこれまでの整理状況、あるいは現状どうなっているのかというようなことをお伺いしたいというふうに思います。
 特に、機関委任事務につきましては、臨時行政調査会答申に基づき整理合理化を行ったはずでありますが、その後、またふえておるかに承っております。状況はどうなっていらっしゃるのでしょうか、お伺いいたします。
#63
○山口国務大臣 お答えいたします。
 御案内のように、地方自治法の後に別表第一から第四まで、団体委任事務、機関委任事務がございます。この機関委任事務につきましては、御指摘のように整理合理化の方針を打ち出しましたが、やはり法律改正、例えば公害等の問題に関して必要な措置を講ずる、その場合、地方公共団体に対して権限を委任して対処してもらわなければならぬというような、新たに必要なものも生まれる場合があり得るわけですね。したがいまして、抑制はしてまいりましたが、御指摘のような点があったことも事実だと思います。
 我々としましては、今後ともこの問題、特に地方分権推進委員会で御議論もいただくわけでございますから、我々としてはより一層機関委任事務につきましては抑制の方向を強く打ち出す必要があるというふうには考えております。
#64
○畠山委員 そこでお伺いをいたしたいと思いますが、今法律が成立をいたしますと、推進委員会においていろいろと推進計画をつくっていただくという作業に入っていただくことになろうかと思います。片やそういうことで積極的にやっていただきたいと言っておきながら、向こう五年間で成案といいますか分権を進めようとするわけでありますが、その作業を片やしていただきながら、片やは機関委任事務がふえるなんということになったら、何だかつじつまが合わないような気がしてならないと思います。
 そういう観点で、少なくとも御議論を進めておる期間中は減らすという方向ではなくて、現状を固定するというふうな考え方があって当たり前ではないだろうかというような気がいたしますけれども、その辺の点についてお伺いをしたいと思います。
#65
○村山内閣総理大臣 現状を固定をするという考え方ではなくて、この地方分権推進計画が策定されるまでの過程においてもやはり見直しをして是正をし、改善をした方がいいというようなものについては改善をして、少なくともこの法案の趣旨と理念に沿う形でもって物事を考えていくということは大事なことではないかというふうに思いますから、固定をするということよりも前向きに物事を絶えず考えて取り組んでいく、こういう姿勢の方がむしろ大事ではないかというふうに考えておりますから、そういう考え方で取り組ませていただきたいというふうに思います。
#66
○畠山委員 ぜひ、誤解を招くことのないようにお気をつけをいただきたいというふうに思っております。
 次に、住民がみずからの町づくりや福祉をみずからの意思で行う、そのための条件整備の手段、これが地方分権であろうかと存じます。つまり、住民の自己決定権の保障があって初めて地方分権は意味のあるものだと考えるからであります。
 そこでお尋ねいたしたいと思いますが、第七条で言う「住民参加の充実のための措置」の具体化としては、どのような事柄を想定しておられるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
 この点に関して、住民投票制は、長年要請されてきた経緯からいたしましても導入できることではないだろうかというふうにも考えます。
 さきの最高裁判決におきましても立法上の問題とされながらも、在日外国人の地方参政権については、北欧諸国の例、あるいはこれまで国内の百七十六の自治体議会で議決をなさっておるというような状況等をも踏まえますれば、まさに機は熟しておるのではないかと見てもよいのではないかと考えます。どのような御所見をお持ちでしょうか。
    〔委員長退席、蓮実委員長代理着席〕
#67
○村山内閣総理大臣 先般、在日外国人の地方自治体選挙における選挙権の問題についての判決が出されました。私は、この判決はやはり厳粛に受けとめて尊重すべきものだというふうに思っておりますから、与党の中でも十分ひとつ御議論をいただいて、前向きの方向で取り組んでいくことが必要ではないかというふうに思っておることが一つてあります。
 それから、これは今、特殊法人やら規制緩和やら、あるいは地方分権やら、あるいはまた行革委員会の中には、二年以内に情報公開法の結論を出すというようなことまで含めて、国全体の行政の改革を推し進めておる状況にありますね。この国の行政改革の取り組みとあわせて分権が進められていけば、それだけ地方自治体の主体的な責任というものも重くなっていくわけでありますし、十分そうしたものに対応できて期待におこたえできるような地方自治体の行革というものもあるいは期待されておるのではないかというふうに私は思います。
 したがって、できるだけ住民の意思が反映をされる、そのためには地方自治体も、これは条例で公開法をつくっている自治体もたくさんありますけれども、そういう方向で地方自治体も可能な限り行政の公開を行って、そして絶えず住民の意思が民主的に反映されるような機能というものが果たせるような機構の改革というものはあわせて進めていくことが大事ではないかというふうに私は期待いたしておりますし、そういう方向に地方自治体も取り組んでいただきたいものだ、いただけるものだというふうに私は考えています。
#68
○畠山委員 先ほど本法案についてその努力を多としながらも、自治体関係者からすれば、具体の問題で物足らない部分があるのではないだろうかというような戸惑いもあるいはあるかもしれないと思っております。
 そこでお尋ねをいたしたいと思いますが、地方分権を推進していくためには、今まで以上に自治体の意見を推進委員会に取り入れる工夫が必要ではないだろうかというふうに考えます。そのためには、委員の選任に当たりましては十分に配慮をする必要があろうかと思いますし、事の性格上、官僚、OBの選任は避けていただくことが必要ではないだろうかというふうな気がしてならないというふうに思っております。この点についての御所見を承っておきたいと存じます。
#69
○村山内閣総理大臣 一概にOBを排除するというふうなことを断定的に申し上げることは私は差し控えたいと思うのですが、その意味は、国の行政のあり方というもの、国の行政の実態というものをやはりある程度わかっておる方の方が、それはそれなりの意見を出してもらえるのではないかというふうに思いますし、それから今お話がございましたように、地方自治体の実態についてもよくわかっている者の意見も出してもらおうというのでこの議論が展開されていくというように思いますから、これはOBは絶対だめだといって排除してしまうのではなくて、やはり全体のこの法の趣旨なり理念、分権を進めていくという立場から考えて一番適当であり、妥当だと思われる人の選任はやはりした方がいいというふうに思います。
 これは先ほど来申し上げておりますように、当然国会の同意も得なければならぬことですから、国会の同意を得られるということを前提にして、これまで行われている皆さん方の意見や審議というものも十分踏まえた上で、それなりにこの法の趣旨に沿って効果を上げていただける適当な人を選任をしていきたいというふうに思っておりますが、法案が成立したら速やかに選任作業に入って、そして一日も早く委員会の活動ができるような段取りだけはしていきたいものだというふうに考えております。
#70
○畠山委員 時間がなくなりましたが、最後にもう一つだけお尋ねいたしたいと思います。
 推進委員会の事務局体制についてでございますが、推進委員会は中央、地方のあらゆる制度、施策を短時間で調査審議しなければならないのは当然かと思っております。また、具体的な調査、審議においては、日ごろ住民と接しておる地方自治体職員の協力がどうしても欠かせないのではないだろうかというふうな気がいたしてならないと思っております。
 したがいまして、かつての第二臨調を上回る事務局体制を整え、自治体からの職員派遣をも要請する必要があるのではないかというふうにも考えますが、その点についての御所見を承りたいと思います。
#71
○山口国務大臣 委員御指摘のように、今回この法律が成立いたしました場合に設置される地方分権推進委員会は、まさに歴史的な使命を帯びた委員会であるというふうに私は思います。といたしまするならば、その事務局の役割も極めて歴史的に重要なものというふうに認識をする必要があると思います。したがいまして、法律が成立いたしましたならば、事務局長を中心といたしまして、その他のスタッフによるところの事務局を設置をいたしまして、事務局の具体的な規模、構成等につきましては、法案の成立後、委員会の発足に向けて検討していくことになるわけでございますが、多ければいいということではないと思います。ある程度今の行政改革という時代の要請もございますので、必要にして十分な職員を配置をする、そうして委員会の任務を補佐する上で最も適切な人材を配置をいたしまして、委員会の業務に支障のないようにするということが我々の任務ではないだろうか、かように考えておる次第であります。
#72
○畠山委員 終わります。ありがとうございました。
#73
○蓮実委員長代理 田中甲君。
#74
○田中(甲)委員 さきがけの田中甲であります。
 さきの第百三十一国会においては、内閣提出法案のすべてが可決、さらに今国会においても既に三十九法案が両院を通過するという現在の姿から、村山政権が大きな成果を上げているという認識を持たせていただいております。特に、東西の冷戦下においては、すり合わせてもかみ合わせることのできなかった五五年体制下の懸案事項を、自民党、社会党が与党の枠組みの中で解決しているということも、この連立政権の大きな使命を果たしている姿であると高く評価をさせていただいている一人であります。
 今、さらに村山政権が行政改革を進める中で、その柱の一つである地方分権推進法を本会議に上程し、当委員会に付託されたことは、極めて意義のあることと受けとめているところであります。しかし、この法案は与野党の対決法案となってはならない。この法案に限らず、行政改革は本来新しい国の進路をつくり出すべく、与野党間の垣根を越えて超党派で取り組むべきものであると私は考えております。与野党間でもし今後対立するとするならば、法案が政争の具として利用されたことを示すものであり、これほど残念なことはありません。野党から提出されました対案の中にも検討すべきよい点があるならば取り入れていくという柔軟な姿勢も、場合によっては必要ではないかと私は考えておるのですが、総理の御所見を賜りたいと思います。
#75
○村山内閣総理大臣 今委員からお話がございましたように、私も全く同意見でありまして、これは先ほど来申し上げておりますように、地方六団体からの意見書もいただいておりますし、それから地方制度調査会の答申もいただいておりますし、それからまた、国会の両院でもって決議もされておる、そういうものも踏まえた上で出しておる法案でありますから、議論をしていただければこれは合意在得られるものだというふうに私は期待もいたしておりますし、こだわらずに率直な意見をお互いに交換し合って、そしていいところはいいところとして評価もしていくということが大事ではないか。
 まして統一地方選挙はもう間近に迫っておりますが、前にして、そしてこの法案が政争の具に供されるような、そういう性格のものであっては、せっかく国の行政を改革して地方分権を推進していこうというときに国民の期待に反することになるというふうに思いますから、決してそんな考えを持ってはならぬし、また持つべきものではない、十分真摯な御議論をいただいて、一日も早く成立を期待して、本当に地方六団体も国民も期待する地方分権がまともに推進されるような筋道というものをしっかりおつくりいただきたいということを心から念願をいたしております。
#76
○田中(甲)委員 総理の期待にこたえるように特別委員会でもしっかりと審議を進めてまいりたいと思います。
 平成九年四月より導入を予定しております地方消費税、この審議が行われている際、私は税特の一員を務めさせていただきました。その様子というものを肌で感じておりました。その際に、地方公共団体からの要望の数や声の大きさに今回の地方分権推進法を比較いたしますと、かなり地方公共団体の声や要望というものがトーンダウンしているように私は感じられるのですが、それは私だけでありましょうか。財源の確保に対するときとは異なって、権利とともに責任を負っていかなければならない地方分権に対する地方公共団体の様子の違いを総理はお感じになられているでしょうか。
 私は統一地方選挙の応援で各候補者の事務所に出向いたり候補者と話をするような機会を最近多く持つのでありますが、国会で今歴史上極めて重要な法案がかけられたという認識をそれぞれに持つ中で進められているこの様子とは全く異なりまして、地方レベルではまだまだその認識が持たれていないというのが実態のように私は感じておる次第でありますが、総理はその点についてどのようにお感じになられているか、また、それがどのような問題点からそのような状況が起きているか、御意見をお聞かせいただければありがたいと思います。
#77
○村山内閣総理大臣 今もお話し申し上げましたように、昨年九月に全国知事会を初めとする地方六団体から地方分権の推進に関する意見の申し出がされております。それから十二月には、地方分権推進法の早期制定をスローガンとして、地方六団体の主催による地方分権推進・税財源確保総決起大会というものも開催されて、全体として大きな盛り上がりを示したわけです。そして、地方公共団体の議会からも、地方分権推進法の早期制定を求める意見書が多数寄せられてまいりました。それから先ほど申しましたように、地方制度調査会の答申、それから経済団体あるいはその他の団体等からも、地方分権はぜひひとつ推進をしてほしい、こういう強い要請も受けてまいりました。
 そういうものを受けてこの国会に今地方分権推進法の上程をいたしており、御審議をいただいておるわけでありますが、私の聞くところによりますと、これはもう法案が出されましたから、法案を提出をしなさいという意味における要請、運動というものはあるいはもうとまったかもしれませんけれども、しかし、それを受けた形で地道に地方団体の中に研究会をつくって、そしてどういう分権を進めるべきかとか、あるいは分権が進められた場合に受け皿として地方自治体はどういうふうにすべきかとか、そういう研究会を地道につくってやっている団体もあるというふうに聞いておりますから、決して今委員が御心配されるような状況にはないんではないかというように私は思いますし、この法案の審議を通じてさらにお互いの理解と認識も深まっていって、そういうものに対応できるだけの情勢というものは地道につくられていくものだというふうに期待をいたしております。
#78
○田中(甲)委員 地方分権を進めていく上で研究会が多くつくられているお話や、また再三国の役割、地方行政の充実は既に指摘がされているところでもありました。
 しかし、私はこのように考えております。住民の自治意識の向上というものが余り指摘がされていないと思うわけであります。地方分権を本当の意味で住民の自主性の中からつくり出していくためには、学校教育や社会教育の現場において地方自治に関する幅広い教育というものを根本から進めていく必要があると私は今考えているところであります。
 この点では文部省の協力というものも求めていかなければならないでしょうし、また、自治意識の欠落というものがもし今国民の中に、地域住民の中にあるとするならば、これは他の省庁とも認識を一つにして地方分権の推進に当たっていかなければならない、そういうことを示唆しているもの、そんな受けとめ方をしておるのですが、総理の御所見を重ねてお聞きしたいと思います。
#79
○村山内閣総理大臣 地域の住民が地方自治とみずからの生活とのかかわり合いについて理解をし、自治意識をはぐくんでいくことは、分権を進めるという前提の上に立ては極めて大事なことだというふうに私も認識をいたします。
 学校教育におきましても、義務教育である中学校段階において、地方自治の基本的な考え方について理解をさせるとともに、地方自治の発展に寄与しようとする住民としての自治意識の基礎を育てることとしておりまして、中学校の段階においてもそういう教育がなされておるというふうに聞いておりますし、また高等学校段階においても、地方自治を初めとする住民の生活と政治とのかかわりなどについて理解をさせ、地域社会の一員としての自覚を深めさせるような教育を行っておるというふうに私は承っております。
 また、社会教育においては、公民館等が実施をする地域住民を対象とした講座等の中で、市民意識、社会連帯意識の涵養など、自治意識の向上を図るための学習が実施をされておるというふうに聞いております。
 私は、やはり学校教育だけではなくて、今申し上げましたように社会教育、戦後、一時社会教育が盛んに叫ばれ、公民館活動が強調されたというような時代がありましたけれども、あの時代から見ると、ちょっと何か影が薄くなったような印象を与えますけれども、私はむしろこういう分権が進められる時代の中でもう一遍やはり思い起こして、そして公民館を中心とした、そういう自治意識に根差した活動あるいは教育というものがますます必要になってくるというふうに思いますから、これは私の方から文部省の方にも要請をして、今委員から御指摘のあったような点については、もう少し重要視をして教育の中でも取り上げてほしいということを私の方からも要請をしておきたいというふうに思います。
    〔蓮実委員長代理退席、委員長着席〕
#80
○田中(甲)委員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いいたします。
 自治政務次官に財政のことでお尋ねをする予定でありましたが、時間の都合で、大変に申しわけございませんが、割愛させていただきます。
 最後に、地方分権を推進していくということは、くどいようでありますが、税財政の基盤の充実、折しも地方行政常任委員会に付託がされました市町村合併法の推進、さらに今総理から御答弁をいただいた住民の自治意識の向上など、多面的な問題を段階を経て計画的に進めていかなければならないという認識を改めて持たせていただきましたが、実際に形にするためにいろいろな段階があるという、大きな課題に取り組んでいく総理の御決意を重ねてお聞かせいただきまして、私の質問を終わりにしたいと思います。
#81
○村山内閣総理大臣 冒頭に委員の質問の中にもありましたように、この地方分権というのは、ある意味では平成維新にも値するような画期的な歴史的なことではないかと私は思っております。
 これはやはり国の地方との関連の中における縦割り行政の弊害とかいろいろなことが指摘されておりますけれども、地方分権を推進することによって国の行政のあり方自体も大きく変わっていくのではないかと思うし、また変わっていかなければならないというふうに考えておりますが、多面的な大きな影響と役割をこの地方分権というものは担っておるというふうに私は理解をいたしておりますから、これはもうどんなことがあっても推進していかなければならぬというふうに思います。
 同時に、委員からお話もございましたように、受け入れる側もその意識をしっかり受けとめて、そして本当に分権を進めた場合に住民自治が確立されて、民主的に住民の意思が反映された、いい地方自治体の行政ができるような姿というものをつくり出していかなければならぬというふうに思いますから、ぜひ皆さん方の御理解と御協力もいただきたいというふうに思います。
#82
○笹川委員長 穀田恵二君。
#83
○穀田委員 日本共産党の穀田です。
 私は、総理の地方分権に関する基本的考えについて伺いたいと思います。
 さきの本会議で総理は、国と地方の役割分担を本格的に見直した上で、国の役割としては、国の存立にかかわる事務や本来的に国が担うべき事務を重点的に行う、こういう旨答えられました。住民に身近な行政はできる限り身近な地方公共団体が担っていくとして、国から地方への権限移譲などについても触れました。
 総理の言う地方分権というのは、結果としてどういう国や自治体の姿というのができ上がるのか、どういうイメージを想定しておられるのかということについて最初にお伺いしたいと思います。
#84
○村山内閣総理大臣 地方分権の推進に当たりましては、今委員からもお話がございましたように、地方がその実情に沿った個性あふれる行政を積極的に展開できるよう、国と地方の役割分担を本格的に見直し、権限移譲や国の関与等の廃止、緩和、地方税財源の充実強化を進め、地方公共団体の自主性と自立性を強化していくということがねらいでありますね。また、それが必要だと私は思います。
 国と地方公共団体の関係は、それぞれが役割を分担しつつ国民福祉の向上を図っていくという基本的な関係にあるものと考えておりますから、国と地方公共団体の役割につきましては、国は、国際社会における国家としての存立にかかわる事務等、国が本来果たすべき役割を重点的に担い、地方公共団体は、地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担うこととして、その方向で役割分担を明確にしていくことが重要であるというふうに考えておるわけです。
 いずれにいたしましても、地方分権を推進することは、現内閣の重要課題の一つとして位置づけていることは先ほど来申し上げているとおりでありますが、二十一世紀に向けた時代にふさわしい国と地方との関係を確立するため、私としても、具体的な成果を上げるべく強い決意でこれからも取り組んでいきたいというふうに思っております。
 今申し上げましたように、国が負担をすべき仕事、役割、責任と、地方自治体が住民に対してやるべき責任と役割というものをある程度画然と分けていく。同時に、そういう仕事が可能になるような税財源のあり方というのも見直しをして、それなりの財政的な保障もやって、そして地方自治体が自主的に自立的に地方住民の期待にこたえて仕事ができるような姿というものを想定して地方分権は進めなければならぬものだというふうに私は考えています。
#85
○穀田委員 条文にある中身について大体あったと思うのですけれども、私は役割分担についてはわかりましたが、実際に国と地方の関係というのは一体どんな関係が望ましいと考えているのか、ないしは地方分権が進んだ場合についてはこんなふうな関係になるんだよ、そういう全体像をもう少しお示しいただけませんか。
#86
○村山内閣総理大臣 法文の中にも明記されていますように、これはもう一遍読ませていただきますけれども……(穀田委員「それはいいです。何項と言っていただいたらいいです」と呼ぶ)この第四条、わかりますね。第四条はね。これはもう時間が短いようですから申しませんけれども、この第四条の中に、国が受け持つ責任の分野と、それから地方自治体が担うべき責任の分野と、大体私は区分してあると思うのですね。この区分に立って、仕事はやはりそれぞれ分担し合って責任を持ってやっていただくということが大事ではないかというふうに思っています。
 具体的に、例えば、地方自治体の中にもうんと財政的に豊かなものもあれば、あるいは貧しい市町村もある。そのときに、最低限これだけは保障する必要があるといったようなものについては、やはりある程度、今は地方交付税の中でそういう配慮をされているわけでありますけれども、地方交付税というものが現状のままでいいか悪いかというようなことについてもこれからまた委員会の中で御審議をいただくことになると思いますけれども、そういう意味における役割というものはやはりあっていいのではないかというふうに思います。
 これは余りまた言いますと委員会の審議に予見を与えるということになってもいけませんから、申しませんけれども、私はそういうことは当然考えていただけるものだというふうに思いますね。
#87
○穀田委員 どうも抽象的な話が多いのですが、私はこんなふうにお聞きしているのは、総理、分権について非常に、かまびすしいというか、盛んに言われる、ただどうも憲法に規定されている地方自治との関連が不明確だ、こう考えるから、この点について聞いているわけです。
 分権というのは、集権の村といいますか、アンチテーゼということですね。だから、憲法が本来定めてある地方自治の本旨、つまり住民自治や団体自治の拡大、住民の人権の最大限の保障、そして国民主権の徹底という内容の充実という方向に、その目的のための推進の手だてが私は地方分権だと思っているのですね、私自身は。だから、したがって、この法律の中に本来、その基本理念ということを書いていますが、基本理念なりに、まさに目的規定として、憲法の地方自治の本旨に基づいてやるんだということを私は書くべきだと思うのですが、明文化すべきだと思うのですが、そのことを聞きたいがために聞いているわけです。その辺はどうですか。
#88
○村山内閣総理大臣 それはもう憲法でさっと書いてあるわけですから、憲法に書いてあることをまた法律の中に書く必要はないと私は思いますし、憲法に書いてみる地方自治の本旨を踏まえた上で、地方六団体の意見書もあるし、それから地方制度調査会の答申も出されると思いますし、その憲法の規定というものは十分前提にして生かされた法律案だというふうに私は理解をしていただきたいというふうに思います。
#89
○穀田委員 そこで、じゃ、お聞きしますけれども、今もお話ありましたが、地方六団体の方々もそう、いうことを踏まえてとおっしゃっていました。それを見ますと、地方分権推進要綱の中に、第一に、「目的」、「日本国憲法第九十二条に規定する「地方自治の本旨」」ということに基づいてやるんだというふうにこれは大体提案しているのですね。さらにこの問題について言うならば、総務庁長官もお話あったように、総理の強いリーダーシップということがお話ございました。
 そこで、私、社会党の「自立する地方 地方分権推進法とプログラムの試み」というパンフレットがございますね。これはまだ、ずっと前の古い話じゃなくて、近いものですから、おわかりだと思うのですけれども、そこの中にも「分権化の目的と理念」というふうに書いていまして、「一口にいえば、憲法九十二条の「地方自治の本旨」を具体化しようということ」だと書いています。そしてさらに、このプログラムの概要ということで、目的の中に、やはり「憲法の「地方自治の本旨」に基づきこということをわざわざ書き込んでいるわけなんですね。
 ですから、私は、私京都ですから、「憲法を暮らしの中に」ということで、かつて蜷川さんが言われましたけれども、やはりそういう意味で言いますと、憲法を法の中にという精神で、しかもその大道の基本というものをしっかり据えるということが大事じゃないかと思うわけですね。しかも、今言いましたように、地方六団体も、それから社会党の方針自身にもそう書かれてあるということについて、やはり書き込むのが当然ではないでしょうか。
#90
○村山内閣総理大臣 これは、今委員から御指摘もございましたように、憲法でうたわれておる地方自治の本旨を十分前提にして、それを踏まえてこの六団体の意見も出されておりまするし、今紹介されました党の方針もその本旨を前提にしてつくられているわけですから、今度出されておる法案もその本旨にのっとってつくられておる法案であるというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。
#91
○穀田委員 私がわざわざ説明したのは、この地方六団体の意見書の推進要綱に書いてあることを言ったんですよ。前提になっているというんじゃなくて、その前提は、確かにこう書いていますよ。「我々が「地方自治の充実」を期してこというふうに書いています。この推進要綱それ自身の目的に書いている。また、お話ししたように、社会党の方針にもそう書いてある。そういうことをやはりきちんと生かすのが、書き込むのが必要じゃないかと私は思っているのです。
 なぜそういうことを言いますかというと、そういうふうな、先ほどもありましたように、本来――例えばこうも書いているんですね。金森さんの発言を引用して、「自治体の本質は国の分身ではなく、共存を要する人間の自然的性質に求めるべきだ……(中略)……個人に、生まれながらの基本的人権があるように、自治体には基本的自治権とでも言うべきものがあって、それは国家にも対抗し得るもの」だ。つまり、対等、平等だということを言っているわけなんですね。
 ところが、その内容から見ますと、この法案はどうかといいますと、例えば第三条で、「国の地方分権の推進に関する施策の推進に呼応し、及び並行してこと書いて、従えよという話になっている。さらに第四条に、地方自治体の役割は、先ほどありましたように、「自主的かつ総合的な実施の役割を広く担うべき」だ、こういうふうに書かれてあり、地制調で言うところの企画、調整、実施ということにさえも触れない。
 そういう意味で言いますと、本来そういう精神があると言いながら、中身に書いていること自身を見ても、対等、平等や、今までの地制調の方針なんかから含めても大きな後退をしているじゃないか。逆に言えば、だからそういうことが書き込まれなかったんじゃないかと思うのは必然じゃないですか。
#92
○村山内閣総理大臣 これはもう憲法の趣旨、地方自治の趣旨に基づいてこの意見書も出されておりますし、今紹介のあったような社会党のプログラム、推進プログラムもつくられておりますし、それから地方制度調査会もそうですし、今ある法律というものは全部憲法に基づいてつくられておる法律ですよ、今ある法律も。
 したがって、憲法に書いてあることをわざわざまた法文の中に書く必要はもちろん私はないのではないかと思うのですね。そうではなくて、前提として憲法が守られているということが前提ですから、それは当然のことだと思います。その点に尽きる、矛盾はないんではないかというふうに思いますから、御理解をいただきたいと思います。
#93
○穀田委員 私は、この地方分権のそういう推進の目的が、先ほど言いましたように、本来達成されているべき、地方自治を守り抜く上でなかなかこれは、実際は形骸化しているよ、だからこそこういうものが出ているわけで、そういう意味で言いますと、この目的にきっちり据えることが大事だということについては言っておきたいと思うんです。
 最後に、時間がありませんから一つだけ質問しておきたいのですが、いろいろな報告を見ますと、例えば、国民福祉の増進に向かって国と地方は相互に協力する関係にあるとか、それから国は国として本来担うべき事務を重点的に行うとか、こういうふうに書いて、さらに住民に身近な行政は住民に身近な地方自治体で、こういう脈絡からしますと、福祉や教育、社会保障など、住民に身近な問題の多くが、国か地方自治体がということになると、地方自治体に任されることになりはしないか。
 地制調その他の文章をそれぞれ読んで見ますと、ナショナルミニマムは達成された、こういう書き方が前提となっている向きがあります。私は、そういう点はちょっと違うんじゃないかと思うのですね。
 つまり、ついせんだっても、生活保護に関する問題での福団地裁での判決が出ました。これは高校に向けての学資保険に加入した問題をめぐって争われた件ですね。だけれども、この問題をめぐりましても、生活保護それ自体の支給やその他の関連する問題でも、だんだんやはり時代とともに要請が高まっていく、こういう経過にありますよ。つまり、クーラーは当然必要だし、それから学資保険なんかに入るのも当然ある意味では必要だ。そういう意味で、当然ナショナルミニマム自身が非常に時代の要請とともに上がっていく、こういうことになると思うのですね。だから、達成したと見るのは私は早計だと思うのです。だから、そういう意味で、私は地方自治体の責任でこういうことを行うみたいな話だけでやっていくということは違うと思うのですね。その件だけ最後に一言だけお聞きしておきたいと思います。
#94
○山口国務大臣 お答えいたします。
 御指摘のように、社会福祉の水準が日々向上していかなければならぬというのは御指摘のとおりだと思いますし、また、委員が憲法を御指摘になりましたが、憲法二十五条では、健康にして文化的な生唐を保障するということがやはり国の責務でもあることは、これはもう私もよく理解をいたしております。そういう立場から、ナショナルミニマム自体が年とともに変化をしていくということは当然あり得ると思います。
 ですから、やはり国が行うべき事務の中には、国が統一的なルールあるいは全国的な視野で行う事務については国が当然扱うべきものということは書いているわけでございまして、そういった全体的な、何といいますか水準といいますか、基準と申しますか、そういうものをある程度国が指し示していくという任務というものは、これはあってしかるべきじゃないか。その中で、自治体がどのように創意工夫をして、あるいは自治体自体が上乗せをしてより住民の福祉を守っていくかというこどは、まさに地方自治の問題であるというふうに考えております。
#95
○穀田委員 終わります。
#96
○笹川委員長 先ほど山本拓君の発言中、山口総務庁長官の答弁に係る部分につき理事間で協議いたしました。理事会では総理に対する質疑と決定しており、しかも委員長の指名に基づかない発言でしたので、会議録から削除いたすことといたします。
 なお、今後、政府におかれましては、答弁につきましては委員長の指示に従われるよう強く要望いたします。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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