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1995/04/14 第132回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第132回国会 大蔵委員会 第11号
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1995/04/14 第132回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第132回国会 大蔵委員会 第11号

#1
第132回国会 大蔵委員会 第11号
平成七年四月十四日(金曜日)
    午前十時十分開議
出席委員
  委員長 尾身 幸次君
  理事  石原 伸晃君 理事 金子 一義君
  理事  村上誠一郎君 理事 新井 将敬君
  理事  北側 一雄君 理事 村井  仁君
 理事 五十嵐ふみひこ君
      大島 理森君    大原 一三君
      岸田 文雄君    熊代 昭彦君
      斎藤 文昭君    鈴木 俊一君
      中山 利生君    福田 康夫君
      堀之内久男君    宮里 松正君
      青木 宏之君    井奥 貞雄君
      上田 清司君    太田 誠一君
      谷口 隆義君    中田  宏君
      中村 時広君    藤井 裕久君
      宮地 正介君    中村 正男君
      永井 哲男君    濱田 健一君
      日野 市朗君    佐々木陸海君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 武村 正義君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  萩山 教嚴君
        大蔵大臣官房総
        務審議官    竹島 一彦君
        大蔵省主税局長 小川  是君
        大蔵省銀行局保
        険部長     山口 公生君
        大蔵省国際金融
        局長      加藤 隆俊君
 委員外の出席者
        大蔵委員会調査
        室長      中川 浩扶君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十八日
 辞任          補欠選任
  上田 清司君      土田 龍司君
同日
 辞任          補欠選任
  土田 龍司君      上田 清司君
四月十一日
 辞任          補欠選任
  井奥 貞雄君      坂本 剛二君
同日
 辞任          補欠選任
  坂本 剛二君      井奥 貞雄君
同月十四日
 辞任          補欠選任
  塩崎 恭久君      斎藤 文昭君
  中谷  元君      鈴木 俊一君
同日
 辞任          補欠選任
  斎藤 文昭君      塩崎 恭久君
  鈴木 俊一君      中谷  元君
    ―――――――――――――
四月十三日
 保険業法案(内閣提出第九三号)
 保険業法の施行に伴う関係法律の整備等に関す
 る法律案(内閣提出第九四号)
同月四日
 税制改革に関する請願(山田宏君紹介)(第三
 四二号)
 同(大野由利子君紹介)(第三七四号)
 土地税制に関する請願(久間章生君紹介)(第
 三七九号)
 消費税率の引き上げ中止、消費税の廃止に関す
 る請願(佐々木陸海君紹介)(第四六四号)
 同(寺前巖君紹介)(第四六五号)
 同(不破哲三君紹介)(第四六六号)
 同(藤田スミ君紹介)(第四六七号)
 同(古堅実吉君紹介)(第四六八号)
 消費税増税の中止、消費税廃止に関する請願
 (佐々木陸海君紹介)(第四八〇号)
 同(古堅実吉君紹介)(第四八一号)
 同(正森成二君紹介)(第四八二号)
同月十一日
 消費税の税率引き上げ反対、廃止に関する請願
 (岩佐恵美君紹介)(第五七五号)
 同(穀田恵二君紹介)(第五七六号)
 同(佐々木陸海君紹介)(第五七七号)
 同(志位和夫君紹介)(第五七八号)
 同(寺前巖君紹介)(第五七九号)
 同(中島武敏君紹介)(第五八〇号)
 同(東中光雄君紹介)(第五八一号)
 同(不破哲三君紹介)(第五八二号)
 同(藤田スミ君紹介)(第五八三号)
 同(古堅実吉君紹介)(第五八四号)
 同(正森成二君紹介)(第五八五号)
 同(松本善明君紹介)(第五八六号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第五八七号)
 同(山原健二郎君紹介)(第五八八号)
 同(吉井英勝君紹介)(第五八九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 保険業法案(内閣提出第九三号)
 保険業法の施行に伴う関係法律の整備等に関す
 る法律案(内閣提出第九四号)
     ――――◇―――――
#2
○尾身委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、保険業法案及び保険業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 順次趣旨の説明を聴取いたします。武村大蔵大臣。
    ―――――――――――――
 保険業法案
 保険業法の施行に伴う関係法律の整備等に関す
  る法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○武村国務大臣 ただいま議題となりました保険業法案及び保険業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 初めに、保険業法案につきまして御説明申し上げます。
 保険業をめぐる近年の金融の自由化・国際化等の環境の変化は著しいものがございます。今回の保険制度改革は、このような経済社会情勢の変化に対応するとともに、保険業の健全性を確保することを目的としたものであり、二十一世紀に向けて新しい保険制度を構築するため、政府といたしましては、この法律案を提出することとした次第であります。
 以下、その内容について御説明申し上げます。
 まず、規制緩和、自由化の推進に関する事項であります。
 第一に、生損保が子会社方式で相互参入できることとし、生命保険会社の損害保険子会社及び損害保険会社の生命保険子会社に係る規定を設けることとしております。
 さらに、いわゆる第三分野と呼ばれる傷害・疾病・介護分野につきましては、所要の激変緩和措置をとりつつ、生損保が本体で相互参入できることとしております。
 第二に、保険商品、料率算出方法に関して、現在は一律認可制となっているのを改め、一部届け出制へ移行するための所要の規定を設けることとしております。
 第三に、国際的な整合性にもかんがみ、保険会社からの委託を受けない独立した新たな販売チャネルとして、保険仲立ち人を保険契約の締結の媒介を行う者として法律上位置づけることとしております。
 次に、保険業の健全性の維持に関する事項であります。
 第一に、保険会社の健全性維持のための指標として、保険会社の自己資本比率を導入することとし、大蔵大臣は、自己資本比率その他保険会社の財産の状況等を勘案して、経営の健全性を確保するための改善計画の提出を求めることができる旨の規定を置くこととしております。
 第二に、保険会社は保険契約者保護基金を設け、破綻保険会社の保険契約を救済保険会社に包括移転等をする際に、同基金から救済保険会社に資金援助を行うことができることとし、そのための所要の規定を設けることとしております。
 最後に、公正な事業運営の確保に関する事項であります。
 第一に、社員総会にかわるべき機関として、総代により構成される総代会を法律上規定することとしております。
 また、相互会社における経営チェック機能の強化を図るため、少数社員権、少数総代権の行使要件を大幅に緩和することとしているほか、社員の代表訴権についても、単独権化することとしております。
 第二に、ディスクロージャー規定の整備として、保険会社は、事業年度ごとに、業務及び財産の状況に関する事項を記載した説明書類を作成し、本店及び支店に備え置き、公衆の縦覧に供する旨の規定を置くこととしております。
 以上のほかにも、保険募集の取締に関する法律及び外国保険事業者に関する法律の保険業法への一本化をするとともに、相互会社から株式会社への組織変更などの規定を設けることとしているほか、保険制度全般にわたって所要の規定の整備を図ることとしております。
 次に、保険業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について御説明申し上げます。
 今御説明を申し上げました保険業法案の提出に伴い、関係法律の整備等を行う必要がありますので、この法律案を提出することとした次第であります。
 その法律案の内容でありますが、損害保険料率算出団体に関する法律につきまして、算定会が算出する保険料率について認可制から届け出制へ移行する等の改正を行うこととしているほか、その他十九法律につきまして、保険業法の準用規定を改正する等、所要の規定の整備を図ることといたしております。
 以上が、二つの法律案の提案の理由及びその内容でございます。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#4
○尾身委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○尾身委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石原伸晃君。
#6
○石原(伸)委員 それでは、この保険業法につきまして質問をさせていただきたいと思います。
 現在の保険業法は、もう皆様御承知のように、昭和十四年に制定されまして、五十五年間という年月がたち、その間多少の改正はあったものの、基本的な枠組みが変わらないまま今日に至っているものと認識しております。
 このような法律のままでは、二十一世紀に向けてますます今後高度化、複雑化する経済社会に対しまして、あるいは間近にすぐそこまで来た。もう始まったとも言える高齢化社会に我が国の保険業法が適切に対応していけるのか、あるいは消費者への保険サービスの提供という保険事業本来の役割を十分に発揮することができるのか、あるいは制度として国際的に整合性がとれていくのか、こういう問題意識のもとに今回の保険業法の改正がなされるものと私は認識しておりますし、また、大臣の趣旨説明を聞かせていただきまして、そんなことを思わせてもいただいたわけでございます。
 保険業法の質疑に入る前に、まず、喫緊の問題でございます株安・円高の問題からお伺いをさせていただきたいと考えております。
 本日は、ドルの寄りつきが八十三円の半ばで始まったようでございますけれども、一年前と比べさせていただきますと、ちょうど株価では一万九千円台、そして円相場は九十九円台。現在の水準は、単純に言わせていただくと、株価が一万六千円台であり、円相場は八十円台前半と、この変化のスピードは本当にびっくりするぐらい急激でございますし、また日本経済に対してはかり知れない大きな影響を今回のこの経済の激変がもたらしていると言わざるを得ません。
 このような状況を何にもしないまま放置してまいりますと、やっと薄日の見えてまいりました我が国経済に対しましても、取り返しのつかない事態に至ってしまうというようなおそれも十分にあると思います。これに対しまして、政府も、けさの閣議でございますか、緊急経済対策をおまとめになったと聞いております。その内容につきまして、大臣からまずお伺いをさせていただきたいと思います。
#7
○武村国務大臣 御指摘がございましたように、特に三月から今日に至ります通貨の変動、乱高下という表現もございますが、本当に急速な通貨の変動を来しているわけでありますし、その中でひときわ円高が急速に進んでおります。
 私どもはこの事態を深刻に受けとめておりますし、せっかく緩やかな回復軌道に入ったと申し上げております日本経済の今後に対して、テンポを緩慢にしたり、場合によっては下振れさせたりというふうな事態になることを強く懸念をしながら、今未明、緊急円高・経済対策を政府・与党挙げて論議を集約いたしましてまとめさせていただいた次第であります。
 基本的には、この異常な事態に対して、何としても経済の回復基調、足取りを堅実なものにしていきたい、そして本格的な回復軌道に乗せていきたい、そのことが目標であります。その目標のために、政府の持てるありとあらゆる手段を総動員して、従来の姿勢をはるかに超える意欲で取りまとめをさせていただいたというふうに思っております。
 一つは、内需振興に対する姿勢でありますが、今、年度当初の時期でありますだけに、当初予算が執行に向かってスタートを切ったばかりでございます。加えて、国会でお認めをいただいた前年度の震災対策予算、これもその多くは繰越明許になっておりますから、今施行が始まっているところでございます。こうした既存の大きな公共事業を中心にした予算に対しては、積極的に施行を図っていくという姿勢を明らかにいたしております。
 同時に、新年度の補正予算でありますが、これにつきましては、できるだけ早期に予算編成を終えて国会に運ばしていただきたいということでありますし、その内容も、阪神・淡路の震災対策、復興事業も含めた対策に限らず、全国的な防災対策あるいは今回の円高にかかわる輸入促進、市場開放、構造改革等にかかわる予算や、中小企業雇用対策を最大限盛り込んでまいりたいと考えておりますし、加えて情報関係あるいは研究関係、産業構造を改革していく中で直接的に影響の大きい、こういった新社会資本とも言われております分野についても今回の補正で積極的な対応をさしていただくということを明らかにいたしております。
 加えて財源論も、この委員会も含めて真剣な御議論をいただいているさなかでございますが、当然過般の二次補正の財源も含めて、このことはさらに今後とも真剣に見詰めてまいりたいと考えておりますが、とりあえず景気の動向を考えますと、ここはこの補正の提案の時期との絡みでございますが、公債の充当、公債の活用を明らかに決断をさしていただいているところでございます。
 なお、積極的な施行によるということは前倒しを進めるということになるわけでありますが、年度全体を通じての経済状況、さらに阪神の復興事業の追加要素もございますから、今年度全体を通じても引き続き財政的な運営に積極的に対処をさしていただきたいという姿勢も明らかにいたしております。
 もう一つの大きいテーマは、何としてもこの円高のいわば背景にある日本の経常収支の黒字、もう長年この状況が続いております。日米間におきましても、数百億ドルの黒字がドルベースではそれほど大きく変動いたしません。このことに改めて真剣に目を向けて、この黒字を減らしていこうということ、「大幅に削減する」という表現でございますが、鮮明に打ち出したところでございまして、そのためには、過般発表さしていただいたばかりでございますが、規制緩和五カ年計画も思い切って前倒しをさしていただいて、五年間を三年間、平成十一年を九年度までにやり遂げるということを、すべて例外なくやり遂げることを鮮明にさしていただきました。
 そして輸入促進に対する姿勢も、かなり焦点あるいは対策を絞って明らかにさしていただいております。特に自動車、自動車部品の輸入促進、輸入住宅の促進、さらに石油の備蓄の前倒し、政府調達、こういった項目を挙げながら、財政措置の面からも、あるいは政策金融の面からも、あるいは税制上の措置からも、最大限、日本の市場が一層開かれて輸入が拡大していくための決意を、具体的な内容を盛り込みながら明らかにしたところでございます。
 もう一つは、いわゆる円高差益の還元と言われる問題でありますが、この点につきましても、主としては民間の御努力を要請する、期待をすることが基本になりますが、政府としてもそのためのさまざまな応援策をとらしていただく。同時に公共料金につきましても、電話関係の料金あるいは郵便料金あるいは電気・ガス料金等については、はっきりと引き下げるということを明らかにいたしました。
 さらに構造改革についても、いわゆる経済のニューフロンティアをどう拡大するか、そのために何が必要かということにも具体的に触れておりますし、金融・証券対策についても触れております。
 特に金融におきましては、二億組の問題もございますが、日本経済を活性化していく中で、大銀行から信用組合に至るまで、大なり小なりバブル時の不良債権の問題を抱えております。この問題をしっかり乗り切っていくことがこの経済の活力という意味では大変大事な問題であるという認識のもとに、おおむね五年間で、金利減免も含めた不良債権に対して全体について対策を打ち出していくということを明らかにしております。
 さらに、円の国際化ということにも、円建てを輸出輸入両面からふやしていこうということや、あるいは円のアジアにおける協調という意味で、アジア各国中央銀行との連携の強化等もうたっているところでございます。
 いろんな見方があろうかと思いますが、私ども自己評価は避けたいと思っておりますが、しかし、従来のこういった政策の取りまとめの経験からいたしますと、今回はかなり大胆に踏み込んで意欲を表明さしていただいたつもりでございます。
 長くなりました。
#8
○石原(伸)委員 るる説明をいただきまして、力強く私も感じさせていただいたわけでございますが、要望なんですけれども、大臣もお言葉をお選びになりまして、財源論については公債の活用を決断していく、まさに財政の縮小均衡ではなく、日本の経済を沈没させることなく、思い切った。しかもこれまでのような公共事業一辺倒ではなく、新しい社会資本の整備に資するような補正予算を早期に御提出いただき、税制等につきましても当委員会で十分に質疑をして新しい体制をつくっていきたいということを感じさせていただきました。
 またさらに、円高の背景として経常収支の黒字を御指摘されておりましたけれども、これも御要望ですけれども、やはり日本の経済というものは外に物を売って収入を得るという体質は根本的にあるものでございますので、輸出を抑制して縮小均衡、簡単に言います。こういうことが行われる可能性があるのですけれども、やはりこれは拡大均衡で、輸入をふやして輸出は十分行っていくというような、そういう形でこの黒字減らしに取り組んでいただきたい、そんなことを感想として持たせていただきました。
 そろそろ今度は保険業の方の質問をさせていただきたいのでございますが、経済状況大変厳しいということはもうるる皆様御承知のこととは思いますが、例えば保険会社の経営も今大変厳しい状態にあると思います。
 例えば生保大手八社の資産運用状況を見ますと、株式投資に大体二〇%、合わせて二十七兆九千億円ぐらいの資金が回っておりますけれども、この株式相場の低迷等考えまして、これはなかなか大変だろう、こんなことが推察できるわけであります。また、個人保険や団体保険の予定利率が最近の運用環境に比べて高くなっていることが問題として挙げられておりますし、またこれも、これまでの株式や土地の含みというものに頼っていた会社経営のあらわれであると私は思うわけでございます。
 また、今度の保険制度改革によりまして規制緩和が進みまして、ビジネスチャンスは当然ふえてくるわけですけれども、競争の激化ということが当然予想されますし、経済もこれまでのような右肩上がりの含み益依存経営では立ち行かなくなるということは多くの方が思っていることだと思います。今後の生命保険会社の経営のあり方を、今回抜本的な保険業法の改正を行うわけですから、業界自体も変えなければならない。
 大臣の所見を伺わせていただきたいと思います。
#9
○武村国務大臣 生命保険会社の最近の経営状況は、保険料収入の伸び悩みに加えまして、昨今の株式相場の低下や円高など運用環境の悪化等から、厳しい状況にあると聞いております。このような厳しい環境下にあって、各社では、積極的にリストラ等、事業の合理化に努力を払っていただいているところであります。こうした努力により、事業収益の改善が期待され、中長期的にはプラスの効果が出てくると私どもも認識をいたしております。
 いずれにしましても、生命保険会社としては、中長期的な経営の強化を図るべく経営改善のための諸施策を講じ、契約者利益の保全に万全を期するよう努力を続けていただいております。私どもとしましても、このような方向で積極的に指導をさせていただきたいと考えております。
 なお、生命保険会社は、保険契約者に対する将来の保険金等の支払いのための責任準備金の積み立てについては十分にこれを行うとともに、資産運用についても堅実な運用方針のもとで行われておりますので、保険契約者保護の面で問題が生ずることはないというふうに考えております。
#10
○石原(伸)委員 今大臣が契約者保護の観点に言及されましたけれども、規制緩和が進みまして保険契約者の方が、これまでは保険会社がおかしくなった場合は強制移転というものがありましたけれども、今度はそれがなくなりまして、それにかわりまして、保険契約者保護基金なるものを業界でお金を積み立てていくというような話も伺っております。
 こんなことをいろいろ考えさせていただきますと、保険契約者の保護の観点から契約の継続性ということを考えますれば、保険契約の円滑な移転等を行っていくことはもちろん最重要なことでございますけれども、最終的にはやはり包括的な、安全ネットというのでしょうかそういうような、全保険会社が強制的に加入するような、銀行の方にはございます預金保険機構に類似した支払い保証制度というものを構築していく必要があるのではないかと私は思います。
 これにつきましては、破産法との調整等、多くの解決すべき問題があることも十分承知しておりますけれども、私といたしましては、大臣も言及されたように、契約者の方が一抹の不安を覚えないような、契約者保護の観点に立ちまして、三、四年ぐらいを目途に検討を進めて十分な結論を出していただきたい、こんなふうに考えております。
 御当局の見解があれば、お伺いさせていただきたいと思います。
#11
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 改正法案におきましては、委員の御指摘のように、保険契約者保護のためには保険契約の継続を図ることが最も重要であるという観点から、破綻保険会社を救済する保険会社に対しまして資金援助を行う保険契約者保護基金の制度を盛りませていただいているところでございます。
 これによりまして保険契約者保護は十分果たされていくものと期待しておりますけれども、しかしながら、例えば保険契約の移転が何らかの都合で十分に行われないままに保険会社が倒産してしまうというような場合もないわけではないという点もありますし、またセーフティーネットとしてより強固なものをという御指摘もございます。保険審議会におきましても、今委員の言われたような、いわゆる支払い保証機能を持つ制度の検討の必要性について御指摘をいただいているところでございます。
 他方、この支払い保証機能を持つ制度につきましては、保険の場合は預金と若干異なる事情がございまして、例えば保障型の保険と年金等の貯蓄型の保険を同じように扱っでいいのかどうか、そこに何らかの差を設けるべきかどうかというような例でもわかりますように、非常に区々な対応が迫られる。それから、倒産法上の枠組にどう位置づけていくか、あるいは契約者と一般債権者との実体的な利害の調整をどう図っていくべきか等、非常に時間をかけて検討すべき事項がたくさんございまして、報告でも、その問題点も含めて検討しなさいという御指摘をいただいておるわけでございます。
 いずれにせよ、この問題につきましては、委員の御指摘を踏まえまして、大蔵省としてなるべく早く検討を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#12
○石原(伸)委員 保険部長も、お言葉を選びながらなるべく早くということでございますけれども、これまでのいろいろな議論の経過等踏まえて、やはり数年、三年、四年を目途にこの問題についても結論を出していただきたいということを重ねて御要望申し上げたいと思います。
 先ほどの大臣の趣旨説明の中で一番最初に言及されました。生損保が子会社方式で相互参入ということでございますけれども、既に二年前でございますが、銀行と証券においては子会社方式によります相互参入が認められております。その際、いわゆるファイアウォールというんでしょうか、相互参入による弊害防止措置が多々とられているということでありますけれども、今後、この生損保の子会社方式における相互参入においては、損保の巨大なリスク、保険リスクというものが生保に及ぶことは、親、子会社の整理を、きちんと分離すること、あるいは経理を別にすること、役員を別にすること等、担保することはもちろん当然ではありますけれども、銀行、証券と比べますと、ファイアウォールについては低くていいんじゃないか。
 類似性の商品というものも大変多うございますし、これから特に年金や介護あるいは第三分野で類似性というものがよりまっていくというふうに私は推察するわけでございます。この点につきましてどのようにお考えか、簡単にお考えを伺わせてください。
#13
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 生損保の相互参入に伴いますファイアウォールといたしましては、法律上はいわゆるアームズ・レングス・ルールと、それから細かい部分は省令委任規定を設けておるわけでございます。
 ファイアウォールの詳細につきましては、委員の御指摘のように、生損保の場合は、同じ保険というものを扱っているということから、銀行、証券におけるようないわゆる利益相反などといった問題が比較的起こりにくいこと、及び親子間の経営資源の有効活用という観点からのいわゆるクロスマーケティングの趣旨を踏まえつつ、他方、子会社である以上は親会社からある程度独立していなければならないということ、それから生損保の兼営禁止の趣旨を配慮しながら、現在の生損保業界の実態をよく見きわめた上で結論を出していきたいというふうに考えておりまして、銀証の関係のファイアウォールそのものを持ってくるということではないというふうに思っております。
#14
○石原(伸)委員 それでは次は、もう少し法案の中身に踏み込んで御質問をさせていただきたいと思います。
 昔から保険といいますとロイズが大変有名でございますけれども、今回の保険業法の改正でも、二百十九条から二百四十条の関係、「特定法人に対する特則」という形でロイズの日本進出が可能になっております。ロイズというものにつきましては、個人の集合体であるネームというのが保険の引き受けを行うという特殊な形態でございまして、法律改正でこのような日本にないものを認めるということになったのは、実は国際的に見れば自由化という観点からも重要であるということはわかっております。
 四月七日のフィナンシャル・タイムズですけれども、ロイズの会長さんが、
  We have had great support and encouragement from the Japanese ministries of finance and justice for which we are very grateful.というように、大蔵省と法務省の政策に対して評価をしているような記事も載っておりましたけれども、今回の改正案の中で、ロイズはどのような形で日本で活動できるようになったのか。
 また最近は、新聞記事にも多く出ておりますけれども、台風十九号あるいはアメリカの台風アンドリューですか、そんなことで累積赤字が一兆三千億近くになっておりますし、ネームの数も九五年の一万四千八百四人が、昨年の一万七千五百二十九人から一五%も減少して、ネームの一番多かった最盛期の八八年の三万二千人の半分を切っているというような記事も出ておりますけれども、保険金の支払いにこういう組織が入ってきて本当に不安がないのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
#15
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 いわゆるロイズといいますのは、ロイズ協会に所属する約二万人のネームと呼ばれる個人を中心とする主体が保険の引き受けを行うという非常に特殊な形態でございます。現行法下におきましては、保険の引き受けを行う者に免許を与えるということになっておりますために、毎年変動します約二万人のネームそれぞれに免許を与えなければならないということになってしまうわけですし、またロイズ協会という協会自体は保険の引き受けを行っておりませんので、法律で特別の規定を置かない限りは免許の主体とならないということで、非常にロイズの問題というのは難しい問題として法律的に頭を悩ました問題でございます。
 そういうことで今まで日本で活動できなかったものでございますけれども、今回の法律改正では特別の条項を設けまして、ロイズ協会に特別の規定で免許を与えることによりまして、その構成員であるネームが日本で保険業を行えるものとす。具体的に申し上げますと、ロイズ協会が日本に子会社を持てますので、子会社を持ちまして設立いたします。その子会社がネームの総代理店としましてネームの行う保険の引き受けに係る業務を代理して行うという形をとることとさせていただいておるわけでございます。
 ロイズといいますのは、委員も御指摘のように、保険という制度がロイズから始まったものでございまして、ロイズは三百年間の伝統と歴史を誇っておりまして、損保業界では絶大な信用を有しております。この長い歴史の中で、実は一度も保険金の支払いができなかったことはないということを聞いております。
 保険業法案におきましては、ロイズにつきましても外国保険会社と同様の規制をかけて手当てをしておりますけれども、ロイズにつきまして、これから申し上げますように、保険金の支払いについては心配が少ないという特別な仕組みもございます。
 それは具体的には、ネームの収受する保険料は原則として信託基金と呼ばれる信託財産として管理されまして、保険金の支払いにつきましてはまずこの信託基金から支払われることになるわけでございます。これで不足する場合には、各ネームがロイズに預けてあります預託基金というのがありまして、この預託基金からまた支払われる。そして、個人ネームは無限責任を負っておりまして、これらの基金からの支払いでも不足する場合には個人のネームが個人資産から支払うという形になっております。さらにまた、ロイズ協会には中央基金と呼ばれる資金を確保しておりまして、最終的にはこの中央基金から支払われる。
 幾重にもこういった措置が備えられておりますので、確定的に申し上げるわけにはいきませんが、ロイズの保険金の支払いについては今のところ不安はないというふうに私は考えております。
 以上でございます。
#16
○石原(伸)委員 時間が参りましたので、最後に一問御質問をさせていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、昨今の厳しい経営環境のもとで、規制緩和、そして自由化というものと健全性の確保、こういうものを両立していかなければならないわけでございます。今度の抜本的な保険制度の改革、法律改正により枠組みを変えるという話でございますけれども、今後の改革の進め方、また保険のあり方について最後にお聞きさせていただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
#17
○山口(公)政府委員 今おっしゃいましたように、大変この制度改革によりましていろいろ健全性の問題等が生じるわけでございます。一番大事なことは契約者の保護に重大な影響を及ぼさないということでございますので、漸進的かつ段階的に進めてまいりたいというふうに考えております。
#18
○石原(伸)委員 では、これで終わります。
#19
○尾身委員長 次に、永井哲男君。
#20
○永井(哲)委員 永井哲男でございます。
 五十五年ぶりに改正になるという保険業法について質問させていただきたいと思います。
 今回の大きな柱といたしまして、規制緩和、自由化を図るという点、そしてもう一つは健全性の維持という点、三つ目には公正な事業運営の確保という三本の大きな柱を掲げているわけでありますが、その中で私は、規制緩和、自由化という点に関して、特にこれによって影響を受けるという消費者が十分に保護されているかどうか、そういうような観点から幾つかの質問をさせていただきたい、そういうふうに思います。
 今回、認可制から届け出制への一部自由化を図っていく、商品、保険料卒の規制を一部自由化するということになるわけでありますが、過度の自由化をすると、これはアメリカでも見られるように保険危機という状況がある。カリフォルニア州では届け出制から事前認可制に復帰したといったような、アメリカでの痛い事例といいますかそういったような経験にもかんがみなければいけない。
 また、保険の相談の例で見ますと、例えば生保であれば、これは生命保険相談所の受け付けの件数七千五百件余りの中で二千百件以上、率にすると二八%、十五分類しておりますが、二八%の人が加入及び保険種類についての相談ないしは苦情の事例である。損保の例で見ますと、五千件中に三三%、これは全部で六項目、六分類をしておりますが、三三%が約款についての相談ないしは苦情の事例である。
 そういうことを考えた場合に、十分にこういうことで契約者、消費者が不利にならないような形にしなければいけないと思いますが、その点、概括的で結構ですが、どのように対処するおつもりか、その点についてお聞きいたします。
#21
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 今委員の御指摘になりました特に募集関係というものは、ある意味では保険の顔といいますか、保険はそういう募集行為を通じまして営業がなされるわけですので、営業活動が非常に大事だということは御指摘のとおりだというふうに思っております。
 それで、まず消費者といいますか契約者の方々によく理解をしていただくということが非常に大切だということだろうと思います。そういった努力をまずするということ。それから、やはり募集に当たる方々の資質でございますけれども、そういった方々が十分な教育を受けられ、それで間違いのない募集をするということが必要ではなかろうかと思います。
 それはなぜかといいますと、保険というのは、ともすれば需要喚起型といいましょうか、いろいろ御説明をしてそのお客様のニーズを引き出していく、店を構えているだけではなかなかお客さんはその必要性を感じないという面がありますので、どういう説明をするのか、どういう募集態様でやるのか、何を御理解いただくかということが非常に大切だろうということでございます。
 委員の御指摘のとおり、募集の第一線というのは非常に大切な面だというふうに考えておりますので、その点について十分な指導監督をやっていきたいと考えております。
#22
○永井(哲)委員 募集については重要だということはこれからもまた聞きたいと思うのですが、特に商品、約款、そして保険料率についての認可制から一部届け出というところでも、消費者、契約者保護というか、そういうことを十分に考えて対処していただきたいということについて要望しておきたい、そういうふうに思います。
 次に、募集のあり方という点で今言われたわけでありますが、特に一部そういった約款の自由化が図られるということは、商品がより多様化になってくるということを示しているわけでありまして、そういう中で、募集という周辺で起こる問題というのが今まで以上に重要な問題として提起されてくるだろう、そういうふうに思います。
 現在認可制という中で定型化されている中でも、例えば奥尻の震災などにおける地震免責などについてのトラブルがあるようにも聞いております。そういった中で、より多様化になってくる、いろいろな商品が出てくるという点で、こういうことについての周知、十分告知されているかどうかというような問題も大きな問題となってくると思います。イギリスでは、募集のあり方を自主規制するということで、非常に厳しい制限をしているようにも聞いております。
 そういうところで、今回保険募集の取締に関する法律というものがこの保険業法の中に組み込まれて一元化されているということも、これは非常に結構なことだと思います。クーリングオフが法的に明確になったということも重要なことだ、そういうふうに思います。
 そういう中で、消費者保護という観点、各省庁別にいろいろな法律を持っておるわけですが、その反射的な側面として消費者が利益を受けるということではなくて、消費者の権利というものが、そういうものからある程度統一的な形で消費者というものが保護されていなければならない、そういうふうに思うわけであります。
 例えば告知の点でいえば、不動産取引などにおいては、重要な事項についての告知というものを書面化して明らかにしておくというようなこともされているわけであります。訪問販売法においては、その書面の記載の仕方、活字の大きさ、そしてそれを赤字で書くべきだというようなところまで、細かくといいますか、わかりやすくというか、そういう形で規制をしているわけであります。
 そういう中で、これから募集のあり方というものについては、これはむしろある程度、規制が緩和されるというよりもより厳しいような形で決めていく必要もあるのではないか。その中では、特に消費者が十分にわかりやすいということをモットーにして指導監督をすべきだ、そういうふうに思いますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
#23
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 委員のおっしゃるように、保険は非常に複雑な契約関係といいましょうか、保険の約款というものが存在しておりまして、その約款を契約者の方々にわかりやすく、また正確にお伝えしなければならないということが大切なわけでございます。
 ただ、御承知のように、約款というのは非常に法律用語的に細かく、また正確に書くために詳しく書いてございます。したがいまして、各社におきましては、これまでも約款の表現の平易化に努めるとともに、免責内容とか、今おっしゃったクーリングオフ等の重要な事項についても、約款に記載するとともに契約のしおりのようなものをつくりまして、その難しい法律用語とか保険用語の御説明をしながら、契約についての重要事項とか諸手続を解説して理解を求めているところでございます。
 こういったことにつきましては、自由化したからといって適当でいいということでないということは、委員のおっしゃるとおりでございます。自由化すれば、むしろそれをより徹底してわかっていただく努力をしなければならないということでございます。御指摘の観点を踏まえまして、よりわかりやすい適正な約款の表現に努めるとともに、その重要事項についてそういったしおりのようなもの、あるいはパンフレットのようなもので十分理解していただくように努力する必要があると思います、
 ただ、各社各社それがまた持ち味がございます。例えばそういったしおりのようなもの、パンフレットのようなものを余り画一的にやるとなると、募集における自主性といいましょうか、そこにおける自由度というのが失われますので、今御指摘のような点を踏まえながらも、またどういったことが最適か、よく勉強させていただきたいと思っております。
#24
○永井(哲)委員 特に売る方の立場といいますか、そういう面からすれば、この商品のメリットとしてはどういうものがあるのかということ、これは十分に契約者に対して説明するのは当然だと思いますが、その中で何が告知されなかったか、どういうものが免責になっているのかということを十分に、そういうものが後になってもそれなりに明らかになるようにしておくというような工夫といいますか、そういったことも重要ではないか、そんなふうに思います。
 今手元に、ある会社の火災保険申込書というものがあるわけであります。これらについて見てみますと、地震保険の免責のところに印鑑を押すようになっておりますが、これも本当に十分にわかりやすいという形で言えるのかどうか。この契約書、申込書全体を見てみると、非常に字が細かい。お年寄りなりそういう人たちにもこれが本当に十分に理解されて記載されているものと言えるのかどうか、そういった疑問といいますか、おそれというものもなしとはしないのであります。十分にそういったことを踏まえた行政指導というものをしていただくように要望しておきたい、そういうふうに思います。
 次に、規制緩和という中で言われるのは、消費者にはそれなりの自己責任を求めるべきだというようなことも多いわけでありますが、消費者にもいろいろな質があります。例えばお年寄りであるとか、判断能力が十分に高いというかそういう形で言えない、そういった人もあります。訪問販売法あたりでは、その点、そういった相手方の状況なり具体的な質に応じて、禁止行為というかそういうものも通達などにおいて具体的に定めているというような状況もあります。こういった規制緩和でやっていくというのは、それなりに実質的に平等が保たれている、そういった背景というものがなければ、本当にこの規制緩和、自由化の促進というのがいいものをもたらすのかという点で問題があるのではないか、そんなふうに思います。
 そういった中で、今回、商品の認可制が緩和されている部分もあるわけです。契約者の保護に欠けるおそれがないといいますか、そういった面についてその緩和を図っていくということのように思いますけれども、この点、こういった具体的な契約者の質、そういったものをどのように考慮して、そして緩和なりなんなり、そういう促進を図っていくか、そういう点についてお聞きしたいと思います。
#25
○山口(公)政府委員 契約者の保護に欠けるおそれがないものにつきましては、例えば、自由化、規制緩和の一環として届け出制の対象にするというようなことを御提案申し上げておるわけでございますけれども、今委員のおっしゃいましたように、契約者が保険について十分知識を持っているとか、あるいはみずからの保険を掛けたリスクというものを十分に把握しているというような場合、あるいは保険会社と十分に対等に交渉ができる立場にあるというような場合について、そういった規制緩和を進めるというのが至当ではないかというふうに考えておりまして、委員のおっしゃいますように、いわゆる国民一般の、特に、弱者という善言葉を使われましたけれども、そういった方まで含めて全部そういった規制緩和をしてしまうということは、いろいろな弊害が出てくるのではないかというふうに考えております。
 したがって、具体的な対象としましては、今私が申し上げたような基準からいいまして、主として、大企業を対象とする大口の企業物件とか、あるいは国際的な取引に係る保険とか、あるいは非常に専門的な知識を持っている事業者のような方々が保険契約者となるような保険、そういったものから規制緩和を図っていくというのが適当ではないかというふうに考えております。
#26
○永井(哲)委員 契約当事者間で立場の互換性があるというか、それなりに相手もプロである、その間が本当に実質的に平等であるといった分野から一部自由化を始めていくというふうなことでお聞きしたい、そういうふうに思います。
 今回、ブローカー制というものが導入になる中で、契約者にとっては保険会社の責任を直接問えないような形になるわけでありますが、その点、どういう者がブローカーとして参入してくる資格があるのかという点で、法の二百八十九条にも記載されておるわけでありますが、その一項の十号でありますが、「保険募集に係る業務を的確に遂行するに足りる能力を有しない者」。一般的な条項になっておるわけでありますけれども、この点についてはどのように具体的にお考えになっているのか、ある程度明らかにしていただきたい、そういうふうに思います。
#27
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 いわゆる保険仲立ち人、ブローカーの登録要件になっております。務遂行能力の有無を判断するに当たりましては、当該申請者が業務を的確に遂行するに足りる経験とか、あるいは保険に関する知識を有しているかということを客観的な基準によって審査することになろうかと思っております。
 具体的に申し上げますと、保険業につきまして一定水準以上の資格または知識を有して、一定期間以上保険業務に従事していることを一つの基準とすることが考えられるわけでございます。また、保険仲立人協会というようなものが設立された後には、その協会が試験を行うというようなことで、その結果、あるいは研修をやっていただく、その研修を修了したかどうかということを登録審査の際の一つの基準とすることも考えられるというふうに思っております。
 また、外国の保険ブローカー、非常に進出希望が多いのでございますけれども、この場合につきましては、外国で与えられております一定の資格を持っているかどうか、一定期間以上ブローカー業務に従事しているかどうかというようなことを一つの基準とするということが考えられるのではないかというふうに考えております。
#28
○永井(哲)委員 保険業法に関する、特に日米合意などでは、保険という商品の性格といいますか、それが「競争の促進と効率の向上を通じ、より安くより良い商品が提供されることが望ましいがことして、安定的な供給だとか公正さの確保だとかその他の要因、必ずしも自由競争だけが善ではないということも日米で合意されているところでありますので、規制緩和、自由化という点に当たっては、特に消費者保護という点を十分に考えてこれからも対応していただきたい、そう希望しておきます。
 次に、円高の関係についてお聞きいたします。
 時間もなくなってまいりましたが、長期的な要因、短期的な要因、いろいろ対応の仕方もあるわけでありますが、そういう中で、為替の市場等で協調介入というものが、アメリカが基軸通貨としての責任といいますか、その重さを余り感じていないのじゃないか、協調介入というものが実質的にされるような、そういうような条件というのが崩れているのではないかというような指摘もあるように聞いておりますが、そういった協調介入という、その各国間の意思というものは一体どうなっているのか。そして、これからもそういうようなものについて、為替の、円のそういった維持ということに対してどういうような姿勢で取り組む御決意か、その点についてお聞きいたします。
#29
○武村国務大臣 為替の市場における協調介入の認識は、G7各国、今後とも変わることはないと思っております。ただ、率直に言って、協調も、G7全体が足並みをそろえる場合もありますし、過般のように日独米の場合もありますし、日米という場合もございます。
 かなりの経験を経ているわけでありますが、過去を振り返りますときに、この介入が非常に有効に通貨当局の期待する方向に作用した場合も少なくありません。しかし、作用しない場合もまたこれも大変多いことも事実でございまして、そのことは協調介入の規模で決まるものでもない。わずかな少額で非常に有効に働く場合もあるし、かなりの大胆な介入をしてものみ込まれる場合もあります。
 というふうなことでありますが、大事なことは、やはり通貨当局が市場に対して明確な意思表示を行う。ステートメントを発表して意思表示をする場合もありますが、協調介入が行われることが各国の、まさに通貨当局の意思がそこに具体的に表明されることになるわけでございますから、その意味でも、今後ともこの措置は国際社会ではかなり大事にされていくべきものだというふうに認識をいたしております。
 昨今の円高を含めた通貨変動、今後の推移もございますが、今後ともぜひこの協調介入については、しっかり協調、連携をとりながら、有効な形で効果が出るように大蔵省としましても真剣に対応をさせていただきたいというふうに考えております。
#30
○永井(哲)委員 四月の下旬、今月下旬にG7が予定されておりますが、さまざまなものが議論されると思いますが、それに臨む大臣の姿勢というものをお聞きいたしたいと思います。
#31
○武村国務大臣 私はあした朝からAPECの蔵相会議に出発いたしますが、ここでもアメリカ、カナダのG7の二国の蔵相は参加をされます。その後、四月の末にワシントンでIMFの暫定委員会等もございまして、あわせてG7の会議も開かれることになるだろうと思っております。
 ぜひ、各国の経済状況でまずお互い報告を兼ねて論議をしながら、昨今の通貨の変動に対しても真剣な意見交換をしてまいりたいと思っております。そして、国際的な通貨に対する連帯なり協力なり協調行動についても、今御指摘の介入の問題もございますが、金融政策も含めたさまざまな連携についても真剣な話し合いをしてまいりたいと思います。
 あわせて、こういう急激な通貨変動が起こる今の世界のシステムを一体どう見るか、どう改革が可能なのか、これは今日までもそういう議論がかなり続いておりますが、この三月、四月の経験を踏まえてお互いに、ハリファックスのサミットもございますし、そのサミットに上げるためにも、G7としては今回のワシントンでの会合でかなり具体的で真剣な話し合いをしなければならないというふうに思っている次第でございます。
#32
○永井(哲)委員 今回の円高対策の中に証券市場の活性化、その中で有価証券取引税についての言及もあるわけであります。証券市場、株式譲渡益課税を含めて全体的に考慮する、そういった内容になっているわけでありますが、これらが、有取税が証券市場の活性化にどの程度本当に寄与するものなのかどうか。
 先ごろ私たちは税制の抜本的な改革をする中で、資産、消費、そして所得というバランスのとれた税制というものをつくっていくという中で、有取税は資産の重要な課税としてその意味合いというものが非常に大きいというふうに思っているわけでありますが、その点どのように考えていくのかという点についてお聞きいたしたいと思います。
#33
○小川(是)政府委員 昨今の株式市場の状況は、取引コストという要因というよりは、むしろ急激な円高の進行に伴う先行き不安感等によるという指摘が一方でございます。ただ、この点につきましては、やはりこうした状況のもとでは取引コストの縮減というものが一つの活性化策ではないかという考え方があるわけでございます。他方においては、ごく短期的に考えますと、こうした取引コストを下げる、円建て資産に対する需要を強めるという問題もあるではないかという指摘がある保わけでございます。
 いずれにいたしましても、この有取税は長く議論を、税制上も証券市場を見ながら議論が行われてきているところでございますが、政府の税制調査会におきましても、この税はやはり一種の資産課税であるという観点から、株式の譲渡益に対する課税のあり方などとあわせて証券税制全体の中で検討を深めてまいる必要がある、このように考えている次第でございます。
#34
○永井(哲)委員 時間がまいりましたので終了させていただきますが、この急激な円高というものに対して何もしないのがいいのだ、そういった論者もいるようでありますが、やはりそういった急激な円高が経済に与える影響というのは非常に大きいと思いますので、そういう点、投機をどのように防いでいくのかというか適正化を図っていくのかということを含めて、G7なりそういったところでも十分に議論していただくことを希望いたしまして、私の質問を終了させていただきます。
#35
○尾身委員長 次に、村井仁君。
#36
○村井委員 保険業法が昭和十四年に今の形で制定されましてから五十六年ということになるのでございましょうか。大改正でありますし、平成元年に保険審議会で審議を始めましてから六年がかりの大作業、そして、三百二十八条に上る大法案として今提案されているわけでございまして、これまでに至る関係者の御努力に私は深く敬意を表したいと思います。
 考えてみますと、保険というのは、いろいろな意味で起こります経済的なリスクというものを何らかの大数の法則なりなんなりによりまして調整をしまして、そして、全体として経済の運営あるいは民生の安定というものが図れるようにしていくという意味で大変意味のあるシステムでありますけれども、同時に一方で、その主体である保険会社というのがいずれもそれぞれに相当な巨大な経済主体であって、投資という機能あるいは金融に近似した機能という意味でも、それぞれ非常に重要な役割を今の社会に果たしている。
 そういう意味で、一九三九年という時点でできて、その後いろいろなマイナーな改正はなされたにせよ、その時点から現在までの日本経済の非常に大きな変化というものを踏まえますと、ここで大幅な改正を図るというのは、私はまことに時宜に適したことだと考えているものであります。それだけにたくさんいろいろお伺いしたい点があるわけでございますが、きょうは初日でもございますし、私は若干周辺といいますか、保険業というものを取り巻く周りの問題につきまして、初めに少しお尋ねをさせていただきたいと思っております。
    〔委員長退席、石原(伸)委員長代理着席〕
 そういう意味で、必ずしも銀行局保険部の所管事項でないものにかかわることもあるかと思いますけれども、しかし、あくまでそれは保険業という、一般的に今申しましたような人の生命あるいは一定の偶然の事故というようなものにかかわって行われるさまざまの経済行為、そういうものとの関連で、類似している機能を経済的に営むものではないかという観点から私は問題提起をしたい。ですから、そういう意味合いで受けとめていただければありがたいと思います。
 最初にお伺いしたいと思いますのは、例えば生命保険にしましてもあるいは火災保険にしましても、それとほとんど似たような機能を果たす仕事が農業協同組合におきまして生命共済あるいは火災共済というような形で行われている。これは、いずれもメンバーといいながら、協同組合というものの性格からそれなりの制約はありますけれども、若干不特定多数と言えないこともないような、要するにメンバーシップが比較的容易に取得できるという意味合いで不特定多数と言えないこともないようなメンバーの生命、財産の、共済と名づける保険に加入させる機能がありまして、そういう意味では保険業法上採用されているさまざまの基本的な原理原則といいましょうか、配慮といいましょうか、そういうものに従わせていく必要があるのではないか。あるいは、別の言い方をいたしますと若干の調整をしていく。
 あるいはまた、そういうやり方をすることができないならば、逆に厳しく本来の共済ということで通用するような範囲にふさわしいところにコンティンしていくといいますか、きちんと囲い込んでいく、そういう配慮も必要なんじゃないだろうかという感じが私はするわけであります。まず、その点につきまして保険部長の御見解を伺いたいと思います。
#37
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 今の委員の御質問に対しまして私が全部お答えできるかどうか、あるいはすべきかどうかという守備範囲の問題もございますが、できるだけ私どもの考え方を述べさせていただきたいと思います。
 この保険業法案におきまして保険というものをどう考えているかといいますと、一定の偶然な事故に起因する経済上の不安定の除去ないしは軽減を目的とする、多数の経済体の結合を前提とした共同の備蓄制度、非常にややこしい言い方をしますとそういったものをイメージしております。保険業法案におきましては、このような保険でありまして、いわゆる生命保険、損害保険、第三分野の保険の引き受けを、今委員のおっしゃった不特定の者を相手方として行う事業を監督の対象としているわけでございます。
 ただし、このような事業をやっておりましても、他の法律に特別の規定があるものにつきましては、この保険業法が全部網をかぶせてしまうということはいかがなものかという考え方に立ちまして、御指摘のような、法律できちっと規定を設けているような事業でありますと、共済事業につきましてもそれは本法の、今御提案申し上げている法律の監督の対象から外してあるというものでございます。この当該事業は、名称が保険という名称なのか共済であるかということではなかろう、そこは実態的な判断をすべきだと思うのでございますが、他の法律の特別の規定を根拠として行っている場合には、当該所管庁がきちんと監督をなさっているということが考えられますので、その対象から外しているというのが御提案申し上げている法律の考え方でございます。
    〔石原(伸)委員長代理退席、委員長着席〕
#38
○村井委員 農協法などによる部分についてはお話しのようなことだと思うのですが、私が一つちょっとお伺いしたいと思うのは、中小企業等協同組合法で火災共済協同組合というのがありまして、こちらの方は、それは中小企業がやっていることではあるのですけれども、まさに実態として保は火災共済という一点だけで共同事業を営んでいる、だから協同組合なんだ、要するに火災共済ということで協同組合ができ上がっている、そういう存在なんです。
 ある意味では、保険業における相互会社というものと似たような性格の経済的な存在であるという感じがある。この辺のところはどういうことで整理をしておられるのでしょうか。そこをちょっと教えていただきたい。
#39
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 火災共済事業は、根拠法は、御指摘いただきました中小企業等協同組合法におきまして、地域の制限、組合員資格の制限、それから共済金額の限度などの規定が設けられておりまして、その本来の目的は中小企業者のための共済活動という形になっているわけでございます。
 したがいまして、保険と共済はその性格、存在の基盤をこのケースにおきましては若干異にしておるわけでございますが、相互救済という仕組みという点では御指摘のとおり共通する面がございますために、火災共済協同組合が行う火災共済につきましては、その事業の健全性の維持、契約者の保護の観点から、同法律のほか、保険業法、保険募集取締に関する法律などを準用しておりまして、監督、規制が行われているわけでございます。
#40
○村井委員 そうすると、今、火災共済については保険業法の諸規定が準用されて、そして健全性が維持されるようにしているのだという御説明がありました。ここは非常に合理的な判断だと私は思うのですけれども、一般的に他の共済について、そういう、今保険部長からお答えのあったような、保険業法の基本的なルールが準用されているようなケースはあるのでしょうか。これはちょっと難しい御質問になるかもしれませんが、他の共済の例について。
#41
○山口(公)政府委員 一般的にはございませんで、ケース・バイ・ケースでございます。
#42
○村井委員 私は、火災共済についてはそういうことで保険のルールというものがきちんと適用されているということなんですけれども、ほかの共済という形態でやっているもので実態的に保険業と余り差のないような形になっているものにつきまして、本来の共済にふさわしい、共済というのはその共済に参加している人たちの中で責任を持ち合おうということなんですから、それにふさわしい範囲にその機能が限定されるということが本来は非常に大切なんじゃないだろうか、いわゆる員外利用というのが相当広範に行われているというところに実は問題があるのじゃないかという印象を持っているということだけちょっとつけ加えさせていただきまして、次の問題に移らせていただきたいと思います。
 もう一つの問題でございますけれども、これはちょっと大きな問題なんですけれども、平成三年の六月の金融制度調査会の答申では、保険会社による銀行、信託あるいは証券等への、要するに他業務への参入というのが盛りまれている、相互参入をやりましょうというような感じで。これは銀行、証券の子会社による相互乗り入れ、銀証乗り入れ、相互乗り入れということを前提に置いた考え方だったわけでございますけれども、今度の提案されました保険業法によりますと、この辺のところは消えているわけです。
 要するに、保険会社による銀行、信託、証券への業務の参入というのは消えている、そして逆もそうである、こういうことだと思うのでございますけれども、これはどうして消えたのか、まずそこのところをちょっと教えていただきたいと思います。
#43
○山口(公)政府委員 御指摘のように、平成三年の金融制度調査会の答申におきましては、金融制度の見直しを行うに当たりましては、保険業を含めた幅広い相互参入が行われるべきであるという基本的な方向が示されておったわけでございます。
 今回御審議をお願いしております法案の前段階での保険審議会でのいろいろな御意見をちょっと御披露させていただいて、その結果としての報告書を読ませていただきますと、昨年六月の同報告書では、まず子会社方式による生損保の相互乗り入れを含む保険制度の自由化を進めることが肝要であって、その定着を見きわめた後に子会社方式による他業態、他業態といいますと証券とか信託とか銀行ですね、への進出を含めた制度改革が完了するよう段階的に行うべきであるという御指摘を賜ったわけでございます。
 そういったことで、今回、保険業と銀行、証券等との相互参入につきましてはこの法案では盛り込んでないということでございまして、生損保の相互の乗り入れ及び現在実施されております金融制度改革の実施状況を十分見きわめた上でさらに検討していくということにいたしております。
#44
○村井委員 銀行、証券の相互乗り入れというのがどんなふうに今評価されているのかということとも関連はするんだろうと思うのです。
 そうしますと、この法律で一つの大きな柱になっております子会社による損害保険と生命保険との相互乗り入れ、それから第三分野への本体相互参入、この辺のところは大体どんなテンポで今イメージしておられるのか、そこのところをお伺いしましょう。大体どのくらいのタイミングでそれぞれ子会社が設立されて、そして相互乗り入れが行われると見ておられるのか、それから第三分野への本体参入というのがどのくらいのテンポで行われるのか、そこをちょっとお聞きします。
#45
○山口(公)政府委員 今回御審議をお願いしております法案に盛りまれております子会社による相互参入、本体での第三分野への相互参入という点でございます。
 子会社による生損の相互参入につきましては、恐らくこの法律案を成立させていただきました暁にはその施行がなされる、期間を置いてなされるわけでございますが、そうすると余り時間を置かずにある程度の相互参入が図られるんではないかという予想をしております。それは、特に大手の生損の会社におきまして、それぞれ鋭意勉強あるいは準備をなさっておりますので、そういった感覚を私は受けておるわけでございます。
 それから、本体での第三分野への参入につきましては、附則でもしばらく経過措置を設けてということでお願いしておりますけれども、これは実は生損の分野、生保のオリジナルと言ったら語弊がありますけれども、そういった損保のオリジナルとも思えるような分野でない分野が第三分野として最近非常に注目を浴びているわけです。実は外国の保険会社、あるいは日本の中小の保険会社もそうでございますが、かなりそこに依存した経営を行っておられるということで、保険審議会におきましてもかなり議論をされまして、それを一遍に、しかも子会社をつくらなくても乗り入れできるとなれば、非常に大手がそこの市場に大混乱を起こしてしまうということで、しばらく様子を見てやりなさいというふうになっております。
 したがいまして、そうしますと、そういった今第三分野で何とか地歩を固めようとしている会社が、自由化等によりまして本体の分野でもいろいろ競争力を持つというような環境が整備されていくかどうか。その意欲がなければもちろんそれは実現しないわけですが、意欲さえあればそういった可能性がだんだんふえてくるわけです。そういったものを見ながらそういった相互参入を認めていくということではなかろうかというふうに思っております。
 具体的なタイムスケジュールとしてお示しするには、余りにも変化が、初めての措置でございますので、様子を見ながらやると同時に、競争促進という面も忘れないで対処していきたいというふうに考えております。
#46
○村井委員 そうしますと、生損保相互の子会社による乗り入れよりも第三分野に対する本体参入の方がおくれる、こういうことです。
#47
○山口(公)政府委員 御指摘のとおりでございます。
#48
○村井委員 ある意味で、私はちょっとそのあたりが非常に印象としては、確かに、例えば中小の保険会社でそれなりにその分野で活動しているという実態がある、あるいは外国の保険会社が特に第三分野で非常に大きなシェアを持ってきていてそれなりに既得権を擁護したいという感じは、印象としてわかるのであります。
 しかし、どちらかというと第三分野というのは、まさに第三分野と呼ばれるように、保険の、生命保険なりあるいは損害保険なり、それぞれにとって一つの縁辺として認識される分野であるわけでありまして、本体による参入が、いわゆる自由化とか規制緩和と言われれば比較的容易に行われてしかるべきことであって、生命保険会社が損害保険を子会社という形態であれやる、あるいは損害保険会社が生命保険を子会社という形であれやるのに比べれば、もっと自然な行動であるという感じがするのです。その部分が逆におくれるということに、何かちょっと違和感を感じるということは私否定できないということなんです。そのあたり、もう少し、もし何か御説明があればお聞きしたいと思います。
#49
○山口(公)政府委員 今委員の御指摘になったような考え方というのは、非常に、ある意味では筋の通った御意見だというふうに思いますけれども、私どもが一方で心配いたしておりますのは、今回は五十六年ぶりの大改正でございまして、しかもそれが、いわゆる片仮名を平仮名に直すだけではなくて、中身的にかなり、商品、料率、あるいはブローカー制度だとかそういう募集の面、いろいろな面、それから健全性の確保の面のメルクマールを入れるとか、ある意味では全部新しいものに変えていくという要素を含んでおるわけでございます。そうしますと、一方でそういった競争を促進させて消費者ニーズにもっと的確に対応させるという要請も、もちろん私どもの一つの政策目的としてはあります。それをある意味では一遍にやろうとしているわけでございます。
 こういう例を引いていいかどうかわかりませんが、実は銀行法の改正は五十六年にやりました。これは私が今申し上げた前者の方でございまして、それで、銀証等の乗り入れ問題は実は平成五年に行っているわけでございます。それまでに十有余年かかっているわけでございます。今回、保険と銀行、保険と証券という関係はちょっとお願いしてございませんけれども、少なくとも生損の乗り入れとかあるいは本体でのという話は、競争促進という面では後者に当たる部分でございます。それを今回一挙にお願いしているという面がございまして、そうすると、一番私どもが心配しますのは、そういったものが混乱を起こしてしまうと、結局一番困るのは消費者あるいは契約者の方々ではないだろうかと。業界の方もちょっとびっくります要素が大分あるわけでございます。
 つまり、制度としてなるべく、これは抜本的な改革でございますから、着実にステップ・バイ・ステップで、しかし後戻りはないようにしていきたいということでございますので、そこに、競争的要素も重要な要素でありますが、それが余りにも強く出ますとそれが御破算になってしまって、先ほどちょっと例でも出ておりましたけれども、アメリカで余りにも急激に自由化して、また自由化が後戻りしてみんな認可制に戻ったという州すらあるわけでございます。
 余りにもそういった要素を私どもが欲張った形でやりますと、かえってうまくいかないのではないかという気持ちも持っておりまして、そういった自然な流れという委員のお考え、非常によく私ども理解できるのでございますが、かえってそれが競争という面では物すごい競争になってしまうという、それが今度は、せっかく私どもがねらいとしているそういった消費者保護とか契約者保護とか健全性というところをちょっと損なって台なしにしていくのじゃないかという懸念を持った部分もあるわけでございます。そういったことが審議会等においても委員の先生方にあったのではないかというふうに推察しておるわけでございます。
#50
○村井委員 私は、いずれにしましても、さまざまの保険や証券や、あるいは銀行の扱っているものにしましても、いろんな金融商品というものが非常に境界線がなくなってくるという現象、これはもう非常に急激に進んできていると思うのです。そのときに、この日本における制度の制約というものが、そのような国際的な場における新しい金融商品の開発あるいはその展開というものの障害になって、そのために日本の保険会社が何らかの不利益をこうむるというようなことにならないようにしていく必要があるだろう。
 そういう意味で、銀証の相互乗り入れにしましても、あるいは損害保険と生保の間の相互乗り入れにしましても、あるいは将来一つのビジョンとして持っておられる銀行、信託、証券等をも含めた相互乗り入れというものにしましても、そのような大きな流れを見ながら考えられていることだと思うのです。それだけに、タイミングを失わないように対応していく必要があるだろうということだけ感想として申し上げておきます。
 最後に、いわゆる今度の自由化の一つの目玉、規制緩和の目玉として、例えば商品にしましても料率にしましても、規制を緩和して届け出制を採用することができる、こういうことになっているわけでありまして、あるいは生命保険の場合でしたら、例えば一社専属制というのがありましたのが、これも保険契約者保護に欠けるおそれがないときは緩和するというような方針が示されているわけですけれども、このあたり、いずれも必ず決まり文句としてついていますが、保険契約者の保護に欠けるおそれが少ない場合にはとか、おそれがない場合にはとか、こういう用心深い用語が用いられている。
 これは別の場面でいいますと、預金者保護に欠けるおそれがない場合には、あるいは投資家保護に欠けるおそれがない場合にはというようなことでまた別の場所で聞かされたことがある、こういう感じでございまして、ここは逆に、これを使いますと幾らでもまた縛っていくことができるという面があるわけであります。
 そういう意味で、基準というのは実際問題としてはなかなか一口で言うのは難しいのでしょうけれども、基本的な方針といいますか方向性、この保険契約者の保護に欠けるおそれがない場合という基準を、大体どんなところで設定していく考えなのか。もちろんそれは四囲の環境の変化等々によって変わってくることだということは十分承知の上ですけれども、大体この法律が施行されるタイミング、そんなところで、大体どんなところで運用されるおつもりなのか、基本的な方針なりお示しをいただければありがたいと思います。
#51
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 保険につきましても、契約者保護上問題のない場合ということで、預金者、投資家保護と同じような表現を使わせていただいているわけでございますけれども、保険の場合におきまして若干御説明させていただきたいのは、保険契約の特徴でございます。
 これは、非常に保険契約が複雑で、約款に基づいているというようなことを一般の国民に理解してもらわなければならないということ。それから、保険の場合は原価が確定しないという面があります。つまり、事故が起きなければコストがかからないわけでございます。そうすると、非常に楽観的な予測を立てますと、非常にダンピングをやってもうまくいくかもしれないというものがございます。それから、保険会社が契約者を選んでリスクの少ない人だけを相手にし出しますと、その社会的な責任を果たしていただけないというものがございます。
 そういったものを考えましたときに、契約者保護から見て問題ないものからという表現をさせていただいているわけでございますけれども、じゃ具体的にどういったことなんだ、イメージがわかないという御指摘でございます。
 例えば商品とか保険料率の算出についての、届け出制にするときどういう考え方でやるのかという点について例示させていただきますと、契約者が保険について十分知識を持っているのかどうか、それから自分が掛けたいリスクというものを十分自分が把握できるかどうかとか、あるいは相手の会社と対等にネゴができるかどうかというようなことから判断をしていくのかなというふうに考えておりまして、まず手始めとしましては、大企業を中心とする企業物件とか、あるいは国際的な取引になっているものとか、あるいは専門的な知識を有している事業者、専門家がその相手となっているような契約というようなものからまずそういった自由化を進めていくということかなと。
 したがいまして、個人向けの契約について今どうかというふうな話になりますと、ちょっとやはりそういった。私が先ほど申し上げたような懸念がなくなるような状況になるかどうかということを十分見きわめませんと、なかなか難しかろう。その点については、やはりそういった大口のものから、あるいは企業のものからというような考え方が実際の適用の場合は考えられるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#52
○村井委員 時間がなくなりましたから、これはまたいずれ御議論させていただきたいと思いますけれども、個人につきましても、私は、これにはこういう危険がありますよ、こういう問題がありますよということが示されて、納得ずくであればいいというような選択もあるのではないかという感想があります。
 とりあえず終わります。
#53
○尾身委員長 次に、佐々木陸海君。
#54
○佐々木(陸)委員 日本共産党の佐々木陸海です。
 最初に、大蔵大臣に一言お伺いしたいと思います。
 二つの信用組合の問題にかかわって東京都が三百億円の融資をする、この問題が大きな焦点にもなって東京都知事選が行われたわけです。その結果がああいうふうに出たわけですが、伝えられるところによると、大蔵大臣は、新知事に対してもあの三百億の融資はちゃんとやってくれというふうにお願いをするつもりだというふうに伝えられておりますが、そのとおりです。
#55
○武村国務大臣 今回の東京都民、有権者の皆さんの都知事選挙の結果というものは、これは厳粛に受けとめなければなりません。
 その上に立っての判断でありますが、昨年の暮れに日本銀行と東京都、大蔵省の三者で、この場合東京都というのは東京都の執行部でございますが、合意が成り立ってこの二億組に対する対処を進めてきているわけであります。既に共同銀行がスタートをし、二つの信用組合が姿を消しております。そして、信用組合のさまざまな債権債務関係を継承しながらこの処理に日々当たっているところであります。事はもう動いているという現実もございますだけに、私どもは、この基本的な姿勢を変えるべきでないし、変えてはならないという考え方であります。
 そういう前提に立ちながら、新知事に対しても、まずは東京都の執行部が、鈴木都政のもとにおけるこれまでのこの問題に対する考え方、あるいはかかわり、経緯等について当然詳細に説明をされるものと思いますし、そういう過程を経て新知事が最終的な御判断をされるものと期待をするところであります。少なくとも、当然新知事はこういうかかわりを継承する責任も負われるわけでございますから、内容そのものに変更があるないにかかわらず、東京都の監督責任そのものを回避されることはない、その上に立って御判断がいただけるものというふうに期待をいたしているところでございます。
#56
○佐々木(陸)委員 いろいろ経緯はありましょうけれども、新知事は選挙公報の中でも、三百億円もの融資を行うなどもってのほかだということもはっきりと書いて、そしてそういう方向が、私も東京都民の一人ですけれども、選挙の中にもいろいろタッチいたしましたが、都民の強い支持を受けてこういうことになったわけですから、大蔵大臣があくまでも東京都は鈴木知事時代の約束を守れというようなことは、結局のところ新知事の公約を放棄せよとか曲げろとかいうことを要求することにならざるを得ない。そういう方向を求めるのじゃなくて、大臣の責任で新しい方向を探求すべきであるというふうに申し上げておきたいと思うのです。
 それで、東京都知事選挙が始まった直後に私はこの委員会でも質問いたしまして、大蔵大臣が支持をした候補者も選挙公報の中で二つの信用組合救済に三百億円は使いませんということをはっきり書いているのですが、この候補者が当選した場合にも、あなたの立場と何も矛盾しないというふうにあなたは思って支持されたわけでしょうか、そのことを聞いておきたいと思います。
#57
○武村国務大臣 選挙公報の表現は御紹介があったとおりでございますから、それだけに私どもは、その候補についても、当選された後の新都知事としての公式の判断を大変心配しながら見詰めていたことは事実でございます。
 しかし、今回の青島知事の場合にも、どなたが知事になられても、先ほどお答えしたような考え方、姿勢は変わるものではないし、私が変わらないというよりも、恐らく東京都の中で、執行部と議会の関係になりますが、前知事を中心にした執行部がそういう形できちっとこの問題にコミットをされているわけでありますから、そのことを新知事がどういうふうに理解をされ御判断をされるかということであるというふうに思っております。
#58
○佐々木(陸)委員 いずれにしても、選挙での公約というものが政治家にとって一番重いものでありまして、我々としてはこれが守られるように努力をする必要があるんだということをはっきりと申し上げておきたいと思います。
 保険業法の問題についての質問に入りますが、先ほどから五十何年ぶりの改正ということも言われていますけれども、まず基本の問題ですが、もう既に出ている話でもありますが、保険審議会の九二年の答申では、保険会社が銀行や信託や証券業務に参入できるようにする、それから銀行、信託、証券会社も保険事業に参入できるようにすることが妥当だという答申を出し、昨年も同様の報告が出されているわけです。
 これは金融機関が全面的に相互参入していくという方向を目指しているものでありますが、今回の改正では、提案されているものでは、生保と損保の相互参入ということにとどまっているわけで、その状況も見きわめてということが先ほどから言われておりますけれども、いずれにしても、全面的な相互参入ということを前提にして今度の法案も出されているということで受け取ってよろしいのです。その点をはっきりさせていただきたいと思います。
#59
○山口(公)政府委員 保険審議会答申におきましてもそういった記述になっておりますし、今回の保険審報告におきましても、「その定着を見極めた後に子会社方式による他業態への進出も含めた制度改革が完了するよう、段階的に行うことが適当である。」
 「段階的に」というのが今回新しく言われたわけでございまして、制度改革が完了するようにという御指示はそのままでございます。
#60
○佐々木(陸)委員 要するに、金面的な相互参入への一つのステップとして今回の法案が出されているという受けとめ方でいいのです。そう受けとめておきたいと思います。
 それから、生損保の相互参入の問題ですが、我が国において生保と損保の事業が禁止されたのは明治三十二年。それ以来、今日まで百年近くの間ずっとこれが維持されてきたわけであります。
 なぜ生保と損保が分離されてきたのか。いろいろありますけれども、生保と損保は本質的に性格が異なる。そして保険期間やリスクの性格が根本的に異なっている。生保は人の生死にかかわる比較的正確を期し得る統計的データに基づくものであるのに対して、損保はあらゆる突発的な災害や事故に備えなければならぬ。一たん巨大な事故が発生すれば巨額の保険金支払いが発生するということで兼業が禁止されてきたということであると思うのですが、現代の社会においては、損保の側の巨大なリスクの可能性というのはますます高まっているということも一方で言えるわけで、国民に不利益を与えないという視点からすれば、生損保を分離する必要性は現在もいささかも減じているわけではないという考え方も成り立つわけですが、その点についての見解はいかがでしょうか。
#61
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 生損保の兼営が禁止されております理由は、今委員が御指摘になりましたように、生命保険業と損害保険業において引き受けますリスクとか保険期間が違うことから、生損保を兼営することによりまして、損保の短期的かつ巨大なリスクと生保の運用リスクなどの長期のリスクを同時に保有することが内部補助等の問題を生じせしめまして、生損双方の経営の健全性に影響を及ぼすことが考えられるからでありまして、その点は御指摘のとおりでございます。
 今回御提案申し上げております法律におきましても、生損保本体では兼業は禁止するということできっちりとその原則は守っております。ただ、子会社によって相互参入を認めさせていただきたいと思っておりますのは、明確なリスク遮断が可能である、つまり全く別の会社になるわけでございます。それから諸外国でも、本体での兼営は禁止しつつも、子会社あるいは持ち株会社によって相互の参入を認めているのが一般的であるというようなことから御提案申し上げているわけでございます。
#62
○佐々木(陸)委員 本体での兼営は将来にわたって禁止を維持するということでよろしいのです。
#63
○山口(公)政府委員 正確に申し上げますと、本体では、いわゆる第三分野においては相互参入というのは、非常に似通った商品が出ているという状況からお認めいただきたいと思っておりますけれども、現時点におきましてはこの生損そのものの兼営の禁止という考え方は貫かれております。
#64
○佐々木(陸)委員 それから、相互会社の理念の問題についてですが、保険というのが、もともとの性格が、将来の危険に備えて互いに保険料を支払って、事故が発生したときに保険金を受け取るというもので、本来相互援助のシステムであるというふうに理解するのが正しいと思うのですが、それゆえにこれまで相互会社の形態というものがとられてきた。それで、その相互会社は営利を目的とせずに、あくまでも社員すなわち契約者の利益を優先するものとされてきたわけでありますが、実態においてはしかし株式会社の経営と何ら異なることなく、現状では株式会社に比べても経営が不明朗であるということも指摘されるような事態が進んできているわけです。
 今回は、相互会社から株式会社への転換を認めるという改正も含まれているわけで、このような問題は結局現状の追認という面を持っているわけでありまして、現状の追認ではなくて、相互会社が営利を追求してさた結果どんな事態となっているかということを勘案しながら、今こそこの原点に返って相互会社のあり方、その意義を再確認する、そういう方向も現実の問題としてはあり得るのではないかというふうに思うのですが、その点はいかがでしょうか。
#65
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 相互会社は相互に保険を行うことを目的とした法人でございまして、契約者であります社員が保険料を払い込みまして、これに対しまして会社が社員に保険保護を提供するということを事業とするものでございます。したがいまして、保険料を運用した収益を含めまして、事業の結果として生じます剰余金があった場合、それは社員に分配されるということになるわけでございます。
 相互会社におきましては、社員とは別の、株主のような出資者というものは存在しませんので、株式会社のように利益を株主に分配することがない分、社員に対して可及的に安い費用で保険保護を提供できるという仕組みになっておるわけでございまして、今回の改正法案におきましてこのような相互会社の理念そのものは維持しておるつもりでございますし、さらに、現在の相互会社の実態というものを踏まえまして、社員により確実にその保険保護を与えるという必要性がもう一方であるわけでございます。
 相互会社のそういった理念は維持をしながらも、実態的にどうかということを考えてみましたときに、継続企業として存在しておるわけでございますので、相互会社といえども財産的基礎が何もないということであれば安心して保険に入れない。幾らあなた社員ですからといっても、私の会社は全部分配しますから財産ありませんというわけにはいかないという問題があるわけでございます。自分が入る会社が相互会社であるか株式会社であるかということを考えてお入りになるかどうかという現実を見ましたときに、そこは余り差がないのではないか。そうしたときに、やはり継続企業としてしっかりとした財産的基礎がないと安心していられないという面が一つあります。
 それから、そういった意識は、実は今までの法律では、保険金はいざとなったら削減していい、お互いに社員だからという考え方の規定があったわけでございます。これはちょっと、入るときに、まさか自分の保険金は欠損が出たらみんな削減されるというのを前提としているという意識で入っておられるのかということを考えてみましたときに、ちょっとそこは違うんじゃないか。したがいまして、そこは保険金削減規定を廃止するなど、契約者としての地位を、株式会社の保険会社に入っておられる方と同じように扱う必要があるんではないか。
 それから、経営チェックの面でもやはり、相互会社の理念は大変立派なものでありますけれども、現実問題として、より経営チェックを行うということの必要性もあるわけでございます。そうしますと、株式会社と同様に社員権の強化を図るというようなことをやはりやらせていただく必要があるだろうということを考えたわけでございます。
 したがいまして、今回の改正が、その相互会社の理念そのものは維持してございます。それをより実態に合わせてモディファイしたというようなことで御提案申し上げておるわけでございまして、今御指摘あるいは御懸念いただいたような、出資者の利益追求を目的とした営利企業として相互会社を追認するというような趣旨ではないということを御理解いただきたいというふうに思います。
#66
○佐々木(陸)委員 次に移りますが、今回の改正で初めて保険会社の業務について、業務範囲を明確にする規定が盛りまれているわけです。現行法でその業務範囲に関する規定がなかったのは、保険会社というものは保険業務に専念する、それ以外の業務は行わないということで、当然のこととして受け入れられていたわけですが、近年資産運用等いろいろな業務の比重が大きくなって、銀行等地の金融機関と変わらないほどに保険会社がなってきている。
 今回の改正案では、保険会社の業務として、九十七条で保険の引き受けと並んで、これと全く対等の位置づけで資産運用に関する規定を置いているわけであります。この第九十七条は保険会社の本来業務を定めるものでありますから、資産運用も本来業務、本業と位置づけるというふうになるのではないかと思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
#67
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 保険会社の資産運用は保険会社が当然なし得るものでございまして、かつ保険会社の事業活動上不可欠であるという意味において、これは業務であるというふうに考えております。
#68
○佐々木(陸)委員 九十七条の第二項、資産運用に関する方法については、「大蔵省令で定める方法によらなければならない。」とありますが、具体的にはどのようなものが規定されるのでしょうか。
#69
○山口(公)政府委員 保険業法案におきます保険会社の資産運用方法につきましては、現行は保険業法施行規則第十八条がございます。これらを参考にしまして、有価証券の取得、資金の貸し付け、不動産の取得等を定めることを考えております。
#70
○佐々木(陸)委員 同じく三項で、資産の運用割合について、「大蔵省令で定める」とありますが、具体的にはどのようなものになるのか。現行よりも緩和することになるのか、その辺のところを。
#71
○山口(公)政府委員 資産の運用割合につきましては、現行保険業法施行規則の第十九条等を参考にしまして、保険会社が保有する株式の総資産に対する割合等を定めることを考えておるわけでございます。
#72
○佐々木(陸)委員 次に、百十一条のただし書きで、ディスクロージャーの問題について、「保険会社の業務の遂行上不当な不利益を与えるおそれのある事項」等については記載の必要がないというふうにされていますが、この規定は、会社に不利益な情報は公開しないでもよいということでありまして、国民が本当に知りたいことが開示されなくなるおそれもあるんではないかという問題があります。
 ディスクロージャーについては現状でも自主的にある程度はなされているわけで、この法律によって、現状と比べてどの程度開示が進むのか。法律に規定するならむしろ、最低これだけは記載すべきであるという規定を置くなど、もっと具体的なものにしないと実効が上がらないのではないかという見方もあると思うのですが、その点について見解を聞いておきたいと思います。
#73
○山口(公)政府委員 ディスクロージャー制度につきましては、できる限り保険会社が自主性を発揮しまして、創意工夫に基づいて行われるのがふさわしいというふうに考えております。
 開示すべき項目は、その時代の環境に応じまして種々変化してまいります。そういったものに対応して、各社が発意や創意工夫によって対応できるようにしておくことが望ましいのではないかというふうに思っておりまして、銀行法のディスクロージャー規定も同様の考え方に基づいて設けられております。各保険会社も非常にディスクロージャーについては前向きに対応していただいているところでございます。
 法律等で具体的な開示項目をというお話でありますけれども、そついうお考えもあるとも思いますけれども、必要最小限のものだけやればいいという考え方に逆になってしまうと、またせっかく、ディスクロージャーというのはお客様に知ってもらおうということで積極的にやっていただくのが一番いいという面もありますので、そういった面を考慮して、今回自主性を尊重しながらディスクロージャーを進めていただきたいと考えておるわけでございます。
#74
○佐々木(陸)委員 それから、今回の改正は、いわゆるインカム配当原則を改めて、キャピタルゲインも含めた総合収支をもとにした配当方式を導入するということになるわけですが、そうすると、ますますキャピタルゲインを追い求める資産運用が行われるおそれはないのかという問題もあると思いますが、その点とう考えます。
#75
○山口(公)政府委員 改正法案、お願いしております法案の第百十五条は、金融の自由化を背景とした運用手段が非常に高度化してまいりまして、これはキャピタルゲインだ、これはインカムゲインだというふうに厳密に区分することが非常に困難になってきている、実質はキャピタルゲインだけれども支払いの仕方はインカムゲイン的であるというような商品もあるわけでございます。そういった実態に合わせましてインカム配当原則の見直しというものをお願いしておりまして、八十六条準備金を価格変動による損失に備える価格変動準備金として再構築させていただいているわけでございます。
 今御指摘の、どうしてもキャピタルゲインねらいというような資産運用についての問題が生じるのではないかという御懸念につきましては、資産運用に当たりましては保険金の支払いを確実にするということが一番大切でございまして、そのための安全、有利な運用ということに努めなければいけないわけでございますが、先ほども申し上げましたような運用の方法あるいは運用の限度につきまして、今でも規制が設けられておりますし、今後ともそういうきちんとした必要最小限の規制は設ける必要があるというふうに考えておりますので、御指摘のように、キャピタルゲインねらいの資産運用が横行してしまうというようなことはない、またそういうように指導していきたいというふうに思っております。
#76
○佐々木(陸)委員 それから次は、百十八、百十九条、特別勘定に関する規定があります。特別勘定というのは、資産の収支、運用を他の勘定と区分して経理するもので、現在変額保険など特別勘定で経理されています。
 これは、変額保険に見られるように、資産運用の対象や運用比率にほとんど制限がなくて非常にリスクの高いものが多いわけです。こういう特別勘定がどんどんつくられると、相互扶助という保険制度の基本が損なわれることにもなりかねない。また、ハイリスク・ハイリターンを追い求める商品を開発することを促進することになる危険もある。今回こういうことを法律に明記して、特別勘定を今後拡大していくということにならないかという心配がありますが、その点についてはいかがでしょう。
#77
○山口(公)政府委員 変額保険等につきまして申し上げますと、これは一定額の給付を保証する定額の保険とは異なりまして、この運用成果を保険金額の額に反映させる仕組みの保険でございます。したがいまして、その資産運用のリスク及びリターンが直接契約者に帰属する保険であるということから、そのリスクを遮断するために定額の保険の資産とは明確に区分して特別勘定というものを設けて運用及び経理を行っているわけでございます。この結果、変額保険以外の契約者に影響を及ぼす、あるいは不利益を及ぼすということは遮断されてなくなるわけでございまして、そうすると、相互扶助制の問題を御指摘いただきましたけれども、変額保険と定額保険それそれがその同じ考え方、同質の商品のもとで契約者集団をつくって、その中でそれぞれが相互扶助制を維持していく、こういう考え方でお認めいただいているところでございます。
#78
○佐々木(陸)委員 次に、百三十条、ソルベンシーマージンの規定ですが、これは責任準備金を超えて保有する支払い余力というような考え方でよろしいのかどうか。ソルベンシーマージンの構成内容をどのようなものと考えておられるのか、聞いておきたいと思います。
#79
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 ソルベンシーマージン基準とは、保険会社が保険契約者等に対する将来の保険金の支払いのために積み立てております責任準備金を超えて有する支払い余力を指標として把握しようというものでございます。
 具体的に申し上げますと、保険会社が直面しております保険リスクとか資産の運用リスク等の諸リスクを定量化しまして、そのリスク相当額を分母といたしまして、保険会社の自己資本と考えられております資本勘定、諸準備金等の合計額を分子といたします。この当該比率をもって保険会社の健全性をチェックするため活用することを考えておりまして、なお同様の基準は既にアメリカ、EC諸国で法定化されておるものでございます。我が国においてもぜひ導入させていただきたいと考えておるわけでございます。
#80
○佐々木(陸)委員 次に、二百五十九条以下の保険契約者保護基金の問題ですが、これは雑誌などでも、一般的に消費者にとって生保は銀行より危ない、銀行には預金保険機構があるからつぶれても大丈夫なんだけれども、生保にはないというようなことが書かれたこともあります。今実際に、この問題の前提として、保険会社がいわゆるバブル期に不動産や株式投資に走ってバブル崩壊の直撃を受けて大変不良資産を抱えている、危ないんだというような見方も伝えられているところですけれども、その保険会社のそういう面での現状をどんなふうに見ているのか、ちょっと簡単に。
#81
○山口(公)政府委員 確かに、これまで保険会社はマーケットの拡大の中で右肩上がりの業容拡大を確保してまいったわけでございますが、バブル崩壊後の経済の低成長化等の影響がありまして、保険マーケットの伸びの鈍化が見られております。今後は大幅な業績の進展が期待できなくなってきておるわけでございます。加えまして、地価の下落、株価の下落あるいは急速な円高の進行によりまして各社の資産はかなりの影響を受けておりまして、各社とも厳しい状況に直面しておりますけれども、各社ともリストラ等に努めまして、精いっぱいその努力をし、健全な経営に努めようとしているところでございます。
#82
○佐々木(陸)委員 いろいろありそうですが、だからそういうバブル期にいろいろやったということへの反省というようなものではなくて、何か今度の改正は、一層の自由化、規制の緩和、それから資産運用についてももっと本格的にやろうというような方向は、ますます保険会社の経営をリスクの多いものにしていく、それから破綻の危険を強めるという心配も一方ではあるのではないか。
 もう時間がありませんから、今回設けられる基金について、預金保険機構と同じように、例えば預金保険機構の場合でしたら、問題になっておりますように一人当たり一千万円未満のいわゆる小口預金者を保護されることになっておるわけですが、この基金の場合には、大口の保険契約者を含めてすべて救済するということになるのか、また資金の規模はどの程度を考えているのかという点について。
#83
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 基金による救済の大口、小口の問題でございますが、生保の場合はほとんどすべて、また損保におきましてもほとんどの部分が契約の利益が最終的には個人に帰属するものであるということが一つございますし、それから預金と異なりまして、法人、個人や大口、小口のいかんにかかわらず同じ母集団を形成しているという相互扶助の仕組みでございます。それぞれに相応の負担を行っているということ。
 それから、大口といいましても、例えば、借金がありまして、その関係で大口に入らざるを得ないという保険もあるわけでございます。例えば、中小企業を営んでいる方が万が一に備えて、その事業を継続するために自分が万一のための保険を掛けられるということはしばしばあるわけでございます。それを大口だから云々ということになりますと、何が大口なのか、何が小口なのかというのは、そう一概には決めつけられないという問題があります。
 したがいまして、今回もいろいろこの点についても御議論され、また我々もしたわけでございますが、今回はそういった区別をせずに基金が対象にしようという考え方でお願いしているわけでございます。
#84
○佐々木(陸)委員 最後に一問。一社専属制を緩和するという措置がとられているのですが、一般的に考えると一社専属制というのは私は合理性があると思うのですけれども、これはなぜ緩和するのか、その理由を最後にお聞きして質問を終わりたいと思います。
#85
○山口(公)政府委員 一社専属制の緩和を今回お願いしておりますけれども、これは利用者の立場から、その募集人が複数の会社の商品を取り扱えないことから利用者の商品選択の幅が制限される面がないかどうかという問題、それから既存の販売チャネルの多様化、効率化が図られにくいのではないかという問題、生損保兼営におけるクロスマーケティングを進めるに当たっての障害となるのではないか等の問題がありまして、商品特性に応じた販売チャネルの多様化、効率化は利用者の立場、国民経済的見地から必要なものとなっているということで、一社専属制の緩和をお願い申し上げておるという次第でございます。
#86
○佐々木(陸)委員 終わります。
    ―――――――――――――
#87
○尾身委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 両案審査のため、来る二十五日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#88
○尾身委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
 次回は、来る二十五日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十四分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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