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1995/02/15 第132回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第132回国会 厚生委員会 第3号
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1995/02/15 第132回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第132回国会 厚生委員会 第3号

#1
第132回国会 厚生委員会 第3号
平成七年二月十五日(水曜日)
    午後三時二十一分開議
出席委員
  委員長 岩垂寿喜男君
   理事 衛藤 晟一君 理事 木村 義雄君
   理事 鈴木 俊一君 理事 石田 祝稔君
   理事 山本 孝史君 理事 網岡  雄君
   理事 荒井  聰君
      荒井 広幸君    熊代 昭彦君
      近藤 鉄雄君    佐藤 静雄君
      塩崎 恭久君    住  博司君
      竹内 黎一君    長勢 甚遠君
      藤本 孝雄君    堀之内久男君
      山口 俊一君    青山 二三君
      粟屋 敏信君    岩浅 嘉仁君
      鴨下 一郎君    久保 哲司君
      坂口  力君    福島  豊君
      宮本 一三君    柳田  稔君
      五島 正規君    土肥 隆一君
      森井 忠良君    横光 克彦君
      枝野 幸男君    岩佐 恵美君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 井出 正一君
 出席政府委員
        厚生大臣官房長 山口 剛彦君
        厚生大臣官房総
        務審議官    太田 義武君
        厚生省健康政策
        局長      谷  修一君
        厚生省保健医療
        局長      松村 明仁君
        厚生省生活衛生
        局水道環境部長 藤原 正弘君
        厚生省薬務局長 田中 健次君
        厚生省社会・援
        護局長     佐野 利昭君
        厚生省老人保健
        福祉局長    阿部 正俊君
        厚生省児童家庭
        局長      佐々木典夫君
        厚生省保険局長 岡光 序治君
 委員外の出席者
        文部省高等教育
        局医学教育課長 遠藤純一郎君
        通商産業省環境
        立地局環境指導
        課再資源化対策
        室長      小川 恒弘君
        労働省職業安定
        局高齢・障害者
        対策部企画課長 太田 俊明君
        建設省住宅局住
        宅・都市整備公
        団監理官    小平 申二君
        建設省住宅局民
        間住宅課長   坂田 隆史君
        厚生委員会調査
        室長      市川  喬君
    ―――――――――――――
二月十日
 精神保健法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第三五号)
 結核予防法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第三六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 厚生関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○岩垂委員長 これより会議を開きます。
 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩崎恭久君。
#3
○塩崎委員 自由民主党の塩崎恭久でございます。
 きょうは予算委員会が開催されているということで、大臣がおられないのは大変残念でありますけれども、局長さんたちがおいででございますので、国民健康保険の問題につきまして御質問をさせていただきたいと思うわけでございます。今回、近々改正案が出るということでございますが、そのこともさることながら、将来の抜本改正を展望しながら少し導入部の議論をしてみたいな、こんな気持ちできょうは立たせていただいたわけでございます。
 その問題に入る前に、さきの阪神大震災で被災をされました国民健康保険の被保険者に対する一部負担金及び保険料の負担の減免の問題でございますが、この問題については、この委員会でも二月七日に質問が一度行われたと思うわけでございます。その後の進展を含めて、特に兵庫県からはその財政措置の国での全額負担ということを希望しておったようでございますが、その辺がどうなったのか、ひとつお答えをいただきたいと思うわけでございます。
 大分、近県に避難をされたり、また私ども愛媛県でありますけれども、愛媛県まで親戚を頼りに移動をしておられる方もおるようでございますから、その辺の対処をどうされたかということをお答えいただきたいと思います。
#4
○岡光政府委員 まず保険料の減免の関係でございますが、所得税も減免を行うことになっておりまして、その取り扱いに準拠をする格好にしております。この所得税の減免の取り扱いにつきまして従来の基準を緩和をして範囲を拡大するようなことが検討されておりますので、それと並んで緩和措置を拡大する方向で今検討しているところでございます。
 それから、一部負担金につきましては、住宅が全半壊した場合、それから主たる生計維持者が死亡するなどの被害を受けられた。そういう方々に対しまして免除措置が講ぜられるよう保険者を指導しているところでございます。
 御指摘がありましたこういった保険料、一部負担の減免措置が講じられた場合の財源措置でございますが、現行の国民健康保険法の中では、その減免額の十分の八以内の額を特別調整交付金で交付をする、こういうふうにしておりますけれども、兵庫県等からは、その全額を、十分の八ではなくて全額を財政措置しろ、こういう要望が出てきておるところでございまして、できる限り要望に沿う方向で調整してまいりたいというふうに考えております。
#5
○塩崎委員 まだまだ二十二万人にも及ぶ方々が避難生活をしているということでございます。どうぞひとつ、そういうことでできる限りの対処を政府としてしていただきますように、私の方からもお願いをしておきたいと思います。
 さて、国民健康保険の改正の問題については、もう言うまでもなく皆様方もずっと御議論をされて、また厚生省の内外を問わず、いろんな形で抜本改正に向けて議論を詰めているんだろうと思うわけでございますが、今回の改正、恐らく近々上がってくると思いますが、大体中身を見せていただきました。
 暫定的な措置という感触がぬぐえないわけでございますけれども、我々も特に地元で、例えば中小の、あるいは零細の事業主など、例えば環境衛生同業組合に入っている飲食店の経営者とかそういう方々からは、かねてより、例えば建設国保なんというのがあるけれども、国保組合をつくらせてくれないかというような話も随分出ておったわけでございます。厚生省としても、そういう国保組合をどんどんつくっていったら今度市町村がやっている国保がだめになってしまうということで、たしか沖縄の医師の国保の組合が昭和四十九年にできたのを最後に新しいものはつくってないということだと思います。地元で飲食店の経営者なんかが建設国保に潜り込んだりというようなことをして、何とかこの重い負担から逃れようという努力をしているわけでございますが、本当に長い目で見て抜本改正をしなければいけないなというふうに思っているわけでございます。
 そういう中で、去年の十二月に当委員会でも、国民健康保険制度の改革に関する請願というのを採択をいたしたわけでございます。青色申告会を中心に個人事業主が請願者となって、私も紹介議員の一人になったわけでございますが、四点の請願がございました。
 問題点、皆さん御案内のとおりでございますけれども、一つは広域的な保険者の調整、それからもう一つは低所得者への公費負担の拡充、三点目は賦課方式の合理化、つまり応益割合の引き上げということでございます。それから、これはもう青色申告会独特の問題だと思いますが、算定方法の公平化。後でまたちょっとお話し申し上げますが、専従者の給与の問題、扱いでございます。
 本当は、例えば国民負担率の中で社会保険、この国民健康保険も含めて逆進性の問題とか大変根本的な問題を考えなければいけないわけでございますが、きょうはそこまでを聞いている時間がないものですから、まずこの今の四点の中で、後ほど三点聞きますが、一つは、例えばこの中で「広域連合の活用を含めこという示唆があるわけですが、こういった提案について、厚生省としてどういう評価をして、どういうまとめ方を今後していこうとしているのか、その地域間格差の問題についてまずお答えをいただきたいと思います。
#6
○岡光政府委員 御指摘のように、市町村国保の経営規模としましては小規模な保険者がふえてきているわけでございまして、保険としては、やはりリスク分散を考える以上は一定の規模が必要になってくるわけでございます。そういう意味で、国民健康保険の保険者の規模はどうあるべきかというのは、実は従来からも議論がなされているところでございます。
 今回の国民健康保険の改正におきましては、そのどういう規模であるべきかという議論はちょっとさておきまして、現状の中でそういった規模が小さくなっているところに対してどう対応したらいいのかということを考えようとしているわけでございます。具体的には、一件当たり非常に高い医療費が発生した場合に、その保険者の被保険者負担にならないように共同で負担する事業を拡大をしていこうじゃないか、こういうことで当面の小規模保険者の運営の安定化を図ろう、こういうことにしているわけでございます。
 そもそも論としまして御提起がありました広域連合の問題でございますが、その広域連合をどういう規模でセットするのかということにつきましては、また市町村関係者の中でいろいろ議論が分かれているようでございまして、そういったものの議論の帰趨も見きわめなければならない、こういうふうに考えておりますが、いずれにしましても、この保険者規模というものは構造問題でございまして、御指摘がありましたように、これから基本的な国保のあり方を見直していく際の大きなテーマじゃないだろうか、こういうふうに考えております。
 一方で、財政規模という意味では拡大をして危険分散を図れるような大きな規模にするということとあわせまして、もう一方では、保険運営という面では被保険者の把握をちゃんとやるとか、適用関係をちゃんとやるとか、こういうことになりますと住民と密接なところじゃないといけないといういわば二つの要請があるわけでございまして、その辺をうまく兼ね合わせながら、どういう経営規模がよろしいのか、こういうことを議論していくべきではないだろうかと考えております。
#7
○塩崎委員 この請願書の中の第四番目に算定方法の公平化というのがあるわけでございますが、所得割額の算定に際しまして、個人事業者と、それから給与所得者との間の扱いのアンバランスの問題だと思うわけでございます。
 所得税、住民税などの世界では、個人事業者に対しまして専従者給与というのが必要経費として認められているわけでございますけれども、この所得割額の算定の際には控除されていないわけでございます。専従者給与がオンされるという格好で、いわゆるただし書き方式という形式をとっているわけでございます。大半の市町村がこのただし書き方式というのをとっておるわけでございまして、これでいくと、例えば私ども松山市の計算例でいきますと、収入金額が同じ三百五十万でも、事業をやっていらっしゃる個人の方でいきますと天井の五十万にすぐなってしまう。ところが、それに対して同じ三百五十万の給与収入がある方は三十七万六千六十円という保険料で済むということで、かなりのギャップがあるわけでございます。
 この問題は、所得税、住民税などの場合にこういう控除が認められるのに、なぜこのただし書き方式を保険の場合にとり続けるのかということでございまして、その辺の、青色専従者控除を認めるお考えがあるのかどうか、これからの検討をどうするのか、この点についてお話をいただきたいと思います。
#8
○岡光政府委員 まず、現状の考え方を御説明を申し上げます。
 住民税につきましては、御承知のとおり個人単位で課税をするわけでございまして、青色申告事業者に対する住民税の課税は、事業主の収入と配偶者等の収入とを明確に切り離す必要があるわけでございます。そういう意味で、事業主に対しましては配偶者等の給与を事業専従者控除として控除をした後課税を行う、こういうことをやりまして、一方、配偶者等に対しましてはその給与をもとに課税を行っている。要するに、個人単位でそれぞれの所得状況を把握をするというやり方をやっているわけでございます。
 これに対しまして、国民健康保険の保険料(税)につきましては、世帯単位で賦課する、世帯として把握するわけでございまして、そういう意味で、専従者控除を認めていない一方で、その配偶者等につきましては、保険料(税)の賦課の際に給与所得として取り扱うことをしないという格好になっているわけでございます。つまり、世帯主の所得状況でその世帯の保険料(税)を課税するというやり方で、こういった違いになっているわけでございますが、御指摘がありましたように、給与の種類によりまして控除のやり方がそれぞれ違っておりまして、結果として、同じ収入額に対して実は国民健康保険料(税)が違うという結果になっております。
 そういう意味では、負担の公平ではないではないかという指摘が従来からあるわけでございまして、これにつきましても、どういう形で負担の公平化を図っていったらいいのか、こういう議論を幅広く行う必要があるというふうに認識をしております。当面は、今申し上げましたところで対応せざるを得ないのでありますが、これからの問題としましては、そういった負担の公平という観点から幅広な議論をしていきたいというふうに考えております。
#9
○塩崎委員 例えば、個人事業主が法人成りをして、奥さんを専務にしてしまって、そこで給与を取らすというようなことをすればまた話は変わってくるんだろうと思うわけでありまして、きょうは時間がないので余り突っ込みませんが、いずれにしても、今これから少し時間をかけてその不公平感というものをどうするのかというところを検討するということでございますが、次にお尋ねする応益割合を引き上げるということもあるわけでありまして、そういう中で、このただし書き方式の見直しの余地というのも多少出てくるのではないかなというような気がいたしますものですから、ぜひこの点については、引き続いて公平の扱いという観点で検討を続けるようにお願いをしたいと思うわけでございます。
 今申し上げました応益割合の引き上げということでございますけれども、五〇、五〇にするということが原則で書いてあるわけでございます。国民健康保険法施行令並びに地方税法に書いてあるわけでありますけれども、今回多少インセンティブをつけて応益割合を高めるということをしているわけでございます。中間所得層の保険料の引き下げを図ろう、こういうことだろうと思うのですが、大体今度の改正でもって、今応益割合が三五%ぐらいでしょうか、これがどのくらいまで行くと考えておられ、また中間所得者層の保険料がどの程度軽減されるのか、その評価を、見通しについてちょっとお答えをいただきたいと思います。
#10
○岡光政府委員 御指摘のように、現在の応益保険料の割合は、平均で全体の保険料の中の三五%程度ですが、今回の誘導措置でこれがどの程度動くか、私どもはできるだけ五〇%に近づくように各保険者に御努力をいただきたいと思っている次第でございます。
 こういったいわゆる応益割合、つまりすべての被保険者世帯に平等にかかる部分が、その部分だけふえてまいりますと、それだけ応能部分、つまり所得に着目して負担をする部分が減るわけでございまして、そういう意味で、応益割合の引き上げを行いますと、結果として中間所得者層、年収二百万から三百万くらいのクラスの保険料が少し緩和するのではないだろうか、こんなふうに考えておるわけでございまして、そういう意味では、中間所得者層がこの国保を支えているわけでございますから、その辺の人たちの御理解と御協力が得られる、こういうふうな方向に進むのではないかと考えております。
#11
○塩崎委員 少し下がるのじゃないかという程度のお話でございますが、今回のインセンティブで果たして三五%がどこまで行くのか、それぞれの地方自治体が、それぞれの今までの流れというものがあって、その中で決めるわけでございますから、なかなか難しいのじゃないかなと思うわけでございますので、ぜひこれはよく、これは通ってからの話でありますが、ウォッチをしていただきたい。いずれにしても、抜本改正はしなければいけないわけでありまして、今回の措置は暫定的なものだという認識を深めるところでございます。
 せっかく老人保健福祉局長さんがおいででございますから、今回の一つの目玉でもあるかと思いますが、かねてから言われておりました高齢化率の高い郡部から要望が強かった老人加入率の問題でございます。上限二〇%というのを、とりあえず暫定的に二二%、それから二四から二六%のレベルにだんだん上げていくということでございます。さあ、これでどの程度の市町村が救われるのか、それから財政的な効果としてはどの程度見込まれて、どのくらいの負担減になるのか、それについて最後にお尋ねをいたしたいと思います。
#12
○阿部(正)政府委員 お答えいたします。
 老人加入率の上限を二〇%から、七年度は、現在御提案申し上げております制度改正案では二二%ということをお願いしたいと思っておるわけでございますけれども、これによりまして全市町村国保全体での効果額といいましょうか、それは約五百七十億程度だというふうに試算しております。なお、市町村国保全体の中で二〇%を超しておる市町村保険者数というのは半数を超える状況でございますので、そういったふうな保険者に好影響を与えるというふうに思っております。
#13
○塩崎委員 一分ぐらいありますから。今後抜本改正をやるということですけれども、改めてちょっと確認したいんですが、どのようなペースで、どのような方針で、どの場で進められるのか、このことだけ最後にお尋ねをしたいと思います。
#14
○岡光政府委員 医療保険全体のあり方でございますので、場としましては、私ども、関係の審議会は医療保険審議会ではないかというふうに考えております。
 その中でテーマとして考えておりますのは、医療保険制度全般における給付と負担の公平化の議論であろうというふうに考えておりますが、きっかけといたしましては、高齢者に対する介護システムのあり方が一つのテーマになっております。これはもう御存じのように、医療費とそれから福祉の経費から高齢者の介護的な費用が出ているわけでございまして、その医療費と福祉のありようから必要な経費を負担していくという新しい費用システムを考えていく、あわせてサービスはどうあるべきかということを議論するわけでございまして、そういった新しい制度ができますと、医療費の中から介護部分が外れるわけでございますので、その外れた姿がどういうことになるのか、その中で負担と給付の公平ということはどうあったらいいのか、被用者グループといわゆる自営業者グループがどういう関係を保ては全体のそういった給付と負担の公平化が図れるのか、こんなことを議論していくべきではないだろうかと思っております。
 そして、介護システムにつきましては、大体私どものめどといたしましては、これから二年は恐らく検討にかかるんではないだろうかというふうに考えておりますので、これはその審議をやってもらうので余りはっきりしたことは申し上げられませんが、そんなふうなスケジュールで、具体的には平成九年度ごろから何か新しいことを始めていかなきゃならないんじゃないだろうか、そのための準備をこれから精力的に進めていかなくてはいけない、こんなふうなイメージでおるわけでございます。
#15
○塩崎委員 終わります。
#16
○岩垂委員長 熊代昭彦君。
#17
○熊代委員 自由民主党の熊代昭彦でございます。
 引き続きまして質問をさせていただきますが、初めに、関東大震災以来と言われました未曾有の大震災、阪神・淡路島大震災につきまして、厚生省におかれましても、厚生大臣を筆頭に日夜本当に御苦労いただいております。亡くなられた方に対しまして心から御冥福をお祈りしますとともに、また御親族の方々にお悔やみを申し上げたいと思います。
 また、被害を受けられました方に対して思い切った対策をしなければならない。十兆円とかいろいろな数字が出ておりますけれども、こういうときには赤字国債を出しても、将来に赤字国債として残っても十二分に納得していただけるということでございますので、現下の景気の中では思い切った対策を赤字国債を恐れずやっていただきたい、こんなことを思うわけでございますけれども、片や大震災対策を一生懸命にやりながら、やっぱり日常の事柄もやっていかなければならないということでございまして、そういう意味で、少し細かい話になりますけれども、きょうはPSWの資格の法制化問題についてお伺いいたしたいと思います。
 精神科のソーシャルワーカーでございますけれども、この資格を法制化してもらいたいという要望が団体から出されておりまして、関係団体の間でいろいろ異論もあるというふうに伺っておりますが、精神障害者の方々はみずから自分の権利を守るということがなかなか難しい方々が大変多いわけでございますので、一定レベル以上のPSWの方がおられるということが、その人権を守る上でも、その適正な医療をやる上でも、また医療費等の問題を解決し、あるいは生活問題を解決する上でも大変大切であるというふうに思うわけでございます。
 そういうふうに私の方は考えるわけでございますが、この精神科ソーシャルワーカー、PSWの資格制度を法制化するについては、関係団体との合意ができればのお話でございましょうけれども、どのように評価しておられるのか、厚生省の御見解をお伺いしたいと思います。
#18
○松村政府委員 PSW、精神科ソーシャルワーカーでございますが、精神病院等におきまして、精神医療及び社会福祉にかかわる専門的知識あるいは技術を持ちまして、精神障害者の保健あるいは医療あるいは福祉に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うという専門的な職種でございます。
 議員御指摘のとおり、よりよい精神医療及び精神障害者の社会復帰の促進を図ろうとする場合に、精神科ソーシャルワーカーを専門職種として国家資格化することは重要なことではないかと考えております。私どもも意義があることである、このように考えておるところでございます。
#19
○熊代委員 国家資格化することは大変意義あることであるというお答えをいただきました。ありがとうございました。
 それでは、少し具体的な問題に入らせていただきまして、PSWと診療報酬の関係でございますけれども、精神科の病院にPSWを診療報酬上必ず置く必要があるのかどうか、必置義務でございますが、必置義務がないとすれば、PSWが置かれた場合と置かれない場合に診療報酬上どのような違いがあるのか、その点について御説明をお願いしたいと思います。
#20
○岡光政府委員 例えば精神療養病棟入院料という診療報酬制度がございますが、精神科ソーシャルワーカーあるいは臨床心理技術者が常勤をしている場合には、一人当たり一日につきまして千二十点の評価になっておりますが、こういった方が常勤をされていない場合には七百二十五点と、こういうふうにその評価の違いがなされております。
 そのほか、精神科デイ・ケアあるいは精神科訪問看護・指導料、こういったものの算定に当たりましては、精神科ソーシャルワーカーあるいは臨床心理技術者あるいは看護婦、こういったその専門の方々のうちいずれか一名が専従をしているということが要件になっておりまして、こういう要件を満たした場合にそれぞれの点数が算定される、こんな扱いになっております。
#21
○熊代委員 例として引いていただきました精神科の入院料につきまして約三百点ぐらいの差があるということですから、一日一人当たり三千円ぐらいの差ということでございまして、診療報酬上も評価していただいているということでございます。ただ、今の御説明ですと、PSWだけではなくてほかのスタッフの人も同列に置かれているということでございます。一度既に御説明いただいたわけでございますが、ほかのスタッフの方はどういうスタッフの方がいらっしゃって、PSWが国家資格化された場合にほかのスタッフの方々が何か影響を受けることがあるのかどうか、その辺を診療報酬上お伺いいたしたいと思います。診療報酬上の問題でございますから。
#22
○岡光政府委員 現在のところ、精神科ソーシャルワーカーの資格の問題がいろいろ議論されておりますので、診療報酬上の扱いとしましてはその区分をしていないわけでございます。先ほどの御説明の繰り返しになりますが、精神療養病棟入院料の場合には、精神科ソーシャルワーカーあるいは臨床心理技術者というふうにその職種を並列しているのが現状でございます。
#23
○熊代委員 恐らく、臨床心理技術者等ほかの方々の資格関係には影響が及ばないということであろうと思いますが、それでは次に、関係団体の意見がいろいろ異論もある、賛成、反対あるということでございますけれども、厚生省におかれまして把握しておられる限りで、関係団体の意見について御説明をお願いしたいと思います。
#24
○松村政府委員 PSWをめぐりまして、関係団体にいろいろ御意見を伺っておるところでございますが、その主な意見について申し上げます。
 まず、PSWが、医療に係る相談、助言、援助につきましては、チーム医療の一環ということで、医師の指示のもとに業務を行う医療従事者の資格として、独自の国家資格制度を設けるべきであるというような意見もございます。
 さらにまた、国家資格化には賛成でございますが、社会福祉の専門家あるいは社会福祉の専門職として位置づけるべきであって、例えば、現在行われております看護婦の仕事、診療の補助でありますとか療養上のお世話という業務、こういったものとは違うところで資格化すべきである、こういう御意見もございます。
 また、PSWというものに近い職種として医療ソーシャルワーカーというのがございますが、これとの関係につきましても、精神科ソーシャルワーカーあるいは医療ソーシャルワーカーを別個として資格化するというのではなくて、社会福祉士を基礎資格として上乗せで研修等を行いまして、この資格認定を行う形がよいというような意見もございます。
 このように、現在私どもが承知しております関係団体におきましてもさまざまな御意見がございまして、現在、関係団体の参加を得た検討の場を設けて合意点を見出していきたい、こんなふうに考えているところでございます。
#25
○熊代委員 いろいろの御意見もあるところでございますけれども、冒頭局長がお答えになられましたように、法制化は大変意義があるということでございますので、やはりこれは関係者の合意を得るために、かなり具体的な手順を踏んでいただかなければならないんじゃないだろうか。A論、B論、C論、D論あるという話ではなくて、厚生省において、どういった案が理想的なんだろうか、素案の素案というようなものをつくって、それをもとに意見を集約していくという手順が必要ではないかと思うのですね。
 役所の人は選挙に出られるわけでもないですから、団体の意見をいろいろ勘案されるのも大切でしょうけれども、それのみに影響されないで、やはり達観的にこういうのがいいんじゃないだろうかという案をつくっていただきまして、それをもとにして意見を吸収していく、その吸収過程では柔軟に団体の意見を入れていく、そういうことが必要であろうと思うのですね。ぜひそういうことでお願い申し上げたいと思いますが、その点について、いかがでございましょうか。
#26
○松村政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、各方面の団体の御意見がまだかなりいろいろある状態でございますが、厚生省といたしましても、関係者の意見を調整いたしまして早期に結論を得たい、このように考えておるところでございます。このため、関係方面の参加を得て、資格化のための具体案をできるだけ早急に作成し、関係者の合意を得ていくよう努力してまいりたいと思います。
#27
○熊代委員 要綱案のようなものをできるだけ早期にまとめていただけるということでございますので、大変前向きなお答えをいただきましてありがたいと思いますが、関連事項といたしまして、資格化をする場合に大学教育のカリキュラムでどういったふうなことを勉強してもらったらいいかというふうな話、これも今後の検討でございましょうけれども、そのカリキュラムについても、これもやはりたたき台としての案をつくっていただきたいというふうに思います。
 それから、もう一つでございますけれども、現在行われております議論というのは少し混乱している面があるんじゃないかということでございます。それは、主たる任務としてやる仕事と、それからお手伝いとして、補助としてやる任務ですね、これが混乱している面があるんじゃないだろうかということでございまして、例えば看護婦さんの場合は療養上の世話は業務独占でありますが、療養上の世話をお手伝いする人は幾らでもいらっしゃるわけですね。お手伝いをすることと、主たる業務としてやることはまた別である。医師の場合は医業が業務独占でございまして、医療行為が業務独占でございますけれども、それを補助でやる、医師の方の責任のもとに補助でやるというのは、これは違反ではないわけですね。そういうことでございまして、PSWの仕事も、主として自分がやるということと便宜お手伝いをしているということと、これは非常にはっきり区別していただかないとオーバーラップしてくる面が非常に多いと思うのですね。
 そういうことで、カリキュラムについてどういうことを考えておられるかということと、主たる仕事とお手伝いとしての仕事というのを区別して要綱を定めるべきだということにつきまして、恐縮でございますけれども、ちょっと質問があいまいでございますけれども、局長にもう一度御答弁をお願いしたいと思います。
#28
○松村政府委員 カリキュラムの問題でございますが、カリキュラムの問題の中に、精神科のソーシャルワーカーの場合は、一般の社会福祉のカリキュラムに加えて、やはり医療のカリキュラムというようなものがどうしても必要になってくるのではないかと思います。こういったことで、そのカリキュラムの中も、ベースになる教程とそれに上乗せの教程、どんなものが必要か、こういったところが現在御意見としていろいろ出されているところでございます。
 それからもう一つ、主たる任務ということでございますが、これにつきましても、それぞれの専門職の間でその主たる任務、従たる任務、いろいろ出入りがございまして、その辺の整理というようなことも必要ではないかと思います。したがいまして、今議員御指摘の点につきましても、十分に考慮をしながら検討をしてまいりたいと考えております。
#29
○熊代委員 現在、提出が予定されております精神保健法の一部改正法案には、PSWの資格化は中身に取り入れられていないわけでございますけれども、先ほど局長お答えの、できるだけ早い機会にということでございますから、もし早急にまとまれば議員修正でも行えると思います。しかし、それほど早急にまとまらなくて、もう少し時間が必要であるというならばそれなりの議論を尽くしてまいらなければならないと思いますが、大体どのようなスケジュールでこれを実施できるというふうにお考えであるか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
#30
○松村政府委員 今御指摘のように、精神保健法の改正を検討しております。その中でこのPSWの話もいろいろな角度から検討をしたわけであり、ますが、今すぐ成案の中に盛り込むことは難しい、こういうことでこの法案の中に盛り込むことはできないで至っております。
 それから、いつまでという御質問でございますが、今申し上げましたように、いろいろな団体の御意見等もありまして、私が今ここで正確にいつまでということを申し上げるのはなかなか難しい状況でございます。したがいまして、私どもも鋭意努力をして検討を進めてまいりたいということで御理解をいただきたいと思います。
#31
○熊代委員 積極的に鋭意努力するという非常に前向きの御答弁をいただきまして、大変ありがとうございました。
 これで質問を終わります。
#32
○岩垂委員長 土肥隆一君。
#33
○土肥委員 大震災が起きまして一カ月がたちました。なお神戸市内は混沌とした状況。しかしながら、倒壊家屋、特に巨大ビルの瓦れきの撤去などもどんどん始まっております。今までは避難所に避難していらっしゃる方の問題、特に食料をどう運ぶか、医療をどうするかというようなことが中心課題でございましたが、だんだんとその他の部分についても、じっくり考えていかないと、そしてまた手を早くつけていかないといけない問題が出てまいっております。
 例えば、相当の数の避難所における診療活動、あるいは巡回診察なども行われておりますけれども、ボランティアの皆さん、いろいろなところから来ていらっしゃいまして、そろそろもう地元の医療関係者に手渡していきたいという感想を持っていらっしゃいます。つまり、避難していらっしゃる方は特にお年寄りが多いわけでありまして、そうなると、いわば成人病などを中心とする長期的な医療、ケアが必要になってまいります。そうなると、やはり地域医療を担っているかかりつけの診療所あるいは薬局、それからまた歯科もそうでありますが、突然、巡回の歯科診療が来ましても入れ歯等の処置ができないわけであります。そういう意味では、急いで地元の、つまり地域の医療体制も立ち上げていかなければならないというふうに思うのであります。
 私がいろいろな資料をいただいて調べてまいりますと、兵庫県の医師会でありますけれども、病院が、これらは全部民間病院でありますが、十三戸が倒壊あるいは焼失しております。診療所は約一千カ所が診療不能というふうに言われております。死亡なさったお医者さんが十名。歯科医師会の発表によりますと、全壊、半壊、焼失などを含めて二百七十四歯科医療施設、亡くなったドクターは二名であります。それから日本薬剤師協会の資料によりますと、全壊、焼失が百三十九カ所、半壊が八十九カ所、こう出ておりまして、まだ死者の数が出ておりません。
 私も、なおこういう方々のことを思いながら、やはり早く医療施設を立ち上げなければならない。そうしませんと、徐々に仮設住宅などができ、かつ、今は住めないけれどもそれを修復して住もうという人たちが地域に戻ってまいりますので、そういう意味では医療施設の、特に民間の医療施設の立ち上がりを願っております。そこで、確認をしておきたいのであります。
 政府あるいは地方自治体のいろいろな再建支援策が、医療関係者にも手が差し伸べられると思いますけれども、医療ということを考えるときに、焼失した。あるいは倒壊した後どうするかということでありますが、結局医療部門では社会福祉・医療事業団の融資、そして住宅部分では住宅金融公庫等の融資を受けなければならないわけであります。そういう意味で、それぞれ、例えば診療所、歯科診療所あるいは薬局、これは調剤薬局も含めまして、今時点で政府がとっている、医療事業団、そして住宅政策としては建設省の住宅金融公庫等の特別な施策を簡単に御説明いただきたいと思います。
#34
○谷(修)政府委員 今先生お尋ねのございました社会福祉・医療事業団の融資でございますけれども、今回の災害に際しまして、通常の貸付利率年四・七五%から四・九%よりも利率を下げまして、年四・四五%といたしました。さらに、被害の大きな施設、医療機関に対しましては、年三%に軽減をするという特別措置を講じたところでございます。
#35
○坂田説明員 住宅金融公庫について御説明申し上げます。
 今回の震災で住宅が滅失あるいは損傷した場合につきまして、これを再建する場合は住宅金融公庫の災害復興貸し付けが利用できることになっております。貸し付け条件は、通常の貸し付けに比べまして金利が〇・二%低い四・一五%、三年間の据置期間の設定と償還期間の延長がございます。さらに、被害の著しい一定の地域につきましては、据置期間中の金利が三%に引き下げられております。
    〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
#36
○土肥委員 二口の融資の窓口があるわけでありまして、それがうまく集まりませんと、お医者さんによっては自分のところの住宅と診療所が別になっておりますから、その面はいいとしても、場所によっては住居と診療所が一緒になっているような家が多いわけでありまして、一つの窓口で認められても片方がずっとおくれるというようなことがあってはならないわけであります。
 それからまた、例えば従来住宅金融公庫の規格に合わない、規格を超えた大きな建物を持っていらして、その一角を診療所にしていらしたというような場合もあるわけであります。そういう既に持っていらっしゃる、倒壊する前の家と同じものをつくりたいといったときに、公庫の枠を超えるわけですけれども、それからまた、とりあえずは早く診療を始めたいというときには住宅を後にしてということもあるわけでありますが、両金融機関が、支援機関がなるべく早く、そして一緒に進むようにしてほしいと思うのです。
 先ほど住宅金融公庫の利率だけをお答えになりましたけれども、その建設基準なんかのことではどういうふうな措置をしていらっしゃるのでしょうか。
#37
○坂田説明員 手続をなるべく早くという御指摘でございます。
 通常の建設基準は、例えば木造住宅の場合ですと、柱の寸法でありますとか基礎の構造でありますとか、そういった建設基準の適用、あるいは設計審査手続というようなことをやっておりますけれども、今回の災害復興貸し付けにつきましては、それらの手続を省略して早くするようにいたしております。それから、工事着工後であっても借り入れの申し込みができるというようにいたしておりまして、なるべく住宅復興が円滑に行われるように配慮いたしております。
 それから、いろいろな相談がございますが、それらにつきましてもできるだけ柔軟に配慮するように公庫を指導しているところでございます。
#38
○土肥委員 特に社会福祉・医療事業団の関係でございますけれども、薬局あるいは調剤薬局への医療団の貸し付けの場合に、調剤薬局のそのスペースだけであるのか、あるいは調剤薬局のある全体なのか、あるいは一般の雑貨も売っていらっしゃるような薬局で、調剤室だけが福祉・医療事業団の対象というようなことを聞いておりますけれども、それから他の住宅公庫との関係ですね、一体どこまで社会福祉・医療事業団は認めておられるのでしょうか。
#39
○谷(修)政府委員 社会福祉・医療事業団の薬局への貸し付けでございますけれども、調剤室、薬品庫等調剤に必要な部門を対象として融資を行っております。なお、薬局の中に設置されております店舗等販売に必要な部門及び薬の販売のみを目的としたいわゆる薬店につきましては、この事業団では対象といたしておりません。
#40
○土肥委員 希望を申しますならば、もう少し利率も、それから支払い期間も繰り延べてほしいというふうに思います。もう少し低利で、いわゆるかかりつけ医、町医者あるいは診療所、薬局の立ち上がりを期待いたしたいというふうに思う次第でございます。何はともあれ早く、ただ事務手続で長々と書類を積んでおくことのないように御指導くださいますように、私から希望を申し上げておきます。
 さて、社会福祉事業関係についておさらいをしておきたいと思います。
 今回の震災で、まだ数ははっきり出ていないかもしれませんけれども、両親を亡くす、あるいは片親を亡くした子供たちが、これはゼロ歳から十八歳までだと言っていいと思いますけれども、どれくらいの数が出ているかということと、それから今時点で、そういう子供たちをどういうふうに、行政的に言えば措置ですけれども、どういうふうに扱っていらっしゃるかということ。そして、児童相談所などが中心になって、この子供たちの行く先を定めていくわけでございますけれども、その中で特に留意していらっしゃることなどについて、児童福祉関係の取り扱いを御説明いただきたいと思います。
#41
○佐々木政府委員 被災地における子供への対応がどのような形になっているのかというようなことのお尋ねでございます。
 まず私どもも、震災発生以降、とりあえずの対応ということで、御案内のとおり、今回のケースにつきましては、直接の児童の担当部局であります兵庫県あるいは神戸市当局それ自体が相当被害を受けて体制が十分でなかったというようなこともございますので、厚生省の現地対策本部の中に私どもの児童福祉担当スタッフも送りながら、現地の支援とあわせまして、情報の収集、あるいは兵庫県、神戸市以外の近府県の地方自治体における施設等での受け入れ体制なり、あるいは関係職員の派遣等の要請をする等、とりあえずの対応をしながら、事態の推移に伴いましていろいろな問題、私どもの予想を超えるような問題も出てまいりますので、その都度いろいろ考えながら対応してきているというような状況でございます。
 まず、両親を亡くした子供の数自体につきましては直接の把握ができてございませんけれども、これにつきましては、兵庫県が行っております巡回パトロールであるとか、神戸市が行っている実態調査、あるいは直接的には県や市の児童相談所におきます相談活動を通じまして、保護を要します状況にある児童の把握に努めているところでございます。それぞれ児童相談所におきまして、実情に即した対応を行うということに努めてまいってきております。
 現在、施設入所が必要ないわゆる保護を要する児童につきましては、児童相談所での一時保護でありまするとか、養護施設あるいは乳児院への収容の措置で対応いたしてございます。直近時点で四十五名の児童が施設入所ということで対応をいたしているところでございます。
 それぞれのケースを全容までは把握できませんが、いろいろ掌握する限り、まさにいろいろなケースを抱えでございます。端的に、祖父母のもとで保護を受けている児童について、今回の事態で亡くなられた。あるいは父子家庭であって、建物、家屋が全壊してしまったために応急的に短期的に何らかの一時保護が必要といったようなケース、あるいはお母さんが今回の震災で相当ショックを受けて、早産をしてしまって入院になったといったようなことのために応急的に施設で対応するなどなど、いろいろなケースがございますけれども、ケースに応じましてそれぞれの対応をさせていただいておるところでございます。
 お尋ねの、どんな点に特に留意をして対応しているかという点でございますが、基本的に、保護者を失った。保護を要する子供さん方につきましては、まずは迅速な保護と児童の福祉を図る、こんな観点から、今も申しましたが、乳児院でありまするとか養護施設、あるいは里親への措置、あるいは児童相談所への緊急的な一時保護などによりまして、なおかつ、これにつきましては極力手続の弾力的な運用を図るといったようなこと、あるいは状況によっては、先ほども申しましたが、周辺の自治体への受け入れの要請等につきましても、関係都道府県に要請する等の措置を講じてきておるところでございます。
 それからなおまた、養護施設におきましても、通常の収容措置だけでなくて短期入所であるとかショートステイというような形で、通常の考え方よりも対象を拡大する、あるいは期間、例えば原則一週間とかいうのを弾力的にこれを広げて運用するといったようなことにつきまして、必要な指示等をいたしているところでございます。
 なおまた、児童相談所等におきます相談の過程におきまして、あるいはケースに応じた措置をするに当たりまして、通常の場合に増して児童の心理的な面にも配慮した対応をするようにというふうな心がけをいたしているところでございます。特に心理面等につきましては、兵庫県、神戸市の児童相談所のスタッフだけでは今回かなり限界がございますので、周辺自治体、それぞれのブロックごとの児童相談所の専門スタッフの応援の体制等もあわせて要請をするといったような措置を講じているところでございます。
 そのような対応で進めておるところでございますが、今後ともできるだけきめ細かい丁寧な対応に努めてまいりたいというふうに存じております。
#42
○土肥委員 数は少ないかもしれませんけれども、相当の傷を、心の傷も含めて負い、親を亡くし、本当にその子供だけでは受け入れられないような運命の展開というものを考えますと、私ども、十分な注意を払わなければいけない。通例の児童養護の措置といったことで、親がいないんだから施設に入れましたよ、それでおしまいというふうなことにならないようにしていただきたいと思うのであります。こういう子供たちのことを思うと胸がふさがれる思いがいたしますけれども、単なる行政手法というものを超えて、その子にとって本当にいい道を、いい将来を我々の責任でつくり出していかなければならないというふうに思っております。
 私は、児童相談所にいたしましても、あるいは行政担当者にいたしましても、通例の措置ではこれは間に合わない、児童相談所の所長さんを初め、あるいは児童施設の施設長も含めて、職員もあるいは行政関係者も含めて、極めて丁寧な、そして、その子供の思いを十分酌んだこれからの道を備えてあげてほしい、そういうふうにお願いいたします。ただ行政措置ではない、そんなことでは済まないということをぜひとも心して御指導いただきたい、私はこのように思っております。
 次に移りますが、今避難所にいらっしゃいます相当のお年寄りが避難所を出まして、やがてそれぞれ仮設住宅なり他の公営住宅に移っていくことでございましょうけれども、今後、このお年寄りたちがどういうふうな状況になるかということをよく考えておかないと、単に家を提供した。仮設住宅を提供したから、それで行政の責任は終わりということになりますと、もう既に一カ月避難所暮らしをしている、これがいつ終わるか知りません。二カ月、三カ月、半年と続いてまいりますと、日々刻々、自立能力というものが喪失していくわけです。
 そういう意味で、今どれくらいのお年寄りが入っていらっしゃるかということについては、まだ調査が行き届いていないようでございますが、単に仮設住宅なりほかの住居に移ってもらうとしても、やはりお一人お一人の置かれた健康状態から始まる状況調査というものがないと、また次の段階でもバックアップをしていかなければならないということになるわけであります。そうした意味で、この状況調査というものが今どれくらい進められているのか。あるいは仮設住宅等に高齢者、障害者が住みました場合に、どのようなバックアップ体制をその後も続けていくというふうに考えていらっしゃるか、御説明をいただきたいと思います。
#43
○阿部(正)政府委員 先生御指摘のように、被災地域における高齢者の今置かれている状況の正確な把握ということは、正直言っておくれておりまして、まだこれからというふうな状況でございます。
 ただ、既に避難所におられる方々等につきましては、とりあえずといいましょうか、緊急事態に備えてというようなことでパトロール隊の確認とかいうようなことをやっておりますので、何とかしのいでおるわけでございますけれども、全体の掌握というのはやはり早急にやる必要があるだろうということで、県、市にもお願いをしておったところでございます。特にその辺の対応がおくれておりました神戸市、それから芦屋、西宮でようやくその取り組みが始まっております。
 聞きますと、神戸市では福祉事務所の職員とホームヘルパー、保健婦、保母等のチームを組みまして、民生委員等の協力を得まして、全市の避難所や、特に在宅の要援護者の実態調査を早急にやろうということで、十三日から取り組みをいたしておりまして、三月上旬にかけまして、少し長いのでございますけれども、鋭意全数を掌握ということでやっております。芦屋、西宮でも、現在鋭意その取り組みが始まりつつあるというふうな状況でございます。
 それの上でございますけれども、ただ一面、全体掌握ということを前提にしてゆっくりやるというわけにもまいりませんので、あわせまして、私どもの方では、県、市にお話をいたしまして、特に避難所における状況というのを、長期化するだろうというふうに想定されますものですから、避難所における避難というのを、今のままでいいのかどうなのか、もう少し工夫できないだろうかということを、ひとつお願いしていること。あわせまして、その後、どういう形の避難所になるか、あるいは応急仮設住宅にお移りになりましても、必要なサービスが要る方というのは結構おられるのではないかなと思いますので、通常の、平時の在宅サービスとは違った形で何らかの対応をしてほしいというふうなことで検討をし、対策を今練ってもらっている途中であるというふうに聞いております。
#44
○土肥委員 今避難していらっしゃるお年寄りの方が一応どこかに落ちつくことになりましたら、この在宅福祉、特にホームヘルパーさんの数なども恐らく三倍、四倍、ひょっとすると五倍ぐらいの数で追っかけないと、仮設住宅には移ってもらったけれども、あるとき、もう冷たくなって亡くなっておられたなどというようなことが起こりかねないような危惧の念を私は持っております。
 そういう意味では、単に避難所から出す、移ってもらうということだけを主目的にいたしますと、後でとんでもない事態が引き起こる。したがいまして、私は、ボランティアの団体なども大いに働いていただきましてやはり在宅ケアの新しい仕組みというものを考えないと、そしてプレハブは、二十戸、三十戸あるいは五十戸、百戸とあちこちに固まってプレハブが建てられる。そこへお年寄りや障害者が入っていく。その地区を一体だれが、どのホームヘルパーが、従来の責任では見られないわけでありまして、どうするかというようなことも含めて、大変な問題が起きるというふうに考えております。したがいまして、そういうことも含めた。第二次避難所といいましょうか、仮の、次の住宅に移っていただくということにしないと危ないというふうに申し上げておきたいと思います。
 それにしましても、避難所に、もう一カ月たって今でも二十一万八千人の方が暮らしていらっしゃるということは、これはどうしても解決しなければならない。かなり長期にわたる避難が想定される、こうおっしゃいますと、避難していらっしゃる人はもうたまらないのですね。いつになったらここから出られるのだという話になるわけでありまして、そのためにありとあらゆる工夫をしなければいけない。なるべく早く避難所生活をやめていただく、通過していただくということを考えなければならないというふうに思うわけであります。
 それで、例えば仮設住宅をたくさんつくろうということで二万ぐらいから出発いたしまして、今県知事は四万、ある新聞では四万五千、こう言っております。神戸市のアンケートによると七万戸、神戸市だけでも七万戸の仮設住宅の希望があったというふうにも報ぜられております。そして、政府の方では、とにかく必要な人にはすべて住宅が当たるようにするということもおっしゃっているわけであります。
 今出ております数字四万戸というのはどういう日程で、そして、特に土地を確保しなければいけない、恐らくいろいろな土地を集めてまいりますから、地形が丸がったり、三角だったり、ひし形だったりするわけでありまして、土地があれば全部そこにべたっと密集して建てられるということではございませんので、そういう意味で、四万戸あるいは三万戸でも結構でございますが、土地は確保なさったのでしょうか。
#45
○佐野(利)政府委員 兵庫県と今相談をいたしておるところでございますけれども、三万戸につきましては既に場所はすべて確定をいたしまして、発注もいたしたところでございます。追加の一万戸につきましては、つい二、三日前に兵庫県と協議が調っているところでございますので、まだ現実にどこにどのくらいの規模でつくっていくかというようなところまでの詰めはできておりませんけれども、大体そのうちで、住宅・都市整備公団等の用地をほぼ十五ヘクタールぐらいは確保できております。これでは、大体まだ二、三千戸分ぐらいでございますから、まだあと七千戸分ぐらいは別途土地を手当てしなくてはいけないだろう。
 あくまでも場所の選定などは地元でやっていただかなくてはなりませんので、私どもといたしましては、できるだけ利用可能な国有地等につきましては、どこにどれぐらいの土地があるかというリストを兵庫県の方にお渡しいたしております。ここをいつでも御用立てください、こういう形でリストを出しております。これをすべて御利用いただければ、御要望の量は確保できると思いますけれども、実態といたしましては、やはりできるだけ現在住んでいる地域の近くに仮設住宅もつくってほしい、こういう御要望もございますので、そういうことからいきますと、私どもが用意いたしました土地ではちょっとへんぴになってしまう、こういう問題もございます。
 このような観点から、先般私どもの大臣も、学校用地の校庭などを使ったらどうか、こういうような御提案もいたしておりまして、現実に芦屋市などではそのような形で大体たしか五百戸程度、もうそういう建設計画が進められておるようでございます。逐次このような形で県と十分打ち合わせをしながら早急に建設を進めてまいりたい。
 また、四万戸あるいは四万五千戸というお話もございましたが、現実に御要望の量は、現在応募されている量が大変多うございますので、これで必ずしも済むとは私どもも思っておりません。県の方でさらに御入用であるというお話がございましたならば、私どもは幾らでも相談に応じて対応していきたい、こう考えております。
    〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
#46
○土肥委員 四万戸といいましても、平均の世帯で、三、四、十二で十二万人、そうはならぬだろうというふうに私は思うのですね。
 避難所に行ってみますと、老夫婦あるいは独居老人などがたくさんいらして、もう既にそういうお年寄り方だけでも集まっていただけるような集合住宅にケアつきで入れるとか、つまりだれかがそのお年寄りたちを遠くからでもいいから二十四時間見ておれるようなそういう施策も考えなければいけないだろうし、四万戸といっても、今言いましたように余り根拠がないのですね。例えば、まだ半壊した家の中に住んでいらっしゃる人がいて、その数は確認していないわけですね。その半壊の家はもう住めませんからいずれ取り壊さなければいけない、そのときにまた新しい住宅ニーズが出てくる、こうなるわけであります。
 国会の予算委員会の議論なんかを見ますと、三万だ、四万だというような議論を盛んにやっている。あるいは七万だというようなことも言っている。私は、ありとあらゆる避難所から出ていけるような状況を避難していらっしゃる方にPRし、そして説得もし、こういう住宅があるのですよ、こういうところに住んでみませんかというような働きかけも徐々にしないと、言ってみれば避難所が三食ちゃんとついて安全で医療も加えられて、つまり避難所が一番安全なのではないか。どこかに移ると自分は食事のことも心配しなければいけないし、あらゆることが心配になってくる。情報も入らないというような不安を中で話しているとおっしゃるわけですね。
 そういうことで、とにかく学校などを使っている避難施設から出て第二次の避難施設へ、つまりそれぞれの住宅確保にどうするかという知恵は十分出していただかないと、これはなかなか解決しない。これが半年も延びますと、到底ここへ入っていらっしゃる方は我慢できないというふうに私は思うわけであります。
 そういう意味では、例えば保養地だとかあるいは年金関係の施設があるわけでありますが、そういうところをビデオで撮ってくる、そしてお見せする。あなたはこういう部屋に住めるのですよというようなことをやるとか、あるいは県営住宅あるいは市営住宅などの部屋を撮ってきて、これはこういうふうになっていますよというようなことでお見せして、こういう家があるのですけれどもどうでしょうかというぐらいもっと丁寧にやらないと、一人一人は非常に不安な心理状態の中にありますので、ああそうですか、ありがとうと言ってすぐに腰を上げる方がどれぐらいいらっしゃるかということになりますと、長引けば長引くほど難しくなろう、こういうふうに思っております。
 ですから、これからもあらゆる工夫をしてこの避難所生活を一刻も早く解消する。学校の敷地、運動場にプレハブを建てるというところまでいかないと神戸市内ではとても無理ではないかなということでございますけれども、それは学校の子供たちの運動場でありますからなかなかそうもいかないのではないかなというふうに思うのです。一年も二年もプレハブが運動場の中にでんと座っているというのもいかがなものかということを考えますときには、あらゆる国の機関、あらゆる施設を紹介いたしまして、そして皆さんにお勧めするということが必要ではなかろうかというふうに思っております。そういう意見を申し上げまして、この質問は終わらせていただきます。
 次に移ります。社会福祉施設が、ゴールドプランの実績もありまして日本にはかなり整ってまいりました。しかし、私が避難所にいらっしゃるお年寄りたちを見ておりますと、これは自立した。独立した家庭に戻る前にもう既に要介護状態が重くのしかかってまいります。そして、特別養護老人ホームであるとかあるいは養護老人ホーム、神戸にはケアハウスというのは余りございませんけれども、そういう今ある兵庫県の中の老人ホームの定員の余裕がどれくらいあり、今まで何名ぐらい入り、これから何名ぐらい受け入れる余地があるのか、その辺のところをお知らせください。
#47
○阿部(正)政府委員 老人福祉施設の例でございますと、特別養護老人ホームなどのケースの場合は、現実の問題としては通常の定員をはるかに超えまして、現在千七百人ぐらいの新たな、従来の在宅の方々を緊急入所という形でやっておりますので、そういう意味からいいますと、現在の時点ではもう定員の余裕というふうなことはございません。そういう状況でございます。
#48
○土肥委員 これもやがて大問題になってくるだろうというように思います。これはどうですか、建て増しをしたり新しい特養を積極的にこの一、二年で導入するとか抜本的な対策を立てないと、大変なことになるのではないかということを申し上げておきたいと思います。
 無認可の小規模作業所が相当倒壊いたしました。焼失したものもございます。私が知っている限りでも、神戸市で十四カ所、芦屋が五カ所などというふうになっております。この再興は、国の法的基準に合っていないわけでありますから、さりとて相当の数がそれぞれの父兄たちの自助努力によって今日まで運営をしてきたわけでありますが、これはどうでしょうか、行政として、法内施設ではないからどうか自助努力でやってくださいというふうにほうり出していいものかどうか。当面厚生省が考えていらっしゃる考えをお聞きしたいと思います。
#49
○佐野(利)政府委員 この問題につきましては昨日も予算委員会の方で御質問が出たわけでございますけれども、国の立場といたしましては、やはり一応国で補助金を出す場合には一定の基準がどうしても必要でございまして、それに合うものでないとなかなかその対応は無理であろうということで官房長官もお答えをいたしたところでございます。
 ただ、地方自治体の段階で独自の御支援をいただいている分野もございます。また、私どもといたしましては、そういう今申し上げた国の立場からいきます上、できるだけやはり国で補助対象になるような基準に沿ったものになっていただきたい、そうすれば私どももできるだけの御支援がしたいということでございます。従来は一定規模、かなり大きなもので例えば授産施設などというものを要求をいたしたわけでございますけれども、最近ではその基準も緩和いたしまして、例えば授産施設の分場形式でも助成対象にするというような形で助成の対象も随分緩和をいたしております。今回を契機に、何かこれを再興される場合にはそういう点も知恵を使っていただければ、私どもも積極的に支援をさせていただきたい、こう思っております。
#50
○土肥委員 これもなかなか言うはやすく行うに難しい話でございまして、これから親たちがどういう相談をし、今おっしゃったように分場方式等に適用されるような法人格の取得に向かうのか、一体どうしたら法人格が取れるのかというようなことについてもじっくりと考えてまいりたいと思います。
 最後にちょっと時間が延びますが、労働省関係の質問をさせていただきます。
 今神戸は激しい勢いで復興事業が展開されておるわけでございますが、町を歩いておりましても、どうも神戸市あるいは阪神地区に住んでいらっしゃる失業者や労働者がこれに積極的に雇用されているのかどうかということを思うわけです。
 今港湾が全滅しておりますので、特に港湾労働者のことなど考えますと、ちょっと気持ちが暗くなるわけです。神戸港港湾労働者雇用安定センター、港湾用の職安があるのですが、そこでもいわゆる派遣率、つまりどれだけ求人と求職があるのかという関係を見ますと、三九%しか仕事ができてない、そういう状況です。
 それから、常用港湾労働者が約六千七百名ぐらいいらっしゃいます。これはいろんな職種がありますけれども、港湾労働者は港湾で働くことが非常に生きがいでございまして、今は常用労働者であれば失業保険等の適用も受けておるわけでありますが、私は、じっとこう待っていらっしゃる姿などを見ると、やはり特に港湾施設、一兆円もかけて修復しようかというような大事業でございますので、その港湾施設のみならず、神戸で、あるいは阪神地区で展開される復興事業の中に、神戸市の、あるいは阪神地区の労働者を積極的に雇用するという方向であるべきだ。特に港湾の労働者は、港湾関係に働いてインフラも手伝った。その後船が出入りし始めたら港湾労働につくというような希望もありまして、その点について労働省の見解をお願い申し上げます。
#51
○太田説明員 今御指摘いただきましたように、被災地におきましては復旧のための公共事業の需要が大きく見込まれておるわけでございまして、これによって相当の労働需要が出てくるのではないかと期待をしているところでございます。他方で、今もお話ございましたように、産業が復興するまでの間、被災地におきましては一般の民間事業所における雇用の場はなかなか広がらないわけでございまして、早急に仕事を深さざるを得ない人がかなり出てくることも見込まれるわけでございます。
 このため、こういった被災地で計画実施される公共事業の事業主体や施工業者は、一定の割合まで被災者を優先的に雇用しなければならない、このような立法措置を早急に講ずべく現在準備を進めておるところでございまして、こういった形によりまして被災者の雇用の促進を図ってまいりたいと考えております。
#52
○土肥委員 終わります。ありがとうございました。
#53
○岩垂委員長 枝野幸男君。
#54
○枝野委員 さきがけの枝野でございます。
 厚生委員会での初めての質問をさせていただきますが、神戸の震災の問題あるいは保険、年金の問題等、幾つか本当は重要な問題をお伺いしたいことがございますが、時間もございますので、私は包装廃棄物処理の問題一点に絞ってお伺いをさせていただきたいと思っております。
 大臣の所信の中にも、「「ごみゼロ社会」を目指し、包装廃棄物についての市町村と事業者の協力による新しいリサイクルシステムを整備するため、所要の法案を今国会に提出できるよう努力」するというようなことをおっしゃっていただきました。
 ごみの問題というのはいろいろな視点からとらえられますが、特に都市部を中心といたしまして一般の廃棄物の量が非常に多くなり、なおかつ、その処分場の確保が困難になっている。聞くところによりますと、最終処分場の残余容積、何年分残っているのかというのが、現時点で残り七・八年分しか残っていない。昭和六十年から二〇%も減っている。このまま五年、十年とたっていったときには、我々はごみの山の中に住まなければならなくなってしまうのではないか。
 そうした中で、これは横浜市が平成五年に調査したものでございますが、ごみの中で包装材が占める比率というのは、重量にして約三〇%、容積にして約六〇%を占めている。この包装材のごみを減らしていくことが、今後のごみ社会の中で、ごみにあふれて暮らさなければならない、ごみ処理の行き先がなくて困るようなことがなくなる社会をつくっていくために大変重要であるということで、ぜひ厚生省にはこの法案を早期にまとめていただいて、国会の方へ提出いただきたいと考えております。
 ところが、実はこの包装廃棄物につきましては、通産省が今国会で提出を検討中の法案の中にも、再生資源の利用の促進に関する法律の一部改正案として同じような法案が提示をされております。しかも、二月一日付の朝日新聞によりますと、「包装ごみめぐって通産対厚生対立」という記事が出まして、その記事を読みますと、あたかも官庁同士の縄張り争いによってこの包装廃棄物の法案がまとまらないでいるのではないかというふうな印象を与えるような記述になっております。
 それぞれの省庁から御説明をいただいた中で、厚生省が考えているのと通産省が考えているのとの間では、新しいリサイクルシステムの対象となるごみの範囲をどうするのかということについてどうやら御意見が違っているようにお見受けをいたしますが、それぞれどういった考え方で、どういったごみを今回の新しいリサイクルシステムの対象として考えているのか、厚生省と通産省の現時点での御見解をお伺いしたいと思います。
#55
○藤原政府委員 委員御指摘のとおり、現在厚生省では包装廃棄物を対象としました減量化、リサイクルの新しい制度というのを考えております。これにつきましては、現在通産省その他関係省庁と調整中でございまして、鋭意協議をしておるという状況でございます。委員御指摘の、その中で論点になっておる部分、すべての包装廃棄物を対象にするかどうかというふうなことについても確かに論点になっておるわけでございます。
 そのことにつきまして御説明いたします前に、関係いたしますのでこの制度の基本的考え方を、どういうことを厚生省では考えておるかということにつきまして、少し御説明をさせていただきたいと思うのでありますが、厚生省におきましては、昨年十月に取りまとめられました生活環境審議会の報告及び十二月に公表されました環境基本計画を受けまして、包装廃棄物について事業者と市町村の協力による新しいリサイクルシステムの構築を目指しまして、今国会に関係法案の提出ができるように関係省庁と調整を行っているところであります。
 それで、包装廃棄物をリサイクルするシステムにつきましては、御案内のようにドイツ、フランスにおいて既にもう実施されておりまして、相当の効果を上げておると聞いております。昨年末には包装廃棄物のリサイクルに関するEU指令が出されておりまして、今後こうしたリサイクルシステムがヨーロッパ全体に広まっていく、そういうふうなことが予想されるわけであります。
 我が国におきましては、一般廃棄物の排出量がどんどんふえておりますし、また、その最終処分場の用地を確保するというのが一方で非常に難しくなっておる。これは委員御指摘のとおりでございまして、そういう意味から、廃棄物の排出量をできるだけ減らす、こういうことが強く求められております。
 包装廃棄物は、一般廃棄物に占める割合が極めて大きいわけであります。容積比で約六割を占めるというふうなことでございまして、そういうことから、このものの減量化は取り組むべき重要な課題、こういうふうに考えております。したがって、包装廃棄物についてリサイクルシステムの導入が必要不可欠であるというふうに考えておるわけでございます。
 包装廃棄物というのをどの範囲までにするかということにつきましては、次のような点を配慮しながら考えていく必要があるんじゃないかと厚生省では考えております。
 特定の素材、事業者をねらい撃ちにしない公平な制度でなければならない。それから、最終処分量の減少という面から十分な効果が上がる方式でなければならない。それから、一部の素材のみを対象とすることにより、対象外の素材への誘導が行われ、リサイクル推進の効果が上がらないというようなことがあってはならない。こういうふうな点につきまして考慮する必要があるというふうに考えておりまして、そういう意味から、厚生省としましては、すべての包装廃棄物を対象とすべきものだ、こういうふうに考えております。
 また、すべての包装廃棄物は、分別収集が行われれば現時点でも技術的にはリサイクルは可能である、こういうふうに考えておるわけであります。
 先ほども言いましたように、ドイツ、フランスというような既にやっておる制度を考えてみますと、ここにおいてもすべての包装廃棄物を対象にしておるというようなこともございまして、そういうふうなことを考えておる次第でございます。
#56
○小川説明員 お答え申し上げます。
 包装材リサイクル対策につきましては、昨年七月に産業構造審議会から、私ども通産大臣に対しまして意見具申が行われまして、その意見具申の中で、包装材につきまして新しいルールの確立が必要とされているところでございます。私どもといたしましては、その意見具申の提言の内容を踏まえ、昨年来新しいシステムの構築に向け、厚生省など関係省庁と建設的な議論を行っておるところでございます。
 御指摘の点につきましては、私どもといたしましても、なるべく広くそのシステムの対象をとらえることが基本的な考えであるというふうに考えております。ただし、具体的にいつ、どのようなものを対象とするかということにつきましては、分別排出システムの実行可能性、現行の技術水準、再生品の需要動向などを総合的に勘案をして決定されるべきものと考えております。
 いずれにいたしましても、現在、システムの対象物の範囲も含めまして、システム全体のあり方につきまして各省庁と建設的な議論を行っているところでございますので、その調整過程にあるというところでございまして、成案を得られた段階で私どもの考え方を説明させていただきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
#57
○枝野委員 現時点ではまだ抽象的なお答えしかいただけませんが、今国会中に何とかというふうな大臣の所信のお話もございましたし、このごみ問題というのは、日を追えば追うほどどんどんごみの量がふえていってしまうし、また、リサイクルシステムを法律上つくったとしても、これが国民に定着をしていくのには時間がある程度はかかっていくだろうということを考えると、五年後、十年後にごみに囲まれて捨て場がないような社会にしないためにも、一刻も早く制度化をしていただかなければならないと思っております。
 厚生省さんの、公平に、そして減量の効果がある、おかしな誘導をしないという基本的な考え方というのは、私も大変結構だと思っておりますし、通産省さんの立場としては、これによって負担のかかる事業者という点も考慮しなければならないのかなと。
 実は、私は厚生委員であると同時に、与党の商工調整会議の責任座長を今やらせていただいておりますので、通産省の見方というのもわからないではないのでありますが、まさにごみの問題というのは、製造者にとっても、メーカーにとっても、それから消費者にとっても、これからはコストとしてある程度、一定ずつ負担していかなければならない世界だと思っておりますので、短期的にあるいは一見事業者に負担をかける、コストをかけるような制度であっても、そこに対しては、中小零細の事業者に対するフォローのシステムですとか、あるいは、これは最終的には消費者に一定のコストをお願いしてもやむを得ない部分の問題だと思っておりますので、過大な負担が事業者にかかるというおそれがあるのであれば、むしろ価格に転嫁をさせていくということについて誘導を図るとかというようなことで、できるだけグローバルに広く網をかぶせて、ごみの減量ということを進めていただきたいということを特に通産省に対してお願いをしたいと思っております。
 さて、この問題についてもう一点お伺いしたいと思いますが、このリサイクルのシステムについては、ごみを、本来であれば、もともとつくった事業者の方でリサイクルをしていただくのが理想形ではあるのかもしれませんが、現実にはそうはできないということで、集めてきたごみを再生する機関として第三者機関、代行機関を設けて、そこでやっていただこう、みずから再生する力のない事業者の皆さんには、そこの代行機関のコストを負担していただこうというふうなイメージであるというふうに聞いております。
 ただ、行政改革の話も今言われておりますが、行政が法律などに基づいてつくる第三者機関とか代行機関とかというものについては、何かどうも国民から、よくわからない、場合によっては、利権絡みでうさん臭いんじゃないかというようなイメージ、誤解をされるおそれがあります。残念ながら、廃棄物の処理の件については、廃棄物処理という世界自体が、若干こういった。誤解なのか本当なのか知りませんが、利権絡みのグレーの部分じゃないかというイメージがないではないと思っております。したがって、新しい制度をつくる以上は、まさに李下に冠を正さずという考え方から、国民から見えやすい、そしてクリーンなシステムをつくっていただかなければなりません。
 特に、こういった機関が中央省庁からの天下り先になったりしないように、あるいは、ごみの問題は地方自治体と事業者とそして市民とが協力してやっていくべきでございますから、事業者の仕事を代行する機関とはいえ、自治体の代表者や市民の代表者がその運営に関与できるようなシステムをつくっていただきたい。
 そして、これは、透明なシステムというものの前提として、こういった第三者機関をつくる場合には政令で定める要件のもとで指定するとかという法律をつくられるのが今まで多かったと思いますが、どういった機関を第三者機関とするのか、その要件について、政令などに落としたりしないで、法律の中にきちんと書き込んでいただきたいというふうに考えておりますが、このあたり、厚生省は現時点でどのような案を持っているのか、お答えできる範囲で結構ですので、お願いいたします。
#58
○藤原政府委員 先ほどお答えいたしましたように、今考えております制度では、事業者に市町村が分別収集した包装廃棄物を引き取って再生していく役割を求める、こういうふうな制度を考えておるわけであります。もちろん、事業者がみずから回収しそして再生利用するという道、これは当然のことながら認められるわけでありますが、市町村が分別をしたもの、それを引き取って事業者が再生していくというのが新しい部分でありますが、この場合、個々の事業者が、その包装廃棄物を事業者ごとに仕分けしまして再生していくというようなことは、実際上非常に難しいといいますか困難でありますので、やはり各事業者に代行して役割を果たす機関を設けることが適当ではないかということであります。これはドイツ、フランスの先進国の制度もこういうことでやっておるわけでございます。
 それで、この代行機関の性格でありますが、そういうふうなものでありますので、民間事業者による再生を代行する機関であります。つまり、そういうことからしますと、民間サイドが主体となって組織し、運営すべきものである、こういうふうに考えております。
 この新システムの内容につきまして、先ほど御答弁いたしましたように、関係省庁と精力的に協議を行っている最中でございまして、この代行機関の内容、制度ということにつきましても、こういう協議の中でいろいろ検討し、固めていくということになると思いますが、御指摘の点も踏まえまして適切な制度としてまいりたい、このように考えております。
#59
○枝野委員 よろしくお願いをいたします。
 最後に、時間もちょうど切れそうですので、このごみのリサイクルの問題については、実は、国よりも地方自治体の方が既に先行しているところも少なくございません。そして、今度つくられる法律の内容いかんによっては、現在既に先行して行っている地方自治体のリサイクルシステムの方がより進んだものという言い方が正しいのかどうかわかりませんが、強いと言うべきなのか大きいと言うべきなのか、そういったケースが出てくるということが十分に予想をされております。そうした場合に、もちろん、法律があるからといってそういった先行して率先してやっている自治体の規制が弱められるということがあってはいけないと思っておりますし、それに加えて、国がやっている以上のことをやっているのだからそこには援助、支援はしませんよというようなことがあってはこれはいけない。やはり、あくまでも基本的にごみの問題は地域の事情を踏まえて自治体でやっていく。国としては最低限の線をきちんと基準としてつくっていって、国全体でなければできないことについて支持、支援をしていくということであるべきだと思っております。
 この点について、時間も参りましたので御答弁結構ですので、今最後に申し上げた点を含めて、大臣が所信で今国会に提出できるよう努力ということまでおっしゃっておりますので、厚生省も、ぜひとも一生懸命他省庁との調整に努めていただきますとともに、本日は関連省庁、通産省しか来ておりませんでしたが、各省庁の主張を頑張ることによって結果的にこれが先送りになったりしないように、特に通産省には折れるところには折れていただきたいとお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#60
○岩垂委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後五時二分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時三十五分開議
#61
○岩垂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。坂口力君。
#62
○坂口委員 大臣、まことに御苦労さまでございます。お疲れさまでございますが、できるだけ時間を短縮して質問させていただきたいと思います、遅くなってまいりましたので。
 二、三点に絞って質問させていただきたいと思いますが、阪神・淡路大震災関係のことを一、二点お聞きをして、時間がございましたら、もう一点ぼかの点をお聞きをしたいというふうに思っております。
 一つは、五千人を超えます死者が出たわけでございまして、この亡くなられた皆さん方の御冥福をお祈りするばかりでございますが、亡くなられました皆さん方の死を無にしないためにも、私たちは、この皆さん方の死におこたえできる対策を考えなければならないというふうに思うわけです。
 そこで、今回亡くなられた皆さん方のお名前あるいはまた年齢等をテレビあるいは新聞で拝見をいたしますと、やはり高齢者の人が随分多い。テレビを拝見しております感じでは、大体半分ぐらいが六十五歳以上ぐらいかなというような感じで見せていただいておりますが、かなり多いことは事実でございます。これは、この地域に高齢者の方がたくさんおみえになったということもあるいは考えられますし、あるいはそうではなくて、激震を受けたその地域でやはりとっさの行動が高齢者はできにくかった。そのために災害に遭われた方が多いとも考えられますし、この辺の分析というのはなかなかできにくいのだろうというふうに思いますが、現在の状態の中で厚生省が分析をしておみえになる、あるいは把握をしておみえになります数字で、わかっております数字がございましたら、ひとつお教えをいただきたいと思います。
#63
○阿部(正)政府委員 現段階におきましては、亡くなられた方の中でのお年寄りの方の数、あるいはどういう状況下でお亡くなりになる結果になったのかということにつきましては、率直に申しまして、まだちょっと掌握し切れておりません。いずれ事態が落ちつきました段階で、その辺についても少し、これからの教訓に生かすためにも、何らかの分析といいましょうか、そういうことを試みてみたいというふうに思っております。
#64
○坂口委員 私もここに出てまいります前に少し資料を見てみまして、神戸地区の人口動態をちょっと見てきたわけですが、一九九〇年ですから少し古いものでございますけれども、この一九九〇年の神戸地区の高齢化率は一一・五%でございます。ただしその中で、東灘とか灘、兵庫、長田、須磨、地域によりまして随分高齢化率が違いまして、東灘は一〇・八でございますが、灘は一四・二、兵庫が一六・八、長田が一六・四、それから須磨が九・七、地域によって随分高齢化率に差がございます。ですから、一概にはちょっと言えないなというふうに思ってまいりました。また、単身世帯というのも、灘とか兵庫、それから長田というようなところは非常に多くて、灘が三五・八%、兵庫が、これは兵庫区というのですか、ここが三五・五%というふうに、単身世帯が非常に多い数字になっております。
 こうしたこともございますので、全体の高齢者の亡くなられた方が多いというのも、そういうところにも一因があるのかもしれない。ただ単に激震によってとっさの反応ができなかったというだけではないのかもしれない、そういうふうには思っておりますが、しかし、全体の数字でかなり高齢者の方が多いということだけは紛れもない事実でございますので、今後ひとつ、家族の中でもおけがをなさった方、あるいはまたおけがもなく助かった方もおありになると思いますので、そうした皆さん方の中から、どのような状態であったかということもひとつ時間を置いて調べていただいて、今後の高齢者のこの問題に供していただきたいと思っております。
 そこで、厚生省としましては、在宅介護をこれから進めていくというふうに決定しておみえになりますし、これはもう厚生省の方針というよりも国の方針としてそういうふうに定まっているというふうに思うわけですが、今回のこの災害がありまして、そしてこれだけの多くの犠牲者が出た。その中で高齢者が多かった。これから在宅介護を進めていくということになれば、高齢世帯がまたふえていく、そしてあるいは単身の高齢者の、あるいはまた動けない人たちがふえていくということになってまいりますと、何かこうした災害がありますと、さらにまた大きな犠牲者が出るということにもなりかねない。こうしたことを考えますと、これまで決定しておみえになります在宅介護というこの方針をこのまま続けられるのか、それとも、在宅介護という基本方針は変えないけれども、安全性というものをもう少しそこに加味をして何らかの修正を加えていくというお考えがあるのか、その辺のところ、ちょっと大臣からお聞きをしたいと思います。
#65
○井出国務大臣 御指摘のように、五千人を上回る犠牲者の皆さんの中で高齢の方が大変多かったというのは、私どもにとりましても大変ショックでしたが、考えてみれば、まさにこれから高齢化がいよいよ進み、また一方で核家族化がこれまた進んでいく日本の今後をある意味では象徴しているのかな、そのための対応をきちっとしておかなくてはならぬなということを痛感した次第であります。
 在宅福祉、在宅介護の推進のためには、ただいま先生御指摘のような居住環境の整備が何としても必要であると考えるものでございます。このような考え方で、今回策定した新ゴールドプランにおきましても、建設省と一体となって、ヘルパーステーションを付設したケアハウスの整備とか、あるいはシルバーハウジングやシニア住宅の整備とか、さらに高齢者向けの公共賃貸住宅の整備などを行うこととしておるわけでございます。
 また、今回の震災の復興に当たりましては、居住環境の整備の際は、特にケアハウスの建設など、高齢者の居住環境に十分配慮をしていただくよう兵庫県あるいは神戸市等にもお願いをしているところであります。過日、私、兵庫県の知事さんや神戸の市長さんとお目にかかる機会がございましたが、この復興に当たって、高齢者やあるいは障害者の皆さんが住みいいような町づくりをするんだ、こう知事さんも市長さんもおっしゃっていらっしゃいまして、そういう皆さんが住みいいということは健常者にとっても当然また住みいい町になるわけでございますから、ぜひそんな方向で頑張っていただきたいと思いますし、厚生省といたしましても、その方向でできるだけの御支援をしなくてはならぬ、こう考えておるところでございます。
#66
○坂口委員 神戸の問題も当然そうでございますが、神戸だけではなくて、全国各地域、どこでどんな災害が起こるかわからないわけでございますし、これから全国的に高齢社会が来るわけでございますから、高齢社会が来るといいますよりも、もう高齢社会に到着をし、超高齢社会がやがて来るわけでございますから、その対応を我々は迫られるわけでございます。
 今回のこの災害を教訓として、これからの在宅介護という問題に対して、より安全性というものを強調をして、そして取り組んでいくという決意を今大臣は表明されたというふうに受け取らせていただいてよろしゅうございますか。
#67
○井出国務大臣 先生のその御指摘で結構だと思います。もちろん住宅そのものにもこういう地震あるいは災害に強い住宅を建設していかなくてはなりませんが、一方、やはりそういう高齢者の皆さんを常にケアできるようなシステムといいましょうか、これをあわせて持つような対策を講じていかなくてはならぬ、こう考えておるところでございます。
#68
○坂口委員 地域的にも非常に危険な地域も中にはございます。例えば、地震だけではなくて、台風等で河川に近くて非常に浸水をしやすい場所でありますとか、あるいはがけ崩れに遭いやすい場所でありますとか、あるいはまた、今御指摘になりましたように、居住環境が非常に悪くて、これではどうかと思われるようなところもあるだろうというふうに思いますし、地域全体として危険な地域もありますし、それぞれの個々の居住環境の問題もあろうかと思います。これからの在宅介護の問題に取り組んでいただきます中で、安全性を加味していただかなければならないというふうに思いますが、そのときに、一律に在宅介護というのではなくて、やはり地域によってはその在宅介護にかなりいろいろの修正を加えてもらわなければならないときもあるだろう。人によっては施設を紹介をしていただかなければならない人もあるでしょうし、あるいはまた別の居住環境のところを紹介をしていただかなければならないところもあるでしょうし、そうした配慮が必要ではないだろうか、私もそう考えております一人でありまして、これから高齢社会がさらに進みますだけに、この問題を私たちは抜きにして考えてはならないのではないか、そう思っております。
 どうぞひとつその点、今回亡くなられました皆さん方のその状態、いろいろな環境の中でお亡くなりになったというふうに思いますが、そうした点をよく調査をしていただきまして、今後のためにひとつ提供すると申しますか、我々にもお示しをいただければありがたい、こう思っております。それが第一の問題でございます。
 もう一つの問題は、先般の予算委員会でも私ちょっと触れさせていただきましたが、これは救護班の問題でございまして、今回救護班が大活躍をしてくれました。その救護班の中には、県立あるいは市町村立の病院からの救護班もございますし、赤十字からの救護班もございます。あるいはまた医師会等から派遣されました救護班も活躍をしてくれておるわけでございますが、そうした救護班にまじりまして、純然たるボランティアによる救護班も大変な活躍をしてくれているわけでございます。
 今回、あちらこちらで聞きますのは、ボランティアの救護班を皆さんが組織をしまして、そして救護に行こうというので、兵庫県あるいは神戸市あるいは西宮市というふうに、被害に遭われた地域にお電話をしても、なかなかそこがうまくつながらない、あるいはまたつながりましても回答がなかなか得られない。大阪の方で聞いてほしいという御意見がありましたり、しかし、大阪の方に聞きましてもスムーズにその回答が返ってこなかったり、返ってまいりましても、足りているからしばらく待ってほしいというような御意見がありましたり。一方、テレビではあるいは新聞等では、医療が足りない、薬が足りないということが報道されるというようなことがありましたりとか、そんなこともありまして、取りやめたチームもございますし、それから、もういいというふうに言われても出かけていったチームもあるわけでございます。
 出かけていきましたチームの中には、こういうお話もございました。現地に行きまして、ある小学校に行きましたところ、保健所の証明をもらってきていますか、こういうふうに言われた。いえ、どこからも何ももらってきていません、全くのボランティアで参りましたというふうに言ったのですけれども、名刺は出しましたけれども、何の証明もなくて行ったものですから何となくぐあいが悪かった。しかし、周辺からたくさんの人が寄っておみえになって、診てほしい、早く薬が欲しいというようなお話で、二百数十人もの方を診察をして帰った。校長先生から、あちらにも往診に行ってほしい、こちらにも行ってほしいというようなお話が出て、夜遅くまで往診をして帰ったというようなこともございまして、結果的にはよかったわけでございますけれども、何となくぎくしゃくとしたところもあった。
 そのことを聞きまして、現地の方からすれば、どこから来てもらったのかということがわからないチームを受け入れるときに多少の不安を持たれることも、これまた無理のないことだと私も思うわけでございます。そこにおみえになりました保健婦さんが、保健婦さんでしょうか、看護婦さんでしょうか、どこかの、保健所か何かの証明をもらってきていますかというふうに言われたその理由もわからないでもないわけであります。そういうことが今回のような大きな災害のときには起こる可能性というのは多分にある。
 これからそういうボランティアの人たちが行こうとしましたときに、この人たちはこういうグループの人たちですという何か証明になるものでもその人たちが持っていればよりスムーズではないかという気もするわけでありまして、これは提案でございますけれども、ボランティアならボランティアの出身県なら出身県のどこかで、これはこういうチームですという証明みたいなものをもらって持っていけば、行った先も安心もしてもらえるだろうし、その人たちも、こういうことですということがより明確に言えるんではないだろうか。よりスムーズに事を運ぶためには、現地は混乱をしているわけですから、そのグループが出発をします。その都道府県があるいは市町村なのか、その辺のところが何か証明するものでも持たせてやるということができればスムーズにいくのではないか。これは私の提案でございますけれども、そんなことを考えた次第でございます。
 もっといい何か名案がございましたら教えていただきたいと思いますし、そんなことができればどうかという私の提案でございますが、何かそれに対して御意見がございましたら聞かせていただきたい、そう思います。
#69
○井出国務大臣 今回の震災におきまして、大勢のボランティアのお医者さん方が避難所等において医療活動を献身的に行っていただいておりまして、私としても心から敬意を表するとともに、感謝を申し上げたいと思うわけでございます。しかし、今先生御指摘のようないろいろなトラブルといいますか、あるいは受け入れ体制がきちっと整っていなかったことも随分あったようでございます。
 実は、今手元にちょっと資料を持っておりませんが、厚生省としましても、各都道府県やいろいろな医療機関にお医者さんあるいは看護婦さんの応援体制を要請しまして、かなり申し入れはいただいたのですが、お医者さんに限っては必ずしも医療機関からの申し込みは、正直のところそんなに多くなかったのであります。そういうきちっとしたルートを通じてもそういう状況でございますから、個人で行かれて、不意に行かれた場合に、恐らくもっとそういうことはあったんじゃないかなと思うわけでございまして、そういう意味では大変残念でございました。
 その後、厚生省現地対策本部におきまして、そういった医療ボランティアの方々の受け入れ医療機関との調整を行ったりして、地元保健所等を通じて避難所救護センター等へ行っていただいて御活躍をいただくようなことはやってきていることは事実でございますが、特に最初のころにはそういうことがあったことは私もよく聞いておるところでございます。
 したがいまして、ボランティアの医療チームが被災地において円滑に医療救護活動を行うための方策といいましょうか、ただいま先生御提案くださいました。出身県が所属あるいは身分等の証明書を出したらどうだといった御提案も含めまして、今回の災害の教訓を踏まえながら今後十分検討していかなくちゃならぬ、こんなふうに考えておるところでございます。
#70
○坂口委員 もう一つ、救護班に関しましては、今回、最初の搬送が非常におくれたわけでございます。救急病院等の先生のお話を聞きましても、あれだけの大災害が起こっていながら、最初は非常に救急病院ががらあきの状態のところがあった。いわゆる搬送されなかったということがあったようでございます。これは少し考えられないようなことのようにも思いますが、あれだけのことが起こり、そして多くの災害者を運んでいただく方がなかった。あるいは道路が大混雑をしたというようなことが輪をかけたのではないかというふうに思います。
 ふだん救護班の問題を考えます場合に、救護班といいます場合には、災害を受けた人を運んでもらう、搬送するというようなことを余り考えに入れていないのですね。来てもらった人をどういうふうに診るかということだけでありまして、運び込むという人のことまでは救護班の中には入っていないわけであります。そこで、できる限り、救護班とそれから運んでいただく方々との間の連係プレーというのがスムーズでなければなりませんし、この人たちのことも念頭に置いた連係プレーがふだんからできていなければならないのではないかというふうに今回痛切にそう思いましたし、専門の先生もその点を指摘をしておみえになるわけでございます。
 私も経験がございますが、近鉄がトンネル内で正面衝突をした事件が過去にございまた、私、そのときに赤十字に所属をいたしておりまして、一番先にそこへ駆けつけたわけでございますが、搬送されてくる人というのは、搬送してくれる人が先に行ってくれておったわけですけれども、痛いと叫ぶ人、早く助けてくれと言う人を先に運んでいるわけであります。物を言わない、生死の境にある人が後回しになっておりまして、早く助けてくれと言う人を先に運んでいったというケースがありました。これはいかぬ、叫べる人は後回しにして、物を言えない、何とか生死の境目にある人をより分けて、この人たちを早く運んでくれということを言った経緯がございますけれども、その辺のところ、そういう災害のときの搬送というのもなかなか難しいものだということを私自身も経験をしたことがございます。ですからこれはふだんから、救護というものと搬送というものとは切っても切れないものでございますし、やはりかなりな訓練が必要ではないかという気もいたします。その辺のところもひとつ御検討をいただければというふうに思っております。
 それで、時間もございませんからそのぐらいにしておきたいと思いますが、災害関係のことはこの二点にとどめさせていただきまして、もう一つだけ、きょうは別の問題をお聞きしておきたいと思います。
 これは、高齢社会に対応するさまざまな研究等が厚生省内で行われておりまして、例えば高齢者ケアプラン策定指針なんというのも厚生省で出されております。拝見をさせていただきました。それで、いろいろな研究をしておみえになります中で一つ気になっておりますことを指摘をしたいわけであります。
 これは、何と申しますか、人間の元気でいられるかどうかということは、まず最初に物を食べなければならないわけでございますが、そしゃくができるかどうかというのは大変大事な問題です。それから、物がかめるかどうか、いわゆる歯があるか、あるいは入れ歯があるか、きちっとしているかどうか。歯科あるいは口腔ケアと申しますか口腔内介護と申しますか、そうしたことがかなり重要になってくるというふうに思っております。そしゃくあるいは飲み込む、嚥下というようなことが大変重要でありますし、それができるかどうか、あるいはそれをするかどうかということが、肉体的にも精神的にも非常に大きな影響を与えて、そして自立ができるかどうかに大きな影響を与えるということもだんだん言われるようになってまいりましたし、これは避けて通れない課題の一つであるというふうに思っております。
 先ほど挙げました高齢者ケアプラン策定指針を決めますのに、これは北海道で、皆さんの方でテスト的におやりいただいているのでしょうか、高齢者総合ケアシステム研究会というのができ上がったりいたしております。これは北海道の先生方が中心になって入っておみえになりますので北海道でおやりいただいているのだろうと思いますが、このメンバーを見ましても、三十八名おみえになって、その中で医療従事者が十八名入っておみえになります。その中で、十七名は医師の関係であり一名が看護婦さんでありますが、歯科医療の人は一人もお入りになっていない。
 このほか高齢社会福祉ビジョン懇談会でありますとか、あるいは高齢者介護・自立支援システム研究会でありますとか、さまざまな研究会や懇談会等がございますけれども、その中に歯科医師あるいは歯科関係の人たちは一人もお入りになっていない、こういう現状でございますので、私は少しこの辺は考え直していただく必要があるのではないか。
 また、厚生省の中に、審議官あたりのところに歯科関係の方がおみえになるかなと思って名簿を繰ってみましたけれども、私が見落としておりましたらお許しいただきたいと思いますが、現状のところでは歯科医療の審議官はおみえにならない。そういうことでありますと、政策を立案する段階のところでそういう考え方を持った方がおみえにならないのかなという気もするわけであります。
 今後の老人全体の介護の中で口腔介護というのは避けて通れない大変大きな問題でありますだけに、私はこれから厚生省として一考していただかなければならない問題ではないかというふうに思っておりますので、提案を含めて申し上げたわけでございます。御意見ございましたらお聞かせいただきたい。
#71
○井出国務大臣 私、五十半ばになったわけでございますが、友人たちと集まりますと、体力の衰えはまず歯から、その次は目だとよく話します、その次は何だかわかりませんが。そのくらい歯が大事だということは身をもって痛感しておりますし、高齢者の口腔ケアは、食の確保に通じた心身機能の維持回復という観点から極めて重要なことと考えております。
 このため、老人保健事業におきましても、歯の健康相談や訪問による口腔衛生指導を実施しているところでございます。また、歯科検診につきましても平成四年度よりモデル事業を実施してきたところでございまして、これを踏まえて平成七年度より、四十歳及び五十歳の方に対して新たに歯周疾患検診を行うことをことしは予算化しております。
 そんな意味で今後とも高齢者の歯科保健対策の充実に努めてまいりたいと考えておりますが、今先生御指摘くださいましたもろもろの審議会などに歯医者さんが極めて少ないではないかといったこと、あるいは厚生省の審議官クラスに歯医者さん出身者がいないではないかということ。前者はちょっと私よく承知しておりませんものですから後で担当局長の方から御答弁させますが、現在審議官に歯医者さん出身の方がいらっしゃらないことは確かであります。そういう方にも、重要な役を歯医者さん出身の方でも担っていただかなくてはならぬという考え方は持っておるつもりであります。
#72
○阿部(正)政府委員 若干補足的に、先生挙げられました事実関係などを踏まえて、ちょっとお答えさせていただきたいと思います。
 まず、先生挙げられました高齢者のケアカイドラインの研究に当たりまして歯医者さんが入っていないではないかというふうな点でございますが、例に挙げられました北海道で行いました高齢者総合ケアシステム研究会というふうな中には、確かに歯医者さんという資格で入っておられる方はおりません。ただ、これは先生御存じのとおり、北海道という土地柄の中でいわゆる老人病院あるいは老人保健施設の方々が、そういったふうな将来の高齢者のケアというものを、従来の施設体系ごとに分かれてやってきたものではなくて、むしろ個人個人に対するサービスという面からもう一度組み立て直しでみようではないかとかなり自主的な形でスタートしたものですから、こういう形になっておるのではないかなと思っております。
 ただ、先生御指摘になりましたその結果等を参考にして、私どもが組み立てました高齢者ケアガイドラインというものを出しておりますけれども、この中には歯科口腔ケアの部分につきましてもきちっと入れ込んでつくっておりますので、私どもとしてはそういったふうな高齢社会あるいは特に高齢者の歯科口腔ということについて非常に賃料が足りないのではないかということについてはそんなふうな形でやっておりますので、御理解を賜りたいと思います。
 あわせまして、これからいわゆる介護につきまして新しい観点からそのシステムをつくり上げていこうではないかというふうな検討がされておりまして、具体的に言いますと、私どもが庶務をやっております老人保健福祉審議会ということで、そのシステムについての議論が始まったばかりでございますけれども、その審議会にはきちっと歯医者さんも入って議論を開始したというふうな状況でございます。
#73
○坂口委員 高齢者ケアプラン策定指針、これはアメリカのMDSの日本版でございます。アメリカの方のMDSと比較をいたしてみますと、MDSの方はかなり歯科の口腔ケアのことも入っているわけであります。そこが日本版の方は見事にネグられておりまして、申しわけ程度にちょっとつけ足して書いてある、「栄養」のところにちょいとつけ足して書いてあるというだけでありまして、特に口腔ケアのことを重点的に取り上げているというほどには遠く及ばないというのが現状でございます。
 これは、私ちゃんと見て言っておるわけですから、きちっと読んでございます。アメリカのものも読んでございます。日本のものも読んでございます。比較をして私は申し上げているわけでございますから、間違いございません。過去は過去でございますから、これからひとつ、そういうことのないように今後よく検討していただきたい。これは本当に重要な部分だと思うのですね。
 例えば医師会と歯科医師会とか、さまざまな問題もそれはあると僕は思うのですよ。だけれども、そういうことを乗り越えて、人間中心に考えました場合には、そしゃくということがいかに大事かということは、これは避けて通れない問題でございますし、それが身体あるいは精神的にどういう影響を与えるかということもだんだんと大きな意味が発見されてきているわけでございますから、この問題は避けて通れないことであると私は思っているわけでございます。あえてそのために申し上げさせていただきました。どうぞ、そういうことでございますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 きょうは遅くまで皆さんかかるようでございますので、まだしばらく時間がございますけれども、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
#74
○岩垂委員長 青山二三君。
#75
○青山(二)委員 新進党の青山二三でございます。
 今回の阪神大震災でお亡くなりになりました五千三百人を超える方々に心から御冥福をお祈り申し上げ、被災地が一日も早く復興できますよう祈りながら、質問をさせていただきます。
 異国情緒にあふれたあの美しい神戸の町や、だれもが一度は住んでみたいという高級住宅地芦屋の町が一瞬にして見るも無残な姿に変わってしまった状況を目の当たりにして、マグニチュード七・二という直下型大震災の恐ろしさを身にしみて感じました。特に、火災の災害が一番大きかったと言われる長田区の焼け跡を見たとき、私は、五十年前の戦争で、そのとき徳島市でB29の爆撃を受け、町じゅうが焼け野が原となり、あちらこちらで死体の焼けるにおいがしたあの恐ろしい光景を思い出しました。母は幼い弟を背負い、私と祖母は手をつないで戦火の中を逃げ惑い、今からがら焼け残ったお寺に避難し、食べるものもなく、着のみ着のままの不自由な生活を送った幼いころを思い出しました。
 あのころは日本の国が敗戦ということで、国民はただただ生きていくのが精いっぱいでございました。しかし、このたびの災害は阪神地方に限られ、新幹線に乗って三時間もたちますと、活気あふれる東京があり、何不自由のない生活がそこにあるのであります。したがって、不幸にも災害に遭われた方々には、国を挙げて全力で救援と救済の手を差し伸べるべきだと考えております。
 いまだに避難生活を送っている方々が約二十二万、避難生活も一カ月でございます。もう我慢の限度に来ており、緊張の糸も切れるころだと思いますが、こうした避難生活を送っている方々が一応平常の生活に戻れるというのはどれぐらいになるのか。ちょっと難しい質問だとは思いますけれども、どれぐらいで平常の生活に戻れるんだよという希望を与えてあげなければならないと思いまして、あえて質問をさせていただきます。
#76
○佐野(利)政府委員 まさしく大変難しい御質問でございまして、私どもといたしましては、本当に一刻も早くこのような避難生活を解消したい、こういうふうに思っておるわけでございますし、また、災害救助法の建前からいいましても、本来避難所の考え方は、大体一週間程度というのがもともとの考え方でございます。ただ、御承知のように、大規模な災害でございまして、その後の対応は大変苦労いたしております。
 目下のところ、住宅対策というのはやはり一番重要なことだろうと思うわけでございますけれども、その中でも特に緊急を要するのは応急仮設住宅の建設ということでございまして、これにつきましては全力を挙げて今取り組んでおりますけれども、現実に今大体のめどがつきましたのが、県と御相談したところで、四万戸を仮設住宅はつくる、そのうちの三万戸につきましてはとりあえず発注を終わりまして、これにつきましては、何とか三月中にでも完成をできるようにということで鋭意努力をいたしております。
 追加の一万戸につきましては、目下、土地をどこに確保するかというところからまたスタートをするという状況でございますけれども、今、そういうことから申しますと、とりあえずの段階ではございますけれども、仮設住宅三万戸の分につきましては三月中には何とか完成を見て、四月早々には入居ができるような形に持っていきたいということが私どもの当面の目標でございます。
#77
○青山(二)委員 私の県にも木工関係の業界がございまして、六千戸の発注が飛び込んできた。これはとても生産できる量ではないけれども、やはり被災者のことを思いますと、一日も早く対応してあげたいということで、それは、朝は六時から夜は十時までという大変な労力を注いで頑張っているようでございますので、できるだけ予定どおりに建設していただきたいと心からお願いをする次第でございます。
 それで、問題の建設用地についてでございますが、過日の委員会で大臣から、仮設住宅を校庭につくれないか官房長官にお話をした。避難住民も近くていいのではないかとの答弁がございました。この答弁をめぐりまして、文部省から、事前に相談があってしかるべきだと反発が出ているということでございまして、また、与謝野文部大臣からは、学校教育施設はできれば遠慮してほしいとくぎを刺されたというような報道が新聞に出ておりました。
 今二十二万人もの被災者が学校の体育館や教室、そして保健所、市役所、さらには民間の会館にまで、布団や毛布にくるまって雨露をしのいでいる生活を余儀なくされておりますこんなときに、事前に相談がなかったとか教育施設は遠慮してほしいなどと、これは縄張り争いでしょうか、そういうことをしているようなときではないと私は思うわけでございます。
 厚生大臣は、校庭から空き地へというふうに表現を変えだというような新聞報道でございましたが、文部省にしっかりお願いをして、協力をしていただいて確保をしていただきまして、一日も早く予定の仮設住宅を建設すべきと考えますが、この点について大臣から御答弁いただきたいと思います。
#78
○井出国務大臣 新聞報道でそんなふうに言われておるのは私も読みましたけれども、決して文部大臣と意見の相違を来しているとは考えておりませんし、私が、校庭から、何か空き地へ少し後退したということは全く間違っている報道であります。実は、ここで御答弁申し上げた翌日でしたか、緊急対策本部のときに、住宅問題といたしまして私が申し上げた中に、校庭及び公園でしたか、そういう文言があったことは事実です。決して校庭が消えたわけではございません。
 それで、文部大臣も決して、全くだめだよ、こうおっしゃっておるわけではございませんし、私も、学校教育、特に小中学校におきまして校庭の持つ教育的な意味は十分承知しておるつもりでございますが、しかし、なかなかあの場所を離れたくない方がたくさんいらっしゃる。私が見る限り、そう適当な場所が近くにはありそうもない。
 しかも何か、これは報道ですから私も確かめたわけじゃございませんが、校舎を占領して、占領と言っちゃしかられちゃう。避難者の皆さんが今校舎にたくさんいらっしゃるわけで、そうすると授業にならないから校庭にプレハブの校舎をつくって授業をというようなことを目にしたものですから、それだったら校庭が結局は使えなくなるわけですから、そちらに仮設住宅をつくって、今校舎の中にいらっしゃる皆さん全部は無理でしょう、面積の関係からいって。ほかのところへももちろん移っていただくわけですが、移動していただいて、あいた校舎で授業を一日も早く再開される方がいいんじゃないかな、こう申し上げた次第でありまして、きょうの予算委員会でもその問題がまた出ましたが、文部大臣も、ほかにいいところがあればもちろん教育上校庭として使いたいんだが、これはあくまでも地元自治体の意向を尊重すべきことだと思う、こんな御答弁ぶりでございました。
 そして、実は芦屋市が市立芦屋高校と三カ所の中学校及び二カ所の小学校に仮設住宅を建設することを決めたようであります。芦屋市も大変土地の狭いところでございますから、きっとよくよくだったと思いますが、体育の授業やクラブ活動はほかの小学校の校庭を兼用するなどの工夫をしている、こう伺っております。
 したがいまして、決してこれは省益をめぐって争っているわけではございませんで、一日も早く仮設住宅が、できるだけ避難している皆さんの御意向に沿う、近いところに建つようにみんなで工夫をしていかなくちゃならぬ、こう考えている次第であります。
#79
○青山(二)委員 それと、大臣は所信の中で、そのときは二十六万人おりましたけれども、「被災者の方々の生活、健康をどのようにして守るかが現時点での厚生省として取り組むべき最優先の課題であります。」このように述べられております。ところが過日、避難所で体調を崩したお年寄りが病院に運ばれた後、多くの方々が亡くなっていることが判明したというニュースを見ましたけれども、厚生省としてはこうした実態をどのように把握してどのように対応しているのかお伺いしたいと思います。
#80
○谷(修)政府委員 避難所において生活をしておられる方々の医療の確保ということは、今先生もお触れになりましたように、大臣からも大変重要な課題であるということで、私どもも懸命の努力をいたしているところでございます。御承知のように、避難所救護センターの設置、あるいは避難所救護センターの設置をされていないところにつきましては巡回診療、またお年寄りの方あるいは母子等を対象にいたしました。保健所を拠点といたしました巡回健康相談等を実施をいたしております。
 このような体制の中で、一月の二十四日以降避難所救護センターやあるいは巡回診療によりまして治療を受けた方は、二月十二日現在でございますが、約一万二千六百人ということでございまして、そのうち風邪というふうな形で診断された方が約六千六百人おられます。肺炎と診断をされた方が十九名、そのうちお年寄り、六十五歳以上の方については十二名というような報告を受けておりますが、私どもとしては、さらに医療が必要という方々については救急車あるいはその他の手段によって医療機関に搬送をされているというふうに理解をいたしております。
 ただ、一方におきまして、今先生ちょっとお触れになりましたが、死亡者が相当数おられるんじゃないかということでございます。私ども現時点では、病院に入院された後亡くなられた方ということについてはすべてを把握しているわけではございませんけれども、兵庫県の監察医務室の報告でございますけれども、監察医務室が一月十八日から二月十日までの間に検案をした死亡者の数は四十七人といったような報告を受けております。
 特に、高齢者の方につきましては、こういったような巡回診療あるいは巡回相談のほかに、パトロール隊の巡回によりまして要保護者の発見に努めるということで、必要に応じまして福祉関係医療機関へも連絡をするといったような体制をとってきておりまして、これまでにこうした取り組みによりますものも含めて、既に約二千人程度の方が特別養護老人ホームなどの施設に緊急入所をしていただくといったようなことをやっているわけでございます。
 また、このほかに、地域によりましては避難所にホームヘルパーを派遣をしているといったようなこともやっているわけでございまして、こういったようないろいろな方策を組み合わせまして、避難所におられる方々の健康の保持あるいは医療の確保、また必要な対応の確保ということについてさらにきめ細かくやっていかなきゃいけないというふうに認識をしております。
#81
○青山(二)委員 それでは、避難所生活について、ちょっと細かいことのようでございますけれども、大臣も、今後は量やつい立てに留意するということをお述べになっておられましたけれども、二月も中旬となりまして寒さが一段とこたえるころでございます。体育館や教室で冷たい板の上に直接布団や毛布を敷いて寝起きしているということは本当にこれから大変だなと思いますので、早急に畳かあるいはそれにかわるものを手当てしていただきたいと思うのでございますけれども、現在の対応はどのようになっておりますでしょうか。
#82
○佐野(利)政府委員 避難所がなかなか混雑をした状況でございましたものですから、当初のころにはほとんど何も手を打ててなかったというのが実態であろうかと思います。少しずつでありますけれども、避難所の状態も改善をされてきております。そのようなことから、畳を敷いたりあるいはつい立てをつくるというようなスペースもできてきておりますので、そのような状況を踏まえて、できるだけ早急にそういう畳だとかカーペットだとか暖房のとれるようなもの、あるいはつい立てなど、そういうような環境整備につきましても、避難所生活がどうしても長くなりますものですから、そういう点を配慮していかなければならないということで目下指導に努めております。
 目下のところは大体、約九百八十弱の避難所がございますが、そのうちで三百三十ぐらいの避難所には大体、ですから約三分の一ぐらいはそういう配慮がされてきたというふうに報告は受けておりますが、まだまだ足りませんので、そういう点につきましてはできるだけ早くするようにということで指導の徹底を図ってまいりたい、こう思っております。
#83
○青山(二)委員 それでは次に、仮設トイレの設置状況についてお伺いしたいと思います。
 被災者の方々が大変困っているのが、トイレのようでございます。数も不足しておりまして、不衛生で、現場は大変ひどいようでございます。特に女性にとりましては深刻な問題でありまして、トイレに行くのを我慢して便秘になるなど、体調を崩している方々が多いと聞いております。
 厚生省のこの取り組み状況によりますと、現在、三千九百基を設置したようでございます。二月の十日現在ということで、このときは二十二万四千人で三千九百基、単純に計算いたしましても、五十七人に一基でございます。場所によっては百人に一基ぐらいのところもあるようでございまして、これでは余りにもひどいと思うわけでございます。仮設トイレの増設、あるいはし尿のくみ取りの回数をふやすとか、そういう手当てを早急にするべきではないか。この件について、どのように対応しているのか、また、今後の取り組みについてもお伺いをいたします。
#84
○佐野(利)政府委員 仮設トイレの設置につきましては、今先生がおっしゃったように、三千九百基、各避難所全部で合わせますとそのぐらい設置をされております。この点につきましては、避難所の設置当初につきましては、大変この仮設トイレの関係は不十分であったと思うわけでございますが、最近は相当水道の方も復旧が進んでまいりまして、大体八割程度は復旧されたというような状況もございますので、避難所が既に所有しているトイレも使えるようになってきているということもございます。ですから、そういう面では、一応総体的には仮設トイレについてはもうほぼ充足されているのではないかなというふうに私どもは見ておるのです。
 ただ、御指摘のような事例もあるのではないか。また、現実問題としましては、仮設トイレはくみ取り方式でございますので、くみ取りがたまたまおくれたりなんかした場合、道路の混雑等でおくれたりなんかした場合には、非常に使用が困難な状態に陥っている場合もあろうかと思いますので、そういう点は、先ほど健政局長も申しました避難所緊急パトロール、こういう形で各避難所を回っておりますので、それで発見され次第、早急な手配ができるようにということで、仮設トイレにつきましても千基ぐらいはいつでも配れるように予備も用意をいたしております。
#85
○青山(二)委員 千基も予備があるということでございますので、やはりきめ細かく、足りているところもあれば全く足りないところもある、避難所によっていろいろ条件が違うわけでございますので、そういう大変な思いをしている方の声をよく吸い上げていただいて、適切な処置をとっていただきたいと思います。
 それでは、次に、災害時に対する備えということで、何点かお伺いをしたいと思います。
 今回の災害で、初動の対応のおくれが大きな問題になっております。特に、救援活動では、活動開始が一分おくれれば死者が一人ふえるとも言われております。そこで必要になるのが災害時に対する備えでございます。特に、命を預かる病院の災害時の備えについて、今後万全を期す必要があるのではないかと私は痛感いたしております。
 このたびの災害で、大阪府下の各救命救急センターでは、地震発生後、先ほども坂口委員がお話しされておりましたけれども、病床を用意し、また医師や看護婦の救援チームを災害地に派遣すべく待機していたが、ほとんど患者が来院せず、焦りと情報不足にいら立っていたということでございます。ところが一方、被災地内の病院には、地震発生後十五分ぐらいから負傷者が来院し始め、量やあるいは戸板に乗せられて病院に連れられてくるケースが相次ぎまして、二つの病院に約千人もの患者が殺到したそうでございます。
 関係者の話では、一番困ったことは、一切の通信が不能となり、手に負えない患者をどこにどのように転送すればよいのか、また、頼みの綱の消防署にも転送を拒否されパニック状態になった。やっとの思いでヘリコプターを一機飛ばすことができた。渋滞した陸路では五時間かかるところをヘリコプターではわずか十五分で到着てきたということであります。助かるべき人が死亡したケースというのは、小さな病院から適切な病院に移すことができなかったことに大きな原因があると言われております。
 今回のような大震災ですべての通信が断たれ、陸路もずたずたに寸断されたときの交通は、もう空路しかありません。現在、我が国の病院でヘリポートを設置しているところはわずか二十カ所のようであります。今回の災害を大きな教訓として、病院にはヘリポートを設置すべきと考えますが、大臣いかがでしょうか。
 また、病院の災害時の備えに対し厚生省としてはどのように指導してきたのか、あわせてお伺いをいたします。
#86
○谷(修)政府委員 今回の災害に当たって、特に震災直後は現地の通信事情が非常に悪かったといったようなことから、いろいろな面で困難な状況にあったことは確かだと思います。
 ただ、このヘリコプターでの搬送可能な近隣病院、あるいは受け入れの可能な病院のリストということにつきましては、十八日の午前、そういったようなリストを作成をいたしまして、十八日中には地元の方にも送付をいたしておりますけれども、必ずしもそれが十分活用されたかどうかということについては、いろいろ今お話もあったとおりでございますが、ただ、ヘリコプターによります患者搬送につきましては、消防庁それから海上保安庁、防衛庁のヘリコプターによりまして、震災直後から現在までのところ、約百八十名の患者が搬送をされております。このほかにも、民間のヘリコプターによる搬送も行われたというふうに承知をしております。
 いずれにいたしましても、現在百十九カ所の救命救急センターのうち、先生お触れになりましたように、二十カ所の救命救急センターにヘリポートが整備をされているということでございますので、今後、こういったような救命救急センターを中心にいたしまして、引き続きヘリポートの整備を図ってまいりたいというふうに考えております。
 なお、病院の災害時への備えということでございますが、厚生省におきましては、厚生省防災業務計画を作成いたしまして、その中で、その防災業務計画に基づきまして、医療施設におきます避難訓練等の実施、あるいは医療施設の不燃防火対策、あるいは避難用器具等の整備について指導してきたところでございますが、今回の災害を教訓といたしまして、こういったような問題についても改めて検討していかなければならないというふうに考えております。
#87
○青山(二)委員 ここに、いかに病院が大災害時における備えが不備であるかを示す実態調査がございます。
 それは大臣のお手元にもお届けしたはずなんですけれども、これは大阪府下の全病院と兵庫県下二百床以上の病院を対象に、大規模災害に対する備えについて実施されたアンケート調査でございますが、それによりますと、災害対応計画というのをつくっているかという設問に対しましては、公的病院では二四・二%、私立病院では一三・一%。約八〇%の病院ではつくっておりません。また、大規模災害に備えた救護訓練を行っているかという設問では、公的病院、私立病院ともに九〇%以上が実施していないと回答しております。また、災害用に医薬品と医療用材料を備蓄しているかという設問では、備蓄している病院は、公的、私立ともに一〇%以下。また、薬品棚の耐震工夫がなされている病院は、公的、私立を問わず一三%にとどまっております。 また、保有病床を超えても大災害時の患者の収容可能かという設問では、公的病院が九七%、私立病院が九一%が不可能と回答しております。そして、自家用発電の装置を持っているところは、公的病院が九四%、私立病院が七三%。しかし、それを動かす燃料の備蓄は十二時間以内で、地震のような災害で外部からの燃料が断たれますと十二時間程度で病院は暗黒になり、すべての病院の機能が麻痺してしまうということでございます。
 これを見まして私が感じることは、いかに災害時の備えが不備であるか、不足しているか、認識が薄いかということでございます。
 そこで、最後の質問になりますが、これからの病院は、第一点目として災害対応計画を作成すべきである。これは、欧米の先進諸国ではもう必ず義務づけられているということでございます。それから第二点目として、災害時の救護訓練、これを義務づける必要がある。このように痛感いたしましたが、このアンケート調査をごらんになり、また今の二点の質問に対しまして、大臣の御所見をお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
#88
○井出国務大臣 千里救命救急センターで実施なさったこのアンケート調査を私も見せていただきまして、意識も対応も全く十分とは言えない、こう思わざるを得ませんでした。
 また、この中で、例えば表四ですか、「自家発電装置用燃料の備蓄」なんですが、これも十二時間ぐらいでだめになってしまうのですが、仮にこれがあっても、今度は水がなくては発電機は動かないことも考えられますから、これだけではまだだめな部分も実はあるわけでございます。
 そういった意味で、実は今もう一つの御提案の災害対応計画の作成、そしてまた災害時の救護訓練の実施を義務づけたらどうだという点ともこれは関係してくるわけでございますが、今回の災害により本当に大きな危害が生じた事実を厳粛に受けとめて、この教訓を生かして、関係省庁の協力を得ながら、災害の際にも十分に機能できる医療体制の確立に向けて取り組んでいかなければならぬということを痛感しておるところであります。
 このため、昨年の一月に設置されております集団災害時における救急医療・救急搬送体制のあり方に関する研究班におきまして、今回の災害を振り返って、御指摘の点も含めて専門的あるいは多角的な観点から、今のこの千里救命救急センターの資料なんかも当然御議論いただきながら、十分に検討をすることとしていきたいと考えております。
#89
○青山(二)委員 それでは、時間が参りましたので終わらせていただきます。大変ありがとうございました。
#90
○岩垂委員長 鴨下一郎君。
#91
○鴨下委員 大臣、長いこと委員会でお疲れだろうと思いますが、さきの大臣の所信表明の中で、高齢者福祉策について、「国民が安心して老後を迎えられる介護サービスの基盤を整備するため、老人保健福祉計画により把握された地域のニーズを踏まえこというようなことで、例えば新ゴールドプラン等を策定したというふうにおっしゃっています。それからさらに最後のところで、「いつの時代にも、国民が心豊かに安心して暮らせる社会」を実現する、その中には医療のこともあるのだろうと思いますが、そういうことをおっしゃっているわけです。私なんかの経験の中でも、実際の医療においては必ずしもうまくいっていないこともたくさんございます。
 例えば一例を申し上げますと、厚生省の大臣官房統計情報部の昭和六十二年の統計なんですが、残念ながら、その後調べたところでは余りその後の統計がないということでございますけれども、人口動態社会経済面調査報告などによりますと、自宅で死を迎えたいといいますか、寿命を全うしたいと考えていらっしゃる七十歳以上の高齢者は九割を超えています。ところが、これは平成四年度ですが、四年度の人口動態統計によりますと、病院や診療所などで亡くなった方が七七%というようなことで、自宅で死を迎えたいというふうに願っているにもかかわらず、そういう方がどんどん減って、平成四年度では二〇%というようなことです。
 その後、漏れ聞くところによりますと、都市部ではさらにそれが頻度が低いというようなことで、現実には国民の多くの方々が自宅で、もしくは畳の上で死にたい、こういうふうに希望しているにもかかわらず、ほとんどの人が病院で死を迎えるということになっています。こういうふうに、国民の本当の本音のニーズと医療の大きなギャップというのが今あるのじゃないかというふうなことを考えている。私の医者としての経験の中でも、患者さん本人がどんなに望んでもなかなか最期を自宅で寿命を全うするのが難しいのが実際現状でございました。
 そういうようなことで、患者さんの希望と現状とのミスマッチ、つまり本来患者さんが望んでいる医療サービスを行政や医療が適切に提供できていないのだろうか、こういうようなことを考えまして、例えば現代の医療をもう一度根本的に考え直して、我々を本当に幸せにする医療そのものをもう一度問い直さなければならない時期に来ているのかな、こういうふうに考えます。
 まず大臣に御所見を伺いたいのは、そういったようなことで、例えば在宅で寿命を全うしたいというふうに考えているにもかかわらず病院で七割、八割の方が亡くならざるを得ない、こういうようなことの現状についてどうお考えになるかということと、もう一つ、その後どこで死を迎えたいかというようなことは六十二年から統計がないのですが、その辺のところは現在厚生省がそのニーズの調査についてどういうふうな実情を把握なさっているか、この二点についてお伺いしたいと思います。
    〔委員長退席、網岡委員長代理着席〕
#92
○井出国務大臣 お答えをいたします。
 今、鴨下先生御指摘くださいましたように、平成四年の資料まで拝見しますと大変なミスマッチと言えると思うのでございます。ただ、私なんか、元気なころは、どういうところで最期を迎えたいかといえばやはり自宅で家内にみとられて、こう思うのですが、いざ本当に病気になってあれのときにもし聞かれたら、自宅の方がいいよと言えるかどうかという問題も一つあると思います。というのは、やはり在宅できちっとした医療が提供されないということに原因があるのかもしれません。したがいまして、そういった面での在宅医療の充実。一種の社会的入院というのでしょうか、そういう形で今たくさん入っていらっしゃって、結局はそちらで最期を迎えられるということは何としてでも解決していかなくてはならぬ、こう考えているところであります。
 また、今おっしゃいました統計のことに関しましては、申しわけございません、私ちょっと承知しておらぬものですから、担当局長から。
#93
○谷(修)政府委員 今、大臣の方から大臣のお考えについてお話がございましたが、ちょっと補足をさせていただきます。
 そのデータのことでございますが、先生お触れになりましたように、確かに死亡された方の死亡場所の構成割合については、病院で亡くなられた万というのは平成四年で七三%、一方、自宅では二〇%ということで、これが昭和三十五年とは数字がほぼ逆転をしているというような事実は私ども承知をしております。
 それから、先生が今お触れになりました昭和六十二年の人口動態社会経済面調査でございますが、これは、亡くなられた高齢者の家族の方に対して、死亡前に御本人の希望について、どういう意見であったかということを聞いたものでございまして、パーセントで申しますと、そういったような希望が何もなかったという方が六五%、希望があったという方が二八%でございまして、二六%の方が自宅という希望をされているということでございます。
 なお、それ以降についてこれと同様の調査はございませんが、先生も御承知かと思いますが、平成二年の保健福祉動向調査、これは老後の介護と医療ということで調査をいたしておりますが、その質問項目の中に、希望する死亡場所として、自分が仮に最後の時期を過ごすとしたらどこがいいかということについて、これは一応末期状態になったときに最後の時期をどこで過ごしたいかということを聞いたわけでございますが、二十歳以上の方約三万二千人の方に聞いておりますけれども、家庭と答えた方が約五三%、それから末期患者の専門病院、どういうことを想定しているかはあれでございますが一一%、病院が二八%といったような数字はございます。
#94
○鴨下委員 その数字は私の方も同じ数字を持っているのですが、死亡場所について表明のあった人二八%のうちに、自宅で亡くなりたかったというふうな希望を述べていた人が九二・九%あったというふうに理解していますけれども、それでいいわけですね。まあその件についてはそれでいいと思いますが。
 次に、自宅で、在宅でなかなか寿命を全うできない原因の一つに、住居の問題があるんだろうと思います。例えば、今現在の住居事情について考えますと、核家族化も進み、それから老夫婦世帯もありますし、独居老人の方も増加しているというようなことで、家族の介護力そのものも低下してしまっています。
 また、平成二年の公団住宅居住者定期調査報告によりますと、東京都内の公団中層住宅の一二・二%には六十五歳以上の高齢者が住んで、なおかつ独居老人の方も二・一%あります。また、昭和六十二年度の総務庁統計局の調査によりますと、東京都内の公営住宅には二七%、全体の四分の一以上の世帯に高齢者が暮らしているというふうなことでございます。
 公団それから公営住宅居住者の高齢化が進んでいますけれども、公団の中層住宅にはエレベーターも設置されていません。そのため、高齢者が病気になったり、それから体の一部が御不自由になったような場合には車いすなどで外出することはできにくく、さらに寝たきりになるか、もしくは病院に収容される、こういうような事情があるのだろうと思います。
 家族の状況や住宅事情などから、本人の意思とは別に、病院などに入院せざるを得なくなる、こういうようなことを解決する意味で、建設省に伺いたいのですが、公団中層住宅の入居者の高齢化に備えて、今現在、これから先、どういうような配慮をされ、またされていくのか伺いたいと思います。
#95
○小平説明員 住宅・都市整備公団についての御質問でございますが、公団におきましては、高齢社会に対応した住宅づくりを進めるということを最も重要な課題の一つというふうに考えて取り組んでおるところでございます。
 平成三年度からは、原則として、すべての新築の中高層住宅につきましては、段差の解消ですとかあるいは浴室、階段等への手すりの設置といったような、バリアフリー化を行ってきているというような状況でございます。それから、福祉、医療と連携したシニア住宅ですとか、あるいはシルバーハウジングといったような事業にも取り組んでいるということでございます。それからさらに、既存の住宅団地につきましても、主に中層住宅の一階の空き家を対象といたしまして、浴室ですとか便所等の段差の解消、それから手すりの設置といったような高齢者向けの住宅改善を実施しております。それから、高齢者を含む世帯に対しましては、一階の住宅への住みかえの優先ですとか、あるいは同居だけではなくて近居といったような住まい方にも対応するということで、親族の住む団地への住みかえの優先、こういったいろいろな意味での優遇措置も講じているところでございます。また、今おっしゃいました中層住宅のエレベーターにつきましても、来年度からはその取りづけについて対応してまいりたいということで、予算の措置も講じるということにしているところでございます。
 今後とも、高齢社会に対応した住宅供給に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
#96
○鴨下委員 高齢化は本当に大変なスピードでこれから参るわけでございますので、対応をぜひ早くやっていただきたいと思います。
 そういうハード面の問題も多くありますが、きょう私が一番聞きたかったことは、根本的な問題で今まで我々が目指してきた医療が、むしろ過剰な延命を第一に考えてきたことがあるのではないかという、私は自問自答の部分もございまして、そういうふうな感じを持っております。
 厚生省は、平成六年の診療報酬改定における在宅医療の促進というようなことで、在宅時の医学管理科、在宅末期総合診療料、在宅患者訪問診療料などの、みとり加算、在宅療養指導管理の評価などさまざまな点で、診療報酬改定においても新設ないしは点数改正で在宅のインセンティブを与えていくというようなことを考えているようです。しかし、例えば、延命主義に徹して、入院の患者さんが血液製剤や制がん剤だとか抗生剤などを非常に大量に投与されて、なおかつ、病院の中で本来はある意味で治癒がなかなかうまくいかないような末期のがんの患者さんなんかに対しましても、治癒を目的とした治療を非常に濃厚に行われて、そういうようなことですと、点数で計算しますと、在宅のそういうような医療と比べると十倍ぐらいの出来高が上がる、こういうようなこともあるわけでございます。
 それから、患者さんの命を一分でも一秒でも長らえる、こういうようなことはもう医者の大前提で、使命でございますけれども、そういうような使命のもとに、本来なかなか治りにくくなってしまったような患者さんにおいてもどんどん攻撃的な治療が行われるということが、問々病院の中ではあるわけですね。そのために、末期で自分の意思も十分に表明できないような患者さんたちが、点滴だとか導尿だとか気管の確保だとか経管栄養だとか、体じゅうをあらゆる管につながれて、極めて尊厳のないような状態の中で死を迎えるというようなことも病院の中ではあるわけでございまして、厚生省として、診療報酬等に関して在宅医療の評価をより一層高めるとか、それから在宅医療の促進を促すような制度をもっと考えていかなければいけないと思いますが、その辺についての大臣の御所見を伺いたいと思います。
#97
○岡光政府委員 点数の技術的なことでありますので私から御答弁申し上げますが、御指摘がありましたように、在宅の関係につきましては種々の点数を新設するなどして誘導しているところでございます。これの評価につきましては、今後とも中医協の御審議を踏まえながら、より適切に対応してまいりたいと思っております。
 また、御指摘がありました入院のケースにつきましても、濃厚な、治癒を目的とする医療ではなくて、むしろ痛みへの対応であるとかあるいは精神面でのケア、こういったことを念頭に置きましたいわゆる緩和ケア病棟があるわけでございまして、この緩和ケア病棟の入院料が平成二年に設定をされて、その後改定のたびに引き上げておりますが、こういったことを通じながら、いわば出来高払いの悪いところを是正して、末期のがん患者であるとか、こういった人たちに対してふさわしい医療が入院の場でも提供されるような、そういう点数設定を今後とも続けていきたいと思っております。
#98
○鴨下委員 それを早く進めませんと、現実には、がんの患者さんで亡くなる方は毎年二十二万人ぐらいいらっしゃるわけですよ。そういうような方々一人一人が、例えば家族が後で振り返ってみて、ああお父さん、お母さんをうちに連れて帰って面倒見てあげたかったな、こういうふうに考えて後悔している家族が大変多いわけですので、そういうような緩和ケアを中心とするような施設を充実させる、もしくは、そういうようなことを民間の中にもできるようにするためのさまざまな医療費の改定等についても、ぜひ御配慮をお願いいたしたいと思います。
 それからもう一つ、患者さんの側に立った医療を提供するために、点数制度における在宅診療の評価を高めることだとか、それから住宅の整備なんというようなハードの面も大変重要なわけですけれども、結局のところ、一番は、その全体を取り仕切る、現場で患者さんと向き合っている医師の意識でもあるわけですね。医師が現場において、もはや治癒の可能性のないような末期、特にがんの患者さんなどに対しまして、延命第一主義を貫くということでなくて、むしろ症状緩和を目的とした。生活の質を高めていくようなケアに移行するという、これは大変高度な判断なのですが、その判断を患者さんの立場になってする、そういうような医師がどう育っていくか、どういうふうに社会の中に存在するかということが重要なのだろうと思います。
 そのことで、今医者がだんだんと、年間に八千人以上の方が医者として育っているわけですけれども、その医学教育を所管する文部省に伺いたいのです。現在の医学教育は、非常に成績優秀な、いわば偏差値の高い高校生が成績中心で進路を決めたりなんかすることも、医療の中で、十分な動機がないまま医学部を目指す、こういうようなこともあり得るというふうに私も経験の中で感じておるわけですけれども、そういうようなことで、医学教育のカリキュラムにおいても、例えば終末期医療に対しての教育をしなければいけない、それからそういう意識を高めていかなければいけないということなのです。
 これは昨年実施された徳島大学の医学部の研修医に対するアンケート調査なのですが、約九割が、例えばターミナルケア、終末期医療に関する教育については学生時代には全くまたはほとんど受けてない、これは別に徳島大学だけのことじゃございませんけれども、そういうような回答をしまして、例えば自分が死を迎えるのだとしたらどこでというようなことでは、大学病院、自分の大学病院というようなことを答えた人はゼロだったというような皮肉な結果も出ているわけです。これは、私が友人たちの医療スタッフなんかに聞いてみましても、例えば国立のがんセンターだとかなんかにいる方々が、じゃ果たして自分の病院で最後を全うしたいかというと、ほとんどの方が、いや自分は結構だというようなことをおっしゃっていることで、これは本当にある意味で今の医療の皮肉な側面だろうと思いますし、看過できないようなことだろうと思います。
 延命第一主義とか、もしくは機械的に非常に高度な先端医療を行使していく科学者を育てるのじゃなくて、むしろより人間的な観点で治療に従事できるそういう医師を教育することが大切なのだろうと思いますが、文部省は、医学部の入学試験さらにカリキュラムなどについて、どのような配慮を行っているのかお伺いしたいと思いますし、それからまた、今後どういうふうにあるべきか、このこともあわせて伺いたいと思います。
#99
○遠藤説明員 お答えいたします。
 医学部の教育におきましては、学部段階では、やはり一番は基礎的な知識と技術の確実な修得ということだろうと思いますけれども、これと同時に、倫理観の醸成とか患者との信頼関係の構築等、医師としての基本的な態度、習慣を修得させるということが重要でございまして、このような点に十分配慮をするよう、日ごろから医学部長等に対して要請をしているところでございます。
 なお、偏差値、入学試験というお話がございましたけれども、入学試験につきましては、一般の入学試験と競争試験は同じでございますけれども、入ってから早い時期に、医学を学ぶんだ、医者になるんだという態度を身につけさせるということで、入学早々、老人施設とか等々のそういったところでの早期の体験学習ということをしていただくというようなことも、例えば国立てすと予算をつけましてそういうことも奨励をしているということがございます。
#100
○鴨下委員 確かに、医学部は非常に高度な知識を要求されるわけですから、それが大前提になることはもちろん言うまでもないわけですけれども、それにプラスアルファ、知識だけでは患者さんは診られないわけで、そのプラスアルファの部分を、例えば入学試験のときに、高校生のときにボランティア活動をやったとか、さまざまな社会的な、勉強とは違う形の人間形成の部分でいろいろなことをやってきた人間をどういうふうに評価するか、この辺のことについて何か御意見があればお聞かせいただきたい。それから、具体的に入学試験なんかでこれからどう変えていくかというようなプランはあるわけでございますか。
#101
○遠藤説明員 今ちょっと手元に悉皆のデータを持っておりませんけれども、大学によりましては、面接、小論文といったようなものを入試の中に、それをどの程度ウエートをかけて合否の基準にしているかというのは別としまして、取り入れているということがございますし、医学部については特に、MCATと言われる、御案内かもしれませんけれども、アメリカなんかでよく行われているMCATというものがございまして、これを幾つかの大学で試行的にやっている例がございます。
 このMCATにつきましても、今大学入試センターというのがございますけれども、まだ本格的に導入というわけではないのですけれども、将来に向けて研究をしていただいている、こういうこともございます。
#102
○鴨下委員 文部省だけではないのですが、医療というのを担うのはもちろんお医者さんでもありますし看護婦さんでもありますし、それ以外のコメディカルの方々なわけでございますけれども、医者をつくっていくのは医学部でありそして文部省の所管でございますけれども、その育った医師たちが活躍する場の医療の現場を所管しているのは現実には厚生省なわけですね。そうすると、先ほどから申し上げているように、今医療が求めているものと国民によって求められているものというのが微妙に時代とともに変わってきて、現実には、例えば在宅の中で寿命を全うしたいなんということに関しては物すごく隔たりがあるわけです。そういう意味で、時々刻々と変わる医療に対するニーズに対して厚生省はそれなりに把握をなさっているわけでしょうし、それからそれなりの御工夫もあるでしょうけれども、そういうことと、例えば、医師をつくっていく医学部を所管している文部省との間で非常に密接な連携がとられることが国民にとって重要なことなんだろうと思いますけれども、その点に関しまして、厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。
#103
○井出国務大臣 高齢化がますます進む中で、患者さんのニーズを十分踏まえながら適切な末期医療を提供し得る医師を養成していくこと、これは大変大事なこと保だ、今鴨下先生の御指摘のとおりだと思います。そして、そのために、医学部における教育ももちろん大変大切ではございますが、卒後のいわゆる臨床研修というのでしょうか、これまた大事である、こう考えるわけでございます。
 疾病の治療のみならず、病める患者さんの、人間といいましょうか、人間像を踏まえた医療を提供する能力を身につけるようなお医者さんであってほしいと思いますし、また末期患者に対して、人間的あるいは心理的理解の上に立って治療等に当たっていく能力も身につけてほしいと思いますし、患者の環境に配慮をしつつ在宅医療に取り組むことができるようなことにも気を使っていただくようなお医者さんになってほしい。
 以上、申し上げましたようなもろもろのことを到達すべき目標として、臨床研修の充実改善に努めていかなくちゃならぬ、こう考えております。文部省を初め関係係省庁と適切な連携をとりながら、臨床研修の内容の充実による医師の資質向上と、患者さんの立場に立った医療サービスの確保に努めてまいりたいと考えるところであります。
#104
○鴨下委員 大臣の御答弁、若干歯切れが悪いところがありまして、その辺のことは私もそんたくしてこれ以上は追及は申し上げませんけれども、やはり医学部というのは六年あるわけでして、医学を目指して入ってきた人間が六年間にどういう倫理観を身につけるかということは大変重要なことで、むしろその後の、卒業してからの二年間の研修というのは、もうほぼでき上がった人間にお化粧するようなものなんですね。
 ですから、鉄は熱いうちに打てといいますが、その辺のところで厚生省と文部省が密接に連携して、どれほど国民にとってすばらしい医者をつくっていくかというのは、これはもう省庁の省益を超えた重要な問題でございますので、今後、大臣、いろいろとその辺の難しいこともあるだろうと思いますが、何とぞ国民の医療を支える厚生省として、ぜひ文部省とも十分に連携をとって、本当に現場で要求される医師をつくるためにどういう教育をするべきかということをお考えいただきたい。こういうふうなことをお願いいたしまして、ちょうど時間でございますので、終わらせていただきます。
 ありがとうご、さいました。
#105
○網岡委員長代理 久保哲司君。
#106
○久保委員 新進党の久保哲司でございます。
 一月十七日の震災発生、そしてその後二十日から開会された今国会、本会議、予算委員会、またその他すべての委員会が震災一色に染まっております。また、そのぐらいやらなければならないのが今回の対応であろうというふうにも思うわけでございますけれども、冒頭、大臣にちょっとお尋ねをしたいのでございます。
 今回の震災、もう何度も言われていることでありますけれども、五千三百名を超える方が亡くなりました。また住宅被害というのは、全壊、半壊、一部損壊等を含めますと約十八万戸を超える状態になっている。さらには、避難所で生活なさっている方が今なお二十数万人、いっときは三十万人を超えた。こんな状態であるわけです。
 考えてみますと、家がつぶれた。道路がつぶれたというのはまさに地震のその瞬間につぶれたのだろうと思いますが、この亡くなった五千三百余名の方々というのはその瞬間に一気に亡くなったわけじゃない。今なお避難所等でお亡くなりになっておられる方もおいでになるわけでございます。そんなことを考えましたときに、今回のこの被害、まだ今より大きくなるのかもわかりませんけれども、今言われているこれらすべてが、いわゆる天災という言葉で、片づけるという言葉はおかしいですけれども、片づけられるのか。そうじゃなくて、その中にはいわゆる人災と呼ばれるような要素が果たしてなかったのかどうか。これは、現政権だからとかどうのこうのというんじゃなくて、我々政治家、また政治にあずかる人間が、国民の生命財産というものを守る、そういった立場から考えたときに、我々自身がそこのところに意を用いなければならぬのじゃないかな、そんなふうに強く思います。
 といいますのは、私も現地に何度か足を運んだのですけれども、一月の下旬に地元大阪で電車でちょっと移動しているときに、ちょうど横に座りにきはった人が久保さんと言うものですから、何でっかと言って話をし始めました。
 そうしますと、その古いわく、実は私の会社も神戸に支社があって、地震発生と同時に、その日の午前中に神戸の支社に向かって、同僚の社員と一緒に車二、三台に分乗して神戸へ向かった。もう道がばんばんに込んでいるものだからどうしようもないというんで、幸い、細い道も以前から知っておったので、横道へそれた。ところが、横道へ行くと、御承知のように、もう家が倒れかかってきておったりとか、時には塀の倒れたのが道へはみ出しておったりとかで車が行けぬというので、車をおりて、その障害物をのけに行った。のけに行ったときに、その倒れかかっている家の中から助けてくれという声が聞こえて、後ろに来ている車のメンバーと十数人でもって一緒に中に入っていってみたら人の姿が見え、壁をのけ、障害物をのけ、大きな柱を車のジャッキを持ってきて上げて人を助け出したと言っていました。十七、八、二日間向こうへ行ったんだけれども、結局、自分の会社の仕事をするというよりはその二日間で合計六人助けた。このようにおっしゃっていました。
 そのことを聞いたときに、正直申し上げて、私はショックを受けました。その後、いろいろな報道、書物等を見ていますと、ああいう物の下敷きになったとき、人間、何の下敷きになったかにもよりますし、またそれがどういう体の部位を圧迫しているかにもよるのでしょうけれども、一般的には五十時間前後、よくもっても七、八十時間で大体命が絶えるということが言われています。ということは、裏を返せば、それまでの間に何らかの人力を投入してその障害物をのけてあげることができたならば、この五千三百数十名という数字が、どのくらい減ったかはわかりません、だれにも。だれにもわかりませんけれども、明らかに何人かは助かったのではないか。
 そんなことを思ったときに、人の命というのは地球よりも重たいという言葉もありますけれども、この最も大事にすべき人命、その部分において、先ほど申し上げた人災と言われるような要素がやはりあったのかなと政治家の一人として大いに反省もさせられ、胸痛む思いをしたわけでありますけれども、この点について大臣はどのような御感想、御所見をお持ちなのか、まずちょっとそのことをお伺いさせていただきたいと思います。
    〔網岡委員長代理退席、委員長着席〕
#107
○井出国務大臣 今回の大変な災害であったわけでございますが、その初期の段階で医療の確保が大変重要な課題であったはずでございますが、地震の発生直後においては、今、久保議員御指摘のように、輸送あるいは通信手段等が大きな打撃を受け、迅速的確な医療の提供を行うことが残念ながらできませんでした。これがきちっとできておったら、あるいは救われた今もかなりあったのじゃないかなと私も残念であります。また、ある意味では申しわけなく思っております。
 今回の災害により現実に甚大な被害が生じたこの事実を厳粛に受けとめて今回のこの教訓を生かさなければ、亡くなった皆さんにもまた申しわけないと思います。関係省庁の協力を得ながら、災害の際にも十分に機能できるような医療体制の確立に向けて鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
 具体的には、昨年の一月に発足をしております集団災害時における救急医療・救急搬送体制のあり方に関する研究班におきまして、今回の災害を振りかえって専門的あるいは多角的な観点から災害時医療のあり方について十分検討をしていただくこととしておりますし、また、ことし七月一日ですかに開設を予定しております国立病院東京災害医療センター、これは仮称でございますが、につきましても、今回のこの教訓を生かしつつ、同センターの役割とかあるいは機能等についてさらに検討を行う必要がある、こんなふうに考えて、これにも取り組んでまいりたい、こう考えておるところであります。
#108
○久保委員 この問題については、これ以上何だかんだ言ったって始まりませんから、お互いに反省すべきを反省して、次の糧にしなければならぬ、私もそのように思うわけであります。
 今回、先ほども申し上げましたけれども、私も、隣の大阪ということもありまして、当日の朝、気がついたらタンスを押しておったというのが実態でございました。そんなこともあって、神戸の地には何度か足を運び、また募金活動等にも参加をさせていただいたのですが、そんな中で、避難所で、テントの中で寝ておられる方々、たき火に当たって暖をとっておられる方々と何度がお話をさせていただきまして、その姿の中から、本当に、ある意味で、今回被災に遭われた方々というのは、生涯忘れられないような、言うならば生命に傷を負われた。そういう部分も多々あるでしょう、しかし一方で、その場で頑張っておられる方々が、本当にお互い助け合いながら、協力し合いながら、必死になってとにかく一日も早く普通の生活をというふうに、言うならばあすに向かって頑張っておられる姿を見て、ある意味で感銘も受けました。
 また、その後、自分自身が見た絵柄とダブるわけでありますけれども、テレビのドキュメンタリーのような番組の中でいろいろな場面が映し出されておりましたけれども、そのときにもう一つ感じましたのは、最近の世の中、大体都市部になればなるほど、マンション等鉄筋コンクリートの建物が多いですし、壁一つ隣はだれ、何をしているのかわからぬ、こういった世の中になっておるわけですけれども、避難所という中、場合によってはテント村、場合によっては体育館の中で、きのうまでまるで知らなかった人たちがお互いに、どうやこうや、元気か、どないしたらええねん、こんな言葉をかけ合いながらやっておられる姿を見て、失われつつあったコミュニティーといいますか共同体意識、こんなものが見直されているのかな、戻ってきたのかな。そういう意味では、そういった人間が本来持っておる人間の優しさというか、強さというか、そういうものの連係プレーの上に復興がなし遂げられたならば、神戸という町、兵庫の町は本当の意味ですばらしい町になっていくのかな、そんな希望を持たせていただいたような次第であります。
 そんな中で、それを見るにつけ、行政にはさまざまな仕事があるわけでありますけれども、最後やはり我々が意を用いなければならぬのは、人間というところに焦点を当てて、一人一人の人間がいかにすれば豊かに安心して暮らせる世の中をつくり上げていくか、そして未来に希望を持てる、そういう社会をつくり上げるかというのが一番大事であろうと思います。
 そんな中で、各役所ともにさまざまな形で人間というものと接点を持っておるわけでありますけれども、厚生省が担当しておられる部分というのは、その多くの人たちの中でもお年寄りであるとか障害を持った方であるとか、いわゆる弱者の接点が最も多いのが厚生省という役所でもあります。今復旧段階から次の復興へという段階を迎えているのかとも思いますし、それの一日も早いことを願うわけでありますけれども、その復興計画等の中でもハードな部分といったものは一般的には建設省あるいは運輸省ないしは農水省といったところが担当するのかと思いますけれども、この復興計画の中に、今度だったら単にマグニチュード八、九に耐えられるものをつくったらいいじゃないかというだけではなくて、その中に弱者に十分配慮した。まさに人間らしい、人間が人間らしく生きられる町づくり、このことを大いに厚生省には主張していただきたいし、厚生省がむしろリードしてそういう町づくりをやっていただけたら、こんなふうにも思うわけでありますけれども、このことについて大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#109
○井出国務大臣 現在地元では、被災された方々や自治体関係者あるいは大勢のボランティアの皆さん初め応援に駆けつけてくださった方々が一体となって、一日も早く通常の生活を取り戻せるよう全力を挙げて取り組んでおられるところでありますが、厚生省といたしましても、全面的に支援を続けていくつもりでありますし、また続けているところでございます。
 被災地の復興につきましては、地元兵庫県におきましては、関係市町と協力の上、阪神・淡路震災復興計画、ひょうごフェニックス計画というのだそうでございますが、それにより進めることとしております。その中では、高齢者や障害者が安心して暮らせるための各種施設の整備等、いわゆる福祉の町づくりを計画の一番手に掲げて取り組もう、こんな方針であることを過日知事さんからもお聞きしたところであります。
 厚生省といたしましても、このような町づくりを重視した復興計画を進めることは極めて意義あるものと考えておりまして、地元や関係省庁とも密接な連携を図りながら、できる限りの支援に努めてまいりたいと思っておりますし、この兵庫県の計画の中で福祉、医療分野の委員会が設置されたそうでございまして、そちらの方へも私どもの社会・援護局長が参加することに相なっておりますことを申し添えておきたいと思います。
#110
○久保委員 ありがとうございます。
 そこで、ちょっと具体的なことに触れさせていただきたいと思うのですけれども、今回被災地では本当にさまざまな、いろいろな方が被災地の救援活動に従事といいますか携わってくださっております。そんな中でひときわ目を引いたのがいわゆるボランティアと命名される方々でございますけれども、このボランティアに関して、日本は一般的にボランティア後進国なんということを言われています。
 ただ、そんな中でも、この前ちょっと読んでいましたら、二月十五日付のニューズウィークの日本語版ですけれども、ここにボランティアに関して最初の方にいろいろなことを書いていまして、その最後の部分にこんなことを書いていました。経験は浅いが、日本のボランティアは健闘している。次はもっと期待できる。――次を期待してはいかぬですけれども、災害はあってはいかぬですが、だけれども、今回の経験というものを、特に厚生省のサイドでいうならば猛スピードで進んでいっている高齢化社会、これを支えていくためにもさまざまなボランティアの力というのは必要なんでしょうし、そういった意味ではそれに大いに生かせるような枠組みというものをやっていかなければならぬのではないか、こんなふうにも思っております。
 そこで今回、報道によりますと、一般的には二万人から三万人ぐらいのボランティアの方が活躍していただいているというふうに聞いておりますけれども、それ以外にも、何かお手伝いしたい、僕が救援物資を提げて兵庫へ行ったのもそのうちの一人かもわかりませんけれども、何かの形で行った人を含めると十倍、もっと超えるほどの人たちが行ってくれているんじゃないかと言われていますけれども、厚生省としては、このことについて何か実態の掌握というか把握をされておられますか。
#111
○佐野(利)政府委員 確かに、今回の震災におきましては、全国的なボランティア団体や国際的なNGOのほかにも、まさしく個人個人のボランティアの方々が御参加いただきまして御支援をいただきまして、本当にありがたかったわけでございます。ただ、ボランティアといいましてもいろいろな形のものがございますので、実態から申し上げまして、私どもはとてもそれを把握できていないというのが実態でございます。
 しかしながら、その中で特に私どもの所管でございます社会福祉関係のボランティアにつきまして多少情報を得ておりまして、これは御案内いただいていると思いますが、全国の社会福祉協議会がボランティアセンターをつくりまして、その下でいろいろな組織化は行っております。今回の震災に際しましても、大阪の社会福祉協議会が音頭取りをいたしまして、全国の社会福祉関係者の救援合同対策本部というのをボランティアセンターの中に設けました。そして、まず最初に、スタートといたしまして西宮にベースキャンプを置きまして、それからその後、芦屋、加古川、一宮というような形に逐次ベースキャンプを広げてまいりました。
 そういうような形でボランティア活動を推進をいたしておりますが、そういうボランティア活動を推進した中で、登録をしていただきました方々の数が大体一万人程度はいらっしゃいます。それからあと、これは新聞報道でございますけれども、神戸市にボランティアの登録をされた方が大体二万人程度いらっしゃるという新聞報道も承っております。
#112
○久保委員 今局長の方からお話がありましたように、ボランティアにもさまざまな種類と言ったらおかしいですけれども、種類があろうかと思います。簡単に分けて言えば、高齢者あるいは障害者等の生活を支援、援助するいわゆる介護、介助のボランティア、ないしは手話通訳のボランティアといったようなジャンルの方々、あるいは緊急時に無線連絡をするとか、あるいは倒壊家屋の被災度を調査するとか、こういった。言うならば一定の知識、経験等を持った方々によるボランティアというジャンルもあろうかと思います。そうかと思えば、まさに、資格等は一切ないけれども物資を運ぶのだったら手伝うよ、あるいは水をリュックに担いで車の行かぬところへ行きますよ、こういったボランティアの方々もあるのじゃないかと思います。
 そういった方々が今回非常に多く、さまざまな形で協力をいただいたわけでありますけれども、残念ながら日本、先ほどのボランティア後進国という言葉に象徴されるのはここにあらわれたのかなと思いますけれども、そういった多くの方々の力を機能的にというか、有機的に組み立てることができなくて、むしろ市役所自体がパニックになっておった。
 僕も経験があるのです。先ほど申し上げました。持っていったときに、市役所へ持っていこうかと思って連絡をとったけれども、ここはもう山になってどうにもならぬ、できれば直接行ってくれませんかということで、被災地の一つに直接行ったような次第でございましたけれども、そういったことから、それを何とか今回の教訓を生かして、うまいこと組み立てていくといいますか、そういったことの下ごしらえというのができないのかな。
 諸外国にもいろいろな例があるのでしょうし、実はこの間、大阪にある大きな製パン工場に、そういったこともちょっと勉強したいと思ってお訪ねをしましたら、そこも実は災害発生後、急遽食糧庁の方から一日何万個のパンをプラスでつくってもらいたい、そしてそれを現地へ運んでもらいたいという指示を受けた。そして、従業員を督励しながらパンを一日十万個近くプラスでつくって、従業員はもう徹夜のような状態でつくって現地へ持っていった。だけれども、何日か行っている間に、行った社員が発見したのは、結局、それがそこには届いているんだけれども、そこから向こうへ行かずに倉庫の中で腐りかけている状態のものを見て、帰ってきてしまった。それはもう、寝ずに頑張っておる社員には言わないでおこうということにしたのだ、もしそんなことを知ってしまったら社員がへなっとなってしまうからというようなお話を聞いたわけでありますけれども、そういったことも含めて、今後災害ばかりを対象にするのじゃございませんが、ボランティアの方々の力を本当に有効に使わせていただくためにも、これらをうまく組み立てていく必要があると思うのですけれども、このことについて厚生省は何かお考えをお持ちかどうか。
#113
○佐野(利)政府委員 まさしく先生が御指摘になりましたように、国民一人一人が豊かな、安心した暮らしをやるためには、やはり公的施策もさることながら、それを下支えするといいますか、そういうボランティア活動の重要性というのもまた極めて大きいと思うわけでございます。
 このために、大変手前みそでございますけれども、私ども厚生省といたしましては、平成五年の四月に厚生省告示で、「国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本的な指針」ということで、こういう指針を告示をいたしておりまして、いわば厚生省版のボランティア育成の方針を打ち出したわけでございます。
 その後平成五年の七月には、私どもの中にございます中央社会福祉審議会の中に地域福祉専門分科会がございますが、そこで「ボランティア活動の中長期的な振興方策について」という意見をいただいております。これに基づきまして、国民だれもが、いつでも、どこでもボランティア活動に参加できるような体制づくりを進めていくべきであるという方向性を今打ち出しておりまして、そのための条件整備を進めることにいたしております。
 そのようなことから、平成六年度より、ボランティア活動に関する相談でありますとか、登録、あっせん等を行う市区町村のボランティアセンター活動事業、あるいは福祉教育の推進でありますとか、ボランティアのリーダー養成というような事業を行います都道府県のボランティアセンター事業、こういうような事業につきまして厚生省としても助成をする、こういう措置を講じているところでございます。
 今申し上げたような市区町村ボランティアセンター事業につきましては、今御審議いただいております七年度の予算では、一県五カ所から六カ所へとまたその数をふやすような措置も講じておりますが、このような形で逐次福祉関係のボランティアの育成体制といいますか、そういう振興体制は進めてまいりたい、こう考えておるところでございます。
 なお、これ以外にも、今回の教訓に照らしまして、特に官房長官からの指示がございまして、政府を挙げてボランティアのあり方論を少し検討すべきではないか、こういうお話もございまして、目下これは経済企画庁を中心といたしまして、ボランティアの育成方策の検討会、勉強会がスタートいたしました。私どもといたしましては、これにも参画をいたしまして、今までの経験を積極的に開陳をいたしまして、できるだけリーダーシップをとるような形で進めてまいりたい、こう考えております。
#114
○久保委員 今、政府においてボランティアについての勉強会が始まったというお話でございますし、これは非常にいいことだというふうに評価をしたいと思いますが、災害発生ばかりがあっては困るわけでありますけれども、こういったボランティアの方々による支援体制、それといわゆる役所との有機的な結びつきといいますか、この間も実はヨーロッパの大水害、あのことに関してある新聞にオランダはこうだった。ドイツはこうだった。何ぼかの国の例が出ていました。
 その中のどこの国だったか忘れましたけれども、たしか、いざというときのために五万数千人の人間を確保しておる。ただしその中の、いわゆる日本流に言えば役所の正規職員というのは八百人である。残り五万数千人というのはいわゆる民間のボランティアの方々である。その方々にもいざというとすぐに連絡が行って、どっと何千人集まっていただける体制ができておる。こんなことがございました。
 そんなことも含めて考えますと、今お話ありましたように、一都市町村ではボランティアの方々の登録といったようなことも社協を中心に進んでおるようでございますけれども、この勉強会を通じながら、できるだけ早く全国の市町村、全国の都道府県でそういった形の支援体制、また連携網ができ上がるような形をつくり上げていっていただきたい。
 ただ、ボランティアの本質からいって、それを法律だ、制度だ、何だかんだ言って縛りつけてしまうというのは、これは決してやってはならぬことだろうと思いますし、今回の災害の復旧対策に当たっても、いろいろな省庁のいろいろな縦の法律関係があって、いやそれは、いやそれはというのが、結局おくれた一部の原因でもあったというふうな報道もございますけれども、そういった意味からも、そういったところをとにかくきっちりとやっていっていただきたいなと思います。
 我々、行政マンにとっては、行政改革という観点からもいわゆる小さな政府ということをよく言うわけでありますけれども、一人一人が政府、行政に要求するだけで、それを政府、行政側が物を実施していかなければならぬということになりますと、税金をいただいてそれを実施する、結局はそうなってしまうわけで、むしろ小さな政府を目指すというのならば、お一人お一人の持っておられるそういった善意のパワーというものを有機的に結びつけていく、そのためにも登録制度というのは欠かせないことだと思うのですけれども、この点一つ、ちょっとお答えを。
#115
○佐野(利)政府委員 まさしく今先生がおっしゃられましたように、ボランティアは大変重要なものでございますけれども、余り枠に入れてしまい。ますと、これはまた官製ボランティアになってしまいまして、ボランティアの本当のよさが出てこないという面もございます。そういうような面もございまして、私どもといたしましては、まず福祉の関係は、社会福祉協議会という民間の団体を使いまして、ここにボランティアセンターをつくっていく、それを側面から国が助成をする、こういう形に持っていきたい、こう考えております。
 これから、それ以外のボランティアの事業につきましてはどういう組織を持っていくかは、国全体の、経済企画庁の勉強会でまたひとつ勉強していきたいと思いますが、それはそれといたしまして、福祉分野のボランティアにつきましては、そういう形でできるだけ、今先生の御指摘のように、全市町村にそういうようなボランティアセンターができるように努力をしてまいりたい、こう思っております。
#116
○久保委員 とにかく、縛らず督励をしていただきたい、このように思います。
 最後に、一つ御提案を申し上げたいことがございます。といいますのは、このボランティアの仕組み、システムというものを大きく進めていきますと本当に数多くの方々が従事をしていただくことになる。だけれども、その方々に本当に安心をしてボランティアあるいは活動に参加をしていただくためには、いざけがをなさった。あるいはそのボランティア活動の中で他人に被害を与えた。そういったときの補償を本人に帰着させるということになってしまいますと、これは、人間どうしても足がすくんでしまいます。そういった意味で、そこのところを何らかの形でカバーできないかというのが私が考えたことでございまして、今いろいろ勉強させていただきますと、民間保険会社がボランティア保険というのを持っておって、これは掛金も非常に安いようでございます。
 A型、B型あって、三百円か五百円かといったようなお話のようでございますけれども、今現在は、先ほど御説明のあったような市町村社協を通じて、そこに登録されている方々がその保険に入る、入る手続等については社協が代行してやっておる、ただし負担はその方々御本人がなさっておられるというようなお話でございますけれども、これをもう一歩前進をさせまして、何らか国において、例えばボランティア基金のようなものを積み立てて、その基金の果実でもってボランティア活動に一定の助成もする、また一方でボランティア保険の助成も行うというような形でもって、最後の保険そのものは民間保険会社でいいんでしょうけれども、個々のボランティアの方々と保険会社を単に社協がつなぐというのではなくて、その間にもう一つ公的なものがすっぽりおさまって、そこが全体をコントロールできる、そしてボランティアの方々にも安心をしていただける、これを先ほどお答えいただきました登録制度とともに全国的に進めていくということが、ボランティアの皆さんの善意の力を本当の意味で集結するためにも必要なことじゃないかと思うのです。
 この詳細を申し上げ始めるといろいろややこしいししますので、きょうは詳細は触れませんけれども、僕はあえてネーミングをつけましたのは、公的ボランティア保険制度なんという名前をつけたんですけれども、こういった考えについて、厚生省として一遍考えてみようかという気があるかどうか、そのことだけお尋ねしたいと思います。
#117
○佐野(利)政府委員 実は、ボランティアの関係の振興を図るために、厚生省は自治省と相談をいたしまして、地方交付税の中で、地方単独事業でそういうボランティア関係を育成するためのボランティア資金の基金をつくるようなものにつきましては地方交付税の対象にするというような形の措置も実は講じでございます。今御提案のあったボランティア保険の保険料の一部は、そういう基金から出ているケースもございます。
 ただ、これは全国同じではございませんで、そういうことをやっていただいている自治体もあるということでございますが、そういうような状況も片一方にあるわけでございますけれども、先ほど来御説明申し上げました経済企画庁でやる政府レベルでの取り組み、その中では、御提言いただいております関係が非常に大きなテーマとして取り上げられておりまして、公的施策としてどうやったらいいかということはそこで検討されるというふうに聞いておりますので、そういった際には、ぜひとも参考にさせていただきたいと思っております。
#118
○久保委員 さまざまお尋ねをしてまいりましたけれども、とにかく日本という国は、経済はかつて一流と言われました。今は大分停滞しておりますけれども、そのほかのところはいろいろなところで、二流だ、三流だ、後進だと言われている部分が多いわけでございますが、今回申し上げましたボランティア、この部分については、今後の日本の、特に厚生省がかかわる高齢化社会、そういったものを展望しましたときにも、何としても育成といいますか、やっていかなければならぬ分野だと思いますので、ぜひ大きな力をその部分に注いていただきたい、そのことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
#119
○岩垂委員長 福島豊君。
#120
○福島委員 もう震災から一カ月余りが過ぎましたけれども、厚生省におかれましては、毎日その復旧に御尽力されておりますこと、心より敬意を表するものでございます。
 まず初めに、水道のことについて本日はお聞きしたいというふうに思っております。
 今回の大震災におきましては、水が出なくなったということが被害を大きくした一つの大きな要素ともなっていると思います。確かに、これだけの大きな地震でございますと、通常考えておられるような水道の設備ではなかなか十分でなかったということもあろうかと思います。今現在、一カ月余りがたちましても、まだ完全に水道の状況は復旧したというふうな状況ではないと思います。厚生省におかれましては全力でその復旧に努めておられることと思いますけれども、現在の状況につきまして御報告をいただければと思います。
#121
○藤原政府委員 阪神・淡路大震災による水道施設被害は、兵庫県、大阪府など九府県、六十八市町村に及びまして、特に神戸市を中心とする阪神地域の都市や淡路島の市町の水道施設に甚大な被害が生じまして、地震直後には約百二十二万戸が断水いたしました。その後急ピッチで復旧作業が進みまして、現在では、神戸市、西宮市、芦屋市以外の市町におきましては応急復旧が完了いたしております。
 この三市におきまして、十四日午後三時現在で十八万戸が断水中でございます。これらの市におきましては、全国の水道事業者などから多数の技術者が派遣されておりまして、また資機材も供与されておりまして、そういう応援を得ながら全力で復旧作業が進められておるところでございます。これらの三市の復旧の見通しにつきましては、二月末をめどに応急復旧工事を終える見通しである、こういうふうに県から報告を受けております。
 今後とも、厚生省といたしましては、兵庫県及び被災市と密接に連携をとりつつ、断水が続いている市の水道の一日も早い復旧が図られますよう、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
#122
○福島委員 二月末までにということでございましたが、一日も早く復旧されますよう努力していただきたいと思います。
 今回の大震災では、水道管の破損がその水道の障害の大きな原因になっているのだろうというふうに思うのですけれども、浄水場に関しては余り大きな被害があったというふうには伺っておりませんが、しかし、浄水場が破壊されるようなことがあると、これはまた大きな影響があったのだろうと予想されます。現在の浄水場の施設についてでございますが、どのような耐震の構造になっているのか、どの程度の地震であれば大丈夫なのか、その点についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#123
○藤原政府委員 浄水場の被害の状況でございますが、今回の震災によりまして、兵庫県その他からの報告によりますと、全体で二十九カ所の浄水場におきまして施設が損傷したということでございます。軽微なものも含めまして二十九カ所でございますが、そのうち六カ所につきましては、ろ過池にクラックが入るなどの比較的大きな被害というのも生じたわけでございます。しかし、これらも一つを除きまして応急復旧されまして、現在は機能を回復してもう動いておるということでございます。
 厚生省といたしましては、今までに、水道施設耐震工法の手引というふうなものや、水道の地震対策マニュアルなどを示しておりまして、これに基づいて全国の水道事業者が浄水場の耐震化を進めるように指導してきたところでございます。それぞれ、これに準拠しまして実施されてきたわけでありますが、今回の地震による被災を教訓といたしまして、水道事業者が水道システム全体の耐震化をより一層推進できるように、技術的な支援等を行ってまいりたいと考えております。
#124
○福島委員 手引、マニュアルがありまして、耐震ということについては考慮しているということでございましたが、新聞でも報道されておりましたけれども、水道の問題ですけれども、水道管の耐震継ぎ目というのがあるのだということが報道されておりました。八〇年から導入されている。今回、水道管の被害が非常に甚大だったわけでございますけれども、厚生省が八〇年から導入されました耐震継ぎ目の被害の状況、実際はこの大震災に遭いまして、どの程度その構造が大丈夫であったのかという点について御報告をいただきたいと思います。
#125
○藤原政府委員 水道管の耐震化という点で従来から厚生省は各水道事業体を指導してまいっておりましたのですが、今回の地震でかなり大きな被害を受けておりまして、厚生省では先日調査団を現地に派遣しました。これは大学の水道の専門家、また地震の専門家、こういう学者から成る約十数名の調査団でございますが、それで現地を調べましたところ、従来型の継ぎ手、これは印籠形継ぎ手とかK形継ぎ手というようなものがありますが、そういうふうなものほかなり被害を受けておりましたのですが、我々が耐震継ぎ手というふうに言っておりますいわゆるS形継ぎ手というのがありますが、これは被害が確認されておりません。今後、より詳細な調査をしていった中でどういうことになるか、それはもう少し様子を見なければいけませんが、今のところいわゆる耐震継ぎ手ということで施工したものにつきましては被害が確認されておりませんで、管路の被災防止に相当の効果を発揮したというふうに考えておるわけであります。
 厚生省としては、今後水道管路のレベルアップというのが必要であるというふうに考えておりますので、こういうふうなことを頭に置きながら今後の水道整備を図ってまいりたい、このように考えております。
#126
○福島委員 確かに耐震継ぎ手というのが効き目がある、大丈夫だということがかなり明らかになったのではないかと思いますが、しかし同時に、新聞報道では、今回の水道の復旧に際してこの耐震型のものというのは工事に時間がかかる、またコストがかかるということで、従来型のもので工事をせざるを得ない。緊急のことですからそれは仕方がないことかなというふうに思うわけでございますけれども、しかし今後のことを考えましたときに、特に私思いますけれども、例えば病院であるとかそれから消防関係のものであるとか、破損があってはならないようなものに関しては、少々コストがかかったとしても都市づくりの中でしっかりと地震に強い水道づくりを進めていっていただきたいと思います。前向きな御答弁をいただきましたので、この質問に関しては以上で終わりにさせていただきたいと思います。
 続きまして、本日の予算委員会、また厚生委員会でも御質問があったことでございますけれども、これは昨日の読売新聞にも出ておりました。被災生活の中で病気が悪化して亡くなられる方がおられるということでございます。これは二十七人というふうに書いてあるのですけれども、各局長の方からは四十七人でしたか、こういうお答えでございました。この新聞記事では、ストレスによる心臓疾患というふうに特定しましてその二十七人というようなことが記載されておるわけでございますが、比較的ストレスに関係があるという意味で特定したのではないかと思いますけれども、その点についての事実関係について確認したいわけですが、よろしくお願いいたします。
#127
○谷(修)政府委員 先生今お触れになりましたのはきょうの読売新聞の記事だと思います。これは、県監察医事務所の調べでは、ストレスによる心臓疾患で二十七人の死亡ということでございます。私どもが県の監察医務室から得ました資料によりますと、一月十八日から二月十日までの間に県の監察医務室が検案をした死亡者の総数が四十七人でございますが、死因の内訳で申しますと、心筋梗塞等の循環器疾患が二十五人ということでございます。したがいまして、ここの新聞で言っておられる、ストレスによるかどうかということはちょっと私ども承知いたしておりませんが、二十七人という数字の根拠はわかりませんけれども、まあ私どもが得ているものでは二十五人ということでございます。
#128
○福島委員 この事実を前にしますと、一つは、何とかして被災生活のストレスを緩和するためにはどうしたらいいか。そしてまた、適切な医療を行うためにはどうしたらいいかということが問題になろうかと思います。この点については質問が出されておりますので省きまして、私が感じましたのは、もともと心筋梗塞になるといいましても冠動脈硬化なりの変化があったということは確かであろうかと思うのですが、まさにこの地震が起きまして被災生活に入るような状況がなければ、こういった方は命を落とさなくても済んだのだろうなというふうに思います。そういう意味では、大変お気の毒な皆様である。
 地震の直接の被害で亡くなられた方についてはお見舞いの対応がとられるというふうにお聞きいたしておりますけれども、これは因果関係とか言い出すとなかなか難しいわけなのですけれども、こういった方々についても何らかのお見舞いの対応ができないか、私はその点について厚生大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
#129
○井出国務大臣 国としては、自然災害により回復不能の、死亡やあるいは重度の障害といった痛ましい人的被害に遭われた方々に対しては、災害弔慰金及び災害障害見舞金の支給により弔意あるいはお見舞いを行っているところであります。災害弔慰金は、自然災害による死亡という事実に対し市町村の措置として支給されるものでありまして、一般的な疾病による死亡の場合は対象としていないことも、これまたそのとおりなのであります。
 しかしながら、今先生御指摘の、例えば避難所生活中に今みたいな形で亡くなられた方々につきましては、一般の疾病による死亡との均衡もあり大変難しい問題ではあるのですが、災害との何らかの因果関係もあることはあり得るのではないかな、こんなふうにも考えられますものですから、災害による死亡と認められるか否かについては少し慎重に検討して、ある意味では前向きと申し上げていいのか迷うところでありますが、検討していきたい、こう考えているところであります。
#130
○福島委員 ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、地震のことから離れまして、大臣の所信の中に触れられておりました件につきましてお聞きしたいと思います。
 まず第一点目は、遺伝子治療のことでございます。遺伝子治療は、アメリカで一九九〇年に第一例目が行われたわけでございますが、二十一世紀の医療といってもいいだろうと思います。今まで治療することが不可能であった先天性の代謝疾患、そしてまたなかなか有効な手だてのないがんであるとかの治療に新しい地平を開く可能性のある医療であるというふうに私は思っております。ただ、まだまだ遺伝子を治療するということについては不明確な点といいますか、わからない点も多々ありまして、ある意味では実験的な医学であるという言い方も当たっているかと思います。そのような意味では、どういうふうになるのだろうか、大丈夫なのだろうか、安全なのだろうかというような懸念を持つ方も一般の中にはおられる。そういう意味で、この遺伝子治療というものを推進するに当たっては、厚生省としましても、一般の皆様に不安感を抱かれることのないように、慎重にかつ積極的に推進していく必要があるというふうに私自身は思っております。
 先日、十三日の日に、北海道大学での遺伝子治療の実施計画につきまして大臣は認可を下されました。この新聞報道では、どういう書き方になっているかといいますと、「遺伝子治療の臨床研究実施計画を、患者へのインフォームド・コンセントの様式について、十数カ所を訂正したうえで認めた。」というふうな書き方になっております。これを読みますと、いろいろと現場ではまだまだ訂正が必要な問題があるのかなというような印象を受けたりもしまして、実際にどのようなことが認可に当たって問題になったのかという点について、つまびらかにしていただければと思います。
#131
○太田(義)政府委員 ただいまの件につきましては、二月六日に遺伝子治療臨床研究中央評価会議というのが開催されまして、そこで今先生お話のありましたインフォームド・コンセントを中心とした幾つかの点について修正をすべきではないかという意見が出されました。
 一つは、患者さんに対しまして、注射をされたりメスを入れられたりするのか、あるいは点滴は何時間行われるのか等々、患者さんが肌で感じられるような詳細な説明を行うべきではないかという話から、治療研究の実施方法をより患者にわかりやすく具体的に記入するというふうにすべきであるという点が第一点でございます。
 それから、第二点は、説明をして同意書を得るわけですけれども、最初は、研究内容を説明するための説明書と、それから患者さん、今回の場合は小さいお子さんということで両親になるわけでございますが、その同意書を分離した様式で申請されておったわけでございますが、どのように患者に説明をし、そして同意書を得たかを後で確認するためには、説明書と同意書を一体化させる必要があるのではないかという意見が出されまして、説明及び同意書という一体化した様式に改めるべきではないかという点が第二点でございました。
 そのほか、患者さんやその家族に正確な情報が伝わるように、説明書と同意書の文書の表現を具体的に、かつわかりやすく修正したという、大きく言うとこの三点でございます。
#132
○福島委員 今御説明を伺いまして、インフォームド・コンセントを含めましたさまざまな配慮の上に決定されたということをお聞きしまして、大変に安心いたしました。
 次は、大臣にお聞きしたいと思うのですけれども、今もインフォームド・コンセントということもありました。先端医療であるということを考えましたときに、どのような姿勢で今後取り組んでいくのか。また、どういう点が大切であるか。行政としまして、医療を監察する者の立場としまして、どういう点を大切に考えているのかという点につきまして大臣の御所見をお聞きいたしたいと思います。
#133
○井出国務大臣 遺伝子治療は、私は素人なものですから正直なところよくわからない面がたくさんあるのでありますけれども、がん、エイズ、先天性の遺伝性疾患など、現在有効な治療法が確立していない疾患に対する画期的な治療法となることが期待される新しい医療技術である、こうお聞きをしているところであります。しかしながら、技術的には未確立のものでございまして、臨床研究の実施に当たりましては、科学的妥当性あるいは安全性とともに、倫理性が十分確保されることが何よりも必要だと考えております。
 このため、厚生省といたしましては、ただいま政府委員が御答弁申し上げましたように、遺伝子治療臨床研究中央評価会議を設置いたしまして、北海道大学附属病院から申請のあった臨床研究の実施計画について慎重に御審議をいただき、去る十二日、その実施を認めたところでございます。北海道大学の臨床研究が成功し、患者さんが一日も早く回復されることをお祈りするとともに、今後申請される遺伝子治療臨床研究についても、中央評価会議の御意見を踏まえて、遺伝子治療の適正な実施に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#134
○福島委員 今のお話を伺いまして、その精神のもとに、全力で推進していただきたいと思います。
 また、もう一点、情報の公開性ということでございますが、昨年の抗ウイルス剤による薬禍に関しましても、そのさまざまな情報というのがなかなかアクセスしにくいといいますか、公開されないというところに一つの問題があるということが指摘されておりました。特に先端医療という、要するになかなか医者でもよくわからないようなところが多々ある治療に関しましては、情報の公開ということが一層大切な要素であるというふうに思っております。今回のこの遺伝子治療に関して、今後進めていくに当たりまして、どのようにして情報の公開性というものを担保していくのかという点につきまして、厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
#135
○太田(義)政府委員 遺伝子治療臨床研究につきましては、ただいま大臣からも御答弁申し上げましたように、その科学的な妥当性、特にまた倫理性について一般の方々の理解を得ながら進めなければいけないというふうに考えておりまして、またそのことは大変重要であると思うわけでございます。このようなことから、先ほど申し上げました中央評価会議の検討過程は公開することといたしました。
 具体的には、研究者あるいは報道関係者、一般市民の方々、二月六日の会議には合計五十一人の方々が傍聴されておりますけれども、そういう方々の傍聴は認められまして、また会議資料とか、あるいは発言者を明記いたしました議事録も公開されているというところでございます。
 今後とも、患者さん、被験者のプライバシーにはもちろん配慮しなければいけませんが、審議の公開等を通じまして国民の理解を得ながら、研究の適正な推進を図ってまいりたい、このように考えております。
#136
○福島委員 今後とも情報の公開性ということに十分配慮しながら進めていただきたいと思います。
 それから、遺伝子治療に関連しましてもう一点ですが、これは昨年十月の新聞の記事でございますけれども、遺伝子の治療に当たっては遺伝子を乗っけるベクター、輸送するものですね、それが必要になります。しかし、このベクターに関してはアメリカが非常に技術が進んでおりまして、その点につきましてこういうことが書いてあります。
 「日本では八月に北海道大学が免疫不全の患者に遺伝子治療を実施する方針を決め、厚生省と文部省に治療計画を提出したばかり。しかし治療に使うベクターは米国製で安全性データの入手が難しく、厚生省は提出資料が不十分と指摘していた。」これが時間がかかった一つの原因がというふうにも思うのでございますけれども、アメリカでつくられたもの、また企業秘密が非常にあるというようなことに関しましては、なかなか十分に安全性を確認するということに時間がかかるということかと思うのですね。
 そうしますと、今後二十一世紀の治療としまして、大きな展望が開ける可能性がある分野でございますので、私はぜひとも国産の、我が国がベクターの開発をする、そういう方向で努力をしていただきたいというふうに思っておりまして、この点について厚生省のお考え、今後の方針についてお聞かせいただきたいと思います。
#137
○田中(健)政府委員 お話のように、遺伝子治療を推進する上でベクターの開発は非常に重要な要素でございます。先生からもお話ございましたようにベクターの開発はアメリカを中心に進んでおりますけれども、我が国でもベクターの開発体制を整えていくという必要がお話のようにあるわけでございます。
 例えば、私どもの外郭団体でございます医薬品副作用被害救済研究振興調査機構というのがございますが、そこで産業投資特別会計の出資金等で運営をいたしております出融資制度がございます。こうした制度の活用も含めまして、今後こうしたことで企業の育成等に努めてまいりたい、こういうふうに思っております。
#138
○福島委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 最後に、国際医療協力のことについて若干お聞きしたいと思います。
 今回の阪神大震災では、たくさんの国から多くの医療班が協力に訪れていただきました。そしてまた、みんなその姿に感銘を深くいたしました。命が本当にとうといものである、その点に立ちますと、医療協力というのは国際協力の中でも本当にどこからも喜んでいただけるし、そしてまた逆に、我々が積極的にいつでも推進していける範囲だろう、分野であるというふうに私は思います。
 この国際的な医療協力ということについて、厚生省は現在どのような取り組みをしておるのか、そしてまた今後どのようにそれを発展させていく予定であるのか、その点について御見解をお聞きしたいと思います。
#139
○太田(義)政府委員 委員御指摘のように、保健医療分野におきましての協力は、我が国の国際協力の中でも積極的に取り組むべき大きな課題であるというふうに私ども認識しております。
 平成四年の六月に政府開発援助大綱というのが閣議決定されましたが、その中におきましても、重点事項である基礎生活分野、ベーシック・ヒューマン・ニーズとか言われておりますが、それに係る重要な領域が保健医療の分野ではないか、こういうふうに言われておりまして、厚生省としても、それを受けまして積極的に対応してきております。
 具体的には、二国間協力とそれから多国間協力といいますか、バイとマルチがあるかと思いますが、二国間の協力の方法といたしまして、一つは、社団法人国際厚生事業団、我々、通称JICWELSと呼んでおりますけれども、それを通じまして途上国からの行政官の方々に対する研修を実施しておりますし、さらに外務省とか国際協力事業団、いわゆるJICAでございますが、これが実施します案件に対しまして、国立病院のお医者さん等を専門家として派遣するなど、さまざまな協力を行っております。
 また、マルチといたしましては、国際機関を通じた協力といたしまして、エイズ対策とかあるいは子供の健康対策等を実施しております世界保健機関、WHOでございますが、それに対しまして財政的あるいは技術的支援を実施しているところであります。
 また、そのほか、平成五年には、医療分野における国際貢献の拠点といたしまして国立国際医療センターを設置いたしました。これは十月一日でございますが、そこにおきまして国際保健医療協力活動の一層の充実を図っております。
 今後とも関係省庁とかあるいは関係機関とも連携をとりまして、委員御指摘の国際保健医療協力に積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
#140
○福島委員 国際医療協力の中で、関係者の方がよく御指摘になることは、日本というのはなかなか専門家がいないんだ、少ないんだということです。逆に医者は非常に余っているということも指摘されておるわけでございますけれども、今後のそういう状況の中で考えますと、もっともっと専門家を国内で育成していく、そのような体制づくりをすべきであろうというふうに思います。
 今、国立国際医療センターのことも御指摘になられましたけれども、このセンターをさらに拡充していくとかそういうことも含めて、今後専門家の養成ということについて厚生省としてどのように取り組んでいかれるのか、どういうことを一つのポイントとしていくのかという点についてお答えをいただきたいと思います。
#141
○太田(義)政府委員 国際協力における人づくりということになるかと思いますが、二つあるかと思います。一つは、発展途上国から受け入れましてそういう専門家を養成するという点と、それから我が国から発展途上国あるいはいろいろな国際協力に携わる人を養成するという二つの分野があるわけでございます。
 一つは、途上国の専門家の養成につきましては、先ほど申し上げましたJICWELS等を通じまして、例えば、感染症対策専門家あるいは母子保健の専門家の研修とかあるいは看護婦指導者の養成研修、こういうものを委託事業なりあるいはJICAと連携協力することによって実施しておるところでございます。
 また、途上国に派遣する日本人の専門家養成につきましては、厚生省としても、保健医療分野の長期派遣専門家研修等を行っておるところでございます。先ほどの国際医療センターの中でも、現地で指導に当たります専門家の養成あるいは派遣とか、そういうこともやっております。
 さらに一つつけ加えておきたいことは、近年エイズとか人口問題が、地球的規模で大きな問題としてその対策の重要性が増してきておりますことを踏まえまして、平成七年度より、この分野の日本人の派遣専門家も養成するという事業を始める予定としております。
 これを含めまして、厚生省としても今後とも、顔の見えるといいますか、そういう国際協力を目指して取り組んでいきたいと思っております。
#142
○福島委員 ぜひ積極的にお願いしたいと思います。
 以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。
#143
○岩垂委員長 岩佐恵美君。
#144
○岩佐委員 昨年、入院時の食事が有料化されるとともに付添看護が来年三月に廃止されることになっています。病院給食の有料化で家計が苦しく、これ以上入院を続けられない、そういう事態も生まれております。同時に、付添看護の廃止に伴う医療現場の荒廃とも言うべき事態が生まれていて、非常に重大だと考えます。この問題に絞ってきょうは質問をしたいと思います。
 厚生省は新看護への移行等調査あるいは実態調査を行っている、そういうふうに伺っておりますけれども、付添看護の廃止は順調に進んでいるとお考えかどうか、その点伺いたいと思います。
#145
○岡光政府委員 平成六年の十二月一日現在で新看護への移行調査を行いました。
 その中身は、約八百カ所の病院が新看護等の病院へ移行しております。対象の病院は全体では四千四百カ所というふうに保把握をしておりますので、付添看護の解消計画を立てて解消に積極的に取り組んでおるというのが三百五十カ所でございますので、この八百と三百五十を合わせましたものが四千四百に対しまして約三割弱になるわけでございまして、十二月一日現在の段階では約三割弱の病院が新看護体系へ移行する取り組みを行っているということになります。
 十月からの実施でございますので、二カ月間でこういった状況になった。こういうふうに考えるわけでございますが、なお引き続いて実情の把握を行うことにしておりますけれども、そういう意味で、現段階で評価をあえて下すのは難しいんじゃなかろうかと思っております。
#146
○岩佐委員 この移行等の調査というのは、各自治体や何かを通じてやっておられるということだそうですけれども、それ以外に何か実態を把握をするということで調査をされているやに伺っているわけですけれども、その点についてもしわかれば教えていただきたいと思います。
#147
○岡光政府委員 御指摘のとおりでございまして、今のは都道府県を通じて把握をした調査でございまして、厚生省でも、研究費を使いまして十二月一日現在でどうなっておるのかということでアンケート調査をやって、現在その調査結果を分析中でございまして、分析がわかり次第またオープンにして、いろいろ御議論をいただきたいと思っております。
#148
○岩佐委員 全国保険・国民年金課長会議で、下田保険局医療課長は、付添看護を解消する上でいろいろ問題がある、付き添いに伴う患者の追い出し、病院の都合で安易に退院を強いるような事例については、厳正な指導をお願いしたいなどの発言をしておられます。昨年の法改定の審議で、いかに問題が多いか、そういうところは指摘をしてきたところですけれども、十月以降その問題点が現実化してきている、そういうふうに言わざるを得ない事態が生まれています。
 これらについて、東京の保険医協会が中心となって、昨年の十月に都内の病院の院長にアンケートを行っています。それによると、付添看護の病院では安心した看護・介護になるとの回答、これは四・八%にしかすぎない、重症、高齢の患者を転院させたり、在宅医療に移さなければならない、そういう回答が七九・五%、八割近くになっているわけです。
 また、医療団体運絡会議が十二月の初めに、入院給食・付添看護一一〇番を実施して、その内容をまとめているわけですけれども、脳出血で入院中の夫に対し、病院が付き添いをやめるので転院してほしいと言ってきた等の訴えが相次いだということであります。病院が重介護の老人を見られないような状況をつくって、そして一方で厳正に指導、そう言ってもなかなかできないというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
#149
○岡光政府委員 御指摘の保険医協会の調査は、この点数が設定されました十月時点における調査で、医療機関の意識調査だというふうに受けとめております。
 先ほど御紹介いたしましたように、十月から十二月までの二カ月間で、三割弱の病院が移行をして、あるいは移行計画を立てておるわけでございまして、そういう意味では私ども、実態を十分把握をしながら、今御指摘がありましたように、医療上の判断ではなくて、病院のいわば経営上の観点から患者に退院を強いるようなそういう不適正な事例につきましては、都道府県を通じて適切に指導して、そういうことのないように図っていきたいと考えております。
 いずれにしましても、今回の付添看護の解消の基本的な考え方としましては、看護職員なり、看護補助者等を雇い上げまして、サービスの低下を来さないような格好で看護体制の充実を図るということでございますので、そういう過程でいろいろ物を考えるわけでございまして、繰り返しになりますが、そういう医療上の判断とは別途の観点から、患者に退院を強いるようなケースは不当でございますから、そこは適正に指導していきたいと思っておりますし、また、これは可能だというふうに考えております。
#150
○岩佐委員 その辺の認識がちょっと甘いのではないかというような感じがいたします。
 それは、付添看護を廃止することとなった病院が、老人ホームの施設長あてに出した文書があります。これは、老人ホームの入所者が病気となって入院する際のお願いということになっているわけです。ここにこういう文書があるわけですけれども、この文書によりますと、
 健康保険法の改訂により、家政婦による付添看護の廃止及び新看護体系の新設等の方針がうちだされました。
弊院におきましてもここからちょっと重要なのですが、
 厚生省の施策に沿った病院経営をするべく、十月一日より付添介護を廃止し、新看護体系を導火する事に致しました。この制度におきましては、患者さんに関するいっさいを病院職員にて対応するということです。しかしながら介護につきましての人員補充には人件費の増加となるため、おのずと限度があると思います。
  つきましては、下記の事項にて御協力の程お願い申し上げる次第です。
  一番目として、全介助が必要な患者さんについては、可能な限り家族又は貴施設の職員による対応をお願いします。
  二番目に、患者さんの洗濯物につきましては、貴施設職員にて対応して下さい。
  三番目に、小遣等金銭の管理は病院で致しませんので御承知下さい。
  四番目には、患者さんが不穏状態に陥った時には、家族又は貴職員の付添をお願いします。
というものです。まさに厚生省の施策に沿った病院経営、そういうことがこの文書の中に書かれているわけですけれども、まさに厚生省の施策に沿った病院経営をしていくということになると、施設にこういうお願いをするというようなことにならざるを得ない、そういうことになるのじゃないでしょうか。
#151
○岡光政府委員 厚生省がお願いをしておりますのは、病院の職員で患者さんの対応をしっかりしてくださいということをお願いしているわけでございまして、ただいま御指摘がありましたように、家族とかあるいは老人ホームの職員等がその病院の看護に、担当するそういう人の代替で仕事をする、こういうことを要求するようなケースであれば、それは私どもの考えていることとは全く違っておりますので、そういう事例があるのであれば、私どもはその適切な指導をしてまいりたいと思っております。
 家族がどうしても付き添いたいという場合は、要するに患者の心身の状態等で家族がそばにいないと安心できない、こういうふうなケースを考えておるわけでございまして、そういう限られたケースについて、医師の許可を得て家族がその面倒を、精神的な面倒を見るということでございます。したがって、家族が看護婦さんのすべき仕事をかわりにやるということを求めているものではないし、それを認めるというものではないわけでありまして、そこのところはきちっと整理をして対応したいと思っております。
#152
○岩佐委員 実は、その新看護への移行によって看護婦の労働がふえ、患者の看護に手が回らない、患者の病状が悪化をする、医療事故がふえている、こういう実態にあります。
 付添看護一一〇番に寄せられたものに、十数人の食事介助を一人で受け持っている。リンゴの皮をむいてあげる時間がなく、ごめんねと言い残して逃げる。食べ残しのリンゴが山のように残ってくる。供回する患者は注射でおとなしくしてもらう。私の夜勤は午前九時半まで仮眠なしに十六時間半。また、他の病院でも、動く患者はみんな縛りつけた。スプーンで一口ずつ食べさせていた給食は、何もかもごちゃごちゃにしたミキサー食に変えた。口の中に注入器でぎゅっと入れる。それが飲み込めない人は経管栄養にかえたというようなところもあるのですね。これは本当に、患者のケアの数をこなしていかなければならないということを迫られたときに、注射器で入れるというのが一番いいというのですね。そんなことまでやられてくる。
 付添看護の廃止で業務量が二倍にふえ、看護に対する失意もあって耐え切れずにやめていく看護婦さんが後を絶たないのだ、こういう訴えもあるわけです。こういう状況について、どうお考えでしょうか。
#153
○岡光政府委員 今回の新しい看護体制へ移行していくという過程におきましては、看護職員、それから看護補助者の増員を行うことが基本でございます。それとあわせまして、看護業務を見直す、あるいは院内の職員の間での適切な業務分担を行う、こういうことを前提にいたしまして、その病院の目指す体制に計画的に、段階的に対応していこう、そういうことで付添看護解消計画をつくってもらう。したがって、そういう場合には計画加算をつけるとか、特別看護、介護を評価する、こういうことをやっているわけでございます。
 基本的には、二対一に持っていきたい。その導入過程においては、四対一から段階的にやっていこうということでございますので、業務分担をきちっとやっていけば今のような事態はない、あるいは解消できるものだというふうに私は理解をしておりますし、そのような方向で病院の関係者の理解を得ながら、そういう体制をつくり上げていきたいと思っております。
#154
○岩佐委員 付添看護を廃止したものの、看護婦等をふやせないため家族の付き添いを依頼することになる。婦長より、家族の人が付き添ってほしいと強く言われた。十七日ほど付き添ったが、五キロほどやせてしまった。主人と二人で商売をしていることもあり付添婦を頼んだ、しかし家族が付き添わないとだめとかなりひどい言い方をされた。こういう訴えもある。あるいは、新看護の病院の患者家族から素人っぽい人を紹介してほしいとの依頼が紹介所に多い、つまり、患者家族の負担がふえると同時にやみ付き添い、こういうことも行われているという実態があります。
 厚生省は、付添看護廃止は患者家族の負担を解消するために実施をする、こういうふうに言っていたわけですけれども、実態としては、ヘルパー代として一日二千円を徴収すると言われ困惑しているとか、あるいは病院で使う物はすべてリースとなり、リース代という名目でお金を取られるよ保つになった。現在の入院費は、おむつ代四万五千円、衛生管理費三万五千円、その他二万円、計十万円だ。以前は、おむつ代三万三千円、付添看護差額、これが四万五千円、付添寝具代一万円、計八万八千円。つまり、付添療養費の差額を払っていたときの方が安かった。こういう全く逆のことが生じてきているわけであります。
 また、家政婦さんの問題ですけれども、ある紹介所は百名ぐらい登録していたが、今は三十名ぐらいしか紹介できなくなった。十人ぐらいはヘルパーとして就職し、五、六名は掃除婦になった。四、五名は仕事がなくて生活保護になった。紹介所の経営も登録者の生活も苦しくなった。厚生省も認めているように、家政婦の求人が大幅に減っており、家政婦の雇用に対する配慮も重要な社会的要請である。さらに御指導をお願いする、こういうようなことで、簡単に片づけられる問題ではなくなってきているわけです。
 付添看護をなくすということは、実際の現場ではその犠牲が、何よりも入院している患者にしわ寄せをされる。そして家族、医療関係者、付添婦さんにも及んでいます。このまま計画を強引に進めていけば、医療従事者の働く意欲、誇りが失われていくおそれがあります。
 これは、先ほどの手が回らない看護婦さんの訴えがありましたけれども、この看護婦さんは本当につらいということで医療現場からもう離れてしまった。そういうような経験があるわけですけれども、やはり看護婦さんは、つらくても何にしても本当に患者さんを人間として見られる、あるいはそういう中で本当に働く誇りが生まれてくるんだと思うのですが、そういう誇りが失われていく、こういうおそれがあると思います。同時に、お金の払える方、あるいは手のかからない病人、こういう人たちしか入院できない、そういうことにもなりかねません。
 ですから、必要にして十分な看護あるいは介護を保障するためには、看護基準を大幅に上げる、診療報酬を改善をする、看護婦を養成確保をする、あるいは付添看護従事者の仕事、生活を保障する、このような条件を整えることが不可欠だというふうに思います。こうした条件がきちんとつくられる、そういう見通しか立つまで、付添看護廃止の経過措置期間、これを私は延長していくという考え方を打ち出すべきだというふうに思いますけれども、その点について厚生省のお考えを伺いたいと思います。
 また、大臣も、この付添看護を廃止することによって医療現場ではこういう非常に重大な問題が今生まれてきている、あるいはこれが場合によっては拡大をしていく、そういう危険もあるわけですから、この問題についてきちんと対処をしていっていただきたいというふうに思います。
 局長から基本的なお考えを伺い、大臣も何か御意見があればお考えを伺っておきたいというふうに思います。
#155
○岡光政府委員 いろいろ御指摘をいただきましたが、まず家族付き添いを装っていわばやみの付き添いがある、こういうふうな事例がありましたら、それは許すことはできませんので、適切な指導を行ってまいりたいと考えます。
 それから、保険外負担の問題でございますが、これはあいまいな名目で費用徴収をしないように、それからサービスの提供とか物品の販売につきましてはその料金等の院内掲示を義務づけるということではっきりさせる。そういう意味では、不適切な事例については個別にきちっと対応していきたいと考えております。
 また、従来の付き添いさんをどういうふうに職業転換していくか、また新しいところにうまくフィットさせていくかということにつきましては、一つは診療報酬上看護補助者として評価をする。それからまた、従来の付添婦が医療機関に雇われやすいように、いわゆる短期雇用、パートでも看護補助者として対応できるように診療報酬上も評価をする。それから、一定の研修を受けた家政婦さんについては、ホームヘルパーであるとか施設の職員、こういうふうなものとしても雇用できるように配慮していこうではないか。
 あるいは労働省とタイアップをいたしまして、労働省の方からは、家政婦紹介所に対しまして医療機関に対する紹介料相当額の助成をするとか、あるいは企業と提携して介護クーポンを発行するとか、こういうふうな助成もして、うまく転換をしていくようにしたい。これは、御指摘がありましたように社会的な要請だとも私ども認識しておりますので、労働省ともよく連携をとりながら、かつ医療機関の御理解も得ながら、その辺の適切な転換を図ってまいりたいと思っております。
 こういうふうな総合的な対応をしたいと考えておりますので、私どもは、御指摘がありましたが、付添看護の解消の期間を延長すべきではない、当初の計画どおり、みんなで知恵を出し合い努力し合うべきではないだろうか、こういうふうに考えております。
#156
○岩佐委員 今実態調査を行うということで、もう実際に行ってそれが出てくるのだろうというふうに思うのですけれども、そういう調査も踏まえて本当に対応していかなければいけないというふうに思うのです。だから、頭から私たちはもう期限を絶対に動かせないんだとかそういうことにはならない事態だって生まれるというふうに私は思うのです。
 いずれにしても、私たちはこれは延ばすべきだというふうに思いますけれども、この問題について、重大な事柄ですので、きちんと対応をしていっていただきたい、このことを申し上げまして、大臣にもしっかりと取り組んでいただきたい、そういうことを申し上げます。
#157
○井出国務大臣 付添看護は、重い患者負担や看護サービスの質の確保という点から繰り返し指摘されてきた問題であります。このため、昨年の医療保険審議会の、付き添いを必要としない体制を早急に確立すべきであるとの建議を踏まえ、付添看護の廃止等を内容とする健康保険法等の改正案を国会に提出し、多くの賛成のもとに可決、成立を見たところでございます。
 厚生省におきましては、先ほど担当局長が申し上げましたように、平成七年度末の付添看護の解消に向けて、看護サービスの充実等を図る診療報酬の改定を行うとともに、労働省と連携しつつ家政婦の雇用に関する対策等を実施しているところであります。
 付添看護の解消は、我が国の医療保険制度の長年の懸案でありまして、そのためには医療機関等に御努力いただかなければならない問題もいろいろありますが、厚生省といたしましては、こうした関係者の協力を得ながら、先ほど来先生御指摘くださいましたような不適切な事例は厳しく指導しつつ、平成七年度末の解消の実現に向け、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
#158
○岩佐委員 終わります。
#159
○岩垂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後八時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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