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1995/04/26 第132回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第132回国会 厚生委員会 第9号
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1995/04/26 第132回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第132回国会 厚生委員会 第9号

#1
第132回国会 厚生委員会 第9号
平成七年四月二十六日(水曜日)
    午前十時五分開議
出席委員
  委員長 岩垂寿喜男君
   理事 衛藤 晟一君 理事 木村 義雄君
   理事 鈴木 俊一君 理事 井上 喜一君
   理事 石田 祝稔君 理事 山本 孝史君
   理事 網岡  雄君 理事 荒井  聰君
      荒井 広幸君    金田 英行君
      熊代 昭彦君    近藤 鉄雄君
      佐藤 静雄君    住  博司君
      高橋 辰夫君    竹内 黎一君
      長勢 甚遠君    根本  匠君
      蓮実  進君    藤本 孝雄君
      堀之内久男君    山口 俊一君
      青山 二三君    粟屋 敏信君
      岩浅 嘉仁君    鴨下 一郎君
      坂口  力君    田名部匡省君
      野呂 昭彦君    福島  豊君
      桝屋 敬悟君    宮本 一三君
      保岡 興治君    柳田  稔君
      五島 正規君    土肥 隆一君
      永井 孝信君    森井 忠良君
      横光 克彦君    枝野 幸男君
      岩佐 恵美君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 井出 正一君
 出席政府委員
        厚生大臣官房長 山口 剛彦君
        厚生省健康政策
        局長      谷  修一君
        厚生省保健医療
        局長      松村 明仁君
        厚生省保険局長 岡光 序治君
 委員外の出席者
        防衛庁教育訓練
        局衛生課長   遠藤  明君
        労働省労働基準
        局安全衛生部計
        画課長     岩崎 伸夫君
        自治省財政局準
        公営企業室長  河野  栄君
        厚生委員会調査
        室長      市川  喬君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十日
 辞任          補欠選任
  柳田  稔君      月原 茂皓君
同日
 辞任          補欠選任
  月原 茂皓君      柳田  稔君
同月二十六日
 辞任          補欠選任
  塩崎 恭久君      金田 英行君
  高橋 辰夫君      蓮実  進君
  久保 哲司君      桝屋 敬悟君
  保岡 興治君      野呂 昭彦君
  森井 忠良君      永井 孝信君
同日
 辞任          補欠選任
  金田 英行君      塩崎 恭久君
  蓮実  進君      高橋 辰夫君
  野呂 昭彦君      保岡 興治君
  桝屋 敬悟君      久保 哲司君
  永井 孝信君      森井 忠良君
    ―――――――――――――
四月二十五日
 国民へのよい看護の実現に関する請願(五島正
 規君紹介)(策八六〇号)
 同(五島正規君紹介)(策八八九号)
 同(岩佐恵美君紹介)(第九四五号)
 同(穀田恵二君紹介)(第九四六号)
 同(佐々木陸海君紹介)(第九四七号)
 同(志位和夫君紹介)(第九四八号)
 同(寺前巖君紹介)(第九四九号)
 同(中島武敏君紹介)(第九五〇号)
 同(東中光雄君紹介)(第九五一号)
 同(不破哲三君紹介)(第九五二号)
 同(藤田スミ君紹介)(第九五三号)
 同(古堅実吉君紹介)(第九五四号)
 同(正森成二君紹介)(第九五五号)
 同(松本善明君紹介)(第九五六号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第九五七号)
 同(山原健二郎君紹介)(第九五八号)
 同(吉井英勝君紹介)(第九五九号)
 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(青山
 二三君紹介)(第八六一号)
 同(岩佐恵美君紹介)(第八六二号)
 同(上原康助君紹介)(第八六三号)
 同(小沢辰男君紹介)(第八六四号)
 同(小野晋也君紹介)(第八六五号)
 同(大石正光君紹介)(第八六六号)
 同外二件(金子一義君紹介)(第八六七号)
 同(五島正規君紹介)(第八六八号)
 同(坂本三十次君紹介)(第八六九号)
 同(田口健二君紹介)(第八七〇号)
 同(田野瀬良太郎君紹介)(第八七一号)
 同(高市早苗君紹介)(第八七二号)
 同(塚原俊平君紹介)(第八七三号)
 同(仲村正治君紹介)(第八七四号)
 同(長勢甚遠君紹介)(第八七五号)
 同(日野市朗君紹介)(第八七六号)
 同(松田岩夫君紹介)(第八七七号)
 同(松前仰君紹介)(第八七八号)
 同(三野優美君紹介)(第八七九号)
 同(山下徳夫君紹介)(第八八〇号)
 同(吉岡賢治君紹介)(第八八一号)
 同(井上喜一君紹介)(第八九〇号)
 同(遠藤利明君紹介)(第八九一号)
 同(木村義雄君紹介)(第八九二号)
 同(左藤恵君紹介)(第八九三号)
 同(田口健二君紹介)(第八九四号)
 同(月原茂皓君紹介)(第八九五号)
 同(堀之内久男君紹介)(第八九六号)
 同(町村信孝君紹介)(第八九七号)
 同(山口俊一君紹介)(第八九八号)
 同(綿貫民輔君紹介)(第八九九号)
 同(岩田順介君紹介)(第九〇一号)
 同(金田誠一君紹介)(第九〇二号)
 同外二件(高橋辰夫君紹介)(第九〇三号)
 同(畑英次郎君紹介)(第九〇四号)
 同(増子輝彦君紹介)((第九〇五号)
 同(宮本一三君紹介)(第九〇六号)
 同(森本晃司君紹介)(第九〇七号)
 同(池田隆一君紹介)(第九一〇号)
 同(岩田順介君紹介)(第九一一号)
 同(奥田敬和君紹介)(第九一二号)
 同(坂口力君紹介)(第九一三号)
 同(三原朝彦君紹介)(第九一四号)
 同(池田隆一君紹介)(第九一九号)
 同(佐藤信二君紹介)(第九二〇号)
 同(坂口力君紹介)(第九二一号)
 同(坂本剛二君紹介)(第九二二号)
 同(塩崎恭久君紹介)(第九二三号)
 同(鈴木俊一君紹介)(第九二四号)
 同(千葉国男君紹介)(第九二五号)
 同(宮里松正君紹介)(第九二六号)
 同(近藤鉄雄君紹介)(第九三〇号)
 同(坂口力君紹介)(第九三一号)
 同(田中恒利君紹介)(第九三二号)
 同(平泉渉君紹介)(第九三三号)
 同(牧野聖修君紹介)(第九三四号)
 同(越智伊平君紹介)(第九六〇号)
 同(長内順一君紹介)(第九六一号)
 同(鹿野道彦君紹介)(第九六二号)
 同(片岡武司君紹介)(第九六三号)
 同(金田誠一君紹介)(第九六四号)
 同(川端達夫君紹介)(第九六五号)
 同(久保哲司君紹介)(第九六六号)
 同(岩浅嘉仁君紹介)(第九八六号)
 同(長内順一君紹介)(第九八七号)
 同(豊田潤多郎君紹介)(第九八八号)
 同(村井仁君紹介)(第九八九号)
 中国残留婦人の援護に関する請願(佐藤信二君
 紹介)(第九四四号)
 重度心身障害者とその両親またはその介護者及
 び寝たきり老人とその介護者が同居入所可能な
 社会福祉施設の実現化に関する請願(村井仁君
 紹介)(第九八三号)
 重度戦傷病者と妻の援護に関する請願(山口敏
 夫君紹介)(第九八四号)
 男性介護人に関する請願(村井仁君紹介)(第
 九八五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 精神保健法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第三五号)
 結核予防法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第三六号)
     ――――◇―――――
#2
○岩垂委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、精神保健法の一部を改正する法律案及び結核予防法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤静雄君。
#3
○佐藤(静)委員 自由連合の佐藤静雄です。私は、きょうは精神医療の分野における特に看護婦さんの問題を取り上げてみたいと思っているのであります。
 精神病院においては、ドクターと看護婦さん、ナースの場合には大体同じような仕事をしていると言えば語弊がありますけれども、普通の医療とはちょっと違うわけですね。人と人とのいろいろな交わり、人と人との関係、そんな中から治療をしていくということでありますけれども、普通看護婦さんが病院でやる、注射を打つだとかそういうものは大体二割か三割、あとはいろいろな人間関係の中においての治療をしていくということだと思うのです。
 そこで、精神病院で働くナースと一般病院で働くナースは、随分その面では専門化しないとなかなか難しいと思うのでありますけれども、そのような一般教育のほかに、勤めてからナースの講習会だとかそんなものをしながら、精神病院で働くナースの皆さんが専門化していくというようなことは過去にずっとしてきているのでありましょうか。
#4
○谷(修)政府委員 看護婦の教育課程、これは全体に共通でございますけれども、専門基礎科目の一つとして精神保健という科目が講義として四十五時間行われております。
 また一方、今先生お話のございましたような看護婦等を対象といたしました研修でございますが、これは日本看護協会の実施をいたします研修、それから精神科看護技術協会、これは主として精神医療機関で働いておられる看護婦さんを中心にいたしました幾つかのセミナーあるいは研修会等が実施をされておりまして、そういう意味で精神医療に携わる看護婦さんの資質の向上ということが図られていると考えております。
 なお、昨年の十二月にまとめられました少子・高齢社会看護問題検討会の報告におきましては、今後の看護の基礎教育のカリキュラムを見直すということの一環として、精神医療の看護分野の強化ということの必要性が指摘をされております。そういう意味で、養成所のカリキュラムということにつきましては、この精神医療の強化という観点からも検討してまいりたいと考えております。
#5
○佐藤(静)委員 僕は先ほどからナースと言っていますけれども、看護婦さんと准看護婦さんがいるわけであります。それは、准看の場合にもそういう講習の機会などは普通の正看と同じように与えられているのですか。
#6
○谷(修)政府委員 今申し上げました看護協会等の研修につきましては、准看、正看あわせて対象といたしております。
 一方、厚生省が補助事業として行っています研修のうち准看護婦が参加するというものにつきましては、看護職員のリフレッシュ研修会及び看護力再開発講習会といったようなことを行っているところでございます。
#7
○佐藤(静)委員 どちらかといいますと、一般病院に比べまして正看と准看の比率が、精神病院の方は准看の方が多いのですね。一般の病院ですと五対五ぐらいなのに、精神病院というと七対三で七ぐらいが准看なんですね。
 私の聞くところによりますと、そういう講習会なども、准看の方々には平等に与えられているようであるけれども与えられていないという面があるように思います。ですから、今おっしゃったように、だんだんナースを専門化させなくてはならない。そのときに、これからの教育はカリキュラムを変えたりなんかしてできるわけでありますけれども、実際働いている方々が本当に専門化していくという意味では、特に准看の方々が非常に多いわけでありますから、そういう方々にも本当に十分に講習の機会などが与えられるように、一層ひとつ努力していただきたい、そう思います。
 そのように、今申し上げましたとおり、正看、准看という問題があったりなんかして、日本では看護婦の一本化ということが非常におくれてきているわけですね。今もこのようにして准看制度があるなんというのは、日本と中国くらいしかない。あとはみんな一本化されてきている、そういう状態があるわけでありますけれども、一本化されていないということから、准看の皆さんが長い間非常に悩み、そしていろいろな運動を今まで展開してきているわけであります。
 議論に入る前に、保助看法の正看、准看の役割をひとつ、五条、六条、ちょっと読み上げてください。
#8
○谷(修)政府委員 保健婦助産婦看護婦法におきまして、第五条で「看護婦の定義」というのがございます。「この法律において、「看護婦」とは、厚生大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助をなすことを業とする女子をいう。」第六条に「准看護婦の定義」というのがございます。「この法律において、「准看護婦」とは、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護婦の指示を受けて、前条に」つまり第五条に「規定することをなすことを業とする女子をいう。」という形で法令上は整理をされております。
#9
○佐藤(静)委員 今読み上げてもらったように、准看というのは、「医師、歯科医師又は看護婦の指示を受けてこ働くことになっているわけですね。これは、看護婦の指示を受けて働くというだけだったら大して今まで問題でなかったような気が私はしているのです。業務上、正看と准看というものがいつも分かれて仕事をしている、自分の仕事はこれだという分野が決まっているということならば、このように大きな問題にはならなかったような気がしているのです。
 ところが、教育レベルも違う、いろいろ違うのに、養成機関も全然違うのに、その人たちが同じ業務をさせられている、病院では何にも変わらない。しかし、正看、准看という区別だけはつけられて、差別はつけられる。そこに、医師または歯科医師が指示をするという。それは、教育レベルとかそういうことは全く抜きに、医師が指示をすれば同じことをやってもいいんだ。
 そんなような一つの法律の成り立ち、抜け穴といいますか、都合のいい法律ができて、それによってずっと来たために、こういう准看、正看という問題がずっと尾を引いて今まで来ている、そう私は思っているのです。
 これを見ても、准看制度というのは戦後の看護婦不足を補うためのものであった、四十数年間この問題がずっと尾を引いてきたということが言えるわけでありますけれども、高度な現在の医療に合わない制度になってしまっていると思うのですけれども、どうですか、考え方は。
#10
○谷(修)政府委員 今申し上げましたように、保助看法においては、第五条、第六条によって、准看につきましては、先生お触れになりましたように、医師、歯科医師、看護婦の指示を受けて業務を行うという意味におきましては、医師等の指示を受けて行うかどうかという点を除けば、現行の保助看法では業務の内容は区別はされていないわけでございます。
 先ほど来お触れになっておられますように、准看の制度ということにつきましてはいろいろな御意見があるわけでございまして、そういう御意見も踏まえながら、私どもとしては、昨年まとめられました少子・高齢社会看護問題検討会の報告書におきましても二通りの意見が出されているわけでございますけれども、いずれにいたしましても、今後、その実態を調査をするといったようなことをまず始めていきたいというふうに考えております。
#11
○佐藤(静)委員 看護問題検討会の去年の十二月の報告書、今、二つの意見があると言われましたけれども、その二つの意見はどういう意見だったのですか、少し詳しく説明してください。
#12
○谷(修)政府委員 准看護婦の問題について、昨年の少子・高齢社会看護問題検討会におきましては、准看護婦の養成を停止をすべきであるという意見と、制度の改善を図りつつ継続すべきであるという意見がございました。
 養成を停止すべきであるという主要なものといたしましては、高度医療及び高齢社会の保健医療に対応するため、看護職員の資質の向上を図っていく必要があるのではないか。それから、一方、女性の高校進学率の上昇ということによりまして、准看護婦制度の成立した時代とは社会背景が変化をしてきて、制度が時代に合わなくなっているのではないかという御意見でございました。
 一方、養成を存続するべきであるという意見としては、もちろんそれは、先ほど触れましたように、制度の改善を図りつつということが含まれておりますけれども、看護職員の需給見通しの中においても准看護婦が位置づけられているということ、それから、看護業務というものが、看護婦それから准看護婦、看護補助者の三者によって全体として行っていくことが効率的なのではないかといったような二通りの御意見があったと承知しております。
#13
○佐藤(静)委員 今の御意見、もう少し足りない面もあると私は思っているのですけれども、どうも、病院側といいますか、医師会側といいますか、そういう意見がいつもずっと勢力を占めていて、実際、今非常に、准看護婦の制度をなくしてほしい、看護婦制度というものを一本化してほしい、今の高度な医療に耐え得るようにもっと専門化してほしい、そういうような、要するにそれは患者側に立った希望ですね。そういうのが患者側に立った希望です。どうも私は、お医者さんの側に立ったそういうような看護婦さんに対する扱い、それがやはりこの意見の中に大きく出てしまっているのではないかと思うのです。我々は今、患者側に立って、どういうふうにしたらいいのかということを考えなくちゃならない。そのことが今厚生省としても一番考えなくちゃならぬ問題だと私は思っているのです。
 それで、そういう意見の中に、では、法律的には正看と准看は全く違う役割が与えられているわけですけれども、その役割に返すという意見は出ないのですか。法律にのっとって、正看はこういう仕事をさせよう、准看はこういう仕事をさせようと。法律にのっとってしようという、もとに戻るというそういう意見は出ないものなんですか。
#14
○谷(修)政府委員 現在までの意見は、先ほど申したような大きく二つに分かれているわけでございますが、一方、一番先に申しましたように、カリキュラムの内容を少し検討したらどうかという御意見もございます。ただ、今先生がおっしゃられたような意味での、看護婦と准看の業務の内容を分けていくということについては、専門家の中ではいろいろ御意見があろうかと思いますが、私どもの先般まとめていただいたその検討会の中では意見は出ておりません。
#15
○佐藤(静)委員 要するに、そういう意見が法律にのっとってやろうという意見にならないぐらいにもう今一緒のものになってしまっているのですね。今さらそういうことを言ってももう始まらない。要するに、正看、准看というのは、全く区別なしの状態で病院でなされている。まさか医者は、正看であるか准看であるかということを分けて仕事を指示しているわけでも何でもないわけですよ。
 ですから、一本化しなくちゃならぬということは、そこからずっと生まれてきているのですね。しかし、四十四年たって、昨年の報告書を見ても、全く変わらないような報告書になっている。
 局長、さっき、これから検討を始めると言いましたけれども、どういうことを検討を始めるのですか。
#16
○谷(修)政府委員 先ほどの報告書においては、これらの問題につきまして、現在准看護婦免許を持っておられる方の将来、あるいは、今後の看護職員全体の需給状況等を勘案しながら、准看護婦学校、養成所の実態の全体的な把握を行う。それからさらに、その結果を得て、関係者の中で改めて検討し、結論を得るべきであるというふうな御意見でございまして、私どもといたしましてはこの報告を踏まえて、今後、一つはカリキュラム等の内容の検討、それから准看護婦の問題につきましては、平成七年度におきまして、まず実態調査を実施をいたしたいというふうに考えております。
#17
○佐藤(静)委員 その実態調査はどういう実態調査をするのですか。ちょっとそれを聞かせてください。
#18
○谷(修)政府委員 まず、准看護婦の養成所についてその実態、教育の内容ですとか、どういうカリキュラムでやっているかといったようなことについて実態を把握してまいりたい、調査をしてまいりたいということでございます。
#19
○佐藤(静)委員 今、准看の養成学校でどういうカリキュラムで教えているかということはまだわからないのですか、厚生省は。それは医師会か何かに任されたままですか。それはちょっとおかしな話じゃないですか。ちょっともう一回答えてください。
#20
○谷(修)政府委員 カリキュラムの問題についても検討会を設置して検討していくというようなことでもございますので、もちろん、准看護婦養成所についてのカリキュラムは決まっているわけでございますが、そのカリキュラムの実態等についてもあわせて調査をしていきたいということでございます。
#21
○佐藤(静)委員 これは准看の方々、看護協会そのものが准看を廃止しようということでずっとやってきているのですね。平成二年には会員を中心として二百余万人の廃止の署名を集めた。御承知のとおりです。当時の社労委員会でそれは否決されてしまったからそのままになってしまいましたけれども、二百余万人の署名を集めて、そして、准看を廃止してほしい、看護制度は一本化してほしいという願いがずっと続いてきているのですよ、四十四年間。それを今さらどういう検討をするのか。今聞きましたら、准看制度は継続するのか廃止するのか、そういうことも含めて検討する、どうもちょっと私よくわからないのですけれども、どういう方向に向けて検討しようとしているのですか。
#22
○谷(修)政府委員 この検討会の中でも、先ほども御説明をさせていただきました二つの御意見があったということでございます。そういう意味で、現在の准看護婦学校、養成所で行われている教育の実態、それから施設等の実態、そういうものも把握をした上で、改めてこの問題についてどういうふうに考えていくかということを検討してまいりたいというふうに考えております。
#23
○佐藤(静)委員 よく医師会なんかから言われるのですけれども、看護婦の養成は本来国がやるべきものだ、それを医師会に押しつけているのは国の怠慢だ。これは医師会側から言っているのですよ、医師会側から。そういうような意見があるのですけれども、それについて局長とう思いますか。
#24
○谷(修)政府委員 看護職員を初めといたします保健医療従事者を確保していくということは極めて重要なわけでございますが、ただ、看護婦さんも含めまして、医療関係職種の養成につきましては、国が直接すべてをやっているわけではございません。ただ、看護婦の養成につきましては、医師会を含む民間による看護婦養成ということに対しましては、厚生省におきましては、これまで施設整備費、あるいは設備あるいは運営費等の助成を行ってきたわけでございまして、こういったような助成につきましては、今後充実を図っていきたいと考えております。
#25
○佐藤(静)委員 私は、そこに一つ大きな問題があるように思いますね。准看の養成は確かに医師会がやっているわけでありますけれども、今さらそのカリキュラムの内容がどうだ、施設がどうだということを調べなくてはならぬぐらいに厚生省は准看の養成というものをわかっていない。そして、それはなぜかというと、医師会に任せてしまっている。そして医師会はどういうことを言っているかというと、国がやるべきものを自分たちが引き受けてやっていたじゃないかという意見を持っている。ですから、それに甘えて厚生省は准看の養成というものを任せてしまっていた。私はそこに大きな問題があるように思うのですよ。
 要するに、戦後できた看護婦不足を補う手段として准看制度ができ上がってきた、それを何の改善もしないで、厚生省はその教育内容すらも余りよく知らないでずっと今までやってきた。そしてついに、准看制度を持っているのは日本と中国しか残っていない。ほかの国々は全部どんどん看護婦は一本化してきた。そこが私は大変問題だと思うのですね。
 ですから、昨年の報告書においても二つの意見があるわけでありますけれども、報告書を見ても、准看を廃止するのか、それとも継続するのか、両論併記になってどうもよくわからない。わからないからもう一回何か厚生省は調査してみる、検討してみる、どうも、それじゃいつまでたってもこれは改善されないんじゃないですか。いつまでたっても、准看の皆さんが四十四年間願っていることが解決できないんじゃないですか。ちょっとそれについてもう一回認識を言ってみてください。
#26
○谷(修)政府委員 先ほど申しましたように、確かにこの検討会の中でも二つの意見があって、どちらかという一方の意見にはならなかったわけでございます。そういう意味では、関係者の中での意見の一致が見られなかったということでございます。そういうことを踏まえて私どもとしては、先ほど申しました実態的な調査を行うと同時に、それの結果を踏まえて改めてこの問題について検討してまいりたいというふうに考えております。
#27
○佐藤(静)委員 本当にこれは真剣に、前向きに、准看を廃止して看護婦は一本にするんだ、そういう方向に向けて検討を始めてほしい、そう私は思っているのです。
 今、医師以外の医療スタッフというのはほとんど国家資格になりましたね。柔道整復師だとか鍼灸、あんま、マッサージ師、指圧師だとか、みんな国家資格になってきました。しかし、准看だけは依然として知事の認定のような状態になってしまっている。これが非常にやる気をそいでいる面があるのですね。今審議している精神保健法においても、精神科のソーシャルワーカー、これも国家資格にしてほしいという陳情を私たちも受けたりなんかしていますけれども、これも皆さん、実態を見てみると、本当に地位が安定しない。地位が安定しないから結局給料なんかも安定しない、そういう面があるわけですよ。
 ですから、今度の精神科のソーシャルワーカーにつきましても、いろいろな関係団体の調整がうまくいかなかったためにこうなってしまっているわけですから、これをぜひとも、いい人材を確保するためにしてほしいと思っているのですけれども、これはお願いしておきますけれども、同じように准看の国家資格に向けて、一本化に向けてぜひともひとつお願いしたいと思っています。
 先ほどから局長、需給問題というお話が出ていますけれども、需給問題、なぜいつまでもこういう問題があるかというと、養成しても養成しても、需給問題は深刻な問題として残っているわけですよ。看護婦さんは、大体結婚したらもう病院に出てこないのですね。せっかくの資格を取ったとしても、大体平均六年か七年しか勤めない。後はみんな家にいる。特に准看の皆さんはなぜ出てこないかというと、なかなか看護婦との差が、差というか差別がある。もう結婚したら二度と病院には戻りたくない、差別を受けることはしたくない、そういうことがあって出てこない実態があるのです。
 ですから私は、きょうはもう時間がありませんから、これから今後どうするかという問題に対しましては、時期を見てまだ議論をしたいと思っていますけれども、きょうは看護婦さんの実態というものをもう一回再認識して、そしてこれからこの看護婦制度というのをどうしたらよいのか、どうやって一本化していったらいいのか、そのことをこれから真剣になってひとつ考えていただきたい。特に、これは医師側に立ってではなくして患者側に立ってしなければならない。
 そして、この間も看護婦さんが制服を着て国会内を歩き回っていましたけれども、四十四年間運動しても運動しても、ちっとも前に向いてくれない、二百余万名の署名を集めたけれども、それは全然相手にされなかった、それは幾ら何でもひど過ぎると私は思っています。せっかく昨年の十二月の報告書において厚生省がこれから検討し始めるというならば、ぜひとも准看の廃止に向けて、看護婦の一本化に向けて、それを前提にしていろいろな検討を始めていただきたい。そのことを要望いたしまして、終わらせていただきます。
#28
○岩垂委員長 山本孝史君。
#29
○山本(孝)委員 新進党の山本孝史でございます。議題になっております精神保健法について質問をさせていただきたいと思います。たくさんございますので、ひとつよろしくお願いをします。
 まず最初の問題ですけれども、今回精神保健法の改正が議題になっているわけですが、これまでの法の改正を見てみますと、例えば宇都宮病院ですとかそういう大きな問題が起きると法律の改正にそれが反映されてくるという流れがあります。前回改正をされたわけですけれども、その後再び九四年、去年の春、越川記念病院というところで同じような患者さんの問題がやはり出ているわけですね。結局、精神保健指定医を置かずに患者を強制入院をさせたりあるいは定期病状報告を偽装する、看護婦さんの水増し工作をする、診療報酬の不正な請求をする、電話の盗聴をするというようなことで、新聞に随分大きく取り上げられているわけです。
 まず最初に大臣にお伺いをしたいのですけれども、法律が改正されながらも同じような問題が繰り返し起こってくる、これは一体どういうことなんだ、どういう問題があるのかということで、大臣の御認識をお伺いをしたいと思います。
#30
○井出国務大臣 お答えを申し上げます前に、きょう十時から参議院の本会議がありまして遅参をしてまいりましたこと、おわびを申し上げます。佐藤さん、済みませんでした。
 御指摘のような、越川記念病院のような不祥事でございますが、入院患者の人権の尊重や適切な処遇という観点から見て、精神医療に対する国民の信頼を著しく損ねることにもなりかねない、というよりはもうなっていると言ってもいい重大な問題だと考えております。このような事態を生じた背景には、全国の精神病院の中のごく一部とはいえ、常勤の指定医が置かれていないなど、患者の人権を尊重して適切な医療を行うといった点について、病院管理者としての基本的な自覚に欠ける面があったと言わざるを得ません。
 患者の人権の確保については、昭和六十二年の法改正によりまして、精神医療審査会や精神保健指定医の制度を設けるとともに、精神病院における入院患者の処遇の基準等を定めたところでありますが、今回の改正ではさらに医療保護入院等を行う精神病院については精神保健指定医の必置化を図る等の改正を盛り込むなど、より適正な医療と人権の確保の徹底を図ることとしているところでございまして、今後とも、こうした事件が繰り返されることのないよう、都道府県やあるいは関係団体を厳正に指導していかなければならぬ、こう考えております。
#31
○山本(孝)委員 重ねてお伺いをさせていただきますけれども、そういう意味で今回も法律改正をしているのだというお話でございます。この法律改正で十分なのかという点と、今後指導していくとおっしゃっているわけですけれども、今回の越川記念病院のお話でも、結局、県は六回も立入検査に入っている。しかも、患者さんといいますか、職員の側の退職問題とかがいろいろあって、そこでいわば内部通報が県の方になされている。そういう意味で、県はかなり早い段階から物事を知っていたというふうに私は新聞記事を見ながら思うのですね。どうも医療に対する行政側の及び腰が、越川記念病院の話を見ていても感じられる。
 また、今回、この新聞が出ました後に、私の病院の方もそうなんだということで、随分たくさん新聞社の方にも同じような通報があったそうです。ということで、氷山の一角である、そういうふうに思うのですけれども、これで十分だとお考えなのか、あるいは県に対しての厚生省の指導はどういうふうにお考えなのか、その辺はどうですか。
#32
○松村政府委員 精神医療につきましては人権の問題が非常に重要な問題でございまして、私ども、繰り返し注意を喚起しておるところでございます。また、法制的にもいろいろな手当てといいましょうか、人権侵害にわたることのないようないろいろなシステムを組み込むように努力をしておるところでございまして、今回の法律改正におきましても、いい医療を提供するためのいろいろなシステム、こういったものをお願いすることにしておるところでございます。
#33
○山本(孝)委員 改善が十分ですかとお伺いをさせていただいているのは、多分厚生省の方もまだまだやるべきことはあるというふうな御認識じゃないかと思うのですね。
 というのは、前回の法律改正のときに附則がつきまして、施行後五年を目途に抜本的な改正を精神保健法については行うのだということになっています。今回の改正案が出てきて、関係者の皆さんあるいは関係団体の皆さんにお聞きすると、急に改正案が出てきたのでというふうにおっしゃっている方が多いのですね。内容についても実は余りよく知らないのでむしろ教えてくださいと言われて、私も随分質問を受けたりしました。
 そういう意味で、前回の改正で五年を目途に抜本的な改正をする、あるいは附帯決議もたくさんな項目がついておりまして、積み残しの検討事項がかなり多いのだと理解をしています。それが今回の改正案で全部解消されるかというと、やはりそうではないと思うのですね。その点についてはこの後質問で確認をさせていただく点が多々ありますけれども、そういう意味で、この改正ではまだ足りないと認識されておられて、五年を目途に、すなわち平成十一年から新しい精神保健法あるいはまた別の法体系でもって精神衛生あるいは精神障害者の問題についての法律を出していく、改正をしていくことをお考えなのかどうか。この附則の精神は生きているのかというところを確認をさせていただきたいと思います。
#34
○井出国務大臣 平成五年の法改正の際の附則は引き続き効力を有するものと考えております。精神保健福祉制度のあり方につきましては、この規定を踏まえて、改正法の施行の状況や精神保健を取り巻く環境の変化等を勘案しながら、公衆衛生審議会や関係団体等の御意見も伺いながら、今後とも引き続き検討してまいりたいと考えております。
#35
○山本(孝)委員 引き続き検討していただいて、ぜひよりよい法律に変えていっていただきたいと思います。
 今回いろいろとこれまでの法律の審議の内容も読ませていただいて、実はこういう本を送っていただきました。ごらんになっているかどうか知りませんが、「東京精神病院事情」という東京都地域精神医療業務研究会というところがつくっている本ですけれども、各精神病院についてどういう内容になっていて、そしてどういう医療が行われていて、死亡退院率がどうだ、あるいはどのぐらい長期に入院している人がいてというような割合が、全部の病院について実は書かれています。東京都が病院から出てくる調査報告書でもってつくったのですが、東京都の公開条例に基づいて患者団体の皆さんが請求したら、東京都はそれの提出を拒否した。したがって、行政訴訟を起こして実は東京都から手に入れた調査資料なのですね。同じものが厚生省の方も恐らくお手元に、そういう調査はとろうとすれば東京都から、あるのだと思います。
 これを読ませていただくと、随分合精神病院が老健施設やあるいは老人病院に転換をしてきているという実態があるとか、それから死なないと退院できない病院だとか施設化した病院、それからたばこは一銘柄しか許されないとか全閉鎖でありながら任意入院率九〇・五%というような病院もあるとかというようなことで、各病院についていろいろなことが書いてあります。個々の病院がどうだこうだという話ではなくて、今の精神病院の実態というものが非常によくわかる本だなというふうに思いました。
 おもしろいなと思ったのは、ある自治体の精神保健のガイドブックによると、「豊かな自然の中で、患者さんと職員が一体となって心身ともに健康を一日も早く取り戻すよう励んでおります」というふうな、非常に明るいイメージで評価されている病院にもかかわらず、今申し上げたように、全閉鎖で任意入院率九〇・五%というような、どうなっているのだというような感じの病院もあるという話が実はこれでよくわかりますので、お暇な折にはぜひ皆さんもお読みをいただけるといい本だと思います。
 そんなことも思いながら法律を読んでいますと、やはりこの今あります精神保健法の根底に精神病院管理法の域を出ないような、そういう色彩の非常に強いものだというふうに思いますね。精神障害者をやはり保護する、あるいは拘禁をするという形の思想がもともと一番昔の明治の時代につくられた法律のところにあって、その流れをくんでいる部分が多分にある。
 今回、保健と福祉ということで章を別立てにされて、これまでの審議会の答申どおりに入院型から地域へという形にどんどん変えていこうという流れに沿っている。それから、医療から福祉という方向に流れを持っていこうという精神は見えるのですけれども、逆に医療と福祉が混然としているような法律、ちょっと変な法律になっているなという気も私は実はするのですね。
 今ストレス社会になってきて、中年のうつ病の方たちとか、あるいはアルコール中毒の人たちもふえてきている。先ほど御指摘申し上げたように、老人性痴呆の方たちが精神病院にたくさん入院をしていくという実態もある。社会の状況が随分変わってきていると思います。予防と教育ということもやはり必要だというふうに思うのですけれども、そういうことも含めて、この精神医療と、それから保健と福祉を通覧できるような、国民全体の精神保健を支える法律というものをきちっとひとつつくらないといけないのではないか。精神障害者のための医療、それからその福祉、そして精神衛生、こういうものが混然としているものではちょっと法律の性格がわかりにくくなってきているのではないかというふうに思うのですね。
 別途にきちっと精神障害者福祉法というものをつくれという御意見の方たちもあります。それから逆に、身体障害者福祉法あるいは精神薄弱者福祉法とあわせて障害者福祉法というものをこっちにきっちりつくるべきだ、障害者基本法ができましたのでそれを受けてそういうものをつくれという御意見もあるのです。
 もう少しやはり、次の抜本改正に向かって、この法律の性格、内容あるいは国全体の精神医療、保健福祉というものについて、法律の中でも体系づけていくべきではないかというふうに思うのですけれども、大臣、どんなふうにお考えでしょう。
#36
○井出国務大臣 これまで精神保健法に基づいて精神医療、精神保健対策が推進されてきたわけでございますが、今回のこの改正によって、精神障害者の皆さんの自立と社会参加を促進するための福祉施策についても明確に位置づけ、精神医療、精神保健、精神障害者福祉を一体的に行うための法的枠組みを整えることとしたものでございます。
 この三分野はそれぞれいずれも重要なものでありまして、改正後の新しい精神保健福祉法のもとで連携を図りながら推進を図ってまいりたいと考えますし、今山本さんお述べになられましたような問題も、これからこの法律の施行状況を見たり、いろいろな社会の変化を見ながら、先ほど申し上げましたような五年後の見直しというあれのときにまた検討をさせていただきたいと思っております。
#37
○山本(孝)委員 福祉と医療というものについてのもっと根本的な議論をしないといけない材料の一つだというふうに思いますので、時間は短いかもしれませんが、審議会なりいろいろな場で議論をしていただいて、国の精神保健それから精神衛生あるいは障害者に対する福祉というものの体系を、はっきりこういう方向に行くんだということを、この法律を審議する中で、改正を考える中で、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 精神保健法そのものに対してのいろいろ検討項目、先ほど申し上げたように積み残しかありますので、その点について確認をさせていただきます。
 まず、今回の法律改正で、保健が公費負担から保険優先という形になって、財源がある意味ではできるというか、浮いてくるという形になるわけです。保険優先化によって国庫予算全体への影響額七十一億円の減額で、これを精神障害者関連施策の充実に四十億円充てようという形になっているわけです。
 そこで一つお聞きしていたのは、精神障害者保健福祉施設整備、いわゆるセミナーハウス、これの建設補助に十億円支出されますね。四十億のうちの十億がこのお金になっている。この十億はことし平成七年度限りの予算となっているわけですから、考えようによっては平成八年度以降はそれがなくなると三十億になってしまうのではないか。そうすると、従来から精神障害者医療福祉という部分に対する予算が極めて低いという批判を受けながら、またどんどん、今回は公費負担を保険優先にすることで国の実際的な公的責任が薄くなるのではないかという批判もされているわけです。
 せめてその予算の枠を確保する中でしっかりとした姿勢を見せていただきたいということで、八年度以降も少なくともことしの予算額を減額することなく、さらにきちっとした医療のシステムあるいは社会福祉、社会復帰施設を整備することも必要なわけですから、この予算の確保をきちっとやるということを確約していただきたいのです。あるいはもっととるということを言っていただきたいというふうに思いますが、大臣どんなふうに思われますか。
#38
○松村政府委員 平成七年度の精神保健関係予算につきましては、社会復帰施設やグループホーム、さらに小規模作業所あるいは通院患者リハビリテーション事業の整備を積極的に進めるとともに、新たに都道府県及び市町村が地域の実情に即しました各種の事業を実施するための地域精神保健対策促進事業、精神障害者の緊急時における適切な医療と保護を確保するための精神科救急医療システム体制の整備、さらにまた精神障害者のための手帳交付事業等を行う、いろいろな角度から事業を計画いたしまして、精神障害者に対します保健福祉施策の充実強化を図ることとしておるところでございます。
 今御指摘のように、今後とも精神保健福祉関係の予算の確保につきましては、所要額が確保されるように引き続き一層の努力をしてまいりたいと思います。
#39
○山本(孝)委員 申し上げたように、公費負担を保険優先にする、国民側からすれば税金で負担をするのか保険で負担をするのかということになろうかと思いますけれども、シーリングのある中でここの予算を削ってこういう形で財源を生み出して、それで精神障害者の福祉がまたまたおくれていくような形になっては困るわけで、きっちりとした予算の確保をお願いしたいというふうに思います。
 それから、これはもう前回の改正のときにも議論になりました社会復帰施設の整備についてですけれども、残念ながら、この改正後も余り進んでいない、あるいは全く進んでいないと言った方がいいかもしれないと思います。御承知の援護寮あるいは福祉ホームが平成六年十月一日現在で一つもないという県が全国で十県もある。前回の改正案審議のときにも何県はありませんというようなことが指摘されて、きょうもどこにありませんというお話をしてもいいのですけれども、ある県とない県と差がほとんどないぐらいにしか施設がないというのがこの現状ですね。
 障害者基本法の第七条で、都道府県、市町村は障害者基本計画を策定するよう努めなければならないということになりました。したがって、本当はやらなければいけないのだけれども、なかなかこれは進まない。地元の反対がある、あるいはやりたいという人がいないというようなこともあるのかもしれません。したがって、この法律の中で、こういう社会復帰施設は都道府県が設置すべきだという義務事項にぜひすべきだというふうに思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
#40
○松村政府委員 精神保健法第二条におきましては、地方公共団体等が社会復帰施設を充実すべきことが規定をされておるところでございます。地方公共団体におきまして、その地域内の精神障害者の社会復帰の促進に努めることはこうした条項からも当然のことである、こういうふうに考えております。
 しかしながら、この社会復帰施設の整備につきましては、地方公共団体の自主性というようなものもありますし、また自律性等も尊重しなければならないというふうに、地域の実情に応じまして適切に推進する必要があると考えられます。
 また、他の障害者の福祉施設も基本的に施設設置の義務づけまでなされているものは少ないということで、現在のところ、地方公共団体に社会復帰施設の整備を義務づけるところまでは考えていないところでございますが、なお今後とも社会復帰施設の整備の推進をする、これは非常に重要なことでございます。そのように努力をいたしまして、必要な予算の確保等に努めてまいりたいと考えております。
#41
○山本(孝)委員 施設が整備できれば入院患者のうちの十万人ぐらいの人たちが施設じゃなくて地域で生活できるのにという、これは厚生省みずからが前の審議でもお話しになっている数字ですね。
 今もこのコミュニティーケアというか、地域で障害者の皆さんと一緒に住んでいこうというノーマライゼーションの話がどんどん進んできている中で、やはり今精神病院がかなり偏在している、本当に人里離れたところにしかないという状況が多分にある。そんな中で、どうしても社会生活の中で実際にこの治療というのも行われていかないと、精神障害者の社会復帰というのは極めて難しいわけですね。
 そういう意味でも、隔離された状況の中ではなくて、地域でこの人たちへの対応をしていくという意味では社会復帰施設の一層の充実が望まれるわけで、これはやはり義務づけをするというところぐらいまでいかないと、それぐらいの強い意思で臨まないと、この施設整備というのは進まないのではないか。
 ぜひその辺、今の努力しますという話でここ二、三年来て、ほとんど数字が上がっていかないので、今度予算もある意味では確保できる道ができてきたわけですから、その辺、もう少し強い姿勢で臨まないといけないと思うのですけれども、その辺はどうですか、もう一度お願いします。
#42
○松村政府委員 御指摘のようにさらに一層強い決意で臨んでまいりたいと思います。
#43
○山本(孝)委員 それで、建てたいという人がいれば補助金は出しましょうというふうな、実は補助金の枠の方が残るという状況もあろうかと思いますね。でも、建つと今度はまた建ったで赤字に苦しんでいる施設が多いというのもこれまた事実なんですね。やはり実際に職員数を確保しないときちんとしたお世話ができないからということで職員数が多くなると、この辺も施設が苦しくなってしまう。それで赤字に苦しむ施設が多いと思うのですけれども、どんなふうにその状況を把握されていて、どんなふうに対応していこうと考えておられるのか、その点はどうですか。
#44
○松村政府委員 昭和六十二年の法改正のときに創設されました精神障害者社会復帰施設につきましては、スタートの当初には運営費に四分の一の設置者負担がございました。それで、この問題が指摘をされておったところでございますが、このため平成五年度には、これまでございました運営費の設置者の負担の解消を図ったところでございます。また、さらに平成六年度には、職員の業務省力化等勤務条件の改善に必要な経費を新たに運営費に加算をしたところでございます。
 このようなことを通じまして、私どもも社会復帰施設の経営の安定化に努力をしてまいりましたが、平成七年度予算におきましては、今申し上げました勤務条件の一層の改善に必要な経費の拡充を図ることにしております。また、さらに年休代替要員の確保に必要な経費の新設等の改善策を図ることによりまして、運営費の補助額の引き上げを図ってきておるところでございます。
 このように私どもも、御指摘のような点の解消に向けて今一生懸命努力をしておるところでございます。
#45
○山本(孝)委員 ぜひ実態をよくつかんでいただいて、そして補助も手厚くしていただきたいし、この施設をつくるということについても、県の方もなかなか大変だと思うのですけれども、国の方も力をかしてあげて、できるだけこういう施設がふえていくようにしていただきたいと思うのです。
 それで、同列に論ずるわけにはいかないかもしれませんが、小規模作業所で今訓練を受けておられる方たちもたくさんおられるわけですね。今度阪神大震災で随分壊れて、その辺も大変だというふうにもお話をお伺いしていますけれども、今までは、どうなんでしょう、いわゆる団体補助という形でこの小規模作業所、一カ所百万円という単位だったと思いますけれども、かなり基準が高いところで、しかも団体補助でということで補助対象から外れる小規模作業所がたくさんあるように聞いています。そういう意味でももう少し、小規模作業所という、地域で頑張っておられる方たちに国の方も少ない金額ながら応援をしていますよという意味も込めて、もう少しこの辺の予算の確保あるいは予算のつけ方ということについて御検討いただけないかなというふうに思うのですけれども。
#46
○松村政府委員 御指摘の小規模作業所と申しますものが非常に有効なものであるということは、私どもも承知をしております。この小規模作業所もたくさんあるということも、今御指摘のとおりでございます。
 この精神障害者の小規模作業所に対します運営費の助成につきましては、御指摘のように、現在全国精神障害者家族会連合会への団体補助という形をとっております。また、現在の仕組みのあり方を地方自治体を通じた助成に変更してほしいというような御意向もあることは、承知しております。それで、このことにつきましては、身体障害者、精神薄弱者の小規模作業所との関係を含めまして、現在厚生省の障害者保健福祉推進本部で検討をしておる最中でございます。
 このため、今回の改正事項には含めていないところでございますが、今後、今申しました障害者保健福祉推進本部の検討結果等を見まして、必要な措置を講じてまいりたい、このように考えております。
#47
○山本(孝)委員 続いて、冒頭で触れました越川記念病院のときにも問題になりました精神保健指定医制度についてのお伺いでございますけれども、これは機能していないのじゃないか、ざる同然だという声もいろいろな方面から聞こえてまいります。
 越川記念病院の事件の後で全国の病院を対象に調査をしていただいたら、二十六の病院にこの精神保健指定医がいないということがわかったという新聞記事あるいは御報告がありましたけれども、現在もいない病院があるのではないかと思いますけれども、現在の状況はどうなっているでしょうか。
#48
○松村政府委員 現在私どもの手元にございますデータによりますと、常勤の指定医がいない病院というのはまだ全国で二十五病院あるという数字を持っております。
#49
○山本(孝)委員 越川記念病院の後に一つ減りました。その減ったのが越川記念病院だったというお話ですよね。
 それで、常勤とは、週四日以上で一日八時間以上の人を常勤というという話になっているわけで、そうすると、週四日ですから、一週間七日ありますので、常勤が三日いないという病院もあるのではないかというふうにいろいろと思うわけです。
 平成六年の数字で見ますと、病院の数が千六百七十二、指定医の数が九千二十四という数字を見ました。今回の法案審議がありますので、私も地元の精神病院を御訪問していろいろお話を聞きました。先生のところは何人おられますかと言ったら、うちの病院は十人いますというふうにおっしゃいましたので、そうすると、ゼロという病院もあるけれども、たくさんおられる病院もあるということになれば、病院によって精神保健指定医がかなり偏在しているんだなというふうに思うわけですね。さっき御紹介したこの本の中にもいろいろとそのあたりが書いてあります。
 という意味で、一人しかいない病院というのも結構あるのじゃないか。一人もいないのが二十五ですね。じゃ、一人しかいないという病院もあるのじゃないかと思うのですけれども、これは全国の精神病院の中で何病院ぐらいが一人しかいないのでしょうか。
#50
○松村政府委員 これは、今私どもの手元にあるデータによりますと、常勤の精神保健指定医が一人しかいないというところは三百十八病院というふうな数字を持っております。
#51
○山本(孝)委員 結局、五分の一の病院には一人もしくは一人もいないという状態が今あるということが今の数字の御報告でわかるわけですけれども、いろいろな患者さんの人権問題が批判の的になって、その対応策として精神保健指定医というのが設定をされた。しかし、そこがなかなかうまく機能していないのじゃないかと思う。
 特に、今回任意の入院だけを扱う病院にはこの精神保健指定医は置く必要がないということになるわけですね。そうしますと、かなり任意入院率の高い病院もあって、そこがいわゆる悪名高い病院であったりするということもさっき御指摘を申し上げたとおりなので、そうすると、任意入院だけしか扱わないと言っている病院でも、実際には中で入院形態が変わることもあり得るわけでしょうから、この任意入院だけを扱う病院もこの精神保健指定医を必置、必ず置くようにすべきじゃないかというふうに思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
#52
○松村政府委員 今回の法改正におきまして、常勤の精神保健指定医の必置の義務化を行いますのは、措置入院それから医療保護入院等を行う精神病院を対象としておるところでございます。
 今御指摘のように、任意入院のみを行う病院につきましても精神保健指定医を置くことは、よりよい精神医療の確保という点から見れば望ましいことではあると思いますが、任意入院につきましては、指定医の診察等を要件としておりません。したがいまして、任意入院のみを行う精神病院について法律上の必置義務までを課すことはしなかったわけでございます。
#53
○山本(孝)委員 一くくりに精神病院といってもいろいろなタイプの病院がある。処遇の格差の非常に甚だしい病院もある。そのことは厚生省自身がよく御存じなところで、そこでいろいろな人権侵害問題が起きる。それに対応して法を改正しているにもかかわらず、申し上げたように越川記念病院のような話が起きてくる。
 これはシステムとして整備をするんだというふうにおっしゃった、そのシステムの一つなわけですね。何か必ず行政が入っていける手だてがないと入りにくいんじゃないですか。だから、この指定医がどういう活動をしているかと、指定医という一つの枠でくぐっておかないと病院に入っていく手だてになりにくいんじゃないですか。
#54
○松村政府委員 任意入院というのは、御自分でこの病院に入院をしたい、するということを前提に医療が行われるものでありまして、そのときに指定医の診察ということは必要ない、こういうふうに法制上はなっておるわけでございまして、そこまで義務づけるということについては法制上対応をしていない。しかしながら、いい精神医療を供給するためには、専門の医師が、より高い技術を持った医師がいることは望ましいことでございますが、法制の問題と望ましいということを今回は分けて考えているということでございます。
#55
○山本(孝)委員 望ましいという対応の中で、またおぞましい同じような事件が起きないようにひたすら望むばかりというのもちょっと能がない話だなというふうに思うのですね。
 同じような人権擁護の観点から、精神医療審査会という会もあります。こちらの方も本当の人権擁護機関として機能していないんじゃないかという声が、あちらこちら雑誌、論文等にも出てくるわけですけれども、患者さんから退院請求あるいは処遇改善請求というものがこの審査会に対してなされるというシステムになっているわけですけれども、全国で実際に退院請求あるいは処遇改善請求がどのぐらいなされているのでしょうか。
#56
○松村政府委員 精神医療審査会と申しますのは、その役目をちょっと申しますと、医療保護入院の入院展の審査あるいは措置入院者及び医療保護入院者の定期病状報告の審査、それから今御指摘の精神病院の入院者等からの退院請求または処遇改善請求の審査、こういうことを行うことになっております。
 それで、私の手元にございますのは、平成五年の一年間でございますが、退院請求を審査をした件数は六百九十八件となっております。それから処遇の請求が二十九件、こういうことになっております。その他医療保護入院者の定期病状報告というのは八万五千件余り、それから措置入院者の定期病状報告では一万三千九百件余り、こういうふうな活動を行っておるところでございます。
#57
○山本(孝)委員 平成五年の一年間で全国で退院請求が六百九十八件ですけれども、県別の表をいただきましたら、随分ばらつきがあります。一番多いところで九十一件、一番少ないところで一件もない、ゼロ件という県があるわけですね。随分県別にばらつきがある。何でこんなにばらつきがあるのでしょうか。
#58
○松村政府委員 御指摘のように、精神医療審査会に対します退院請求や処遇改善請求の件数につきましては、都道府県によってある程度の差があるということは事実でございます。しかしながら、そのことだけで精神医療審査会の機能そのものに格差が生じているとは考えていないところであります。
 この審査会は、精神障害者の人権に配慮をいたしました適正な医療を確保するという観点から設置されているものでございます。私どもも、今後ともこの審査会が所期の目的を十分に達成できるように指導してまいりたいと思っております。
#59
○山本(孝)委員 この審査会の事務局は県庁職員ですね。したがって、患者さんから電話がかかってきて最初に電話を受けるのは、審査会の委員ではなくて県庁の職員が実は受ける。また同じ人からかかってきたといって電話を切られてしまう、ある程度そこで整理をされてしまうという実態もあるのですよという話を聞きました。そういう意味で、審査会の独立の事務局をきちっと設けるべきではないだろうか。
 法律の中では、この審査会、五人以上十五人の委員で構成をするという形になっています。五人ごとで一つのグループをつくって三グループで対応するということになっているのですわ。十五人なんです。これは各県とも一緒なんです。東京都も十五人なんです。東京都の場合でも、この大きな人口でたくさん精神病院が集まっている東京都も十五人、あるいは非常に少ないところも上限が十五人という形になっているのですね。
 したがって、十五人という枠を精神障害者の数に応じて撤廃をするというか、対応するためにはこの十五人という枠を撤廃することが必要じゃないかと思うし、独立した審査会の事務局を設けないと本当にこの審査会は機能しないのじゃないかというふうに思うのですけれども、その辺は御認識はいかがでしょうか。
#60
○松村政府委員 審査会につきまして幾つかの御指摘でございますが、まず審査会の事務局の問題でございます。これは御指摘のように都道府県の精神保健担当課にございます。これは、御承知のように精神保健の事務が主として都道府県で行われている、こういうことがございまして、審査会の事務もこうした事務の関連の中で運営されるのが適切ではないか、こんなふうに考えて現在のシステムになったものでございます。
 したがいまして、今委員の御指摘のようなケースがあることは、仮にそういうことがあるとすれば大変残念なことでございまして、今後とも、引き続き適正な事務処理が行われますように都道府県を指導してまいりたいと思います。
 また、審査会の委員の数の御指摘でございましたが、確かに委員は十五名以内ということになっておりまして、都道府県それぞれ十五名以内ということで運営されておると思います。この数が少ないのではないかという御指摘でございますが、実は、これまで私ども、都道府県から今のような御指摘を強く受けたことがなかったものでございますので、それぞれの都道府県で工夫をして適正に運営しておられるだろう、こういうふうに考えておったのですが、今の御指摘もありますので、実情についてはよく調べてみたいと思います。
#61
○山本(孝)委員 審査会に直接連絡ができない、あるいは退院請求ができない人たちというのもたくさんおられるわけで、その方たちのためにといいましょうか、その方たちと連絡をとりながら人権センターというようなところがいろいろ活動しているわけですね。
 前回の審議でもいろいろと議論なされていますけれども、例えば福岡なんかでは、弁護士会と精神病院協会が協力しながらいろいろ新たな患者の権利擁護制度というのでしょうか、そういうものを検討されているという話も聞くわけですけれども、もう少しこの審査会の内容について実効のあるものにできないものだろうか。
 平成六年の数字で、任意入院率六四・三%、大体の人たちが今任意入院という形で行くわけですね。実際のところでも、病棟の開放率を聞きましたら閉鎖病棟が五一・四%です。すなわち六割五分の人たちは任意入院、自分の意思で行くということになっているのですね。ところが、実際には半分は閉鎖病棟ですから、任意で入院したにもかかわらず閉鎖病棟に閉じ込められてしまうという人たちも結構数字上ではいるという話になるわけです。
 そういうことを考えると、人権を守るということからしても、今の病院の実態がやはりあるわけで、そうすると、もう少し権利の擁護ができるシステムというものを、各都道府県いろいろ試行錯誤されているようですけれども、していく必要があるのじゃないかと思うのですね。次の改正に向かってぜひこの辺、もう少し検討を加えていただける項目として検討していくという姿勢を示していただきたいと思うのです。
#62
○松村政府委員 精神医療審査会には先ほど五名という委員がいらっしゃると申し上げましたが、この中には医療関係者のみならず法律の関係の方々にもお入りをいただいておりまして、人権の面からの配慮も十分にできるようにしておるところであります。
 また、閉鎖病棟の数が半分ぐらい、こういうことを御指摘いただきましたが、私どももそのように承知しております。ただ、閉鎖病棟の中にも公衆電話等を設置することになっておりますし、そういった面でいろいろそれぞれが工夫をしておるところでございますが、なお今委員の御指摘のような点につきましては十分検討を続けてまいりたいと思います。
#63
○山本(孝)委員 次の問題に行きたいと思います。
 診療報酬の点数が余りにも低いのじゃないかという点について御指摘をしたいと思うのですけれども、私の友人も国立大学の大学院を出て精神病院で心理の仕事をさせていただいて、それでその後国立療養所で心理判定士の仕事をさせていただいていました。ただ、御案内のように、国立系のところは定員法があるものですから職員の採用ができないということで、実は普通のアルバイトベースというのでしょうか、雑役のような形の枠をもらって、そこで仕事をさせていただいている。そういう意味で、極めて身分が保障されづらい人たちがおられるわけですね。
 臨床心理技術者あるいはPSWという部分の資格化の問題については、残念ながら今回法律には盛り込むことができませんでした。次回の改正にこれも持ち越しということで附帯決議でその点は触れさせていただいていますけれども、こういう資格を持っていながら、結局こうした方たちを中心にしてチーム医療を進めていこうというふうに各病院も思っておられるわけで、ぜひこの資格化の話はしていただきたいのです。
 診療報酬が、例えば通院精神医療の場合、患者さんと一対一でやります。病院で行うと三百二十点、三千二百円という点数になるわけですね。一対一で話を聞く、これは時間の制限がありませんので、いい医療をしようとすればじっくりとお話を聞く。お話を聞いた後でそれをカルテに書き起こしをしていくということになれば、一日にそう何人もできるわけではない。それぞれの患者さんがいろいろな問題を抱えておられるわけですから、話をゆっくり聞いていると聞いている方も実はかなり疲労こんぱいという状況になってくるという意味で、数でこなせる話じゃないわけですね。
 そうなってくると、やはり三百二十点というのは低いのじゃないか。特に、入院医療から通院医療に変えていこうというふうに考えているなら、ば、この通院医療の保険点数というものをもう少し検討していくべきではないかというふうに思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
#64
○岡光政府委員 御指摘のような趣旨で、通院精神療法の点数につきましては、平成六年の四月、それから十月の改定で、実は一〇%を超える改定を行いました。そういう意味では、委員から御指摘がありました、その通院について重視をするというつもりで、点数については改定をしておるつもりでございます。
 それから、御指摘がありました、じっくりと一人の患者さんの指導をしてしっかりとした精神療法を行う必要があるわけでございまして、そういう意味では、時間に応じた評価という点が、その可能性がないかどうか、こういうことになるんだと思います。実態上は非常にその点は、どういうふうな測定ができるんだとか、どういう区分をすればいいんだとか、いろいろ御議論のあるところでございます。これは精神療法ばかりではなくて、小児の場合にもそんなふうな指摘もあるわけでございまして、そういう、時間をかけてじっくりと対応すべき分野というのはたくさんございますので、そういったことを全体的に議論をすべきではないか、こう私ども考えております。
 これについては、中医協でも大分前からも議論になっておりますので、先生御指摘の点も踏まえながら、中医協の議論を踏まえて適切に対応してまいりたいと思っております。
#65
○山本(孝)委員 本当によい医療をしようとするとお金がかかるというか、手間もかかるということですね。人の配置もきっちりとやっていかなければいけない。臨床心理技術者あるいはPSWというのも資格化されれば、そこにまた点数をつけていただいて、そういう方たちがしっかりと活動できるような条件を整備していただけるんだとは思いますけれども、確かに、時間でというのはなかなかチェックしづらいという部分があるんだとは思います。しかし、だからといって、薬だったら何ぼでも評価できるからといって薬にいくわけにもいかないわけで、そういう意味で、乱脈経営というのは恐らく、レセプト内容をチェックする、あるいはちゃんとした立ち入りを時折すれば、その辺のチェックはできるんだと思うのですね。
 だから、いい病院にはちゃんとした点数を上げたいけれども、同じように悪い病院もそれで稼ぎに走っちゃ困るからというお考えがあってなかなかそこに踏み込めないんだと思いますけれども、こういうチェックという機能は別に考えることにして、本当に理想とされるというか、よい医療ができるような保険点数のつけ方というものをぜひ考えていただきたいと思うのです。
 本当に、いろいろ友人からも話を聞きますと、やっぱりこれは聞く方もかなりつらいお仕事で、それをきっちりと書き起こしながらというところがありますので、今回も、今の診療報酬のつけ方も、六カ月以内は何回までだとかということで、回数制限されていますよね。この辺の回数制限というのはやっぱり必要なんでしょうか。あるいは、この回数というものをもう少し現場の裁量に任せて、本当にいい医療をしようとしている人たちがやりやすい状況というものにこの辺の配慮というのはできないものなんでしょうか。その辺はどういう検討がなされているんでしょうか。
#66
○岡光政府委員 精神医療につきまして、より充実をすることが必要でございますので、今御指摘いただいたような観点から十分議論をしていきたいと思っております。まさに来年の四月、その診療報酬改定もあるわけでございますので、その辺も十分関係の審議会等において御議論をいただきたいと思っております。
#67
○山本(孝)委員 それから、これも前回からの積み残しになっています、いわゆる保護者制度ですね。いろいろ考えていくと、やはり明治の時代につくられた民法の扶養義務制度にずっと根底を持っていて、しかもこの日本の社会の中で、今福祉の流れはどうしても家族が面倒見るべきだという、老人もそうです、それから障害者もそうですけれども、家族がきちっとした面倒を見るべきだという話になる。そうすると、この精神障害者の場合も、いろいろ事件を起こすということがあったりして、どうしても家族が、そばにいる人がよくわかるんだから、その家族が、そういうことの行為のないように面倒見ろという法の建前になっているわけですね。
 しかし、実際に考えていけば、もう子供が成人しているにもかかわらずその家族が面倒見るということが前提になっていて、そうすると、家族の方も実は高齢化が進んでいく、家族自身もやはり低所得化の中に入ってくる。そうすると、所得も少ない、高齢になっているにもかかわらず、裁判所の命令によっていつまでも面倒見ていかなければいけない。しかも、何か問題が起きると家族の責任だというふうに問われるというものはどうなんですかということ。
 これはもう前から審議があって、実は積み残しになっている議題の一つなわけですけれども、この辺、どういうふうにその後検討されているのか、どういうふうなお考えでいらっしゃるのか、そこをお聞かせをいただきたいと思います。
#68
○松村政府委員 保護者制度についての御質問でございますが、何と申しましても保護者という方は精神障害者の身近にいらっしゃる方でございまして、精神障害者の権利、利益を擁護し、適切な医療あるいは保護の機会を確保するということでは非常に重要な方であることは間違いないことだと思います。
 一方で、保護者制度につきましては、御指摘のようないろいろな社会的な変化もございます。核家族の進展でございますとか、親の高齢化というようなことを背景にいたしまして、保護者の負担の軽減という意見も出されているところでございます。このため、公的後見人を含めまして、保護者制度のあり方につきましては、現在、厚生科学研究の精神保健医療研究において研究を継続中でございます。
 しかしながら、この後見というような問題につきましては、民法の後見人制度との関係があるなど、いろいろな難しい論点を含んでいるところでございまして、私どもといたしましては、今後、関係者の御意見も十分に聞きながら、引き続き慎重に研究、検討を進めていきたいというところでございます。
#69
○山本(孝)委員 十年ごとに精神障害者の実態調査がなされてきています。九三年が実施予定だったわけですけれども、いろいろ、一部の反対があって今まだ調査ができない状況にあります。今回も、精神保健法が改正をされていくわけですね。最近に、申し上げたように、この精神障害者あるいは全部の障害者を取り巻く医療あるいは保健、そして福祉という問題からの取り組みがあって、日本の福祉全体についてもかなり抜本的な見直しをしていかなければいけない流れがあると思います。そういう意味でも、患者団体の、家族の声も聞くことも大切ですけれども、患者本人の声も聞く、障害者みずからの声も聞くということも含めて実態調査をしていかなければいけないんじゃないかと思うわけです。
 もちろん、プライバシーの保護という点については十分な配慮も必要ですし、家族の皆さんあるいは関係団体の協力も必要だと思いますけれども、この新しい法律をつくっていくということも含めて実態調査を計画をなさってはいかがかと思うのですけれども、この点はどうでしょうか。
#70
○松村政府委員 精神障害者の実態調査につきましては、もちろんこういった私どもいろいろな施策を実施するための基礎資料でございますので、このニーズの把握ということは非常に重要なことだと考えております。しかしながら、これまで十年ごとに実態調査ということを企画したこともあったわけでございますが、いろいろな御意見、特にプライバシーの問題というようなことからなかなか進まないという状況が現在あることは、皆さん御承知のとおりでございます。
 しかしながら、私ども、そのニーズの把握ということはいろいろな機会をとらまえてできるというふうにも思われますので、この実態把握についてはさらに努めてまいりたいと思いますが、実態調査ということにつきましては、諸般の状況を十分検討して対応したいと考えております。
#71
○山本(孝)委員 いろいろお伺いしたいことがあるのですけれども、時間になりましたので終わらせていただきますけれども、前回の法改正で、附帯決議にいろいろ書き込みがされていて、見直しの附則もつきましたということで、今回、五年先が見直したと思っていたら急に出てきたという声がちまたに多いのは事実なんですね。そういう意味でも、積み残しをされている問題は、今回の法律改正では残念ながら解消はしていない。大臣もうなずいておられるとおり、そういうことなので、きっちりと、そういった今触れていきましたような諸問題について、ぜひ次の改正と目されている平成十一年からの施行に向かって全力でお取り組みをいただきたいというふうに思います。
 障害者福祉法というものを考えていくというのも一つの流れかなというふうに私も思いますし、福祉施設の整備について、保健医制度、医療審査会委員の問題、臨床心理技術者、PSWの国家資格化の問題、そして病院の診療報酬でもう少しよい医療ができるような環境整備等をする、きっちりとした精神障害者のための予算の確保というものもこれでおざなりにしないでいただきたい、そういうふうに思います。
 欠格条項があるために資格が取れないというのも、運転免許証を初めとして、たくさんまだ残っている。厚生省の中でも理容、美容という部分の方はまだ欠格条項でありますので、精神障害者の人たちは免許が取れません。そんな点も含めてまだまだ検討しなければいけない問題、公的後見人も含めて保護者制度を検討するとおっしゃっていただいているので、この点もやはり積み残しの議題でございますので、最後にもう一度大臣に、時間を余りかけているわけにはいかないのですけれども、この前の法改正でうたわれている五年を目途としての改正に向かってきっちりと検討をして、よりよい精神障害者のための法律をつくっていく、あるいは障害者全体のための法律をつくっていくという御決意をお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。
#72
○井出国務大臣 今、山本委員それぞれ列挙されましたような、平成五年の法改正のときの附帯決議に盛られたこともまだ十分今回取り入れられたとは考えておりません。そういった問題も含めまして、先ほども申し上げました、平成十一年になりましょうか、その抜本的改正を目指してまた努力してまいりたいと思います。
#73
○山本(孝)委員 ありがとうございました。
#74
○岩垂委員長 鴨下一郎君。
#75
○鴨下委員 大臣、お疲れさまでございます。
 きょうは、精神保健法それから結核予防法の一部を改正する法律案についての関連の質問をさせていただきたいのですが、まず初めに大臣に、今ちまたでは阪神大震災、地下鉄サリン事件、それからオウムの一連の事件など社会的な不安、それから不況、円高、雇用不安などの経済的な不安、それからさらに高齢化社会に伴う介護や医療への不安といったぐあいに、今やさまざまな不安の時代だろうというふうに言えると思います。
 このような時代背景の中で情報化が進み、テレビやさまざまなメディアから、例えば犯罪や、それから特異なというか、特殊な事象が繰り返し繰り返し何のフィルターもなく家庭の中に流れ込んでくるというような状況があります。特殊な事件や事故が、あたかも日本に普遍的なごどのように解釈されたり、まれな出来事が繰り返し報道されることによって情報が増幅されてしまう、こういうような結果になっています。
 このように、情報化によって不安が再生産されるような社会的状況を私は強く危惧をしているわけですが、現実に地下鉄サリン事件後に電車に乗るのが不安になってしまったとか、少しの異臭にも過剰に反応して過換気症候群のような状態になってしまったとか、それから、私が診ていた患者さんの中に、グリコ・森永事件以来チョコレートが食べられなくなってしまった、こういうような方もいらっしゃるくらいです。これは、不安を助長するような情報過多と、受け手側の過剰な心配ということが相まって心の健康を損なってしまう、こういうようなことになっているのだろうと思います。
 また、子供のことで言いますと、成長過程にある無防備な、どちらかというと被暗示性の高いようなやわらかな子供の心の中に、例えばある妄想的な宗教観や終末思想的な時代認識が入っていくということそのことも非常に悪影響があるのではないかと心配しているわけですけれども、こういったような疾病の原因や、その後の自我の形成なんかに悪影響を及ぼすような情報社会というようなことに関しまして、国民の心の健康を所管する大臣がどのようにお考えになり、厚生省として国民に安心を与えるためにどのような対応をしようとしているかということについてお伺いしたいと思います。
#76
○井出国務大臣 過般の阪神・淡路大震災で大変な方々が被害を受けられて、この皆さんの心理面に与えられた影響等、今後いろいろな面で心配な面がございますし、そういった心のケアをしていかなければならぬ、こう思っているやさきに、また今回のサリンで、この影響も大変思いやられるわけであります。
 過剰な報道という問題、私は、報道が不足するよりは過剰の方がいいとは思うのですが、ただ、その報道のされ方が大変考えていただかなくてはならぬことのあることも事実だと思います。今、鴨下さん指摘されたようなテレビの一こまを私もたまたま見て、こんなことを何度も同じところを繰り返して、しかもとめてというようなのには少しおかしいじゃないかという感じは当然持っております。
 いずれにいたしましても、大変なもろもろの社会的な不安、そこへもってきて経済的な不安も大変深刻になってきました。これがまた、下手をすると政治不信につながるというようなことも当然考えられるわけですから、よほど政治がしっかりしていかなければならぬ、こんなふうに思っております。国民の皆様が安心して生活できるような体制を一日も早くつくり直すといいましょうか、取り戻すというか、そういうことをしなければならぬなと感じておるところでございます。
#77
○鴨下委員 大臣、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 まず、結核予防法の一部を改正する件につきましての質問をさせていただきたいと思います。
 結核感染者が他に伝染させるおそれが著しいと認められる場合、都道府県知事などから結核療養所に入所を命令されます。これは結核予防法の二十九条でありますが、これは公権力によって強いられることであるわけでございますけれども、今回の法改正案では、その入所費用が公費で負担されるのではなく、自分自身が拠出する、いわば保険で賄うことが優先されるということになります。入所の命令の性格上、言ってみれば保険負担優先というのは本来的におかしいのではないかというふうなことも考えられますが、命令入所にもかかわらず公費負担が保険優先へと改正されることについての経緯とその理由についてお伺いしたいと思います。
#78
○松村政府委員 結核の公費負担医療制度は、患者側の経済的な理由によりまして必要な医療が受けられないことのないように、患者側の自己負担を軽減して確実に医療を受けさせることによりまして、患者の医療の確保という面と今御指摘のような社会防衛という目的を達成しよう、こういうふうにされているものでございます。
 結核の命令入所の医療につきましては、実は昭和二十六年にさかのぼるわけですが、法律制定当時にはそもそも保険の優先の仕組みをとっていたものでございます。当時の公衆衛生の水準あるいは医療水準あるいは医療保険制度の基盤が脆弱であった等の状況にかんがみまして、患者さんが確実に医療を受けることを担保するために昭和三十六年の改正において公費優先の仕組みがまた導入された、こういう形のものでございます。
 そこで、今日公衆衛生水準や医療水準が飛躍的に向上しておりますし、また医療保険制度が普及しております。かなり充実を見ております。こういったこと等から、結核医療を取り巻く諸環境が大きく変化をした、こういうふうに考えまして、結核の場合も一般の疾病の場合と同様に、まず医療保険制度を適用いたしまして、その基盤の上にさらに公費による負担を組み合わせたいわゆる保険優先の仕組み、こういうことにしようとするものでございます。
#79
○鴨下委員 歴史的な経緯を踏まえて保険優先に移行するというようなことについてはある程度理解をするものでありますが、例えば保険証を持っていなかったり保険に加入していない場合に、適正な保険診療というのは現実にはなかなか受けにくいわけですけれども、こういうような患者さんが例えば結核に罹患したときに果たしてどうなるのだろうか。
 現実に医療現場の中で、保険証を持たないで、いわゆる健保にも国保にも加入していないような患者さんが間々いるわけですね、現実問題として。結核予防法の目的は、直接罹患した方の治療ということももちろんですけれども、それ以外に、そういう罹患した方々が例えば排菌をし、その周囲の健常な方々に再感染をさせるということを予防するという、いわば社会防衛的な意味があるわけですけれども、保険優先になって、保険に入ってない方々がある意味で診療所に行くことを逡巡したり、それから行くことで過大な費用負担を強いられるという不安のために行かないで、そして排菌を続けていって、周りに多くの結核患者さんをさらに二次的にふやしてしまう、こういうような事態を私は心配するわけです。
 それから、一般的に保険に入っていない方々、特に例えば住所が定まらないとかホームレスでいらっしゃるような人たちがたまたま駅の前あたりで排菌のあるたんを喀出したりなんかするようなことが原因で被害が広がっていく、こういうような事態も私は心配するわけですけれども、そういう保険がない、もしくは保険に加入してないような方々に対する対応というのを今後どういうふうにするかということについてお答えをいただきたいと思います。
#80
○松村政府委員 今私が申しましたいわゆる保険優先の仕組みと申しますのは、まず患者さんが入っておられる医療保険制度を適用いたしまして、この医療保険制度を適用した残りのいわゆる自己負担分、ここのところを公費による負担をする、こういうものでございます。
 そこで、御指摘の、では保険のない方はどうするのかということでございますが、保険のない方はもともと医療保険制度の適用がないわけでございますから、結核予防法の三十四条の適正医療の場合でございますと医療費の九五%を公費で負担する、こういうことになります。さらに、三十五条の命令入所医療の場合は、保険制度がないわけでございますから、医療費の全額が公費負担されることになりまして、医療の確保と申しましょうか、患者さんの医療並びにその患者さんが他の方にうつすおそれ、こういう社会防衛の目的というものにつきましては支障が生ずることはないわけでございます。
 それから、保険のない方はどうなっておるのかという現状についての重ねての御質問でございますが、我が国では、御承知のとおりほとんどの方が国民皆保険ということで何らかの保険に入っていらっしゃいます。しかし、保険にも入ることが難しいという方は、生活保護の対象者の方々は一応保険に入らないということでいわゆる保険がないという形になるかと思います。この方々が約九十二万人くらいカウントされますが、この方々は生活保護の対象者である保険のない方々でございますから、この方々につきましては公費がこれを支弁するという形になっておりまして、こうした費用につきましても既に予算に織り込んでおりまして、財政上支障がないと考えられます。
 それから、今委員御指摘の、ではホームレスのような住所の定まらない方々はどうかということでございますが、これは財政的あるいは数字的に見ればごく少数の方々でございますから、こういったことについての財政上の支障が生ずることはない、このように考えております。
#81
○鴨下委員 今回の改正でこの点が一番のポイントだろうと私は思っているわけです。特に厚生省の方々にお願いしたいのは、保険のない場合には公費で負担しますよということをぜひ国民の方々、それから医療現場で実際に従事する医師の先生たちにも周知徹底することが必要なのだろうと思います。実際にはこの辺が誤解があって、今回は保険になるので公費負担がなくなるよ、だからその結果として、そういう保険に入ってない、もしくは保険証を持ってない人は治療が受けられないんじゃないかというような認識に誤解されやすい部分がございますので、その辺に関しては、ぜひ周知徹底するようにお願いを申し上げたいと思います。
 それからさらに、今問題になってきますのは、今度は在日外国人の結核の問題でございますけれども、新規の登録患者数が年々増加しているやに聞いております。例えば、一九八七年には三十人だったものが、九二年には五百九十三人とふえているというようなことであります。特に、日本語教育施設の就学生に多発しているというような指摘がありますが、例えば、不法就労者が結核にかかった場合にはどのような措置をとるのでしょうか。日本の医療制度に組み込まれていない人に対する対応についての厚生省の方針をお聞かせいただきたいと思います。
#82
○松村政府委員 趣旨の徹底につきましては、これは十分に誤解のないように、各種の団体の力もおかりして、今のような趣旨につきまして十分に徹底を図ってまいりたいと思います。保険優先のシステムになりましても、結核に対する取り組み方についてはいささかも変わらない、こういうことで十分に注意をしてまいりたいと思います。
 それで、外国人の方はどうか、こういう次の問題でございますが、結核予防法は、先ほど来申し上げておりますように、患者さんの医療を確保するということを通じて社会的な防衛という側面もある施策でございます。したがいまして、この結核予防法の適用につきましては、古くから内外無差別の原則と申しましょうか、外国人であっても、さらには、たとえ御指摘のように不法に我が国に滞在されておられる方であっても、もしその方が結核に感染をしておられまして、かつまた、他にこれを感染させるおそれが大きいというような方につきましてはこの結核予防法が適用になる、こういうことでございます。したがいまして、もちろん入所の方も医療の確保も行いますし、それからまた公費負担も行っていく、こういうことでございます。
#83
○鴨下委員 なかなか難しい問題だろうとは思いますが、ぜひ、社会防衛という意味合いから柔軟な適用についていろいろと考慮をいただきたいと思います。
 続きまして、この法律改正の結果として、言ってみれば、各保険者への負担増が余儀なくされるということになるわけですね。例えば被用者保険でいうと、結核予防法については五十六億、国民健康保険では四十三億、老人保健では二十億というようなことで、精神保健法と合算しますと、約三百億強の新たな負担がふえるということになるわけですけれども、一方、医療費そのものは年々膨張する一方でして、保険者の財政自体は逼迫しております。医療保険制度がいつまでもつかというような懸念もあるくらいであるわけですけれども、この改正でさらに保険者への負担が大きくなるというようなことにつきましては、厚生省としてはどうお考えになっているかを伺いたいと思います。
#84
○松村政府委員 結核医療費の保険優先化によりまして、保険者への負担が増加することになります。特に影響が大きいと思われますのは市町村の国民健康保険、いわゆる国保でございますが、この国保の対応につきましては、さきに成立いたしました国民健康保険法及び老人保健法の改正によりまして、国保財政の安定化に資するいろいろな措置が講ぜられることになりまして、今回の精神医療の保険優先化の影響を含めましても、全体といたしましては国保の保険料負担は緩和される、こういうふうに見込まれているところでございます。
 また、中長期的に見ますと、この結核医療が適正に行われる、あるいは精神医療が適正に行われるということによりまして、市町村国保財政の健全化にも寄与できるのではないか、こんなふうに考えております。
#85
○鴨下委員 国民の医療費そのものも国民が負担するわけでございますので、それの有効な、そして費用対効果という意味で最大限の効果を上げられるような御工夫をぜひ厚生省としてもしていただきたいと思います。
 再度繰り返しますけれども、国民医療費そのものはもう既に二十四兆円を超えて、今後さらなる増大が予測される状況であります。すべての問題を保険の中にほうり込んでしまうというようなことだと、これは国民医療費をただ膨張させることになりますし、それから、実際に医療保険制度そのものが将来的に持ちこたえられるのかというような懸念を私は今でもしているわけです。究極的には、年金、医療、福祉などの国民負担率を最終的にアップするということは、社会保障のための費用負担がふえて、全体的に国の活力をそぐことにもなりかねません。安易に保険診療だけで賄うだけではなくて、公費負担枠なども含めてさまざまな領域から医療、それから福祉を支える工夫というのが今後必要なんだろうと思います。
 「出来高払いの青天井という歯どめのないシステム」というようなことを産経新聞が言っていますけれども、医療費の膨張というのが今叫ばれているわけですが、その歯どめをかけるために何が必要かということで、前回、私は薬の問題について触れさせていただいたのですけれども、今回、医師の定数の問題についていろいろと伺いたいと思います。
 私たちは、いずれにしても医療というものは、良質なサービスをどう効率よく提供するかというようなことが重要なわけですけれども、例えば医師がふえるというのは、ある意味で津々浦々まで良質な医療が行き渡るという観点からはプラスの面も大いにあると思いますが、厚生省としては、よりよい医療サービスを提供するというようなことに医師がどの程度ふえるというようなことが適正だ、もしくは、今後医師がふえ続けるわけでございますが、その点で、ふえればふえるだけ良質の医療サービスが提供できるというふうにお考えなのか、この辺について伺いたいと思います。
#86
○谷(修)政府委員 医療サービスの質ということと、医師の全体の数というようなことでの御質問かと思います。いわゆる医療サービスの質ということと従事をされているお医者さんの数というものは、必ずしも数量的に説明するのは難しいかと思いますが、ただ御承知のように、昭和六十一年に、昭和五十年代後半の医師の養成数がそのまま推移した場合、医師についての深刻な過剰が予想されるということから、平成七年、その当時としては昭和七十年でございますが、を目途に医師の新規参入を最小限一〇%削減をする必要があるという旨の検討委員会の報告がまとめられているところでございます。もちろん、その際の必要医師数と供給医師数というものについては幾つかの前提を置いて、その上で今申し上げたような結論がまとめられているわけでございます。
 一方、医師の資質ということに関しては、やはり年前の教育とあわせて卒後の臨床研修というものを充実あるいは改善をしていく必要があるのではないかということで、その面につきましては、私どもとしては現在別途検討を進めているところでございます。
#87
○鴨下委員 きょうは医師数と医療費との相関についてを中心に伺いたいと思っているわけですけれども、ある医師数が充足されたところでストップしておかないと、これは良質の医療という点では、必ずしも医師がふえていくというようなことで相反することではないのかもわかりませんけれども、医師数がふえるということは今度医療費を増大させる意味で非常に寄与度の高い要因だろうと考えているわけです。
 これは私のところでちょっと調べてみたのですが、例えば埼玉県と高知県とを比べてみますと、医師数は、対十万にいたしますと、高知県が二百二十九、そして埼玉県が百四です。約半数です。そして、一人当たりの医療費は埼玉県が十二万六千円、そして高知県が二十五万二千円。医師数とそれから医療費の相関関係を見ますと、この赤い傍線のように正の相関があるというふうなことが、これは地域との関係ですから、例えば老人の数だとかさまざまなほかの要因もございますけれども、いずれにしても、医師がふえるということが、ある意味で医療費をふやしていくということにかなりの部分で影響を持っていると思うわけです。
 そういうような段階で、国民医療費を適正規模に抑えるというような意味で、医師数の過剰を招かないように厚生省として所要の措置を講ずる必要があると思うのですが、今の段階でどのようにお考えになり、今現実にどういうようなことを行っているかということをお聞かせいただきたいと思います。
#88
○谷(修)政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、昭和六十一年に、平成七年を目途に医師の新規参入を最小限一〇%削減をするという意見がまとめられております。私どもは、その意見を受けまして、文部省を初めとする関係方面に医学部の定員削減、つまり入学定員の削減ということについて要請をしてまいりました。平成六年度までに国立大学では一〇・五%、私立大学で五・一%ということでございますが、公立大学につきましては削減卒はゼロということでございます。したがって、大学全体では七・七%の入学定員の削減が行われている保ということでございます。
 なお、この問題につきましては、昭和六十一年にまとめられました検討委員会の一〇%削減ということについて、改めてその背景となる要素等を見直しをするための検討委員会を昨年設けたわけでございますけれども、結論といたしましては、やはりその当時決めた医学部の入学定員の一〇%削減ができるよう関係方面に引き続き働きかけをしていく必要があるのではないかということで、今後ともそういう方向で対応してまいりたいと思っております。
#89
○鴨下委員 医療経済学といいますか、医師がふえていくことによって診療報酬等もそれなりには、医師は食べていかなければいけませんし、それからさらに患者さんも医師の周りに集まるというようなことを含めまして、医師がふえればそれなりに医療費も増大するというようなことは、私は真実だろうと思うのです。
 経済学者のアントニオ・ブレンナという人が「医療部門では、サービスの需要を示すのは、消費者ではない。医師である。……例えば、専門家へのレファレンスの回数は、専門診療所の数が増大するにつれて多くなるということが、統計で確かめられている。……診察と処方箋の数も医師の数に比例している。」こういうふうに言っています。
 さらに大津さんという方が「医師は自分自身の労働対象を作り出すことに成功した少数の職種に数えられる。」というようなことを申しておるわけですけれども、これはどういうことかといいますと、お医者さんは一生懸命診察すればそれなりにその周辺の需要を喚起するということにもなりますので、医師がふえればふえるだけ医療費がふえるのだというようなことをさまざまな人が言っているわけです。
 平成四年末の全国の届け出医師数は二十一万九千七百四人で人口十万対の医師数は百七十六・五人に達して、もともと厚生省がおっしゃっていた行政目標の百五十人をもう既に上回って増加しているわけですね。年間に約八千人の医師がこれから出てくるわけですけれども、そういうようなことでいいますと、例えば今医学部の入学の定員を絞っても、六年後まではふえ続けるわけです。そういうようなことを考えてみますと、十年、二十年先を見込んで積極的な対応策をしなければいけないのだろうと私は思います。
 今局長の方から、国立ては一〇・五%、私大では五・一%、そしてトータルで一九九四年で約七・七%の削減が実施されたというようなことで、これはある意味で一律一〇%削減しようじゃないかという目標でやっているわけですけれども、一律というのは、医学部に関していえば、ちょうど農家に対する減反政策と同じようなもので、つまり各大学の施設や教員数はそのままで医学部の入学の定員だけ一〇%減らすということだと、コストとそれから出てくる医者の数というような意味でいいますと、一〇%コスト増のお医者さんが育っているというようなことにもつながるわけで、これは決して効率的な話ではないのだろうと私は思います。ちょうど一〇〇の収穫能力のある農家が九〇の収穫制限をすることによる政策と同じで、元にはさまざまな、例えば医学部でいえば教員等のモラールの低下だとか、私学でいえば経営音圧迫するというような意味合いも出てくる可能性があります。
 そういうようなことからいいますと、行政及び国は、例えば私学に対しましては経営努力、経営能力をさらに発揮させるために頑張りなさいというのが、言ってみれば役目なのだろうと私は思いますけれども、私大で例えば五・何%、究極的には一〇%削減しなさいということになると、百人の定員で十人の医学部の学生がとれなくなるわけですね。そういうようなことで経営が逼迫していって、最終的には私学の経営にもさまざまな悪影響を与えかねないということにもつながると思います。今全体的な政治の流れとしては、官から民へ、それから規制を緩和して民間がどれだけ活力を持って働きやすいよう、動きやすいようにしていくかというのが、言ってみれば各行政の役目なんだろうと思いますけれども、こういう民間大学の経営を圧迫するような定員の一律削減というようなことは、私は非常に非効率的なやり方なんだろうなというふうに思うのですが、その辺についての厚生省の御見解を伺いたいと思います。
#90
○谷(修)政府委員 先ほども申しましたように、現在までのところ、国立大学で約一〇%を超え、私立大学ではそうではないわけでございますが、それは全体として見れば、平均としてはそうでございますが、既に御承知かと思いますが私立大学の中でも、各大学ごとに見ますと、一〇%を超える入学定員の削減をしたところと、全然まだそういうことには手をつけていないというところもあるわけでございます。
 そういう意味で、今先生もお触れになりましたように、やはりいずれにしても、この問題は、大学内部あるいは大学関係者の合意が得られなければ実施ができないものでございますので、そういう意味で、それぞれの大学の内部で、あるいは関係者の中での合意形成が図られていくということが、今後この問題を進める上でも必要なことだというふうに認識をしております。
#91
○鴨下委員 局長おっしゃるように、こういう問題というのは、かなり個別、それぞれの大学の事情で特殊な部分というのがあるんだろうと思いますけれども、そういう中で、今一律一〇%カットしようよというその発想そのものが私は問題なんだろうと思います。
 むしろ、例えばまず設立当時の目的だとかなんかに照らして、今既に目的を達したような大学がないだろうか、もしくは、ある程度そういうような目的をかなえて、さらに発展的に違う形に大学を変えていく必要がある大学がないだろうか、この辺のことについて少し考えてみなければいけないんだろうと思います。そのことを考えずに、全体的にそれぞれの大学で一〇%もしくは七・七%削減しようじゃないか、こういうような発想は極めてお役所的であって、むしろ全体の医学教育そのものを妨げかねないようなことで、私は強く懸念しているわけです。
 その中で、例えば設立当時の目的や使命を既にある程度達成したと思われるような大学もしくは大学院というようなものがあるんではないかというようなことから、ちょっとお伺いしたいと思います。
 例えば自治医大、防衛医大、産業医大というような三大学のそれぞれの建学の当時の目的と、それから、ちょうど設立してから約二十年たっているわけですけれども、その中でどれほど目的が達成できているのか、もしくは今の社会的状況における実態についてお伺いしたいと思います。
#92
○河野説明員 自治医科大学でございますけれども、この大学は昭和四十七年に、深刻な医師不足に悩みます僻地等の医療の確保あるいは向上、さらには住民の福祉の増進といったことを目的といたしまして、全国の都道府県によりまして共同設立されたものでございます。
 入学者数は、一学年約百名でございますけれども、現在までに第十八期生までが卒業いたしております。自治医科大学の卒業生は、卒業後一定の期間、僻地等で勤務することをいわば義務づけられておりまして、多くの卒業生が僻地等の医療に従事をいたしておりますことによって、大学の設立の目的でございます僻地等の医療の確保あるいは住民福祉の増進といったことに大きく寄与してまいっておるものと考えております。
 また、現在におきましては、先ほど来御指摘ございますように、全国的に見れば医師の数は充足をされてまいっておると承知をいたしておりますけれども、依然として医師の地域的偏在の問題が残っておるわけでございまして、特に僻地等におきましては、医師の確保が依然として困難な状況があるわけでございます。したがいまして、僻地の医療を担います総合医の養成を行っております自治医科大学の役割につきましては、なお今後とも大きいものがあるというふうに存じておる次第でございます。
#93
○遠藤説明員 防衛医大についてでございますけれども、その設立目的は、自衛隊医療の特性とニーズに応じた識見、能力を有する、医師である幹部自衛官となるべき者を養成するとともに、臨床についての教育訓練を行うということで、その後医学研究科がつけ加えられましたので、自衛隊医官に対して自衛隊の任務遂行に必要な医学についての高度の理論、応用についての知識とこれらに関する研究能力を修得させることを目的につけ加えているところでございます。
 結果といたしまして、現在七百四十七名の自衛隊の医療を担うべき医官が活躍をしていただいているということで、その設立目的を十分今後とも果たしていくものと考えております。
#94
○岩崎説明員 お答え申し上げます。
 私どもの所管しております産業医科大学につきましては、職場における働く方々の健康の確保、増進の重要性が高まる中で、昭和五十三年に、労働環境と健康に関します医学の教育を重点に行うことにより、すぐれた産業医等の確保に資することを目的として設立されたものでございます。現在まで、十一期、千四十三名の卒業生が出ております。
 現在、特にいろいろ過労死等の問題が言われておりますように、職場におきまして成人病等の基礎疾患を有する方々がふえているという状況の中で、労働者の健康を確保するために、職場におきます予防医学を職務とします産業医につきましては、今後とも果たすべき役割は重要であるというふうに考えておるところでございます。
 以上でございます。
#95
○鴨下委員 まず、自治医大のお答えについてのことなんですが、無医地区というのが、半径四キロ区域内で人口五十人以上の、医療機関がゼロのところということだそうですけれども、七一年には二千四百七十三カ所が八九年には千八十八カ所。それから、ある意味で交通のアクセスもよくなり、患者の需要も変化しています。病気のときには、設備の整わない診療所より最寄りの病院へ自分の自動車で飛んでいく、そういうようなことで、救急医療体制の広域医療圏がしっかりしていれば、医療上の僻地というのは非常に減少しているというふうに私は考えているわけですね。
 それから、防衛医大に関しましては、医学生一人の六年間にかかる費用が約四千万、そしてそれに関して、千六百万を払えば除隊してもペナルティーなしというようなことも聞いています。
 それから、産業医大に関しましては、卒業生のうちに産業医についているのが一八・九%、これは総務庁の行政監察局の行政監察で判明しているわけですし、それから実際に、産業医の選任状況に関しましては、産業医大を卒業した専門の産業医の就業卒の低さに比べて、実際には全国で八五・七%が産業医を持っている、しかも医師会だとか何かが養成をして、そういう方々が産業医として従事しているというような現実を考えますと、私は、建学の当時、二十年前の使命というのはある意味で果たしつつあるのかな、こういうようなことを強く感じているわけでございます。
 引き続きちょっと伺いたいのですが、それぞれ各省庁が医大を設立するためには膨大な予算をつぎ込んできたわけです。例えば自治医大に関しましては、各都道府県からも拠出金を集めて運営しているというようなことですが、一体それぞれ自治医大、防衛医大、それから産業医大で医師を一人つくるのにいかほどの予算が大体がかるのか、平成七年度の各大学の総予算から計算してお答えいただきたいと思います。
#96
○河野説明員 ちょっと医師一人当たりということで計算をしてまいっておりませんけれども、自治医科大学の学校法人としての総予算は四百八十七億円余りでございますけれども、このうち附属病院等を除きました大学会計の予算は百三十五億円余りとなっております。この内訳は、主として学生納付金等のほか、都道府県の負担金によって賄っておるところでございます。
 自治医科大学の在学生六百名程度、六学年でございますので、この総額を総定員で除して得た数字がおおむね医師一人の養成にかかる数字ということになろうかと存じます。
#97
○遠藤説明員 防衛医科大学校に関します平成七年度予算は二百二億九千六百万円となっているところでございまして、このうち病院等の運営に要する経費を除きまして償還金の額を計算するということで、一人当たり四千万円余となっているところでございます。
#98
○岩崎説明員 産業医科大学につきましては、産業医科大学の運営費に要する額でございますけれども、約七十七億になっております。
 以上でございます。
#99
○鴨下委員 きょうはその三大学を責めるという目的で話をしているわけではないわけですけれども、医師をどういうふうに合理的に削減し、適正な定員といいますか医師数で国民に良質な医療を、さらに過重な負担をかけないためにどうするのか、こういう目的で一つの問題提起的に自治医大、防衛医大、それから産業医大についての運営についていろいろと伺ったわけですけれども、いずれにしましても、医師過剰時代を迎えて、いわば今例示しました三大学というのは目的型の大学でございましたので、そういう大学のあり方について私は自分なりの考え方を述べさせていただきたいと思います。
 この三大学は、ある意味で職能教育を必要としているというようなことで設立されているわけですけれども、六年間の医師養成教育が必要であるかというようなことについては疑問を持っています。
 具体的に言いますと、医学部に十八歳、十九歳で入学して、そして六年間の医学教育を受けるというようなことを果たしてこの三大学が担当するべきかどうかということであります。私はむしろ、この三医大は併設病院、立派な病院があるわけです、それから、大学院機能をきちんとさせたというようなことで、よりスペシャリストを養成するような形に変化させていった方が合理的ではないのだろうか。そのために医学部の学生たちは少し減るわけですけれども、その分はほかの大学から出てきた余剰の医師をうまく三大学の大学院ないしは研修病院の中に吸収していく、こういうような観点で考えた方が、一律一〇%カットして各私大に経営的な負担をかけたり、さまざまな大学に人事だとか何かの面でのあつれきを及ぼすより、そういうような形の方が全体の医師の供給体制という意味では合理的ではないのだろうか、こういうふうに考えているわけです。
 例えばその中でも、防衛医大もしくは自治医大なんかのお医者さんは一般の医師よりも待遇がよくないというようなこともあるかもわかりませんけれども、その分は医学部の負担を減らした分だけを上乗せして研修だとか大学院の教育に充てるというようなことで、十分にある意味で待遇改善もできるのではないか。こういうようなことでいいますと、いろいろな工夫ができて、しかも医学部に入ってくるというようなことでいうと、医学部の学生そのものの制限ということでもかなり合理的な、効果的な問題ではないのか、こういうふうに思うわけです。
 結論的に申しますと、医師の養成は他の一般大学に任せ、意識の高い者、きちんとしたモチベーションを持っている人に特別な技能を養成するもしくは特別な技能を教育するというような目的でその三大学は大学院大学へ移行した方が、日本にとっても、もしくはこの三大学にとってもよい方向ではないのだろうか、こういうようなことを提案したいと思います。
 とにかく、超高齢化社会に向けて医療費はますます膨張して、果たして国民がこの医療費を支え切れるのかどうかということは大変な不安もしくは危惧を我々は持っているわけですし、厚生行政の中でも重要な問題だろうと思います。特に、質を落とさない、良質な医療サービスを確保した上で国民に過重な負担をかけないということは、厚生省にとっての最大の使命だろうと思います。
 そういう点で厚生大臣に最後にお伺いしたいと思うのですが、医師を削減するというのは、さまざま、いろいろな大学が努力をしてきてそれぞれの大学をつくってきたわけですから、どの大学でもやはり教育をしてきちんとした医者を育てようというようなことで、皆さん熱意を持って教員の方々はやっているわけでございますけれども、その中でどの大学がいかぬ、どの大学がいいとかということはなかなか難しいのだろうと思いますけれども、そういう中でも先ほど申し上げたように、医師がふえればやはり医療費はふえるのです。それで、それは必ずしも有効な医療サービス、良質な医療サービスのためではないこともあるわけですから、そうすると適正な医師数をどう確保するか、それからどう削減するかということで、医学教育とそれから医療というのは、非常に縦割り行政の中で文部省それから厚生省という所管が違うということで難しいこともあると思いますが、厚生大臣御自身が医師数をどう削減し、そしてよりよい医療をどう提供するかということについて、今の三大学の問題を含めて御意見を例えればと思いますが、よろしくお願いいたします。
#100
○井出国務大臣 大変貴重な御意見を興味深く拝聴しておりました。それぞれ管轄が違う省庁にまたがっておるだけに難しい面もございますが、縦割りが大変批判されている現在であります。むしろ、内閣全体で取り組む必要のある大きな課題じゃないかなと考えております。
#101
○鴨下委員 医学教育と適正な医療をどう提供するかというのはもう本当に不可分の問題なわけですので、私はこれからも再三にわたって大臣初め厚生省の方々にお願いしたいと思いますが、医者をつくるということと医療現場で働くということの整合性をどううまくとっていくかというのは、これは縦割り云々の話じゃなくて、国民にとってよりよい医療をどう提供するかという最大の使命の中で、もう一度各省庁の省益を超えてぜひ厚生大臣にリーダーシップをとっていただきたい、このことをお願いいたしまして質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#102
○岩垂委員長 午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十六分開議
#103
○岩垂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。土肥隆一君。
#104
○土肥委員 精神衛生法から精神保健法、そして精神保健及び精神障害者福祉法というのが出てまいりまして、私はやはり、待望久しいこの精神障害者への福祉事業が本格的に始まったという意味で大変喜んでおります。しかし、なお精神を病む患者さんのことを思うときに、単に喜んでおられない、次のステップを考えなければならない、そういうふうに思います。
 どうも日本の精神保健、外国のことをよく知らないのでありますけれども、絶えず福祉というのは社会復帰事業、こういうふうに読んでくるわけです。例えば身障者であれば、あるいは精神薄弱者であればそれぞれ福祉法を持っておりまして、福祉施設をきっちり持っておるわけですが、精神障害者の場合はいつも、精神障害者といいながらその裏にある福祉的施策は社会復帰事業ということになります。つまり、精神病というのは常に、その病を背負った障害者、そして医療抜きでは考えられない、福祉単独では包み切れないというふうにおっしゃるんだろうと、また考えているんだろうというように思うのであります。
 しかし、私は若干精神病の患者さんと接しておりまして、いつも自分のセルフコントロールというか自分の病をコントロールしながら一生懸命生きていらっしゃる。そうした中でどうもやはり落ちつかない、いつも何か社会復帰だあるいは自立だというふうな声が絶えず寄せられておりまして、患者さんも頑張っているんですけれども、頑張るということ自体が一種の圧迫を、あるいはストレスを与えるわけでございます。
 今後も複雑な社会状況の中でいろんな精神を病む患者さんがふえてくる、これはもう明らかでございまして、そういう意味では本格的な精神障害者の福祉というものを考えないと、単なる医療の範疇でやりますとやはり十分のものを、そして安定したものを提供することができないというふうに思います。
 また、精神保健費などを見ておりますと財政規模が非常に小そうございまして、この範疇で福祉を十分展開しようと思えばやはり予算上もいろいろ問題があるというふうに考えておりまして、今後この法改正を契機にいたしまして、この保健福祉医療、保健福祉と、こうくっついておりますけれども、医療との間にはポツが入って、保健と福祉の間にはまだポツも入ってない、保健福祉、こういう並びで並びますので、やはり私は医療、保健、福祉と、もう少し幅を持って見るような政策をとっていかなければならないんじゃないかというふうに思っております。
 そういう意味も込めまして、今回の法改正について若干の確認をしておきたいと思うのであります。
 精神保健費のお金の出ぐあい、使い方をずっと昭和三十八年度から平成七年度までの五年刻みの資料を私はいただいておるわけでありますけれども、御承知のように、昭和五十年度というのは物すごい勢いで患者さんがふえた時代であります。これは措置入院の関係でございまして、そして病院は大混雑ということでございます。医療費も大変な額を刻んだわけであります。
 しかし、その中身が、だんだん反省とともに、一体膨大な入院患者さんをどうするのか、措置入院をどうするのかというようなことが問題になったようでありまして、そのころから社会復帰施設というようなものが考えられてきた。けれども、極めて少ない額でございます。そして、それから十年後、昭和六十年度に入りまして、昭和五十九年に例の宇都宮病院事件なども起きまして、精神病院の実態調査なども行われたようでございまして、昭和六十二年の精神保健法へと変わってまいりまして、そこから一挙に社会復帰関係の予算もふえていくということになります。
 一つお聞きしておきたいのですが、昭和五十年度をピークにいたしまして措置入院の患者さんが激減していくわけです。それに伴って国庫負担も減っていくわけでありますけれども、ここでやはりどうしても聞いておかなきゃならないのは、措置入院に対する医療上の政策的な大変更があったというふうに思うのでありますが、それをかいつまんでお述べいただきたいと思います。
#105
○松村政府委員 措置入院患者の数でございますが、昭和四十六年には七万六千七百名でございましたが、年々減少してまいりまして、平成六年には六千四百人、こういう数字になってございます。
 この理由といたしまして私どもが考えておりますのは、近年の精神科医療の進歩であるとか地域精神保健体制の整備に伴いまして、精神障害者の早期受診あるいは症状の再発防止が促進されたということがあると思います。こうしたことを通じまして、自傷他害というような措置の症状を呈するに至らない精神障害者の方々が増加してきた、こういうことも減少の要因となっているのではないかと考えております。
 また一方で、措置入院と申しますものは御本人や御家族の意思にかかわりなく行われる入院の形態でございまして、人権擁護の考え方が普及をしてきたというようなこともございまして、措置入院の決定であるとか措置の解除が適正に行われるようになってきたもの、こういったことが原因で措置入院患者が減少を見ておる、このように考えております。
#106
○土肥委員 それは結構なんですけれども、そうすると急速に措置患者さんが減っていく。ではどこに行ったらいいんだろうという話になるわけでございまして、そのときにたちどころに、本当を言えばまさに第一の受け皿は社会復帰施設でありますし、あるいはさまざまなデイケアサービスだというふうに思うのでありますが、そこが追いついていないということでございます。
 これは厚生省の資料を見ましても、社会復帰施設は絶対量が不足しているということを正直におっしゃっておるわけでありまして、そういう医療政策の大きな変更に見合った形で社会復帰施設が用意されなかったということを考えますと、やはり今後このおくれを取り戻すというか、もっと積極的にお金も使っていかなければならない、積極的な社会復帰事業を展開していかなければならないというふうに思うのであります。
 そういういわば出おくれた社会福祉、精神病患者さんに対する出おくれた社会福祉政策の中で、ことし平成七年度から保険優先化という、保険から治療費を払ってもらおうということの合意を得たわけでございまして、資料によりますと、国レベルで精神で七十一億円、結核で七十六億円が浮いたということになるわけです。そして、その七十一億円のうち四十億円を今度の平成七年度の社会復帰対策事業費及び施設整備事業費に上乗せいたしまして、合計二百五十四億円の予算が組めた、四十億円増、一一八・七%の増だというわけでございます。
 私は、精神保健費でお金が浮いたというのはいいことだと思うのですね。私の希望を言えば、そっくり七十一億円、社会復帰費に回してほしい、それくらいしないと追いつかない。四十億円というようなお金は、施設が今土地代も含めれば二十億ぐらいかかる、特養一つ建てれば二十億ぐらいかかるわけでありまして、二戸分というような程度の額でございますけれども、私は社会復帰関係でいえば画期的な額だというふうに思うのであります。それを上乗せなさるのは大変結構でございます。
 しかし、ことしは保険優先化のお土産として大蔵も七十一億円みんな使っていいよ、こう言ってくれたのでしょうが、来年度からはどうなるのでしょうか。一体、四十億円ごとし積み上げることができた、そのペースで八年度、九年度、十年度といくのでしょうか。その辺のもくろみを局長、御答弁いただきたいと思います。
#107
○松村政府委員 平成七年度の精神保健福祉関係予算につきましては、社会復帰施設あるいはグループホーム、小規模作業所、通院患者リハビリテーション事業の整備を積極的に進めますとともに、新たに都道府県及び市町村が地域の実情に即した各種の事業を実施するための地域精神保健対策促進事業、さらにはまた精神科の救急医療システム体制の整備、また精神障害者のための手帳の交付事業等を行うことによりまして、精神障害者に対します保健福祉施策の充実強化を図ることとしたところでございます。この結果、今先生の御指摘のように、平成七年度予算におきます関係予算は前年度に比べて四十億円という、私どもとすれば相当大幅な増を確保したところでございます。
 さて、来年度以降のことについてその見通しということでございますが、現在この時点で申し上げられることは、法律も改正されるならば、そういったものを基礎にして、私ども、これまで以上に一生懸命予算の確保に努力をしてまいりたいと思います。しかし、予算の確保のことにつきましては、毎年のいろいろ事情等もございますので、現在は私ども、御指摘のような点も十分に考えまして一生懸命努力する、こういうことを申し上げたいと思います。
#108
○土肥委員 局長としてはそういうことだろうと思いますが、一一八・七%というのはゴチックで印刷してあるのですね。やはり一一五%ぐらいは我々も頑張らなきゃいけないと思いますが、それくらいの気持ちで頑張っていただきたいと思うのであります。
 社会福祉施設関係費を上げようとすると、結局、見通しといいましょうか、目標値というのがないから、何かそのときそのときの状況で施設整備なり事業費を出していくということになるんじゃないかなと思うのです。もちろん、精神障害者の皆さんは百八万人、今厚生省の数字で出ております。これはもう相当な患者さんの数でございまして、目標がないと言ったらうそでありまして、百八万の患者さんがいるんだというのが大目標でございます。その人たちにいろいろな施設や事業の援助をしたい、サービスを提供したいと思っても、やはり整備目標というものがないといけないんじゃないでしょうか。
 例えば、社会福祉施設などはどんどん民間も手を挙げるのですけれども、精神障害関係はなかなか施設整備も難しい。援護寮などを持ってくるとすれば地域のいろいろな反対もあったりして難しいわけでありますけれども、やはり厚生省としても、国としても、患者さんの団体なり地域の皆さんが手を挙げたい、そういう意欲を持ってもらうような、あるいは手を挙げた人にはお金をつけますよというのじゃなくて、もっと積極的な働きかけもしなきゃならない。
 そういう中で、積極性を出すためには、百八万の患者さんがおり、そしてそれにはどういう社会復帰関係の施設が必要かというような目標値を出さないと、あるいはどの程度のボリュームのものが必要かということを出さないと、これはやはり大蔵に対しても説得力ある説明はできないわけでございまして、その辺で、そろそろ手挙げ方式から、目標値を決めて整備目標をお進めになったらどうかというふうに思うのでありますが、その点どうですか。
#109
○松村政府委員 昭和六十二年の精神保健法の成立以来、精神障害者の方々の社会復帰の促進を精神保健対策の最重点課題の一つとして位置づけまして、今申し上げました昭和六十二年の制度創設以来平成六年度までに全国で二百四十五カ所の整備を行ったところでございます。
 しかしながら、今先生御指摘の、具体的な数値目標を入れた計画を立てるべきだ、こういう御指摘でございますが、社会復帰施設の必要数につきまして現時点で具体的な数字を示すことはなかなか難しいというふうに考えられまして、こうした点も含めまして、昨年九月に厚生省内に設置をいたしました障害者保健福祉施策推進本部におきまして、障害者施策のあり方について幅広い観点から検討を行っておるところでございます。
 そういう検討の途中にあるということをひとつ御理解いただきたいわけでありますが、いずれにいたしましても、私どもも、社会復帰施設が現在必ずしも十分に整備されているとは言えない、そういう状態にあるという認識では同じでございまして、今後ともその積極的整備に一層努めてまいりたいと考えております。
#110
○土肥委員 その社会復帰施設が大幅に伸びない、あるいは伸ばせない理由のもう一つに、つまり福祉という部門についてのやはり共通理解を持っておかなきゃならないのじゃないかというふうに思うのであります。
 冒頭申しましたように、すべて、保健と福祉あるいは医療と保健と福祉が一緒になっているのがこの精神障害者の施策の特徴でございまして、これは学問上、医学上の問題かもしれませんけれども、精神障害者の医療と福祉というものは本当に全く一体でなきゃならないのか。
 もちろん精神科の先生のケアも受けながら独立した福祉の分野で生活していっていいわけでありまして、患者さんにとってはそんな不便はない。例えば、精神薄弱者が精神薄弱者福祉法に基づく福祉施設に入ったからといって従前かかっておりました精神科の先生との縁が切れるわけでもないわけでありまして、そういう意味で、この保健と福祉、あるいは医療と福祉が分からがたく、これはもう百八万人全部そうなんだというふうな概念でいきますとやはり医療の範疇でやるわけでありまして、医療費というような範疇でこれをやっていくということは、これはおのずから限界があると私は思うのであります。
 したがって、精神障害者にはいつも医療の目を離すことはできないけれども、しかしそれはいろいろな程度の人がいらっしゃるわけで、まさに精神病院を出て社会にいらっしゃる方は二十四時間医者のケアを受けているわけじゃございません。そういう意味で、理論的に医療と福祉を分離する、そして医療は精神病院あるいは精神病外来で受けていただいて、あとは生活の面については福祉で囲むということは理論上できないことでしょうか。その辺の見解をお聞きしたいと思います。
#111
○松村政府委員 精神障害者の方々は、精神疾患を現に有する患者さんであるとともに、また精神障害を持っておられる障害者という面もあるわけでございまして、医療と福祉というものは非常に密接に関連をしておる、こんなふうに考えております。
 ただ、医療と福祉ということは、文字どおり医療は医療という面もありますし、福祉はまだその福祉特有な面があるということで、それが全く密接不可分であるとは考えませんが、密接であることはそのとおりではないかと思っております。
 そういうことで、現在の精神保健法、昭和六十二年に改正された精神保健法におきましても、既に社会復帰施設など福祉的な施策を実質的に含んでおるわけでございます。これを別法に切り離すよりも、医療と福祉の二本の柱から成る保健福祉法をつくりまして総合的に施策を推進していこう、こういう考えのもとに今回この法案を提出したところであります。
#112
○土肥委員 これはまた少し議論をしなきゃいけない問題だと思います。
 それじゃ、もう一つ提案したいのですが、この社会復帰という言い方、これはもう変えたらどうかと思うのですね。あなた今おるところは正常な位置じゃないのよ、正常な居場所は社会ですよ、早く社会へ行きなさい、自立しなさい、こういう言い方で、社会復帰施策というのは一種の中間施設、通過点みたいな非常に落ちつかない部分、そういうサービスじゃないか。
 もちろんいろいろと工夫していらっしゃいまして、生活援助などもしていらっしゃるわけですから、地域生活援助事業などもあるわけでありますから、それはそれで法律上もちゃんとうたわれているという意味では歓迎するのですが、そういう気がいたしまして、やはり社会復帰というのはどうもいただけない。あんな恐ろしい社会に、ひっくり返せば会社ですね、あの会社に、あの厚生省に帰らなければいけないのですかと言われれば、これはちょっと無理だというふうに思うのですね。そういう言い方からすれば、何かやはり社会復帰施設あるいは関連施策というのはいただけない。名前を変えてみる気はありませんか。
#113
○松村政府委員 現在私ども実施しております精神障害者の社会復帰対策につきましては、精神障害者の方々の中で、何らかの支援策を講ずれば地域社会で自立して生活を営める、そういう能力が見出せる方々に対してさまざまな支援を行って、いわゆる福祉の目的でございます自立と社会参加、こういうことができるようなそういう状況をつくり出していきたい、こういうふうに考えているところでございます。
 したがって、今ちょっと委員の御指摘のような、社会復帰が困難な方々、あるいは大変ヘジテートされておられるような方々に、ちょっと言葉はいかがかと思いますが社会復帰を強制するというようなものではなく、進んで自立をされて社会に参加をされていく、こういうことではないかと考えております。
 それで、福祉の考え方というか、意味を変えるつもりはないかという御質問でございますが、これは非常に大きな問題でございまして、私がその答弁を申し上げるにふさわしいかどうかわかりませんが、私どもとすれば、この福祉ということが特に精神障害者の場合は緒についたばかりでございますから、こういった方向で努力をしてまいりたいと考えています。
#114
○土肥委員 やっぱり課題が大きいですね。もう少し名前も中身もゆったりとしたものじゃない限り、精神色病む患者さんが回復しょうがないわけでありまして、ぜひともそういう配慮をお願いしたい、今後も考えていきたい、このように思います。
 最後に、時間をちょっと短縮しますので、精神病院のあり方についてお尋ねしようと思うのです。
 依然として、精神病院で入院していらっしやる患者さんの処遇が本当に患者本位になっていないということを私は目の当たりにしているわけでございまして、いろいろな、精神保健法、今回は法の名前が変わりますけれども、ありとあらゆる、監督やあるいは調査やあるいは管理だとかいう言葉が出てくるわけでありますが、どうも先へ進まない、そして都道府県もなかなか踏み込んだ指導ができていない、厚生省もできていないんじゃないか、こういうふうに思うわけですが、最後に、どうしたら精神病院のあり方が本当に患者本位に変わっていくんだろうかということで、ちょっと当局の御意見を聞いておきたいと思います。
#115
○松村政府委員 入院患者さんの人権の確保につきましては、昭和六十二年の法改正によりまして精神医療審査会あるいは精神保健指定医の制度を設けるとともに、精神病院におきます入院患者の処遇の基準等を定めまして、また退院等の請求、あるいは定期病状報告の審査の制度などを設けたところでございます。
 また、今回の改正。ではさらに、医療保護入院等を行います精神病院につきましては、精神保健指定医の必置化を図る、必ず置いていただく、こういうことを改正に盛り込むなど、適正な医療と人権の擁護、確保の徹底を図ることとしているところでございます。
 こうした制度が設けられまして以来、精神病院の状況と申しますものは少なからず改善した部分もあると考えておるわけでございますが、御指摘のように、まことに残念ながら、現在においてもなおごく一部には、入院患者の処遇について、精神医療に対する国民の信頼を損ねることにもなりかねない問題が生じておることもまた事実でございます。このようなケースにつきましては、患者の人権を尊重して適切な医療を行うといった点について、病院管理者としての基本的な自覚に欠ける面がある場合もございます。
 今後とも、入院患者の人権の確保を図るために、精神病院の管理者の方々、あるいは精神医療の従事者の方々にもその趣旨の徹底が図られまして、新しい制度の一層の適正な運用が図られますよう、直接この制度の運用を行います都道府県あるいは精神病院、精神保健指定医等に対しまして、厳正な指導を行ってまいりたいと考えております。
#116
○土肥委員 終わります。ありがとうございました。
#117
○岩垂委員長 枝野幸男君。
#118
○枝野委員 さきがけの枝野でございます。通告をいたしました順番と違いますが、通告をいたしました後の方の話から、重要な問題だと思いますので。
 今回の精神保健法の改正に関連をいたしまして、精神障害者の皆さんの人権という観点から、若干の質問をさせていただきたいと思います。
 まず、そもそも確認的な質問といたしまして、現状、この改正法のもとで患者さんの御本人の同意なく入院をさせる制度について、特にその人権保障とのかかわりを中心にして概略を簡単に御説明いただけますか。
#119
○松村政府委員 精神保健法に基づきます入院形態につきましては、患者本人の同意に基づきます任意入院が原則でございますが、本人の同意を得ずして行います入院形態といたしましては、次のような入院形態がございます。
 まず措置入院についてでございますが、これは都道府県知事の権限で行われます強制的な入院でございます。これは、都道府県知事が指定をいたします二名以上の精神保健指定医の診察の結果、医療及び保護のために入院をさせなければその精神障害のために自身を傷つけまたは他人に害を及ぼすおそれがあると認められる場合に行われるものでございます。
 次に、医療保護入院という制度がございますが、これは医療及び保護のため入院が必要である精神障害者に対して行われる入院でございまして、精神保健指定医の診断及び保護者の同意を要件とするものであります。
 第三に、応急入院についてでございますが、これは、急速を要しまして、急いで対処しなければならない、急速を要し、保護者の同意を得ることができない場合におきまして、七十二時間以内に限って行われる入院でございます。精神保健指定医の診察の結果、直ちに入院させなければ医療及び保護を図る上で著しく支障があると認められる精神障害者に対して行われるものでございます。
#120
○枝野委員 私は人権とのかかわりでということでお尋ねをしましたので、できれば、本人の意に反して、そして本人が不服を言いたいときにどういうことになるのかというようなことをお話をしていただきたかったのですが、時間もありませんので、先へ進んで、その段階で改めてお尋ねしますが、いずれにしても、今の、特に措置入院、それから医療保護入院をさせる場合というのには、指定医の方の判断というのが非常に大きなポイントになってくる。
 今回の改正法の中で、指定医の研修について、十九条で「やむを得ない理由が存すると厚生大臣が認めたとき」を除き、研修を受けなければ指定医の指定を取り消されるということになっております。この「やむを得ない理由」というのが余り幅広くては困るわけですが、どういったことを想定しているのかをお答えください。
#121
○松村政府委員 今回の法改正におきまして、五年ごとの研修を受けなかった場合に、やむを得ない理由がある場合を除き、その指定は効力を失うということといたしまして、研修の受講を促進しょう、こういう考えでございます。
 この研修は年六回程度開催されておりますが、やむを得ない場合というものは、例えば病気で療養中であるとかあるいは長期の海外出張などで研修を受けられないということが本当にやむを得ないと考えられる場合にこれを認める、こういう考えでございます。
#122
○枝野委員 今のような場合であればまさに妥当だと思いますが、ここのところを緩やかにしてしまったらこの条文をつくった意味がありませんので、そのあたりのところの判断というものは厳格にやっていただきたいとお願いを申し上げます。
 それでは、この指定医の研修でございますが、初めに指定を受ける段階と五年ごとにやっていくということになりますが、最初に指定を受ける段階の研修と五年ごとの研修というのは内容は違うのでしょうか、一緒なんでしょうか。
#123
○松村政府委員 五年ごとの研修でございまして、その時点その時点での重要な情報を研修していただくということでございまして、新しくなられる方も、またこれまで指定医であった方も同じ研修を受けていただくことになっております。
#124
○枝野委員 それでは、その研修の内容についてお聞かせいただきたいのですが、どういった目的意識で研修を行っているのでありましょうか。特に、患者さんの身柄を拘束するという側面がある認定をされるわけでございますから、人権意識あるいは憲法の知識等についての研修をきちんとしていただかないと困ると思います。そのあたりのところをどの程度全体のカリキュラムの中でなさっているのかということをお教えください。
#125
○松村政府委員 研修のカリキュラムのお尋ねでございますが、現在行っております研修の内容は、精神保健法及び精神保健行政の概論、医療と法、人権と法などにつきまして七時間、それから、最近の精神医学の動向及び地域精神保健につきまして三時間、さらに事例研究が四時間、こういうことで、合計十四時間でございます。
 また、特に人権に関する講義でございますが、これは人権問題にお詳しい法学関係の方や弁護士さん等を講師に迎えまして、法律家としてのお立場から精神医療を論じていただき、精神障害者の人権に対する理解を深められるようにしておるところでございます。
#126
○枝野委員 もちろんお医者様でございますし、お医者様としての専門的な知識として間違いのない診断をしていただくということは大変重要でございますが、それと同時に、特に医療保護入院につきましてはお医者さんの判断というのが、保護者の同意というものが入りますが事実上非常に重要な意味を持つ。しかも、それは本人の意に反して身柄を拘束するということがございますが、そこで間違いがあってはとんでもないことになってしまう。
 その人権意識、これは私も弁護士でございますが、法律を勉強している人間であっても人権意識というのは、相当時間をかけてさまざまな深いところから勉強して初めて身についてくるものであるというふうに思っております。そういった意味では、そこまでのことを要求することはできませんが、こういった点というのを重視をしていただく、さらに充実をさせていっていただくということをぜひお願いを申し上げます。
 さてそこで、医療保護入院あるいは措置入院に関しまして、本人あるいはその家族等が、その措置はおかしいのじゃないか、例えば医療保護入院をさせること、それから措置入院をさせるという処分、これに対して患者本人が異議を申し立てる、あるいは家族が異議を申し立てるという手続はどういった手続になりますでしょうか。
#127
○松村政府委員 都道府県には精神保健法に基づきまして、独立の第三者機関といたしまして精神医療審査会が設置をされております。精神保健法第三十八条の四に基づきまして、精神病院に入院中の方あるいはその保護者の方は、都道府県知事に対しまして退院等の命令を求めることができます。この場合には精神医療審査会による審査を受けることになろうかと思います。
#128
○枝野委員 そこで、例えばこういった場合に患者さん御本人がそういった法的な手続をとるというのは、なかなか現実問題としては困難であろうと思います。そして、現実問題として、かつての問題はともかくとして、今後そもそも患者さんの人権がこういった措置等で侵害。をされること自体あってはいけないと思いますし、ないために努力をしていただいているという認識をいたしておりますが、制度というものは万が一の場合というものを予期してつくっておかなければならない、予定をしておかなければならないというふうに思っております。
 そうした観点から、御本人はなかなか事実上、何か不服があっても異議はやりにくいだろう。そうした中で家族、保護者が申し立てをする、これもいろいろな家族がございますから、必ずしも家族が本人の意を、本人の状況を見てこれはおかしいのじゃないかとなかなか不服を言いにくい、あるいは言っていただけないような状況というのは決してないとは言えないだろう。
 そうした中で、例えば第三者が後見的な立場から、見地から、いや、あそこでやっているあの措置入院はおかしいのじゃないか、あるいはあそこでやっている医療保護入院の中でのあの処遇はおかしいのじゃないかというようなことを言える窓口といいますか、言える手段というのをつくっておく必要があるのではないだろうか。
 もちろんさまざまな検討が要ると思います。だれにやらせるかという問題があると思います。例えば、私は弁護士という立場から言わせていただければ、各地の単位弁護士会に人権擁護委員会というものがございます。そういったところにそういった責任、何かあったときにはあなたが責任を持って患者さんに成りかわってそうした申し立てをしなさいというような責任を負わせてもいいのじゃないかなと思っておるのですが、それは厚生省限りではできることではありませんし、時間をかけて検討していただくことだと思うのです。
 患者さんあるいは事実上その家族等だけが当事者になるという制度をさらに充実をさせるということで、万が一ということがあってはいけませんが、万が一というときでもちゃんと制度としては人権保障がされるのですよという仕組みをさらに充実させるというようなことはいかがでございましょうか。
#129
○松村政府委員 現在のところ、退院の請求ができるのは御本人それから保護者あるいはまた御本人の委託を受けた代理の方ができることになっておりまして、全くの第三者が退院等の請求はできない、こういうことになっております。
 それから、措置入院につきましては、これは都道府県知事が行います行政処分でございまして、その取り消し等につきましては裁判所に訴えを提起することができますが、これも患者本人あるいは保護者など利害関係人に限って行えるものでございまして、これらの方から当該の請求が委任された代理の方であればこれを行うことができることになっておりますが、全くの第三者が訴えを出すということについてはなかなか難しいのではないかな、このように考えております。
 いずれにいたしましても、精神医療審査会というものは独立した第三者機関でございまして、定期病状報告でありますとか、あるいは患者御本人の人権に配慮した適正な医療が行われるような仕組みはできておる、このように考えておりまして、私どもといたしましては、まずこの仕組みを適正に運用してまいりたい、いろいろな機会を通じて各都道府県も指導いたしまして、せっかくつくっておりますこの第三者機関が有効に機能するように指導をしてまいりたい、こう考えております。
#130
○枝野委員 すぐにできる話だとは思っていませんし、議論のテーマを出させていただいているという意識でございますので、その程度の御回答でやむを得ないのかなと思っております。
 繰り返しになるかもしれませんが、あくまでも仕組みというものは、何かがあったときに、もちろん行政の立場というのはおかしなことがあってはいけない、おかしなことがないように中立、公平、公正な仕組みを行政の内部としてつくっていただいてそれを運用していただくわけですが、人権とかという問題については、これはもう憲法あるいは仕組みそのものが、行政も間違えるかもしれないから最後の最後は司法の場にのっけて公開の法廷で決めましょう、これで人権を守りましょうというのが基本的なスタンスでございます。
 そうしたところにのりやすい仕組みをつくればつくるほど、逆に言えば厚生省あるいは都道府県の行う措置に対する信頼というものが高まってくるという絵になってくるというふうに思っておりますので、そういった視点というものをぜひこれからの政策に少しずつでも組み込んでいっていただければと思います。
 それではもう一点だけお伺いさせていただきます。
 今度の法律で、正式には精神障害者保健福祉手帳という制度ができるということになりますが、これは、法律上のメリットというのはまた別問題として、これからこの手帳を持っている人にはこういった行政上の、あるいは事実上のサービスをしてくださいよ、例えば交通機関の割引とかそういったことをこれからお願いをしていって充実させていくのだろうと思います。
 そして、同様の手帳制度というのは、ハンディキャップを持った方に対する手帳制度、それによって例えば交通機関の割引等のサービスを受けられる手帳というのは、ほかにもさまざまあるというふうに理解をしております。
 さてそこで、これもすぐにできる話だろうとは思いませんが、ハンディキャップを持っている方がこうしたサービスを受けられるという手帳制度をせっかくつくるのであれば、できるだけ共通化をするという方向、外から見る限りは、一見する限りは共通している。ですから、例えば精神障害者の方の手帳なのか、あるいは目の不自由な方の手帳なのか、耳の不自由な方の手帳なのか、さまざまなことはあり得るわけですけれども、とにかく一つの、一見遠くから見ればこの方はハンディキャップを持っていらっしゃるから、そこで何らかのサービスが受けられますよというのは外目でぱっとわかる。ただその具体的な内容については中身をちゃんと見てもらうというような形で、統一ができる範囲はしていただければ、これは例えば教育の場などでも、そういったハンディキャップを持っていらっしゃる方にはこれこれこういうふうな配慮をしましょうよとかそういったこともできると思いますし、あるいは例えば交通機関等でサービスを受けるとか割引を受けるとかなんとかというときに、交通機関の窓口の皆さんがわかりやすい、覚えやすい。
 いろいろな手帳が何種類もあるし、これから福祉を充実させていけばどんどんこの手のものがふえていくだろう。そうした中でそのいろいろな種類、この手帳ではどういうサービスを受けられる、この手帳ではどういう割引をするだなんて、個別に一々駅の窓口のおじさんに覚えてくれとか、そんなものを一々検証してくれだなんというのはこれは酷じゃないかな。
 こういう手帳をせっかくつくるのであれば、できるだけ外から見たところでも様式を統一をする、なおかつ、それによって受けられる直接ではない例えば交通機関等の割引等の仕組みというのも統一をしていくというような視点というのはありませんでしょうか。
#131
○松村政府委員 精神障害者の手帳を今回交付するわけですが、法律上の仕組みといたしましては、この手帳をお持ちになることによりまして、通院医療費の公費負担の事務手続の一部省略とか、あるいは所得税、住民税の障害者控除等もこの手帳に基づいて行われる、こういうことでございます。
 それから今御指摘の、例えば公共交通機関における運賃の割引というような問題でございますが、こういった問題、先発しております身体障害者手帳あるいは療育手帳にはそういったものもあるようでございますが、現在のところ、精神障害者手帳をお持ちになれば自動的にこういったものが同じように受けられる、そういう状況には残念ながらないわけでございます。
 これらの事業は各事業主体にそれぞれ自主的に御協力いただいておるわけでございまして、今後我々といたしましても、精神障害者の手帳の交付を受けられた方々が各事業主体に同様な配慮を行ってもらえるように関係各方面に協力を依頼してまいりたい、このように考えております。
#132
○枝野委員 様式を全部そろえるのがいいことかどうか自体にはいろいろ逆の方向での問題もあるだろうと思っておりますので断定的には言えませんけれども、そういった厚生省内部での組織を超えた、横並びというものをきちんとどこかで検討していただくというような視点はぜひ考えていただければと思います。
 時間が若干残っておりますが、時間が押しておりますので、私の質問は以上にさせていただきます。ありがとうございました。
#133
○岩垂委員長 岩佐恵美君。
#134
○岩佐委員 今回の法改正によって、精神保健法では措置入院及び通院医療、結核予防法では命令入所と適正医療費、これが公費優先から保険優先になるわけですけれども、精神及び結核医療に対する国の責任が後退する、そういうことになるのではありませんか。その点について大臣のお考えを伺いたいと思います。
#135
○松村政府委員 現在、精神及び結核の公費負担医療制度は公費優先という仕組みをとっております。これは、これらの制度が昭和二十年代から三十年代の医療保険制度がまだ脆弱な時期に制度化されたことによりまして、公費優先の仕組みをつくっておかなければ患者さんが確実に医療を受けることを期待することがなかなか困難だというような状態にあったからでございます。
 しかしながら、現在は国民皆保険という制度が定着をしております。また、他の疾病と同じように公的医療保険制度をまずこれらの疾病にも適用いたしまして、その上で、引き続きこれまでと同様に自己負担部分につきましては公費による負担を行うこととしておるわけでございます。
 したがいまして、今回の改正は、公費とそれから医療保険財源との調整方法を改めたものでございまして、精神医療でありますとか結核医療につきまして、御指摘のような公的責任のあり方について変更をしたものではないということをひとつ御理解をいただきたいと思います。
#136
○岩佐委員 確かに、今度の改正では、精神、結核とも医療費の本人負担は削減をされるわけです。しかし、保険優先とすることによって国庫負担が百四十七億円減ります。そのうち、精神保健で社会復帰対策事業費等が十九億円、施設整備事業が二十一億円、計四十億円が増額になっているだけなわけです。国庫負担を削減する、このこと自身、が国の責任の後退ではないか。その点についてはどうでしょうか。
#137
○松村政府委員 国の責任というのはどういうふうに考えるかということでありますが、私どもといたしましては、まず必要な方に必要な医療を確保する、これが国の責任ではないか、このように考えておるわけでございます。
#138
○岩佐委員 結核予防法第三十四条の「一般患者に対する医療」、これは入院を排除していないわけですが、精神保健法の第三十二条では入院を排除しています。今度の改正では「通院医療」と改定をすることになっています。なぜ精神と結核が異なっているのでしょうか。また「通院医療」とする必要があったのでしょうか。その点についてお答えをいただきたいと思います。
#139
○松村政府委員 精神の場合に通院医療を公費負担しておるその理由は何かということだと思いますが、私どもは、精神の場合通院医療を公費負担している、いろいろ理由があるかと思いますが、主なものは、精神障害者の方々がなるべく早く社会復帰を遂げていただきたいということで通院医療を受けやすくする、こういうことで公費負担をしておるものと考えております。
#140
○岩佐委員 しかし、結核の場合、入院したら大部分が公費負担の対象となるわけですが、精神障害者が入院した場合、公費負担医療となるのは措置入院だけですね。入院している方々のうち措置入院の方というのはわずか一・九%にしかすぎないわけですね。ちなみに、精神障害者のうち入院患者は三十三万人、患者の三割を占めるわけです。本人の同意がなく保護者等の同意で入院させる医療保護入院でさえ、こういう方が十万人を超えるわけですけれども、こういう方も公費負担医療となっていないわけです。病院給食の有料化によって患者、家族の負担がいよいよ重くなっているわけです。なぜ公費負担医療となっていないのか。その点が、先ほどの説明もわからないわけではないのですけれども、しかし現実にそれだけの患者さんがおられるわけだし、それだけ実態的に言っても、医療保護入院でさえそういう事態であるというのは解せないわけですね。
 実は、昭和四十年の精神保健法の改正で第三十二条の「一般患者に対する医療」が設けられることになったわけですけれども、当時精神衛生課におられた北村和夫さんが法改正の解説の中で「今回の改正では、通院医療のみに止まり、措置入院以外の入院に関する医療費までは及んでいない。当然近い将来の問題として、その具体化を検討すべきではなかろうか」、こう言っておられるわけであります。一体その点について検討されたのかどうか、伺いたいと思います。
#141
○松村政府委員 四十年代の例を引かれました。それからその当時の考え方をお示しいただいたわけなのですが、当時は精神病院というか、精神病床の不足という形でたくさんの病床がふえた、そういう時代でございました。その当時から見れば、現在保険制度等の充実、それからまた精神障害に対する社会的な考え方の変化、こういうふうなことによりまして今回の保険優先の考えをとっておるところであります。
#142
○岩佐委員 精神保健法第三十二条の「一般患者に対する医療」を通院医療に限定するのではなくて、結核予防法のように入院も含むものとして、医療保護入院や任意入院も対象にすべきだというのは、現在医療費が非常にかさんで患者さんの生活も脅かされている、そういう実態を踏まえて、本当に必要ではなかろうかというふうに私たちは思っています。今度の法改正に当たっても、そういう観点からの修正を提案しているわけでありますけれども、かつて検討すると言っていたものがその後きちっと検討されたのかどうか、検討もされないで今度の改正に至ったということであれば、その点は再度患者の実態というのをきちっと踏まえて対応していかなければいけないというふうに思いますけれども、その点いかがですか。
#143
○松村政府委員 入院医療をしておられる方々をすべて公費負担の対象とすべきではないかというような御意見が前段にございましたので、これについてお答えを申し上げますが、精神保健法に基づきます措置入院制度といいますのは、御承知のとおり自傷他害のおそれのある方を強制的に入院させる制度でございます。この場合に、確実に医療を受けていただくことが何にも増して必要でございますので、こういった方々には公費負担医療を行って自己負担の軽減を図ろう、こういうふうに考えております。
 これに対しまして、医療保護入院の例も挙げられました。また任意入院の例も挙げられましたが、これらは措置入院とは異なりまして自傷他害のおそれはないということで、保護者あるいはまた御本人の同意を得て入院をしていただく制度でございますので、これは他の医療でも大体同じことでございますので、一般の医療と同様に取り扱うことが適当であり、特別な公費負担を行うことは考えていない、こういうことでございます。
 また、昭和四十年代に今後検討をすべきであるということについてまた重ねて御指摘がございましたが、私どもの考えといたしましては、当時から考えてみて、現在は何より精神障害者の方々の自立と社会参加という、社会復帰を図っていただきたい、こういうことがあるわけでございまして、こう言ってはなんですが、限られた予算をこういった方に使うことが今求められていることではないか、このように考えて、まあ四十年代から見れば方向が変わっておるのかもしれませんけれども、現在はそういう考えでこれを進めておるところでございます。
#144
○岩佐委員 入院の必要があるけれども本人の同意が得られない精神障害者に対する入院、これが医療保護入院ですが、こういう人たちの中にも非常に生活が大変というような実態があるわけですね。今も言われたように、限られた財源の中でどうしていくかということが先に立つようなそういう感じがいたします。
 そうではなくて、本当に患者の立場に立って、きちっと対応をされていく必要があるというふうに思います。きちっと入院してケアをされればよくなって退院するという可能性も開けてくる場合だってあるわけですから、お金がなくて我慢をしてしまうとより悪くなってしまうということだってあるわけですから、そういう点で、私は、そのことはしっかりと今後も、お金の問題で言わないで、検討されていくべきだというふうに思いますが、この点のやりとりをしていると先に行かれませんので、ちょっと先に質問を進めたいと思います。
 結核の問題ですが、日本の結核の罹患率の低下が鈍化をしています。二〇三〇年代の結核根絶は難しい状況にあります。今後とも結核対策を強化していくべきだと思います。そのために、具体的に、まず結核病床の確保だとか、あるいは結核診断技術の維持だとか、あるいは結核新薬の開発なとが必要だと思いますけれども、その点についてお考えを伺いたいと思います。
#145
○松村政府委員 結核の根絶に向けて種々の努力をすべきでないか、こういうことでございますが、まず結核病床の確保という問題につきましては、各都道府県の医療計画の中で必要病床数というのが定められることになっております。この必要病床数の標準の算定に当たりましては、今後とも、結核患者数の実態を勘案して、適当な病床数が確保されるようにしてまいりたいと思いますが、現在、結核病床の病床利用率と申しますものほかなり低いレベルにございまして、病床は十分にある、このように考えております。
 それから、結核患者数の減少に伴いまして医療従事者の結核の診断技術等の低下という問題もございます。こういったことにつきましては、医療従事者に対します研修を充実させる必要がございます。このため、結核研究所におきまして医療従事者に対する研修を行っておるところでございまして、また、結核の薬の研究等につきましても、同様に結核研究所において現在研究を続けておるところでございます。こういった努力を続けまして、結核の根絶に向けて努力を傾けてまいりたいと思います。
#146
○岩佐委員 今でも結核の後遺症で苦しんでいる多くの患者さん、特に低肺の患者さんに対する対策の強化が求められております。特に、低肺患者の緊急入院の体制の確立あるいは呼吸器教室の普及あるいは低肺ホームの建設などとあわせて、公費負担医療、更生医療の対象にすべきだ、こういう要求が強いわけでありますけれども、私どもも更生医療の対象にすべきだというふうに思いますが、その点どうでしょうか。
#147
○松村政府委員 低肺機能の方々の問題でございますが、結核はある程度治ったけれども肺の機能が落ちてしまったということで、低肺機能に陥っておられる方々があることもよく理解をしております。そこで、私どもはどういうことで対応をしておるかということでございますが、従来から国立療養所では結核の専門医療をやっておりまして、この国立療養所の中に幾つか基幹施設の整備を行って、その入院に必要な病床の確保を行っているということでございます。
 また、低肺機能の方々に対する御指摘の呼吸指導あるいは呼吸教室というものでございますが、これは、機能が落ちておられる方々に少しでも呼吸機能を回復させ、あるいは生活に適応をしていただくための教室でございますが、これらは結核対策特別促進事業、こういうものを展開しておりまして、各都道府県におきまして地域の実情に応じて取り組んでおられるところでございます。国もこれらの事業に補助金を出しまして、積極活用を呼びかけてまいりたいと考えております。
 それからさらに、施設でございますが、呼吸機能障害を含む身体障害者のための施設として身体障害者更生援護施設等が設けられているところでございますが、現在のところ、私どもの理解をしておる範囲では、更生医療の対象にすることは考えておりません。低肺機能の方々につきましては、今申し上げましたような種々の施策を通じましてこの方々の療養にお力をおかしする、こういう立場でございます。
#148
○岩佐委員 患者さんの期待にこたえられるようにきちんと対応していただきたいというふうに思います。
 また精神保健法に戻りますが、障害者基本法を受けて福祉施策研究会は中間まとめをことし一月十二日に出しました。その中で、精神障害者の福祉の法制上の位置づけについて三つの案、つまり
 一つ目は、精神障害者福祉法を精神保健法とは別個のものとして位置づける、二つ目に、身体障害者福祉法や精神薄弱者福祉法をも統合する形での障害者総合福祉法を目指す、三つ目に、精神保健法を精神保健福祉法に改め、「福祉」の章立てを置く、こういう案が示されているわけです。これらの案については、長所、短所を踏まえつつ十分な検討が必要であるというふうにされていました。
 ところが、吉田精神保健課長は、「精神保健法から精神保健福祉法へ」と題した論文で、精神障害者は、障害を有するとともに、疾患を有する者であることから、医療と福祉との関係は密接不可分である。別法に切り離すよりも、精神保健法に福祉的な施策をさらに強化して、保健福祉法をつくることが適切であると言い切っておられ、本改正案もその内容に沿ったものになっているわけです。
 研究会の報告が三案について十分検討すべきであるというふうにしていたのに対して、法案提出がことしの二月でありますから、十分検討したとは当然言えないわけであります。一体十分検討したと言えるのかどうか、その点確認をしたいと思います。
#149
○松村政府委員 今回の法改正につきまして、障害者基本法及び地域保健法の成立を背景といたしまして、実は平成六年八月十日付で公衆衛生審議会から「当面の精神保健対策について」という意見具申もいただいたところでございます。
 この意見具申の内容に基づきまして、厚生省におきましては、昨年の秋ごろから、精神保健法の改正につきまして、精神医療関係団体あるいは障害者団体等の関係団体の御意見も伺いながら検討を行ってきたところでございます。
 特に、今回の法改正の重点事項でございます精神障害者の福祉対策の今後のあり方につきましては、厚生大臣の指定法人でございます社会復帰促進センターに設置いたしました精神障害者の福祉施策研究会においても並行して御検討をいただいていたところでございまして、私どもといたしますと、関係者の方々の御意見も、どこまでが十分かというとなかなかあれですが、できるだけ私どもは、可能な限り御意見を伺った、このように考えておるところでございます。
#150
○岩佐委員 大臣にちょっと確認をさせていただきたいと思いますけれども、この福祉施策研究会の中間まとめで、「障害者の三区分を超えて障害者総合福祉法を作るという議論は、これまでとかく縦割行政の弊に陥りやすかった現状に対し、先進的な考え方を含むものである。」と評価をしています。障害者団体の中にも、障害者基本法を受けて障害者総合福祉法を制定してほしい、こういう強い要望があるわけであります。こういう制定についてどう考え、どう受けとめておられるのか、大臣のお考えを伺いたいと思います。
#151
○井出国務大臣 身体障害者、精神薄弱者、精神障害者の全体にまたがる統合的な福祉法として障害者総合福祉法を立法したらどうだという御意見のあることは私も承知をしておりますが、障害者施策につきましては、障害種別を超えた基本的事項を定める障害者基本法が一昨年暮れに法律として既に設けられているところでございますし、また、身体障害者、精神薄弱者、精神障害者といった障害の種別や状況に応じて、それぞれきめ細かく対応をしていくことが必要であるという面もあることから、障害者基本法の基本理念のもとに、身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法、このたび御審議いただいております精神保健及び精神障害者福祉に関する法律などのおのおのの法律を、相互に連携を図りながら適切に運用していくことによって、障害者の皆様方の多様なニーズに的確に対応した施策の推進がより可能になるのではないかな、こんなふうに考えておるところでございます。
#152
○岩佐委員 この中間まとめにありますように、総合的なという面も、この法律をして一本にまとめていくというようなそういう点も指摘をされているわけですから、しっかりとそこら辺も見ていただいて検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 精神障害者の手帳の問題です。この必要性については、阪神・淡路大震災の際に証明書を急速発行しなければならなかった、こういうことを見てもはっきりしていると思います。その内容をどうするかについては、顔写真だとか医療機関名、この記載をどうするかとかなど、多くの意見があるというふうに聞いています。福祉施策研究会中間まとめで試案が出されているわけですけれども、精神障害者やその家族の意見を十分今まで聞いてきているのかどうか、その点の確認をしたいと思います。
 そして、今後についても検討を続けていくということでありますけれども、十分精神障害者本人やあるいはその家族の意見を聞くために検討会などが設けられるのかどうか、設けられれば、そういう検討会に本人も加えるべきだと思います。
 また、全体の障害者を統合していく障害者手帳、これは先ほど議論がありましたけれども、そういう要望なども出ています。こういうようなことについてしっかりと御本人やあるいは家族の意見を踏まえて検討されていくというふうに思いますが、その点、再度確認をしたいと思います。
#153
○松村政府委員 現在、身体障害者の方には身体障害者手帳が出されておりますし、精神薄弱者の方には療育手帳というものがあることは御承知のとおりでございます。こういったものと同じように今回私どもが制度を設けようといたしましたこの手帳につきましては、精神障害者の団体からも、同様な手帳を設けて福祉的措置が講じられるようにしてほしいという声がございましたので、これを制度化しようとするものでございます。
 今後の方向という御質問でございますが、今委員の御指摘のように、手帳の様式あるいは手帳の中にどんなことを記載するかというようなことにつきましては、いろいろな御意見があることは存じております。写真をどうしようかとか、いろいろな御意見があることも承知しております。したがいまして、手帳の様式やこの判定基準につきまして、別途検討会を設けて検討を行ってもらうこととしておりますが、ここに関係者を初めといたしまして障害者団体の代表者の参加を得る等により、その意見を十分に反映させていきたいと考えております。
#154
○岩佐委員 阪神・淡路大震災の被害を受けた長田区の保健所に参りました。そこでは、精神科の医師及び精神科のソーシャルワーカーの方が、震災で心の傷を負った精神障害者やお年寄りあるいは被災者の治療や相談に乗って、てきぱきと活動しておられました。この精神科ソーシャルワーカーの方にいろいろお話を伺ったわけですけれども、日ごろ保健所として精神保健の相談事業等の体制をとっていたので、それが震災時にすぐ役に立った、そう言っておられました。
 しかし、阪神・淡路大震災で見ると、厚生省や自治体が心の傷の処置にきちんと対応したとは言いがたいと思います。これは、医療全体のおくれも私はあったと思いますし、その中の一環だとも思いますけれども、そういう意味で、こういう重要なことが震災対策に組み込まれていなかった、これが非常に大きな問題であったというふうに思います。
 ロサンゼルス地震では、心のケアの相談、診療のために三千五百億円使われ、そして六百人の心理学者が動員された、こう伝えられております。災害時の、震災時のメンタルヘルスケア、この確立が非常に求められているというふうに思いますが、その点どうお考えでしょうか。
#155
○松村政府委員 阪神・淡路大震災の場合のように、災害体験は被災者の心の健康に大きな影響を及ぼす場合もあります。今回の震災に際しましては、精神科の救護所の設置や巡回相談の実施等、各方面の協力をいただいて実施したところでございますが、私どもは、今回、この被災者のメンタルヘルス対策が非常に重要であるということを改めて認識したわけでございます。
 そこで、今後、震災時に適切な精神保健医療対策が確保されますように、厚生省としても防災体制の見直しを行うとともに、必要な指導、支援を行ってまいりたいと考えております。
#156
○岩佐委員 そして、心のケアが平常時でも一般化していない中で、災害時に一般化することは非常に困難と強く感じたと、平時の体制強化の必要性を精神保健の関係者の方々が訴えられています。
 阪神・淡路大震災では、PSWの方が活躍をしておられましたし、病院、診療所あるいは精神保健センターや保健所などでも重要な役割を果たされました。これは前もこの委員会で取り上げたのですが、PSWの配置と資格化を早期に促進すべきだというふうに思いますけれども、その点、いかがでしょうか。
#157
○井出国務大臣 精神科ソーシャルワーカーの皆様方が今般の阪神・淡路大震災で大変な活躍をしていただいたことは私もお聞きしておりますし、大変感謝を申し上げているところでございます。
 その精神科ソーシャルワーカーの国家資格化につきましては、公衆衛生審議会におきましても資格制度をつくるべきであるということについては意見の一致を見ております。しかしながら、医師や看護婦の業務との関係、あるいは医師の指示、社会福祉士等との関係、資格の名称など、その資格のあり方については、依然、まださまざまな意見がございます。したがいまして、今後、関係団体の間でさらに意見の調整を図っていただき、結論を得るよう努力してまいりたいと考えております。
#158
○岩佐委員 早く決断をしていただきたいと思います。
 次に、精神保健センターや保健所の相談事業の拡充が必要だと思います。
 提案理由説明でも、昨年地域保健法が成立し、地域保健対策の枠組みの見直しか行われており、地域精神保健の施策の一層の充実が求められているというふうに述べていますけれども、実際は、平成七年度の保健所業務費補助金というのは三千六百九十四万円もマイナスとなっています。これでは充実とは到底言えません。ここにも私は阪神・淡路大震災の教訓が生かされていないなというふうに思います。平時の、いわゆる平常時の体制強化こそが緊急に求められていると思います。
 今保健所の統廃合によって、保健所の数が減りますと、精神障害者が身近に相談やケアを受けられなくなってしまう。県に一カ所しかない精神保健センターや、あるいは啓蒙、教育を主体とした市町村の保健センターでは、そのかわりができるとは思えません。これらの問題を解決しないまま、統廃合だけが先に行ってしまうということになると大混乱になると思います。私は統廃合はやめるべきだというふうに改めて思います。この点について、どうでしょうか。
#159
○谷(修)政府委員 まず、平成七年度の保健所業務費補助金について一部減額をいたしておりますが、これは保健所の業務として定着しているというような理由から一般財源化を行ったものでございまして、いずれもこの財源は地方交付税で措置されるということになっております。
 昨年成立をさせていただきました地域保健法ということに関連いたしましてお尋ねがございましたけれども、平成六年の地域保健に関する制度改正ということにつきましては、都道府県の保健所と、それから市町村の役割というものを見直しまして、住民に身近なサービスについては市町村を実施主体とするとしたわけでございます。
 そういうことを前提といたしました上で、都道府県の保健所については、保健医療に係る施策あるいは社会福祉に係る施策との有機的な連携を図るということのために、既に設けられております二次医療圏ですとか、あるいは老人保健福祉圏といったようなものを参考にいたしまして、保健所の所轄区域を見直す。あわせてその機能あるいは規模を拡大するということによって、都道府県の保健所として専門的、技術的あるいは広域的な機能を確保する、あるいは強化をしていくということをねらいといたしております。
 これの全面施行は再来年の四月ということでございまして、こうした市町村と都道府県の保健所がそれぞれにふさわしい役割を担おうとするということで、現在各県において、それぞれの県の保健所の機能強化計画というものを作成をしていただいているわけでございまして、そういう意味で、私どもとしては、昨年成立をさせていただきました地域保健法の考え方に沿って地域保健対策あるいはそれぞれの業務の強化を図っていきたいと考えております。
#160
○岩佐委員 私は、実態からいって非常に危惧をするわけであります。その点は指摘をしておきたいと思います。
 最後になりますが、精神障害者の社会復帰施設は、種類だけ多くて、施設数が少なくて、厚生省自身が絶対量の不足と言わざるを得ない状況にあります。例えば、社会復帰対策の当面の目標は、全国千二百の病院に五十大規模の社会復帰施設をつくることですと、吉田精神保健課長が地方紙で語っておられて、そういうことに対して、今度はその関係者が一体これはどうなっているのだというような意見も出ている行けてあります。
 ですから、こういう整備計画というのは、整備目標を持って、医療と福祉、雇用、所得保障等の施策を本当に総合的に見ながら、計画的に整備を進めていく必要があるというふうに思います。その点について、最後に大臣にお伺いをしたいと思います。
#161
○井出国務大臣 先ほど土肥委員からも同様の御質問をちょうだいしたわけでございますが、昭和六十二年、精神保健法の成立を踏まえ、精神障害者の社会復帰の促進を精神保健対策の最重点課題の一つとして位置づけ、六十二年の制度創設以来平成六年度までに全国で二百四十五カ所の整備を行うなど、社会復帰施設の整備を推進してきたところでございます。しかし、まだ決して十分だとは考えておりません。
 精神障害者の社会復帰施設の必要数については、なかなか現時点で具体的な数値を示すということは難しいところでございますが、昨年九月に厚生省内に設置いたしました障害者保健福祉施策推進本部において、こうした点も含めて、障害者施策のあり方について幅広い観点から検討を行っておるところでございます。今後ともその積極的な整備に一層努めてまいるつもりでおります。
#162
○岩佐委員 関係者の意見をしっかりと聞いて進めていただきたい。そのことを申し上げて終わりたいと思います。
#163
○岩垂委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#164
○岩垂委員長 この際、精神保健法の一部を改正する法律案に対し、岩佐恵美君から、日本共産党の提案による修正案が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。岩佐恵美君。
    ―――――――――――――
 精神保健法の一部を改正する法律案に対する修
  正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#165
○岩佐委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題になりました精神保健法の一部を改正する法律案の修正案の趣旨を御説明いたします。
 今改正で措置入院及び通院医療を「公費優先」から「保険優先」の仕組みに改めることによって国庫負担が七十億円減ることになり、そのうち社会復帰対策事業等で四十億円が増額になっているだけです。国庫負担を削減するのではなく、公費負担医療の範囲を拡大すべきです。
 結核予防法第三十四条の一般患者に対する医療は入院を排除していませんが、精神保健法第三十二条の一般患者に対する医療は、「収容しないで」と入院を排除し、今改正で「通院医療」と改定することになっています。結核の場合、入院したら大部分が公費負担の対象となりますが、精神障害者が入院した場合、公費負担医療となるのは措置入院だけであり、入院している者のうちわずか一・九%にしかすぎません。本人の同意がなく、保護者等の同意で入院させる医療保護入院でさえ公費負担医療となっていません。病院給食の有料化によって、患者・家族の負担がいよいよ重くなっています。
 本修正は、精神医療に要する費用の公費負担の範囲を拡大し、任意入院等措置入院以外の入院に要する費用についても、通院医療と同様の公費負担を行うこととしております。
 以上が修正提案の理由及び内容です。
 何とぞ御賛同くださるようお願いいたします。
#166
○岩垂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。井出厚生大臣。
#167
○井出国務大臣 ただいまの日本共産党の御提案による修正案については、政府としては、反対であります。
    ―――――――――――――
#168
○岩垂委員長 これより両法律案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 精神保健法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、岩佐恵美君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#169
○岩垂委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。
 次に、原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#170
○岩垂委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#171
○岩垂委員長 この際、本案に対し、鈴木俊一君外四名から、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけ及び日本共産党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。山本孝史君。
#172
○山本(孝)委員 私は、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけ及び日本共産党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 前回及び今回の法案改正審議において、いわゆる積み残された課題がたくさんございます。それらを附帯決議に盛り込ませていただきました。七つと多うございますけれども、案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    精神保健法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、精神障害者のノーマライゼーションを推進する見地から、次の事項につき適切な措置を講ずるべきである。
 一 精神障害者手帳制度の創設に当たっては、障害者のプライバシー保護に最大限の配慮を図ると同時に、手帳の有無にかかわらず、社会復帰施設の利用などができるようにすること。
   また、手帳制度に基づく福祉的措置の充実が図られるよう努めること。
 二 精神障害者の社会復帰と自立と社会参加を促進するため、社会復帰施設等の積極的な整備に努力すること。
   また、今回法定化が見送られた小規模作業所の制度的位置付けに向けて検討を進めるとともに、精神障害者の地域における生活の支援のための拠点の整備に努めること。
 三 精神保健におけるチーム医療を確立するため、精神科ソーシャルワーカー及び臨床心理技術者の国家資格制度の創設について検討を進め、速やかに結論を得ること。
 四 より良い精神医療の確保や精神障害者の社会復帰を促進するという観点から、精神保健を担う職員の確保に努めるとともに、社会保険診療報酬の改定に当たっては、必要に応じ、所要の措置を講じること。
   また、精神医療審査会が、患者権利擁護機関として機能できるよう、運営等について検討すること。
 五 精神障害者を抱える保護者に対する支援体制を充実するとともに、今後とも公的後見人を含めて保護者制度の在り方について検討すること。
 六 精神障害者の定義については、障害と疾患の区別を明確にしながら、その趣旨の徹底を図ること。
   また、精神障害者に関する各種資格制限及び利用制限について、精神疾患を有する者が全て適格性を欠くというものではないことから、その緩和や撤廃について引き続き検討すること。
 七 精神科救急医療の体制の整備を一層推進するとともに、阪神・淡路大震災における被災者・精神障害者が通常の生活に復帰できるよう万全の相談と診療の体制をとること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#173
○岩垂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#174
○岩垂委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、井出厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。井出厚生大臣。
#175
○井出国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。
    ―――――――――――――
#176
○岩垂委員長 次に、結核予防法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#177
○岩垂委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#178
○岩垂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#179
○岩垂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十六分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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