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1995/01/23 第132回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第132回国会 本会議 第2号
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1995/01/23 第132回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第132回国会 本会議 第2号

#1
第132回国会 本会議 第2号
平成七年一月二十三日(月曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二号
  平成七年一月二十三日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
   午後一時四分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#3
○議長(土井たか子君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。海部俊樹さん。
    〔海部俊樹君登壇〕
#4
○海部俊樹君 私は、第百三十二回国会の開会に臨み、新進党を代表し、村山総理の所信表明演説に対し若干の質問と、新進党政権準備委員会の政治方針について、その所信を申し述べたいと思います。(拍手)
 冒頭に、去る一月十七日午前五時四十六分に発生した兵庫県南部地震は、一月二十三日午前十一時四十五分現在で、死者の方四千九百八十四名、行方不明の方百五十九名、負傷された方二万六千百二十名、家屋等の損壊五万七千百九十二棟に及び、大正十二年の関東大震災以来、昭和、平成を通じて最大の災害となりました。
 私は、災害発生の翌日現地に飛び、震源地である淡路島を初め神戸市では、避難所を訪ねて激励をしてまいりました。被災現場に足を運びましたが、その惨状は想像を絶するものであります。心の痛みは今も残っております。この地震で亡くなられた方々とその御遺族に対し心より哀悼の誠を表したいと同時に、被災された多くの方々へのお見舞いを申し上げ、避難生活からの一刻も早い立ち直りをお祈りするとともに、非常に厳しい状況の中で救助作業に当たっておられる対策本部の関係者の皆さんや、全国からあるいは海外からのボランティア、NGOの皆さんの活動にも、この場をおかりして率直に敬意を表したいと思います。(拍手)
 皆さん、この地震の発生が国会召集直前のものでありましたので、急がれる復旧作業と国会審議が重なり合ってしまいました。したがって、行政府が国会審議に縛られなくて、初動対応に内外の批判を受けた地震対策に全員が専念できるようにするためにも、今度の国会審議を十日間延長してはどうかと、去る二十日、党首会談で申し入れたところであります。総理はこれを断られました。我々のこの提案は、大震災と呼ばれる規模の多くの犠牲者の方と、同時に十兆円とも言われる被害総額を前にして、国政の最大優先事項はまさにこの地震対策であるという認識から行ったものであって、言われるような審議の妨害ではありません。真意を理解されなかったということは、まことに遺憾なことであります。
 もう一、点申し入れたことがあります。
 陣頭指揮のできる災害基本法第百五条に基づく緊急災害対策本部の設置をなぜためらっておられるのでしょうか。一たん設置に前向きの答えをなされたり、報道もあっただけに、一層残念なことであります。このような緊急災害時には、縦割り行政の仕組みを超えた総合体制の動きとともに、非常事態における最高指揮官たる総理の決断と指導力が不可欠だと思ったからであります。
 また、私は、このたびのまれに見る都市直下型大地震の特殊性と激甚性にかんがみ、大震災からの復興に対する国会の強い決意と政治の責任を国民に示し、多くの被災者の皆さんに勇気と安心感を持ってもらうため、さらには今後の危機管理のあり方に対する教訓とするためにも、この国会において兵庫県南部地震の災害対策に関する国会決議を行うべきであると考えますが、総理の御見解を伺いたいのであります。(拍手)
 昨年十二月十日、私たちは「たゆまざる改革」と「責任ある政治」を旗印に掲げて新進党を結党いたしました。自由、公正、友愛、共生の理念をもとに、日本のよき文化伝統を生かしつつ、世界の平和と繁栄に役割を果たす決意であります。(拍手)、私たちは、いつでも政権が担当できる体制として政権準備委員会を発足させたのであります。村山内閣に対する明日の内閣の意気込みで、責任ある政治の実践を開始いたしております。
 これまでの本会議における代表質問は、質問者は一方的に質問する、政府は一方的な答弁で終わっておりました。論議が形骸化していることは否めません。この本会議で我々が、当面の課題、中期的な課題に対して、このような対応で取り組みますという政治方針を表明する、このような国会の運営についての改革を行おうとして取り組みを始めたものであります。
 選挙制度の改革は形ができましたが、政治改革全体から見れば、まだ緒についたばかりだと思います。国会改革を初め、地方分権の確立、政党の改革など、引き続き推進して、政治改革の完結を目指さなければなりません。総理も、今国会の取り組みがその第一歩になるのだという認識を持たれ、私たちの意図するところに呼応して、国会改革を進めるのなどの決意に立っていただきたいと思います。
 次に、政府の危機管理体制の強化について申し述べます。
 言うまでもなく、国民に対する政府の最大の責務は国民の生命と財産を守ることであります。今回の兵庫県南部地震に対する政府の対応のまずさは、村山内閣では国民を守る最低限の責任さえ果たし得ないのではないかということを、はしなくも明らかにいたしました。
 第一は、残念ながら、政府の最高責任者として国民の生命と財産を預かる総理御自身のことであります。
 災害の発生に際しては、初動態勢の的確性とスピードがその後の活動を大きく制約し、微妙に被害にも影響してくると言われます。今回の災害にあって、政府が速やかに対応していれば多くのとうとい人命が救われたことは、最近の報道で間違いないところであります。
 災害の発生に際し、巨大な官僚組織を機敏、的確に対応させるためには、何よりも指揮官の決断と指導性が求められます。ところが、情報の収集をテレビに頼るなど政府の対応は混乱をきわめておったのであります。しかも、我が党の同僚議員が、去る二十日、この場でこの問題をお尋ねしたのに対して、総理は、初めての経験で、早朝のことでもあり、混乱があったと、皆が唖然とする答弁をなされたのであります。これはいけません。今回の大災害は、ほとんどの国民にとって初めての経験なのであります。総理大臣の地位と責任は重いものだということもかみしめていただきたいと思います。
 第二に、我が国は、以前から台風や地震を初めとする災害が多い国と言われてきました。しかし、この対応の前提となる内閣の情報収集体制が整備されておらず、テレビなどのあなた任せの情報収集に頼る現状にあるということであります。
 総理や官房長官が地震の発生を知ったのはテレビであり、公式に発生の報告を受けたのは発生後二時間近くを経過してからだという驚くべき報道も出ております。官邸の情報収集体制を抜本的に強化されることに我々は御協力をするのにやぶさかではありません。
 第三は、地震等の大災害に対応した内閣の危機管理体制の不備の問題であります。
 今回の地震が神戸、西宮といった兵庫県の人口密集地帯で発生した事実からすれば、被害の甚大さは十分予想されたことであり、総理はみずから直接指揮できる災害対策基本法に基づく緊急災害対策本部を設置されるべきでありました。総理が指揮官であれば、予備費の一千億円を、食料費やヘリコプターの運航費などとして警察や消防に配分することも即座に可能となり、被害の拡大と被災者が空腹やのどの渇きに苦しむというあの事態は避け得たものと考えます。また、総理が直接陣頭指揮をされること、これがどれほど被災者を勇気づけ、国民の士気を高めたことでありましょうか。
 しかるに、総理はその認識がなく、国土庁長官を長とする非常災害対策本部の設置にとどまり、その結果、災害救助に当たっての現場の指揮命令系統が明らかでなく、有効な対策を適切に講じ得ないという事態を招いていることは、日々の報道で明らかなことであります。
 さらに、今回の地震において自衛隊の発動のおくれが指摘されておりますが、自衛隊の災害派遣については都道府県知事の要請を原則としており、災害の救助と復旧に中心的な役割を果たす自衛隊が有効かつ機動的に活動できないという法的な不備も指摘しておかなければなりません。
 我が国においては、今日、地震を引き起こす地下の活断層の動きが活発化しており、大規模地震の発生が指摘されております。国民の生命と財産を守るための危機管理体制の整備こそが急がれなければならない課題であります。
 私は、今回の災害を教訓として、総理を最高指揮官とする行政の指揮命令系統の確立、非常時における行政の権限の明確化、関係者の責任分担と行動基準の明確化、災害救助活動の自衛隊の任務としての明確な位置づけと地方自治体との共同訓練の定着化などの危機管理体制を確立し、そのための立法化を検討することを提案するものであります。(拍手)
 次に、行政改革について申し述べます。
 まず、中央省庁の再編に関して、総理は、先日の施政方針演説において、「行政改革は内閣の最重要課題であります。私は、言葉だけの改革に終わることのないよう、不退転の決意と勇気を持って実のある改革を断行する所存であります」と述べられ、行政改革の断行に不退転の決意を持って臨むことを誓われました。
 我々も、行政改革は政治、経済、社会などのたゆまざる改革を実行するための行政基盤をなすものであり、重要な課題の一つとして位置づけております。行政改革を成功させるためには、国民世論のバックアップと政治のリーダーシップの発揮が不可欠であり、与野党の枠を超え、政治家が真剣にこの問題の解決に取り組んでいかなければなりません。我々も、総理の本格的な決意に対しては、これに協力することにいささかもこだわるものではありません。
 しかしながら、村山内閣の最大課題とは言われながら、行政改革の本来の課題ともいうべき中央省庁の再編合理化や抜本的な規制の緩和などにはほとんど手をつけようとされず、特殊法人の問題やわずかの規制緩和、そして問題の先送りとも思われる地方分権推進法の制定で事足れりとしようとしておられます。行政改革を内閣の最大課題と言うならば、たとえ困難ではあっても、戦後体制のまま存続してきて、硬直して縦割り行政の批判の強い中央省庁の体制を新しい時代を切り開く体制に改めることを基本とすべきであると思います。
 さきにも申し述べました政権準備委員会をスタートさせたとき、その構成は、村山内閣が二十一の大臣から構成されるのに対し、明日の内閣は委員長である私を含め十五の担当で構成をいたしました。ここに私どもの中央省庁の再編に対する一つの考え方が集約されておるものと思ってください。(拍手)
 我が党はここで当面の改革として一つ提案をいたします。経済企画庁を大蔵省に、科学技術庁は文部省に、建設省と国土庁、北海道開発庁、沖縄開発庁を統合して国土省にする、総理府と総務庁を統合することを真剣に考えてはどうです。御提案を申し上げます。(拍手)
 第二は、思い切った規制緩和の推進であります。
 今日、経済の国際化は大幅に進展し、経済資源が国境を越えて自由に行き来するボーダーレスの時代に突入しております。経済資源は、より高い収益が得られるところ、よりビジネスがやりやすいところへと、そしてより政府の規制が少ないところを求めて活動する時代になってきました。このような時代において、これまでの途上国型の経済的規制を続けていたのでは、産業は海外へ軸足を移し、産業の空洞化は避けられません。また、国内における新産業の創出による雇用も望めません。発展するアジア経済からは疎外され、我が国経済の国際経済の中での孤立を招いてしまうおそれなしとはしないのであります。
 したがって、特に経済的規制については規制を抜本的に原則緩和すべきであり、そのかわり、独禁法の強化などの公正な競争の確保や、労働基準や環境、安全衛生など社会共通のルールについては公平性の確保を旨とし、その強化を図ることを申し上げておきます。
 第三は、地方分権の大胆な推進であります。
 行政改革の基本的方向は、官から民への方向と並んで、国から地方へ分権を進めることであります。国から地方へ権限と財源を移譲し、住民自身がその地域の公共サービスにかかわる受益と負担の関係を調整していくことなしには真の地方自治の確立はなく、健全な民主主義の発展もありません。また、高齢社会の到来に伴い、高齢者個々の実態に応じたきめ細かな福祉サービスは、住民と日ごろ身近に接することのできる地方においてこそ、その役割を果たすことができます。
 例えば、国は、外交・防衛など国の存立のために必要な事務、経済財政政策など全国的視野に立って行う政策の企画立案事務、年金、生活保護などナショナルミニマムとして貨幣的給付の形をとる所得再配分を行う事務、労働基準や安全衛生など全国的規模で統一的に処理することを必要とする事務などを原則として、それ以外は地方に権限と財源を移すことを検討すべきであります。同時に、その受け皿となる地方も、その広域化を図り、行政能力の強化を図るとともに、住民や地方議会のチェック機能の強化などの改革をあわせて実行しなければなりません。
 政府は、今国会に先ほど決定した地方分権大綱に基づく法案を提出される予定と聞いております。残念ながら、機関委任事務の原則廃止や地方分権推進委員会の監視機能を明確にしていないなど、不十分であります。新進党は、明日の内閣で立案した地方分権推進法案を提示し、政府にその対応を迫る決意でおります。
 行政改革の最後は、特殊法人の整理合理化についてであります。
 政府は、行政改革の柱として特殊法人の整理合理化を行うとしております。我々は、特殊法人については抜本的に再検討が必要であると考えます。すべての特殊法人について五年間の猶予期間を設けて、その期間内にその必要性を十分に吟味し、不要なものは廃止す。同時に、存続するものについても新たな法律をもってその存続期間をつけるというサンセット方式の導入を図るというものであります。考え方の基本は、既に事業目的を達成しているものは廃止をする、特定の地域を対象のものは全国的なものに統合か地方へ移す、民法法人等で事業可能なものはそれに任せる、企業的経営で効率化が図れるものは民営化するという、そういう基準を立ててその整理合理化案を具体化すべきであります。また、公務員の総定員管理体制の確立などの対策を提案するものであります。
 政府は、特殊法人の整理合理化を、先ほど決定した税制改革の消費税の税率を五%にすることに伴う財源対策として位置づけておられますが、総理の約束の実現に大いに期待をするものであります。
 次に、豊かな国民生活づくりに関する施策について申し上げます。我が国の国民一人当たりの国内総生産は、OECD加盟国中一位となりましたが、国民の日常生活にはそれにふさわしい豊かさが実感されないのであります。私たちが懸命に働いて経済が成長しても、その成果が生活向上に直結しないという構造的問題を正さない限り、いつまでたっても日本人はゆとりと潤いのある生活を実感できません。
 その最大の要因は、内外価格差すなわち日本の消費者物価が国際的にも割高である点にあります。企画庁の九四年物価レポートによれば、東京の物価はニューヨークより四一%高く、ベルリンよりも三八%割高となっております。食料品に至っては、ニューヨークより六二%も高くなっております。この問題は、お台所経済を預かる主婦の皆さんにとっては最も響く問題であろうと思います。
 円は今や一ドルおよそ百円の水準となり、海外旅行が身近なものになったように、世界では強い影響力を発揮しています。国内に戻った途端、円は弱い存在になります。内づらが悪い、外づらがよいという通貨を持った私たち日本人が、本当に豊かさを実感できるようにしなければなりません。アメリカから出す絵はがきは四十円、日本から出すのは七十円、この差を見ても、何とかここに問題点を見出していかなければならぬと私は思っておるのです。
 物価高の最大の原因となっておる各種規制を徹底的に整理することを初め、町高メリットの還元、輸入総代理店における競争の促進、物流効率化、地価のさらなる引き下げ、通関実績で製品価格の仕入れ価格の公表を定期的に行うなど、内外価格差是正のアクションプログラムの実施を提唱いたします。
 なお、申し上げた物価水準はすべて税込みであります。ベルリンでは一五%、ニューヨークでは八・二五%の小売売上税を払っても、三%の消費税を入れた東京の物価ははるかに高いということを言いたいのであります。したがって、消費税率引き上げに際しては、福祉や行革に加えて内外価格差の是正の明確なビジョンを示しておくことが最低条件だと考えております。(拍手)
 とりわけ公共料金につきましては、無原則に引き上げることが行われないよう厳しい歯どめ措置を講じていくのも大切なことであります。具体的には、許認可に係る民間企業に対する配慮を加えながら、五年間公共料金の凍結をいたします。民間も血の出るような企業努力を続けておられる今日のことです。思いを同じくして、内部改革に取りまれるべきであります。
 割高な物価体系以外に、国民が豊かさを感じられない要因としては、老人介護を初めとする福祉対策がおくれている。それゆえに国民は貯蓄に精を出し、日本の貯蓄率が高いという実態にあります。高齢化の進行に対応した新ゴールドプランを早急に策定し、施設、在宅福祉サービスの二〇〇〇年までの達成目標を倍増し、希望する福祉サービスが受けられる社会をつくるとともに、介護を要する家族を抱える勤労者が、その雇用を中断することなく、最長一年間休業を取得できる所得保障の伴った介護休業法案の成立を図りたいものと考えております。(拍手)
 環境問題の取り組みについては、地球温暖化やオゾン層の破壊を初めとする地球規模の環境問題は、二十一世紀の人類の生存そのものに大きな脅威を与える問題となっており、その深刻さは年々増大しているのであります。我が国は、これまでの経験と技術を提供して地球環境保全のために進んで国際貢献をなすべきであります。
 ウルグアイ・ラウンドの妥結により、農業についても国際化時代に入りました。農業の持つ国土保全機能、自然環境の保全機能、コミュニティーとしての役割、自然との触れ合いを通じ豊かな心を醸成する役割を評価して、基礎的食糧の自給体制を確保することを基本に考えてまいりたいと思います、
 次は、教育問題について申し上げます、
 人生最初に出会う教師は親であります。心豊かに、人としての基本を身につける第一義的な指導は、親の協力なくしてはできません。
 最近、我が国においては、いじめを苦にした中学生の自殺、親が子を殺すという、まことに痛ましい事件が頻発しております。このような事件に接するにつれて、私は、我が国が経済的に豊かになった反面、心の面では決して豊かでない、むしろ何か大きなものを忘れているのではないかと痛感しておるものであります。特に、我が国の将来を担うべき青少年が、厳しい受験戦争の中で多様な能力を伸ばす芽を若いうちに摘まれ、弱い者がより弱い者をいじめ、自殺に追いやるということに激しい憤りを感ずるものであります。国づくりの基本は教育にあり、このような現状は早く改めなければなりません。我が国の将来をかけて、我々政治家のみならず、親も教師もともに総力を挙げて取りまなければならぬ問題であると考えます。(拍手)
 そこで、私は、子供の心身の発達状況に応じた新しい学制のあり方について、抜本的な対案を提案したいと思います。
 第二は、教育課程において、人を思いやる教育、人の痛みを知る教育を実践することであります。そのためには、まず何よりも教員の資質向上を図り、子供を教育する教師自体が人を思いやり、人の痛みを知る人間となってもらわなければなりません。免許状取得に当たって、社会奉仕活動の義務づけ、一般社会人の教師としての採用、定期的な免許の更新制度の検討など、思い切った教員の資質向上対策も講ずるべきであります。
 また、小学校から高校まで、自然と接し、福祉施設での奉仕活動などの体験学習を積極的に実施し、ボランティア精神の涵養、労働の喜び、隣人愛、高齢者を初め社会に尽くした人々への尊敬の念、正しい倫理観や生命への畏敬の念を持てる青少年の育成に全力を尽くしたいということであります。
 また、教育の問題で私が今訴えたいことは、高等教育の基礎研究の飛躍的向上を図り、技術立国としての人材養成に努めることであります。これまで我が国は、欧米の技術を模倣し、それを応用発展させることによって、経済の発展、国民生活の向上に寄与してまいりました。しかし、経済の一層の国際化が進む中で、今後我が国が生きていくためには、外国技術の模倣ではなく独自の技術開発により新しい産業を創出し、産業の高度化を図らなければなりません。それなくしては、我が国に明日はないと言えます。私は、二十一世紀に向けて、政府の研究開発投資を大幅に拡大し、優秀な研究者の育成と研究基盤の抜本的強化に全力を挙げて取り組む決意であります。
 本年は、戦後五十年という節目の年に当たります。五十年前、日本国民は廃墟の中から立ち上がり、さまざまな苦労と努力を重ねながら今日の繁栄と平和を築いてまいりました。また、まことに不幸な戦争の惨禍を再び繰り返すことのないよう平和国家として生きることを決意し、この新たな決意の上に立って、戦後一貫してアジア諸国を初め各国との友好協力関係を築き上げるように努力を続けてまいりました。今日の我が国の繁栄と平和は、ひとり我が国国民の努力のみによるものではなく、多くの国からの善意あふれる協力によることを忘れてはならないのであります。
 私は、この戦後五十年という節目の年に、歴史の反省に立って、我が国が平和国家としてあり続けるという意思を世界に向けて明らかにするための不戦の誓いを宣言するよう提案するものであります。
 あわせて、国民の決意をより確かなものとするために、未来志向の考えに立って次の具体的な行動をなすべきだと考えます。
 第一は、日本の志を広く理解してもらうために、アジア・太平洋地域における各国青年との中身の濃い大規模な交流計画の策定と実施であります。
 青少年を中心に、アジア・太平洋の国民が互いに交流を深め親睦を図るということは、これからの世界の平和と繁栄に大きな役割を果たす基礎になると私は考えます。そのため、渡航費用、滞在費用、留学に際しての奨学金制度の充実などの予算措置を大幅に講じていく必要があります。特に外国からの留学生については、戦後五十年の記念事業として、国費留学枠の拡大、学習奨励費の増額、居住環境改善など、内容充実を図るよう提案をいたします。
 第二は、世界唯一の被爆国として世界の核軍縮にリーダーシップを発揮することであります。
 折しも本年は発効から二十五年たった核不拡散条約の延長期限を設定する年であり、核不拡散の問題について新たな合意を図る必要があります。米国と旧ソ連諸国による戦略核兵器削減条約は合意されたものの、具体化されるには至っておりません。この際、核保有国を初めとする各国を広島に招き、核不拡散問題を総合的に協議する広島会議を開催するよう提案するものであります。(拍手)
 第三は、国連五十年に向け、国連の機能強化を初めとする国連改革に積極的に取り組むことであります。
 外務大臣は、昨年九月、国連総会において演説し、多くの国々の賛同を得て安保理常任理事国として責任を果たす用意があることを表明いたしました。しかし、その後の政府の姿勢は、この外相発言は立候補宣言ではないと官房長官が発言するなど、消極的との印象を内外に与えておることは極めて遺憾であります。
 冷戦が終局した今日、国連の機能を確立しなければ、世界は平和と安全を確保できません。エネルギー、資源、食糧、貿易、安全保障、いずれも自力で全うすることのできない我が国が、その国際的な責任と役割をなし得る範囲で主体的に果たしていくためにも、常任理事国入りを目指すべきであると考えます。(拍手)そのためにも、国理論革サミットを日本で行うように提案をいたし圭す。
 また、本年はPKO協力法制定から三年が経過し、見直しの年であります。我が国は、カンボジア、モザンビーク、ルワンダ等へのPKO協力券実施し、各国から高い評価を受けてまいりました。引き続き積極的にPKO協力を推進するという観点から、その見直し作業に取り組んでいくべきであります。また、アジア諸国との協力関係を強化するとともに、アジアの平和への貢献の意味を込めて、アジアにPKOアジア訓練センター及び機材集積センターを設置するように主張いたします。
 第四は、これも重要な節目を迎える日米関係について確固たる信頼関係を築き上げることであります。
 日米関係は我が国外交の基軸であり、世界の平和と繁栄に不可欠なものであります。日米のグローバルパートナーシップの新たな強化発展を図っていかなければなりません。その意味で、先般の村山総理の訪米は重要な意味を持つものと期待しておりましたが、何の成果もなく終わったのは残念であります。
 特に、北朝鮮への軽水炉導入に関する経済支援を、過去の北朝鮮の核疑惑の解明を棚上げしたまま米国に約束したということは、我が国にとって大切な機会を見逃したと言わなければなりません。(拍手)この北朝鮮の核査察問題や、日米包括協議でアメリカが求めている数値目標の設定、制裁措置などに対して、我が国として言うべきことは主張をして、例えば核査察の五年間先送りが報道されておりますが、なぜ直ちに応じられたのか。
 国民の皆さんに十億ドルを超すとも言われる軽水炉転換資金支援の理解を求めるには、査察による疑惑解明の道筋が明らかになった時点で対応するとか、核運搬手段であるスカッドミサイルの改良型が北朝鮮で実験、成功したということも知られておることでありますから、これについて清結、廃棄をアメリカを通じて求めるなど、あるいは日朝国交正常化の開始について、これを求める前提として、日本が北の政府に向かって直接話すなど、いろいろなすべきことはたくさんあったと私は考えるものであります。(拍手)
 最後に、アジア諸国の連帯、協力は、国際情勢の変化の中にあって極めて重要なことであります。
 比較的安定した政治情勢のもとで目覚ましい経済成長をアジアは続けておりますが、一部に軍事的緊張が見られるものもあります。我が国としても、政治面、安全保障面での対話の枠組みづくりに努めるとともに、経済面での域内協力を続けていく必要があります。この見地から、大阪で開かれるAPECに主導的な役割を果たしていくことが求められ、そのため参加国非公式首脳会議をAPECに先立って開催し、十一月の会議を実りあるものにするよう努力されるべきだと考えます。
 終わりに、重ねて強調したいことは、あらゆる改革の目指すものは、対外的には開放、国内的には規制緩和、自由な、公正な社会を築くことです。豊かさの実感できる世の中にすることであります。自由こそ多様性と創造性をはぐくむ基盤です。新しい歴史の扉を開くために、我々はすべてをかけてその扉を体ごと押し開く決意であることを重ねて申し上げて、きょうの政治方針表明を終わりといたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(村山富市君) 海部議員からの質問にお答えする前に、一月二十日の本会議における二階議員からの質問に対する私の答弁につきまして補足をさせていただきたいと思います。
 第一に、兵庫県南部地震が発生しました一月十七日の私の日程についてでありますが、当日申し上げましたように、当日は六時過ぎにテレビニュースで初めて知りました。電話による連絡、指示を開始いたしまして、七時半に第一報の報告を受けました。十時からの閣議におきまして、非常災害対策本部をいち早く設置する、同時に国土庁長官の現地派遣を決定し、その後、関係大臣との協議をたびたび行い、午後四時には緊急記者会見を私が行いまして、地震への対応に全力を傾けてきた次第でございます。なお、地震への対応の合間を縫い、月例経済報告関係閣僚会議、二十一世紀地球環境懇話会に出席するなど、国政上必要な日程をこなしてきたところでございます。第二に、新幹線、私鉄等の鉄道機能の回復についてでありますが、全力を挙げてその復旧に取り組んでいるところであり、既に相当部分が運行を開始しておりますが、なお最大の努力を払って、残された路線の復旧の督励に努めておるところでございます。第三に、昨年末の三陸はるか沖地震に関する新進党の御要請についてでありますが、この御要請につきましては、私も承知をいたしております。
 以上、補足をさせていただきました。
 次に、海部議員の質問にお答え申し上げたいと思いますが、国会審議十日間延長の申し入れを断られた。こういうお話がございましたが、国会審議の日程等につきましては、国会御自身で御協議の上お決めになることでありまして、私が総理として新進党の方々にお会いした際にもそのことは申し上げた次第でございます。(拍手)
 なお、私は、こういう緊急の、未曾有の災害が起きたこういうときであるだけに、政府も国会も一体となってこの災害対策に取り組む必要がある、そのためには国会の皆さんの御協力もいただき、知恵もおかりをするための御審議もしていただくことはむしろ必要ではないかと考えておるのであります。(拍手)
 これは質問ではなくて海部さんの御意見ですから、私もこの際若干の御意見を申し上げておきたいと思うのですが、緊急災害対策本部を設置すべきではないかという強い御意見がございました。
 今回の災害に当たっては、災害発生の当日、先ほども申し上げましたように、午前十時に閣議においていち早く非常災害対策本部を設置してきたところでございまして、あわせて総理大臣を本部長とする緊急対策本部を設置し、同時に現地の緊急対策本部も設置をいたしまして、県、市町村とタイアップをしながら、協力して実行できる体制を整えてまいりました。同時に、非常災害対策本部の本部長には専任の小里国務大臣を任命いたしまして、直ちに対応ができるような対処をしてまいりました。(発言する者あり)
#6
○議長(土井たか子君) 静粛に願います。
#7
○内閣総理大臣(村山富市君)(続) 私は、今回とってまいりました措置は、現状の情勢に照らして最善の策であったと確信を持って申し上げたいと存じます。(拍手、発言する者あり)
#8
○議長(土井たか子君) 再度申し上げます。静粛に願います。
#9
○内閣総理大臣(村山富市君)(続) 私は、この際、この席をおかりして心から申し上げたいと存じますが、五千人に達する亡くなられた方々、その遺族の方々に対して哀悼の誠をささげたいと思いまするし、同時に、負傷された方々や避難生活を余儀なくされておる被災者の方々に対しても、心からお見舞いを申し上げたいと存じます。
 なお、県や市の現地の職員の皆さんが、みずからも被災者でありながら、身を挺して救援と復旧に取り組んでおる姿や、また消防、警察、自衛隊等々の職員が不眠不休で努力をしておる姿、さらにまた全国の市町村から職員が派遣をされて救援活動に取り組んでおる実態、そしてまた民間NGOの方々の献身的な努力、そしてまた全国の皆さんから寄せられておる救援等の御支援、御協力こまた、アメリカを初め各国々からの支援、御協力に対しましても、この際、心から感謝と敬意を申し上げたいと存じます。(拍手)
 こうした方々の御努力に、また御支援、御協力にこたえる意味でも、先ほど来申し上げておりまするように、内閣が一体となって全力を挙げてこの支援と復旧に取り組んでいく決意ででざいますから、被災者の皆さんも、関係者の皆さんも、大変御苦労をおかけしますが、難儀をおかけすると思いますが、お互いに協力し合い、支え合って、元気を出して頑張っていただきたいと心からお願いを申し上げる次第でございます。(拍手)
 なお、今、海部議員から、今回の災害対策に関する国会決議についての御質問がございましたが、国会決議につきましては、国会において御議論をいただいた上で対応していただくことではないかと考えております。したがって、どうぞ国会で十分御審議をいただいて、その国会決議のお取り扱いについてお決めをいただきたいと存じます。
 なお、代表質問で申された海部議員の意見は、ほとんど意見であり、さまざまな提案でございました。それに対して私の立場から申し上げまするならば、私がこの本会議場で申し上げました施政方針の考え方、基本方針に基づいて、国政に万全を期すために取り組んでいきたいということだけを申し上げて、答弁にかえたいと思います。(拍手、発言する者あり)
#10
○議長(土井たか子君) 静粛に願います。
 小里国務大臣から、去る二十日の会議における答弁に関し、発言を求められております。これを許します。国務大臣小里貞利さん。
    〔国務大臣小里貞利君登壇〕
#11
○国務大臣(小里貞利君) 去る一月二十日の本会議におきまして、二階俊博議員より御質問がございました中で答弁漏れがございましたので、ここで答弁をさせていただきます。
 すなわち、質問の要旨は、兵庫県南部地震対策につきまして、いわゆる被害総額が民間経済研究所等の話によると四兆円から八兆円と言われておるが、政府はこの数値についてどのように把握をしておるかという御質問でございました。
 兵庫県南部地震への対応といたしましては、御承知のとおり、今なお多数おられる行方不明者筆の捜索・救援活動を最優先といたしまして、生活必需品の確保、電気、ガス、水道等のライフラインの早期復旧、住宅や道路交通の確保等、緊急に行わなければならない業務に最善の努力を尽くしている段階でございます。現時点におきましては被害総額の把握は困難でありますが、いずれにいたしましても甚大なものとなるものと見込まれ、今後、具体的な数字につきましては、関係省庁とも連絡の上、その的確な把握に努めてまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(土井たか子君) 森喜朗さん。
    〔森喜朗君登壇〕
#13
○森喜朗君 私は、自由民主党・自由連合、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけを代表し、村山総理大臣の施政方針演説に対して質問を行います。
 質問に入ります前に、去る十二月二十八日発生した三陸はるか沖地震、そして一月十七日に発生した兵庫県南部大地震によって亡くなられた方々に対し深く哀悼の意を表しますとともに、数多くの負傷者、罹災者の方々に対して心からお見舞いを申し上げます。
 連日、厳しくそして悲しい被害状況が伝えられるニュースの中にあって、被災者の皆さんは、家屋を失い、食料や物資が欠乏し、愛する家族までも亡くし、極限を超えた生活を強いられておられるにもかかわらず、混乱を避け、極めて秩序正しく、冷静沈着に行動されておられます。このような日本人の秩序意識を称賛する外国の報道が相次いております。私どもも、こうした被災者の皆様の対処には感動を覚え、同じ日本人として誇りに思うものであります。(拍手)
 また、被災地の自治体職員、警察官、消防士の皆さん並びにボランティアの皆さんは、自分の家や家族も被害に遭われたにもかかわらず、地域住民全体のため献身的な救援活動を行っておら桐ることに対し、先ほど総理からも御発言がございましたが、私も心からお礼を申し上げたいと思います。また、近隣の自治体の皆様の御協力に対しましても厚くお礼を申し上げたいと存じます。
 それだけに、我々連立与党は、直ちに兵庫県南部地震対策本部を設置し、その日に調査団を派遣し、翌十八日、村山総理に対し、緊急の救援対策の実施と、財政措置として補正予算を迅速に編成するよう強く申し入れました。
 地震発生後、きょうで一週間目を迎えようといたしております。今、罹災者の皆さんにとって一体何が一番必要なのか。改めて政府は、地元、県、市と十分相談し、その対応に当たっていただきたいと思います。
 例えば、食料や寒さをしのぐ当座のものについては、最低限の供給体制ができつつあるように思います。今最も必要なのは、トイレ、ふろ、シャワー等に要する生活用水、さらに、最も留意しなければならないことは医療・衛生の面であります。
 恐らく、全力を振り絞っておられるに違いないが、公的病院、個人病院等の医師、看護婦等は、体力的にも器具や設備の面でも限界に近いと思われます。この際、全国からの派遣体制をとらなければならない状況になっていないか、大変心配されるところであります。
 被災者の皆さんが一日でも雨露をしのぐことができる措置として、例えば、大型客船を神戸港に停泊させて、これを交代で利用させてあげる等、あらゆる手段を駆使して被災者の皆さんの苦しみにこたえてあげるような措置も必要ではないかと思われます。
 家を失い、住むところもないまま、将来に対し大きな不安に襲われている被災者の皆さんのために、被災地における住宅建設は今後の最重要課題でありますが、応急対策並びに本格的な復興対策については今後格段の特別措置が必要であると考えますが、総理はいかがお考えか、お伺いをいたしたいと存じます。
 また、今回の大地震により、各産業面への被害が大変心配されるとともに、被災者の方々の働く場の確保が重大であります。中小企業のみならず大企業についても、復旧対策として、財政金融、税制面において特別の措置を講じていかねばならないと考えますが、通産大臣はいかが考えておられるか、お伺いをしたいと存じます。
 我々与党は、復興に関する財政支出の面で、被災者の皆さんに御心配をおかけしないように全力を尽くすことをここにお誓いを申し上げます。(拍手)
 同時に、今後は政府・与党一体となって万全の救援・復旧対策を講じてまいる所存でありますが、政府が今直ちに行わなければならない緊急な救援対策並びに今後の復旧対策、そしてそのための補正予算等の財政措置についていかが考えておられるか、大震災復興への総理の御決意を伺います。
 また、大災害の復旧に関連して各省庁間の横の連絡を十分とるなど、縦割り行政による復旧対策のおくれがないよう政府は十分配慮して対策を進められるよう強く要請いたします。
 総理は、先般、都市機能を回復させる新たな特別立法を検討することを表明されましたが、関東大震災の折は、関東復興院並びに全国民の力をおかりして復興する免税債の発行などの先例があります。こうした例も参考にしてあらゆる手段で復興すること、従来の枠組みにとらわれない財政支援を行うべきでありまた、特別立法を今国会でできるだけ早く成立させることが大切であると考えますが、総理はいかがお考えになられます。
 今回、政府は、被災された方々、地方自治体等の相談に乗り、政府に対し的確な要請を行うため、現地対策本部を設置いたしましたが、連絡不十分なため対策が後手後手になりやすい状況の中で、現地対策本部の設置はまことに適切な措置であります。その機構が十分機能するよう、村山総理の御指導、御監督を強くお願い申し上げます。
 特に今回の兵庫県南部地震は、人口の密集する大都市圏の直下を襲ったことから、都市型地震として未曾有の大災害をもたらしました。今回の地震が教えてくれたことは、日本列島はどこでもいつでも大地震が起こり得るということであり、この際、新たな視点に立って、総合的な都市型地震対策を早急に確立するとともに、日本列島全体に地震予知・観測体制を整備するなど、地震対策に万全を期すべきであります。
 また、重要なことは危機管理であります。米国においては、例えばFEMA、連邦緊急事態管理庁が常設されております。大規模災害発生と同時に非常招集された予備役軍人と州兵がすぐさま救援活動を行い、医療・通信設備が導入され、被災地一帯の交通は厳重に規制されるなど、危機管理体制が整っていると聞きますが、我が国の場合はこれが全く整備されておりません。この際、大震災という災いを転じて、地震国日本の危機管理体制を堅固なものにするよう総力を挙げて取り組むことこそ、今回犠牲になられた多くの方々に対し我々が早急に果たすべき重大な責務だと考えますが、総理はいかがお考えか、お伺いをいたしたいと存じます。
 また、今回の大震災においては、関東大震災並みの地震でも大丈夫であると設計された高速道路や鉄道、公共建築物があのような無残な形に崩壊してしまいました。これから復旧対策を進めるに当たって一番大切なことは、今回以上の大地震にも耐えられる防災都市をつくっていかねばならないということであります。
 今回の大災害を教訓として、二十一世紀に向かって世界の模範とされる理想的な防災都市兵庫をつくることこそ自治体と国の責任であり、亡くなった多くの方々のみたまにこたえる道であろうと考えます。そのためには、今までの設計基準を思い切って見直し、国の支援措置等についてもそれにこたえられるよう特別立法を考えること等が大切であると思いますが、総理はいかがお考えか、お伺いいたします。
 今回の大震災に関しまして、とりあえず現段階での質問を申し上げましたが、復旧対策について国会の場において今後あらゆる角度から討議し、万全を期してまいりたいと思いますので、各位の御協力、御支援をお願い申し上げます。
 なお、今回の大地震災害に際して、多数の国々からお見舞いのメッセージをいただくどともに、在日米軍の支援やスイスの救助犬の派遣など、多くの国々から災害復旧支援をお受けしており、これらの国々の善意に対し、国民とともに心から感謝申し上げる次第であります。(拍手)
 さて、一昨年八月、自由民主党は残念ながら野党となり、かわって八党派による細川連立政権が成立し、政治改革を名分に八カ月にわ九って政権を維持しましたが、提案をされました政治改革法案も廃案になり、その上、みずからの政治資金に関する疑惑によって細川総理は辞職されました。そして生まれた羽田政権は、新生、公明両党主体の強権的な体質のもとで社会党、新党さきがけの両党が離脱し少数弱体となり、昨年六月退陣いたしたのであります。
 こうして一年間に三人も総理大臣がかわるという異常事態の中で、一昨年の総選挙において国民の支持を受け第一党となった我が党並びに第二党の社会党は、さきがけと協力してこの異常事態を収束することを決意し、民意を受けた新たな連立政権を発足させたのであります。発足に当たっては、当然のことでありますが、政策に関する合意文書を作成し、これを基本的な出発点といたしました。
 私たちの決断が正しかったことは、さきの臨時国会でメジロ押しの重要法案を一〇〇%成立させるという憲政史上初の快挙をなし遂げる等、懸案の課題と政治改革や税制改革など新たな改革についても着実に成果を上げたことで見事に立証されたと思います。(拍手)
 発足当時は、自民党、社会党の組み合わせについて野合などという批判を受けました。しかし、七カ月にわたって安定した政権を維持した今日においては、もはやその声は全く聞こえなくなりました。私は、その最大の理由として、この七カ月間に日本の政治が大きく変化し、生まれ変わってきたからであると考えるのであります。つまり、三党による民主的な政策の調整が進み、多くの国民が望んでいる安定した政治が実現したということであります。
 一番大切なことは、イデオロギーによる対立が意味をなさなくなった今の日本の政治で、自、社、さきがけの間に民主的で自由な話し合いを通じ、お互いに相携えて仕事をしていこうとするコンセンサスと信頼感が広がってきたということであり、このことこそ日本の民主政治のために大きな政治改革であったと考えられます。(拍手)
 こうして与党三党が提携して、混迷していた日本の政治を、国民が一番望む信頼される安定した政治の方向に進めてまいりました。この新しい政治の方向を今後も定着させ、この連立政権を堅持し、内外に山積する重要課題に対し明るい未来を志向して積極的に取り組んでいくべきであると考えますが、総理はどのような姿勢で対処していかれるつもりであるか、その御決意を伺いたいと存じます。
 さて、具体的な政策に関する質問に先立ち、一言申し上げます。
 野党新進党は、今国会の代表質問において、質問はせず野党の政治方針なるものを述べると主張し、現に先ほどの海部君の代表質問も、質問がほとんどなく、一方的演説という印象を受けました。このことは、長い間我々の諸先輩が築き上げた国会の慣例とルールと異なるものであります。もし仮にこうした質問の形が国会改革への新しい取り組みであるというのなら、政府にも大幅な反論権や質問権を認めるなど、その仕組みを変えていくべきであろうと思います。(拍手)
 それを、野党になったからといって、議運委員長の御経験や総理大臣までおやりになった方が一方的に代表演説を行うことは、あなたとしても、ひとりよがりの強権的手法によって国会のルールさえも踏みにじるものと言われてもいたし方ないのではありませんか。(拍手)
 また、先週金曜日、野党から与野党党首会談を求められました。本日の国会で各党を代表しての質問の場が事前に設定されているにもかかわらず、質問を避けて党首会談の形で意見を闘わせようという野党の行動は、まことに理解に苦しむものでありまさに国会軽視につながるやり方ではないでしょうか。
 さらに、野党から休会しようという申し入れもありました。一日も早く国会の論議を始め、できるだけ速やかに七年度予算、さらには補正予算、地震対策等を議論しなければならないのに、十日間も国会を休んで国会議員に何をさせようとされているのか。みんなでボランティアとして神戸の町へ出かけて活動しろとおっしゃるのでしょうか。そんなことを罹災者の皆さんは期待しているとは思われません。もし国会審議があるので政府の対策が進まないおそれがあるというのであれば、小里担当大臣や関係大臣を国会に拘束せず、政府委員にも自由にその職務に専念できるようにしてあげることの方がよほど実効が上がると考えられますが、いかがでございましょうか。(拍手)
 それでは、外交問題についてでありますが、まず、総理の訪米と日米関係についてお伺いいたします。
 今回の日米会談は、戦後五十年という一つの区切りを迎えるときに行われたものでありまことに意義深いものがあったと考えます。総理も米大統領と会談するのは三回目であり、打ち解けた雰囲気のうちに、両国関係にとどまらず幅広く国際社会共通の問題についても話し合ったと伺っておりますが、どのようなものであったのでありましょうか。
 とりわけ日米包括経済協議については、村山政権になってから関係閣僚の御努力により多くの分野で合意が実現したのでありますが、米国側はどのように認識しているのか、さらに、今後の日米関係をどのように位置づけるのか、また、日米安保体制をどのように評価し、今後の役割をどうするのか等、日米首脳会談の内容についてもお伺いをいたします。
 次に、世界の軍縮と我が国の役割についてお伺いいたします。
 本年は、核不拡散条約、NPTの延長期間を検討する会議が開かれますが、我が国といたしましては、核兵器の廃絶を究極的目標とし、条約の無期限延長を支持すべきだと考えますが、いかがでありましょうか。また、通常兵器についても、武器輸出問題も含め国連における軍備登録制度を拡充強化していくよう、我が国が主導して積極的に世界に対して求めていくべきだと考えますが、総理の御見解を賜りたいと存じます。
 次に、対アジア外交についてお伺いいたします。
 本年十一月、大阪でアジア・太平洋経済協力閣僚会議、APECが開かれますが、APECに対し我が国の果たす役割について総理にお伺いいたします。
 また、ASEAN側より提案されている東アジア経済協議会、EAECにつきましては、APECを分断するようなことがあってはなりませんが、アジア重視を一層明らかにするためにも、我が国としては積極的に取り組んでいくべきであると考えますが、政府としてどう対応されるおつもりか、総理にお伺いしたいと存じます。
 さらに、アジア外交の大きな柱である対中国政策についてでありますが、両国関係はアジア・太平洋地域全体の安定と発展にとって極めて重要であり、我が国としても経済面でも一層緊密化していくことが大切だと考えます。我が国は対中国政策を今後どう展開していく方針か、総理にお伺いいたします。
 次に、北東アジアの安全保障について伺います。
 昨年、米朝合意が成立し、北朝鮮の核開発が演結する方向に踏み出したことは歓迎すべきことでありました。総理は、我が国は意味のある財政的役割を果たすと表明し、米国側もこれを高く評価いたしましたが、北朝鮮の核問題への我が国の対応をどうするか、また、日朝交渉再開の見通しにつきましてもあわせてお考えを伺いたいと存じます。
 さて、本年は終戦五十年、西暦二〇〇〇年まであと五年という大きな節目の年であります。我が国は、過去を検証し、将来を展望した外交の新たな座標軸を設定し、冷戦構造の崩壊した世界にあって、新たな時代の枠組みをつくり上げるべく積極的な平和外交を行っていかなければならないと考えますが、国際情勢の激変に対応する我が国外交の基本をどう展開していくおつもりか、総理のお考えを伺いたいと存じます。
 次に、内政問題についてお伺いいたします。
 まず、行政改革の推進についてであります。
 村山総理は、国政上の最大の課題として行政改革に取り組んでおられます。行政は社会経済の変化に対応して常に見直さなければなりません。戦後五十年を経過した我が国の行政は、こうした意味で大改革の時期に来ております。
 そこで、行政改革の課題の中でも、国際化の急速な進展、経済状態などを考えますと、規制緩和の推進が特に緊急な課題であります。規制緩和は、諸外国の要望に耳を傾け国際的調和に努めるばかりでなく、我が国の経済の活性化、内外価格差の是正、経済構造の変革のためにこそ必要であります。
 政府は、昨年来、約一万一千ある規制項目の中から約一千百項目の個別緩和事項に取り組んできているわけでありますが、どうも不十分な感じが否めません。今度こそ国民の目に見える改革を進めていかなければなりません。本年三月末には具体的な規制緩和推進計画を策定することとされていますが、規制緩和に取り組む総理の御決意を伺いたいと存じます。
 次に、特殊法人の改革合理化であります。
 特殊法人は、政府の別働隊として、企業的経営になじむ事業について能率的に経営させようとの趣旨で設けられたものでありますが、その役割は社会経済情勢の変化に応じて常に見直さなければなりません。特殊法人の見直しについては、これを必ず国民の期待する方向で断行し、実りあるものにしなければなりません。単に統合でお茶を濁すのではなく、時代の変化で役割を終えたものは廃止あるいは民営化するなど、特殊法人の改革合理化に、かつての三公社民営化と同じ決意で取り組むべきと考えますが、総理の御決意をお伺いしたいと存じます。
 また、民間は長い景気低迷の中で厳しいリストラを行い、国民には新たな税負担を求めております。また、政治に携わる我々も政治改革を行い、選挙制度等を大改革いたしました。こうしたことを考えると、特殊法人はもとより、行政本体そのもののリストラも不可欠であります。そのためには、組織・定員の合理化が必要であります。例えば国土三庁の統合など行政組織の合理化や国家公務員の定員縮減に思い切った取り組みをすべきだと考えますが、総理はいかがお考えになります。
 また、地方分権についてでありますが、昨年十二月、与党三党は地方分権推進についての基本的な考え方を取りまとめ、政府も地方分権の推進に関する大綱方針を決定いたしました。地方分権の基本的な考え方は、行政はできる限り地域に住む住民の身近なところで行われるべきであるということであります。
 政府は、地方分権の推進に関する法案をいつごろ国会に提出されるのか。また、国と地方との事務分担、国から地方への権限の移譲、地方独自の財政基盤の整備など、具体的内容についていかがお考えか。また、さらに、新たに設けられる予定め地方分権推進委員会は十分な監視機能を持つべきだと考えますが、いかがお考えか、総理に伺います。
 行政の情報公開は開かれた社会を目指す重要な改革の一つであります。政府は行政について国民に説明する責任を果たすことが真の民主主義の基礎であり重要と考えますが、いかがでありましょうか。一行政改革は村山内閣にとって最大の政治課題であります。これに取り組む姿勢を国民は見守っております。大いなる決意を持って国民の目に見える成果を上げ、国民の理解が得られますよう、この機会に総理に強く要望いたします。
 次に、経済政策についてお伺いいたします。
 平成三年春から続いた戦後最長・最大規模の景気の低迷は、数次にわたる財政金融面からの景気回復策による内需主導型の経済運営、民間におけるまさに身を切るようなリストラ等の企業努力により、ようやく緩やかな回復過程に入ったとのことでありますが、その回復力には実感として力強さが感じられません。
 一方、政府・与党においては、景気に配慮した平成七年度の予算案を昨年末に編成したこと、活力ある福祉社会の実現を目指す所得減税を主体とする税制改革が実現したこと、また、六百三十兆円にも上る公共投資基本計画の策定等、我が国経済社会の展望を開く懸命な努力が開始されております。しかしながら、今回の不況が複合不況と指摘されるように、我が国経済にはいわゆるバブルの後遺症と並んで産業の空洞化への懸念を中心とした将来にわたる不安感があります。
 そこで、まず我が国経済の置かれている現状認識についてお伺いするとともに、このような産業空洞化を中心とした不安感を打ち破る処方せんとして、政府は新しい経済計画にどう取り組み、経済構造改革などの新経済政策をどのように展開されようとしているのか、総理にお聞きします。
 その際、取り組むべき構造的課題の中核としては、内外価格差の是正問題が挙げられます。我が国には、国際的に通用する価格となっている商品が存在する一方で、国際的・国内的競争が制約されているため諸外国に比べて高価格のものが少なくありません。例えば、消費者向けの財やサービスだけでなく、産業用の原材料や設備、サービス面での高コスト経済構造が、産業の空洞化や国民生活の豊かさを実感できない大きな要因となっております。
 こうした内外価格差の是正には、市場メカニズムの機能を損なう経済規制等の公的規制、取引慣行、情報格差等を早急に是正することが不可欠でありますが、我が国経済を活性化させるため具体的にどのような施策を考えておられるのか、果たして実現可能なのかを含めて総理にお伺いいたします。
 また、産業空洞化の懸念に対する対応や国際社会における競争と協調の両立を目指して、経済の新分野の拡大のための環境整備を図らねばなりません。例えば、雇用と成長の確保の観点から見ると情報通信基盤の整備が重大な課題であります。高度な情報通信基盤整備をどう総合的、計画的に推進するか、総理のお考えを伺いたいと存じます。
 さらに、今後どのような新分野への進出が見込めるのか、また、構造転換等をスムーズに進めるための新技術開発への支援を含む具体的施策について、さらに、起業家が初期投資資金を調達できるような環境の整備促進策について、通産大臣にお伺いいたします。
 また、我が国経済を活性化し、将来にわたって成長を持続させるためには科学技術立国こそ大切な政策であります。特に、基礎研究を充実強化することが、次世代の産業の創造、雇用の創出に極めて有効であることは明白であり、欧米先進諸国においても、例えば昨年米国クリントン政権が発表した新政策「国家利益のための科学技術」に見られるように、科学技術政策を積極的に国策として位置づけることが重要であります。
 我が国としましても、科学技術の振興を未来への先行投資とする考えを明確にし、科学技術立国の実現を最重要国家戦略として推進すべきであると思いますが、総理はどうお考えになられます。
 この際、教育問題について質問をします。
 私は、かつて文部大臣として臨時教育審議会を設置し、教育改革に携わりました。長い間問題とされている偏差値教育、先般来悲しい事件となったいじめの問題、さらには青少年の科学技術離れの問題など、より豊かな人間性をはぐくむためには現行教育制度の改革にかかわる課題が山積いたしております。二十一世紀に向かって世界から信頼され、尊敬される新しい国づくりを進めるためには、何としても、この際、中教審等を活用して臨教審以来の教育改革を見直し、新たな課題にも適切に対処していくことが喫緊の課題と考えます。総理の御所見を伺いたいと存じます。
 欧米先進国に大きくおくれている社会資本を整備することも大きな政策課題です。先ほど申し上げましたとおり、政府は、総額六百三十兆円の新たな公共投資基本計画を策定いたしました。そこで、総理にお伺いいたしますが、これから策定する新しい全国総合開発計画にどう取りまれるのか、また、新公共投資基本計画はどのような基本理念に基づいて策定なさったのかをお伺いいたします。
 また、先般、連立与党は、北海道から九州まで日本列島を新幹線でネットワークする整備新幹線建設を国家的な事業と位置づけ、新公共投資基本計画の事業として、地方の努力も活用しつつ、その整備を促進することを決定いたしました。関係道県にとって長年の念願がかない、大変喜ばしいことであります。今後は、この新幹線ネットワークと道路、航空路が地方中核都市と有機的にアクセスする総合的な交通体系をつくることを新公共投資基本計画の主軸として取り組み、日本列島における新しい国土軸を形成していくことが大切であります。
 このたびの兵庫県南部地震によって寸断された山陽新幹線や阪神高速道路などを見るにつけ、一本の幹線が寸断されても日本外島が麻痺しないように代替機能を持つ副次的幹線建設が急務であります。
 例えば、日本海側を国道八号線が走っております。これは米原から京都まで入ります。一方、国道九号線は京都から島根を通り、下関に参ります。八号と九号は連結をしていないわけであります。このような道路というのは、東京を中心に、京都、大阪を中心に考えられて建設されたものでありまして、新しい国土軸を考えた場合に、紀州から四国、九州まで、さらには日本海を通る国土軸を中心にした考え方を持つ必要があると思いますが、総理は新幹線の建設と高速道路を含む総合的な交通体系の整備についてどのように考えておられるかをお尋ねいたしたいと存じます。
 最後に、村山総理に申し上げたいことがございます。
 昨年六月以来七カ月間、自由民主党、日本社会党、新党さきがけは、論議の積み重ねを大事にして政策を決定し、国民にわかりやすい、安定した政治を行ってまいりました。最近の世論調査を見ますと、この政治の安定は多くの国民から支持されております。改革、改革という言葉だけで民意を伴わない混乱に終始する政治よりも、国民は議会制民主主義に基づき民主的な手続を大切にする安定した政治を望んでいるのであります。(拍手)
 村山総理は、毅然とした決断力と人に優しい人柄をもってこの安定した政権を堅持し、内外に山積する重要課題並びに当面の緊急課題である兵庫県南部地震復旧対策等に対処していくことが今一番大切なことではないでしょうか。
 今、日本はいわばコンピューターのクリアキーが押されたような時代に入り、過去の軌道を修正する絶好の機会が訪れております。また、国家があって人間がない、理論があって情けがないというような政治論ではなくて、人間から出発する時代をつくり上げる政治が求められていると思います。
 新しい時代を創造するための政治を行うとの考え方に立って、我々連立三党は村山内閣を今後ともしっかり支えていくことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(村山富市君) 森議員から、兵庫県南部地震災害対策等々、国政全般にわたって力強い激励を兼ねた御質問をいただきました。心からお礼申し上げます。(拍手)
 まず、被災地における住宅対策についてのお尋ねでありますが、今回の地震によりまして、多数の家屋の倒壊や大規模な火災の発生により、多くの住民が避難所等で不自由な生活を余儀なくされております。一日も早く住生活が安定するよう、現在、応急仮設住宅の建設や公共住宅の空き家の提供等の応急対策を鋭意推進しているところでございます。
 住宅の復興につきましては、災害公営住宅等の公共住宅の積極的供給を推進することといたしているほか、自力建設に対しては住宅金融公庫融資の災害復興住宅貸し付けを行うことを決定しており、速やかな取り扱い開始に向けて準備を進めているなど適切に対応してまいっているところでございます。
 今回の地震対策としての緊急対策、今後の復旧対策、そのための補正予算等の財政措置についての考えについて御質問がございました。
 今回の兵庫県南部地震は、戦後例のない大都市地域で発生した直下型の地震でございまして、その社会的・経済的影響は大変大きなものがございます。このため、政府といたしましても、被災者に対する飲料水、食料及び生活必需品等の物資の確保や供給体制の整備、住宅の確保等の緊急救援対策に万全を期するとともに、今後の復旧対策につきましては、被災自治体に相談の上、対策に万全を期してまいりたいと考えています。このための必要な財政上の措置につきましても、補正予算の検討も含め、適時適切に対処してまいりたいと考えております。また、甚大な被害を受けた被災地域の再建復興を図るため、被災自治体における意向を踏まえて、復興に対する事業費の確保など政府としてもあらゆる対策を講じてまいる所存でございます。
 次に、今回の兵庫県南部地震について、従来の枠組みにとらわれないあらゆる手段で復興を行うべきではないかとの御質問でございますが、今回の地震によりまして甚大な被害を受けた被災地域の再建復興を図るため、被災自治体における意向も踏まえながら、復興に対する事業費の確保など政府としてもあらゆる対策を講じてまいる所存でございます。
 また、特別立法を今国会でできるだけ早く成立させるべきとの質問でございますが、政府は一丸となって災害対策基本法寺今の法体系の中でやれることはすべてやり尽くすということで、あらゆる対策を講じているところでございますが、さらなる立法措置については、今回の地震による被害の甚大性にかんがみ、被災地方公共団体の実情等も踏まえつつ検討しなければならない課題であると認識をいたしております。
 次に、大規模災害時の危機管理体制を強化すべきとの御質問でございますが、防災上の危機管理体制の一層の充実は極めて重要な課題であると認識しております。今回の経験にかんがみまして、今後見直すべき点は見直すこととし、危機管理体制の強化に努力をしてまいりたいと考えています。
 次に、理想の防災都市神戸をつくるため設計基準を見直すべきではないかとの御意見でありますが、我が国の道路橋や建築物の耐震設計基準につきましては、従来から関東大震災や新潟地震等の経験を生かしながら、関東大地震クラスの大きな地震に対しても落橋や倒壊が生じないことを目標として基準の整備を行ってきたところでございます。しかしながら、このような中で、今回、道路橋や建築物に大きな被害が生じたことを重く受けとめ、地震発生後直ちに専門家による調査団を派遣し、被害状況の把握に努めているところでございます。地震工学等の専門家の英知を集め、原因を徹底的に究明をし、災害に強い都市づくりに向けて必要な措置を講じてまいる考えでございます。
 次に、私の政治姿勢についてのお尋ねでありますが、私は、昨年六月の連立政権発足以来、イデオロギーから政策対話へという時代の変化を踏まえて、透明で民主的な政策論議を行い、「人にやさしい政治」、「安心できる政治」を目指してまいりました。これにより、長年懸案となっておりました改革のための困難な諸課題に大きな区切りをつけることができたと自負をいたしております。
 本年は戦後五十年の節目の年であり、過去の五十年から未来の五十年へとつなぐ大きな転機の年であると考えております。このため、私は、行政改革の断行を初めとする諸課題に全力を傾注し、「改革から創造へ」という飛躍を図ることにより、我が国の新たな地平を切り開くための「創造とやさしさの国づくり」に真正面から取り組んでいく決意でございます。(拍手)
 次に、党首会談や地震対策のための国会休会に関し野党からの要求があったことについてお尋ねがございましたが、私としては、先ほどもお答え申し上げましたが、総理として、野党の方々のお求めに応じてお会いしたところでございまして、その際、お申し越しのあった国会運営に関する要求につきましては、地震対策に全力を尽くすとの政府の立場も御理解をいただいた上で、国会の側で適切に対応していただくべきものと考えでいるというお答えを申し上げた次第でございます。
 次に、今般の日米首脳会談についてお尋ねがございましたが、この会談は、御指摘のとおり、戦後五十年という節目の年の初めに、打ち解けた雰囲気のもと、多くの項目について具体的な意見交換が行われまして、非常に有意義なものであったと考えております。
 今回の会談におきましては、クリントン大統領より、先般決着を見ました金融サービス分野を初め、日米包括経済協議のもとで過去一年間に種々の成果が得られていることを評価するとともに、同協議のもとでのさらなる進展に対する期待が表明されました。また、人口、エイズ、環境等の地球規模の問題への取り組みについて、日米の協力が大きな成果を上げていることを重視するとの認識が示されました。さらに、我が方から提案をした途上国における女性支援への協力についても賛意が表明されたところでございます。
 今後の日米関係の位置づけにつきましては、私とクリントン大統領は、これまで日米関係が国際社会に果たしていた役割を改めて確認するとともに、日米関係を前向きで将来に目を向けたものとしていくことで合意をいたしました。私は、このことに今回の会談で最も大きな意義を見出しておるところでございます。
 また、日米安保体制につきましては、日米両国が日米安保条約に基づく盤石な同盟関係を堅持し、その円滑な運用を確保していくことは、日米両国にとっても、また、アジア・太平洋地域を初め国際社会にとっても極めて重要であると考えております。今回の会談では、こうした日米安保体制が重要であることが日米両国政府の共通の認識であることが改めて確認されたところでございます。我が国としては、かかる意義を有する日米安保体制が最も効果的に機能するよう、今後も安全保障面での対話を促進し、協力関係を深化させることが重要であると考えています。
 なお、沖縄の基地の整理統合問題についても、米国とともに引き続き努力をしていく旨確認をしてきたところでございます。
 次に、核兵器不拡散条約の延長問題についてお尋ねがございましたが、政府といたしましては、国際的な安全保障を確保するために核不拡散体制を安定的なものとするという観点から、NPTの無期限延長を支持しております。他方、唯一の被爆国である我が国としては、核兵器の廃絶を究極的目標とし、今後とも着実な核軍縮の推進に努力してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、通常兵器についてのお尋ねがございましたが、その安易な移転とそれに伴う過剰な蓄積が世界のさまざまな地域の平和に対する不安定要因の一つとなっております。我が国といたしましては、国際社会がこの問題に取り組むことの必要性を国際的に強調しており、通常兵器移転の透明性を高めるため発足した国連軍備登録制度の拡充や発展に引き続き今後も努力を続けてまいりたいと考えております。
 次に、APECに対する我が国の役割についてのお尋ねでございますが、我が国は、これまでAPECをアジア・太平洋の経済的な発展を進めていく上で中核となる協議のフォーラムであると認識をし、積極的な取り組みを行ってまいりましたが、本年は議長国としてAPECの一層の発展に努力していく考えでございます。
 昨年のボゴールでの会議ではアジア・太平洋における貿易・投資の自由化・円滑化の大きな方向性につき合意いたしましたが、我が国は今後APECの議長国として、ボゴール宣言の具体化のための行動指針を十一月の大阪会合で取りまとめたいと考えておるところでございます。その際、貿易・投資の自由化・円滑化に関する種々の作業の促進を図るとともに、地域の多様性に照らして、人材育成等経済開発の側面についての各種の協力についても、一層の進展を図ることが重要であると考えているところでございます。
 次に、EAECについてのお尋ねでございますが、我が国としては、御指摘のとおりAPECを分断するようなことがあってはならず、アジア・太平洋地域の関係国の理解が得られることが必要であると考えております。特に、本年は我が国としてはAPECの議長国でもあり、その取り組みにつきましては、関係国の考え方も踏まえつつ検討しているところでございます。御理解をいただきたいと存じます。
 次に、我が国の対中政策についてのお尋ねでありますが、日中関係につきましては、日中共同声明を基本として一層の発展を目指し、中国の改革・開放政策が着実に進むよう引き続き協力をし、国際社会が直面する諸問題につきましても、中国とともに積極的に参画してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、北朝鮮の核兵器開発問題についてのお尋ねがございましたが、この問題は国際的な核不拡散体制や国際社会の安全保障にかかわる重大な問題であるとともに、我が国の安全保障上の重大な懸念でもございます。この問題に関する米朝合意は、北朝鮮の過去、現在及び将来の核開発活動に関する透明性を確保し、北朝鮮の核兵器開発を粋来にわたって解消しようとするものでございまして、本件合意の着実な実施はまさに我が国の平和と安全に直結をしています。このような観点から、今後とも、米国、韓国等の関係諸国と緊密に連携をしながら、同問題解決のために最善の努力を払っていきたいと考えているところでございます。
 日朝国交正常化交渉についてのお尋ねもございましたが、我が国としては、従来より交渉再開を呼びかけておりまして、北朝鮮側の前向きな対応を期待しているところでございます。しかしながら、現在のところ交渉再開に至っていないのが実情でございます。
 次に、我が国外交の基本方針についてお尋ねがございましたが、私は、戦後五十周年、二〇〇〇年まであと五年という節目の年を迎え、改めでこれまでの五十年を振り返り、来るべき五十年を展望し、世界の平和と繁栄のために取り組んでいくとの決意を新たにいたしておるところでございます。この年を過去の五十年から未来の五十年へとつなぐ大きな転換の年にしたいと願っておるところでございます。
 こうした考え方に立ちまして、一つは、地域紛争の予防と平和的解決に向けた包括的取り組み、二つ目には、国際社会における軍縮の一層の促進のための積極的な働きかけ、三つ目には、世界経済の持続的成長の確保、四つ目には、貧困に悩む開発途上国や市場経済への移行努力を続ける諸国などに対する支援、五つ目には、環境、人口などの地球規模の問題への対応等々について、積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、規制緩和への取り組み方針についてのお尋ねでありますが、国民生活の向上はもとより、経済の活性化や国際的調和の観点に立って規制緩和を断行することが不可欠であると認識をいたしております。政府は、本年度内に、今後五年を期間とする規制緩和推進計画を策定し、さらに、積極的かつ計画的に規制緩和を推進することといたしております。このため、今後、これまでに決定をされております規制緩和方策の早期実施を積極的に推進するとともに、内外からの規制緩和要望、意見が多く寄せられている項目に重点を置いた新たな規制緩和方策を取りまとめ、積極的に推進してまいる所存でございます。
 さらに、特殊法人の改革合理化についてお尋ねがありましたが、現在、各省庁において閣僚のリーダーシップのもとで徹底した見直しに取り組んでおり、二月十日には各省庁からその結果の報告が行われることとなっております。また、与党においても検討を重ねておられるところであり、政府・与党一体となって、特殊法人設立当時の原点に立ち返って、事業の役割、意義を改めて評価するとともに、行政の減量化と新たな時代の要請にこたえるため総合的かつ全般的な見直しを進め、本年度末には、統廃合、事業・組織のスリム化その他の整理合理化の問題について具体的な結論を出すように全力を挙げて取り組んでおるところでございます。
 次に、行政組織・定員の合理化についてのお尋ねでありましたが、社会経済情勢の変化への対応力に富み、簡素にして効率的である政府を実現することが重要な課題であることは申し上げるまでもございません。このため、行政組織につきましては、地方分権との関連や規制緩和の推進状況等も十分に念頭に置きながら、引き続き見直しを進めてまいりたいと考えています。また、国家公務員の定員につきましては、第八次定員削減計画に基づき定員削減を着実に実施するとともに、増員を厳に抑制し、総数の縮減を図ることといたしておるところでございます。
 次に、地方分権の推進についてお尋ねがございましたが、政府といたしましては、昨年十二月二十五日、地方分権大綱を閣議決定したところでございます。この地方分権大綱に沿いまして、国と地方の役割分担の見直し、権限の移譲、地方公共団体の財政基盤の整備等に積極的に取り組むとともに、地方分権を推進するために十分な機能を備えた委員会を設置する所存でございます。このため、今国会に地方分権推進の基本理念や委員会の設置などを盛り込んだ地方分権の推進に関する法律案を提出することといたしております。なるべく早い時期に、早期に御審議をいただけみよう鋭意検討を進めておるところでございますので、御協力をお願い申し上げたいと存じます。
 次に、行政情報の公開についてお尋ねがございましたが、御指摘のとおり積極的に取り組むべき重要な行政改革の一つでございます。このため、行政情報の公開に係る法律・制度については本格的な検討を進めることといたしまして、昨年十二月十九日設置をされました行政改革委員会において調査審議が始められておるところでありまして、二年以内に結論を出すことといたしておるところでございますので、御理解と御協力をいただきたいと存じます。
 次に、景気の現状についてお尋ねがありましたが、我が国経済につきましては、住宅投資が高い水準で推移しており、公共投資が総じて堅調に推移する中で、個人消費は緩やかながら回復傾向にございます。設備投資は一部産業で堅調な動きが見られるものの総じて低迷が続いており、雇用情勢にはさらに厳しさが見られます。このように、企業設備等の調整が続いているものの、我が国経済は全体として緩やかながら回復基調を保っております。
 いずれにいたしましても、政府としては、引き続き為替相場の動向を含め内外の経済動向を注視してまいりたいと考えています。また、兵庫県南部地震の経済活動に与える影響等も十分留意していかなければならないと存じます。
 次に、新経済計画と経済構造改革等についてのお尋ねでございますが、国際競争の激化等内外環境が大きく変化する中で、産業の空洞化やそれに伴う雇用への懸念が生じるなど構造的な課題が顕在化しており、我が国経済の将来の姿にも変貌が見込まれます。今後、我が国が自由で柔軟な、活力と創造性にあふれた経済をつくり上げていくためには、経済の構造改革が何よりも必要であると考えているところでございます。
 こうした中で、二十一世紀に向け、地球社会の発展に寄与しつつ、自由で活力があり、国民が豊かで安心して暮らせるとともに、国内外に開かれた経済社会を創造するための長期的な経済運営の指針として、新しい長期経済計画の策定に取り組む考えであり、経済審議会にその諮問を行ったところでございます。また、昨年末には産業構造転換・雇用対策本部を設け、内閣一体となって構造改革の推進に取り組んでいるところでございます。
 次に、内外価格差の是正・縮小に向けた取り細みについてのお尋ねがございましたが、これまで、実態調査に始まって、輸入の拡大、規制の緩和、取引慣行の是正、円高差益の還元等、各般の施策の着実な実施を図ってきているところでございます。政府といたしましては、消費者・生活者の重視及び高コスト構造是正の観点から、内外価格差の実態調査を進め、消費者や産業界の意識改革を促すとともに、物価安定政策会議における検討を踏まえ、競争環境の整備や輸入拡大に向け、規制の緩和や独禁法の厳正な運用、競争制限的な取引慣行の是正等の具体的な対応を進めてまいっているところでございます。
 次に、高度情報通信社会の推進に関するお尋ねがございましたが、我が国の高度情報通信社会の構築に向けた施策を総合的に推進するとともに、情報通信の高度化に関する国際的な取り組みに積極的に協力することは、我が国として取り組むべき重要な課題であると考えているところでございます。このため、政府といたしましては、高度情報通信社会推進本部を設置いたしまして、有識者より御意見をいただいたところであり、今後は、有識者の皆様の御意見を踏まえつつ、速やかに政府としての基本的な方針を策定してまいる所存でございます。
 次に、科学技術立国実現を重要国家戦略として推進すべきではないかとの御指摘でありますが、私は、尽きることのない知的資源である科学技術は、私たちの未来を創造し、知的でダイナミックな経済社会を構築するかぎであると認識をいたしております。今後の科学技術政策の基本については、平成四年四月に閣議決定をいたしました科学硬術政策大綱において、「地球と調和した人類の共存」「知的ストックの拡大」「安心して暮らせる潤いのある社会の構築」という三つの目標を掲げ、積極的かつ総合的な科学技術政策を展開していくこととしております。今後とも、このような方針のもとで、我が国の研究開発活動を活性化し、科手技術創造立国を目指して全力を傾けてまいりたいと考えているところでございます。次に、新しい国づくりのための教育改革についての御質問がございました。現在、政府におきましては、臨時教育審議会の提言の趣旨に沿いまして、「個性重視の原則」「生涯学習体系への移行」「変化への対応」の三つの基本的な考え方を原則として、教育改革を進めているところでございます。目下多岐にわたる教育改革の具体化に最大限の努力を払っているところでございますが、御指摘のとおり、時代の急速な変化に伴いまして、国際的な視野を持った人づくりを進めることなどを初めとして新たな教育上の諸課題が生じております。したがって、従来の教育改革の推進を図るとともに、さらにいま一度教育上の課題を見直して、より魅力的な、心の通う教育を実現するための教育改革を推進してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、全国総合開発計画についてお尋ねがありましたが、人口減少、高齢化時代の到来、世界各国間の相互依存性の高まり、地球環境問題の広まりなどの時代の大きな変革に対応するため、昨年十一月に国土審議会を開催し、平成八年度末を目途に新しい理念に基づいた全国総合開発計画を策定することといたしました。
 新しい総合計画は、二十一世紀にふさわしい国土づくりの指針を示すものであり、目標年次をおおむね平成二十二年、すなわち西暦二〇一〇年とし、「安心して暮らせるやさしい社会」の創造等の観点に立って策定を進めてまいります。また、今回の兵庫県南部地震の経験に照らしてみても、防災への十分な備えを持った国づくり、都市づくりの視点が不可欠であると考えているところでございます。
 以上の点を踏まえまして、計画策定に当たりましては、国民各階層の幅広い声を反映するよう努めてまいる所存でございます。
 次に、新公共投資基本計画の理念について御質問がございましたが、本計画は、本格的な高齢化社会の到来を控え、二十一世紀初頭には社会資本が全体としておおむね整備されることを目標といたしております。また、生活者重視等の視点に立ちまして、生活環境、福祉、文化機能に係るものを一層重視するほか、急速な高齢化に対応した福祉の充実や高度情報化等にも適切に対応することを新たなポイントとしておることも申し上げておきたいと存じます。
 次に、整備新幹線と総合的な交通体系の整備についてお尋ねがございましたが、我が国の総合的な交通体系の整備の一環として、昨年十二月十九日の官房長官、大蔵大臣、運輸大臣及び自治大臣の申し合わせに従い、整備新幹線の整備を積極的に進めてまいる所存でございます。また、今回の兵庫県南部地震の経験から、災害に強い交通網の確立の重要性を痛感いたしました。高速道路を含め、陸路、水路、空路にわたる総合的な交通体系の整備について、防災を十分念頭に置いて推進するとともに、緊急非常時の輸送体制につきましても遺漏なきよう取り組んでまいる所存でございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#15
○国務大臣(橋本龍太郎君) 冒頭、亡くなられました多くの方々に心から哀悼の意を表しますとともに、被災をされました方々にお見舞いを申し上げ、全力を挙げて復旧、復興のためにお手伝いをいたします。
 今委員からは、中小企業だけではなく大企業分野における被害についてもどのように考えるのかというお尋ねをいただきました。
 中小企業につきましては、履物関係あるいは繊維関係を初めといたしまして、非常に多くの業種において甚大な被害が生じております。また、大手企業におきましても、神戸製鋼所の神戸製鉄所、川崎製鉄神戸工場を初めとする鉄鋼関係の基幹産業あるいはタイヤ工場などの機能停止を初めとして、多数の分野におきまして大きな被害が生じている状況にあります。しかも、これらの災害は被災地域だけではありませんで、他産業の他の地域における影響まで懸念をいたさなければなりません。
 現在、こうした被災状況、他への影響の把握に鋭意努力をいたしているところでありますが、既に中小企業につきましては、一月二十日、従来の支援措置よりもさらに踏み込んで、思い切った災害融資などに関する特別措置を講ずることといたしました。すなわち、従来市町村単位で指定をいたしておりましたものを大阪府及び兵庫県全域の被災中小企業者に拡大をいたしますとともに、被災地内の事業者と取引がおありでありましたため損失をこうむられた全国の中小企業者をも対象とし、財投金利を下回る四・四五%の金利、さらに、被害の著しい方に対しまして三%という極めて低利の融資制度を創設したところであります。
 大手企業への対策につきましては、これに加え、なお輸出入への影響でありますとか他の地域や他産業への影響など事態をより多面的かつ十分に把握をした上で、改めて的確な対策を国会にも御相談をさせていただくこともあろうかと存じます。その場合にはどうぞよろしくお願いを申し上げます。
 また、今後の新たな成長分野の想定について、関連のお尋ねがございました。
 昨年の六月に取りまとめられました産業構造審議会の基本問題小委員会報告書におきまして、今後、国内における社会的ニーズの強い住宅関連でありますとか医療・福祉関連、情報通信関連など、十二の新しい成長分野の展開が期待されているという報告がなされております。
 通産省といたしましては、こうした今後の新規事業分野に対応して、活力と創造力にあふれた国際的に調和のとれた産業構造を形成してまいりますために、良質な社会資本を積極的に整備いたし、新たな国内需要を創出すると同時に、規制緩和の推進、競争制限的な取引慣行是正などによる内外価格差是正等を図ってまいりたいと考えております。さらに、法的な支援措置を含みます既存産業の事業革新支援、中小企業の創業支援を初めとした総合的な新規事業分野開拓支援策、技術創造立国を目指した産業技術政策を積極的に推進していきたいと考えております。
 特に、御指摘をいただきました新規事業分野の開拓支援のための資金調達の環境整備につきましては、創業の段階から各事業化の段階に応じた公的支援体制の充実に加えて、民間資金の円滑な供給を実現するために、店頭公開市場の改善に向けまして関係当局に働きかけを行ってまいりました。昨年末、大蔵省等から店頭登録制度を見直すが発表されたところでありまして、私どもとしても、店頭市場の改善、活性化を一層積極的に働きかけてまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(土井たか子君) 米沢隆さん。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔米沢隆君登壇〕
#17
○米沢隆君 私は、新進党を代表して、政府の施政方針演説に対し、特に経済財政問題に絞りまして、私どもの所信の一端を申し述べ、若干の質問をさせていただきます。本題に入ります前に、今般、関西地方を襲いました兵庫県南部地震によりまして亡くなられた多くの方々とその御遺族に対し深く哀悼の意を表し、また、負傷された方々や避難生活を続けておられる方々に心からお見舞いを申し上げる次第であります。
 そして、きょうもまた筆舌に尽くしがたい被災環境の中で、きょうも現地は雨だそうでございますが、救援・復旧のため不眠不休で頑張っていただいております関係者の皆さんに心から感謝の意を表するものであります。(拍手)私ども新進党といたしましても、直ちに海部党首を本部長とする兵庫県南部地震対策本部を設置するとともに、海部本部長を中心に直ちに調査団を派遣するなど、これが対策に万全を期しておりますが、今後とも私どもは被災者の救済と災害復旧対策に向けて全力を挙げてまいりたいと存じます。
 まず初めに、兵庫県南部地震対策のための補正予算編成について申し上げます。
 何といいましても、このたびの地震が国民生活や国民経済に与える影響を見過ごして経資財政運営を語ることはできません。しかしながら、さきに行われた総理の施政方針演説では、冒頭、災害対策の緊急課題についてはお触れになりましたが、今後の経済財政運営に与える影響等については何も言及されませんでした。武村大蔵大臣の財政演説も、高村経済企画庁長官の経済演説を聞いても、通常と同じ演説にとどまっておりました。私は、ここに今回の地震対策における政府の初動態勢のおくれや危機管理意識の欠如と同じものを見るのであります。(拍手)
 関西の大都市神戸が廃墟と化し、東京圏に次ぐ経済力を誇る関西の経済圏の拠点と大動脈が断ち切られたわけでありますから、日本経済に与える影響が甚大なものになることは必至であります。民間研究機関などが被害総額は四兆から八兆円になると試算しておりますが、これはフローを中心にとらえた数字であり、ストックも合わせた被害総額はこれをはるかに上回ると予測されます。これは、回復軌道に乗り始めた日本経済の先行きにも暗雲をもたらし、政府が目標とする来年度の経済成長率の達成については無論のこと、それに基づく平成七年度の予算を組み替えねばならぬほどの、また、経済財政運営についても抜本的な見直しか迫られるほどの事態ではないのでしょうか。
 政府は直ちに、今回の大震災がもたらすが国経済財政に与える影響をあらゆる角度から詳細に調査分析し、事態の深刻さと広がりを早急に把握され、今後の経済財政運営もこの際改めるべきは改めて、今後の施策に誤りなきを期すべきであります。今回の大震災の発生以来どうしても払拭できない政府の初動態勢のおくれや危機管理意識の希薄さが、これからのあらゆる政府施策の立案に将棋倒し的に悪影響が及んでいくことのないように、特に政府の注意を喚起しておきたいと存じます。(拍手)
 そこで、まず今政府が行うべきは、単に一般会計の予備費の取り崩しだけではなく、当面の緊急対策を盛り込んだ本年度の第二次補正予算を早急につくり、とりあえず応急対策を講ずるとともに、さらに本格的な復興対策等がまとまるのを待って、今後の措置については今国会に来年度予算の補正予算の形で提出されますよう要請いたしますが、総理の御所見を伺いたいと存じます。
 また、先ほど来、総理は、全閣僚が地震対策に全力を挙げていると答弁をされておりますが、お聞きしますところ、一月十九日、地震が発生してわずか三日目で大混乱のときでありますが、運輸大臣、農林大臣は青森知事選の応援のために青森に行っておられたと聞いております。これが本当であるならば、村山内閣の姿勢が問われる問題であります。真相を明らかにしていただきたいのであります。
 さて、現状の景気・経済認識について申し上げます。
 政府は、景気は一昨年の十月を底とし、上昇局面に入ったと公式発表しております。しかし、国民の日常感覚からすれば、不況は依然として深刻で、ますますおかしくなるのではないかとの不安を払拭し切れないのが実態であります。その上に、兵庫県南部地震が発生して、経済の先行きに対する見通しはますます不透明になりました。
 生産動向を見ると持ち直してはいるものの、まだ本格的な増大基調と言える状況ではありません。三十二カ月にわたり減少を続けた百貨店販売額がようやくプラスに転じましたが、回復力は全く見られません。スーパーの売り上げも減少を続けております。特に、衣服、飲食料品などの売り上げが、消費者の低価格志向の定着により低迷しています。民間設備投資も幾つかの業種ではいまだ減少傾向にあり、これまでの不況においてはむしろ景気の牽引力となった中小企業の設備投資も回復がおくれているのであります。生産、消費、設備投資どれをとってみても、景気回復を牽引する強い力は全く持ち合わせてはおりません。
 今日の円高基調の定着、世界的なデフレ化、価格破壊の大波は、企業経営の根幹を揺るがし、深刻な雇用不安や急激な産業空洞化を招来しております。我が国の製造業全体の海外生産比率は六、七%の水準に達し、電子・電気製品、自動車などの、これまで我が国産業をリードし、先端分野を担い、多くの雇用を続けてきた産業が次々と海外に生産拠点を移しておるのであります。また、経済の血液ともいうべき証券・金融市場は底冷えし、国際的競争力をそがれ、海外にマネーや証券投資が逃げていく最悪の事態を迎えています。
 最も厳しい局面は雇用にあらわれています。終身雇用だからサラリーマンが突然首を切らねるようなことはないとか、新卒者、若者は就職に困らないとの神話は完全に崩壊し、雇用情勢は製造業を中心に極めて厳しい情勢にあり、雇用形態の流動化などが現実のものになっております。昨年十一月の段階で、有効求人倍率は○・六四、完全失業率は二・九%と、依然として不況の最中と言ってもおかしくない数字が出ております。直近の調査によりますと、この春卒業を予定している大学生の就職内定率は平均八〇・二%、女子に至っては六九・四%となっており、女子大生の三割の就職は決まっておりません。
 我々は、今日の我が国の経済はいまだ危機的な、不透明な状況にあり、政府が掲げている平成七年度の実質二・八%の成長目標は当初から到底達成不可能と考えておりましたが、ここに地震の影響等を考えますと、この数字はなおさら非現実的になったと言わざるを得ません。
 年度当初から、不自然な、達成不可能ともいえる経済成長率を設定し、それを前提に経済財政を運営されようとする政府の姿は、民間は既にこの数年の経緯からして信用はいたしておりませんが、政府の意図は那辺にあるのか、政治の信頼を失墜する最たるものでありましょう。
 地震対策の補正予算実施を初め、新しい切り口で追加の不況・円高対策を緊急実施することが必要であります。
 今日までの景気対策は、我が国の財政構造の制約から建設国債による公共投資がその主役を担ってまいりましたが、今日における経済構造の変化や需要の質的な変化、コストにおける土地価格の相対的な高とまりを受けて、景気に対する公共事業の乗数効果は過日の力を持ち得なくなっており、今後は、規制緩和の断行などによって新たなビジネス需要を喚起し、輸入促進や内外価格是正による消費拡大を促進するという手法に景気対策の中心を大胆にシフトさせていくべきだと考えます。
 そのためにも、国・地方を通ずる行政改革、特殊法人の見直し、とりわけ規制緩和の断行は、今や言葉の遊びの段階ではなく、政府みずからが血を流す思いで取りまねばならない緊急かつ避けて通ることのできない課題である生言わなければなりませんが、しかし、政府の動きを見る限り、いまだ言葉の段階に終始し、何ら実効を上げておりません。その方針さえ姿を見せていないのであります。まことに遺憾であります。
 しかし、先日の施政方針演説で一つ評価するものがあるとすれば、総理がこれから行政改革を内閣の最重要課題と位置づけられ、「私は、言葉だけの改革に終わることのないよう、不退転の決意と勇気を持って実のある改革を断行する所存であります」と言われた言葉であります。その言やよし。我々も、野党ではありますが、総理の決意を全面的に支持したいと存じます。しかし、それが不発で終わるならば、みずから政権の座をおりていただきたいのであります。(拍手)
 さらに、急激な円高基調は、製造業を初めとする我が国基幹産業の存立を揺るがし、生産拠点の海外へのシフトに拍車をかけております。プラザ合意以来、日本は国際社会の中で円高を受け入れ、企業は懸命の努力を迫られ競争力をつけ、また貿易黒字がふえて円高を迫られるという悪循環が続いてまいりました。
 しかし、もはやこの図式も限界に達しております。ただ産業空洞化を抑えるとか、為替相場の安定を目指すという対策だけでは通用しなくなっているのであります。その上、東西冷戦後のメガコンペディションと言われる国境なき世界経済の大競争の時代に直面して、企菜は高コスト体質を改めなければ生き残ることができない状態となりました。
 国の政策も、企業が高コスト体質を改善し、リストラを断行し、新価格体系への軟着陸などに対応できるように、総力を挙げ民間の自助努力を支援していくべきであります。特に、中小企業の海外シフト案件に対する政府金融機関の貸付制度を早急に整備すべきでありましょう。また、円高の被害を受けた産業や地域に配慮した官公需の確保、きめ細かな税制、金融対策を講じる必要があります。
 今、我が国の金融・証券機関は、不良債権の処理、民間金融機関の貸し出し低迷、株価市場の低迷、国際金融センターとしての東京市場の魅力の低下など、深刻な危機に直面していると言われます。戦後一貫して大蔵省は、護送船団方式によって、預金者や投資家よりも金融・証券会社の保護育成に重点を置いてまいりました。一時期、バブルによって空前の金融好況が訪れましたが、バブルの崩壊や金融自由化の進展、成熟化経済の定着と相まって、従来の金融政策は事実上破綻したと言わざるを得ないのであります。これをどう立て直していくのか、このことが今問われております。
 しかし、だからといって、先般日銀出資により救済銀行が設立され、倒産しかけている中堅の二つの信用組合を吸収・救済する手段が講じられましたが、モラルハザードを誘発するなどの点で問題があると言わなければなりません。ならば、住宅専門金融会社の危機に同様な対応をするのか、またできるのか。今急ぐべきは金融にかかわる危機管理をシステムとしてどのように確立するかという問題であり、個別の、それも経営責任を棚上げし、しかも特定グループの高金利の大口預金を守るために国民のお金を注ぎ込むことには慎重な姿勢が必要だと私は思うのであります。(拍手)
 また、現在、株式市場は最悪の状態にあります。バブル崩壊後、JT株放出に見られたごとく、国民は証券市場から完全にそっぽを向き、外国部の上場が減少するなど国際的な信頼性も失われております。公的資金導入による株価の買い支え、いわゆるPKO活動が市場の高どまりを招来し、魅力のない市場をもたらした面も否定できません。
 PKOのような管理市場を自由で健全な市場に早急に転換し、金融空洞化の最大の要因となっております日本特有の規制、制度、取引慣行を是正することが求められます。各種手数料の自由化、有価証券取引税の撤廃、株式公開基準の緩和、円の国際化の積極的な推進などを進め、冷え切った東京市場に活力を与える緊急対策を急ぐべきであります。
 なお、戦後一貫した生産重視、輸出依存、官僚主導等による追いつき追い越せ型の日本経済システムは完全に行き詰まってしまいました。日本は国際社会と共生を図り、世界の人々に信頼される自由で開かれた経済構造と新たなシステムづくりへの積極的行動様式を確立しなければなりません。成長の成果が個人の生活向上に結びつく経済体制への転換が進まなければ、いわゆる「人間を幸福にしない日本というシステム」が根本から改められることは永遠にないと思うのであります。
 これまで我が国では景気回復策と経済構造改革とが明確に区別されず、すべての問題が景気がよいか悪いかだけの視点から論じられる傾向がありました。しかし、構造改革とは、景気が堅調であるか否かにかかわらず、恒常的に取り組んでいくべきものであります。構造問題を今行わなければ、今後我が国経済の安定的成長は望むべくもないことを改めて認識しなければなりません。
 したがって、我々は、「内外に開かれた透明な経済社会」、「創造的に活力のある経済社会」、「生活者を優先する経済社会」、「世界と調和し、世界から共感を得られる経済社会」という四つの目標に向かって、以下の三つの柱から成る経済構造改革に取り組んでいきたいと考えます。
 まず第一の改革は、保護・規制政策から自由化政策への転換を図り、規制緩和を断行することであります。
 経済的な規制は原則自由・例外規制を基本とし、社会的規制は自己責任を原則に必要最小限度の規制内容といたします。それによって競争を促進し、経済を活性化させ、内外価格差を縮小して国内の消費者物価を下げることが目標であります。
 海部党首が政治方針演説で述べましたように、我が国の高い物価体系が国民生活から豊かさを奪っている最大の要因であります。そして、開発途上国型のさまざまな規制、市場の閉鎖性こそが物価高の原因と言っても過言ではありません。欧米に比べて三、四割高い物価を引き下げるべくアクションプログラムを策定し、徹底した規制緩和の実施、円高メリットの還元、公共料金の安易な引き上げを抑制するシステムづくりなどを進めていきたいと考えます。
 改革の第二は、公正な経済ルールの確立や世界に開かれた自由で大きな市場づくりであります。
 規制緩和を実効あるものにするためには、独占禁止法の強化、証券・金融監視システムの拡充、製造物責任法の厳正な運用など、公正、透明な競争ルールの確立もあわせて進める必要があります。民間主導が徹底しているアメリカのように、行政府の許認可権は徹底して小さくするかわりに、インサイダー、脱税、カルテルなどの不公正取引に対しては厳罰で臨むというめり張りある姿勢が必要であります。
 市場開放によって日本自身が世界に開かれた市場をつくるとともに、WTOの運営にリーダーシップを発揮して国際自由貿易を推進すべきであります。発展途上国は無論、市場経済移行国の自助努力を支援するとともに、政府開発援助や日本企業による直接投資を後押しし、世界の人々に繁栄と平和をもたらす国際分業体制をつくり上げていく必要があるわけであります。
 また、アジア近隣諸国との経済協力体制の強化に取り組んでいくことが日本の使命だと考えます。ことし大阪で開かれるAPECにおきましては、日本のリーダーシップが問われることになりましょう。失礼ではありますが、村山総理の世界やアジアにおける影は薄く、世界やアジアに向かって何を言いたいのか全く伝わってまいりません。この姿勢は、アジア諸国の日本離れを引き起こす要因にさえなりかねないのであります。
 改革の第三は、先ほど当面する不況対策でも申し上げましたが、新しい内需を創出できる経済体制の確立てあります。
 これからの新しい需要の創造のためには、規制緩和の促進による活力ある経済基盤をベースに、情報通信ネットワークの基盤、下水道、都市公園、環境衛生施設、住宅などの生活関連施設、介護を中心とした福祉施設、障害者や高齢者が健常者と楽しく暮らせるノーマライゼーションを保障するインフラ、個性化と生涯学習時代にこたえられる教育環境、兵庫県の地震を教訓とした全国の社会資本全般にわたるオーバーホールなどを柱とする社会資本整備の推進が必要であります。巨額の経常黒字を還流させ、国内において有益なマネーの使い道をつくる意味からも、国民負担率やGDPに占める一定の国債残高比率をできるだけ維持しつつ、この種の公共投資を今のうちに集中的、重点的に進めておく必要があります。
 同時に、我々は、二十一世紀を展望しつつ、我が国の新しいリーディング産業の成長を支援し、新しい雇用の創出に向けて新産業創造・雇用創出計画の策定、実施を提唱したいと存じます。これは、政府は無論のこと、政界、財界、労働界が共同して取り組むべき重要なプロジェクトに位置づけられねばなりません。
 我が国では、産業空洞化やリストラによる雇用調整の受け皿となるべき、かわって新しい雇用を生み出す新規のベンチャービジネスやニュービジネスが育ちにくい環境にあります。
 八〇年代には、アメリカはGM、IBM、コダックといった大企業がリストラに追い込まれましたが、それにかわってマイクロソフト、インテル、アップルコンピューターといったニュービジネスが急成長し、新しい雇用を創出していった例もあります。これは、当時のカーター大統領が新産業育成政策を提唱し、ニュービジネス成長を税制面からも金融面からも支援し、優遇し、てこ入れしたことが八〇年代後半から九〇年代にかけてぎいてきた実例でもあります。
 日本は約十年ほどおくれておりますが、ニュービジネス育成に本気にならなければ、二十一世紀の繁栄はないのではないか。新しい国力はニュービジネスの質量のストックにかかっており、新しい雇用イコール所得の源泉はこの施策の充実にあると言っても過言ではありません。今国会に政府はおくればせながらこの種の振興法案を提出すると聞いておりますが、しかし、それは余りにもねらいも予算規模もその手法も小さ過ぎるのではないか。もっと政府は本気になって、資産や担保は持っていないがアイデアと能力のある起業家なら幾らでもビジネスに参入できる、間接金融だけではなく直接金融からも柔軟に貸金が調達できる社会への大転換を図るべきだと百えます。また、このような施策の展開とともに、これまで軽んじられてきた労働力再配置政策を万全のもりとしなければなりません。新産業と雇用機会が別曲される一方で、効率の低い産業部門や企業にわける雇用は合理化、節約されることになりますので、一方における超過労働力需要と他方におけ勾超過労働力供給というミスマッチを解消するたのにも、労働市場全体において適材適所を実現すりための総合的な労働力の再配置政策が講じられなければなりません。そのため、新たな職業紹介システムの確立、職業移動が不利にならないような中立的政策の展開、雇用のノーマライゼーション支援策など、総合的かつ強力な労働政策を進めるべきだと思います。
 ある経済団体は、規制緩和が徹底的に進み、すべての分野で内外価格差が解消し、新しいビジネスチャンスが生まれれば、九五年から二〇〇〇年度までの六年間で雇用者数が七十四万人増加し、GDPが百七十七兆円ふえると試算しております。いずれにせよ、新産業・雇用創出計画は二つの世紀をまたがる壮大なプランとならねばならぬことを強調したいと思います。
 さて、平成七年度予算について申し上げます。
 御案内のとおり、平成七年度政府予算案は、一般会計規模で前年比二・九%減、NTT株収入を活用した地方自治体への無利子貸付金の繰り上げ償還による会計上のかさ上げ分を除いても実質〇・三%増の緊縮型となりました。一方、政策経費であります一般歳出は、前年度当初予算比三・一%の増となり、一般会計が縮まる中で一般歳出を伸ばしたのが特徴であります。
 このことを大蔵大臣は「風雪の中の寒梅」などと言ってしゃれておられますが、そんなことではありません。これは各方面からの歳出拡大要求の圧力に抗せず、国債の利払いや償還の担保となる国債整理基金への定率繰り入れを停止したり、本来義務的に決まっておる歳出を繰り延べたり、返還すべき債務を一方的に先送りしたりの、いわゆる隠れ借金によるやりくり算段で約六兆円を浮かせて歳出に振り向けた結果なのであります。
 その意味で、来年度予算は、財政が戦後最悪の状況となっているにもかかわらず、一種の赤字国債ともいえる隠れ借金を使って、将来、無原則に拡大していくさまざまな財政膨張の種を、財源の手当てもないままに、しかも使途や政策効果の吟味もないままのみ込ませた「大きな政府へまっしぐら」の無責任な財政ばらまき、後は野となれ山となれ型の予算であると言っても過言ではありません。(拍手)ある新聞の社説子が「これは自民党族議員体質に社会党のばらまき体質が重なった総利益誘導型の五五年体制への逆戻り予算だ」と喝破されておられましたが、まさに名言であります。
 しかも、この隠れ借金は、大蔵省の資料によりますと、九五年度末の累積額で四十一兆五千六百億円にも達し、年度末二百十二兆円にも及ぶ国債残高とともに、年々財政の不絡全性を加速させていることはまことに重大であります。
 その上、この予算の粉飾は、予算を複雑にし、財政の危機の実態を国民の目から覆い隠して国民の冷静な判断を妨げるもので、財政民主主義の原則にも反するものだと言わなければなりません。
 さらに指摘しておかねばならぬことは、このようなやりくり算段で財政需要の無原則な膨張を許しつつ一般会計だけは小さくつじつま合わせをやろうとする予算編成方式は、国債整理基金の資金繰りを悪化させ、地方財政やさらには財政投融資資金にもゆがみと脆弱性と不健全性をもたらしてきているということであります。
 このため、財政肥大化のためのやりくりは、歯どめなき増税路線に陥る危険性を懸念せざるを得ないのであります。今、財政運営の責任ある立場にある者のなすべきことは、こうしたこそくな措置ではなく、財政の危機を打開するため、予算編成方式も含めた。また財政投融資もその対象とする財政システムそのものの改革に取り組むことではないでしょうか。
 そのために、基本的予算編成機能の内閣への移行、予算の単年度均衡主義からの脱却、前年度実績主義からの脱却、財政投融資と財政のすみ分け等が早急に検討されるべきでありましょう。村山内閣は、やることが全く逆としか言いようがありません。村山連立内閣の、言葉だけ優しく実態は五五年体制の維持にきゅうきゅうとされている無責任な実態を痛感するのであります。(拍手)
 次に、村山内閣が現在最大の課題とされております特殊法人の整理合理化と、特殊法人を資金的に支える財政投融資計画との関連性並びにその問題点につき述べてみたいと考えます。
 来年度の財政投融資計画は、一般財投ベースで前年度比一・八%増に抑えられ、八五年度のマイナス以来の低い伸びとなりました。しかし、これは、公社、公団、事業団など財政投融資対象機関の整理統合や財政投融資制度全体の効率化によってもたらされたものではなく、財投原資の伸びの低迷、資金運用部資金の減少によるものではないかと思われ、ここに来て、これまで日本財政のやりくりを支えてきた財政投融資もまた大きな曲がり角に至っていることを強く指摘しなければなりません。
 その上、今後、日本経済の成熟化は、高齢化社会、低成長時代の到来によって、これまでの財政投融資の主たる原資であった郵便貯金や年金資金の伸びを低下させ、特に年金資金は二十一世紀には財政投融資原資から離脱することは確実で、郵便貯金も二〇〇〇年ごろには大きな変動期を迎えると言われているわけであります。
 さらに、金融の自由化は、金利の自由化を通じて財投原資の調達コストを上昇させるほか、資金の流動化を促進させて、これまで財投が行ってきた中期調達、超長期運用の図式の維持を困難にし、加えて、国有林野事業特別会計や貿易保険特別会計等で見られる赤字補てんとしての有償資金である財投資金の活用は、財投資金の固定化、硬直化を生じさせるものになっている等々、財政投融資の入り口である原資を取り巻く環境はますます厳しくなっていくことが確実に予想されるのであります。
 このようなときに、いわば出口の財政投融資対象機関である特殊法人の合理化も効率化も進まないとするならば、特殊法人自身の累積赤字や見えない繰り越し赤字が財政全体に大きなゆがみを生じさせて、やがては財政投融資全体のシステムそのものを崩壊させることになるのではないかと思料するわけであります。私は、このことを強く強調したい。
 したがって、特殊法人の改革に当たっては、単に行政改革のアリバイづくり的発想ではなく、やがては危機に瀕するであろう財政投融資問題の改革という視点からも、真剣に抜本的見直しか行われるように強く要請するものであります。(拍手)
 最後に、税制改革について触れておきたいと思います。
 さきの臨時国会で成立した税制改革法案は、抜本と称しながらその内容を伴わず、高齢化社会を支える基盤づくりという当初の改革目標からも大きくずれて、単に小手先の所得税減税、消費税率引き上げに矮小化された限定的議論に終始するという極めて不満足なものでありました。
 特に、政府は、我々が課題とした高齢・少子社会への移行と国民負担との関係、二十一世紀に向けた福祉計画や社会資本の充実、そして活力ある経済社会の構築などにつき財政が今果たすべき役割を明確に示すこともせず、すべて二年先の見直し条項に課題を先送りするという無責任な手法を税制に持ち込み、今回の税制改革を理念も哲学も見えない、まるで自社両党の利害の折衷案に書きかえてしまったのであります。(拍手)
 その結果、景気が特に好転した場合には二兆円の特別減税を九五年限りで廃止することを検討するとのただし書きに加えて、この見直し規定を設けることによって、減税額は一体どうなるのか、消費税率は一体どうなるのか、来年以降の税制の姿は全く不透明になってしまっているわけでありまして、税制が国民の暮らしの前提であることを考えれば、政府の優柔不断な中途半端な決定が、国民生活にもまた企業活動にも多大な迷惑をかけていることを総理は知るべきであります。
 しかし、見直し規定の挿入によって、政府は、国民の負担増が今後避けられないことを視野に入れつつ、消費税の税率については、行財政改革の推進や社会保障の将来の姿、今後必要となる財政需要を明らかにする中で、必要があると認めるならば平成八年九月三十日までに所要の措置を講ずる義務を負ったわけであります。
#18
○副議長(鯨岡兵輔君) 米沢隆君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#19
○米沢隆君(続) しかし、それにいたしましても、今始まったぱかりだとはいえ、村山政権からはまるで行財政改革の熱意は伝わってまいりません。規制緩和や特殊法人の整理の具体的なアクションプログラムの作成は一体いっになったらでき上がるのか。平成八年九月三十日以前に国民の目に見える形で何か実効ある措置がとられるのか。今のままでいきますと、実効ある改革が断行される可能性はゼロに限りなく近いのではないかと憂慮するものであります。
 そして、平成八年九月三十日までには、また何も決められず、歳入歳出のギャップはますます大きく拡大し、国債の無原則な大量発行を余儀なくされる中で、我が国は膨大な借金大国に陥ってしまうのではないか。そして、最終的には国民負担の大きな拡充に帰着するのではないかと危倶いたします。
 私たちが今なすべきことは、もう一度、なぜ今税制改革が必要かという原点に立ち返ることであります。今度の税制改正が中途半端なものになった結果、土地税制や証券税制の改善、法人税の思い切った引き下げ、資産課税の適正化、所得税の最高税率の見直しなどはさらに先送りされざるを得なくなりました。
 どうか政府におかれては、早急に次なる税制改革への目標と全体像を明確にされ、改革の道筋を提示されることを心から要請し、新進党を代表しての所信表明にかえる次第であります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#20
○内閣総理大臣(村山富市君) 米沢議員の質問にお答えを申し上げたいと思います。
 所信表明演説ですから、質問は限られていると思いますが、地震災害対策のための財政措置について、当面の緊急対策及び本格的な復興対策を含め御質問がございました。
 今回の地震によ各災害復旧に関しましては、必要な財政措置を適時適切に講ずることとしておりまして、時期を失することなく、補正予算の検討などあらゆる手を尽くして万全の措置を講じてまいる所存でございます。
 なお、米沢議員から、この代表質問の場におきまして、先ほど申し上げましたように、財政経済問題等を中心にした所信の表明がございました。種々御意見を承りましたが、政府といたしましては、私の施政方針演説、大蔵大臣の財政演説等々で明らかにした考え方、方針にのっとりまして、経済財政の運営に万全を期してまいりたいと考えています。(拍手)
     ――――◇―――――
#21
○山本有二君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十四日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
#22
○副議長(鯨岡兵輔君) 山本有二君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○副議長(鯨岡兵輔君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおりまりました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十六分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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