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1995/04/27 第132回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第132回国会 労働委員会 第10号
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1995/04/27 第132回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第132回国会 労働委員会 第10号

#1
第132回国会 労働委員会 第10号
平成七年四月二十七日(木曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 笹山 登生君
   理事 赤城 徳彦君 理事 大野 功統君
   理事 長勢 甚遠君 理事 河上 覃雄君
   理事 北橋 健治君 理事 柳田  稔君
   理事 岩田 順介君 理事 佐藤謙一郎君
      加藤 卓二君    佐藤 静雄君
      二田 孝治君    持永 和見君
      東  祥三君    上田  勇君
      初村謙一郎君    鳩山 邦夫君
      桝屋 敬悟君    松岡滿壽男君
      池田 隆一君    田邊  誠君
      永井 孝信君    寺前  巌君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 浜本 万三君
 出席政府委員
        労働大臣官房長 伊藤 庄平君
        労働省労働基準
        局長      廣見 和夫君
        労働省婦人局長 松原 亘子君
        労働省職業安定
        局長      征矢 紀臣君
 委員外の出席者
        経済企画庁総合
        計画局計画課長 高橋 祥次君
        厚生省老人保健
        福祉局老人福祉
        計画課長    吉冨 宜夫君
        厚生省老人保健
        福祉局老人保健
        課長      尾嵜 新平君
        厚生省保険局保
        険課長     渡辺 芳樹君
        労働大臣官房審
        議官      渡邊  信君
        労働委員会調査
        室長      松原 重順君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十五日
 辞任         補欠選任
  寺前  巖君     志位 和夫君
同日
 辞任         補欠選任
  志位 和夫君     寺前  巖君
同月二十六日
辞任          補欠選任
  桝屋 敬悟君     久保 哲司君
同日
 辞任         補欠選任
  久保 哲司君     桝屋 敬悟君
同月二十七日
 辞任         補欠選任
  粕谷  茂君     佐藤 静雄君
同日
 辞任         補欠選任
  佐藤 静雄君     粕谷  茂君
    ―――――――――――――
四月十八日
 ハイヤー・タクシー労働者の労働条件改善に関
 する請願(秋葉忠利君紹介)(第六九六号)
 同(伊藤茂君紹介)(第六九七号)
 同(前島秀行君紹介)(第六九八号)
 同(秋葉忠利君紹介)(第七七二号)
 同(伊藤茂君紹介)(第七七三号)
 同(畠山健治郎君紹介)(第七七四号)
 同(秋葉忠利君紹介)(第八一六号)
 同(伊藤茂君紹介)(第八一七号)
 同(秋葉忠利君紹介)(第八五三号)
 同(伊藤茂君紹介)(第八五四号)
同月二十五日
 ハイヤー・タクシー労働者の労働条件改善に関
 する請願(秋葉忠利君紹介)(第八八三号)
 実効ある介護休暇の早期法制化に関する請願
 (寺前巖君紹介)(第九九〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 委員派遣承認申請に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 育児休業等に関する法律の一部を改正する法律
 案(内閣提出第二八号)
 介護休業等に関する法律案(松岡滿壽男君外四
 名提出、衆法第三号)
     ――――◇―――――
#2
○笹山委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案及び松岡滿壽男君外四名提出、介護休業等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま議題となりました両案につきまして、審査の参考に資するため、来る五月十日水曜日、愛知県に委員を派遣いたしたいと存じます。
 つきましては、議長に対し、委員派遣承認の申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○笹山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○笹山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#5
○笹山委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 両案審査のため、来る五月十一日木曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○笹山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○笹山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#8
○笹山委員長 これより質疑に入ります。
 本日は、特に、内閣提出法律案について審査を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柳田稔君。
#9
○柳田委員 おはようございます。
 まず冒頭に、本法案にちょっと関係ないかもわかりませんが、私も広島県出身の代議士でございますし、大臣は広島県選出の大臣でもございますので、まず冒頭に、アメリカの大統領の方からの、日本に投下された原爆、正当であるという発言についてまずお伺いをしたいと思います。
 被爆国、世界で唯一の被爆国である日本、さらに広島県ということを考えますと、このアメリカの大統領の発言というものは我々にとっては大変不愉快であるし、また、あってはならないものだ、そういうふうに感じておるのでありますが、大臣はどのようなお考えをお持ちでしょうか。
#10
○浜本国務大臣 お答えをいたします。
 アメリカ大統領の発言は、世界最初の被爆国である日本国民の感情を傷つけるものであり、極めて遺憾と思います。
 私は、あの問題が報道された直後の閣議後の懇談会におきまして、アメリカ大統領の不適切な発言に対しまして、日本の国民の感情を十分伝えるよう外務大臣に主張したところでございます。日本の国民の感情と申しますのは、八月六日、九日の広島、長崎に投下されました原子爆弾によって、一瞬にして三十数万人のとうとい人命を奪い、五十年たった今日も放射能の後遺症によって大変苦しんでおられる、被爆者全体の皆さんは生活苦と病苦と孤独の中でようやく生き続けてきておる。そういう事情を考えますと、まことに遺憾であるので、日本の国民の感情を十分伝えるよう外務大臣に主張したところでございます。
 この問題につきましては、その後、河野外務大臣が訪米したときに、今月の十八日に行われました日米外相会談におきまして、クリストファー国務長官に対して、こうした我が国の強い国民感情について理解を求めますと同時に、同長官からも理解を示されたと伺っております。
 いずれにいたしましても、重要なことは、未来に目を向けた日米関係を一層発展させることが大切であると考えております。また、原爆の悲惨さを二度と繰り返してはならないという強い願いを後世に伝えることが重要であると思います。特に、いかなる国のいかなる理由によっても核兵器は使ってはならない、核兵器の廃絶に向けて引き続き努力してまいらねばならないと考えておるところでございます。
#11
○柳田委員 今大臣、外務大臣がアメリカに行かれてそういうお話をされたということでございました。しかし、またその直後に大統領が、正当であるかという質問に対してイエスと答えておる。行かれて説明をし、理解を得たのに、再度その後に正当であるという発言をされた。そのまた対応に対して、日本政府は一体何をやっておるのかなと我々は思うのでありますが、外務大臣が行かれて、再度また後でイエスと言われたということについて、日本政府の対応は甘いのではないかと私は思うのでありますが、大臣はどうお考えになりますか。
#12
○浜本国務大臣 お話でございますが、その後の閣議の懇談会におきましては、今私が申し上げましたように、クリストファー長官は日本の立場を理解したというような御報告がございましたので、それを了解をしておるわけでございます。
#13
○柳田委員 我々も広島県民の皆様も、報道、新聞を見ていろいろ考えるのでありますが、新聞はその後に再度またイエスと言ったということに対して、大変な反発を持っているのですね。その後の政府の対応というのは一体何をしているのだろう、村山総理ですね、そして浜本労働大臣は、閣議に出ておる、しかしその後の対応が一切ないではないか、このまま黙っておるのかという気が大分強いのでありますけれども、このまま放置しておくというのは我々としては許せないという気がしておるのでありますけれども、再度、大臣、今後このまま黙っておるのか、それとも何か行動されるのか、ちょっと御決意を賜りたいと思うのでありますが。
#14
○浜本国務大臣 柳田議員も御承知のように、私も、この問題につきましては二十年間強い関心を持ちまして国会で活動してまいりました。したがって、アメリカの原子爆弾の投下は国際法違反であるという基本的な考え方を持っておりますと同時に、先ほど申したような強い国民感情があるということを承知いたしております。したがって、閣議の中でははっきりと、我々はアメリカ大統領の発言は極めて遺憾である、不適切であるということを強く主張いたしまして、あのような報告が河野外務大臣からあったということを報告を申し上げたわけでございます。
 しかし、河野外務大臣が、その後さらにアメリカ大統領の発言が適切であるというようなお話をされたとするならば、私は遺憾でございますから、当然次の閣議における閣議後の懇談会におきましては、その真意を確かめてまいりたいと考えております。
#15
○柳田委員 河野さんが言ったのではなくて、外務大臣が向こうのクリストファー長官とお話をした、そして日本の国民感情は理解できるというお話があった後に、再度大統領の方が正当であるということを言われましたね。それについて、何ら政府として対応しないのはいかがなものかな。日本の政府の総理大臣は村山総理ですから、従来からこの被爆については、また原爆投下についてはそれ相当のお考えをお持ちでしたし、浜本大臣も閣議の一員でありますので、何か強い姿勢を再度政府全体として示すべきではなかろうかと私は思うのでありますが、そのことについてどう思われますか。
#16
○浜本国務大臣 ちょっと理解不足でございましたのですが、再度アメリカ大統領がその正当性を発言されたということでございますので、次の閣議の終了後の懇談会におきましては、引き続き前回同様の発言を私はいたしまして、この問題についてのはっきりした決着をつけてまいりたいと考えております。
#17
○柳田委員 そのことについては頑張っていただきたいのであります。特に広島だからというわけではありませんけれども、何かうやむやにし過ぎておるのではないのかな、やはり言うべきときは主張するというのは必要ではないのか、そう思いますので、浜本大臣には閣議の中で今まで以上に主張していただいて、もっと強い姿勢を政府は示すべきだ、その行動が現実になるように努力をしていただきたい、そういうことを申し上げておきたいと思います。
 この問題もそうでありますが、私の方も今回の円高を初め、いろいろなところでいろいろな話を聞くのでありますけれども、何か日米間の信頼関係が揺らぎ始めておるのではなかろうかな。日本の政府としてはアメリカを信頼したい、信用したいという気持ちがあるようでありますが、何かアメリカの方は日本を信用していないんじゃないか、信頼していないんじゃないか、そういう気がしておるので、その辺も元凶にあって、原因であってこういう発言があったのかなという気がしておりますので、このことだけは、被爆については強く申し上げたので、そのことも十分理解していただきたいと思うのであります。
 そういうことに関連してかどうかわかりませんが、次に、話題を変えますけれども、大分村山政権に対する批判が今の与党の中から出ておるようであります。先日、議員を辞職されました前代議士ですか、本会議場の演説の中でもございましたし、またおやめになった後の新聞のインタビューの中でもいろいろと答えておるわけでありますが、そのインタビューをちょっと引用しますと、「何も行政がわからない首相なんだから、自民党が手を取って、行政改革や役所の権限制限をやるかと思ったら、今は役人が全部、政治を取り仕切っている。村山政権ができて、政治はもっと悪くなった。」というふうな発言もありますし、さらにほかの元閣僚からは、「村山政権に異議「役割、終わった」」というふうな見出しで、「村山政権の役割はすでに終わったのではないか」、または「行財政改革などの抜本的な改革ができないだろう」というふうなことで、大変厳しい村山政権に対する批判が繰り広げられておるようであります。
 多分大臣もお聞き及びかと思うのでありますが、こういう与党内部の発言に対して、大臣、どのようにお考えでございますか。
#18
○浜本国務大臣 村山政権は、御承知のように、二つの基本的な考え方を持ちまして発足し、運営をいたしておるわけでございます。それは、第一に、現行憲法を尊重し、幅広い国民の支持を基盤に、生活者のための政治を実現させ、地球規模の環境保全と軍縮を促進するということ。第二は、これまで進めてまいりました政治改革を初め、経済、行財政の改革、分権と福祉、さらに男女共同参画型の社会を実現するということで、今までの内閣てはなし得なかった幾つかの改革を行いますと同時に、景気対策を重視いたしまして、今年度は、平成七年度の予算を有史以来、早い時期に成立をさせていただき、さらには阪神・淡路大震災の対応、サリン事件の究明などもろもろの政策を進めてまいったところでございます。また、円高等に関連いたしましても、その対策を実現いたしまして、国民の期待にこたえようといたしておるわけでございますが、いずれの内閣におきましても、与党内からその政策の実行が不満だ、こういう声がしばしば起きておることは議員も御承知のとおりでございます。
 今回も与党内の一部から村山内閣に対しまして、さまざまな御意見が出されておることはよく承知をしております。しかし、現に与党として村山内閣を支えていただいておる以上、こうした御意見を含めまして、与党の政策調整の場などにおいて民主的に、しかも透明度のある形で御論議をいただき、村山政権としての意思決定をなされる中で消化をしていかなければならないと考えておる次第でございます。
 なお、こうした御批判は謙虚に受けとめ、内閣におきましても今後の政策遂行に生かしていくものでなければならないと思っております。そういう気持ちで私も村山内閣を支えてまいりたいと思っております。
#19
○柳田委員 私も旧民社党ですし、大臣は社会党でございまして、以前からいろんな意味で協力なり話し合いもさせてもらっておるので、大臣のおっしゃることはそれなりにはわかるのでありますが、与党内部からいろんな意味で大分批判が出ておるな、そろそろ社会党としての独自性ももっと出してもいいんじゃないかな、そういう気がするのでありますね。何か我々から見ていますと、自民党内閣ではないかなと錯覚するぐらいのいろんなものがございますから、そろそろ、これこそ我々が政権をとっておるんだという姿勢を示してもらいたい。
 そういう意味では、この育児休業法の一部改正でございますか、提案されたということについては少しは評価しておるのでありますが、もっと踏み込んで、ここまでやったんだ、私たちは社会党から出ている大臣だ、総理もおるんだ、介護休業法はここまでしたんだ、どうだというものを私は示してもらうことが一番いい特効薬ではなかろうかなと思うのであります。そのことを私は大前提に置いて、法案についていろいろと御質問したいと思うのであります。
 まず、今も申し上げましたように、この法案の名前は私は気に食わないのでありますけれども、内容について介護休業の制度を御提案された。どうして今この介護休業制度を御提案されたのか、まずそこからお答えを願いたいと思います。
#20
○松原政府委員 改めて申し上げるまでもなく、我が国が世界に例を見ないほど高齢化社会を急速に迎えようとしているということでございますが、その中にありまして家族の介護の問題というのは国民的に緊急に解決しなければいけない重要課題であろうというふうに認識をいたしているわけでございます。
 特に、介護の必要な家族を抱えた労働者の方々、その家族の介護などのために仕事をやめなければいけなかったという方々も相当数に上っているわけでございまして、そういう方々の雇用の継続という観点からも、介護と仕事の両立を図るための施策というのは極めて重要になってきているわけでございます。
 こうした問題に対応するためには、国全体としての総合的な介護対策を進めるということが重要でございまして、介護サービスの一層の充実を図るということが基本であろうというふうに思っております。
 この介護休業制度は、こういった基本的な介護サービスの充実と相まって、家族による介護をしなければいけない、そういう緊急的な事態に対応するための措置として機能することが求められているものだというふうに認識しておりまして、私ども、なるべく早く、中小企業も含めまして広く円滑にこれを普及させることが重要であるというふうに思っているわけでございます。
 そういったようなことを背景といたしまして、この問題は、ここに提案させていただきますまでに長年にわたって婦人少年問題審議会の中での真摯な議論が行われてきたわけでございますが、そこでの建議を踏まえまして、介護休業制度の法制化、また介護を行う労働者についての支援措置の実施などを内容とします法律案を提案させていただいたという次第でございます。
#21
○柳田委員 私たちも認識は同じでございまして、今局長の答弁の中に、緊急的だ、極めて重要だという御発言がありました。私たちは、ごもっともだ、そう思っております。
 さっきちょっと触れましたこの法案の名前なんですが、なぜ育児休業に関する法案の一部改正なのか。私は、対象は大分内容が違うものだ、そう思っておりまして、別の法案として、例えば介護休業法というふうにしてお出しになるべきではなかろうかなと思うのでありますが、何でまたこんな一部修正という、言葉は悪いかもわかりませんが、軽く見られたものだなという気が若干するのでありますけれども、それはなぜでございましょうか。
#22
○松原政府委員 先生御指摘のとおり、この法案は育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案ということでございますけれども、この法律案の中におきまして、題名そのものも改正をいたしたいということで提案させていただいているわけでございます。すなわち、最終的な姿になった場合の法律の題名は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律という形に改められるということにいたしたいということでございますけれども、私どもがこういう形をとりましたことにつきまして若干御説明をさせていただきたいと思います。
 労働者が長く働き続けるための障害というのはさまざまあろうかと思います。そういったことについて総理府が世論調査をいたしておりますけれども、その結果によりますと、長く働き続ける場合の困難や障害として最も多くの人が挙げたものが「育児」でございます。これは六一・四%の方が「育児」が困難や障害であるというふうに挙げておられます。これに次いで多いのが「老人や病人の世話」というのでございまして、これを挙げた方が四五・三%という状況になっております。それ以外にも幾つかございます。例えば「子供の教育」とか「家事」とか「健康」、こういったものを挙げた方々もおられますけれども、その比率は三割を切っているということで、ある意味では「育児」とこういった「老人や病人の世話」というのがいわば二大障害と言ってもいいのではないかというふうに思います。
 こういうような実態を踏まえまして私どももさまざま検討いたしましたし、また、先ほどちょっと申し上げました、昨年に出されました婦人少年問題審議会の建議におきましても、次のようなことが提言されているところでございます。すなわち、「高齢化・少子化への対応が今後ますます大きな社会的課題となっていくことを考えると、介護とあわせて育児の問題も重要であり、男女労働者がその能力を十分発揮できるような条件整備を図るという観点から、職業生活と家庭生活との両立を図るための環境整備の事業を体系的・総合的に構築することが不可欠である。」というふうになっているわけでございます。
 こういったことも受けまして、今回の法改正は、介護休業制度に関する単独立法という形にはせず、先ほど申し上げましたように、育児休業法を非常に大きく改正をいたしまして、育児、介護の問題を持つ労働者の職業生活と家庭生活その両立を支援するということを目的とした総合的な法律にするということにいたしたものでございます。
#23
○柳田委員 育児は、子供は成長しますから、ずっと続くということではないですよね。一年もたちますと子供もそれなりの、それなりと言ってはいけませんが、自分の行動を始めていますよね。介護というのは、いつまで続くかわからないという不安がありますよね。さらに、去年でしたか、御承知のように、生まれた子供というのは百二十万人を切っている。ところが、介護を必要とするというのは二百万人ぐらいいる。人口の推定でも、子供の数というのはそう極端にふえないなという感じもありますね。ところが、介護を要する人というのはこれからどんどんふえできますよね。そう考えますと、育児休業法の一部改正で取り扱うべき問題ではないのではないか、そう私たちは思うのです。
 そこで大臣、ちょっと今やりとりしましたけれども、やはりこの際、介護休業法として我々はこれをやったんだ、これから介護が必要なんだという姿勢を示すためにも、こういう一部改正ではなくて、別法案として出す方が国民にはより理解でき、納得できるものになるのではないかと思うのでありますが、大臣の御所見はいかがでございましょうか。
#24
○浜本国務大臣 我が国は世界に例を見ないほど急速に高齢化が進展をしておることは、議員も御承知のとおりでございます。家族の介護の問題が国民的に重要かつ緊急の課題となっております。
 こうした中で、家族の介護のために職を失わざるを得ない労働者は年間八万人を超えておりまして、介護を必要とする家族を抱える労働者が雇用を継続する上で深刻な問題になっておるというふうに思います。こうした問題に対処するためには、国全体として総合的な介護対策を進めることが重要であると存じます。介護サービスの一層の充実を図ることが基本であると考えております。
 介護休業制度は、この介護サービスの充実と相まちまして、家族による介護がやむを得ない場合の緊急的対応措置として機能することが強く求められており、中小企業も含め広く円滑に普及させることが重要な課題となっております。このため、介護休業制度の法制化、介護を行う労働者に対する支援措置の実施等を内容といたします法律案を今国会に提出いたした次第でございます。
#25
○柳田委員 おっしゃっていることはわかっているのです。最初に申し上げたように、村山政権ですし、労働大臣は浜本先生でございます。介護の問題が非常に重要である、それも緊急を要するというお話もそのとおりなんです。となれば、介護についてはやはり別法案で、我々はこういうことをするんだという姿勢を示す方がよりベターではないか。そのことについて大臣はどう考えられますか。このままの一部改正のままでいいのか、それともやはり別法案として出した方が従来から先生方がおっしゃっていた主張に沿うのではないかと我々思うのでありますが、いかがでございましょうか。
#26
○浜本国務大臣 少子・高齢化が急速に進展する中で、家族の介護と育児の問題は、労働者が働き続ける上で最も大きな問題となっておりますことは局長答弁のとおりでございます。
 このため、昨年の十二月に出された婦人少年問題審議会の建議においても、「高齢化・少子化への対応が今後ますます大きな社会的課題となっていくことを考えると、介護とあわせて育児の問題も重要であり、男女労働者がその能力を十分発揮できるような条件整備を図るという観点から、職業生活と家庭生活との両立を図るための環境整備の事業を体系的・総合的に構築することが不可欠である。」と提言されておるところでございます。
 労働省といたしましては、これを受けまして、今回の法改正は、介護休業制度に関する単独立法とはせずに、育児休業法を改正いたしまして、育児、介護の問題を有する労働者の職業生活と家庭生活との両立を支援することを目的にした総合的な法律といたすことにしたわけでございます。そういう意味で御理解をいただきたいと思います。
#27
○柳田委員 従来から労働大臣ともいろいろな場を通じながら、この介護の問題は重要だ重要だとやってきましたね。出てきた法案が育児休業法等に関する一部の改正なので、はあはあ、なるほどと。我々としては、介護は大事だという以前からの主張がありましたので、別法案で出す方が我々の主張にはかなうわけですし、また国民も理解ができるのではないかな、そう思うのですね。
 では、今の大臣の答弁を聞いていますと、介護の休業制度については育児の法案の一部改正で十分なんだ、要するに内容ではないのです、今言っているのは。姿勢の問題なんです。大臣としては、もう改正でいいんだ、やはり別として出す必要はなかったのだという御認識なんでございましょうか。
#28
○松原政府委員 法律の改正の形式といいますか、立法形式といいますか、それ自体によって事をどういうふうに認識しているかということではないと思います。できた姿、先ほど申し上げましたように育児休業法の一部改正案ではございますけれども、それによって改正された最終的な法律の姿、世の中にこういう法律ができたということで出ていく法律は、育児休業、介護休業そして子供の養育と家族の介護を行う労働者の福祉に関する法律という総合的な法律として出ていくわけでございます。
 私どもとしては、この問題は働く女性だけの問題ではございませんけれども、長年女性の皆様が一生懸命運動してこられた、女性の多くの方の希望に沿うものでございます。そういう観点から見れば、育児と介護を職業生活を続ける上での非常に重要な、先ほど障害というふうにも申し上げましたけれども、調査の結果でも障害として出ておるこの二つのものを一つととらえ、単に休業ということではなくてそれ以外の支援措置も総合化するということの方が女性たちのニーズにも合うのではないかというふうに思っております。
 なお、先般国会において御承認をいただきましたILOの百五十六号条約、家族的責任を持つ労働者についての条約でございますけれども、これも子供の養育を行うという責任、また近親の家族について援助などを行わなければいけないそういった責任、そういうものをあわせまして家族的責任というふうにとらえているわけでございまして、育児と介護というのは、確かに事は違いますけれども、働く労働者の立場に立って見れば雇用の継続という観点から解決しなければいけない二大重大課題という意味では極めて共通しているものだというふうに認識しております。
 何度も申し上げますが、法律を改正された後の姿は、先ほど申し上げましたように、育児休業、介護休業そしてトータルとしてのこういった子供の養育や家族の介護を行う労働者の福祉に関する法律という総合的な形になってくるものでございまして、先生が御心配されておられるように、介護の問題が軽く扱われているとか、軽く考えたからこういう形になっているということでは絶対にないというふうに申し上げたいと思います。
#29
○柳田委員 最後の方の軽くとかなんとかとは思っていませんので、お考えをお改めいただきたいと思うのであります。
 要は、これは行政の方に聞いているのではなくて、我々政治家としての政治姿勢なんですよ。介護は大事だ、だから改正ではなくて介護休業法を出すのだという姿勢を我々は持っておるのですね。我々新進党はそう思いまして、別の法案として出しておるのですよ。その姿勢の相違があるのではないのかということなんです。
 大臣としては、別の法案等出す必要はない、改正して法案の題名も変えればいい、これで十分だというふうに思われているのか。また我々は、それではなくてこうして出す方がもっとよりよいはずだという政治姿勢のことをちょっとお伺いしておるのでありまして、大臣、いかがでございましょうか。
#30
○浜本国務大臣 家庭の生活と職場の生活とを両立させるためには育児と介護が非常に重要な課題であるということは、認識が一致をいたしております。したがって、育児休業法の一部改正として出しましても、中身については、介護が重要だということにつきましては議員の認識と一致をいたしております。したがいまして、介護をおろそかにしておるという趣旨ではございませんので、そこはひとつ誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。
#31
○柳田委員 いつまでやっていてもしようがありません。先に進まないといけませんので。
 きょうは厚生省さんもおいでいただいておるのでありますが、今の介護の現状、どういう状況に今あるのか、ちょっと御説明を願いたいと思います。
#32
○吉冨説明員 介護を必要とされます高齢者の現状につきましては、自治体の老人保健福祉計画の集計値で見ますと、平成四年度に全国で約百万人の要介護高齢者の方がいらっしゃるものと考えられます。これは先ほど先生二百万人というふうにおっしゃいましたが、これは虚弱老人も含めました数字ではないか、このように考えます。このうち在宅で生活されている方は約四十四万人となっておりまして、その中の少なからぬ方が家族による介護を受けていらっしゃる、こういうふうに考えております。
 以上でございます。
#33
○柳田委員 今在宅の介護というのは四十四万人とおっしゃいましたね。大変莫大な数ですね。
 さらに、この介護をしている人たち、家庭で介護をされている人たちの状況というのは今一体どういう状況にあるのでしょうか。我々は、大変厳しいし、場合によっては家庭の崩壊にまでつながるという話をよく聞くのでありますが、それについては簡単でいいですからお答え願えればと思います。
#34
○吉冨説明員 要介護高齢者のいらっしゃる家族の形態につきましては、直接要介護高齢者のいらっしゃる家族の数ということでちょっと正確にこの場では申し上げられませんけれども、六十五歳以上の方のいらっしゃる家族形態別の構成割合、こういうことで見ますと、平成四年度でございますけれども、高齢者の単独世帯が一一・七%、高齢者夫婦のみの世帯が二七・六%、あと子と同居という形が五七・一%、このように承知をしております。
#35
○柳田委員 家庭で介護するというのは大変厳しいものだというふうな認識を持っておりますので、これが将来どういうふうな状況になっていくのか。多分増大をしていく。我々がもらった資料にも書いてありますけれども、先ほど言われましたように、今が虚弱高齢者も含めて二百万人となっていますが、これが二〇〇〇年には二百八十万人、二〇二五年には五百二十万人にもなるというふうな数値はいただいておるのでありますが、今後こういう要介護老人というのはどういうふうな状況になっていくのか。それと、今後この増大する要介護老人に厚生省としてはどう対応していくおつもりなのか。その辺を御説明願えればと思います。
#36
○吉冨説明員 先ほど申し上げました家族構造の変化という点で、こういった観点で御説明申し上げますと、平成十二年になりますと、先ほど申し上げましたような高齢者の単独世帯あるいは高齢者の夫婦のみ世帯、こういったような世帯が増加をしてまいるわけでございます。と同時に、高齢者の数全体が増大をいたしまして、先ほど先生御指摘のように、これに伴いまして要介護老人の数というものも急激にふえてまいるわけでございます。
 そういった意味で、私どもとしましては、在宅での介護基盤を強化するということが必要ではないか。施設サービスの面での充実強化を図っていくということはもとよりでございますけれども、在宅サービスもあわせて充実をしていく必要がある。そういったような形で高齢者の介護基盤の整備充実というものを今後さらに強力に進めていく必要があるのではないか、このように考えております。
#37
○柳田委員 今はどちらかというと家族介護が中心になっておる。先ほど四十四万人という話もありました。これから増大する要介護老人に対応するために、社会介護というのでしょうか、公的な介護というのでしょうか、その辺の充実もどんどん図っていかなければならない。
 聞くところによりますと、介護保険の導入の是非がそろそろ議論に入っているというふうな話も聞いておりまして、二十一世紀になると公的な介護というものが相当前面に出てくるんだな。また、医療費の増大につきまして、老人医療が大変莫大だ、その多くは介護的な要素という話も聞いておりまして、この医療費の介護的要素についても、だんだん介護という方に移していこうという将来の考えも承っておるのですね。そうしますと、二十一世紀に入りますと、今の家族介護からだんだん中心が公的な介護に移行していくんだなというふうに我々は認識しておるのでありますが、厚生省としてはどのようなお考えをお持ちなんでしょうか。
#38
○吉冨説明員 家族による介護につきましては、高齢者を精神的に支えていく、こういったような家族の役割を十分評価しながら、家族に過大な負担をかけることのないように配慮する必要があるのではないか、このように考えております。
 このため、高齢者ができるだけ家庭や地域で暮らし続けることができるような、介護等を必要とする高齢者に対します十分な社会的な介護サービス基盤を整備していくことが重要ではないかというふうに考えております。
#39
○柳田委員 今おっしゃいましたように、これから家族というのは精神的な介護が中心になる、肉体的ないろいろな負担については公的な介護を進めていきたいという御答弁だっただろう、そう思うのですね。
 それで、またこの法案に戻りますが、法案の内容については後々触れますけれども、まずは施行時期ですね、施行期日。
 政府案は平成十一年四月一日からというふうな内容になっておりますが、今お話がありましたように、介護の状況は二〇〇〇年に入ってきたら大分変わるのであろう、そう思うのですね。何が今必要なのかというと、今こそ家族介護に対ずみ支援が要るのではないのかな。
 先ほど局長の答弁にもありましたように、一年間に八万人を超える人が介護のために離職しておる。これから介護する人がだんだんふえてまいりますと、この離職者はだんだんふえていきますね。となればということで厚生省の方もいろいろ考えて、できるだけ早く公的な介護というものを導入したいという意向で頑張っておられますね。そうしますと、将来的にはといいますか、この法律が施行される時期からというと、公的なものも大分投入されるし、時がたては充実もされていくというふうに我々は認識をしておるのです。
 としますと、この平成十一年というのはもっと早く、今こそ要るのではなかろうかな。できれば今からでも、こんな無理な話は言いませんけれども、きょうからでも欲しいな、そう思うのが我々の感じであるのですが、この平成十一年を、もっと前に前倒しをして早くスタートすべきではないかと思うのですが、いかがでございますか。
#40
○松原政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、この問題は婦人少年問題審議会で長い間、労働者代表、使用者代表、公益委員、この三者構成で議論をしていただきまして、その結果を踏まえ私どもは法案提出をさせていただいているわけでございますけれども、その施行日につきましても当然議論がございました。
 婦人少年問題審議会での多数意見は、介護休業制度の現時点での普及率を考慮すると、つまり現時点での普及率といいますのは一六・三%でございますが、これを考慮すると、各事業所において介護休業制度を円滑に導入するための準備期間として三年間程度とる必要があるというふうに多数意見でされたわけでございます。そういうことを踏まえまして私どもは、この施行日を平成十一年四月一日というふうにさせていただいたわけでございます。
#41
○柳田委員 円滑にこの制度が施行されるという話もわからないではないのでありますが、要は働く人の立場と生活している人の立場ですね。介護をする人は、働く人もいますればその周りにいらっしゃる方も介護しているわけでありますが、その働く人たちの立場とかその家族のことを考えますと、先ほども申し上げましたように、一年間に八万人を超える人が今離職しているという現実もあるわけです。とすると、一年でも早く実現をしたいと思うのは我々政治家としてとるべき道ではないかと思うのであります。
 行政的な手続がどうのこうのという話はありますけれども、大臣、どうですか、これは一年でも早く実施した方が働く人たちのためにもなるし、その周りにいる家族の人たちのためにもなる、ぞうお思いにはなりませんか。
#42
○松原政府委員 先ほどの審議会の話の続きをちょっとさせていただいて恐縮でございますけれども、そういう結論が多数意見で出たというふうに先ほど申し上げましたが、その前段階として、この婦人少年問題審議会の建議におきましては、こういうような指摘もなされております。
 つまり、「介護の問題は、大企業の労働者であると中小零細企業の労働者であるとを問わず共通に抱える問題であり、労使が自主的に取り組むことはもとよりであるがこ「介護休業制度を今後一層広く、かつ、迅速に普及させるためには、その定着を確保しうるような基本的な法的枠組みを作るべき時期にきている」。つまり、これに至るまでは、法律が必要なのかそれとも行政指導でやればいいのかといったような議論もまだ審議会の中であったわけでございますけれども、最終的な結論は、今申し上げましたように、基本的には法的枠組みをつくる時期に来ているという結論になったわけでございます。
 ただ、この場合、その内容は、同じように建議で言っていることでございますが、家族による介護の必要性と労働者の雇用継続の必要性、これが一つ一方にございますが、もう一方には企業の要員管理等の負担、これとの調和が図られるよう配慮がされる必要があるというふうに指摘をされているわけでございます。
 やはりこういった制度を社会的な制度として導入するということになりますと、関係者の広いコンセンサス、そういったものに基づいて制度というのは導入すべきではないかというふうに考えているわけでございまして、今先生がおっしゃいましたように労働者の立場というのはもちろんありますけれども、一方には、これは企業に義務づけるという内容でございますので、企業の要員管理等の負担、こういったものをどうバランスさせるかといった観点がやはり必要ではないかというふうに考えているわけでございます。
#43
○柳田委員 審議会の御意見は十分尊重しておるつもりであります。つもりではなくて、しております。
 そこで、今の現状を見たときに、そして今後の将来の状況を考えたときに、一体政治家としてどう判断をすべきなのだろうか、私はそこが非常に重要だろうと思うのであります。今の局長の話を聞いてまいりますと、もっともっと浸透させるためには平成十一年ではなくて遅い方が十分浸透もできるわけですし、中小企業も対応できるはずです。そのスタンスはよく理解はできますが、八万人を超える人が今既に離職しておる、その家族というのは大変な状況に置かれておるということを考えますれば、一年でも早く実施した方がいいのではないかというのが我々の主張なのであります。
 大臣も政治家として来られたわけでありますが、これは政治家の決断であり信念だと思うのでありますが、大臣のお考えはどうでございますか。
#44
○浜本国務大臣 今局長がお答えしましたように、法案の施行期日は平成十一年四月一日となっております。
 今議員からお尋ねでございますのであえて私がお答えいたしますと、これまでの間においても、中小企業を含む事業所でなるべく早期に介護休業制度が導入されることが望ましいと考えております。
 そのため労働省といたしましては、広報とか啓発に努めますとともに、中小企業集団を通じた中小企業の計画的取り組みに対する相談・援助、介護休業制度導入奨励金の支給等企業が円滑に介護休業制度を導入できるようにするための支援措置を初め、積極的に指導、援助を行いまして、円滑な施行を図ってまいりたいと思っております。
#45
○柳田委員 大臣は、一九九九年、平成十一年四月からの施行で十分だというふうに聞こえたのでありますが、それでよろしいのですか。
#46
○浜本国務大臣 十分とは申しておりません。私としては、平成十一年四月一日としておりますが、それまでの間でも、中小企業を含む事業所でなるべく早期に介護休業制度が導入されることが望ましいということを前提に申し上げておるわけでございます。
#47
○柳田委員 何回も繰り返しますよ。今八万人を超える人がやめておるのですよ。御承知だろうと思うのでありますが、我々は、新進党案では一九九六年四月からというふうにうたっていますね。それから考えますと、三年後が政府案ですね、施行は。三年掛ける八万人ということは、二十四万人の離職者をそのまま放置するということにもなりかねないのであります。
 今大臣は、いろいろなことを通じながら努力はしていくとおっしゃいましたけれども、二十四万人が離職する、多くは離職するということには変わりはありません。一年でも早くすればその家族は救われるのであります。いろいろな行政的な問題はあるかもわかりませんが、それはみんなで精いっぱい頑張って、一年でも早く施行するということが働く人たちやその家族のためになるのではないかと思うのであります。
 要するに、これは政治家の決断だと思うのですね。一年早くしろ、もっと二年早くしろ、そのために労働省を初めいろいろな省庁を挙げて努力しるというのが政治家の決断だと私は思うのでありますが、大臣はどう思われますか。
#48
○松原政府委員 今先生から年間八万人という数字の御紹介がございました。これは総務庁の調査の結果でございます。
 ただ、私がちょっと怖いなと思いましたのは、介護休業制度の法制化ができないと年間八万人の離職者が当然に出るような使われ方はちょっと、スリーディンクではないかなとも思いました。したがって、三年間おくれれば二十四万人がやむなく離職せざるを得ないというのも、この調査の仕方自体がぴたっと合っているものでもありませんので、ちょっとそれはいかがと思います。
 ちょっとそれはおきまして、労働条件は、基本的には労使自治の原則だろうと思います。ただ、それに任せておいたのではやはりいろいろ問題があるというときに、それに法律が介入して規制をするという性格のものだろうというふうに思います。そういう観点から、過去、労働省はいろいろな法案を成立させていただきました。労働条件を規制する法律というのが幾つかございます。そういった例をちょっと御説明させていただきたいと思うのでございます。
 今回の法の母体になっている育児休業法でございますけれども、これは平成三年に成立させていただいた法律でございます。施行期日は平成四年四月一日となっておりますけれども、常時三十人以下の労働者を雇用する事業所の労働者につきましては、平成七年三月三十一日までの間、つまり大企業に適用されてから三年間適用を猶予する、その三年間は適用しない、そういう形で中小企業に配慮した適用時期の設定がなされているわけでございます。
 また、昨年の国会で成立させていただきました高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の改正法でございますけれども、これは六十歳定年制の義務化、こういった内容も含んでいるものでございます。この改正法自体の施行日は平成七年四月一日となっておりますけれども、六十歳定年制義務化の部分につきましては、大企業、中小企業を問わず平成十年四月一日から、つまり法律が施行されてから三年後にこの義務化の部分が施行されるという形になっているわけでございます。
 そういうことで、こういった労使の間に適用される労働条件を規制する立法例につきましては、今二つだけ申し上げましたけれども、中小零細企業を念頭に置き、つまりこういったところにも着実に制度が定着しなければいけない、させるべきであるということから、施行には十分なる準備期間をとっているというのが過去の例でございますし、今回もそれに倣ったものでございます。
#49
○柳田委員 六十歳定年問題どこの介護の問題は根本的に違う問題だと我々は認識をいたしておりまして、六十歳定年がこうだから介護の問題もそうさせてくれというのは若干違うのではなかろうかなと私は思います。
 何度も繰り返しますけれども、要するに大手はもう大分進んでいるのですよ。問題は中小なのです。それが要するに平成十一年、一九九九年なのでしょう。だから、放置しておけば離職者は減らないのですよ。八万人という、規模はわかりませんよ。大体これぐらいだろうというのは局長も御想像されていると思うのです。一年でも早くすれば全員が、皆さんが助かるじゃないか、二年早くすればその倍の人が助かるじゃないか、その決断をなぜ政治家はしないのかということなのですよ。
 行政のおっしゃることはよくわかる。わかるけれども、本当に職を離れた人の生活がどういう状況になるのか、その家庭がどういう状況に置かれるのか、これは大臣はよくおわかりだと思うのです。行政的な問題を言う前に、大臣は今回導入したのは、必要だから入れたのですよね、提案されてきた。私は、これは十分評価しているのですよ。ただ、今が大切なのじゃないか。一年早まればたくさんの人が救われる、たくさんの家族が救われる。そのことに主眼を置かれて、もう一回この平成十一年というのはもっと前倒しをして考えるべきではなかろうか。大臣、どうですか。
#50
○浜本国務大臣 先ほど申しましたように、介護休業制度を必要とする労働者の立場、それからそれを雇用しておる企業者の立場、特に中小企業の立場、全体が理解をした上でこの制度を実施しなければならない、こう思っておるわけです。
 これまでの法律の例を先ほど局長から申し上げましたように、いずれにしても、経済力の弱い中小企業の皆さんに協力をしていただくためには、いずれの法案を施行する場合にも一定の猶予期間というものを設けさせていただきまして、御協力をいただくようにお願いをしてまいっておる次第でございます。
 したがって、今回の場合も、中小企業の立場を考慮いたしまして施行期日が平成十一年ということになっておりますが、施行されますれば、さらに啓発啓蒙活動を通じましてできるだけ全体の御協力をいただくようにし、一年でも早くするように努力をしていく、こういう立場を私の方で申し上げておるわけでございますので、そういう点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
#51
○柳田委員 もう時間がなくなってくるのでありますけれども、大臣、今回の介護休業という問題は、中小零細が特にメーンなのですね。大手さんは大分進んでいます。その中でも零細企業とか小企業にいきますと、家族なのですね。社長も従業員も家族なのですよ。それで、家族の一員がちょっとうちで親が倒れたので休業させてくれと言ったら、身内からそういう申し出があったら、特に小企業とか零細企業は、そうですね、それじゃきょうは忙しいから勘弁してくれ、あしたとあさってはちょっと仕事が緩やかになるから、そのときは半日ぐらい帰って看護してやれとかいうのが今の実態なのですよ。逆に、大手になる方がこの問題は規則的に扱われて厳しくなっているというのが現実だろうと僕は思うのです。今大臣がおっしゃったように中小零細の問題だというのだったら、今でもやっていらっしゃるところが多いのでありますから、もっと救うためにも、一年でも早くすればいいのじゃないかと僕らは思うのです。
 時間がないから、最後にちょっと確認しますけれども、大臣は働く人の立場に立ってこの法案を提出されたのか、それとも介護のこの法案が十分浸透するように、そして経営者の立場を十分考えて提案されたのか、どちらなのですか。
    〔委員長退席、大野(功)委員長代理着席〕
#52
○浜本国務大臣 政府案は本当に働く人に優しい政治と言えるかという意味をお尋ねになりたいのじゃないかというふうに思うのでございますが、介護休業制度は、高齢化、核家族化が進展する中で、介護を必要とする家族を抱える労働者が働き続けるために重要な制度であると考えております。これがもう第一であります。
 今回提出いたしました法律案につきましては、長い間労働者代表、使用者代表及び公益委員で構成される婦人少年問題審議会におきまして真剣な検討が行われ、労使ぎりぎりの折衝が重ねられた結果を踏まえまして、家族介護や労働者の雇用の継続の必要性と企業の負担との調和を図りながら、働く人に優しい制度が確実に定着するように考えまして作成されたものであります。この点につきましてひとつ十分御理解をいただくようにお願いを申し上げたいと思います。
#53
○柳田委員 この問題は、我々もそう違わないスタンスに立っているのですよね。ただ、今必要だということを僕らは主張しているのであります。いろいろな難しい課題があるのもよくわかるのです。最後は政治決断だな、三年先にするのか一年でも早く前倒しするのか、そのことは政治決断だろうと思うのであります。
 きょう大臣の答弁を聞いておりまして、また最初に申し上げた新聞記事を思い出したのでありますが、もう一回読んでおきますけれども、「何も行政がわからない首相なんだから、自民党が手を取って、行政改革や役所の権限制限をやるかと思ったら、今は役人が全部、政治を取り仕切っている。」、こういう評価があるのですよね。もっと決断をしていただきたい。そのことを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#54
○大野(功)委員長代理 次に、初村謙一郎君。
#55
○初村委員 新進党の初村謙一郎でございます。今回出されました育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御質問させていただきたいというふうに思っております。
 まず最初に、育児休業法が制定されるまでの背景といったものについて私なりの認識を申し上げておきたいと思います。
 一九九一年五月八日の百二十回国会で育児休業等に関する法律が制定をいたしました。企業で働くすべての労働者、男性も女性も、子供が満一歳まで育児のために休業できる権利を保障した法律であります。「育児休業等」となっている「等」は、要するに、育児で休暇をとるということだけではなくて、育児休業をとらないで勤務しながら育児をする労働者のための育児短時間勤務制度なども含まれている、そういう意味であるということであります。
 一九九二年の四月から民間労働者に育児休業法が施行されるのに合わせて、国家公務員、地方公務員に育児休業及び育児部分休業の権利を保障する四つの法律が一九九一年十二月に制定をされ、また公務員も九二年四月一日から男女を問わずに、子供が満一歳になるまで育児休業を取得することができるようになりました。一九九二年の四月一日からすべての労働者が子供が一歳になるまでの育児休業をとることができるようになったのでありますが、民間労働者のうち従業員が三十人以下の事業所、今話がありましたような日本経済を支えている中小零細企業では、ことしの四月一日まで待たなければそれができなかったということであります。それで間違いないでしょうか。
 それから、後でお聞きをしますけれども、従業員三十人以下の事業所で働く労働者は何%であるか。大体五〇%ぐらいかなという感じがいたしておりますけれども、そういうことで、民間労働者の半数がやっと本年四月から適用になってきたということであります。
 後でまた大臣にもお聞きをしたいと思いますが、この育児休業法ができた時代背景というのは、私はむしろ出生率の低下、要するに経営者側が過剰投資と言ってはなんですけれども、投資をしていく中、景気がよくなっていっている段階で、あるいはバブル経済が芽生えつつあったときでありますけれども、出生率が低下をしてきた。育児休業で休んでおられる、特に女性の休業取得の方が多いわけでありますけれども、そういう中で経営者側が要するに人材の確保、雇用の確保をある面では認めざるを得なくなったぐらいに出生率が低下をしてきているというのがまず背景にあったのではないかというふうに思っております。出生率は、一九七〇年には、二人で一家族、夫婦でありますから、二を割った。要するに、人口の減少というのがもう目に見えてきている。当然ながら、高齢化社会を迎えるというのはその辺でわかっておったわけでありますけれども、私はそういう認識を持っております。
 育児休業法ができた背景は、要するに労働力の確保という裏面といいますか、企業者側の言い分があったのではないかなというふうに思っておりますけれども、その認識で間違いはございませんでしょうか、大臣。
    〔大野(功)委員長代理退席、委員長着席〕
#56
○松原政府委員 幾つかお尋ねがございましたので、事実関係を私から御説明をさせていただきたいと思います。
 現行育児休業法は、先生御指摘のとおり、平成四年の四月一日から施行されております。ただ、労働者が常時三十人以下である事業所の労働者につきましては、平成七年三月三十一日までの間、すなわち三年間でございますけれども、適用が猶予されて、三十人以下の企業に働く労働者について育児休業がとれるということになりましたのは、法律上の権利としてですけれども、とれるようになりましたのは、ことしの四月一日からということでございます。先生御指摘のとおりでございます。
 なお、ちょっと今手元に企業規模別の労働者構成比の数字しかございません、まことに恐縮でございますけれども。企業規模三十人未満の企業に働く労働者の割合は、女性で三五・七%、男性で三〇・一%という状況になっております。
#57
○浜本国務大臣 議員も御承知のように、育児休業法の努力義務規定ができましたのが昭和四十七年でございますので、今年四月から実施される育児休業法までに約二十年間の経過を経ておるということでございます。
 それから、その当時の時代背景についての認識についてお尋ねでございますので申し上げますと、女性の職場進出、家族形態の変化、労働力不足基調等の中で、働く人がその能力と経験を生かしながら仕事も家庭も充実した生活を営むことができる環境づくりを進めることが重要な課題となっておったと思います。特に女性を中心といたしまして、仕事を続ける上で育児が最も困難な障害として挙げられておりました。育児と仕事の両立を図るためのさまざまな支援対策を早急に充実することが求められておったと思います。これが大体その当時の私の認識でございます。
#58
○初村委員 ちょっと私とまた認識が違いますので後で御質問しますけれども、厚生省の方がお見えだと思いますが、直近の出生率、一九八九年に一・五七という数字だったと思いますが、最近ではどうなのかというのが一点。
 それから、六十五歳以上の、要するに高齢化率といいますか、何人に一人が六十五歳以上の老人であるのかということを、一九九〇年、一九九五年、二〇〇〇年、二〇二〇年、わかる限りで結構でございますので、教えていただきたい。
 それから、もう一つ。現在の在宅要介護者の数、在宅ですよ、この方々が何名おられるのか、教えていただきたい。
#59
○吉冨説明員 初めに、出生率でございますけれども、直近の出生率につきましては、平成五年の合計特殊出生率、これは十五歳から四十九歳までの女子の年齢別の出生率を合計したものでございまして、一人の女子が仮にその年次の年齢別の出生率で一生の間に出産するとした場合の平均の子供の数ということでございますけれども、この合計特殊出生率は平成五年で一・四六となってございます。これが直近の数字でございます。
 また、高齢者の比率でございますけれども、一九九〇年、この時点での六十五歳以上の高齢化率が二一%でございます。その後、二〇〇〇年の時点で一七%、二〇一〇年の時点で二一・三%、二〇二〇年の時点で二五・五%、こういうような形で推計がされてございます。
 また、在宅の要介護高齢者でございますけれども、これは、各地方自治体が老人保健福祉計画というものを作成をしておりますけれども、この老人保健福祉計画の作成に際しまして把握されました要介護高齢者の数、これを集計をいたしましたところ、平成四年度末で約四十四万人、正確には四十三万九千人余の要介護高齢者の方がいらっしゃる、このような状況になっております。
#60
○初村委員 まず最初に、数字だけお聞きをしていきますので、もう一つ、育児休業、これは介護休業と一緒の法案に出されておりますので、ちょっとお聞きをしたいと思います。
 育児休業をめぐる国際的状況については、まず、一九七一年、イタリアで法制化をされました。要するに、二十四年前にもうイタリアで法制化をされている。その次が、七四年にスウェーデン。フランスが七七年。西ドイツ、七九年。それから、スペインが八〇年。デンマーク、ルクセンブルク、八三年。フィンランド、ギリシャ、ポルトガルが八四年。ベルギーが八五年というふうに聞いておりますが、間違いございませんでしょうか。御存じないかと思いますが、多分間違いないというふうに私は認識をしております。
 そこで、この介護休業に関する国際状況について、今やっておられる国、どこどこがあられるのか、内容はどういうふうになっておるのか、名称はどういうふうになっておるのか、それから、今育児休業法ができております国々の中で、別の法律として出しておられるところがあるのかどうか、知っている限りで結構でございますので、教えていただきたい。
#61
○渡邊(信)説明員 介護に関する諸外国の制度について、その国別内容、名称あるいは開始年等についてのお尋ねでございます。私どもで現在把握している限りについて御説明させていただきます。
 まず、諸外国では、日本のように介護のために長期間休暇をとるという制度を持っている国はほとんどございません。
 西欧諸国におきましては、子供の病気の看護のための短期間の休暇を法制化している国が多くございます。スウェーデンでは、一九七六年に育児等の休暇の権利に関する法律という法律の中で、十二歳未満の子供一人につきまして毎年六十日まで、ドイツにおきましては、一九七四年、社会法典第五巻というものにおきまして、十二歳未満の子供一人につき毎年十労働日まで、イタリアにおきましては、一九七一年の母親労働者の保護に関する法律という法律におきまして、三歳未満の子供につき一必要な期間というふうになっております。
 また、子供以外の親族を含みます近親者に関するものとしましては、重病の近親者に対するみとり休暇的なものがございます。スウェーデンの一九八八年、親族等介護休暇法におきましては、被介護者一人につき介護者各人合計で三十日まで、スペインは一九八〇年の労働者憲章というものにおきまして、二親等以内の血族及び姻族の重病または死亡した場合、二日というふうなものがございます。
 なお、現在提案をしております本法律案の介護休業に近いものといたしましては、アメリカの家族・医療休暇制度がございます。一九九三年に、従業員規模で五十人以上の事業所で働きます労働者について、出産、育児、家族の介護または本人の病気のために毎年十二週間まで休暇が取得できる家族・医療休暇法というものが制定されています。
 なお、これらの法律は、今申しましたように、育児、介護あるいは子供の病気とをアメリカのような場合には一緒に規定しておりますし、さきに述べました西欧諸国におきましては、子供の病気のための休暇というふうな制度になっているかと思っております。
#62
○初村委員 今おっしゃったとおり、各国の育児休業というのは、子供の養育のためだけなんですね。日本の「育児休業等」とした、要するに労働者の雇用の継続を目的とするというところは、私は、ある面では特殊なんだなという感じがします。
 そういう面では、この育児休業法あるいは介護休業法についても、どうも企業主体である。先ほど答弁を聞いておりまして、松原局長から、双方の意見をと、いろんな意見がありますからということでありますけれども、もう一つ松原さんにお聞きしたいのですが、経営者と言われる方と労働者、要するに労働省令で定める労働者という数はどれくらいおられるのですか。
#63
○松原政府委員 突然のお尋ねでございますので、細かい数字が出てこなくて恐縮でございますけれども、雇用労働者の数は、男女合わせまして五千数百万というところだと思います。企業数が幾つあるか、ちょっと手元の資料になくて恐縮でございますので、後ほど、出てきましたら御説明させていただきたいと思います。
#64
○初村委員 これは最後に質問しようと思ったのですが、審議会のあり方についてもちょっと後で聞こうかなと思ったのですが、今もうついでに聞いてしまいます。
 審議会の構成メンバー、婦人少年問題審議会の構成メンバーは、どういう方々がなっておられるのか。労働者が五千数百万、要するに日本の人口の半分が今言われる労働省令で定める労働者であるにもかかわらず、審議会の人数だけでいろいろな意見がありますからというやり方をしていると、いつまでたっても官僚主導の法案しかできてこない。
 日本経済というのは、ある面では企業を支えてきました。企業に働く家族も従業員も、ある面では企業に犠牲になりながら、家庭を犠牲にしながら高度経済成長を今までやってきたのだということでありますけれども、これを変えていかなければいけない。そのときに、その審議会のあり方。松原さん、教えていただきたいのですが、先ほど柳田先生の質問の中で私はちょっとけげんなところがあったのですが、審議会の中にもいろいろ意見があるとおっしゃるのですが、審議会の中に労働者側が何人おられたのですか。
#65
○松原政府委員 この問題を検討していただきましたのは婦人少年問題審議会でございますけれども、この婦人少年問題審議会につきましては婦人少年問題審議会令というのが定められておりまして、その中に委員についても規定をされております。「委員は、労働者を代表する者、使用者を代表する者及び」「学識経験のある者のうちから、労働大臣が任命する。」というふうになっており、「ただし、労働者を代表する委員と使用者を代表する委員とは、同数とする。」というふうに規定をされております。具体的には、労働者代表の方は、婦人少年問題審議会は六名。したがって、同数の六名の使用者代表の委員が入っておられます。学識経験者が八人という格好になっております。
 これは婦人少年問題審議会全体でございますが、この問題を特に集中的に議論していただきましたのは、婦人少年問題審議会に置かれております婦人部会でございます。この婦人部会の構成でございますけれども、学識経験者四名、労働者代表三名、使用者代表三名というふうになっているところでございます。
#66
○初村委員 要するに、さっき労働者の数を聞きましたけれども、労働者が五千数百万人、人口の半分ぐらいおられるわけですね。もちろん子供さんもおられます。生まれたばかりの赤ちゃんもおられます。小学校、中学校、高校まで数えると、ある面では労働者の方が経営者の方よりも比率としてはもっともっと圧倒的に多くあるべきだと思うのです。大臣どうですか。ちょっと質問通告がないのですけれども、審議会のあり方。
#67
○浜本国務大臣 お答えいたします。
 審議会のあり方は、議員も御承知のように、原則として労使の代表は同数、場合によっては公益も同数、いろいろな審議会で場合によっては公益の方の人数を少しふやしておるものもございます。そういう構成になっております。
 基本的な問題は、労使関係というものは対立をいたしておりますので、労働行政の施策の決定というものは、三者構成による委員会の御審議をいただき、その答申をいただきまして、できるだけその御意見を尊重するようにいたしまして政策決定、法案の作成をいたしておるような次第でございます。
 私ども労働省といたしましては、この原則を守りながら今日まで政策決定や法制化をしておるということをひとつ御理解をいただきたいと思います。
#68
○初村委員 私の考え方と基本的に違うのですね。要するに、今まではそういうやり方でよかったのです。例えば労使が協調しなければいけないから同じ人数を出して、まあ、ちょっと言えば、今度の法案についても、日数にしてもあるいは施行開始の期日にしても中間をとればいいのですよ。そういう状況でみんなが待ってくれたのです。まあしょうがないな、仕方がないなというところで成長していった。もうそれじゃ済まないのじゃないですかというのが私の認識なんです。
 そこで、大臣、お聞きしますけれども、今の日本を取り巻く労働市場を考えてみますと、世界の労働人口が年間に四千七百万人ぐらいずつ伸びている。日本の総労働人口が毎年毎年追加されているに等しい。約五千万人。ILOの推定によれば、今から二〇二五年にかけて世界の労働人口の伸びの九七%はOECD以外の発展途上国からもたらされるのではないか。一九五〇年にはOECD諸国の労働者が世界の労働市場の約四割を占めていたのですが、これが一五%ぐらいまで下がってくるだろう。要するに、伸びてくるのは、日本に近い、しかも人口の多いアジアの国々なんだ。インド、中国、あるいはインドネシアといったところが伸びてくるわけです。
 例えば、直近の話ですけれども、昨年上海で最低賃金制度が導入されました。日本円に換算すると、時給が約十円なんです。そういう労働力と戦っていかなければいけないという状況の中で、いいですか、そういう状況の中で、果たしてこれまでのような感覚で、例えば今言われた審議会のそういった法律がある、あるいは省令がある、そういうふうな決め方をせねばいかぬというやり方で対応できるのですかということであります。大臣、どうですか。
#69
○浜本国務大臣 お答えいたします。
 審議会の構成につきましては、いろいろな条件の変化はございましょうが、今直ちに労働省といたしましてその構成の比率を変更するというところまでは考えておりません。
#70
○初村委員 まあ比率は変えないでもいいでしょうけれども、少なくとも労働者の方が圧倒的に多いということを認識してくださいよ。
 労働者の皆さん方が、今介護でどういう実態にあるのか。松原さん御存じのように、育児休業法ができたときに、少なくとも御婦人の労働者の確保、労働の場の確保というのはできたのです。介護もそうであります。しかしながら、世界が、労働市場が安くなっている。そういうときに介護する。私は、これで三カ月であろうが一年であろうが休むことによって、企業とすればもっともっと安い労働者を雇うという感覚でいれば、ある面では差別化されてくるのではないか、弊害が出てくるのではないかというふうな感じもするのでありますが、その辺、どうですか。わかりますか、言っていることは。わかりにくいですかね。いいですか。
#71
○松原政府委員 先生御指摘のとおり、我が国の経済を取り巻くいろいろな環境というのは非常に変化が激しいものがあるというふうに私どもも認識をいたしております。かつ、我が国は貿易立国という立場でございますので、多くの国々の多くの企業といわば競争関係にあるという中でございますから、なおさらのこと、国民のコンセンサスを得ながらいろいろな制度、政策の推進というのを図っていく必要性があるのではないかというふうに一般的には思っているところでございます。
#72
○初村委員 そうなんですよ、国民のコンセンサスなんです。要するに、一般人としてのコンセンサスなんです。
 そうすると、僕はこの法律は、育児休業法まではよかったでしょう。経済も成長していました。しかし、介護休業に関しては、むしろ働く方々が現在どういうふうな状況なのか。例えば、今言われた六千万人近い労働者の方々に聞いてみてくださいよ。介護休業法、どれくらいの猶予が要るんですか、一日も早い方がいいんですか、あるいは賃金保障はどうなんですか、社会保障制度はどうなんですかといったことを聞いてくださいよ。審議会の方々に聞いたって一緒なんです。審議会をないがしろにするつもりはないですけれども、むしろ、今言われたように市民の立場で国民の皆さんに問いかけてくださいよ。どういうことが望まれているのか、労働者の方々が何を望んでいるのかという認識を持っていただきたい。このことを強くお願いを申し上げたいというふうに思っております。
 経済は確実に空洞化します。私は、施行は、これは少なくとも中小企業まで含めて即刻やるべきだと思うのです。そうしないと逃げていきますよ。逃げていきますよ。違いますか。どうですか、大臣、産労懇にも出られていると思うので。
#73
○浜本国務大臣 今の御質問でございますが、実は最近、労働時間の短縮問題等につきまして、おくれておる中小企業の皆さん並びにおくれておる産業の皆さんにできるだけ早く御協力をいただくようにお願いをしておるのですが、その方々の御発言によりますと、結局、円高で非常に困っておるんだ。そういう中で労働時間の短縮もやれ、育児休業法の制度も積極的に協力をしろ、また、介護制度の問題についても協力しろと言われても、我々の企業の力からいうと、なかなか御意思に沿わないようなことになるんだということを盛んに私どもには事業主の方がおっしゃるわけでございます。
 恐らく審議会におきましても、そういう事業主の皆さんの御意見を考えて、全体の調整のとれたところで法案の作成についての御意見をいただいたものだというふうに思いまして、労働省は、審議会の大方の御意見を尊重いたしまして、この法案をつくらせていただいたということでございますので、どうぞひとつ御理解いただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
#74
○初村委員 今言われたように、大臣、今までの法律は、もちろん企業を経営される方というのは重要なんです、重要なんでありますけれども、そういう時代じゃないんですかという認識をお持ちですかということです。労働者の方々が、私は一日も早く介護休業をやってほしいという声の方が圧倒的に多いのです。松原局長、そういう声を聞いたことがないですか。あるはずですよ。
 企業を経営する側はそうなんです。今大臣がおっしゃったとおりなんです。困るな、円高で困るな。要するに、今休業法が出ると困ってしまうなというのはあるのです。しかしながら、現実、今言われたような高齢化社会がもう急速に来ているのです。実は、私のふるさとには離島がたくさんあります。もう既に二〇%を超えているところがあるのです。二〇二〇年を待たずに二〇%を超えているところもあるのです。そういうところに限って公的な福祉施設もない。在宅なんです。そういう状況の中で、私は認識をもう少し変えていただきたい。
 例えば、厚生省の方がおられるので耳をちょっとふさいでいただきたいと思うのですが、ある本にこういうことが書いてあります。「厚生省は、病人を楽にしたり、病気を治したりすることが最優先事項だとは考えていない。」これは僕が言っているのじゃないですよ、本が言っているのですからね。「他省と同じでこほかの省庁と同じで、「まず、日本の産業の保護を考える。厚生省は、例えば日本の医療品業界の保護を何よりも優先する。日本の製薬会社が新薬の開発と生産計画をしているときは、それと同種の既に開発された薬で外国でしか売られていない製品については、一般に向けて日本へ輸入することを許可しない。」要するに、日本の会社のために競争させたくない。そういうふうに、ある面では規制をかぶせてきたのです。規制緩和の原点はここにあるのです。
 そういう意味では、ぜひ、この名称を含めてお聞きしますけれども、名称を含めて要するに、労働省、少なくとも労働者の立場で私はやっていただきたい。育児休業法ができた時代背景と今の時代背景では全然違うということなんです。そういう認識をぜひ大臣に持っていただきたい。どうですか。持っておられますか。
#75
○松原政府委員 先ほど、労働者の皆さんがこれを非常に望んでいらっしゃる、そういう声を聞いたことがあるかというふうにお尋ねがございましたけれども、私どもも、多くの働く方々がこういった制度を一刻も早く導入してほしいという気持ちをお持ちであるということは承知をいたしております。
 ただ、先ほども国民的なコンセンサスというふうに申し上げましたけれども、それはやはりそういう立場の方の声と同時に、一方、こういった制度が義務づけられる、その制度が義務化されたものを受け入れる企業の立場、そういったものも総合的に考えて、お互いの意見を調整してコンセンサスをつくっていただき、それを踏まえて政策、制度になっていくものだというふうに考えております。そういう意味では、審議会でそれぞれの代表の方が十分意見を出し合って、真摯に議論をしていただくということが極めて重要なことだというふうに私どもは考えているわけでございます。
 もちろん、この制度が非常に急速に必要とされてきたということは、我が国の高齢化が非常に急速であるということが背景にあろうかと思います。ちょっと古いことですけれども、昭和六十年、今からちょうど十年前、男女雇用機会均等法の議論が行われておりましたけれども、そのときも既に育児の問題については、育児休業制度の法制化が必要ではないかという議論は非常に高まりがその時期もあったわけでございますが、思い起こしますと、そのとき介護の問題というのはまだまだ認識はそれほど大きいものではございませんで、余り議論もなかったやに記憶をいたしております。したがって、時代が非常に大きく変わり、この介護休業についてのニーズが高まっているという時代背景の変化ということは、私どもも十分認識をいたしております。
 ただ、働く労働者にとって、特に女性にとって、家庭生活と職業生活を両立させながらずっと働き続けるという観点から見れば、育児と介護というのは、どうしても職業と両立をさせるための条件整備をしてほしい二大要因でございます。そういうことから、時代背景が違い、もちろん内容的には違うものでございますけれども、労働者の職業生活の継続を困難にしている二大要因について対応するという点においては、この二つは軌を一にしているものでございまして、働く方々にとっては、むしろ、そういう家族的責任をトータルで考えるというやり方の方が私どもとしては期待されているところではないかというふうに考えているところでございます。
#76
○初村委員 要するに、何か初めに企業ありきというふうな感じが私はいたしました。残念であります。
 最後に、審議会についての最後の質問ですが、審議会の使用者側の中に三十人以下の零細企業の方々が入っておられますか。
#77
○松原政府委員 委員に出てきておられる方御自身が三十人以下の企業を経営しておられるという方であるかどうかは十分承知しておりませんけれども、中小企業を傘下に多く組織しておられる団体の責任者の方が出てきておられます。中小企業の立場についても十分審議会の場で御発言をなさっているところでございます。
#78
○初村委員 要するに、日本の企業の形態というのはそういうふうになっていますね。零細企業が中小企業を支えて、中小企業が大企業を支えていくという方式になっております。その代表者が来たからといって零細企業の代表として意見を述べているかどうかというのは、私はそういうふうには思わない。現場で、恐らくそういう方々は、介護者を持っておられても、在宅ではなくて有料老人ホームに預けられる方が多いのではないかと思うのですよ。松原さん、どうですか。そういう面では使用者側、ちょっと不明な点、私も通告していないので申しわけないのですが、これは調べて後で教えてください。どういう発言があったのかということまで、わかればお教えをいただきたいというふうに思っております。
 これはもう余り意見の相違があって、ちょっと考え方が違うので、申しわけないので少し簡単な質問をさせていただきたいと思うのですが、要するに、先ほどの経済の空洞化、企業が外に出るよという状況の中、円高が進む、景気が悪いという中で、私は、むしろ労働市場を拡大するという前提で、介護休業による不利益取り扱いについて労働省はどれくらいのたがをはめられるのか、どういう厳しい通達を出されるのか、どういうやり方をやられるのか、お教えをいただきたい。
#79
○松原政府委員 介護休業の申し出をするとかしたとか、また休業したということを理由とする不利益取り扱いの関係でございますけれども、これらを理由とする解雇の禁止というのは既に私どもの法案の中に入れさせていただいております。また、年次有給休暇の取得要件である出勤率、これの算定に当たりまして、休業した日数というのは出勤した日数とみなすといいますか、休業を出勤とみなす取り扱いにするということで、これについても今回の法案の中に入れさせていただいております。ただ、それ以外の事項につきましては、休業するということは実際に出勤をしない、労務の提供をしない日があるということでございますので、どのような取り扱いが不利益取り扱いであるのかといったようなことについて、先ほど先生もおっしゃいましたコンセンサスというのがまだなかなか社会的に得られていないのではないかということから、法律上は明文化していないわけでございます。
 ただ、御指摘のように、労働力需給が緩んでまいりますと、労働者の労働条件にもいろいろな影響が出てくるということは懸念されるところでございます。そういう中にありましても、労働者が法律によって与えられておりますというか、労働者の法律上の権利、この権利行使が妨げられるというようなことがあってはならないというふうに考えておりまして、労働省としてもその旨事業主に対する啓発指導はやっていきたいというふうに考えているところでございます。
#80
○初村委員 これは、大企業でも中小企業でも、先ほど柳田代議士からお話がありましたように、零細であればあるほど非常に家庭的な雰囲気で会社を経営していく、運営をしていくというのが私は日本企業のあり方だと思っております。それから、さっきも言いましたけれども、例えば、全家族が、全ファミリーが企業に奉仕をしていく、要するに、労働力を提供することによって賃金を得られるというだけではなくて、すべてを犠牲にしていくというのが私はある面では、これまでの企業体のあり方だったんじゃないかな、労働者のあり方だったんじゃないかなというふうな感じがいたしております。
 しかし、家庭を守る主婦の方は、果たしてそれで、例えば退職金をもらった後に離婚する人が非常にふえているらしいのですけれども、そういったことも考えると、むしろ、むしろですよ、そういった今言われたような企業のあり方を考えたときに、休み過ぎじゃないか、おまえやめてもいいんだぞ、もっと安い労働力があるんだぞ、あるいはさっき空洞化の話をしましたけれども、企業は外へ出ていくんだぞというふうなところで、かなり不利益な取り扱いを受けるのではないかなというふうに私は思っております。
 コンセンサスはもちろん必要です、必要でありますけれども、この辺は早急に、労働省の通達になりますかね、そういうふうなことでぜひやっていただきたい。どれくらいをめどにやっていただけるのか。大体、時間的な、コンセンサスを得られるためにどれくらい時間がかかるのか。それから、コンセンサスを得るために施行期日がおくれているのかどうか。これを教えていただきたい。
#81
○松原政府委員 私も、この法律案を成立させていただきましたら、当然施行のためのさまざまな通達を発出するということはやる予定でございます。先ほど申し上げましたように、労働者の権利行使を、法律上認められておる権利行使が妨げられるというようなことがあってはならないのは当然でございます。先ほど、事業主に対する周知啓発をやる必要があるというふうに申し上げましたけれども、そういう旨も通達において、具体的に施行は地方出先機関である婦人少年室が行うわけでございますけれども、そういうところに向けて指示はいたしたいというふうに考えております。
 ただ、先ほど申し上げましたコンセンサスということについてでございますけれども、一定期間休業する、そしてその休業した」とを一体どういうふうに復職した後の処遇だとかというようなときにカウントするかということについては、先ほど申し上げましたように、まだコンセンサスもないわけでございますし、どのようにつくっていくかということにつきましても、かなりこれを施行していろいろな事例が積み上がっていく中で探っていく問題ではないかというふうに思っておりまして、コンセンサスができることに時間がかかる、したがって施行期日がということではなくて、今全くない状態でございますので、施行をし、いろいろな事例が積み上がる中で、一定の行為がどういうふうに判断されていくかというようなことをみんなの認識として積み上げていく、そういう中でコンセンサスというのができていくのではないかというふうに考えているわけでございますので、先生が御質問ございましたような不利益取り扱いについてのコンセンサスの形成の問題と施行期日の問題というのは、直接的には関係がないというふうに考えております。
#82
○初村委員 何か育児休業法と介護休業法、もちろん、別にすべきだというのは、さっきも言いましたけれども、時代背景と日本を取り巻く経済環境が全然違うのですよ。わかりますか。例えばこういうことが起こるんじゃないですか。さっきも言いましたけれども、一年間も休むのであれば、あるいは三カ月でも、例えば介護者がおられる、当然ふえてくるわけですからおられると思いますよ。その中で、労働力は、近いインドとかあるいはマレーシアとか中国とかで、世界人口の半分以上のところからもっともっと安くできるよ、入れられるよ、入れられないとすれば企業が出ていくよという時代になっているのですよ。そういうときに、そこを考えないでやられるというのはちょっと遅いのじゃないですか。
 コンセンサスが全くないと今おっしゃいましたけれども、実際、この休業法を実態として大企業では取り入れているところがあるのじゃないですか。どうですか。大企業の中で、この介護休業を、法律がなくても労使間で協定の中で結ばれているところはあるんじゃないですか。そういったところからお話を聞いたことはないのですか。まず、労使間協定の中でやっておられるところがあるのかどうか、何日間ぐらいやられているのか、それから、その中での実態、どういうことが起こっているのかということを聞いているはずですよ。そうでなければ労働省の意味はないじゃないですか。教えて。ください。
#83
○松原政府委員 私どもが平成五年度に実施いたしました調査の結果でございますけれども、これによりますと、介護休業制度を設けている事業所の割合は一六・三%、三十人以上の事業所でございますけれども、一六・三%でございます。ただ、規模別に見ますと若干差がございまして、五百人以上の事業所では、この制度がある事業所の割合は五一・九%というふうになっております。
 この制度につきましては、労働協約とか就業規則で定められているものももちろんこの中に入っておりますけれども、慣行などで行われているものもございます。また、わずかではございますけれども、失効した年次有給休暇を積み立てておいて、それを使って介護のために休むことができるというふうにしているようなところも入っております。
 期間につきましても、定めている事業所というのが多いわけでございまして、例えば、最も多いのは、一年というふうに定めているところが五六・四%というふうに多くなっているとか、例えば条件で、要介護者と労働者との関係について条件があるかないかというふうに聞きますと、例えば、同居とか扶養とか、また、他に介護者がいないとか、本人の家族介護が本当に必要かとか適当かとか、そういったような条件をつけているという事業所が七五%あるといったような、幾つかの実態は把握をいたしております。
 ただ、先生御指摘といいますか、御質問にございましたような、この介護休業制度をとったことを理由としていろいろな取り扱い、もちろん復職したときの職場復帰をどうするかとか、それから賃金、その後の昇給昇格などがどうなるかとか、さまざまな問題があろうかと思いますけれども、そこまでの細かい調査はこのたびの平成五年の調査ではいたしておりません。
 また、婦人少年室は、日ごろいろいろな相談を労働者の方から受けているわけでございますけれども、この既に設けられておる介護休業制度を利用したことによって何か不都合な取り扱いがあったといったようなことが声として寄せられているということは、私どもは把握はしておりません。
#84
○初村委員 平成五年にそれだけ調査をされて、既に二年たっているのですね。
 もちろんそういう呼びかけがなければ行かないですよ、普通の人は。婦人少年室がどこにあるのか知りませんよ。労働省が何をやっているのかというのはわからないと思いますよ。あるいはこの審議会の中でそういう不利益のことが話はされていないと思うのであります。なぜならば、要するに、さっき言ったような小さいところじゃなくて、小さいところをまとめた大きいところの代表者が出てきているわけでしょう。違いますか。私は、この二年間、では労働省は何をやっていたんですかというふうに言いたくなりますね。聞いているはずだと思いますけれどもね。全く聞いてないですか。
#85
○松原政府委員 恐縮ですが、全く聞いておりません。
#86
○初村委員 それではもう一つ、これは労働省からいただいた資料でありますけれども、労働省発表、平成六年七月八日、介護休業制度に関する専門家会合の報告について、この中に、「介護休業の期間等」、要するに、この構成員で六名の方でありますけれども、介護休業の期間としては最低三カ月程度を確保することが適当であり、取得回数については、さまざまな考え方があるが、要介護者一人につき最低一回は確保することもやむを得ないという面もあるというふうな報告がされております。
 それから、大臣になられてから、昨年の十二月十六日、婦人少年問題審議会、ここに来ますと、介護の期間というのも当然調査をされていると思うのですが、要するに、「介護休業を取得できる期間は最長一年間とし、回数は継続する一要介護状態ごとに一回とすべきである」という意見もあったということなのです。
 それがことしの一月二十四日の報告になりますと、要するに、労働者側の意見としてだけ三つ出ているのですね、労働者側の意見が。介護休業及び勤務時間の短縮等の措置の期間は一年、取得形態については断続を認めること、施行期日は一九九六年四月としていただきたい、それから、育児休業と同じように休業中の生活保障措置を講ずるようにという意見が出されているにもかかわらず、こういう法案を出されているということなのです。
 みずからが調査をされて審議会にかけ、あるいは研究会ですか、その中に、最低でも三カ月、要介護者一人につき最低一回と書いてある報告書がある。大臣に対しても、そういうふうに、中にはやはり一年要るのだ、断続的にできるようにしてはどうだというふうな意見もある。それがだんだん弱くなっているのです。それで最後に出てきたのがこの法案ではないですか。何がそういうふうにさせたのですか。企業ですか。
#87
○松原政府委員 ちょっと事実関係をまず御説明させていただきたいと思うのでございますが、昨年の七月八日に出ました介護休業制度に関する専門家会合の報告書でございますが、これは、婦人少年問題審議会が介護休業制度について法的整備を含めた有効な普及対策を検討するということで平成五年から審議をされてきたわけでございますけれども、法制化についても視野に入れて議論をするということであるとすれば、介護の問題というのは非常に多様でございますので、要介護状態というのをどういうふうにとらえるのかとか、そういったことについて専門的な検討が必要だということとされて、その審議会での議論を踏まえてできた専門家の会合であり、その報告書が出たというものでございます。ここは、したがって非常に専門的な立場から検討をお願いして、その結果でございますけれども、先生が先ほどおっしゃいましたように、さまざまなことを説明した上、介護休業の期間としては最低三カ月程度を確保することが適当であるというふうにされ、回数についても、法律を念頭に置くと、要介護者一人につき最低一回は確保することもやむを得ない面があるというふうにされた。これが専門家会合の結果でございます。
 これを踏まえて審議会で議論がさらに深められ、昨年の十二月に建議が出ました。この建議は、柱書きといいますか主文がずっと書いてありまして、そして、具体的な法的整備についての改良点といいますか考慮点というものが何点か指摘をされました。八点ばかり指摘をされたわけでございます。その中に、今先生がおっしゃいました期間と回数について言えば、「介護休業を取得できる期間は、家族介護の必要性と企業の要員管理等の負担との均衡を考慮して、連続する三カ月とすることが適当である。」という意見がありまして、また回数については、対象となる家族一人につき一回は確保することが適当であるというふうに大きな意見があったわけです。これに対しまして、介護休業を取得できる期間は最長一年とし、回数は継続する一要介護状態ごとに一回とすべきであるという意見もあるというのは、先ほど申し上げた多数意見に対する少数意見として、この一年と一要介護状態ごとに一回というのは労働者側からの少数意見としてついたものでございます。
 この建議を踏まえて私どもは法案要綱をつくり、審議会に諮問をいたして、そして一月に出ましたのは、その諮問に対する答申でございます。答申の主文では、諮問のあった件についてはおおむね妥当と認めるというふうにされた上、労働者委員及び使用者委員から意見があったということで、労働者側委員からの意見については先生が三点御指摘をされました。一方、使用者側委員の方からは、詳細読み上げることはいたしませんけれども、三点ばかりのやはり少数意見がついているわけでございます。
 こういった流れを全体的に総合的に私ども勘案いたしまして、先ほど来若干御説明いたしましたけれども、今国会にそういったことを内容とする法案を提案をさせていただいたということでございます。したがいまして、先生がおっしゃったように、だんだん時間を経るに従って内容が後退していったとか、それが使用者側に対する配慮ではなかったかといったようなことについては、全くないというふうに申し上げておきたいと思います。
#88
○初村委員 また最初の議論になるのですよね。労働者側の少数意見と今おっしゃいましたけれども、本当にそうですか。私は会社を経営しております。使用者であります。松原さんはお勤めになっています。ある面では国会議員もサラリーマン化していると言われていて労働者かもしれませんけれども、労働者がたまたま六人出てきた中の少数なのですよ。要するに、審議会の中だけではなくて、もっと国民全体の中で、日本人の半分が労働者なのです。その意見として出ているのは、審議会では少数意見かもしれませんけれども、少数意見だというふうな認識は私は間違いだと思いますよ。訂正してくださいよ、これは。
#89
○松原政府委員 まず、審議会の委員の先生方は、審議に臨んでいただくときは個人として審議会の場で意見をおっしゃるということではないのではないかというふうに私どもは思います。先ほど審議会令まで引かせていただきましたけれども、労働者を代表する委員、使用者を代表する委員ということで、それぞれのお立場といいますか、労働者代表であれば労働者の方々がどういうことを望んでいるのか、そういったことを十分踏まえられながら、一方、使用者側も使用者側としてはどういうような意向を持っているのかということを十分踏まえて、いわば代表選手というとまた言葉がちょっといいのかどうかわかりませんが、そういった意見を十分踏まえて審議会に出てきていただき、個人の意見ではなくそこで審議をしていただいているというふうに認識をいたしております。
 少数意見という言葉の使い方が適切でなかったとすれば、そのこと自体は別の言葉で言いかえても構わないのですけれども、少数意見と申し上げました趣旨は、審議会の中で公益委員と使用者側の意見が一致しているのに対して、数として相対的に少ない労働者側委員から先ほど申し上げたような意見が出たということで、便宜少数意見というふうに申し上げさせていただいたわけでございまして、特に他意がある言い方ではございません。
#90
○初村委員 どこまで行っても何か平行線です。残念であります。
 先ほどの答弁の中で、大臣、施行期日を一年でも、一九九九年四月から、柳田代議士の質問の中でも、要するに先ほど松原さんが言われたようなコンセンサスが得られれば、あるいは労働省としていろいろな根回しも要るでしょう、企業への配慮も要るでしょう、そういった中で、一年でも早くできるのであればやるのですか。どうでしょうか。
#91
○浜本国務大臣 もう議員も御承知のように、先ほどから局長が答弁申し上げましたように、介護休業制度の普及率が全産業で一六・一%ということでございますので、まだ大変普及をしていないということでございます。しかも、審議会の中では、中小企業を代表される経営者の代表の方から、中小企業の負担問題を中心に必ずしも賛成していただけないような意見が出てまいったわけでございます。したがって、そういう意見を考慮いたしまして、バランスのとれた方法といたしまして施行日を平成十一年四月一日ということにいたしたわけでございます。
 柳田議員にお答えいたしましたように、施行をいたしまして、さらに労働省が普及、啓蒙に努力をいたしましたり、また労使関係で御努力をいただきまして、こういう制度が労使関係の中で決定されるという条件ができますならば、できるだけ早めるということにつきましては一向差し支えないのじゃないかと私は思っているわけです。
#92
○初村委員 大臣、要するに育児休業法ができたときの経済状況と違うという認識を持てば、私は、この法律は決して一緒にやるべきじゃないと思っております。別々にしてやらないと大変なことになりますよ。育児というのは子供さんが育つという夢があります。介護の現場というのは本当に大変なんです。所得保障、社会保障制度については、どういうふうに労働省としては考えられておりますか。
#93
○松原政府委員 所得保障と言ったらいいのかどうかは別ですけれども、介護のために休んでいる期間の経済的援助といいますか、労働者に対する経済的援助の問題でございますけれども、これにつきましては、昨年の十二月の審議会の建議におきまして「今後、介護休業制度が適用される時期を念頭におきつつ、更に十分に議論することが適当」であるとされたところでございます。
 私どもとしても、制度の適用時期、政府案におきましては平成十一年四月一日でございますが、この適用時期を念頭に置きまして、十分検討の上対処をいたしたいと考えております。
#94
○初村委員 私は、この前農林水産委員会でもやはり役所の考え方を少し変えてくださいというふうなことを申し上げました。だんだんその方向に向かっております。松原局長さん、本当にぜひ認識を変えていただきたい。これは大変なことになりますよ。このままいくと、日本経済はだめになっていきます。その中での雇用政策といったものをしっかり認識をして、労働省、頑張っていただきたいという意味で、きょうは大変厳しく申し上げましたけれども、申しわけありません。
 大臣、ぜひお願いしたいのですが、労働者が一日も早くというふうに望んでおるこの法律であります。一日も早く、それこそ、言われるように村山政権が期待をされるかどうか、私は余り期待しておりませんけれども、一日も早くこれをやらないと大変なことになると思いますよ。このままでは、一九九九年、日本経済はもう最悪の状態になるのじゃないでしょうか。そういう認識でぜひ早くやっていただきたい、このことをお願い申し上げたいと思います。
 以上です。
#95
○笹山委員長 午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十七分開議
#96
○笹山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。東洋三君。
#97
○東(祥)委員 新進党の東洋三でございます。
 浜本大臣、またきょう一時間半ぐらいにわたって議論させていただきたいと思います。
 もう四年か五年ほど前になるのでしょうか、あの福祉大国として有名なデンマークの、厚生大臣か福祉大臣か正確な名称は忘れましたけれども、日本に来られて日本の福祉行政についていろいろ視察された。最後の方に講演会を開いて、そして、私は自分の国以外のことについて言う、そういう資格も何もありませんが、日本に来たときの印象ということを語らせていただければということで、次のような趣旨のことを言われておりました。
 その大臣は、時間があるときにデパートを訪問させていただいて、日本というのは、デンマークでは考えられないような高価な物が何てたくさんあるのだろう、また、その高価な物を買うために、こんなに多くの方々が物を買われている、何て豊かな国なんだろう、ただ、自分自身にとって本当の豊かさというのは、やはりそういうものではなくて、一人一人の人間が、婦女子もまた高齢者の方々も安心して暮らせる社会、そういう社会が保障されている状況が本当の豊かさなのではないのか、こういう趣旨のことを言われておりました。とても感動いたしました。
 高齢社会が来ると言われて久しいです。六十五歳以上の方が総人口の七%を超えて高齢化社会だとか、あるいはまた一四%に達すると高齢社会だとか、言葉が乱舞しているわけですけれども、最近になって、例えば自動車を運転していて信号で待っているときに、お年寄りが、普通二十秒から三十秒ぐらいだろうと思うのですが、ゆっくりゆっくりお歩きになっている。信号機の時間一つ取り上げても、これは変えなくてはいけないのじゃないのかな。また、余り諸外国にはないわけですけれども、あの何とも言えない歩道橋、何で人間が道路の上を歩かなくてはいけないのか。足の不自由な人、お年寄りにとってみれば、エレベーターもないああいうところを上り詰めていくときにどれだけの負担がかかるのだろう。本来ならば、道路が人間の歩くところの上を走るのが当然なんじゃないのか。逆転しちゃっているんじゃないのか。そのようなことを考えるときに、まさにこの高齢社会というのは、ただ単なる労働行政というそういう狭い領域だけではなくて、社会全般にわたってくる問題なんだろう、このように考えざるを得ません。
 今、病院は老人で満杯でございます。また特別養護老人ホームも、これも満員です。さらにまたデイサービスも満員。さらにまたショートステイも満員。満員のみならず、入所を待ち構えている方々がたくさんいる、こういう現状があるわけですね。そういう意味においては、まさに高齢対策というのは待ったなしの時期を迎えている。その一つの大きな柱として本日この介護休業法案というものが議論されているわけですけれども、ある意味で、遅きに失しているという状況もあるかもしれません。
 戦後すべてを投げ出して今日の日本の繁栄を築いてくださったお年寄りの方々が、自分たちがお年寄りになったときに一体どのような仕打ちを受けているのか。忍耐強い方々ですから、なかなか本音のこと、本当に思っていることを、もっともっと言ってくださればいいわけですけれども、我慢されているという側面もたくさんある。
 そういうことを踏まえた上で、大臣にまずお聞きしたいと思います。高齢社会というのはまさに社会全体に大いなるインパクトを与えるものだ、こういうふうに私は今申し上げましたとおり推察するんですけれども、社会に与えるインパクトということにおいて、労働大臣、またこの介護休業法案の所轄の大臣でございますから、ただ単に労働行政に限らず、社会全体に与えるインパクトについてどういうふうに御認識されているのか、まず初めに聞かせていただきたいと思います。
#98
○浜本国務大臣 お答えをいたします。
 高齢化社会に対応する政策といたしましては、長い間日本の国のために働いていただきましたお年寄りの皆さんが、生きてよかったというような社会にするための環境を整備することにあると思います。介護政策につきましても、その中の一つの重要な政策ではないかというふうに思っております。私どもといたしましては、そういう中で労働行政の役割をしっかり果たしていかなければならないと考えておるわけでございます。
 それでは、労働行政の役割とは何かと申しますと、我が国におきましては、議員も御指摘のように、出生率の低下でありますとか平均寿命の伸長を背景に高齢化が急速に進んでおりますので、こうした高齢化の進展が我が国の経済社会の発展を停滞させるのではないかというような見方もあることは御承知のとおりでございます。しかし、我が国の高齢者の就業意欲というものは非常に高いものがございます。こうした働く意欲、能力を高齢者に十分発揮していただくことで我が国社会経済の活力を維持していくことが重要であると考えております。
 そのため、労働省といたしましては、希望すれば六十五歳まで現役として働ける社会を実現するための環境整備に積極的に取り組んでいかなければならないと思っております。また、急速な高齢化の進展によりまして、家族の介護の問題が国民的に重要かつ喫緊の課題となっておりますので、労働省といたしましては、介護休業制度の確立を初め、労働者の職業生活と家庭生活との両立支援対策を積極的に推進してまいりたいと思っております。それで、ことし労働省は、重点政策の副題といたしまして、「職場で家庭で一人ひとりが輝くために」、そういう副題もつけまして一生懸命取り組んでおるような次第でございます。
#99
○東(祥)委員 今回の介護休業法案は労働省の所管になった、そして扱う問題はまさに高齢者に対しての対策という、極めて扱う範囲が広範なものである。そうすると、ただ単に労働行政という側面からではなくて、この高齢者というものが日本の社会に与えるインパクトという角度から当然考えていかなければならない問題なんだろうというふうに労働大臣もお考えになったんじゃないのか。この点については、まずいかがですか。
#100
○浜本国務大臣 議員御指摘のように、介護休業制度は、介護サービスの社会的な充実と相まちまして、家族による介護がやむを得ない場合の緊急対応措置といたしまして機能するようにすることが大切であると思います。これを広く円滑に普及させることが重要な課題であるというふうに思っております。
 このため、介護休業制度の法制化、介護を行う労働者に対する支援措置の実施等を内容とする法律案にいたしまして提出しておるような次第でございます。
#101
○東(祥)委員 そうしますと、労働大臣がこの介護休業法案の所管の大臣である。そのときから当然、扱う範囲が広範ですから、労働大臣は、まずしょっぱなの段階で、法案を成立させようとするその段階で何らかの行動を起こされましたか。介護休業法対策なるそういうチームをおつくりになりましたか。そして、その後当然関係省庁の方々を呼んで担当官との間でいろいろな話し合いをしたのではないのか、こういうふうに思いますが、まず労働大臣、その点についてはいかがですか。
#102
○浜本国務大臣 介護休業制度の法制化の問題につきましては、私が大臣に就任する以前から労働省としては取り組んでまいっておりますので、その経過につきまして担当局長の方から御答弁をさせていただきたいと思います。
#103
○松原政府委員 介護休業の法制化問題というのは、私ども、女子労働者福祉対策基本方針を定めました、今から約三年ぐらい前だったと思いますけれども、そのときから重要な政策課題というふうに認識をしておりました。
 実は、婦人局がこの介護休業制度の問題を取り上げましたのは平成二年が初めてでございまして、そのときには、この制度の必要性についてなるべく多くの方々に知っていただくことが必要だということから、シンポジウムをやるというようなことからぼちぼち始めたわけでございます。そして、その後平成四年に、もう少し具体的に企業にこれを定着させる、普及させるということが必要だと考えまして、介護休業制度等に関するガイドラインというのを定めて普及指導をやってきたわけでございます。
 そういった経緯もありましたけれども、なお普及率が一割台にとどまっているという実態、一方で、高齢化社会が急速で、介護が必要な家族を抱える労働者もふえてくるというような実態、そういったことも考えまして、先ほど申し上げました女子労働者福祉対策基本方針の中では、介護休業制度については法制化も含めた有効な普及対策を検討するというふうに定めたわけでございます。そして具体的な作業の進め方といたしまして、一昨年でございますけれども、婦人局内にこの問題を検討するプロジェクトチーム、表に発表したものではございませんけれども内部のプロジェクトチームをつくりまして、検討を進めてまいりました。もちろん、並行して婦人少年問題審議会の中でも、平成五年からこの問題も含めたさまざまな問題を議論していただいていたわけでございます。
 そういう中で内部で議論を詰めてまいりましたが、一方、厚生省との関係につきましては、先生御指摘のように非常に密接に関係する問題でもございます。したがって、折に触れて私ども、事務レベル、いろいろなレベルで意見交換をしてきておりますが、婦人少年問題審議会でこの問題を議論いただきましたときにも、厚生省の方にもおいでいただき、我が国の介護対策、またその前提となります高齢化の現状等について話を聞くなどさまざまの連携措置をやってここに至ったものでございます。
#104
○東(祥)委員 三年から四年ほど前からこのための準備に取りかかってこられて、一昨年の段階で正式なプロジェクトとして発進して今日を迎えられた。
 労働大臣、先ほど申し上げましたけれども、今病院も、さらにまた老人ホームも、デイサービスセンターも、ショートステイの場所も、老人で満杯です。さらにまた急速なスピードでもって介護にお疲れになってしまう、介護の種々の苦痛を感じられる家庭がふえてきている、崩壊する家庭がどんどんふえてきている。この実態については、大臣、当然御存じだと思うのですけれども、どのように認識されていらっしゃいますか。
#105
○浜本国務大臣 お答えいたします。
 高齢化の進展に伴いまして、家族が介護を要することは非常に多くなっておることは議員御指摘のとおりでございます。したがって、国の政策といたしましては、既に決定をいたしておりますゴールドプランをさらに充実させまして、これをできるだけ早く実行するということが必要でございます。
 第二番目は、社会的な介護制度というものを充実させまして、介護の負担をできるだけ国の立場から支援をしてさしあげるということが必要でありましょう。
 第三は、労働行政の介護休業制度というものを法制化いたしまして、早く成立をさせまして、できるだけ働く人々が職場と家庭の両立ができるように支援していくことが大切であるというふうに考えております。
#106
○東(祥)委員 この資料ですけれども、「新たな高齢者介護システムの構築を目指して」、よくまとまっている資料だと思いますが、この資料によりますと、介護の必要な高齢者は現在約二百万人に上っている、これが平成十二年、西暦二〇〇〇年には二百八十万人、平成三十七年には五百二十万人に増加することが予測されている。大臣、同じ数値を入れて高齢社会に対応しようとお考えになられていますか、別のデータに基づいて考えておられますか。
 今僕が申し上げました介護の必要な高齢者の数というのは現在二百万人である、平成十二年には二百八十万人に上ってしまう、この認識はよろしいですか。
#107
○浜本国務大臣 結構だと思います。
#108
○東(祥)委員 そうすると、新ゴールドプラン、平成十一年ですね、そこで、この需要者と、そしてそれに対しての社会的サービス、公共サービス、この間はうまく埋まるのですか。いかがですか。
#109
○吉冨説明員 新ゴールドプランにおきます平成十一年度の時点での介護ニーズにつきましては、市町村が老人保健福祉計画を策定します段階で、現状のニーズをまず把握しまして、この現状のニーズに基づきまして平成十一年度の目標年度の介護ニーズを推計しておるということでございます。
 新ゴールドプランにおきます在宅サービスそして施設サービスの整備目標、こういったものにつきましては、それぞれの市町村が平成十一年度におきます介護ニーズにこたえるためのサービス基盤の整備、こういったものをそれぞれの計画で設定をしてございますので、そういったものを平成十一年度時点での整備目標量ということで集計をしまして、そういった自治体の整備目標に十分こたえ得るだけの支援をする、こういったようなことで昨年の十二月に新ゴールドプランを作成したということでございます。
 私どもとしましては、市町村がそれぞれの地域で平成十一年度におきます介護ニーズを把握して、それにこたえるサービス基盤の整備目標を設定しておるということから、平成十一年度の時点では、介護を必要とします要介護老人の方につきましては、それに見合いました介護サービスが提供される体制が整備をされる、このように考えております。
#110
○東(祥)委員 そうすると、僕が先ほど言いましたデータと同じデータを使っていますか。強調される側面では市町村から上がってきたデータというのですけれども、これを全部サメーションしますと、合計すると、現在介護を必要とする数というのは二百万だというふうにとらえていいですか。
#111
○吉冨説明員 先ほど先生が御指摘をされました二百万人の数というのは、要介護老人、正確には要介護老人と虚弱老人を合わせまして二百万人、こういったような数になっておるわけでございますけれども、この二百万人という数字につきましては、市町村が平成四年度の時点でその区域におきます高齢者につきまして、原則としまして悉皆調査により把握した数字でございます。
 そういうようなことで、この二百万人という数字につきましては、その地域ごとの要介護老人そして虚弱老人の数を正確に反映した数字である、このように考えております。
#112
○東(祥)委員 そうすると、これは平成四年のデータなわけですね。そうすると、ゴールドプランが達成される平成十一年度においては、もっと数がふえていってしまう、また再修正が必要になると思われますか、これで十分だ、ニーズに適応できる、こういうふうにお思いですか。
#113
○吉冨説明員 市町村では老人保健福祉計画を策定します際に、現状の数字としまして、平成四年度現在の要援護老人の数を二百万人ということで把握をしているわけでございますけれども、それぞれの市町村は、平成十一年度におきます要援護老人の数、こういったものにつきましては、それぞれの市町村の人口の年齢階層別の伸びでこれを延ばしまして、平成十一年度時点での要援護老人の数を推計しておるわけでございます。
 その数字につきましては、平成十一年度時点で要援護老人が百四十万人、虚弱老人が百三十万人ということでございまして、この両者を合わせました要援護老人は二百七十万人、このようなことで推計をされております。
#114
○東(祥)委員 そうしますと、データのことばかり責めると申しわけないのですけれども、よくわからないのです。つまり、サービス供給量ということで、ホームヘルパー、デイサービス、ショートステイ、在宅介護支援センター、特別養護老人ホーム、老人保健施設、ケアハウス云々というふうに書いてあります。要介護、虚弱も入れれば平成十一年度では二百七十万人。そうしますと、この二百七十万人のうち、どの施設ではどれだけの需要を満たすことができるという形にはなってないわけですね。これはどういうふうに頭を整理したらよろしいのでしょうか。
#115
○吉冨説明員 平成十一年度時点で推計をしました要援護老人に対しますサービスの提供ということにつきましては、市町村がこういった計画を策定しますときに、高齢者に対しまして、どういうサービスを希望するのかというサービスの希望調査もあわせて実施をしてございます。そういった希望するサービスの量というものを踏まえまして、それぞれの市町村が、平成十一年度の時点で、例えば特別養護老人ホームが何人分必要であるとか、あるいはショートステイのベッドが何人分必要であるとか、そういったようなことを推計をしまして、必要なサービス基盤の整備量を設定をしているということでございますので、それぞれの老人保健福祉計画の方では、そういった必要なサービスの種類、こういったようなことにつきましても、それぞれのサービスごとに必要な量というものが設定をされておる、このように考えております。
#116
○東(祥)委員 例えば、僕は江東区に住んでいるのですけれども、江東区に四つ特別養護老人ホームがあります。定員が二百九十、満杯です。そして、現在待っている方、これは四百人いらっしゃいます。各地域によって差が出てくると思うのですけれども、先ほど一番初めに言いましたとおり、満杯になっているのです。そうしますと、現在においてこれだけなんですから、どんどん待ちの人がふえてくるのではないのか。いつまでたったとしてもこの待ちの人を解消することができないのではないのかという前提で、僕は質問させていただいているのです。
 待っている人は、ではどこで介護されているのかといえば、不適切な状況であったとしても家庭で介護せざるを得ない、こういう状況に追い込まれている。この点についてどうですか。
#117
○吉冨説明員 高齢者に対します介護施策につきましては、市町村が在宅サービス、施設サービスにつきまして総合的に一元的に必要な対策を講じていく、このようなことになっているわけでございます。そのために老人保健福祉計画を定めまして、目標年度を設定して管内におきます必要な介護サービス基盤の整備を進めていく、こういうようなことになっておるわけでございますけれども、先生御指摘のように、確かに現状におきましては、自治体によって特別養護老人ホームヘの入所等につきまして待ちの状態が生じておる、これは事実であろうかと存じます。
 ただ、平成十一年度の時点を目標に必要な介護基盤の整備を図るということで、各自治体で鋭意取り組んでいただいておりますので、私どもとしましては、こういったそれぞれの自治体の取り組みを新ゴールドプランの方で支援することによりまして、それぞれの地域で必要な介護サービスが必要なときに受けられる、このような体制をつくっていきたい、このように考えておる次第でございます。
#118
○東(祥)委員 同僚議員がさせていただいておりますが、後から施行期日の問題についてもさらに突っ込んで質問させていただきますけれども、現実には、この法案が成立しても、施行するまでに四年間かかってしまうわけですから、ある意味でそのまま野放しの状況、大臣が言われている一人一人が安心して暮らせる、それどころじゃないわけですね。現実はどんどん悪化している。厚生省は厚生省として一生懸命頑張られている。努力は認めますけれども、政治というのは結果ですから、そういう意味では厳しく見ていかなければいけないのだろうというふうに思うのです。
 では、その間公共施設が使えないとなるならば、すべての負担が家族に来ざるを得なくなる。
 岩波新書の「日本の高齢者福祉」という本があります。そこの二十二ページに「家族だけで介護ができるための九つの条件」、こういうのを出しています。ちゃんとした実態調査に基づいて出されているわけですが、項目としてはまず四つありまして、「住宅」、「介護者」、「本人」、そして「家計」、この四つの条件があって、住宅に関しては、「お年寄り本人のいる部屋がある」、これが一つ条件になる、「車いすが利用できる」。介護者に関しては、「介護者が無職である(あるいは、すぐにやめられる)」、「介護者が若くて健康である」、「介護者と本人の仲がよい」、「介護者に介護をする気がある」。本人に関しては、「本人の介護者への気がねが少ない」、「別居している場合、本人または介護者が引っ越せる」。家計に関しては、「介護者が働かなくても家計が成り立つ」。こういう九つの条件を挙げています。
 これを読んだときに、私の両親は八十四と八十一で、おかげさまで元気ですから、一切要介護の状況になっていない。長生きしてもらいたいな、できれば要介護の必要性が出てこなければいいな、こういうふうに思っています。そして、ここに掲げられている九つの条件を果たして幾つ満たせるのだろうか。若干僕は若いですから、若さだけありますけれども、それ以外はほとんどない。強いて言えば、二つか三つぐらいしかないのじゃないのか。
 現実に、今公共サービスが提供されている、しかしそれがちゃんと整っていない、つまり現在のニーズに合っていない。そうすると当然、家族にすべてその負担が来てしまう。浜本大臣、そういう状況をまずどのように認識されているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
#119
○浜本国務大臣 議員も御承知のように、まだ日本の介護施設というのが十分でないということは、私も認めておるわけでございます。
 そこで、基本といたしましては、国全体といたしまして総合的な介護対策を進めることが非常に重要になってくるわけでございます。介護サービスの一層の充実を図ることを基本にしながら介護休業制度を有効に生かしていきたいというのが、労働省としての考え方になっておるわけでございます。
#120
○東(祥)委員 大臣、僕は、この問題というのは労働大臣、労働省というより、先ほど言いましたが、ただ単に労働省マターじゃないのだろうと思うのですね。だから厚生省も入っておりますし、経企庁もきょう来てくださっておりますけれども、労働行政というそういう狭い範囲で考えていると、問題の本質が失われてしまうのじゃないのかというふうにまず私は理解しているのです。僕は、大臣も当然理解してくださっているというふうに思うのですけれども。
 つまり、社会全体が大きく変質しているわけですね。だから、それに対してどうするのか。その一つの角度として労働行政というそういう側面は確かにあります。しかし、全体をとらえる場合、かつて厚生省は、八〇年代の厚生白書においては、結局家族の問題、介護の問題というのはすべて家族に責任を持っていただく、家族の方々によって賄っていただく、こういう一つの姿勢があったのだろうと思うのです。それは、そのときの日本の状況というのは世界各国と比べると違います。家族のきずなというのも非常に強い。そういう歴史的な背景があって、当然そういうものが書かれたんだろう。
 それはそれとして私は受け入れているわけですけれども、今日起こっている問題というのはもうそれでは耐えられなくなってきている。どうしたらいいのかということで出てきている問題の一つとして、この介護休業制度の必要性というのが出てきているんじゃないのか、こういうふうに理解しているわけです。いかがですか、僕のこの認識に対しては。
#121
○浜本国務大臣 議員の認識と私どもの認識は変わってないと思うのです。例えば、家族の介護にはもう限界がある。したがって、基本としてはあくまでも総合的な介護対策を国の責任で進める必要があるんだ、こういう考え方につきましては、私ももう議員と全然変わってないと思います。そのために、政府の中には各省庁がございまして、責任を持って進められておると思います。ゴールドプラン全体につきましては厚生省がお進めになる、私どもの方は、労働省といたしまして介護休業制度の充実を図っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#122
○東(祥)委員 介護休業の取得者に対して、日本は世界の他の国々に比べると寝たきり老人が非常に多い、こういうふうに指摘されております。その一つの要素として、やはりアマチュアが精神的に、家族だから何とかしてあげたいというこういう愛情は強いわけですけれども、その介護の仕方についての訓練がほとんど足りない。したがって、プロがやるのとアマがやるのとには大きな差ができてきてしまう。そういう意味で、この介護休業を取得される方に対して政府として、介護のためのトレーニングを受けられるようなそういう整備をする必要があるのではないか、こういうふうに私は思うのですが、この点についていかがですか。
#123
○渡邊(信)説明員 今先生御指摘がありましたように、我が国で非常に急速に高齢化が進展しているというようなこともありまして、まだ社会的に十分介護のトレーニングが、訓練が行われている状況とは言えないのではないかというふうに思っております。そのためには、労働行政だけではなくていろいろな分野で介護のための訓練、トレーニング、こういったものが必要であろうというふうに思っておりますけれども、今般、労働行政の分野といたしましても、介護休業を取得する労働者が介護のための訓練を受けられる、そういった施策も必要であろうということで構想しておりますことは、本年の十月からハードとソフトの面でそういった整備を進めていきたいというふうに考えております。
 まずハードにつきましては、従来の「働く婦人の家」と称しておりました地方自治体が設置をいたします施設を、介護休業は男女労働者が取得するということで、名称も「勤労者家庭支援施設」というふうに改めまして、地方自治体がこういった施設を設置する場合に国が助成をするということにしております。この施設で介護のための必要な指導、講習あるいは介護機器の使用、こういったものを行ったらどうかというふうに思っているわけであります。
 これとあわせまして、介護をしながら職業生活を続けるための職業プランニングといいますか、そういったものの相談でありますとか、あるいは介護に関する基礎知識の習得、こういったものについての講習などを勤労者家庭支援施設等を利用しながらソフト、ハードの面から介護のための訓練、トレーニングを行っていったらどうか、こういったことを現在考えているところであります。
#124
○東(祥)委員 今回のこの法律案に総則が新設されておりまして、その「目的」、「基本的理念」、「関係者の責務」が列記されています。そしてこの第四条関係ですけれども、関係者の責務を守るために、これは一体どういうことを言っているかというと、「事業主並びに国及び地方公共団体は、(二)の基本的理念に従って、子の養育又は家族の介護を行う労働者等の福祉を増進するように努めなければならないものとすること。」こういうふうに書いてあるのですが、これはどのように担保されるんですか、この関係者の責務というのはいかがですか。
#125
○松原政府委員 この第四条は、これによって何か義務が生ずる、責務を付与するという具体的なものを求めているというものではございませんで、抽象的な意味で事業主や国・地方公共団体に対しての取り組みを促す訓示的な意味を持つものでございます。
 具体的には、これを受けまして事業主に対する責務を具体化したものが第二章の「育児休業」であり、第三章の「介護休業」、そして第四章の「事業主が講ずべき措置」といったものがこれに基づいて具体的な規定として置かれているものでございます。もちろん、国や地方公共団体につきましても、今御説明いたしましたような勤労者家庭支援施設の設置でありますとか、子の養育や家族の介護を行う労働者についてのさまざまな支援措置というものを法律の中に規定いたしております。そういったものがこの四条関係の具体化したものでございますけれども、この四条によってストレートに何か具体的に責務が生ずるといった、そういう規定ではないものでございます。
#126
○東(祥)委員 大臣、昨年の十月二十九日付の日本経済新聞ですけれども、ドイツというのは高齢社会への移行に関するスピードが日本とよく似ているんですね。それでやはり同じ問題が議論されているんですけれども、ドイツはことしの一月から段階的に公的介護保険を導入する、こういうことを決めているんですね。さらに、介護をしていて倣えば腰痛になっちゃう、車いすを持ち上げるだとか、また車いすに乗っていただくためにその要介護者を抱き上げてあげる、そして結果としてぎっくり腰になっちゃう、そのときに労災が適用される。介護期間は年金保険の対象にもなるようです。
 この労災の件に関しては事前通告しなくて、本日も約三時間ほど前に言いましたので準備ができているかどうかわからないのですけれども、急に言って局長申しわけないのですけれども、本法案においてまず介護保険を適用されることを検討されているのか。そしてまた、もしその介護者が腰痛あるいはぎっくり腰等、介護活動に従事しているときにその結果として何か問題が生じたときに労災が適用されるのか、この点についてはいかがですか。
#127
○廣見政府委員 家庭で介護に当たられる方が何らかの形で災害に遣われる、腰痛等の問題が起こる、こういったような場合にどのような対応が可能かという御指摘でございます。
 まず、労災保険のことについて申し上げますと、これは申し上げるまでもないことでございますが、現行の我が国の労災保険制度は、労働者の業務上の負傷等に対して補償を行う、こういう仕組みになっております。したがいまして、これは事業主に雇用されている労働者の方についての災害の保険ということが基本になっておりますので、現行の制度でまいりますと、雇用関係にない家庭内での家族の方の介護、これについて負傷等が生じた場合には労災補償の対象にはならない、現行法ではそういう形になるわけでございます。確かに今先生御指摘のような問題がございます。
 これは、基本的にはやはり、社会保障制度相互間の言ってみれば役割分担をどのように考えていくかということ、あるいは負担をどのように考えていくかというようなこと等々と深くかかわっている問題でございますので、今先生御指摘になられましたようなドイツの例あるいはその他の外国の例あるいは経験、こういったようなものも十分参考にしながら勉強していきたい、このように考えておるところでございます。
#128
○東(祥)委員 労災に関して、それが適用されるかどうかという理屈に関してはまさに局長のおっしゃるとおりだと思うのですけれども、ただ、その理屈から外れてしまう、そのものに対しては、今度別の角度で、政策的な形でもって手当てすることができるのではないのか。その意味で、何らかの提案、今持っていなくて申しわけないのですけれども、考えていただきたいと思うのですけれども、大臣、御決意はいかがですか。
#129
○浜本国務大臣 御指摘の問題につきましては、基本的には社会保障制度相互間の役割分担と費用負担に深くかかわり合っておる問題であると思っております。したがって、今議員御指摘のように、諸外国の経験も参考にしながら勉強してまいりたいと思います。
#130
○東(祥)委員 大臣、勉強するというのは、それはどういうことですか。前向きに検討するというそういうことですか。
#131
○浜本国務大臣 まだ前向きに検討とか、検討とかいうことを申しませんで、本当に勉強、名実ともに勉強してまいりたいと思っています。
#132
○東(祥)委員 ということは、この介護休業法案をつくられる前に、一体諸外国においてはどういうことがやられているのかということは勉強されていなかったのですか、大臣。
#133
○浜本国務大臣 たびたびお答えしますが、勉強はしておるのですが、ドイツの制度と我が国の制度が全然違うものですから、したがって、直ちにドイツの実施状況を参考にすることができない。先ほども申したように、社会保険相互の関係にあるものですから、これから参考にして勉強してまいりたい、かように思っています。
#134
○東(祥)委員 労災のことが出ましたので、本年初頭の労災基準見直しの対応に対しては評価いたしております。また、地下鉄サリン事件にかかわる労災についての迅速な対応についても評価しているということだけ申し上げておきたいと思います。
 そこで、続きまして、今までの福祉というのはいわゆる措置制度に基づくものであったというのが日本社会の現状だと思っております。ただ、介護休業法案のような基盤を確保する一方で、国民に必要なサービスを提供する、ある意味では、与えられる福祉ではなくて選ぶ福祉、公共サービスを要介護者が自分からみずから選んでいける、そういう形にしていくのが多分理想なのだろう、こういうふうに思うわけですけれども、この点についてまず厚生省の取り組みはいかなるものなのか。
#135
○渡辺(芳)説明員 お答え申し上げます。
 保険局の保険課長でございますが、高齢者介護対策本部の事務局の次長をしている立場で簡単に御報告させていただきたいと思います。
 先生御指摘のとおり、これまでさまざまな形で高齢者のための福祉制度というものを戦後発展させていただいてまいりました。ただ、この高齢者の福祉あるいは介護サービス、特に、御指摘のこういうところにつきましては、単に従来の概念で言う福祉というものでだけとらえるのではどうしても高齢者御本人や御家族のニーズに十分に見合わないといった点がこれまでの老人福祉制度の運営の中で、もちろんさまざまな長所もあるいは工夫も加えられてきたわけでございますけれども、今申し上げましたように、それだけでは御本人や御家族のニーズに見合わないというような問題点が多々指摘されてきております。
 特に、背景といたしまして、先生きよう御指摘ございましたように、高齢・少子社会の本格的な到来とか、あるいは女性の方々のさまざまな社会的な活動の活発化とか、あるいは家族形態の変化というものの中で、特に高齢者の要介護状態に陥ってからの期間が非常に長くなり、また、その間の生活の質ということをますます問われる状況の中でございます。
 そうした中で、これまで医療で行われてきたさまざまなサービス、それから福祉で行われてきたものも総ざらい検討し直して、特に必要とされるこれからの方向性というものを検討していく必要があるのじゃないか、見出していく必要があるのではないかということで、厚生省内に特別に対策本部をつくり、検討を進めておるところでございまして、また、この二月からは老人保健福祉審議会におきまして、これからの高齢者介護のあり方、これを従来の福祉領域に限定せずに、保険、医療、福祉全般にわたるニーズあるいはそれにふさわしいサービスのネットワークというものをどういう哲学なり原則なりで考えていったらいいかということを、もう数回にわたり御議論をいただいておるところでございます。
 そうした全体の検討の中で、今一つ、次第次第に関係者の声が強く私ども意識されておるところで申し上げますと、御指摘の高齢者自身による選択という問題が、問題と申しますか課題が、この高齢者自身による選択というものがどのようにこれからの高齢者介護サービスの中で担保されるのか、そういう物差しに当てはめてみて、これまでの老人福祉やあるいは医療、こういったものにおいて乗り越えなければならないポイントがあるのではないかということで、さまざまな角度から、審議会はもちろん、また私ども事務当局の方でも検討させていただいているところでございます。
 おっしゃられるように、非常に重要な論点として、高齢者自身による選択が可能なシステムということがこれからの一つの課題であるというふうに理解しております。
#136
○東(祥)委員 先ほど一番初めに、老人病院が満杯である、その一つの理由としては、機能が回復して治癒をされても帰れないというのも一つある、こういうふうに私は伺っております。いわゆる老人病院等への社会的入院という問題が存在する。
 他方においては、先月上旬デンマークに十日間ぐらい行っていて、社会開発サミットの関連と同時にいろいろな福祉センターを回らさせていただきました。やはり多くの書物に書かれているとおり、寝たきり老人というのはほとんどいないのですね。やはりこれは驚愕すべきことで、驚いてしまう。何でなんだろう。それは、いろいろな諸要素がプロの方によって研究されているわけですけれども、つまり、寝たきり老人を寝たきりにさせない、そういう施策というのもやはり日本としても政府としてもいろいろと試行錯誤されているのだろうと僕は思うのですけれども、こういった点についていかに取り組んでいるのかということについてお聞かせ願いたいと思うのですが。
#137
○尾嵜説明員 まず最初の社会的入院の方の関連でお答え申し上げますと、御指摘の社会的入院というのは、病状等から見まして継続して入院治療の必要がないものでありまして家庭の事情等により入院を継続しているというふうな方々を指すというふうに考えられるわけでございますが、そのような方々につきましては、個々のケースに応じて、在宅やあるいは病院以外の適当な施設に入所しまして療養等が送れるような体制の整備を図るということが非常に重要であるというふうに考えておるわけでございます。
 特に在宅の場合には、患者の家族の状況、住環境等を勘案して必要な医療福祉サービスを総合的に提供できるような体制の整備を図る必要があるというふうに考えておるわけでございます。こういった考え方から、先ほど来御説明がございましたような新ゴールドプランという形で基盤整備を進めておるというところでございます。
 二つ目の寝たきり老人の関係でございますが、国際比較につきましては、なかなか統一された調査方法というものがございませんので、そういった資料がございませんので難しい点もございますが、私どもの厚生省の方が、ちょっと古い資料でございますが、六十三年当時に研究事業としてヨーロッパ、アメリカの状況と我が国の寝たきり老人の実態と申しましょうか、数的なものを比較したものがございますが、そういったものを拝見いたしますと、諸外国においても寝たきりの老人というものの存在はあるという状況ではあるようでございますが、数字的には、在宅と施設を合わせて比較いたしますと、日本は諸外国に比べて数倍高い可能性がある、そういうふうな指摘が研究でもなされておるというところでございます。
 寝たきり老人を減らすための取り組みでございますが、平成元年に策定されましたゴールドプランにおきまして、寝たきりは予防できる、そういった意識を国民の間に浸透させていきますとともに、二十一世紀には寝たきり老人の新規発生をなくすということを目標に、寝たきり老人ゼロ作戦ということをスタートしたわけでございます。それと、この計画につきましては、昨年の十二月に見直しを行いました新ゴールドプランにおきましても、新寝たきり老人ゼロ作戦ということで引き続きその取り組みを充実させるという考え方で進めておるところでございます。
 具体的には、一つは、寝たきりを予防し高齢者の自立を積極的に支援する観点から、地域におきますリハビリテーションの実施体制の強化を図るため、市町村保健センターを中心といたしました地域リハビリテーション事業を推進していくというのが一点でございます。二つ目は、寝たきりの主な原因でございます脳卒中、骨折等の予防のための保健事業を充実、推進するというのが二点目でございます。三点目は、地域におきます高齢者保健サービスの展開拠点といたしまして市町村保健センターの整備を図る。あるいは四点目といたしまして、そういった寝たきり老人の予防とかあるいは在宅療養指導、そういったものを担っていただきます市町村の保健婦さんを確保する、そういったマンパワーの確保という観点からも総合的な対策として取り組みを進めておるというのが現状でございます。
#138
○東(祥)委員 懇切な説明、ありがとうございます。
 寝たきり老人をなくすゼロ作戦、作戦である以上デッドラインがあると思うのですけれども、いつに設定されているのですか。
#139
○尾嵜説明員 これは、目標といたしましては新ゴールドプランと同じでございまして、平成十一年度末を目標として新しい寝たきりの患者を発生させないように努力をするということで考えておるところでございます。
#140
○東(祥)委員 経企庁の方に来ていただいていると思うのですが、高齢社会がマクロ経済にどのようなインパクトを与えると考えておられますか。
#141
○高橋説明員 お答えいたします。
 高齢化社会の進展によりまして、マクロ経済といたしまして幾つかの変化の要因があろうかと思います。特に、その中ではやはり労働力の人口、それから貯蓄の動向、社会保障に係る負担の動向、こういったものが我が国のマクロ経済に少なからぬ影響を与えるものというように思います。
 労働力人口について申し上げますと、中長期的に若手労働力が減少していくとともに、やはり労働力人口の高齢化が一層進展していくというように見込まれます。また、貯蓄のことについて申し上げますと、勤労期に蓄えました貯蓄を高齢期の消費に充てるというように考えますと、やはり高齢化によりまして貯蓄の取り崩しが発生をいたしまして、貯蓄率そのものは中長期的には低下をするということも考えられるというように思います。また、今いろいろと御審議をいただいています介護老人がふえるというようなことになりますと、やはり各家庭における個別的な経済負担あるいは労働の状況というようなことで、そういった面からも日本経済全体に幾つかの影響を及ぼすというように考えているところでございます。
#142
○東(祥)委員 それでは、これを踏まえた上で、介護期間についてなぜ政府は三カ月にしているのですか。その根拠は何ですか。
#143
○松原政府委員 御指摘のように、この法律案では介護休業ができる期間を三カ月というふうにいたしているわけでございますけれども、この法律案をここに提出させていただきますまでに婦人少年問題審議会で長い間御議論をいただいたわけでございまして、その結果、昨年末に建議が取りまとめられました。
 その建議の中で、介護休業制度の定着を確保し得るような基本的な法的枠組みをつくるべき時期に来ているということについて意見がまとまったわけでございますが、あわせて、その内容につきましては、家族介護や労働者の雇用の継続の必要性という一方の必要性、それともう一つは企業の負担との調和、これが図られるよう十分配慮する必要があるということもあわせて指摘されたわけでございます。
 つまり、介護休業制度の法制化につきましては、すべての働く人々に一定の基準の制度が保障されるよう、法律で中小企業を含めすべての企業に一律に介護休業を義務づけるということをしたわけでございますが、そうした一方、義務づける部分につきましては実施可能な最低基準を設定するということにいたし、これを上回る部分につきましては、企業の努力義務として労使の自主的な努力を促し、政府としてもこれを必要に応じ支援していくという基本的な考え方に立っているところでございます。
 その三カ月ということにつきましての具体的な考え方でございますけれども、この介護休業制度というのは家族による介護がやむを得ない場合の緊急的な対応措置であり、また、家族が介護に関する長期的な方針を決めることができるようになるまでの期間ということで三カ月程度の期間が必要と判断したものでございます。この判断をするに当たりましては、婦人少年問題審議会の審議に資するために、専門家の方々にお集まりをいただきまして、要介護状態をどう見るかといったようなことを含め専門的立場からこの問題を御検討いただきまして、その報告がまとめられておりますけれども、その報告に基づいて判断をしたものでございます。
 また、実際に介護休業制度が導入されている民間の事業所、約一六・三%あるわけでございますけれども、その事業所において実際に介護休業を取得した人たちがどの程度取得したかというのをあわせて調査しておりますが、約八割の方は三カ月以内に復職をしているという実態もあわせて把握されております。
 そういったことから、この介護休業期間というものを三カ月ということにいたしたわけでございます。
#144
○東(祥)委員 今、最後の方で局長が言われた民間で介護休業を取得された方の大半の方々が三カ月以内で復職されている、理由は何ですか。要介護者の病気が治ったのですか、それで復職されたのですか。いかがですか。
#145
○松原政府委員 私どもの先ほどお話しいたしました調査では、復職理由といいますか、何カ月とったのがどういう理由でとり、復職したのがどういう理由があったから何カ月で復職したかというところまでは調査をしておりませんので、具体的な実態は調査からは出てまいりません。
#146
○東(祥)委員 先ほど僕が使いました資料によりますと、亡くなる前に四割近くの人が六カ月以上床についているという調査報告がされている。だから、一つの視点として局長は事業者の負担の問題というのを指摘されている。さらにまた、これは緊急的な対応だ。さらにまた、介護休業を取得された人の復職期間というのを見られている。そういうものを勘案して三カ月になった。ところが、一番大事な要介護者がどれだけ長く床に伏しているのか、この部分のデータが全然ないのではないですか。いかがですか。
#147
○松原政府委員 これはまた別の資料なのでございますけれども、要介護の状態にあった方々が、どの程度そういう方々についての介護期間があったかということを調査したものが別にございます。それによりますと、三十一・八カ月という結果が出てきております。この調査対象は、三十人以上規模の企業に勤務する、過去三年間に一カ月以上介護や看護を要する家族がいた労働者についての調査結果でございます。ですから、先ほど申し上げました約八割の方が三カ月以内に復職したという調査とはちょっと同じ調査ではないのですけれども、別の調査によりますと、今申し上げましたような、平均介護期間というのは三十一・八カ月という結果が出ております。
#148
○東(祥)委員 これは労働省のデータだと思うのですけれども、「要介護者の病名、介護期間別労働者数の割合及び平均介護期間」。全体を一〇〇としますと、一カ月から三カ月未満というのは一四・六%、一年以上から三年未満というのは二六・八%、六カ月から一年というのは二二・七%。政府が設定されているこの三カ月間というのは、病気が治らない、要介護の必要性がなくならない、そういう欠陥が明確にあるわけです。いかがですか、
#149
○松原政府委員 先ほど御説明いたしまして、かつ先生も御指摘なされた同じ資料だと思うのですが、それは一人の人が介護をした期間を示しているということではなくて、いろいろな病気がありますけれども、そういう病気の方が介護を必要とした期間といいますか、そういうことでございますので、介護する人の立場から見てどれだけかかったかということではなく、介護をされる方の立場から見てどれだけ必要であったかという数字でございます。
 先ほどの三カ月との関係で申し上げますれば、私どもは、今回提案させていただきました法律の中では、一定の範囲の家族の人が要介護状態になったときに家族一人につき一回三カ月とれるという内容にしているわけでございますが、それ以上の条件というのはついていないわけでございます。つまり、例えば同居しているとか、扶養関係にあるとか、その労働者以外に他に介護する人がいないとか。平成五年の調査によりますと、そういったような条件がついた介護休業制度を持っている企業というのは結構あるわけでございますけれども、今回の法律の中ではそういったような条件をつけていない。
 つまり、介護というのは一人の人が全部背負うということはとてもできないのではないか。むしろ、本当に長くなった場合の話ですけれども、家族が交代でやるということの方が適切であるということから、厳密な条件をつけるというようなこともやっていないわけでございまして、仮に非常に長くなる、それをすべて家族が担うのがいいかどうかという別の問題はあろうかと思いますけれども、ある程度家族が担うにしても、一人の人に専らその負担がかかるということは適切ではないというふうに考えておりますし、それ以外にも先ほど申し上げたような理由もございまして、三カ月ということにしたわけでございます。
#150
○東(祥)委員 局長の理屈はよくわかるのですけれども、問題は、要介護者がどれだけの期間を必要とするのか。また、一人の人が長期間にわたって介護をするということは無理なことだ、その御指摘もよくわかります。ただ問題は、介護期間というのは短くて、そして即座に公共サービスによってバックアップされて担保されているとするならば、別に介護休業を取得しなくたっていいわけです。先ほどから説明させていただいているとおり、現実には公共サービスでバックアップ体制ができていない、家族のお力をかりなければならない、そういう状態がまだ渦巻いている。したがって、この問題が出てきているのではないか。
 一方においては、長期間にわたりまして介護者に余りの負担をかけてはいけない、かけてはならない、その御指摘はよくわかります。しかし現実には、時間をかけなければほかの人によって、また公共サービスによって介護されない。そうした人たちはどうなっているかというと、同僚の議員が指摘しているとおり、またデータで出ているとおり、約八万人の方が離職せざるを得ないという現実の冷厳なる事実があると思います。
 他方、事業者負担ということをおっしゃられました。それで、そういう角度から三カ月ということを言われたわけですけれども、では、六カ月になってしまうとその事業者負担というのはどれぐらいふえてしまうのですか。当然僕は計算されていると思うのですが、三カ月、六カ月、そしてまた一年、そのときの計測値を教えていただけますか。
#151
○松原政府委員 先ほど企業の要員管理との調和ということは申し上げましたけれども、それによって具体的に計算して、どれだけコストがかかるかということが算術上出てくるものではないというふうに思います。
 この法律ではすべての企業に義務づけるということになりますから、非常に小さい規模の企業でも、労働者が申し出たら介護休業を認めなければいけないということになるわけでございます。いろいろなケースがあろうかと思いますので、これがすべてということではもちろんないのですけれども、仮にその企業の中核的な労働者の方が介護のために休まなければいけないということになってまいりますと、直ちにその方にかわるような労働者が得られるかというと、必ずしもそうでない場合があろうかと思います。そういう場合には、その企業にとってのコスト負担というのは、コスト負担という言い方がいいかどうか別ですけれども、非常に大きなものになろうかと思います。
 そうではなくて、労働市場においてその方が休んでも比較的容易に代替要員が得られるような方が休むとすれば、必ずしもそうでない場合もありましょうし、一概に申し上げることはできないかとは思いますけれども、介護休業制度の利用実態から見ましても、かなり中堅の労働者の方がとられるという可能性がある。そういうことになりますと、その方が企業活動に貢献していただけないということに伴うロスといいますか、負担といいますか、そういったことはかなりなものになるということは想像できるわけですし、そういうこととのバランスということは考える必要があるのではないかというふうに思います。
 それともう一つ、基本的に私どもはこの介護休業制度をどう考えるかという、先ほど大臣からも御答弁がありましたけれども、社会的ないろいろな介護サービスが不足しているからその部分を補うということではないのではないか。つまり、これは労働条件でございます。つまり、企業に労働条件を強制するという部分でございますから、それを強制してまでも労働者に介護のために休む権利を付与するということについての合理的な理由というものが要るのだろうと思います。それは、単に社会的な施設サービスが足りないということだけで、ストレートにそれを、では企業にその分義務づけるということには、ストレートな関係にはならないのではないかというふうに考えているわけでございます。
#152
○東(祥)委員 雇用形態の角度から、雇用関係の角度から言われる議論というのはよくわかるのです。そして、事業者の負担というのも当然あるだろう。しかし、重要な一つの要素として事業者の負担ということが頭に入っているとするならば、それは明確なる数値が出ないということもそれなりにうなずけるかわかりませんが、少なくとも、六カ月と比べたならばどれぐらいの負担になるのか、それぐらいのことは当然計算しているべきものなんでしょう。また、そういうものがなしで、三カ月であり、その期間を特定するということは僕にはどうもよく理解できないのですけれども、鉛筆なめて書いちゃっているのですか。それとも、ただ単に企業側の方々とお話しされて、いや、六カ月というのは長過ぎますよ、三カ月でもなったら大変ですね、一カ月ならば何とかなるのじゃないですか、こういう議論ですか。どういう議論をされているのですか。
#153
○松原政府委員 企業の負担のことを申し上げましたのは、単に期間の問題とかそれだけではなくて、全体的にこの介護休業の法制化の問題を検討するときには、一方で家族介護、そして労働者の雇用継続の必要性、それともう一つは企業の要員管理上の負担、こういうものをバランスを考える必要があるであろうということを先ほど申し上げたわけで、それが三カ月、六カ月、どこでバランスか、そういう細かい議論の上のものではございません。全体の仕組みとしてそういう視点が必要だろうということで申し上げたわけでございます。
 ところで、その三カ月のことでございますけれども、これは先ほどちょっと申し上げましたけれども、婦人少年問題審議会で議論を進めていただきます過程で、法制化も含めまして議論をしていくということになりますと、要介護状態というのはさまざまなわけでございますので、一体労働者のもし権利として規定するとすればきちんとした考え方の整理が必要ではないかということから、介護休業制度に関する専門家会合というものを私どもは設けたわけでございます。そして、その結論が昨年の七月に出されたわけでございまして、今先生御指摘の期間についても非常に詳しく御検討をここでいただきました。
 この期間についてどういうふうに書いてあるかといいますと、まず、その要介護者の症状の経過ですとか介護の必要性はさまざまであるということはもちろん認識をされておりまして、いつでもその介護に対応できるということになれば、労働者が休みたいと言えばいつでも休める仕組み、いつでもどれだけの期間でも休めるというのが労働者だけのサイドから見れば望ましいことなのかもしれませんけれども、介護休業を法制化する、つまり事業主の義務、労働者の権利として規定するという意味での法制化ですけれども、そういうことを検討するということになる場合には、その期間についてやはり一定の限度を設ける必要がある、エンドレスというわけにはいかないだろうということでございます。そういうことから、「要介護者の症状の経過と家族による介護の必要度を勘案し、最低限必要と考えられる休業の期間や回数を判断すべき」だというふうにされたわけでございます。
 そして、いろいろなケースを検討されたわけですけれども、高齢者の典型的な症例である脳血管性疾患、これは介護が必要となる典型的な症例のようですが、この「脳血管性疾患等をみると、要介護家族が急性期を脱して、その後の介護に関する恒常的方針を定めることができるようになるには、最低、回復期を経過し、状態が安定してくる慢性期の初期に至る約三か月程度の期間が必要とされる。」そういうことで、「このため、最低限としては、この約三か月程度の期間につき介護休業が認められることが必要であると考えられる。」というふうにこの専門家会合の報告では言っております。
 なお、アルツハイマー型痴呆のように、発症時期も含めて症状経過が明確でないものや、老衰など回復の見通しが立たないものもあるわけでございますが、そういう場合については、「三か月程度の介護休業期間の介護を通じて、施設への入所が適当か、引き続き家族による介護が適当かについて家族が冷静に判断し、その対応を考えることができると考えられる。」また骨粗鬆症のような例も、もちろんこれも寝たきりになる原因としてあるわけでありますけれども、「骨粗鬆症のような例もかなり対応できるものと考えられる。」という専門家会合での検討の結論もいただいたわけでございまして、そういうことも含めまして検討し、先ほど来申し上げておりますように、労働者が権利として請求できる介護休業の期間としては最低三カ月というふうにさせていただいたわけでございます。
#154
○東(祥)委員 納得できません。納得できないのですけれども、まだ所得保障の件についてもやらなくちゃいけないので、これぐらいにしておきます。納得していないということだけ申し上げておきます。
 所得保障の件に関してですが、所得保障という言葉が適切なのか、介護休業をしている人に対して経済的支援をすべきではないのか、こういう角度で質問をさせていただきます。
 ケアを要するという点については育児休業と同じではないのか。育児休業では所得保障があるのに、なぜ介護休業では所得保障がないのか、この点についていかがですか。
#155
○松原政府委員 育児休業中の経済的援助につきましては、育児休業給付がことしの四月一日から支給をされるということになったわけでございますけれども、これは、ことしの四月から規模三十人未満の事業所も含めてすべての事業所に育児休業法が適用されるということになったことがあるわけでございます。
 そういうことから、この介護休業期間中の経済的援助につきましては、昨年十二月の建議におきまして「休業期間中の経済的援助のあり方については、今後、介護休業制度が適用される時期を念頭におきつつ、更に十分に議論することが適当」であるとされたわけでございます。そういうことから、私どもは、この制度を平成十一年から適用ということにいたしておりますけれども、その適用時期を念頭に置きつつ、十分検討の上対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#156
○東(祥)委員 それは前向きな御答弁でよろしいと思うのですけれども、育児休業の場合二五%なんですけれども、二五%という限定をされるのですか。二五%以上でも構わないわけですね。いかがですか。
#157
○松原政府委員 今の段階で、どの程度にするかということまではちょっと申し上げられる段階ではございませんが、育児休業給付というのが既にスタートしているわけでございますので、やはり、それとの均衡と言うと言葉が適切でありません、それをも十分考慮されるということにはなろうかと思います。
#158
○東(祥)委員 いつごろその具体的な結果が出るのですか。
#159
○松原政府委員 平成十一年からの適用ということにいたしておりますので、それに間に合うように検討は始めたいと思っております。まだいつからというふうに正式に決めたわけでございませんが、いずれにしても、平成十一年四月一日に間に合うように検討を始めたいというふうに思っております。
#160
○東(祥)委員 育児休業では社会保険料、年金保険における本人負担分は免除されていると私は理解しておりますけれども、介護休業を取得した場合、同じように免除されますか。
#161
○渡辺(芳)説明員 お答え申し上げます。
 育児休業に関しましては、法律をもって育児休業給付を雇用保険の方から支給されるという制度、それと相まちまして、本年四月から年金保険における社会保険料、それから健康保険における社会保険料、これの支払いを免除するという制度がスタートしたばかりでございます。
 そもそも介護休業に対してどのような所得保障を考えるべきかという点は、例えばそういう雇用保険の立場からの議論の整理もあると思いますが、年金保険等におきましても、それぞれの制度のこれからの存立、安定的な運営のために、あるいは国民的な合意のために、例えばこれからの超高齢・少子社会における次世代をどのように考えるかというようなさまざまな御意見がございますので、育児休業に関しまして、ようやく関係各方面の御理解も得て、また国会でも制度を創設していただいたわけでございまして、その次のこの介護休業に関しまして、その所得保障のあり方、必要性、そういったものの議論を今後どのように進めていくのか、そのあたり、労働、厚生両省にまたがる話でございますが、十分関係方面の議論を尽くしていただきながら、その上でさらに年金保険や健康保険においての社会保険料のあり方という点を十分踏まえて研究していきたい、こういう性質のものではないかというふうに理解しております。
#162
○東(祥)委員 その前向きな形で、どのように介護休業を取得される人にとって経済的な負担がかからないようにするか、そういう角度で考えれば、当然何らかの形で社会保険料も含めた上で考えてもらいたい、このように要望をしておきます。
 大臣、何かおっしゃってくださることありますか。
#163
○浜本国務大臣 厚生省の方で検討していただきたいと思っています。
#164
○東(祥)委員 施行期日についてお伺いします。
 大臣は、介護について緊急性のある問題ととらえられておりますか、いかがですか。
#165
○浜本国務大臣 お答えいたします。
 そのとおり考えております。緊急性のあるものと考えております。
#166
○東(祥)委員 緊急性があるための法案と言いながら、平成十一年四月、四年先とは長過ぎるのではないのかと同僚議員が何度も言っている点でございます。
 他に、緊急で四年先の施行の法案というのはあるんですか。僕は見たことないんですけれども。いかがですか。
#167
○松原政府委員 労働条件について規制をする法律というのは幾つかあるわけでございますけれども、例えば、今回の介護休業の法制化の母体になっております育児休業等に関する法律でございますが、平成三年に成立した法律でございます。この法律は、施行は翌年の平成四年四月一日からなされておりますけれども、常時三十人以下の労働者を雇用する事業所の労働者に関しましては、平成七年三月三十一日までの間、つまり、法律が施行されてから三年間、国会で成立してから四年後ということですけれども、そのときまでは適用しないということで、中小企業の実態に配慮いたしまして、この制度導入のための準備期間が必要であるということから三年間の準備期間が置かれたというのがございます。
 で、この育児休業法でございますけれども、これも、当時非常に少子化が顕著に進んでいた時期でございますが、その原因をめぐっていろいろ議論がなされました。もちろん、いろいろそれは背景があるわけでございますけれども、一つは、働く女性がふえてきたということ、そして子供を持っても働き続けたいという女性が出てきた、それに、そういったような状況にもかかわらず、子育てをしながら働くということについての環境が非常に整っていないといいますか、そういうこともあるので、じゃ働き続けるために逆に子供を産まない選択もしようかといったようなことも出てきているのではないかということから、いろいろな社会情勢を踏まえ、やはりこれも緊急的にやらなければいけないということでこの時期に法制化されたものだというふうに承知しておりますが、この法律においても、やはり中小企業についてはその適用が相当後になったというような実態もございます。
 で、事の緊急性ということはもちろんあるわけでございますが、それが社会にやはり確実に定着をしていかなければいけないということも一方にはあるわけでございます。そういったような観点を総合的に勘案して、今回につきましても、大企業と中小企業を分けることなく全体的に平成十一年ということで、後ろの方に、後ろの方にと言うとおかしいんですけれども、緊急性がある問題ではありますけれども、社会の中に着実に定着をさせるという観点から、導入のための準備期間を置いたということでございます。
#168
○東(祥)委員 松原局長、この法案が施行されるまで四年間、どれだけ要介護者がふえるとお思いですか。データありますか。松原局長ですけれども、ありますか。
#169
○松原政府委員 私どもは、具体的に要介護者がどれぐらいになるかというデータは労働省としては持ち合わせておりません。
#170
○東(祥)委員 施行時期を決定するときに、その点は考慮する要素として入れなかったんですか。いかがですか。
#171
○松原政府委員 先ほど来ちょっと申し上げたかと思うんですけれども、この制度は、もちろん要介護老人がふえれば当然ニーズが高くなるというごとはあるわけでございますけれども、さりとて、要介護者の方がふえるからといって、それをすべて介護休業制度で対応。するということではないと。つまり、社会政策といいますか、介護サービスの充実ということで第一義的にやはり対応されるべきであり、それとの補完関係といいますか、それを補うものとして位置づけるという観点が必要だというふうに判断したものでございます。
#172
○東(祥)委員 この介護休業を制度として、この法案が通っていなくても、大企業においては既に施行しているものがありますね。あるデータによりますと、五十数%の大企業は既に導入していると、その介護休業期間も一年ぐらいになっていると。
 私が申し上げたいのは、すぐ施行すべきだと、こういう姿勢に私は立つわけですけれども、大臣、また局長は、非常に堅固な意思で、何とか緊急であると言いながらも、四年後に施行すると。ただ、もっと柔軟に考えることもできるんじゃないのかと、千歩譲って。
 今お話に出てきているのは、中小企業というそういう側面、確かに重要なものだと思います。大企業においてはもう既に五十数%がそれを制度として、利用している、しないは別にして、制度としても導入されているわけですから、例えば育児休業法のときには、三十人以下の規模の企業に対しては猶予期間というのをつけたんじゃないですか。四年間だったかな。三十人規模以下の企業については三年間の猶予規定があったと。だからそういう視点で考えることができるんじゃないのか。大企業あるいは中小企業あるいは中小零細企業、そういう形で段階措置の早期実施も検討する必要があるんじゃないのかと、千歩譲ってですよ。
#173
○浜本国務大臣 私、この法案の作成過程で、施行期日の問題と、それから大企業、中小企業の出発時点の問題についていろいろお話があったということを伺っております。その話の中で、大企業の場合には、議員が御指摘のように、もう既に五十数%の企業が導入をされておるが、中小企業はまだ余り導入されていない。したがって、もし施行期日を急ぐとするならば、大企業を先行させて中小企業には一定の猶予期間を置いた方法で実施してはどうか、施行期日を決めたらどうかというようなお話もあったらしいんですけれども、大企業も中小企業も同じ施行期日にしてもらいたいという御希望があったので、したがって、このように平成十一年四月一日になったというふうに伺っておるわけでございます。
 そこで、私どもといたしましては、平成十一年四片一日からということにはなっておるけれども、それまでの間に、平成十一年四月一日までの間に、中小企業を含む事業所でなるべく早期に介護休業制度が導入されることが望ましいと実は考えておるわけでございます。
 したがって、望ましい条件を労働省としてつくっていくためには、広報、啓発に努めますとともに、中小企業団体を通じて中小企業の計画的取り組みに対する相談とか援助とか、あるいは介護休業制度導入奨励金の支給でありますとかということを実施いたしまして、円滑に介護休業制度が導入できるような支援をしてまいりたいと、こういうふうに実は考えておるわけでございますので、そこのところはひとつ御理解をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
#174
○東(祥)委員 ぜひとも早く施行していただけるようにと要望して、時間が来ましたので終わらさしていただきます。ありがとうございました。
#175
○笹山委員長 池田隆一君。
    〔委員長退席、河上委員長代理着席〕
#176
○池田(隆)委員 るる質問していきたいと思いますけれども、重複する部分もあるかと思いますけれども、お許し願いたいと思います。
 まず、この法案は、介護休業制度等に関するガイドラインとそれから昨年十二月十六日の婦人少年問題審議会の建議を得て、基本的にそれを踏まえて立案されたものですが、私たち、我が党の基本的見解である家族看護・介護休業法制化問題に関する基本的な考え方を積極的に取り入れていただいたということで評価をしていきたいとまず原則的に思っています。その立場から何点か御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、ILO百五十六号条約との関連でお尋ねをしていきます。
 本年の四月十四日、参議院本会議場で、ILO百五十六号条約が、いわゆる家族的責任を有する労働者条約の批准承認案件が全会一致で承認をされました。同条約の批准については、国連の女子差別撤廃条約や男女雇用機会均等法の国会審議以来の懸案でありまして、我が党としては、一九八五年の女子差別撤廃条約批准審議の際に外務省に早期に批准の検討を約束させて以来、同条約の批准実現に粘り強く取り組んできたところでございます。大臣も率先して当時も取り組んでおられたわけですけれども、昨年、一九九四年の国際家族年で何とかこれを批准したいと願っていましたけれども、結果的にはことしの四月において国会で批准をされた。この間、私たちは中央委員会のもとに特別委員会をつくって積極的にこの推進を図るという形で進めてまいりました。あわせて労働省も外務省とともに積極的に大臣を先頭にして働きかけてくれたことに対して、まずもって感謝を申し上げたいというふうに思います。
 さて、この百五十六号条約及びこれを補足する百六十五号の勧告は、男女労働者が職業生活と家庭生活、職業上の責任と家族的な責任との両立を図られるようにすることを目的としているということは御承知のとおりでございます。そして、いわゆる介護・看護問題については次のようになっていると思います。一点目は、「被扶養者である子に対して家族的責任を有する男女労働者は、当該子が病気である場合には、休暇をとることができるべきである。」二点目として、「家族的責任を有する労働者は、保護又は援助が必要な他の近親の家族が病気である場合には、休暇をとることができるべきである。」また、親休暇及び家族休暇に関するECの改正指令案では、家族休暇について次のように規定がされています。「労働者は、家族から生ずる差し迫った理由のため一年につき」、一年間の中でという意味だと思いますけれども、「最低日数の休暇を請求する権利を有する。」「特に次の事項は、家族から生ずる差し迫った理由として考慮されなければならない。」それは「配偶者の病気 近親者の死 子の結婚 子又は子を世話する者の病気」。
 つまり、ILO百五十六号条約及びこれを補足する百六十五号勧告、ECの関係指令でも、追求されているのは、病気になった家族の世話をするための短期間の休暇であって、老親介護のための長時間の休業ではないのではないか。まずその点について確認のためお聞きしたいと思います。
 また、先ほどもありましたけれども、諸外国における介護休暇制度の特徴と、あわせて、老親介護のための長時間の休業を制度化している国があれば、どのような内容なのか、簡潔にこのあたりのところはお尋ねをしたいと思います。
#177
○渡邊(信)説明員 まず、ILO百五十六号条約及び百六十五号の勧告に関する問題でありますが、さきに批准いただきましたILO百五十六号条約におきましては、国内事情あるいは国内の可能性と両立する措置を講じまして、雇用条件において家族的責任を有する労働者のニーズを反映することが必要であるということにしております。今回の法案によります介護休業制度も、条約の趣旨に沿ったものであるというふうに私ども考えているところであります。
 また、この休暇の期間についても、御指摘のように、子の病気等のための短期のものではないかという御指摘もありましたが、この休暇の期間につきましては各国で国内事情を考慮して定めればよいということになっております。条約、勧告の策定に当たっての議論の際には、その当時、諸外国におきましては、老親介護のための長期間の休業制度の例がなく、病気の子供の看護のための年間数日の休暇とかあるいはみとり休暇的なものが一般的であったことから、多くの国がこういったものを念頭に置いて議論していたものであろうというふうに考えております。
 また、諸外国における類似の制度ということでございますが、諸外国におきましては、本法案において規定をしておりますような内容の、長期の家族の介護のための休暇制度を設けておる例は、私ども把握している限りほとんど見られないところであります。
 西欧諸国におきましては、先ほどの条約の例でも申し上げましたが、子供の病気の看護のための短期間の休暇を法制化している国が多いところであります。例えば、スウェーデンでは十二歳未満の子供について年間六十日、ドイツでは十二歳未満の子供について年間十労働日、ノルウェーにつきましては、年齢の差がありますが、十日ないし三十日、こういったふうな制度を設けている国が多くなっております。子供以外の親族を含みます近親者に関するものとしましては、重病の近親者に対するみとり休暇的なものがございます。スウェーデンで三十日、ノルウェーで二十日、こういった制度が設けられております。
 比較的今回の介護休業の内容に近いものといたしまして、アメリカの制度がございます。一九九三年、一昨年に制定された家族・医療休暇制度でございますが、これは規模五十人以上の事業所で働く労働者について認められる権利ですが、出産、育児、家族の介護または本人の病気のために毎年十二週間まで休暇が取得できるといった制度でございます。
 概略でございますが、以上でございます。
#178
○池田(隆)委員 介護休暇というような形での老親介護の観点での休暇はないというとらえ方でよろしいと思うんですけれども、なぜ先進諸外国ではこのような形になっているのか。
 これはやはり高齢者の介護については社会的サービスの整備によって社会的に解決を図っていく、これが基本に立っているんではないのか。そもそも子供は成長すると親元を離れていく、そのために家族というのは親子二代で構成されるわけです。それも離れていってしまうという形の中で、家族の仲が、家族という形がそういう基本原則に立っている。それを前提として社会サービスがなされている結果ではないかなというふうに思うんですね。親子の関係は、精神的な面では非常にサポートされている、ある意味では我が国よりも厚い親子関係がある。しかし、物質的な面、相互に独立するという面では、それが強調されてきちっと認識されている。
 だからこそ、高齢者介護の責任を例えば子に負わせるというようなことは、例えば成人に達している子がそういう面倒を見る、介護をさせるということであれば、社会的な参加の機会を奪うという形の中で考えられているのではないかなというふうに思うんですね。つまり、社会サービスによって老親介護は基本的に対処していこうということが脈々と貫けている結果じゃないかなというふうに理解をしています。
 そこで、我が国の高齢者介護の問題でございますけれども、基本的にどのように考えていくべきかということが問われているのではないかなというふうに思います。
 昨年九月に公表された社会保障将来像委員会の第二次報告には、生活の将来像としてるる書かれています。
 まず、社会保障をめぐる状況として、将来的には家族形態の多様化、小規模化、共働きの増加などにより、家庭内の役割分担や老親扶養に対する考え方も変化してきており、家庭での介護や育児の力が弱まり社会保障制度に対する期待が強まっているということをまず指摘しています。
 次に、介護の問題としての将来像としてでございますけれども、「ほとんどの人は六十歳代前半まで働いており、その後も引き続き元気で働いている人もいる。それは男性に限ったことではなく、女性も同様である。」「病気や障害を持つ人達でも、急な病気はともかく慢性の状態のときは在宅で介護を受ける人も多い。この頃には病院や施設は十分整備されており、病院や施設で介護を受けるか、ホームヘルパーや訪問看護などを利用しながら自宅で介護を受けるかは、病気や障害の程度、家族の都合も考えて利用者自身が選べる。」と述べられています。これは将来像でございます。これがこれから日本が目指す福祉社会の具体的な姿だとも考えられます。そこで基本的に、このことは、高齢者が家族介護に依存せずに自立した生活を送ることができるような社会、介護の確立が早急に求められていることをうたっているんだというふうにも思います。
 そこで、厚生省にお尋ねいたしますけれども、我が国での高齢者福祉政策の基本的な考え方はどのようになっているのかお尋ねをいたします。
#179
○吉冨説明員 高齢者の介護ということを考えます場合に、確かに先生御指摘のように、核家族化の進行あるいは高齢者のみ家族の増加、こういったような家族形態の変化がございますし、さらにまた、実際の在宅の介護ということにつきましては、家族に依存している部分も相当あるというのも現状でございます。
 こういったことから、高齢者を精神的に支える家族の役割、こういったものも十分評価しながら、家族に過大な負担をかけることがないように、高齢者ができるだけ家庭や地域で安心して暮らし続けることができるよう、必要な社会的な基盤整備を図っていくことが重要ではないか、このように考えておるわけでございます。
 こうしたことから、昨年、すべての地方自治体で老人保健福祉計画が策定をされまして、今世紀中を目標にしました地域の介護ニーズに応じましたサービスの提供基盤の整備が進められているところでございます。
 厚生省としましては、こうした自治体の老人保健福祉計画の作成も踏まえまして、昨年十二月、関係三大臣の合意によりまして新ゴールドプランを策定、そして今年度からスタートさせたところでございますけれども、この新ゴールドプランは、利用者本位・自立支援、そしてまた介護を必要とする人には必要な介護サービスを提供する、こういった基本的な理念のもとに策定をされているわけでございますけれども、こういった理念のもとに介護サービスの整備目標の引き上げを図りまして、自治体のこうした地域における介護基盤の整備、こういったものに対しまして支援をしていくということにしておるわけでございます。
 今後とも、このような取り組みを通じまして、地域における介護基盤の整備に対しまして努力をしていきたい、このように考えております。
#180
○池田(隆)委員 この介護の問題というのは極めて大きな問題だということの認識は、るる先ほどの質疑の中でもそれぞれ双方としては認識されているというふうに思います。我が国では家族の形態の多様化や核家族化が進んでいる中で、現在、先ほどもありましたけれども、介護が必要な高齢者が約二百万人、二〇〇〇年には二百八十万人に達するのではないかという形の中では、介護の問題というのは極めて重要だというふうに、これはもう日本の社会の中としての共通理解だというふうに思います。
 そこで、私ども社会党としては、高齢化社会への対応策として、高齢者介護問題については基本的に社会サービスの整備拡充で対処すべきであるというふうに長年主張してまいりました。つまり、要介護者の人間性、主体性を尊重した自支援助の責任が国にあることを明確にして、とりわけ食事、衣類の着脱、入浴など日常の基礎的な生活動作に介護を必要とする人々の介護、特に重介護、この保障をナショナルミニマムとして位置づけてきております。そして、そのことを受けての重介護保障政策大綱や高齢者ケア集中整備七か年計画の実施のための特別立法なども提案してきたところです。
 また、一九九〇年には、老人福祉法等八法改正を踏まえ、市町村及び都道府県による老人保健福祉計画の策定、実施への支援協力もしてまいりました。そして、先般、高齢化社会に向けた税制の抜本改革との関連で、高齢者保健福祉推進十か年戦略を大幅に見直し上積みして、新ゴールドプランの策定を求め、実現を見てきたというのがこの間の経緯でございます。介護問題では、在宅看護がいわゆるゴールドプラン以来初めて在宅福祉施策として導入され、るる施策が展開されてきているというふうに理解をしています。
 そこで厚生省にお尋ねをしたいと思うのですけれども、現在介護を必要としている高齢者に対して必要な介護サービスの提供をどのように行っているのか、お聞きをしたいと思います。
#181
○吉冨説明員 高齢者に対します介護サービスの提供ということにつきましては、これまで平成六年度までは、平成元年に策定をされましたゴールドプランに基づきまして介護サービス基盤の整備を図ってきたわけでございますけれども、この実績は、平成五年度末でホームヘルパーが約六万九千人、デイサービスが約三千五百カ所、特別養護老人ホームが約二十一万人分、こういったような状況になっておりまして、こういったサービス提供のための支援というのは地域におきます介護ニーズに対しまして二足の役割を果たしてきているのではないか、このように考えておるわけでございます。
 一方、昨年、すべての地方自治体で老人保健福祉計画が策定されました。その結果、今世紀末におきます地域の要介護高齢者数、あるいはそういった方に対します介護サービスの必要量、こういったものが明らかになったわけでございます。そういうことで、厚生省としましては、先ほど先生御指摘ございましたように、こういった自治体の老人保健福祉計画の作成を踏まえまして、こういった計画に基づく事業を自治体が円滑に実施できるように、そういったこともございまして従来のゴールドプランを全面的に見直しまして、介護サービスの整備目標の大幅な引き上げ、さらには訪問看護サービス等従来のゴールドプランの作成時にはなかったような事業、こういったものも取り込み、かつまた今後の施策の基本的な枠組みとしまして、在宅、施設にわたります各種施策の方向性、こういったものも示した新ゴールドプランを作成したところでございます。
 そしてまた、実際に介護を要する方に対するサービスの提供ということでございますけれども、これは従来より市町村に設置をされています高齢者サービス調整チームや在宅介護支援センターにおきまして、保健、福祉、医療、こういったものの相互の連携を図りながら必要なサービスを介護を必要とする高齢者の方に提供してきたということでございますけれども、新ゴールドプランでは、先ほど申し上げましたように、利用者の立場に立ったサービス提供、そしてまた保健、医療、福祉の総合的なサービスを提供していこう、こういったようなことで、介護を必要とする高齢者の立場に立ったきめ細かな必要なサービスを提供していく、こういったようなことになっておるわけでございます。
 今後、こういった新ゴールドプランの基本的な理念にも沿いながら、画一的なサービスではなく、利用者のニーズに合わせました必要かつ十分なサービスが柔軟に提供できる、こういったような体制の整備に向けて努力をしてまいりたい、このように考えております。
#182
○池田(隆)委員 要介護者を抱える悩みという形で、ここに連合が報告書をまとめたものがあります。「「要介護者を抱える家族」についての実態調査」という報告書でございますけれども、実に深刻な実情が報告をされております。
 例えば、「介護と口では簡単にいえるが、実際にやってみて精神的にも肉体的にも負担がかかる仕事だと痛感している」「家族に要介護者がでて初めて介護についていろいろなことを知り、苦しみも積もった」。また、要介護者に対し憎しみを感じることがあるか、長い間やっていて。そういう問いに対して、「いつも感じている」というのが一・九%、「ときどき感じている」というのが三二・七%、いわゆる十人に三人以上の人が要介護者に対してある種、わがままだとかいろいろな部分があるのかもしれませんけれども、憎しみを感じているという実態があるわけですね。
 さらに、「要介護者に対する虐待」、おむつ交換や食事などの世話の放棄、暴力、暴言など、何をやっているんだとか、少しサボるという形で、要求していてもしないだとかということも含まれると思うのですけれども、そういうことをしたことがあるかという問いに対しては、「よくある」というのが二%でございます。「ときどきある」というのが一四・四%、「あまりない」、「あまりない」というのは全くないという意味ではないという意味で三三・二%で、二人に一人はそういう虐待の経験者といいますか、そういう気持ちを持った、そういう行動をとったということになるのではないかなというふうに思います。
 こうしたお年寄りに対する虐待の背景には、社会的支援システムが未整備のまま、いわゆる寝たきり老人や痴呆老人を介護している家族が肉体的にも精神的にも疲労して、いつ終わるんだろう、そういうめどのないつらさに耐えかねているという悲惨な状況、実態ではないのかなということが推察されるわけです。
 このような実態がある中で、一方では、昨年十二月、高齢者介護・自立支援システム研究会の「新たな高齢者介護システムの構築を目指して」の報告では、高齢者介護をめぐる問題として、「今日の高齢者介護は、家族が全てを担えるような水準を超えており、高齢者の生活の質の改善の点でも、家族のみの介護には限界がある。また、社会全体から見ると、家族による介護は、専門職が行う介護に比較して効率的とは言えない」と指摘をされています。そして新介護システムの創設を提起をされています。
 そこで、厚生省にお尋ねをいたしますけれども、高齢者の自立支援として具体的に何を検討なされているのか、お尋ねをしたいと思います。
#183
○渡辺(芳)説明員 ただいま先生御指摘になりましたこの「新たな高齢者介護システムの構築を目指して」という、私ども対策本部の方で設置させていただきました有識者の方々十名を中心とした研究会の報告書でございますが、現在、私ども、その新しい高齢者介護システムの創設という大きな課題に向けて、省内における検討とあわせ、また関係審議会においてさまざまな角度から審議を進めていただいております。
 そうした中では、この先生が引用なされました高齢者介護・自立支援システム研究会の報告書というのも一つ大きな参考資料として審議会において検討材料にしていただいておりますが、そのほかにも医療団体、福祉団体あるいは健康保険に関係する団体、あるいは先ほど先生御指摘のあった連合の実態調査なり緊急アピールなり、いろいろな各方面での御意見や検討あるいはお立場を整理された報告書がさまざまに今日まとめられつつございます。そうしたものを全体包含いたしまして、この二月以来、特に老人保健福祉審議会という審議会を中心に、新しい高齢者介護システムの創設に向けたさまざまな議論をいただいております。
 この高齢者介護・自立支援システム研究会において打ち出されました、これからの高齢者介護の基本理念としての高齢者の自立支援という概念、これにつきましても、こうした審議会における審議の中で、高齢者介護の基本的なあり方や基本理念はいかにとらえるべきかという検討項目の一つとしてさまざまな御議論をいただいておるところでございます。
    〔河上委員長代理退席、委員長着席〕
 ちなみに、この高齢者介護・自立支援システム研究会の報告書の主なポイント、すなわち高齢者の自立支援を基本理念とした上で一体何を目指すのかということにつきましては、この報告書においては、高齢者みずからがみずからの意思に基づいて利用することのできるサービス、すなわち高齢者の選択ということがいかに確保されるべきであるか、こういう点が一つ。もう一つは、保健、医療、福祉を通じまして、介護サービスの一元化を目指して、サービスの利用手続や利用者負担の格差の解消などわかりやすい介護サービスのシステムにしていくことが求められております。
 また、同じような観点でもございますが、個々の高齢者の生活や心身の状態に配慮した介護サービスが適切に提供できる仕組みとして、総合的な相談、利用、調整機能が各地域社会の中でうまく機能するように用意を進める。すなわち、このあたりは英語でケアマネジメントとよく言われておりまして、そういうケアマネジメント機能というものが地域社会に確立していくこと、それらを前提といたしまして、新しい介護システムにおけるそれにふさわしい費用保障の仕組みとして、公費の投入はもとより、社会保険方式というものを採用し、社会全体で介護リスクを支え合う、こういったようなことが必要ではないか、こうした研究会の報告の骨子であったわけでございます。
 先ほどの繰り返しにはなりますけれども、これらを踏まえまして、現在関係審議会において審議を開始していただいておるところでございますが、その新しいシステムの具体的な内容につきましては、今後こうした審議会における議論を経ながら少しずつ着実に固めてまいりたいと思っておりますが、できれば事務当局といたしましては、本年中には具体的な制度案の基本的な考え方について審議会としての御意見を取りまとめていただければ大変ありがたいということを基調にいたしまして、精力的な御審議をお願いしておるところでございます。
#184
○池田(隆)委員 積極的なお取り組みをお願いを申し上げたいと思います。
 先ほど申しましたけれども、高齢者やその家族を支援するそのサービス、社会的介護の立ちおくれによって家族に重い負担がかかっている。その結果、るる先ほども話しましたように、年間八万人以上の人が、特に女性の方が多いわけですけれども、離職を余儀なくされているという実態が片一方ではあるわけですね。そうしますと、いわゆる新ゴールドプランを着実に一日も早く達成をしていかなきゃならぬというのが、やはり国の任務としては極めて大きいのではないかというふうに思います。
 そこで、厚生省にお尋ねいたしますけれども、特にこの取り組みというのは各自治体に対する支援というのが極めて必要でございますから、その状況が一体どうなっているのか、さらに、社会サービスの担い手となる保健、医療、福祉マンパワーの確保が一体どうなっているのか、この取り組み状況についてお尋ねをしたいと思います。
#185
○吉冨説明員 まず、自治体の取り組みに対する支援ということでございますけれども、自治体がその地域で各種の保健福祉サービスの提供基盤の整備をするということで、その際、施設サービスあるいは在宅サービスの整備に要します施設の整備費、あるいはその施設を運営するのに必要な運営費、あるいはホームヘルプサービス等の在宅サービスの事業費、こういったものにつきまして国庫補助等を行っているところでございます。このような補助金を含めまして、平成七年度、今年度、新ゴールドプラン関連予算としまして約六千億円を計上しているところでございます。
 また、新ゴールドプランでは新たに介護基盤整備のための支援施策につきましても位置づけをいたしまして、高齢者介護マンパワーの養成確保でございますとか、介護を効率的、効果的に進めるのに必要な福祉用具の開発・普及、こういったような支援施策につきましても新ゴールドプランで強力に取り組んでいく、このように考えているところでございます。また、地方自治体が実施をいたします単独事業、こういったようなものにつきましても積極的に支援をしていこう、こういうようなことで考えております。
#186
○池田(隆)委員 それでは、本法案の内容で焦点になっている事項について幾つか具体的に御質問していきたいというふうに考えます。
 その一つは、介護休業の期間の問題でございます。
 私たちは老親介護、つまり高齢者介護は基本的には社会サービスによるものだ、その子供に就業機会を断念させてまで責任を負わせるべきではないというのが基本原則でございます。しかし、現実的には、我が国では社会サービスがおくれている片一方の実態があるために、私的に、家族的に解決をせざるを得ないという場合が多くて、働き続ける意思を持ちながら、先ほども言いましたけれども、年間八万人以上の方が退職をしていく、その大半は女性である、こういう実態があるわけです。
 そこの中で、この介護問題をどうするかという形の中で、本当に我が党としては真剣に論議をしてきましたし、この成立に向けて、浜本労働大臣、大臣になる前に私たちの労働部会の部会長として積極的に御努力をされましたし、細川内閣時代には、今の労働部会長であります永井同僚議員でございますけれども、政務次官としてその前段の筋道としての取り組みを積極的につけてまいりました。特に、経済団体にまで話をしに行って、この実態の中でどうするのだという形を突きつける中で進めてきたという意味で、こういうゼロからの出発という意味で、今こういうような法案の成立を迎える状況になってきたということについては、少なからず我が党としては自負をしているところでございます。
 基本的に、この期間の問題について言えば、先ほども申し上げましたように、この介護の問題というのは、やはり新ゴールドプランの積極的な推進の中でまず社会サービスの整備を介護問題としては積極的に急ぐ、これはもう急務だろうと思います。そして、当面の対応策として最低三カ月の介護休業を保障し、それ以上は個々の労働者の実情に応じて休業を認めることを事業主の努力義務とすることを我が党としては主張してきたところでございます。
 なぜなのかということは先ほどるる説明してきたところに起因するわけですけれども、つまり、この法律ができ上がるということは、年間八万人以上の介護を理由にした退職者を少なくする、そういうことに効果を果たすという意味では画期的なことだろうというふうに思っています。
 しかし一方では、介護全体、福祉全般から見ていきますと、介護休業の取得の充実強化という視点のみで物事を考えていくことには慎重でなければならないというふうに考えるのです。つまり、介護休業制度導入は、先ほども前段、一番最初にお聞きしました、ヨーロッパ諸国ではない。とすれば、これは社会的な福祉の貧困さをあらわす一つの制度なのかもしれない、こういう危惧を抱くわけです。ですからこそこの法律を導入せざるを得ないという意味では、喜びとともに、ある面では痛みを感じるというのが率直なところでございます。そういう意味で、この法律は、介護の社会サービスが本当に充実されるまでの過渡的な緊急避難的な性格を押さえることがやはり極めて重要なことではないのかなという認識をしているところでございます。
 そこで、休業期間について、政府案の連続する三カ月となっている現状を考えて、例えば三カ月ではいかにも短過ぎる、何といっても緊急避難的な介護の枠から脱していないという御意見もございますし、また、三カ月とすると、それより長い休業期間を定めた既存の労働協約にも悪影響を及ぼすのではないかという心配の声もあるというふうに言われています。
 さきに我が党の永井先生が代表質問でもお尋ねいたしましたが、この問題は単なる期間問題を超えているという認識に立っていますので、どのような考え方に基づいて三カ月という期間を設定したのか、先ほどもるるありましたけれども、改めて端的にお答え願えればというふうに思います。
#187
○松原政府委員 この法律案をここに提出させていただきますまでには、先ほど来御説明しているところではございますけれども、平成五年から婦人少年問題審議会で御議論をいただいてきたわけでございます。昨年末に建議が出されましたが、その建議の中で、介護休業制度の定着を確保し得るような基本的な法的枠組みをつくるべき時期に来ているというふうにしつつ、その内容については、家族介護や労働者の雇用の継続の必要性と企業の負担との調和が図られるよう十分配慮する必要があるというふうに指摘されたわけでございます。
 すなわち、介護休業制度の法制化については、法律ですべての企業に一律に介護休業を義務づけることとする一方、義務づけの部分は最低基準である、そういう最低基準として設定することとし、これを上回る部分につきましては、企業の努力義務として労使の自主的な努力にゆだねるという基本的な考え方に立っているわけでございます。
 具体的に法律で義務づける介護休業期間は三カ月ということでございますけれども、それは一つには、介護休業制度は家族による介護がやむを得ない場合の緊急的な対応措置であり、また、家族が介護に関する長期的方針を決めることができるようになるまでの期間として三カ月程度の期間が必要と判断された。これは私どもが単に判断したというだけではなく、審議会の中での、審議に資するために検討をお願いいたしました専門家の方々のお集まりの中で議論が行われた結果、三カ月程度が必要だということで言われたことを背景としているわけでございますが、いずれにしても、家族による介護の必要性、緊急的にどうしても家族でなければ対応できない時期、そういうものとして三カ月程度が必要というふうに判断されたということが第一点。それからもう一つは、既に介護休業制度が導入されている民間の事業所、一六・三%でございますが、その事業所において実際に介護休業を取得した方の大部分、八割でございますけれども、この方々は三カ月以内に復職をしておられるといったようなことからこれを三カ月というふうにしたわけでございます。
 先生御指摘のように、三カ月ということになると、既存の労働協約などで一年という制度がある企業は確かにございます。そういうところの協約にも悪い影響が出るのではないかという御心配を御指摘なさいましたけれども、今申し上げましたように、法律で定める基準というのは最低基準でございます。法律で定められた基準が最低基準だからといって、それを理由として既にある労働条件が切り下げられるというようなことはあってはならないというふうに私どもは考えておりますし、また法律の基準を上回る制度が導入されるということは、法律案の中に努力義務規定が入っていることからも、私どもは好ましいというふうに考えておりまして、労使の自主的な話し合いによってそういうことが進められるように、また周知啓発もいたしてまいりたいというふうにも思っているところでございます。
#188
○池田(隆)委員 育児休業の場合は一年だという形になっていますね。産前産後があって、その後育休。しかし、育児と介護との根本的な違いというのは、育児には、日々子供が大きくなっていく、成長していく喜びを感じる中での、育児のつらさもあるわけですけれども、そういう喜びの中で進めていく。介護については、症状が安定していってもなかなか、いろいろなパターンがあって、治ればいいけれども、何かこう、悪くなってまた固定してしまうという形の中で、いつ終わるのか、果てしない形もあるということも一方にあると思うのですね。
 そうしますと、この介護の問題についても、多くは女性が行っているという形で考えていけば、仮に三カ月以上休んで、一人の方に責任を負わせていいのかという形もあろうかと思うのですね。家族介護しかやり得ないとするならば、やはり相互に分担をしていくという精神もこの三カ月の中で大いに利用できるのではないか、積極面では。そういうような気持ちもするわけです。そういう形の中で、やはり最低条件ですから、積極的な中でそれ以上という形ができるのであれば、そのことも進めていただくような指導も進めていただきたい。これは要望しておきますけれども、そういう形でお願いをしておきたいと思います。
 次に、介護休業制度の施行時期の問題でございます。
 この施行時期は、四年後の平成十一年、一九九九年の四月となっています。これに対して、先ほどありましたけれども、来年からでもという形での御意見もあるわけですけれども、しかしこれは全職種に、全労働者という形を考えていくと、先ほども労働省側で説明がありましたけれども、高齢者雇用安定法の改正の場合、やはり一緒に法を決めて、一緒に全職種に適用していこうという猶予期間を、これは特に対案を出されている新進党の皆さんの賛成を受けて進めたという形もございます。
 そういう意味でいけば、特に、高齢者雇用安定、法の場合の普及率は八割だったという状況がありますね。しかし、介護休業の普及率は一六・三%だと言われていますけれども、特にこういうことを考えていくと、やはり社会的コンセンサスという意味において三年間の準備期間が設けられてもやむを得ない。
 しかしながら、じゃこの間放置していっていいのかということも、先ほどもありましたけれども、私たちもできるところから積極的にやっていくという取り組みは必要だ。これは労働省としての指導強化というものが大変求められてくるんじゃないかというふうに思います。そういう意味において、企業に対して前倒し実施に努力するよう積極的に指導、援助する必要性を考えていますので、その取り組みについてどのように考えておられるのか、お願いをしたいと思います。
#189
○松原政府委員 この介護休業制度を義務づけている部分についての施行を平成十一年にしているというのは、先生御指摘のとおりの事情であるわけでございます。
 しかしながら、それまでの間何もしなくていいといいますか、そういうことではないというのは当然でございまして、なるべく早くできるところは制度を導入していただきたいという気持ちを私どもも持っております。
 特に、まだ普及率が低い中小企業になるべく早く導入されるということは望ましいことでございますので、そのための広報、啓発というのはもちろんでございますが、中小企業集団を通じた中小企業の計画的取り組みに対する相談・援助を行うとか、また、ことしの十月から介護休業制度導入奨励金を創設したいというふうに思っておりますけれども、それも中小企業により手厚いものにするといったようなことで、企業が円滑に介護休業制度を導入できるようにするための支援措置、積極的な指導、援助ということを行いまして、円滑になるべく早く、できるところは早くこの制度が導入されるように、私どもとしてもできることをいたしてまいりたいというふうに思っております。
#190
○池田(隆)委員 積極的な取り組みをお願いをしたいと思います。
 次に、焦点となっている所得保障の問題でございます。
 これも先ほど論議された問題でございまして、るる大臣の方からも御決意があったわけですけれども、これも本会議の中で大臣みずから、総理も含めて、十分検討していきたいというような御回答がありました。これは積極的な姿勢だというふうに思っています。そういう意味で、これが施行される四年後には、育児休業と同様な形の所得保障という形の中で何とか実現をしていただきたいということも私からも要望したいと思いますし、大臣の御決意を改めてお聞きしたいと思います。
#191
○浜本国務大臣 先ほどから御答弁申し上げておりますように、育児休業中の経済援助につきましては、育児休業制度がすべての企業に適用されます本年四月一日から給付されることになっております。
 介護休業中の経済援助につきましては、昨年の十二月に出されました婦人少年問題審議会の建議におきまして、休業期間中の経済的援助のあり方については、今後、介護休業制度が適用される時期を念頭に置きながら、さらに十分議論することが適当であるとされております。したがいまして、この制度の適用時期というものを念頭に置きながら、十分検討の上対処をしてまいりたいと思っております。
#192
○池田(隆)委員 積極的にこれはお願いをしたいというふうに思います。
 それで、ちょっとこの介護休業法案そのものとは外れますけれども、先ほど一番最初に御質問しました中で申し上げましたヨーロッパの情勢、ILO勧告、こういう中身を見ていきますと、家族看護ですね、看護休暇。これについては現制度の中では触れられていないわけですね。この法案にも触れられていません。配偶者や子供の突発的な病気、事故、そういうようなときの休暇というのは残念ながら日本に法制度として整備をされていない。本人の病気も含めて法としては特に整備をされていないわけですね、病気のための休暇は。
 公務員の場合には、およそ三十日だとかいう形の中で人事院規則を含めてありますけれども、これの実態を見ていきますと、今、介護でやめられる方がおよそ八万人以上いると言われています。しかし、病気または定年を迎える前の高齢という形の中でやめられるのが、資料によりますと三十二万七千人もおられる。これは、家族介護の関係でやめられる場合のときには、女性が七万三千人、男性は八千人という形の中で、圧倒的に女性の比率が多いけれども、病気の場合はほぼ均衡しているわけですね。つまり、十四万二千、十八万五千、こういう形があるわけです。それから、退職理由という形はさまざまあるわけですけれども、結婚でもやめられるというのは二十三万、育児でも平成二年度は二十二万という形もあるわけです。そして、定年では二十九万という形になれば、定年でやめられる方よりも病気でやめられる方の方が圧倒的に多いという。
 とすれば、短期間の自分の病気または家族の看護、こういうことをやはり日本の法制度の中で、労働者保護という観点からいけば、積極的にこれを考えていかなきゃならぬ時期に来ているのではないかという思いをいたします。そういう意味で、労働省として、この問題について今後どのように対処されていくお考えなのか、決意も含めてお聞かせ願いたいと思います。
#193
○渡邊(信)説明員 女性の社会進出が進みまして、いわゆる共働き家庭が増加をしてまいりました。こういった状況を背景にいたしまして、家族の看護のための休暇に対する関心が高まってきているということは承知をしております。ただ、この問題につきましては、私ども、まだ十分に実態の把握等できておりませんので、今後、実態の把握のための調査も含めまして検討課題として受けとめていきたいというふうに考えております。
 また、本人の病気休暇の問題も、特に年次有給休暇の取得との関係も含めましていろいろと御議論があり、関心も高いところでありまして、この問題につきましても、今後、検討課題にしていきたいというふうに考えます。
#194
○池田(隆)委員 なかなか難しい理由というのはどの辺にあるのか、ちょっと理解し得ない。しかし、この介護の問題は、八万人の退職者がいるという形でこういうような法ができる。片っ方では、だから心配をするわけですね。片っ方では社会的サービスがおくれている、家族介護に、家族の者に責任を押しつけるという意味合いに、何か積極的に利用しているというような心配もするわけです。
 しかし、本人が病気または家族がちょっと二、三日風邪を引いて、子供なんかでしたら、まだ学校に上がって低学年だったら、自分は心配だから家にいる、こういうことができない。今では年休でやってくださいという形になるわけですね。本当の意味での子育ての問題だとか、本当の本人の権利という形の中で言えば、これは本当に労働者の問題として積極的に取り組んでいく必要性があるだろうというふうに思います。しかし、大企業や公務員等ではこれがある程度充足されているからという形では困るのでありまして、やはり、労働者保護という観点では積極的に進めていただきたいというふうに思います。
 特に、子育ての問題でいけば、育児休業をより発展をさせていって、例えば学校に上がる、幼稚園や保育所に上がるという部分での、例えば学校での参観日等々もありますから、教育休暇、こういうようなこともヨーロッパでは施行されているところもあります、現実的にやっているところもありますから、こういう少子社会という形の観点からいっても積極的に取り入れていく、何とか労働省として、特に浜本大臣でございますので、進めていっていただきたいと強く重ねて要望しておきたいと思います。
 それで、最後でございますけれども、大臣に対して御決意をお聞きしたいと思います。
 今回のこの介護休業の法制化は、先ほどもお話ししてきましたけれども、普及率が一六・三%という低い中で法案化がこういうふうに提案をされているということについては、本当にある面では感無量のところもございます。しかし、先ほどもこれも言いましたけれども、ある面では痛みを感じているという、厚生省を含めて積極的な社会整備をやっていただきたいという願いを強くしているところであります。
 しかし、法案化された後、そして今これが論議されているという状況を迎えるという意味においては、一番最初に言いましたように、私たちの努力、我が党の努力、特に浜本大臣が過去の部会長時代も含めて積極的にやってきた、そして永井政務次官の時代にも積極的にその前段としてやってきたという取り組みだというふうに、先ほども申し上げましたけれども、自負をしていますし、この法案化に至ったまでの連立与党での各党の御理解があったというふうに思っているところでございます。
 そういう意味で、この普及率が一六・三%という現実の中でこの法案が成立すると、四年後に実施をするということが本当に完全に定着していくのかという心配というものも一部ではあるわけです。収支の問題をどうするのかということもあります。そういう意味で、大臣としては、この法案の実施に向けての御決意をどう考えておられるのかお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。
#195
○浜本国務大臣 池田議員から非常に御理解のある御質問をいただきまして、まことにありがとうございます。
 介護休業制度は、高齢化、核家族化が進展いたします中で、介護を必要とする家族を抱える労働者が働き続けるために重要な制度であると思っております。
 政府が今回提出いたしました法律案につきましては、長い間、労働者の代表、使用者の代表及び公益委員の皆さんで構成される婦人少年問題審議会におきまして真摯な検討が行われ、労使ぎりぎりの折衝を重ねた結果を踏まえて、家族介護や労働者の雇用の継続の必要性と企業の負担との調和を図りつつ、介護休業制度が着実に定着するように考えまして作成いたしたものでございます。
 労働省といたしましては、本法律案を速やかに成立させていただきまして、中小企業を含む事業所でなるべく早期に介護休業制度が導入されますよう、広報、啓発に努めてまいりますとともに、積極的に指導、援助を行い、円滑な実施を図ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
#196
○池田(隆)委員 よろしくお願いをしたいと思います。ありがとうございました。
#197
○笹山委員長 寺前厳君。
#198
○寺前委員 局長の話は朝からずっと聞いておりましたから大体わかったという前提で、大臣に聞きたい。
 その第一番目は、今度の法律の提案というのは、労働者が家族の介護をする、そのために休暇をとるんだ、休業するんだということを権利として保障するんだというふうに理解してよろしいか。
#199
○浜本国務大臣 お答えいたします。
 ILO第百五十六号条約の第四条におきましては、雇用条件において家族的責任を有する労働者のニーズを反映することを目的として国内事情及び国内の可能性と両立する措置を講ずることを規定しております。
 育児や介護のための休業を行うことができるようにこれらの休業を法制化することは、この条約に合致する措置になるものでございますが、条約によりまして直接に労働者に対しまして育児や介護のための休業を行う権利を付与するというものではないと理解をしておるわけでございます。
#200
○寺前委員 付与するものでないとはどういうことですか。ここに私持っていますが、その百五十六号条約の第三条にこう書いてあります。その第三条第一項に、「男女労働者の機会及び待遇の実効的な均等を実現するためこ云々、ずっと書いてあって、「また、できる限り就業に係る責任と家族的責任とが相反することとなることなく就業する権利を行使することができるようにすることを国の政策の目的とする。」「権利」と書いてある。「権利を行使することができるようにすることを国の政策の目的とする。」と。「国の政策の目的」としては、日本ではそうはしません、こういう意味ですか。大臣、どうですか。権利でしょう。これはこの間批准したんや。
#201
○浜本国務大臣 質問の通告がILO条約との関係でございましたので、その答弁を申し上げたのですが、この三条、議員が今お読みになったとおりでございます。
#202
○寺前委員 だから私は、権利だということで大臣に聞いたわけや。
 そこで、権利だということを今大臣がおっしゃったように、ILOの条約はいつ採択したかというと一九八一年六月二十三日、これが発効したのが八三年。そうすると、発効してからもう十二年になる。これは国際的にそうしようということを決めたわけでしょう。日本もそこにちゃんと承認したわけや。そうすると、あれから十二年はたっているんだ。その間、一体日本の内閣は、当時は大臣は大臣じゃなかった、今大臣になってみて、この十二年間に何をしておったんやろうか、権利である以上は権利らしくさっさととらすという活動は、一体労働省の中で何をやっておったんやろうかというふうに、大臣は、自分が大臣についてつくづく感じませんでしたか。
#203
○浜本国務大臣 ちょっとその間の経過を、それでは局長から御答弁……。
#204
○寺前委員 いやいや、大臣の話を聞いているんだ。役所の話を聞いているんじゃないよ。役所の話は要らぬのや、それは。大臣になってつくづくどう思いましたと、こう聞いておるだけの話で。
#205
○浜本国務大臣 私も、早くILO百五十六号条約の批准でありますとか介護休業制度の法制化をやりたいというふうに考えておりましたのですが、今日までできなかったわけですが、大臣に就任をいたしましたので、ぜひこれを実現したい、かように考えまして、一生懸命努力したような次第でございます。
#206
○寺前委員 今の大臣の気持ちはもう百も承知、提案されたんだから。だから、それまでの内閣は一体どうだったんだろうかということについて、大臣としてはどういう気持ちになっておられたんだろうか、そのことを聞いておるのや。
#207
○浜本国務大臣 その点につきましては、法案を提案いたしまして、早く成立をさせていただきたいという願望を持っておる大臣でございますので、前のことをいろいろ申しますと差し支えも出ますので、御勘弁いただきたいと思う次第です。
#208
○寺前委員 私は何も意地悪を言っているわけではなくして、大臣、さっきのだれかの質問に対して、緊急を要するという話をおっしゃっていた。私はそうだと思うのです。十二年も前に国際的に認知されて労働者の権利として位置づけられたものを、長期にわたって作業は何ら行われていない。
 私、当時のILOの会議の条項について日本の政府がとった態度はどうやったんやろうか、これの記録をずっと見てみた。そしたら、無条件にこれを積極的にやれという発言はしていない。勧告の決議にしたらどうやとか、消極的なんだよ。それがずっとその後十二年間続いておるなという感じを受ける。
 さっきの局長の話を聞いておったら、シンポジウムをやったのは平成二年かなにか言っておった。それで、審議会をやり始めたのは平成五年から、こういうことや。そうすると、いずれにしたって、直接手を出したのは五年間の範囲やなということになる。余りにも権利の問題を軽々しく扱っている。私は憤りにたえない。問題は、そのことをやっておったら時間がかかるので、それは横っちょへ置くけれども、それにもかかわらず、これからまた四年もかけるなんというようなことをよくも言えたものだ。私が言いたいのはそこなんだよ。だから即刻やれるようにやるべきだ。だから、これは先ほどから論議がありましたから、もうこれ以上言いません。非常におくれている。そもそも、国際的認知の事態から考えても、権利をそういう軽々しく扱ってもらっては困る。これが第一。
 第二番目の質問に移ります。
 これが、先ほどから聞いていると、中小企業の分野が困難なんだと言う。私もそう思う。そのために時間も要るし、手だても組まなければならぬのだ。これが執行する時期がおくれる問題として提起されておる。そこで私は聞きたい。これは局長に聞きます。中小企業のために、積極的に権利を保障してやるために、どういう手だてを考えておられるのか。
#209
○松原政府委員 先生御指摘のとおり、介護休業制度の導入率、平均いたしますと一六・三%なのですけれども、中小企業では一割ちょっとということで、非常に大企業との差があるわけでございます。そういう意味では、介護休業制度の法制化に当たりましては、中小企業に対する配慮というのが最も重要な課題になっているわけでございます。
 そういうことから、この法律案におきましては、中小企業においても介護休業制度が円滑に導入できるよう、準備期間として三年程度とることとし、介護休業制度の施行時期を平成十一年四月一日からということにしたわけでございます。
 それまでの間におきまして、中小企業においても、できるところから介護休業制度の導入が図られるということは非常に重要なことでございますので、国としてもそれを支援したいというふうに考えております。
 具体的には、中小企業集団における介護休業制度や短時間勤務制度など、仕事と家庭の両立を支援する措置の導入のための取り組みを支援する事業をひとつやりたいというふうに考えております。つまり、中小企業の集団ぐるみで労働者の職業生活と家庭生活との両立を図るためのさまざまな仕組みを検討していただこうという事業でございます。
 それから二番目は、事業協同組合などが傘下の中小企業の委託を受けて代替要員の募集を行う場合に、許可制を届け出制にする特例を創設したいというふうに考えております。中小企業にとりましてはいろいろ難しい面もありますけれども、こういった長期の休業制度が導入されるということになりますと、代替要員の確保というのがそれを円骨にできるかどうかのポイントになる極めて重要な問題でございます。そういうことから、今申し上げましたように、委託募集の特例を設けるということをやりたい。また、あわせまして、中小企業集団を通じた代替要員確保のための情報提供や相談・援助による代替要員確保のための支援も進めていきたいというふうに考えております。
 また、直接的な支援策といたしましては、介護休業制度の導入が早期に図られるよう、介護休業制度導入奨励金というものをことしの十月から創設し始めたいと思っておりますけれども、特に中小企業に対しては手厚くいたしたいというふうに考えておりまして、今申し上げましたように、中小企業に特に配慮した援助策を総合的に推進したいというふうに考えているところでございます。
#210
○寺前委員 いろいろ今おっしゃる。しかし、事業主にとっては、一番負担の大きいのは、小さい経営ですから、その本人に対して賃金をどうするんだという問題は大きいんだ。本人にとっても、自分の家族の生活がかかっているから、金なしに休むわけにはいかない。ここが一番の障害になるわけでしょう。先ほどから、これは実施する段階までに検討しますという答弁をしておられた。私は、最大の問題はここだと思うのです。
 そうすると、それを実施するまでに検討するというのだったら、検討するなんということは言わぬと、既にもう育児の場合にはちゃんと全面的に実施することを決めたんだから、ちゃんと法的にもしたんだから、そうしたら、この法律を出すに当たってまずそのことはずばり書いたらいい。何でそんなことを避けなければならぬのか。それを、三年先か四年先か実施時期はおくらせている上に、そのときまでに考えましょうなんて気楽なごとを考えている。だから、さっさとこれはこうするんだと何で法律の上に所得保障の問題について明確にしてやらないのか。これは、もう話は局長からさっきから答弁で聞いているから大臣に聞きたい。何で法律で明確にそれをうたわないのか、はっきりせい。これが一つ。
 もう一つは、今度は本人がおらなくなった後の補充の問題。
 面倒をいろいろやりますと今局長が言った、その補充に来る人に対しても面倒を見ますよと。さっき、事業所で何かそういうことをやったら、中小企業は特別に若干の面倒を見ますという話がありました。僕は、この間レクを受けていたら、一人でも二人でも三人でもともかく導入するということをやってくれたら、七十五万か何ぼか金をことしの十月から出しますよという話を聞いた。
 それだったら、一人とか二人とか言わぬと、一人補充した場合にはこういうふうにしますとぴちっとしてやったら、中小企業の水準は最低水準だとかそんなこと言わぬでも、積極的に喜んで参加するということが言えるじゃないか。私は、勘どころはそこだと思う、中小企業の。
 これは、実務的な話は全部さっきから聞いたから、大臣のそこに対するお考え方、それはそうだというんだったら、それはそうだと言ってくれたらいい。ひとつお聞きしたいと思う。
#211
○浜本国務大臣 二つありました。
 まず一つの、介護休業取得者に対する所得保障の問題でございますが、これも何回も各議員に答弁をしておりますことを繰り返し御答弁を申し上げるしか今のところないのですが、要するに、審議会におきましても、休業期間中の経済的援助のあり方については、今後、制度が適用される時期を念頭に置きつつ十分論議することが適当であるというふうに答申を受けておりますので、制度の適用時期を念頭に置きながら、私どもも十分検討の上対処してまいりたいと思います。
 それから、賃金保障の問題につきましては、制度との関係がございますから、局長にちょっと答えてもらいます。
#212
○松原政府委員 先ほどちょっとお話し申し上げました介護休業制度導入奨励金というのは、制度自体を企業に導入してもらうというための奨励金でございます。つまり、制度を導入するに当たりましてもさまざまな検討が企業の中で行われなければいけませんし、そういったことについての経費の補助ということで支給をいたそうというものでございます。
 先生が御指摘になりましたのは、そういうことにとどまらず、代替要員を雇いやすくするといいますか、雇うことに伴うコストを補うために何らかの助成を、一人雇ったら賃金全額かどうかは別としても助成してはどうかという御指摘ではないかというふうに承ったのでございますけれども、確かに中小企業においては代替要員をどのように確保するかということは非常に重要な難しい問題であり、それに対する特別な支援が必要であるということはそのとおりであろうかというふうに思います。
 そういうことから、先ほどちょっと申し上げましたような、集団ぐるみでそういったことに取り組んでもらうとか、委託募集の特例を設けるといったようなことをやったわけでございますけれども、御指摘があったと思われる代替要員を雇った場合に、その代替要員に支払うべき給与の一部ないし全額かもしれませんが、それを助成するということ、そういうことにつきましては、介護休業を取得した労働者に対しては、通常多くの企業がノーワーク・ノーペイの原則を当てはめており、給与を支払っている企業というのは少ないわけでございます。また、介護休業をとった人にかわる代替要員に対する企業の負担というのもどの程度のものかといったようなことはさまざまであろうかと思います。また、企業によっては、休業者が出るごとに代替要員を雇うということをせずに、残りの社員がカバーするとか、人事ローテーションでカバーするといったようなことが行われる場合もあろうかと思います。
 そういうようなことを全体考慮いたしますと、代替要員を採用した企業に対してだけその代替要員に支払うべき給与の一部なりを補助するというのは、ちょっと全体のバランスがとれないのではないかというふうに考えており、私どもとしてはこれは適当な方策ではないというふうに考えているところでございます。
#213
○寺前委員 もうその話はさっきから何回も聞いておるからよろしいけれども、私は、やはり本人の賃金保障の問題、それから代替の補充要員に対する問題、それは一つずつきちんと法律的にも出してやって執行してやるということが、これだけのおくれをとっている権利に対する保障の問題としては、法的にはすべきであったというふうに思います。
 その次に、今度は政府案について幾つかの点について聞きたいと思うのです。
 その一つは、対象の家族の問題。政府案を見ておりますと、これは一親等の範囲内の面倒を見ましょうと法律に書いてある。プラスして労働省令で検討すると。この間、本会議で労働大臣の発言を聞いていたら、その労働省令では同居の二親等であるという発言でした。同居の二親等を面倒見ようというんだったら、初めから文章の中にびちっと書いたらどうなんですか。何で書かないんだろうか。それとも将来、二親等以外の分野まで考えようというからそういうふうにしているのか、そこのところはいかがなものですか。
#214
○松原政府委員 対象家族の範囲でございますけれども、私どもは、労働者の権利として介護のために休業することを認める制度であるわけでございますので、社会一般の認識として、労働者本人が休業してその家族の介護に当たる必要性についてのコンセンサスというのがやはり必要ではないかというふうに思います。
 実際に介護休業制度を導入している企業の制度の内容を見てみますと、配偶者、本人の父母及び子供を範囲に加える割合というのは非常に高く、九割を超えているわけでございます。次いで配偶者の父母を範囲に加えている割合も八割強という高い比率を示しております。その次が祖父母で四割程度という状況でございます。
 実際に介護休業制度を利用した労働者と介護の対象となった家族との続き柄の割合を見てみますと、これらの四者、配偶者、本人の父母及び子供、そして配偶者の父母でございますが、これらの四者で九三%に達しているということから、法律で義務づける対象家族の範囲としてはこれらの四者を基本とするということが適当であるというふうに考えまして、法律できちんとそこは書いたわけでございます。
 なお、それ以外にも、先生御指摘のとおり、労働省令で定める一定の範囲を対象家族に含めるということにしておりますけれども、それは、先ほど申し上げました四者が基本であるということとは必要性についてのコンセンサスという意味においては若干違うのではないかということから労働省令で定めることにいたしまして、父母及び子に準ずる一定の範囲の親族を対象にするということにしたわけでございまして、実際にはこれらにより必要な範囲は十分カバーできるというふうに考えているところでございます。
#215
○寺前委員 説明を聞いた上での話をしておるので、もう同じ話はいいんです。
 要するに、私は、日本の国というのは家族制度が現状は外国とは非常に違う、尊重されている社会だ。そういうところから考えると、労働大臣が本会議でおっしゃったように、同居の二親等まで面倒を見る必要があるとおっしゃっているのだったら、僕はそれはそうだなと思って聞いたから、それだったらいっそのこと、二親等全部検討するというのが日本の社会制度に合ってよろしいな、これは極めて日本的だな、これは拍手を送ってやろうかな、そう思っておっただけの話であって、こんなのは解釈をどうするかという話じゃないので、そういうふうにした方がいい。
 むしろ、日本の現状からいったら、同居の二親等に限らず、同居しなければならないという社会環境に現におる人も、二親等以外であっても考えてしかるべきじゃないか。ホームヘルパーが少ないとか、預かってくれるところが少ないとか、外国と比べて家族中心主義になっている日本の現状から考えるならば、そこまで考えて当たり前と違うかな。私はそう思うので、これはあえて意見だけ言っておきます、今すぐここをどうということはありませんから。
 それから次に、昨年の九月から実施されている国家公務員の介護休暇制度では、これは今度の法律とちょっと違うんだよね。「日常生活を営むのに支障があるものの介護をするためこと書いてある。今度の法律では「労働省令で定める期間にわたり常時介護を必要とする状態」と書いてある。これは同じように理解していかぬのですか。悪いのですか、いいのですか、簡単に言ってください。
#216
○渡邊(信)説明員 国家公務員に適用されております介護休業の「日常生活を営むのに支障がある」というのは、今回提案をしている法案に規定しております「常時介護を必要とする状態」よりは軽度のものも含まれるというふうに解しております。少し具体的に申しますと、歩行、排せつ、食事、入浴等のいずれか一つの項目につきまして何らかの介助が必要な程度のものであれば、非現業の国家公務員の場合には含まれるというふうに解釈しております。
 なぜこのような差があるのかということでございますが、民間のすべての企業に適用を考えております今回の法案では、法律的な権利はいわゆる形成権、労働者の一方的な意思表示によりまして権利が発生するという仕組みをとっておりますが、非現業の国家公務員の場合には、公務員が申し出をしまして当局がこれを承認した場合に初めて休める、こういう仕組みをとっておるわけでありまして、そういった権利の基本的な性格、権利の強さ、弱さ、そういったものから内容にも差が出てきているものだというふうに我々は理解しております。
#217
○寺前委員 何度聞いたってわからぬのだけれども、公務員というのは、賃金なんかを決める場合でも一般の社会のあれをちゃんと基準にして決めているわけでしょう。何事もそうやって、だから公務員だけ特別なことをというようなことをやっておったら違うでということになるんだ、人事院で。そういう物の見方から考えたら、公務員というのは、一般社会との間における結節点として同じような考え方で見るべきじゃないのだろうか。そうしたら、おくれているところの社会の、中小企業の現象を考えたら、何でそういうふうに、「日常生活を営むのに支障があるものの介護」というふうに取り上げてやらぬのかな。私はこれを疑問に思うので、あえてこれを問題提起をしておいて、後でまた大臣、研究するのだったら研究してくださいな。
 それから、もう時間がなくなってきたから、幾つか問題提起して、お答えいただけるものはお答えいただきたいと思うのです。
 それは、公務員の場合には、話し合いで期間内で休業したり出勤したり断続的にとることができる、こうなっているわけです。ところが、政府案は、どう読んだらいいの」かな。例えば三カ月、これは法律でこう書いてある、「三月」。その間にとって、途中で労使の間で、ちょっとあんた済まぬけど、介護しているのに悪いけど来てくれぬやろか、よしよし手伝いに行ったろかという話がつくのだったら、それをやってもよろしいというふうにこれは解釈できぬのか。要するに、労使間で三カ月の間で話し合いでいったら、断続的にとるということも連続の回数の話として認めることができるのかということが一つ。
 もう時間がないから、問題点だけ言います。
 それから、労働省の女子雇用管理基本調査という平成五年のものを見ると、既に実行しているところの状態から見ると、一回につき一年というのが五六・四%、一番多いのですよ、大手企業から既に実施されている中小企業を見たって。それが実践的な経験だったら、一年の経験のところへみんなを合わすことを僕はやるべきではないのだろうかなというふうに思うのです。
 そこで、政府というのは、国家というのは、例えば私ら銀行に行っても、担保力がおありですか、なかったら金貸せませんな、保証人はどうですかといって聞かれますがな。ああそれはもうあきませんな、そういうのを救ってやるために無担保無保証人の融資の制度、それは政治の役割ですよ。だから、水準が低いところを高い水準に持っていってやる、世間並みの水準に持っていってやるというのが政治の力だ。そう思ったら、低いところに無理だからといってだっと抑えつけるという意味ではなくして、高い水準へやれるようにするためにはどういう手を打ってやったらいいかというふうに物の見方を変えるということ、この三カ月問題では私はそういうふうに思うのだけれども、どうだろうか。これが二番目。
 それから三番目に、不利益の問題がここに書かれているのです。だから、不利益については解雇の問題だけが書いてあるけれども、解雇以外の不利益という問題は、例えば基本給とか退職金の算定に休業期間はちゃんと入るようになるのだなとか、そういうような問題点がいろいろこれから出てきます。だから、その不利益問題については、労使間の話だといって任せてしまうのか、それとも一定の見解を明らかにされるつもりなのか、そこを聞いておきたい。
 最後にもう一つは、今度は、不利益措置をやった場合には罰則がないのだ。やるのだったら罰則まできちっとして、権利を保障しますというふうに何で言い切れないのか。
 以上、四点まとめて大臣からお答えいただいたら結構です。
#218
○松原政府委員 まず、労使の話し合いによって休業期間中も一定の時期に出勤ができるかどうか、こういうお尋ねだったかと思いますけれども、この介護休業制度というのは、労働者が申し出た場合には事業主はその休業を無条件で認めなければいけないというものでございますけれども、その例えは三カ月の間に労使で話し合って、例えばある一週間なら一週間出てきてほしい、労働者の方もそれを認めて、合意が成って出てくるといった場合は、そこで休業が終わってしまうということではなくて、残り期間があれば引き続き休むことができるというふうな取り扱いで考えたいというふうに思っているものでございます。あくまでも労使の合意が前提でございます。
 三カ月という期間につきましては、先ほど来御説明しておりますけれども、実際にどういった制度が行われているかということもさることながら、本当に家族による介護というのが必要な時期というのがどれだけの期間が必要なのかという専門的な検討を踏まえて私どもはやったわけでございます。
 先ほど先生御指摘の、一年というのが多いというふうにおっしゃいました。それは確かに私どもの調査でそういうふうに出ておりますけれども、同じ調査で、じゃ、労働者は無条件にそれがとれるかどうかということをまた別のところで聞いておりますけれども、その答えとしては、例えば同居を条件としている、扶養を条件としている、労働者本人以外に介護する人がいないというような条件をつけているといったところもたくさんあるわけでございます。
 今回提案させていただきました法律案では、三カ月でございますけれども、先ほど御指摘ありました対象家族の範囲については、要するに、同居とか扶養とかの条件がついてない基本的な四種類の家族でございますけれども、それについては同居、扶養の条件をつけるということはしておりませんし、他に介護をする人がいるといったような場合には認めなくていいといったようなことにしているわけでもございません。さまざまのことを勘案いたしまして、実際には一人で介護をやるということは極めて大変なことでございますので、できれば家族が交代してやる、女性だけではなく男性にもぜひ負担をしていただく必要があろうかと思いますし、そういうことも考えて三カ月という期間にさせていただいたわけでございます。
 また、不利益取り扱いでございますけれども、介護休業の申し出をしたこと、また介護休業を取得したことを理由とする解雇については禁止をしており、また、年次有給休暇の取得要件として出勤率があるわけでございますが、その算定に当たりましては、休業中のその日数は出勤とみなすという取り扱いもいたしているわけでございます。
 それ以外の事項について、先ほど先生が昇格だとかボーナスとかいうふうな点をおっしゃいましたけれども、そういったことについては、実際に休んでいるという事実はあるわけでございますが、そういった休んだということをどう評価するかということについて、まだ我が国の中でのコンセンサスがあるとは言えないというふうに考えております。
 そういうことから今回規定はしておりませんし、そういうような実態であるとすれば、罰則をつけるということもなおさら困難な問題であろうかというふうに考えているところでございます。(寺前委員「罰則、罰則」と呼ぶ)罰則の点は最後にお答えしたつもりでございますが、今申し上げましたように、不利益取り扱いについて、どういったことがそういうものなのかについてのコンセンサスがないということが一つ。そういうことであれば当然のことながら、罰則を付与するということは考えられないというふうに申し上げたわけでございます。
#219
○寺前委員 時間が来ましたので、やめます。
#220
○笹山委員長 次回は、明二十八日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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