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1995/06/07 第132回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第132回国会 法務委員会 第8号
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1995/06/07 第132回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第132回国会 法務委員会 第8号

#1
第132回国会 法務委員会 第8号
平成七年六月七日(水曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 金子原二郎君
   理事 斉藤斗志二君 理事 志賀  節君
   理事 中島洋次郎君 理事 冬柴 鐵三君
   理事 山本  拓君 理事 佐々木秀典君
   理事 枝野 幸男君
      梶山 静六君    塩川正十郎君
      島村 宜伸君    橘 康太郎君
      横内 正明君    倉田 栄喜君
      左藤  恵君    富田 茂之君
      山田 正彦君    坂上 富男君
      細川 律夫君    正森 成二君
      小森 龍邦君    太田 誠一君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 前田 勲男君
 出席政府委員
        法務大臣官房長 原田 明夫君
        法務省民事局長 濱崎 恭生君
        法務省刑事局長 則定  衛君
        法務省矯正局長 松田  昇君
        法務省人権擁護
        局長      筧  康生君
        法務省入国管理
        局長      塚田 千裕君
        公安調査庁長官 緒方 重威君
 委員外の出席者
        警察庁長官官房
        総務課長    黒澤 正和君
        警察庁刑事局刑
        事企画課長   篠原 弘志君
        総務庁長官官房
        地域改善対策室
        長       炭谷  茂君
        国税庁課税部法
        人税課長    大村 雅基君
        文部省初等中等
        教育局小学校課
        長       上杉 道世君
        文化庁文化部宗
        務課長     中根 孝司君
        厚生省薬務局安
        全課長     植木 明広君
        厚生省児童家庭
        局企画課長   吉岡 大忠君
        農林水産省経済
        局農業協同組合
        課長      米田  実君
        通商産業省基礎
        産業局総務課化
        学兵器・麻薬原
        料等規制対策室
        長       掛林  誠君
        建設省住宅局建
        築指導課長   那珂  正君
        消防庁危険物規
        制課長     桑原 隆広君
        最高裁判所事務
        総局民事局長  石垣 君雄君
        最高裁判所事務
        総局刑事局長  高橋 省吾君
        法務委員会調査
        室長      河田 勝夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十六日
 辞任         補欠選任
  梶山 静六君     佐藤 孝行君
  倉田 栄喜君     平田 米男君
同日
 辞任         補欠選任
  佐藤 孝行君     梶山 静六君
  平田 米男君     倉田 栄喜君
六月七日
 辞任         補欠選任
  武藤 嘉文君     横内 正明君
同日
 辞任         補欠選任
  横内 正明君     武藤 嘉文君
    ―――――――――――――
五月十六日
 夫婦同姓別姓の選択を可能にする民法等の改正
 に関する請願(北沢清功君紹介)(第一〇七三
 号)
同月二十三日
 治安維持法犠牲者に対する国家賠償のための法
 制定に関する請願(秋葉忠利君紹介)(第一一
 五三号)
 同(岩佐恵美君紹介)(第一一五四号)
 同(穀田恵二君紹介)(第一一五五号)
 同(佐々木陸海君紹介)(第一一五六号)
 同(志位和夫君紹介)(第一一五七号)
 同(寺前巖君紹介)(第一一五八号)
 同(中島武敏君紹介)(第一一五九号)
 同(畠山健治郎君紹介)(第一一六〇号)
 同(東中光雄君紹介)(第一一六一号)
 同(不破哲三君紹介)(第一一六二号)
 同(藤田スミ君紹介)(第一一六三号)
 同(古堅実吉君紹介)(第一一六四号)
 同(堀込征雄君紹介)(第一一六五号)
 同(正森成二君紹介)(第一一六六号)
 同(松本善明君紹介)(第一一六七号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第一一六八号)
 同(山原健二郎君紹介)(第一一六九号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一一七〇号)
同月三十日
 治安維持法犠牲者に対する国家賠償のための法
 制定に関する請願(遠藤登君紹介)(第一三六
 二号)
 同(岡崎宏美君紹介)(第一三六三号)
 同(金田誠一君紹介)(第一三六四号)
 同(北沢清功君紹介)(第一三六五号)
 同(中西績介君紹介)(第一三六六号)
 同(畠山健治郎君紹介)(第一三六七号)
 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一三六八号)
 同(不破哲三君紹介)(第一三六九号)
 同(松本善明君紹介)(第一三七〇号)
 同(北沢清功君紹介)(第一四〇六号)
 同(畠山健治郎君紹介)(第一四〇七号)
 同(松本龍君紹介)(第一四〇八号)
 同(池田隆一君紹介)(第一四一五号)
 同(岩佐恵美君紹介)(第一四一六号)
 同(北沢清功君紹介)(第一四一七号)
 同(左近正男君紹介)(第一四一八号)
 同(関山信之君紹介)(第一四一九号)
 同(永井哲男君紹介)(第一四二〇号)
 同(畠山健治郎君紹介)(第一四二一号)
 同(濱田健一君紹介)(第一四二二号)
 同(細川律夫君紹介)(第一四二三号)
 同(山原健二郎君紹介)(第一四三四号)
 同(五島正規君紹介)(第一四六一号)
 同(坂上富男君紹介)(第一四六二号)
六月一日
 法律扶助に関する基本法の制定と財政措置の拡
 充強化に関する請願(井出正一君紹介)(第一
 五九七号)
 治安維持法犠牲者に対する国家賠償のための法
 制定に関する請願(山花貞夫君紹介)(第一五
 九八号)
同月六日
 治安維持法犠牲者に対する国家賠償のための法
 制定に関する請願(和田貞夫君紹介)(第一八
 六一号)
 同(和田貞夫君紹介)(第一九四五号)
同月七日
 法務局、更生保護官署及び入国管理官署の増員
 に関する請願(正森成二君紹介)(第二〇一八
 号)
 同(岩佐恵美君紹介)(第二〇七〇号)
 同(穀田惠二君紹介)(第二〇七一号)
 同(佐々木陸海君紹介)(第二〇七二号)
 同(志位和夫君紹介)(第二〇七三号)
 同(寺前巖君紹介)(第二〇七四号)
 同(中島武敏君紹介)(第二〇七五号)
 同(東中光雄君紹介)(第二〇七六号)
 同(不破哲三君紹介)(第二〇七七号)
 同(藤田スミ君紹介)(第二〇七八号)
 同(冬柴鐵三君紹介)(第二〇七九号)
 同(古堅実吉君紹介)(第二〇八〇号)
 同(正森成二君紹介)(第二〇八一号)
 同(松本善明君紹介)(第二〇八二号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第二〇八三号)
 同(山原健二郎君紹介)(第二〇八四号)
 同(吉井英勝君紹介)(第二〇八五号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第二二三七号)
 同(冬柴鐵三君紹介)(第二二三八号)
 同(細川律夫君紹介)(第二二三九号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第二三〇七号)
 同(坂上富男君紹介)(第二三〇八号)
 同(冬柴鐵三君紹介)(第二三〇九号)
 同(細川律夫君紹介)(第二三一〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
五月九日
 法務局職員の増員に関する陳情書(栃木県那須
 郡黒羽町六二二黒羽町議会内戸村貞夫)(第一
 七三号)
 法律扶助に関する基本法の制定と財政措置の拡
 充強化に関する陳情書(福井市大手三の一七の
 一福井県議会内池田熊蔵)(第一七四号)
六月六日
 法律扶助に関する基本法の制定と財政措置の拡
 充強化に関する陳情書(滋賀県長浜市高田町一
 二の三四長浜市議会内井関英隆)(第二五五号
 )
 法務局職員の増員に関する陳情書(栃木県那須
 郡塩原町大字下塩原六七五の九塩原町議会内君
 島幸三)(第二五六号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国
 内治安、人権擁護に関する件
     ――――◇―――――
#2
○金子委員長 これより会議を開きます。
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。
 本日は、特に地下鉄サリン事件等オウム真理教関係事件を中心に調査を進めます。
 まず、法務大臣から、地下鉄サリン事件等オウム真理教関係事件の検察庁における捜査処理に関する報告を求めることといたします。前田法務大臣。
#3
○前田国務大臣 このたび、本委員会より、地下鉄サリン事件等オウム真理教関係者による一連の不法事犯に関する検察庁のこれまでの捜査処理等について報告されたい旨の御要請を受けましたので、法令の許す範囲内で御報告を申し上げます。
 地下鉄サリン事件は、サリンという猛毒ガスによって通勤途上等の一般市民を多数無差別に殺傷したという、我が国の犯罪史上例を見ない残虐きわまりない犯罪であり、国民に多大の脅威と不安を与えるとともに、治安の根底を揺るがしかねない極めて悪質かつ重大な事件であります。また、現在解明されつつあるオウム真理教関係の一連の不法事犯も、我が国の法秩序に挑戦する極めて重大かつ悪質なものであります。検察当局におきましては、地下鉄サリン事件の発生当日、東京地方検察庁に異例の捜査本部を設置したほか、関係各検察庁においても十分な捜査態勢を整え、最高検察庁を初めとする上級庁の指揮・指導のもとに、第一次捜査機関として捜査に当たっている警察当局との緊密な連携を保ちつつ、鋭意捜査を行ってきたところであります。
 地下鉄サリン事件については、本年五月十六日以降、警視庁においてオウム真理教代表者麻原彰晃こと松本智津夫ら多数の被疑者を順次逮捕し、東京地方検察庁においては、同月十七日以降、右松本ほか三十三名の送致を受け、捜査を行ってきたところでありますが、昨六月六日、このうち七名を地下鉄サリン事件に関する殺人罪及び同未遂罪で、九名をサリンの生成等に関する殺人予備罪で公判請求いたしました。
 また、オウム真理教関係のその他の事件につきましても、各地の関係検察庁において本年三月以降、警察から送致を受けて、鋭意捜査処理を行っておりますが、六月六日までに、逮捕監禁罪、営利略取罪等で延べ約九十名を公判請求いたしました。
 検察当局は、今後とも、地下鉄サリン事件を初めとする一連の不法事犯の全容解明と厳正な処分を求める国民の負託にこたえるべく、全力を傾注していくものと承知しております。
 捜査処理の具体的内容等につきましては、引き続き政府委員から御説明を申し上げます。
#4
○金子委員長 引き続き、刑事局長から捜査処理の具体的状況について報告を求めることといたします。則定刑事局長。
#5
○則定政府委員 引き続きまして、捜査処理の具体的内容等について御説明いたします。
 第一は、オウム真理教関係者による事件の捜査処理の概況についてであります。
 検察当局がオウム真理教関係者によるものと把握している事件につきましては、地下鉄サリン事件が発生した本年三月二十日以降、六月六日までの間、東京地方検察庁ほか三十数庁において、延べ三百名以上の人員を受理しております。
 このうち、六月六日までに、延べ約九十名を公判請求しております。その内訳は、別表のとおりであり、主な罪名は、殺人、殺人未遂、殺人予備、逮捕監禁、営利略取等であります。
 第二は、主な事件の具体的な捜査処理状況についてであります。
 その一は、地下鉄サリン事件についてであります。
 東京地検におきましては、地下鉄サリン事件に関し、本年五月十七日以降、殺人及び殺人未遂の被疑事実で麻原彰晃こと松本智津夫ほか三十三名の送致を受けました。同事件につきましては、その全容の解明に向けて現在なお捜査中でありますが、これまでの捜査の結果、松本智津夫ら多数の者は、共謀の上、山梨県西八代郡上九一色村所在の才ウム真理教施設内にサリン製造設備を設け、原材料等を購入して、同施設内においてサリンを生成していたものであり、地下鉄サリン事件は、こうして生成されたサリンを、松本智津夫の指示を受けた者が地下鉄内で発散させて敢行したものであることが判明いたしました。そこで、東京地検におきましては、六月六日、地下鉄サリン事件の謀議及び実行行為に関与した松本智津夫ら七名については殺人罪及び同未遂罪で、また、地下鉄サリン事件の謀議及び実行行為への直接の関与は認められないものの不特定多数の者の殺害を目的としたサリン生成等に関与していた九名については殺人予備罪で、それぞれ東京地方裁判所に公判請求いたしました。
 殺人罪及び同未遂罪の公訴事実の要旨は、麻原彰晃こと松本智津夫ら七名は、ほか多数の者と共謀の上、いずれも東京都内の営団地下鉄霞ケ関駅に停車する同地下鉄の電車内にサリンを発散させて不特定多数の乗客等を殺害しようと企て、上九一色村の教団施設内においてサリンを生成した上、本年三月二十日午前八時ころ、東京都内を走行中の営団地下鉄日比谷線、千代田線及び丸ノ内線の電車内計五カ所において、床に置いたサリン在中のナイロン・ポリエチレン袋を先端をとがらせた傘で突き刺し、サリンを漏出気化させて電車内等に発散させ、各電車内またはその停車駅構内等において、多数の乗客、営団地下鉄職員らをしてサリンガスを吸引させるなどし、よって、十一名をサリン中毒により死亡させて殺害するとともに、千百六十八名に対してサリン中毒症の傷害を負わせたが、殺害の目的を遂げなかったというものであります。
 殺人予備罪の公訴事実の要旨は、森脇佳子ら二名は、麻原彰晃こと松本智津夫らと共謀の上、サリンを生成し、これを発散させて不特定多数の者を殺害する目的で、平成五年十二月下旬ころから同六年二月中旬ごろまでの間、上九一色村の教団施設において、五塩化燐、弗化ナトリウム、イソプロビルアルコール等を用いて、サリン約二十キログラムを生成し、また、渡部和実ら七名は、麻原彰晃こと松本智津夫らと共謀の上、同じ目的で、同五年十一月ころから同六年十二月下旬ころまでの間、同教団施設等において、サリン生成化学プラントを設計・完成させ、サリン生成原料を同プラントに投入して作動させてサリンの生成を企て、それぞれ殺人の予備をしたというものであります。
 なお、地下鉄サリン事件に関しましては、なお相当数の被疑者を勾留して捜査中であり、近日中にさらに処分がなされる予定であると承知しております。
 その二は、逮捕監禁事件等についてであります。
 主な事件の公訴事実の要旨は、上九一色村の教団施設等において、教団を脱退して自宅に帰ることを希望した女性信者に対して、頭部等を多数回殴打するなどの暴行を加えた上、麻酔剤等の薬物を注射して意識障害状態に陥らせるなどして、同教団施設及び付近に設置されたコンテナ内に監禁したというもの、山梨県内の駐車場において、女性信者に対し、背部及び両足を抱きかかえるなどして自動車内に押し込んだ上、上九一色村の教団施設に監禁したというもの、東京都内の路上において、教団信者の長女に対し、背後から羽交い締めにするなどして自動車内に引きずり込んで逮捕した上、同女を上九一色村の教団施設等に監禁したというものなどであります。
 その三は、営利略取等事件についてであります。
 主な事件の公訴事実の要旨は、教団信者の実父から多額の全員を提供させたり、同人の預金等を不法に領得するため、同人を略取してその行動を制約しようと考え、宮崎県内において、就寝中の同人に対し、薬物を用いて半昏睡状態に陥れた上、自動車内に押し込み、上九一色村の教団施設に連れ込んで略取したというものなどであります。
 そのほかに公判請求した事件としては、車両に隠匿していた小銃部品を他の車両に積みかえてさらに隠匿する目的で、東京都内の建物内駐車場にみだりに立ち入ったという建造物侵入事件、教団が被害者であるように装う目的で、松本智津夫が代表者である東京都内の会社店舗内に、点火した火炎瓶を投てきして発火炎上させたという火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反事件、いわゆる公証役場事務長逮捕監禁事件の犯人を石川県内のホテル客室及び貸し別荘等に宿泊させてかくまい、あるいは、その間、婦人用かつら等を供与して変装させ、さらに同人の顔面に整形手術を施してその容貌を変えるなどしたという犯人蔵匿・隠避事件、上九一色村の教団施設等で発生した監禁事件等の犯人に同施設内の秘密地下室を隠匿場所として使用させるなどしたという犯人蔵匿事件、教団顧問弁護士が、東京都内において、記者会見を行い、山梨県内の会社社長が上九一色村の教団施設にサリン等の毒ガスを噴霧していたとして、同人を殺人未遂罪で告訴した告訴状写しを配布した上、同人経営の会社から継続的に毒ガスが噴霧されていることが確認されているなどと発言し、公然、内容虚偽の事実を摘示したという名誉毀損事件などがあります。
 以上が、主な事件の具体的な捜査処理状況であります。
 警視庁を初めとする警察当局においては、オウム真理教にかかわると思われる各般の事件について、捜査を進めているものと承知しておりますので、各地の関係検察庁におきましては、今後とも相当数の事件を受理し、捜査処理を行うことになるものと思われます。検察当局としては、事案の全容を解明し、法と証拠に基づき厳正な処分を行うため、引き続き、万全の態勢で捜査処理を行っていくものと承知しております。
 以上が、地下鉄サリン事件等オウム真理教関係事件の検察庁における捜査処理に関する報告でございます。
#6
○金子委員長 以上で報告は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#7
○金子委員長 この際、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所石垣民事局長、高橋刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#9
○金子委員長 それでは、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中島洋次郎君。
#10
○中島(洋)委員 中島でございます。オウム真理教の関連について順次御質問をさせていただきたいと思います。
 やはり起訴というのは、司法手続上の大きな節目を迎えたと言えると思います。これまでは疑いがあるとして警察、捜査当局に調べられていたわけでありますが、これを検察庁が十分有罪にたえられる確証がありということで起訴に踏み切ったということでありますので、これは大きな前進といいますか、節目を迎えたと思うわけでございます。
 また、国民の関心も大変高いのですが、これまで国民がマスコミ等を通して得ている情報というのは、やはり警察の非公式情報が多かった。私は、こうした節目節目をとらえて公式の情報というのを国民にきちんと知らしめていただく必要があるのではないかと思っております。
 そこで、まず第一に、これは聞くまでもないかもしれませんが、起訴、公判を請求するという以上、法務、検察の側には十分有罪を立証し得る証拠また供述が得られているということであると思いますが、その辺の有罪を得られるという確証の自信のほどをまずお聞きしておきたいと思います。
 というのも、伝えられているところでは、麻原教祖自身も黙秘をしておる、また製造グルーブの最高責任者と言われる幹部も殺されているという状況の中で、検察が国民世論を意識する余り、公判請求をちょっと急いたのではないかという心配をする声も国民の中にはあるように聞いております。そこら辺の確証のほどをお聞かせ願いたいと思います。
#11
○則定政府委員 検察といたしましては、従来から、有罪の判決が得られる高度の蓋然性があるというものにつきまして正式に公判請求をしておるわけでございます。
 本件オウム関連事件、特に地下鉄サリン事件というものは、極めて重大事件であるということで強い関心を引いておるわけでございますけれども、検察処理といたしましては、従来の一般的な検察処理方針に基づきまして、つまり高度の有罪判決の得られる蓋然性があるという確信のもとに今回起訴に踏み切ったものと考えておるわけでございまして、各被疑者の取り調べに対する対応ぶりというものがいろいろ取りざたされておりますけれども、総合的に関係証拠を的確に判断して、今申しました方針のもとで公判請求したと承知しております。
#12
○中島(洋)委員 国民は、今回のこれだけの大事件、どのような罪で、そしてどのように罰せられるか、大変に大きな関心があると思います。今回、七人が殺人または殺人未遂、殺人というのは極刑を含む罪名でありますので、そういった今回の公判請求の罪名も大きな意味を持つかと思います。
 今回の起訴、捜査はまだ続いているということでありますが、今後、殺人、殺人未遂に加えてほかの罪名が問われていく可能性があるのかどうかにつきましても、ちょっと見通し等をお聞かせ願えればと思います。
#13
○則定政府委員 オウム関連事件の捜査、昨日の地下鉄サリン事件の起訴というのが一つの大きなステップではございますけれども、オウム関連の事件として考えられるものはまだ幾つかあるわけでございます。
 したがいまして、捜査当局におきましては、それらの事案について今後鋭意捜査を続行するわけでございますので、どういう罪名の適用になるか、それぞれの事案に即した罰条が適用されるということで、なお新しい罪名ということもございましょうし、それから現に殺人、殺人未遂等でなお勾留、取り調べ中という者もおるわけでございますので、各種の罰則がそれぞれの事案に対応して適用されるというふうに理解しております。
#14
○中島(洋)委員 さらなる追及、また罪の追及が行われるということで理解しました。
 次に、宗教法人法の関連でちょっと質問しておきたいのですが、宗教法人法の関連の解散というのが政府の中でも議論されているというふうに聞いております。この際、他の省庁においてはこれを請求する証拠を用意するだけの能力に欠ける点があるのではないかというふうに言われております。こうした際におきまして、検察が主体となってこの法律による解散請求をすべきではないかと思いますが、その点、所見をお聞かせ願いたいと思います。
#15
○前田国務大臣 宗教法人の解散請求でございますが、検察当局は昨日、オウム真理教代表の麻原彰晃こと松本智津夫らを殺人罪、同未遂罪で公判請求したところでございますが、この起訴を踏まえまして、検察官におきましても、宗教法人法第八十一条一項に基づきまして宗教法人の解散命令請求を行うことといたしました。
 なお、そのための必要な事柄について検討を開始したところでございます。
#16
○中島(洋)委員 それでは、以前、文部大臣は起訴時点での申請ということを発言されたことがあります。それがさまざまな証拠書類等の関係でなかなかその時期がわからなくなっている。
 そこで、法務大臣にその請求のめどというのをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#17
○前田国務大臣 この解散請求につきまして、文部大臣とも緊密な連携をとっておるところでもございますが、所管庁である東京都知事におかれましても解散命令請求を行う意向であると伺っております。
 検察当局におきましては、所管官庁等々の関係機関と協力して、できるだけ早期に解散命令請求を行うべく鋭意努力をしてまいるところでございますが、いずれにいたしましても、司法、裁判所の判断を待つわけでございまして、今後オウム真理教側の裁判戦術等々ございまして、起訴をもって即刻というような報道も一部ございましたが、ある一定の必要な時間はちょうだいをしなければならない、かように考えておるところでございます。
#18
○中島(洋)委員 よくわかるのでありますが、これはなるべく早く、早急な対応が国民の間から求められている問題であると思います。
 もう一点、宗教法人法の関連で、これは宗教法人法では、解散をさせた場合でも任意団体としては残るというふうに理解しておりますが、それでよろしいのでしょうか。
#19
○則定政府委員 お尋ねのとおりでございまして、宗教法人の解散命令が確定いたしますと、宗教法人としての法人格はもちろん否定されるわけでございまして、裁判所から選任されました清算人より清算手続が開始されまして、残余財産の処分が行われます、ただ、信者による宗教活動そのものが禁止されるわけではございませんので、いわゆる任意団体としての活動をすることは可能であると考えられております。
#20
○中島(洋)委員 わかりました。宗教法人法の解散請求もこれは急がれると思いますが、その宗教法人法だけではこの団体の活動規制が十分できないという面もこれはあるのであるということを確認しておきたいと思います。
 先ほど刑事局長、これからこの七人以外にもさまざまな捜査をしていくし、この七人についても新たな罪が出てくる可能性があるというふうにおっしゃいました。私もその捜査は見守っていきたいと思いますし、そういった個別の事件の追及ということ、これは大変大事であります。ただ、その一方で、個別の事件だけではなく全体像というものをはっきりさせて、その全体の犯罪組織に網をかけていくということもこれは求められている、必要であると思うわけでございます。
 今回、犯罪の意図はまだはっきりとしていないようでありますが、みずから予言を実現するため等の理由で最終戦争をしかけて、日本の領土内でオウム国家といったものをつくり上げようという意図があったとするならば、これは明らかに一般の殺人事件等とは異なると思うわけでございます。
 言われているような破防法等の適用は、これは刑事局長も前からおっしゃっているとおり、証拠に基づいて慎重に判断することは当然であると思います。ただ、その一方で、現在ある法律の中におきましては、反社会的な行為を繰り返す団体の活動を規制するのに有効な法令というのはこの破防法ぐらいしかないというのも、これは現実であると思うのですが、それについての御所見を伺いたいと思います。
#21
○緒方政府委員 オウム真理教をめぐります一連の事件は、いろいろな形で行われているところでございます。これについては、やはり各種の法令を多角的に適用しまして、あらゆる観点から規制していくという対応が必要ではなかろうか、かように考えております。しかし、その中にありまして、破防法による団体規制もその一環として有効な手段であるというふうに考えている次第でございます。
#22
○中島(洋)委員 この破防法と宗教法人法との関連で一点だけ確認しておきたいのですが、仮に宗教法人法による解散請求というものと破防法による解散請求というもの、これが両方とも行われるということが法律的に問題があるのではないかという声が一部にあるというふうに聞いていますが、私は、これは全く別の法律で、もし仮に両方が行われたとしても、何ら法律上問題はないというふうに理解しておりますが、それについてお聞かせ願いたいと思います。
#23
○則定政府委員 宗教法人法による解散命令請求と破防法による解散指定との関係でございますけれども、前者の宗教法人法による解散命令請求は、宗教法人という制度が乱用されて宗教法人の活動あるいは行為が公益を害し、法人格を認める実質的意義を有しない場合等に法人格を剥奪することを目的としておるわけでございますが、これに対しまして、破防法による解散の指定は、団体の活動として暴力主義的破壊活動を行った団体が継続または反復して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行うおそれがあると認めるに足りる十分な理由があります場合などに、当該団体の役職員、構成員であった者に対し、団体のためにする行為を禁止することを主たる目的としているわけでございます。
 したがいまして、その要件、効果が今申しましたように異なるわけでございますので、宗教法人法による解散命令請求と破防法による解散指定請求が併存いたしましても、法律上問題はないものと考えております。
#24
○中島(洋)委員 この二法、全く性質も違う。たとえ解散請求、両方が行われても何ら問題ないということを確認いたしました。
 そこで、ちょっと破防法の方についてさらに関連して質問をさせていただきたいと思います。
 これまで刑事局長及び公安調査庁長官の答弁の中では、この破防法の適用というのは、検察、警察の捜査を待って適用の可否を判断するということを答弁されておりますが、そもそもこの破防法というのは捜査の過程においては適用できないような仕組みになっておるのかどうか、その点をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#25
○緒方政府委員 委員御承知のとおり、警察、検察の捜査は、犯罪を行った個人の責任を追及するものでございます。一方、公安調査庁の調査は、こういった犯罪を行った個人が所属する団体の団体責任を追及するために機能しているものでございます。この両者の関係というのは、いわば表裏一体の関係にあるというふうに受けとめておりますので、同じような結論で処理することが具体的には望ましい、かように考えでございます。
 しかし、委員が御質問のように、捜査の過程では破防法の適用はできないのか、そういう仕組みになっているのかという御質問でございますと、必ずしも公安調査庁が捜査の過程において破防法を適用してはならないという法律上の制約はございません。
#26
○中島(洋)委員 こうした団体規制において有効な法律が、現在においては破防法くらいしかない、さらに、捜査の過程において適用できないというものでもないというお答えと理解しました。
 もう一点お聞かせ願いたいのですが、先ほど宗教法人法について法務大臣は、多少時間が欲しいということをおっしゃいました。今度は破防法について、ちょっと長官にもできればお聞かせ願いたいのですが、今おっしゃったように、捜査と関連はあるのだけれども直接結びつくものでもないということであるとするならば、一部に言われているような、適用の可否の判断をするという時期は、必ずしも初公判あるいは公判ですべての証拠が出そろった後というような時期を待つ必要もないのではないかと判断する場合に、個人の罪名を問う証拠と団体の解散のための証拠というのは、またある程度違うのではないかというふうにも思うのですが、初公判等を待たないと判断できないのか、その辺の時期について、もしお聞かせ願えればお答えを願いたいと思います。
#27
○緒方政府委員 時期についてお尋ねでございますが、明確な時期については現時点では答弁を差し控えさせていただきたい、かように思っております。と申しますのは、現在一連の事件につきまして警察、検察においてなお捜査を進めているところでございます。六月六日の起訴をもって全部が終わったというわけではございませんで、まだこれからいろいろな点について捜査を進めていくという段階にある、かように理解しておるところでございます。また、公安調査庁といたしましても独自に調査を現在進めているところでございます。
 かような次第でございまして、まことに申しわけなく思いますが、まだ捜査過程、調査過程でありますので、時期についていつかということ、いつ結論を出すのかということについてはお答えしにくいことを御理解いただきたい、かように思っている次第でございます。
#28
○中島(洋)委員 ただ、これも先ほどの宗教法人法のときにも申し上げましたが、余り時期を置くと法律の機能の有効性というのが損なわれるということがあると思いますので、適用するかしないか、その判断というのはなるべく早く行っていただくことが求められていると思います。
 破防法の関連でもう一点だけ。これは適用要件の中で一つ確認しておきたいのですが、適用要件、四つほどあるというふうに言われております。その中で、将来も、今後も破壊活動を繰り返すのではないかということが適用要件の中にあるというふうに理解しておりますが、今回の場合、これだけ教祖初め幹部が逮捕されている現状では、将来の活動ということについては要件として当てはめにくいのではないかという意見も一部にあるようですが、それについての御所見を伺いたいと思います。
#29
○緒方政府委員 団体規制につきましては、将来、反復、継続して暴力主義的破壊活動が行われるおそれがあるということが必要であるという点につきましては、委員御指摘のとおりでございます。
 しかし、このオウム真理教自体について、幹部が逮捕されているから将来そういった危険はあるのかないのか、その点とう考えるかということの御質問でございますが、これについては、まことに申しわけなく存じますけれども、具体的な調査内容に直接触れる部分でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、一般論で申し上げますと、幹部が逮捕されたからといって、そのことの一事をもって直ちに必ずしも将来破壊活動を繰り返す危険性がないということは言えない、かように思っている次第でございます。
#30
○中島(洋)委員 おっしゃるとおりであると思います。この幹部も、釈放される人もあるでしょうし、獄中から指示を出すこともできるでしょうし、幹部が逮捕されて身柄を拘束されているということをもって将来の活動ができないということではないと言えると思います。
 そこで、今宗教法人法や破防法の関連を質問してきたわけでございますが、さまざまな適用要件で大変高いハードルもあるし、捜査の進展を待つ中で、国民の要求にこたえて早急に有効に機能させる法律がなかなか現時点ではないのかなという印象も実は持つわけでございます。そこで、今回のようなこれまで想定し得なかったような組織犯罪に対しまして、今の法律で十分対応できるのかということを一つ疑問に思うわけでございます。
 そこで大臣、局長でも結構でございますが、現在の法律で十分対応し得るのだと考えていらっしゃるのか、まずその点をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#31
○前田国務大臣 現在の法律で、組織的な不正違法行為の処罰につきましては現行法制によって対応することはさしたる支障はないと考えております。
 なお、新たな立法が必要か否かにつきましては、このような不正違法行為の実態を今後見守りつつ、外国の関係法令等についても調査研究して慎重に検討していく必要があろうと考えております。
#32
○中島(洋)委員 大臣のおっしゃることはわかりますが、国民はさらなる捜査機能の充実ということも期待しておると思います。
 そこで、以前にも答弁の中で出たと思いますが、おとり捜査あるいは盗聴といった新たな捜査手法、こういったことについても、検討ということでいえば直ちにこれは検討に入るべきではないかと思いますが、その点。またもう一点、現在の検事さんの人数でこれが本当に足りているのか、検事の増員も考えるべきではないか。その二点についてお聞かせ願いたいと思います。
#33
○前田国務大臣 新しい捜査手法の導入についてという御質問でございますが、一般論としてまず申し上げますと、最近の犯罪は、御承知のとおり極めて高度化され、また中には非常に国際的なものもございます。こうした特徴は、密行性、組織性が強い犯罪が現実においては多いわけでございまして、現行の捜査方法では真相の解明が困難な事案が多いことも事実でございます。
 こうした観点から、先生おっしゃいましたとおり、いわゆる通信傍受でございますとか刑事免責などの捜査手法が真相解明に有効であるという観点は、外国の事例などを見ましても理解できるところでございます。しかし、こうした捜査手法の導入につきましては、適正手続の保障の観点、すなわち憲法上の制約、また国民の司法に対する信頼の確保の観点からも慎重に検討すべき問題も多々あると承知をいたしております。
 また、こうした捜査手法の導入につきましては、いろいろこうした問題点や我が国の法制度全体の整合性、及ぼす影響なども踏まえながら、特定の事件に限らず犯罪捜査全般の変化の要素、捜査困難化の実情等を冷静にまた総合的に分析し、またいかに的確に対処するかという観点から、捜査手続全体との関連の中で検討すべきものと考えておるところでございます。刑事訴訟手続法の中でも、例えばあわせて弁護権の拡大その他等々、全体を踏まえながら、今後これらの措置について十分に検討してまいりたいということであると思っております。
#34
○中島(洋)委員 検事の増員の件も……。
#35
○則定政府委員 最近、全国の検察庁、特に中でも東京地方検察庁におきましては、今回の一連のオウム関連事件の捜査、これに検事だけで約六十名を投入して捜査に当たっているわけでございます。またあわせて、本年に入りまして、公正取引委員会の告発事件、あるいは、いわゆる二億組に絡みます告発事件等を受理して、これにまた相当の要員を投入しておるわけでございます。現在、オウム関連事件につきましては、東京以外におきましても相当数の事件が先ほど御報告いたしましたように係属しているわけでございまして、これらの事件の捜査、処理を適正に行いますために、相当多数の検事が毎日夜遅く、かつまた、土日を返上して執務を行っているのが現状でございます。
 先ほど大臣の答弁にもございましたように、一般的に捜査の困難化ということが年々その程度を高めているということもございまして、私ども検察を所管するものといたしましては、極力財政当局の御理解も得ながら、何とか事務負担量に見合う増員の問題というものを真剣に考えていかなければならないであろうというふうに考えておるのが現状でございます。
#36
○中島(洋)委員 この場をおかりして、人員また装備、施設等の充実をぜひともお願いしておきたいと思います。
 最後に一点、最近の新聞報道においてちょっと気になる記事がありましたので、事実関係の確認だけさせていただきたいと思います。
 これは、麻原教祖の出入国に対して法務大臣が特別の便宜を図ったという趣旨でありますが、五月十一日付の東京スポーツ新聞紙でありますが、オウム真理教教祖麻原彰晃の出入国に関しまして、これはいつの法務大臣とは言っていないのですが、法務大臣の特別命令によってロシアヘの出国がノーチェックとなる特別ビザを発するなどの便宜が図られたとか、麻原が特別パスポートなるものを持っているといった事実があるかのような報道がされております。
 私は、特別ビザとか特別パスポートというのは聞いたことがないのですが、本当にそのようなものが実在するのか、また、法務大臣の特別命令によってこのような便宜が図られたという事実があるのか、お聞かせ願いたいと思います。
#37
○塚田政府委員 そもそも、出入国管理及び難民認定法上、日本人が我が国から出入国を行うにつきましては、有効な旅券、すなわちパスポートを持っている限りは制約を受けないこととなっておりまして、日本人の我が国からの出入国に関し法務省がビザを発するということ自体、手続上あり得ないところでございます。
 そういうわけで、ロシアヘの出国がノーチェックとなる特別ビザなどというもの自体がおよそ存在しないものでございまして、また、パスポートの発給の方は法務省の所管ではございませんけれども、特別パスポートなるものもそもそも制度上存在しないものでございます。
 したがいまして、東京スポーツ紙に書かれているような便宜が図られだというのは全く事実に反するものでございまして、法務大臣が麻原に特別ビザを発給させるための特別命令を出したという事実もなければ、麻原に特別ビザや特別パスポートが発給されたという事実もございません。
#38
○中島(洋)委員 これは、何か抗議の意思表明とかはされたのですか。
#39
○塚田政府委員 ただいま申し上げましたとおり、全く事実に反する報道であることは御理解いただけたと存じますが、余りにも荒唐無稽な報道でございますので、あえて抗議などはいたしておりません。
#40
○中島(洋)委員 わかりました。余りこうしたものに一々反論をしてもあれかもしれませんが、確かにこれは一般常識のある人が見れば、ビザというのは相手国が発行するものでありますし、大体ここに書いてあることはかなり間違いであるということはわかりますが、本当にそういった知識のない方が見た場合、こういったことをもし信じた場合、日本の法秩序また治安維持を担当する最高責任者の法務大臣が国民から不信の念を持って見られるということになれば、これは大変なことでありますので、今回あえて抗議はしていないそうでありますが、機会をとらえてこうしたものには反論をしておくことも必要であるのではないかということを御指摘しておきたいと思います。
 また、今後の捜査また立件に、法務、検察の特段の御尽力を心から期待をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
#41
○金子委員長 横内正明君。
#42
○横内委員 自由民主党の横内正明であります。
 オウム真理教事件につきまして、昨日、同教団代表の麻原彰晃容疑者を初め幹部の起訴が行われました。今日に至るまでの警察、検察の捜査当局の御努力に心から敬意を表したいと思います。同時に、今後の事件の全容解明に一層の努力を期待をさせていただきます。
 私は山梨県の選出でございますが、山梨にはオウム真理教関係の施設が多数所在をするわけでございます。まず、西八代郡上九一色村にはサティアンと言われる施設を初めといたしまして三十四棟の建物が所在をいたします。また、南巨摩郡富沢町には清流精舎という大きな施設がございまして、これは清流精舎という大変風流な名前でございますが、中では武器を製造していたというとんでもない施設でございます。
 これらの施設は、今から四、五年前に設置が始まりまして、信者が入居をしてまいりました。信者が入居してくるにつれまして、地元住民との間にさまざまなトラブルが発生をしたわけでございます。オウム真理教という教団は、地域社会との融和ということを全く考えない、とんでもない傍若無人な集団であることが徐々に明らかになったわけでございます。
 例えば、廃棄物を所構わず捨てるだとか、あるいは夜間に非常に大きな騒音を発する、あるいは異臭を発生させる、交通事故が頻発をする、あるいは公道にたむろをいたしまして一般の住民を威嚇する、そういうふうなトラブルが多数発生をしたわけでございます。
 このままではオウム真理教に地域が破壊をされるということで、上九一色村、富沢町の住民の皆様は村、町を挙げましてそれぞれ対策協議会をつくり、オウムに対する常時監視をする、同時に問題が発生する都度抗議行動をとる、さらには国、県に対しまして善処方の申し入れをするといった活動を粘り強く進めてきたわけでございます。
 そして今回、捜査当局の強制捜査が入りまして事件が解明の方向に向かっているということで、住民の皆さんはその点は非常に喜んでいるわけでございますが、喜ぶと同時に、自分たちの居住地の近くでサリンとか銃器類といった危険なものが製造されているという事実を改めて知りまして、不安も高まっているわけでございまして、現在、住民を挙げてこのオウム関係施設の完全撤去と信者の完全撤退を強く要望しているわけでございます。これは山梨県の町村だけではなくて、オウム関連施設が所在する全国の市町村住民の一致した願いではないかというふうに思うわけでございます。
 そこで、私は、オウム真理教関連施設所在地の住民の立場に立ちまして、当局に幾つか御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 第一の質問でございますが、宗教法人オウム真理教の解散の問題、これにつきましては既にさまざまの議論がなされております。オウム真理教の犯罪行為が解明されつつあるわけでございますが、宗教法人法八十一条の解散事由に該当することは明らかでありまして、裁判所に解散命令を請求するというのは当然でございます。文部大臣、法務大臣からかなり前向きな答弁が従来ございました。
 例えば平成七年五月十七日、これは麻原容疑者が逮捕された翌日でございますが、その日の衆議院予算委員会におきまして文部大臣が答弁をしております。一体いつ解散請求を行うかということでございますけれども、これは「殺人罪に関しまして起訴が行われた時点が私は解散請求をすべき時期だろうと思っております。ただ、裁判所に御判断を仰ぐわけですから、いろいろな書面、証拠等が必要でございますので、刑事事件の問題よりも若干ずれるというふうには考えておりますけれども、大幅にずれるべきではない、そのように考えております。」ということでございまして、解散請求の時期は、起訴よりも若干ずれるが大幅にずれるべきではないという言い方でございます。もっとも、文部大臣も最近の記者会見ではやや慎重になられまして、トーンダウンしている面もございますが、この予算委員会の答弁というものは消えるわけではないわけでございます。
 そこで、まず文部省に伺いたいのですが、この答弁を踏まえまして、解散請求をいつ行われるのか、今後の方針につきましてできるだけ具体的に御答弁をいただきたいと思います。
#43
○中根説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、文部大臣がこれまで解散請求につきましていろいろと発言させていただいてきておるところでございます。これまで文部大臣の方としては、解散請求に当たりましては、枢要な幹部等の起訴あるいは起訴直後にできるだけ速やかにお願いしたいということで、考え方として述べてきたわけでございますが、それを行うには裁判制度に乗っかっていく必要がございますので、所定の解散請求を行うための資料を整理した上で臨まなければならない、これまた裁判制度を利用する上でやむを得ないことであるわけでございます。
 これまで私どもの文部大臣が述べてきたことは、そういった一般的な考え方を述べ、なおかつ、できるだけ速やかに請求するという姿勢をこれまで言明してきた、こういうふうに私ども理解しております。事務局におきましても、現在そういった方向でできる限り関係機関と協議を重ねてまいってきておるところでございます。
 今後どういった段階でということでございますけれども、今申し上げましたように、所轄庁は東京都でございますので、東京都におきましても、基本的に解散命令に値する事実が十分確保できればその段階で解散命令を行っていただける、かように信じておりますし、そういった方向で協議も進め、関係者の間では一応の合意を見ておるところでございます。今後、解散命令に必要な要件を、立証するに足りる証拠が整い次第解散命令の請求を行うべきものと考えておりますし、そういった方向で私ども東京都を指導してまいりたい、かように考えているところでございます。
#44
○横内委員 二週間後とか一カ月後とか、そういう具体的な、どのくらいのタイミングで行われるか、できればその辺を明らかにしていただきたいと思ったのですが、なかなかそういうところは、そこまでは難しいかというふうにも思うわけでございます。
 いずれにしても、地域の住民は解散請求を一日も早くという強い要請を持っているわけでございます。証拠書類の整理その他の必要性、そのために一定の時間を要するということは確かにわかるわけでございますが、これが三カ月とか半年とか、そういうふうな先に延びるということになりますと、どういうふうに抗弁をしても、文部大臣が予算委員会で答弁したその答弁の内容が食言であったというか、そういうことになるわけでございますので、そうならないように速やかな解散請求を、文部当局に努力をお願いしたいと思います。
 それから、文部大臣が最近多少慎重な姿勢になっているということの背景には、やはり裁判との関連があるだろうというふうに思います。五月三十一日の朝日新聞に、その辺のことがやや詳しく書いてあるわけでございます。特に法務省の御心配もわかるわけでございます。具体的には、解散請求をすると、それには当然理由書をつける必要がある。そこで、余り最初から証拠を具体的にたくさん出してしまうと、相手方に手のうちを明らかにして刑事事件の裁判の進行上マイナスになる、こういう心配がおありになっているのだろうというふうに思うわけでございます。先ほど法務大臣の御答弁でも、裁判戦術という関係もあるので一定の時間が必要だということをおっしゃっておりました。
 その点は大変よくわかるわけでございますけれども、しかしながら一方で、地域住民、国民は早期な解散請求を強く望んでいるわけでございまして、法務省にも恐らくオウム施設所在市町村から続々と、早期に解散請求を出してくれ、そういう要望が寄せられているはずでございます。法務省というのは法秩序の維持を任務とする役所でございますから、法務省として、こういった法秩序破壊者に対しては国民の声を踏まえて断固たる姿勢を早く示す、そして国民に安心感を与える、それが法務省の任務であろうかというふうに思うわけでございます。そういった住民の強い要望を踏まえて、法務省としてもぜひ早期な対応をお願いしたい。
 非訟事件手続法に基づく非訟事件でございますので、聞くところによりますと、ある程度弾力的な裁判運営が可能ではないかというようなことも言われております。最初の段階で出さなくても、刑事事件の方の進捗に見合って証拠を出していくということも当然可能だと思いますし、ぜひ早期な対応を法務省当局にもお願いしたいと思いますので、御答弁をいただきたいと思います。
#45
○則定政府委員 所管庁によります解散請求問題、それからあわせて検察官による解散請求問題、これは両面同時にできるわけでございます。
 この問題につきまして、私、刑事局長といたしまして、その所管庁あるいは文部省との折衝、調整、それから検察との関係での調整、これを行ってまいりました。その立場上、御説明させていただきたいと思います。また、お見受けいたしますと、地元上九一色村の関係者も傍聴されているようでございますので、できるだけ御理解いただけるようにお答えしたいと思います。
 まず申し上げたいことは、先ほど法務大臣から御説明がありましたように、昨日の時点におきまして、検察といたしましても、検察官の権限と責任において、所管庁の行為とは別に、あるいは同時に、宗教法人オウム真理教に対する解散請求の申し立てを行うという腹を決めたということでございます。これは新たな決断ということでございまして、その意味におきまして一つの前進があるということを御理解いただきたいと思います。
 所轄庁の東京都が、その責任と判断において文部大臣の指導を受けながら決断される。これは、やがて今月九日に関係閣僚会議で関係各省の意思統一が図られた上で正式に表明される意向であるというふうにお聞きしておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、所管庁及び検察官が、宗教法人法八十一条一項に基づきますオウム真理教に対する解散命令請求を行う、この方針は昨日の時点において明確になったと御理解いただきたいと思います。
 その上で、ではいつ現実の手続を開始するのかということでございますが、既にいわゆる申立書という書面及びそれに添付する必要な書類の収集に向けて、関係各省の協議が行われておるわけでございます。一方、検察といたしましては、昨日、いわゆる地下鉄サリン事件の公判請求を受けまして、できるだけ速やかに検察官の名において解散請求をできるよう最大限の努力をするということでございます。
 今委員御指摘のとおり、三カ月も六カ月も後というふうなことでは、やはり国民が早期に解散請求を求めている現状に照らしまして、検察官あるいは所管庁としてその要望に合っていないという御批判を受けることも私どもよく理解しておるわけでございまして、できるだけ合理的に、早期に、こういう前提で準備を進めるという考えていることを御理解いただきたいと思います。
#46
○前田国務大臣 ただいま刑事局長からもお答え申し上げましたが、特にこの重大、悪質な犯罪の被害者も多数いらっしゃるわけでございますが、それと同時に、オウム真理教の周辺住民の皆さんの大変な不安、不利益、こうしたことを私どもも憂慮し、その対策を内閣としても考えていく立場にあると十分理解をしておるところでございますし、ただいま御質問の解散請求につきましては、できるだけ速やかに準備を今いたしておるところでございます。
 いつということはちょっとまだ申し上げられる段階にございませんが、先生がおっしゃったような単位ではない、期間ではないということを御理解いただければと思います。
#47
○横内委員 ただいま局長と大臣から相当前向きな御答弁をいただきまして、了解をいたしました。
 なお、局長から上九一色村というお話がありましたが、きょうおいでの皆さんは、富沢町という、清流精舎という施設のある方の町会議員の皆さんでございます。
 次に、第二の御質問でございますが、破壊活動防止法の適用について、先ほど中島委員からも御質問がありましたけれども、お伺いをしたいと思います。
 お話しのように、宗教法人法による解散というのは、実は法人格が失われるだけということでありまして、法人でない宗教団体としてのオウム真理教というのは生き残るわけでございます。いわゆる権利能力なき社団として生き残り、何ら支障がなく活動できるということになろうかというふうに思います。
 財産も、宗教法人名義は処分をしなければならないわけですが、宗教法人名義以外の財産は残るわけでございまして、例えば上九一色村の施設、ここには十筆の土地、三十四棟の建物がオウム関係施設としてあるわけでございますが、その大部分は宗教法人名義でありますけれども、中には、株式会社マハーポーシャ、有限会社ぶれーめんといったオウム関連企業名義の土地、建物もあるわけでございまして、こういったものは当然、宗教法人法に基づく解散に伴う財産整理の対象にはならないわけでございます。したがって、この宗教法人法の解散という手続では、地元の要請である完全に撤去してもらいたい、そういう要望は達成されないということになるわけでございます。
 一方、オウム真理教、その犯罪事実が明らかになるにつれまして、宗教団体の衣をかぶったテロ集団であるということが明らかになってきつつあると思います。これは、破防法の対象の問題だというふうに思うわけでございます。破防法は、内乱、外患誘致を行う団体とか、あるいは政治上の主義主張を達成する目的で殺人等の犯罪を行った団体を暴力主義的破壊活動団体というふうに定義をいたしまして、こうした団体が将来さらに継続、反復して犯罪を犯す危険性があるときに、こうした団体を規制し、場合によっては解散をする手続を定めているわけでございます。
 具体的には、聞くところによりますと、公安調査庁の請求によって公安審査委員会が一定の審理の後に解散の指定をする、解散の指定が行われると、団体のためにする一切の行為、したがって集会とか出版を含めて団体の活動はすべてできなくなる、同時に財産の整理も行われるということでございます。
 オウム教というのは、一般人から見ればまことに荒唐無稽なものでございますけれども、彼らは本気で、政府を転覆して独自の法律を持った、太陽寂静国というのだそうですが、国家をつくろうとしている。そのために、今サリンを製造し、武器を所持しようとしているわけでございます。これは破防法の団体規制要件に当たる可能性が強いのではないかというふうに思うわけでございます。
 もし、今回の事件が刑事事件として終結した後も、少なくとも十八人の人を殺したオウム真理教という団体がこの日本に残存するということになりますと、外国の目から見ると、日本はテロ団体を容認する国家ではないかというふうに見られるのではないかというふうに思うわけでございます。そういう意味で、破防法の適用というものを前向きに検討すべきではないかと思うわけでございます。
 先ほど公安調査庁長官のお話ですと、破防法も有効な手段だ、調査をそのために進めている、しかし、具体的にいつやるかということについてまでは答弁を差し控えたいというような御趣旨でございました。さらに突っ込んで、現在の調査の状況、それから調査の上での問題点、ポイント、そんなところも含めて、今後の方針を御答弁いただきたいというふうに思います。
#48
○緒方政府委員 委員が最後に御質問をされた事項、つまり調査のポイント、調査がどこまで進んでいるかということでございますが、これにつきましては、紋切り型で申しわけなく思いますけれども、具体的な事実関係にわたりますので、調査に支障が生じますし、御答弁を差し控えたい、かように思っております。
 しかし、先ほど中島委員にも御答弁申し上げましたように、現在すべての事実関係が解明されているわけではございません。今委員が御指摘になったようないろいろなオウム真理教の反社会的な性格、これは徐々に解明されつつあるというのが現状でございますし、公安調査庁といたしましても、そのような観点を踏まえて、オウム真理教については調査対象団体として指定をいたしまして、調査官に全力を挙げて調査を進めるようにということで、目下鋭意調査を進めているところでございます。
 しかし、ではいつ検討するのかというお話でございますが、委員が御質問のように、刑事事件の判決が確定してからやるのかということの御質問であれば、そのような悠長な問題ではない。今委員が申されたように、現実に仮に破防法で団体規制をするのだという公安審査委員会の決定が出ますと、団体の行動としての行動は一切禁止されるということでございますので、確定判決が出てからそのような結論が出ても実効性は全くないものであろう、かように思っている次第でございます。
 したがいまして、公安調査庁といたしましては、警察、検察が現在鋭意進めている捜査、それに並行して調査も進めているということでございまして、これらの捜査、調査の進展状況を踏まえまして、破防法の適用についても検討を進める考えでございます。
#49
○横内委員 ありがとうございました。
 法務大臣に最後にもう一回総括的にお伺いをしたいと思いますけれども、地域住民の立場は、本当にこういう危険きわまりない犯罪団体、それと同時に、地域社会のルールを本当に無視して住民の迷惑を省みない、そういうアウトロー的な団体が自分らの近くに所在をしている、住んでいるということは生活の安全と平穏が維持できないんだ、したがってこれは完全に撤去をしてもらいたいということを切望しているわけでございまして、まことに無理からぬものがあるというふうに思います。
 きょうは、山梨県富沢町の町長さんと町議会議長初め町会議員の皆さんが、大臣あてに、地方自治法九十九条の町議会意見書を持ってまいっております。この意見書のポイントをちょっと読ませていただきますと、
 宗教法人オウム真理教教団については、サリン製造、拉致監禁、銃器製造、薬物使用など、宗教法人とは言いがたい逸脱した行為が、次々に解明されている。そのため住民の不安はもとより、町民生活にも支障が生じている状況であります。
 本町に所在する同教団の「富士清流精舎」は武器製造の疑いで五月八日警視庁の差し押さえとなっていますが、全町民は宗教法人オウム真理教の解散と施設の完全撤去を強く求めている。
 これらのことから同教団は宗教法人法第八十一条の規定に該当するものと考えられる。
 よって貴職におかれては関係機関と早急に協議し、宗教法人オウム真理教の解散及び施設撤去に向け積極的な取り組みをされるよう強く要請する。
というものでございます。
 こういった要望は他の市町村からも多く寄せられていると思いますけれども、こういった要望を踏まえまして、ぜひとも宗教法人法に基づく解散さらには破防法の適用につきまして、そしてそれによる完全撤去ということに向けて、大臣初め当局の一層の御努力をお願いしたいと思いますが、もう一回大臣の見解を承りたいと思います。
#50
○前田国務大臣 オウム真理教関連施設の周辺地域また地元の皆様方にとりましては、迷惑のみならず、極めて不安、かつまた、住民の安全性のみならず、薬品等に汚染されて、農作物に対する影響その他、数多くの不安材料、また御迷惑なことが重なっておるわけでございます。
 何よりもまず、この事犯の真相解明、全容解明の一日も急を要するところであると同時に、地元の、特に美しい町でもございますし、観光施設としてのイメージダウン等もあるわけでございまして、特別被害をこうむった自治体に対し、また、あるいは関係住民の皆さん方に対して、国としてはきめ細かい支援、配慮ということを考えていかなければならない。閣僚の一員として、閣議で特にこの点を申し上げ、実現に努力をしてまいりたい、かように思っております。
#51
○横内委員 ありがとうございました。
 次に、第三点目でございますが、信者の社会復帰対策についてでございます。
 幹部が多数逮捕された現在でも、オウム関係施設にはなお多数の信者が残存をしておりまして、従来と変わらない生活を送っているわけでございます。上九一色村の施設には、現在、概数約二百人の信者がなお所在をしているというふうに聞いております。こういった信者の社会復帰対策を進める。
 具体的に言いますと、家族のもとへ帰るように説得をする。そして、その帰還を支援をする。それから、マインドケアなどといいますが、マインドコントロールを解くための精神医学的なケアを進める。あるいは信者の子供の再教育の問題、場合によっては就職のあっせんといったこともあろうかもしれません。
 こういった社会復帰によって信者を施設から去らせていくということが、家族にとっても、地域住民にとっても大変切望していることであり、今後の重要な課題になってくるというふうに思うわけでございます。刑事捜査は進むわけですけれども、同時に、それのアフターケアの対策も進めていく必要があるというふうに思うわけでございます。
 この問題については、五月十七日の予算委員会におきまして、五十嵐官房長官も前向きに検討するというようなお話かありました。ただ、これは、厚生省、労働省、文部省、そういった各省庁がみんなまたがりまして、音頭をとるところがない。したがって、ほっておいてはなかなか進まないという、各省に多少当たってみましたけれども、そういう状況でございました。やはり相当閣僚が指導をして、この問題について全省庁的な検討をしていただく必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。
 そういう意味で、サリン問題等関係省庁連絡会議というような会議があるようでございますが、この連絡会議の議題として、こういった信者の社会復帰対策ということを取り上げていただいて、各省横断的に検討を進めていただきたい。法務省は、余り具体的に、所管の事項では、具体的な対策というようなことになりますとないかもしれませんが、人権擁護という観点も含めて、ぜひ法務大臣にイニシアチブをとっていただいて、こういった施策が進むように御尽力を賜りたいと思います。これについて、一言。
#52
○前田国務大臣 オウム真理教の信徒、善意の信徒の皆さんと申しましょうか、この犯罪にかかわっておらない、関係のない信徒の皆さん、またその子供たちが多数おるわけでございまして、こうした人々が、もちろん信教の自由というものが保障された上での話でございますが、まさに、社会復帰に対するリハビリテーションと申しましょうか、こうしたものが十分必要であろうと考えております。
 今日まで、オウム、サリン等に対する関係閣僚会議がございましたが、どちらかといえば、まず真相解明、再犯防止、一日も早い犯人検挙ということにその主眼が向けられておりましたが、関係閣僚会議、また関係省庁で持っております会議におきまして、今後、こうした御提起の問題について政府挙げて取り組んでいかなければならない、かような決意でおるところでございます。
#53
○横内委員 ありがとうございました。
 今のこの信者の社会復帰の問題は、地元の町村とか県ではなかなかできない問題でございまして、ぜひ国の施策として取り上げ、進めていただくようにお願いをしたいと思います。
 それから、最後は御答弁は要らないのですが、大臣からも先ほどちょっとお話がございましたが、オウム真理教施設が所在する市町村というのは、今回の事件でいろいろなマイナス、被害をこうむっているわけでございます。
 御指摘のように、上九一色村、観光地でございますが、観光産業が非常に苦境に陥っておりますし、あるいは熊本県の波野村あたりでも、オウム施設撤去のために九億二千万円の支出をしたというようなことでございます。そういった有形無形の被害をこうむっているわけでございまして、しかも、こういった市町村というのは、大体過疎地の、財政力の弱い市町村でございます。国の財政対策その他きめ細かい支援、配慮が必要だと思います。
 これにつきましては、やはり自治省それから地域振興を担当する各省の所管の問題でございます。法務省は所管外ということになりますが、法務大臣としても、ぜひ国務大臣として、閣議の場その他で御発言をいただき、そういったことについても国として施策が講じられるようによろしくお願い申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#54
○金子委員長 佐々木秀典君。
#55
○佐々木(秀)委員 日本社会党の佐々木秀典です。
 昨日、麻原こと松本ほかの被疑者が起訴されまして、被告人になりました。三月の二十日の地下鉄のサリン事件から五十日を経てということになりますけれども、この犯罪の異常性、あるいはその性質から見ての困難性からしますと、これだけの起訴ができたということは、私は、これは警察、検察、大変な御努力があったのだろうと思います。その御努力に対して、心から敬意を表したいと存じます。
 またほかの余罪関係もあるでしょうから、御苦労が多いことと思いますけれども、警察、検察、連携をとり合いながら、御努力をぜひお願いしたいと思います。時間がありませんので、本当は公訴事実関係についてもお聞きしたいと思いますけれども、これはまたの機会にすることにいたしまして、どうかひとつ気を引き締めて頑張っていただきたいということをお願いをしたいと存じます。
 そこで、どうも私などは、このオウム真理教という言葉を聞いたのはいつだったかな、こういう団体があることを知ったのはいつだったろうと考えますと、やはり今から五年前、一九八九年十一月の三日の夜に起こりました、横浜の坂本弁護士一家の、失踪というよりも拉致事件、これを機にしてだったと思います。
 私も弁護士ですし、坂本弁護士は後輩でよく知っていたものですから、それだけに大変心配をしておりました。五年たっても実は全容解明されておりませんけれども、そろそろこれが全容解明の時期に来ているのかなという思いもいたします。
 でき得べくんば、三人の家族が私どもの前に元気な顔を見せてくれることを、救出されることを心から願っているわけですけれども、この捜査の状況について、どうなっているのか。週刊誌その他でもさまざまな憶測、先ほどの中島さんのお話ではありませんけれども、もう全く事実に反するような情報も乱れ飛んでいる中で、やはり確かな状況というものが私どもとしては今必要なときだろうと思っております。
 警察が把握しておる坂本事件の状況、これについてまずお伺いをしたいと思います。
#56
○篠原説明員 お答えいたします。
 お尋ねの事件につきましては、残念ながら事件解決に至っていないところでございますけれども、神奈川県磯子警察署におきまして捜査本部を設置いたしまして、現場周辺の居住者あるいは交通機関などの関係業者に対する聞き込み、あるいは業務関係者からの聞き込み、あるいはポスターを配布するなどの公開捜査によりまして収集しました関係情報の分析、裏づけを行っているところでございます。
 なお、現在、報道等で言われておりますオウム真理教との関連につきましては、その関連性につきましても視野に入れて捜査を進めているところでございます。
#57
○佐々木(秀)委員 もう少しお聞きできないのが残念ですけれども……。
 私ども、坂本弁護士のお仲間の弁護士さんたちから話を聞いておりますところでは、坂本君がオウムの被害者、家族からの相談などを受けたのが一九八九年の五月だと聞いております。これをきっかけにいたしまして、彼はオウム真理教に対してさまざまなアプローチを試みて、それによって人権侵害を受けた方々の救済活動に乗り出すわけです。
 その年の十月十六日は、文化放送に出演してオウム真理教の実態などについて話しているわけですね。それに対してオウム真理教は、十月二十六日に、坂本弁護士を中傷誹講するビラまきをする。その二日後の十月二十八日、被害者の会というのが結成されて、第一回の集会がある。そして、月末の十月三十一日は、そうしたことをめぐって、今もう起訴されておりますけれども早川、あるいはしょっちゅうテレビに出てきます上祐、それからまたこれも逮捕、起訴済みですけれども青山弁護士などが、坂本弁護士所属の横浜法律事務所を訪問して、坂本弁護士と話し合いをした。
 しかし、それが決裂した。そして、その数日後の十一月三日にこの拉致事件が起こったという経過と聞いております。しかも、現場には、バッジのような、プルシャというのだそうですけれども、オウム真理教のプルシャが落ちていた。十一月八日の日には、青山弁護士が横浜の法律事務所を訪ねて、そうしたことについて否定的な話をするというようなことがある。
 仲間の弁護士たちや横浜法律事務所では、こうしたことを逐一神奈川県警にも情報提供をして、そして、厳重な捜査をしてもらいたい、そしてまた広域捜査をぜひしてもらいたい。というのも、このオウム真理教の本部が静岡県の富士宮市にある、それから山梨県の上九一色村、このときにはまだサティアンや何かは建っていなかったようですけれども、こういうものの建築の準備中だったということですが、全国に十四からの支部なども設けているということで、坂本氏の身柄の確保などについても要請をしながら、広域捜査が必要ということで要請した。
 ところが、私どもそのころ聞いていたのですが、どうも神奈川県警の捜査が、オウムの方に集中しているのじゃなくて、当時坂本弁護士が扱っていたさまざまな事件、特に労働事件などについてもその関係者の話を聞いている、そういうことに相当な精力を使っているというふうに聞いていたわけです。もちろん、これは捜査ですから、すべてを考えて、消去法で犯人を詰めていくということはあり得る手段だとは思いますけれども、それにしても、関係者の指摘にもかかわらず、オウム真理教に対する突っ込み方というのが足りないような気が私はしてならなかった。
 広域捜査の要求もしていたということなんですけれども、他の県警との連係プレーあるいは検察との連係プレーなどがどうなっていたのだろうか。そういうことがもう少し徹底的に行われていれば、事件の解明というのはもっと早かったのではないか、また、その後の事件などについても発生を防止することができたのではないかとさえ思われるのですけれども、捜査の経過から見てその辺はどうだったのか、これをひとつお知らせをいただきたいと思います。
#58
○篠原説明員 お答えいたします。
 委員御指摘のようなオウム真理教関係者との交渉経過、あるいはプルシャが坂本弁護士宅に落ちていたということにつきましては、神奈川県警の方で承知をして、捜査上考慮すべき事項といたしまして、それを含み、所要の捜査を行ってきたところでございます。
 また、広域捜査の関係につきましては、警察庁の調整のもとに、関係の都道府県警察が連携をいたしながら所要の捜査を行ってきたところでございます。
#59
○佐々木(秀)委員 どうも捜査をしたというだけでは、私どもとしてはなかなかうんとうなずくわけにいかないのですね。もう既に五年余たっているのです。いわばこれはオウム真理教のさまざまな事件の原点とも言われることなんですから、もっとこの点は積極的なお答えをしていただいても結構ではないかと私は思うのです。
 そしてまた、先ほどからお話しのように、いろいろな憶測が飛んでおりますから、それがまた国民に大きな不安も与えているわけなので、これからの捜査でもそうですけれども、ある意味では捜査当局は、捜査に支障があるということでは困ることは困るけれども、しかし困らない範囲でということもあり得ると思うのですが、国民の皆さんにやはり公的な責任のある中間報告というのをなすった方がいいのではないか、そんなふうにも私は思っております。
 いずれ坂本事件についても全容の解明ができてくるだろうということを期待をいたします。きょうのところは時間もありませんので我慢をいたしますけれども、どうかひとつその時期には、来るべき時期にははっきりとお知らせをいただけるようにということをぜひお願いを申し上げたいと思います。
 宗教法人の問題については、大分お答えがありました。時間の制約もありますので、御要望だけ申し上げておきますけれども、これを早くしていただかなければならないというのは、一つはやはり財産の確保の問題、財産をどういうふうに処分するかという問題がかかっているからであります。御案内のように、信者の方あるいは信者の家族の方々、寄附と称してもうほとんど全財産をとられたとかしているわけですね。それが法人の財産としてあるとすれば、これを早く確保して、これの処分あるいは還付などについてもやらなければならない、そのためにも解散請求はどうしてもやらなければならないわけですね、いずれは清算人も選ばれることになるでしょうけれども。
 そういうことで、裁判との絡みがあるなどということではなくて、もう違法行為をやっている、反公共福祉的なことをやっているのは明らかであるわけですから、この点ははっきりととらえていただいて、早く解散命令を出すように、少なくとも請求を早く出すようにぜひお願いしたいと思います。これを要望しておきます。
 それから、予算委員会でも私質問したのですけれども、例の信者の子供たちの問題ですね。この人権問題というのは、本当に心配です。各児童相談所、一時保護で今御努力を願っているそうですけれども、その後の手当ても必要だろうと思います。人権擁護局長はいらっしゃらなくなったかな。――時間がありませんから、今の子供たちの状況を簡単にひとつ厚生省の方からお話しをいただきましょうか。
#60
○吉岡説明員 御説明申し上げます。
 オウム真理教関連の児童につきましては、これまで合わせて百二名の児童を各地の児童相談所におきまして一時保護を行っておるところでございます。
 これらの児童につきましては、各地の児童相談所におきまして児童の意向や家庭での生活の状況等の調査を行っておりまして、これらの調査を踏まえまして、親権者等を含めて親族等と今後の処遇について必要な相談や指導を行いまして、個々の児童に応じまして最も適切な処遇の方針を選択をしておる、こういう状況でございます。
#61
○佐々木(秀)委員 子供たちを見ておりますと、私どもテレビなどで見ているわけですけれども、心も体も非常にゆがめられていることをもう痛切に感じます。これは人権問題だと思うのです。人権擁護局長ちょっといらっしゃらなくなったけれども、今せっかく法務省の中で子供の人権のセクションというのに力を入れているわけですね、オンブズマン制度。これもぜひ御利用いただいて、法務省も厚生省とも御連絡をとり合いながら、この子供たちの保護のための措置をしっかりと立てていただきたい。
 そして、お聞きしているところによりますと、児童相談所でも、今まで扱ったケースと非常に違うわけですから、その扱いについて御苦労されているというようなことも聞いておりますので、厚生省の方でも適切な御指導方をぜひひとつお願いをしたいと思うのです。
 それから、あとは、ずっと児童相談所に置いておくわけにはいかないわけですけれども、保護してもらうに足りる保護者であるかどうかの見きわめですね。親だからというだけでは、これは信者の親御さんなどではこの人自体がゆがんでいるという人もいるわけですから、この辺は十分にひとつ調査していただいて、適切な保護者のもとにお預けできるように、しかも焦らないでじっくりとやるように、ぜひお願いをしたいと思います。
 時間になりましたので、最後に法務大臣に御要望がたがたお伺いをしたいと思います。
 先ほど横向委員からもお話がございましたように、信者さん、善意の信者さんを含めて、この人々のアフターケアの問題というのは私は非常に大切だろうと思うのですね。それから、今後の解決の問題は、いろいろな問題が私は出てくるだろうと思うのです。先ほど横内委員は、関係省庁の間での十分な横の連絡をとり合いながらというお話でしたけれども、私は、どうもそれだけじゃ足りないのじゃないだろうか。特別の、そういうあらゆる事柄についての対策の機関というものがぜひ必要ではないか。行政の上でもそうだし、私は、国会の中でも場合によったら特別委員会をつくる必要があるのではないかとさえ思っております。
 そこで、六月の九日に関係閣僚会議があるということでございますので、こうした対策機関をつくるような御提案をぜひ法務大臣からしていただいたらいかがかと思うのですけれども、この辺についてのお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。
#62
○前田国務大臣 御指摘のアフターケアの問題でございますが、今日までももちろん関係閣僚会議で取り組んでまいりました。しかし、その主題は、まさに真相解明、再犯防止等々でございまして、新たなアフターケアの問題は極めて大きな問題としてとらえておるところでございまして、関係閣僚会議でももちろんこの議論をし、解決方法を見出していくと同時に、関係省庁連絡会議というのももう既に設置をされております。この会議等を通じまして、関係省庁のもとに責任ある取り組みで推進をしてまいりたいと存じますが、先生からの御提案もございますので、関係閣僚会議等で議論を進めてまいりたいと思っております。
#63
○佐々木(秀)委員 ありがとうございました。
 これはもう本当に大変にいろいろな問題が出てまいります。どうか民間の方々の御協力もいただいて、場合によったら心理学者の先生だとか、それから財産の問題も先ほど言いましたようにありますし、さまざまな問題出てくると思います。ぜひこういう対策のための特別な手だてを講じていただきますように、法務大臣の積極的なお働きを期待いたしまして質問を終わります。
 ありがとうございました。
#64
○金子委員長 坂上富男君。
#65
○坂上委員 まず、地下鉄サリン事件を初め、オウム関連において犠牲になられた方々に謹んで御冥福をお祈りいたしまして、被害を受けられた方々にお見舞いを申し上げ、一日も早く健康を回復されることを祈っておるわけでございます。
 そしてまた、法務に携わっております国会議員といたしまして、これらの犠牲を発生させ、防止できなかったことについて深く反省し、国民の皆様方におわびをいたさねばならないと思っておるわけでございます。
 昨日六日、地下鉄サリン事件について起訴にまで到達されましたことは、捜査陣営においてはまことに御苦労が多大であったと聞いておるわけでございます。本当に御苦労さまでございました。
 私は、罪を憎んで人を憎まずとの法格一言がありますが、今日の事件は、罪も憎んで人も憎まなければならないほどの悪質な事件であります。天人ともにこれを許さず、国民すべてが激しい怒りに駆られておるのであります。私も既に法曹四十年を超えましたが、これほどのひどい、極悪非道、残忍残酷、ひきょう卑劣な犯罪に遭遇したことはありません。その動機、手口、手段、方法、結果において同情の余地は全くなく、酌量すべき情状はいささかも存在しないと言わなければなりません。
 憲法と刑事訴訟法が保障する基本的人権の立場からするならば、この事件の被告人らにも、判決が確定するまでは無罪の推定を受け、権利を保障されるでありましょうが、私は、憲法の崇高な理念に対し、歯がゆい思いを強く感じ、理念と怒りのはざまで感情が揺り動いているのを禁じ得ないところなのであります。宗教の名のもとに、みずからの予言が的中するがごとく世人を欺き、ハルマケドン到来を予告すると称して、善良な我が同胞、父や母や夫や妻や子らを犠牲にしたひきょう卑劣な犯罪なのであります。
 私は、国民の皆様方の大多数が、本件事件に対して極刑をもって処断すべきだという声を聞いております。これにつきまして、法務大臣には指揮権上の問題のあること、最高裁には裁判官独立の原則のあることを承知の上で、あえて法務大臣と最高裁にこの点についての御所見をまず承りたいと思っております。
#66
○前田国務大臣 ただいま先生からいただきました御意見、実は私どもにも国民の皆様から、自宅などにも同じような御意見が多数電話等で寄せられておるところでございます。国民のお気持ちというものも十二分にそうした観点からも察せられておるわけでございますが、具体的な事件の量刑につきましては、もちろん先生おっしゃったとおりでございますが、裁判所において諸般の事情を総合的に勘案されて決せられる事柄であろうと思っております。
 検察当局は、こうしたオウム関連事件のこれからの公訴維持に当たりまして、迅速、適正な科刑の実現を図るために、犯罪事実のみならず、情状にかかわる事実につきましても、その立証に万全を期していくものと思っておりますし、また、法と証拠をもとにいたしまして、厳正、適正な科刑を求めて対処していくものと確信をいたしております。
#67
○高橋最高裁判所長官代理者 今回の事件につきましても、事件を担当する裁判体が証拠に基づき適正かつ妥当に判断するものと信じております。最高裁としましては、特別申し上げることはございません。
#68
○坂上委員 それでは、具体的に御質問申し上げますので、もう簡単に御答弁いただきたいと思っております。
 起訴状をいただきました。見せていただきました。しかし、ここには殺害の動機が記載しておりません。また、本日のサリン報告をお聞きをいたしましても、何ゆえに殺害をしようとしたのか、あるいは傷害を与えようとしたのか、サリンをまいて、その動機が極めてわからない、書いてないのであります。
 まず、警察当局、どのような動機であると見ているのですか。
#69
○篠原説明員 お答えいたします。
 動機等につきましては、今後のさらなる詰めの点があろうかと思いますけれども、一つにおきましては、捜査の撹乱をねらったものではないかという見方がなされるところでございます。
#70
○坂上委員 検察庁、動機記載のないことの理由と、本日説明のないことについて御答弁いただきたいと思います。
#71
○則定政府委員 オウム関連の事件、特に地下鉄サリン事件の位置づけと申しましょうか、いわゆる関連事件の中でどういうふうに位置づけるか、これらにつきましてはなお捜査中でございまして、現時点で、いわば検察として確定的に本件の動機はこれであると言うまでには至っていないことが背景にあろうかと思います。ただ、今警察庁の方から御答弁がございましたように、捜査の撹乱も犯行の動機の一つではなかったかという心証を持っているというふうに伺っておるわけでございます。今後、なお全容の解明を待って公判で明らかにするということになろうかと考えております。
#72
○坂上委員 これはやはり起訴状でございます。刑事訴訟法は起訴状一本主義でございますから、私は、やはり動機というものはこの起訴状の中に明記されることが犯罪の性格を認定する上においては極めて重要なことなんだろうと思うのでございます。今、捜査当局から言わせますと、どうもまだ確定に至っていない、その後追加するというような御趣旨の答弁でございますが、いささかいかがかとも懸念をしておるわけでございます。
 これ以上追及してもいたし方ないことでございますので、私は、国民はなぜ善良な国民にこういうことをねらったのかということを一番心配しているのだろうと思うのでございますから、この殺害の動機、傷害を与えた動機、サリンをまいた動機を明確にやはり国民の前に早急に提示すべきだろうと思っておるわけでございます。ぜひひとつ早急な解明を要求をしたいと思っております。
 そうだといたしますと、きのうの新聞ではサリンはもうないというような発表があったのでございますが、一体国民はそれを信頼していいのでございましょうか。捜査上、警察あるいは検察の方において、サリンはもう存在しない、そして今の状況においてサリン製造の危険は絶対に阻止できるというふうな確信はあるのでございましょうか。
#73
○篠原説明員 お答えいたします。
 お尋ねの件につきましては、関連する被疑者の取り調べや関係場所の捜索、検証などのこれまでの捜査結果を総合的に検討した結果、サリンが残存している可能性はないものという判断に至ったところでございます。
#74
○坂上委員 製造の可能性についても、製造の危険はないのか。
#75
○篠原説明員 現在私ども、機具等を押さえておりまして、現在知り得る限りでは、さらに製造される可能性はないものと考えております。
#76
○坂上委員 ぜひひとつ、国民全体が安心できるような体制を捜査当局に強く要望いたしたいと思っております。
 それでは、今度は坂本弁護士さんら及び仮谷公証役場事務長の安否はどうなっているのか。きのうの新聞によりますと、殺してしまった、死体を焼き尽くしてしまった、こう言っておるわけでございます。そして、きょうその確認のための捜査がなされておるということでございます。これらの皆様方の安否は一体どうなっているんだろうか。現段階において、そして今現在の、捜査報告もあるいはとられておるのじゃないかと思いますが、安否について御答弁いただきたいと思っております。
 それから、殺人罪の場合、仮に死体が発見されないということが出てきた場合、これは一般的なことでございますが、殺人罪として起訴することは可能なんだろうか、大変危倶しておりますが、いかがでございますか。
#77
○篠原説明員 お答えいたします。
 坂本弁護士一家の事件につきましては、これまでのところ、被害者の安否につきましての具体的な情報は得られていないところでございます。また、仮谷さん事件につきましては、オウム真理教関連被疑者の供述から、既に死亡している可能性が高いということで、早急に確認作業を実施をしているところでございます。
 なお、死体なきままという可能性の問題でございますけれども、私どもの方につきましては、その有無に関係なく捜査を全力を挙げて進めるというつもりでおります。
#78
○則定政府委員 いわゆる死体なき殺人について、殺人罪として起訴することが可能かということでございますが、一般的に申しまして、殺人行為が行われた、特定の被疑者がそういう行為を行ったということが種々の証拠によって十分認められる場合には起訴は可能でございますし、過去にそういったものにつきまして起訴した例もございます。
#79
○坂上委員 これは要請でございます。大変悪いことを申し上げて恐縮でございますが、私は、万一今言ったような事態があろうとも、検察当局は何としても必ず起訴に持ち込んでいただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
 さて次に、オウム真理教の解散命令の申し立てについてでございます。
 私は、きょうでもあすでも直ちにやるべきだと思っておるわけでございます。いま一つ大事なことは、解散命令申請と同時に、いわゆる職務執行者、代表者の職務執行を停止させる、理事業務の執行を停止させる、それから財産の流出、処分を禁止させる、いわゆる保全処分というものをすぐ、直ちにやるべきなのじゃなかろうかと私は思っているのでございます。まだ研究だ研究だ、証拠を捜査しているなんて、そんな生ぬるい事態なのではないのだろうと私は思うのでございます。
 このオウムの財産というのは、現認した限りにおいては一体どれくらいあるのですか。あるいは推定でも結構です。これは直ちに押さえていただかぬといかぬと思います。
 それから、違法者の職務執行、これは停止をして、代行者を選定する、正常な人を直ちに代行者として選定をするような手続をとる必要があるのじゃないですか、どうですか。
#80
○則定政府委員 委員御懸念の点は、私どもも十分問題意識として持っているわけでございますが、宗教法人法の規定をよく見たわけでございますけれども、解散請求を行う過程におきまして、今おっしやいました代表者の職務執行停止でありますとかあるいは所属財産についての仮処分等をかけ得る法的根拠がないというところがネックになっておるわけでございます。
 これは、広範囲のいわゆる被害者が民事訴訟等々を考えられます場合に、その部門におきますしかるべきそういう法的措置を期待するということになろうかと思っております、
#81
○坂上委員 法務省の見解はそうだということでございますが、私は可能だろうと思っております。もう一度御検討の上、対策を講じていただきたいと私は思います。解散解散などと言ってぼやぼやしているうちに、財産を隠匿されたりとんでもないことが行われたら、これは大変でございます。したがって、これに対して法は、保全処分、あるいは宗教法人であろうと違法行為についての停止処分は必ずできるのだろうと私は思っておりますから、宗教法人法だけの適用でなくして、ほかの法律からもこれは停止できるのだろうと思いますから、ぜひ御検討賜りたい、私はこう思っておるわけでございます。
 さて、その次でございますが、信者がお布施を納めた、寄附をいたした。確かにそのときは信じてこれをやったわけでございます。しかし、納められたお布施やあるいは寄附は、宗教活動のために使われると出したわけでございます。それが、サリンをつくったり兵器をつくったり、とんでもないことに使われているわけでございます。そうだとするならば、この寄附行為は公序良俗に反して無効だったんじゃないか。そうだとするならば、何らの手続を要せずこれは返還請求をすることができるんじゃないか、実はこう思っておるわけでございます。
 同じことが今度は税法の上でも。お話をお聞きをいたしますと、宗教上入ってきたものについては課税されない、収益事業でないから。そしてこれがそのまま使われたとしても、これを贈与さえしなければいわゆる所得税の対象にならぬというのがどうも規定のようでございます。
 しかし、こうやって違法行為がある。違法行為を宗教法人がやっても、これに対して課税を、かけられないというのは、私はどうしても納得できない。今あれでしょう、賭博でもうけた金は所得として所得税の対象になっているわけでございます。だとするならば、いわゆる違法の目的でもって、使う目的でもって、現実に使ったわけでございます。したがって、この寄附行為というのはもう当然無効なんじゃなかろうか、私はこう思っておりますが、ひとつ、法務省あるいはまた国税庁、どういうお考えですか。
#82
○濱崎政府委員 まず、財産の取り戻しの関係の御質問についてお答え申し上げます。
 不当な手段で財産の授受が行われた場合に、その法律行為の効力を否定して、渡したものを返してもらう。法律構成といたしましては、民法上いろいろな規定がよりどころになろうかと思われますが、その一つとして、御指摘のように公序良俗に反する事項を目的とする法律行為は無効であるという民法九十条の規定によることも考えられるわけでございますが、御指摘の個々の行為がそういう九十条の場合に該当するかどうかということは、それぞれの事案ごとに、事情に応じて判断されることでございまして、当事者間で任意に返還がされるという場合は別にいたしまして、最終的には司法手続によって判断されるということになっているわけでございます。
 したがいまして、一般的に申し上げますと、司法手続に基づかないで、いわば自力で取り戻すというようなことを是認するという法理は現在のところないということでございます。
#83
○大村説明員 お答え申し上げます。
 宗教法人を含む公益法人等につきましては、先生御承知のように、法人税法で定める三十三の収益事業を営む場合に限って、その収益事業から生じた所得については法人税が課されるということになっております。したがいまして、直接宗教活動に関係するかどうかということには関係なく、法人税法で定める三十三の事業に該当するかどうか、まずそこがポイントになるわけでございます。
 先生今御指摘になりましたように、賭博等の場合でございますが、例えば、それは個人の場合でございますれば、そういう課税所得についての範囲の限定というのはございませんので、そこは若干状況を異にしているということをまず御説明させていただきたいと思います。
 そういう前提で申し上げますと、一般論として申し上げれば、宗教法人が寄附やお布施を受けることはこの三十三の収益事業には該当しませんので、仮に先生がおっしゃったような活動のために支出がなされていたとしても、法人税は課すことができない、そういうふうなことになっております。
#84
○坂上委員 そういう法人税というのは改正しないといかぬわね。こんなもの、国民だれも納得しませんよ。悪いことをするために法人の特典を与えて、そしてあげくの果ては兵器をつくって国民を殺すなんという、サリンをつくって国民を殺すなんという。まず税務署がきちっと税金をかけるような法律にしなければならぬと思います。これは私も主張をいたしますが、ひとつ国税当局も考えていただきたいなと思っておるわけでございます。
 最後になりますが、大変重要な問題でございます。
 警察庁並びに法務省の方に、特に、オウム真理教被害対策弁護団の先生であります弁護士先生から、去年の十一月二日に法務省と警察庁に、「オウム真理教集団自殺・虐殺の危険性について」。と題する書面が届いているはずであります。それから、ことしの二月二十一日に「心覚え」と題する書面、それから、三月六日に「オウム真理教関係で把握したいこと、留意点」、それから三月十三日、地下鉄事件は三月二十日でございました、三月十三日には、最高検、警察庁長官に上申書が提出されている。これはどのようにお取り扱いになっていたのか。特に私は申し上げたいのでございますが、大変事実を的確に指摘をされているのですね、この上申書を見ると。こう言っていますよ。
 麻原彰晃こと松本智津夫は、まさに「国家権力」と戦争をしたがっており、仮りにナイフや銃のみならずサリンガスまで持っているとするならば、集団自殺・虐殺は勿論、対外的な各地での般人を被害者とする事件も心配されます。
 当職としては、昨年の集団自殺に言及した説法を、この一月七日、オウム真理教が放送で改めて流したこと、並びに同封のビラ等からも現実に心配しているものです。
 昨年の説法では「(毒ガスの)次はひょっとして原爆かもしれないね。」などといっており、まさかとは思いますが、自ら「ハルマゲドドン」なる事態を迎えさせようとするとき、そして従来からも想像以上のことをしてきたとしか思えないことに鑑みるとき、これさえも彼の発想からするならばあり得なくはなく一抹の不安を覚えます。
 いずれにせよ、サリンガスを持っていれば勿論、そうでなくとも集団自殺・虐殺の危険性は現に存在し、いままでの刑事事件からしても、今後の治安事件としても、とても看過できないものです。
 集団自殺・虐殺そして対外的な暴力を起こさせないままに、もとよりサリンガスなど持っていても使わせないで全体を終息させるためには、松本智津夫をまず逮捕すること、それも多くの信者の居ない所で、突然に逮捕し、直ちに全体の被疑者の逮捕、捜索をすることが重要だと思いますが、これも不可能ではない訳です。
 逆に、警察や場合によっては自衛隊まで要請して毒ガスマスクでもして強制捜査でもしたならば、それこそ「毒ガスによる国家権力の弾圧」と信者は思い、少なくとも集団自殺・虐殺は避けられず、警察官らの安全上も心配です。
 かといって、このまま置いておけば、内部でいろいろちょっと消してありますが、攻撃性を増していることは明らかですから、どうなっていくか想像もつきません。ましてそれがサリンガスの使用による場合の惨劇は、想像に余りあります。
こういう上申がもう出ているんですね、去年から。これは捜査当局、どう対応されていたんですか、こういう問題。
#85
○黒澤説明員 お答えいたします。
 御指摘の上申書につきましては、警察庁に郵送されまして、広報部門において受理をいたしておりまして、それぞれ捜査の遂行上の参考とさせていただいておるところでございます。
#86
○則定政府委員 御指摘のとおり、上申書等につきまして、今御指摘の時期等に検察当局にも届いていることを承知しております。
 オウム真理教にかかわります一連の犯罪に対します国民の高い関心は、今御指摘の具体的な提言等につきましても、検察当局はその後の捜査を展開する上で十分念頭に置きまして、必要な体制を整えて所要の捜査処理を行ってきたものと承知しておりますし、今後とも、そういう参考情報があればこれも念頭に置きながら同様に対応するものと考えております。
#87
○坂上委員 私の質問、これで終わりますが、やはりこういうような本当に事実を一つ一つ積み重ねてまいりましたオウム被害者救出の弁護団あるいは坂本弁護士一家救出弁護団、これらの皆様方の地道な活動でこういうことが知られたわけでございます。これを捜査当局に提出をしておるわけでございます。もちろん、いろいろな条件があったでありましょう。しかし、やはりこういうようなことが察知され、あるいは把握さえされておれば、地下鉄サリン事件なんというのはあるいは起きなかったんじゃなかろうかなとも、私の全く安易な推測でございますが、思うものでございます。
 何はともあれ、警察当局、検察当局、土曜日曜を返上し、不眠不休で捜査に当たられていることもよくわかっております。このことのために予算の増額あるいは増員は必要だと思っております。と同時に、やはり国民に安心していただくには、その任務においてきちっと責任を果たされるだけの万全の御努力がひとつ必要なのじゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。
 そんなような観点から眺めてみまして、この事件はまさにきのうが出発点なのだろうと私は思っておるわけでございます。本当に捜査当局にはいろいろの指摘された重大事件があるわけでございます。何といたしましてもこれを解明をしていただきまして、ひとつ国民が安心できるような治安対策をしていただきたいということも強く要求をいたしまして、ひとつ法務大臣から所信を述べて締めくくりにさせていただきたいと思いますので、御所見を賜りたいと思います。
#88
○前田国務大臣 今回のオウム真理教サリン関連事犯等々につきましては、今後万全の体制をもって、再犯の防止ということをも念頭に置きながら、真相の全容解明が一日も早くできるように最大限の努力をいたしていく決意でございます。
#89
○坂上委員 どうもありがとうございました。
#90
○金子委員長 枝野幸男君。
#91
○枝野委員 まず、地下鉄サリン事件が発生いたしました三月二十日以降の警察・検察当局の再犯防止、そして被疑者摘発に当たりましての御努力、特に再犯を防止するためにゴールデンウイークを挟んで現場で日夜御尽力をされた警察官の皆さんに、私も心から敬意を表したいと思っております。
 さて、本件に関連して、一年前に起こりました松本のサリン事件について、どうも報道等によりますと地下鉄サリン事件と同じ根っこの事件であるかのように思われておりますが、一つはっきりしていることは、事件発生直後の段階で、結果的に犯罪とは無関係であった、むしろ被害者であった方が、少なくとも報道等では明らかに犯罪者であるかのごとき報道がなされた。しかも、それはどうやら警察当局等からの情報であったような流れ方をしている。この松本サリン事件の捜査の経緯、状況というのはどんなものだったのか、現時点でお話しできるところまでで結構ですので、御報告をお願いします。
#92
○篠原説明員 お答えいたします。
 お尋ねの事件につきましては、長野県警察におきまして、発生当初より捜査本部を設置いたしまして、発生現場におきます証拠保全措置はもとよりでございますけれども、付近の聞き込みなど目撃情報の収集に全力を挙げてきたところでございます。また、サリンが使用されたと判明した後におきましては、サリン製造に必要とされます薬品の販売ルートの解明につきまして懸命に捜査を進めてきたところでございます。
#93
○枝野委員 一時期その被害者に対して、Kさんという言い方をした方がいいでしょうか、疑いを持ったのですか、持たなかったのですか。あるいはそれは今は言えないのか、どういうことなのか、教えてください。
#94
○篠原説明員 御指摘の方につきましては、いわゆる犯罪の発生現場に一番隣接している者であり、また第一通報者であるということで、重要な参考人という形で当初事情聴取をいたしておるところでございます。
#95
○枝野委員 今回の地下鉄サリン事件で大変多くの方が犠牲になられた。司法、警察の見地としては、一日も早くその犯罪事実を明らかにして、犯罪を犯した者は厳正に処罰をする。我々立法府の立場として何をしなければならないのかといえば、明らかにそれは、二度とこうした犯罪によって国民の犠牲が出ない、そのためにどうしたらいいのかということを論議し、必要があれば法あるいは予算等の措置をとっていくということであると思っております。
 そうしたときに考えなければならないのは、なぜこんな事件が起きてしまったのか、なぜこの事件を防げなかったのかということを冷静かつ分析的に考えていくことでなければならないと思っております。現時点での一種の感情的なあるいはムードに流された状況の中で、なぜこんな事件が起きてしまったのかというようなことを一種ムードに流されてやってしまってはいけない。
 私は、去る予算委員会でサリンの集中審議がなされましたときに、微罪で逮捕がなされていることについて、一般化をされてもらっては困るという言い方をさせていただきました。
 今回の反省の上に立って、再犯を防止するために、例えば捜査権限の強化であるとか予算、人員の増強であるとかというようなことに安易に走ってしまうとすれば、それは一つには私が予算委員会で過日指摘をしましたとおり、万が一にも一種の戦前の警察国家的な方向になってしまっては困るという心配と、もう一つは原因をしっかりと突きとめることなく対応策を打ったのでは原因を除去することができない、すなわちこうした事件の再犯をきちんと防ぐことができない。本当にこうした事件を防ぐためには、なぜこんな事件が起こってしまったのか、防げなかったのかをきちんと冷静に謙虚に反省をしなければならないと考えております。
 そして、その原因を考えるときに、一つはこうしたカルト的な集団が出てきてしまったこと、あるいは宗教法人を隠れみのにしてしまったことなどの問題点についても、当然原因をきちんとこれから分析をしていかなければならないと思っております。もう一つ、この事件を従来の捜査の権限、手法、組織の中で事前にとめることができなかったのかどうかということをきちんと謙虚に分析をしていかなければならないと思っております。
 その中で、先ほど来お話が出ています、一つには坂本弁護士事件、これもオウムがやったのではないかということがかなりの強い疑いを持って、少なくともマスコミ等で論じられております。松本サリン事件も同様であります。もしもこれらの事件がオウム真理教の関与による事件であったとしたら、そしてこれらの事件の発生の段階でそれを摘発することができていたら、少なくとも地下鉄サリン事件は発生しなかったであろうということになると思います。
 そうした上で、今回のような事件を二度と起こさない、事前に防ぐということを議論するのであれば、坂本弁護士事件が何であったのか、その捜査はどうであったのか、松本サリン事件の捜査はどうであったのか。人間のやることですから、警察といえどもミステークはあります。そういったことがなかったのかどうかをきちんと考えていかなければならないと思っております。
 現在捜査進行中の事件でありますので、今すぐにすべての捜査経緯を明らかにしてくださいとは申しませんが、しかるべき段階でこの二つの事件について、どんな経緯でどんな捜査をしてきたのか、そこにミスがなかったのか、国会あるいは国民が判断をできるような資料をお出しいただけるのかいただけないのか、その点をお尋ねいたします。
#96
○篠原説明員 お答えいたします。
 捜査活動におきます秘密の保持と、捜査の結果得られている情報等の公表の要請につきましては、その調和が図られることが大切であると基本的に考えております。
 特に今回におきましては、組織的な犯人隠秘、証拠隠滅等の工作がなされているということで非常に難しい点がございますけれども、御指摘の点を踏まえまして、また節目、節目で可能な限り明らかにしてまいりたいというふうに考えております。
#97
○枝野委員 実は、例えば坂本弁護士事件の摘発がこの五年間結果的に成功しなかったということについて、余り信憑性の高くないと言われている報道ではありますが、一部のマスコミ等では、例えば坂本弁護士の従来の弁護活動というものがある意味では権力側にとっては余りおもしろくないような立場からの弁護活動が多かったので手を抜いたのではないかとか、あるいは関連しているのが宗教法人であったので、宗教法人には手を出しにくいというような政治的な判断があって摘発ができなかったのではないかなどというマスコミ論調が現に出ております。あるいは、明らかに松本サリン事件では、逮捕までいかなかったですが、いわゆる誤認捜査ということについての声が出ております。
 私は、日本の警察・司法当局がそうした、例えば今回の被害者と言っていいんでしょうね、坂本弁護士がどんな方であるのか、あるいはそれが権力側にとっていいとか悪いとか、あるいは宗教法人が絡んでいるとか絡んでいないとかということによって捜査がゆがめられるようなことはないと思っておりますが、だからこそみずからの、あるいは場合によっては人間のやることですから先ほど申しましたとおりミスがあったかもしれない。そのことも含めて可能な限りオープンにしていかないと、これは明らかにこの国の世論の流れが二つに分かれていく。一つは、警察、もっとどんどん強くしろ、強くしていかないとこの国危ないぞ。もう一つは、警察は、ふだんそこら辺にいるお巡りさんはいいけれども、何か戦前のように裏でおかしなことをやっているんじゃないかというような疑いが払拭されないで、それが増幅していく。どちらの世論というものも法治国家にとったはいいことではない。
 できるだけ早い段階で、できるだけみずからの、ある意味ではミスも含めて公開をしていただかないと、このオウム・サリン事件というものがきっかけとなって、警察や司法に対する国民の見方というものが非常にゆがんでいくおそれがあるということを危倶しております。
 この点を踏まえて、御見解を警察当局と法務大臣に例えればと思います。
#98
○篠原説明員 お答えいたします。
 今回の事件等につきましては、私どもそれぞれの事件について全力を尽くしてやってきておったというふうに考えております。私どもの方といたしまして誠実に捜査を行っていくということであって、御指摘のような御懸念というものはないものというふうに考えております。
#99
○前田国務大臣 いずれにいたしましても、この事件の全容解明、真相解明をもって、後ほどそれをもって先生の御指摘のいろいろな問題点について私どもも真剣に考えなければならないと思っております。
 松本サリン事件につきましても、先生の御指摘を踏まえ、真相解明の後、私どもも新たに新しい捜査体制等々に向けてももう一度見直す必要があると考えております。
#100
○枝野委員 法務大臣、ありがとうございます。
 警察庁は、それはお答えになっていません。私は、一生懸命やって誠実にやっているということは、別に何も否定していない。まさにそうしたんだろう。実際にそうなんであるからこそ、なぜ坂本弁護士事件が五年間も犯人を挙げられなかったのか、松本事件で違う人を容疑者的に扱って、ある意味では違う逆方向の捜査をしてしまったのか、どこかの段階できちんと、一生懸命誠実にやっていたからこそそれを公開するという気持ちを持っていただかないと、警察に対する信頼というものが、片方ではこの事件で強まっているところもありますけれども、片方で逆に反発という方向につながりかねませんよ、そこのところをちゃんと認識してくださいと申し上げているのですよ。一生懸命誠実にやっているということは認めているのですよ。まさにそのとおりだと思うと最初にも言いましたでしょう。そういう前提で答えてください。
#101
○篠原説明員 捜査経過等の内容等につきましては、いろいろ捜査上の保秘等ございますけれども、これにつきましては必要に応じ、私どもの方として国民の皆様の方へ発表していきたい、しかるべくやっていきたいというふうに考えております。
#102
○枝野委員 今回のことで、警察等の捜査権限あるいは人員、予算などをふやすべきだという議論、必ず出てくる、既に出ていますが、そういったことを言う以上は、警察はちゃんと、どこがどう足りなかったのかわかるように、判断できるように情報公開していただかなければ、単に抽象的に、こんな大事件が起こったから人をふやせとか予算をふやせとか権限をふやせとかという話では、到底応じられる話じゃないということをつけ加えさせていただいて、実は、オウム・サリン事件という大変時事的にも大問題のところの一般質疑の時間ですが、なかなか法務委員会でほかに質問する時間が当分ありそうもありませんので、一点だけ。公職選挙法の関係について、この時間を使って確認というかお尋ねをさせていただきたいと思います。
 御承知のとおり、政治改革の一環として公職選挙法が改正をされまして、連座制が強化をされました。連座制によって当選無効というようなケースが出てくるのではないかというようなことが言われております。
 去る四月には統一地方選挙で日本じゅうでたくさんの選挙が行われ、間もなく参議院選挙、まあ私にとって余りあってほしくありませんが、近い時期に衆議院選挙もあるかもしれないと言われている中で、この連座制がきちんと適用されるのかどうかというようなことが大変大事なことになっております。
 一部、これは私の地元の話ではありませんが、仲間の議員などと話しておりますと、地方のある地域では、いわゆる組織的選挙運動管理者とどう考えても当たるような方が逮捕されておりますが、しかし、どうやら連座制の適用はされないようだといううわさがひとり歩きをしている。こういうようなことがあっては、公職選挙法の趣旨にも反しますし、ある意味では司法の信頼にもかかわる問題であります。
 この公職選挙法に基づく連座制の適用というものをきちんとしていただけるのか、そして、現にそうしたものの準備あるいは手続等に入っているのかどうか、そうした状況について御説明をお願いしたいと思います。
#103
○則定政府委員 先般の公職選挙法の改正等によりまして、連座制規定が適用される範囲が拡大されたということでございます。また、そのときに国会で種々の御議論がなされ、いわゆる公明選挙の拡大といいましょうか、実施といいましょうか、こういったことについても大変前向きに進めておられることを知っておるわけでございます。
 いわゆる法執行機関でございます検察当局におきましては、それらの議論を踏まえながら、この一連の選挙違反捜査及びその後の公判の経過を踏まえまして、それぞれの該当者について有罪判決、これはいわゆる百日裁判等、早期裁判が図られるケースでございますけれども、有罪判決が確定いたしました場合には、まさに文字どおり厳正公平、不偏不党といいましょうか、法と証拠によりまして、連座制適用のケースであると認められるものにつきましては、検察の恣意的な運用ではなくて、今申しました姿勢で厳正に運用するものと考えておるわけでございますし、現にそういう方向で公判運営に当たり、かつまた、事前に必要な準備を行っていると承知しておるわけでございます。
#104
○枝野委員 政治改革は、まさにこの連座制の強化によって、秘書のせいにするとか周りのせいにするという言い逃れができない、これをいかにきちんと適用するかということにかかっていると思っております。
 党派を超えて実は私の仲間の議員から、多くの特に若い仲間の議員から、とにかく連座制をきちんとやってもらえれば、我々も変なお金集めとか変な選挙運動をしないで済む、ここをきちんとやってもらわないと、我々は、選挙に生き残ることを放棄するか、あるいはかつての人たちと同じようなお金集めや選挙運動をするか、二者択一しかなくなる、法務委員だったら、ぜひとも法務委員会でそのことを検察当局に強く言ってくれというようなことを多くの仲間の若い議員から言われております。法務当局、検察当局のしっかりとした対応を御期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#105
○金子委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
#106
○金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。冬柴鐵三君。
#107
○冬柴委員 昨日のオウム真理教代表者麻原彰晃起訴を受けまして、本日、法務大臣並びに法務省刑事局長より起訴に係る事実の概要についての御報告をいただきました。
 この事件は、その規模におきましても、手段においても、また被害者の数においても犯罪史上かつてないものでありまして、我が国における二十世紀最後の、そして最悪の犯罪、事件であろうと思うのでございます。本日は、法務委員会におきましてこの事件の集中審議を行うものでありますので、順次問題点について関係部局及び省庁にお尋ねをいたしてまいりたい、このように思います。
 さて、国民が今それぞれの利害関係のもとに最も知りたいと思っている事実、それはオウム真理教の関係者のもとにまだ未使用のサリンが隠匿、保管されているかどうか、この一点にかかっているのではないか、このように私は思います。
 オウムの犯行がどうか、この点につきましては、今起訴されたばかりでありますし、まだ起訴されてない事件もありますし、その点は捨象いたしましても、松本サリン事件におきましては七名というとうとい命が奪われておりますし、六百名にも及ぶ人が重軽傷を受けた。また、地下鉄サリン事件では、十二名と伝えられていましたが、本日の説明では十一名の方が亡くなった、実に五千名以上が重軽傷を受けた、起訴状では若干違いますけれども。しかも、これらの被害者は犯行現場に、近くにたまたま居合わせた人々だということで、無差別殺傷という戦慄すべき事件でございます。
 したがいまして、このような強力な化学兵器というものがなおカルト集団の残党の手元に留保されているかどうか、こういう事実は国民にとっては四六時中頭の隅からぬぐうことのできない重圧となっているわけでございます。特に、これから始まる長い刑事事件の期間中、教祖麻原の身柄を管理しなければならない拘置所職員、あるいはこれから長い刑事裁判を相当されることとなる裁判官、検察官、あるいは弁護人だけではなく、その家族にとってもサリンがなお残っているのかどうかということは非常に重大な事実であります。
 まず、サリンの残存の有無につきまして、法務大臣から明快な答弁をちょうだいいたしたい、このように思います。
#108
○前田国務大臣 国民の皆様にとりましても未使用のサリンが隠匿、保管されているかということは極めて御関心の高いところでございます。
 そこで、明確に申し上げたいと存じますが、サリン残存の有無につきましては、昨日も国家公安委員長から総理に対しまして、これまでの捜査結果を総合的に判断してサリンが残存している可能性はないと報告をなされておりまして、その際、私も同席をいたしておりまして、その報告を聞いておるところでございます。
#109
○冬柴委員 きのういただきました起訴状によりますと、麻原彰晃ほか六名の起訴状の冒頭におきましては、ジーヴァカ棟と称する施設内でサリンを生成した上、要旨でありますが、十一袋のナイロン・ポリエチレン袋に分包しまして、それぞれを地下鉄車内五カ所で、傘の先でせん孔、穴をあけて、そして中のサリンを漏出させ、そして発散をさせたというような記載があります。一つのナイロン・ポリエチレン袋に何グラムが内包されていたのかはここでは明らかにされておりませんけれども、いずれにしても相当量使用されたということがわかります。
 また、森脇佳子ですか、ほか一名の起訴状によりますと、クシティガルパ棟及び第七サティアン、このように称される施設内におきまして、サリン約二十キログラムを生成したものであるというような記載がございます。
 従来報道によりますと、オウムにおけるサリンの製造の直接担当者であった土谷正実被告は、サリンをつくったのは計三十キロで、地下鉄で十キロ近くを使い、残りは水と反応させて処分をしたというふうに述べていると伝えられておりますけれども、いずれにしましても二十キロという量は三千六百万人、実に我が国人口の四分の一強の致死量に相当するというものでありますから、大変重大な関心を持たざるを得ないのは当然でございます。
 この点、麻原逮捕直後の記者会見で、井上幸彦警視総監は、未使用サリンがどこかに保管されているのではありませんかという記者の質問に対しまして、我々も一番それを心配してこれまで捜査をたび重ねてまいったのですが、その後、これまでの捜査を続けていた中において、どうやらまずないのではないかという見通しを持てるに至ったということでありますと、明快に国民の不安を払拭されたのでありますけれども、その直後の村山総理の会見及び予算委員会における野中国家公安委員長の答弁は若干これとはニュアンスが違っていまして、大半は処分されたとの認識を持っていますが、少量の残存は否定していませんと、私も予算委員会で聞いておりましたが、なお国民に重大な不安を抱かせるに足る答弁であったと思うわけであります。
 それで、警察庁から、昨日もそのような認識を示されたようですけれども、麻原逮捕直後に、どうやらまずないのではないかという見通しを持てるに至ったということでありますという井上警視総監の発言の根拠について、もう少しわかりやすく説明をいただきたい、このように思います。
#110
○篠原説明員 お答えを申し上げます。
 御指摘の地下鉄サリン事件におきます麻原代表逮捕時におきます警視総監の発言につきましては、逮捕までの捜査によりまして、サリンの製造規模が、当初恐れていたよりもかなり少量ではないか、また一部廃棄という供述等もありまして、その辺を踏まえて述べたものでございますけれども、残存の可能性を全く否定したものではないというふうに理解をしておるところでございます。
#111
○冬柴委員 昨日起訴して、これから裁判が始まるわけですから、具体の証拠を明らかにしてということは、公判維持、また被告人ら関係人の人権の観点からも、また刑事訴訟法四十七条の立法趣旨からもこれは妥当ではないか。また、私も法曹の一員でありますから十分承知しているわけでありますけれども、先ほど来、るる申し上げてきましたとおり、本件は一億二千三百万以上の国民全員を人質にとったような事件である、このように言っても過言ではないと思うわけでございます。したがって、サリンの残存の有無を明快に国民が知るという必要性、重要件は、あらゆる法益を超える重いものではないか、このように思うわけでございます。
 まさに刑事訴訟法四十七条は、そのような捜査の過程においての知り得た秘密というのは明らかにしてはならないことを定めておりますけれども、ただし書きで、「公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない。」といっただし書きがあるわけでありまして、まさにこのサリンの残存の有無という事実を明らかにすることは、この公益上の必要その他の事情があって相当である、このように私は認めるわけでございます。
 そういう意味で、今できる限りのことは言われたように思うわけでございますけれども、警察庁、それから起訴をされておりますから法務省におかれましても、できるだけ、残存はおおむねないといいますか、おおむねでも微量でも、致死量というものは物すごい猛毒であるだけに不安ではありますけれども、もう少しこれは国民に、なるほどそういうことで残存はないと判断されているのかという判断ができる程度の証拠の開示は、私は、この刑訴法四十七条ただし書きの法意から見てもそうあるべきではないか、このように考えるわけでありますので、重ねてその点について法務省及び警察庁からお示しをいただきたい、このように思います。
#112
○篠原説明員 お答えいたします。
 御指摘の点についてでございますけれども、殺人罪等で関係者逮捕後のサリン生成に携わりました関係被疑者に対します詳細な取り調べによります供述内容、あるいは全国規模にわたります考え得る限りの捜索の結果、さらにはサリン製造にかかわります検証等の結果を総合的に検討いたしまして、現時点におきましては、サリンが残存している可能性はないものとの判断に至ったところでございます。
#113
○則定政府委員 残存サリンの有無につきましては、警察当局は、いわゆる犯罪の予防、鎮圧という観点から、相当精力的に広範囲に、これと思われる場所を捜索されたと承知をしているわけでございまして、今担当課長から報告ございましたように、その過程においてそれらしきものはないということが一つございます。
 その上で、検察といたしましては、今回のこの殺人及び殺人未遂と、殺人予備とを区別して公訴提起をしているわけでございまして、殺人、今回地下鉄サリンで使われましたそのサリンの製造過程、それから殺人予備にとどまっておりますサリンの製造過程、それらを詳細に証拠を検討したわけでございます。
 具体的な証拠内答についてこの時点で言及するのは差し控えるべきだと思いますけれども、やや抽象的に申しますと、サリン製造に従事した者らの供述、それからその保管状況、それからいわゆるプラント、ああいう附属施設のエネルギーの消費量等々を総合的に勘案いたしまして、一部の関係者が申しておりますいわゆる加水分解等々の供述の信用性等も考慮いたしまして、検察といたしましても、警察当局が発表されておる認識、評価というものについて同じ考え方を持っているというふうに聞いておるわけでございます。
#114
○冬柴委員 法務大臣からも、大事なことでありますので、一言その点に関する認識を明らかにしていただきたいと思います。
#115
○前田国務大臣 先ほどもサリンの残存している可能性はないという報告を申し上げたところでございますが、まさにサリンの残存につきましては、国民の不安の最も大きなものであると理解をいたしておりまして、さらに確実、明確に示せる努力も御指摘のとおりしてまいりたいと思っております。
#116
○冬柴委員 井上警視総監の発言と政治家である総理、国家公安委員長の発言が、微妙な点で同じ事実に立脚をしながらもやはり違ったということは、私も納得するわけですけれども、ただ、事柄が事柄だけに、現在知り得る結論だけではなしに、例えば警視総監が、まずはないのではないかという認識に至った根拠と、それから総理や国家公安委員長が少量の残存は否定していない、こういうふうに述べられた点の、どういう根拠からこうなったのかということはやはり国民が、同じ証拠であるはずでありますから、なぜそうなったのかということは非常に微妙な点であると思います。きょうの答弁でより明快に警察庁及び法務省、刑事局長及び法務大臣からも残存については否定をしていただいたということは、一つの前進であつだろうと思います。
 ただ、この起訴状を読んでも、地下鉄以外に二十キロつくられているということは否定できないわけですね、この起訴状を総合いたしますと。二十キロといったら、先ほども言いましたように、条件は違いますけれども、致死量としては三千六百万人という大変な人を殺りくするに足る量だということになってきますと、それを単にある人が水に反応させて処分した、こういうふうに言ったということを信じていいのだろうかということが心配になってまいります。
 そういう意味で、このサリンのような猛毒物質を容易に加水分解することができるのかどうか、そして分解すればその毒性というものはなくなるのか、そしてそういうものは地中に吸収されていくわけでしょうけれども、その周辺等に影響を与えるものなのかどうか、その点についての知見を適当な役所からお答えをいただきたいと思います。
#117
○掛林説明員 御説明させていただきます。
 サリンにつきましては、化学兵器剤として一九三〇年代にドイツで開発されたものでありまして、民生用途がないというふうに言われております。また、文献等によりますと、サリンは常温で無色無臭の液体で、気化しやすい物性を有して、さらに加水分解性があるというふうにされております。
 しかしながら、当省の調査では、これまで我が国の民間の事業所でサリンが製造されたということはございませんし、サリンそのものについての物性に関するデータも有しておりません。したがいまして、当省として、サリンの加水分解性等の物性につきまして、断定的に今の段階で申し上げられるということではございません。
 以上でございます。
#118
○冬柴委員 警察庁に無理難題申しますけれども、今までの捜査の過程で加水分解をしたということを納得しなければ、この起訴状と残存ゼロということとは合わないのですよ。つくられたということは、これは起訴状の中で言っているでしょう。
 先ほど挙げましたけれども、森脇佳子ほか一名の起訴状で、クシティガルバ棟ほか一カ所で二十キログラムを生成したということで起訴しているわけですね。これと、地下鉄で使われたものは、量はわかりませんけれども、それはジーヴァカ棟でつくられたものだ、明らかに別物ですね。
 そうすると、この二十キロというのはどこかにあるのか、それとも処分されて無害なものになっているのかということが明らかにされなきゃならないわけですけれども、先ほどちょっと答弁の中で加水分解をしたような趣旨を言われたのですが、それはそう信じでいいのかどうか。そう信じておられると思うのですけれども、それについての化学的な機序と申しますか、そういうものはどう判断、どういう鑑定があるのでしょうか。
#119
○篠原説明員 お答えいたします。
 先ほどの答弁につきましては、単に地下鉄サリンの関係のみでなく、それ以前の形も含めて総合的に、関係者の供述等を総合的に判断をしてということでございます。
 加水分解等につきましては、科警研等からの知見を得ておりますけれども、私の方でちょっと現在詳しくは承知をしておりません。
#120
○冬柴委員 これは二十キロのサリンの行方なんですよ。ありませんという結論は私ども伺いまして安心しましたけれども、起訴状に書かれたその事実、これは客観事実だと思うのですが、それと、その行方、いわゆるこれの発生したということはわかったのですが、これは滅却したということはどこも言っておられないのですよね。どういうふうな方法でこれを無害化したかということは明らかにされておりませんね。
 まあ、きのうのきょうですから、質問はこの程度にしておきますが、適当な場所で、大臣、ぜひこの事実、これは起訴しておられるわけですから、二十キロつくったということは、その行方についてやはり国民にわかるように御説明をいただきたいことを要請しつつ、次の質問に移っていきたいと思います。
 一番目に、国民がひとしく感じていることであろうかと思いますが、なぜ、こんな大規模な化学工場や、大量の毒物、劇物を含む化学薬品を保管し、しかもサリンの製造、使用をするまでに、このようなカルト集団の肥大化を許してしまったのかという点であります。
 まず、テレビ画面に映し出されるオウム真理教上九一色村の建物群、あるいはそれの中の化学工場と言ってもいいような様相、これを見て、一体これは、役所は、ここまでなるのに、だれもこれを立入検査をしたり、これをとめたりすることはなぜできなかったんだろうという素朴な疑問を持っていると思うわけでございます。
 順次伺いますけれども、ああいう建物をつくるについては、当然建築基準法上の建築確認、それからそれが竣工したときの竣工検査を経由して初めて利用ができると思うわけでございますけれども、これは建設省でしょうか、そのような手続はそれぞれとられたのかどうか、確認と竣工検査ですね、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
#121
○那珂説明員 上九一色村におけるオウム真理教関係施設につきましては、そのうち建築確認対象となる十一棟の建築物すべてにつきまして建築確認がなされております。このうち六棟については、検査済証が既に交付されている状況でございます。
 建築確認は、御案内のとおり、それぞれの建築計画が建築基準法その他建築関係法令に定めます基準に適合しているか否かを審査するものでございまして、これらの法令に定める基準に適合している場合には確認通知をしなければならないこととなっております。当該十一棟に関しては、建築計画の段階ではすべて基準に適合しているため、建築確認がなされたものでございます。
 また、建築基準法によりますと、工事完了後、検査及び検査済証交付を受けた後でなければ当該建築物を使用できないことになっております。この検査済証交付前使用などの違反の疑いのあったものにつきましては、特定行政庁である山梨県において、去る四月二十四日第十サティアンに対し、また今月の二日には第六サティアンと診療棟に対し、それぞれ警察の了解のもと立入検査を実施してきたところでございます。このうち第十サティアンにつきましては、使用禁止命令などの措置を講じてきたところでございます。
#122
○冬柴委員 今の御答弁で明らかになったことは、十一棟中六棟については検査済証が交付されているということは、竣工検査も終えて、確認された建築基準に適合した建物であるということで、使用をしてもよろしいということになったけれども、残り五棟については、設計段階の確認はとったけれども、その使用を始めるに当たって竣工検査を経てないという事実が明らかになったわけでございます。
 しかもそれを、四月二十四日ということは、もう随分、一斉の立ち入り捜査が始まった後一カ月ぐらいたってからこういうことを、立入検査がなされたということは、もう少し特定行政庁に対して建設省から、これは機関委任事務にしているんでしょうけれども、こういうものについての、日本国じゅうの建物全部やれというわけじゃないけれども、こういういろいろなおそれのあるものについてはもっときちっと決められた手順を踏んでやるべきである、私はそのように思いますので、その旨を徹底していただきたい、このように思います。
 それから、これは次は消防庁でしょうか、相当大量の劇物、毒物、危険物、こういうものが保存されていて、我々もテレビで驚くべき量が押収されているのを毎日見せてもらいましたけれども、こういうものがこういう場所に、特定の場所に固まって保存されていたということは、何か関係法令に違反するんではないでしょうか。
 それから、もう一つ重ねてお尋ねしますけれども、サティアンの中に、建てられた建物は建築基準法に違反してなかったかもしれませんけれども、中の間仕切りと申しますか、まるでハチの巣のように小さな場所に区切られて、入り口を閉鎖して、何か奥にはテレビがあって、あれ、火事があったら大変ですよ。もう逃げ場がないですよ。
 ああいう建物が許されているとは私は到底思えないのですけれども、その点について、何か許認可とか、あるいはそういうものがなされた場合にそれを規制するような何か法令があるんではないでしょうか。その点についてお示しをいただきたいと思います。
#123
○桑原説明員 最初の方の御質問、化学工場設備をつくるに当たって、消防関係の許可その他必要ではないのかという御質問でございますが、消防法は火災予防の見地から定めておりますが、化学工場の設備の建設そのものにつきましては、消防法で特に許可とか認可とか、そういったものを必要とするというふうにはいたしておりません。消防法におきましては、火災予防を目的といたしまして、火災の危険性の高い物質を危険物というふうに指定しておりまして、こういった危険物を一定の量以上貯蔵したり、取り扱う場合には、市町村長の許可を受けるということになっております。
 今回のオウム真理教関係の施設につきましては、物によりましては、地元の消防機関に対して教団側からそうした危険物の貯蔵、取り扱いについての許可申請が出ているものもございましたし、消防機関の方でオウム真理教の関連施設でそうした危険物が無許可で貯蔵されているという事実を把握した場合もございます。そうしたものにつきましては、消防関係法令に基づきまして、適切な対応がとられたところでございます。
 しかしながら、今回の一連の捜査の過程におきまして押収されました物質の中には、消防法の危険物の指定を受けておりながら、違法に貯蔵されていたというものもあったわけでございます。私どもといたしましては、関係消防機関に対しまして、消防法違反の事実については可能な限りその把握に努め、消防法の適正な執行、適切な処理を行うように今後とも指導していきたいと考えております。
    〔委員長退席、中島(洋)委員長代理着席〕
#124
○那珂説明員 お尋ねの後段の、サティアン内につくられております小部屋に関する件でございますが、これらの小部屋が建築基準法上適法なものかどうかということでございますけれども、それにつきましては、当該小部屋を含めた建築物全体の用途、構造等により判断されるものでございまして、現在の当該建築物の使用状況、構造、設備等の状況、これらを具体的に検査し、精査しなければ、違反であるとか、適法であるとか、一概には判断できないものでございます。
 なお、この小部屋につきましては、先ほども申し上げましたが、小部屋があります第六サティアンにつきましては、二日に立入検査を実施したところでございまして、現在その結果を精査中でございます。これによりまして違反の事実が判明した場合には、法令の規定に従い必要な措置を講じるよう、特定行政庁を強く指導してまいりたいと思います。
#125
○冬柴委員 たくさん仕事が全国であるわけですから、余り細かくは申しませんけれども、先ほど二日にというのは、今月二日ですよね。遅いんですね。国民として、こういう重大なものに肥大化するまで、あんなものになるまで、いろいろな役所が関係するはずなのに、それがなぜあんなことになったんだろうという国民の疑問に答えるためにも、法の執行という意味では、どこもここもとはまいらないとは思いますけれども、特にこういうような、今から申しますが、もう数年前から大変話題になっているこういう閉鎖的な集団の中の問題ですけれども、法の許す限りそういうものの未然の防止と申しますか、法の許された範囲ではありますけれども、そういう手続をおとりいただければということを今思うわけであります。ぜひ関係行政庁を督励して、この点について違反事実があれば、そういうものは改めさせるようにぜひ指導を重ねていただきたい、このように思います。
 次に移りますが、今度はその建物だけではなしに、オウムが行ったんではないかというふうに疑われる犯罪事実というものがたくさんあったわけですね。そういうものが今回の一斉捜査まで、極端に言えば地下鉄にサリンがまかれるまで、なぜ放置されていたんだろう、なぜもっと捜査に早く着手されなかったんだろうということが国民の大きな疑問になっていると思うわけであります。
 同僚委員もいろいろ指摘されましたので、この点については簡単に申し上げますけれども、坂本弁護士一家拉致事件でございます。あるいは失踪事件といいますか、これについては、数年間に及ぶ捜査が重ねられたけれども、結局犯人逮捕に至らずに、今日、オウムの犯行ではないかということが徐々に明らかにされつつあるという報道があるわけです。この事件をとりましても、あの坂本弁護士のお母さん初め弁護士会挙げて、全国にいろんなチラシを持って訴え、多くの人がこれに対して重大な関心を持っていた事件であります。これに対して犯人検挙、あるいはオウムに迫る捜査がなされなかったということは非常に残念でございます。
 次に、平成六年三月二十八日、ですから去年の三月、宮崎県で旅館を営む六十三歳の男性がオウム真理教の関係者に拉致されたという事件がありました。この事件には告訴はあったと思います。しかし、今日までどのような捜査が行われてきたのか。きょうの報告を聞きますと、刑事局長報告第三項冒頭の営利略取事件がどうもそれの事件のように私は理解するわけですけれども、昨年三月に起こったこの事件、どのような捜査がなされて今日に至ったのか、その点について国民は大きな疑問を持っていると思いますので、警察庁の方から御説明をいただきたいと思います。
#126
○篠原説明員 お答え申し上げます。
 お尋ねの事件は、昨年三月、宮崎県小林市内の旅館経営者が、オウム真理教の信者であります娘や同教の関係者らに居宅から連れ去られて、五カ月近く不法に監禁された上、お布施を強要されたという事件でございますけれども、昨年の九月に本人から宮崎県警に告訴がなされております。
 それで、宮崎県警におきましては、事件の認知後、関係者からの事情聴取など所要の捜査を進めまして、オウム真理教の医師ら数名の被疑者の特定ができたということで、本年の四月十一日に強制捜査に着手をして、これまで五名を逮捕するとともに、一名を指名手配をしているところでございます。
#127
○冬柴委員 この点についてはまだ後にも触れますけれども、昨年の九月に重大な、この事件に関する詳細な怪文書といいますか、関係者でなければ知り得ないような克明な事実が記載された怪文書が公にされているという事実があります。これが警察庁にいつ到達したのかわかりませんけれども、なぜ四月まで、本年四月十一日まで捜査に着手できなかったのか、その点について私も残念に思っている一人であります。
 これは起訴もされたわけですから、これ以上尋ねませんけれども、次に、平成六年六月二十七日、約一年前ですけれども、松本市の閑静な住宅街で、どうもこれは裁判官宿舎をねらってやられたのではないかという、非常に戦慄を覚えるような、司法関係者にとっては大変なことであります。これから、麻原彰晃ほか九十名にも及ぶ人たちを起訴しているわけですから、そういう裁判が諸所で行われるわけですけれども、民事裁判の裁判を現に担当している裁判官宿舎が標的にされた疑いがあるこの松本サリン事件、法曹関係者にとっても一般市民にとっても重大な事件でありますが、これについては告訴、告発があったのかどうか、警察は今日までどんな捜査を行ってきたのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
#128
○篠原説明員 いわゆる松本サリン事件につきましては、告訴、告発ということではございませんで、事案の発生以降、長野県警におきまして捜査本部を設置をして、証拠保全措置、あるいは聞き込みなどの目撃情報の収集、あるいは薬品の販売ルートの解明について捜査に当たってきたところでございます。
 オウム真理教との関連につきましては、現在それを視野に入れて捜査を行っているところでございます。
#129
○冬柴委員 この松本サリン事件と宮崎の旅館経営者拉致事件につきましては、文芸春秋あるいは週刊朝日で怪文書の全文が掲載されております。この怪文書の中には、日付は「一九九四年 九月某日」と書かれまして、「HtoH&T・K」というような匿名で書かれたものがテレビあるいは新聞等に送りつけられてきたということが伝えられております。
 この文書の中では「一九九四年 九月某日」と書いてあるわけですけれども、こういうものは警察庁は入手されたのかどうか、そしてもしそういうものを入手されたとしたら、それは日にちは「九月某日」ですけれども、実際にそういうものを認知されたのはいつなのか、その点についてお知らせをいただきたいと思います。
#130
○篠原説明員 お答えいたします。
 御指摘の文書につきまして警察庁が認知をいたしましたのは、本年一月でございます。
 この文書につきましては、私どもの方、捜査におきましてさまざまな資料を総合して検討する材料ということで、参考にしておるところでございます。
#131
○冬柴委員 私も、これは読みましてびっくりしたのですけれども、例えば宮崎の旅館経営者が拉致されて、車に乗せられて東京の中野のオウム真理教の診療所まで搬送されて、その間、先ほどの起訴状にも書いてありますけれども、強制的に麻酔剤を打たれて昏睡状態のもとに搬送されたというような恐ろしいことがそのとおり書かれているのですね。
 そして、関係者でないとわからないと思うのは、これが運転を誤って途中で脱輪をしてJAFを呼んだとか、そのためにおくれた時間で昏睡状態に陥っている旅館経営者が麻酔から覚めてしまったらいかぬので、一度上九一色村の診療所に立ち寄ってもう一度麻酔薬の補充をしたとか、相当詳しいことが書いてあるのです、それが事実かどうかは別として。
 それが昨年の九月ということになりますと、こういうものがどういう人によってここまでのことが書かれたのか。それから、サリンの製造の問題につきましても非常に詳しいですね。サリンの化学記号もここに書かれておりますし、しかも、一番私の目を引いたのは、まだ地下鉄で使われていない時期ですよ、これは一九九四年九月ですし、警察庁が認知したのが一九九五年一月、ことしの一月だということになれば、地下鉄サリン事件は三月ですから、起こる以前の話ですけれども、そのときにこういうことが書いてあります。
 「松本ケース」が何らかの実験的要素を持っていたことは、否定できない。「開放された空間・オープンスペース」での「結果」が、七人死亡、重軽傷者、二百名以上。もし、これが、「閉ざされた空間・クローズドスペース」たとえば、満員の地下鉄や」と書いてあるのですね、「巨人戦の行われている東京ドームなどで、サリンが放出されれば、その結果が目を覆うばかりの惨状となることは、容易に想像がつく。」これはそのとおりのことが行われた結果、目を覆うような惨状が起こってしまったわけです。
 今、警察庁の方からは、この怪文書と言われるものについても捜査の参考にされた、そしてそういうものについても十分重く扱ったという答弁がありましたので、これ以上のことは申しませんけれども、一月時点でこういうものが認知されれば、なぜオウムによる地下鉄サリン発生事件というものについてもっと防御できなかったのだろうかということが悔やまれてなりません。
 私は、過去に起こったことよりも、将来こういうものが再び起こらないようにするということを考えていかなければならないと思うわけですけれども、三月二十二日以降の警察の身を挺しての昼夜を分かたぬ捜査、そして教祖麻原を含む多数の関係者を逮捕されて昨日起訴にまでこぎつけられたということの事案解明への非常な努力には心から敬意を表しますし、国民の一人として感謝はいたしますけれども、捜査着手のおくれについては、なおその原因とかこういうものをただしていかなければならないということは明確に申し上げておかなければならないと思うわけであります。
 さて、最後になりましたが、本質的な私の疑問を申し上げたいわけであります。
 それは、麻原被告人はどんな背景、動機に基づいてサリンを製造して使用したのだろうかという、いわゆる動機でございます。銃器やレーザー兵器、細菌兵器の研究や製造、覚せい剤の製造販売、出家の強制や脱会者に対する拉致、薬品の強制使用、あるいは反オウムの立場をとった人々に対する拉致等々、もう数限りない違法行為を敢行しているわけでありますが、一体どうしてという素朴な我々の疑問に対しては、これほどはんらんするマスコミ、あるいは捜査当局の口からも語られていないように思うわけでございます。
 起訴状には動機は書かれませんでしたけれども、近く行われるであろう第一回公判期日になりましょうか、検察官は冒頭陳述という形でこの動機については明らかにされた上、それを裁判の過程で立証する責任を負っていられるわけでありますが、現時点で結構ですが、起訴状一本主義ということでなかなか語りにくいと思いますけれども、端的に言って、何でこんな、なぜなんだろう、こういうものについて刑事局長、言いかがですか。
#132
○則定政府委員 地下鉄サリン事件を初めといたします一連のオウム関連事件がなぜ連続的に敢行されたのか、この点について確かに重大な関心を持って今後究明していく必要があると思っておるわけでございますけれども、何分、一連の事件ということを見通してみますと、現段階はいわゆる捜査の第二段階あたりかな。
 つまり、三月二十二日に一斉に捜索が行われ、関係者が相当幅広く検挙されたわけでございます。五月の中旬に至りまして、地下鉄サリン事件の殺人、殺人未遂ということで関係者が多数検挙され、昨日その多くの者が起訴されたわけでございます。今後、いわゆるオウム関連と思われる事件について順次捜査当局において解明していくことになるわけでございまして、大胆に予測いたしますと、第二、第四、第五ぐらいの段階というのがあり得るのかな、法務当局としてそういう感じがしております。
 そういう全体像を解明いたしました場合に初めて、一連の事件がどのような背景でどのような目的で行われたのか、ある程度捜査当局として強い心証形成に至るのではなかろうか。現時点におきましては、せっかくのお尋ねでございますけれども、軽々にこうではなかろうかということをお答えするのは差し控えるべきであろうと思っております。
#133
○冬柴委員 麻原彰晃がなぜこういうことをやったかという疑問とともに、私は、こういうことも疑問に思っております。
 なぜ大量殺人にしか使用目的のないサリンというものの製造に、優秀であって高学歴の科学者たちが没頭して研究をし、そしてそれをついにつくり上げたのか。この人たちには内発的な規範意識、こういうことをしてはいけないのだ、やめようというブレーキはきかなかったのかどうか。これがなぜ働かなかったのだろうかというのは、いわゆる現在の豊かさの陰に潜む精神の荒廃なのかな。こういう恐ろしいことを、教養もあり高学歴の人がなぜやれたのだろう。
 それからもう一つは、身体を拘束されて非常に弱い立場にある人に対して、優秀で高学歴の、しかも資格を有する医師が自白剤とか麻酔剤という薬物をなぜ注射できたのだろう。この人たちには医師としての医道、自律規範というものがなぜ働かなかったのだろうかということが私にはわかりません。もっと恐ろしいことは、人の傷をいやし、また人の命を助けることが使命のこの医師たちが、なぜ満員の電車の中でサリンを発生させ人を殺傷するということをやってしまったのだろう。この人たちにとって良心、規範意識というものは、この人たちのこの行動をなぜとめられなかったのだろうということを思います。
 それからまた、基本的人権の擁護と社会正義の実現、こういうことに使命を有する弁護士が、なぜ人の名誉を公然と毅損する、しかも重大な虚偽の事実を挙げて毅損をした。こういうことはもちろん刑法に違反する行為でありますし、重い罰則もあります。そういうことを百も承知の弁護士が、なぜこんなことができたのだろうということも私にはわかりません。また、空挺隊員という自衛隊きっての精鋭が、なぜ隊の秘密をオウム真理教に漏らしたのだろう。
 また、重ねて言えば、旅館経営者は略取誘拐されたわけですが、その共犯者の中に実の娘がいるというのは悲しいことです。また、日劇のスターが実の娘を拉致し監禁して薬物を施用したということも、本日報告の起訴事実の中に書かれています。大変悲しいことですが、いわば人倫の基本といいますか、自然法的な規範意識までこの人たちの行動をとめることができなかったのはなぜなのだろう。
 なぜなぜをたくさん挙げまして、禅問答のようになりましたけれども、一言政治家としての法務大臣の御意見を伺いたいと思います。
#134
○前田国務大臣 まさに私どもにとりましても、常識をはるかに逸脱した行為がなされたわけでございまして、先生おっしゃるとおり、一体なぜという疑問が今日私の心の中にも大きくございます。これだけ、中には学歴を持った優秀な人がなぜ社会常識を持ち得なかったのだろうか、人間としての心や命の尊厳ということが全く頭の中にないのだろうか、極めて疑問以上に、想像もできないことであろうと思っております。
 いずれにいたしましても、捜査当局におきまして、動機あるいはその背景を含めて、全容解明に向けて捜査中でございまして、いずれ捜査が終局に近づいた段階でそれなりの論評が行われるのではないか、かように思っておるところでございますが、大変科学技術、もろ刃の剣という感も強くいたしておるところでございます。
#135
○冬柴委員 これに対し私も、いろいろこのなぜなぜを思い詰めた結果到達したと申しますか、考えは、やはり社会と隔絶した閉鎖的共同体を形成したところに非常に大きな問題があるのではないか。その閉鎖的共同体、ミニ国家、類似国家、まあコミューンといいますか、そういうものの中の規範というものは、外の規範とはまた別のものに感じてしまうのかな。
 その中に帰属した人たちにとってはその固有の規範というものがあって、それには例えば麻原のような教祖というような方の言葉というものもありましょう。そういうものが、いわば内の規範というものと外の規範というものが別々になってしまうのではないか。そうすると、そういうものがもし正しいとするならば、外の規範である国家の法律を、我々が幾らこういうことを二度と起こさないためにということで強化しても、この中の社会には全く無縁のことで、それは外の規範を強化したって、そういうものに拘束されないという心理が働いてしまうのかなということを私は感じるわけであります。
 そうすると、中は選民意識というものを持ち、外は濁悪、汚濁の社会であるからいずれ滅んでいって、中は残るんだという、ハルマゲドンですか、初めて聞いたような思想ですが、そういうことが笑い話ではなく、中の人たちにとっては大まじめに、十分に規範意識を持ってあろう高学歴の教養も知性もある人たちですら、外の規範には一切拘束されない、親族という自然法的な規範意識までこちらの内の規範の方が優先してしまうという社会を形づくったところに、この問題があるのではないかというふうに思うわけであります。
 そうすれば、たまたまオウム真理教は宗教教団ですけれども、こういうことは宗教教団固有の問題なのだろうかということに思いをいたしたときに、これはもう私は名前も挙げませんけれども、きょう農林水産省に来ていただいたのですが、ちょっともう時間がありませんので、恐縮ですが私から申し上げますと、ある農事組合法人という組織がありまして、これはやはり相当社会と隔絶した閉鎖的共同体となっておりまして、入会するためには、一週間の特講というイニシエーションを受けて入るようになっているようでございますし、また、そこへ入ってくるためには、所有する全財産を拠出して、そして親子が別々に終生作業にいそしむ。これは別に犯罪集団ではありません。名誉のために申し上げます。ただ、古くはこの集団にも、伝えられるいろいろな、例えば拉致監禁事件というものがあったというふうには聞いていますけれども、現在はそういうことはありません。
 こういう社会と隔絶した、ミニ集団というか、集団というものについて、結社の自由というものが憲法上保障されていますからそう軽々にはできませんけれども、関係省庁、例えば建設省でいえばそういうものが持つ建物について本当に法令がきちっと守られているのかどうかとか、そういうものは不断にきちっと知っておかなければならないのじゃないか、そうじゃなければこういう特異な事件がまた起こる可能性があるのじゃないかという感じも私は受けました。そういうことで、なぜというものについては、刑事局長、またこれから裁判で明らかにされると思いますけれども、私としてはそういうことを考えたということも申し上げておきたいと思うわけであります。
 時間が終了しましたけれども、一つだけ申し上げたいのは、宗教法人法による解散命令の問題であります。これは、現在、申し立てについてすぐ証拠を全部開示をしなければならないような趣旨が言われていますけれども、私はそうじゃないと思います。これは非訟事件手続法でやられますから、裁判は非公開です。しかも、職権探知主義をとられます。
 したがいまして、今回、教団としてこういう重大な犯罪を行っている、これは宗教法人法第八十一条一項の一号に該当するということで解散を求められたらいいと思います。私は、そうすれば、その中で職権探知によって裁判所から、非公開で、証拠を開示しなくてもいい状況のもとに裁判は進められるであろうというふうに考えていることを申し添えまして、私の質疑を終わります。
 どうもありがとうございました。
#136
○中島(洋)委員長代理 山本拓君。
#137
○山本(拓)委員 きょうの質問ほど難しい質問はないわけでありまして、朝から大体同じテーマで質問するわけですから、答える方もいわゆる裁判というものが一つありますからなかなか難しいとは思うのですが、難しいということになったらこれは委員会が成り立ちませんので、何か質問しなきゃいかぬなということで考えてきたのです。
 まず大臣に率直にお尋ねしたいのは、今回のオウム真理教、麻原彰晃を代表とする教団全体の組織犯罪かどうかはまだ明確にならないのかどうかは知りませんが、麻原彰晃を代表とするオウムの反社会的行為というものが行われているという認識を、大臣としてお持ちになったのはいつごろなんでしょうか。
 極端な話、例えば地下鉄サリン事件や拉致事件の犯人が一人、二人捕まりましたね、だからその認識を一般の我々と同じレベルで知ったのか。我々、マスコミ、マスコミが一番詳しく報道していますけれども、それは半分事実関係があいまいなところで報道しているわけです。要するに、法務省、国民の生命財産を守る主要な大臣の一人として、いわゆる全容はいずれ明らかになるでしょうけれども、うわさは前からありましたね、だからそういう中で法務省独自の捜査を含めて、そのトップの大臣としてオウムの犯罪というものを認識したのは大体いつごろかなということだけ、ちょっとまずお聞きしたいと思います。
#138
○前田国務大臣 国家に対する、また、反社会的、組織的事犯という認識を持ったのはいつか、こういうことでございますが、新聞報道等でそれまでも承知をいたしておりましたが、ある意味でその認識を持ったのは、三月二十二日でございましたでしょうか、強制捜査に着手されて、その認識を新たに深くいたしたところでございます。
#139
○山本(拓)委員 ということは、三月二十二日の強制捜査が行われるまでは、大臣として、要するに何らかの情報または調査機関、法務省もいろいろ持っていますね、そこからの一連の情報収集、そういったものをベースにした認識はなかったということでよろしいのでしょうか。
#140
○前田国務大臣 なかったということではございませんで、問題意識を持って情報収集をしておったということでございます。
#141
○山本(拓)委員 その問題意識を持って情報を収集しておったというのは、法務省の内部でしておったということですか。
#142
○則定政府委員 私ども事務当局といたしましては、オウム関連事件というのは、第一義的には警察捜査が主体になるべき犯罪でございますが、事件の性質上、やはり検察当局とそれなりに事前の協議を行っているのが通常でございます。
 そういう過程で、三月二十二日が一斉捜索の日でございますが、それに先立つある段階でといいましょうか、そういうことになりそうであるということは、大臣に私の方から報告しておるわけでございまして、その時点におきましては少なくとも大臣におかれては、オウム真理教関係者がいわゆる反社会的行為に出て、それによって犯罪の嫌疑を受けておるという認識を持たれたというふうに私は考えておるわけでございます。
#143
○山本(拓)委員 局長が大臣に報告されたのはいつごろなんでしょうか。
#144
○則定政府委員 これは三月二十二日の直前というふうに記憶しております。
#145
○山本(拓)委員 その直前というのは、一週間以内という意味でしょうか
#146
○則定政府委員 そうでございます。数日前という感じでございます。
#147
○山本(拓)委員 そうすると、逆算すると三月二十二日の数日前までは、要するに法務省として、そのトップである大臣としてそういう問題意識はなかったと、確証を持った。
 一般の新聞とかマスコミなんかは、もう昔からあふれていましたから。しかし、それは我々も知ることですね。しかし、我々が知ることと、要するに大臣が知ることと、同じ代議士であっても今や責任の重さが全然違うわけですから、その立場の人が法務省の一連の組織の中でオウムに関して報告を受けたのは三月二十二日の二、三日前だった、そういう認識でいいですね。
#148
○前田国務大臣 それ以前につきましては、警察において捜査を鋭意されておるという理解でおったところでございます。
#149
○山本(拓)委員 警察は当然警察、ここは法務委員会ですから、私は、きょうは警察は要らないよ、法務省だけにお聞きしますからということを申し上げていますので、これ以上のこと、いや、一つ一つちょっと確認をしていきたいということでございます。
 ところで、この一連のオウムの事件というのは、今回は殺人未遂とか殺人とか、地下鉄サリン事件にかかわる案件で起訴をされているわけでありますが、一部報道されますと、これは内乱罪に相当するような事件だったのではないかな、いわゆる国家転覆をはかるという意図があってやったというふうに私は思っているわけであります。
 これは、事務当局は積み重ねでやっていますから局長にはお聞きしませんけれども、大臣は政治家でありますから、政治家としてそういう問題一識というものを持っておられるのかな。単なるこれが、一つ一つの拉致事件とか殺人事件とか誘拐事件とか、一応事務当局はそういう個別で裁判を行いますけれども、やはりそれですべてやっていったって、これは再発防止もできないし、それだけで終わってしまうわけですから。だから、統括して、やはり虫の目と鳥の目という言い方があるように、現場サイドでは虫の目で細かく積み上げていく必要があるし、やはり政治家たるものその上に乗っかっていたのでは、逆に要らないわけですよね。法務大臣、刑事局長が兼ねた方がいいという話になってしまいますから。
 だから、やはりそういう意味で、これから明らかになっていきますけれども、大臣として今回の事件、どういう認識を持っておられるのか、また、将来的に内乱罪、明らかになれば適用するというような性質のものなのかどうかという認識をお持ちかどうかをまずお尋ねいたします。
#150
○前田国務大臣 法務大臣、政治家の立場といたしましても、法務大臣という以上、すべて法と証拠に基づいて判断をするというのが、かつ冷静に判断するというのを私はみずからつけ加えておりますが、それが職員であろうと考えておることでございまして、何よりも、真相解明を一日も早く図るということと同時に、再犯を防止しなければならないという極めて大きい問題意識を持って今日まで取り組んできておるところでございます。
 また、この捜査も、昨日麻原彰晃等につきましては公訴が提起されたところでございますけれども、まだこの捜査もある意味では緒についたというところでございまして、今後引き続き、一連の事犯について、警察と緊密な連絡をとりながら、全容解明に向けて捜査を鋭意行っていかなければならないと考えておるところでございますし、その真相解明されていく中で、今後、警察、検察とも連絡をし、また公安調査庁での調査に基づき、しかるべき罰則を適用するかどうか、判断を厳正にして処分を行っていかなければならない。この判断と処分については、政治家というより法と証拠に基づいてということになろうと確信をいたしております。
#151
○山本(拓)委員 確かにおっしゃるとおりだと思うのですが、では、一つ一つ。
 マスコミ等の報道で、例えばロシアヘ行って戦車を買う話をしておったとか、自動小銃を密造しておったとか、そういう報道がなされていますけれども、こういった事案、まあ報道ですからあくまでも報道で、こういった一般的に報道されている、いわゆる常識的に考えればサリン事件だけではないという案件がいっぱいありますよね、単なる殺人事件ではないという。だから、そこらの事実関係は、要するに警察ももちろんやるでしょうけれども、法務省にも公安調査庁、例えば公安調査庁なら公安調査庁で、そういった事実確認はしているのかどうか、その点お尋ねをしたいと思います。
#152
○緒方政府委員 お尋ねのことにつきましては、私どもの関心度について申し上げたいと思います。
 新聞、週刊誌その他でいろいろと報道されております。それはどの程度事実に当たるかどうかということにつきましては、私どもも重大な関心を持って一つ一つ所要の調査を進めているところでございます、
 なお、オウム真理教につきましては、破防法に公安調査庁の目的が書いてございますけれども、公共の安全確保に寄与するというのが最終的な目標でございます。そういう意味で、私どもは、オウム真理教が地方自治体といろいろとトラブルを起こしたその時点から一応注目はしてまいっておりました。
 ただ、今回、三月二十日以降に捜査によって判明してきたこれほどの刑法的な各法典に触れる犯罪を現実にやっているかどうかということについては、私どもの調査手法はあくまでも任意の調査でございまして、捜索・差し押さえをするとか逮捕するという権限は持っておりませんので、言ってみますと、外周からずっと調査をしておったということになろうかと思います。そういう意味で、おのずから事実解明の深さ、浅さという点においては限度があったということは御理解いただきたいと思っております。
 ただ、公安調査庁といたしましては、発足当時から現在の状況を考えますと、時代はどんどん変わってきております。常にその時代に即応した形での公共の安全の確保ということを考えなければならないということで、その一連の中で、公安全体あるいは公共の安全全体にかかわる情勢についてはやはり注視して調査を進めるということをモットーとしてまいっております。
 ただ、先ほど大臣に、三月二十日以前はどうかというようなお話ございましたけれども、私どもは、先ほど正直に申し上げましたように、これほどの刑法犯が行われている教団である、実態がですね、そこまでは十分認識しておりませんでしたので、大臣にそこまでずっと調査してまいったことについては必ずしも明確な御報告を申し上げていなかったということでございます。
 この程度で答弁を申し上げて、御理解いただければ、かように思っているところです。
#153
○山本(拓)委員 法務省として、一連の事件、昨日起訴されました。当然、起訴ということは十分自信を持って起訴しているわけですね。要するに、法務省として、今回の事件に限ってですけれども、起訴した内容については、結果は裁くのは裁判所ですけれども、行政サイドとして、国の要するに、権限は法務省しかないわけですからね、外務省が起訴しようったって無理なわけですから。だから、その責任者である行政の担当責任省が起訴したということは、これは当たり前の話ですけれども、確認ですけれどもね、刑事局長、自信を持って起訴しましたね。
#154
○則定政府委員 実は、起訴いたしましたのは、検察庁所属の検察官がその権限で独立して行うわけでございます。
 けさほどの別の委員の御質問にお答えさせていただきましたように、検察といたしましては、この一連のオウム関連事件を含めまして、裁判にかけた場合に高度に有罪の可能性があるものについて初めて公判請求手続といいましょうか、起訴手続をとっておるわけでございます。今回の事件につきましても、その同様の視点で的確に判断した上で公訴を提起したもの、こういうふうに私どもは受けとめておるわけでございます。そういう意味で、検察としては、いわば自信を持って公訴を提起した、こう理解しておるわけでございます。
#155
○山本(拓)委員 ということは、法務省、検察として十分に自信を持っている、これは当たり前のことだと思うのですが、ただ、法務省としては、これから判断される、法務省として、行政処分とか、行政的に一連の事件を処分というか、調査を進める上で、起訴をしたということは、要するに、今後とも起訴する範囲においては、これは裁判の結果を待つまでもなく、これは行政の範囲の中でもう自信を持って判断をしていくという、要するに、法務大臣なら法務大臣の所管する内部の権限については、裁判の結果にかかわることなく、起訴したという事実だけで判断していくというふうに理解してよろしいですか。
    〔中島(洋)委員長代理退席、委員長着席〕
#156
○前田国務大臣 起訴した事実については自信を持って法務省としてというお問い合わせでございますが、起訴いたしておりますのは、正確にかたく申し上げれば検察官でございます。検察官は、有罪判決を得ることができるという高度な見込みがある場合に初めて起訴をいたしておるということでございまして、かたく申せば法務省としてはそういう理解をして取り組んでおるということになると思います。
#157
○山本(拓)委員 要するに、今回破防法、先ほど公安調査庁長官がおっしゃいましたけれども、破防法の調査団体に指定されたわけですね。この破防法の目的というのは、今ほど御答弁ありましたように、いわゆる公安の維持を守る、治安を守る、平たく言えば国民の生命財産を守るための未然防止をするということだろうと思うのですね。
 裁判というのは捕まえた犯人の犯罪を明らかにするわけですから、やはりその犯人の一生にかかわりますから、これは時間をかけて十分、一審、二審、三審という制度がありますから、それは当然理解できるのですが、いわゆる行政処分というのは、要するに行政側の判断は、これは慎重には慎重を期さなくてはなりませんが、私が申し上げたいのは、未然防止という観点からいくとそうのんびりとしていられないのではないかということを申し上げているのですね。いろいろな、表現の自由とか、自由は日本は保障されていますからそれは守っていかなくてはなりませんが、やはりそれは裁判での判断の時間と、行政の長たる大臣が最終的に判断を下すかどうか知りませんけれども、その判断の時間は、これはおのずと変わってくると思うのですね。慎重さの中身、質が違うと思いますね、目的ですから。
 そういう意味で、これは私、ちょっとさっきお話が出ましたから重ねてお尋ねしますが、公安、破防法調査団体に指定して、そして団体を取り消すかどうかは別な独立した委員会でやるのですね。その独立した委員会でやるから、取り消すかどうかというのは長官が判断するのか、そこはちょっともう一回確認したいのですが、この破防法の請求ですね、委員会に請求する権限というのは、最終判断はだれがするのですか。
#158
○緒方政府委員 委員の御質問は二つの点であろうかと思います。一つは、公安調査庁長官が調査対象団体に指定したこと、この要件、効果、もう一つは、破壊活動防止法による団体規制の請求権者はだれかということであろうと思います。
 第一点につきましては、これは対象団体に指定する行為というのはあくまでも公安調査庁の内部の規定でございまして、行政処分の効果は生じるものではございません。それぞれ公安調査官が調査を進めていく上で、個人の恣意的にわたってもいけませんし、効率的な点も考えなければならないので、暴力主義的な破壊活動を行うおそれのある団体であるというふうに 認められる団体につきましては、長官の方で調査官に対してこういう団体を調査しなさいということを指定するという行為、それだけでございます。したがいまして、その調査は、時期によっては対象団体を取り消すこともございますし、新しく追加していくこともある。しかし、あくまでも外部的にその団体に対して何らかの効果が発生するものではないということでございます。
 それから第二点の、団体規制の請求でございますが、これは公安調査庁長官が公安審査委員会に対して団体規制の請求を行うということになっております。公安調査庁長官の請求に基づいて公安審査委員会が審査をいたしまして、これに対して、審査の結果当該団体を解散させた方がいいという場合には解散命令を、あるいは当該団体の団体行動をある一定の時期、一定の方法によって活動を停止させた方がいいという場合には団体活動の停止の命令を出すことになっておりますが、これもいずれも行政処分ということでございます。そういう意味では、公安審査委員会に団体請求をしたときに、それなりの資料を出して、審査委員会の方で御納得いただければ命令を出すし、これではだめだと言えば命令を出さない、こういう関係になってございます。
#159
○山本(拓)委員 そうすると、長官がいわゆる請求を出すか出さないかという判断をするということでよろしいですか。
#160
○緒方政府委員 法律的には規制請求権者は長官になってございますが、公安調査庁といたしましても法務省の外局でございます。法務大臣の指揮監督を受けますので、請求は長官名でやりますが、当然部内的には意思の統一がなければできない、かように思っております。
#161
○山本(拓)委員 そうすると、大臣、調査団体指定をしました、指定をしたということは委員会に請求をするという前提で指定していると思うのですね。先ほども申し上げましたように、この請求については、するかしないかということに関しては裁判の結果にかかわらず、要するに内部の検討の結果するということですね。
 ということになりますと、先ほども言いましたように裁判は何年かけても仕方ない。しかしこれは要するに、慎重には慎重というのはわかりますけれども、何年もかけてもらっては逆に、再発防止ですから結論は早目に出すべきであろう。そういう意味では、めど的には大体どのくらい時間が必要なのですか。一年、何ケ月、それともそれ以上かかる、そういった方針ぐらいは、時期のめどというのは政治判断が必要になるのではないかというふうに思いますので、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#162
○前田国務大臣 まず、その調査指定は、破防法による活動停止命令、解散命令等々をするかどうかという調査でございます。
 それから、その判断、あるいはいつするかという御質問でございますが、これにつきましては、今後の捜査における解明、警察、検察の捜査の状況に加えて、公安調査庁の調査をあわせて判断することになると思いますので、捜査状況の進展ぐあいによって、判断される時期というのはおのずと決まってくる、かようになると思っております。
#163
○山本(拓)委員 確かにそれ以上突っ込んだってもう答えてもらえないということはわかっているし、また答えるのがいいのかどうかも私もわかりません。私がお聞きしているのは、するかしないかもそこで決めるということですけれども、捜査状況といっても全体の、先ほどの最初の質問に戻りますけれども、やはり殺人事件とか誘拐事件とかいろいろな問題、これから逮捕した人から供述を受けて、証拠をそろえて起訴していきますね。
 それで最低限破壊活動防止ですから、国家転覆を図ったと言われてもおるわけですから、だから大臣としてそこはどの程度、これはなかなか行政判断ではできないと思うのですよ。確かに大臣も政治家であり行政の長ですから法律にのっとらなければいかぬと思いますが、どちらでもやはり判断できるという案件でもあろうかと思うのですね。
 だから、その捜査状況、捜査状況はわかるのですが、いわゆる必要最低限の事件、今回は殺人をやりました、そして誘拐もやりました、そして今度は組織犯罪か個人犯罪かということもまた見きわめなければいけませんね。だから、法務省が感じる、ちょっと素人だから教えてほしいのですが、個人犯罪で逃げようとする、いや、これは組織犯罪だという認定をしようとするわけですね。そうすると、組織犯罪と個人犯罪の判断基準ですね、例えば今回の場合は麻原彰晃代表がかかわってきた、これもやはり起訴しているわけですから、代表がやはり起訴された、起訴したということが一つの組織犯罪、オウム全体の団体として最低必要条件になるということで理解してよろしいのでしょうか。
#164
○則定政府委員 いわゆる個人的な犯罪であるのか組織的な犯罪であるのか、これは必ずしも概念的に明確に区別することは難しいかと思います。
 お尋ねの、組織あるいは団体の代表者たる者が起訴された場合に、それ自体で組織犯罪と言えるかとなりますと、必ずしもそうとも言えないであろう。つまり、いわば組織ぐるみでと申しましょうか、あるいは一定の機関がある場合に、機関決定その他、あるいは内部の謀議と申しましょうか、そういったものが行われて犯罪が行われるという場合に、一般的に組織犯罪というふうに言われていると思います。
 そういうことでございまして、いわば犯罪構成要件的あるいは概念的に明確に、これこれの要件があると組織犯罪であるということはないわけでございます。
#165
○山本(拓)委員 では、それはだれが、どういうような根拠で判断するのですか。
#166
○則定政府委員 刑法といいましょうか刑事法、いわゆる刑事責任を追及する実体法の上で考えますと、組織犯罪であるのかあるいはいわゆる個人的犯罪であるのかということは、法的にはそれほど価値のある区分けではないと考えておるわけでございます。
 したがいまして、だれが判断するかということになりますと、結局、それはいわば論評するさまざまの方がそれぞれの見解においておっしゃっていることであろうと思います。
#167
○山本(拓)委員 それでは今回、公安調査庁長官にお尋ねしますが、直接やるわけですから、あなたのところで団体という認定をしなければこれは始まらないわけですね、団体対象ですから。その認定は何をもって判断するのですか。
#168
○緒方政府委員 破防法を適用するかどうかという場合には二つの要件、あえて言えば三つの要件が必要だと思います。一つは、団体の行為として行われたかどうかということ、まさに今御質問のところでございます。さらに、その行為は一定の政治目的を持ってなされたかどうかということ、さらに三つ目としては、当該団体が命後も反復、継続して暴力主義的な破壊活動を行うおそれがあると認めるに足る相当な理由があるかということであろうと思います。
 今御質問の、団体の行為として行われたかどうかということでございますが、これは事実関係を前提としなければなかなか申し上げにくいところでございますが、私どもの理解としては、六月六日にオウム真理教の教祖の麻原こと松本智津夫ほか教団幹部が起訴されました。起訴状を見ますと、教団の代表者である麻原及び教団の主要な幹部が共謀して地下鉄サリン事件を引き起こしたというふうに記載されておりまして、検察当局の認識も、教団の代表者並びに幹部が一体となって本件を犯したということが認識として起訴状記載から見ると明らかにされた、かように私どもは受けとめておるところでございます。
 しかし、なおこの団体が団体全体としてやったかどうかについて、さらに先ほど申し上げましたような政治目的あるいは今後の危険性、こういったことにつきましてはまだ捜査の全容が明らかにされていない、一部がはっきりした事実でございまして、さらに今後も解明が進んでいかなければならないところであろうと思いますし、私ども公安調査庁としてもやはり調査を進めているところでございます。こういった調査の結果を踏まえまして、今後破防法の検討を進めてまいりたい、かように考えているところでございます。
#169
○山本(拓)委員 いわゆる宗教法人の解散命令などというのは裁判所がやるわけですから、ここで議論していたって、いつやるのかという話は、請求するのはわかりますけれども、なかなか難しいと思うのですが、団体指定取り消しについては、これは行政庁、いわゆる法務大臣の所管のもとで長官が事務的にやることですから、これは逆に言うと未然防止という意味では私自身の考え方では早目にやっていただきたいなという考え方を持っております。そういう中で、今の長官の御答弁、それ以上のことは仕方がないと思うのですけれども、では、一般論としてちょっと。
 心配なのは、ずるずる最後は判断をしないで、今やたら国会は、国政というのか、全体を決断しないという批判がありますけれども、これは最後に大臣、政治家としておれの責任のもとでやるのだとある時期にする時期が来るのじゃないかな。それがなかったら、事務当局に膨大な書類を集めて、さあそれで判断しろと言ったって無理な性格のものだろうと私は思うのですよ。だから今までしていなかった。
 大臣は拒否権発動まであるのですから、総合的に考えますと、やはり大臣の考え方としてかなり前向きで、ただ指示はしたけれどもやるかやらないかはおまえらが考えろというのではなしに、かなり前向きの姿勢でやらせているのか、大臣の個人的な見解として、消極的なのか、それとも積極的なのか、そこをまず基本的にお聞かせいただきたいと思います。
#170
○前田国務大臣 いずれにいたしましても、法務行政は、法の秩序維持については積極的にやっていかなければならないということは当然のことでございます。しかし、法の定められた範囲でやるということはもう何よりも当然のことでございまして、法と、まさに証拠に基づいて判断をされるべきものであると考えておりますし、かつまた、先ほど来の公安調査庁の判断は、実は公安審査委員会がなされるものでございます。法務大臣がその決定に議論を挟むべきものではないと解釈をいたしておるところでございます。
#171
○山本(拓)委員 そうなんですよ。だから、私は大臣にちょっと、今ちょっと質問の欠落した部分がありますが、要するに大臣が請求を出すか出さないか。判断は委員会がやるのですよ。だから、逆に慎重にも限度がある、委員会で慎重に検討をすればいいわけですから。出す公安調査庁の中が慎重に慎重にとやっていたら、それは長官は事務当局として仕方ないですが、要するに大臣が長官に命令をするわけですね、出しなさいとか出すなとか、表現はとにかくとして。
 要するに、やはりシステム的にはあるわけですから、そういう意味で大臣のお考えは、請求を出すべきだ、一応出して、委員会で慎重にやってもらうべきだというお考えなのか。出すこと自体も――何か公安調査庁の長官のお話を聞いていると、委員会の委員長みたいな答弁と勘違いしたものですから。事務当局は仕方ないと思いますよ。だからそこは、事務当局はそれ以上のことはできませんが、繰り返し言いますけれども、大臣が委員会に請求を出すべきだということに対して積極姿勢なのか消極姿勢なのかということをお聞きしているのです。
#172
○前田国務大臣 法の適切な手続のもとに、例えば言葉は悪うございますが、手を抜こうとかサボろうとかという気は一切ございませんということを申し上げたいと思います。
#173
○山本(拓)委員 だから、消極的なのと積極的なのとではえらい違うのですよ。要するに、国民の生命財産を守る、再発防止策をするための。裁判所は、裁判所のところまでは我々は口を出せません。行政当局で、また法務大臣のもとで、また委員会は委員会で独自ですから、独自なところは私らは口を出せません。
 ただ、私が申し上げたいのは、出す権限、権利、そういうものは長官であり、大臣というところであるならば、そこは大臣が明確に、再発防止とおっしゃるのならば長官に対してやはり指示を、こっちが出すのとこっちが出すのとではスピードが大分変わると思うのですね。だからそこの、政治判断とは言わないけれども、的確な積み重ね、法の手順に乗っかって、範囲内でやるのは当たり前の話で、その上で、大臣として、村山内閣、やはり内閣ですから、内閣の一員の、責任者としてどうなのかということを聞いているのです。
#174
○前田国務大臣 破防法の指定は、政治的に行われるものではないということをひとつ御理解をいただきたい。あくまでも法手続によって、法によって、その法の定められた範囲で判断をされるということでございます。
 ただ、それらの手続等の努力等々については、いささかも私どもは手を抜くとかということはございません。法手続に従い、適正に行っていくという決意でございます。先生の御質問にすぱっという答えがあればよろしゅうございますが、法務大臣としてお答えできるのは、法の手続に従って、手を抜くことなく、忠実に法の手続に沿って行っていくということであろうと思っております。
#175
○山本(拓)委員 確かに、いわゆる政治判断じゃないのです。政治判断じゃないけれども、逆に言うと、最後に、土壇場に来ると、結局裁判の場合は疑わしきは罰せずということですね。それはそれで結構なことだろうと思いますが、こっちの場合は一〇〇%整う。それに、要するにこれはかなり強い権限ですから、いろいろな自由を阻害する。しかし、それと再発防止という国民の生命財産を守る立場の大臣とどっちをどうするかというときに、この判断はやはり大臣の判断ですね、いずれかの時期に。
 だから、その判断は、いわゆるすべての事件が、そう長くない時期にすべての事案について起訴するということは、内容がそろうわけですから、もう自信を持っておる。それが出そろった段階で大臣として判断する、きょうのところはそういう理解でいいですね。
#176
○前田国務大臣 先生おっしゃいましたとおり、生命財産、あるいは再犯を防止するという観点の中に、もちろん法手続の中にそのようなことが含まれておることも含めて判断すべきものと考えております。
#177
○山本(拓)委員 わかりました。早いところやってください。
 それから、公安調査庁の長官は先ほど正直におっしゃいましたから、あえて申し上げませんが、私自身はこれは再発防止、これから何が起きるかわからない時代、法務省、警察庁、いろいろな部署で未然防止策をやっていると思いますよ。
 今回の事件というのは、ある意味では、いろいろな二十一世紀の、新しい科学犯罪とか、今までの固定観念でははかれない、想像を絶する、先ほど大臣の冬柴議員への答弁でも、常識的には考えられないという答弁がありましたけれども、私に言わせるとそれはおかしいので、大体常識的に考えられることは事件にならないのですよ。大体常識的に考えられないことが事件なのですよ、緊急事態、阪神大震災のああいうようなものにしても。
 だから、そういうことを踏まえて、しかも今回の事件で、警察当局が強制捜査に入る二、三日前にしか大臣に情報が入らなかったということ自体、極めて我々国民としては心配この上ないですよ。
 先ほどからいろいろな議員が質問していますけれども、何でここまでほうっておいたのか。確かにそれはほかの所管も専門でやっているでしょう。しかし、法務省は法務省なりに今後の対応として、大臣、今回の結果はまだ中途ですけれども、今までを現時点で振り返って、これだけの大がかりな事件が、ああいう施設も建てて、ああいうこともやって、オーストラリアまで行って実験をやってと、だんだん明るみになってくる今の時点で振り返って、法務省全体として、別に行政改革で役所の人数をふやせというのは無理ですけれども、要するに未然防止のための何らかの情報収集策、国民の生命財産を守る担当大臣として、やはり反省すべき点はありませんか。
#178
○前田国務大臣 先ほど来も御質疑の中で、あれだけの大量の化学物質、またあれだけの大きな施設、あるいは恐らくサリンの生成等に必要な大量な電力でございますとか、いろいろなものが推測されるものがあったかもしれません、これは私専門家でございませんので。
 こうした観点から、やはりまさかということはこれからはないのだという基本的なスタンスで、これからも法秩序維持のために、新しい観点を踏まえて、科学技術の発展等もよく見きわめながら対応できる体制で取り組んでいかなければならない、かように考えております。
#179
○山本(拓)委員 その対応できる体制というのは、具体的には何か考えておられるのですか。
#180
○前田国務大臣 もちろん検察のマンパワーと申しますか、こうした科学技術の研究、新しいものに対する対応等も含め、かつ、これは自治省、警察の範囲でございますが、警察におかれても十二分な対応がとられることを期待し、またそのように今進められておると確信をいたしております。
#181
○山本(拓)委員 進められているとは、どういうことが進められているのですか。――いやいや、もう時間がありませんから……。
 だから、大臣に一つお願いしたいのは、これは法務大臣だけじゃなしに、自治大臣もいろいろかかわってきて、文部大臣もかかわることもあるでしょう。だから、内閣全体というよりも関係大臣で、今回の事件を十分踏まえて、事務当局とは別に鳥の目から見た再発防止という観点で、やはり何らかの連携を協議していく必要があると思うのですが、今後、そういったことは強力に進めていかれるおつもりはありますか。
#182
○前田国務大臣 今日進んでおります真相解明を踏まえながら、この事件を大きな教訓として、今後に対する対応、十二分な対応はいかにあるべきか、関係閣僚で十二分な協議をしてまいりたいと考えておるところでございます。
#183
○山本(拓)委員 そして、こういう機会でないとなかなか公安調査庁長官にお会いできませんので、一つお尋ねします。
 今回、自衛隊員がいろいろな問題になりましたね。逆に言うと、国家転覆罪に対して国を守る隊員がかかわっていたわけですから、これは極めて恐ろしいことなので、そういう情報収集というのは今後公安調査庁で、できるかできないか知りませんけれども、やはり僕は察知すべきだ。
 もう時間が来ましたから、一点だけ長官にお聞きします。
 今後、そういう国の役所、公安調査庁の情報収集の中で、信仰の自由にあれすることはできませんけれども、オウムだけじゃなしにほかの団体も含めて、そっちで把握しているのは違う団体もあるでしょうから、そういうようなのが深く関与している可能性はあるという認識を公安調査庁として持っているのか。全く心配要らぬ、皆さん、安心してくださいという調査なのか。その点、長官のお言葉をお聞きして、それによっては今後行政改革でさらに充実しろというふうに主張しようか、もう必要ないからやめようと言うか、ちょっと考えたいと思いますので、そこを十分ひとつ、ノウハウを蓄積しているでしょうから、全部言わなくていいですから、ある程度示唆的なお言葉で結構ですから、お答えいただきたいと思います。
#184
○緒方政府委員 先ほどもちょっと触れましたが、公安調査庁が発足してからもう四十三年になりますが、発足当時に考えられていた当時の情勢と現在の情勢は著しく異なってきているという観念を持っております。そのために公安調査庁としては、結局、委員がおっしゃるように、公安の維持、これに最大の責務がある。しかし、公安調査庁としてできることは、その公安の維持も、警察もありますし、いろいろな形での維持の仕方があるでしょうが、暴力主義的な破壊活動をやる団体、これについては公安調査庁はしっかり見ていかなければいけない、かように思っているところでございます。
 したがいまして、いやしくも公安にかかわってくるような、治安にかかわってくるような団体については、従来の調査対象にとらわれずに幅広く調査していくというつもりでおります。それに伴った業務の内部的な改革についても既に数年来議論してまいりまして、本年の四月から業務の改革について取り組み、現実に動いているというところでございます。
#185
○山本(拓)委員 聞いた内容は、ほかの団体、認知している団体について。
#186
○緒方政府委員 どのような団体を調査し、対象としているかということにつきましては、調査の内部的なものにわたりますので、申しわけございませんが、ここでお答えを差し控えたい……。
#187
○山本(拓)委員 名前は要らないから、あるかないかだけ。
#188
○緒方政府委員 あるかないかも含めて差し控えたいと思っておりますが、今申し上げたような観点で調査を進めているということで御理解いただきたいと思っております。
#189
○山本(拓)委員 頑張ってください、応援しますから。ただ、今回のことで中途半端なことをやったら、なくせと私はやりますから、よろしくお願いします。
#190
○金子委員長 富田茂之君。
#191
○富田委員 山本委員の強烈な質問の後ですので、ちょっとびっくりしておるのですが、私は、まず地下鉄サリン事件に関しまして質問させていただきます。
 今国会におきまして、化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律、それとサリン等による人身被害の防止に関する法律がそれぞれ成立しております。化学兵器禁止法の方で、サリン等の無許可製造、所持等が罰せられることになりまして、また、サリン防止法の方におきまして、さらにサリン等を発散させる目的あるいは製造する目的での原料物質の製造、所持等も処罰の対象となって、法の網が拡大されました。これはもう、与野党一致して必要な法律だということで、かなり早い審議をもって成立したわけであります。
 そのサリン防止法の方の第二条において、「この法律において「サリン等」とは、サリン及び次の各号のいずれにも該当する物質で政令で定めるものをいう。」というような規定の仕方をしておりまして、各号というのは一号で、例えば「サリン以上の又はサリンに準ずる強い毒性を有することこ、こういうふうな条項があるのですが、地方行政委員会におきまして、このサリン防止法の審議の過程で、サリン以外に現在の段階では政令で定める予定はないというのが政府答弁でありました。
 この審議をしていた当時でも、タブンとかソマンとか、いろいろオウム真理教関連でサリンと同じような毒性を持っている猛毒ガス等があるのではないかというような質問がされたのですが、政府の方としては、現段階ではサリンだけです、特に何か定める予定もございませんというような答弁で、今後またそういうのが製造されたらそれは検討しますというような答弁でありました。
 ところが、このオウム真理教の一連の捜査の過程の中で、またこれは報道ですから、実際そういう供述が本当にあったのかどうかはわかりませんが、サリン製造に関与していた土谷正実容疑者の供述の中で、ソマンとタブンももう製造したというような供述が出ているというような報道か昨日付の新聞でなされておりました。この報道によりますと、タブンというのはサリンの約四分の一の毒性がある。ソマンの方はサリンの二倍強の毒性があるのだというような報道もあわせてなされておりまして、テレビ等では、サリンが製造できる設備があるのであれば、その過程の中でタブンとかソマンも製造できていくというように化学者の方が言っておられた報道もありました。
 そういう状況を見ますと、この政令で定めるという中に、今の段階でサリンだけでいいのか、タブンとかソマンというのがもう実際につくられたということがわかってきた以上、これも政令で定めていく必要があると思うのですが、そのあたりは警察庁はどのようにお考えになっているのでしょうか。
#192
○篠原説明員 お答えいたします。
 いわゆるサリン防止法第二条に定めます「サリン等」につきまして、サリン以上のまたはサリンに準ずる強い毒性を有する物質といたしまして、御指摘のようにタブン、ソマン等が想定されるところでございますけれども、現在までのオウム真理教に対します捜査経過の中におきましては、タブン、ソマン等の具体的な製造計画等につきましては確認されるに至っておりません。サリン防止法等の定義等からいたしまして、これらのサリン物質をサリン防止法の規制対象物質として政令で定めることにつきましては、なお今後の捜査経過など諸情勢の推移を見ながら判断してまいりたいと考えているところでございます。
#193
○富田委員 今後の捜査経過ということですが、具体的な供述が出て、その残滓物質とか、そういうのが製造工程の中から発見された場合には、政令で定めるものとして定めていくというふうにお聞きしてよろしいのですか。
#194
○篠原説明員 タブン、ソマン等につきまして、御指摘のような、今後の捜査状況によりまして、それの確認の程度にもよるかと思いますけれども、捜査状況の結果によって考えたいというふうに思っております。
#195
○富田委員 わかりました。
 オウム真理教は、毒物あるいは劇物取り扱いの免許を持っている業者をダミー会社として、サリンの原材料あるいは化学薬品を大量に本当に購入していたという事実が今回の一連の捜査の中でわかってまいりました。テレビに映った三塩化燐とかナトリウムなんかのドラム缶の量の多さというのは、本当にあれを見て国民はびっくりしたと思うのですが、現行の毒物及び劇物取締法ではこういう犯罪が行われるものを防げないのじゃないか、この法によっては取り締まりが不可能なのではないかというような印象を強く受けました。販売、流通のチェック体制がどうなっているのかなというような疑問もありますし、この点につきまして、毒物劇物取締法の所轄官庁である厚生省の方はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
#196
○植木説明員 お答えいたします。
 毒物劇物の規制、取り締まりについてのお尋ねでございますけれども、毒物劇物取締法は、日常流通しております有用な化学物質の中で、特に作用の激しいものにつきまして、基本的には適正な目的に使用することを前提といたしまして、国民の保健衛生上の見地から、製造、輸入、販売、授与等について必要な規制を行っているものでございます。
 その規制の内容でございますが、化学物質の毒性に応じまして、毒物または劇物に指定をし規制をしております。また、製造業、輸入業及び販売業等の営業者につきまして登録に係らしめておりまして、販売をいたしますときには一定の事項、これは毒物劇物の名称、数量、販売年月日、それから譲受人の氏名等でございますが、こういった内容を記録することを義務づけております。さらに、登録業者や業務上の取扱者につきましては、盗難の防止等の注意を義務づけるなど、厳正な保管、管理というものを求めているところでございます。
 また、厚生省としましては、地下鉄サリン事件等を踏まえまして、保健衛生上の見地から、毒物劇物の適正な保管、管理等の点検、それから譲渡手続における使用目的や使用量が適切であること等の確認につきまして、都道府県及び関係業界に対しまして指導を行っているところでございます。
 なお、サリンの原材料の中には、毒物劇物に該当しない化学薬品というのが多数ございますので、静物劇物取締法で化学薬品全般の規制を行うということは困難でございます。また、化学薬品は大量購入というものが一般的でありますことから、現行の毒物劇物取締法では、大量購入自体の規制は行ってはいないということでございます。
#197
○富田委員 今の答弁ですと、この毒劇法というのはもともと適正目的に使用することが前提になっている。今回のオウム真理教のように全く不正、違法なために使用することを前提としたこういう犯罪行為に関しては、その前提から崩れてしまうのではないか、これがまず第一点。
 また、今の厚生省の御説明は、毒劇法の十四条で譲渡行為の際にいろいろなことをきちんと確認するのだ、その確認について違反があった場合には罰則の規定もあるということだと思うのですが、実際には、こういうダミー会社を使ってあれだけの大量のものを購入していても何ら処罰対象になっていない。
 また、このサリン事件を踏まえて、使用目的、使用量が適正かどうか業界等へ指導しているということでしたが、使用目的を確認したりあるいは使用量が適正かどうかを確認するということに関して、仮にそれが目的以外に使用されたり、使用量が一般に考えても適正ではないというような場合に、何ら罰則等はないわけですね。今の御答弁ですともう行政指導で行っていると。そういう行政指導で今回のような事態の再発というのが本当に防止できるのか。
 こういう化学薬品の場合に、大量購入が一般だから大量購入についてはそれほど特別視してないのだということになると、またオウム真理教のような何か犯罪を企てるような集団が出てきた場合に、この毒劇法の網をくぐって同じように薬品を大量購入して、また違った犯罪を行ってくるのではないか。毒劇法に規定されている単品の薬品ではなくて、こういう薬品が混合されて新たな薬品が出てきた場合にどうするのだとか、そういう問題もあると思いますが、どうもこの毒物及び劇物取締法だけではこういう薬品に対して取り締まりが不十分なのではないかなという感を強く抱きます。
 本来この法律というのは保健衛生上の見地から必要な取り締まりを行うということで、行政取り締まり法規ですから犯罪行為を前提にしていないんだというのはわかるのですが、これだけの事件が起きたわけです。厚生省だけではなくて法務省等も協力して、この法のすき間を埋めるような、法を守るというのを前提としているわけではない集団が出てくるわけですから、この法の網をくぐったようなそういう行為を何か埋めるような新たな立法とか、単なる行政指導にとどまらず、かなりきつい規制を持った何か取り締まりを考えるべきではないかと思うのですが、その点について大臣はどのようにお考えですか。
#198
○前田国務大臣 私ども、先生の御指摘もいただいておりますが、こうした問題意識を持ちながら、今後関係各省ともよく検討してまいりたいと思っております。
    〔委員長退席、中島(洋)委員長代理着席〕
#199
○富田委員 薬品の方はこれで終わりまして、実はこの国会で銃砲刀剣類所持等取締法の一部もまた改正されております。
 その改正の主な点というのは、クリーン・コントロールドデリバリー実施のための処罰規定、あるいはけん銃犯罪捜査上必要があるときに都道府県公安委員会の許可を受けた上で捜査官が密売人等からけん銃等を譲り受けることができる、そういう規定が新設されたわけであります。いわゆる泳がせ捜査とかおとり捜査の規定が設けられたわけですけれども、地下鉄サリン事件の発生で、テロ行為に対するおとり捜査の導入といったことも話題になってきております。
 午前中、大臣は一般論ということで盗聴とかおとり捜査の件に関しまして答弁されておりましたが、憲法の保障する適正手続の保障とか国民の司法への信頼の確保という側面を考えると、このおとり捜査等の導入については慎重に検討しなければならない、また法制度全体の整合性もあるというような御答弁でした。そして、弁護権の拡大ということも考えなければならない、これはもう本当に弁護士の人たちは喜ぶのではないかと思うのですが、こういう積極的な答弁もされておりました。もう一つ踏み込んだ議論ができないのかなと思いまして、この点について質問させていただきたいのごす。
 中央大学の渥美東洋教授が、銃刀法の一部改正に絡んで、おとり捜査ということについて一つ提言をされております。ちょっと御紹介させていただきたいのですが、このように渥美教授は言われております。
  おとり捜査は限界を超えてはいけない。しっかり、一線を画さなければならない。非常に難しい作業だが、犯罪類型を作ることだ。社会の中でそれを保障する価値のないもの、つまり、公益でないもので、かつ社会に大きな危険と不安、害毒を与えるような犯罪に限るべきだ。麻薬とか銃犯罪はこの範疇に入る。他ではテロ、脱税などだ。
テロ行為についても、おとり捜査の要件をきちんと決めて、対象に加えていくべきだというような御提言であります。
 また、渥美教授はそれに加えて、
 罪種を限定するだけでなく、裁判所の令状をとってから実行する制度をつくればいい。他国にはないが、事前に裁判所に審査してもらい、特別の捜査許可の令状を出してもらう制度だ。
  さらに、おとり捜査の成果があっなかなかったかも、ちゃんと報告を義務付けること。そうしたことを、国会はちゃんと審議して欲しい。出来たものを批判するだけでなく、新しいものを生み出して欲しい。
国会議員に対して厳しい御提言だと思うのですが、こういうことをやはり議論していかないとだめなのでないか。何か事件かあったときにぽっと出すということではなくて、テロ対策というためにはふだんからもこういう議論をする。本当に渥美先生の貴重な提言だと思います。犯罪の種類を限定する、また裁判所の事前の許可をもらう、これは本当にいい制度ではないかなと思います。
 銃刀法の改正のときにも、都道府県公安委員会の許可でおとり捜査ができるというような規定が入っておりましたので、事前に警察庁の方から説明を受けたときに、これは何で裁判所の許可ではないのだというふうにお尋ねしましたら、銃砲刀剣類の所持に関する許可官庁が都道府県公安委員会なのでその事前の審査を受けるのだというような御説明でした。
 何となく納得はできるのですが、おとり捜査に踏み込むという点を考えると、やはり裁判所にきちんとその保障を持ってもらっていた方がいいのではないかなというような思いもいたします。
 昨日の五十嵐官房長官の記者会見というのが新聞記事に載っておったのですが、おとり捜査の導入について、「人道上の問題もあり、慎重を要するというのが基本的態度だ。その上に立って十分な検討をしていく必要がある」、実に慎重な言い回しになっているのですが、今紹介させていただきました渥美教授の提言を受けて、法務、検察当局としては、おとり捜査の導入ということに関して、現段階ではどのような意見を持っているのでしょうか。
#200
○則定政府委員 渥美中央大学教授の御見解、御提言、私も新聞紙上で拝読させていただきまして、一つの考え方であろうと思っております。
 おとり捜査につきましての法務待の基本的な考え方は、午前中法務大臣から答弁がありましたとおりでございまして、最近の犯罪動向にかんがみまして、特に組織性、密行性の高い犯罪の摘発、ひいてはその防圧というものに有効的な手段であるという点は一般に言われるところでございまして、私どももそういう認識を持っているところでございます。
 やはり法手続の全体の中で、おとり捜査がいわば法律上一定の枠組みの中で導入されました場合に、その許容される範囲でありますとか、あるいはいわゆるおとり捜査に従事した反対側の者の刑事責任についてどのように考えていくべきなのか。また、それらについて国民の一般の方々がいわば捜査の公正さというものについてどういうふうに受けとめられるであろうか、この辺はいろいろと考えなければならないだろうと思っておるわけでございます。
 しかしながら、基本的には時代の変化とともに現にある捜査手法というものの範囲というものはやはり見直すべきこともまた事実でございまして、私ども法務当局といたしましては、先ほどの御提言を含め、諸外国でいろいろと行われている実態等もよく研究し、日本の国情あるいは法感情あるいは司法手続全体との調和といったものを勘案しながら、積極的な研究は進めてまいらなければならないだろうというふうに考えておるわけでございます。
#201
○富田委員 ぜひこの機会に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 このおとり捜査の導入等を含めて、今回いろいろな事件が起きているわけですが、このような無差別テロに対して、今後再発防止に向かって法務省としてはどのように積極的に取り組んでいかれる御所存なのか、大臣のお考えを伺いたいと思います。
#202
○前田国務大臣 今回のサリン事件等にもございますような無差別テロは、まさに国民の平穏な生活を極めて不安に陥れ、また侵害し、また貴重な生命を奪い、法治国家の根幹である法秩序維持に重大な脅威を与えておるところでございまして、到底容認できないもの、厳正に対処しなければならないと考えております。
 こうした事犯に対しまして、検察当局を初め関係機関が緊密な連携をいたしまして、早期犯人検挙を目指し、そしてまた、真相を解明して迅速、厳正な科刑を実現することによりまして、こうした無差別テロ行為を防圧することが極めて大事なことであろうと考えております。
#203
○富田委員 それでは、午前中から何人もの委員の方が質問されておりましたが、宗教法人の解散請求について何点か質問させていただきたいと思います。
 これまで質問に立たれた各委員の先生たちは、もうとにかく早くやれ、やる方向で努力してほしいというような御趣旨の質問でした。また、刑事局長の方からも、昨日検察庁が独自に請求するということを決定した、そういう決定を受けて資料の収集に努力しているというような、本当に一歩踏み込んだ御答弁もありましたので、実に安心しているのでありますが、ちょっと気にかかることがあります。
 それは、午前中、各委員の先生からも御指摘ありましたけれども、文部省の方が、これまでもうかなり早い段階でできるんだということを大分言われておりました。特に、与謝野文部大臣は、地下鉄サリン事件発生後の三月二十四日の記者会見で解散請求に言及した後、何度もこの点について、かなり早い段階でできる、そのような御趣旨の委員会答弁等をされておりました。新聞、テレビ等もこれを逐一報道をして、国民の間では、麻原代表が起訴されればオウム真理教はもうそれで解散してしまうんだ、もうなくなって本当に平和になるんだというような誤った考え方が出てきているほど、マスコミは過熱したこの解散請求に関する報道をされておりました。
 そういう点から見ましても、ここ一週間ぐらい文部省の方も、法務・検察当局とかなり打ち合わせをしたんでしょう、かなり慎重な発言になってまいりました。
 ただ、一つ不思議だなと思うのは、こういう宗教法人の解散命令の請求をするということに関して、文部大臣が発言される前に、まず法務・検察当局と入念な打ち合わせをされていたのかな。実際には捜査活動で収集した資料が解散命令を出すかどうかの判断材料になるわけですから、文部大臣や東京都の方で起訴状を一本当せばいいんだというようなことにならないというのは、普通考えればわかると思うのですが、そのあたりについてどのようにやっていたのかなという疑問を非常に覚えます。
 文部省の方にも見えていただいていると思いますので、文部省の方では、どういうふうに法務、検察と打ち合わせした上で大臣の答弁になっていたんでしょうか。お答えください。
#204
○中根説明員 お答えいたします。
 宗教法人の解散命令請求を行うためには、宗教法人法八十一条に規定する解散命令の要件を立証するに足り得る証拠を収集した上で裁判所に提出をしなければならない、こういう必要があることは、もう先生御承知のとおりでございます。
 そういったことを含めまして、私ども文部省あるいは法務省、警察庁、東京都の関係機関におきまして、具体的に今回の事件について、どういつた要件で、なおかつ、解散手続というのは具体的にどうするのか、また証拠資料というのはどういうふうに集めていったらいいのか、そういう点について協議してきたわけでございます。
 本件の事件につきましては、多数の関係者が関与した複雑な事件と思われるわけでございますし、また、解散請求に必要な資料を整えるということになりますと、相当綿密な作業というのが必要となってくるということもございますし、また、訴訟の過程におきましては、刑事手続との関係もまたこれ配慮する必要は十分あるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
 文部大臣のこれまでの解散請求についての発言につきましては、社会的な要請というのは既にあるのではないだろうか。そうはいっても、裁判所に対しての解散請求をするためには、きちっと裁判所に御納得いただけるような資料も出していかなくてはいけない。そういった観点で申し上げ、起訴後できるだけ速やかにお願いしたい、こういうことで、いわば解散請求を行うための一般的な考え方を述べ、できるだけ速やかに請求すべきだ、こういった基本的な姿勢をこれまで示してきた、こういうふうに私どもは理解しております。
 したがいまして、今回具体的な事件として判明してきたわけでございますので、速やかに請求を出してほしいというのは文部大臣の気持ちとしては変わりはないわけでございますが、いずれにしても、今回の事件というのは、かなり規模も大きい等々複雑である、いろいろな問題もございますので、ある程度事務処理につきましては時間がかかることにつきましては、委員、御理解いただきたい、かように考えているところでございます。
#205
○富田委員 一般的な考え方とか基本的な姿勢を述べてきたといっても、今までの記者会見とか答弁の内容を聞いていますと、ちょっとそうは思えないから先ほどのような質問をしたわけでして、もともと法務・検察当局ときちんと打ち合わせをしておけばこんなふうに大臣の考え方がぶれるということは私はなかったと思うのですね。そういう意味では、検察庁が独自に解散命令請求を出すということを決定していただいたというのは、国民にとっては、一番プロがやるわけですから、本当に安心して見ていられるなと思います。
 ただ、所轄官庁である東京都の方も当然出してくると思いますが、それに当たっても、両方並行で出すのか、単独で出すのか、先ほど刑事局長は両方あり得るというような御答弁をされておりましたけれども、今後国民に対するメッセージが出る際には、法務・検察側で事前にきちんと打ち合わせをしていただいて、国民を惑わすような、そういう発言にならないように十分注意していただきたいなと思います。国民は本当に検察に期待していると思いますので、そのあたりを重々検討していただいた上で今後の対応をなされるように希望いたします。
 次に、オウム真理教関連事件と弁護活動という観点から、何点か質問させていただきます。
 最近の新聞とか週刊誌等で、ミランダの会という弁護士のグループのことが大分取り上げられております。法律の世界ではミランダ・ルールというのがありまして、アメリカの判例なわけですが、そのお名前をもじった会だと思うのですけれども、東京地検の次席検事が、オウム真理教の関連の事件の弁護活動に関して、異例とも思えるような弁護活動批判を二度にわたって会見でなされました。会見のメモの要旨というのを事務方の方からいただいたんですか、なぜ検察庁の責任ある立場の方が、実際今具体的に動いている事件の弁護活動について、二度にまでわたって批判とも思えるような記者会見をせざるを得なかったのか、そのあたりの経緯について御説明ください。
#206
○則定政府委員 このオウム真理教関係の主要な被疑者につきまして、これは罪名は殺人及び同未遂、いわゆる地下鉄サリン事件の犯人グループということで勾留中の被疑者についてでございますけれども、ある当番弁護士が接見されました際に、この方は今御指摘のいわゆるミランダの会の所属の方でございますけれども、あらかじめタイプ印刷いたしました。紙に被疑者の署名を求められた。その内容が、一切の取り調べを拒否し、取り調べのための出房も拒否するというような記載もございまして、それに被疑者の署名と弁護人の署名を並べられまして、検察官に提出されたわけでございます。
 その東京地方検察庁の次席検事におきましては、その記載内容が問題であると、つまり弁護方針としていかがなものかという点を問題視いたしまして、本年五月二十四日、それから二十九日の二回にわたりまして定例の記者会見の席上、地下鉄サリン事件の真相を解明する上で、今申しました弁護士の介護活動は捜査の妨害を主たる目的とした不当なものであると批判したというのが一連の経緯でございます。
#207
○富田委員 実は、当番弁護士の弁護活動につきまして、昨年の十一月の二十九日でしたか、当委員会におきましてかなり詳細な質問をさせていただきました。
 その際、吉永検事総長が法律新聞のインタビューに答えて、当番弁護士の担当で接見に行った弁護士が、被疑者に対して調書に署名するなというような指導をしている、そういうのは本当に困るんだというふうにインタビューに答えておりまして、それを私が取り上げまして、当番弁護士はこんなことはしておらぬ、検察のトップにある検事総長が公の新聞のインタビューにこういうことは答えないでほしい、これから当番弁護士制度について法曹三者で本当に検討していかなきゃならないときに、そういうことを取り上げるというのはいかがなものかという趣旨の質問をさせていただきました。
 その質問をしたときには、こういう具体的な行為をされている弁護士さんがおられるというのは、私は実は知りませんでした。その後、検察官の方から具体的にこういう当番弁護士として弁護活動をされて取り調べに本当に難儀をしているというようなお話もじかにお聞きしまして、大変な中で捜査活動をされているなと思っておりましたら、こういうふうな形でぽんとかなり大きな形で出てきた。私自身は、今刑事局長が説明されたような弁護活動というのは、ある意味で捜査妨害になるんじゃないかなというふうな個人的意見を持っております。
 確かに、ミランダの会の主張もわからないわけではないのですね。二十日間とめ置かれると不利な自白をとられてしまう。弁護士が一緒にいなければ被疑者の弁護は本当にはできないんだというような趣旨から、取り調べの拒否、あるいは今言われた出房の拒否ですか、もう留置場から出ていかない、検事、警察官の取り調べに一切応じないんだというようなことまで主張される。弁護活動で本当に現場で悩まれる弁護士さんの中から、本当に考えて考えて出てきたやり方だと思うのですけれども、今こういう強硬手段をとるのが本当にいいのかなという素朴な疑問を持ちます。
 また、私選弁護であれば、もともと被疑者あるいは被告人がその弁護士さんに対して信頼して弁護活動してもらうわけですから、ある程度取り調べには応じられないという本人の意思があれば、そういう弁護活動をするのも許容される範囲があるかなとも思いますが、こういう当番弁護士制度で被疑者側が弁護士を選べない、そういう場合に自分の考え方を押しつけるという側面も出てきてしまうと思いますし、その事件の内容にかかわらず、一律に書式を決めているという点も、実に同じ弁護士としてどうなんだろうなというような思いを抱きます。
 そういう中で、昨日の殺人本体での起訴まで持っていかれたということで、検察庁、また警察の努力には本当に最大の敬意を表したいと思いますが、このようにマスコミの方で検察対ミランダの会みたいな取り上げられ方をしますと、今法曹三者の中で本当に地道な協議が続いております当番弁護士制度について、変な影響を与えないかなという危惧を抱きます。法務、検察側から見ると、見ろ、当番弁護士制度を充実させるとこういうことが余計もっと出てくるんだぞというような意見が出てくるのではないかなというような危惧を非常に抱くわけであります。
 法曹三者で当番弁護士制度の実務者協議会をずっとやられていると思うのですが、これからもそういう審議の中で今回の事件が変な影響を与えないように私自身は希望したいのです。東京地検の次席検事の記者会見を踏まえて、当番弁護士制度への事実上の波及効果みたいなものがないかどうか、そういう不安を持っているのですが、その点について法務・検察当局はどのようにお考えでしょうか。
#208
○則定政府委員 御質問のミランダの会の今お答えしましたような弁護活動が、このところ行われておりますいわゆる当番弁護士制度そのものにどのような影響を与えるであろうか、これは日弁連側の方でいろいろとお考えになっていただきたいと思っておるわけでございますけれども、そういう意味では、検察を抱えます法務当局といたしましてとかくの批評をするということは差し控えるべきかと思っておるわけでございます。
 ただ、一般的に申しまして、一部の弁護士がその活動の過程で、犯罪の捜査を、適正に解明するための取り調べ等の捜査活動を妨害するというような点、もしそういうことになった場合には、弁護士法あるいは刑事訴訟法の目的あるいは使命といった点から、いわゆる社会正義の実現、刑事司法の健全な発展等の公益的な観点から問題があるということになる場合もあるわけでございます。
 そういたしますと、現在、法務省、日弁連等との間で当番弁護士問題等について協議を行っておるわけでございますが、仮に将来これを積極的に国がコミットした一つの制度としてつくり上げるということが考えられているとするならば、やはり一定の枠内におけるといいましょうか、あるいは現行刑事訴訟法、憲法体系下におきます刑事訴訟法のあり方の中での起訴前弁護のあり方、こういったものは当然それなりの枠、ルールというものが考えられると思います。
 そういう意味で、信頼関係と申しましょうか、損なうおそれもあるわけでございまして、私どもといたしましてはその点を危惧しまして、制度的な問題に発展する上で、国民一般の皆様方の理解を得る上で、何らかの影響が生ずるのではなかろうかという気がいたしておるわけでございます。
#209
○富田委員 私自身は、当番弁護士制度に対して国の費用補助がなされるべきだというふうに考えておりますので、今刑事局長の答弁にあるように、信頼関係が崩れるようなことがあっては決していけないと思います。こういう活動もありましたけれども、今後法曹三者の当番弁護士制度の実務者協議会の中でこれを乗り越えて、本当に法曹三者の信頼関係をぜひ築いていっていただきたいなということをお願いいたします。
 この関連で、現在オウム真理教の関連の被疑者、被告人ですか、弁護人がなかなかつかない状況にあるというふうに聞いております。今後裁判を受けるに当たって、彼らにも弁護を受ける権利があるわけですから、弁護人選任に関して不利益があってはいけないなと思うのですが、そのあたり、どのような状況にあるのか。具体的な事件について答弁はできないと思いますので、今後弁護人選任に関してどのようにしていくのか、裁判所の方にお答えいただければと思います。
 またあわせて、今後オウム関連事件の裁判が続々かかってくると思いますが、その裁判の際の警護体制等について裁判所はどのように考えでいられるか、御答弁ください。
#210
○高橋最高裁判所長官代理者 裁判の審理という面でお話ししたいと思うのですけれども、いわゆる必要的弁護事件で、私選弁護人の選任がない場合などには国選弁護人を選任して審理を進める、こういうことになっているわけでございますけれども、国選弁護人の適任につきましては、通常、裁判所の方から弁護士会に対して国選弁護人の推薦依頼をして、弁護士会から国選弁護人を希望する弁護士名簿に基づいて弁護士を推薦してもらった上で、その弁護士を国選弁護人に選任する、そういう運用がなされております。
 そのような通常の推薦手続によることが困難または不相当な事件につきましては、昭和五十四年三月三十日に開催されました法曹三者協議会におきまして、弁護士会は、裁判所から特別案件、この特別案件といいますのは、通常の推薦手続によることが困難または不相当な事件、こういうふうに言われておるわけですけれども、このような特別案件について国選弁護人の推薦依頼を受けたときには、責任を持って速やかに推薦をする、そのため、弁護士会は、特別案件の国選弁護人を受任する意思がある弁護士を登載した受任候補者名簿を作成する、こういうような合意がなされておりまして、それに基づいてこれまで運用されてきているわけでございます。今回の事件につきましても、このような特別案件、こういった方法を利用するなどによって弁護士会において必ず国選弁護人の推薦を行うことが期待されている、このように理解しているわけでございます。
 それから、二番目の御質問の、今後、裁判所の審理を進める上でどのような警備体制で臨むかという御質問ですけれども、具体的な事件の警備につきましては、実際にその事件が係属した裁判所において情勢に応じて必要かつ相当な警備を行うことになると思うわけでありますけれども、具体的にどのような警備体制になるかどうかという点につきましては、何分警備という事柄の性質上、お答えできませんので、その点御理解いただきたいと思います。
#211
○富田委員 はい、わかりました、
 最後に、ちょっとオウム関連からは離れるのですが、ぜひ一点、法務省に御要望しておきたいと思います。
 実は、昨年の十二月六日、日弁連の主催でセミナー「カンボジア司法制度の現状と将来」という会合が持たれました。その資料を日弁連の事務局の方からいただいたのですが、このセミナーは、カンボジア弁護人協会会長ルイ・チャンバルさんという方と国連人権センターのカンボジア地域事務所法務官補佐クォン・タイ・リーというお二人の方が、昨年三カ月ほど弁護士会、あるいは最高裁、法務省、警察庁、皆さんの御協力を得て、司法制度について日本で研修をされました。その研修の総まとめというような形でこのセミナーが開かれたようなのですが、その中でルイ・チャンパルさんがこのように話しておられました。
 ちょっと御紹介させていただきますが、「カンボジアのような戦争で疲れ果てた国を再建するためには、国際社会が経済協力などの面でお手伝いをするというだけではなく、ありとあらゆる面での教育、例えば職業訓練ですとか司法制度の改善に対する訓練、教育ですとか、人権教育などとか、そういった活動がまさに必要なのです。私が知る限り、日本はカンボジアに対する最大の援助国だと思います、しかし日本はとかく人権状況ですとか教育、あるいは司法の分野などを忘れがちです。」こういうふうに指摘されております。
 カンボジアには今裁判所も少なくて、弁護士も全国土で五十人ぐらいしかいない。いろいろな政権交代等がありましたので、法務関係者が亡くなったり、制度自体がもう崩れてしまっているということで、今、日弁連所属の弁護士さんがボランティアで何週間かカンボジアの方に行って実際に模擬裁判をやったり、裁判というものはこういうものだ、あるいは弁護活動はこういうものだということでやられているようであります。こういう点に関して、何とか国の制度で援助ができないのかなというふうに思います、
 これから七月、八月と概算要求に向けていろいろな組み立てをしていくようになると思うのですが、ODAも東南アジア等にかなり向けられているのですけれども、こういう司法制度に関してかかなか予算配分がされない。法務省は予算のとり方が下手だとよく言われるのですが、やはり国際貢献という立場から考えて、法律家の研修とか、あるいは法律家の派遣制度といったものを何とか法務省が中心になって考えていただいて、そこに少しでも予算をつけて、平和貢献という形で近隣諸国に向けられないのかなというふうに思います。このセミナーがそういう一つのきっかけになるのではないかな。
 本当に法務省、検察庁、警察庁、最高裁等がみんな協力してこの二人の研修をされたようですので、これを一つの手がかりとして、ぜひ法律家からの国際貢献という立場で、法務省が中心となって考えていただきたいと思います。この点について大臣のお考えを伺って、質問を終わりたいと思います。
#212
○前田国務大臣 法律的にもアジアの先進国である我が国が、現在発展しつつあるアジアの諸外国、特に社会主義経済から自由主義経済へ移行される国が多うございまして、こうした中で、その法基盤整備につきまして、法律家の派遣を含めて積極的な国際貢献を惜しむべきではないと考えておりますし、また事実、幾つかの国が既に研修等々にもかなりの人数でお見えになっておりまして、法基盤整備のみならず、例えばモンゴル等は参議院に長期間人が来られておりまして研修をされておるというような現状もございます。今後も積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 また、特筆すべきは、昭和三十六年以来、府中におきまして、国連との協力によりまして、国連アジア極東犯罪防止研修所、これを運営いたしておりまして、アジア・太平洋地域の、実質はアジア・太平洋のみならず、アフリカその他、極めて世界的に、検察官、警察官、裁判官、矯正保護関係者など、外国の刑事司法関係者を招いての研修を行っております。一回が大体一カ月から三カ月ぐらいの研修を行っておりますが、その卒業生がもう既に七十九カ国、二千人以上、間もなくセミナー百回目の記念を予定をいたしておるところでございまして、それらの諸国で、日本のアジ研、アジ研と申しておりますが、こちらで研修を受けた皆様方がそれぞれの国で今大変高い地位にいらっしゃることも特筆すべきことだと思っております。
 特に、御指摘のベトナム、それからさっき申し上げましたモンゴル、こうした経済体制の移動に伴いまして、特に民事、商事分野、この法的整備支援についての要請が強うございまして、法務省としても、要請にこたえて、法律関係者の受け入れ、専門家の派遣などを行っておるところでございます。今後とも、それぞれのお国の事情、要望等に留意をして、関係機関の協力を得ながら、一層発展過程にあるアジア・太平洋諸国を特に念頭に置きまして、法律関係者の受け入れ、派遣体制を拡大いたしまして、法務省としてのでき得る国際貢献を積極的にやってまいりたい、かように考えておるところでございます。
#213
○富田委員 ありがとうございました。予算の獲得には新進党も積極的に協力いたしますので、ぜひ御検討ください。
 ありがとうございました。
    〔中島(洋)委員長代理退席、委員長着席〕
#214
○金子委員長 正森成二君。
#215
○正森委員 オウム真理教の麻原代表も加担し、主導、指示して、地下鉄サリン殺人事件、仮谷氏拉致事件、松本サリン事件、坂本弁護士拉致事件、それから教団内部で行方不明になった多数の事件、そのほかに、オウム関連と疑われている國松警察庁長官狙撃事件、あるいは村井秀夫氏刺殺事件等々、非常にたくさんの事件が報道され、あるいは疑惑を招いております。
 その中でまず地下鉄サリン事件が、特殊なマインドコントロールされた集団であるという点で非常に困難視されておりましたが、実行犯を特定、起訴することができた。あるいは共謀共同正犯理論で、麻原氏が主導してこれを企画し、実行したということも、公判を維持するに足る証拠は何とかそろえることができたということで、起訴されたことに対して、私も非常に喜んでおります。
 ただ、この捜査の過程で、先ほど警察庁の課長が、やはり捜査の過程の若干の不備については時期を見て国民の前に公表すべき点があるという反省の弁にとれることも言われましたが、私は、少なくとも二つの点について非常に問題があったのではないかと思います。
 まず第一に、新聞によれば、オウム真理教の事件の原点の一つと思われると言われている坂本弁護士の拉致事件、警察は今でもこれを失踪事件と言っているようですが、明白な拉致事件ではないかと私は思います。
 最近、ある週刊誌の六月七日号に、坂本事件についての上申書を出したという内容が出ました。それを見ますと、ここには本名が出ておりますが、佐伯一明という、教団の麻原氏の側近で当時は非常な最高幹部であった。一九九〇年に真理党という名前で二十五名が立候補しましたが、そのうちの一人でもあります。それが上申書の中で、坂本さん一家の拉致を実行したのは十一月三日から四日にかけての深夜に、早川、新実それから村井、中川という名前を挙げているのですね。これはいずれも今では、泣く子も黙るといいますか、恐ろしげな人物ばかりであります。
 これについては、まだ真偽が確かめられておりませんが、深夜にかぎをあけたのは、青山弁護士も関与したからであるということも言われております。これについては、別にアリバイがあるというような反対意見もあるようですが、しかし、こういう名前が具体的に挙げられているということは非常に重大であります。
 それからまた、単にこういう上申書と称されるものだけでなしに、当時坂本氏が属しておりました横浜法律事務所等が詳細に警察当局にも協力しているんですが、それらを見ますと、当時坂本弁護士は、オウム真理教にさまざまな名目で金を巻き上げられた被害者と思われる人から依頼を受けておりました。
 その中でも非常に重要なのは、麻原尊師の血液には修行上特別な効果があり、その秘密は麻原代表のDNAにあることが京都大学医学部の研究で証明されているというようなことを言いまして、血液を飲む血のイニシエーションというようなもので百万円取るという被害を受けた人の依頼を受けまして、八九年八月九日に京大医学部に問い合わせをいたしました。
 そうしますと、九月二十日になって医学部長から回答があり、「本学部関係教官に照会し、調査いたしましたところ、照会事項について、いずれにも該当なしとの回答を得ました。一方、本学部附属病院における外来患者一入院患者についても検索いたしましたが、本名、俗称とも該当者がありませんので申し添えます」という回答を得ております。
 このことを申しましたところ、青山弁護士が十月十三日に釈明の電話で、あれは京大の大学院生遠藤が施設内でDNA検査をしたものであると、遠藤というのもまた今回の事件で重大な被疑者というようになっている人物であります。
 そういうことがあった上、十月三十一日の夜、横浜法律事務所に青山弁護士等の代表が来て交渉しましたが、それに参加したのが早川紀代秀と上祐氏であります。これもまた先ほど言いました、今ではオウムそのものと言ってもいいような人物であります。それと非常に緊迫したやりとりになって、それで、誘拐されているあるいは監禁されている子供に逆に裁判を起こさせるというようなことが当時ありました。
 あるいは、被害者の会が三十日に麻原代表に対して文書を送りまして、水中瞑想、空中浮揚などの超能力を十一月十日までに公開の場で証明するよう求めて、「もし証明できなければ、われわれは今回の子どもたちの家出、出家の勧めは営利誘拐と判断せざるをえません」という文書を送りました。十一月一日には、血のイニシエーションのために金を払った百万円を取り戻したいという元信者から民事訴訟と刑事訴訟の委任状を受けております。坂本弁護士はこれを非常に喜んだそうであります。
 そのまさに微妙なときの十一月三日の深夜にこの事件が起こっているんですね。しかも、同僚弁護士からさきに指摘がありましたが、プルシャというオウム真理教の印が残っておるというような状況なので、警察当局は今でも失踪事件と言っているようですが、失踪というようなものじゃなしに拉致事件である、しかも、オウム真理教が非常に色濃く関与の疑惑があるということで捜査すべきなのが当然だったと私は思います。ところが、そうしていないんですね。
 特に私は、警察当局が来ているので言いたいのですが、非常な偏見を持って捜査しておる。磯子署の永山洋右という次長は、坂本さんが最後に横浜法律事務所を出たのはいつですかと記者団が聞いたら、法律事務所はそういうことは弁護活動の一環だからということで一切警察に話そうとしない、こう言っている。ところが、それは真っ赤なうそで、横浜法律事務所は、坂本さんの手帳も事務所に置いてある予定表も警察にすべて現物を見せて、コピーを渡しておった。法律事務所には二人の刑事が張りついており、弁護士、事務局員全員が事情聴取、指紋の採取にも応じているぐらい協力しておった。それを、言わないというようなことを言う。
 あるいは、坂本弁護士はサラ金に借金がかさんで首が回らなかったそうだと警察は言っていますが本当ですか、こう言って横浜法律事務所等へ聞きに来ている記者があらわれておる。あるいはまた、弁護士になって三年目だという割に預金が多過ぎるという情報がある、秘密で何か後ろ暗い仕事を請け負っていたのではないか、こういう情報をリークして、それで新聞記者が聞きに来る。あるいはまた、坂本氏が学生時代に過激派の活動に加わっており、その関係で内ゲバに巻き込まれたのだという説が流布された。出所は県警の幹部クラスだ。それが確かめもしないで新聞に載って、関係者が、友人も含めて抗議して、新聞はとうとうおわびと訂正を大きく載せたという事実があります。
 それだけではない。県警の幹部は、記者団に、君たち、横浜法律事務所の弁護士の言うことをまともに受けて、拉致だ拉致だと書いていると、後で恥をかくことになるよということまで言っている。言語道断じゃないですか。
 あなた方警察は、先ほどまでの質問に非常に簡潔に答弁しました。簡潔というのは少し修飾してあなた方に有利に言うたのだが、非常にぶっきらぼうな短い答弁をしましたが、実際上は、そういう捜査をして、あるいは捜査をサボって的外れなことをやっていたんじゃないですか。
#216
○篠原説明員 お答えいたします。
 この事件の捜査につきましては、神奈川県警におきまして、事件認知後、百二十名態勢の捜査本部によって捜査を行ってきたところでございます。
 オウム真理教との関連につきましては、当初において御指摘のような経緯等を把握をしながら、拉致事件の可能性というものを十分に念頭に置いて捜査をしてきたところでありまして、現在も引き続き大規模な捜査本部体制によって捜査をしているところでございます。
#217
○正森委員 私の知るところでは、いまだに拉致事件の捜査本部じゃなしに、失踪事件の捜査本部になっているんじゃないのですか、また、広域の捜査体制あるいは捜査本部はつくっていないんじゃないのですか。
#218
○篠原説明員 捜査本部の名称につきましては、これは外部に対しまして発表できる段階になった時点において名称変更ということでございまして、その捜査の過程におきまして、どういう可能性が高まってきたかということについては、それは保秘の問題を要するものというふうに考えております。
 また、広域捜査についてのお尋ねでございますけれども、警察庁の調整のもとに、都道府県警察におきまして関連情報の収集について指示、依頼をしているところでございます。
#219
○正森委員 今も答弁がありましたように、捜査の進展によって事件の名前を変えると言いますが、少なくとも今はまだ失踪事件としてやっているということを認めたことにほかなりません。そういう体制で、そんな多くの人の要望にこたえることができないのは当たり前であります。
 大体、早川容疑者と亡くなった村井氏というのは、この事件の直後に相次いで指紋を消去しており、その指紋を消去しているということは、その後間もなく起こった熊本の事件で逮捕された九〇年の十月にもうわかっているのですね。この事件が起こってすぐ後に、麻原代表を含めて関与したほとんど全員がヨーロッパヘ旅行して証拠隠滅とも思われることをやっている。
 最近の報道では、十一月三日の直前に麻原代表が幹部を集めて、そういう血のイニシエーションのDNAという、まあ言うたら自分の存在そのものにかかわるようなことが京大で否定された、それが裁判に出てくるというので、坂本弁護士をこのままにはしておけないというように言ったということが、この上申書関係者が言っておるということも出ております。
 私は、いたずらに捜査当局を追及ばかりしようとは思いません、一生懸命やっている点もあるのですから。しかし、改むべきは改めて、三人の人が、しかも人権擁護のために頑張ろう、こう思っている弁護士を拉致し、場合によったら、その安全に危害を加えるというような事件についてはもっと真剣に謙虚に捜査をする必要があるということを指摘しておきたいと思うのです。
 それから二番目に、もう一つのサリン事件で、非常に影響があった松本サリン事件については、長野県警は河野義行さんを終始一貫被疑者扱いにした。最近、相次いで新聞社が、新聞社自身も警察のリークをそのまま書いて被疑者扱いにしたのは申しわけないといって、そのおわびの記事を載せ、あるいは特集をしております。
 それを見ますと、河野さんに対して警察は、事件翌日に松本署の幹部が来て、何があったんですか、正直に答えてくださいというようなことを聞き、そしてサリンの被害で入院して、帰ってきたら、その日には、サリンをつくった目的はというようなことで、ポリグラフの同意書を求められて調べを受けておる。翌日に至っては、突然捜査員から、犯人はおまえだ、正直に言え、亡くなった方に申しわけないと思わないか、こういうように畳みかけられておるのです。けしからぬ話じゃないですか。
 しかも、それよりも前に、事件の翌日には、県がどうもサリンが使われだということを言っており、少し化学知識があれば、サリンというのは、そんな個人が家の中でごそごそつくれるものではないということが明らかであるにもかかわらず、長期にわたってこういうことをやった。あるいは、上九一色村で異臭騒ぎがあったときも、二ケ月余も放置してそれを調べていないということがあったんじゃないのですか。
 だから、もし公開して国民の前に明らかにするというなら、非常に謙虚な態度をとらなければならないと思いますが、いかがですか。
#220
○篠原説明員 お答えいたします。
 捜査上の関係につきまして、今後、関連事件等の捜査の進展に伴いまして、事実関係が明らかになってくるかというふうに考えております。その過程におきまして、節目節目におきまして、捜査の内容等についての公表ができ得るかというふうに考えております。
#221
○正森委員 一番国民が望んでいるのは、捜査の過程でこんな失敗があった、あんな失敗があったということが明らかにされることではなしに、それを克服して真相が解明され、真犯人や、それらの犯罪の目的が国民の前に明らかにされ、適切な処罰が行われ、再犯が防がれるということが一番の国民の願いであります。ですから、私は、いたずらに過去を問うのではなしに、将来、検察、警察も含めて適正な捜査と処分が行われることを期待したい、こう思います。
 次に、宗教法人法による解散の問題について伺います。
 きのう私は、この問題について質問するので、法務大臣から明確な答弁を賜りたいということをあらかじめ法務省に申しておりました。きょうの法務大臣及び刑事局長の御答弁によりますと、きのう既に決断をした。そして、私が聞いておりましたのに誤りがなければ、八十一条には、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。」という事由がありまして、事由は五つあるのですが、「所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。」となっている。そこで、共同してもしくは単独で請求をする腹を決めておるという意味の答弁がありました。
 これは当然であるといえば当然ですが、国民にとって非常に心強い決断であると私は思います。何といっても、検察官がこれらの事件を起訴し、あるいはこれから、も起訴するであろう、その中で、非訟事件で裁判官を納得させ、決定を出していただくには最小限どの程度の証拠が必要か、またそれが刑事裁判に対して障害にならないかということを唯一判断できるのは検察官であります。その検察官が共同でもしくは独自で請求するということにされたことは、この宗教法人の解散が国民の納得できるような一定の期間でできることをある意味では保障するものだというように思いますが、念のために、そのことについての決意を一言で結構です、もう前に承っておりますから、法務大臣あるいは刑事局長から伺います。
#222
○則定政府委員 法務当局といたしましてのこの検察官の申し立ての問題、まさに全く同じ認識でございまして、そういう意味で、私もそういう方向で調整させていただいたわけでございます。検察としては、期待される役割を十分果たすものと思っております。
#223
○正森委員 同僚委員に対する質問の中で、宗教法人解散は、法人として解散するということで、団体活動全体を規制するものではないという意味の答弁がありました。
 しかし、財産の処理というのに目を向けますと、宗教法人の場合は裁判所の任命された清算人が財産を管理していく。したがって、今度の場合は、地下鉄サリン事件といい、あるいはだまされてといいますか、効力を過大に評価して全財産をお布施した信者といい、今後オウム真理教に対して損害賠償請求が起こってくる可能性が十分にある。その場合に、例えば破防法の場合には当該団体が財産を管理することになっています。それに対して、宗教法人法で行う方がはるかに公正にこれらの請求にもこたえられるということで、私は、その第一歩として、速やかな宗教法人法に基づく解散が行われることを期待します。
 また、午前中いろいろ質疑がありましたが、我々は、破防法というのは容易に発動されるべきでない、本来存在すべきでない、政治的な弾圧法規である、しかも法律自体には繰り返し繰り返し国民の基本的人権を侵害することのないようにというように書かれていますので、それらの点について、法務省が軽々な措置をとられないように私は希望して、質問を終わります。
#224
○金子委員長 小森龍邦君。
#225
○小森委員 時間が極めて限られておりますので、私の質問も簡単に、さらに答弁の方もできるだけ簡単に、時間を節約していただくようにお願いを申し上げたいと思います。
 まず、文部省に御答弁を賜りたいと思いますが、オウム真理教に出家した者の中に、高度な学問を受けなければならない医師とか弁護士、さらにはサリン製造能力を持つほどの青年科学者といいますか、そういう人がいることに今回の事件を通じて驚いております。反社会的テロ行為を是とするような価値判断がこの人たちの間に存在をするわけです、常識的に道徳とか倫理観とかということよりも、この人たちの間にはさらにそれを上回る価値観というものがある、こういうふうに思います。
 そこで、文部省にお尋ねをしたいのは、今日のこの教育の制度、特に私は、端的に申しまして差別と選別の教育、専門家を育てればよいというような教育、そういうところに大きな教育的欠陥がありはしないかと思うわけでありますが、いかがでしょうか。
#226
○上杉説明員 お答えいたします。
 子供たちの教育につきましては、学校、家庭、地域社会が一体となってそれぞれの教育機能を発揮することによって豊かな人間性を図っていくことが肝要だと考えております。特に、学校教育におきましては、みずから考え、理性的に判断し、行動できる資質や能力を身につけるとともに、豊かな人間性をはぐくんでいくことが重要であると考えております。
 私どもとしても、そのような考え方に立ちまして、道徳教育の充実を初めとしまして子供たちの人間形成のために一層努力してまいりたいというふうに考えております、
#227
○小森委員 答弁にはなっていないんですが、どうも、さらにこの論理を発展させる時間がありません。
 やむなく法務省に質問を移しますが、既に三百数十人の逮捕者が出ており、相当数の人が送致されており、昨日はまた麻原教祖を含めて起訴をされた、こういうことでございます。
 そこで、私のお尋ねをしたいことは、去る五月十九日、日本弁護士連合会の土屋舎辰が会長声明というのを出されておりまして、それはどういうことかといいますと、先ほど少しばかり問題になりました、「松本サリン事件の例に見るまでもなく、疑われた市民の人権を著しく侵害するのみならず、真犯人の検挙を遅らせ、事件の再発防止の重要な手段の一つを欠くことをさえ意味する。」こういう一種の警告的な声明が出ております。同時にまた、「憲法と刑事訴訟法に定める適正手続に反する疑いがある。それは要するに、軽微な犯罪でも逮捕勾留、あるいは別件逮捕による取り調べなどの事例が少なからず当番弁護士によって報告されておるということでございます。
 この点について、法秩序を維持するための公権力の発動というのはすぐれて法秩序を守らなきゃならぬ、こういうように思うわけでございまして、その点法務省はどのように考えておられるか。
#228
○則定政府委員 法秩序を守るべき立場にあります法執行機関が、まさにおっしゃいますように、いわゆる法律に従った手続でその実態解明に当たるべきこと、もとよりでございます。
 そういう観点から申しましても、今回の一連のオウム関係事件捜査につきましていろんな見方があるわけでございますが、私どもといたしましては、それぞれの捜査機関におきましては法令の許す範囲内で、かつ、法令に従った手続で適正に対応してきたものと考えておるわけでございます。
#229
○小森委員 我が国法曹界における弁護士側のトップの方がこういう危惧をされておるということは、先ほどの刑事局長の答弁では、なるほどそうかとは私は思えません。したがって、さらに続けてこの議論することができませんが、くれぐれも基本的人権が尊重されるような、特にオウム教団の中には、ああいう学歴の高いトップの方もおられますけれども、そうでない人もたくさんおられるわけでありますから、特にその点は留意をして、人権擁護の立場から捜査を進められることを希望しておきます。
 さて次の問題は、せっかく、今回の会期中恐らく発言の機会もないかと思いますので、総務庁の方にお尋ねをいたしますが、現在の段階におきまして、民間団体が部落解放基本法制定要求を相当なエネルギーを費やして行っております。したがってそのことは、従来からの状況からいたしますと、地域改善対策協議会の審議との関係が非常に深い因果関係を持っておると思います。したがって、現在段階ではどういう状況になっておるか、簡単にひとつ御説明いただきたいと思います。
#230
○炭谷説明員 先生のお尋ねの地対協の現在の審議状況でございますけれども、地対協では、平成五年十月以来総括部会におきまして、同和問題の早期解決に向けた方策のあり方について審議を進めているわけでございます。
 特に現在の状況について申し上げますと、総括部会の中に小委員会をさらに設けまして、先ごろ政府が実施しました平成五年度の同和地区実態把握等調査の結果についての評価並びに地域改善対策の課題の整理を行っていただいているところでございます。ちょうど明日地域改善対策の総括部会が開かれることになっておりますので、その場でこの小委員会の報告がなされるのじゃないかというふうに思っております。
#231
○小森委員 まだ地域改善対策協議会では結論に至るまでのその途中の段階だということを先ほど御報告があったわけでありますが、これは法務大臣に、閣僚の一員としてちょっとお尋ねをしておきたいと思うのであります。
 六月五日の解放同盟中央本部から出ております解放新聞に、五段、六段抜きの大きな記事で「村山総理が制定を指示 閣僚懇で強く意志表明」というのがございました。つまり、私がお尋ねしたいのは、この閣僚懇での意志表明と、先ほどの炭谷室長の答弁、つまり地対協の現在段階との間に相当の乖離があるようでございますが、このことを聞いておられた閣僚の一員として、村山総理の発言というものを、民間団体が強く願う部落解放基本法制定という到着点を考えたときに、法務大臣はどのような所見を持っておられるか、率直に語っていただきたいと思います。
#232
○前田国務大臣 この同和問題には、小森先生長年御熱心にお取り組みをいただいてまいりました。私も御一緒に、ともに歩んできた一人でございますが、そもそも現行法が制定された平成三年度末に、現行法の期限後にいかにあるべきか、審議会等をつくるべきであるという御要請の中で、全会一致をもって附帯決議に、法期限後の問題を含めて地対協の中に総括部会をつくり、その後の問題についても検討すべしという諮問を地対協総括部会にいただいておるところでございまして、当然筋論といたしましても、間もなく、明日、実態調査の結果がまとめられ、報告される予定と伺っておりますが、そうした実態調査の結果を踏まえて総括部会において今後のあるべき姿というのが御議論いただけるものと考えております。
 なお、閣僚懇においての村山総理の御発言等々、詳しく少し申し上げれば二つございまして、一つは人種差別撤廃法の批准に向けて閣僚において協力をされたい、それから、現在与党においてプロジェクトチームがつくられておりまして、差別問題に対するあり方というものが議論されておるわけでございますが、これについても各閣僚ひとつ格段の協力を願いたい、こういう総理からの御発言でございました。それに対して、私は総理に、地対協の御議論、総括部会の御議論の状況を踏まえて私どもは対応していく、かように申し上げておるところでございます。
 なお、あす、その実態調査の報告がなされる、それによって今後地対協、あるいは与党プロジェクトチームを初め議会の中においても法期限後の問題について御熱心な御議論が起こってくるものと考えておるところでございます。
#233
○金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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