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1995/03/10 第132回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第132回国会 労働委員会 第7号
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1995/03/10 第132回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第132回国会 労働委員会 第7号

#1
第132回国会 労働委員会 第7号
平成七年三月十日(金曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 笹山 登生君
   理事 赤城 徳彦君 理事 大野 功統君
   理事 長勢 甚遠君 理事 河上 覃雄君
   理事 北橋 健治君 理事 柳田  稔君
   理事 岩田 順介君 理事 佐藤謙一郎君
      加藤 卓二君    粕谷  茂君
      木部 佳昭君   田野瀬良太郎君
      中谷  元君    藤尾 正行君
      持永 和見君    上田 晃弘君
      川島  實君    斉藤 鉄夫君
      初村謙一郎君    鳩山 邦夫君
      松岡滿壽男君    池田 隆一君
      永井 孝信君    寺前  巖君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 浜本 万三君
 出席政府委員
        労働大臣官房長 伊藤 庄平君
        労働省労政局長 七瀬 時雄君
        労働省職業安定
        局長      征矢 紀臣君
 委員外の出席者
        労働省労政局勤
        労者福祉部長  山中 秀樹君
        労働省労政局勤
        労者福祉部福祉
        課長      金子 順一君
        労働委員会調査
        室長      松原 重順君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十日
 辞任         補欠選任
  佐藤 孝行君    田野瀬良太郎君
  二田 孝治君     中谷  元君
  東  祥三君     斉藤 鉄夫君
  桝屋 敬悟君     上田 晃弘君
  山口 敏夫君     川島  實君
同日
 辞任         補欠選任
 田野瀬良太郎君     佐藤 孝行君
  中谷  元君     二田 孝治君
  上田 晃弘君     桝屋 敬悟君
  川島  實君     山口 敏夫君
  斉藤 鉄夫君     東  祥三君
    ―――――――――――――
二月二十八日
 障害者の雇用率引き上げ、雇用完全実施、職域
 拡大および指導の強化に関する請願(海部俊樹
 君紹介)(第二九号)
 同(前田武志君紹介)(第七九号)
 同(保利耕輔君紹介)(第一四一号)
 同(宮里松正君紹介)(第一四二号)
 同(森田一君紹介)(第一四三号)
 同(山崎泉君紹介)(第一四四号)
 労災ナーシングホームの増設と入居基準に関す
 る請願(海部俊樹君紹介)(第三〇号)
 同(前田武志君紹介)(第八〇号)
 同(保利耕輔君紹介)(第一四五号)
 同(宮里松正君紹介)(第一四六号)
 同(森田一君紹介)(第一四七号)
 同(山崎泉君紹介)(第一四八号)
 労災年金受給者遺族年金の受給要件の改善に関
 する請願(海部俊樹君紹介)(第三一号)
 同(前田武志君紹介)(第八一号)
 同(保利耕輔君紹介)(第一四九号)
 同(宮里松正君紹介)(第一五〇号)
 同(森田一君紹介)(第一五一号)
 同(山崎泉君紹介)(第一五二号)
 労災病院の全府県設置に関する請願(海部俊樹
 君紹介)(第三二号)
 同(前田武志君紹介)(第八二号)
 同(保利耕輔君紹介)(第一五三号)
 同(宮里松正君紹介)(第一五四号)
 同(森田一君紹介)(第一五五号)
 同(山崎泉君紹介)(第一五六号)
 介護休業制度の法制化等に関する請願(沢藤礼
 次郎君紹介)(第一四〇号)
 同(横光克彦君紹介)(第一六六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案
 (内湯提出第二九号)
     ――――◇―――――
#2
○笹山委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上重雄君。
#3
○河上委員 この法律に入る前に一点だけ、急激な円高の雇用に対する影響ということで御質問をいたしたいと思います。
 三月に入りまして、急激な円高で、一時は八十八円台をつけたわけでございます。仮に現在の円高水準が定着すれば、最悪期を脱したと言われております雇用情勢が再び悪化するような事態になりかねない、そして雇用調整も起こりかねないという指摘もあるわけでございまして、急激な円高に対する対策、これは不可欠でありますけれども、労働省としては、今回の円高に対しまして、雇用に与える影響というものをどのように分析をなさっているか。
 この点とあわせまして、日本経済の今後の課題として、構造改革やマクロ政策を打ち出さなくてはならない必要性等もだんだん大きく叫ばれているわけでございますが、このような産業構造の転換期を迎えまして、将来の雇用に対する中長期的な政策はどうあるべきか、どうお考えになっていらっしゃるか、この二点、あわせまして冒頭質問をいたします。
#4
○征矢政府委員 ただいまの先生の御指摘でございますが、ここ数日間、急激な円高ということで九十円を割ったというような事態も起こったわけでございます。
 円高問題につきましては、今回の不況期、特に昨年六月ぐらいに一ドル百円を割り込んで非常に大きな騒ぎになりまして、これがどういう影響があるかというようなことでございまして、その当時、私どもも公共職業安定所を通じてヒアリング調査等をやったわけでございますが、そのときの一番の心配が、現状では何とか持ちこたえることは可能ですけれども、それ以上に円高が急激に進むと非常に先行きが心配であるというような調査結果であったと記憶いたしております。それが現実になったわけでございまして、大変心配をいたしているところでございます。
 ただ、一点違いましたのは、昨年時期におきましては、御承知のように、不況期からなかなか景気の回復に至らない時期だったわけでございますが、現時点では、これは緩やかでございますけれども景気は着実に回復している。来年度の政府の経済見通しでいきますと、成長率二・八%ということを想定しているわけでございますが、先生御指摘のように、この急激な円高あるいはこれがさらに進行しますと、景気に相当水を差すのではないかという心配がございまして、それが雇用に非常に悪影響を及ぼすのではないか、こういう心配があるわけでございます。
 本日の新聞等で拝見しますと、一ドル九十円が今後一年間ずっと九十円というようなことでいきますと、これが経済成長率を〇・五%ダウンさせる、そういうような記事も載っておりますが、ただ一方で、阪神・淡路大震災、これは非常に被災者の方に大変な事態でお気の毒であるわけでございますが、これの災害復興、これは一日も早く復興しなければならない、そういう面についてのこれは経済的な面から見ますと、これも言われておりますように、これが成長率に〇・五%以上あるいは一%近いプラスの影響になってくるというようなことも言われているわけでございます。
 そういうことを総合判断して、そういう中で雇用にどの程度の影響があるかということについては、今後、事態の推移をよく見なければならないわけでございますが、いずれにいたしましても、雇用に対する悪影響を及ぼす非常に大きな要因でございまして、私ども大変心配しているところでございます。
 いずれにしましても、この点について大臣も大変心配されておりまして、大臣からの指示がございまして、こうした円高が雇用にどのような影響を及ぼすのかについて、公共職業安定機関を通じて早急に実態を把握するようにということでございまして、そういう検討を現在いたしております。そういうことで、現地に指示をしたいと考えておるところであります。そういうことで、実態の把握をしながら、さらに機動的な政策対応に努めてまいりたいと考えております。
 今回の不況期、現在、雇用支援トータルプログラムはそういうことも踏まえて実施しているわけでございますが、これが三月末までということでございますが、これについて来年度とうするかというようなことも重要検討課題でございますし、あるいは今国会で御審議をいただきました特定不況業種労働者雇用安定法につきましても、こういう事態等に対応するための一つの対策として、できるだけ失業のない形で労働移動ができるような枠組みをつくっていこうというようなことで御審議をいただいているところでございます。
 あわせまして、中長期的に今後どうなるかという点につきましては、これはなかなか難しい問題でございますが、非常に大きな構造問題、産業構造の変化等が予測される、あるいは労働力の面でいきますと、少子化、高齢化というようなことで二十一世紀に向けて非常に大きな構造要因があるというようなことでございまして、そういうことで、政府としましては、総理大臣から経済審議会に、現在の経済計画はなかなか実態に合わなくなっているというようなことから、新しい経済計画についての検討をしていただくということで諮問が行われております。
 これとあわせまして、私どもも、第七次の雇用対策基本計画が実情に合わなくなっているということから、新しい雇用対策基本計画の検討を雇用審議会にお願いしているところでございまして、そういう中で今後の中長期的な雇用対策についていろいろ検討してまいりたいというふうに考えております。
#5
○河上委員 よろしくお願いいたします。
 それでは、本法についての質問に移りますが、主に予定運用利回りと加入促進の二点について考え方を確認して、御質問したいと思います。
 まず、今回の改正の主要なポイントは給付テーブルの改定でございまして、すなわち、基本退職金の予定利回りを五・五%から四・五%に変更する、この点にあると思います。今後、金融商品の利回りは上昇傾向になると考えられますし、収支も改善するのではないかな。そうした意味で、今回の改定は、今後の金利の動向をどう認識した上で、基本退職金の予定運用利回りを四・五%としたのか、その根拠についてまずお述べいただきたいと思います。
#6
○山中説明員 金利の水準についてでございますが、金利水準は、経済成長率なり物価動向あるいは為替相場等を反映しているものと考えられますが、今後のこれらの諸要素の変化を推測し金利水準を的確に見通すことは、率直に申し上げて非常に難しい問題ではないかと思っております。ただ、金利は長期的なトレンドとしては低下傾向にあることは事実でありまして、かつてのような水準が続くとは期待できない状況にあるというふうに認識いたしております。
 また、基本退職金の予定運用利回りを四・五%とした理由といたしましては、第一に、現在金利は依然として低水準にありますし、今後もその動向は不透明な中で、予定運用利回りは長期的に財政の安定が維持できる水準に設定すべきではないかという点、第二番目は、引き続き加入促進を積極的に進めることが必要であるということから、他の類似の制度の利回りを踏まえて、制度の魅力の維持にも配慮すべきであるという点、第三点目といたしましては、資産運用について、金融情勢の変化に的確に対応して一層の効率化を行うことを前提といたしまして、予定運用利回りの水準を設定すべきであるという、以上三点を、主としてこういう事情を勘案いたしまして四・五%というふうに設定したところでございます。
 なお、今回の制度改正につきまして、中小企業退職金共済審議会の建議におきましても、基本退職金の予定運用利回りについては、制度の財政的な安定の維持を図るため、五・五%の現行利回りを引き下げるとともに、新たな予定運用利回りは、制度の魅力維持という点にも配慮いたしまして四・五%とすることが適当であるという指摘がなされているところでございます。
#7
○河上委員 金融の情勢が厳しいといたしましても、現在、一つにはバブル崩壊後の累積でも黒字を保っておりまして、平成五年度に若干赤字を計上したところにすぎない。それから二つ目、現在責任準備金が二兆五千億円もあるわけでありますので、こうした二つの視点から、運用資産の編成を変えたり安定的な利回りの商品を新たに導入する、こうして資産運用を効率的に行っていけば、予定運用利回りを何も一ポイント下げる必要がないのではないのか、こう考えるわけですけれども、どうでしょう。
#8
○七瀬政府委員 御指摘のとおり、平成五年度末で四百万円の赤字ということでございますが、ただ、これは累積でございまして、単年度では約二百五十億円の損失を計上しておりまして、現在の金利情勢を考えますと、六年度以降残念ながら赤字額は拡大していくものと予測いたしております。
 こうした中で、今後の運用につきましては、国債や社債を取得するなど選択の幅を広げた上で、その時々の金融情勢に応じて機動的に対応し、その一層の効率化を図っていく必要があるということは御指摘のとおりだろうと思います。
 ただ、依然として金利につきましては低水準が続いておりますし、今後の金融情勢も不透明でございます。したがいまして、今後の運用につきましては一層の効率化を図ることといたしましても、現行の五・五%の確保は困難であるということでございます。
 なお、御指摘のございましたように二兆五千億円の責任準備金がございますけれども、これは性格として剰余金ということではなくて将来の支払いのための準備金ということでございますので、これの額があるということで安心できないという事情があることにつきましては御理解をいただきたいというふうに思います。
#9
○河上委員 もう一点、平成二年に改正をいたしました際は、施行日以降の新規加入者から新たな予定運用利回りを適用したのに対しまして、すなわち、既に加入している人はもとの率で、新たに加入した人は新しい率でと二段階になっておったわけですが、今回の改正は既加入者も含めて全部一括して同じ率に設定する、こういう形になっているのですが、この理由は何でしょう。
#10
○七瀬政府委員 平成二年の改正のときにおきましては、金利の変動に対応できる退職金制度を構築するという観点から、新たに付加退職金制度を導入したものでございます。この場合に、既に加入している方々につきましては、当時の金融情勢から判断いたしまして、そういった既加入者に予定していた利回りを確保できるという見通しのもとで、新たな利回りの適用を行わなかったわけでございます。
 ただ、金融情勢は現在、平成二年当時と大きく変化しておりまして、金利は長期的なトレンドとして低下傾向にあることも事実でございまして、かつてのような水準に戻っていくということは期待できないというふうに考えております。こういう状況でございますので、将来に向かってということをきちんとした上で、既加入者の方々につきましてもいわばこの金利の低下水準に伴う痛みを分かち合っていただいて、制度の安定的な運営の確保を期待する、こういう趣旨で今回のような既加入者に対する適用になったわけでございます。
#11
○河上委員 現在この中退制度の被共済者は最低掛金月額付近に集中をしているわけでございまして、その意味から今回の最低掛金月額の引き上げということは退職金金額の向上につながることとは考えられますが、反対に加入企業の実態を考えますと、これは小零細企業に集中しているわけでありまして、最低掛金月額の引き上げ、つまり千円増になるわけでございますが、加入促進に影響は出ないのか、企業側の加入促進という観点に影響が出るのか出ないのか、これはどう分析なさっておりますか。
#12
○七瀬政府委員 ただいま御指摘のありました先生の御懸念は、私どもも率直に申しまして非常に心配しているところでございます。特に、御指摘のように、現在中小企業を取り巻く情勢は大変厳しいものがございまして、月額の引き上げは小零細企業の方々の負担を重くするということで非常に心配しているところでございます。ただ、最低掛金月額につきましては、これまでも五年ごとに見直しをしてきておりまして、その間の賃金の上昇などを勘案して引き上げてまいったわけでございまして、退職金水準の改善という視点も重要である、そういうことについては御理解をいただいているとおりでございます。
 したがいまして、確かに掛金を引き上げるということは負担がふえるということで加入促進に影響が出るということは懸念されるわけでございますが、そういうことが起こらないようにこれまで以上に加入促進を図っていかなければならないし、特に事業主の方々に対してよく御理解いただきながら事を進めていく必要があると思っております。また中小企業退職金事業団におきましても、加入促進に対する体制を整備する、あるいは加入目標を設定して計画的にやっていくというような、いわば十分御理解をいただきながら進めていく、その体制を整備するという形で努力をしてまいりたいと考えております。
#13
○河上委員 痛ましい惨事となりました阪神。淡路大震災、この際に、一部この中退制度が新聞報道で大きく取り上げられたことがありました。ある意味では中退制度が広く周知されたということにもつながっている側面もあるわけでございますが、予定運用利回りの引き下げという点も、考えてみますとすべてこの加入促進策が具体的にきっちりと余り進んでいないのではないのか。むしろ大切なのは、この加入促進をしっかり進めることがこの中退制度の重要な根拠になるのではないかと私は考えるわけでございますが、その意味でこの加入促進策をどうか積極的に進める、その具体的な政策を明確に打ち出していただきたい。
 その一つとして、現在百万人になんなんとするパート労働者の加入促進策もある意味で柱になるのではないのかと考えるわけでありますが、現段階でこの中退制度へのパートタイム労働者の加入状況はどうなっていますでしょうか。
#14
○山中説明員 中退制度におきましてパートタイム労働者の加入状況につきましては、これは前回の改正、平成二年に制度改正を行いまして、パートタイム労働者に対する掛金月額の特例を設けております。最低額は四千円でございますが、パートタイム労働者については二千円なり三千円でも加入できる、こういう特例を設けました。
 これ以降の数字でございますが、平成三年度から五年度までの三年間で合わせまして一万四千七百三十四人のパートタイム労働者が加入したところでございます。在籍者の現在の数は、平成六年三月末現在では一万一千九百七十六人が在籍しております。
 平成二年度以前のものについては統計がございませんので、詳細は不明でありますことをお許し。いただきたいというふうに思います。
#15
○河上委員 今の数字で実態を示していただいたわけでございますが、在籍は一万人ちょっとと極めて微少でございます。
 そこで、雇用保険制度では平成六年四月、先般の大臣告示で示したわけですが、短時間労働被保険者の範囲が従来の二十二時間から三十三時間を、二十時間から三十時間に改めたわけでございます。しかし、この中退法では包括加入の対象とならない短時間労働者の範囲は、いまだ三十三時間と設定されているわけでございますが、この際、パート労働者の加入促進のために、過所定労働時間三十二時間未満から三十時間未満にまずは見直すべきではないのか、こう考えますが、これに対する労働省の見解をお願いしたい。
#16
○七瀬政府委員 短時間労働者の範囲につきましては、現在、御指摘のとおり、過所定労働時間三十三時間未満といたしておりますが、これは週四十四時間労働制を前提といたしまして労働大臣告示で定めているものでございます。
 この点につきましては、まさに御指摘のように、週四十時間労働制の実施等を踏まえまして、短時間労働者の範囲を三十三時間未満から週三十時間未満とする、そういった見直しが必要であるというふうに私どもも考えているところでございます。
#17
○河上委員 現在の加入促進策はまだまだ十分なものとは言えないと思いますし、いろいろと新規の加入促進策も五本程度お考えのようでございますけれども、ひとつ今後、さらに加入促進策については前向きに積極的にお取り組みいただきたい。そして、パートタイム労働者を含めましてこの加入促進策の一層の強化が必要であると認識いたしておりますので、将来においては三十時間未満の労働者についても検討をすべきでないか、私はこう考えますが、ぜひ大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
#18
○浜本国務大臣 お答えいたします。先ほどから議員の御質問のように、中小企業の中でも、とりわけ小企業と零細企業の労働者の退職金制度の普及がまだ非常に進んでいないようでございます。したがいまして、本制度への零細企業及び中小企業の皆さんの加入促進を図ることが非常に大切だというふうに思っております。したがって、これまで以上に努力をしていかなければならないと思っております。先般の中小企業退職金共済審議会の建議の中にもそのことが明記されておりますので、私どもは、御指摘いただきましたように、今後パートタイムの皆さんを含めまして加入をしていただくように積極的に努力をしてまいりたいと思っております。
 私、個人的にも事務当局の方には申しておるのですが、加入促進をこれから積極的にしていくためには、やはりこの退職金制度の中で福祉の仕事も少ししなければいかないのじゃないか、福祉をこれだけ行いますからこの制度に加入してくださいというように、並行してこの対策を講じなければだめではないかということを申しておりまして、検討も要求しておるようなわけでございます。
 いずれにいたしましても、加入促進につきましては、事業団の体制も整備しながら積極的に努力してまいりたいと思っております。
#19
○河上委員 大臣の前向きの御発言がございました。ぜひともお取り組みをよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 ちょっと時間を余しておりますが、私の質問はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
#20
○笹山委員長 池田隆一君。
#21
○池田(隆)委員 それでは、今のに関連する部分、重複する部分もあるかと思いますけれども、御質問させていただきたいというふうに思います。
 この中退金制度そのものは、基本的には、今大臣も決意の中でお話がありましたけれども、中小零細企業の労働者の福祉増進という観点でこれが制定をされているというふうに理解をしております。昭和三十四年に制定をされて以来、この間七回ほど改正が行われているわけですけれども、今回は八回目ということだというふうに思います。
 過去の改正は、その時代の社会経済情勢の動向に応じて、例えば昭和五十五年の改正では、中小企業基本法の改正にあわせて中小企業の適用範囲を拡大する、また過去勤務期間通算制度を導入する、また、昭和六十一年には掛金助成制度を導入する、そして平成二年の改正では、パート労働者に対する掛金の設定、退職金の分割支給制度の導入など、掛金の引き上げ、運用利回りの改正などとともに、前段お話ししましたように、基本的に中小零細企業に働く者の退職金の改善という形で取り組んできていたのではないかなというふうに理解をしているところでございます。
 今回の改正案の主なるものとしては、低金利時代を迎えて運用利回りを四・五%に改正するというのが大きな柱だというふうに思っています。本格的な高齢化社会を迎える中で、退職後の生活を支える退職金制度の役割はますます高くなってきているだろうとも思います。しかし、依然として退職金については大企業と中小零細の格差が高くなっている、こういう現状も片一方にあるだろうと思います。こういう実態の中で、この中退金制度を充実していくというのは極めて重要なことだろうというふうに思います。
 そこで、まず基本的に、このような状況の中で今回八回目の改正が行われるわけですが、中退金制度の充実という視点から考えて、今回の改正では、どのような基本的な考えから改正が行われたのか、そのことをお尋ねしたいと思います。
#22
○七瀬政府委員 御指摘のとおり、本格的な高齢社会を迎えまして、老後生活を支える一つの手段としての退職金制度の果たすべき役割は非常に大きい。ただ一方で、中小企業、特に小零細企業においては、退職一時金すら十分とは言えない、そういう状況にあり、また、普及の状況やその水準が大企業に比べて十分ではないという実態にあるということを基本的に認識いたしております。
 他方、現在金利は依然として低水準にございまして、今後もその動向が不透明な中で、一定の運用利回りが確保されることを前提としてつくり上げられております中小企業退職金共済制度につきまして、将来に向かって制度の財政的な安定を維持していくということが大きな課題となっております。
 こういった基本認識あるいは課題を踏まえまして、今回の改正は、財政的な安定を維持しながら制度の充実による加入促進を図ることを基本として行うものでございまして、予定運用利回りの改定にあわせまして掛金月額の引き上げ、それから分割支給制度、企業間通算制度の改善など、同時に制度の充実を図ることといたしておりまして、そういった基本的な考え方で対応をしているところでございます。
#23
○池田(隆)委員 先ほども質問の中でありましたけれども、今回の改正の大きなことは、やはり金利の情勢によって、中退金制度の財政的な安定の維持を図るという目的で予定運用利回りを新たに四・五%に改定されるということだと思うのですけれども、これを四・五%にするという理由ですね。
 先ほども質問がありましたけれども、昨今、最近では極めて円高の情勢になってきて、日銀またはきのうの高村経済企画庁長官の御発言も、利下げというものを検討していかなきゃならぬじゃないかというような一方の状況もあります。そういう中で、この四・五%というのが本当にいいのかというような疑問も出てくるわけですけれども、四・五%に設定した理由を改めてお尋ねをしたいと思います。
#24
○山中説明員 今回の改正の最大の課題でありますのは、先生の御指摘のとおり、基本退職金の運用利回りを四・五%としたところでございますが、この根拠といたしましては、主として次の三点を総合的に勘案したものでございます。
 第一点目は、現在、御承知のとおり、金利は低水準にあります。それで、しかも、その今後のどう動いていくかというのは非常に不透明な中にあります。その中で、この予定運用利回りは長期的に財政の安定が維持できるという水準に設定すべきではないかというのが第一点であります。
 第二点目は、加入促進ということが非常に大切であるのは申すまでもございません。そういう意味からいって、他の類似の制度の利回りを見まして、中退制度が魅力のある制度ということで維持できるように配慮すべきであるということが第二点目。
 第三点目は、資産運用についてでございますが、金融情勢の変化に対応した一層の効率化を行うということを前提といたしまして、予定運用利回りの水準を設定すべきであるという、主としてこの三点を総合勘案いたしまして四・五%とさせていただいたところでございます。
 またなお、中小企業退職金共済審議会の建議におきましても、「基本退職金の予定運用利回りについては、制度の財政的な安定の維持を図るため、五・五%の現行利回りを引き下げるとともに、新たな予定運用利回りはこ「制度の魅力維持という点にも配慮して、四・五%とすることが適当である。」という御指摘をいただいているところでございます。
#25
○池田(隆)委員 基本的にこれを設定するときと現在の金融情勢もまた異なってくるという不安要素がある中で、現状、そういう低金利時代の中で四・五%という設定をしたということについて一定の理解ができると思います。
 しかし、退職金を受け取る労働者側にすれば、この利回りが減るということによって結果的に退職金が減額をしていくという形が生じるのではないかという不安も一方にはあります。そこで、事業主が同じ掛金を掛けていけばそういう結果になってくるわけですから、掛金を増額をしていくということが極めて重要になってくるだろうというふうに思います。
 それで、労働者にとって実質的な退職金の水準の維持または増額を図っていくという観点からは、当然その事業主の掛金を引き上げることが第一義的に強く求められてくるだろうと思いますので、その辺の取り組みを労働省としてどのように考えておられるのか、現状で、あればお示ししていただきたいと思います。
#26
○七瀬政府委員 予定運用利回りを引き下げることにつきましては、既に加入している方々につきましては、同じ掛金月額を前提とすれば退職金水準の低下につながることとなるわけでございます。したがいまして、退職金水準をできるだけ維持するためには、御指摘のとおり、事業主の方々の自主的な掛金月額の引き上げが重要であるというふうに認識いたしております。
 このため、事業主の方々の自主的な掛金月額の引き上げを支援するために、掛金月額引き上げに伴う経済的負担を軽減するように掛金助成を充実強化するための特例措置を設けまして、既に加入している方々を対象といたしまして、原則として、通常では増額分の三分の一としておりました助成を増額分の二分の一という形にアップいたしまして、一年間助成することといたしております。
 労働省といたしましては、この特例措置が事業主の方々に十分御理解いただいて活用されまして、掛金月額の引き上げにつながり、退職金水準の維持向上に資することになるように一生懸命やってまいりたいというふうに考えております。
#27
○池田(隆)委員 そういう新しい制度も導入されたということも理解しているわけですけれども、やはり事業主に十分理解をしていただくということが基本的だろうというふうに思いますので、取り組み方を強化していただきたいというふうに御要望申し上げます。
 そこで、今回の改正では、予定運用利回り、これを適用するのが、既に加入している人もこういうふうに変更していくということです。事業主や労働者にとってもそういうことで混乱が生じるのではないかということが当然予想されます。そのような混乱を回避するためには、やはり今回の制度の改正の内容をいかにきちんと周知徹底していくか、そして、今御指摘されました新たな導入された制度の啓蒙も含めましてやっていくということが必要だろうというふうに思っています。それで、現段階でこの制度改正の周知のための具体策があればまずお示しをしていただきたいと思います。
 二点目としまして、先ほどの質問にもありましたけれども、この予定運用利回りの改定がこの中退制度の加入促進に悪影響を及ぼすのではないか。特に昨今の円高の中で、中小零細の企業、特に輸出企業を中心としているところではますます経営悪化をするというような形の中からいえば、こういう制度についての加入についても渋っていくという部分も考えられるのではないかというふうに思いますので、現状での中退制度の加入が伸び悩んでいるという状況もありますので、加入促進策もあわせてお答えしていただければと思います。
#28
○山中説明員 先生御指摘のとおり、今回の改正に当たりまして非常に混乱が生ずるのではないかという点について、私ども十分そういうことを認識しておりまして、既に制度に加入している事業主の方々なりあるいは従業員の方々に混乱が生じないよう、この改正の内容について周知を十分に図っていきたいというふうに基本的に考えております。
 具体的に申し上げますと、この中退金制度を実際運営いたしておりますのが中小企業退職金共済事業団でございます。そこと私ども労働省と一体となって新聞なりあるいはテレビ等々のマスコミを利用した広報を行うことはもとよりでございますが、中退事業団におきましては、加入事業主の方々あるいは従業員の方々に対しても事業主を通じて、制度改正に係る説明資料を作成いたしましてそういう加入事業主の方々に届くようにしたいと思いますし、あるいは事業主団体の方々あるいは金融機関等につきましても、各都道府県ごとなりあるいはブロックごとに法改正の説明会を実施することといたしております。
 さらには、関係行政機関、私ども労働省にも職業安定所なり労働基準監督署がございますので、そういう機関等々を利用いたしまして、あらゆる機会をとらえまして法改正の趣旨なり内容なりを説明していただくような措置も講じたいというふうに思っております。
 二番目の、加入促進対策については、当然重要なことであるというふうに認識いたしておりますが、そのための具体的な対策をどう強化するかということでございます。今回、予定運用利回りは他の制度と遜色のないように設定したものというふうに私ども考えておりますが、これまで以上に加入促進対策を講ずる必要があるというふうに私ども強く認識しておりまして、中小企業退職金共済事業団におきまして、加入促進についての体制の整備を図りたいと思っております。
 具体的には、加入目標を設定いたしまして、これは具体的に、例えばことし、来年なり、一年間に三万なり四万なりの事業所の新規加入をするよう計画を立てまして、それに向けて事業団自身が努力いたしますとともに、特に組織化されてない小零細企業に対して積極的に加入促進を図っていきたいと思っております。例えば、私ども現在、市町村単位で中小企業の方々と共同で中小企業勤労者福祉サービスセンターの設置を促進いたしておりますが、そことの情報交換をしながら、あるいはお互いにこの加入促進が図られるような事業を実施いたしまして、加入促進が図られるよういろいろな形での対策を強化いたしていきたいというふうに思っております。
#29
○池田(隆)委員 よろしくお願いしたいと思います。
 次に、これは四・五%の適用は平成八年度から施行されるということです。中退事業団の収支は、先ほどもありましたけれども、既に平成五年度決算の累積ベースで赤字になっている。この赤字を解消するためにこういう運用利回りも設定するということで、当然改善に向かっていけるだろうという期待もあるわけです。当然、四・五%を上回った部分の運用益の利用の仕方ですけれども、当面は赤字対策という形に使われると思います。しかし、中退金制度を充実するという観点からいえば、付加退職金として支給していくという方途もあるだろうと思います。このことも極めて重要なことなので、当然そういう配分も考えていくべきだと思いますけれども、その運用益の配分の仕方についてお尋ねをしたいと思います。
#30
○七瀬政府委員 予定運用利回りの改定が施行されます平成八年四月時点で一定額の累積赤字の生ずることが予測されるわけでございますが、八年度以降における付加退職金がどうなるかということについての御懸念の御質問であろうかと思います。
 この点につきましては、制度の財政的な安定という今回の制度改正の趣旨に照らして考えてみますと、この赤字額を拡大させないことが不可欠であると考えております。したがって、予定運用利回りを上回った部分から生じます運用益につきましては、まずこの赤字額を拡大はさせない、そういうための財源に充てて収支の安定を図ることが必要であるというふうに考えております。
 一方で、今回の改正では、既に加入している方々を含めまして予定運用利回りを改定することといたしておりまして、この予定運用利回りの改定に伴う影響を緩和する必要があるということはまさに御指摘のとおりでございますので、付加退職金の配分につきましては、こうした観点につきましても十分な配慮が必要であるというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、付加退職金の支給率は、中小企業退職金共済審議会の意見をお聞きいたしまして労働大臣が決定することとされておりますので、平成八年度以降の支給率の決定に当たっては、労働省といたしましては、以上申し上げたような考え方を念頭に置きながら、審議会で十分御議論をいただき、適切に対応してまいりたいと考えております。
#31
○池田(隆)委員 よろしくお願いしたいと思います。
 それで、当然、その運用益を生み出していくという観点でいえば、その中退事業団の資産運用というものが極めて大事になってくるだろう。基本的には、安全性を確保しつつ、いかに効率的にやっていくのかということだろうと思います。そこで、今後の資産運用の基本的な考え方についてどうなっているのか、お尋ねしたいと思います。
#32
○七瀬政府委員 中小企業退職金共済事業団が保有しております資産は、被共済者つまり労働者の方々の退職金の支払い原資でございます。したがいまして、その運用につきましては、まずは安全、そして効率的に行うこと、これが基本でございますが、これにあわせまして、中小企業者の方々に対する還元という考え方にも留意いたしましてこれまで行ってきているところでございます。
 ただ、平成五年度に、制度が始まって以来初めて累積赤字を計上いたしまして、今回その関係で予定運用利回りの引き下げということをお願いする状況になっておりますので、御指摘がございましたように、これまで以上に効率的な運用を図っていくことが求められているし、そういった努力をしなければならないと思っております。
 このため、今後の資産運用につきましては、事業団における運用体制の整備を図るとともに、金融情勢の変化に的確に対応できるように新たに国債や社債を取得することを初めといたしまして、運用手段の拡充それから債券引き受けなどの弾力化を図りまして、その一層の効率化を検討してまいりたいと考えております。
#33
○池田(隆)委員 それでは次に、今回の改正の前提に立っている本年一月十一日の中小企業退職金共済審議会の建議に触れて、二点ほど質問をさせていただきたいと思います。
 一点目は、中退事業団の運営について、建議の中では「これまで以上に、共済契約者及び被共済者の意向が反映されるようにすべきである。」というふうに記載がなっています。そこで、現状、加入事業者及び労働者の意向はどのように反映されるようになっているのか、また今後、指摘がありますように、より意向が反映されるようにするための強化策をどのように考えておられるのか、この点をお尋ねしたいと思います。
#34
○七瀬政府委員 事業団の運営に関しましては、共済契約者及び被共済者の意向を反映させるために、事業団に昭和五十年八月から、関係労使を代表する方々から成る参与を、理事長の諮問に応じ、あるいは理事長に対して必要な意見を述べるというそういう役割として置いておるところでございます。
 加入促進対策の一層の充実あるいは資産運用の一層の効率化ということが大きな課題となっているわけでございますので、これまで以上に加入事業主や従業員の方々の意向を反映しながら事業団の運営を行っていくことが必要になってきていると思いますので、さらにこの参与制度の果たすべき役割は大きくなってきているだろうという認識がございます。
 ただ、現在の参与制度が必ずしも十分に機能しているとは言えないのじゃないかという御指摘がございますし、私どももこの点については反省しなければならないと思いまして、今後、中小企業退職金事業団が毎年度策定する事業計画、加入促進計画、それから資産の運用計画、そういった中身について、それをつくりますときに意見を聞く、それからそのお聞きしたものに基づいて出てきた実績を報告させて、それをさらに次の年の計画に反映させるというような具体的な改善点を洗い出しまして、この参与制度の機能の充実強化を図るようにしてまいりたいというふうに考えております。
#35
○池田(隆)委員 あわせて建議の中で、中小企業及び零細企業の労働福祉の増進ということが極めて重要だというふうに書いてございます。そこで、この労働者の福祉対策、厚生対策といいますか、福利厚生の部分についての対策をどのように考えておられるのか、簡潔にお答え願えればと思います。
#36
○七瀬政府委員 中退審議会の建議におきまして、「退職金制度を中心に、中小企業における労働福祉の改善というより広い視点から今後検討していく」べきことに加えまして、退職金共済制度自体に関連する個別の問題として、老後の所得保障手段としての制度の機能強化及び本制度を含めた退職金の制度相互間の通算について今後検討を進めるべきであるという、そういう御指摘をいただいているところでございます。
 こうした御指摘に対しましては、退職金制度に係る部分につきましては退職金共済審議会の場で御議論いただくこととなっておりますが、中小企業における労働福祉の改善という問題全体はこの審議会の所掌を超えるものでありますし、さらに、例えば退職金の制度間の相互通算ということになりますと、また専門的、技術的な検討を必要とするものも含まれているということでございますので、労働省といたしましては、労使の代表の方々にも御参加いただいた上で、新たな検討の場を設けまして、中小企業における労働福祉の充実ということについて今後鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。
#37
○池田(隆)委員 時間がなくなりまして、例の特殊法人の見直しの関係も聞きたいと思ったのですが、ちょっと時間がないのでこれは割愛させていただきますけれども、最後に大臣に決意をお聞きしたいと思います。
 この中小企業退職金制度は、中小及び零細企業で働く労働者の立場を考えれば、今回の改正を機に、中退金事業団そのものの意識改革を進めていくとともに、制度を今後さらに充実させ、加入促進を図るということが極めて重要だと思いますので、そのあたりの大臣の決意をお聞きして、終わりたいと思います。
#38
○浜本国務大臣 議員の考え方と全く同じでございますので、改めて私の決意を申し上げたいと思います。
 高齢化社会を迎えまして、退職金制度はこれまでにも増して重要なものであると考えております。この中で、中小企業に働く方々に退職金制度を普及させることを目的とする本制度の果たすべき役割は、今後とも非常に大きいものと考えます。
 今回の制度改正は、掛金月額の範囲等の引き上げ、それから分割支給制度や企業間通算制度の改善を行い、制度の充実を図ることとしておりますが、この改正を機に、これまで以上に加入促進を進めまして、退職金のない中小企業に本制度を普及させていくことが大変重要なことだと考えております。
 そのためには、議員の御説のように、中小企業退職金共済事業団が中心となりまして一層加入促進活動を展開いたしますとともに、より魅力ある制度となりますように福祉サービスの充実も図っていくことが大切であると思います。以上のことを念頭に置きながら、引き続き努力をさせていただきたいと思います。
#39
○池田(隆)委員 どうもありがとうございました。終わります。
#40
○笹山委員長 寺前巖君。
#41
○寺前委員 今も大臣が、本格的な高齢化社会を迎えて退職金制度が一層重要になってきているというお話をなさっていました。
 実態が、中小企業の労働者数、中退金に入っている労働者数、他の制度に加入している労働者数、退職金制度を受けていない労働者数、一体どういうことになっているのか、中退金制度ができて以来の今日を見たときに、発展をしているのかどうかということをまず事務当局から御説明をいただきたいと思います。
#42
○金子説明員 お答え申し上げます。
 中小企業の常用雇用者数は約三千二百万人程度と推計されております。このうち、何らかの退職金制度の適用も受けていない労働者の数につきましては、正確な数をつかむことはなかなか技術的に難しいわけでございますが、そういう意味で推測の域を出ないわけですが、試みに計算をしてみますと、およそ六百二十万人程度ではないかというように考えております。一方、この中退金制度の加入者数は、平成六年三月末時点で約二百八十万人という数字になっております。引き続き、加入促進の必要性が高いということを示しているというふうに理解をしております。
 また、どんな形で退職金制度が行われているかということでございますが、これは、平成五年に労働省の調査がございまして、三十人以上規模のところで調査したものでございますが、退職一時金制度のある企業のうち、中退金制度による企業の割合というのが約四〇%、特定退職金共済制度による企業が約一六%、社内積立制度による企業が約五一%となっております。なお、これは数字が足し合わせても一〇〇を超えてしまいますが、重複回答でございますので、そういうことで御理解いただきたいと思います。
#43
○寺前委員 いろいろ数字を挙げていただきました。想像するのに、六百万人からの人々は何らの措置もない、パートその他、いろいろ考えてみたらそれにとどまらないという事態も考えられると思うのです。
 そこで、私は、この中退金制度というのが一体どういう歴史的な発展をしているんだろうかと思って、事業団が出しておられるところの「あらまし」という、パンフレットというんですか、リーフレットというんですか、これをいただいてずっと見てみたのです。このパンフレットを見ると、例えば九一年四月のパンフレットを見ると、「退職金づくりは国の制度で」、こう表紙に書いてある。それから平成六年度版というものを見ると、「従業員の退職金は国の制度で」、こう表紙に書いてあるのですね。だから、これは全面的に、言うまでもないことですが、国が退職金制度を中小企業の労働者にするんですよ。だから、もう絶対的安心感をそこに入っている事業主に保障して、事業主を通じて今度はみんなに退職金がもらえるようになる。
 ところで、今日までを振り返ってみると、大きな改定がやられているのは一九八六年と一九九〇年に法の改正がなされている。八六年の改正を見ると、給付に対する国庫補助をやめて掛金に対する助成になる。それから九〇年の改定では、新規加入者に対して五・五%の運用利回りの基本退職金プラス付加退職金というものに変えてきた。
 このときの論議の議事録を読んでみますと、一番問題になってきているのは、九〇年の改定の際の国会審議では、運用利回りを五・五%にするのはそれまでの六・六%より見劣りをすることになるのではないかということが一番大きな問題になっていますよ。当時の労政局長は、六・六%の現行水準は「万般の策を講じまして、これを下回ることのないように必死に努力をしてまいりたい」、こういう発言をしております。大臣も大体似たようなことを言っている。
 要するに、中小企業の社長さんなりに、あなたのところの労働者がここへ入っておきましたら何年先にはこういう退職金を渡すことができるようになりますよと、ちゃんと何十年入っておったらどうなるという表がこの中に書いてあるのだから、そうか、国がそこまで保障してくれたものだったら入ろうかということで入っているわけでしょう。ところが、運用利回りが新規加入者に対しては五・五%と下がってくる。これは話が違うてくることになっていきよるな、入っておったって不安やなと思っておられたから、当時の担当者の間では、大臣は、万般の策を講じて六・六%の現行水準を維持するんだと胸を張って強調されたわけです。
 さて、それでは九〇年の改定から今日までの間に、六・六%を堅持するために果たしてどういう結果になっていたのか、その結果について報告をしてほしいと思います。
#44
○金子説明員 前回の制度改正以降、従前にも増しまして資産運用の効率化が必要だということで努力をしてきたところでございますが、しかしながら、御案内のとおりでございまして、平成二年以降、我が国の金利動向は全く当時には予測できなかったほどの歴史的な低水準に移行したという状況でございます。
 こういう中で、中退事業団の運用実績も徐々に低下をしてきておるということでございまして、付加退職金の支給実績というものを見てみますと、初めて付加退職金制度が動き出しました平成四年度は〇・〇二二〇九という数字でございます。これは若干御説明が必要かと思いますが、五・五%を上回りました部分につきまして、それぞれの加入者の退職金の持ち分千円当たりについて十三円の配当的な給付が行われたという意味でございます。同じく平成五年度は〇・〇〇一五ということでございます。平成六年度につきましては、事業団の運用利回りが残念ながら五・五%を割ったということで、ゼロとせざるを得なくなったという状況でございます。
#45
○寺前委員 だから、その結果は、六・六%を堅持するために万策を講ずるんだと言われた結果については一体どういうことになるのですか。そこが大事なんだ。どうなったのです。
#46
○七瀬政府委員 現在、金利は非常に低水準にございまして、今後もその動向が不透明な中で、事業団の収支も累積ベースで赤字となっており、今後、現行の予定運用利回りを上回る利回りを確保することはなかなか期待できない状況にございます。
 したがいまして、既加入者の方々につきましても将来に向かって予定運用利回りの引き下げを行わなければ退職金の支給に支障を生ずるような事態も招きかねず、制度としての存続自体が不可能となることも予想されますので、こういう厳しい状況の中で予定運用利回りの引き下げを行うこととしたわけでございます。
 前回の改正でも六・六%から五・五%という改定をせざるを得ない状況にあった。そういった中で、その影響をできるだけ緩和する努力をしなければならない。そのために付加退職金制度の活用を本当に頑張っていかなければならないという気持ちを述べたわけでございますが、金融情勢が、当時予測していた以上に金利の動向が厳しい形になっているという状況を御理解いただきたいと思います。
 また、これは制度論かもしれませんけれども、法律に規定しております退職金の額だとか掛金とかそういったものは、金利動向などに応じて検討するということが規定されているところでございますし、当然のことながら今回のように国会の御審議を経て、状況の変化でやむを得ざる対応をするためにこういった問題が提起されていることについて御理解いただきたいと思います。
#47
○寺前委員 長々と聞きましたけれども、要するに、利回り換算にすると一体どういうふうになったんだと聞いているんだ。
 そうすると、おたくの方の資料をもらったら、こう書いてある。平成四年度は利回り換算で六・六〇%。だからここまで努力は見えたわけだ。平成五年度になったら五・六%になってしまった、いきまへんでしたんやと。平成六年度になったら、付加退職金の支給率がゼロになって五・五〇%になりましたんやと。平成七年度のやつは、これからだから出ないのだろうけれども、これは恐らくゼロになるだろうから、そうすると利回りは五・五という水準になってしまう。万策を講ずると言うたけれども、そうならなかったんだと、もうちゃんときちっとそういうふうに数字で言ってもらったらそれで済む話や、これは。
 そこで、今度は、おまえさん、退職金を三十年したら渡してやるさかいなと言っておった事業主の方は、ちょっと話が変わってきたで、何ほお国のつくった制度かしらぬけれども、法律をばんと変えてこうしやはるさかいに、やれぬようになったなということを言わんならぬことになってしまう。掛金をするのは事業主ですからね。もらう方は親方からもらうと思っているのだから、これは話が違うようになってくる。事業主の方が権威丸つぶれになってくる。私の心配するのはそのことなんだ。
 そこで、中退金に入っておられる人の掛金の状況はどうかと調べてみたら、四千円の掛金、五千円の掛金、これが大体半分を占めているわけでしょう。要するに、中小企業の親方は大体この水準で掛けている。それじゃその五千円の人が掛けたら退職金は何ぼもらえるのかというやつが、この中に表がちゃんと書いてある。この表で見ると、単純にいきますよ、五千円だったら三十年掛けたらあんたは五百九十三万六千円渡しまっせ、こう書いてある。しかし、小さい字で「上表の額は、過去の実績に基づいて試算したものであり、将来の支給額をお約束するものではありません。」こう書いてある。だけれども、あんた五百九十三万やで、こうなるわけです。
 それから、大体中小企業の親方がこの話を府県で行くところはどこかといったら、生保の会社へ行かはる。生保の会社でも、これ見てもらったらわかりますように、社長はん、三十年、五千円掛けてもろたらこれだけになりますのや、こういう話だ。単純だよ、話は。
 それから、平成六年度のやつを見てみましょうか。そうしたら五千円の人は四百五十三万九千円と書いてある。今書いてあったような小さい字はどこにも書いてないな、これは。そうすると、五百九十三万六千円が四百五十三万九千円にごそっと減ってしまうわけです。
 今度四・五%の掛金の運用利回りでいきましたら、これはパンフレットがまだできてへんさかい、ありませんわな。それは何ぼになりますのや。そうすると結局、一番最初に、おまえさん、五千円掛けてあるさかいに五百九十三万何ぼもらえるでと言っておった人は一体何ぼになるのや、三十年先。ちょっと、新しい事態になったら何ぼという数字が出てきますのか教えておくれやす。何ぼ減りますのや。
#48
○金子説明員 今回の予定運用利回りの改定に伴いまして、既加入者の方の退職金の額が減少してしまうということで、どのくらい減るのかという御指摘かと思います。
 加入期間でありますとか加入時期によりましてさまざまなケースが考えられるわけでございますが、先生の御指摘いただきましたような五千円という掛金で、例えば昭和六十一年四月に新規加入して三十年間加入したというようなケースで試算してみますと、退職金額につきましては、このケースでいきますと、予定運用利回りを改定しない場合は五百八十三万円程度ということになるわけでございますが、改定いたしまして新たに四・五%を適用して、これはもちろん付加退職金がないという前提での計算でございますが、四百二十万円程度という額に下がるというような一つの試算がございます。
 いずれにいたしましても、いろいろな、加入した時期とかあるいは加入年数によりまして大きく違いが出てまいりますので、一つの試算ということで御理解いただきたいと思います。
#49
○寺前委員 だから、物すごい減るわけや。物すごい減るというだけではなくして、五千円の今までの掛金の人は、約束どおり、あの当時だったらこれだけ払うと言っておった退職金をもらえるようにしようと思ったら、何ぼの掛金にしたらその水準になりますのや。親方の方は、従業員に約束した以上は、掛金を上げてでもやってやらないかぬ。何ぼ掛金を上げたらよろしいことになります。
#50
○金子説明員 お答えいたします。
 ただいま私の方で設定いたしましたケースの場合でございますと、三十年間ということで、非常に加入期間が長期になるということで、あるいは改正法の適用を受ける期間が非常に長いというようなこともございまして、この場合ですと、掛金をおおむね四千円程度引き上げていただくことが必要になろうかと思います。
#51
○寺前委員 そうすると、五千円の掛金の人が、退職金というのは大体もともと長期な話や。それが、五千円が四千円、倍近く掛金を上げなかったら従業員に約束したことが実行されないとなったら、これが表紙にわざわざ書いてある、「国の制度」でございますといって大見えを切って、安心してやっておった人にすれば、裏切られたなという感じになりませんか。私は、これは異常な値上げやなということが言えると思います。退職金は重要やと大臣はおっしゃったけれども、重要やというふうに大見えを切るにしたら余りに異常な値上げの仕方じゃないか。私は、その点で、これは納得できぬのや、その点を申し上げておきます。
 それで、もう時間がありませんので、二、三、せっかくの機会ですからお聞きしたいと思うのです。
 阪神・淡路大震災に対して、中退金については一体どういう措置をおとりになっているのだろうか。現地には、生命保険会社を通じて入ったりしているものですから、いろいろ問い合わせが来るが、地方にはありませんので、親方が入っているんだから、そこの従業員は中退金に入っているということを知らぬ人もおるかもしれない。それだけに宣伝の徹底というのは非常に大事だ。特に、失業保険その他のことを通じて職安へ行く人が多くなっているのですから、職安の窓口でも中退金の相談に応じますよというぐらいのことをおやりになったらどうだろうかなということを感ずるのですが、これが一つ。
 もう一つお聞きしたいのは、私どもの党だっていろいろなことに対する組織的な検討はやりますが、同時に、いろいろな人からいろいろな電話がかかってきます。こういう電話を、電話口でとられた人だけの問題にせんといて、整理をして、中退金の加入者から、加入しようとする人からどういう問題が持ち込まれているのか、それを研究して、これを活動の発展のために使う。私は、こういう点を日常の運営問題として検討されてしかるべきじゃないだろうか。
 この二点をお聞きして終わりたいと思います。
#52
○浜本国務大臣 窓口をきちっとつくりまして、皆さんの相談に積極的に応じる、こういう姿勢は一番大切なことだと思いますので、労働省といたしましても、まず相談をする総合相談窓口というようなものもつくりまして、皆さんのいろいろな御相談にあずかっておるような次第でございます。
 なお、新聞でもいろいろな報道がございましたので、それらの問題につきましては事務当局の方からお答えをさせていただきたいと思います。
#53
○金子説明員 補足して、細かい点につきまして御説明させていただきます。
 今回の震災に関連いたしまして、中退金のいろいろな支払いに関する相談、こういったことにつきましては、神戸市ほかに設置されました総合労働相談所というのがございまして、そこのところに中退金事業団が職員を派遣するというような形で対応させていただいているところでございます。
 それからまた、中退金制度そのものにつきましては、支払い手続の簡易迅速化を図るとか、あるいは手続を省略して簡便な支払いを行うというような措置をとっているところでございます。
 それから、もう一つのお尋ねでございました事業団に対するいろいろなお問い合わせ、あるいは苦情と言ってもいいのかもしれませんけれども、こういったものをよく吸い上げて分析をして、役立てていくべきじゃないかという御指摘でございますが、この中退金事業団の本部には共済相談室というのがございます。それから全国八カ所に退職金相談コーナーというのを設けてございまして、当然そこにおきましていろいろな問い合わせを受ける、これが仕事でございますのでやっておるわけでございます。相談コーナーに寄せられました相談、苦情につきましては、事業団本部に集約した上で、役員会等で検討するというようなことで行われております。
 今後とも、こうした体制によりまして、相談等に的確に対応できるような形で努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#54
○寺前委員 時間が来ましたからやめますけれども、五千円の掛金の人が四千円も上げなけりゃならない、それで従業員に約束したことが守られていくというようなことは、私は、やはり異常だと考えてほしいということをあえて申し上げて、終わります。
#55
○笹山委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#56
○笹山委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤謙一郎君。
#57
○佐藤(謙)委員 私は、自由民主党・自由連合、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけを代表し、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案につきまして、賛成の立場で討論を行います。
 本格的な高齢社会を迎える中、老後生活を支える一手段として退職金制度の果たす役割が非常に大きくなっている一方、中小企業、特に小規模企業においては、退職金制度の普及及び水準は大企業と比較して十分と言える状況ではないことから、今後とも中小企業退職金共済制度の果たす役割は大きいところであります。他方、最近の制度を取り巻く経済環境は大変厳しく、金利は依然として低水準にあり、今後ともその動向は不透明な中、制度の長期的な安定を図ることが喫緊の課題となっております。
 今回の政府案の中心的課題である退職金の額の改定は、制度の長期的な安定を維持するためにも、時宜を得た措置であると考えます。
 また、掛金月額の引き上げ、分割支給制度、企業間通算制度の充実等については、中小企業退職金共済制度の果たす役割にかんがみ、大いに評価するものであります。
 以上の理由により、私は、本法案に賛成するものであります。
 最後に、中小企業退職金共済事業を初めとする中小企業労働対策を政府が全力で取り組んでいかれることを期待するとともに、我々としても、各界各層との議論を深め、直面する経済社会の構造変化に対応し、中小企業に働く勤労者の福祉の向上及び中小企業の振興に寄与するよう、引き続き努力していくことを表明して、賛成の討論を終わります。(拍手)
#58
○笹山委員長 寺前巖君。
#59
○寺前委員 私は、日本共産党を代表して、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案に対し反対討論を行います。
 反対理由の第一は、既加入者も含め、予定運用利回りを四・五%に引き下げることで、中小企業労働者の退職金が大幅に切り下げられるからです。既加入者にとって、計画していた退職金が減少することになり、既加入者にとっては期待が裏切られ、約束違反ともいうことになるからであります。
 第二に、最低掛金の引き上げは、事業主の負担をふやし今日の厳しい経営環境の中で苦しんでいる事業主に大きな影響を与えるからです。
 第三には、運用利回りが通常の民間と変わらないところから、魅力のないものになり、加入者が減少するおそれがあるからであります。退職金の適用を受けない中小企業の労働者がまだ多数いる現在、国の責任で補助金を復活するなどの措置をとり、中退金制度を発展させるべきであります。
 以上、問題点を指摘して反対討論を終わります。
#60
○笹山委員長 これにて討論は終局いたしました。
#61
○笹山委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#62
○笹山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○笹山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#64
○笹山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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