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1995/04/26 第132回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第132回国会 法務委員会 第7号
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1995/04/26 第132回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第132回国会 法務委員会 第7号

#1
第132回国会 法務委員会 第7号
平成七年四月二十六日(水曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 金子原二郎君
   理事 斉藤斗志二君 理事 志賀  節君
   理事 中島洋次郎君 理事 永井 英慈君
   理事 冬柴 鐵三君 理事 佐々木秀典君
   理事 枝野 幸男君
      梶山 静六君    塩川正十郎君
      島村 宜伸君    橘 康太郎君
      茂木 敏充君    青木 宏之君
      太田 誠一君    倉田 栄喜君
      左藤  恵君    富田 茂之君
      吹田  ナ君    山田 正彦君
      坂上 富男君    細川 律夫君
      正森 成二君    小森 龍邦君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 前田 勲男君
 出席政府委員
        法務大臣官房長 原田 明夫君
        法務省刑事局長 則定  衛君
        法務省矯正局長 松田  昇君
        法務省保護局長 本間 達三君
        法務省入国管理
        局長      塚田 千裕君
        公安調査庁長官 緒方 重威君
 委員外の出席者
        警察庁生活安全
        局少年課長   岩橋  修君
        警察庁生活安全
        局薬物対策課長 山崎 裕人君
        警察庁刑事局刑
        事企画課長   篠原 弘志君
        警察庁刑事局捜
        査第二課長   栗本 英雄君
        厚生省児童家庭
        局企画課長   吉岡 大忠君
        法務委員会調査
        室長      河田 勝夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十九日
 辞任         補欠選任
  太田 誠一君     愛野興一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  愛野興一郎君     太田 誠一君
同月二十六日
 辞任         補欠選任
  熊谷  弘君     青木 宏之君
同日
 辞任         補欠選任
  青木 宏之君     熊谷  弘君
    ―――――――――――――
四月二十五日
 夫婦同姓別姓の選択を可能にする民法等の改正
 に関する請願(秋葉忠利君紹介)(第八五七号
 )
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 更生保護事業法案(内閣提出第六三号)(参議
 院送付)
 更正保護事業法の施行及びこれに伴う関係法律
 の整備等に関する法律案(内閣提出第六四号)
 (参議院送付)
     ――――◇―――――
#2
○金子委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、更生保護事業法案並びに更生保護事業法の施行及びこれに伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中島洋次郎君。
#3
○中島(洋)委員 大変限られた時間でございますが、まず、更正保護事業法の質問に入る前に、一連のサリン毒ガス事件等につきまして何点かお伺いしておきたいと思います。
 このサリンの毒ガス事件、またさらに類似する毒ガス事件が続発しましたし、それと関連するかどうかわかりませんが、取り締まる側の最高責任者、警察庁長官が銃撃されたり、あるいは容疑者らの所属する宗教団体の最高幹部が刺し殺されたりと、これは国民の間に大変な社会不安、また混乱が日に日に増幅しているという感がするわけであります。
 政府の側とされましても、ありとあらゆる法律を駆使して犯罪を封じ込める姿勢というふうに伝えられておりますし、私どもといたしましても、それを全面的に御支持したいと思っていますが、そういった観点を踏まえて申し上げますと、法務省の所管には、こういった事態というか、そのための本来の法律があるのではないか。それが適用されていない。
 その法律といいますと、刑法の内乱罪あるいは破壊活動防止法。内乱罪の方が個人を処罰することを主目的としていますし、破防法の方は団体の処罰ということを主目的としているということから考えますと、一つの法律はまあまあ表裏一体というふうにも言えると私は思うわけであります。今回のさまざまな伝えられる容疑事実がもし事実としますと、私はこうした法体が有効に機能するべきであると。
 内乱罪、日本の領土において国権を排除して権力を行使しようとしたり、国の統治の基本秩序を壊乱することを目的として騒ぎを起こす。これには、予備また陰謀も罰せられる。そしてさらに破防法は、内乱罪に類することを行う団体、行おうとする団体、またそういったことを扇動しようとする団体等の活動を停止したり処分ができる法律であります。最終的に、適用する、しないは、それは慎重に判断する必要があると思います。
 しかし、こうしたさまざまな国民の不安、混乱の中におきまして、まず確認しておきたいのは、やはりありとあらゆる犯罪行為、そして団体、これは宗教法人も含めてこうした破壊活動防止法等の対象になる。そして、適用する、しないは慎重に判断する必要があるにしても、こうしたさまざまな容疑事実が浮かんでくる以上、検討の対象になるのは当然ではないか。これだけの大事件が起きているわけでございます。疑わしきは罰せず、これは大原則でありますが、疑わしきは調査する、これも大原則であると思うわけでございます。
 そういう観点から、一連の事件において、これらの法律について検討の対象とお考えかどうか。また、どのような判断材料とすべく調査活動が行われているかという点を刑事局長、また、破防法については、長官のみが処分の請求を行えるということでございますので、長官にお聞きしたいと思います。
#4
○則定政府委員 まず最初に、刑事事件としての捜査の場での適用罰則の問題でございますけれども、検察といたしましては、警察が各種罰則を適用して身柄を拘束、逮捕し、送致してきた事件につきまして、現在、関係各地方検察庁で鋭意捜査を進めているわけでございます。当面、それぞれの被疑者について、送致された被疑事実について事実関係を固めるという捜査活動を行っていると承知しておりますが、各種の報道が先行しておりまして、御指摘のような疑惑というものも取りざたされていることは十分承知しております。
 ただ、御承知のとおり、刑事事件の捜査と申しますのは、証拠によりまして解明できました事実について、いかような罰則を適用するのが当該案件に対して適切な処分を行うことができるか、ひいては刑事責任を追及することができるかという観点から判定することになるわけでございまして、現在のところいろいろな捜査活動が行われておりますが、御指摘の内乱罪等々の問題という事柄につきましては、嫌疑を受けておりますオウム真理教という団体の行動目的その他、全体像が判明いたしました段階に、どのような罰則をもってどのような人物に対応するのが相当かという判断がなされる時期が来るかどうか、こういったことであろうかと思います。
 したがいまして、現時点におきましては、各種罰則の有効な適用と活用ということを念頭に置きながらも、検察におきましては、あるいは、ひいては警察を含みます捜査機関全般におきましては、現在検挙されております、摘発されております個々の事実を解明するということを捜査活動の中心としてやっているものと承知しておるわけでございます。
#5
○緒方政府委員 破防法による団体規制の請求につきましては、委員が御指摘のとおり、公安調査庁長官が公安審査委員会に請求するということに相なっております。
 ところで、今回の一連の事件について、破防法の適用を想定して検討する前提といたしましては、まず個々の事件の事実関係の解明と、その行為が団体の行為として行われたことの解明、この両方が必要であろうと考えております。この両方の事実関係の解明につきましては、警察、検察において現在鋭意捜査されているところでありますが、現時点では個々の事件の解解明の段階であろう、かように理解しているところでございます。しかし、個々の事件の解明が進めば、おのずから団体の行為として行われたことも解明されるもの、かように考えている次第でございます。
 公安調査庁におきましては、これらの事実の解明を受けて破防法の適用を検討することになると承知しております。公安調査庁といたしましても、一連の事件は公安上憂慮すべきものと認識し、重大な関心を持って態勢を組み、情報収集に努めているところでございます。
#6
○中島(洋)委員 ありがとうございます。
 一部に、宗教法人法による解散請求ということの話も出ています。これは本来の筋からいけば、宗教法人としての行為を逸脱したというよりは、その反社会性が問題となるということであれば、破防法ということが検討の対象とたってしかるべきと私は思います。私としましては、公安調査庁の活発な調査活動が国民に望まれていると思いますし、またこれらの法律がこうした危機的事態に有効に機能することが求められていると思うわけでございます。
 大変時間があれですが、更生保護事業法の方も簡単に問題点を指摘させてもらいます。
 今回の更生保護事業の改正は、更生保護会が他の社会福祉法人並みにきちんと優遇措置が受けられるようにというのが趣旨であったわけでございます。ただ、この更生保護事業は国の責任において行うということが規定されておりますが、果たして国の責任を十分に果たしているのかという点を私はちょっときょう問いただしたかったわけでございますけれども、質問の時間がありませんので、問題点だけを指摘しておきたいと思います。
 まずそれは、国の責任と言いつつ、国有の施設もなければ、既存施設の国有化の検討もされていない。そして、更生保護事業のほとんどは現在においても民間に委託をしているという状況がある。そして、職員に対する待遇、委託費の算定基礎の改正の姿勢も今のところない。そして、その乏しい資金をきちんと集めるための果実運用型基金の設立の検討もされていたい、そして、国の責任と言いつつも、補助率につきましても、補助率は二分の一である。ですから、現地で残り半分を手当てできたければ施設整備もできない。それに対しまして他の社会福祉法人は、地方と国が四分の三、ほとんどを補助するという状況になっておる。
 私は、本来更生保護事業の性格からしまして、国の責任というだけでたく、むしろ社会全体の責任として位置づけまして、国、地方、民間がともに義務を負い、協力して行うべきというものと思っております。今回も政府内部でさまざまな検討がされているようでありますが、国と地方等さまざまな行政内の問題で現場が迷惑をこうむるということがあってはいけないわけでありまして、そういうことがないように、今後とも特段の運用における配慮、また予算等における配慮をしていくべきであると思います。
 済みませんが、まとめて大臣に、この一連の社会不安につきまして、大型連休を前にして国民の不安が高まっております。大臣に、この一連の事件に対する決意、また更生保護事業の運用についての決意をちょっとお聞かせ願えればと思います。
#7
○前田国務大臣 まずサリン事件等に関しましては、国民の生命、身体、社会生活の安全を脅かす、社会不安を発生しておるまことに凶悪、遺憾な事件でございまして、全国の警察署、検察庁におきましても、この不法事犯に対して、事実関係を徹底的に究明し、証拠及び法律に照らして処罰すべきものについては厳正に対処すべく全力を傾けておるところでございます。
 なお、更生保護事業につきましてお答えを申し上げますと、簡単に申し上げるということでございます……。長年、百年を超す歴史のある更生保護事業でございます。今日まで果たしてきた役割というものは極めて大きい、あるいは大きかった、かように理解をしております。
 そこで、先生の御指摘の中に、国の責務ということを一つ大きくとらえていらっしゃると思います。基本的な考え方だけ申し上げますと、国の責務としては、法制度あるいは事業全体、更生保護事業の仕組み、連帯、こうしたものは国が総体的、総括的に責任を果たしていかなければたらたいと私は考えております。そして、そこに足らざるところあれば、国が積極的かつ強力に支援をしていかなければならない、そうした基盤の法案が今回できたというふうに考えております。
 ただ、まだまだ国の委託費、言い方は悪うございますが、これも実はいわば歩合制と申しますか、その算出方法に今後の安定的な更生保護会の運営上の基本的な問題も内在しているような気もいたしております。かつまた、補助金等におきましても、先般国会で法改正をいただいておりまして、二分の一でございますが、今後地方、あるいは先生御指摘の民間からの協力というものにつきましても、これは特に保護観察所長等の努力も今後要する問題であろうと考えております。
 いずれにいたしましても、この制度そのものは、基本的には歴史的に見ましても、特にまたその長所としては民間の篤志家による特有の家族的な雰囲気、またきめ細かな対応、こうした観点からも、被保護者の更生上極めて有効であると考えておるところでございまして、これら更生保護会の存在は、今後ともなお国がその責務として強力に支援をしていかなければならない、かように考えておるところでございます。
#8
○中島(洋)委員 ありがとうございました。終わります。
#9
○金子委員長 質問者にお願いしておきますが、限られた時間での質問でございますので簡潔に、また答弁の方も、限られた時間でございますので要領よく簡潔にお願いしたいと思います。
 佐々木秀典君。
#10
○佐々木(秀)委員 今オウム真理教をめぐって、宗教法人のあり方、認証、あるいはその監督官庁としての監督のあり方など、いろいろ問題になっております。
 それに引きかえて、この更生保護会、これは、特別な法体による特別な法人化というのは今までできなかったわけで、現在全国に九十八の更生保護会がありますけれども、そのうちの九十六が財団法人、二つが社団法人、これはいずれも民法の三十四条を根拠にしている。そこで、さきの国会で私どもは更生緊急保護法を改正いたしまして、国の更生保護事業に対する責任というものをかなり明確にした。しかし、この際抜本的な改正をして、これに対する国の支援の仕方というか、国の事業としての位置づけなどをお考えになり、そしてかねてから懸案になっておりました更生保護会についても、今度の更生保護事業法によって、それからまたこれに関連する整備法によって、特殊法人というか、特別の法人とすることを認めるというのは、私は画期的なことだろうと思っております。
 さきの審議のときの附帯決議が生かされているという点で、私どもとしてもこの法律の制定には全面的に賛成をしたい。ただ、今も同僚議員御指摘のように、それで十分かというと、必ずしもまだ十分ではないところがある。これからまたそういう点は補っていくというか、伸ばしていく必要があるのではなかろうかと思います。そこで、今度のこの法制に絡みまして、幾つか御質問したいと思います。
 まず、今度の法改正によって、現在存在する更生保護会は更生保護法人とすることができるわけですけれども、整備法の第二条によりますと、「平成八年九月三十日までに、その組織を変更して更生保護法人となることができる。」ならねばならないと書いてあるわけじゃないのです。任意、選択の余地があるということになるわけでありますね。
 そうすると、これはしかし組織変更するについても、財団法人、もちろん寄附行為の変更の問題もありますし、それからまた基本財産の処分の問題などいろいろ絡み合ってくると思いますので、なかなか大変だろうと思うのですけれども、その辺についてはどういうように御指導していくのか。それからまた、仮にこの期間内に組織変更ができなかった場合に、どういうような法的な扱いになるのか。この辺について、まずお尋ねしたいと思います。
#11
○本間政府委員 お答えいたします。
 ただいま委員御指摘のとおり、このたびの更生保護事業法案におきまして、従来の民法法人からこの法律に基づく特別な法人に更生保護会を格上げするということがこの法案の主要な中身となっているわけでございます。このことによりまして、税法上の取り扱い等におきまして社会福祉法人に近い優遇を受けるということに相なるわけでございます。
 この点につきましては、従来から更生保護会側から強い要望がございましたし、また、最近私どもも、各更生保護会について、組織変更によって特別な法人になるのかどうかについての意向調査もいたしましたけれども、おおむねほとんどの更生保護会が組織変更を希望しているということでございます。したがいまして、私どもといたしましては、すべての更生保護会が更生保護法人に移行するものと期待をしているところでございます。
 ただ、法案をごらんいただきますと明らかでございますけれども、役員の数とかあるいは役員の同族支配の排除とか、そういう点におきまして従来の民法上の法人よりも厳しい面もあるわけでございます。したがいまして、その点を各更生保護会がどういうふうにクリアしていくかということが一つのポイントではないかというふうに思っております。
 私どもといたしましては、各更生保護会に対しまして、特別な法人になることによるメリット等をよくお話をし、また、組織変更についてのいろいろな手続あるいは基準について詳細に御指導申し上げるということによりまして、すべての更生保護会が更生保護法人になるように指導してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 なお、どうしても特別の事情によりまして民法法人のままでいきたいという更生保護会もないわけではないと予想はできますが、これにつきましても、整備法案の三条に規定してございますように、従来更生保護事業の認可を受けた者はその効力が引き続き生きるということにたっておりますので、更生保護事業を営むことにつきましては何ら支障を生じないということでございます。ただ、各種の優遇措置の面において更生保護法人よりはやや不利益な立場に立つ、こういう差があるかと思います。
#12
○佐々木(秀)委員 対象になる会は多くないわけですから、ただ書面などで通達をするというのじゃなくて、お知らせするのじゃなくて、やはり個別に指導をするぐらいして、全部がこの法人になるようにぜひ御努力をお願いしたいと思うのですね。
 時間がなくたりましたので少しはしょりまして、最後に、更生保護会、なかなかこれから役割は大変だと思うのですね。何か、職員さん、これは補導主任なんかもいろいろ大変だと思うのです。そういうことについての要請だとか、あるいは現場の方から、国立の更生保護会というのを設置してもらえないだろうか、職員などの教育なども含めて国としての責任をはっきりさせる意味でもそういうものが必要でないかという声もあったりするのですけれども、あわせて大臣からお考えをお聞かせいただきましょうか。
#13
○前田国務大臣 国の方で責任を負っているという姿勢を示すために国立更生保護会の設置という御質問でございますが、更生保護事業は、犯罪や非行のあった人たちを保護して、社会の有用な一員となるように援助することを目的としております。このような目的を達成するためには、やはり多くの民間の方々の参加と温かい協力が不可欠でございまして、現時点では民間による更生保護事業を支援していくことが最良であるという観点で取り組んでおるところでございます。
#14
○佐々木(秀)委員 基本的な姿勢としてはわからないではないのです、今の大臣の答弁は。しかし、私が申し上げましたような指摘が現場で実際に御苦労なすっている方々からもあるということを受けとめていただいて、今直ちにということにはならぬでしょうけれども、ぜひ検討事項の中に加えていただきたいということを御要望申し上げて、他のこともありましたけれども省略いたしまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#15
○金子委員長 枝野幸男君。
#16
○枝野委員 今回の更生保護事業法につきましては、更生保護事業の促進という観点から、非常に事務当局も迅速に対応していただいて法案をつくっていただき、一歩前進であると評価をいたしております。まだまだ残された問題は多いと思いますが、その点についてぜひ今後ますますの推進をしていただきたいということをお願い申し上げまして、実は私もオウム関連の問題について二、三お尋ねしたいことがございますので、そちらの質問をさせていただきます。
 実は、二十日に予算委員会で集中審議が行われました。私もずっとその場におりましたが、この中で法務大臣の方から、盗聴あるいは覆面捜査、おとり捜査等について御答弁がなされた。そして、それについて、翌日の報道によりますと、前向きであるというような報道がなされております。いかにも具体的にこうした捜査の手法を近々取り入れる方向で法務大臣がお考えにたっているというような報道のなされ方であったと思っております。
 私は、現場で聞かせていただいている感触としては、そういった趣旨とは必ずしも言えないのではないかと思いましたが、盗聴、覆面捜査、おとり捜査等についての大臣の真意を改めて確認をしたいと思います。
#17
○前田国務大臣 二十日の予算委員会の質問は、新たな捜査方法をとり得るかどうかという御質問でございました。
 特に御指摘の事件、サリン等の事件との関連においてこれらの措置を検討するという趣旨でなかったということを最初に明確に申し上げまして、今日の犯罪状況を見ますと、いわゆる高度化あるいは密行性、組織件が非常に強いために、現行の捜査方法では真相解則が困難な事案がふえてきておることは事実でございます。そうした観点から、アメリカの事例、外国の事例などを見て、いわゆる通信傍受や刑事免責等々の捜査手法が真相解明に有効であると考えられております。
 しかし、捜査方法、手法につきましては、適正手続の保障の観点、すなわち憲法上の制約がこれまた幾つかございますし、国民の司法に対する信頼の確保の観点からも検討すべき問題も、これ数あると理解しております。
 したがいまして、この捜査手法の導入につきましては、こうした問題点、そしてまた我が国の法制度全体に及ぼす影響を踏まえながら、特定の事件に限らず、犯罪情勢全般の変化の様相、捜査困難化の実情を冷静に、また総合的に判断し、分析した上で、その上でいかに的確に対処するか、そうした観点から捜査手続全体との関連の中で検討すべきものだと考えておりまして、冷静に、かつ、拙速は避けなければならないと思っております。
 また、刑事司法全体として、日弁連からも、一例を挙げますと起訴前弁護等、いろいろ御意見、御要望もあるところでございますし、こうした一般弁護権だとも含めたトータルバランスということも考えながら、今後検討すべき中の一つである、かように理解をいたしております。
#18
○枝野委員 まさにそういった御趣旨であれば、ぜひそういった方向でやっていただきたい。むしろ報道が先走って、あるいは誤解をしていたのではないかというふうな認識をいたしております。
 さてそこで、今大臣からも、こういった新しい捜査方法については憲法上の制約があると。憲法上の制約がある以上は、政策判断として取り入れるかどうかという前段階として、その枠の中でなければ議論ができないということになると思います。とりあえず、細かいことをいろいろとお尋ねするとそれだけで三十分、一時間かかると思いますが、大きなところ、基本線として憲法し上どういった制約があるのか、それについての法務省の御見解をお尋ねいたします。
#19
○則定政府委員 捜査に当たりまして、現行法制で認められている以外の新たな捜査手法を導入するということを検討いたします場合には、御指摘のとおり、憲法の保障する令状主義の問題や適正手続の保障に反して基本的人権を不当に侵害してはならないという要請、これを遵守することは当然でございます。
 それと、今の大臣からの答弁にもございますように、国民の司法に対する信頼を裏切るようなことがあってはならないということもまた当然でありますので、それらを十分に踏まえて検討すべきものと考えております。
#20
○枝野委員 今お二人の御答弁にもありましたとおり、現在の社会状況の変化等を考えますと、捜査方法について新しい手法等を取り入れる必要性というものを議論しなければならない必要性というのは私も同感でございます。
 ただ、ぜひお願いをしたいのは、一つには、今サリンあるいはオウムという問題について非常に国民全体が、これはやむを得ないことだと思いますが、ヒステリックなという表現がいいのかどうかわかりませんが、少し過熱をした状況の中にある。そうした中で議論をすべき問題ではないだろう。冷静に、そして慎重に議論をしていかなければいけない問題である。その点をぜひ御留意をいただきたいということをひとつ申し上げたいと思います。
 それから、新しい捜査方法を議論をするということに入る前提といたしまして、まず現行の刑事訴訟法の中で何がどう足りないのか、何がどうつらいのかといいますか、それは捜査の側からも、あるいは逆に弁護側といいますか被疑者側といいますか、そちらの側からと、両方の立場から、現行刑事訴訟手続の中での問題点というものをまずはきちんと洗い出しをした上で、初めて具体的に、例えば盗聴なら盗聴、おとり捜査ならおとり捜査という問題が出てくる。残念ながら、現時点ではまだ何が問題点かということが、少なくともオープンな場所で明確に議論をされているという段階では正直言ってないだろう。
 例えば法制審などの場で、まずは何をどう改正するではなくて、何がどう足りないのかという議論を一くくりきちんとけじめをつけて、そこから前に進んでいただきたい。それぐらい慎重にやりませんと、逆におかしな部分だけ突出してしまうとか、あるいは人権侵害の方向だということでの抵抗が逆に強くなるとか、いろいろと支障があると思っております。そういった点、今後のこの捜査に対する手順といいますか、あるいはスタンスといいますか、その点について、お尋ねをさせていただければと思います。
#21
○則定政府委員 刑事訴訟法の中で、捜査手続に関する問題等を検討します場合には、先ほど御質問ございました憲法上の要請との兼ね合いの問題のほかに、新たな捜査手法が、もし導入するとする場合に、どのような場合にどの程度まで許されるかということにつきまして、まず犯罪情勢全般の変化の様相、それから捜査が困難化しております実情等を踏まえて、その捜査手法の導入の具体的必要性、またそのような捜査手法のもたらす弊害の有無、程度、その防止策、あるいは我が国の法制度全体に及ぼす影響や国民の意識、受けとめ方等も検討しなければならないと思います。
 そういうふうなことをよく検討いたしました上で、これはもちろん法律実務家等のいろいろな意見も集約する必要があるかと思いますが、それらの上で、法務当局といたしまして、一定の新たな捜査手法を導入する必要性があると思われましたときには、やはり法制審議会にお諮りして、そこで十分御審議をいただいた上、法務当局としての最終的なとるべき手法というものを策定すべきものであると考えております。
#22
○枝野委員 大切な問題でございますので、ぜひ慎重に、これは慎重にというのはやらないという意味ではなく、言葉のとおり慎重にという意味で、そして公開、できるだけオープンな議論をしていただきたいということをお願い申し上げまして、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#23
○金子委員長 倉田栄喜君。
#24
○倉田委員 新進党の倉田でございます。更生保護事業法案について、まず私は法務大臣にこの更生保護というものに対する国の基本的な姿勢についてお尋ねをいたしたいと思います。
 御承知のように、更生保護事業は、いわばその発端が民間の篤志家による慈善事業としてスタートをしている、そういう沿革がございます。そして、その重要性にかんがみながら、随時国が支援、サポートをするようになって今日に至っている。しかし、既に委員の方から御質問もありましたけれども、本来更生保護というものは、更生保護をやるべき主体は本来的にどこなのか、こういうことをお尋ねしたいわけであります。
 例えば、今回の保護事業法案で言いますと、その三条第一項関係ですけれども、この条文をちょっと読んでみますと、こういうふうに書いてあります。「国は、更生保護事業が保護観察、更生緊急保護その他の国の責任において行う更生の措置を円滑かつ効果的に実施する上で重要な機能を果たすものであることにかんがみ、いわば今回のこの法案も、そして現在の法制度も、先ほど大臣の御答弁にもありましたけれども、民間の参加、協力を前提にして、これを国が支援をする、こういう枠組みになっているのだと思うのですね。
 しかし、私はそこは基本的に、もう基本のところを少し改めなければいけないのではないのか。更生保護対策は、例えば刑罰権を国が独占をしていること、そして国の治安、秩序の維持というのは国家の基本的な責務であるということを考えるとすれば、これは本来的に国家がやるべきことなのではないのか。
 もちろん、行政の肥大化とか予算の財源の問題だとか、国がやるべきこと、そして個人がやるべきこと、民間がやるべきこと、それはこれからきちっとそれぞれ分けていかなければ、際限もない予算の膨大ということになってしまうのだと思いますけれども、そういう立て分け方を考えたとしても、この更生保護事業というのは、先ほどの刑罰権だとか秩序維持だとかということを考えてみても、本来国が主体的にやるべきであって、そしてそれを民間が支援をする、こういうことになるのではなかろうかと私は思いますけれども、この点について、まず大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
#25
○前田国務大臣 国の責務、責任という基本的な考え方の御質問でございますが、先生おっしゃるとおりの点もございます。
 例えば、私どもも今考えなければならないと思っておりますのは、伝統的な更生保護事業、基本的姿勢は、先ほどの御質問にもお答えを申し上げました。国がこの事業全体、仕組み、運営に総体的、総括的に責任を果たしていく。百年、明治二十一年からの長い歴史を持つ。
 かつ、基本的には保護観察中の対象者、それと同時に、もう一つは、満期出所をした、まさに刑罰権の枠外にいる人も対象者でございまして、こうした観点も踏まえ、かつ、出所をした、あるいは仮出所をした方々が社会へ出たときに受ける、まさに冷たい目と冷たい風と申しますか、こうした極めて厳しい社会の日の中にもあって、その中でやはりどうしても民間特有の家庭的な、精神的にも安定し得る温かい雰囲気というもの、またきめ細かな対応というもの、これがその被保護者の更生上極めて大事なことだ、かように考えておりまして、これがある意味では民間の篤志家の御慈愛に頼り運営してきたという大きなメリットでもあろうと思っております。
 そんな観点の大事な点も我々は忘れてはならないと同時に、もう一つは、先生御指摘の中で、例えば昨今非常に収容というか、更生保護会に来る人の年齢、これが大変高齢化をしてきておる。それからもう一つは、犯罪の多様化の中で、特に薬物事犯でございますとか、出所後とはいえどもなかなか専門的な対処の必要がある人もおるわけでございまして、こうした分はやはり国がかなり今後努力をして予算措置をして踏み出していかなければならない分野であろうと考えておるわけでございます。
 この国の責務ということは、そういう点も含めながら適正な運営を確保して健令な育成、発達を図っていくという責務があるというふうに考えておりまして、国としては足らざるところがあれば、足らざるところがまだ多いわけでございまして、足らざるところを積極的に強力に支援して、この更生保護事業の基盤づくりというものに最大限努力を払っていかなければならない、かように考えておるところでございます。
#26
○倉田委員 今の大臣の御答弁も、ある意味では今の枠組みをそのまま映したような御答弁なのではないのかな、こういうふうにお聞きしながら思ったわけでございます。
 先ほど私が、第三条第一項の条文を大体要約的に読み上げました。「その他の国の責任において行う更生の措置、つまり更生保護事業の沿革があって、例えば静岡県の出獄人保護会社ですか、そういうところから始まって民間の慈善事業としてずっと沿革がある。その中で国がサポートをしてきた。そして、その重要性も法務省としてもお考えにたってこられて現在に至っておる。
 しかし、そうではなくて刑罰権という問題もある。また、先ほど大臣は出所後の人たちは刑罰権の枠外であるという話もありましたけれども、これは再犯防止とか、あるいはその方々が立ち直るということについては社会的な問題かもしれないけれども、国家の政策としては再犯防止だとかそういう問題があるわけでしょうし、またそういう方々はどこで主体的にやるかというと、やはり私は国なのだと思うのですね、
 今の御答弁も、基本的には民間の家庭的な温かい雰囲気が必要であるとか、足らざるところを補うということは大臣のお話のとおりだと思うのですけれども、私が申し上げておるのは、そこは主体が逆転しているのではないのか。つまり、国が積極的に主体的にやって、その足らざるところを、温かい雰囲気とかそういうものを民間で補ってもらうべきなのではないのか。今は民間の足らざるところを国が補う、こういう形に決っている。これは本来国が何をやるべきかということを考えれば違うのではないのか、こういうことを申し上げておるわけでございます。
 前の委員の方の御質問で、補助率の引き上げの問題とかなんとかいろいろありました。現行大変な問題です。そこもその基本的な発想のところが、国が主体的にやって足らざるところを民間に補ってもらう、こういう発想がなければいけないのではないのか、こう思うわけですけれども、再度更生保護に対する国の役割というものについて大臣に御答弁を求めたいと思います、
#27
○前田国務大臣 国の責務は、更生保護事業に関する事行全体、運営に総体的に責任を果たしていかなければならない、かように考えておりますし、町犯防止と刑事政策上不可欠な存在ということも考え、先生の御指摘も踏まえたがら積極的に取り組んでまいりたいと思います。
#28
○倉田委員 一気にということはなかなかいかないでしょうが、私はこれは主体的に国がやるべきだ、こういうふうに考えております。そしてまた、そのための財源を使っても、本来これは国がやるべきことなのだから、私は構わないと思いますので、ぜひ検討を積極的に進めていただきたい、こんなふうに思います。
 次に、更生保護の課題について何点か、時間がありませんので簡潔にお答えもいただきたいと思いますけれども、お伺いさせていただきたいと思います。
 まず、保護観察の目的、これは対象者の改善と更生ということだろうと思いますけれども、実際具体的には被観察者自体、個人的にも多様化しているし、また類型的にも非常に多様化をしている。
 例えば、先ほど大臣のお話の中にもありましたけれども、薬物依存傾向が強い対象者もおられる、あるいは高齢の対象者もおられる、また最近は外国人の対象者もおられる、また青少年、特に中学生あるいは暴走行為等々、とても家庭の中では手に負えない、こういう対象者も現実にいるわけでございますけれども、そういうそれぞれの更生、改善、質問が非常に多いものですから簡潔に、それぞれどんな改善が図られ、対策が図られているのか、まず現状をお聞きしたいと思います。
#29
○本間政府委員 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、最近におきましては薬物依存傾向の者等、いろいろな対象者がおります。
 私どもといたしましては、このような問題性を持っている対象者につきまして、ある程度共通の問題性を持つ者をまとめて類型化をする、いわゆる類型別処遇と言っておりますが、こういう処遇を行っているところでございまして、例えば先ほどの薬物乱用者とか、あるいは中学生とか、あるいは無職の少年、あるいは暴走族、あるいは暴力団組織加入者とか、そういったいろいろな問題性を持っている者がございますので、これらの問題性に着目いたしました処遇指針というものを作成いたしまして、これを参考としながら効果的な処遇を実施しているというのが、大ざっぱに言えば多様な対象者に対する処遇の基本でございます。
 それから、高齢者の問題でございますが、高齢者には就労あるいは医療、いろいろな面において問題が多いということで、一般的に言えば処遇が困難というふうに私どもは認識しておりまして、これらの方々につきましては、職業安定所、社会福祉機関との連携を図りまして、生活基盤を安定させるなど、その固有の問題に応じました援護、指導を行っているというところでございます。
 それから、外国人の問題がございましたけれども、外国人に対しての保護観察の実施につきましては、保護観察制度を理解させるために、外国語の説明書、いわゆるパンフレット等を作成、配付いたしているほかに、通訳者を確保するなどして対象者のニーズに応じた処遇が行えるように努めております。
 なお、これら外国人に対しまして一層充実した処遇を行うためには、その国の言語はもちろん、習慣、文化等を十分理解して適切に対応することが必要でありますので、保護観察官あるいは保護司さんに対しましては各種の研修をするということに努めておるところでございます。
    〔委員長退席、中島(洋)委員長代理着席〕
#30
○倉田委員 対象者が多様化している、いろいろな傾向の対象者がおられる、それに多様な処遇というのを考えておられる、こういうことですけれども、例えばこういう指摘があります。
 例えば、保護観察対象者の多様な問題に対応するためにその処遇の多様化を図る必要がある。このためには、例えば関連分野等の協力が不可欠である。薬物依存傾向者、これを例にとれば、例えば保護観察における指導に加えて、病院等に医療措置を依頼したり、あるいはもっと民間の自助団体と協力したりすれば効果が高い、そして、これを実現するためには保護観察所が必要とする措置を関係機関や団体に委託をするシステムをつくる必要がある、こんな御指摘と要望があることは御承知のとおりだと思います。
 今回の、例えば犯罪者予防更生法の一部改正であるとかの中で、この四十条の中で三項の追加措置が改正されております。これは、あくまでも今まで受け手だけの規定しかたかったのに対して、送り手の規定を設けたと、こういう法制度上の整備という御説明を受けたわけでありますけれども、そういう趣旨でこの四十条三項を見れば、応急の措置について主体と客体の制度的な整合性を図って改正をした。
 しかし、今私が申し上げたことは、それのみならず、しかも応急の措置のみならず、必要があれば、例えば病院の専門医にきちんと委託をしてお願いをする、こういうことでありまして、これはぜひ検討していただきたいと思うわけでありますけれども、例えば、法の文言にしても、応急の措置ではなくて、必要な措置を委託することができると、こういうふうに直したらどうだろうかということも考えたわけでございますけれども、この辺は当局としてはどんなふうにお考えでしょうか。
#31
○本間政府委員 お答えいたします。
 委員御指摘の処遇の多様化を図るための法改正という御指摘に対しましては、私どももできればそういった法制度の整備ということが望ましいかなというふうには考えておるところでございます。ただ、これにつきましては、更生保護制度全体にかかわる問題でございますので、今後慎重に検討していきたいと考えているところでございます。
 差し当り、今委員の御指摘がございました、例えば犯罪者予防更生法四十条の応急の救護を必要な救護ぐらいに変えてみたらよかったのではないかという、たしが御指摘が今ございました。御承知のとおり、この四十条といいますのは、保護観察対象者が負傷、疾病のために、または適当な住居や職業がたいために更生に支障を来す、そういう緊急事態が生じた場合の応急の措置を定めているのでございまして、私どもは、この応急の救護というのが公共の衛生福祉その他の施設からの救護が得られない場合に、補充的に発動するものであるというふうにこの条文上読んでいるところでございます。
 これを私どもは公共優先の原則というふうに理解しているのでございますけれども、委員先ほど御指摘のように、例えば救護の要件を緩和いたしまして、単純に必要な救護というふうに改正するということになりますと、いわゆる公共優先の原則を変更するということとなりまして、同じく公共の優先の原則というのは、執行猶予者保護観察法上の援護、あるいは現行更生緊急保護法上の更生保護、この二点についてもやはり同じような問題が生じてくることに相なるわけでございます。
 そういたしますと、保護観察の補導援護ということの意味とこれらの必要な救護といったことの関係はどうなるのかというところの理論的な詰めをしなければなりませんし、保護観察全体の処分の中身がどういうものかということについても慎重た検討をしなければならないというふうに考えております。
 さらに、現実的な問題といたしまして、こういうふうに更生保護の要件を緩和するということによって、果たして現在の更生保護施設の受け入れ体制で賄い切れるのだろうかとか、あるいはそれに見合うだけの、これを受け入れるだけの予算措置が図られるか等々、いろんな問題がこれに絡んでまいります。
 確かに、処遇の多様化を図るべきだということについては、私どもも十分理解し、将来的にはこの方向に向かって法改正をしなければならないという認識は十分持っておりますが、いずれにしましても、保護観察の抜本的な枠組みに影響する問題でございますので、将来、法改正作業の際にこの点もあわせて検討してまいりたいというふうに考えております。
#32
○倉田委員 確かに現状を前提とすれば、それはできないと思うのですよ。だけれども、法の整備をするということによって現状は変わっていく。根拠ができるわけですから、処遇の多様化ということは今必要だと思いますし、また、再犯防止だとか、更生事業というものが本来的に国の責務であるということを考えれば、これはぜひやらなければいけないと思いますので、理論的にいろいろな問題があるのは重々承知いたしておりますけれども、ぜひこれはやっていただきたい、こんなふうに思っております。
 そこで次に、更生保護会についてお聞きをしたいと思います。
 先ほど、国立の更生保護会を設置をしたらどうかということは既に御質問がありました。大臣のお答えの中では、民間の参加と協力が不可欠であり、この民間の参加と協力のもとで国としてはこれを支援するのが最良である、こんなお答えでございましたけれども、この更生保護というものが本来的に国がやらなければいけないものだとすれば、やはりここも逆転をするんだと思うのですね。教育研修プログラムであるとか、あるいはどうしても民間ではこれは手に負えない、そういう対象者等については、やはりこれは国立の更生保護会というものをつくってやっていくべきではないのかと思いますので、この点は要望だけをしておきたい、こんなふうに思います。
 いろいろあると思うのですよ、処遇技法の開発であるとか研修の実施であるとか、国が本来行わなければいけないことに対応する更生保護施設というのは。ぜひ、先ほどの支援が最良であるという大臣の御答弁ではございますけれども、本来国がやらなければいけないことで考えれば、やはり国立の更生保護会というのも検討の視野に入るべきであると私は申し上げておきたいと思います。
 そこで次に、いわゆる更生保護事業というのが民間の篤志家の慈善事業という形で、いわば民間事業という形でスタートをしてきた。国はこの方々に対してそれなりの顕彰をしてきておられると思うのです。しかし、こういう状況の中でなかなかそういう、これから先を考えたときに、そういう篤志的な人たちがもう出てくるような社会を我々はつくり上げなければいけないと思うのですけれども、しかし、自分の問題を振り返って考えてみると、なかなかこんなのをやるのは大変だな、こう思うのですね。
 本来国がやるべきことをこの方々がやってきてくださって今日に至っている。十分な予算的な措置ができないのであれば、それは顕彰たり名誉なりという形で国は十分な対応をすべきである、こんなふうに思うわけですけれども、国家はこういう方々に対してどのように対応しておられるのか。また、顕彰であるとすれば、さらに褒賞とか受勲の基準というのは見直しをして、例えば今は二十年とか三十年とかそういう基準もあるみたいでございますけれども、もっと十分に手当てすべきではないのか、私はこういうふうに思いますが、この点について。
 それからさらに、これは行政の方ですけれども、保護観察官の確保の問題もあわせて、できるだけ簡潔に御答弁をいただければと思います。
#33
○本間政府委員 第一点の民間協力者に対する顕彰の問題でございますけれども、私どもの更生保護の仕事に御協力をいただいている方々といたしましては、第一に、保護観察の実施をしていただいている保護司の方、それから先ほどから問題になっております更生保護会の役職員の方、それからさらに更生保護婦人会という任意の団体、あるいはBBS、ピッグ一ブラザーズ・アンド・シスターズ・ムーブメントの会の方、そういった方々がおられるわけでございます。これらの方々に対しましては、本当に篤志でやっていただいているということについては、私ども感謝の気持ちを常に持っているところでございます。
 とりわけ保護司の方々につきましては、その職務の重大性、困難性にかんがみまして、この御労苦に対する顕彰については特に配慮をしているところでございます。保護司法十三条にその旨が規定されていることは御承知のとおりでございまして、顕彰の種類といたしましては、各地方におきまして保護観察所長あるいは地方更生保護委員会の委員長、さらに法務大臣というふうな段階を追って毎年表彰が行われているところでございますし、国家の栄典である藍綬褒章、春秋の叙勲についても十分配慮しているところでございます。
 それから更生保護会関係の方々につきましても、数は保護司さんほどではございませんけれども、やはり藍綬褒章等につきまして十分の配慮をして顕彰の措置をするように努力をしているところでございます。
 その他の民間の協力者の方々に対しましても、大臣から、感謝状あるいは表彰状その他につきまして、一定の基準を設けまして顕彰するということをやっております。
 それから、保護観察官の増員の点でございますが、最近保護観察の面におきましては、先ほど来御指摘いただいておりますとおりいろんな処遇の多様化というものを図っておりますし、また処遇の困難な者がふえているということであります。こういう処遇困難者に対しまして、保護観察官が直接対象者を処遇するという事例もふえております。
 このほかに、保護観察官には、更生保護の措置に関する事務、あるいは矯正施設に収容されている者の環境の調整、あるいは犯罪予防活動、保護司研修、各種関係民間団体の育成指導など広範な事務に従事しておりまして、大変多忙をきわめております。そういった実情にかんがみまして、従来から事務処理の合理化などに努める一方、部門間配置転換、職員の積極的受け入れ等によりまして保護観察官の増員の措置を講じてまいっております。
 今後とも、保護観察体制の充実を図るために、関係当局の御理解を得ながら所要の適正な措置を講ずるように努めていく所存でございます。
#34
○倉田委員 視点として、本来国がやるべきことをこの方々がやってくださっている、そういうことから考えれば、今まで以上に十分な顕彰を行っていただきたい、こんなふうに思うわけでございます。
 少しこれからの質問は関連の質問になりますけれども、一つは仮釈放についてお伺いをしたいと思います。
 仮釈放が矯正から保護への円滑な移行ということなんだろうと思うのですが、これは前回の予算要望等のときに一回問題にしたこともあったわけでございますが、いわゆる作業員与金の問題です。
 これは、今手元にいただいております資料によりますと、作業員与金、いわゆる刑に服役をされて その中で労働作業をしてこられた方々に対する賞与金でございますけれども、例えば一人一時間当たりの基準額は、一等工で、六年度が三十円八十銭、七年度が三十二円。
 一時間三十二円、これは確かに御当局の説明によりますように労働の対価ではなくてあくまでも賞与金である、こういう性質のものだから、一時間が三十二円というのは幾ら何でもそれは安いじゃないかという議論ではないと思うのですけれども、しかし出獄、釈放されたときにその人たちがどれくらいの所持金を持って出るのか。出た途端に、確かに更生保護会とかいろいろ施設はあるわけですけれども、食事をしなければならない、住む家、どこに泊まるかも考えなければいけないということを考えると、現在平均所持額が、出るときに、これは平均だからわかりませんけれども三万か四万ぐらいなんじゃないかなと思うのですけれども、少なくとも大体十万ぐらいの金額は持って出れるように考えたらどうなのか。
 そのためには、これも施策ですから、労働の対価ということではなくて、それ、考えられるとすれば作業員与金の基準額を、もう少しというか、大体出たときに困らない額を持って出れるように配慮するんだということになれば、ここは賞与金の額を引き上げるべきではないのかと私は思うわけですが、この点について当局及び大臣の御見解を求めたいと思います。
    〔中島(洋)委員長代理退席、委員長着席〕
#35
○前田国務大臣 作業員与金でございますが、刑務作業に従事したということで、実はこれはまあ、先生御指摘のとおり労働の対価である賃金ではございませんで、もともと勤労意欲を喚起して社会復帰時の生活資金にもしてもらいたいということから、恩恵として与えているものでございます。
 しかし、この賞与金には釈放後の更生資金として役立ててもらいたいという願い、思いも含まれておりますので、従来からその増額に努めてきたところではございますが、引き続き物価等も考え、社会情勢の変化も考慮して適切な対処をしていかなければならない、かように思っております。
#36
○倉田委員 再犯防止あるいはその更生に資するという視点からも、もうちょっと出るときに持って出れるように御検討をぜひいただきたい、こんなふうに思います。
 きょうは警察庁それから厚生省にもお見えいただいておりますけれども、先ほど新しい捜査方法等の議論もございました。そこでちょっと薬物依存傾向者のお話もさせていただきましたけれども、この薬物犯罪、これについてお聞きしたいと思います。
 最近アメリカの国務省が公表した国際麻薬取締戦略報告書で、これは新聞の見出しですからちょっと何とも言えないんですけれども、「麻薬に甘いニッポン、こういうふうな見出しが載っておりました。そういう指摘があったということでございます。さらには、青少年の薬物汚染の増加、特に大麻汚染の増加みたいな新聞報道が最近盛んになされておりますし、私の身近でもそういう事件が確かにふえているな、こういうことを実感をいたしております。
 使用方法も非常に多様化をしている、注射痕が残らない方法であるとか。また、外国人の問題もこれあり、これは国にとっても社会という問題にとっても非常に大きな、薬物汚染の増加、薬物犯罪の増加というのは大きな問題なんだろうと思いますが、これを今警察庁としてどんなふうにお考えになっておられるのか、同時にこの根絶の対策というのをどうお考えになっておられるのか、これも概括的に、後々また詳しくは御質問させていただく機会があると思いますけれども、お伺いをしておきたいと思います。
#37
○山崎説明員 先般来国国務省が公表いたしました国際麻薬取締戦略報告書におきまして、委員御指摘のとおり、我が国の薬物取り締まりの状況、特に不法収益の取り締まり等において十分成果が上がっていないのではないかという指摘がございました。この内容を受けて「麻薬に甘いニッポンという見出しで報道がされたことを承知しております。それで、この報告書の中には若干の誤解に基づくものがあるのではないかというふうに考えておりまして、こうした誤解につきましては米国政府に対してしかるべく説明をしてまいりたいと考えております。
 警察といたしましては、薬物の乱用、これは社会の根底を脅かす重要な治安問題というふうにして認識をしております。ただいま供給の遮断とそれから需要の根絶、これを二本柱として総合的な対策に努めているところでございます。
 委員御指摘のございました大麻の乱用の問題でございますけれども、近年青少年を中心として乱用が拡大をする傾向が見られております。これにつきましては、警察庁としても大変憂慮をいたしておりまして、大麻対策を薬物取り締まりの重点の一つとして、現在密売人、未端乱用者の徹底検挙ということに努めております。また同時に、青少年を中心にいたしまして、薬物乱用防止教育あるいは広報啓発活動、相談業務を積極的に実施していくことといたしております。
#38
○倉田委員 この問題は、やはり今お話もありましたように非常に基本的なことだし、各家庭にとっても、その本人にとっても大変な問題です。これだけ確かに薬物常用者というのがふえている傾向を見れば、本当にきちんと考えていかなければならないと思いますので、また細かい話は追って質問させていただきますけれども、十分に対応していただきたい、こんなふうに思います。
 次ですけれども、いわゆる児童相談所における児童保護について、これはオウム真理教の子供たち五十三人が一時保護をされた、この一時保護の対象者たり得るかどうかは、これは現場に捜査に入られた警察庁の方で判断をされたということでございますが、そこで、このオウムの施設に入られて、どういうことでこれは要保護の必要性があるというふうに御判断をされたのか、まずその点を確認をしておきたいと思います。
#39
○岩橋説明員 お尋ねの件は、かねてより山梨県の上九一色村のオウム真理教施設内に、劣悪な環境に置かれ保護を必要とする児童が多数いるとの情報を得ておりましたところ、本年四月一四日、山梨県警察が同教団の第十サティアンと呼ばれている施設を他の事件の容疑で捜査いたしました際に、この施設内で、ごみなどが散乱し、異様な臭気がする非常に衛生状態のよくない部屋で、顔色が悪くて一見して健康状態に問題がありそうで、適当な保護者がいないのではないかと見られる児童多数を発見しました。そのため、児童福祉法第二十五条の規定の適用あるケースと判断し、山梨県中央児童相談所に通告をいたしたところでございます。
#40
○倉田委員 今警察庁の方からは、劣悪な環境である、衛生状態もよくないし、適当な保護者もいないのではないのか、こんな判断で保護した。
 そこで、厚生省にお見えいただいておりますけれども、厚生省はこの児童たちを一時保護の対象者として児童相談所に保護をされた。厚生省としては、この保護の根拠、警察庁がその現場で御判断なされたと思いますけれども、この子供たちをどういう根拠に基づいて保護をされ、また現在どのような対応をなされておられるわけでしょうか。
#41
○吉岡説明員 御説明申し上げます。
 今回の一時保護は、先ほど警察庁から御説明がありましたように、オウム真理教の山梨の施設への捜索の過程で、劣悪な環境に置かれている要保護児童を発見をしたという通告を端緒として行ったものでございます。
 児童福祉法の三十三条第一項に、こういった場合に児童相談所長として適当な保護者がいないという判断を行いまして保護をすることができるという規定がございますので、この通告を受けて児童相談所長として判断をいたしまして、現場におりました警察に保護の委託を依頼をしまして保護を行ったというふうに聞いております。
#42
○倉田委員 児童福祉法一条等々、児童に対する国の責任というのが規定されておりますので、基本的にはこの条文から要保護の必要性があるということで御判断なさったと思うのです、その状況として劣悪な環境であるとか、衛生状態が悪いとか。
 そうだとすれば、例えばオウムの施設そのものがそういう環境であるということが判断されたとすれば、そのときの当局の御判断で、いわばオウムの施設内に残された児童たちがまだいるわけですね。そうすると、オウムの施設そのものが衛生状態劣悪で非常に環境が悪いということになれば、この残された子供たちの要保護の問題も出てくるのではないのかと私は思うわけですけれども、この点ほどんなふうに御判断なされておられますか。
#43
○岩橋説明員 今後捜索などを通じまして、同様の要保護性のある児童を発見いたしました場合には、児童相談所等と連携をとりまして、適切な対処をしていきたいと考えております。
#44
○倉田委員 ちょっとこの関連で違う視点の質問ですけれども、オウムの捜査本当に大変なんだと思うのですね。実は薬物とかいろんな化学検査もあったり、非常におおきな捜査態勢で現場の警察官の方々、大変な御苦労をいただいておるんだと思うのです。オウムの捜査態勢、これは非常に大きな問題ですので十分な態勢を組まなければいけないと思うのですけれども、しかし、捜査態勢で一万手薄になる部分があるのではないのか、一般刑事犯罪事件で。
 例えば、非常にオウムの捜査で微罪で引っ張ってきてということもあるかもしれないけれども、関係ない人たちまでが引っ張ってこられて、長く、まだちょっと調べる人もいないし手も足りないから、しばらく泊まっておいてみたいなことがあってはならないのだろうと思うのですけれども、これはいかがでしょうか。ほかの、やたらに関係ないというか、オウムに関係ない人たちまでが捜査の人手が足りなくて、長く勾留されているようなことがないのかどうか、一般論としてちょっとお聞きをしておきたいと思いますが、いかがでしょう。
#45
○篠原説明員 お答えさせていただきます。
 オウム真理教をめぐりますさまざまの犯罪容疑につきましては、国民の方々の間に不安感が広がりを見せるなど、大きな社会問題となっていることでございまして、警察といたしましては、それぞれの事件の犯人の早期検挙と事案の全容解明に向けまして、現在全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
 一方、国民の方々の身近ないわゆるその他の一般犯罪につきましても日々発生を見ているわけでございまして、警察といたしましては、これらの犯罪につきましても、的確に対処すべく努力をしているところでございます。特に、逮捕した事件につきましては、人権等の関係からも迅速な事件処理に心がけるなど努めておるところでございまして、今後ともこういった適正な捜査の推進に配慮しながら、治安の確保に努めていきたい、そういうふうに考えておるところでございます。
#46
○倉田委員 時間が参りましたので、最後に一問だけ、いわゆる統一地方選挙に関連して警察庁にお伺いをしておきたいと思います。
 今回の統一地方選挙、選挙違反の報道というのも至るところでなされております。中には地方議会の議員さんであったり、それなりに地方の力のある人たちがいわゆる買収という容疑で逮捕されているという新聞報道が多々あるわけですけれども、今回は、公職選挙法が改正をされて新しい公職選挙法のもとにおける選挙であります。
 例えば連座対象者として組織的選挙連動管理者、こうなりますと、当選無効という問題も当然出てくるわけであって、いわば今回の統一地方選挙、そしてその違反に対するあり方ということは、今後の選挙の浄化ということに対して非常に大きな意味を私は持つものだと思うのです。
 そういう意味では、法の趣旨にのっとって、厳正にきちっと対応していただきたい、こう思うわけでありますけれども、まだ捜査中のこともありますでしょうけれども、今回の選挙違反の捜査の現状とこの新しい選挙制度に向ける対応というものについてお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
#47
○栗本説明員 今委員御指摘のように、一連の公職選挙法の改正等の趣旨を踏まえまして、今回の統一地方選挙の取り締まりにつきましては、各都道府県警察におきまして十分なる取り締まり態勢を確立した上で、不偏不党、また厳正公平な取り締まりに努めているところでございます。
 まだ途中の段階でございますが、一昨日現在の検挙状況につきましては、逮捕者総数といたしまして四百七十六名の方を逮捕し、事案の全容の解明に努めているところでございます。また、その罪種別に逮捕者の内訳を見ますと、買収で四日五十四名、自由妨害で九名、文書頒布等で十三名になっているということでございます。
#48
○倉田委員 以上で終わります。
#49
○金子委員長 富田茂之君。
#50
○富田委員 新進党の富田茂之でございます。
 更生保護事業法案につきましては、ただいま倉田委員の方から詳細な質問がございましたので、私の方は、外国人芸能人招へい業者協会という団体に関しまして何点か御質問をさせていただきます。
 三月十五日だったと思いますが、当委員会におきまして斉藤委員の方から御質問がございました。入国審査手続に関して、この協会の職員によっていわゆるブラックリストのチェックが行われていたという点が指摘されまして、法務大臣より、行き過ぎがあった点は改めるとともに、処分についても考えたいという御答弁がありました。また、その翌日、三月十六日の衆議院の内閣委員会でもこの問題が取り上げられたようでありまして、その席上、調査の結果、この協会の職員にブラックリストが検出されるキーボードをたたかせていたというような事実が判明した旨説明されておりました。
 法務当局として内部調介を進められたのだと思うのですが、調査の結果どういう事実が判明して、何をどう改善されたのか。また、この件に関して何らかの処分がされたのか、御説明いただければと思います。
#51
○塚田政府委員 ブラックリストのチェックの件でございますけれども、地方の入国管理局の事務室内におきまして、入国審査官の監督のもとに、入管法第五条に該当する者、これは上陸拒否者という意味でございますが、この入管法第五条に該当する者等の氏名を列挙した氏名表が入力されているパソコンを操作することを容認していたというのが事実でございます。
 どのような改善策をとったかということでございますが、一部の民間団体に対して行き過ぎた依存があったものと認められましたので、直ちにかかる取り扱いを改めるよう指示いたしました。
 関係者の処分の件でございますが、ブラックリストのチェック、国家公務員法の守秘義務、その他微妙な問題で慎重な審査を、調査をしなければいけません。その他もろもろのことがございまして、現在、調査検討中でございます。
#52
○富田委員 調査の途中だということですが、内閣委員会の方での、審議官が説明員として出席されていたようですけれども、その答弁の中では、「改めるべきところは速やかに改めて、再び誤解を招くことのないような対応措置を講じてまいりたいこという御答弁をされているわけですね。守秘義務とかいろいろな問題があるとは思いますけれども、この委員会で指摘されてもう一カ月以上たっていて何らの処分もされない、まだ現在も調査中だというのはちょっと、このままうやむやにしてしまうのではないかなという感じがするのですが、その点はどうなのでしょう。
#53
○前田国務大臣 入管の一連の調査の結果、調査中でございますが、既に不当あるいは誤解を生じるような取り扱いがあると認めた点もございまして、既にその時点で取り扱いを中止をするように命じております。以降、一切ブラックリストチェックあるいはキーボードの操作等は行われていないものと信じております。
 また、今後のこうした入管行政のいわば抜本的な改善を図らなければならない、そんな観点から実は非常に重く見ておりまして、事務次官を委員長といたしまして法務省内に検討委員会を設置いたしまして、入管行政の問題点全般についても全省的な立場から検討するということで現在いたしておるところでもございます。
#54
○富田委員 ぜひその検討委員会で有効な手段、また誤解を招くことのたいようた措置を本当に決めていっていただきたいと思います。
 この団体のことをなぜきょう取り上げたかといいますと、実はその委員会の後、また四月一三日の毎日新聞の朝刊におきまして、「「入国容易に」の法務省陳情 衆院議員が口利き」という大見出しが出ておりまして、報道がされておりました。この団体が議員に頼んで陳情を行ったということで報道がされていたわけですけれども、報道ではこういうふうになっております。
 入管のOBらでつくるこの団体がことし一月、フィリピン側の出国規制でフィリピンの芸能人の来日が激減したため、衆議院議員を通じて、フィリピンからの入国を容易にするよう法務省に陳情していた。具体的には、法務省の方で日本の在留資格認定証明書を得ている場合は、有効期間を過ぎても入国を許可する異例の措置をとったのだというような報道であります。
 これは事実かどうかわかりませんけれども、このような報道がされておりまして、陳情の具体的な内容として、フィリピン政府がとった新制度の凍結をフィリピン政府側に要請してもらいたい、また、有効期間が三ケ月と定められた在留資格認定証明書が失効しないような何らかの手続をとってもらいたいというふうな、具体的な陳情をしたというふうな報道がされております。
 このような、この報道にある陳情が実際されたのでしょうか。その点はどうでしょう。
#55
○塚田政府委員 本年の一月の二十四日に、衆議院議員の秘書が、外国人芸能人招へい業者協会の会員数名を伴いまして、私どもの局担当の官房審護官を訪れた上、一つとして、滞在中のフィリピン人芸能人の在留期間の再延長、もう一つは、在留資格認定証明書の有効期間の延長について陳情をされた事実はございます。
#56
○富田委員 入管当局としては、この具体的な陳情についてどのような対応をされたのですか。
#57
○塚田政府委員 まず、滞在中のフィリピン人芸能人の在留期間の再延長につきましては、これを認めないことといたしました。
 次に、在留資格認定証明書の有効期間の延長につきましては、これは、有効期間は三ケ月でございますが、これを認めないこととしました。しかし、有効期間を経過した認定証明書を所持して査証を取得して上陸申請をするフィリピン人芸能人、新たに日本に来る人につきましては、入管法第七条第一項、第二項に定め上陸の条件について審査、これは、本邦における活動が申請したとおりのものと適合しているかどうかという審査でございますが、この上陸の条件について審査を了した上で上陸を認める取り扱いといたしました。
#58
○富田委員 今の御説明ですと、陳情の二点については両方とも原則として認めない。ただ、在留資格認定証明書の取り扱いの部分ですか、フィリピンの方から、芸能人資格ということで入国を求めてきた場合に、入国の申請の手続の点で、事前にそういう証明書が出ているという事実を考慮して入国を認めたというふうにお聞きしてよろしいのですか。
#59
○塚田政府委員 フィリピン政府は、出国の条件として、ARB、新しい芸能人レコードブックという制度を昨年の暮れに考慮して、実施はことしの一月からだったと思いますが、導入したわけでございます。これは、経過期間も何もなく行われたわけでございます。
 これは、フィリピン政府が自国民の保護ということで考えられた措置ですから、それはそれで結構なのでございますが、私どもは、これは先ほど申し上げましたとおり有効期間は三ケ月でございますが、昨年の十月から十二月の間に交付いたしました在留資格認定証明書を所持して本年三月末までに本邦に入国する者につきましては、経過期間もなくていきたり全員足どめというのはいかにも気の毒だということで、招聘業者出演先及び活動内容が同一であると認められることを条件としまして、この資格認定証明書の有効期間経過後であっても、改めて在留資格認定証明書をもう一度とり直しなさいということなく、この証明書が交付されていたという事実を尊重した上で、もう一度招聘業者、出演先あるいは活動内容等が間違いなく同一であるというようなことを空港の審査で行った上で入国を認めていた。つまり、在留資格認定証明書を再発給すればよいわけでございますが、何千通とか何万通というようなものをもう一度やるのもいかにも事務的に大変だということもございまして、このような措置をとったわけでございます。
#60
○富田委員 そうしますと、今回とられた措置というのは、昨年の十月から十二月までの間に在留資格認定証明書を交付していた方たちだけが対象になったというふうにお聞きしてよろしいのですか。
#61
○塚田政府委員 そのとおりでございます。
#62
○富田委員 そうすると、報道の方はちょっとその点を誤解して、法務省の方で何か特別な措置をとったのだというふうになっていますけれども、事実関係はわかりましたのでそれで了解いたします。
 この任意団体である協会の今回の陳情とか動きについて、どうも設立目的からいって逸脱しているのじゃないか。任意団体のことですからどのようにやられようとそれは構わないのかもしれませんが、設立当初、法務省の方でかなりバックアップしていたような事実もあるみたいですし、現在任意団体ですけれども、財団法人化を設立当初から目指しているということが公になっておりますので、こういう動きをする、陳情をすること自体どうなのかな。
 内閣委員会での答弁の中で、この協会の目的ということを審議官の方が説明されておりましたが、こういうふうに言われておりました。「外国人芸能人招聘業者の質的向上を図り、外国人芸能人の円滑な受け入れと秩序ある活動に関する必要事業を行い、国際的な相互理解及び国際交流の健全な発展に寄与することを目的とする。本当にこの目的どおりの仕事をしていただけるのであれば、それは入管当局としても十分協力して、官民一体となってこういう行動をしていただきたいと思うのですが、今回の陳情を見ますと、どうもこの目的からはずれているのじゃないかな。
 また、この団体の方では、フィリピンのラモス大統領あて、フィリピン政府の方で芸能人資格認定の厳格化したものを緩和しない限り、五月から協会としてはフィリピン人芸能人を受け入れないぞみたいな抗議書を送ったというような報道もされております。
 入管のOBの方が多くおられる団体としては余り適切な行動ではないのじゃないかな。今後財団法人化を目指していくということを考えますと、当局としてほかの団体と一律に扱うのだというだけでいいのかどうか。何らかの適切な指導が要らないのか。報道によりますれば、これは入管OBの受け皿をつくったのだというふうに批判する報道もありますし、業者の中には、入管のOBの方が大勢いらっしゃる団体だから、ここに入っていれば違反摘発を受けないのだ、あるいは申請の人間が短くて済むのだ、入会金とか会費はその保険だよみたいななことを言われている方も大勢いらっしゃるようです。
 そういう点を考えますと、ちょっと法務当局としてもこの団体とのかかわり合い方というのを考えなければいけないのじゃないかなというふうに私自身は思うのですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
#63
○前田国務大臣 御指摘の記事にもなりました外国人芸能人招へい業者協会、これはいわゆる任意州体でございます。しかし、新聞報道等あるいは調査によりましても、任意団体としての取り扱い上、他の団体と異なった取り扱いをしておったという事実も指摘をされ一調査の中でも幾つがその事例が認められたわけでございまして、自来その従来の異なった取り扱いについてはすべて中止をいたしたところでございますし、今後一般団体と同じ取り扱いをしてまいるという取り扱いを現在いたしておるところでございます。
#64
○富田委員 新聞報道によりますと、この陳情を行った後に、協会に所属している業者さん何社かが陳情の紹介をした議員さんの後援会に入った。そんな大したお金はもらっていないんだというような弁解をされているようですけれども、この事実を一般国民が見ますと、入管の職員の皆さんというのは在職中は入国手続の本手に厳正公平な執行というか、本当に一生懸命法の執行に携わっておられるのに、一たん退職してOBになられると、今度もともとの自分の職務に関連した業者さんの代弁者みたいだ立場に立って、法の趣旨をねじ曲げても構わぬ、そういうような行動をとられる。
 しかも、自分たちの権益を守るために政治家まで利用する。政治家の方も、自分の後援会に資金が入ればどんな陳情でも仲介してしまう。当局の方は、政治家やOBの顔を立てでできるだけ配慮しよう。実際特例措置はとられていないという先ほどの御答弁でしたけれども、何となく一般国民から見ると、いわゆる政官業の癒着みたいたそういう小型化じゃないか、普通の陳情でもこんなことをやっているのかというふうに受け取られると思うのですね。
 やはり私どもも、外務省とか入管当局にこういう陳情をしてくれ、あるいは手続がおくれているので何とか早めてもらえないかというような依頼を受けることが本当に多くあります。また、実際にそれをお願いしたりしますけれども、何かこういうふうに法の趣旨からちょっと外れたことまで政治家がやっていいのかな。また、それに入管OBの皆さんが関与していって本当にいいのかなという素朴な疑問を持たざるを得ません。政治家の方も襟を正さなければいけないと思いますし、当局側も安易に陳情等に応じるべきではないのじゃないか。
 具体的な措置として先ほど局長さんの答弁で、フィリピン側が猶予期間を設けないで急にやったのでそれに対してこちらで考えたのだ、そこはよく理解できるのですが、こういう報道をされないような、ある程度当局側の方も法の趣旨に沿った陳情の受け入れみたいなことを考えていかなければいけないのじゃないかと思うのですが、その点大臣はどのようにお考えでしょうか。
#65
○前田国務大臣 入管行政が法のもとに公正が確保されなければならないというのは、これは根幹にかかわる問題でございまして、いやしくもその間に疑いが持たれるようなことがないように、公正かつ慎重に対処してまいらなければならないという決意で取り組んでおるところでございます。
#66
○富田委員 最後に一点、これも報道だったのですが、外国人芸能人の資格外活動の特例扱いを法務省側は検討している、しかもこれもまた民間団体からの陳情があって、それを受けて検討しているというような報道がございました。事実そういう検討をされているのでしょうか。
#67
○塚田政府委員 業界の一部にそのような声があることは承知しておりますけれども、私どもにおきまして具体的に検討したことはございません。
#68
○富田委員 検討されていないというなら結構なんですが、これはやはり本来の資格、どういう資格で入ってくるか、単純労働者を認めるのかどうかという本当に根本的なところで議論するべき問題だと思います。安易に民間の団体の方で要請があったからということで当局の方で検討されるようなことはないと信じておりますので、根本的な議論をしっかりしていただいて今後の対応を考えていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。
#69
○金子委員長 正森成二君。
#70
○正森委員 更生保護事業法案、同関連法案について質問させていただきます。
 更生緊急保護法を廃止して、更生保護の理念や措置、手続などを犯罪者予防更生法に移し、社会福祉法人並みの税制上あるいはその他の優遇措置をとれるよう事業法とすることは、厳しい状況下にある更生保護施設の改善の面から歓迎すべきことであると私どもは考えております。しかし、基本的には現在の国の委託費並びに施設整備補助金が、こう言ってはあれですが、余りにも低額で、更生保護施設関係者の犠牲的努力によって辛うじて経営が維持されているという点に大きな問題があるように思います。
 そこで、国の更生保護事業についての責務等についてどう考えておられるか、まず最初に法務大臣から一言お考えをお願いします。
#71
○前田国務大臣 更生保護事業は、まさに再犯防止を初め社会情勢、社会の安定化にとっても極めて重要な事業であると理解をいたしております。そこで、国の方は、国の責務としては、法制度、事業全体、仕組み、運営等、国が総体的、総括的な責任を果たしていかなければならない責任がある。
 そして、今日の現状から申し上げますと、先生御指摘のとおり、補助金あるいは委託費等の額も確かに少のうございますし、委託費等の仕組みも問題がまだ残っておるというふうに私は理解をいたしておりまして、足らざるところあればじゃなくて、足らざるところがございますので、積極的かつ強力に支援をして、ある意味では、この御審議いただいております法案で基盤はできたけれども、まあ仏つくって魂を入れるのはこれからだという強い決意でおるということでございます。
#72
○正森委員 基盤はできたけれども、魂を入れるのはこれからだという非常にユニークな御答弁で、ということは、逆を言いますとまだ魂が十分入っていないということですね。まあ揚げ足をとるわけではありません。そういうことで、必ずしも魂が入ったとは言い切れない面を、私は実情に即して申し上げたいと思います。
 私は、先月の初めに、本法案が出るのに勉強させていただきたいと思って広島へ参りまして、呉清明園あるいは博光寮、これは広島ですかね、二カ所見てまいりました。そうしますと、そこに従事しておられる職員が非常な薄給ですね。
 例えば呉清明園の場合は、初任給が十万円から十一万円で、最高の、といっても人数は少ないのですけれども、主幹の基本給が現在と二万五千円。念のために、失礼ですが二月は幾らになりましたかと聞いたら、手当てや交通費全部入れて二十一万円ぐらいだと。この方は率直にいろいろ教えていただいたのですが、呉ですから、海上自衛隊の一尉、昔の大尉ですね、それが退職されて来ておられる。
 それから博光寮の場合は、これは山田主幹という方が理事長と一緒に出てこられたのですが、基本給がと二万七千円で、この方も諸手当を含めても月額二十万円ぐらいにしかならない。この方は保護観察所の所長をやられた方で、それで定年になって来ておられるのですね。
 いずれも皆、私たちは社会奉仕だということで、単なる第二の職とは思っていないということで、私たちに不満は漏らされませんでしたけれども、横におる理事長だとが、こういう経験のある人を――それから二佐という方もおられる、昔の中佐ですね、それがやはりこういう薄給でやっておる。だから、年金と合わせてやっと人並みになるかならないかというところなのですね。
 それで私は、やはり委託費を、国の責任であるという以上は引き上げる必要があるのではないか。ここからは必ずしも大臣にお答えいただかなくても、事務当局からお答えいただいても結構なのですが、そういうこと。
 それから、聞いてみますと仮出獄者の予約システムというのがあるのだそうですね、大体何日に何人ぐらい、何日に何人ぐらい。そうすると、非常に零細な二十人とか、五十人以上というのは一、二%ぐらいしか比率はないのですから、そういうところで何名分かあけておくというのは大変な負担になるのですね。
 それで、要望を聞きましたら、事務費は宿泊食事費とかいろいろ四つぐらいに分類されていますが、その中のせめて委託事務費だけでも大体毎月あけておかなければならない人数について、実際に入っているだけでなしに、あけておる期間についてもいただければ非常に助かるということを言っておられます。
 今はどうしているかというと、例えば呉清明園の場合には、賛助会員を募って、年間一万二千円ぐらいの会費をいただいて、それを百人とか百五十人ということで百万円、百五十万円集めて、それで賄っておるという点があるのです。ですから、こういう点について具体的な答弁をお願いします。事務当局からでも結構です。
#73
○本間政府委員 お答えいたします。
 更生保護会の収入の相当部分が国からの委託費によって賄われているというのが実情でございます。そういう意味におきまして、委託費というのは更生保護会の健全な経営を支える上で非常に重要なものだという点はと分認識しておりまして、これまでもこの委託費の増額に努めてまいりました。平成七年度におきましても、相応の委託費の増額を図ったところでございます。
 それから、御指摘いただきましたいわゆる仮出獄者の、出所を予定している者の部屋をあけた場合、何らかの形で補助できないかというような問題でございますが、委託費は、性質上委託実績に応じて支弁するということになっておりますので、現実に委託を行っていない期間について委託費を支弁するということはできないことになるわけでございます。
 ただ、先ほど大臣からも答弁がございましたけれども、問題は更生保護会の職員のいわゆる給与をどういうふうに確保すべきたのかという問題に関係してくると思うのでございまして、委員御指摘になりました、いわゆる人件費を含む事務費というものぐらいはぜひというお話が、希望があった、こういうことでございます。
 現在の予算の組み方といいますか、これは委託の都度委託費を差し上げる、その中に人件費が含まれる、こういうことでございますから、部屋があいていればそれだけ人件費が出てこないというような仕組みになっているわけでございます。したがいまして、そこらの委託費の組み方の問題とか、いろいろ考えていかなければいかぬかなということを今検討しておるところでございます。
#74
○正森委員 局長にこんなことを言うたらいけませんが、実情を御存じなくて、顔が下の方の更生保護会よりも大蔵省に向いた答弁だということで、やはりそれを打ち破っていくようにしなければいかぬと思うのですね。
 それで、念のために言いますが、調査室がつくってくれた資料に、関東地方更生保護委員会委員長の宮野さんの「更生保護の課題と展望」という論文が載っております。ほかにもいろいろ同種の資料があるのですけれども、更生保護会の役割が大方変わってきていると思うのですね、そこの部分を読んでみますと、「更生保護会は、事実上その役割を大きく変更したと言えます。」四十ページですが、「更生保護会には、刑務所を満期釈放された者、起訴猶予で釈放された者などの、いわゆる「更生保護」の対象者のほかに、仮出獄者など保護観察中の者が収容保護されています。こういうことで、「新しい更生保護制度発足当初は、被保護者のうちに「更生保護」の対象者が多くを占めており、更生保護会の役割は、これらの者に宿泊場所、食事、就職先等を提供することにより、彼等の更生を促進することにありました。しかし、日本の経済的繁栄により、満期釈放者を受け入れる職場等も拡大したことから、「更生保護」の対象者は年々減少していったのに対し、仮出獄者を中心に保護観察中の者が増加し、昭和四七年ころから両者の数が逆転して、現在では保護観察中の者が被保護者の七割を超えるまでになっています。別の資料では四分の三を超えておるという資料があるのですね。そこで、「単に宿泊場所や食事を提供することに止まらず、さらに進んで、被保護者の生活訓練、即ち処遇に重点が置かれできます。」「こうして、更生保護会は、近年ますます処遇施設としての機能を期待され、また、この機能の充実に努めております。」これは事実なんですね。
 そうしますと、更生保護会には、満期釈放者とかあるいは執行猶予がついた者とかあるいは起訴猶予にたった者とか、本来行刑だとか刑罰ではないのですね。もう自由の身なんですから何してもいいのです。静岡の勧善会から始まったようですが、そういう人を民間団体が援助するという性質から外れて、四分の三を超える者はある意味では仮出獄とかいうことで、行刑が満期ならずっと入れているわけですから、仮出獄をやって、それで保護観察のついた者を受け入れて処遇するということですから、単に刑事政策上の理由だけでなしに、行刑の一環を担っておるということで、この二つは明らかに性格が違うのですね。まさに国が責任を持ってやるべきことであるというように私は思わざるを得ないのですね。
 今同僚委員の中からも、更生保護会で国の施設をつくらなければ処遇がいろいろ、この論文にも書いてありますが、非常に適した処遇をしなければならない。麻薬関係者とかあるいはいろいろな分類がある、今十一ぐらいに分けているようですが。そういう点からいえば、本当は、民間に任せて、それが最適だという大臣の答弁もありましたが、最適ではなしに、我が国の明治以来の貧乏さかげんからやむなく事前事業に頼ってきたのであって、私が今言った今四分の三以上を占めている分野については、まさに国が前へ出なければならないのですね。
 それを、今局長のような煮え切らないような答弁では現地の――現地は古い土地と建物しかないのですよ。流動資産なんかほとんど持っていないのですよ、だから、車両競技公益資金記念財団なんかから寄附をもらい、それから自分で工面してやっているわけでしょう。それは、やはりあり方として非常に問題がある。そこが、大臣いみじくもおっしゃった、まだ魂が入っていないわけです、仏つくって魂入れずと言いますけれども。だから、その点を今ここで直ちに、今の局長の顔を見ておったら前向きの答弁をしたいかもしらぬけれども、大臣は少なくも問題点は理解していただけますか。
#75
○前田国務大臣 先ほど、仏つくって魂入れずと、いや、もっと魂を入れていこう、こういうことでございますから、御理解を賜りたいと存じます。
 それで、国の責務の中でやはり国が直接更生保護会の機能を分相していくべきだという御指摘、そしてそのためには財政措置が要る、こういうことになってくるわけでございます。
 先ほどもいろいろ答弁の中で、例えば更生保護会の機能分化の一環として高齢者や薬物乱用者、そしてまた、先生今お話がございましたが、刑罰権枠外、つまり保護観察中の者がふえてきておる、こうした点も踏まえて、やはりそうした手法も一部取り入れていくことを検討すべきであるという理解はいたしておるところでございます。かつまた、委員御指摘のいわゆる委託費、補助金等の問題につきましても、私は改善の余地があるものと考えておるところでございます。
#76
○正森委員 私は、今国の責任について言いましたが、地方公共団体についてもやはり協力していただく必要があるのではないかという気持ちを持っております。といいますのは、法案の第三条二項も、地方公共同体は、「更生保護事業に対して必要な協力をすることができる。」それから、法案の第四十八条では、更生保護事業を地方公共団体は営むことができるということになっておりまして、地方公共団体の関与を認めております。
 他方、私が実情を聞きますと、地方自治体の中には、これは国の仕事で、地方自治体のやるべきことではないという見解をとっているところも非常に多いというのですね。それには一定の根拠がありまして、地方自治法の二条の十項では「次に掲げるような国の事務を処理することができない。」ということで、「司法に関する事務」と「刑制及び国の懲戒に関する事務」というのが挙がっております。
 しかし、私が今言いましたように、仮出獄者とかそういう面はともかくとして、刑期を満了した者とかいうのは、もう社会人なんですから、それが犯罪を犯さずに円満に社会復帰するということは地方自治体の秩序の維持と安全にとって重大な関係があるのですね。
 それで、地方自治法の二条を見ますと、地方自治体の事務というのが書いてありますが、そのトップには、公共の秩序を維持し、それから住民及び滞在者の安全を確保して、健康及び福祉を保持することというのがそのトップに掲げられているのです。ですから、私は、満期釈放者等々については地方自治体が一定の協力をするのはある意味では当然で、むしろそれが円満に社会復帰できれば地域にとっても非常な利益になるというように思うのですね。
 それで、保護局に調べてもらいましたら、都道府県で一定の補助金とか寄附をしているところがあります。五年度までわかっているのですが、私のいただいた資料では、五年度で全国都道府県、市町村も入れて二億四千二百六十四万円の補助金等が行われております。それを各県別に見ますと、ほとんど全部の都道府県がやっておりまして、ゼロのところは七カ所だけですね。他方、一千万円以上という相半高額のところも四カ所ぐらいで、東京のように非常にお金を持っているところでも五百万ぐらいというようになっております。
 私は、国の責任があるということを大前提に置いて、一定の、既にもう自由の身になって、本来なら社会人となるべき者が更生保護会の施設に入っているという分野を重点に地方自治体の協力を求めるということは十分に理由のあることで、その一つの障害になっているのは地方交付税の対象に入っていないのですね。基準財政需要額の中に入れられないのです。
 ですから、全部が全部そんなものをほうり込んだら地方自治体は迷惑するでしょうが、今私が言いましたように、二つ性質の違ったものがあるのですから、そのうちの一方についてある一定のガイドライン、基準を決めて、それについては、もし寄附、補助金その他を出してくれる場合にはそういうように措置しますよということが自治省との相談でもしできれば、地方自治体も大いに金が出しやすくなるという面があると思うのですが、その点についてはどう考えられますか。
#77
○本間政府委員 合同で約三千三百の地方公共団体がございますけれども、そのうちの約八百八十の団体が更生保護事業の公益性というものをよく御認識いただき、これに対して、先ほど委員御指摘のように、二億円以上の補助をしてくださっているという現状でございます。
 御指摘のとおり、更生保護事業がその地域社会の福祉あるいは秩序維持あるいは防犯というものに相当寄与しているということは、私は事実だろうと思っているわけでございます。その点から申しますと、地方公共団体に対しまして相当程度の御支援を求めるということも、それなりの私は理由があるというふうに考えているところでございますし現段階においては、やはり地方公共団体それぞれ独自の御判断のもとに、その必要があるとかないとかということの判断のもとに補助を行っていただいているということでございます。
 私どもは、やはりこの地方公共団体の御支援と御協力というものがなければなかなかこの更生保護事業というのはうまくいかないということはよく承知をいたしております。一層強力な御支援がいただけるように、今後とも更生保護事業の重要性を訴えまして、各般御了解をいただくようにいろいろと努力をしてまいりたいと思っております。
#78
○正森委員 終わります。
#79
○金子委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#80
○金子委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、更生保護事業法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#81
○金子委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、更生保護事業法の施行及びこれに伴う関係法律の整備等に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#82
○金子委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#83
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#84
○金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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