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1995/05/09 第132回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第132回国会 大蔵委員会 第13号
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1995/05/09 第132回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第132回国会 大蔵委員会 第13号

#1
第132回国会 大蔵委員会 第13号
平成七年五月九日(火曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 尾身 幸次君
   理事 石原 伸晃君 理事 金子 一義君
   理事 村上誠一郎君 理事 新井 将敬君
   理事 北側 一雄君 理事 村井  仁君
 理事 早川  勝君 理事 五十嵐ふみひこ君
      大島 理森君    大原 一三君
      岸田 文雄君    熊代 昭彦君
      小泉純一郎君    中谷  元君
      中山 利生君    林  幹雄君
      福田 康夫君    堀之内久男君
      宮里 松正君    茂木 敏充君
      山中 貞則君    青木 宏之君
      井奥 貞雄君    上田 清司君
      太田 誠一君    竹内  譲君
      谷口 隆義君    中田  宏君
      中村 時広君    平田 米男君
      藤井 裕久君    宮地 正介君
      山本 幸三君    若松 謙維君
      中村 正男君    永井 哲男君
      濱田 健一君    日野 市朗君
      渡辺 嘉藏君    田中 秀征君
      佐々木陸海君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 武村 正義君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  萩山 教嚴君
        大蔵大臣官房総
        務審議官    竹島 一彦君
        大蔵大臣官房参
        事官      福田  誠君
        大蔵省主計局次
        長       武藤 敏郎君
        大蔵省主税局長 小川  是君
        大蔵省証券局長 日高 壮平君
        大蔵省銀行局長 西村 吉正君
        大蔵省銀行局保
        険部長     山口 公生君
        大蔵省国際金融
        局長      加藤 隆俊君
        国税庁課税部長 堀田 隆夫君
 委員外の出席者
        厚生省社会・援
        護局地域福祉課
        長       高山 康信君
        農林水産省経済
        局農業協同組合
        課長      米田  実君
        中小企業庁指導
        部組織課長   萩平 博文君
        参  考  人
        (日本銀行企画
        局長)     山口  泰君
        大蔵委員会調査
        室長      中川 浩扶君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十六日
 辞任         補欠選任
  岸田 文雄君     坂本三十次君
  熊代 昭彦君     稲葉 大和君
  中谷  元君     高橋 辰夫君
  青木 宏之君     熊谷  弘君
同日
 辞任         補欠選任
  稲葉 大和君     熊代 昭彦君
  坂本三十次君     岸田 文雄君
  高橋 辰夫君     中谷  元君
  熊谷  弘君     青木 宏之君
五月九日
 辞任         補欠選任
  塩崎 恭久君     林  幹雄君
  竹内  譲君     山本 幸三君
  谷口 隆義君     若松 謙維君
同日
 辞任         補欠選任
  林  幹雄君     塩崎 恭久君
  山本 幸三君     竹内  譲君
  若松 謙維君     谷口 隆義君
    ―――――――――――――
五月九日
 消費税率引き上げ反対に関する陳情書(那覇市
 大道一七二赤嶺千壽)(第一八〇号)
 東京協和・安全信用組合への三百億円支援反対
 に関する陳情書(東京都昭島市昭和町四のその
 二一昭島市議会内桜岡蔵之輔)(第一八一号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 保険業法案(内閣提出第九三号)
 保険業法の施行に伴う関係法律の整備等に関す
 る法律案(内閣提出第九四号)
 金融、証券取引及び外国為替に関する件
     ――――◇―――――
#2
○尾身委員長 これより会議を開きます。
 金融、証券取引及び外国為替に関する件について調査を進めます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 各件調査のため、本日、参考人として日本銀行企画局長山口泰君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○尾身委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#4
○尾身委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本幸三君。
#5
○山本(幸)委員 新進党の山本幸三であります。
 きょうは、特に円高問題について質問させていただきたいと思います。
 実は、この問題については先般の予算委員会でもお聞きしたのですが、時間が余りなかったこともありまして十分な質疑応答ができませんでしたので、きょうは少し時間をいただきましたので、じっくりこの点について政府の見解をただしたいと思います。
 それから、質問するに当たりましてお願いしておきたいと思いますけれども、ぜひ大蔵大臣に答えていただきたい。私は今回の円高問題をずっと見ておりまして、この連休中も与党の代表団がアメリカにも行って日本の立場を説明したけれども、アメリカからかなり厳しいことを言われている。G7等でも大臣がアメリカの財務長官あるいは財務次官と議論をして、細かい議論の経緯は私どもにはわかりませんが、新聞報道によれば、かなり厳しいことを逆に言われている。
 私は、そのときにアメリカのルービン財務長官やあるいはサマーズ財務次官と大臣がどういうやりとりをしているのかということをぜひ知りたい。そして、そういう日本の立場をはっきりと言えるのは政治家である大臣あるいは政務次官しかない。その意味では、私は今回の質問については官僚の答弁を求めない。政治家がアメリカの財務長官、財務次官とやりとりするときに、どういうやりとりができているのかということをぜひ知りたい、そういう気持ちでおりますので、この点はぜひよろしくお願いしたいと思います。
 そこで、最初に伺いますが、こういう経済問題については、第一に、原因の解明が必要である。第二に、それを受けて現状の診断をどういうふうに、あるいは現状の評価をどうするかということが大事である。そして、第三番目に対策の処方せんというものが出てくるということでありまして、対策ができるということは、原因がはっきりわかっていなければ有効な対策というのはあり得ないと私は思います。
 そこで、お伺いしたいと思いますが、大蔵大臣、今回の急速な円高の原因は一体どういうものであるというふうに理解しておられるのか、お伺いしたいと思います。
#6
○武村国務大臣 おはようございます。
 今の円高の原因は一体何なのかという御質問でございます。率直に言って、為替の相場は市場における需給関係によって決まるということであります。まさに円高もそういう意味では、円に対する需要が大きく、ドルに対する需要が少ないということの結果であるとも言えるわけでありますが、具体的には、一つ、二つ明快な根拠、理由があってこの為替相場が動いているとはなかなか断定しにくい、さまざまな要素が絡み合った状況の中で今回の変動も起こっているというふうに言わざるを得ません。それでも、多くの認識としましては、今回の円高・ドル安の急激な動きの背景としては、アメリカの金利の動向やメキシコ情勢あるいは欧州の政治情勢あるいは日本とアメリカの貿易関係、こんなことがたびたび挙げられているところであります。
 いずれにしましても、さまざまな要因が絡まり合いながら、これも実需と思惑という分け方もございますが、特に思惑という要素になってきますと、これはディーラー一人一人の判断もあるわけでございますから、すべてを解明することは難しいわけでございますが、そういう状況の中で、結果として円高・ドル安が進行したというふうに認識をいたしているところでございます。
#7
○山本(幸)委員 もちろんさまざまな要素があると思いますが、私はそのさまざまな要素を一つ一つ聞いていきたいということなんです。今、アメリカの金利状況、メキシコの政治状況、欧州の政治状況、あるいは日米の貿易関係というのを挙げられました。
 では、アメリカの金利状況、これについては、どうして円高になるのです。
#8
○武村国務大臣 アメリカの金利ももう過去数回引き上げをしてきているところでございます。日本は八回にわたって引き下げをしてきたわけであります。日米の金利差が日米円ドル関係に影響を与えると言われているわけでございますが、アメリカは、アメリカ連銀がアメリカ経済を基本にしながら金利の操作をされているということであります。ルービン長官とたびたび会話をしましても、我々が絶えず公定歩合は日銀の専管でありますと議会でもお答えをいたしておりますように、ルービン長官も金利の問題は連銀が独立して支配をしているということをいつもおっしゃっているという状況であります。やはり、アメリカの経済動向、成長率等を中心にしたインフレ、雇用、その他総合的な経済動向に対する判断と金利政策は、当然大きくかかわっているわけでありましょう。
 そういう中で、過去数回引き上げてまいりましたが、今回日本、ドイツが下げたことに対応しながら、アメリカも金利を上げてくれるといいという主張はたくさんあるわけでありますが、アメリカ景気がスローダウンしている中で、今連銀総裁もアメリカの金利を上げる考えはないという考えであります。
#9
○山本(幸)委員 そんなことを聞いているのじゃない。その前の状況を聞いているのですよね。円高の原因は何なんだと。すると、アメリカの金利が関係すると言われたのですよ、円高の原因としてアメリカの金利だと。その円高が起こった後に我々がとった政策と、その後にアメリカに要求している政策のことを聞いているのじゃありません。そうじゃなくて、その前の、円高が起こった。そのときに、今大臣はアメリカの金利と関係あると言われたのですから、どういうふうに関係あるのです。
#10
○武村国務大臣 グリーンスパン議長の判断では、アメリカ経済の動向の中で今金利を上げる考えはないという主張をいたしておりまして、日米あるいは日米独の金利差の論理からいたしますと、アメリカが金利を上げてくれることが為替の安定にはプラスの要因だというのが世界の共通した。常識的な見方でありますが、そういう見方にもかかわらず、アメリカは、アメリカ経済の今の状況の中で難しいという判断をいたしているということを申し上げておきたいと思います。
#11
○山本(幸)委員 答えになってない。それは、こういう円高が起こった後に日本の公定歩合を下げた。そのときに、アメリカに上げてくれということを言ったけれども受け入れてくれないという、事後の、後始末の、以降のことなんです。その前に何が起こったのだと。
 つまり、アメリカの金利が下がって日本の金利が上がったから円高になった。そういうふうに言っているのです。
#12
○武村国務大臣 今ちょっと後ろを向いていましたので質問の趣旨を聞き漏らしたわけでありますが、二月の二十二日でございますか、グリーンスパン議長の発言がございまして、インフレが低下する兆候が見られたならば、政策を維持するか緩和するかの時期が来るだろうということを申しております。これは、メキシコ支援のために為替安定基金から資金を拠出することにより介入の能力が損なわれるのではないかというふうな質問に対する答えでありました。
 金利と為替の関係は、その国の金利とその国の為替の動向というよりは、他の国との相関関係によって影響を受けるということは御承知のとおりでございます。先ほどから申し上げておりますように、今の局面で一つの例として申し上げたわけで、今の局面、三月から四月におけるこの急激な変動の中で、ドイツ、日本が公定歩合を下げる決断をした中で、アメリカが逆に上げてくれると円ドル関係あるいはマルク・ドル関係は安定の方向に向かうというふうに見るわけでありますが、アメリカの国内情勢から、上げる決断がグリーンスパンの発言にありますように今できない、そういう状況だということを申し上げているわけであります。
#13
○山本(幸)委員 ドイツが公定歩合を下げたのは三月三十一日なんです。円高、マルク高というのはずっと、九三年一月から実際始まっているのだけれども、急速に始まったのはことしの三月からです。それは一カ月間の円高の説明にはならないじゃないです。そのときは金利水準はどうなっていたのです。
#14
○加藤(隆)政府委員 大臣の答弁を若干補足させていただきますと、為替という市場の期待という意味におきまして、これまでアメリカがインフレ対策ということで金利を累次引き上げてまいりました。それが、二月のグリーンスパン議長の議会証言以降、アメリカの金融政策の方向が、これまでの引き上げの方向からあるいは緩和ということの可能性もあり得る、そういうことが内外の金利差に影響を及ぼすのじゃないか、こういう市場の期待が三月来の、三月、四月の為替の動きの一つの背景となったというふうに市場で言われているということでございます。
#15
○山本(幸)委員 そうすると、二月二十二日にグリーンスパンが、アメリカの金利は今後は上げることはない、維持するかあるいは緩和するかもしれない、そういう発言をしたということが円高の原因になった。そういうふうに考えているのですか、大蔵大臣。
#16
○加藤(隆)政府委員 市場の、アメリカのこれからの金利の先行きに関する期待に変化が生じたということでございます。
#17
○山本(幸)委員 もう一度言っておきますが、大蔵大臣に答えていただきたい。
 つまり、そういう議論をルービン財務長官とかサマーズ財務次官とやらなきゃいけない。そのときに大蔵大臣がちゃんとやっているのかどうかということを私は知りたい。いいですか。
 そうすると、大蔵大臣としては、グリーンスパンがそういう発言をした。そのことが、市場もそういう期待を持ったと判断して、そして円高になっているというふうに理解していると考えているのです。
#18
○武村国務大臣 先ほども申し上げたように、アメリカの金利政策の行方だけが今回の為替の変動を招いているわけではもちろんないわけであります。
 アメリカの金利政策一点に絞れば、今お答えをいたしておりますように、基本的には、金利をこういう状況の中ではアメリカが上げてくれると為替は安定の方向に向くだろうというのが常識的な期待であり、見方でありますが、残念ながら、グリーンスパンの発言にありますように、これはアメリカ一国の内向きな経済判断からの見方でありますけれども、むしろ維持するか緩和するかというふうな、こういう発言を議会で証言したということが、市場関係者は、そこは大変センチメントでございますから、少なくとも上げることはないだろうという判断をしたということではないかと私は想像をいたします。
#19
○山本(幸)委員 それでは、アメリカが金利を上げることはないと判断したと。そうすると、大蔵大臣は、円高というのは、金融政策の金利の面から考えれば、アメリカの金利と日本の金利の差によって決まる、しかもそれは名目金利だ、そういうふうに決まると考えているのです。
#20
○武村国務大臣 そんなことを申し上げているわけではありません。もちろん金利においても、たびたび国会でも議論がありますように実質金利論も、この問題もあります。
 そして、金利差だけが為替の動向を決定しているということではないのは、これは当然のことであります。冒頭申し上げたように、ヨーロッパなんかは政治情勢もかかわっておりますし、日本やアメリカも政治情勢が為替の動向にかかわることもあります。また、アメリカについて言えば、直接のきっかけはメキシコの通貨不安であったというふうにも見られているわけであります。さまざまな要素が絡まりながら、今回の為替の事態を招いていると。
 ただ、私は、大蔵大臣に就任させていただいてまだ一年弱でありますが、とにかく最近の為替の動向というのは教科書どおりにいってないというか、率直にそういう感想を持っております。皆さんがごらんいただいても、日米の今の経済の状況は、アメリカは大変好調であります。ある意味ではあらゆる経済指標が、今の瞬間、大変順調であります。日本は、総合的に判断しましても、成長は緩やかながら回復軌道に入っているといいながらも、地震やこの円高等もございまして極めて厳しい状況にあるわけであります。
 総合判断しても、日米の経済状況は違う。にもかかわらず、経済の強い方の通貨が安くなり、経済の弱い方の日本が高くなる。これは教科書どおりではありません。そういうことから、思惑あるいは投機というふうなことで一蹴するわけにはいきませんけれども、まさにさまざまな要素が絡まり合って今回の需給の結果を招いているということを申し上げているわけであります。
#21
○山本(幸)委員 そういういろいろな要素というのは、これからじっくり一つずつ聞いていきます。聞いていきますが、問題を一つずつ片づけないと進まない。
 まず、アメリカの金利。大蔵大臣としては、円高の原因、それはすべてでないかもしれない、しかし大きな原因の一つは、アメリカの金利が今後上がらない、グリーンスパンがそういうふうに発言したからだ、そういうふうに原因の大きな一つはそれにあると考えておられるのかどうか、そのことを確認してください。
#22
○武村国務大臣 これを一つ一つ聞いていただくのはいいわけでありますが、たびたび繰り返し申し上げておりますように、いろいろな要素、いろいろな要素には解明できないそういう思惑的な要素も含めて動いているわけですから、この理由については、私は通貨当局として断定的にこうですということはむしろ言えないし、また言うべきでないという点は御理解を賜りたいと存じます。
 それにしましても、短期的な通貨政策として為替にかかわる各国の手段としましては、介入と金利政策の操作、この二つの手段があることは御承知のとおりでございます。そういう意味で、金利の操作に対しては為替の動向の中でかなり直接的な関心を持たれるという問題、大事な問題だというふうに思うわけであります。
 その視点で見る限りは、アメリカの金利の今の操作の状況というのは、先ほど来申し上げているように、金利を日本が下げたことに並行してアメリカが逆に上げてくれるという世界の期待がありましたけれども、アメリカは国内情勢から上げられないという発言をしているということを申し上げているわけであります。
#23
○山本(幸)委員 いろいろなことがあってわからないとか言えないとかいうのはだめなんです。そういう原因がわからなくてちゃんとした対策ができるわけはないんだから。
 じゃ、今の対策は何なんです。そういうよくわからないものに対するいいかげんなものです。そんなことを言っているわけじゃないでしょう。経済問題というのは、物事が起これは、その原因の解明がしっかりできなければ対策なんかできませんよ。それを示さなくてどうするんです。
 そういうことを聞いているんだけれども、私は思惑とか投機とか、それから歴史上の問題とかはこれから言います。しかし、そういうことを言う前に、あなたはアメリカの金利動向が関係すると言われたんだから、原因の一つだと言われたんだから、はっきりそうですねと確認するんです。それとも、いや、そうじゃありませんと言うんです。どっちです。
#24
○武村国務大臣 ぜひ話を全体で受けとめていただきたいと思いますが、わからないと言ったのは、何もかもわからないと言っているわけじゃないのです。思惑的な要素も入っているから、その部分ではわからないこともありますと正直に申し上げているのですから、その言葉をとらえて、大蔵大臣が全体わからないで何しているんだと言われると、議論がかみ合いません。
 いずれにしましても、繰り返し申し上げておりますように、短期的な各国通貨当局の為替に対する関与の方法、手段の問題、それから各国の経済自身が抱えているさまざまな課題、このことも当然為替に影響を与えているわけでございますから、答えは、先般政府・与党で発表いたしました。今、日本のこの円高問題に対する姿勢としては、あの緊急円高・経済対策そのものだというふうに御理解をいただきたいと思います。
#25
○山本(幸)委員 今はそんな対策のことを聞いているんじゃない。対策は原因がはっきりわかってから出てくるんです。その原因がはっきり説明できないと対策もくそもない、効果の評価のしょうがない。私はそういう対策についてはこれから聞きます。しかしその前に、円高という問題が起こった。その原因は何かということがはっきりしなければ対策もくそもない。ところが、大蔵大臣はちっともはっきりと原因の解明をしようとしないじゃないです。
 それでは伺いますが、思惑とは何です。
#26
○武村国務大臣 思惑は、ディーラーがある通貨を売買するときに、先行きどうなるかということを判断をする根拠だろうと思います。
 そこには、あるいは各国の経済状況、客観的な経済指標も入ってくるかもしれません。あるいは自分の知り得たさまざまな情報、特に経済政策も含めた情報も入ってくるかもしれません。しかし、中には勘と言われるような分野、長年の経験から出てくるような、そういう理論的には説明不可能な勘のようなものも入っているのかもしれません。
 私はディーラーではありませんから実感としてはよくわかりませんが、そういうさまざまな要因というものを総合しているんだろうと思いますが、その中でどちらかといえば、思惑という場合には、数字や論理で説明できない要素を言うのではないかというふうに思っております。
#27
○山本(幸)委員 その思惑というのは、そのディーラーの思惑ということですが、特定のディーラーがある特定の思惑を持ってそれで相場を動かした。そして円高になった。そういう説明をされるんです。私は世の中で思惑を持たない人なんかいないと思います。
 輸出業者だって、輸出してドルの売り持ちポジションを持ったらそれをどうヘッジするかということをいつも考えている。一番市場で大きな動きをしているのは、この輸出業者、輸入業者のリーズ・アンド・ラグズじゃないです。あるいは、証券投資をしようとする人だって、当然いつ為替がどうなるかという思惑、予想を立てて行動す。市場の中でそういう予想を立てないで行動する人なんかいない。
 じゃ、思惑は全員がやっているんだ、そうじゃない、特定の人がやっているというふうに大臣は言われるんです。
#28
○加藤(隆)政府委員 それぞれのディーラーは、自己の計算で為替市場で取引をしておるわけでございます。そのときのディーラーのそれぞれの取引を行うに当たっての背景となる要素として、経済ファンダメンタルズに基づいた場合と、あるいは全くこの市場の期待そのものに基づいて行動する場合、そのディーラーそれぞれの判断についてはいろいろな計算があるということでございます。
 ただ、G7の大蔵大臣・中央銀行総裁会議におきまして、最近の変動というのは、主要国における経済的な状況によって正当化される水準を超えているということで合意しております。したがいまして、こういった基礎的な経済状況によって正当とされる部分を超えた変動が最近見られる、そういうことを非常に懸念している、こういう点がG7の通貨当局の共通の認識でございます。
#29
○山本(幸)委員 経済状況から説明できないようなものになっていると。じゃ、そこを説明するのが思惑だ、そういうことです。そんな思惑だったら、特定の人が持っているというように説明するなら、それも一つの説明ですが、本当にそうなのかどうかわかりません。
 そういうふうに経済の状況では説明できないようなものを市場に参加している者が持っちゃった。これが思惑でしょう。それは特定の人がやっているんじゃないんです。すべての人がやっているんです。したがって問題は、なぜそういう思惑ができたのか、それがわからなきゃ原因にならない。それはどうしてです。
#30
○武村国務大臣 今のお話で、一人の人でないことはもう当然のことでありますし、百人が百人皆思惑でやっているという言い方も実態に合うかどうか、やや疑問に感じます。
 思惑的な要素がかなり濃い、なぜなのかということの前に、このG7のステートメントが表現をいたしておりますように、本来為替は、ファンダメンタルズという英語を使われておりますが、各国の経済の諸条件を投影したものであるべきであるという見方がございます。それが経済諸条件と乖離して動いているというこの三月、四月、過去もそうでございますが、特に三月、四月のこの急激な変動というのは、そういうふうな認識を七カ国蔵相、中央銀行総裁十四名全員がきちっと合意ができたということでありますから、我々はそういう見方で一致したということであります。学者、ディーラーの中にはそうじゃないという意見もあるかもしれませんが、おおむねそういう見方が常識的ではないかと我々は思っております。
 さて今の御質問は、なぜこうなったのかというところに議論が入るのです。これはまた大変広範な話になっていきます。先ほどお答えしました総括的なお話を繰り返すことにもなりますが、まさにさまざまなファクターが絡まり合っているわけでありますし、我々もその日そのときのディーラー、関係者全部の、なぜ買ったのか、なぜ売ったのか、全部集約しないと客観的には説明できないわけでありますが、総合してはいろんな要素が絡まっていると言わざるを得ません。
 そういう中で、円とドルの関係を一つ基本としてとらえますと、やはり日米の経済関係が基本になっているのではないか。それをさらに詰めていきますと、我々が発見し得る大変鮮明な根拠としては、唯一日本の経常収支の黒字という実態が存在することを見詰めないわけにはまいりません。もう十数年になりますか、大変長い間日本側が一方的に大幅黒字であり、アメリカ側が一方的に大幅赤字であるという現実が存在をいたします。その他の経済全般になりますと、先ほどから申し上げておりますように、むしろ日米間はアメリカの方が強で日本の方が弱というか、経済全体の成長率とかなんかはそういう実態でありますけれども、唯一の貿易を中心にした日米間の経済関係があるということを申し上げたいと思います。
#31
○山本(幸)委員 私は、まず原因の解明をしたい。そこで先ほどからいろいろ聞いているわけですが、いろんな要素が絡まっている、だからいろんな要素とは何かということを一つ一つ詰めていこうじゃないかということでやっているわけです。
 今、最初アメリカの金利が出てきた。それから今度日本の経常収支の黒字ということを改めて言われた。つまり、それは先ほど言われた貿易関係に関係するのでしょうね。とりあえず最初に述べられた金利の話は、どうもグリーンスパンがアメリカの金利を上げないと言ったことが円高をもたらした原因になっているというように考えているように思える、その点はどうも確認されないけれども。そうすると、そのほかにメキシコとか欧州の政治情勢を言った。このメキシコ、欧州の政治情勢がどう関係するのです。
#32
○尾身委員長 加藤国金局長。
#33
○山本(幸)委員 それをどうして大蔵大臣が説明できないのです。
#34
○武村国務大臣 メキシコ経済は、御承知のようにもう昨年の秋ぐらいからかなり経済政策がうまくいってないというふうな情報が世界に流れ始めておりまして、中間選挙が終わってからそういう状況がだんだん明らかになってきたわけであります。そして、例のいわばメキシコの通貨不安といいますか通貨危機のような状況が出来をいたしました。そのことが年明けのG7では最大のテーマになったわけであります。これだけグローバルな世界経済の中で、中進国であれ途上国であれ、どこかの国で通貨不安が起こると、これはまさに運命共同体だな、世界全体が真剣に心配をしなきゃならないということを改めて私も深く認識をいたしたところであります。
 G7の会合では、アメリカ独自の支援策それからIMFによる支援策あるいはBISによる、決済銀行による支援策等々幾つかの支援策を重ねて、緊急にメキシコに対して対応をすることになりました。そのこともあってだろうと思いますが、やや小康状態が続いているとも言えるわけでありますが、今回の為替についてもこのメキシコ市場とアメリカの関係がアメリカの株価に対しても一定の影響を与えているというふうにも言われているわけでございまして、アメリカの経済をめぐる一番地が厚いテーマの一つとしてこのメキシコの問題が挙げられているところであります。
 片方、ヨーロッパにつきましては、三月初旬の状況としてはさまざまなことがあったと思いますが、私の印象では、スペインのペセタの不安というのがメキシコ通貨不安と連動して言われたこともありますが、直接にやはりペセタが下がっていくという状況が起こりました。これはEUの中に包含されている国でございますだけに、スペインの問題というよりはEU全体が心配をするという状況になりました。そんな中でスペイン・ペセタと、ドイツ・マルクを初めとした他のヨーロッパ通貨との関係が大変不安定になってくるという状況が、ちょうど大西洋を挟んで両方で起こったということが私の認識であります。
 これも一番大きな理由を挙げているだけで、これだけで三月からのこの為替変動が起こったのですとこれだけに限定して申し上げるつもりはありません。
#35
○山本(幸)委員 メキシコとそれをもとにした欧州の政情不安あるいは経済不安、私はこれはドル安、円高、マルク高の原因の説明にはならないと思うのです。なぜならば、メキシコでそういう不安が起こったら、今大臣も言われましたけれども、アメリカの金は戻っちゃった。したがってアメリカの株価が上がったのです。つまり、ドル高要因である。欧州も、混乱が起これは欧州から金を引き揚げてアメリカに資金が戻るわけですから、ドル高要因である。私から見ればメキシコとか欧州の理由というのは説明にならない。そうすると、残るのはアメリカの金利かあるいは先ほど言われた日米の貿易関係ということになる。
 そこでもう一度確認しておきますが、金利水準か貿易関係等、この二つが円高の原因になるというふうに確認されるのですか、どうです。
#36
○武村国務大臣 目下の三月、四月の日米間の通貨の動向の中では大変わかりやすい大事な要素の一つ、二つであるというふうに思っておりますが、問題は市場がどう評価するか、市場に結集したディーラーがどう判断するかが基本でありますから、我々政策当局が政治的に通貨を操っているわけじゃありません。市場の見方はこの二つだけに限定されるものではもちろんないわけであります。何回も申し上げておりますように、そのほかのさまざまな要素も当然含んでいるだろうと思われます。
#37
○山本(幸)委員 私が聞きたいのは、市場がどう判断しているかということを大蔵大臣はどう理解しているか、それが聞きたいんです。大蔵大臣は、市場はアメリカの金利動向とそして日米の経常収支の動向、この二つについて、円は上がるべきだというふうに判断したというふうに理解しているんです。
#38
○武村国務大臣 先ほど来私が申し上げていることは、市場がどう判断しているかということを前提にしながら申し上げてもいるわけであります。当然、今も申し上げたように、さまざまと言いましたわけですから、日米間で鮮明な経済の数字の状況を比較したときには、貿易のギャップというのは一番理解しやすい問題だというふうに申し上げているわけであります。
 しかし、なぜかというときには、議員当然御承知のように、アメリカ側にはアメリカのさまざまな要因があり、日本には日本のさまざまな要因があります。そういった要因をめぐっても、円高になったり円安になったり、ドル高になったりドル安になったりしているわけです。それは、アメリカでいえば例の二つの赤字の問題があります。貯蓄の問題もあります。あるいは日々動いていきますアメリカのインフレの動向とか雇用率とか、そういったものも当然影響を与えます。
 我が日本におきましては、日本の経済の回復がどういうテンポで進んでいくのかということも市場は注視をいたしておるわけでありますし、経済成長にかかわっていくような政府の政策についても、これはもう補正予算の対応がどうなっていくのか、規模がどうなのか、中身がどうなのか、時期がどうなのかということも関心を持たれるだろうと思いますし、規制緩和一つ取り上げましても、規制緩和の中身がどうなのか、その効果がどうなのかということも注目をされているところであります。あるいは、広く言えば金融界の不良債権の動向なども関係がないとは言えませんし、そういういろいろな要素が日々の為替市場に影響を与えているというふうに言わざるを得ません。
#39
○山本(幸)委員 補正予算がどうのこうのとか規制緩和がどうのこうのというのは後の話。その前の、円高が急速に進んだその原因について何なのか、それがわかった後にやったことでしょう。とすると、対策としてそんなことをやるということは、何らかの原因と関係がある、だからやるんでしょうね。ところが、その説明をきちっとされない。一体原因は何なのか。
 それじゃ伺いますが、日本の経常収支の黒字、アメリカの経常収支の赤字が関係すると言われた。大蔵大臣は、経常収支の黒字と円高とは関係がある、為替レートは経常収支によって決まるというふうに理解しています。
#40
○加藤(隆)政府委員 為替レートは市場の為替の需給によって決まってくるものでございます。その需給に影響を与える一つの要素として、経常収支の状況はもちろんあります。しかし、他方において資本収支、資本取引の影響もございます。したがいまして、経常収支は為替の需給に影響を及ぼす一つの要素であるというふうに考えております。
#41
○山本(幸)委員 資本収支の取引がこれだけ大きくなってくると、私は経常収支と為替レートは関係ないと思っている。そうすると、経常収支黒字というのは円高の原因の説明にはならない。しかも、一カ月、二カ月の短期の為替レートの変動を説明するときに、経常収支がどうのこうのと余り関係ない、ほとんど変わらない。短期的な現象というのは、そういう経常収支とかインフレ率とかあるいは貯蓄とか投資とか、そういうマクロ的な変数が変わらないうちの為替レートの変動なんですよね。その説明にならない。
 そうすると、今の説明からいうと、貿易環境と言っていたけれども、経常収支黒字云々の話は資本取引がこれだけ大きくなってくると説明にならないということになった。メキシコも欧州も、私からいえばドル高要因であってドル安要因ではない。
 そうすると残るのは、少なくとも理論的にそうかなという説明の一つになり得るのは、日米の金利動向だということになる。その日米の金利動向を反映して市場参加者は円高になるというように判断した。そういう説明にならざるを得ないように思いますが、どうです。
#42
○加藤(隆)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、日々の為替の動きは市場の為替の先行きに対する期待によって影響を受ける。それで、その市場の期待に影響を及ぼす要素として、金利差がこれからどういうふうに動いていくのか。例えば、日米の貿易収支なり日米の貿易問題がどういうふうに展開を遂げていくのであろうか、あるいは政治的な要因、社会的な要因がそれぞれの通貨の先行きにどういうふうに影響を及ぼしていくか、これからのドルの相場あるいは円の相場にそういった市場のいろいろな要素がその局面、局面で与えてきているということでございます。
 市場のそういった先行きの相場というものに対して、通貨当局としてどういうふうに考えているかということにつきまして、先般のG7の大臣会合においては、そういった先行きの相場観というものが、基礎的な経済条件によって正当化されている部分を超えている部分がある、こういうふうに理解しているということでございます。
#43
○山本(幸)委員 そうすると、結論としては、円高の原因はよくわからない、よくわからないけれども、どうも経済的ないわゆるファンダメンタルズと言われる条件からは外れているようだということだけは大臣の間では認識は一致した。しかし、なぜそうなったかということについてはわからない。それは市場が勝手に決めちゃった。市場にいろいろな要素が影響しちゃった。しかし、それは何が原因で何がそうじゃないかということはどうもよくわからぬ、市場が勝手に決めたことですよと。大蔵大臣としては、円高のここまで基礎的な条件から外れたというようになったということについての理由はわからない、そういうふうに言われるのです。
#44
○武村国務大臣 これは、先ほど来申し上げておりますように、市場が決めていることなんです。市場の動向をどう見るかという議論ですから、委員は一体どうごらんになっているかお教えいただきたいと思いますが、これはさまざまな見方があると思うのです。これは、内外いろいろなマスコミ報道もそうですが、経済評論家、学者の見方も必ずしも一致はいたしておりません。
 先ほど申し上げたように、日々かかわっている市場の関係者全部になぜこうしたのかという動機を全部書いてもらうと、それは客観的には説明できるのかもしれません。しかし、少なくとも市場は、思惑的な要素があるとはいえ、やはりその国の通貨を見ながら将来どうなるのかということをあらゆるデータ、あらゆる情報から総合判断して売った買ったということで取引をされていることは間違いないわけだし、その売った買ったという取引は、遊びの取引じゃなしに真剣勝負だというふうに言わざるを得ません。たくさんの人がかかわっていますから、しかも巨大な金額が動いている市場でございますから、全体をきちっと分析して客観的に説明することはできない。これは、私がわからないというよりも、そういう意味ではだれ一人わかる人はいないというふうに言わざるを得ないわけであります。
 しかし、これは短期的に、その日の動向をきちっと説明することができるできないの問題もありますが、やはりロングレンジで見れば、それなりの経済との関係でさまざまな説明がなされていることも事実であります。先ほどの経常収支の議論も、資本収支もありますが、やはりこの二十年来、変動相場制になって二十年余りの経過を見ても、もちろん揺り戻しもありましたけれども、見方を単純にすれば、一貫して円高であるというふうにも言えるわけです。三百六十円が八十三円まで上がったというふうに説明をすることができるわけで、じゃその背景は何だ、その根拠は何だ、こういう議論の集約の仕方もあろうかと思います。
 そういう中で、唯一日米間に関してはこの経常収支のギャップという問題があるなということがかなり幅広く認識をされている、これだけというふうに申し上げないですよ、そういう認識を持つということであります。
#45
○山本(幸)委員 経常収支の黒字と為替レートは関係ないというのは先ほど申し上げましたけれども、それについては後でゆっくり議論してもいいのです。理論的にも関係ないということは証明できる。
 しかし、それよりも何よりも私が聞きたいのは、円高の原因についてははっきり答えられないということは、わからないということなんです。どうしてはっきり答えないのですか、あるいは答えられないのならわかりませんと、そのどっちかにしてください。
#46
○加藤(隆)政府委員 委員の御質問は、最近の三月、四月来の為替市場の急速な動き、そのきっかけを説明する要因は何かということ、それに対しましては、市場関係者がいろいろな要素を挙げて、それが市場の期待に影響を及ぼしておるということでございますしかるがゆえに、G7の声明におきまして、最近の動きはこの基礎的な状況によって正当化されている水準を超えているという表現になっているわけであります。
 したがいまして、基礎的な経済状況を構成する要因としては、もちろん金利差、あるいはそれぞれの国の経常収支の状況、あるいは資本取引の状況、あるいはインフレ格差、こういったいろいろな要素があるわけでございます。
#47
○山本(幸)委員 どうもはっきり答えられないのです。それは、基礎的な条件より外れているとG7の大臣は一致したかもしれない。だけれども、それは現状の評価なんです。原因の解明じゃない。円高が起こった。その結果、現状の評価として基礎的な条件より外れているというふうに判断するというのは次の段階です。そういうふうになった原因は何なのかということがはっきりわからなければ対策なんて出てこない。
 ところが、それは市場が決めているからと。その市場が決めていることについては、あれもある、これもある、なにもあるでしょうと、そんなことを言ったらみんな説明にならないじゃないか。大蔵大臣としては、対策というものを打ち出すのなら、原因は何なのかということをはっきり答えられなければ議論にならないじゃないです。どうするのです。
#48
○武村国務大臣 質問されているあなたが何をおっしゃっているのか、私にもよくわからないのです。そこにかみ合わない理由があるんだろうと思うのですが、まずあなたの方から、どういう原因をあなたは頭に置いて質問されているのか先におっしゃっていただけるともう少し議論がかみ合うかもしれません。そうお願いできればありがたいと私は思います。
 先ほど来申し上げておりますが、思惑的なファクターと実需と言われるような要因とございます。経常収支は関係ないというお話ですが、経常収支だけが要因であるとは申し上げませんけれども、例えばこの三月、これは期末であったということもありますし、四月に入りましても、結局これは日本の貿易関係者の経常収支、貿易収支の黒字に関係しますけれども、ドルを得た業者が一定の期間持ちこたえることもありますが、ある時期にはどうしてもドルを円にかえなければならない、これが日本の国内で見るいわゆる実需の一つの例ですけれども、そういう要因が市場にもかなり影響を与えていることも事実であります。
 ですから、円高がどんどん進んでいる中で、しかし、こんな高い円で売りたくないという思いはあっても、やはり月給を払わなければならない、円が要るという場合には目をつむって円を売る輸出業関係者も出てくるわけであります。それがまた一層円高を促進させる要素が一面あったことも事実であります。
 また、こういうふうにどんどん円が上がってドルが安くなってきますと、世界各国の中においても、一部言われておりますように、アジアの通貨当局、中央銀行においても、将来の通貨の保有の安全性を考えると、ドルを売って円にかえよう、マルクにかえようという動きが一部あったというふうに報道されておりますが、そういう動きも出てまいります。その動きが一層円高・ドル安を進めるというふうな原因になっていることもあるわけであります。これなんかは思惑というよりも、ある種実需と言ってもいいのかもしれません。
 いずれにしましても、先ほどちょっと申し上げたように、我々は円高対策で総合的な柱を立てましたように、こういう柱を立てて日本の政府が積極的に対応していくことがこの通貨の安定に資するという判断を政府としてはしているわけでありまして、それは、裏返しになりますけれども、やはり経済を本格的な回復の軌道に乗せていく、そのためには内需をより積極的に起こしていく、そのためには補正という手段も、こういう赤字財政の中でありますが、あえて決断をしようという判断であります。あるいは、当初予算の積極的な執行という姿勢もそうであります。
 同時にまた、この貿易のギャップというものに目を向けますと、やはり日本の市場が閉鎖的である、開放されていないという見方がまだ強い中で、より積極的に市場開放につながるような規制緩和を進めていこうということであります。それだけではなしに、主な品目については、例えば自動車、自動車部品であるとか、輸入住宅であるとか、原油とかいうものについては、商品名を挙げながら個々に輸入拡大の方針を明らかにさせていただいたわけであります。
 こういう方針は、裏を返せば、なぜ円高なのか、円高を阻止するためには何が必要なのかということに対する政府の回答でもあるというふうに御理解をいただきたいと思うのであります。
#49
○山本(幸)委員 円高の原因は何かと質問して、その意味がわからないと言う大蔵大臣は私初めて聞きましたよ。そんなことがわからないような、これは幼稚園の生徒でもわかるじゃないです。原因は何だと聞いているのですから、この質問の意味がどうしてわからないのか。
 それをはっきり説明できないで対策云々もくそもない。あるいはアメリカのルービンというゴールドマン・サックスの会長をやっていた人間とか、ハーバードで経済学の教授をやっていたローレンス・サマーズというような連中とどういうやりとりができるのです。私はまことに情けなくてしょうがない。原因がわからなくて、アメリカに何て言うのです。
 じゃ、一つだけ言っておきましょう、もう時間がないですから。
 例えば、補正予算で公共投資を拡大した。だから金利は上がるのです。金利は上昇プレッシャーがかかる。そうするといよいよ円高になる。つまり、この円高の対策の中で一つだけとってみても、円高対策をやっているのだ、円高対策だと言いながら、円高を進めるような対策をしているのです。
 私が大蔵大臣だったらどうしたらいいか教えます。しかし、そうじゃないのだから。だから私は今の武村大蔵大臣に、その円高の原因と対策の効果というものをどういうふうに考えているのかをお聞きしたい。
 補正予算で一生懸命やれば円高をいよいよ進めることになるのだ、そういうことも含んでいるのです。それは為替レートがどういうふうに決まっているかということについてきちっと理解していないから。私は大変残念でしょうがない。要するに、大蔵大臣は今の円高の原因が一体何で、そして対策というものをつくる必要があるのかどうか、あるいはそれをするためには何が一番効果的かということについて的確な答えができない。
 まだまだ一つ一つ実は細かくやりたかったのだけれども、時間が来てしまいまして大変残念である。また改めて機会を見つけたいと思いますが、せっかく日本銀行の山口局長に来ていただいておりますので、一つだけ最後にお聞きしたいと思います。
 私は、日本銀行の金融政策運営というのはかなり問題があったと思っているのですが、それが基本的には円高の要因にも大いになった。金利を下げるのならもっと早く下げればよかった。できれば一年前、最低でも半年前。今回も非常にまずいことは、三月三十一日にドイツが公定歩合を引き下げたときに一緒に下げておけばまだしも、市場の低目誘導というのをやって、市場に、低目誘導をやったからには必ず下がるという確信を与えてしまった。将来金利が下がると思えば必ず円を買うのです。これは円高要因をまたつくったというように思っている。
 そういう市場の期待なり思惑なりを変えるためには、市場を驚かすぐらいにあっという間に、もうこれ以上は下がらない、後は上がるしかないというようにしなければ変わらないのです。逆に三月三十一日から約一カ月間、正確に言えば半月ですか、円高になるようなことを日本銀行としてもやったように私には思える。
 問題は、これから市場がまだ下がる余地があるというように思っていれば円高はまだ進む可能性がある、もうこれ以上下がらない、後は上がるしかないというように思うようにならなければ市場の期待感は変わらない。それについて、日本銀行としての、三月三十一日からの二週間の評価とやり方についてのお考えと今後の見通しについてお伺いしたいと思います。
#50
○山口参考人 お答えいたします。
 三月三十一日に私どもは短期の市場金利の大幅な引き下げを促すという措置をとり、これを直ちに発表いたしました。その前から長期金利あるいは短期の市場金利、いずれもかなり大幅に下がっておりましたけれども、この低目誘導措置の発表によりましてそのことが担保されるという結果になったわけでございます。金利の変動だけが短期的に為替相場に強い影響を与えるというわけでは必ずしもございませんけれども、日本の市場金利が長短ともに大幅に下がったということは、それなりに為替を安定させる効果を持つはずでございます。これは理論的にもそういうことを申し上げてよろしいのではないかと思っております。
 ただ、私どもは、先ほど来るる短期の為替変動をもたらす原因は何かという御議論がありましたけれども、なかなか単一の要因にこれを帰すことが難しいという状況もこれあり、金融政策の運営といたしましては、ただ為替相場の安定化ということだけに向けてこれを運営するという考えは必ずしもとってまいりませんでした。むしろ私どもは、為替変動の結果によって引き起こされてまいります日本経済の状況の変化、それに焦点を当てて考えてまいったつもりでございます。
 三月三十一日から二週間後に公定歩合を引き下げたわけでございますけれども、この二週間の間には、為替相場が円ドルで換算いたしまして約五円がらみさらに上昇するという変化が起き、これに伴いまして、我が国の景気の展望についても先行き不安感が強くなってきた状況でございました。私どもの金利の引き下げは、その状況を念頭に置きまして、景気の回復に金融面から最大限のサポートをいたしたい、こういう趣旨に基づいて行ったものでございまして、当面の今後の政策運営につきましても、この趣旨を踏まえまして適切に運営してまいりたい、こういうふうに考えております。
#51
○山本(幸)委員 円高の原因についてとうとう明確な答えをいただけなかった。そういう意味では大変残念である。したがって、政策も対策というものも推して知るべしという気がいたします。
 いずれまた機会を改めてお伺いさしていただきたいと思いますが、大変残念な答弁だったということを強調して、質問を終わります。ありがとうございました。
#52
○尾身委員長 次に、谷口隆義君。
#53
○谷口委員 新進党の谷口でございます。
 本日は為替、また金利、景気等の問題についてお聞きいたしたいというように思います。
 先ほど同僚議員の方から、多々為替の問題を中心とした質問があったわけでございますが、言われるように、昨年末にメキシコの通貨危機があって以降、現在に至るまで、大変な勢いで円高が進行いたしておるわけでございまして、我が国も大変大きな打撃を受けておるわけでございます。為替相場の安定策というのはいろいろ考えられるわけでございますが、一般的には、一つは政策協調でありまたもう一つは協調介入である、このように言われておるわけでございます。この政策協調というのは、一番有効であると言われておるのは金利政策でありまして、その後協調介入をするというような形の方法がその為替相場の安定をもたらすのだ、このように言われておるわけでございます。
 現実を見てまいりますと、御存じのとおりアメリカは金利を引き上げようとしない。また三月に、先ほどのお話のようにドイツの公定歩合の引き下げがありました。そのときに、我が国の方は金利の低目誘導ということで、公定歩合の引き上げをやらなかったわけでございますが、二週間ほどして最終的にやらざるを得ないというような状況になって、公定歩合の引き下げを行われた。まさにこういう意味では政策協調が行われておらない、こういう姿が現状ではないか、このように思うわけでございまして、こういう現状の中で協調介入をしたところで大して効果がないわけでありまして、そういうことを十分考えながらやらなければいけないのではないか、このように思うわけでございます。
 大蔵大臣は、四月二十五日にG7に行ってこられて、為替相場の反転を目指すということで合意されたというように聞いておるわけでございますが、その折に至っても、米国の方は、金利の引き上げは全く言及されなかったというように聞いております。このような状況を踏まえて、大蔵大臣の御所見をお願いいたしたいと思います。
#54
○武村国務大臣 先般、G7の会合に出席をいたしまして、会合全体の感想としては、今回はアメリカのルービン長官が座長役でありました。約数時間、議論に終始したわけでありますし、その後久々に、普通は文書でステートメントは出さないのでありますが、今回は、こういう為替の異常な事態に対する共通の認識から、最終ステートメントを出すことにしたわけであります。ルービン座長自身が、最後、みずからの言葉で言っておりましたが、大変和やかで建設的な会合であったという締めくくりをしておりました。私も、そうであったと思っております。
 私の方からは、その前の日米蔵相会談もそうでありますが、現在のこの円高・ドル安という事態は、我が国経済の先行きに重大な悪影響を及ぼす可能性が強いということを強調をいたしました。そして同時に、各国を見ても経済諸条件を反映した相場じゃないという認識とあわせて、この反転ということを日本から強く主張したわけであります。反転の合意をすべきということでありました。
 いろいろな議論がありまして最終文書にまとめるわけでありますから、いろいろな議論がありましたが、最終的には私どもの主張が通った。経済の諸条件からいって正当化されるものではないという認識と、秩序のある反転が望ましいということで合意を見ることができたわけでありますから、私は当時は、これは画期的なステートメントでありますという記者会見をいたしました。
 過去何十回とG7の会合もございますし、こういう通貨の変動の局面局面におきましてもステートメントが出されたときもありますが、明確に反転という意思表示を、反転ということは、今のレベルは正しくない、反転ということは戻すということですから、だから日本でいえば円安・ドル高に戻すべしということを七カ国で合意を見たということですから、これは大変意義のある結論だと思っております。
 さらに、内外の不均衡を是正すべしということも合意をいたしました。この内外の不均衡という言葉の中に、各国間の経常収支、資本収支含めた不均衡もございますし、あるいは一国の財政における赤字問題、不均衡の問題も含まれております。こういう努力をしなければいけない。このことについても、アメリカ、日本、ドイツ、イギリス等々各国の経済状況を踏まえた。いわばマクロの課題についてもかなり激しい議論のやりとりがあったわけでございます。それが言葉としては内外の不均衡縮小という表現で、大変短うございますが、表現されているところであります。
 あわせて、引き続き今後も通貨問題に対しては協調してやっていこうということも確認をしているわけであります。
 今、金利の話が出ましたが、確かに直接的な為替に対する手段、政策手段としては、介入とそれから金利という二つの手段があるように言われております。しかし金利は、これは日本銀行からお答えいただいた方がいいのでありますが、何も為替のために金利があるわけではありません。それぞれの国の総合的な経済政策のど真ん中に金利政策というのが存在するわけでございますから、ドイツはドイツとして、ドイツのインフレとか経済成長とかさまざまな状況を総合判断されて金利を動かされる、アメリカはアメリカであるし、日本は日本であります。そういう絡みでありますから、それぞれの国内状況によっては、必ずしも、為替のためにはこうなったらいいと思っても、そろわないときもある、そろうときもある、こういう状況だと私は思っております。
 G7を開いたその時点では、アメリカはまだ金利を動かす考えはないということでありました。将来ともないのかということではないと私は思っておりますが、少なくともそういうグリーンスパンさんのお話でありましたし、そのことは私自身は残念だなという思いで聞いておりますけれども、現実は日々変わってまいりますから、これからの為替動向の中でさらに判断されることではないかというふうに思っております。
#55
○谷口委員 今、G7の御見解をいただいたわけでございますが、今、世界は大きく変わろうといたしておるわけでございまして、このあたりはもう十分大蔵大臣も御存じだと思いますが、アメリカは、カナダ、メキシコ、中南米含めてNAFTAの中で、いわゆるブロック経済圏の中で、どんどんその中へ入っておって、今この円高の影響を余り受けておらないというように聞いております。そういう状況の中で、日本一国が今非常に厳しい状況になっておるわけでありまして、アメリカは、メキシコの通貨危機等もあって、余り影響を受けておらないわけであります。そういう中で、日本としてどういう方向に進まなければいけないか、非常に重要な問題になるわけでございます。
 日本のこれからの円高対策ということになるわけでございますが、先ほど同僚議員の話を聞いておりますと、この円高の原因は、一つはアメリカにおける財政収支の問題、赤字の問題です。また思惑の問題等々おっしゃっておられたわけでございますが、この思惑というところは、この思惑の中にやはり原因があるわけでして、そのあたりを追求しなければなかなか円高が解決できないと思うわけでございます。
 私は、ちょっとこれを調べてみますと、著明なアナリストでございまして、これはアメリカ人なんですか、ピーター・タスカという方がいらっしゃって、この人の論文を読んでおりますと、私と見解を一にするところがあるわけでございます。
 ちょっと読んでみますと、「この馬鹿げた円高・株安は、政府の経済政策を考えれば、決して意外なことではない。円高の水準は、どうみても常識を大きく外れているが、それは、言われているように為替市場が非常識だからではない。市場が日本政府の無策を非常識だと読んでいるからだ。」このように言われておるわけでございます。
 また、株価に触れまして、「株価は金融不安が本格化するのか、それとも終息するのかの鍵を握っている。」このように言っておるわけです。「だが、村山政権が誕生して以来、株価下落で失われた株式の時価総額は百兆円近い。」これは、少なく見積もっても、さきの阪神大震災、十兆円とも二十兆円とも言われておるわけでございますが、それの五倍から十倍の経済的な損失である、このように言われておるわけです。まさにそういう、今の村山内閣の無策にこの大きな円高の原因があるのじゃないか。村山政権は大地震でも毒ガスであっても円高でも動かない、「動じない」ということならまだいいのだが、実態は「動かない」だ、いまや日本には政府がないと言ってもいいくらいだ、このように言っているのです。
 このような状況の中で、大蔵大票どういうようにお考えでしょうか。
#56
○武村国務大臣 どういうふうにお考えということでありますが、そんなふうには全く思っておりません。そういう考え方は間違いだと申し上げたいと思っております。
 円高は、株の動向もそうでございますように、市場の動きでございます。これは市場経済、資本主義経済でありますが、社会主義経済でないこともまず我々は認識をしなければなりません。政府の政策によって市場を自由に動かしていく、そういう状況ではありません。そういう中で、政府がどうかかわっていくか。円高の結果がさまざまな影響を与えていることは事実でありますし、今、日本は深刻な影響を与えているわけでありますから、それをきちっと認識をしながら、政府の持てる手段をどう出動させていくかということに尽きようかと思います。
 既に、金利をめぐる政策手段、それから協調介入という手段がございますが、この三月以来の局面でも、日本みずからの介入もいたしておりますが、日米で協調介入したこともありますし、日米独で話をして介入したこともありますし、日米欧で各国そろって介入したこともこの三月、四月であるわけでございます。それぞれ局面局面で、各国と頻繁に連携をとりながら介入をいたしていることも事実であります。
 金利は、御承知のように、ドイツが下げ、日本銀行も実質金利を下げ、その後公定歩合も下げるという決断をいただいているところであります。そして政府みずからも、大蔵省は三月に金融財政運営についての基本的な方針を表明いたしておりますし、その後、政府全体として総合的な円高緊急対策を発表いたしているところでございます。
 今ここではるる申し上げませんが、そういう意味で、まさに私どもは有為有策で来た。しかし、巨大なこの為替市場の中で、なかなか政府の持てる手段というのは決定的でないということも痛感をしながら、それでもなお、日本みずからの抱えるさまざまな必要な対策については、政府を挙げて取り組んでいこうという決意であります。
#57
○谷口委員 先ほども申し上げたとおり、この円高のきっかけになったのは、昨年末のメキシコの通貨危機なんです。それから今五カ月たっておるわけでございまして、一本調子でずっと円高になってきたわけでございます。その際に、先ほども申し上げたように、政策協調が行われておらなかった。ドイツもアメリカも日本も話し合っておるが、金利面において政策協調が行われたということは現実としてないわけでございます。また、経済対策も四月の中旬に出てきた。こういうような状況の中で、何が有為有策であるか。まさに一般国民は、政府の無為無策について今怒っておるわけでございまして、なぜやらないかということを言っておるわけでございます。一生懸命当たってくれというように言っておるわけでございます。
 特に、地元に帰りますと、中小企業あたりは今大変な状況になっておるわけでございまして、政府も今回のこの異常な円高は大変危倶されていると思うわけでございますが、そういう状況の中で、何とかこの円高を克服できないか、そういうことをやはり考えなければいかぬ、このように思うわけでございまして、まさに、この震災の問題でありましても、今回の毒ガス、サリンの問題であっても、今回の円高の問題であっても、全く動きがないというところに問題があるわけでございますから、十分そのあたりを考えていただきたいと思うわけでございます。
 また、この円高が進んでまいりますと、産業の空洞化というような問題が起こるわけでございまして、企業が、円高が進んでまいりますとどんどん海外に出ていく。これは円高だけの原因じゃないのですけれども、例えば法人税が高いというような問題もあるかと思いますが、こういう空洞化というような問題が起こってくると言われております。
 ある経済学者にお聞きしますと、今、日本は二重経済になっている、このようにおっしゃっております。自動車、家電というような高生産性産業と、農業というような低生産性産業があって、今回のような円高になりますと、低生産性産業が海外に出て生産性の高い産業は我が国に残るというのが本来でございますが、しかし、その低生産性産業というのは規制に守られておるわけでございまして、円高に何にも影響を受けない、こういう状況の中でもっと円高が進んでまいる。そうしますと、高生産性産業と言われるような産業がどんどん海外に出ざるを得なくなってくる、このように言われておるわけでございます。
 ちなみに、これは昨年の八月に日経新聞のアンケートがあるわけです。主要望造業五百社に対するアンケートがございまして、これを見ますと、これは六年間、一九九四年から九九年の六年間にその製造業がどういう企業行動を起こすかということのアンケートでございますが、特にこの設備投資を見ますと、国内設備投資額が九四年から九九年の間で、五百社、このうち回答があったのは百五十八社と書いておりますが、一〇%国内設備投資が減っております。それに対して、海外設備投資がこの六年間に四割ふえておる、こういうような状況があるわけなんです。
 ですから、円高がどんどん進んでくると、企業はどんどん海外に行かざるを得ない、こういうような状況がこのアンケートから見られる、こういうことでございますが、しかし、ここで考えなきゃいかぬ問題があるわけでございます。
 これは今後もこの円高が、高水準の円高が継続して進んでいくという前提であります。しかし、もしこの円高が円安に一たん反転した場合にどういう事態になるか。大変大きな問題になるんじゃないでしょうか。海外に行ったけれども、この投資が回収できないというか、帰れなくなってしまうわけでございまして、そういう国内の空洞化がそのような事態の折にどうなるか、こういう大変な問題がこの中に入っておると思うわけでございます。このような空洞化の問題について、大蔵大臣、どのようにお考えでございましょうか。
#58
○武村国務大臣 産業の空洞化の問題は大変重大な事態であるというふうにまず認識をいたしております。したがって、答えは、日本の産業構造を大胆に改革をしていくということであります。
 私自身は空洞化という言葉は余り好きではありません。何となく日本から出ていって空っぽになるという、大変わかりやすい表現ではありますけれども、そういうニュアンスがあるわけでありますが、現実は、御承知のように、中国や東南アジアに進出をいたしますと、むしろそこで新たなマーケットを拡大していく、海外工場が市場を開拓、広げていくという効果がありますし、そういう背景の中で、すべてが向こうで生産されるわけではありません。資材は、だんだん変わっていきますけれども、ある種の資材は、あるいは機械は、日本に受注されて日本から持っていくわけでありますから、海外進出することが日本の景気を支える役割も一面担っているわけでもありますから、すっぽり空っぽになるわけではないということを私は申し上げているわけですが、そういう複雑な影響を持ちます。
 ところで、世界がどんどんボーダーレスの時代を迎えておりますし、ますます経済は政治を超えて国際化をしていくことを考えますと、私が認識しておりますのは、アメリカの場合は海外への進出の比率が約三〇%、ドイツは二〇%、日本は六・数%というふうに昨年聞きましたが、そういう数字で見る限りまだ、たとえ円高がなくても日本の企業の海外への進出は広がっていくのだろうなというふうに思っておりました。
 問題は、非常に端的に言って、ある学者も言っておりますように、今谷口委員もおっしゃったように、非常に生産性の高い、付加価値の高い産業だけが出ていって、生産性の低い部門だけが日本に残ってしまうという事態になるとこれは大変でございます。そこに経済構造を大胆に改革していく必要があるということになるわけでありまして、このことに日本が成功をしなければ、この空洞化の行方は大変大きな心配になってくるというふうに私も思っております。
 したがって、今回の円高対策の中の柱としましても、産業構造の改革ということを一つの柱に打ち出しているところでありますし、既にこの国会にも、通産省の事業革新の法律やあるいは創造的な中小企業のための法律を出しております。そういった。日本経済の中で新しいビジネスやベンチャーキャピタルをどう激励をして起こしていくことに成功できるか、その中で雇用のシフトを図っていくことができるかということが最大の課題であるというふうに認識をいたしております。
#59
○谷口委員 この産業の空洞化は、これから大変大きな問題になってくると思うわけでございまして、一つは、規制緩和をどんどん図っていかなきゃいかぬ、このように思うわけです。今回の経済対策では規制緩和五カ年計画を三年にするというようなことのようでございますが、もっと早くやらないとこの円高はどんどん進んでまいります。もっと緊急な問題である、このように思うわけでございまして、特にこの規制緩和をやるべきである、このように思います。
 先ほど申し上げたように、一九八〇年代の後半にバブルが発生して、バブルを抑えるという意味で金融を引き締めました。金融を引き締めて不動産の総量規制等を行って、その結果どんどん資産価値が目減りして、いわゆる複合不況と言われるような事態が起こった。資産デフレという状況に今なっておるわけでございます。
 大体このピークのときに、国の富といいますか、二千兆ほどあったものが、株も土地も大体評価が一千兆ほど飛んで現在一千兆ぐらい、こういうようなお話のようでございます。大変なそういう資産が飛んだわけでございまして、この問題に対する総括を今やらなきゃいかぬのではないか。
 これからの日本の金融政策、また財政政策についてどうあるべきかという状況の中で、きょうは日銀から来ていただいておりますので、この五年間の、この五年間と申しますのは、先ほども申し上げました金融の引き締めを行ってどんどん資産デフレというような状況になっていったわけでございますが、そういう状況の中で、当初のその引き締めが非常に厳し過ぎたのではないか、また不動産の総量規制と言われるようなものが非常に問題があったのではないか、このような意見があるわけでございまして、日銀の方に来ていただいておりますので、この五年間における日銀の金融政策の総括というようなことのお話を若干お願いいたしたいというように思います。
#60
○山口参考人 ただいまの御質問の中で、総量規制に係る部分は日本銀行の政策とやや離れた問題でございますので、主として金利政策につきまして答弁を申し上げたいと思います。
 ただいま御指摘いただきましたように、ここ五年間の経済の動き、大変な激動期でございまして、バブルの発生と崩壊、その後の後始末ということが最優先の課題であったというふうに思います。
 日本銀行の金融政策の運営につきましては、御指摘いただきましたように、平成元年以降金融の引き締めを行いました。この目的は、当時見られましたいろいろな各方面にわたる経済の行き過ぎを是正いたしまして、もう少し安定的な経済成長の軌道に日本経済を持っていきたいということが眼目でございました。その後、今度は逆に金融緩和の過程に入っていくわけでございますけれども、これが目的といたしましたことも同じでございまして、やはりインフレのない、持続可能な経済成長という言葉がございますけれども、ぜひともそういう成長軌道に日本経済を誘導してまいりたいという同じ目標のもとに政策を行ってきたつもりでございます。
 金融緩和に入りましたことは、タイミングから申しますと平成三年の七月でございました。このときに第一次の公定歩合の引き下げを実行いたしましたが、このタイミングは申し上げるまでもなく、経済企画庁が発表しております前回好況時のピーク、これは平成三年四月でございますが、その後三カ月余りたったところでございますから、必ずしも遅過ぎるというタイミングではなかったように考えております。
 にもかかわらず、残念ながらその後の景気調整局面は長くかつ深いものになってしまったわけでございますけれども、私どもの理解いたしますところでは、その大きな背景は、やはりバブル経済と言われました時期のさまざまな行き過ぎにあったのではないかというふうに思っております。バブルといいますのは、合理的には説明できないような行き過ぎ、そういった現象のことでございますから、そのように大きな行き過ぎた行動が一たん経済の各方面に生じてしまいますと、それを修正し是正していくということにはどうしても若干時間がかかってしまうということではないかと思っております。
 その政策の修正ということは、ここ三年余りの間に相当進展してまいりまして、またこの間、財政政策、金融政策の両面におきましていろいろな措置が打たれてきたということもございまして、日本経済は現在緩やかな回復過程をたどっていると認識しております。ただ、この回復テンポが引き続き緩やかでございますし、また最近は、先ほど来御議論がございましたように、為替、円高が進行いたします中で、経済の先行きについて不透明感といいますか、景気の回復、持続性について何がしかの不安感が生じてきているように思われます。
 そういう状況を踏まえまして、私どもは三月、四月と金利水準の大幅な引き下げに踏み切ったわけでございまして、この場合は、将来における景気回復をできるだけしっかりとした足取りにしてまいりたいという趣旨によるものでございます。
 以上が、ごく簡単でございますが、ここ数年間における私どもの政策の要約でございまして、日本銀行といたしましては、今後とも経済情勢の展開を弾力的に見きわめながら、金融政策を適切に運営してまいるように心がけてまいりたいと思っておりますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
#61
○谷口委員 今、経済対策をやらなければいけない重要な時期になるわけでございまして、年初から大震災がありまたこの急激な円高があり、経済的に非常に大変なことになっておるわけでございますが、その際考えなければならないのは、やはりこの景気活性をどう考えていくか、これは株式市場の活性化なんかも含めて、これが非常に大事なわけでございまして、均衡財政主義というのですか、大蔵省が持っておられるこの考え方はちょっと向こうに置いて、とりあえず景気を活性化するにはどうすればいいか。その後また、景気が活性化すれば増収ということも十分考えられるわけでございます。
 今、日銀の方からおっしゃっていただいたわけでございますが、同時にバブル抑制策として、税制におきましても非常に厳しい対応をとったわけでございます。土地税制です。バブル抑え込み税制というような税制がとられて、これがまだ現在もそのままになっておる部分があるわけでございまして、先日もお聞きしておりますと、またバブルが再発するかもわからない、こういうようなお話で、今の税制がまだ残っておる。
 しかし、今むしろバブルを誘発するような政策をやらないと、どんどんどんどん時価が、株式もそうですし、土地の時価も落ちておるわけでございます。国家の一番大きな使命は国民の生命と財産を守ることなんです。知らない間に自分の財産が目減りして、半分しかなくなっちゃった。こういうようなことが果たして許されるのかどうか非常に疑問があるわけでございますが、きょう主税局長来ていらっしゃるので、土地税制、バブル抑え込み税制についてどう考えていらっしゃるかお聞きいたしたいと思います。
#62
○小川(是)政府委員 現行の土地税制は、平成三年度の改正で抜本的に手直しか行われました。当時の議論といたしましては、一つは、税として所得、消費、資産のバランスのとれた税体系という観点から、資産である土地に対する課税の適正公平化というのが一つの眼目でございました。もう一つは、平成元年に成立いたしました土地基本法の基本理念、土地の公共性などを踏まえまして、その総合的な土地対策の一環として、土地の資産としての有利性を縮減するという観点から税制が論じられたわけでございます。
 その際に、最も重点が置かれましたのは、土地税制は長期的、安定的な制度として設けられるべきである、そのときそのとき動き回るということが非常に土地という資産に対していろいろな思惑を呼びがちであるということが、重点としてまた指摘されておりました。
 その意味におきましては、今委員御指摘がありました。ちょうどバブルの時期に議論が行われていたのは事実でございますけれども、いわゆるバブル対策という短期的な観点から税制が論じられたものではない。税制調査会における議論におきましても、また国会における論議におきましても、そういった現象が背景にはございましたが、税制のあり方としてはそういう短期的なバブル対策というものではなかったというふうに申し上げられると思います。
 また、今日まで繰り返し土地税制については御議論がございますが、その都度申し上げておりますのは、今申し上げたような、資産課税が長期、安定的なものとして土地税制についても維持されるということが重要であるというふうに存じております。
 なお、先ほどお話のございました。例えば日本銀行でも合理的には説明がつかないようなものがバブルであるということであるといたしますと、委員が言われましたような、こういう時期はむしろややバブルがあっても、あることが景気に対してプラスではないかという点については、経済政策の基本的な御議論であろうかと思います。
 税制の基本的なあり方についての議論の経過は以上のとおりでございます。
#63
○谷口委員 先ほども申し上げたとおり、資産価値が目減りして一千兆ほどなくなっちゃった。こういうことでございまして、土地税制で土地が上がらないようにする、低所得者も土地を取得しやすいように、こういうようなことなんでございますが、パイそのものが小さくなっちゃったわけですね、分配の問題でなくて。そこに大きな問題があるんじゃないか、このように思うわけでして、例えば新規取得土地の金利の損金不算入なんていう問題は、さっき主税局長がおっしゃった問題から外れると思います。まだまだそういうバブルのときの抑え込み税制が残っておるわけでございまして、この二つを立て分けて考えなきゃいかぬのじゃないかというように思うわけでございます。
 今、税制の問題が出ましたので、もう一つこの税制の問題をお聞きしたいと思うわけでございますが、今、株式市場の活性化の問題というのが大きな問題になっておるわけです。株安というような問題は円高以上に重要な問題であると思います。大体株価が一万五千円を割るとデッドラインだというように言われておるわけでございまして、何とかこの株式市場の活性化を図っていかなきゃいかぬというように思うわけでございますが、その際に、これは今現在よく言われておるわけでございますが、株主資本利益率、ROEという指標があります。日本はアメリカに比べると非常に発行済み株式数が多いわけですね、どんどんどんどんエクイティーファイナンスの折に転換社債等を出して、それが株式に転換されて非常に発行済み株式数が多いというようなことで、このROEについて非常に問題になっておる。ですから、これを規制というか本来の形に直すために、自己株式の取得をどんどんやはりやっていくべきだ。
 アメリカにおいても、この不況時にどんどん自己株式の取得が行われて消却されたというようなことがあるわけでございますが、この自己株式を取得する際に一つ障害になっておるのがみなし配当課税というものがあるわけでございまして、我が国においては、自己株式を取得してやる際にみなし配当として課税されるわけでございますが、このようなみなし配当課税を廃止する必要があるんじゃないか、みなし配当課税を廃止することによって自己株式取得が進んでいくのではないか、そういうような意見があります。私自身もそのように思うわけでございまして、これはまた主税局長にお聞きしたいことでございますが、みなし配当課税について廃止するお考えはあるでしょうか。
#64
○小川(是)政府委員 みなし配当課税と申しますのは、個人が出資を行ってその財産がふえていく、法人段階での利益がその株主に配当されていないにもかかわらず実質的な持ち分がふえていくというときに、法人税の課税が行われ、かつ所得税の課税が行われなければいけないわけでありますが、所得税の課税なしでふえていってしまうような場合、そこにみなし配当課税を必要としているわけでございます。
 今御指摘がございましたような、会社が自己株式を取得して消却をしていくといったようなときに、まさにそうしたみなし配当課税を必要とする事態が生じ得るわけでございますが、この点につきましては、廃止をするというわけには、基本的な税制の仕組みの問題でございますからできない。しからば何かほかに方法がないかということで、実は平成六年度の税制におきましては、みなし配当についての源泉徴収の不適用といったようなことで、実質的に個人株主についてみなし配当課税がその段階では行われないといったような手だてを講じたところでございます。
 しかしながら、一般的にこの基本的なルールを廃止しろと言われますと、法人税と所得税の基本が崩れてくるおそれがございますので、それに対して、わかりましたと言うわけにはまいらないという点も御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#65
○谷口委員 時間が参りましたので、このあたりで終わりたいと思いますが、やはり今大蔵省のおっしゃっているような均衡財政主義を本当に横に置いて、まさに景気を活性化するにはどうすればいいかということを第一義に考えていく必要があるのではないか。対策を行うと必ずそれに通ずる増税策、増収策を一緒にセットで考えるというやり方は景気対策上効果が少ないわけでございまして、そういう観点でぜひやっていただきたいというように思います。
 時間が参りましたので、以上で終わります。
#66
○尾身委員長 次に、佐々木陸海君。
#67
○佐々木(陸)委員 阪神大震災の被災地では、五月末の確定申告期限に向けて多くの納税者が税務署に今行っているところです。住宅や家財などに損害があった被災者に対する税の特例措置については、国税庁は被災者の状況に配慮して、簡便法というのですか、簡易計算の方法をつくってやっているところですが、ところが最近現地に行ってまいりますと、マンションの損壊の問題について、雑損控除についてこの簡便法が適用されないという問題がたくさん起こっていて、地元の神戸新聞の四月二十二日付などでも取り上げられて、多くのマンション居住者にとって重大な問題になっているということを見聞しております。
 そこで質問しますが、当初は、地方自治体が発行する罹災証明だけで、そこに分類されていた損壊の状況に応じて簡便法が適用されていたのではないか。それが何か途中からマンションの居住者に対しては認められなくなった。早く申告した人には罹災証明だけで一部損壊の雑損控除が認められたけれども、同じマンションで最近申告した人ではそれが認められなかったという例まで起こっているということを見聞しているのですが、一体これはどうなっているのか、それについてまず説明を聞きたいと思います。
#68
○堀田政府委員 お答え申し上げます。
 今先生御指摘ございましたように、所得税の雑損控除の適用につきまして、大阪国税局におきまして簡便法をつくりまして、納税者の便宜を考慮いたしまして、その簡易な方法により損害額を計算していただいて結構だということにしたわけでございます。
 この場合、マンションについてのお尋ねでございますけれども、マンションにつきましての簡便法によります損害額の算定につきましては、被害を受けた住宅の時価に柱や床などのいわゆる主要構造部に受けた被害の程度により定めました被害割合を乗じまして損害額を計算することとしているわけでございます。この場合、具体的にその被害割合の判定に当たりましては、今もお話出ましたけれども、公共団体が発行いたします罹災証明書を参考とするということでございますし、納税者から被災状況の聞き取りを行う、さらには建設会社など専門家の検査結果等を踏まえまして、納税者の実情に応じた被害額の算定を行うということでやってきているわけでございます。
 そういうことでやってきているわけでございますけれども、同一マンションに居住している納税者から住宅の被害状況を聴取いたしますと、同一マンションについて被害状況が異なるケースが生じているとか、罹災証明書の内容も異なっている場合があるということでございまして、主要構造部に損害があるかどうか、及びその程度をどう判定するかという問題につきまして、今もちょっと申し上げましたけれども、建設会社など専門家の調査や診断結果等を一つの重要な判断材料として提出をお願いするということにしているわけでございます。
#69
○佐々木(陸)委員 そうすると、マンションの居住者の場合には、罹災証明があってそこで例えば一部損壊というふうに書かれても、それだけではだめだということです。
#70
○堀田政府委員 今申し上げましたようなことで、罹災証明書の内容が異なっている場合、同一マンションについて異なっている場合がかなり見受けられるということでございまして、私どもの立場から申し上げますと、同じマンションに住む納税者間の公平を図るという観点からはそこに何らかの手当てをする必要がある。あるいは納税者の立場に立ちましても、今申し上げましたようなことで、建設会社など専門家の調査結果が一つ出れば、同じマンションに住んでいる人はそれがすべて参考資料となって適用されるということでもございまして、全体としては効率化に資するといいますか納税者の負担の軽減にも資するということで、建設会社など、あるいは設計士などもあると思いますけれども、専門家の調査や診断結果等をお出しいただくようにお願いをしているということでございます。
 ただ、もう一つ申し上げますけれども、そうは申し上げましても、例えば管理組合等を通じてそういう依頼が建設会社に行われてその対応が速やかに行われるかどうか、それはいろいろな場合がございますので、無理な場合には無理であるということで、そこは納税者から損害の事実や程度を十分聴取いたしまして、損害の事実について十分な心証が得られれば、それは特段の調査結果を示す書類がなくても簡便法を適用していただいて結構であるという運用はしておるところでございます。
#71
○佐々木(陸)委員 同一のマンションについて、損壊の程度についていろいろ違う罹災証明書が出るというのですけれども、罹災証明というのは大体全損か半壊か一部損壊なんです。そうすると、一つのマンションについて、一つの棟の中で、Aの居住者については一部損壊という罹災証明が出て別の居住者については全壊だとか半壊だとかというのが出ているという、そんなケースがいっぱいあるのです。とても信じられないような気がしますけれども。
#72
○堀田政府委員 罹災証明書の内容につきましては、いろいろ新聞などでも報道されておりますけれども、市によりまして対応が区々でありますとか、内容は今先生おっしゃいましたような全壊、半壊、一部損壊というようなことになっておりますけれども、その概念といいますか、それがまた異なっているとかという事情があるようでございます。
 今申し上げましたのは、私どもが現場で同一のマンションについて見た場合に、別の判定をしている罹災証明書が提出されている例が見られるということでございます。
#73
○佐々木(陸)委員 一つのマンションについて、全壊は別として、半壊か一部損壊かという、半壊というのはかなり目で見ればわかるものですよね。その半壊というのも出てくれば一部損壊のも出てくる。つまり、いろいろ出てくるというのはその二つのケースしかあり得ないと思うのです。そんなの本当にいっぱいあるのです。私は調べてみたけれども、そんなものが出ているということは全然耳にしておりませんけれども。
#74
○堀田政府委員 私ども、大阪国税局から事情を聞いているわけでございますけれども、大阪国税局におきましては、あるいは被災地を管轄する税務署におきましては、そこはやはり納税者間の公平を確保するために確認のための新たなお願いを、新たなといいますか、お願いをせざるを得ないと考えているというふうに承知しております。
#75
○佐々木(陸)委員 ちょっと重大な事実の違いがあるような気がするのです。
 現地でマンションの居住者に対して税務署が出している文書があるのです。これは、マンションから出る罹災証明書の内容が違いがあるからというようなことじゃなくて、「「一部損壊」のり災証明書をもって雑損控除の申告をされるマンション居住者の方へ」という文書で、「この度の大震災により被害を受けたマンションについて雑損控除を受ける場合、「一部損壊」のり災証明書が発行されていてもこそれだけじゃだめだと。「管理組合等を通じて依頼した。建設会社など専門家の調査や診断結果」によって判断するからその結果を持ってこいというふうにマンションの居住者に対して突き返す。
 それで結局それがややこしくなってしまうというケースが大部分であって、何かAの人は半壊でBの人は一部損壊だ、そういうのがいろいろ出てきているから問題が生じているのじゃなくて、要するに一部損壊というふうに持ってきてもそれだけじゃ税務署は信用できないからだめだ、別の証明を持ってこいということが問題になっているのじゃないです。
#76
○堀田政府委員 一部損壊の罹災証明書がここでは対象になっているわけでございますけれども、それは、今回の簡便法、簡易計算法は、いわば一部損壊以上の被災者について適用があるということでございまして、一部損壊かどうかということが簡便法が適用されるかどうかという判断の基準になるわけでございますから、ここで一部損壊の罹災証明書が問題になっているということでございます。
 いずれにしましても、そのマンションの主要構造部に損傷を受けていない場合には簡易な計算方法による、簡便法による損害額の計算はできないということでございまして、主要構造部に損壊があるかどうか、損傷があるかどうかという認定につきまして、これは実際は多くの場合、私ども承知しておりますのは、既にマンションの建設会社の方が、特に居住者の多いようなマンションにつきましては、安全性を示す観点から、マンションの管理組合等に対しまして主要構造部の損害の割合等についての書類を出している、あるいは連絡をしていると聞いております。そういった状況の中でそれがありますものですから、じゃそれをお持ちくださいというふうに申し上げているわけでございまして、新たな書類をお願いしているということでもないわけでございます。
 そういうスキームに乗りまして確かな認定をしたいということで、今先生が言われた趣旨の文書を一部の税務署において、窓口において納税者にお示ししているということでございます。
#77
○佐々木(陸)委員 自治体が出した罹災証明書の信頼の問題にもなるのですが、つまり、そのマンションを建設した建設会社がこれは一部損壊していますとか大丈夫ですとか言っているものを出せばそれは信頼するに足るんだけれども、自治体が出した罹災証明書だけじゃだめだというのもちょっと客観性を欠いていると僕は思うのですよね。
 つまり、極端な例ですけれども、芦屋浜のシーサイドタウン、ここでは四十何センチの柱が破断されたような状況になっている。これも建てた会社は絶対安全でございますと言っている。これは本院でも問題になって、建設大臣は、第三者に調べてもらわなければだめだという答弁までしているわけですよね。だから、そのマンションを建てた建設会社は、それは自分の建てたところですから、一般的に言いますと、できるだけ被害を小さくしようということを言うに違いないわけです。
 そこが何かちゃんと言っていればそれは信頼するけれども、罹災証明だけじゃだめだというのはやはり問題を繁雑にするだけであって、先ほどの答弁の中でも、いろいろな事情があれば、罹災証明とそれから本人の話されることでちゃんとやりますということも言われましたから、そういうことが、本当にそれが貫かれればいいのですけれども、しかし、先ほど紹介した「「一部損壊」のり災証明書をもって雑損控除の申告をされるマンション居住者の方へ」というこの文書なんかを見ますと、罹災証明書だけ持っていたってだめだ、ちゃんとそういうのを持ってこいということを義務づけるような言い方をしていますから、こういう方向じゃないんだということをはっきり確認していただきたいと思うのです。
#78
○堀田政府委員 私どもも、建設会社なり設計士の判断が絶対正しいとか、それですべてだと申し上げているわけではないわけでありまして、まず罹災証明書というのがございます。それから、本人の説明というのがございます。
 ただ、普通ならそれで済むわけでございますけれども、マンションの場合には非常に大型の建物になる、自分の居住空間だけ見ていてもどのぐらい破損があるかわからないという面があるものですから、もう一つ、建設会社、設計士といった専門家の判断をここにかませたい、こういう趣旨のものでございます。
 そういうことでございますので、そういった趣旨で運用してまいりたいと考えております。
#79
○佐々木(陸)委員 税務当局がマンションの管理組合に電話するなりなんなりしてそういう点の確認も得たいという努力をすることはそれは結構なんですけれども、ただ、罹災証明を持って申告に来る人に対しては、こういうことを言って突き返すようなことをするんじゃなくて、やはりそこでちゃんと、それは税務署が裏も調べるのは結構ですけれども、きちんと受け入れて、できるだけ罹災者の立場に立ってやるというのがこの措置のもともとの趣旨なんですから、そういうふうにやってもらいたい、そのことを確認していただきたいということなんです。
#80
○堀田政府委員 この雑損控除の簡便法を策定しましたこと自体が、納税者の便宜に資する、大きな災害の中で納税者が申告しやすいように、計算しやすいようにということで講じた措置でございます。大もとがそういった趣旨を持っていることは御指摘のとおりでございます。
 そういった趣旨を踏まえまして、今後とも運用してまいりたいと思っております。
#81
○佐々木(陸)委員 終わります。
#82
○尾身委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時五十分開議
#83
○尾身委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出、保険業法案及び保険業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北側一雄君。
#84
○北側委員 新進党の北側一雄でございます。
 それでは、本法案につきまして質疑をさせていただきたいと思います。きょうは、私は、今回の法案の一つの骨格でございます規制緩和、また自由化、この問題を中心に質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 まず最初に、これはこの間の参考人質疑でも参考人の先生方に聞かせていただいたわけでございますが、今回の法案は、他業態との相互参入について見送りがなされました。平成四年の審議会答申、「新しい保険事業の在り方」では、他業態との相互参入について、競争の促進によって国民経済の発展を図るために相互参入ができるようにするのが適当である、このような答申でございましたし、その相互参入の方式等も含めまして、またその弊害防止策も含めまして、かなり詳しく答申では触れられておるわけでございます。にもかかわらず、今回の法案でこの他業態との相互参入について見送られたその理由、背景は一体どういうところにあったのか、まずこれについて御答弁をお願いしたいと思います。
#85
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 保険と銀行、証券との相互参入につきましては、今先生御指摘いただきましたように、平成四年の保険審議会答申におきましては次のように書いてございます。
 金融各業態間の競争の促進により国民経済の発展を図るため、金融制度改革を行っていくに当たっては、保険会社が銀行・信託・証券業務に参入できるようにするとともに、銀行等・信託銀行・証券会社についても保険事業に参入できるようにすることが適当である。というふうに書いてございました。
 その後、法制的な検討を加え、その法制的な検討の結果を審議していただきました平成六年の保険審議会の報告におきましては、そのくだりにつきまして次のような記述になってございます。
 当審議会が先に提出した答申「新しい保険事業の在り方」及び本報告「保険業法等の改正について」において示した保険制度改革は、来るべき二十一世紀に向けての我が国の保険事業並びに保険監督行政の望ましい姿を包括的に提示したものであり、改革の実施に当たっては、これを着実に実施するという観点から、新しい保険制度への移行によって混乱が生じ契約者等の保護に重大な影響を与えることのないよう漸進的かつ段階的に進める必要がある。
  したがって、当報告を基にした保険関係法規の改正については、まず、子会社方式による生・損保の相互乗入れを含む保険制度の自由化を進めるとともに、健全性維持のためのソルベンシー・マージン基準や新しい経営危機対応制度の導入などの法制化を急ぐことが肝要であり、その定着を見極めた後に子会社方式による他業態への進出も含めた制度改革が完了するよう、段階的に行うことが適当である。ただし、その際においても、当審議会の示した保険制度改革が、できるだけ早期に実現するよう配慮することが望ましい。
となっております。
 これを振り返ってみますと、平成四年のときの答申では、二十一世紀に向けて、あるべき姿というものを包括的に示していただいたわけでございますが、六年の審議会のときには、これから法制化するという段階になって、具体的にどういう手順で進めていくべきかという議論が主な関心になったわけでございます。
 さきにも御紹介いたしましたかと思いますが、銀行法のときも、昭和四十六年に預金保険法の施行がありましたし、昭和五十六年に銀行法の改正がありました。その後、長期間の審議、金制等の審議がありまして、平成五年に金融制度改革法が施行されておるわけでございます。
 こういった長い期間をかけた改革が金融・証券部門で起こっておりまして、これとほぼ匹敵する内容の改革を今回行う際に、やはりそこには、手順というものを踏んだ方がより着実に混乱なくできるのではないかという考え方が主流を占め、私どももその方が確実に行えるという判断をしたわけでございます。もちろん、当時の経済環境というのもかなり考え方に反映したものということは否定できないと思うのでございますけれども、平成四年のときの考え方と平成六年のときの意見ということについては、そのような関係になっております。
 そういうことで、今回は生損の相互乗り入れということをお願いし、保険と銀行、証券との相互参入につきましては次回にという仕切りにさせていただいているところでございます。
#86
○北側委員 保険部長、できるだけ御答弁は短目に、的確にお願いをしたいと思うのです。
 今も最後に少しお触れになられましたけれども、経済環境の変化、バブルの崩壊、これがやはりこのようなもう少しゆっくりとという話になったのかなというふうに私は思っておるわけでございますが、いかがです。
#87
○山口(公)政府委員 確かに、当時の議論を振り返ってみましても、その背景となっておる経済情勢が色濃く反映されていたということは否定できないと思うのでございますけれども、冷静に見ましても、それだけではなくて、やはり手順というものを踏んだ方が着実に、また確実に混乱なく行えるという議論も理屈の通った議論かというふうに私は考えておるわけでございます。
#88
○北側委員 ただ、平成四年の答申では、他業態との相互参入について進めていくべきであるという答申になっておるわけでございますし、流れとしてはそれは正しい方向であろうというふうに私は考えております。
 それで、今後、この他業態との相互参入問題について、将来実施をしていくための条件というのは、どういう条件が整ってきたらこの他業態との相互参入という問題について実施に踏み切るべきなのか。その辺の条件は一体何なのかについて御答弁をお願いしたいと思います。
#89
○山口(公)政府委員 まずは、生損保の相互乗り入れあるいは規制緩和、全般的なことがかなり盛りだくさん今回含まれておるわけでございます。そういった制度改革が混乱なく定着して、それを見きわめた後にその第二段階を考えるというふうになろうかと思うわけでございます。経済状態によって、経済がいいから悪いからということではなくて、やはりそういった変化に対してどうそれを業態がこなしていったか、また、その契約者に対して迷惑をかけることなく、そういった規制緩和に対応していったかということを見きわめるという事実認識の問題だろうというふうに思うわけでございます。
#90
○北側委員 定着を見きわめていくというお話でございますが、ただ、行政当局としてこの他業態との相互参入という改革をいつごろを目途にやろうとしているのか。もちろん、今、現時点で明確にできるわけじゃないと思いますが、ただ抽象的にその定着を見きわめた後というふうな言い方ですと、今回の制度改革に盛られたさまざまな仕組みがうまくいって初めて他業態との相互参入に踏み切るのだという話にも聞こえますし、この平成四年の答申の示した方向性、イメージとかなり違った形になっていくのではないかというふうに心配しているわけでございます。
 明確に御答弁は無理かもしれませんけれども、そうしたら、これぐらいまでには何とか今回の制度改革については定着化を見て、新しい他業態との相互参入に移りたいのだ、こういう見通しを持っておられるのであればお答え願いたいと思います。
#91
○山口(公)政府委員 行政当局としてはそういった。今先生おっしゃったようなスケジュールをきちっと決めていくというやり方というのが一つあろうかと思いますけれども、何せ五十数年ぶりの改革でございまして、その影響度等はいましばらく様子を見る必要があるのではないかというふうに考えておりまして、私もずっと先と申し上げるつもりはございませんけれども、明確なスケジュールまでお示しするほどの自信がないということを御理解賜りたい。
 とりあえずこれを改革をさせていただいて、まず、五十年間一回も回らなかった車を回すという、例えとしてはよくないかもしれませんが、そういったことがまず大切ではないかということで、それをお願い申し上げている次第でございます。
#92
○北側委員 この問題は終わりますが、ただ、先ほど保険部長がお読みになられた平成六年の答申でも、できるだけ早期に実現するように配慮をすべきであるというふうにも言われております。また、平成四年の答申の中では、なぜ他業態との相互参入が必要なのか、その必要性について、きょうは言いませんけれども、詳しく書いてあるわけでして、その辺の事情というのは何ら変わっていないわけでございまして、そういうことも踏まえていただきまして、この他業態との相互参入の問題についてもぜひ前向きに議論をしていただきたいというふうに思うわけでございます。
 これに関連いたしまして、審議会でも議論になっておると思うのですけれども、銀行等が保険の販売をするという問題についても先送りをされておるわけでございますが、この銀行等の保険販売について、その検討の方向性といいますか、見通しについて御答弁をお願いしたいと思います。
#93
○山口(公)政府委員 今御指摘の銀行等の保険販売につきましても、平成四年の保険審議会答申において、「利用者利便の向上、販売チャネルの多様化、効率化に資すること等からは望ましいと考えられる。」あるいは、「影響力を行使した販売による弊害の可能性も十分考慮しなければならない。」との多面的な指摘をしながら、「これまでの金融制度改革における相互参入についての議論を踏まえつつ、弊害防止の可能性、銀行等に係る他業禁止等の観点から、更に十分な検討が行われる必要がある。」とされております。昨年六月の保険審議会報告におきましても、「今後とも引き続き審議会等の場において検討を行うこととす。」いずれの審議会も、引き続き検討、あるいは十分な検討が行われる必要があるという御指摘を賜っておるわけでございます。
 したがって、大蔵省としては、このような基本的な考え方を踏まえつつ、銀行の保険販売につきましては今後審議会等の場においてさらに検討を行っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#94
○北側委員 今回の法案で数多くの保険制度の改革がなされておるわけでございますけれども、私、ずっと内容を少し勉強させていただいて一つ思いますことは、保険というのは株式会社とそれから相互会社、この二つの会社形態で保険業務が行われているわけでございますけれども、こうした保険制度改革、自由化、規制緩和を含んだ保険制度改革がなされていく。そして、将来はまた他業態との相互参入というような問題も出てくる。そういう中で、相互会社の持つ意義というのは一体どういうところに意義があるのか、その辺はきちんと私は位置づけていく必要があるのではないかというふうに思っております。どんどん業界の垣根が低くなっていく中で、相互会社としての意義、メリットというのは一体どこにあるのか。
 今回の法案の中にも、例えば相互会社について、相互会社というのは本来、剰余金が出れば契約者、社員の方に還元をしていくというところに本質的な部分があると思うのですけれども、でも今回の法案では、剰余金の一部について財産的な基礎の充実を行う方向での規定がございます。これは私、決して悪いことではなくて正しい方向だと思うのです。また、今回社債を相互会社が発行できるようになりました。さらには、相互会社が子会社に出資をして、その子会社が例えば損保の業務を行うとか、そういう子会社を持つ、出資をして子会社を持つ、こうしたこともできる。
 さらに、契約者の立場からいいますと、株式会社の保険会社と相互会社の保険会社と契約者、利用者という立場ではほとんど変わらない。権利義務関係が変わらない。このような改正になっておるわけでございまして、どんどん相互会社が株式会社とほぼ変わらないような機能になっているわけでございます。
 こういう中で、相互会社という形態を使っているのは保険だけでございますので、相互会社という意義、またメリットというのは一体どこにあるのか、そこをやはり明確に位置づけていく必要があるだろうというふうに思います。いかがでしょうか。
#95
○山口(公)政府委員 この相互会社の問題は、大分歴史をさかのぼって恐縮でございますけれども、古くは明治の三十五年にドイツのゴータ生命という相互会社、これに学んで第一生命という相互会社が生まれた。そこにまず起源があるわけです。実はドイツで生まれた考え方と存じております。
 それで戦後、昭和二十二年になりまして、経営危機に陥っておりました生保会社が再建するときに、第二会社というのをつくる形で再建したわけでございますが、そのときに、十四社の第二会社があったのですが、そのうち十二社が相互会社形態にしたわけです。それは、当時GHQの意向もあったやに聞いておるのですけれども、非常に企業の民主化の機運があった。それからアメリカでは相互会社というのが優位であったということです。それから旧財閥との関係をなくす。そのようなことで多くの相互会社が生まれたということになっておりました。
 今我が国におきまして、先生御指摘のように、生保会社において相互会社がかなり大きなウエートを占めておりまして、十六社ございます。損害保険会社においても二社ございます。財産的規模でいいますと、上位十社は全部相互会社、こういうことになっておりますが、ただ、日本だけの仕組みじゃありませんで、今ちょっと申し上げたアメリカの生命保険会社の上位三社も相互会社でございまして、カナダやイギリス等においても相互会社が上位を占めている例がございます。
 それで、相互会社について、だんだん株式会社的になってきているし、また国民の認識もそういうふうに変わってきている、私ども全くそれは正しいというふうに思います。ただ、意義として全くなくなってしまったか。なくなっているのであれば強制的にもう株式会社に移行させてしまう必要があるわけでございますけれども、相互会社制度は、やはり株主がいないということ、これはすなわち、実費主義というのですけれども実費主義の理念に基づく可及的に安い費用での保険法、つまり、株主に配当しなくて済むからそれをみんなで保険契約者が分け前を多く取れる、俗に言うとそういう考え方なんです。
 そういう基本的なメリットはあるわけでございまして、これは否定できないだろう。ただ、ゴーイングコンサーンとしての内部留保というのも必要でございますから、それはもうプリミティブな意味ではなかなか難しいと思いますが、その意義というのは否定し得るものではないというふうに思うわけでございます。
 じゃ、相互会社の方がよくて株式会社が悪いのかというとそうでもない。非常に似通ってきて、ファンクションも非常に似ているということは事実でございますので、今回の法律改正におきましても、これまでは株式会社から相互会社への転換は規定があったわけでございます、これは戦前の十四年の法律、現行法でそうなっておるのですが、今回相互会社から株式会社の方への転換規定を置くということにしておりまして、したがいまして、会社の判断あるいは契約者の判断でどちらにでも判断し得る。だからどちらがよくてどちらが悪いという判断は私どもは今はしておらない、こういうことでございます。ただ、相互会社が変質してきているということは北側先生おっしゃるとおりだと思います。
#96
○北側委員 ソルベンシーマージンが今回導入になりますよね。そうすると、自己資本比率を高めていくためにやはり内部留保をふやしていかないといけないという方向性にならざるを得ないと思うのです。そうすると、ますます相互会社の持っている、剰余金があれば分けるんだという話になってこなくなってしまうのです。これは恐らく、自由化、規制緩和がこれからさらに進めば進むほど相互会社は株式会社化せざるを得ないのだろうなというふうに私は思っております。
 次に、この法案の施行時期でございますけれども、まだ成立もする前から施行時期を聞くのはあれかもしれませんが、仮に今国会で成立した場合に、施行時期をいつごろに考えておられるでしょうか。
#97
○山口(公)政府委員 法案が成立させていただきますと、一年以内、政令で定める日というふうにさせていただきたいと思っております。
#98
○北側委員 それは法案に書いてある内容でございますけれども、例えば来年の四月から実施というふうに考えてよろしいのでしょうかね。
#99
○山口(公)政府委員 お通しいただけるということを前提に立っての議論をさせていただけるかどうか、ちょっと越権かもしれませんが、もしそういう状態でございますれば、金融制度改革法等の例を見ますと、そういった形の施行ということも十分考えられるというふうに考えております。
#100
○北側委員 この法案の中には、政省令に委任されている条文が本当にたくさんあるのです。これは業法ですから当然そうなんだろうというふうに思うのですけれども、それにしても多いわけでございます。ですから、法案が成立されたら、この政省令についてこれから詰めていかれることになると思うのですけれども、ちょっと参考のために、今回この法案の中で、附則も含めまして、政令に委任されている事項がどれぐらいあるのか、それから、省令への委任事項がどれぐらいあるのか、どの程度の数あるのか、お答え願いたいと思います。
#101
○山口(公)政府委員 保険業法案の本則で三百三十八条でございますが、政令に委任しておりますが四十三項目、省令に委任しておりますが百四十四、合計百八十七でございます。
#102
○北側委員 今のは法案の本則の方ですね、附則を含めないで。(山口(公)政府委員「本則でございます」と呼ぶ)はい。それ以外に附則の方にもあるわけでございまして、本則だけでも百八十七、大変な政省令への委任事項があるわけでございます。
 成立後にこの政省令を詰められていくわけでございますが、ここでちょっと一つ保険部長にお願いをしたいのは、この政省令に委任をするという意味でございますが、それは大蔵省の通達だとか行政指導ではなくて、政令、省令という広い意味での法律できちんと内容を明確にしなさいよという意味で政令、省令にこれは委任しているわけでございまして、そういう意味からは、きちんと政令、省令に委任されている事項につきましてあいまいな形ではなくて明確に記載をしていくということがこの法律の中で政令や省令に委任している意義でございまして、そういう意味では、きちんと今後の作業として、第三者が見て明確にその政令、省令を読んだらよくわかる、こういう明確性が私は要求されているんだというふうに思うわけでございます。通達や行政指導で補充をしていくのではなくて、政省令を読めばわかる、そういう明確性が必要である。
 その辺、今回の法案は、これだけたくさんの政省令への委任事項があるわけでございます。中には極めて重要な項目についての委任事項があるわけでございまして、その辺を明確にするということを、その辺のところの御意見、御答弁をお願いしたいと思います。
#103
○山口(公)政府委員 確かに政省令委任、本則関係で百八十七ということでございますが、ただ、他法令と比較しても決して多くはないというふうに私どもは考えておるわけでございます。ただ、今先生御指摘のように、明確に記載して透明性を高める、これは非常に私どももそう努めなければいけないと思っております。ただ、通達とか行政指導が問題だから政省令でというのにつきましては、場合によっては通達でいい場合もあると思いますし、いずれにせよ明確な形で何らか公表できる形にしていくということではないかというふうに思っております。
 いずれにせよ、どういう形であれ、できるだけ透明性を確保していくということに努めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
#104
○北側委員 今おっしゃったように、行政の透明性を確保するために明確に記載をしていただきたい。
 それと、もう一点お話をしたいのは、確かに細目的事項について一々法律で詳しく書けないよ、それはよくわかるのです。特に業法でございますから。ただ一方では、法案の中のかなり骨格となる部分について委任しているところもこの法案の中に幾つかあるのではないのかなというふうに私は思いまして、本当はやはり国会の、国会というのは唯一の立法機関でございまして、国会の審議権ということを考えていきましたら、例えば規制緩和の部分、そういう法案の骨格になるような部分については法律の中でできるだけ明示をすることが本当は大事だと私は思うのです。
 例えば、非常に技術的な話になるかもしれませんけれども、大蔵省令で定める事項というふうにいきなり書いてしまうのではなくて、具体例を例示をしまして、その他政令で定める事項、その他大蔵省令で定める事項というふうな形でやるのが本来の姿であるというふうに思うわけでございます。
 それはちょっとおいておくにしましても、これから幾つか質問させていただきますけれども、重要な部分、今回の法案の骨格となる部分について委任されておる部分については、当委員会での質疑、審議の中でできるだけ明確にしていただきたい、方向性を明らかにしていただきたいというふうに思うわけでございます。
 次に、子会社方式による相互参入の問題についてお聞きをさせていただきます。
 これは法案の百六条でございますが、保険会社の株式の所有の問題について規定をされております。そして、保険会社は、大蔵大臣の認可を得まして、発行済み株式総数の百分の五十を超える数の株式を取得し所有することができるという規定になっております。百分の五十を超えるという数になっているのはどういう根拠からなのでしょうか。
#105
○山口(公)政府委員 五〇%を超えるということで支配権を持っ、こういう考え方でございます。
#106
○北側委員 本来なら一〇〇%子会社でもいいような気がするのです。むしろ普通なのかなというふうに思うのです。ある生命保険会社が子会社の損保会社を持って損保業務に参入してくるわけでございますので、一〇〇%子会社が普通なのかな、なぜこんな五〇%を超えるという数字に法案で規定されているのか。
#107
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 銀行法等も同じでございまして、五〇%を超えますと経営の支配権を握れる、こういう考え方でございます。もちろん一〇〇%でも、五〇%超でございますので構わないわけでございます。
#108
○北側委員 この百六条の一項に、一号、二号、二つの規定がございます。生命保険会社については、「損害保険会社又は生命保険会社」とあって、括弧して「大蔵省令で定める生命保険会社に限る。」というふうに書いてございます。二号は、損保会社について同様な、生保会社、損保会社と書いて、括弧で「大蔵省令で定める損害保険会社に限る。」とございます。この「大蔵省令で定める」というのはどういう内容を想定されておられるのです。
#109
○山口(公)政府委員 そこに規定してございます会社は、例えば破綻会社等を考えているわけでございます。そうでない場合は、いわゆる生命保険会社が同じ生命保険会社を買収するということになりますと系列化をしていくということにつながるということで、これに限るということにさせていただいておるわけでございます。
#110
○北側委員 破綻保険会社のことを想定されておられるということですから、ある保険会社が破綻した場合にこのような子会社形式でその破綻会社を支配していく、そして保険契約者を保護するとかそういう趣旨でしょうけれども、そういうことをこの条文は想定をしているということです。
#111
○山口(公)政府委員 御指摘のとおりでございます。
#112
○北側委員 これはちょっと外れるかもしれませんけれども、今回の法案の中の重要な骨格の一つとして、保険契約者保護基金制度が導入されているわけでございますが、これは破綻会社の契約が健全な保険会社に包括移転をされて、その破綻会社の契約関係を承継する健全な保険会社に対して支援をしていく、こういう制度なのですけれども、これと、ここで言う保険会社が破綻してそれを子会社にする、そしてその子会社にした形で救済をしていく、また場合によっては吸収合併ということもあるのかもしれませんけれども、この二つの制度の関係はどういう関係になるわけですかね。
#113
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 子会社化することによって破綻会社を救済する場合においてもその資金援助が働くという形にしてございます。
#114
○北側委員 子会社化した場合にも、その親会社に対して保険契約者保護基金から支援できるようなことを考えているわけです。
#115
○山口(公)政府委員 御指摘のとおりでございます。
#116
○北側委員 そうすると、この保険契約者保護基金というのは必ずしも破綻会社が解散をするということを前提にしてないわけです。
#117
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 その破綻会社がなくなってしまうということを前提にしているわけではございません。いずれにせよ、契約を守るということでございますから、その保護基金が、破綻会社は必ずつぶしてしまうということを意味しているわけでございません。
#118
○北側委員 きょうこの問題について余り詳しくできないのでまた後日ほかの我が党の質問者から質問させていただきますが、これは今まで大蔵省から聞いた話とちょっと違っていまして、いただいていた書類とも大分違っていまして、破綻会社の解散というものを、なくしてしまうということを前提にして、債権関係を承継した健全な保険会社に対して支援するのだというふうに我々は理解しておったのですけれども、今のお話はそうではないということでございます。それをちょっと……。
#119
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 これまでいろいろ御説明しておりましたのは、いろいろなケースの中の典型的なケースということを御説明しておりましたので、他は一切ありませんというふうにもしお聞きになっていたとすれば、私どもの説明が十分でなかったということだと思います。
#120
○北側委員 それはかなり重大な問題でして、要するに破綻会社の救済をするのかどうかという別の側面にかかわってくる問題なんですよね。破綻した保険会社を結果的には救済していくということになりますから、破綻の危機に瀕している保険会社をそんな簡単になくしてしまうわけにはいかないでしょうから、恐らく実態としては、むしろ子会社とか吸収合併等の方式を使って破綻会社を救済していくというふうな形に結局はなっていくのではないのかと思いますね、この基金制度自体が。建前としてはこの基金制度はあくまで契約者を保護するために健全な保険会社の方へ支援するというふうになっているのですけれども、今のお話だと破綻会社の救済という側面がどうしても出てくるんじゃないのか。そうすると、モラルハザードの問題なりまた別によく論議しなければいけない問題が出てくるのではないのかなと私は思います。
#121
○山口(公)政府委員 先生おっしゃるとおり、結果として破綻会社が生き残ってしまうということは、そのケースにおいてはあると思いますけれども、私どもが基金でねらいとしてお願い申し上げておりますのは、あくまで契約を何らかの形で、いろいろなバリエーションがあってもいいから、いろいろなメニューの中で救っていくということを第一義に考えておるわけでございます。
 したがって、保護基金の役割というのは保険契約を守るということでございまして、その点については、いろいろなメニューがあるのが現実的でありまたその方がいいのではないかと私は考えておるわけでございます。あくまで趣旨はそういう趣旨でございます。
#122
○北側委員 いずれにしましても、ちょっと明確に言っておきますけれども、私どもが大蔵省からいただいた書類ではこれは解散と明確に書いてありましたからね。これは一つの例にすぎないんだというお話なんだけれども、信用組合の方であのような問題がございますから、ここをやはりきちっと明確に説明していただかないといけないところであったと私は思います。ちょっとこの問題はまた後日にやらしてもらいます。
 別の問題に移ります。
 今回、第三分野と言われているところについて、保険会社本体の相互参入について規定がされておりますが、一方で附則の百二十一条で特例規定が設けられているわけでございます。「当分の間、」「特定保険会社の事業の健全性の確保に欠けるおそれが生ずることのないよう、」「必要な条件を付する」とか、それから「当該申請又は当該届出に係る事項を」、そういうことがないように考慮して審査するとか、そのような規定が附則の百二十一条で設けられているわけでございます。
 この特例規定、考慮規定といいますか、中小保険会社、特定保険会社への配慮規定といいますか、これは第三分野と言われているもののどの範囲で参入規制を当分の間していこうとなされているのか、また、この当分の間というのはどのように理解すればよろしいのか、御答弁をお願いしたいと思います。
#123
○山口(公)政府委員 第三分野への特例規定を置かせていただいておるわけでございますけれども、これにつきましては、第三分野における生損保の相互参入に係る申請があった場合に、当該会社の参入が、収入保険料とか収益などさまざまな指標から見てその経営が第三分野に依存している程度の高い中小保険会社とか外国保険会社の商品の売り上げの急激な低下を招く、それが経営を非常に圧迫してしまうというようなことがないかどうかを見て審査するというふうに考えておるわけでございます。したがって、その範囲としては、第三分野と言われる傷害・介護・疾病、これが当たるというふうに考えておるわけでございます。
 それから、時期でございますけれども、保険審答申におきましても、段階的に、相互参入の実施時期及び方法について十分配慮することが適当であると書かれておりますので、第三分野に依存度の高い保険会社が、第三分野以外の生命保険とか損害保険の本来の分野におきまして、十分意欲を持った会社が事業展開をし得るような環境が整備される、つまり、自由化が進んでいくとそういった環境もだんだん整備されてくるわけでございますので、そういった環境が整った段階においては終了するということでございまして、現時点においてそれがいつまでだということを申し上げるのはちょっと困難であることを御理解いただきたいと思います。
#124
○北側委員 今のお話は、附則百二十一条で予定しているのは第三分野のすべての範囲で当分の間参入規制をするということなんでしょうか。第三分野のすべての商品について参入規制をするのです。
#125
○山口(公)政府委員 法律上対象となり得るのは、第三分野すべてでございます。
 実際にどうするかは、また……(北側委員「それをお聞きしているのです」と呼ぶ)それは、そこのどの部分に依存している会社がどれぐらいあって、それが収益のどれぐらいを依存しているかとか、そういったものを見ながら判断させていただきたいと思っているわけでございます。
#126
○北側委員 だから、この部分がこの法案のかなり骨格の部分なわけです。本体による相互参入をこの第三分野ではやりますよという骨格の部分の話なんです。その骨格の部分の話について、一体どの範囲でやっていこうとされているのか。
 もちろん、具体的に一つ一つ出せと言っているわけではなくて、ある程度の基準のようなものをこの委員会で出していただかないと、実際審議できないわけです。我々質問できないわけなんです。だから、この附則の百二十一条で考えている第三分野のどの範囲で参入規制をこの百二十一条を働かせてされようとされているのか、その辺の基準、方向性、そういうものはある程度具体的に出していただきたいと思います。
#127
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 保険審議会の四年六月の答申におきましても、「特に長期の疾病保険、短期の傷害保険等」云々という記述がありまして、そういったものを頭に置きながら考えていくということになろうかと思います。
#128
○北側委員 今おっしゃっているのは、長期の疾病保険、短期の傷害保険を例に挙げられたのですけれども、こういうものについては中小保険会社の依存度が高いから参入規制をしていくのだというお話だと思うのです。この辺をもう少しある程度、これは、例えば申請があったときに、また変更の届け出があったときに、その時点で一つ一つ判断するのだというのでは、結局大蔵省の裁量に任されているということになってしまいますから、ほとんど法律としては規定の意味をなさないわけなのです。結局大蔵省の裁量に任されているということになってしまいますから。そうではなくて、今おっしゃったように、長期の疾病保険、短期の傷害保険のような、ある程度の具体的な形で方向性を明示するということをぜひお願いしたいというふうに思います。
 ちょっと時間がないので、次の質問に入らせていただきます。
 今回、商品、料率について、届け出制の導入がなされております。法案の百二十二条です。本則の百二十三条一項ないし二項で規定がございます。この法案の百二十三条の一項の括弧書きで、ここも同じ言葉なのですが、「保険契約者等の保護に欠けるおそれが少ないものとして大蔵省令で定める事項」、これについては認可が要りませんよ、届け出でいいですよというふうに読めるわけでございます。ここも本法案のかなり骨格的な部分であるというふうに思うわけでございます。
 一方で、商品については多様なニーズにこたえて自由に商品開発ができるようにした方がいい、また料率の問題でいいますと、当該会社の経営努力、そういう経営効率がきちんと料率に反映をしてくるようにした方がいいよ、こういう自由化の要請と、一方で契約者を保護しなければいけない、こういう要請と、これをいかに調整するかという問題だと思うのですけれども、ここで言う大蔵省令で定める事項というものはどのようなものを想定されておられます。
#129
○山口(公)政府委員 商品や保険料率について、契約者保護に欠けるおそれが少ないものとして届け出制の対象として考えておりますものは、主として大企業を対象とする大口の企業物件とか国際的な取引に係る保険、さらに専門的知識を有する事業者等が契約者となる保険のようなものというふうに考えております。
 具体的にいろいろ申し上げさせていただきますと、今考えておりますものとして例えばで申し上げますと、生命保険商品についていいますと、年金福祉事業団保険、厚生年金基金保険、国民年金基金保険等の団体保険等についてそういったものの対象にす。それから、損害保険商品についていいますと、船舶、貨物及び航空の各保険、各種信用取引保険及び会社役員賠償責任保険などを考えているということでございます。
#130
○北側委員 それに関連しまして、損害保険の方の料卒算定制度についてお聞きをさせていただきます。
 今回この料率算定制度につきましても見直しかなされておりまして、一部自由度が高まっておるわけでございます。ここでも、付加保険料率とそれから純保険料率の合計値を基準にして、大蔵省令で定める範囲内のものについては、その営業保険料率について認可も届け出も要らないよというふうな形になっておりますし、またそもそもこの特定種目、すべての種目じゃございません、特定種目でございますので、契約者保護のため支障を生ずることがないと認められる種目というようになっているわけでございます。この大蔵省令で定める範囲内というのはどの程度の範囲を考えておられるのでしょうか。
#131
○山口(公)政府委員 特定料率に係る付加保険料卒に関しまして、保険の目的ごとに当該付加保険料率に係る特定料率について保険業法によるみなし認可の対象となる範囲を定める予定でございまして、具体的な内容につきましては、今後対象となる保険の目的ごとに認可も届け出も不要とすることが適当な範囲を検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
#132
○北側委員 それでは、生命保険募集人の一社専属制の問題についてお聞きをいたします。
 これは二百八十二条に規定があるわけでございますけれども、この二百八十二条では、一項、二項で原則的にこの一社専属制というのは維持をされておられるわけでございます。三項で、「保険募集に係る業務遂行能力その他の状況に照らして、保険契約者等の保護に欠けるおそれがないものとして政令で定める場合には、適用しない。」と一社専属制の例外を規定をされているわけでございます。この三項で言う「保険契約者等の保護に欠けるおそれがないものとして政令で定める場合」、この政令としてはどのようなものを想定されておられるわけでしょうか。
#133
○山口(公)政府委員 生命保険募集人の一社専属制の趣旨は、募集人の教育徹底と募集人の行為につき責任を負うべき会社を明確にすることによって保険契約者の保護を図ることでございます。
 他方、利用者の立場からいいますと、募集人が複数の会社の商品を取り扱えないことから利用者の商品選択の幅が制限されるのではないか、あるいは既存の販売チャネルの多様化、効率化が図られにくいのではないか、あるいは生損保兼営におけるクロスマーケティングを進めるに当たっての障害となるのではないか等の問題点があり、商品特性に応じた販売チャネルの多様化、効率化は利用者の立場、国民経済的見地から必要となっているわけでございます。
 そういった視点から一社専属制の例外に係る政令を考えてまいりたいと思っておりますけれども、保険契約者等の保護に欠けるおそれがない場合ということを具体的なイメージであえて申し上げさせていただきますと、まず保険募集に係る業務等に関して十分な専門知識及び経験を有しているということ、それから保険募集に係る業務を的確かつ公正に遂行するに必要な人的構成を有すること、それからさらにクロスマーケティングの視点から、親保険会社がバックアップしている当該代理店が生保代理店としての適正な業務遂行能力を有していることなど、具体的なイメージでいいますとそういったものを、まだ確定しているわけではございませんが、頭に入れつつ検討を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#134
○北側委員 特に子会社が親会社の販売網を利用するというのはやはり必要なことだと思いますし、この一社専属制というものを、逆にこれを強調する余り、販売チャネルが活用できないとか、また具体的にいいますと、損保の代理店なんかがやっている生命保険、これなんかを生命保険会社との関係で解約しなきゃいけないとか、そういうことのないようにしていただきたいというふうに思うわけでございます。
 最後に一点、質問をさせていただきます。
 今回、ブローカー制度が導入されるわけでございますけれども、このブローカー制度の導入というのは、ブローカーというのは中立性それから独立性を有しておるわけでございまして、一番の問題点は、従来の代理店等であれば、何かあったときは保険会社に責任を問えるわけでございますが、中立、独立性を有するブロー力ーにはそれが当然できないわけでございまして、契約者の保護の必要性、それへの配慮が必要であるわけでございます。
 このブローカーの資格でございますが、やはり経験それから知識等も私は必要であると思うわけでございますが、ブローカーの資格要件、またブローカーの登録要件、これをどのようにお考えかお聞きをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
#135
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 保険業法案におきましては、保険ブローカーにつきまして、登録制のもとで、保険募集に係る業務を的確に遂行するに足りる能力を持っておられない方には登録を認めないということにしておりますほかに、賠償資力の確保措置等、ブローカーに対するさまざまな行為規制や監督規定を設けておりまして、それによって契約者保護を十分図ってまいりたいと思っております。
 保険ブローカーの登録要件として書いてございます。務遂行能力の有無の判定に当たりましては、当該申請者が業務を的確に遂行するに足りる経験及び保険に関する知識を有しているかどうかを客観的基準により審査することになると思います。
 また、具体的に申し上げますと、保険業について一定水準以上の資格または知識を有し、一定期間以上保険業務に従事していることを一つの基準とすることが考えられます。また、将来、保険仲立人協会、保険ブローカー協会が設立された場合には、その協会が行う試験の結果や研修の修了を登録審査の際の一つの基準にするということも考えられるかと思います。
 ただ、余りそれだけにしていますと、外国のブローカーは入れないということになってしまいますので、外国で与えられた一定の資格を有し、一定期間以上ブローカー実務に従事していることを一つの基準とすることも考えていかなきゃいけないというふうに考えておるわけでございます。
#136
○北側委員 以上、終わります。
#137
○尾身委員長 次に、中村時広君。
#138
○中村(時)委員 新進党の中村時広でございます。
 私も、北側委員に続きまして、今回提案されております保険業法案、また若干その他の問題も時間があれば触れさせていただきたいと思いますので、関係各位の御答弁、よろしくお願いを申し上げます。
 まず初めに、極めて基本的なことからお伺いをさせていただきたいと思うわけであります。
 現行の保険制度は、昭和十四年に制定されました保険業法、それから昭和二十二年に制定されました保険募集の取締に関する法律、そしてまた、昭和二十四年制定の外国保険事業者に関する法律など、ほぼ半世紀前につくられたものにその根幹を置いております。その後多少の改正はあったのでしょうけれども、基本的な枠組みというものに関しましてはほとんど変わらないまま今日を迎えておるわけであります。
 一方、我が国の保険業界、この半世紀の推移を見てみますと、もちろん戦後間もないころはほぼゼロからのスタートを切るということになったわけでありますが、この半世紀の間に、これは平成五年の数字なんですが、生保は、契約高が二千二十一兆円、総資産が百六十九兆円、損保は、契約高が一京四千九百四十七兆円、総資産が二十八兆円という大変大きな産業として育って、世界でも一、二を争う保険産業へと成長したわけであります。
 この間、商品の面、これを見てみますと、例えば損保を例にとらせていただきますが、昭和二十五年の数字を見てみますと、いわゆる社名で出てくる火災保険、海上保険、この商品に占める比率が、昭和二十五年には実に九二%を占めていたようでございます。
 しかし、その後、自動車社会が進展することによって自動車保険が普及するとか、あるいは時代の流れの中で、去年ですか、PL保険なんかができましたけれども、ああいった新しい商品が開発されるとか、あるいはまた、先ほどから出ている第三分野、高齢化社会の到来ということも影響しているのでしょうけれども、介護保険や年金保険、こうしたものが急激に販売を伸ばす。こういう経緯をたどってくる中で、昭和二十五年には海上保険、火災保険、そのウエートが九二%だったものが、平成五年になりますと実に一七%まで下がってきているという、内容的にはかなり大幅な変化を生じているんだなということを感じるわけであります。
 基本的には、保険という制度は、自由主義経済と私的自治の原則のもとで、個人や企業に対する万一の不慮の事故の際の補償機能、あるいは年金のような資産の蓄積、すなわち貯蓄機能、あわせて法人企業あるいは国などの公共部門に必要な資金の提供を行う金融仲介機能などの役割を担っていくものでありますけれども、今の話のように、経済社会の変化に伴って保険産業も随分大きく変貌を遂げてきている。今後、経済社会はますます複雑多様化になってまいりましょうし、その一方で巨大なリスクも増大してくるでしょう。また、そういったことを考えますと、これらの機能をより一層強化し増大させていくことが我が国の今後の国民生活、国民経済にとって極めて重要であると思うわけであります。
 まず初めに、このあたりの基本的な考え方、すなわち現在の保険産業、保険事業をどのように位置づけられているのか、また今後のあり方、すなわち二十一世紀の保険産業のあるべき姿、ビジョンについてどうお考えになっているのか、大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。
#139
○武村国務大臣 今中村委員のおっしゃったことが、そのまま我が国経済社会における保険の役割と将来性を語っていただいているわけであります。繰り返す必要はないぐらい的確におっしゃっていただいたと私は思っております。
 量的に見ましても、既に例を挙げていただきましたように、昭和三十年と現在を比べましても、例えば生命保険で、加入件数二千百二十三万件から二億二千三百七十九万件、約十一倍にふえております。金額では八百七十七倍、総額百六十九兆千二百二十一億でございます。損害保険につきましては、加入件数は千四百八十六万件から三億四千七百四十七万件、約二十三倍にふえております。総資産では二十七兆六千三百八十六億円、約二百八十四倍の増ということであります。
 規模が端的に物語っておりますが、大変な拡大、発展を遂げてきております。生命保険は世界でも最大の保有契約高を示しておりますし、損害保険におきましても元受け収入保険料がアメリカに次いで二位の地位を占めるなど、大変大きな保険大国になってきているというふうに認識をいたします。保険の普及率という視点から見ましても、世界で最も高い国の一つだというふうに思います。
 我が国経済社会に占める保険の役割は、こうして飛躍的な発展をしてきております。国民生活の向上、安定、国民経済の発展に大きな役割を担っているところでありますし、また保険事業の資産運用の急速な拡大が金融仲介機能という側面からも大変大きな役割を担っていただいております。
 こうした保険会社の社会的役割は今後ともますます大きくなっていくものと期待されます。おっしゃるように、リスクの面もそうでありますが、今回の改正は、そうした保険会社に課せられた社会的役割をさらに十分に発揮できるように、保険事業を取り巻く環境の変化に対応した新たな社会に対応する全面的な見直しを行おうとするものでございます。
#140
○中村(時)委員 もう一つ、ちょっと基本的なことをお伺いしておきたいのですが、先ほど巨大リスクという言葉を使わせていただきましたけれども、生命保険の場合は、相手が個人でありますから巨大リスクの発生というのはそんなに考えなくてもいいのだろうなというふうに思うわけでありますけれども、損害保険の場合は、例えば原子力発電所もあるでしょうし、石油コンビナートもあるでしょうし、あるいはジャンボジェット機なんかでも対象に入ってくるでしょうし、こういう極めて大きな、巨大リスクの引き受けという問題が生じてくると思うのです。
 これは前にちょっと資料を調べてきたのですが、例えばジャンボジェット機の場合、どうなのだろう。これは一機で大体二百億円ぐらいかかるそうであります。もしこれが事故を起こして、あってはいけないことですけれども、五百人ぐらい搭乗できますから、全員が被害を受けたとす。そうすると、乗客に対する補償というのが大体四百億円から五百億円。したがって、例えば空中でジャンボジェット機なんかがもし衝突なんかしてしまったら、瞬時に一千億円にも上る保険金支払い義務というものが生じてくる。大変な金額であります。
 ところが、損保会社の事業損益を見てみますと、これは平成五年の数字でありますが、全二十五社で合計七百六十五億円。一社当たりに直しますと三十億円ぐらいでしょう。一番大きいところでも三百七十億円ぐらいでありますから、こんな莫大な巨大リスクを本当に引き受けることができるのだろうかという疑問が生じてくるわけであります。
 したがって、このような巨大リスクに対して補償を万全なものにしておくということは、言いかえれば、我が国の基幹産業の抱えるリスクを保険会社がきちっと補償できるような枠組みをつくっておくということは、我が国の産業の存立にかかわるような重要な問題だろうというふうに思うのです。
 つきましては、こうした保険会社の補償機能の提供、とりわけ今申させていただきました巨大リスクの引き受けへの対応についてどういうふうな手当てをされているのか、そのあたりをちょっとお伺いできますでしょうか。
#141
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 各損害保険会社におきましては、保険金の支払いが確実に行えますように責任準備金の積み立てを行っておりますほか、異常災害が生じた場合に備えまして、異常危険準備金の繰り入れ及び再保険による危険分散を行っているところでございます。このように、巨大なリスクに対応して、資本金以外に十分な準備金を積み立てておりまして、今御心配いただきましたような問題が生じないように万全を期しているところでございます。
 二十三社ベースで元受け会社の計数を申し上げますと、資本金で六千百九十二億円、自己資本の合計で二兆四千三百四十二億円、責任準備金が二十一兆百十九億円ということで、そういったリスクに対応しようということで各社が頑張ってくれているところでございます。
#142
○中村(時)委員 例えば極めて大きな巨大リスクを抱える案件に対して、数社にまたがった共同引き受けというような問題というのはどうなのでしょうか。
#143
○山口(公)政府委員 御指摘のとおり、そういったケースもございます。
#144
○中村(時)委員 よくわかりました。それでは各論に入らせていただきたいと思います。
 まず初めに、日本損害保険協会それから生命保険協会と、外国保険会社の関係についてお伺いをしたいと思います。
 これはそれぞれ若干いきさつが違うようであります。生命保険協会の場合は、昭和四十八年に既に外国保険会社の加盟を認める仕組みになっております。しかし、一方で損害保険協会につきましては、昨年の一月までは外国保険会社の加入は認めておりませんでした。本邦におきましては、外国保険協会と日本損害保険協会が両立てになっていたように思います。
 それはどうしてこんなに違うのかなと思ったのですが、いろいろお聞きしてみますと、生命保険の場合は外国の支店、本邦への支店進出が二社ぐらいしかない、損保の場合は実に三十社に上っている、こういったものも一つありましょう。また、生保の場合は対象が個人でありますからそんなに違いがないという、一緒にやりやすいという状況もあるのでしょう。一方、損保の場合は対象が企業、外国の場合は企業が中心になると思いますので、特殊性だとか専門分野が要求されますので非常に違いが明確になってくる。
 そういう性格も含めて、なかなか一緒にできるという体制が整わなかったのかな、そんなふうに思うわけであります。ただ、これが日米包括経済協議におきましても、アメリカから見れば外国企業を締め出す。界団体の存在だ、閉鎖的な日本市場の象徴と映ったようでありまして、これらに対する加入問題が焦点の一つになっていたわけであります。
 損保協会は、先ほどお話ししましたけれども、昨年の一月に定款を変更いたしまして外国会社の加盟に向けて環境を整えております。去年一社外国保険会社の加盟申請がなされたというふうな話もお聞きしたのですが、現在どういう状況になっているのか、お伺いをいたしたいと思います。
#145
○山口(公)政府委員 生保協会、損保協会それぞれについて申し上げますと、生保協会には現在、外国人のみを相手にします特別な保険会社を除きまして、支店形態及び現地法人形態を問わず、すべての外国生命保険事業者が加入しております。損保協会におきましては、御指摘がございましたように、現地法人形態のものはすべて加入していただいておりますが、支店形態につきましても本年の四月一日付で一社が加入されたと聞いております。
#146
○中村(時)委員 アメリカからの要望もあった。加盟の環境も整えた。にもかかわらず何で一社なんです。そのあたりをお伺いしたいのです。
#147
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 私もその辺の経緯を余りよく知らないのでございますけれども、いずれにせよ、損保協会にそういう定款で入れないということ自体が問題であるというふうにされたようでございまして、そういう事柄が問題になったのではないかというふうに考えております。この点については非常に速やかに損保協会に対応していただきまして、その限りにおいてはアメリカ側からも全く不満はないわけでございます。
 私も正直言ってたくさんの会社がどっとお入りになるのかと思いましたけれども、それぞれのいろいろなお考えがございますでしょうし、任意の加盟の団体でございますので、今はそういう形になっているというふうでございます。
#148
○中村(時)委員 僕はちょっとよくわからないのですが、国際化、自由化というものがテーマになっている今回の改正の中で、こうした協会、今は二本立てになっていますよね、一社は入ったけれども。将来的にはどうなのでしょうか。これは一緒にやっていただいた方がいいのか、それともそれは別に大した問題じゃないよということでいいのか、そのあたり、ちょっと御意見をお伺いさせていただけますでしょうか。
#149
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 日米交渉の当事者をやった経験からいいますと、軽々にその点につきましてコメントをいたしますと、またもう一回日米交渉を始めなきゃいけないということになりかねませんので、任意団体でもございますし、それぞれのメリット、デメリットをよく勘案しながら、お入りいただくかあるいは既存の団体のままとどまるかということ、いずれでもそれは構わないことだと思いますが、できる限り国内の保険会社と外国の保険会社がいろいろな場で交流を深めていただく、あるいは参加していただいて、より緊密な関係をつくっていただくということは、これはだれが見ても非常に好ましいことだというふうに思うわけでございます。
#150
○中村(時)委員 それでは、ちょっと話がずれちゃうのですが、ついでにほかのも調べてみたら、日本証券業協会というのは昭和四十七年から外国会社の加入を認めている。ただ、何と全国銀行協会連合会は今でも、この時点でも外国会社の加盟を認めていないという状況になっているのです。ちょっと保険の話からずれてしまうのですけれども、この全国銀行協会連合会の現状というのはこれはどうなのですかね。このままでいいのでしょうか。
#151
○山口(公)政府委員 御指摘のように外国銀行が全国銀行協会に入っていないということは事実でございます。
 全銀協、すなわち全国銀行協会連合会は、東京銀行協会など全国各地の銀行協会、これは七十二ございますが、これを会員としておるわけでございますが、この各地の銀行協会の規約を見ますと、外国銀行が加入できないという規定にはなっておりませんので、これは加入を妨げているとは考えておりません。
 したがいまして、外国銀行が加入していないことは事実でございますけれども、これは個別銀行の判断に基づくものだというふうに思っております。
#152
○中村(時)委員 よくわかりました。
 それでは、続きまして一社専属制の一部緩和の問題についてお尋ねしたいと思います。
 先般、参考人に質疑が行われましたけれども、予想どおり、この一社専属制の緩和については生保業界、損保業界、若干意見を異にしているなという印象を持たせていただきました。
 そこで、まず生保の内部の方からお聞きしたいのですが、生保の中の割と大手なんかは自前の営業職員を中心にしたというか、それ専用の販売形態をとって営業活動をしているようでありますけれども、逆に中小の中に、どういういきさつかは僕もわかりませんけれども、営業職員ではなくて代理店に頼った販売形態をとっているところが見受けられるような気がするのです。
 ぞれはそれぞれ過去のいきさつもあるでしょうし、そのいきさつの中で、営業職員の方がコストも安いしあるいは便利だというふうな思いを持っている会社もいるし、逆に代理店の方がコストが安いんだというふうな立場の会社もいるから、一概にどっちがいいということは言えないのですが、どちらかというと、その業界の秩序を守るために、中小が代理店でやっているのだったら大手は営業職員中心でいこうというような、業界内の暗黙の、いい意味での助け合い精神みたいなものが長年の間底流にあったような感じもするのです。そのあたりの実態というのはどうなのでしょうか。
#153
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 生命保険会社の代理店の設置につきましては、御指摘のとおり、生命保険会社の経営判断だろうというふうに思っております。
 また、教育管理とかコストの面で、営業職員中心でやるのか代理店でやるのかというのは一長一短があるというふうに思いますので、その点から、営業職員中心の会社、それから募集代理店中心の会社、それから営業職員と代理店を併用するという三つのように分かれているというのは御指摘のとおりでございます。
 このような中で、大手の生保会社につきまして特に長い歴史がございまして、昭和二十年代の前半は外地の引揚者の方々を大量採用して外務員として育てていった。それで二十年代後半になりますと、戦争未亡人になられた方々を女性外務員として採用して販売組織の主力に位置づけたとか、いろいろな長い歴史がございます。それで培った自分の会社の販売チャネルというのがありまして、そういったそれぞれの販売戦略がそのメインになっているというふうに私どもは思っておるわけでございます。
#154
○中村(時)委員 過去のいきさつからそういうすみ分けが業界内にできていたという結果になっていたと思うのです。ところが、今度子会社方式による生損保の相互参入が認められてまいりますと、今度は損保の側に立った場合は、これはずっと代理店で営業をやってきておりますから、この代理店を自由に使わなければクロスマーケティングの意味がない、これはもうよくよくわかることであります。
 そこで、ちょっとお伺いをしたいことが一点あるのですが、今までは生保業界の内部だけの話で済みましたから過去のいきさつからすみ分けがきちっとなされていた。だから代理店を中心に営業活動をしている中小の生保は余り心配することはなかったのだと思いますけれども、損保は相互参入になるとこれは認めてもらわないと困る、これも正しい主張だと思います。それで、それが認められた場合、今度は生保だけでの話じゃなくなってまいりますから、中小の生保に影響は出るのか出ないのかということをどうとらえられているのか、お伺いさせていただきたいと思います。
#155
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 生損保の相互参入によりまして競争の促進が図られ、利用者利便の向上に資するということを期待しておるわけでございますが、この中で、中小生保会社は今後とも経営基盤の強化に一層努めるとともに、各社がその特色を生かしてきめ細かく利用者のニーズに対応していただくことが必要になるというふうに考えておるわけでございます。
 一方、生命保険募集に係る一社専属制につきましては、保険募集に係る業務遂行能力その他の状況に照らして、保険契約者等の保護に欠けるおそれがない場合にはその例外として乗り合いを認めるということにしておりますけれども、現在の、代理店で展開している生保への影響というものが全くないのかというと、それは御指摘のように影響がないとは言い切れないというふうに思うわけでございます。
 ただ、先生の御指摘あるいは御心配は、乗り合いが認められない場合には、場合によっては既存の生保会社の代理店の委託契約が解除されて子供生保会社の代理店としてしまうということがあるのではないかということの御心配を御懸念されているという御指摘かと思いますけれども、これにつきましては、御指摘のような中小生保会社の経営の健全性に配慮する必要があるということと、もう一つは逆に、損保の生保子会社の親会社の販売チャネルを活用するといういわゆるクロスマーケティング、このバランスを十分とって、今後募集の実態をよく把握した上で慎重に対応してまいりたいというふうに考えております。
#156
○中村(時)委員 混乱のないようにぜひ見きわめていただきたいと思います。
 次に同じょうに、相互参入をいたしますと、損保業界からすれば生保業界は新しい市場であり、生保業界からすれば損保業界は新しい市場であるわけでありますけれども、新しい市場に乗り込むと、通常、企業はいろいろなつてを頼って営業活動を展開し実績を上げよう、これは当然企業の論理ですからそういう方向に走っていくと思います。
 その中で、いろいろなってというもので、いろいろな方法があると思うのですけれども、例えば資本関係がある先をターゲットにしてどんどん侵食していくとか、そういうことも実際起こり得るのかなという気がするのですが、その点の見通しはどうとらえられておりますでしょうか。
#157
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 生損保の相互参入後の営業戦略といいますのは各社の経営判断の問題でありまして、現時点でどのような展開になるかということは不明でございますけれども、一般論で申し上げますと、生命保険商品の販売は大体個人向けでございまして、法人向けと言われるものについてもほとんどが資本関係とは関係なく、単に株式を持っているとか、いわゆる系列と称する企業集団を利用した安易な販売は行っていないというふうに思っております。
 したがいまして、主として営業職員及び代理店を通じた営業努力によって行われておって、系列、資本関係を利用した販売、それだけを頼って販売することはないというふうに考えておりますが、ただ、万一そういったものが余りにも横行したりするということであれば、それはやはり問題であろうというふうに思っております。
#158
○中村(時)委員 それでは次に、保険ブローカー制度の保証金供託制度についてお伺いいたします。
 この問題は一回質問もさせていただいているのですが、意図する御答弁をいただけなかったので、ここでもう一度取り上げさせていただきたいと思います。
 ブローカー制度、我が国にとっては初めて導入する販売チャネルでありますし、また代理店と違って、契約者からすればその責任を保険会社に追求できる業種ではない、ブローカーにしか追及できないというような性格を持っておりますから、契約者保護という観点からも十分に細心の注意を払わなければならないわけであります。
 そこで一番の問題というのは、先ほどもちらっと出ておりましたが、賠償責任体制の整備、賠償資力の確保ということになってくるわけであります。この賠償資力の確保という点については、供託金制度を設けて、これによって対応されておりますけれども、これは前にもお尋ねさせていただいたのですが、要は、ブローカーが保険会社と賠償責任保険を締結した場合は、その保険金の額をもって保証金の一部とすることができるとする、いわば供託金と保険金の組み合わせで整備を図る内容となっております。
 そこで問題になるのが、仮にブローカーサイドの重大な過失あるいは故意に起因した損害が発生したとき、賠償責任保険契約上この行為が免責事由に相当した場合、保険金の支払われないケースも当然これは起こり得るわけであります。
 そこでお伺いしたいのは、その場合、契約者が受ける損失が残りの保証金だけでは足りないとした場合、その足りない分というのは一体どうなるのかということであります。いわば国が登録責任者でありますから、その立場でもって足らざるところを補うのか、それとも、いやそれは契約者の自己責任だということで片づけられるのか、ここの部分をお聞きしたいのです。その点、お伺いできますでしょうか。
#159
○山口(公)政府委員 今御指摘いただきましたように、保険ブローカーが保険契約者に対して損害を与えたことによる賠償責任義務を負う場合に備えまして、いろいろ保険ブローカーに対しまして業務の状況及び保険契約者等の保護を考慮して定めた保証金の供託を義務づけるとともに、その一部の代替として賠償責任保険契約の締結を認めるという形にいたしたいというふうに思っておりますが、確かに賠償責任保険の場合はそういった免責という問題がございます。したがいまして、全部保証金にしてしまうというのも一つの考え方ではございますが、諸外国の例等を見ますと、大体賠償責任保険で担保をしているわけでございます。
 ただ、それだけでいいのかといいますと、やはりそこには保証金としての供託というのもあった方がいいのではないかという考えで、原則は供託で、一部代替できるという形にしておるわけでございますが、今先生の御心配になるようなことのないように、保証金の金額をどの程度にするのかということを決めなければいけないんだと思うのですが、ただ、余りこれを高くしてしまいますと、外国でさえこんな制度なのに、何で日本はまた入れさせないためにこういうことをやっているのかということになるわけでございます。
 それで、純粋な法律論で言いますとそこは自己責任の世界ではありますけれども、ただ自己責任とはいっても、新しい制度を導入する以上はやはりブローカーに損害を受けたということがない方がそれはいいわけですので、その辺の絡みを考えて、契約者のためにどれくらい必要だろうか、それも供託金の形でどれくらいで保険の形でどれくらいか、それが今度また諸外国から見た場合に参入障壁というふうに映らないか、その辺を十分に勘案しながら検討してまいりたいというふうに思っております。貴重な御指摘だと考えております。
#160
○中村(時)委員 御理解いただいているのであれば十分でありますので、この点は契約者の保護の観点から本当に極めて重要だと思います。ぜひとも引き続き御検討いただきまして、契約者保護の観点に欠けることのないような整備を行っていただきたいということを強く要望をさせていただきたいと思います。
 次に、今回経営に対するチェック機能の強化がいろいろと盛りまれておりますが、その中で特に相互会社に関しては随分と多くの変更がされているようであります。社員総代の権限の問題であるとか少数社員権と少数総代権についても現実的な数字に見直されているようであります。さらにはその中で、相互会社社員の代表訴権単独権化という問題も手をつけられているようでございますが、これは非常に経営者に緊張感を与えることになるのではないかと思います。例えば取締役に対する違法行為差しとめ請求権が単独権化されるわけでありますから、これによって契約者はだれでも取締役の責任追及ができるということにもなるわけでありますから、これは経営者にとっては大変な変更点ではなかろうかと思うのです。
 それはむしろ好ましいというふうに私は思いますが、ただ、心配なのは乱訴という問題が生じてくるおそれはないのだろうかという点でございます。まあ商法が準用されますので、恣意的あるいは材料がないようなむちゃくちゃなものについては担保提供するとか、いろんな商法の絡みのくくりがかかればそれも防げるのかなという気もしないではないですが、この点についての懸念はないのかお伺いをしたいと思います。
#161
○山口(公)政府委員 相互会社におきます代表訴訟につきましては、現行法をごらん賜りますと、百分の三以上の社員が訴訟を提起できるという少数社員権という形になってございます。社員数が膨大である現在におきましては、百分の三の人を集めるというのは大変な数でございますので、行使が非常に困難な状況にあるということでございます。それで、今御指摘いただきました経営チェックの充実の観点から、商法や信金法等の他業態にもならいまして単独権化いたしたわけでございます。
 問題は、御指摘のとおり乱訴の防止でございます。この辺につきましては法務省とも随分お話をさせていただきましたけれども、相互会社に係る代表訴訟の乱訴防止策としては、株式会社と同様に、六カ月引き続いて社員であることの要件、あるいは悪意の訴訟提起に対する担保提供の申し立ての規定を整備しているところでございます。
 最近の状況を申し上げますと、今申し上げた条項及び商法の二百六十七条五項、六項の悪意の訴訟提起に関する担保提供の申し立てという乱訴防止策につきましては、最近は、契約者が経営者に対する嫌がらせを目的としたような代表訴訟の提起につきましては裁判所が担保提供を命じた例がふえてきておりまして、かなり実効性が上がってきているのだというふうに認識しております。
#162
○中村(時)委員 次に、契約者保護基金制度についてお伺いをいたしたいと思います。
 これは、委員会で参考人の方々からの意見聴取でいろいろと出ておりましたが、まず、先ほど若干質問が出ておりましたけれども、この基金は任意団体でありますから、入るも自由、出るも自由であります。入っているということを明確に契約者に示せるということをきちっとすれば恐らく入るというインセンティブは強く働くんだろうというふうに思いますが、このあたりどういうふうに御指導をされているのか、何かこう目に見えてわかりやすい形で契約者に示せるような手段というものをもうお考えなのかどうか。
#163
○山口(公)政府委員 保険契約者保護基金は加入者の名簿を作成し、公衆の縦覧に供しなければならないという規定を置かせていただいております。第二百六十条第三項でございます。したがいまして、保険会社が保険契約者保護基金に加入しているか否かはそれで明らかになると考えております。
 それで、一般の方々といいますか保険契約に入ろうとするような方々にそれが示されるかどうかにつきましては、今後の検討課題ではございますが、募集の際のパンフレットに基金に加入していること自体を記入しても差し支えはないんではないか。ただ、それをもって募集を有利に運ぶというようなことは、これは余りましいことではない、絶対大丈夫ですというようなことをそれでもって言うようなことは本来の保険募集からいうとちょっと筋が違うかなというふうに考えております。
#164
○中村(時)委員 それから、この点について一番大きな問題は、事前に資金を積み立てておくべきなのか事後に拠出すれば事足りるのかという点にあろうかと思いますが、この前の参考人の方々の御意見をお聞きしますと、例えば櫻井さんは「どちらかといえば事後拠出を基本に検討していくのではないかな、こういった考え方に今立っておるわけであります。」こういうふうにおっしゃっております。河野参考人も「現実に破綻が起きた後で負担金を拠出する方法を考えております。」と。いわば生損保両方とも事後拠出に重点を置いた方向で進んでいるのかなというふうにも聞き取れるようなお話でありました。
 これはバランスが非常に難しいと思うんですけれども、ぱっと考えますと、当然これは、お金があれば事前に十分な積み立てが行われる方が好ましいというふうな気もするんですが、現実問題、そこまでの拠出金を出せる体力、余力が今あるのかどうかという問題もありますし期間的な問題もありますから、要はそのバランスの問題だと思うんです。このあたり、事後拠出、事前拠出、どちらかということは言えないかもしれないのですけれども、バランスをどの程度にとるのが望ましいとかというお考えがあればお示しいただきたいと思います。
#165
○山口(公)政府委員 保険契約者保護基金に対する負担金の拠出の形でございますが、おっしゃられるとおり、事前積み立てという考え方も十分成り立つわけでございます、事後拠出という考え方も十分成り立つわけでございます。
 事後拠出の形をとる場合は、積立金の資産運用の組織を新たにつくる必要はないというようなことで、基金そのものより、当座でございますけれども簡素な組織とすることが可能であるという利点もあるわけでございます。事前の方が確実であるとかいう考え方ももちろんあるかと思います。諸外国の例を見ますと、支払い保証基金というものを置いている国が多うございますが、これも事後拠出をとっているのが一般的なようでございます。
 いずれにせよ、保険業界におきまして今鋭意御検討いただいておるところでございます。
#166
○中村(時)委員 そこで、再度重ねてお願いなんですが、事前拠出、事後拠出、外国の例を見れば事後拠出の例が多い、事前積み立てというのは少ないようなお話でありましたけれども、それは事前積み立てがゼロということはないと思うんです。
 ですから、ゼロでない以上は、出しやすい環境をつくってあげるというのも必要な事柄でありまして、前の質問のときに、今回は公益法人でありますから、特殊法人と違って、この事前積み立てについては税の世界でいえばこれは寄附金認定されてしまいます、だから積み立てがしやすいように、公益法人であっても事前積み立てについてはこの場合損金認定がなされるような租税の特別措置をとるべきではないかというふうな質問をさせていただきましたが、検討するという御答弁をいただいておりますけれども、その検討するの前に前向きにというのをつけてお答えいただけないでしょうか、お伺いをいたします。
#167
○小川(是)政府委員 税制上の負担金の取り扱いにつきましては、つまるところ、今お話のございました新たに設けられる保険契約者保護基金というものが性格的にどういうふうに位置づけられるかというところにかかってまいるわけでございますから、それによって、しかるべく経費性が認定されるものであればそれはそれで損金であるということになるわけでございますし、それが留保的であったりあるいは事前的なタマリになるといったような性格になります。簡単にそういうふうにはできないということになるわけでございますから、いずれにいたしましても、この仕組み、制度といったようなものを十分御検討いただいた上で私ども税制としても検討をしてまいりたいと思うわけでございます。
#168
○中村(時)委員 内容が、これは契約者保護、この問題も契約者保護の制度でありますから、ぜひともその点は勘案いただきまして、前向きに検討をしていただきますように御要望をさせていただきます。
 もう一つ、今回この基金制度は公益法人の形態をとっておりますが、将来的にもこのままいくのでしょうか。例えば特殊法人、銀行の預金保険機構みたいな特殊法人の形態も議論の過程の中であったんじゃないかなという気もしないではないのですが、特殊法人になりますと、これは行政改革の面からいえば後ろ向きというふうなことにもなりかねない、こういう今の社会環境もございます。ただ、特殊法人の場合は日銀の公的融資が後ろ盾になるとか、大変な違いがあるわけですよね。
 本当にこのまま、公益法人のままでいいのか、それともこれはあくまでもベストとは言えない、本当はもっとベターなものがあるのだけれども、もうちょっと時期を見るんだという考えで今回ここに落ちついているのか、あるいはもっと言えば、保険会社というのは一種特殊な業態でありますから、もしもの場合、通常の会社更生法じゃなくて、保険業界専門の会社更生法なんかも検討していくようなことも視野に入れていらっしゃるのか、そのあたりの危機管理といいましょうか、御意見があればお伺いしたいと思います。
#169
○山口(公)政府委員 保険契約者保護基金を特殊法人あるいは特別法人あるいは認可法人にするというような考え方も当然あり得たわけでございますけれども、今御指摘いただきましたように、行政改革の趣旨等の関係でいかがかという問題、それから、そうしますと基金の組織や運営が国の厳しい監督下に置かれて保険業界の自主性の問題はどうするのかという問題、それから他業態の相互援助制度も任意の形態をとっている例が多いというようなことで、今回はそういった形をせずに公益法人、場合によっては協会でやっていただくというようなことを考えたわけでございます。
 今後の問題としまして、法律がもしお認めいただいて施行されましたら、支払い保証機能を持つ組織、これは当然強制加入ということになるわけですけれども、そういったものを検討を始めたいというふうに思っております。これは預金保険機構的なものと言えば言えるのですけれども、預金と違って保険の場合、ちょっとニュアンスの違いというのもあるわけでございます。
 そういったものを検討し、より安全ネットを適切なものにしていくというふうに考えていきたいと思っておりますが、もしそういった制度が必要でありまたそういう制度を創設するということになりますと、その際には、形態は公益法人ではなくて特殊法人とか特別法人とか認可法人というような非常に規制色の強い形態になっていくものというふうに考えております。
#170
○中村(時)委員 保険業法関係はこれで終わらせていただきまして、残りも若干ですけれども、円高問題について触れさせていただきたいと思います。大蔵大臣、よろしいです。
 午前中も円高問題について幾つか質問が出ておりました。その中で、円高の正体というのは一体何なんだということを最初に解明するのが一番大事だというような御質問もありましたけれども、これはまさしく同意見でございます。
 そこで、いろいろな御意見が出ておりました。貿易収支であるとか、金利であるとか、経済力指数であるとか、株価であるとか、あるいは思惑的要素であるとか、こういったものが複雑に絡み合って円高の原因になっているということでありますが、ちょっともう少しマクロで見ていきたいと思うのです。
 いわば円高の出発点というのは十年前にさかのぼるような気がするのです。経済大国として成長してきた日本に他国にないような貿易黒字がどんどんたまっていく。その数字を見ながら、各国は羨望のまなざしを向ける中で、ひとり勝ちは許さないぞというような国際的な世論というものが起こってくる。それがプラザ合意につながって、円高が本格的に進展を始めた。あのとき、たしか二百二十円から二百四十円ぐらいの為替相場であったと記憶しておるのですが、プラザ合意を受けて瞬間的に百七十円まで一気に突入したような記憶がございます。これが第一弾。
 しかし、そのとき、輸出関連産業は、本来であれば収入の目減りを吸収するために製品の値上げをするということが通常とるべき道でありましたけれども、そうではなくて、企業努力にその力を向けて、コストの削減、下請へのしわ寄せ等々を通じて値上げをすることなしにこの円高を乗り切った。結果として、販売価格が変わりませんから、円高にはなったのだけれども黒字は減らないという現象が起こった。
 そこで、次のステップが、どうも円高になっても変わらないのだったらこれは内部的な問題だ、外科手術が必要だということで、五年前の日米構造協議につながっていく、こういう過程を経てきたと思います。構造協議を通じましても、いろいろな改革が行われたのだけれども、日本社会の独特の商売の形態であるとか、こうしたものが高い壁になってやはり黒字の改善は行われなかった。
 今度は、外科手術がだめだったのだから内科手術に期待した。いわば日本の自助努力に期待した。それが規制緩和ではなかったかと私は思うのです、その規制緩和の推移というものをじっと見詰める中で、余り期待できないなというようなのが率直な外国の印象であったのかな。それを受けてから、ことし、急激な円高が始まったような節がある。
 ですから、市場の底流あるいは思惑的要素と言われましたけれども、その底流にはこうした貿易黒字の問題が明らかにあるのではないかという感じがしないでもない。そうすると、今回の円高を根本的に変えるためには、やはり目が向けられていた規制緩和の成否にかかっているのではないだろうかというふうな思いがするわけでありますが、大蔵大臣、いかがでありましょうか。
#171
○武村国務大臣 午前中の議論で必ずしも意見が一致したわけではなかったわけでありますが、山本委員のおっしゃりたいのは金利差が基本であるという御認識があったようであります。したがって、円高対策として内需の拡大、特にそのために財政出動をすれば逆に円高になる、確かにこういう理論が学者の中にもあるわけです。財政出動をすれば、もちろん国債を発行するということが金利を上げるという見方もありますし、景気が拡大すれば当然需要がふえますから金利が上がる、そういう意味で円高の誘因になる。しかしまた、物の面から見れば、財政出動によって内需が拡大されれば輸入が拡大する、したがって経常収支が減る、こういう論理もあるわけで、必ずしも明快な、現実に当てはまる理論とも言えない嫌いもあるわけであります。
 今、規制緩和が基本ではないかという御指摘がございました。これは、私も大変大事な点を御指摘いただいているという意味では共感をいたします。これがすべてとは確かに言えませんが、政府自身も、内需の振興と、あるいは輸入の拡大と、あるいは経済構造の改革等々と並んで、柱の一つとして規制緩和が円高対策の柱であるという認識を持っていることは事実でございます。
 特に、外国のマスコミや要人と会いますと、あけすけであったり、遠慮がちであったり、さまざまでありますが、とにかく日本の市場を開放してください、日本の市場を開放していませんね、いろいろな規制で縛っていますね、そういう見方がまだ色濃くあることは認めざるを得ません。
 我々は随分開放してきたし、いろいろな面で、関税などの障壁になればもうほとんど差がないというふうにも自負するところでありますが、しかし、それでも外国の物資が入ってくるためにはいろいろな壁があることを否定するわけにいきません。
 ある意味では、政府、行政が持っている法律等による規制を超えて、たとえその規制はなくなったとしても、日本社会の二千年、三千年の歴史の中で我々が有形無形に宿しているそういう体質といいますか、あるいは物の考え方といいますか、人間関係といいますか、そういうものも含めて彼らは日本市場の特異性ということを指摘をしているのではないか。
 そうなると大変根の深い話になってまいりますから、それを全部規制という言い方でとらえたときには、容易に、西洋と同じような物の考え方をする日本社会をつくっていくということは、これはむしろできないし、すべきでないという意見も当然あるわけで、どこまでいわゆる規制緩和でやれるかはともかく、まだ足りない面は政府が率先して市場開放のための規制緩和に精いっぱい努力をしていかなければいけない大変大事な柱だという認識を持ちます。
#172
○中村(時)委員 時間ももうありませんので、最後に一点だけ。もう一つ円高対策として、短期的な問題ですけれども、できることでもありますし、ぜひ力を入れていただきたいのが円高差益の還元の問題であります。
 これは、今年度の政府見通しによる輸出金額は四千百六十億ドル、輸入は二千七百六十億ドル、貿易収支の黒字は千四百億ドル、こういうふうな見通しをされているそうであります。この千四百億ドル、この部分がそっくり差損をこうむるわけではないわけでありまして、なぜならば、輸出の約四割、輸入の約二割はもう現在商売の中においてはドル建てではなくて円建てで決済をされておりますから、その分を除いた黒字ということになりますと二百八十億円ぐらいにしかすぎないということになるのです。
 このことは、円高差益が十分還元されていれば、マクロベースで見る限り円高の衝撃は極めて軽微にとどまる可能性もあるというようなことを意味しているようにも思えるわけであります。すなわち、きっちりきっちりと円高差益を還元していけば、ある程度、短期的には乗り切れる可能性が十分にあるというあかしでもあろうと思うわけでありまして、ぜひともこの円高差益還元については緊急にかつ大変力強く推し進めていただきたい、このことをお願いを申し上げる次第でございます。
 御意見をお伺いし、そして最後に、これは提案なのですが、どうも最近、新聞を見ておりますと、私ども政治家すべて、政府も含めて、円高に対する認識が甘いのではないかというような声が国民の中でほうふつとして沸き起こっております。そのことを、そうじゃないんだ、常に我々は円高を意識して、円高で苦しんでいる方々の痛みもわかっているんだということを身をもって知るいい手段があるのですが、検討していただけたらと思います。
 それは、総理、大蔵大臣、大臣、場合によっては国会議員の歳費をドル建てで支給するということであります。ただし、そのときに使うレートは、もちろん大蔵大臣は予算等の責任者でありますから予算のベースになっている為替レート百五円、総理は最高責任者でありますから百十円、大臣級は百円、国会議員は九十円ぐらいのレートを使ってドル・ベースで歳費を支給するということも視野に入れて検討されてはいかがなものかということを指摘させていただきつつ、質問を終わりたいと思います。
#173
○武村国務大臣 最後の提案は、ユニークな提案として承りました。
 やはり円の国際化という視点も大変大事だと思います。あわせて、おっしゃるように円高差益がどう浸透していくか、日本の経済社会に還元されていくかという問題も大変大事なテーマだと思います。円高の、特に短期的な被害に対する対策をしっかり講ずることが基本でありますが、もちろん円高はメリットもあるわけでございますし、円高に強い経済をさまざまな側面から考えていくことも大事だと思っております。
 御提案も含めて、そういう努力にぜひ精進をしていかなければならないと思います。ありがとうございました。
#174
○中村(時)委員 終わります。ありがとうございました。
#175
○尾身委員長 次に、中田宏君。
#176
○中田委員 新進党の中田宏でございます。
 私も保険業法の今回の改正、御質問時間を一時間ちょうだいをいたしておりますので、お聞かせをいただきたいと思います。
 その前に、大蔵大臣の簡単な所見をぜひお伺いをしたいということが一点ございます。
 それは何かと申しますと、例の協和、安全の二信組問題の件でありますけれども、私も先月、大蔵委員会、そして本会議場でも大蔵大臣にお聞かせをいただきました。その際に、東京都がもしも大蔵省、日銀のつくったスキームに沿えずに、残念ながら東京都はお金を出資しないというふうになった場合、果たしてどういうふうにお考えなのかというようなことを幾つか角度を変えて、機会も何回からょうだいをしてお聞かせをいただいたわけでありますが、その際、本会議においても、そして大蔵委員会におきましても、大蔵大臣そして総理もそうでしたけれども、そういうことはあり得ない、必ず東京都は出資をすると信じている、こういう言い方でございました。
 しかしながら、東京都知事選挙の結果を見、そして、その後の青島新知事の発言を聞いてみても、どうも大蔵大臣がおっしゃっていた。期待をしているとは全く違う方向に進みつつある、そういうふうに思えるわけであります。
 この点につきまして、そういうことはあり得ない、こうおっしゃっていた大蔵大臣でありますけれども、今どういう心境でおられるか、そして、今後どういうふうに大蔵大臣として指揮をとっていかれるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#177
○武村国務大臣 今も基本的には当時申し上げた考えに変わりはありません。
 既に御承知のように、三月二十日からでございますが、東京共同銀行が開店をいたしております。ということは、もうあの二つの信用組合はその時点で姿を消しております。そして、二つの信用組合の債権債務は東京共同銀行に移されているわけであります。今後、一定の年月をかけながら、この債務債権関係をきちっと処理をしていただくというのがこの銀行の役目でございます。
 既に動いているからもう東京都がどうあろうとも関係ありませんということを言っているわけではありません。もちろんこのスキームは、東京都と日本銀行、大蔵省、三者の合意の上で決定をしたものであります。当然、そのスキームの中には、御指摘の東京都の三百億円の低利融資が入っているわけであります。私どもは、都政がどう変化をするにしましても、東京都とそういう合意の上でこの例のない難しい処理に踏み出しているということを考えますと、大東京都が簡単に、これまでの経緯を踏まえていながらももうやりませんということにはならない、そう信じているからであります。
 そういうことは起こらないというのではなしに、そういうことが起こるということは私は考えません、必ず東京都は最終的には冷静に御判断いただける、理解がいただけるというふうに申し上げているわけでありますから、知事が青島さんにかわりましたが、その期待といいますか、考え方は今も変わりはありません。多少時間的な余裕がありますので、既に東京共同銀行はスタートをしておりまして、一定の期間内にこの問題が解決すればということを頭に置きながら、今後真剣に対応してまいりたいというふうに思っている次第であります。
#178
○中田委員 東京都の融資がいまだ大臣の意に沿わない状況でありますけれども、さきがけさんも御支持をしたようですが、東京都知事選挙、石原前官房副長官が選挙の結果落選をされて青島新知事が誕生す。我々新進党は、残念ながら、これも我々としては思うところがあるわけでありますけれども、石原さんではなく、今回は自主投票という形でありました。
 大蔵大臣、そしてこの二信組問題に関しては大蔵大臣の意向のもとに進んでいた石原さんがああいう結果になったというのは、ある意味では、青島新知事が今おっしゃっているように、やはり都民の判断、選択、これは二信組問題も含めての判断だと思うわけであります。
 この点につきまして、そこら辺のところはやはり謙虚に受けとめていくべきではないのだろうか、議論があったように、余りにも強引なやり方を決め過ぎていたのではないのだろうかといったところに関して再度お聞かせをいただき、そして保険制度の話に入らせていただきたいと思います。
#179
○武村国務大臣 私は、今振り返りましても、この二信組に対するスキームそのものは基本的に間違っていなかったという思いであります。ただ、率直に言って、日本銀行も公金に入りますが、東京都の公金をお出しをいただくことが、二信組の経営の乱脈ぶりがあって、これほど厳しい都民や国民世論の批判を受けるというところまで去年の十二月に想定していなかったということは反省をしなければならないというふうに思っております。
 そして、この問題は、余り万一のことを仮定してまでは今までお答えいたしておりませんが、何回も議論をいただきましたように、大蔵大臣の信用組合に対する監督権限を都道府県知事に機関委任をいたしているところでございます。機関委任とは一体何なのか、また、機関委任の責任とは一体何なのかというところも随分議論がございましたが、公金を出さないという判断だけで済む話ではありません。機関委任事務のあり方そのものが問われる話であります。
 東京都も過去二回、信用組合のこうした事態に公金を出しておられる。同じ時期に神奈川県では全党賛成で公金を出しておられる。全国でも十何件、都道府県財政から公金を出しながら信用組合の経営の安定に御努力をいただいている。それが機関委任の実態でございますから、もし一番大きな自治体である東京都がそういう決断をされるときには一体どうするか、機関委任そのもののありまで問われてくることになります。
 そんなことも含めると、私は、今の時点では、ぜひ新しい知事さんが、出し方はいろいろあるかと思いますが、いずれにしましても東京都の参画をされてきた責任を継承いただくことを心から期待いたしたいと思っております。
#180
○中田委員 それでは、保険業法の改正の話に関しまして御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、この保険業法、昭和十四年の片仮名法を今般大きく改正をするということでありますから、本委員会においての慎重な審議というふうになっているわけでありますけれども、その背景には、経済社会、いろいろな環境の変化、それから生保そして損保に対するニーズの変化、こういったことに対応するということなのだろうと思います。
 その上でやはり私が重視をしたい観点といいますのは、一つには、契約者、消費者、我々から見るならば国民の皆さんという立場の方々がどれだけこの今回の改正によってメリットを享受していけるのか、そしてリスクを少なくしていけるのかという観点。そしてもう一点は、国際的に我が国の金融制度を合わせていかなければいけない、その尺度の中でこの業法の改正が合致をしているのか、こういった点。私は、二点、重視をしていきたいというふうに思っているわけであります。
 まず全般にわたってお聞きをさせていただきたいわけでありますけれども、今般の保険業法の改正で、契約者、まあ消費者と言った方がいいでしょうか、消費者の受けるメリットといったものについて全般的にどういったものが挙げられるのか、お願いをしたいと思います。
#181
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 消費者、契約者へのメリットについてでございます。
 まず第一番目に、商品の多様化あるいは新商品の開発の促進ということではなかろうかと思います。
 生保分野におきましては、高齢化社会の到来によりまして、医療、介護等の消費ニーズが多様化してまいっております。また、損害保険分野におきましても、経済社会の変革によりまして、PL保険だとか役員賠償責任保険など、新しいリスクをカバーする商品ニーズが発生しております。
 このような状況のもとで、届け出制の導入など、規制緩和、自由化を通じまして多様な商品開発が促されるとともに、それらが迅速に提供されることが可能となり、契約者がみずからのニーズに合致した新たな保険サービスを速やかに受けることができるようになることを期待しております。
 次に、保険料率の弾力化でございますが、生損保の相互参入や料率設定の弾力化等の規制緩和、自由化によりまして、競争が促進され、消費者利便の向上につながる面があろうかと思います。
 三番目に、商品購入ルートの多様化あるいは簡素化でございます。従来の募集人や代理店に加えまして、募集に従事する保険ブローカー制度が導入されることによりまして、みずからのニーズにより適した保険商品の選択肢が可能となるわけでございます。
 それから、加えまして、経営チェック機能の強化という面もあろうかと思います。ディスクロージャー規定を法律上に設けたり、相互会社の少数社員権の行使要件を低くすること等を通じまして、契約者側から保険会社の経営チェックを十分に行うことが可能になる。
 以上のようなものが、今御指摘になりました消費者、契約者から見たメリットの一端であろうと思うわけでございます。
#182
○中田委員 今、メリットをいろいろ挙げていただいて、デメリットも幾つが御指摘をいただいて、それについては個々にこの後御質問させていただきたいというふうに思っています。
 メリットが出てくるというのは、基本的には、今回の改正によってやはり競争が促されていく、その中からさまざまな商品開発であるとかが生まれてくるわけでありまして、競争が促された結果として、契約者、消費者にとってメリットが出てくる。
 ただ、競争が促される一方で、今度は逆にデメリットということも当然考えられるわけであります。欧米などでは、例えば事故の発生率が高い、そういった層からの保険の引き受けを保険会社が拒んだりといったことも散見をされるようでありますけれども、競争が促された結果として、我が国においてもそういう事態が進んではもちろん困るわけであります。
 基本的な進め方として、この競争の促進を、メリット、デメリットのデメリットも挙げていただいた上で、基本的な競争促進の進め方についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#183
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、自由化、規制緩和というものは、競争促進というメリットの側面と、今度はその競争によるデメリットという側面と、両方考えておかなければならないかと思うわけでございます。
 この点につきましては、今先生からの御指摘がございましたように、アメリカの例でよく挙げられることでございますが、例えば、一九九二年にフロリダ州でハリケーン・アンドリューという大変な台風が参りまして一・八兆円の支払いが発生しました。それによりまして、新規引き受けの拒否あるいは危険性の高い地域の契約解除というような事態にまで立ち至ったわけでございます。これに驚きました州政府の方で、保険会社の契約解除を禁止する立法までやった経緯があります。
 また、自動車保険につきましても、無保険自動車、つまり保険を掛けていない自動車による事故が急増するということで、保険料の高騰または保険会社の引受拒否で、全米で千七百万人が無保険車で車を運転して非常に問題であるというようなことが報告されております。また、カリフォルニア州では、保険料の自由化の反動で、今度は一斉に保険料値上げという動きがありまして、住民運動が起こりまして、住民立法によって自由化から事前認可制へ戻ってしまったということもありました。
 そういった例を考えてみまして、こういったデメリットを生じないようにしながら確実に規制緩和、自由化を実現していくということが非常に大切だというふうに考えます。先生のおっしゃるとおりでございます。そのためには、やはり段階的に規制緩和を進めていく、ステップ・バイ・ステップで進めていくということだろうと思うわけでございます。
 例えば、商品、料率について申し上げますと、主として大企業を中心とする大口物件とか国際的取引に関する保険、あるいは専門的知識を有する事業者が契約者となっている保険などから規制緩和をやっていくというような手順というものが大切であろうというふうに考えておるところでございます。
#184
○中田委員 そうしますと、大規模物件、そして保険の契約者の側がその責任を持てる法人なりというところが今回の規制緩和の中心なのだろうとは思うのですけれども、国民一人一人というか消費者一人一人に関しまして、いろいろな保険が我々の生活の中にはあるのですが、そういった部分のメリットというのは今回は幾つか挙げられるものなのか、それともやはり段階を踏んでいかないとなかなか時間的には到達をしていかないのか、そこら辺はいかがでしょうか。
#185
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 一般の消費者あるいは契約者から見てのメリットというのは先ほど申し上げたようなことでございますが、これも、一挙にあすからそれが実現するということを期待するのは無理であろうと思うわけでございます。現在においても、では非常に保険に不満を持っている人が多いのかというと、私はそうは思いません。現在でも保険会社は非常によく努力し、いろいろなアイデアを出し、しかも契約者に親切に対応していると私は思っておりますが、それをよりよいものにしていくという可能性をこの制度改正で与えていただきたいということでございます。
 確かに、先ほど申し上げましたように、いろいろな新しいニーズに対する対応というのは近年目覚ましいものがあります。したがって、ちょうど時宜を得た制度改革ではなかろうかというふうに思っているところでございます。
#186
○中田委員 今部長おっしゃったように、一般の消費者が今の保険にいろいろ不満を持っているかというと、おっしやられたとおりで決してそうじゃない。
 今回いろいろと調べてみたら、日本の、とりわけ損害保険の内外価格差といいますか逆内外価格差といいますか、大変に日本の保険、損害保険は安いということなどは、ある意味では非常に、今回私も調べてみてびっくりするぐらいの差がありました。
 手元の資料だと、火災保険でも、耐火構造の住宅で保険金額一千万円、ニューヨークだと六万三千六百円、東京が六千五百円。これは日米の差が九・七倍もある。ロンドンだと三万四千円ですから、こちらも五・二倍。日本はその分、アメリカと比べれば十分の一も安い金額の保険になっている。木造だと、七万五千百円がニューヨークで、一万八千五百円が東京だということですから、こちらも四倍差がある。そういう意味で考えると、内外価格差というと何でもかんでも日本の方が高いのかなと今まで思っておったのが、事こういった保険の分野に関しては逆内外価格差が出ているというのは、ある意味ではユーザーの方は余り知らないことなのかもしれません。
 自動車保険でも、ニューヨークが二十二万六千九百三十円、東京が六万七千六百五十円ですから、約三倍の差があって、年間で二十二万六千九百三十円も自動車保険を掛けなければいけないということになると、私も車を持っていますが、これはもう大変な出費になるなというふうに思うわけであります。
 そうしますと、日本の損害保険に関して言うならば、これまで非常にうまく機能してきた。非常に低価格で内容の充実したものをユーザーに商品として出せていたということに私たちも気づくわけでありますが、こういった逆内外価格差みたいなものに関しては、なぜこれだけの差が出てきているのか、そこの分析はどういったことになっているか、お教えをいただきたいと思います。
#187
○山口(公)政府委員 今先生御指摘いただいたような逆内外価格差というものについては、非常に我が保険業界の誇り得べき事柄であろうと思うわけでございます。
 なぜこれだけの差がついているかということにつきましては、分析するに非常に難しい面がございますが、一つには事故率の問題はもちろんあろうかと思います。そういった保険をめぐる環境の問題、これは非常に大きい。例えば自動車にしても、事故率が多いか少ないかということは決定的な問題であります。そういったことは当然その要因としてはあろうかと思うわけでございます。
 加えまして、私が言うのはちょっと面映ゆいのでございますが、我が国の保険制度がうまく機能してきた面もあろうかと思うわけでございます。例えば火災保険の算定会制度を見ますと、過去の料率は大変高うございました。非常に高い水準で火災保険をやりました。それが、算定会の料率で見ていきますと、どんどん下がってまいりました。これは、不燃化あるいは防火施設あるいは消防の体制が整ったという、先ほど申し上げた取り巻く環境がよくなったということももちろんあろうかと思うのですけれども、各社が合理的な価格でできるだけ安くお客さんに保険を買ってもらおうという努力をするというような、そういった努力あるいはシステムというものがうまく機能した面もあるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
#188
○中田委員 今算定会制度のことをおっしゃっていただいたわけですが、この算定会制度、今回見直しの方向というのは大変大きな柱であります。
 保険審議会の答申の中で、現行の算定会制度のほかに、保険契約者保護などの面で問題の少ない分野について、新たに純率算定会制度を導入し規制緩和を図ることが適当である。この答申に基づいて、今回算定会制度の見直し、見直しといいますか、なっていくわけです。
 そうなりますと、今まではこの制度に基づいて、営業保険料率一本立てで算定会が出していた。それに対して、一部分野については純保険料率と付加保険料率の二本立てになっていくということになるわけであります。この二本立てをまず真っ先に適用されてそして規制緩和の範疇に入ってくる分野、これをちょっとお答えいただけます。
#189
○山口(公)政府委員 今回、料率算定会制度についても改正をお願い申し上げておりますけれども、これは付加率アドバイザリー制度でございまして、営業保険料のうち経費部分等に相当する付加保険料率について弾力的に料率を設定できる、あるいは自由度を高めるというのがこの制度の趣旨でございます。これによりまして、契約者は保険会社と相対で弾力的な保険料率の交渉が行えるということになるわけでございます。
 ただ、先ほど申し上げました料率算定会制度の果たしてきた役割、よさというものは、やはり基本は維持しておきたいと思うわけでございます。
 本制度の具体的な適用については、これはまだ例えばの話で申し上げて恐縮ですけれども、保障の、保険金額で申し上げるか、あるいは年間の保険料で申し上げるかによって違うと思うのですが、例えば年間の保険料で申し上げると、火災保険の工場物件のようなもので二千万程度以上の物件をまずは対象にして始めていくのかなというような考え方で今おるところでございます。
#190
○中田委員 といいますと、一言で言うならば大規模物件ということなんだろうと思います。それは先ほどもおっしゃっていただいたとおり、自己責任の原則とあわせて、契約者の側がしっかりとそういった知識、責任を持てる人たちからということになるわけです。
 そうなると、自己責任原則をPRをして、そして自己責任を日本国民全員が少しずつ持てるようになっていかなければいけない。最終的に、家一軒の火災保険に入るのに本当に細かい約款全部まで個人個人が読んでということは無理ですから、そこまで行き着くとは私は思っていませんけれども、しかし順次、この自己責任原則の拡大に合わせて、こういった算定会のあり方なり競争の自由化なりというものが少しずつなっていくのかなというふうに考えられるわけです。この自己責任原則の拡大と合わせた今後の、まずは大規模物件からという、それは少しずつ拡大をしていくという形になるんでしょうか。
#191
○山口(公)政府委員 方向としては先生のおっしゃる方向で行きたいというふうに思っております。
#192
○中田委員 変わりまして、ブローカー制度についてちょっとお聞きをさせていただきたいと思います。
 このブローカー制度というのは、最初は非常に耳なれない言葉でありましたし、ブローカーという言葉自体が余り、日本語で言うと、日本語でというか通常使われてい歪言葉だと余りいいイメージではないのですけれども、しかし今回のブローカー制度に関しては決してそういうものではないというふうにはわかっております。そして逆に、ブローカー制度が導入をされていけば、契約者にとっては保険を選んでいくベストなチョイス、選択をしていけるだろうし、保険会社にとってみれば保険商品を販売をしていくチャネルがふえていく、そういうメリットがあるだろうというふうに思っています。
 このブローカー制度、日本にはこれまでなかったわけですから、当然今まで諸外国との協議の中で、ガットのウルグアイ・ラウンド交渉などももちろんありました。それから日米包括経済協議の中の保険分野でもこの要請は多々あった。そういうふうに聞いております。日英協議なども経緯としてあったようですが、諸外国からブローカー制度を日本に導入すべしという議論の経過というものはいかがだったのか、お聞きをしたいと思います。
#193
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 ブローカー制度、すなわち保険仲立ち人制度でございますが、これにつきましては、諸外国からの要望というようなものもあったわけでございますが、それに先立つ平成四年六月の保険審議会答申におきまして、「国際性の視点に立って、我が国の保険販売においても、制度としてブローカーの参入の途を開いておくことが適当である。」という御指摘を既にいただいておったわけでございます。
 その後、欧米諸国からも二国間協議等の場でこの制度の導入の要望が種々出されておりまして、平成五年の十二月のウルグアイ・ラウンド交渉におきましてもその要望が各国からありまして、保険制度改革の一環としてブローカー制度を導入したいということを意図表明をしております。それから昨年の、すなわち平成六年の十月に決着しました日米保険協議におきましても、法律改正を前提としてブローカー制度を導入するということを盛り込んだわけでございます。日英の間におきましても、今御指摘いただきましたように、イギリスの方からブローカー制度の導入に強い関心が持たれたわけでございます。
 ただ、日本の保険制度改革の中にも既にそういった形で盛り込んでおりましたので、それを諸外国から必ずやってほしい、こういう形の要望になってきたというのが私の知っている範囲での経緯でございます。
#194
○中田委員 アメリカはとりわけブローカー制度を日本に対しては重視して要請をしてきたということは、事実としてあるのだと思うのですけれども、アメリカという国は保険に関しては州法で定まっている。ですから、州によってはかなりばらばらな保険の制度のあり方のようです。
 このブローカー制度に関しても、アメリカが五十州あるうちの十五州はブローカー制度がないんです。フロリダ、アイオワ、ケンタッキー、ミシガン、ミネソタ、ミシシッピー、オレゴン、テネシーとずっと続きますけれども、十五州はブローカー制度が現状としてない。ウィスコンシン州というのは代理店がブローカー業務をやるということで、これは厳密にはブローカーはある。それから、イリノイ州やモンタナ州、アラスカ州、ニュージャージー州といった場所では、ブローカーと代理店制度が一緒になっているようなプロデューサー制度というような形になっていて、ここはブローカーと代理店制度の区別がない。そこまで合わせると二十州なんですけれども、今のウィスコンシンとイリノイ、モンタナ、アラスカ、ニュージャージーを除くと、十五州はブローカー制度がないわけであります。
 アメリカの中でもブローカー制度がないわけです。なぜないのか、もし御存じだったらちょっと言いただければと思います。
#195
○山口(公)政府委員 おっしゃるとおり、アメリカの十五州でブローカー制度が認められていない、あるいはないという状況でございますが、具体的な理由が私もいま一つはっきりしないということは認めざるを得ないのです。ただ、それ以外のニューヨーク州とかカリフォルニア州などの多くの州においては大口企業物件を中心にブローカーが活躍しているという実態になっておりまして、アメリカの保険市場を特徴づけていると言っても言い過ぎではないということでございます。
 今、その十五州が必ずしもローカルだと言い切れないので、私も、全部ローカルだと言い切ってしまえば非常に論理がすっきりするのですけれども、いま一つそこは自信はないわけでございますが、ただ、非常に保険の盛んな州においてはブローカーが活躍しているというのは事実ではないかというふうに考えております。
#196
○中田委員 十五州がないということがブローカー制度がよろしくないということではもちろんないわけです。逆に、アメリカが全部が全部ブローカー制度があってそれを日本にも導入せよと強い調子で言ってきたわけでもない。先ほど来、国内的にもブローカー制度をつくっていく、そういう機運になったんだというふうにおっしゃっていた。
 そうなると、我が国においてこのブローカー制度を導入していくメリットといいますか、必要性です。必要性という点だと、諸外国、アメリカでも十五州がやっていない、それを日本で設けていく必要性、これはいかがです。
#197
○山口(公)政府委員 確かにアメリカで十五州がないのは事実でございますが、五十マイナス十五の三十五州ではやっておる、それからイギリス等ではかなりブローカーが盛んに活躍しておる、少なくとも国際的な保険市場では大変な活躍をしておるという事情があります。そういった。国際的な面での整合性とまでは言いませんが、日本の市場が国際的にやはり認められていくための一つの要素ではなかろうかというふうに思うわけでございます。
 また、実際の営業面でいきますと、私どもがイメージしております保険ブローカーは、大企業物件を中心としまして、中立的な立場から利用者のニーズに最も適した。いわばオーダーメードの商品を媒介するというものでございまして、現行の損害保険代理店、生命保険募集人もそういった役割を果たし得るわけではございますが、それとは異なった存在としてその意義が認められるのではないかというふうに思うわけでございます。
 先ほども申し上げましたように、販売チャネルの多様化等によりまして、利用者の利便、利用者といいましても恐らく企業物件ではないかと思うのでございますが、そういった方々の利便が向上するのではないかというふうに期待しておるわけでございます。
#198
○中田委員 必要性、メリットがあるということでこのブローカー制度を導入するわけです。
 それで、そのブローカー制度を導入をしていく際、やはり注意をしなければいけないのが、保険契約者の保護という観点であります。
 その保護という意味でいうと、まず、ブローカーという存在を認めるに当たって、きちっとした登録作業を厳格にしていかなければいけないというふうに考えるわけですけれども、この登録を厳格にしていくということ、ここについてはどのような配慮がなされているわけです。
#199
○山口(公)政府委員 保険ブローカーについては登録制にいたしたいと思っておりますが、その際には、保険募集に係る業務を的確に遂行するに足りる能力を有しているということを登録要件にさせていただいております。
 それをできるだけ客観的な基準によって審査をしてまいりたいと思っておりますけれども、具体的には、保険業について一定水準以上の資格または知識を持っているかどうか、一定期間以上保険業務に従事しているかどうかというようなことを一つの基準とすることがまず考えられます。また、保険ブローカー協会が設立された後は、その協会で試験をやっていただきますればその結果、あるいはその研修の修了をもって登録審査の際の一つの基準とすることも考えられると思います。
 ただ、外国の保険ブローカーにつきましては、外国で与えられた一定の資格を有しているか、一定期間以上ブローカー業務に従事して、問題ないかというようなことを一つの基準とする、そんな形で登録について間違いないように努めてまいりたいと思っております。
#200
○中田委員 逆に、ブローカーの登録の拒否要件、法の二百八十九条のところに「保険募集に係る業務を的確に遂行するに足りる能力を有しない者」というふうにあるわけです。この、「遂行するに足りる能力を有しない者」、これは具体的にはどういうものになるわけです。
#201
○山口(公)政府委員 今先生のおっしゃった拒否要件につきましては、登録要件のちょうど裏返しというふうに考えていただいてよろしかろう。つまり、私が今申し上げましたいろいろな要件を具備していないという場合は、それをお断りするということになろうかと思います。
#202
○中田委員 登録をする、その際には保証金を積まなくてはいかぬです。これももちろんその要件、能力という問題になると思うのですけれども、保険ブローカーの「業務の状況及び保険契約者等の保護を考慮して、政令で定める額とす。」というふうに書いてあります。
 ブローカーの業務というものを、規模などを勘案して政令で定める額というのは、何段階かになっているのか、それとも一つの額になるのか。政令で定めるわけですからこれからなのでしょうけれども、この額そのものはあれとして、一定の額で決まるのでしょうか、それとも何段階かに分かれるということはあるのでしょうか。
#203
○山口(公)政府委員 保険ブローカーの保証金の額につきましては今後検討させていただくことになるわけですが、契約者保護の観点からは、保険ブローカーがその業務を行う際に生ずる顧客に対する損害賠償債務の支払いを担保するに十分であることが望ましいわけでございまして、他方におきまして、余りにも高額な保証金が参入障壁とならないように配慮する必要があるというふうに考えております。
 具体的な金額をどれぐらいにするか、あるいはそれを段階的な形にするかということについては今後検討させていただきたいと思っておりますが、外国における例などを参考にしながら決めていくことになろうかなと思っております。
 例えば、カナダでは一事故当たり五十万ドル、約三千七百万円以上の賠償責任保険を義務づけております。イギリスにおきましては一年当たり五十万ポンド、約七千八百万円、または年間報酬の三倍のいずれか大きい額の、これも賠償責任保険の付保を義務づけております。フランスにおきましては一事故かつ一年当たり一千万フラン、約一億九千万円以上の、これも賠償責任保険の付保を義務づけておるわけでございます。
 日本の場合は、先ほども御質問ございましたが、保証金という形での供託と賠償責任保険との組み合わせというようなことで考えてまいりたいと思っておりますが、具体的にそれをどういう形にするか、あるいはまた業務に応じてそれを伸ばしていくのかどうかということにつきましては、例えばイギリスでも年間報酬の三倍とか申し上げました。それはある意味では業務にスライドしていくわけでございますので、だから、その点についてはもう少し諸外国の例等を見ながら、また、現にブローカーになることを希望しているような人たちの感触等も十分に踏まえながら検討してまいりたいというふうに考えております。
    〔委員長退席、石原委員長代理着席〕
#204
○中田委員 この保証金とともに、ブローカーの賠償責任保険というのも事故があった際に期待をされるものだと思うのです。これもまた政令で定めるということになっているわけですけれども、ブローカーの賠償責任保険、この保険というのはどういう形態になるのです。これはもうそれこそ民間の保険会社が、自分たちは事故が起こった際の保険をまた損害保険会社各社で用意をしてもらうのか、どういう形態になっているのです。
#205
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 現在、今私が御説明申し上げました賠償責任保険は、ブローカーに関してはございません。これからつくるわけでございます。少なくとも、ブローカーが損害保険会社と契約を結ぶわけでございます。責任を持たなければいけないのは保険会社ではなくてブローカーそのものでございますから、ブロー力ーが損害保険会社と保険を掛けるということになるわけでございます。
 そうすると、その保険契約がどういうふうになるかというのは、保険会社がどういう商品を設計し、それをお客さんである、あるいは契約者であるブローカーとどういう条件で締結するか、こういうことになるわけでございます。どういった範囲のものをどれくらい、どういったケースはどういう形で補償するかというのを具体的に決めていくというふうになるわけでございまして、これから損害保険会社とブローカー、あるいはブローカーにこれからなる人との間で商品設計のネゴが行われる、こういうことになるわけでございます。
#206
○中田委員 次に、保険会社の健全性の維持という観点からお聞きをしたいのですけれども、今般の改正でソルベンシーマージン基準が導入されるわけです。これから先はそういった基準なのですが、これまで当局としては保険会社の健全性というのをどういう観点からチェックしていたのか、まずその点をお願いしたいと思います。
#207
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 保険会社の経営の健全性につきましては、各保険会社の財産状況等、例えば収入保険料がどんな動向なのか、あるいは一方で解約等の動向がどうなのかというようなことを見、また責任準備金が適切に積み上げられているか、あるいは不良資産がどのようになっているかなど、種々の要素を精査して総合的な判断を行ってきたところでございます。これまではそういう形でチェックをしてきたということでございます。
#208
○中田委員 各社それぞれに対するチェックという形で形態の違うものを見ていたわけですが、今度はソルベンシーマージン基準で全部なべてそれを見ていくわけです。このソルベンシーマージン基準の導入というのが、既に少し出ている議論ですけれども、規制緩和と逆に、監督官庁の権限強化という形にはもちろんならないというふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。
#209
○山口(公)政府委員 今般の保険業法の改正をお願いするに当たりまして、監督上、保険会社の経営について早期の事前チェックを行うために、従来の要素に加えまして、保険会社の健全性の判断基準としてソルベンシーマージン基準の導入をお願いしているわけでございます。
 これは、個別の規制を極力排除して保険会社経営全体の健全性を維持するために導入させていただきたいと思っているものでございまして、権限の強化というよりは、むしろそういったものを導入することによって健全性が図られるようになっていけば、商品、料率等の規制緩和の方も進めやすくなっていくというふうに考えているわけでございます。
#210
○中田委員 ソルベンシーマージンに関しては、恐らく当面は監督官庁が手元に持って当局の皆さんが保険会社の健全性をチェックする材料に使っていくのだと思います。しかし、やはり基本的にはこれも消費者、国民サイドにわかる形にしていく方が望ましいというふうに思うわけですけれども、この点どういうふうにお考えになっておられます。
#211
○山口(公)政府委員 ソルベンシーマージン基準の公表問題につきましては、しばしば議論でも出ておりますけれども、今回新しい基準を入れさせていただいて健全性のチェックをしてまいるわけでございますが、それもあくまで健全性の一面でございまして、それでもって会社のよしあしかすべて決定されるがごとく受け取られるとなると、非常に営業面におきまして思わぬシフトが起きてしまうというような混乱も予想されますので、当面そうしたことを避ける意味でも、行政上の監督の指標として扱わせていただきたいというふうに思っているわけでございます。
#212
○中田委員 それから、時間もなくなってきましたけれども、経営危機への対応ということで、新しい考え方、議論をされています保険契約者保護基金ということであります。
 この契約者保護基金ですけれども、これは保険会社の破綻という言葉が使われ、破綻を前提に、仮に破綻した場合、今までそういうケースはほとんど全くないわけですけれども、損保会社、生保会社それぞれがこの基金をつくっていく、その際の、破綻をするという前提のときの破綻というのはどういったケースが想定されます。
#213
○山口(公)政府委員 この破綻保険会社といいますのは、法律上は、業務及び財産の状況に照らして保険金の支払いを停止するおそれのある、またば保険金の支払いを停止した保険会社というふうに定義させていただいておりますが、どのような場合に保険会社が破綻するかにつきましては、日本の保険会社については戦後破綻した例がございませんが、諸外国においては、例えばこういった例がございます。
 生保で申し上げますと、一九九〇年に、ミューチュアル・ベネフィット・ライフというアメリカの会社がありまして、これは過大な不動産投資の失敗というのが原因でございました。それから、一九九一年にエグゼクティブ・ライフ、これもアメリカの会社でございますが、これはジャンクボンドへの大量投資というのがどうも破綻の原因だと言われております。
 損保について御紹介申し上げますと、ファースト・サザンなど六社が一九九二年に破綻しております。これもアメリカでございますが、これは先ほども御紹介しましたハリケーン・アンドリューに伴う保険金の支払いでそういった事態に陥った。それから、トゥエンティーズ・センチュリー、アメリカ、これが一九九四年、ロサンゼルス大震災に伴う保険金の支払いで破綻した。
 したがいまして、破綻のケースといいますのはいろいろなケースがあり得るかと思いますが、価格変動の大きい証券等への過大な投資といった資産運用の失敗、あるいは台風などの巨大な保険事故の発生による破綻といった事例が考えられるかなというふうに思っております。
#214
○中田委員 これは、保険会社が今おっしゃったようなケースで本当に破綻をしてしまったらどうしようもないわけですけれども、破綻をしてしまったのではなくて、破綻をしそうな、破綻をする前にこの保護基金は始動していく、そういうことです。
#215
○山口(公)政府委員 先生の御指摘のとおりでございます。
#216
○中田委員 そうしますと、今いろいろと例を挙げていただいたケースがあって、それがそのまま、もちろんそうじゃないいろいろなケースも考えられるわけですが、いわば破綻をしかかっている、そういう場合に始動を始める。この始動を始めるポイントというのはどこになるのです。
#217
○山口(公)政府委員 破綻という言葉がいろいろな意味で使われますので、正確な意味でどう申し上げていいか、なかなか難しいのですが、破産というのと破綻は違うというふうに御理解いただいていいのかなと。だから、今先生がおっしゃったのは破産ではなくて、まだ破綻あるいは破綻のおそれのある状態だというふうに理解するとしますと、先ほど申し上げましたように、業務とか財産の状況に照らして支払いができなくなるんじゃないか、あるいは支払いがちょっととまったというような事態を一応想定できるんではないかというふうに思っております。
#218
○中田委員 これは非常にポイントというのをお聞きをするのは難しいところだと思うんですが、例えば、冒頭ちょっとお聞きをした二信組の問題がありましたけれども、預金保険機構が指導をするといった場合に、本当に銀行が破産、破綻をしてしまった後じゃどうしようもない、取りつけ騒ぎが起こってしまってからじゃどうしようもない。どこかのポイントで本来は既に経営チェックをしていた。これは傾きかけている、おかしいぞというときに動き始めるなりというポイントがあろうかと思うんです。保険の場合、それをどこに持ってくるのか、そしてだれが決定をするのかというところをお聞きをしたいわけです。
#219
○山口(公)政府委員 基金の発動の要件にかかわってくるわけですけれども、救済保険会社と破綻保険会社の連名で基金に申請があり、大蔵省の方でその適格性があるかどうかの認定を行う、こういう手続でその適用が是か非かを確定してしまう、こういうことを考えておるわけでございます。
#220
○中田委員 それで、破綻保険会社に係る保険契約を別の保険会社が引き受ける、その援助をしていくわけです。それで契約者を保護をしていくわけです。その際、引き受ける、引き受け手側の会社というのは、これは一社、包括という形で一社だけなんです。それとも何社かで破綻をした一社の会社を共同で引き受けていく、その契約者を引き受けていく、そういうケースもあり得るんです。
#221
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 現実問題としては恐らく一社と思いますが、法律上それは一社に限定するというふうにはなっておりません。
#222
○中田委員 ということは、保険契約の包括移転というこの包括というのは、全部ひっくるめてどこか一社にという意味ではないということでよろしいんです。何社かで共同で引き受けていくというケースもあり得るということなんです。
#223
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 包括移転は、責任準備金の積み立ての基礎を同一とするものを一つのまとまりといたしまして、それを移転するということでございますが、包括というのは、持っている会社の全部をという意味ではございません。ばらばらのものを一括というわけにはいきませんで、責任準備金の前提が一緒のものという御理解をしていただければと思います。
#224
○中田委員 もう時間がありません。今のところはさらにもうちょっと詰めをしていかなければいけない部分だなというふうに思っています。
 これも金額は今いろいろと、法律が仮に成立をしてその後から考えていくわけですけれども、保険契約者の保護基金としてどの程度この基金というものを、どの程度という言い方をしますけれども、諸外国の例などを含めて、これもまたどの程度基金として持っていくべきなのか、その点どういうふうにお考えか、最後にお聞きをしたいと思います。
#225
○山口(公)政府委員 保険契約者保護基金がどの程度の資金を準備すればいいかという点につきましては、現在生損保それぞれの業界におきまして御検討いただいておるところでございますが、今出されておるたたき台的な数字としては、生保の場合は二千億円、損保の場合は三百億円を一つの目安として、各社の負担能力の状況をも踏まえつつ検討をしていただいているところでございます。
#226
○中田委員 終わります。
#227
○石原委員長代理 次に、若松謙維君。
#228
○若松委員 新進党の若松謙維と申します。
 私は、主に、これから今回の保険業法の改正がまさに自己責任、そういった流れの大きな出発点になる、そういう理解のもとに生損保会社の情報開示、こういった点に焦点を合わせて質問をさせていただきたいと思います。
 早速内容等に入らせていただきます。
 まず、決算書類等がございます。そこでそれぞれの会社の情報開示が行われておりますけれども、私なりに、一般の企業または銀行と比べて情報が不十分ではないか、そう思っているところを何点か指摘していきたいと思います。
 まず、生保の責任準備金の計上基準でございますけれども、現行法によりますと、八十八条では、大蔵大臣の認可によりましていわゆる各社異なった計上、例えば平準純保険料方式とかまたはチルメル方式、こういったそれぞれの異なった基準で計上しているわけです。ところが、じゃそれぞれの生保がどういった基準で、例えば貸借対照表のいわゆる総資産の九割を占めるこの責任準備金の、それが全部と言わないですけれども、どういう基準でやっているか、それが表示されていない。これは大変情報公開としては不足ではないか、そういうふうに理解しておりますけれども、その点いかがでしょうか。
#229
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 保険会社の責任準備金の計算方法などにつきましては、現行第八十八条の規定を受けまして、施行規則第三十一条によりまして、保険料積立金の計算方式として、おっしゃいました純保険料式、五年チルメル方式及びその他全期チルメル方式等を採用することができるようにしております。
 純保険料式は、全払込期間にわたって純保険料を平準化したものを毎期積み立てる方式でございまして、またチルメル方式は、初年度に必要な新契約に相当する経費を賄うために初年度だけ純保険料を少なくして次年度以降の一定期間、例えば五年とか全期間等にその分を均等に割り振りまして、全体として純保険料式と同じ額を積み立てる方式でございます。これは先生専門家でいらっしゃいますから、繰り返しになりましたが、これらの責任準備金の積み立て方式のいずれの方式を採用したとしても、契約者保護の観点から差異が生じるわけではないということから、現在計算書類等において開示は行われていないこととなっております。
 また、ややもするとチルメル方式が純保険料式に比べて劣っているのではないかとの契約者等の認識が生ずる懸念がありまして、仮にこれらを開示した場合には、初年度の新契約費の負担割合が多いため、チルメル方式を採用している新規参入会社等、新しく会社を起こしたような場合に、そういった会社に対する競争上、イコールフッティングの観点から問題になりはしないかということがございます。
 したがって、改正法第百十六条の責任準備金の積み立て方式の基準につきましても、基本的な現行法の考え方を踏襲することとしているところでありますが、その開示につきましては、御審議いただいている保険業法案では、新たに保険会社の健全性維持の観点から大蔵大臣が責任準備金の積み立て方式を定めることができる旨も規定しておりまして、この制度の導入に合わせて、今後契約者等の無用の誤解が生じないことを確認しつつ、責任準備金の積み立て方式等の開示について御指摘も踏まえて検討してまいりたいというふうに思っております。
#230
○若松委員 その検討していくというのは、要は開示していく方向におられるのか、そうではないのか。
 例えば先ほどの平準純保険料方式等またチルメル方式等にしても、いずれにしてもここまでは大蔵大臣の認可でやりなさい。それ以上の積み増しかできるわけです。それは当然生保等の各社それぞれの体力によって違う。その体力の差というのはやはり外部に知らせてしかるべきではないか。そうすると、どの基準でこの責任準備金を計上したのか、これは大事な情報だと思うのです。ですから、やはり開示は必ず必要ではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#231
○山口(公)政府委員 今私が先生に申し上げた趣旨は、いずれ標準責任準備金制度の導入等がありますればそういった開示の問題というのは当然出てくると思いますし、その際にはそういった前向きの対応をしていくということだと思います。ただし、ちょっと留保的に申し上げましたのは、それでもってチルメルだとどうだというような無用の誤解を世間に与えると非常に営業上困った事態になるということがありますので、その点ちょっと慎重に見ながら対応させていただきたいというふうに申し上げている趣旨でございます。
#232
○若松委員 ですから、情報開示のあり方なのですけれども、言うことによっていろいろ誤解があるから出さない、これは大事なことだと思うのです。でも、それがずっと続いていると、結局何も知らされないでそのまま行く、これは自己責任の流れから恐らくギャップが広がるばかり。ですから、基本的には出していく、そういう方向が重要ではないかと思いますけれども、その考え方は御理解いただけます。
#233
○山口(公)政府委員 その考え方は私もそのとおりだと思っております。
#234
○若松委員 ぜひ、前向きの方向ということで、いろいろ海外の関係者も大変知りたい情報ですので、早急の対処をお願いします。
 次に、株式評価益の計上、これは生損保共通になると思います。現行の第八十四条、この法律によりますと、配当決定後、大蔵大臣の認可によりましていわゆる株式の評価益、これを計上しております。
 ところが、この株式の評価益なのですけれども、評価益というかいわゆるキャピタルゲインですね、株式ゲインです。大変技術的な話になりますけれども、要は、キャピタルゲインはまさにインカムゲインと違いまして、インカムゲインはとにかく全部毎年毎年配当原資として計上しなければいけない。ところが、キャピタルゲインというのは配当にも回すことができるし、また準備金、いわゆる資本準備金としてプールもできる。
 ところが、例えば大手の生保になりますと、一社だけでキャピタルゲインというのは大体一千億を超える。一千億円を超える巨額の金額、これが、例えば全額配当として原資に回らせたのか、それともまた全額準備金に回ったのか、また半々なのか、これは全く今情報開示されておりません。これはちょっと改善すべきではないか、そういうふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
    〔石原委員長代理退席、委員長着席〕
#235
○山口(公)政府委員 保険会社に対します現行法第八十四条に基づきます株式評価益の計上にかかわる大蔵大臣の認可基準につきましては、平成六年十月に審査基準等についての通達を発出しまして、その審査基準として「契約者の利益の確保及び増進に資するものについて、個々の保険会社の経営実態等を勘案し、取引所の相場のある株式の評価換による利益の計上によって、責任準備金又は保険契約者配当準備金を積み立てる必要がある場合には、認可を受け行うことができるものとす。」旨を開示しているところでございます。
 なお、現行八十四条に基づき大蔵大臣の認可を受けた保険会社は決算書類等でその認可を受けた額の総額は開示しております。ただ、その評価益の使途について、その内訳でございますね、それについては現在ディスクロージャーの対象になっておりません。今後、御指摘を踏まえて、その開示、どういうものがいいか検討していきたいというふうに考えております。
#236
○若松委員 ぜひ、これは重要な情報になりますので、この評価益の使途、これを具体的に開示すべく早急に情報開示の向上というものをお願いいたします。
 続きまして、今度は八十六条の準備金についてお話を移らせていただきます。
 現行第八十六条の準備金、いわゆるキャピタルゲイン、これが新しい改正法の第百十五条になりまして、いわゆる従来の八十六条で言うキャピタルゲインが価格変動準備金として百十五条で引き継がれるというか変わる、こういう法律改正が予定されております。
 ところが、この価格変動準備金という、衣がえするのはいいのですけれども、なぜこの価格変動準備金が必要なのか。大変世界的にはこういう変動準備金というものはもう化石というか非常に古い一つの科目でありまして、かつ、一般事業会社もほとんどこの価格変動準備金というのは縮小しております。ですから、あえてこれをつくる必要はないのではないか、そう理解するわけですけれども、いかがでしょうか。
#237
○山口(公)政府委員 改正法第百十五条は、キャピタルゲインとインカムゲインを厳密に区分することが大変困難になってきたことから、その実態に合わせて、インカム配当原則の見直しの一環としまして、現行第八十六条準備金を保険会社の保有資産について価格変動による損失に備える価格変動準備金として再構成させていただいているものでございます。
 この保険会社において価格変動準備金を設けることとさせていただいておりますのは、保険会社の資産が長期にわたる保険契約の支払いの担保として長期間安全に運用される必要があることから、契約者保護の観点にかんがみまして、保有資産の価格変動リスクに備える機能を有する準備金が必要ではないかと考えられるからでございます。
 価格変動準備金につきましては、保険会社にとって株式等への投資が重要な運用手段でありまして、積み立て時点において価格変動リスクが具体的に発生しているわけではないにしても、保険契約が非常に長期間のものであるというその長期性を考慮すれば、将来の損失の発生の可能性が高いということから、保険契約者保護を確実にするために固有の準備金を積み立てることは意義あるものと考えておりまして、いろいろな御意見はあろうと思いますが、より健全な経営をやっていただくためにもぜひこれは積んでほしいというものでございます。
#238
○若松委員 万が一この価格変動準備金を積むとしても、これは今の改正法百十五条のやり方ですと負債の部、負債項目として計上されるわけですけれども、これはやはり資本項目じゃないのでしょうか。
 いわゆる海外の投資家なり海外のいろいろな関係者というのは、これはキャピタル項目という形で、それが負債にあるということは非常に誤解を与える。ですから、日本のこういう決算書がありまして、万が一価格変動準備金が負債の部にある、そうしたら、それを英文に直す場合に、組みかえて資本の部に持っていく、これが実務的にやられているわけですから、だったら最初から資本の部に持っていって、いわゆる資本準備金とかそういった観点の準備金の項目としてやった方が、対外的にもしっかりと、すっきりと説明できるのではないか、そうすべきではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。
#239
○山口(公)政府委員 今のお考え、一つの立派な御指摘だと思うのでございますけれども、現行の八十六条準備金は、積立限度が法定されておらないで、利益留保性が高い準備金であるとの指摘がありましたので、今回の法改正において、積立限度とか毎期の積立率を法令に定める特別法上の準備金として価格変動準備金に模様がえしよう、そういった経緯がありましたので、そういった処理をさせていただこうというわけでございます。
#240
○若松委員 ですから、ぜひこの改正を機にそういった。この新しい価格変動準備金の科目一つをとっても、世界の常識に合わせてほしいのです。あとは、銀行とか証券業というのは、やはり価格変動準備金、まだあります、かなり減りましたけれども。だけれども、相変わらず、ある意味では本来あるべきところに、財務諸表の、貸借対照表のところに表示されていない。日本の決算書は何なんだ、やはりこういう認識というのはまだ強いわけです。
 ですから、やはりいろいろ大蔵省の監督、業界の決算書というのはそういうのが押しなべて多い。ですから、世界の非常識にならないように、普通にしてほしい。その意味で、利益留保性だから資本の部にぜひ計上して、すっきりと内外ともに関係者に説明できるようにすべきではないか、そういう指摘ですけれども、いかがでしょうか。
#241
○山口(公)政府委員 御指摘は大変参考にさせていただきたいと思いますが、銀行等も全部これで同じ処理をしておりまして、保険だけまた変えるというのもなかなか難しい問題だというふうに思っております。その辺、御理解賜れればと思います。
#242
○若松委員 日本人だけの議論ですと理解はできますのでもちょっと、ぜひその発想を変えていただきたいのです。ごく世界の常識にしていただいてもらうだけで結構です。ぜひ努力をお願いいたします。また別のいろいろな、ムーディーズとかS&Pとかそういったところからまた御指摘があると思いますので、私はこちらで、この委員会で指摘をとどめさせていただきます。
 続きまして、今生損保ともにですけれども、外貨建て資産、これが特にこの急激な円高によりまして、外貨建て資産の中にはドル建ての株もあるだろうし、また債券、社債等もあるだろうし、そして貸付金等もあるだろう、いろいろなものがある、そうするとやはり今の円高は、外貨建てで投資している場合には当然目減りが、また円に戻した場合に目減りが否定できない。評価、為替の差損です。果たしてこれについてどういうふうに対処しているかという質問なんです。
 例えば、税法で一五%ルールというのがあります。小川主税局長いらっしゃいますから、基本的に外貨建てで、それを円に戻した場合に、期末のレートで円に戻して評価損が出る、そういったものはなかなか損金として認めたくない。ただ、やはり一五%以上価値が落ちてしまうと認めないわけにもいかないからということで、税法で一五%ルールがある。これはこれでいいと思うのです。
 今まさにこの円高で、かなりの生損保が持つ外貨建て資産、特に貸付金等、こういったものが為替差損をかなり含んでいるのじゃないか。そうすると、それがすべてこの一五%ルールを適用して、しっかり為替差損を表に出るような損として実現している、そういった処理をしているのかどうか。これは関係者が今大変気にしているところでございます。いかがでしょうか。
#243
○山口(公)政府委員 一般的に、保険会社の外貨建て資産の評価方法につきましては、取引所に上場されている有価証券のうち、国債その他債券につきましては原価法または低価法のいずれかの選択制をとっております。その他の株式等の有価証券については低価法を適用しております。その他の取引所に上場されていない有価証券につきましては、原価法を適用するよう指導してきております。
 御指摘の外貨建て資産の評価方法につきましては、この通達に基づきまして各保険会社がその評価方法を定めておりますが、一般的に、外貨建て資産には非上場のものが多いことから原価法を採用しているところであって、経理の評価方法上、外貨建て資産の目減りという現象は生じておりません。
 なお、保険会社の外債等に係る為替の含み損が発生した場合には、一般事業法人と同様、法人税法上の特典として、簿価と為替相場がおおむね一五%以上乖離した場合、いわゆる一五%ルールがあり、その状況に至った場合にはその差額を損金処理できることとなっておりまして、その適用については個別会社の判断により処理をしておるわけでございます。
#244
○若松委員 この一五%ルールなんですけれども、先ほど、原則、個別の生損保に応じて処理する、そういうことで、例えば一五%を超える為替の含み損があっても、大蔵大臣が許可すればそれは評価損として計上しなくてもいい、そういうふうに解釈されて、それで、四月十二日の日経金融新聞でも、今この円高で果たして生保、損保さんもそうですけれども、この一五%を厳格に運用しているのかと。かなりの為替の含み損が、計上されていない含み損があるのではないか、そういう危倶が非常に強い。そういった意見を代弁して質問させていただくわけですけれども。
 再度聞きますけれども、今生損保の外貨建て資産、この一五%ルールというのを厳格に適用しているがゆえに巨額の為替含み損は基本的には実現して、まあ損として出している、巨額の含み損はない、そういうふうに確認できます。
#245
○山口(公)政府委員 申し上げます。
 基本的には、多くの保険会社でその適用をしておるわけでございますが、その適用をするかしないかは個別会社の判断によって処理しているということも事実でございます。
#246
○若松委員 例えば適用しない場合は、しないんです、適用していません、だけれども含み損は幾らありますとか、こういう情報開示があればその説明でいいと思うのです。今現在そういう情報開示はしっかりされていますでしょうか。
#247
○山口(公)政府委員 保険会社が一五%ルールを適用しない場合の取り扱いにつきましては、公認会計士協会と相談の上、損益計算書上にその旨の注記を行ってディスクローズをしております。
#248
○若松委員 ということは、万が一含み損があって、それで、その金額をディスクローズしてない生損保の決算があれば、それは当然監督官庁の意思に反する、そういう理解でよろしいわけです。
#249
○山口(公)政府委員 含み損の金額までディスクローズしているわけではなくて、その一五%ルールを適用してないということが読み取れるような文章で、そういったことをやっておりませんということをここで明らかにしているという姿でございます。額までそこで明らかにしているというわけではございません。
#250
○若松委員 そうすると、金額は今ディスクローズしてないということです。例えば、ある生保が一兆円の外貨建てをやりました。百円で、した。去年の夏は為替レートが一ドル百円、それが今一ドル八十円になりました。そうすると、もう二割減なわけです。二千億円です。これだけの巨額の例えは含み損、ただ一五%ルールは適用していません、それだけで済んでいい話なんでしょうか。私は、しっかりと含み損は幾らですというふうに開示すべき、これがまさに事実の開示であって、さらに自己責任を明確化するあり方ではないかと思います。いかがでしょうか。
#251
○山口(公)政府委員 その点につきましては、かなりディスクローズすることによる影響というのも別の意味であるわけでございまして、今後審議会等の場で検討しながら、検討を重ねてまいりたいというふうに考えております。
#252
○若松委員 今、前向きの答弁、もう一つ、大体どのくらい時間がかかります。
 今、大変急速に環境が変わっておりまして、さらに円高が進むということを否定できない。ですから、二十一世紀になるのか、これ本当に大事な、これだけ急激な円高なので、やはり外部に対して事実を知らせなければいけないというニーズが急速に高まっております。ですから、いつかは前向きにやるのだろうというのでは、ちょっと納得できないと思うのですけれども。
#253
○山口(公)政府委員 実は、企業会計審議会で外貨建て会計基準について御検討をいただいておりまして、それの結果次第で対応を考えるということになろうかと思います。
#254
○若松委員 そうしますと、その企業会計審議会、そういう御答弁ですから、私は大変良識のある公正な処理というものが出てくるのを祈るのみでございます。
 ただ、それが出てきた場合には、即保険部としても対応していただける、そういうふうに理解しますけれども、それでよろしいです。
#255
○山口(公)政府委員 基本的にはそういう考えでまいりたいと思います。
#256
○若松委員 今、決算に絡むいわゆる責任準備金とか株式評価益とか、また先ほどの外貨建て資産、もう何千億という単位にかかわる話で、これはすべて基本的には大蔵認可になっているわけなんです。それで、ある生保さんは損を計上しなくてもいい、してもいい、そういう、結局何か監督当局のブラックボックスに入っている。その状況は当の一般契約者はわからない、またいろいろな関係者もわからない、こういう実態があるんではないか、そういうふうに私は理解いたしました。
 ですから反対に、業界からすれば、大蔵大臣の認可さえあれば損は出さなくてもいいのだ。株式評価益も少し出せればいいのだ。何かすごく監督官庁との癒着というのですか、それがずっと続いて、結果的に一般契約者、またそれ以外の関係者、生保また損保の決算、財務状態の事実からどんどん乖離していく、こういう事実、実態が今先行している。
 これがさらに進んでいきますと、今生保二十五社、損保十七社、十八社、こういったところが、大手は大丈夫だと思います、ただ、本当にまだ設立して間もない、いわゆる下位の生損保、この二、三カ月前大分問題になりました信用組合、また住宅金融専門会社、何かこの同じ足跡を歩んでいるのではないか。そういう認識があるのですけれども、いかがでしょうか。
#257
○山口(公)政府委員 保険会社が大蔵大臣の認可を受けまして基礎書類を変更した場合は、任意のディスクロージャーとして各社の本支店に備え置き、縦覧に供するなどそのディスクローズに努めているわけでございますが、会計処理につきましても、その年度に企業会計原則に言う重要な会計方針の変更がある場合には、その都度、公認会計士協会と相談しまして貸借対照表にその旨を注記しております。また、その会計方針の変更をわかりやすい形でディスクロージャー資料に書いてございます。そういった形で、基本的には他の業態と同様な水準でそういった変更あるいはどういう会計をしたかということを公表しているのが実情だと私は思うわけでございます。
 したがって、今御指摘のような大蔵大臣の認可等の行政と何かそこはブラックボックスに入ったと言われるのは、ちょっと私にとってみるとやや心外な面もあるわけでございますけれども、いずれにせよ私どもとしましては、先ほどから申し上げているような、きちんと開示の方向へ持っていくべきものは開示していくという方向を志向していることはお認めいただけると思うのでございます。ただ、その際のやはりいろいろな心配になる観点もございますので、そういった面もクリアしながら着実にそういった前進をしていくということだろうというふうに思っておるわけでございます。
#258
○若松委員 御説明は、それなりに、一〇〇%と言えないながらもかなりの合格点の情報開示はしている、そういうふうに受け取ったわけですけれども、では、先ほど、会計処理の変更があった場合にその事実をディスクローズすると。ところが、実際実務におきましては、先ほどの準備金とか株式評価益とか外貨建てとか非常に重要な項目は全部大蔵認可事項です。こういった大蔵認可事項の指導でいわゆる会計処理の変更をした。こういった事実で変更しましたというその内容というのですか、それは実務界ではほとんど示されておりませんよ。私は業界の人に聞きました。
 例えば、特に責任準備金、例えば純保方式というのですか、先ほどの純保険料方式、ここから十年のチルメル方式に変えますと、その期の責任準備金の積立額が三分の一ぐらいになるのです。そうすると、一つの生保会社で、大手になりますと数百億円の影響額、従来は例えば一千億円積んでいたのが、方法を変えることによって五百億円ぐらい、または三百億円ぐらいになる、数百億円ぐらいの利益なり、という金額が変わってくるわけです。これは大変な影響なんです。そういった大蔵認可によって変更された事実に対して、今いわゆる会計処理の変更として取り扱われてないのが、これが実務と私は理解しております。
 そういうことでありますと、果たして今までやってきた大蔵認可、すべてそういった処理を大蔵大臣が認可する、かつその事実を随時説明していない、こういう実態が浮かび上がってくるわけで、それが一つの生保だけでも何百億、いろいろ合わせれば一千億を超える巨額なお金になる、業界ですと何千億になる。ここら辺が事実ディスクローズされていない、私はそう理解しました。いかがです。
#259
○山口(公)政府委員 会計処理を含めまして基本的には他業態と同様な水準でディスクロージャーに努めているところということを申し上げたわけでございますが、先ほど来御指摘のございました責任準備金の積み立て方式の変更に係る開示について申し上げますと、先ほども御披露いたしましたように、御審議を賜っております保険業法案で、保険会社の健全性維持の観点から大蔵大臣が責任準備金の積み立て方式を定めることのできる旨を新たに規定しておりまして、この制度の導入に合わせ、今後契約者に無用の誤解が生じないことを確認しつつ開示について検討してまいりたいと申し上げたとおりでございます。
 また、八十四条評価益の使途の内訳についても、御指摘を踏まえ、必要と考えられる事項については、その開示のあり方について検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
 いずれにしましても、保険会社のディスクロージャーについて、契約者保護及び他業態の情報開示状況とのバランスを図りつつ、その充実を図るよう指導してまいりたいというふうに考えております。
#260
○若松委員 重ねてのお話になりますが、大蔵大臣認可ということだけで何か特別扱いして、通常の会計上の説明、これが不足にならないようにぜひともそれは特に配慮していただきたい。そういうふうにお願いを申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
 さらに、今度は、ディスクロージャーという観点からセグメント情報の開示というのが一般化しております。いわゆる保険会社ですと、例えば保険種類ごと、個人保険とか個人年金とか団体保険、団体年金、その他いろいろと商品があります。最近、その商品ごとにどのくらい損益があるのか、こういったセグメント情報が一般事業会社は求められております。ところがまだ、お話を聞きますと、今大蔵省として各生損保に内部的に、テスト的にそういう数字を出してきなさいという状況のように伺っております。
 それで、いつからこのセグメント情報が出されていくのか、それについてはいかがでしょうか。
#261
○山口(公)政府委員 保険審議会の答申におきまして、生保会社の経理に区分経理を導入すべきことなどの指摘がございました。その指摘を受けまして、平成三年度以降、損益状況を把握する観点から、無配当と有配当別に個人保険、団体保険、団体年金保険、その他の保険及び会社勘定にそれぞれ区分しまして損益計算書段階での区分経理を試行してきているところでございますけれども、現在、保険種類ごとに資産を張りつける方法による区分経理を導入すべく検討を行っているところでございます。
 御指摘のとおり、保険種類ごとの区分経理が導入された場合には、その結果を契約者等にディスクローズすることは契約者保護の観点からも必要なことと考えておりますが、現在の検討状況は今申し上げたとおりでございまして、現在検討を行っている区分経理が各保険会社の実務として定着し、契約者等に無用の混乱が生じないことを確認しつつ、ディスクロージャーについて検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 今まで生保の経理については、大きな集団、プールといいますか、塊で経理しておったのをこういうセグメントに分けるというのは大変な革命的なことでございまして、生保の会社にとっても大変な苦労を今やっていただいているところでございます。しかし、経営を近代化し、さらに伸ばすためにはどうしてもやっていただかなければいけないということで頑張っていただいているところでございます。
#262
○若松委員 今、革命的という表現を使われましたが、まさにそのとおりだと思います。引き続き業界に対する御指導のほどをよろしくお願いします。
 続きまして、ソルベンシーマージンをこれから計上するわけですけれども、保険会社としての経営リスクをどういうふうに算定して、どういうふうにソルベンシーマージンを計上したのか、この基準が果たして改正法によりましてディスクローズされるのか。特に、改正法を見ますと、どういう計算方法でどういう根拠でソルベンシーマージンの基準を採用したかというのが法律では要求されておりません。ただ、これは一般契約者にとりましても保険会社の選択情報の一つとしても大変有益ですし、ソルベンシーマージン基準の情報開示は必要となりますが、いかがでしょうか。
#263
○山口(公)政府委員 今回導入をお願いしておりますソルベンシーマージン基準は、保険会社が保険契約者等に対する将来の保険金等の支払いのために積み立てている責任準備金を超えて有する支払い余力を指標として把握するものでございます。
 具体的には、保険会社が直面している保険リスクとか資産運用リスク等の諸リスクを定量化しまして、そのリスク相当額を分母としまして、保険会社の自己資本と考えられる資本勘定、諸準備金等の合計額を分子とする計算方法を大蔵省令で定めることとしておりまして、この比率をもって保険会社の健全性をチェックするために活用することを考えております。
 また、同様の基準は既にアメリカ、EU諸国で法定化されているものでございます。
#264
○若松委員 先ほど、ソルベンシーマージンをどういうふうに計算されるのか、大蔵省の中の一つの指標としてというお話がありました。そういう具体的なものがあれば、それは第三者にとってもすぐわかるように例えば省令で明確に規定するとか、そういうことは必要じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#265
○山口(公)政府委員 御指摘のように、ソルベンシーマージンの基準の具体的な大蔵省令の内容について、現在保険会社でちょっと試行をお願いしているものを参考にして規定させていただきたいと思っておりますけれども、具体的に申し上げますと、保険会社の資本、準備金その他大蔵省令で定めるものの合計額としては、保険会社の自己資本に相当する額として例えば資本の部の合計額、価格変動準備金、貸倒引当金、上場株式含み益の一定割合等を規定し、その合計額を分子とす。
 それから、引き受けている保険契約に係る保険事故の通常の予測を超える発現その他の理由により発生する危険に相当する額として大蔵省令で定めるところにより計算した額といたしましては、生命保険会社が直面している諸リスクを保険リスクと資産運用等リスクに分け、例えば保険リスクにつきましては、保険料設定時に予測できなかった死亡保険金支払いリスクとして危険保険金の〇・六パーミル等と保険数理上の確率論をベースに各リスクを定量化するなど、資産運用等リスクについては、運用資産の収益率が予定を下回るリスクとして価格変動、金利リスク、信用供与先の倒産等による元本が回収されないリスクとしての信用リスク、その他オフバランス取引に係るリスク及び関連会社への投資に係るリスク等として、それぞれ過去の保険会社の実績及び調査機関の統計をベースとしてそのリスクを定量化した上で、そのリスク相当額を分母とす。
 以上のようなことを大蔵省令で定めまして、保険会社の健全性をチェックするために活用することを考えているわけでございます。したがって、大蔵省令でもってそれをこういった形で明らかにしていくということを考えております。
#266
○若松委員 明快にわかりました。よろしくお願いします。本当は省令を今出してほしいのが私の率直な希望でございます。
 それで、連結財務諸表なんですけれども、これが今まさに、日本の場合にはまだまだ単体の決算が主で連結が附属資料という考え方ですけれども、世界はもうそうじゃありません。連結が決算書、附属資料として単体の決算書がある。ところが日本はまだまだ、特に生損保業界は連結はつくられておりません。平成八年四月から導入ということですので、これからの実務を見るわけですけれども。
 ただ、連結財務諸表をつくる場合には、やはり外部のチェックがないと果たして、自己証明は証明にあらずという言葉がありますので、どうも外部監査は予定されていないようですから、これは早急に、連結財務諸表の作成を強制するのと同時に外部監査もあわせて要求するべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#267
○山口(公)政府委員 保険会社のうち損害保険会社は上場されております関係で連結ベースでやっておりますが、生保の相互会社におきましては、資金調達手段が制限されてきたということもありまして、証券取引法上の開示制度であります運結財務諸表の適用は行われておりません。
 御審議賜っております保険業法案に相互会社債の発行規定を盛り込んでいること、及び子会社方式での生損保兼営を盛り込んでいることから、これら子会社を含めた当該保険会社の支配従属関係にある海外の子会社等と本体の保険会社の財務状況を連結し、実質的な保険会社の経営状況を把握するということは、契約者にとって重要な情報と考えられることは御指摘のとおりだと思います。そのことから、生保会社に連結財務諸表の作成を導入すべく現在検討を行っているところでございます。
 現在、連結財務諸表は証券取引法に基づいて作成されておりまして、その作成した連結財務諸表につきましては、同法の規定に基づき公認会計士等の監査証明を受けることとなっております。したがって、生保相互会社について今回社債の発行が認められることになり、それが公募でありますれば証取法が適用され、自動的に外部による会計監査の対象となると承知しております。しかし、証取法の適用がない場合には、現在外部監査の対象にはなっておりません。
 法的には自動的に外部監査が必要ということにならないわけでございますが、生命保険会社の連結財務諸表の精度を高め、契約者等の信頼を得る観点からは御指摘のようなことも必要なことと考えておりまして、自主的なディスクロージャーについて、その際、例えば任意監査として外部監査までも導入することができないかどうかについて検討してまいりたいと考えております。
#268
○若松委員 任意監査ということですから、やらないよりはやった方がいい。ぜひ、できたら早急に法的な手当てをして、やはり生損保の連結財務諸表についても外部監査、正式な証明書を得る、そういった手続を進めていただきたいと要望いたします。残り時間少なくなってまいりましたので、ディスクロージャーという業界にとっては大変つらい話ばかりをさせていただきましたが、今度は税法という問題で、今大変業界にとりましてまたつらい税法がございます。これについてお話をさせていただきます。異常危険準備金制度、この仕組みが若干ややこしいので、委員の皆様のお手元に二枚、資料としてお配りさせていただきました。この異常危険準備金ですけれども、いわゆる保険料が毎年一〇〇なら一〇〇あります。大体保険というのは一年契約ですから、それで保険料が一〇〇入る。そして、その年実際に保険を実行したということで保険金が出る。あるときは利益、あるときは損。ところが、やはり巨大な損失、例えば、この前の阪神大震災というのはまた別ですけれども、平成三年の台風十九号、これで五千億を超える損が出まして、かなりこの異常危険準備金というのを取り崩したわけです。この異常危険準備金ですけれども、今税法では保険料の二%部分はいわゆる無税で損保業界として積むことができるというような形でいるわけですけれども、二%というと十年間で二割、非常にわずかな金額。ところが、業界が試算した。これは九二、三年度の、過去の経験値から、この異常な保険金支出として、例えば先ほどの平成三年度の台風十九号、いわゆる大規模風水災害、こういったものがあります。もう一つ、今回阪神大震災でもありましたけれども、地震火災費用、地震火災があった場合にはその被害総額の五%を払う。こういったものは、まさにここで言う異常危険準備金、これで準備金をプールして、まさかの大規模災害について保険会社の支払いの不足が生じないようにしっかりプールをさせる。それで、これは必ず必要なものだから、税務上、その積み立て、今は二%しか認められておりませんけれども、二%は損金算入す。ところが、先ほどのこの業界の過去の経験値を見ますと、大体五・四%、五%強がいわゆる大規模な風水災害または地震。これから関東大震災が起きた場合に少なくとも先ほどの地震火災の五%はやらなくちゃいけない。関東の保険加入者はほとんどこの五%に入っております。これから、将来いつ起きるかわからないけれども、大規模な災害が起きた場合に、これはやはり損保会社のそれぞれの会社がこの異常危険準備金をもっともっと積んでもらわなくちゃいけない。そのためには、やはり見積もられる五%前後の準備金までは損金算入は認めていいんじゃないか。これは、実は数年前ですけれども、ある意味で損保業界の世界の職業会計人のプロがスイスで集まりまして、それでいろいろ議論したのです。そして、この異常危険準備金、これは大体実態ベースで必要な分は全部損金算入を認める、これがどうも世界の税法の常識らしいのです。ところが日本は二%しか認めてくれない。これは業界にとっては非常につらい話であり、かつこれから業界は大規模災害に対して備えなくちゃいけない。やはり税法の支援も必要である。そういった面から、二%では足りない、やはり実態ベースの五%前後にするべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#269
○小川(是)政府委員 異常危険準備金につきましては、確かに保険事業の特殊性に配慮をいたしまして、特別措置として、一定の保険について一定の積み立てを現在損金算入によって認めているものでございます。通常、税法上、所得計算上損金に算入をされるというものは、経費性がある、その期間に支出がされなくても、例えば期間対応の費用であるとか、あるいは債務として当期発生して将来払わなければならないというのは企業会計と同じでございます。しかしながら、異常危険準備金はそういった意味においては経費性を持たないものでございます。今委員がおっしゃられたように、毎年毎年契約者との関係では終わっている話でございますから、あとは事業において発生するリスクを将来的にカバーするために、財務内容を会社サイドでどれだけのものを強化しておくかというところでございます。その点につきましては、現在の火災保険の二%につきましても、これは当然のことながら収入保険料のうちの危険部分について、過去のデータ等から見まして、本来なら、あるいは火災保険なんかについては見直すべきである、むしろ、火災保険について異常危険というようなものを考える、保険数理上あるのかどうかといったような議論も含めて見直さなければいけないのじゃないかというような議論も私どもやってまいりました。また、片方において、今委員御指摘のような御要望もあるわけでございます。いずれにいたしましても、そうした異常危険準備金の性格に即応しまして、これは保険数理、データ、そういったものによって議論をいつもきちっとやっていかなければいけないなというふうに受けとめている次第でございます。
#270
○若松委員 その保険数理等のデータに、いわゆる実態ベースということだと思います。それで議論される。そうしますと、今度は過去の実績ですけれども、委員の皆様、二枚目の資料ですけれども、これが過去の異常危険準備金の無税で積み立てが認められた推移でございます。昭和五十年以前のときは一〇%認められました。これがずっと減ってきて、そして昭和六十年からずっと二%でやってきている。ですから、なぜ過去がこうやって認められて、かつそれなりの率で認められて、今費用じゃないからだめなんだ。一方、もう一つ、この異常危険準備金の残高、これは業界の残高ですけれども、御存じの、平成二年までは四千五百億円までいったわけですけれども、台風十九号が平成三年に起きまして二千億円になりました。これからどうなるのか。まだ平成六年、阪神大震災は入っておりませんからまた減るのでしょうけれども、いずれにしてもこういう形で、今の二%だけ認めるという形で、本来、万が一大規模災害が起きたときに、今の税制で損保会社があるべきこの危険準備金の残高があるのかどうか、やはりそれが大事な話だと思います。やはり二%では足りないと思いますけれども、いかがでしょうか。
#271
○小川(是)政府委員 その点はぜひ誤解のないようにお願いしたいわけでございますけれども、保険会社だけではなくて、あらゆる事業には事業リスクがあるわけでございます。当期もあれば時間の経過とともにあるわけでございまして、そうしたリスクが生じたときに対応ができなければいけない、お客さんのために対応ができなければいけないというのが事業そのものであろうと存じます。したがって、税引き後の所得を留保したり資本金を増額したりするわけでございますし、保険会社の場合であれば、そういったことのほかに、リスクが大きいとなれば再保険という道もあり、あるいは保険集団を大きくするという形でそれに備えておられるというのが保険業務の特殊性であろうと思います。したがいまして、ある大きなリスクが生じたときのために税法上無税で内部留保を厚くしておくべきである、そうでなければ困るではないかというのはやや、何と申しましょうか、現在の各種のリスクを負って事業をしている各種事業とのバランスにおいて、私ども、税としてはそれには無理があるのではないかというふうに思うわけでございます。
#272
○若松委員 今の利益留保性というお話ですけれども、私はそうじゃないと思います。損保業というのは、将来の支払う支出に備えるために、必ずいわゆる経費として生じるわけなのです。そういった項目のために負債性引当金という幾つかの項目があって、そのうちでも税法上認められているものがあります。経費なのです。損保の場合には、単年度単年度で課税するべきじゃなくて、やはり大規模な数十年単位の配慮も必要なのです。経費なのです。だから、実態ベースの過去のその年金数理等の計算で導き出された実態、あるべき数字を経費として損金算入させる、なぜいけないのでしょうか。世界はそれが常識です。
#273
○小川(是)政府委員 ただいま御指摘の、損害が発生をしたというときに経費であるというのは当然のことでございます。そうではなくて、損害が発生しない、いつも収入保険料が入っているときの一定額を経費として計上するというためには、それは当期の収益と対応しての経費性あるいは債務性ということが必要だというふうに思います。企業会計上の引当金もそういう考え方で引き当てられているというふうに思うわけでございます。
 問題は、保険の場合には一年一年で勝負が終わっておりますから、そういう意味での債務性とか経費性というものはない。ただし、保険リスクを扱っているために、そのリスクが年によって非常に大きく変動するというところに対してどういう対応が考えられるかということが、この異常危険準備金を税制上もある程度租税特別措置として置いている、こういう考え方だということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
#274
○若松委員 ですから、租税特別措置法上やっているとして、では二%でいいのかというところなんです。ここに返るわけなんです。かたくなにそういう姿勢でいられる、ふたをあけたら大変な事態が生じる、これは保険部の責任ですか、主税局の責任です。
#275
○小川(是)政府委員 きょうお示しいただきましたこの資料につきまして、余り技術的になりますのでここで申し上げるつもりはございませんけれども、こういう形で出ているから、例えば四、五%なければ、大きな損害が発生したときに困るというお話は、ほかの各種の事業会社においてもいろいろなリスクを負っておられて、そのリスクを負ったときに困るということと一般的には一つの中に、そういう面の中にあるわけでございます。
 問題は、申し上げましたように、発生するリスクというのが年によって大きく変動するということから、当該事業会社が契約者に対してその年に自分の留保した利益、資本で支払い切れないようなことの生じないようにどこまで政策的に配慮ができるかというところ、その点だけはぜひ御理解をいただきたい、こう申し上げている次第でございます。
#276
○若松委員 国民の生命、財産を、特に財産を守るという観点から、やはりここだけははっきりしなければいけない。万が一大規模災害が生じた場合に、当然損保会社がしっかりとした財力を得なくてはいけない。ですから、小川主税局長の答えではこの問いには答えていないのです。
 そうした場合には、保険部、どういうふうに取り扱われます。
#277
○山口(公)政府委員 なかなか答えにくい話ではございますが、保険部として、保険を監督する立場といたしましては、なるべくそういう準備金の積み立てがスムーズにいくような方が望ましいというのは、私どもの立場からいえばそういうことでございます。ただ、税法上のいろいろな考え方があることもそれは事実であると思います。
#278
○若松委員 主税局そして保険部の、将来の明確な安心のある答えが得られない中、終わらざるを得ない。大変残念ですけれども、時間ですから仕方がありません。ぜひ、一つの私の問題提起をさらに検討していただければ幸いと存じます。
 以上で終わります。
#279
○尾身委員長 次に、村井仁君。
#280
○村井委員 保険業法改正案につきまして、ずっと審議がいろいろ進んでいるわけでございますが、保険審議会の平成四年の答申、それから六年の答申、いずれも見ておりまして、ずっと私感じていたことなのですけれども、保険業と実質的に同じ事業を営みながら保険業法の対象になっていない、そういった性格のものに共済とそれから簡保、この二つがあると思うのです。
 まず初めに、簡保の問題につきましてちょっと触れたいと思うのですけれども、簡保というのは、民間生保全体の現在六割くらいの規模を持つ、ある意味では世界最大の生命保険会社になっている。それから、国営であるがゆえに、最後のところ、いわゆるソブリンとしての信用がある。それから、税制上も当然のことながら利点があるというようなことが指摘されているわけでありますけれども、今回の保険業法の改正が、第一に、規制緩和と自由化による競争の促進と経営の効率化をねらいとし、それから経営の健全性の確保、さらには国際的整合性、こういったものを考慮するということにあるということを考えますと、保険業法を改正しまして、民間保険会社の世界で競争促進を大いに進める、こういうことにしました場合に、簡保との関係も、民間保険の立場からこの際よく検討しなければならないんじゃないだろうか、こう私は思うわけでございます。
 それは具体的に言いますと、例えば、簡保の予定利率引き上げ、いわゆる保険料の引き下げが民間生保の保険料の引き下げをあおったというような話も聞いたことがあります。あるいは、募集というレベルになりますと、いろいろ禁止行為があるわけでありますけれども、その辺の整合性もとっていく必要があるんじゃないだろうかという感想もある。それから、国際的にも、外から見ますと、事実上、超巨大生保が国営で存在するということが、外国の目から見て一種の参入障壁、こう受け取られるようなおそれはないんだろうか。
 以上、世上、簡保についていろいろ言われていることを並べてみたわけでありますけれども、これにつきまして、大蔵省の基本的な考え方というのをまず聞かせていただけますでしょうか。
#281
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 簡保、簡易保険事業のあり方につきましては、これまでも臨調、行革審におきまして、官業は民業の補完、官業としての立場を守りつつ適切な運営を行うといった各種の御指摘が行われているところでありまして、簡保におきましては、こうした答申を十分に尊重しつつ適切な業務運営を行っていただきたいというふうに考えております。
#282
○村井委員 そういう方向でひとつ今後とも進めていただきたいとお願いを申し上げておきます。
 それから、もう一つの世界、共済でございますけれども、きょう、厚生省の社会・援護局の高山地域福祉課長、それから通産省中小企業庁指導部の萩平組織課長、それから農林水産省経済局の米田農業協同組合課長、それぞれおいでいただいておりますけれども、ちょっと時間の関係もございますので、ある程度まとめてお話を聞かせていただければありがたいと思います。要するに、私がこれから申し上げます問いに一間一問答えるのではなくて、まとめてそれぞれの御担当の分野についてお答えいただければありがたいと思います。
 私の問題意識は、農業協同組合あるいは生活協同組合あるいは中小企業協同組合あるいは火災共済協同組合、こういったものが実施している、保険と同様の経済機能を持つ共済制度、これの規模について、例えば農業協同組合がやっている生命共済、こういうものを見ますと、平成五年度末で二百二十八兆円という規模の契約を保有していまして、生命保険各社合計二千二十一兆円という規模でありますから、それの一割を超えるという相当な規模である。
 保険業法改正案では、保険会社が経営不振に陥った場合に、契約者保護のために、他の保険会社に保険を移転するのを支援するといいますか、そのための保険契約者保護基金の設置を初めとして、さまざまのセーフティーネットを整備するというような方向が示されているわけでありますけれども、共済の場合に、経営不振に陥って共済金を支払えないような状態になったときに、各共済、それぞれどのような措置をとるんだろうか。
 それから、料率決定の方法というのはどんなふうに行われているんだろうか。
 それから、主務官庁が経営の健全性についてどのような監督をしておられるのだろうか。
 さらに、組合員の共済、こういう言い方をしますとそれなりにわかったような気がするのでありますけれども、実際はメンバーシップを得ますのに大変手続が容易な場合というのがありまして、そういう意味では、組合員の共済といっても事実上不特定多数に広げられているという現実があるのではないか。その辺がどうなっているか。
 それから、そういうような組織というものを前提にしたときに、その共済を運営している主体の意思決定のシステムというものがどういうことになっているか。
 それから、今の問題とも関連するわけでありますけれども、員外利用の実情というのがどうなっているか。この員外利用の問題というのは、申し上げるまでもありませんけれども、メンバーシップが取りやすい場合には、員外利用がないと言ってみてもそれは事実上員外利用を認めるという、員外利用を比較的容易に認めるという実態になっているケースがあるんだろうと思うのでありますけれども、その辺のところも含めて、それぞれの制度についてコメントしていただきたい。
 さらに、ディスクロージャーがどんなふうに行われているか。
 以上の諸点につきまして、それぞれ概括、御説明いただけます。順序はいかようでも結構ですが、もしなんでしたら、まず厚生省から。
#283
○高山説明員 お答え申し上げます。
 生協は組合員による自発的な相互扶助組織でございますけれども、共済事業が多数の組合員の生活設計上重要な役割、機能を果たしていることにかんがみまして、生協の共済事業につきましては健全な事業運営が行われるような仕組みがとられておりまして、またそのような指導を行っているところでございます。
 ごく簡単にそのポイントを申し上げますならば、共済事業を行う場合、共済事業規約を定めて、行政庁、これは厚生大臣または都道府県知事でございますけれども、この認可を受けなければならないことになっております。この認可を行う場合につきましては、実施する生協の資産状況や実績、あるいは危険分散を図るに十分な加入者数が見込めるか否か、あるいは死亡や障害あるいは火災等の客観的事故率に十分な安全性を見込んだ掛金が設定されているか等を確認の上、認可を行っているところでございます。
 また、保障額については、最高限度を設けているところでございます。
 運営に当たっては、法定準備金のほか、大きな災害等に備えて、異常危険準備金や任意の積立金を充実させるなどの指導を行っております。
 また、資金運用に当たっては、財務処理規則において財産運用基準を示しまして、安全確実なものの運用を義務づけておるところでございます。
 また、組合は毎年度、財務諸表を作成して総会あるいは総代会に諮るとともに、行政庁に提出して、その確認を受けることになっております。
 しかしながら、生協は、組合員による自発的な相互組織であるという性格から、組合員みずからが運営に参加するのが原則であるために、共済事業を利用する契約者の保護に関しても自己責任の原則が適用され、万一、経営不振等により共済金を支払えない状態に陥った場合でも、生協間で自主的な助け合いが行われるという場合を除きましては救済措置が存在しないことも事実でございます。
 ただ、現時点におきまして、生協法に基づく共済事業におきまして、共済金の支払いを脅かすような不健全な経営が行われているという事例はないと理解しておりますが、今後とも、生協という助け合いの精神を生かしつつ、健全な共済事業が行われるように指導してまいりたいと考えております。
 料率に関しましては、これは先ほど申しましたように、組合が組合員の総意に基づいて決定いたしまして、共済事業規約というものを定めることになっておりますけれども、これに当たりまして、厚生省といたしましては、共済の支払い事故の危険率については公式の客観的な統計を用いて算出すること、またはその安金率については共済の件数に従いまして危険率の標準偏差の三倍とすること、あるいは異常危険準備金を見込むことなどを基準として示しているところでございます。
 それから、主務官庁の監督ということ、あるいは経営の健全性についてのチェックでございますけれども、これは厚生大臣あるいは都道府県知事におきまして、共済事業につきましては、掛金や給付金といった事業内容が数理的な計算等専門的な事項に関すること、及び組合員の利益に与える影響が大きいことから、共済事業規約は、先ほど申しましたように行政庁の認可事項とされておるところでございます。事業開始当初から行政庁のチェックが働く仕組みとなっておるところでございます。また、先ほど申しましたように、毎年度財務諸表を提出することになっておりまして、これで健全性をチェックしているところでございます。また厚生省では、計画的に大臣認可生協につきましての検査を行っておるところでございます。
 それから、意思決定機関ということでございますけれども、総会が総組合員を構成員とする生協の最高議決機関であり、定款の変更あるいは共済規約の設定等につきまして総会で決めるということになっております。ただ、生協法では、人数が多いために、千人以上の組合員を擁する場合には、定款の定めにより、総会にかわるものとして総代会を設ける規定がございます。したがいまして、組合員の方は総代会の選出ということを通じまして生協の運営に参加するという仕組みになっておるわけでございます。
 それから、生協の性格として、その目的とするところから、組合員の規定に該当する方につきましてはできるだけ入りやすくするというのが生協法の趣旨でございます。そういう面がございます。
 それから員外利用の実態でございますけれども、基本的に共済事業につきましては、共済の契約前に必ず組合への加入というのが行われるわけでございますので、基本的には共済事業については員外利用はないということで理解しておるところでございます。
 それからディスクロージャーにつきましては、生協の共済事業というものは組合員が運営に参加するものでございまして、また組合員は組合の行う業務内容や経営状況につきましても承知している必要があるわけでございまして、このため生協法では、事業報告書や財産目録、貸借対照表などにつきましては事務所に備えつけることを義務として、組合員はいつでもこれらの書類を閲覧することができるということで指導しておりますし、またこの点についてはきちんと指導しているところでございます。
 以上でございます。
#284
○米田説明員 御説明申し上げます。
 第一点の、農協が経営不振に陥った場合、共済金の支払いの確保の問いでございますが、農協組織というのは、各市町村単位、大体でございますが全国約二千五百の単位農協がある上に、四十七都道府県ごとに、共済の場合でありましたら共済の連合会、農協連合会がございます。その上に全国の共済連合会があるということで、系統三段階組織をとっておりまして、こういう全体の中でプールして、プールといいますか、危険を分散、分担していくということで共済金の円滑な支払いを確保しようということでやっておる次第でございます。こういうことによって、特定地域に自然災害が集中した場合にも対処できるようにということでやっておる次第でございます。
 なお、責任の分担でございますが、個々の単位農協は責任を保有せずにそのすべてを県の共済連に再共済する、県の共済連は積み立て部分の一定割合を除きまして全国の共済運に再々共済する、こういう仕組みで危険を分担しているということでございます。
 なお、仮に組合が、個々の単位農協が経営不振に陥った場合でございますが、その場合には、農協法の第五十条の三という規定がございまして、迅速に共済事業の全部もしくは一部を他の農協に譲渡し、または共済契約を包括して他の農協に移転することができるというふうになっておるわけでございまして、こういう手続を活用しまして、共済加入者の保護を図ることができるんだというふうに考えておる次第でございます。
 第二点は料率、掛金率の問題でございますが、掛金率につきましては、客観的に公平かつ適正なものになりますように、全国の共済連が一定の危険率というものを基礎として、収支相等、相等しくなるという原則に基づきまして、事業運営の健全性にも配慮しながら算定する、それを学識経験者等々によって構成いたします共済約款・共済掛金率審議委員会の議を経て農林水産大臣が承認をする、特定の共済については他の大臣にも同意を求める、こういう仕組みでやっておる次第でございます。
 第三点、主務官庁、農林水産省でございますが、経営の健全性についてどういう監督をし、どういうチェックをしているかという御下問かと承知しますが、一般的に、組合が、農協が適正な管理を図るように農協法に基づき監督しておる次第でございまして、設立から、共済、信用事業の事業規程の承認から、報告の徴取から、健金運営確保のための是正命令等々が農協法に規定されておる次第でございます。また、業務または会計の状況に関しましては、常例、特別両々の検査というものが法第九十四条に規定されておる次第でございます。
 なお、監督責任でございますが、都道府県を超える組合なり、都道府県区域以上となる連合会、こういうものは我が農林大臣ということでやっております。なお、信用事業につきましては大蔵大臣と共管でございます。これ以外の組合なり農協連合会は、都道府県知事が監督官庁ということになっておるわけでございます。
 経営の健全性につきましては、信用事業、共済事業と両々でありますが、特に共済事業につきましては、共済規程の設定、変更、廃止、こういうものについて行政庁の承認をかけておりますし、また共済の責任準備金の積み立てに当たりましては、省令の定めるところによりまして、毎事業年度末ごとに、その事業種類ごとにこれを積み立てなければならないと法律で規定しておる次第でございます。また、共済の財産運用についても、省令で定める方法によるほかは運用してはいけないというふうに法律で規定しておる次第でございますし、先ほど申しました報告の徴取、検査の実施等々によりまして、健全に事業が実施されるようにやっておる次第でございます。
 加えまして、特に共済事業に係る経営の健全性の確保につきましては、我が方、行政指導でございますが、系統三段階の機能分担、自己資本の最低基準、準備金の積み立て、取り崩し方法等の財務処理、連合会におきます共済経理担当者の設置、こういう執行体制、さらには決算書類の提出等を指導し、経営の健全性の確保に努めておるというふうに我々考えております。
 四点目に、農協の組合員の問題、これについて御下問があったように思っておりますが、農協の組合員、これは農協法十二条におきまして規定されておりまして、定款で定めた者でございまして、出資一口以上を有しなければならないとなっております。その性格から、正組合員、准組合員に分かれております。
 正組合員は、これは農民等でございまして、農民とは、農協法第三条にありますように「みずから農業を営み、又は農業に従事する個人」ということで、農協の区域内に住所または農地を有するなど、定款で個々に定めた要件に該当してほしいということになっております。准組合員につきましては、農協の区域内に住所を有する個人で、当該組合の施設を利用することが相当と認められることが加入要件でございます。
 農協法第二十条によりまして、加入要件を具備している者に対しては、正当な理由がない場合に加入を拒んではいけませんし、組合員たる資格を有するかどうかというのが明らかでないときは理事会で決めるというような手続でやっております。
 なお、先ほど出資一口以上というふうに申し上げましたが、これは組合で個々でございますが、平成四年事業年度末における一組合員当たりの出資額は十三万六千円というふうな統計が出ておる次第でございます。
 五番目に、意思決定機関の問題でございます。
 意思決定機関につきましては、農協における最高の意思決定機関というのは正組合員が参加する総会ということになっておりまして、なお、五百人以上の正組合員を有する組合というものは、総会にかわる総代会。総代会は、正組合員の選挙によって民主的に選ばれた総代によって構成するということになっております。
 この総会でございますが、年一回必ず開催される通常総会に加えまして、必要があればいつでも開催できるというふうになっております臨時総会、あるいは監事の招集または組合員の請求ということによる総会の開催、それぞれ法律上明確に制度化されておる次第でございまして、こういうことで意思決定機関ができ上がっておると承知しておる次第でございます。
 六番目に、共済事業の員外利用の実態についての御下問でございますが、員外利用というもの、厚生事業等の一部の例外はございますが、原則五分の一という制限がかかっております。
 この現実でございますが、二〇%以内、五分の一以内で員外利用が認められておりますが、ちなみに、平成六年三月末における員外の利用状況、共済掛金で見て、共済事業全体で九・六%というふうな状況で、二〇%は下回っておるという状況でございます。
 最後に、ディスクロージャーの質問がございましたが、これにつきましては、法律第三十六条に基づきまして事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案あるいは損失処理案、こういうものを主たる事務所に備え置きまして、総会に提出すると法律で明定されておる次第でございますし、同時に、総会及び理事会の議事録を主たる事務所に備え置く、これまた法律に規定されておるところでございまして、主たる事務所に備え置くこと等によりまして、経営内容を組合員及び組合の債権者に提供しておるということでございます。
 信用事業については、法律五十四条の二におきまして、さらに厳しい、厳しいというか具体的なといいますか、平成五年事業年度から、信用事業及び信用事業に係る財産の状況に関する事項を記載した説明書類を作成いたしまして、主要な事務所に備え置き、公衆の縦覧に供するということで、法律五十四条の二に規定しているところでございます。
 取り急ぎ申し上げました。
#285
○萩平説明員 お答えをいたします。
 先生の方からは、中小企業の協同組合、それから火災共済の組合についての御質問がございましたが、ここでは、中小企業協同組合法に基づく典型的な共済事業であります火災共済協同組合についてお答えをいたしたいと思います。ほかの事業協同組合もほぼ類似な仕組みになってございます。
 火災共済協同組合につきましては、まず第一点、先生から御質問がございました。経営不振に陥って支払えないような状態になった場合にどのような措置をとるのかという点でございますが、これは、それぞれ引き受けできる共済金額を法律に基づいて限定をいたしております。それから、全日本火災共済協同組合連合会というところに再共済を掛けることによって危険の分散を図っております。さらにまた、県の単位の火災共済組合におきましては、県との間で支払い保証に関する契約を締結したり、あるいは金融機関との融資予約の覚書を交わしたりというようなことで、基本的には財政悪化によって破綻するということにはならないような仕組みを講じておるところでございます。
 それから料率の決定の方法でございますが、過去の事故の状況あるいは運営費、事業費などを勘案した上で、業種別の組合あるいは連合会につきましては、これは大蔵大臣と通産大臣の共管になってございますが両大臣の認可、それから県単位の組合につきましては、これは県知事の認可でございますが、事前に大蔵大臣及び通産大臣に協議を行った後、知事の認可を受けて料率は決定するということになってございます。
 それから、主務官庁は経営の健全性に対してどのような監督を行っているかという御質問でございますが、今申しましたように、この火災共済組合の監督官庁は、組合法に基づきまして、県単位の組合につきましては各都道府県、業種別の組合あるいは連合会につきましては大蔵省及び通産省となってございます。
 それで、重要な決定事項につきましては、例えば定款の変更であるとか、あるいは事業方法書、共済掛金算出方法書等の変更につきましては、それぞれ行政庁の認可事項となってございます。各都道府県単位の組合につきましても、事前に大蔵省及び通産省と協議をするという形で、県と国とで二重のチェックを行っているところでございます。さらに、二年あるいは三年に一度は立入検査などを行って、組合の運営、財政面に対して指導を行っております。
 それから、第四点でございますが、組合員になる資格でございます。火災共済組合、これは事業協同組合もそうでございますが、組合員になるためには、商業、工業など事業を行っている中小企業者に限定をされております。
 それから、意思決定機関につきましては、先ほど他省の方からも御説明ございましたが、基本的にはやはり総会の議決で組合の根本となる事項は決定されることになってございます。そういう意味では、総会が組合の最高の意思決定機関になってございます。
 ただ、組合員の総数が二百名を超える大規模な組合につきましては、やはりこれも組合法に基づきまして総代会を設けることができるという形になってございます。火災共済組合につきましては、すべてこれは総代会が設けられております。
 それから、員外利用の実態についての御質問がございましたが、火災共済組合の員外利用につきましても、これも組合法に基づきまして、組合員等の利用分量の総額の百分の二十を超えない範囲に限定をされてございます。火災共済組合につきましては、最近年では大体三%前後の員外利用の実態になってございます。
 それから最後に、ディスクロージャーについて御質問がございましたが、組合法に基づきまして、組合員及び組合の債権者は何どきでも理事に対しまして定款あるいは規約、総会及び理事会の議事録あるいは決算関係書類につきまして閲覧または謄写を求めることができる、理事は正当な理由がなければこれを拒むことができないというふうに規定されております。
 それから、組合員は、総組合員の十分の一以上の同意が得られれば、会計の帳簿の閲覧または謄写によって、組合の経営状況につきましてその開示を求めるということができるようになってございます。
 以上でございます。
#286
○村井委員 どうもありがとうございました。
 もう一点だけ、ちょっとお伺いしたい、小さいことになるかもしれませんが。
 共済で損害保険に相当する分野で、モータリゼーションの進展に伴いまして、自動車保険といいますか自動車共済の占める比重というのはかなりまっているのだろうと思うのですが、農協の共済、それから生活協同組合の共済、その比重、それぞれどのくらいです。これは事実だけちょっと教えてください。
#287
○高山説明員 お答え申し上げます。
 生協の行う共済事業につきましては、生命共済、火災共済、それから任意の自動車共済等をやっておりますけれども、任意の自動車共済につきましてのウエート、これはいろいろな見方があるのですけれども、掛金収入で見るのが適当かと思いますけれども、それで見ますと、平成五年度におきまして、全体の掛金収入の七・九%に当たっているところでございます。
#288
○米田説明員 農協共済に占める自動車共済等の自動車関係の共済のシェアでございますが、平成五年度で八・三%ということでございまして、平成三年、四年とおのおの九%で推移いたしましたので、ほとんど変わらない状況でございます。
 以上でございます。
#289
○村井委員 どうもありがとうございました。お忙しいでしょうから、どうぞお三人、これでお引き取りいただいて結構です。
 さて、法案の中身の方に移らせていただきたいと思いますけれども、同僚議員からも既にいろいろお話がありましたので、できるだけ重複を避けて申し上げてまいりたいと思いますが、保険会社につきまして、今度生損保の相互参入など規制緩和が大変進むわけでございますけれども、銀行、証券の間のそれに比べまして保険会社につきましての規制緩和がある意味ではおくれた理由、これは保険部長、どんなふうに理解しておられます。銀証の場合、相互参入をやりましょうという話は比較的早く割り切られた。保険会社はちょっとおくれたという印象があるのですけれども、その辺はどんなふうにお考えになります。
#290
○山口(公)政府委員 なかなか難しい御質問ではございますけれども、改正をお願いしている法案を含めまして、保険制度改革は五十数年ぶりの、基本法を変えつつなおかつ規制緩和をやるということで、かなり準備期間に時間がかかった。五、六年優にかかったという事情もございます。
 銀行の場合はセーフティーネットがあって、それから業法という意味での銀行法があります。それからこの銀証の相互参入等の問題があったというふうにステップを踏んでおったわけですけれども、保険の場合は、どういう理由かわかりませんが一挙に来たということが一つあり、そのためにいろいろと膨大な作業をやったという事務的なことも一つあろうかと思います。
 もう一つは、公式見解として申し上げるべきかどうかはわかりませんが、銀証はやはり直接金融か間接金融かというような形で金融仲介機能としては同じなわけでございます。しかも、間接金融か直接金融かというのが昔ははっきりと分かれていた。それが証券化等の動きで非常にミックスしてきた。余り垣根の問題を議論しているとだんだん取り残されるという問題がかなり急激な形で起こってきたのではないかという感じもするわけでございます。
 保険についていいますと、間接金融か直接金融かという問題からいいますと、確かに貸し付け等がありますからそういった金融仲介機能もございますが、そのほかに保障機能とかいう銀行や証券にはない機能があるわけでございまして、業態としてもちょっと違うねという感じがあったと思うのです。だから、銀証保で一遍にやろうと う動きにならなかったのは、恐らくそういった事情もあったのではないか。
 しかし、これだけウエートが大きくなりました生損保業界が厳然としてあるわけでございまして、金融の自由化、国際化はそういった業界にも押し寄せてまいっております。しかも、金融機関としては同じ機能を持っておるわけでございますので、保険だけ別にのんびりしていいよということにはやはりならなかった。だから急いで追いかけているという状況ではないかというふうに、やや私見を交えての議論でございますが、そう考えております。
#291
○村井委員 今、銀証との比較でちょっとお話をお聞かせいただいたわけですが、今度生損保の子会社方式による相互参入が行われるわけでありますが、その際にファイアウオールをどうするかという問題、これは非常に大切な問題だと思うのです。
 私は、銀証の場合には、やはり銀行の産業支配力の強さというようなことも考えながらかなりハードルを高くしたというような感じがあったと思うのですが、今度はそれと比べますと、生保、損保といいましても同じ保険だという意味で業務の同種性が非常に高い。それからまた産業支配力という点でも銀行なんかとはちょっと違うのじゃないか。そういう意味で、ファイアウオールというのは銀証の場合よりも低くていいのじゃないか。私はそう思うのですけれども、当局の具体的に想定しているファイアウオールのレベルといいましょうか、基本的な考え方をぜひ聞かせていただきたい。
#292
○山口(公)政府委員 生損保の相互参入に伴うファイアウオールとしましては、法律上はいわゆるアームズ・レングス・ルールと省令委任の規定を設けてございますが、省令以下のファイアウオールの詳細につきましては、今先生おっしゃいましたように、生損保の場合は同じ保険であることには変わりございませんので、銀証におけるようないわゆる利益相反等といった非常に深刻な問題というのは比較的起こりにくいのではないかという感じは持っております。その辺は先生と認識は近いのではないかと思っております。
 また、親子間の経営資源の有効活用という観点からのクロスマーケティングの趣旨というものを踏まえながら考える。他方、やはり子会社で展開する、子会社であるという以上は親会社からある程度独立していることもまた必要だと思うわけでございます。それから、生損保の兼営禁止という規定もございますので、そういったもののバランスをとりながら現在の実態を踏まえて定めてまいりたいと思いますが、銀証との比較で申されればやはりそんな感じかなというふうに思っております。
#293
○村井委員 次に、法案の九十八条一項一号、ここで付随業務につきまして、業務の代理、事務の代行、こんなような話が出てくるわけでありますが、同種の保険会社、つまり生保と生保、損保と損保、この間での業務の代理あるいは事務の代行、これについては特段の制限を設ける理由はないと私は思うのですけれども、この辺はどうなんでしょうか。
 それから、時間の関係もありますので、ざっと申し上げさせていただくと、今度は生保、損保、生損保の場合も業務の代理、事務の代行を幅広く認める方が経営資源の有効活用という点からも経営の効率化に資するし、それから国民経済的な観点からもメリットがあるというような感じがするのですけれども、省令をどんなふうにお決めになるおつもりなのか、行政の基本的なスタンスをぜひ伺わせていただきたい。
#294
○山口(公)政府委員 まず、生生、損損といいましょうか、その関係から申し上げますと、生命保険会社、損害保険会社とも、保険業を営む者として免許を受けているわけでございまして、それぞれ独立して保険の募集及び保険の引き受け、それから保険金の支払いにかかわる業務を行うことが原則であります。だから、生保と生保、損保と損保の間において無制限に業務の代理あるいは事務の代行を認めるというのはかえって適当ではないのではないかというふうに考えております。
 しかし、例えば外国の保険会社に保険を掛けた者が、日本の港で事故が起きて、それをぜひ調査してほしいとか、そういう例えば外国保険事業者の業務の代理等を国内損保会社が行うような場合は現行法でも認められておりまして、そういった合理的な理由がある場合には業務の代理、事務の代行を認めることを検討していくべきではないかと考えております。
 それから、生損の話でございますけれども、生損の間の業務の代理、事務の代行については、子会社による相互参入を認めた趣旨、それから生損保が兼営禁止になっているという趣旨から、やはり無制限に認められるのはいかがなものかなという感じがします。他方、御指摘のように経営資源の有効活用という観点からは広く認めた方が経営の効率化に資するし、国民経済的観点からもメリットはあると思いますけれども、そういった原則にあくまでのっとった形で考えていく。
 さらに、より重視しておりますのは、保険子会社を保有できないような保険会社と、保有し得る、子会社を持てるような保険会社との、ちょっと語弊があるといけませんが、イコールフッティング的な観点も考慮する必要があります。
 以上のような観点を総合的に考えながら省令を定めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#295
○村井委員 業務の代理、事務の代行、それから生損保の提携、いずれについても公取との関係というのが私はちょっと気になるのです。特別の排除規定を設けていないとすれば、公正取引委員会の判断というのが大変大きな影響を及ぼす可能性があるのではないかという気がするのですが、その辺はどんなふうにお考えでしょうか。
#296
○山口(公)政府委員 こうした業務の代理、事務の代行等を認める場合におきましても、それが寡占化につながるとか、あるいは系列化によって競争制限的になるとかいうことであっては困るわけでございまして、そういったものにならないように配慮をするつもりでございます。その限りにおいては独禁法上の問題にはならないと思いますが、今申し上げたような疑わしい、あるいは懸念があるような場合には、当然公取と調整をするということになろうかと思います。
#297
○村井委員 続いて、第三分野の話です。
 これは、先ほど既に北側委員ほか同僚議員からもいろいろお触れがありましたけれども、当分の間、いわゆる激変緩和措置ということなのでしょうか、そういう意味で参入を認めないといいますか抑える、こういうことになっているわけです。しかし、当分の間といっても、もうずっと二十年も三十年も当分の間ということがしばしばあるわけです。これはやはりおかしい。
 それで経緯を考えてみますと、いわゆる第三分野というのは、日米のいろいろな保険の交渉などがありましたけれども、例えばアメリカ系の、外国系の保険会社がいわば開拓した分野だというようなこともあって、規制緩和という非常に大きな流れの中で、どちらかというとちょっと抑えられてしまったというような感じもしないではない。中小保険会社がよくやっている分野だというような理屈もあるけれども、どうも判断としてはそういう対外的な配慮の方が優先しているような印象があるわけであります。
 私はどちらかというと、これはこの間も一度触れたことでありますけれども、生損保相互参入という世界よりも、もっと実はそれぞれにやっていいから第三分野なのだろうと思うのです。そういう意味では、私は猶予期間というのを明確に年数を区切ったらどうだという気がするのです。その方が、いわばそこで激変緩和措置の対象になる企業の経営努力というのを促すということにもなるのではないかと考えますが、そのあたり、どんなふうにお考えでしょうか。
#298
○山口(公)政府委員 第三分野に対する特別な配慮規定の期間をいつまでにするかという問題につきましては、第三分野に依存度の高い中小保険会社、外国保険会社等が、第三分野以外の生命保険あるいは損害保険のいわゆる固有分野において事業展開をなし得る環境が整備されていくときというような考え方でいるわけでございますけれども、今の時点でこの規定の終了時期を明確にするということは、確かに先生おっしゃるように、そのために準備をみんながするからいいのじゃないかという議論ももちろんあると思います。ただ、第三分野での競争というのは非常に激しゅうございまして、その影響というのは非常に激しく出てくるということで、保険審議会の答申でも非常に心配されている部分でございます。
 現時点においてその時期を明示するのは御勘弁いただきたいと思うのでございますけれども、今先生のおっしゃったようなお考えがあるということを十分重く受けとめて対応してまいりたいと思っております。
#299
○村井委員 またちょっと付随業務の話に戻らせていただきます。
 業務の代理、事務の代行などは大蔵大臣の認可を要す。しかし、その九十八条の一項二号以下の債務保証だとか国債の引き受け、募集、それから金銭債権の取得、譲渡、有価証券の私募、こういったところについては大蔵大臣の認可、つまり九十八条二項での認可というのはかぶってきていないわけです。したがって、こういう事項は自由にやっていい、こう理解してよろしいのでしょうね。これをちょっと確認させていただきたい。
#300
○山口(公)政府委員 法律九十八条第一項第一号から第五号までの業務につきましては、業務のいわゆる親近性、それから保険会社の経営資源の有効活用などから、保険会社の付随業務としてなし得るものとして改正法案で明確化させていただいているものでございます。
 この第一項第一号の「業務の代理又は事務の代行」につきましては、保険会社間の業務の代理等でありますことから、業務の親近性、経営資源の有効活用等といった点からして付随業務として位置づけても差し支えぬものと考えられますけれども、無制限にこれを認めることは、生損保兼営禁止等の潜脱となる可能性もありますから、これを認可に係らしめておるわけでございます。
 御指摘の、他の「債務の保証」「国債等の引受け又は当該引受けに係る国債等の募集の取扱い」「金銭債権の取得又は譲渡」及び「有価証券の私募の取扱い」についても、現状行っている資産運用、これは保険会社としては本来的な業務だと思いますが、これと親近性がありまして、経営資源の有効活用が図れるなどから付随業務として位置づけさせていただいておりますけれども、資産の運用行為そのものでもありませんし、またそれは一線をそこに画すものでございますので、おのずとそこには付随業務であっても制約があるものというふうに考えております。
#301
○村井委員 その辺、非常に含みのあるおっしゃり方だったと思うのですが、付随業務であってもそこにおのずから何か制約があるという感じのことをおっしゃった。
 なぜそこを伺っているかというと、例の平成四年の答申では、債務保証については、輸銀との協調融資に係る保証等、資産運用との一体性や政策的必要性が高いもの等について、リスクを考慮しつつ保証先を限定して認めるというような非常に限定的な書き方をしてあるのです。ところが、この条文として整理されたものを見ると、「債務の保証」以下のところは認可とかなんとかという意味でかぶっていない。
 これは、きょう法案の審議に入りまして最初に北側委員からもいろいろ御議論があったわけでありますけれども、通達だとか行政指導だとか余り透明性のないような形ではなくて、要するに政令、省令などできちんと押さえるなら押さえるということをやるべきではないかという視点からすると、この条文から見る限りは、例えば社債をどういうふうに出すのを認めるのかという話は、またこれは証券行政という別の角度からありますのですけれども、何といいましょうか、債務保証のこの辺のところになりますと、通常の金融業務としてこうして並べられている以上は自由にやっていいというふうに私なんか読めるのですけれども、今の保険部長の御答弁はちょっと何かあやがあるように思える。もう一回ちょっと正確に答えてください。
#302
○山口(公)政府委員 お答え申し上げます。
 今御指摘いただきましたように、保険審答申でも、制約をかけたような表現に債務保証についてはなっているという御披露をいただきましたけれども、保険会社は保険料を収受しましてこれを運用するというのが業態でございます。一方、銀行を例にとってみますと、銀行は預金を受け入れて信用を供与するのが業務であって、銀行の債務保証というのは付随業務でございますけれども、信用供与の一環として幅広く行っているというのが実情だと思うのでございます。
 保険会社の債務保証につきまして、資産運用行為と非常に親近性があることは事実でありまして、ただ、そこにはやはり、信用供与と一環を持たせている銀行等と違いまして、資産運用というのは、貸し付け等は資産運用になりますけれども、そこには、債務保証というものについてはおのずと一線が画されている。そこには内在する制約があるのではないか。だから、その制約を通達等の形で明確に、これとこれとこれはできるというふうな形で、透明性を持たせた形で明らかにしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#303
○村井委員 どうもちょっとまだすっきりしないのですが、時間の制約もありますから、次のサブジェクトに移らせていただきます。
 いわゆる法定他業の話ですが、有価証券関係業務、これは九十九条一項。それから地方債、社債の募集、それから管理の受託、公共債ディーリング等、これは二項。それから、生命保険会社の場合に支払い保険金の信託引き受けを行える、これが三項。こんなものが並んでいまして、そして、いずれも四項、五項で認可事項ということにされているわけですけれども、認可がどんなときに行われるのか、その基準をお示しをいただきたい。
 それから、もう一つ。これはついでですが、今の三項の保険金信託というのは現行法でも法定されているのです。しかし、現実にはどうも行われていない。これはどうしてなのか。この二点、ちょっと明確にお答えいただきたい。
#304
○山口(公)政府委員 お答えいたします。
 法律九十九条のいわゆる法定他業につきましては、保険事業の遂行を妨げない限度において行えることとしたところでございます。
 認可基準につきましては、今後検討を進めさせていただき、具体的な基準を策定していくこととなりますが、現時点で申し上げますと、ソルベンシーマージン基準等、リスク対応体制が整備されていることや、当該業務の遂行能力を十分に有していることなどが主たる内容になるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 それから、もう一つのお尋ねの九十九条三項の保険金信託のお話でございますが、御指摘のとおり、生命保険会社については、従来より支払い保険金について信託の引き受けを行う保険金信託が認められているところでございますけれども、一方、保険金据置支払い制度という制度がございまして、これでほぼ同様の経済効果が達成できますことから、これまで特段のニーズがなかったというふうに承知しております。
#305
○村井委員 信託として今度やろうということでやろうとすればこれは認可をする、こういうふうに理解してよろしゅうございます。これは確認です。
#306
○山口(公)政府委員 もし申請がありましたら、こちらが審査していきたいというふうに考えております。
#307
○村井委員 時間の関係もございますので、最後にもう一問だけ。
 法案の六十一条で、相互会社に社債を発行できるということを認めたわけでありますけれども、これには特段の規制は、保険業法としては、あるいは保険会社行政としてはありませんね。これはちょっと確認をさせていただきたい。
#308
○山口(公)政府委員 今のお尋ねの件につきましては、保険業法上、株式会社と比較した場合、相互会社であるがゆえの法律上の特段の規制はございません。
 なお、社債の発行に際しまして、その資金使途は法的に制限されるものではございませんけれども、保険業の遂行のために必要な範囲を超えて資金を取り入れるということは必ずしも期待されているわけではございません。
 こうした観点から、平成四年の保険審議会答申でも、「保険会社の長期資金調達については、設備投資、国内外の子会社・関連会社への出資等に使途を限って認めることが適当である。」という答申をいただいておりまして、そういった趣旨を通達により明確にさせていただきたいと思っておるわけでございます。
 それからなお、社債により調達した資金を貸し付けに回すということは、出資法の趣旨から問題があるということになるわけでございます。
#309
○村井委員 今、通達というお話がありまして、それを通達でやるのが適当かどうかというところはいろいろまだ議論があるところだろうと私は思うのですけれども、いずれにいたしましても、今、行政当局の御見解がそういうことだということを承った。また今後時間をちょうだいしまして、議論を進めさせていただきたいと思います。
 きょうはこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
#310
○尾身委員長 次回は、明十日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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