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1995/04/20 第132回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第132回国会 予算委員会 第26号
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1995/04/20 第132回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第132回国会 予算委員会 第26号

#1
第132回国会 予算委員会 第26号
平成七年四月二十日(木曜日)
    午前九時開議
出席委員
  委員長 佐藤 観樹君
   理事 衛藤征士郎君 理事 桜井  新君
   理事 野呂田芳成君 理事 深谷 隆司君
   理事 伊藤 英成君 理事 加藤 六月君
   理事 草川 昭三君 理事 三野 優美君
 理事 五十嵐ふみひこ君
      伊藤 公介君    浦野 烋興君
      小此木八郎君    越智 伊平君
      唐沢俊二郎君    菊池福治郎君
      岸田 文雄君    後藤田正晴君
      近藤 鉄雄君    佐藤 剛男君
      志賀  節君    関谷 勝嗣君
      高鳥  修君    中山 太郎君
      浜田 靖一君    原田  憲君
      村田敬次郎君    村山 達雄君
      若林 正俊君    安倍 基雄君
      伊藤 達也君    石田 勝之君
      川島  實君    倉田 栄喜君
      左藤  恵君    笹木 竜三君
      月原 茂皓君    野田  毅君
      冬柴 鐵三君    松田 岩夫君
      宮本 一三君    山口那津男君
      山田  宏君    山本 幸三君
      若松 謙維君    池端 清一君
      今村  修君    北沢 清功君
      坂上 富男君    細川 律夫君
      枝野 幸男君    小沢 鋭仁君
      松本 善明君    吉井 英勝君
      海江田万里君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  村山 富市君
        法 務 大 臣 前田 勲男君
        大 蔵 大 臣 武村 正義君
        文 部 大 臣 与謝野 馨君
        厚 生 大 臣 井出 正一君
        通商産業大臣  橋本龍太郎君
        運 輸 大 臣 亀井 静香君
        郵 政 大 臣 大出  俊君
        労 働 大 臣 浜本 万三君
        建 設 大 臣 野坂 浩賢君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     野中 広務君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長官)五十嵐広三君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 山口 鶴男君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 玉沢徳一郎君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      高村 正彦君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      田中眞紀子君
 出席政府委員
        内閣官房内閣情
        報調査室長   大森 義夫君
        内閣法制局長官 大出 峻郎君
        警察庁長官官房
        長       菅沼 清高君
        警察庁生活安全
        局長      中田 恒夫君
        警察庁刑事局長 垣見  隆君
        警察庁警備局長 杉田 和博君
        総務庁長官官房
        審議官
        兼内閣審議官  土屋  勲君
        総務庁行政管理
        局長      陶山  晧君
        防衛庁参事官  熊谷冨士雄君
        防衛庁防衛局長 村田 直昭君
        防衛庁人事局長 萩  次郎君
        防衛庁装備局長 荒井 寿光君
        経済企画庁調整
        局長      吉川  淳君
        経済企画庁国民
        生活局長    坂本 導聰君
        経済企画庁物価
        局長      谷  弘一君
        経済企画庁総合
        計画局長    土志田征一君
        経済企画庁調査
        局長      大来 洋一君
        科学技術庁科学
        技術政策局長  落合 俊雄君
        科学技術庁科学
        技術振興局長  工藤 尚武君
        科学技術庁原子
        力局長     岡崎 俊雄君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 永井 紀昭君
        法務省刑事局長 則定  衛君
        法務省人権擁護
        局長      筧  康生君
        法務省入国管理
        局長      塚田 千裕君
        公安調査庁長官 緒方 重威君
        外務大臣官房長 池田  維君
        外務大臣官房領
        事移住部長   畠中  篤君
        外務省アジア局
        長       川島  裕君
        外務省欧亜局長
        事務代理    西田 恒夫君
        大蔵大臣官房総
        務審議官    竹島 一彦君
        大蔵省主計局長 篠沢 恭助君
        大蔵省主税局長 小川  是君
        大蔵省関税局長 鏡味 徳房君
        大蔵省証券局長 日高 壮平君
        大蔵省国際金融
        局長      加藤 隆俊君
        国税庁次長   松川 隆志君
        文部大臣官房長 佐藤 禎一君
        文部省初等中等
        教育局長    井上 孝美君
        文化庁次長   林田 英樹君
        厚生大臣官房総
        務審議官    太田 義武君
        厚生省健康政策
        局長      谷  修一君
        厚生省薬務局長 田中 健次君
        厚生省社会・援
        護局長     佐野 利昭君
        厚生省児童家庭 佐々木典夫君
        農林水産大臣官
        房長      高橋 政行君
        農林水産省食品
        流通局長    鈴木 久司君
        通商産業大臣官
        房審議官    河野 博文君
        通商産業省貿易
        局長      広瀬 勝貞君
        通商産業省機械
        情報産業局長事
        務代理     中野 正孝君
        通商産業省生活
        産業局長    江崎  格君
        資源エネルギー
        庁長官     川田 洋輝君
        中小企業庁長官 中田 哲雄君
        運輸省自動車交
        通局長     高橋 伸和君
        運輸省航空局長 土坂 泰敏君
        郵政大臣官房長 木村  強君
        郵政大臣官房審
        議官      品川 萬里君
        郵政省郵務局長 加藤豊太郎君
        郵政省通信政策
        局長      山口 憲美君
        郵政省電気通信
        局長     五十嵐三津雄君
        労働大臣官房長 伊藤 庄平君
        労働省職業安定
        局長      征矢 紀臣君
        建設大臣官房長 伴   襄君
        建設省河川局長 豊田 高司君
        建設省住宅局長 梅野捷一郎君
        自治省税務局長 佐野 徹治君
        消防庁長官   滝   実君
委員外の出席者
        参  考  人
        (日本銀行総裁)松下 康雄君
        予算委員会調査
        室長      堀口 一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十二日
 辞任       補欠選任
  月原 茂皓君   杉山 憲夫君
同日
 辞任       補欠選任
  杉山 憲夫君   月原 茂皓君
同月二十日
 辞任       補欠選任
  江藤 隆美君   小此木八郎君
  越智 通雄君   佐藤 剛男君
  村田敬次郎君   岸田 文雄君
  山崎  拓君   唐沢俊二郎君
  工藤堅太郎君   山本 幸三君
  月原 茂皓君   宮本 一三君
  佐々木秀典君   北沢 清功君
  前原 誠司君   小沢 鋭仁君
  矢島 恒夫君   吉井 英勝君
同日
 辞任       補欠選任
  小此木八郎君   江藤 隆美君
  唐沢俊二郎君   浜田 靖一君
  岸田 文雄君   村田敬次郎君
  佐藤 剛男君   越智 通雄君
  宮本 一三君   倉田 栄喜君
  山本 幸三君   工藤堅太郎君
  北沢 清功君   佐々木秀典君
  小沢 鋭仁君   枝野 幸男君
  吉井 英勝君   矢島 恒夫君
同日
 辞任       補欠選任
  浜田 靖一君   山崎  拓君
  倉田 栄喜君   若松 謙維君
  枝野 幸男君   前原 誠司君
同日
 辞任       補欠選任
  若松 謙維君   月原 茂皓君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 予算の実施状況に関する件(円高等経済問題及
 びサリン問題等)
     ――――◇―――――
#2
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。
 本日は、まず、円高等経済問題について集中審議を行います。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#4
○佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。唐沢俊二郎君。
#5
○唐沢委員 私は、自由民主党・自由連合を代表いたしまして、緊急円高・経済対策につきまして質問をいたします。
 質問に先立ちまして、昨日の横浜の異臭事件で被害にお遭いになりました皆様に心からお見舞いを申し上げ、一日も早い御快癒をお祈りを申し上げます。また同時に、万全の警戒をされているところでこういう事件が起きたわけでございますが、二度とこういうことが起きませんように、できるだけ警戒態勢を厳重にしていただきたい。なかなか難しいことだと思いますが、お願いを申し上げておきます。
 ところで、私は、今度の対策の中身に入る前に、この緊急対策が決定されたその前の政府の対応につきまして、苦情を申し上げる次第であります。
 円はずっと上昇してまいりました。三月から急激に上昇して、非常に深刻な事態を迎えたわけであります。そのときの政府、どういうことを言われるか、政府の見解を注目しておったのですが、これは経済のファンダメンタルズを反映したものではない、非常に異常だ、各国と協調して対応する、また、適時適切な措置をとる等々でありました。
 三月三十一日、ドイツが公定歩合を引き下げました。それまではマルクやスイス・フランと同じような歩調で円高になっておりましたが、それからは円の独歩高となったわけであります。
 そのころになりますと、大蔵大臣、通産大臣、労働大臣も、相当踏み込んだ発言をされるようになりました。大蔵大臣は当面の財政金融運営について、また通産大臣は中小企業緊急円高対策について、労働大臣からも今後の雇用対策についての見解の発表がありました。また、各省では、補正予算に盛り込む円高対策を検討しておられるということが報ぜられたのでございますが、各省ばらばらで、政府としてまとまってどういう対策を出されるかということはわからなかった。国民は不安な日々を送ったのでございます。
 今回の円高は、生産拠点を外国に移している、また、市況の回復している大企業、これは案外冷静でありました。しかし、価格競争力のない輸出産業、また安い輸入品に取ってかわられる中小企業、下請企業は、円高の影響をもろに受けてしまったのでございます。
 そこで私は一つ例を挙げさせていただきます。
 電機の部品メーカーで、平成四年五月期には百三十億円の売り上げがあった。だんだん減って、ことしの七月の見込みは五十億円ぐらいになってしまう。そして、親会社が次々と生産拠点を東南アジアに移しているのでまた受注が激減して、百四十人おった従業員さん、今までは何とか解雇もしないできたのですが、いよいよ解雇に踏み切らざるを得ないというような事例。これは一例でありますが、ほかにもあると思うのです。村山さん、何をやっているんですかと悲痛な叫びも起こりました。
 四月九日、これは投票日でございますが、我が党では、思い余った加藤政調会長が急速、経済の担当者を集めて会議を開いて、今週中に何とか対策を出さなければならないなということで決めました。翌十日の月曜日には、三党の政策調整会議でも、また政府におかれましても、十四日の金曜日までに対策を発表しようということを御決定をされたわけであります。そして、やはり総理の一言で十四日に発表するぞということになった。私は無理じゃないかと思ったのですが、十四日に対策ができてそれが決定された、こういうことであります。
 今回の円高の対応がおくれたのには、私はそれなりの理由があると思うのですね。というのは、その主たる理由が投機、スペキュレーションにあったということであります。行き過ぎた投機は必ず反転する、それが我々の今までの常識であった。やはり総理も、そのうちまた下がるのじゃないかというお気持ちも、落ちつくのじゃないかというようなお気持ちもあったのじゃないかと思うのですが、やはり投機というものはばかにしてはいけない、軽視してはいけない。投機にもそれだけの原因があるし、また背景もあるわけですね。
 一時八十円十五銭まで上がりました。また最近上がったそうでございますが、七十円台に一時入ったというような話も聞いておりますが、そこまで上がったという実績があると、そこまではいつでも高値振れするという一つの圧迫要因になるのですね。災害と投機は忘れたときにやってくる。ぜひ今度は投機についても断固たる姿勢をお示しをいただきたいと思うのでございます。
 そこで、国民が一番知りたいのは、一体円はこれからどうなるんだろうかということで、私なんかにも大分そういう御質問があるのです。なかなか難しいことだと思いますが、ぜひ大蔵大臣、最高の責任者である大蔵大臣から見通しを承りたい。だが、最初に総理から対策ができるまでの政府の円高対応についての御意見を伺い、また円の見通しについて大蔵大臣から伺いたいと思います。
#6
○村山内閣総理大臣 いろいろ今円高問題をめぐっての御意見がございました。政府がそれなりに機敏に対応するタイミングの問題等についてもいろいろ御意見やら御批判はあることも十分承知をいたしております。
 ただ、政府としては、為替相場の動向を含む内外の経済動向を十分に注視をしながら、適切かつ機動的な経済運営を行うべきであるという視点からそれなりの努力をしてきたつもりでありまするし、それぞれ関係省庁においても今お話もございましたような観点から御努力をいただく。同時に、これは個々ばらばらにやったのでは効果が上がらぬわけですから、したがって関係する閣僚の会議を開いて、そして十分な連携をとり合いながら進めてきたところでもございます。
 これは、日本の経済が緩やかながら回復基調に向かいつつあるという状況の中に急激な円高というものが襲ってきて、そして先行きに不透明感を与えるといったような事態があるわけでありますから、そういったものを厳しくとらえて、そしてこれを打開していって、もっと先行きに展望が開けるようなそういう道筋というものを明確にする必要があるし、とりわけ当面のこの円高に対する何らかの歯どめ措置というものも考える必要があるというようなことから、関係各国との連携も十分とりながら、日本としてやらなければならぬことはきちっとやるということを踏まえて、先般の十四日に緊急円高・経済対策を決定をして、これからさらに努力していこうという決意でありますから、今御指摘のございましたような視点も十分踏まえて、内閣一体となって取り組めるような体制を十分とって、これからも強力に進めていきたいというふうに考えているところでございます。
#7
○武村国務大臣 為替の水準そのものについてコメントするのは控えることになっておりますが、しかし委員もおっしゃったように、この三月から四月にかけての世界の為替の変化というのは、どう考えてみましても各国の経済諸条件に合っていないというふうに思います。これはほぼ世界の共通の認識であります。
 そのことを言葉でかえれば、思惑あるいは投機的な要素が非常に色濃いというふうにも言えるわけであります。我が国の今の経済諸条件からいって、この一カ月半の急速な円高というのはどう見ても経済実態とは乖離し過ぎているというふうに思っております。
 ぜひ早い時期に、市場が冷静な判断のもとにファンダメンタルズを反映する方向で動いていくことを期待をいたしたいと思います。
#8
○唐沢委員 総理から誠意あるお答えまた決意を述べられたわけでございますが、私は、総理は最近ちょっとついてないな、こう思っているのですね。それは、昨年、臨時国会まで総理のやられたこと、政治改革、税制改革、年金改革、WTO問題、これはいずれも前内閣のツケを処理されたわけですね。前内閣のツケだと私は思う。そして年末に産業構造転換、雇用対策の基本方針をお決めになって、さてこれからいよいよというときに阪神・淡路大震災が起こり、この円高が起こったのですね。
 ところで、この円高も前の内閣のツケだと私は思います。円高の一番大きな原因は……(発言する者あり)今それを、理由を申し上げますが、円高の一番大きな原因は、景気対策を盛り込んだ平成六年度予算の成立が大幅におくれたということなんです。
 顧みますると、おととしの暮れ、予算の年内編成についていろいろ議論をされた。政治改革も必要だけれども何とか予算は早く編成して景気を早く回復したいといって努力された議員が非常に多かった。時の官房長官も一生懸命努力されたけれども、ちょっとお力が及ばなかったのであります。
 そして驚くべきことに、経済首脳が声をそろえて、声を一にして年頭所感で予算編成より政治改革を優先すべしとおっしゃった。(発言する者あり)
#9
○佐藤委員長 静粛に願います。
#10
○唐沢委員 かくて予算の提出は三月四日となり、成立は六月二十三日になったのでございます。どんなに大きな公共事業予算を盛り込んでも、執行がおくれたら効果はない。
 その内容を申し上げますと、平成六年度の政府支出、固定資本形成とか政府の最終消費支出とか全部の合計ですね、九十兆円くらいありますね。これは平成六年度、初め七・五%ふやす予定であったけれども、四・七%にとどまったんですね。したがって、これだけで成長率を〇・五%引っ張っている。これじゃ景気はよくならない。それで平成六年、年間の成長率は何と〇・六%ですね、御承知のように。ほとんど成長していない。これでは貿易黒字は減りません。その面では私は、アメリカの言うことも無理からぬところだな、こういう気がいたします。
 私は、パフォーマンスは政治には必要だと思います。しかし、経済にはパフォーマンスは通用しない。よく時の政府のことを国民は無策だ無策だと言います。今も言っている人がいるんです。私は反論した。前の内閣はと言ったら、その人は、あれは論外よ、こう言ったんです。今から死児のよわいを数える、論外内閣だと言う人もいるようなその内閣のことを論ずることは論外かもしれないが、こういうことが二度とあってはならない、二度と起こしてはならない、忘れてはならないことだと思いまして、あえて申し上げた次第でございます。
 それで、質問をさせていただきます。
 お二人、ちょっと先にやっていただきますが、大出郵政大臣と松下日銀総裁に伺います。
 大出郵政大臣、きょうは非常に重要な公務もおありになるそうでございますが、いよいよインフォメーション・スーパーハイウェーの時代です。創造経済の旗手の大臣に伺わないというわけにいかないから、御無理をお願いをいたしたわけでございます。
 ところで、経済の新分野の拡大のためには、何といっても重要なのは情報通信ですね。実際に、経済全体が閉塞感に満ちあふれているときに、携帯電話だとかワイドテレビだとか、また電子手帳というものは非常にすばらしい売れ行きを示している。
 情報通信というものの役割といいますか、どういうところにあるか。それは、マルチメディアなどの情報通信産業のためになる、これはもう当たり前ですね。これがひとつ。それだけではない。文化的サービスを含む産業全体のこれは基礎であって、変革をもたらすものだ。三番目は、地方の時代、地方の時代と言われているけれども、地方の活性化に大きく貢献をするんだ。ですから、ことしの二月に初めて情報通信会議が開かれて、大臣も御出席になったわけであります。
 そこで、大臣に一問だけお伺いをいたしますが、このような情勢を踏まえまして、光ファイバーなどの情報通信基盤を私は充実すべきだと思いますが、その具体的計画と御決意についてお伺いをいたします。
#11
○大出国務大臣 お答えをいたします。
 今御指摘をいただきましたように、ブラッセルにおける、これは昨年七月のナポリ・サミットで決めた、これは文書で決まっておりますが、このときの約束でございますけれども、このブラッセル会議にアメリカのゴア副大統領が出てまいりまして、彼の話の中に、今アメリカ国民が十ドル支出をするとすると、そのうちの一ドル以上が情報通信に関する支出になっている。一ドルを超えてしまった。これは、将来に向かって急速にシェアを拡大していく。一ドルがさらに二ドルに向かってというぐあいに拡大をしていく。
 そういう状況にあるという説明をしておりましたが、欧州各国、アメリカとの間を含めまして、いろいろな利害が交錯しておりますけれども、にもかかわらずブラッセル会議でGIIという一つの方針を決めた。意味がございまして、つまり工業生産的な今までの経済発展から知的な大きな、知的社会への転換という意味で産業構造が変わっていくんじゃないのか、それは避けられない、どうしてもそこにG7の各国が集中しなければというところにポイントがあったというふうに思っております。
 そういう意味で、まず私どもとしては、産業構造の転換、今御指摘のとおりでございますけれども、ここを一つとらえまして、そこで、民間の活性化を図るためには政府みずからがその起爆剤としての政策実行をしなければならない。そういう意味で、昨年総理を本部長といたします高度情報通信社会推進本部を設けて基本方針を決めましたが、この中で「基盤整備に対する公的支援等、所要の環境整備を総合的、計画的に行っていく」「先進的アプリケーションの開発・導入など先導的な役割を果たしていく」。
 で、今の御指摘の光ファイバーでございますが、おおむね包括的に言いますと、加入者系まで全部入れると三十二兆から大体五十六兆ぐらいの規模に設備投資の面ではなっていくということを考えておりまして、これを進めるためにはそれだけの、つまり環境整備を民間の皆さんがやり得るような、つまり基盤法をこの国会に提出をして、これはマルチメディア第一法案でございますけれども、これは低利融資という形のことを政策的に決めて、それを呼び水にして民間の皆さんが活性化して頑張っていただく、こういうことでございます。
 そこらを前面に打ち出してやってまいりましたが、今決めようとする補正予算でございますけれども、ここで今御指摘のように、前回の予算編成時にいろんなことをやりましていろんな応援をいただきましたが、足らないことだらけでございますので、今改めてまとめたものをもう決めて出しておりますけれども、補正に向かって、御指摘のように、一層マルチメディア社会に向けて高度情報通信基盤が整備されていきますように、アプリケーションを含めて進めていけますように、全力を挙げてひとつ予算編成にも取り組みたい、こんなふうに思っておりますので、ぜひまた御協力、御支援のほどをお願いいたします。
#12
○唐沢委員 ありがとうございました。どうぞ大臣。
 次に、松下日銀総裁においでいただいております。日本銀行に常に全幅の信頼を寄せ、中央銀行の独立性を限りなく尊重する者として、最初に伺いたいと思います。
 日本銀行は四月十四日、公定歩合を〇・七五%ですか、お引き下げになったわけであります。随分思い切った引き下げ幅だなあと思っております。ただ、ドイツは三月三十一日に引き下げたのでございまして、どうして二週間後に引き下げるならばドイツと一緒になさらなかったんだろうかというのが国民の素朴な気持ち、意見であります。
 やはりタイミングというものがありまして、協調介入でも、金額は少なくとも、各国が協調してタイミングが合うと非常に効果があると言われているんですが、もしも一緒にやられればもっと効果があったんじゃないでしょうか。
 それから、ドイツの引き下げ後は本当に、それまでは円とマルクは一緒に上がっていましたね、大体。円が独歩高となった、だからそれが催促相場だ、バッシング相場だと、こう言うような人もいますが、私はそれなりの理由やお考えがあったと思いますので、それをまず第一にお伺いをいたしたいと思います。
 次にお伺いしたいのは、公定歩合のアナウンスメント効果でございまして、やはり国民はこれからの金融政策、経済運営ですね、それがどうなるかというときに、日本銀行が青信号を出すのか、黄色か、赤信号が、一億二千万の国民がかたずをのんで注視をしているんです。
 そして、そのとき我々が問題にするのは公定歩合なんですね。市場金利を低目誘導をされた、こういうことでありますが、我々は、公定歩合。そしてマスコミも、公定歩合なら、日本の公定歩合の引き上げ、引き下げなら必ず新聞の一面に出る。市場金利の低利誘導なら、これは二、三面物にしかならない。そうすると、アメリカでフェデラル・ファンド・レート、これは公定歩合と同じように重要で、効果だってそんな差はないんだよ、こうおっしゃるでしょう。しかし、我々は、あくまでも日本銀行の伝家の宝刀は公定歩合だ、こう思っております。
 どうも、日本銀行と一般の国民との間に常識の差があるんじゃないかというような気もするのでございますが、この公定歩合のアナウンスメント効果についても、あわせてお伺いいたしたいと思います。
#13
○松下参考人 ただいま委員御指摘のように、私どもは、三月三十一日に短期市場金利の大幅な低目誘導に踏み切りまして、その後、四月の十四日に公定歩合の引き下げを行ったところでございます。
 三月末の、低目誘導をいたしましたその時点での私どもの経済の景況判断を簡単に申し上げますが、その時点におきましては、私どもは、日本経済は全体として緩やかながら回復過程にある、しかしながら、回復が始まってから一年半も経過しております割合には、どうも回復の力に弾みがつかないと申しますか、その当時に手に入れておりましたいろいろの経済指標なり情報なりを総合いたしますと、むしろ景気回復の緩やかさという方がだんだん目立ってまいってくる、そういう判断でございました。そこで、私どもは、実質の金利の大幅低下をまず行いまして、これによりまして経済の回復力にてこ入れをやりたい、そういう意図から金利の低目誘導を実施をいたしたわけでございます。
 その後、実際に市中の金利は非常に急速に低下をいたしまして、これが、各種の長短貸出金利につきましても、また企業のCPによる調達金利につきましても、実際上は相当の大幅低下を見たわけでございまして、この点につきましては、当時、他の通貨当局も、実質金利引き下げをやったなという判断がございまして、その結果、市場におきます協調行動なども行われたわけでございます。
 しかしながら、その後も事実上は、今御指摘がございましたように、急激な円高というものの進行がなかなか、加速をするというような状況もございます。また、株価を初め、資産価格の非常に軟調な地合いも継続をいたしまして、その後のいろいろの情勢判断をいたしましたところ、やはりこれらの情勢が、例えば一般の企業心理等につきましてどうも好ましくない影響を及ぼすのではなかろうか、場合によれば景気の回復力自体に懸念が生ずるのではないかという判断に立ち至りまして、その段階で改めて公定歩合の引き下げを行い、また、これに伴いまして市中金利の一層の低下も図ってまいるという政策をとったわけでございます。
 で、こういうふうに二段構えと申しますか、両様の政策をとりました点につきまして、ただいま御指摘がございましたような、アナウンスメント効果を重視したならばそれで適切であったかどうかという御意見でございますけれども、私どもは、市場の金利低目誘導の持っております意味、あるいは公定歩合の持っております意味が昨年来若干変わってまいったのではないかという考えを持っております。
 それは、昨年十月に預金金利が完全自由化されまして以後、一般の金利水準の変化が、それまでは公定歩合を軸といたしまして、これが変更されますというと、預金金利の方にそれが及んでいく、あるいは一般の市中の金利もそれを注目して、基準にして動いておる、その状態から、今まで以上に預金金利も含めました貸し出し等のもろもろの金利が市場で形成される金利によって動いていくという傾向に変わってまいったのではなかろうか。
 したがいまして、そのときに、政策の手段といたしましては、もちろん公定歩合は依然として非常に重要な政策手段でございますけれども、同時に、市中の金利を実質的に低くするという措置を講じますというと、それはまた非常に敏速に一般の実質金利水準の低下につながっていくであろう、そういうことから、当時の情勢判断といたしまして、まず低目誘導の措置をとったわけでございます。
 今後につきましてはどういうことかということでございますが、私どもといたしましては、やはり、金利の自由化が完了いたしましたこの時代におきまして、今申してまいりました市場金利の低目あるいは高目の誘導によります金融の調節手段と、それから公定歩合の持っております、伝統的な、非常に強いアナウンスメント効果の持っておる政策手段としての効果、この両方をよく勘案をいたしまして、その情勢に応じまして適切な組み合わせというものを考えながら、そして、その状態をよく国民の皆様方にも、マスコミ、金融機関にも御説明をいたしまして、これからそういうふうな運営についての御理解を深めてまいりたい、そして、今後とも両方合わせた機動的な政策運営を図ってまいりたい、さように思っております。
#14
○唐沢委員 あくまでも公定歩合というものは、やはりその国の経済の景気局面というものをにらんでやられる、こういうお話でございます。
 それでは、簡単に、せっかく総裁においでいただきましたので、一言だけで結構ですがお教えをいただきたいんですが、公定歩合のヘッドライト論ですね。
 公定歩合というもの、金融政策の効果と限界、また公定歩合の役割、今おっしゃったように非常にだんだん変わってきているわけでございますが、私、経済閣僚会議のときに三重野前総裁に、公定歩合というのはヘッドライトで、早目早目に先を照らすものだ、こういうふうに言われておったのでそう申し上げたら、ちょっとお前はそれは古いよ、今は金融も国際化されて、商品も多岐に及んでいるし、預金金利も自由化されているのだから、なかなかあの方は例えのうまい人で、ヘッドライトもあるけれども、同時にルームランプのときもあるし、後でやるテールランプのときもあるよ、こうおっしゃったのです。私は、バブルの苦い経験から、やはり公定歩合というのは基本はヘッドライト論じゃないかと思うのですが、一言で結構ですから御所感をお願いしたいと思います。
#15
○松下参考人 従来の伝統的な考えから申しまして、確かにヘッドライトの効果は非常に強いと思いますが、同時にまた、公定歩合、そう簡単には動かさないというような従来の考え方もございます。それは、非常に基本姿勢だからということでございます。その点では、非常に機動的、弾力的に動かせる一般の金利誘導措置と申しますもののよさもございますので、組み合わせを十分考えてまいりたいと思っております。
#16
○唐沢委員 実は、法律というのは朝令暮改であってはならない、頻繁に変えてもらっては困る、しかし、公定歩合というものは頻繁に上げたり下げたりしてもいい、またそうあるべきだと私は思うのでございますが、時間がございません。
 お忙しいところをおいでいただきまして、ありがとうございました。どうぞ。
 それでは、本論に入りまして、この計画の内容でございますが、今総理が大変に危機意識を持たれておったということはわかりました。やはりそのお気持ちがわかったのでしょう、与党でも緊急円高対策プロ、連日のように、連日連夜精力的な議論を重ねる、政府では本当に深夜までこの問題に取り組んでおられました。何か二時間しか毎日寝てないという方もいますし、一時体調を崩された方もある、まあ、お元気になったそうでよろしいと思うのでありますが。
 そして、この対策ができた。そして、この対策は、内需拡大策の充実とか具体的な輸入拡大策、規制緩和推進計画の前倒し、また、産業構造改革、金融・証券市場対策、実に広範で、また、これまで入っていなかったような、これまでと違う意欲的な項目が入っている。そういう意味で私は、これは短期日のうちにつくられた対策としては高く評価をいたします。
 だから、野球で例えると、初め一回、二回、ちょっと失点があった、しかし、五回に十点とって逆転しちゃった、こういうようなものだと思うのですが、やはり野球は終わるまでわかりませんから、これからこれにどうやって肉づけして内容を充実させていくか、後は実行あるのみだと思いますので、総理の御決意のほどをもう一度お聞かせいただきたい。
#17
○村山内閣総理大臣 今委員からも御指摘がございましたけれども、今回のこの緊急円高・経済対策というものは、もう申し上げるまでもないのですけれども、先ほど来御議論もありますように、景気の先行きに対する不透明感を払拭をする、同時にまた、回復基調にあるこの日本の経済を確実なものにしていく、同時にまた、中長期的に展望の持てるようなものをやはりきちっと打ち出すということが大事ではないかということを前提にして、そのために機動的な内需拡大振興策を図る一方、経常収支の黒字も可能な限り削減をしていく。そして、そのために規制緩和を、今お話がございましたように五年間でやるというものを三年間に前倒しする。これも、単に三年間に前倒しするというだけではなくて、必要なものについてはやれるものから逐次やっていくというような取り組みも推し進めていこうではないかということも確認をいたしておりまするし、そうしたものを通じて経済構造の改革も進めながら、中長期的に展望の持てる経済の道筋というものを明らかにしていこう、こういうことで打ち出したわけでございます。
 政府といたしましては、今問題になっておりまする補正予算についても、そういうことが十分反映できるような予算の編成を行っていく。同時に、今申し上げましたようなことについて具体的に確実に実行していくということによって日本経済の姿というものを明らかにして、そして経済の基礎的条件が正当に反映して評価されるような、そういうものにつくり上げていこう、こういう決意で今、先ほども申し上げましたように、内閣一体となって努力いたしておりますから、必ず決めたことは実行するということで推し進めていきたいというふうに思っております。
#18
○唐沢委員 決めたことは必ず実行するという強い御決意を承りまして、我々もこれはやらなきゃいかぬなという気がいたしております。
 その次は経常収支黒字の削減についてでございますが、これは、言うはやすく行いはかたい、なかなか難しいことだと思います。
 我が国の経常収支は、一昨年来、円ベースでは減少している。しかし、肝心のドルベースでは、バブル経済と湾岸戦争という特殊要因のあったときを除いては、非常に高水準にあるわけです。本格的な削減策に取り組むことがないと、なかなか大幅な削減は難しい。
 そこで、ちょっとお伺いいたしますが、与党の議論では、黒字を五カ年間で半減しようという議論があった。しかし、今度出たこの対策を拝見いたしますと、さらに削減するとの強い決意という表現に変わっております。
 そうすると、与党と政府は少し考えが違うのかな、政府の方が弱いのかな、いや、実は政府には政府の立場があって、表現は違うけれども決意は全く同じなのかな、そういうことを皆さん言っているのですが、橋本通産大臣から一言。
#19
○橋本国務大臣 私からお答えをするのが適切かどうかわかりませんけれども、確かに、与党三党からちょうだいをいたしました御意見の中に、政治的なメッセージを非常に強調され、対策の前文の中に経常収支黒字の半減という表現を盛り込んでおられたこと、私もよく承知をいたしております。ただこれは、円高対策としての決意を示すための数値目標ということは、私は必ずしも適切なものだとは考えておりません。
 なぜならば、私自身が大蔵大臣をいたしておりましたとき、ちょうど湾岸危機の起こりました九〇年、この年は、GDP比で一・一でありましたか二でありましたか、ちょっと正確な数字を忘れましたが、非常に黒字幅が減少したことがございます。ただし、その年は石油価格が猛烈な勢いで高騰いたしまして、一時期三十ドルに達するという状況でありました。そして九一年、これは湾岸戦争が現実のものとなり、我が国は中東の和平回復のための資金拠出をいたした年でありますけれども、その拠出をいたしたにかかわらず、石油価格がある程度下落をいたしました結果、たしかGDP比二・二か三ぐらいまで、黒字幅はまた拡大したはずであります。
 そのように、実は非常に不確定な要素のある経常収支というものが世界各国の自由な経済活動の結果として出てくるものでありますだけに、今日のように世界的に経済活動が繰り広げられております環境の中では、市場原理のもとでその結果を担保することは非常に難しい。さらに、あえてその結果を担保しようといたしますと、これはむしろ管理貿易を行わなければならないことになりますし、これは我が国としてとるべき道ではないと思っております。
 また、これは現在、今回の中でも、五年間で行うと考えておりました規制緩和の方針を、この経済情勢に合わせて三年間に前倒しをしていく、そのための必要な予算、人員まで補正予算で御配慮を願う、財政当局にもお願いをしておるような状況でありまして、これはその規制緩和の方針と逆さになってしまうというようなこともございます。むしろ我々は積極的に、経常収支の削減に向けましては、政府の為替市場等に対して発するメッセージ、その中で大事なことは、この内外不均衡の是正のために具体的に実際こうして取り組んでいこうという内容と、それを実行する決意であると思っております。
 そのためにも、内需振興のため、財政当局には今補正予算編成に御苦労いただいているわけでありますが、これとあわせまして輸入の促進、あるいは経済構造改革の推進を一層強力に展開していくための施策、こうしたものを着実に実行していくことが必要である、そのように判断をいたしております。
#20
○唐沢委員 今一緒にお伺いすればよかったのですが、数値目標というのは、貿易黒字にも数値目標がある。輸出にも輸入にも、それも全般あるいは個別といろいろな議論が出たわけでございますが、そこで、円高の要因として自動車の輸出が問題になっている。輸出を減少すべきではないかという御指摘があるわけでございますが、通産省として自動車の輸出についてどうお考えなのか。
 また、一緒に伺いますが、日米自動車交渉がまとまらない。これはやはり一番目玉ですから、なかなか難しいですね。そしてそれが円高要因となり得るという見方もあるのですが、これから我が国はどのような態度で交渉に臨まれるのか、伺いたいと思います。
#21
○橋本国務大臣 大変大事な御質問をいただきましたので、多少長くなることをお許しいただきたいと思っております。
 これはまず事実認識として改めて申し上げたいことでありますが、自動車産業は、円高に対応いたしまして海外展開を図る、同時に、部品の共通化でありますとか工程の見直しなどの抜本的なコスト削減策を一方で進めております。同時に、合理化で吸収できない部分につきましては、価格の引き上げを行ってまいりました。これは、もし行わなければダンピング規制にかかってしまうわけでありますから、当然のことながらそれは、多少のタイムラグはありましてもきちんと引き上げは行われてきているわけであります。
 その結果として、九二年には五百六十七万台でありました輸出台数は九四年で四百四十六万台に減少をいたしました。また、輸出金額は七兆六千億円でありましたものが五兆八千億円に減少を着実にたどっております。
 今回、この三月から現在に至っております円高というものは、これは極めて短期間に進展しておりまして、これは各企業の経営の努力によるスピードの限界を超えております。そして、この状況がもし続きました場合には、体力がぎりぎりに弱っております企業におきましては、国内に見切りをつけて海外に展開を加速させる、また、海外展開もままならないという企業は、みずから生産を縮小する、あるいは下請を縮小するといった対応をとらざるを得なくなる、こうしたことを私は心配をいたしております。
 例えば、自動車メーカー、例に挙げて恐縮でありますけれども、例えばマツダの場合には、当面の緊急避難措置として、四、五月の対米輸出を従来の計画から半減させておりまして、為替予約の範囲内にとどめております。そして、これによって工場の一部ラインが停止をされている状況であります。
 こうした状況になりますと、これは輸出の減少に伴って国内生産が縮小するわけでありまして、その結果としては、経済サイクルは悪循環に入っていく、そうした危険性があるわけでありまして、これは逆に対外収支の改善を阻害する可能性すら出てまいります。
 私どもといたしましては、今やはり講じなければならないことは、国内経済の拡大、また構造改革の加速化である、そう考えておりまして、経済の拡大を図りながら黒字を減らすという国としての決意と実行が必要かつ不可欠、そのような思いを持っているところであります。
 そこで、今お触れをいただきました包括協議における自動車の論議及び部品分野の問題でありますけれども、これは十二日から十九日にかけまして次官級協議並びに課長級協議を行ってまいりましたが、双方の立場にはなお隔たりがございます。殊に補修部品につきましては、運輸省の関係者に大変な努力をいただき、アメリカ側も一部評価をいたしながらも、その隔たりが埋め切れていないという状況であります。
 我々としては早期の解決に向けて最大限の努力を行っておりますが、アメリカ側は昨年の九月の段階におきましても、また十二月の末に行われました次官級の打ち合わせの中でも、包括協議の再開についての打ち合わせの中でも、いわゆるボランタリープランというものは包括協議の外であるということを合意をいたしました。しかし同時に、ボランタリープランがなければこの協議の合意はないという大変矛盾した立場を述べておられます。そしてまた、包括協議のこれは基本原則であります双方向性という議論を無視しておられました。アメリカ側の産業の日本市場への参入努力不足というものは棚に上げた議論をしておられる状況であります。
 これは、一例を申し上げますならば、ビッグスリーの中に右ハンドルの革は現在においても二車種しか発売をされていない。また、圧倒的に日本の消費者が購入している二千cc以下の車、これは八〇%余りのはずでありますけれども、ここには一車種も投入をしていない。ヨーロッパ車が着実に伸びておりますところを考えていただけば、我々がアメリカに主張していることに矛盾はないと思うのでありますけれども、こうした状況の中で、この交渉につきましては、欧州あるいはアジア諸国も非常に注目をしており、筋を通さない妥協というものほかえって国際的にマイナスを来す、そのような心配を私はいたしております。
 我々としては、政府の責任の範囲内で、市場原理、国際競争のルールというものを基本にしながら最大限の対応をしてまいりたい、そう考えております。
 そして、ここで一点私は申し上げたいと思うのでありますけれども、世界の外国為替取引の中で貿易取引の占める比率というのはわずかに約三十分の一であります。さらにそのうち、日本の貿易に係る部分というのは十分の一以下であります。そして自動車・自動車部品の占める割合はさらにその六分の一以下であります。そして、この日米包括協議の中における自動車協議というものは、昨年の九月末に協議が不調になりまして中断をいたしましてから、前進こそあれ、急に最近になって決裂をしたわけではございません。
 私は、市場が短期的に円買いの材料あるいはドル売りの材料に何を使うかという問題はこれは別といたしまして、本質的には今回の円高と自動車協議の動向とは無関係だと考えております。市場が何を使われるか、これは別であります。
#22
○唐沢委員 非常に御苦労のことだと思いますが、よろしくお願いを申し上げます。
 何か、チェロキーという車があって、右ハンドルにして価格を下げたら、前は十台ぐらいしか売れないのが急にもう二千台ぐらい売れるようになっちゃったんですね。やはり私は最終的には市場原理だと思っております。またそれで、実は輸入促進のために自動車また輸入住宅、非常に意欲的に取り組まれたんですが、ちょっと時間がなくなりましたので、先へ行かせていただきまして申しわけありません。
 そこで、円高で非常に打撃を受けられた中小企業の皆さんあるいは従業員の皆さんのために中小企業対策としていろいろ盛り込んでおられますが、通産大臣にちょっと一言だけ伺いたいのは、中小企業者の運転資金、政府系金融機関による低利融資制度を引き上げていただける、今四千万を引き上げていただける。またマル経資金も限度額を引き上げていただけるというのですが、どのくらい上がるかとみんな期待をしたり、また心配をしているのです。もしおわかりになれば、ここでどのくらい引き上げますということをひとつおっしゃっていただきたいと思うのですが、どうでしょう。
#23
○橋本国務大臣 我々は今、限度額の引き上げなどを実施するといたしておりまして、具体的な内容は現在財政当局と鋭意折衝中でございます。
 私どもといたしましては、中小企業金融公庫などに創設いたします低利融資制度につきましては、貸付限度額を八千万円、これは運転資金支援特別貸付制度の既往債務を含めてでありますけれども、そういうところまで持っていきたい。同時に、いわゆるマル経、小企業等経営改善資金融資につきましては、円高の影響により経営の悪化しております小企業者に対しましては通常の五百五十万から百万円引き上げる方向で今財政当局にお願いを申し上げております。
#24
○唐沢委員 ありがとうございました。特に、低利融資を倍増していただくということは非常な喜びだろうと思いますしっかりよろしくお願いします。
 そこで、次は労働省でございますが、ここもいろいろやっていただいている、労働大臣。そこで、実は改正業種法というのがありまして、これは既に成立した。非常に時宜に適していると私は思うのですが、実は七月一日施行なんですね。これを早めてもらいたいというお話があって、きょう実は法制局長官にも来ていただいたのですが、もう時間がありません。本当は、これは一事不再理という原則があるが、例外があるのですよね。
 これもゆっくりお話を承りたかったのですが、もう時間がありませんので、それでは、何とかしてこの七月一日施行というのは、これは急激な円高の前の話なんだから、その法律の成立過程のことも私もよく知っております、本当は何とかしてこれを繰り上げていただきたいと思っておりますが、いずれにしても特定不況業種等関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法ですからね、この改正業種法。そこで、大臣の御決意をひとつお伺いしたい。
#25
○浜本国務大臣 お答えをいたします。
 特定不況業種雇用安定法の改正法の施行日につきましては、同法の廃止期限が本年六月三十日であることを勘案いたしまして本年の七月一日とした政府案を国会へ提出いたしまして、議員御承知のように既に可決をしていただいたところでございます。
 最近の円高等の状況を踏まえましてできるだけ早く対策を実施すべきであるという先生のお考えにつきましては、私も全く同感でございます。したがって、当面の雇用対策といたしましては、事業主の雇用維持努力の支援等を内容といたします現在の雇用支援トータルプログラムを継続実施すること等によりまして、必要な対応を積極的に行ってまいりたいと考えておる次第でございます。
 今後の問題につきましては、政府といたしましては、先般の十四日の経済対策閣僚会議で決定いたしました緊急円高・経済対策に盛り込まれました事業主団体向けの説明会の実施、地域レベルでの円高等雇用対策協議会の実施等によりましてきめ細かな準備を進めまして、六月までに施策の対象となる業種の内定をするなどいたしまして、改正法が施行されますと同時にその体制が執行できますように努力をいたしたいと思っておる次第でございます。
 七月一日から事業主が直ちに助成、援助を受けられるように、先生の御趣旨に従いましてぜひやらせていただきたいと思いまして、四月から六月までのすべての計画を綿密に今立てておるところでございます。
#26
○唐沢委員 いろいろ承りたいことがあったのですが、時間がございませんので。
 それで、阪神・淡路大震災の復旧、復興事業を可能な限り盛り込む、こういうことでございますが、ちょっと仮設住宅についてお伺いいたします。
 総理また小里大臣初め皆様の御努力で、仮設住宅の建設、ライフラインの確保、鉄道などの復旧等によりまして非常に目覚ましいような復興がなされております。
 そこで、仮設住宅四万戸供給すると言っているのですが、まだ足らないと言う人もいるし、また、でき上がった仮設住宅に入居希望者がないとか、当選しても入居しない人がいるということだそうでございます。これは全部御希望を入れるというわけにもそれはいかないでしょうが、できるだけ、梅雨どきになりますので、御希望を満たして仮設住宅に入れるようにお願いをいたしたいと思うのですが、一言で結構ですから。
#27
○井出国務大臣 先生御指摘のとおり、三万戸が三月末で完成したのですが、残り一万戸、四月末に向けて今鋭意努力をしておるところでございます。
 入居した皆さんは四月十七日現在で約一万九千四百戸でございます。決まりながらなかなか入っていただけない皆さんも実はいらっしゃいます。そんなことにつきましては、もう期日までに入居しない方は当選無効にせいとか、あるいは入居希望者の先着順受け付けによって決めるようにと、いろいろな点の改善を兵庫県に指導しながら、また協議をしていただいておるところであります。
 その後、足りないんじゃないかと。特に神戸市、まだ四万二千人の皆さんが避難所生活をされておられます。そんなことで、私どもの方へもそんな声は聞こえてくるわけでございますが、現在、兵庫県は四万戸で対応可能と判断していらっしゃいます。例えば、神戸市に限って申し上げますと、四万戸のうち二万三千戸が神戸市分ですが、入居された戸数は八千五百戸ですから、ここで一万四、五千戸分まだあるわけです。そんなことを今兵庫県と神戸市は協議をしております。
 もし不十分な場合は、速やかに国に申し入れてくれることになっておりますので、その結果を踏まえて適切に対応してまいるつもりであります。
#28
○唐沢委員 ありがとうございました。
 それでは建設大臣に伺いますが、まあ震災の後には災害がある。それは新潟地震の後で羽越災害があった。福井のときもありました。どうしても震災があると地盤が緩みますから、がけ崩れとか地すべりとか土石流災害が出てくる。特に、六甲は花山岡岩地帯でございます。既に千カ所調査されて、百カ所以上が危険箇所だということで、懸命な応急対策をしていらっしゃること、よく私存じております。しかし、あそこは非常に急斜面でございますから、慎重には慎重を期していただきたい。まあ大臣は国対委員長でもあったし、人を相手にすることは人後に落ちませんが、これは自然を相手にいたしておるわけでございます。そこでぜひ、お願いを兼ねて申し上げるのでございますが、一言だけ御決意を。
#29
○野坂国務大臣 お答えいたします。
 先生が御指摘いただきましたように、二次災害に備えまして、約三百名で徹底的に調査をいたしました。現在、緊急で、非常に危険と考えておりますのは、砂防が三十二カ所ございます。地すべりと急傾斜地が三十四カ所で、六十六カ所ございまして、これにつきましては、補正予算をつけていただきましたので、現在着工しておりまして、万全の体制を整えたということでございます。
 梅雨が参りますので、これらについてどう処置をするかということで、地元の県や市と一緒に兵庫県総合土砂災害対策推進連絡会というものをつくりまして、徹底して対策というものを、二次災害が起こらないような万全の対策を整えておるところでございまして、御指摘のありましたように、二次災害はその後起きておりませんが、梅雨時期を迎えても起きないような措置を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
#30
○唐沢委員 それでは、規制緩和につきまして山口長官に伺いたいんですが、まあ先月末お決めいただいた規制緩和推進計画、大変御無理をされたと思います。五年を三年に前倒しをされた。本当に私は敬意は表するんですが、実際、五年のものが三年にできるのか。もしできるものなら、どうして二週間前に三年にしていただかなかったのかという素朴な質問がありますので、一言で結構ですが、お話しをいただきたい。
#31
○山口国務大臣 実は、村山内閣が発足いたしました昨年の七月、閣議におきまして、五年計画で規制緩和推進計画を策定するということを決定いたしました。その後総理が、透明性を確保してこれを決定してほしいという強い要望がございましたので、内外の意見を聴取いたしますとか、検討委員会を設けますとか、あるいは中間報告も行うとか、そういう手順を踏みまして、総務庁と内閣官房とで各省庁とぎりぎりの折衝をして、実は五カ年計画を決定したわけでございます。
 しかし、今回このような異常な円高ということで、緊急円高・経済対策を決定しなければならぬということになりまして、内需拡大も必要であるが、規制緩和もこの際何とか前倒しできぬかという強い御意見があったものですから、政府・与党一体となりまして、異常な決意で実は五年を三年に前倒しをいたしたということで御理解をいただきたいと存じます。
#32
○唐沢委員 規制緩和推進計画をつくられるときに非常に御苦労されたことを私も知っております。よろしくお願いをいたしたい。
 そこで、あと、ではちょっと内外価格差で経済企画庁長官、この内外価格差では実態調査、要因分析が一番大事だ、こう言われておりますね。昨年、たしかロンドンですか、十一月に何かやられた。これはいつ発表されますでしょうか。
#33
○高村国務大臣 この調査は、昭和六十三年から毎年十一月にやって翌年の夏ぐらいに大体まとまるというような状況でありましたが、今のような状況の中で余りゆっくりもできませんので、今督促して少しでも早く発表させたい、こういうふうに考えております。各省庁それぞれやっておりますので、ちょっと時間がかかることをお許しいただきたいのですが、例年よりは早くさせたいと思っております。
#34
○唐沢委員 この調査は非常に難しいのかもしれないが、毎年十一月に調査して発表は翌年の九月というんですね。ちょっと私はこんな調査というのはないと思うので、ことしはぜひ早くやっていただいて、少なくとも補正予算のときまでに大要を御報告いただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
#35
○高村国務大臣 毎年十一月にやると言いましたが、十一月にすべて終わっちゃうわけじゃなくて、この春先まで省庁によってはかかっているところが現実にあるわけであります。そういうものを要因分析して発表するということで、毎年夏になっていた。それは、一見するといかにも遅過ぎるというような感じもあるわけでありまして、今必死に督促しているところでありますので、御理解いただきたいと思います。
#36
○唐沢委員 それでは、証券市場の活性化の中で有価証券取引税の廃止についての要望を申し上げます。
 やはり私は心配するのは、最近個人投資家のシェアが減っておる。昔七〇%あったのが今や二〇%で、外人の投資家よりも減ってしまっておる。そして、もう先進国は次々と有取税を撤廃してしまった。アメリカがやりましたのは、たしか八〇年の前後だったと思いますが、死の株式、デス・オブ・エクイティーというときですが、そのときやった。そしたら立ち直って、今日は少し株は高過ぎると思いますけれども、経済がこのように回復した、こういうことであります。
 主税局長も三、四千億ある税金を廃止するということは非常に、なかなか忍びがたいことだと思います。しかし、やはりどこの国でも自分の金融・証券市場にたくさんの資金が集まるように、これが一つの国家戦略としてやっているんですね。そのためには有取税の廃止と手数料の軽減、こういうことですから、ぜひこの点について引き下げに向かって御努力をいただきたいと思いますが、大蔵大臣。
#37
○武村国務大臣 いろいろな議論がございますが、今の株安は、御承知のように円高要因が基本ではないかと思います。証券の取引のコストが高いから株が下がっているということではないわけであります。
 しかし片方、たびたび衆参両院で有取税の軽減とか廃止の議論があるわけでございまして、政府としましては、先般の円高対策におきましても集約をいたしておりますように、今後我が国の税体系、資産課税のあり方の議論を踏まえて、特に株式譲渡益についてはもう政府税調におきましてもかなり議論が出ているわけでございまして、そういう株式譲渡益を含めた証券税制全体の中で、有取税の行方について結論を出して対応していくようにしていきたいというふうに考えております。
#38
○唐沢委員 それでは、基軸通貨の問題、アメリカに対するこれからの要求の問題、こういうものについてお話をしたいと思うのです。
 円高というのは結局、円とドルとの価値の相関関係の所産ですね。その解決のためには日本だけじゃ不十分なんです。基軸通貨国としてのアメリカの対応も重要であります。日本は十四日に緊急円高・経済対策をまとめられた。これはどうしてもやり抜く、今強い決意を総理から述べられた。やはりアメリカにも自国通貨の価値を維持するようにぜひ頑張ってもらいたいと思っております。
 アメリカがそのお気持ちがあるかどうかということなんですが、さすがにFRBのグリーンスパン議長は、ドルは非常に重要な問題だ、実際ドルは世界の準備通貨であり、FRBはドルが安定した強い非インフレ通貨であることを確実にする責任を負っている。これは正論ですね。しかし、ラウェア理事さんなんかは特に懸念していない、リンジー理事さんは危険水準には達していないということですから、本当に自国通貨を守るような決意があるかどうかと思うのです。
 思い起こすと、昭和三十年代、それは世界じゅうがドル不足でアメリカに全部ドルが集まっちゃった。ドルを手に入れることすら大変難しいことだった。また、ケネディの黄金の六〇年、非常に安定していましたね。今になってみると、基軸通貨国の通貨、ドルですね、基軸通貨国の経済が安定して、そして通貨が安定しているということが世界経済の安定、金融システムの安定にどれほど重要であるか、今になって痛感をしているわけですね。
 そして、一九七一年のドルショックから金とドルの交換が停止された。それからドルはだんだんだんだん下がって、とうとう八十円くらいになっている。一ドル八十円ですね。そして、ついにアメリカの対外純負債は五千億ドルですね、五千億ドルにも上っておる。そして、ほかの国ならいいと私は言っているわけじゃありません。しかし、特にアメリカが基軸通貨国としての特権を背景としたドルの垂れ流しによって世界経済の安定を損なうということは、これは見逃すことはできないと思っておる次第であります。
 アメリカの方にも事情がある。きっとおっしゃるでしょう、アメリカの国内の経済は順調にいっている。確かに四、五%経済は成長していますね。そして、ドルは円やマルクに対して弱くとも、ドル建ての貿易が多いし、特にメキシコやカナダについては強含みなんですから、経済に痛みは感じない。ですから、アメリカは全く経済政策、通貨政策、国内経済志向になっちゃっていますね。これでは困るんですね。だけれども、私は、これは日本が困るだけじゃなくて、あすは我が身でアメリカもお困りになるんじゃないかなと思うのですね。
 そこで、我々としては友好国としてアメリカに、財政支出の削減とか貯蓄率の上昇につながるような環境づくりをするとか、金融政策も含めた投機について断固たる措置をとってもらいたい、これを我が国政府からも強く要請していただきたいと思うのでございますが、大蔵大臣のお考えを伺いたい。
#39
○武村国務大臣 おっしゃるとおり、日米間だけではないにしましても、日米間に限ってみましてこうした急速なドル安と円高が惹起いたしているわけでありまして、当然、双方間に横たわる経常収支、貿易収支の黒、赤という問題がありますけれども、それぞれまた両国の国内経済の抱えている問題があるわけでございます。日本は、今回の政府の方針の中でみずからなすべきことをほぼ網羅をして大きな柱として立てて、政府を挙げて取り組んでいこうとしているわけでありますし、それであります以上、アメリカにおいても当然アメリカの問題についてはより一層真剣に努力をしていただかなければならない。
 先般の日米蔵相会談におきましても、ここは率直に申し上げました。私どもの今回の政策の基本を説明しながら、こうしてアジア各国が集まってみると、二国間の会談におきましても、やはりアジア各国がこの通貨不安を大変心配、深刻に受けとめている。最終共同メッセージでは、確固たる措置をとるべしという十八カ国の合意ができたわけでありますが、そういう認識でありますから、ルービンさんにも、今まさに先生がおっしゃったように、アメリカ国内あるいはせいぜいメキシコ、カナダというか、庭先ぐらいの立場でドルを考えないでいただきたい、まさに世界全体の主要通貨としてのドルの役割についても、一層しっかりしたアメリカ政府の対応策を進めていただきたいということを申し上げ、財政赤字はどうなりますか、貯蓄はどうなりますかと幾つか主要な点はこちらからも問題提起をしながら意見交換をしてきたところでございます。ルービン長官もかなり詳細に、それぞれのテーマについては、クリントン政権の考え方、今日までの歩みとこれからの方針についてお話をされておりました。
#40
○唐沢委員 以下、私の意見を申し上げますので、後でまとめて御答弁いただきたいと思います。
 大蔵大臣は、この間、ルービンさんとカーター・ボンドみたいなもの、外国通貨建ての債券についてもお話をされたというふうにちょっと私は聞いておるのでございますが、実は、これはワシントン・ポストでグラスマンさんも賛成しているのですね。
 そして、私は、これはグラスマンさんが言うようにいいと思うのは、これは日本にとっては為替の安定になる。アメリカについても、単純に言えば金利が、六・七と二・一%の差の四・六%ですか、これは低くなるんだから、アメリカのためにもなるでしょう。しかし、問題もありますよ。それは、ドルがずっとドル安にぶれれば償還するときに大変だとか、アメリカの中に、自国の通貨を信用しないのかというような反対もあると思いますが、実はこれは、アメリカで自国通貨の価値を守るための、防衛するための気概があるかどうかよその国が判断するいい材料だった、よく聞いていただいたと私は思っております。私、一つの踏み絵だと思うのです。
 ですから、それの結果、アメリカの政府の対応が十分でない、そして、ドルのみを基軸通貨としているのでは国際金融システムが円滑に機能しないということになれば、今、東南アジアの方も非常に不安に思っておられると言われましたが、やはり日本としても、また世界の各国としてもそうだと思うのですが、自国の経済を守るためにやはり考えなければいけないと思うのですね。
 そこで、私は四つのことを考えているのですが、一つは、政府もお考えの、貿易で円建て取引をふやすことである。日本は輸出で四割、輸入で二割ですが、ドイツは、マルク建てが倍ですね、日本の輸出で八割、輸入で三割。少なくともドイツの水準にまでまず引き上げるように努力するんだと、積極的な努力を企業に対して要請をしていただいたらどうか。そうしたら、まあ輸入業者さんについてはどうか知りませんが、為替変動リスクを一般に言えば回避できるのではないか、これが一つ。
 その次は、固定相場、変動相場制、両方とも問題があるということになると、また別のものを考えていく必要がある。要するにターゲットゾーン制、これはどうでしょうかということであります。事実、ヨーロッパでこれをやっているのですね。だから、日本とアメリカとお話しいただいてもいいし、それをどこで、どの範囲でやるか、これは別でございますが、アメリカ初め諸外国と、ヨーロッパのようなターゲットゾーン制はどうかねというようなことをお話をいただきたいと思います。
 それから三番目、ここからは私の全く個人的な意見としてお聞きいただきたいのですが、工業国の外貨準備のシェアの平均は大体ドルが六割、マルクが二割、日本円が一割でございますね。しかし、我が国の外貨準備、千四百億ドルに上る外貨準備の大半がアメリカ政府の政府証券ですよね。やはりこういう事態になれば、徐々にこれをマルク建て資産やアジア通貨建て資産にかえていったらどうかと思っております。
 それから、やはりアジアですと貿易や何かで非常に密接な関係がある。私は、マルクというのは、これはもうブンデスバンクの前のバンク・ドイツチャー・レンダーのころからの伝統があって、これほど通貨価値の安定を大事にする国はないのですね。ですから、ぜひそのことをお考えいただきたい。そうするとまた円が上がるよとおっしゃる方もいるのですが、逆にもっと、今度為替相場に介入してドルを買う、買い支える、そうするとまたドルがふえる。これも機を見てほかの通貨にかえたらどうかと言う方すらいるんです。
 四番目は、我が国の金準備ですね、これは非常に少ないのですね。金以外に何を尺度にしたらいいか、どんな商品をしたらいいか、なかなかこれは難しいところですね。しかし、今のところは金しかないだろう。それで、金の保有がアメリカは一六%、ドイツは六%、これに対して我が国は一%しかないんですね。だから、私はもっと外貨準備として金を持ったらいいと思うのですが、どっこいそうはいかない。一九七五年のG10でもって、金の保有量はその時点でもって固定するという合意がある。ですから、まずこの合意を変えていただくようにIMFの場で各国と交渉していただいてはどうかと思います。
 以上のことについて大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
#41
○武村国務大臣 大変具体的な四つの提案をいただきました。順次お答え申し上げます。
 まず、円の国際化につきましては、今回、政府もこの方針を緊急円高・経済対策の一つの大事な柱として立てたところでございます。大体御指摘いただいたような今レベルにありますが、ドイツに比べるとまだ非常に及びません。ドイツがマルク高の中でかなり安定している背景には、こういうマルク建ての状況があるのも一つの大きな理由だと思っております。そういう意味でぜひ、これは民間企業の御努力が基本になるわけでありますが、輸出、輸入ともに円建てがふえていく、あるいはふえるための環境整備に目を向けていきたいというふうに思います。
 二番目に、ターゲットゾーンの御提案がございました。これはもう古くから国際金融の論議の中で絶えず議論をされているテーマでありますし、現実にはEUでは既に、多少幅を拡大しましたが、今実施がされているシステムであります。しかし、EU自身もこの三月の通貨変動の中でスペイン・ペセタが非常に不安に陥って、下がって、慌てて修正するというような措置をとらざるを得なかった。かつてのポンドのイギリスの対応も大変なことでありましたし、なかなか、そう一筋道ではいかない苦労をいたしているところでございまして、このシステムを即世界全体に拡大するというのは、絶えず議論はありますが、まだ国際社会全体が合意するところまで来ておりません。しかし、一定の幅で国際社会が努力をしていくというのは、一つの考え方ではあると思っております。
 それから、外貨準備高はドルばかりにしないでその他の通貨とのバランスを考えてはどうかという御指摘については、これは御意見として承りました。政府の意図、直接には今申し上げませんが。
 それから、金の保有については、確かに御指摘のとおり、一応、取り決めという明確なものではありませんが、国際社会の合意として金保有をやめていこう、減らしていこうという合意があるようでございまして、これを今すぐ解くという議論は出ているわけではありませんが、日本だけが金保有に一挙に走りますと、これは大変刺激的な事態になりかねないのではないかというふうにも思います。
 いずれにしましても、今回のこういう急速な通貨変動、乱高下の中で、たとえ長期的な論議としても、この変動相場制でいいのかという議論は絶えず出ているわけでございまして、私ども、まだ確たる、こういう改良を加えたら、あるいはこういう第三のシステムをとればいいという自信がまだG7全体でも見出すに至っておりませんが、ぜひ真剣な議論をこれからも続けていかなければならないというふうに思っております。
#42
○唐沢委員 ありがとうございました。
#43
○佐藤委員長 これにて唐沢君の質疑は終了いたしました。
 次に、三野優美君。
#44
○三野委員 日本社会党の三野優美です。きょうは御苦労さんです。
 きょう、午前中に円高、経済問題について質問をし、午後またサリンなりオウム真理教、宗教全体について、短い時間ですが質問させていただきますので、よろしくお願いします。
 村山連立内閣が去年の六月三十日に成立をいたしまして、本日で二百九十五日という、まだ極めて短い期間でありますが、御承知のとおり、発足の前、六月二十七日には松本サリン事件があり、その後、地下鉄のサリンの問題がございました。また、かつてない、関東大震災以後の大災害と言われる阪神・淡路大震災、オウム真理教の問題、円高、長期にわたる構造不況の問題、そしてきのうの横浜事件、これら一連を考えてみるときに、私は、我が国が、戦後の、あの敗戦で最も混乱した以後五十年目にして最大の危機あるいは大事件に遭遇をした内閣ではないかと思うのです。
 そういう意味では、村山総理を初め閣僚の皆さんは、大変御心痛であると同時に、これらの一つ一つの解決のために努力されていることに対して心から敬意を表しますと同時に、また、村山連立政権を支える我々連立与党も、政府とは若干の立場の違いはあるとしてみても、この問題に与党全党が一致して対処するその歴史的責任が今我々にあると思うのです。
 私どもは、この際、国民の意見を広く聞きながら、そしてまた、野党の皆さんの御意見も耳にしながら、いずれにしてもこの村山政権のもとで、小異を残し大同についた連立政権の果たすべき役割というものを粘り強くここで何としてもなし遂げて、国民の皆さんが、五十年目に来たこの危機を乗り切るために、ひとつ安心をして暮らせていけるように御努力をいただきたいと思うのであります。また、我々もその決意でもってこれからこの政権を支える与党の一員として努力してみたいと思っています。
 さて、まずお尋ねいたしますが、今日、この円高不況というものはまさに構造的なものだと言われているわけです。したがって、この際、私が日銀なり政府にお尋ねしたいと思うのは、とめどもなく続くこの円高というのは、一体今の日本の経済なり国際経済の動向の中でどの程度が適当なんだろうか。ある人は百二十円と言い、ある人はいや九十円台だと言う。私は、まあ常識的に言って百円内外が一般的には常識的ではないか、特別の根拠があるわけではありませんが、そう思います。日銀総裁は一体どうお考えなんでしょうか。
 それで、九四年度の貿易統計速報では、若干、対前年度比から見ると黒字が三・二%ほど減ったというけれども、やはり依然として千百八十億ドルという高い水準を保っているわけです。ここに大きな問題があると思うのでありますが、この際、ひとつ政府は、思い切った市場開放、輸入制限撤廃を含めて輸入の拡大に取り組むべきではないかと思うのでありますが、この点についてどういうことを考えておられるのか、この点、お尋ねをしておきたいと思います。
 いま一つは、この不況対策なり阪神・淡路大震災の対応として、政府は五月半ばにも補正予算ということを言われております。しかしこの中には、建設国債ということも言われておりますが、一方においては赤字国債やむなしという意見もあるわけですね。私は、建設国債も含めて国債発行に対して非常に慎重でなければならぬと思いますが、緊急事態やむを得ないとしてみても、やはりこの赤字国債での補てんあるいは阪神・淡路大震災の予算確保というものは、財源確保というのは非常に重要であります。
 さまざまな意見がありますが、これは若干私見が入りますけれども、この際、全国民に協力を求めていく、そういう観点から、減税の先送りというものについて国民に問う構えはないのか。私は、消費税を云々するよりもその方がより合理的であるだろうし、あるいは国民の方はその方が協力しやすいのではないかと思うのですが、そういう考え方は政府にはないのか、議論としてあったかどうか、この点もひとつお尋ねをしておきたいと思います。
#45
○松下参考人 為替市場の動向につきまして、私の立場から具体的なコメントを申し上げるということはどうも適当でないということでございますので、その点は差し控えさせていただきたいと存じますけれども、それにいたしましても、最近の為替の動きというものが極めて不安定な状態になっておるということにつきましては、各国の通貨当局の共通の認識でございます。したがいまして、私どもも、これら各国との連絡をさらに密にいたしまして、市場に対して適時適切な措置をとってまいりたい、そのように考えております。
 それから、我が国の貿易黒字との関係についてでございますけれども、やはり、基本的に申しますと、大きな貿易黒字が生ずるといいますのは、経済全体として見まして、それは経済の中の貯蓄に対応する投資が不十分と申しますか、その豊富な国内の総貯蓄が十分に活用をされていないということを意味するものでございますので、こういう点から申しまして、国内の需要を喚起するあるいはよりよい投資の機会を広げられるような規制緩和その他のいろいろの措置を講じまして、内需の拡大を中心として対外黒字の縮小につなげていくということは大変適切で必要な措置であると思っております。
#46
○武村国務大臣 新年度の補正の財源についての御提案でございました。
 安易に公債あるいは赤字公債発行はどうだろうという問題意識で、減税をこれは思いとどまってはどうかという御提案であったかと思うのでありますが、今年度の当初予算、既に執行に入っているわけでございますから、主としては来年度の減税をどうするか。向こう三年間を基本にしておりますが、景気の動向を見て判断するというふうに最終はなっているわけでございます。まさにこれはこれから我々の努力もございますが、大変重たいにしましても、日本の景気回復がどうなるか、特に秋、年末ぐらいの状況を真剣ににらみながら、与野党で最終判断をさせていただきたいというふうに思います。
 ただ、来月提案を予定して今大車輪で作業をしております補正予算につきましては、どうしても、こういう景気状況でございますから、当初予算以上の税収を見込むことは困難であります。そういう中で、こういう積極的な補正対応をしなければならないことを考えますと、ここは目をつむってといいますか、公債発行を決断しながら編成をさせていただかざるを得ないというふうに思っている次第でございます。
#47
○三野委員 来年以降のことになると思いますが、私はこの財源確保について、国民の皆さんにも協力していただくという意味で、所得のない人たちに消費税で負担を求めるよりも、やはり所得のある皆さんに、減税のひとつ先送りで協力してもらえぬかと呼びかけるのは合理的であると思うし、私は今度の大震災を見て、あるいはこの不況状況を見て、国民は理解してくれるものだと思うわけです。ぜひひとつ、閣内においても、与党においても、ともに議論をしていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 さて、総理、今日のこの円高・ドル安、経済不況、これについては、アメリカ国民の中には現在余り関心を示さない部分が非常に多いという意見があるのです。それはなぜかというと、アメリカの経済はまあまあ好調であるし、成長率も高い。それから、企業利益もまあまあいいのだ、高いのだ。企業がいいものですから、証券業界にもそう混乱はない。こういう意見があって、あるアメリカの学者によると、急激な為替の変動は、長期的にはアメリカにもいろいろと問題があるだろうけれども、今は日本の問題だよ、こういう安易な意見があるのですね。
 また一方、せんだっても日本へ来られたようでありますが、オーストラリアの元首相マルコム・フレーザー氏によれば、このままでは米国内から海外に資産が逃避し、米金利が上昇して、アメリカの景気は腰が折れる、腰砕けになるだろう。ドル暴落を防ぐためには、アメリカが財政赤字を大胆に減らし、ドル不安を和らげる必要がある。米国のドル防衛の政策が打ち出せない限り、日本の政策だけでは効果は薄い。アメリカは、冷戦後、保護主義の色彩を強めて内向きになっているのではないか、こういう意見があるわけですね。二つの意見があります。
 私は、今日のこの状況を見ると、国内では日銀が公定歩合の引き下げ、政府は円高対策として総合政策を出しました。少し遅いではないかという意見がございますけれども、例えばドイツの公定歩合の引き下げをやってみても、あるいは日本の今度の対応をやってみても、その円高に歯どめがかかるという状況ではない。いわば今日の経済というのは、まさに一国の政策だけで世界の経済や為替相場が動くという状況にはないということをまず我々は知る必要があるのではないか、こういうように思うわけです。
 したがって、いわば国際社会における経済状況でありますから、またこれらの対応も国際的視野で各国が協力しなければ問題解決できないということが今度のことではっきりしたと思うのです。これは国民の皆さんにもぜひ理解してもらわなきゃいかぬと思います。
 そこで、これからは日常的に、先進国なりあるいはアジア諸国も含めまして、世界の経済の動向について同じ認識の上に立って適時適切な政策が実施されるような、常設的な話し合う機関というものが必要なんではないのか。もちろん、先進七カ国の蔵相会議とか、あるいは通産省を軸とするさまざまなものがありますが、私は今日の状況を見ると、もう日常的にやはりそういう機関というものは必要ではないかと思うのですが、そういうことについてどうお考えなのか、聞いておきたいと思います。
 二つ目には、日本も戦後の復興期から高度経済成長へと来ました。そして今や世界的な経済大国となったわけでありますが、九〇年代に入ってから高度成長から安定成長へという政策転換を主張してきたわけですね。ところが、今の時点から考えてみると、九〇年代後半というのは、むしろ安定成長という安易なことではなしに、経済は低空飛行が続くんではないか、低空飛行の中でなおかつ安全な財政経済政策というものをとるべきではないか、そういう時代に来た。
 したがって、そういう意味からいうと、産業も国民生活も含めて、今日の状況に見合う体質改善というものをとらなければ対応できないんではないかと思うのでありますが、これらの考え方について総理及び大蔵大臣の見解を聞いておきたいと思います。
#48
○村山内閣総理大臣 今お話がございましたように、経済が非常に国際化してきておる、したがって一国だけで判断をして結論をつけてみても、それは国際的な問題の中で解決できる問題ではない、こういう意味の御指摘だと思うのですが、これまでもG7の関係通貨当局とは為替市場の安定に向けていろいろな角度から議論もし、ふだんから連携をとり合いながら協調して、必要に応じた市場での行動がとれるような努力はしてまいっております。
 同時に、国際通貨基金を通じて通貨に関する国際協力の促進が図られてきておりますが、こうした国際協調の場というものはこれからも大いに活用して、そして国際的に協調して問題の解決が図れるものについては、やはり共通の認識を持ってそれぞれが努力してもらうということは必要だと思いますから、これからもその努力はしなきゃならぬというふうに思うのです。
 今回の円高問題に関連をして、先ほど唐沢先生からもいろいろな御指摘がございましたけれども、特にドルと円との関係ですね。これは、お話もございましたように、アメリカが当面比較的経済が安定しておる、アメリカと一番貿易関係の深いカナダやメキシコに対してドルはまだ大変強い、同時に、雇用問題も経済成長率も、それから株の問題等についてもそれなりに安定しておる、したがって今アメリカ自体はそれほど困っておらない、こういう現象がありますから、円高・ドル安というものについて日本が受ける厳しさと痛みとアメリカの受ける痛みというものとの温度差があって、なかなか協調しにくい面もある、こういう現状ではないかと私は思うのです。
 しかし、国際通貨の基軸となっておるドルが安くなっていくということは、これはアメリカのある意味では威信が下がることになるわけですから、したがって、長い目で見れば、国際通貨の基軸としてのドルの価値というものをやはり正当に評価して、それなりの安定をしてもらわなきゃならぬ、そうでなければ国際的に問題が起こってくる、こういうことも想定されるわけでありますから、私は、アメリカ自身も決してドルが下がっていくことについてそれほど懸念を持っていないということはないのではないかというふうに思います。
 アメリカ自体も、言われるように、例えば貯蓄と投資の関係とか、あるいは財政、貿易収支の赤字という二つの赤字を抱えておる現状といったものを改善をして、経済的な基礎的条件というものを強化をしながら、ドルが国際的な基軸通貨として十分正当な価値が評価されるような、そういう状況になるということはアメリカ自体にとっても大事なことだというふうに考えておりますから、それなりの努力はしているのではないかというふうに思います。
 それぞれの国がそういう立場を踏まえながら、お互いに協調し合いながら国際的な通貨が安定できるようにしていくということは大事なことだと思いますから、今御指摘のあったような点も十分踏まえて今後努力をしていきたいというふうに思っております。
#49
○武村国務大臣 総理がお答えいたしましたとおり、国際金融の舞台は、G7の七カ国の通貨当局、これは中央銀行総裁も一緒に入って十七名でございますが、この場をやはり一層真剣に活用していくことが大事だと思いますし、世界全体としてはIMFというこの機関を、こういう通貨変動もありますし、メキシコのような通貨不安のようなケースも含めて、今後どういうふうに工夫をしてより強化をしていくかということだと思っております。
 高度成長から日本経済が安定成長に入っていくだろう、低空飛行とおっしゃいましたか、まさにここ三、四年そういう状況に直面をしているわけでありますが、単に成長のテンポが高いところから低く下がるというだけでなしに、ここで日本経済は大きな構造改革を強いられている、迫られている。この構造改革に成功するかどうかが、今後本当に安定成長に入っていけるかどうかの大変大事な時期だし、大事な問題を抱えているというふうに認識をいたします。
#50
○三野委員 次に、経済企画庁にお尋ねしますが、円高になれば輸出産業は非常に厳しくなる。一方、輸入品が増加してくる。これがまあ普通一般的には我々の常識だと思うのです。
 確かに、ここしばらくの動向を見ますと、食料品や衣料、被服などは非常に輸入が増加しているわけですね。ところが、他の物品から見ると価格のアンバラがあるわけですね。私はやはり今のこの円高の状況から見ると、もう少し全体的に輸入品を含めて国内物価にもこの影響がもっと反映してもいいのではないか、こう思うのです。
 ただ、そうは言ってみても、それぞれの商社が現地で買い付ける。それから輸送期間がありますね。これでかなりの時間かかると思います。したがって、もしこの円高がこういう状況で続くとするならば、円高の影響が国内の消費者物価に対していつごろ反映すると考えているのか、今の現状というものは、もっと大幅に消費者物価は下がると考えているのかどうか、これを聞いておきたいと思います。
 それともう一つは、今度の政府の緊急対策の中で、かなり公共事業に重点を置いているわけですね。従来の公共事業というのは、実は土木、建築が非常に多いわけであります。建設省関係があるいは農林省関係が多いわけです。
 九二年の夏から四回にわたって四十五兆円の公共事業の追加をしたわけでありますが、なかなかそれが経済の回復に直線的につながったとは見えない。経済全体は徐々に回復しつつあるけれども、やはり公共事業の日本経済に与える役割というのは従来とは変わってきた、そういう判断に立つべきではないかと思うのです。いろいろと知恵を出しているようでありますが、今度の公共事業重点という場合の公共事業のあり方、これについて聞いておきたいと思います。
 それから、通産大臣にお尋ねします。
 円高が急速に伸びているけれども、実は公共料金がそう下がってはいないではないか。前回も、もっと石油製品を含めた電気・ガス料金なんか下がっていいのじゃないかと言ったのですが、いや現地で上がったよ、上がったからそう下げられないんだと言ったのですけれども、しかし、ここまで円高が急速に進んできた状況から見ると、それは理由にならない。むしろ国民の側から見ると、これは電気、ガスなど公共料金の産業というものの独占体質にあるのではないか、こういう意見もあるわけですが、この点についてどういうようにとらえておるのか、聞いておきたいと思います。
 また、今度の円高というのは、中小企業に対して非常な打撃を与えておる。大企業はさまざまな努力をしながら何とか自力で乗り越えられる一定程度の力を持っていると思うのですが、中小、下請というのはなかなかそうはいかない。しかもその被害は、一番ここが切り捨てられる危険性があるという状況の中で、例えば業種の転換あるいは新技術の開発、市場の開発、これらが求められるわけですが、これもまた中小零細企業、下請というのは余り力がないわけですね。これに対して政府はどういうように指導援助するのか、これは都道府県も含めてだろうと思いますが、通産大臣の見解を聞いておきたいと思います。
 それから、総務庁長官にお尋ねします。
 規制緩和について、五カ年計画を三年に短縮するという。三年に短縮して、同時に、今決めている千幾らの規制緩和に、さらに見直しをしながら次への段階をどう取り組んでいくのか。その規制緩和が直ちに円高問題に結びつくとは私は思いませんけれども、結びつくものもありますが、それがどう日本の産業構造の変化に結びついていくと考えているのか、この点を聞いておきたいと思います。
 時間の関係で、労働大臣にも。これは、一番しわ寄せは、一番弱い部分、働いている労働者なんです。既に春闘はもう抑えられました。配置転換あるいは首切り、新規採用切り捨て、とりわけパートに対して非常に影響が大きいわけですね。これらを一体どうするのか。
 最後に、日銀総裁に聞いておきますが、○・七五引き下げました。もうその前から既に市中銀行は預金金利の引き下げをしているわけです。これからやるものもあるでしょう。そのことが毎日の新聞に、もうこれは年寄りいじめではないかという話が毎日の新聞に出ていますが、私は、日本の消費動向にどう影響するのか、非常に心配なわけです。この点についてどうお考えになるのか。
 以上、質問をしておきたいと思います。
#51
○佐藤委員長 三野君の持ち時間は大変短うございますので、答弁は簡単にお願いいたします。
 高村経済企画庁長官。
#52
○高村国務大臣 日本の物価は今超安定しておりまして、円高メリットはそれなりに浸透しているというふうに考えております。
 先月来の急激な円高については、これが浸透するにはまだ相当の時間がかかる、こう思いますが、平成五年二月以来の円高につきましては、商品についてはかなり浸透した、それが価格破壊と言われるような言葉に象徴されるようなことがある。ただ、サービスについては、これは人件費の比率が大きいので、その上昇率が少なくなるということにとどまっている、こういう状況だろうと思います。
 ただ、商品につきましても、一部に非常に価格硬直的なものがあるわけで、それに対しては今度の対策の中でも、関係業界に円高差益の還元を促すとか、その他調査、情報の提供、そういうようなことをしていきたい、こういうふうに考えているわけであります。
 それから、公共事業が役に立たなかったのじゃないかと言いますが、これは景気の下支えには役に立ってきた、こういうふうに考えておりますが、今後の対策では今までのものよりさらに広く、情報、科学技術といったことについてもやっていきたい、こういうふうに考えているわけであります。
#53
○橋本国務大臣 今委員から御指摘のありました第一点でありますが、昨年の十月以降、電気・ガスの料金につきまして暫定引き下げを実行しておりますことは御承知のとおりであります。
 ところが、これを考えました時点、我々は為替と同時に原油価格を想定してこれをはじいたわけでありますが、現実には、三月末に参りまして原油価格がずっと高目にまいりましたことから、累計では、電力におきまして百六十億円、ガスにおきましては十五億円程度、差損が既に出ております。これは為替の方の数字だけが非常に目立っておりまして、原油価格の上昇について世間の関心が余りいっておりませんけれども、三月に入りましてから大変為替レートは急激に上昇いたしましたのは御指摘のとおりでありますが、実は原油購入価格も三月に入りまして十八ドル台に上昇しておりまして、ドバイ原油価格の動向から我が国の原油輸入価格を想定いたしますと、我々は、五月に入りまして十九ドル台に達する可能性があるという懸念を持っております。
 私どもは、この差益還元の判断をいたしますためには今後の動向についてなお慎重な見きわめを要すると考えておりますが、現時点においては差損が生じておるという状況であることは御承知をいただきたいと存じております。
 また、中小零細企業に対する、特に下請の問題は御指摘のとおりでありまして、私どもは極めてこれは深刻にとらえております。そして、各都道府県に置かれております下請企業振興協会を通じまして、取引あっせんを初めといたしました下請対策を進めてまいりました。
 加えて、下請企業を初めとした中小企業者が、新たな事業分野への進出あるいは海外への展開など新たな活路を見出そうとされます場合に、新分野進出等円滑化法に基づいての金融、税制などの支援措置を講じております。
 また、四月十四日に、本院で大変な御協力をいただきまして通過、成立をさせていただきました中小企業創造活動促進法も施行をいたしました。これによりまして、産業構造の転換に対応して行おうとされる新規事業の開拓を支援いたしますために、創業あるいは研究開発等に対する支援を行うことにいたしております。
 なお、十四日に決定をいたしました緊急円高・経済対策におきましても、緊急経営支援貸付制度の延長あるいは下請企業の受注量確保のための発注企業の開拓などの手法で中小企業の経営基盤の安定強化策を行いますと同時に、事業開拓などに関するきめ細かい実地指導を行います事業開拓コンサルティング事業といったものを創設し、中小企業の構造改革を進めていきたい、そのようなことを考えております。
 なお細かく申し上げたいのでありますが、時間の制約がありますので、御了承願いたいと思います。
#54
○山口国務大臣 さきに決定いたしまして、また非常な決意で三年に前倒しをいたしました計画は、委員御指摘のとおり、国民生活の向上、国民負担の軽減、内需の拡大や事業機会の拡大など、経済の活性化を進めるという考え方のもとに策定したことは事実でございます。
 今後も、内外の意見を聞き、さらには行政改革委員会の意見、勧告等も十分尊重いたしまして、毎年これはローリングをしていきたいと思っております。年末に見直し、年度末に改定という形で対処いたすつもりでございます。
#55
○浜本国務大臣 雇用問題についてお答えをいたします。
 円高の進行によりまして雇用への影響が大変懸念をされておるところでございますが、労働省といたしましては、十四日の経済対策閣僚会議の決定を受けまして、円高等により雇用調整をせざるを得ない業種の雇用対策や、国内産業の高付加価値化を担う人材の養成に努力をしておるところでございます。特に、出向とか、それから再就職等を行う事業主や移動前後の教育訓練に取り組む事業主を支援してまいりたいと思います。先般成立いたしました法律に基づきまして、積極的に支援をしてまいりたいと思います。
#56
○松下参考人 今回の公定歩合の引き下げ措置に伴いまして、預金金利につきましても相応の引き下げが行われることになると思います。この点につきましては、私どもも今回の措置をとりました折に気がかりな点でございますけれども、今回の措置自体がねらいとしますところは、景気の回復力を強め、景気の回復を早めるというねらいでございますので、この措置によりまして景気が力強く回復をするということになりますれば、雇用の安定あるいは家計の収入の増加等、国民全体にプラスの影響が大きいと思います。どうか全体から御理解をいただきたいと思います。
#57
○三野委員 ありがとうございました。
#58
○佐藤委員長 これにて三野君の質疑は終了いたしました。
 次に、小沢鋭仁君。
#59
○小沢(鋭)委員 新党さきがけの小沢鋭仁でございます。
 お尋ねしたい点は本当に山のようにあるのでございますが、二十分という限られた時間でございますし、また時間も押しているようでございます。簡潔に御質問させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 さて、今回の円高でありますが、もう当然のことながら、一、二カ月で二〇%の円高ということでありますから、その影響は大変厳しいものがあるわけであります。私の地元であります山梨県もこの前、四月の十八日にそういった会合を持ちましたが、私のところにも、大変厳しいんだ、何とかしてくれという声が本当に数多く寄せられておるわけであります。そういう中にありまして、今回は聞きたいことはいっぱいあるのでありますが、とにかくこの円高を適正水準に戻す、その一点に絞って私の持ち時間を使わせていただきたいというふうに思います。
 まず一番目であります。これはもう既に御質問も出たようでありますが、今回の円高の原因でありますけれども、一つ、私はこういうふうに申し上げておきたいと思います。
 報道等でいわゆる投機筋というような話がよく出てまいります。その投機資金が一兆ドルとかそういう話が出てきているわけでありますが、私は実は外国為替銀行出身でございまして、そういった自分の経験から考えてみましても、今回の円高に関しては、そういった怪物みたいな投機筋との争いではない。基本的に申し上げると、いわゆる一千三百億ドルと呼ばれる経常黒字の問題、そしてさらに、それを本来であれば補うべく資本移動、それがシュリンクしてしまっているがためにいわゆるドル買い要因が起きない、円売り要因が起きないというふうに私は思っているわけでございますが、そういった私の認識でありますけれども、経済企画庁長官、経済分析のトップとしての御見解をお尋ねしたいと思います。
#60
○高村国務大臣 お言葉でございますが、メキシコ通貨危機をきっかけとした投機ということが第一の原因であるかと思います。もちろん先生御指摘のように、先生が御指摘したことの前に、長年にわたるアメリカのドル垂れ流しというのがあるだろうと思います。それとともに、我が国の経常黒字が大きいということもあると思います。そして現象的には、アメリカに対する日本の投資が少ないということも確かにあるわけでありますが、そういったことは背景としてある中で、やはり投機ということを考えないわけにはいかない、こういうふうに思っています。
#61
○小沢(鋭)委員 確かに、今長官おっしゃられたようないわゆるメキシコ経済危機を含む今までの、ある意味でいいますと為替の世界は円安・ドル高を期待していた向きがありました。それが今のお話のように、メキシコの経済危機等でアメリカ経済おかしいじゃないかという話があって、それが逆転しているということは当然私も認めるわけでありますが、しかし同時に、いわゆる投機というのは、御承知のとおりこれは進むベクトルの反対に打ってくることはないわけであります。いわゆる逆に値を張ってくるというのは、これはもう投機筋にとっても大変リスクを伴う話だし、危険であります。ですから、そういった意味において根本策が重要だという点を私は指摘をしておきたいと思います。
 一つだけ申し上げておきたいのは、投機資金が一兆ドルというような話がもしあるにしても、これは回転をして売り買いをしている額であります。それの集積がその額であります。ですから、そういった意味においては、為替レートというのはいわゆる畳掛ける時間、例えば一回ドルを売ってそのままそれを円にかえて給料に払ってしまう、これの影響はすごく大きいわけでありまして、いわゆる実需の取引に伴うわけでありますが、それに対していわゆる投機筋というのは売り買いを常にしている、相場を徐々に見定めながらやっている、そういう心理があるんだということを申し上げておきたいと思います。
 そういうことを考えますと、決してそれはモンスターではない。今我々政府が、あるいは政治が、日本国が戦うべき相手というのはモンスターではなくて、経済合理性に基づいた、もうちょっと突っ込んで言いますと、単に損得に基づいた判断で投機筋もやってきているんだということをわかった上で対応するというのが重要だという一点を申し上げておきたいと思います。
 それから、そうなってきますと、例えば投機ということに対して申し上げますと、逆に言いますと明確な目標設定をすることが大事であります。総理並びに政府あるいはまた与党、そういったところで適正水準というのはこれくらいだというのが私は極めて重要、そして第三番目に重要な話は、それに向かって着実に手を打っていくということであります。
 先ほども申し上げましたように、逆張りは難しいわけであります。どこまで円が上がるのかを見定めながら買っているわけであります。それに対して我が国は、適正水準はこれぐらいだ、そしてそこまで必ず戻すんだ、そういう強い姿勢、そしてそれを着実にやっていくことが極めて大事だと私は思っておりまして、例えば私は今の八十円の前半あるいは八十円を切るようなレートというのは極めて行き過ぎたレートであると思っております。我が新党さきがけは、本年度予算が九十八円のレートでつくってある限りは九十八円まで戻す、そのくらいの決意をしなければいけないというふうに思っておりますし、また、与党の中には適正水準まで戻すという言葉を入れて政府の方にお出ししたわけであります。
 これは政府は、当然ながらなかなか、その当事者といいますか、まさに責任ある立場でありますから、幾らが適正かということは言いづらいかもしれません。しかし、与党としては、あるいは新党さきがけとしては、九十八円、本年度予算まで必ず戻すということを思ってあの与党の案をつくらせていただいた。これは、九十八円というのはそのときの為替水準でもあったわけでありますが、当然、我が国としてそれで予算を組んでいるわけでありますから、そこに戻していくというのが、行政の責任としても、それがスムーズな予算執行につながるわけでありますから、一つの考え方としてあり得るわけであります。
 まず、そういった観点において、総理自身が適正水準にまで戻すんだという御決意がどのくらい強いのか、今八十円の前半で買っている、思惑で買っているやからには必ず損をさせてやるというくらいの強い決意を持てるのかどうか、総理並びに大蔵大臣に御決意をお聞かせいただきたいと思います。
#62
○村山内閣総理大臣 今の急激な円高・ドル安といったような為替レートの変動がなぜ起こっておるのかという背景については、それぞれいろいろ御意見がございました。
 いずれにいたしましても、最近の為替相場がそれぞれの国の持っておるファンダメンタルズを正当に反映しておらないということについては、もうこれは御指摘のとおりで、皆さんそういう共通の認識を持っておられると思うのです。これは大変遺憾なことでありまして、そういう正常な状況に戻していくというために、それぞれの国がそれなりの努力をしてもらう必要があるということは言うまでもないわけです。
 ですから、私はやはり三つの柱があると思うんですね。
 一つは、今申し上げましたように、関係国がそれぞれの国の持っているファンダメンタルズを正当に反映できるような状況に正常化していくというために、可能な限りの、協調がとれる面については積極的に協調をとっていくということが大事でありますし、これまでも数回にわたってそういう協調介入も行われてきておるということでありますから、これからもそういう点も踏まえてさらにやっていく必要があるということが一つです。
 それからもう一つは、これまでも議論になりましたけれども、先般、十四日の日に緊急円高・経済対策というものを政府として決定して、そしてそれを確実に実行していく。その第一の打つ手は、補正予算にどういう内答が盛り込まれるかということによってまた評価も変わってくると思いますが、できるだけ内需を拡大して、そして日本の経済を安定的に発展できるような基調というものをしっかりつくっていく。同時に、経常収支の黒字を削減して輸入を拡大するというようなことも当然とられなきゃならぬ措置として内容に含まれたものとして、これからやはり決めたことは確実に実行していくということも二つ目の大きな柱になると私は思います。
 それから三つ目の柱としては、これは日銀が所管する事項でありまするけれども、公定歩合も、やはり適切に対応できるように判断をして結論を出していただくということも必要なことではないかというので、先般七・五%引き下げという措置を講じていただいたところでありますけれども、こういうものがそれぞれ総合的に効果を発揮し合うということによって、私は結果的には実を結んでくるのではないかというふうに期待をいたしておるところであります。
 いずれにいたしましても、急激な円高に対応するための努力を十分にしなきゃならぬと思いまするし、今後とも、政府が決めました緊急円高・経済対策の着実な実施に努めるとともに、先ほど申し上げましたように、関係国とも十分連携をとり合いながら協調し合って、何とかもっと為替レートが安定した状況になるように最大限の努力をしていかなきゃならぬというふうに、強い決意で取り組んでいきたいと考えております。
#63
○武村国務大臣 三月から今日に至ります通貨の急激な変化というのは、どう考えても経済合理性を見出すことが難しいというふうに思っております。
 先ほどもお答えいたしましたように、日本経済の現状と円がどんどん上がっていくことと一体どういう因果関係があるのか、だれ一人これは納得ができない。逆に言うと、アメリカ経済の今の好況、いろんな指標から見て、好況、好調な状況の中でなぜドルがどんどん下がっていくのか、この結びつきもなかなか納得ができない。このことを専門用語でファンダメンタルズという言葉を使いながら、この通貨のレベルが経済条件から著しく乖離しつつある、そういう認識を私どもは強く持っているわけであります。
 私ども政府、特に私は通貨の責任者でもございますから、株のレベルとか通貨のレベルに対して直接的な表現を使うことは、これはもう市場そのものに直接的に不測の影響を与えることもあるために差し控えることになっているわけでありますが、それでも今申し上げたように、今の状況についてはどう見ても正しいとは思っていないわけでありまして、これが是正されなきゃならない。一定の時間がかかるのかもしれませんが、ぜひ私はそういう期待を込めて、今のレベルについてはそう思っていることを申し上げます。
 なお、小沢委員が党や与党の立場で、ことしの予算編成の九十八円というレベルを具体的に提起されていることについては、これは与党側の真剣な御意見として受けとめさせていただきます。
#64
○村山内閣総理大臣 ちょっと先ほどの発言で訂正をさせていただきますけれども、公定歩合の引き下げを、○・七五と言うところを七・五%というふうに言ったようでございます。これは○・七五%ですから、訂正をさせていただきます。
#65
○小沢(鋭)委員 与党としては、先ほどの水準まで戻すという決意を持ちながら今後もやらせていただきたい。お許しをいただいたというふうに思っております。
 そこで、大事な話は、それだけ言っても実行が伴わなければいかぬわけでありまして、つきましては、通産大臣にお尋ねをしたいと思います。
 今回の市場も、思っておりますのは、方向はいいと言っているのです。本当にできるのかというところを市場は言っているわけであります。輸入拡大という話が今回の大きな柱になっております。本来であれば別々にお尋ねしたいのですが、通産大臣、これは二つございます。
 一つは、短期的な話。輸入促進税制あるいは輸入金融の充実、そういった部分があろうかと思います。今回、これをどういうふうに補正の中でお考えいただいているのかという点が一点。
 それともう一つは、先ほど来出ておりました構造改革、これは昨年の暮れに与党としても経済構造改革の案、先ほど唐沢委員から出ましたが、私も一員でやらせていただきました。政府は、暮れの十二月二十七日に対策本部を設置してもらいました。これを本当にやり切るのかどうか。
 これは痛みが生じます。ある意味では、輸入がふえていくということは、日本経済の国際競争力がなくなった産業が外に出ていって、その部分が輸入にはね返ってこなければいけないわけでありますから、そういった意味で痛みが生ずるのです。ただ、今のぬるま湯の中でじっと我慢していても、どんどん湯はぬるくなる。これは一気に飛び出して、本当に村山内閣でビジョンを、橋本通産大臣の力で産業政策のビジョンをつくらないと市場は信頼しません。
 その二点をどのようにお考えでしょうか。
#66
○橋本国務大臣 今回の対策の中に盛り込みました主要なポイントと申しますものは、一つは、輸入自動車・自動車部品常設展示場の新設などによりまして、自動車及び自動車部品の輸入を促進することであります。ただし、これには外国のメーカー自身も努力をしていただかなければなりません。また、輸入住宅・部材アクセスマートの設置及び輸入住宅常設展示場の拡充などによりまして、輸入住宅の積極的な導入を図ることであります。また、政府関係金融機関の輸入関連融資制度を拡充いたしますとともに、製品輸入促進税制の拡充を検討いたしております。
 補正に関連する数字としては、その点は、現在財政当局と論議をいたしておるさなかでありまして、細かい点について触れることはお許しをいただきたいと思います。
 しかし、これはまさに、確かに短期の話でありまして、基本的には、我が国の経済構造そのものを内需主導型のものへ転換していくことが極めて大事なことであることは、御指摘のとおりであります。
 そうした中でありますからこそ、今回の円高・経済対策の中におきましても、公共投資基本計画を積極的に促進し、前倒ししていくことによって内需をどこまで起こせるか、さらに、市場アクセス等の改善のための規制緩和を積極的に行うために、五カ年計画を三年に前倒すとともに、そのために必要な予算、定員といったものまでこの補正予算で努力をしていこうということを決めていただいておるわけであります。さらに、事業革新法の活用を含めまして、経済フロンティアをどう拡大していくかということがもう一つの大きな柱でありましょう。
 こうしたことを着実に実行していくことによって我々は所期の目的に達していかなければならない、そのように考えております。
#67
○小沢(鋭)委員 時間が押してまいりましたので、最後、まとめに入らせていただいて、本来であればもう一点御質問したかったのですが、私の意見を申し上げさせていただきながら、終わらせていただきたいと思います。
 今、通産大臣からお話がございましたように、まさに黒字を削減していく、そのためには輸入を拡大していく、それと同時に投資をふやしていく、今お話がありましたフロンティアを拡大していく、そしてそれは、だから投資を拡大していく、それが日本経済のこの不況を、トンネルを抜け出す一つの大きな起動力であります。そのための補正予算でなければいけないというふうに思っています。どうぞその方向でお願いをしたいと改めて申し上げます。
 それともう一点は、いわゆる財の部分と同時に、今度はマネーの部分で、本来であれば資本取引、ここのところを、もう少し具体的に言いますと日本の円を外に出していく、資本流出の促進というのが本来であればもう少しやられなければいけない。バブルの後、日本経済はシュリンクしてしまってなかなかできなかった。それとあと、海外との実質金利差がほとんどなくなってしまっていた状態の中で、日本のいわゆる投資家も海外へ資金を出さなかった。この促進策をぜひ大蔵大臣にはこの機会におきましてお考えいただきたい。
 経済が強い国というのは、当然、いわゆる貿易で黒字になります。その分を資金で外に出していく、資本取引で外に出していく、それがまさに経済の強い国のオーソドックスな手法でありますから、どうぞそれをお願いしたいということを申し上げておきたい。
 最後にもう一点、これは経済界の皆さんに政府の皆さんからもお願いをしていただきたい。
 先ほど来出ている案は、規制緩和にしましても構造改革にしても大変厳しい案です。なぜこれができないのか。それは、経済界がそれにこたえてくれて一体となってやっていけばできるわけであります。案としてはできているわけでありますので、経済のプレーヤーは経済界であります。政府は政策は出しますけれども、実際に動いていただく、輸入を拡大していただく、あるいは新規投資をしていただく、それは経済界であります。ですからそういった意味におきましても、ぜひ、プレーヤーは経済界なんだということを政府の皆さんからも強く言っていただいて、そのために政治も行政もできるだけの推進策、促進策はやるんだ、だから一体になってやろうと。
 今回の策が無策であるかどうかは、まさに輸入がふえるかあるいは構造改革ができるかで決まるわけでありますから、それを最後に申し上げて、私の質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。
#68
○佐藤委員長 これにて小沢君の質疑は終了いたしました。
 次に、伊藤英成君。
#69
○伊藤(英)委員 伊藤英成でございますが、新進党を代表して質問をいたします。
 きょうの朝からの議論を私も聞いておりまして、それに基づいて質問をしたいと思うわけでありますけれども、何といっても今、きのうは為替レートも七十九円台ということでありますし、まさに八十円前後という為替レートの状況であります。それはいずれにしても適正レートを大きく離れているという認識でございますね、先ほども総理等も言っておられました。
 基本的には今の状況というのはドル安ですね、ドル安・円高ということでありますし、アメリカの大きな貿易赤字あるいは財政赤字ということによるわけですね。そういうような状況も踏まえて申し上げれば、短期的に、極めて短期的に今最も重要なことは、日米間の協調あるいはG7の協調だと思うんですが、今、日米間に信頼関係はあると総理はお考えでありますか。
#70
○村山内閣総理大臣 今の為替レートが、先ほど来意見がありますように、各国の持っておる経済的な諸条件というものを正当に評価されたものではない、反映されたものではない、特に円とドルとの関係というものは全く行き過ぎである、こういうことについての認識というのは、私は共通していると思いますね。
 この為替レートの変動により受ける痛みの温度差というのがそれぞれの国にはあるということは、またこれはやむを得ないことだと思いますけれども、しかし、お互いの理解を深めながら、協調し得る点については積極的に協調していく、こういう構えについてはいささかも私は変更はないと思いまするし、そういう意味では、日米関係の信頼関係は基本としてきちっと位置づけられておるというふうに確認をいたしております。
#71
○伊藤(英)委員 私は、残念ながら今日本とアメリカとの関係は、この問題を考えたときに、その信頼関係はとてもないんじゃないか、こういうふうに思うんですよ。それをまた多くの人がそういうふうに思っていると私は思います。
 したがいまして、今回の状況を見ておれば、結論的に言えば、今、村山内閣に対して国際社会もあるいは市場も信頼していない、不信任の状況だと思うのです。だから、村山内閣が退陣をされることが今の円高対策の最大の策だと思いますが、いかがですか。
#72
○村山内閣総理大臣 先ほど来答弁もいたしておりますように、今回の円高・ドル安といったような変動に対して、行き過ぎた問題について、それは関係国が協調し合うということやら、あるいはまた緊急円高・経済対策というようなものを打ち出して、そしてこれを確実に実行していこう、そのことによって内需も拡大をされ、同時に貿易収支の黒字も削減をされて、そして日本としてやらなければならぬことはきちっとやるということについては、方向を出しておるわけであります。
 これに対しては、私はそれなりの評価もされておると思いまするけれども、一にかかってこれからの実行にかかっておるわけでありますから、今の内閣に与えられた課題というのは、全力を挙げて、内閣一体となって、決めたことは実行するということが大事だというふうに考えておりますから、私は、そういう経過を見ていただければそれなりの評価はしていただけるというふうに確信をいたしております。
#73
○伊藤(英)委員 決めたことはぜひ実行をしていただきたい、こういうふうに思うわけでありますけれども、本日も議論となりましたけれども、先回のAPECの蔵相会議のとき、あるいはそのときの日米の蔵相会談の状況も、伝えられるところによりますとなかなか大変だなというふうに思いますし、昨日のクリントン大統領の発言にしても、私は、日米協調という意味においては日本に対してかなり冷淡であろうという感じも持つわけであります。
 要するにそれは、規制緩和を初めとして日本の構造改革というようなものに対する実行力といいましょうか、実際にそれを実行していくのだろうかということについてもアメリカはかなり不信感を抱いているのではないかと私は思いますが、いかがですか。
#74
○村山内閣総理大臣 国と国との関係というのはやはり長い経過の中からつくられてきているものでありまして、今急激にというか、急に突然変異が起こって不信感が出てきたというようなものでは私はないと思いますね。
 したがって、この内閣としては、これまで引き継いできた課題を解決をしながら、当面するいろいろな問題についてどう対応していくかということについて真剣な議論をしておるのでありまして、それは、一つ一つの問題を取り上げて、例えば今やっておる自動車交渉はうまくいっていないじゃないかというようなことをいえば、それはそれぞれの国の言い分があるわけです。
 しかし、話はこれで切れているわけではないし継続してやっているわけでありますから、そういう率直な意見を交換し合うことによって逆にまた合意ができれば信頼度が増していくということにもなりますから、私は、今の断面だけを取り上げて云々するのではなくて、長い経過の中から、さらにこれから先を展望した中から、どうあるべきかという判断に立って考えていくことが必要ではないかというふうに思っております。
#75
○伊藤(英)委員 これは、日本の構造改革等にかかわるそれなりの歴史の問題もある。しかし、この円高の問題についての最近の極めて急騰している状況ということもあります。私は実は、今の政治、あるいは政府に対する、あるいは内閣に対する問題というのは、一つは国内でもなかなか大変だと思っています。
 この間の石原慎太郎先生の議員辞職問題でも、今の自社連立政権に対する問題が非常に大きいと私は思っておりますが、実はこれは日経ビジネスの四月十日号の表紙であります。これは円高等の問題についてでありますが、このタイトルは、「もう国には頼まない」。要するに頼りにならないということですよ。
 それから、先ほど私は、アメリカは日本に対して本当に信頼しているだろうかという話を申し上げました。今ここにお持ちしましたのは、ワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズとウォールストリート・ジャーナルであります。ここには何と書いてあるかというと、これは日本の新聞にも報道されております。いろいろなことが書かれておりますが、これは今の日本の村山政権に対する失望だと私は思うのですね。
 ワシントン・ポストの四月十一日の社説では、今こそ強い政治リーダーシップが求められているそのときに、日本の現政権は戦後最も弱体であると書いています。厳密に言えば、アメリカが日本を占領していたときから比べて、今最悪の、最も弱体の内閣だよというふうに社説で述べているのですね。
 それから、ウォールストリート・ジャーナルにも……(発言する者あり)よく聞いてください、私は事実を申し上げているのだから。
#76
○佐藤委員長 静粛に願います。
#77
○伊藤(英)委員 ウォールストリート・ジャーナルには、日本の国民は自国の運命を決められるリーダーを政権につけるべきだ、村山政権よりもっと良質の政権を今必要としているよと。そして、無気力なミイラの政治階級を排するならば全世界がそれを祝うだろう、こういう言葉で社説を結んでいる。(発言する者あり)いいですよ。私が言っているのは、アメリカは日本に対して今どう見ているかということを言っているのであって、私は、この村山政権に対する批判は本当に残念ですが、しかし、本当に驚くばかりである。だから、日米の信頼関係というのは今は極めて問題のある状況だと私は思うのです。
 だからこそ私は、もっと言えばこういうふうに言った方がいいかもしれません。今、政治に対する不信というのがいろいろ言われたりいたします。政治の不信というのは、ずっと前から言われるのですね。しかし、どなたかが書いておりましたように、政治の不信がある、そのときに人もかわる、そしてそこにまた政治に対して期待もする。そうですね、国民は期待をする。そしてまた不信感も抱くかもしれません。ということを考えれば、やはり、リーダーがかわるという話は私は極めて重要な話だろう、こう思うのですね。
 今、日本のいろいろな意思決定のあり方なり、あるいはこの円高の問題も、実は、日本は一体何をどういうふうに決定していくのか、何が決定され実行されていくのかということが問われているのだと私は思う。それが為替にも反映されているという話ですよね。だから、冒頭申し上げたように、今最も重要な円高対策は村山内閣がかわられることではないかと申し上げたわけでありますが、いかがですか。
#78
○村山内閣総理大臣 今いろいろ御意見がございましたけれども、村山内閣が成立を、組閣をされましてから、振り返って反省もしているわけでありますが、三党連立政権ができて、そしてその三党連立政権の強力な支えの中で、これまで課題となってきておった引き継ぎ事項については、これはもう一〇〇%臨時国会で解決をすることができた、私はそういうふうに考えています。
 同時に、それは中身を言えば、政治資金規正法の改正やらあるいは公職選挙法の改正等も含めて、腐敗防止に対する措置もこの内閣でなし遂げた。同時にまた、税制改革やら、今申し上げました政治改革等にも一応の決着をつけたということについても、私は、それなりの評価をされているのではないかというふうに自分では受けとめております。
 ことしに入りましてから、阪神・淡路の大地震があったり、あるいはまたサリン事件があったり、あるいはまた急激な円高がようやく緩やかながら回復基調にあった我が国の経済に対して暗影を投げかけてきておる、こういったような実態がございますから、そうした問題に対してもそれなりに可能な限りの、全力を挙げた、内閣一体となった取り組みもやってきておりまするし、円高問題についてはようやく十四日に緊急円高・経済対策を決めて、可能な限り早い時期に七年度の補正予算も提出をして具体的に実行過程に入ろうという状況に今ある段階ですから、これからどう実行していくかということについての内閣の取り組みについて、国民の皆さんから御理解と御評価をいただきたい、こういうふうに考えております。
 今与えられた課題は、こうした困難な問題が山積しているわけですから、その山積した困難な問題を国民の期待にこたえてどう解決していくかということが与えられた課題でありますから、全力を挙げてその解決に尽くしていくということが与えられた使命ではないかというふうに考えておりますから、これからも全力を挙げてその使命を果たしていくために頑張りたいというふうに考えておるところでございます。
#79
○伊藤(英)委員 今私が触れましたけれども、いわゆる先進国間の政策協調というものが今最も必要なわけですね。G7が二十五日から開かれるわけでありますが、伺うところによりますと、もっと早くG7は開くべきであったと思うのですが、米国はどうも早期開催にやや消極的であったように伺います。これはなぜでしょうかね、大蔵大臣。
#80
○武村国務大臣 G7の会合はだんだん回数がふえてきておりまして、昨今では少なくとも年四回は開催をいたしております。不肖私も、まだ十カ月でありますが、来週の会議に出ますと四回目になります。それで、さらに必要があればIMFの総会とかそういう場を選んで積極的に開催していこうという合意があるわけでございまして、決してどこかの国が反対してG7が開かれなかったということではありません。
 今回は今回で予定されていたとおりに、これはIMFの暫定委員会もございますし、ハリファクスのサミットに対する大蔵大臣の与えられているテーマに対する一定の考え方を用意するということもございまして、二十五日に開かれることになります。
 なお、今後については、やはり一層、電話その他もあります、あるいは二国間もございますけれども、G7相互の間では緊密な連携を一層とり合っていくことが必要だなということを私はしみじみ痛感をいたしているところであります。
#81
○伊藤(英)委員 私は、米国に対しましては、米国が敢然とドル防衛のために立ち上がる、あるいはそのための実行をいろいろ行うということを明確にすること、あるいは米国の金利引き上げも要請すべきだ、こう思っておりますが、そうしたことも含めて、G7に出席するに当たって大蔵大臣としてはどういうふうに対応を考えておられますか。
#82
○武村国務大臣 この通貨の問題をめぐって、日米間が何となく疎遠ではないかという先ほど総理に対する御質問がございましたが、私、先般バリ島でルービン長官と会ったとき、その前後も食事やいろいろな場で雑談もいたしておりますから、そういう限りにおいては、そんな、日米間に友好的な雰囲気が壊れてきているというふうな状況は全くありません。双方、一層相手の立場に気を使いながら、かなり国の状況は違いますから、その違いを認識しながらも、その中でどう協調していくかということで終始話し合いをすることができたと思っております。
 アメリカ側も、日本側の説明を真剣に聞いておりまして、この十四日発表の緊急円高・経済対策にしましても、確かに市場は余りポジティブな反応をしませんでしたね、こういうコメントはありましたけれども、ルービン長官自身が、不満足であるとか評価しないとか、そんなことは一切言ってないで、克明に中身を聞いて質問をしながら、じゃ、今後一、二カ月の具体化、肉づけを真剣に注視させていただきましょう、こういうことで終わっているわけであります。
 片方、私の方からいろいろアメリカの経済に対して、今おっしゃったような金融政策ももちろん含めてでありますが、赤字削減あるいは貯蓄の増強、教育というふうなテーマに至るまで、かなり真剣な、アメリカ経済をめぐる問題についても会話をいたしておりまして、そういう中で、しかし、基本的にはアジア各国のさまざまな生々しい意見の開陳もございましただけに、改めて日米間で、責任も重いし、通貨問題については共同して対応していこうという合意で終わったわけであります。
 ぜひその延長線上で次のG7でも発言をしていきたいと思いますし、向こうでもまた日米相互の会談があるかとも思いますが、ぜひその姿勢で努力をさせていただきたいというふうに思っております。
#83
○伊藤(英)委員 アメリカの政策決定あるいは政策変更に対する要請をするためにヨーロッパと協議をしているということはありますか。
#84
○武村国務大臣 そのときそのときの具体的なテーマをめぐっては、過去もそういうことがございましたし、これからもないとは言えないと思います。(伊藤(英)委員「今回ありますか」と呼ぶ)今回については、この一カ月半の為替の変動、さまざまな局面がございました。円の独歩高という状況もありましたし、きのうあたりはマルクもまた上がっておりまして、ヨーロッパでもまたそれなりの強い関心を示しているはずでございます。
 そういう状況の中で、既に事務ベースも含めてヨーロッパ各国とも電話で意見交換をしておりますので、そういう状況をしっかと踏まえてヨーロッパ各国とも、二国間の話し合いも含めて、G7に臨みたいというふうに思っております。
#85
○伊藤(英)委員 具体的な政策問題で伺いたいと思っています。
 まず、今回のこの急激な円高のために、そのための対応策として私ども新進党としては、御承知のとおりに、三月の七日には直ちに対応策をとれと官房長官に申し入れをしております。そしてまた、その円高の一層の進行の状況を見たときに、三月の二十八日には非常事態に対処するための緊急経済対策を新進党として提言もいたしました。そしてまた、さらに四月三日には官房長官に再度緊急の対応をとるように申し入れております。そして、四月七日には談話も発表して、緊急対策を早くとれということ等も促しているわけでありますけれども、なかなか政府はその対応をとらなかったと私は思っております。
 そして、その結果としてといいましょうか、為替も、どんどん円も上がる、そして四月十四日に政府としての緊急円高・経済対策というのが出された、こういうふうに理解するわけであります。
 そこで、総理、お伺いしますけれども、今回のこの対策で、これで例えば内需はどのくらい上がるのか、輸入はどのくらいふえるのか、経常黒字はどのくらいに縮小されるのか、内外価格差についてはどういうふうになるだろうと想定をしてこの対策をつくって出されましたか。
#86
○村山内閣総理大臣 政府としては、今後平成七年度補正予算の編成を初めとして、決められた対策をできるだけ盛り込みながら各般の施策を実効あるものとして早急に具体化していく、で、実施することによって対策の効果は徐々に上がってくると期待をいたしておるところでございます。
 こうした施策を実施することによって、我が国経済の現在の回復基調がより確実なものとなるとともに、我が国の経常収支の黒字の一層の縮小や、あるいは経済の中長期的な展望も開けてくるというふうに考えて、確信を持って私どもは実行していきたいというふうに考えているところでございます。
 今お話のございましたように、どの程度黒字が縮小していくのかとかいうような数字をここで挙げることについては、これはいろいろな要因が絡んでまいりますから、そういう要因を一つずつ積み上げてみて、そして実行する過程の中からその目標が設定されてくるので、今ここでその数値を挙げることについては、そういう要因を考えた場合に極めて困難な状況があると思うんですよ。
 例えば、石油の価格というものはどういうふうに変動していくのかというふうな対外的な要因もあって、我が国が自分の国で決めて、そして物事を決めて積み上げていけるというのならそれなりの私はこの目標数値は出てくると思いますけれども、しかし、我が国だけでは判断のできないいろいろな要因が絡んできてそれぞれ決められていく、結論が出るわけですから、したがって、ここで直ちにその数値を挙げてどうなるこうなるというようなことについてはなかなか申し上げられないということについては、御理解をいただけるものだと私は思っています。
 とりわけ貿易収支の黒字の問題、赤字の問題というようなことにつきましては、これは例えば特に自動車なんかは大変大きいわけですけれども、そういう民間企業のこれからの取引の関係というものがありますから、そういうものをやっぱり政府が踏まえて、そして規制を加えていくというようなことになりかねないような数値目標というものはやっぱり挙げない方がいいのではないか、そういう面もあるというふうに思いますから、その点につきましては御理解はいただけるものだというふうに私は思います。
#87
○伊藤(英)委員 簡単に答弁していただければいいんですが、今のお話ですと、例えば輸入はどのくらいふやそうとか、内需はどのくらい拡大しようというのはありますか、その二点。
#88
○村山内閣総理大臣 全体としての経済成長見通しというのは、これは予算編成をするときにも立てておりまするし、同時に、経済計画の中でもそれは指標は出ているわけですね。
 しかし、例えば貿易収支の黒字が何ぼ削減されるか……(伊藤(英)委員「いや、私は輸入の額の増をお聞きしました」と呼ぶ)だから、輸入の額がどれくらいふえるかとかいうような数値の目標については、それは日本独自で決められる問題ではない要因がありますから、したがって、私は、ここでその目標を設定することについてはいろいろな弊害がある。しかし、経済全体の、さっき言いましたように、経済成長率とか経済見通しについては経済計画の中で明らかにしておるところであります。
 しかし、具体的に輸入が何ぼふえるかとか、どの程度の額になるかとかというようなことに対して固定的な見通しを示すことについては、やっぱりそれは差し控えた方がいい面も私はあるというように思いますから、御理解をいただきたいと思います。
#89
○伊藤(英)委員 今回の対策案は、私は思うんですが、まずは例えば輸入をどのくらいふやそうとか、そのためにどういうふうに規制緩和もしようとかということのためにやっているんだ、こう思いますが、今の総理のお話ですと、そのように具体的には考えてないということのようであります。
 それでは伺いますけれども、平成七年度の補正予算について、当初伝えられているところによりますと、五月末にというお話もございました。私たちは、もっと早く、一刻も早くこの補正予算も提出をして、そして審議をすべきだという話を要請しておりましたけれども、補正予算はいつ国会に出されますか。
#90
○武村国務大臣 五月末を予定いたしておりましたが、こういう急速な為替動向を踏まえて、一日でも急がなければならないという判断をいたしました。
 阪神・淡路の震災だけでいきますと、六月いっぱいで地元のプランがまとまってくるわけですから、本当は少しそれを待った方が、規模が大きくなるといいますか、数字がそろってくるという効果があるわけですが、しかし、この円高、経済対策を考えると、余りおくらせてはいけない、この二つの要素を勘案して、私どもは未という目標できましたが、それを一週間でもさらに一日でも縮めて、仕上げて国会に運ばせていただきたい。今明確に何日までとここで申し上げられませんが、そういう努力目標で、連休中も休まないで大蔵省主計局は作業をさせていただきたいというふうに思っております。
#91
○伊藤(英)委員 それは今検討されているところなのですが、この補正予算でどの程度の規模の公共投資、真水でどのくらい考えていらっしやいますか。
#92
○武村国務大臣 今まさに作業中でございますから、具体的な数字についてはまだ見えてきておりませんし、控えさせていただきます。
#93
○伊藤(英)委員 新聞報道によりますと、トータルの予算規模が二兆一千億ぐらいというようなことが報道されたりしておりますが、要するに私はこう思うのですね。今回、中途半端なものになりますと、この為替対策等を考えればむしろマイナスになるかもしれないというぐらいの気さえいたしております。だから、よほど思い切った投資をしないと効果はないと思っております。
 そういう意味で、我が党としては、実需で約十兆円の公共事業の追加をすべきだ、しかもそれは、震災対策とは別に総額約十兆円の予算措置をすべきだというふうに提起をするわけであります。
 ちょっと、項目だけでありますがざっと申し上げますと、こんな感じで私ども新進党としては立案をしております。
 一般道路の整備一兆円、国際空港の整備で一兆円、新幹線の整備一兆円、国際港湾コンテナバースの大幅増設で六千億、情報通信ネットワークの基盤整備で一兆円、学術、教育、基礎研究の充実で五千億、融資拡充などの住宅建設の拡大ということで五千億、下水道の整備普及で二千億、中小企業に対する金利軽減措置で一兆円、地方公共団体への緊急財政措置で一兆円、国民の安心・安全の街づくり対策として一兆円、緊急輸入・備蓄対策として一兆円、このように立案をして発表もしているわけであります。
 総理、内容は大体御承知かと思いますので、今それぞれについてさらに詳しく説明することは省略をいたしましたけれども、この新進党の具体的な案に対してどのように見解を持たれますか。
#94
○村山内閣総理大臣 今御説明のございました新進党からの十兆円という御提案につきましては、承知をいたしておりまするし、私も検討させていただきました。
 ただ私は、当面のこれから向かう方向というものを考えた場合に、従来の手法ではやはり乗り切れないのではないか、逆の意味で申し上げますと。したがいまして、これから二十一世紀に向けて日本の経済が発展をし得る新しい分野というものは一体何なのかというようなことも考えた上で、仮に公共事業という一口の言葉で使いましても、その公共事業の考え方、中身というものについては、やはり新しい町づくりをしていくという、例えば災害に強い都市をつくるとかいうような意味では、視点をやはり新しくした立場から考えていく必要があるのではないかというふうに思いますから、新進党から出されたものは参考として十分検討もさせていただきますが、政府は政府の独自の立場から案を十分練らせていただきまして、当面の課題にこたえられるような補正予算というものを編成して、実行していきたいというふうに思います。
#95
○武村国務大臣 補正予算の規模等についてはまだこれからでございますが、私どもの判断は、今、年度スタート時点でございます。せっかくああして与野党御苦労いただいて早々と予算をお決めいただいた。したがって、当初予算がこれから執行にかかるわけであります。
 加えて、六年度の二次補正、いわゆる阪神・淡路の災害、震災対策についても、その多くは繰越明許になっておりまして、今から執行するものが大変多い状況であります。そういう意味では、景気対策を含めて、予算執行の環境というのは最大に今恵まれた状況にあるわけでございますから、私どもはこれをどんどん積極的に執行していくということをまず基本に置いております。
 当然また、阪神については、復興計画が固まっできますと、今回の一次の補正だけですべては盛り込めません。そういう意味では、今年度後半についてもさらにもう一度対応が必要になってくる可能性があるというふうに認識をいたしますが、いずれにしましても、このお認めいただいた七十兆の予算を積極的に今この時期に投入していくということを基本に置いているわけであります。それだけで地方自治体も各省庁も執行でもう手いっぱいといいますか、能力を超えて頑張っていただこうという状況であります。
 その中で、しかし、一次補正はある種のものに焦点を絞る。それは結局、円高対策に直結するものをまず基本に置こう。震災プラス円高対策、そして社会資本についても、従来型の何もかも公共事業、大盤振る舞いというやり方はやめよう、そして、情報問題と研究施設の充実と、この二つに焦点を絞って補正対応をさせていただこうということで今準備をいたしているところでございます。
#96
○伊藤(英)委員 まずは、今大蔵大臣の言われた情報あるいは研究問題、ともに新進党としても先ほど申し上げたように提起をしておりますので、ぜひこれを参考にして我が新進党案に近づけていただきたい、こういうように思っておりますし、それから、総理を言われました、例えば安全な町云々とかいう話につきましても、安全な街づくり対策として一兆円という話を先ほど申し上げましたけれども、そういうようなことも含め、あるいはこれからのという意味で、情報通信ネットワークのということにつきましても一兆円云々という、具体的に提示をしておりますので、ぜひ参考にしていただいて、取り組んでいただきたいと思っております。
 その一部だけちょっと考え方を、今後の取り組み方という意味で建設大臣と運輸大臣にちょっとお伺いしたいんですが、建設大臣には一般道路と下水道のことにつきまして、先ほど私もちょっと申し上げましたけれども、どういうふうに考えるか。それから運輸大臣には、関西国際空港の整備促進の話と、また、中部新国際空港の整備について、これは今後の問題ですけれども、どういうふうに取り組んでいきたいかということについてぜひお伺いしたいと思っています。
 私は実は、今こういうときこそ、特に運輸大臣に申し上げたいんですが、大きなプロジェクトを本当にやっていくということが必要だ、こう思うんですね。ぜひお願いします。
#97
○野坂国務大臣 お答えいたします。
 先生御指摘いただきましたように、また、新進党の予算に対する考え方、道路予算は一兆円、下水道は二千億。ただ、私の方の関係で、住宅関係も五千億書いてあります。そういうふうな全体を眺めてみて、いろいろと御提言はありがたいと思っておりますが、下水道は現在五〇%の普及率に至っていない、こういう状況でありますから積極的にやっておりますが、全体的なフレームがまだ決まっておりません。したがって、積み上げて、未消化にならないような実行予算をやっぱりつくっていかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
 したがいまして、道路整備等についても、御提言がありましたような点についても十分頭に置きながら対応をしていかなきゃならぬ、このように考えておるところでございまして、現在は、総理大臣も申されましたように、未消化にならないように、実行予算、そして景気の浮揚ということを頭に置いて、我々も懸命にそれに従って努力をしてまいりたいと考えております。
#98
○亀井国務大臣 お答えいたします。
 委員御承知のように、我が国の国際空港等の整備というのは、国際的に見ますと後進国並みの状況になっておるわけでありまして、国際化時代においては、まさにげた同然の状況である以上は、これをきちっと整備することは喫緊の課題であります。
 なぜおくれたかということの原因はいろいろございますが、一つは、ユーザーの懐相手に空港を整備してきたという点があると思います。そういう面では、現在大蔵省の御理解もいただきつつございますので、公共事業として前面に出して、これを国が責任を持って整備をしていくという方向でまいりたい、このように考えております。
 国際空港につきましては、今、関空、成田を中心に整備をいたしておりますが、私どもこの二つだけで足りると、このようには考えてはおらぬわけであります。しかし、空港整備は国の事業として、国が前面に出ていって取り組むと申しましても、自治体、経済界、住民の方々の真摯な協力がなければ国だけでやれることではございません。そういう面では、中部新空港につきまして声が上がっていることは承知はいたしておりますが、そういう面で自治体、経済界、住民の皆さん方の熱意がどこまでかということについては若干疑念がございます。
 そういう意味で、中部のそうした協力体制が整わぬということであれば、関西空港の整備に超重点に力を入れる、あるいは成田、他の空港に力を入れるという選択にもなろうかと、このように思うわけでございます。
#99
○伊藤(英)委員 今のお話は、公共事業で云々というのは私の年来の主張でもありますので、ぜひそれは実行していただきたいと思います。そうしなければ、日本の空港は高くて使い物にならないぐらいの状況になってしまうのではないかと私は思います。
 それから、中部新国際空港のことについても触れられましたけれども、私の知る限りでは、地元方面も全力でみんな頑張っており、その熱意は大変なものだというふうに理解をしておりますので、ぜひ運輸大臣としても早期に建設をすべくよろしくお願いをしたいと思います。
 それから、通産大臣にお伺いいたしますけれども、今回のこの円高の産業界への影響をどのように見ておられるのか、お伺いいたします。
#100
○橋本国務大臣 私ども、何回か本院においても申し上げてまいりましたけれども、緩やかな回復局面と言われる中で、この円高の状況というものは、特に中小企業を所管する私の立場からはとてもそういう言葉が使えないという思いですということを申し上げてまいりました。
 今回の円高というものが、景気の回復の牽引役になっていただかなければならない製造業企業の対応の限界をはるかに超えたものであることは、申し上げるまでもありません。そして、急激な円高というものが、直接的には輸出企業の手取りを減少させる、同時に、自動車産業などすそ野の広い産業を通じて、直接輸出を行わない産業の生産にも間接的に影響を及ぼしております。
 また、こうした生産や企業への収益の圧迫というものは、設備投資を再び抑制することになりかねないなど、回復の動きが必ずしも加速しておらない状況の中で、先行きに重大な悪影響を及ぼすおそれがあると心配をいたしております。
 また、中小企業につきましては、三月八日時点で、緊急に輸出関連産地中小企業を対象に調査を行いましたところ、現下の円高の状況に対し個別企業の対応のみでは有効な対策がないという答えが二五%という高率を占めました。この数字は極めて私にとって重いものとしてのしかかっております。
 また、殊に今私にとりまして心配なのは、下請関係等であります。自動車あるいは電機産業等すそ野の広い分野における下請の中小企業におきましては、この円高の状況の中で、親企業からの発注の手控えてありますとか短期間小刻みな納入を求められるなど、取引条件が悪化をしておる、あるいは大幅なコストダウン要請などがあるといった状況で、極めて厳しい条件下に置かれておりますし、従来経験をしたことをはるかに超える深刻なものと受けとめております。
#101
○伊藤(英)委員 今、通産大臣も今の状況について厳しい認識をされていたわけでありますので、新進党として提案をした公共事業等その他の施策も含めて、ぜひその線で政府として実行をしていただきたい、このように思います。
 先ほど私は十兆円規模の公共事業云々と申し上げましたけれども、その財源は国債をもって充てるべきだ、こういうふうに考えております。
 そこで、これは大蔵大臣にお伺いした方がいいのでしょうかね。私は、公債政策という考え方で見たときに、今国債の非課税を六十五歳以上、三百五十万円までにしておりますね。これを個人に限っては年齢制限を取り払って国債を非課税にしてはどうか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
 というのは、こういう国債は国にとっては借金なんですが、国民にとってはいわば財産でもあり資産でもあるわけですよ。そういう意味で、多くの一般国民に持っていただくことが非常に重要だろうと思いますし、意味のあることだ、こう思うのですが、そういう意味で、個人に限って国債を非課税という考え方はいかがでしょうか。
#102
○小川(是)政府委員 現在の国債に係る利子非課税制度は、御案内のとおり、国債であるから利子を非課税とするという債券全般を見ての考え方ではございませんで、一定の年齢、六十五歳以上の方々、老齢者等がお持ちになる資産の運用に着目しての非課税制度でございます。
 そういった角度から見ますと、やはり資産に対する課税のあり方、資産所得に対する課税ベースの拡大を図るという観点から見まして、現在、預貯金あるいは国債合わせて一千五十万円まで持っておられる資産に係る利子の非課税制度を持っているわけでございますから、むしろそうしたあり方についてこれでいいのだろうかという議論があるわけでございます。
 したがいまして、御提案ではございますけれども、この年齢制限を取り払って国債に係る利子を非課税にするという考え方はとりがたいのではないかというふうに思うわけでございます。
#103
○伊藤(英)委員 私は、金額はどこまでということを限ってもいいのではないか、こう思いますが、今の主税局長の話は話としても、やっぱりこれからもっと政治的にこの問題は、非課税にしてというのは私は考えるべきじゃないか、こう思っていますけれども、大蔵大臣どうぞ。
#104
○武村国務大臣 国債を発行する立場で考えますと、市場がどうかということが基本でございます。少なくとも今はそういう大胆な緩和措置をとらなくても対応できそうだという判断をしておりまして、まあ我が国全体のISバランスの議論もございますように、そういう中でありますから、制度論としていろいろ問題があることも事実でございますが、御意見として承っておきたいと存じます。
#105
○伊藤(英)委員 次に、ちょっと規制緩和の問題についてお伺いをしたいと思うのです。
 内外価格差も含めて伺いたいと思いますが、何といったって今の状況は、円高というのは本来、一方では喜ぶべき話でもあるのでしょう。しかし、そのためには、円高の効果が輸入増なりあるいは価格の低下なり内外価格差の是正ということに結びつかなければ意味がないわけでありますが、今輸入拡大を阻害している規制、逆に言いますと、今ある規制の中で、もしもその規制を緩和すれば輸入額の拡大により大きく貢献をする規制、それの主なもの、どうでしょうか、三つか四つといったら何になるんでしょうか。
#106
○山口国務大臣 今回、千九十一項目規制緩和計画を決定いたしましたが、お尋ねの点でございますが、例えば、輸入業者を事実上石油精製業者に限定しております特定石油製品輸入暫定措置法、これは廃止をいたします。それから二つ目には、輸入関税におきまして、航空貨物に係る到着即時輸入許可制度を導入いたしまして、通関時間を短縮をいたします。また、我が国のJIS、JASの規格を国際規格へ整合化いたしまして、そういう意味では、市場アクセスを改善する、こういったものが挙げられると存じます。
#107
○伊藤(英)委員 輸入拡大という意味では、現在ある規制の中では今言われたのが大体上位三者というぐらいでしょうか。もっとほかのものを、なかなか容易ではないかもしれないんだけれども、もしも緩和ないし撤廃することができるとするならば、その効果は本当はもっとずっと大きいものもあるんだろうと私は思うんです。そんなことありませんか。
#108
○山口国務大臣 例えばボイラーですか、圧力容器等につきまして、外国検査機関の検査データを受け入れるというような形で検査手続を簡素化いたしまして輸入増加に資するというものも、さらにつけ加えればそういったものもあるかと思います。
 ただ問題は、我が国の規制というのは、輸入を直接制限するということよりも国内の供給安定を目的とする制度、各種の輸入手続、輸入検査や基準・認証制度などをやはり規制しているわけでございまして、直接輸入を制限するというものはほとんどないと存じます。
 したがいまして、そういう意味で、今申し上げた輸入手続を簡素化する等の規制緩和を進めることによって私どもとしては輸入促進に資してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#109
○伊藤(英)委員 私が申し上げたのは、どういう組織体でもそうだと私は思うんですが、何かをやろうといたしますと、そこで問題があるとすればその問題は何だろうか、その要因は何が一番寄与しているんだろうかということを考えて、それでその一番大きな要因となっているところについては何ができるんだろうか、その次のものにはどうするんだろうかというふうに考えますよね。普通の企業だったらみんなそうやって考えますよね。
 今回の規制緩和というのは一体何のためにやっているんだろうかというようなことを考えたときに、そのうちの一つの大きな役割は、輸入を拡大することであるでしょうし、その結果としてまた内外価格差を縮小する、是正をすることだろう。だからそういう意味で、どういうものがそれに該当するのかなという意味で、総務庁としてはよく把握されてやっていらっしゃるんだと思っていたものですからお伺いをしたわけであります。
 それから、この間、ある在東京の外国の大使と話をしておりましたら、自分の国ではこうなんだけれどもなぜ日本はこうなんでしょうかという話をされたのは、日本でいうと円高になる、そのときになぜ一次産品とか原油とかエネルギーとかそういうものがすぐに安くならないんだろうか。これは、何も外の人に言われなくたって、中にいる人はみんな、国内の人はみんなそう思うわけですよね。なぜガソリンだってすぐ下がらないのか。これだけ高くなってなぜ下がらないのだろうかというふうに思うわけでありますが、そうした一次産品とかあるいは原油などのエネルギー、あるいはガソリン等もなぜもっと下がらないんだろうか、みんな国民は思っていると思うのですが、その辺についての考え方はいかがでしょうか。
#110
○橋本国務大臣 電力あるいはガスの料金にも関係をいたします部分でありますから、原油価格について事実だけを申し上げたいと存じます。
 今委員は、円高とこれを結びつけて御主張をいただきました。しかし、原油価格は命じわじわと上がり続けております。二月にはバレル十八ドルでありましたものが、三月には十八ドル六十セントになっております。そして四月は、推計としては十八ドル七十セント、五月には、我々は心配しておりますが、十九ドルに入るのではなかろうかという心配を今いたしております。
 これは、現在電力及びガスについて料金の暫定引き下げを行っておるわけでありますけれども、昨年の十月以降今日までの間に電力並びにガスそれぞれに為替の差損が生じておる状況であります。一ドル一円円高になりました場合、電力では約百億円のプラスが生じます。ガスにおきましては、これは一年間続いた場合でありますけれども、約十七億円の差益が生じます。逆に、一バレル一ドル原油が値上がりをいたしますと、電力では五百二十億円、ガスにおきましては八十九億円の差損が生じるということになります。そして現状は、電力におきましては百六十億円、ガスにおきましては十月以降今日までの間に十五億円程度の差損が生じているというのが原油の実態であります。
#111
○佐藤委員長 高村経企庁長官。
 内外価格差、どうして反映できないかという質問でした。
#112
○高村国務大臣 内外価格差が出てくる理由というのはいろいろあると思うのです。購買力平価は改善しているにもかかわらず、急激な円高に追いつかないという時間的なものもあるかと思いますが、やはり公正な競争がきっちり担保されていないといいますか、その中には規制の問題もあるでしょうし、あるいは取引慣行の問題もあるでしょうし、あるいは独禁法違反行為みたいなものもあるでしょうし、そういった阻害要因を取り除いていくということで内外価格差を縮小していくことが大切である、こういうふうに考えております。
#113
○伊藤(英)委員 今の点は、特に一次産品とかエネルギーという話を私は申し上げたのですが、経企庁長官はやや違った側面から説明をしてくださったのですけれども、やはり一次産品とかそういうものはもっともっと安くならなければいけないなということですよね。ぜひよろしくお願いをいたします。
 今のにも関連するのですが、公共料金の問題についてお伺いをいたします。
 御承知のとおり、羽田内閣のときには公共料金の凍結というのをやりましたですね。公共料金の凍結をして、そしてその公共料金の問題について、それぞれまさに合理化等も含めて一から見直してもらうというような形であったと思うのです。ところが、その後に次々と料金の引き上げが認可されたということですよね。
 今一般国民からいたしますと、例えば民間企業等も本当に必死のリストラ、そして円高も、先ほど通産大臣がお話しになったとおりに大変な状況ということでしょう。そのときに、公共料金だけはぽっぽぽっぽと上がっていくなあという感じですよね。しかもそれが、先ほど社会党の委員からも話があったと私は思うのですが、いわば地域独占といいましょうか、そういう関係のところ等も結構あったりする、その事業主体は、というような状況であるわけであります。
 したがって、いわば今の状況は、何というか、対照的に申し上げれば、公共料金を凍結をした羽田内閣、それから公共料金を引き上げた村山内閣と言えないこともないくらいの状況だと私は思うのです。今のこういう状況を見て、私は、先般羽田内閣で凍結した七項目のそれぞれのものも含めて、いわゆる公共料金について引き下げることも検討した方がいいのではないか、こう思いますが、いかがですか。
#114
○武村国務大臣 私は細川内閣にも参加をしておりましたが、当時も公共料金をとめるかどうかは随分真剣に議論をしました。過去さまざまな経験を全部調べたのですが、結局、半年ぐらい、短期間とめても、その後だだだっと上げるということの繰り返しだなということもあって、細川総理も凍結はちゅうちょをされた。
 その後、確かに羽田内閣になって半年間、年内いっぱいは凍結をお決めになったのですが、村山内閣もそれはきちっと守っていたのですよ。そのまま年内は上げないという姿勢を守って、ただ、まあ年が明けたらどうするかという中で個々に精査をしながら、努力をしながら、そして上げるべきものは上げる方針を決めていったということですから、羽田内閣の凍結の方針は村山内閣はきちっと守らせていただいたということはぜひ御理解いただきたいと思います。
 今回の円高対策では、電力、ガスもそうですが、橋本大臣がおっしゃっているように、石油が上がっているという難しい事情はあるにせよ、そういうことも引き下げの方向で努力ですか検討ですか、明らかにしておりますし、郵便とか電話料金についても、明確に引き下げの努力を今回の円高対策で明らかに政府全体としてはしたところであります。
#115
○伊藤(英)委員 私の理解では、羽田内閣が公共料金の凍結という話は、何も年内凍結しておればいいというわけじゃなくて、まさに合理化努力、あるいは一から見直してということが必要だ、そういうことがされなければ全然意味はない話だ、こうういうふうに思っておりますし、そういう意味も含めてですが、総理、私が申し上げたいのは、とにかく今はこういう状況に、上がったものもある。そこで、今後この引き下げも含めてまた検討するかどうかということだということなんですが、いかがですか。
#116
○村山内閣総理大臣 今大蔵大臣から答弁がございましたけれども、私が引き継ぎましたのは、年保内は公共料金を凍結する、引き上げない、こういう閣議決定を引き継いだわけですね。したがって、年内は上げないということはもちろん守ってきたわけです。同時に、しかし、これはそれぞれ独立採算で経営しているわけでありますから、ずっとこの料金値上げを抑えられてきて、もう採算がとれない、どうにもならないというような企業もあって、それは無理から無理をしてきている面もあるわけです。
 しかし、安易に公共料金引き上げは認めないという立場から、内閣としては、公共料金の関連事業の経営の徹底した合理化を図る。これは先ほどお話がございましたように、民間も血の出るようなリストラをやっておるわけですから、それに倣って公共事業体も徹底的な合理化をやれということについては強く求めましたし、同時に、規制緩和を一層推進するとか、あるいはまた、公共料金の引き上げに当たりましては、実施時期及び改定幅等については極力抑えるということも指示をいたしましたし、同時にまた、国民の十分な理解を得るためには、実態というものをよく知っていただくという意味では情報の公開も徹底して、国民の理解の上でやるべきであるというようなことも指示をして、閣議決定をしてやってきたところでございまして、その点については御理解をいただきたいと思うんです。
 同時に、今回のこの円高あるいは緊急な経済政策等の中でも、これは先ほどからお話がございますように、この円高差益の問題等も含めて公共料金は引き下げの方向で検討するという方向も指し示しておりますから、その点についても御理解をいただきたいというふうに思います。
#117
○伊藤(英)委員 今の経済状況の中で極めて重要なものは株式市場の活性化の問題だと思うわけであります。その中で、今度の対策の中に、発行企業に対して、株主に対する利益還元策として自己株式取得への積極的取り組みを要請するというのが政府の経済対策の中に入っておりますが、この自己株式取得の問題は、商法を改正されてから、私の知る限りでは自己株式の取得は一件もない、こういうふうに思います。
 その理由は何かといいますと、いわゆるみなし配当課税の問題であると私は思うのですが、このみなし配当課税はなぜ撤廃できないのか。私は撤廃すべきだ、こういうふうに思いますが、いかがですか。
#118
○小川(是)政府委員 お尋ねは、会社が株式を取得して、これを利益をもって消却をするという場合におけるみなし配当課税のお尋ねであると思います。
 この場合には、株式が消却されて残った株式については、いわば配当が会社から行われたと同じような経済的実質を持つものでございます。それをみなし配当と呼んでいるわけでございます。確かに現金の交付といったようなことがないわけでございますけれども、会社の中でまだ所得税のかかっていない利益積立金を資本金に組み入れるとか、あるいは利益積立金を減らして他の発行されている株式数を減らすというようなことによって実質配当が行われるという部分については、やはり所得税を課税するというのが税のあり方でございます。
 ただ、御要望のようなことがございますので、六年度の税制改正におきましては、会社サイドにおいて源泉徴収をしなくて結構ですと、源泉徴収不適用という制度を設けたところでございます。したがって、この制度が利用されることを期待をしたいというふうに思っているわけでございます。
#119
○伊藤(英)委員 私は、主税局長はいつも尊敬しているつもりでありますが、みなし配当課税は、それは全然おかしいじゃないかと私は思っています。したがって、これは早急に撤廃をすべき、そういう方向で検討すべきだと思います。大臣、御意見ありますか。
#120
○武村国務大臣 私も基本的には主税局長と同じ認識でおるわけでありまして、それなりの合理性があるという今説明でありますし、もしこれをしないということになりますと、現金配当に対する課税とのバランスにもいろいろ問題が出てくるというふうにも認識をいたしております。
#121
○伊藤(英)委員 私は、やり方としてナンセンスに近い、こう思っていますが、ぜひまた御検討をお願いします。
 ちょっと同じようなことで、時間がありませんのでもう一件だけ、この株式市場の問題についてお伺いいたしますけれども、有価証券取引税及び取引所税の撤廃、それから受取配当に対する所得税、法人税の二重課税の排除、それから上場基準あるいは優良子会社の上場も含めて店頭市場に係る規制の緩和の問題について、これはぜひ措置すべきであるというふうに考えますが、いかがですか。
#122
○小川(是)政府委員 有価証券取引税等のあり方につきましては、既にこれまで税制調査会等でも議論のあるところでございます。証券に対する課税のあり方、とりわけ譲渡益課税の問題等も視野に入れて、総合的に今後とも検討されるべき課題であるというふうに思うわけでございます。しかし、この税、取引に対する課税というのが長年にわたって、既に四十年以上定着している税制として、それなりの経済の中で意義のあるものだという点は御理解をいただきたいと思います。
 受取配当に対する所得税と法人税の課税の問題でございますが、これをめぐる税制というのは諸外国でもいろいろの例がございますし、我が国はシャウプ税制以来、概算でございますけれども、法人税を所得、受け取り、個人の段階で調整をするという制度を持っているわけでございます。このことが決して株式取引に対して決定的であるという問題ではなく、むしろこうした二つの税の調整のあり方、すべきかすべきでないか、すべきとするときに現行制度でいいかということは、今後の法人税の長期的な検討の中でまた議論されるべき課題であろうかと思うわけでございます。
#123
○武村国務大臣 上場基準の緩和については、これは前向きに対応していきたいと思っております。既に四月から一般的には始めておりますが、店頭登録の基準についても目下証券業協会で新しい緩和の方向で基準を議論をいただいているところでございまして、ぜひその方向で努力をさせていただきます。
#124
○伊藤(英)委員 私の持ち時間は終わりましたので、これで終わります。ありがとうございました。
#125
○佐藤委員長 この際、山本幸三君から関連質疑の申し出があります。伊藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山本幸三君。
#126
○山本(幸)委員 新進党の山本幸三でございます。
 私は、昨年の十月の三十一日、この場所で行われました税制改革に関する特別委員会におきまして、村山政権の所得税減税政策は、金利を上昇させ一層の円高を招くので、景気対策としての効果が疑わしい、金利を早く引き下げるべきだという指摘を行いました。しかるに、この内閣の皆さん方は、私のこの指摘に対して全く聞く耳を持たなかった。金利が上がり、円高になっても大丈夫だ、景気対策として十分の効果があると言ってはばからなかったわけであります。
 結果はいかがでありましたか。半年たった今日、まさに私が危惧したとおりの状況となり、円高はとどまるところを知らず、株価は低迷し、景気の先行きに黄信号がともり始めたではございませんか。政策判断が明らかに誤っていたと言わざるを得ません。
 また、こうした事態における村山内閣の各閣僚の対応ぶりは、余りにお粗末としな言いようのないものでありました。具体的で有効な対策を決断できもしないのに緊急の閣僚会議を開いたり、政策協調での合意がほとんど無理な状況なのに、やれG7だ、G7Dだと言い出して慌てて後で撤回する、日本銀行とよく打ち合わせもしないうちに金利引き下げを示唆したり、米国が受け入れる可能性もないのに円建て債発行を打診する、あるいはそれを事前に公表する等々、為替音痴の方々ばかりと言わざるを得ない。
 以上のことから明らかなように、今日の事態というものは、村山内閣の政策判断のミスと対応のまずさによる起こるべくして起こった当然の帰結であります。その意味で、村山総理の責任は極めて大きいと言わざるを得ません。
 総理、経済政策の分野では口先だけのごまかしは通用しないのです。問題あらば、第一にその原因を分析、解明し、第二に現状を評価し、第三に対策の処方せんを明確に示す、これができなければ、口で何を言おうと全く評価されないのです。今日に至るまで村山内閣はこうした作業をきちんと行っていると言えますか。私には到底そう思えない。
 そこで、まずお伺い促したいと思いますが、一番大事なことは問題の原因の分析、解明です。体、今の円の急騰は何が原因で起こっていると認識しておられるのか。先ほどは経企庁長官からも投機だという話がありましたけれども、村山総理の原因の認識、これをお伺いしたい。
#127
○村山内閣総理大臣 先ほど経企庁長官からも答弁がございましたように、その背景にはいろいろな要因があると思いますけれども、特に一番大きい原因というのは、米国経済の動向やメキシコ情勢の先行き不透明等に関する思惑を背景として、ドルが円、欧州通貨に対して下落してきておる。四月に入ってからはドル・円相場が急激に乱高下をしたほか、このところはドルが対ドイツ・マルク、対円で急速な弱みを含んでいる、こういうところに私は原因があると思うのです。
 そのために、政府としては、昨今の為替相場が、先ほど来申し上げておりますように、ファンダメンタルズで正当化されない状況となっていることは大変懸念材料だと強く思っておるところであります。
 我が国においては、公定歩合の引き下げ、緊急円高・経済対策等の発表など、政策面の努力を十分やってきておるところでございますが、これからは、決めたことについて、今御指摘もございましたように確実に実行していくと同時に、市場の動向等を注視しながら、各国とも緊密な連携をとり合って対応していくということが大事ではないかというふうに考えているところでございます。
#128
○山本(幸)委員 全く原因の説明になっていない。メキシコ通貨危機を契機にした思惑等が原因である、あとは経過の説明ですね。思惑というのは一体何ですか。いかがですか。
#129
○武村国務大臣 思惑は、当然それぞれのディーラーの予測でしょうね。それも、予測もいろいろ、直近の予測もあるし、中期、長期、いろいろな見方があるでしょうけれども、いずれにしても、今日よりも、これからの時の流れを見ながらどう動いていくかをそれぞれが予測をしていることだと、極めて主観的なものだというニュアンスはありますけれども、そういうことだと思います。
 それから、為替の動向の基本は、もう御承知のように、市場における各国通貨の需給といいますか、あるいは需給の強弱といいますか、そのことが基本で動いているわけであります。しかし、昨今のように乱高下あるいは急激な変化というのは、今申し上げたようなそういう思惑的な利害の判断といいますか、そういうものがかなり色濃く作用しているのではないかというふうに言われているところであります。
#130
○山本(幸)委員 思惑が予想だというなら、市場に参加している人で予想を立てない人なんかいない。だれでも予想を立てて行動するのです。それは本来の貿易取引であり、あるいは資本取引であり、特別の人が何か動かしているというようなものじゃないのです。
 というのは、経企庁長官は先ほど投機と言われましたけれども、投機というのは、定義づければ、いわゆる為替リスクを持つようなポジションにいるということですね。これは、日本がこれまで経常収支黒字を続けてきて、それがたまって、そして対外純資産ポジションがかなりの額になっているとすれば、それだけのポジションについてはだれかが為替リスクを負わなきゃいけない。外貨建ての資産を持っていれば日本人が負いますし、円建ての負債を持っていれば外国人が負いますし、しかし、それはだれかが必ず負っているんです。つまり、常にだれかが投機的ポジションにいるんです。それが投機なんだ。一部の人が何か勝手にやっているというのが投機じゃない。
 そうであれば、こういう投機をなくそうとか、投機で何かが起こされたとかいうのは説明にならない。私は、この村山内閣というのは、為替問題について全く理解していないと思います。
 日本銀行総裁、いかがですか。
#131
○松下参考人 御質問の為替市場の動向とその背景と申しますか、事情の原因につきまして、私も中央銀行としての立場から具体的なコメントを申し上げるということにつきましては適当を欠くという配慮がございまして、その点を個別に御説明することは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、全般的に申しまして、ただいまの実際の為替レートの動きが、例えば各国の経済動向でありますとか金利の水準でありますとか、そういったものからの説明、関連というものが認められない非常に不安定なものになっておるということにつきましては主要国の通貨当局の判断が同様でございまして、そういう点から、現在は、各通貨当局においてそれぞれ情報、意見の交換をしながら、市場に対して今後とも適切な対応をやっていこうという話をいたしておる段階でございます。
#132
○山本(幸)委員 それも為替の動きについての指摘でありまして、原因の説明ではない。私は、円高の原因というのは、短期の要因と中期の要因と長期の要因とそれぞれ分けて考える必要があると思います。
 短期の要因というのは、これは株価と一緒で――短期というのはいろいろな籍収支とか貯蓄とか投資とかいうマクロ変数が変わらない短い時間、そのときには、株価と一緒で、資産の価格としての為替レートが決まる。その場合には経常収支は関係ない、そのときは動かない。その意味で、短期的な要因としてなぜ円高が進んでいるかと考えれば、バブルが崩壊した、そして国内の不況が長期化している、不良債権が増大したというようなことから、日本の企業や投資家が外貨建ての債券に対する需要を急に低めた。あるいは、円建てで借金している途上国、円借款を持っている途上国、あるいはユーロ円債を発行している外国の企業等は、キャピタルロスが生じると、これはいかぬということで円建ての負債の需要を減らしたんですね。そういう要因。
 それから中期的には、政府が関係するのはここなんですが、財政金融政策が大いに関係する。マンデルとフレミングという人が、変動相場制のもとでは財政拡大をやれば必ず金利が上昇して、円が高くなる、その国の通貨が高くなる、したがって景気対策というのはきかない、そのときには金融政策が同時に緩和されなければだめだということを指摘した。この理論のとおりにアメリカのレーガノミックスも動いたし、最近の日本も動いてきた。
 その意味では、私は、過去二年間の日本は円高政策しかとってこなかったと言わざるを得ない。宮澤内閣のときから細川内閣から羽田内閣、村山政権。
 しかし、私は、羽田前総理のときに官邸に伺って、二回にわたって私の考えを述べて、もしこの円高の傾向をとめるためには、日本銀行に金融を緩めてもらうしかないのです、これをぜひやってもらいたいとお願いして、羽田総理は、よし自分も考えよう、言ってみようと言われたのですが、二日後に残念ながら羽田内閣つぶれちゃった。
 私はその後、村山内閣がどうするかということを見ていたのですね。そうしたら、日本銀行は村山内閣が誕生したらすぐに景気回復宣言をやった。つまり、明らかに自分たちは金融緩和政策はもうしませんよということ宣言ったのですね。これを村山政権は、私はそのときの景気回復宣言もさしたる理由がなかったと思っていますが、しかしそれを見抜けなかった。日本銀行のそういう姿勢に対して何らの注文をつけることもなかった。そのことがこの中期的な理由による円高をもたらした。これはまさに理論が示すとおりになってきた。
 それから、長期的な要因ですけれども、これは購買力平価というのがよく言われます。そういう考え方もあります。しかし、購買力平価というのはその国の交易条件が一定であるという前提に立っている。交易条件というのは輸出価格と輸入価格の比率ですが、もしこの交易条件が何らかの内部の、内的な理由によって向上していくとこれは円高になる。
 したがって、その内部的な要因というのは何かと見ると、日本の成長率よりも周辺のアジア諸国の成長率の方が非常に高かった、これが一つ。それから、日本では輸入節約的な技術革新が生まれた、これが一つ。それから、日本の産業には、非常に海外の需要がふえたという要因ですね。
 そういう意味で、短期、中期、長期の理由から円高になるようなことを進めていると私は思うのですね。
 そこで、時間もありませんから最後に、それじゃ、対策として出てきているものを見るとどうか、どう評価するかということなんですが、この政府の出した対策で、私はどうもその考え方がよく整理されていないように思えるのですね。つまり、円高を本当に直そうとしているのか、あるいは経常収支の黒字を直そうとしているのか。
 例えば、先ほど申し上げたように、財政拡大、赤字国債をやればこれは円高要因。規制緩和、輸入促進したら、これは、輸入は促進するけれども所得水準は下がって、金利は下がって、その結果為替レートは安くなって、経常収支黒字は変わらない。あるいは、円の国際化は円高要因。
 そういうふうに、いろいろな効果が全然逆に出るようなものがごっちゃになっている。そういう意味では、私は実効が上がらないと思うのですが、総理、最後に一言、どのようにお考えですか。
#133
○村山内閣総理大臣 いろいろ意見はあると思いますけれども、これはやはり背景についてもいろいろな要因は私はあると思いますよ、どういう点が一番大きな影響力が出ているかということの格差はあると思いますけれども。
 したがって、そういう状況というものを十分踏まえた上で、当面はこの日本経済の現状というものをどう見るかといえば、これは緩やかな成長をなしつつあるという発表もありましたけれども、しかし、急激な円高によって、むしろ逆にデフレ的な傾向さえ見られるような状況にあるのではないかという厳しい認識というものがやはり必要である。
 ですから、この日本の経済の現状をどう景気回復をさせて緩やかな成長の基調というものを堅実なものにしていくかということも大事なことですし、同時に、円高に対する対応としては、これはやはり、内需を拡大していくということが今申し上げました景気の回復につながる問題でもありまするし、その内需の拡大をすることによって、輸入をできるだけふやして貿易収支の黒字も減らしていく、大幅に減らしていく、こういう総合的なやはり対策を立てていかなければ、どれをとれば解決するというようなものでは私はないというふうに思います。
 現状置かれておる日本経済の全体の情勢というものを的確に把握をしながら、景気の回復と貿易収支の黒字の削減と、同時に、そのことに関連をした規制緩和を十分やって、そして均衡のとれた形で国際通貨が安定できるような基盤に役立つ、日本としてしなきゃならぬことは十分やっていこうではないか、同時に、そのことも踏まえた上で国際協調もやって、そして為替レートが本当に皆さんが納得できるような形になるような方向に努力していくことが大事ではないかというふうに考えています。
#134
○佐藤委員長 これにて伊藤君、山本君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉井英勝君。
#135
○吉井委員 昨日、一ドル七十九円七十五銭というふうに、史上最高値をまた更新いたしました。地場産業それから輸出関連の産業、そして農水産業などは、まさに存亡の危機に今立たされております。
 十四日に、日銀は公定歩合を一%に引き下げましたが、これで、年金暮らしの老人世帯にとっては、預貯金の目減りで生活設計が狂ってくるという深刻な事態になっております。
 総理は、考えられるあらゆる範囲の対策をすべて盛り込んでつくったと語ったわけですが、政府の対策には、一番肝心なドル安・円高の是正にメスを入れるということが抜けております。
 昨日、記者会見で、クリントン大統領は、強いドルということは口にはいたしておりますが、アメリカはドル安容認で、世界の基軸通貨となっているドルの地位を、これを維持しょうとしながら、維持するに必要なアメリカ自身の責任を果たすという、そういう決意を示しはしませんでした。自分は指一本動かそうとしないで、日本にだけ、まだ対策は足らぬとばかり注文をつけるだけのアメリカの姿勢をそのままにしておいたのでは、これは解決にはならないわけであります。
 総理は、十七日の記者会見を見ておりますと、そのうち米国も対策を示してくれるだろうとの期待感を表明したと伝えられておりますが、アメリカの対策待ちという姿勢ではなくて、アメリカ側の要因であるこの貿易赤字と財政赤字を解消する、そのための具体的なプログラムを示せということを求めるなどを含めて、このドル安の是正をアメリカの責任で行うようにと、これを毅然として申し入れるということが、私は、総理としてまずなすべきことだと思いますが、この点、どうでしょうか。
#136
○武村国務大臣 日米間には、先ほど来議論がありますように、いわゆる経常収支の日本側の黒、アメリカ側の赤という現実が長い間続いているという問題があるのは事実でございます。しかし我々が、日米間でもあるいはG7でも真剣に見詰めておりますのは、もちろん通貨を安定させるということが目的でありますが、各国のマクロ政策、経済的な矛盾をきちっと乗り越えて対応をしていく努力が必要だということが共通の認識でもあります。
 今お話がありましたように、そういう意味ではアメリカの二つの赤字というのは、これはもうアメリカもみずから認めておりますし、世界各国も絶えず指摘をし、アメリカにその改善を期待しているところであります。
 日本に対しては、さまざまありますが、何としてもやはり、G7の中でもあるいはアジア諸国の中でも一番経済の回復がおくれております。そういう状況の中で、景気の回復を含めた内需の拡大ということに世界が期待をしているところであります。
 そんなところはお互いきちっと見詰めながら、来週のG7におきましても真剣な論議をしなければならないというふうに思っております。言うべきは、アメリカに対してもヨーロッパに対してもきちっと言わなければいけないというふうに思っております。
#137
○吉井委員 ドイツ連邦銀行のティードマイヤー総裁は、十一日、イタリア上院で演説して、通貨の安定には通貨の弱い国が自己責任を果たすことが原則である、何より為替変動を引き起こしたみずからの原因に対する断固とした姿勢が不可欠である、こういうふうに述べて、名指しこそ避けたものの、アメリカの具体的な行動を求めたということが伝えられておりますが、私は、今日本政府としてこういう毅然とした姿勢を貫くということがまず求められる、このことを指摘しておいて、次に、円高を生み出した日本の要因について入っていきたいと思うんです。
 貿易黒字がこの要因だということは総理も認めていらっしゃるわけですが、この黒字というのは、農業や地場産業によって生み出されたというものではありません。九三年の輸出企業実績というのを少し見てみますと、トヨタ自動車から、一位ですが、松下電器、本田技研、日産自動車、三菱自動車、ソニー、マツダ、東芝、キヤノン、日立製作所と、キヤノンを除いて、自動車、電機が上位十社で、これで日本の輸出総額の三四・七%を占めているわけですね。これを含めて上位三十社で輸出額の五二・八%を占めているわけです。そして、こうして生まれた大きな貿易黒字が円高をもたらしたわけでありますが、じゃ、どうして貿易黒字が生じてきたのか、このことについて少し議論をしたいと思うんです。
 実は私は企業の円高対策というのを、どういうふうに進めているか、昨年も調査に行きました。例えばトヨタに行きますと、一次から四次の下請企業に対して、三割から五割の単価切り下げが行われています。コストダウンという言葉を聞いて行ったんですが、スーパーコストダウンという言葉まで生まれていて、何と昨年で千五百億円の原価削減が行われました。季節工の方は、九〇年の三千人が昨年十月現在で百人に激減。新卒の採用者が、九一年春には四千五百人でしたが、ことしの春では千百二十人と八割近い削減。つまり下請いじめと人減らし、こういうふうなやり方で異常に強い輸出競争力を身につけて、日本一の、三兆三千億円ぐらいになりますが、輸出額を占めているわけですが、これが貿易黒字を大きくして新たな円高要因になってきた。ここに問題があると思うんです。
 これは私が勝手に決めつけて言っているわけじゃないんです。実は、野村総合研究所の研究員の方がトヨタ自動車についてのレポートをまとめております。それを見ておりますと、円高の進展が経営危機を招くことになりますが、そうするとコストダウンに走って、これが、その中で輸出競争力を回復して、そして貿易黒字を生み出して円高の進展につながってきたという、この研究員は、こういう「過去二十年繰り返してきた「悪魔のサイクル」から脱却するためには、輸出の減少」「自ら「貿易黒字」を縮小することが必要である。」というふうに指摘しています。
 そこで、総理に伺いたいんですが、日本の円高を生み出した構造要因というのは、この悪循環、「悪魔のサイクル」によって、一部の巨大企業が異常に強い国際競争力を身につけて大きな貿易黒字を生み出し、これが円高をもたらした、このことをきちんと認識していらっしゃるかどうか、これを伺いたいと思います。
#138
○橋本国務大臣 総理へというお話でありましたが、例示として自動車を挙げられましたので、事実関係として私の方からお答えを申し上げたいと思うのであります。
 確かに、自動車の輸出というものが、従来からさまざまな形で議論をされてまいりました。しかし、例えば一九八五年には輸出台数は六百七十三万台でありましたものが、九二年には五百六十七万台に、そして九二年から九四年、この二年間の間に、その台数は四百四十六万台にまで減少をいたしております。金額ベースにいたしましても、円ベースで九二年は七兆六千億円ありましたものが、九四年には五兆七千八百億円にそれぞれ下がってきております。これは現実の数字として御認識をいただきたいと思うのであります。
 そして、私は、今委員が述べられました言い方は、大変極端な形容詞を用いられましたけれども、確かに自動車、主要自動車メーカーは百円のレートというものを前提にしながら、関連部品メーカーと一体となりまして、抜本的な部品点数の削減でありますとか素材の見直しによりまして三年間で調達コストを三割カットするという計画を策定して実施をしてまいりました。これは、やはり自動車産業としての競争力を持つ、そうした視点から、メーカーから下請まで一体になって進めてきておる施策だと思います。
 ただ、今委員の御指摘になりました方向をそのまま延ばしていきますと、自動車の輸出を抑えればすべてが済むようなお話になってまいりますけれども、それは私は大変問題になることだと思います。なぜなら、今の状況の中で、輸出の減少というものはそのまま国内生産の縮小を招きます。そして、その結果、まさに経済サイクルは悪循環に陥っていく懸念があるわけでありまして、これは対外収支の改善をも阻害することになります。私どもといたしましては、そうした点も十分御考慮に入れていただきたいと考えております。
#139
○吉井委員 「悪魔のサイクル」というのは、私のつくった言葉じゃないんです。野村総研の研究員の方の言葉なんです。
 昨年十月にトヨタは、コストを三〇%下げて、一ドル八十円になっても競争できる車を年産十万台レベルで生産するということを想定しているということを発表しました。これは、今日の事態が、まさに一部大企業の「悪魔のサイクル」によって円高が進んできたということを証明していることになるというふうに思うわけです。
 次に、京セラの稲盛会長は、ことし三月九日に、今回の円高に関する提言というのを発表しておられますが、これまで日本企業は、円高になるたびに、価格競争力がなくなることをおそれ、生産の合理化を必死に進め、その結果としてさらなる円高を進めることになった。私はこのような悪循環を断ち切ることが必要だというふうに主張して、アメリカの製造業は日本からの部品や生産財の輸入によって成り立っているとさえ言われており、幾ら円高になっても日本企業が製品値上げをしないため、アメリカはドル安の痛みを感じていない。もし今回の一ドル九十円レベルをも生産合理化によって値上げを回避すると、それはさらなる円高を招くことになり、近い将来、日本の産業界全体として対応し切れない円高レベルになる。日本経済は深刻な危機に直面すると彼も言っております。
 総理、財界人でさえこういう認識を今持っているわけです。円高の構造的要因というのは、やはりこういう悪循環の問題があるのであり、これを断ち切らなきゃならない、このことを総理はお考えになりませんか。
#140
○橋本国務大臣 私は、ここで誤解のないようにしていただきたいと思いますが、先ほど例に引かれました自動車でありましても、また電機でありましても、日本のそれぞれの産業は、為替の上昇と多少の時間差はありますけれども、価格は是正をいたしております。もしそれが行われていなかったならば、ダンピング規制でやられちゃっているんです。現実にダンピング規制を受けない。それは、為替の上昇に応じて、当然のことながら企業として合理化の努力はするでありましょう。しかし、それで吸収できない部分は価格を引き上げておるわけでありまして、これは現実の数字としても申し上げられるものがございます。必要ならばそれらの数字を申し上げてもよろしゅうございますけれども、価格を上げていないという言い方は大変私は誤解を招きやすいので、為替の水準に追随しながら価格は上がっている、それはダンピング規制を受けていないことでも事実としてお認めをいただきたいと思うのであります。
#141
○吉井委員 経団連副会長当時のソニーの盛田会長が、九二年の「財界フォーラム」という、この雑誌ですね、この中で、この一月号で、日本の上位三十社が輸出の五〇%を占めているとした日本共産党の新聞赤旗を紹介しながら、この三十社が一緒に値上げをすれば貿易摩擦は一遍に解消するのではないかと言う人さえいるという、そういう話も紹介して、さらに、この三十社が世界に災いを振りまいているかもしれませんと彼は指摘していたわけです。
 盛田氏はまた、「「日本型経営」が危い」という論文の中で、コスト割れの価格でも売るという日本企業の姿勢は、欧米のルールからすれば異常である、日本企業は、労働時間の短縮とか豊かさを実感できる給与水準の実現とか、下請企業などの取引先に対する価格や納期に対して配慮する必要があると言っていたわけです。
 これをこの三年間実行していたら、こんなにひどい円高にはなっていなかったでしょう。また、そうしてこそ国民の消費購買力を高めて内需の拡大に進むことになるわけです。
 政府として、輸出大企業が円高を口実に労働者や関連下請企業に対するリストラの強行をやめて、労働条件や下請取引の改善など社会的責任を果たすように、総理として強力な申し入れを行うべきだと思うのです。これは実は、九一年四月二十五日には、アメリカから輸入拡大の圧力を加えられたときには、日本の大企業三百十六社を集めて協力を求めて、輸入拡大計画をつくらせ実行させてきたという例もあるわけです。
 ですから私は、今そういう強力な申し入れというものを総理として行うべきだと思いますが、この点はどうでしょうか。
#142
○村山内閣総理大臣 この急激な円高の中で、今お話がありましたように、輸出産業に携わっている皆さん方が、企業が、円高に対応しても輸出ができるようにコストダウンをする、そのコストダウンのしわ寄せが下請やら中小企業の皆さん方にかかっている、締めつけにかかる、こういう悪循環を繰り返すのではないかと。また反面、コストダウンではなくて、コストを上げても日本の製品は売れるという品質の改善と技術の開発に取り組んでやっているところもある。いろいろさまざま私はあると思うのですよ。
 あると思いますけれども、しかし、これからやはり国際経済の中における日本の企業というものが、どのようにして新しい分野を開発をして、そして国際競争力に勝ち得るような体質を持つかという、構造改革はもちろん進めていかなきゃならぬと思いますし、そのために政府もその方針というものを打ち出して考えているわけです。
 同時に、そうした大きな経済の動きの中で、円高によってこうむる中小企業のやはり厳しさというものは当然あるわけでありますから、それに対する対応というものも十分手だてを講じながら、お互いに共生できるような経済政策というものを推し進めていく必要があるという視点から、今真剣な取り組みをいたしておるところでありますから、御理解をいただきたいと思います。
#143
○佐藤委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。
 次に、海江田万里君。
#144
○海江田委員 日銀総裁にお越しいただいておりますからお尋ねをしますが、朝方の唐沢委員への答弁、それから先ほどの山本委員への答弁にもございましたけれども、今のこの円高是正について金融政策がどこまで効果を上げるのかということについて、私は、総裁の御答弁はかなり懐疑的ではないだろうか、円高を是正するための金融政策というものは余り効果がないんじゃないだろうか、そういう認識を持っておるんじゃないだろうかという見方なんですが、いかがでしょうか。
#145
○松下参考人 私どもは折に触れまして、金融政策を発動しますときに、それは為替のレートでありますとか株価でありますとか、そういう個別具体的なものを政策対象とするのでなくて、しかし、それらの影響も含めました全体の総合的な経済判断に従いまして適切な金融政策を選ぶことにいたしておりますということを申してまいったわけですけれども、今回私どもが行いました公定歩合の引き下げも、それに先立ちます短期市場金利の低目誘導の措置も、そのような観点から行ったものでございます。
 私といたしましては、そういう措置がとられましたことによって日本の国内金利が全般的に大幅に低下をいたしますと、それは一方で経済の回復力に対しては強力な支えになると思っておりますし、またそのことが株式市場なり為替市場なりにつきましても、時間はかかるかもしれませんが、好ましい影響を与えることになろうというふうに考えております。
#146
○海江田委員 金利の引き下げが株式市場ですとかそれから景気対策で効果があるというのは私も認めるところなんでありますけれども、やはり為替市場に対する影響ということでは、ちょっとこちらに表をつくっておりまして、皆さん方のお手元には紙をお配りをしてございますけれども、赤い線の方が日米の金利差で、そして青い破線の方が円ドルの相場でございますけれども、日米の金利差が広がっておる。これはもちろん、アメリカの金利が上がっておって日本の金利が下がっておりますから日米の金利差は広がっておるのですけれども、ところが一向に、この為替レートの方は円高が進んでおるということで、とりわけ九四年ぐらいから、実はもう金融政策が円高是正に対して占める役割というのは、かつての八〇年代それから九〇年代の前半ほどな意味合いは持たなくなっておるのじゃないだろうかという認識を私は持っておるので、本当は日銀もそういう議論がかなり活発になっておるのだろうと思いますが……。
 ところが、武村大蔵大臣ですとか高村経済企画庁長官は、大変残念なことでありますけれども、武村大蔵大臣は昨日も、公定歩合の引き下げというものが円高是正に役に立つというような御発言をなさっておりますが、本当にそう考えていらっしゃるのですか。
#147
○武村国務大臣 それは本当にそう考えて申し上げているつもりでありますが……。
 議論としては、金利の自由化の時代を迎えておりますから、公定歩合の役割が変わってくるということはかなり前から言われているところでありますが、結果論で、やはり公定歩合を引き下げられたことが国内でも、国外も含めて、それはかなり私と同じような素直な評価が非常に多いということから、率直に評価をしていいのではないか、我が国の経済情勢に対して金融面から最大のサポートを決断をされたというふうに評価をいたしております。
#148
○海江田委員 どうしてそういうことを言いますかといいますと、円高それから景気対策が羅列をされておるのですね。やはり一番大事なのは優先順位をつけることで、私はやはり今の円高対策ということでいいますと、とりわけ投機筋ですとかアメリカは何を一番言っているか、何をドル安・円高にすることのエクスキューズというか、理由づけをしているかというと、決して日米の金利差なんかではありませんで、これはあくまでも日本の市場の閉鎖性、規制の緩和が一番大きな問題なんですね。
 ですから、やはり優先順位をつけるとき規制の緩和に第一のポイントを置くべきであって、その規制の緩和が、大変残念なことであります、三月に出したものがそのまま同じで、これを五年でやるところを三年でやるよという話ですから、それなら最初から三年でできるじゃないかというふうにとられてしまいますので、その規制の緩和が第一番に大変大切なんだという認識が、総理、おありかどうか。
#149
○村山内閣総理大臣 それは、規制の緩和が今御指摘のように影響が大変大きいということを前提にして、五年というものを三年に無理をして前倒しをして、しかもそれは単に前倒しをしただけではなくて、やれるものは年内にでも直ちに手をつけてやろうじゃないかといって真剣な検討もしておるわけでありますから、認識については私は相違はないと思います。
#150
○海江田委員 あともう一つだけですけれども、国際金融制度、国際通貨制度が、そろそろ制度疲労が起きているのじゃないだろうかという説もあるのですね、これは。
 例えば、最初は固定制度でいったのを、今度は変動制度にした、その変動制度もいろいろ問題があるんじゃないだろうかということで、例えば直接投資のところと、資本投資のところと貿易投資のマーケットを切り離しをするとか、それからスポットで、それこそホットマネーが流れ込むところは税金をかけまして、それで短期の投資、それこそまさに投機に対して一定の規制をかけようじゃないかという案も出ておるのですが、そういう国際通貨制度の見直しとか問題意識というのは、あるかないか。それだけでよろしゅうございます。
#151
○武村国務大臣 国際社会では、議論としてはございます、G7でも。
 それで、今おっしゃったようなタックスをかけるとか、午前中ありましたようにターゲットゾーンを設けるとか、その他いろいろな提案がされておりますが、G7も含めて国際社会全体がその方向で一遍真剣に考えてみようかと合意できそうな知恵がまだ浮かんできていないという状況であります。
#152
○佐藤委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして円高等経済問題についての集中審議は終了いたしました。
 午後三時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後一時十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時三十分開議
#153
○佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 サリン問題等について集中審議を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野呂田芳成君。
#154
○野呂田委員 最初に、サリン事件等におきまして犠牲になられた方々に対し、深甚なる哀悼の意を表するとともに、サリン事件やオウム問題におきまして昼夜を分かたず捜査活動に従事されております現場の警察官の皆様方及び関係の皆様方に対し、深甚なる謝意を表する次第であります。
 私は、まず、サリン事件やオウム真理教の問題と外国との関係についてただしておきたいと思います。
 それは、主にロシアとの関係でありますけれども、今後日本とロシアが恒久的に平和と友好というような外交を継続していく意味でも、この際、こういう問題についてきちっとただしておかなければ悔いを残すことになりかねないと思いますから、そういう観点からまず申し上げたいと思います。
 例えば、サリン生成の技術や製造のプラントは学生を集めてできるものかどうか、こういうことを考えますと、それはとても無理だというのが私が勉強した成果でありまして、どうもその生成技術や機材は外国からの輸入じゃないか、こういう意見が大変強うございます。
 オウム教が所有していたロシア製の外国の毒ガス探知器や旧ソ連の突撃銃AK47を模した大量の部品、こういうものが清流精舎の工場から見つかったわけであります。あるいは、オウム真理教が旧ソ連製の軍用ヘリコプターを所有している。どうも調べると、これは幾つかに分解して持ってきたそうでありますけれども、これも専門家に聞きますと、とても簡単に組み立てられるものじゃない、こういうふうに考えてみますと、これは組み立て技術もやはりそういうところからのノウハウを借りているだろう。あるいは、オウム真理教の会員がロシア軍の元将校からヘリコプターの操縦訓練を受けていたという報道もあります。
 こういうことを考えると、どうもオウム真理教と外国との関係が大変大きな関心事になってくるわけでありますが、この点について総理の御感想をまずひとつお伺いしたいと思います。
#155
○村山内閣総理大臣 答弁をする前に、今野呂田委員からも御発言がございましたけれども、松本のサリン事件で死者が七名、負傷者が約三百名、それから地下鉄サリン事件で亡くなられた方が十二名、負傷者が約五千名、それからきのうの横浜の事件で、これは亡くなった方はございませんけれども、負傷者が約四百四十名、うちまた入院して治療している人が十一名おられる。こういう事件が相次いでいるわけでありますが、亡くなられた方々に心から御冥福をお祈りし、哀悼の意を表したいと思いますし、また、負傷された方々には心からお見舞いを申し上げたいというふうに思っておるところでございます。
 それから、今お尋ねがございましたロシア政府との関係でありますけれども、政府といたしましては、ロシア政府の高官とオウム真理教との関係については承知いたしておりません。また、オウム真理教の問題がロシアとの外交関係に悪影響を及ぼすといったようなことについても、今のところ考えておりません。
 しかし、いずれにいたしましても、オウム真理教の内外での活動については、日本の国内はもとより、諸外国においても大きな関心と懸念が示されておるというようなことにつきましては十分承知をいたしておるところでございますから、一日も早くこの事態が解明されるということが何よりも大事ではないかということを痛感しておるのが現在の心境であります。
#156
○野呂田委員 それでは、だんだんとこの問題の解明を試みたいと思いますが、まず、少し事件の背景について考えてみたいと思います。
 ペレストロイカの進展の中で、ポポフ・モスクワ市長は米ソ大学構想の実現を推進いたしました。これは、当時共産党の支配下では不動産の私的所有は禁止されていたという事情を踏まえまして、米国の資金を利用して大学を設立して、ソ連側の個人が合法的に不動産を自由に利用できることをねらって進めた構想だと言われております。
 この構想をまねまして、日本の資金を利用して大学を設立し、不動産などを合法的に入手しようとするねらいによって推進されたのが日ソ大学、現在は日ロ大学構想でありますが、一連の報道によりますれば、日本側の企画推進者は前の新進党代議士の山口敏夫氏でありまして、その実務面の担当は、当時山口議員の秘書でありました現新進党代議士の柴野たいぞう氏であると言われております。
 一九九〇年一月の安倍晋太郎元幹事長の訪ソの折に八項目の友好推進事項がうたわれ、そのうち文化交流の推進と青年交流の推進が大きな柱となりました。当時、山口議員は日ソ大学構想を推進事項に加えるように働きかけましたが、安倍団長が時期不道当ということで反対し、その結果妥協の産物として今の二つの柱が加えられたと承っております。その後、山口氏の秘書は、モスクワに長期滞在して、ソ連共産党中央などのソ連側の窓口と実質的な準備を進めたと言われております。
 なお、一連の報道によれば、日ソ共同大学をモスクワに設置する構想の予定の出資グループの中には、当初、現在政界を揺るがしております高橋治則率いるイ・アイ・イ・インターナショナルや日本長期信用銀行も名を連ねていたと言われております。
 外務大臣がきょうはおりませんので、恐縮でありますが、重ねて総理大臣に、これらの事情を政府としては掌握されているかどうかお伺いしたいと思います。
#157
○西田政府委員 お答えいたします。
 オウム真理教と日ロ大学の関係につきまして、日ロ大学が九一年の十一月にロシアにおきまして、学術、経済、人道その他の幅広い分野にわたりまして国際的な対話を発展させるための国際的社会団体として創設された、実態としてビジネスセンターのごときものであったということは承知をしておりますが、それ以上のことについて政府として現在時点で承知をいたしておりません。
#158
○野呂田委員 最近の書いたものによりますと、山口敏夫氏はインタビューに答えて、おれは証人喚問をしてくれる方が一番いいんだ、いろいろなことが言えるわけだから、証人喚問をしてほしいということを述べておりますが、我が党もこの問題については同氏を証人喚問したいと思っております。ぜひ山口さんの御希望をかなえて証人喚問をしたいと思っておりますので、この問題はちょっとこれでやめますけれども、一九九一年の八月のクーデター未遂事件以降、既存のカウンターパートが権力を失いまして、また、山口議員自身がソ連軍のバルト進攻を非難したことから、九二年の三月ごろまでには同議員は構想から撤退したと言われております。
 山口代議士の秘書の通訳やあるいはロシア側の仲介役として動いたのは、株式会社新時代社の専務で、モスクワ駐在の事務所長をされていた方と言われております。ソ連からロシアへ転換の後、当初の考えを日ロ大学構想という形で日本において推進したロシア側の人物が、ロシア情報機関と言われる当時の在京ロシア大使館の公使であったと言われている方であります。
 ところで、国家公安委員長にお伺いしますが、この元ロシア大使館公使が、かつてアメリカで出版されたKGBの暴露本にも登場する、大物諜報員として出てまいりますが、現在は國松警察庁長官の住んでおられる同じマンションに住んでおられて、しかも、大変不可解なことでありますが、原子力産業会議の顧問という職についておりますが、こういうことは国家公安委員長、よく御存じでございましょうか。
#159
○杉田政府委員 お答えいたします。
 委員御指摘の事実は承知いたしております。
#160
○野呂田委員 それでは、この元公使が現在原子力産業会議においてどういう役割を果たし、どういう仕事を担当しておられるか、科学技術庁にお伺いします。
#161
○岡崎(俊)政府委員 お答えいたします。
 昭和三十一年に設立をされました社団法人の日本原子力産業会議によりますと、一九九三年二月以来、御指摘の方を、同会議のロシア協力に関する嘱託、非常勤ではございますけれども、にしております。
 具体的には、原子力産業会議が、ロシアの関係機関との原子力の平和利用に関する協力協定を締結しておりますけれども、その平和利用を進めるに当たりまして、交流のテーマでありますとかあるいは関係機関との連絡等について同氏から助言を得ている、このように承知をいたしております。
#162
○野呂田委員 ある専門家は、今の科学技術庁の答弁にありましたとおり、ロシアからのいろいろな情報を得るために雇ったと言われておりますけれども、これは日本の情報を提供するために役立っているだけじゃないか、こういう話もありますが、その点についてはいかがお考えですか。
#163
○岡崎(俊)政府委員 あくまでも、原子力産業会議がロシアの関係機関との協力協定をうまく円滑に進めるための助言を得ているということでございます。
#164
○野呂田委員 原子力産業会議は科学技術庁の所管するところであるとするならば、この問題についてはもう少しひとつ深い検討をお願いして、この問題については打ち切ります。
 この元公使は、山口敏夫議員が撤退した後、日本側の新たなカウンターパートを求めて、資金的に豊かな団体、新興宗教などに声をかけたが、その中にはオウム真理教も含まれていたわけであります。麻原代表は、その呼びかけに積極的に応じて、モスクワを訪問し、ハズブラートフ最高会議議長やロボフ第一副首相らと面会したことになっております。そして後、ハズブラートフ議長は手を引きまして麻原代表との関係は切れまして、モスクワのカウンターパートの中心としてロボフ書記がクローズアップされてくるわけでありますが、そこに資金を継続的に投入して今日に至っている、こういうふうに言われております。
 そこで、このような背景をもとに今度のオウム真理教の一連の問題を考えてみたいと思いますが、旧ソ連製の軍用ヘリ、ミル17や毒ガス探知器の購入あるいは旧ソ連の突撃銃AK47の類似部品が清流精舎と呼ばれる工場で大量に生産されていた、こういう事実は、いかにロシアが武器を野放しにしているとはいえ、まことに異常なことでありまして、オウムは旧ソ連軍諜報部GRUと格別の深いつながりがあったのではないか。
 この点については、これは国家公安委員長ですかな、ぜひひとつお考えをお伺いしたいと思います。
#165
○野中国務大臣 委員がただいま御指摘になりましたような、さまざまな情報がありますことは承知をいたしております。また、捜査中、ソ連製のいわゆる自動小銃の部品と類似したものが発見をされておることも承知をいたしておりますが、重大な関心を持ちまして、なお警察当局より詳細な調査をやってまいりたいと考えております。
#166
○野呂田委員 注目すべきことは、このロボフ氏が、九三年に安全保障会議の書記に就任しました。国家最高決定機関である安保会議を総括する書記は、軍部や情報機関あるいは外務省に強大な影響力を持っていると言われております。
 例えば、サリンなど一連の化学物質製造技術や調達あるいはAK47ライフル銃の製造技術提供、うわさされる軍特殊部隊スペツナズとの接触あるいは麻原代表の数次入国のビザや便宜供与などもそのラインで考えられないか、重ねて国家公安委員長の所見を尋ねておきたいと思います。
#167
○野中国務大臣 オウム真理教のロシアにおきます活動実態につきましては、既に警察庁におきまして、ロシア当局との情報交換に努めておるところでございまして、この所要の措置を通じまして、今後ともさらに、国内外の関係情報の的確な把握と、捜査の進展に伴いましては実態の解明を進めてまいりたいと考えております。
#168
○野呂田委員 オウムの外報部長は、信者の中にロシア軍化学部隊の兵士がいることを認めております。また、一連の報道によれば、オウム教が教団のために警備会社を設立し、その幹部にKGB出身者が二名含まれていることも明らかだと言われております。あるいは、去年九月から十月にかけて、中田清秀以下七名が旧KGBの元隊員の警備会社で射撃訓練を受けまして、相当な腕前に達しているとも報道されております。
 ロシアの下院に設置されたオウム真理教の活動調査委員会のサビツキー委員長は、オウムのロシア進出に当たって旧KGBなどロシア情報機関が深く関与していた可能性が高い、こうロシアのオウム真理教の活動調査委員長が証言しております。また、これを裏づけるように、去年には、オウム真理教の関連会社、オウム出版社が、旧ソ連のKGB特殊部隊の軍事マニュアル、教本を大量に購入していた事実もあります。
 このように、オウム問題はロシアでも大きな問題になっておりまして、ロシア大統領府は四月十二日、エリツィン大統領がオウム真理教のロシアでのすべての活動状況を調査するよう、ロシア検事総長と連邦保安局等関係各機関に指示したことを明らかにしました。大統領はまた、日本の捜査機関との相互協力の必要性を指摘しております。
 また、先般、某テレビ放送でガイダル首相代理は、ロボフ氏の安全保障会議の書記を解任すべき可能性を示唆した上で、日本政府から何ら連絡がないとして対応に不満を漏らしておりましたが、日本政府はロシア政府とどのような接触をしているのか。きょうは外務大臣がおりませんので、恐縮ですが、重ねて国家公安委員長にこの点についてお伺いしたいと思います。
#169
○西田政府委員 お答えをいたします。
 ロシアにおけるオウム教のやりとりにつきましては、以下のとおりでございます。
 これまでも外務省としましては、在外公館を通じまして必要に応じ情報の収集を行っているところでございまして、現在ロシアにおきましても、ロシア側による捜査が行われている、あるいは裁判が引き続き行われている状況でございまして、そのような事情を十分に踏まえつつ、関係当局とも相談をして、今後さらに情報を収集したいというふうに考えております。
#170
○野呂田委員 あなたに文句を言うのほかわいそうだけれども、きょうは大臣がいないので我慢しますけれども、私は、どういうふうに進めているかというのでありまして、相談しているということを聞いておるわけじゃありません。中身を聞いているのですけれども、しょせんあなたじゃ答えられぬだろうからやめます。
 重ねてお伺いしますが、エリツィン大統領は、三月二十三日の安保会議でオウム問題を取り上げまして、日本からロシアにサリンなどの物質が持ち込まれていないかどうかを調査することを命じた、こういうふうに言いまして、日本への不快感を表明しております。
 ですが、これはどうも日本が主張すべきことではないか。サリンなどというものは、もともとナチス・ドイツかあるいはロシアぐらいしか持っていなかったものでありまして、この大統領の発言はどうも逆じゃないかと思いますが、この点について総理にひとつ。
#171
○野中国務大臣 御指摘のようなさまざまな情報がありますことは私どもも承知をいたしておりますが、警察庁といたしましては、捜査員を現地に派遣をいたしまして内容を捜査をしておるところでございます。
#172
○野呂田委員 聞いておりますと、日本の政府はどうもこのような外交的な問題については一向に把握していないということがだんだんわかってまいりまして、むなしい感じでありますけれども、重ねてお尋ねいたします。
 このような動きを見できますと、今回の一連の事件はオウム真理教教団を超えた国際的陰謀とする見方もあるし、人によっては間接侵略として、日本の宗教団体を拠点に利用しているのじゃないかと懸念している報道もあります。あながち私は否定できない面も、今申し述べたとおりのことで、あると考えられると思いますけれども、この問題については、これは重大な問題でありますから、官房長官にひとつお伺いしておきたいと思います。
#173
○五十嵐国務大臣 いずれにいたしましても、御案内のように現在慎重に捜査中でございますので、ここでお話し申し上げる範囲のものでない、こういうぐあいに思います。
#174
○野呂田委員 それならば総理にお伺いしますが、これからのロシアとの関係、向こうの大統領も日本と相互に調査をしたいと言っておるわけですから、せっかくの呼びかけですから、総理としてはエリツィン大統領の呼びかけにどのように応じてこの問題を解明していくつもりか、その決意のほどを伺いたいと思います。
#175
○村山内閣総理大臣 そういう呼びかけがあれば、必要に応じて情報の交換もするし、また、捜査に必要なことがあれば、その必要に応じて対応していきたいというふうに考えます。
#176
○野呂田委員 次に、国家公安委員長にお伺いしますが、新左翼の活動がどうも挫折しまして、今、新新左翼ともいうべきグループが、私は、あるいはオウム真理教に結集して、宗教法人のガードに守られながら反体制の実力行使をしている懸念はないか。どうもこの宗教団体に知能指数の高いエリートたちがたくさん集まるという中には、あるいはそういう観点から国家公安委員長としては重大な関心を持つ必要がないかと思いますが、その点についての御見解を聞いておきたいと思います。
#177
○野中国務大臣 現在、そういう事実関係は承知をいたしておりません。しかし、御指摘のことはよく今後の課題としてわきまえてまいりたいと存じております。
#178
○野呂田委員 私は、オウム教団の内情を調べることも喫緊の要務でありますけれども、日本の平和というものを考える場合に、こういった観点から公安調査庁やあるいは警察庁がもう少しこういう問題に関心を持って取り組んだ方がよいかと思いますから、この点については強く要請しておきたいと思います。
 次に、破壊活動防止法の問題についてお伺いしますが、五十嵐官房長官は、どうも再三にわたりまして、地下鉄サリン事件やオウム真理教の問題について、破壊活動防止法の適用については考えていない、こういうことを言われておりますが、現在でもその考えにはお変わりはないか、その点についてお伺いします。
#179
○五十嵐国務大臣 委員御指摘の問題につきましては、公安調査庁として重大な関心を持って情報収集に鋭意努めているということは聞いているところでございます。
 破防法の適用につきましては、特定の団体がどのような行動をしたかということがまだ明確にされていない段階でありますので、お答えしかねるところであります。
#180
○野呂田委員 今の段階では明確ではないからということならばわかりますが、破防法の適用については考えられないような主張を申されているならば、私は大いに疑義があると思っております。
 なぜならば、まず、地下鉄サリン事件は霞が関を中心にして発生しました。特に、警察庁や警視庁の職員の登庁時間をねらって発生したものであります。というのは、他の役所の登庁時間は九時十五分からでありますが、警察関係は八時半からの登庁になっております。その十五分前をねらって、しかも警察庁を真ん中にして、五本の電車すべてこの出口をねらってサリンを置いているということは、これは一〇〇%警察庁職員をねらったものであります。
 とするならば、この行為は明らかに国家の行政組織の中枢部分である霞が関の政府機関の破壊を意味したものであります。これはまさに、ナチス・ドイツとかが開発した大量殺りくの化学兵器サリンを使って、いわば国の基本的組織を不法に変革し、あるいは破壊することを目的としたもの生言わなければいけません。
 そうすると、これは刑法七十七条の内乱罪に相当します。また、その背後には特定の暴力主義的破壊活動を行う団体の存在が予想されますから、破壊活動防止法四条の「暴力主義的破壊活動」に当たると考えるが、この点について法務大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
#181
○前田国務大臣 先ほど官房長官からもお答えでございますが、破防法の所管庁である公安調査庁といたしましては、重大な関心を持って情報収集に鋭意努めているところと理解をいたしております。
 いずれにいたしましても、この適用の問題は、事実関係が解明されることが前提であると考えておりまして、現在警察、検察で鋭意調査をしていただいておりますが、この事実の確定を待っておる、こういうことでございます。
#182
○野呂田委員 これは大臣方に苦情を言うのは恐縮ですけれども、この破防法問題について、公安調査庁へ聞けば法務省だと言うし、今法務大臣に聞けば公安調査庁だと言いますから、もう少し交通整理をしておいていただきたいと思いますが、以後、質問は法務大臣でよろしゅうございますか。国家公安委員長に聞きますか。――いや、それじゃ質問してから答えてください。
 今は地下鉄サリン事件についての問題でありますけれども、次にオウム真理教の場合にも同じことが言えると思うのでありますが、いわゆる世界終結戦争、ハルマゲドンの言動や、あるいは教団「防衛庁」の長官と言われる中枢幹部の車からさっき申したように突撃銃の部品が見つかったり、あるいは強制捜査でおびただしい種類の化学物質、薬剤、細菌培養物質が発見されました。
 これは、大別して三種類の用途に分かれます。
 まず、サリンを合成できる化学物質、これは大量の三塩化燐あるいは沃化メチル、弗化ナトリウム、メチルホスホン酸ジクロリド、イソプロビルアルコールが押収されましたが、これは教団が大量のサリン合成をもくろんでいたあらわれと推定できます。特に、このたび上九一色村の施設内で検出されたメチルホスホン酸モノイソプロビルエステルはサリンが水と反応してできる化学物質で、サリンの現物がそこになくても、サリンが存在しないと発生しない物質でありますから、それが残留していたことは証明できたことでありますから、関与した人間が特定できれば、殺人予備罪までは証明できることになるんじゃないかと思います。
 それから二つ目の系統は、信者の意識制御、マインドコントロールが可能な薬品の生成物質であります。押収された大量のフェニルアセトニトリルはヒロポンを、同時に押収されたアンフェタミンは覚せい剤、シャブを生成できるものであります。
 それから三つ目は、生物兵器、細菌兵器をつくるための化学物質でありますが、これも大量にペプトンが発見、押収されました。ペプトンは、ボツリヌス菌を培養する溶剤であり、苗床とも言われております。陸上自衛隊幹部候補生学校教程「特殊武器防護」という本によれば、既に知られている外毒素中で毒性は最高であると記され、致死量は、通常経口の場合、口から吸収された場合最大でありまして、毒性は有毒化学剤サリン、GBの約千倍であり、軽気道毒性はサリンの五千倍に達すると言われておりますが、このような行動をとる団体、しかもハルマゲドンは破防法四条二号の一定の政治目的として評価できると私は考えます。
 オウムで修行した者が人を殺しても、マハーヤーナの考え方が背景にあるならば殺人にならない、立派な善行だと教えておりまして、殺人を奨励しております。こういう団体こそは、社会全体の安寧や、日本国憲法で定める基本秩序を暴力によって破壊し、また公共の安全を阻害し、国家を転覆するといった破壊活動に該当する事犯であると思いますが、この点について、国家公安委員長はどの程度この問題の検討を進めておられるのか。ちょっとこの段階での見解を伺っておきたいと思います。
#183
○野中国務大臣 三月二十日の地下鉄サリン事件、さらには三月三十日の國松警察庁長官襲撃事件、そして昨日の横浜駅を中心とするいわゆるガス性の傷害事件等は、それぞれ一つずつ、私どもはそこに的確に、予断と予想を交えることなく、犯罪を構成する条件があるかどうかを把握いたしまして現在調査中でございます。
 御指摘のオウム真理教の問題につきましては、品川のいわゆる公証役場の仮谷事務長が拉致をされたという事件の中から特定の容疑者を割り出すことができました。その容疑者がオウム真理教に所属をいたしておりましたので、これを警察庁特別手配をいたしまして、そして捜査に入ったわけでございます。
 御承知のように、昨日成立をさせていただきましたサリン特別法をもってしなければサリンを特定する法律がございませんでしたために、この品川の公証役場の仮谷事務長拉致事件を端緒にしてオウム真理教の捜査に入ることになったわけでございます。
 したがいまして、今申し上げました事件は一つずつ別個に私どもは捜査活動をやっておるところでございまして、捜査の過程におきまして、オウム真理教が異常な化学薬品や機材を持っておったということが判明をしてまいりました。そして、その所属する幹部が捜査中にいろいろな違反事件に関係をしておることを把握をして逮捕し、捜査を継続をしておるところでございます。しかし、教団として集団的にこれをやったかどうかにつきましてはまだ判断を下す状況に至っておらないところでございまして、その点は何とぞ御了承を賜りたいと思うわけでございます。
 重ねて申し上げますけれども、予断とそして予想を持つことなく、一つずつこのすべての事件を別個に犯罪を確定をするように全警察の組織を挙げてただいま努力をしておるところでございまして、国民皆さん方にもぜひ御協力をいただき、小さな情報でもまたお寄せをいただくことによりまして警察の捜査活動に御協力、御理解をいただくことをこの席をかりてお願いを申し上げる次第であります。
#184
○野呂田委員 私は、地下鉄サリン事件とオウム教団の事件を別個に、それぞれ破防法に該当するんじゃないか、こういう整理した質問をしてきたつもりであります。そしてまた、これが同一の主体であったとするなら、これはもうちゅうちょすることなく私は破防法に該当すると思います。
 そこで、きょうの段階では確かに捜査が全部終わっておるわけじゃありませんから予断は許されませんけれども、きょう総理に特に御注文しておきたいことは、捜査が終わらないのに、内閣官房長官は再三新聞で破防法については考えられてないような発言を繰り返されておりますけれども、これもちょっと私は早過ぎる予断であると思います。ですから、要件が具備してくればちゅうちょなく破防法を適用して、同法第七条によって結果的には教団の解散の指定を行うべきである、それ以外しかこの教団を早期に解散する道はありません。
 これらの点について、総理はそういう決断を将来する覚悟があるかどうかについてちょっと確認しておきたいと思います。
#185
○村山内閣総理大臣 これは、先ほどから官房長官、法務大臣、公安委員長等々それぞれから答弁がございますように、この問題につきましては、破防法の所管庁である公安調査庁がそれなりの情報収集はされておると私は思います。この事件全体がどういう決着がつくのか、どういう性格のものであるということが明確になるのか、そういうもろもろのことが、まだ結論づけておりませんから、したがって、この段階でその判断をすることについては控えなきゃならぬというふうに思います。
#186
○野呂田委員 今度の一連の事件を見ても、これは数人の人が企画してやっているとはとても思えません。サリン自体をつくるのでもおびただしい設備と人が必要だし、それについてはいろいろ、首謀者から実行犯までおびただしい人が動いていると思いますから、そういう団体がある、そういう破壊活動をする団体があるということだけは、私はこれは間違いない事実だと思いますから、今総理からのお答えのとおり、これは事態の推移を見ながら、ひとつぜひ勇断をしていただきたいと思っております。
 それから三つ目は、昨年度の犯罪白書では、刑法犯の認知件数は戦後最悪のものとなっております。このまま平和ぼけを続ければ、日本はやがて市民生活が犯罪に侵される社会になりかねない、こういう危機感に乏しいことが、私は実は問題であると思っております。
 私は、政治の最大の役割は、やはり国民の生活の安全と安定を保障することにあると思います。しかし、このたびのサリン事件のような社会を揺るがす極悪非道の犯罪が多発しまして、世界で最も平和で安全な大都市東京、世界で最も治安のよい日本の誇りを踏みにじった結果となったと思います。そしてまた、このように国民が大きな不安を持っているのに、どうも今のところ政治や警察が、必ずしも今後の具体的な対策や提言について、この問題について積極的な取り組みをしている面が少し欠けるのじゃないかな、こういうような感じがしてなりません。
 特定の宗教団体が、想像を絶するような危険な薬品を買い込み、各地で拉致事件を引き起こし、これまで警察は、適切な対応がこれについてはどうも後手に回ってきた。むしろ、従来の犯罪概念ではとらえ切れない犯罪に警察組織が対応できないでいるような感じすらいたします。
 世界一の良好な治安国家日本の信用を回復するために、犯罪の変化に合わせて警察組織をどうつくり変えていくべきか、国家公安委員長の御見解を伺っておきたいと思います。
#187
○野中国務大臣 今回のさまざまな事件につきましては、委員が今御指摘になりましたように、我が国の治安の骨幹を揺るがす極めて重大な犯罪でありまして、国民の関心もまた高く、また国民の大きな不安があるところも私ども十二分に認識をしながら、警察といたしましては、警察の全総力を挙げまして事犯の徹底的な解明を行っておるところでございます。
 警察官諸君は、みずからの体の限度を超えて、今、それぞれ捜査の先頭に立ってやっておるわけでございまして、ぜひ、今日のこの警察の取り組んでおる立場に深い御理解と、そしてより御支援をお願いを申し上げる次第であります。
 それぞれ、今回の事件の捜査は、さまざまな困難な面がございます。けれども、現行法体制の中で、可能な限りの工夫を凝らしながら今取り組んでおるところでございまして、先ほども申し上げましたように、どうぞひとつその点を御理解をいただきまして、私も、国家公安委員長の職員をかけて、全警察の諸君とともに、国民皆さんの不安を解消し、治安のいい日本をまた取り戻すための大きなこの試練を乗り越えていかなくてはならないと考えておるところでございまして、ぜひ御理解をお願いを申し上げる次第であります。
#188
○野呂田委員 私は冒頭で、警察官諸君が昼夜を分かたず努力をされておる御苦労に心から感謝を申し上げました。
 私は、それとは別に、今度の地下鉄サリン事件なんかを見ますと、国家の存立を危うくする危険性すら認められる組織的な暴力犯罪であったと思われるこの事件で、現在の法律で認められている捜査方法をもってしては、秘密性の強い組織的な暴力犯罪に対しては対処できることが非常に難しくなってきたのじゃないか。末端の関係者はともかくとして、組織の頂点に立つ主犯の者を迅速かつ効果的に処罰するためにはいろいろな隆路があるように思われます。だから、早急に検討を急ぐべきじゃないかと思いますが、この点について改めてひとつお伺いしたいと思います。
#189
○野中国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、今お説のように、先般国会で御通過をいただきました化学兵器禁止の法案も二年間たなざらしになっておりまして、サリンなどというものが我が国で使われるなど、我が国の方はそれを想定をしておらなかったのでございます。なお、公共の場所で何の罪もない大衆が無差別に殺傷をされるという恐ろしい事犯が起きておるわけでございまして、昨日御成立をいただきましたこのサリン特別法をも有効に生かしながら、私どもはこの種事犯の徹底した解明のためにさらに努力を傾けてまいりたい決意でございます。
#190
○野呂田委員 一層のひとつ御努力をお願い申し上げます。
 次に、法務大臣にお伺いいたしますが、元最高検の公判部長の河上和雄さんが、単独犯を想定した現在の捜査手法に大きな穴がある、これを埋める方法を真剣に考えるべきだ、こう申されて、三つの提案をされております。
 第一に、警察官の身分を隠して暴力団などに潜入して情報をとる覆面捜査官制度を認めるべきである、この点が第一点であります。第二に、盗聴を合法化すべきである。憲法二十一条が保障した通信の秘密を侵すとの批判があるが、今やどの国でも認められている制度であります。ただ、この場合でも裁判官の令状を条件とし、犯罪の種類と対象を限定した上で認めるべきであると提言しております。第三に、おとり捜査を認めるべきである。現在でも麻薬事件に限って日本でも認められているが、麻薬事件に劣らない銃器の取引や贈収賄などの捜査にも採用すべきである、こういうふうに提言しております。
 さらに、マスコミも含めて世論は、個々の小さな人権には強い関心を示しますが、国民全体の人権にかかわる治安の問題は議論することを避けてきた。これまではそれでも社会の秩序は保たれていたが、地下鉄で毒ガスを使うような集団犯罪からこれでは市民は守れない、対症療法でなくて、マクロ対策として社会の安全を考えるべきである、まことに傾聴したい意見を述べておられますが、法務大臣、いかがお考えですか。
#191
○前田国務大臣 現行の捜査方法では、まさに密行性、組織性が強いなどの、真相解明が大変困難な場合もございます。そこで、先生御指摘の、覆面捜査官、あるいは盗聴、おとり捜査、司法取引、あるいは刑事免責、いわゆる通信傍受あるいは刑事免責などの捜査手法がこうした事案の解明に大変有効であることは、これは諸外国の事例を見まして御指摘のとおりであると理解をいたしております。
 ただ、問題は、これらの捜査手法には、適正手続の保障の観点、また憲法上の制約等もございます。また、国民の司法に対するある意味では信頼の確保の観点など、検討しなければならない点、問題もあるわけでございます。
 したがいまして、これら捜査方法の導入につきましては、こうした問題点や我が国の法制度全体との関係を踏まえながら、最近の犯罪情勢にいかに有効適切に対処するかという観点から検討すべきものと考えておるところでございます。
#192
○野呂田委員 今アメリカ合衆国では、重大な薬物犯罪とか組織暴力犯罪とか贈収賄等の組織性または秘密性の高い犯罪に対しては、おとり捜査なとに加えまして司法取引や刑事免責の制度も利用してこれに対処しております。検察側が他の重要な犯罪事件に関する決定的認証を得るために、他に方法がないため重大事件の被告人との間で司法取引を行っているわけでありますが、これまでに我が国ではこのような捜査方法を認める立法がなされなかったことにつきましては、我が国の犯罪情勢が比較的平穏であったことや、特に司法取引や刑事免責については、我が国とアメリカ合衆国の法制度の相違や国民性の相違が影響していると思われます。
 しかしながら、今回のような重大な事件が現実に発生している以上、社会の安全を確保するためには、一定の重大な組織的犯罪に限定するなどした上で、おとり捜査、盗聴、司法取引、刑事免責等、これらの犯罪に有効適切に対処できることにするように、そういう捜査を可能にするために私は法改正を早急に検討する必要がある。もしそういうものがこれからも検討されず、そういうものが採用されないでこのままいくとすれば、まさに今刑事犯罪が大変ふえている、こういうものを防いていくことが非常に難しくなると思うのでありますが、この点について改めて法務大臣の見解をお聞きしたいと思います。
#193
○前田国務大臣 先生御指摘のございました、先ほども、憲法上の制約等の問題もございますが、今日この極めて高度化した、また密行性の高い犯罪に対する真相解明につきましては、先ほど先生お申し出の捜査方法について、いかに有効適切に対処するかという観点から検討すべき問題であるという理解のもとにおります。
#194
○野呂田委員 私は、現行の憲法で、必ずしもこれに抵触する制度だとは思いません。共犯者の自白しか証拠がない場合には無罪としてきた司法の判断と正面衝突する制度でありますけれども、今度のような大罪を犯した連中を、明白な証拠が挙がっていないという一点でみすみす無罪にするという、あるいは野放しにしておくという問題では、これは国民に無差別に被害を与えるテロ対策としては全くなっていないということになってくるはずでありますから、ぜひひとつ検討していただくように重ねて要請して、この問題についてはやめます。
 次に、オウム真理教の法令違反の問題でありますが、それと、文部大臣に、宗教法人法との関係についてお伺いしておきたいと思います。
 オウム真理教が宗教団体であるとして、とても宗教の教義を広め、信者を教化育成することを主たる目的とするという宗教法人法第二条の「宗教団体」とは思えない数々の法令違反があります。
 まず第一に、これは大方の方が新聞で読んでおりますけれども、熊本県の波野村では、オウム真理教が森林法に基づく林地開発許可を受けずに開発行為に着手し、熊本県は再三にわたり工事を中止するよう指導しましたが、オウム真理教は中止命令を無視して工事を継続し、熊本県は平成二年の八月十六日に、オウム真理教を森林法第十条の違反で告発しております。これはいわば、熊本県や林野庁がしっかりやったということになるはずであります。
 第二は、オウム真理教がこの波野村で買収した土地五万九千四十八平米は、国土利用計画法第二十二条第一項の届け出義務違反であります。同法によれば、一万平米以上の土地売買は届け出義務があるのに、無届けてこの土地の売買契約をやっております。熊本県は平成二年の八月十六日にこのオウム真理教を告発し、同年十一月に、今盛んにテレビに出てくる青山吉伸顧問弁護士や今度逮捕された早川紀代秀教団幹部ら数名を起訴しております。これも国土庁と熊本県がよくやったという事例であります。
 三番目は、オウム真理教は上九一色村にオウム真理教附属医院富士ケ嶺クリニックを開設し、内科、外科を初め九科、医師七名、歯科医一名を含めて二十五名の職員が医療に従事することになってこの診療所をつくりましたが、できましたけれども、開設届は、法律に基づいた届け出はなされておりません。開設届なしに診療をやっているとすれば大問題であります。
 四番目は、建設省の調査によれば、上九一色村にある建築基準法の対象建築のうち八棟については、完了しているのに完了検査を受けておりません。検査を受けないで使用するということは問題であり、また、用途も勝手に変更して使用している可能性が高いのであります。建築物にああいう、爆発物をつくるとか毒物をつくるなんて用途を申請しているわけはないはずでありますから、これも建築基準法違反で、八つそういう問題があります。
 また、山梨県の調査では、二十一の法令違反を山梨県は指摘をしております。危険物を貯蔵しながら、その届け出がありません、診療所の開設をしながら届け出がありません、消防用設備を整備しておりません、毒物劇物の保有の許可を受けておりません、水道施設の整備についての許可もない、めん類あるいは清涼飲料の製造の許可もない、宅地開発事業の許可もない、大気汚染や水質汚濁防止法の許可もない、県公害防止条例違反、自然公園法違反、こういうふうに数えるに息が切れるほどあります。
 そこで、文部大臣にお伺いしますが、これらの数々の行為は、宗教法人法第八十一条の解散命令に規定するとおり、多くの法令に違反し、著しく公共の福祉を害し、宗教団体の目的を著しく逸脱した行為と認められるけれども、文部大臣はこの点についてはどうお考えでありましょうか。
#195
○与謝野国務大臣 伝えられる数々の事実から自由な心証をもってしてこの状況を判断すれば、それは解散の事由あるいは解散請求に相当する事態だろうと私は思っております。
 しかしながら、現在は捜査が進行をしておりますし、また、今後ともいろいろな材料も出てまいるわけでもございます。
 また一方では、この解散請求というのは裁判所に対して行うものでございまして、裁判所に解散請求をする以上、やはり必要な書面あるいは状況を疎明する数々の資料というものをあわせて提出して解散請求を行うわけでございますから、その点についてはやはり、きちんとした状況についてのいろいろな書面等がそろった段階ということが必要なのではないかと思います。
 また、これにかかわるいろいろな省庁間のやはり相談もまた必要でございまして、今後捜査の結果では、そのような事態になるということは半ば当然の方向であると私は思っております。
#196
○野呂田委員 今警察が捜査をしている途上にありますから、それはそれで文部大臣の御答弁のとおりだと思います。
 しかし、今私が申し上げた法令違反は、捜査とは関係なしに客観的にわかる話でありますから、これは警察の捜査を待たないでも、それぞれの役所が措置すべきことはやっている。熊本県は国土法でもう届け出ているし、国土庁もそれでやっている、あるいは農林水産省は森林法でちゃんと告発している、こういうことでありますから、捜査を待たないでも法令違反で適切に対処することが、ふだんならば、警察が入ってなきゃそれでやれるわけですから、しかもその違反が二十項目以上に及ぶということになれば、これはこのまま捜査を待つまで何もできないということじゃおかしいのでありますから、それに対する文部大臣の御決意をもう一度、ひとつただしておきたいと思います。
#197
○与謝野国務大臣 先生が御指摘になられました数々の法令違反もございますし、現在捜査をしております刑事事件もございます。今後、材料は減るのではなくて、解散請求をする材料はふえるという状況でございますから、ある見きわめをした上で、きちんとした手続を踏んだ上で解散請求を行うべきものと考えております。
#198
○野呂田委員 次に、私は、憲法二十条の信教の自由というのは大変大事なことでありますから、これはあくまでも遵守しなければならないことは当然のことだと思います。しかし、今度の場合のように数々の法令に違背をし、地域紛争を巻き起こし、著しく公共の福祉を害し、宗教団体としての目的を著しく逸脱しているのに、規則を認証した所管庁が、そういう事実がありながらこの宗教団体に調査をしたり施設に立ち入ることも許されない、こういうことでは認証しながら何の権限も責任もないということになってくるわけですから、これはやはり、宗教法人に付与された権利というのも無制限なものじゃありませんので、少なくとも宗教法人法で与えた法人格だけでも剥奪するような措置がなければいけないし、迅速にできるやつですね、この法律そのものでありますけれども、立ち入って調査をする権限を付与して、その結果として解散に至るような手続を裁判所にちゅうちょなく申請できるような措置をすることが私は大事じゃないか。
 この点についてひとつ文部大臣に、これからの問題として検討していただきたいということを御要望したいと思いますが、いかがでしょうか。
#199
○与謝野国務大臣 もともと宗教法人法というのは、そのような法律の構成にはなっておりません。例えば、税法では質問検査権もございますし、先般適用されました児童福祉法でも、立ち入っていろいろなことを尋ねるということができる体系になっております。宗教法人法というのは、ある宗教団体に法律上の法人格を与えるかどうかという一点で構成されている法律でございまして、果たしてそのように立ち入っていろいろ質問したり検査したりするということが宗教法人法上必要かどうかということは、もう少し議論をする必要がございます。
 ただ、宗教法人としての認証をした後に、認証した所轄庁が全くその宗教法人についての知識を有さなくなるということについては、私は、若干問題があるのではないかと思っております。
#200
○野呂田委員 私は先ほど、宗教団体云々と言ったのじゃなくて、宗教法人について発言をしたわけですけれども、その点は区別して考えなければいかぬことでありますけれども、現行法にそういう規定がないことも明らかですから。しかし、憲法上宗教法人に与えられた権限は尊重しなければいかぬけれども、これもまた秩序なしに、無制限だとはとても思われません。これだけ膨大な破壊行為をやっているのですから、反社会行為をやっているのですから、これについてきちっとした調査ぐらいは、事実として出てくればできるぐらいの検討は、私はぜひすべきじゃないか。それがもともとの許可したり認可した者の責任でもありますから、この点については重ねて問いません、ぜひひとつ今後の検討課題にしていただきたいと思います。
 次に、危機管理問題でありますけれども、御案内のとおり警察の頂点に立つ警察庁長官が狙撃をされました。大変痛ましいことでありますが、長官には酷な言い方かもしれませんが、治安の最高責任者が狙撃されるという失態はやはり深刻にこれは受けとめなければいかぬ、こういうことも反面、一私は事実だと思います。
 そこで、アメリカの連邦捜査局、FBIの長官は、就任と同時に住所を変えて、どこに住んでいるかは国家秘密として秘匿されるということになっております。そういうものに比べれば、我が国の場合は、警察の頂点に立つ者が官舎でもないし、マンションの一室に住んでほとんど無防備の状態である。おまけに、撃たれたときにはSPもついていない。何でかというと、これは第一線の実行部隊じゃなくて事務当局でお役所だという関係でSPをつけていないという話でありますけれども、これじゃ、やはり警察のトップとしてはこれは危機管理意識がちょっと足りないなということは、国民だれでも思っていることだと思います。
 総理も国家公安委員長も、この間の参議院の会議では、サリン事件や警察庁長官に対する狙撃事件は、我が国の法秩序に対する挑戦であって、民主主義国家に対する挑戦で、国民生活の基盤を不安に陥れる重大な事件である、こう申しておられまして、これは当然のことでありまして、ごもっともであります。
 それにしても、あのときにその本人の長官が、秘書と運転手だけであって、SPもついていなかった。SPがついていれば、秘書がかばっている間に、SPは犯人を追い詰めることができたのではないか、こういうふうにも考えられますが、危機管理の専門家である日本大学の大泉という教授は、國松警察庁長官に専門のSPがついていなかったこと自体、国家の危機管理の問題として非常識である、こう言っております。
 おまけに、これは私は定かじゃありませんが、どうも話を聞きますと、長官の住むマンションには無線も整備されていないというふうに聞いておりますが、このようなことで一国の治安をしっかりと守ることができるものかどうか。国家公安委員長のお考えを聞かせていただきたいと思います。
#201
○野中国務大臣 ただいま御指摘をいただきましたように、治安のトップにあります警察庁の國松長官が狙撃をされましたことは、私ども国家の組織を守り、国民の治安を守るもののトップにある者がこういう事犯に襲われたということにつきまして厳粛に受けとめますとともに、委員が御指摘になりましたような問題について、深刻な反省とそしてとらまえ方をしておる次第でございます。
 あの事犯を謙虚に厳しく踏まえまして、その後、既に体制の強化を行っておるところでございまして、総理初め関係の警護を必要とする方々の身辺警護、さらには自宅その他の警備、あるいはまた攻撃を予想される方の警備、警護等につきまして、再びかかることのないように十分体制を整えておるところでございます。
 また、サリン事件を初めとする各種犯罪が相次いで起きましたことに対し、村山総理からも徹底した犯人の検挙と、そして全体像の解明と、さらにはこの種犯罪が再発しないことを私ども強く再三にわたって要請を受けておるところでございますが、残念ながら昨日もあのような事犯が起きて、まことに悔しい思いで、申しわけなく存じておるところでございます。
 今委員から御指摘ございましたようなさまざまな問題を私ども、先ほど申し上げましたように厳粛に受けとめまして、さらにこの防圧のために努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#202
○野呂田委員 私は、このことは、きょうは大蔵大臣がいなくて大変残念でありますが、国家の治安、国民の安全を守るという意味で警察官は大変大事な仕事でありますのに、この四年間、警察官の増員は全く凍結されておりまして、一名もふえておりません。十分な警護をやろうと思っても、警護につく人手が足りないということもあります。
 これからの警察は、府県の領域を超えて広域的な共同捜査が必要になるし、あるいは高度な情報や科学技術を具備した体制整備が必要であります。金もかかります。警官も増員しなければ、私が今申し上げているような完全な警備はできません。
 そこで、同じような問題が、防衛庁長官にお伺いしたいと思いますが、私、調べたわけではありませんからあるいは間違いかも知れませんが、防衛庁でも、師団長さんらのような実行部隊には武装した護衛がっくそうでありますが、どうも内部部局のトップの幕僚長らにはそういうものが必ずしもついていないという話でありますが、その点、いかがでしょうか。
#203
○萩政府委員 防衛庁といたしましても、当庁幹部の身辺等に対する不測の事態に対処するため万全を期しているところであります。
 なお、その細部は事の性質上申し上げかねますが、防衛庁、自衛隊にも警務官という司法警察職員が存在をしておりまして、当庁幹部の身辺等には万全を期すように努力をしておるところでございます。
#204
○野呂田委員 そういうことは申しかねるということでありますが、恐らくついてないからそういう発言になると思うのでありまして、それ以上聞こうとは思いません。
 そこで、最後に総理にお伺いしたいと思いますが、総理、よろしいですか。
 今両方からそれぞれ御見解が述べられましたが、やはり幕僚長や警察庁長官のような国土の防衛とか治安のトップの人たちにはせめてそういった護衛官をつけるべきだ、大臣さんにはみんなついているわけですから、同じようにこういう要人にはその程度のことは考慮すべきだ、こう思います。四年間も警官が一人もふえない、予算も一向にふえない、こういうことではそれもかなわないということでありますから、こういう大事件が発生しできますと、そしてまた、きのうあたりは自衛官も横浜に出動して大変努力をされております、こういう御労苦に報いるためにも、私は十分なそういう警備体制を整えてやることが大事だと思いますが、ひとつ総理の御決意を伺っておきたいと思います。
#205
○村山内閣総理大臣 委員からるるお話がございましたように、今回の地下鉄のサリン事件というのは、これはまた全く凶悪非道なものでありまして、社会秩序を揺るがす重大な事犯という受けとめ方をして取り組んでいかなきゃならぬというふうに思っておりますし、また、警察庁長官が狙撃をされた事件というのは、これは全く、何といいますか、言うならば日本全体の治安に挑戦をするような事件でありますから、厳しく受けとめております。
 今そうしたことに対応できるような危機管理の体制というものを十分総理府を中心にして確立いたしておりますが、同時に、要人テロの再発防止のために、今御意見のありました点なども踏まえて真剣にひとつ検討させていただいて、体制をとらせていただきたいというふうに考えております。
#206
○野呂田委員 大変涙ぐましい苦労をされておる捜査陣に対してこういう言い方をするのは心苦しい話でありますけれども、これらの一連の問題の捜査の問題点についてひとつただしておきたいと思います。
 松本のサリン事件が発生したのは平成六年の六月二十七日でありました。警察は、同月二十八日、翌日に有機燐系ガスによる中毒の疑いが強いと判断したということになっております。それで、七月の三日にはサリンと推定される物質が使用されていたと判断したと、こう発表しております。七月の九日には、ここが大事でありますが、今度は松本じゃなくて山梨県の上九一色村の住民からの異臭が発生しているという通報によりまして、警察は周辺捜査を実施しております。松本で発生してからごくわずかの間であります。だけれども、そのとき警察は、住民に特段の被害が出なかったのでそのままにしたということになっております。その後悪臭騒ぎのあった周辺の草木が枯れ出してきましたので、付近の土砂を採取して鑑定したのが九月であります。そして、十一月の終わりになってサリンとの結果が出たということになっております。そして、捜査体制を組んで強制捜査に乗り出そうとしたのが三月に入ってからであります。三月二十日には地下鉄サリン事件が発生しております。
 そこで、まず平成六年の七月三日に松本でサリンの犯罪が発生したと判明した時点で、警察庁は現行警察制度を改正してでも、長野県だけに任せずに直轄に捜査に乗り出すべきじゃなかったかと思いますが、この点、公安委員長いかがでしょうか。
#207
○垣見政府委員 お答えいたします。
 ただいま委員御指摘のように、松本で発生いたしました事件、これは事案としても死者七名、それから負傷された方も多数おられる事件で、大変重大な事件と認識をしておりました。しかしながら、今委員御指摘されましたように、その時点で私どもとして、現行の警察法、警察制度を改正して、これはもっと国家的レベルで捜査をするべき事案という判断にまでは残念ながら至っておりませんでした。その点は、その事案の捜査がまだ途中の本年の三月二十日に地下鉄サリン事件が発生したわけでございまして、この二つの事件の発生については大変厳しく受けとめておりまして、今後の捜査に全国警察を挙げて力を尽くす覚悟で現在取り組んでいるところでございます。
#208
○野呂田委員 地下鉄サリン事件が発生したときに、某局のテレビを見ておりましたら、長野県警の幹部の一人が、実は松本サリン事件が発生した際にオウム真理教との関係がそのときにも出ておったということをみずからテレビで発表しておりましたが、私はこういうことはやはり見落とせないことだなと思います。
 それからもう一つ、平成六年の十一月に上九一色村でサリンと判明した時点でオウム教の施設を徹底的に捜査して事態の解明をしておれば、平成七年三月二十日の地下鉄サリン事件は未然に防げたのじゃないかと思いますが、何でサリンが発見されてからこんなに長い間放置したのでしょうか。
#209
○野中国務大臣 ただいま委員が御指摘になるような形で御批判があることは、私どもも厳粛に受けとめておるところでございます。
 ただし、昨年六月二十七日の松本サリン事件を初めといたしまして、それぞれ内偵はいたしておりましたものの、現にサリンを持っておる、あるいはサリンを発散する、サリンをつくる材料を持つということで、我が国は法律的にこれを想像もせず、法が存在をしなかったわけでございまして、その法が存在しない中において警察がこの宗教法人に捜査に入るということは不可能であったわけでございます。
 ただし、昨年の暮れになりまして、先般議会で議決をされました化学兵器の禁止の法案がようやく御審議の過程に上ってくるということを想定をいたしまして、なお捜査を継続をしてきたわけでございますが、そういう中で三月のあの品川の仮谷さんの拉致事件というものがありましたので、むしろこちらを捜査の中心にいたしまして山梨へ入ることができ、オウム真理教の各拠点に捜査活動をやることになり、そして結果として、異常なあの薬品あるいは機具が置かれておるということから、殺人予備罪をもって捜査を行うことになったわけでございます。
 この間、御指摘のような、あのときにやっておれば今日の地下鉄サリン事件はなかったのではないかという御指摘はあるわけでございますけれども、そのときに法が存在しなかったという実情の中から苦渋の毎日を歩んできて、結果として多大の犠牲者を出すに至ったことは、警察としても本当に情けない思いをし、しかもその間、國松長官が狙撃をされるという全く悔しい、そしていわゆる捜査活動に挑戦し、あざけり笑うような状態が出ておることを全警察は悔しく受けとめながら今やっておるわけでございまして、一連の経過がありましたことをぜひ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
#210
○野呂田委員 世界に冠絶たる優秀な警察官であります。しかも、野中さんのように立派な大臣を持っているわけですから、再びこういうことのないようにひとつ御注文をつけて、この点については終わります。
 もう一つだけ申し上げておきたいと思いますが、どうも今度のオウム真理教の施設への強制捜査について、事前に情報が漏れておったのではないかという御指摘もあります。事前に、二日ほど前にかなりの資機材が移動されたり、証拠隠滅が図られたり、要人も移動したというような情報もいろいろなものに報道されております。これではやはり、どうもいかぬな。
 一つには、日本の警察捜査というのは、事前の危険情報を察知すればすぐに事情聴取ができるような法律になっておりません。証拠を固めて捜査令状をとってという手続の間に、どこかで相手に気づかれてしまうということがあります。
 ですから、私は、こういう一連の法手続の問題も含めまして、大変優秀な警察でもこういう手続をやっている間に問題が漏れていくということでは大変残念なことでありますから、法務大臣に、そういうことも含めてひとつ今後の検討をお願いしたいと思いますが、いかがなものでしょうか。
#211
○前田国務大臣 これからの捜査手法の導入につきましては、御指摘を踏まえて、十二分に検討してまいりたいと思います。
#212
○野呂田委員 時間ですから、やめます。
#213
○佐藤委員長 これにて野呂田君の質疑は終了いたしました。
 次に、三野優美君。
#214
○三野委員 野中国家公安委員長初め警察の皆さん、そして、この宗教団体の問題について非常に心痛のことと思いますが、文部大臣も含めて質問いたしますので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず、端的にお尋ねしますが、このオウム真理教というのは今なお宗教団体とお考えになるのかどうか。私は、中国への進出、報道されるロシアでの活動、あるいはニューヨークに支部を持ち、イギリスにも影響を持っているということなんでありますが、これらのことを考えてみると、もう宗教団体ではなしに、日本内部におけるあの活動の実態をも見る限りにおいては、国際的なテロ集団と言えるのではないかとさえ思うのでありますが、これについて、文部大臣及び国家公安委員長の見解を聞いておきます。
#215
○野中国務大臣 先ほども野呂田委員の質問にもお答えをしたわけでございますけれども、オウム真理教の幹部がさまざまな違法行為を行ってきましたことにつきまして、ただいま厳正に捜査活動をやっておるところでございます。
 既にそれぞれ明らかになったところもあるわけでございますけれども、この教団がテロ集団として、教団として集団的行為を行ったかどうかは今後の捜査活動にまたなくてはならないし、その捜査を通じて判断をしなければならないと考えておるところでございます。
#216
○与謝野国務大臣 宗教法人法では、宗教団体の定義が書いてございます。これには、教義を持ち、信者を教化し、また儀式礼拝を行うというような要件を備えておりますと宗教団体というふうに宗教法人法上は認めております。
 これは認識の問題でございまして、あのような団体を宗教団体として認めるか認めないかというのは、それぞれの個人の主観的な判断の問題であると思っております。
#217
○三野委員 非常に慎重な物の言い方ですけれども、一般国民は、これを宗教団体と、今の状況を見て感じ取っている人は極めて少数ではないか。圧倒的多数はテロ集団だと見ている、こういう認識だということをまず申し上げておきたいと思います。
 さて、二つ目にお尋ねしたいのは、平成元年八月に設立登記の認証時の際には、文部省の報告によると三千名、今は一万一千名といい、一万二千名というのでありますが、その実態は間違いがあるのかないのか。
 同時に、これは外務省になりましょうか、海外での組織実態とその活動の概要についてどの程度把握しておるのか、これもお尋ねをしておきます。
 それから文部省に、オウム真理教を宗教団体として認証したその当時の論拠、恐らく今の文部大臣の見解なんだろうと思いますが、それならば宗教法人法の第八章第七十一条の宗教法人審議会は、かけてないんだろうと思いますが、オウム真理教の認証に当たってどのような調査をし審議をしたのか、そしてどのような建議が文部大臣になされたのか、この際お尋ねしておきます。
#218
○与謝野国務大臣 宗教法人に対しましては、通常の民法法人のように監督官庁がいろいろな調査をする、あるいは指導するという権限はございません。したがいまして、オウム真理教が認証された後、信者の数がどのように増加したか、あるいは減少したかということは把握できておりませんし、把握する方法は実はないわけでございます。
 それから第二の、認証時に宗教法人審議会がどのような考え方を示したのかということでございますが、宗教法人を認証するときには、これは宗教法人審議会にかけて審議をするわけではございませんで、宗教法人の認証を得たいというものが法律で要請されている要件を形式的に具備をしていれば、これは宗教法人として法人格を与えなければならない、こういう仕組みになっております。
#219
○池田政府委員 オウム真理教の海外での活動状況でございますけれども、その支部がニューヨーク、モスクワ、ボン及びスリランカに存在するということは承知いたしております。しかし、その活動につきましては、我が国及び諸外国において行われております報道等は承知いたしておりますけれども、そのすべてについて詳細を十分把握している状況ではございません。
#220
○三野委員 やはりそれは問題だと思うのです。これだけ国際的にさまざまな反響を呼び起こしているにもかかわらず、海外における活動状況、そして組織状況を克明に、日本が認証した宗教団体でありますから、やはりそれを把握するのは日本政府でなければならぬと思うのです。そういう意味からいうと、私はやはりこれは問題だと思うのです。
 それからいま一つ、今文部大臣が言われたように、認証段階では書類で出てきて、それに書かれているようなものが、建物なりそういうものがあれば認証するということなんですね。審議会はあるけれども審議するようになっていない、認証段階で。したがって、その実態はどういうものであるかということは何も関知しないまま都道府県及び文部省は認証するという仕組み、ここに私は問題があると思うんですね。
 いま一つ問題なのは、八十一条の解散命令の際に、先ほども言われていましたように、都道府県知事なり文部大臣は、今言ったような形式上のことだけで認証する、認証権を持っています。しかし、解散権はないわけですね。裁判所に対して解散を請求するのみしかないという。私は、やはり本来的には、認証する権限がある場合には解散権も同時に付与されなければならぬと思うのでありますが、これについて矛盾を感じないのか、あるいは矛盾を感じるとするならば法改正の必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
#221
○与謝野国務大臣 まず、先生の御質問の第一点は、宗教法人として認証する場合に教義その他に対して実質的な検討を行わないのか、こういうことでございますけれども、憲法二十条で保障されております信教の自由、こういう観点に立ちまして、教義その他については実質的な判断をしないというのが法の建前になっております。
 第二点の解散命令に関しまして、なぜ裁判所に解散請求をするのか、こういうことでございますが、いわば解散請求をする、あるいは解散を宗教法人にさせるということは、その法人にとって不利な取り扱いをするわけでございますから、これは行政の裁量ではなくて公正中立な裁判所にお願いする、これも宗教法人法の建前になっております。
#222
○三野委員 いや、だから私は、もし宗教法人として適切でないと判断した場合には、認証したものが解散命令を持つことができる、もしそれに宗教法人が不服だ、これは公平でないということであれば、そちら側が裁判所に提訴をして争うという、これが一般的な仕組みだろうと思うのですが、これはそうなっていないわけですね。したがって、信教の自由、中立という、憲法に保障されたものをより拡大解釈をしてこういう法制度になっているのではないのかという意味からいいますと、私はやはりここには問題点がある。
 ですから、やはり認証した限りにおいては解散命令を持つ、認証した側はその責任も負わなきゃならぬわけですから。もし実態がそれにそぐわないということになると、解散命令は当然あっていいと思う。それに不服があるならば、その宗教団体の方が裁判所に提訴して争ってもらう、こういう仕組みでなければいかぬと思うのでありまして、私は、そういう点からいうと、やはり法律改正というのはあっていいのではないかということを申し上げているわけなんでありまして、その点についてもう一遍ひとつお答えください。
#223
○与謝野国務大臣 認証したところが解散もできるだけの行政裁量権を持つべきだという先生の御議論は、一つの立法論としてはあり得るんだろうと思っております。
 しかしながら、宗教法人法ができました昭和二十年代というのは、戦前の治安維持法の時代に数々の宗教団体がいろいろな弾圧を受け、また新しい憲法のもとで自由が謳歌された時代につくられた法律でございまして、法律の構成自体、大変おおらかに、自由な雰囲気を宗教活動に与えるということを前提につくられております。
 しかしながら、先生が言われたような行政裁量によって宗教法人を解散できるということになりますと、所轄庁はそれを判断するに足るいろいろな材料、資料等を持たなければなりませんし、また調査の権限も持たなければなりませんが、やはり宗教活動の自由を保障するという意味で、所轄庁が余り強い権限を持つということは好ましくないという法律の構成になっております。
#224
○三野委員 ですから大臣、私は、との宗教法人法第八章第七十一条の宗教法人審議会の機能というものをもっと活動できるようにして、認証するときには、単に都道府県知事や文部大臣の判断だけではなしに、審議会が十分調査をし審査をして、これは宗教法人として適していますよという、審議会機能というものをやはり活用するようにすべきではないか、そういう意味での法律改正というのはあっていいのではないかと思いますが、後でまた事例を挙げて申し上げておきたいと思います。
 それから次に、警察庁にお尋ねしますが、御承知のように、あなたのところが強制捜査をした結果、オウム真理教の名簿あるいは刊行物の定期購読者などのリストを押さえまして、その中に自衛官が、OB及び現役がおられるんではないかということで照会したところが、二十数名おった、こういうことを発表されているわけであります。
 私は、いかなる組織におろうと、いかなる職業についておろうと、信教の自由がありますから、だれがどこでどんな宗教を信じようと、これは自由だと思うんです。それは自由なんですが、この際ひとつ参考に聞いておきたいんですが、私が警察の方から聞いたところによると、警察官のOBの中にもこの信者がおられる。これは警察もお認めになっているようですね。
 そこで、何人ぐらいおられたのか、また同時に、現役の中にも、当然これはOBを通じてオルグ活動というか折伏があるものですから、おられると思うんですが、それらの実態について参考までに報告してください。
#225
○野中国務大臣 お答えをいたします。
 一般的には、公務員がいかなる信仰を有しているかは、委員御指摘のように、何らかの犯罪行為に加担していない限り自由であります。警察として問擬すべき事柄ではないと考えるわけでございまして、御指摘の点につきましては、答弁を差し控えさせていただく立場にあると存じております。
#226
○三野委員 私は個人名を言ってくれと言っているんじゃないんです。自衛隊の方は発表されているわけですね。警察のOB及び現役の警察官の中に信者がどのぐらいおったかというのは、自衛隊の方は照会したんでしょう、当然自分の警察の内部は調べたはずなんですから、数だけ言ってくださいよ。それだけお聞きします。OBがおったことはあなたも認めているんだから。
#227
○垣見政府委員 お答えいたします。
 いろいろな捜査活動の過程でさまざまな情報を警察においては入手をしている次第でございますけれども、ただいま御指摘の、警察職員の中にオウム真理教の信者が何人いるかどうかについては、これはまさに信仰上の問題でございますので、把握は大変困難な問題というふうに考えております。
#228
○三野委員 捜査の過程でオウム真理教の信者の名簿を押さえ、刊行物の購読者の名簿も捜査で引き揚げてきて、自衛隊の方は照会をしたわけ。そこで、OB何人、現役何人というのがはっきりしたわけね。
 したがって、警察だってそれは私ははっきりしていると思うんです。個人の信教の自由を私はとやかく言っているんではない。ですから、個人名は結構であります、数だけ言ってくださいと言っているの。どうですか。それは言えるでしょう。よそのは言えて、あなた、自分のは言えぬということはなかろうがね。
#229
○垣見政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、信者であることは自由でございまして、ただ、犯罪行為等に加担している、関与しているという関係があれば、私どもとしては捜査の過程できちっと把握をし措置するわけでございますが、今の段階では、その犯罪行為に加担したかどうかについてお答えをできる段階には至っておりません。
#230
○三野委員 じゃ、数はやめましょう、百歩譲ってね。現役の中にも、OBがおることはあなたのところはもう認めているわけ。現役の中におることはおりますね。それだけを聞きます。(発言する者あり)それは、いいんだよ、おったって、信教の自由だから。それはちゃんと私、言っているんだから。おっていいんだよ。
#231
○野中国務大臣 先ほども申し上げましたように、公務員がどの宗教に属しましょうと自由でございまして、そのことを私どもは、ここで、現におりますとかおりませんとか申し上げるべき立場でありませんし、公務員にはみずから課せられた守秘義務もあるわけでございますから、国家公務員としてその職務を忠実に履行しておる以上、私どもは、その人たちがどの宗教におりましょうとそれは保障されるべきことであると認識をしておるわけでございますので、その点、ぜひ御理解を賜りたいと存じます。
#232
○三野委員 私は、信教の自由は保障されているんだから自由なんだよと、こう言っているわけ。だから、だれがどの宗教に入っているかなどということを聞いているわけでもないし、百歩譲って、数までは譲りましょうと。おるかおらぬかだけ聞いているわけなんです。OBがおることは、もうおたくは認めているわけですよ。
 じゃ、これ以上押し問答してもしょうがないものですからこれ以上しませんが、ただ、私はなぜそういうことを言うかというと、実は世間では、どうもやっぱりこれらの一連の捜査過程の中で情報が漏れているんじゃないかという話があるわけ。そういう話がある。先ほども出ていましたね。
 例えば、三月二十二日の一斉捜査の情報は、少なくとも三日、四日前に情報が漏れていたと、こういう話があるわけです。そこで、捜査当局はわかっていると思いますが、一部幹部はもう逃亡している、あるいは主要な証拠書類を持ち出された、こういうことが言われているわけですね。ですから私は聞いているわけですよ。
 そこで、国家公安委員長、私は、信教の自由は保障されなきゃなりませんが、ただここで問題にしたいのは、宗教とは何ぞやということです。とりわけ新興宗教の中には、これは公務員の守秘義務も企業の守秘義務も乗り越えて、信者である者は、その宗派の教えに基づいて、身を挺してそれに忠実なんですよ。そのことを私は問題にしているわけ。これが今日の新興宗教の特徴でしょう。
 私ども今日までさまざまな経験がありますが、予算委員会の審議の中でも、どこから出たかと思うような資料が出てくるのです。ですから、そういう意味で、私は信仰の自由は認めるけれども、宗教とは何ぞやということをもう一遍問い直さなければ、まさに国家的な危機の問題、あるいは企業そのものの存亡にかかわる問題についても資料が流れるということになるのです。そのことを私は問題にしたいものですから聞いているわけなんです。
 ですから、あなたのところにおるでしょうと言うのはそこなんですよ。それは、国家公安委員長の命令よりも、もしおったとするならば、あの大将の命令の方を聞くのです。そういうことを私は問題にしているわけ。そういうことを申し上げているわけですね。
 まあ、それはそのぐらいにしまして、総理にひとつお尋ねしますが、今度の問題は、先ほども出ていましたように、海外でもさまざまな活動がなされています。ロシアにもいろいろと問題があると言われていますが、ロシアも内部的には混乱があるのでしょうけれども、しかし裁判所は活動を禁止した、提訴に対して罰金刑を求めた。
 こういうこともあったり、アメリカでは、これは私はオウム真理教とサリンとを直接結びつけはしませんが、日本の治安について非常に問題がある、したがって在日の米国人は気をつけろよということをアメリカ政府は言っているわけでしょう。まあ中国は拒否したようですね。したがって、私は、これほど国際的な問題になって、日本としてはこの問題については非常に信用を失墜したと思うのです。
 この際、私は、総理が事件の経過をやはり関係国に報告をする、連絡をする。そして同時に、向こうでの活動というものも十分把握していないわけですから、政府としてもやはりその活動状況を報告してもらって、お互いに連絡体制をつくりながら、この問題の解決に協力してもらいたいということを申し上げる、海外関係国に対して申し上げる気持ちがあるのかどうか、これを聞いておきます。
#233
○村山内閣総理大臣 今回の地下鉄サリン事件が、いまだかつてない有毒ガスを使って、何の関係もない、無差別に人の命を奪ったり傷害を与えたりするような事件があった。この事件は、国際的にも非常に関心が持たれ懸念も抱かれておるということについては、もうおっしゃるとおりだと思います。
 で、これはやはり必要な情報の交換はしなきゃならぬと思いますし、同時にまた、必要な協力は、これは国際的にお互いにし合わなきゃならぬというふうに思っておりますから、そういう判断で対応させていただきたいというふうに思います。
#234
○三野委員 これは文部大臣にお聞きしたらいいと思うんですが、憲法は二十条で、何人もいかなる宗教を信ずることもこれは自由が保障されています。同時に、信じない自由もまた保障されているわけですわな。
 さてそこで、ところが、宗教法人に関するさまざまな人権問題について、都道府県なり人権擁護委員会なりあるいは警察なりにさまざまな相談活動がある。我々にもあるんです。一体この状況は、どのくらい相談活動があったのか、その内容については一々触れてもらうことはないけれども、主として人権問題だと思うんですが、これについてどの程度把握しておるかを聞いておきたいと思うんです。
 私のところに相談があるのも、例えばある宗教団体に入ると、奥さんが子供を連れて出ていく、もう暑いときも寒いときも年じゅう連れて歩きまして布教活動をやるわけ。もう家庭は崩壊、何とかならぬかというだんなからの相談もありますね。
 また、ある宗教団体は分裂しちゃったと。で、分裂した場合に、もとのに残ったのとこちらへ来た分との間でまたさまざまな確執があるわけ。そこで、こっちへ来なければあなた罰が当たるよということで、朝も昼も夜もなしに集団的に、私どもではオルグ活動というんですが、布教活動をやるわけ。そして、もう家庭が崩壊している。あるいはその場所をもう逃げちゃう。逃げたら、また次のところへその宗教の集団が来るわけですね。こういうことは、私は宗教の範囲を超えていると思うんです。
 ですからそういう意味では、一体宗教とは何ぞやということについて、やはり私は、この際、憲法の精神というものを国民の皆さんに正しく理解してもらう、そういう活動が今必要だと思う、この問題を含めて。オウムだけじゃありませんよ。名前はいっぱいありますよ。それについてあなたはどう思いますか。
#235
○与謝野国務大臣 宗教は多分人間の専ら内面の問題でございまして、ある宗教を信ずるか信じないかは、それぞれの人間の自然の心の発露として成り立っているのだろうと私は思っております。したがいまして、宗教には、強要もなければ、威迫をもってその宗教団体に入れということもあり得ないだろうと私は思っております。
 そういう意味で、やはり宗教というのは自然な形で人間の心を包む、そういうものであることは私はもう半ば当然のことであると思っております。
#236
○三野委員 だとするならば、私はもう率直に言いまして、学校教育、社会教育も含めて、憲法が示す信教の自由とは何かということについて私たちは今こそ積極的に取り組む必要があるだろうと。これだけもう日本列島全体に新興宗教が、それが家庭にもさまざまな影響をもたらしている、社会的にも問題を与えるということですから、お願いしておきます。
 最後に自治大臣にお尋ねします。
 宗教法人法に示された特定のものについて、地方税法に基づいて非課税制度がありますね。この中にはこう書いていますね。本殿、拝殿、本堂、会堂、僧堂、僧院、そして社務所から庫裏、これまでも非課税だということになっているのですね。庫裏だとか僧堂というのは、私の家と変わらぬですな。お寺さんが寝起きするのでしょう、家族が、飯を食べて。その庫裏までが、私生活をするところまでが非課税というのは適当なんでしょうか。そして、宿坊というのがあるでしょう。宿坊も非課税なんだ。これは民宿なんですね、私から見ると。民宿に匹敵する。これは無料じゃないんですよ。
 したがって、私は、この宗教法人の非課税制度というのは見直すべきだ。毎日、新聞に載っておるでしょう、各社とも、これを見直せというのは。どう考えてみても私は不合理があると思う。これが非課税なものですから、もう各宗教団体が金集めをするする。それで、物を建てるのは一遍ですわな。後の固定資産税がかからぬものですから、建てて建てて、金集めして、実はもう参っているわけですね、みんな。
 そんなことを考えてみまして、世論もそういうことになっておりますが、この非課税制度というものを見直す気持ちがあるのかどうかをお尋ねをして、私の質問を終わります。
#237
○野中国務大臣 委員が御指摘になりましたように、宗教法人が専らその本来の用に供する境内建物及び境内地は、非課税として固定資産税を扱っておるわけでございます。
 したがいまして、今それぞれ御指摘ございました庫裏や宿坊は、宗教法人法におきまして、先ほど申し上げましたように境内建物とされておるわけでございます。同じく境内建物とされております本堂、僧院、信者修行所などと区別して別の取り扱いをすることは、宗教法人の性格から大変難しいものだと考えられるわけでございます。
 ただ、宿坊であっても、一般の利用に開放される等一定の場合には、旅館等の類似の施設として、非課税の扱いとはならないわけでございます。
#238
○三野委員 これで終わりますが、私は率直に言って、本堂、拝殿、これは地方税法で非課税であっていいと思うのです。しかし、庫裏というのは私生活をしているところなんです。あなたの自宅と同じ、私の自宅と同じなんですよ。そんなところまでが非課税なんて、どうしたってこれは国民が納得しませんからね、ひとつぜひ、機会があったらまた申し上げますが、検討してください。
 終わります。ありがとうございました。
#239
○佐藤委員長 これにて三野君の質疑は終了いたしました。
 次に、枝野幸男君。
#240
○枝野委員 私は、まず厚生省にお尋ねをいたします。
 先週、上九一色村の第十サティアンと通称されているところから五十三名の子供たちが保護をされて、児童相談所等に預けられております。この措置につきまして、法律上どういった根拠に基づいて、あるいは法律上どういった権限に基づいてとられたものであるのか、これを簡単に御説明をお願いいたします。
#241
○佐々木政府委員 お答え申し上げます。
 今回の児童相談所の措置の法律上の根拠はいかにということでございますが、今回の一時保護は、警察によります他の事件の容疑によるオウム真理教施設への捜査の過程におきまして要保護児童が発見されたことを端緒といたしまして、警察からこれらの要保護児童についての通告を受け、児童相談所長がこれらの要保護児童について、児童福祉法第三十三条第一項に基づき一時保護の必要を認め、さらに同項に基づき、一時保護を行うに当たって、現場にあった警察に委託して一時保護を行ったものでございます。
 なお、今後の問題になりますけれども、法律上、児童福祉法第二十八条によりまして、親の同意が得られないような場合でありましても、保護者に児童を監護させることが著しく当該児童の福祉を害するような場合には、家庭裁判所の承認を得て、養護施設等への入所の措置をとることができるというふうな法律上の扱いになっているところでございます。
#242
○枝野委員 実はこの措置に対しましては、もちろんオウム真理教の側からもいろいろな異議が出されておりますし、またここ数日の報道等を見ますと、果たしてこういった措置が法律上可能であるのかどうかといったことについての検証等がなされております。
 率直に申し上げまして、児童福祉法の三十二条の一時保護の中に今回のような措置まで入るのかどうかということについては、さまざまな見方があろうかと思います。私も弁護士の端くれでございますので、今回さまざまに勉強、検討させていただきましたが、事は幼児を含む子供たちの人権と絡む問題であり、この児童福祉法の三十三条の一時保護の解釈の範囲内であり、適法であろうと私は個人的に判断をいたしております。
 これは団体委任事務だったと思いますが、当該児童相談所長さんの行動に対しては、まあオウム側からも含めて、さまざまな批判の声等もないわけではないという中で、ぜひ、この法律の所管大臣であります厚生大臣が、今回のような子供の人権というものと絡んできた中でとられた措置についてどのようにお考えになっているのか、御答弁をお願いいたします。
#243
○井出国務大臣 お答えをいたします。
 御指摘のように、四月の十七日にオウム真理教の方から、今回とりました措置に対しまして山梨県知事あてに審査請求が出ておりますが、私は、先ほど局長が御答弁申し上げましたように、今回の一時保護は、保護を要する児童が発見されたという通告を受け、児童福祉法に基づいて、児童相談所の業務として適法に行われたものと考えております。
#244
○枝野委員 今回の措置はこれでよかろうと思っておりますが、実は、このオウム真理教に子供たちがたくさん、それも虐待に近い状態で置かれているのではないかという話は、つい最近わかった話ではなくて、前々から言われた話でございます。
 それから、今回のことに限らず、一般論として申し上げさせていただきますと、特に最近、子供が親の所有物のような考え方の中で、一部の心ない親によって子供たちが親に虐待をされているのではないかというふうなことを疑わざるを得ない事例というのが、これは私も短い間ですが弁護士をしていた経験の中で、ないではないと思っております。
 子供の権利と人権というものを、このたび子どもの権利条約というものができた中で、こういったおかしな一部の団体あるいは親というものに対して、福祉の立場、行政の立場から救うべき子供たちに対してはきちんと救いの手を差し伸べるということを、より積極的に、よりやりやすくする必要があるのではないか。
 そうしたときに、現在の児童福祉法も、今回のような措置は可能ではあるとは申せ、一時保護としてどこまで、何を、どうできるのかという権限についてさらに詳しく法律上記載をするとか、あるいはそれに当たって、児童相談所長さん一人の判断ということではなくて、緊急を要する場合には事後であっても結構ですから、家庭裁判所に関与をさせて、一人の判断よりは複数の判断の方がより積極的に、必要があるときには権限を行使しやすいというような事情があるのではないか。
 そうしたことを考えますと、今回の事件を機にいたしまして、この児童福祉法等に手をつけまして、虐待を受けていると思われる子供たちに対して、より積極的に行政が手を差し伸べて、それも適正な手続のもとで手を差し伸べてあげることのできる制度というのをさらに充実させるべきではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。
#245
○井出国務大臣 児童福祉法第三十三条は、棄児、子供を捨てることでございますが、棄児あるいは家出児童等、現に適当な保護者または宿所がないために緊急に当該児童を保護する必要がある場合とか、あるいは、虐待、放任等の理由により当該児童を家庭から一時引き離す必要がある場合等に、緊急に一時的な保護を加えるものでございます。
 ただいま委員御提案といいましょうか、御指摘の法改正については、現在のところ考えておりませんが、いずれにいたしましても、児童の福祉を図りその健全な育成を図ることは極めて重要なことであると認識しております。
 法の趣旨にのっとり、一時保護について現行制度を適切に運用し、要保護児童の保護に努める必要があろうと考えておるところでございます。
#246
○枝野委員 この問題は、親のいわゆる親権というものとの絡みで非常に微妙な問題だろうと思いますが、ぜひ前向きに検討を進めていただければということをお願い申し上げます。
 さて次に、一連のサリン問題あるいはオウム真理教に対する捜査に関連をいたしましてお尋ねをいたします。
 実は、この件につきまして私がこの質問をするに当たりまして、警察当局からどのような公式発表がなされておりますかというようなことをお尋ねをいたしましたところ、ほとんど公式の発表というものがなされていないというふうにお伺いをいたしました。ところがその一方で、連日報道は、新聞は、例えばどのようなものが押収されたであるとか、どのような人に逮捕状が出たであるとか、どのような人を怪しいとにらんで云々かんぬんといったような報道は連日なされております。
 もちろん、報道機関は報道機関の立場として、みずからの調査によってそういった捜査状況をどんどん調べていただいて報道していただく、これは大変結構なことだと思いますが、一方で、今国民が何を不安に思っているのかといいますと、サリン事件にいたしましても、それからオウム真理教の実態にいたしましても、何が事実で何が事実でないのか、事実がわからない、わからないから不安であるという側面があるのは間違いないだろうと思っております。そうした中で、警察からは正式な発表はない。報道からは、どうも警察がこれこれこうやっているらしいという報道はなされている。国民は何を信じていいのかわからない。
 こうした状況の中では、もちろん、捜査でございますので、捜査上の秘密として、あるいはプライバシーの問題として、捜査機関から公表できる部門というのは限られているというのは重々承知をしておりますが、逆に、公開されても構わない情報は、むしろどんどん公式発表として出していただく。そのかわり、報道機関等から、報道機関の努力によってはれてしまったのは報道されるのはやむを得ないと思いますが、表に出してはいけない、出すべきでないと判断している情報はきちんとシャットアウトを、要するに警察の側から出ないようにするというめり張りをつけていただきませんと、連日新聞を見て、ああ、やっぱり麻原さんが犯人なのか、犯人じゃないのか、新聞によって全然、断定をしたとかしないとか、書き方は変わっている。何が押収されたというのも、新聞を読むと違っている。
 こういった状況をぜひ警察当局の方で憂慮していただいて、報道を規制するようなことがあってはいけませんが、警察内部の情報の出し方、管理の仕方というものをぜひ配慮していただきたいと思いますが、公安委員長、いかがでしょうか。
#247
○野中国務大臣 委員から御指摘ございましたように、犯罪の捜査の上におきまして、秘密を保持することの必要性とさらに国民への公表の要請について、常にそのバランスを心がけていかなくてはならないということは言をまたないところでございます。
 特に、今回のような一連の事件は社会的にも極めて大きな不安を国民にお与えをいたすわけでございますし、また、連日の報道あるいは特定のテレビ等のワイドショー的なあり方というものは、さらに国民の関心が高まるわけでございますので、今委員が御指摘ございましたような点を十分踏まえまして、的確な対応が図られるように配慮をいたしてまいりたいと存じております。
#248
○枝野委員 これは私の個人的な意見ですので御答弁は結構ですが、こうやって国民の関心の高い事件は、ぎりぎり可能なところはできるだけ正式に公式のコメントとして発表していただくという姿勢でいた方が、国民の側からは警察の捜査に対する信頼というものも高まるのではないかというふうに思います。
 さてそこで、そうした警察当局からの公式の裏づけのない報道の中に、次のような事実の報道がございます。その事実関係、実際にあるのかどうかを確認させていただきたいのですが、一つは、ホテルにおいて宿泊者名簿に偽名を書いだということを理由として私文書偽造罪として逮捕がなされている。それから、自動車の車内にカッターナイフがあった、見つかった。それも刃渡り五センチ程度のカッターナイフがあった。そのことを理由として銃刀法違反としての逮捕がなされた。あるいは、マンション内に立ち入ってオウム真理教関連のビラをまいた、そのことが建造物侵入罪に当たるとして逮捕がなされている。あるいは、自動車を運転していたところ、一時不停止、とまるべきところでとまらなかったという、道路交通法違反という被疑事実で逮捕がなされている。このような報道がなされておりますが、こういった事実はあるのでしょうか。
#249
○垣見政府委員 お答えいたします。
 オウム真理教をめぐるさまざまな事案につきまして、犯罪容疑がありました者を検挙しております。例えば、逮捕監禁、営利誘拐、毒劇物取締法違反などを含めましておおむね百名以上を逮捕しているわけでございますが、そういう中に、委員御指摘のような犯罪による逮捕被疑者も含まれているものと承知しております。
#250
○枝野委員 実は、この問題というのは非常に私自身の中でもお尋ねをしにくいという心の葛藤がございます。率直に申し上げて、私も末席とはいえ国会議員として国民の安全、平穏というものに一定の責任を持つ立場の人間といたしましては、まさにこうしたサリン事件のようなことの再犯がなされてはならない。特に、同一犯による再犯がなされてはならないという見地から、かなり思い切った徹底した捜査によって再犯防止をしていただかなきゃならない。そして、そのために警察当局、相当の御努力をしていただいているということについては高く評価をすべきであると思っております。
 しかしその一方で、今私が提示をいたしました案件、まさにこれが理由で身柄を拘束する必要があるのかどうか。もちろん具体的な事情、さまざまございます。最終的な判断は裁判所が行うべきであり、国会があるいは一議員が判断することではございませんが、一般論として申し上げまして、宿泊者名簿に偽名を使うというような行為をしたことがない人間がこの部屋の中に何人いるのか。一時不停止をしたことがない人間がこの中に何人いるのか。あるいはかばんの中、車の中、カッターナイフ程度の物をお持ちの方というのは決して少なくない。
 それだけで、もしも安易に逮捕というようなことが、身柄拘束ということが行われるというのが一般的になってしまうとしたら、あるいは警察当局の皆さんが、当たり前だ、それぐらいのことでもひっ捕まえていいんだというようなお気持ちになっていただくとしたら、これはいわゆる戦前の警察国家というような方向に世の中が向かっていってしまうのではないかという危惧を覚えております。
 まさに今回のサリン事件などは法秩序というものに対する一種の挑戦でございます。これに対して、法を守らない、法の理念というものに従わない形で戦うのであればこれは初めから負けてあります。相手が法秩序に対して挑戦をしてきているのでありますから、こちらはあくまでも徹底をして現在の法秩序、現在の法制度のもとで戦っていく、これが法秩序、法治国家として、そして民主国家としての日本の姿であると思っております。
 もちろん、個々の案件についていろいろ追及するつもりはございません。今のような危惧があるのだということを頭に入れて捜査をしていただいているんだということをぜひ公安委員長に言っていただければと思います。(発言する者あり)
#251
○野中国務大臣 ただいま委員が御指摘になりましたように、犯罪の捜査に当たりましては、法令の定めるところに従いまして、踏むべき手続にのっとって遂行をすることはお説のとおりでございます。
 また、先般来よりも、昨年の松本サリン事件以来、なぜ警察はもっと早くあの異常な教団に踏み込まなかったという御指摘をもいただいておるわけでございますけれども、私が先ほど来申し上げてまいりましたように、予断と偏見を持つことなく、一つずつ犯罪を的確に解明しながらやっていかなくてはならないということを十分踏まえて、このことによって怖い警察、あるいは民主主義国家を目指しておる我が国において警察が異常な状態になったということに結果的にならないことを十分謙虚に踏まえながら、一つずつ犯罪を立件していく努力をしておるわけでございます。
 特に今回のオウム真理教をめぐる種々の犯罪の容疑につきましては、国民の皆さん方に多大の不安感があるわけでございますし、また、この異常なあり方について、我々は十分な警戒を整えなくてはならないわけでございます。
 個別犯罪につきましては法令に従ってやっておるところでございますので、何とぞ国民の不安解消のために、そして犯罪再発を防止するために今日努力をいたしております全警察の苦渋に満ちた行動を御理解をいただきまして、そしてこの捜査が完遂をできますように、さらに御理解をいただきますことをお願いを申し上げる次第であります。
#252
○枝野委員 そのとおりだと思います。
 あえて繰り返して申させていただきますが、今回のサリン事件等は、法治国家に対する挑戦だと思います。法治国家に対する挑戦に対して、法治国家である建前を崩して戦ってしまったら、そのこと自体が負けでございます。そして、我が国の警察、特に現場で苦労していらっしゃる皆さんは、まさに法治国家に対する挑戦に対して法をもって戦っていただける、そしてそれに打ちかっていただけると確信を持って、期待を持って見ているということを申し添えさせていただきたいと思います。
 さて最後に、実は先ほど私が指摘いたしましたような事件での逮捕等について、私思いますに、これまでであれば、今までであればちょっとやり過ぎではないかという声が一部の団体とかあるいは一部のマスコミとかから出てくるような事案ではないか。もちろんそれが正しい批判であるかどうかは別問題として、ちょっと異議を述べるという意見があっておかしくないような状況ではないかというふうな認識をいたしております。
 ところが、今私の質問に対しても幾つかのやじがありましたとおり、今日本の国じゅうがすべて、サリンが再発してはけしからぬ、こういったものは許してはならない、そしてオウム真理教はえたいの知れない団体で徹底的につぶさなければならないという空気が蔓延をしております。私も個人的な意見を問われればいろいろございます。私が今申し上げたような意識はむしろ強く持っております。
 しかし、ここで特に、行政の長としてというよりも政治の長として、日本のリーダーとしての村山総理にぜひお聞きをいただきたい。
 こういった、何か日本全体が一つの方向に向かっていってしまって違う意見が出てこない、しかも違う意見を言うことが言いにくい、そういった空気というのは、実は私どもの国が五十年ちょっと前に過ちを犯したその歩みと同じものではないのだろうか。もちろんまだそれは始まったばかりでありますが、始まってしまったときにはとめられなくなりかねない。今回のこと、個々の事件としていろいろと違法性がある、違法性のあるところについては徹底的に捜査をし、犯罪となる者はきちんと処罰をする、当然でございます。その防止をするのも当然でございます。
 しかしながら、その一方で、それに対する疑問の声というものが一切出てこなくなるというような空気をちょっと私は心配している。私はあえて申し上げれば、今までであれば、例えば弁護士会の人権委員会とかあるいは一部の革新政党であるとか、そういったところから必ずやり過ぎではないかという批判の声が今までの日本であればあったのではないかというのに、今回はそういった声が出てこないという流れというものを危惧をいたしております。ある意味では、法治国家に対する挑戦としてこういったテロのようなことが行われて、そしてそれに対抗するためにこれはけしからぬ、けしからぬと言っていくことが、実は結果として、テロの一種の目的であるこの現在の民主的な国家体制というものを弱体化させていくことにつながりかねないのではないか。
 もちろんこれが杞憂に終われば結構でありますし、杞憂に終わる可能性が高いだろうと思っておりますが、どうもそのあたりのところ、特に、日ごろ人権云々ということを強く言っている例えば弁護士会であるとか、あるいは一部の進歩派と言われているような学者の方とか、あるいは報道機関であるとか、そういった皆さんが一切すべて右へ倣えでどんどんやれという話というのはちょっと注意をすべきではないか。
 ぜひ、日ごろ平和ということを強くおっしゃり、そして過去の五十年前の我が国の誤りというものに強い認識を持っている村山総理には、こうしたことがあってはならない、今回のことはこれこれこういうことだからけしからぬのできちんとやるのだ、それと世の中全体がわっと片方の方へ流れていくということとは違うんだということをきちんと認識をできる、そうなんだということをぜひ意識をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#253
○村山内閣総理大臣 先ほど公安委員長からもお話がございましたように、犯罪の捜査は、こういう規模のものになりますとやはり何よりも国民の理解が必要だということは当然だと思いますが、国民の理解を得ながら、あくまでも法の定めるところに基づいて適正に捜査が行われるということは、これはもう当然のことだと思います。
 今回のこのオウム真理教をめぐる事件の犯罪の容疑につきましては、国民の間に大きな不安が広がっておるということは、もうこれは否定し得ない事実でありますから、警察においてはそういう不安を解消させて、そのためには再発を防止をする、そのためには犯人を検挙する、いずれは検挙をするということが今与えられた課題だ、その課題に向かって私は厳正に取り組んでおるというふうに信頼をいたしております。
 今御指摘のあったような問題につきましては、これは大変際どいものが私はあろうかと思います。しかし、その判断は、これは最終的には裁判所がするのであって、その裁判所の判断にも十分適応できるような、そういう体制というものをしっかりとって、そして、あくまでも法に基づいて厳正に対応しておるというふうに思いまするし、そういう態度をとり続けながら、一日も早く犯人を検挙して、実態を解明して、国民の不安を解消するということのために全力を挙げて取り組まなければならぬし、取り組んでおると私は確信をいたしております。
 そういう意味において、国民の皆さんの一層の御理解と御協力をいただきたいということも重ねて申し上げておきたいと思います。
#254
○枝野委員 ありがとうございました。
#255
○佐藤委員長 これにて枝野君の質疑は終了いたしました。
 次に、石田勝之君。
#256
○石田(勝)委員 新進党の石田勝之でございます。
 質問に入ります前に、去る三月二十日、地下鉄サリン事件がございました、そして昨年の六月に松本サリン事件がございました、その事件でお亡くなりになりました皆様の御冥福を心からお祈りを申し上げるとともに、被害に遭われました皆様方に対して、心からお見舞いを申し上げたいと思っております。
 先ほど来、このサリンの集中審議におきまして、各議員からいろいろ質疑がされたところでございます。その質疑を聞いておりまして、私は今回のこのサリン事件で、先ほどの質疑の中で与謝野文部大臣の答弁にございましたけれども、このオウム真理教は宗教団体なのかそうでないのか、そういう御質問がありました。私は、オウム真理教、これは報道されていることが事実だとすれば、これはカルト集団だと思っております。宗教団体でなくカルト集団であろう、こういうふうに私は認識をいたしております。
 現世をすべて否定して、世の中を破滅させよう、そういう意図が感じられる、このような嫌疑のかかったオウム真理教、与謝野大臣は先ほど宗教団体がどうかは個人の主観的判断だ、そういう御答弁でありましたが、総理大臣、このオウム真理教なる団体、この集合体をどういう団体と認識されておられるか、まず総理の認識をお聞きしたいと思います、
#257
○村山内閣総理大臣 これは一応文部省から認証された宗教団体になっておるわけですね。今回のようないろいろな事犯が起こって、そして警察が総力を挙げて捜索を、捜査をやっておる、こういう状況にございまするけれども、まだ実態も解明されておりませんし、結論も出ていないわけでありますから、今ここで私がこの宗教団体に対して見解を述べることは差し控えたいというふうに思います。
    〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
#258
○石田(勝)委員 私もこの報道されていることが事実だとしたらということを前提に申し上げている話で、この報道されていることが事実であれば、これは宗教団体ではなくてカルト集団だ、私はそう思うというふうに申し上げているわけであって、総理大臣、もう一回ちょっと、この報道されていることが事実だとした場合は、この団体、集合体をどう考えているか、お聞かせいただきたいと思います。
#259
○与謝野国務大臣 石田先生がカルトという言葉をどのような定義のもとで使われているか存じ上げませんが、カルトというのは、ある狂信的な人たちの集合体というふうに私は理解をしております。
 そういう意味では、先生のおっしゃっている、宗教団体とは認めがたい、むしろ欧米に見られますようなカルト集団の一つの類型に当てはまるんではないかという御認識は、私もその認識を同じくするものでございます。
#260
○石田(勝)委員 先ほどの質疑の中で、軽犯罪でとても一般的には逮捕に相当しない人たちも逮捕されているんじゃないか、そういう御質疑がありました。
 そういう中で、公安委員長、これは宗教団体ということではなくて、警察当局の、公安当局の捜査網というのは、これはもうあくまでもサリンを、サリン事件を念頭に置いてこれは捜査網を張っているものだろう、私はこう理解をしておるわけでありますが、今の質問に関連して、公安委員長はこのオウム真理教なる団体をいかなる集合体と認識されておられるのか、お尋ねしたいと思います。
#261
○野中国務大臣 先ほど来、他の委員の御質問にも答えましたように、オウム真理教の捜査の過程から、宗教法人としてなぜあのような化学薬品や機材を持たなければ、宗教上必要であったかどうかという理解に苦しむような問題がございます。
 そういう問題を含めまして、今これに所属する幹部を捜査をし、そして犯罪を捜査中であるわけでございます。この所属する幹部が教団として、集団としてかかわったかどうかは今後の捜査活動を通じて判断しなければならないと存じておるところでございまして、私どもといたしましては、先ほど来申し上げましたように、予断と偏見を持つことなく、一つずつ犯罪を的確に把握しながら処置してまいりたいと考えておる次第でございます。
#262
○石田(勝)委員 私は、こういう極悪非道な行為を断じて許してはならない。連日にわたり警察当局が全力を挙げてこの事件解決、解明へ向けて努力されていることに心から敬意を表する一人でありますが、その中で、オウムについての警察に今日まで告発された事件というのはたくさんあると思っております。
 例えば、大量の危険物の購入だとか、入会者をめぐる脱会のトラブルだとか、そのほかいろんなことが絶えなかったわけでありまして、警察当局に対してこれらの事件の告発、告訴というのは随分行われていたと私は理解をするわけであります。これらの告発の数、そしてそれはいつごろから始まってきたのかどうか、それからその告発の事件の中身、たくさんあろうかと思いますが、概略で結構でございますから、その点を警察、公安当局に御答弁いただきたいと思います。
#263
○垣見政府委員 お答えいたします。
 今、私、承知しております告訴、告発事件、八件だったと思いますけれども、ちょっと詳細、至急今お答えをいたしますので、ちょっとお時間をいただきたいと存じます。
#264
○石田(勝)委員 じゃ、先へ進みます。
 平成元年の十一月に、坂本弁護士一家失踪事件というのが起こったわけでございます。そして、これはオウムがやったんであろうということが、オウムがやった可能性が非常に濃いということが報道機関等々で言われていたわけであります。そして、このときにしっかりやっていれば、これは結果論でありますけれども、こんな大事件にならなかったんじゃなかろうかということをおっしゃる識者の方もたくさんいらっしゃるわけでありまして、この坂本弁護士一家の失踪事件のその後の捜査状況についてはどうなっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
#265
○垣見政府委員 お答えいたします。
 お尋ねの事件でございますけれども、平成元年十一月十五日にこの事案につきましては公開捜査に付するとともに、神奈川県の磯子警察署に捜査本部を設置して、現場付近の不審人物等に関する徹底した聞き込み、それから同弁護士が取り扱った事件をめぐる紛議の内容等、それから公開捜査により入手をしました情報の分析とその裏づけなど、所要の捜査を強力に推進しているところでございますが、残念ながら現在までのところ、事件解決に直接結びつくような情報の入手には至っておらないという状況でございます。
 なお、この事件、大変重要な事案というふうに考えておりまして、現在も引き続き神奈川県警察において体制をとって捜査をしているところでございます。
 なお、先ほど御質問のございました件、説明をさせていただきますと、これは八件と申しましたけれども、オウム真理教に関して警察に告発等がされた事件、事案としては八件でございまして、ただこれは、オウム側からなされたもの五件、オウム側に対してなされたもの三件でございます。
 その内容はいろいろとございますけれども、脅迫を受けた事案、あるいはこれは現在被疑者一名検挙して捜査しておりますけれども、宮崎県におきまして平成六年三月に旅館の経営者が自宅から営利誘拐された容疑の事案、それから名誉鞍損の事案等でございます。
 よろしゅうございますでしょうか。
#266
○石田(勝)委員 オウム真理教は、先ほど来お話に出ておりますように、平成元年八月に東京都から宗教法人として認証を受けております。オウム真理教の麻原教祖は、平成五年秋ごろから、ハルマゲドンといって、世界最終戦争ということを言い出しまして、その平成五年秋ごろから薬物、薬品の購入をし始めた、こういうふうに今報道されております。また、あのような巨大なサティアンと称する建物の施設を建設して、それで何とか省とか、例えば「自治省」とか何々省とか、そういう組織も平成六年春ごろからつくってきた。このころからもう動きが具体的にはっきりしてきたわけであります。
 この一連の事件が、公安当局として、関連をしているかどうかということをまず一点お尋ねしたいと思います。そして、警察当局としていつごろからこれらの内容について疑問を持つ宗教団体と思っていたのか。さらに、サリンをつくっていたという嫌疑を持ったのはいつごろからなのかということをお聞かせいただきたいと思います。
#267
○垣見政府委員 お答えいたします。
 申すまでもないことではございますけれども、犯罪捜査を行うに当たりましては、証拠を積み重ね、真相に着実かつ適正に到達をするというか、解明しなければならないところでございます。これまでのところ、オウム真理教教団とサリンとの関係につきましては、具体的に申し上げると、三月二十二日に東京都内の公証役場事務長被害の逮捕監禁事件でオウム真理教関連施設を捜索いたしましたところ、サリンを製造するのに必要とされる薬品を多数発見しましたことなどにより、容疑があるのではないかということで、さらに三月二十六日に殺人予備の容疑を立証するために同所に対する捜索、検証を実施しているところでございます。
 なお、御質問の中で、この教団について具体的にいつごろというようなお話がございました。まあ私ども、捜査においてはいろいろな情報を集めておりますけれども、その情報についてはいろいろ検証をする必要があるわけでございまして、具体的に捜査活動というか捜査を必要とするという形で、それが形になったものは、今申し上げましたような順序で一歩一歩進んでいるところでございます。
#268
○石田(勝)委員 ちょっと答弁がよくわからないんですが、私は、このオウム真理教がサリンをつくっていたと嫌疑を持ったのはいつごろなのかということを尋ねているわけであります。
 それで、先ほどからこの委員会でも議論されているように、去年の六月には松本でサリン事件が起きた。それからその後、山梨でも上九から異臭騒ぎが起きた。それで今の話だと、三月の二十二日ということはことしの三月の二十二日というふうに私は理解するんですが、その前に、平成五年の七月にも江東区でオウムの施設で異臭騒ぎが起きている。
 そういう幾つもの事件が連なっていて、まず私は、それらの事件が関連性があるのかどうなのかということを尋ねておるのと同時に、その異臭騒ぎだとか松本事件だとかいろいろ起きている中で、警察当局としてはいつごろからこのオウム真理教なる団体がサリンを製造していたんではなかろうかと嫌疑を持ったのかということを私は尋ねているんですよ。
#269
○垣見政府委員 ただいまの御質問、ある意味で捜査活動の機微に触れる点で、なかなか御理解のいただけるような答弁ができかねたわけでございますけれども、御指摘いただきました松本のサリン事件あるいは地下鉄のサリン事件について、現段階での私どもの認識を申し上げますと、これらにつきましては、御指摘のように、自然界に存在しないサリンという物質がそれぞれ、ある意味で共通項として存在をしております。
 ですから、そういう意味で、物質の共通性があるという意味ではその関連性の有無を当然捜査の中できわめていく必要があるわけでございますけれども、事件として今どういうふうに判断しているかと言われれば、今の段階ではそれぞれ別々の事件として私どもは真相を解明する必要があるというふうに考えている次第でございます。
#270
○石田(勝)委員 その捜査上のいろんな問題があるのは私も理解できますが、ただ、国民としてはやっぱり警察に頑張ってほしいという気持ちを皆さん持っていると思うし、それでそれらの事件の解明で、いつごろからそうなっているのか、それから、これだけの捜査網をしいて、先ほどの微細ないろんなことでも、軽犯罪のことでも逮捕したり、いろんなこともやはりそれに絡んでいる、これはもうサリン事件解明のために絡んでいる、そういうふうに国民の皆さん方も理解をしているから応援をしているんだろうと私は思っているので、もう既にその捜査が始まっているということを理解しているわけでありますから、サリン事件のその嫌疑を持って、いつごろからそういうあれを持って始めたのかということは、警察当局としてはっきり言っても私は別に支障はないのじゃないかな、こういうふうに思っております。
 それでは、松本サリン事件が起きた、これは別々な捜査として始めた、今局長からそういう答弁でありましたが、この松本サリン事件が起きて、それで先ほど野中公安委員長から反省の弁というか、それもしっかりやっていればというふうなお話もありましたけれども、その後、警察当局として、このオウムに関連して、サリンに関連して、全国レベルの全国捜査会議というのは何回ぐらい今日まで開いているんですか。
#271
○垣見政府委員 オウム真理教関係者による違法行為容疑事案の捜査に関しまして全国レベルの会議をしたのは、先般四月の中旬でございますけれども、それが一回でございます。
 ただ、松本サリン事件のお話ございましたけれども、松本サリン事件につきましては、御案内のように、この捜査の過程で薬品の流通ルートの解明をいたしております。これは、ある意味で全国的なレベルで各県警が協力をして捜査をする必要があったわけでございますので、それにつきましては、いろいろな種類の全国会議ございますけれども、その都度必要な指示をいたしているところでございますし、また、関係の特に深い警察あるいは都道府県警察等は、適宜担当者が集まって情報交換なり必要な打ち合わせをいたしているところでございます。
#272
○石田(勝)委員 それでは防衛庁長官にお尋ねをします。
 警察は化学物質に対する特殊な装備、いろんな装備がありますが、それは持っていない、防衛庁、自衛隊から借りて捜査を行っている、そういうことを言われております。防衛庁は警察から、そういう化学物質に対応できる装備を貸してほしいとか、あるいはそういうことが起こるであろうということを想定して、防衛庁に対して警察の方から協力依頼というのはいつ受けられたのかどうか、ちょっと長官からお答えいただきたいと思うんですが。
#273
○玉沢国務大臣 三月の十七日夕方、警察庁から装備品の貸与や関係者の指導等につき依頼があったところであります。
#274
○石田(勝)委員 三月の十七日夕方というと、地下鉄サリン事件が三月の二十日ですから、その三日前ということになるわけですね。そうなりますと、警察当局としても、サリンの犯罪が起こるんではないかということは三日前から、最低三日前から、そういうおそれがあるということは把握されていたということですか。
#275
○垣見政府委員 お答えいたします。
 ただいま防衛庁長官からお話のございました、自衛隊に対して防毒服というか毒ガスを防ぐ服等の貸与をお願いしたわけでございますが、これは、二月の末に東京都内で起きました仮谷さんの拉致事件の捜査のためにオウム真理教関係施設の捜索を実施するためにお願いをしたものでございます。
 じゃ、なぜそのオウム真理教の施設を捜索をする際にそういうものが必要かというようなお尋ねかと思いますけれども、この点につきましては、先ほど来お話が出ておりますように、昨年、私どもで認知したのは十一月でございますけれども、オウム真理教施設の直近から、サリンが生成された後に生ずるというか残る残渣物と思われるものが検出をされておりまして、その事実、あるいは若干いろいろなうわさ等もございましたので、場合によってはその施設あるいは施設周辺にサリンが存在するのではないかというような疑念もございまして、それに対して対応できるような準備をするために、私ども十分装備をしていなかった防護服等をお借りをして捜索に入った次第でございます。
#276
○石田(勝)委員 厚生大臣、せっかくお越しいただいたのですが、先ほどの枝野議員と絡むものですから、申しわけありませんが、厚生大臣にはちょっと質問する時間もございませんので、恐縮でございます。
 法務大臣、オウム真理教の青山顧問弁護士という方がいらっしゃいますが、この方は、国土計画法違反によって公判請求がされて、現在保釈中であると伺っております。保釈中である人が、これは法的に違反をしているわけではないと言えばそれまでかもしれませんが、保釈中である者がテレビに出演をして、私ども聞くところ、弁護士として理路整然とうそをついているわけですね。
 そういう状況を見て私は大変に疑問を持つわけであります。犯罪の嫌疑を持たれているオウム真理教の代弁者となるようなこの弁護士の行為について、法務大臣としての御見解はいかがかと思いまして、お尋ねしたいと思います。
#277
○前田国務大臣 マスコミ報道のあり方はいろいろ御意見がございまして承知をいたしております。マスコミ報道でございますので法務大臣としてのコメントは差し控えますが、法律上から申し上げますと、この保釈中の被告人である青山弁護士のテレビ出演につきましては、法的にはテレビ出演を禁止するものではないということになっております。
 また、保釈取り消し、収監云々、身柄拘束につきましては、法律上は、罪証隠滅、逃亡のおそれがある場合に検察当局が請求し、裁判所が判断、決定するということになります。
 この弁護士のこうした処置につきましては、犯罪行為のいわば推定ではできない、事実解明がされることが前提になってくる、かように考えております。
#278
○石田(勝)委員 文部大臣、このオウム真理教の信者数というのは公称一万人と言われていますが、実際にオウム教に入っている信者の数を文部省としてどの程度と把握されているのか、これを一点お尋ねしたい。
 それから、オウム真理教が認証を受ける際に、東京都の行政部指導課でこれを受理する際にかなりのトラブルがあった、こういうふうに私ども聞いておるわけであります。いろいろな苦情が寄せられていたということも伺っておりますし、そのときの認証時の経緯について文部大臣にお聞かせいただきたいと思います。
 その際に、これはあってはならないことでありますが、政治的な圧力だとかあるいはオウム信者からの脅迫とか、そういったものはなかったのかどうなのかということもあわせてお尋ねしたいと思います。
#279
○与謝野国務大臣 今月六日に文部省を訪れたオウム真理教の代理人と称する者から聞いたところによりますと、信者数は現在約一万一千人であるということでございます。
 それから、オウム真理教の認証時の経緯についてお尋ねですが、宗教法人オウム真理教の所轄庁は、まず東京都知事でございます。東京都によれば、平成元年三月一日付でオウム真理教より宗教法人設立にかかわる規則の認証申請書が提出されましたが、信者の家族から、入信して帰ってこない、高額のお布施を納めさせられたなどの苦情が寄せられておりましたので、事実関係の確認調査を進めておりましたが、規則の認証申請書については書類上不備がないことから、同年五月二十五日これを受理いたしました。
 また、その後も苦情等について事実関係の確認調査と規則認証の法的要件の審査を行いましたが、法令違反の事実は確認できず、宗教法人規則認証のための要件を満たしていると判断し、同年八月二十五日に同規則の認証を行ったと東京都から伺っております。
 次に、オウム真理教の認証に際し政治的働きかけなど種々の圧力があったのではないか、事実関係はどうか、こういうお尋ねですが、東京都によれば、オウム真理教からの宗教法人設立の認証に際しては政治的な働きかけや圧力はなかったと聞いております。
#280
○石田(勝)委員 警察当局に、公安当局にお尋ねをしますが、オウム真理教が平成五年ごろからサリンをつくっていたのではないかという疑いが非常に強いと伺っております。
 それはなぜかというと、先ほど私が申し上げましたように、大量の薬物を、三塩化燐だとかいろいろな薬物を、ドラム缶いっぱいにそれらを買い集めていた、それでいろんな機材を買い集めていた、そういうことから、平成五年春ごろからその薬物を製造をしていた、そういうことが濃厚であるということを言われておるわけであります。
 これまで薬品が警察当局に多数押収されているわけであります。そして、実際に第七サティアンの中を捜査に何度か入られて、あの施設でサリンができると断定できるのかどうか、警察当局の御見解をお伺いをいたしたいと思います。
#281
○垣見政府委員 お答えいたします。
 御指摘のように、山梨県上九一色村所在のオウム真理教関連施設におきましてサリンの製造に必要とされる薬品類多数を押収したところであり、また同所において発見した化学プラント様の施設に対する検証作業を進めているところでございます。
 これまでのところ、同所でサリンが製造されたかどうかにつきましては、これらの押収物の多角的な分析、さらに化学プラント様の施設に対する検証の結果等を今後踏まえて判断すべきものと考えております。
#282
○石田(勝)委員 いや、だからあの施設を捜査されて、そしていろんな薬品、薬物を押収したわけですよね。あの施設を捜査して、あれだけの施設とあれだけの薬物があればサリンが製造できる可能性が非常に高い、そういうふうに思っておられるのかどうなのかということなんです。
#283
○垣見政府委員 当該化学プラント様の施設を使ってサリンの生成ができるかどうかというか、それが可能性があるかどうかという点、これもある意味でまだ捜査中なんでお答えしにくい点でございますけれども、私どもとしては可能性があるのではないかということで現在検証作業を進めていて、最終的な判断はまたこれから、今後の問題であるというふうに考えております。
#284
○石田(勝)委員 山梨県の富沢町で自動小銃を密造していた、こういう報道もされておるわけでありますが、何を目的に密造していたのかな、そういったことを非常に心配をするわけであります。國松警察庁長官狙撃事件とその密造との関連性について公安当局はどう把握されているのか、お聞かせいただきたいと思います。
#285
○垣見政府委員 お答えいたします。
 警視庁におきまして、四月六日、建造物侵入により現行犯逮捕いたしましたオウム真理教信者の使用車両から自動小銃の部品様の金属物品を発見いたしましたことから捜査をしておりまして、それらをつくったことは武器等製造法違反容疑があるということで、今御指摘いただきました山梨県の富沢町内のオウム真理教関連施設などの関連場所を捜索するなどいたしているところでございます。
 これらの物品等がいつごろから、どこで、何の目的でつくられたかにつきましては、これから解明をする必要があるものと考えております。
 また、御質問の警察庁長官狙撃事件に関しまして現在捜査をしているところでございますが、現段階におきまして、この小銃の密造容疑とは別個の事案として捜査が行われており、両事件が関連性を有しているとの特段の判断をする材料の入手には至っておりません。
#286
○石田(勝)委員 今回のサリン事件の裏には、これは捜査上のことで私はなかなか答弁は難しいことなのかなと思いますが、これは綿密な計画者と、それからそれに対する命令者、それから実行者、これは間違いなくいるわけであります。それも綿密に計算されて、一秒あるいは〇・一秒ぐらいのことも計画しながら、すべてこれは綿密に計画をされた事件ではないのかということを私自身は思っておるわけであります。
 そこで、麻原彰晃氏の居場所についていろいろ言われておりますが、これらについては警察当局としては当然把握はされておるわけですよね。それをお聞かせいただきたいと思います。
#287
○垣見政府委員 お答えをいたします。
 警察におきましては、オウム真理教幹部らの関与した数々の犯罪容疑について捜査を行っているところでありまして、今後、これらの事案の全容解明を図りたいと考えているわけでございます。
 ただ、これは現在捜査途上でございまして、この捜査の進展によりどういう人物が捜査の対象になるかどうかにつきましては、現段階でお答えを差し控えさせていただきたいわけでございますけれども、いずれにしても、警察におきましては、捜査のために必要なことにつきましてはいろいろな手だてを尽くしているということを御理解いただきたいと存じます。
#288
○石田(勝)委員 それでは文部大臣にお尋ねをします。
 先ほども話に出ておりました児童福祉法第三十三条によって五十三人の児童が保護されたわけであります。その保護された児童は三歳から十四歳までと伺っております。学校に行ってない児童もたくさん、当然全部行ってないわけでありますが、それらの中身を文部省として現段階でどの程度把握されているか。そして、聞くところによりますと、五年間全く学校へ行ってない子もいる、こういうことも聞いておるわけであります。そういう子供の学力を、全く読み書きができないという子供も中に含まれているそうでありまして、それらの子供を保護した以上は、今後どういうふうに学力をつけていって、教育を受けてない子供たちについてどういう対応をしていくのか、お尋ねしたいと思います。
    〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
#289
○与謝野国務大臣 保護されました五十三人の子供たちは、年齢も違いますし、それぞれの家庭の背景も違いますし、また置かれていた状況も違うわけでございます。
 現在、これらの子供たちに対し、山梨県においてケースワーカーが丹念にいろいろな事情を聞いているところでございまして、その場合、そのケースごとに、その子供たちの状況に応じてどのような適正な道があるかということは今後の問題でございますが、先生御指摘のように、就学をしていないということは事実でございます。したがいまして、それぞれの子供がどこに帰っていくのかということはそれぞれ別であろうと思いますけれども、それぞれ子供が帰った場所でこれは就学をしていただかなければならないわけでございます。
 しかしながら、一方では、長期間にわたり通常の学校教育を受けていないということで、直ちに通常のレールに乗って学業を開始できるかという問題もございますけれども、これはそれぞれの子供が帰る場所の教育委員会と相談をしながら、それぞれの子供たちが通常の学業のレールに戻れるように私どもとしては万全を期したい、そのように考えております。
#290
○石田(勝)委員 今回の事件を見ていまして、オウム真理教の幹部の人たちは大学もエリート大学の出身の人もかなり多いようでありまして、そういう連中の行動あるいは報道される状況を見ておって、私は、知識と技術の習得というのは、有効性がある反面、危険性が生じるおそれが非常にあるんだということを痛切に感じた一人であります。つまり、人間性のあるべき姿が本来問われるのは、知識や技術の向上はもちろん必要でありますけれども、知識や技術の向上より人格の形成、つまり心のあり方が一番大事なんだ、こういうふうに痛切に感じたわけであります。
 総理は、実は昨日、横浜の異臭事件で、この事件についてはサリンでなくてほっとした、こういうふうに発言されたと報道されております。
 この横浜の異臭事件では、御案内のとおり三百人以上が異常を訴えて治療され、そしてまた入院されている人もいらっしゃるわけであります。確かに、総理はどういう意味でおっしゃったんだか私はわかりませんけれども、大変な大騒ぎをして、そして大変だということで異常を訴えて、御家族も大変心配されたし、その異臭に巻き込まれた人たちも大変な思いをされたと思います。
 そこで一国の総理が、サリンでなくてほっとしたという言い方は、私はどういうことなのかな、非常にこれは疑問に思うわけでありまして、どういう気持ちでサリンでなくてほっとしたという発言をされたのか、まず総理からお尋ねしたいと思います。
#291
○村山内閣総理大臣 横浜で起こりました事件につきましても、冒頭に私は被害者の報告もして、お見舞いを申し上げますということを申し上げましたけれども、最初に聞いたときに、三人倒れた、異臭で、こういう話を聞きましたから、あ、またサリンかなと思ったのですよ。これは大変だと思って、すぐ連絡をとって、そして緊急に配備をして万全の対策を講じてほしいと言って、連絡を取り合いながらその態勢をとったわけです。
 そういう気持ちがあったものですから、後で聞かれたときに、いやあ、もう本当サリンでなくてよかった、ほっとした、そういう気持ちを率直に申し上げたので、それ以上の他意はございませんから、その言葉どおりに御理解を賜りたいと思うのです。
#292
○石田(勝)委員 サリンだから大変だとか異臭だから大変じゃないとか、私はそういう問題ではないと思っております。今回の事件を通じて、私の見方としては、これはもう一過性のものではなくて、このままいけば、これは第二、第三のサリン事件や異臭事件が起こらないとも限らないわけであります。
 そして、こういう事件を見ておって、総理として、じゃお尋ねしますが、なぜこのような事件が起こったのか、その原因とか、私は先ほど心のあり方ということを申し上げましたけれども、なぜこういう事件が起こったのか、今後の治安問題の取り組むべき対応についても含めて、何でこのような事件が起こったのか、これはもう総理なりの私見で結構でございますが、それと、このような事件が起こった社会背景について総理はどうお考えになっておられるのか、率直にお聞かせをいただきたいと思っております。
#293
○村山内閣総理大臣 この地下鉄のサリン事件というのは、何回も申し上げますけれども、何の関係もない人たちを無差別に殺傷するという、極めてこれはもう許すことのできない極悪な事件ですね。
 この事件がどういう意図でもって起こったのかという、その背景を明らかにするために今捜査がなされているわけです。そのために犯人の検挙も行い、背景も明らかにして、事実関係を解明をして、そのことがまた再発を防止することになるというふうに私は思いますから、今際どい、先ほど意見もありましたような、別件逮捕でもって、そしてあらゆる角度から真相究明に迫っていく、こういう不眠不休の努力をしている今の捜査の活動について御理解と御協力を賜りたいと思いまするけれども、私は、そのことを通じてこれは解明されるべき問題であって、一日も早くそれが解明されることを期待をしながら、今全力を挙げて取り組んでおるという状況にございます。
 それから、こうした事態が起こった場合に直ちに対応できるような危機管理の仕組みというものをやはりしっかりつくる必要があるというので、今回の横浜で起こりました事件等につきましては、いち早く関係省庁が集まって、そして対応しながら、警察と消防隊と自衛隊というものが一体となって取り組める配置というものを迅速に機敏に行うことができたというふうに私は思っておりますけれども、危機管理の体制というものは、なお必要な点については充足をしながら万全の体制をとって臨んでいく必要があるという心構えで準備をいたしておるところでございます。
#294
○石田(勝)委員 私は、今までにないこんなサリン事件が起こって、地球上には存在しないというような事件が起こった、その社会背景について総理の率直な御見解を伺いたい、そう申し上げたわけであります。
 そこで、私も先ほどから申し上げているように、知識と技術の習得というのは、有効性がある反面、危険性が生じるということを痛切に感じたわけであって、やはりこれは最終的には人の心の問題になろうと思っております。
 その人の心のあり方について、総理として、日本の最高責任者としてどうリードし、教育を進めていこうとされるのか、それらについて最後にお尋ねをしたいと思います。
#295
○村山内閣総理大臣 特に、これから二十一世紀を担っていく子供の教育の問題等につきましても、それはこれだけ科学技術の進歩した社会ですから、それなりの知識や技術を身につけていただくことは必要なことだと思います。しかし、それが悪用されるようなことであってはならないので、やはりお互いに助け合い、かばい合いながら、支え合っていくという心を育てていくということが極めて大事なことではないかと思うのです。
 私は今度の阪神・淡路の震災で避難生活をしている小学校三年の子供さんから手紙をいただきました。その三年の子供から来た手紙を読んでみますと、地震が怖かった、それから水が大変大事なことであるということを教えられたというようなことも書いてありましたけれども、同時に、いろいろなボランティアの皆さんが全国から集まってやっている活動を見て、そして避難生活をする中から、私たち、僕らでできることは何だろうか、何かできることがあるならみんな一緒に力を合わせてやろうじゃないかと言って相談をし合って、そして水運びを手伝うことにした、今やっています、中学生も高校生もみんなそんな気持ちで今頑張っていますから、ひとつ復興についてはよろしく頼みます、こういうふうな手紙をいただきましたから、私は早速そのお見舞いと激励の返事を出しておきましたけれども。
 そういう心というのは、私は共通して皆さん持っておると思うのですね。それをやはりはぐくみ育てて、そして成人をした後も社会全体がそういう気持ちでお互いに助け合っていく、これがやはり何よりも大事な人間をつくることでなきゃならぬというふうに思っておりますから、教育の面においてもそういう点は十分踏まえた上で、これは、人間というのは単に学校教育だけでつくられるものではなくて社会全体でやはり教えられることが多いわけですから、したがって、我々の責任としても、そういう気持ちで、子供が育つような社会環境というものを大事にする、そして子供の将来を守っていくという気持ちで取り組んでいくことが大事ではないかというふうに考えています。
#296
○石田(勝)委員 以上で私の質問を終わります。
#297
○佐藤委員長 この際、伊藤達也君から関連質疑の申し出があります。石田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伊藤達也君。
#298
○伊藤(達)委員 新進党の伊藤達也でございます。
 関連の質問をさせていただく前に、私からも、今回の一連の有毒ガスの事件において命を落とされた皆様方に対して心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方、負傷された方々に対しお見舞いを申し上げる次第であります。
 まず最初に質問させていただきたいわけでありますが、昨日起きました横浜での事件についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 この事件について、地下鉄サリン事件との関係、あるいはこの事件との類似性というものがあるのかどうか、そういうことを踏まえて、今までの捜査状況について御報告願いたいと思います。よろしくお願いします。
#299
○野中国務大臣 昨日午後一時ごろ、JR京浜東北線の下りの大宮発大船行き電車の車両の二両日付近から、また横浜駅構内等におきまして異臭が発生し、乗客や通行人等がのどや目に痛みを感じたり気分が悪くなったという申告がございました。現在まで五百人を超える方々が医師の手当てをお受けになりまして、そのうち二十二名が入院をされたわけでございます。本日四時現在では五百九名が手当てをお受けになり、うち二十二名が入院をされたわけでございますが、既に十六名が退院をされ、現在六人が入院中と聞いておるのでございます。
 どのような異臭が発生をした、その風因につきましてはなお目下捜査中でございます。私ども、徹底してその原因を突き詰め、そしてその背景に迫らなくてはならないと考えております。
#300
○伊藤(達)委員 地下鉄サリン事件と今回起きた事件の類似性、その点についてはいかがでしょうか。この点も質問させていただいたのですが。
#301
○垣見政府委員 お答えいたします。
 ただいま大臣から御答弁申し上げたわけでございますけれども、現在原因を究明している段階でございまして、サリンではないという判断はいたしておりますが、そういう点、あと犯行の形態その他はこれからの問題でございますけれども、現在の段階では、地下鉄サリン事件と昨日の事件との関連性があるという判断はいたしておりません。
#302
○伊藤(達)委員 消防庁の方にお尋ねをしたいのですが、きのうの夜半過ぎに、昨日の事件について、毒ガスのホスゲンということの可能性があるんだというような発表がございましたけれども、これはちょっと訂正されたということがございましたが、もう一度御報告願えないでしょうか。
#303
○滝政府委員 東京消防庁が、昨日の夜二十二時十九分、一一九番通報で女性を国立東京第二病院へ救急搬送した件でございます。
 症状は、のどの痛みを感じた、こういうことでございまして、救急搬送の依頼があったわけでございますけれども、搬送されました国立東京第二病院では、この女性を当初、ホスゲン中毒(軽症)、こういうように診断をしたものでございますので、東京消防庁が二十日、夜中の零時二十分に、そういうことだということで公表いたしたわけでございます。
 ところが、けさの四時になりまして、国立第二病院の副院長が、当該患者の病名は確定的にホスゲン中毒というふうに根拠があったわけでは必ずしもない、こういうことで、咽頭炎及び結膜炎とすべきであったということで、診断を修正発表いたしたわけでございまして、東京消防庁は、これに基づいて当初発表いたしました内容を修正をした、こういう経緯でございます。
#304
○伊藤(達)委員 続いて、地下鉄サリン事件のことについてお伺いをさせていただきたいと思います。
 これは、地下鉄の三路線、五つの電車から化学物質が検出されたというふうに言われておりますが、これらの物質がサリンあるいはサリンに類似した物質であったと特定されているのかどうか、警察の方あるいは公安委員長の方から御答弁いただけないでしょうか。
#305
○垣見政府委員 お答えいたします。
 サリンと認められるものと考えております。
#306
○伊藤(達)委員 今回の事件を考えていきますと、当委員会でももう既に質問がされておりますが、宗教法人のオウム真理教との関係を注目しなければいけないわけであります。このオウム関連の事件で大量の薬品が押収をされたということでありますが、この薬品をもってすればサリンは生成できる、サリンの生成に必要な薬品はすべてそろっておるということでございますか。
#307
○垣見政府委員 お答えいたします。
 それも多角的に分析、検討している段階ではございますけれども、私どもとしては、押収した薬品類からサリン、それを化合させればサリンができるというふうに判断をいたしております。
#308
○伊藤(達)委員 先ほど質疑の中に、総理が、サリンでなくてほっとしたというお話がありました。ただ、この押収された薬品をよく見ていくと、サリン以外でも大変な事態が起きるような化学兵器でなくてよかったという側面もあろうかというふうに思います。
 犯人を逮捕するという観点ではなくて、いろいろな危機管理のケースを想定をして警備に当たっていくという観点から、その押収された薬品からほかの有毒ガス、ほかの化学兵器、そういうものが十分開発されるんだ、その可能性についてはどういうふうにお感じになられていますか、警察の方は。
#309
○垣見政府委員 お答えいたします。
 押収した薬品類からサリン以外の化学兵器の生成が可能かという御質問がと存じます。この点については、まだ十分な検討がされておりませんけれども、いろいろな可能性があるのではないかということで、そういう面から専門家等の意見も聞いている段階でございます。
#310
○伊藤(達)委員 防衛庁の専門家の方にお伺いしたいわけでありますが、これは報道が先行しておるわけでありますけれども、押収された主要な薬品がこうこうこういうものがあると、テレビでもオウム真理教の幹部の方々が、その薬品について、ある程度特定をされる発言をされております。そういうことをお聞きになられて、防衛庁の方は専門家でありますから、ほかの例えは神経系のガス、びらん剤、あるいは窒息剤、そういったものが十分に開発される可能性について感じておられるのかどうか、御答弁をお願いしたいと思います。
#311
○荒井(寿)政府委員 押収された薬品につきまして、どのようなものが押収されたのか、事実関係を承知しているわけではございませんので、今御質問のありましたもの、サリン以外の有毒ガスの生成の可能性について言及することは差し控えさせていただきたいと思います。
#312
○伊藤(達)委員 国民の中には、やはり大量の薬品が押収された姿を見て、化学兵器についてもいろいろな報道をされている中で、サリン以外に有毒な毒ガスの開発もされているのじゃないか、それについての十分な対応ができているのかな、こういう不安もあるかなという感じがするのですが、特に、防衛庁長官においては、そういうことを想定をして、原局について、いろいろな調査研究、そういうことをしなさい、あるいは体制を整えなさい、そういう指示を出されておられますでしょうか。
#313
○玉沢国務大臣 防衛庁といたしましては、化学兵器が使われるという場合を想定をいたしまして、我が国を防衛するための研究をいろいろいたしておるわけでございますが、サリンのガス以外につきましてもそのような対応を研究しておるというところでございます。
#314
○伊藤(達)委員 もう一度防衛庁の専門家の方にお伺いをさせていただきたいんですが、サリンを生成をする技術というものを持っている、それからサリンを生成するための当然の原材料も持ち合わせている、それに市販されている薬品というものを組み合わせれば、例えば、サリンよりも有毒なガスと言われているVXというようなガスの開発、その他のものについて開発ができるのかどうか、この点についてちょっとお伺いしたいと思うんですが。
#315
○荒井(寿)政府委員 今のお尋ねの点につきましても、私ども、どのような薬品が押収されたのか承知しておりませんし、現在、捜査当局においていろいろ捜査がなされているということと承知しておりますので、私どもからお話しすることは差し控えさせていただきたいと思っております。
#316
○伊藤(達)委員 今私は、押収した薬品をもとにという質問をしているんではないんです。そういう知識を持ち合わせている人が、そういう原材料を持って、他に市販されている薬品というものを組み合わせれば、ほかの有毒な神経ガス、びらん割あるいは窒息ガス、血液剤、そういうものを開発ができるのかどうか、その点をお伺いしているんですが。
#317
○荒井(寿)政府委員 今のお尋ねの点につきましては、理論的にはいろいろなことが可能なわけでございますし、報道とか、あるいはいろいろな専門家の方もいろいろな御発言をされておりますが、私ども防衛庁の立場でお話しすることはいかがなものかといって答弁を差し控えさせていただいているわけでございますので、ぜひその点につきましては御了解いただきたいと思っております。
#318
○伊藤(達)委員 そうしましたら、逆に、先ほど防衛庁長官からいろいろなほかの化学兵器、有毒ガスについても研究はしているんだというお話でありました、ほかの、サリン以外のもし有毒ガスがまかれるような事態に遭った場合に、例えば解毒剤の問題、あるいはその洗浄に当たる隊員が命を落とさないように事前に予防していく予防剤、この点についても十分研究がなされているのかどうか、この点についてお伺いしたいと思いますが。
#319
○熊谷政府委員 お答えいたします。
 化学兵器や細菌兵器等に対する解毒剤として、例えば、サリン等の有機燐系薬剤に対するハムだとか、あるいはルイサイトに対するバル、こういったものなどが知られております。
 解毒剤については、化学兵器に対処するための一手段として認識しておりますが、一般に、これらに対処するためには、解毒剤も含めた総合的な診療が必要であると考えております。このために、諸外国も含め情報収集に努めるとともに、教育訓練等の充実に努めているところでございます。
 今後とも、より一層情報収集等を通して適切な対応ができるように対処してまいりたいと思います。
#320
○伊藤(達)委員 今までの答弁の中で、防衛庁を中心にして、ほかの有毒ガスがもしまかれたときに体制ができているのかどうかということについて、これは十分明らかになっていないと思いますので、防衛庁長官においては、やはりこの点については十分な体制の整備を図っていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。
 それで、厚生大臣の方にちょっとお伺いをさせていただきたいんですが、私も今回のいろんな薬品について素人なりにいろいろ調べてみたわけであります。化学の専門家でない私が正確なことは言えないんですが、今回押収された、話題になっている薬品などを調べてみると、それ自体に毒性が弱くても有害なものに転用できる薬品があったり、それ自体が野放しにされている、また過去に製造が中止になった農業であるとか薬品というものが必ずしも完全に回収をされている状況にない、使用中止を徹底されている状況にないということがあろうかというふうに思います。
 こういう状況を踏まえると、国会で二つ関連の法案を上げたわけでありますけれども、やはり毒物の専門家の方々を集めて一つの専門家会議みたいなものを設置する必要があるんではないかという気がしてならないんですが、いかがでございましょうか。
#321
○田中(健)政府委員 お話しの毒物劇物取締法でございますが、この法律は、日常流通をしております有用な化学物質の中で、作用の激しいものにつきまして、国民の保健衛生上の観点から、基本的にはこれを適正に、適正な目的に使用するということを前提として必要な規制を行っているわけでございます。したがいまして、お話しのような、サリンのように全く流通が予定をされておらず、専ら人を殺傷する目的での使用しか考えられないような物質につきましては、私どもの毒物劇物取締法の規制対象にはなっていないところでございます。
 ところで、こうした現状を踏まえまして、現時点ではこの事件の全貌が明らかではございませんので、私ども毒劇法の所管の観点から検討できる段階ではございませんけれども、警察の捜査の結果を踏まえまして、私どもの法律の趣旨、目的の範囲内で、必要があれば所要の措置を検討していきたい、このように思っております。
#322
○伊藤(達)委員 次の質問に移らさせていただきたいと思うんですが、再び関連が注目されている事件、これはいわゆるオウム真理教という宗教団体がクローズアップされた事件でありますけれども、仮谷さんの拉致事件であります。
 この仮谷さんの拉致事件について、オウムの信者と言われている人が容疑者である、そう特定された理由について、もし明らかにしていただけるのであれば御答弁をお願いしたい。
 さらに、この事案については、オウムの信者の関係者がその逃亡を手伝っているのではないかというようなことが言われておりますけれども、その点も踏まえて、捜査の状況についてお伺いをさせていただきたいと思います。
#323
○垣見政府委員 お答えいたします。
 御指摘の、公証役場の事務長被害の逮捕監禁事件でございますけれども、この事案につきましては、犯行現場周辺の聞き込み等を行った結果、犯行にレンタカーが使用されていることが判明いたしまして、そのレンタカーの使用の状況あるいは関係者の供述等、所要の捜査を行ったところ、本件被疑者松本剛が犯行にかかわっていたものと断定をしたものでございます。
 なお、松本被疑者につきましては現在逃走中でございまして、この逃走につきまして、オウム真理教の信者が逃走を助けているというか、逃走するのに関与しているというようなことについても捜査をいたしているところでございます。
#324
○伊藤(達)委員 いわゆるオウム関連事件について、委員会でもいろいろ質問がされているわけでありますが、宗教団体の活動になじまない物品というものが次々に押収されているというようなことが報道されているわけであります。
 そこで、幾つか可能な範囲内で事実関係を確認をさせていただきたいと思うのですが、例えば、自動小銃の部品、改造けん銃、大量の火薬、弾倉、銃を製造するための高度な工作機器、あるいは銃あるいは小銃の設計図、こういったものが出ておるのでしょうか。
#325
○垣見政府委員 お答えいたします。
 オウム真理教の関連施設をいろいろな犯罪容疑で捜査、捜索をしている状況でございますけれども、まず、御指摘の中の銃器の製造容疑でございます。
 これは先ほどの御質問にもお答えしましたように、四月六日に建造物侵入で現行犯逮捕したオウム真理教関係者の使用車両から、自動小銃の部品と思われる金属物品を発見をいたしております。これにつきましては、武器等製造法違反容疑があるということで、関連施設を捜索をし、それらを工作というか、それらの製作に使われたのではないかと思われるような工作機械等の押収もいたしているところでございます。
 それから、やはり押収薬品の中に、爆薬を生成するのに原料となり得る物質等も押収をいたしております。
 それから、やはり大阪府警で捜査している事案でございますけれども、オウム真理教の信者が改造けん銃等を所持していたというような容疑での捜査もいたしているところでございます。
#326
○伊藤(達)委員 さらにお伺いをさせていただきたいわけでありますが、旧ソ連製武器への関心を示すようなメモ、あるいは化学兵器、細菌兵器、きょうの報道ではレーザー銃も見つかったというような報道も出ておりましたけれども、こういったものの部品、研究を示すような資料、こういったものは出ておるのでしょうか。
#327
○垣見政府委員 お答えいたします。
 薬品類等のいわゆる物品のほかに、いろいろな書類、メモあるいはフロッピー等、多数押収をしておりまして、それらを今分析をいたしているところでございます。
 それらの中には、現段階で、分析をしているところでございますので確定的には申し上げられませんが、今御指摘いただいたようないろいろな方面に興味を持っていたのではないかというようなことがうかがえる資料もあるようでございますが、その詳細については答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
#328
○伊藤(達)委員 さらに、裏部隊、シークレット部隊というものもあるのではないか、こういう報道もあるわけでありますが、この点についてはいかがでございましょうか。
#329
○垣見政府委員 先ほど来申し上げておりますように、オウム真理教の幹部等の犯罪行為について現在いろいろ捜査をしている段階でございますが、それらの捜査が進展し、全容が解明されれば、いろいろな行動がどういう組織、系統で流されたかというようなことがわかると思いますが、現段階では御質問について明確にお答えできるだけの材料を持ち合わせておりません。
#330
○伊藤(達)委員 そこで、公安委員長にちょっとお伺いをさせていただきたいのですが、今、捜査をやられている中で、お話をいただいたことをお伺いしているだけでも、かなりこの宗教団体は宗教行為を逸脱して武装化しているのではないかという危惧を持たざるを得ないのです。公安委員長として、この点については、この宗教団体をどういうふうに見ておられるか、もう一度お話をお伺いさせていただきたいのですが。
#331
○野中国務大臣 先ほど刑事局長から答弁申し上げましたように、仮谷事務長の拉致監禁事件を端緒といたしましてオウム真理教関係を捜査いたしましたところ、御指摘のような、想像を絶する化学薬品、機材等を発見をすることになったわけでございます。現在、それぞれ犯罪事実に基づきまして、オウム真理教に属する幹部を逮捕し、かつ捜査を行い、かつ逮捕状をとって今捜査中のものがあるわけでございます。
 ただ、その事犯解明を待って判断をせざるを得ないわけでございますが、これと教団そのものがかかわったかどうかは今後の捜査を経て判断をするべきものであると認識をしております。
#332
○伊藤(達)委員 次に質問させていただきたいんですが、もう一度防衛庁長官、お願いをしたいと思います。
 大変聞きづらい話でありますが、先ほどから出ている機密保持の話であります。昨日の報道では、オウムの雑誌に強制捜査直前の状況が子細に報じられている、そういう指摘があって、陸上自衛隊から情報漏れがあるのではないかというような報道がなされていました。さらに、陸上自衛隊の現役幹部がオウム附属病院の薬剤師らにサリンの解毒剤などについて説明したことがあるのじゃないか、こういうようなことも報道されているわけでありますが、長官としてはこの点についてどのように把握をされているのか、お伺いしたいと思います。
#333
○村田(直)政府委員 お答えいたします。
 一部報道によりまして、陸上自衛隊の今回の待機の態勢等がその雑誌に取り上げられているということでございまして、現在、その内容について私ども、まず一つは事実関係、報道と実際の事実関係というもの、それからそれが内部の者しか知り得ないものであるかどうかという点、そしてもしそうであるとすればだれがと、こういうような段階で、まず事実関係については現在調べを進めております。
 その段階で見ますと、一部署合合っているところもあるのですが、かなり大きい点で違っている面もあるということで、とすると、今、さらにその細部を調べて、なぜ大きい点でこんなに違っているのか、細かい点で割合合っている点もある、こういうような点でさらに細部の調査を進めて、しかしその上で必要があれば厳正な対処をするというふうに考えております。
#334
○伊藤(達)委員 時間がありませんので、次の質問に移らさせていただきたいと思うのですが、これも先ほど当委員会で質疑がされていたわけでありますけれども、上九一色村の五十二人の子供の保護の問題についてです。これは、保護されたときの状況がどういう状況であったのかということを、やはり国民に具体的な状況の説明をした方がいいのではないかというふうに思うわけでありますけれども、この点について御報告をいただくことはできますでしょうか。
#335
○中田(恒)政府委員 お答えを申し上げます。
 お尋ねの件でございますけれども、かねてより、山梨県の上九一色村のオウム真理教の施設内に、劣悪な環境に置かれて保護を必要とする児童が多数いるとの情報を得ていたところでございます。
 で、今月の十四日、先週の金曜日でございますが、山梨県警察におきまして、同教団の第十サティアンと呼ばれている施設でございますが、この施設を他の事件の容疑で家宅捜索をいたしました際に、この施設の中で、ごみなどが散乱いたしまして異様な臭気がする、衛生状態のよくない部屋で、顔色の悪い、一見して健康状態に問題がありそうで、かつまた適当な保護者がいないのではないかと見られる児童多数を発見したわけでございます。
 そのため、児童福祉法二十五条の規定の適用があるケースだと私ども判断いたしまして、山梨県の中央児童相談所に通告をその場でいたしました。そういたしましたところ、同児童相談所長から、児童福祉法の三十二条に基づきまして一時保護の委託を受けたわけでございます。そのため、これらの児童、最終的には五十二名になったわけでございますが、警察署において一時保護し、児童相談所に引き渡したというような経緯でございます。
#336
○伊藤(達)委員 そうしますと、とてもそのサティアン内の状況というのは、子供がすくすく育っていく環境にはもう全くなかったということでありますね。
 そうしますと、そういうことを踏まえて、今子供たちの精神状況あるいは健康の状況というものを相談所の中でいろいろ調べられておられるだろう、この後一体どういうことになっていくのかということをお伺いをさせていただきたいというふうに思うのです。
 これは個々のケースによって違うとは思うのですが、これからどれぐらいの期間相談所に子供たちが収容されているのか、さらには、この子供たちがどういうケースに分かれて対応というか措置がされていくのか、この点についてお伺いをさせていただきたいのですが、これは厚生省になるのでしょうか。
#337
○佐々木政府委員 現在山梨の中央児童相談所に一時保護されている子供たちの今後の扱いはどうなるのだろうかというお尋ねでございます。
 これからのことを予測をしてみますと、現在はまず、オウム真理教団から一時保護をした児童につきましては、当面児童相談所におきまして生活をさせて児童の行動観察をいたしますとともに、これから親族等と今後の処遇について必要な相談あるいは指導を行うというふうなことになると考えております。
 処遇の決定に当たりましては、児童相談所が子供、児童の意向やらあるいは家庭での生活の状況等総合的に勘案いたしまして、例えば養護施設等への入所を含む、それぞれ個々の児童に応じた適切な処遇を選択をしてくるというふうに考えております。
 例えば、類型的に、例で考えてみますると、三つぐらいのパターンがあるかというふうに思っております。
 一つには、親権者あるいは後見人等家庭が良好な場合には、その家庭への復帰ということが一つ考えられると思います。それから二つ目には、親権者、後見人の家庭が監護不適当と考えられる場合には、家庭から切り離して児童福祉施設への入所措置あるいは里親への委託といったような措置が考えられるところでございます。さらに、状況によりまするが、親権者が親権を乱用あるいは著しく不行跡であるといったような場合には、児童福祉法の規定に基づきまして親権喪失の宣告の請求といったようなこともあり得るというふうに考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、個々の状況に応じまして、児童にとって最適な選択が得られる、適切な処遇が得られるようなことを私どもも期待をしておるところでございます。
 それから、今後の見通しとしてはどうかということでございますが、一時保護につきましてはどのくらいやっていく必要があるのだろうかということでございまするけれども、基本的にはこの一時保護の期間は児童相談所長がまさに専門的な見地から判断をすることになりますけれども、子供たちの処遇が決定されまして一時保護の目的が達成されるまでの必要最小限の期間、抽象的になりますけれども、これが基本的な考え方でございます。それぞれ具体的な期間につきましては、それぞれの児童のケースに応じまして決まってくるというふうに考えているところでございます。
#338
○伊藤(達)委員 そこで、ちょっと、オウム関連のことをずっと聞いてきたわけでありますが、文部大臣にお尋ねを申し上げたいと思います。
 今までの答弁の中でも、文部大臣は、反社会的な活動を行ったことが明白になればその宗教法人の解散を請求することもあり得るんだ、こういうような御答弁があったわけであります。しかし、現在の宗教法人法、この宗教法人法はまさか宗教団体が殺人予備罪で捜査をされるなんて、そういうことを想定をしているというふうにはこれはちょっと思えないわけでありまして、そうであるならば、解散の請求をしていく、解散の手続をしていくということに当たった場合に、どの時点で、またどんな基準で解散命令を請求していくのかということの規定の内容をやはり明らかにしていく必要もあるんではないかというふうに思うわけでありますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#339
○与謝野国務大臣 今回のいろいろな犯罪行為というのはまだ十分解明されておりません。しかしながら十分予想されることは、これから種々の事実が積み重なっていくのであろうと思いますし、また材料もたくさん出てくるのだろうと思います。
 そこで、どの時点で解散請求をなし得るかというのは、実は法律上非常に難しい問題がございます。一体、起訴の段階で行うのか、あるいは裁判が進行している段階で行うのか、あるいは確定判決が出た段階で行うのかということでございますけれども、通常の裁判でございますと、確定判決までは七年とか八年とか、場合によっては二十年というような長期間を要するわけでございまして、やはり社会的要請としては、そのような法令に著しく違反する、あるいはそれがその集団としてなされた、あるいはその集団の枢要な幹部がなした行為であるというようなことが事実としてわかれば、それは何も確定判決の段階まで待つ必要はないのであって、やはり起訴等の段階で所轄庁あるいは検察官あるいは利害関係人が判断をして裁判所に請求すべきものだ、そのように考えております。
 ただ、これは裁判所に請求するわけでございますから、裁判所に書面をもって十分その事情等を説明できる必要がございますので、やはり十分な証拠書面がそろった段階ということが必要であると思っております。
#340
○伊藤(達)委員 もう一点、文部大臣にお尋ねをしたいと思います。
 近日中に何か宗教法人審議会が開催をされるということをお伺いしたわけでありますが、この時期でありますので、何か特別な目的を持って開催されるのかどうか、その点、簡単にお答えいただけましたら……。
#341
○与謝野国務大臣 文部大臣としてこの宗教法人審議会に何か諮問するということではなくて、やはり社会的に宗教法人のあり方ということが問われているわけでございますので、従来の宗教法人審議会において自由な立場からいろいろ意見交換をしていただき、議論をしていただくということでございます。
 この宗教法人審議会には、仏教系の団体、神道系の団体、キリスト教系の団体、新宗連系の団体、あるいは学者等々が入っていただいておりますので、非常に宗教に関する知識、経験豊かな方のお集まりでございますので、ここで、現在の社会的背景のもとで宗教法人法がいかにあるべきか、また宗教法人というものがいかにあるべきかということは十分議論がされるのであろうと思っております。
 なお、この宗教法人審議会は今月の二十五日に第一回が開催される予定でございます。
#342
○伊藤(達)委員 最後に、総理、一言だけお伺いをさせていただきたいのですが、今国会で二つの法律を上げましたけれども、それだけでは今回の事件の再発の防止には不十分な点があろうかと思います。今後の再発の防止に向けての決意を簡単にお伺いさせていただいて、私の質問を終わらさせていただきたいと思います。
#343
○村山内閣総理大臣 これはもう今全力を挙げてこの事件の真相解明のために、まず犯人を検挙する、同時に、その検挙を通じてこの背景やら実態を解明をして、そして根絶する。再発は、二度と起こらないような措置を十分とるという万全の対策でもってこの問題の処理に当たりたいというふうに考えております。
#344
○伊藤(達)委員 これで質問を終わります。
#345
○佐藤委員長 これにて石田君、伊藤君の質疑は終了いたしました。
 次に、松本善明君。
#346
○松本(善)委員 地下鉄サリン事件による死者十二名、負傷者五千五百名、警察庁長官の狙撃、それからサリン製造の疑いによる殺人予備の捜査、銃の製造、監禁、事実上の拷問、薬物の不法使用の疑いなど、恐るべき集団としてのオウム真理教の実態が次第に明らかになってきておりますけれども、私は、質問に入る前に、地下鉄サリン事件その他オウム真理教関係事件、また松本サリン事件や横浜の異臭事件などで亡くなられた方々に心からの弔意と、負傷その他被害を受けられた方々に深いお見舞いと激励の気持ちを申し上げ、一日も早くこの忌まわしい問題を解決するために全力を挙げる決意を表明したいと思います。
 日本共産党は、どんな理由があろうと、いかなる殺人やテロ行為も許さない。これは民主主義に対する挑戦だと考えます。どんな団体であろうと、反社会的行為をなすことも断じて許さない、これは日本共産党の立党の原点であり、そういう立場からこれに取り組んでいることも申し上げておきたいと思います。
 私はこの問題で上九一色村の現地調査を行いまして、やはり東京から見ているのとはけた違いにひどい団体だと。まさに周囲の住民は、牧場地帯ですので二十人ほどが境を接しているのですけれども、八九年から、オウム真理教があそこへ移ってきてからまさに死闘ですね。本当に大変な苦労をしています。その実情をいろいろ住民から聞きまして、本当にこれは何とかしなければならぬということを痛感をいたしました。
 例えば、マントラというお経のようなものを外へ向けて大きな声で流すわけです。それから、実際上はサティアンというのは工場になっていまして、その工場の騒音が物すごい。それでついに転居をする人が出た。それから家も、自分の家を密閉するのですよ。それでも音が聞こえるという。それから悪臭、盗聴、交通事故を起こしても、逃げ込んでしまって責任をとらない。それで抗議をしたら監禁をされる。オウムにはおれみたいに物わかりのよい者もいるけれども、ばかなやつもいるぞというような形の脅迫、こういうようなことがうんとやられているわけです。
 それぞれ事件として告訴をしたりいろいろされていますが、時間がありませんからそれについては細かくやりませんけれども、いわば無法状態です。建物も、建築基準法上の完成層を出さないで、これは使用できませんけれども、使用してとんどんやっているわけですね。
 私は、上九一色村の村長さんに会いまして聞きましたら、やはりこれは自治体、自分の村も含めて県、国が、行政、この無法状態が八九年からですから六年間ですよ、どうしてこういうふうになったかということについて根本的な反省をしないといけないのじゃないか、こういうことを切々と言っておられました。
 そこで私は、まず、この問題のこういう無法状態がなぜ見逃され、野放しにされてきたのかということを行政のあらゆる分野からやはり反省するということが再発防止のためにどうしても必要だと思う。
 それで、もう既に何人もの同僚委員が質問をしている捜査の立ちおくれ問題を、ちょっと経過を、もう詳しくは、ある程度言われたので簡単に言いますけれども、この異臭、悪臭事件というのは、去年ではなくて、一番最初は、八九年に来て、そこからトラブルが発生するのですけれども、翌年の九〇年に起こっているのです。それは日本経済新聞にも報道をされています。富士ケ嶺地区東側の牧場で、きらきら光るような無臭の液体がしみ出し、周囲の牧草が長さ二十メートル、幅一メートルにわたって赤く変色しているのを牧場の経営者が見つけ、吉田保健所に届け出たと。これはもう厚生省が知っているということになるわけですよ。報告があったかどうかわかりませんけれども、少なくも保健所は知っているわけです。そこからもう悪臭事件は起こっているのです、五年前。
 昨年のことはもう先ほども野呂田議員も言われました。七月にずっと枯れ始めたり、このときには保健所も来ています。警察も来ています。そして警察は注意もしている。だから、保健所も警察も全部知っているのですよ。
 それから、先ほどもお話があって、十一月には警察の研究所の鑑定で、これが松本サリンのものと同じものだということが明らかになった。だれでも、この時点で捜査がやられるべきではないかというのは当然の疑問であります。ところが、それがやられていないわけですね。
 さっき公安委員長は、批判があることは承知をしているが、サリンを発散する材料を持つことを禁止する法律がなかった、まあ、いわばやむを得なかったんだという趣旨の答弁をした。刑事局長は、自然界に存在しない物質という点で松本サリンの事件と共通点がある、しかし事件としては別々にやっておる。それは、事件としては別々にやっているんでしょうけれども、自然界に存在しないものですよ。松本サリン事件では死者七人が出ているんですよ。殺人事件の容疑で捜査をしているんですよ。同じものが出てくれば捜査をするのが当たり前だというのは常識じゃないでしょうかね。
 なぜそれをやらなかったんだ、どういう経過だったのか。私は、通り一遍ではこうなってくると済まないです。皆さん、私以外の委員もみんな、この問題どうしたんだということを質問をされたわけです。
 それで、私は細かく聞きますけれども、任意捜査はしたのか、捜索令状の請求をしたのか、裁判所は却下したのか。令状請求をしなかったとすれば、なぜしなかったんだ、その辺までを含めてやはり分析をして、ちゃんと国会に答えなければならぬと思います。公安委員長の答弁と、それから保健所の関係で厚生大臣の答弁を求めたいと思います。
#347
○垣見政府委員 お答えをいたします。
 ただいま御指摘いただきました上九一色村の異臭騒ぎに関連して、サリンがそこで生成されたのではないかと思われる残渣物が発見されたわけですが、その段階できちっとした捜査ができなかったかという御指摘かと思います。
 この点につきましては、警察におきましては、御案内のとおり、犯罪の容疑があると認められる場合には、予断を排して証拠に基づき捜査を進め、刑罰法令に触れる行為があった場合には事案の実態に応じて適正な措置をするわけでございますが、御指摘の事案につきましては、届け出を受けて所要の捜査をいたしましたが、その段階におきましては、直ちに違法行為が存在するとして強制捜査を行うだけの状況には至らなかったと判断したものでございます。
#348
○松本(善)委員 公安委員長、任意捜査の問題についても、それから令状請求についても何にも答えないわけですよ。それは、国民は絶対納得しないですよ。それで、公安委員長の見解と、それから厚生大臣の御答弁をいただきたい。
#349
○野中国務大臣 何回も申し上げておりますように、犯罪捜査は、もう委員、釈迦に説法でございますけれども、法にのっとりまして、証拠を一つ一つ積み重ねて、着実かつ適正に行うものでございまして、私は、予断を加えて行うことは厳に慎まなければならないことだと思うわけでございます。
 警察におきましては、現在、オウム真理教をめぐる種々の問題につきまして、犯罪容疑について全力を挙げて捜査を行っているところでございまして、事案の全体解明が一刻も早くなされるように強く督励をしておるところでございます。
#350
○井出国務大臣 実は正直のところ、昨年の七月のこれ、私は、松本の方の事件はマスコミでも大変取り上げられたものですから承知しておりましたが、この件につきましては承知しておりませんでした。
 このたび、山梨県へ報告を求めましたところ、今先生御指摘のように、昨年七月の九日、上九一色村の異臭騒ぎについては、異臭が発生しているとの住民から富士吉田警察署への苦情の通報に対応して、吉田保健所の職員が村役場職員及び警察署署員とともに現地の状況調査を行ったが、その時点では既に異臭はなく、施設関係者にも尋ねたが、その原因等については特定することができなかった。なお、当該施設において硫酸、苛性ソーダが発見されたことから、その適正な管理については口頭で指導を行った。
 さらに、七月十五日にまた異臭が生じたとの連絡が富士吉田警察署から翌十六日に保健所にあり、同日職員が警察署署員とともに施設に出向き状況調査を行ったが、この時点でも既に異臭がなく、異臭の原因等については特定できなかった。
 以上のとおり、保健所はその時点でなし得る適切な対応をとったつもりだ、こういう報告を受けておるわけでございますが、今先生冒頭おっしゃった、九〇年から既に発生しているというのも保健所が知っておったというのは今こちらで初めてお聞きしたところなものですから、少し調べてみたいと思います。
#351
○松本(善)委員 公安委員長、予断でも何でもないんですよ、これは。サリンというのは自然界にはないんですよ。それが出てきて捜査をしない、それが、予断を持ってはいけないんだというようなことは到底通用しないです。ここは先ほど来のほかの委員もみんな納得していないです。それは、捜査を一生懸命やるのはいいですよ。だけれども、再発防止のために、何でこういうばかげたことになったかということを徹底的に調べるのは当然なんですよ。
 私は総理にちょっと伺いたいと思いますが、今そういう無法状態であって、村長に会った話をしましたが、村長に私、国に対する要望は何かと言ったら、そのオウムの施設を撤収してほしいと言うんですね。村民は捜査が終わった後の報復を恐れているんですよ。それは何百人もの人がいるわけですから、二十人ぐらいの牧場をやっている人たちは本当に怖くてしょうがないと思うんです。村長も、それは自分たちもやるけれども、村に全部犠牲を負わされたんじゃたまったものじゃないと言うんですね。私は本当にそういうふうに思いました。
 全国屈指の牧場村なんですね、本栖湖だとか精進湖なんかのありますね。それで、あれがなければ富士山の見えるいいところですわ。そういう村長の無念さが本当に伝わってきました。私は、そういう声にこたえないといけないと思います。これに対してどういうふうにするのかという問題と、それからもう一つ、皆さんもお聞きになりました、この集団を反社会的集団と見るべきではないかという問題なんですね。
 これは、私は総理大臣に聞こうと思う。といいますのは、公安委員長は再々答えておられますけれども、これは別にオウム真理教の刑事責任を問えと言っているんじゃないんですよ。だれもそんなことは言っていない。それは、もう一人一人が、真理教の中でも幹部がだれがどういうふうに関与しているかという、それを一つ一つやって、あの刑事事件ですけれども、しかし、それは刑事事件の問題とは違うんですよ。この団体をどう見て、どう行政を進めるかという問題なんですよ。
 それで、これは野中公安委員長も、殺傷能力もあるサリンを製造している疑いがある、これは重大なんだと。参議院ですけれども、これは反社会的であり、反国家的である、これで多数の人命を殺傷するということになればと、こういう趣旨のことを少し限定つきで言っているんです。だから、反社会的な行為をしているということについては、お互い認識は共通しているんじゃないかなと私は思うんです。
 ただ、これをそういう反社会的な集団と見るかどうか。何でそれは大事かと申しますと、私は、村長さんに会った後、県へ行きました。建築基準法上無法状態になっている、何でこうなったんだと言ったら、県は、建築基準法だけではそれはできない、大体あれは異常団体なんだからと、こう言うわけですね。それで、もう行政の中で、あれは異常団体だからできませんでしたと、まあ言外に警察がやってくれればということを言っているのかもしれませんけれども。
 行政を進める上でこの団体をどう見るか、これは私は、例えば宗教法人とかいろいろな法律のどこに該当するということをあなたに聞いているんじゃないんです。それはまた別問題です。それは細かくやればいいんです。
 だけれども、そういう反社会的な団体と見るべきではないかということで、きょう皆さんにお配りをいたしました。これは実は麻原彰晃氏のしゃべったテープなんです。それをテープを起こしたものです。テープはそのままかけられませんからあれですけれども、これは麻原彰晃氏が東京本部の二階にある道場に数百名集めて、それでも入り切れずに一階広間いっぱいになっているところの話です。
 それは、文章をお読みいただいたと思いますが、要するに、悪業を積み、寿命が尽きるころには地獄に落ちる者を、今まで功徳を積んできて天界に生まれ変わる成就者が、要するに功徳を積んだ者が殺した場合、その地獄に落ちるはずの者が天界へ行って永遠の不死の生命が与えられる。これは凡夫が見れば殺人だけれども、マハーヤーナ(大乗)の考え方が背景にあるならば立派な善行だというんですよ。これは先ほど野呂田さんもちょっと簡単に触れていましたが……。
 これは殺人の合理化で、刑事事件的には殺人教唆にだってなるかもしれない。教祖が、代表がそういうことを言って数百人を相手にしゃべっている。それを反社会的集団と考えて行政がやらなかったら、それは何やっているんだということになりますよ。
 私は、総理にその点と、それから村長の撤収という要望、これにどうこたえるかというその二点をお聞きしたいと思います。
#352
○村山内閣総理大臣 今回の捜査等の状況を踏まえてまいりますと、今お話もございましたように、地元の上九一色村の住民の方々が不安を抱いているということについてはよく理解ができます。
 まず、住民の保護につきましては警察に努力してもらわなければならないと思いますけれども、そうした全般的な問題、いろいろな問題があると思いますから、関係省庁等が十分連絡をとり、地元とも連携をとって、そういう不安を解消して落ちついた村をつくり上げていくというために可能な限りの努力をしていきたい、協力をしていきたいというふうに思います。
 それから、宗教団体に対する御意見ですけれども、宗教団体が本来の活動をしておれば、これは信教の自由というのは憲法でも保障されているわけですし、宗教法人法でそれぞれの自治体から認証されればそれなりの活動は保障されるというのは当然なんです。しかし、宗教に名をかりた犯罪行為がもしあるとするならば、それは絶対に許してはならないことであって、厳正にやはり対応していく必要があるというふうに思っております。
 今警察当局において、オウム真理教の幹部等の関与した数々の事件について、検挙するなど捜査が行われている段階ですから、この捜査の成り行きを見ながら判断をしていかなきゃならぬと思います。しかし、一日も早く全容が解明されることを国民も期待していると思いまするし、また警察も全力を挙げてそのために取り組んでおるということだけを申し上げておきたいと思います。
#353
○松本(善)委員 これで終わりますけれども、宗教に名をかりたと今おっしゃいましたけれども、私はそのとおりだと思います。宗教を仮面にしたあるいは名をかりた反社会的集団だ、こういう認識をはっきりさせて諸行政をやっていかないと、それは現に、行政が普通の団体相手の行政では済まないのですから、そこのところをやはりきちっとやることを要求して、質問を終わります。
#354
○佐藤委員長 これにて松本君の質疑は終了いたしました。
 次に、海江田万里君。
#355
○海江田委員 最後の質問になりますが、宗教法人には、先ほどの三野委員の質問にもありましたけれども、各種の税制上の特典が与えられております。ただ、全くの聖域ではないわけでありまして、例えば職員に払っております給料などは源泉徴収を当然しなければいけないということで、このオウム真理教も在家の信者については賃金を払っていたとの情報もあります。
 それから、麻原教祖の公私混同の問題、これは私の意見でございますけれども、彼は宗教家にあるまじき俗物でありまして、人には出家を勧めながら自分は奥さんを持っているわけですよね。子供も何人もいる。人にはオウム食という御飯を食べさせながら自分はステーキを食べておるとか、自分が乗っている車はロールスロイスとか、これはまあとんでもない俗物でございまして、子供も、自分の子供はいっとき私学に、有名校に通わせておった、そういう事実もあるわけですよ。これは証人も出ておるわけですよね。当然これは、例えば子供を私学に通わせるのなら、それは自分の所得から通わせなきゃいけないわけですよね。
 そういう麻原さんの所得の問題、公私混交の問題、それから在家の従業員に対する源泉徴収義務の問題、そういうことを税務当局は調査したことがあるのですか、どうですか。
#356
○松川政府委員 オウム真理教についての御質問でございますが、個別にわたる事柄については答弁を差し控えさせていただきますが、一般論で申しまして、ただいま御指摘のありましたようないわゆる宗教法人につきまして、課税対象となる収益事業、あるいはその関係会社の営利活動、そしてまた、そこで働いている人の報酬、あるいは売却したものの消費税等につきましては、当然のことながら申告していただいております。
 その際、それらの申告につきまして果たして正しいかどうかという点につきましては、いろいろと各種マスコミ報道あるいは各種の資料を収集いたしまして、そしてこれをいろいろ比較検討して、必要があれば実地調査を行う、こういうことにしております。
#357
○海江田委員 五分しかありませんし、皆さんお疲れですからね。オウムはやっていないわけですよ、要するに。何にもやっていない。
 先ほども話がありましたけれども、税制のシステムでも優遇されている。これはこれからの議論にもなりますけれども、ただ、既存の法律の体系でも実はできるんですよ、いろいろ。ところが、その既存の法律の体系でも全くやっておらない。
 やはり私たちは、一九三〇年代のアル・カポネの話、結局、アル・カポネを摘発をしたのは何かというと、脱税ですよ、これは。脱税で摘発をして、アル・カポネをアルカトラズの刑務所に送り込んだ。それでみんなが拍手喝采したわけですよね。そういう意味では、先ほどの話じゃありませんけれども、税務当局も若干やはりこれは、臭いものにはふたじゃありませんけれども、何もしなかったんじゃないかというその責任は私はあると思うのですよ。大蔵大臣、いかがでしょうか。
#358
○武村国務大臣 いや、国税当局としては何もやってないと、海江田委員さん、断定的におっしゃらないでいただきたい。個別に具体的な状況までここで語らないということでございますから、そこはきちっと、当然対応すべきは対応すべきものだというふうに私は思っております。とりあえず……。
 宗教法人について――いいですかね。(海江田委員「もういいです」と呼ぶ)もういい。
#359
○海江田委員 やるかやらないか、今後。現金も出てきたし、金塊も出てきましたし、やはりちょっと税務当局、入っていった方がいいんじゃないですか。まだ入っているという情報はどこにもわかっていませんのでね。
#360
○武村国務大臣 これは、ここで具体的に国税がお答えはいたしておりませんが、私から、やるべきときはきちっと当然やるものだというふうに思っております。
 なお、宗教法人に対する課税の問題でありますが、その活動の実態についていろいろな社会的批判が今回も出てきました。それが課税上の取り扱いについての検討を要請する背景の一つともなっていると認識をいたしておりますが、そうした社会的批判は、基本的には、活動の実態が宗教法人本来のあり方としてふさわしいかという観点からまず議論をする必要があるというふうに認識をいたしております。
#361
○海江田委員 公安委員長にも残っていただいておりますので、一つだけお尋ねをしますが、無可動実銃、動かない、要するにAK47ですよ、あれ。十二万円ぐらいで売っているということがありまして、今度のいろいろな、遊底ですとか、それからトリガー、引き金ですとか、それから銃身ですとか、これをかえれば結局本当の自動小銃ができちゃうわけですよ。そういう無可動、動かない、銃身にいろいろなものが詰めてある銃が売られているということについて、これは取り締まる必要があるのかないのか。ここ一、二年のことだと思うのですよね、こういう銃が出回るようになったのはいかがですか、それだけ。
#362
○中田(恒)政府委員 お答えいたします。
 無可動実銃というのは、たしか撃発、撃針等を取り払ったものでございますけれども、そのようなものであるかどうか厳重に私ども審査をして対処しておるところでございます。
#363
○海江田委員 これは本当にかなり危ないものですからね。我が国では、ピストルについては非常に細かな取り締まりがあるわけですけれども、いわゆる小銃ですね、これについて意外と抜け落ちているといいますか、それこそ本当に、全部銃を組み立てをしないで、そこの肝心の部分だけをつくればそれで一丁でき上がってしまうというようなこともありますので、その辺も今後検討の課題としてお願いをいたします。
 以上です。
#364
○佐藤委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちましてサリン問題等についての集中審議は終了いたしました。――まだ委員会終わっておりません。委員会終わっておりませんから、大臣は座ってください。桜井理事、まだ委員会終わっておりません。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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