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1995/02/10 第132回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第132回国会 文教委員会 第3号
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1995/02/10 第132回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第132回国会 文教委員会 第3号

#1
第132回国会 文教委員会 第3号
平成七年二月十日(金曜日)
    午前九時四十二分開議
出席委員
  委員長 伊吹 文明君
   理事 小川  元君 理事 片岡 武司君
   理事 河村 建夫君 理事 石田 勝之君
   理事 藤村  修君 理事 船田  元君
   理事 輿石  東君 理事 中島 章夫君
      稲葉 大和君    小野 晋也君
      木村 義雄君    岸田 文雄君
      栗原 博久君    斉藤斗志二君
      穂積 良行君    石田 美栄君
      西  博義君    西岡 武夫君
      鳩山 邦夫君    福島  豊君
      福留 泰蔵君    沢藤礼次郎君
      嶋崎  譲君    濱田 健一君
      山原健二郎君    牧野 聖修君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 与謝野 馨君
 出席政府委員
        文部大臣官房長 佐藤 禎一君
        文部大臣官房文
        教施設部長   木村  直君
        文部省生涯学習
        局長      泊  龍雄君
        文部省初等中等
        教育局長    井上 孝美君
        文部省教育助成
        局長      遠山 耕平君
        文部省高等教育
        局長      吉田  茂君
        文部省学術国際
        局長      岡村  豊君
        文部省体育局長 小林 敬治君
        文化庁次長   林田 英樹君
 委員外の出席者
        文教委員会調査
        室長      長谷川善一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 文教行政の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○伊吹委員長 これより会議を開きます。
 文教行政の基本施策に関する件について引き続き調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福留泰蔵君。
#3
○福留委員 新進党の福留泰蔵でございます。
 初めに、一月十七日の阪神大震災で亡くなられた五千名を超すとうとい方々の御冥福をお祈り申し上げ、また被害を受けられた方々に、衷心よりお見舞いを申し上げたいと思います。また、復旧作業に昼夜を分かたず従事されている関係者各位に、心から敬意を表したいと思います。
 今回の大震災の後、特にライフラインの復旧等については、予算委員会等でも数多く取り上げられているわけでございますけれども、私は、文教委員会として、また文教行政において論議しなければならない大事な問題がまだまだ多く残されているのではないかと考えております。これらの点について、順次質問をさせていただきたいと存じます。
 まず、今回は百年に一回とも言われるような大災害であったわけでございます。私も、やはり現地にすぐ飛んでいかなければならないということで、当初、交通アクセスがなくてすぐには行けなかったのですけれども、一週間後に、夜中に入りまして、深夜一時ごろから二時間以上かけて現地をこの足で歩いて、災害の状況というものをみずから見てまいりました。そして、さらにその後、芦屋とかそれから大変被害が大きかったと言われる長田区の状況もこの足で調べてきたところでございます。また、その一週間後にも泊まりがけで現地に行って、避難所となっておる小学校に行って、その状況を調べたり、また、その対応に追われている先生方から直接いろいろなお話を聞いてきたところでございます。
 まあ個人的なことでございますけれども、そのせいかしりませんが、ちょっと風邪を引きまして、きょうはお聞き苦しいところ、御容赦いただきたいと存じます。
 大臣におかれましても、この震災の後にすぐ現地に飛んでいただいて、視察をしていただいたとお話を伺っているところでございますけれども、まず質問に入る前に、大臣が現地に視察に行かれた経過とその様子、またさらに視察されての御感想をお聞かせ願えればと思います。
#4
○与謝野国務大臣 私、一月二十八日に神戸市内の四カ所の国公私立の学校及び大学附属病院等を見に参りました。神戸大学医学部附属病院においては、被災患者の治療の現況及び医師、看護婦等が一体となって不眠不休の医療活動に従事している状況を拝見してまいりました。県立兵庫高校においては、二千五百人の被災住民に対する救援活動の状況を視察し、また、生徒やボランティアの方を含めて、教職員が全力で被災者に対する物資の供給を初め清掃活動や情報提供活動を実施しているところを見てまいりました。やはり現地に参りますと、今回の地震の被害の大きさというものをじかに感じたということでございます。
#5
○福留委員 一月の二十八日、まあ十一日後でございますけれども、現地に行っていただいて、その状況というものを大臣みずから視察していただいたということ、私は評価しているところでございます。
 今、被害の状況のすごさというものを感じられたということでございますけれども、行政に携わられる立場から、今回のその災害の状況を見て、被害の状況の甚大さを思うと同時に、さまざまな問題点というものを何らかお感じになったのではないかと思うのですが、そこら辺についての所感はございませんでしょうか。
#6
○与謝野国務大臣 地震が起きました直後というのは、教育問題を考えるよりもやはり住民の生命を考えなければならないと思いましたし、また、一週間ぐらいたちましたときには、やはり被災住民の生活というものを中心に物を考えていかなければならない、そのように思ってまいりました。
 しかし、例えば甲南大学のほとんどの教室が被害を受けている、あるいはその他のもろもろの文教施設、教育関係施設が被害を受けているということで、やはりこういうものの早期復旧というものに全力を挙げなければならないと思いましたし、また、そういうハードの面でもそうでございますし、ソフトの面でも、やはりもとの姿に戻るというために相当努力をしなければならないということを感じて帰ってまいりました。
#7
○福留委員 実は、私も現地に行って感じたのは、施設が大変な被害を受けている、これは当然のことでございます。それと同時に、いろいろな日本の社会のシステムがあるのだろうと思いますけれども、そのシステムが想定、対応できなかった状況下にあったのだろう。その社会システムが想定し得なかった状況を、人、ボランティアとか個人が補っている。今、大臣も現地に行かれて、県立兵庫高校で当時二千五百名の避難民がいらっしゃった。その中で教職員の先生方が、本来であれば子供たちのいろいろな心配をしたり教育というものに携わる使命がある先生たちが、避難民の方々のお世話をしていらっしゃる、そういう状況があったのだろうと思います。こういう状況の中で、そういうふうな人というものに対して、まあシステムのひずみというか、すき間の中で一生懸命頑張っていらっしやる人というものに、どういうふうな温かい手を差し伸べていくかというのがやはり重要なことなのではないかなというふうな感想を私は持った次第でございます。
 そういう意味で、避難民の方々、国民の方々もいろいろなことを今おっしゃっているわけであります。それは当然、行政という立場でも一生懸命やっていらっしゃるということは、私もそういうふうに認識しているところでございますけれども、やはり国民の方々、避難民の方々の要求というか要望というものは高いものがございますので、そこに不満のあることもやはり事実なのだろうと思います。
 そこでやはり重要になってくるのは、行政の立場からしたときにそれに取り組む姿勢というものが重要になってくるのではないかなと思うのです。ですから、大臣が現地を視察なさっていただいて、施設とかハードだけではなくしてソフトという、人間という面にひとつ視点を当てられて一つの認識を持たれたということは、私は評価させていただきたいと思いますし、今後とも行政というものはそうあるべきではないかと思っているところでございます。
 関連でございますけれども、そういう行政の姿勢という面で若干質問を引き続きさせていただきたいのですけれども、これは与謝野文部大臣に関することではございませんけれども、昨日の参議院の予算委員会で、これは本日の日経新聞の記事なんですけれども、平成会の泉信也議員から総理大臣あての質問で、阪神大震災の現地視察について「天皇陛下は温かみがあったが、首相は手を後ろに組んでいた」と“追及”を受けた。これには首相も「陛下と比較されるのは恐れ多い。後ろ手を組むのは私の癖」と苦笑いしながら釈明。しまいには「前で組んでも横に手をおいても関係ないんでは……」と語気を強め、連日の野党の手を替え品を替えての責任追及にうんざりした様子だった。と書いてあるのですけれども、これは、私は、先ほど申し上げた行政という立場からその一つの姿勢というものが追及されたのではなかろうかと思っているのです。
 それで、後ろ手に手を組むということが総理大臣は癖だとおっしゃっているのですけれども、国民の中には、そのことが行政の長としてその姿勢というものが、その形に、姿にあらわれているかのように受けとめた方がいらっしゃると思うのですね。これは大臣のことではございませんけれども、今の村山総理大臣のこの行動とその癖であるということについてどのような御感想をお持ちなのか、お聞かせ願いたいと思います。
#8
○与謝野国務大臣 こういう時期でございますから、我々は行動や言動に十分過ぎるほどの配慮が必要だというふうに思っております。
 村山総理は、ああいう善意の方であり、また物事に熱心に取り組む方でございますから、そこにいささかも高ぶった気持ちで現地に行かれたわけではございません。やはり、総理として一月十九日に被災地に入って自分の目で被害の状況あるいは現場の空気というものをつかみたいというお気持ちで入ったわけでございまして、そういう意味では、村山総理の誠実な人柄から全体を判断をしていただきたいと思っております。
 しかしながら、私どもも現場に入りましたけれども、やはり非常にあの時期は被災をされた方々の心というものが微妙に揺れ動き、またデリケートな状況になっておりましたので、そういうことに関しては繊細な神経を、例えば私なども持っていなければならないということを痛感するわけでございます。
#9
○福留委員 私も、総理のこのお姿をテレビで見まして残念に思った一人でございます。もう余り長々とこのことは申し上げるつもりはございませんけれども、さまざまな声もあるわけです。
 ある看護婦の方の声でも、看護婦にとって手を差し伸べることは病める人を励ますのに最も大切なことなのに、それを後ろ手に組むということはそういう看護する立場からはとても理解ができないという声とか、私が先日伺った話ですけれども、これはある動物園に勤めていらっしゃる方で、いわゆる動物の飼育ということの一つの仕事に携わっていらっしゃる方であります。こういう災害のときに動物も大変なショックを受けるようでございますけれども、その際に、動物の飼育をされる方々、これは動物に対してですけれども、一つの基本的な行為のあり方としてグルーミングトークというようなことがあるという話を聞きました。これは、例えば災害に遭った動物だけではありませんけれども、動物への接し方として、その動物がどのような状況にあるかしっかりとまず見きわめる。見きわめた上で、様子を見ながらまず声をかけてあげる。声をかけてあげて、何か反応があって、近寄ってくるようであれば、同じ目線の高さをもってスキンシップをしてあげる、そういう行為が非常に大事なんだ。
 そういうふうなグルーミングトークというようなことを日常的に大事にしている立場からすると、行動しか見ていません、まあ村山総理の総合的な人格というのは別なところにあるんだと思いますけれども、たまたまあそこで切り取られた絵柄というものは、そういうことを常に大事にされている方にとっては、果たしていかがなものかという感想を持たれた。行動心理学的に言っても、後ろ手に手を組むということは、相手に対して、私の方が偉いのであるというふうな心理的なことが外面的にあらわれているというふうなお話も聞いたところでございまして、こういうふうなことを聞いていきますと、私は、それはたまたま、総合的には違うんでしょうけれども、ちょっとかいま見たお上意識みたいなものがもしかしてあったとしたら、これは今後の震災対策の上でも大事なことであり、我々が心していかなければならないことではないかと思う次第でございます。
 長々と、冒頭でありますけれども、私は、この震災対策に取り組むに当たって基本的な姿勢として重要であろうと思いまして、取り上げさせていただいたところでございます。
 そこででございますけれども、これに関して最後にもう一度お尋ねいたしますけれども、現実的にはその災害復旧に当たられていた先生方に聞いて私が一つ感じたことは、先生方も、大変に行政、いろいろな方々が一生懸命やってくださっているということについて、やはり心の底から正直感謝しておられました。そういう災害の中で自分たちも一生懸命頑張らなければならないというふうなお声でありました。しかし、一つ私も気になったのですけれども、その先生がおっしゃっていたのは、今は災害が起きた直後だから日本じゅうの方々また世界の方々が、数多くの方々が関心を持って注目をして支援をしてくださっているけれども、これが月日がたつにつれてだんだんそういう関心が風化していくのではないか、しかし現地は災害のつめ跡というものはずっと残っていく、恐らく一年、二年、三年と残っていくであろう、そのときに、やはりそのつめ跡というのは現地の我々だけが背負っていくのではないかというふうな不安を持たれていたわけでございます。その言葉を聞いたときに、私自身もまた我々がやはり心していかなければならないことというのは、この思いというものをしっかり忘れずに、この阪神の災害を受けられた方々が完全に復興するまでやはり全力を挙げて支援していくことが大事なのではないかと思った次第でございます。
 そこで、大臣も二十八日に行かれたわけでございます。また、時間的な経過も今あるわけでございます。状況も刻々と変化しております。私も一週間間を置いて行きましたけれども、一週間前と後では大変な違いがあるわけでございまして、これから大臣も行かれる御予定があると思います。何か甲子園の野球もどうなるかわかりませんけれども、あるとすれば甲子園の野球には恐らく行かれると思いますけれども、できればその前にもう一回や二回視察に行っていただいて、施設という面以外にも、人、ソフトという面もごらんになったわけでございますけれども、今後重要になってくるのは、施設の再建はもとより、人とかソフトとかいった面の再建をいかにするかということが重要なわけでございますので、そこら辺のところの御視察の御予定があるのか。なければぜひ行っていただきたいと思いますけれども、大臣の御見解をお願いしたいと思います。
#10
○与謝野国務大臣 神戸市、兵庫県あるいは関連の市町村はそれぞれ復旧作業に大変忙しくされておりますので、いたずらに視察に行ってその方々に御迷惑をおかけするわけにはいかないと思っております。視察をする場合は、周辺の大学等にお手伝いをいただいて現地を見たい、もう一度見たいと思っておりますが……。
 やはり戦災に遭ってから五十年、神戸市及びその周辺というのは五十年がかりでああいう町をつくったわけでございますし、町とともに教育関係の施設等も自然にでき上がってきたわけでございまして、それが一挙に大きな被害に遭うということでございますから、今後、先生も大変御理解をいただいておりますが、施設の復旧ということばかりでなく、町全体とともに教育関係の活動が立ち上がっていくという、その立ち上がり方というのが施設の面ではなく人的な面でも非常に難しい。これを何とか大きな誤りなくやらなければならないというのが、現地の教育関係者の多分お気持ちであると思いますし、文部省としてもそういう立ち上がりというものに全面的なお手伝いをしなければならないと思っております。
#11
○福留委員 現地の方の邪魔になってはいけないことでございますので、そこのところにやはり細心の注意を払いながら、しかし私たちは忘れていないよ、そして生に現実の中で苦労されている方と同じ苦しみを分かち合いましょうという意味で、ぜひ機会をつくっていただいて、そしてそれがまた励みにもなると思います。現場の先生たちが大変な御苦労をなさって、今復興のために懸命の努力をなさっていらっしゃると思います。そういう意味において、ぜひ大臣、機会をつくっていただければと申し上げ、次の質問に移らせていただきます。
 次に、今大変な関心を呼んでいるわけでございますけれども、一般的な方々も震災に遭われた後の心の健康問題というものが今重要な問題として浮かび上がってきているわけでございますけれども、特に弱者と言われる子供たちの心の健康というのは大変重要な問題だろうと思います。そういう意味で、被災した児童生徒の心のケアの問題を次に取り上げさせていただきたいと思います。
 今回の阪神大震災も学校の一部再開など復興への確実な歩みが進められているわけでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、建物の破壊はもとよりでありますけれども、ここに来て心配されておりますのが、被災者の方々が受けた心理的な打撃であります。
 精神的ダメージは弱者、とりわけ子供に対して大きなものがあるわけでございますけれども、実は一九九三年七月十二日に北海道南西沖地震が起きました。もう大臣御存じのとおりであります。この地震で大きな被害が出たわけでございますけれども、その際、奥尻島などの子供たちにも大きな心理的な傷、トラウマというそうですけれども、このトラウマが見られたと聞いております。
 これまでのいろいろな災害でも、このトラウマが心理的外傷性ストレス症候群、PTSDというものを引き起こし、災害の光景を何度も夢見たり、心を閉ざして無関心となったり、寝つけないなどの緊張やいらいらが続く症例が報告され、種々の研究もされているようであります。それも災害の後数年間にわたって、子供たちが被災後のショックから立ち直る過程で、今言ったような症状が起きる可能性があるとされております。
 今回の阪神大震災では、災害そのもののスケールが今までとは比べ物にならないほど大きく、その影響も甚大なものがあると思います。地震が起きた早朝の時刻になると、いまだに大地が揺れているように感じる子とか、恐怖の余り地震のことを一切口にしなくなった子供などがいるなど深刻なようであります。また、親、兄弟姉妹等の身内を亡くしたり、同級生などの友人を亡くした子供たち、負傷したり、そのほか住むところや大事なものを一瞬にしてなくすなど、心にさまざまな傷を負った児童生徒の心のケアへの対処について、文部省としてまずどのような対応をされたのか、また今後どのようにしていかれるのか、お伺いしたいと思います。
#12
○与謝野国務大臣 このたびの震災により被災いたしました児童生徒は、避難生活でのストレスも加わりまして精神的に大変不安定な状態にあるというのは、先生御指摘のとおりでございます。このため、児童生徒の心の不安を取り除くことが極めて重要でございまして、学校においても心の問題に十分配慮をしなければならないと考えております。
 文部省としては、先般、各都道府県教育委員会に対し、被災児童生徒に対する心の健康相談活動を行うように求めたところでございます。
 これらの実施に当たっては、まず学級の担任の先生、養護教諭を中心とした全教職員が児童生徒の状況をよく把握いたしまして、子供の不安や悩みをよく聞き取ってあげることが大切だと考えております。その際、日本医師会が作成いたしました被災児童生徒の心の健康への対応についてのアドバイスを送付し、指導の参考に供しているところでございます。
 この日本医師会学校保健委員会が作成をいたしましたアドバイス、項目だけ申し上げますと、「基本的留意点」として、第一に「ストレスから身体的な異常を訴える子どもがいます。」「二 子どもの表情に注意しましょう。」「三 日常の生活リズムが不規則になります。」「具体的対応」として、細かいことは省略いたしますが、一つは「話を聞いてあげて下さい。」「二 症状の程度が強いときは早めに学校医や専門医に相談して下さい。」「三 子どもの遊びを活発にしてあげましょう。」こういうアドバイスを下さっております。
 したがいまして、学校の相談活動を支援する学校医の先生、臨床心理士の役割は極めて重要でございまして、各学校から派遣の申し出があった場合には、これに対応できるよう日本医師会等へ協力を求めなければなりませんし、協力を求めているところでございます。
 今後とも、教育委員会や学校において精神科医や臨床心理士の適切な活用がなされるよう指導するとともに、それらの活動に対する必要な援助を配慮してまいりたいと考えております。
#13
○福留委員 今大臣から、子供たちの心のケアの問題についてその重要性を認識されているということ、そして文部省としてどのような対応をなされたかということについてお伺いいたしました。
 それで、今大臣もお話しになりましたけれども、基本的には学校医を中心として、そしてそこのもとで養護教諭と教師が一体となって取り組んでいくんだということでございます。学校医の中には精神科が専門でない先生もたくさんいらっしゃるわけでございますけれども、こういう災害後の子供の心のケアの問題については、大臣からお話もありました臨床心理士だとかそういう専門家もたくさんいらっしゃるわけです。
 そこで、学校の先生たちも今大変な震災後の混乱状況にあるわけでございまして、子供たちのそういうふうな心理状況にどのように対応したらいいのかというアドバイスが必要になってくるだろう。そういう観点から文部省としては、大臣もお話しになりました、社団法人日本医師会学校保健委員会がつくられたアドバイスというものを送付されたということでございます。今大臣御紹介になったとおりでございます。これがその現物であります。A4判の一枚紙でございます。今大臣が御紹介になった中身がそのまま書いてありますけれども、私これを読んで、何もやらないよりはいいと思いますけれども、果たしてこれだけで現場で混乱されている先生方の手引書として十分なんだろうかと思った次第でございます。
 そこで、先ほど申し上げましたけれども、実は奥尻島の際の教訓があったのです。北海道教育大学の藤森立男さんという助教授が中心になられまして、先ほど申し上げました、北海道南西沖地震で被害を受けた子供たちのトラウマによるストレスを理解し、回復を手助けしていくための手引書というものをこの先生がまとめられたそうです。被災地の学校や教育委員会に配付されたようでございますけれども、その現物が今私の手元にありますが、その内容自体、大体十一ページにわたる内容となっております。イラストつきで具体的にわかりやすく書いてあります。
 まず、文部省としてこの資料を入手された経緯があるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
#14
○小林(敬)政府委員 お答えいたします。
 ごく最近ではございますが、入手いたしております。
#15
○福留委員 この藤森先生たちがみずからの発意でこれをつくられたそうです。奥尻島の震災後この重要性というものを非常に認識されておられましたので、まず行政にいろいろな交渉をされたようです、こういうマニュアルをつくるべきだと。しかし、よくその真意はわかりませんし、真実というものははっきりいたしませんけれども、防災マニュアルにないとかライフラインの復旧が先であるとかいって取り合っていただけなかった。結果的に自費で二千部これをつくって、みずから教育委員会に持ち込んで配っていただいたという経緯があったというふうなことでございます。
 今文部省としてはこの資料もつい最近になって入手されたということでございますけれども、実はこの先生たちは今回の震災後直ちに、この震災にも奥尻の教訓を生かさなければならないということで、二週間後にまた次の、ここに資料がありますけれども、全部で十五ページにわたる詳しいハンドブックをつくられております。「災害を体験した子どもたち―危機介入ハンドプック―」という題名がついておりまして、この資料についても入手されていらっしゃると思いますけれども、私は、こういうことを、先ほど文部省の方でA4の一枚紙のこのアドバイスというものを配ったとおっしゃいますけれども、これはこれでいいことだと思いますけれども、果たしてこれで十分なんだろうかと思っております。
 あわせてお伺いしますけれども、今奥尻の教訓でございますけれども、今回の大震災の後に、これは神戸にあります滞在外国人の子弟や帰国子女のための学校、カネディアンアカデミーという学校があるようでございますけれども、この学校でも、こういう震災の後に子供の心に与える影響や親がそれに対してどういう対応をすべきかなどを記した英文の手引をつくられた。ここに現物がございます。これは全部英文でございますけれども、A4判で十八ページにわたるものでございます。この資料についても文部省は入手されていらっしゃいますでしょうか。
#16
○小林(敬)政府委員 その資料についてはまだ入手いたしておりません。
#17
○福留委員 震災後の大変な状況の中で一生懸命やっていらっしゃる。私は責めるつもりはございません。しかし、奥尻のときの教訓だとか、それをもうちょっと生かすような体制ができていれば、文部省としてこういう手引書というものをつくっていれば、対応が違ったのではないかな、そんな気がするわけでございまして、今後、これに間に合えばもちろんいいですけれども、さらに詳しい手引書をつくるべきではないか、それを検討するべきではないかと私は思っているわけでございますけれども、文部省としての御見解をお伺いしたいと思います。
#18
○小林(敬)政府委員 ただいま先生から御指摘いただきましたようなこと、あるいはさらにいろいろなそうした対応策というものが心の健康に関して出てきているかと思います。私どもとしましては、今後そうしたものも、それからそういった事柄に関係した人からもお知恵をいただきまして、今後、こうした大災害直後の児童生徒の精神的不安定にどう対処するのが一番いいのかということを研究してみたいと思っております。
#19
○福留委員 大変前向きの御答弁ありがとうございます。これはやはり非常に大事なことだろうと思うのであります。私はこういう手引がないということにびっくりしたわけでございますけれども、やはりできるだけ早い機会にわかりやすい形の手引書というものをつくっていただきたい、少なくともつくることの検討をすぐ行っていただきたいと思う次第でございます。
 さて、手引書の件もそうでございますけれども、大臣の御答弁の中にも、お医者さんだとかそれから臨床心理士の方々に要請があれば適切な活用を図っていきたいという趣旨の御答弁がありました。私は、要請を待つのではなくして、今手引書の件もそうでありますけれども、もうちょっと文部省としてそれを積極的に活用する、待つのではなくして活用する方針を考えていくべきではないかと思っているわけでございます。全国には約四千名の臨床心理士という方々がいらっしゃるそうです。今ボランティアで心の相談というふうな形の電話相談も行っているようでございますけれども、そこと有機的な連携をとっていただいて、さらなる積極的な活用をしていただきたいと思うわけでございますけれども、この点について文部省の御見解を再度お願いしたいと思います。
#20
○小林(敬)政府委員 これまで兵庫県が十カ所の保健所にそうした相談所を設けたり、あるいは巡回をしていただいたり、それから、主として子供、児童生徒の心の安定を図ることを目的にした「児童こころの相談」といったふうな計画をお持ちと聞いております。
 それから、御指摘ありました臨床心理士の方たちも三カ所で電話相談をしていただきましたし、さらに、兵庫県内で巡回のカウンセリング活動をやっていただきました。
 ただいま兵庫県の教育委員会が取り組んでおりますのは、被災地三カ所に、言ってみれば窓口のようなものを設けまして、そして、そこに専門家、お医者さんを中心とする専門家に集まっていただいて、そして先生やら子供たちからの電話相談に応じたり、それから学校からの要請に直ちに応じて専門家を派遣する、こういうふうなことができるように計画中でございます。こういうふうな措置ができますと、教育委員会と学校との関係で始終連絡のあるところでございますので、気軽に専門家を派遣してもらえる、そういうふうなことが期待できるわけでございます。
#21
○福留委員 一生懸命やっていらっしゃること、よく理解します。さらに、これで十分ということはございませんので、さらなる活用ということができないのか、引き続き御検討をいただければと思います。
 関連しますけれども、先ほど手引書については今後検討していただけるということでございますけれども、私が今回心配になったのは、先ほどお話にありました、学校の校医の先生を中心として養護教諭と教師の方々が連携を密にしながら一体となって子供たちの心のケアについて取り組むということでございます。そういうときに、一つ心配になりましたのは、やはり学校の校医の先生というのはそこにずっといらっしゃらないわけですから、ずっといらっしゃる存在として重要な役割を持つのが養護教諭の方ではないかと思うのですね。今、養護教諭の方のこういう心理的なカウンセリングに対する研修とか、それから、これは日常的なこういう研修でございますけれども、さらに特別、今回の震災の際の子供たちのカウンセリングに対する研修とか、現在文部省としてどのようなことをやっていらっしゃるのか、そしてさらに、今回の震災を踏まえて、その研修というものをもう一回洗い直して、こういう震災にも対応できるような研修をおやりになる予定があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
#22
○小林(敬)政府委員 養護教諭の方たちには、ふだんからヘルスカウンセリング指導者養成講座といったもので、カウンセリングの要素を強く出した研修をしていただいております。これは、特に今回の震災といったような大震災を想定したものではなく、むしろ最近、保健室等にやってくる児童生徒のうち心因性と思われる頭痛だとか腹痛とかいうのが非常に多くなっているというふうな状況に対応して、こうしたものをやってきたわけでございます。
 ただ、今回こういうふうな災害安全といいましょうか、災害をどういうふうに避難して安全を確保するかという観点での、あるいはその直後での心の問題にどう対処をしたらいいかという問題については、率直に申し上げて余り十分とは言えない対応でございました。したがいまして、これは、ふだんからそういった観点を盛り込んだ研修をしていただいて、いざとなったときに即応できるということが大切でございますので、この点も今回我々としても教訓にしなければならない大事な点ではないかなというふうに思っております。
 なお、申し忘れましたが、兵庫県では、先ほど申し上げたような措置とあわせまして、学校の先生方にも研修をやりたいというふうな、もちろんこういう心の問題等を中心にした研修をやりたいというふうな計画でございます。
#23
○福留委員 大変率直な御答弁ありがとうございます。大事なことだと思いますので、今後ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 今回の大震災というものは、日本じゅうの方々にとって、これは人ごとでないという思いを皆さんがされたと思うのですね。日本列島は活断層だらけでございますし、今後我が国において今回のような規模のあるいはそれ以上の地震がどこで起きても不思議ではないような状況にあるわけであります。そういう意味で、決してこの問題はこの阪神という地域の問題ではなくして、全国的な問題であり、今後とも文部省が主導して進めるべきだと思いますし、大臣もそのお考えだろうと思います。
 今回の阪神大震災という未曾有の大震災から私たちはあらゆる教訓を学び取り、今後に生かしていかなければならない。そのために、今回大震災に遭われた教師、親、児童生徒を対象にアンケート調査を実施すべきではないかと思っております。これは当然、震災が落ちついて、皆様の心が落ちついて、復旧のめどが立って安定してからやるべきだと思いますけれども、その安定した状況になったときに、ぜひともこういうふうなアンケート調査を実施すべきではないか。先ほど申し上げました奥尻のいわゆる教訓もまだ十分に生かされたと言えるような状況ではなかったわけでございますので、それらをもとに、専門家を集めていただいてプロジェクトチームなりをつくっていただいて、ちゃんとした、先ほど前向きに検討するということでございますけれども、手引書をつくるとかいろいろな対応を考えるとかいうことをやっていただいたらどうかと思うわけでございますけれども、この点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#24
○与謝野国務大臣 大変不幸な大震災でございましたけれども、私どもは、先生が御指摘のように、多くの教訓を学び、後世にこれを残すということが必要だと私は思っております。文部省としても、この間起こりましたあらゆる事柄を詳細に記録をしております。事が一段落をしましたら、先生が御指摘になったようなアンケート調査を含めまして、文部省あるいは教育関係者として、こういう大災害が起きたときにどう対応するのかという一般的な原則というものを学び取りたいと思っております。いずれ時期が参りましたら、こういう個別の大変不幸な事件、震災から、一般原則と申しますか、備えるべきこと、準備しておくべきこと、あるいはこういうことが起きたときにどう関係者が対応すべきかというもろもろのことを学び取るという作業は、先生の御指摘のとおり大変大事なことだと思っておりますし、また、文部省としてはそういうことをやらなければならないと思っております。
#25
○福留委員 大臣の大変前向きの御答弁ありがとうございます。
 さて、次の質問に移らせていただきます。
 今回の震災後まだまだ避難民の方々がたくさんいらっしゃるわけでございます。私は、今回の大震災を見まして、学校の持つ地域における役割の重要性というものを改めて認識したところでございます。
 まずお伺いしますけれども、今回の震災の後、避難されている方々がまだいらっしゃると思います。今、文部省の方でつかんでいる範囲で結構ですけれども、避難されている方々の人数と、そのうち今学校関係の施設に避難されている方々の人数をお答え願いたいと思います。
#26
○木村(直)政府委員 このたびの地震で避難所になっている小中高校の数ですけれども、それは三百七十五校です。それで、避難者数は約十四万八千人、これは二月九日現在の数字です。それで、避難所で生活しておられる避難者数のうち学校における避難者数の割合は六五%、そういうことになっております。
#27
○福留委員 今、学校に二月九日現在で十四万八千名の方々が避難されている、避難者の方々の六五%であるというお答えがあったわけでございますけれども、改めて、この避難ということについても学校が大きな役割、貢献を果たしておるということが示されていると思います。
 また、この学校施設だけではなくして、先ほども申し上げたところでございますけれども、避難所となった学校では、多くの教職員の方々が家族や自宅などの被災も顧みず救援活動に当たっておられるという現実がございます。
 これは一月二十八日付の朝日新聞の夕刊の記事なんですけれども、「教え不気がかり 先生ジレンマ」、阪神大震災の「避難住民のお世話で手いっぱい」というような記事がございます。
 阪神大震災の被災者の多くが避難している小中高校で、管理責任者の校長らがジレンマに陥っている。地震発生直後から、食料やトイレ、寝る場所など避難者の世話に追われ続けるあまり、児童・生徒への指導が後手に回ることが多いからだ。本来なら避難所で率先して動くべき市職員も、学校側に頼りっ放しなのが現状だ。仮設住宅が建つまで、子どものことを心配しながら避難者の世話もする先生たちの苦労は続く。という頭出しの文章で、中にはそのエピソードとして、仮設の職員室をつくられて、職員室も避難者の生活の場になっているようでございますので、仮設の職員室で寝泊まりしながら住民に対応していられる校長先生が、責任者出てこいって毎日避難者の方々からどなられていますよと苦笑しながらお話しになったようなエピソードもあるわけでございまして、もう先生方が、救援物資を受け取る仕事だとか、その物資についても避難民の方々の苦情を受けたりとか、その物資をぬらさないようにシートを押さえて寝ずの番をしたりとか、こういうお仕事に懸命に携わっていらっしゃるというふうな記事もあるわけでございます。
 こういう状況というものは大臣も現地をごらんになって十分見てこられたと思うわけでございますけれども、先ほど申し上げた、学校の校舎が果たしている役割だけではなくして、今回の震災後の避難民の方々に対する教職員の存在というのは非常に大きかったんだろうと思います。これは震災後の非常に緊急事態であるわけでございますけれども、まず文部省として、こういうふうな避難活動に携わっていられる先生方の活動というものを教職員の範囲の仕事として位置づけていらっしゃるのかどうか、あるいはそれはボランティア活動として位置づけていらっしゃるのかどうか、その御見解をお伺いしたいと思います。
#28
○遠山政府委員 お答え申し上げます。
 今回の兵庫県南部地震の被災地域におきましては、学校が被災住民の避難場所となりまして、教職員が、当該学校の被災児童生徒への対応あるいは保護者との連絡、また、学校教育の円滑な実施に向けたさまざまな業務に加えまして、市関係当局あるいは避難住民との連絡業務、あるいは救援物資の配給、割り当て作業などに献身的に従事されているわけでございまして、それはただいま先生が述べられたとおりでございます。
 このように、地域防災計画等によりまして避難所となりました学校におきまして当該学校の教職員が避難住民の世話に従事することは、当該学校の管理業務の一環を担っている、そういうことで、服務上職務として取り扱われているものと考えられます。地元の教育委員会におきましても、このような考え方に沿いまして適切に処理されていると私どもは考えております。
#29
○福留委員 地域防災計画に基づいた管理業務の一環としての職務として位置づけていらっしゃるという御答弁だったと思います。現実的には、大変な負担がかかっているようでございますし、さまざまな応援態勢も組んでいただいているようでございますので、あわせてそこら辺のところも、今後とも引き続き目配りをお願いできればと思います。
 さて、今回こういうふうに学校の施設、学校の教職員の方々というのが、震災後の避難されている方々への非常に献身的なお役に立っているということでございますけれども、今回の震災があった後に私が一つ考えたのは、こういう学校の施設というのはこういう震災をどこまで想定して建てられているんだろうかということでございます。地域防災計画の中に位置づけられていれば、そういう学校についてはかねてからその地域防災計画に基づいた形での備えがあるかとは思うのですけれども、この校舎を建てるに当たって、学校の運営に当たって、どこまでこういう大震災というものを想定していらっしゃるのかということについて、私はもう一回再確認をさせていただきたいなと思っているところでございます。
 学校校舎のあり方ということについて、昭和六十三年三月に文部省の調査研究協力者会議というところから最終報告書を出していらっしゃるわけでございますけれども、現在の各学校の施設整備指針、ここには小学校の施設整備指針というものが手元にございますけれども、こういう指針が、現時点においては、この昭和六十二年の報告書の内容については、特殊教育の学校を除いてすべてこの対応が盛り込まれているというふうに伺っているところでございます。
 まず文部省に、今申し上げました昭和六十三年三月の調査研究協力者会議の報告書、これをまとめられた経緯と、そして今学校の施設というものがどういう考え方で建てられているか、御答弁をお願いしたいと思います。
#30
○木村(直)政府委員 学校の施設を計画するに当たりましては、先生がおっしゃられましたように、現在、学校施設整備指針というのがあるわけです。それに沿って一応計画するということで文部省としては指導しているわけですけれども、これ以外にも、建築基準法の中に、学校はこういう耐震設計をしなさいとかそういう規定があるわけです。それに沿ってやはり耐震性能やなんかは計算しているわけです。それで、当然安全性とかそのほか注意事項が必要なわけですので、それについては、今言われました施設整備指針の中で、地域の防災拠点にもなり得ることがあるので、そういうことも注意して学校施設は計画しなさいよということを、従来の整備指針の中でも書いているわけです。
 協力者会議の話がちょっと最初に出ましたけれども、それは以前から学校施設設計指針というのがありましたが、それは古くなってしまったものですから、昭和六十三年に協力者会議を開きまして、新しい学校としてのあり方ということで改めて検討し直しまして、そしてその中で特に盛り込まれてきましたのが、最近生涯学習ということが言われていますので、地域の核としての学校のあり方ということが中心に検討されたという面があります。
#31
○福留委員 学校の施設というのは、私の調べたところによると、明治二十八年に「学校建築図説明及設計大要」というものが、極めて大きな意味を持ったすばらしい指針が出された。これが一つのエポックであった。その後のエポックが、今私がお話し申し上げた協力者会議における一つの指針であるというふうなことであるようであります。
 学校施設というのは、明治以来の木造校舎というものが、戦後の経済の高度成長の波に乗って鉄筋コンクリート化していったわけでありますね。しかし、その建物というのは、平面計画上は木造校舎をただ単に鉄筋コンクリート化しただけであって、形としては北側片廊下型の画一的なものであった。それを踏まえて、当時、教育方法そのものが臨教審の答申と相まって個性重視という観点から変わろうとしていた。それに対応する、つまり個性重視というような形でソフト面が変わろうとすることに対応してハードとしての学校施設も変わっていかなければならない、そういう背景でこの協力者会議というものがつくられて、一つの指針というものが出されているわけであります。
 その指針に基づいて、今の学校というものは、建てかえの際はできるだけその指針が盛り込まれるようにつくられている。この指針の中では、先ほど御答弁にもありましたけれども、これからは第一に児童生徒の個性を生かす教育ができる場づくりをしていくべきである、第二にコンピューターの導入、活用を図っていくべきである、第三に明るく自由な雰囲気をつくっていくべきである、第四に地域の人々の生涯学習の拠点となるべきである、こんな指針が出されたわけです。私は、これはまことにすばらしい指針だと思うわけであります。そこで私は、これは例えば、今までの学校というものが、単に子供を教育する一つの場から、この指針によってある意味では一歩、単純な意味の学校開放ということだけではなくして、地域の生涯学習の拠点としての意義づけを持ったという意味で高く評価しているわけです。
 しかし、私がここで申し上げたいのは、今回の震災を通して感じたことというのは、先ほども冒頭申し上げましたけれども、この日本の社会というものは先進国であると私たちは思ってきたんだろうと思います。立派な社会システムというのが構築されている、災害についても大変に強いシステムができているんだ、いろんな先進的な文明の利器が備わった、そういう先進国であると。しかし、それが今回の災害でずたずたにされてしまった。そういう利器が本当に役に立ったんだろうか。まさか日本がこういう災害を受けてこんな大惨事になろうとは国民のだれしもが思っていなかったんじゃないでしょうか。それは、アメリカのロサンゼルスとかサンフランシスコで起きた地震のときでさえも、あれは日本と無関係であるという神話みたいなものがあった、これも一つのその証拠なんじゃないかなと思うのです。
 しかし、そのシステムのはざまを埋めたのは地域の人と人とのつながりだったんだろう、いわゆる施設だとかそのものではなくして、人と人とのつながり、そういう地域のコミュニティーというものがこれから重要になってくるということを、ある意味で意味しているのではないかなと私は思うわけでございます。
 そんなことも踏まえて、この報告書の中にも四つの主題のうちの一つとして地域の生涯学習の拠点という考え方を述べられているのですけれども、これからもっと積極的な意味でこの学校というものを地域の防災拠点としてとらえていくような検討をするべきだと私は思うのでありますけれども、文部省の御答弁をいただきたいと思います。
#32
○与謝野国務大臣 今回、先生よく御承知のとおり、事実上学校というのは防災拠点になっているわけでございます。現実にそのような機能を果たしているということが言えると思います。
 これはまあ理由を考えれば、先生御紹介くださったように、学校というのは比較的堅牢にできていて、今回の被害も、幾つかの学校では非常に大きな被害がございましたが、概して言えば建物等がそのまま残るという状況になったわけでございます。かてて加えまして、やはり公立学校は地域社会からの通学者によって成り立っておりますから、地域社会とのつながりも非常に強い、そういうこともあったろうと思います。そういう中で、比較的収容スペースも大きく、またそれに附属する校庭も大きいということが、事実の問題として、防災拠点と申しますか、避難民の方々を受け入れる重要な施設ということになったのだろうと思います。
 防災拠点と申しますと、学校施設に防災上のいろいろな機能を持たせるべきだという議論とほとんど同じだろうと思うのです。防災拠点と申しますと、一つは、建物等が堅牢であって、大きな地震に対して耐え得るという面が一つ、それから、そういう大きな震災が起きたときにそれに対応できるだけの例えは食糧の備蓄、水の供給等が可能であるかどうかという問題、あるいはたくさんの方を受け入れたときに、それらの方々を無事円満に収容できるだけのある種の管理体制と申しますか、マネジメントの体制がつくり得るかどうか、幾つかの側面で成り立っているわけでございます。
 文部省の考えは、そのような機能というものを附帯的にあるいは副次的に学校につけるということは可能なことだと思いますが、やはりこういう問題は、それぞれの地域の防災計画、地方公共団体の考え方、そういうものとあわせまして、一体的に、総合的に考えるべきだろうと思っております。学校はやはり第一次的には教育施設であって、副次的にどういう機能をつけ加えるかということは、それぞれの地方公共団体あるいは防災計画の責任者のお考えであろうと思っておりますし、もしそういうことであれば、そういうことはそれぞれの地域で肉主的にお決めいただけるものと、また、東京など大変防災について深刻に受けとめてまいりました地域では、既に小学校、中学校の校庭で、食料を備蓄しましたり、飲料水の供給が可能であるような施設もつけております。
#33
○福留委員 今大臣から御答弁いただきまして、確かにそのとおりだろうと思います。
 私が申し上げたかったのは、いざとなったときの、災害が起きた後の一つの拠点という意味で言えば、今大臣がおっしゃったとおりの、そういう機能を持たせるべきであろうということは十分理解できるわけでございます。そういう意味では私はもうそのとおりだと思うのですが、私の言葉足らずだったと思いますけれども、私が申し上げたかったのは、今回、たくさんの方々が学校に避難されておりますけれども、その避難された方々も、日ごろの学校とその地域の結びつきの深さ、浅さによって避難する際の行動、いろいろな対応というものが違ったというふうなお話もあるわけですね。つまり、日ごろから学校開放が進んでいて、日ごろから地域住民の方が、この学校になれ親しんでいる方々にとっては、学校が避難場所としてすぐ思い浮かんで、そこへ行くような、日ごろから学校が、子供さんを持っていらっしゃる家庭だけではなくして、地域との深いつながりがあるところは、そのような対応ができた。
 ですから、私が地域の防災拠点と申し上げているのは、災害が起きた後にどうするかということもありますけれども、災害への備えとして、そういう災害に強い町づくりをしていく意味で、学校というものは、これから少子化の時代も迎えるわけでございます、一次的には教育的な施設でありますけれども、より一層、さらに地域との連携をこれから深くしていくべきではないか。そのことによって、また学校が生き返ってくる部分があるのではないか。それが副次的には、いざ災害があったり、いざ危機態勢になったときに、学校が地域と結んでつくり上げてきた地域コミュニティーみたいなものが、いわゆるソフトとして、こういう災害に強い町づくり、国づくりに私は貢献していくのではないかと思う次第でございまして、そういう観点からのいわゆる学校の見直しというものが必要になってくるのではないか。
 当然、今学校の開放というものは、積極的にある意味で進めていらっしゃることでございますけれども、学校開放というものを、単にある時間を限って地域に開放するという意味ではなくして、もっとそんな意味で積極的に考えていくべきではないかと思っているわけでございますけれども、この点について、大臣いかがお考えですか。
#34
○与謝野国務大臣 学校と限らず、やはり地域社会の連帯感と申しますか、私の小学校のころは隣組という組織で、助けられたり助けたりというような歌もございました。ある種の相互扶助システムがあったわけでございます。今回もそういう意味では、地域社会の中で、隣近所、大変連帯感のある方々は、倒壊した家に閉じ込められた方を近所の方が力を合わせて助けたりというお話をたくさん伺います。
 そういう意味では、先生御指摘のように、学校を含めた地域の連帯、コミュニケーション、こういうものは極めて私は大事だと思いますし、学校を中心にどういうコミュニケーションが図られるか、どういう学校での活動に住民の方々に御参加いただくかは、それぞれの地域での創意工夫であると思いますけれども、そういう意味では、こういう災害が起こってみますと、やはり地域社会における住民のある種の連帯感、コミュニケーション、こういうものが極めて大事であるということを痛感させられます。
#35
○福留委員 ぜひこの際抜本的な意味で、災害が起きた、先ほど手引をつくるとか、そういう細かいこともありますけれども、あわせて、今申し上げたような意味で、学校というものを地域の防災拠点として位置づけることはできないのかどうかということの検討をぜひとも始めていただきたいと思います。
 今まで質問してきた関連の中で、細かい話になりますけれども、一点だけ確認をさせていただきますけれども、先ほど、学校をつくるに当たって施設整備指針とか、こういうのができている、それから、先ほど申し上げた昭和六十三年にできた報告書が一つのコンセプトになって、今の学校は建てかえの場合はそういうようにつくりかえられてきているわけでございますけれども、この震災を受けて、そのコンセプトというものにもうちょっと震災というもの、災害というものへの対応を考慮するような変更を加えられる意思があるのかどうか。そして、あわせて、こういった整備指針というものを見直すお考えがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。
#36
○与謝野国務大臣 これはにわかにはお答えできない面があります。それは、今回の大きな震災、震度七ということを受けまして、道路、港湾、その他建築物等々の耐震設計はどうあるべきかということは、これから相当広い方面で議論をされると思います。
 耐震設計を高めていくと、費用の方は線形的に上がっていくのではなくて、累乗的に費用、コストというものほかかっていくという側面もありますし、そういうもろもろのことも考えなければなりませんし、大きな地震の頻発蓋然性ということも考えなければなりませんし、そういう議論はこれから建築土木の世界で相当出てまいりますので、そういうものを見ながら、やはり学校建築はどうあるべきかということもその一環として私は考えるべきものであろうと思っております。
#37
○福留委員 今すぐにはどうこうするということは言えないということだろうと思いますが、詳しくいろいろお尋ねする時間がなくなりましたので、一点だけ、ちょっと私が気になったところを御指摘させていただいて、ぜひこの見直しもあわせてやっていただきたいと思います。
 これを読ませていただいて、防災という観点からも、構造設計上いろいろなことが書いてあるのです。それで、建築基準法に基づいて恐らく校舎は建てられますから、耐震設計というものは建築基準法に基づいた形でつくるから大丈夫なんだろうと思いますけれども、この小学校の施設整備指針の中でも、これはもう我々も含めて余りそういうことを想定していなかったと思うのですけれども、私も読んでいておやっと思ったことがあります。
 この小学校施設整備指針、平成四年につくられているものでありますけれども、四十三ページに、第七節として「構造設計」というのがあるのです。それで、「構造設計」の中で「上部構造」のところの中に「地震・風による水平力に対する設計」というのが書いてあるのです。この「水平力」というのが何を意味するかわからないのですけれども、私はこれはひょっとしたら、「地展・風による水平力に対する設計」というものを考えているのですけれども、水平力というのは、今回の地震でいろいろ指摘されているように、直下型というのを余り考えていなかったのかなと思ったりしているのです。これはもし御答弁されるようでしたら御答弁していただいて結構ですけれども、後でも結構ですから、また説明していただきたいと思います。
#38
○木村(直)政府委員 地震時における水平力、それから今回のように直下型の場合の下から来る突き上げる力、そういうものに対する考え方というのがあっなかなかったかというのは、非常に建築学会の方でも微妙な話し方をしているわけです。ある先生はそういう考え方はあったと言っていますし、ある先生はほとんど考えていなかったという言い方をしているわけですけれども、それは今後いろいろな形で調査されるのだろうと思います。
 この整備指針の中で「水平力」とうちの方で書いていますけれども、一般的には、私どもの解釈としては、水平の力を主に考えて直下型の想定は余りしていなかったということは言えると思います。そういう意味で言いますと、この書き方はちょっとおかしいのかなと思われますので、今後の学会や何かの研究方向に沿って、恐らく建築基準法も改正されていくと思いますので、それに沿った形でまた指針もある程度考えていきたいと思います。
#39
○福留委員 ぜひ建築基準法とあわせて再検討していただきたいと思います。
 時間も残り少なくなってきました。続きまして、文化庁の関係について、何点か。
 今回、文化遺産等の被害もかなり受けているようでございますし、さらに芸術文化施設の被害状況もあるようでありますし、また、この震災が原因で、芸術文化振興基金の助成対象活動が中止になっているような向きもあるようでございます。
 災害の復旧に当たって、まずライフラインの確保というものを最優先させることは言うまでもないことでございます。しかし、人間はパンのみにて生きるにあらずという言葉もありますし、また、避難民の方々の心の健康が今大きな課題にもなっているわけでございます。また、花は心の食べ物とも言われるように、体育館の避難所で、花の産地から贈られたカーネーションを受け取った被災者の方々が、「熟睡できない日が続きましたけれども、気持ちが和らぎました。」というような声もあるようでございます。そういう意味で、私は文化の重要性というものも十分認識していかなければならないと思っているわけでございます。
 被災状況については、ここではもう時間がありませんので詳しくはお尋ねいたしませんけれども、文化庁に一点だけお伺いしたいと思いますけれども、今回、これは新聞報道でなされているところでございますけれども、文化財レスキュー隊というものをお考えになっているようでございます。この内容についてお尋ねしたいと思います。
#40
○林田政府委員 御指摘のように、今回の震災によりまして、文化財さらには芸術文化施設につきましてもかなり被害が出ております。
 概略だけ申し上げますと、重要文化財など文化財につきましては、被害件数百六十一件ということでございますし、公立文化施設につきましては、被害件数七十六件というふうな状況でございます。私ども、これの復旧を図るということは大変重要な仕事だと思っておりまして、現在、建造物それから美術工芸品、さらには、最近になりまして、近現代の美術品等につきましても、文化庁の関係者を中心といたしまして、関係者が協力して調査を今進めておるところでございます。
 それらを踏まえまして、今後早急な復旧のための方策を、財政措置も含めまして、関係方面とも協議しつつ万全を期するつもりでございますけれども、今先生からお尋ねのございました文化財レスキュー隊でございます。
 これは、先ほど申しましたように、既に幾つかの調査団を派遣をいたしまして調査をいたしておりますけれども、今後とも、さらにもっと幅広い文化財さらには美術品等につきまして調査の必要が出てくることが、もう既に幾つか出てまいっております。したがいまして、これらにつきまして、特に今後実施が予定されます建造物の撤去に伴う古い文化財や美術品などの廃棄や散逸というものを防ぐために、緊急に保全することを目的としてやろうと思って、今御相談をしておるところでございます。
 救援の内容といたしましては、所有者の要請を受けまして、古い文化財、美術品などの取り扱いや保存を専門とする学芸員などが家屋の撤去などの際に立ち会いまして、可能な限り保全の措置を図る、さらには、その際必要があれば緊急の保存、修理措置を施すということも含めて検討いたしております。また、所有者からの希望がありましたら、当該古い文化財、美術品等を近くの博物館、美術館等の機関に一時的な保存ということもあわせてやりたいと思っております。
 現在、文化庁と兵庫県が相談をいたしまして各種の専門家の団体等と協議を進めておりまして、現在、基本的にはおおよそ皆さん御協力いただけるような体制になっております。あとは若干の事務的な打ち合わせが残っている段階でございますので、早急に体制を整えまして活動に入る予定にいたしております。
#41
○福留委員 文化財の方も、国宝それから重要文化財、また都道府県指定、市町村指定の文化財も大変な被害を受けているようでございます。この復旧についても一生懸命やっていただきたいと思いますし、今御答弁ありました文化財レスキュー隊についても、早期に活動に入れるようお願いを申し上げたいと思います。
 最後の質問になるかもしれませんけれども、春の選抜高校野球のことについてお尋ねをしたいと思います。
 三月二十五日から阪神の甲子園球場でこの選抜高校野球は予定されていたところでございますけれども、これについては一月の運営委員会で結論が先延ばしになっているようでございます。これは当然毎日新聞社と高野連の方で御決定いただくことだろうと思いますけれども、大臣も、当然のことながら、開催されれば現地に始球式に行かれるお立場でもあろうかと思います。
 この開催へ向けて、いろいろな条件があるのだろうと思います。被災の状況もいろいろあろうかと思いますけれども、今、その開催の条件への状況、条件が今どうなっているのか、文部省の方でおわかりの範囲でお答え願えればと思います。
#42
○小林(敬)政府委員 お答えいたします。
 一番大きな点は、甲子園球場の被災状況、それからその復旧のめどかと思います。このたびの大地震で、甲子園球場そのものは、グラウンドに地割れが生じたほか、スタンドのコンクリート面とナイター照明施設の基盤のコンクリート部分に数カ所の亀裂が生じました。現在既にその補修を進めておりまして、今月中には修復を完了できる見通しであるというふうに伺っております。
 それからあと、施設であるとか練習会場というものも大切なわけでございますが、これらについては、若干広範囲になるのかもわかりませんが、何らかの対応が可能ではなかろうかということでございます。
 ただ、今、最も問題になっておりますのは、選手とか応援団等の移動について、災害復旧作業に影響を及ぼすことなくその移動が可能かどうか、この点を最も大きな問題として検討を重ねているという状況と承っております。
#43
○福留委員 この高校野球の開催について、当然、物理的に開催できるかどうか、物理的に開催できなければ、もうこれは無理なわけでございます。当然、球場が大丈夫なのかどうか、そこへ選手たちが行ける交通アクセスが確保できるのかどうか、さらにその宿舎がきちんと確保できるのかどうか、そういう要因があろうかと思います。また、観客の方々がそこへ本当に行けるのかどうか、そういう物理的な要因というのがあろうかと思います。
 その物理的な要因が仮にクリアできたとしても、例えば、そこに観客を動員することによって周辺の道路に交通渋滞が生じて、その交通渋滞が災害復旧のために働くさまざまな車の活動の支障にこれはなってはならないことでございますし、この障害にならないということも大事なことでございますし、さらに、被災されている方々の御心情というものも、これは十分酌み取っていかなければならないことでございます。
 しかし、そういうようなことを十分踏まえた上で、物理的な条件が整って、災害復旧の邪魔にならないということであれば、私は、その災害に遭われた方々に希望を持っていただく一つの機会として、規模は別にしても、何らかの形で持つことを前提に前向きに努力すべきではないかなと思っているところでございますけれども、この件について、大臣の御所感で結構でございますけれども、お伺いしたいと思います。
#44
○与謝野国務大臣 選抜高校野球は、大正十三年、いみじくも大正十二年の関東大震災の翌年から始まりました。戦争中の昭和十七年から二十一年の間は戦争の関係で中断のやむなきに至りましたが、その後は連続して、選抜高校野球は高野連及び毎日新聞の主催で開催され続けてきております。
 そういう意味では、今先生が御指摘になられましたように、球場は大丈夫なのかという問題が一つ、宿泊施設は大丈夫なのかということが一つ、それから災害復旧の阻害要因にならないのかということが一つ、あるいは住民感情の問題、こういうもろもろのことがございます。
 しかしながら、現時点で中止するということを決定するのは私は早過ぎる、むしろ現時点では開催する方向でいろいろな準備をし、開催する方向でいろいろなことをされたらいいのだろうと思います。中止をすべきというような状況になりましたら中止をすればいいわけでございまして、恐らく私の感じでは、規模の問題等あるいは応援等が華美にわならないとかいろいろな配慮をすれば、こういうものは開催をしてもいい状況が来るのではないか。そして、あの関西大震災の復興に高校生の明るい歓声もまた必要だという意見も出てくるのではないかと思っておりますので、この選抜の関係者が開催する方向でいろいろ御検討いただき、準備いただくということは正しいことではないかと思っております。
#45
○福留委員 ありがとうございました。
 もう残り一、二分でございますので、最後に一問だけお願いしたいと思います。
 これは震災対策とは違います。しかしながら、この村山内閣の最大の現時点での仕事の一つとも言える行政改革の問題について、きょうの新聞によりますと、特殊法人の整理合理化について政府・連立与党として文部省所管の中で私立学校教職員共済組合と日本私学振興財団の統合などを含む六件の統合等を決めたと報道されたわけでございます。この行政改革、そしてその中でも特殊法人の整理統合化、そして今具体的にもう名前が出ているわけでございますけれども、この件について大臣の考えと、そして今具体的になっているこの件が行政改革の趣旨に本当に沿う形のものの結果になっているのかどうか、お考えをお伺いしたいと思います。
#46
○与謝野国務大臣 特殊法人を考える場合に、その使命を終えたもの、あるいはその持っている業務を縮小すべきもの、あるいは他の特殊法人と業務が重複しているものとか、いろいろな観点から特殊法人の問題は考えられるわけでございます。
 村山内閣は特殊法人の整理統合等を公約したわけでございますし、また、閣議において各省大臣がそれぞれのリーダーシップでこの問題を考えろということで、私ども文部省の中でも、事務次官を本部長としてこの問題に取り組んできたわけでございます。また、最終的には今晩ないしは明日に正式に決まるわけでございますけれども、私どもとしては、先生が御指摘になられました私学振興財団と私立学校教職員共済組合の統合ということを検討しているということは事実でございます。
 ただ、私どもとして心配しておりますのは、私学振興ということは、与野党を通じて私ども文教関係の最大の関心事でもございますし、こういう統合によって私学振興にいささかの揺るぎがあってもならない、むしろ私学振興の基盤が強化されるということであってほしいと思いますし、私学関係の自主性、独立性ということもまた大いに進めなければならないと思っております。
 いずれにしても、特殊法人を整理統合するということは、関係者にとって大変痛みを伴うことでございますので、文部省としては慎重な上にも慎重に今後手続を進めてまいりたいと思っております。
#47
○福留委員 この行政改革の問題については引き続き議論をさしていただきたいと思います。
 時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。
#48
○伊吹委員長 これにて福留泰蔵君の質疑は終了いたしました。
 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時開議
#49
○伊吹委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。西博義君。
#50
○西委員 新進党の西博義です。
 初めに、このたびの阪神大震災におきまして、犠牲になられました五千名を超す犠牲者の皆様に心からの哀悼の意を表しますとともに、被災されました多くの皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 私は、この機会に、平成七年度予算の内容の一部につきまして前半質問させていただき、後半阪神大震災の関連の御質問をさせていただきたいと存じます。
 大臣のこの所信表明にもございましたように、今年度の予算の編成方針として、教育や学術を未来へ先行投資というふうに位置づけをされております。これはさきの連立内閣の方針でもあったわけですが、現内閣にも引き継がれ、党派を超えて、教育の先行投資性を踏まえた予算の充実がいかに大事であるかということを物語っているというふうに考えております。
 この未来への先行投資という視点から見て、学校教育が早急に対処を求められている問題の一つに、理科離れという問題がございます。私は、長年にわたっていわゆる理科、産業教育の現場に携わっておりましたが、その関係から、この問題に強い関心を持っておるとともに、この問題について若干の御提言も踏まえて、これからお尋ねを申し上げたいと思います。
 さて、これまで理科離れに対処するために、理科教育設備の充実が図られてまいっております。小中高並びに特殊教育諸学校におきましても、理科の実験などに使用される設備もしくは機器につきましては、理科教育振興法に基づいて、この設備基準が細かく決められておるわけですけれども、この基準が平成四年から順次六年にかけて新しく改定をされまして、予算上でもかなり充実をされてきております。そして、この結果、各学校の実情や教育内容に応じて品目を柔軟に選択できるようになったという意味では、大きな前進ではないかというふうに評価をいたしております。
 さて、この来年度の予算における理科教育の振興に対する新規施策、これは三点挙げられておりますが、第一点目が観察実験指導力向上講座の開催、二点目が科学学習センター施設の設置、三番目が教育センターの理科教育設備充実、この三点を挙げておられます。
 初めの教員の指導力向上のための施策ということで観察実験指導力向上講座、これを開催したり、各都道府県に設置されている教育センターに新しい基準で定められた理科教育施設を整備するということが予算措置をされておるようでございます。
 観察実験向上講座は、五会場の開催で、一日で五十人を対象というふうにのっておりますが、このままでは指導力の向上を図るという側面からしても五会場五日では余りにも不十分ではないかという気がいたしております。
 また、児童生徒の知的好奇心を高めるための施策として、一定地域単位に科学学習センターという施設を設置することがこの予算に盛り込まれております。今年度は三カ所設置するということですが、最終的に何年計画で何カ所設置を予定しているのかということをお伺いをしたいと思います。
 また、科学学習センターは、大型の実験装置や機器を設置するということだろうと思いますが、具体的に児童生徒はどのような形で利用ができるのかということをお伺いをさせていただきます。
#51
○井上政府委員 お答え申し上げます。
 我が国のこれまでの社会経済の発展は、科学技術の発展に支えられてきたところが大きく、その中で理科教育の役割は極めて大きなものがあると考えております。
 このため、現行の学習指導要領におきましては、理科教育につきまして、創造的に思考する能力、論理的な思考力や問題解決能力の育成等を重視しまして、小学校、中学校、高等学校を通じて、その教育内容の改善を図ったところでございます。
 先ほど先生からもお話がございましたように、文部省では、学習指導要領の趣旨の実現を図るため、講習会の開催や指導資料の刊行に加えまして、理科教育等設備基準を改定して、実験用機器等の計画的な整備充実を進めますとともに、理科教育担当教員の資質向上を図るための研修事業を実施しているところでございます。
 このような理科教育の重要性を考慮いたしまして、平成七年度政府予算案におきましては、理科教育の一層の充実を図ることといたしまして、先ほど先生からお話がございました三つの新規事業を実施するための経費を計上しているところでございます。
 第一に、観察実験指導力向上講座でございますが、観察実験等を重視した現行の学習指導要領に基づく理科教育の一層の推進を図るため、小学校、中学校、高等学校の理科教育担当教員の観察実験等に関する指導力の向上等を図るための講習会を開催することといたしているわけでございまして、先ほどお話がございましたように、全国五会場五日間で、参加者は各会場五十人、合計で二百五十人の参加を予定しているところでございまして、今年度を初年度といたしまして、今後この指導力向上講座を充実することによって、その対象についても引き続き拡充をしていきたいと考えているところでございます。
 第二点は、科学学習センター施設整備費についてのお尋ねでございましたが、児童生徒の体験的な科学学習活動を促進するための科学学習センターを市町村単位程度の一定地域に新たに設置するとして、初年度といたしまして三カ所を整備する予算を計上しているところでございます。
 これにつきましては、今後毎年度計画的に、各県における整備計画等も踏まえながら、継続的にその整備を進めていきたい、このように考えているところでございます。
 第三に、理科教育等設備整備費の教育センター分でございますが、これにつきましては、地方におきまして教員研修の中核となります教育センターに対して、新しい理科教育設備基準に基づいた理科教育設備の整備を行うことといたしまして、平成七年度には三センターを整備をし、今後引き続きその整備を計画的に進めていきたいと考えているところでございます。
 今後とも初等中等教育におきます理科教育の推進には、先生の御趣旨も踏まえながら努めていきたい、このように考えているところでございます。
#52
○西委員 先ほどの答弁では、市町村単位に毎年、各県の実情も踏まえながら整備をしていく、こういう御答弁がございました。
 実は、この予算が三カ所で、国の分の予算が五億四千七百万で、三分の一の補助でございますので、総事業費十六億四千万余りということになるわけでございます。それが三カ所の分でございますから、結局一カ所当たり平均いたしますと五億四、五千万の設備がこの科学学習センター施設という設備に使われるわけですが、構想として初年度三カ所、市町村単位、各県の整備計画に基づいてというお話でございましたが、いかにも計画が遅いというか、立派な施設は私は否定するわけではございませんが、そういう意味では再考する余地があるのではないかというふうなことを考えております。そういう意味ではすぐに効き目がなかなかあらわれないのではないか。二十年も三十年もして完備しているということでは、世代がかわってしまうというようなことも考えられます。
 それから、利用が余りにも不便ではないか。遠くへ行かないと施設に触れられないのではないか。また、施設の利用方法がもう一つ考えられてないのではないかというようなこと、それから費用が、かなり立派な施設を想定されているようですが、効果との問題でもう少し工夫がないのかというようなことが考えられます。理科離れの問題に対しては、早急な対応が求められるであろう、こう思います。
 施設を建設するというこの施策でございますが、費用等の面で、また予算等の面でかなり対応がおくれてしまうのではないかというふうに思います。また、施設の管理上の問題も考えられるのではないかと思います。そこに行っても、ただ施設の管理をするだけの人員が配置されていて、結局なかなか思うようにその運用ができないのではないか。例えば、各地で今子供科学センターとかいうような、例を挙げますとそういうものがあって、ガラス張りのところにボタンが幾つか並んでいて、それを押せば何か照明、ランプがついたり動いたりというようなことしかできないのではないかという心配をしております。もっと具体的な方向性があれば教えていただきたいのですが、そういう意味で、もっと本当に子供たちがその場に行ってじかに手に触れられるようなそういう施設で、そして理科のおもしろみが肌で感じられるような設備をぜひともつくっていただきたい、これが私のお願いでございます。
 これだけの支出をしていただくわけでございます。毎年毎年またこれからも充実をしていただけるように思うんですが、児童生徒に科学の魅力を知っていただくという意味では、最先端の装置や機器を実際に目の前でさわってみる、そして変化を楽しんでみる、また何らかの驚きを子供に与えられるようなものが必要だと思うんですが、このような施設を逆に、一定の場所に、市町村単位に立派なものをつくるのではなくて、例えば、各県で五台とか十台ぐらいの装置だとか機器を積んだ移動できるようなトラック、トラックというのか自動車なんかで学校現場に行っていただいて、そこで見られるようなものができれば非常に効率よく運ぶのではないかな。費用の面でももっと一つ当たりの値段が下がりますし、もっともっと急速に広まっていくのではないかなというふうに思います。そういう形で事業の充実が図れればというふうに考えておりますが、御感想がありましたら一言お願いいたします。
#53
○井上政府委員 ただいま先生から三点ほどお話がございましたので、それらにつきまして御説明を申し上げさせていただきます。
 まず第一点は、科学学習センターは、児童生徒の体験的な科学学習活動の促進を図ることを目的として、市町村単位の一定地域に設置しようとするものでありまして、一カ所当たり事業費ベースで十億円程度を見込んで積算しているところであります。このセンターでは、一つの学校では整備できないような大型の観察実験装置や児童生徒がみずから操作できる装置等を整備するとともに、各市町村内の小中学校による共同利用を予定しているわけでございまして、児童生徒の科学技術への興味、関心や学習意欲を高める上で十分な効果を上げるものと考えているところでございます。
 第二点は、科学学習センターは、児童生徒の科学的な考え方を育てますとともに、自然に対する知的好奇心を高めることなどを目的として、体験的な科学学習活動を促進しようとするものでございまして、展示のみならず、実際にさまざまな装置を動かしたり各種の実験を行うなど、多様な学習活動が予定されているところでございます。
 また、このセンターの利用、活用につきましては、主として各小中学校の教育活動の一環として、理科教育担当教員等の引率指導のもとに学習活動が行われることになると考えているところでございます。
 第三点につきましては、特に、科学学習センターにおきましては、小中学校の理科教育設備としては整備が困難な大型設備や最先端の装置を配置するなどいたしまして、通常学校で体験できないような学習活動を行うことなどを予定しているところでございます。
 また、先生からお話がございました自動車による最先端装置の巡回につきましても、このような趣旨に沿った貴重な御提案と受けとめさせていただきましたが、自動車に載せる装置の規格や重量、設置上の安全等幾つかの問題点や検討すべき課題もあると思われますので、今後十分研究させていただきたいと思います。
#54
○西委員 初めにも御質問申し上げたのですが、今回三カ所で、どの程度の範囲で生徒が集まってこられるのか。例えば、各県に一つずつ、基本は市町村単位というふうにおっしゃっているのですが、これは三千幾つあるわけでございまして、到底そういうことを想定されておられるのではなかろうというふうに考えております。さりとて各県で一つということでもなさそうですし、大体の規模といいますか、イメージがわかれば、ぜひお教えをいただきたいと思うのですが。
#55
○井上政府委員 お答え申し上げます。
 科学学習センターの設置に係る整備計画につきましては、平成七年度の公共投資重点化枠で新たに制度化したものでございまして、市町村単位の一定地域で科学学習センターを整備いたしまして、児童生徒の体験的学習活動を促進することを目的としているわけでございますが、場合によっては周辺の市町村の小中学校においても共同利用が、当該設置市町村が認めていただければ共同で利用できるような方途も考えながら、ある程度広域的に利用できればとも考えているわけでございます。一応、今後五カ年間の整備は、各都道府県に一カ所ずつは少なくとも設置をしていきたいということを考えておりまして、今後各市町村において積極的に整備を推進するに当たりましてモデルとなるような施設というものをとりあえずは整備していきたい、このように考えているところでございます。
#56
○西委員 今かなり具体的にお話がございました。五年をめどに都道府県に一カ所ずっということでございますが、それであるならばなおさらのこと、もっと広く移動できて、もっと広い範囲の人たちが利用できるような設備にぜひともお願いをしたいというふうに思います。それでないと、近隣だけということになりますと、なかなか広がりが出てこないのではないかというふうに思います。
 次の質問に移らせていただきます。
 次に、情報教育についての新規予算のことでございますが、今年度の予算の情報教育関係の新規施策としては、一、教育用ソフトウェアライブラリーセンターの設置、二番目に情報ネットワーク活用推進地域指定や僻地学校高度情報通信設備活用方法研究開発事業というものがのっております。文部省は、これからの情報社会において情報教育というのは大変重要だというふうにお考えであろうと思いますが、教育との関係につきましてどのような構想を持っておられるのか、文部省全体としての構想、それからまたその構想において今回の施策というのがどう位置づけられておられるのか、お伺いをしたいと思います。
#57
○井上政府委員 お答え申し上げます。
 今日、我が国の情報化の進展は著しく、これに対しまして適切に対応していくことはこれからの学校教育の重要な課題でございまして、今後は将来の高度情報化社会に生きる児童生徒に必要な資質を養いますとともに、情報手段の活用による学校教育の改善充実を図るという観点に立って情報化への対応を進めていく必要があるというように認識をいたしているわけでございます。このため、文部省におきましては、ハードウエアの計画的整備からソフトウエアの開発、充実に至るまでさまざまな条件整備を行っているところでございまして、平成七年度におきましても情報教育の一層の推進に向けて新たな施策を実施することとしております。
 具体的には、先生からお話がございましたが、一つは学習活動に必要なソフトウエアを円滑かつ適切に選択できるようにするため、学校関係者に対しまして教育用ソフトウエアの検索、試用を行う機会を提供する施設でございます教育用ソフトウェアライブラリーセンターの整備を図ることとしているわけでございます。その整備は、初年度におきましては四十七都道府県、十二政令指定都市、五十九カ所の整備を予算として計上しているわけでございます。第二に、教育方法の改善充実の観点から、既に整備されつつあります各地方公共団体の地域システムなどの情報通信網を学校教育で有効に活用することについての実践的な研究であります情報ネットワーク活用推進地域指定を行うことといたしております。さらに、僻地におきます教育の一層の振興を図る観点から、交通諸条件に恵まれない僻地の学校と都市部の学校を光ファイバーで接続いたしまして、両校の児童生徒による双方向学習の実践研究を行います僻地学校高度情報通信設備(マルチメディア)活用方法研究開発事業を実施することといたしているわけでございます。
 今後とも、学校教育活動全体を通じまして、情報活用能力の育成を図りますとともに、情報教育推進のための条件整備に努めてまいりたいと考えております。
#58
○西委員 ただいまお話ございましたように、各都道府県プラス政令指定都市にとりあえずことしは予算がついて、一カ所大体一億程度の予算がつく、最終的には各都道府県五カ所という構想のようです。平たく言いますと、教育ソフト、もう二千とかいうソフトが市場にあるようにお伺いしておりますが、そういうものが、全部がその一部か存じ上げませんが、一カ所に全部収納されて、必要なものを検索するといいますか、試しに使ってみるというためにつくられるものではないかというふうに思います。
 このセンターは、現場で、そのセンターでお使いになるという原則なんでしょうか、それとも貸し出し等はなさる予定なんでしょうか。
#59
○遠山政府委員 お答え申し上げます。
 教育用ソフトウェアライブラリーセンターでございますが、この利用方法につきましては、情報提供につきましては、ソフトメーカーとの間で学校とのオンラインによる提供につきましては使用許諾契約がないと著作権法に違反するということでございますので、実際に教育用ソフトウェアライブラリーセンターに先生方に来ていただいて、そこで検索し、試みに使っていただく、このような利用方法を考えております。
#60
○西委員 もう一つついでに、このセンターの人員の配置はどのようになりますか。専門の方がおられるような配置を考えておられますか。
#61
○遠山政府委員 このセンターの運営に当たりましては、コンピューターについてのかなり専門的な知識なり技術なりが必要でございますので、ちょっと学校の先生では無理な面が多いと思われますので、外部の情報処理技術者を積極的に活用するということが適当であると考えておりまして、財源措置についてもそのように外部に委託をするということで考えております。
#62
○西委員 今お答えにありましたように、それなりの活用はできるように思います。しかし、私考えますに、そういうソフト、新しいソフトを使ってみたい、算数の先生であれば算数の新しいソフトを一度試してみたいということで行かれるわけですが、一方では、文部省の施策として情報ネットワークを構築するとか、僻地間の光ファイバーネットワークを組むとか、こういう時代に差しかかっておるわけです。先ほど著作権の問題、ちょっと一つお挙げになりましたけれども、もちろん解決しなければならない点はあろうかと思いますが、コンピューターでもワープロでも、私どもも使っていてよくわかると思うのですが、手元にあってこそ初めて本当に使ってみようかな、ちょっと試してみようかなということで、遠くにあるものはなかなか利用しにくいというのが通例でございます。職員室で、お昼休み、ちょっと算数の新しいソフトがないかな、こういうふうに使えるような時代がもうすぐそこに来ているのではないかな。例えばCD―ROMなんかにこういう多数の教育ソフトを入れて、そして遠隔から操作をしてソフトを利用できる、もちろん試してございますが、利用できるというようなことを、この教育用ソフト全体とそれから文部省との間で何らかのやりとり、約束事といいますか、そういうものができないのかな。例えばビデオ・オン・ディマンドなどのサービスをやっているCATVの例なんかもあるわけでございます。そういうことをすることが、すなわち教育用のソフトが先生方の身近なところに、利用しやすいところにある、その先生方が数多く検索されることによってまた有効に使われていくという側面があるのではないかというふうに思います。
 そういう意味で、この情報ネットワークまたデータベース等もたくさん今、日進月歩の勢いで進歩をしておりますので、そういうものを有機的に文部省全体の施策として研究を進めていっていただきたいというのが私の二つ目の提案でございます。何か、一言ございましたら……。
#63
○井上政府委員 先ほども申し上げましたが、文部省といたしまして平成七年度から教育用ソフトウェアライブラリーセンターを各都道府県、指定都市に計画的に整備推進いたしますとともに、国立教育会館にソフトウエアライブラリー総合センターを設置いたしまして、教育用ソフトウエアのデータベースを構築することによりまして、オンラインで各都道府県のソフトウェアライブラリーセンターや学校等に情報提供ができるシステムを整備することといたしております。これによりまして、学校教育関係者が良質の教育用ソフトウエアをパソコンにより検索することが可能となるものと考えているところでございます。
 また、先生から御提案がございました、教育用ソフト自体のデータベースの構築とそのパソコンによる利用システムの整備やあるいはCATVの利用等につきましては、大変貴重な御意見でございますので、今後、技術動向等を見きわめつつ、研究を重ねてまいりたいと考えております。
#64
○西委員 積極的な御答弁まことにありがとうございました。
 続きまして、震災のことについて若干お伺いをしたいと思います。
 今回の阪神大震災におきましては、たびたび皆さんの御質問にありますように、学校教育施設が避難所として大変大きな役割を果たしてまいりましたし、まだしばらくその役割は続くものと考えられます。
 先日の委員会では十五万人ほどの方が学校に避難をされたというふうにお伺いをいたしましたが、現在では何人の方が避難をされており、学校数は何枚になりますでしょうか。
#65
○木村(直)政府委員 二月九日現在で、避難所となっている学校数は三百八十七校、避難者数は十五万二千人です、これは大学も入った数字ですけれども。
#66
○西委員 地震発生以来既に二十四日が経過をいたしました。授業が再開をされた学校も多いわけですが、それでも避難者の方のお世話をしながら学校運営を余儀なくされているところも相当数に上っているとお伺いをいたしております。
 先生方は、非常に不自由な中での授業と避難所の皆さんのお世話と、この二重の苦労を課せられております。私も、お伺いしたときもそういう苦情をお伺いいたしました。学校には市の職員も配置をされておりましたけれども、どちらかというと学校の先生方が主体的にこの避難された皆さん方と接せられておって、どちらかというと市の職員は連絡係というような色彩が強いのではないかなというような印象を受けて帰ってまいりました。学校現場で、一方では教育をしながら、また被災者の皆さんにも全力で激励をし、また物資を届け、また寝るところのお世話をし、トイレのお世話までしている、この不眠不休の先生方、とりわけ管理者でいらっしゃる校長先生、教頭先生の皆さんには本当に頭の下がる思いをして帰ってまいりました。そういう皆さん方、特にこれは、仮設住宅ができて安心をして避難されている皆さんがお移りになるまで続くんだろうと思うのですが、この苦難に立ち向かって一生懸命に頑張っておられるこの被災地の先生方に、大臣から何か一言激励のお言葉をいただければというふうに思います。
#67
○与謝野国務大臣 先生からお話があったように、学校は数多く避難所として使われているわけでございまして、それと同時に、大変特徴的なことは、それぞれの学校では校長先生初め教職員の方々がまさに避難されてきた方々、それは五百の場合もありますし、千の場合もありますし、多い場合ですと二千五百というような数になっております、こういう方々のお世話をしているわけでございます。お世話というのは、具体的には五百、千という数になりますと小さなコミュニティーを形成するわけですから、そういうコミュニティーが平穏のうちに時が過ぎていくということも確保しなければなりませんし、いろいろな食糧の確保、救援物資の配付あるいは名簿の管理あるいは外部との連絡等々、もろもろのいわゆる小さなコミュニティーとしての仕事があるわけでございまして、こういうものを本当に一生懸命やってくださっている。また、場合によっては、高校の場合ですと、高校の当該学校の生徒が住民の名簿の管理をやったりあるいは住民と外部との連絡に当たったりとか、また、ボランティアの方もそういう中で医療活動を初めいろいろなことをやっておられるということで、文字どおり寝食を忘れてこういうものに取り組んでくださっておりますことは、言葉で感謝が申し上げられないほどであると思っております。
#68
○西委員 心温まる大臣のお言葉に、さぞや現場で頑張っている皆さん方もほっとされているのではないかというふうに思います。
 私、先週の末に寄せていただいたんですが、既に六甲山の北側、北区、西区というあたりにもお伺いしたんですが、授業が再開をされておりました。しかし、依然として先生方はお泊まりになっておりました。お聞きをすると、三名泊まるようにというようなことになっているんだというふうにおっしゃっておられました。私は、できるだけ早く授業が再開され、被災地以外の皆さんとレベルを同じく少しでもして、早くしてあげるということが基本的には大事だろうと思っているんですが、今先生方が泊まられているのが、新聞なんかによりますと管理者としての責任から泊まられているというふうに書かれている面もあるのですが、授業を再開してまで泊まられるというのは随分先生方には負担が重いのではないかというふうに思います。どういう、何かそういう指示とかいうふうなのはおありなのか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
#69
○小林(敬)政府委員 お答えいたします。
 ただいま先生から御指摘がございましたが、実は私どももこれまで、子供たちの健康の問題それからあわせて心の問題ということを中心に県とも連絡をとりながらやってまいりました。ただ、テレビ等でも、先生方が日夜を分かたず、日曜日も返上してずっと泊まり込みでやっておられる、先生方も大変だな、もうそろそろ何か言ってやらないとという感じを持っておる次第でございます。
 今、学校医とかカウンセラーの方たちを学校に派遣して、いろいろ心の問題も含めて、児童生徒の健康問題というのを大きく、重視していこうというときでございますので、ちょうどそういう機会に教職員の方々も一緒に診ていただくというのが一番いいのであろうかというふうに思っている次第でございます。
#70
○西委員 ちょっと気になりますのは、もちろん学校の管理は大事なことなのですが、被災者の泊まっていらっしゃらない学校にも依然として交代で泊まっているやにお聞きしたものですから、その辺のところは本当に必要があるのかなというふうな気がいたしました。今答弁いただかなくても結構ですが、少し実情、どういうふうなことで泊まっていらっしゃるのかということをお調べいただいて、後日で結構でございますが、御報告いただけたらというふうに思っております。
 基本的には、再開したときには、行政の皆さんにお任せをしていただければもう少し負担が軽くなるのではないかなというふうに思っております。
 それから、そういう意味で、この国会、第真二十二回国会における文部大臣の先日の所信の中にも、第一の課題ということで、生涯学習の観点から、「生涯学習の振興のため、多様な学習活動の展開を図るとともに、社会人を対象としたリカレント教育やこここからです、「ボランティア活動の支援などの施策を積極的に推進します。」こういうふうに大臣からおっしゃっていただきました。
 また、昨年十月の文教委員会で私質問させていただきました、教員の特別長期研修という問題に対して、大臣からも、よその府県の例も挙げられて、積極的な御発言がございました。「中堅教員につきましては、あるいは若手教頭等につきましても、民間企業へ現職のまま長期間派遣しているという例もございます。文部省としては、各県等の実情に応じて、御指摘のような教員に対する異業種にわたる研修が積極的に実施されるよう、引き続き都道府県教育委員会等を指導してまいりたいと考えております。」こういうふうに御答弁をいただきました。
 各自治体からも、この災害が始まって直後に、飲料水を運んだり、また食糧を運んだり、いろんな意味で自治体の職員の皆さんはいち早く被災地のところに駆けつけておられます。先生方も本当に、先ほど申し上げましたように、私どもから見てもかわいそうなほど、先ほど大臣も不眠不休の活躍をされているということに対してお話がございましたが、何らかの形で、もちろん向こうの要望等とも十分合致をするということが前提にございますが、参加をできる人は参加をしていくという方向を、ぜひ大臣の方から打ち出していただけたらありがたいと思いますが。
#71
○遠山政府委員 現在避難場所となっております学校には、兵庫県内で被害が比較的少なかった地域の学校の教職員が派遣をされて、お手伝いをしているわけでございます。そのほか、ほかの府県からも兵庫県あるいは神戸市に多数の教職員が公務出張あるいは自発的なボランティアで参加をしているという状況でございます。
#72
○西委員 現実、大勢の先生方が前向きに参加をされているということをお伺いいたしましたが、ボランティアというよりも、やはり出張という形で出してあげていただきたいというふうに思います。
 ボランティア教育の重要性が叫ばれる折、先生方が本当に率先をして、ボランティアだけじゃなくて教育現場そのもののお仕事もされているんだろうと思いますが、そういうことを身をもって実践されている。本当に、向こうに行けば住むところもなく、何もかも不自由な中で被災者の皆さんと一緒にごろ寝をされながら御努力をされているのだろうと思います。そういう人たちを出張扱いにして積極的に支援をしてあげることがやはり大事ではないかというふうに考えます。
 それから、その次に、今この災害が長引いてまいりまして、随分休校になっております。神戸市の中で今授業を再開した学校、それから完全にもう授業を回復された学校、わかりましたらお教えを願いたいと思います。
#73
○井上政府委員 お答え申し上げます。
 被災地域の多くの学校におきましては、地震発生直後から休校措置がとられたわけでございまして、兵庫県内の公立の小中高等学校の休校数は、地震発生翌日の一月十八日には五百校を超えておりましたが、既にかなりの学校で授業が再開されまして、二月九日現在の休校数は七十一校となっております。なお、私立学校も加えますと百一校がまだ休校という状況でございまして、休校中の国公私立の学校の児童生徒数は約六万人となっております。
 また、二月九日現在、被災をいたしました神戸、阪神地区の公立小中高等学校五百六十二校のうちで、平常授業を行っている学校は百六十九校でございまして、自校で短縮授業を行っている学校は二百九十二校、二部制で短縮授業を行っている学校は十九校、他校や他の施設などで授業を行っている学校は十一校というような状況になっております。
#74
○西委員 ちょっと古いのですが、二月三日の読売新聞にも出ておりますが、神戸市立の全部の学校三百四十五校が、今学期中に授業を再開をしたいということで、プレハブ八百教室を早急に建設をするというニュースが出でございます。
 その中で、ちょっと気になりますのは、避難の住民には移転先が決まるまで体育館などの提供を続ける方針である。これは当然のことだと思います。被災された皆さんが安心して次の生活ができるまで提供させていただくということは当然だと思いますが、一方で、村山総理、きのうの記者会見で、三月末までに仮設住宅を三万戸のところを四万戸建てるというふうな発表をされたようにニュースで伺いました。
 この計画ですと、もちろん体育館というふうにこの新聞では出ておりますが、教室にもたくさんまだ被災された方がいらっしゃるわけでして、被災された方が今学期中に皆さん安心して仮設住宅にお移りになるということは事実上無理なのではないかというふうに思っております。そういう意味で、本格的に授業が開始されるのはもっと先になるのではないかというふうに私はおそれているわけですが、今の御予定、最終的に全部の学校が授業をフルに再開できる見通しがもしおわかりになれば、お教えを願いたいと思います。
#75
○与謝野国務大臣 現在、被災地域の多くの学校は、被災住民の避難所として提供されております。住民生活の安定を基本に置きつつ、児童生徒の安全確保や学習場所の確保などを図り、自校だけでの再開が難しい場合には、他校、他施設の利用や二部授業等の工夫も行いながら授業再開が進められているところでございます。
 休校中の学校においても、例えば定期的に児童生徒を登校させ、いろいろな注意を与えたり、学習活動をさせるなど、学校教育活動の再開に向けて取り組みが行われております。文部省といたしましても、学校施設の安全点検や仮設校舎の建設、教科書や学用品の支給など、学校における教育活動ができるだけ早期に再開できるよう万全の措置を講じてまいりたいと考えております。
 現在、兵庫県教育委員会及び関係市教育委員会において、地域の実情を配慮しつつ、児童生徒の状況、施設の安全度、通学路の確保等、諸般の事情を勘案しつつ、できるだけ早期の再開に向けて取り組みを行っているところでございます。具体的にいつまでとお示しできる段階には至っておりません。
#76
○西委員 わかりました。大変な御努力の中で、今めどをというのは難しいかもしれませんが、できるだけ早く完全復旧ができるように努力をお願いしたいと思います。
 比較的被害が少なくて、収容されておられる被災者の皆さんの数も少ない学校でも、神戸市内は依然として小学校も短縮授業になっております。私は、一つは給食の問題ではないかなというふうな気もしておりますし、ひょっとして先生方のローテーションというか疲労の問題もあるのかなというふうな気がしておりますが、この理由、できるだけ早く、もちろんまだまだ授業もできないところがいっぱいあるわけで、それはそれで一日も早くやっていただきたいのですが、今の内容についてお願いします。
#77
○井上政府委員 お答え申し上げます。
 被災地域の学校では、被災住民の生活に十分に配慮しながら、児童生徒及び家族の状況、施設の安全度、通学路の確保、教職員の出勤状況など諸般の事情を考慮しつつ、条件の整った学校から、短縮授業も含め可能な限りの方法で教育活動を再開しているところでございます。比較的施設の被害が小さく、被災者の受け入れ人数の少ない学校におきましても、ガス、水道、電気等の問題によりましてトイレ等が利用できないことや給食の実施が困難であること、また、通学手段の関係で繰り上げ下校させる必要があることなどから短縮授業を行っているものと承知しているところでございます。
#78
○西委員 私の調べさせていただいた範囲では、二月六日現在、既に北区、垂水区、西区等では全部の学校が一応小中ともに再開をしております。ただし、午後は休みということに、短縮になっているわけですが、実態的には給食の問題、つまり食事の材料が私は一番大きな問題として上がっているのではないかという気がしております。これらの区では、全部学校へ行っているということは、相当被害の程度が少ない場所ですから、午後もやろうと思えばやれるだけの条件は学校としては整っているというふうにお伺いをしております。
 ですから、そういう点も少し、ここだけどうして早くという議論もあるかと思いますが、考えとしては、できるところは少しでも早くというふうに私は思っておりますものですから、もう少し前向きに御検討いただければというふうに思っております。
 それからその次に、今先生方はこの授業のおくれをどう回復するかということを大変心配されております。かなりの授業数の減になってまいるわけでございますが、十七日からそのまま授業が再開されないで三月末、終業式までいきますとどういう状態になるか、もしおわかりになれば教えていただきたいと思います。時数の関係です。
#79
○井上政府委員 お答え申し上げます。
 休校によります学習への対応につきましては、文部省といたしましては、一月二十七日付の通知で、可能な限り補充のための授業、その他必要な措置を検討するよう求めたところでございます。その際、今回の震災の状況を考慮いたしまして、児童生徒の負担にならないように行うべきことは当然のことと考えているところでございます。
 また、文部省では、被災児童生徒の各学年の課程の修了または卒業の認定に当たりまして、今回の震災の深刻な状況に留意して弾力的に対処し、当該児童生徒の進級、進学及び就職に不利益が生じないよう配慮することの指導方につきまして、各都道府県教育委員会等に要請をしたところでございます。
 なお、学校教育法施行規則で示しております年商標準授業時数は、正常な状態における標準として定めたものでございまして、今回の震災のような場合については、各学校や児童生徒の状況に応じて弾力的に運用して差し支えないと考えているところでございます。
#80
○西委員 弾力的運用という言葉は前回の委員会でもたしかおっしゃっていただいたように思うのですが、もう一つわかったようでわからないわけです。一月十七日から最後まで、神戸の場合、終業式が三月二十四日というふうになっておるように聞いておりますが、そのまま全部お休みになりますと、大体三百十時間ぐらい減になるわけでございます。もちろん、二月初めからもう再開して午前中だけはずっとやっているという学校もございますし、いろいろなケースがあると思うのですが、三月二十四日を若干延ばして授業を三月いっぱいまでやられるとか、また、夏休みに何らかの補充をされるとか、カリキュラムの関係で途中で二月の分を夏にというのがうまくはまるかどうか、技術的に難しい面もあると思いますが、そういうお考えもあるのか、それとも三百十時間が欠落してもやむを得ないというふうにお考えになっているのか、もう一度お尋ねをします。
#81
○井上政府委員 お答え申し上げます。
 今回の震災の非常に深刻な状況ということから、先ほども申し上げましたような通常の場合とは異なった弾力的な運用をすることも今回はやむを得ないというように私どもは考えているところでございまして、休校中の学校におきましても、先ほど来お話し申し上げておりますように、それぞれの学校の実情に応じていろいろな工夫を行って、休校中でも先生方が学習指導に当たっていただいているようなケースもございますし、そういうものをすべて総合的に勘案しながら、可能であればできるだけ補充等もしていただくことによって、ある程度教育課程の修了に向けた御努力ということもお願いしているところでございます。
 ただ、これはもう先生も御理解いただけると思いますが、通常の場合の教育課程の完全な実施ということは困難な状況でございますので、そこは各学校におきまして、それぞれの学校の実情あるいは児童生徒の被災の状況、そういうものを総合的に勘案しながら総合的に判断していただきまして、当該児童生徒の進級、進学、就職に不利益が生じないように配慮していきたい、このように考えているところでございます。
#82
○西委員 今のを一言で申しますと、教育委員会や文部省が一律に何時間ということは言えない、その学校、学校で十分検討の上で結論を出すべきことである、最大限の努力をしてほしいというような意味だというふうに解釈をさせていただきたいと思います。
 続きまして、高校入試の問題について少しお伺いをいたします。
 ある新聞によりますと、これは二月二日の神戸新聞ですが、「高校受験断念相次ぐ」ということで、先生方が、特別枠が必要である、勉強ができないという精神的な負担が大変のしかかっているというふうに記事が出ております。
 神戸市内に限って言いますと、普通科の入学試験の学区はどうなっていらっしゃいますか。もしおわかりになれば……。
#83
○井上政府委員 お答え申し上げます。
 神戸市内は、普通科高校については三学区に分かれているというふうに聞いております。
#84
○西委員 私もこれはきちっと書類で調べたわけじゃないのですが、確かに三学区に分かれております。簡単に申しますと、東側から西側に向かって縦割りに三つに分かれているように思います。六甲山脈を切るように三つに分かれているわけでございます。その中で、大阪の方の東灘、灘、中央の一部、これはもうほとんど被災をしておりまして、本当に大変な状況なんですが、二つ目、真ん中と、それから西寄りの第三の校区の方は、北区、西区、垂水区という比較的被災状況が少なくて済んでいるところと、それから兵庫、長田、須磨という大変厳しい被害を受けたところが混在をしている学区になっているわけでございます。
 そんな中で入学試験が、もちろん少し配慮をしていただいて多分後ろに延ばしていただいたように思うのですが、行われるわけです。新聞によりますと、高校入試も配慮をして内申書を重視した形で行うというふうに出ておりましたが、調べてみますと、兵庫県は一九八五年までは、兵庫方式というふうに呼んでおったそうですが、内申書だけで選抜をするという入学試験の経験もあるわけですね。もちろんその後変更されたにはそれなりの理由があるとは思いますが、ことしは例外的に、思い切って内申書を入試の基準にするというふうにしていただけたら、今までの三年間、若干あれですけれども、三年間の中学校の成績でもってそのまま入学試験が行われる、こういうことで、被災者の  もう本当に体育館の片隅で、私も行ったときに、勉強しておりました。日は迫ってくる、まだその人は教科書があるだけましたと僕は思ったのですが、教科書もなくなって、真っさらな、今までせっかく書いていたものが全部なくなってしまって、ノートもないというような人も大勢いらっしゃるわけですから、どうか受験生の精神的な負担を軽減する意味でも、内申書の入学試験、これを提言をしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#85
○与謝野国務大臣 これから本格化いたします高校入試が円滑に実施されるよう受験生に対する配慮を行うことは、先生の御指摘のとおり大変大切なことでございます。
 このため文部省としては、兵庫県を含め、全国の都道府県教育委員会に対し、高校入試における配慮について、出願期間、提出書類の取り扱い等についての弾力的な対応をまず求めたわけでございます。また、さらには特別の受験機会を設けたり、収容定員を超えた受け入れなど、可能な限りの対応を要請しております。
 兵庫県教育委員会においては、このたびの震災によって生徒が不利益をこうむることがないよう、被災した生徒について諸般の事情を勘案し総合的に合否判定をするため、中学校長は被災状況等を記載した副申書を添付することができるなど、選抜方法の工夫を行うことを二月六日に決定しております。
 このたびの兵庫県教育委員会の決定は、被災した生徒等の状況を十分に踏まえ、関係機関等と連携を図って行ったものと承知しており、適切な配慮がなされたものと考えております。
 いずれにせよ、文部省としては、被災した生徒が不利益をこうむることがないよう、引き続き各都道府県における弾力的な対応や円滑な受け入れについて意を用いてまいりたいと考えております。
#86
○西委員 昨日の夕刊に、大阪府の教育委員会で、公立高校の入試で被災者に別枠ということで、大阪府下の府立、市立高校の定員にプラスをして、府下の入学された生徒の実力並みの実力があれば、その定員にプラスをしてそこに入学をしていただくという措置がとられるように新聞に出ておりました。非常に、この時期心細やかな措置をしていただいたというふうに感謝をしております。
 終戦後、本当に質の高い教育がこの日本を支えてきたというふうに言われておりまして、戦後、私どもが高校へ行ったころに比べるとどんどん進学率も上がり、全国どこでも大体九〇%以上、九五%が平均というふうに言われておりますが、高校にほとんどの人が進学するという時代にあって、この阪神大震災が起こったために被災地の人たちが高校に行けなかったというようなことが起こるならば、本当に一生悔やまれる出来事でもありますし、文部省としても本当に永遠にこれは記録に残る残念な出来事でもあると思います。そういう意味で、できるだけ多くの皆さんが、もちろん普通の、被災されていない生徒さんのように思うようにはいかないかもしれませんけれども、歯を食いしばってでも教育を受けていただきたいという思いを込めて申し上げました。
 しかも、この被災のために、来年受験される方、再来年、数年間はやはりいろいろな配慮が必要ではないか。ことし終わったから、緊急だったからこれてしょうがないよということではなくて、この影響が家庭にも及び、またいろいろなところに、生徒が苦労されるわけですから、どうかここ数年間、入学試験の問題についても御配慮をお願いをしたいと思います。
 それからその次は、二月八日の新聞に、厚生委員会の方で、小中学校の校庭に仮設住宅をつくって、ふだん授業として使っているグラウンドは別に工夫する方が被災者は避難所から移りやすいという意味の質問に対して、厚生大臣が前向きの答弁をされておられます。この記事の中で、最終的には文部省としてどう考えるのかということが、まだ結論が出ておりませんが、今の実情に即して、グラウンドに仮設住宅を建てるということはいかがなものなのでしょうか。私自身は非常に大事なことであるというふうに思っておりますが、大臣いかがでしょうか。
#87
○与謝野国務大臣 教育施設も、いずれは教育施設として機能を果たさなければならないわけでございます。いずれ授業も本格的に再開をしなければならないわけでございます。校庭を仮設住宅の用地としてどうか、こういうことでございますけれども、現に場所によっては既に校庭に仮設住宅を建てたところもございます。しかし、これが通常の選択かと申しますと、やはり私どもとしては、いずれ授業が再開されるのに備えてやはり校庭用地というものは子供たちのために確保しておかなければならないものというのが原則でございます。
 しかしながらこれは、校庭に仮設住宅ということを全面的に否定したということではございません。仮に校庭に仮設住宅をつくるということであれば、それは最後の最後の選択としてそういうところが選ばれるということでございます。
#88
○西委員 大臣の御答弁、ごもっともだというふうに思います。教育も大切、またこの復興も大切というはざまの非常に苦しい御答弁だと思いますが、具体的にはやはり公園だとかグラウンド、広場といいますと、なかなか得がたい広場だと思います。神戸市の場合は、西区、北区の方に広大な団地ができておりまして、まだまだ未使用の公有地もあるようで、そういうところに住宅を建てるという構想も発表されたようでございますけれども、やはり住民の皆さんの感情としては、できるだけ近くにおりたいというふうな感情があることも聞いております。その辺も十分考慮をしていただいて、お互いが、もちろん教育現場も不自由でしょうけれども、皆さん方が安心をして神戸の、神戸、神戸と言っていますが、阪神地域に住めるように御配慮をいただければというふうに、全面的にやるということは確かに大臣がおっしゃるように無理な面もあると思いますが、協力すべきは協力をしていただきたい、このように思うわけでございます。
 続きまして、このたびの震災におきまして、大学の理工系の学部において化学薬品による火災が起こったというふうに新聞記事に載っておりました。一つは阪大理学部、それから甲南大学の理学部でも火災が起こったというふうにお伺いをしております。私も毎日薬品をいじっていた人間の一人として、確かにふだんいろいろな注意をしていながら、これだけの大きな震災、やはりこういう火事になるんだなというふうにびっくりしたんですが、ふだんからいろいろな通達が出されているように思いますが、私、現場の人間でこんなことを言うのはおかしいのですが、どのような通達をいつごろお出しになっていらっしゃいますか。
#89
○吉田(茂)政府委員 平成三年十月の二日に大阪大学の基礎工学部で実験中にガス爆発事故がございました。御案内のとおりでございますが、このことを契機にいたしまして、平成四年一月三十一日付で、各国立大学等に対しまして、「職員等の安全管理・安全教育の徹底について」と題する通知を行いまして、安全管理体制の再点検、それから安全教育の徹底、設備等の検査の徹底の通知を出しておりますが、その後も、昨年六月の国立大学長会議、今回の地震の後の公立大学の事務局長会議等の諸会議で徹底を図っておるところでございます。
#90
○西委員 そのたびごとに通達が来て私どもも意識をしてきたわけですが、意識だけではなくて、やはりいろいろな装置といいますか、備品面で薬品をきちっと保管をするような設備がないとなかなかきちっといかない面が多いものですから、予算面でもまた若干の御配慮をお願いできれば充実したものができるのではないかというふうに思っております。再度このことについて、通達は既になさっておるようですから、予算面での措置をお願いをいたしたいと思います。
 次に、被災された生徒の教科書の問題です。
 既に質問された方もいらっしゃいますが、ちょっと順序が逆になっておりますが、申しわけございません。被災された児童生徒の中で、教科書がなくなっちゃったという生徒の数はどの程度でございましょうか。
#91
○井上政府委員 お答え申し上げます。
 今回の災害によって教科書を失いました児童生徒の正確な数につきましては、現在調査中でございますが、現段階ではおよそ四万人弱と見込まれているところでございます。
 文部省といたしましては、今回の地震により教科書を失った児童生徒に対しまして、教科書を速やかに再給付するよう、教科書協会、全国教科書供給協会並びに関係の都道府県教育委員会等と緊密な連携協力のもとに全力を挙げて対処しているところでございます。
 具体的に申しますと、兵庫県における被災児童生徒に関しましては、二月七日現在で既に約三十万冊を兵庫県特約供給所を通じて各学校や教育委員会の指示する場所に供給をしているところでございますし、また、今回の地震により転入学した児童生徒に対しましては、二月九日現在で約十二万冊の教科書を給付しているところでございます。
 文部省といたしましては、今後とも児童生徒に対する教科書の給付に万全を期してまいる所存でございます。
#92
○西委員 今の報告、数字の上ではお聞きしたのですが、被災された児童生徒の皆さん、いわゆる疎開で日本全国にいらっしゃるようにこの間新聞報道でも見たのですが、ほぼ行き渡ったというふうに見てよろしいのでしょうか。
#93
○井上政府委員 ただいま申し上げましたように、各県の小中学校等に転入学した生徒に対しまして、既に二月九日現在で約十二万冊の教科書を給付しておりますので、ほぼ教科書は行き渡っているものというように考えておるわけでございます。
 なお、行き渡っているかどうかは、具体的に児童生徒の給付状況については今後詳細に把握しまして、もし行き渡っていなければ早急に行き渡るように措置をしたい、このように考えております。
#94
○西委員 この件に関しては、教科書出版の会社、また供給されている皆さん方、大変な御苦労をされて迅速に各児童生徒のもとに教科書を送っていただいたわけですけれども、御承知のように小中学校は教科書無償でございますので、これだけの多量な数でございますから、文部省としても何らかの措置をされるのだろうと思いますが、そのことについてどういう措置をなされるのかということ。
 それから高等学校は、これは無償ではございませんので、それぞれ個人負担ということが原則でございますが、こういう災害の大変な時期です。家族の中でも本当にお父さんがもう職がなくなったとか、もっとかわいそうなのはお父さんが亡くなってしまったとか、いろいろなケースがあります。そんな中で学業を続けていく高校生の皆さんのためにも、高校生の教科書もぜひ無償にしていただきたいというお願いでございますが、御答弁をお願いします。
#95
○井上政府委員 お答え申し上げます。
 義務教育諸学校の児童生徒につきましては、先生ただいまもお話がございましたように、無償措置が講じられておりますので無償で給付されることは当然のことでございますが、被災した高等学校の生徒の教科書につきましては、兵庫県及び社団法人教科書協会の御協力によって無償で給付されるように対処されているところでございます。
#96
○西委員 どうもありがとうございます。
 本当に大変な、被災された皆さんの心情を思うときに、大変温かい措置をしていただいたというふうに感謝を申し上げます。
 今回のこの災害、戦後五十年でもう本当に最大の、かつてない災害でございます。この災害の中から、被災された阪神地域の児童生徒、また大学生も含めて、どのように立ち直っていくのかというのが、私たちに課せられた大きな役割ではないかというふうに思います。
 政府としても、一丸となって今回の災害の復興に当たられるというふうにお聞きをしておりますが、大臣、どうか被災地の子供、悩み、苦しみを克服しながら、これからきっと成長を遂げていくだろうと思います。そんな被災地の子供に、どうか未来への先行投資だと思って本当に充実した教育の手厚い予算を、また配慮をお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#97
○伊吹委員長 これにて西博義君の質疑は終了いたしました。
 次回は、来る十五日水曜日午後一時十分理事会、午後一時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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