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1995/04/19 第132回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第132回国会 地方行政委員会 第14号
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1995/04/19 第132回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第132回国会 地方行政委員会 第14号

#1
第132回国会 地方行政委員会 第14号
平成七年四月十九日(水曜日)
    午前九時三十分開議
出席委員
  委員長 川崎 二郎君
   理事 塩谷  立君 理事 中馬 弘毅君
   理事 穂積 良行君 理事 粟屋 敏信君
   理事 山名 靖英君 理事 米田 建三君
   理事 北沢 清功君 理事 田中  甲君
      安倍 晋三君    小野 晋也君
      岸本 光造君    栗原 博久君
      栗原 裕康君    谷  洋一君
      西田  司君    平林 鴻三君
      山本 公一君    岩浅 嘉仁君
      上田  勇君    岡島 正之君
      富田 茂之君    仲村 正治君
      永井 英慈君    藤村  修君
      山崎広太郎君    加藤 万吉君
      畠山健治郎君    山下八洲夫君
      穀田 恵二君    川端 達夫君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (国家公安委員
        会委員長)   野中 広務君
 出席政府委員
        警察庁長官官房
        総務審議官   山本 博一君
        警察庁生活安全
        局長      中田 恒夫君
        警察庁刑事局長 垣見  隆君
        警察庁警備局長 杉田 和博君
        外務省総合外交
        政策局軍備管理
        ・科学審議官事
        務代理     杉内 直敏君
        自治大臣官房長 秋本 敏文君
        自治大臣官房総
        務審議官    二橋 正弘君
        消防庁長官   滝   実君
 委員外の出席者
        法務省刑事局刑
        事課長     小津 博司君
        厚生省薬務局安
        全課長     植木 明広君
        厚生省児童家庭
        局企画課長   吉岡 大忠君
        通商産業省基礎
        産業局総務課化
        学兵器・麻薬原
        料等規制対策室
        長       掛林  誠君
        地方行政委員会
        調査室長    前川 尚美君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十四日
 辞任         補欠選任
  吉田 公一君     羽田 孜君
同日
 辞任         補欠選任
  羽田  孜君     吉田 公一君
同月十九日
 辞任         補欠選任
  石橋 一弥君     安倍 晋三君
 田野瀬良太郎君     小野 晋也君
  谷  洋一君     岸本 光造君
  蓮実  進君     栗原 博久君
  愛野興一郎君     仲村 正治君
  吹田  ナ君     藤村  修君
  吉田 公一君     岩浅 嘉仁君
同日
 辞任         補欠選任
  安倍 晋三君     石橋 一弥君
  小野 晋也君    田野瀬良太郎君
  岸本 光造君     谷  洋一君
  栗原 博久君     蓮実  進君
  岩浅 嘉仁君     吉田 公一君
  仲村 正治君     愛野興一郎君
  藤村  修君     吹田  ナ君
    ―――――――――――――
四月十八日
 サリン等による人身被害の防止に関する法律案
 (内閣提出第九六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 サリン等による人身被害の防止に関する法律案
 (内閣提出第九六号)
     ――――◇―――――
#2
○川崎委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、サリン等による人身被害の防止に関する法律案を議題といたします。
 これより趣旨の説明を聴取いたします。野中国家公安委員会委員長。
    ―――――――――――――
 サリン等による人身被害の防止に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○野中国務大臣 ただいま議題となりましたサリン等による人身被害の防止に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明いたします。
 最近、サリンと見られる猛毒ガスによって不特定多数の人を無差別的に殺傷するという我が国の犯罪史上に例を見ない残虐きわまる犯罪が続いて発生し、社会に重大な不安を生じさせているところであります。
 サリンは、化学兵器にも用いられるほどに殺傷能力が強く、しかも人の殺傷以外にその用途が認められない反社会的な毒性物質でありますが、このサリンの発散、製造、所持等やサリンの製造を目的とした原料物質の所持等を人の生命及び身体の被害を防止する観点から有効に取り締まる法規がなく、また、既存法令の罰則の適用等によってはサリンを使用する不法事犯を的確に取り締まることが難しいという現状にあります。
 また、サリンは強い毒性を有し、かつ、極めて即効性の高いものであるため、それが発散された場合等には直ちに所要の措置をとる必要があるところから、その旨の規定を整備する必要が認められるのであります。
 この法律案は、以上のような実情を踏まえ、サリン等、すなわち、サリン及びサリン以上のまたはサリンに準ずる強い毒性を有する物質の製造、所持等を禁止するとともに、これを発散させる行為についての罰則及びその発散による被害が発生した場合の措置等を定め、もってサリン等による人の生命及び身体の被害の防止並びに公共の安全の確保を図ることをその内容としております。
 以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。
 まず第一に、サリン等の発散等に関する罰則等の整備についてであります。
 その一は、サリン等を発散させて公共の危険を生じさせた場合には無期または二年以上の懲役を科すこととするものであります。
 その二は、サリン等の製造、輸入、所持等を禁止し、これに違反した場合には七年以下の懲役を、発散罪の用に供する目的でこれらの罪を犯した場合には十年以下の懲役を科すこととするものであります。
 その三は、発散罪を犯す目的でその予備をした場合には五年以下の懲役を、製造罪等を犯す目的でその予備をした場合には三年以下の懲役を科すことにより、サリン等の原料物質の所持等についても一定の場合には処罰することができることとするものであります。
 その四は、発散予備罪または発散目的製造罪等を犯した者が発散罪の実行の着手前に自首した場合に刑を減軽し、または免除することにより、サリン等の発散の未然防止を図ることとするものであります。
 その五は、発散罪、製造罪または輸入罪に当たる行為に要する資金等を提供した場合には三年以下の懲役を科すこととするものであります。
 第二に、被害発生時の措置等についてであります。
 その一は、サリン等の発散により人の生命または身体の被害が生じており、または生じるおそれがあると認められる場合等においては、警察官等は、警察法、警察官職務執行法、道路交通法その他の法令の定めるところにより、直ちに、その被害に係る場所への立ち入りの禁止、その被害に係る物品の回収または廃棄等その被害を防止するために必要な措置をとらなければならないこととするものであります。
 その二は、この警察官等による措置の円滑な実施を確保するため、関係行政機関等及び国民との協力関係について所要の規定を整備するものであります。
 なお、この法律の施行日は、罰則については公布の日から起算して十日を経過した日、その他の部分については一部を除き公布の日としております。以上が、この法律案の提案理由及び内容の概略であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜ることをお願いいたします。
#4
○川崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○川崎委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します、塩谷立君、
#6
○塩谷委員 地下鉄サリン事件が発生してからちょうど一カ月たとうとしておりますが、何の罪もない一般の市民を殺傷するという世界でも例がない悪質きわまりない新しいテロ事件がこの我が日本で起きたということは非常に残念であり、また、犯人もまだわからないということは大変遺憾であります。
 仮谷さんの拉致事件の容疑でオウム真理教の一斉捜査が行われましたが、その施設等から数々の押収された膨大な量の薬品類やあるいは大規模な化学装置などからサリンの製造の疑いが濃厚だと思っておりますが、同時に、オウム真理教の実態が少しずつ明らかになるにつれ、ABC兵器、つまり核あるいは細菌、ガスによる大量破壊兵器を使って国家転覆あるいは世界制覇を考えているように報道されておりますが、全くとんでもない宗教法人だと思っております。その異常さゆえに現在の法律では追いつかないような状況があると思われますし、そのために今回の特別立法となったと理解をしているわけでございますが、我々としても、必要な措置を講じて一日も早い事件の解決をし、そのような危険な集団の存在を阻止しなければならないと考えているわけでございます。
 今法案について、特に、そういった現在の事件が起こっているわけですが、それを踏まえて、今回の法案の趣旨、目的、そして具体的な効果、まずこれについて御説明をいただきたいと思います。
#7
○垣見政府委員 お答えいたします。
 サリンと見られる猛毒ガスによる無差別的殺人事件が発生をいたしまして、大変重大な社会不安が生じていることは、ただいま委員御指摘のとおりでございます。そういう状況から、サリンの製造、所持等に対する重い罰の規定を整備することなどによりまして、同種事案の再発を防止し、もちまして人身被害の防止と公安の維持を図ることを目的として本案を提出させていただいた次第でございます。
 本法が制定されますと、サリン等の製造、所持などを直ちに処罰することができることになるとともに、サリン等を製造するための予備的な行為、予備行為としてのその原料物質を所持したり提供する行為などについても処罰することができることになるというふうに考えております。
#8
○塩谷委員 既に法律が成立している化学兵器禁止法があると思いますが、これは大体同じような目的で法が成立したと思いますが、その化学兵器禁止法との関連について御説明をお願いいたします。
#9
○垣見政府委員 ただいま委員御指摘のように、化学兵器の禁止のための法律が成立をいたしておりますけれども、この法律は、化学兵器の禁止を担保するための行政罰という法の性格上、サリンなどによる人身被害を防止するために必要な重い刑罰が定められているとは言えないわけでございまして、また、サリンを製造するための予備行為としてのその原料物質を所持する行為や原料物質を提供する行為などについて必要な規制が設けられていないために、化学兵器禁止法におきましてもサリンにつきましてはその無許可製造等が処罰されることになっているわけでございますけれども、そういう意味ではダブっている面もあるわけでございますけれども、そのような重い刑罰規定あるいは予備的な行為が罰せられていないというような点がございますために、今回御提案申し上げた法律が必要であるというふうに判断したものでございます。
#10
○塩谷委員 今回の法案については当然必要な法案であると我々は思っておりますが、昨年六月に起こった松本での事件があるわけでございます。これも有毒ガスはサリンだと推定されているわけでありますが、我々もある反省もしなければならないのですが、その時点で直ちに今回の立法化を考えていたら果たして地下鉄サリン事件があるいは防げたのか、そう思う点もあるわけでございますが、この点につきまして、松本サリン事件以後そういうことは考えなかったのかどうかということ、それをお伺いしたいと思います。
#11
○垣見政府委員 委員が御指摘されましたように、昨年六月に松木市内におきましてサリンと思われる物質が発散というか、それによりまして死傷者が多数出たわけでございます。その時点において今回のような法案等は考えなかったかというような御趣旨かと思います。松本の事件につきましては、多数の死傷者も出たということで私どもとして大変重大な事件という認識はしておったわけでございますけれども、残念ながらその事件の背景また内容の解明に至っておらないわけでございまして、そういう、ややある意味では捜査に偏っていたというような御指摘をいただく点があるかと思いますけれども、そういうような全容が解明されない段階で直ちに今回のような法案ということまで思い浮かばなかった面はございます。
 ただ、一点つけ加えさせていただきますと、当時そういうことで私ども十分承知してなかったサリンが使用されたのではないかというような点がございましたので、それらの関係の検討もいたしましたところ、当時既に、化学兵器の禁止条約の批准のために今回御審議いただいて成立をいたしました化学兵器禁止法というか、その条約批准のための国内実施法の検討がされておりました。
 私自身というか、私どもとしては、その化学兵器禁止条約批准のための国内実施法の中でこの種の問題もおおむね対応できるのではないかというような一つの考え方もございまして、そういうこともあったために、直ちに今回の御提案申し上げているような法案というところまで考えが至らなかったわけでございます。
 ただ、この国内実施法をどうするかということをいろいろ関係の省庁とも議論している中で、先ほど申しましたように、この国内実施法、化学兵器禁止法につきましては、やはり化学兵器を禁止するためのある意味では行政罰的な罰則を持った法律にならざるを得ないという制約があるということがわかりました。したがって、今回のような事案には十分対応できないということがわかってきた段階でまさに地下鉄のサリン事件が起こったというような状況でございまして、結果的には、その時点でもう少し重大なものとして受けとめなければならなかったかなというような反省はございますけれども、今回御提案を申し上げた法案を急遽検討いたしまして、御審議をお願いいたすようになった次第でございます。
#12
○塩谷委員 今回の事件が本当に異常といいますか、我々の考えが及ばなかった本当に悪質きわまりないものであって、とにかく現在の法律では対応できない部分が多々あると思うわけでございまして、この点においても十分我々も勉強しなければなりませんし、今回の解明の中ではまだまだいろいろな点で不備な点があると思われます。特に、最初に申し上げました、報道されているような核とか生物兵器、いろいろと想定されるわけでありますので、今後速やかなそういった対応をお願いしたいと思っております。
 それで、法案の内容としてちょっとお聞きしたいのは、「サリン等」とありますが、「等」というのは具体的に何を指すのか。サリンと同等のというふうに書いてありますが、こういったいわゆるサリンのような有毒ガスのようなものがたくさん今までに開発されているのかどうか、そんなことも含めて、この「サリン等」の内容を具体的に説明していただきたいと思います。
#13
○垣見政府委員 「サリン等」とは具体的に何かというような御質問かと思いますけれども、「サリン等」というふうに記載しておりますけれども、これにつきましては、サリンのほか、規定してございますように、サリン以上のまたはサリンに準ずる強い毒性を有すること、それから、殺傷目的に供されるおそれ並びに人の生命及び身体に対する危害の程度が大きいと認められること、三点量として、犯罪情勢等を勘案して、規制等を行う必要性が高いと認められること、この三つの要件を満たすものとして政令で定める物質をいうというふうに規定をいたしております。
 具体的には、これは特に毒性の点で申し上げるわけでございますけれども、タブンという物質あるいはソマンという物質などがこれに当たり得るものというふうに考えておりますが、ただ、これを直ちに政令で定める必要があるかどうかについては、今後の社会実態の推移を見ながら検討していく必要があるというふうに考えております。
#14
○塩谷委員 次に、今回の法案の中で予備をした場合という表現があるわけでございますが、この「予備」というのは薬品の所持とか製造をするいろいろな装置とか、そういうものも入ると思うのですが、今回の事件が明らかにされる中で、この「予備」というのが具体的にどこの範囲まで適用されるのか。今回オウム真理教の施設の中でいろいろな設備等が発見されているわけですが、そんなこともあわせて、この「予備」というのがどこまで入るのか、具体的にお願いしたいと思います。
#15
○垣見政府委員 「予備」につきまして、御提案している法案におきましては、発散、製造、輸入等の予備をそれぞれ処罰することとしております。
 発散予備といたしましては、例えば発散の直前、調合してサリンを製造し、発散するような形において原料物質を携行しているような場合、あるいは発散に用いる容器、噴霧器を購入したというようなケースを想定しております。
 それから製造予備としては、原料物質の購入、所持、貯蔵など、さらに製造に要する設備、敷地の購入などを想定しております。
 それから輸入予備としては、輸入のための外貨の準備等を想定しているものでございます。
#16
○塩谷委員 特に、今回オウムの施設で発見された薬品が本当に我々一般から見ると膨大な量だという感じで、あれだけでも適用されるに十分たり得るのではないかなと思うわけでございます。いわゆる「予備」が所持、購入、あるいは今お話を聞きますと、その敷地の購入等も含めてということでありますが、果たしてそれでは原材料、今回押収された三塩化燐、あるいは弗化ナトリウム、イソプロビルアルコール等、我々テレビで見ていますと、これだけでも危険きわまりないという感じを受けるわけでございます。
 それぞれの薬品については、もちろん我々の一般的な社会生活に大変必要な産業的薬品だと思いますが、やはり今回これだけの事件が起きたということは、個々の単体の薬品に対する規制もある程度厳しくしていただかないといかぬではないかなという感じがするわけでありまして、その個々の単体の薬品に対する現状の規制がどうなっているのか、今回事件が起きて、それを今後改めて厳しく見直すことを考えているのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#17
○植木説明員 毒物劇物取締法の観点からお答えしたいと思いますけれども、毒物劇物取締法におきましては、日常流通しております有用な化学物質の中で毒性、劇性の激しいものにつきまして国民の保健衛生上の観点から必要な規制を行うというものでございます。 三塩化燐につきましては、農業等の原料として幅広く使用されているものでございますが、そのものの毒性の程度から毒物劇物取締法上は毒物に指定をしております。毒物劇物取締法上、三塩化燐につきましては、所持自体は禁止をしていないわけでございますが、購入に当たりまして、その名称、数量、販売、授与の年月日、譲り受け人の氏名、職業、住所を記載いたしまして、印を押した書面を受けるなどの譲渡手続が規定をされております。また、毒劇物の危害防止のために、盗難の防止とかあるいは施設外への飛散、漏出の防止等の注意義務を課しております。 以上でございます。
#18
○滝政府委員 消防法の観点から幾つかの物質について規制をいたしておりますので、この点について申し上げたいと存じます。
 報道等からいろいろな製法があるというふうに言われているわけでございますけれども、その中で顕著な物質といたしましてはイソプロビルアルコールあるいはジエチルアニリンあるいはメチルアルコール、こういった点につきましては、数量がある程度まとまってまいりますと当然それは消防法上の危険物ということで規制になっているわけでございます。例えばイソプロビルアルコールの場合は、引火点が摂氏十一度ということでかなり低いことから、非常に消防法上の危険物質、あるいはこの蒸気が空気と混合しますと爆発性を帯びる、こういうような観点から、これにつきましては四百リットル以上の量を貯蔵しあるいは取り扱う場合には市町村長の許可を必要とする、こういうことでございます。
 こういうようなことが今回のこの関連物質としては何点があるわけでございますけれども、私どもとしては、こういった消防法の危険物につきましては、さらに今回のこの法案の趣旨等も勘案いたしまして、消防法の立場からこの貯蔵あるいは取り扱い、こういった点については十分な審査を行うとともに、施設への立入検査を強化する、こういうようなことを徹底してまいりたいと存じております。
#19
○掛林説明員 化学兵器禁止条約の実施法でございます化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律につきましては、例えばサリンの直前前駆物質は特定物質として原則として所持等が禁止されることになります。
 また、前駆物質でございますけれども、先ほど厚生省の方から御説明がありましたような三塩化燐等につきましては、この法律とは別途また毒劇法の規制対象物質として販売等が規制されているわけでございます。さらに、原材料の物質を用いてサリン及びサリンの直前の特定物質を製造するということは、もちろんこの法律におきまして特定物質の製造ということで原則禁止されることとなります。
 このように、化学兵器禁止法上の規制におきましては、サリン等の特定物質及びその原材料を厳正に管理するということにしておりますし、また、他の関係法令等の適正な運用ということと相まってこのような事件の再発防止ということに役立つものと考えております。
 現在、関係省庁と可及的速やかに調整を整えましてこの法律の施行に向けて努力しております。
#20
○塩谷委員 いずれにしても、大量な薬品類の購入等、大分時間をかけてやったんだと思いますが、その間に何の措置もできなかった現行法といいますか、現在の状況を非常に残念だと思いますし、個々のそういった薬品についても今後注意深くいろいろな対応をしていただきたいと思うわけでございまして、ぜひ国民を安心させるような対応をお願いしたいと思います。
 今回、仮に今の事件で犯人が特定された場合、現行法においてはどういった法律が適用され、罰則的にもどういったものが想定されるのか、同時に、法案が成立した場合、今回の事件において、現在は犯人は捕まっていない、特定されていないわけですが、その現状においてはどう適用できるのか、その点をお伺いしたいと思います。
#21
○垣見政府委員 お答えいたします。
 いわゆる地下鉄サリン事件の関係でございますけれども、この関係、現在捜査中で、残念ながら被疑者の特定、検挙に至っておりませんけれども、この被疑者等が判明した場合には、現行法におきましては殺人罪の適用が可能なものというふうに考えております。
 それから、本法案が成立した場合、この関連でどういう適用状況になるかというような御質問かと思いますけれども、本法が成立して罰則が施行後になりますれば、サリンを不法に所持していたり製造している者についてはこの法律による取り締まりが可能となるわけでございまして、例えば検問等をやっているわけでございますけれども、その場合、サリンを不法に所持している者等を発見した場合には、その所持罪により現行犯逮捕するとともにサリンを押収することができることになります。
#22
○塩谷委員 今回の捜査の段階でいろいろ報道がされておりますが、オウムの施設でサリンが製造されたと断定したという報道、これは一部報道かもしれませんが、そういうことも含めて、また、先週、十四日ですか、全国一斉の捜査が行われたということで、現在の捜査状況について御説明をいただきたいと思います。
#23
○垣見政府委員 オウム真理教関連施設に対するこれまでの一連の捜索におきまして多量の薬品類等を発見、押収いたしております。それらの薬品類はサリンの製造等に必要とされるものであろうというふうに判断をいたしておりますし、また、オウムの関連施設、山梨県の関連施設におきまして化学プラント用の設備を発見し、現在その捜索、検証を行っているところでございます。そのような状況から、このオウム真理教の関連施設におきましてサリンが製造されている疑いというのはあるというふうに考えておりますけれども、最終的な判断につきましては、この押収物の分析、さらには化学プラント用の設備に対する検証の結果等を十分検討して判断をする必要があるというふうに考えております。
#24
○塩谷委員 どう見てもオウム真理教自体が大変異常であり危険である、そんな感じがするわけでありまして、この点においては、法秩序に対するあるいは国家に対する挑戦であるというような感じが強くするわけでありまして、こういうものが今まで日本の社会に平然と存在したということは大変疑問であるわけでございます。
 特に宗教法人のことについては、これは東京都の許可ですか、認可になっているわけですが、全国二十四都道府県ですか、百何十カ所という、そういったいわゆる土地を所有しているのか、施設を所有しているのかわかりませんが、そういう実態、そういうこともまずもっておかしいと思いますし、この宗教法人の解散命令あるいは少なくとも活動停止等も今後考えなきゃならぬと思っていますし、あるいは破防法の適用とか、いずれにしても、本法案と同時に我々としてはできる限りの対応をしていく必要があると思っております。
 そういう面で、とにかくこの事件解決のために、国家公安委員長として野中大臣、この解明についての改めての、もう既にいろいろな場面で決意をお伺いしておりますが、ここで改めてお伺いしたいと思っております。
#25
○野中国務大臣 先ほど来御指摘いただいております松本市及び地下鉄駅構内におきます事件は、何の関係もない善良な市民を大量、無差別に殺傷したという極めて悪質かつ卑劣な、反社会的、反国家的犯罪であると私は思うのでございまして、これによりまして国民、関係の皆さん方に多大な脅威と不安を与えておるわけでございます。
 現在、警察におきましては、それぞれの事件につきまして全国警察の組織を挙げて犯人の早期検挙と真相の解明に当たっており、また一方、この種犯罪の再発防止につきましても全力を挙げて取り組んでおるところでございます。
 政府といたしましても、先般、御承知のように関係省庁連絡会議を開催し、そしてこれに対応するさまざまな協議をいたしますとともに、また、関連する関係閣僚会議を開催をして、ただいま申し上げましたように、犯人の検挙、全体像の解明、さらに再発防止について取り組んでおるところでございます。
 国家公安委員長といたしましても、一刻も早く事件の早期解決を図りまして国民の不安を取り除くことに最重点を置いて督励をしてまいりたいと存じております。
#26
○塩谷委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 質問を終わります。
#27
○川崎委員長 北沢清功君。
#28
○北沢委員 昨年六月の松本でのサリン事件、それからつい一月前の都内の地下鉄で発生した両事件とも、あってはならない、無差別テロとも言ってもよい、被害者の方にとってはまことに理不尽で防ぎようもない事件であります。
 化学兵器を一切持たない我が国にあって、自然界に存在しないはずのサリンがなぜ使われたのか、また、このような神経系毒ガスがどのようにつくられたのか、何の目的でだれが、我が国犯罪史上まれな、社会を恐怖と混乱に陥れるこの毒ガスを用いたのか。捜査当局がこの解明のために日夜御努力をいただいていることは十分承知をしております。こうした犯罪が断じて許されないというあかしのためにも、警察当局は組織を挙げて犯人逮捕のために全力を挙げていただきたいと心から願うものであります。
 そこでお尋ねをいたしますが、今回、化学兵器禁止法とは別に、とりわけこのサリンについてだけ特別に緊急立法措置をとらなければならない理由、趣旨について、まずお尋ねをいたしたいと思います。
    〔委員長退席、中馬委員長代理着席〕
#29
○垣見政府委員 お答えいたします。
 御指摘のように、サリンと見られる猛毒ガスによりまして無差別的に多数の死傷者を出す事案が続いて発生をしたわけでございまして、その点から重大な社会不安が生じておりますことから、このサリンにつきましては、被害防止や公安の維持の観点から必要な罰則規定を整備し、同種事案の再発防止を図る必要があるというふうに考えたわけでございます。
 これに対しまして化学兵器禁止法におきましては、サリンが規制対象とされてはいるものの、これは、化学兵器の禁止を担保するための行政刑罰としての性格上、サリンによる人身被害を防止するために必要な刑罰が定められているとは言えないというふうに考えておりますし、また、サリンを製造するための予備行為としてのその原料物質を所持したり提供する行為などにつきましては必要な罰則が設けられていないというようなことなどから、化学兵器禁止法とは別に特別の立法が必要であるというふうに判断をし、御提案をし、御審議をいただいている次第でございます。
#30
○北沢委員 趣旨についてはよくわかりました。
 そこで、現在大規模な捜査が展開をされておりますが、サリン事件に関連してですが、私の地元にありました昨年六月の松本サリン事件、ことしに入ってからの京浜急行での異臭による被害が出た事件、そしてこのたび地下鉄内でのサリン事件について、捜査当局はどのように判断をなさっておいででしょうか。
#31
○垣見政府委員 御指摘いただきました松本におけるサリン事件、それから京浜急行の異臭事件、それから地下鉄のサリン事件ということでいろいろな事案があるわけでございますけれども、これらの事案につきましては、現段階ではそれぞれ別個の事案というふうに考えて捜査をいたしております。
 ただ、京浜急行の事案につきましてはちょっと内容的にはっきりしない点がございますので別といたしまして、松本における事件、それから地下鉄における事件は、いろいろ報道等でもされておりますように、いずれのというか、両者の事件につきましてサリンが、犯行というか、用いられたという疑いが濃厚なわけでございまして、そのサリン自体は通常自然界に存在をしないというか、という物質であるわけでございまして、そういう物質の共通性というか、そういう点があるわけでございますので、この両事件の関連性の有無についても十分考慮をしながら真相の解明を図ってまいりたいというふうに考えております。
#32
○北沢委員 その松本の事件でありますが、昨年この事件が発生した段階で、一部のマスコミがオウム教との関連を報じるといった事実があったわけであります。当時もっと別の観点からあの事件を捜査していたなら、今回の地下鉄サリン事件とは違った影響もあったのではないかという指摘がありますが、そうした指摘についてはどのようにお考えになられておるか、お尋ねしたいと思います。
#33
○垣見政府委員 お答えをいたします。
 今御指摘いただきました松本の事件につきまして、大変多数の死傷者が出ている事案でございまして、私どもとして、大変重大な事案と認識をして対応をしたところでございます。捜査の主体は当然のことながら長野県警察において行ったわけでございますが、関係箇所の捜索あるいは関係者多数から事情聴取するなど、いろいろな幅広い捜査を現在までいたしているところでございます。
 ただ、残念ながら、現在まで真相の究明には至っておりません。いずれにしても、私ども、この事案については、やはり犯行のというか、事案の内容を早期に解明することが同種事案の再発防止につながるのではないかという考えから捜査を督励してまいったわけでございますけれども、残念ながらその解明に至らない段階で今回の地下鉄の事件が発生をしてしまったという状況でございます。
 犯罪捜査を行うに当たりましては、あらゆる可能性を視野に入れながら証拠を積み重ね、法令に従って事案の真相を解明するということが必要なわけでございますけれども、十分重大なものと受けとめながら残念ながら事案の真相の解明に至っておらないという点で大変残念なことだというふうに考えておりますし、また、御指摘のように、この事案が早期に解明されたのであれば第二次事件は発生しなかったのではないかというような御指摘も含めて、大変厳しく事態を受けとめているところでございます。
#34
○北沢委員 この第一通報者の河野氏への取り扱いについて、捜査上の問題、また本人が今次人権救済を申し入れているといったことについてどのように判断をされておられるか、お尋ねをいたします。
#35
○垣見政府委員 お答えいたします。
 ただいま申し上げましたように、当該事件については大変重大な事案というふうに認識をして、証拠の確保並びに事態の把握の必要上、必要な場所について捜索、差し押さえ、検証を実施いたしましたほか、多くの人から事情を聴取いたしております。それらの捜査活動につきましては、当然のことながら法令に従い実施をいたしているわけでございまして、またこの事案が最終的に解明されておりませんので、そういう意味では、関係の方々にいろいろ御不便をおかけしている面もあろうかと思いますけれども、引き続き捜査を推進して事案の解明を図ることが私どもにとって大変重要なことというふうに考えている次第でございます。
#36
○北沢委員 たまたま御本人については、非常に私はお気の毒だと思いますし、ある種の冤罪ではないかというふうに思っておりますから、しかるべく捜査の明らかな段階で明らかにしていただきたいというふうに思っております。
 それでは、これから具体的にこの法案についてお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、第三条の一号及び二号によります適用除外の範囲についてという、適用除外の際の判断基準についてまずお尋ねをいたします。
#37
○垣見政府委員 お答えいたします。
 第三条におきまして、サリン等の製造等を原則的に禁止するとともに、その禁止を除外する場合として、第一号におきまして、国または地方公共団体の職員で政令で定める者が試験または研究のため製造などをする場合、第二号におきまして、化学兵器禁止法などの規定により製造等の適正な管理が行われている場合を挙げておりますが、これらの場合に該当するかどうかについては、本法で規制する物質が当面サリンに限定される現時点においては、サリンは化学兵器禁止法の規制対象物質でもあることから、専ら第二号に該当するかどうかを判断すれば足りるものというふうに考えております。
#38
○北沢委員 それでは、第五条に関連しますが、ここにおいて予備行為とはどのようなものを想定しておられるのでしょうか。今回のサリンの原料にもなると言われております三塩化燐などは、それ自体は毒性が強いものではなく、いわゆる禁止されていたものではないわけですが、そうした薬品も今回対象となることによってこの法律による強制捜査などが行われるおそれはないかどうかということについて、予備行為としてのいわゆる想定しておられる具体的な中身についてお聞かせをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#39
○垣見政府委員 本法におきましては、御指摘のように発散予備罪、製造予備罪、輸入予備罪等について規定しておりますが、いずれもサリンの発散の目的、サリンの製造または輸入の目的などを持ってその準備行為を行う者を処罰しようとするものでございまして、御指摘のように三塩化燐を所持することが直ちに予備罪に当たるものではないということは御理解をいただきたいと存じます。
 具体的には、発散予備罪については、サリンの発散の目的を持って発散に用いる噴霧器等を購入する行為などが考えられますし、製造予備罪または輸入予備罪につきましては、サリンの製造の目的を持って原料物質を購入する行為、サリンの輸入の目的を持って外貨を準備する行為などが考えられます。
#40
○北沢委員 そして、これから確認をしてお尋ねをしたいのですが、第四条の、警察官等は法令の定めるところにより立入禁止措置や退去措置、物品の回収、廃棄、その他被害防止の措置をとらなければならないと規定がされておりますが、これはあくまでも既にある法令上の範囲内であって、これによって新たな権限の強化とか拡大といったものなどはないと考えていいでしょうか、どうですか。
#41
○垣見政府委員 第四条一項によりまして警察官がとる措置は、サリン等の発散によって人の生命または身体の被害が生じているような場合、あるいはそのおそれがある場合に、警察法、警察官職務執行法、道路交通法などの既存の法令に基づいて行うものでございまして、この規定によりまして新たに警察官の権限を定めたというものではございません。
#42
○北沢委員 わかりました。
 それでは次に、第七条の中にある「情を知ってことは、具体的にはどのようなことを指すと考えておられるのか。どのような場合を想定し、立証のための根拠とされるのでしょうか、お尋ねをいたしたいと思います。
#43
○垣見政府委員 第七条の「情を知ってことは、例えば提供する資金等が本法に定めるサリンの発散、製造、輸入の犯罪に用いられることを認識しながらというような意味でございまして、これらの立証に当たっては、例えば資金を提供するような場合の言動、あるいは提供する者とこれを受ける者との関係等、諸般の事情をもとに個別具体的に実態に即して判断をすることになるものと考えております。
#44
○北沢委員 大体わかりますが、それでは、この法律の罰則規定についてでありますが、殺人予備罪が二年以下の懲役であるのに対してこの法律では予備罪は三年以下となっていることについて、重くなっているわけでありますが、罰則のバランスの上では法体系の中でいかがでありましょうか、具体的に見解をお尋ねをいたしたいと思います。
#45
○小津説明員 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、刑法の殺人予備罪の法定刑は二年以下の懲役でございまして、御審議いただいております法律案におきましては、サリン等発散罪の予備罪の法定刑が五年以下の懲役、サリン等製造等の罪の予備罪の法定刑が三年以下の懲役と定められているところでございます。このうち、殺人予備罪は個人の生命を保護法益とする殺人罪の予備罪でございますけれども、この御審議いただいております新しい法律案における予備罪は、サリン等が強度の毒性を有する極めて危険な物質でありまして、これが発散、製造等された場合には公共の安全に与える影響が非常に大きく、その予備についても危険性が高い場合が少なくないと考えられたことから、このような法定刑として立案されているものと承知いたしております。
#46
○北沢委員 わかりました。
 それじゃ最後に、さて、この四月十五日に、わけがわからない何かが起こるという予言などによって首都圏の厳戒態勢がしかれたことは記憶に新しいところでございます。今回は水も危ないといった流言飛語まがいの状況が見られまして、社会不安がいたずらに醸成された面もあったように見受けられます。マスコミ報道等の仕方にも責任はあるのではないかと思いますが、こうした場合の情報の的確な提供といったことが必要ではないかというふうに考えるのであります。この点についてはいかがでしょうか。
#47
○杉田政府委員 お答えをいたします。
 確かに御指摘のとおり、四月の十五日またはその前後に何か重大な事態が起きるというようなさまざまな情報が飛び交いました。いずれも出どころのはっきりしない、しかも合理的な根拠のないものではございましたけれども、地下鉄のサリン事件があり、さらにまた警察庁長官の狙撃事件があって警戒をしておるさなかであったこと、またさらに、いわゆる自然災害ということでなくて人為的な重大な事態が発生するというような中身でございましたので、国民の不安を解消し、あわせて万一に備えるために、警戒をさらに強化をしたものでございます。
#48
○北沢委員 それでは最後に、この法律が成立するに当たりまして、国家公安委員長としての大臣の捜査に当たられる御決意のほどを伺いたいと思います。
 今や国民の捜査当局への期待は大きなものがありまして、このような時期だけに、この捜査を慎重にかつ国民の期待を裏切ることのないものとするよう、この法律による効果と真の意味を、中身を生かすような点について強く希望して、私の質問を締めくくらせていただきます。
#49
○野中国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、松本市及び地下鉄駅構内におきます事件は、サリンを使用し善良な市民を無差別に殺傷したものでございまして、我が国におきます治安の良好が我が国の誇りでもあっただけに、憤りにたえないところでございます。
 このような卑劣かつ悪質な犯罪は決して許すことができないのでありまして、警察におきましては、一刻も早く犯人を検挙するべく、先ほど来申し上げておりますように総力を挙げて徹底した捜査を行っておるところでございますけれども、国家公安委員長といたしましても、一連の事件の捜査活動が迅速かつ的確になし得るよう重ねて督励をしておるところでございます。
 また、国民の皆さんにおかれましても、この種事件の重大性にかんがみまして、いろいろな問題といろいろな報道がございますけれども、ぜひ的確な御理解を賜りまして積極的な御協力をいただきたいと存じておるところでございます。
#50
○北沢委員 御決意のほど、十分にわかりました。この問題の早期な解明に向けて一層前進されますように心から御期待をして、私の質問を終わります。
 以上です。
#51
○中馬委員長代理 田中甲君。
#52
○田中(甲)委員 さきがけの田中です。
 松本サリン事件では七名、地下鉄サリン事件では十二名というとうとい命が失われている、また、いまだに後遺症で悩まれている方がたくさんいらっしゃるという中で、本当に私も憤りを感じている一人でございます。
 まず、素朴な質問を二点ほどさせていただきます。
 まず第一点は、サリンが全国に拡散をしている、その可能性があるということが極めて懸念されるところでありまして、一日も早く回収を行っていかなければならないだろう。今回出されました法案では、罰則によってサリンを使用した犯罪の防止を図るということと同時に、どのような観点でサリンの回収方策を考えていらっしゃるか、その点をまずお聞かせをいただきたいと思います。
#53
○垣見政府委員 お答えをいたします。
 本法では、サリンの発散予備をした者やサリンの発散目的でこれを製造した者などを処罰することとしておりますが、これらの者がサリンの発散行為に及ぶことを未然に防止することが何よりも重要であるというふうに私ども考えております。御指摘のとおりでございます。
 これらの者が発散の実行の着手前に自首した場合にその刑を必要的に減免することとし、発散行為に及ぶことを思いとどまるよう促すとともに、サリンの回収を図ることとしております。また、本法の施行後罰則が施行されるまでの間におきましても、サリンを所持している者に対しては、届け出義務を課すとともに、そのサリンの廃棄を義務づけ、サリンの危険性の解消を図ることとしているところでございます。
 今後、捜査の徹底を図ることはもとよりでございますけれども、この本法の制度等を活用してサリンの回収に努めてまいりたいというふうに考えております。
#54
○田中(甲)委員 自首減免規定を活用してというお話を今承ったわけでありますが、その関連の質問は後段に回すといたしまして、この一連の経過、経緯を見ている中で、オウム真理教の教祖であります麻原彰晃氏、この方に重要参考人として事情聴取を行うべきである、私はそのように考えておりますし、国民の大多数の方も、なぜそれを行わないかという疑問を持たれていると思います。その点について御答弁をいただきたいと思います。
#55
○垣見政府委員 お答えをいたします。
 オウム真理教関係につきまして、さまざまな犯罪行為が判明をしておりまして、それを現在全国警察で鋭意捜査をいたしているところでございます。この真相の解明というのは大変重大な問題、重要な問題ということで力を尽くしているわけでございますけれども、今後捜査をどういう展開にするのか、またどういう捜査方針であるかにつきましては、今後の捜査の問題でございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
 ただ、一般的に申し上げれば、捜査におきまして必要と思われる人物から必要な事情聴取等を行うことは当然でございまして、全国警察において、そういう観点から必要な所要の捜査を尽くし、また所要の手だてを尽くしているものというふうに承知をいたしております。
#56
○田中(甲)委員 わかりました。捜査上に重要な問題を及ぼすという発言もございましたので、これ以上言及はいたしません。所在その他ということも言及をさせていただきたいと思いましたが、捜査に影響を与えることがあってはならないという判断のもと、質問は差し控えさせていただきます。
 さて、国民の命を守る、私たち政治家にとりましても、また政治の原点というものも、人の命を守るということだろうと思います。しかし、万一このサリンというものが不幸にして再度発散させられた場合、これは今回出されました法案の四条でありますが、その場合の被害発生時の措置などを定めております。その点の趣旨についてお伺いをしたいと思います。
#57
○垣見政府委員 御指摘のとおり、サリンが発生された場合においての措置というのが大変重要なわけでございまして、特に避難、救助等の措置を迅速に行う必要がありますことから、第四条におきましては、サリン等の発散による被害が生じている場合、またそのおそれがある場合には、警察官等は、警察官職務執行法などに定められた職権を行使することができる旨を明確にしたものでございまして、また、その職権を行使すべきという、ある意味での義務的な規定も明らかにしたわけでございます。それらによりまして、その職権の迅速かつ的確な行使が図り得るものになるというふうに考えております。
#58
○田中(甲)委員 サリンが発散させられた場合、被害者の救助に当たるということ、しなければならないということでありまして、国民にとりましても大変に心強い限りであります。しかし、その救助に当たる方々本人が、やはり専門的な知識や技術のほかに特別な装備資機材というものを備えていなければならないだろうと思うわけでありますが、その点については現状どのようになっているか、お聞かせをいただきたいと思います。
#59
○垣見政府委員 お答えいたします。
 今回の地下鉄の事件におきまして、御案内のようにサリンという極めて危険性の高い物質が犯行に使用されたということで、自衛隊、消防と緊密な連携をとって被害者の救生活動や汚染された場所の洗浄に当たったところでございます。自衛隊、消防と緊密な連携をとったというところは、御指摘いただきましたように、警察の持っている装備資機材だけでは十分この事態に対応できなかったという点もございます。そのためもございまして、急速所要の防護服を購入をし出しているところでございますけれども、なおやはり大規模な事案に対処するためには必ずしも十分ではないというふうに考えておりまして、今後、防護服や防毒マスク等の装備資機材の整備に努めるとともに、専門知識、技術を有する職員の育成を図ることなどによって、対応に遺憾なきを期してまいりたいというふうに考えております。
#60
○田中(甲)委員 今の答弁の関連でありますが、警察と関係機関との密接な連携が必要である、その中での法案における対処ということはどのようになされているか、再確認をさせていただきたいと思います。
#61
○垣見政府委員 被害発生時の措置について定めました第四条第一項におきましては、警察官のほか、海上保安官及び消防吏員のとるべき措置についてもあわせて規定をいたしておりますほか、これらの者が相互に緊密な連携を保たなければならない旨の規定もいたしているところでございます。
 また、第二項におきまして、警察本部長等が第一項の措置をとるに当たりましては、自衛隊等の関係機関に対し、技術的知識の提供、装備資機材の貸与等の協力を求めることができる旨を規定し、これらの関係機関との協力関係につきましても明確化を図ったところでございます。
#62
○田中(甲)委員 万難を排してどうぞ捜査並びに警備というものを進めていただきたいと思います。
 以上で終わります。
#63
○中馬委員長代理 続いて、米田建三君。
#64
○米田委員 松本のサリン事件、またそれに次ぐ東京での地下鉄サリン事件、この一連の事件は、安全な国日本というこれまでの我が国の世界に誇るべき国際的なイメージをも損なう重大な事件だったと思います。また市民が、理由もなくいつ命を奪われるかもしれない、そんな不安、恐怖を抱くに至った、まさに我が国の歴史の中でもまれに見る凶悪な犯罪である。国家、社会に与えた損害もはかり知れないというふうに思うわけでございます。したがって、万々が一未解決に終わるというふうなことになれば、これは大変なことになるわけでございまして、徹底した捜査が望まれるところだと思うわけでございます。
 そこで、先ほどの塩谷議員の御質問にもございましたけれども、新聞報道等では、オウム真理教、この教団がサリンの製造にかかわっていることを、これは間違いないと当局が断定しておるというふうな報道が相次いでいるわけであります。例えば、四月十七日のある新聞では、たしか一面のトップだったと思いますが、サリン製造の工程のノートを当局が押収したとか、あるいは相当に信頼できるとされている某テレビ局も特集の番組で、当局が既に断定をしておるといった報道をしておりました。
 そこで、改めて念のために伺うわけでありますが、先ほどの塩谷議員の御質問に対する御答弁のとおり、まだ断定という段階ではないんですか。これはどうなんでしょう。
    〔中馬委員長代理退席、委員長着席〕
#65
○垣見政府委員 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、これまでの一連の捜索におきまして、オウム関連施設からサリンの製造に必要であると考えられる薬品類等を多数押収いたしております。また、山梨県下のオウム関連施設におきまして化学プラント用の施設を発見し、同所に対する捜索、検証を現在も引き続いて実施しているところでございます。
 警察といたしましては、これらのことから同施設におきましてサリンが製造されている疑いは有しているわけでございますけれども、最終的な判断につきましては、押収物の分析、化学プラント用の施設に対する捜索、検証の結果等を総合的にかつ慎重、的確に行っていくべきものというふうに考えております。
#66
○米田委員 さまざまな容疑で随分大勢の逮捕者が出ておりますが、素人が見ていても、逮捕者の取り調べがもし順調に進むならば相当な情報も得られるであろう、事件の解決に相当な進展の期待も持てるであろうというふうに思うのですが、この大勢の逮捕者の取り調べ、具体的にはどうなんでしょうか、順調に進んでいるんでしょうか。
#67
○垣見政府委員 御指摘いただきましたように、オウム真理教に関しましてはさまざまの犯罪容疑がございまして、それらにつきましてそれぞれの都道府県警察において捜査をいたしておるところでございます。そういう中で、取り調べの状況あるいは関係者の供述の状況はいかがかという御質問かと思いますけれども、この点につきましては、現在捜査中でございますし、これから公判等の維持の関係もございますので、現段階でその状況について答弁するのは差し控えさせていただきたいと存じます。
#68
○米田委員 連日全国各地で捜索が行われ、当局も大変御苦労だと思うのですが、この解決に向けての捜査体制が実際どうなっておるのか、ちょつと具体的に御説明を願いたいと思います。
#69
○垣見政府委員 現在の捜査体制についてお尋ねでございますが、数的にちょっと申し上げるまでには至っておらないわけでございますけれども、現在の事態は、地下鉄におけるサリンによる多数の死傷者を発生した事件、事案あるいは長官が狙撃をされた事案も含めまして、まさに日本の治安が揺るぎかねない大変な事態だという認識でございます。そのためもございまして、また、同種事案の再発防止という観点もございまして、ある意味で全国警察総動員体制で取り組んでいるというふうに御理解をいただいてよろしいかと思います。
 いずれにいたしましても、この重大局面、治安に対する重大ないろいろな不安感の生じている事案を一刻も早く解消すべく、全国警察官心を一にして取り組んでいるということで御理解をいただきたいと存じます。
#70
○米田委員 時間の経過とともに今国民のだれしもが心配をしておりますのが、このサリンの事件の犯行にかかわったグループ等の人間が依然としてサリンを所持しておるのではないか、また何らかのタイミングを選んでどこかで類似の事件を引き起こすのではないか、これが大方の国民の不安ではないかというふうに思うわけであります。
 そういう中で、今、交通機関等では不審物に注意をというようなアナウンスもされております。これは承知をしておりますが、そのほか、全体的にサリンの拡散並びに類似の犯行を防止するための措置というものを具体的にどのようにとっておられるのか、御説明を願いたいと思います。
#71
○杉田政府委員 お答えをいたします。
 最大の防止策は事案の解明でございますので、現在、総力を挙げてやっておりますけれども、それとともに、御指摘のございました地下鉄、さらにまた地下街、そして公共施設等、多数の人が集まり、いざ発生をした場合には多大な被害が予想される、そういう箇所を中心にした警戒活動というものを強化いたしております。さらにまた、そういったところの施設の管理者、こういうところにいろいろな情報を提供いたしまして、自主的な管理体制というものを強化し、同時にそこに集まります方々に対するいわゆる広報、こういうものを実施していただくようにいたしております。また、不審物、こういうものを発見した場合には速やかに通報いただくとともに、そういうことを具体的にどのような連係プレーでやるかということも個々具体的に打ち合わせをいたしておるところでございます。
 さらにまた、四月六日には関係省庁の連絡会議が設置をされましたので、そうした場におきましてそれぞれの機関が連絡協調し合いまして、今申し上げました諸対策というものを具体的に講じるようにお互いに確認をし合っておるところでございます。
#72
○米田委員 オウム真理教につきましては、サリンの製造の疑いのほかに数々の疑惑が報道されているわけでございます。例えば、一つには銃器の製造の疑惑でございます。また、細菌を培養しておるのではないかといったふうな疑惑もございます。また、爆薬の原料を保有しておるのではないか、こういう疑惑もある。また、青酸カリの保有の疑惑もございます。これらについて実際の事実関係はどうなっているのか。冒頭の質問でも、報道機関はもう断定しておるというふうに報道しているけれども、実際そこまでではないというふうなお答えがございましたが、これらにつきましても事実関係がどうなっているのか、当局のお答えを求めます。
#73
○垣見政府委員 お答えをいたします。
 まず、銃器の製造についてでございますけれども、四月六日に警視庁におきまして建造物侵入で現行犯逮捕いたしましたオウム真理教信者の使用車両から、自動小銃の部品と思われる金属物品などを発見したことによりまして、これまでに武器等製造法違反容疑でオウム真理教関連場所の捜索を行うなど、所要の捜査を行っているところでございます。
 また、銃器の関係では、四月十二日に大阪府警察が無免許運転で現行犯逮捕いたしましたオウム真理教信者が改造けん銃と思われるものを隠匿していたことから、銃刀法違反容疑により所要の捜査を行っているところでございます。
 それから、細菌培養についてでございますが、この問題について報道等いろいろされていることは承知しておりますが、現段階でオウム真理教関係者が何らかの細菌の培養を行っていたという事実については、把握するまでには至っておりません。
 次に、爆薬、爆弾の原料の保有あるいは青酸カリの保有の問題でございますけれども、今回の捜索におきましてグリセリン、硫酸などの原料というか物品を押収いたしております。これらは、相当多量のものを押収しているわけでございますけれども、爆薬の原料になるというものでございますけれども、これらを使って爆薬をつくったのかどうかまでについては、まだ現段階では判明していない状況でございます。それから、青酸カリについても押収をいたしております。
 今申し上げましたような状況でございますけれども、これらにつきましてそれぞれ今後捜査を進めて、実際にどういう活動をしていたのか、どういう犯罪容疑があったのかについては解明をしてまいりたいというふうに考えております。
#74
○米田委員 捜査の過程であって、まだ不透明な部分もあるようですが、仮に、一連の経過の中で浮かび上がってきたさまざまな疑惑、例えば銃器の大量の製造を考えておったとか、あるいは大量の毒ガスの製造を企図しておったとか、これらのことが事実であるというようなことになりますと、これはもはやこの教団が、言ってみれば、単なる犯罪というよりも、暴力によって国家、社会全体を敵として位置づけ、国家機構の破壊、転覆まで考えているのではないか、いたのではないか、こういうふうな話になってくるのではないかと思うのですが、昨夜ですか、これもまた一部の報道機関、テレビでございましたが、内乱予備罪の適用の検討に警察、検察当局が入ったというふうな報道もありましたけれども、そんなことも含めながら、事件の全体構造をどのようにとらえて捜査しておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
#75
○垣見政府委員 どのような全体構図をとらえて捜査をしているのかというお尋ねかと存じますが、警察といたしましては、現在、オウム真理教をめぐるさまざまな犯罪容疑事案について鋭意捜査を進めているところでございまして、現段階ではそれらを総合した全体的な評価を行うことは難しい段階というふうに考えております。
 御案内のように、犯罪捜査は法令に従いまして証拠を積み重ねて事案の真相を一つ一つ明らかにしていくという活動でございまして、警察としては、このような捜査活動を早急に推し進めて、事案の全容をなるべく早い機会に明らかにしたいというふうに考えておる次第でございます。
#76
○米田委員 一日も早い解決を求めるわけでございますけれども、次に、本法案の中身について二点ほどちょっとお伺いをしたいと思います。
 今回の一連の事件の中で一般国民が改めて認識をし、びっくりもした点の一つというのが、これは専門家からいうともしかしたら当たり前のことかもしれませんが、一つ一つが何でもない物質でありましても、専門知識を持つ方がそれを組み合わせたり融合させたりすれば、化学反応を繰り返せば、立派な凶器になるんだ、毒ガスになるんだ、このことにやはり大変な恐怖と不安を大多数の国民は抱いたし、今も抱いておられるのだろうと思うわけでございます。
 そこで、本法案では、サリン及びサリン以上のまたはサリンに準ずる強い毒性を有する物質を規制対象として政令で定めることとなっている。先ほどの御質問の中でも、例えばタブンとかソマンとか、それらの具体的な名前も御答弁の中には出ておりました。そこで、このサリン以外の物質で政令で指定する場合の選定の方法はだれがどういうふうにして指定しようということになるのですか。その辺のシステムをちょっと具体的に伺いたいと思います。
#77
○垣見政府委員 お答えいたします。
 指定というのは政令で指定するわけでございまして、通常政令をつくる手続というか、閣議で定めていただくという形になると承知しております。
#78
○米田委員 いや、そういうことを聞いておるのじゃなくて、要するにサリン、そしてさっきタブン、ソマンという名前も出ましたが、私は専門家じゃないから知りませんけれども、毒ガスというのは、ほかにもいっぱいあるわけでしょう。三つだけじゃないわけでしょう。そういうものをいろいろ組み合わせればできるわけです。ですから、そういうものを選定をきちんとして、早く指定をしてほしい。そういう犯罪が再発することを防止してほしい。これが一般の国民が考えている常識だろうと思うのですが、とりあえずこのサリンというものが具体的にこの法案の一つの基軸として規制の対象になっている。
 先ほどはタブンあるいはソマン、こういうものも考えておるという話が出ましたが、そのほかにも、人を死に至らしめる毒ガスというものは恐らく世の中にはたくさんつくり得るものとしてあるだろうと思うのですね。こういうものの選定をだれがするのですか。例えば、当局が専門の学者さんか何かにお願いをして研究をするようなチームを、委嘱をするようなチームを直ちにおつくりになるような計画があるのか。私は当然そういうことは必要だろうと思うのですね。その辺を伺っているのです。
#79
○垣見政府委員 お答えいたします。
 「サリン以上の又はサリンに準ずる強い毒性を有する」物質としては、委員にも御指摘いただきましたようなタブン、ソマンというような物質に限られているというふうに考えております。それで、これらの物質につきましては、化学兵器禁止条約におきましてサリンとほぼ同等の毒性を有する毒性化学物質として規定されているわけでございまして、例えば御指摘のような審議会等への諮問等特別の手続は要しないものではないかというふうに考えております。
 それで、これらにつきまして、毒性についてはそういう判断でございますけれども、犯罪情勢等を勘案して、規制等を行う必要が高いと認められれば指定をするような形になろうと思いますけれども、これは今後の問題であろうというふうに考えております。
#80
○米田委員 いや、このサリン、タブン、ソマンに限られているというお答えでびっくりしたのですが、それは例えば文字どおりの、サリン及びサリン以上のまたは準ずるというこの文言に従った場合という意味ですか。
#81
○垣見政府委員 法律でそういうように規定をしておるわけでございまして、御指摘のとおりでございます。
#82
○米田委員 いや、そうなりますと、予定していた質問じゃなくて申しわけないのだけれども、話が違う方へ行ってしまうのだけれども……。
 この間、あれは、何かたまさか夜テレビを見ていましたら、戦争の記録のフィルムか何かをやっていて、塩素ガスというのですか、あれでもばあっと吹きかけたら人の目がつぶれたり、いろいろあるわけでしょう。
 だから、その文言にこだわるならばそういう話になるのでしょうが、基本的に化学の専門的な知識を持つ者が人を殺傷する能力を持つ毒ガスをつくることは一定の設備を持てばできるのだということがはっきりしている以上、このサリンというものを基軸に置いて、それとほぼ同等の毒性ということではなくて、本来ならばもうちょっと範囲を広げて、人を殺傷する能力がある物質全体を規制するような方向性をやはり考えなければ、国民の不安は解消されぬだろうと私は思うのですね。これは本法案の審議の中で、じゃ、どうするのだという答えが、すぐ、きょうじゅうに出せる問題じゃないのでしょうが、今後の方向として、三つに限定なんという話じゃなくて、本法案だけじゃなくて、今後の方向として、大臣、いかがですか。
#83
○垣見政府委員 お答えいたします。
 本法は、毒性の程度が著しく強く、人の殺傷以外にその用途がほとんど考えられない物質を公共の安全の確保等の観点から規制しようとするものでございまして、そのために罰則も大変重い罰則を規定しているものでございます。
 御指摘のように、使用法により危険が生じ得る物質というのは、それ以外、今私どもサリンあるいはそれに同等の毒性ということで申し上げたもの以外にも御指摘のようにあるわけでございますけれども、それらにつきましては、それらの物質を規制している諸法との関連も考慮しながら、別途検討すべき問題であろうというふうに考えております。
#84
○米田委員 この議論はまた後日に譲るとしまして、先ほど政令で指定をするということにつきまして、たしか直ちに指定をするということではないというお答えであったというふうに記憶をしておりますが、何で直ちに指定しないのですか。タブンですか、ソマンですか、何といったって、専門知識のある連中が集まってごちゃごちゃやっていればできてしまうわけですから、直ちに早いところ指定してくださいよというのが普通の、一般の国民の気持ちだろうと思うのですが、それはどういうわけですか。その辺がよくわからぬわけですよ。
#85
○垣見政府委員 お答えいたします。
 この法律におきまして、第二条で、先ほども御説明しましたように、毒性の点もあるわけでございますけれども、やはりこれを指定をするに当たっては、罰則の大変重い法律でもございますので、その毒性のみならず、「人の生命及び身体に対する危害の程度が大きいと認められること。」さらに加えて「犯罪に係る社会状況その他の事情を勘案して人の生命及び身体の保護並びに公共の安全の確保を図るために」この法律による「規制等を行う必要性が高いと認められること。」というふうに要件が大変厳格に定められておりまして、それらの要件から考えますと、現段階ではサリン以外について直ちに指定をする段階ではないという判断でございます。
#86
○米田委員 その犯罪に係る社会状況を勘案するというくだりですが、それは、つまりサリンは実際犯罪に使われた、タブンとかソマンとかについてはまだ使われた例がないというふうな意味合いなのですか。
#87
○垣見政府委員 お答えいたします。
 使われた例がないというか、現時点において、我が国においてその存在さえ確認されていないというふうな判断でございます。
#88
○米田委員 使われて被害者が出てから政令で追加するのでは遅いので、私はやはり少なくともそのサリン及びサリン以上のまたはサリンに準ずる強い毒性を持つものとして既に二つ名前が挙がっておるのですから、これはやはり御遠慮なく指定していいのじゃないかと思うのですよ。決してけしからぬなんと言う人はいないだろうと思うのです。これは意見として申し上げておきます。
 次に移ります。
 本法案では、第三条に、サリン等を製造、輸入、所持、譲り渡し、譲り受けても処罰の対象とならないという例外規定があるわけであります。この第三条の一号、「国又は地方公共団体の職員で政令で定めるもの」、こうありますが、この「政令で定めるもの」というのはどういう皆さんなのか、また、この第二号についても、ちょっと具体的に例外規定の対象となるケースについての説明を求めます。
#89
○垣見政府委員 お答えいたします。
 三条についての御質問でございますけれども、第一号は、「国又は地方公共団体の職員で政令で定めるものが試験又は研究のため」製造等をする場合というふうに規定しているわけでございますが、サリンについて限定して申し上げれば、サリンにつきましては、化学兵器禁止法の規制対象物質であることから、専ら第二号に該当するかどうかを判断すれば足りるものと考えておりまして、第一号の規定は必ずしも機能しないというか、考える必要がないというふうに考えております。
 第二号に該当するものとしては、自衛隊などが想定されるものと承知しております。
#90
○米田委員 厳しい罰則を伴う今度の法案でございますけれども、我々議会も御協力を申し上げて、異例の早さで本法案の成立を図ろうとしているわけでございますが、本法案の成立によってこの間の一連の事件の解決に向けどのような効果があるのか。
 あるいはまた、具体的に伺うならば、この法案の成立によって、たしか罰則の適用は、十日間の周知期間がありますから五月の一日からに実質的にはなりますが、捜査、取り締まり活動の上で何らかの具体的な行動を起こされる御予定といいますか、何かあるんでしょうか。
#91
○垣見政府委員 まず効果の問題でございますけれども、もう御案内のとおり、本法の罰則が施行された後にサリンを不法に所持したり製造している者については、本法による取り締まりが可能になるわけでございまして、現在全国各地で実施をしております検問等の機会にサリンを不法に所持している者を発見した場合には、その場合、殺意等の立証等は要せずに、本法の所持罪で現行犯逮捕あるいは緊急逮捕ができるわけでございます。また、当然のことながらサリンの押収もできます。
 今後の、この法案成立後の警察の取り組みというか対応についてのお尋ねでございますけれども、当然のことながら、本法が施行されました場合には、これは各都道府県に緊急に通達をして法案の内容を周知徹底するとともに、これまで行ってきた検問等において、今申しましたような措置ができるということを第一線にも十分徹底をして、必要な職務質問なり所要の捜査活動を行わせることになるわけでございます。
#92
○米田委員 次の質問ですが、先ほどオウム真理教に関する数々の疑惑の中で、細菌の培養をしているのではないかという、これについてはまだ事実は把握をしておらないというお答えでありました。しかし、そのオウム真理教に対する疑惑云々とは別に、この間一般に大きく広がった不安というものは、化学物質もともあれ、やはり細菌も大変だな、やはり生物学の知識のある人かなんかがチームを組んでよからぬ企てのもとにばらまかれたらたまらぬな、こういう不安を抱いた方は、当然ながら大変大勢いらっしゃると思うわけですね。
 例えば、ボツリヌス菌というのですか、これは青酸カリの三百万から四百万倍の強さで、一グラムで千七百万人を殺害できる歯もあるというようなことを私も初めて知ったのですけれども、これら細菌についての取り締まりの法規制というのは、現在どうなっているんでしょうか。
#93
○杉内政府委員 お答えいたします。
 昭和五十七年に、正式名称でいいますと細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約の実施法というのが制定されております。
 一般に生物兵器禁止条約と言われておりますものは、国際社会から生物兵器及び毒素兵器を廃絶することを目指した多国間の軍縮条約でございます。生物兵器禁止条約の実施法といいますのはこの条約の国内実施措置を定めるものでございまして、生物剤、毒素等を武力の行使の手段として使用されるもの、例えば砲弾やロケット弾のような兵器に充てんした生物兵器または毒素兵器につきまして、その製造、所持、譲り渡しまたは譲り受けの禁止及びこれに違反した場合の罰則等を規定しているものでございます。
#94
○米田委員 要するに、今のお答えですと、軍事的なスタンスに立った国際条約があって、それの関連する法規というものがある、こういうことなんですね。したがって、ちょうどこのサリンの件と同様に、化学兵器を禁止する法律、これだけでは足らぬということで今回こういう議論になっているわけでありまして、当然細菌につきましても、これはこれ以外に何か法律はないわけでしょう、国内法は、と思うのですが、あれば、お答えを願いたいんだけれども。もし今のお答え以外のものが何もないということになるならば、私はやはり細菌につきましても、今回の法案のような一般の国内の治安を維持する、公共の安全を図るというそういう観点から、やはり厳しい罰則を伴った法律の立法を急ぐべきではないかと思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。
#95
○垣見政府委員 細菌の危険性については私どもも認識をしているわけでございますが、サリン等の毒性物質と異なりまして、ある程度は自然界や人間の体内にもあるというような状況もございます。そういう観点から、直ちに所持等を処罰することが難しいというような点もございますし、また医療、製薬等の正当な用途がある程度認められるわけでございまして、本法の三条のような厳格な規制を行うことが困難であるかなというような点もございます。
 そういう点から、直ちに本法のような罰則規定を整備することには問題点が多いというふうに存じておりますけれども、御指摘のような危険性の問題にいかに対処するかについては今後の課題として研究をしてまいりたいというふうに考えております。
#96
○米田委員 それは何も、体内にも細菌がいることは知っておりますけれども、体内に持っているから持っている者を処罰しろなんということを言っているんじゃなくて、明らかに人を殺傷する目的で云々とか、ただし書きをつければ何とかなるのじゃないですか、法律の専門家じゃないから軽々なことは言えませんけれども、私はそういう意味で申し上げているわけでありまして、ぜひ今後のやはり検討課題にしていただきたいと思いますし、私どもも真剣に考えてまいりたいというふうに思います。
 次に、こういう事件がありますと、先ほどのサリンに準ずる毒性云々という観点とはまた別で広がってまいるわけですが、視野が広がってくるのですが、この劇毒物全体の規制、管理がどうなっておるのか、非常に心配なわけですね。
 そこで、これは厚生省にお尋ねをする、こういうことになろうかと思いますが、まず第一点は、この青酸カリを初めとする劇毒物の製造、販売、そして使用、こういう全流通過程についてきちんとチェックされるようなシステムに今なっておるのか。例えて言うならば、この最終の使用者においても、この人は何グラム買ってちゃんと届け出た使用目的のために全部使ったとか、何グラム残っておるとか、そんなところまで徹底していただけないものかなというふうな感じもするのですが、こういう劇毒物の規制、管理のシステム全体について伺ってまいりたいわけです。
 現在、三百種余りの劇毒物がある。それからまた、これについては約三千の製造業者があって、何かこれは販売業者が約九万六千軒あるのだそうですね。そして、届け出が不要なものもあるために数が使用者については不明である、こういう実情のようでございますが、毒物及び劇物取締法の規制、現行どんな中身になっているのでしょう。
#97
○植木説明員 お答えいたします。
 まず、毒物劇物取締法の立法趣旨、目的から御説明したいと思いますが、毒物劇物取締法は、日常流通しております有用な化学物質の中で作用の激しいものにつきまして、国民の保健衛生上の観点から、基本的に適正な目的に使用するということを前提といたしまして、必要な規制を行うこととしております。
 その規制の内容といたしまして、化学物質の毒性の強度に応じまして、毒物劇物あるいは特定毒物に指定をいたします。それから、製造業、輸入業、販売業の登録を行う。それから、青酸カリ等の取扱業者でございます業務上の無機シアン化合物の取扱業者につきましては届け出を行わせる。そして、それぞれ毒物劇物取扱責任者を設置させまして管理を義務づけております。
 また、その販売、授与をいたしますときには、事前に毒物劇物の名称、それから数量、それから販売、授与の年月日、譲り受け人の氏名、職業、住所を記載をさせまして、印を押した書面を受け取る、そういう譲渡手続を定めております。
 それから、毒物劇物の交付につきましては、年齢十八歳未満の者、それから精神病または大麻、アヘンもしくは覚せい剤の中毒者に対しましては交付を行ってはならない、そういう交付の制限を行っております。
 また、その危害防止のために盗難や施設外への飛散、漏えい等の防止の注意義務を課しておりますし、容器、貯蔵場所の表示義務等などの規制も行っております。
 以上でございます。
#98
○米田委員 何か聞いていると、完璧みたいな答えだけれども、実際には注意義務が課せられているだけであったり、またあるいは、単一の物質としてはさほどの毒性はないから無届けでよろしいということになっているものがあったり、私はやはり完璧なものじゃないのじゃないかという印象を持っているわけですね。それは、いみじくもおっしゃったように、保健衛生上の観点からつくられた法律でありますから、現行法においてはそれは当然なのでしょうが。
 そこで、この現行の範囲の中ででも結構なわけですが、今回の事件に関して厚生省としては具体的に何か対応されましたか。
#99
○植木説明員 厚生省といたしまして、今回の事件を踏まえまして、保健衛生上の見地から、毒劇物の適正な保管、管理の点検、それから譲渡手続における使用目的、使用量が適切であるかどうか等の確認につきまして、都道府県及び関係業者に対して指導を行いました。
 以上でございます。
#100
○米田委員 今後、劇毒物の規制や管理の現行の仕組みを、今回の事件のような経験を踏まえて強化を図る方向で検討されていくお考えがあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
#101
○植木説明員 今後の対応でございますけれども、ただいま警察の捜査の結果というものを踏まえまして、毒物劇物取締法の趣旨あるいは目的の範囲の中で、必要があれば所要の措置をとってまいりたいというように考えております。
 以上でございます。
#102
○米田委員 ちょっとまだ時間がありますから、別の問題を一つお尋ねしたいと思います。
 連座制を強化した公選法改正後初めての第一次の統一地方選が、四月九日の投開票をもって終了いたしました。今第二次が始まっております。さきの公選法の改正で加えられた組織的運動管理者を含め、いわゆる連座の対象となり得る者による買収、供応等による検挙の事例、具体的に今日までどのくらいありましたか。これは最終的に有罪となれば、当選無効あるいは公民権の停止にもつながるような事案だと思いますけれども、その点一つ伺います。
#103
○垣見政府委員 現在都道府県警察におきまして選挙違反事件について鋭意捜査中でございますが、連座制の対象となり得る者の検挙が具体的にどのくらいあるかにつきましては、現段階ではお答えをいたしかねるところでございます。
#104
○米田委員 統一地方選が始まる前の委員会でも私は同様の質問を申し上げましたけれども、要は、政治と選挙をきれいにするための法律はできたが、しかし、それはできただけであって、実態は変わらぬというようなことが続いてはならないわけでありまして、ぜひとも断固たる、そして徹底した体制をしいていただいて、この法律の趣旨が徹底できるようにひとつ御努力を願いたいということを要望して質問を終わります。
#105
○川崎委員長 富田茂之君。
#106
○富田委員 新進党の富田茂之でございます。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、サリン等による人身被害の防止に関する法律案につきまして、何点か御質問させていただきます。
 先ほど北沢委員の方から、殺人予備の刑との均衡から重くなっているのはなぜかというような御質問がございましたが、本法案の罰則全般を見ますと、今回特別に立法するという法律の割には刑が若干軽いのではないかというような印象を持っている方も多いと思います。
 化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律案に比べればかなり重罰にはなっていると思いますけれども、わざわざこれだけの特別立法をするわけですから、その観点から見ますと、仮に発散させた場合でも無期及び二年以上の懲役ということで、仮に発散行為があって、逮捕されて裁判になった場合に、執行猶予もついてしまうというような規定になっています。そういうことを考えると、ちょっと、かなりの殺人兵器的な物質であるのに刑が軽いのではないかというような議論があると思うのですが、このあたり、この法案の罰則全般についてどのように検討されてきたのか、御説明をいただければと思います。
 刑罰の謙抑性とか他の法令との均衡とかいろいろ観点があったとは思いますが、わざわざ緊急にこれだけの立法をするわけですから、その刑罰についてどのように検討されたのか、ちょっと経過を御説明いただきたいと思います。
#107
○垣見政府委員 お答えいたします。
 サリンという極めて危険性の高い物質を不法に製造、所持等をする者を重く処罰する必要があるという御指摘については、そのとおりでございます。ただ、一方におきまして、罰則につきましては他の類似の法令で定められた罰則との均衡を図る必要がございます。
 この観点から見ますと、サリンにつきましては、化学兵器禁止法において、ミサイル、砲弾等の化学兵器として用いる場合の罰則が設けられておりますことから、これらとの均衡を図る必要があったわけでございます。例えば、化学兵器使用発散罪の法定刑が無期または二年以上の懲役とされているわけでございまして、それらとの均衡を考えて現在の案になっているわけでございます。
 なお、人の死傷の結果につきましては、刑法の殺人罪によってさらに重く処罰することとなるわけでございまして、その点も考えた罰則の整備というふうに考えております。
#108
○富田委員 ちょっと今の点なのですが、化学兵器の禁止の方の法案は、ある意味では行政取り締まり法規という観点からの規制だったと思うのですね。今回は、公共危険罪ということで、公共の危険を発生させた場合にこの法案で取り締まっていくのだということですから、保護法益も違いますし、設けられたそもそもの制度趣旨が全く違うので、直前にできたばかりの法案ですから、化学兵器の方の規定にも考慮しなければならないというのはよくわかるのですけれども、そもそも今回サリンの特別立法が話題になってきたのは、化学兵器の規定では軽過ぎる、取り締まりが十分できないではないかという世論に後押しされてこの法案ができてきたと思うのですね。
 そうしますと、やはり今の説明で、発散罪の場合と同じになっているというようなのでは、なぜわざわざこんな特別立法をするのだという議論にまた戻ってしまう可能性もあると思うのですが、そういう意味でちょっとまだこの刑罰については検討の余地があるのではないかと思うのですが、その点はどうでしょう。
#109
○垣見政府委員 お答えをいたします。
 若干私の説明が不十分だったかと思いますけれども、化学兵器禁止条約におきまして規定している法の趣旨は、御指摘のように全般的に行政罰という観点から規定されておりますので、不十分ということで今回の法案の御審議をお願いしているわけでございます。
 ただ、その化学兵器禁止条約の中でも、例えばミサイル、砲弾等の化学兵器として用いる部分につきましては、ある意味でこれは行政罰だけではなくて公共の危険についても考慮した規定というふうに考えております。ですから、その部分は大変重い規定になっているわけでございます。
 ただ、この規定はミサイルなり砲弾というような兵器という格好で規制をされているわけでございまして、例えばいわゆる地下鉄のサリン事件で使用されたような形態は、この化学兵器禁止条約ではそれほど重い罰則で規定をされないわけでございますので、そういう意味で、化学兵器禁止条約のある意味での兵器として使用されたものとの、大変重い刑罰法令がかかっている部分との均衡を考慮して現在の法律案になっているというふうに御理解をいただきたいと存じます。
#110
○富田委員 今の点は了解いたしました。
 次に、罰則について、施行期日の関係で、「公布の日から起算して十日を経過した日」ということで周知期間が十日間設けられているのですけれども、通例ですと、いわゆる法例の一条では二十日間の周知期間が設けられていますね。それに比べて今回十日間ということでかなり短い周知期間にしたわけですけれども、その趣旨はどこにあるのか。
 また、法例でも別に定めることができるとなっているわけですから、十日にするのならば、先ほど別の委員の質問に対して、この法案が施行されればサリンの所持等をしている者に対して緊急逮捕とか現行犯逮捕ができるようになるというような御説明でしたので、それでしたら、もっと周知期間を短くしてもいいのではないかという議論も出てくると思うのです。この周知期間を十日間とした趣旨はどういう点にあるのでしょうか。
#111
○垣見政府委員 お答えをいたします。
 罰則の施行日につきましては、御指摘いただきましたように公布の日から二十日後とする例が多いわけでございますけれども、今回の法律につきましては、サリンによる事件の再発防止を図るべき緊急の必要があるということにかんがみまして、通例の二十日といういわゆる周知期間につきまして、半分の十日にしていただいたものでございます。
 この点については、考え方としては十日の周知期間も必要ではないのではないかといういろいろな御議論があることは承知もしておりますけれども、やはり大変重い罰則でもございますし、一定の周知期間が必要だということで、私どもとして通例の二十日ではないけれども十日は必要だろうという判断でこういう規定にさせていただいたものでございます。
#112
○富田委員 法案につきましてあともう一点確認させていただきたいのですが、事前に法案の御説明をいただいた以後に、今回緊急だったということで、経過措置の第三条、第四条が追加されております。この経過措置が追加された理由というのは、どういう点にあるのでしょうか。
#113
○垣見政府委員 経過措置が当初御説明した後にさらに追加をされているいろ御迷惑をおかけした点については、申しわけなく存じております。
 附則の第三条の規定につきましては、サリンの拡散を抑止する緊急の必要性にかんがみまして、罰則が施行されるまでの間、第三条のサリンの製造等の禁止を確保するため、所持するサリンの届け出、廃棄を義務づけることとしたものでございます。
 それから、附則の第四条の規定につきましては、化学兵器禁止法の附則第二条が同法の施行の日から三十日を経過するまでの間はサリンなどを含む特定物質の所持を認めておりまして、本法がサリン等の製造、所持等の禁止を早期に施行することとしている趣旨に沿わないものでございますことから、本法施行の際に現にサリン等を所持する者などについて、同条の適用を除外しようという趣旨で規定をさせていただいた次第でございます。
#114
○富田委員 次に、地下鉄サリン事件の捜査状況について何点か確認させていただきたいのですが、捜査の秘密ということがあってなかなか御答弁はいただけないとも思いますが、先ほど来何人かの委員の先生方が、いろんな捜査の中で証拠が出てきているじゃないかと、そういうことが報道されていると。それについて刑事局長の方では、いろいろな化学薬品とかプラントについて現在も捜索、検証中だ、サリンを製造した可能性はあるが、総合的な判断が必要だという御答弁でしたが、報道の中でかなり決定的なことを報道されているのもありまして、これが事実なら有力な証拠になるんだろうなというふうに思われるものが何点かございますので、ちょっとそのあたりをお聞かせ願いたいと思います。
 まず一点は、先ほど来田委員の方からもお話ありましたけれども、サリンを製造するまでの実験工程が細かく記載されたノート類が押収されているという報道が数多くされております。このような事実はあるんでしょうか。
#115
○垣見政府委員 お答えいたします。
 オウム真理教施設に対するこれまでの捜索におきまして、あるいは関連事件の捜索等におきまして多数の物件を押収をいたしております。これらの押収物については現在分析を進めているところでございますが、ただいま御指摘の点につきましては、現在まさに捜査中の事案でございますので、その存在の有無等について答えさせていただくのは差し控えさせていただきたいと存じます。
#116
○富田委員 これもそうなるとお答えいただけないのかもしれないんですが、二点ほど質問させてもらいたいと思います。
 一つは、地下鉄サリン事件でサリン容器として使用されたビニール袋の密封接全部分の紋様が、オウム真理教の施設から押収された電熱プレス機特有の紋様と一致したと、そういうふうな報道がございました。この点、今鑑定されているんだと思うのですが、そういうような事実があったのかどうか、これが一点と、これはかなり決定的かなと思える報道ですが、押収されたフロッピー、光ディスク、メモ類等からサリンの製造メンバーとか、地下鉄サリン事件の実行犯が特定できているんだというような報道もございました。この点、お答えできないのかもしれませんが、事実関係はどうなのか、御説明ください。
#117
○垣見政府委員 お答えいたします。
 まず、地下鉄サリン事件でサリンの容器として使用されたビニール袋の問題でございます。もうこれは委員が御指摘いただきますように、ある意味でこの事件の解明の手がかりになる重要な問題の一つであろうというふうに考えておりますが、そのビニール袋についての捜査あるいはそのプレスの問題についての捜査がどこまで進んでいるかについては、現段階ではお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
 また、押収された物品等の中から犯行の実行行為者等についての記載があるものが出ているのではないかというような御指摘かと思いますけれども、これらの問題につきましても現段階での答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
#118
○富田委員 ちょっと視点を変えまして質問させていただきます。
 四月十四日、全国でオウム真理教関連施設の一斉捜索が行われた際、山梨県の上九一色村のいわゆる第十サティアンと呼ばれる施設ですか、ここで五十三人の信者の子供たちが保護されまして、山梨県の中央児童相談所の方に現在収容されているようであります。この保護の手続ですが、どのような手続によってこのような措置がとられたのか、御説明いただければと思います。
#119
○中田(恒)政府委員 お答え申し上げます。
 委員お尋ねの件は、かねてよりお尋ねの上九一色村のオウム真理教の施設内に、劣悪な環境に置かれ、保護を要する児童が多数いるというような情報も得ていたところでございまして、四月十四日に山梨県警察がこの施設を他の事件の容疑で捜索をいたしました際に、衛生状態のよくない部屋で、顔色が悪く、一見して健康状態に問題がありそうで、適当な保護者がいないのではないかというふうに見られる児童多数を発見いたしましたために、児童福祉法第二十五条の規定の適用があるケースと私ども判断いたしまして、山梨県の中央児童相談所に通告をいたしましたところ、この児童福祉法の三十二条でございますが、この規定に基づいて児童相談所長から一時保護の委託を受けたために、これらの児童、最終的には五十二名になりましたが、この児童を一時保護し、児童相談所に引き渡したというものでございます。
#120
○富田委員 今の説明で法文上の根拠とその手続の流れはわかるのですが、その後のテレビ報道等を見ておりますと、まだこの施設には今回のこの措置で保護されなかった子供たちが十何人かいるのではないかというようなことが指摘されました。劣悪な施設に収容されているという意味では、保護された五十二人の子供たちと残された子供たちというのは全く同じような状況だと思うのですが、これはなぜ残った子供たちというのが出てきてしまったのでしょうか。
#121
○中田(恒)政府委員 今回、先ほど御答弁申し上げましたように一時保護活動をしたわけでございますが、その保護活動の現場に駆けつけたり、あるいは居合わせた教団関係者と思われる者が、これらの児童を抱きかかえるなどいたしまして抵抗いたしまして、現場は相当混乱いたしました。その中で、山梨県警察としては大変努力をいたしまして、その場に居合わせた児童のほとんどである五十二名を先ほど申し上げたようなことで一時保護したというふうに聞いておりまして、委員御指摘のような数字の者が残ったとは私ども聞いておりませんが、若干の者が残ったとは承知をしております。
 また、そのような児童につきましては、今後の状況を見て適切に対処をしてまいりたいと考えております。
#122
○富田委員 厚生省の方に来ていただいていると思うのですが、今御指摘のありました児童福祉法の二十五条と三十三条、この趣旨についてちょっと御説明いただけますか。
#123
○吉岡説明員 御説明申し上げます。
 第二十五条の規定でございますけれども、要保護児童発見者の通告義務ということで、「保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認める児童を発見した者は、これを福祉事務所又は児童相談所に通告しなければならない。」これは一般的な国民の義務という形で規定をしてございます。これは児童福祉法の第一条に、「国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。」という国民の義務、責務という規定からきた、いわば一般的な義務規定であるというふうに考えられるわけでございます。
 実際にこの規定に照らしまして通告がある実例といたしましては、児童と接触する機会が多い警察を初めとする学校の教師でありますとか医療機関等である場合が多いわけでございますが、規定はそういうことになっております。
 それから、一時保護を行いました根拠は、児童福祉法第三十三条でございまして、これは児童相談所長または都道府県知事が必要と認めるときに
 この一時保護を加え、あるいは適当な者に委託をして一時保護を加えさせることができるという条文でございます。特に条文上その保護を加えることのできる場合というのは明確な規定をされておらないのでございますけれども、これは趣旨から申しまして、家出児童等、現に適当な保護者あるいは宿所がないために緊急に当該児童を保護する必要がある場合とか、あるいは虐待、放任等の理由により当該児童を家庭から一時引き離す必要がある場合等に緊急に一時的に保護を加えるということでございまして、緊急保護という性質にかんがみまして、児童自身の意思に反しても、あるいは親権者や後見人の同意が得られない場合にもこの措置は可能であるというふうに解釈をしておるところでございます。
#124
○富田委員 今の御説明ですと、親権者等の同意がなくても保護できるんだということでしたが、オウム真理教側では、大きな意味で親権者の監護下にあったんだというような反論をしているようですが、この二十五条、三十三条の規定というのは、児童を現実に監護している者がどこにもいないということを確認した上でなければ通告したり保護したりできないという規定ではないと思うんですが、その点ほどうなんでしょうか。
#125
○吉岡説明員 御説明申し上げます。
 この児童福祉法の三十三条の規定は、児童相談所長の権限ということで規定をされておるわけでございまして、これはいろいろなケースによりまして、どういった状況で保護を加えることが適当であるかどうかを専門的な立場から判断をして決定をするということに相なるわけでございます。
 今回の場合は、警察の捜査ということで現場に立ち入った結果、こういった要保護児童がいるという通告がございましたので、その伴います状況の説明、あるいはそれまでいろいろとありました各種の状況等を総合判断いたしまして、児童相談所長が一時保護は適当であるという旨を判断されたのではないかというふうに考えております。
#126
○富田委員 保護された子供たちが今後どのような手続にのっとっていくのかという点について御説明いただければと思います。
 報道によりますと、オウム真理教側では山梨県知事に対して一時保護処分の取り消しを求める審査請求等を行ったというようなことも言われております。今後、せっかく保護されたこの五十三人の子供たちが、先ほど説明されていた児童福祉法の一条ですか、「心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう」にというふうに扱ってもらいたいなと思いますが、手続的には今後どういうふうになっていくのでしょうか。
#127
○吉岡説明員 御説明申し上げます。
 今後、保護された子供たちにつきましては、児童相談所に設けられております一時保護所等の施設におきまして生活をさせまして児童を観察いたします。この観察を踏まえまして、親族等と今後の処遇について必要な相談、指導をこれは個別に行っていくということになると考えております。あくまでケース・バイ・ケースの判断ということになると思いますけれども、児童相談所長が児童の意向や家庭での生活の状況等を総合的に勘案しまして、場合によりましては養護施設等への入所も含みます個々の児童に応じた適切な処遇を選択するということになると思われます。
 また、審査請求が出ておるという御指摘もございました。これは山梨県庁において確認をいたしましたけれども、審査請求が出されておりまして、山梨県庁において行政不服審査法に基づき受理をしておるということでございます。今後、所要の手続を経まして裁決が行われるものというふうに考えております。
#128
○富田委員 厚生省の方、ありがとうございました。
 今回の一連の捜査についてまた質問を戻しますが、これまでのいろいろな報道を見ますと、捜査の打つ手打つ手が事前にオウム真理教側に情報が漏れているんじゃないかというような印象がかなりあります。捜査が後手後手に回っているんじゃないかなというような感じも受けます。
 例えば、きょうの朝刊に、読売新聞の朝刊でしたが、陸上自衛隊にもオウム真理教が情報網を持っているというような、どこまで確認した報道かわかりませんけれども、中に信者がいて漏れていたんじゃないかなというような可能性を指摘しておりました。
 また、前回委員会でお尋ねしましたときに、やはりかなり大がかりな捜査で、相当準備もしなければ捜査員側の今も危ないというような事情もよくわかるのですが、それにしても、ちょっと先ほど捜査状況について質問しましたように、報道でどんどん出てくる、ただ、それはまだ事実確認が済んでないというような、報道機関が一生懸命やっているのかもしれませんが、どこか情報の漏れがあるのじゃないかなという印象があるのですが、その点についてはどのように考えているのでしょう。
#129
○垣見政府委員 御指摘いただきましたように、捜査活動というのは、証拠の散逸を防ぎ、また犯人の逃走を防ぐためにも、捜査全般を円滑に進めていくためにも、秘密の保持というか情報管理というのは大変重要な事項でございます。
 今回の事案の捜査につきましては、そういう点で、御指摘いただくように、いろいろな点で必ずしも十分でなかった点があろうかと思います。その点は反省をしているわけでございますが、今後の問題として、この点については肝に銘じ、また捜査員、都道府県警察の捜査員等にも徹底をしてまいりたい、保秘を守った上で適切な捜査をするという点については指導をしてまいりたいというふうに考えております。
#130
○富田委員 今回、一連の事件の発端になったのは仮谷清志さんの拉致事件だったと思うんですが、この仮谷さんの救出という点が、いろいろな物すごい事実が明らかになってきて、横に行ってしまっているような印象をちょっと受けます。
 報道によれば、拉致事件の容疑者も特定されてきたというような報道もされておりますし、容疑者が拉致事件の現場近くにアジトとして部屋を借りていたとか、その容疑者が、特別手配されております拉致事件の容疑者である松本容疑者と一緒に逃亡しているんじゃないかというような報道もありました。このように、ある程度被疑事実が明らかになってきた場合には、果敢に逮捕状を請求されて、指名手配とか特別手配とか、警察庁の方でもされまして、民間の協力を仰いでいったらどうなのかなという印象を受けます。
 今の新聞報道とかテレビの報道を見ておりますと、何かオウム真理教側がどんどん出てきて、自分たちの主張だけ述べている。捜査機関側でどんな情報を持って、国民に不安を解消するために情報を開示してくれてないんじゃないかなという印象を国民は受けていると思うんですね。自分の周りに犯人がいれば、みんなもう協力したくてしょうがないわけですから、なかなか手配もされない、そういう状況を考えますと、手配という点についてももう少し何か考慮が必要ではないかと思うんですが、その点ほどのようにお考えでしょうか。
#131
○垣見政府委員 捜査活動、先ほど申したように、本来的に秘密の保持というのが大変重要でございますし、また一面では、やはり関係者の人権等の関係もございますので、当然のことながら、法令に従い、証拠に基づいて捜査を進めるわけでございます。そういう点で、私、きょういろいろお答えさせていただきましたけれども、新聞報道と随分落差があるじゃないかというような御指摘をいただいているわけでございますけれども、私どもとしては、法令に従い、また証拠に基づいて捜査をし、またその過程でわかった事実も基本的に全部オープンにできるわけではございません。これは当然裁判の段階で証拠として提出をし、相手方の尋問にさらされて、それが吟味されるという過程を経ていくわけでございますので、そういう意味で必ずしも御質問に十分お答えできない面がある点は御理解をいただきたいと思いますけれども、ただ、今御指摘いただきましたように、例えば仮谷さん拉致事件、これはこれ自体、この一事件をもっても大変重要な、悪質な事件というふうに私ども考えております。仮谷さんの早期の救出というのは大変重要なことと考えておりますし、また、そのためにも、この容疑者の一人である松本容疑者について、早期に発見、検挙をしたいということで考えております。
 そういう面につきましてただいま委員から、もっと国民の協力を呼びかけ、また、そういう点についてはきちっと情報を提供し、国民の協力が得られやすいようにすべきでないかという御意見、まことにごもっともというふうに考えております。この点につきましては、いろいろな事案が錯綜して新聞なりマスコミの上でいろいろ出ておりますので、若干陰に隠れている点はあるわけでございますけれども、この仮谷さんの拉致事件の被疑者、判明した被疑者につきましては、警察庁の特別手配に指定をして、同人の顔写真の入った公開ポスターを作成して全国に配布をし、これはもちろん一般の方々にもわかるような形で配布をして御協力をいただいているわけでございます。
 この種の事件というか、やはり社会に大変不安を与えるような凶悪事件につきましては、この拉致事件に限らずそのほかの事件につきましても、積極的にそういうような方法をとりまして情報の公開、そういう意味での、限定された中ではございますけれども、必要な情報をまた私どもの方も公開をして、国民の皆様の御協力もいただきながら目的を達したいというふうに考えておりますので、よろしくお願いをいたしたいと存じます。
#132
○富田委員 今の質問とちょっと矛盾した立場からの質問になってしまうと思うのですが、これまでかなりの容疑者が逮捕されています。逮捕された被疑事実、罪名等を見ますと、私も弁護士出身ですので、これまでの通例ではちょっと逮捕までいかないような罪名で逮捕されているのではないかなという懸念を抱きます。真相究明というためにいろいろな手段を用いて何とか真実を発見してもらいたいというのが国民の声だと思いますが、これまでの例を超えるような逮捕ということが仮にあったとすれば、これはまた後で問題になってしまうと思いますし、そういう点を踏まえて、今回どのような姿勢で大量検挙に当たっているのか、公安委員長の方からお聞かせ願えればと思います。
#133
○野中国務大臣 もちろん申し上げるまでもなく、犯罪の捜査に当たりましては、法令の定めるところに従いまして踏むべき手続にのっとって行うところでございますけれども、先ほど来委員も御指摘ございましたように、このたびのオウム真理教をめぐりますさまざまな犯罪容疑につきましては、どうしてあの宗教法人があれだけのいわゆる薬剤やあるいは機具を保持しておるのかといったような問題、あるいはまた一方、マスコミ報道を通じましても、もちろん報道の自由は担保されなくてはなりませんけれども、一般的に私ども見まして、やや踏み込んで報道をされておるのではなかろうか、あるいはテレビ等の報道では、関係者を登場させてワイドショーのような形で、一方的に視聴率を上げるような状態にあるのではなかろうかと思われるような報道さえあるわけでございまして、果たしてこれが国家の危機意識に立った今日的問題としてとらまえておられるのかどうかとさえ危惧を覚えるわけでございまして、そんなことから、国民の皆さん方の現在の不安感というのは大変なものであろうと思っておるわけでございます。
 警察においては、そういう状況でございますだけに、事案の全面解明をいたしまして一刻も早く国民の皆さん方の不安感を解消することが最大の義務であり、かつまた、再発を防止することが警察に与えられた大きな使命であると考えておるわけでございまして、村山総理からも再三にわたりまして、犯罪の全体解明と、そして犯人検挙、さらには再発防止について私どもも指示をされておるところでございますので、今このような捜査活動を行っております点につきましては、国民の皆さん方のまた御理解をいただきたいと考えておる次第でございます。
#134
○富田委員 もう時間も過ぎておりますので、最後に一点だけ。
 今回の地下鉄サリン事件は外国の方にもかなり影響を与えて、アメリカ等では、これを契機にサリン事件を議会で、公聴会で取り上げて、無差別テロ対策にもう取り組んでいるというような報道もされております。
 事件の再発防止また事案の解明に取り組む姿勢はよくわかるのですが、もっと大きくとらえて、今後発生するであろう無差別テロに対して政府としてどういうふうに取り組んでいくのか、その点について公安委員長の御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。
#135
○野中国務大臣 この法律は、サリンそのものの製造や所持はもちろん、それを目的とした原料物資の購入等につきましても厳罰をもって臨むことを内容とするものでございまして、当面の取り締まりに必要な規定を取り入れたところでございます。今後は、警察当局におきましてこれを最大限に活用をするとともに、必要な体制を整備するなどいたしまして、地下鉄サリン事件などのような無差別テロ事件の再発防止に全力を挙げて取り組んでまいりたい決意であります。
 委員御指摘のような、今後起こり得るすべての問題につきましては、さらに私どもとしても慎重に対応できるように考えてまいりたいと存じております。
#136
○富田委員 どうもありがとうございます。
#137
○川崎委員長 穀田恵二君。
#138
○穀田委員 三月二十二日、上九一色村のオウム真理教施設の一斉捜索は逮捕監禁罪の容疑で入ったはずです。この程度の容疑なら二千五百人もの大々的な捜査陣は要らないし、また毒ガス対策などは要らなかった。ところが、前回報告がありましたように、物々しい態勢をとらざるを得なかった。この捜索現場は、毒物、なかんずくサリン生成の可能性があり、防毒マスクが必要なくらい危険な状況があると判断したから、そういう捜査方法をとったのだと思うのです。そういうふうな捜査方法をとらざるを得ないと判断したのは一体いつの時点か、そしてそう判断する根拠とは一体何だったのか、この辺をまず明らかにしていただきたいと思います。
#139
○垣見政府委員 今回、三月二十二日にオウム真理教の関連施設の捜索をいたしたわけでございますけれども、この捜索は、場所が都内のみならず、都外というか山梨、静岡県にわたる大変広範囲な捜索が必要というふうに考えておりました。また、地域的に広範囲だけじゃなくて、施設的にも大変膨大な施設、特に上九一色村につきましては、その後、いろいろ罪名は区々でございますけれども、現在に至るまで捜索、検証を実施しているというような状況でもおわかりのように、大変手間暇のかかる捜索ということが予想されましたために、大人数というか多数の警察官を動員したものでございます。
 また、それに加えまして、これもこれまでにお話し申し上げておりますように、昨年この捜索場所の直近でサリンの残渣物と思われるものが発見をされているというか検出をされておりますことから、場合によって、その周辺でサリンの存在等もあるかもわからないというような危倶もございましたことから、そういうような態勢でいたしたわけでございます。
 また、こういう大規模な捜索が必要だという判断をしたのはいつかというような御質問かと思いますけれども、これにつきましては、この捜索容疑事件は二月の末に起きた事件の捜査の過程で出たものでございまして、それらの捜査を推進するため、また被疑者、被害者の救出を図るために必要だということで、これは当然のことながら早期にやる必要があるということで考えたわけでございまして、それらの諸準備が整った、またそれを整える時間的余裕も見ていろいろ検討をして三月二十二日に捜索をいたしたものでございます。
#140
○穀田委員 いつ判断したのかというのがどうもはっきりしませんね。要するに、今お話があったように、上九一色村のオウム真理教の施設近辺では、サリンが生成されたと思われる残渣物というのですか、というのが発見されたからということでしょう。だからそういう態勢をとったということですね。毒ガス対策として防毒マスクなんかを持っていったのはそういうことだということでしょう。それでいいですね。
#141
○垣見政府委員 防毒マスク等を準備したのは、今御指摘のあったような事案を踏まえて措置したものでございます。
#142
○穀田委員 そうすると、そういうサリンの生成にかかわる、生成されたと思われる残渣物を警察が確認したのは一体いつですか。
#143
○垣見政府委員 昨年の十一月であったと思います。
#144
○穀田委員 今お話があったように、上九一色村のオウム真理教周辺の土地からサリンが生成されたと思われる残渣物が発見されて、最終的に確認されたというのは昨年の十一月なんですね。そうすると、サリンといういわば世にもまれな毒物がつくられた可能性のある危険な地域だという認識を持ったのは、いかにおくれたとしても昨年の十一月ということになりますね。そういう危険なものがある地域だ、大変なところだという可能性があるということを認識したというのは十一月だ。
 じゃ、どうしてその時期に捜索に入らなかったのか、このことが国民的に言うと疑問となっているわけですね。といいますのは、私がどうしてもこのことが気になっているのは、いろいろな週刊誌または新聞報道でも、この時期、ちょうど十一月危機と称してオウム真理教の関係者は違法なものに限って持ち出すよう指示を出しているのですね。さらに、三月十八日付で教団の法務、自治両省名で証拠隠滅の通達が出されている。そして、三月二十日に地下鉄のサリン事件が起こっている。
 だから、どうしてこういう事件が起こる前にきちんと入らなかったかというのが国民的な疑問となっているわけですね。ですから、十一月にそういう危険なものがあるということがわかった段階でなぜ捜査に入らなかったかというのが依然としてわからないですね。そこをちょっと言ってください。
#145
○垣見政府委員 お答えいたします。
 警察におきましては、犯罪の容疑があると認められる場合には、当然のことながら予断を排しまして証拠に基づいて捜査を進め、刑罰法令に触れる行為があった場合に、事案の実態に応じて適正な捜査、対応をいたしているところでございますが、ただいま御指摘いただきました、昨年判明したというか、サリンの生成がされたのではないかという疑いのある残渣物が発見された事案、これは事案としてはいわゆる異臭事案でございまして、別に特段_特段というか、死傷者等が周辺で出ているわけではございません。少なくとも私どもの承知している限り、そういう状況はございませんでした。
 そういう状況の中で、直ちに捜査をしろというような、すべきであったという御指摘ではございますけれども、これにつきましては、直ちに刑罰法令に触れる罪名には当たらないというのが私どもの当時の判断でございまして、残念ながら刑罰法令に触れない行為について特段の捜査活動をするというわけにはまいりませんので、そういう意味で、私どもとして特段の措置がとり得なかったというふうに御理解をいただきたいと存じます。
#146
○穀田委員 それは私はおかしいと思うのですね。だって、サリンというものが初めて推測、推定される松本事件が起こって、これは大変な毒性を持つものだということが最初にわかっているわけですね。
 そしてこの事件があって、しかも今どうなっているかというと、例えば参議院の予算委員会でこう言っているのです、捜索現場において殺傷用の化学薬品を製造することが可能な多数の薬品類を発見、押収したから殺人予備罪の容疑を新たに適用していると、順番はこうなっているのですね。
 それじゃ、オウム真理教近辺の捜索に当たって初めから殺人予備罪の容疑で行けたはずじゃないですか。だって、そういうふうな危険な薬品があるんだというふうに少なくとも認定したわけだから、それはどうなっているのですか。
#147
○垣見政府委員 私ども再三申し上げておりますように、才ウム真理教施設に対し三月二十二日に捜索をいたしましたのは、二月の末に東京都の、品川区内において仮谷さんが拉致監禁をされた容疑で捜索をいたしたわけでございまして、その時点では、直ちにオウム真理教施設内にその種の薬が多量に存在する、あるいは殺人予備の容疑があるというふうには考えておりませんでした。
#148
○穀田委員 その時点と言ったって、大体そこに入るときに、その時点ではそういう可能性がある、危険性があるといって毒ガス対策で行っているじゃないですか。ということは、あるということをあらかじめ予測して行っていることは、それはだれもが知っていますよ。だから、それはちょっとおかしいんじゃないですか。
 しかも、あなた方の「「法律案」の作成について」というところでいいますと、こう書いているのですよ。「サリンについては、殺傷力がきわめて高く著しい危険性を有するだけでなく、人を殺傷する以外の用途が認められないものであるにもかかわらずこと書いているのですよ。つまり、サリンというのは、そういう猛毒であり、しかも殺傷用以外に実は考えられないものだと。それにもかかわらず、それで容疑が認められないとか、それから異臭事案ぐらいなものだったからなんて、そんなあほなことがありますか。異臭事案それ自身が、サリンが生成されたという可能性があるという問題についてどうなのか。それほど軽視したのですか。
#149
○垣見政府委員 私ども捜査を行うに当たっては、当然のことながらさまざまな情報を入手し、それに基づいて必要な手だてを尽くして捜査を行います。その結果、先ほど来申しておりますように、オウム真理教関連施設に対する捜索において必要な装備の一つとして、毒ガスマスク、防護服等も必要だという判断をしたわけでございますけれども、これは、先ほど来申しております異臭騒ぎに端を発します。その周辺でサリンが発生したのではないかと疑われるというか、その残渣物と思われるものが発見されたというようなことも含めていろいろ検討した結果でございまして、その段階で、残念ながら直ちに犯罪捜査上殺人予備等の令状が取れるというような段階までは私ども承知をしていないというか、残念ながらそれまでの判断をし得るだけの資料は入手をしておりませんでした。
 そういう結果でございますし、また、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども、松本では御指摘のように多数の方がお亡くなりになり、また被害を受けております。そういう意味で、これは結果が出ておりますので、殺人あるいは殺人予備なりそういう罪名で問擬し得る可能性が十分あるというふうにそういう状況から判断をされたわけでございますけれども、残念ながら上九一色村のこの異臭騒ぎの問題につきましては、それらをそういうような判断をするまでの資料というか、そういう状況にはなかったわけでございまして、そういう観点からも、そういう事案への対処がきちっとできるようにするためにも、今回御審議をいただいている特別立法でサリンの規制について御審議をいただいている次第でございますので、御理解をいただきたいと存じます。
#150
○穀田委員 どうもわかりませんね。つまり、サリンは重大な毒物で、しかも殺傷用に供するものでしかないという認識ははなから持っていたわけでしょう。松本事件のときにもう既に持っていたじゃありませんか、そういうものだと。
 そして、新しい事件が起きた、そういう異臭騒ぎが起きた。しかも、あなたは参議院でその異臭騒ぎが起きたときに樹木が後に枯れたから捜査に入ったと言っていますけれども、ところが、実際は違うのですよ。樹木が枯れ出したことが最初に起きて、そして異臭騒ぎが起きているという現地の方々の報告はそう書いているのですよ。だから実際は、大事なことは、サリンだというふうな推定をできた段階で、これは危険なものだとわかっているのですよ。それは三月二十二日に至る、捜査に入るまでの時点で既にわかっていることなんですよ、そんなことは。
 だから、そういう時点で少なくとも二千五百人も動員してサリンを防ぐ防毒マスクやカナリアを持って捜査に入るのだったら、仮谷氏の逮捕監禁の容疑ではなくて、サリンという殺傷を目的とする毒ガスが生成した疑いがあるじゃないかということで捜査したらいいじゃないですか。それが普通の、多くの方々の御意見じゃないですか。
#151
○野中国務大臣 今委員がおっしゃるような考え方で国民の皆さんが疑問に思い、不満に思われる、そういう視点があることは、私は否定しません。
 ただ、先ほど来局長が答弁を申し上げておりますように、犯罪捜査は一つ一つ事実関係を確認して、そしてやっていくべきものでございまして、松本の事件でサリンがあることが検証されましても、それがオウム真理教と結ぶことは可能でなかったわけでございますし、また、オウム真理教に結ぶ捜査を開始しましたのは、仮谷さんが拉致をされた、その車の中からオウム真理教の幹部の一人が容疑者として特定をされましたので、それをもってこのオウム真理教の本拠にあるいはその他の箇所に仮谷さんの拉致監禁事件として捜査に入ることになったわけでございす。
 その捜査に入るに当たりましては、先ほど答弁を申し上げましたように、一定の疑いがあることに対する防御の処置として毒ガスマスク等を用意をしたということでありまして、結果として、サリンをつくり、それをやるような薬品をそこで確認できたわけでございますけれども、そのときにサリンで処罰をし、逮捕をするような法律は何一つ存在を我が国にはしなかったわけでございますので、仮谷さんの拉致事件をもってあの現地に捜査活動に入ることになったということをぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#152
○穀田委員 今大臣はサリンとオウムを結べることはなかった、こうおっしゃいましたけれども、私はオウムと結んでいるわけじゃないのですね。サリンが生成された、そういう残渣物がその近辺にあった、だからその近辺について捜査をきっちりする必要性はあったと言っているのですよ。そうでしょう。毒ガスであって、しかも殺傷用だけを目的にする、そういう薬品であって、既に松本では発見をされた。そうすると、これは今までにない、そういう毒ガスであるがゆえに大事な問題だというふうに思ったわけでしょう、お互いに。そして、そうすると、そこで同じような残渣物が発見、生成されたと見られる残渣物が発見された。だとすると、それについてどうなのかということについて少なくとも警察は十一月に確認しているんでしょう。
 十一月に確認して三月二十二日までに何をやっておったんですか。私はそこを言っているんですよ。その認識は変わってないんですよ。十一月から三月二十二日までの間に認識は変わってないんですよ。たまたま仮谷氏がいなくなったことで条件がつくられただけの話であって、少なくともサリンがあったんじゃないかという疑いは十分持っておったんですよ。そういう問題について少なくとも国民はそう思っている。
 しかもその間に、大事なことは、それがおくれたがゆえに、実際には十一月にはサリン隠滅の指示文書が出され、同じく彼らの教団の「自治省」名でもう一つの通達が出され、そして三月二十日にそういう事件が起こっている、こうなっているんですよ。だから私はこの間の捜索が何らかの形で行われる必要性があった、こう言っているわけなんです。それはどうでしょう。
#153
○垣見政府委員 お答えいたします。
 ただいま大臣から御答弁をいたしたことに補足するわけでございますけれども、御説明するために若干論点が変わりますけれども、ちょっと話さしていただきたいと存じますけれども、上九一色村のオウム真理教施設の直近で、サリンが生成された後に出ると思われる残渣物を発見、確認をされております。それはもう先ほども答弁いたしましたように十一月に確認をされております。その後、三月二十二日以降の捜索によりまして、サリンの原材料になるものがある、それから、そういうサリン等の生成に使える可能性のあるプラント様の施設があるというのが現在までわかっている段階でございますが、先ほど来申し上げておりますように、私どもは現在に至るもそこの施設でサリンが生成されていたというふうには断定しておりません。
 私どもは証拠に基づいて、あくまで証拠に基づいて判断をしているわけでございまして、現在に至るまでそういう段階でございますので、十一月の段階、委員御指摘のまたお気持ちは十分わかりますけれども、残念ながら私どもとして、その段階で特定の容疑があり、特定の措置ができる段階という判断には至っておらなかった。
 まあそれは、そこで判断しろといえばそれは考え方でございますけれども、そこで判断をしていろいろな措置をするというのも一つの判断だと思いますけれども、私ども、法令に従って証拠に基づいて判断する立場からは、そこまでの判断には至らなかったということを御理解をぜひいただきたいと存じます。
#154
○川崎委員長 質疑時間が終了いたしておりますので、穀田君、手短に願います。
#155
○穀田委員 はい。
 じゃ、最後に一言だけ言います。
 私は、そういう関係について言うならば、一連のいろいろな作業、経過があったと思うのです。昨年の四月に防毒マスクをつけた信者が見え始めた、それから同じく七月には悪臭が出る、その前に両側の樹木が枯れ始めているのを発見した。そしてオウム真理教はことしの一月、毒ガスをオウムの施設に向かって噴射したと言って中央三共有機を告訴している。それに対して、中央三共有機からは事実無根として誣告罪で告訴される。
 以上の経過から見て、いわゆる毒ガスをめぐる疑惑というのは列挙すればするほどいっぱいあると思うんですよ。だから私は、そういう問題についてなぜ早く手を打てなかったのかという国民の意見を代弁しているわけですね。
 しかも、先ほど、断定してないというのは初めてそれはお話あったので、今までは断定できる状況にないと言っていたけれども、断定しないと言ったのは初めてなものですから、それはわかりましたけれども、そういう状況から見て私はすべきだったということを主張して終わります。
#156
○川崎委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#157
○川崎委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります、
 サリン等による人身被害の防止に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#158
○川崎委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#159
○川崎委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#160
○川崎委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十八分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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