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1995/03/16 第132回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第132回国会 科学技術委員会 第5号
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1995/03/16 第132回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第132回国会 科学技術委員会 第5号

#1
第132回国会 科学技術委員会 第5号
平成七年三月十六日(木曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 野呂 昭彦君
   理事 臼井日出男君 理事 栗本慎一郎君
   理事 原田昇左右君 理事 上田 晃弘君
   理事 上田 清司君 理事 笹木 竜三君
   理事 今村  修君 理事 渡海紀三朗君
      甘利  明君    小野 晋也君
      塚原 俊平君    林  義郎君
      平沼 赳夫君    松下 忠洋君
      近江巳記夫君    斉藤 鉄夫君
      西  博義君    藤村  修君
      秋葉 忠利君    辻  一彦君
      吉井 英勝君    大谷 忠雄君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      田中眞紀子君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     石井 敏弘君
        科学技術庁科学
        技術政策局長  落合 俊雄君
        科学技術庁原子
        力局長     岡崎 俊雄君
        科学技術庁原子
        力安全局長   笹谷  勇君
 委員外の出席者
        科学技術庁原子
        力安全局放射線
        安全課長    矢野 周作君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電安全企
        画審査課長   藤冨 正晴君
        建設大臣官房技
        術調査室長   城処 求行君
        科学技術委員会
        調査室長    吉村 晴光君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十六日
 辞任         補欠選任
  小渕 恵三君     松下 忠洋君
  鮫島 宗明君     西  博義君
同日
 辞任         補欠選任
  松下 忠洋君     小渕 恵三君
  西  博義君     鮫島 宗明君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関
 する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第
 七五号)
     ――――◇―――――
#2
○野呂委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。臼井日出男君。
#3
○臼井委員 このたびの放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の改正でございますが、ますます幅広く活用されつつある放射性同位元素の利用に資するために、二つの大きな目的があるというふうに理解をいたしております。
 その一つは、政府の規制緩和の政策の一環といたしまして、規制の合理化を図ることでございます。いま一つは、賃貸の業を認めることを目的としている、このように理解をいたしているわけでございます。
 実際に、放射性同位元素というものは、最近はさまざまな分野でもって活用されておりまして、医療、工業、農業分野等で大変積極的に利用されております。特に近年におきましては、地球環境問題への関心の高まりとともに、環境中の有害物質の分析を初めとする環境分野での利用、また放射線照射によるがん治療といった医療分野での利用といったぐあいに、私どもの生活の中に密接に関連した放射線利用がますます拡大をいたしております。今や私どもにとりましてこの放射性同位元素というものは不可欠の存在である、こう言っても過言ではございません。
 そこでまず初めに、多種多様な分野でもって利用が可能である放射性同位元素の意義、これまでの利用状況、今後の利用拡大が見込まれる分野について御説明をいただきたい、こう思います。
#4
○岡崎(俊)政府委員 お答え申し上げます。
 今先生御指摘のとおり、放射性同位元素、ラジオアイソトープから放出されます放射線は、それぞれの種類やエネルギーに応じまして、例えば物質を透過する性質を持っておるとか、あるいは分子の結合を切断をしたり、あるいは組みかえをしたりする作用等を持っておるわけでございますけれども、こういった性質を利用しまして、古くから医療機関でありますとか大学、研究機関あるいは企業等においてさまざまな用途に利用されてきておるわけでございます。
 その主な用途といたしましては、例えば脳や肺機能の診断であるとか、先生も御指摘いただきましたがんの治療等の医療分野におきます利用であるとか、あるいは品種改良、病害虫の防除等の農林水産業分野での利用、それから非破壊測定による金属板の厚さ測定でありますとか、あるいは医療器具の滅菌等の工業分野での利用、さらに環境分野におきましても、御指摘の微量分析であるとか、あるいは排ガスの脱硝、脱硫等の環境保全に関する応用分野、こういった非常に幅広い分野において利用が進められておりますけれども、例えば今後、脳機能の診断等の高度化に貢献をいたしますポジトロンCTの普及を初めといたしまして、医療分野を初め、より一層国民生活に密着した利用の拡大というものが期待をされているところでございます。
 科学技術庁といたしましては、このような放射線の利用技術の一層の普及促進が図られますよう、また国民生活の向上に役立つことができるよう、技術の高度化でありますとか、あるいは環境整備等の面において努力を払ってまいりたいと思っております。
#5
○臼井委員 ただいま御答弁をいただきましたけれども、いただきました資料を拝見をいたしましても、医療機器ではコバルトあるいはセシウムを使ったもの、産業用放射線照射装置、これは医療に使われております。また測定機器も、今回対象となっておりますがスクロマトグラフの分析以外にも、放射線の応用工業計器というのはたくさんございまして、厚さをはかったり密度をはかったり、水分計とか硫黄計、いろいろなものがあります。どうぞ、ただいま御答弁をいただきましたように、さまざまな分野で今後放射線利用が一層進むようにひとつ御努力をさらにお願いをしたい、こういうふうに思っております。
 さてまた、このような放射線利用が行われるに当たりまして、安全性が確保されるということが大前提でございます。私どもの国におきましても、放射線利用が本格化を迎える昭和三十年代後半に至る前に放射線障害防止法が既に制定されておりまして、安全の確保に万全を期すべく努力が積み重ねられてきております。その後もさまざまな内外の状況に応じまして、法律改正等の対応が図られてまいっております。
 現在、我が国におきましては、行政改革、規制緩和が特に重要な問題となっておりますわけですが、放射線利用に関する規制につきましても、放射線利用形態の変化に適切に対応するとともに、利用者の声にぜひとも耳を傾ける、そういった姿勢を持ち続けていただきたい、このように思う次第であります。
 今回の改正は、昨今の状況の変化に応呼し、また、経済団体を初めとする幾多の団体から要望が参っておると伺っております。その改正の趣旨をお伺いいたしたい。また、どのような形でもって国民の利益につながるのか、お伺いをいたしたいと思います。
#6
○田中国務大臣 基本的な認識といたしましては、規制の合理化を図って、国民生活の向上に資するということが大目的でございます。その大前提は、安全性の確保に万全を期するということは申し上げるまでもございません。
 そして、個別の具体的なことにつきましては三つございまして、一つは、放射性同位元素の装備機器、これは高価なものでございますから、これを賃貸することによって、一度に多額の資金を用意しなくて高度の医療機器を調達することがしやすくなる、できるということが一点目でございます。
 二つ目は、先ほど先生もおっしゃいましたが、ガスクロマトグラフ、そういうふうなものの管理義務、こういうものが合理化されるので、手続等がかなり簡単になってくるということが言えると思います。
 そして三つ目が、許可証というものの手続がかなり煩雑であったようでございますけれども、それが今回手続を簡素化することによって、事務負担が軽減されるというようなメリットがあると思います。
 以上です。
#7
○臼井委員 ありがとうございました。
 今回の改正は、まさに放射性同位元素の利用に関する新たなニーズがどんどんふえてきております。これらのものに適切に対応し、かつ国民生活の向上にも資する、まことに時宜を得ている、結構である、このように存じている次第でございます。
 そこで次に、改正の柱の一つでございます表示付放射性同位元素装備機器の管理義務の合理化についてお伺いをしたいわけですが、今回の改正でなぜ表示付ガスクロマトグラフ用ECDだけが管理義務が合理化されることになったのか、また表示付とありますが、具体的にどういう表示がされるのか、また表示付ガスクロマトグラフ用ECDの表示に求められる安全上の要件とはどのようなものでございましょうか、お伺いをいたします。
#8
○笹谷政府委員 お答えいたします。
 この放射線障害防止法は、放射性同位元素あるいは放射線発生装置それぞれが持つ取り扱いの難しさ等を勘案しまして、その潜在的な危険性に応じまして規制の度合いをいろいろ変えてございます。
 今回改正をお願いしておりますがスクロマトグラフ用ECD、これは表示付と言っておりますが、これにつきましては、その中では一番安全性の高いものとしてこの法律の体系の中では位置づけられておりまして、この十五年間、その中で運用を図ってきたわけでございます。
 その基本となりますのは、装置自体に放射線障害防止の機能を持つということが基本でございまして、このものについては設計承認という制度をとりまして、ある意味ではカタログ商品的なものでございまして、数多くつくられるもの、安全性の高いものでございます。そういうことを勘案しまして、今回、管理義務の合理化、取扱主任者の免除等をお願いしているわけでございます。
 表示付という制度を設けているわけでございますが、この表示という意味合いは法律上の表現でございまして、実際上どういうことを行っているかと申しますと、この設計承認を得て、それに基づいてメーカーがつくる際、一個一個機構の確認を受けます。その際、確認を受けたというマークを表示するということでございまして、その表示自体にいろいろ基準を書いてあるとか、そういうものではございません。
 以上でございます。
#9
○臼井委員 今のお話でございますと、どこかにマル済み印か何か押してあるわけですか。それから、表示付の要件、こういう要件を満たした場合に承認するという要件が幾つかあるわけですが、そのことについてもお伺いしたいと思います。
#10
○矢野説明員 お答え申し上げます。
 まず表示付ガスクロマトグラフ装置の要件でございますが、遮へい性能でございますとか、耐火性能でございますとか、耐衝撃性能でございますとか、そういったものにつきましては個々具体的に基準等をお示ししてございます。
#11
○臼井委員 大体わかりました。
 それで、お話でございますと今までに事故を起こしたことがない、こういうことでございますから、その安全性の能力は非常に高いということは証明されている、こういうふうに私も思います。これからも事故が起こらないようにひとつ努力をしていただきたい、こう思うわけでございますが、しかし、物事には、人間のやることですから絶対ということはないと私は思うわけでございまして、そこで、万一こういうものが紛失したような場合、事故が発生した場合、例えば表示付ガスクロマトグラフ用ECDが紛失をした、こうした場合、一般公衆に何か被害を与える、影響を与えるということは絶対ないのでしょうか。
#12
○笹谷政府委員 先ほどお答えいたしましたとおり、このガスクロマトグラフは国の設計承認、それから機構確認を受けておりますので、その機器の表面における放射線の量は極めて低いものでございます。普通のガイガーカウンターとか、そういう計測器では計測できないレベルのものでございます。
 また、その機器の中に入っております放射性同位元素、これは容器の中に固定されておりまして、さらにまたそれが計測器の中にがっちり固定されているということで、その構造あるいは設計により安全性は十分確認されているものでございまして、仮に紛失等が発生した場合でも、そのもの自体をばらばらにして、RIを取り出してそれを抱える、こういうことをやらない限り、具体的な放射線の障害ということはほとんどございません。仮にそういう状態にしても、ごくわずかでございます。
 ただ、そういうことでございますが、今回、規制の合理化を行うに当たって、この使用者に対しても紛失を防ぐために管理義務は引き続き課すことにいたしております。
#13
○臼井委員 私の認識がちょっと悪いのかもしれないのですが、いただきました資料の中でこういう記述がございまして、現在、放射性同位元素等取扱事業所数は五千百二十一ある。ガスクロマトグラフ用ECD使用事業所数は二千六百十五カ所あり、そのうち表示付の使用事業所は九百八十六カ所ある、こういうふうに書いてあるわけでございます。
 こういうふうなことであるとするならば、表示付でないガスクロマトグラフもあるのかなと思うわけでございまして、そういうことになるならば、なぜ表示付でない機器が使われているのか、また個々の機器がAとBと区別できるようなシステムになっているのかな、その辺ちょっと心配でありますので、お聞きをしたいと思います。
#14
○笹谷政府委員 先ほど申し上げたかと思いますが、この制度は、その機器自体が放射線障害防止の機能を持っているかどうかで、いわゆる許可制のものを届け出制に規制の合理化を図っているという制度でございまして、ガスクロマトグラフの中でもいろいろございまして、先ほど放射線安全課長が御説明いたしましたような基準に合致してないものもございます。これについては、通常の安全規制体系のもとで厳密に規制をするという必要から、この表示付制度の方には入ってないわけでございます。
 制度といたしまして、製造業者は表示付の方に申請することもできますし、それ以外の方法にもよることができます。その基本は、あくまでも、先ほど課長から説明しましたような基準を示しておりますので、その基準に合っているものは表示付制度で申請をしてくるということになります。それ以外のものについての安全規制は、これはほかのものと同じように厳重な規制をしているということでございます。
    〔委員長退席、上田(晃)委員長代理着席〕
#15
○臼井委員 よくわからないのですが、ガスクロマトグラフにもいわゆる安全確認がされてないというか、そういう手続を経てないものもかなりあるんだということがわかったわけで、私ちょっと申し上げたのですが、AとBと二つ機器がある。相当数が出ていますし、危険性もないということですが、区別できるような許可ナンバーみたいなものはないのでしょうか。
#16
○笹谷政府委員 説明が要領悪くておわび申し上げます。
 表示付ガスクロマトグラフの方は、機構確認、設計承認で安全を確認する、これは一つの合理化された形でございます。それ以外の放射性同位元素を使う場合、これはガスクロマトグラフも同じですが、ほかの施設も同じです。これは一個一個許可制になっております。許可の場合は、その一件一件安全審査をいたします。したがって、同じものを大量につくってそれを販売する場合には、設計承認という一つの同じものをつくる上での合理化を図っているわけで、ほかのものは一件一件申請し許可をしている、こういうことでございまして、安全の度合いは変わりないということでございます。
    〔上田(晃)委員長代理退席、委員長着席〕
#17
○臼井委員 わかりました。このガスクロマトグラフは安全性も極めて高いということなので、これ以上の詳しい区別はあるいは必要ないのかもしれませんが、先ほど申し上げたように、放射性同位元素を装備した機器というのは非常に数多いわけでございまして、それの中にはコバルト60等を使ったかなり放射性の強いものもある、こういうことでありますので、私が今申し上げましたとおり、その管理というものはさらに徹底をするように御努力をお願いをしたい、このように思う次第でございます。
 この表示付ガスクロマトグラフ用ECDの安全性が確保されているというのは、これまでは国の資格を持った放射線取扱主任者がしっかりと監督をしておったからだ、こういうような意見もあると思うわけであります。それを今回あえて義務づけしないこととするというのは、どのような理由があるのでしょうか。また、その場合であっても管理責任を明確にしておく必要があると思いますが、その管理責任というのは、どういうふうな人がどういうふうに負うのでしょうか。
#18
○笹谷政府委員 今回お願いしております改正の一つでございます、ガスクロマトグラフの放射線取扱主任者の選任義務を免除する理由でございますが、一つには、非常に安全性の高いものであり、過去十五年間トラブル等が一切なかったということ、それから、このガスクロマトグラフの利用の実態を見ますと、非常に多く使われているわけでございます。
 その利用の実態に即応するためには、一つは、放射線取扱主任者の選任となりますと、この資格を持った人が必ず必要になるというわけでございまして、その人は、国家資格でございますので、年に一度の資格を受ける講習とか、そういうものが必要になります。一方、こういう機器はいろいろなところで幅広く使われておりますので、そういうものを受けてから使うとなりますと、最長一年かかるというような事情もございます。
 こういうような事情を考慮いたしまして、この施設は、盗難あるいは紛失、こういうものに着目すれば安全上は問題ないであろうという機器とみなしまして、今回は放射線取扱主任者、すなわち、放射線を発生するそのもの自体の扱いを厳密にやらなきゃいかぬというものとの仕分けをして、免除をお願いしているわけでございます。
 また、管理責任につきましては、放射線障害予防規定というものをこの法律に基づいて設けますので、その中で管理責任は明確に位置づけるという考え方でございます。
#19
○臼井委員 ガスクロマトグラフを使うようなところというのは具体的にどういうふうなところか、私はよく実態を知らないわけですが、この資料では、研究機関、地方自治体等でもっていろいろな有害物質の検査等をやる、こういうことでございます。こういう検査をやるようなところというのは、このガスクロマトグラフだけ使っているんだというところは極めて少ないのじゃないか。あわせていろいろな測定器も持って、その中の一つであるという可能性も多いわけなので、したがって、ガスクロマトグラフは主任者等は要らない、しかし、そのほかのものは要るのであるから、ぜひともその区別とチェックをしっかりとやっていただきたい、こういうふうに思います。
 科学技術庁は原子力関係のことを主としてやっているわけですが、原子力分野の安全規制につきましても昨今は規制緩和の動きが大変激しいわけでございまして、この規制緩和の動きに引きずられまして、安全確認をおろそかにしたいたずらな規制緩和を行うというのは本末転倒である。したがって、その点じっかりとした態度でやっていただきたいと思うわけでございますが、この表示付ガスクロマトグラフ用ECDにつきましては、私がいろいろお話をお伺いをしましたように、安全性の確保もしっかりとしていただいておりますし、利用は大いに促進をされる、合理化というものはまことに有意義である、このように思っている次第でございます。
 これからも時代が進むにつれましてさまざまな新しいニーズが出てくるであろう。そのような場合にも、安全性に支障を及ぼすことなく、適切かつ迅速な対応が可能となりますように、日ごろからの最新の科学的、技術的知見の蓄積に一層の御努力をお願いをしたい、こういうふうに思います。
 もう時間があと五分しかございませんので、簡単にと思っておりますが、今回の法改正というものは、原子力安全委員会で取りまとめました「放射性同位元素等の安全規制のあり方について」の中間報告、これに基づいて出されているというふうに伺っております。その中には、これからも引き続き、とにかくやれるものは早くやろう、合理化ができるものは早くやろう、しかし、なおかつこれからも引き続き安全性のあり方について検討していこうじゃないか、こういうことでございます。
 そこで、放射性同位元素の安全規制について、今後さらにどのような検討が行われることになるのでしょうか、お伺いをしたいと思います。
#20
○笹谷政府委員 今回の法改正をお願いしておりますのは、先生御指摘ありました社会的ニーズの強いものについてお願いしておるわけでございますが、あくまでもやはり安全確保というのが大前提でございます。この法律改正に際しまして、具体的な要望というものはいろいろあったわけでございますが、これまで御説明したような安全性の高いものについて改正をお願いしているわけでございます。
 一方、社会的ニーズと申しますと、まだ表示付制度に適合していないようなものについても、いろいろ多く生産され、また利用されている実態がございます。そういうものについての要望も出ているわけでございまして、こういうものについても安全委員会のもとで専門的あるいは技術的な観点から検討を行っておりまして、今後とも、その安全性という観点から、支障のない範囲で可能な限り社会的なニーズに対応してまいりたいと考えております。
#21
○臼井委員 先ほど私がちょっと申し上げましたように、測定機器、いろいろまだ種類もございます。測定ということであるならば、そう強い同位元素も使っておらないのじゃないか、まだ自由化できるものがあるのかもしれない。ぜひともそういう方向でもって、さらにひとつ御検討をいただきたいと思います。
 今回の改正につきましていろいろ質問をしてまいりましたけれども、今後、放射性同位元素の利用の増大が大変見込まれる。その中で、やはり何といっても安全性の確保というものに万全を期していかなきゃならぬ、こういうことでございまして、これは最重要項目であるということには今後とも変わりがない、こういうふうに思っております。
 最後に、今後の放射性同位元素の安全確保について、大臣の御見解を伺いまして、質問を終わりたいと思います。
#22
○田中国務大臣 先ほど、規制緩和等、原子力政策について臼井先生はお触れになりましたので、一言申し上げますが、内閣挙げて規制緩和をやるようにという御指示が総理からございますけれども、私は、科学技術庁で原子力政策を預からせていただく立場といたしまして、むしろ強化する立場にあるかもしれないので、科技庁の場合は少し立場が違うということは、機会あるごとに閣議でも懇談会でも申し上げている次第でございます。
 そして、今のお尋ねでございますけれども、RIの利用が非常に広まっている、そして国民の生活を向上させるために規制を合理化していくということでありますけれども、これは今おっしゃったように、本当に何かがあった場合には非常に危険性を及ぼすものでもあります。ですから、アクセルとブレーキで、アクセルだけぼんぼん踏むのではなくて、アクセルを吹かすのであれば、必要なときにはかなり強力なブレーキがばっとかけられる、そういう安全規制が伴うべきだということは、もう申し上げるまでもございません。
 それで、放射線を扱う業務に従事する方とか一般の方々が放射線によって障害を起こすことがないように、より一層ブレーキとしての安全規制というものは徹底してまいります。
#23
○臼井委員 どうもありがとうございました。
#24
○野呂委員長 西博義君、
#25
○西委員 新進党の西博義でございます。きょうは、お許しを得て若干の質問をさせていただきたいと存じます。
 まず初めに、現在、放射性同位元素が幅広い分野で利用されていることは周知の事実でございます。いただきました資料によりますと、平成五年度におきましては、放射性同位元素を装備した主な測定機器等の使用台数は大体一万一千台というふうに載ってございました。このほかにさまざまな機器が使用されていると思いますが、例えば、医療機器として、先ほど臼井議員の方から話がありましたコバルト等のガン治療に使われる機器等、それからRIの遠隔照射の治療装置、それから機械製造業等で使用されている非破壊検査装置等がございます。そんな放射性同位元素を装備した装置の使用台数の総数は、一体幾らになるのかということをひとつお伺いを申し上げたいと思います。
 また、この中には、医療機器等がなり高価な装置も含まれていると思います。今回、規制緩和の一つとしてリースを許可するということがうたわれておりますが、このことによって比較的設備が調達しやすくなるということが考えられると思います。また、最近の急速な技術革新によって陳腐化したこういう機器等に対する更新、これが容易になるのではないかというふうなことも考えられます。
 そんなことで、ここ数年間のデータで、平成元年度から五年度までのデータをいただいておりますが、使用台数が大体一万一千台前後で、大きな増減はございませんでした。しかし、この規制緩和によって変動があるのではないかという予想を私はしておるのですが、どの程度のことが見込まれているのか、この二点について初めにお伺いいたします。
#26
○笹谷政府委員 先生から御指摘ございましたように、放射性同位元素を装備した機器は、医療機関とか教育機関あるいは研究所、製造業、いろいろなところで幅広く使われでございます。また用途も、先生御指摘があったような用途で数多く使われているわけでございますが、私ども平成六年三月末現在で機器の種類別、機関別で集計しているところによりますと、総数で約一万四千台ほどになります。大どころでいいますと、ガスクロが五千六百台ほど、厚さ計で二千六百台ほど等でございます。
 また、賃貸の業を新しくお願いしているわけでございますが、先生から御指摘ございましたように、高価なものあるいは新しいものを利用できる機会がふえるということが想定されるわけでございます。このことによる増加そのものについては、残念ながら我々まだそういったデータを入手しておりませんが、このリース制度をお願いするに当たりまして要望元等からいろいろデータを収集したところでは、現在販売しているものが賃貸に変わるというようなものもございますので、なかなか把握しづらいのですが、賃貸という形でいろいろ利用されるものについて、これは単価も数百万から数億のもの、いろいろございますが、大体二百件程度賃貸でやりたいというような希望が寄せられておりまして、機器の総額で数十億から数百億、そういうような数字を私ども把握しております。
#27
○西委員 先ほど総台数を御説明いただきましたが、私のいただいている資料の中では、ガスクロマトグラフ、それから厚さ計、レベル計、いわゆる測定機器等が一万一千台前後というデータでございます。
 ちょっと医療機器についての台数、もしおわかりになれば教えていただきたいのですが。
#28
○笹谷政府委員 医療機関では主に照射装置に使われておりまして、約三百台程度でございます。
#29
○西委員 もう一つ、今回の規制でECDの検出器、いわゆるガスクロマトグラフの中のエレクトロン・キャプチャ・ディテクタを備えつけた装置、これの管理義務の簡素化が図られるということになっております。私も、ディテクタの中身がECDじゃなくて、ガスクロマトグラフそのものは何度も仕事で使っておりましたが、同僚に聞きますと、ECDは非常に感度がよくて、今後環境問題の分析等、要するに低濃度のものを高感度で検出する非常に優秀な機械であるというふうな報告を受けております。また、きのうも製造業者にも確かめましたところ、低レベルの放射性元素ですから問題ないということも確認をいたしました。
 これ以外に、最近技術的にもかなり進歩しておりますので、製造過程においてきちっとシールドを完全にすれば問題ないというものが、今後規制緩和の面で幾つかあるのではないかというふうな気もいたしております。そういう面で今後検討できるものがあれば教えていただきたいと思います。
#30
○笹谷政府委員 先生御指摘ございましたように、その機器自体で放射線障害防止機能を十分確保しておるというものがこの表示付制度に申請する基本要件でございますので、そういうことからしますと、現在はガスクロのECDということになるわけでございますが、今後環境問題でいろいろ利用されるものの一つとして、硫黄分析計とか液面計とか、その他いろいろございます。そういうものについても、具体的に放射線障害防止の観点から十分安全が担保されるということが確認されれば、この制度で運用していくことになろうかと思っております。
#31
○西委員 新聞によりますと、一九九〇年に東大病院で、放射性同位元素の管理がずさんであって、問題になったことがございました。その新聞の情報によりますと、科学技術庁で年間四百カ所の立入検査をなさったということが出ておりまして、その結果四割から五割の事業所で違反が見つかった、こういう報道がされております。その後も不法処分をしたり紛失したりという事件が起きているということも書かれております。
 現在、科学技術庁の行う立入検査はどのように行われているのか。さらに、検査官の方は何人いらっしゃって、一年間でどの程度の検査をされているのか。また、その結果何割程度の事業所で違反が見つかっているのか。そして、指導をどのようにされているのか、このことについて御答弁をお願いしたいと思います。
#32
○笹谷政府委員 東大病院の件は新聞等で大きく取り上げられたわけですが、もともとは法の施行以前の廃棄物等について、その処理が適切でなかったということがまず第一の起因でございます。
 それはさておきまして、私ども、放射線障害防止法に基づきまして、その使用者等に課せられている義務、これが適切に遵守されているかどうか、こういうことを確認するという観点から立入検査を行っているわけでございます。
 平成五年度は、十二名の検査官によって三百二十二件の立入検査を実施しております。この検査におきましては、安全に万全を期す、こういう観点から、帳簿の記載等きめ細かな観点から指導を行っているところでございます。その結果、数字的には大きくなっているわけでございますが、平成五年度では約四割、昭和五十九年度では約六割、平成元年度では五割、こういうことになっているわけでございますが、年々改善されているわけでございます。
 この数字は、半分以上しゃないかということで非常に御心配をされるかと思いますが、数多くの機関で使われているということから非常にきめ細かくやっておりまして、例えば帳簿の記載事項で、氏名が適切に書かれていなかったとかあるいは管理責任者の判がなかったとか、そういうものも全部一件に数えておりますので数は多くなっておりますが、安全上直接影響を及ぼします施設の不備とか、それから取り扱い上の問題、こういうことについての指摘なり指導というものはほとんどございません。
 例えば、こういう放射線のマーク、三葉マークがございます。こういうものを排水施設とか何かに貼付するわけですが、そういうものの貼付がちょっと見えづらいところにあるとか、あるいは張っていないとか、こういうものも数に入ってございますので、この数が四割とか五割でずさんだということではございません。
#33
○西委員 まず弁解がございましたが、昭和五十九年の六割から四割程度に減っている、こういう御答弁でございました。
 確かにおっしゃることは事実だろうと思います。御専門の方の指導のもとになされていることでございますので、その資格を持っていらっしゃらない方が操作をされ、また使用されるときも、その専門の方の指導のもとになされているということは別に疑っているわけではございませんが、小さなこととはいえきちっと規則があるわけですから、その規則を守るのか、そんなことが大したことでなければもう要らないのか。いつまでも五割から四割に減ったとか、また、若干ふえたとかいう議論をすることの意味というのが本当にあるのだろうか。
 そうおっしゃるなら、それこそ規制緩和していいのかということだろうと僕は思っております。やるのならきちっともっと指導すべきで、何年やったって五割程度をうろついているような立入検査は、本来その法の意味が問われるのではないかというふうな感じがいたします。
 その辺のところを、きちっと管理体制を再度していただきたい。これからさらにリースによって使用の拡大がふえることが予想されますので、これを機会に再度徹底した御注意をお願いしたいと思いますが、一言お願いいたします。
#34
○笹谷政府委員 先生御指摘のとおり、こういう厳重な規則でやっておりますので、そういうものにきちっとのっとってやるのが基本でございます。我々も立入検査、あるいは放射線取扱主任者がそれぞれついているところが大多数でございますので、そういう放射線取扱主任者の会合を通じて、より安全あるいは規則の遵守を徹底するよう万全の体制で臨みたいと思っております。
#35
○西委員 放射性廃棄物のことについてお伺いを申し上げます。処理処分の方法です。
 原子力委員会が出しております原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画、平成六年に出ておりますが、この文書を読んでおりますと、放射性廃棄物の処理は海洋投棄にかえて地中埋設する方向、こういうふうに出ております。逆に言いますと、これまで海洋投棄をしていたということになるわけですが、どの程度の量を既に海洋投棄をされたのか、どこに海洋投棄をされたのかということを御答弁をお願いします。
#36
○笹谷政府委員 お答えいたします。
 日本放射性同位元素協会、現在日本アイソトープ協会という名称に変わっておりますが、この協会が昭和三十年から四十四年までにわたりまして、主に房総沖において十五回、放射性廃棄物の試験的海洋投棄を行っております。
 投棄された廃棄物は、この協会が放射性同位元素を取り扱った際に生じます廃棄物を主にドラム缶にコンクリート固化したものでございまして、投棄物、このドラム缶詰めは合計千六百六十一個でございます。
 この中に含まれております放射能は、当時の放射能量でございますが、コバルト60という放射性同位元素が主でございまして、その量は当時で四百七キュリーという量でございます。もうそれ以降二十年、三十年たっておりますので、それの数分の一になっているものと思われます。
#37
○西委員 さて、その廃棄物のその後の処理でございますが、この廃棄物は日本アイソトープ協会が集荷をして、医療用の廃棄物についてはまず灰にするということでございます。ドラム缶に詰めて保管している、こういうことが記載されておりますが、今のところは研究用廃棄物は日本原研の方で委託保管している。
 それぞれ医療用、研究用、その他、こういうふうに分けまして、それぞれどのくらいの容量があるのかということ、それから、廃棄場所が十数カ所に及んでいるということでございますが、その施設はどこにあるのか。それから、廃棄施設の利用状況について、それぞれの施設の全体の容量、それから、現在それぞれについてどの程度の廃棄物が保管されているのか、今後どの程度まだ余裕があるのかということについてお伺いをしたかったのですが、余り時間がございませんので、簡潔にお願いをしたいと思います。
#38
○岡崎(俊)政府委員 御指摘のRIの廃棄物につきまして、五年度の実績を申し上げたいと思います。
 二百リットルのドラム缶に換算をいたしまして、医療機関からは七千五百七十四本、研究機関からは四千六百三十本、その他の機関から五千三十六本、合計一万七千二百四十本が社団法人の日本アイソトープ協会によって集荷をされておるわけでございます。集荷をされました後、この廃棄物は、それぞれの廃棄物の形態に合わせまして、焼却でありますとか、あるいは圧縮等のいわゆる減容の処理を行います。その減容によりましておおよそ十分の一から十五分の一程度に減容されて、御指摘の保管施設において安全に今保管されておる、このような状況でございます。
#39
○西委員 放射性同位元素を装備した装置が、先ほどからも議論ございましたように、リース等の規制緩和によって使用がこれからもまた増加していくという予想がございますが、それに伴って廃棄物の増加、また交換による増加等が見込まれております。この処理能力の不足が予想されると思うのですが、どう今後対応されていく予定か、お伺い申し上げます。
#40
○岡崎(俊)政府委員 ラジオアイソトープを利用するに当たりまして、この廃棄物の処分を適切に行っていくということが極めて大事であるということは当然のことだと思っております。このためには、特に発生量そのものを低減化させるということと、減容処理技術等の高度化を図るということが大変重要なことではないか、このように思っております。
 具体的に、この発生量の低減化のために、日本アイソトープ協会におきましては、発生量の低減の必要性あるいはその具体的方策について、大変数多くの使用者の方々に周知をし、具体的な分別管理等についての協力をお願いをしておるというところでございます。このような成果もございまして、平成四年度あるいは五年度の集荷量は、それぞれ前年度に比べまして約一千本ずつ減少しておる、このような状況でございます。
 さらに、減容処理技術の高度化につきましても、例えば焼却型のフィルターの開発であるとか、あるいは難燃性の廃棄物でもできる限り焼却できるように、その技術の開発というものを行っておるということでございます。
 さらに、今後、こういった努力によりまして廃棄物の発生そのものが抑制されつつあるわけでございますが、全体的にはもちろんふえてまいります。ただし、こういった努力によりまして、当面、保管能力が不足するというような事態には至らないものと見込まれておりますけれども、長期的には、先ほど先生も御指摘いただきました長期計画に沿いまして、着実に最終的な処分の方策についての施策を進めていくということが大変大事ではないかと思っております。
#41
○西委員 廃棄施設それ自体がかなり環境に負荷を与える可能性がある、こう考えられます。したがって、環境庁を中心とした環境行政が推し進めようとしている、先ほども答弁されました廃棄物の減量化という方向も大変重要な方向だろうというふうに思います。しかしながら、おっしゃいましたように、確実に増加することはこれまた事実でございまして、このRIの廃棄物が、環境に対する負荷という意味では、ますますやはり問題化されることは事実であろう、こう思っております。
 国民の環境保全を求める声は一方でますます高まってくるわけでございますが、環境保全という面で環境庁とどのような協議を行っているかについて御答弁をお願いします。
#42
○岡崎(俊)政府委員 この放射性廃棄物の処理処分に当たりまして、安全確保でありますとか、あるいは環境の保全ということが大前提であるという観点から、具体的には、先ほど申し上げました発生量の低減化であるとか、あるいは減容についての努力をいたしております。さらに、このRIの使用施設あるいは廃棄施設そのものからの、環境であるとかあるいは人間に対する影響というものをできるだけ少なくするという観点から、この放射線障害防止法によりまして十分な規制がなされており、環境の保全というものが図られておる、このように認識しております。
 今後とも、基本的にはこの放射線障害防止法の厳格な適用によって安全確保に努めてまいるわけでございますけれども、必要に応じまして、環境庁でありますとかあるいは厚生省、こういった関係省庁とも十分相談をしながら進めてまいりたいと思っております。
#43
○西委員 廃棄施設について、周辺住民に対して、先ほどちょっと私、簡潔にと申し上げましたので、答弁がいただけなかったのかと思いますが、今十数カ所廃棄施設があるというふうに言われております。その場所、さらにその内容等についての情報公開がどの程度行われているのか、これについてお願いします。
#44
○岡崎(俊)政府委員 放射線利用、それから原子力開発利用全般について、地元の住民の方々あるいは広く国民の方々の御理解の上に立たなければならないということが極めて重要であろうかと思っております。
 このような観点から、このラジオアイソトープにつきましても、集荷の数量であるとかあるいは処理数量、こういった統計データというものを取りまとめまして、放射線利用統計というわかりやすい形でもって広く公開をいたしておりますというのが基本でございます。
 さらに加えまして、十数カ所のこういった地元の方々に対する情報の提供というものに、アイソトープ協会あるいは日本原子力研究所も鋭意取り組んでおります。
 具体的に申し上げますと、例えば、医療用のRI廃棄物を取り扱っております日本アイソトープ協会の滝沢研究所というのがございますが、この滝沢研究所につきましては、地元の滝沢村との間に公害防止に関する協定というのを結んでおります。この協定に基づきまして、周辺の環境放射能のモニタリングデータというものを公表しております。さらに、地元の住民の方々に、この施設内に設けられたPR館の展示であるとか、あるいはパンフレットの配布、あるいは定期的な施設の公開、こういった形で積極的に情報公開をし、やはり地元の住民の理解を求める努力がなされておると承知をしております。
 もちろん、今後とも、廃棄事業者に対しまして、住民の理解を得て事業の円滑な推進が図られるよう、こういった努力をさらに進めていくように我々も指導をしてまいりたいと思っております。
#45
○西委員 ただいま滝沢村に対する具体的な情報公開並びに住民との協議の様子、答弁いただきましたが、すべての施設についてそういうことが行われていると解釈してよろしいのでしょうか。
#46
○岡崎(俊)政府委員 今のは滝沢村についての具体的な例を申し上げましたけれども、その他の施設についても、できる限り同様に、積極的に地元の御理解をいただくような努力をなされていると私も思っておりますが、今後とも、そのような努力はされるように指導してまいりたいと思っております。
#47
○西委員 先ほどもちょっとお触れになったかと思うのですが、放射性廃棄物の最終の処分の問題ですね。二、三十年前には海洋投棄をしていた時代があって、それをやめて、今こういうふうにして廃棄施設に貯蔵しているわけですが、この方法についてそろそろ考えていく時期に達しているのではないかというふうに予想しておるわけですけれども、どのような具体的な案が今検討されているのか、状況についてお伺い申し上げます。
#48
○岡崎(俊)政府委員 具体的な処分に入ります前に、一言このRI廃棄物の特徴を簡単に御説明申し上げたいと思いますけれども、いわゆる原子力発電所等から発生します廃棄物に比べまして、比較的放射能レベルが低いということが第一点、それから半減期が比較的短い核種を多く含んでおるということが二点目、それから三点目として、焼却等の適切な処理によって減容できるものが大変多い、こういう特徴を有しておるわけでございます。
 こういった特徴を踏まえまして、先生も御指摘をいただきました昨年六月に原子力委員会が策定をいたしました原子力開発利用の長期計画におきましても、この点について御審議をいただいたわけでございます。その審議の結果として、今後の処分の方法について、三つの方法について指摘がなされておるわけでございます。
 その一つは、放射能レベルの比較的低いものについては、浅地中処分または簡易な方法による浅地中処分、こういったようなのが第一点、第二点目が、半減期の極めて短い核種のみを含むものについては、段階管理を伴わない簡易な方法による浅地中処分、それから三点目といたしまして、一部にはアルファ核種のような長半減期核種を含むものもございます。この廃棄物につきましては、いわゆる核燃料サイクル関係のTRU核種という半減期の長い核種を含む廃棄物についての処分というものを別途検討中でございますので、この処分を参考にしながら進めていくべきだ、こういう指摘がなされておるわけでございます。
 この長期計画の考え方に基づきまして、現在、既に日本原子力研究所及び日本アイソトープ協会を中心に検討委員会というものを設けております。ここで、例えば将来の廃棄物の発生量の予測でありますとか、あるいは埋設処分に係ります管理の方法であるとか、あるいは本当に安全に行えるかどうかといった安全の評価の問題、こういった問題について、主として技術的な検討を今鋭意進めております。
 国としましては、こういった検討を促進するとともに、これらの検討結果を踏まえまして、今後の処理であるとかあるいは処分体制の整備に係るいろいろな施策の推進に努めてまいりたいと思っております。
#49
○西委員 時間が迫ってまいりました。最後に大臣にお伺いを申し上げます。
 私、今手元に科学技術会議の「「新世紀に向けてとるべき科学技術の総合的。基本方策について」に対する答申」、こういう資料をちょうだいしておりますが、科学技術会議が発足して三十年になると言われております。総理が議長で、もちろん科学技術庁長官も議員の一員という構成になっておるわけですが、私は、この科学技術会議の時宜を得た提言が、今日の技術立国としての日本の基盤をつくる上で大変重要な役割を果たしてきたというふうに高く評価をしております。
 天然資源のない日本にとって、科学技術を生み出していく人的な資源こそ大切な資源であるということを的確に認識をされておられまして、例えば一九六〇年に第一回の答申がなされました。そのときの内容は、高度成長の一九六〇年代、こういうことを目指して、理工系の人材の大幅な増強、それから研究開発の大幅強化、こういうことを提言をされました。
 それを受けて多くの施策がなされているわけですが、例えば、その直後、昭和三十七年から四十年のこのわずか数年の間に、全国に高等専門学校が設置をされております。私も二年前まではそこで二十年間御厄介になってきた一人でございますが、そういう素早い中堅技術者の養成を行っておられます。
 それから大学関係におきましても、私も化学を専攻してきたのですが、昭和四十二年に大学に入学しましたときに三期生でございました。化学工学科という学科ですが、つまり、昭和三十九年に新しい学科ができた。これも全国に化学工学科、いわゆるプラントのエンジニアを養成する学科でございますが、高度成長を目指して石油コンビナートをあちこちで建設されようとしている時期に、そういう専門の技術者を養成するという目的のために、四十年代前後に全国の工学部に数多く設置された、そういう学科だというふうに認識をしております。
 その後、日本の社会情勢に応じて数多くの提言をこの科学技術会議がされているわけですが、大臣のこの科学技術会議の提言に対する評価をまずお伺いしたいと思います。
#50
○田中国務大臣 科学技術会議は、昭和三十四年に発足して以来、それぞれの時代のニーズというものを的確にとらえて対応してきているというふうに基本的に評価をいたしております。
 ですが、これからの時代はさらに地球規模の問題ということで、世界の国際情勢というものが非常に密接にリンケージしておりますので、そういう中で、なお一層そうした顕在化している問題に的確に対応できるように、状況の変化を確実に見て対応していくような方策をとらねばならないということを基本認識といたしております。
 それから、ちょっと離れますが、今、持ち時間内ずっと西先生が御質問くだすったこのRIの問題でございますけれども、利用の増大に伴って廃棄物がふえてくる。そうすればその貯蔵施設、廃棄施設はどうするかというような問題とか、それから、それが結果的に利用がふえれば環境に影響してくる、そういう本当に現場を踏まえた、よく認識なさった具体的なお尋ねをいただきまして、本当にありがたかったと思っておりますので、今回の規制の合理化に伴いまして、今御指摘いただきましたことを十二分に踏まえて施策を進めていきたいと思います。的確な、とてもいいお尋ねをいただきましてありがとうございました。
#51
○西委員 大変積極的なコメントをちょうだいしまして、感謝しております。
 最後に、もう一問だけ、時間ももうそろそろあれですので、大臣にお尋ねを申し上げます。
 私、もう一つ、アメリカのクリントン政権の最近出しました書類を持っているのですが、新しい世紀へ向けての科学技術政策ということについてお尋ねを申し上げたいと思います。
 アメリカでは、一九九三年、クリントン政権が、大統領を議長として、副大統領など閣僚レベルの構成員から成る国家科学技術会議が設立をされております。さらに、昨年には「国家利益における科学」と題する報告書がまとめられて、アメリカ政府が国家戦略上科学技術政策を重要な位置に置いているということがうかがわれます。日本ではいわゆる情報ハイウエー等のことで有名になったあの時期の報告でございますが、実はその根底をなすのは科学技術であり、その科学技術に対する教育、国民の教育に至るまでの綿密な施策が打ち出されております。
 二十一世紀に向けて、日本では、先ほど申し上げました科学技術会議が「新世紀に向けてとるべき科学技術の総合的基本方策について」と題する答申を出しております。この答申では、公的部門の科学技術活動が相対的に弱体である、また、基礎研究の成果としての知的ストックの拡大に関する日本の貢献度が十分でない、まずこういう厳しい評価をしております。そして、今の理科離れや創造的研究の少なさなど、日本の科学技術分野の危機的状況が叫ばれているわけでございますが、科学に携わってきた一人として、私も同様に現在のこの科学技術に対する危機というのを感じております。
 科学技術の振興は日本の将来を左右する重要な課題である、こう申し上げておきたいと思います。この科学技術政策を国の主要施策と位置づけ、アメリカのようにトップリーダーがみずからリーダーシップを発揮すべき時期ではないか、このように思います。
 また、私たち、旧連立政権時代にこのような認識をいたしまして、科学技術振興の第一歩として、予算編成上で知的社会形成特別枠を創設してはどうかということで努力をしてまいりました。科学技術会議の答申の中でも、政府の研究開発の投資額をできるだけ早期に倍増する、こういうことを提言されております。来るべき二十一世紀を展望して、大臣の力強いリーダーシップを期待するものでございます。一、二年の間にこの科学技術予算額をぜひ倍増に持っていっていただきたいというふうに御要望する次第でございます。大臣の御答弁をお願いいたします。
#52
○田中国務大臣 長い間の多くの先輩方の御努力、認識、提言等を踏まえて、このたび、御案内のとおり、科学技術振興調整費が百五十五億プラス三十億円という十四年ぶりに大きな額をつけていただきましたし、公共投資重点化枠も三十億円いただきまして、それは諸先輩、皆様の認識と御努力の結果だろうと思います。ですから、一、二年のうちに倍増ということは、目指しますけれども、いずれにいたしましても、科学技術の創造立国を目指しまして最善の努力をいたしますので、ぜひお力添えいただきたいと思います。
#53
○西委員 どうもありがとうございました。
#54
○野呂委員長 秋葉忠利君。
#55
○秋葉委員 きょうのこの法案に関連いたしまして、放射性同位元素、放射能を扱う環境ということですが、これも広い意味では原子力、放射線と一体になっているわけです。
 最初に大臣に伺いたいんですが、こういった放射線あるいは原子力といったものを我々が扱う上での政府としての基本的な姿勢、どこを強調されているのか、まずその点から、一般的な質問で答えようがないと言われてしまえばそうかもしれませんが、まず基本的な姿勢から伺いたいと思います。
#56
○田中国務大臣 先ほど臼井先生のお尋ねにお答え申し上げたことに尽きるかというふうに思いますけれども、要するに、この放射線利用等が普及すればするほど、その安全性ということには万全を期していく、安全性の確保と平和利用ということに徹底することは申し上げるまでもないわけでございまして、理学あるいは環境、工業、農業、あらゆる分野で身近に私どもの生活に役立つようになっておりますから、なおのこと安全規制ということは、先ほどアクセルとブレーキで御説明を申し上げましたが、その観点を忘れずにしていきたいというふうに考えます。
#57
○秋葉委員 ありがとうございます。
 恐らく大臣と私は同じ世代だと思いますが、原子力の平和利用ということが我々の子供時代に出てまいりました。そのころ、将来のバラ色の絵を見せられて大変感激をした覚えがありますけれども、それと同時に、その当時に原子力四原則といいますか、安全、平和、民主、公開といったような原則が出てまいりました。やはり私も安全ということが基本であるという点については全く同意見ですので、そういった観点から、あと何点か質問をさせていただきたいと思います。
 実は、これは関連分野なんですが、阪神大震災ということで地震の問題が非常に欄心の的になっておりますので、それに関連して。これまでも何度か同僚議員、今村議員なども伺いましたけれども、まだ十分に我々の意が伝わっていないんではないか、あるいは十分なお答えをいただいていない点もあるんではないかということで、原発の立地とそれから地震ということに的を絞って伺いたいと思います。
 まず第一点なんですけれども、原発の日本全国における立地を考えてみますと、どうも非常におかしいところに原発があるという印象を受ける人が多いんではないかと思います。それは、いわゆる予知連のづくっている観測強化地域あるいは特定観測地域ですか、そういった地域を見ますと、日本の原発のほとんどがそういった地域に集中をしているということがございます。
 その点を少々理解するために、普通に素人考えでは、地震がたくさん発生するところには原発は置かない方がいいだろうというのが常識だと思いますけれども、現実はそうではなくて、地震がたくさん起きそうなところに原発が設置されているということになっております。それには恐らく何らかの理由があるんでしょうし、理由がなくてたまたまそういうことになっているのであれば、早速改善の手を打たなくてはいけないということにもなるわけですから、まずその観測地域の目的、意味について伺いたいと思います。それが一点です。
 それから、常識では、こういった観測を強化しなくてはいけない、特別に観測をしなくてはいけないということは、前にも申し上げましたように、地震が起こりやすいというふうに考えられる地域なんですが、そういったところに原発をなぜ設置したのか、そのことについて、原則をまず確認しておきたいと思います。
 国土地理院の方、いらっしゃっていますね。
#58
○城処説明員 お話の第一点目について御説明をさせていただきます。
 御承知のとおり、地震予知連絡会が設けられておりまして、これは地震予知の研究を進めるということで、さまざまな予知に関するデータの交換でありますとか学術的な検討をやっているところでございます。その研究あるいは観測を効率的にやるということで、特定観測地域あるいは観測強化地域というものを選定しているということでございます。
 その考え方は、過去に大きな地震があって最近大きな地震が起きてない地域でありますとか、活構造地域と呼んでいますが、活断層があるのかないのかといったこと、あるいは最近地殻活動が活発になってきているかどうかというような点を御判断いただいて、予知連絡会で判断がなされているというものでございます。
#59
○秋葉委員 確認いたしますけれども、その観測地域、二つの種類がありますが、それは普通の言葉で言えば、これから地震が起こりやすい地域だというふうに考えてよろしいわけですね。ほかのところと比べて、つまり、そういった特別な地域に指定されていないところと比べて、強化地域あるいは特定地域の方が地震が起こりやすい、あるいは起こる確率が高いところというふうに考えていいんですね。そうでなければ、観測地域はほかの地域と比べて地震の起こる確率が低いところということになってしまいますから、どちらかはっきりしてください。
#60
○城処説明員 先ほど申し上げましたとおり、地震予知についてはこれからの研究にまつところも多いということで、なるべく効率的にやるということで地域をある程度限定していくということで、先ほど申し上げましたような条件で判断がなされていると理解しておりますが、結果としてそういったことも言えようか、先生御指摘いただいたようなことも言えようかと思います。
#61
○秋葉委員 まことに心もとない答えで、神戸に行ってぜひそういった発言を被災者の前で言っていただきたいと思います。
 それで、これは科技庁か通産がどっちかわかりませんが、結果として要するに地震が起きやすいところがそういう地域である。そんな地域になぜ原発がたくさんあるのかということを説明していただきたい。
#62
○笹谷政府委員 お答えいたします。
 原子力発電所の立地に当たりましては、立地指針というのがございます。先生御承知のとおりでございます。「大きな事故の誘因となるような事象が過去においてなかったことはもちろんであるが、将来においてもあるとは考えられないこと。また、災害を拡大するような事象も少ないこと。」というようなことになっております。
 具体的には耐震の指針、これも先生よく御存じでございますので中身については省略いたしますが、基本的な考え方は、そのサイトに耐え得るような耐震設計を行うということが基本でございますので、立地選定に当たりまして活動可能性のあるところはもちろん避けるわけでございますが、基本的な考え方はそういうことでございます。
#63
○秋葉委員 それで、実は各原発のあるところで、原発をつくるときに、その原発ごとに大体周りの状況を見て、どのくらいの規模の地震が起こる確率があるかということを考えて、どんな地震が起きても大丈夫なように設計してある、平たく言えばそういうことだと思います。
 具体的な数字を挙げて、本当に今おっしゃったようなとおりの設計が行われているのかどうかというところを疑問にしたいのですが、その前に、実は私がここで取り上げたいのは「もんじゅ」があるあたりなんですけれども、これは敦賀湾の周辺です。これは一九七八年に改定された特定観測地域からは除かれていますね。改定されたものから除かれているのですが、最初の、七〇年だったと思います、特定観測地域には入っている。除かれた理由というのはどういうことなんでしょうか。
#64
○城処説明員 観測をするための強化地域でありますとか特定観測地域というのは、先ほど申し上げましたような考え方で、昭和四十四年に発足した予知連で直ちに議論をいただきまして、四十五年に基本的な考え方が出されております。
 その後、多少の改定がなされておりますが、観測地域については区域を拡大するとか区域を加えるということで変更がなされておりますので、区域に関して言えば、減少したというようなところは承知をいたしていないという実情でございます。
#65
○秋葉委員 琵琶湖の北側から若狭湾の方に向けて、最初は入っていましたけれども、新しい方では除かれていますから、それは今のは誤解じゃないかと思うのです。
 それで申し上げたいのですが、実は敦賀、これは新しい特定観測地域には入っていないところですが、力武常次先生というのですか、地震の権威だということで本を買って読みましたけれども、その中に、日本列島の主要地点が内陸活断層の活動及び海域地震によって、西暦二〇〇一年から一〇年の期間にこうむる加速度が可及び三百ガルを超える確率というのが出ています。
 三百ガルというのは大体震度六ということですので、これでこの確率を見てみますと、恐るべきことに一番確率の高いのが静岡です。二番目が高山、これは飛騨高山です。三番目が敦賀になって、これは原発のたくさんあるところのすぐ近くです。それで四番目が神戸。今度神戸でこれほど大きな地震が起こったのですけれども、となると、一、二、三というのはもっと危ないということをこの地震の権威が言っているわけです。今のこの確率というのは、内陸活断層の活動と海域地震、その両方の起こり得る可能性というのを調べたものなんです。
 ところが、これをちょっと変えて、内陸活断層の活動だけにする。それで確率を調べると、実は一番目が高山、これは変わりませんけれども、二番目に敦賀。静岡というのは要するに海の方に震源地を持つ地震なので、内陸の活断層というところでは敦賀が二番目になってしまう。それほど地震の起こる可能性が高いというところで、やはり特定観測地域等を設置する際にはもう少し注意深くこれを行うべきではないか。
 恣意的なことをされていないのであれば、それはいいのですけれども、しかしながら、一方にこれほどはっきりとした確率まで計算した結果がありながら、特定観測地域を設定する際にはそれが反映されていないということは、やはりゆゆしき問題だと思いますから、注意を喚起しておきたいのです。
 そこで、問題提起をしたいと思いますが、例えば「もんじゅ」の安全審査の際に、この地震が非常に起きやすい敦賀で、大体その審査申請書ですか、それに載っている幾つかの断層がその近辺にあるわけですけれども、その最大速度振幅、これは地震がどのくらいひどいかという程度をはかる基準ですけれども、その最大速度振幅はどういう値になっているか、その値を得る上での根拠は何なのかを伺いたいと思います。
#66
○笹谷政府委員 お答えいたします。
 設計用最強地震につきましては、これは十九カイン、ガルにいたしますと二百八十ガル、根拠になりますのは一八九一年のマグニチュード八の濃尾地震を対象に、こういう数字を設定してございます。
#67
○秋葉委員 大体その値の近くだと思いますけれども、実はこの安全審査の中にはもう少し細かいデータが含まれております。各断層ごとにどの程度の地震が起こるかということを想定して、この断層で地震が起こった場合に、例えば「もんじゅ」のある地点ではどの程度の規模の地震が起こるという数字が出ております。
 その中で参考になるのが、今回の阪神大震災と比べて大体同じような想定をしているというものを選んでみたのですけれども、抑ケ瀬断層、ここで地震があったとすると、規模がマグニチュードが七・二、震央距離二十一キロということで、この際の最大速度振幅というのは十四・九、まあ十五ぐらい。これは値はカインですから、先ほどの十九というのと距離が違えば少し違うわけですから。ということで大体同じ数字が出ておりますが、この数字について、科技庁でお持ちになっている数字、これは審査書から抜き出してきたものですから同じはずなんですけれども、とりあえず確認をしていただきたい。
#68
○笹谷政府委員 大変申しわけありませんが、手元に審査書を持ってきておりませんので、先生、審査書からこの数字をごらんになったのであれば、この数字だと思います。
#69
○秋葉委員 この十四・九カインが出てきたという基準は何かといいますと、最大速度振幅を計算するための金井式というものがあります。金井さんという学者がこれを提唱して、その式が使われているわけですけれども、その式の計算結果が十四・九だ、こういうことだと思います。これは、震度とそれから震源までの距離が大体わかれば、ほかの定数というのは大体与えられているものと考えていいわけですから、その二つが変数で大体結果が出てくるということになっています。
 実は私が申し上げたいのは、その金井式というものを日本の原発の安全基準の基礎として使っているわけですけれども、そこに使われている震源までの距離というのが実は非常に大きな問題ではないかというふうに考えております。
 最近の学会の主張の一つとしては、震源までの距離ではなくて、震央の方が近いのですけれども、震央と断層までの距離ということの方が意味があるのではないかという問題提起が行われております。
 そのことの蓋然性、ある程度の可能性を持ってそのことが正しいのだということを示すために、実際に今回の震災において、神戸大学の工学部において計測された実際の地震の大きさというものを比べてみると、この金井式を使うことが本当に妥当かどうか、疑問を感じざるを得ないということになります。
 その数値を申し上げますけれども、まず阪神大震災の場合は、マグニチュードはやはり七・二として計算して、実は非常にこれは偶然なんですけれども、地震計のあった神戸大学の工学部と震央、これは震源のちょうど真上にある地点ですけれども、距離にしてはかると大体二十から二十五キロの間。仮に二十一キロ、こういうことで、距離的には全くさっきの抑ケ瀬断層と計測地が同じだというふうに考えられるように、大体同じ地点を選びました。しかも、神戸大学の工学部の地震計というのは岩盤上に設置してある。ですから、これは非常にかたいところです。
 それで、金井氏でこれを計算いたしますと、最大速度は十二・六カインになります。十四・九というのが抑ケ瀬断層の場合の計算ですから、少しは違いますけれども、その実測距離というのが少々違いますので、その点は誤差があるのかもしれません。ですから、十幾つというのが計算結果です。これをもとに原発の安全性、設計基準というのが行われているわけですが、実測値はどうだったか、これを申し上げたいと思います。
 計算だと、この程度の地震であれば、神戸大学の工学部では十二あるいは十五カインぐらいの大きさの地震になるはずなのに、まず水平方向ですけれども、南北方向では五十五・一カインです。それから東西方向では三十一・〇カインです。ただ、これは東西と南北とこういうふうに方向が、地震の本当に一番強い方向とは違った方向で出ていますから、これは直角三角形の二辺ですから、斜辺の長さの方がもっと大きくなる。それを考えに入れますと、大体六十カインぐらいだというふうに恐らく考えていいんだと思います。
 それから、もう一つは上下方向の最大速度振幅ですけれども、これが三十三・二カインということになっています。水平方向だけではなくて上下方向もあるわけですから、これも考えに入れると、少なくとも計算値よりは四倍大きい地震だった。上下方向も入れますと六倍ぐらいになる。そこまで極端ではなくても、少なくとも四、五倍のオーダーの大きさだったということが言えるわけです。
 やはりこういった具体的な計測値があるわけですから、しかもそれが計算値とこれほど大きく離れているわけですから、そもそも安全設計基準の根本にまで戻って考え直さなくてはいけないと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
#70
○笹谷政府委員 今先生御指摘いただいた数字は実測値ですから、そういう数字だと思います。地震の発生のメカニズムの実態、今回の地震がどういうメカニズムで発生したのか、また発生した地震による地震力がどのように作用したのか等を含めまして、いろいろなデータがいろいろな学会あるいは調査団から出ております。
 今回の地震の発生後、二日後でございますが、安全委員会に耐震検討会を設置いたしまして、それで指針等の検討、確認等を行っております。過去もう二回ほど開いて精力的に事実関係の把握に努めているわけでございます。
 この検討の基本的な考え方でございますが、先生から御指摘のあったようなデータも含め、現在いろいろなデータの把握、分析に努めておりまして、そういう中から、従来得られている知見とはもし仮に違った新しい知見が得られるようなことになりましたら、その知見を踏まえた上でこの指針等についての検討を行ってまいりたい、こう思っております。
#71
○藤冨説明員 通産省でも同じような、先生の御指摘の神戸大学のことについて検討を行っておりますが、まだ検討の状況で、全体は笹谷局長がお答えしたとおりでございます。
 今回、神戸大学で観測されました地震の場所は、今回複数動いたと言われる断層に近いということとか、それから、先ほど先生は岩盤の上で測定されたとおっしゃっていましたけれども、あれは測定された地点はもともと谷合いの地点でして、そこにトンネルを掘って設置したと私どもは聞いておりまして、直接岩盤ではないと思います。
 それから、先ほど先生御指摘のカイン数、私どもも確かに承知しておりますが、上下方向がかなり大きいのはボルトが緩んでいたんではないかという指摘がありまして、それから波形を見ますと、ドリフトといって中心線に本当は上下に来るはずなんですが、若干そこはずれておりまして、もし何らかの修正ができるなら修正を考えなきゃいけないし、何かそういう地盤の状況とか、地震計が置かれている状況をよくつぶさに調査した上で検討が必要かと思っております。
#72
○秋葉委員 それは当たり前の話で、基礎的にこういった計算を行わなくてはいけない、あるいはデータを集める際に、だれしもが基礎的なこととしてクリアをしなくてはいけない条件というのは、当然クリアされた上での話をしているつもりでございます。ですから、これは最終結果を通産省がどういうふうにお考えになるか、それは通産省の判断ですけれども、少なくとも学問的批判にたえるような形での最終結果ということです。
 それから、今のドリフトの話ですけれども、上下方向の計測で一方に偏っていたというのは、私も波形を見ました。その原因というのは、実際に観測をした人の話では、確かに計測器が傾いていた。その傾きを考えに入れてコンピューターで今補整をやっているということですから、上下については確かにおかしいので、片方だけしか波が出てこないというのは絶対におかしい話ですから、それは補整されるというふうに思います。それについてもちょっと問題提起をしたかったのですが、ともかくこれほど大きな数値の乖離があるということは、やはり根本に立ち返って問題を考えなくてはいけない。
 このところも非常に基礎的なところなんですが、なぜ断層までの距離と震源までの距離が問題になるかというと、ちょっと誇張した図をかきましたので、これをごらんください。ここに原発があったとして、ここが震源だとしますね。そうするとこれが震央、その真上ですけれども。
 例えばこういう状況のときに、震源というのは地下の非常に深いところにある。ところが、最近の地震学者の考え方では、実はこの上の短い距離が意味があるので、こっちの方は余り意味がないんじゃないかということなんですが、金井式というのは実はこれをとっているわけです。だから、この距離が短くて非常に大きな地震になるようなケースでも、金井式を使うと、この縦の部分が長いために弱い結果になってしまう。その弱い結果に基づいて、それに耐え得る原発をつくればいいんだよという結果になっているとすれば、この一番基本的なところに戻らなくてはいけないということを申し上げたかったわけであります。
 最後にもう一つ、残念ながら時間がありませんので、これはまたいろいろと科技庁の方あるいは通産の方等とお話をさせていただきたいと思いますけれども、もう一つこれに関連して、これまた最近話題になっておりますがラス固化体の輸送、高レベル放射性廃棄物の返還に係る問題ですが、このことについて一問だけ一般的なお考えを伺いたいと思います。
 実は三月十四日に青森の県議会で、この問題について安全性の確保と情報公開に関する決議案というのが提出をされました。提出者は、驚いてはいけないのかもしれませんが、歓迎すべき変化なんですが、すべて自民党の県会議員の方です。
 この内容は、情報公開が行われること、返還される高レベル放射性廃棄物の内容、それから安全審査の経過、結果、海上輸送のルート、入港の日時、こういったことについての公表が行われない場合には、知事は入港拒否を行うべきであるという旨の決議でございます。この基本的な原則というのは、これも大事だと思うのですが、企業の秘密より人の命を優先することが大事ではないかということがこの決議の中心的な考え方になっております。こういう決議が青森県で通ったということについて、大臣のコメントを一言お願いしたいと思います。
#73
○田中国務大臣 今回の青森県の県議会での決議は、今おっしゃったように自民党が中心になさってくださって、基本にある理念は、情報の公開ということで四点おっしゃっていると思います。そして、入港の期日等につきましても、公開できることはどんどんしていかなければいけないというふうに思っております。
 ただ、今までの輸送ルートにつきましては、再三再四、衆議院、参議院の予算委員会等で御答弁申し上げましたけれども、イギリス、フランス等との兼ね合いもありまして、国際的にも反対をする運動家たちが追跡をしたりするというようなこともありましたものですから、公開はいたしませんでしたけれども、あと求められていることは、入港の期日等、それらについてはできるだけ情報公開をしていきたいというふうに考えております。
#74
○秋葉委員 ありがとうございました。時間が参りましたので、これで私の質問を終わらせていただきます。
#75
○野呂委員長 吉井英勝君。
#76
○吉井委員 私は、まず、放射線とそれから法律案の問題について最初に伺っておきたいと思います。
 地球の約四十六億年、NHKの特集番組などによりますと、生命四十億年の族とかそういう特集等も今行われておりますが、そういう歴史の長い中で、宇宙放射線とか大地放射線とのバランスの中で生物は生きてきたというのがこれまでの経過だと思うのです。例えば単細胞のゾウリムシを考えてみますと、自然放射線を断ち切ると増殖は進まないのですね。一度断ち切ったのを自然放射線にさらしますと、また増殖は進んでいく。
 それから、別なことを少し考えてみますと、私などは新幹線で東京へ来るわけですが、浜名湖の上を走っているときというのは放射線被曝は減るわけですね。丹那トンネルへ入るとふえるわけですね。これは浜名湖の上というのは、大地放射線が水によってかなり遮へい効果があるからであります。
 別な例で見ますと、チェルノブイリの原発事故に行った人たちが、日本から飛行機で飛び立って、ロシアヘおりてチェルノブイリへ近づくまでの間、もちろんチェルノブイリヘ行ったらすごいものですが、それまでの間は実は飛行機に乗っているときの方が被曝量が多いのですね。これは当たり前のことであるわけです。ですから、バックグラウンドの自然放射線の中で我々は生きている、これが我々の置かれている環境というものです。
 ですから、バックグラウンドの自然放射線の中で我々は生きているんだということに立つならば、一つは、むやみに放射線そのものについては心配するということじゃなくて、科学的にしっかり見ていくことが大切であって、同時に、不必要な被曝は避けるということ、それから放射線源の管理は厳しくするということ、そして放射能を帯びたものの大気中への放出というものは厳しく抑えるということ、こういうことが基本的な問題として考えていかれなければならないと思うのです。
 ですから、私は、放射線にかかわる法を立てる上で、やはりこういう点が基本的な姿勢として当然のことながら求められると思うのですが、この点について、一言で結構ですが、最初に伺っておきたいと思います。
#77
○田中国務大臣 自然界の放射線の中で私どもが生きているという、今の浜名湖と丹那トンネルの話は非常にわかりやすくて、興味深く伺いました。
 それで、不必要な被曝はあってはいけないというふうなこと、それから安全規制の問題等につきましては、もうおっしゃるとおりでございます。きょうは特にRIの法案について御審議いただいているわけでございますけれども、需要が広まっていって規制を少し緩めていく、そして生活向上に資するようにしていくということは基本ではございますけれども、そうであればなおのこと、安全というものに対する管理は確実に徹底をしてまいります。
#78
○吉井委員 次に、法に関して少し伺っておきたいのですが、リース業を新たに認める場合の放射線障害防止策についてはどのようにとらせていくのかということを、一言で結構ですから、簡潔に伺いたいと思います。
#79
○笹谷政府委員 お答えいたします。
 この賃貸が認められるということは、あくまでも安全性の確保ということが大前提でございます。したがいまして、この賃貸業者に対しましては、許可制度のもとにおきまして放射性同位元素を保管する施設が安全基準を満たすことなど、従来の販売の業などと同じように、放射線障害の防止のために必要となる安全確保の義務をきちっと課すということにしております。
#80
○吉井委員 次に、政令で定める安全性の高い特定の機器というものについて、今回はガスクロを考えるわけですが、これだけなのか、将来、政令に加えていくものとして何かお考えになっているものがあるのか、その辺を伺いたいと思うのです。
#81
○笹谷政府委員 お答えいたします。
 現在、具体的に想定しております装備機器はございません。しかしながら、その施設自体が放射線障害防止を十分担保するというようなものが今後技術の発展等でどんどん出てくることが予想されますので、そういうものにつきましては、そういう安全性を十分チェックした上で、この制度に乗るかどうかということを検討させていただきたい、こう思っております。
#82
○吉井委員 法案に関連してはかなりほかの方からも質問がありましたので、私は少し放射線の問題に入って伺っておきたいと思うのですが、ガスクロで使われるRIに比べますと、せんだっての二月二十五日でしたか、大飯原発の放射能の大気中放出量などは、これはちょっと比較のオーダーにならないということになりますが、そこで、原子力安全局やら原子力安全委員会の対応について伺っておきたいと思うのです。
 マスコミ発表されたものの中では、微量の放射能漏れであったとか、それから新型検知器の誤作動になれてしまって、だから故障を信じないで対応のおくれがあったとか、そういう見出しをつけているのもありましたし、スイッチミスの原因という指摘もありました。
 私は、そういうことはあったと思うのですが、それだけでは少し見過ごしにできないものもあるのじゃないかということで、実はあの大飯の事故時のチャートをいただいて眺めてみました。それでいくと、R66LというB高感度型主蒸気モニターLLというのは低エネルギー域という意味なんでしょうが、そのデータを見ますと、二月二十五日の午前三時十分から、実はこれはよく見ると、こういうふうにして見るとよくわかるのですね。立ち上がっているのですね。
 それで警報が発信され、これまで誤作動が八回もあったということですが、この警報機器は信じられないということで、R66Lについてはそういう判断があったとしても、R19という蒸気発生器ブローダウン水モニターの値、こちらの方は、このチャートをじっくり眺めてみると、大体四十五。Pmぐらいのところでずっと通常は推移しているのですが、ちょうどこの午前三時十分ぐらいの警報が発信したころから立ち上がっていっているというのがよくわかります。三時五十五分ぐらいのところを見てみますと、通常値よりも大体一〇%ぐらい高く出ているのですね、五十cpmぐらい。それが四時十五分ぐらいになりますと、通常値よりもさらに三〇%ほど高い、大体五十八cpmぐらいを読み取ることができます。
 ですから、私は、これはR66Lのデータだけであれば、またあれは誤作動が、こういうこともあったのかもしれません。しかし、今回の場合は、また誤作動だとはとても言えない事態としてとらえるべきであったのじゃないかと思うのですが、この点の評価を伺っておきたいと思います。
#83
○笹谷政府委員 先生今御指摘のありました大飯二号炉のトラブルについてでございますが、これについては私ども安全委員会の立場でチェックするということになっておりまして、一義的には通産省がフォローしているわけでございます。したがいまして、安全委員会の対応状況をちょっと御説明させていただきたいと思います。
 安全委員会では、御承知のとおり、基本設計のダブルチェック以外も、こういうトラブルについて十分フォローすることにしております。したがって、今回のトラブルについても、先月の二十七日に通産省より事実関係の報告を受けております。現在、通産省においてその原因の調査等を行っておる段階でございますので、通産省からはその原因とか対策について詳細なものを再度報告を受け、その妥当性について慎重に審議することといたしておりまして、その際は、先生から御指摘のありました点も含めて十分慎重に検討させていただきたい、かように思っております。
#84
○吉井委員 日本の原子力の安全性についてのチェックというのはダブルチェックだ、通産でまずやり、自分たちのところもやっているんだ、だから安全なんだ、安全が担保されているということを盛んに言ってこられたわけですよ。ですから、安全委員会にしても原子力安全局にしても、監視するという部分について、余り人ごとみたいな対応というのは困ると私は思うのです。
 大体、事故対応というのは即座に対応しなきゃだめなわけで、通産でぼちぼちゃってこられたのを、出てきたら眺めてみましょうかでは、とても対応にならないわけです。ですから、局の対応も含めて、私が今指摘したように、二つの検出データから異常を見つけたときには、やはり厳しい対応というものを即座にやる。これは局自身がぼんやりしておれば、みずからの反省として必要になってくるし、しかし、電力側の問題としてそのことを見つけたならば、私は、電力に対する指導として厳しい対応というものが必要じゃないかと思うのです。その点もう一度聞いておきたいと思います。
#85
○笹谷政府委員 ダブルチェックする際、もちろん先生から御指摘のありましたように、我々独自に基礎的なデータを収集し、分析し、それに基づいてチェックをしているわけでございます。また、今回のトラブル等についても、私どもできる限りの情報収集は行っているわけでございます。
 御指摘の点も踏まえまして、これからもそういうトラブル対応については努めてまいりたいと思っております。もちろん、今回のものについても御指摘のとおり徹底を図ってまいりたい、このように思っております。
#86
○吉井委員 今回の件についても厳しく対応する、徹底していきたいということなんですが、本当に二つの検出データが出たときに、それでもあいまいな対応をするということは、私は今後の問題としてきちっと見ていかなきゃいかぬと思うわけです。
 実はこれまで、蒸気発生器細管でピンホールがあいてしまって放射能漏れが二次側にあったということとか、あるいはギロチン破断に至った例というのはこの前の美浜二号になりますが、二次冷却水に放射能が漏れた事故というのは、関西電力で十五件、それから九州電力の玄海一号で一件の十六件に上っているというふうに伺っているのですが、間違いないですか。
#87
○笹谷政府委員 私どもが把握している件数も、先生ただいま指摘した数字になってございます。
#88
○吉井委員 それで、ピンホールなのか、あるいはギロチン破断に至るようなものなのかというのは、結果が出ないとわからないわけなのです。問題は、放射能漏れを検知した時点でどれだけ厳しく対応するかということが、原子力の安全ということを考えたときに求められていることだと私は思うのです。だから私は、あなたの方に、ちょっとのんきなことを言っておられるから言うわけなんです。
 検知器の誤作動になれたのではなくて、蒸気発生器細管の放射能漏れが十五件あったということは、関電がなれてしまっていたのではないか。だから余り重大に考えていなかったのではないか。そのこと自体が恐るべきことというか、本当に懸念されることでありますし、それは、原子力安全委員会が十六件と異常に多いリークの事実を軽く見ていたのではないか、関電に対する指導が軽かったのではないか。
 私は、こういう点について厳しい指導が必要なのに、今回の法律のガスクロのRIだったらいろいろ御説明はいただいたが、原発の方のこの問題については大変軽い扱いになってしまっているのではないか、そのことを懸念するわけです。どうでしょう。
#89
○笹谷政府委員 初めの答弁で、何か私ども、本件につきまして非常に軽く見ているような印象を与えるような答弁をしたとすれば、ここでおわびしたいと思います。
 安全委員会は、従来から、ささいなトラブルにつきましても非常に綿密に検討し、必要があれば直ちに電力等に対する指導あるいは監督官庁に対する指導をやってきておりますので、私ども事務局としてそれを今後とも徹底させていきたいと思っておりますし、今回のトラブルについても、決して軽くは考えておりません。今後の検討に際しましては十分慎重にやってまいりたい、かように考えております。
#90
○吉井委員 美浜のギロチン破断の後も問題になったわけですが、まず今回については、蒸気発生器細管の破損箇所がどこであったかということが特定されたのかどうかということと、それから、これまでは軸方向と周方向の渦電流による欠損箇所の探査、こういうことなどはやってきたのですが、ファイバースコープなどを入れて、蒸気発生器細管の中側から見ようと思ったら簡単に見れるのです。しかし、外側でどういう腐食が進んでいるかとか、あるいは、わかりやすく言えば、さびの塊みたいなものがついているかとか、それをファイバースコープなどできちんと見るようにしているのかどうか、そこまで今進んできているのかどうか、これをあわせて伺っておきたいと思います。
#91
○笹谷政府委員 先生御指摘のありましたピンホール等によるモニターの発泡等については、これは先生おっしゃるとおり、直ちに対応すべきものと承知しております。また、漏えいした後、こういうものについての原因調査、また対策等については、じっくり腰を据えてやるものかと承知しております。
 御指摘のございました調査につきましては、安全委員会に通産を通じまして、その原因あるいはその対策の報告を受けることになっておりますので、その段階で現在御指摘のございました点も含めて慎重に対応したい、かように考えております。
#92
○吉井委員 先ほどからだんだん答弁が慎重に慎重になってきておりますが、事故は二月二十五日なのです。大体三週間たっているのですね。こういうふうなのんびりとした対応でいいのだろうかと、私はそれを本当に懸念しているのです。大臣、何か御発言があるようですから一言。
#93
○田中国務大臣 私も、最近関電が確かに多いなということは大変気にしております。
 検知器の誤作動というふうなことは決してあってはいけないことですが、なれといいますか、やはり意外とアラートな状態にならないでいるのかもしれないと思いますので、安全委員会には役所の方を通じて申しますし、それから秋山社長にも私もじかに、あれ、えらく関電は多いのじゃないかなという感じが最近私は確かにしておりましたものですから、早い時点でお電話なりなんなりで先生の御指摘をお伝えいたします。
 私もこういうことはあってはならないと思っておりますので、ファイバースコープを使ってまでやるかどうかは別として、古い高経年炉の問題もありますし、やはり安全チェックというものは細かくやってまいります。
#94
○吉井委員 それで、私さっき言いましたように、計器の高感度型主蒸気モニターについて、これはたびたび故障したりとか、仮にそういうことがあったとしても、しかし、今度の場合はダブルチェックはできたわけなのですね。仮に片方が故障しておれば、別なデータは全く変化がないのです。ところが、これは正常か故障かわからないにしても、もう一つのデータが出ているわけですから、その時点できちっと対応すべきであったということを重ねて申し上げておきたいと思います。
 次に、美浜二号機事故のチャートを私、改めて振り返ってみたのです。あのときも、私は美浜原発の中へ事故直後に行きましてチャートを眺めたのですが、今回と同じ、同じといったってもちろん原発は違うわけですが、R19という蒸気発生器ブローダウン水モニターの指示値は、あれは九一年の二月九日でしたか、あのときも大体十二時ごろから立ち上がっていっているのです。
 そして、関電の記録によりますと、十二時二十四分にR19で注意信号が発せられた。十二時四十分に化学分析一回目に入った。十三時四十分になると、R15で復水器空気抽出器ガスモニターが注意警報を出し、R19も引き続いて注意警報を出した。そして、その大体すぐ後ぐらいにギロチン破断に至ってしまったわけなのです。十三時四十八分に原子炉停止操作に入ったが、その直後、十三時五十分には原子炉自動停止、ECCS作動。これが美浜二号機の事故のときの時系列による記録なのですね。
 つまり、一時間五十分の間に、最初のピンホールで放射能漏れが出たことが確認されたときの対応がもたもたしている間にギロチン破断に行ってしまったのです。今回は、本当に不幸中の幸いというべきなのですね。そこへ行く前にとまっていたのです。
 食い違いがあってはいけませんから、私は、美浜二号の事故の経過は大体こういうことであったと思うのですが、それは間違いないですね。
#95
○笹谷政府委員 手元に詳しい経時的なフォローのデータがございませんが、先生、資料をひもといてお調べになったと思いますので、全体の流れはそういうことだと承知しております。
#96
○吉井委員 前回、約一時間五十分後にピンホールから大きなものに進んでギロチン破断に行ったわけですが、今回も、ちょうど三時十分にR66Lの警報が発信し、そしてR19の値が上昇を始めるわけですね。約一時間後にはこのR19の値というのは通常値の三〇%上昇していた。つまり、SG細管のピンホールが大きくなって、放射能漏れが広がったということも判断し得る事態になっていたわけなのです。
 もちろん、蓄積されますから、事はそう簡単にいかないということはわかった上で聞いているわけです。しかし、運転を続けて約二時間後の五時十五分のサンプリング分析によりますと、これは関電のデータですが、検出限界である二・五二掛ける十のマイナス三乗ベクレルの十一倍に当たる二・三七掛ける十のマイナス二乗ベクレルという値になっていたというふうに聞いているのですが、この点は放出量は間違いありませんか。
#97
○笹谷政府委員 二・三七掛ける十のマイナス二乗ベクレルということでございます。
#98
○吉井委員 ですから、最初に確認したときに停止をしてピンホールの箇所を見つけるとか、それを本来やるべきなのに、それを怠って、検出限界の十一倍もの放射能漏れが既に生まれていたというのが今回の問題なのです。本当にこれは不幸中の幸いだと思うのです。美浜二号のようなギロチン破断には行かなかったわけですよ。
 だけれども、それがギロチン破断に行っていないものだから、今回の事故については非常に軽く考えられているのです。私は、事故から三週間たってもまだ通産のまとめたもの待ちということで、原子力安全委員会も原子力安全局の方も、本当にこれは大変だということでの対応になっていないというところが大変心配なところです。
 それで、原子炉の停止というのは、約二時間半後の五時四十六分に操作を開始したわけですが、美浜がR19の値が上昇を始めて一時間五十分でギロチン破断に至ったことを考えたときに、二次冷却水への放射能漏れという事態がギロチン破断にも至るということを考えた厳しい対応をしなかった関電の姿勢というものは、私は極めて重大だというふうに思うわけです。
 大臣から先ほど答弁ありましたけれども、私は、この機会にやはり原子力安全委員会と科学技術庁の監視体制、監視体制といったって現場へ行って監視しなさいと言っている意味ではないのです。こういう問題が起こったときにチェックをする、その監視や指導の甘さというものが出ているのではないか。それが今回軽く見過ごされてしまう問題につながったのではないかと思うのですが、この点についての御見解を改めて伺っておきたいと思います。
#99
○笹谷政府委員 先ほど来申し上げておりますように、安全委員会としては、本件を決して軽視しているわけではございません。美浜二号機の経験の際、先生御指摘のございました点も含めまして、その経験を今後の運転に反映するというようなことで非常に適切な対応をとったわけでございますので、その経験がこれからの安全運転にとって非常に大事なことだと思っておりますし、そういうものが現実に行われていかなければならないという観点からのチェックというものも十分やっていく必要がありますし、また、事務局としてもそういう考え方で徹底してやってまいります。
#100
○吉井委員 美浜の事故の経験が十分生かされてこなかったというのが私の率直な感想です。それが今回のこういうふうな対応になっていると思うわけです。ですから、これは本当に厳しい対応というものを真剣に考えていただきたいと思います。
 最後に、時間がもう三分ほどになってまいりましたので、一言伺っておきたいのは、昨日、毎日新聞に日本原子力発電、日本原電の推定として「阪神大震災級で原発五十一基中四十八基が耐震設計超す揺れ」であった、こういうふうなのが報道されておりました。
 実は、日本原子力発電株式会社は、あの大地震の後、地域の人たちに配ったビラの中で見てみますと、「今回の阪神大震災での岩盤の揺れは三百〜四百ガル程度と思われます。敦賀発電所では想定される最大の地震動を岩盤で水平五百三十二ガル、上下で二百六十六ガル」としておりますので、だから四百ガルを超えているから大丈夫だ。これは日本原電の地域の人たちにしている説明なんですね。
 しかし、五百三十二ガルというのは原電敦賀の二号機の値なんですね。原電敦賀の一号機の方は三百六十八ガルというのであって、仮に原電が出している四百ガルであったと見込まれるということになりますと、実は原電自身が、自分のところの耐震設計基準は神戸の岩盤で見込まれるものよりも基準が甘かったと自分で認めているという結果になるわけです。
 そこで私は、そういうものであれば、日本原電に対して、まず、みずからの原発の設計基準について根本的な見直しをしなさいというふうに指導するのが普通じゃないかと思うのですが、これについての対応を伺っておきたいと思います。
#101
○笹谷政府委員 先ほども申し上げましたが、今回の阪神大震災にかんがみまして、原子力安全委員会で耐震検討会を設置いたしまして、現在、鋭意検討のための現状把握、データの分析等を進めているわけでございます。
 先ほど来お話ししておりますように、その中において従来の知見とは異なるものが生じ、そういうものによって耐震設計について検討が必要ということになれば、徹底してやることにしております。その際、敦賀の一号炉も含めまして検討するということでございますので、安全委員会での対応にひとつ期待していただきたい、かように考えております。
#102
○吉井委員 時間が参りましたから、一言だけ伺って終わります。
 今、検討会が一月十九日に設置されたことも伺っておりますが、その検討会で専門家の結論が出るまでの間に、専門家は検討中なのに、あなたの方で日本の原発の耐震設計は問題ないとか、大丈夫ですとか、安全は確認されているというふうなことを言ってしまいますと、これはとんでもないことにもなりますので、そういうことはおっしゃらないでしょうねということだけ確認質問をして、終わりたいと思います。
#103
○笹谷政府委員 現在の原子力発電所の耐震設計につきまして、その指針の考え方について十分説明させていただいているわけでございます。その考え方で設計すれば、それに基づく事実により生じます地震に対しては十分耐えるものです、こういう説明をいたしております。ただ、安全には万全を期すということで、原子力安全委員会で検討をさせていただいております、こういう説明をさせていただいております。
#104
○吉井委員 終わります。
#105
○野呂委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#106
○野呂委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#107
○野呂委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#108
○野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#109
○野呂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後零時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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