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1995/02/10 第132回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第132回国会 本会議 第5号
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1995/02/10 第132回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第132回国会 本会議 第5号

#1
第132回国会 本会議 第5号
平成七年二月十日(金曜日)
    ―――――――――――――
  平成七年二月十日
    午後零時三十分 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 平成七年度における財政運営のための国債整理
  基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関
  する法律案(内閣提出)及び租税特別措置法
  の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨
  説明及び質疑
    午後零時三十四分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(土井たか子君) 御報告することがあります。
 永年在職議員として表彰された元議員古井喜實さんは、去る三日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 古井喜實さんに対する弔詞は、議長において去る六日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議
 をもってその功労を表彰され 再度国務大臣の
 重任にあたられた正三位勲一等古井喜實君の長
 逆を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#4
○議長(土井たか子君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 田名部匡省さんから、海外旅行のため、二月十四日から三月一日まで十六日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。
     ――――◇―――――
 平成七年度における財政運営のための国債整
  理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等
  に関する法律案(内閣提出)及び租税特別措
  置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の
  趣旨説明
#6
○議長(土井たか子君) この際、内閣提出、平成七年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣武村正義さん。
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#7
○国務大臣(武村正義君) ただいま議題となりました平成七年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、平成七年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案につきまして、御説明申し上げます。
 平成七年度予算の編成に当たりましては、一段と深刻さを増した財政事情のもとで、財政体質の歯どめなき悪化につながりかねない特例公債の発行を回避するため、従来にも増して徹底した歳出の洗い直しに取り組む一方、限られた財源の中で資金の重点的・効率的な配分に努め、質的な充実に配慮したところであります。
 本法律案は、こうした努力に加え、平成七年度の財政運営を適切に行うため、各種制度の運営に支障が生じない範囲の特例的な措置として、平成七年度において、国債費定率繰り入れの停止等の会計間の繰り入れに関する措置等を講ずるものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、毎年度国債の元金の償還に充てるため国債整理基金特別会計に繰り入れるべき金額は、国債整理基金特別会計法第二条第二項に規定する前年度首国債総額の百分の一・六に相当する金額及び同法第二条ノ二第一項に規定する割引国債に係る発行価格差減額の年割り額に相当する金額とされておりますが、平成七年度におきましては、これらの規定は適用しないこととしております。
 第二に、平成七年度において、定率繰り入れ等の停止に伴い国債整理基金の運営に支障が生じないようにするため、日本道路公団、日本開発銀行等に対するNTT株式の売り払い収入に係る無利子貸し付けについてへ繰り上げ償還を行うことができることとするとともに、別途、貸付先に対して相当額の貸し付けを行うこととしております。
 第三に、平成五年度の決算上の不足に係る国債整理基金から決算調整資金への繰り入れ相当額につきましては、決算調整資金に関する法律の規定により、平成七年度までに一般会計から決算調整資金を通じて国債整理基金に繰り戻すこととされておりますが、この繰り戻しを平成八年度まで延期することとしております。
 第四に、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金のうち一般会計に帰属したもの並びに日本国有鉄道及び日本国有鉄道清算事業団の債務のうち一般会計において承継したもののうち、平成七年度において償還すべき金額については、それぞれその資金運用部に対する償還を延期することができることとし、当該延期に係る金額については、五年以内の据置期間を含め、十年以内に償還しなければならないこととしております。
 第五に、平成七年度における一般会計から厚生年金特別会計年金勘定への繰り入れのうち経過的国庫負担については、その二分の一に相当する金額を下らない範囲内において予算で定める金額を繰り入れるものとするとともに、後日、将来にわたる厚生年金保険事業の財政の安定が損なわれることのないよう、繰入調整分及びその運用収入相当額の合算額に達するまでの金額を一般会計から繰り入れることとしております。
 第六に、平成七年度における一般会計から国民年金特別会計国民年金勘定への繰り入れにつきましては、国民年金特別会計への国庫負担金の繰入れの平準化を図るための一般会計からする繰入れの特例に関する法律の規定により繰入金額の算定において加算するものとされている金額はこれを加算しないものとするとともに、後日、将来にわたる国民年金事業の財政の安定が損なわれることのないよう、加算しなかった金額に相当する額及びその運用収入相当額の合算額に達するまでの金額を一般会計から繰り入れることとしております。
 第七に、平成七年度における一般会計から労働保険特別会計雇用勘定への繰り入れについては、雇用保険法に定める額から三百億円を控除して繰り入れるものとするとともに、後日、雇用保険事業の適正な運営が確保されるよう、各年度の当該勘定の収支の状況等を勘案して、繰入調整分及びその運用収入相当額の合算額に達するまでの金額を一般会計から繰り入れるものとしております。
 第八に、平成七年度において、外国為替資金特別会計から、外国為替資金特別会計法第十二条の規定による一般会計への繰り入れをするほか、三千五百億円を限り、一般会計に繰り入れることができることとしております。
 第九に、平成七年度において、自動車損害賠償責任再保険特別会計の保険勘定及び保障勘定から三千百億円を限り、一般会計に繰り入れることができることとするとともに、後日、繰入金相当額及びその運用収入相当額の合算額に達するまでの金額を一般会計から繰り入れるものとしております。
 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、御説明を申し上げます。
 本法律案は、最近の社会経済情勢の変化及び現下の厳しい財政状況に顧み、課税の適正公平を確保する観点から租税特別措置の大幅な整理合理化を行うとともに、早急に実施すべき措置を講ずるものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、課税の適正公平を確保する視点から、企業関係の租税特別措置等について、廃止を含む整理合理化を行うこととしております。
 第二に、企業の事業革新の円滑化に資するため、一定の事業者に対し、増加試験研究費の税額控除の特例等の措置を講じ、また、中小企業の創造的事業活動の促進に資するため、一定の中小企業者に対し、機械等の設備投資に対する特別償却または税額控除等の措置を講ずる等、社会経済情勢に対応して所要の措置を講ずることとしております。
 第三に、個人の土地等の譲渡に係る長期譲渡所得課税について、特別控除後の譲渡益が四千万円以下の部分については、現行三〇%の税率を二五%とする等、土地住宅税制の見直しを行うこととしております。
 その他、民間国外債の利子及び発行差金の非課税、住宅用家屋の所有権の保存登記等に対する登録免許税の特例等適用期限の到来する特別措置について、実情に応じその適用期限を延長する等の措置を講ずることとしております。
 以上、平成七年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 平成七年度における財政運営のための国債整
  理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等
  に関する法律案(内閣提出)及び租税特別措
  置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の
  趣旨説明に対する質疑
#8
○議長(土井たか子君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。青木宏之さん。
    〔青木宏之君登壇〕
#9
○青木宏之君 私は、新進党を代表し、平成七年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案について、以下お尋ねをいたします。
 本題に入ります前に、このたびの兵庫県南部地震によりお亡くなりになられました約五千三百名のみたまの御冥福を衷心よりお祈り申し上げます。また、負傷されたり病状を悪化されたり、我が家を失い今なお難渋な避難生活を余儀なくされておられる多くの方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。さらに、まさに不眠不休、肉体的、精神的、物理的限界において救援、復旧のために頑張ってみえる方々に対し、全国各地からはせ参じていただいております多くのボランティアの皆様方を含め、深甚なる敬意と感謝の意を表する次第であります。
 さて、質問に入りますが、私は、このいわゆる繰り入れ特例法案についてお尋ねをせんとしている今現在も、大変な疑問と憤りを禁じ得ないのであります。
 それは、この特例法案は、平成七年度当初予算と一体のものであり、阪神大震災対策と一切無関係な法案であるということであります。本来なら、私はこの場で、緊急震災対策を主とした平成六年度第二次補正予算について真摯な議論とお尋ねをしていたかったと思うからであります。被災者の方々はもとより、日本全国民が何よりも先に、一日も一時間でも早く、その第二次補正予算の提出と成立を一日千秋の思いで待ち望んでおられるからであります。(拍手)
 今までの委員会審議を通じても、「被害実態がつかめない」の一点張りで、おおよその補正規模すら示し得ない状態でありますが、一体全体村山内閣はやる気があるのかどうか、まことに疑わしい限りであります。
 そもそも、これまで何度も指摘されておりますように、いわゆる政府の初動のおくれが死者や被害をより多く出したのではないかという責任に対する認識の甘さが、何の反省もなくいまだに続いているとしか判断のしょうがないと思われるのでありますが、総理、いま一度、当本会議場を通じ、被災者並びに全国民に向かって、未曾有の大被害という事実に対して、政府として及び総理として、一寸だに一毫だに責任は一切ないと断言されるのかどうか、しかとお示しをいただきたいのであります。(拍手)
 総理は、たび重なるそのような指摘に対し、震災対策をしっかりやることが責任を果たすことだと繰り返しお答えになっておられますが、そんなことは当たり前のことであります。そういうことではなく、五千数百名もの死者を出した、数十万人の被災者を出したという事実を前にして、ああ、あのときああしておれば、こうしておればよかったのにと御自身の責めは全く感じておられないのですかということであります。人間、間違いや過ちは犯します。それを素直に認めるか否かがその人間の評価を決めるものと昔から言われております。「人にやさしい政治」を唱えられている村山総理の真価を示すお答えを期待いたします。「自分にやさしい」では困ります。
 さらに、財政を預かる武村大蔵大臣におかれましては、何ゆえ震災後二十四日目の本日になっても第二次補正の概略すら発表されないのですか。
 二月二十四日にはという日程だけが早くから出されていたことはどうにも不可解であり、本格復興予算措置は、だれの目からしても当然、七年度当初予算の組み替えか、百歩譲っても補正で行うことは明らかであり、片づけや立ち上がりのための緊急的措置に該当する第二次補正は、細部に至るまでの詳細な被害実態を把握しなくてもできるものであり、またしなくてはならないものであり、加えて、何よりも被災者の皆様が、さきに述べましたように、まだかまだかと政府の対応の余りの遅さにいら立つそみえることにかんがみ、これまた一体全体やる気があるのか、全く責任というものを感じていないのではないかと感じざるを得ないのであります。(拍手)総理並びに大蔵大臣の明確な御説明、お答えを要求いたします。
 平成七年四月一日からしか使えない平成七年度予算の審議に先立って、今すぐにでも震災被災者に使っていただくことのできる平成六年度第二次補正と取り組むのが、現時点における政府の当座の責務であると思いますが、いかがでございましょうか。
 被災者の皆様はもとより、国民は今や今般の村山内閣の対応の悪さには怒りを示し始めておられるのであります。事前の予想を完全に覆した青森県知事選挙の結果は、このような現在の政権与党の対応の悪さに対する痛烈な批判でもあると存じます。(拍手)
 しかし、私ども新進党は、政府の批判のみすればいいなどという狭い心は一切持ち合わせておりません。何とか現在の政府・与党に私どもの提言にも謙虚に耳を傾けていただき、真に被災者、国民のためになる方針、施策、予算措置などを迅速的確におとりになり、被災者、国民から、村山内閣はよくやったという積極的な評価が得られることを望むものであります。それだけに、私どもは、震災対策についてはいわゆる政争の具にはしないことを鉄則として今日まで審議に対応してまいりましたし、今後もそのようにしていく所存ではありますが、私どもの真摯なこのような態度や提案にも容易にこたえざる場合には、断固として政府並びに総理の責任を明確にし、政権の交代を要求することを、この際、内外に明らかにするものであります。(拍手)
 以上、政府の震災に対する基本的な態度に大いなる不信と不満を表明し、あわせて、まじめな反省と今後へのひたむきな努力を期待しておきます。
 さて、本繰り入れ特例法案についてでありますが、まず第一には、このような会計処理は国民の目にわかりにくいということであります。財政民主主義という原点に立つとき、望ましくないと断ぜざるを得ないのでありますが、大蔵大臣にこの点についての所見を求めます。
 第二に、会計間のやりくりで体裁は整っておりますが、当該特例措置からの復旧のための明確な方針が立っていない点で、実質的な赤字公債と指摘されてもやむを得ないものであると思われますが、この点についての所見もあわせて求めます。
 第三に、かくのごときいわゆる隠れ借金は一体総額との程度になっているのか、そしてその隠れ借金が解消される年度はいつと試算されているのか、返済計画とあわせてお示しをいただきたいと思います。
 第四に、本繰り入れ措置の被害者ともいうべき厚生保険特別会計、国民年金特別会計を担当する厚生大臣及び自賠責再保険特別会計を担当する運輸大臣からともども、一、具体的な今回の措置の御説明、二、それによるおのおのの会計への具体的影響、三、本繰り入れ特例についての担当大臣としての全般的な感想、四、財政当局に対する今後への要望等につき、極めてわかりやすくお答えを願います。
 第五に、外国為替資金特別会計は相当の黒字状況とお伺いをいたしておりますが、その実態をお示しいただきますとともに、大蔵省としては、一般会計との関係で今後もこの特例に期待するものがおありや否や、すなわち、他会計も含め、来年度以降にもかくのごとき繰り入れ特例措置を念頭に置いてみえるや否や、現時点での御意向をお示しいただければと存じます。
 第六に、当該繰り入れ特例を約六兆円もの規模で実施せざるを得なくなった背景には、村山内閣の責任感の欠如した放漫体質があると思うのであります。緊迫した我が国財政の現状を事あるごとに憂えてみえる武村大蔵大臣におかれましては、本当に真剣に財政状況を憂えた暁の特例措置であったかどうか、疑問に思わざるを得ないのであります。この点についての大臣の所見を求めます。このような責任なき放漫財政運営で将来に確たる見通しと責任が負えるや否や、疑問を呈してお尋ねをいたします。
 第七に、当該特例措置による国債整理基金特別会計の資金繰りの悪化は、保有国債の売却や、震災対策での国債、地方債の大量発行等により金融市場に影響を与え、長期金利上昇への影響、そして短期金利への連動という可能性を多く秘めていると考えられ、景気へのマイナス影響が心配されるところでありますが、大蔵大臣はこのことを念頭に置いて今日の財政処理に当たられたのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
 第八に、いずれにいたしましても、不健全と断ぜざるを得ない本繰り入れ特例という財政運営をなされるのは、我が国の財政そのものがまさに危機的状況に立ち至っていることを示すものであり、財政当局の責任は重かつ大であります。また、それは、ひとり大蔵大臣のみならず、政府全体、与党全体はもとより、我々全国会議員、全政治家に現在及び将来への極めて大きな責任が存する事柄でもあります。
 我が国財政のリストラはもはや待ったなしの喫緊の最大政治課題というべきものであります。
 我々、「責任ある政治」、「たゆまざる改革」を標榜する新進党といたしましては、これまた政争の具にしている状況ではないとの認識と態度で臨みたいとは思うのでありますが、遺憾ながら、第二次補正のおくれや、震災後、七年度当初予算の組み替えに即刻取り組もうとしない態度及び、瀕死の危機的状況にある財政状況を十分認識しながら、大幅な当該繰り入れ特例をしてまでもの一般歳出の増大予算編成、さらには、明確な財源見通しなき公共投資基本計画等に見られる予算拡大傾向、遅々として実効が上がらない行政改革への取り組み等々、看過し得ない村山内閣の国政万般にわたるやる気の見えない取り組み姿勢及び緩慢な他人事のような財政運営を見せつけられては、事と次第によっては、仏心あふるる我が新進党といたしましても、仏の顔も三度までとか、そろそろ堪忍袋の緒も切れかかってきております。
 そこで、最後にお尋ねいたしますが、我が国の危機的財政状況を打開するためには、いわゆる財政改革なるものを、単に一般会計の姿を整えるという矮小化したものではなく、予算編成方法も含め、財政投融資もその対象とする財政システムそのものの改革に取り組む必要があり、例えば、基本的予算編成機能を内閣へ移行すること、前年度実績主義からの脱皮、メリット型予算編成による省庁の節約意識の喚起、予算単価の見直し、決算の早期化と充実、財政投融資と財政のすみ分け等々、もはや大なたを振るっての抜本的リストラを考え、実行しなければならないぎりぎりのときに立ち至っていると思うのでありますが、これらの改革案についての総理並びに大蔵大臣の御所見をお聞かせいただきたいのであります。
 ここで質問を終わる予定でありましたが、昨夕の総理の記者会見を拝見し、むらむらと憤りと不満が山のごとく沸き起こってまいりましたので、最後にそれを述べ、いま一度総理の本心をお聞かせいただきたいのであります。
 まず第一に、何ゆえ昨夕というときを選んで、しかも突発的に記者会見をされたのか、その理由をお聞きしたい。
 あのような特別新味のない会見なら、もっともっとずっと前にされるべきであり、それなら多少被災者への勇気づけにもなり得たかもしれないが、今ごろ全く意味のないものとの感想を持ったからであります。しかも、ほとんど原稿の棒読みであり、震災直後の初動対応のまずさに対する批判には謙虚に耳を傾けるとか、死者や被災者の多さや被害の大きさに対しても厳しく受けとめているなどと言われるだけで、そこからは、本当に申しわけなかったという国家の最高指導者としての国民に対する責任認識のかけらも見受けられなかったのであります。(拍手)
 こういう場合には、みずからにたとえ責任がなかったと仮にしても、当座やるべきことを命がけでやり尽くし、一段落したところで、結果についての責任、すなわち原因責任でなくても結果責任を深くとるというのが、神代の昔からの日本の美徳とされ続けてきたのではありませんか。それが最高指導者の宿命というものだと存じますが、この際、明確に全国民に対し総理の本心をお示しいただくことを求め、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#10
○内閣総理大臣(村山富市君) 青木議員の御質問にお答えをいたします。
 今回の震災に関する私の責任についての御質問がございました。
 災害対策は国政の最重要課題であり、政府としても総力を挙げて取り組んでまいりました。今回の地震災害につきましては、政府として、非常災害対策本部や緊急対策本部を設置し、関係機関が一丸となって、地元自治体との連携を密にしながら、被災者の救出、援護、各施設の早期復旧など、あらゆる施策を講じてまいりましたところでございます。
 しかしながら、今回の地震では極めて甚大な被害が発生しました。私は、これを厳しく重く受けとめ、この経験を貴重な教訓として、災害対策全般について見直すべき点は見直し、反省すべき点は率直に反省をしながら、災害対策の充実強化に全力を挙げてまいる所存でございます。(拍手)
 特に、今後は災害に強い町づくりを念頭に置いて、今なお厳しい寒さの中で避難生活を余儀なくされている皆さんや被災者に対する救援等、被災地の本格的な復興にも全力を挙げて取り組んでいくことが私に課せられた責任であると考えているところでございます。
 次に、第二次補正予算についてのお尋ねでございますが、今回の地震災害につきましては、関係省庁が全力を挙げて復旧対策に取り組んでいるところでございますが、これに支障がないよう財政的にも必要な措置を適時適切に講ずる所存であり、その一環として六年度第二次補正予算の編成作業に鋭意取り組んでおるところでございます。内容につきまして詳しく述べるには至っておりませんが、いずれにせよ、異例の短期間のうちに第二次補正予算を編成すべく鋭意取り組んでおるところでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
 次に、現下の財政状況を打開するために財政システムの改革に取り組むべきではないかとのお尋ねでありますが、我が国財政は、平成七年度末の公債残高が約二百十二兆円に増加するものと見込まれ、これにかかる国債費が歳出予算の約二割を占めるなど、構造的にますます厳しさを増しております。
 このような状況のもとで、今後急速に進展する人口構成の高齢化や国際社会における我が国の責任の増大など、今後の社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応していくためには、引き続き健全な財政運営を確保しつつ、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくという財政運営の基本的な方向は堅持をしていかなければなりません。
 御指摘のような財政システムそのものの見直しにつきましては、種々の問題点もあり慎重に検討を要するものと考えますが、いずれにせよ、今後ともあらゆる手段を尽くし、財政改革を強力に推進してまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、なぜ昨夕というときを選んで記者会見を行ったかとのお尋ねでございますが、今回の地震発生から三週間余り経過し、当面緊急を要する対策が逐次整いつつある一方で、これからは災害に強い町づくりを念頭に置いて、本格的な復旧・復興にも全力を挙げて取り組んでいかなければなりません。このような時期に、昨夕の記者会見の機会に、私はこれまでの取り組みに対する私自身の思いを率直に申し上げるとともに、今後の復旧・復興策の方向と、これに取り組んでいく私の決意を明らかにしながら、国民の皆さんの御理解と御協力をお願い申し上げた次第でございます。
 昨夕も申し上げたとおり、この復旧・復興は国を挙げての緊急課題であります。私は、今後とも機会あるごとに国民の皆様や被災者の方々に率直に語りかけながら、ともにこの未曾有の試練を乗り越えてまいりたいと考えておるところでございます。(拍手)
 次に、一段落したところで結果責任をとることが最高責任者の宿命ではないかとのお尋ねでございますが、これまでも繰り返して申し上げてまいりましたように、今回の地震により五千人を超える犠牲者と未曾有の被害がもたらされたという結果については、私自身もこれを重く受けとめておるところでございます。しかしながら、政府に課せられた課題は、内閣を挙げてまず被災者の救援対策等を強力に推進するとともに、引き続き復旧・復興対策に全力を挙げて取り組むということであり、これに全力を尽くすことこそが総理としての私に課せられた責任であると考えておるところでございます。(拍手)
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#11
○国務大臣(武村正義君) まず、第二次補正に関する御質問でございますが、今回の地震災害については各省庁全力を挙げて復旧対策に取り組んでいるところでございますが、これに支障がないよう財政的にも必要な措置を適切に講じていかなければなりません。その一環として、六年度第二次補正予算の編成作業に全力を挙げて取り組んでいるところであります。
 しかし、御理解いただきたいのは、関係省庁も、ほぼ今日までは人命救助を含めた緊急対策に全力を傾注いたしております用地元の県、市の土木の職員等を中心として、地方公務員ももう疲労こんばいの中で緊急対策に体を張っていただいているところでございます。そういう中で補正予算の仕事をしなければなりません。ということは、現地で被害状況を精査し、それを数字でまとめてこなければなりません。そういう事情もぜひ御理解をいただきたい。普通、補正予算は二カ月ないし三カ月かかるのを、一カ月余りでやり遂げようという決意で、各省庁もそういう中で全力を挙げているところでございます。机上で簡単に補正予算ができ上がるものではないことも、ぜひ御理解をいただきたいと思うのであります。
 なお、七年度予算審議に先立って補正に取り組むべきではないかという御指摘でございますが、私どもは、急いで、第二次補正予算を今月の二十四日までには国会にお運びできるように努力をしてまいります。しかし、今御審議をいただいております七年度当初予算も、四月から始まります年度のさまざまな国民の御期待の予算がたくさん盛り込まれているわけでありますし、景気に対してもそれなりの影響が出るわけでございます。そういう意味では、この当初予算につきましては一日も早い成立を心からお願い申し上げたいと存じます。
 なお、御承知のように、瓦れき対策でありますとか応急仮設住宅のようなものは、予備費も含めてどんどん対応をいたしておりますし、普通こういう災害の場合は、地方公共団体もみずから復旧の補正予算を組んでどんどん発注していくというのが実態でございます。国の予算が成立するのをじっと待っているというよりも、それなりに過去の経験を踏まえて、激甚災のルールを踏まえて、地方公共団体も機敏にもう行動を起こしていただいているということも御理解いただきたいと思うのであります。
 次に、財政民主主義についての御指摘がございました。
 新年度の予算編成に当たりましては、まずは特例公債の発行を回避するというのを原則にいたしましたし、その基本前提に立って歳入歳出両面においてさまざまなぎりぎりの工夫をする中で、御指摘のような特例的な措置も検討せざるを得なかったところであります。こうした特例的な措置につきましては、極めて厳しい財政事情のもとにおける臨時緊急の措置として慎重に取り扱われるべきことは言うまでもありません。それぞれの制度・施策の運営に支障を生じない範囲で実施をしていかなければなりませんし、歯どめを有しているものに限るという基本に立っております。
 なお、こうした特例的な措置等に関しましては、これまでもいわゆる繰り入れ特例法等に基づいて措置をされてきたところでございますし、国会における審議等を通じてそれぞれの措置について御説明をしてまいったところでございます。さらに、従来より、これと関連して、「今後処理を要する措置」という形の資料を整理してお出しをいたしているところでございます。
 次に、この特例措置は実質的な赤字公債ではないかという御指摘がございました。これらの特例的な措置は、特例公債、赤字公債とはいささか違う点についてもぜひ御認識を賜り洗い。
 一つは、結果として生ずる単年度の歳入歳出の差を単純に補てんするものであります赤字公債は、一たび発行に追い込まれれば、その発行額の歯どめがきかないという点がございますが、特例的な歳出削減措置は、それぞれの制度・施策をめぐる状況を十分検討した上で、運営に支障を生じない範囲でやむなく行われるものであります。その性格及び金額の点でおのずと歯どめを有している点は、御認識を賜りたいと思います。
 もう一つは、広く市中等から資金調達を行う特例公債と異なり、特例的な歳出削減措置等は基本的には国の内部における措置にとどまるものであります。財政資金の効率的使用という側面も有しているということであります。
 次に、隠れ借金についての重ねてのお尋ねでございますが、具体的にどういう措置を隠れ借金というのか明確な定義がございません。こうして国会に全部お出しをし、御審議を願い、お決めをいただいているわけであります。今後国が繰り戻しを行う等の適切な処理を行う必要がある措置を「今後処理を要する措置」として整理をいたしました。先般公表した資料の中で、各措置の七年度末における残高を明記しているところであります。これらについては、さまざまな性質の措置が含まれているため、これを単純に合算して数字で発表するということはいたしておりません。
 いずれにせよ、特例的な歳出削減措置等につきましては、それぞれの制度・施策をめぐる状況や考え方を踏まえて、これまでも返済や見合い財源の確保等その処理に努めてきたところでありますが、今後におきましても、それぞれの制度・施策をめぐる状況やこれまでの考え方、国の財政事情等を踏まえながら、適切に対応していく必要があると考えます。
 次に、外国為替資金特別会計についてお尋ねがございました。
 この収支状況につきましては、保有外貨の主たる運用先である米国の金利が上昇する一方、資金調達手段である外国為替資金証券の割引率が市場最低の水準で推移していること等を背景として、一時的に通常を上回る利益が発生すると見込まれる。このために、このような特別の利益に相当する額を七年度の一般会計に繰り入れることとしたものであります。この特別会計からの特例的な繰り入れ措置を含め、今後御審議をお願いしている法律案によるさまざまな措置は、現下の一段と深刻さを増した財政事情のもとで、七年度におけるまさに特例的な措置として実施をさせていただきたいと考えるものでございます。
 次に、財政状況を憂えた暁の特例措置であったのかどうかというお尋ねでございますが、もうお答えをしてまいりましたが、特例公債の発行には財政節度の観点から大きな問題があると考えておりますし、七年度予算の編成に当たりましても、特例公債の発行を回避するためにぎりぎりの工夫をする中でこの特例的な措置を検討せざるを得なかったということで、御理解をいただきたいと思います。
 次に、景気への影響であります。
 さまざまな国債、地方債の大量発行等が景気にマイナスの影響を与えるのではないかというお尋ねでございますが、今回の地震災害に必要な財政需要を賄うに要する財源をどうしていくかにつきましては、今後、どのような経費がどれくらい必要であるかの点を明らかにしながら検討を進めさせていただきたいと存じます。国債増発によらなければならないかどうか、そのことも含め財源全体のあらゆる可能性を真剣に求めていきたいと考えている次第でございます。
 毎年度の財政運営に当たりましては、その経済に与える影響も念頭に置きながら適切な運営に努めることが大事でございますし、国債発行等の金利に与える影響につきましては、その時々の景気動向、金融政策、為替動向等、内外の諸情勢に左右されるものでもあります。国債等の発行のみを取り上げて金利の上昇ひいては景気の影響を論ずることは、適切ではないと考えております。
 最後に、財政システムそのものの抜本的な改革について御発言がございました。
 繰り返し申し上げてまいりましたが、公債残高二百十二兆円、国債費が歳出予算の二割を占めるというように、構造的に大変厳しい状況に立ち至っております。世界と比較をしましても、先進国の中では、公債依存度、利払い費率等が一、二位を争う高い水準に来ております。容易ならざる事態に立っていると考えております。御指摘のような財政システムそのものの見直しにつきましては、かえって財政の肥大化につながりかねないものもあるなど種々の問題点もあり、慎重に検討をさしていただきたいと存じます。いずれにせよ、今や我が国財政は一刻も放置しておけないほど脆弱な体質になっており、改革への決意を一層固めなければなりません。
 なお、昨年細川内閣で編成をいただいた、私もその一員でございましたが、六年度予算におきましても、今回の村山内閣の編成した予算と比べましても、国債の大量発行とか、御指摘の数兆円にわたる特例措置という点についてはほとんど変わりはありません。そのことも御理解をいただきながら御論議を賜りたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣井出正一君登壇〕
#12
○国務大臣(井出正一君) 厚生年金及び国民年金の国庫負担の繰り入れ特例に関するお尋ねでありますが、第一に、今回の措置の内容は、厚生年金の一般会計からの国庫負担の一部四千百五十億円の繰り延べを行うこと、及び国民年金の国庫負担の繰り入れの平準化措置による平成七年度の加算分二千三百七十二億円の繰り延べを行うものであります。
 第二に、今回の特例による特別会計への影響についてでありますが、厚生保険特別会計、国民年金特別会計とも平成七年度の年金の支払いのために必要な歳出は十分確保されており、また、後日、利子を含めて全額返済されることとなっているので、将来の年金財政にも支障を来すものではございません。
 第三に、今回の特例についての担当大臣としての所見いかんということでありますが、現在の厳しい財政状況において、真に必要な厚生省関係予算の確保を図るため、やむを得ない措置であると考えております。
 第四に、財政当局に対する今後の要望についてでありますが、将来にわたる年金財政の安定が損なわれることのないよう、今回繰り延べられた額について、できる限り速やかに繰り戻しかなされるべきものであると考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣亀井静香君登壇〕
#13
○国務大臣(亀井静香君) 議員御案内のように、極めて厳しい財源の中での予算編成でございますので、協力をいたすことにしたわけでございます。
 なお、資金運用部への預託金利と同じ利息を保ちゃんといただくことにいたしておるわけでございますので運用上に問題はない、このように考えておるわけでございます。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(土井たか子君) 井奥貞雄さん。
    〔井奥貞雄君登壇〕
#15
○井奥貞雄君 私は、新進党を代表して、ただいま御提案のありました租税特別措置法の一部を改正する法律案について、村山総理並びに関係大臣に質問を行います。
 初めに、阪神大震災でお亡くなりになられました方々とその御遺族に対しまして深く哀悼の意を表し、また、負傷された方々や避難生活を続けておられる方々に心からお見舞いを申し上げます。さらに、救援、復旧のため不眠不休で頑張っていただいている関係者の皆さんに感謝の意を表するものであります。
 申すまでもなく、現在政治に求められている緊急課題は、阪神大震災対策のための平成六年度第二次補正予算を一日も早く編成し、速やかに成立させることであります。あわせて、税制改正においても、この阪神大震災で被災された方々の生活を守るため、抜本的な税の優遇措置を早急に実施することが求められております。甚大な被害を考えますと、現行の災害対策税制では甚だ不十分と言わざるを得ません。例えば、平成六年分の所得について損失を控除できない、災害減免法は所得六百万円以下の人しか対象にしていないなどの問題があります。
 我々の要求にこたえ、ようやく政府も、家屋倒壊などの損失を平成六年分の所得から控除する特例、災害減免措置を認める所得上限の引き上げなどを柱にした改革案をまとめたと聞いておりますが、遅きに失したとはいえ、当然の措置と考える次第であります。ただいま審議に入った本法案はひとまず棚上げしてでも、政府は阪神大震災対策のための税制改正を速やかに成立させるべきと考えますが、村山総理及び武村大蔵大臣の決意のほどを伺いたい。
 なお、政府が本年一月十三日に決定をした平成七年度税制改正要綱には、地震防災対策用資産の特別償却の廃止が盛り込まれておりました。阪神大震災が生じた時点でこの措置を直ちに取りやめるのが筋でありましたが、政府・与党の動きは全く鈍く、我が党がこの点を厳しく指摘をして政府が重い腰を上げ、大震災発生から二週間もたった一月三十一日にようやく取り消しに踏み切ったことは、大失態と言わざるを得ません。そもそも、かかる事態を念頭に置いて慎重に審議する必要があったのではないかと思うわけであります。これらの点について、総理及び大蔵大臣はどう釈明をされるのか。
 さらに、阪神大震災を機に、この際、電気通信システム信頼性向上促進税制及び電線地中化設備に係る特別償却制度の拡充、被災者の方々が財形貯蓄を取り崩した際はさかのぼって課税をしない、このような措置などを初めとして、さらにきめ細かな税制を講じていく必要があります。これらの措置についても積極的に取り組んでいくのか、総理及び武村大蔵大臣の答弁をいただきたい。
 このたびの阪神大震災は、天災ではありますが、その対応のまずさはまさに人災と呼べるものであります。本当に求められるときに十分な対応ができないのであれば、総理としてその責任を果たしたということは言えないのではないでありましょうか。
 次に、抜本税制改革についてお尋ねをいたします。
 さきの臨時国会で成立をした税制改革法は、抜本と称しながらその内実を伴わず、高齢化社会を支える基盤づくりという当初の改革目標からも大きく外れ、単に小手先の所得減税、消費税率引き上げに矮小化された限定的議論に終始するという極めて不満足なものに終わってしまいました。
 特に、政府は、我々が課題とした高齢・少子社会への移行と国民負担との関係、二十一世紀に向けた福祉計画や社会資本の充実、そして活力ある経済社会の構築などにつき財政が今果たすべき役割を明確に示すことをせず、すべて見直し条項に課題を先送りするという無責任な手法を税制に持ち込み、今回の税制改革を、理念も哲学も見えない、まるで自社両党の利害の折衷案に書きかえてしまったのであります。(拍手)
 所得減税を二階建て・二段階とし、消費税率を五%と仮置きをして、後から様子を見てもう一度決めるというびほう策をとるなど、法治国家にあるまじき無責任な内容が盛り込まれているということは言語道断であります。
 高齢社会の福祉を充実すると口では言っておきながら、具体的な財源の裏づけも全くなく、私どもは、かかるずさんな村山税制改革に対して修正案を提出し、第一に、税制改革の絶対条件として、具体的な行財政改革及び福祉ビジョンを平成七年三月三十一日までに提出するよう政府に求め、その上で消費税率等について結論を出すよう義務づけること、第二に、中堅所得者を中心にして税負担の累増感を解消するため、所得減税が制度改正として恒久的に実施されるよう、この道を確立することが主な柱であります。
 残念ながら、村山税制改革は原案のまま成立をしてしまいました。この税制改革が、社会全体、国民一人一人の生活からも活力を奪い、内外ともに我が国の信頼を損ねることは必至であります。今日においても、我々が指摘をした点は重要な意味を持っていると考えます。改めて、政府に対し、速やかに行革と福祉ビジョンを取りまとめるよう、来年度以降も五兆五千億円規模の所得減税を実施するよう求めるものであります。総理及び武村大蔵大臣にこの場で確たる約束をしていただきたい。
 次に、行政改革についてお尋ねをいたします。
 平成九年四月の消費税率引き上げの前に、まず政府みずからが最大限汗をかく必要があること、戦後の日本のシステムを根本から改革するために、政治改革、経済構造改革と並んで三位一体で行革を断行することが不可欠であること、数次にわたって阪神大震災対策を実施するためにも行革で相当の財源を捻出する必要があることなどを考えれば、行革は絶対に手を抜くことのできない最重要課題の一つだと考えます。村山総理も、施政方針演説で、「言葉だけの改革に終わることのないよう、不退転の決意と勇気を持って実のある改革を断行する所存であります。」と、はっきりと述べておられるわけであります。
 政府がまとめる特殊法人見直し案にしても、事業を温存したまま統合するケースがほとんどになると聞いております。村山総理は、一体この事態をどう国民に説明をされるのか。いつになったら、政府は、中央省庁の再編、規制の緩和、公務員の定員削減、特殊法人の見直しなどについて抜本的、具体的な行政改革案をまとめられるのか。結局、行革も公約違反に終わることとなるのか、明らかにしていただきたいと思います。
 さらに、武村大蔵大臣が所属をされておられますさきがけは、昨年九月、行財政改革により平成十一年度までに平年度約二兆四千億円の歳出効果を上げる、このことを発表されておられます。今のままでは、これも公約不履行になるおそれがあります。また、武村大臣所管の大蔵省の特殊法人につきましては、率先をして廃止するぐらいの大胆な案がまとまらなければ国民に対して示しかつかないものと考えております。(拍手)
 以上の諸点について、武村大蔵大臣の見解をお伺いいたしたい。
 最後に、本法案に盛り込まれている具体的項目についてお尋ねをいたします。
 この案も、先ほど申し上げました税制改革と同じく、理念を欠いた小手先だけの内容にとどまっており、かかる改正では景気の回復や日本経済の空洞化の進行に対応できるとは到底思えないのであります。
 土地税制については、地価税などの保有課税について見直しか不十分であります。また、証券・金融市場が極度の不振にあるときに、有価証券取引税の廃止を断行できなかったことは問題と考えます。さらには、景気対策として行われてきた投資減税が廃止されることは時期尚早と言わなければなりません。住宅取得促進税制の縮減も国民生活や景気対策の点から問題であり、単純な財源探しであると言わざるを得ません。
 これらの問題に対して政府はどのように考えておられるのか、村山総理、武村大蔵大臣の御見解を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(村山富市君) 井奥議員の質問にお答えを申し上げます。
 大震災関連の税制改正を速やかに成立させるべきではないかとの御指摘でございますが、税制面では、今回の震災による被害が甚大であり、かつ、平成六年分の所得税の申告期限前という特殊な時期に発生したこと等の事情を踏まえ、個々の納税者がこうむった損害をできるだけ早い段階で所得税制上配慮するべく緊急対応を行うこととしております。政府といたしましては、この緊急対応を早急に実施するために、法案準備を速やかに行い、国会の御審議をいただく予定でございます。
 次に、今回の税制改正における地震防災対策用資産の特別償却制度の取り扱いに関しての御指摘がございましたが、この改正内容の変更は、今回の震災という異常事態の発生を踏まえ、今後防災のための税制上の支援を確保しておくべきことが必要であると考えたことによるものであり、一月二十四日の閣議におきまして、大蔵大臣から、その改正内容を、廃止から二年間の延長に変更する旨の方針が示されたものでございます心事態の推移に応じ敏速に対応したものであると御理解願いたいと存じます。
 今回の大震災を機に、さらにきめ細かな特別措置を積極的にとるべきとの御指摘でございますが、今回の大震災による損害への対応につきましては、先ほども申し上げましたとおりであり、今回の所得税における緊急対応以外の税制上の対応につきましては、地震災害の状況、各方面での取り組みの状況等を踏まえながら、適切に今後も対応してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、今回の震災に関する私の責任についての御質問がございましたが、これまでも繰り返して申し上げてまいりましたように、今回の地震により五千人を超える犠牲者と未曾有の被害がもたらされたという結果につきましては、私自身もこれを重く厳しく受けとめているところでございます。しかしながら、政府に課せられました課題は、内閣を挙げて、まず被災者の救援対策を強力に推進するとともに、引き続き復興・復旧対策に全力で取り組むことこそが、私に課せられた責任であると考えているところでございます。(拍手)
 次に、具体的な行財政改革のビジョンについてのお尋ねがございましたが、行財政改革の推進は、不断に進めていくべき国政上の重要課題であると認識をいたしております。このため、去る十二月二十五日には、政府としての行政改革の当面の推進方策として、村山内閣として初めての行政改革大綱を閣議決定したところでございます。今後、これに沿いまして、規制緩和、地方分権、特殊法人など、各般の改革課題について着実に具体化を図り、国民の目に見える形で成果を上げるよう全力を傾ける決意であります。また、財政面でも、あらゆる経費について、制度の根本にまでさかのぼった見直しや施策の優先順位の厳しい選択を行うなど、徹底した歳出の洗い直しに取り組んでまいる所存でございます。
 次に、福祉ビジョンについてのお尋ねでありますが、二十一世紀の少子・高齢化社会においても、国民一人一人が社会全体の支え合いの中で公正で充実した生活を送ることができる福祉社会を実現していくことが課題であり、このため、新ゴールドプラン等を推進するとともに、新しい介護システムの検討を進めていくこととしております。また、先般の税制改革におきましては、社会保障等に要する費用の財源の確保等との関連で、消費税率についての検討規定が置かれているところでございます。その検討過程において、新ゴールドプランなどを踏まえるとともに、直近の経済情勢を勘案しながら、年金や医療などの自然増の推計などを行い、社会保障の具体的施策とその必要経費を明らかにしてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、来年度以降も五兆五千億円規模の恒久的所得減税を実施すべきではないかとの御指摘でございますが、昨年関連法案の成立いたしました税制改革におきましては、働き盛りの中堅所得者層の負担累増感を緩和する等の観点から、来年以降も継続して実施される三兆五千億円の恒久的な制度減税を行い、これにより、低中所得者層の税負担の軽減に重点が置かれたさきの抜本改革と相まって、個人所得課税のあるべき姿が実現されたものではないかと考えております。
 なお、平成八年度の特例減税の取り扱いにつきましては、これまでの国会審議等の経緯及び景気全体の動向等を総合的に判断して対応すべき事柄ではないかと考えているところでございます。
 次に、行政改革の具体案についてお尋ねがございましたが、先ほども述べましたように、政府におきましては、去る十二月二十五日に行政改革大綱を閣議決定したところであります。
 この行政改革大綱におきましては、規制緩和については、その積極的かつ計画的な推進を図るため本年度内に五年を期間とする規制緩和推進計画を策定することとし、特殊法人につきましては、徹底した見直しを行い整理合理化を推進することといたしておりまするし、行政組織につきましては、その簡素効率化を推進するとともに、定員については、増員を厳に抑制し総数の縮減を図ることとするなど、政府としての行政改革の当面の推進方策を明らかにいたしておるところでございます。予定されたスケジュールに沿い、それぞれの課題について具体案をお示しすべく鋭意努力しているところでございますので、公約違反との御指摘は当たらないものだと考えております。
 次に、今回の租税特別措置法の改正案の内容について、理念を欠いた内容ではないかとのお尋ねがございましたが、平成七年度の税制改正は、最近の社会経済情勢の変化及び現下の厳しい財政状況等にかんがみ、課税の適正公平を確保する観点から、租税特別措置の大幅な整理合理化を行うとともに、早急に実施すべき措置を講ずるものでございます。こうした趣旨及び内容につきましては、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#17
○国務大臣(武村正義君) 地震に対する税の対応でございますが、今回の震災による甚大な被害が大変広範な地域にわたっておりますし、同時、大量、集中的に、かつ、平成六年分の所得税の申告期限前という特殊な時期に発生したこと等の事情を踏まえまして、個々の納税者がこうむった損害をできるだけ早い段階で所得税制上しんしゃくしていこうとするものであります。
 具体的には、平成六年分の所得に対し、平成七年の災害に係る雑損控除と災害減免法による所得税の減免の選択を前倒しして適用できることとし、また、災害減免法の所得要件につきましても、その引き上げを行うこと等を内容といたしております。政府としましては、この緊急対応を早急に実施するために、法案準備を速やかに進めて国会の御審議をいただきたいと考えます。ぜひ、第二次補正予算の二十四日より一日でも早い御提案を目指してまいりたいと考えております。
 地震対策用資産の特別償却の廃止は、今総理からお答えがございました。これも前年の論議で一定の方向を見出していたものでありますが、今回の震災の発生後直ちに再検討をいたしまして、二十四日に閣議決定ということで、二年間延長という形で御提案をさせていただく次第でございます。これはよろしくお願い申し上げます。
 次に、特別措置をもっときめ細かにとるべきであるという御指摘でございます。
 先ほど申し上げた緊急対応以外の税制上の対応につきましては、地震災害の状況や各方面での取り組みの状況等を踏まえながら対応をしてまいりたいと考えます。この点は各般にわたりまして鋭意検討を進めてまいります。
 次に、行政改革ビジョンと福祉ビジョンについてのお尋ねがございましたが、総理と全く同じ考えでございます。重複を避けるために省略をさせていただきます。
 次に、所得減税を五・五兆円規模で恒久減税にすべしという御提案でございました。
 これも総理から答弁がございましたが、昨年成立しました税制改革におきましては、所得税率二〇%を中心とした税率のブラケットの幅を十分確保させていただくことができたと考えております。その結果、収入が増加するにつれて追加的な手取り金額が滑らかにふえていくような累進構造が実現されたと考えております。三・五兆円でありますが、いわゆる抜本的な制度減税を実現し縁たと私どもは思っております。この措置によりまして、低中所得者層の税負担の軽減に重点が置かれましたその前の税制抜本改革と相まって、個人所得課税のあるべき姿は実現されたものと考えております。
 次に、行政改革の問題でありますが、基本的には、行政の肥大化を防止し、簡素で効率的な政府を実現することが基本でございます。政府部門の果たすべき役割は、時代の変化に即応して絶えず見直しをしていかなければなりません。
 昨年発表したさきがけの行革試案は、こうした観点に立ちまして、村山内閣の最重要課題の一つとして取り組むべき行政改革を、とりわけ特殊法人改革について党の考え方を提示したものであります。行革の推進はさきがけの重要な公約の一つでありますが、特殊法人改革についてのさきがけ案は、この公約を実現するための具体的政策努力であるというふうにごらんいただければと思います。
 特殊法人の改革につきましては、政府・与党全体として、各機関の設立当時の原点に立ち返って、事業の役割や意義を改めて評価しながら、総合的かつ全般的な見直しに鋭意取り組んでいるところでございます。当然大蔵省も例外ではあり得ないことは十分承知をいたしております。
 長後に、今回の租特法の内容でありますが、七年度改正におきましては、企業関係を初めとする租税特別措置について十分洗い直しを行い、大幅な整理合理化が図られたと考えております。また、例えば企業の事業革新の円滑化であるとか、中小企業の創造的事業活動の促進の支援のための措置など、最近の社会経済情勢の変化に対しましてもできる限りの対応を行っているところでございます。(拍手)
#18
○議長(土井たか子君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#19
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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